説明

アゾール誘導体およびその製造方法、該誘導体の中間体化合物ならびに該誘導体を含有する農園芸用薬剤および工業用材料保護剤

【課題】安全性に優れ、広範な植物病害に対する防除効果と優れた植物生長効果を有する農園芸用病害防除剤、および広範な有害微生物対する材料保護効果を有する工業用材料保護剤の提供。
【解決手段】式(I)のアゾール誘導体。本誘導体は、植物に病害を引き起こす多くの菌に対して優れた殺菌作用を有する。


(式中、R、R、RAは特定の基。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複素環を有するアゾール誘導体に関する。また、該誘導体の製造方法、該誘導体の中間体化合物ならびに該誘導体を含有する農園芸用薬剤および工業用材料保護剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の2−置換−5−ベンジル−1−アゾリルメチルシクロペンタノール誘導体には、殺菌活性を示すものが知られている(特許文献1・2参照)。
【0003】
特許文献3には、シクロペンタノールの2位の置換基にアルキル基を有し、5位の置換基にヘテロ環メチル基を有するアゾリルメチルシクロペンタノール誘導体と、該誘導体を有効成分として含有する農園芸用薬剤および工業用材料保護剤が開示されている。
【0004】
また、特許文献4には、シクロペンタノールの2位にハロゲン化アルキル基等の置換基を有し、5位の置換基にヘテロアリールメチル基を有するアゾリルメチルシクロペンタノール誘導体が記載されている(当該文献請求の範囲第15項参照)。なお、当該文献では、上記誘導体の殺菌活性は検討されておらず、農園芸用薬剤および工業用材料保護剤の有効成分としての同誘導体の有用性は明らかでない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平01−93574号公報
【特許文献2】特開平01−186871号公報
【特許文献3】国際公開第2009/088070号
【特許文献4】国際公開第2010/122171号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、人畜に対する毒性が低く取扱い安全性に優れ、かつ広範な植物病害に対して高い防除効果を示す農園芸用病害防除剤が求められている。加えて、種々の農作物や園芸植物の成長を調節して収量を増加させてその品質を高める効果を示す植物生長調節剤、または工業用材料を侵す広範な有害微生物から材料を保護する効果を示す工業用材料保護剤も求められている。
【0007】
本発明は、上記の要望に応える農園芸用薬剤
工業用材料保護剤を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題解決のため、本発明者らは、アゾール誘導体の化学構造と生理活性を詳細に検討した。その結果、本発明者らは、下記一般式(I)で示される2−(ハロゲン化炭化水素置換)−5−ヘテロ環メチル−1−アゾリルメチルシクロペンタノール誘導体が優れた活性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体を提供する。
【0010】
【化1】

(式(I)中、Rは、置換されていてもよいC〜Cのアルキレン基、C〜Cのアルケニレン基またはC〜Cのアルキニレン基を示す。
は、水素原子、または置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、C〜Cのアルケニル基もしくはC〜Cのアルキニル基を示す。
は、硫黄原子、窒素原子または酸素原子を少なくとも一つ含む、5〜6員のヘテロ環基または8〜10員の縮合ヘテロ環基を示す。該ヘテロ環基および該縮合ヘテロ環基は、ハロゲン原子により置換されていてもよい。
Xは、ハロゲン原子を示す。
Aは、窒素原子またはメチン基を示す。)
【0011】
このアゾール誘導体は、上記の構成を有することにより、植物に病害を引き起こす多くの菌に対して優れた殺菌作用を有するという効果を奏する。従って、このアゾール誘導体を有効成分として含有する農園芸用薬剤または工業用材料保護剤は、広汎な植物病害に対して高い防除効果を発揮することができる効果を奏する。
【0012】
本発明に係るアゾール誘導体は、上記一般式(I)中、RがC〜Cのアルキレン基、特に好ましくはメチレン基であり、Xが塩素原子または臭素原子であることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係るアゾール誘導体は、上記一般式(I)中、Rが、ハロゲン原子により置換された5〜6員のヘテロ環基であることが好ましく、ハロゲン原子により置換されたピリジル基、チエニル基またはチアゾリル基であることが特に好ましい。ハロゲン原子は、塩素原子または臭素原子であることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、上記アゾール誘導体の製造に用いられる中間体化合物であって、下記一般式(II)で示される中間体化合物を提供する。
【0015】
【化2】

(式(II)中、Rは、置換されていてもよいC〜Cのアルキレン基、C〜Cのアルケニレン基またはC〜Cのアルキニレン基を示し、
は、水素原子、または置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、C〜Cのアルケニル基もしくはC〜Cのアルキニル基を示す。
は、硫黄原子、窒素原子または酸素原子を少なくとも一つ含む、5〜6員のヘテロ環基または8〜10員の縮合ヘテロ環基を示す。該ヘテロ環基および該縮合ヘテロ環基は、ハロゲン原子により置換されていてもよい。
Aは、窒素原子またはメチン基を示す。)
【0016】
さらに、本発明は、上記アゾール誘導体の製造方法であって、下記一般式(II)で示すアゾール化合物における環構造を、ハロゲン酸を用いて開環する工程を含むことを特徴とするアゾール誘導体の製造方法をも提供する。
【0017】
【化3】

(式(II)中、Rは、置換されていてもよいC〜Cのアルキレン基、C〜Cのアルケニレン基またはC〜Cのアルキニレン基を示し、
は、水素原子、または置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、C〜Cのアルケニル基もしくはC〜Cのアルキニル基を示す。
は、硫黄原子、窒素原子または酸素原子を少なくとも一つ含む、5〜6員のヘテロ環基または8〜10員の縮合ヘテロ環基を示す。該ヘテロ環基および該縮合ヘテロ環基は、ハロゲン原子により置換されていてもよい。
Aは、窒素原子またはメチン基を示す。)
【0018】
この製造方法は、さらに、下記一般式(III)で示す化合物と、シアン化物塩とを反応させて下記式(IV)で示す中間体化合物を得る工程と、当該中間体化合物におけるシアノ基をメチレンを含む官能基に変換した誘導体化合物に、下記一般式(V)で示す化合物を付加させて上記式(II)で示すアゾール化合物を得る工程と、を含む。
【0019】
【化4】

【0020】
【化5】

【0021】
【化6】

(式(III)および式(IV)中、R、RおよびRは、上記式(II)と同一である。Xは、塩素原子、臭素原子、メタンスルホニルオキシ基またはp−トルエンスルホニルオキシ基を示す。
式(V)中、Aは上記式(II)と同一であり、Mはアルカリ金属を示す。)
【0022】
本明細書では、各一般式において同一の置換基、官能基または原子を規定している符号は同一の記号を付し、その記号で示される置換等の詳細は重複して説明しない。例えば、一般式(I)において示されるRと、一般式(Ia)において示されているRは同一の置換基、官能基または原子を示している。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るアゾール誘導体は、植物に病害を引き起こす多くの菌に対して優れた殺菌作用を有する。従って、本発明に係るアゾール誘導体を有効成分として含有する農園芸用薬剤は、広汎な植物病害に対して高い防除効果を発揮する。また、本発明に係るアゾール誘導体を有効成分として含有する農園芸用薬剤は、種々の農作物や園芸植物の成長を調節して収量を増加させると共に、その品質を高める効果も併せて奏する。
【0024】
さらに、本発明に係るアゾール誘導体を有効成分として含有する工業用材料保護剤によれば、工業用材料を侵す広範な有害微生物からより一層効果的に工業用材料を保護できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。なお、説明は以下の順序で行う。

1.アゾール誘導体
(1)化合物(I)
(2)R・R
(3)X
(4)R
(5)A
(6)立体異性体
(7)具体例
2.アゾール誘導体の製造方法
(1)工程1:ヒドロキシアルキル化
(2)工程2:脱離基への変換
(3)工程3:加水分解および脱炭酸
(4)工程4:オキセタン閉環
(5)工程5:イミデート化
(6)工程6:エステル化
(7)工程7:還元反応
(8)工程8:脱離基への変換
(9)工程9:アゾール付加
(10)工程10:オキセタン開環
3.農園芸用薬剤
(1)植物病害防除効果
(2)植物生長作用
(3)工業材料保護効果
(4)製剤

【0026】
1.アゾール誘導体
(1)化合物(I)
本発明に係るアゾール誘導体(以下、化合物(I)と称する)は、下記一般式(I)で示される。化合物(I)は、シクロペンタン環の2位に結合するハロゲン置換した炭化水素置換基と、5位に結合するヘテロ環メチル基とを有する。すなわち、化合物(I)は、2−(ハロゲン化炭化水素置換)−5−ヘテロ環メチル−1−アゾリルメチルシクロペンタノール誘導体とも表記することができる。
【0027】
【化7】

【0028】
以下、化合物(I)中の各記号(R、R、X、R、A)の定義内容とその具体例について説明する。
【0029】
(2)R・R
は、置換されていてもよいC〜Cのアルキレン基、C〜Cのアルケニレン基またはC〜Cのアルキニレン基を示し、Xはハロゲン原子を示す。Rは、C〜Cのアルキレン基であることが好ましく、メチレン基であることが特に好ましい。
【0030】
〜Cのアルキレン基、C〜Cのアルケニレン基およびC〜Cのアルキニレン基の具体例としては以下が挙げられる。
【0031】
〜Cのアルキレン基:メチレン基、エチレン基、1−メチルエチレン基、n−プロピレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、n−ブチレン基、1−メチルブチレン基、2−メチルブチレン基、1−エチルプロピレン基、1,1−ジメチルエチレン基など。このうち、C〜Cのアルキレン基が好ましく、C〜Cのアルキレン基が特に好ましい。
【0032】
〜Cのアルケニレン基:エテニレン基、1−メチルエテニレン基、3−メチル−1,3−ブタジエニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、2−メチル−2−プロペニレン基、2−ブテニレン基、3−ブテニレン基、3−メチル−3−ブテニレン基など。このうち、C〜Cのアルケニレン基が好ましい。
【0033】
〜Cのアルキニレン基:エチニレン基、1−プロピニレン基、2−プロピニレン基、1−ブチニレン基、2−ブチニレン基など。このうち、C〜Cのアルキニレン基が好ましい。
【0034】
は、水素原子、または置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、C〜Cのアルケニル基もしくはC〜Cのアルキニル基を示す。
【0035】
〜Cのアルキル基:メチル基、エチル基、1−メチルエチル基、n−プロピル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、n−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基など。このうち、C〜Cアルキル基が好ましく、C〜Cアルキル基が特に好ましい。
【0036】
〜Cのアルケニル基:エテニル基、1−メチルエテニル基、、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、1,3−ペンタジエニル基など。このうち、C〜Cアルケニル基が好ましい。
【0037】
〜Cのアルキニル基:エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基など。このうち、C〜Cアルキニル基が好ましい。
【0038】
(3)X
Xは、ハロゲン原子を示す。ハロゲン原子としては、塩素原子および臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。このうち、塩素原子あるいは臭素原子が好ましい。
【0039】
(4)R
は、硫黄原子、窒素原子または酸素原子を少なくとも一つ含む、5員または6員のヘテロ環基または8〜10員の縮合ヘテロ環基を示す。該ヘテロ環基および該縮合ヘテロ環基は、ハロゲン原子により置換されていてもよい。
【0040】
5員または6員のヘテロ環基としては、フリル基、テトラヒドロフリル基、チエニル基、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジニル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジニル基、トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、テトラゾリル基等の5員ヘテロ環基、ピラニル基、ピリジル基、ピペリジニル基、ジオキサニル基、オキサジニル基、モルホリニル基、チアジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピペラジニル基、トリアジニル基等の6員ヘテロ環基が挙げられる。このうち、チエニル基、チアゾリル基、ピリジル基が好ましい。
【0041】
8〜10員の縮合ヘテロ環基は、上述した5員または6員のヘテロ環基が縮合した縮合へテロ環基である。すなわち、縮合ヘテロ環基としては、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジヒドロベンゾフラニル基、ジヒドロイソベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾチエニル基、ジヒドロベンゾチエニル基、ジヒドロイソベンゾチエニル基、テトラヒドロベンゾチエニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、インダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾジオキソラニル基、ベンゾジオキサニル基、クロメニル基、クロマニル基、イソクロマニルクロモニル基、クロマノニル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、インドリジニル基、キノリジニル基、イミダゾピリジル基、ナフチリジニル基、プテリジニル基、ジヒドロベンゾオキサジニル基、ジヒドロベンゾオキサゾリノニル基、ジヒドロベンゾオキサジノニル基、ベンゾチオキサニル基等が挙げられる。
【0042】
特に好適な5員または6員のヘテロ環基の具体的な構造式を以下に示す。式中、ドットは、シクロペンタン環5位に結合する炭素原子を表す。また、Xは、ハロゲン原子を示す。
【0043】
【化8】

【0044】
【化9】

【0045】
【化10】

【0046】
ヘテロ環基および該縮合ヘテロ環基が有する置換基としては、塩素原子および臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。このうち、塩素原子あるいは臭素原子が好ましい。置換基の数は、特に限定されないが、1または2が好ましい。置換数が2以上の場合、置換基は同一であっても異なっていてもよい。なお、置換基の位置は、特に限定されない。
【0047】
(5)A
Aとしては、窒素原子またはメチン基を挙げることができる。より好ましくは、Aは窒素原子である。
【0048】
(6)立体異性体
化合物(I)には、下記一般式(I−C)、(I−T)で示す立体異性体(C型およびT型)が存在する。化合物(I)は、いずれかの異性体単体でもよく、混合物でもよい。なお、下記一般式では、1位の水酸基と5位のヘテロ環メチル基がシス型であるものの相対立体配置を(I−C)とし、トランス型であるものの相対立体配置を(I−T)としている。
【0049】
【化11】

【0050】
(7)具体例
化合物(I)の具体例として以下の構造式で示される化合物が例示される。
【0051】
【化12】

【0052】
2.アゾール誘導体の製造方法
次に、化合物(I)の製造方法について、以下の式(Ia)で示される化合物を例に挙げて具体的に説明する。すなわち、化合物(I)のうち、Rがメチレン基である場合を例に挙げて説明する。なお、Rがメチレン基以外(すなわち、炭素数が2〜6のアルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基)の場合であっても同様の方法により化合物(I)を製造することができる。
【0053】
【化13】

【0054】
式(Ia)中、X、R、R、Aは、上述の通りである。
【0055】
(1)工程1:ヒドロキシアルキル化
まず、式(1)で示される化合物(以下、化合物(1)と称する)をヒドロキシアルキル化(反応式中ではヒドロキシメチル化)することにより、式(2)で示される化合物(以下、化合物(2)という)を得る(下記反応式(1)参照)。
【0056】
反応式(1)
【化14】

【0057】
化合物(1)および化合物(2)におけるRおよびRは、上述した通りである。
【0058】
ヒドロキシアルキル化は、溶媒中、塩基存在下で、化合物(1)をヒドロキシアルキルハライドと反応させることで得ることができる。導入するアルキル基の炭素数は、最終的に得たい化合物(I)におけるRの炭素数に応じて決定すればよい。また、化合物(I)におけるRがアルケニレン基もしくはアルキニレン基である場合には、炭素数に応じたヒドロキシアルケニルハライドまたはヒドロキシアルキニルハライドを用いればよい。
【0059】
反応式(1)では、式(Ia)で示す化合物を得るために、化合物(1)をヒドロキシメチル化した場合を例に挙げて示している。ヒドロキシメチル化の場合、ヒドロキシアルキルハライドの代わりにホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体(以下、ホルムアルデヒド等という)を用いることが好ましい。
【0060】
ホルムアルデヒド誘導体としては、パラホルムアルデヒド、1,3,5−トリオキサンおよびホルムアルデヒドジアルキルアセタールなどが用いられる。化合物(1)に対するホルムアルデヒド等の量は、0.5倍モル〜20倍モルであり、好ましくは0.8倍モル〜10倍モルである。
【0061】
塩基としては、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩などが用いられる。化合物(1)に対する塩基の量は、0.1倍モル〜10倍モルであり、好ましくは0.2倍モル〜5倍モルである。
【0062】
溶媒は、特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサン等のエーテル類や、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類などが用いられる。反応系に相間移動触媒を使用することが好ましい。相間移動触媒としては、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどの慣用の第4アンモニウム塩を用いることができる。
【0063】
反応温度は、0℃〜250℃であり、好ましくは0℃〜100℃であり、さらに好ましくは室温〜40℃である。反応時間は、0.1時間〜数日であり、好ましくは0.5時間〜2日であり、さらに好ましくは1時間〜24時間である。
【0064】
なお、ここで使用される化合物(1)は、公知の方法(例えば、特許文献1記載の方法)を用いて製造すればよい。
【0065】
(2)工程2:脱離基への変換
次に、化合物(2)のヒドロキシ基を脱離基に変換することにより、式(3)で示される化合物(以下、化合物(3)という)を得る(下記反応式(2)参照)。
【0066】
反応式(2)
【化15】

【0067】
化合物(3)におけるRおよびRは、化合物(2)におけるRおよびRと同一である。
【0068】
化合物(3)におけるXは、好適には、塩素原子、臭素原子、メタンスルホニルオキシ基またはp−トルエンスルホニルオキシ基である。
【0069】
化合物(2)のヒドロキシ基を脱離基(X)に変換する方法としては、過剰量の塩基の存在下、溶媒中で、化合物(2)をスルホニルクロライド類と反応させる方法、あるいは化合物(2)をハロゲン化チオニル類と反応させる方法を挙げることができる。
【0070】
スルホニルクロライド類としては、メタンスルホニルクロライド、プロパンスルホニルクロライド、トリフルオロメタンスルホニルクロライド、ベンゼンスルホニルクロライド、クロロベンゼンスルホニルクロライド、p−トルエンスルホニルクロライド、ナフタレンスルホニルクロライド、o−ニトロベンゼンスルホニルクロライドおよびジメチルアミノナフチルスルホニルクロライドなどが用いられる。このうち、p−トルエンスルホニルクロライドおよびメタンスルホニルクロライドが好適に用いられる。
【0071】
化合物(2)をスルホニルクロライド類と反応させる方法において、スルホニルクロライド類としてp−トルエンスルホニルクロライドを用いる場合には、N−メチルイミダゾールおよびジメチルアミノピリジンなどの触媒の存在下で反応を行うことが好ましい。
【0072】
塩基としては、特に限定されないが、例えば、トリエチルアミンおよびジイソプロピルエチルアミンなどの脂肪族アミン類、水素化ナトリウム等の無機塩基、ピリジン等の芳香族有機塩基などが用いられる。このうち、トリメチルアミンが好適に用いられる。
【0073】
スルホニルクロライド類の量は、化合物(2)に対して、0.8倍モル〜10倍モルであり、好ましくは0.9倍モル〜5倍モルである。塩基の量は、化合物(2)に対して、0.9倍モル〜20倍モルであり、好ましくは1倍モル〜10倍モルである。
【0074】
溶媒は、特に限定されるものではないが、ベンゼン、トルエン、およびキシレン等の芳香族炭化水素類および塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類などが用いられる。このうち、トルエンが好適に用いられる。
【0075】
ハロゲン化チオニル類としては、チオニルブロマイドおよびチオニルクロライドなどが用いられる。このうち、チオニルクロライドが好適に用いられる。
【0076】
化合物(2)をスルホニルクロライド類と反応させる方法では、触媒およびさらなる溶媒は不要である。
【0077】
反応温度および反応時間は、用いられる溶媒、反応させるスルホニルクロライド類またはハロゲン化チオニル、および塩基の種類によって適宜設定できる。スルホニルクロライド類を用いて反応を行う場合、反応温度は、例えば、−20℃〜150℃であり、好ましくは−10℃〜40℃である。一方、ハロゲン化チオニルを用いて反応を行う場合、反応温度は、−20℃〜150℃であり、好ましくは80℃〜100℃である。また、反応時間は、スルホニルクロライド類を用いて反応を行う場合には、0.1時間〜24時間であり、好ましくは0.5時間〜5時間である。一方、ハロゲン化チオニルを用いて反応を行う場合には、0.5時間〜24時間であり、好ましくは2.5時間〜3時間である。
【0078】
(3)工程3:加水分解および脱炭酸
続いて、化合物(3)のメトキシカルボニル基を水素により置換することにより、式(4)で示される化合物(以下、化合物(4)という)を得る(下記反応式(3)参照)。
【0079】
反応式(3)
【化16】

【0080】
化合物(4)におけるRおよびRは、化合物(3)におけるRおよびRと同一である。
【0081】
化合物(4)におけるXは、基本的には、上述のXと同一である。すなわち、塩素原子、臭素原子、メタンスルホニルオキシ基またはp−トルエンスルホニルオキシ基であることが好ましい。ただし、Xは上述のXと異なっていてもよい。
【0082】
メトキシカルボニル基を水素により置換する方法としては、酸触媒により化合物(3)のメトキシカルボニル基を加水分解するとともに脱炭酸する方法を挙げることができる。
【0083】
酸触媒としては、臭化水素、塩化水素、メタンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸等の置換スルホン酸、硫酸などが用いられる。また、酸触媒とXの組合せにより、化合物(3)の一部が置換されることがある。例えば、化合物(3)のXがメタンスルホニルオキシ基であり酸触媒に臭化水素を用いた場合には、化合物(3)においてXの一部が臭素に置換される。
【0084】
溶媒としては、水および酢酸が好適に用いられる。
【0085】
反応温度および反応時間は、用いられる溶媒、酸触媒の種類によって適宜設定できる。例えば、反応温度(還流温度)は、0℃〜150℃であり、好ましくは80℃〜130℃である。また、反応時間は、0.5時間〜48時間であり、好ましくは1時間〜24時間である。
【0086】
(4)工程4:オキセタン閉環
化合物(4)をシアン化物塩と反応させてオキセタン化することにより、式(5)で示されるオキセタン化合物(以下、化合物(5)という)を得る(下記反応式(4)参照)。
【0087】
反応式(4)
【化17】

【0088】
化合物(5)におけるRおよびRは、化合物(4)におけるRおよびRと同一である。
【0089】
シアン化塩としては、シアン化ナトリウムおよびシアン化カリウム等のアルカリ金属シアン化物、シアン化カルシウムならびにシアン化テトラブチルアンモニウムなどが用いられる。このうち、シアン化ナトリウムを用いることが好ましい。
【0090】
シアン化物塩の量は、化合物(4)に対して、0.8倍モル〜20倍モルであり、好ましくは1倍モル〜5倍モルである。
【0091】
溶媒は、ベンゼン、トルエン、およびキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメトキシエタンおよびテトラヒドロフラン等のエーテル類、N−メチル−2−ピロリドンおよびジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド、これらの混合溶媒などを用いることができる。
【0092】
反応温度および反応時間は、用いられる溶媒、およびシアン化物塩の種類によって適宜設定できる。反応温度は、−10℃〜150℃であり、好ましくは室温〜70℃である。また、反応時間は、0.5時間〜30日であり、好ましくは1時間〜11日である。化合物(4)におけるXが臭素原子である場合には、反応時間は相対的に短くて済み、例えば1時間〜24時間である。一方、化合物(4)におけるXが塩素原子である場合には、相対的に長い反応時間を要し、例えば48時間〜14日である。化合物(4)におけるXがトルエンスルホニルオキシ基およびメタンスルホニルオキシ基等の置換スルホニルオキシ基である場合には、反応時間は、例えば1時間〜7日である。
【0093】
本工程における反応では、溶媒に、触媒を添加してもよく、好適には水が添加される。触媒としては、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、トリエチルアミン、塩化ベンジルトリエチルアンモニウムおよび1,8−ジアザビシクロ−7−[5,4,0]ウンデセンなどが用いられる。
【0094】
(5)工程5:イミデート化
次に、化合物(5)をアルコキシドと反応させることにより、式(6)で示されるイミデート化合物(以下、化合物(6)という)を得る(下記反応式(5)参照)。
【0095】
反応式(5)
【化18】

【0096】
化合物(6)におけるRおよびRは、化合物(5)におけるRおよびRと同一である。
【0097】
化合物(6)におけるRは、メチル基およびエチル基が好適に用いられる。
【0098】
アルコキシドとしては、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルコキシドであり、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシドおよびカリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシドが挙げられる。このうち、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドおよびカリウムt−ブトキシドが好適に用いられる。
【0099】
アルコキシドの量は、化合物(5)に対して、0.8倍モル〜100倍モルであり、好ましくは1倍モル〜50倍モルである。
【0100】
溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびブタノール等のアルコール類を用いることができる。特に、アルコキシドにおける炭化水素の構造と同一の炭化水素の構造を有するアルコールを用いることが好ましい。例えば、アルコキシドとしてナトリウムメトキシドを用いる場合には、溶媒としてメタノールを用いることが好ましい。また、例えば、アルコキシドとしてナトリウムエトキシドを用いる場合には、溶媒としてエタノールを用いることが好ましい。
【0101】
反応温度および反応時間は、用いられる溶媒、およびアルコキシドの種類によって適宜設定できる。反応温度は、−30℃〜150℃であり、好ましくは室温〜70℃である。また、反応時間は、0.5時間〜10日であり、好ましくは15時間〜90時間である。
【0102】
(6)工程6:エステル化
続いて、化合物(6)を酸触媒と反応させることにより、式(7)で示されるエステル化合物(以下、化合物(7)という)を得る(下記反応式(6)参照)。
【0103】
反応式(6)
【化19】

【0104】
化合物(7)におけるR、RおよびRは、化合物(6)におけるR、RおよびRと同一である。
【0105】
化合物(6)をエステル化する反応としては、溶媒中、酸触媒との反応により酸が付加された化合物(6)からアンモニアが引き抜かれる反応を挙げることができる。
【0106】
酸触媒としては、特に限定されないが、例えば、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素等のハロゲン酸や、硫酸、ギ酸、酢酸、酪酸、トリフルオロ酢酸およびp−トルエンスルホン酸等の有機酸などを用いることができる。このうち、硫酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸および酢酸が好適に用いられる。
【0107】
酸触媒の量は、化合物(6)に対して、0.1倍モル〜10倍モルであり、好ましくは0.5倍モル〜5倍モルである。
【0108】
溶媒としては、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルおよびジメトキシエタン等のエーテル類、メタノール、エタノールおよびイソプロパノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類などが用いられる。このうち、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、トルエンおよびメタノールが好適に用いられる。
【0109】
反応温度および反応時間は、用いられる溶媒、および酸触媒の種類によって適宜設定できる。反応温度は、−20℃〜150℃であり、好ましくは室温〜80℃である。また、反応時間は、0.5時間〜10日であり、好ましくは1時間〜90時間である。
【0110】
(7)工程7:還元反応
化合物(7)を還元することにより、式(8)で示される化合物(以下、化合物(8)という)を得る(下記反応式(7)参照)。
【0111】
反応式(7)
【化20】

【0112】
化合物(8)におけるRおよびRは、化合物(7)におけるRおよびRと同一である。
【0113】
化合物(7)を還元するための還元剤としては、ヒドリド型還元剤を用いることができる。ヒドリド型還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素リチウムおよび水素化リチウムアルミニウムなどを挙げることができる。このうち、水素化ホウ素ナトリウムおよび水素化ホウ素カルシウムが好適に用いられる。また、還元剤は必要に応じて系内で調製してもよい。
【0114】
還元剤の量は、化合物(7)に対して、0.2倍モル〜50倍モルであり、好ましくは0.5倍モル〜20倍モルである。
【0115】
溶媒としては、メタノール、エタノールおよびイソプロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサン等のエーテル類などを挙げることができる。このうち、メタノール、エタノールおよびテトラヒドロフランが好適に用いられる。
【0116】
反応温度および反応時間は、用いられる溶媒、還元剤の種類、添加物の有無によって適宜設定できる。例えば、水素化ホウ素カルシウムを用いる場合の反応温度(還流温度)は、−30℃〜70℃であり、好ましくは−20℃〜50℃である。また、反応時間は、0.5時間〜24時間であり、好ましくは1時間〜8時間である。
【0117】
(8)工程8:脱離基への変換
次に、化合物(8)のヒドロキシ基を脱離基に変換することにより、式(9)で示される化合物(以下、化合物(9)という)を得る(下記反応式(8)参照)。
【0118】
反応式(8)
【化21】

【0119】
化合物(9)におけるRおよびRは、化合物(8)におけるRおよびRと同一である。
【0120】
化合物(9)におけるXは、脱離基であれば特に制限されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子および臭素原子等のハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、プロパンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、クロロベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、ナフタレンスルホニルオキシ基、o−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基およびジメチルアミノナフチルスルホニルオキシ基等の置換スルホニルオキシ基などを挙げることができる。このうち、塩素原子、p−トルエンスルホニルオキシ基およびメタンスルホニルオキシ基が好適に用いられ、p−トルエンスルホニルオキシ基およびメタンスルホニルオキシ基が特に好適に用いられる。
【0121】
ヒドロキシ基を脱離基に変換する方法としては、過剰量の塩基の存在下、溶媒中で、化合物(8)をスルホニルクロライド類と反応させる方法、あるいは化合物(8)をハロゲン化チオニル類と反応させる方法を挙げることができる。このうち、前者の方法がより好ましい。
【0122】
本工程において使用可能なスルホニルクロライド類およびハロゲン化チオニル類は、上記工程2において使用可能なスルホニルクロライド類およびハロゲン化チオニル類と同じである。
【0123】
同様に、本工程において使用可能な塩基および溶媒は、上記工程2において使用可能な塩基および溶媒と同一である。ハロゲン化チオニル類と反応させて、ヒドロキシ基をハロゲン化する場合には、さらなる溶媒は不要である。
【0124】
スルホニルクロライド類としてp−トルエンスルホニルクロライドを用いる場合には、N−メチルイミダゾールおよびジメチルアミノピリジンなどの触媒の存在下で反応を行うことが好ましい。
【0125】
スルホニルクロライド類の量は、化合物(8)に対して、0.8倍モル〜10倍モルであり、好ましくは0.9倍モル〜5倍モルである。塩基の量は、化合物(8)に対して、0.9倍モル〜12倍モルであり、好ましくは1倍モル〜6倍モルである。
【0126】
反応温度および反応時間は、用いられる溶媒、反応させるスルホニルクロライド類またはハロゲン化チオニル、および塩基の種類によって適宜設定できる。例えばスルホニルクロライド類を用いて反応を行う場合、反応温度は、−20℃〜150℃であり、好ましくは0℃〜40℃である。また、反応時間は、0.1時間〜24時間であり、好ましくは0.5時間〜5時間である。
【0127】
(9)工程9:アゾール付加
続いて、化合物(9)を、塩基の存在下、溶媒中で、トリアゾール化合物またはイミダゾール化合物と反応させることにより、式(10)で示される化合物(以下、化合物(10)という)を得る(下記反応式(9)参照)。
【0128】
反応式(9)
【化22】

【0129】
化合物(10)におけるRおよびRは、化合物(9)におけるRおよびRと同一である。Aは、上述の通りである。
【0130】
イミダゾール化合物およびトリアゾール化合物としては、下記式(V)で示される1,2,4−トリアゾールの金属塩またはイミダゾールの金属塩が挙げられる。
【0131】
【化23】

【0132】
式(V)中、Mは金属を示す。Mとしては、アルカリ金属が好適に用いられ、ナトリウムおよびカリウムが好適に用いられる。
【0133】
塩基としては、特に制限されないが、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水素化ナトリウム、水素化カリウムおよび水素化リチウム等の金属水素化合物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシドおよびカリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシドなどを挙げることができる。このうち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウムおよびt−ブトキシカリウムが好適に用いられ、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが特に好適に用いられる。また、この塩基については予めアゾール化合物と処理して塩を形成するのに用いても、系内に共存させて用いてもよい。
【0134】
溶媒は、特に限定されないが、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドン等のアミド類、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類などを挙げることができる。このうち、ジメチルホルムアミドおよびN−メチルピロリドンが好適に用いられる。
【0135】
イミダゾール化合物およびトリアゾール化合物の量は、化合物(9)に対して、0.8倍モル〜20倍モルであり、好ましくは1倍モル〜5倍モルである。
【0136】
反応温度および反応時間は、用いられる溶媒、および塩基によって適宜設定できる。反応温度は、0℃〜150℃であり、好ましくは100℃〜130℃である。また、反応時間は、0.5時間〜48時間であり、好ましくは2時間〜12時間である。
【0137】
(10)工程10:オキセタン開環
最後に、化合物(10)が有するオキセタン環を開環することにより、式(Ia)で示されるシクロペンタノール化合物(化合物(Ia))を得る(下記反応式(10)参照)。
【0138】
反応式(10)
【化24】

【0139】
化合物(Ia)におけるR、R、XおよびAは、上述の通りである。
【0140】
化合物(10)が有するオキセタン環を開環する方法としては、化合物(10)とハロゲン酸とを溶媒中で混合し、ハロゲン化メチル基と3級ヒドロキシ基とを生成する方法が好適に用いられる。オキセタンにハロゲン酸が付加する場合、1位が3級ヒドロキシ基となり、2位がハロゲン化メチル基となる。
【0141】
ハロゲン酸としては、フッ化水素、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素を挙げることができ、塩化水素および臭化水素が好適に用いられる。ハロゲン酸は、気体として導入してもよいし、有機溶媒に溶解させて添加してもよい。なお、ハロゲン化物塩(例えば、塩化リチウム)と別種の酸(例えばトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸および硫酸などのブレンステッド酸もしくは塩化アルミニウムなどのルイス酸)とを添加することにより、系内にハロゲン酸を生成させて化合物(10)から化合物(Ia)を得るようにしてもよい。
【0142】
溶媒は、特に限定されないが、例えば、N−メチルピロリドンおよびジメチルホルムアミド等のアミド類、メタノールおよびエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフランおよびジオキサン等のエーテル類、水などが用いらえる。このうち、ジメチルホルムアミド、メタノール、水およびジオキサンが好適に用いられる。
【0143】
ハロゲン酸の量は、化合物(10)に対して、0.5倍モル〜50倍モルであり、好ましくは1倍モル〜20倍モルである。
【0144】
反応温度および反応時間は、用いられる溶媒によって適宜設定できる。反応温度は、−20℃〜250℃であり、好ましくは−10℃〜150℃であり、さらに好ましくは50℃〜80℃である。反応時間は、0.1時間〜数日であり、好ましくは1時間〜48時間である。
【0145】
(付記事項)
上述した製造方法では、化合物(I)に存在するジアステレオマーのうち、シクロペンタン環における1位の炭素原子に結合するヒドロキシル基と2位の炭素原子に結合するRa−X基との立体配置がシス体であるもの(1,2−シス体)を最も多く得ることができる。さらに、上述した製造方法では、1,2−シス体の化合物(I)に存在するジアステレオマーのうち、当該ヒドロキシル基と5位の炭素に結合するヘテロ環メチル基との立体配置もシス体であるもの(1,5−シス体)をより多く得ることができる。1,5−シス体と1,5−トランス体との比率は約9:1となる。
【0146】
なお、上述した製造方法は、シクロペンタン環における5位の炭素原子に結合する官能基がヘテロ環メチル基であるものに限定されるものではなく、ヘテロ環メチル基の代わりにベンジル基であってもよい。この場合、ベンジル基における芳香環の水素原子はハロゲン原子に置換されていてもよい。
【0147】
また、上述した製造方法の各工程において、溶媒および塩基、酸等としては、特に言及していない限り、次のものを用いることができる。
【0148】
[溶媒]
使用される溶媒としては、反応に関与しなければ特に限定されないが、通常、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、石油エーテル、ヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン等のアミド類等を挙げることができる。この他、溶媒としては、水、アセトニトリル、酢酸エチル、無水酢酸、酢酸、ピリジン、ジメチルスルホキシド等も使用可能である。これらの溶媒は、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0149】
また、溶媒としては、互いに均一な層を形成することのない溶媒からなる溶媒組成物も挙げられる。この場合には、反応系に相間移動触媒、例えば慣用の第4アンモニウム塩またはクラウンエーテルを添加してもよい。
【0150】
[塩基・酸]
上述の溶媒には、塩基または酸を添加してもよい。
【0151】
用いられる塩基は、特に限定されない。塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム等のアルカリ金属水素化合物、n−ブチルリチウム等のアルカリ金属の有機金属化合物;ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属類;リチウムジイソプロピルアミド等のアルカリ金属アミド類;トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ−7−[5.4.0]ウンデセン等の有機アミン類等を挙げることができる。
【0152】
また、用いられる酸は、特に限定されない。酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、酪酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化ロジウム、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素等のルイス酸を挙げることができる。
【0153】
ここで、本明細書等において「室温」とは、10℃〜30℃の範囲内の温度であることを意味している。
【0154】
3.農園芸用薬剤
本発明に係る農園芸用薬剤に有効成分として配合される化合物(I)は、広汎な植物病害に対して防除効果を呈する。
【0155】
化合物(I)は、1,2,4−トリアゾリル基またはイミダゾリル基を有するので、無機酸もしくは有機酸との酸付加塩、または金属錯体を形成する。化合物(I)は、これらの酸付加塩および金属錯体の形態で用いてもよい。
【0156】
また、化合物(I)には、少なくとも3個の不斉炭素が存在する。そのため、組成によっては立体異性体混合物(エナンチオマーまたはジアステレオマー)か、いずれかの一方の立体異性体となる。従って、これらの立体異性体の少なくとも1種類を農園芸用薬剤等の有効成分として使用することもできる。
【0157】
(1)植物病害防除効果
有効成分として化合物(I)を含有する本発明に係る農園芸用薬剤の適用病害の例として以下が挙げられる。
【0158】
ダイズさび病(Phakopsora pachyrhizi、Phakopsora meibomiae)、イネいもち病 (Pyricularia grisea)、イネごま葉枯病 (Cochliobolus miyabeanus)、イネ白葉枯病 (Xanthomonas oryzae)、イネ紋枯病 (Rhizoctonia solani)、イネ小黒菌核病 (Helminthosporium sigmoideun)、イネばか苗病 (Gibberella fujikuroi)、イネ苗立枯病 (Pythium aphanidermatum)、リンゴうどんこ病 (Podosphaera leucotricha)、リンゴ黒星病 (Venturia inaequalis)、リンゴモリニア病 (Monilinia mali)、リンゴ斑点落葉病 (Alternaria alternata)、リンゴ腐乱病 (Valsa mali)、ナシ黒斑病 (Alternaria kikuchiana)、ナシうどんこ病 (Phyllactinia pyri)、ナシ赤星病 (Gymnosporangium asiaticum)、ナシ黒星病 (Venturia nashicola)、ブドウうどんこ病 (Uncinula necator)、ブドウべと病 (Plasmopara viticola)、ブドウ晩腐病 (Glomerella cingulata)、オオムギうどんこ病 (Erysiphe graminis f. sp hordei)、オオムギ黒さび病 (Puccinia graminis)、オオムギ黄さび病 (Puccinia striiformis)、オオムギ斑葉病 (Pyrenophora graminea)、オオムギ雲形病 (Rhynchosporium secalis)、コムギうどんこ病 (Erysiphe graminis f. sp tritici)、コムギ赤さび病 (Puccinia recondita)、コムギ黄さび病 (Puccinia striiformis)、コムギ眼紋病 (Pseudocercosporella herpotrichoides)、コムギ赤かび病 (Fusarium graminearum、Microdochium nivale)、コムギふ枯病 (Phaeosphaeria nodorum)、コムギ葉枯病 (Septoria tritici)、ウリ類うどんこ病 (Sphaerotheca fuliginea)、ウリ類の炭疸病 (Colletotrichum lagenarium)、キュウリべと病 (Pseudoperonospora cubensis)、キュウリ灰色疫病 (Phytophthora capsici)、トマトうどんこ病 (Erysiphe cichoracearum)、トマト輪紋病 (Alternaria solani)、ナスうどんこ病 (Erysiphe cichoracearum)、イチゴうどんこ病 (Sphaerotheca humuli)、タバコうどんこ病 (Erysiphe cichoracearum)、テンサイ褐斑病 (Cercospora beticola)、トウモロコシ黒穂病 (Ustillaga maydis)、核果類果樹の灰星病 (Monilinia fructicola)、種々の作物をおかす灰色かび病 (Botrytis cinerea)、菌核病 (Sclerotinia sclerotiorum) 等。
【0159】
また、適用植物の例としては、野生植物、植物栽培品種、異種交配もしくは原形質融合などの従来の生物育種によって得られる植物および植物栽培品種、遺伝子操作によって得られる遺伝子組み換え植物および植物栽培品種を挙げることができる。遺伝子組み換え植物および植物栽培品種としては、例えば、除草剤耐性作物、殺虫性タンパク産生遺伝子を組み込んだ害虫耐性作物、病害に対する抵抗性誘導物質産生遺伝子を組み込んだ病害耐性作物、食味向上作物、収量向上作物、保存性向上作物、収量向上作物等を挙げることができる。遺伝子組み換え植物栽培品種としては、具体的に、ROUNDUP READY、LIBERTY LINK、CLEARFIELD、YIELDGARD、HERCULEX、BOLLGARD等の登録商標を含むものを挙げることができる。
【0160】
(2)植物生長作用
また、化合物(I)は、広汎な作物および園芸植物に対して、成長を調節して収量を増加させる効果および品質を高める効果を示す。作物等の例としては、以下を挙げることができる。
【0161】
コムギ・大麦・燕麦などの麦類、稲、ナタネ、サトウキビ、トウモロコシ、メイズ、大豆、エンドウ、落花生、シュガービート、キャベツ、ニンニク、ダイコン、ニンジン、リンゴ、ナシ、みかん、オレンジ、レモンなどの柑橘類、モモ、桜桃、アボガド、マンゴー、パパイヤ、トウガラシ、キュウリ、メロン、イチゴ、タバコ、トマト、ナス、芝、菊、ツツジ、その他の観賞用植物。
【0162】
(3)工業材料保護効果
さらに、化合物(I)は、工業材料を侵す広汎な有害微生物から材料を保護する優れた効果を示す。微生物の例としては、以下を挙げることができる。
【0163】
紙・パルプ劣化微生物(スライム形成菌を含む)であるアスペルギルス(Aspergillus sp.)、トリコデルマ(Trichoderma sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、ジェオトリカム(Geotrichum sp.)、ケトミウム(Chaetomium sp.)、カドホーラ(Cadophora sp.)、セラトストメラ(Ceratostomella sp.)、クラドスボリウム(Cladosporium sp.)、コーティシウム(Corticium sp.)、レンティヌス(Lentinus sp.)、レンズィテス(Lenzites sp.)、フォーマ(Phoma sp.)、ポリスティクス(Polysticus sp.)、プルラリア(Pullularia sp.)、ステレウム(Stereum sp.)、トリコスポリウム(Trichosporium sp.)、アエロバクタ−(Aerobacter sp.)、バシルス(Bacillus sp.)、デスルホビブリオ(Desulfovibrio sp.)、シュードモナス(Pseudomonas sp.)、フラボバクテリウム(Flavobacterium sp.)、ミクロコツカス(Micrococcus sp.)など、繊維劣化微生物であるアスペルギルスAspergillus sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、ケトミウム(Chaetomium sp.)、ミロテシウム(Myrothecium sp.)、クルブラリア(Curvularia sp.)、グリオマスティックス、(Gliomastix sp.)、メンノニエラ(Memnoniella sp.)、サルコポディウム(Sarcopodium sp.)、スタキボトリス(Stschybotrys sp.)、ステムフィリウム(Stemphylium sp.)、ジゴリンクス(Zygorhynchus sp.)、バシルス(bacillus sp.)、スタフィロコッカス(Staphylococcus sp.)など、木材変質菌であるオオウズラタゲ(Tyromyces palustris)、カワラタケ(Coriolus versicolor)、アスペルギルス(Aspergillus sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、リゾプス(Rhizopus sp.)、オーレオバシディウム(Aureobasidium sp.)、グリオクラデイウム(Gliocladum sp.)、クラドスポリウム(Cladosporium sp.)、ケトミウム(Chaetomium sp.)、トリコデルマ(Trichoderma sp.)など、皮革劣化微生物であるアスペルギルス(Aspergillus sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、ケトミウム(Chaetomium sp.)、クラドスポリウム(Cladosporium sp.)、ムコール(Mucor sp.)、パエシロミセス(Paecilomyces sp.)、ピロブス(Pilobus sp.)、プルラリア(Pullularia sp.)、トリコスポロン(Trichosporon sp.)、トリコテシウム(Tricothecium sp.)など、ゴム・プラスチック劣化微生物であるアスペルギルス(Aspergillus sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、リゾプス(Rhizopus sp.)、トリコデルマ(Trichoderma sp.)、ケトミウム(Chaetomium sp.)、ミロテシウム(Myrothecium sp.)、ストレプトマイセス(Streptomyces sp.)、シュードモナス(Pseudomonas sp.)、バシルス(Bacillus sp.)、ミクロコツカス(Micrococcus sp.)、セラチア(Serratia sp.)、マルガリノマイセス(Margarinomyces sp.)、モナスクス(Monascus sp.)など、塗料劣化微生物であるアスペルギルス(Aspergillus sp.)、ペニシリウム(Penicillium sp.)、クラドスポリウム(Cladosporium sp.)、オーレオバシディウム(Aureobasidium sp.)、グリオクラディウム(Gliocladium sp.)、ボトリオディプロディア(Botryodiplodia sp.)、マクロスポリウム(Macrosporium sp.)、モニリア(Monilia sp.)、フォーマ(Phoma sp.)、プルラリア((Pullularia sp.)、スポロトリカム(Sporotrichum sp.)、トリコデルマ(Trichoderma sp.)、バシルス((bacillus sp.)、プロテウス(Proteus sp.)、シュードモナス(Pseudomonas sp.)、セラチア(Serratia sp.)。
【0164】
(4)製剤
化合物(I)を有効成分として含む農園芸用製剤は、化合物(I)以外にも種々の成分を含んでいてもよい。化合物(I)を有効成分として含む農園芸用製剤は、固体担体、液体担体、界面活性剤、その他の製剤補助剤と混合することができる。化合物(I)を有効成分として含む農園芸用製剤の剤型としては、粉剤、水和剤、粒剤、乳剤などの種々の形態を挙げることができる。
【0165】
農園芸用製剤には、有効成分としての化合物(I)が、農園芸用製剤全量に対して、0.1〜95重量%含まれていればよい。有効成分としての化合物(I)は、0.5〜90重量%含まれていることが好ましく、2〜80重量%含まれていることがより好ましい。
【0166】
製剤補助剤として使用する坦体、希釈剤、界面活性剤を例示すれば、まず、固体坦体としては、タルク、カオリン、ベンナイト、珪藻土、ホワイトカーボン、クレーなどを挙げることができる。液体希釈剤としては、水、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アルコールなどを挙げることができる。界面活性剤は、その効果により使い分ければよい。例えば、乳化剤の場合には、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどを用いればよく、分散剤の場合には、リグニンスルホン酸塩、ジブチルナフタリンスルホン酸塩などを用いればよく、湿潤剤の場合には、アルキルスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩などを用いればよい。
【0167】
製剤には、そのまま使用してもよいし、水等の希釈剤で所定濃度に希釈して使用してもよい。希釈して使用する時には、化合物(I)の濃度が0.001〜1.0%の範囲となることが望ましい。
【0168】
また、化合物(I)の使用量は、畑、田、果樹園、温室などの農園芸地1haあたり、20〜5000g、より好ましくは50〜2000gである。これらの使用濃度および使用量は剤形、使用時期、使用方法、使用場所、対象作物等によっても異なるため、上記の範囲にこだわることなく増減することが可能である。
【0169】
さらに、化合物(I)は他の有効成分、例えば以下に例示するような殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤と組み合わせ、農園芸用薬剤としての性能を高めて使用することもできる。
【0170】
<抗菌性物質>
アシベンゾラル‐Sメチル、2−フェニルフェノール(OPP)、アザコナゾール、アゾキシストロビン、アミスルブロム、ビキサフェン、ベナラキシル、ベノミル、ベンチアバリカルブ-イソプロピル、ビカルボネイト、ビフェニル、ビテルタノール、ブラストサイジン−S、ボラックス、ボルドー液、ボスカリド、ブロムコナゾール、ブロノポール、ブピリメート、セックブチラミン、カルシウムポリスルフィド、カプタフォル、キャプタン、カルベンダジム、カルボキシン、カルプロパミド、キノメチオネート、クロロネブ、クロロピクリン、クロロタロニル、クロゾリネート、シアゾファミド、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ダゾメット、デバカルブ、ジクロフルアニド、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジフルメトリン、ジメトモルフ、ジメトキシストロビン、ジニコナゾール、ジノカップ、ジフェニルアミン、ジチアノン、ドデモルフ、ドジン、エディフェンフォス、エポキシコナゾール、エタポキサム、エトキシキン、エトリジアゾール、エネストロブリン、ファモキサドン、フェナミドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンチン、フェルバム、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルモルフ、フルオロミド、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアフォル、フォルペット、フォセチル−アルミニウム、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、フルオピコリド、フルオピラム、グアザチン、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン、イプコナゾール、イプロベンフォス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソプロチオラン、イソピラザム、イソチアニル、カスガマイシン、銅調製物例えば水酸化銅、ナフテン酸銅、オキシ塩化銅、硫酸銅、酸化銅、オキシン−銅、クレゾキシムメチル、マンコカッパー、マンコゼブ、マネブ、マンジプロパミド、メパニピリム、メプロニル、メタラキシル、メトコナゾール、メチラム、メトミノスウトロビン、ミルジオマイシン、ミクロブタニル、ニトロタル−イソプロピル、ヌアリモル、オフレース、オキサジキシル、オキソリニック酸、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、オキシテトラサイクリン、ペフラゾエート、オリザストロビン、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンチオピラド、ピリベンカルブ、フサライド、ピコキシストロビン、ピペラリン、ポリオキシン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピラゾフォス、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピロキロン、キノキシフェン、キントゼン、シルチオファム、シメコナゾール、スピロキサミン、硫黄および硫黄調製物、テブコナゾール、テクロフタラム、テクナゼン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファネート−メチル、チラム、チアジニル、トルクロフォス−メチル、トリルフルアニド、トリアジメフォン、トリアジメノール、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、トリホリン、トリチコナゾール、バリダマイシン、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム、ゾキサミドアミスルブロム、セダキサン、フルチアニル、バリフェナール、アメトクトラジン、ジモキシストロビン、メトラフェノン、ヒドロキシイソキサゾール、メタスルホカルブ等。
【0171】
<殺虫剤/殺ダニ剤/殺線虫剤>
アバメクチン、アセフェート、アクリナトリン、アラニカルブ、アルジカルブ、アレトリン、アミトラズ、アベルメクチン、アザジラクチン、アザメチフォス、アジンフォス−エチル、アジンフォス−メチル、アゾサイクロチン、バシルス・フィルムス、バシルス・ズブチルス、バシルス・ツリンジエンシス、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、ベンスルタップ、ベンゾキシメイト、ビフェナゼイト、ビフェントリン、ビオアレトリン、ビオレスメトリン、ビストリフルロン、ブプロフェジン、ブトカルボキシン、ブトキシカルボキシン、カズサフォス、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、カータップ、CGA 50439、クロルデイン、クロレトキシフォス、クロルフェナピル、クロルフェンビンフォス、クロルフルアズロン、クロルメフォス、クロルピリフォス、クロルピリフォスメチル、クロマフェノザイド、クロフェンテジン、クロチアニジン、クロラントラリニプロール、コウンパフォス、クリオライト、シアノフォス、シクロプロトリン、シフルトリン、シハロトリン、シヘキサチン、シペルメトリン、シフェノトリン、シロマジン、シアザピル、シエノピラフェン、DCIP、DDT、デルタメトリン、デメトン−S−メチル、ジアフェンチウロン、ジアジノン、ジクロロフェン、ジクロロプロペン、ジクロルボス、ジコフォル、ジクロトフォス、ジシクラニル、ジフルベンズロン、ジメトエート、ジメチルビンフォス、ジノブトン、ジノテフラン、エマメクチン、エンドスルファン、EPN、エスフェンバレレート、エチオフェンカルブ、エチオン、エチプロール、エトフェンプロックス、エトプロフォス、エトキサゾール、ファムフル、フェナミフォス、フェナザキン、フェンブタチンオキシド、フェニトロチオン、フェノブカルブ、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、フェンチオン、フェンバレレート、フイプロニル、フロニカミド、フルアクロピリム、フルシクロクスロン、フルシトリネート、フルフェノクスロン、フルメトリン、フルバリネート、フルベンジアミド、フォルメタネート、フォスチアゼート、ハルフェンプロクス、フラチオカルブ、ハロヘノジド、ガンマ−HCH、ヘプテノフォス、ヘキサフルムロン、ヘキシチアゾックス、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、イミプロトリン、インドキサカルブ、イソプロカルブ、イソキサチオン、ルフェヌロン、マラチオン、メカルバム、メタム、メタミドフォス、メチダチオン、メチオカルブ、メトミル、メトプレン、メトスリン、メトキシフェノジド、メトルカルブ、ミルベメクチン、モノクロトフォス、ナレド、ニコチン、ニテンピラム、ノバルロン、ノビフルムロン、オメトエート、オキサミル、オキシデメトンメチル、パラチオン、パーメトリン、フェントエート、フォレート、フォサロン、フォスメット、フォスファミドン、フォキシム、ピリミカルブ、ピリミフォスメチル、プロフェノフォス、プロポクスル、プロチオフォス、ピメトロジン、ピラクロフォス、ピレスリン、ピリダベン、ピリダリル、ピリミジフェン、ピリプロキシフェン、ピリフルキナゾン、ピリプロール、キナルフォス、シラフルオフェン、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマット、スルフラミド、スルフォテップ、SZI−121、テブフェノジド、テブフェンピラド、テブピリムフォス、テフルベンズロン、テフルトリン、テメフォス、テルブフォス、テトラクロルビンフォス、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオファノックス、チオメトン、トルフェンピラド、トラロメトリン、トラロピリル、トリアザメート、トリアゾフォス、トリクロルフオン、トリフルムロン、バミドチオン、バリフェナール、XMC、キシリルカルブ、イミシアホス、レピメクチン等。
【0172】
<植物成長調節剤>
アンシミドール、6−ベンジルアミノプリン、パクロブトラゾール、ジクロブトラゾール、ウニコナゾール、メチルシクロプロペン、メピコートクロリド、エセフォン、クロルメコートクロライド、イナベンフィド、プロヘキサジオンおよびその塩、トリネキサパックエチル等。また、植物ホルモンとしてのジャスモン酸や、ブラシノステロイド、ジベレリン等。
【0173】
化合物(I)を有効成分として含む工業用材料保護剤は、化合物(I)以外にも種々の成分を含んでいてもよい。工業用材料保護剤は、適当な液体担体に溶解あるいは分散させるか、または固体担体と混合して使用することができる。工業用材料保護剤は、必要に応じて、乳化剤、分散剤、展着剤、浸透剤、湿潤剤、安定剤等含んでいてもよい。また、工業用材料保護剤の剤型としては、水和剤、粉剤、粒剤、錠剤、ペースト剤、懸濁剤、噴霧材などとできる。工業用材料保護剤は、他の殺菌剤、殺虫剤、劣化防止剤等を含んでいてもよい。
【0174】
液体担体は、有効成分と反応しないものであれば特に限定されるものではない。液体担体としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコール、セロソルブ等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、エーテル類(例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン等)、脂肪族炭化水素類(例えばガソリン、ケロシン、灯油、機械油、燃料油等)、酸アミド類(例えばジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)ハロゲン化炭化水素類(例えば、クロロホルム、四塩化炭素等)、エステル類(例えば、酢酸エチルエステル、脂肪酸のグリセリンエステル等)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル等)およびジメチルスルホキシド等を挙げることができる。
【0175】
また、固体担体としては、カオリンクレー、ベントナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石、尿素、硫酸アンモニウム等の微粉末あるいは粒状物を使用できる。
【0176】
乳化剤、分散剤としては、石鹸類、アルキルスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、第4級アンモニウム塩、オキシアルキルアミン、脂肪酸エステル、ポリアルキレンオキサイド系、アンヒドロソルビトール系などの界面活性剤を使用できる。
【0177】
化合物(I)を有効成分として製剤中に含有させる場合、その含有割合は、剤型および使用目的によっても異なるが、製剤の全量に対して、0.1〜99.9重量%とすればよい。なお、実際の使用時においては、その処理濃度は、通常0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜1重量%となるように適宜、溶剤、希釈剤、増量剤などを加えて調整する。
【0178】
以上説明したように、化合物(I)で示されるアゾール誘導体は、植物病害を引き起こす多くの菌に対して優れた殺菌作用を示す。すなわち、化合物(I)で示されるアゾール誘導体を有効成分として含む農園芸用病害防除剤は、人畜に対する毒性が低く取扱い安全性に優れ、かつ広範な植物病害に対して高い防除効果を示すことができる。
【0179】
(付記事項)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0180】
以下、製造例、製剤例、試験例を示し、本発明を具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を越えない限り以下の製造例、製剤例および試験例に限定されるものではない。
【0181】
<製造例1>
1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−3−ヒドロキシメチル−3−メチル−2−オキソ−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル(化合物(2−1))の合成
既知の化合物である2-メチルシクロペンタノン-2-カルボン酸メチルエステル 5.00g (32.0mmol)をトルエン30mlに溶解し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液 6.18g (32.0mmol)およびジメチルホルムアミド 0.5mlを加えた。Dean-Stark分留管を用いてメタノールを除去しながら1時間加熱還流することにより中間体エノール塩を半固体として得た。
反応終了後、室温まで冷却し、半固体をジメチルホルムアミド 7mlに溶解した。溶液を氷冷した後、2-クロロ-5-クロロメチルピリジン 5.70g (35.2mmol)とジメチルホルムアミド 3mlの混合液を滴下した。滴下後、60℃で2時間撹拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去することにより、中間体ケトエステル(1-1)の粗体を褐色油状物として9.30g得た。
これをトルエン 21.4mlに溶解し、37%ホルムアルデヒド水溶液 2.60ml (34.6mmol)、炭酸カリウム 1.33g (9.62mmol)、およびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド 1.33g (5.84mmol)を加え、室温で4時間激しく撹拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Silicagel 60, 230-400 mesh, Merck, 酢酸エチル/ヘキサン=1/1.5)で精製し、目的のヒドロキシメチルケトエステル(2-1)を無色油状物として5.86g得た。収率59%(3工程)。以上の合成経路を下記反応式(11)に示す。
【0182】
反応式(11)
【化25】

【0183】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
[異性体1]
1.08(s, 3H), 1.78-1.84(m, 1H), 1.91-1.98(m, 1H), 2.12(dt, 1H, J=13.0, 7.2Hz), 2.22(br, 1H), 2.39-2.46(m, 1H), 2.96(d, 1H, J=14.2Hz), 3.22(d, 1H, J=14.1Hz), 3.36(dd, 1H, J=10.4, 3.6Hz), 3.63(dd, 1H, J=10.4, 5.7Hz), 3.72(s, 3H), 7.23(d, 1H, J=8.2Hz), 7.54(dd, 1H, J=8.2, 2.5Hz), 8.20(d, 1H, J=2.3Hz).
[異性体2]
0.89(s, 3H), 1.56(ddd, 1H, J=13.0, 7.2, 2.7Hz), 1.85(ddd, 1H, J=13.3, 11.0, 7.2Hz), 2.01(t, 1H, J=6.2Hz), 2.19(ddd, 1H, J=13.0, 11.0, 7.2Hz), 2.43(ddd, 1H, J=13.3, 7.2, 2.7Hz), 3.06(d, 1H, J=14.0Hz), 3.21(d, 1H, J=14.0), 3.46(dd, 1H, J=10.9, 5.6Hz), 3.65(dd, 1H, J=10.9, 6.7Hz), 3.72(s, 3H), 7.24(d, 1H, J=8.2Hz), 7.44(dd, 1H, J=8.2, 2.5Hz), 8.17(d, 1H, J=2.3Hz).
【0184】
同様の方法により、以下の化合物(2−2)、(2−3)を合成した。
【0185】
【化26】

化合物2-2: (Rc=5-クロロチオフェン-2-イル)
化合物2-3: (Rc=2-クロロチアゾール-5-イル)
【0186】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
[化合物(2−2)、異性体1]
1.11(s, 3H), 1.75-1.83(m, 2H), 1.98-2.07(m, 2H), 2.44-2.52(m, 1H), 3.04(d, 1H, J=15.0Hz), 3.35(d, 1H, J=15.2Hz), 3.38(dd, 1H, J=10.8, 4.7Hz), 3.61(dd, 1H, J=10.7, 6.8Hz), 3.77(s, 3H), 6.59(d, 1H, J=3.7Hz), 6.72(d, 1H, J=3.7Hz).
[化合物(2−2)、異性体2]
0.90(s, 3H), 1.57-1.62(m, 1H), 1.91-2.05(m, 2H), 2.18(ddd, 1H, J=12.9, 10.5, 7.3Hz), 2.46(ddd, 1H, J=13.3, 7.2, 3.2Hz), 3.13(d, 1H, J=14.9Hz), 3.35(d, 1H, J=14.9Hz), 3.49(dd, 1H, J=11.0, 7.0Hz), 3.65(dd, 1H, J=10.9Hz), 3.73(s, 3H), 6.56(d, 1H, J=3.8Hz), 6.72(d, 1H, J=3.7Hz).
【0187】
[化合物(2−3)、異性体1]
1.10(s, 3H), 1.82-1.88(m, 1H), 1.93-2.01(m, 2H), 2.19(dt, 1H, J=13.0, 7.7Hz), 2.45(dt, 1H, J=13.3, 7.7Hz), 3.02(d, 1H, J=15.6Hz), 3.36(d, 1H, J=15.1Hz), 3.43(dd, 1H, J=10.4, 4.2Hz), 3.71(m, 1H), 3.76(s, 3H), 7.27(s, 1H).
[化合物(2−3)、異性体2]
0.97(s, 3H), 1.64-1.69(m, 1H), 1.86-1.94(m, 1H), 1.98(t, 1H, J=6.2Hz), 2.25(ddd, 1H, J=13.0, 10.4, 7.3Hz), 2.47(ddd, 1H, J=13.4, 7.3, 3.1Hz), 3.07(d, 1H, J=15.4Hz), 3.43(dd, 1H, J=15.0, 0.8Hz), 3.50(dd, 1H, J=10.9, 5.5Hz), 3.67(dd, 1H, J=10.9, 6.8Hz), 3.73(s, 3H), 7.27(s, 1H).
【0188】
<製造例2>
4−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−1−メチル−6−オキサ−ビシクロ[3,2,0]ヘプタン−5−カルボニトリル(化合物(5−1))の合成
ヒドロキシメチルケトエステル(2-1) 5.86g (18.8mmol)をトルエン60mlに溶解し、トリエチルアミン 2.50g (24.7mmol)を加え氷冷した。ここにメタンスルホニウムクロライド 2.61g (22.8mmol)を滴下し、室温で3時間撹拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去することにより、中間体メシルケトエステル(3-1)の粗体を7.69g得た。
このうち6.68g (17.1mmol)を酢酸9.85mlに溶解し、47%臭化水素酸 9.85ml (85.8mmol)を加え、110℃で8時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却した後、水を加え、炭酸ナトリウム水溶液で中和した。酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去することにより、ブロモケトンと少量のメシルケトンの混合物(4-1)の粗体を褐色油状物として4.73g得た。
これをN-メチル-2-ピロリドン 24mlに溶解し、シアン化ナトリウム 1.094g(22.3mmol)を加え、室温で26時間撹拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Silicagel 60, 230-400 mesh, Merck, 酢酸エチル/ヘキサン=1/5)で精製し、目的のシアノオキセタン(5-1)を無色油状物として3.01g得た。収率70%(3工程)。以上の合成経路を下記反応式(12)に示す。
【0189】
反応式(12)
【化27】

【0190】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
1.43-1.53(m, 1H), 1.47(s, 3H), 1.90-2.02(m, 3H), 2.18-2.26(m, 1H), 2.76(dd, 1H, J=13.9, 9.2Hz), 2.95(dd, 1H, J=13.9, 5.9Hz), 4.27(d, 1H, J=6.0Hz), 4.54(dd, 1H, J=6.0, 1.5Hz), 7.28(d, 1H, J=8.3Hz), 7.51(dd, 1H, J=8.2, 2.5Hz), 8.25(d, 1H, J=2.2Hz).
【0191】
同様の方法により、以下の化合物(5−2)、(5−3)を合成した。
【0192】
【化28】

化合物5-2: (Rc=5-クロロチオフェン-2-イル)
化合物5-3: (Rc=2-クロロチアゾール-5-イル、2-ブロモチアゾール-5-イル混合物)
【0193】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
[化合物(5−2)]
1.47(s, 3H), 1.47-1.52(m, 1H), 1.89-2.10(m, 3H), 2.20-2.27(m, 1H), 2.88(dd, 1H, J=14.7, 9.5Hz), 3.07(dd, 1H, J=14.9, 5.8Hz), 4.26(d, 1H, J=6.0Hz), 4.52(dd, 1H, J=6.0, 1.5Hz), 6.61(d, 1H, J=3.7Hz), 6.73(d, 1H, J=3.7Hz).
[化合物(5−3)]
1.48(s, 3H), 1.48-1.55(m, 1H), 1.92-2.08(m, 3H), 2.20-2.28(m, 1H), 2.92-3.00(m, 1H), 3.08-3.15(m, 1H), 4.26(d, 1H, J=6.0Hz), 4.53(dd, 1H, J=6.0, 1.5Hz), 7.30-7.34(s+s, 1H).
【0194】
<製造例3>
4−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−1−メチル−6−オキサ−ビシクロ[3,2,0]ヘプタン−5−カルボキシイミデートメチルエステル(化合物(6−1))の合成
シアノオキセタン(5-1) 3.00g (11.4mmol)を無水メタノール 30mlに溶解し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液 2.64g (13.7mmol)を加え、室温で25時間撹拌した。反応終了後、1mol/l硫酸水溶液を加え、pH4付近とした後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和しpH7とした。酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Silicagel 60, 230-400 mesh, Merck, 酢酸エチル/ヘキサン=1/1)で精製し、目的のオキセタンイミデート(6-1)を無色油状物として2.62g得た。収率78%。以上の合成経路を下記反応式(13)に示す。
【0195】
反応式(13)
【化29】

【0196】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
1.11(s, 3H), 1.42-1.47(m, 1H), 1.70-1.86(m, 1H), 1.90-1.97(m, 2H), 2.46-2.65(m, 3H), 3.64(s, 3H), 4.23(d, 1H, J=5.9Hz), 4.28(dd, 1H, J=5.9, 1.3Hz), 7.19(d, 1H, J=8.1Hz), 7.39(dd, 1H, J=8.14, 2.5Hz), 7.96(s, 1H), 8.16(d, 1H, J=2.4Hz).
【0197】
同様の方法により、以下の化合物(6−2)、(6−3)を合成した。
【0198】
【化30】

化合物6-2: (Rc=5-クロロチオフェン-2-イル)
化合物6-3: (Rc=2-クロロチアゾール-5-イル、2-ブロモチアゾール-5-イル混合物)
【0199】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
[化合物(6−2)]
1.12(s, 3H), 1.44-1.52(m, 1H), 1.81-1.97(m, 2H), 2.01-2.07(m, 1H), 2.46-2.54(m, 1H), 2.71(d, 2H, J=7.2Hz), 3.72(s, 3H), 4.22(d, 1H, J=5.9Hz), 4.27(dd, 1H, J=5.9, 1.4Hz), 6.49(d, 1H, J=3.7Hz), 6.67(d, 1H, J=3.7Hz), 7.95(s, 1H).
[化合物(6−3)]
1.13(s, 3H), 1.45-1.51(m, 1H), 1.83-1.97(m, 2H), 2.00-2.06(m, 1H), 2.45-2.53(m, 1H), 2.74-2.80(m, 2H), 3.74(s, 3H), 4.22(d, 1H, J=6.0Hz), 4.28(dd, 1H, J=6.0, 1.4Hz), 7.19-7.22(s+s, 1H), 7.99(s, 1H).
【0200】
<製造例4>
4−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−1−メチル−6−オキサ−ビシクロ[3,2,0]ヘプタン−5−カルボン酸メチルエステル(化合物(7−1))の合成
オキセタンイミデート(6-1) 1.50g (5.09mmol)をジメトキシエタン 30mlに溶解し、1mol/l硫酸水溶液 5.09mlを加え、室温で16時間撹拌した。反応終了後、水を加え、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。酢酸エチルで抽出し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去し、目的のオキセタンエステル(7-1)を白色固体として1.46g得た。収率96%。以上の合成経路を下記反応式(14)に示す。
【0201】
反応式(14)
【化31】

【0202】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
1.15(s, 3H), 1.47-1.55(m, 1H), 1.84(dd, 1H, J=12.7, 5.3Hz), 1.98-2.05(m, 2H), 2.61-2.73(m, 3H), 3.57(s, 3H), 4.29(d, 1H, J=5.8Hz), 4.41(dd, 1H, J=5.8, 1.3Hz), 7.20(d,1H, J=8.1Hz), 7.44(dd, 1H, J=8.1, 2.5Hz), 8.18(d, 1H, J=2.4Hz).
【0203】
同様の方法により、以下の化合物(7−2)、(7−3)を合成した。
【0204】
【化32】

化合物7-2: (Rc=5-クロロチオフェン-2-イル)
化合物7-3: (Rc=2-クロロチアゾール-5-イル、2-ブロモチアゾール-5-イル混合物)
【0205】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
[化合物(7−2)]
1.17(s, 3H), 1.49-1.56(m, 1H), 1.83(dd, 1H, J=13.1, 6.2Hz), 1.92-2.09(m, 2H), 2.60-2.68(m, 1H), 2.81(dd, 1H, J=14.7, 7.2Hz), 2.88(dd, 1H, J=14.8, 8.0Hz), 3.66(s, 3H), 4.26(d, 1H, J=5.8Hz), 4.40(dd, 1H, J=5.8, 1.4Hz), 6.52(d, 1H, J=3.7Hz), 6.66(d, 1H, J=3.7Hz).
[化合物(7−3)]
1.18(s, 3H), 1.50-1.56(m, 1H), 1.86(dd, 1H, J=13.2, 6.2Hz), 1.93-2.09(m, 2H), 2.59-2.68(m, 1H), 2.84-2.96(m, 2H), 3.69(s, 3H), 4.28(d, 1H, J=5.8Hz), 4.42(dd, 1H, J=5.8, 1.2Hz), 7.21-7.24(s+s, 1H).
【0206】
<製造例5>
4−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−1−メチル−6−オキサ−ビシクロ[3,2,0]ヘプト−5−イルメチルアルコール(化合物(8−1))の合成
オキセタンエステル(7-1) 1.452g (4.91mmol)をエタノール15mlに溶解し、塩化カルシウム 0.574g (4.91mmol)を加えて0℃に冷却した。ここに水素化ホウ素ナトリウム 0.404g (9.83mmol)を加え、室温で4時間撹拌した。反応終了後、析出物がなくなるまで10%クエン酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、目的のアルコール(8-1)を無色油状物として1.30g得た。収率99%。以上の合成経路を下記反応式(15)に示す。
【0207】
反応式(15)
【化33】

【0208】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
1.26-1.33(m, 1H), 1.33(s, 3H), 1.70-1.78(m, 1H), 1.81-1.90(m, 1H), 2.18(dd, 1H, J=8.8, 3.0Hz), 2.62(dd, 1H, J=13.9, 9.7Hz), 2.73(dd, 1H, J=14.0, 4.0Hz), 3.63(dd, 1H, J=12.1, 8.8Hz), 3.82(dd, 1H, J=12.2, 3.0Hz), 4.23(d, 1H, J=1.4Hz), 4.34(dd, 1H, J=5.9, 1.4Hz), 7.24(d, 1H, J=8.1Hz), 7.47(dd, 1H, J=8.1, 2.5Hz), 8.22(d, 1H, J=2.4Hz).
【0209】
同様の方法により、以下の化合物(8−2)、(8−3)を合成した。
【0210】
【化34】

化合物8-2: (Rc=5-クロロチオフェン-2-イル)
化合物8-3: (Rc=2-クロロチアゾール-5-イル、2-ブロモチアゾール-5-イル混合物)
【0211】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
[化合物(8−2)]
1.25-1.35(m, 1H), 1.32(s, 3H), 1.76(dd, 1H, J=13.0, 5.6Hz), 1.83-1.95(m, 3H), 2.15(dd, 1H, J=9.1, 3.1Hz), 2.76(dd, 1H, J=14.9, 8.8Hz), 2.85(dd, 1H, J=14.9, 4.5Hz), 3.58(dd, 1H, J=12.3, 9.1Hz), 3.76(dd, 1H, J=12.3, 3.0Hz), 4.22(d, 1H, J=5.9Hz), 4.32(dd, 1H, J=5.9, 1.4Hz), 6.55(d, 1H, J=3.6Hz), 6.70(d, 1H, J=3.7Hz).
[化合物(8−3)]
1.25-1.35(m, 1H), 1.32(s, 3H), 1.78(dd, 1H, J=13.3, 5.2Hz), 1.84-1.93(m, 3H), 2.12(dd, 1H, J=8.7, 3.3Hz), 2.82-2.92(m, 2H), 3.64(dd, 1H, J=12.2, 8.7Hz), 3.78(dd, 1H, J=12.2, 3.2Hz), 4.22(d, 1H, J=6.0Hz), 4.33(dd, 1H, J=5.9, 1.4Hz), 7.25-7.28(s+s, 1H).
【0212】
<製造例6>
4−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−1−メチル−6−オキサ−ビシクロ[3,2,0]ヘプタト−5−イルメチルメタンスルホン酸エステル(化合物(9−1))の合成
アルコール(8-1) 1.297g (4.84mmol)をトルエン 11mlに溶解し、トリエチルアミン1.01ml (7.25mmol)を加えて0℃に冷却した。ここにメタンスルホニルクロライド 0.783g (6.84mol)とトルエン2mlの混合液を滴下し、滴下後室温に昇温し1時間撹拌した。反応終了後、水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、目的のメシル酸エステル(9-1)を無色油状物として1.66g得た。収率99%。以上の合成経路を下記反応式(16)に示す。
【0213】
反応式(16)
【化35】

【0214】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
1.29(s,3H), 1.29-1.47(m, 1H), 1.72-1.94(m, 3H), 2.02-2.10(m, 1H), 2.62(dd, 1H, J=13.8, 10.2Hz), 2.80(dd, 1H, J=13.8, 4.7Hz), 3.06(s, 3H), 4.21(d, 1H, J=6.0Hz), 4.29(d, 1H, J=11.2Hz), 4.35(dd, 1H, J=6.0, 1.3Hz), 4.48(d, 1H, J=11.2Hz), 7.25(d, 1H, J=8.5Hz), 7.51(dd, 1H, J=8.1, 2.5Hz), 8.24(d, 1H, J=2.4Hz).
【0215】
同様の方法により、以下の化合物(9−2)、(9−3)を合成した。
【0216】
【化36】

化合物9-2: (Rc=5-クロロチオフェン-2-イル)
化合物9-3: (Rc=2-クロロチアゾール-5-イル、2-ブロモチアゾール-5-イル混合物)
【0217】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
[化合物(9−2)]
1.30(s, 3H), 1.35-1.43(m, 1H), 1.79(dd, 1H, J=13.1, 2Hz), 1.85-2.09(m, 3H), 2.79(dd, 1H, J=14.9, 8.8Hz), 2.92(dd, 1H, J=14.5, 5.1Hz), 3.02(s, 3H), 4.17(d, 1H, J=11.1Hz), 4.20(d, 1H, J=5.9Hz), 4.34(dd, 1H, J=5.9, 1.4Hz), 4.43(d, 1H, J=11.1Hz), 6.58(d, 1H, J=3.7Hz), 6.71(d, 1H, J=3.6Hz).
[化合物(9−3)]
1.30(s, 3H), 1.36-1.48(m, 1H), 1.79-1.97(m, 3H), 2.02-2.08(m, 1H), 2.81-2.90(m, 1H), 2.93-2.99(m, 1H), 3.06(s+s, 3H), 4.21(d, 1H, J=6.0Hz), 4.25-4.29(d+d, 1H, J=11.2Hz), 4.34(dd, 1H, J=6.0, 1.3Hz), 4.46(d, 1H, J=11.2Hz), 7.27-7.30(s+s, 1H).
【0218】
<製造例7>
4−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−1−メチル−5−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−6−オキサ−ビシクロ[3,2,0]ヘプタン(化合物(10−1))の合成
メシレート(9-1) 1.655g (4.79mmol)をN-メチル-2-ピロリドン 17mlに溶解し、トリアゾールナトリウム塩 0.959g (10.53mmol)を加え、120℃で7.5時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Silicagel 60, 230-400 mesh, Merck, 酢酸エチル)で精製し、目的のトリアゾールオキセタン(10-1)を白色固体として1.06g得た。融点109-110℃。収率69%。以上の合成経路を下記反応式(17)に示す。
【0219】
反応式(17)
【化37】

【0220】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
1.24(s, 3H), 1.24-1.34(m, 1H), 1.65-1.91(m, 4H), 2.19(dd, 1H, J=13.6, 3.6Hz), 2.48(dd, 1H, J=13.6, 10.2Hz), 4.24(d, 1H, J=6.1Hz), 4.28(dd, 1H, J=6.1, 1.2Hz), 4.54(s, 2H), 7.22(d, 1H, J=8.1Hz), 7.41(dd, 1H, J=8.2, 2.5Hz), 7.97(s, 1H), 8.18(d, 1H, J=2.4Hz), 8.24(s, 1H).
【0221】
同様の方法により、以下の化合物(10−2)、(10−3)を合成した。
【0222】
【化38】

化合物10-2: (Rc=5-クロロチオフェン-2-イル)
化合物10-3: (Rc=2-クロロチアゾール-5-イル、2-ブロモチアゾール-5-イル混合物)
【0223】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
[化合物(10−2)]
1.19(s, 3H), 1.31-1.39(m, 1H), 1.75(dd, 1H, J=13.2, 5.4Hz), 1.82-1.95(m, 3H), 2.40(dd, 1H, J=14.9, 3.5Hz), 2.67(dd, 1H, J=14.8, 8.6Hz), 4.21(s, 2H), 4.45(s, 2H), 6.51(d, 1H, J=3.7Hz), 6.69(d, 1H, J=3.7Hz), 7.95(s, 1H), 8.20(s, 1H).
[化合物(10−3)]
1.23(s, 3H), 1.33-1.39(m, 1H), 1.76-1.92(m, 4H), 2.26-2.32(m, 1H), 2.66-2.75(m, 1H), 4.23(d, 1H, J=6.2Hz), 4.26(dd, 1H, J=6.1, 1.1Hz), 4.48(d, 1H, J=15.0Hz), 4.53(d, 1H, J=14.9Hz), 7.20-7.23(s+s, 1H), 7.96(s, 1H), 8.23(s, 1H).
【0224】
<製造例8>
2−クロロメチル−5−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−2−メチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)シクロペンタノール(化合物(I−1−Cl))の合成
トリアゾールオキセタン(10-1) 202mg (0.634mmol)をジメチルホルムアミド 2mlに溶解し、リチウムクロライド 323mg (7.62mmol)およびp-トルエンスルホン酸1水和物 148mg (0.778mmol)を加えた。80℃で1時間加熱撹拌し、室温まで冷却した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶することにより、目的のクロロメチルトリアゾール(I-1-Cl)を白色固体として166mg得た。融点125-126℃。収率74%。以上の合成経路を下記反応式(18)に示す。
【0225】
反応式(18)
【化39】

【0226】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
1.19(s, 3H), 1.40-1.49(m, 2H), 1.65-1.75(m, 1H), 1.87-1.99(m, 2H), 2.31-2.41(m, 2H), 3.31(d, 1H, J=10.9Hz), 3.57(d, 1H, J=10.8Hz), 4.16(s, 1H), 4.28(d, 1H, J=14.2Hz), 4.58(d, 1H, J=14.2Hz), 7.21(d, 1H, J=8.2Hz), 7.34(dd, 1H, J=8.2, 2.5Hz), 8.03(s, 1H), 8.11(d, 1H, J=2.4Hz), 8.20(s, 1H).
【0227】
同様の方法により、以下の化合物(I−2−Cl)、(I−3−Cl)を合成した。
【0228】
【化40】

化合物I-2-Cl: (Rc=5-クロロチオフェン-2-イル)
化合物I-3-Cl: (Rc=2-クロロチアゾール-5-イル、2-ブロモチアゾール-5-イル混合物)
【0229】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
[化合物(I−2−Cl)]
1.19(s, 3H), 1.44-1.53(m, 2H), 1.89-1.97(m, 2H), 2.02(dd, 1H, J=15.1, 3.6Hz), 2.29-2.34(m, 1H), 2.55(dd, 1H, J=14.6, 10.3Hz), 3.22(d, 1H, J=10.8Hz), 3.55(d, 1H, J=10.8Hz), 4.17(s, 1H), 4.23(d, 1H, J=14.2Hz), 4.54(d, 1H, J=14.2Hz), 6.45(d, 1H, J=3.7Hz), 6.66(d, 1H, J=3.7Hz), 8.02(s, 1H), 8.16(s, 1H).
[化合物(I−3−Cl)]
1.19(s, 3H), 1.43-1.53(m, 2H), 1.86-2.00(m, 3H), 2.31-2.36(m, 1H), 2.56-2.65(m, 1H), 3.29(d, 1H, J=10.8Hz), 3.55(d, 1H, J=10.9Hz), 4.26(s, 1H), 4.27(d, 1H, J=14.2Hz), 4.58(d, 1H, J=14.2Hz), 7.14-7.17(s+s, 1H), 8.03(s, 1H), 8.18(s, 1H).
【0230】
<製造例9>
2−ブロモメチル−5−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−2−メチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)シクロペンタノール(化合物(I−1−Br))の合成
トリアゾールオキセタン(10-1) 100mg (0.314mmol)をジメチルホルムアミド 1mlに溶解し、リチウムブロマイド 277mg (3.19mmol)およびp-トルエンスルホン酸1水和物 72.8mg (0.383mmol)を加えた。50℃で4時間加熱撹拌し、室温まで冷却した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶することにより、目的のブロモメチルトリアゾール(I-1-Br)を白色固体として105mg得た。収率83%。以上の合成経路を下記反応式(19)に示す。
【0231】
反応式(19)
【化41】

【0232】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
1.20(s, 3H), 1.39-1.54(m, 2H), 1.64-1.74(m, 1H), 1.95-2.02(m, 2H), 2.33-2.45(m, 2H), 3.00(d, 1H, J=10.0Hz), 3.54(d, 1H, J=10.0Hz), 4.23(s, 1H), 4.27(d, 1H, J=14.2Hz), 4.56(d, 1H, J=14.2Hz), 7.22(d, 1H, J=7.6Hz), 7.35(dd, 1H, J=8.2, 2.5Hz), 8.03(s, 1H), 8.12(d, 1H, J=2.3Hz), 8.20(s, 1H).
【0233】
同様の方法により、以下の化合物(I−2−Br)を合成した。
【0234】
【化42】

化合物I-2-Br: (Rc=5-クロロチオフェン-2-イル)
【0235】
1H-NMR (400MHz, CDCl3
1.20(s, 3H), 1.45-1.57(m, 2H), 1.86-2.02(m, 2H), 2.13(dd, 1H, J=15.1, 3.8Hz), 2.34-2.39(m, 1H), 2.59(dd, 1H, J=14.7, 10.2Hz), 2.91(d, 1H, J=9.9Hz), 3.52(d, 1H, J=9.8Hz), 4.23(s, 1H), 4.23(d, 1H, J=14.2Hz), 6.52(d, 1H, J=14.2Hz), 6.47(d, 1H, J=3.6Hz), 6.67(d, 1H, J=3.6Hz), 8.02(s, 1H), 8.16(s, 1H).
【0236】
次に、製剤例と試験例を示す。なお、担体(希釈剤)および助剤、その混合比は広い範囲で変更し得るものとする。各製剤例の「部」は重量部を表す。
【0237】
<製剤例1(水和剤)>
化合物(I) 50 部
リグニンスルホン酸塩 5 部
アルキルスルホン酸塩 3 部
珪藻土 42 部
を粉砕混合して水和剤とし、水で希釈して使用する。
【0238】
<製剤例2(粉剤)>
化合物(I) 3 部
クレー 40 部
タルク 57 部
を粉砕混合し、散粉として使用する。
【0239】
<製剤例3(粒剤)>
化合物(I) 5 部
ベンナイト 43 部
クレー 45 部
リグニンスルホン酸塩 7 部
を均一に混合しさらに水を加えて練り合わせ、押し出し式造粒機で粒状に加工乾燥して粒剤とする。
【0240】
<製剤例4(乳剤)>
化合物(I) 20 部
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル 10 部
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート 3 部
キシレン 67 部
を均一に混合溶解して乳剤とする。
【0241】
<試験例1:コムギ葉枯病菌に対する抗菌性試験>
本試験例では、コムギ葉枯病菌(Septoria tritici)に対する抗菌性を試験した。
【0242】
ジメチルスルホキシドに溶解した化合物溶液を60℃前後のPDA培地(ポテト−デキストロース−アガー培地)に加えよく混合し、シャーレ内に流し固化させ、0.625mg/mlの化合物を含む平板培地を作製した。比較として、メトコナゾールを用いた。
【0243】
予め平板培地上で培養した供試菌を直径4mmのコルクボーラーで打ち抜き、上記の化合物含有平板培地上に接種した。接種後、菌の生育適温にて14日間培養し、菌そう直径を測定し菌の生育程度を調べた。化合物含有平板培地上で得られた菌の生育程度を、化合物無添加区における菌の生育程度と比較して、下記式により菌糸伸長抑制率を求めた。
【0244】
R=100(dc−dt)/dc
(式中、Rは菌糸伸長抑制率(%)、dcは無処理平板上菌そう直径、dtは化合物処理平板上菌そう直径、をそれぞれ示す)
【0245】
以下の基準により、抗菌性(菌糸生育阻害度)を評価した。
5:菌糸伸長抑制率が80%以上のもの
4:菌糸伸長抑制率が80%未満60%以上のもの
3:菌糸伸長抑制率が60%未満40%以上のもの
2:菌糸伸長抑制率が40%未満20%以上のもの
1:菌糸伸長抑制率が20%未満のもの
【0246】
結果、上記化合物(I−2−Cl)、(I−2−Br)、(I−3−Cl)は、いずれも菌糸生育阻害度5を示した。比較化合物メトコナゾールの菌糸生育阻害度は4であった。
【0247】
<試験例2:コムギ紅色雪腐病菌およびイネ苗立枯病菌に対する抗菌性試験>
本試験例では、コムギ紅色雪腐病菌(Microdochium nivale)およびイネ苗立枯病菌(Rhizopus oryzae)に対する抗菌性を試験した。
【0248】
ジメチルスルホキシドに溶解した化合物溶液を60℃前後のPDA培地(ポテト−デキストロース−アガー培地)に加えよく混合し、シャーレ内に流し固化させ、5、1.25mg/mlの化合物を含む平板培地を作製した。比較として、メトコナゾールを用いた。
【0249】
予め平板培地上で培養した供試菌を直径4mmのコルクボーラーで打ち抜き、上記の化合物含有平板培地上に接種した。接種後、各菌の生育適温にて1〜3日間培養し、菌そう直径を測定し菌の生育程度を調べた。化合物含有平板培地上で得られた菌の生育程度を、化合物無添加区における菌の生育程度と比較して、試験例1と同様にして菌糸伸長抑制率を求め、菌糸生育阻害度を評価した。
【0250】
結果を表1に示す。
【0251】
【表1】

コムギ紅色雪腐病菌 (Microdochium nivale) M.n
イネ苗立枯病 (Rhizopus oryzae) R.o
【0252】
<試験例3:各種病原菌および有害微生物に対する抗菌性試験>
本試験例では、各種植物病原菌および工業用材料有害微生物に対する抗菌性を試験した。
【0253】
ジメチルスルホキシドに溶解した化合物溶液を60℃前後のPDA培地(ポテト−デキストロース−アガー培地)に加えよく混合し、シャーレ内に流し固化させ、50mg/mlの化合物を含む平板培地を作製した。
【0254】
予め平板培地上で培養した供試菌を直径4mmのコルクボーラーで打ち抜き、上記の化合物含有平板培地上に接種した。接種後、各菌の生育適温にて3〜7日間培養し、菌そう直径を測定し菌の生育程度を調べた。化合物含有平板培地上で得られた菌の生育程度を、化合物無添加区における菌の生育程度と比較して、試験例1と同様にして菌糸伸長抑制率を求め、菌糸生育阻害度を評価した。
【0255】
結果を表2に示す。
【0256】
【表2】

コムギふ枯病菌 (Phaeosphaeria nodorum) P.n
コムギ眼紋病菌(Pseudocercoporella herpotrichoides) P.h
コムギ赤かび病菌 (Fusarium graminearum) F.g
オオムギ裸黒穂病菌 (Ustilago nuda) U.n
イネいもち病菌 (Pyricularia oryzae) P.o
イネばか苗病菌 (Gibberella fujikuroi) G.f
リンゴ斑点落葉病菌 (Alternaria alternata) A.m
菌核病菌 (Sclerotinia sclerotiorum) S.s
灰色かび病菌 (Botrytis cinerea) B.c
キュウリつる割れ病菌 (Fusarium oxysporum) F.c
オオムギ雲形病菌 (Rhynchosporium secalis) R.sec
【0257】
<試験例4:コムギ赤さび病に対する防除効果試験>
角型プラスチックポット(6cm×6cm)を用いて栽培した第2葉期のコムギ(品種:農林61号)に、製剤例1のような水和剤形態のものを水に希釈懸濁し、濃度12.5 g/haで散布した。散布葉を風乾した後、コムギ赤さび病菌の胞子(200個/視野に調整、60ppmとなるようにグラミンSを添加)を噴霧接種し、25℃高湿度条件下に48時間保った。その後は温室内で管理した。接種後、9〜14日目にコムギ赤さび病の罹病度を調査して、下記式により防除価を算出した。
【0258】
防除価(%)=(1−散布区の平均罹病度/無散布区の平均罹病度)×100
【0259】
【表3】

【0260】
以下の基準により、抗菌性(防除指数)を評価した。
5:防除価が81〜100のもの
4:防除価が61〜80のもの
3:防除価が41〜60のもの
2:防除価が21〜40のもの
1:防除価が0〜20のもの
【0261】
結果、上記化合物(I−1−Cl)、(I−1−Br)、(I−2−Cl)、(I−2−Br)、(I−3−Cl)は、いずれも防除指数5を示した。
【産業上の利用可能性】
【0262】
本発明に係るアゾール誘導体は、農園芸用の殺菌剤、植物生長調節剤および工業用材料保護剤の有効成分として好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で示されるアゾール誘導体。

は、水素原子、または置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、C〜Cのアルケニル基もしくはC〜Cのアルキニル基を示す。
は、硫黄原子、窒素原子または酸素原子を少なくとも一つ含む、5〜6員のヘテロ環基または8〜10員の縮合ヘテロ環基を示す。該ヘテロ環基および該縮合ヘテロ環基は、ハロゲン原子により置換されていてもよい。
Xは、ハロゲン原子を示す。
Aは、窒素原子またはメチン基を示す。)
【請求項2】
上記一般式(I)中、Rは、C〜Cのアルキレン基であり、Xは、塩素原子または臭素原子であることを特徴とする請求項1に記載のアゾール誘導体。
【請求項3】
上記一般式(I)中、Rは、ハロゲン原子により置換された5〜6員のヘテロ環基であることを特徴とする請求項1または2に記載のアゾール誘導体。
【請求項4】
上記一般式(I)中、Rは、ハロゲン原子により置換されたピリジル基、チエニル基またはチアゾリル基であることを特徴とする請求項3に記載のアゾール誘導体。
【請求項5】
上記一般式(I)中、Rは、塩素原子または臭素原子で置換されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のアゾール誘導体。
【請求項6】
上記一般式(I)中、Rは、メチレン基であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のアゾール誘導体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のアゾール誘導体の製造に用いられる中間体化合物であって、下記一般式(II)で示される中間体化合物。

(式(II)中、Rは、置換されていてもよいC〜Cのアルキレン基、C〜Cのアルケニレン基またはC〜Cのアルキニレン基を示し、
は、水素原子、または置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、C〜Cのアルケニル基もしくはC〜Cのアルキニル基を示す。
は、硫黄原子、窒素原子または酸素原子を少なくとも一つ含む、5〜6員のヘテロ環基または8〜10員の縮合ヘテロ環基を示す。該ヘテロ環基および該縮合ヘテロ環基は、ハロゲン原子により置換されていてもよい。
Aは、窒素原子またはメチン基を示す。)
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載のアゾール誘導体の製造方法であって、
下記一般式(II)で示すアゾール化合物における環構造を、ハロゲン酸を用いて開環する工程を含むことを特徴とするアゾール誘導体の製造方法。

(式(II)中、Rは、置換されていてもよいC〜Cのアルキレン基、C〜Cのアルケニレン基またはC〜Cのアルキニレン基を示す。
は、水素原子、または置換されていてもよいC〜Cのアルキル基、C〜Cのアルケニル基もしくはC〜Cのアルキニル基を示す。
は、硫黄原子、窒素原子または酸素原子を少なくとも一つ含む、5〜6員のヘテロ環基または8〜10員の縮合ヘテロ環基を示す。該ヘテロ環基および該縮合ヘテロ環基は、ハロゲン原子により置換されていてもよい。
Aは、窒素原子またはメチン基を示す。)
【請求項9】
下記一般式(III)で示す化合物と、シアン化物塩とを反応させて下記式(IV)で示す中間体化合物を得る工程と、
当該中間体化合物におけるシアノ基をメチレンを含む官能基に変換した誘導体化合物に、下記一般式(V)で示す化合物を付加させて上記式(II)で示すアゾール化合物を得る工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のアゾール誘導体の製造方法。

(式(III)および式(IV)中、R、RおよびRは、上記式(II)と同一である。Xは、塩素原子、臭素原子、メタンスルホニルオキシ基またはp−トルエンスルホニルオキシ基を示す。式(V)中、Aは上記式(II)と同一であり、Mはアルカリ金属を示す。)
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載のアゾール誘導体を有効成分として含有する農園芸用薬剤または工業用材料保護剤。

【公開番号】特開2012−250961(P2012−250961A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126822(P2011−126822)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】