説明

アタッチメント付きカメラモジュール

【課題】 広角仕様、望遠仕様等の特殊撮影機能付きカメラモジュールを製造する際の設計工数の削減と製造ラインの共用化を図ること。
【解決手段】 カメラモジュール1とカメラモジュール1の撮像レンズ35、36側に取り付けられたアタッチメント5(又は5a)とを具備するアタッチメント付きカメラモジュールであって、アタッチメント5(又は5a)の撮像レンズ35、36と対面する部分に、撮像に際しカメラモジュール1に広角撮影機能(又は望遠撮影機能)を付与する広角レンズ部55(又は望遠レンズ部)を形成し、カメラモジュール1を標準のカメラモジュールとし、これに取り付けるアタッチメント5(又は5a)によって撮像レンズ35、36の焦点距離を短縮(又は拡大)する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機や携帯端末機などに用いられるカメラモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のカメラモジュールは、固体撮像素子が取り付けられた基板と、基板上に固着された台座と、台座の上部に螺着され、固体撮像素子の受光面と対向する位置に撮像レンズを保持するレンズホルダとを具備し、台座に対するレンズホルダの螺入量を調整することによって、固体撮像素子に対するレンズの焦点位置合わせを行う構造であった(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−304605
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述の従来例では、広角仕様、望遠仕様等の特殊撮影機能付きのカメラモジュールを製造しようとすると、撮像レンズを含めたレンズホルダ、台座の少なくとも1つを対応する仕様のものにするとともに、台座に対するレンズホルダの螺入量を対応する値に調整しなければならないので、各仕様毎に個別の設計、製造が必要となり、コストアップを招くという問題点があった。
【0004】
本発明は、上述の問題点に鑑みなされたもので、広角仕様、望遠仕様等の特殊撮影機能付きカメラモジュールを製造する際の設計工数を削減するとともに、製造ラインの共用化を図ることのできるアタッチメント付きカメラモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、カメラモジュールと、前記カメラモジュールの撮像レンズ側に取り付けられたアタッチメントとを具備するアタッチメント付きカメラモジュールであって、前記アタッチメントの前記撮像レンズと対面する部分に、撮像に際し前記カメラモジュールに特殊撮影機能を付与する特殊撮影機能部を形成したこと特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、アタッチメントが、カメラモジュールの撮像レンズの外側を防塵又は水密に覆うことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、アタッチメントが、どの波長光に対しても略一様に吸収して透過光量を減少させる光学材料で形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、アタッチメントが、特定波長光を選択的に吸収して特定波長光の透過光量を減少させる光学材料で形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3又は4記載の発明において、アタッチメントの特殊撮影機能部が、撮像レンズとの組み合わせでカメラモジュールに広角撮影機能を付与する広角レンズ部であることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1、2、3又は4記載の発明において、アタッチメントの特殊撮影機能部が、撮像レンズとの組み合わせでカメラモジュールに望遠撮影機能を付与する望遠レンズ部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明は、カメラモジュールと、カメラモジュールの撮像レンズ側に取り付けられたアタッチメントとを具備するアタッチメント付きカメラモジュールであって、アタッチメントの撮像レンズと対面する部分に、撮像に際しカメラモジュールに特殊撮影機能を付与する特殊撮影機能部を形成したので、撮像レンズを標準レンズとし特殊撮影機能部を広角レンズ部、望遠レンズ部等とすることにより、標準のカメラモジュールに広角撮影機能、望遠撮影機能等の特殊撮影機能を付与することができる。
このため、広角仕様、望遠仕様等の特殊撮影機能付きカメラモジュールを製造する際の設計を、標準のカメラモジュールの設計と共用化することができ、設計工数の削減を図るとともに製造ラインの共用化を図ることができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、アタッチメントがカメラモジュールの撮像レンズの外側を水密に覆う構成としたので、防滴機能を兼ね備えたカメラモジュールを製造する際の設計工数を削減するとともに、製造ラインの共用化を図ることができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、アタッチメントを、入射光の波長の選択的な吸収でなく、どの波長光に対しても略一様に吸収して透過光量を減少させる光学材料で形成したので、明るさを調整するフィルター(例えばNDフィルター)の機能を容易に付与することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、アタッチメントを、入射光の波長を選択的に吸収することによって特定波長光の透過光量を減少させる光学材料で形成したので、特定波長透過フィルター、特定波長除去フィルター、色温度変換フィルター等の機能を容易に付与することができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1、2、3又は4記載の発明において、アタッチメントの特殊撮影機能部を撮像レンズとの組み合わせでカメラモジュールに広角撮影機能を付与する広角レンズ部としたので、広角仕様のカメラモジュールを製造する際の設計を、標準のカメラモジュールの設計と共用化することができ、設計工数の削減を図るとともに製造ラインの共用化を図ることができる。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項1、2、3又は4記載の発明において、アタッチメントの特殊撮影機能部を撮像レンズとの組み合わせでカメラモジュールに望遠撮影機能を付与する望遠レンズとしたので、望遠仕様のカメラモジュールを製造する際の設計を、標準のカメラモジュールの設計と共用化することができ、設計工数の削減を図るとともに製造ラインの共用化を図ることができる。
【実施例】
【0017】
図1〜図3は本発明の一実施例を示すもので、これらの図において、1は標準のカメラモジュール、5は本発明に特有のアタッチメントである。
【0018】
カメラモジュール1は、基板10と、基板10上に固着された台座20と、台座20に螺合されたレンズホルダ(又はバレル)30と、台座20とレンズホルダ30の螺着時におけるネジ部のガタツキを防止するための環状弾性部材40とで構成されている。
【0019】
基板10は、合成樹脂で略正方形板状に成形され、基板10の上面には、CCDのような固体撮像素子11やその他の回路素子12〜14が配設され、基板10の側面及び下面には、外部接続様端子(図示省略)が配設され、これらの配線パターン(図示省略)によって電気的に接続されている。
【0020】
台座20は合成樹脂で成形され、背の低い略角筒状に形成された下側台座21と、この下側台座21の上端開口部に一体に連設された略円筒状の上側台座22とを具備している。
下側台座21と上側台座22の連結部の内側には、略円環状に形成されてストッパー部23が突設されている。
下側台座21と上側台座22の連結部の外側には、係合段部24が形成されている。
下側台座21は、その下端面が基板10の上面に固着し、その内側に固体撮像素子11及び回路素子12〜14を収容している。
上側台座22の内側にはメネジ部25が形成されている。
ストッパー部23の中央には、標準レンズとしての撮像レンズ35、36を介して入射した光を固体撮像素子11へ通すための入射光路26が形成されている。
【0021】
レンズホルダ30は合成樹脂で成形され、略円筒状に形成されたホルダ本体31と、このホルダ本体31の上端開口部を閉塞する上板32とを具備している。
ホルダ本体31の外側には、上側台座22のメネジ部25と螺合するオネジ部33が形成され、ホルダ本体31の内側には、標準レンズ(マスターレンズ)としての撮像レンズ35、36と、環状弾性部材40が保持されている。
環状弾性部材40はホルダ本体31の内側の下部に係合、 係止し、その下端部が台座20のストッパー部23に弾性的に当接し、台座20とレンズホルダ30の螺合時におけるネジ部25、33のガタツキを防止している。
上板32には絞り孔37が形成されている。
【0022】
アタッチメント5は、カメラモジュール1の撮像レンズ35、36の外側を防塵又は水密に覆ってカメラモジュール1に防滴機能を付与するもので、どの波長光に対しても略一様に吸収して透過光量を減少させる汎用の光学材料(例えば、合成樹脂製光学材料又はガラス製光学材料)で形成されている。
アタッチメント5は、一体に連設された上側筒体部51及び下側筒体部52と、上側筒体部51の上端開口部を閉塞する蓋体部53とで形成されている。
【0023】
上側筒体部51は略円筒状に形成され、下側筒体部52は略角筒状に形成され、上側筒体部51と下側筒体部52の連結部の内側には、係合段部54が形成されている。
アタッチメント5の係合段部54は、台座20との固着に際して、下側台座21と上側台座22の連結部の外側に形成された係合段部24と密着している。
【0024】
蓋体部53の略中央部であって、カメラモジュール1の撮像レンズ35、36と対面する部分には、特殊撮影機能部の一例としての広角レンズ部55が形成されている。
広角レンズ部55は、撮像レンズ35、36との組み合わせによって焦点距離を短縮する(例えば焦点距離を0.63倍にする)ための凹レンズで形成され、カメラモジュール1に広角撮影機能を付与している。
【0025】
つぎに、アタッチメント付きカメラモジュールの製造方法について説明する。
【0026】
(1)固体撮像素子11や回路素子12〜14が実装された基板10の上面に台座20を固着し、台座20にレンズホルダ30を螺合して螺入量で焦点距離を調整した後、台座20とレンズホルダ30を固着し、図2及び図3の下側に示すような標準となるカメラモジュール1が形成される。
【0027】
(2)ついで、カメラモジュール1の台座20の外側面(係合段部24を含む)の所定部分に接着剤を塗布した後、図2及び図3に示すように、アタッチメント5を矢印方向に動かしてカメラモジュール1の上側へ被せ、撮像レンズ35、36の外側を覆うとともに、上側筒体部51の下部内側面と下側筒体部52の内側面(係合段部54を含む)を台座20の対応する外側面に密着させ、図1に示すように固着させる。
【0028】
前記実施例では、アタッチメントの特殊撮影機能部が、撮像レンズ35、36との組み合わせでカメラモジュール1に広角撮影機能を付与する広角レンズ部55で形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、広角撮影機能以外の特殊撮影機能、例えば望遠撮影機能、マクロ撮影機能等を付与するもので形成されている場合についても利用することができる。
【0029】
図4及び図5は、アタッチメントの特殊撮影機能が、撮像レンズ35、36との組み合わせでカメラモジュール1に望遠撮影機能を付与する望遠レンズ部55aで形成されている場合を示すものである。
図4及び図5において、アタッチメント5aは、アタッチメント5と同様の光学材料で形成され、一体に連設された上側筒体部51a及び下側筒体部52aと、上側筒体部51aの上端開口部を閉塞する蓋体部53bとで形成されている。
【0030】
上側筒体部51aは略円筒状に形成され、下側筒体部52aは略角筒状に形成され、上側筒体部51aと下側筒体部52aの連結部の内側には、台座20の係合段部24の外側に密着する係合段部54aが形成されてる。
【0031】
蓋体部53bの略中央部であって、カメラモジュール1の撮像レンズ35、36と対面する部分には、特殊撮影機能部の一例としての望遠レンズ部55aが形成されている。
望遠レンズ部55aは、撮像レンズ35、36との組み合わせによって焦点距離を拡大する(例えば焦点距離を2倍にする)ための凸レンズで形成され、カメラモジュール1に望遠撮影機能を付与している。
【0032】
前記実施例では、カメラモジュール1に明るさを調節するフィルター(例えばNDフィルター)の機能を付与するために、アタッチメント5、5a(レンズ部55、55aを含む)が、入射光の波長の選択吸収をせず、どの波長光に対しても略一様に吸収して透過光量を減少させる光学材料で形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、カメラモジュール1に特定波長透過フィルター、特定波長除去フィルター、色温度変換フィルター等の機能を付与するために、アタッチメント5、5a(レンズ部55、55aを含む)が、入射光の波長を選択的に吸収して特定波長光の透過光量を減少させる光学材料(例えば、特定波長光を選択的に吸収する透明光学材料又は着色光学材料)で形成されている場合についても利用することができる。
また、アタッチメント5、5aが前述のフィルター機能を具備しない汎用の光学材料で形成されている場合についても利用することができる。
【0033】
前記実施例では、カメラモジュール1に防滴機能を付与するために、アタッチメント5、5aがカメラモジュール1の撮像レンズ35、36の外側を防塵又は水密に覆う構成としたのが、本発明はこれに限るものでなく、アタッチメントがカメラモジュール1に防滴機能を付与しない場合についても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明によるアタッチメント付きカメラモジュールの一実施例を示す断面図である。
【図2】図1の製造例を説明する斜視図である。
【図3】図1の製造例を説明する断面図である。
【図4】他の実施例を示す断面図である。
【図5】図4中のアタッチメント5aを示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1…カメラモジュール
11…固体撮像素子
35、36…撮像レンズ
5、5a…アタッチメント
51、51a …上側筒体部
51、51a …下側筒体部
53、53a …蓋体部
55…広角レンズ部(特殊撮影機能部の一例)
55a…望遠レンズ部(特殊撮影機能部の一例)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュール(1)と、カメラモジュール(1)の撮像レンズ(35、36)側に取り付けられたアタッチメント(5、5a)とを具備し、アタッチメント(5、5a)の撮像レンズ(35、36)と対面する部分に、撮像に際しカメラモジュール(1)に特殊撮影機能を付与する特殊撮影機能部を形成したことを特徴とするアタッチメント付きカメラモジュール。
【請求項2】
アタッチメント(5、5a)は、カメラモジュール(1)の撮像レンズ(35、36)側を防塵又は水密に覆うことをを特徴とする請求項1記載のアタッチメント付きカメラモジュール。
【請求項3】
アタッチメント(5、5a)は、どの波長光に対しても略一様に吸収して透過光量を減少させる光学材料で形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のアタッチメント付きカメラモジュール。
【請求項4】
アタッチメント(5、5a)は、特定波長光を選択的に吸収して特定波長光の透過光量を減少させる光学材料で形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のアタッチメント付きカメラモジュール。
【請求項5】
アタッチメント(5)の特殊撮影機能部(55)は、撮像レンズ(35、36)との組み合わせでカメラモジュール(1)に広角撮影機能を付与する広角レンズ部であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のアタッチメント付きカメラモジュール。
【請求項6】
アタッチメント(5a)の特殊撮影機能部(55a)は、撮像レンズ(35、36)との組み合わせでカメラモジュール(1)に望遠撮影機能を付与する望遠レンズ部であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のアタッチメント付きカメラモジュール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−47526(P2007−47526A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232785(P2005−232785)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】