アッセイ方法及び装置
アッセイ方法及び装置。本発明は、(a)流体流入口と、流体排出口を有する少なくとも1個の第1の容器と、(b)多孔質膜と、(c)少なくとも1種の検体特異的結合剤とを備えたアッセイで使用するための装置であって、前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、流体流入口に対して前記多孔質膜の下面に固定されていることを特徴とする装置及び前記アッセイの実施方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中に1種又は複数の検体が存在することを検出し、及び/又は定量するためのアッセイで使用する装置、及びそのようなアッセイの実施方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試料中に検体が存在することを検出し、及び/又は定量する際に使用する多数の装置及び方法が開発されている。そのような検査は、たとえば、試料の正確な組成を明白にし(定性アッセイ)、又はその試料中のいかなる所与の検体の正確な量もしくは濃度を定量する(定量アッセイ)ためにも使用することができる。そのような検査の実用的適用例には、環境モニタリング、医療研究、及び分析が含まれる。
【0003】
医療研究及び分析の分野で一般的な方法には、ポリペプチド及びポリヌクレオチドアッセイが含まれる。
【0004】
ポリペプチドアッセイの例には、イムノアッセイ、ELISA、及びウェスタンブロッティングが含まれ、それらのすべてが抗体/抗原間の相互作用の原理に基づく。たとえば、イムノアッセイは、通常、マルチウェルプレートで実施する。しかし、そのような装置を使用することは、各ウェルで単一の検体しか検査できないことを意味する。多数の化合物を同時に検査するアッセイは開発されてきた。しかし、現在まで、それらはほとんどポリヌクレオチドアッセイに限られている。
【0005】
相補的核酸配列相互間でのハイブリッド形成に基づくポリヌクレオチドアッセイには、ノーザン及びサザンブロット、PCR、ならびにより最近ではマイクロアレイが含まれる。マイクロアレイによって数千までの化合物の同時検査が可能になるが、マイクロアレイには、単一試料に対して一般に全検体を検査する必要があるという欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、現在のポリペプチド及びポリヌクレオチドアッセイは、一度に実施できる個々の結合アッセイの実際の数の点で制限されている。さらに、現在の方法では、少量の検査物質を検出することができないことが多い。これについて最も認知されている説明は、背景染色の問題であり、それによって不適切な検体は非特異的に結合し、微粒子物質は検体特異的結合を妨げ、アッセイ完了後には検査表面上に残存することが多く、それによって特異的シグナル伝達、ならびにいかなる読み取りの透明性及び信頼性も干渉される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、そのようなアッセイを実施するための改良方法を開発する必要がある。本発明は、前記問題の少なくともいくつかを克服し、正確で再現性があり、厳正、敏感、かつ特異的なアッセイ方法及びそれに使用する装置を得ることを模索する。
【0008】
(本発明の記載)
本発明は、試料中に1種又は複数の検体が存在すること(又は存在しないこと)を確実に効率よく検出し、及び/又は定量するためのアッセイ方法及び装置に関する。
【0009】
本発明の第1の態様では、
(a)流体流入口と、流体排出口とを有する少なくとも1個の第1の容器と、
(b)流体排出口に位置する膜などの多孔質膜と、
(c)少なくとも1種の検体特異的結合剤と
を備えた検体用アッセイで使用するための装置であって、前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、流体流入口に対して前記多孔質膜の下面上のスポット中に固定されていることを特徴とする装置が提供される。
【0010】
多孔質膜は、当該検体に対して多孔質とすべきである。
【0011】
容器の基部に位置する膜の下面に検体特異的結合剤を固定することによって、そうでない場合は、得られた結果の信頼性及び/又は特異性に干渉する恐れがある背景染色を低減することができる。さらに、容器の外側に反応区域を移動することによって、イメージの生成及び分析が容易になり、特に、検出手段及び/又はイメージング手段を(通常、それらは別々に設けなければならないが)緻密な装置の一部として含めることが可能になる。多孔質膜によって、多孔質膜上面に非特異的に結合している検体を部分的に除去し、試料から微粒子物質を除去し、その後いかなる検体特異的結合剤と試料を接触させることもできるようになるが、さもないとこの結合剤が非特異的結合を低減しかねない。同様に、結合剤/検体間の相互作用の検出に使用する、後の試薬もろ過することができる。多孔質膜以外のろ過手段の提供が除外されることはない。
【0012】
検体特異的結合剤と接触させる前に試料をろ過するための、上面又は領域を多孔質膜が有するとみなし得ることは先の段落から理解されよう。この上面又は領域は、検体特異的結合剤の真上にあるとみなすことができる。典型的には、この上面又は領域は検体特異的結合剤を含まない。
【0013】
複数の検体特異的結合剤が、(たとえば、マイクロアレイという形で)膜に結合することが、本発明の好ましい実施形態である。容器の外側上に検体特異的結合剤を設置することによって、反応区域はアレイ形成過程において利用しやすいものとなり、それによってより多くの数の検体特異的結合剤を各膜に固定できるようになる。なぜなら、たとえば、容器壁は、検体特異的結合剤を沈着させるために使用する、ピン又はジェット器具を部分的に妨害し得るからである。
【0014】
マイクロアレイが、今までポリヌクレオチド検体特異的結合剤にほとんど限定されてきたのに対して、本発明によってポリヌクレオチド及びポリペプチド検体特異的結合剤が使用できる(すなわち、マイクロアレイと、イムノアッセイなどの一般的なリガンド結合アッセイを組み合わせる)ようになることにも留意すべきである。
【0015】
一実施形態では、本発明の装置は複数の容器を備え、その各々が検体特異的結合剤のアレイを含むのが好ましい。これによって、従来推定される時間よりもかなり短い時間で、より多くの数の化合物を検査することが可能になる。特に、本発明は、同時に多数の、好ましくは完全自動過程でマイクロアレイアッセイ(すなわち、ウェル1枚がマルチウェルプレート1枚)を実施する方法を提供する。
【0016】
本発明の装置が、マルチウェルプレート(たとえば、96ウェル、384ウェル、又は1536ウェルプレート)という形で複数の第1の容器を備えることが好ましい。一実施形態によれば、複数の検体特異的結合剤が、ウェル又は各ウェルの多孔質膜上に、好ましくはアレイ(マイクロアレイなど)という形で固定されている。結合剤のアレイには、少なくとも1種の対照の検体特異的結合剤を含めてよい。
【0017】
本発明による検体特異的結合剤には、ポリヌクレオチドプローブ(ESTなど)、ポリペプチドプローブ(抗体もしくはその断片、細胞表面受容体、酵素など)、又は標的検体と結合する能力を有する他のいかなる化学物質型を含めてもよい。これらは、多孔質膜に直接的に又は間接的に固定してよい。
【0018】
さらに本発明の装置の成分は以下を含み得る。
【0019】
1.前記第2の容器が前記第1の容器の流体排出口から液体を回収することができるように、第2の容器中に第1の容器又は各第1の容器を少なくとも部分的に位置させることによってその多孔質膜を浸漬し得る、1個又は複数の第2の容器。
【0020】
2.流体流入口から流体排出口へ膜細孔径が徐々に減少するように、前記少なくとも1個の第1の容器内に位置させた、追加の1枚又は複数の多孔質膜。
【0021】
3.少なくとも1個の第1の容器から流体排出口を通して液体を引き抜くための手段。一実施形態によれば、前記手段は真空ポンプを含んでよい。他の実施形態によれば、この手段は、吸着剤、容積移送、又は遠心分離式ろ過器を含んでよい。
【0022】
4.結合剤と検体の結合を検出するための手段。一実施形態によれば、前記検出手段は、蛍光定量、化学発光、放射化学、及び比色手段から選択される。検出手段は、多孔質膜から発せられた光を検出し、及び/又は定量することができる測光器具(ルミノメータなど)を含むことが好ましい。検出手段は、カメラやスキャナなどのイメージング手段を含み得ることがよりさらに好ましい。他の検出手段に加えて又は別法としてイメージング手段を含めることができる。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、マルチウェルプレート(96ウェル、384ウェル、又は1536ウェルプレート)という形で複数の第1の容器を備えた、アッセイで使用するための装置であって、各容器が、固定した検体特異的結合剤のアレイ(好ましくはマイクロアレイ)を含むことを特徴とする装置を提供する。上のように、結合剤のアレイには、少なくとも1個の対照プローブを含めてよい。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、検体特異的結合剤は、前記第1の容器の表面上に直接的に又は間接的に固定してよい。前記表面は、その容器の流体排出口として役立つ多孔質膜であることが好ましい。検体特異的結合剤は前記多孔質膜の下面上に固定することがさらにいっそう好ましい。
【0025】
本発明の第2の態様による装置のそれ以上の成分は、上掲(1)〜(4)のどれかを必要に応じて適合させて含んでもよい。
【0026】
本発明の第3の態様によれば、以下のステップを含む検体の検出方法が提供される:
(a)本発明による(上記の)装置を提供するステップ、
(b)容器、又は容器の少なくとも1個に検査しようとする試料を充填するステップ、及び
(c)検体特異的結合剤と検体の結合を検出するステップ。
【0027】
一実施形態によれば、前記方法は、(b)と(c)の間にさらに、たとえば真空ポンプを使用して、容器から流体排出口を通して能動的に液体を引き抜くステップを含んでよい。
【0028】
試料は、たとえば、生体試料や環境試料でよく、酵素、蛍光標識、放射標識など、検出可能標識を含み得ることが好ましい。
【0029】
ステップ(c)で1種又は複数の検体特異的結合剤と検体の結合を検出するステップは、蛍光定量手段、化学発光手段、放射化学手段、比色手段などのどれか1つを使用し実現してもよく、もちろん、使用した標識の性質次第である。発光を検出し、及び/又は定量することができる測光器具(ルミノメータなど)を使用し結合を検出することが好ましい。
【0030】
好ましい実施形態では、上記方法のステップ(c)には、その後、又はその代わりに、結合剤を固定した各領域からの発光を別個に検出し、及び/又は定量するためのイメージングステップが続く(本明細書では前記領域を「スポット」と呼ぶ)。
【0031】
別の実施形態では、本方法にしたがって使用する装置が1個を超える容器を備える場合、各容器には異なる試料を充填する。
【0032】
本発明の別の態様では、その一面に少なくとも1種の検体特異的結合剤を固定した多孔質膜が提供される。使用中、本明細書で定義した装置の流体流入口に対してこの面は下面となる。
【0033】
本発明の別の態様では、検体を検出する方法で使用するキットが提供され、キットには、その一面に少なくとも1種の検体特異的結合剤を固定した多孔質膜、及び少なくとも1種の検体特異的結合剤と検体の結合を検出するための少なくとも1種の試薬が含まれる。
【0034】
(図面の詳細な説明)
さらに詳細には、
これらの図1A、1B、及び図2では、(1)は96ウェルプレートなどのウェルプレートを表し、(2)はカバー、(3)は暗渠、(4)はフィルタであり、(5)はフィルタ下であるアレイを示し、(6)は容器1、(7)は容器2、(8)は多孔質膜であり、(9)は膜下面上にある検体結合スポットであり、各スポットは所与のプローブを含み、(10)は検体溶液、(11)は減圧、陽圧、遠心力など、膜を通して試料を引き抜くための手段、(12)は検体である。
【0035】
図4では、左から右へ、上から下へ、プローブスポットとして、100、1000、3000、50、750、1500、300、1260、7500IUの抗チログロブリン溶液と共にチログロブリンをインキュベートした。CCD‐FDI曝露時間6秒(FDI=高速デジタルイメージャー)。
【0036】
図5及び図6:基準抗チログロブリン溶液と捕獲プローブとして固定したチログロブリンをインキュベーションすることによって得られた較正曲線を示すグラフである。アレイシグナルは、曝露6秒後のアレイシグナルの平均密度である。
【0037】
図7‐比色試薬を使用するアレイ分析。図7の下半分によって血清背景の大部分が上面にろ過除去されていることが分かる。横列2及び4の右側4個のウェルは患者血清である。横列2及び4は4‐Cl‐N/DABによって、下方の2列3及び4は金属により強化したDABによって染色されている。
【0038】
ウェル区域内、スポット列は上から下へ12.5μg、25μg、100μg、50μg/mLのTg及び緩衝液をプローブとして含む。
【0039】
横列1及び3のウェルは、基準化抗チログロブリン溶液と共にインキュベートされている。左から右へ、各ウェルは1000、750、500、300、200、100、50、及び0IUの抗チログロブリンと共にインキュベートされている。
【0040】
横列2及び4は、基準化抗チログロブリン溶液又は患者血清と共にインキュベートされている。左から右へ、1260、3000、5000、7500IUの基準化抗チログロブリン、1/800、1/1600、及び1/3200に希釈した陽性患者血清A(10,000IU超)、7.5倍に希釈した陽性患者血清B(〜2560IU)。
【0041】
ウェルが下のイメージに対応するように、上のイメージは反転されていることに留意されたい。図8及び図9に検量線を示す。
【0042】
図8及び図9:HRP基質として4Cl‐N/DABを使用し生成した抗チログロブリン較正曲線である。
【0043】
図10及び図11:HRP基質としてMeDABを使用し生成した抗チログロブリン較正曲線を示すグラフである。(図11の相関係数は0.88である)。
【0044】
図12:代表的な1/1000希釈の陽性血清。縦列2及び5の一貫した明るいスポットは基準の陽性対照である。下左:抗RNP/Sm陽性血清‐RNP/Sm(縦列1)と比較してSm縦列わずかに(縦列2)+ve、右下:抗Scl 70陽性血清、中左:抗Sm陽性血清、中右:抗Jo1、上左:抗Ro(SS‐A)血清、上右:5種全ての抗血清を混合(実施例3と比較)。
【0045】
図13:血清又は基準溶液と共にインキュベートしたアレイのウェルの代表的なイメージ。上横列:左から右へ、1/800に希釈したNational Health Service(NHS)の抗sm血清、1/800に希釈した抗scl 70血清(NHS)、1/800に希釈した抗Jo1(NHS)、及び1/400に希釈した橋本病患者血清。中横列:1/400に希釈した抗La(SS‐B)血清(NHS)、1/800に希釈した抗Sm‐RNP血清(NHS)、インキュベーション緩衝液(PBST)、及び抗Ro活性を示す患者血清。下横列:抗Sm活性と抗RNP活性を示す、又は抗Sm活性は示すが抗RNP活性を示さない1/400に希釈した患者血清(RNPは、Smと複合体化したプローブとしてのみ存在)、750IUの抗チログロブリン基準、抗Ro(SS‐A)活性とLa(SS‐B)活性を示す1/400に希釈した患者血清、ならびに抗sm活性と抗RNP活性を示す、又は抗sm活性は示すが抗RNP活性を示さない患者血清(SmプローブシグナルはSm‐RNPプローブ複合体シグナル未満であることに留意されたい)。
【0046】
図14及び図15:捕獲プローブとして固定したチログロブリンと共に基準抗チログロブリン溶液をインキュベーションすることによって生成され、リウマチ自己抗原定性アレイと一緒に実施した較正曲線を示すグラフである。アレイシグナルは、CCD曝露時間5秒を利用した平均密度である。
【0047】
図16:比色ナノドットアッセイのプローブの感受性。アッセイは、1000IUの抗Tg基準、及び第2カクテルとして1/1250の抗ヒトIgG+1/250のStrep‐HRPで実施した。検出器はフラットベッドスキャナ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
次に、限定しない例により、かつ添付図面に関して、本発明の様々な好ましい特徴及び実施形態を説明する。
【0049】
本発明は、別段の指示が無い限り、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA、及び免疫学の従来技術を使用し、これらの技術は当技術分野の通常の技術者の能力内にあるものとする。そのような技術は文献に説明されている。たとえば、(J. Sambrook, E. F. Fritsch, and T. Maniatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版、書籍1〜3, Cold Spring Harbor Laboratory Press)、(Ausubel, F. M.ら、(1995, 及び定期補足; Current Protocols in Molecular Biology, 第9章、13章、及び16章, John Wiley & Sons, New York, N.Y.))、(B. Roe, J. Crabtree, and A. Kahn, 1996, DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques, John Wiley & Sons)、(J. M. Polak and James O'D. McGee, 1990, In Situ Hybridization: Principles and Practice; Oxford University Press)、(M. J. Gait (編), 1984, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, Irl Press)、及び(D. M. J. Lilley and J. E. Dahlberg, 1992, Methods of Enzymology: DNA Structure Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology, Academic Press)を参照されたい。これらの一般的書籍のそれぞれを本明細書に参照により組み込む。
【0050】
本発明は、試料中に1種又は複数の検体が存在することを検出し、及び/又は定量するためのアッセイで使用する装置、及びそのようなアッセイを実施する方法に関する。
【0051】
アッセイ及び装置
その最も単純な形では、本発明の装置は容器からなり、その容器の基部は多孔質膜からなり、その膜の下面上には標的検体に結合するその能力によって選択したプローブが繋ぎ止められて(又は「固定されて」)いる。使用中、試料を流体形で容器に加え、結合反応速度を最適化するために、膜上又は膜下から陽圧又は陰圧をかけて、又はかけないでろ過し又は膜を通過させる。次に、これにより、溶液中に存在するいかなる検体も、プローブに結合(又はプローブによって結合)することが可能になる。次いで、標準的方法(たとえば蛍光標識化)を使用し結合を検出し、及び/又は測定することができる。
【0052】
本発明にしたがって、かつ本発明の方法で有用な装置の実施形態を図1A及び1B及び図2に示す。
【0053】
本発明の一実施形態では、図2に例示するように、スポットのアレイとしてプローブを第1の容器の膜下面に含めてよい。検体溶液は、プローブと相互に作用させるために膜及びどんな第2の容器も通過し、あるいは第2の容器に保持してよい。この場合、検体溶液の一部が膜上にも膜内にも残ることになる。細胞物質は、膜によって膜上面にろ過されるが、プローブ‐検体間の相互作用は表面下部に多く見られる。したがって、細胞物質及び/又は微粒子物質は表面下部から取り残され、それによってイメージング手段により検出を実施した場合背景が減少する。
【0054】
さらに詳細には、本発明の実施形態では、マイクロアレイは、たとえば、5×5の1〜50nl又は5×5の12〜20nlを含み、(プローブ及び対照の混合物でよい)スポットは図1A及び1Bに示すものなど、フィルタプレートの下面上にプリントしてよい。
【0055】
非スポット表面を乾燥しブロックした後、試料溶液をアレイに送るための流体トラップを備えた可動性暗渠によってフィルタ下領域を再封入してよい。
【0056】
(従来のELISA型アッセイと同様に)試料は上からウェル内に加える。試料は、たとえば、重力、容積移送、又は部分的減圧によって膜を通過させる。連続的又は段階的ろ過過程を必要とするかどうかによって選択する手法は決まるであろう。プローブ/検体間の相互作用は、試料がプローブスポットを通り過ぎて引き抜かれる際に、又は流体トラップ中でインキュベートされる際に生じる。
【0057】
続いて、膜を(好ましくは一回を超えて)洗浄し、標識剤(たとえば標識抗体)と共に同時インキュベートしてよい。再度、上から試薬をウェルに加え、多孔質膜にフィルタの役割をさせてよい。次いで、洗浄過程を繰り返していかなる未結合標識も除去し得る。
【0058】
最後に、当技術分野で知られている検出方法(たとえば、比色及び/又は化学発光試薬など、マイクロアレイに使用される検出方法及びイメージング技術)によって相互作用示すスポットの検出を行う。この方式で得られたイメージを図3に例として示す。
【0059】
本発明の好ましい実施形態によれば、装置はマルチウェルプレートを形成する複数の容器(本明細書では「ウェル」ともいう)を備える。マルチウェルプレートは、96ウェル(又はマイクロウェル)プレート、384ウェルプレート、又は1536ウェルプレートでよく、多数の試料を同時に(たとえば高処理量スクリーンにより)分析できるようにする。既存のロボット工学及び自動システムで使用することができるように、プレートは標準的なサイズ及び大きさのものである。プレートは、ポリプロピレン樹脂などのプラスチック材から形成されていることが好ましい。
【0060】
さらに詳細には、本発明の96ウェルプレートの容器容量は、約0.4〜0.5mlであることが好ましい。384ウェルプレートの容器容量は、基準96ウェルフットプリントを有して約10〜100μlであることが好ましい。384ウェルプレートは、大容量DNAライブラリ操作及び高処理スクリーニング法に特に適している。1536ウェルプレートの容器容量は、約1〜15μlであることが好ましく、同様に基準96ウェルフットプリントを有する。1536ウェルプレートは自動化及び超高処理スクリーニング法に特に適している。
【0061】
本発明の装置は、それだけには限らないが、ポリメチルメタクリラート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びその誘導体を含む本質的にプラスチック材から形成される。材料は、化学薬品、溶媒、及びアルコールに対する耐性によって選択される。プレートは、比色読取りで使用する場合には透明であり、冷光及び/又は蛍光読取りには、色付き、たとえば、白色又は黒色であってよい。
【0062】
上記したように、各容器の基部は多孔質膜を備える。光学の質及びイメージング領域を最高にするために基部は平底が好ましい。
【0063】
各容器は、流体流入口と、流体排出口とを有する。流体排出口は、多孔質膜を備え、その膜の下面上には少なくとも1種の検体特異的結合剤が繋ぎ止められている(したがって、多孔質膜のこの表面は「反応区域」ともいう)。膜は、試料の液体部分及び標的検体には透過性あるが、他の(通常大きな)試料成分には不透過性であり、したがって捕捉能力を有する。膜は、織布もしくは不織布、紙、セルロース、ガラス繊維、ポリエステル(又は他のポリマー)、あるいはそれらの混合物及び派生物から形成されていてよい。膜は、混合セルロースエステル又はナイロン組成物から形成されていることが好ましい。細孔径は、0.01〜1μmの範囲であり、0.1〜0.5μmの範囲が好ましく、0.4〜0.5μmの範囲がさらにいっそう好ましい。細孔径は約0.45μmが理想的である。膜は、疎水性表面を作成するために、たとえば、ポリ‐L‐リジンによって被覆してよく、それによって安定性は改善されスポットの伝播性は最小になる。
【0064】
一実施形態では、さらに1枚又は複数の多孔質膜を各容器内に設置することができる。流体流入口から流体排出口へ細孔径が徐々に減少するように膜を位置させるのが好ましい。それ以上の膜の細孔径は、ろ過する試料に応じて変化する。細孔径は、0.01〜10μmの範囲が好ましく、0.1〜5μmの範囲がさらにいっそう好ましく、0.1〜1.0μmの範囲最も好ましい。
【0065】
(最終の反応区域の膜を含む)1枚又は複数の膜は「バインダー」を含んでもよい。バインダーは、望ましくない細胞成分又は不純物を結合し、それによって試料から望ましくない化合物をろ過するこれらの膜の能力を改善できる、抗体、リガンド、又は他の相補的分子であってよい。バインダーが最終の膜に含まれる場合、バインダーは前記膜の上側(すなわち反応区域の反対表面)に位置するのが好ましい。
【0066】
さらに、本発明の装置は、装置の1個又は複数のウェルに対応する1個又は複数の容器から形成された「暗渠」又は「回収トレー」を備えてよく、その結果、使用中、各ウェルは対応する容器中に少なくとも部分的に位置する。この実施形態にしたがって、流体排出口を通過する試料は容器に回収され、膜及びその上に固定されたいかなる結合剤も試料中に液浸されることになる。これによって、次に、検体と検体特異的結合剤間の相互作用が増加し、したがってアッセイの感受性が改善される。
【0067】
装置は、容器から流体排出口を通して液体を引き抜くための手段を含んでいてもよい。前記手段は、真空ポンプ、空気圧ポンプ、吸着層、又は当技術分野で知られている他のどんな標準的手段からなってよい。容器から液体を引き抜くために容積移送を使用することもできる。そのような手段を使用し試料の流量を調節して、検体とその結合パートナーとの間の最適な反応を実現することができる。
【0068】
検体及び検体結合剤
本明細書で使用する用語「検体」は、検出し又は測定すべき試料中の化合物又は組成物をさす。「試料」は、標的検体の存在を確かめるために、検査しようとするどんな所望の物質をもさし通常生物起源である。試料には、それだけには限らないが、以下を含めてよい:血液もしくは血清、唾液、痰、涙、汗、又は他の分泌液;尿もしくは糞便物質;脳脊髄液、間質液、細胞抽出物などの生物由来液体;水や土などの環境起源試料;食肉産物、果物、野菜などの食物試料;検査薬物など。
【0069】
当業者によって理解されるように、標的検体は、化学的、物理的、酵素的、又は光学的分析で検出し、及び/又は測定することが望まれる、どんな特異的物質又は構成成分であってもよい。本発明による検体は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、又は他のいかなる化学物質もしくは化学物質複合体であってよい。
【0070】
さらに詳細には、本発明の器具又は方法を使用して検出/定量することができる検体には、それだけには限らないが以下のものが含まれる:抗原(たとえば、連鎖球菌、肝炎、HIVを含む、細菌、ウイルス、原生動物に特異的な抗原など)、抗体(特に感染、アレルギー反応、又はワクチン接種に呼応して誘発されるもの)、ホルモン(妊娠マーカーとして使用されるヒト絨毛性ゴナドトロピン−hCG、エストロゲン、女性ホルモン、テストステロン、コルチコステロイドなど)、蛋白質(疾病マーカーとして使用される循環血漿蛋白質など)、核酸(疾病マーカーとして使用される循環血漿核酸を含む)、及び他の生理学的物質(たとえば、ヒト増殖因子、ヘモグロビン、コレステロール)、様々な酵素(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、乳酸脱水素酵素、アルカリフォスファターゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼなど)、治療用化合物(ステロイド、抗生物質、精神安定薬、抗痙攣薬など)、薬物(コカイン、ヘロイン、マリファナなど)、混入物及び環境汚染源(殺虫剤、除草剤、芳香族炭化水素など)、ビタミン類、ならびに他の非常に多くの天然又は合成物質。
【0071】
当業者よって理解されるように、本発明のアッセイ器具及び方法によって検出することができる天然及び合成物質の数は広範であり、それだけには限らないが、以下の化合物群が含まれる:ACE阻害薬、嫌酒薬(たとえばジスルフィラム)、抗アレルギー薬、抗狭心症薬、抗関節炎薬、抗感染薬(それだけには限らないが、抗菌薬、抗生物質、抗真菌剤、抗寄生虫薬、抗マラリア薬、及び抗ウイルス剤を含む)、鎮痛薬及び鎮痛混合薬、局所及び全身麻酔薬、食欲抑制薬、抗酸化剤、抗不安薬、摂食障害薬、抗関節炎薬、抗喘息剤、抗血液凝固剤、抗痙攣薬、抗糖尿病剤、抗下痢薬、抗催吐薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン、抗炎症剤、抗高血圧薬、抗偏頭痛薬、抗催嘔気薬、抗新生物薬、抗酸化剤、抗パーキンソン薬、抗そう痒薬、抗発熱薬、抗リウマチ薬、抗痙攣薬、咳止め、アドレナリン作動性受容体アゴニスト及びアンタゴニスト、心血管用調製物(抗不整脈剤、強心薬、心抑制薬、カルシウムチャネル遮断薬、及びβ遮断薬を含む)、コリン作動薬及び抗コリン作動薬、避妊薬、利尿薬、鬱血除去薬、成長刺激薬、生薬調製物、催眠薬、免疫化剤、免疫調節物質、免疫抑制薬、筋弛緩薬;抗不安調製物、抗うつ薬、抗精神病薬、覚醒剤、鎮静薬、及び精神安定薬を含む神経活性剤;咽頭炎薬、交感神経模倣薬、血管拡張薬、血管収縮薬、ビタミン類、キサンチン誘導体、これらの化合物の様々な混合薬など。
【0072】
試料中の標的検体の存在は、検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出することによって評価する。用語「検体特異的結合剤」(本明細書では「結合剤」、「プローブ」、又は「結合パートナー」ともいう)は、検体と相互に作用すべきであり、その結果検体の存在を直接的に又は間接的に決定し、及び/又は測定することができる。したがって、検査下、結合剤は試料の他の成分とは異なり、当該検体に少なくともいくらかの特異性を示すべきである。一実施形態では、「結合剤」は、化学的又は物理的に相互に作用して複合体を形成する結合対の構成要素を説明するために使用される。したがって、「検体特異的結合剤」は、その三次元構造のために標的検体と特異的に相互に作用することができる薬剤をさす。「固定された」結合剤は、本発明のアッセイ器具の多孔質膜の下面に、永久的に又は半永久的に繋ぎ止め、吸着し、包埋し、又は付着された結合剤をさす。結合剤は、標的検体へのその親和性が著しく変化しないように固定する。
【0073】
本発明で使用する結合剤の性質は、検出する検体の性質に依存する。可能な結合対には、それだけには限らないが、以下が含まれる:抗体と抗原、抗体とハプテン、ホルモンと受容体、ウイルスと細胞受容体、ビオチンとアビジン、炭水化物とレクチン、作動体と受容体分子、酵素と補助因子、酵素と基質、酵素と阻害薬、相補的ヌクレオチド配列同士、ビオチンとストレプトアビジン、ビオチンとアビジン、蛋白質とDNA、蛋白質とRNA、DNAとRNA、及び蛋白質と蛋白質。結合剤がヌクレオチド配列である場合、EST(発現配列タグ)であることが好ましい。本発明にしたがって使用する結合剤は、当技術分野で知られている標準的方法を使用し調製し固定する。たとえば、ポリヌクレオチドプローブは、PCR増幅によって調製することができる。
【0074】
結合剤は、本明細書では、一般に、検体/検体特異的結合剤対のうち固定される構成要素として記載されるが、その逆を除外する意図はないことに留意されたい。検体を結合し、プローブを溶液に加えることは実際に可能である(DNA分析の場合には、しばしば好ましい)。次いで、検出及び/又は数量化するために標識するのは検体ではなくプローブである。したがって、たとえば、既知配列の遺伝子Aが存在するかどうかを検査するために、1人又は複数の患者のゲノム断片を基質に固定する。次いで、配列Aに対応する標識したプライマーを溶液に加える。固定した断片のどれかとプライマーが結合することは、その患者のDNA中に遺伝子Aが存在することを示す。
【0075】
本発明の検体特異的アッセイ器具及び方法は、反応区域中の固定した結合パートナーを交換するだけで、それ以上の又は異なる検体の検出に容易に適合させることができる。好ましい実施形態では、ウェルの基部から使用済みの膜を取り外し、新しい膜と交換するだけで器具を適合させることができる。新しい膜は、1種又は複数の結合剤をその上に固定させて事前に調製してよく、あるいは膜をウェルに付着させた後、膜に1種又は複数の結合剤を繋ぎ止めることができる。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、容器又は各容器の多孔質膜にアレイという形で複数の異なる結合剤を固定し、1種を超える検体が同時に検出されるようにする。
【0077】
アレイ及びマイクロアレイ
本発明の結合剤は、多孔質膜の下面に繋ぎ止められているので、多量の背景染色を回避することができる。次に、感受性及び精度が改善され、使用する各ウェルが1種を超える検体化合物について検査できるようになることをこれは意味する。したがって、特に好ましい実施形態では、各ウェルは複数の異なる結合剤を含む。
【0078】
複数の結合剤は、アレイという形で配列することが好ましい。アレイは、規則的なポリヌクレオチド又はポリペプチドプローブの配列である。アレイ中の各プローブは、「スポット」として知られる所定の領域に固定される。スポットは、手作業で又は当技術分野で知られている多くの自動プリント過程のどれか1つを使用し沈着させることができる。ひとたびスポットが沈着したならば、膜を乾燥させ非スポット領域を(たとえばBSA又はPVAによって)ブロックする。
【0079】
アレイのスポット径に応じて、「マクロアレイ」又は「マイクロアレイ」と称する。マクロアレイは、スポット径約300ミクロン以上を含み、標準的なゲル及びブロットスキャナを使用し容易に画像化することができる。典型的には、マイクロアレイのスポット径は直径300ミクロン未満である。通常、マイクロアレイには数千のスポットが含まれる。
【0080】
本発明で使用する各スポットの領域は、いかなる大きさでも形でもよい。不規則な幾何学的形状に加えて、たとえば、四角形、楕円形、矩形、三角形、円形、又はその部分を使用してよい。
【0081】
一実施形態では、各スポットの表面積は約1cm2〜10−10cm2である。ある実施形態では、各スポットの表面積は約10−1cm2未満、10−2cm2、10−3cm2、10−4cm、10−5cm2、10−6cm2、10−7cm2、10−8cm2、又は10−10cm2である。好ましい実施形態では、これらの領域は約10×10μm〜500×100μmである。ウェルの(内側ではなく)下面に「スポッティング」することにより、大きな反応面が利用可能になることは本発明の利点である。これは、ウェルの内壁がウェル周囲上のスポットの沈着に干渉するからである。したがって、ウェル当たり、より多くの数のスポットを含めることができる。各反応区域は、1個から数十万個のスポットを含んでよい。各反応区域は、1、5、10個以上のスポットのアレイを含むことが好ましい。さらにいっそう好ましい実施形態では、各反応区域は、50、100、500個以上のスポットのアレイを含む。最も好ましい実施形態では、各反応区域は、4×4、5×5、又は6×6のスポットのアレイを含む。
【0082】
各ウェルの多孔質膜上に沈着させたポリヌクレオチド又はポリペプチドプローブのアレイと共に、少なくとも1個の対照プローブをも含めることが好ましく、結果はこのプローブに対して測定することができる。あるいは、装置が複数のウェルを含む場合、1個又は複数のウェルを対照として使用することができる。ウェルに加える試料には、検査しようとする各試料が既知の濃度で含まれる。次いで、対照ウェルの結合レベルを基準として使用し、結果はこの基準に対して測定することができる。
【0083】
本発明の代替の態様によれば、各ウェルがプローブのアレイを含む(先に定義した)マルチウェルプレートが提供される。プローブは、ポリヌクレオチド又はポリペプチドプローブでよく、ウェルの内側又は外側に繋ぎ止めてよい。ウェルの内側に繋ぎ止める場合、プローブはその基部に位置することが好ましい。基部はウェルの残りの部分と共に一体型に形成してよく、又はろ過型アッセイで使用するために多孔質物質から形成してよい。プローブは、(上記)ウェルの基部に位置する多孔質膜の下面上に固定することが好ましい。
【0084】
好ましい実施形態では、反応区域からどんな望ましくない物質(細胞成分など、試料溶液によって導入された微粒子や色付き物質など)も除去し、いかなる非特異的結合をも低減するために、本発明の方法はさらに、検体/プローブ結合ステップの後に、ウェル又は各ウェルに水溶液を加えるステップを含む「洗浄」ステップを含む。いかなる未結合試薬を除去し、再度、いかなる非特異的結合を低減するために、標識後にそれ以上の洗浄ステップを含めることが好ましい。各洗浄ステップは、1回又は複数の(好ましくは4〜6回の)洗浄を含んでよい。このステップを導入することによって、本発明のアッセイの感受性及び信頼性はさらに改善される。本発明では、ろ過過程により洗浄は、従来の吸引方法に比べて著しく促進される。
【0085】
固定プローブと標的検体の結合(又は、それとは反対に、固定標的検体とプローブの結合)は、当技術分野で知られているどんな標準的方法を使用しても検出することができる。
【0086】
検出方法
本発明のアッセイ方法は、複数の連続ステップ又は不連続ステップを含む。方法は、以下のように簡単な用語で(ある好ましい実施形態にしたがって)説明することができる:
(a)本発明による装置(たとえば、各ウェルが多孔質膜を備え、その膜の下面上にはプローブのアレイが固定されているマルチウェルプレート)を提供するステップ、
(b)検体/プローブ結合が生じるように、試料を各ウェルに添加し、試料が多孔質膜を通してろ過されるステップ、
(c)任意選択で膜を水溶液で数回洗浄するステップ、
(d)検体/標識結合が生じるように、標識試薬を各ウェルに添加し、この試薬が多孔質膜を通してろ過されるようにするステップ(注記:このステップはステップbと同時に実施してよい)、
(e)任意選択で膜を水溶液で数回洗浄するステップ、
(f)検体/プローブ間の相互作用を検出し、及び/又はイメージングするステップ。
【0087】
典型的な検出アッセイは、標的検体の結合を検出/定量するために、「競合」アッセイ又は「サンドイッチ」アッセイを使用する。競合アッセイでは、標的検体は、固定した結合パートナーを求めて標識検体(又は検体の標識類似体)と競合する。試料中の検体の濃度が高いほどアッセイ中のシグナルは減少する。標識検体と固定した結合パートナーとの相互作用が妨害されるからである。したがって、競合アッセイ中に生成されるシグナルは、試料中の検体の濃度が上昇するにつれて減少する。
【0088】
サンドイッチアッセイでは、標的検体は、固定した未標識の第1の結合パートナーと、標識した第2の結合パートナーの間に結合し、すなわち「サンドイッチされる」。さらに様々な染色方法が、この第1の非常に簡単な方法から進化してきた。たとえば、2段階の間接的方法では、標的検体は2個の結合パートナー間に結合し、そのうちの1つは固定されている。次いで、未固定結合パートナーを対象とする標識抗体を適用する。標識抗体が、未固定結合パートナー上のいくつかの異なるエピトープと反応する可能性が高く、それにより検体上の1つを超えるエピトープが検出されるに違いないのでシグナルが増幅され、特異性が高くなる限りにおいて、この方法は直接的方法よりも感度が高い。
【0089】
それ以上の検出形(たとえば、標準的ELISA及びDNAマイクロアレイアッセイから)は、当業者に明らかであろう。それ以上の染色方法は、たとえば(the Handbook of Immunochemical Staining Methods、第3版(Thomas Boenisch, 2001, DAKO Corporation, California、特に26〜31ページ参照)に記載され、(http://www.dakousa.com/ihcbook/hbcontent.htm)を利用することができる。
【0090】
本明細書で使用する用語「標識」は、検出可能なシグナルを生成することができるいかなる物質をもさす。標識化は、標準的方法にしたがって実施する。本発明での使用に適当な標識は、それだけには限らないが、以下のものが含まれる:クロマトゲン(商標)、蛍光、化学発光、もしくは生物発光化合物、放射性同位元素もしくはラジオヌクレオチド、触媒、酵素、酵素基質、補助因子、インヒビターもしくはサブユニット、染料、コロイド状金属粒子及び非金属粒子、有機ポリマーラテックス粒子。特異的標識の例には、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリトリン、ウンベリフェロン、ルミノール、NADPH、α‐β‐ガラクトシダーゼ、西洋わさびペルオキシダーゼなどが含まれる。
【0091】
本発明では使用する標識は、2つの型:目視検査によって検出することができる型(たとえば、コロイド状金属、非金属、染料粒子など、色付き成分を含み又は生成する部分)、及び人工検出系(たとえば、光学系、分光系、及びX線撮影系など)を用いてしか検出できない型に分けることができる。したがって、本発明の別の実施形態によれば、装置は検体特異的結合剤と検体の結合を検出するための手段を含む。
【0092】
使用する検出手段は、使用する標識の性質次第である。たとえば、標識が蛍光標識の場合、検出手段は蛍光計である。多数の様々な蛍光計が当技術分野で利用することができ、そのうちのいずれも本発明での使用に適当であろう。酵素の場合には、蛍光又は色付き生成物が得られ、蛍光計で、分光光度計で、又は目視で定量することができる。
【0093】
検出手段は、蛍光定量、化学発光、放射化学、又は比色手段が好ましい。一実施形態によれば、前記手段は、ルミノメータなど、多孔質膜から発せられた光を検出し、及び/又は定量することができる測光器具である。
【0094】
検出手段はまた、あるいは別法として、多孔質膜上の各結合領域(たとえば、アレイの各スポット)から発せられた光を別個に検出し、及び/又は定量することができるイメージング手段を含む。可能なイメージング手段には、CCD(電荷結合素子)装置及びスキャナが含まれる。装置下面に反応区域を設置することによって、本発明は標識の検出及び読取りを促進し、それによってより緻密な検出及び/又はイメージング手段を使用できるようにする。検出及び/又はイメージング手段は、装置の残りの部分と共に一体化して形成することが好ましい。検出及び/又はイメージング手段は、複数のレンズを備え、結果の自動読取りが実施できるように各レンズはウェルに対応することが好ましい。
【0095】
反応区域を装置の下面に移動させることはまた、容器壁に反射する光によって生じる干渉を回避し、微粒子物質からの背景干渉レベルを減少できることを意味する。さらに、より大きな反応面が利用できるようになり、各アレイにより多数のスポットを含めることが可能になる。次ぎに、多数の検体を検査するのに必要な費用と時間をかなり減少できることをこれは意味する。したがって、本発明の装置及び方法は、特に、大規模遺伝子及びプロテオミクス研究、ならびに超高処理スクリーニング法に適している。
【0096】
適用例及び使用
本発明による方法及び器具は、定量及び定性アッセイで使用することができる。そのような方法の最も一般的な適用例は、免疫診断、疾病診断、及び蛋白質機能研究を目的とした遺伝子発現パターン(たとえば、異なる刺激にさらした同一細胞間の差次的遺伝子発現、又は異なる細胞表現型もしくは発生段階の差次的遺伝子発現)の決定である。
【0097】
そのような適用は、特に、疾病病理、すなわち、何が疾病遺伝子の発現を誘発するのか、他の遺伝子の発現に、かつ全体としてその宿主生物に及ぼすその影響、異なる集団に渡るその発現パターンなどの理解を深めるために使用することができる。次ぎに、これによって疾病の診断及び処置がより容易できるようにする。実際、多くの病態は、遺伝子DNAのコピー数の変化又は特定の遺伝子の転写レベルの変化による、様々な遺伝子の発現レベルの違いによって特徴付けられる。したがって、特定の遺伝子の発現レベルの変化は、様々な疾患の存在及び進行の道標として役立つ。
【0098】
たとえば、発癌遺伝子の発現(又は過剰発現)は、ある種の癌型の発症の指標とすることができ、特異的な遺伝子変異を検出することは、嚢胞性線維症などの診断に役立てることができる。同様に、ウイルス感染は特定のウイルス遺伝子の発現の上昇によって特徴付けられることが多い。たとえば、単純ヘルペスウイルス、エプスタインバーウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、パルボウイルス、ヒト乳頭腫ウイルスの激増は全て、それぞれのウイルスゲノムの様々な成分の発現の上昇によって特徴付けられる。したがって、特徴的なウイルス遺伝子の発現レベルの上昇を検出することは病態の診断に有効である。
【0099】
細胞分裂サイクル、(細胞、胚などの)発生、組織分化などで所与のいかなる遺伝子の役割を分析するためにも発現レベルを使用することができる。発現レベルの変化は、mRNA転写レベルの点から、又は蛋白質レベルの点から測定することができる。したがって、本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドアッセイは、発現パターンの研究及び診断検査で使用することができる。ポリペプチドアッセイはまた、蛋白質の相互作用、したがって蛋白質機能の研究に使用することもできる。
【0100】
細胞機序及び発生機序の全体絵を得るには発現パターンでは実際不十分である。発現パターンによってどの遺伝子が特定の過程に関与するかが明らかになるであろうが、いかにしてそれらが関与するかを決定することも重要である。たとえば、多くの蛋白質がシグナル伝達経路に関与する。こうした複雑な経路は、たとえば、細胞表面リガンドと化合物の結合、及び標的遺伝子の下流発現の間を連結する。この点において、(それらがポリペプチド、ポリヌクレオチド、又は他のいかなる化学物質型である場合は)本発明を使用して、いかなる当該蛋白質の可能な結合パートナーも決定することができる。たとえば、本発明のアッセイを使用して、細胞表面蛋白質の細胞外部分と相互に作用する能力を有する化合物全て、どの蛋白質が標的DNA配列と結合することができるかなど、同定することができると思われる。したがって、本発明を使用して、大規模に、細胞機序の仕組みに踏み入って、いかなる当該蛋白質の正確な機能にも絶大な洞察を得ることができる。数百、数千の化合物を同時に検査し、それによって結合パートナーを分析できる速度を実質的に高めることができることは本発明の特別な利点である。
【0101】
研究及び疾病診断の他にも、本発明のアッセイ器具及び方法を使用して、環境試料及び/又は食物試料中の毒素、又は他の望ましい、もしくは望ましくない化学物質を検出し、定量することができる。たとえば、これらを使用して汚染が懸念される河川の化学物質の同定、大規模薬物スクリーニング、新規食品中の所与のビタミンレベルの決定などできるはずである。
【0102】
(実施例)
物質
試薬は以下の原料から得た。
【0103】
PBS:0.01Mのリン酸緩衝液、0.0027Mの塩化カリウム、及び0.137Mの塩化ナトリウム、pH7.4
PBST:0.01Mのリン酸緩衝液、0.0027Mの塩化カリウム、及び0.137Mの塩化ナトリウム、pH7.4、0.05%v/vのTween‐20
ヒトチログロブリンはCalbiochem(San Diego, California, USA)社製であった。
【0104】
基準化抗チログロブリン溶液はCambridge Life Sciences(Cambridgeshire, U.K.)社製であった。
【0105】
可溶性核抗原:蛋白質性La(SS‐B)、リボ核タンパク質‐Smith複合体(RNP/Sm)、トポイソメラーゼ(Scl 70)及び子ウシ胸腺由来蛋白質性Ro(SS‐A)、ヒスチジルsRNAシンテターゼ(Jo1)、及びポリペプチドSmith(Sm)、ウシ胸腺由来物はニュージーランドのAroTec Diagnostics Ltd社製であるが、英国BirminghamのThe Binding Siteから得た。
【0106】
参照のプールしたヒト血清は、予め検査し抗Sm、抗SmとRNP、抗Jo1とScl 70、抗RoとLa、抗Jo1、又は抗Scl 70活性を示すことが国民健康保(NHS、英国)から判明し、抗ヒトチログロブリンは英国CambridgeのCambridge Life Sciencesから入手した。
【0107】
ビオチン化ウシ血清アルブミン(ビオチン‐BSA)は、英国PeterboroughのVector Laboratories U.K.社製品であった。
【0108】
ヒトIgG H&Lに対するビオチン化ヤギポリクローナルは、英国CambridgeのAbcam社製。
【0109】
ストレプトアビジン‐西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)ポリマーはSigma(Poole, U.K.)社製。
【0110】
4‐クロロ‐1‐ナプトール+3,3’‐ジアミノベンザアミジン(4Cl‐N/DAB)及び金属により増強させた3,3’‐ジアミノベンザアミジン(MeDAB)であるSuper Femto ELISAはPierce(Rockford, Illinois, U.S.A.)社製品。
【0111】
孔径0.45μmの混合セルロースエステル膜底96ウェルプレート(Multiscreen)、及び可動性取り外し式暗渠はMillipore(Millipore, U.K. Watford, Millipore, U.K.)社製品であった。
【0112】
生物アッセイ前のアレイの製作
50mMの炭酸水素塩pH9.5、0.005%ブロモフェノールブルー、及び2.5%v/vのグリセロールで抗原を希釈して濃度10〜200μg/mlにし、96ウェルプレートに移した(以下の実施例に正確な濃度を示す)。(製造業者から提供されたAxSysソフトウェアを使用する)実施例に記載する通り、microsolenoid(商標)インクジェットバルブ及びセラミックチップ(12nlプローブスポット用に100μm及び20nlプローブスポット用に190μm)を備えたロボットマイクロアレイ装置BioDot AD3200を使用して、(最初は暗渠を取り外した)混合セルロースエステルマイクロプレートのウェル下表面上に、規則正しい配列で、スポット‐アレイ(Bio-Dot, Cambridge, UK)を接触せずにプリントした。スポットしたアレイを湿室に4℃で終夜保存した。その後、ウェル内側を200μlのPBSで3回で洗浄し、その度「ちらつき」、続いて表面下を100μlで3回洗浄した。暗渠を交換し、0.8% PVAを含む0.1Mのリン酸緩衝液pH7.2を添加することによって膜をブロックし、往復震盪機で1時間振盪(Eppendorf 5436 thermomixer、Eppendorf, U.K.)した後、バキューム(〜200ul/ウェル/30秒)を使用し200μlのPBSTで3回プレートを洗浄した。その後、プレートは、生物アッセイの準備をし、又は別法として4℃で保存するために放置して風乾させた。
【実施例1】
【0113】
化学発光検出を使用する抗チログロブリン濃度の評価(図4〜図6)
(A)10μg/mlのチログロブリン20nlをウェル当たり5×5アレイとしてスポットした。
【0114】
(B)基準化抗チログロブリンのPBST溶液100μlをピペットで取って個々のウェルに入れ、室温で空の試薬貯蔵部/トレー上に60分間静置した。
【0115】
(C)このプレート((Millipore, U.K.)用に設計した真空マニフォールド、及び〜200μl/ウェル/30秒の排気速度を得るための機械的減圧源を使用しウェルを排気することによって洗浄を実施した。添加後、さらに3度、その度に200μlのPBSTでこの過程を繰り返した。
【0116】
(D)ヒトIgG H&Lに対する1/5000ヤギポリクローナル及び1/2000ストレプトアビジン‐HRPポリマーをもたらす混合液100μlをPBSTで新たに調製し、ピペットでウェルに取り、再度、室温で空の試薬貯蔵部/トレー上に60分間静置することによってインキュベーションを実施した。
【0117】
(E)ステップCのように洗浄を繰り返し、続いて200μlの脱イオン水でさらに2ステップを行った。暗渠を取り外し、プレートを空の試薬貯蔵部/トレー上に設置した。
【0118】
(F)製造業者が記載したように調製したHRP基質(Super Femto ELISA, Pierce)100μlをウェルに加え膜を通過させた。150秒後、ティッシュを使用して表面下部をブロットした。プローブ‐検体間の相互作用は、化学発光シグナルをもたらす酵素結合HRP活性領域として検出した。
【0119】
(G)分析イメージは、内側に注文製耐光チャンバを収容する、Photonic Science Ltd(Robertsbridge, U.K.)社製の電荷結合素子ベースのFast Digital Imagerカメラ(以後CCDと称する)使用して取得した。マイクロプレート下にカメラを位置させ、膜平面に焦点を合わせた。イメージの捕捉に6秒間の曝露を使用した。Image-Pro Plusバージョン4.0(Media Cybernetics Inc., MD, USA)データ分析パッケージに組み込まれたドライバによってカメラを制御した。イメージは、12ビットのグレースケールTIFFファイルとして保存した。各曝露中のCCDの熱蓄積は、同じ曝露時間の暗像を差し引くことによって除去した。この過程によってデータの各ピクセルに〜100カウントのバイアスを加えて、低シグナルのピクセルで負の数値が生じるのを防止した。次いで、評価の前に各イメージを平野化して、レンズ口径食及び光学材の鎖の中のいかなる人口産物の作用も除去した。この手順の中で使用した平野化データは、特別に均一に照射したスクリーンの別々の3つの領域のイメージを取得し、この3つのイメージを平均化していかなる小規模の変動も除去することによって得た。代表的なイメージを図4に示す。
【0120】
(H)ArrayPro 4.0ソフトウェア(Media Cybernetics Inc.)を使用して、特徴ピクセル及び背景ピクセルの平均強度を定量した。強度レベルは、直径3ピクセルの試料採取領域内の25個の同一チログロブリンプローブ特徴から得た平均密度値を表す。ウェル内の局所的背景ピクセル強度は、ArrayPro中の「ローカルコーナー」機能を使用しスポットシグナルから差し引いた。較正曲線は、GraFit 5.0ソフトウェア(Erithacus software, Staines, UK)による直線及び非直線回帰分析を使用しデータに適合させ、図5及び図6として示す。
【実施例2】
【0121】
抗チログロブリン濃度の比色アッセイ(図7〜図11)
(A)20nlのチログロブリンをウェル当たり5×5アレイとしてスポットした。5個のスポット縦列は、100、50、25、12.5、及び0μg/mlの濃度を含む(図7に横列として示す)。
【0122】
(B)製作後、50μlの基準化抗チログロブリン溶液、又は患者血清を含むPBSTを個々のウェルに加え、プレートを空の試薬貯蔵部/トレー上に設置し、室温で60分間500rpmの往復機構シェーカー(Eppendorf 5436 thermomixer、Eppendorf, U.K)によって振盪した。
【0123】
(C)プレート用に設計した真空マニフォールド(Multiscreen vacuum manifold, Watford, Millipore, U.K.)、及び排気速度〜150μl/ウェル/30秒を得るための機械的減圧源を使用しウェルを排気することによって洗浄を実施した。添加後、さらに3度、その度に150μlのPBSTでこの過程を繰り返した。
【0124】
(D)ヒトIgG H&Lに対する1/1250ヤギポリクローナル及び1/250ストレプトアビジン‐HRPポリマーをもたらす混合液100μlをPBSTで新たに調製し、ピペットで個々のウェルに取り、再度、プレートを空の試薬貯蔵部/トレーに設置し、室温で60分間500rpmで振盪した。
【0125】
(E)ステップCの通り、PBSTで2度、脱イオン水で2度洗浄を繰り返した。暗渠を取り外し、プレートを空の試薬貯蔵部/トレーに吊るした。
【0126】
(F)製造業者が記載したように調製した、4‐クロロ‐1‐ナプトール+3,3’‐ジアミノベンザアミジン又は金属により強化したDAB(Pierce)であるHRP基質100μlを個々のウェルに加え、〜500rpmで5分〜60分間振盪しながら膜を通過させた。プローブ‐検体間の相互作用は、酵素結合HRP活性によって沈殿した色付き生成物の領域として検出した。
【0127】
(G)ウェル下表面の分析イメージを従来のフラットベッドスキャナ(Agfa SnapScan 1212u及び操作ソフトウェア Scanwise v2.0)を使用して取得し、16ビットのグレースケールTIFFイメージとして保存した。試料及び/又は基質のろ過作用を示すために、膜の上面(ウェル内)もスキャンした(図7)。
【0128】
(H)保存したウェル下イメージをArrayProを使用し光学濃度の点から分析した。イメージの較正は、イメージの3×3ピクセル試料領域を使用し、黒色(スキャナの蓋)及び入射レベル(膜のブランク領域)を定義することによって、このソフトウェア内で実施した。光学濃度値は、所与のウェル膜について5個の(100μg/mlでスポットしたものを使用する)同一チログロブリンプローブの平均特徴を表す。局所的背景については、同じウェル膜上の(プローブ抗原の代わりに)5個の同一緩衝液スポットの平均を差し引くことによってこれらの値を修正した。GraFit 5.0ソフトウェアを使用し較正曲線を再度実施した。これらの曲線を図8〜図11のグラフとして示す。
【実施例3】
【0129】
化学発光検出を使用するリウマチ自己抗原アレイ(図12)
(A)20nlの10μg/mlの抗原又は対照をウェル1個につき以下のアレイ順序でスポットした。
【表1】
その際、‐ve=負の対照、スポッティング緩衝液;+ve=陽性対照1μg/mlビオチン‐BSA。
【0130】
(B)1/1000希釈のプールしたNHS参照血清100μl、患者血清、又は緩衝液を個々のウェルに加えた。プレートを空の試薬貯蔵部/トレーに設置し、室温で60分間振盪(500rpm)しながらインキュベートした。
【0131】
(C)次いで、流量約200μl/ウェル/30秒のMillipore減圧装置を使用し、プレートを200μlのPBST洗浄液で3回洗浄した。
【0132】
(D)2回目のインキュベーションは、新たに調製した1/10,000抗IgG(ビオチン)、1/2000ストレプトアビジン‐HRPを含むPBSTのカクテルで実施した。再度、プレートを空の試薬貯蔵部/トレー上に設置し、室温で60分間500rpmで振盪しながらインキュベートした。
【0133】
(E)次いで、減圧装置を使用しながら洗浄を繰り返したが、200μlのPBSTで2回で行い、続いて200μlのPBSで2回の洗浄ステップを行った。暗渠を取り外し、プレートを空の試薬貯蔵部/トレー上に設置した。
【0134】
(F)HRP基質(Super Femto ELISA, Pierce)は、製造業者が記載したように調製し、100μlを個々のウェルに加え、2分半膜を通過させた後、表面下を3回ティッシュペーパーで丁寧にブロッティングした。イメージの解析には、Image-Pro Plusソフトウェアによって制御したCCD‐FDIカメラ(Photonic Sciences)使用した。プローブ‐検体間の相互作用は、化学発光シグナルをもたらす酵素結合HRP活性領域として検出した。
【実施例4】
【0135】
化学発光検出を使用する定量チログロブリン自己抗原アッセイと組み合わせた定性リウマチ自己抗原アレイ(図13〜図15)
リウマチ用アレイ
Ro及びLaに対する抗体は、しばしば、全身性エリテマトーデス(SLE)患者及びシェーグレン症候群(SS)患者に見出される。母体中の抗Ro抗体はまた、先天性心臓ブロックに高く関連付けられる。抗Sm抗体は、SLE患者の約30%に存在し疾病マーカーとして広く考えられている。試料が、陰性のSm結果を示す場合、抗RNP抗体は混合性結合組織病(MCTD)患者の90%に存在する。抗Jo‐1抗体は、従来、強皮症患者に見出される。
【0136】
チログロブリンアッセイ
自己免疫甲状腺疾患は、チログロブリン(Tg)及び甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)を含む抗甲状腺抗体の検出によって特徴付けられる。これらの甲状腺成分はどちらも、甲状腺ホルモンの生合成で重要な役割を果たす。Tg及びTPOに対する自己抗体の循環が、甲状腺炎、特発性甲状腺機能低下症、グレーブス病、及び亜急性甲状腺炎患者の90%までに存在する。全ての自己免疫状態のうち、グレーブス病及び橋本病の甲状腺炎が、おそらく最も治療しやすいが、ただしそれらが初期に検出される場合である。これには、薬物、放射線治療、又は手術に対する抗体応答をモニタする能力と共に、Tg(及びTPO)に対する抗体を敏感に検出する必要がある。
【0137】
(A)陽性対照として15μg/mlの抗原(30μg/mlのSm)又は2μg/mlのビオチン‐BSA、及び負の対照としてスポッティング緩衝液を使用し、5×5アレイの12nlのスポットを生成した。アレイスキーム。
【表2】
(B)プレートを空の試薬貯蔵部/トレー上に設置し、100μlのプールしたNHS参照血清、抗チログロブリン基準溶液又は患者血清を含むPBSTをピペットで取って個々のウェルに入れ、室温で60分間振盪(500rpm)した。
【0138】
(C)洗浄は、Millipore減圧装置を用いて200μlのPBSTで3回実施した。
【0139】
(D)再度、プレートを空の試薬貯蔵部/トレー上に設置し、1/10,000抗IgG(ビオチン)及び1/2000ストレプトアビジン‐HRPを含むPBSTを含む新たに調製した混合液100μlをピペットで取って個々のウェルに入れ、室温で60分間500rpmで振盪した。
【0140】
(E)200μlのPBSTで2回、200μlの脱イオン水で2回の減圧洗浄ステップを繰り返した。暗渠を取り外し、プレートを空の試薬貯蔵部/トレー上に設置した。
【0141】
(F)HRP基質(Super Femto ELISA, Pierce)は、製造業者が記載したように調製し、100μlを個々のウェルに加え、2分半膜を通過させた後、表面下を3回ティッシュペーパーで丁寧にブロッティングした。プローブ‐検体間の相互作用は、化学発光シグナルをもたらす酵素結合HRP活性領域として検出した。イメージの解析には、Image-Pro Plusソフトウェアによって制御したCCD(Photonic Sciences)使用した。
【0142】
(G)分析用イメージを取得し、曝露時間を2〜10秒の範囲としたこと以外は実施例1の通りに分析し、局在化させ、負の対照スポット(スポッティング緩衝液)のシグナルを使用し、ウェル内では特徴スポットから背景を差し引いた。
【0143】
(H)次いで、チログロブリン特徴の較正曲線を先のように構築したが、曝露時間は5秒を使用した。強度レベルは、直径〜3ピクセルの試料採取領域内の二組のチログロブリン特徴の平均密度値を表す。
【0144】
(I)すべての事例で、参照血清の活性は、患者血清を地域の診断クリニックで予め検査した通りに確認された。患者血清の相対的プローブシグナルは、血清の滴定及び/又はCCDの曝露時間を変化させて得られるシグナルによって推測できるであろう。
【0145】
(J)患者血清の定量的抗チログロブリンレベルは、従来のELISA(図示せず)を使用した結果と同様の結果を示した。
【0146】
上記明細書中に記載した刊行物全てを参照により本明細書に組み込む。記載した本発明の方法及び系の様々な変更形態及び変形形態は、本発明の範囲と趣旨から逸脱することなく当業者には明らかとなるであろう。特定の好ましい実施形態に関連して本発明を記載してきたが、主張する本発明は、そのような特定の実施形態に極度に限定されないことは理解されるものとする。実際、分子生物学又は関連分野の技術者には明らかである、本発明を実施するために記載した方式の様々な変更形態は、添付の請求項の範囲内にあるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明によるろ過式マルチウェルマイクロアレイ集合体を示す図である。図中、(A)は3D図及び(B)は断面図である。
【図2】本発明のろ過式マルチウェルマイクロアレイアッセイの実施形態を示す模式図である。
【図3】(A)化学発光によって検出したウェル下領域、及び(B)電荷結合素子(CCD)によって検出した5×5の20nlのアレイを示す図である。
【図4】図5及び6に示したグラフの検量線の構築に使用したウェルアレイの代表的なイメージである。
【図5】実施例1にしたがって得られた較正曲線を示すグラフである。
【図6】実施例1にしたがって得られた較正曲線を示すグラフである。
【図7】本発明及び実施例2によるろ過式マイクロアレイアッセイの結果を示す図である。
【図8】実施例2にしたがって得られた較正曲線を示すグラフである。
【図9】実施例2にしたがって得られた較正曲線を示すグラフである。
【図10】実施例2にしたがって得られた較正曲線を示すグラフである。
【図11】実施例2にしたがって得られた較正曲線を示すグラフである。
【図12】本発明及び実施例3によるろ過式マイクロアレイアッセイの結果を示す図である。
【図13】本発明及び実施例4によるろ過式マイクロアレイアッセイの結果を示す図である。
【図14】実施例4にしたがって得られた較正曲線を示すグラフである。
【図15】実施例4にしたがって得られた較正曲線を示すグラフである。
【図16】比色ナノドットアッセイでのプローブの感受性を表すグラフである。
【符号の説明】
【0148】
(1)ウェルプレート、(2)カバー、(3)暗渠、(4)フィルタ、(5)アレイ、(6)容器1、(7)容器2、(8)多孔質膜、(9)検体結合スポット、(10)検体溶液、(11)試料を引き抜くための手段、(12)検体
【図1A】
【図1B】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中に1種又は複数の検体が存在することを検出し、及び/又は定量するためのアッセイで使用する装置、及びそのようなアッセイの実施方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試料中に検体が存在することを検出し、及び/又は定量する際に使用する多数の装置及び方法が開発されている。そのような検査は、たとえば、試料の正確な組成を明白にし(定性アッセイ)、又はその試料中のいかなる所与の検体の正確な量もしくは濃度を定量する(定量アッセイ)ためにも使用することができる。そのような検査の実用的適用例には、環境モニタリング、医療研究、及び分析が含まれる。
【0003】
医療研究及び分析の分野で一般的な方法には、ポリペプチド及びポリヌクレオチドアッセイが含まれる。
【0004】
ポリペプチドアッセイの例には、イムノアッセイ、ELISA、及びウェスタンブロッティングが含まれ、それらのすべてが抗体/抗原間の相互作用の原理に基づく。たとえば、イムノアッセイは、通常、マルチウェルプレートで実施する。しかし、そのような装置を使用することは、各ウェルで単一の検体しか検査できないことを意味する。多数の化合物を同時に検査するアッセイは開発されてきた。しかし、現在まで、それらはほとんどポリヌクレオチドアッセイに限られている。
【0005】
相補的核酸配列相互間でのハイブリッド形成に基づくポリヌクレオチドアッセイには、ノーザン及びサザンブロット、PCR、ならびにより最近ではマイクロアレイが含まれる。マイクロアレイによって数千までの化合物の同時検査が可能になるが、マイクロアレイには、単一試料に対して一般に全検体を検査する必要があるという欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、現在のポリペプチド及びポリヌクレオチドアッセイは、一度に実施できる個々の結合アッセイの実際の数の点で制限されている。さらに、現在の方法では、少量の検査物質を検出することができないことが多い。これについて最も認知されている説明は、背景染色の問題であり、それによって不適切な検体は非特異的に結合し、微粒子物質は検体特異的結合を妨げ、アッセイ完了後には検査表面上に残存することが多く、それによって特異的シグナル伝達、ならびにいかなる読み取りの透明性及び信頼性も干渉される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、そのようなアッセイを実施するための改良方法を開発する必要がある。本発明は、前記問題の少なくともいくつかを克服し、正確で再現性があり、厳正、敏感、かつ特異的なアッセイ方法及びそれに使用する装置を得ることを模索する。
【0008】
(本発明の記載)
本発明は、試料中に1種又は複数の検体が存在すること(又は存在しないこと)を確実に効率よく検出し、及び/又は定量するためのアッセイ方法及び装置に関する。
【0009】
本発明の第1の態様では、
(a)流体流入口と、流体排出口とを有する少なくとも1個の第1の容器と、
(b)流体排出口に位置する膜などの多孔質膜と、
(c)少なくとも1種の検体特異的結合剤と
を備えた検体用アッセイで使用するための装置であって、前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、流体流入口に対して前記多孔質膜の下面上のスポット中に固定されていることを特徴とする装置が提供される。
【0010】
多孔質膜は、当該検体に対して多孔質とすべきである。
【0011】
容器の基部に位置する膜の下面に検体特異的結合剤を固定することによって、そうでない場合は、得られた結果の信頼性及び/又は特異性に干渉する恐れがある背景染色を低減することができる。さらに、容器の外側に反応区域を移動することによって、イメージの生成及び分析が容易になり、特に、検出手段及び/又はイメージング手段を(通常、それらは別々に設けなければならないが)緻密な装置の一部として含めることが可能になる。多孔質膜によって、多孔質膜上面に非特異的に結合している検体を部分的に除去し、試料から微粒子物質を除去し、その後いかなる検体特異的結合剤と試料を接触させることもできるようになるが、さもないとこの結合剤が非特異的結合を低減しかねない。同様に、結合剤/検体間の相互作用の検出に使用する、後の試薬もろ過することができる。多孔質膜以外のろ過手段の提供が除外されることはない。
【0012】
検体特異的結合剤と接触させる前に試料をろ過するための、上面又は領域を多孔質膜が有するとみなし得ることは先の段落から理解されよう。この上面又は領域は、検体特異的結合剤の真上にあるとみなすことができる。典型的には、この上面又は領域は検体特異的結合剤を含まない。
【0013】
複数の検体特異的結合剤が、(たとえば、マイクロアレイという形で)膜に結合することが、本発明の好ましい実施形態である。容器の外側上に検体特異的結合剤を設置することによって、反応区域はアレイ形成過程において利用しやすいものとなり、それによってより多くの数の検体特異的結合剤を各膜に固定できるようになる。なぜなら、たとえば、容器壁は、検体特異的結合剤を沈着させるために使用する、ピン又はジェット器具を部分的に妨害し得るからである。
【0014】
マイクロアレイが、今までポリヌクレオチド検体特異的結合剤にほとんど限定されてきたのに対して、本発明によってポリヌクレオチド及びポリペプチド検体特異的結合剤が使用できる(すなわち、マイクロアレイと、イムノアッセイなどの一般的なリガンド結合アッセイを組み合わせる)ようになることにも留意すべきである。
【0015】
一実施形態では、本発明の装置は複数の容器を備え、その各々が検体特異的結合剤のアレイを含むのが好ましい。これによって、従来推定される時間よりもかなり短い時間で、より多くの数の化合物を検査することが可能になる。特に、本発明は、同時に多数の、好ましくは完全自動過程でマイクロアレイアッセイ(すなわち、ウェル1枚がマルチウェルプレート1枚)を実施する方法を提供する。
【0016】
本発明の装置が、マルチウェルプレート(たとえば、96ウェル、384ウェル、又は1536ウェルプレート)という形で複数の第1の容器を備えることが好ましい。一実施形態によれば、複数の検体特異的結合剤が、ウェル又は各ウェルの多孔質膜上に、好ましくはアレイ(マイクロアレイなど)という形で固定されている。結合剤のアレイには、少なくとも1種の対照の検体特異的結合剤を含めてよい。
【0017】
本発明による検体特異的結合剤には、ポリヌクレオチドプローブ(ESTなど)、ポリペプチドプローブ(抗体もしくはその断片、細胞表面受容体、酵素など)、又は標的検体と結合する能力を有する他のいかなる化学物質型を含めてもよい。これらは、多孔質膜に直接的に又は間接的に固定してよい。
【0018】
さらに本発明の装置の成分は以下を含み得る。
【0019】
1.前記第2の容器が前記第1の容器の流体排出口から液体を回収することができるように、第2の容器中に第1の容器又は各第1の容器を少なくとも部分的に位置させることによってその多孔質膜を浸漬し得る、1個又は複数の第2の容器。
【0020】
2.流体流入口から流体排出口へ膜細孔径が徐々に減少するように、前記少なくとも1個の第1の容器内に位置させた、追加の1枚又は複数の多孔質膜。
【0021】
3.少なくとも1個の第1の容器から流体排出口を通して液体を引き抜くための手段。一実施形態によれば、前記手段は真空ポンプを含んでよい。他の実施形態によれば、この手段は、吸着剤、容積移送、又は遠心分離式ろ過器を含んでよい。
【0022】
4.結合剤と検体の結合を検出するための手段。一実施形態によれば、前記検出手段は、蛍光定量、化学発光、放射化学、及び比色手段から選択される。検出手段は、多孔質膜から発せられた光を検出し、及び/又は定量することができる測光器具(ルミノメータなど)を含むことが好ましい。検出手段は、カメラやスキャナなどのイメージング手段を含み得ることがよりさらに好ましい。他の検出手段に加えて又は別法としてイメージング手段を含めることができる。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、マルチウェルプレート(96ウェル、384ウェル、又は1536ウェルプレート)という形で複数の第1の容器を備えた、アッセイで使用するための装置であって、各容器が、固定した検体特異的結合剤のアレイ(好ましくはマイクロアレイ)を含むことを特徴とする装置を提供する。上のように、結合剤のアレイには、少なくとも1個の対照プローブを含めてよい。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、検体特異的結合剤は、前記第1の容器の表面上に直接的に又は間接的に固定してよい。前記表面は、その容器の流体排出口として役立つ多孔質膜であることが好ましい。検体特異的結合剤は前記多孔質膜の下面上に固定することがさらにいっそう好ましい。
【0025】
本発明の第2の態様による装置のそれ以上の成分は、上掲(1)〜(4)のどれかを必要に応じて適合させて含んでもよい。
【0026】
本発明の第3の態様によれば、以下のステップを含む検体の検出方法が提供される:
(a)本発明による(上記の)装置を提供するステップ、
(b)容器、又は容器の少なくとも1個に検査しようとする試料を充填するステップ、及び
(c)検体特異的結合剤と検体の結合を検出するステップ。
【0027】
一実施形態によれば、前記方法は、(b)と(c)の間にさらに、たとえば真空ポンプを使用して、容器から流体排出口を通して能動的に液体を引き抜くステップを含んでよい。
【0028】
試料は、たとえば、生体試料や環境試料でよく、酵素、蛍光標識、放射標識など、検出可能標識を含み得ることが好ましい。
【0029】
ステップ(c)で1種又は複数の検体特異的結合剤と検体の結合を検出するステップは、蛍光定量手段、化学発光手段、放射化学手段、比色手段などのどれか1つを使用し実現してもよく、もちろん、使用した標識の性質次第である。発光を検出し、及び/又は定量することができる測光器具(ルミノメータなど)を使用し結合を検出することが好ましい。
【0030】
好ましい実施形態では、上記方法のステップ(c)には、その後、又はその代わりに、結合剤を固定した各領域からの発光を別個に検出し、及び/又は定量するためのイメージングステップが続く(本明細書では前記領域を「スポット」と呼ぶ)。
【0031】
別の実施形態では、本方法にしたがって使用する装置が1個を超える容器を備える場合、各容器には異なる試料を充填する。
【0032】
本発明の別の態様では、その一面に少なくとも1種の検体特異的結合剤を固定した多孔質膜が提供される。使用中、本明細書で定義した装置の流体流入口に対してこの面は下面となる。
【0033】
本発明の別の態様では、検体を検出する方法で使用するキットが提供され、キットには、その一面に少なくとも1種の検体特異的結合剤を固定した多孔質膜、及び少なくとも1種の検体特異的結合剤と検体の結合を検出するための少なくとも1種の試薬が含まれる。
【0034】
(図面の詳細な説明)
さらに詳細には、
これらの図1A、1B、及び図2では、(1)は96ウェルプレートなどのウェルプレートを表し、(2)はカバー、(3)は暗渠、(4)はフィルタであり、(5)はフィルタ下であるアレイを示し、(6)は容器1、(7)は容器2、(8)は多孔質膜であり、(9)は膜下面上にある検体結合スポットであり、各スポットは所与のプローブを含み、(10)は検体溶液、(11)は減圧、陽圧、遠心力など、膜を通して試料を引き抜くための手段、(12)は検体である。
【0035】
図4では、左から右へ、上から下へ、プローブスポットとして、100、1000、3000、50、750、1500、300、1260、7500IUの抗チログロブリン溶液と共にチログロブリンをインキュベートした。CCD‐FDI曝露時間6秒(FDI=高速デジタルイメージャー)。
【0036】
図5及び図6:基準抗チログロブリン溶液と捕獲プローブとして固定したチログロブリンをインキュベーションすることによって得られた較正曲線を示すグラフである。アレイシグナルは、曝露6秒後のアレイシグナルの平均密度である。
【0037】
図7‐比色試薬を使用するアレイ分析。図7の下半分によって血清背景の大部分が上面にろ過除去されていることが分かる。横列2及び4の右側4個のウェルは患者血清である。横列2及び4は4‐Cl‐N/DABによって、下方の2列3及び4は金属により強化したDABによって染色されている。
【0038】
ウェル区域内、スポット列は上から下へ12.5μg、25μg、100μg、50μg/mLのTg及び緩衝液をプローブとして含む。
【0039】
横列1及び3のウェルは、基準化抗チログロブリン溶液と共にインキュベートされている。左から右へ、各ウェルは1000、750、500、300、200、100、50、及び0IUの抗チログロブリンと共にインキュベートされている。
【0040】
横列2及び4は、基準化抗チログロブリン溶液又は患者血清と共にインキュベートされている。左から右へ、1260、3000、5000、7500IUの基準化抗チログロブリン、1/800、1/1600、及び1/3200に希釈した陽性患者血清A(10,000IU超)、7.5倍に希釈した陽性患者血清B(〜2560IU)。
【0041】
ウェルが下のイメージに対応するように、上のイメージは反転されていることに留意されたい。図8及び図9に検量線を示す。
【0042】
図8及び図9:HRP基質として4Cl‐N/DABを使用し生成した抗チログロブリン較正曲線である。
【0043】
図10及び図11:HRP基質としてMeDABを使用し生成した抗チログロブリン較正曲線を示すグラフである。(図11の相関係数は0.88である)。
【0044】
図12:代表的な1/1000希釈の陽性血清。縦列2及び5の一貫した明るいスポットは基準の陽性対照である。下左:抗RNP/Sm陽性血清‐RNP/Sm(縦列1)と比較してSm縦列わずかに(縦列2)+ve、右下:抗Scl 70陽性血清、中左:抗Sm陽性血清、中右:抗Jo1、上左:抗Ro(SS‐A)血清、上右:5種全ての抗血清を混合(実施例3と比較)。
【0045】
図13:血清又は基準溶液と共にインキュベートしたアレイのウェルの代表的なイメージ。上横列:左から右へ、1/800に希釈したNational Health Service(NHS)の抗sm血清、1/800に希釈した抗scl 70血清(NHS)、1/800に希釈した抗Jo1(NHS)、及び1/400に希釈した橋本病患者血清。中横列:1/400に希釈した抗La(SS‐B)血清(NHS)、1/800に希釈した抗Sm‐RNP血清(NHS)、インキュベーション緩衝液(PBST)、及び抗Ro活性を示す患者血清。下横列:抗Sm活性と抗RNP活性を示す、又は抗Sm活性は示すが抗RNP活性を示さない1/400に希釈した患者血清(RNPは、Smと複合体化したプローブとしてのみ存在)、750IUの抗チログロブリン基準、抗Ro(SS‐A)活性とLa(SS‐B)活性を示す1/400に希釈した患者血清、ならびに抗sm活性と抗RNP活性を示す、又は抗sm活性は示すが抗RNP活性を示さない患者血清(SmプローブシグナルはSm‐RNPプローブ複合体シグナル未満であることに留意されたい)。
【0046】
図14及び図15:捕獲プローブとして固定したチログロブリンと共に基準抗チログロブリン溶液をインキュベーションすることによって生成され、リウマチ自己抗原定性アレイと一緒に実施した較正曲線を示すグラフである。アレイシグナルは、CCD曝露時間5秒を利用した平均密度である。
【0047】
図16:比色ナノドットアッセイのプローブの感受性。アッセイは、1000IUの抗Tg基準、及び第2カクテルとして1/1250の抗ヒトIgG+1/250のStrep‐HRPで実施した。検出器はフラットベッドスキャナ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
次に、限定しない例により、かつ添付図面に関して、本発明の様々な好ましい特徴及び実施形態を説明する。
【0049】
本発明は、別段の指示が無い限り、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA、及び免疫学の従来技術を使用し、これらの技術は当技術分野の通常の技術者の能力内にあるものとする。そのような技術は文献に説明されている。たとえば、(J. Sambrook, E. F. Fritsch, and T. Maniatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版、書籍1〜3, Cold Spring Harbor Laboratory Press)、(Ausubel, F. M.ら、(1995, 及び定期補足; Current Protocols in Molecular Biology, 第9章、13章、及び16章, John Wiley & Sons, New York, N.Y.))、(B. Roe, J. Crabtree, and A. Kahn, 1996, DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques, John Wiley & Sons)、(J. M. Polak and James O'D. McGee, 1990, In Situ Hybridization: Principles and Practice; Oxford University Press)、(M. J. Gait (編), 1984, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, Irl Press)、及び(D. M. J. Lilley and J. E. Dahlberg, 1992, Methods of Enzymology: DNA Structure Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology, Academic Press)を参照されたい。これらの一般的書籍のそれぞれを本明細書に参照により組み込む。
【0050】
本発明は、試料中に1種又は複数の検体が存在することを検出し、及び/又は定量するためのアッセイで使用する装置、及びそのようなアッセイを実施する方法に関する。
【0051】
アッセイ及び装置
その最も単純な形では、本発明の装置は容器からなり、その容器の基部は多孔質膜からなり、その膜の下面上には標的検体に結合するその能力によって選択したプローブが繋ぎ止められて(又は「固定されて」)いる。使用中、試料を流体形で容器に加え、結合反応速度を最適化するために、膜上又は膜下から陽圧又は陰圧をかけて、又はかけないでろ過し又は膜を通過させる。次に、これにより、溶液中に存在するいかなる検体も、プローブに結合(又はプローブによって結合)することが可能になる。次いで、標準的方法(たとえば蛍光標識化)を使用し結合を検出し、及び/又は測定することができる。
【0052】
本発明にしたがって、かつ本発明の方法で有用な装置の実施形態を図1A及び1B及び図2に示す。
【0053】
本発明の一実施形態では、図2に例示するように、スポットのアレイとしてプローブを第1の容器の膜下面に含めてよい。検体溶液は、プローブと相互に作用させるために膜及びどんな第2の容器も通過し、あるいは第2の容器に保持してよい。この場合、検体溶液の一部が膜上にも膜内にも残ることになる。細胞物質は、膜によって膜上面にろ過されるが、プローブ‐検体間の相互作用は表面下部に多く見られる。したがって、細胞物質及び/又は微粒子物質は表面下部から取り残され、それによってイメージング手段により検出を実施した場合背景が減少する。
【0054】
さらに詳細には、本発明の実施形態では、マイクロアレイは、たとえば、5×5の1〜50nl又は5×5の12〜20nlを含み、(プローブ及び対照の混合物でよい)スポットは図1A及び1Bに示すものなど、フィルタプレートの下面上にプリントしてよい。
【0055】
非スポット表面を乾燥しブロックした後、試料溶液をアレイに送るための流体トラップを備えた可動性暗渠によってフィルタ下領域を再封入してよい。
【0056】
(従来のELISA型アッセイと同様に)試料は上からウェル内に加える。試料は、たとえば、重力、容積移送、又は部分的減圧によって膜を通過させる。連続的又は段階的ろ過過程を必要とするかどうかによって選択する手法は決まるであろう。プローブ/検体間の相互作用は、試料がプローブスポットを通り過ぎて引き抜かれる際に、又は流体トラップ中でインキュベートされる際に生じる。
【0057】
続いて、膜を(好ましくは一回を超えて)洗浄し、標識剤(たとえば標識抗体)と共に同時インキュベートしてよい。再度、上から試薬をウェルに加え、多孔質膜にフィルタの役割をさせてよい。次いで、洗浄過程を繰り返していかなる未結合標識も除去し得る。
【0058】
最後に、当技術分野で知られている検出方法(たとえば、比色及び/又は化学発光試薬など、マイクロアレイに使用される検出方法及びイメージング技術)によって相互作用示すスポットの検出を行う。この方式で得られたイメージを図3に例として示す。
【0059】
本発明の好ましい実施形態によれば、装置はマルチウェルプレートを形成する複数の容器(本明細書では「ウェル」ともいう)を備える。マルチウェルプレートは、96ウェル(又はマイクロウェル)プレート、384ウェルプレート、又は1536ウェルプレートでよく、多数の試料を同時に(たとえば高処理量スクリーンにより)分析できるようにする。既存のロボット工学及び自動システムで使用することができるように、プレートは標準的なサイズ及び大きさのものである。プレートは、ポリプロピレン樹脂などのプラスチック材から形成されていることが好ましい。
【0060】
さらに詳細には、本発明の96ウェルプレートの容器容量は、約0.4〜0.5mlであることが好ましい。384ウェルプレートの容器容量は、基準96ウェルフットプリントを有して約10〜100μlであることが好ましい。384ウェルプレートは、大容量DNAライブラリ操作及び高処理スクリーニング法に特に適している。1536ウェルプレートの容器容量は、約1〜15μlであることが好ましく、同様に基準96ウェルフットプリントを有する。1536ウェルプレートは自動化及び超高処理スクリーニング法に特に適している。
【0061】
本発明の装置は、それだけには限らないが、ポリメチルメタクリラート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びその誘導体を含む本質的にプラスチック材から形成される。材料は、化学薬品、溶媒、及びアルコールに対する耐性によって選択される。プレートは、比色読取りで使用する場合には透明であり、冷光及び/又は蛍光読取りには、色付き、たとえば、白色又は黒色であってよい。
【0062】
上記したように、各容器の基部は多孔質膜を備える。光学の質及びイメージング領域を最高にするために基部は平底が好ましい。
【0063】
各容器は、流体流入口と、流体排出口とを有する。流体排出口は、多孔質膜を備え、その膜の下面上には少なくとも1種の検体特異的結合剤が繋ぎ止められている(したがって、多孔質膜のこの表面は「反応区域」ともいう)。膜は、試料の液体部分及び標的検体には透過性あるが、他の(通常大きな)試料成分には不透過性であり、したがって捕捉能力を有する。膜は、織布もしくは不織布、紙、セルロース、ガラス繊維、ポリエステル(又は他のポリマー)、あるいはそれらの混合物及び派生物から形成されていてよい。膜は、混合セルロースエステル又はナイロン組成物から形成されていることが好ましい。細孔径は、0.01〜1μmの範囲であり、0.1〜0.5μmの範囲が好ましく、0.4〜0.5μmの範囲がさらにいっそう好ましい。細孔径は約0.45μmが理想的である。膜は、疎水性表面を作成するために、たとえば、ポリ‐L‐リジンによって被覆してよく、それによって安定性は改善されスポットの伝播性は最小になる。
【0064】
一実施形態では、さらに1枚又は複数の多孔質膜を各容器内に設置することができる。流体流入口から流体排出口へ細孔径が徐々に減少するように膜を位置させるのが好ましい。それ以上の膜の細孔径は、ろ過する試料に応じて変化する。細孔径は、0.01〜10μmの範囲が好ましく、0.1〜5μmの範囲がさらにいっそう好ましく、0.1〜1.0μmの範囲最も好ましい。
【0065】
(最終の反応区域の膜を含む)1枚又は複数の膜は「バインダー」を含んでもよい。バインダーは、望ましくない細胞成分又は不純物を結合し、それによって試料から望ましくない化合物をろ過するこれらの膜の能力を改善できる、抗体、リガンド、又は他の相補的分子であってよい。バインダーが最終の膜に含まれる場合、バインダーは前記膜の上側(すなわち反応区域の反対表面)に位置するのが好ましい。
【0066】
さらに、本発明の装置は、装置の1個又は複数のウェルに対応する1個又は複数の容器から形成された「暗渠」又は「回収トレー」を備えてよく、その結果、使用中、各ウェルは対応する容器中に少なくとも部分的に位置する。この実施形態にしたがって、流体排出口を通過する試料は容器に回収され、膜及びその上に固定されたいかなる結合剤も試料中に液浸されることになる。これによって、次に、検体と検体特異的結合剤間の相互作用が増加し、したがってアッセイの感受性が改善される。
【0067】
装置は、容器から流体排出口を通して液体を引き抜くための手段を含んでいてもよい。前記手段は、真空ポンプ、空気圧ポンプ、吸着層、又は当技術分野で知られている他のどんな標準的手段からなってよい。容器から液体を引き抜くために容積移送を使用することもできる。そのような手段を使用し試料の流量を調節して、検体とその結合パートナーとの間の最適な反応を実現することができる。
【0068】
検体及び検体結合剤
本明細書で使用する用語「検体」は、検出し又は測定すべき試料中の化合物又は組成物をさす。「試料」は、標的検体の存在を確かめるために、検査しようとするどんな所望の物質をもさし通常生物起源である。試料には、それだけには限らないが、以下を含めてよい:血液もしくは血清、唾液、痰、涙、汗、又は他の分泌液;尿もしくは糞便物質;脳脊髄液、間質液、細胞抽出物などの生物由来液体;水や土などの環境起源試料;食肉産物、果物、野菜などの食物試料;検査薬物など。
【0069】
当業者によって理解されるように、標的検体は、化学的、物理的、酵素的、又は光学的分析で検出し、及び/又は測定することが望まれる、どんな特異的物質又は構成成分であってもよい。本発明による検体は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、又は他のいかなる化学物質もしくは化学物質複合体であってよい。
【0070】
さらに詳細には、本発明の器具又は方法を使用して検出/定量することができる検体には、それだけには限らないが以下のものが含まれる:抗原(たとえば、連鎖球菌、肝炎、HIVを含む、細菌、ウイルス、原生動物に特異的な抗原など)、抗体(特に感染、アレルギー反応、又はワクチン接種に呼応して誘発されるもの)、ホルモン(妊娠マーカーとして使用されるヒト絨毛性ゴナドトロピン−hCG、エストロゲン、女性ホルモン、テストステロン、コルチコステロイドなど)、蛋白質(疾病マーカーとして使用される循環血漿蛋白質など)、核酸(疾病マーカーとして使用される循環血漿核酸を含む)、及び他の生理学的物質(たとえば、ヒト増殖因子、ヘモグロビン、コレステロール)、様々な酵素(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、乳酸脱水素酵素、アルカリフォスファターゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼなど)、治療用化合物(ステロイド、抗生物質、精神安定薬、抗痙攣薬など)、薬物(コカイン、ヘロイン、マリファナなど)、混入物及び環境汚染源(殺虫剤、除草剤、芳香族炭化水素など)、ビタミン類、ならびに他の非常に多くの天然又は合成物質。
【0071】
当業者よって理解されるように、本発明のアッセイ器具及び方法によって検出することができる天然及び合成物質の数は広範であり、それだけには限らないが、以下の化合物群が含まれる:ACE阻害薬、嫌酒薬(たとえばジスルフィラム)、抗アレルギー薬、抗狭心症薬、抗関節炎薬、抗感染薬(それだけには限らないが、抗菌薬、抗生物質、抗真菌剤、抗寄生虫薬、抗マラリア薬、及び抗ウイルス剤を含む)、鎮痛薬及び鎮痛混合薬、局所及び全身麻酔薬、食欲抑制薬、抗酸化剤、抗不安薬、摂食障害薬、抗関節炎薬、抗喘息剤、抗血液凝固剤、抗痙攣薬、抗糖尿病剤、抗下痢薬、抗催吐薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン、抗炎症剤、抗高血圧薬、抗偏頭痛薬、抗催嘔気薬、抗新生物薬、抗酸化剤、抗パーキンソン薬、抗そう痒薬、抗発熱薬、抗リウマチ薬、抗痙攣薬、咳止め、アドレナリン作動性受容体アゴニスト及びアンタゴニスト、心血管用調製物(抗不整脈剤、強心薬、心抑制薬、カルシウムチャネル遮断薬、及びβ遮断薬を含む)、コリン作動薬及び抗コリン作動薬、避妊薬、利尿薬、鬱血除去薬、成長刺激薬、生薬調製物、催眠薬、免疫化剤、免疫調節物質、免疫抑制薬、筋弛緩薬;抗不安調製物、抗うつ薬、抗精神病薬、覚醒剤、鎮静薬、及び精神安定薬を含む神経活性剤;咽頭炎薬、交感神経模倣薬、血管拡張薬、血管収縮薬、ビタミン類、キサンチン誘導体、これらの化合物の様々な混合薬など。
【0072】
試料中の標的検体の存在は、検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出することによって評価する。用語「検体特異的結合剤」(本明細書では「結合剤」、「プローブ」、又は「結合パートナー」ともいう)は、検体と相互に作用すべきであり、その結果検体の存在を直接的に又は間接的に決定し、及び/又は測定することができる。したがって、検査下、結合剤は試料の他の成分とは異なり、当該検体に少なくともいくらかの特異性を示すべきである。一実施形態では、「結合剤」は、化学的又は物理的に相互に作用して複合体を形成する結合対の構成要素を説明するために使用される。したがって、「検体特異的結合剤」は、その三次元構造のために標的検体と特異的に相互に作用することができる薬剤をさす。「固定された」結合剤は、本発明のアッセイ器具の多孔質膜の下面に、永久的に又は半永久的に繋ぎ止め、吸着し、包埋し、又は付着された結合剤をさす。結合剤は、標的検体へのその親和性が著しく変化しないように固定する。
【0073】
本発明で使用する結合剤の性質は、検出する検体の性質に依存する。可能な結合対には、それだけには限らないが、以下が含まれる:抗体と抗原、抗体とハプテン、ホルモンと受容体、ウイルスと細胞受容体、ビオチンとアビジン、炭水化物とレクチン、作動体と受容体分子、酵素と補助因子、酵素と基質、酵素と阻害薬、相補的ヌクレオチド配列同士、ビオチンとストレプトアビジン、ビオチンとアビジン、蛋白質とDNA、蛋白質とRNA、DNAとRNA、及び蛋白質と蛋白質。結合剤がヌクレオチド配列である場合、EST(発現配列タグ)であることが好ましい。本発明にしたがって使用する結合剤は、当技術分野で知られている標準的方法を使用し調製し固定する。たとえば、ポリヌクレオチドプローブは、PCR増幅によって調製することができる。
【0074】
結合剤は、本明細書では、一般に、検体/検体特異的結合剤対のうち固定される構成要素として記載されるが、その逆を除外する意図はないことに留意されたい。検体を結合し、プローブを溶液に加えることは実際に可能である(DNA分析の場合には、しばしば好ましい)。次いで、検出及び/又は数量化するために標識するのは検体ではなくプローブである。したがって、たとえば、既知配列の遺伝子Aが存在するかどうかを検査するために、1人又は複数の患者のゲノム断片を基質に固定する。次いで、配列Aに対応する標識したプライマーを溶液に加える。固定した断片のどれかとプライマーが結合することは、その患者のDNA中に遺伝子Aが存在することを示す。
【0075】
本発明の検体特異的アッセイ器具及び方法は、反応区域中の固定した結合パートナーを交換するだけで、それ以上の又は異なる検体の検出に容易に適合させることができる。好ましい実施形態では、ウェルの基部から使用済みの膜を取り外し、新しい膜と交換するだけで器具を適合させることができる。新しい膜は、1種又は複数の結合剤をその上に固定させて事前に調製してよく、あるいは膜をウェルに付着させた後、膜に1種又は複数の結合剤を繋ぎ止めることができる。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、容器又は各容器の多孔質膜にアレイという形で複数の異なる結合剤を固定し、1種を超える検体が同時に検出されるようにする。
【0077】
アレイ及びマイクロアレイ
本発明の結合剤は、多孔質膜の下面に繋ぎ止められているので、多量の背景染色を回避することができる。次に、感受性及び精度が改善され、使用する各ウェルが1種を超える検体化合物について検査できるようになることをこれは意味する。したがって、特に好ましい実施形態では、各ウェルは複数の異なる結合剤を含む。
【0078】
複数の結合剤は、アレイという形で配列することが好ましい。アレイは、規則的なポリヌクレオチド又はポリペプチドプローブの配列である。アレイ中の各プローブは、「スポット」として知られる所定の領域に固定される。スポットは、手作業で又は当技術分野で知られている多くの自動プリント過程のどれか1つを使用し沈着させることができる。ひとたびスポットが沈着したならば、膜を乾燥させ非スポット領域を(たとえばBSA又はPVAによって)ブロックする。
【0079】
アレイのスポット径に応じて、「マクロアレイ」又は「マイクロアレイ」と称する。マクロアレイは、スポット径約300ミクロン以上を含み、標準的なゲル及びブロットスキャナを使用し容易に画像化することができる。典型的には、マイクロアレイのスポット径は直径300ミクロン未満である。通常、マイクロアレイには数千のスポットが含まれる。
【0080】
本発明で使用する各スポットの領域は、いかなる大きさでも形でもよい。不規則な幾何学的形状に加えて、たとえば、四角形、楕円形、矩形、三角形、円形、又はその部分を使用してよい。
【0081】
一実施形態では、各スポットの表面積は約1cm2〜10−10cm2である。ある実施形態では、各スポットの表面積は約10−1cm2未満、10−2cm2、10−3cm2、10−4cm、10−5cm2、10−6cm2、10−7cm2、10−8cm2、又は10−10cm2である。好ましい実施形態では、これらの領域は約10×10μm〜500×100μmである。ウェルの(内側ではなく)下面に「スポッティング」することにより、大きな反応面が利用可能になることは本発明の利点である。これは、ウェルの内壁がウェル周囲上のスポットの沈着に干渉するからである。したがって、ウェル当たり、より多くの数のスポットを含めることができる。各反応区域は、1個から数十万個のスポットを含んでよい。各反応区域は、1、5、10個以上のスポットのアレイを含むことが好ましい。さらにいっそう好ましい実施形態では、各反応区域は、50、100、500個以上のスポットのアレイを含む。最も好ましい実施形態では、各反応区域は、4×4、5×5、又は6×6のスポットのアレイを含む。
【0082】
各ウェルの多孔質膜上に沈着させたポリヌクレオチド又はポリペプチドプローブのアレイと共に、少なくとも1個の対照プローブをも含めることが好ましく、結果はこのプローブに対して測定することができる。あるいは、装置が複数のウェルを含む場合、1個又は複数のウェルを対照として使用することができる。ウェルに加える試料には、検査しようとする各試料が既知の濃度で含まれる。次いで、対照ウェルの結合レベルを基準として使用し、結果はこの基準に対して測定することができる。
【0083】
本発明の代替の態様によれば、各ウェルがプローブのアレイを含む(先に定義した)マルチウェルプレートが提供される。プローブは、ポリヌクレオチド又はポリペプチドプローブでよく、ウェルの内側又は外側に繋ぎ止めてよい。ウェルの内側に繋ぎ止める場合、プローブはその基部に位置することが好ましい。基部はウェルの残りの部分と共に一体型に形成してよく、又はろ過型アッセイで使用するために多孔質物質から形成してよい。プローブは、(上記)ウェルの基部に位置する多孔質膜の下面上に固定することが好ましい。
【0084】
好ましい実施形態では、反応区域からどんな望ましくない物質(細胞成分など、試料溶液によって導入された微粒子や色付き物質など)も除去し、いかなる非特異的結合をも低減するために、本発明の方法はさらに、検体/プローブ結合ステップの後に、ウェル又は各ウェルに水溶液を加えるステップを含む「洗浄」ステップを含む。いかなる未結合試薬を除去し、再度、いかなる非特異的結合を低減するために、標識後にそれ以上の洗浄ステップを含めることが好ましい。各洗浄ステップは、1回又は複数の(好ましくは4〜6回の)洗浄を含んでよい。このステップを導入することによって、本発明のアッセイの感受性及び信頼性はさらに改善される。本発明では、ろ過過程により洗浄は、従来の吸引方法に比べて著しく促進される。
【0085】
固定プローブと標的検体の結合(又は、それとは反対に、固定標的検体とプローブの結合)は、当技術分野で知られているどんな標準的方法を使用しても検出することができる。
【0086】
検出方法
本発明のアッセイ方法は、複数の連続ステップ又は不連続ステップを含む。方法は、以下のように簡単な用語で(ある好ましい実施形態にしたがって)説明することができる:
(a)本発明による装置(たとえば、各ウェルが多孔質膜を備え、その膜の下面上にはプローブのアレイが固定されているマルチウェルプレート)を提供するステップ、
(b)検体/プローブ結合が生じるように、試料を各ウェルに添加し、試料が多孔質膜を通してろ過されるステップ、
(c)任意選択で膜を水溶液で数回洗浄するステップ、
(d)検体/標識結合が生じるように、標識試薬を各ウェルに添加し、この試薬が多孔質膜を通してろ過されるようにするステップ(注記:このステップはステップbと同時に実施してよい)、
(e)任意選択で膜を水溶液で数回洗浄するステップ、
(f)検体/プローブ間の相互作用を検出し、及び/又はイメージングするステップ。
【0087】
典型的な検出アッセイは、標的検体の結合を検出/定量するために、「競合」アッセイ又は「サンドイッチ」アッセイを使用する。競合アッセイでは、標的検体は、固定した結合パートナーを求めて標識検体(又は検体の標識類似体)と競合する。試料中の検体の濃度が高いほどアッセイ中のシグナルは減少する。標識検体と固定した結合パートナーとの相互作用が妨害されるからである。したがって、競合アッセイ中に生成されるシグナルは、試料中の検体の濃度が上昇するにつれて減少する。
【0088】
サンドイッチアッセイでは、標的検体は、固定した未標識の第1の結合パートナーと、標識した第2の結合パートナーの間に結合し、すなわち「サンドイッチされる」。さらに様々な染色方法が、この第1の非常に簡単な方法から進化してきた。たとえば、2段階の間接的方法では、標的検体は2個の結合パートナー間に結合し、そのうちの1つは固定されている。次いで、未固定結合パートナーを対象とする標識抗体を適用する。標識抗体が、未固定結合パートナー上のいくつかの異なるエピトープと反応する可能性が高く、それにより検体上の1つを超えるエピトープが検出されるに違いないのでシグナルが増幅され、特異性が高くなる限りにおいて、この方法は直接的方法よりも感度が高い。
【0089】
それ以上の検出形(たとえば、標準的ELISA及びDNAマイクロアレイアッセイから)は、当業者に明らかであろう。それ以上の染色方法は、たとえば(the Handbook of Immunochemical Staining Methods、第3版(Thomas Boenisch, 2001, DAKO Corporation, California、特に26〜31ページ参照)に記載され、(http://www.dakousa.com/ihcbook/hbcontent.htm)を利用することができる。
【0090】
本明細書で使用する用語「標識」は、検出可能なシグナルを生成することができるいかなる物質をもさす。標識化は、標準的方法にしたがって実施する。本発明での使用に適当な標識は、それだけには限らないが、以下のものが含まれる:クロマトゲン(商標)、蛍光、化学発光、もしくは生物発光化合物、放射性同位元素もしくはラジオヌクレオチド、触媒、酵素、酵素基質、補助因子、インヒビターもしくはサブユニット、染料、コロイド状金属粒子及び非金属粒子、有機ポリマーラテックス粒子。特異的標識の例には、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリトリン、ウンベリフェロン、ルミノール、NADPH、α‐β‐ガラクトシダーゼ、西洋わさびペルオキシダーゼなどが含まれる。
【0091】
本発明では使用する標識は、2つの型:目視検査によって検出することができる型(たとえば、コロイド状金属、非金属、染料粒子など、色付き成分を含み又は生成する部分)、及び人工検出系(たとえば、光学系、分光系、及びX線撮影系など)を用いてしか検出できない型に分けることができる。したがって、本発明の別の実施形態によれば、装置は検体特異的結合剤と検体の結合を検出するための手段を含む。
【0092】
使用する検出手段は、使用する標識の性質次第である。たとえば、標識が蛍光標識の場合、検出手段は蛍光計である。多数の様々な蛍光計が当技術分野で利用することができ、そのうちのいずれも本発明での使用に適当であろう。酵素の場合には、蛍光又は色付き生成物が得られ、蛍光計で、分光光度計で、又は目視で定量することができる。
【0093】
検出手段は、蛍光定量、化学発光、放射化学、又は比色手段が好ましい。一実施形態によれば、前記手段は、ルミノメータなど、多孔質膜から発せられた光を検出し、及び/又は定量することができる測光器具である。
【0094】
検出手段はまた、あるいは別法として、多孔質膜上の各結合領域(たとえば、アレイの各スポット)から発せられた光を別個に検出し、及び/又は定量することができるイメージング手段を含む。可能なイメージング手段には、CCD(電荷結合素子)装置及びスキャナが含まれる。装置下面に反応区域を設置することによって、本発明は標識の検出及び読取りを促進し、それによってより緻密な検出及び/又はイメージング手段を使用できるようにする。検出及び/又はイメージング手段は、装置の残りの部分と共に一体化して形成することが好ましい。検出及び/又はイメージング手段は、複数のレンズを備え、結果の自動読取りが実施できるように各レンズはウェルに対応することが好ましい。
【0095】
反応区域を装置の下面に移動させることはまた、容器壁に反射する光によって生じる干渉を回避し、微粒子物質からの背景干渉レベルを減少できることを意味する。さらに、より大きな反応面が利用できるようになり、各アレイにより多数のスポットを含めることが可能になる。次ぎに、多数の検体を検査するのに必要な費用と時間をかなり減少できることをこれは意味する。したがって、本発明の装置及び方法は、特に、大規模遺伝子及びプロテオミクス研究、ならびに超高処理スクリーニング法に適している。
【0096】
適用例及び使用
本発明による方法及び器具は、定量及び定性アッセイで使用することができる。そのような方法の最も一般的な適用例は、免疫診断、疾病診断、及び蛋白質機能研究を目的とした遺伝子発現パターン(たとえば、異なる刺激にさらした同一細胞間の差次的遺伝子発現、又は異なる細胞表現型もしくは発生段階の差次的遺伝子発現)の決定である。
【0097】
そのような適用は、特に、疾病病理、すなわち、何が疾病遺伝子の発現を誘発するのか、他の遺伝子の発現に、かつ全体としてその宿主生物に及ぼすその影響、異なる集団に渡るその発現パターンなどの理解を深めるために使用することができる。次ぎに、これによって疾病の診断及び処置がより容易できるようにする。実際、多くの病態は、遺伝子DNAのコピー数の変化又は特定の遺伝子の転写レベルの変化による、様々な遺伝子の発現レベルの違いによって特徴付けられる。したがって、特定の遺伝子の発現レベルの変化は、様々な疾患の存在及び進行の道標として役立つ。
【0098】
たとえば、発癌遺伝子の発現(又は過剰発現)は、ある種の癌型の発症の指標とすることができ、特異的な遺伝子変異を検出することは、嚢胞性線維症などの診断に役立てることができる。同様に、ウイルス感染は特定のウイルス遺伝子の発現の上昇によって特徴付けられることが多い。たとえば、単純ヘルペスウイルス、エプスタインバーウイルス、サイトメガロウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、パルボウイルス、ヒト乳頭腫ウイルスの激増は全て、それぞれのウイルスゲノムの様々な成分の発現の上昇によって特徴付けられる。したがって、特徴的なウイルス遺伝子の発現レベルの上昇を検出することは病態の診断に有効である。
【0099】
細胞分裂サイクル、(細胞、胚などの)発生、組織分化などで所与のいかなる遺伝子の役割を分析するためにも発現レベルを使用することができる。発現レベルの変化は、mRNA転写レベルの点から、又は蛋白質レベルの点から測定することができる。したがって、本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドアッセイは、発現パターンの研究及び診断検査で使用することができる。ポリペプチドアッセイはまた、蛋白質の相互作用、したがって蛋白質機能の研究に使用することもできる。
【0100】
細胞機序及び発生機序の全体絵を得るには発現パターンでは実際不十分である。発現パターンによってどの遺伝子が特定の過程に関与するかが明らかになるであろうが、いかにしてそれらが関与するかを決定することも重要である。たとえば、多くの蛋白質がシグナル伝達経路に関与する。こうした複雑な経路は、たとえば、細胞表面リガンドと化合物の結合、及び標的遺伝子の下流発現の間を連結する。この点において、(それらがポリペプチド、ポリヌクレオチド、又は他のいかなる化学物質型である場合は)本発明を使用して、いかなる当該蛋白質の可能な結合パートナーも決定することができる。たとえば、本発明のアッセイを使用して、細胞表面蛋白質の細胞外部分と相互に作用する能力を有する化合物全て、どの蛋白質が標的DNA配列と結合することができるかなど、同定することができると思われる。したがって、本発明を使用して、大規模に、細胞機序の仕組みに踏み入って、いかなる当該蛋白質の正確な機能にも絶大な洞察を得ることができる。数百、数千の化合物を同時に検査し、それによって結合パートナーを分析できる速度を実質的に高めることができることは本発明の特別な利点である。
【0101】
研究及び疾病診断の他にも、本発明のアッセイ器具及び方法を使用して、環境試料及び/又は食物試料中の毒素、又は他の望ましい、もしくは望ましくない化学物質を検出し、定量することができる。たとえば、これらを使用して汚染が懸念される河川の化学物質の同定、大規模薬物スクリーニング、新規食品中の所与のビタミンレベルの決定などできるはずである。
【0102】
(実施例)
物質
試薬は以下の原料から得た。
【0103】
PBS:0.01Mのリン酸緩衝液、0.0027Mの塩化カリウム、及び0.137Mの塩化ナトリウム、pH7.4
PBST:0.01Mのリン酸緩衝液、0.0027Mの塩化カリウム、及び0.137Mの塩化ナトリウム、pH7.4、0.05%v/vのTween‐20
ヒトチログロブリンはCalbiochem(San Diego, California, USA)社製であった。
【0104】
基準化抗チログロブリン溶液はCambridge Life Sciences(Cambridgeshire, U.K.)社製であった。
【0105】
可溶性核抗原:蛋白質性La(SS‐B)、リボ核タンパク質‐Smith複合体(RNP/Sm)、トポイソメラーゼ(Scl 70)及び子ウシ胸腺由来蛋白質性Ro(SS‐A)、ヒスチジルsRNAシンテターゼ(Jo1)、及びポリペプチドSmith(Sm)、ウシ胸腺由来物はニュージーランドのAroTec Diagnostics Ltd社製であるが、英国BirminghamのThe Binding Siteから得た。
【0106】
参照のプールしたヒト血清は、予め検査し抗Sm、抗SmとRNP、抗Jo1とScl 70、抗RoとLa、抗Jo1、又は抗Scl 70活性を示すことが国民健康保(NHS、英国)から判明し、抗ヒトチログロブリンは英国CambridgeのCambridge Life Sciencesから入手した。
【0107】
ビオチン化ウシ血清アルブミン(ビオチン‐BSA)は、英国PeterboroughのVector Laboratories U.K.社製品であった。
【0108】
ヒトIgG H&Lに対するビオチン化ヤギポリクローナルは、英国CambridgeのAbcam社製。
【0109】
ストレプトアビジン‐西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)ポリマーはSigma(Poole, U.K.)社製。
【0110】
4‐クロロ‐1‐ナプトール+3,3’‐ジアミノベンザアミジン(4Cl‐N/DAB)及び金属により増強させた3,3’‐ジアミノベンザアミジン(MeDAB)であるSuper Femto ELISAはPierce(Rockford, Illinois, U.S.A.)社製品。
【0111】
孔径0.45μmの混合セルロースエステル膜底96ウェルプレート(Multiscreen)、及び可動性取り外し式暗渠はMillipore(Millipore, U.K. Watford, Millipore, U.K.)社製品であった。
【0112】
生物アッセイ前のアレイの製作
50mMの炭酸水素塩pH9.5、0.005%ブロモフェノールブルー、及び2.5%v/vのグリセロールで抗原を希釈して濃度10〜200μg/mlにし、96ウェルプレートに移した(以下の実施例に正確な濃度を示す)。(製造業者から提供されたAxSysソフトウェアを使用する)実施例に記載する通り、microsolenoid(商標)インクジェットバルブ及びセラミックチップ(12nlプローブスポット用に100μm及び20nlプローブスポット用に190μm)を備えたロボットマイクロアレイ装置BioDot AD3200を使用して、(最初は暗渠を取り外した)混合セルロースエステルマイクロプレートのウェル下表面上に、規則正しい配列で、スポット‐アレイ(Bio-Dot, Cambridge, UK)を接触せずにプリントした。スポットしたアレイを湿室に4℃で終夜保存した。その後、ウェル内側を200μlのPBSで3回で洗浄し、その度「ちらつき」、続いて表面下を100μlで3回洗浄した。暗渠を交換し、0.8% PVAを含む0.1Mのリン酸緩衝液pH7.2を添加することによって膜をブロックし、往復震盪機で1時間振盪(Eppendorf 5436 thermomixer、Eppendorf, U.K.)した後、バキューム(〜200ul/ウェル/30秒)を使用し200μlのPBSTで3回プレートを洗浄した。その後、プレートは、生物アッセイの準備をし、又は別法として4℃で保存するために放置して風乾させた。
【実施例1】
【0113】
化学発光検出を使用する抗チログロブリン濃度の評価(図4〜図6)
(A)10μg/mlのチログロブリン20nlをウェル当たり5×5アレイとしてスポットした。
【0114】
(B)基準化抗チログロブリンのPBST溶液100μlをピペットで取って個々のウェルに入れ、室温で空の試薬貯蔵部/トレー上に60分間静置した。
【0115】
(C)このプレート((Millipore, U.K.)用に設計した真空マニフォールド、及び〜200μl/ウェル/30秒の排気速度を得るための機械的減圧源を使用しウェルを排気することによって洗浄を実施した。添加後、さらに3度、その度に200μlのPBSTでこの過程を繰り返した。
【0116】
(D)ヒトIgG H&Lに対する1/5000ヤギポリクローナル及び1/2000ストレプトアビジン‐HRPポリマーをもたらす混合液100μlをPBSTで新たに調製し、ピペットでウェルに取り、再度、室温で空の試薬貯蔵部/トレー上に60分間静置することによってインキュベーションを実施した。
【0117】
(E)ステップCのように洗浄を繰り返し、続いて200μlの脱イオン水でさらに2ステップを行った。暗渠を取り外し、プレートを空の試薬貯蔵部/トレー上に設置した。
【0118】
(F)製造業者が記載したように調製したHRP基質(Super Femto ELISA, Pierce)100μlをウェルに加え膜を通過させた。150秒後、ティッシュを使用して表面下部をブロットした。プローブ‐検体間の相互作用は、化学発光シグナルをもたらす酵素結合HRP活性領域として検出した。
【0119】
(G)分析イメージは、内側に注文製耐光チャンバを収容する、Photonic Science Ltd(Robertsbridge, U.K.)社製の電荷結合素子ベースのFast Digital Imagerカメラ(以後CCDと称する)使用して取得した。マイクロプレート下にカメラを位置させ、膜平面に焦点を合わせた。イメージの捕捉に6秒間の曝露を使用した。Image-Pro Plusバージョン4.0(Media Cybernetics Inc., MD, USA)データ分析パッケージに組み込まれたドライバによってカメラを制御した。イメージは、12ビットのグレースケールTIFFファイルとして保存した。各曝露中のCCDの熱蓄積は、同じ曝露時間の暗像を差し引くことによって除去した。この過程によってデータの各ピクセルに〜100カウントのバイアスを加えて、低シグナルのピクセルで負の数値が生じるのを防止した。次いで、評価の前に各イメージを平野化して、レンズ口径食及び光学材の鎖の中のいかなる人口産物の作用も除去した。この手順の中で使用した平野化データは、特別に均一に照射したスクリーンの別々の3つの領域のイメージを取得し、この3つのイメージを平均化していかなる小規模の変動も除去することによって得た。代表的なイメージを図4に示す。
【0120】
(H)ArrayPro 4.0ソフトウェア(Media Cybernetics Inc.)を使用して、特徴ピクセル及び背景ピクセルの平均強度を定量した。強度レベルは、直径3ピクセルの試料採取領域内の25個の同一チログロブリンプローブ特徴から得た平均密度値を表す。ウェル内の局所的背景ピクセル強度は、ArrayPro中の「ローカルコーナー」機能を使用しスポットシグナルから差し引いた。較正曲線は、GraFit 5.0ソフトウェア(Erithacus software, Staines, UK)による直線及び非直線回帰分析を使用しデータに適合させ、図5及び図6として示す。
【実施例2】
【0121】
抗チログロブリン濃度の比色アッセイ(図7〜図11)
(A)20nlのチログロブリンをウェル当たり5×5アレイとしてスポットした。5個のスポット縦列は、100、50、25、12.5、及び0μg/mlの濃度を含む(図7に横列として示す)。
【0122】
(B)製作後、50μlの基準化抗チログロブリン溶液、又は患者血清を含むPBSTを個々のウェルに加え、プレートを空の試薬貯蔵部/トレー上に設置し、室温で60分間500rpmの往復機構シェーカー(Eppendorf 5436 thermomixer、Eppendorf, U.K)によって振盪した。
【0123】
(C)プレート用に設計した真空マニフォールド(Multiscreen vacuum manifold, Watford, Millipore, U.K.)、及び排気速度〜150μl/ウェル/30秒を得るための機械的減圧源を使用しウェルを排気することによって洗浄を実施した。添加後、さらに3度、その度に150μlのPBSTでこの過程を繰り返した。
【0124】
(D)ヒトIgG H&Lに対する1/1250ヤギポリクローナル及び1/250ストレプトアビジン‐HRPポリマーをもたらす混合液100μlをPBSTで新たに調製し、ピペットで個々のウェルに取り、再度、プレートを空の試薬貯蔵部/トレーに設置し、室温で60分間500rpmで振盪した。
【0125】
(E)ステップCの通り、PBSTで2度、脱イオン水で2度洗浄を繰り返した。暗渠を取り外し、プレートを空の試薬貯蔵部/トレーに吊るした。
【0126】
(F)製造業者が記載したように調製した、4‐クロロ‐1‐ナプトール+3,3’‐ジアミノベンザアミジン又は金属により強化したDAB(Pierce)であるHRP基質100μlを個々のウェルに加え、〜500rpmで5分〜60分間振盪しながら膜を通過させた。プローブ‐検体間の相互作用は、酵素結合HRP活性によって沈殿した色付き生成物の領域として検出した。
【0127】
(G)ウェル下表面の分析イメージを従来のフラットベッドスキャナ(Agfa SnapScan 1212u及び操作ソフトウェア Scanwise v2.0)を使用して取得し、16ビットのグレースケールTIFFイメージとして保存した。試料及び/又は基質のろ過作用を示すために、膜の上面(ウェル内)もスキャンした(図7)。
【0128】
(H)保存したウェル下イメージをArrayProを使用し光学濃度の点から分析した。イメージの較正は、イメージの3×3ピクセル試料領域を使用し、黒色(スキャナの蓋)及び入射レベル(膜のブランク領域)を定義することによって、このソフトウェア内で実施した。光学濃度値は、所与のウェル膜について5個の(100μg/mlでスポットしたものを使用する)同一チログロブリンプローブの平均特徴を表す。局所的背景については、同じウェル膜上の(プローブ抗原の代わりに)5個の同一緩衝液スポットの平均を差し引くことによってこれらの値を修正した。GraFit 5.0ソフトウェアを使用し較正曲線を再度実施した。これらの曲線を図8〜図11のグラフとして示す。
【実施例3】
【0129】
化学発光検出を使用するリウマチ自己抗原アレイ(図12)
(A)20nlの10μg/mlの抗原又は対照をウェル1個につき以下のアレイ順序でスポットした。
【表1】
その際、‐ve=負の対照、スポッティング緩衝液;+ve=陽性対照1μg/mlビオチン‐BSA。
【0130】
(B)1/1000希釈のプールしたNHS参照血清100μl、患者血清、又は緩衝液を個々のウェルに加えた。プレートを空の試薬貯蔵部/トレーに設置し、室温で60分間振盪(500rpm)しながらインキュベートした。
【0131】
(C)次いで、流量約200μl/ウェル/30秒のMillipore減圧装置を使用し、プレートを200μlのPBST洗浄液で3回洗浄した。
【0132】
(D)2回目のインキュベーションは、新たに調製した1/10,000抗IgG(ビオチン)、1/2000ストレプトアビジン‐HRPを含むPBSTのカクテルで実施した。再度、プレートを空の試薬貯蔵部/トレー上に設置し、室温で60分間500rpmで振盪しながらインキュベートした。
【0133】
(E)次いで、減圧装置を使用しながら洗浄を繰り返したが、200μlのPBSTで2回で行い、続いて200μlのPBSで2回の洗浄ステップを行った。暗渠を取り外し、プレートを空の試薬貯蔵部/トレー上に設置した。
【0134】
(F)HRP基質(Super Femto ELISA, Pierce)は、製造業者が記載したように調製し、100μlを個々のウェルに加え、2分半膜を通過させた後、表面下を3回ティッシュペーパーで丁寧にブロッティングした。イメージの解析には、Image-Pro Plusソフトウェアによって制御したCCD‐FDIカメラ(Photonic Sciences)使用した。プローブ‐検体間の相互作用は、化学発光シグナルをもたらす酵素結合HRP活性領域として検出した。
【実施例4】
【0135】
化学発光検出を使用する定量チログロブリン自己抗原アッセイと組み合わせた定性リウマチ自己抗原アレイ(図13〜図15)
リウマチ用アレイ
Ro及びLaに対する抗体は、しばしば、全身性エリテマトーデス(SLE)患者及びシェーグレン症候群(SS)患者に見出される。母体中の抗Ro抗体はまた、先天性心臓ブロックに高く関連付けられる。抗Sm抗体は、SLE患者の約30%に存在し疾病マーカーとして広く考えられている。試料が、陰性のSm結果を示す場合、抗RNP抗体は混合性結合組織病(MCTD)患者の90%に存在する。抗Jo‐1抗体は、従来、強皮症患者に見出される。
【0136】
チログロブリンアッセイ
自己免疫甲状腺疾患は、チログロブリン(Tg)及び甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)を含む抗甲状腺抗体の検出によって特徴付けられる。これらの甲状腺成分はどちらも、甲状腺ホルモンの生合成で重要な役割を果たす。Tg及びTPOに対する自己抗体の循環が、甲状腺炎、特発性甲状腺機能低下症、グレーブス病、及び亜急性甲状腺炎患者の90%までに存在する。全ての自己免疫状態のうち、グレーブス病及び橋本病の甲状腺炎が、おそらく最も治療しやすいが、ただしそれらが初期に検出される場合である。これには、薬物、放射線治療、又は手術に対する抗体応答をモニタする能力と共に、Tg(及びTPO)に対する抗体を敏感に検出する必要がある。
【0137】
(A)陽性対照として15μg/mlの抗原(30μg/mlのSm)又は2μg/mlのビオチン‐BSA、及び負の対照としてスポッティング緩衝液を使用し、5×5アレイの12nlのスポットを生成した。アレイスキーム。
【表2】
(B)プレートを空の試薬貯蔵部/トレー上に設置し、100μlのプールしたNHS参照血清、抗チログロブリン基準溶液又は患者血清を含むPBSTをピペットで取って個々のウェルに入れ、室温で60分間振盪(500rpm)した。
【0138】
(C)洗浄は、Millipore減圧装置を用いて200μlのPBSTで3回実施した。
【0139】
(D)再度、プレートを空の試薬貯蔵部/トレー上に設置し、1/10,000抗IgG(ビオチン)及び1/2000ストレプトアビジン‐HRPを含むPBSTを含む新たに調製した混合液100μlをピペットで取って個々のウェルに入れ、室温で60分間500rpmで振盪した。
【0140】
(E)200μlのPBSTで2回、200μlの脱イオン水で2回の減圧洗浄ステップを繰り返した。暗渠を取り外し、プレートを空の試薬貯蔵部/トレー上に設置した。
【0141】
(F)HRP基質(Super Femto ELISA, Pierce)は、製造業者が記載したように調製し、100μlを個々のウェルに加え、2分半膜を通過させた後、表面下を3回ティッシュペーパーで丁寧にブロッティングした。プローブ‐検体間の相互作用は、化学発光シグナルをもたらす酵素結合HRP活性領域として検出した。イメージの解析には、Image-Pro Plusソフトウェアによって制御したCCD(Photonic Sciences)使用した。
【0142】
(G)分析用イメージを取得し、曝露時間を2〜10秒の範囲としたこと以外は実施例1の通りに分析し、局在化させ、負の対照スポット(スポッティング緩衝液)のシグナルを使用し、ウェル内では特徴スポットから背景を差し引いた。
【0143】
(H)次いで、チログロブリン特徴の較正曲線を先のように構築したが、曝露時間は5秒を使用した。強度レベルは、直径〜3ピクセルの試料採取領域内の二組のチログロブリン特徴の平均密度値を表す。
【0144】
(I)すべての事例で、参照血清の活性は、患者血清を地域の診断クリニックで予め検査した通りに確認された。患者血清の相対的プローブシグナルは、血清の滴定及び/又はCCDの曝露時間を変化させて得られるシグナルによって推測できるであろう。
【0145】
(J)患者血清の定量的抗チログロブリンレベルは、従来のELISA(図示せず)を使用した結果と同様の結果を示した。
【0146】
上記明細書中に記載した刊行物全てを参照により本明細書に組み込む。記載した本発明の方法及び系の様々な変更形態及び変形形態は、本発明の範囲と趣旨から逸脱することなく当業者には明らかとなるであろう。特定の好ましい実施形態に関連して本発明を記載してきたが、主張する本発明は、そのような特定の実施形態に極度に限定されないことは理解されるものとする。実際、分子生物学又は関連分野の技術者には明らかである、本発明を実施するために記載した方式の様々な変更形態は、添付の請求項の範囲内にあるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明によるろ過式マルチウェルマイクロアレイ集合体を示す図である。図中、(A)は3D図及び(B)は断面図である。
【図2】本発明のろ過式マルチウェルマイクロアレイアッセイの実施形態を示す模式図である。
【図3】(A)化学発光によって検出したウェル下領域、及び(B)電荷結合素子(CCD)によって検出した5×5の20nlのアレイを示す図である。
【図4】図5及び6に示したグラフの検量線の構築に使用したウェルアレイの代表的なイメージである。
【図5】実施例1にしたがって得られた較正曲線を示すグラフである。
【図6】実施例1にしたがって得られた較正曲線を示すグラフである。
【図7】本発明及び実施例2によるろ過式マイクロアレイアッセイの結果を示す図である。
【図8】実施例2にしたがって得られた較正曲線を示すグラフである。
【図9】実施例2にしたがって得られた較正曲線を示すグラフである。
【図10】実施例2にしたがって得られた較正曲線を示すグラフである。
【図11】実施例2にしたがって得られた較正曲線を示すグラフである。
【図12】本発明及び実施例3によるろ過式マイクロアレイアッセイの結果を示す図である。
【図13】本発明及び実施例4によるろ過式マイクロアレイアッセイの結果を示す図である。
【図14】実施例4にしたがって得られた較正曲線を示すグラフである。
【図15】実施例4にしたがって得られた較正曲線を示すグラフである。
【図16】比色ナノドットアッセイでのプローブの感受性を表すグラフである。
【符号の説明】
【0148】
(1)ウェルプレート、(2)カバー、(3)暗渠、(4)フィルタ、(5)アレイ、(6)容器1、(7)容器2、(8)多孔質膜、(9)検体結合スポット、(10)検体溶液、(11)試料を引き抜くための手段、(12)検体
【図1A】
【図1B】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッセイで使用するための装置であって、
(a)流体流入口と、流体排出口とを有する少なくとも1個の第1の容器と、
(b)多孔質膜と、
(c)少なくとも1種の検体特異的結合剤と、
を備え、前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、流体流入口に対して前記多孔質膜の下面に固定されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記多孔質膜が、前記流体排出口に位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
マルチウェルプレートという形で複数の第1の容器を備えた、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
96ウェルプレートという形である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
複数の検体特異的結合剤が、前記多孔質膜上にアレイという形で固定された、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記複数の検体特異的結合剤が、マイクロアレイという形で固定された、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記アレイが、少なくとも1個の対照プローブを含む、請求項5又は請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、ポリヌクレオチドプローブである、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、発現配列タグ(EST)である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、ポリペプチド結合剤である、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、抗体又はその断片である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、前記多孔質膜に直接的に又は間接的に固定された、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
第1の容器又は各第1の容器が、該第1の容器の流体排出口から液体を回収することができる第2の容器中に少なくとも部分的に位置し、その結果その多孔質膜を前記液体中に浸漬し得る、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
さらに、(d)前記流体流入口に近い多孔質膜の細孔径が、前記流体排出口に近い多孔質膜の細孔径よりも大きくなるように、前記少なくとも1個の第1の容器内に位置させた追加の1枚又は複数の多孔質膜を備えた、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
さらに、(e)前記少なくとも1個の第1の容器から前記流体排出口を通して液体を引き抜くための手段を含む、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記引抜き手段が真空ポンプである、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
さらに、(f)前記結合剤と検体の結合を検出するための手段を含む、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記検出手段が、蛍光定量、化学発光、放射化学、物理的、及び比色手段から選択される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記検出手段が、多孔質膜(b)から発せられた光を検出し、及び/又は定量することができる測光器具を含む、請求項17又は18に記載の装置。
【請求項20】
前記測光器具がルミノメータである、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記検出手段がイメージング手段を含む、請求項17から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
マルチウェルプレートという形で複数の第1の容器を備えた、アッセイで使用するための装置であって、各容器が複数の固定した検体特異的結合剤を含むことを特徴とする装置。
【請求項23】
前記複数の検体特異的結合剤がアレイという形で固定された、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記アレイがマイクロアレイである、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記複数の検体特異的結合剤が、少なくとも1個の対照プローブを含む、請求項22から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記検体特異的結合剤が、ポリヌクレオチドプローブである、請求項22から25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記検体特異的結合剤が、発現配列タグ(EST)である、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記検体特異的結合剤が、ポリペプチド結合剤である、請求項22から25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記検体特異的結合剤が、抗体又はその断片である、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記検体特異的結合剤が、前記第1の容器の表面上に直接的に又は間接的に固定された、請求項22から29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記表面が流体排出口である、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記表面が多孔質膜である、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記検体特異的結合剤が、前記多孔質膜の下面上に固定された、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
各第1の容器が、該第1の容器の流体排出口を通過した液体を回収することができる第2の容器中に少なくとも部分的に位置し、その結果その多孔質膜を該液体中に浸漬し得る、請求項32又は33に記載の装置。
【請求項35】
前記流体排出口に向かって膜細孔径が徐々に減少するように、前記第1の容器の少なくとも1個の中に位置させたさらに1枚又は複数の多孔質膜を備えた、請求項32から34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
さらに、第1の容器から前記流体排出口を通して液体を引き抜くための手段を含む、請求項30から35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記引抜き手段が真空ポンプである、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
さらに、前記結合剤と検体の結合を検出するための手段を含む、請求項22から37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
前記検出手段が、蛍光定量、化学発光、放射化学、物理的、及び比色手段から選択される、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記検出手段が、前記複数の第1の容器の少なくとも1個から発せられた光を検出し、及び/又は定量することができる測光器具を含む、請求項38又は39に記載の装置。
【請求項41】
前記測光器具がルミノメータである、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記検出手段がイメージング手段を含む、請求項38から41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項43】
96ウェルプレートという形である、請求項21から42のいずれか一項に記載の装置。
【請求項44】
検体を検出する方法であって、
(a)請求項1から42のいずれか一項に記載の装置を提供するステップ、
(b)第1の容器又は第1の容器の少なくとも1個に検査しようとする試料を充填するステップ、及び
(c)前記検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップ
を含む方法。
【請求項45】
さらに、(b)と(c)の間に、前記1個又は複数の第1の容器から前記流体排出口を通して能動的に液体を引き抜くステップを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記1個又は複数の容器から液体を引き抜くために真空ポンプを使用する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記試料が検出可能標識を含む、請求項44から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記検出可能標識が、酵素、蛍光標識、及び放射標識から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
ステップ(c)には、蛍光定量、化学発光、放射化学、物理的、及び比色手段のどれか1つを使用し、前記1種又は複数の検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップが含まれる、請求項44から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
ステップ(c)には、発光を検出し、及び/又は定量することができる測光器具を使用し、前記1種又は複数の検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップが含まれる、請求項47から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記測光器具がルミノメータである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
さらに又は別法として、ステップ(c)には、イメージング手段を使用し、各スポットからの発光を別個に検出し、及び/又は定量するステップが含まれる、請求項47から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
(a)の装置が1個を超える第1の容器を備える場合は、各容器に異なる試料が充填される、請求項44から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
検体を検出する方法であって、
(a)流体流入口と流体排出口とを有し、多孔質膜を有する少なくとも1個の第1の容器を備えた装置を提供するステップ、
(b)前記多孔質膜の下面上のスポット中に、少なくとも1種の検体特異的結合剤を固定するステップ、
(c)前記少なくとも1個の第1の容器中に検査しようとする試料を充填するステップ、及び
(d)前記検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップ
を含む方法。
【請求項55】
多孔質膜が流体排出口に位置する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記装置が、マルチウェルプレートという形で複数の第1の容器を備えた、請求項54又は55に記載の方法。
【請求項57】
前記装置が、96ウェルプレートという形である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
複数の検体特異的結合剤が、前記多孔質膜上にアレイという形で固定された、請求項54から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記複数の検体特異的結合剤が、マイクロアレイという形で固定された、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記アレイが、少なくとも1個の対照プローブを含む、請求項58又は請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、ポリヌクレオチドプローブである、請求項54から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、発現配列タグ(EST)である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、ポリペプチド結合剤である、請求項54から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、抗体又はその断片である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、前記多孔質膜に直接的に又は間接的に固定された、請求項54から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
さらに、(c)と(d)の間に、前記少なくとも1個の第1の容器から前記流体排出口を通して能動的に液体を引き抜くステップを含む、請求項54から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記少なくとも1個の第1の容器から液体を引き抜くために真空ポンプを使用する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記装置の第1の容器又は各第1の容器が、該第1の容器の流体排出口を通して引き抜いた液体を回収することができる第2の容器中に少なくとも部分的に位置し、その結果その多孔質膜を前記液体中に浸漬し得る、請求項54から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
さらに、(c)と(d)の間に、前記少なくとも1個の第1の容器の中に位置させた追加の1枚又は複数の多孔質膜を通して前記試料をろ過するステップを含む、請求項54から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
流体流入口から流体排出口へ膜細孔径が徐々に減少するように、前記追加の1枚又は複数の多孔質膜が位置する、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記試料が検出可能標識を含む、請求項54から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記検出可能標識が、酵素、蛍光標識、及び放射標識から選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
ステップ(d)には、蛍光定量、化学発光、放射化学、物理的、及び比色手段のどれか1つを使用し、前記検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップが含まれる、請求項54から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
ステップ(d)には、発光を検出することができる測光器具を使用し、前記検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップが含まれる、請求項54から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記測光器具がルミノメータである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
さらに又は別法として、ステップ(d)には、イメージング手段を使用し、各スポットから発せられた光を別個に検出し、及び/又は定量するステップが含まれる、請求項54から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
ステップ(c)で、異なる試料が各第1の容器に充填される、請求項54から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
検体を検出する方法であって、
マルチウェルプレートという形で複数の第1の容器を備えた装置を提供するステップ、
前記第1の容器の少なくとも1個の中に、固定した検体特異的結合剤の複数のスポットを形成するステップ、
前記第1の容器中に検査しようとする試料を充填するステップ、及び
前記検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップ
を含む方法。
【請求項79】
前記装置が96ウェルプレートという形である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記複数の検体特異的結合剤が、アレイという形で固定された、請求項78又は請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記アレイがマイクロアレイである、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記複数の検体特異的結合剤が、少なくとも1個の対照プローブを含む、請求項78から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記検体特異的結合剤が、ポリヌクレオチドプローブである、請求項78から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記検体特異的結合剤が、発現配列タグ(EST)である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記検体特異的結合剤が、ポリペプチド結合剤である、請求項78から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記検体特異的結合剤が、抗体又はその断片である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記検体特異的結合剤が、前記第1の容器の表面上に直接的に又は間接的に固定された、請求項78から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記表面が流体排出口である、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記表面が多孔質膜である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記検体特異的結合剤が、前記多孔質膜の下面上に固定された、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
各第1の容器が、該第1の容器の流体排出口を通過した液体を回収することができる第2の容器中に少なくとも部分的に位置し、その結果その多孔質膜を前記液体中に浸漬し得る、請求項89又は90に記載の方法。
【請求項92】
さらに、(c)と(d)の間に、前記第1の容器の少なくとも1個の中に位置させた追加の1枚又は複数の多孔質膜を通して前記試料をろ過するステップを含む、請求項88から91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記流体排出口に向かって膜細孔径が徐々に減少するように、前記追加の1枚又は複数の多孔質膜が位置する、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
さらに、(c)と(d)の間に、第1の容器から前記流体排出口を通して能動的に液体を引き抜くステップを含む、請求項88から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記容器から液体を引き抜くために真空ポンプを使用する、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記試料が検出可能標識を含む、請求項78から95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記検出可能標識が、酵素、蛍光標識、及び放射標識から選択される、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
ステップ(d)には、蛍光定量、化学発光、放射化学、物理的、及び比色手段のどれか1つを使用し、前記検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップが含まれる、請求項78から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
ステップ(d)には、発光を検出し、及び/又は定量することができる測光器具を使用し、前記検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップが含まれる、請求項78から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記測光器具がルミノメータである、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
ステップ(d)には、さらに又は別法として、イメージング手段を使用し、各スポットから発せられた光を別個に検出し、及び/又は定量するステップが含まれる、請求項78から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
ステップ(c)で、異なる試料が各第1の容器に充填される、請求項78から101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
請求項1から43のいずれか一項に記載の装置で使用するための、又は請求項44から102のいずれか一項に記載の方法で使用するための多孔質膜であって、該多孔質膜のその一面に少なくとも1種の検体特異的結合剤を固定した多孔質膜。
【請求項104】
請求項1から43のいずれか一項に記載の装置で使用するための、又は請求項44から102のいずれか一項に記載の方法で使用するためのキットであって、該キットがその一面に少なくとも1種の検体特異的結合剤を固定した多孔質膜、及び少なくとも1種の検体特異的結合剤と検体の結合を検出するための少なくとも1種の試薬を含むキット。
【請求項1】
アッセイで使用するための装置であって、
(a)流体流入口と、流体排出口とを有する少なくとも1個の第1の容器と、
(b)多孔質膜と、
(c)少なくとも1種の検体特異的結合剤と、
を備え、前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、流体流入口に対して前記多孔質膜の下面に固定されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記多孔質膜が、前記流体排出口に位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
マルチウェルプレートという形で複数の第1の容器を備えた、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
96ウェルプレートという形である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
複数の検体特異的結合剤が、前記多孔質膜上にアレイという形で固定された、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記複数の検体特異的結合剤が、マイクロアレイという形で固定された、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記アレイが、少なくとも1個の対照プローブを含む、請求項5又は請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、ポリヌクレオチドプローブである、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、発現配列タグ(EST)である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、ポリペプチド結合剤である、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、抗体又はその断片である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、前記多孔質膜に直接的に又は間接的に固定された、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
第1の容器又は各第1の容器が、該第1の容器の流体排出口から液体を回収することができる第2の容器中に少なくとも部分的に位置し、その結果その多孔質膜を前記液体中に浸漬し得る、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
さらに、(d)前記流体流入口に近い多孔質膜の細孔径が、前記流体排出口に近い多孔質膜の細孔径よりも大きくなるように、前記少なくとも1個の第1の容器内に位置させた追加の1枚又は複数の多孔質膜を備えた、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
さらに、(e)前記少なくとも1個の第1の容器から前記流体排出口を通して液体を引き抜くための手段を含む、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記引抜き手段が真空ポンプである、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
さらに、(f)前記結合剤と検体の結合を検出するための手段を含む、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記検出手段が、蛍光定量、化学発光、放射化学、物理的、及び比色手段から選択される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記検出手段が、多孔質膜(b)から発せられた光を検出し、及び/又は定量することができる測光器具を含む、請求項17又は18に記載の装置。
【請求項20】
前記測光器具がルミノメータである、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記検出手段がイメージング手段を含む、請求項17から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
マルチウェルプレートという形で複数の第1の容器を備えた、アッセイで使用するための装置であって、各容器が複数の固定した検体特異的結合剤を含むことを特徴とする装置。
【請求項23】
前記複数の検体特異的結合剤がアレイという形で固定された、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記アレイがマイクロアレイである、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記複数の検体特異的結合剤が、少なくとも1個の対照プローブを含む、請求項22から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記検体特異的結合剤が、ポリヌクレオチドプローブである、請求項22から25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記検体特異的結合剤が、発現配列タグ(EST)である、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記検体特異的結合剤が、ポリペプチド結合剤である、請求項22から25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記検体特異的結合剤が、抗体又はその断片である、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記検体特異的結合剤が、前記第1の容器の表面上に直接的に又は間接的に固定された、請求項22から29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記表面が流体排出口である、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記表面が多孔質膜である、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記検体特異的結合剤が、前記多孔質膜の下面上に固定された、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
各第1の容器が、該第1の容器の流体排出口を通過した液体を回収することができる第2の容器中に少なくとも部分的に位置し、その結果その多孔質膜を該液体中に浸漬し得る、請求項32又は33に記載の装置。
【請求項35】
前記流体排出口に向かって膜細孔径が徐々に減少するように、前記第1の容器の少なくとも1個の中に位置させたさらに1枚又は複数の多孔質膜を備えた、請求項32から34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
さらに、第1の容器から前記流体排出口を通して液体を引き抜くための手段を含む、請求項30から35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記引抜き手段が真空ポンプである、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
さらに、前記結合剤と検体の結合を検出するための手段を含む、請求項22から37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
前記検出手段が、蛍光定量、化学発光、放射化学、物理的、及び比色手段から選択される、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記検出手段が、前記複数の第1の容器の少なくとも1個から発せられた光を検出し、及び/又は定量することができる測光器具を含む、請求項38又は39に記載の装置。
【請求項41】
前記測光器具がルミノメータである、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記検出手段がイメージング手段を含む、請求項38から41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項43】
96ウェルプレートという形である、請求項21から42のいずれか一項に記載の装置。
【請求項44】
検体を検出する方法であって、
(a)請求項1から42のいずれか一項に記載の装置を提供するステップ、
(b)第1の容器又は第1の容器の少なくとも1個に検査しようとする試料を充填するステップ、及び
(c)前記検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップ
を含む方法。
【請求項45】
さらに、(b)と(c)の間に、前記1個又は複数の第1の容器から前記流体排出口を通して能動的に液体を引き抜くステップを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記1個又は複数の容器から液体を引き抜くために真空ポンプを使用する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記試料が検出可能標識を含む、請求項44から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記検出可能標識が、酵素、蛍光標識、及び放射標識から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
ステップ(c)には、蛍光定量、化学発光、放射化学、物理的、及び比色手段のどれか1つを使用し、前記1種又は複数の検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップが含まれる、請求項44から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
ステップ(c)には、発光を検出し、及び/又は定量することができる測光器具を使用し、前記1種又は複数の検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップが含まれる、請求項47から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記測光器具がルミノメータである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
さらに又は別法として、ステップ(c)には、イメージング手段を使用し、各スポットからの発光を別個に検出し、及び/又は定量するステップが含まれる、請求項47から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
(a)の装置が1個を超える第1の容器を備える場合は、各容器に異なる試料が充填される、請求項44から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
検体を検出する方法であって、
(a)流体流入口と流体排出口とを有し、多孔質膜を有する少なくとも1個の第1の容器を備えた装置を提供するステップ、
(b)前記多孔質膜の下面上のスポット中に、少なくとも1種の検体特異的結合剤を固定するステップ、
(c)前記少なくとも1個の第1の容器中に検査しようとする試料を充填するステップ、及び
(d)前記検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップ
を含む方法。
【請求項55】
多孔質膜が流体排出口に位置する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記装置が、マルチウェルプレートという形で複数の第1の容器を備えた、請求項54又は55に記載の方法。
【請求項57】
前記装置が、96ウェルプレートという形である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
複数の検体特異的結合剤が、前記多孔質膜上にアレイという形で固定された、請求項54から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記複数の検体特異的結合剤が、マイクロアレイという形で固定された、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記アレイが、少なくとも1個の対照プローブを含む、請求項58又は請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、ポリヌクレオチドプローブである、請求項54から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、発現配列タグ(EST)である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、ポリペプチド結合剤である、請求項54から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、抗体又はその断片である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記少なくとも1種の検体特異的結合剤が、前記多孔質膜に直接的に又は間接的に固定された、請求項54から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
さらに、(c)と(d)の間に、前記少なくとも1個の第1の容器から前記流体排出口を通して能動的に液体を引き抜くステップを含む、請求項54から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記少なくとも1個の第1の容器から液体を引き抜くために真空ポンプを使用する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記装置の第1の容器又は各第1の容器が、該第1の容器の流体排出口を通して引き抜いた液体を回収することができる第2の容器中に少なくとも部分的に位置し、その結果その多孔質膜を前記液体中に浸漬し得る、請求項54から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
さらに、(c)と(d)の間に、前記少なくとも1個の第1の容器の中に位置させた追加の1枚又は複数の多孔質膜を通して前記試料をろ過するステップを含む、請求項54から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
流体流入口から流体排出口へ膜細孔径が徐々に減少するように、前記追加の1枚又は複数の多孔質膜が位置する、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記試料が検出可能標識を含む、請求項54から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記検出可能標識が、酵素、蛍光標識、及び放射標識から選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
ステップ(d)には、蛍光定量、化学発光、放射化学、物理的、及び比色手段のどれか1つを使用し、前記検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップが含まれる、請求項54から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
ステップ(d)には、発光を検出することができる測光器具を使用し、前記検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップが含まれる、請求項54から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記測光器具がルミノメータである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
さらに又は別法として、ステップ(d)には、イメージング手段を使用し、各スポットから発せられた光を別個に検出し、及び/又は定量するステップが含まれる、請求項54から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
ステップ(c)で、異なる試料が各第1の容器に充填される、請求項54から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
検体を検出する方法であって、
マルチウェルプレートという形で複数の第1の容器を備えた装置を提供するステップ、
前記第1の容器の少なくとも1個の中に、固定した検体特異的結合剤の複数のスポットを形成するステップ、
前記第1の容器中に検査しようとする試料を充填するステップ、及び
前記検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップ
を含む方法。
【請求項79】
前記装置が96ウェルプレートという形である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記複数の検体特異的結合剤が、アレイという形で固定された、請求項78又は請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記アレイがマイクロアレイである、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記複数の検体特異的結合剤が、少なくとも1個の対照プローブを含む、請求項78から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記検体特異的結合剤が、ポリヌクレオチドプローブである、請求項78から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記検体特異的結合剤が、発現配列タグ(EST)である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記検体特異的結合剤が、ポリペプチド結合剤である、請求項78から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記検体特異的結合剤が、抗体又はその断片である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記検体特異的結合剤が、前記第1の容器の表面上に直接的に又は間接的に固定された、請求項78から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記表面が流体排出口である、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記表面が多孔質膜である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記検体特異的結合剤が、前記多孔質膜の下面上に固定された、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
各第1の容器が、該第1の容器の流体排出口を通過した液体を回収することができる第2の容器中に少なくとも部分的に位置し、その結果その多孔質膜を前記液体中に浸漬し得る、請求項89又は90に記載の方法。
【請求項92】
さらに、(c)と(d)の間に、前記第1の容器の少なくとも1個の中に位置させた追加の1枚又は複数の多孔質膜を通して前記試料をろ過するステップを含む、請求項88から91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記流体排出口に向かって膜細孔径が徐々に減少するように、前記追加の1枚又は複数の多孔質膜が位置する、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
さらに、(c)と(d)の間に、第1の容器から前記流体排出口を通して能動的に液体を引き抜くステップを含む、請求項88から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記容器から液体を引き抜くために真空ポンプを使用する、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記試料が検出可能標識を含む、請求項78から95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記検出可能標識が、酵素、蛍光標識、及び放射標識から選択される、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
ステップ(d)には、蛍光定量、化学発光、放射化学、物理的、及び比色手段のどれか1つを使用し、前記検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップが含まれる、請求項78から97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
ステップ(d)には、発光を検出し、及び/又は定量することができる測光器具を使用し、前記検体特異的結合剤と前記検体の結合を検出するステップが含まれる、請求項78から98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記測光器具がルミノメータである、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
ステップ(d)には、さらに又は別法として、イメージング手段を使用し、各スポットから発せられた光を別個に検出し、及び/又は定量するステップが含まれる、請求項78から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
ステップ(c)で、異なる試料が各第1の容器に充填される、請求項78から101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
請求項1から43のいずれか一項に記載の装置で使用するための、又は請求項44から102のいずれか一項に記載の方法で使用するための多孔質膜であって、該多孔質膜のその一面に少なくとも1種の検体特異的結合剤を固定した多孔質膜。
【請求項104】
請求項1から43のいずれか一項に記載の装置で使用するための、又は請求項44から102のいずれか一項に記載の方法で使用するためのキットであって、該キットがその一面に少なくとも1種の検体特異的結合剤を固定した多孔質膜、及び少なくとも1種の検体特異的結合剤と検体の結合を検出するための少なくとも1種の試薬を含むキット。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2007−505326(P2007−505326A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530527(P2006−530527)
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002203
【国際公開番号】WO2004/103939
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(505430931)バイオセンター 5 リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002203
【国際公開番号】WO2004/103939
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(505430931)バイオセンター 5 リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]