説明

アダプタープラグ

【目的】端末器と接続されたソケットに装着されたアダプタープラグを回動させて取り外す際に該プラグを容易に回動させると共に該プラグに接続されたホースの損傷を防止する。
【構成】本体1に設けたホース差し1e,締め付け部材1fからなる固定部を把手2によって被蓋すると共にホース差し1eに接続されたホース4をプロテクター3によって保持する。把手2の外周に突起2aを設けることで容易に回動させることが可能となり、ホース4がプロテクター3によって保持されることで急激な屈曲を防止して該ホースの損傷を防止することが出来る。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は病院の病室や手術室に敷設された医療用ガス,吸引用のバキューム配管の端末器に装着されるアダプタープラグに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
病院では、壁面に医療用酸素ガス,笑気ガス,圧縮エア,吸引用バキューム等の配管が敷設され、病室や手術室,集中治療室に於ける壁面に前記配管の端末器が設置されることが多くなっている。
【0003】
上記端末器には、予め設定された位置に形成した複数の穴と中央に形成された挿入孔を有するソケットが室内側に突出した状態で取り付けられており、該ソケットに酸素マスクや吸引ボトルを接続したアダプタープラグを挿入したとき、このアダプタープラグを係止して所定のガス或いは真空を流通させるように構成されている。
【0004】
またソケットからアダプタープラグを取り外す際には、ソケットの外周に設けた解除部材を操作者が回動してアダプタープラグとソケットとの係合を解除すると同時にアダプタープラグを引き抜くことで取り外すように構成されている。即ち、ソケットに装着されたアダプタープラグを取り外す場合、操作者は一方の手でアダプタープラグを保持し、他方の手でソケットを操作している。
【0005】
上記アダプタープラグは図3に示すように、フランジ部51の一方側に図示しないソケットの挿入孔に挿入される挿入部52が形成され、他方側にホース53を固定する固定部54が形成されている。前記挿入部52にはソケットに設けた係止部材と係合する係止溝55が形成され、アダプタープラグをソケットに挿入したとき、係止溝55に係止部材が嵌合することで装着される。またソケットに設けた解除部材を回動させると、この回動に伴って係止部材が係止溝55から離隔することで装着が解除される。またフランジ部51の挿入部52側には公的に規定された位置に2本〜3本のピン56が設けられている。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
上記従来の端末器にあっては、ソケットの先端が室内側に突出した状態で取り付けられている。このため、ソケットに設けた解除部材を回動させることは比較的容易である。然し、最近では病室の美化が問題とされ、室内側への突出部のない端末器が要求されている。
【0007】
本件考案者は上記要求を満足する端末器を開発した。この端末器ではソケットが壁内に埋設設置された筐体に収容されており、従来技術のようにソケットに解除部材を取り付けて回動させることが出来ない。このため、前記端末器ではアダプタープラグを回動させてソケットから取り外すことが可能なように構成されている。この端末器では、ソケットに装着されたアダプタープラグを取り外す毎に該プラグを回動させることが必要となり、操作者が握り易く且つ容易に回動させることが可能な形状を有することが好ましい。
【0008】
然し、従来のアダプタープラグでは、取外しに際し該プラグを回動させる必要がないため、容易に回動させることは困難である。即ち、従来のアダプタープラグでは、フランジ部を握って回動させることになるが、このフランジ部では指先に力を集中させないと回動させることが出来ない。またホースが露出しているためアダプタープラグを回動させる際に、手がホースに接触し、これによりホースが固定部と接触して損傷する虞がある。
【0009】
本考案の目的は、容易に回動させることが出来、且つホースの損傷を防止することが出来るアダプタープラグを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本考案に係るアダプタープラグは、フランジの一方側に配管の端末に設けたソケットに挿入されて係止される挿入部を設けると共に予め設定された位置に複数のピンを設け、他方側に所定の医療器具と接続されたホースを固定する固定部を設けたアダプタープラグに於いて、前記フランジの固定部を設けた側に該固定部及びホースの端部を被蓋すると共にアダプタープラグを回動させる把手を設け、且つ前記把手にホースの前記固定部に対する取付姿勢を保持させる保持部材を取り付けて構成したものである。
【0011】
【作用】
上記アダプタープラグによれば、ソケットに装着されたアダプタープラグを取り外す際に把手に握って回動させることで、指先に力を集中させるようなことなく容易に回動させることが出来る。また把手にホースを保持する保持部材を設けることによって該ホースに固定部に対する取付姿勢を保持することが出来、これにより、ホースの急激な屈曲を防止して該ホースの損傷を防止することが出来る。
【0012】
【実施例】
以下、上記アダプタープラグの一実施例について図を用いて説明する。図1はアダプタープラグを端末器に装着した状態を説明する側面図、図2はアダプタープラグの断面図である。図に示すアダプタープラグAは、病室等の壁内に埋設して設置された端末器Bに取り付けられたソケットCに装着されて、所定のガス或いはバキューム用の真空圧を患者に作用させるものであり、本体1,把手2,保持部材となるプロテクター3によって構成されている。このアダプタープラグAは、装着されたアダプタープラグAを回動させて取外すことが可能なように構成されたソケットCに適用されたときに有利である。
【0013】
本体1のフランジ部1aの一方側に係合溝1bを形成した挿入部1cが形成されており、該挿入部1cと同一側の予め設定された位置に2本のピン1dが形成されている。またフランジ部1aの他方側にはホース差し1eが形成され、このホース差し1eに締め付け部材1fが取り付けられている。前記ホース差し1e及び締め付け部材1fによって固定部が構成されている。従って、図示しない酸素マスク,麻酔用のマスク,吸引用ボトルを接続したホース4をホース差し1eに挿通し、該ホース4の端部を締め付け部材1fによって締め付けることで、アダプタープラグAにホース4を取り付けることが可能である。
【0014】
把手2は合成樹脂の成形品によって形成されており、ネジ5によって本体1のフランジ部1aに固定し得るように構成されている。この把手2は本体1のホース差し1eよりも僅かに長い円筒状に形成されており、外周には所定のピッチで複数の突起2aが形成されている。また把手2の端部にはプロテクター3を係止する係止突起2bが形成されている。
【0015】
上記把手2にあっては、操作者が2〜3本の指で把持したとき、これ等の指全体が突起2aと係合して容易に把持することが可能であり、且つ容易に回動力を付与することが可能である。このため、本実施例に係るアダプタープラグA及び従来のアダプタープラグを回動させるのに必要な回動力が同一であっても、従来のアダプタープラグがフランジのみを指で把持して回動させるため指先に力を集中させなければならなかったのに対し、本実施例のアダプタープラグAでは指全体で該プラグAを回動させることが可能である。このため、アダプタープラグAの回動を見掛け上小さい力で行うことが可能となる。
【0016】
プロテクター3は合成樹脂、或いはゴムを予め図に示すように鈍角状(約 135度)に屈曲させた状態で形成されている。プロテクター3の中心にはホース4を挿通する通孔3aが形成され、また一方の端部の近傍には把手2の係止突起2bと係合するリング状の溝3bが形成されている。
【0017】
上記各部品によってアダプタープラグAを構成するには、係止突起2bと溝3bを係合させて予め把手2にプロテクター3を取り付けておき、この把手2,プロテクター3にホース4を挿通する。そしてホース4の端部をホース差し1eに挿通し締め付け部材1fによって締め付けることでホース4を本体1に固定する。その後、把手2をフランジ部1aに嵌合させネジ5によって固定することでアダプタープラグAを構成することが可能である。このプロテクター3は適度な剛性と可撓性を有しており、ホース4のホース差し1eに対する取付姿勢を保持させると共にホースを外力から保護することが可能である。
【0018】
【考案の効果】
以上詳細に説明したように本考案に係るアダプタープラグでは、把手が本体に一体的に固定されることから、ソケットに装着されたアダプタープラグを取り外す際に把手に握って回動させることで、指先に力を集中させることなく容易に回動させることが出来る。また把手にホースを保持する保持部材を設けたので、該ホースの固定部に対する姿勢を保持することが出来る。このため、ホースの急激な屈曲を防止して該ホースの損傷を防止することが出来るという特徴を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】アダプタープラグを端末器に装着した状態を説明する側面図である。
【図2】アダプタープラグの断面図であるである。
【図3】従来のアダプタープラグの側面図である。
【符号の説明】
A アダプタープラグ
B 端末器
C ソケット
1 本体
1a フランジ
1c 挿入部
1d ピン
1e ホース差し
1f 締め付け部材
2 把手
2a 突起
2b 係止突起
3 プロテクター
3b 溝
4 ホース
5 ネジ

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 フランジの一方側に配管の端末に設けたソケットに挿入されて係止される挿入部を設けると共に予め設定された位置に複数のピンを設け、他方側に所定の医療器具と接続されたホースを固定する固定部を設けたアダプタープラグに於いて、前記フランジの固定部を設けた側に該固定部及びホースの端部を被蓋すると共にアダプタープラグを回動させる把手を設け、且つ前記把手にホースの前記固定部に対する取付姿勢を保持させる保持部材を取り付けたことを特徴としたアダプタープラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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