説明

アダマンタン誘導体、それを含有する樹脂組成物

【課題】高い耐熱性を有し、特に、フォトレジストリソグラフィー分野における感光性樹脂等のモノマー等として有用な化合物を提供する。
【解決手段】下記式(I)で表されるアダマンタン誘導体。


(例えば、3−{[4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキシル]メトキシ}−1−アダマンチルメタクリレート)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアダマンタン誘導体に関する。さらに詳しくは、高い耐熱性を有し、特に、フォトレジストリソグラフィー分野における感光性樹脂等の機能性樹脂モノマー等として有用な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ArFエキシマレーザによるフォトリソグラフィー技術を応用した半導体製造において、感光性レジストには、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレートのような脂環式骨格を持った重合性化合物を共重合したポリマーが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
半導体製造技術の進歩に伴い、回路の微細化が著しく進んだ結果、LER,LWRと呼ばれるパターン表面の粗さ(ラフネス)やうねりといった平滑性の問題が顕在化してきた。また、近年の液浸露光による方法では、液浸媒体に起因するレジストパターンの欠陥等の現像不良も散見されており、これらの早期解決が望まれている。
【0004】
これまでに機能性モノマーとして多くの基材が開発されている。例えば、アダマンチル基に水酸基含有の炭化水素基を導入した基材がある(特許文献2参照。)。しかしながら、この基材では、水酸基含有の炭化水素基の導入により耐熱性が低下するため、平滑性の低下や現像不良を生じる等の問題がある。
さらにアダマンチルメタクリレートにノルボルナンカルボラクトンが結合した化合物(特許文献3)が公開されている。しかしながら。この基材では、ドライエッジング耐性は向上するが、溶解性を向上する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−39665号公報
【特許文献2】特開2006−63061号公報
【特許文献3】WO2006/123605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、感光性樹脂等のモノマー等として有用な化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、アダマンタン骨格に環状の炭化水素基を導入することにより、レジスト材料等に配合した場合、レジスト材料の耐熱性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下のアダマンタン誘導体等が提供される。
1.下記式(I)で表されるアダマンタン誘導体。
【化1】

[式中、Rは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であり、Rは環状炭化水素基、又はフッ素原子及び水酸基の少なくとも一方を有する環状炭化水素基であり、Xは酸素原子、窒素原子、エステル結合、炭素数1〜5のアルキレン基、又は炭素数1〜5のオキシアルキレン基である。
m及びnはそれぞれ1以上の整数であり、m+nは10以下である。qは0又は1である。
mが2以上である場合、複数あるRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。nが2以上である場合、複数あるRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。]
2.前記Xが、酸素原子、メチレン基、エチレン基又は炭素数1〜5のオキシアルキレン基である1記載のアダマンタン誘導体。
3.前記Rがフッ素原子及び水酸基の少なくとも一方を有し、環形成炭素数が5〜10の環状炭化水素基である1記載のアダマンタン誘導体
4.前記フッ素原子及び水酸基の少なくとも一方を有する環状炭化水素基が、水酸基を有する6員環炭化水素基、又は水酸基を有するアダマンチル基である1〜3のいずれかに記載のアダマンタン誘導体。
5.前記qが1であり、前記Xが酸素原子、又は、炭素数1もしくは2のオキシアルキレン基である1〜4のいずれかに記載のアダマンタン誘導体
6.前記m、n及びqが1であり、前記Xが酸素原子であり、式(I)中の、( )m基及び( )n基の結合位置が、アダマンタン骨格における橋頭位である1〜4のいずれかに記載のアダマンタン誘導体。
7.前記Rが水素原子又はメチル基である1〜6のいずれかに記載のアダマンタン誘導体。
8.アクリル系官能基及びヒドロキシル基を有するアダマンタン類をスルホニル化する工程と、前記工程で得たスルホニル化アダマンタン類に、水酸基を有する環状炭化水素を反応させる工程を有する、1〜7のいずれかに記載のアダマンタン誘導体の製造方法。
9.上記1〜7のいずれかに記載のアダマンタン誘導体を含有する組成物。
10.上記1〜7のいずれかに記載のアダマンタン誘導体を用いてなる半導体用レジスト。
11.上記1〜7のいずれかに記載のアダマンタン誘導体を用いてなる半導体用下地膜。
12.上記10に記載のレジストを支持体上に塗布し、レジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光し、その後、アルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含む、レジストパターン形成方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐熱性が高いアダマンタン誘導体を提供できる。
本発明のアダマンタン誘導体は、重合性モノマーとして好適であり、本モノマーを構成単位として有する重合体は、フォトレジストとして利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】レジスト膜の紫外線の露光量と膜厚の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のアダマンタン誘導体は、下記式(I)で表される。
【化2】

【0011】
式(I)において、( )m内の基はアクリル系官能基である。Rは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。好ましくは、水素原子又はメチル基である。
mはアクリル系官能基の数を示し、1以上の整数である。mは、用途等を考慮して適宜選択すればよい。例えば、レジスト組成物で使用する場合は、架橋密度を高くするという点では、mは1〜4であることが好ましく、合成する容易さの観点からではさらに、mは1〜2であることがより好ましい。
【0012】
式(I)において、( )n内の基は少なくとも環状炭化水素基を有する基である。環状炭化水素基を有する基をアダマンタン骨格に有することにより、本発明の誘導体を重合して得られる重合体の耐熱性を向上できる。
は環状炭化水素基、又はフッ素原子及び水酸基の少なくとも一方を有する環状炭化水素基である。
環状炭化水素基としては、環形成炭素数が5〜10の環状炭化水素基が好ましい。環構造の具体例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、アダナンタン、ベンゼン、ナフタレン等が挙げられる。好ましくは6員環炭化水素基(シクロヘキサン又はベンゼン)、又アダマンタンである。
【0013】
が示す環状炭化水素基は、フッ素原子及び水酸基の少なくとも一方を有することが好ましい。環状炭化水素基に極性基を導入することにより、アダマンタン誘導体の相溶性等を制御することができる。尚、導入するフッ素原子及び水酸基の数は特に制限されず、使用溶媒や基材等の性質合わせて決定すればよい。モノマーの屈折率を抑えるにはフッ素原子が好ましく、溶解性を調節し、レジストの矩形性を向上させるには水酸基が好ましい。
【0014】
Xは酸素原子、窒素原子、エステル結合、炭素数1〜5のアルキレン基、又は炭素数1〜5のオキシアルキレン基(−OR−:Rは炭素数1〜5のアルキル基)である。なかでも、酸素原子、メチレン基、エチニレン基又は炭素数1〜5のオキシアルキレン基が好ましい。
【0015】
nは1以上の整数である。尚、m+nは10以下である。qは0又は1である。
mが2以上である場合、複数あるRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。nが2以上である場合、複数あるRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0016】
本発明のアダマンタン誘導体は、下記式(I)においてRがフッ素原子及び水酸基の少なくとも一方を有し、環形成炭素数が5〜10の環状炭化水素基であるものが好ましく、特に、qが1であり、Xが酸素原子、又は、炭素数1もしくは2のオキシアルキレン基であるものが好ましい。このような誘導体は、脂環骨格を導入したことによる耐熱性の向上が期待できる。
また、式(I)のm、n及びqが1であり、Xが酸素原子であり、( )m基及び( )n基の結合位置が、アダマンタン骨格における橋頭位である誘導体も好ましい。結合位置が、アダマンタン骨格における橋頭位であるものは、半導体ポジ型フォトレジストとして有用である。
【0017】
本発明のアダマンタン誘導体は、例えば、アクリル系官能基を有するアダマンタン類と、環状炭化水素基を有する化合物を反応させることで合成することができる。具体例としては、アクリル系官能基及びヒドロキシル基を有するアダマンタン類をスルホニル化し、これに水酸基を有する環状炭化水素を反応させることが挙げられる。以下、合成法の一例について説明する。
アクリル系官能基及びヒドロキシル基を有するアダマンタン類としては、下記式(II)で表される化合物が使用できる。
【化3】

(式中、R、m及びnは上記式(I)と同様である。Aはヒドロキシル基、又はヒドロキシル基を有する基である。)
ヒドロキシル基を有する基としては、例えば、−CHOH、−COH等のヒドロキシルアルキル基が挙げられる。Aは好ましくは、水酸基、−CHOH、−COHである。
【0018】
式(II)のアダマンタン類をスルホニル化する。スルホニル化は、例えば、式(II)の化合物にメタンスルホニル類を塩基存在下で反応させる。
反応温度は、−200〜200℃であり、望ましくは−50〜50℃である。温度が低すぎる場合、反応速度が低下し、反応時間が長くなる。一方、温度が高すぎる場合、ポリマー成分が増加し、目的物の収率が低下する。
反応時の圧力は、絶対圧力で0.01〜10MPaであり、望ましくは常圧〜1MPaである。圧力が高すぎる場合は、特別な装置が必要となり、経済的でない。
反応時間は、1分〜24時間であり、望ましくは30分〜6時間である。
【0019】
塩基としては、ナトリウムアミド,トリエチルアミン,トリブチルアミン,トリオクチルアミン,ピリジン,N,N−ジメチルアニリン,1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5(DBN),1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU),水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水素化ナトリウム,炭酸カリウム,酸化銀,ナトリウムメトキシド,カリウムt−ブトキシド等が挙げられる。
【0020】
反応時の溶媒としては、誘電率が8以下で、アクリル系官能基を有するヒドロキシル基含有アダマンタン類の溶解度が0.5%以上、望ましくは5%以上である溶媒を用いる。
溶媒の量は、反応混合物中のアダマンタン類の濃度が0.5%以上、望ましくは5%以上となるようにする。尚、アダマンタン類が懸濁している状態でもよいが、溶解していることが望ましい。また、使用前に溶媒中の水分を取り除く事が望ましい。
溶媒の具体例としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒,及びこれらとジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒との混合溶媒等が挙げられる。
【0021】
反応後、水洗により塩を除き、その後、必要に応じて、副生成物であるアダマンチル基含有のポリマー及びオリゴマーを除く。目的物の精製は蒸留、晶析、カラム分離等で実施できる。生成物の性状と不純物の種類により精製方法を選択できる。
【0022】
得られたメタンスルホニルオキシ置換アダマンタン類に、水酸基を有する環状炭化水素を塩基存在下で反応させる(エーテル化)。
反応温度は−200〜200℃であり、望ましくは50〜150℃である。温度が低すぎる場合、反応速度が低下し、反応時間が長くなる。温度が高すぎる場合、ポリマー等の副生が増加する。
圧力は、絶対圧力で0.01〜10MPaであり、望ましくは常圧〜10MPaである。圧力が高すぎる場合は、特別な装置が必要となり、経済的でない。
反応時間は、10分〜48時間である。
【0023】
水酸基を有する環状炭化水素としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ヒドロキノン等を挙げることができる。尚、水酸基を2個以上有するものが好ましい。具体的な一例を下記に示す。
【0024】
【化4】

【0025】
【化5】

【0026】
【化6】

【0027】
【化7】

【0028】
反応時に使用する塩基としては、ナトリウムアミド,トリエチルアミン,トリブチルアミン,トリオクチルアミン,ピリジン,N,N−ジメチルアニリン,1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5(DBN),1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU),水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水素化ナトリウム,炭酸カリウム,酸化銀,ナトリウムメトキシド,カリウムt−ブトキシド,リン酸ナトリウム,リン酸一水素ナトリウム,リン酸二水素ナトリウム,リン酸カリウム,リン酸一水素カリウム,リン酸二水素カリウム等が挙げられる。
【0029】
溶媒は使用しなくともよいが、使用する場合はアダマンタン類の溶解度が0.5%以上、望ましくは5%以上である溶媒を用いる。溶媒量は反応混合物中のアダマンタン類の濃度が0.5%以上、望ましくは5%以上となる量である。尚、アダマンタン類は懸濁状態でもよいが、溶解していることが望ましい。また、使用前に溶媒中の水分を取り除く事が望ましい。
具体的には、ヘキサン,ヘプタン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル,1,2−ジメトキシエタン,THF等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン,四塩化炭素等のハロゲン系溶媒,酢酸エチル,酢酸ブチル,γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒,プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート,ジメチルスルホキシド,N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
目的物の精製は、蒸留、晶析、カラム分離等が適用できる。生成物の性状と不純物の種類により精製方法を選択できる。
【0030】
本発明のアダマンタン誘導体は重合性単量体として、レジスト等の硬化性組成物原料、各種重合体の原料等に好適に使用できる。
本発明のアダマンタン誘導体を含有する組成物としては、該アダマンタン誘導体及び/又は本発明のアダマンタン誘導体に由来する繰り返し単位を含む高分子化合物の他、例えば、重合性単量体、重合開始剤、バインダーポリマー、PAG(光酸発生剤)、有機アミン等のクエンチャー、溶媒等を添加することができる。組成物の配合は用途に合わせて調製すればよい。
【0031】
重合性単量体としては、重合性不飽和基を有する化合物があり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタン−1,3−ジオールジ(メタ)アクリレート、アダマンタン−1,3−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタン−1,3−ジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0032】
組成物中における重合性単量体の含有量は、組成物を硬化して得られる硬化物の耐熱性や機械物性等に悪影響を与えない限り、特に制限はない。例えば、組成物をレジスト組成物として使用する場合には、上記重合性単量体の含有量は、組成物全体に対して1〜80重量%、好ましくは1〜50重量%である。
【0033】
重合開始剤としては、熱により硬化させる場合には熱重合開始剤を、光によって硬化させる場合には光重合開始剤を用いる。
熱重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイト、メチルイソブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤が挙げられる。
光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジケタール類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキサイド類、アシルホスフィン酸エステル類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族ヨードシル塩、芳香族スルホキソニウム塩、メタロセン化合物等が挙げられる。
【0034】
尚、重合開始剤は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の添加量は全組成物に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%である。
組成物を熱硬化するときは、硬化温度は通常30〜200℃、好ましくは50〜150℃である。
光硬化させる場合は、例えば、組成物に紫外線を照射することで硬化物を得ることができる。照射強度はモノマーや重合開始剤の種類、硬化物の膜厚等により調整すればよいが、通常、100〜5000mJ/cm、より好ましくは500〜4000mJ/cmである。
【0035】
バインダーポリマーとしては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。アルカリ現像性の見地からは、アクリル系樹脂が好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
バインダーポリマーは、例えば、重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン等の重合可能なスチレン誘導体、アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0037】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、これらの構造異性体等が挙げられる。
これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
バインダーポリマーの含有量は、特に制限はなく、組成物の用途に応じて適宜調製すればよい。一般的には、組成物全体に対して1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%である。
【0039】
その他、光酸発生剤、クエンチャー、溶媒等は、レジスト等の分野で使用されるものを使用できる。
【0040】
本発明の組成物は、光酸発生剤やクエンチャー等を添加した溶液とすることでフォトレジストとして使用できる。本発明のアダマンタン誘導体及びその硬化物(高分子化合物)は耐熱性が高く、レジスト膜は欠陥の低減、ラフネスの改善等に優れる。
本発明のレジストは、公知の方法により支持体上に塗布し、レジスト膜を形成すればよい。得られたレジスト膜を露光し、その後、アルカリ現像することによりレジストパターンを形成できる。
【0041】
本発明の組成物は、レジスト以外にも使用できる。例えば、成型する金型への注入し所望の形状にした後に、硬化させることにより各種成形品が製造できる。また、基材等にコーティングした後に硬化させることにより、各種硬化膜が形成できる。
得られる硬化物は、透明性、(長期)耐光性等の光学特性、耐熱性に優れており、良好な機械物性を与え、線膨張係数や硬化収縮率が低い。
【0042】
本発明のアダマンタン誘導体は、単独で、又は上述した重合性単量体と重合させることにより、高分子化合物とすることができる。尚、重合は公知の方法で実施できる。
本発明のアダマンタン誘導体に由来する繰り返し単位を含む高分子化合物は、耐熱性、透明性及び密着性等に優れた特性を有する。
【0043】
本発明のアダマンタン誘導体を含有する組成物の硬化物、又はアダマンタン誘導体に由来する繰り返し単位を含む高分子化合物は、光半導体(LED等)、フラットパネルディスプレイ(有機EL素子等)、電子回路及び光回路(光導波路)用等の封止剤や接着剤、光学通信用レンズ及び光学用フィルム等の光学電子部材等に好適に用いることができる。
【0044】
また、半導体素子、集積回路(IC他)、個別半導体(ダイオード、トランジスタ、サーミスタ等)として、LED(LEDランプ、チップLED、受光素子、光半導体用レンズ等)、センサー(温度センサー、光センサー、磁気センサー等)、受動部品(高周波デバイス、抵抗器、コンデンサ等)、機構部品(コネクター、スイッチ、リレー等)、自動車部品(回路系、制御系、センサー類、ランプシール等)、接着剤(光学部品、光学ディスク、ピックアップレンズ等)、表面コーティング用として光学用フィルム、レンズ、マイクロレンズ、フィルムコンデンサー、ナノインプリント法で形成されるパターン形成体等にも用いられる。
【0045】
また、本発明のアダマンタン誘導体は、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基及びトリフルオロメタクリロイルオキシ基から選ばれる1種の基を含有し、耐熱性、密着性に優れており、かつエッチング耐性も備えていることから、半導体用下地膜等の半導体形成材料としても有用である。
【0046】
光半導体用封止剤として使用する場合は、砲弾型あるいはサーフェスマウント(SMT)型等の素子に適用でき、金属やポリアミド上に形成されたGaN等の半導体と良好に密着し、さらにYAG等の蛍光色素を分散しても使用できる。さらに、砲弾型LEDの表面コート剤、SMT型LEDのレンズ等にも使用可能である。
【0047】
有機EL素子に適用する場合は、一般的なガラスや透明樹脂等の透光性基板上に、陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極が順次設けられた構成の素子に適用可能である。有機EL素子の封止材として、金属缶や金属シートあるいはSiN等のコーティングされた樹脂フィルムをEL素子にカバーする際の接着剤、あるいは本発明のアダマンタン誘導体を含む硬化性組成物にガスバリアー性を付与するために無機フィラー等を分散することで、直接、EL素子を封止することも可能である。表示方式として、現在、主流のボトムエミッション型にも適用可能であるが、今後、光の取出し効率等の点で期待されるトップエミッション型に適用することで、本発明の硬化物の透明性や耐熱性の効果を活かせる。
【0048】
光回路に使用する際は、シングルモードやマルチモード用の熱光学スイッチやアレイ導波路型格子、合分波器、波長可変フィルター、あるいは光ファイバーのコア材料やクラッド材料にも適用できる。また、導波路に光を集光するマイクロレンズアレイやMEMS型光スイッチのミラーにも適用できる。また、光電変換素子の色素バインダー等にも適用可能である。
【0049】
光学用フィルムとして用いる際は、液晶用のフィルム基板、有機EL用フィルム基板等のディスプレイ用として、あるいは光拡散フィルム、反射防止フィルム、蛍光色素等を分散することによる色変換フィルム等に適用可能である。
【0050】
カラーレジスト材料としては、液晶表示向けのカラーフィルタを構成するRGB及びブラックマトリックス等のレジストの主成分もしくは添加剤として適応可能である。
【0051】
回路形成用基板に用いる場合、該基板に対する密着性と剥離特性との双方を高水準で維持することができる。従って、配線を形成する際に、配線の断線及びショートの発生を防止することが可能である。
【0052】
尚、半導体産業においては、より小さい形状が要求され続けており、193nm光リソグラフィが、最近、サブ100nmによってデバイスを製造する技術として浮上している。このような短波長の光を使用する場合、底部反射防止膜(BARC)が必要となる。このBARCは、基材上の反射を低減し、かつフォトレジストを通過した光を吸収することによってフォトレジストの振動による硬化を抑制する。市販の反射防止膜(ARC)は、有機材料及び無機材料の両方から成る。一般的には、良好な耐エッチング性を示す無機ARCは、CVDに基づき、極端な微細構造(topography:トポグラフィー)による集積の不利益を全て受けやすい。本発明の組成物は、スピンオンプロセスによって塗工でき、優れた充填特性及び平坦化特性を有し、また、アダマンタン骨格が多くはいることで、耐エッチング性が良好で、導入率でエッチング特性を変えることができる。
【0053】
また、近年、LSI装置の小型化が求められているため、CSPやBGA等の新しいパッケージが普及しつつある。これらリードのないチップキャリアは、一般的に、一枚のセラミックを含むパッケージからなり、そのセラミックがチップキャリア、即ち、ベースを形成し、そのベース上にチップが実装される。チップが実装されたパッケージは、さらに、より大きいプリント回路基板(PCB)等に実装される。具体的には、パッケージのコンタクトパッドと鏡像関係にあるコンタクトパッドがPCB上に形成され、両者を符合させた後、リフロー半田付け等を行うことによって、電気的及び機械的に接続され、表面実装される。パッケージをPCBに半田により接続する場合は、通常、半田ペーストを用いるか、ソルダバンプが用いられる。パッケージ基材とPCB基材との間のソルダバンプによって生じる隙間には、エポキシ系等の封止樹脂(アンダーフィル材料)が注入されるのが一般的である。
また、チップをパッケージやPCBに実装する際に必要とされる面積を低減するための方法の一つとして、フリップチップ接続法がある。この場合も、チップ基材面とチップキャリア基材、あるいはチップ基材面とPCB基材との間にソルダバンプによる隙間が生じるため、同様にアンダーフィル材料が注入される。アンダーフィル材料は、接続部における隙間や空間を埋めるだけでなく、電気的接点を密封して周囲から保護するとともに、例えばパッケージ基材とPCB基材とを接着する機能を有し、小さな機械的接合点であるソルダバンプ接合部に過度の力が作用することを防ぐ目的も併せ持っている。
【0054】
本発明の組成物は、2枚以上の基材の隙間を封止するアンダーフィル材料に用いることができる。このアンダーフィル剤は、短時間での硬化し、優れた接着性、高い耐熱性を発揮することができる。その結果、電子部品の信頼性の向上、生産性の向上等を図ることができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明について実施例及び比較例を示してより具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
【0056】
合成例1
・中間体である3−メタンスルホニルオキシ−1−アダマンチルメタクリレート(下記式(1))の合成
撹拌羽根、還流冷却管、温度指示計及び滴下ロートを取付けた2Lの4ツ口フラスコに、3−ヒドロキシ−1アダマンチル
メタクリレート[118g,500mmol、出光興産社製]を入れ、p−メトキシフェノール[0.05mmol]、及びトルエン1000mLを加えた。次いで、トリエチルアミン[105mL,750mmol]を加え、フラスコを氷浴につけた。窒素気流下にし、内温が5℃以下になるまで撹拌した。滴下ロートにメタンスルホニルクロライド[47mL,600mmol]を入れ、メタンスルホニルクロライドを滴下した。滴下終了後、5分間撹拌を継続した。その後、水100mLを加え反応を停止させた。反応液を2L分液ロートに移し、水500mLを加え、トルエン層を水洗した。トルエン層に1N塩酸500mLを加え洗浄した。次いで、水500mLで洗浄した。トルエン層に無水硫酸マグネシウムを加えて脱水し、ろ過後、トルエンを除去した[収量149g,収率95%]。
【0057】
合成物の構造を核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製JNM−ECA500)にて確認した。核磁気共鳴スペクトル(溶媒:クロロホルム−d)のピーク位置を以下に示す。
【化8】

【0058】
H−NMR(500MHz)δ(ppm):1.59(br−s,2H,hori),1.89(s,3H,a),2.09(d,J=12.2Hz,2H,forf’orjorj’),2.18(d,J=12.2Hz,2H,forf’orjorj’),2.22(d,J=3.1Hz,4H,forf’orjorj’),2.42(br−s,2H,iorh),2.62(s,2H,g),3.01(s,3H,l),5.51(t,J=1.5Hz,1H,b1),6.02(s,1H,b2)
13C−NMR(125MHz):18.23(a),31.46(h),34.26(gori),39.44(forj),40.88(l),41.70(jorf),46.57(iorg),80.53(k),90.30(e),125.02(b),137.37(c),166.15(d)
【0059】
・ガスクロマトグラフ−質量分析(GC−MS):EI(株式会社島津製作所製GCMS−QP2010)
315(M++1,2.4%),314(M+,14.4%),229(29.0%),228(65.0%),149(96.8%),132(27.4%),133(95.7%),121(20.6%),107(23.8%),105(87.4%),93(44.3%),92(71.0%),91(56.0%),79(38.7%),69(100%)
【0060】
実施例1
・3−{[4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキシル]メトキシ}−1−アダマンチルメタクリレート(下記式(2))の合成
撹拌羽根、還流冷却管、温度指示計及びAir導入管を取付けた100mLの4ツ口フラスコに、1,4−シクロヘキサンジメタノール[42.7g]とp−メトキシフェノール[9.6mg]を加え、Airバブリングしながら120度で1時間撹拌をした。次いで、3−メタンスルホニルオキシ−1−アダマンチルメタクリレート[9.3g]及びピリジン[3.6mL]を加え、さらに120度で1時間撹拌を行なった。反応溶液を室温まで、冷却した後、トルエン50mL、蒸留水100mL加え,分液ロートに移し、トルエン層を分離した。この水層をトルエン50mLで2回抽出した。得られたトルエン層をまとめ、蒸留水100mL、0.2NのHCl水溶液100mL、飽和食塩水100mLでそれぞれ一回洗浄した。トルエン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下トルエンを留去した[収量8.6g,収率80%]。
【0061】
【化9】

【0062】
・核磁気共鳴スペクトル(溶媒:クロロホルム−d)
H−NMR(500MHz):1.60−2.10(m,31H),4.08(ddd,1H,J=6.1,4.3,1.9Hz),4.21−4.30(m,2H),4.36(dd,1H,J=4.9,2.5Hz),4.00(dd,1H,J=11.3,4.3Hz),4.66(dd,1H,J=7.9,2.7Hz),5.55(d,1H,J=4.9Hz),5.56(s,1H),6.12(s,1H)
13C−NMR(125MHz):18.19,26.62,26.84,26.90,26.92,34.09,34.41,34.57,34.63,34.85,34.88,34.93,34.92,35.17,35.48,36.96,37.04,37.13,37.43,63.99,66.17,70.21,70.47,70.71,95.77,111.65,112.57,125.62,136.24,167.35
【0063】
・ガスクロマトグラフ−質量分析
362(M+,0.1%),276(4.9%),219(27.1%),151(19.0%),134(33.8%),69(100%)
【0064】
実施例2
・3−[(4−ヒドロキシシクロヘキシル)オキシ]−1−アダマンチルメタクリレートの合成
上記実施例1の1,4−シクロヘキサンジメタノールを1,4−シクロヘキサンジオールに変更した以外は同様にした[収量9.0g,収率91%]。
【0065】
【化10】

・核磁気共鳴スペクトル(溶媒:クロロホルム−d)
H−NMR(500MHz):1.60−2.10(m,31H),4.08(ddd,1H,J=6.1,4.3,1.9Hz),4.21−4.30(m,2H),4.36(dd,1H,J=4.9,2.5Hz),4.00(dd,1H,J=11.3,4.3Hz),4.66(dd,1H,J=7.9,2.7Hz),5.55(d,1H,J=4.9Hz),5.56(s,1H),6.12(s,1H)
13C−NMR(125MHz):18.19,26.62,26.84,26.90,26.92,34.09,34.41,34.57,34.63,34.85,34.88,34.93,34.92,35.17,35.48,36.96,37.04,37.13,37.43,63.99,66.17,70.21,70.47,70.71,95.77,111.65,112.57,125.62,136.24,167.35
【0066】
・ガスクロマトグラフ−質量分析
334(M+,0.8%),219(30.0%),151(11.3%),134(21.1%),69(100%)
【0067】
実施例3
・3−(4−ヒドロキシフェノキシ)−1−アダマンチルメタクリレート(下記式(3))の合成
上記実施例1の1,4−シクロヘキサンジメタノールをヒドロキノンに変更した以外は同様にした[収量9.0g,収率93%]。
【0068】
【化11】

【0069】
・核磁気共鳴スペクトル(溶媒:クロロホルム−d)
H−NMR(500MHz):1.60−2.10(m,31H),4.08(ddd,1H,J=6.1,4.3,1.9Hz),4.21−4.30(m,2H),4.36(dd,1H,J=4.9,2.5Hz),4.00(dd,1H,J=11.3,4.3Hz),4.66(dd,1H,J=7.9,2.7Hz),5.55(d,1H,J=4.9Hz),5.56(s,1H),6.12(s,1H)
13C−NMR(125MHz):18.19,26.62,26.84,26.90,26.92,34.09,34.41,34.57,34.63,34.85,34.88,34.93,34.92,35.17,35.48,36.96,37.04,37.13,37.43,63.99,66.17,70.21,70.47,70.71,95.77,111.65,112.57,125.62,136.24,167.35
・ガスクロマトグラフ−質量分析
328(M+,3.5%),243(0.5%),219(5.5%),178(27.1%),69(100%)
【0070】
実施例4
・重合体の合成「3−{[4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキシル]メトキシ}−1−アダマンチルメタクリレート(下記式(2))の重合」
還流管、誘導撹拌機、TI管、滴下漏斗をそれぞれ備えた100mLの4つ口丸底フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)84mLを入れ、撹拌しながら窒素バブリングを行なった(80cc/min、1時間)。3−{[4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキシル]メトキシ}−1−アダマンチルメタクリレート7.6g、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)353mgを加え、80℃で4時間反応を行なった。反応溶液を室温まで冷却した後、減圧下PGMEAを留去した。得られた粗体を15mLのテトラヒドロフラン(THF)で溶解させ、メタノール250mLへ撹拌しながら滴下した。得られた白色固体をメンブランフィルターでろ過し、ろ物を乾燥した[収量6.5g,収率86%]。
【0071】
実施例5
・共重合体の合成
メチルイソブチルケトンに、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル/下記モノマーA/下記モノマーB(実施例1で合成した式(1))/下記モノマーCを重量比で0.1/1.0/1.0/1.0で仕込み、加熱還流下、2時間撹拌した。その後、反応液を大量のメタノールと水の混合溶媒に注いで沈殿させる動作を3回行い精製した。その結果、モノマーA:モノマーB:モノマーCの共重合組成(mol)=25:46:29,重量平均分子量(Mw)が9327,分散度(Mw/Mn)2.56の共重合体を得た。
【0072】
【化12】

【0073】
実施例6
・樹脂組成物
実施例5で合成した共重合体に対し、光酸発生剤としてトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート5wt%加え、これらが10wt%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで溶解し、レジスト組成物を調製した。
シリコンウエハー上に、調製したレジスト組成物を塗布し、110℃で、60秒間ベークを行い、レジスト膜を形成した。こうして得られたウエハーを波長248nmの光により、異なる露光量で数点オープン露光した。露光直後に110℃で、60秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で60秒間現像した。このときの露光量に対する膜厚の変化を図1に示す。
このように、本発明のレジスト膜は、露光量により膜厚変化を起こし、感光性樹脂としての機能を有することを確認できた。
【0074】
比較例1
上記実施例5のモノマーBを3−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−アダマンチルメタクリレートに変更した以外は同様に反応させた[収量5.0g,収率85%]。
【0075】
実施例5及び比較例1で得られたそれぞれのポリマーの5%減量温度(Td5)を測定した。結果を表1に示す。尚、測定にはエスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製のEXSTAR TG/DTA7200を使用した。
【0076】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のアダマンタン誘導体は、重合性モノマーとして使用でき、本モノマーを構成単位として有する重合体は、フォトレジストとして利用できる。
本発明のアダマンタン誘導体を含有する組成物の硬化物、又はアダマンタン誘導体に由来する繰り返し単位を含む高分子化合物は、光半導体(LED等)、フラットパネルディスプレイ(有機EL素子等)、電子回路及び光回路(光導波路)用等の封止剤や接着剤、光学通信用レンズ及び光学用フィルム等の光学電子部材等に好適に用いることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表されるアダマンタン誘導体。
【化13】

[式中、Rは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基であり、Rは環状炭化水素基、又はフッ素原子及び水酸基の少なくとも一方を有する環状炭化水素基であり、Xは酸素原子、窒素原子、エステル結合、炭素数1〜5のアルキレン基、又は炭素数1〜5のオキシアルキレン基である。
m及びnはそれぞれ1以上の整数であり、m+nは10以下である。qは0又は1である。
mが2以上である場合、複数あるRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。nが2以上である場合、複数あるRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。]
【請求項2】
前記Xが、酸素原子、メチレン基、エチレン基又は炭素数1〜5のオキシアルキレン基である請求項1記載のアダマンタン誘導体。
【請求項3】
前記Rがフッ素原子及び水酸基の少なくとも一方を有し、環形成炭素数が5〜10の環状炭化水素基である請求項1記載のアダマンタン誘導体。
【請求項4】
前記フッ素原子及び水酸基の少なくとも一方を有する環状炭化水素基が、水酸基を有する6員環炭化水素基、又は水酸基を有するアダマンチル基である請求項1〜3のいずれかに記載のアダマンタン誘導体。
【請求項5】
前記qが1であり、前記Xが酸素原子、又は、炭素数1もしくは2のオキシアルキレン基である請求項1〜4のいずれかに記載のアダマンタン誘導体。
【請求項6】
前記m、n及びqが1であり、前記Xが酸素原子であり、
式(I)中の、( )m基及び( )n基の結合位置が、アダマンタン骨格における橋頭位である請求項1〜4のいずれかに記載のアダマンタン誘導体。
【請求項7】
前記Rが水素原子又はメチル基である請求項1〜6のいずれかに記載のアダマンタン誘導体。
【請求項8】
アクリル系官能基及びヒドロキシル基を有するアダマンタン類をスルホニル化する工程と、
前記工程で得たスルホニル化アダマンタン類に、水酸基を有する環状炭化水素を反応させる工程を有する、請求項1〜7のいずれかに記載のアダマンタン誘導体の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載のアダマンタン誘導体を含有する組成物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載のアダマンタン誘導体を用いてなる半導体用レジスト。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれかに記載のアダマンタン誘導体を用いてなる半導体用下地膜。
【請求項12】
請求項10に記載のレジストを支持体上に塗布し、レジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜を露光し、その後、アルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含む、レジストパターン形成方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−178686(P2011−178686A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42452(P2010−42452)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】