説明

アダマンタン誘導体の製造方法

【課題】対称性が高く、安定な化合物であり、医薬品原料や高機能性工業材料の原料等として有用であるアダマンタン誘導体の高収率な製造方法の提供。
【解決手段】第2級アルコールに代表される比誘電率が14〜37の溶媒中で、4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン等の化合物と化合物に対して8〜20倍モル量のエピクロロヒドリンを反応させ、下記に例示されるグリシジルオキシ基含有アダマンタン誘導体を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アダマンタン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子・光学材料分野においては、液晶や有機EL等を用いたフラットパネルディスプレイの高精細化、高視野角化、高画質化、発光ダイオード(LED)等の光半導体を用いた光源の高輝度、短波長化、白色化、さらには電子回路の高周波数化や光を用いた回路・通信等、光学・電子部品の高性能化・改良検討が進められている。また、半導体の技術分野における進歩は著しく、電子機器は小型軽量化、高性能化、多機能化が急速に進んでいる。それに対応して、配線基板には高密度化、高配線化が求められている。
【0003】
アダマンタンは、シクロヘキサン環が4個、カゴ形に縮合した構造を有し、対称性が高く、安定な化合物であり、その誘導体は特異な機能を示すことから、医薬品原料や上述の高機能性工業材料の原料等として有用であることが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−133246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高収率なアダマンタン誘導体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下のアダマンタン誘導体の製造方法が提供される。
1.比誘電率が14〜37の溶媒中で、下記式(I)〜(IV)で表わされる化合物のいずれか1以上とエピクロロヒドリンを反応させるアダマンタン誘導体の製造方法。
【化1】

(式中、OHは水酸基を表わす。
dは1〜4の整数であり、dが複数ある場合は、複数のdは互いに同じでも異なってもよい。)
2.前記溶媒が第2級アルコールである請求項1に記載のアダマンタン誘導体の製造方法。
3.前記エピクロロヒドリンを、前記式(I)〜(IV)で表わされる化合物に対して、8〜20倍モル量を用いる1又は2に記載のアダマンタン誘導体の製造方法。
4.前記式(II)で表わされる化合物が、4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼンである1〜3のいずれかに記載のアダマンタン誘導体の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高収率なアダマンタン誘導体の製造方法が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のアダマンタン誘導体の製造方法は、比誘電率が14〜37の溶媒中で、下記式(I)〜(IV)で表わされる化合物のいずれか1以上とエピクロロヒドリンを反応させる。
【化2】

(式中、OHは水酸基を表わす。
dは1〜4の整数であり、dが複数ある場合は、複数のdは互いに同じでも異なってもよい。)
【0009】
本発明のアダマンタン誘導体の製造方法では、比誘電率が14〜37の溶媒を用いることにより、反応が進みすぎずに、オリゴマーの生成を抑止できる。
尚、溶媒を2種以上使用する場合は、当該2種以上の溶媒の全てを比誘電率が14〜37の溶媒とする。
【0010】
比誘電率が14〜37の溶媒としては、メタノール、エタノール、1−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。
比誘電率が14〜37の溶媒は、好ましくは比誘電率が14〜37の第2級アルコールであり、上記具体例のうち、2−プロパノールが該当する。
【0011】
比誘電率が14〜37の溶媒の添加量は、例えば式(I)〜(IV)で表わされる化合物の濃度が0.5重量%以上となる量とすればよく、好ましくは式(I)〜(IV)で表わされる化合物の濃度が5重量%以上となる量とする。
【0012】
式(I)〜(IV)で表わされる化合物の具体例としては、4−(1−アダマンチル)−1,3−ベンゼンジオール、4−(1−アダマンチル)−1,2−ベンゼンジオール、3−(1−アダマンチル)−1,2−ベンゼンジオール、2−(1−アダマンチル)−1,4−ベンゼンジオール、2−(1−アダマンチル)−1,3−ベンゼンジオール、4−(1−アダマンチル)−1,2,3−ベンゼントリオール、5−(1−アダマンチル)−1,2,3−ベンゼントリオール、2−(1−アダマンチル)−1,3,5−ベンゼントリオール、3−(1−アダマンチル)−1,2,4−ベンゼントリオール、5−(1−アダマンチル)−1,2,4−ベンゼントリオール、6−(1−アダマンチル)−1,2,4−ベンゼントリオール;1,3−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(2,5−ジヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(2,6−ジヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(2,4,5−トリヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(2,5,6−トリヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)アダマンタン;2,2−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(2,5−ジヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(2,6−ジヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(2,4,5−トリヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(2,5,6−トリヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)アダマンタン;2,3−ビス(1−アダマンチル)フェノール、2,4−ビス(1−アダマンチル)フェノール、2,5−ビス(1−アダマンチル)フェノール、2,6−ビス(1−アダマンチル)フェノール、3,5−ビス(1−アダマンチル)フェノール、3,4−ビス(1−アダマンチル)−2−メチル−フェノール、3,5−ビス(1−アダマンチル)−2−メチル−フェノール、3,6−ビス(1−アダマンチル)−2−メチル−フェノール、4,5−ビス(1−アダマンチル)−2−メチル−フェノール、4,6−ビス(1−アダマンチル)−2−メチル−フェノール、5,6−ビス(1−アダマンチル)−2−メチル−フェノール、2,4−ビス(1−アダマンチル)−3−メチル−フェノール、2,5−ビス(1−アダマンチル)−3−メチル−フェノール、2,6−ビス(1−アダマンチル)−3−メチル−フェノール、4,5−ビス(1−アダマンチル)−3−メチル−フェノール、4,6−ビス(1−アダマンチル)−3−メチル−フェノール、5,6−ビス(1−アダマンチル)−3−メチル−フェノール、2,3−ビス(1−アダマンチル)−4−メチル−フェノール、2,5−ビス(1−アダマンチル)−4−メチル−フェノール、2,6−ビス(1−アダマンチル)−4−メチル−フェノール、3,5−ビス(1−アダマンチル)−4−メチル−フェノール、2,3−ビス(1−アダマンチル)−4−エチル−フェノール、2,5−ビス(1−アダマンチル)−4−エチル−フェノール、2,6−ビス(1−アダマンチル)−4−エチル−フェノール、3,5−ビス(1−アダマンチル)−4−エチル−フェノール、3,4−ビス(1−アダマンチル)−2,6−ジメチル−フェノール、3,5−ビス(1−アダマンチル)−2,6−ジメチル−フェノール、3,5−ビス(1−アダマンチル)−2,4−ジメチル−フェノール、3,6−ビス(1−アダマンチル)−2,4−ジメチル−フェノール、5,6−ビス(1−アダマンチル)−2,4−ジメチル−フェノール、3,4−ビス(1−アダマンチル)−2,5−ジメチル−フェノール、3,6−ビス(1−アダマンチル)−2,5−ジメチル−フェノール、4,6−ビス(1−アダマンチル)−2,5−ジメチル−フェノール、2,5−ビス(1−アダマンチル)−3,4−ジメチル−フェノール、2,6−ビス(1−アダマンチル)−3,4−ジメチル−フェノール、5,6−ビス(1−アダマンチル)−3,4−ジメチル−フェノール、2,4−ビス(1−アダマンチル)−3,5−ジメチル−フェノール、2,6−ビス(1−アダマンチル)−3,5−ジメチル−フェノール;3,4−ビス(1−アダマンチル)−2−イソプロピル−フェノール、3,5−ビス(1−アダマンチル)−2−イソプロピル−フェノール、3,6−ビス(1−アダマンチル)−2−イソプロピル−フェノール、4,5−ビス(1−アダマンチル)−2−イソプロピル−フェノール、4,6−ビス(1−アダマンチル)−2−イソプロピル−フェノール、5,6−ビス(1−アダマンチル)−2−イソプロピル−フェノール、2,3−ビス(1−アダマンチル)−4−イソプロピル−フェノール、2,5−ビス(1−アダマンチル)−4−イソプロピル−フェノール、2,6−ビス(1−アダマンチル)−4−イソプロピル−フェノール、3,5−ビス(1−アダマンチル)−4−イソプロピル−フェノール、3,4−ビス(1−アダマンチル)−2−t−ブチル−フェノール、3,5−ビス(1−アダマンチル)−2−t−ブチル−フェノール、3,6−ビス(1−アダマンチル)−2−t−ブチル−フェノール、4,5−ビス(1−アダマンチル)−2−t−ブチル−フェノール、4,6−ビス(1−アダマンチル)−2−t−ブチル−フェノール、5,6−ビス(1−アダマンチル)−2−t−ブチル−フェノール、2,3−ビス(1−アダマンチル)−4−t−ブチル−フェノール、2,5−ビス(1−アダマンチル)−4−t−ブチル−フェノール、2,6−ビス(1−アダマンチル)−4−t−ブチル−フェノール、3,5−ビス(1−アダマンチル)−4−t−ブチル−フェノール、2,3−ビス(1−アダマンチル)−4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)−フェノール、2,5−ビス(1−アダマンチル)−4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)−フェノール、2,6−ビス(1−アダマンチル)−4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)−フェノール、3,5−ビス(1−アダマンチル)−4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)−フェノール、3,4−ビス(1−アダマンチル)−2,6−ジ−t−ブチル−フェノール、3,5−ビス(1−アダマンチル)−2,6−t−ブチル−フェノール、3,5−ビス(1−アダマンチル)−2,4−ジ−t−ブチル−フェノール、3,6−ビス(1−アダマンチル)−2,4−ジ−t−ブチル−フェノール、5,6−ビス(1−アダマンチル)−2,4−ジ−t−ブチル−フェノール、3,4−ビス(1−アダマンチル)−5−イソプロピル−2−メチル−フェノール、3,6−ビス(1−アダマンチル)−5−イソプロピル−2−メチル−フェノール、4,6−ビス(1−アダマンチル)−5−イソプロピル−2−メチル−フェノール、3,4−ビス(1−アダマンチル)−5−メチル−2−イソプロピル−フェノール、3,6−ビス(1−アダマンチル)−5−メチル−2−イソプロピル−フェノール、4,6−ビス(1−アダマンチル)−5−メチル−2−イソプロピル−フェノール、3,5−ビス(1−アダマンチル)−2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノール、3,5−ビス(1−アダマンチル)−2−t−ブチル−4−メチル−フェノール、3,6−ビス(1−アダマンチル)−2−t−ブチル−4−メチル−フェノール、5,6−ビス(1−アダマンチル)−2−t−ブチル−4−メチル−フェノール、4,6−ビス(1−アダマンチル)−2,3,5−トリメチル−フェノール;2,4−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ベンゼンジオール、2,5−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ベンゼンジオール、4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ベンゼンジオール、4,5−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ベンゼンジオール、3,4−ビス(1−アダマンチル)−1,2−ベンゼンジオール、3,5−ビス(1−アダマンチル)−1,2−ベンゼンジオール、3,6−ビス(1−アダマンチル)−1,2−ベンゼンジオール、4,5−ビス(1−アダマンチル)−1,2−ベンゼンジオール;2,3−ビス(1−アダマンチル)−1,4−ベンゼンジオール、2,5−ビス(1−アダマンチル)−1,4−ベンゼンジオール、2,6−ビス(1−アダマンチル)−1,4−ベンゼンジオール、4,5−ビス(1−アダマンチル)−1,2,3−ベンゼントリオール、4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,2,3−ベンゼントリオール、2,5−ビス(1−アダマンチル)−1,3,4−ベンゼントリオール、2,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3,4−ベンゼントリオール、5,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3,4−ベンゼントリオール;1,3−ビス(2,3−ジヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(2,3−ジヒドロキシフェニル)アダマンタン等が挙げられる。
本発明のアダマンタン誘導体の製造方法では、式(II)で表わされる化合物として、4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼンを好適に用いることができる。
【0013】
式(I)〜(IV)で表わされる化合物は、公知の方法で製造することができ、例えばアダマンタンアルコール類又はアダマンタンハロゲン化物と、フェノール類とを反応させることにより得ることができる。
【0014】
エピクロロヒドリンは反応性が高く、さらに工業的な生産性を考量すると、エピクロロヒドリンの添加量は、好ましくは式(I)〜(IV)で表わされる化合物に対して、8〜20倍モル量とする。
【0015】
式(I)〜(IV)で表わされる化合物とエピクロロヒドリンとの反応は、通常、塩基性触媒の存在下で行う。
上記塩基性触媒としては、ナトリウムアミド,トリエチルアミン,トリブチルアミン,トリオクチルアミン,ピリジン,N,N−ジメチルアニリン,1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5(DBN),1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU),水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水素化ナトリウム,燐酸ナトリウム,燐酸カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,酸化銀,ナトリウムメトキシド及びカリウムt−ブトキシド等が挙げられる。
塩基性触媒の使用量は、塩基性触媒/式(I)〜(IV)で表わされる化合物の活性水素(モル比)が、例えば0.8〜10となる量であり、好ましくは1〜5となる量である。
【0016】
式(I)〜(IV)で表わされる化合物とエピクロロヒドリンとの反応の際には、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド及びテトラエチルアンモニウムブロミド等の4級アンモニウム塩を相間移動触媒として添加してもよい。
当該4級アンモニウム塩の使用量は、式(I)〜(IV)で表わされる化合物に対して例えば0.01〜20モル%であり、好ましくは0.1〜10モル%である。
【0017】
式(I)〜(IV)で表わされる化合物とエピクロロヒドリンの反応の反応温度は、通常0〜200℃であり、好ましくは20〜150℃である。
反応温度が0℃以上とすることで、反応速度が低下せず、反応時間を短縮することができ、反応温度が200℃以下とすることで、生成物の着色を抑制することができる。
反応時間は、例えば1分〜24時間であり、好ましくは1〜10時間である。
反応の際の圧力は、絶対圧力で例えば0.01〜10MPaであり、好ましくは常圧〜1MPaである。圧力を10MPa以下とすることで、安全性が確保され、特別な装置を不要とすることができ、産業上有用である。
【0018】
本発明のアダマンタン誘導体の製造方法では、2量体以上のグリシジルオキシ基を含有するアダマンタン誘導体オリゴマー(重質分)が生成する場合があり、必要に応じて蒸留、晶析、カラム分離等により精製する。
【0019】
本発明の製造方法により得られるグリシジルオキシ基含有アダマンタン誘導体について、グリシジルオキシ基の生成が不十分な場合、塩基触媒を用いた閉環反応により、グリシジルオキシ基含有量を改善することができる。
【0020】
閉環反応に使用する塩基触媒としては水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,燐酸ナトリウム,燐酸カリウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウム等が挙げられる。
塩基触媒の使用量は、グリシジルオキシ基含有アダマンタン誘導体に対して例えば0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%である。
塩基触媒の使用量を0.1質量%以上とすることで、反応速度が低下せず、反応時間を短縮することができ、塩基触媒の使用量を20質量%以下とすることで、得られる効果と経済性のバランスが良好となる。
【0021】
閉環反応の反応温度は、通常20〜200℃であり、好ましくは30〜150℃である。
反応の際の圧力は、例えば絶対圧力で0.01〜10MPaであり、好ましくは常圧〜1MPaである。圧力を10MPa以下とすることで、安全性が確保されるので特別な装置が不要となり、産業上有用である。反応時間は、例えば1分〜24時間であり、好ましくは30分〜10時間である。
閉環反応は、無溶媒又は溶媒の存在下で行うことができ、溶媒を使用する場合は、上述した比誘電率が14〜37の溶媒を用いる。当該溶媒の使用量は、例えばグリシジルオキシ基含有アダマンタン誘導体の濃度が0.5重量%以上となる量とすればよく、好ましくは式グリシジルオキシ基含有アダマンタン誘導体の濃度が5重量%以上となる量とする。
【0022】
本発明の製造方法で得られるアダマンタン誘導体は、ベンゼン環の水酸基とエピクロロヒドリンとが反応してなるベンゼン環にグリシジル基が置換したグリシジルオキシ基含有アダマンタン誘導体であり、例えば下記構造を有する化合物が得られる。
【化3】

【実施例】
【0023】
実施例1
還流冷却管、攪拌機、温度計及び窒素導入管を備え付けた500mLの4つ口フラスコに、イソプロピルアルコール(誘電率:18.62)120ml及びエピクロロヒドリン127g(1.37mol)を仕込み、30分間窒素置換した。これに4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン52.01g(0.137mol)を加え、30分窒素置換した後、攪拌しながら55℃に加熱した。この溶液に1時間かけて48wt%水酸化ナトリウム水溶液24.1g(0.301mol)を加え、2時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し、クロロホルム300mlを加え、500mlの水で水洗した後、飽和食塩水500mlを加えて分液した。さらに水相が中性になるまで水洗した後、有機層を濃縮し、トルエン、ヘキサン混合溶媒にて再結晶を実施し、白色固体の4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジグリシジルオキシベンゼンを得た(収率92%、LC純度99.8%、GPC純度97%、エポキシ当量246)。
尚、LC純度(液体クロマトグラフィ純度)は、λ=280nmの光線により測定した。また、GPC純度(ガスクロマトグラフィ純度)は、カラム:TSGgel G−4000HXL+G−2000HXL、溶媒:THF、検出器:RIにて、測定した。
【0024】
実施例2
還流冷却管、攪拌機、温度計及び窒素導入管を備え付けた500mLの4つ口フラスコに、アセトニトリル(誘電率:36.7)120ml及びエピクロロヒドリン127g(1.37mol)を仕込み、30分間窒素置換した。これに4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン52.01g(0.137mol)を加え、30分窒素置換した後、攪拌しながら55℃に加熱した。この溶液に1時間かけて48wt%水酸化ナトリウム水溶液24.1g(0.301mol)を加え、2時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し、クロロホルム300mlを加え、500mlの水で水洗した後、飽和食塩水500mlを加えて分液した。さらに水相が中性になるまで水洗した後、有機層を濃縮し、トルエン、ヘキサン混合溶媒にて再結晶を実施し、白色固体の4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジグリシジルオキシベンゼンを得た(収率85%、LC純度99.8%、GPC純度97%、エポキシ当量248)。
【0025】
比較例1
還流冷却管、攪拌機、温度計及び窒素導入管を備え付けた500mLの4つ口フラスコに、MIBK(誘電率:13.11)57ml及びDMSO(誘電率:45)157ml及びエピクロロヒドリン98g(1.057mol)を仕込み、30分間窒素置換した。これに4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン52.01g(0.137mol)を加え、30分窒素置換した後、攪拌しながら45℃に加熱した。この溶液に0.5時間かけて水酸化ナトリウム11.6g(0.290mol)を加え、1.5時間攪拌した。さらに水酸化ナトリウム2.9g(0.0725mol)を加え、さらに1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し、クロロホルム300mlを加え、500mlの水で水洗した後、0.1mol/LのHCl水溶液500mlを加えて分液した。さらに水相が中性になるまで水洗した後、有機層を濃縮し、トルエン及びヘキサンを用いて再結晶を実施し、白色の目的物を得た(収率60%、LC純度99.2%、GPC純度95%、エポキシ当量252)。
【0026】
比較例2
還流冷却管、攪拌機、温度計及び窒素導入管を備え付けた500mLの4つ口フラスコに、トルエン(誘電率:2.24)57ml及びDMSO(誘電率:45)157ml及びエピクロロヒドリン98g(1.057mol)を仕込み、30分間窒素置換した。これに4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン52.01g(0.137mol)を加え、30分窒素置換した後、攪拌しながら45℃に加熱した。この溶液に0.5時間かけて水酸化ナトリウム11.6g(0.290mol)を加え、1.5時間攪拌した。さらに水酸化ナトリウム2.9g(0.0725mol)を加え、さらに1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し、クロロホルム300mlを加え、500mlの水で水洗した後、0.1mol/LのHCl水溶液500mlを加えて分液した。さらに水相が中性になるまで水洗した後、有機層を濃縮し、トルエン及びヘキサンを用いて再結晶を実施し、白色の目的物を得た(収率57%、LC純度99.2%、GPC純度96%、エポキシ当量250)。
【0027】
比較例3
還流冷却管、攪拌機、温度計及び窒素導入管を備え付けた500mLの4つ口フラスコに、MIBK57ml、DMSO157ml及びエピクロロヒドリン98g(1.057mol)を仕込み、30分間窒素置換した。これに実施例1で合成した4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン52.01g(0.137mol)を加え、30分窒素置換した後、攪拌しながら45℃に加熱した。この溶液に0.5時間かけて水酸化ナトリウム11.6g(0.290mol)を加え、1.5時間攪拌した。さらに水酸化ナトリウム2.9g(0.0725mol)を加え、さらに1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し、クロロホルム300mlを加え、500mlの水で水洗した後、の0.1mol/LのHCl水溶液500mlを加えて分液した。さらに水相が中性になるまで水洗した後、有機層を濃縮し、恒量になるまで100℃の減圧乾燥機で乾燥させ、淡黄色固体の4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジグリシジルオキシベンゼンを得た(収率92%、LC純度99.20%、エポキシ当量267、融点193℃)。その後、トルエン及びヘキサンを用いて再結晶を実施し、白色の目的物を得た(収率57%、LC純度99.20%、エポキシ当量248、融点193℃)。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の製造方法により得られるアダマンタン誘導体から得られるは、配線基板のソルダーレジスト、液晶ディスプレイやイメージセンサーのカラーフィルター用保護膜、カラーフィルター用着色組成物、電子回路用封止材、光学電子部材及びこれらに用いる接着剤等として好適である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
比誘電率が14〜37の溶媒中で、下記式(I)〜(IV)で表わされる化合物のいずれか1以上とエピクロロヒドリンを反応させるアダマンタン誘導体の製造方法。
【化4】

(式中、OHは水酸基を表わす。
dは1〜4の整数であり、dが複数ある場合は、複数のdは互いに同じでも異なってもよい。)
【請求項2】
前記溶媒が第2級アルコールである請求項1に記載のアダマンタン誘導体の製造方法。
【請求項3】
前記エピクロロヒドリンを、前記式(I)〜(IV)で表わされる化合物に対して、8〜20倍モル量を用いる請求項1又は2に記載のアダマンタン誘導体の製造方法。
【請求項4】
前記式(II)で表わされる化合物が、4,6−ビス(1−アダマンチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼンである請求項1〜3のいずれかに記載のアダマンタン誘導体の製造方法。