説明

アタッチメント及びフレーム体

【課題】構造物の表面に傷がつくことを防止することができると共に、作業性を向上させることのできる、荷揚げ装置または梯子を支持するアタッチメント及びフレーム体を提供する。
【解決手段】アタッチメント1は、ベランダの腰壁ST1の上方からフレーム体2で覆うようにしてアタッチメント1を構造物STに取り付けることができる。更に、第一保護部材3は構造物STと第一部材6との間に介在し、第二保護部材4は構造物STと第二部材7との間に介在し、第一部材6や第二部材7と構造物STとが直接接触し表面に傷がつくことを防止できる。アタッチメント1において、第一保護部材3は少なくとも第一部材6の下端側に配置され、第二保護部材4は少なくとも第二部材7の下端側に配置されている。保護部材3,4は面状の部材であるため、アタッチメント1は広くて強固な腰壁面WF1,WF2によってしっかりと面支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物に取り付けられると共に、荷揚げ装置または梯子を支持するアタッチメント、及び当該アタッチメントに用いられるフレーム体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、住宅等の建物の工事中の内装仕上げの段階で、キッチンセット等の長尺かつ重量物を2階以上の室内に搬入する際、室内階段を経由するのでは空間が狭いため、内装仕上げを傷つけることがあった。そこで、これを避けるためにベランダに荷揚げして、掃き出し窓等大きな開口部から室内に搬入されていた。ここで、荷揚げは、人力で行われており、引越し業者が大きな家具を室内に運び込む方法にならって建物の外部を養生して当該家具等を専用のロープを使ってベランダに引き揚げて大きな窓から搬入する作業を3人程度で行っていた。
【0003】
最近では、運搬の効率を上げるため、特許文献1に示すような荷揚げ機の台車(リフター)が使われるようになり、キッチンセット等の長尺かつ重量物を載せることができる台車が使用されている。この場合は、重量物を荷揚げすることからベランダの手摺や腰壁に梯子状ガイドレールをしっかりと固定して梯子の転倒等を未然に防止しなければならないが、その固定方法は特に定まっていない。
【0004】
ここで、一般的な瓦等資材搬入用の梯子固定具は、先端に柱脚があり、この柱脚を屋根に載置するものであり、ベランダ手摺や腰壁に対して固定することには利用できない。そこで、特許文献2には、荷揚げリフトの荷台の背板がベランダの上縁面とほぼ同一高さに位置するようにガイドレールの先端部をベランダに取付設置するための荷揚げリフトのガイドレール用のアタッチメントが開示されている。このアタッチメントは、水平方向に延びる一対のアーム部を有する固定側の取付金具本体と、この取付金具本体のアーム部に嵌合される嵌合部を有する可動側の取付金具本体から成り、この可動側の取付金具本体に、荷揚げリフトのガイドレールの先端部が係止される止め部材がベランダ上縁面より下方に位置する様に設けられている。そして、アタッチメントは、ベランダ腰壁を挟んで取付金具本体と可動側本体はアーム部で連結され、アーム部を嵌合部が滑動して所定位置にて止ネジにより嵌合部をアーム部に固定する。また、ベランダの腰壁面に調節ネジ付の先端面を当接させて、ベランダの腰壁を万力のように挟持して固定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−144799号公報
【特許文献2】実開平6−83700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献2のアタッチメントでは、ベランダの腰壁への挿入深さが浅く、荷が重い場合は、荷を運搬中に荷揚げ装置(昇降機)がぐらついたり腰壁から外れたり、荷揚げ装置(昇降機)自身が転倒しまうという問題がある。また、ベランダの腰壁や手摺や笠木などの構造物には外装仕上げがなされており、重量物を荷揚げする段階では、建築時に用いられる足場などは全て撤去されているため、重量物の荷揚げ作業において、これらの構造物の表面に傷がつかないことが求められるが、上述のアタッチメントを用いた場合、アタッチメントの金属部分が構造物に接触することによって、構造物の表面に傷がついてしまうという問題がある。更に、上述のアタッチメントでは固定強度を上げるために調節ネジで締め付けることによって固定する必要があり、構造物の表面に傷がついてしまうという問題が一層顕著になってしまう。また、構造物の表面に傷がつかないことが求められる一方で、荷揚げ作業の作業性を向上させることも求められていた。
【0007】
そこで、本発明は、構造物の表面に傷がつくことを防止することができると共に、作業性を向上させることのできる荷揚げ装置または梯子を支持するアタッチメント、及び当該アタッチメントに用いられるフレーム体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここで、本発明者らは、鋭意研究の結果、荷揚げ装置や梯子用のアタッチメントの取り付けの対象となる構造物の形状の特徴を見出した。すなわち、このようなアタッチメントが用いられるベランダの腰壁は、上端部分には笠木や手摺などが設けられることによって凹凸が多くアタッチメントの支持面を確保することが困難である一方、笠木より下側の領域には平面状の腰壁面が広がっており、強固な支持面を十分に確保できることを見出した。このような構造物の形状の特徴に鑑み、以下のようなアタッチメントを導き出すに至った。
【0009】
すなわち、本発明に係るアタッチメントは、構造物に取り付けられると共に、荷揚げ装置または梯子を支持するアタッチメントであって、該アタッチメントは、側面視で、上下方向に延びる第一部材と、第一部材から離間して対向するように上下方向に延びる第二部材と、第一部材の上端側と第二部材の上端側とを連結する連結部材と、第二部材と反対側の位置において第一部材に取り付けられており、荷揚げ装置または梯子を支持する支持部材と、第一部材の少なくとも下端側において、第二部材と対向する側の位置に配置され、第一部材から構造物を保護する面状の第一保護部材と、第二部材の少なくとも下端側において、第一部材と対向する側の位置に配置され、第二部材から構造物を保護する面状の第二保護部材と、を備えることを特徴とする。
【0010】
このようなアタッチメントによれば、上下方向に延びると共に互いに離間する第一部材と第二部材、及び当該第一部材と第二部材とを連結する連結部材を有している。従って、ベランダの腰壁などの構造物(凸状構造物)の上方から、第一部材、第二部材、連結部材で構成される下側に開放された断面コ字状のフレーム体(下側に開放された凹状体)を嵌入するようにして、アタッチメントを構造物に取り付けることができる。また、第一部材には、第二部材と反対側(つまり構造物の外側)に支持部材が取り付けられているため、アタッチメントは、構造物に取り付けられた状態で、荷揚げ装置の横桟や梯子の踏み桟等に掛止して、荷揚げ装置や梯子を支持することができる。更に、第一部材において第二部材と対向する側には第一保護部材が配置され、第二部材において第一部材と対向する側には第二保護部材が配置されているため、取り付け時においては、第一保護部材は構造物と第一部材との間に介在し、第二保護部材は構造物と第二部材との間に介在することができる。これによって、取り付け時に第一部材や第二部材と構造物とが直接接触してしまうことが防止され、構造物の表面に傷がつくことを防止できる。特に、本発明に係るアタッチメントにおいて、第一保護部材は少なくとも第一部材の下端側に配置され、第二保護部材は少なくとも第二部材の下端側に配置されている。前述のように、アタッチメントの取り付け対象となる構造物は、上端側には手摺や笠木などの凹凸が多い一方、笠木より下側では平面状の腰壁面が広がっており、強固な支持面を十分に確保できる構成である。従って、第一部材及び第二部材の下端を腰壁面の位置まで延ばしておくことにより、第一保護部材及び第二保護部材は、広くて強固な腰壁面において構造物と接触することができる。すなわち、アタッチメントは、第一部材と第二部材によって、広くて強固な腰壁面を第一保護部材及び第二保護部材を介して挟み込むようにして、構造物に取り付けられることができる。更に第一保護部材及び第二保護部材は面状の部材であるため、アタッチメントは広くて強固な腰壁面によってしっかりと面支持されることができる。これによって、位置ずれやがたつきを生じさせることなく、アタッチメントを構造物に十分に固定することができる。すなわち、アタッチメントを構造物に取り付ける際に、ねじなどによる固定を不要とすることができるため、構造物の表面に傷がつくことを防止できる。また、第一保護部材及び第二保護部材を介して構造物を第一部材と第二部材で挟み込むだけの作業で取り付けを行うことができるため、取り付け作業を容易に行うことができる。また、室内の階段を利用して二階へ搬入するにも、アタッチメントを軽量に構成し、搬入しやすくなる。以上によって、構造物の表面に傷がつくことを防止することができると共に、作業性を向上させることができる。
【0011】
また、本発明に係るアタッチメントにおいて、第一部材及び第二部材の上下方向における長さは、第一部材と第二部材とが離間する距離よりも大きいことが好ましい。例えば、第一部材と第二部材の長さが短すぎる場合、荷揚げ作業の際に係る負荷によって、アタッチメントが構造物の上端部から(例えば、ベランダの外側へ向かって転がるように)設置位置がずれたり、固定が不十分でがたつくか、構造物の上端部からアタッチメントがはずれて脱落する可能性がある。しかしながら、第一部材及び第二部材の上下方向における長さを、第一部材と第二部材とが離間する距離より大きくして十分な長さを確保することによって、アタッチメントの位置ずれ、がたつき、脱落を一層確実に防止することができる。これによって、荷揚げの対象物の重量が重くなったとしても、アタッチメントをねじ等で固定することなく、構造物に取り付けることができる。
【0012】
また、本発明に係るアタッチメントにおいて、第一部材は、第二部材に比して上下方向における長さが長いことが好ましい。荷揚げ装置を支持する支持部材は第一部材に取り付けられている。従って、荷揚げ装置を支持したときには、アタッチメントには、第一部材の下端側が構造物へ押付けられる方向へモーメントがベランダの外側へ向かって転がるように作用して支持部材側に脱落する。従って、第一部材の長さを長くすることによって、アタッチメントの位置ずれやがたつきを一層確実に防止することができる。
【0013】
また、本発明に係るアタッチメントにおいて、構造物は、腰壁を有すると共に、当該腰壁の厚さ方向において一方の腰壁面または他方の腰壁面より外側へ突出する突出部分を有しており、第一保護部材は腰壁の一方の腰壁面と第一部材との間に配置され、第二保護部材は腰壁の他方の腰壁面と第二部材との間に配置され、第一保護部材または第二保護部材の厚さは、突出部分の突出量よりも大きいことが好ましい。これによって、構造物が腰壁面よりも外側に突出する部分(笠木や手摺など)を有していたとしても、これらの突出部分の突出量よりも保護部材の厚さの方が大きいため、第一部材や第二部材と、構造物の突出部分とは、互いに接触することなく、構造物である建物のベランダの腰壁等の外装仕上げ面を傷つけることを防止することができる。
【0014】
また、本発明に係るアタッチメントにおいて、第一保護部材及び第二保護部材は、布帛、発泡樹脂、またはゴムによって構成されることが好ましい。第一保護部材や第二保護部材の材質として、このような材質を用いることによって、第一部材や第二部材に直接保護部材を固定することができる。これによって、アタッチメントの取り付け作業の作業性が向上すると共に、保護部材を付け替えることなく繰り返し使用することができる。
【0015】
また、本発明に係るアタッチメントにおいて、構造物は、腰壁を有すると共に、当該腰壁の上端側に笠木及び手摺を有しており、第一保護部材と第二保護部材とは上端側において互いに連結されていると共に、第一部材、連結部材、及び第二部材から笠木及び手摺を保護することが好ましい。これによって、第一部材、連結部材、第二部材の取付面を全て保護部材で覆うことが可能となり、腰壁のみならず笠木や手摺も確実に保護することができる。
【0016】
また、本発明に係るアタッチメントにおいて、支持部材において荷揚げ装置または梯子を支持する部分は、第一部材及び第二部材の上端よりも下方に配置されると共に、水平方向において第一部材から離間して配置されていることが好ましい。このような構成により、荷揚げ装置における昇降機がガイドレールの上端側に到達し、荷降ろし状態となったときにおける昇降機の姿勢に対応することができる。
【0017】
また、本発明に係るアタッチメントにおいて、第一部材、第二部材、及び連結部材は、断面L字状のフレームによって構成されていることが好ましい。このように、フレーム構造とすることによって、アタッチメント全体の重量を軽くすることができる。また、第一部材、第二部材、及び連結部材として板材を用いた場合に比して、アタッチメントの強度を向上させることができると共に、変形も抑えることができる。
【0018】
また、本発明に係るアタッチメントは、フレーム体と保護部材とを別体とすることができ、該フレーム体は、上下方向に延びる第一部材と、第一部材から離間して対向するように上下方向に延びる第二部材と、第一部材の上端側と第二部材の上端側とを連結する連結部材と、第二部材と反対側の位置において第一部材に取り付けられており、荷揚げ装置または梯子を支持する支持部材と、で構成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、構造物の表面に傷がつくことを防止することができると共に、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るアタッチメント及びフレーム体の使用状態を示す側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るアタッチメント及びフレーム体を示す斜視図である。
【図3】変形例に係るアタッチメントの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るアタッチメント及びフレーム体の実施形態について詳細に説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係るアタッチメント1及びフレーム体2の使用状態を示す側面図である。図2は、本実施形態に係るアタッチメント1及びフレーム体2を示す斜視図である。図1では、アタッチメント1の取り付けの対象となる構造物STであるベランダの腰壁ST1、笠木ST2、及び手摺ST3の断面が示されている。アタッチメント1は、構造物STの上縁部に取り付けられると共に、荷揚げ装置100を支持する機能を有している。近年、階層上げ(二階以上)キッチン部材が年々大きくかつ重量も増え、階段が狭く通り難く、安全の確保(既存建物内外・商品・人)が出来難くなっており、仮に階段を使用して搬入した場合、作業者(クロス・タイル貼り作業)の手を止め、工程等に影響が出るが、本実施形態に係るアタッチメント1は、このような問題に対応できる。更に、アタッチメント1は、現場搬入時間が軽減できる為、現場滞在時間(駐車)短縮にて近隣クレーム削減と近隣パフォーマンスに対応するものである。アタッチメント1は、構造物STの上縁部を上方から覆うように取り付けられ、当該構造物STの上縁部付近を保護する。これによって、アタッチメント1は、荷揚げ装置100が直接接触することなく、ベランダなどの構造物STに対して荷揚げ装置100をセット可能とする。なお、図1の紙面左側は、ベランダの外側(建物の外側)であり、紙面右側は、ベランダの内側(建物の内側)である。
【0023】
まず、アタッチメント1の取り付け対象である構造物STについて説明する。図1に示すように、構造物STは、ベランダの腰壁ST1と、当該腰壁ST1の上端部を雨などから保護するための笠木ST2と、当該笠木ST2の上方の設けられた手摺ST3を備えている。腰壁ST1は、ベランダの外縁側において床面(不図示)から上方へ垂直に延びている。腰壁ST1は、当該腰壁ST1の厚さ方向における一方(ベランダの外側)に腰壁面WF1を有し、厚さ方向における他方(ベランダの内側)に腰壁面WF2を有している。腰壁面WF1及び腰壁面WF2は、アタッチメント1を支持するための支持面として機能することができ、当該支持面として機能するのに十分な面積及び強度を有する平面である。
【0024】
外装部品である笠木ST2は、主として防水のために腰壁ST1の上端面を覆い被せるように配置されている。笠木ST2は、腰壁ST1の上端面に沿って水平に延びる上壁W1、腰壁ST1の上端部をベランダ外側から保護する側壁W2、腰壁ST1の上端部をベランダ内側から保護する側壁W3を備えている。笠木ST2の上壁W1の幅は、腰壁ST1の厚さ方向において、当該腰壁ST1よりも大きく形成されている。従って、側壁W2は、腰壁面WF1よりも厚さ方向における外側へ突出する突出部分となる。また、側壁W3は、腰壁面WF2よりも厚さ方向における外側(ベランダの内側)へ突出する突出部分となる。側壁W3の突出量、すなわち、側壁W3の外側の面と腰壁面WF2との間の距離は、図1に示すようにt1で示される。なお、図1では省略されているが、側壁W2の突出量、すなわち、側壁W2の外側の面と腰壁面WF1との間の距離もt1となる。手摺ST3は、笠木ST2の上壁W1の上方において、腰壁ST1の上端部に沿って延びている。
【0025】
次に、アタッチメント1及び構造物STによって支持される荷揚げ装置100について説明する。この荷揚げ装置100は、地上から二階や三階のベランダへ重量物を荷揚げする機能を有する装置である。荷揚げ装置100によって、例えば、上層階用のキッチンカウンターなどの重量物を昇降することができる。図1に示すように、荷揚げ装置100は、梯子状のガイドレール101と、重量物を積載すると共に当該ガイドレール101に沿って昇降可能な昇降機102とを備えている。なお、荷揚げ装置100は、重量物を支持するための補強フレームや駆動機構などを有しているが、説明を容易にするため、図1においては主要な構成要素のみを示している。また、荷揚げ装置100の構造は特に限定されず、例えば特開平6−144799号公報に示すような構造のものを用いてもよい。
【0026】
ガイドレール101は、上下方向に向かって延びる断面コ字状の一対の長尺部材であり、水平方向に延びる複数の水平部材103によって互いに固定されている。昇降機102は、ガイドレール101に沿って上下方向の移動を行う本体部104と、重量物を積載するための平板105と、重量物を立てかけるための平板106とを備えている。昇降機102の姿勢は、本体部104がガイドレール101に沿って上昇している状態(この状態を、以下、「荷揚げ状態」とする)と、本体部104がガイドレール101を登り終えた状態(この状態を、以下、「荷降ろし状態」とする)とでは異なっている。図1において、荷揚げ状態は二点鎖線で示され、荷降ろし状態は実線で示されている。
【0027】
図1に示すように、本体部104及び平板105の姿勢は、荷揚げ状態及び荷降ろし状態のいずれにおいても同じ姿勢となる。すなわち、平板105は、いずれの状態においても、水平方向に広がる姿勢を維持する。一方、平板106は、荷揚げ状態においては、ガイドレール101と平行をなすように上方へ向かって傾くような姿勢を維持し、荷降ろし状態においては、平板105と同一平面を形成するように水平方向に広がる姿勢を維持する。
【0028】
具体的には、平板106は、本体部104の上端部分において水平に延びるヒンジ部107で回動可能に支持されると共に、ガイドレール101の外面101a上を転がるローラ108を有する支持部材109によって支持されている。支持部材109は平板106の裏面側に垂直に取り付けられている。荷揚げ状態においては、ローラ108がガイドレール101の外面101a上を転がることによって、支持部材109がガイドレール101と垂直をなすように外側へ向かって延びるような配置となる。これによって、平板106は、ガイドレール101と平行な姿勢に維持される。一方、荷降ろし状態になるとき、ローラ108は、外面101aからガイドレール101の上端面101bへ移動する。これによって、平板106はヒンジ部107回りに倒れこむように開き、水平方向をなす状態で維持される。以上によって、板状のカウンターを荷揚げする場合、カウンターが平板106にもたれかかるように支持された状態でリフトされ、ベランダの位置まで到達したときに平板106と共に水平状態になるように倒れこむ。これによって、ベランダでの荷降ろし作業を行い易くなる。
【0029】
次に、本実施形態に係るアタッチメント1について説明する。図1及び図2に示すように、アタッチメント1は、金属製の棒材によって構成されたフレーム体2と、当該フレーム体2から構造物STを保護する第一保護部材3及び第二保護部材4によって構成されている。また、本実施形態においては、フレーム体2から手摺ST3を保護するための第三保護部材5も配置されている。フレーム体2は、上下方向に延びる第一部材6、上下方向に延びる第二部材7、第一部材6と第二部材7とを連結する連結部材8、荷揚げ装置100を支持する支持部材9を備えている。第一部材6、第二部材7及び連結部材8によって構成される部分は、アタッチメント1を構造物STへ取り付けるための取付部として機能し、側面視において下側が開口したコ字状の形状をなしている。
【0030】
第一部材6は、第二部材7から離間して対向するように上下方向に延びており、第一保護部材3を介して腰壁ST1を挟み込むための部材である。第一部材6は、互いに平行をなすと共に離間して上下方向に延びるフレーム11,12によって構成されている。使用時においては、第一部材6のフレーム11,12は腰壁ST1よりもベランダ外側に配置される。第一部材6のフレーム11,12は、断面L字状の金属棒材によって構成されている。断面L字状のフレーム11,12は、腰壁ST1の腰壁面WF1に対して平行となる部分と、第二部材7とは反対側(すなわちベランダ外側)へ向かって屈曲する部分とを有している。従って、第一部材6のフレーム11,12における第二部材7と対向する側には第一保護部材3と面接触するための平面11a,12aが形成される。
【0031】
第二部材7は、第一部材6から離間して対向するように上下方向に延びており、第二保護部材4を介して腰壁ST1を挟み込むための部材である。第二部材7は、互いに平行をなすと共に離間して上下方向に延びるフレーム13,14、及び水平方向に延びてフレーム13の下端とフレーム14の下端とを連結するフレーム16によって構成されている。第二部材7のフレーム13は、正面視(腰壁ST1の厚さ方向)において第一部材6のフレーム11と重なる位置に配置される。第二部材7のフレーム14は、正面視(腰壁ST1の厚さ方向)において第一部材6のフレーム12と重なる位置に配置される。使用時においては、第二部材7のフレーム13,14,16は腰壁ST1よりもベランダ内側に配置される。第二部材7のフレーム13,14,16は、断面L字状の金属棒材によって構成されている。断面L字状のフレーム13,14,16は、腰壁ST1の腰壁面WF2に対して平行となる部分と、第一部材6とは反対側(すなわちベランダ内側)へ向かって屈曲する部分とを有している。従って、第二部材7のフレーム13,14,16における第一部材6と対向する側には第二保護部材4と面接触するための平面13a,14a,16aが形成される。
【0032】
連結部材8は、第一部材6の上端側と第二部材7の上端側とを連結するように水平方向に延びる部材である。連結部材8は、第一部材6のフレーム11の上端と第二部材7のフレーム13の上端とを連結するフレーム17と、第一部材6のフレーム12の上端と第二部材7のフレーム14の上端とを連結するフレーム18と、第一部材6のフレーム11の上端と第一部材6のフレーム12の上端とを連結するフレーム19と、第二部材7のフレーム13の上端と第二部材7のフレーム14の上端とを連結するフレーム21とによって構成されている。使用時においては、連結部材8のフレーム17,18,19,21は腰壁ST1の上端面、笠木ST2及び手摺ST3よりも上方に配置される。連結部材8のフレーム17,18,19,21は、断面L字状の金属棒材によって構成されている。断面L字状のフレーム17,18,19,21は、腰壁ST1の上端面に対して平行となる部分と、上方へ向かって屈曲する部分とを有している。従って、連結部材8のフレーム17,18,19,21における腰壁ST1の上端面、笠木ST2及び手摺ST3対向する側には手摺ST3を保護するための第三保護部材5と面接触するための平面17a,18a,19a,21aが形成される。
【0033】
支持部材9は、第一部材6のフレーム11から第二部材7とは反対方向(ベランダの外側)へ向かって水平に延びるフレーム22と、第一部材6のフレーム12から第二部材7とは反対方向(ベランダの外側)へ向かって水平に延びるフレーム23と、フレーム22を下方から補強するフレーム24と、フレーム23を下方から補強するフレーム26と、フレーム22の端部とフレーム23の端部との間で水平に延びる支持棒27とを備えて構成されている。支持部材9のフレーム22は、第一部材6のフレーム11の上下方向における中央位置付近から垂直に延びている。支持部材9のフレーム23は、第一部材6のフレーム12の上下方向における中央位置付近から垂直に延びている。支持棒27は、アタッチメント1を構造物STに取り付けたときに、腰壁ST1、笠木ST2、及び手摺ST3が延びる方向と平行となるように水平に延びている。支持棒27は、支持部材9のフレーム22、23の先端において、当該支持棒27を軸として回転可能に取り付けられている。使用状態においては、支持棒27に対して、荷揚げ装置100のガイドレール101がもたれ掛かるようにして支持される。支持棒27には、荷揚げ装置100のガイドレール101の横桟である水平部材103を掛止可能にかぎ型に形成したフック28,29が取り付けられている。使用状態において、このフック28,29は、荷揚げ装置100のガイドレール101が支持棒27に支持された後、支持棒27の軸回りの回転に伴って回転することで荷揚げ装置100の水平部材103に掛止される。これによって、荷揚げ装置100がアタッチメント1からずれたり外れたりすることが一層確実に防止される。
【0034】
第一保護部材3は、第一部材6の下端側において、第二部材7と対向する側の位置に配置され、第一部材6から構造物STを保護する面状の保護部材である。使用状態において、第一保護部材3は、第一部材6と腰壁ST1の腰壁面WF1との間に配置されており、第一部材6の平面11a,12aによって腰壁ST1側に押圧され、腰壁面WF1と隙間なく且つ位置ずれなく面接触することができる。使用状態において、第一保護部材3は、図2の二点鎖線PG1で示す位置に配置される。第一保護部材3は、少なくとも第一部材6の下端側(フレーム11,12の下端側)の一部に配置されていればよく、その他の部分における形状や大きさは特に限定されない。本実施形態では、第一保護部材3は、上下方向において、フレーム11,12の下端から当該フレーム11,12の中央位置より上方まで延びている。
【0035】
第二保護部材4は、第二部材7の下端側において、第一部材6と対向する側の位置に配置され、第二部材7から構造物STを保護する面状の保護部材である。使用状態において、第二保護部材4は、第二部材7と腰壁ST1の腰壁面WF2との間に配置されており、第二部材7の平面13a,14a,16aによって腰壁ST1側に押圧され、腰壁面WF2と隙間なく且つ位置ずれなく面接触することができる。使用状態において、第二保護部材4は、図2の二点鎖線PG2で示す位置に配置される。第二保護部材4は、少なくとも第二部材7の下端側(フレーム13,14の下端側)の一部に配置されていればよく、その他の部分における形状や大きさは特に限定されない。本実施形態では、第二保護部材4は、正面視において(腰壁ST1の厚さ方向において)第一保護部材3と重なる位置に配置されている。すなわち、第二保護部材4は、上下方向において、フレーム13,14の下端よりも下方の位置から当該フレーム13,14の中央位置付近まで延びている。
【0036】
第三保護部材5は、連結部材8から手摺ST3を保護する保護部材である。使用状態において、第三保護部材5は、連結部材8のフレーム17,18と手摺ST3との間に配置されており、連結部材8の平面17a,18aによって下方に押圧され、手摺ST3と隙間なく且つ位置ずれなく面接触することができる。第三保護部材5は、フレーム体2が腰壁ST1、笠木ST2、及び手摺ST3の何れの箇所においても接触しないようにすることができるものであれば、形状や大きさは特に限定されない。本実施形態では、第三保護部材5は、フレーム17とフレーム18との間で手摺ST3に沿って延びており、手摺ST3の上面と両側面を覆うように形成されている。
【0037】
第一保護部材3、第二保護部材4、及び第三保護部材5は、フレーム体2とは別体である。また、第一保護部材3と第二保護部材4とは紐31で連結されている。使用状態において、紐31は、第三保護部材5と連結部材8との間を通る。これによって、アタッチメント1をセットするときに、第一保護部材3及び第二保護部材4の位置を維持することができる。なお、紐31は、笠木ST2と手摺ST3との間を通ってもよい。第一保護部材3、第二保護部材4、及び第三保護部材5は、材質として、布帛、発泡樹脂、またはゴム等で弾性(クッション性)、形状追随性、復元性あるものが用いられる。例えば、建物の工事現場で使用される養生用の中綿の入った袋布、発泡樹脂で建物の断熱材等に使用される押出ポリスチレンフォーム片、押出ポリエチレンフォーム片等、ゴム系の材料として発泡ウレタンゴム片等、が用いられる。なお、第一保護部材3、第二保護部材4、及び第三保護部材5は、予めフレーム体2に合わせて一体としてもよい。
【0038】
次に、本実施形態に係るアタッチメント1の寸法関係や位置関係についてより詳細に説明する。まず、第一保護部材3の厚さ(及び腰壁面WF1と第一部材6との間の距離)は、構造物STにおいて腰壁面WF1よりも外側へ突出する部分の突出量よりも大きくされている。また、第二保護部材4の厚さ(及び腰壁面WF2と第二部材7との間の距離)は、構造物STにおいて腰壁面WF2よりも外側へ突出する部分の突出量よりも大きくされている。本実施形態では、前述のように笠木ST2の側壁W2,W3が突出部分となっており、その突出量はt1で示される。従って、図1においてt2で示されている、第二保護部材4の厚さ(及び腰壁面WF2と第二部材7との間の距離)は、t1よりも大きくされている。また、図1では省略されているが、第一保護部材3の厚さ(及び腰壁面WF1と第一部材6との間の距離)もt2で示され、t1よりも大きくされている。これによって、第一部材6と笠木ST2とは接触することなく間に空間が形成され、第二部材7と笠木ST2とは接触することなく間に空間が形成される。
【0039】
なお、本実施形態では、笠木ST2の側壁W2,W3と腰壁面WF1,WF2との間の距離が突出量であったが、構造物STの形状によって異なっても良い。すなわち、構造物STにおける上端側の構成のうち、腰壁面WF1,WF2を基準にして最も外側に配置される部分と、腰壁面WF1,WF2との間の距離が突出量に該当する。例えば、笠木ST2の側壁W2,W3が外側へ向かって湾曲するような形状であった場合、湾曲形状における頂部と腰壁面WF1,WF2との間の距離が突出量となる。あるいは、腰壁ST1の厚さ方向において、笠木ST2よりも手摺ST3の方が大きく突出する場合、または手摺ST3が腰壁ST1の中心線から偏芯していることにより笠木ST2よりも片側に大きく突出している場合等は、手摺ST3の側面と腰壁面WF1またはWF2との間の距離が突出量となる。また、突出量は、腰壁面のWF1,WF2それぞれの側で互いに異なっていてもよい。
【0040】
また、第一部材6及び第二部材7の上下方向における長さ(より具体的には、フレーム体2の構造物STへの取り付けに関わる部分の長さ)は、第一部材6と第二部材7とが離間する距離よりも大きい。更に、第一部材6は、第二部材7に比して上下方向における長さが長い。フレーム体2の取り付けに関わる第一部材6の長さは、第一部材6のフレーム11,12の下端と連結部材8の平面17a,18a,19a,21aとの間の距離であり、L1で示される(図2参照)。フレーム体2の取り付けに関わる第二部材7の長さは、第二部材7のフレーム13,14の下端と連結部材8の平面17a,18a,19a,21aとの間の距離であり、L2で示される(図2参照)。第一部材6と第二部材7とが離間する距離は、第一部材6の平面11a,12aと、第二部材7の平面13a,14a,16aとの間の距離であり、L3で示される(図2参照)。このとき、L1,L2は、L3よりも大きくなる。更に、L1はL2よりも大きくなる。
【0041】
また、支持部材9は、荷揚げ装置100の荷降ろし状態における姿勢に応じて配置や大きさが定められている。具体的には、支持部材9において荷揚げ装置100を支持する部分、すなわち支持棒27は、第一部材6及び第二部材7の上端よりも下方に配置されると共に、水平方向において第一部材6から離間して配置されている。具体的には、荷揚げ装置100の荷降ろし状態において、平板106とアタッチメント1の上端との間の距離をなるべく小さくするように、支持部材9の上下方向における位置が設定される。これによって、重量物を平板106から降ろす際の位置が低くなり、荷降ろし作業の作業性が向上する。また、荷揚げ装置100の荷降ろし状態において、平板106の端部の位置が、アタッチメント1におけるベランダ内側の端部(すなわち腰壁ST1の厚さ方向における第二部材7の位置)になるべく近づくように、支持部材9の第一部材6からの離間距離が設定される。例えば、平板106の端部がベランダ外側に寄りすぎる場合、荷降ろし作業の際に平板106が遠くなってしまい荷降ろしが行いにくくなる。一方、平板106の端部がベランダ内側に寄りすぎる場合、ベランダの作業スペースが狭くなってしまう。従って、本実施形態では、平板106の端部の位置が最適となり、荷降ろし作業の作業性が向上する。
【0042】
以上のようなアタッチメント1を用いて重量物を荷揚げする作業手順について説明する。まず、例えば二階のベランダの腰壁ST1において荷揚げ装置100をセットする位置を決める。このとき、養生布団などで腰壁ST1、笠木ST2、手摺ST3を覆っても良い。次に、腰壁ST1の上方から紐31をまたがせ、腰壁面WF1に第一保護部材3をセットすると共に腰壁面WF2に第二保護部材4をセットする。その後、第一保護部材3、腰壁ST1、第二保護部材4を挟み込むようにして、腰壁ST1の上方からフレーム体2を被せて嵌入する。このとき、アタッチメント1のぐらつきがないことを確認する。
【0043】
アタッチメント1を構造物に取り付けた後、荷揚げ装置100のガイドレール101をアタッチメント1の支持棒27に立て掛け、フック28,29によって荷揚げ装置100の水平部材103を固定する。これによって、アタッチメント1を介して荷揚げ装置100と構造物STとが固定される。その後、荷揚げ作業用の作業人員を配置し(例えば、一階に一人、ベランダに二人)、一階で昇降機102の平板105上に重量物を載せる。このとき、斜め上方に傾いている平板106に立て掛けるようにして重量物を載せることができる。次に、ガイドレール101に沿って昇降機102を上昇させ、重量物を二階へ移動させる。昇降機102がガイドレール101の頂上まで到達すると、平板106が水平に開き荷降ろし状態となる。これに伴って平板に106に立て掛けられた重量物も水平状態となる。その後、昇降機102からベランダ内へ重量物の荷降ろしを行う。このように、構造物STに挿入したフレーム体2が保護部材を押さえ込み、腰壁ST1の両側の腰壁面WF1,WF2を挟み面接触してぐらつかないので、重量物の荷揚げでも梯子がずれたり、倒壊することはない(梯子の倒壊防止)。また、腰壁ST1、笠木ST2及び手摺ST3(アルミ製である)に直接荷揚げ装置100の荷重を掛けず、支持棒27にガイドレール101を掛ける仕様なので当該構造物STの損傷の可能性がない。また、例えばペニンシュラカウンター(約90kg)などの重いものでも安全に短時間にて搬入し、その後、例えばリターナブル梱包も昇降機102にて降ろす為、室内の安全を確保することができる。更に、アタッチメント1を用いれば、資材を配送するトラックの乗務員でも荷降ろしから荷揚げまでの作業を行うことができる等作業者の専門能力や季節・気候に左右されることなく作業を行うことができる。
【0044】
次に、本実施形態に係るアタッチメント1の作用・効果について説明する。
【0045】
本実施形態に係るアタッチメント1によれば、上下方向に延びると共に互いに離間する第一部材6と第二部材7、及び当該第一部材6と第二部材7とを連結する連結部材8を有している。従って、ベランダの腰壁ST1の上方からフレーム体2を被せて嵌入するようにしてアタッチメント1を構造物STに取り付けることができる。また、第一部材6には、第二部材7と反対側(つまり構造物の外側)に支持部材9が取り付けられているため、アタッチメント1は、構造物STに取り付けられた状態で、荷揚げ装置100を支持することができる。更に、第一部材6において第二部材7と対向する側には第一保護部材3が配置され、第二部材7において第一部材6と対向する側には第二保護部材4が配置されているため、取り付け時においては、第一保護部材3は構造物STと第一部材6との間に介在し、第二保護部材4は構造物STと第二部材7との間に介在することができる。これによって、取付時に第一部材6や第二部材7と構造物STとが直接接触してしまうことが防止され、構造物STの表面に傷がつくことを防止できる。特に、本実施形態に係るアタッチメント1において、第一保護部材3は少なくとも第一部材6の下端側に配置され、第二保護部材4は少なくとも第二部材7の下端側に配置されている。アタッチメント1の取り付け対象となる構造物STは、上端側には手摺ST3や笠木ST2などの凹凸が多い一方、笠木ST2より下側では平面状の腰壁面WF1,WF2が広がっており、強固な支持面を十分に確保できる構成である。従って、第一部材6及び第二部材7の下端を腰壁面WF1,WF2の位置まで延ばしておくことにより、第一保護部材3及び第二保護部材4は、広くて強固な腰壁面WF1,WF2において構造物と接触することができる。すなわち、アタッチメント1は、第一部材6と第二部材7によって、広くて強固な腰壁面WF1,WF2を第一保護部材3及び第二保護部材4を介して挟み込むようにして、構造物に取り付けられることができる。更に第一保護部材3及び第二保護部材4は面状の部材であるため、アタッチメント1は広くて強固な腰壁面WF1,WF2によってしっかりと面支持されることができる。これによって、位置ずれやがたつきを生じさせることなく、アタッチメント1を構造物STに十分に固定することができる。すなわち、アタッチメント1を構造物STに取り付ける際に、ねじなどによる固定を不要とすることができるため、構造物STの表面に傷がつくことを防止できる。また、第一保護部材3及び第二保護部材4を介して構造物STを第一部材6と第二部材7で挟み込むだけの作業で取り付けを行うことができるため、取り付け作業を容易に行うことができる。以上によって、構造物の表面に傷がつくことを防止することができると共に、作業性を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態に係るアタッチメント1において、第一部材6及び第二部材7の上下方向における長さは、第一部材6と第二部材7とが離間する距離よりも大きい。例えば、第一部材6と第二部材7の長さが短すぎる場合、荷揚げ作業の際に係る負荷によって、アタッチメント1が構造物STの上端部から(例えば、ベランダの外側へ向かって転がるように)設置位置のずれ、がたつき、構造物の上端部からアタッチメントがはずれて脱落する可能性がある。しかしながら、第一部材6及び第二部材7の上下方向における長さを、第一部材6と第二部材7とが離間する距離より大きくして十分な長さを確保することによって、アタッチメント1の位置ずれ、がたつき、脱落を一層確実に防止することができる。これによって、荷揚げの対象物の重量が重くなったとしても、アタッチメント1をねじ等で固定することなく、構造物STに取り付けることができる。
【0047】
また、本実施形態に係るアタッチメント1において、第一部材6は、第二部材7に比して上下方向における長さが長い。荷揚げ装置100を支持する支持部材9は第一部材6に取り付けられている。従って、荷揚げ装置100を支持したときには、アタッチメント1には、第一部材6の下端側が構造物STへ押付けられる方向へモーメントが作用する。従って、第一部材6の長さを長くすることによって、アタッチメント1の位置ずれやがたつきを一層確実に防止することができる。
【0048】
また、本実施形態に係るアタッチメント1において、構造物STは、腰壁ST1を有すると共に、当該腰壁ST1の厚さ方向において腰壁面WF1,WF2より外側へ突出する突出部分(笠木ST2の側壁W2,W3)を有しており、第一保護部材3は腰壁ST1の腰壁面WF1と第一部材6との間に配置され、第二保護部材4は腰壁ST1の腰壁面WF2と第二部材7との間に配置され、第一保護部材3及び第二保護部材4の厚さは、突出部分の突出量よりも大きい。これによって、構造物STが腰壁面WF1,WF2よりも外側に突出する部分(笠木や手摺など)を有していたとしても、これらの突出部分の突出量よりも保護部材3,4の厚さの方が大きいため、第一部材6や第二部材7と、構造物STの突出部分が接触することを防止することができる。
【0049】
また、本実施形態に係るアタッチメント1において、支持部材9において荷揚げ装置100を支持する支持棒27は、第一部材6及び第二部材7の上端よりも下方に配置されると共に、水平方向において第一部材6から離間して配置されている。このような構成により、荷揚げ装置100における昇降機102がガイドレール101の上端側に到達し、荷降ろし状態となったときにおける昇降機102の姿勢に対応することができる。
【0050】
また、本実施形態に係るアタッチメント1において、第一部材6、第二部材7、及び連結部材8は、断面L字状のフレームによって構成されている。このように、フレーム構造とすることによって、アタッチメント1全体の重量を軽くすることができる。また、第一部材6、第二部材7、及び連結部材8として板材を用いた場合に比して、アタッチメント1の強度を向上させることができると共に、変形も抑えることができる。
【0051】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0052】
例えば、上述の実施形態では第一保護部材と第二保護部材とが分離されている構成であったが、一枚の保護部材として一体とされていてもよい。図3に示す例では、第一保護部材43と第二保護部材44とは、第三保護部材45を介して上端側において互いに連結されている。これによって第一保護部材43、第二保護部材44、第三保護部材45が一枚の保護部材として、構造物STを保護している。これによって、第一部材6、連結部材8、第二部材7の取付面を全て保護部材で覆うことが可能となり、腰壁ST1のみならず笠木ST2や手摺ST3も確実に保護することができる。
【0053】
また、上述の実施形態において、フレーム体2と保護部材は別体とされていたが、保護部材をフレーム体2に直接固定してもよい。そのとき、第一保護部材3及び第二保護部材4は、布帛、発泡樹脂、またはゴムによって構成されることが好ましい。第一保護部材3や第二保護部材4の材質として、このような材質を用いることによって、第一部材6や第二部材7に直接保護部材を固定することができる。これによって、アタッチメント1の取り付け作業の作業性が向上すると共に、保護部材を付け替えることなく繰り返し使用することができる。
【0054】
また、フレーム体を構成するフレームは断面L字状のものに限定されず、異なる形状のフレームを用いることができる。また、第一部材、第二部材、連結部材をフレーム構造ではなく、三つの面材を断面コ字状に組み合わせることで構成してもよい。また、アタッチメントによって支持される荷揚げ作業用装置として荷揚げ装置100を例示したが、梯子だけであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…アタッチメント、2…フレーム体、3…第一保護部材、4…第二保護部材、6…第一部材、7…第二部材、8…連結部材、9…支持部材、27…支持棒、ST…構造物、ST1…腰壁、ST2…笠木、ST3…手摺、100…荷揚げ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に取り付けられると共に、荷揚げ装置または梯子を支持するアタッチメントであって、
上下方向に延びる第一部材と、
前記第一部材から離間して対向するように上下方向に延びる第二部材と、
前記第一部材の上端側と前記第二部材の上端側とを連結する連結部材と、
前記第二部材と反対側の位置において前記第一部材に取り付けられており、前記荷揚げ装置または梯子を支持する支持部材と、
前記第一部材の少なくとも下端側において、前記第二部材と対向する側の位置に配置され、前記第一部材から前記構造物を保護する面状の第一保護部材と、
前記第二部材の少なくとも下端側において、前記第一部材と対向する側の位置に配置され、前記第二部材から前記構造物を保護する面状の第二保護部材と、を備えることを特徴とするアタッチメント。
【請求項2】
前記第一部材及び前記第二部材の上下方向における長さは、前記第一部材と前記第二部材とが離間する距離よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のアタッチメント。
【請求項3】
前記第一部材は、前記第二部材に比して上下方向における長さが長いことを特徴とする請求項2記載のアタッチメント。
【請求項4】
前記構造物は、腰壁を有すると共に、当該腰壁の厚さ方向において一方の腰壁面または他方の腰壁面より外側へ突出する突出部分を有しており、
前記第一保護部材は前記腰壁の一方の腰壁面と前記第一部材との間に配置され、
前記第二保護部材は前記腰壁の他方の腰壁面と前記第二部材との間に配置され、
前記第一保護部材または前記第二保護部材の厚さは、前記突出部分の突出量よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のアタッチメント。
【請求項5】
前記第一保護部材及び前記第二保護部材は、布帛、発泡樹脂、またはゴムによって構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のアタッチメント。
【請求項6】
前記構造物は、腰壁を有すると共に、当該腰壁の上端側に笠木及び手摺を有しており、
前記第一保護部材と前記第二保護部材とは上端側において互いに連結されていると共に、前記第一部材、前記連結部材、及び前記第二部材から前記笠木及び前記手摺を保護することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のアタッチメント。
【請求項7】
前記支持部材において前記荷揚げ装置または梯子を支持する部分は、前記第一部材及び前記第二部材の上端よりも下方に配置されると共に、水平方向において前記第一部材から離間して配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載のアタッチメント。
【請求項8】
前記第一部材、前記第二部材、及び前記連結部材は、断面L字状のフレームによって構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載のアタッチメント。
【請求項9】
上下方向に延びる第一部材と、
前記第一部材から離間して対向するように上下方向に延びる第二部材と、
前記第一部材の上端側と前記第二部材の上端側とを連結する連結部材と、
前記第二部材と反対側の位置において前記第一部材に取り付けられており、前記荷揚げ装置または梯子を支持する支持部材と、を有する請求項1〜8のいずれか一項記載のアタッチメントに用いられるフレーム体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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