説明

アダプタ

【課題】内部のガス流路を開閉する栓体を有すると共に、当該栓体を外部から操作可能な操作体を有するガス栓において、ガスが漏れ出すことを防止する。
【解決手段】プラグ15のプラグ内流路14に内挿可能な筒状本体22と、筒状本体22がプラグ内流路14に内挿された状態で、ガス漏洩防止手段Aが、プラグ内流路14に位置するとともに、プラグ15の先端側へ付勢されて筒状本体22内の本体内流路21を閉止し、プラグ15の基端側へ付勢されて本体内流路21を開放する弁体27を備え、筒状本体22がプラグ内流路21に内挿された状態で、本体内流路21を、筒状本体22の外周面とプラグ15の内周面との間に形成される空間からシールするシール部材23と、プラグ15に対して筒状本体22を固定する固定手段24とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流路に配設される栓体と、この栓体を操作可能な操作体とを備え、操作体を操作して、ガス流路からプラグを介して外部にガスを供給する開放状態とガスの供給を停止する閉止状態とに切替可能なガス栓に装着して使用するアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
本願に係るアダプタは、今般、発明者らが新たに、鋭意研究の結果完成したものであり、例えば従来型のガス栓に装着され、操作体が開放側に操作されている状態でも、ガス栓からのガスの放出を防止することができるものである。
【0003】
図6に、今日、実用されている3種のガス栓の外観を示した。
図6(a)に示すものは、「ヒューズガス栓」と呼ばれるものであり、ガスホースをホース用のプラグ15に接続して使用される。図6(b)に示すものも、「ヒューズガス栓」と呼ばれるものであるが、プラグ15が、所謂、ガスソケット(図3に図面番号40で示す)に対応したものである。この例では、ガスソケットをプラグ15に接続するだけで、ガス栓10とガスソケットとの接続固定を完成できる。これら、図6(a)(b)に示すものは、栓体の開閉状態は操作体の操作状態に従って決まり、操作体13が誤って開放側に操作されると、ガス漏れ等が発生することも起こりうる構造である。
【0004】
一方、図6(c)に示すものは、「ガスコンセント」と呼ばれ、上記のガスソケットを使用した接続が可能である。このガスコンセントは、不測にガスソケットが外れた場合等には、自動的に、ガス栓10が閉止する構造が採用されている。
【0005】
本願に係るアダプタは、図6(a)(b)に示した、自動的な閉止構造を有しないヒューズガス栓等に適用可能なものである。この種の栓体を備えたガス栓の一例が、特許文献1に示されている。
【0006】
この種のガス栓は、ガスを供給しない場合には栓体が閉止状態とされ、ガス機器にガスを供給する場合は、上記プラグにガスホースまたはガスソケットを接続した状態で、操作体を操作して栓体を開状態として、ガス流路にガスを流通させる形態で、ガス機器等にガスを供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−166647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような従来のガス栓では、プラグにガスホースやガスソケット等が接続されていない状態であっても、使用者が操作体を誤操作して栓体を開状態とすることで、ガスが外部に流出する虞があった。
【0009】
また上記ガス栓では、プラグにガスホースやガスソケットが接続されているように見える場合であっても接続固定が十分でない場合がある。この場合、使用者は、正常にガスホース、ガスソケットが接続がされていると判断して、操作体を操作して栓体を開状態とし、ガス漏洩を起こしてしまう虞があった。
【0010】
本願発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部のガス流路を開閉する栓体を有すると共に、当該栓体を外部から操作可能な操作体を有するガス栓にお
いて、操作体の誤操作等により、不測にガスが放出されてしまうことを防止することができるアダプタを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係るガス流路に配設される栓体と、前記栓体を操作可能な操作体とを備え、
前記操作体を操作して、前記ガス流路からプラグを介して外部にガスを供給する開放状態とガスの供給を停止する閉止状態とに切替可能なガス栓に装着するアダプタの特徴構成は、前記プラグのプラグ内流路に内挿可能な筒状本体と、
前記筒状本体が前記プラグ内流路に内挿された状態で、前記プラグの先端側へ付勢されて前記筒状本体内の本体内流路を閉止し、前記プラグの基端側へ付勢されて前記本体内流路を開放する弁体と、前記弁体を先端側へ付勢する付勢部材とを備えたガス漏洩防止手段とを備え、
前記筒状本体が前記プラグ内流路に内挿された状態で、前記ガス漏洩防止手段が前記プラグ内流路に位置され、
前記本体内流路を、前記筒状本体の外周面と前記プラグの内周面との間に形成される空間からシールするシール部材と、前記プラグに対して前記筒状本体を固定する固定手段とを備える点にある。
【0012】
このアダプタは、これまで説明してきたガス栓のプラグに内挿して使用される。
即ち、上記特徴構成によれば、ガス栓に設けられたプラグのプラグ内流路には、筒状本体が内挿されることとなり、この筒状本体内の本体内流路をガスの流通に使用する。そして、ガス漏洩防止手段Aと、筒状本体22が前記プラグ内流路14に内挿された状態で、筒状本体の内部に形成される本体内流路には、付勢部材および弁体を備えたガス漏洩防止手段が設けられ、前記ガス漏洩防止手段が前記プラグ内流路に位置するとともに、通常状態では、当該弁体が付勢部材により付勢されてプラグの先端側へ位置して本体内流路を閉止する。即ち、従来、何も設けられていなかったプラグ内にガス漏洩防止手段を設けることにより、栓体より下流側(ガス開放側)で、通常状態において閉栓機能を得ることができる。従って、操作体が不測に操作された場合も、ガスが漏洩(放出)されることはない。
一方、弁体をプラグの基端側に移動させると、本体内流路を開放することができ、ガスの供給を許容することができる。
【0013】
そして、この本体内流路と、プラグの内周面と筒状本体の外周面との間に形成される空間との関係においては、シール部材によりシールを完成することができる。さらに、固定手段を設けておくことで、プラグ内での筒状本体の固定を確実なものとできる。
以上から、操作体が誤操作された場合や、プラグとガスソケットとの接続が不十分である場合であっても、ガスがプラグから漏洩することを防止できる。
【0014】
本発明に係るアダプタの更なる特徴構成は、前記ガス漏洩防止手段は、前記筒状本体に設けられた環状の弁座と、前記本体内流路の軸心方向に移動自在で前記弁座に着座して前記本体内流路を閉止する前記弁体と、当該弁体を前記弁座の側に付勢して着座させる前記付勢部材とから構成される点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、ガス漏洩防止手段は、ガス漏洩を防止したい状況では、付勢部材により弁体を弁座の側に付勢し、弁体と弁座との間を密閉して、本体内流路を閉止することができる。また、本体内流路にガスを流通させる場合には、弁体を弁座から離れる側に位置させて、弁体と弁座との間を開放して、本体内流路を開放することができる。
【0016】
本発明に係るアダプタの更なる特徴構成は、前記固定手段は、拡径して前記筒状本体に設けられた固定部材嵌込溝に嵌まり込み、前記プラグに固定される固定部材であり、前記固定部材が、前記筒状本体を前記プラグに固定する点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、固定部材は、固定部材嵌込溝に嵌り込むことで、固定部材とプ
ラグとを固定することができる。さらに、筒状本体の固定部材嵌込溝に固定部材が嵌り込むことで、筒状本体と固定部材とも固定できる。これにより、プラグに対して筒状本体を固定部材を介して良好に固定することができる。
【0018】
本発明に係るアダプタの更なる特徴構成は、前記シール部材が前記固定部材嵌込溝に位置されるとともに、前記固定部材が前記シール部材の内径側に位置された状態で、前記固定部材が前記プラグに固定される点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、シール部材が固定部材嵌込溝に位置するとともに、筒状本体の内径側から固定部材により外側に付勢されることで、当該固定部材嵌込溝において、固定部材を利用してプラグの内周面と筒状本体の外周面との間をシールすることができ、当該間から外部にガスが漏洩することを防止することができる。
【0020】
本発明に係るアダプタの更なる特徴構成は、前記筒状本体が前記プラグ内流路に内挿された状態で、プラグの先端側に位置される前記筒状本体の一端側に、前記プラグの内径より大きな外径を有する位置決め部材を備え、
前記筒状本体の前記プラグ内流路への内挿完了位置が、前記位置決め部材により決定される点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、筒状本体の先端側の端部に設けられた位置決め部材は、外径がプラグの内径よりも大きいため、プラグに対して筒状本体が内挿される際、当該位置決め部材がプラグの先端側の端部に当接することとなる。これにより、プラグの軸方向において、筒状本体をプラグに対して位置合わせして配置することができる。
【0022】
本発明に係るアダプタの更なる特徴構成は、前記プラグに接続されて、前記ガス栓との間でガスの流通を可能とするガスソケットに関して、
前記ガスソケットに備えられるロック用ボールが、前記プラグに設けられる嵌込溝に嵌込して、前記ガス栓と前記ガスソケットとが接続される点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、ガスソケットのロック用ボールが、プラグに設けられる嵌込溝に嵌込することで、ガス栓とガスソケットとを良好に固定接続することができる。
【0024】
本発明に係るアダプタの更なる特徴構成は、前記筒状本体の外径側に、前記筒状本体が前記プラグ内流路に内挿された状態で、プラグの先端側に位置される前記筒状本体の一端側から他端側に向けて延出されるガスソケット接続部材を備え、
前記ガス栓に接続されて、前記ガス栓との間でガスの流通が可能となるガスソケットに関して、
前記ガスソケットに備えられるロック用ボールが、前記ガスソケット接続部材に設けられる嵌込溝に嵌込して、前記ガス栓と前記ガスソケットとの接続が完了する点にある。
【0025】
上記特徴構成によれば、ガスソケット接続部材が、プラグの先端側に位置される筒状本体の一端側から他端側に向けて延出されると共に、ロック用ボールが嵌り込む嵌込溝を有するように構成されているため、ガスホースを直接接続できるように構成され、嵌込溝を有さないプラグに対しても、本願のアダプタを介して、ガスソケットを良好に接続することができる。
【0026】
本発明に係るアダプタの更なる特徴構成は、前記プラグの外径側段部にプラグの基端側から係合して、前記ガスソケット接続部材および前記筒状本体を位置決めする位置決め具を備え、
前記位置決め具が前記固定手段として働く点にある。
【0027】
上記特徴構成によれば、位置決め具が、ガスホース等が接続されるプラグが通常有する外径側段部に対して、プラグの基端側から係合することにより、ロック用ボールが嵌り込む嵌込溝を有さないプラグに対して、ガスソケット接続部材および筒状本体を良好に位置決め固定することができる。
【0028】
本発明に係るアダプタの更なる特徴構成は、前記筒状本体を前記プラグ内流路に内挿させた状態で、前記シール部材が、前記プラグの外周面と前記ガスソケット接続部材の内周面との間をシールする点にある。
【0029】
上記特徴構成によれば、シール部材がプラグの外周面とガスソケット接続部材の内周面との間をさらにシールすることで、プラグと本願のアダプタとの間を良好にシールすることができる。
【0030】
本発明に係るアダプタの更なる特徴構成は、前記ガスソケットを前記プラグに接続するに伴い、前記弁体は、前記ガスソケットに備えられ、前記本体内流路に侵入される押圧部材により、前記プラグの基端側に付勢される点にある。
【0031】
上記特徴構成によれば、プラグにガスソケットが接続された場合に、ガス漏洩防止手段を構成する弁体が、ガスソケットの押圧部材により、プラグの基端側に付勢されるように構成されているので、ガスソケットが接続された場合にのみ、本体内流路を開放して、ガスを流通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態に係るアダプタの断面図
【図2】アダプタの装着操作の説明図
【図3】アダプタが装着されたガス栓にガスソケットが接続される前後の状態図
【図4】第1実施形態における間隙とリング状部材の斜視図
【図5】本発明の第2実施形態に係るアダプタの断面図
【図6】従来のガス栓
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
〔第1実施形態〕
本発明のアダプタ100の実施の形態について、図面に基づいて説明する。当該説明に先立って、まず、本発明のアダプタ100が装着されるガス栓10の構造を、図1に基づいて説明する。ガス栓10は、ガスGを流通するガス流路11と、ガスGの流通を許容する開放状態とガスGの流通を阻止する閉止状態とに切替可能な栓体12と、当該栓体12に連接してガス流路11の外部からその状態を切り替える操作体13と、上記ガス流路11と連通するプラグ内流路14を備えたプラグ15とから構成されている。
【0034】
栓体12の外側形状は、ガス流路11の内周面と密着するように回動自在に構成されており、その本体にはガスGを流通可能な連通孔17が設けられている。当該栓体12は操作体13と連接されており、操作体13を操作することにより回動するように構成されている。栓体12は、上記連通孔17をガス流路11のガス流通方向に一致させるように回動されることでガス流路11を開放状態とし、連通孔17をガス流路11のガス流通方向と垂直方向とするように回動されることでガス流路11を閉止状態とする。
【0035】
プラグ15は、その外周の周方向に沿って、後述するガスソケット40に設けられたロック用ボール43が嵌り込む嵌込部16を備えている。当該プラグ15は、ガスソケット40に内挿すると共に、ロック用ボール43が嵌込部16に嵌り込むことで、ガスソケット40と接続固定される。
【0036】
次に、本願発明のアダプタ100について、図1、図2に基づいて説明する。
これらの図において、図1、図2(a)は、本願のアダプタ100を固定する前の状態を示しており、図2(b)(c)は、固定操作(b)と閉止状態(c)を示している。
以下、筒状本体22において、筒状本体22がプラグ15に内挿された状態で、プラグ15の基端に近い側を基端側(図1、2の左側)とし、その他端側、即ち、ガスソケット40が接続される側を先端側(図1、2の右側)とする。当該筒状本体22は、付勢部材であるスプリング28によりプラグ15の先端側へ付勢されて筒状本体22の内部に形成された本体内流路21を閉止し、プラグ15の基端側へ付勢されて前記本体内流路21を開放する弁体27を備えたガス漏洩防止手段Aと、筒状本体22が前記プラグ内流路14に内挿された状態で、本体内流路21を、筒状本体22の外周面とプラグ15の内周面との間に形成される空間からシールするシール部材23と、プラグ15に対して筒状本体22を固定するリング状部材24(固定手段の一例であり、具体的には、所謂、Cリングである)とを備えて構成されている。
【0037】
シール部材23はゴム製のOリング等の、所謂、シールリングであり、筒状本体22の基端側の固部部材嵌込溝32に配設されている。
図1、図2(a)に示す固定前の状態において、当該固定部材嵌込溝32の先端側には、上述したリング状部材24が、径方向の外側に付勢力を有する形態で、筒状本体22の本体内流路21の内周面に沿うCリング形状で備えられている。当該リング状部材24は、後述するガス漏洩防止手段Aの弁体27の基端側端部に設けられたリング状部材押圧部34により筒状本体22の軸方向に押圧されることで、軸方向に摺動可能に構成されている。
図2(b)(c)に示すように、固定された状態で、シール部材23は、その径方向の内側から当該リング状部材24により径方向の外側に押圧されることで、固定部材嵌込溝32の近傍において、プラグ15の内周面と筒状本体22の外周面との間の空間を、本体内流路21からシールするように機能する。
リング状部材24は、固定部材嵌込溝32に嵌り込み、径方向の外側に拡径することで、プラグ15の内周面に対して位置固定されると共に、筒状本体22の固定部材嵌込溝32の軸方向の内面に当接して、筒状本体22を位置固定する。これにより、リング状部材24は、プラグ15と筒状本体22とを軸方向で固定するように機能する。
【0038】
上記筒状本体22において、リング状部材24が設けられている位置より先端側には、筒状本体22の内周の周方向に沿って設けられた環状の弁座26と、当該弁座26に基端側から着座する弁体27と、当該弁体27を当該弁座26の基端側から先端側へ付勢するスプリング28とが備えられ、これらがガス漏洩防止手段Aとして機能する。上記弁体27の弁座26に当接する部位には、シール部材35が配設されており、弁体27が弁座26に着座した状態で、ガスGが本体内流路21を流通することを阻止する閉止状態とする。
上記弁体27の基端側端部には、弁体27の基端側への移動に伴って、上記リング状部材24を基端側に押圧移動させるリング状部材押圧部34が設けられ、当該リング状部材押圧部34は、上記リング状部材24を基端側に押圧移動させると共に、固定部材嵌込溝32に嵌り込ませる機能を発揮する。
【0039】
当該筒状本体22の先端には、プラグ15に対してアダプタ100を位置決めする位置決め部材25が設けられている。当該位置決め部材25は、一端に筒状本体22の先端側の端部の内周に設けられた雌螺子部29と螺合する雄螺子部30を有すると共に、他端にプラグ15の先端側端部18に当接する鍔部31を有している。当該鍔部31の外径は、筒状本体22の内径よりも大きく構成されている。
【0040】
次に、上述したアダプタ100をプラグ15のプラグ内流路14へ装着する装着行程について、図2(a),(b)に基づいて説明する。
【0041】
図2(a)に示すように、筒状本体22は、プラグ15の内周面に筒状本体22の外周面を沿わせる形態で、プラグ15のプラグ内流路14に内挿される。内挿に伴って、筒状本体22は、筒状本体22の先端側の端部に設けられた位置決め部材25の鍔部31の当接面31aが、プラグ15の先端側端部18に当接するまで内挿される。
【0042】
次に、図2(b)に示すように、筒状本体22の本体内流路21に棒状部材B1を侵入して、弁体27を基端側に付勢する。これにより、弁体27の基端側端部に設けられたリング状部材押圧部34が、リング状部材24を基端側に押圧して移動させる。リング状部材24は、筒状本体22の本体内流路21の内周面に沿って摺動される。リング状部材24は、筒状本体22の基端側に設けられた固定部材嵌込溝32に嵌り込むこととなる。固定部材嵌込溝32に嵌り込んだリング状部材24は、径方向の外側に付勢力を発揮し、固定部材嵌込溝32に配設されたシール部材23をプラグ15の内周面へ押圧する。これにより、シール部材23は、軸方向の固定部材嵌込溝32が設けられている部位において、プラグ15の内周と筒状本体22の外周との間をシールし、この間からガスGが漏洩することを防止できる。
【0043】
また、リング状部材24は、拡径する形態で径方向の外側に付勢力を有するため、プラグ15に対して固定される。そして、リング状部材24は、筒状本体22の固定部材嵌込溝32に嵌り込んでいるため、リング状部材24と筒状本体22とが軸方向で当接して、筒状本体22が、プラグ15に対して軸方向で固定されることとなる。
なお、図2(b)に係る装着行程において、棒状部材B1が弁体27を基端側に付勢する際、上述した位置決め部材25は、筒状本体22がプラグ15のプラグ内流路14の基端側へ入り込みすぎないよう、筒状本体22を固定する機能を発揮する。
リング状部材24の摺動をおこなう棒状部材B1としては、位置決め部材25の形状と、後述するガスソケット40の形状とを適切に設定することで、ガスソケット40のガスソケット本体47に備えられる押圧部材44(図3参照)を採用することが可能である。この利用形態を採用すると、アダプタ100装着後の、ガスソケット40の最初の接続操作で、リング状部材24の摺動、固定を実行できる。
【0044】
次に、図2(c)に示すように、筒状本体22の先端側の端部に設けられた位置決め部材25を、解除側に回動して、筒状本体22の先端側の端部の内周に設けられた雌螺子部29と位置決め部材25に設けられた雄螺子部30との螺合状態を解除して、筒状本体22から位置決め部材25を取り外すことができる。これにより、アダプタ100は、径方向、および、軸方向において、よりコンパクトな構造とできる。
【0045】
なお、上述したリング状部材24は、図4(a)の斜視図に示すように、その一部が切りかかれた切りかき部73を有する。筒状本体22の固定部材嵌込溝32は、図4(a)(b)に示すように、一端側の基端側筒部52と他端側の先端側筒部53との間に形成され、連結部51が基端側筒部52と先端側筒部53とを接続固定するように設けられる。これにより、基端側筒部52と先端側筒部53とが一体化され、両部間に渡る形状が保持される。リング状部材24の切りかき部73は、連結部51に沿う形状を有しているので、連結部51をガイドとして軸方向に安定して摺動することができる。
【0046】
次に、本発明のアダプタ100が接続されたガス栓10に対するガスソケット40の接続について、図3(a)(b)に基づいて説明する。
ガスソケット40は、図3(a)に示すように、ガスソケット本体47と、第1コイルバネ48により前方に付勢される突出部材41と、当該突出部材41の内周面で径方向の外側の面である第1規制面45と径方向の内側の面である第2規制面46とにより径方向の外側が位置決めされるロック用ボール43と、当該ロック用ボール43の位置を径方向の内側から規制すると共にプラグ15の先端側端部18に当接して押圧される形態で引退する内径部材42と、本発明のアダプタ100の弁体27を基端側に押圧する押圧部材44とを備えて構成されている。
ガスソケット40がプラグ15に対し接続される場合、図3(b)に示すように、プラグ15の先端側端部18が、内径部材42と当接して内径部材42を第2コイルバネ49の付勢力に抗するように引退させ、内径部材42の先端部位により径方向の外側に位置決めされていたロック用ボール43が、径方向の内側に移動すると共に、プラグ15の嵌込溝16に嵌りこむこととなる。これと同時に、ロック用ボール43に対する径方向の外側への付勢力が解除され、ロック用ボール43が第1規制面45よりも径方向の内側に位置する第2規制面46に当接することとなり、引退状態に固定されていた突出部材41は、第1コイルバネ48の付勢力が開放され前方(プラグ15の基端側)に突出する。これにより、ロック用ボール43が、突出部材41の第2規制面46により規制されると共に、嵌込溝16に嵌り込むことで、プラグ15に対するガスソケット40との接続が維持されることとなる。即ち、接続固定状態となるのである。
ガスソケット40の解除に際しては、突出部材41を押し込み操作すればよい。
【0047】
ガスソケット40の内部に設けられた押圧部材44は、プラグ15にガスソケット40が接続されるに伴って、アダプタ100の内部の弁体27の先端側端部に当接し、基端側に押圧して移動させるように構成されている。これにより、プラグ15にガスソケット40が接続されていない場合、弁座26に着座して本体内流路21を閉止状態に維持していた弁体27は、プラグ15にガスソケット40が接続されることで、弁座26から離れて、本体内流路21を、ガスGを流通する開放状態とするように機能する。
【0048】
〔第2実施形態〕
次に、本発明のアダプタ100の第2実施形態について、図5(a)乃至(c)に基づいて説明する。第2実施形態においても、第1実施形態と同様の構造については、同一の符号を付すこととし、説明を割愛する。
【0049】
本実施形態では、プラグ67の形状が前述の第1実施形態のものと異なっている。前述の第1実施形態におけるプラグ15は、その外周にガスソケット40のロック用ボール43が嵌り込み可能な嵌込溝16を有していたのに対し、第2実施形態のプラグ67は、その外周に嵌込溝16を有していない形状であり、ガスホースを直接接続するように構成されている。第2実施形態のプラグ67の先端側の端部75は、先端側ほど徐々に縮径となる窄み形状部75を有すると共に、当該窄み形状部75の基端側には、外径側段部61が設けられている。
本第2実施形態に係るアダプタ100は、上述したようなプラグ67に対し、ガスホースに替えてガスソケット40を接続可能とするものである。
【0050】
第2実施形態に係るアダプタ100は、筒状本体22の外径側に、筒状本体22の一端側である先端側端部62から他端側である基端側へ延出されるガスソケット接続部材57を備え、当該ガスソケット接続部材57は、その外周の周方向に沿ってガスソケット40のロック用ボール43が嵌り込む嵌込溝58を有している。
径方向の内側に付勢力を有する位置決め具59が、ガスソケット接続部材57の周方向に沿って設けられたリング保持用間隙60に沿って拡径・縮径自在に、プラグ67の外周面にその内径側端部を当接するように配置されている。この位置決め具59は、上述したプラグ67に対し、筒状本体22とガスソケット接続部材57とが挿入されるに伴って、プラグ67の先端側ほど徐々に外径が縮径する形状の窄み形状部75の外周面により、径方向の外側に押圧され拡径する。そして、上記筒状本体22と上記ガスソケット接続部材57とが所定位置まで挿入されると、位置決め具59は、プラグ67の外周に設けられた外径側段部61に嵌り込む形態で、プラグ67に対し筒状本体22およびガスソケット接続部材57を、プラグ67の軸方向において位置決め固定するように機能する。
【0051】
シール部材23は、第1実施形態で示したように、プラグ67の内周面と筒状本体22の外周面との間に設けられると共に、プラグ67の外周面の窄み形状部75とガスソケット接続部材57の内周面との間に設けられる。当該シール部材23は、プラグ67の外周面の窄み形状部75とガスソケット接続部材57の内周面との間から、ガスGが漏洩することを好適に防止する。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本願発明のアダプタは、内部のガス流路を開閉する栓体を有すると共に、当該栓体を外部から操作可能な操作体を有するガス栓において、ガスが漏れ出すことを防止することができるアダプタとして、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10:ガス栓
11:ガス流路
12:栓体
13:操作体
14:プラグ内流路
15:プラグ
16:嵌込溝
21:本体内流路
22:筒状本体
23:シール部材
24:リング状部材(固定手段の一例)
25:位置決め部材
26:弁座
27:弁体
28:スプリング
40:ガスソケット
43:ロック用ボール
44:押圧部材
57:ガスソケット接続部材
58:嵌込溝
59:位置決め具
61:外径側段部
G:ガス
A:ガス漏洩防止手段
100:アダプタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流路に配設される栓体と、前記栓体を操作可能な操作体とを備え、
前記操作体を操作して、前記ガス流路からプラグを介して外部にガスを供給する開放状態とガスの供給を停止する閉止状態とに切替可能なガス栓に装着するアダプタであって、
前記プラグのプラグ内流路に内挿可能な筒状本体と、
前記筒状本体が前記プラグ内流路に内挿された状態で、前記プラグの先端側へ付勢されて前記筒状本体内の本体内流路を閉止し、前記プラグの基端側へ付勢されて前記本体内流路を開放する弁体と、前記弁体を先端側へ付勢する付勢部材とを備えたガス漏洩防止手段とを備え、
前記筒状本体が前記プラグ内流路に内挿された状態で、前記ガス漏洩防止手段が前記プラグ内流路に位置され、
前記本体内流路を、前記筒状本体の外周面と前記プラグの内周面との間に形成される空間からシールするシール部材と、前記プラグに対して前記筒状本体を固定する固定手段を備えたアダプタ。
【請求項2】
前記ガス漏洩防止手段は、前記筒状本体に設けられた環状の弁座と、前記本体内流路の軸心方向に移動自在で前記弁座に着座して前記本体内流路を閉止する前記弁体と、当該弁体を前記弁座の側に付勢して着座させる前記付勢部材とから構成される請求項1に記載のアダプタ。
【請求項3】
前記固定手段は、拡径して前記筒状本体に設けられた固定部材嵌込溝に嵌まり込み、
前記プラグに固定される固定部材であり、前記固定部材が、前記筒状本体を前記プラグに固定する請求項1または2に記載のアダプタ。
【請求項4】
前記シール部材が前記固定部材嵌込溝に位置されるとともに、前記固定部材が前記シール部材の内径側に位置された状態で、前記固定部材が前記プラグに固定される請求項3に記載のアダプタ。
【請求項5】
前記筒状本体が前記プラグ内流路に内挿された状態で、プラグの先端側に位置される前記筒状本体の一端側に、前記プラグの内径より大きな外径を有する位置決め部材を備え、
前記筒状本体の前記プラグ内流路への内挿完了位置が、前記位置決め部材により決定される請求項1乃至4の何れか一項に記載のアダプタ。
【請求項6】
前記プラグに接続されて、前記ガス栓との間でガスの流通を可能とするガスソケットに関して、
前記ガスソケットに備えられるロック用ボールが、前記プラグに設けられる嵌込溝に嵌込して、前記ガス栓と前記ガスソケットとが接続される請求項1乃至5の何れか一項に記載のアダプタ。
【請求項7】
前記筒状本体の外径側に、前記筒状本体が前記プラグ内流路に内挿された状態で、プラグの先端側に位置される前記筒状本体の一端側から他端側に向けて延出されるガスソケット接続部材を備え、
前記ガス栓に接続されて、前記ガス栓との間でガスの流通が可能となるガスソケットに
関して、
前記ガスソケットに備えられるロック用ボールが、前記ガスソケット接続部材に設けられる嵌込溝に嵌込して、前記ガス栓と前記ガスソケットとの接続が完了する請求項1または2に記載のアダプタ。
【請求項8】
前記プラグの外径側段部にプラグの基端側から係合して、前記ガスソケット接続部材および前記筒状本体を位置決めする位置決め具を備え、
前記位置決め具が前記固定手段として働く請求項7記載のアダプタ。
【請求項9】
前記筒状本体を前記プラグ内流路に内挿させた状態で、
前記シール部材が、前記プラグの外周面と前記ガスソケット接続部材の内周面との間をシールする請求項7または8に記載のアダプタ。
【請求項10】
前記ガスソケットを前記プラグに接続するに伴い、
前記弁体は、前記ガスソケットに備えられ、前記本体内流路に侵入される押圧部材により、前記プラグの基端側に付勢される請求項6乃至9の何れか一項に記載のアダプタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−251665(P2012−251665A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−212456(P2012−212456)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【分割の表示】特願2008−186336(P2008−186336)の分割
【原出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】