説明

アダプタシステム

本発明では、ディジタルカメラ等の撮像装置を顕微鏡のCマウント部ばかりでなく、顕微鏡の接眼レンズ部側にも装着できるので、ディジタルカメラ等の撮像装置を使って手軽に顕微鏡の拡大像を撮像することができる。また補助アダプタを用いることで、2つの異なる径の接眼レンズ部に対応でき簡単に撮像することができる。さらに、本体に第2の筒部を設け上記Cマウント部とは形状の異なる別のCマウント部に挿入して係止させるようにした。これにより、第1のアダプタのうち本体のみを用いてCマウント部に撮像装置を接続することができ、余分なアダプタを使うことなく簡単に顕微鏡の画像を撮像することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、例えばディジタルカメラを顕微鏡に適用するためのアダプタシステムに関する。
【背景技術】
近年のディジタルカメラの普及には目覚ましいものがあり、機能や価格面等において従来の銀塩カメラと遜色のないものとなってきた。従来から、このようなディジタルカメラを顕微鏡に装着して拡大された像を撮像することが行われているが、その場合、顕微鏡の接眼レンズ部とは別の位置に設けられたCマウント部にディジタルカメラを装着していた。
なお、本発明に関連する技術は例えば特許第3296810号に開示されている。
しかしながら、Cマウント部を有する顕微鏡は高価であることから、折角ディジタルカメラが普及してきた状況にありながら、顕微鏡の拡大像をディジタル画像として得ることは非常に困難な状況にある。
また、Cマウント部の形状等は顕微鏡のメーカーによって異なる。そのため、Cマウント部が設けられた顕微鏡を所有する利用者であっても、例えばその利用者が異なるメーカーの顕微鏡を複数所有する場合には、1つのカメラを異なるメーカーのCマウント部に接続することはできない。したがって、それぞれのCマウントの形状に合わせて複数のカメラを用意しなけばならない。
さらに、上記特許文献1には、ディジタルカメラを、アダプタを介して接眼レンズ部に装着する技術が開示されているが、アダプタの接眼レンズ部への着脱がさらに容易に行えることが要請される。また装着した場合にディジタルカメラが顕微鏡の拡大像を撮像できるようにするための光学的な条件を満たす必要がある。
【発明の開示】
上記事情に鑑み本発明の目的は、ディジタルカメラ等の撮像装置を使って手軽に顕微鏡の拡大像を撮像することができるアダプタシステムを提供することにある。
本発明の別の目的は、より広い汎用性を有し、アダプタの接眼レンズ部への着脱が容易に行うことができ、ディジタルカメラ等の撮像装置が顕微鏡の拡大像を撮像できるようにするための光学的な条件を満たすアダプタシステムを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係るアダプタシステムは、(a)一端が第1の内径を有する顕微鏡の接眼レンズ挿入部に挿入可能であるとともに他端に撮像装置が装着可能な本体であって、内部に設けられた光路と、前記第1の内径を有する接眼レンズ挿入部に対して前記光路の光軸方向上の第1の位置で当該本体を係止させるための第1の筒部と、当該本体の一端が顕微鏡の第1のCマウント部に挿入可能であって、該第1のCマウント部に対して前記光軸方向上の第2の位置で当該本体を係止するための第2の筒部とを有する本体と、前記本体の一端に装着可能であって外径が前記一端より大きく形成され、前記第1の内径よりも大きい第2の内径を有する顕微鏡の接眼レンズ挿入部に挿入可能であって、前記第2の内径を有する顕微鏡の接眼レンズ挿入部に対して前記光軸方向上の前記第1の位置で前記本体を係止させるための第3の筒部を有する補助アダプタと、前記本体内部の光路上に配置され、前記本体または前記補助アダプタが装着された本体が、前記第1または第2の内径を有する接眼レンズ挿入部に挿入されて前記第1の位置で係止された状態で、または、前記本体の一端が前記第1のCマウント部に挿入されて前記第2の位置で係止された状態で、前記第1または第2の内径を有する顕微鏡の接眼レンズ挿入部、または、前記第1のCマウント部を介した像を前記本体に装着された前記撮像装置の特定の位置に結像させるレンズ系とを有する第1のアダプタと、(b)一端が顕微鏡の前記第1のCマウント部とは形状の異なる第2のCマウント部に係合可能であるとともに、他端に前記補助アダプタが装着された前記第1のアダプタの一端が挿入可能であり、一端が前記第2のCマウント部に係合し、かつ、該他端に前記補助アダプタが装着された前記第1のアダプタの一端が挿入された状態で、前記第2のCマウント部に対して前記光軸上の第3の位置で前記本体を係止させるとともに、当該係止した状態で、前記第1のアダプタに装着された前記撮像装置の前記特定の位置に前記第2のCマウント部を介して像を結像させる光路長の光路を内部に有する第2のアダプタとを具備する。
本発明では、ディジタルカメラ等の撮像装置を顕微鏡のCマウント部ばかりでなく、顕微鏡の接眼レンズ部側にも装着できるので、ディジタルカメラ等の撮像装置を使って手軽に顕微鏡の拡大像を撮像することができる。また補助アダプタを用いることで、2つの異なる径の接眼レンズ部に対応でき簡単に撮像することができる。さらに、第2の筒部と第2のアダプタとを設けたので、第1のアダプタを形状の異なる2つ以上のCマウント部にも挿入または係合させることができる。これにより、本アダプタシステムにより広い汎用性を持たせることができる。
また、ディジタルカメラ等の撮像装置を第1または第2のCマウント部に装着した状態と顕微鏡の接眼レンズ部に接眼レンズが装着された状態とで光学的に同一条件とされている。そのため、接眼レンズを介して顕微鏡を覗いた像と撮像装置で撮像される像が光学的に一致する。従って、接眼レンズを介して顕微鏡を覗きながら、撮像装置による撮像が可能となる。
また、本発明では、本体に第2の筒部を設け第1のCマウント部に挿入して係止させるようにした。これにより、第1のアダプタのうち本体のみを用いて第1のCマウント部に撮像装置を接続することができ、余分なアダプタを使うことなく簡単に顕微鏡の画像を撮像することができる。したがって、本アダプタシステムにより広い汎用性を持たせることができる。
さらに、本発明では、本体に設けられた第1の筒部によっても補助アダプタに設けられた第3の筒部によっても、光軸方向上の第1の位置、すなわち同じ位置に本体を係止させることができる。従って、2つの異なる径の接眼レンズ部のそれぞれについて撮像装置で撮像する場合、それぞれ光路長等の光学的条件を同じにすることができる。一方、従来において例えば接眼レンズ部にアダプタを差し込んで装着した場合に、アダプタが接眼レンズ部の中に入ってしまいアダプタが抜き出せないという問題があった。本発明によれば第3の筒部を設けたことによりそのような問題を回避することができ、アダプタの着脱を容易に行うことができる。すなわち、本発明によれば光学的な条件を満たしつつもアダプタの着脱を容易に行うことができるようになる。第2の筒部は第1の筒部と同じものであってもよい。
本発明の一の形態では、前記第1のアダプタの一端が前記第1のCマウント部に挿入された状態で、該第1のアダプタを第1のCマウント部に対して固定するための固定用アダプタをさらに具備する。第1のCマウント部はほとんどの顕微鏡で地面に対して鉛直に設けられているため、本発明のような固定用アダプタがなくても撮像はできる場合がある。しかしこのような固定用アダプタを設けることでより確実に撮像装置を固定することができる。
本発明の一の形態では、前記第3の筒部の前記光軸方向の長さが9mm〜10mmである。このように9mm〜10mmという比較的長い筒部を設けることにより、光学的条件を満たしながら、接眼レンズ挿入部に補助アダプタが入って抜き出せなくなることを防止することができる。
本発明の一の形態では、前記補助アダプタは、外周面に装着された第1のOリングと、内周面に装着され、前記第1のOリングとは材質の異なる第2のOリングとを具備する。例えば撮像装置を第1のアダプタを介して接眼レンズ挿入部に装着する場合斜め方向に装着されるために撮像装置が不意に回転しやすい。本発明では第1のOリングと第2のOリングとによりそのような撮像装置の不意の回転を防止することができる。また本発明では、第1のOリングと第2のOリングとは材質が異なり、例えば2つのOリングの硬さを異ならせる。そうすることで第1のアダプタに補助アダプタを装着するときに必要な力と、補助アダプタが装着された第1のアダプタを接眼レンズ挿入部に挿入するときに必要な力とを異ならせることができる。例えば補助アダプタが装着された第1のアダプタを接眼レンズ挿入部に挿入するときに必要な力の方を他方より小さくなるように設定することでスムーズに接眼レンズ挿入部に挿入できる。一方、第1のアダプタ、補助アダプタはそれぞれ片手で優に持つことができる大きさである。そのため、第1のアダプタに補助アダプタを装着するときに必要な力を比較的大きくなるように設定しても容易に補助アダプタを第1のアダプタに装着できる。
本発明の一の形態では、前記第1のOリングはシリコンゴムからなり、前記第2のOリングはニトリルゴムからなる。第2のOリングがニトリルゴムからなることより耐磨耗性に優れ効果的である。一方、第1のOリングがシリコンゴムからなることより、「粘りけ」が比較的強い。そのため、ディジタルカメラ等の不意の回転を防止しつつも、例えば補助アダプタが装着された第1のアダプタを接眼レンズ挿入部に挿入するときに必要な力を必要最小限に抑えることができる。
本発明の一の形態では、前記第1のOリングと前記第2のOリングとは色が異なる。これにより、第1及び第2のOリングの取り付けミスを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の一実施の形態に係る光学アダプタの構成を示す断面図である。
図2は内径φ23.2の接眼レンズ挿入部に光学アダプタを装着した状態を示す図である。
図3は図1に示す光学アダプタを第1のCマウント部に装着した状態を示す図である。
図4は図1に示す光学アダプタをさらに別の第1のCマウントに装着した状態を示す図である。
図5はφ30アダプタを示す断面図である。
図6はCマウントアダプタを示す断面図である。
図7は図1に示す光学アダプタに図5に示すφ30アダプタを装着した状態を示す図である。
図8は図1に示す光学アダプタに図5に示したφ30アダプタ及び図6に示したCマウントアダプタを装着した状態を示す図である。
図9は第2のCマウント部にCマウントアダプタを介して光学アダプタを装着した状態を示す図である。
図10は内径φ30の接眼レンズ挿入部にφ30アダプタを取り付けた光学アダプタを装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1に示すように、光学アダプタ1の本体2は段付き円筒の形状を有しており、第1の筒部としての小径筒部41を有している。また、本体2は第2の筒部としての大径筒部42を有している。小径筒部の光軸方向の長さdは例えば9mm〜10mmに形成されている。本体2の一端3の径は最小に形成されており、顕微鏡の接眼レンズ挿入部に挿入され、小径筒部41で接眼レンズ挿入部の入り口で係止する。これにより光学アダプタ1は接眼レンズ挿入部に対して光軸方向上の第1の位置で係止するように構成されている。
ここでいう第1の位置とは、図2に示すように、顕微鏡32の接眼レンズ挿入部34aに対する、光軸70の方向上の光学アダプタ1の位置をいう。別の見方をすれば、第1の位置は、光学アダプタ1が接眼レンズ挿入部34の先端に当接する位置、すなわち小径筒部41の下端41aが形成される位置となる。図2に示す顕微鏡の接眼レンズ部34aは例えば第1の内径を有し、例えば第1の内径は、φ23.2である。
本体2の他端6には、撮像装置としてのディジタルカメラやCCDカメラが装着できるようになっている。例えば、本体2の他端6の外周部には、ディジタルカメラのレンズ部が螺着されるネジ部7が設けられている。本体2の他端6の内周部には、CCDカメラのレンズ部が挿入される挿入部8が設けられている。ここで、ディジタルカメラとCCDカメラとは光学アダプタ1を介して顕微鏡に装着された際に顕微鏡からの光学的な像が一致するような光路長となるようにされている。また、本体2の上部付近に、挿入部8に挿入されたCCDカメラを固定するためのネジが螺着されるネジ穴を設けてもよい。CCDカメラにはパソコン等から配線されるのが通常であり、図示しない当該ネジ穴を介して図示しないネジによりCCDカメラを固定することにより、配線等に引っ張られてCCDカメラが不意に回転することを防止することができる。
本体2の内部には、顕微鏡からの光学的な像を通過させるための光路10が設けられている。本体2の内部の光路10上には、本体2の一端3が顕微鏡の接眼レンズ挿入部に挿入されて上記第1の位置で係止された状態で、顕微鏡の接眼レンズ挿入部を介した像を本体2に装着されたディジタルカメラやCCDカメラの特定の位置に結像させるレンズ系11が設けられている。
また、本体2内の光路10上の焦点位置には、ガラスミクロ12が着脱可能なガラスミクロ設置部13が設けられている。ガラスミクロ設置部13は、本体2の一端3側からガラスミクロ12を挿入して本体2の一端3側の内壁に設けられた突き出し部14に止めて、本体2の一端3側の内周に螺着されるリング部材15と突き出し部14との間にガラスミクロ12を挟むようにして構成されるものである。本発明に係る光学アダプタでは特に光路10上にこのようなガラスミクロ設置部13を設けることが可能であり、ガラスミクロ12が着脱可能なかかる構成のガラスミクロ設置部13を設けることで顕微鏡の像に寸法線等の様々な像を重畳することが可能となる。
本実施の形態では、図3に示すように例えば光学アダプタ1の他端6にディジタルカメラ31を装着し、光学アダプタ1の他端3を第1のCマウント部としての直筒部46に挿入することができる。符号48は接眼レンズ部である。このとき、大径筒部42が直筒部46の内側のフランジ46aに当接して第2の位置で係止する。これにより、顕微鏡40により得られる拡大像をディジタルカメラ31で撮像することができる。なお、大径筒部42がフランジ46aに当接して係止した後、直筒部46に設けられたネジ47で締めて固定すればよい。これにより、従来に比べより広い汎用性を光学アダプタ1に持たせることができる。
ここでいう第2の位置とは、図3で示すように光軸70の方向上の直筒部46に対する光学アダプタ1の位置をいう。別の見方をすれば、第2の位置とは、光学アダプタ1がフランジ46aに当接する位置、すなわち大径筒部42の下端42aが形成される位置である。
また、図4に示すような顕微鏡140の構造の場合、光学アダプタ1の他端6にディジタルカメラ31を装着し、光学アダプタ1の他端3を図3に示すものとは別の第1のCマウント部としての直筒部146に挿入することができる。148は接眼レンズ部である。このとき、小径筒部41が直筒部146の上端に設けられた突起部146aに当接して上記第2の位置で係止する。これにより、顕微鏡140により得られる拡大像をディジタルカメラ31で撮像することができる。
光学アダプタ1を直筒部146に取り付ける際は、以下のように作業する。例えば、リング状の固定用アダプタ51を用意して図示するようにはめ込み、小径筒部41が突起部146aに当接して係止した後、固定用アダプタ51に設けられたネジ49、50で締めて固定する。直筒部146はほとんどの顕微鏡で地面に対して鉛直に設けられているため、固定用アダプタ51がなくても撮像はできる。しかしこのような固定用アダプタ51を設けることでより確実にディジタルカメラを固定することができる。
ここでいう第2の位置とは、図3で示すように光軸70の方向上の直筒部146に対する光学アダプタ1の位置をいう。別の見方をすれば、第2の位置とは、光学アダプタ1が突起部146aに当接する位置、すなわち小径筒部41の下端41aが形成される位置である。
顕微鏡の接眼レンズ挿入部の内径は規格として上述したφ23.2とφ30の2つがある。そこで、光学アダプタ1の本体2の接触部5の外径をφ23.2とし、その外周に、補助アダプタとして、例えば図5に示すように外径がφ30弱のφ30アダプタ16(内径がφ23.2強)を取り付け可能とする。これにより両方の規格に対応可能となる。このφ30アダプタ16には、第3の筒部としての大径部16cが形成されている。この大径部16cの光軸方向の長さeは例えば9mm〜10mmとされており、上記小径筒部41の長さdと同一とされている。
図1に示した状態の光学アダプタ1を用いることで、内径φ23.2の接眼レンズ挿入部を有する顕微鏡に対してディジタルカメラ等を取り付けることができる。また図7に示すように図1に示した光学アダプタ1に図5に示すφ30アダプタ16を装着することで、内径φ30の接眼レンズ挿入部を有する顕微鏡に対してディジタルカメラ等を上記第1の位置で取り付けることができる(図10参照)。
ここでいう第1の位置とは、内径φ30の接眼レンズ挿入部34bに対する、光軸70の方向上の光学アダプタ1の位置をいう。別の見方をすれば、第1の位置とは、光学アダプタ1にφ30アダプタ16を取り付け、そのφ30アダプタ16が接眼レンズ挿入部34bの先端に当接する位置、すなわち大径部16cの下端16dが形成される位置である。
図1、図5に示したように長さdとeとが同一であるため、同じ位置でφ30アダプタ16を用いる場合と用いない場合とで、同一の光路長を形成させることができる。すなわち、小径筒部41によっても、φ30アダプタ16の大径部16cによっても、光軸方向上の第1の位置、つまり接眼レンズ挿入部34a、34bに対して同じ位置で光学アダプタ1を係止させることができる。このように同じ位置に本体2を係止させることができるので光学的条件を同一にすることができる。
図5はそのφ30アダプタ16を示す断面図である。このφ30アダプタ16の外周16aの例えば2カ所にはOリング27がはめ込まれている。アダプタ16の内周16bの例えば1カ所にもOリング28がはめ込まれている。これら外側及と内側のOリング27、28は互いに異なる材質からなる。そうすることで光学アダプタ1にφ30アダプタ16を装着するときに必要な力と、φ30アダプタ16が装着された光学アダプタ1を接眼レンズ挿入部34b(図10参照)に挿入するときに必要な力とを異ならせることができる。
例えばφ30アダプタ16が装着された光学アダプタ1を接眼レンズ挿入部34bに挿入するときに必要な力の方を、光学アダプタ1にφ30アダプタ16を装着するときに必要な力より小さくなるように設定する。これは、例えば外側のOリング27を内側Oリング28より柔らかい材質を用いることで実現できる。これによりスムーズに接眼レンズ挿入部34bにφ30アダプタ16が装着された光学アダプタ1を挿入できる。一方、光学アダプタ1、φ30アダプタ16はそれぞれ、人が片手で優に持つことができる大きさである。そのため、光学アダプタ1にφ30アダプタ16を装着するときに必要な力を、φ30アダプタ16が装着された光学アダプタ1を接眼レンズ挿入部34bに挿入するときに必要な力より大きくなるように設定しても容易にφ30アダプタ16を第1のアダプタに装着できる。
具体的には、外側のOリング27は例えばシリコンゴムとし、内側のOリング28は例えばニトリルゴムとすればよい。内側のOリング28が比較的硬いニトリルゴムとすることより耐磨耗性に優れ効果的である。あるいは内側のOリング28をスチレンブタジエンゴムとすることによりさらに優れた耐磨耗性を確保することができる。一方、外側のOリング27をシリコンゴムとすることにより、「粘りけ」が比較的強くなる。そのため、ディジタルカメラ31等の不意の回転を防止しつつも、上記したように例えばφ30アダプタ16が装着された光学アダプタ1を接眼レンズ挿入部34に挿入するときに必要な力を必要最小限に抑えることができる。
また、外側のOリング27と内側のOリング28とは色が異なる。これにより、第1及び第2のOリングの取り付けミスを防止することができる。例えば、外側のOリング27を青とし、内側のOリング28を黒とすることができる。しかしこれらの色に限られるものではない。
次にCマウントアダプタについて説明する。
図6に示すように、Cマウントアダプタ21は筒状の形状を有しており、その一端22には、顕微鏡の第2のCマウント部としての直筒部等に係合、つまり螺着するためのネジ部23が設けられている。また、他端24には、光学アダプタ1の一端3が挿入されて所定の位置で係止する挿入部25が設けられている。図8に示すように、この他端24の挿入部25にφ30アダプタ16を介して光学アダプタ1の一端3が挿入されて所定の位置で係止した状態で、光学アダプタ1に装着されたディジタルカメラやCCDカメラの上記の特定の位置に顕微鏡のCマウント部を介して像を結像させる光路長の光路26がCマウントアダプタ21の内部に設けられている。なお、他端24の挿入部25の外周には、挿入部25に挿入された光学アダプタ1と固定するためのネジ30が螺着されるネジ穴29が設けられている。
本実施の形態に係るφ30アダプタ16とCマウントアダプタ21とを用いた場合、本発明の一実施の形態に係るアダプタシステムは例えば以下のように使用することができる。
例えば図9に示すように、ディジタルカメラ31を顕微鏡232のCマウント部33側で使用するような場合には、Cマウントアダプタ21、φ30アダプタ16及び光学アダプタ1を介してディジタルカメラ31を顕微鏡232のCマウント部33に第3の位置で取り付ける。CCDカメラについても同様である。この場合には、ユーザは顕微鏡232の接眼レンズ部34から、ディジタルカメラ31に写っている像と光学的に同一の像を確認することができる。
ここでいう第3の位置とは、図9に示すようにCマウント部33に対する、光軸70の方向上の光学アダプタ1の位置をいう。別の見方をすれば、第3の位置とは、Cマウントアダプタ21のネジ部23が形成される位置である。
またディジタルカメラ31を顕微鏡32の接眼レンズ部34aで使用するような場合には、先に説明した図2で示したように、光学アダプタ1を介してディジタルカメラ31を顕微鏡32の接眼レンズ部34a、または34bに取り付ける。CCDカメラについても同様である。
さらに、ディジタルカメラ31を顕微鏡132の接眼レンズ部34bで使用するような場合には、先に説明した図10で示したように、φ30アダプタ16が取り付けられた光学アダプタ1を介してディジタルカメラ31を顕微鏡132の接眼レンズ部34bに取り付ける。CCDカメラについても同様である。
これにより、Cマウント部を持たない通常の顕微鏡についてもディジタルカメラを使用することができるようになる。
一方、従来において例えば接眼レンズ部に、φ30アダプタを差し込んで装着した場合に、φ30アダプタが接眼レンズ部の中に入ってしまいφ30アダプタが抜き出せないという問題があった。本実施の形態によればφ30アダプタ16によれば大径部16cを設けたことによりそのような問題を回避することができる。しかもその長さが9mm〜10mmと比較的長く形成されているため、アダプタの着脱を容易に行うことができる。すなわち、本実施の形態によれば光路長等の光学的な条件を満たしつつもアダプタの着脱を容易に行うことができるようになる。
本発明は以上説明した実施の形態には限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば撮像装置としてCMOSカメラを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
以上説明したように、本発明によれば、ディジタルカメラ等の撮像装置を使って手軽に顕微鏡の拡大像を撮像することができる。またアダプタの接眼レンズ部への着脱が容易に行うことができるとともに、ディジタルカメラ等の撮像装置が顕微鏡の拡大像を撮像できるようにするための光学的な条件を満たすことができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)一端が第1の内径を有する顕微鏡の接眼レンズ挿入部に挿入可能であるとともに他端に撮像装置が装着可能な本体であって、内部に設けられた光路と、前記第1の内径を有する接眼レンズ挿入部に対して前記光路の光軸方向上の第1の位置で当該本体を係止させるための第1の筒部と、当該本体の一端が顕微鏡の第1のCマウント部に挿入可能であって、該第1のCマウント部に対して前記光軸方向上の第2の位置で当該本体を係止するための第2の筒部とを有する本体と、
前記本体の一端に装着可能であって外径が前記一端より大きく形成され、前記第1の内径よりも大きい第2の内径を有する顕微鏡の接眼レンズ挿入部に挿入可能であって、前記第2の内径を有する顕微鏡の接眼レンズ挿入部に対して前記光軸方向上の前記第1の位置で前記本体を係止させるための第3の筒部を有する補助アダプタと、
前記本体内部の光路上に配置され、前記本体または前記補助アダプタが装着された本体が、前記第1または第2の内径を有する接眼レンズ挿入部に挿入されて前記第1の位置で係止された状態で、または、前記本体の一端が前記第1のCマウント部に挿入されて前記第2の位置で係止された状態で、前記第1または第2の内径を有する顕微鏡の接眼レンズ挿入部、または、前記第1のCマウント部を介した像を前記本体に装着された前記撮像装置の特定の位置に結像させるレンズ系とを有する第1のアダプタと、
(b)一端が顕微鏡の前記第1のCマウント部とは形状の異なる第2のCマウント部に係合可能であるとともに、他端に前記補助アダプタが装着された前記第1のアダプタの一端が挿入可能であり、
一端が前記第2のCマウント部に係合し、かつ、該他端に前記補助アダプタが装着された前記第1のアダプタの一端が挿入された状態で、前記第2のCマウント部に対して前記光軸上の第3の位置で前記本体を係止させるとともに、当該係止した状態で、前記第1のアダプタに装着された前記撮像装置の前記特定の位置に前記第2のCマウント部を介して像を結像させる光路長の光路を内部に有する第2のアダプタと
を具備することを特徴とするアダプタシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のアダプタシステムであって、
前記第1のアダプタの一端が前記第1のCマウント部に挿入された状態で、該第1のアダプタを第1のCマウント部に対して固定するための固定用アダプタをさらに具備することを特徴とするアダプタシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のアダプタシステムであって、
前記第3の筒部の前記光軸方向の長さが9mm〜10mmであることを特徴とするアダプタシステム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のアダプタシステムであって、
前記補助アダプタは、
外周面に装着された第1のOリングと、
内周面に装着され、前記第1のOリングとは材質の異なる第2のOリングと
を具備することを特徴とするアダプタシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のアダプタシステムであって、
前記第1のOリングはシリコンゴムからなり、前記第2のOリングはニトリルゴムからなる。
【請求項6】
請求項4に記載のアダプタシステムであって、
前記第1のOリングと前記第2のOリングとは色が異なることを特徴とするアダプタシステム。

【国際公開番号】WO2004/109362
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−500542(P2005−500542)
【国際出願番号】PCT/JP2003/007088
【国際出願日】平成15年6月4日(2003.6.4)
【特許番号】特許第3769591号(P3769591)
【特許公報発行日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(599120554)
【Fターム(参考)】