説明

アセトゲニンを含む抽出物、フラクションおよび組成物ならびにそれらの応用

本発明は、サイトカイン/ケモカインまたは他のバイオマーカーによって媒介される炎症および免疫関連疾患または障害を予防、処置、抑制または管理するための、バンレイシ由来の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含む、アセトゲニン、アセトゲニンに規格化された抽出物/フラクション、またはそれらの組成物を開示する。本発明は、さらに、代謝性疾患/障害を予防、処置、抑制または管理するための、該バンレイシ由来のアセトゲニン、抽出物/フラクションまたはそれらの組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイトカイン/ケモカインまたは他の診断/バイオマーカーによって媒介される炎症および/または免疫関連疾患を予防、処置、抑制または管理するための、バンレイシ(Annona squamosa)由来の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含む、アセトゲニン、アセトゲニンに規格化された抽出物/フラクションに関する。本発明はさらに、代謝性疾患/障害を予防、処置、抑制または管理するための、アセトゲニンに規格化された抽出物/フラクションに関する。
【背景技術】
【0002】
カスタードアップル、シュガーアップルまたはスイートソップとも呼ばれているバンレイシは、バンレイシ科(Annonaceae)に属し、熱帯アメリカを原産とする。バンレイシは6mまでの高さの灌木または低木である。カスタードアップルは、黒い光沢のある種子を数多く含む白い果肉を有する可食果実である。これは、インドの多くの地域において、落葉樹林によく見られると共に、栽培されているのもよく見られる。この果実の果肉は生食されるか、ジュースまたはシェークに加工される。果実は通常、生食される。広範囲にわたって栽培されているので、その正確な自生地域はわからないが、カリブ海諸島であると考えられ、この種(species)はジャマイカから記載されたものである。バンレイシの植物化学の一部は、次のとおりである。バンレイシ樹皮の揮発性構成成分が、水蒸気蒸留によって得られる精油から同定された。6つの主要構成要素は、GC/MSを使った研究により、1H−シクロプロパ(e)アズレン(3.46%)、ゲルマクレンD(11.44%)、ビサボレン(4.48%)、カリオフィレンオキシド(29.38%)、ビサボレンエポキシド(3.64%)およびカウラ−16−エン(19.13%)と同定された。
【0003】
バンレイシ種子のエチルアルコール抽出物から11のバンレイシ科アセトゲニン化合物が単離され、スクアモセニン、アンノテモイン−2、レチクラタイン−2、スクアモシン−I、スクアモシン−B、スクアモシン、モトリリン、スクアモスタチン−D、スクアモスタチン−E、ケリモリン−1およびケリモリン−2と同定された。
【0004】
バンレイシ科アセトゲニンは、バンレイシ科の植物から単離された天然化合物の確立された一クラスである。なかでもテトラヒドロフラン型アセトゲニンは、よく知られた一クラスである[Feras,Q.A.et.al.,J.Nat.Prod.,1999,62:504−540]。この化合物クラスのさまざまなメンバーは、かなりの生物活性を呈すると報告されている。アセトゲニンは、C35−C39化合物であって、典型的には2本の長い炭化水素鎖を含有し、そのうちの一方は、末端2,4−二置換−γ−ラクトンを、可変数のテトラヒドロフラン(THF)環につないでいる。炭化水素鎖は、酸素化された部分(これは、ヒドロキシル、アセトキシルおよび/またはケトンであることができる)をいくつか含有する。最近、二重結合を含有する単環アセトゲニン、THF環を持たないエポキシド化合物、およびエポキシドとTHF環のどちらも持たない化合物が報告されている。これらの化合物は、バンレイシ科アセトゲニンのポリケチド起源説を裏付けている。
【0005】
バンレイシの葉は蚊殺虫性を有することが見いだされ、睡眠病の処置に使用された。粉砕した種子は、ミバエおよびシラミに対して殺虫性を有することが見いだされた。果肉はビタミンCを含有し、歯、骨、皮膚および筋肉に良い。花は眼炎の処置に使用されてきた。種子粉末のペーストは、アタマジラミを処置するために使用され、がん処置に使用される。樹皮抽出物は、皮膚病の処置および腸内寄生虫の駆除に使用される。根抽出物は、がん性腫瘍を処置するために使用される[A.C.de Q.Pinto,Field Manual for extension workers and farmers,Practical manual no.5,2006]。
【0006】
バンレイシの薬理活性の一部を以下に要約する。バンレイシの種子から単離されたシクロスクアモシンDは、リポ多糖およびPam3Cys刺激J774A.1マクロファージ内での炎症誘発性サイトカインの産生を抑制することにより、抗炎症活性を示した[Yang,Y.L.,et al.,J Agric Food Chem.2008,56:386−92]。
【0007】
バンレイシ種子から単離された活性化合物の一部は、抗アタマジラミ効果を示した[Junya Intaranongpai et al.,Southeast Asian J.Trop.Med.Public Health,2006,37:pages]。バンレイシの根は、便秘への対処で知られている。バンレイシに関して肝保護活性[Mohamed Saleem TS et al.,International Journal of Applied Research in Natural Products,2008,1:1−7]も報告された。
【0008】
好中球によって産生される反応性酸素種(ROS)および顆粒プロテアーゼは、炎症性疾患の病理発生の一因になる。バンレイシの茎から単離されたent−カウラン(ent−kurane)化合物16−ベータ,17−ジヒドロキシ−ent−カウラン−19−酸は、白血球における強力な免疫調節効果と、ホルミル−L−メチオニル−L−ロイシル−L−フェニルアラニン(FMLP)活性化ヒト好中球における、スーパーオキシドアニオンの生成、ROSの形成、およびエラスターゼの放出を抑制することによる、抗炎症活性を呈した。
【0009】
もう1つの調査研究では、バンレイシから単離されたカリオフィレンオキシドが、12.5および25mg/kg体重の用量において、抗炎症活性と共に、著しい中枢および末梢鎮痛活性を示した[Chavan,M.J.,et al.,Phytomedicine.2009]。
【0010】
バンレイシの抗炎症活性は、以前に、インド特許出願第2756/DEL/2006号において報告された。この出願には、活性化合物16−ヒドロキシオクタデカ−9(ZまたはE),12(ZまたはE),14(ZまたはE)−トリエン酸および13−ヒドロキシ−9Z−11E−15E−オクタデカトリエン酸を含むバンレイシの抽出物を製造するプロセスと、がん、糖尿病、および関連合併症、例えばAIDS、喘息、関節炎、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬、アレルギー性鼻炎、ショック、アトピー性皮膚炎、クローン病、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、好酸球性肉芽腫、アレルギー性結膜炎、変形性関節症または潰瘍性大腸炎などの炎症状態を処置するためのその使用が記載されている。これらのトリエン酸化合物が、活性の原因になっていると考えられた。
【0011】
中国特許出願第1477102号は、糖尿病に抵抗する作用を有するシュガーアップル植物抽出物、その応用および製造方法に関する。原料は、バンレイシ植物の枝、葉、幹、樹皮、根、種子および果皮から抽出される。アセトゲニン化合物は、糖尿病を治療するためのさまざまな剤形にすることができ、その製造方法は、溶媒抽出プロセス、樹脂吸着プロセス、超臨界CO2抽出プロセスおよび従来の乾燥プロセスのうちの1プロセスまたは数プロセスを採用することができる。
【0012】
米国特許第6242483号は、バンレイシの樹皮からの3つの新しいモノテトラヒドロフラン環アセトゲニンの単離に関する。これらの化合物はそれぞれ、C−9位のカルボニル基と、テトラヒドロフラン環に隣接する2つのヒドロキシル基とを持っている。これらの化合物は、一定の特異的ヒト腫瘍細胞に対して、選択的な細胞傷害活性を呈する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】インド特許出願第2756/DEL/2006号明細書
【特許文献2】中国特許出願第1477102号明細書
【特許文献3】米国特許第6242483号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Feras,Q.A.et.al.,J.Nat.Prod.,1999,62:504−540
【非特許文献2】A.C.de Q.Pinto,Field Manual for extension workers and farmers,Practical manual no.5,2006
【非特許文献3】Yang,Y.L.,et al.,J Agric Food Chem.2008,56:386−92
【非特許文献4】Junya Intaranongpai et al.,Southeast Asian J.Trop.Med.Public Health,2006,37:pages
【非特許文献5】Mohamed Saleem TS et al.,International Journal of Applied Research in Natural Products,2008,1:1−7
【非特許文献6】Chavan,M.J.,et al.,Phytomedicine.2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
【課題を解決するための手段】
【0016】
ある主要態様において、本発明は、サイトカイン/ケモカインまたは他のバイオマーカーによって媒介される炎症および/または免疫関連疾患を予防、処置、抑制または管理するための、バンレイシ由来の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化された抽出物またはフラクションを提供する。
【0017】
別の主要態様において、本発明は、サイトカイン/ケモカインまたは他の診断/バイオマーカーによって媒介される炎症および/または免疫関連疾患を予防、処置、抑制または管理するための、植物/動物/微生物に由来する生物学的に活性な成分;医薬的または栄養学的に許容される活性成分、ビタミン、アミノ酸、ミネラル;医薬的または栄養学的に許容される賦形剤、媒体、担体および希釈剤、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの構成要素と組み合わされた、バンレイシ由来の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を有するアセトゲニンに規格化された抽出物またはフラクションから選択される少なくとも1つの構成要素を含む組成物を提供する。
【0018】
別の態様において、本発明は、炎症および/または免疫関連疾患を、その予防、抑制または管理を必要とする対象において予防、抑制または管理するための、アセトゲニン化合物を含むバンレイシ葉に由来するアセトゲニン化合物、抽出物もしくはフラクション、またはそれらの組成物を提供する。
【0019】
別の態様において、本発明は、代謝障害を、その予防、抑制または管理を必要とする対象において予防、抑制または管理するための、アセトゲニン化合物を含むバンレイシ葉に由来するアセトゲニン化合物、抽出物もしくはフラクション、またはそれらの組成物を提供する。
【0020】
別の主態様において、本明細書に記載する、アセトゲニン化合物を含むバンレイシ葉に由来するアセトゲニン化合物、抽出物もしくはフラクション、またはそれらの組成物は、TNF−α、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−6、IL−13、MCP−1、ランテス、エオタキシン、ICAM、VCAM、aP2、FLAP、CRP、CD36、5−リポキシゲナーゼおよびMMPから選択される1つ以上のサイトカイン/ケモカイン/バイオマーカーの発現または産生を制御/調節するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】最も活性な化合物および活性フラクションを同定するためのバイオアッセイガイド下分画の概略図。
【図2】バンレイシの葉の抽出物から単離されたアセトゲニンの化学構造。
【図3】バンレイシ葉の酢酸エチル抽出物(LI12101、100mg/kg)およびプレドニゾロン(10mg/kg)による、スプラーグ・ドーリー・ラットにおけるフロイント完全アジュバント誘発足浮腫の足体積の棒グラフ表示。棒a、bおよびcは、それぞれ対照、LI12101およびプレドニゾロンで処置された群における足体積に対応する。各棒は平均±SD、N=6を表す。**p<0.005(対照との比較)。
【図4】異なる動物群における血清中TNFα□濃度の棒グラフ表示。FCAチャレンジの14日後に、酵素イムノアッセイキット(R&D Systems、米国)によって血清中TNFα□を定量的に測定した。棒a、bおよびcは、それぞれ対照、LI12101(100mg/kg)およびプレドニゾロン(10mg/kg)を補充した群におけるサイトカインのレベルを表す。各棒は平均±SD、N=6を表す。*p<0.05および**p<0.005(対照との比較)。
【図5】50mg/kgまたは100mg/kg体重のバンレイシ葉のメタノール抽出物(LI12100)およびプレドニゾロン(10mg/kg)による、スプラーグ・ドーリー・ラットにおけるフロイント完全アジュバント誘発足浮腫の足体積の棒グラフ表示。棒は、それぞれ対照、50mg/kg体重のLI12100、100mg/kg体重のLI12100、およびプレドニゾロンで処置した群における足体積に対応する。各棒は平均±SD、N=6を表す。
【図6】異なる動物群における血清中TNFα□濃度の棒グラフ表示。FCAチャレンジの14日後に、酵素イムノアッセイキット(R&D Systems、米国)によって血清中TNFα□を定量的に測定した。棒は、それぞれ対照、50mg/kg体重のLI12100、100mg/kg体重のLI12100、およびプレドニゾロン(10mg/kg)を補充した群におけるサイトカインのレベルを表す。各棒は平均±SD、N=6を表す。
【図7】バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)による、3T3−L1脂肪細胞における脂肪生成プロセスおよび脂肪分解プロセスの代謝マーカーの調節。代表的なイムノブロットが、表示のとおりPPARγ、ADRP、CEBPα、CEBPβ、aP2、CD36およびペリリピンなどのさまざまなマーカータンパク質のダウンレギュレーションを表している。3T3−L1マウス前脂肪細胞を、10μg/mlまたは25μg/mlのLI12100の非存在下または存在下で分化させた。媒体対照培養には、類似する濃度のDMSOだけを与えた。各ブロットでは、内部対照として、アクチンタンパク質の発現量を評価した。各タンパク質の発現量をデンシトメトリーで測定し、アクチン発現量で標準化した。相対的な発現レベルを、任意単位で、棒グラフとして表現する(側面の図)。棒a、bおよびcは、それぞれ媒体対照、10μg/mlのLI12100、および25μg/mlのLI12100で処置した細胞における発現量を表す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
炎症は、体内に侵入した病原体、損傷細胞またはアレルギー物質などの刺激に対する血管組織の応答である。これは、有害な病原体または物質を除去し組織を保護するための体内の防御機構である。TNFα、IL−1β、IL−6、GM−CSF、ならびにCD4+,Th2サブセット由来のIL−4、IL−5およびIL−13リンホカインなどといった炎症誘発性サイトカインは、炎症性疾患の免疫病理発生の重要因子と見なされている。5−リポキシゲナーゼは、炎症プロセスにおける重要ステップであるアラキドン酸からのロイコトリエン合成にとって決定的な酵素である。ロイコトリエンは、炎症性疾患の重要な媒介物質である。
【0023】
5−リポキシゲナーゼ(5−LOX)の活性化および遺伝子発現が、この疾患状態の原因である。5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)は、アラキドン酸と特異的に結合してそれを酵素に伝達することによって5−リポキシゲナーゼを活性化する18kDaの内在性膜タンパク質である。したがって、FLAPはロイコトリエン産生の原因である。それゆえに、5−LOXおよびFLAPをブロックするかダウンレギュレートすることは、炎症状態を処置および/または管理するための有効な治療アプローチである。
【0024】
腫瘍壊死因子−アルファ(TNFα)は、重要な多面発現炎症誘発性サイトカインである。これは、さまざまな機能を果たし、その発現および産生は、身体の大半の臓器に対して効果を有するようである。これは主としてマクロファージによって産生される。TNFαは急性期タンパク質であり、サイトカインのカスケードを開始させ、血管透過性を増加させ、それによってマクロファージおよび好中球を炎症部位に動員する、ケモタキシンである。TNFαは、成長刺激性と成長抑制プロセスの両方を有し、自己制御性も有するようである。TNFαの有益な機能には、細菌の侵入、一定の真菌、ウイルス、および寄生虫の侵入に対する免疫応答におけるその役割、ならびに特異的腫瘍の壊死におけるその役割がある。しかし、高レベルのTNFαは、有害な効果を有し、数多くの疾患状態につながるであろう。高レベルのTNFαは死亡リスクの増加と相関する。それゆえに、TNFαは、広範囲にわたる炎症性疾患に対する新規処置の開発にとって、重要なターゲットである。
【0025】
アテローム性動脈硬化も、内皮細胞機能不全部位において数十年という期間にわたって起こる動脈病変の形成を特徴とする炎症性疾患である。炎症は、アテローム斑発生の数多くの段階において重要な役割を果たす。それにゆえに、アテローム性動脈硬化を標的とする最善の戦略は、新規抗炎症性を有する化合物を同定することである。
【0026】
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、あらゆる種の細胞外マトリックスタンパク質、例えばコラーゲンなどを分解する能力を有し、通常は組織中の細胞間腔に見いだされる、亜鉛依存性エンドペプチダーゼである。MMPは、3つの主要なグループ、すなわちコラゲナーゼで構成される線維芽細胞コラゲナーゼ−1(MMP−1)、ゼラチナーゼA(MMP−2)およびゼラチナーゼB(MMP−9)を含むゼラチナーゼ類、ならびにストロメライシン−1(MMP−3)およびマトリライシン(MMP−7)を含むストロメライシン類に大別される。過剰なメタロプロテイナーゼは、コラーゲン、プロテオグリカンおよびゼラチンなどの生体分子の分解につながり、それは表皮に致命的な結果をもたらしうると共に、軟骨の疾患、炎症なども生じさせうる。
【0027】
さまざまな炎症性疾患および代謝障害の有病率は増え続けている。これが、炎症性疾患および代謝障害の管理の差し迫った必要性と相まって、世界中の数多くの科学者にとって、これらの分野における研究活動は、優先度の高いターゲットになっている。このことが、代替的解決策、とりわけ植物起源の製品に基づくものを発見することに、特別な関心を生み出している。
【0028】
植物由来の製品は、合成起源の市販薬とは対照的に、天然であり、安全であると見なされている。そこで本発明者らは、いくつかのインビトロ実験およびインビボ実験を伴う詳細な調査を、いくつかの植物抽出物、フラクションおよび純粋な化合物について行い、思いがけないことに、細胞ベースの研究において、バンレイシの抽出物もしくは活性フラクションもしくは活性化合物またはそれらの組成物を治療有効量で投与すると、炎症および/または代謝/免疫障害時に過剰発現する一定のサイトカイン/ケモカイン/バイオマーカーのレベルが強力に改善されることを見いだした。
【0029】
本明細書および特許請求の範囲における実施形態の説明に使用されるバンレイシ抽出物/フラクションのさまざまな略号を以下に示す:
LI12100−バンレイシ葉のメタノール抽出物
LI12100A−バンレイシ葉の逐次抽出によって得られるヘキサン抽出物
LI12100B−バンレイシ葉の逐次抽出によって得られるメタノール抽出物
LI12100C−バンレイシ葉の酢酸エチル抽出物
LI12100D−バンレイシ葉のエタノール抽出物
LI12100E−バンレイシ葉の水アルコール抽出物
LI12100F−分配によって得られるバンレイシ葉の酢酸エチル抽出物
LI12100G−バンレイシ種子のヘキサン抽出物
LI12100H−バンレイシ種子の酢酸エチル抽出物
LI12100I−バンレイシ葉のメタノール抽出物と水抽出物の混合物
LI12100J−バンレイシの葉と種子のメタノール抽出物の混合物
LI12101−バンレイシ葉の分配によって得られる酢酸エチル抽出物
LI189/159G+H−バンレイシ葉のメタノール抽出物(LI12100)のクロマトグラフィーによって得られる活性フラクション。
【0030】
広範囲にわたる植物抽出物を、THP−1ヒト単球細胞において、炎症誘発性サイトカインTNFαに対するそれらの抑制能についてスクリーニングした。バンレイシの抽出物は、意外にも、試験した抽出物のなかで最も強力なTNFα抑制を示した。バンレイシの葉に由来するメタノール抽出物(LI12100)は、20.06ng/mLの半抑制濃度(IC50)でTNFαを強力に抑制した。また、選ばれたプロセスによってバンレイシの葉から得られた酢酸エチル抽出物(LI12101)も、最も強力なTNFα抑制を示し、IC50値は8.34ng/mLであった。バンレイシの他の抽出物(LI12100A〜LI12100J)も、表1に要約するように、強力なTNFα抑制を示した。
【0031】
バンレイシのメタノール抽出物(LI12100)を、バイオアッセイガイド下での分離に付して、TNFα抑制の原因になっている化合物を同定し、改善された活性を有するフラクションを産生した。LI12100を、溶離液として酢酸エチル/ヘキサン混合物を用いるシリカ・フラッシュ・カラム・クロマトグラフィーに付した。60%および80%酢酸エチル/ヘキサン混合物ならびに酢酸エチルと共に溶出したフラクションは、強力な活性を示した。しかし、酢酸エチルと共に溶出したフラクション(LI189/159G+H)は、より優れたTNFα抑制(IC50 0.82ng/mL)を示した。この活性フラクションを、アセトン/クロロホルム混合物を使って、再びシリカ・フラッシュ・カラムでのさらなる精製に付し、次に、Phenomenex Lunaカラム(10μ、C18、250mm×21.2)で、まず95:5アセトニトリル/水混合物を使用し、最後に90:10アセトニトリル/水混合物を使って、活性フラクションの分取HPLC精製を行うことにより、24.9pg/mLのIC50値を有する純粋な化合物(LI12103)を得た。そのH NMR、13C NMRおよび質量分析データの厳密な分析および文献に報告されている値との比較により、その化学構造は、意外にも、スクアモシンC(LI12103;1)と呼ばれるアセトゲニン化合物であることがわかった。100pg/mLで63%のTNFα抑制を有する微量化合物も同じフラクションから単離され、その構造はイソスクアモシン(LI12132;2)と同定された。このバイオアッセイガイド下分画を図1に要約する。
【0032】
選ばれたプロセスによって得られる葉の酢酸エチル抽出物(LI12101)も、より詳細なバイオアッセイガイド下分画および/または精製に付して、抗TNFα活性の原因になっている他のアセトゲニン化合物を、有機溶媒の混合物を用いるシリカゲルでの反復フラッシュ・カラム・クロマトグラフィーと分取HPLC精製とを使って単離し、同定した。この退屈で面倒な精製プロセスにより、1つ以上のテトラヒドロフラン部分、1つ以上のエポキシド部分、1つ以上のヒドロキシル基、および1つ以上のオレフィン結合(二重結合)から選択される少なくとも1つの官能基をアルキル鎖中に有する末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含む、密接に関係する15のアセトゲニン化合物が得られた。これらの化合物には、スクアモシンC(1)、イソスクアモシン(LI12132;2)、ジエポサバデリン(dieposabadelin)(LI12109;4)、スクアモスタチンD(LI12106;5)、スクアモシンL(LI12107;6)、スクアモシンJ(LI12111;7)、スクアモシンG(LI12105;10)、および10−ヒドロキシアシミシン(LI12110;11)が含まれる。化合物LI12104(3)、化合物LI12114(8)、化合物LI12115(9)の構造は、暫定的に割り当てられている。既知化合物の構造と暫定的に割り当てられたものとを図2に要約する。
【0033】
残りの化合物、化合物LI12112、化合物LI12113、化合物LI12116および化合物LI12117も、実施例13の実験項に記載するスペクトルデータによれば、特徴的な末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトンを有するバンレイシ科アセトゲニンであると特徴づけられ、LI12112は、特徴的な末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトンを有するアセトゲニンであって、アルキル鎖上にテトラヒドロフラン部分、3つのヒドロキシル基および二置換二重結合を含有する。これは、606質量単位の分子量(MW)を有する。この化合物のスペクトルデータを以下に要約する:
LI12112:H NMR(CDCl,400MHz):δ6.98(1H,d,J=1.2Hz)、5.36(2H,m)、4.99(1H,qd,J=1.6,6.8Hz)、3.87(4H,m)、3.41(2H,m)、2.36−2.24(4H,m)、2.06−1.90(5H,m)、1.68−1.50(8H,m)、1.41(3H,d,J=6.8Hz)、1.25(s)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);LCMS:629(M+Na) +veイオンモード。
【0034】
LI12113は、588質量単位の分子量を有するアセトゲニンであり、特徴的な末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトンを含有し、アルキル鎖上に3つのエポキシド基を持つ。この化合物のスペクトルデータを以下に要約する:
LI12113:1H NMR(CDCl3,400MHz):δ6.98(1H,d,J=1.6Hz)、4.99(1H,qd,J=1.6,6.8Hz)、3.03−2.92(6H,m)、2.26(2H,t,J=7.6Hz)、2.04−1.95(2H,m)、1.84(2H,m)、1.78(2H,m)、1.66−1.47(10H,m)、1.40(3H,d,J=6.8Hz)、1.26(s)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);13C NMR(CDCl3,100MHz):δ173.7,148.7,138.4,57.3,56.8,56.6,31.9,29.7,29.5,29.5,29.3,29.2,27.8,27.4,26.6,25.3,25.2,25.2,22.6,19.2,14.1;LCMS:611(M+Na) +veイオンモード。
LI12116(MW604)は、特徴的な末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトンを有するアセトゲニンであり、アルキル鎖上に2つのエポキシド基と1つのヒドロキシル基を含有する。この化合物のスペクトルデータを以下に要約する:
LI12116:1H NMR(CDCl3,400MHz):δ6.98(1H,s)、4.99(1H,qd,J=6.4,1.6Hz)、4.29(1H,m)、2.98(4H,m)、2.27(2H,t,J=8.0Hz)、2.07(2H,m)、1.77(6H,m)、1.55(10H,m)、1.41(3H,d,J=6.8Hz)、1.26(s)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);LCMS:627(M+Na) +veイオンモード。
【0035】
LI12117は、特徴的な末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトンを有するアセトゲニンであり、アルキル鎖上に2つのテトラヒドロフラン部分と3つのヒドロキシル基とを含有する。この化合物のスペクトルデータを以下に要約する:
LI12117:1H NMR(CDCl3,400MHz):δ6.98(1H,d,J=1.2Hz)、5.35(2H,m)、4.98(1H,qd,J=6.8,1.6Hz)、4.16(1H,m)、3.93−3.82(4H,m)、3.56(1H,m)、3.40(1H,m)、2.29(3H,m)、2.06(4H,m)、1.67−1.50(16H,m)、1.40(3H,d,J=6.8Hz)、1.26(s)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);LCMS:643(M+Na) +veイオンモード。
【0036】
本発明の生物学的に活性なアセトゲニン化合物は、該アセトゲニンのそれぞれが末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分(a)を含むという、特徴的な構造特徴を有する。加えて、該アセトゲニンは、以下に示す1つ以上のテトラヒドロフラン(b)基または1つ以上のエポキシド(c)基をアルキル鎖中に含み、そのアルキル鎖は、場合により、1つ以上のヒドロキシル基および/または1つ以上のオレフィン結合(二重結合)を含有する。
【0037】
【化1】

【0038】
いくつかのアセトゲニン化合物は非常に強力なTNFα抑制を呈し、50%抑制濃度(IC50)はナノモル濃度およびサブナノモル濃度であった。表1に要約するデータは、アセトゲニン組成物が、バンレイシ葉に由来する抽出物およびフラクションの活性の原因であることを、明確に示唆している。
【0039】
次に、バンレイシの葉の抽出物をスクアモシンCに規格化した。上述のメタノール抽出物(LI12100)は、0.4%のスクアモシンC、0.07%のスクアモシンGおよび0.08%のスクアモシンLを含有する。上述の酢酸エチル抽出物(LI12101)は、0.5%のスクアモシンCを含有する。個々のアセトゲニンの濃度および総濃度は、抽出に使用する原料の性質によって変動する。しかし、わずか0.1%のスクアモシンCしか含まない抽出物が、インビトロで強力なTNFα抑制を示し、インビボで強力な抗炎症活性を示した。上述した「末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含有するアセトゲニン化合物」の総濃度は、0.2%〜5%の範囲にあることがわかった。
【0040】
新規アセトゲニン組成物を含んでいるバンレイシ酢酸エチル抽出物(LI12101)および他の抽出物によるマトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)産生の抑制を、インターロイキン−1β誘導ヒト肺腫瘍細胞株A549において評価した。抽出物はMMP−3産生を強力に抑制したことから、新規アセトゲニン組成物を含む抽出物およびフラクションは軟骨の分解を予防し関節の健康を改善するのに役立ちうることが示唆された。
【0041】
次に、スプラーグ・ドーリー・ラットのフロイント完全アジュバント誘発関節炎モデルを用いるインビボ系で、バンレイシ葉酢酸エチル抽出物(LI12101;0.2%スクアモシンCに規格化されたもの)が示す強力なインビトロ抗炎症効力を検証した。LI12101(1日あたり100mg/kg体重)の抗炎症効力を、スプラーグ・ドーリー・ラットのフロイント完全アジュバント誘発関節炎モデルにおいて評価し、その効力を、10mg/kg体重のプレドニゾロンを補充した陽性対照群が示す効力と比較した。処置群ラットには、毎日、LI12101またはプレドニゾロンを補充した。14日目に、各動物の左後足の足底下部にフロイント完全アジュバント(FCA)を皮下注射した。実験は28日目に終了した。血液試料を各動物から定期的に収集し、FCA注射の日とFCA接種の13日後に、プレチスモグラフィー装置で足体積を測定した。足浮腫の体積差を炎症応答と見なす。CMC補充対照と比較した場合の足浮腫の抑制の百分率を算出することにより、LI12101およびプレドニゾロンのインビボ抗炎症応答を見積もった。
【0042】
LI12101を補充した処置群は、対照群と比較した場合に、足体積に65%の減少を示した。図3に要約するように、プレドニゾロンを補充した陽性対照群は、10mg/kgの用量レベルで71%の抑制を呈した。さらに、処置群および対照群の血清におけるバイオマーカー腫瘍壊死因子−アルファ(TNFα)のレベルも評価した。図4に示すように、LI12101を補充した処置群は、0.5%CMCを補充した対照群が呈するレベルと比較して、血清中バイオマーカーTNFαに有意な減少を示した。
【0043】
インビボ抗炎症活性をさらに確認し、用量依存的効果を調べるために、バンレイシ葉のメタノール抽出物(LI12100;0.24%スクアモシンCに規格化されたもの)を、スプラーグ・ドーリー・ラットのフロイント完全アジュバント誘発関節炎モデルにおいて評価した。LI12100(1日あたり50mg/kgおよび100mg/kg体重)の抗炎症効力をスプラーグ・ドーリー・ラットのFCA誘発関節炎モデルにおいて評価し、その効力を、10mg/kg体重のプレドニゾロンを補充した陽性対照群が示す効力と比較した。この研究は、上述のように行って、足浮腫抑制を評価した。
【0044】
LI12100を補充した処置群は用量依存的効力を示し、対照群と比較すると、50mg/kgおよび100mg/kg体重において、足体積にそれぞれ49.5%および64.5%の減少を呈した。表5に要約するように、陽性対照プレドニゾロン(10mg/kg体重)は、足体積に69.2%(10mg/kg体重)の減少を呈した。処置群および対照群の血清におけるバイオマーカー腫瘍壊死因子−アルファ(TNFα)のレベルも評価した。図6に示すように、LI12100を補充した処置群は、0.5%CMCを補充した対照群が呈するレベルと比較して、血清中バイオマーカーTNFαに有意な減少を示した。
【0045】
さらに、マルチプレックスアッセイ(RCYTOMAG80K)を供給業者(Millipore Corporation、米国マサチューセッツ州ビルリカ)によって提供された説明書に従って使用することにより、LI12100を補充した処置群および対照群の血清における多様なサイトカインバイオマーカーのレベルを見積もった。LI12100を補充した処置群は、対照群が呈するそれぞれのレベルと比較して、血清における数多くのサイトカインの発現を有意に調節した。LI12100によって調節されるサイトカインには、TNFα、IFNγ、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−6、IL−13、MCP−1、ランテスおよびエオタキシンが含まれる。この予想外の結果は、バンレイシの抽出物が、これらのサイトカイン/ケモカインおよび/またはバイオマーカーによって媒介される炎症および/または免疫関連疾患の予防、処置、抑制または管理に役立つことを示唆している。
【0046】
上記の考察は、末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を有するアセトゲニン化合物、末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニン化合物を含有するバンレイシ由来の抽出物またはフラクション、およびそれらの組成物が、TNFα、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−6、IL−13、MCP−1、ランテス、エオタキシン、ICAM、VCAM、aP2、FLAP、CRP、CD36、5−リポキシゲナーゼおよびMMPなどといったサイトカイン/ケモカインまたはバイオマーカータンパク質の強力な制御物質または調節物質であること、そしてそれらを、炎症および炎症に関係する疾患状態または免疫障害の予防、処置、抑制または管理に使用できることを、明確に立証している。
【0047】
本発明では、アセトゲニン組成物を含有するバンレイシ葉由来の酢酸エチル抽出物(LI12101)およびメタノール抽出物(LI12100)を使って、インビトロおよびインビボ効力を証明した。しかし、末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分をアルキル鎖中のテトラヒドロフラン部分またはエポキシド部分またはヒドロキシル基またはオレフィン基から選択される少なくとも1つの官能基と組み合わせて含む、アセトゲニン化合物、またはアセトゲニンに規格化された他のバンレイシ由来抽出物および/またはフラクションも、強力な抗TNFα活性を示した(表1)。
【0048】
バンレイシの種子のヘキサン抽出物(LI12100G)および酢酸エチル抽出物(LI12100H)も強力なTNFα抑制を示し、IC50値は、それぞれ3.1ng/mLおよび2.3ng/mLであった(表1)。
【0049】
植物/動物/微生物に由来する生物学的に活性な成分;医薬的または栄養学的に許容される活性成分、ビタミンから選択される少なくとも1つの構成要素を有する、少なくとも末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むバンレイシ由来のアセトゲニンに規格化された抽出物またはフラクションから選択される少なくとも1つの構成要素を含む、いくつかの新しい組成物(組成物−1A/1B〜組成物−10A/10B)を、生物学的評価のために、そしてまた、サイトカイン/ケモカインまたは他のバイオマーカーによって媒介される炎症および/または免疫関連疾患の予防、処置、抑制または管理に使用するために、製造した。
【0050】
バンレイシの植物部位を抽出するための溶媒には、ヘキサン、酢酸エチル、エチルエーテル、クロロホルム、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、液体二酸化炭素、水またはその混合物などがあるが、これらに限るわけではない。
【0051】
バンレイシから得られる果実、種子、花、茎、樹皮、根、熟枝(hardwood)、および他の地上植物部位に由来する抽出物も使用することができる。
【0052】
肥満研究における重要な発展の1つは、肥満が慢性の低レベル炎症であるという一般認識である。肥満と炎症との関連は、肥満個体において、サイトカイン(TNFα、IL−6)およびC反応性タンパク質(CRP)のような急性期タンパク質を含むいくつかの炎症マーカーの血漿中レベルが増加することから明らかになっている。肥満に関係する慢性の軽度組織炎は、インスリン抵抗性(2型糖尿病の主要原因)の一因であるという学説が、近年、立てられている。
【0053】
アセトゲニンを含むバンレイシ抽出物を、3T3−L1マウス脂肪細胞における脂質蓄積に対するそれらの抑制能についてスクリーニングした。バンレイシの抽出物は、意外にも、3T3−L1細胞での細胞ベースのインビトロアッセイにおいて、強力な抗脂肪生成および脂肪分解促進活性を示した。酢酸エチル抽出物(LI12101)は、10μg/mLの濃度において、脂質蓄積の46.6%抑制を示した。表4に要約するように、他の抽出物も強力な抗脂肪生成活性を示した。
【0054】
次に、本発明者らは、脂肪生成プロセス、2型糖尿病におけるインスリン抵抗性、肥満、メタボリック症候群または他の代謝障害の主たる原因である代謝バイオマーカーの、バンレイシのメタノール抽出物(LI12100)による調節を、イムノブロットアッセイを使って評価した。
【0055】
バンレイシのメタノール抽出物(LI12100)は、いくつかの脂肪細胞分化マーカー、例えばペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)、ADRP、CEBPα、CEBPβ、CD36、脂肪酸結合タンパク質4(aP2/FABP4)、および細胞内脂質滴表面関連タンパク質(ペリリピン)(図7)などのレベルを、用量依存的に強力に調節することがわかった。LI12100処置脂肪細胞におけるこれらのマーカータンパク質のダウンレギュレーションは、バンレイシのメタノール抽出物が、(1)細胞の分化、発生および代謝を制御するための転写因子として機能する核内受容体タンパク質であるPPARγをダウンレギュレートすることによって細胞分化を抑制すること、(2)脂質取り込みに関与するクラスBスカベンジャー受容体であるCD36を抑制することによってコレステロールエステルの取り込みを制限すること、(3)長鎖脂肪酸の輸送タンパク質として作用するFABP4/aP2レベルを低下させることによって細胞内脂質過多および細胞内脂質輸送を減少させること、および(4)脂肪分化関連タンパク質(ADRP)(これは、脂肪細胞における脂質滴の形成または安定化において役割を果たすと考えられると共に、脂肪組織による長鎖脂肪酸の取り込みを増進する)を抑制することによって、脂肪生成分化プロセスの管理に多数の有益な役割を発揮することを示唆している。
【0056】
さらにまた、LI12100処置脂肪細胞におけるペリリピンタンパク質のダウンレギュレーションは、細胞質における脂肪貯蔵の減少を強く示している。ペリリピンは、脂肪細胞中の脂質滴を覆うタンパク質である。これは、代謝作用または脂肪分解に使用するためにトリグリセリドをグリセロールと遊離脂肪酸に分解するホルモン感受性リパーゼの作用からの防御をもたらす。したがってこれは、バンレイシのメタノール抽出物が、脂質で満たされた小胞を取り囲むペリリピン被覆を薄くすることにより、貯蔵された脂質がグリセロールと遊離脂肪酸への酵素的分解を受けやすくなるような状況を提供することを示している。また、LI12100は、脂肪生成分化マーカーCEBPαおよびCEBPβも強力にダウンレギュレートした。CEBPαおよびCEBPβは、それぞれCCAAT/エンハンサー結合タンパク質アルファおよびベータである。これらは、細胞の増殖、成長、分化および代謝の管理などといったさまざまな細胞応答に関与するタンパク質である。CEBPβが脂肪細胞分化の初期に一過性に誘導されるのに対し、CEBPαは、脂肪生成の末期にアップレギュレートされる。CEBPαは脂肪生成にも正常な脂肪細胞機能にも必要である。それゆえに、CEBPαおよびCEBPβは、脂肪細胞分化プロセスに関係するPPARγ誘導性遺伝子産物であり、これらは代謝障害の管理にとって重要なターゲットである。LI12100によるこれらのダウンレギュレーションは、バンレイシ抽出物が、潜在的に、代謝性疾患/障害を予防、処置、抑制または管理するための物質でありうることを示唆している。
【0057】
同様に、3T3−L1脂肪細胞におけるLI12100によるアディポネクチンタンパク質の調節を、ウェスタン・イムノブロット・アッセイで評価した。細胞培養、処置プロトコールおよびイムノブロットアッセイの方法は、標準的なプロトコールに従った。抽出物LI12100は、3T3−L1成熟脂肪細胞におけるアディポネクチンタンパク質発現の強力なアップレギュレーションも示した。5μg/mLおよび10μg/mLのLI12100は、血清アディポネクチン濃度に、それぞれ38%および64%の改善を示した。アディポネクチンは、脂肪細胞によって分泌されるホルモンである。これは、細胞内トリグリセリド含有量を低下させ、インスリンシグナリングを増強することによってグルコース取り込みをアップレギュレートするので、脂肪生成からの防御と、インスリン抵抗性糖尿病または2型糖尿病の発症からの防御とを、どちらももたらす。したがって、本発明者らの発見は、バンレイシの抽出物が、肥満、インスリン抵抗性または2型糖尿病の発症に対する防御をもたらし、内皮機能不全障害の減弱も助けることを示している。したがって、これらの抽出物は、上記代謝障害の予防、処置および管理に役立ちうる。
【0058】
上で述べたことは、バンレイシの抽出物が、1つ以上の代謝バイオマーカーの調節による代謝性疾患/障害の予防、処置、抑制または管理に役立ちうることを示唆している。これらのバイオマーカーには、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質アルファ(CEBPα)、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質ベータ(CEBPβ)、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL(Ox−LDL)、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン作動性受容体(β3AR)、ペリリピン、アディポネクチン、タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)およびマトリックスメタロプロテイナーゼ−13(MMP−13)が含まれる。
【0059】
この予想外の結果から、アセトゲニン、アセトゲニンを含む抽出物およびフラクションを、メタボリック症候群、肥満、糖尿病、アテローム性動脈硬化および内皮機能不全ならびに他の代謝障害の予防、管理および処置にも使用できることは、明白である。
【0060】
本発明に関して、本発明の明細書および特許請求の範囲において広く使用する「末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化された抽出物/フラクション」という表現は、「末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を有する少なくとも1つのアセトゲニン化合物を含有するように規格化されたバンレイシ由来の抽出物/フラクション」を指し、この場合、前記α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分はアルキル鎖の端に位置し、該アセトゲニンはさらに、1つまたは複数のテトラヒドロフラン部分、1つまたは複数のエポキシド、1つまたは複数のヒドロキシル基、1つまたは複数のオレフィン基から選択される1つ以上の官能基を含有する。
【0061】
本発明に関して、本発明の明細書および特許請求の範囲において広く使用する「構成要素」という単語は、別段の明記がない限り、バンレイシ由来の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を有する少なくとも1つのアセトゲニン化合物、またはバンレイシ由来の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を有するアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクション、またはその混合物を指す。
【0062】
本発明の明細書および特許請求の範囲において使用する「部分」または「基」という単語は、互いに交換可能であり、官能基または官能性部分を指す。
【0063】
本発明の明細書および特許請求の範囲において使用する「組成物」という単語は、1つ以上の、バンレイシ由来の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を有するアセトゲニン、または末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を有するアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクション、またはその両方の組合せ;またはそれらと1つ以上の他の生物学的に活性な構成要素、媒体、担体および希釈剤などとの混合物を指す。
【0064】
「生物学的に活性な構成要素」または「生物学的に活性な成分」という表現は、植物、動物および/または微生物に由来する抽出物またはフラクションまたは化合物を指す。
【0065】
本発明のさまざまな実施形態を以下に概説する。
【0066】
ある好ましい実施形態において、本発明は、サイトカイン/ケモカインまたは他のバイオマーカーによって媒介される1つ以上の炎症および/または免疫関連疾患を予防、処置、抑制または管理するための、バンレイシ由来の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化された抽出物またはフラクションを提供する。
【0067】
別の好ましい実施形態において、本発明は、サイトカイン/ケモカインまたは他のバイオマーカーによって媒介される1つ以上の炎症および/または免疫関連疾患を予防、処置、抑制または管理するための、植物/動物/微生物に由来する生物学的に活性な成分;医薬的または栄養学的に許容される活性成分、ビタミン、アミノ酸、ミネラル;医薬的または栄養学的に許容される賦形剤、媒体、担体および希釈剤またはその混合物から選択される少なくとも1つの構成要素と組み合わされた、バンレイシ由来の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化された抽出物またはフラクションから選択される少なくとも1つの構成要素を有する薬用植物(herbal)組成物を提供する。
【0068】
別の好ましい実施形態において、本発明は、さらに、炎症および/または免疫関連疾患(ここで、前記炎症および/または免疫関連疾患には、関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化、内皮機能不全、アレルギー性鼻炎、皮膚炎、乾癬、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、片頭痛、痛み、アンギナ、慢性前立腺炎、日焼け、歯周病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ぶどう膜炎、血管形成術後再狭窄、糸球体腎炎、胃腸アレルギー、腎炎、結膜炎、慢性閉塞性肺疾患、職業性喘息、湿疹、気管支炎、枯草熱、じんま疹、アレルギー性障害などが含まれるが、これらに限るわけではない)を予防、処置および/または管理するための、ならびに喘鳴、呼吸困難、乾性咳嗽、胸部絞扼感、頚筋緊張、胸痛、関節痛のような状態、および哺乳動物におけるそれらに関連するいくつかの他の状態のための、本明細書において開示する、末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物を提供する。
【0069】
別の好ましい実施形態において、上述の関節炎の限定でない例には、関節リウマチ(例えば、軟部組織リウマチおよび関節外リウマチ、線維筋痛症、結合組織炎、筋肉リウマチ、筋膜痛、上腕骨上顆炎、五十肩、ティーツェ症候群、筋膜炎、腱炎、腱鞘炎、滑液包炎)、若年性慢性、関節障害、脊椎関節症(強直性脊柱炎)、変形性関節症、高尿酸血症および急性痛風に関連する関節炎、慢性痛風および全身性エリテマトーデスおよび変形性関節炎が含まれる。
【0070】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明は、炎症、免疫および他の随伴/関連疾患に関係する1つ以上のサイトカイン/ケモカインまたはバイオマーカー/一定の酸化還元感受性炎症誘発性遺伝子の発現または産生を調節するための、末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物を提供し、ここで、前記生体分子/バイオマーカーには、TNFα、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−6、IL−13、MCP−1、ランテス、エオタキシン、ICAM、VCAM、aP2、FLAP、CRP、CD36、5−リポキシゲナーゼおよびMMPが含まれる。
【0071】
別の好ましい実施形態において、本発明は、代謝性疾患/障害を予防、処置、抑制または管理するための、本明細書において開示する末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化された抽出物またはフラクションを提供する。
【0072】
他の好ましい実施形態において、本発明は、1つ以上の代謝性疾患/障害を予防、処置、抑制または管理するための、植物/動物/微生物に由来する生物学的に活性な成分;医薬的または栄養学的に許容される活性成分、ビタミン、アミノ酸、ミネラル;医薬的または栄養学的に許容される賦形剤、媒体、担体および希釈剤またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの構成要素と組み合わされた、バンレイシ由来の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化された抽出物またはフラクションから選択される少なくとも1つの構成要素を含む薬用植物組成物を提供する。
【0073】
別の実施形態において、本発明は、バンレイシ由来の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化された抽出物またはフラクションおよびそれらの組成物を提供し、ここで、該アセトゲニンは、さらに、テトラヒドロフラン基、エポキシド基、ヒドロキシル基およびオレフィン(二重結合)基から選択される少なくとも1つの官能基を含む。
【0074】
他の実施形態において、本明細書に開示するバンレイシ由来の抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物によって予防、処置、抑制または管理することができる代謝障害は、肥満、過体重、糖尿病、アテローム性動脈硬化、動脈硬化、心血管疾患、高血圧、高コレステロール血症、高脂質血症、高トリグリセリド血症、メタボリック症候群、内皮機能不全、インスリン抵抗性、インスリン感受性増加、高インスリン血症、異常脂質血症、低HDLコレステロール、リポタンパク質異常、トリグリセリド低下、尿酸レベル上昇、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝疾患、多嚢胞性卵巣症候群、ヘモクロマトーシス(鉄過剰)、黒色表皮腫(皮膚上の暗色斑)、耐糖能異常(IGT)、空腹時血糖異常(IFG)、心血管疾患および他の代謝障害から選択することができる。
【0075】
他の実施形態において、本発明は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質アルファ(CEBPα)、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質ベータ(CEBPβ)、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL(Ox−LDL)、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン作動性受容体(β3AR)、ペリリピン、アディポネクチン、タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)およびマトリックスメタロプロテイナーゼ−13(MMP−13)を含む、サイトカイン、ケモカイン、または代謝障害ならびに他の随伴および関連疾患のバイオマーカーの1つ以上の発現または産生を制御/調節するための、アセトゲニン、アセトゲニン化合物を含むバンレイシ由来の抽出物およびフラクション、ならびにそれらの組成物を提供する。
【0076】
さらに別の実施形態において、本発明は、末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化されたバンレイシ由来の抽出物およびフラクションまたはそれらの組成物をを投与することによって、対象または哺乳動物における、本明細書に開示する炎症、免疫関連疾患/障害を処置する方法も提供する。
【0077】
さらに別の実施形態において、本発明は、末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化されたバンレイシ由来のアセトゲニン化合物、抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物を投与することによって、対象または哺乳動物における、本明細書に開示する代謝障害を処置する方法も提供する。
【0078】
別の実施形態において、本発明は、さまざまな医薬、栄養補助食品、食品成分および飲料の製造におけるアセトゲニン化合物またはそれらの組成物の使用に関する。
【0079】
別の実施形態において、本発明は、バンレイシ由来の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化された抽出物およびフラクション、末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニン(これには、スクアモシンC(LI12103;1)、イソスクアモシン(LI12132;2)、ジエポサバデリン(LI12109;4)、スクアモスタチンD(LI12106;5)、スクアモシンL(LI12107;6)、スクアモシンJ(LI12111;7)、スクアモシンG(LI12105;10)、および10−ヒドロキシアシミシン(LI12110;11)が含まれるが、これらに限るわけではない);ならびに単離され、十分に特徴づけられた化合物(これには、化合物LI12104(3)、化合物LI12114(8)、化合物LI12115(9)が含まれる);ならびに単離されているが、その構造解明は現在進行中である化合物(これには、化合物LI12112、化合物LI12113、化合物LI12116および化合物LI12117が含まれる)を提供する。
【0080】
別の実施形態において、本発明は、末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンの濃度が0.01重量%〜50重量%の範囲においてさまざまである、バンレイシ由来の抽出物およびフラクションも提供する。
【0081】
別の実施形態において、本発明は、末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンの濃度が0.01重量%〜30重量%の範囲においてさまざまである、バンレイシ由来の抽出物およびフラクションも提供する。
【0082】
別の実施形態において、本発明は、末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンの濃度が0.1重量%〜10重量%の範囲においてさまざまである、バンレイシ由来の抽出物およびフラクションも提供する。
【0083】
別の実施形態において、本発明は、バンレイシ由来の抽出物およびフラクションを含む組成物であって、組成物中のバンレイシ由来構成要素のパーセンテージが0.01重量%〜99.9重量%の範囲においてさまざまである組成物も提供する。
【0084】
別の実施形態において、本発明は、バンレイシ由来の抽出物およびフラクションを含む組成物であって、組成物中のバンレイシ由来構成要素のパーセンテージが0.01重量%〜70重量%の範囲においてさまざまである組成物も提供する。
【0085】
別の実施形態において、本発明は、バンレイシ由来の抽出物およびフラクションを含む組成物であって、組成物中のバンレイシ由来構成要素のパーセンテージが0.1重量%〜50重量%の範囲においてさまざまである組成物も提供する。
【0086】
別の実施形態において、本発明は、バンレイシ由来の抽出物およびフラクションを含む組成物であって、組成物中のバンレイシ由来構成要素のパーセンテージが0.1重量%〜30重量%の範囲においてさまざまである組成物も提供する。
【0087】
他の実施形態において、本発明は、バンレイシの植物部位に由来するアセトゲニンに規格化された抽出物およびフラクションであって、植物が果実、葉、花、茎、樹皮、根、熟枝またはそれらの混合物から選択される(好ましくは葉である)ものを提供する。
【0088】
他の実施形態において、本発明は、アセトゲニンに規格化された抽出物およびフラクションであって、植物部位の抽出用の媒質を、ヘキサン、石油エーテル、エチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、イソプロパノール、メチルイソブチルケトンおよび水または混合物から選択することができるものを提供する。
【0089】
他の重要な実施形態において、本発明は、植物バンレイシから新規抽出物を製造するためのプロセスであって、葉を25〜80℃の範囲の温度において有機溶媒または水性有機溶媒で抽出し、次に使用済み葉残渣を25〜100℃の範囲の温度において水で抽出し、次に該抽出物を1つに合わせることで、アセトゲニンを含有する強力な抽出物を得ることからなるプロセスを提供する。
【0090】
他の重要な実施形態において、本発明は、植物バンレイシから抽出物を製造するためのプロセスであって、葉を25〜80℃の範囲の温度において有機溶媒または水性有機溶媒で抽出し、別途、バンレイシの種子を有機溶媒または水性有機溶媒で抽出し、次に葉抽出物と種子抽出物とを、9:1〜2:8の範囲の治療的に有効な比で合わせることで、アセトゲニンを含有する新規抽出物を得ることからなるか、あるいは、該葉および該種子を所望の比で1つに混合した後に、有機溶媒もしくは水またはその混合物で抽出するプロセスを提供する。
【0091】
他の重要な実施形態において、本発明は、上述した炎症性、免疫、または代謝障害/障害を予防、管理および/または処置するための、バンレイシ由来のアセトゲニンに規格化されたフラクションであって、該アセトゲニンが、分配、沈殿、結晶化、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーおよびイオン交換クロマトグラフィーまたはそれらの組合せから選択される少なくとも1つの分離技法を使って得られるものを提供する。
【0092】
本発明のさらに別の実施形態では、組成物を作るために使用される生物学的に活性な成分が、抗炎症活性、抗関節炎活性、抗糖尿病活性、抗高血糖活性、脂質低下活性、抗肥満活性、抗高血圧活性、抗血小板凝集活性、抗感染活性、抗アテローム硬化活性、酸化防止剤および生体増強(bio−enhancing)活性から選択される何らかの健康上の利益を有する抽出物/フラクション/活性化合物またはフィトケミカルから選択される。
【0093】
好ましい実施形態では、いくつかの生物学的に活性な構成要素を、グルコサミン、グルコサミン塩、コンドロイチン、メチルスルホニルメタン(MSM)、ヒアルロン酸、コラーゲン、ポリグリカン、キトサン、非変性コラーゲンII型、SAM−e、オメガ−3、NEM、ケルセチン、ホウ素、マンガン、アスコルビン酸カルシウム、フラボノイド、アルカロイド、フィトステロール、テルペン、オメガ3脂肪酸;ヘキサン、石油エーテル、エチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、イソプロパノール、メチルイソブチルケトン、水または混合物を使って、従来の技法を使用して、アシュワガンダ(Withania somnifera)、スファエランツスインディクス(Sphaeranthus indicus)、ボスウェリアセラータ(Boswellia serrata)、ウコン(Curcuma longa)、グアバ(Psidium guajava)、マツ樹皮、コショウ(Piper nigrum)またはインドナガコショウ(Piper longum)の植物部位(ここで植物は、果実、葉、花、茎、樹皮、根、熟枝またはその混合物から選択される)から得られる抽出物またはフラクションから選択することができる。
【0094】
別の実施形態において、生物学的に活性な成分または官能性成分と組み合わされたα,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンを含む組成物、抽出物またはフラクションは、相乗作用を呈することが考えられる。
【0095】
さらに別の実施形態では、医薬的または栄養学的に許容される賦形剤、媒体、希釈剤および担体が、界面活性剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、保存剤、安定剤、緩衝剤、懸濁剤および薬物送達システムを含む組成物を作るために使用される界面活性剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、保存剤、安定剤、緩衝剤、懸濁剤および薬物送達システムを含み、ここでは、該医薬的または栄養学的に許容される賦形剤、担体および希釈剤が、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース、黄色デキストリン、白色デキストリン、ヒュームドシリカ、微結晶セルロース、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ソルビトール、ステビオシド、コーンシロップ、ラクトース、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−アルファ−トコフェロール、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアゴム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB群、ニコチンアミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸、カルシウム塩、色素、香料、保存剤、蒸留水、食塩水、グルコース水溶液、アルコール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール、さまざまな動物油および植物油、白色ワセリン、パラフィンおよびロウを含む。
【0096】
本発明の他の実施形態では、バンレイシ由来のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物は、例えば、錠剤、軟カプセル剤、硬カプセル剤、ソフトゲルカプセル剤、丸剤、顆粒剤、粉末剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤、ペレット剤、食品、飲料、濃縮ドリンク剤(concentrated shot)、ドロップ剤などの経口剤;および例えば注射剤、静脈内点滴剤などの非経口剤;坐剤;ならびに貼付剤、局所外用クリーム剤およびゲル剤などの経皮剤;点眼剤;点鼻剤;ならびに食品または飲料として、製剤化することができる。
【0097】
他の実施形態では、バンレイシ由来のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物が、それを必要とする対象または哺乳動物または温血動物に、経口投与、局所外用投与、非経口投与、または吸入によって投与される。
【0098】
他の実施形態では、バンレイシ由来のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物が、それを必要とする対象または哺乳動物または温血動物に、経口投与、局所外用投与、非経口投与、または吸入によって投与され、ここで、該成分または組成物は、1日1回もしくは1日につき複数回、または医師/医者が処方したとおりに投与される。
【0099】
他の実施形態では、バンレイシ由来のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物が、ナノテクノロジー、マイクロカプセル化、コロイド担体システムおよび他の薬物送達システムを含む技法により、放出制御ポリマーに基づくコーティングを使った放出制御錠剤の形態で送達される。
【0100】
本発明の他の実施形態では、バンレイシ由来のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物を、温血動物用の健康食品として、既存のまたは新しい食品および飲料形態に製剤化するか、既存のまたは新しい食品および飲料形態に添加することができる。
【0101】
別の実施形態において、本発明は、さまざまな医薬剤形、栄養補助食品、食品成分および飲料の製造における、バンレイシ由来のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物の使用に関する。
【0102】
他の重要な実施形態において、本発明は、PPAR−γ、C反応性タンパク質(CRP)、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、CEBPα、CEBPβ、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン作動性受容体(β3−AR)、アディポネクチン、ペリリピン、タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP1B)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)およびマトリックスメタロプロテイナーゼ−13(MMP−13)から選択される少なくとも1つのバイオマーカーの発現および産生を、その調節を必要とする対象または哺乳動物または温血動物において調節する方法であって、バンレイシ由来のアセトゲニンまたはその混合物に規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物の有効量を、該対象または温血動物または哺乳動物に補充することを含む方法を提供する。
【0103】
他の重要な実施形態において、本発明は、哺乳動物における脂肪生成を抑制しかつ/または脂肪分解を加速する方法であって、バンレイシ由来のアセトゲニンまたはその混合物に規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物の有効量を、該哺乳動物に補充することを含む方法を提供する。
【0104】
他の実施形態では、バンレイシ由来のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物を、症状の改善、疾患進行の遅延または疾患の予防などの利益を得るために、任意の治療有効投与量で、例えば0.01〜250mg/kg体重/日の範囲で、好ましくは0.1〜50mg/kg体重/日の範囲で、投与することができる。
【0105】
さらなる一実施形態において、本発明は、新規アセトゲニン組成物を含む抽出物およびフラクション、アセトゲニン組成物、ならびに純粋なアセトゲニン化合物を、バンレイシ葉から製造するためのプロセスを提供する。
【0106】
本発明の他の実施形態はさらに、バンレイシ由来のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物の、そのままの形での、または粉砕された形態および/または無調整(unmodified)の形態での、顆粒、粉末、沈殿物、抽出物、乾燥抽出物および/または滲出物としての使用法を提供する。あるいは、従来の生物学的または医薬的に許容される塩または添加剤を添加することにより、活性成分を、固形、半固形、または液状剤形に製剤化する。
【0107】
さらなる実施形態において、本発明は、バンレイシ由来のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物の治療有効量を、それを必要とする対象または患者に、特定の剤形で、例えば経口、局所外用、経皮、非経口的に、またはキットの形で投与することができると規定する。
【0108】
本発明によれば、本発明の組成物は、ヒトおよび動物への応用のために、任意の栄養補助食品、食品および飲料形態に製剤化することができる。
【0109】
別の実施形態において、本発明はさらに、炎症/免疫随伴または関連疾患を治療、予防または処置する目的で、および/または代謝障害を処置するために、本発明の組成物を、動物飼料に使用されるさまざまな構成要素と混合することを含む。
【0110】
好ましい実施形態を含む以下の実施例は、本発明の実施を例証するのに役立つであろうが、ここに示す詳細は例示であり、本発明の好ましい実施形態の説明的解説を目的としており、決して本発明を限定するものでないことはいうまでもない。
【実施例1】
【0111】
バンレイシの葉のメタノール抽出物(LI12100)の製造:植物材料バンレイシの乾燥葉(1.1Kg)を粗粉末に粉砕し、パイロット抽出器に投入し、60〜65℃のメタノール(6.6L)で2時間抽出した。抽出物を濾過し、使用済み原料を、同様の条件下、メタノールで2回(5.5L×2)、再抽出した。合わせた抽出物を精密濾過し、減圧下で濃縮することにより、メタノール抽出物を暗色残渣として得た(LI12100;150g;0.4%スクアモシンC)。
【実施例2】
【0112】
バンレイシの葉のヘキサン抽出物(LI12100A)、酢酸エチル抽出物(LI12101)およびメタノール抽出物(LI12100B)の製造:植物材料バンレイシの乾燥葉(2Kg)を粗粉末に粉砕し、パイロット抽出器に投入し、周囲温度の水(14L)で抽出した。抽出物を濾過し、使用済み原料を陰干しした。乾燥した使用済み原料を、10〜15℃の冷ヘキサン(14L)で2時間、次に還流温度の酢酸エチル(12L×3)で各抽出につき2時間、最後に65℃のメタノール(6L×2)で各抽出につき2時間、逐次、抽出した。抽出物を精密濾過し、減圧下で別々に濃縮することにより、ヘキサン抽出物(LI12100A;58g)、酢酸エチル抽出物(LI12101;160g;0.5%スクアモシンC)およびメタノール抽出物(LI12100B;150g)を得た。
【実施例3】
【0113】
バンレイシの葉の酢酸エチル抽出物(LI12100C)の製造:植物材料バンレイシの乾燥葉(1Kg)を粗粉末に粉砕し、パイロット抽出器に投入し、還流温度の酢酸エチル(6L)で2時間抽出した。抽出物を濾過し、使用済み原料を、同様の条件下、酢酸エチルで2回(6L×2)、再抽出した。合わせた抽出物を精密濾過し、減圧下で濃縮することにより、残渣(LI12100C;99g)を得た。
【実施例4】
【0114】
バンレイシの葉のエタノール抽出物(LI12100D)の製造:植物材料バンレイシの乾燥葉(1Kg)を粗粉末に粉砕し、パイロット抽出器に投入し、65〜70℃のエタノール(6L)で2時間抽出した。抽出物を濾過し、使用済み原料を、同様の条件下、エチルアルコールで2回(5L×2)、再抽出した。合わせた抽出物を精密濾過し、減圧下で濃縮することにより、エタノール抽出物を暗色残渣として得た(LI12100D;132g)。
【実施例5】
【0115】
バンレイシの葉の水アルコール(60%エタノール)抽出物(LI12100E)の製造:植物材料バンレイシの乾燥葉(1Kg)を粗粉末に粉砕し、パイロット抽出器に投入し、65℃〜70℃の60%エタノール(6L)で2時間抽出した。抽出物を濾過し、使用済み原料を、同様の条件下、60%エタノールで2回(5L×2)、再抽出した。合わせた抽出物を精密濾過し、減圧下で濃縮することにより、水アルコール抽出物を暗色残渣として得た(LI12100E;120g)。
【実施例6】
【0116】
バンレイシの葉の酢酸エチル分配抽出物(LI12100F)の製造
実施例4で得たエタノール抽出物(25g)を水(200mL)と酢酸エチル(200mL)とに分配した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下でエバポレートすることにより、残渣(LI12100F,19g)を得た。
【実施例7】
【0117】
バンレイシの種子のヘキサン抽出物(LI12100G)の製造:バンレイシの乾燥種子(300g)を粗粉末に粉砕し、還流下のヘキサン(1.2L)で2時間抽出した。抽出物を濾過し、使用済み原料を、同様の条件下、ヘキサンで2回(1L×2)、再抽出した。合わせた抽出物を精密濾過し、減圧下で濃縮することにより、種子のヘキサン抽出物(LI12100G;27g)を得た。
【実施例8】
【0118】
バンレイシの種子の酢酸エチル抽出物(LI12100H)の製造:バンレイシの乾燥種子(300g)を粗粉末に粉砕し、還流下の酢酸エチル(1.2L)で2時間抽出した。抽出物を濾過し、使用済み原料を、同様の条件下、酢酸エチルで2回(1L×2)、再抽出した。合わせた抽出物を精密濾過し、減圧下で濃縮することにより、酢酸エチル抽出物(LI12100H;27g)を得た。
【実施例9】
【0119】
バンレイシの葉の新規抽出物(LI12100I)の製造:植物材料バンレイシの乾燥葉(1Kg)を粗粉末に粉砕し、パイロット抽出器に投入し、60〜65℃のメタノール(6L)で2時間抽出した。抽出物を濾過し、使用済み原料を、同様の条件下、メチルアルコールで2回(5L×2)、再抽出した。合わせた抽出物を精密濾過し、減圧下で濃縮することにより、メタノール抽出物を暗色残渣として得た(LI12100;124g)。次に、使用済み原料を陰干しし、使用済み残渣(800g)を65〜70℃の水(6L)で1時間抽出した。抽出物を濾過し、使用済み原料を水でもう一度抽出した。合わせた水抽出物を精密濾過し、減圧下で濃縮することにより、水抽出物(85g)を得た。メタノール抽出物および水抽出物を適宜配合し、40メッシュで篩分することにより、バンレイシの葉の新規抽出物(LI12100I;203g)を得た。
【実施例10】
【0120】
バンレイシの種子および葉の新規抽出物(LI12100J)の製造:バンレイシの乾燥葉800gと乾燥種子200gとを含有する原料配合物を、粗粉末に粉砕し、パイロット抽出器に投入し、60〜65℃のメタノール(6L)で2時間抽出した。抽出物を濾過し、使用済み原料を、同様の条件下、メチルアルコールで2回(5L×2)、再抽出した。合わせた抽出物を精密濾過し、減圧下で濃縮することにより、配合物のメタノール抽出物を暗色残渣として得た(LI12100J;124g)。
【実施例11】
【0121】
バンレイシ由来の組成物
1)組成物−1A:組成物−1Aは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)2部(2g)およびボスウェリアセラータ低極性ゴム樹脂抽出物(BsLPRE)1部(1g)。
2)組成物−1B:組成物−1Bは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)1部(2g)およびボスウェリアセラータ低極性ゴム樹脂抽出物(BsLPRE)1部(2g)。
3)組成物−2A:組成物−2Aは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)1部(1g)および85%総ボスウェル酸に規格化されたボスウェリアセラータ抽出物(BSE85%)2部(2g)。
4)組成物−2B:組成物−2Bは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)1部(1g)および85%総ボスウェル酸に規格化されたボスウェリアセラータ抽出物(BSE85%)3部(3g)。
5)組成物−3A:組成物−3Aは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)1部(1g)およびグアバ葉メタノール抽出物2部(2g)。
6)組成物−3B:組成物−3Bは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ抽出物(LI12100)2部(2g)およびグアバ葉メタノール抽出物2部(2g)。
7)組成物−4A:組成物−4Aは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)1部(2g)およびアスコルビン酸カルシウム1部(2g)。
8)組成物−4B:組成物−4Bは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)1部(2g)およびアスコルビン酸カルシウム2部(4g)。
9)組成物−5A:組成物−5Aは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)1部(2g)およびオメガ3脂肪酸1部(2g)。
10)組成物−5B:組成物−5Bは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ抽出物(LI12100)1部(2g)およびオメガ3脂肪酸2部(4g)。
11)組成物−6A:組成物−6Aは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)1部(2g)および3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェル酸(AKBA)が30%に濃縮されたボスウェリアセラータ抽出物1部(2g)。
12)組成物−6B:組成物−6Bは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)1部(2g)および3−O−アセチル−11−ケト−β−ボスウェル酸(AKBA)が20%に濃縮されたボスウェリアセラータ抽出物1部(2g)。
13)組成物−7A:組成物−7Aは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)1部(2g)および総クルクミノイドが95%に濃縮されたウコン抽出物2部(4g)。
14)組成物−7B:組成物−7Bは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)1部(2g)および総クルクミノイドが20%に濃縮されたウコン抽出物4部(8g)。
15)組成物−8A:組成物−8Aは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)1部(2g)および塩酸グルコサミン3部(6g)。
16)組成物−8B:組成物−8Bは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)1部(2g)および総クルクミノイドが20%に濃縮されたウコン抽出物5部(10g)。
17)組成物−9A:組成物−9Aは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)1部(2g)、ボスウェリアセラータ抽出物(>10%AKBA)1部(2g)、95%総クルクミノイドに規格化されたウコン抽出物2部(4g)、およびブロメライン1部(2g)。
18)組成物−9B:組成物−9Bは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)1部(2g)、ボスウェリアセラータ抽出物(>10%AKBA)1部(2g)、95%総クルクミノイドに規格化されたウコン抽出物3部(6g)、およびブロメライン2部(4g)。
19)組成物−10A:組成物−10Aは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100)1部(2g)およびバンレイシ種子酢酸エチル抽出物(LI12100H)1部(2g)。
20)組成物−10B:組成物−10Aは、以下の構成要素の単位用量を混合することによって製造した;バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100B)4部(4g)およびバンレイシ種子酢酸エチル抽出物(LI12100H)1部(1g)。
【実施例12】
【0122】
バイオアッセイ(抗TNFα)ガイド下精製を使った活性フラクションの製造および活性化合物の同定:バンレイシ葉のメタノール抽出物(LI12100;150gm;IC50 20.06ng/mL)を、溶離液として酢酸エチル/ヘキサン混合物を用いるシリカ・フラッシュ・カラム・クロマトグラフィーに付した。60%および80%酢酸エチル/ヘキサンと共に溶出したフラクション(それぞれ5.2gおよび4.2)と、酢酸エチルと共に溶出したフラクション(8g)は、強力な抗TNFα活性を示した。しかし、酢酸エチルと共に溶出したフラクション(LI189/159G+H)の方が優れた活性を示した(IC50 0.82ng/mL)。このフラクションの少量試料(3g)を、アセトン/クロロホルム混合物を使って再びシリカ・フラッシュ・カラムでのさらなる精製に付した。活性化合物は、30%アセトン/クロロホルムと共に溶出するフラクション中に溶出した(380mg;0.4ngで76.6%抑制)。これを、分取用逆相シリカカラム(Phenomenex Luna 10μ,C18,250mm×21.2)での、95:5アセトニトリル/水混合物を使ったHPLCで、さらに精製することにより、最も強力な活性を有するフラクション(115mg)を得た。これを、再び、HPLC(Phenomenex Luna 10μ,C18,250mm×21.2;90:10アセトニトリル/水混合物)でのさらなる精製に付すことにより、24.9pg/mLのIC50値を有する純粋な化合物(LI12103,88mg)を得た。そのスペクトルデータ(H NMR、13C NMRおよび質量)を注意深く分析することにより、その実体は、スクアモシンC(LI12103;1)であることが判明した。100pg/mLで63%抑制する微量化合物もHPLC精製によって単離され、その構造は、イソスクアモシン(LI12132;2,28mg)と同定されている。バイオアッセイガイド下分画を図1に要約する。
【実施例13】
【0123】
バンレイシの酢酸エチル抽出物(LI12101)のバイオアッセイガイド下分画を使った、末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分およびテトラヒドロフランおよび/またはエポキシド部分を含有するアセトゲニンの単離:THP−1ヒト単球細胞におけるLPS誘導TNFαに対して8.38ng/mLのIC50値を示すバンレイシの抽出物(LI12101)(300g)を、ヘキサンおよびアセトン/ヘキサン混合物を用いるシリカカラムでのバイオアッセイガイド下カラムクロマトグラフィーに付した。5%〜40%アセトン/ヘキサン混合物と共に溶出するフラクションが、潜在的TNFα抑制を示す。5%アセトン/ヘキサン混合物と共に溶出するフラクションを、まずアセトン/ヘキサン混合物を用いるシリカゲルでの反復クロマトグラフィーに付し、次に、酢酸エチル/ヘキサン混合物を用いる15〜20%アセトン/ヘキサン混合物による溶出時に得られた活性フラクションのさらなるクロマトグラフィーを行うことにより、LI12104(3,250mg)を得た。アセトン/ヘキサン混合物を使ったシリカでのさらなる精製においては、10%アセトン/ヘキサンでメインカラムを溶出させた時のフラクションは、ジエポサバデリン(LI12109,4,150mg)を与えた。アセトン/ヘキサン混合物を用いるシリカでの反復精製において、20%および30%アセトン/ヘキサン混合物でメインカラムを溶出させた時のフラクションは、スクアモスタチンD(LI12106;5,40mg)、スクアモシンL(LI12107;6,175mg)、スクアモシンJ(LI12111;7,70mg),化合物LI12112(40mg)、化合物LI12113(46mg)、化合物LI12114(8,30mg)、化合物LI12115(9,35mg)およびスクアモシンG(LI12105;10,45mg)、化合物LI12116(17mg)、化合物LI12117(15mg)を与えた。アセトン/ヘキサンおよび酢酸エチル/ヘキサン混合物を用いるシリカでの反復精製において、40%アセトン/ヘキサンと共に溶出したフラクションは、スクアモシンC(LI12103;1,1.4g)、イソスクアモシン(LI12132;2,21mg)、10−ヒドロキシアシミシン(LI12110;11,40mg)を与えた。スクアモシンC、スクアモシンG、スクアモスタチンD、スクアモシンL、ジエポサバデリン、10−ヒドロキシアシミシンおよびスクアモシンJの構造は、スペクトルデータを文献に報告されているものと比較することによって確認されている。化合物LI12104(3)およびLI12114(8)の構造は暫定的に割り当てたものであり、他の化合物の構造の同定/確認は現在進行中である。以下の実施例において例示する実験手法を使って、抽出物および全てのクロマトグラフィーフラクションを、TNFα抑制についてモニターした。他の化合物の単離は現在進行中である。
【0124】
アセトゲニン化合物のNMRおよび質量分析データを以下に要約する。
【0125】
LI12103(スクアモシンC;1):1H NMR(CDCl3,400MHz):δ6.98(1H,d,J=1.5Hz)、4.98(1H,m)、3.94−3.80(5H,m)、3.62−3.55(1H,m)、3.41−3.37(1H,m)、2.26(2H,t,J=7.2Hz)、2.06−1.79(m)、1.40(3H,d,J=6.8Hz)、1.68−1.25(m)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);13C NMR(CDCl3,100MHz):δ173.8、148.7、134.3、83.3、82.8、82.4、82.1、77.1、74.1、71.8、71.6、37.5、37.3、33.8、33.4、32.6、31.9、31.8、29.7−29.2、28.9、28.4、27.4、25.6、25.2、24.9、22.7、22.6、22.0、19.2、14.0;LCMS:m/z645(M+Na)、+veイオンモード。
【0126】
LI12132(イソスクアモシン;2):H NMR(CDCl,400MHz):δ6.99(1H,s)、4.99(1H,q,J=6.4Hz)、3.94−3.84(5H,m)、3.58(1H,m)、3.39(1H,m)、2.26(2H,t,J=7.6Hz)、1.98−1.80(m)、1.62−1.52(m)、1.40(3H,d,J=6.8Hz)、1.68−1.25(m)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);13C NMR(CDCl,100MHz):δ173.8,148.8、134.3、83.3、82.8、82.5、82.2、77.6、74.1、71.7、71.3、37.4、37.2、33.1、32.4、31.9、31.8、29.7−29.2、28.9、27.3、25.6、25.1、24.7、22.6、21.9、19.2、14.0;LCMS:m/z645(M+Na)、+veイオンモード。
【0127】
LI12104(3):1H NMR(CDCl3,400MHz):δ6.98(1H,d,J=1.6Hz)、5.40(2H,m)、4.99(1H,qd,J=6.8,1.6Hz)、2.97(4H,m)、2.24(4H,m)、2.25(2H,m)、1.77(2H,m)、1.69(2H,m)、1.63−1.47(10H,m)、1.40(3H,d,J=6.8Hz)、1.26(s)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);13C NMR(CDCl3,100MHz):δ173.8、148.7、134.4、131.1、128.1、57.3、56.9、56.8、56.7、56.4、31.9、29.6、29.6、29.5、29.5、29.3、29.3、29.2、27.9、27.8、27.8、27.4、27.2、26.6、25.7、25.3、25.2、25.1、24.9、24.3、22.6、19.2、14.0;LCMS:595(M+Na)、+veイオンモード。
【0128】
LI12109(ジエポサバデリン;4):1H NMR(CDCl3,400MHz):δ6.98(1H,s)、4.99(1H,qd,J=6.4,1.6Hz)、2.94(4H,s)、2.27(2H,t,J=8.0Hz)、1.77(2H,m)、1.63(2H,m)、1.57−1.44(10H,m)、1.40(3H,d,J=6.8Hz)、1.26(s)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);13C NMR(CDCl3,100MHz):δ173.7、148.7、l34.4、57.3、56.7、34.1、31.9、29.6、29.6、29.3、29.2、27.8、27.4、26.6、25.2、25.2、22.6、19.2、14.0;LCMS:569(M+Na)、+veイオンモード。
【0129】
LI12106(スクアモスタチンD;5):1H NMR(CDCl3,400MHz):δ6.98(1H,d,J=1.6Hz)、4.99(1H,qd,J=6.8,1.6Hz)、3.90−3.85(2H,m)、3.83−3.78(3H,m)、3.41(2H,m)、2.71(1H,s)、2.26(2H,t,J=8.4Hz)、2.04−1.97(4H,m)、1.95−1.85(2H,m)、1.73−1.68(4H,m)、1.55−1.44(8H,m)、1.41(3H,d,J=6.8Hz)、1.28(s)、0.88(t,J=6.8Hz);LCMS:645(M+Na) +veイオンモード。
【0130】
LI12107(スクアモシンL;6):1H NMR(CDCl3,400MHz):δ6.98(1H,d,J=1.6Hz)、4.99(1H,qd,J=6.8,2.0Hz)、3.94−3.91(2H,m)、3.89−3.84(3H,m)、3.39(1H,m)、2.49(1H,br s)、2.26(2H,t,J=8.4Hz)、2.18(1H,s)、1.98(4H,m)、1.94−1.79(2H,m)、1.67−1.51(8H,m)、1.41(3H,d,J=6.8Hz)、1.26(s)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);13C NMR(CDCl3,100MHz):δ173.8、148.8、134.4、83.2、82.8、82.4、82.2、77.2、74.1、71.5、33.5、32.5、31.9、29.7、29.6、29.5、29.5、29.3、29.2、28.9、28.8、28.3、27.4、26.0、25.7、25.2、24.6、22.6、19.2、14.1;LCMS:629(M+Na)+veイオンモード。
【0131】
LI12111(スクアモシンJ;7):1H NMR(CDCl3,400MHz):δ6.98(1H,d,J=1.6Hz)、4.99(1H,qd,J=6.8,1.6Hz)、3.95−3.82(5H,m)、3.39(1H,m)、2.49(1H,s)、2.43(1H,s)、2.26(2H,t,J=8.4Hz)、2.18(1H,s)、2.01−1.96(5H,m)、1.94−1.81(2H,m)、1.72−1.51(8H,m)、1.41(3H,d,J=6.8Hz)、1.26(s)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);13C NMR(CDCl3,100MHz):δ173.8、148.7、134.4、83.1、82.8、82.2、77.2、74.1、71.5、33.5、32.5、31.9、29.7、29.7、29.6、29.5、29.5、29.3、29.2、28.9、28.8、28.4、27.4、26.0、25.6、25.2、24.6、22.6、19.2、14.0;LCMS:601(M+Na) +veイオンモード。
【0132】
LI12114(8):1H NMR(CDCl3,400MHz):δ6.98(1H,d,J=1.6Hz)、4.99(1H,qd,J=6.8,1.6Hz)、3.87(5H,m)、3.37(1H,m)、2.52(1H,brs)、2.26(2H,t,J=7.2Hz)、1.98−1.93(5H,m)、1.76−1.45(10H,m)、1.41(3H,d,J=6.8Hz)、1.26(s)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);13C NMR(CDCl3,100MHz):δ173.8、148.7、134.4、83.1、82.2、82.1、81.0、80.9、79.8、74.3、74.1、74.1、35.8、33.6、32.1、31.8、29.7、29.6、29.4、29.3、29.2、29.1、28.7、28.4、28.3、28.1、27.9、27.8、27.7、27.4、27.2、26.1、25.6、25.2、22.6、19.2、14.0;LCMS:627(M+Na)+veイオンモード。
LI12115(9):1H NMR(CDCl3,400MHz):δ6.98(1H,d,J=1.6Hz)、4.99(1H,qd,J=6.8,1.6Hz)、3.95−3.82(4H,m)、3.39(1H,m)、2.26(2H,t,J=8.4Hz)、2.04−1.92(5H,m)、1.67−1.60(8H,m)、1.58−1.49(5H,m)、1.41(3H,d,J=6.8Hz)、1.26(s)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);13C NMR(CDCl3,100MHz):δ173.8、148.8、134.4、83.0、82.9、82.0、81.2、79.9、77.2、74.1、35.9、33.5、32.1、31.9、29.7、29.7、29.6、29.5、29.5、29.3、29.2、28.9、28.8、28.4、27.4、26.1、25.7、25.2、22.7、19.2、14.1;562(M+Na) +veイオンモード。
【0133】
LI12105(スクアモシンG;10):1H NMR(CDCl3)、400MHz:δ7.18(1H,d,J=1.2Hz)、5.05(1H,dq,J=1.2,6.8Hz)、3.95−3.81(6H,m)、3.41−3.37(1H,m)、2.51(1H,td,J=1.6,14.8Hz)、2.42(1H,dd,J=8.4,15.2Hz)、2.24(m)、2.01−1.79(m)、1.66−1.61(4H,m)、1.43(3H,d,J=6.8Hz)、1.25−1.49(m)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);13C NMR(CDCl3,100MHz):δ174.5、151.7、131.3、83.2、82.8、82.4、82.2、77.9、74.1、71.5、70.1、37.5、33.5、33.4、32.6、31.9、29.7−28.9、28.4、26.1、25.7、25.6、24.7、22.7、19.1、14.1。LCMS:m/z645(M+Na)、+veイオンモード。
【0134】
LI12110(10−ヒドロキシアシミシン;11):1H NMR(CDCl3,400MHz):δ6.98(1H,d,J=1.6Hz)、4.99(1H,qd,J=1.6,6.8Hz)、3.90−3.77(5H,m)、3.60(1H,br s)、3.41(2H,m)、2.75(2H,dd,J=2.8,5.6Hz)、2.26(2H,tt,J=1.6,7.6Hz)、2.16(1H,br s)、2.03−1.84(4H,m)、1.72−1.50(13H,m)、1.41(3H,d,J=6.8Hz)、1.28(s)、0.88(3H,t,J=7.2Hz);13C NMR(CDCl3,100MHz):δ173.8、148.8、134.4、83.3、82.2、81.9、79.4、77.3、76.9、76.7、74.5、74.5、71.8、71.7、37.5、37.3、35.6、32.6、32.4、31.8、29.7、29.7、29.6、29.5、29.4、29.3、29.3、29.1、28.6、28.4、27.4、26.2、25.6、25.5、25.2、22.6、21.9、19.2、14.0;LCMS:661(M+Na) +veイオンモード。
【0135】
LI12112:H NMR(CDCl,400MHz):δ6.98(1H,d,J=1.2Hz)、5.36(2H,m)、4.99(1H,qd,J=1.6,6.8Hz)、3.87(4H,m)、3.41(2H,m)、2.36−2.24(4H,m)、2.06−1.90(5H,m)、1.68−1.50(8H,m)、1.41(3H,d,J=6.8Hz)、1.25(s)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);LCMS:629(M+Na) +veイオンモード。
【0136】
LI12113:1H NMR(CDCl3,400MHz):δ6.98(1H,d,J=1.6Hz)、4.99(1H,qd,J=1.6,6.8Hz)、3.03−2.92(6H,m)、2.26(2H,t,J=7.6Hz)、2.04−1.95(2H,m)、1.84(2H,m)、1.78(2H,m)、1.66−1.47(10H,m)、1.40(3H,d,J=6.8Hz)、1.26(s)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);13C NMR(CDCl3,100MHz):δ173.7、148.7、138.4、57.3、56.8、56.6、31.9、29.7、29.5、29.5、29.3、29.2、27.8、27.4、26.6、25.3、25.2、25.2、22.6、19.2、14.1;LCMS:611(M+Na) +veイオンモード。
【0137】
LI12116:1H NMR(CDCl3,400MHz):δ6.98(1H,s)、4.99(1H,qd,J=6.4,1.6Hz)、4.29(1H,m)、2.98(4H,m)、2.27(2H,t,J=8.0Hz)、2.07(2H,m)、1.77(6H,m)、1.55(10H,m)、1.41(3H,d,J=6.8Hz)、1.26(s)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);LCMS:627(M+Na) +veイオンモード。
【0138】
LI12117:1H NMR(CDCl3,400MHz):δ6.98(1H,d,J=1.2Hz)、5.35(2H,m)、4.98(1H,qd,J=6.8,1.6Hz)、4.16(1H,m)、3.93−3.82(4H,m)、3.56(1H,m)、3.40(1H,m)、2.29(3H,m)、2.06(4H,m)、1.67−1.50(16H,m)、1.40(3H,d,J=6.8Hz)、1.26(s)、0.88(3H,t,J=6.8Hz);LCMS:643(M+Na) +veイオンモード。
【実施例14】
【0139】
バンレイシの抽出物、フラクションおよび化合物によるインビトロでの腫瘍壊死因子−α(TNF−α)の抑制:バンレイシの抽出物、フラクションおよび化合物の抗炎症活性を、細胞ベースのインビトロアッセイで評価した。簡単に述べると、THP−1ヒト単球細胞を洗浄し、1%ウシ胎仔血清(FBS)を補充したフェノールレッド非含有ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)に再懸濁した。96ウェルTCプレートの各ウェルに同じ数の細胞を加え、さまざまな濃度(0.1〜200ng/mLの範囲;50mg/1mL DMSOの各試験化合物を含有する原液から培養培地中に調製した溶液)のバンレイシの抽出物、フラクションおよび化合物で、細胞を2時間前処理した。100ng/mLのLPSにより、5%COの存在下、37℃で4時間、炎症応答を誘導した。媒体対照培地ウェルには、培養培地中の0.1%DMSOを加えた。細胞培養上清を集め、炎症誘発性分泌サイトカインTNFαについて評価した。R&D Systems(米国)が供給する高特異性かつ高感度な酵素イムノアッセイ(EIA)キットによって、TNFα濃度を定量的に測定した。酵素イムノアッセイは、供給業者によって提供されたプロトコールに基づいて行った。成分濃度を対応するTNFαレベルに対して図示したプロットから、TNFαを50%抑制する抑制濃度(IC50)を決定した。バンレイシ抽出物LI12101のIC50値は、8.4ng/mLであることがわかった。表1は、細胞ベースのインビトロモデルにおける、さまざまなバンレイシ植物部位由来の抽出物、フラクションおよび化合物の50%抑制(IC50)濃度の要約である。
【0140】
【表1】

【実施例15】
【0141】
バンレイシの葉に由来する抽出物およびフラクションによるマトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)産生の抑制:バンレイシ抽出物(LI12100)によるマトリックスメタロプロテイナーゼ−3産生の抑制を、インターロイキン−1β誘導ヒト肺腫瘍細胞株A549において評価した。簡単に述べると、2mMグルタミン、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシンおよび10%ウシ胎仔血清(Hyclone、ユタ州ローガン)を含むDMEM中で、細胞を培養した。実験の前日に、1ウェルあたり5000個の細胞を96ウェル細胞培養プレート(Corning、米国)に播種した。培養培地を、10%ウシ胎仔血清を含有する新鮮なDMEMで置き換えた。培地中に連続希釈した0.1〜10μg/mLの範囲のLI12100抽出物を、5%CO2、37℃で2時間プレインキュベートした後、10ng/mLヒトIL−1β(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)で24時間刺激した。上清を収集し、ELISA発色キット(R&D Systems、米国ミネソタ州ミネアポリス)によるMMP3産生量の測定に使用した。既知濃度のMMP3から作成した標準曲線に光学密度を内挿することによって、培養上清中のMMP3濃度を定量的に見積もった。バンレイシのさまざまな抽出物について、10μg/mL濃度で得られた抑制百分率を、表2に要約する。
【0142】
【表2】

【実施例16】
【0143】
アセトゲニン組成物を含むバンレイシ抽出物(LI12101)のインビボ抗炎症活性:アセトゲニン組成物を含むバンレイシ酢酸エチル抽出物(LI12101;0.2%スクアモシンC)のインビボ抗炎症効力を、スプラーグ・ドーリー・ラットのフロイント完全アジュバント誘発関節炎モデルにおいて評価した。雌雄のラットをランダムに選択し、各群が5匹を含む2つの群に分割した。処置群ラットには、1日あたり100mg/kg体重のバンレイシ抽出物(LI12101)または10mg/kg体重のプレドニゾロンを、14日間、補充した。補充物は全て、10mLの0.5%CMCに希釈した。対照動物群には、同じ体積(10mL)の0.5%CMCを補充した。プレドニゾロンは陽性対照として投与した。14日目に、フロイント完全アジュバント(FCA)を、各動物の左後足の足底下部に皮下注射した。実験はFCA接種の13日後に終了した。実験の終了時に動物を屠殺し、肝臓組織試料を切除し、−80℃で保存した。血液試料を各動物から定期的に収集し、足体積をFCA注射の日と、FCA接種の13日後に測定した。FCA注射の日と、FCA接種後13日目における足浮腫体積の差を、その補充物に関する炎症応答と見なす。CMC補充対照群に観察される足浮腫と比較した場合の足浮腫の抑制百分率を算出することにより、バンレイシ抽出物(LI12101)およびプレドニゾロンのインビボ抗炎症応答を見積もった。データを図3に要約する。
【0144】
バンレイシ抽出物(LI12101)を補充した処置群は65%の足体積減少を示し、これに比して、陽性対照プレドニゾロンは71%の減少を示した。FCAチャレンジの13日後に収集した血清におけるサイトカイン腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)のレベルを評価した。血清中サイトカインレベルは、R&D systems(米国)が供給する酵素免疫アッセイキットを使って測定した。図4に示すように、LI12101およびプレドニゾロンを補充した処置群は、血清中サイトカインレベル(TNFα)の有意な低下を示した。
【実施例17】
【0145】
アセトゲニンを含むバンレイシのメタノール抽出物(LI12100)の、抗炎症および抗サイトカイン治療としての効力:バンレイシ葉メタノール抽出物(LI12100;0.24%スクアモシンC)のインビボ抗炎症効力を、陽性対照プレドニゾロンとの比較で、スプラーグ・ドーリー・ラットのフロイント完全アジュバント誘発関節炎モデルにおいて評価した。雌雄のラットをランダムに選択し、各群が6匹を含む4つの群に分割した。処置群ラットには、1日あたり50mg/kg体重または100mg/kg体重のバンレイシ抽出物(LI12100)または10mg/kg体重のプレドニゾロンを、14日間、補充した。全ての補充物を10mLの1%CMCに希釈した。対照動物群には、同じ体積(10mL)の0.5%CMCを補充した。プレドニゾロンは陽性対照として投与した。14日目に、フロイント完全アジュバント(FCA)を、各動物の左後足の足底下部に皮下注射した。実験はFCA接種の13日後に終了した。実験の終了時に動物を屠殺し、肝臓組織試料を切除し、−80℃で保存した。血液試料を各動物から定期的に収集し、足体積をFCA注射の日と、FCA接種の13日後に測定した。FCA注射の日と、FCA接種後13日目における足浮腫体積の差を、その補充物に関する炎症応答と見なす。CMC補充対照群に観察される足浮腫と比較した場合の足浮腫の抑制百分率を算出することにより、バンレイシ抽出物(LI12100)およびプレドニゾロンのインビボ抗炎症応答を見積もった。データを図5に要約する。
【0146】
50mg/kg体重および100mg/kg体重のバンレイシ抽出物(LI12100)を補充した処置群は、対照群と比較して、それぞれ49.5%および64.5%の足体積減少を示した。陽性対照群プレドニゾロンは、69.2%の足浮腫減少を示した。FCAチャレンジの14日後に収集した血清におけるサイトカイン腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)のレベルを評価した。血清中サイトカインレベルは、R&D systems(米国)が供給する酵素免疫アッセイキットを使って測定した。図6に示すように、LI12100およびプレドニゾロンを補充した処置群は、血清中サイトカインレベル(TNFα)の有意な低下を示した。
【0147】
さらにまた、マルチプレックスアッセイ(RCYTOMAG80K)を供給業者(Millipore Corporation、米国マサチューセッツ州ビルリカ)によって提供された説明書に従って使用することにより、処置群および対照群の血清における多様なサイトカインバイオマーカーのレベルを見積もった。LI12100を補充した処置群では、対照群が呈するそれぞれのレベルと比較して、血清中の数多くのサイトカインの発現が有意に改善された。LI12100によって改善されたサイトカインには、表3に要約するように、TNFα、IFNγ、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−6、IL−13、MCP−1、ランテスおよびエオタキシンが含まれる。
【0148】
【表3】

【実施例18】
【0149】
バンレイシの抽出物およびフラクションによる分化脂肪細胞における脂質蓄積の抑制の評価:10%ウシ胎仔血清(FBS)を含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中の3T3−L1マウス前脂肪細胞10万個を24ウェルプレートの各ウェルにとり、37℃および5%COで24時間インキュベートした。0.1%DMSOに溶解したさまざまな濃度のバンレイシの酢酸エチル抽出物(LI12101)と共に細胞をプレインキュベートした後、分化培地、すなわち、500nMインスリン、1.0μMデキサメタゾン、および0.5mMイソブチルメチルキサンチン(IBMX)を含有するDMEM中で、48時間分化させた。0.1%DMSOのみとインキュベートした細胞を媒体対照とみなした。その後、分化培地を、100nMインスリンを含有するDMEMで置き換え、さまざまな濃度のバンレイシ由来の抽出物LI12101の存在下または非存在下で、細胞をさらに8日間、インキュベートした。この処理期間後に、細胞を、室温で4時間、10%緩衝ホルマリンを使って固定した。細胞の中性脂質蓄積を測定するために、固定した細胞をオイルレッドO溶液(100mlイソプロパノール中0.5g)で10分間染色した。染色溶液を除去した後、細胞中に保持された色素をイソプロパノールで溶出させ、550nmにおいてODを測定した。処理細胞における脂肪蓄積の抑制を、モック処理した分化脂肪細胞と比較した。バンレイシ抽出物LI12101の抗脂肪生成活性を、脂質蓄積の抑制百分率で表す(表4)。
バンレイシ葉のヘキサン抽出物(LI12100A)、メタノール抽出物(LI12100B)、酢酸エチル抽出物(LI12100C)およびエタノール抽出物(LI12100D)によって引き起こされる脂質蓄積/脂肪生成の抑制百分率も同様のプロトコールを使って決定し、データを表4に要約する。
【0150】
【表4】

【実施例19】
【0151】
バンレイシのメタノール抽出物(LI12100)による3T3−L1脂肪細胞における脂肪生成マーカーPPARγ、ADRP、CD36、aP2、CEBPα、CEBPβ、ペリリピンの抑制:2mMグルタミン、4.5g/Lグルコースおよび10%ウシ胎仔血清を補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で、マウス前脂肪細胞3T3−L1細胞を維持した。24ウェル培養プレートの各ウェルに同じ数の細胞をプレーティングした。細胞を、5および10μg/mLのLI12100で2時間、別々に前処理した後、500nMインスリン、1.0μMデキサメタゾン、および0.5mMイソブチルメチルキサンチン(IBMX)を含有する分化培地を、48時間、加えた。その後、細胞を、LI12100の存在下または非存在下で分化後(post differentiation)培地(100nMインスリンを含有するDMEM)と共にさらにインキュベートした。最後に、細胞を収集し、冷リン酸緩衝食塩水で洗浄し、溶解バッファーで溶解した。タンパク質抽出物を14,000gで20分間、清澄化した。クーマシーブルー色素を用いるブラッドフォード法でタンパク質含有量を測定し、細胞溶解物を小分けして、さらに使用するまで、−80℃で保存した。ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、CEBPα、CEBPβ、CD36、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2)などの脂肪細胞分化マーカーの調節、および細胞内脂質滴表面関連タンパク質であるペリリピンの発現を、イムノブロットアッセイによって評価した。
【0152】
LI12100の存在下または非存在下で、脂肪細胞におけるバイオマーカー分子のタンパク質発現の抑制を、イムノブロットアッセイにおいて評価した。簡単に述べると、等量の細胞溶解物タンパク質を7.5%SDS−PAGEで分離した後、タンパク質をニトロセルロース膜に転写した。非特異的部位をブロッキングした後、膜を、抗PPARγ、または抗CD36、または抗aP2、または抗ADRP、または抗CEBPα、または抗CEBPβ、または抗ペリリピン抗体と共にインキュベートした。最後に、特異的免疫反応性バンドをWest−pico化学発光基質(Pierce Biotechnology、米国イリノイ州)で発色させ、イムノブロット像をKodak Image Station(Kodak、米国)で記録した。バンド強度をデンシトメトリーで算出し、各試料におけるアクチンの発現量で標準化した。データを図7に要約する。
【実施例20】
【0153】
LI12100によるアディポネクチンの調節:3T3−L1脂肪細胞におけるLI12100によるアディポネクチンタンパク質の調節を、ウェスタン・イムノブロット・アッセイにおいて評価した。細胞培養、処理プロトコールおよびイムノブロットアッセイの方法は、実施例19において述べたものと同じとした。LI12100は、3T3−L1成熟脂肪細胞におけるアディポネクチンタンパク質の発現を、用量依存的に増進した。LI12100は、5μg/mLおよび10μg/mLにおいて、血清中アディポネクチン濃度に、それぞれ38%および64%の改善を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイトカイン/ケモカインまたは他のバイオマーカーによって媒介される1つ以上の炎症および/または免疫関連疾患を予防、処置、抑制または管理するための、バンレイシ(Annona squamosa)由来の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化された抽出物またはフラクション。
【請求項2】
サイトカイン/ケモカインまたは他のバイオマーカーによって媒介される1つ以上の炎症および/または免疫関連疾患を予防、処置、抑制または管理するための、植物/動物/微生物に由来する生物学的に活性な成分;医薬的または栄養学的に許容される活性成分、ビタミン、アミノ酸、ミネラル;医薬的または栄養学的に許容される賦形剤、媒体、担体および希釈剤またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの構成要素と組み合わされた、バンレイシ由来の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化された抽出物またはフラクションから選択される少なくとも1つの構成要素を含む薬用植物組成物。
【請求項3】
該炎症性疾患が、関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化、内皮機能不全、アレルギー性鼻炎、皮膚炎、乾癬、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、片頭痛、痛み、アンギナ、慢性前立腺炎、日焼け、歯周病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ぶどう膜炎、血管形成術後再狭窄、糸球体腎炎、胃腸アレルギー、腎炎、結膜炎、慢性閉塞性肺疾患、職業性喘息、湿疹、気管支炎、枯草熱、じんま疹、アレルギー性障害、ならびに喘鳴、呼吸困難、乾性咳嗽、胸部絞扼感、頚筋緊張、胸痛、関節痛のような状態、および哺乳動物におけるそれらに関連するいくつかの他の状態を含む、請求項1および2に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物。
【請求項4】
該関節炎が、関節リウマチ(例えば、軟部組織リウマチおよび関節外リウマチ、線維筋痛症、結合組織炎、筋肉リウマチ、筋膜痛、上腕骨上顆炎、五十肩、ティーツェ症候群、筋膜炎、腱炎、腱鞘炎、滑液包炎)、若年性慢性関節炎、関節障害、脊椎関節症(強直性脊柱炎)、変形性関節症、高尿酸血症および急性痛風に関連する関節炎、慢性痛風および全身性エリテマトーデスおよび変形性関節炎を含む、請求項3に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物。
【請求項5】
炎症または免疫障害に関係する1つ以上のサイトカイン/ケモカインまたはバイオマーカーの発現/産生を調節するための、請求項1に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクション、または請求項2に記載のそれらの組成物。
【請求項6】
炎症または免疫障害に関係する該サイトカイン/ケモカインが、TNFα、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−6、IL−13、MCP−1、ランテス、エオタキシン、ICAMおよびVCAMを含む、請求項5に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物。
【請求項7】
炎症または免疫障害に関係する該バイオマーカーが、aP2、FLAP、CRP、CD36、5−リポキシゲナーゼおよびMMPを含む、請求項5に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物。
【請求項8】
1つ以上の代謝性疾患/障害を予防、処置、抑制または管理するための、バンレイシ由来の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化された抽出物またはフラクション。
【請求項9】
1つ以上の代謝性疾患/障害を予防、処置、抑制または管理するための、植物/動物/微生物に由来する生物学的に活性な成分;医薬的または栄養学的に許容される活性成分、ビタミン、アミノ酸、ミネラル;医薬的または栄養学的に許容される賦形剤、媒体、担体および希釈剤またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの構成要素と組み合わされた、バンレイシ由来の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化された抽出物またはフラクションから選択される少なくとも1つの構成要素を含む薬用植物組成物。
【請求項10】
該代謝性疾患/障害が、肥満、過体重、糖尿病、アテローム性動脈硬化、動脈硬化、心血管疾患、高血圧、高コレステロール血症、高脂質血症、高トリグリセリド血症、メタボリック症候群、内皮機能不全、インスリン抵抗性、インスリン感受性増加、高インスリン血症、異常脂質血症、低HDLコレステロール、リポタンパク質異常、トリグリセリド低下、尿酸レベル上昇、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝疾患、多嚢胞性卵巣症候群、ヘモクロマトーシス(鉄過剰)、黒色表皮腫(皮膚上の暗色斑)、耐糖能異常(IGT)および空腹時血糖異常(IFG)を含む、請求項8に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクション、または請求項9に記載のそれらの組成物。
【請求項11】
代謝性疾患または障害に関係する1つ以上のバイオマーカーの発現/産生を調節するための、請求項8および9に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物。
【請求項12】
代謝性疾患または障害に関係するバイオマーカーが、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質アルファ(CEBPα)、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質ベータ(CEBPβ)、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL(Ox−LDL)、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン作動性受容体(β3AR)、ペリリピン、アディポネクチン、タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)およびマトリックスメタロプロテイナーゼ−13(MMP−13)を含む、請求項11に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物。
【請求項13】
スクアモシンC(LI12103;1)、イソスクアモシン(LI12132;2)、ジエポサバデリン(LI12109;4)、スクアモスタチンD(LI12106;5)、スクアモシンL(LI12107;6)、スクアモシンJ(LI121l1;7)、スクアモシンG(LI12105;10)、および10−ヒドロキシアシミシン(LI12110;11);ならびに単離され、十分に特徴づけられた化合物(化合物LI12104(3)、化合物LI12114(8)、化合物LI12115(9)、化合物LI12112、化合物LI12113、化合物LI12116および化合物LI12117を含む)を含む、請求項1、2、8および9に記載の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニン。
【請求項14】
末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンの濃度が0.01重量%〜30重量%の範囲においてさまざまである、請求項1、2、8および9に記載のバンレイシ由来の抽出物およびフラクション。
【請求項15】
末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンの濃度が0.1重量%〜10重量%の範囲においてさまざまである、請求項1、2、8および9に記載のバンレイシ由来の抽出物およびフラクション。
【請求項16】
組成物中のバンレイシ由来構成要素のパーセンテージが0.01重量%〜99.9重量%の範囲においてさまざまである、請求項2および9に記載の組成物。
【請求項17】
組成物中のバンレイシ由来構成要素のパーセンテージが約0.1重量%〜50重量%の範囲においてさまざまである、請求項2および9に記載の組成物。
【請求項18】
葉、果実、種子、花、茎、樹皮、根、熟枝またはそれらの混合物から選択されるバンレイシの植物部位(好ましくは葉)に由来する、請求項1、2、8および9に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物またはフラクション。
【請求項19】
抽出の媒質が、ヘキサン、石油エーテル、エチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、イソプロパノール、メチルイソブチルケトン、水またはそれらの混合物から選択される溶媒を含む、請求項1、2、8および9に記載のバンレイシ由来の抽出物。
【請求項20】
該フラクションが、分配、沈殿、結晶化、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーまたはそれらの組合せから選択される少なくとも1つの分離技法を使って得られる、請求項1、2、8および9に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物またはフラクション。
【請求項21】
該生物学的に活性な成分が、抗炎症活性、抗関節炎活性、抗糖尿病活性、抗高血糖活性、脂質低下活性、抗肥満活性、抗高血圧活性、抗血小板凝集活性、抗感染活性、抗アテローム硬化活性、酸化防止剤および生体増強活性から選択される何らかの健康上の利益を有する抽出物/フラクション/活性化合物またはフィトケミカルから選択される、請求項2および9に記載の組成物。
【請求項22】
該生物学的に活性な成分が、グルコサミン、グルコサミン塩、コンドロイチン、メチルスルホニルメタン(MSM)、ヒアルロン酸、コラーゲン、ポリグリカン、キトサン、非変性コラーゲンII型、SAM−e、オメガ−3、NEM、ケルセチン、ホウ素、マンガン、アスコルビン酸カルシウム、フラボノイド、アルカロイド、フィトステロール、テルペン、オメガ3脂肪酸;アシュワガンダ(Withania somnifera)、スファエランツスインディクス(Sphaeranthus indicus)、ボスウェリアセラータ(Boswellia serrata)、ウコン(Curcuma longa)、グアバ(Psidium guajava)、マツ樹皮、コショウ(Piper nigrum)またはインドナガコショウ(Piper longum)由来の抽出物またはフラクションから選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
該医薬的または栄養学的に許容される賦形剤、媒体、希釈剤および担体が、界面活性剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、保存剤、安定剤、緩衝剤、懸濁剤および薬物送達システムを含む、請求項2および9に記載の組成物。
【請求項24】
該医薬的または栄養学的に許容される賦形剤、担体、媒体および希釈剤が、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラクトース、黄色デキストリン、白色デキストリン、二酸化ケイ素、微結晶セルロース粉末、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ソルビトール、ステビオシド、コーンシロップ、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−アルファ−トコフェロール、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアゴム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ニコチンアミド、パントテン酸カルシウム、カルシウム塩、色素、香料、保存剤、蒸留水、食塩水、グルコース水溶液、アルコール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール、さまざまな動物油および植物油、白色ワセリン、パラフィンおよびロウを含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
錠剤、軟カプセル剤、硬カプセル剤、ソフトゲルカプセル剤、丸剤、顆粒剤、粉末剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤、ペレット剤、食品、飲料、濃縮ドリンク剤、ドロップ剤などの経口剤;および注射剤、静脈内点滴剤などの非経口剤;坐剤;ならびに貼付剤、局所外用クリーム剤およびゲル剤などの経皮剤;点眼剤;点鼻剤;ならびに食品または飲料として製剤化される、請求項1、2、8および9に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物。
【請求項26】
それを必要とする対象または哺乳動物または温血動物に、経口投与、局所外用投与、非経口投与、点眼、または吸入によって投与される、請求項1、2、8および9に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたは組成物。
【請求項27】
1日1回または1日につき複数回投与される、請求項1、2、8および9に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたは組成物。
【請求項28】
ナノテクノロジー、マイクロカプセル化、コロイド担体システムおよび他の薬物送達システムを含む技法により、放出制御ポリマーに基づくコーティングを使った放出制御錠剤の形態で送達される、請求項1、2、8および9に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物。
【請求項29】
温血動物用の健康食品として、既存のまたは新しい食品および飲料形態に製剤化されるか、既存のまたは新しい食品および飲料形態に添加される、請求項1、2、8および9に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物。
【請求項30】
関節リウマチ(軟部組織リウマチおよび関節外リウマチ、線維筋痛症、結合組織炎、筋肉リウマチ、筋膜痛、上腕骨上顆炎、五十肩、ティーツェ症候群、筋膜炎、腱炎、腱鞘炎、滑液包炎)、若年性慢性関節炎、関節障害、脊椎関節症(強直性脊柱炎)、変形性関節症、高尿酸血症、急性痛風に関連する関節炎、慢性痛風、全身性エリテマトーデス、変形性関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化、内皮機能不全、アレルギー性鼻炎、皮膚炎、乾癬、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、間質性膀胱炎、片頭痛、痛み、アンギナ、慢性前立腺炎、日焼け、歯周病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ぶどう膜炎、血管形成術後再狭窄、糸球体腎炎、胃腸アレルギー、腎炎、結膜炎、慢性閉塞性肺疾患、職業性喘息、湿疹、気管支炎、枯草熱、じんま疹、アレルギー性障害を含む1つ以上の炎症および/または免疫関連疾患/障害、ならびに喘鳴、呼吸困難、乾性咳嗽、胸部絞扼感、頚筋緊張、頻脈、胸痛、関節痛のような状態、およびそれらに関連する他のいくつかの状態を、その予防、処置、抑制または管理を必要とする哺乳動物または温血動物において予防、処置、抑制または管理する方法であって、請求項1および2に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物の有効量を、該哺乳動物または温血動物に補充することを含む方法。
【請求項31】
TNFα、IL−1β、IL−2、IL−4、IL−6、IL−13,MCP−1、aP2、ランテス、エオタキシン、FLAP、ICAM、VCAMおよびMMPから選択される少なくとも1つのサイトカイン/ケモカインまたは生物学的マーカーの発現または産生を、その調節を必要とする対象または哺乳動物または温血動物において調節する方法であって、請求項1および2に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物の有効量を、該対象または温血動物または哺乳動物に補充することを含む方法。
【請求項32】
肥満、過体重、糖尿病、アテローム性動脈硬化、動脈硬化、心血管疾患、高血圧、高コレステロール血症、高脂質血症、高トリグリセリド血症、メタボリック症候群、内皮機能不全、インスリン抵抗性、インスリン感受性増加、高インスリン血症、異常脂質血症、低HDLコレステロール、リポタンパク質異常、トリグリセリド低下、尿酸レベル上昇、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝疾患、多嚢胞性卵巣症候群、ヘモクロマトーシス(鉄過剰)、黒色表皮腫(皮膚上の暗色斑)、耐糖能異常(IGT)および空腹時血糖異常(IFG)から選択される1つ以上の代謝性疾患または障害を、その予防、管理および/または処置を必要とする哺乳動物または温血動物において予防、管理および/または処置する方法であって、請求項8および9に記載するアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたは組成物の有効量を、該哺乳動物または温血動物に補充することを含む方法。
【請求項33】
PPAR−γ、C反応性タンパク質(CRP)、脂肪分化関連タンパク質(ADRP)、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質アルファ(CEBPα)、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質ベータ(CEBPβ)、脂肪細胞CD36、マクロファージCD36、単球走化性タンパク質(MCP−1)、酸化LDL,脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(aP2/FABP4/A−FABP)、ベータ−3アドレナリン作動性受容体(β3−AR)、アディポネクチン、ペリリピン、タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP1B)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、マトリックスメタロプロテイナーゼ−3(MMP−3)およびマトリックスメタロプロテイナーゼ−13(MMP−13)から選択される少なくとも1つの生物学的マーカーの発現または産生を、その調節を必要とする対象または哺乳動物または温血動物において調節する方法であって、請求項8および9に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたは組成物の有効量を、該対象または温血動物または哺乳動物に補充することを含む方法。
【請求項34】
哺乳動物における脂肪生成を抑制しかつ/または脂肪分解を加速する方法であって、請求項8および9に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたは組成物の有効量を、該哺乳動物に補充することを含む方法。
【請求項35】
医薬/栄養補助食品/食品成分として使用するための、請求項1、2、8および9に記載のアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクションまたはそれらの組成物。
【請求項36】
該アセトゲニンが、テトラヒドロフラン基、エポキシド基、ヒドロキシル基およびオレフィン(二重結合)基から選択される少なくとも1つの官能基をさらに含む、請求項1に記載の末端α,β−不飽和−γ−メチル−γ−ラクトン部分を含むアセトゲニンに規格化された抽出物もしくはフラクション、または請求項2に記載のそれらの組成物。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−508352(P2013−508352A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534823(P2012−534823)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000686
【国際公開番号】WO2011/048617
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(510067980)
【Fターム(参考)】