説明

アダプターを備えた継手

【課題】構造を簡単にして組付けを容易にすることができ、製造コストの低減を図ることができると共に、ポリオレフィン樹脂製の樹脂パイプとそれとは異なる異種パイプとの接続を容易に行うことができるアダプターを供えた継手を提供する。
【解決手段】継手本体11は、一端に樹脂パイプ15が差し込まれる差込孔16を有すると共に、他端にアダプター17が挿入されるアダプター挿入孔18を有している。継手本体11の一端には第1キャップ21が連結され、他端には第2キャップ22が連結されている。継手本体11の一端と第1キャップ21との間には、樹脂パイプ15を抜け止めする抜け止めリング27が挟持されている。アダプター17の外端部には異種パイプ36が接続される。アダプター17の外周部には係合部37が設けられ、第2キャップ22の内周部に設けられた係止部34に係合して抜け止めされるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば給水用や給湯用の配管システムにおいて架橋ポリエチレン製やポリブテン製の樹脂パイプと、塩化ビニル樹脂製のパイプとを接続するために使用されるアダプターを備えた継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、給水用や給湯用或いは排水用のパイプとして架橋ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレフィン樹脂製の樹脂パイプが使用されるようになってきた。一方、給水栓や止水栓までの接続には例えば塩化ビニル樹脂等の前記樹脂パイプとは異なる異種パイプが使用されている。これらの樹脂パイプと異種パイプとを接続する継手として、例えば次のような接続継手用アダプターが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この接続継手用アダプターは、既設パイプと樹脂パイプとを接続するものであって、アダプターの一端を止水機能とパイプ保持機能を備えたパイプ継手に対して差し込み可能な形状とし、アダプターの他端を既設パイプに接着接合可能な形状としたものである。この接続継手用アダプターによれば、構造の簡略化によって部品点数の削減とネジ込み工程の省略を図ることができる。
【特許文献1】特開2007−2917号公報(第2頁、第4頁及び第5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載された従来の接続継手用アダプターにおいては、パイプ継手の両端に設けられているパイプ保持機能をもたらすコレットが内側に爪部を有する構造を有し、その構造が複雑であると共に、組付けが面倒であり、製造コストの嵩むものであった。このようなコレットは、一般にポリオレフィン樹脂製の樹脂パイプの抜け止めに使用され、塩化ビニル樹脂やABS樹脂製のパイプには使用されていない。そのため、コレットを塩化ビニル樹脂やABS樹脂製のパイプ(アダプター)に適合して十分な抜け止め機能を発揮できるように構成する必要があった。
【0005】
そこで本発明の目的とするところは、構造を簡単にして組付けを容易にすることができ、製造コストの低減を図ることができると共に、ポリオレフィン樹脂製の樹脂パイプとそれとは異なる異種パイプとの接続を容易に行うことができるアダプターを供えた継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明のアダプターを備えた継手は、一端にポリオレフィン樹脂製の樹脂パイプが接続され、他端に前記樹脂パイプとは異なる異種パイプが接続されるものである。すなわち、一端に樹脂パイプが差し込まれる差込孔を有すると共に、他端にアダプターの内端部が挿入されるアダプター挿入孔を有する継手本体と、該継手本体の一端に連結される第1キャップと、継手本体の一端及び第1キャップの間に挟持され樹脂パイプを抜け止めする抜け止め部材と、継手本体の内周部に設けられ樹脂パイプとの間を止水する第1シールリングと、継手本体の他端に連結される第2キャップと、継手本体の内周部に設けられアダプターとの間を止水する第2シールリングと、内端部がアダプター挿入孔に挿入され、外端部に異種パイプが接続されるアダプターとを有し、アダプターの外周部に設けられた係合部が第2キャップの内周部に設けられた係止部に係合して抜け止めされるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明のアダプターを備えた継手は、請求項1において、前記第2キャップは弾性変形可能に構成されると共に、アダプターの係合部はアダプターの外周部に突出形成され、アダプターの内端部を継手本体のアダプター挿入孔に挿入して第2キャップの弾性変形によりアダプターの係合部を第2キャップの係止部に係合させてアダプターが抜け止めされるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明のアダプターを備えた継手は、請求項1において、前記アダプターの係合部はアダプターの外周部に突出形成され、アダプターの外端部を第2キャップの基端側から挿入して第2キャップの係止部に係合させた状態で第2キャップを継手本体に連結するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明のアダプターを備えた継手は、請求項2又は請求項3において、前記第2キャップの基端部の外周には、継手本体に対する第2キャップの連結を保持する保持リングが装着されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明のアダプターを備えた継手は、請求項2から請求項4のいずれか1項において、前記アダプターの外端部は、その内周又は外周に異種パイプが接続されるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、アダプターの外周部に設けられた係合部が第2キャップの内周部に設けられた係止部に係合して抜け止めされるように構成されている。このため、例えばアダプターの内端部を継手本体のアダプター挿入孔に挿入してアダプターの係合部を第2キャップの係止部に係合させるという操作により、アダプターの抜け止めが行われる。従って、継手の構造を簡単にして組付けを容易にすることができ、製造コストの低減を図ることができると共に、ポリオレフィン樹脂製の樹脂パイプとそれとは異なる異種パイプとの接続を容易に行うことができる。
【0012】
請求項2に係る発明では、第2キャップは弾性変形可能に構成されると共に、アダプターの係合部はアダプターの外周部に突出形成され、アダプターの内端部を継手本体のアダプター挿入孔に挿入して第2キャップの弾性変形によりアダプターの係合部を第2キャップの係止部に係合させてアダプターが抜け止めされるように構成されている。このため、請求項1に係る発明の効果に加えて、第2キャップの弾性変形を利用し、アダプターをアダプター挿入孔に挿入するだけで、アダプターを継手本体に容易に連結することができる。
【0013】
請求項3に係る発明では、アダプターの係合部はアダプターの外周部に突出形成され、アダプターの外端部を第2キャップの基端側から挿入して第2キャップの係止部に係合させた状態で第2キャップを継手本体に連結するように構成されている。このため、請求項1に係る発明の効果に加え、第2キャップに対してアダプターを容易に係合させ、抜け止め固定することができる。
【0014】
請求項4に係る発明では、第2キャップの基端部の外周には、継手本体に対する第2キャップの連結を保持する保持リングが装着されている。このため、請求項2又は請求項3に係る発明の効果に加えて、継手本体に対する第2キャップの連結を長期間に渡って維持することができる。
【0015】
請求項5に係る発明では、アダプターの外端部は、その内周又は外周に異種パイプが接続されるように構成されている。従って、請求項2から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、異種パイプをアダプター外端部の内周又は外周に接着剤などによって接続させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の最良と思われる実施形態につき、図面を用いて詳細に説明する。
(第1実施形態)
この第1実施形態においては、アダプターの内端部を継手本体の差込孔に挿入するタイプの継手についての例である。
【0017】
図1(a)に示すように、継手10を構成する略円筒状の継手本体11は、外周側において両側方に突出形成された一対の係合筒部13と、内周側において両側方に突出形成された案内筒部14とを有している。継手本体11と案内筒部14との間には、一端側(図中左側)に樹脂パイプ15が差し込まれる差込孔16及び他端側(図中右側)にアダプター17の内端部が挿入されるアダプター挿入孔18が設けられている。案内筒部14の内側には、水が流通する流路19が形成されている。
【0018】
前記一対の係合筒部13の外周面には複数の係合突条20が設けられている。継手本体11の一端側に連結される第1キャップ21及び他端側に連結される第2キャップ22はそれぞれ内周面に複数の係合凹条23が設けられている。そして、第1キャップ21及び第2キャップ22を継手本体11の係合筒部13に対して嵌め込むことによりその係合凹条23が係合筒部13の係合突条20に係合され、第1キャップ21及び第2キャップ22が継手本体11に連結されるように構成されている。係合筒部13の内周面には、環状の係止段部24が設けられている。
【0019】
係合筒部13の内側には、その係止段部24に係合される係合段部25を有する中間筒体26が配設されている。係合筒部13の外端面と第1キャップ21の内周面との間には、ステンレス鋼等の金属で形成された抜け止め部材としての抜け止めリング27が規制体28によって位置規制された状態で介装されている。抜け止めリング27の内周部には抜け止め片27aが斜め方向に突出形成され、樹脂パイプ15の外周部に食い込んで樹脂パイプ15の抜け止めを行うようになっている。この抜け止めリング27と第1キャップ21の内周面との間には、割りリング29が介在され、抜け止め片27aの傾斜角度を保持するように構成されている。
【0020】
該割りリング29の外端面は、第1キャップ21の内周面と同じ傾斜角度を持ち、樹脂パイプ15の引き抜き方向への力により抜け止め片27aを介して割りリング29が軸線方向外方へ力を受けたとき、割りリング29を縮径させるように構成されている。そして、割りリング29の内周面に設けられた締付面30が樹脂パイプ15を締付けるようになっている。前記継手本体11と中間筒体26との間には、ゴムで作製された第1シールリング31が配置され、挿入される樹脂パイプ15の外周面に密接して止水するようになっている。
【0021】
前記割りリング29の内側には、樹脂パイプ15の先端部に押圧されて樹脂パイプ15の挿入を案内する挿入ガイド32が配置されている。該挿入ガイド32はCリング状に形成され、拡縮可能に構成されている。挿入ガイド32の外径は樹脂パイプ15の外径と同一又は若干大きく形成され、内径は案内筒部14の外径より若干大きく形成されている。割りリング29の内周面には、抜け止め用段差が設けられ、該抜け止め用段差に挿入ガイド32の外端面の外周部が係合され、挿入ガイド32が抜け止め保持されるようになっている。挿入ガイド32の内端側には円弧面が形成され、挿入ガイド32が案内筒部14の外周面を内方へ移動するときに円滑に移動できるようになっている。さらに、樹脂パイプ15の挿入に伴って挿入ガイド32が移動して抜け止めリング27の抜け止め片27a及び第1シールリング31に摺接したとき、抜け止め片27a及び第1シールリング31を徐々に拡径させると同時に、挿入ガイド32自身を縮径させるようになっている。
【0022】
第1キャップ21の外周面には係止溝40が形成されると共に、第1キャップ21の基端部外周にはステンレス鋼製の保持リング41がその先端側の係止爪43を第1キャップ21の係止溝40に係止した状態で装着されている。そして、継手本体11に対する第1キャップ21の連結が保持されている。
【0023】
継手本体11の第2キャップ22側において、継手本体11と中間筒体26との間には、ゴム製の第2シールリング33が配置され、挿入されるアダプター17の内端部の外周面に密接して止水するようになっている。第2キャップ22の先端部内周面には、先端ほど縮径するテーパ面よりなる係止部34が設けられている。この第2キャップ22側には、抜け止め部材としての抜け止めリング27、割りリング29などは設けられていない。
【0024】
アダプター17はほぼ円筒状に形成され、内端部がアダプター挿入孔18に挿入され、外端部の拡径部35内に塩化ビニル樹脂製の異種パイプ36が接着によって接続されるようになっている。アダプター17の中央部外周面には断面山型状(断面三角形状)をなす係合部37が設けられ、該係合部37が第2キャップ22先端内周面の係止部34に係合されてアダプター17が第2キャップ22に対して抜け止め保持されるように構成されている。係る係合部37は内端側の傾斜面38と外端側の斜状面39とで構成され、斜状面39の傾斜角度が傾斜面38の傾斜角度より大きくなるように設定されている。一方、第2キャップ22の係止部34を形成するテーパ面の傾斜角度は、係合部37の斜状面39の傾斜角度とほぼ同じに設定されている。
【0025】
すなわち、アダプター17をアダプター挿入孔18に挿入しやすく、アダプター17の係合部37が第2キャップ22の係止部34に係合した後にはアダプター17が第2キャップ22から抜け出しにくくなっている。そのため、アダプター17の内端部を継手本体11のアダプター挿入孔18に挿入することにより、アダプター17の係合部37が第2キャップ22の先端部に当たり、第2キャップ22を弾性変形させ、該係合部37を第2キャップ22の係止部34に簡単に係合させることができる。
【0026】
第2キャップ22の外周面には係止溝40が形成されると共に、第2キャップ22の基端部外周にはステンレス鋼製の保持リング41がその先端側の係止爪43を第2キャップ22の係止溝40に係止した状態で装着されている。そして、継手本体11に対する第2キャップ22の連結が保持されている。
【0027】
前記第1キャップ21、第2キャップ22、アダプター17、継手本体11、中間筒体26、割りリング29、挿入ガイド32等は、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)〔これらはエンジニアリングプラスチック〕、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂によって形成されている。この場合、アダプター17は異種パイプ36と同種の材料で形成されることが接着性の点で好ましい。なお、継手本体11は合金(真鍮、青銅等)等の金属により形成することもできる。また、樹脂パイプ15は、架橋ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレフィン樹脂により形成されている。さらに、異種パイプ36は、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂のほか、銅、銅合金等の金属により形成されている。ちなみに、異種パイプ36が銅、銅合金等の金属である場合には、アダプター17は黄銅等の金属で形成され、ろう付けによりアダプター17に異種パイプ36が接着される。
【0028】
次に、以上のように構成されたアダプター17を備えた継手10についてその作用を説明する。
図1(a)に示すように、アダプター17の内端部を第2キャップ22の開口部から挿入して案内筒部14に嵌挿すると、アダプター17の係合部37が第2キャップ22の先端部に当たる。続いて、図1(b)に示すように、アダプター17をさらに挿入すると、その内端部がアダプター挿入孔18に入ると同時に、係合部37の傾斜面38が第2キャップ22の先端部内周に差し掛かり、第2キャップ22の先端部を弾性変形により拡径させる。このとき、アダプター17の内端部外周面が第2シールリング33に摺接し、継手本体11とアダプター17との間が止水される。
【0029】
次いで、図2(a)に示すように、アダプター17をさらに挿入すると、アダプター17の係合部37が第2キャップ22の内側に入り、その係合部37の斜状面39が第2キャップ22の係止部34を形成するテーパ面に全周にわたって係合する。このため、アダプター17は第2キャップ22、言い換えれば継手本体11に対して抜け止めされる。以上のような継手本体11に対するアダプター17の組付けは、予め工場内で行うことができるほか、現場で樹脂パイプ15と異種パイプ36とを接続する際に行うこともできる。
【0030】
アダプター17を継手本体11に組付けた状態で、樹脂パイプ15を第1キャップ21の開口部から挿入すると、樹脂パイプ15の先端面が挿入ガイド32に当接する。その状態から、図2(b)に示すように、樹脂パイプ15をさらに挿入すると樹脂パイプ15は挿入ガイド32に案内され、挿入ガイド32及び樹脂パイプ15は抜け止めリング27の抜け止め片27aを通過し、挿入ガイド32の先端部が第1シールリング31に到達する。このとき、挿入ガイド32の内端側には円弧面が形成されていることから、その円弧面が抜け止め片27aに摺接して抜け止め片27aを徐々に拡径させると同時に、挿入ガイド32自体は縮径する。従って、挿入ガイド32及び樹脂パイプ15は抜け止めリング27を円滑に通過することができる。
【0031】
そして、挿入ガイド32の先端部が差込孔16の内端部まで挿入される。このとき、挿入ガイド32の内端部には円弧面が形成されていることから、その円弧面が第1シールリング31に摺接して第1シールリング31を徐々に拡径させると同時に、挿入ガイド32自体は縮径する。従って、挿入ガイド32及び樹脂パイプ15は第1シールリング31を円滑に通過し、樹脂パイプ15との間が止水される。
【0032】
その後、塩化ビニル樹脂製の異種パイプ36の端部外周面に接着剤を塗布した後、アダプター17の拡径部35内に挿入し、異種パイプ36をアダプター17に接合する。このようにして、アダプター17を備えた継手10の一端に樹脂パイプ15が接続されると共に、他端に異種パイプ36が接続される。
【0033】
以上の第1実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 第1実施形態の継手10では、アダプター17の外周部に設けられた係合部37が第2キャップ22の内周部に設けられた係止部34に係合して抜け止めされるように構成されている。このため、アダプター17を継手本体11内に挿入してその係合部37を第2キャップ22の係止部34に係合させるという簡単な操作でアダプター17の抜け止めを行うことができる。また、継手10の第2キャップ22側には抜け止め部材としての抜け止めリング27や割りリング29などが省略されている。従って、継手10の構造を簡単にして組付けを容易にすることができ、製造コストの低減を図ることができると共に、樹脂パイプ15と異種パイプ36との接続を容易に行うことができる。
【0034】
・ 第2キャップ22は弾性変形可能に構成され、アダプター17の内端部を継手本体11のアダプター挿入孔18に挿入して第2キャップ22の弾性変形によりアダプター17の係合部37を第2キャップ22の係止部34に係合させてアダプター17が抜け止めされるように構成されている。このため、第2キャップ22の弾性変形を利用し、アダプター17をアダプター挿入孔18に挿入するだけで、アダプター17を継手本体11に容易に連結することができる。
【0035】
・ 第2キャップ22の基端部の外周には、継手本体11に対する第2キャップ22の連結を保持する保持リング41が装着されている。従って、継手本体11に対する第2キャップ22の連結を長期間に渡って維持することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の部材については同じ部材番号を付し、同一部分については説明を省略する。
【0036】
この第2実施形態では、第2キャップ22に対するアダプター17の組付け構造が第1実施形態とは異なると共に、アダプター17の内側に異種パイプ36を接合するタイプの継手10についての例である。図3(a)に示すように、第1キャップ21側の樹脂パイプ15を接続する部分の構造は第1実施形態と同じである。第2キャップ22は、その先端部が内周側に直角に曲げ形成された係止部34が設けられている。一方、アダプター17の外周面には、断面四角形状をなす係合部37が設けられている。そして、図3(b)に示すように、アダプター17の外端部を第2キャップ22の基端側から挿入し、アダプター17の係合部37を第2キャップ22の係止部34に係合させると共に、アダプター17の外端部を第2キャップ22から突出させる。
【0037】
さて、この第2実施形態においては、予めアダプター17を前述のようにして第2キャップ22に組付け、一体化された第2キャップ22が継手本体11の係合筒部13に嵌合される。その後、保持リング41が第2キャップ22に外嵌され、その係止爪43が第2キャップ22の係止溝40に係止され、係合筒部13に対して第2キャップ22が抜け止め保持される。そして、異種パイプ36は、アダプター17の拡径部35内に挿入され、接着剤により接合される。なお、図3(a)の二点鎖線に示すように、異種パイプ36はアダプター17の拡径部35の外周に嵌め込んで、接着剤により接合することも可能である。従って、第2実施形態によれば、第2キャップ22に対してアダプター17を簡単かつ確実に係合させ、抜け止め固定することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態において、第2実施形態と同様の部材については同じ部材番号を付し、同一部分については説明を省略する。
【0038】
この第3実施形態では、第2キャップ22の係止部34の形状及びアダプター17の係合部37の形状が第2実施形態とは異なると共に、アダプター17の外側に異種パイプ36を外嵌して接合するタイプの継手10についての例である。図4(a)に示すように、第1キャップ21側の樹脂パイプ15を接続する部分の構造は第2実施形態と同じである。第2キャップ22は、その先端部の形状が第1実施形態の第2キャップ22と同様の形状をなす係止部34を有している。一方、アダプター17の外周面には、断面四角形状をなす凸部と第2キャップ22の係止部34のテーパ面と同様の形状を有する係合部37が設けられている。そして、図4(b)に示すように、アダプター17の外端部を第2キャップ22の基端側から挿入し、アダプター17の係合部37を第2キャップ22の係止部34に係合させると共に、アダプター17の外端部を第2キャップ22から突出させる。
【0039】
さて、この第3実施形態においては、予めアダプター17を前記のように第2キャップ22に組付け、一体化された第2キャップ22を継手本体11の係合筒部13に嵌合させる。その後、保持リング41を第2キャップ22に外嵌し、その係止爪43を第2キャップ22の係止溝40に係止することにより、係合筒部13に対して第2キャップ22が抜け止め保持される。そして、異種パイプ36はアダプター17の外端部に嵌挿され、接着剤により接合される。従って、第3実施形態によれば、第2キャップ22に対してアダプター17を容易かつ確実に係合させ、抜け止め固定することができる。
【0040】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 図5(a)に示すように、第1実施形態において、第2キャップ22の係止部34を構成するテーパ面を第2キャップ22の軸線方向に対して直交するように形成すると共に、アダプター17の係合部37を構成する斜状面39をアダプター17の軸線方向に対して直交するように形成することができる。この場合、第2キャップ22に対するアダプター17の抜け止め性能を向上させることができる。
【0041】
・ 図5(b)に示すように、第1実施形態において、第2キャップ22の係止部34を凸状に形成すると共に、アダプター17の係合部37を凹状に形成し、係止部34が係合部37に嵌り込んで係合されるように構成することも可能である。
【0042】
・ 図6(a)に示すように、前記第2実施形態又は第3実施形態において、第2キャップ22の係止部34を内周側ほど基端側へ延びるように傾斜させると共に、アダプター17の係合部37を外周側ほど外端側へ延びるように傾斜させて構成することも可能である。この場合、第2キャップ22に対するアダプター17の係合を一層強固にすることができる。
【0043】
・ 図6(b)に示すように、第2実施形態において、アダプター17をその係合部37が中間筒体26と一体化された形状に構成することも可能である。
・ 第1実施形態において、係合部37の形状を断面円弧状、断面台形状等に形成することもできる。
【0044】
・ アダプター17の外周面に雄ねじ又は内周面に雌ねじを螺刻し、異種パイプ36としてねじ込み式の配管(鉄製等)を用いた場合などに異種パイプ36の端部をアダプター17の雄ねじ又は雌ねじに螺合させて接続することもできる。
【0045】
・ 第1実施形態において、アダプター17を第3実施形態のように異種パイプ36が外周に嵌挿されて接合されるように構成することもできる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0046】
(1) 前記アダプターの係合部は、断面山型状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のアダプターを備えた継手。このように構成した場合、請求項2に係る発明の効果に加えて、第2キャップに対するアダプターの挿入を容易にできると共に、第2キャップの係止部に対するアダプターの係合部の十分な係合を図ることができる。
【0047】
(2) 前記断面山型状をなす係合部の外端側の斜状面の傾斜角度が内端側の傾斜面の傾斜角度より大きくなるように設定されていることを特徴とする技術的思想(1)に記載のアダプターを備えた継手。このように構成した場合、技術的思想(1)に係る発明の効果に加えて、第2キャップに対するアダプターの挿入を一層容易にできると共に、第2キャップの係止部に対するアダプターの係合部の係合を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】(a)は第1実施形態におけるアダプターを備えた継手を示す半縦断面図、(b)は(a)の状態からアダプターを継手本体内に挿入した状態を示す半縦断面図。
【図2】(a)は図1(b)の状態からアダプターを継手本体内にさらに挿入してその係合部を第2キャップの係止部に係合させた状態を示す半縦断面図、(b)は(a)の状態の継手に樹脂パイプ及び異種パイプを挿着した状態を示す半縦断面図。
【図3】(a)は第2実施形態におけるアダプターを備えた継手を示す縦断面図、(b)はアダプター、第2キャップ及び保持リングを分解して示す断面図。
【図4】(a)は第3実施形態におけるアダプターを備えた継手を示す縦断面図、(b)はアダプター、第2キャップ及び保持リングを分解して示す断面図。
【図5】(a)及び(b)は別例としての第2キャップの係止部及びアダプターの係合部を示す断面図。
【図6】(a)は別例としての第2キャップの係止部及びアダプターの係合部を示す断面図、(b)は別例としてのアダプターの係合部を主に示す断面図。
【符号の説明】
【0049】
10…継手、11…継手本体、15…樹脂パイプ、16…差込孔、17…アダプター、18…アダプター挿入孔、21…第1キャップ、22…第2キャップ、27…抜け止め部材、31…第1シールリング、33…第2シールリング、34…係止部、36…異種パイプ、37…係合部、41…保持リング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にポリオレフィン樹脂製の樹脂パイプが接続され、他端に前記樹脂パイプとは異なる異種パイプが接続されるアダプターを備えた継手であって、
一端に樹脂パイプが差し込まれる差込孔を有すると共に、他端にアダプターの内端部が挿入されるアダプター挿入孔を有する継手本体と、該継手本体の一端に連結される第1キャップと、継手本体の一端及び第1キャップの間に挟持され樹脂パイプを抜け止めする抜け止め部材と、継手本体の内周部に設けられ樹脂パイプとの間を止水する第1シールリングと、継手本体の他端に連結される第2キャップと、継手本体の内周部に設けられアダプターとの間を止水する第2シールリングと、内端部がアダプター挿入孔に挿入され、外端部に異種パイプが接続されるアダプターとを有し、アダプターの外周部に設けられた係合部が第2キャップの内周部に設けられた係止部に係合して抜け止めされるように構成されていることを特徴とするアダプターを備えた継手。
【請求項2】
前記第2キャップは弾性変形可能に構成されると共に、アダプターの係合部はアダプターの外周部に突出形成され、アダプターの内端部を継手本体のアダプター挿入孔に挿入して第2キャップの弾性変形によりアダプターの係合部を第2キャップの係止部に係合させてアダプターが抜け止めされるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のアダプターを備えた継手。
【請求項3】
前記アダプターの係合部はアダプターの外周部に突出形成され、アダプターの外端部を第2キャップの基端側から挿入して第2キャップの係止部に係合させた状態で第2キャップを継手本体に連結するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のアダプターを備えた継手。
【請求項4】
前記第2キャップの基端部の外周には、継手本体に対する第2キャップの連結を保持する保持リングが装着されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のアダプターを備えた継手。
【請求項5】
前記アダプターの外端部は、その内周又は外周に異種パイプが接続されるように構成されていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のアダプターを備えた継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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