説明

アッシュ後の側壁の回復

【課題】有効誘電率を増大させ、デバイスの性能を制限する可能性がある環境に低K薄膜を曝した後、より低い有効誘電率を維持する新しいプロセスを提供する。
【解決手段】集積回路の2つの導電性構成要素の間に存在する、有効誘電率を低下させる方法。その方法は、低K誘電体層の酸素が豊富な部分に対して選択的な気相エッチの使用を伴う。エッチング速度は、エッチプロセスが比較的高Kの酸素が豊富な部分を通過し、低K部分に達すると減じる。気相エッチプロセスが望ましい低K部分を容易に除去することはないため、エッチプロセスのタイミングを簡単に合わせることができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
集積回路の製造方法は、単一のチップ上に何億個ものトランジスタが日常的に形成される段階に達している。新しい世代の製造技術および装置はそれぞれ、さらに小型で高速のトランジスタの工業規模の製造を可能にしつつあるが、さらに小型で高速の回路素子を作製する難しさも増している。回路素子の寸法は小さくなり、今では50nmの閾値を優に下回るが、そのためにチップの設計者は、集積回路の電気的性能を改善する(または単に維持する)新しい低抵抗率の導電性材料および新しい低誘電率(すなわち低k)の絶縁材料を探してきた。
【0002】
面積あたりのトランジスタの数が増加するにつれて、寄生容量が、トランジスタのスイッチング速度に対する重大な障害になる。集積回路内のすべての隣接する電気的に絶縁された導体の間には静電容量が存在し、導電性部分が製造プロセスの流れの「前工程」にあるか「後工程」にあるかに関わらず、スイッチング速度を制限する可能性がある。
【0003】
したがって、隣接する導体間に低k材料を形成する新しい技術および材料が求められている。導体間に低Kの分離をもたらすのに用いられる材料の1つの種類は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から市販されているBlack Diamond(商標)薄膜などの酸化有機シラン薄膜である。これらの薄膜は、シリコンの酸化物および窒化物のような従来型のスペーサ材料より低い誘電率(例えば約3.5以下)を有する。残念なことに、いくつかの新しいプロセスは、有効誘電率を増大させ、デバイスの性能を制限する可能性がある環境に低K薄膜を曝すことを伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、こうした環境に低K薄膜を曝した後、より低い有効誘電率を維持する新しいプロセスが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
集積回路の2つの導電性構成要素の間に存在する、有効誘電率を低下させる方法について記述する。その方法は、低K誘電体層の酸素が豊富な部分に対して選択的な気相エッチの使用を伴う。エッチング速度は、エッチプロセスが比較的高Kの酸素が豊富な部分を通過し、低K部分に達すると減じる。気相エッチプロセスが望ましい低K部分を容易に除去することはないため、エッチプロセスのタイミングを簡単に合わせることができる。
【0006】
本発明の実施形態は、基板処理領域内のパターン形成された基板上の2つのトレンチ間で、低K誘電体材料の有効誘電率を低下させる方法を含む。低K誘電体材料は、2つのトレンチの壁を形成する。その方法は、パターン形成された基板を基板処理領域内に搬送する工程含む。方法は、パターン形成された基板を気相エッチングし、低K誘電体材料から外側の誘電体層を除去することによって低K誘電体材料の平均誘電率を低下させる工程をさらに含む。
【0007】
追加の実施形態および特徴は、一部は以下の説明において述べられ、一部は本明細書を検討すると当業者には明らかになるか、または開示される実施形態の実施によって知ることができる。開示される実施形態の特徴および利点は、本明細書に記載される手段、組合せおよび方法によって、実現および達成することができる。
【0008】
開示される実施形態の本質および利点のさらなる理解は、本明細書の残りの部分および図面を参照することによって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】開示される実施形態による処置中のギャップの断面図である。
【図1B】開示される実施形態による処置中のギャップの断面図である。
【図2】開示される実施形態による、ギャップを充填するフォトレジストの除去プロセスの流れ図である。
【図3】開示される実施形態による処理チャンバの断面図である。
【図4】開示される実施形態による処理システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面において、同様の構成要素および/または特徴は、同じ参照ラベルを有することがある。さらに、同じタイプのそれぞれ異なる構成要素は、参照ラベルの後に、ダッシュおよび同様の構成要素の間で区別する第2のラベルを続けることによって区別されることがある。本明細書において第1の参照ラベルのみが用いられる場合、その説明は、第2の参照ラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する同様の構成要素の任意のものにあてはまる。
【0011】
集積回路の2つの導電性構成要素の間に存在する、有効誘電率を低下させる方法について記述する。その方法は、低K誘電体層の酸素が豊富な部分に対して選択的な気相エッチの使用を伴う。エッチング速度は、エッチプロセスが比較的高Kの酸素が豊富な部分を通過し、低K部分に達すると減じる。気相エッチプロセスが望ましい低K部分を容易に除去することはないため、エッチプロセスのタイミングを簡単に合わせることができる。気相エッチは、とりわけパターン形成された基板を処理するための液体緩衝式の酸化物エッチに好ましい。気相エッチャントは、液体エッチャントより簡単に閉じ込められた構造から除去される。
【0012】
本発明の実施形態は、パターン形成された基板上の低K材料をエッチングして有効誘電率を高め、それによって、デバイスの性能を改善する方法を対象にしている。本明細書に提示される方法から利益を得る例示的なプロセスの流れは、基板に転写された2つの別個のリソ−エッチパターンを伴う。こうしたプロセスは、比較的直線的な垂直壁を有する従来のバイアではないバイアの構造の中に望ましい段を得るために、基板を2回パターン形成するように設計することができる。こうしたプロセスの手順は、フォトレジストが低K材料内のバイアおよび他のギャップに広がるように、パターン形成された基板をフォトレジストで被覆する必要がある場合がある。フォトレジストの除去は通常、アッシング、すなわち構造を酸化型の前駆体に曝すことを伴う。ギャップを充填するフォトレジストを除去する間、アッシング工程はまた、低K材料の薄い外層内の誘電率を増大させるように、ギャップの側壁を変化させる。一部のアッシュは、プラズマ中で励起された酸素を含有する化合物に曝すことを伴う。こうした場合、酸素の処置によって低K材料の表面が酸化され、炭素の含有量に対する酸素の含有量が高まる。本明細書に提示される方法は、誘電率を下げてそのアッシュ前のレベル近くに戻すために、この比較的高Kの材料の薄層を除去する。
【0013】
本発明をより適切に理解および認識するために、次に、開示される実施形態による処置中のギャップの断面図およびギャップを処置するための流れ図である、図1〜2を参照する。図1Aに示される構造はリソ−エッチ−リソ−エッチの手順によって得られ、その手順において、第2のリソグラフィー−エッチ工程は低誘電率材料110−1の中に広いトレンチを開く。第2のエッチは、トレンチの底部までの経路の一部のみに浸透し、低K材料110−1内に段を残す。段より上および下には、低K材料で形成された実質的に垂直な壁が存在するようになる。壁は、図1A〜1Bに示される理論上垂直な線からそれてもよいが、開示される実施形態では、垂直な状態から10°、5°または2°以内とすることができる。第2のエッチ後、一部のフォトレジスト120がトレンチの底部に向かって残るが、それは、ギャップを金属で充填する前に除去する必要がある。残りのフォトレジスト120を除去するプロセスは、パターン形成された基板が処理チャンバ内に搬送されるときに始まる(工程210)。酸素ラジカルの流れがアッシングチャンバ内へ送られ(工程215)、トレンチの中からフォトレジストを除去する。図1Aに図示される例では、低K材料110−1を下にある材料からの金属拡散から保護するために、炭窒化シリコン(SiCN)層125−1が含まれる。SiCNの層125−1は酸素ラジカルによって、SiCNのトレンチの底部にある部分を除去し、パターン形成されたSiCN層125−2をもたらすように変えられる。例示的なSiCN層は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materialsから入手可能なBlok(商標)である。SiCN層が存在する実施形態もあれば、存在しない実施形態もある。酸素ラジカルの流れは低K材料110の壁も酸化し、望ましくないことに表面(トレンチの壁)付近の誘電率を高める。例示的な低K材料は酸炭化シリコン(SiOC)であり、例示的なSiOC製品は、やはりApplied Materialsから入手可能なBlack Diamond(商標)である。酸素が豊富な(比較的高Kの)表層の形成を無視し、金属によるトレンチのギャップ充填堆積を続けると、完成したデバイスの動作形態を制限することになる。
【0014】
以下の工程を用いて、低K材料110の低減された誘電率を回復させ、アッシング前のレベル近くにすることができる。パターン形成された基板は、次の処理のために処理チャンバの基板エッチング領域へ搬送される(工程220)。アンモニアおよび三フッ化窒素の流れが、処理領域から離れたプラズマ領域内に与えられる(工程222)。その離れたプラズマ領域を本明細書では遠隔プラズマ領域と呼ぶことがあり、処理チャンバ、または処理チャンバ内の区画とは別個のモジュールとすることができる。遠隔プラズマの流出物(遠隔プラズマからの生成物)が処理領域内へ流され、基板表面と相互作用することが可能になる(工程225)。プラズマ流出物の流れは表面と反応して、プラズマ流出物からの材料および影響を受けた低K材料110の壁からの材料を含有する固体の残留物を生成する。このプロセスを理解するのに有用となり得る詳しい化学反応については、例示的な装置の項で提示する。次いで固体の残留物は、パターン形成された基板をその昇華点より高く加熱することによって除去される(工程240)。プロセスは、パターン形成された基板を基板エッチング領域から取り出すこと(工程245)によって完了し、結果として生じる構造を図1Bに示す。
【0015】
外側の誘電体層のエッチング速度は、外側の誘電体層の内部の比較的低Kの誘電体材料より大きい。本発明の実施形態では、外側の誘電体層の気相エッチング速度は、低K誘電体材料の残りの部分のエッチング速度を25、50または100倍超上回る。外側の誘電体層の厚さは、実施形態において、150Å未満もしくは約150Å、100Å未満もしくは約100Å、または50Å未満もしくは約50Åである。
【0016】
ここで記載した例示的なプロセスは、一般的には同時に存在するフッ素を含有する前駆体および水素を含有する前駆体の流れを伴う、SiConi(商標)エッチの系統のサブセットである。フッ素を含有する前駆体は、異なる実施形態において、三フッ化窒素、フッ化水素、2原子フッ素、単原子フッ素、およびフッ素で置換された炭化水素、またはそれらの組み合わせを含む。水素を含有する前駆体は、異なる実施形態において、原子状水素、2原子水素、アンモニア、炭化水素、不完全にハロゲンで置換された炭化水素、またはそれらの組み合わせを含む。簡潔にするために、本明細書に包含される一部の議論は、アンモニアと三フッ化窒素の組み合わせを用いる例示的なSiConi(商標)エッチに言及することがある。SiConi(商標)エッチはいずれも、記載され図2に示される例示的なものの代わりに用いることができる。フッ素および水素を含有する(ただし、ほとんどまたは本質的に酸素を含有しない)SiConi(商標)エッチはすべて、シリコン酸化物のエッチングに対して強い選択性を示す。このエッチプロセスは、シリコン、ポリシリコンおよび酸炭化シリコンをきわめてゆっくり除去する。結果として、SiConi(商標)は、シリコン酸化物が低K材料110の壁から消費された後にエッチが継続される場合でも本質的に損なわれない、望ましい酸炭化シリコンの低K材料110を残すというさらなる利益を有する。この選択性によって、任意の他の形の終点の決定を用いずに、プロセスのタイミングを合わせることが可能になる。
【0017】
本明細書に記載される例は、低K誘電体層の二重のパターン形成(LELE)に関するものであるが、低K層内のギャップ内にフォトレジストを堆積させる必要がある他のプロセスの流れも可能である。結果として、提示および請求される方法は、酸化処置による除去に適した任意のギャップ充填材料のアッシングを伴う任意の用途に有用である。アッシング可能なギャップ充填材料は、底部または頂部の反射防止コーティング(BARCまたはTARC)、ならびに様々なフォトレジストおよび他の同様の炭素を含有する材料を含む。開示される実施形態において、アッシング可能なギャップ充填材料には本質的に酸素がない。酸化処置はアッシング可能なギャップ充填材料を除去するが、望ましくないことに壁を変化させ、変化した表層の誘電率を高める。本明細書に記載される方法を用いて、高められた誘電率を下げることができる。トレンチのプロファイルは、図1A〜1Bに示されるようにトレンチの壁に段構造を包含してもよいが、他の開示される実施形態では、本質的に段は存在しない。
【0018】
これまでに記載したように、低K材料内にギャップおよびトレンチが形成される。前述の例示的なギャップには、低K材料内の2つのほぼ垂直な壁の間に段がある(図1参照)。他の実施形態では段が形成されず、低K材料内に単一のほぼ垂直な壁が形成される。開示される実施形態では、単一の垂直な壁は、垂直な状態から10°、5°または2°以内とすることができる。開示される実施形態では、アッシング前(または本明細書に提示される処置の後)、低K材料の誘電率は、3.9、3.7、3.5、3.3または3.1より小さくすることができる。誘電率は、主として酸炭化シリコンの低K層内の炭素の濃度によって決まる。本発明の実施形態によれば、アッシング後に、外側の誘電体層は、3.0、3.2または3.5より大きい誘電率を有する可能性があり、一方、低K誘電体材料の残りの部分はそれぞれ、3.0、3.2または3.5より小さい誘電率を有する。
【0019】
気相エッチング後に、任意選択の工程を用いることができる。ここで記載した気相エッチングは、気相エッチャントの複数部分を含有するエッチ後の残留物を残すことがある。エッチ後の残留物の存在は、隣接する導電性ライン間の漏電につながる恐れがある。漏出は、例えばフッ素を含有するエッチ後の残留物によって引き起こされることがある。したがって、エッチングされた基板は引き続き、エッチ後の残留物の一部を除去し、存在していたであろう漏電を軽減するために、Ar、N、NHおよびHの1つまたは複数を含有するプラズマからのプラズマ流出物で処置することができる。
【0020】
工程215の間、ギャップを充填するフォトレジスト120を除去するために、酸素ラジカルが用いられる。酸素ラジカルは通常、遠隔プラズマ領域で形成され、基板エッチング領域へ流される。実施形態において、酸素ラジカルは、原子状酸素(O)およびオゾン(O)の1つまたは複数を含む天然の化学種を含有する。しかしながら、エッチング領域には多少のイオン化した化学種が存在する可能性があり、イオン化した化学種は、イオン化していない(天然の)原子状酸素およびイオン化していないオゾンより速く再結合する傾向がある。実施形態において、イオン化した化学種が中和する十分な機会を有することを保証するためには、エッチング領域内のプラズマより遠隔プラズマの方が好ましい。開示される実施形態において、遠隔プラズマからエッチング領域への開口部および経路長は、天然の原子状酸素(O)が基板エッチング領域に移動することができるように選択されることが好ましい。いくつかの実施形態では、側壁を不活性化して酸化を低減するために、SiFが(遠隔プラズマまたはエッチング領域のプラズマを用いて)酸素ラジカルと一緒に同時に流される。やはり低K材料の酸化された領域が生じ、高い誘電率を呈する可能性がある。したがって、こうして作製された構造は、やはり本明細書に開示される方法から利益を得ることができる。
【0021】
これまでは、アッシングおよびSiConi(商標)エッチングに使用するための離れたチャンバについて記載してきた。代替的実施形態では、これらのプロセスが、パターン形成された基板を処理チャンバから取り出すことなく、同じチャンバの中で一連の処理工程によって実施される。
【0022】
例示的な処理システムについて記載する中で、追加の気相エッチプロセスのパラメータおよびプロセスの詳細について開示する。
【0023】
例示的な処理システム
図3は、本発明の実施形態を実行することができる、説明のための処理チャンバ300を示す部分断面図である。一般的には、アンモニアおよび三フッ化窒素を、1つまたは複数の開口部351を通して(1つまたは複数の)遠隔プラズマ領域361〜363に導入し、プラズマ電源346によって励起することができる。
【0024】
一実施形態では、処理チャンバ300は、チャンバ本体312、蓋組立体302および支持組立体310を含む。蓋組立体302はチャンバ本体312の上端に配設され、支持組立体310は少なくとも部分的にチャンバ本体312内に配設される。処理チャンバ300および関連する機器は、1つまたは複数のプロセスに適合する材料(例えばアルミニウム、ステンレス鋼など)から形成されることが好ましい。
【0025】
チャンバ本体312は、処理チャンバ300の内部への進入路を形成するために、その側壁に形成されたスリット弁開口360を含む。スリット弁開口360は、ウェハハンドリングロボット(図示せず)によるチャンバ本体312の内部への出入りを可能にするように、選択的に開閉される。一実施形態において、ウェハは、処理チャンバ300の中に、また処理チャンバ300からスリット弁開口360を通して、隣接する搬送チャンバおよび/もしくはロードロックチャンバ、またはクラスタツール内の他のチャンバまで運ぶことができる。図4には、処理チャンバ300を含むことができる例示的なクラスタツールを示す。
【0026】
1つまたは複数の実施形態では、チャンバ本体312は、熱伝達流体をチャンバ本体312を通して流すためにチャンバ本体の流路313を含む。熱伝達流体は、加熱流体または冷却液とすることができ、処理および基板搬送の間、チャンバ本体312の温度を制御するために用いられる。チャンバ本体312の温度は、好ましくないガスの凝縮またはチャンバ壁上の副生成物を防止するために重要である。例示的な熱伝達流体は、水、エチレングリコールまたはそれらの混合物を含む。例示的な熱伝達流体は、窒素ガスを含むこともできる。支持組立体310は、熱伝達流体を支持組立体310を通して流すために支持組立体の流路304を有することができ、それによって基板の温度に影響を及ぼす。
【0027】
チャンバ本体312は、支持組立体310を囲むライナ333をさらに含むことができる。ライナ333は、修理および清浄化のために取り外し可能であることが好ましい。ライナ333は、アルミニウムなどの金属またはセラミック材料で作製することができる。しかしながら、ライナ333はプロセスに適合する任意の材料でもよい。ライナ333は、その上に配設される任意の材料の付着を高めるためにビードブラストすることが可能であり、それによって、処理チャンバ300の汚染をもたらす材料の剥離を防止する。1つまたは複数の実施形態では、ライナ333は、1つまたは複数の開口部335、およびその内部に形成され、真空システムに流体連通するポンピング流路329を含む。開口部335は、ポンピング流路329内へのガスの流れの経路を形成し、ポンピング流路329は、処理チャンバ300内のガスに対する出口を形成する。
【0028】
真空システムは、処理チャンバ300を通るガスの流れを調節するために、真空ポンプ325および絞り弁327を含むことができる。真空ポンプ325は、チャンバ本体312に配設された真空ポート331に結合され、したがって、ライナ333内に形成されたポンピング流路329と流体連通する。「(1つの)ガス」および「(複数の)ガス」という用語は、別段の言及がない限り交換可能に使用され、1つまたは複数の反応物、触媒、担体、パージ、清浄化、それらの組み合わせ、ならびにチャンバ本体312に導入される任意の他の流体を指す。「前駆体」という用語は、表面から材料を除去するまたは堆積させる反応に関係する任意のプロセスガスを指すのに用いられる
【0029】
開口部335によって、ポンピング流路329がチャンバ本体312内の処理領域340と流体連通することが可能になる。処理領域340は、蓋組立体302の下面および支持組立体310の上面よって画定され、ライナ333によって囲まれる。開口部335は均一な大きさに定められ、ライナ333の周りに等間隔に配置することができる。しかしながら、以下にさらに詳しく論じるように、任意の数、位置、大きさまたは形の開口部を用いることが可能であり、そうした設計パラメータのそれぞれは、基板を受け入れる面を横断するガスの所望の流れパターンに応じて変わる可能性がある。加えて、開口部335の大きさ、数および位置は、処理チャンバ300を出るガスの均一な流れを得るように構成される。さらに、開口部の大きさおよび配置は、チャンバ300からのガスの迅速な排出を容易にするために、迅速なまたは高容量のポンピングを可能にするように構成することができる。例えば、真空ポート331に極めて近い開口部335の数および大きさは、真空ポート331からさらに離れて位置決めされた開口部335の大きさより小さくすることができる。
【0030】
(1つまたは複数の)プロセスガスを1つまたは複数の開口部351を通して処理チャンバ300に提供するために、通常はガス供給パネル(図示せず)が使用される。使用される(1つまたは複数の)特定のガスは、チャンバ300内で実施される(1つまたは複数の)プロセスによって決まる。説明のためのガスは、それだけに限らないが、1つまたは複数の前駆体、還元剤、触媒、担体、パージ、清浄化、またはそれらの任意の混合物もしくは組み合わせを含むことができる。通常、処理チャンバ300に導入された1つまたは複数のガスは、頂部プレート350内の(1つまたは複数の)開口部351を通してプラズマのボリューム361に流入する。別法としてまたは組み合わせとして、処理用ガスをさらに直接的に、(1つまたは複数の)開口部352を通して処理領域340に導入することができる。(1つまたは複数の)開口部352は遠隔プラズマの励起を省略し、プラズマ励起を必要としないガスを伴うプロセス、または追加のガスの励起から利益を得ることがないプロセスに有用である。遠隔プラズマ内で生成された反応性酸素は、領域361、362および363を通過することなく、(1つまたは複数の)開口部を通して処理領域340に導入することができる。ガス供給部から処理チャンバ300内へのガスの流れを制御するために、電子的に操作される弁および/または流れ制御メカニズム(図示せず)を使用することができる。プロセスに応じて、任意の数のガスを処理チャンバ300へ送出することが可能であり、そのガスは、処理チャンバ300の中で、またはガスを処理チャンバ300へ送出する前に混合することができる。
【0031】
蓋組立体302は、蓋組立体302内の反応性の化学種のプラズマを発生させるために、電極345をさらに含むことができる。一実施形態では、電極345は頂部プレート350によって支持され、酸化アルミニウム、または任意の他の絶縁性がありかつプロセスに適合する材料から作製された、(1つまたは複数の)電気的絶縁用のリング347を挿入することによって頂部プレート350から電気的に絶縁される。1つまたは複数の実施形態では、電極345は電源346に結合され、蓋組立体302のその他の部分はアースに接続される。それに応じて、電極345と環状の取付けフランジ322の間にボリューム361、362および/または363で構成される遠隔プラズマ領域内に、1つまたは複数のプロセスガスのプラズマを発生させることができる。実施形態において、環状の取付けフランジは、ガス送出プレート320を備えるまたは支持する。例えば、プラズマは、電極345とブロッカ組立体330の一方または両方のブロッカプレートとの間に与え、維持することができる。あるいは、ブロッカ組立体330がないときには、プラズマを電極345とガス送出プレート320との間に当て、収容することができる。どちらの実施形態でも、プラズマは、蓋組立体302の中に適切に閉じ込められるまたは収容される。それに応じて、活性プラズマがチャンバ本体312内に配置された基板に直接接触しないため、プラズマは「遠隔プラズマ」である。結果として、プラズマが基板表面から隔てられるため、プラズマによる基板の損傷を回避することができる。
【0032】
幅広い種類の電源346によって、アンモニアガスおよび三フッ化窒素ガスを活性化し、反応性の化学種にすることが可能である。例えば、無線周波数(RF)、直流(DC)またはマイクロ波(MW)ベースの電力放電技術を用いることができる。活性化は、熱ベースの技術、ガス絶縁破壊技術、高強度光源(例えばUVエネルギー)、またはX線源への暴露によって生じさせてもよい。あるいは、遠隔プラズマ発生器などの遠隔の活性化源を用いて反応性の化学種のプラズマを発生させ、次いで、そのプラズマをチャンバ300内へ送出する。例示的な遠隔プラズマ発生器は、MKS Instruments,Inc.およびAdvanced Energy Industries,Inc.などの供給業者から入手可能である。例示的な処理システムでは、RF電源が電極345に結合される。より高出力のマイクロ波電源346は、反応性酸素も電源346を用いて生成される場合に有益である。
【0033】
プロセスチャンバ本体312および基板の温度はそれぞれ、熱伝達媒体をそれぞれチャンバ本体の流路313および支持組立体の流路304を通して流すことによって、制御することができる。支持組立体の流路304は、熱エネルギーの移動を容易にするために支持組立体310の中に形成することができる。チャンバ本体312および支持組立体310は、独立して冷却または加熱することができる。例えば、一方を通して加熱流体を流すことができ、他方を通して冷却流体が流される。
【0034】
基板の温度を制御するために、他の方法を用いることができる。基板は、支持組立体310(またはペデスタルなどその一部)を、抵抗加熱器を用いてまたはいくつかの他の手段で加熱することによって加熱することができる。他の構成では、ガス送出プレート320を基板より高い温度に維持することができ、基板の温度を高めるために、基板を上げることができる。この場合、基板は、放射によって、または熱をガス送出プレート320から基板へ伝えるガスを用いることによって加熱される。基板は、支持組立体310を上昇させることによって、またはリフトピンを使用することによって上げることができる。
【0035】
本明細書に記載されるエッチプロセスの間、チャンバ本体312は、異なる実施形態において、50℃から80℃の間、55℃から75℃の間、または60℃から70℃の間の適当な温度範囲内に維持することができる。プラズマ流出物および/または酸化剤に曝す間、基板は、異なる実施形態において、約100℃未満、約65℃未満、約15℃から約50℃の間、または約22℃から約40℃の間に維持することができる。
【0036】
プラズマ流出物は、様々な分子、分子の断片およびイオン化した化学種を含む。SiConi(商標)エッチングについて現在考慮されている理論上のメカニズムは、完全に適正である場合もそうでない場合もあるが、プラズマ流出物は、本明細書に記載される低温の基板と容易に反応するNHFおよびNHF.HFを含むと考えられる。プラズマ流出物は、シリコン酸化物の表面と反応して、(NHSiF、NHおよびHOの生成物を形成することができる。NHおよびHOは、本明細書に記載される処理条件の下では蒸気であり、真空ポンプ325によって処理領域340から除去することができる。基板表面上に、(NHSiFの固体副生成物の薄い連続または不連続な層が残される。
【0037】
プラズマ流出物への暴露、および(段付きのトレンチを含む)トレンチの垂直壁上の関連する固体副生成物の蓄積の後、比較的高Kの薄い膜が低K材料から除去されると、基板を加熱して副生成物を除去することができる。実施形態において、ガス送出プレート320は、ガス送出プレート320の中または近くに加熱要素370を組み込むことによって加熱可能になる。基板は、基板と加熱されるガス送出プレートとの間の距離を低減することによって加熱することができる。ガス送出プレート320は、異なる実施形態において、約100℃から150℃の間、約110℃から140℃の間、または約120℃から130℃の間まで加熱することができる。基板と加熱されるガス送出プレートとの間の隔たりを小さくすることによって、基板を、異なる実施形態において、約75℃超、約90℃超、約100℃超、または約115℃から約150℃の間まで加熱することができる。ガス送出プレート320から基板へ放射される熱は、基板上の固体の(NHSiFが解離または昇華して、処理領域340からポンプで汲み出して除くことができる揮発性のSiF、NHおよびHFの生成物になるのに十分なものとすべきである。
【0038】
アンモニア(または一般的には水素を含有する前駆体)は、異なる実施形態において、約50sccmから約300sccmの間、約75sccmから約250sccmの間、約100sccmから約200sccmの間、または約120sccmから約170sccmの間の速度で遠隔プラズマのボリューム361に流入させることができる。三フッ化窒素(または一般的にはフッ素を含有する前駆体)は、異なる実施形態において、約25sccmから約150sccmの間、約40sccmから約175sccmの間、約50sccmから約100sccmの間、または約60sccmから約90sccmの間の速度で遠隔プラズマのボリューム361に流入させることができる。水素を含有する前駆体およびフッ素を含有する前駆体の遠隔プラズマ領域内への合計流量は、ガス混合物全体の体積に対して0.05%から約20%になるようにすることが可能であり、残りはキャリヤガスである。一実施形態では、遠隔プラズマ領域内の圧力を安定化するために、反応性のガスの前に、まずパージガスまたはキャリヤガスが遠隔プラズマ領域内に与えられる。
【0039】
蓋組立体302のその他の部分に関しては、プラズマの出力を電極345に適用することによって、ボリューム361、362および/または363の中にプラズマ流出物の生成が起こる。プラズマの出力は、様々な周波数または複数の周波数の組み合わせとすることができる。例示的な処理システムでは、プラズマは、電極345へ送出されるRF出力によって提供される。RF出力は、異なる実施形態において、約1Wから約1000Wの間、約5Wから約600Wの間、約10Wから約300Wの間、または約20Wから約100Wの間とすることができる。例示的な処理システムに適用されるRF周波数は、異なる実施形態において、約200kHz未満、約150kHz未満、約120kHz未満、または約50kHzから約90kHzの間とすることができる。
【0040】
アッシングプロセスの間、処理チャンバの外側、またはエッチャントガスを励起するのに用いられる同じチャンバ(361〜362)の中に、反応性酸素を形成することができる。実施形態において、反応性酸素は、より安定した分子状酸素(O)と共に流される原子状酸素(O)およびオゾン(O)を含有することができ、その組み合わせを本明細書では反応性酸素と呼ぶ。反応性酸素の流量は、異なる実施形態において、約1slmから約50slmの間、約2slmから約30slmの間、または約5slmから約10slmの間とすることができる。反応性酸素の流れは、(1つまたは複数の)開口部352を通して処理領域340に入る前に、追加の比較的不活性なガス(例えばHe、Ar)の流れと組み合わせることができる。プラズマの密度の増加を含めた様々な利益のために、比較的不活性なキャリヤガスを含めることができる。
【0041】
オゾン、酸素、キャリヤガスおよび/またはプラズマ流出物が処理領域340に流入する間、処理領域340を様々な圧力に維持することができる。圧力は、異なる実施形態において、約500ミリトルから約30トルの間、約1トルから約10トルの間、または約3トルから約6トルの間に維持することができる。処理領域340内でさらに低い圧力を用いることもできる。圧力は、異なる実施形態において、500ミリトル未満もしくは約500ミリトル、250ミリトル未満もしくは約250ミリトル、100ミリトル未満もしくは約100ミリトル、50ミリトル未満もしくは約50ミリトル、または20ミリトル未満もしくは約20ミリトルに維持することができる。
【0042】
1つまたは複数の実施形態では、処理チャンバ300は、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials,Inc.から入手可能なProducer(商標)GT、Centura(商標)APおよびEndura(商標)プラットフォームを含めた、様々なマルチ処理用プラットフォームに統合することができる。そうした処理用プラットフォームは、真空を中断することなく、いくつかの処理操作を実施することが可能である。
【0043】
図4は、説明のためのマルチチャンバ処理システム400の概略的な上面図である。システム400は、基板をシステム400の内外へ搬送するために、1つまたは複数のロードロックチャンバ402、404を含むことができる。通常、システム400は真空下にあるため、ロードロックチャンバ402、404は、システム400に導入された基板を「ポンプダウン」することができる。第1のロボット410は、基板を、ロードロックチャンバ402、404と、第1の組の1つまたは複数の基板処理チャンバ412、414、416、418(4つが示されている)との間で搬送することができる。各処理チャンバ412、414、416、418は、周期的層堆積(CLD)、原子層堆積(ALD)、化学気相成長(CVD)、物理蒸着(PVD)、エッチ、前洗浄、脱ガス、配向および他の基板プロセスに加えて本明細書に記載されるドライエッチプロセスを含めた、いくつかの基板処理工程を実施するようにすることができる。
【0044】
第1のロボット410は、基板を、1つまたは複数の搬送チャンバ422、424へ、または1つまたは複数の搬送チャンバ422、424から搬送することもできる。搬送チャンバ422、424を用いて超高真空条件を維持すると同時に、基板をシステム400内で搬送することが可能になる。第2のロボット430は基板を、搬送チャンバ422、424と、第2の組の1つまたは複数の処理チャンバ432、434、436、438との間で搬送することができる。処理チャンバ412、414、416、418と同様に、処理チャンバ432、434、436、438は、例えば周期的層堆積(CLD)、原子層堆積(ALD)、化学気相成長(CVD)、物理蒸着(PVD)、エッチ、前洗浄、脱ガスおよび配向に加えて本明細書に記載されるドライエッチプロセスを含めた、様々な基板処理工程を実施するようにすることができる。システム400によって実施される特定のプロセスに必要でない場合には、基板処理チャンバ412、414、416、418、432、434、436、438の任意のものをシステム400から除いてもよい。ガスは、例示的な処理チャンバへの送出前に、ガスハンドリングシステム455によって提供し、経路指定し、混合することができる。
【0045】
システムコントローラ457を用いて、モータ、弁、流れコントローラ、電源、および本明細書に記載されるプロセスのレシピを実行するのに必要な他の機能を制御する。システムコントローラ457は、移動可能な機械的組立体の位置を決定および調整するために、光センサからのフィードバックに依存することがある。機械的組立体は、システムコントローラ457の制御下でモータによって動かすロボット、絞り弁およびサセプタを含むことができる。
【0046】
例示的な実施形態では、システムコントローラ457は、ハードディスクドライブ(メモリ)、USBポート、フロッピーディスクドライブおよびプロセッサを含む。システムコントローラ457は、アナログおよびデジタルの入力/出力ボード、インターフェースボード、ならびにステッパモータコントローラボードを含む。処理チャンバ300を包含するマルチチャンバ処理システム400の様々な部分が、システムコントローラ457によって制御される。システムコントローラは、ハードディスク、フロッピーディスクまたはフラッシュメモリサムドライブなどのコンピュータ可読媒体に記憶された、コンピュータプログラムの形のシステム制御ソフトウェアを実行する。他のタイプのメモリを用いることもできる。コンピュータプログラムは、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、RF出力レベル、サセプタの位置、および特定のプロセスの他のパラメータを指示する命令の組を含む。
【0047】
基板上に薄膜を堆積させるプロセス、またはチャンバ15を清浄化するプロセスは、コントローラによって実行されるコンピュータプログラム製品を用いて実施することができる。コンピュータプログラムコードは、例えば68000アセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortranまたは他のものなど、任意の従来型のコンピュータ可読のプログラミング言語で書くことができる。適切なプログラムコードが、従来型のテキストエディタを用いて単一のファイルまたは複数のファイルに入力され、コンピュータのメモリシステムなどコンピュータが利用可能な媒体に記憶される、または組み入れられる。入力されたコードテキストが高級言語である場合、コードはコンパイルされ、次いで、結果として生じるコンパイラコードが、あらかじめコンパイルされたMicrosoft Windows(登録商標)のライブラリルーチンのオブジェクトコードとリンクされる。リンクされたコンパイル済みのオブジェクトコードを実行するために、システムのユーザはオブジェクトコードを呼び出し、コンピュータシステムにコードをメモリ内にロードさせる。次いで、CPUがコードを読み込み実行して、プログラムで識別されるタスクを行う。
【0048】
ユーザとコントローラの間のインターフェースは、接触式モニタを介することができ、またマウスおよびキーボードを含むこともできる。一実施形態では、2つのモニタが用いられ、一方はオペレータ用にクリーンルームの壁に取り付けられ、他方はサービス技術者用に壁の裏側に取り付けられる。2つのモニタは同時に同じ情報を表示することができるが、その場合、一度に一方のみが入力を受け付けるように構成される。特定のスクリーンまたは機能を選択するために、オペレータは、指またはマウスで表示スクリーン上の指示された範囲に触れる。触れられた範囲がその強調された色を変えるか、または新しいメニューもしくはスクリーンが表示され、オペレータの選択を確認する。
【0049】
本明細書で使用するとき、「基板」とは、その上に形成された層の有無に関わらず、支持基板とすることができる。支持基板は、絶縁体、または様々なドーピング濃度およびプロファイルの半導体とすることができ、例えば、集積回路の製造に用いられるタイプの半導体基板でもよい。「シリコン酸化物」の層は、シリコンおよび酸素を含有する材料に対する、またそれと交換可能な簡略化した表現として用いられる。したがって、シリコン酸化物は、窒素、水素、炭素など、ある濃度の他の元素成分を含むことができる。いくつかの実施形態では、シリコン酸化物は、本質的にシリコンおよび酸素からなる。「励起状態」のガスは、ガス分子の少なくとも一部が振動する形で励起され、解離され、かつ/またはイオン化された状態であるガスを表す。ガスは、2つ以上のガスの組み合わせとすることができる。「トレンチ」および「ギャップ」という用語は、全体を通して、エッチングされた形状が大きい水平方向のアスペクト比を有することを含意せずに用いられる。表面より上から見ると、トレンチおよびギャップは、円形、楕円形、多角形、長方形または様々な他の形に見えることがある。「バイア」という用語は、(上から見たとき)低い水平方向のアスペクト比のトレンチを指すのに用いられ、垂直方向の電気的な接続を形成するために金属で充填されていても充填されていなくてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態を開示してきたが、開示された実施形態の趣旨から逸脱することなく、様々な変更形態、代替的構造および等価物を用いることが可能であることが当業者には認識されるであろう。さらに、本発明を不必要に分かりにくくすることを避けるために、いくつかのよく知られたプロセスおよび要素は記述していない。したがって、前述の説明は本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0051】
値の範囲が与えられる場合、文脈上別段の明確な指示がない限り、その範囲の上限と下限の間では、間にあるそれぞれの値も、下限の単位の十分の一まで具体的に開示されるものと理解される。明記された範囲内の任意の明記された値または間にある値と、その明記された範囲内の任意の他の明記された値または間にある値との間のさらに小さい範囲それぞれが包含される。こうしたさらに小さい範囲の上限および下限は独立に、その範囲に含まれても除外されてもよく、またそのさらに小さい範囲に限界値のいずれかが含まれる、いずれも含まれない、または両方が含まれる範囲もそれぞれ、明記された範囲内で具体的に除外される任意の限界値を条件として本発明に包含される。明記された範囲が限界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界値のいずれかまたは両方を除外する範囲も含まれる。
【0052】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形の「1つの(a、an)」および「その(the)」は、文脈上別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば「1つのプロセス」に対する言及は複数のそうしたプロセスを含み、「その誘電体材料」に対する言及は、1つまたは複数の誘電体材料および当業者に知られているその等価物などへの言及を含む。
【0053】
また、「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」および「含む(includes)」という単語は、本明細書および以下の特許請求の範囲で使用されるとき、明記された特徴、完全体、構成要素または工程の存在を指定することが意図されるが、それらは1つまたは複数の他の特徴、完全体、構成要素、工程、行為もしくはグループの存在または追加を排除するものではない。
【符号の説明】
【0054】
110−1 低誘電率材料
120 フォトレジスト
125−1 炭窒化シリコン(SiCN)層
125−2 パターン形成されたSiCN層
300 処理チャンバ
302 蓋組立体
304 支持組立体の流路
310 支持組立体
312 チャンバ本体
313 チャンバ本体の流路
320 ガス送出プレート
325 真空ポンプ
327 絞り弁
329 ポンピング流路
330 ブロッカ組立体
331 真空ポート
322 環状の取付けフランジ
333 ライナ
335 開口部
340 処理領域
345 電極
346 プラズマ電源
347 電気的絶縁用のリング
350 頂部プレート
351 開口部
352 開口部
360 スリット弁開口
361 遠隔プラズマ領域、プラズマのボリューム、ボリューム、チャンバ
362 遠隔プラズマ領域、ボリューム、チャンバ
363 遠隔プラズマ領域、ボリューム
370 加熱要素
400 マルチチャンバ処理システム
402、404 ロードロックチャンバ
410 第1のロボット
412、414、416、418 基板処理チャンバ
422、424 搬送チャンバ
430 第2のロボット
432、434、436、438 処理チャンバ
455 ガスハンドリングシステム
457 システムコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理領域内のパターン形成された基板上の2つのトレンチ間で、低K誘電体材料の有効誘電率を低下させる方法であって、低K誘電体材料が2つのトレンチの壁を形成し、
パターン形成された基板を基板処理領域内に搬送する工程と、
パターン形成された基板を気相エッチングし、低K誘電体材料から外側の誘電体層を除去することによって低K誘電体材料の平均誘電率を低下させる工程と
を含む方法。
【請求項2】
気相エッチングする工程が、
基板処理領域に流体連結する第1の遠隔プラズマ領域に、フッ素を含有する前駆体および水素を含有する前駆体を流入させると同時に、第1の遠隔プラズマ領域内でプラズマを形成してプラズマ流出物を生成する工程と、
プラズマ流出物を基板処理領域に流入させることによって、パターン形成された基板をエッチングすると同時に、基板の表面上に固体副生成物を形成する工程と、
基板の温度を高めて固体副生成物の昇華温度より高くすることによって、固体副生成物を昇華させる工程と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フッ素を含有する前駆体が、三フッ化窒素、フッ化水素、2原子フッ素、単原子フッ素、およびフッ素で置換された炭化水素からなる群から選択される少なくとも1つの前駆体を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
水素を含有する前駆体が、原子状水素、分子状水素、アンモニア、炭化水素、および不完全にハロゲンで置換された炭化水素からなる群から選択される少なくとも1つの前駆体を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
固体副生成物を昇華させる工程の間、100℃超または約100℃まで基板の温度を上げる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
外側の誘電体層が3.0超の誘電率を有し、低K誘電体材料の残りの部分が3.0未満の誘電率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
外側の誘電体層の比較的高い誘電率がプラズマアッシングによって得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
気相エッチングする工程の前にパターン形成された基板をアッシングする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
外側の誘電体層を2つのトレンチの壁から除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
パターン形成された基板をアッシングする工程を、パターン形成された基板を基板処理領域内に搬送する工程の後に行う請求項8に記載の方法。
【請求項11】
パターン形成された基板をプラズマアッシングする工程を、パターン形成された基板を基板処理領域内に搬送する工程の前に行う、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
外側の誘電体層の厚さが150Å未満もしくは約150Åである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
外側の誘電体層のエッチング速度が、気相エッチング中、低K誘電体材料の残りの部分のエッチング速度を50倍超上回る、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
パターン形成された基板を気相エッチングする工程に続いて、アルゴン、窒素(N)、アンモニア(NH)または水素(H)の少なくとも1つを含有する雰囲気中で、パターン形成された基板をプラズマ処置し、エッチ後の残留物を除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
エッチ後の残留物がフッ素を含有する、請求項14に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1A】
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【図1B】
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【公開番号】特開2013−48127(P2013−48127A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−163708(P2011−163708)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】