説明

アッセイ方法

基質での再構成活性酵素の作用を通じてグロー発光シグナルを生成させるために、検体とのインタラクタードメインの親和性を通じ、試料中の関心のある検体の存在下で第一及び第二のレポーター断片対メンバーが会合できるようにするインビトロアッセイ条件下で、(i)関心のある検体に対する親和性を有するインタラクタードメインを含む精製された第一のレポーター断片対メンバーと、(ii)関心のある検体に対する親和性を有するインタラクタードメインを含み、関心のある検体との第一及び第二のレポーター断片対メンバーのインタラクタードメインの親和性を通じた第一のレポーター断片対メンバーとの会合時に活性酵素を再構成することにおいて操作可能な、精製された第二のレポーター断片対メンバーと、試料を接触させ;グロー発光シグナルの有無又は程度を検出することを含む、試料中の関心のある検体の存在を調べるための方法を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、分子生物学及び診断の分野に関する。とりわけ、本発明は、グロー発光に基づくインビトロ強制酵素再構成アッセイに関する。
【背景技術】
【0002】
疾患の臨床診断のための酵素免疫測定法(ELISA)などの不均一酵素免疫アッセイ(EIA)は、それが高感度及び特異性であるため、数十年にわたり診断産業で非常に重要なものである。不均一EIAと組み合わせ、発光基質(この感度は従来の比色及び蛍光基質よりも数桁大きい。)の使用が増えたことにより、検出限界がさらに改善された。しかし、不均一EIAに関連する原理的欠点は、その操作時間が長く、複数回の洗浄及び温置段階が必要であり、これにより自動化のために特殊計装が必要となることである。
【0003】
次第に、感度を高め、操作を簡便にすることが必要とされていることから、代替的な発光プラットフォーム技術を生み出すために活発な動きが出てきた。化学発光及び/又は生物発光を説明するために、発光は広く本明細書中で使用される。発光検出法により、通常、それぞれ蛍光又は比色酵素基質により可能であり得るものよりも、感度が最大で100−1000倍高くなる(Olsenら、2000、Methods Enzymol.326:175−202)。結果として、発光により、直線性が広く、生来のバックグラウンドが低い、より大きいダイナミック・レンジ(図1で述べられるように)がもたらされる(Fan及びWood、2007、Assay Drug Dev.Technol、5(1):127−136)。さらに、均一アッセイにより、1つの溶液中で、酵素標識された検体複合体(例えば抗体−抗原複合体)の形成及び検出が可能となり、これにより、固体支持体が不要となり、より単純で迅速なアッセイが可能となる。従って、発光均一EIAによって、操作の必要条件が限定され、感度が鋭敏である、単一反応容器中での疾患診断のための代替的プラットフォームが与えられる。固体支持体及び未結合標識を除去するための洗浄が排除されることで、高スループットの自動化免疫アッセイのための化学分析装置に対する均一EIAの利用に対して顕著な長所がもたらされる。
【0004】
インビボでのタンパク質−タンパク質相互作用の検出のための分割レポータータンパク質を利用するアッセイは、強制的酵素再構成(FEC)アッセイ又はタンパク質断片再構成アッセイ(PCA)として知られる。これらのアッセイは、全般的に、例えば:WO01/71702;米国特許第6,270,964号;同第6,294,330号;同第6,428,951号;同第6,342,345号、同第6,828,099号及び米国特許出願公開第20030175836号に記載されている。FECの基礎となる基本原則は、検出可能なシグナルを生成させる活性レポータータンパク質になるように機能的に構築し得る、再構成するタンパク質断片対の使用である。アッセイの機能性の中核は、レポータータンパク質断片に連結されている断片対の各メンバー内に存在する認識部分に対する独立した標的(検体)の結合を介した、レポータータンパク質断片の再構築である。本明細書中で使用される場合、これらの相互作用部分は、「インタラクター」又は「インタラクタードメイン」と呼ばれる。インタラクタードメインは、断片対コンストラクトの各メンバー内に含有される個別の部分又はドメインであり、以下に限定されないが、疾患特異的抗原、抗体又はタンパク質結合パートナーを含む。インタラクタードメインは、レポーター断片ドメインに直接連結され得るか、又はリンカードメインにより連結され得る。タンパク質断片対メンバーは、通常、インタラクタードメイン標的非存在下で、レポーター断片が自発的に機能的に再構築しないように構築される。従って、この対の各メンバーのインタラクタードメインは、インタラクタードメインに対する標的の結合を通じて、その断片からの機能的なレポータータンパク質の再構成に役立つ。
【0005】
いくつかの様々なレポータータンパク質を用いて、機能的なインビボFECアッセイが構築された。例えば、WO01/71702;米国特許第6,270,964号;同第6,294,330号;同第6,428,951号;同第6,342,345号、同第6,828,099号及び米国特許出願公開第20030175836号で開示されているものを参照。しかし、FECアッセイのインビトロ適用には、製造及び品質保証目的のための、特徴が明確である特性を有する、純粋で可溶性で安定であり活性のある酵素断片の調製を含む、特有の課題がある。発光シグナルを生成させるFECアッセイのインビトロ使用は、これらの特有の課題を解決するために必要であるだけではなく、臨床検査室での検出に適切な出力シグナルを生成させるためにも必要である。感度レベルを最大にし、ダイナミックレンジを得るために、2種類の形式−フラッシュ又はグローの何れかで、起こり得る発光検出を調べることができる。両検出法とも、有益性及び欠点があり、何れかの使用は通常、特定のアッセイ必要条件により支配される。
【0006】
インビトロタンパク質−タンパク質相互作用測定の分野において、グロー発光は、反応速度の速度論的定量を可能とし、フラッシュ発光で与えられるエンドポイント読み取りよりも本質的に感度が高い。グロー発光検出が総検出モダリティーの13%を占め、一方でフラッシュ発光はまだその初期段階にあることを示す、現在の多モードマイクロプレートリーダーの傾向により、グロー発光の使用が好まれることは明らかであり、(HTStec 2007 Market Report)。シグナル生成に対する定常動態的アプローチであり、長時間持続する(分から時間)グロー発光と比較して、フラッシュ発光は本質的に過渡的であり、秒又はミリ秒内に最大光強度に到達する。フラッシュ発光は、装置上での試薬分注、混合及び測定を必要とするので、グロー発光のその他の利点は殆どが器具の使用に関するものである。フラッシュ発光は、光の放射が迅速であるので、ウェルごとに行われ(ウェル方式);従って、液体注入器及び検出スループットによりアッセイの融通性が低いので、診断目的に対してその利用が限定される。一方、グロー発光試薬は、読み取り装置の外側で添加することができ、発光測定はプレート全体で行うことができる(プレート方式)。注入器は必要なく、プレート処理において融通性がより高く、1回の試薬添加及び温置が行われ得る。この理由のために、グロー発光検出は現在のEIA液体操作機器に適合するので、一般にグロー発光はELISA市場にとって好まれる検出法となっている。多重モード検出を使用して反応シグナルを多重化することにより、インビトロ目的に対する1回の反応で、比色及び発光;蛍光及び発光;フラッシュ及びグロー発光を組み合わせることにより、グロー発光は二重検体検出のさらなる長所ももたらす。
【0007】
ルシフェラーゼとして知られる発光レポーター酵素は、一般に生物発光として知られるプロセスにおいてオキシルシフェリンへのルシフェリンの酸化の結果として、検出可能な光子放射を生じさせる(Wilsonら、1998、Annu.Rev.Cell Dev.Biol.14:197−230)。いくつかのルシフェラーゼが分割され、PCAを介してタンパク質−タンパク質相互作用を測定するために良好に使用されてきたが、これには、Paulmuruganら、2002、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99(24):15608−15613及びPaulmuruganら、2007、Anal.Chem.79(6):2346−2353におけるホタル、フォチナス・フィラリス(Photinus pyralis)ルシフェラーゼ、Paulmuruganら、2003、Anal.Chem.75(7):1584−1589及びKaiharaら、2003、Anal.Chem.75(16):4176−4181におけるウミシイタケ、レニラ・レミフォルミス(Renilla remiformis)ルシフェラーゼ及びRemyら、2006、Nat.Methods 3(12):977−999における海洋カイアシ類(marine copepod)ガウシア・プリンセプス(Gaussia princeps)ルシフェラーゼが含まれる。
【0008】
生物発光FECの原理に基づく広く利用可能なインビトロ均一アッセイの構築には、均一アッセイ方式内でのFECの設計及び遂行に関する新たな課題がある。これらには、以下に限定されないが、ある種の発光出力シグナル、均一アッセイ方式内で生じる特定のアッセイ環境、検出しようとする検体の性質及び起源及びこのような均一アッセイの構築に伴う製造課題が含まれる。
【0009】
使用における、特異性、信頼性、製造の簡便性及びロバストな特性を確保するために、均一アッセイは通常、単離精製成分から構成される。適切なタンパク質断片対(適切なレポーター断片、インタラクタードメイン、連結ドメイン及び全融合コンストラクト又はそれぞれを組み込むレポーター断片対を含む。)の設計ならびに、インビトロ診断用途のために製造するための、必要な可溶性、安定性及び順応性も生み出すロバストなアッセイ条件は、広く利用可能な均一アッセイプラットフォームを作製するために極めて重要である。インビボPCAアッセイ条件とは対照的に、インビトロ診断アッセイ条件は、細胞外であり、比較的厳しく、インビボで容易に起こり得る適切なタンパク質折り畳み及びタンパク質−タンパク質相互作用を促し得ない。
【0010】
発光基質を使用する生物発光ウミシイタケルシフェラーゼレポータータンパク質の利用及び使用から、断片安定性、基質自己発光と関連する問題及び特にフラッシュ発光ではなく、長時間発光型発光シグナルの生成を含むさらなる課題が生じる。従って、通常インビトロアッセイにおいてFECを実施する課題に加えて、インビトロ均一アッセイプラットフォームでの発光FECの実施によりもたらされるさらなる課題がある。
【0011】
さらに、発光に基づく均一アッセイプラットフォームの開発の中核は、洗浄段階の排除であり、従って、血清又は少なくともある血清成分存在下で診断試験が行われ得る。このようにして、洗浄せずに、おそらく均一プラットフォームのままで(特に、血清成分又はその他の夾雑物ゆえの交差反応性、妨害及阻害的な影響を受けやすい発光FECに基づくもの)、検体を含有する試料断片を処理し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第01/71702号
【特許文献2】米国特許第6,270,964号明細書
【特許文献3】米国特許第6,294,330号明細書
【特許文献4】米国特許第6,428,951号明細書
【特許文献5】米国特許第6,342,345号明細書
【特許文献6】米国特許第6,828,099号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第20030175836号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Olsen他、Methods Enzymol.326、2000年、p.175−202
【非特許文献2】Fan及びWood、Assay Drug Dev.Technol、5(1)、2007年、p.127−136
【非特許文献3】HTStec、Market Report、2007年
【非特許文献4】Wilson他、Annu.Rev.Cell Dev.Biol.14、1998年、p.197−230
【非特許文献5】Paulmurugan他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99(24)、2002年、p.15608−15613
【非特許文献6】Paulmurugan他、Anal.Chem.79(6)、2007年、p.2346−2353
【非特許文献7】Paulmurugan他、Anal.Chem.75(7)、2003年、p.1584−1589
【非特許文献8】Kaihara他、Anal.Chem.75(16)、2003年、p.4176−4181
【非特許文献9】Remy他、Nat.Methods 3(12)、2006年、p.977−999
【発明の概要】
【0014】
本発明は、グロー発光シグナルを生じさせる分割酵素レポーター系を用いた高感度均一FECアッセイの良好な開発に基づく。発明者らは、高感度(100%)及び特異的(100%)に検体を検出することでの、このような系の使用を明らかにした。従って、発明者らは、診断関連標的の検出に対する長時間発光型グロー発光に基づくインビトロ均一FECアッセイの良好な利用を明らかにした。さらに、必要とされる時間枠(およそ1時間)は、病理検査室にこの方法を持ち込むのに適切である。従って、本発明は、現在の免疫診断分野に顕著な長所をもたらす。
【0015】
従って、第一の態様において、本発明は、
基質での再構成活性酵素の作用を通じてグロー発光シグナルを生成させるために、検体とのインタラクタードメインの親和性を通じ、試料中の関心のある検体の存在下で第一及び第二のレポーター断片対メンバーが会合することを可能にするインビトロアッセイ条件下で、
(i)関心のある検体に対する親和性を有するインタラクタードメインを含む精製された第一のレポーター断片対メンバーと、
(ii)関心のある検体に対する親和性を有するインタラクタードメインを含み、関心のある検体との第一及び第二のレポーター断片対メンバーのインタラクタードメインの親和性を通じた第一のレポーター断片対メンバーとの会合時に活性酵素を再構成することにおいて操作可能である、精製された第二のレポーター断片対メンバーと、
試料を接触させ、
グロー発光シグナルの有無又は程度を検出することを含む、
試料中の関心のある検体の存在を調べる方法を提供する。
【0016】
関連する態様において、本発明は、
(a)関心のある検体の存在について試験しようとする試料を提供し;
(b)関心のある検体に対する親和性を有するインタラクタードメインを含む、精製された第一のレポーター断片対メンバーを提供し;
(c)関心のある検体に対する親和性を有するインタラクタードメインを含み、関心のある検体との第一及び第二のレポーター断片対メンバーのインタラクタードメインの親和性を通じた第一のレポーター断片対メンバーとの会合時に活性酵素を再構成することにおいて操作可能である、精製された第二のレポーター断片対メンバーを提供し;
(d)基質における再構成活性酵素の作用を通じてグロー発光シグナルを生じさせるために(グロー発光シグナルは、試料中での関心のある検体の存在を示す。)、検体とのインタラクタードメインの親和性を通じて、第一及び第二のレポーター断片対メンバーが試料中の関心のある検体存在下で会合することを可能にするインビトロアッセイ条件下で第一及び第二のレポーター断片と試料を接触させる、
段階を含む、試料中での検体の存在についてアッセイする方法を提供する。
【0017】
好ましい実施形態において、活性酵素は、ルシフェラーゼ、好ましくはウミシイタケルシフェラーゼ又はその誘導体、例えばC124A突然変異を含むルシフェラーゼなど、である。
【0018】
ある実施形態において、第一及び第二のレポーター断片対メンバーは、配列番号10において示されるウミシイタケルシフェラーゼアミノ酸配列のアミノ酸残基セリン91とチロシン92との間又はグリシン229とリジン230との間又は別のルシフェラーゼ配列の同等の位置の間の切断点により形成されるルシフェラーゼポリペプチドのα及びω断片である。
【0019】
グロー発光に基づくFECアッセイの開発において、発明者らは、グロー発光シグナルを改善する一連のアッセイ条件、即ち次のもののうち1以上、も決定した:
(i)DTTなどの1以上の還元剤、好ましくは約1から約2%w/vの総濃度;
(ii)チオ尿素などの1以上の変性剤、好ましくは約1から約2%w/vの総濃度;
(iii)CHAPSなどの1以上の界面活性剤、好ましくは約0.1から約0.2%w/vの総濃度;
(iv)約0.25から0.5Mの塩;及び/又は
(v)緩衝液としてのTris HCl。
【0020】
発明者らはまた、好ましいルシフェラーゼ基質、即ちセレンテラジン類似体f、h及びnからなる群から選択されるルシフェラーゼ基質も同定した(図3参照)。
【0021】
特定の実施形態において、試料は血液又は血清試料などの生体試料である。
【0022】
第二の態様において、本発明は、
(a)関心のある検体に対する親和性を有するインタラクタードメインを含む精製された第一のレポーター断片対メンバーと;
(b)関心のある検体に対する親和性を有するインタラクタードメインを含み、関心のある検体との第一及び第二のレポーター断片対メンバーのインタラクタードメインの親和性を通じた第一のレポーター断片対メンバーとの会合時に酵素活性を再構成することにおいて操作可能である、精製された第二のレポーター断片対メンバーと;
(c)基質における活性酵素の作用を通じてグロー発光シグナルを生成させるために(グロー発光シグナルが、試料中の関心のある検体の存在を示す。)、検体とのインタラクタードメインの親和性を通じて、試料中の関心のある検体の存在下で第一及び第二のレポーター断片対メンバーが会合することを可能にするインビトロアッセイ条件を提供するための試薬と、
を含む、試料中の関心のある検体の存在を調べるために均一インビトロ強制酵素断片再構成アッセイを行うためのキットを提供する。
【0023】
関連する態様において、本発明は、試料中での関心のある検体、例えば単純ヘルペスウイルス又はB型肝炎ウイルスなどの病原体に対する抗体の存在を調べるための、キットの使用を提供する。
【0024】
発明者らはまた、レポーターポリペプチドの安定性及びそれゆえにグロー発光アッセイ方式により得られる結果を改善する、保存緩衝液も開発した。インビトロアッセイにより生じる問題の1つは、レポーターポリペプチドの濃度が比較的高いことである。特に、全長ウミシイタケルシフェラーゼは、失活しやすく、4℃で0.5mg/mL(およそ10nM)よりも高い濃度で凝集する傾向があることが知られている(Matthewsら、1977、Biochemistry 16(1):85−91)。発明者らは、1つ又は糖(スクロース及びトレハロースなど)及び/又は1以上の不活性タンパク質(ウシ血清アルブミンなど)の添加により、保存後のレポーターポリペプチド活性の低下を顕著に抑えることを見出した。
【0025】
従って、第三の態様において、本発明は、(i)約10nMを超える総濃度の1以上のレポーターポリペプチドと、(ii)1以上の糖及び/又は1以上の不活性タンパク質と、を含む、アッセイ試薬保存組成物を提供する。
【0026】
好ましい実施形態において、この1以上のレポーターポリペプチドは、インビトロ強制酵素再構成アッセイのためのルシフェラーゼレポーターポリペプチドである。
【0027】
好ましくは、この1以上の糖は、スクロース、トレハロース及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0028】
好ましくは、1以上の不活性タンパク質は、血清アルブミン、ゼラチン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0029】
関連する態様において、本発明は、約10nMを超える総濃度で1以上のレポーターポリペプチドを含むアッセイ試薬保存組成物中で1又はレポーターポリペプチドを安定させるために1以上の糖及び/又は1以上の不活性タンパク質を含む組成物の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】比色、蛍光及び発光検体シグナル検出範囲の間の比較。
【図2】ウミシイタケルシフェラーゼにより触媒される生物発光反応。
【図3】発光強度及び反応時間に関して互いに異なるネイティブセレンテラジン合成誘導体(A−H)。
【図4】2つの機能的分割点、S91/Y92(A)及びG229/K230(B)の位置を説明するウミシイタケルシフェラーゼモデル構造。
【図5】ウミシイタケルシフェラーゼFECアッセイ及びその基本的成分の概略図。酵素断片、α及びω、は、疾患特異的抗原ペプチド(P)及びタンパク質Gのあるドメインなどの検体結合部分に連結される。検体(疾患特異的抗体)の存在下で、断片は、近接近とならざるを得ず(右)、それにより生物発光反応の触媒を開始する。
【図6】この実験で使用されるFEC断片(AびB)の概略図。RLucは、ウミシイタケルシフェラーゼα(α青)及びω(ω緑)断片を指す。検体結合部分(赤)、ProGはタンパク質Gドメインを指し、P(P1及びP2)は、それぞれHSV−1及びHSV−2に対するHSV型特異的抗原ペプチドを指す。ヒスチジンタグは灰色で示される。酵素断片を検体結合部分に連結させるために、(GlySer)リンカーを使用した。
【図7】本発明のαタンパク質断片(RLuc_α229P1及びRLuc_α229P2)の精製。A)RLuc_α229P1アフィニティー精製プロファイル及び純粋なタンパク質のゲル電気泳動、MW35,214.22Da。B)アフィニティー精製プロファイル及び純粋なRLuc_α229P2のゲル電気泳動、MW38,603.98Da。「アフィニティー精製された」と表示されたクロマトグラムは、精製酵素断片の実施形態を示す。本発明のその他の断片に対して同様の結果が得られる。
【図8】本発明のωタンパク質断片(RLuc_230ωProG)の精製。A)RLuc_230ωProGアフィニティー精製プロファイル。B)アフィニティー精製されたRLuc_230ωProGのゲルろ過プロファイル及びゲル電気泳動、MW18,149.57Da。「アフィニティー精製された」及び「ゲルろ過プロファイル」と表示されたクロマトグラムは両者とも、精製された酵素断片の実施形態を示す。本発明のその他の断片に対して同様の結果が得られる。
【図9】G229/K230(B)と比較した、S91/Y92(A)におけるRLuc断片分割の遂行。
【図10】(B)本発明の最適化5xPBエンハンサー緩衝液C(150mM HEPES pH8、1%CHAPS、5%チオ尿素及び25%グリセロール)との(A)市販ウミシイタケルシフェラーゼ5xPromega溶解緩衝液(特許組成物)の使用の比較。
【図11】HSV−1特異的IgGに対するルシフェラーゼFECアッセイ。ルシフェラーゼ断片RLuc_α229P1/RLuc_230ωProGを用いて、HSV陰性、HSV−1又はHSV−2陽性の個体からの5検体の血清試料をアッセイした。カットオフ=1.16。感度=100%。特異性=100%。5名の患者試料の各セットに対する箱ひげプロットとして正規化酵素活性を示す。
【0031】
配列リストの簡単な説明
配列番号1.HSV1のgG1のアミノ酸92から148。
【0032】
配列番号2.P1 trunc、HSV−1短縮抗原ヌクレオチド配列。
【0033】
配列番号3.P1 trunc、HSV−1短縮抗原アミノ酸配列。
【0034】
配列番号4.HVS2のgG2のアミノ酸551から641。
【0035】
配列番号5.P2 trunc、HSV−2短縮抗原ヌクレオチド配列。
【0036】
配列番号6.P2 trunc、HSV−2短縮抗原アミノ酸配列。
【0037】
配列番号7.タンパク質Gサブユニットのヌクレオチド配列。
【0038】
配列番号8.タンパク質Gサブユニットのアミノ酸配列。
【0039】
配列番号9.C124A突然変異を組み込む合成/コドン最適化ウミシイタケルシフェラーゼ(RLuc)レポーター酵素のヌクレオチド配列。
【0040】
配列番号10.C124A突然変異を組み込む合成/コドン最適化ウミシイタケルシフェラーゼ(RLuc)レポーター酵素のアミノ酸配列。
【0041】
配列番号11から18−表2で示されるプライマー。
【0042】
配列番号19.Rluc_α91P1、ウミシイタケルシフェラーゼα断片(S91/Y92で分割)P1 truncコンストラクトヌクレオチド配列。
【0043】
配列番号20.Rluc_α91P1、ウミシイタケルシフェラーゼα断片(S91/Y92で分割)P1 truncコンストラクトアミノ酸配列。
【0044】
配列番号21.RLuc_α229P1、ウミシイタケルシフェラーゼα断片(G229/K230で分割)P1 truncコンストラクトヌクレオチド配列。
【0045】
配列番号22.RLuc_α229P1、ウミシイタケルシフェラーゼα断片(G229/K230で分割)P1 truncコンストラクトアミノ酸配列。
【0046】
配列番号23.Rluc_α91P2、ウミシイタケルシフェラーゼα断片(S91/Y92で分割)P2 truncコンストラクトヌクレオチド配列。
【0047】
配列番号24.Rluc_α91P2、ウミシイタケルシフェラーゼα断片(S91/Y92で分割)P2 truncコンストラクトアミノ酸配列。
【0048】
配列番号25.RLuc_α229P2、ウミシイタケルシフェラーゼα断片(G229/K230で分割)P2 truncコンストラクトヌクレオチド配列。
【0049】
配列番号26.RLuc_α229P2、ウミシイタケルシフェラーゼα断片(G229/K230で分割)P2 truncコンストラクトアミノ酸配列。
【0050】
配列番号27.RLuc_92ωProG、ウミシイタケルシフェラーゼω断片(S91/Y92で分割)タンパク質Gサブユニットコンストラクトヌクレオチド配列。
【0051】
配列番号28.RLuc_92ωProG、ウミシイタケルシフェラーゼω断片(S91/Y92で分割)タンパク質Gサブユニットコンストラクトアミノ酸配列。
【0052】
配列番号29.RLuc_230ωProG、ウミシイタケルシフェラーゼω断片(G229/K230で分割)タンパク質Gサブユニットコンストラクトヌクレオチド配列。
【0053】
配列番号30.RLuc_230ωProG、ウミシイタケルシフェラーゼω断片(G229/K230で分割)タンパク質Gサブユニットコンストラクトアミノ酸配列。
【0054】
配列番号31.B型肝炎表面抗原(HBsAg)A5 1本鎖(scFv)コンストラクトヌクレオチド配列。
【0055】
配列番号32.B型肝炎表面抗原(HBsAg)A5 1本鎖(scFv)コンストラクトアミノ酸配列。
【0056】
配列番号33.B型肝炎表面抗原(HBsAg)E11 1本鎖(scFv)コンストラクトヌクレオチド配列。
【0057】
配列番号34.B型肝炎表面抗原(HBsAg)E11 1本鎖(scFv)コンストラクトアミノ酸配列。
【0058】
配列番号35.RLuc_α91A5、ウミシイタケルシフェラーゼω断片(S91/Y92で分割)B型肝炎表面抗原(HBSAg)A5 1本鎖(scFv)コンストラクトヌクレオチド配列。
【0059】
配列番号36.RLuc_α91A5、ウミシイタケルシフェラーゼω断片(S91/Y92で分割)B型肝炎表面抗原(HBsAg)A5 1本鎖(scFv)コンストラクトアミノ酸配列。
【0060】
配列番号37.RLuc_92ωE11、ウミシイタケルシフェラーゼω断片(S91/Y92で分割)B型肝炎表面抗原(HBsAg)E11 1本鎖(scFv)コンストラクトヌクレオチド配列。
【0061】
配列番号38.RLuc_92ωE11、ウミシイタケルシフェラーゼω断片(S91/Y92で分割)B型肝炎表面抗原(HBsAg)E11 1本鎖(scFv)コンストラクトアミノ酸配列。
【発明を実施するための形態】
【0062】
別段の定義がない限り、本明細書中で使用される全ての技術及び科学用語は、(例えば、細胞生物学、化学及び分子生物学において)当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。分子及び生化学の方法に対して使用される標準的技術は、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.及びAusubelら、Short Protocols in Molecular Biology(1999)第4版、John Wiley & Sons、Inc.及びCurrent Protocols in Molecular Biologyという題名の完全版で見出すことができる。
【0063】
特定の実施形態及び実施例の次の詳細な説明は、説明のために与えられるのであり、限定のためではない。禁忌でないか又は別段の断りがない限り、これらの記述において、及びこの明細書を通じて、「a」及び「an」という語は、1以上を意味する。同様に、「又は」とは「及び/又は」を意味する。
【0064】
「含む(comprising)」は、以下に限定されないが、「含む(comprising)」という語に続くもの全てを含むものとする。従って、「含む(comprising)」という用語の使用は、列挙される要素が必要とされるか又は必須であるが、その他の要素が任意であり、存在してもしなくてもよいことを指す。「からなる(consisting of)」は、「からなる(consisting of)」という句に続くもの全てを含み、それらに限定されるものとする。従って、「からなる(consisting of)」という句は、列挙される要素が必要とされるか又は必須であり、その他の要素が全く存在し得ないことを指す。「基本的にからなる(consisting essentially of)」は、この句の後に列挙されるあらゆる要素を含み、列挙される要素に対する開示で特定される活性及び作用を妨害しないか又は関与しないその他の要素に限定されることを指す。従って、「基本的にからなる(consisting essentially of)」という句は、列挙される要素が必要とされるか又は必須であるが、その他の要素が任意であり、それらが列挙される要素の活性又は作用に影響するか否かに依存して存在しても存在しなくてもよいことを示す。
【0065】
一連の値が与えられる場合、文脈から明らかに指示されない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の10分の1までの各中間値及び、指示範囲の何らかのその他の指示される値又は中間にある値が、本発明内に包含されることを理解されたい。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、独立に、より小さい範囲に含まれ得、また、本発明内に包含され、指示される範囲における何らかの具体的に除外される制限に従う。
【0066】
レポーター成分及びレポーターポリペプチド断片
本発明のアッセイ法は、均一インビトロFECアッセイの単離され精製された成分としての使用のために適応されるポリペプチドを含むか又はそれらからなるレポーター成分を使用する。このレポーター成分は、レポーター系の一部をなす。上述のように、FECアッセイにおけるレポータ系は、それらが会合する場合に、検出可能なシグナルを生成させることができるレポータータンパク質複合体を形成する2以上のポリペプチド断片を含む。従って、各レポーター成分は、少なくとも1つのこのようなポリペプチド断片又はサブユニット(本明細書中で「レポーター断片」と呼ぶ。)を含む。従って、2つのレポーター成分がアッセイ条件下で会合した場合に、結果として得られる複合体がルシフェラーゼ活性を有するように、ルシフェラーゼ活性に基づく系に対して、第一のレポーター成分は、ルシフェラーゼなどの酵素のα断片を含み得、第二のレポーター成分は、ルシフェラーゼなどの酵素のω断片を含み得る。それらの個々のレポーターポリペプチド断片(「サブユニット」とも呼ばれる。)が会合させられる場合に一緒になって検出可能な酵素活性を生じさせ得る第一のレポーター成分及び第二のレポーター成分の組み合わせは、本明細書中で「レポーター成分対」と呼び、個々のレポーターポリペプチド断片はまとめて「レポーター断片対」と呼ぶ。
【0067】
いくつかのルシフェラーゼが分割され、Paulmuruganら、2002、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99(24):15608−15613及びPaulmuruganら、2007、Anal.Chem.79(6):2346−2353におけるホタル、フォチナス・フィラリス(Photinus pyralis)ルシフェラーゼ、Paulmuruganら、2003、Anal.Chem.75(7):1584−1589及びKaiharaら、2003、Anal.Chem.75(16):4176−4181におけるウミシイタケ、レニラ・レミフォルミス(Renilla remiformis)ルシフェラーゼ及びRemyら、2006、Nat.Methods 3(12):977−999における海洋コペポーダ(marine copepod)、ガウシア・プリンセプス(Gaussia princeps)ルシフェラーゼを含め、FECを介してタンパク質−タンパク質相互作用を調べるために首尾よく使用されてきた。野生型タンパク質に加えて、放射光の波長を変更するために(例えば赤にシフトしたルシフェラーゼを記載する米国特許第6,495,355号)及び/又はインビトロでの特性を改善するために、多くのルシフェラーゼが修飾されてきた。ルシフェラーゼ変異体は本発明の範囲内である。
【0068】
商業化及び製造に適したインビトロ均一アッセイを作製する目的に対して、ルシフェラーゼ安定性、大きさ及び基質利用などの事項(表1)は、具体的ルシフェラーゼの選択に関連する。セレンテラジンの酸化を介した光の生成に関与するレニラ・レミフォルミス(Renilla remiformis)ルシフェラーゼ(EC1.13.12.5)(図2)は、小さく(36kDa)、単量体であり、含有するシステインは3個のみ(これらの中にジスルフィド結合を形成するものはない。)なので、特にFEC方式への適用に適切である(Matthewsら、1977、Biochemistry 16(1):85−91)。さらに、位置124のシステインのアラニンへの突然変異によって安定性を向上させることができる(Liuら、1999、Gene 237:153−159)。それらの光強度及び反応時間が異なるセレンテラジンの類似体と組み合わせて使用される場合(図3)、いくつかの補足的突然変異の使用により、ウミシイタケルシフェラーゼ安定性及び光出力をさらに改善することができる(Loeningら、2006、Protein Eng.Des.Sel.19(9):391−400及びLoeningら、2007.Nat.Methods 4(8):641−643)。
【0069】
【表1】

【0070】
既に記載されるような分割生物発光レポーター酵素の使用に対する代替的ストラテジーは、グロー発光が生成され得る、合成された発光基質又はプロ発光基質、例えばプロルシフェリン(Fan及びWood、2007、Assay Drug Dev.Technol.5(1):127−136)と旧来的に化学発光反応を触媒しない分割レポーター酵素を組み合わせることによる、旧来的に化学発光反応を触媒しない分割レポーター酵素の使用である。いくつかの特許は、発光β−ラクタマーゼ基質、例えば、米国特許第5,955,604号、同第7,018,802B2号及び米国特許出願公開第20060292656A1で開示されているものの合成及び使用を開示する。最近、「Bluco」と呼ばれるβ−ラクタマーゼに対する最初の生物発光性基質が、Yaoら、2007、Angew.Chem.Int.Ed.46:1−5で文献に記載された。Blucoは、D−ルシフェリンの6−ヒドロキシ基がエーテル結合を通じてセファロスポリンとカップリングされるプロ−ルシフェリンである。β−ラクタマーゼは、β−ラクタム環を開環させるように作用し、その結果、自然発生的に断片化が起こり、それにより続いてホタルルシフェラーゼがルシフェリンにおいて作用できるようになり、結果として光放射が起こる。
【0071】
従って、本発明のアッセイ法は、ルシフェラーゼなどの生物発光タンパク質に基づくレポーターポリペプチドに限定されず、また、本明細書中で発光レポーターポリペプチドと呼ばれる適切な基質の存在下で発光シグナルを生成させ得る何らかのレポーターポリペプチドの使用も含む。従って、レポーター断片及び系に対する基礎として使用され得るレポーターポリペプチドの例には、ルシフェラーゼ(例えばホタル及びウミシイタケルシフェラーゼ)及びβ−ラクタマーゼ(例えばTEM−Iβ−ラクタマーゼ:EC:3.5.2.6)などの生物発光タンパク質が含まれる。
【0072】
上述のように、レポーターポリペプチドは、通常、それらが会合する際に元の全長ポリペプチドの活性を再構築することができる2つの断片に分割される。例えば、ルシフェラーゼ及びβ−ラクタマーゼは、通常、2つの断片、α及びω断片に分割される。2つの断片を生成させるためのこれらの様々なタンパク質のアミノ酸配列における適切な切断点は、既に記載されている。
【0073】
レポーターポリペプチド/断片は、それらがインビトロでの使用に適切であるように選択される(疑義を避けるため、本文脈において、インビトロという用語は、生きている細胞の外側でアッセイが行われることを意味する。)。このレポーターポリペプチドは、通常、例えば安定性を促進し、可溶性を向上させ及び/又は凝集を減少させるためにインビトロの使用のためのそれらの適切性を向上させるアミノ酸の変化がある野生型配列の変異体である。特に好ましい実施形態において、このレポーターポリペプチド/断片は、レポーター機能に必要とされるポリペプチドの活性、例えばβラクタマーゼ活性の酵素阻害剤などの阻害剤に対して、野生型ポリペプチドと比較して、感度が低い。このような阻害剤には、関心のある検体の存在について試験することが望ましい試料、例えば血液及び血清試料などの生体試料中で見出される化合物が含まれる。このような阻害剤の特定例は、血液試料が採取される個体への抗生物質の投与の結果として血液中で見出されるβ−ラクタマーゼ活性の阻害剤である。
【0074】
アッセイ条件下で、レポーター活性を有する活性複合体を形成するためのレポーター断片の会合には、通常、レポーター成分のその他の領域と標的検体との間の相互作用が介在する。従って、レポーター成分は、通常、インタラクター部分又はドメインを含む。
【0075】
インタラクタードメインは、関心のある標的検体に対して結合特異性を有する。インタラクタードメインには、例えば、ペプチド、糖タンパク質、多糖類、抗原、抗体及び抗体の抗原結合断片(相補性決定領域(CDR)など)が含まれる。抗原には、ウイルス又は細菌抗原などの病原体由来の抗原が含まれる。抗体/CDRには、ウイルス又は細菌などの病原体由来の抗原に結合する配列が含まれる。インタラクタードメインの特定の例には、タンパク質GのIgG結合ドメイン及び単純ヘルペスウイルス抗原(特に好ましいのは、HSV1からの短縮糖タンパク質G1エンベロープタンパク質又はHSV2からの短縮糖タンパク質G2エンベロープタンパク質であるもの、gG1のアミノ酸92から148又はgG2の551から641など)が含まれる。
【0076】
インタラクタードメインは、レポーター断片に直接連結され得るか又はリンカーを介して連結される。適切なリンカードメインには、グリシンリッチ反復配列(例えばGS反復配列−即ちGGGGS配列反復)などのペプチドが含まれる。リンカードメイン、例えばGSドメインの数は、1、2、3、4、5、6以上であり得る。ある実施形態において、グリシンリッチ反復配列の数は好ましくは2又は3であり、特にインタラクタードメインは、150又は100アミノ酸より少ないポリペプチドである。より大きいインタラクタードメインが使用される場合、リンカーの長さを延長することが所望され得る。
【0077】
ある実施形態において、リンカードメインは柔軟である。別の実施形態において、リンカードメインは柔軟性がない。
【0078】
何らかの特定のインタラクター及びレポーター断片コンストラクト及び断片対形成に対する適切なリンカードメイン配列及び/又はリンカードメイン反復数の選択は、当業者による通常の実験レベルの範囲内である。
【0079】
レポーター断片ポリペプチド、リンカードメイン及びインタラクタードメインは、レポーター成分を形成するための共有又は非共有手段により連結され得る。
【0080】
ある実施形態において、リンカードメイン及びインタラクタードメインは、ポリペプチドである。従って、レポーター成分は1個のポリペプチドであり得る。
【0081】
別の実施形態において、レポーター断片は、共役させること、例えばチオール−チオール、アミン−カルボキシル又はアミン−アルデヒド官能基を介した、例えば共有カップリングによって、インタラクタードメインと連結される。特定の例には、炭水化物基を介した糖タンパク質へのポリペプチドの架橋;例えばヘテロ二官能性クロスリンカーを用いた、アミン反応基及びスルフィドリル反応基との、一級アミン(N末端及びリジン残基で見られる。)を介した架橋;カルボキシル基を介した架橋(C末端及びグルタミン酸及びアスパラギン酸残基の側鎖として見出される。);遊離スルフィドリル基を介した架橋;及びジスルフィド変換が含まれる。
【0082】
非共有法には、アビジン−ビオチン系及びオリゴヌクレオチド−タンパク質複合体のハイブリッド形成が含まれる。
【0083】
本明細書中で使用される場合、ペプチド/ポリペプチド/タンパク質は、実質的に細胞性物質不含であるか又は化学的前駆体もしくはその他の化学物質不含である場合、「単離」又は「精製」されていると言われる。このペプチドは、均一になるまで又はその他の純度まで精製され得る。精製レベルは目的の用途に基づく。本発明における目的の用途は、特異的検体に対する均一なインビトロFECアッセイの操作可能な成分として、である。
【0084】
ある使用において、「実質的に細胞性物質不含」には、その他のタンパク質(即ち夾雑タンパク質)が約30%未満(乾燥重量)であるか、その他のタンパク質が約20%未満であるか、その他のタンパク質が約10%未満であるか又はその他のタンパク質が約5%未満である、ペプチドの調製物が含まれる。このペプチドが組み換え産生される場合、これは実質的に培地不含でもあり得、即ち、培地がタンパク質調製物体積の約20%未満であるということである。
【0085】
「実質的に化学前駆体又はその他の化学物質不含」という語は、化学前駆体又はその合成に関与するその他の化学物質からペプチドが分離される、ペプチドの調製物を含む。ある実施形態において、「実質的に化学前駆体又はその他の化学物質不含」という語は、化学前駆体もしくはその他の化学物質が約30%(乾燥重量)未満であるか、化学前駆体もしくはその他の化学物質が約20%未満であるか、化学前駆体もしくはその他の化学物質が約10%未満であるか又は化学前駆体もしくはその他の化学物質が約5%未満である、酵素ペプチドの調製物を含む。
【0086】
単離されたレポーター断片及びポリペプチドレポーター成分は、それを発現させるために改変されている細胞から精製され得るか(組み換え)又は既知のタンパク質合成法を用いて合成され得る。例えば、酵素ペプチドをコードする核酸分子を発現ベクターにクローニングし、その発現ベクターを宿主細胞に導入して、その宿主細胞中でタンパク質を発現させる。適切な宿主細胞を下記でより詳細に述べる。次に、適切なタンパク質精製技術を用いて適切な精製スキームにより、細胞からこのタンパク質を単離し得る。本発明の例示的な技術は、下記で記す実施例で詳細に述べる。
【0087】
ある態様において、レポーターポリペプチドは、本明細書中で提供されるアミノ酸配列からなるタンパク質である。あるアミノ酸配列があるタンパク質の最終アミノ酸配列である場合、このタンパク質はそのアミノ酸配列からなる。さらなる態様において、本発明は、基本的に提供されるアミノ酸配列からなるタンパク質をさらに提供する。本発明のタンパク質の機能的特性を変更しないわずか数個のさらなるアミノ酸残基とともにアミノ酸配列が存在する場合、タンパク質は、基本的にそのアミノ酸配列からなる。またさらなる態様において、レポーターポリペプチドは、提供されるアミノ酸配列を含むタンパク質である。あるアミノ酸配列があるタンパク質の最終アミノ酸配列の少なくとも一部である場合、このタンパク質はそのアミノ酸配列を含む。このような方式において、このタンパク質は、単にペプチドであり得るか又は、それと会合されるアミノ酸残基(隣接するコードされる配列)又は異種アミノ酸残基もしくはペプチド配列などのさらなるアミノ酸分子を有し得る。このようなタンパク質は、数個のさらなるアミノ酸残基を有し得るか又は数百以上のさらなるアミノ酸を含み得る。様々なタイプのこれらのタンパク質がどのように作製され得るか又は単離され得るかについての簡潔な説明を下記で与える。
【0088】
本発明で使用されるレポーターポリペプチドは、キメラ又は融合タンパク質を形成するために異種配列と連結され得る。このようなキメラ及び融合タンパク質は、酵素ペプチドと実質的に相同ではないアミノ酸配列を有する異種タンパク質と操作可能に連結される酵素ペプチドを含み得る。「操作可能に連結される」とは、それぞれの操作可能性が破壊されないように、酵素ペプチド及び異種タンパク質が融合されることを指す。異種タンパク質は、酵素ペプチドのN末端又はC末端に融合され得る。
【0089】
キメラ又は融合タンパク質は、標準的組み換えDNA技術により産生され得る。例えば、様々なタンパク質配列をコードするDNA断片は、従来技術に従い、インフレームで一緒に結合される。別の実施形態において、融合遺伝子は、自動化DNA合成装置を含む従来技術により合成され得る。あるいは、キメラ遺伝子配列を作製するために、続いてアニーリングを行い、再増幅され得る2つの連続的な遺伝子断片の間で相補的突出を生じさせるアンカープライマーを用いて、遺伝子断片のPCR増幅又は結合(ライゲーション)を行うことができる(Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、1998参照。)。さらに、融合部分を既にコードする多くの発現ベクターが市販されている。酵素ペプチドをコードする核酸は、融合部分がインフレームで酵素ペプチドに連結されるように、このような発現ベクターにクローニングされ得る(これは、各成分の操作可能を破壊することなく融合タンパク質を作製する1つの手段である。)。
【0090】
代替的配列付番スキームにおける相同位置の識別
2つのアミノ酸又はヌクレオチド配列の比較において相同である位置を調べるために、最適比較のために配列を整列させる(例えば、最適アラインメントに対して第一及び第二のアミノ酸又はヌクレオチド配列の一方又は両方にギャップが導入され得、非相同配列は比較に対して無視され得る。)。好ましい実施において、参照配列の長さの少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%以上を比較のために整列させる。次に、対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド位置のアミノ酸残基又はヌクレオチドを比較する。第一の配列での位置に、第二の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドがある場合、その分子はその位置において同一であり、その位置はこの2つにおいて相同である。2つの配列の間の%同一性は、ギャップ数及び各ギャップの長さを考慮した(この2つの配列の最適アラインメントに対して導入される必要がある。)、これらの配列が共有する同一位置の数の関数である。
【0091】
配列の比較及び2つの配列間の%同一性及び類似性の決定は、数学的アルゴリズムを用いて遂行し得る(Computational Molecular Biology、Lesk、A.M.編、Oxford University Press New York、1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith、D.W.編、Academic Press、New York、1993;Computer Analysis of Sequence Data、Part I、Griffin、A.M.及びGriffin、H.G.編、Humana Press、New Jersey、1994;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje、G.、Academic Press、1987;及びSequence Analysis Primer、Gribskov、M.及びDevereux、J.編、M Stockton Press、New York、1991)。
【0092】
例えば、ペアワイズアラインメント及び配列同一性及び相同性のレベルは、GCGソフトウェアパッケージのBestFitプログラムを用いて決定され得る。2つのアミノ酸配列間の%同一性は、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラムに組み込まれているNeedleman及びWunsch(J.Mol.Biol.48:444−453(1970))のアルゴリズムを用いて決定され得る。このアルゴリズムは通常、Blossom 62マトリクス又はPAM250マトリクスの何れか及び16、14、12、10、8、6又は4のギャップウェイト(gap weight)及び1、2、3、4、5又は6のレンスウェイト(length weight)とともに使用される。2つのヌクレオチド配列間の%同一性は、NSWgapdna.CMPマトリクス及び40、50、60、70又は80のギャップウェイト(gap weight)及び1、2、3、4、5又は6のレンスウェイト(length weight)で、GAPプログラム(Devereux、J.ら、Nucleic Acids Res.12(1):387(1984))を用いて決定され得る。
【0093】
従って、アミノ酸配列又はペプチドのある位置での置換は、アミノ酸に対する一文字表記とそれに続く関連性のある非置換配列又はペプチドの位置番号、それに続く置換アミノ酸に対する1以上の一文字表記で示される。例えば、TEM−Iβ−ラクタマーゼのα断片の位置74のバリンに対するスレオニンの置換は、V74Tと表記される。類似の表記は、本明細書中で提供される内容及びさらなる詳細から明らかとなろう。
【0094】
インビトロでのレポーター機能を向上させるためのアミノ酸修飾
本発明のアッセイでの使用のためのレポーターポリペプチド断片は、このようなアッセイでの使用のためのレポーターポリペプチドの適切性を向上させるアミノ酸配列変化又は修飾を含み得る。特に、好ましい実施形態において、レポーターポリペプチド断片の少なくとも1つは、再構成される活性レポーターポリペプチド複合体が、非修飾(例えば野生型)アミノ酸配列の阻害剤、特に血清を含む生体試料などの、試験しようとする試料において見出される物質である物質による阻害を受けにくくする、そのアミノ酸配列における変異又はそのアミノ酸配列に対する修飾を含む。
【0095】
このような変異体は通常、重要な残基又は重要な領域における1以上の非保存的アミノ酸置換、欠失、挿入、逆転もしくは短縮又は置換、挿入、逆転又は欠失を含有する。機能が変化した変異体はまた、機能を変化させないか又は僅かな変化しか起こさない、類似アミノ酸の置換も含有し得る。ある実施形態において、変異体は、1、2、3、4又は5個のアミノ酸変化を含有する。
【0096】
発明者らの同時係属出願PCT/AU2007/000508(この内容は参照により組み込まれる。)は、1個のアミノ酸置換又は、本明細書中でさらに例示されるような均一インビトロFECアッセイでの使用に特に適合される組み合わせの複数の置換を含む修飾β−ラクタマーゼペプチド配列を記載する。このような置換の具体例は、α断片のアミノ酸位置69での置換(好ましくはM69L又はM69I)(これによりβ−ラクタマーゼ阻害剤による阻害が抑制される。)及びω断片のアミノ酸位置276での置換(好ましくはN276D)(これによってもまた、β−ラクタマーゼ阻害剤による阻害が抑制される。)である。その他の例は、アミノ酸位置74、182、208、211及び230の1以上(V74T、M182T、I208T、M211Q及びF230Yの好ましくは1以上)での置換から選択される。
【0097】
さらなる例は、アッセイを改善させ得る疎水性が低いと考えられる何らかの残基に対する次の疎水性アミノ酸残基の突然変異である:V44、Y46、L49、L51、F66、V74、L81、F151、P183、V184、A187、L190、L194、L198、L199、L207、I208、W210、M211、A232、I247、A249、P257、I260、I261、I262、I263、Y264、I282、L286(特に太字及び下線付きの残基)。
【0098】
与えられるアミノ酸付番は、PCT/AU2007/000508の配列番号1及び3で示される野生型TEM−1βラクタマーゼ配列を基準にする。しかし、当然のことながら、同等の位置で相同βラクタマーゼ配列にも修飾が適用され得る(配列アラインメントによる同等位置の決定に対する前記セクション参照)。
【0099】
上述のように、位置124のシステインのアラニンへの突然変異により、ウミシイタケルシフェラーゼ安定性及び光出力に対して、安定性を向上させることができる(Liuら、1999、Gene 237:153−159)。光強度及び反応時間の点で異なるセレンテラジンの類似体と組み合わせて使用される場合、いくつかの補助的突然変異の使用により、ウミシイタケルシフェラーゼ安定性及び光出力に対してさらなる改善を行うことができる(Loeningら、2006、Protein Eng.Des.Sel.19(9):391−400及びLoeningら、2007、Nat.Methods 4(8):641−643)(図3)。
【0100】
均一アッセイなど、インビトロアッセイでの使用に対する特性が向上した修飾レポーター断片は、様々な技術を用いて得ることができる。例えば、部位特異的突然変異誘発によって配列変化を導入し得る。適切な部位の選択は、例えば、X線結晶解析又はNMRなどの技術により調べられる構造情報を含んだ一次アミノ酸配列及び/又は二次/三次構造情報により判断され得る。例えば、阻害を受けにくくなっている変異体の設計を支援するために、酵素の活性部位の3D構造を使用することができる(例えば、Jelsch、C.F.Lenfantら、1992、FEBS Lett 299(2):135−42に記載のようなTEM1の結晶構造参照)。
【0101】
特性が改善された修飾レポーター断片はまた、無作為突然変異誘発又は定方向分子進化などの技術及び続く所望の特性を有する変異体の選択によっても得ることができる(例えば、未修飾タンパク質の阻害剤の存在下で酵素活性について変異体を試験することによる。)。
【0102】
本発明において有用なさらなる修飾には、20種天然アミノ酸と一般に呼ばれる20種類のアミノ酸以外のアミノ酸を含有する配列が含まれ得る。さらなる修飾には、以下に限定されないが、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドもしくはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質もしくは脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトールの共有結合、架橋、結晶化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、γカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニン化などのタンパク質に対するアミノ酸のトランスファーRNA介在付加及びユビキチン化が含まれる。
【0103】
従って、本発明での使用のためのペプチド及びコンストラクトはまた、置換されたアミノ酸残基が遺伝暗号によりコードされるものではなく、置換基が含まれ、成熟酵素ペプチドが、酵素ペプチドの半減期を延長させるための化合物(例えば、ポリエチレングリコール)などの別の化合物と融合されるか、又は、リーダーもしくは分泌配列又は成熟酵素ペプチドの精製のための配列又はプロタンパク質配列など、さらなるアミノ酸が成熟酵素ペプチドに融合される、誘導体又は類似体も包含する。
【0104】
グロー発光インビトロFECアッセイ
本発明は、検体の有無がグロー発光シグナルを検出することにより測定される、試料中の関心のある検体を検出するためのインビトロFECアッセイに関する。
【0105】
本方法は、一般に、上述のように、試料中の関心のある検体の存在下で酵素活性を再構成することができる発光レポーター成分と試料を接触させることを含み、ここで、酵素活性は、発光シグナルを生成させるために、反応混合物中に存在する適切な基質において作用し得る。従って、関心のある検体が試料中に存在する場合、反応混合物中で基質において作用する活性酵素が生成し発光シグナルが生成される。次にこのシグナルを検出する。
【0106】
本明細書中に記載のように、インビトロアッセイ条件は、生成されるシグナルが、フラッシュ発光ではなくグロー発光を含むようなものである。使用されるアッセイ条件は、検出可能なグロー発光シグナルに加えて、フラッシュ発光シグナルが生成される可能性を必ずしも排除する必要はなく、ある実施形態においては、関心のある検体の存在下で両タイプのシグナルが生成され得る。
【0107】
関心のある検体には、環境又は生体試料中に存在するものが含まれる。生体試料には、全血、血清、唾液及び尿が含まれる。「インビトロ」という用語は、本状況において、細胞不含アッセイなど、生きている細胞の外側でアッセイが行われることを意味するものとする。関心のある検体には、病原体に対する抗体などの抗体、病原体由来の抗原などの抗原、ホルモンなどの臨床マーカー及び宿主分子、例えば前立腺特異的抗原及びその他の疾患関連診断マーカー分子が含まれる。「病原体」という用語には、ウイルス、細菌及びプリオンが含まれる(例えば単純ヘルペスウイルス及び肝炎ウイルス、例えばHBV及びHCVなど)。
【0108】
適切な発光レポーター成分を上記で詳細に記載する。使用される基質は、関心のある検体の存在下で発光レポーター成分の会合により再構成される酵素活性のタイプに依存し、基質における再構成酵素の作用が発光シグナルを生じさせるように選択される。例えば、ウミシイタケなどの生体由来ルシフェラーゼの場合、基質は、通常、セレンテラジン又はその類似体、例えば図3で示される類似体の1つなどであり、セレンテラジン類似体f、h及びnが特に好ましい。ホタルルシフェラーゼの場合、基質は通常、ルシフェリン又はその類似体である。
【0109】
適切な化学発光基質はまた、例えばプロ−ルシフェリンなど、β−ラクタマーゼなどの非生物発光酵素に対しても設計され得る(Fan及びWood、2007、Assay Drug Dev.Technol.5(1):127−136)。いくつかの特許は、例えば米国特許第5,955,604号、同第7,018,802号及び米国特許出願公開第20060292656で開示されるものなど、発光β−ラクタマーゼ基質の合成及び使用を開示する。最近、Yaoら、2007、Angew.Chem.Int.Ed.46:1−5の文献において、「Bluco」と呼ばれるβ−ラクタマーゼに対する最初の生物発光性基質が記載された。Blucoは、D−ルシフェリンの6−ヒドロキシ基がエーテル結合を通じてセファロスポリンにカップリングされるプロ−ルシフェリンであり、β−ラクタマーゼはβ−ラクタム環を開環するように作用し、その結果、自然な断片化が起こり、続いてホタルルシフェラーゼがルシフェリンにおいて作用することができるようになり、その結果、光が放射される。
【0110】
インビトロアッセイのために必要とされるレポーター成分の量は、一般に、インビボで見られるものよりも高い。例えば、反応混合物中のポリペプチドなどのレポーター成分の濃度は、少なくとも1pM、例えば少なくとも10もしくは100pM又は1もしくは10nMなどであり得る。
【0111】
グロー発光に基づくFECアッセイの開発において、発明者らは、グロー発光シグナルを増強する一連のアッセイ条件を決定した。これらのアッセイ条件には、次の1以上の存在及びその何らかの組み合わせ、特に(i)、(ii)及び(iii)が含まれる:
(i)還元剤:増強グロー発光シグナルの生成のために1又は還元剤を含むことが重要であることが分かった。本明細書中で指示される場合、還元剤は、タンパク質ジスルフィド結合において可逆的に作用し得、従って、チオール還元剤、例えばDTT及び関連化合物ならびに2−メルカプトエタノール及び関連化合物及びホスフィン及び関連化合物などを含む。還元剤の好ましい総濃度は約1から約2%w/vである。しかし、最適濃度は、ある種の系に対して実験的に、例えば実施例に記載の手順を用いて、決定され得る。
【0112】
(ii)変性剤:1以上の変性剤は、好ましくは、互いに対するレポーター酵素断片の自然な親和性(自然発生的な相補性)を低下させるために含まれる。変性剤には、尿素、チオ尿素及びグアニジン塩酸塩が含まれ、チオ尿素が特に好ましい。変性剤の総濃度は、約1から約2%w/v、例えば約1.3から約1.6w/vであり得る。しかし、繰り返すが、最適濃度は、ある種の系に対して実験的に、例えば実施例に記載の手順を用いて、決定され得る。
【0113】
(iii)界面活性剤:タンパク質−タンパク質相互作用、特にレポーター断片の自己会合を減少させるために、好ましくは1以上の界面活性剤が含まれる。好ましい界面活性剤は、好ましくは約0.1から約0.2%w/vの総濃度の、アミノスルホベタイン−14,3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、[(3−[3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)及び塩酸のその他のスルホベタイン誘導体などの非変性両性イオン界面活性剤である。繰り返すが、最適濃度は、ある種の系に対して実験的に、例えば実施例に記載の手順を用いて、決定され得る。
【0114】
(iv)塩:これは、好ましくは約0.25Mから0.5Mの濃度で含まれる。NaClは、好ましい例であるが、その他の塩を使用し得る。最適濃度は、ある種の系に対して実験的に、例えば実施例に記載の手順を用いて、決定され得る。
【0115】
(v)緩衝液としてのTris HCl。これにより、リン酸ナトリウム又はカリウム緩衝液と比較して結果が改善されることが示された。使用されるTris HClの濃度は、通常、約20mMから約200mMの範囲、例えば約50mMなどである。反応混合物のpHは、好ましくは、約6.5から約8.0、例えば約6.8から約7.5である。最適濃度及びpHは、ある種の系に対して実験的に、例えば実施例に記載の手順を用いて、決定され得る。
【0116】
(vi)金属キレート剤:EDTA及びその変異体などの1以上の金属キレート剤、例えばEGTA。これは、血液試料などの試験しようとする試料が金属イオンを含む場合、特に適切である。通常、金属キレート剤の総濃度は、約1mMから10mM、例えば7mMから9mM、例えば約5mMである。最適濃度は、ある種の系に対して実験的に、例えば実施例に記載の手順を用いて、決定され得る。
【0117】
照度計など、当業者にとって公知の方法を用いて、関心のある検体が存在する結果起こる光放射を検出することができる。
【0118】
上記の様々なアッセイ条件は、好ましくは、関心のある検体の存在下で、少なくとも5分間、より好ましくは少なくとも10分間、グロー発光の発光時間が延長されるように選択される。
【0119】
光放射の速度は、因子の中でも、積分時間、断片濃度及び基質濃度に関連する。しかし、好ましい光放射速度は、速度論的定量に対して、2、5、10、20又は50mRLU/分より大きいなど、1mRLU/分より大きく;エンドポイント定量に対して、2、5又は10RLUより大きいなど、1RLUより大きい。好ましいシグナル対ノイズ比は、速度論的定量及びエンドポイント検出方式の両方に対して2より大きく、例えば5又は10より大きい。
【0120】
本発明の方法は、インビトロ均一アッセイ及びインビトロ不均一アッセイの両方に適用され得、後者は、少なくとも1つのレポーター断片又はレポーター成分が固相に固定化される場合である。
【0121】
ある実施形態において、例えばマイクロタイタープレートの異なるウェルにおいて、複数の反応容器中で、平行して、本アッセイを行う。例えば、実質的に同時に、少なくとも6個のウェルで、例えば少なくとも10又は12個のウェルなどで、アッセイを行い得る。長時間発光型グロー発光シグナルの生成により、シグナルが減衰する前に、全てのウェルで発光シグナル読み取り能が向上する。
【0122】
ある実施形態において、個別の発光シグナル、例えば二重グローシグナル(ホタルルシフェラーゼにより生じるグローシグナル及びウミシイタケルシフェラーゼにより生じるグローシグナルなど)を生成させる様々なレポーター成分を用いて同じ反応において複数の検体を検出する。1つの試料内での2つの独立する検体の同時検出は、多重化(multiplexing)として知られている。代替的な実施形態において、様々なレポーター成分(このうち少なくとも1つは長時間発光型グロー発光シグナルを生成させ得、少なくとも1つは比色シグナルなどの非発光シグナルを生成させ得る。)を用いて、同じ反応において複数の検体を検出する。
【0123】
キット
本発明ははまた、関心のある検体の存在下でのグロー発光シグナルの生成に必要なその他のキット成分と一緒に、キットとしてレポーター断片及び/又はレポーター成分も提供する。このようなキットには、基質において結果として得られる活性酵素の作用を通じてグロー発光シグナルを生成させるために、試料中の関心のある検体の存在下で、検体とのレポーター成分のインタラクタードメインの親和性を通じてレポーター成分が会合できるようにするインビトロアッセイ条件を提供するための試薬と一緒に、上述のレポーター成分が含まれる。この試薬には、上記の項目(i)から(vi)で記載される様々な成分の1以上が含まれる。ある実施形態において、使用前に希釈される濃縮反応緩衝液、例えば2xから20x濃縮液、例えば5xから10x濃縮液など、として試薬が提供される。
【0124】
アッセイ試薬保存組成物
本発明の別の態様は、タンパク性のレポーター成分の保存の改善に関する。特に、本発明は、(i)約10nMより高い総濃度の1以上のレポーターポリペプチド及び(ii)1以上の糖及び/又は1以上の不活性タンパク質を含むアッセイ試薬保存組成物を提供する。糖及び/又は不活性タンパク質は、保存中(例えば約4℃)にレポーターポリペプチドの半減期を安定化/延長するために、及び場合によってはまたレポーターポリペプチド凝集を減少させるためにも使用される。
【0125】
本発明の保存組成物との関連で、レポーターポリペプチドには、上述のような発光レポーターポリペプチド及びレポーターポリペプチドのその他のタイプの両方が含まれる。好ましい実施形態において、少なくとも1つのレポーターポリペプチド又はレポーターポリペプチド対は、インビトロ強制酵素再構成アッセイに対するルシフェラーゼレポーターポリペプチなどの発光レポーターポリペプチドである。特定の実施形態において、ルシフェラーゼはウミシイタケルシフェラーゼである。
【0126】
1以上のレポーターポリペプチドは、約20、30、40又は50nMを超えるなど、約10nMより高い総濃度で組成物中に存在する。
【0127】
1以上の糖は、好ましくは、スクロース、トレハロース及びそれらの混合物からなる群から選択される。スクロースが特に好ましい。
【0128】
ある実施形態において、1以上の糖の総濃度は、少なくとも約50mM、例えば少なくとも約100、250又は500mMなどである。1以上の糖の総濃度は、約5M以下、例えば約2.5M以下であり得る。ある実施形態において、1以上の糖の総濃度は1Mから2.5Mである、
1以上の不活性タンパク質は、血清アルブミン、ゼラチン及びそれらの混合物からなる群から選択される。「不活性タンパク質」という用語は、そのタンパク質がレポーターポリペプチド、関心のある検体又は基質と反応しないことを意味する。
【0129】
血清アルブミンは、好ましくはウシ血清アルブミンである。ゼラチンの特定の例は魚ゼラチンである。
【0130】
ある実施形態において、1以上の不活性タンパク質の総濃度は、少なくとも約0.2mg/mL、例えば少なくとも約0.4又は0.5mg/mLである。
【0131】
ここで、単なる実例であり非限定的な次の実施例を参照して本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0132】
ネイティブウミシイタケルシフェラーゼ(RLuc)の位置229のグリシンと位置230のリジンとのの連結部の間への切断点の導入(図4)の結果、最適なα及びω断片が生成する。RLucの代替的な切断点の位置、例えば、位置91のセリンと位置92のチロシンとの間の切断点(これも本発明で示される。)由来のFECアッセイでもまた、操作可能な断片が生成する。可溶性、安定性、感度及び/又は酵素阻害剤に対する耐性に対処するための突然変異の組み合わせと併せて、機能的に必要とされるように、操作可能なFECアッセイ(図5)を設計し得る。インビトロでの改変断片の機能性は、主に、反応条件及び組成物に依存し、これなくして、グロー発光検出及び関連のあるFECシグナル対ノイズ比を得ることはできない。
【0133】
実施例1
グロー発光を用いた抗体検出に対する均一インビトロウミシイタケルシフェラーゼFECアッセイ
本明細書中で概説される手段は、アミノ酸229/230で全長親酵素を分割することにより生成するRLuc断片の合成及び特性化を述べる。α断片(アミノ酸残基2−229)は、続いて、切断点末端で、フレキシブルリンカー(GS)、HSV−1(配列番号1、2及び3)又はHSV−2(配列番号4、5及び6)短縮抗原及びポリヒスチジンタグ(6H)に並列させた。酵素安定性を促進するために、α断片に単一点突然変異、C124Aを導入し、HSV−1及びHSV−2検出に対してそれぞれ、RLuc_α229P1及びRLuc_α229P2が生成された。ω断片(アミノ酸残基230-311)の切断点末端でのポリヒスチジンタグ(6H)、フレキシブルリンカー(GS)及びタンパク質Gサブユニット(配列番号7及び8)の導入の結果、RLuc_230ωProGと呼ばれる、IgG抗体結合レポーター酵素断片が生成された。フレキシブルリンカー(GS)、ポリヒスチジンタグ(6H)、点突然変異及び検体相互作用部分の位置を示すDNA配列データを与える。本発明で改変されたRLucコンストラクトの概略図を図6で示す。全てのプラスミドの構築のために使用される対応する特注のオリゴヌクレオチドプライマー(Sigma−Genosys、Australia)を表2で挙げる。これらの断片対メンバーを単離し、精製し、均一インビトロアッセイ方式で抗体検体(ヒスチジンタグに結合する抗ペンタ−ヒスチジンモノクローナル抗体)の存在下で強制酵素再構成を示すために使用した。
【0134】
ウミシイタケルシフェラーゼ合成的合成
最適E.コリ発現のために、DNA2.0(Menlo Park、U.S.A.)により、折り畳み及び安定性向上のためのC124A突然変異(配列番号9及び10)を組み込む全長RLucをコードするコドン最適化遺伝子を合成した。フィルターディスク上に合成pJ36−RLucプラスミド(2μg)を添加し、QIAprepスピンミニプレップキット(Qiagen、Australia)を用いてこれを精製したが、これは、適切な緩衝液中でフィルターディスクを温置し、QIAprepスピンカラムに上清を置き、製造者の説明書に従い精製を完遂することによって行った。製造者の説明書に従い、精製プラスミドをXL1−Blueコンピーテント細胞(Stratagene、c/o Integrated Sciences、Australia)に形質転換した。プラスミドが存在することを確認するためにコロニーをスクリーニングし、DNA配列決定によって(プライマー RLuc1及びRLuc2−表2を用いて)配列が完全であること調べた。
【0135】
タンパク質発現のための全長ウミシイタケルシフェラーゼのpET26サブクローニング
NdeI及びXhoI制限エンドヌクレアーゼ(New England Biolabs、c/o Genesearch Pty Ltd、Australia)での消化によってpJ36−RLucからRLucを切り出し、NdeI及びXhoIで消化したpET−26b(+)ベクター(Novagen、Australia)(E.コリでの組み換えタンパク質の誘導発現を可能にする原核発現ベクター)に結合させた。製造者の説明書に従い、結合プラスミドでBL21−Gold(DE3)コンピーテント細胞(Stratagene)を形質転換した。NdeI/XhoIでの制限消化によって、pET−26b(+)ベクター内にクローニングされた挿入配列が存在することを確認するために、各形質転換からの5個から10個のコロニーをスクリーニングし、ゲル電気泳動により消化産物を分析した。DNA配列決定によって(プライマー、RLuc1及びRLuc2−表2を用いて)、陽性のクローンもまた確認した。
【0136】
RLucα及びω断片の生成
全ての増幅は、製造者の推奨に従い、Platinum Taq DNAポリメラーゼ(Invitrogen、Australia)を用いて行った。特異的プライマー(PCRに対して使用されるプライマーの説明のための表2−プライマー配列参照)を用いて、全長酵素からの適切な領域のPCR増幅によって、RLuc断片を作製した。RLuc切断点、S91/Y92及びG229/K230の両方に対して、HSV−1及びHSV−2両方に対する抗体均一アッセイのための試薬を構成した。
【0137】
pET−RLuc α91P1、pET−RLuc_α91P2、pET−RLuc_α229P1、pET−RLuc_α229P2の構築
フォワードプライマーRLuc3及びリバースプライマーRLuc4を用いて、RLuc_α91(残基2−91)を増幅させ、フォワードプライマーRLuc3及びリバースプライマーRLuc7を用いて、C124A突然変異を組み込むRLuc_α229(残基2−229)を増幅させた。QIAquick PCR精製キット(Qiagen)を用いて反応チューブから増幅産物を直接精製し、続いてNdeI/KpnIで消化し、C末端HSV−1及びHSV−2特異的カセット[(GS)リンカー、短縮HSV抗原(P1及びP2)、GSリンカー及びヒスチジンタグ(6H)]をコードする、NdeI/KpnIで消化した各ユニバーサルpET−αP1及びpET−αP2プラスミドにクローニングし、それぞれ、pET−RLuc_α91P1(配列番号19及び20)、pET−RLuc_α229P1(配列番号21及び22)、pET−RLuc_α91P2(配列番号23及び24)及びpET−RLuc_α229P2(配列番号25及び26)を得た。連結したプラスミドでBL21−Gold(DE3)コンピーテント細胞を形質転換し、クローニングされた挿入物が存在することを確認するために、各形質転換からの選択コロニをスクリーニングした。DNA配列決定により(プライマー、RLuc1及びRLuc2−表2を用いて)陽性クローンを再び確認した。
【0138】
pET−RLuc_ω92ProG及びpET−RLuc_ω230ProGの構築
フォワードプライマーRLuc5及びリバースプライマーRLuc6を用いて、C124A突然変異を組み込むRLuc_92ω(残基92−311)を増幅させた。フォワードプライマーRLuc8及びリバースプライマーRLuc6を用いて、RLuc_230ω(残基230−311)を増幅させた。NdeI/XhoIで増幅産物を消化し、N末端タンパク質Gサブユニット特異的カセット[ヒスチジンタグ(6H)、GSリンカー、タンパク質Gサブユニット(ProG)及び(GS)リンカー]をコードするNde/XhoI消化したユニバーサルpET−ωProGプラスミドにそれぞれをクローニングし、pET−RLuc_92ωProG(配列番号27及び28)及びpET−RLuc_230ωProG(配列番号29及び30)を得た。連結したプラスミドでBL21−Gold(DE3)コンピーテント細胞を形質転換し、クローニングされた挿入物が存在することを配列確認によって確認するために、(プライマーRLuc1及びRLuc2−表2を用いて)各形質転換からの選択コロニーをスクリーニングした。
【0139】
【表2】

【0140】
カセットドメインをコードするユニバーサルプラスミド
融合コンストラクトの操作を単純化するために、様々なドメイン配列の置換を可能にするための、酵素断片、リンカー及び結合部分の間に位置する制限エンドヌクレアーゼ部位を組み込むDNA2.0(Menlo Park、U.S.A.)によって、ユニバーサルαP1/2及びωProG融合遺伝子を合成した。α配列、(GS)リンカー及び、pET−26b(+)のNdeI/XhoI部位への結合のために何れかの末端にNdeI及びXhoI部位が付いた抗原コード部分の間にKpnI、BamHI及びSpeI部位を有するように、ユニバーサルαP1/2コンストラクト、pET−αP1/2を設計した。同様に、ProG、(GS)リンカー及び、pET−26b(+)のNdeI/XhoI部位への結合のために何れかの末端にNdeI及びXhoI部位があるωコードドメインの間に挿入されたBamHI、SpeI及びNheI部位を有するように、ユニバーサルωProGコンストラクト、pET−ωProGを設計した。ベクターNTI(Invitrogen)を用いて、E.コリのコドン使用表を使用し、公開されているアミノ酸配列(Gulichら、2002、Protein Eng.15(10):835−42)の戻し翻訳(back translation)によって、ストレプトコッカス株G148タンパク質GのC2 IgG−結合ドメインをコードする配列を得た。ドメイン間にある隣接する制限エンドヌクレアーゼ部位の位置は、本発明の添付される配列(配列番号19、21、23、25、27及び29)において文字に下線を付して示す。
【0141】
HSV−1及びHSV−2抗原性ペプチド設計
血清中のHSV−1及びHSV−2に対する抗体の間で検出及び区別を行うために、2種類のタイプ特異的短縮HSV抗原を検体結合部分として設計した。HSV−1特異的抗原(配列番号1、2及び3)は、糖タンパク質G1(gG1)の残基92−148からなる。gG1のこの領域は、免疫優勢エピトープ(残基112−127)及び、ヒトにおいてHSVタイプ1特異的反応をもたらすことが知られている第二のエピトープ内の2つのキーとなるアミノ酸を含有する。HSV−2特異的ペプチド(配列番号4、5及び6)は、糖タンパク質G2(gG2)の残基551-641から構成され、ヒトにおいてHSVタイプ2特異的反応をもたらすことが知られている2つの免疫優勢エピトープ(残基561−578及び626−640)からなる。
【0142】
α及びωRLuc断片の発現
BL21−Gold(DE3)における断片の発現を次のように行った:カナマイシン50μg/mを添加したLBブロス10mLに関心のある1個のコロニーを接種し、液体培養物を250rpmで振盪しながら37℃で一晩(〜14時間)温置した。カナマイシン50μg/mを添加したOvernight Express Instant TB培地(Novagen、Australia)250mLへと一晩培養物を1:25に希釈し、続いて37℃、250rpmで24時間、温置した。2,057gで30分間(4℃)、細胞をペレット化し、−20℃で6ヶ月未満保存した。
【0143】
α及びωレポーター断片の精製
全ての酵素断片(RLuc_α91P1、RLuc_α229P1、RLuc_α91P2、RLuc_α229P2、RLuc_92ωProG及びRLuc_230ωProG)を変性条件下で抽出し、1mL HisTrap HPカラムにおいて再折り畳みを行った(GE Healthcare、Sydney、Australia)。抗ペンタ−ヒスチジンモノクローナル抗体との強制酵素再構成においてそれらの触媒速度及びシグナル対ノイズ比を直接比較するために、全ての精製タンパク質の特性を調べ、同様にしてアッセイした。
【0144】
変性条件下での組み換えタンパク質の抽出
250mLの一晩誘導物からのペレットを溶解緩衝液(6M GuHCl、100mMリン酸ナトリウム、200mM L−アルギニン、20mMイミダゾール、2mM DTT pH8)10mL/g(湿潤ペレット重量)で溶解させた。100rpmで振盪しながら4℃で1時間温置した後、Branson250超音波処理装置を用いて、氷浴中で30秒オン/30秒オフ5サイクル(70%負荷サイクル)で、各縣濁液を超音波処理した。18,514gで4℃にて30分間遠心することによって、可溶性タンパク質を回収した。上清(10mL)を0.2μmフィルターに通した。
【0145】
RLuc_αP1、RLuc_αP2及びRLuc_ωProGの固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)及びカラム上での再折り畳み
FPLCに対して使用されるクロマトグラフィー装置及びカラムは、GE Healthcare(Sydney、Australia)の製品であった。4℃にて、Unicorn5.1コントローラーソフトウェアを用いてAKTA−精製装置の制御下で1mL HisTrapTMHPカラムを用いて融合タンパク質を精製した。1mL/分の流速で勾配緩衝液(8M尿素、100mMリン酸ナトリウム、200mM L−アルギニン、pH8)10カラム体積(CV)でHisTrapカラムを平衡化した。注入バルブ(INV−907)を介して試料を直接注入するために、1mL/分で50mLスーパーループを用いて、透明化E.コリ溶解物をカラムに直接載せた。1mL/分で、8M尿素、100mMリン酸ナトリウム、200mM L−アルギニン、pH8から100mMリン酸ナトリウム、200mM L−アルギニン、pH8まで20CV勾配を通じて、結合タンパク質を再び折り畳ませた。50mMイミダゾール、100mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、pH7.5 10CV、続いて100mMイミダゾール、100mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、pH7.5の第二の10CV洗浄で、カラムから洗浄夾雑タンパク質を洗浄除去した。500mMイミダゾール、100mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl、pH7.5 10CVでヒスチジンタグ付加タンパク質を溶出し、1mL分画になるように回収した(図7及び8)。NuPAGE(R)Novex4−12%Bis−Trisゲル(Invitrogen)を用いて、SDS−PAGEにより、各クロマトグラフィー操作からの分画を純度について評価した。タンパク質ピークを含有する分画(2.5mL)を集め、PD10カラム(GE Healthcare)を用いて50%グリセロール、50mMリン酸ナトリウム、pH7.0に緩衝液交換し、−20℃で保存した。−20℃での保存前にBradfordアッセイ(Pierce、c/o Quantum Scientiric、Australia)を用いてタンパク質を定量した。
【0146】
ゲルろ過
ある場合には、酵素断片のアフィニティー精製後、Unicorn 5.1コントローラーソフトウェアを用いて、AKTA−精製装置の制御下で、Superdex 200GLカラムを用いて、プール溶出物をサイズ排除クロマトグラフィーに共した。精製酵素断片のポリッシング(夾雑タンパク質の除去)又はカラム上での再折り畳みの何れかの後の凝集酵素断片に対する単量体の割合を調べるために、ゲルろ過を使用した。このプロトコールは次のとおりであった:0.6mL/分での50mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH7 2CVによる平衡化;0.6mL/分での試料250−500μLの注入;及び0.6mL/分での50mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、pH7 1CVの定組成フロー。典型的な結果として図8参照。
【0147】
質量分析
Institute for Molecular Bioscience、University of Queensland、AustraliaのHPLC/TOF質量分析サービスを用いて、精製タンパク質の分子量を確認した。個々の実験データを回収し、理論的分子量値と比較するために分析した。
【0148】
全長ウミシイタケルシフェラーゼを用いたグロー発光の開発
診断目的のための発光シグナル検出の使用には、高い試料処理性及び高スループットに適合する読み取り易い方式が必要である。全長RLucからの発光は通常、秒又はミリ秒内に最大光強度に到達するフラッシュ発光として記録される。光放射の速度ゆえに、この反応は、光検出装置の直前で開始され記録される(基質添加と検出との間の時間間隔が試料間で一定に維持される。)必要がある。代替的検出法はグロー発光、定常速度論的シグナル(steady state kinetic signal)である。検出チャンバーの外側で反応を開始することができ、より感度が高く再現性の高い結果が得られるので、一定シグナルは好ましい。発明者らは、グロー発光を生じさせるための反応条件を順応させるために市販のウミシイタケルシフェラーゼアッセイ系(Promega、Sydney、Australia)と組み合わせて全長RLucを用いてアッセイを行った。以前の開示、米国特許第5,618,682号及び同第6,171,809号は、それぞれホタルルシフェラーゼ及びウミシイタケルシフェラーゼに対する、フラッシュ発光シグナルのグローシグナルへの変換のためのジチオスレイトール(DTT)及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の使用を示した。
【0149】
本明細書中に記載のようにアッセイを行った。96ウェル白色Costarプレート(Corning、Australia)中の100μLの最終反応体積中で、リン酸ナトリウム pH7とRLuc(20nM)を組み合わせた。5mM DTT、1xPromega溶解緩衝液(PLB、特許組成物)、5mM EDTA及び対照血清(1/100)の組み合わせを添加し、Promegaアッセイ緩衝液(特許組成物)の使用と比較した。反応設定後すぐに、100xアッセイ基質(Promega、特許組成物)1μLを添加し、LmaxII384照度計(Molecular Devices、Melbourne、Australia)を用いてウェルあたり1秒積分で10分間にわたり光放射を測定した。グロー発光の程度を調べるために、SoftMaxPro V5ソフトウェアを用いて速度(mRLU・分−1)を計算した。
【0150】
【表3】

アッセイ結果(表3)は、効果を促進する、EDTA及び血清でのグロー発光の生成に対するDTT及び溶解緩衝液の両方の要件を示す。
【0151】
酵素断片再構成
抗ペンタ−ヒスチジンモノクローナル抗体(His MAb;Merck、Australia)に結合し得るポリヒスチジンタグ(6H)を含有する精製α及びω断片は、2つの代替的分割点(S91/Y92及びG229/K230)により生じる断片の機能性を比較するために使用した。さらに、最適な試薬組成物を評価し決定するために、シグナル(His MAb強制酵素再構成)及びノイズ(His MAbなしの自発的な酵素再構成)における様々な基質及び緩衝添加物の影響を調べた。
【0152】
分割点S91/Y92とG229/K230との間のHis MAb介在性FECの比較
下記で示されるようなウミシイタケルシフェラーゼアッセイキット(Renilla Luciferase Assay Kit)(Promega、Sydney、Australia)からの成分を用いて、96ウェル白色Costarプレート(Corning、Australia)中でRLuc FECアッセイを行った。0.5xPLB、0.5xPBS pH7.3、0.5M NaCl及びHis MAb検体(図9で示されるように、5nM→25nM)を含有する200μLの最終反応体積に、可変α(RLuc_α91P1又はRLuc_α229P1)及びω(RLuc_ω92ProG又はRLuc_ω230ProG)断片濃度(図9で示されるように5nM→50nM)を添加した。プラットフォームロッカー上で、この反応を室温(RT)にて30分間温置した。次に、2.5mMの最終濃度に対してDTTを添加し、次いで100xPromegaアッセイ基質1μLを添加した。LmaxII384照度計(Molecular Devices、Melbourne、Australia)を用いてウェルあたり1秒積分で10分間にわたり光放射を測定した。シグナル対ノイズ比を計算するために、最初の20Vmax点にわたり速度(mRLU・分−1)を計算した(SoftMaxPro V5ソフトウェアを使用)。
【0153】
図9で与えられるシグナル対ノイズ比は、G229/K230で分割された5nM断片とS91/Y92で分割された50nM断片との間で同等であったことが分かった。G229/K230で分割された5nM断片により放射された光もまた、S91/Y92で分割された50nM断片により放射される光と同様であり、ゆえに、特に20nM断片のS91/Y92光放射が1RLU以下であり、5nM断片の光放射は検出不能であったので、G229/K230分割点は、His MAb介在FECを行う能力が優れている。
【0154】
アッセイ感度の改善のための、G229/K230で分割されたRLuc断片の、His MAb介在インビトロFECの最適化
従来から1xMatthew’s緩衝液(Matthewsら、1977、Biochemistry 16(1):85−91)として知られるウミシイタケルシフェラーゼインビトロアッセイ緩衝液は、
100mMリン酸カリウム pH7.6
500mM塩化ナトリウム
1mMエチレンジアミン四酢酸2ナトリウム塩(NaEDTA)
0.02%w/vウシ血清アルブミン(BSA)
0.6mMアジ化ナトリウム(NaN
からなる標準的組成を有する。
【0155】
さらにMatthew’s溶解緩衝液(Promega technical manual Part#TM055)は、
150mM 4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスロン(ethanesulonic)酸(HEPES)pH8、
0.25%オクチルフェノールエトキシレート(Triton X−100)
1mg/mLブタゼラチン
10%グリセロール
0.05%消泡剤289
からなる組成を有する。
【0156】
RLuc_α229P1及びRLuc_ω230ProG His MAb強制断片再構成のシグナル対ノイズ比を改善するために、基準(ここから成分を変更する。)として標準的ウミシイタケルシフェラーゼインビトロアッセイ緩衝液(1xMatthew’s緩衝液)及びMatthew’s溶解緩衝液を使用した。よって、様々な緩衝液及び、塩、金属キレート剤、溶媒、界面活性剤及びタンパク質変性剤などの緩衝添加物の影響を調べた。本明細書中に記載のようにアッセイを行った。
【0157】
示されるように、ウミシイタケルシフェラーゼアッセイキット(Promega、Sydney、Australia)からの成分を用いて、上述のような96−ウェル白色Costarプレートにおいて、RLuc FECアッセイを行った。アッセイ緩衝液(表4参照)、1xPLB、0.5M NaCl、5mM EDTA、5mM DTT及び対照血清(1/100)を含有する100μLの最終反応体積に、5nM α(RLuc_α229P1)及びω(RLuc_ω230ProG)断片を添加した。すぐに、反応設定後、His MAb(5nM)を添加し、撹拌せずに反応物をRTで10分間温置した。Promega100xアッセイ基質(反応あたり1μL)を添加し、速度論的読み取りのためにウェルあたり1秒積分で10分間にわたり光放射を測定した。続いて、LmaxII384照度計(Molecular Devices、Melbourne、Australia)を用いて、5秒積分でエンドポイント読み取りを行った(速度論的読み取りの終了時)。シグナル対ノイズ比を調べるために、最初の50−100のVmax点にわたり(SoftMaxPro V5ソフトウェアを用いて)、速度(mRLU・分−1)を計算した。各反応成分を個々に試験し、必要に応じて成分を置き換えた。具体的反応条件を下記で述べる。
【0158】
緩衝液比較
最初に、上述のように最適なシグナル対ノイズ比を得るために、ベース緩衝液及びpHを評価した。リン酸カリウム(KPi)pH7.4、リン酸ナトリウム(NaPi)pH7.4、トリス塩酸塩(Tris HCl)pH7.4及びPromegaアッセイ緩衝液(pH不明)を含む4種類の緩衝液を試験した。次に最良の緩衝液(表4)を選択し、6−8.5のpH範囲を評価した(表5)。
【0159】
【表4】

【0160】
【表5】

【0161】
実験結果から、1/100希釈血清の存在下で、ある種の緩衝液の使用が(His MAb強制酵素再構成により生成される)発光シグナルの速度に影響を与えること、ならびに、自然発生的/自己再構成(検体非存在下でのバックグラウンド発光)の速度に影響を与え、その結果、シグナル対ノイズ比が変化しやすくなることが示される。Tris HClはバックグラウンド発光を制限し、同時に優れた発光出力を維持し、その結果、特にpH7.0で、シグナル対ノイズ比が最良となる。50mM Tris pH7.0を用いて、全ての次の反応を行った。
【0162】
金属キレート剤
金属キレート化による可逆的なプロセスである2価金属陽イオンによりネイティブRLucが阻害される(Matthewsら、1977、Biochemistry 16(1):85−91)。さらに、例えば、亜鉛(70−150μg/dL)、銅(70−155μg/dL)、鉄(60−180μg/dL)及びマンガン(0.04−1.4μg/dL)を含む、高レベルの金属陽イオンを含有するヒト血清試料中の検体の検出のためにFECが設計される(Fundamentals of Clinical Chemistry.N.W.Teitz編、Philadelphia、W.B.Saunders Company、1987)。従って、金属キレート剤の使用は、ヒト血清検体検出に対して必須である。次のようにアッセイを準備した:100μLの最終反応体積中で、50mM Tris HCl pH7.0、1xPLB、0.5M NaCl、5mM DTT及び対照血清(1/100)存在下で、各断片(RLuc_α229P1及びRLuc_ω230ProG)の5nMをEDTA(10mMから1mM)の希釈系列に添加した。第一のウェルセットに、5nM His MAbを添加し、混合し、一方で、第二のセットにはHis MAbが含有されなかった。RTで10分間プレートを温置し、その後、1μL Promega 100xアッセイ基質をウェルごとに添加し、ウェルあたり1秒積分で10分間にわたり光放射の動態を測定した。次に、LmaxII384照度計(Molecular Devices、Melbourne、Australia)を用いて、5秒積分で(速度論的読み取りの終了時に)エンドポイント読み取りを行った。最初の50−100のVmax点にわたり(SoftMaxPro V5ソフトウェアを用いて)計算した反応の速度(mRLU・分−1)を比較することによって、シグナル対ノイズ比を調べた。例えば10mM、5mM及び1mMの最終濃度でのEDTAの影響を調べ、シグナル対ノイズ比は、それぞれ速度論的読み取り又はエンドポイント測定に対して、それぞれ19.54、24.61及び25.95及び8.66、10.04及び9.70であった。
【0163】
1/100希釈された血清の存在下で、最適なシグナル対ノイズ比を得るために、金属キレート剤の濃度のある種の範囲が必要であることが観察され、これは、この場合、5mM EDTAにより達成された。従って、予防措置として、金属陽イオンによる再構成RLuc活性の阻害を制限するために、全ての次の反応に5mM EDTAを入れた。
【0164】

静電効果は、基質触媒及びタンパク質−タンパク質相互作用の両方において重要な機能を有し、これらの影響は、様々な塩濃度を用いて調節又は修飾することができる。強制酵素再構成における、及び得られる光放射(表5)における、、様々な塩化ナトリウム(NaCl)濃度の影響を調べるために、様々な塩化ナトリウム(NaCl)濃度を試験した。次のようにアッセイを準備した:100μLの最終反応体積中で、50mM Tris HCl pH7.0、1xPLB、5mM DTT及び対照血清(1/100)の存在下で、各断片(RLuc_α229P1及びRLuc_ω230ProG)5nMをNaCl(1M、0.75M、0.5M、0.25M及び0M)の希釈系列に添加した。ウェルの第一のセットに、5nM His MAbを添加し、混合し、一方で、第二のセットにはHis MAbは含有されなかった。プレートをRTで10分間温置し、その後、1μL Promega 100xアッセイ基質をウェルごとに添加し、LmaxII384照度計(Molecular Devices、Melbourne、Australia)を用いて、ウェルあたり1秒積分で10分間にわたり光放射の動態を測定した。
【0165】
【表6】

【0166】
反応からのNaClがないと、バックグラウンド自己発光/自己再構成が非常に高くなり、一方で、光放射速度も非常に高くなることが分かった(表6)。これにより、シグナル対ノイズ比が悪くなり、したがって、0.25M NaClを入れることにより、反応速度を高く、バックグラウンド発光の速度を低く維持することができ、その結果、シグナル対ノイズ比が高くなる。FECアッセイへの0.5M以上のNaClの添加は、さらなる利点は何らもたらさないが、シグナルに悪影響がある。
【0167】
還元剤
還元剤の使用は、フラッシュ放射ではなく、長時間発光型グロー発光を生成させるために必須であることが示された(表3参照)。標的抗体などのタンパク質に存在する重要なジスルフィド結合を減少させず、従って検体の完全性を確実に維持する一方で、長時間発光型グロー発光シグナルが妨害されないことを確実にするために、還元剤濃度を実験的に決定することは重要である。光放射及び検体の強制酵素再構成誘導能におけるDTT濃度の影響を調べるために、様々なDTT濃度を調べた(表7)。試験されるDTTの最終濃度は5mM、2mM及び1mMであり、次のようにアッセイを準備した:100μLの最終反応濃度中で、50mM Tris HCl pH7.0、1xPLB、0.25M NaCl、5mM EDTA及び対照血清(1/100)に、各断片(RLuc_α229P1及びRLuc_ω230ProG)5nMを添加した。ウェルの第一のセットに5nM His MAbを添加し、一方で、対照ウェルにはHis MAbは含有されなかった。RTで10分間プレートを温置し、その後、1μL Promega 100xアッセイ基質を各ウェルに添加し、光放射の動態をウェルあたり1秒積分で10分間にわたり測定した。続いてLmaxII384照度計を用いて、(速度論的読み取りの終了時に)5秒積分でエンドポイント読み取りを行った。
【0168】
【表7】

【0169】
DTTの濃度が上昇すると、その結果、速度論的又はエンドポイント読み取りの何れかで測定した場合、断片自己会合(バックグラウンド)のレベルが上昇し、光放射が増加し得ることが観察された(表7)。従って、必要とされる最適DTT濃度は、最良のシグナル対ノイズ比の生成の間のバランスである。さらに、DTTの一時的添加は、高いシグナル対ノイズ比の維持に重要である。検体温置時間終了時のDTT添加のシグナル対ノイズ比は、検体温置前に反応にDTTを添加した場合よりも低く、それぞれ、速度論的読み取りで7.1:1及び74:1又はエンドポイント読み取りで4.3:1及び5.8:1である。
【0170】
変性剤
FEC技術を用いた以前の実験から、ある程度のタンパク質変性は、互いに対するレポーター酵素断片の天然の親和性(自然発生的再構成)を最小限に抑えるために必須であり、同時に、検体により断片が近接近にされる場合、相互作用及び構造変化(強制再構成)を可能にすることが示された。さらに、ヒト血清アルブミン(HSA)はセレンテラジン自己酸化の主な原因であることが既に報告されている(Zhaoら、2004、Mol Imaging 3、43−54)。ヒト血清がFEC開発に対して主な試料媒体であり、健常ヒト血清においてHSA参照範囲が3.5−5.0g/dL(Fundamentals of Clinical Chemistry.N.W.Teitz編、Philadelphia、W.B.Saunders Company、1987)であることを考え、発明者らは、チオ尿素誘導体がアルブミンに結合し、強い変性剤として作用することの両方ができることを見出した(Cuiら、2007、Anal Sci 23、719−725)。さらに、米国特許第7,118,878号は、検体依存性発光に影響を与えることなく検体非依存性発光を効果的に減少させるためのチオ尿素の使用を記載する。アッセイを行い、各断片(RLuc_α229P1及びRLuc_ω230ProG)5nMを用いて、6%w/v−0%w/vの範囲のチオ尿素の濃度を試験した。100μLの最終反応体積の、50mM Tris HCl pH7.0、0.25M NaCl、5mM EDTA、2.5mM DTT、対照血清(1/100)及び、1xエンハンサー緩衝液(30mM HEPES pH8.0、10%グリセロール、0.2%CHAPS)の自家製剤中で、反応を行った。ウェルの第一のセットに5nM His MAbを添加し、一方で、ウェルの第二のセットにはHis MAbを添加せず、RTで10分間反応を温置し、その後、1μL Promega 100xアッセイ基質を各ウェルに添加し、光放射の動態(1秒積分で10分間)及びエンドポイント読み取り(5秒積分)をLmaxII384照度計で記録した。
【0171】
【表8】

【0172】
この結果(表8)から、およそ1.4%w/vのチオ尿素の添加は、FEC由来光放射を増加させ、同時にバックグラウンドを減少させることにより、最適なシグナル対ノイズ比を得るために必須であることが分かる。特に、反応条件からのチオ尿素の欠落の結果、自己発光/断片自己会合が非常に多くなる。低濃度のチオ尿素(2%以下)で、酵素断片が部分的に変性され、それにより互いに対するそれらの天然の親和性が低下し、自然発生的な再構成を制限し、一方で、検体により近接近にされる場合、相互作用及び構造変化(強制再構成)が依然として可能となることが理解された。チオ尿素はまた、おそらく、HSAにより引き起こされるセレンテラジン自己酸化も制限する。
【0173】
界面活性剤
界面活性剤は、免疫アッセイにおいてタンパク質−タンパク質相互作用及び非特異的結合を減少させるために広く使用される。検体非存在下での断片の自己会合を減少させるためのFECでのイオン性界面活性剤の使用は、さらにシグナル対ノイズ比を上昇させるために重要である。発明者らは、チオ尿素の使用により、穏やかに変性させる環境中で既に維持されているRLuc断片の何らかのさらなる変性を制限するために、非変性両性イオン界面活性剤3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)を選択した。100μLの最終反応体積の、50mM Tris HCl pH7.0、0.25M NaCl、5mM EDTA、2.5mM DTT、対照血清(1/100)及び、1xエンハンサー緩衝液(30mM HEPES pH8.0、10%グリセロール、1.4%w/vチオ尿素)の自家製剤中の、各断片(RLuc_α229P1及びRLuc_ω230ProG)5nMの存在下で、CHAPSの様々な濃度(2%w/v−0%w/v)を試験した。検体(5nM His MAb)を添加し、反応物をRTで10分間温置した。次に、各ウェルに基質を添加し(1μL Promega 100xアッセイ基質)、LmaxII384照度計を用いて光放射の動態(1秒積分で10分)及びエンドポイント測定値(5秒積分)を読んだ。
【0174】
【表9】

【0175】
界面活性剤のある一定の濃度、例えば0.1%w/v−0.2%w/v CHAPS(表9)で、検体由来FECシグナルの低下よりも大幅にバックグラウンド発光シグナルを低下させることにより、効果的にシグナル対ノイズ比が上昇した。
【0176】
エンハンサー緩衝液組成物の比較
Matthew’s溶解緩衝液は、RLucレポーター酵素を発現する哺乳動物細胞の再縣濁のために使用される。発明者らは、既に、市販のウミシイタケルシフェラーゼアッセイ系(Promega)を用いた全長RLucからの長時間発光型グロー発光の生成が、DTT及びEDTA、ならびにウミシイタケルシフェラーゼアッセイ系(Promega)の5xPromega溶解緩衝液(PLB)成分(特許組成物)の添加に依存すると判断した。従って、発明者らは、既知のMatthew’s溶解緩衝液組成物を用い、本発明で挙げられる観察に基づき、自家5xエンハンサー緩衝液を処方した。自家5xエンハンサー緩衝液を次のように処方した:
5xPBエンハンサー緩衝液A
150mM HEPES pH8
1%CHAPS
5%チオ尿素
50%グリセロール
5xPBエンハンサー緩衝液B
150mM HEPES pH8
1%CHAPS
7%チオ尿素
50%グリセロール
5xPBエンハンサー緩衝液C
150mM HEPES pH8
1%CHAPS
5%チオ尿素
25%グリセロール。
【0177】
発明者らは、100μLの最終反応体積での50mM Tris HCl pH7.0、0.25M NaCl、5mM EDTA、2.5mM DTT及び対照血清(1/100)中の各断片(RLuc_α229P1及びRLuc_ω230ProG)の5nMの存在下で、各エンハンサー緩衝液(1x最終濃度)を試験した。ウェルの第一のセットに対して、5nM His MAbを添加して混合し、一方、第二のセットにはHis MAbは含有されなかった。このプレートをRTで(10分間)温置し、1μL Promega 100xアッセイ基質を添加した。LmaxH384照度計を用いて、速度論的(10分間、1秒積分)及びエンドポイント(5秒積分)測定値を得て、シグナル対ノイズ比を上記のように決定した。
【0178】
【表10】

【0179】
それぞれ速度論的及びエンドポイント読み取りにより、Promega溶解緩衝液を用いて得られるシグナル対ノイズ比よりも、PBエンハンサー緩衝液Cによってシグナル対ノイズ比が2.3倍及び1.3倍上昇し得ることが観察された(表10)。血清1/100希釈物存在下での50mM Tris HCl pH7.0、0.25M NaCl、5mM EDTA及び2.5mM DTTと組み合わせて、PBエンハンサー緩衝液C(30mM HEPES pH8、0.2%CHAPS、1%チオ尿素、5%グリセロール−最終反応濃度)により、優れたシグナル(37mRLU・分−1)を得ることができ、自己会合/自己発光(0.4mRLU−分−1)は無視できる程度となり、結果として、それぞれ速度論的及びエンドポイント読み取りにより、シグナル対ノイズ比が、96:1及び14:1となる(典型的結果は図10で示される。)。
【0180】
セレンテラジン類似体の比較
ネイティブセレンテラジンの合成類似体(図3)により、発光強度及び反応時間が変化する(Inouyeら、1997、Biochem.Biophys.Res.Commun.233、349−353)。RLuc FECにより、Promega 100xアッセイ基質を用いて優れた結果が得られるが、組成及び基質濃度は分からない。発明者らは、ネイティブセレンテラジンに対して及びPromega 100xアッセイ基質に対して、8種類の合成セレンテラジン類似体を比較した。100μLの最終反応体積で、50mM Tris HCl pH7.0、0.25M NaCl、5mM EDTA、2.5mM DTT、1xPBエンハンサー緩衝液C及び対照血清(1/100)中で、RLuc_α229P1及びRLuc_ω230ProG(5nM)をアッセイした。検体を添加し(5nM His MAb)、プレートをRTで温置した(10分間)。保存セレンテラジン基質(セレンテラジンサンプラーキット、Sigma、Australia)を100%エタノール中で再懸濁し(500μM基質)、5μMの最終濃度で使用した。従って、検体温置終了時にPromega 100xアッセイ基質を含むセレンテラジン基質1μLをアッセイに添加し、LmaxII384照度計を用いて読み取った。速度論的(1秒積分で10分間)及びエンドポイント(5秒積分)測定値を得て、シグナル対ノイズ比を計算した。
【0181】
【表11】

【0182】
合成セレンテラジンh類似体は、その他の基質類似体よりも優れているが(表11)、5μMで合成セレンテラジンh類似体は、Promegaアッセイ基質により得られたものの1/2(エンドポイント)であるシグナル対ノイズ比をもたらすことが観察された。現在のPBアッセイ及びPBエンハンサー緩衝液組成物に対して一部改変を行った、ネイティブセレンテラジン及びセレンテラジン類似体f、h及びnのさらなる試験の結果、ヒト血清の存在下で、検体により近接近になるよう強制されるRLuc断片により生じる光放射がさらに改善される。速度論的又はエンドポイント測定の何れかを用いた5μMセレンテラジン基質類似体を利用するアッセイにおいて、バックグラウンド発光(自己発光/断片自己会合)が皆無であることは、とりわけ興味深い。
【0183】
実施例2
均一インビトロウミシイタケルシフェラーゼFEC試薬保存緩衝液成分
全長RLucは、失活しやすく、4℃での0.5mg/mLより高い濃度での保存の際に凝集する傾向がある(Matthewsら、1977、Biochemistry 16(1):85−91)。アミノ酸229/230で全長RLuc親酵素を分割し、続いて検体相互作用部分を付加することにより、組み換え断片の活性及び安定性を失いやすい傾向が促進され得ることが予想される。実際に、単量体酵素から断片が生じる結果、疎水性コアが露出し得、その結果、保存時の凝集が起こる。酵素安定性を促進するためにRLucのα断片に導入された単一点突然変異、C124A(Liuら、1999、Gene 237:153−159)により、これらの問題はある程度対処される。しかし、断片保存緩衝液に添加される化学成分は、FECプロセスに影響を与えることなく保存中のタンパク質安定性に対応するための有益な方法である。本明細書中で概説される手順は、4℃で保存されるRLuc断片の希釈濃度の半減期を延長させるために使用される成分を述べる。この実施例で使用されるRLuc断片には、RLuc_α229P1及びRLuc_230ωProGが含まれ、それらの合成及び特性評価を本発明の実施例1で述べる。
【0184】
RLuc断片安定化賦形剤
溶液中のタンパク質の希釈濃度の安定性を向上させることが知られている緩衝添加剤は、溶媒、不活性タンパク質及び糖から構成され得る。還元剤、疎水性添加剤、プロテアーゼ阻害剤及び抗菌剤を添加することにより、保存時に、タンパク質分解を減少させることができる。最後に、長期間のタンパク質保存のために、凍結乾燥を使用することもできる。この実施例において、発明者らは、α及びω精製断片両方の希釈標準溶液(100nM)の安定性を向上させることに焦点を当てる。4℃での断片長期保存後の、His MAb介在性FECにより調べた場合の断片の完全性及び活性を維持する能力について、糖(トレハロース及びスクロース)及び不活性タンパク質(BSA及びゼラチン)を試験した。1.5Mトレハロース、1.5Mスクロース、2mg/mL BSA(Pierce)、2mg/mL魚ゼラチン(Sigma)及び50mMリン酸ナトリウム緩衝液 pH7.0の溶液中へ個々の精製断片を溶解することによって、個別のα及びω断片希釈標準溶液(100nM)を調製した。本明細書中に記載のようにアッセイを行った;100μLの最終反応体積中で、様々な安定化溶液からの各断片(RLuc_α229P1及びRLuc_ω230ProG)の5nMを50mM Tris HCl pH7.0、0.25M NaCl、5mM EDTA、2.5mM DTT、対照血清(1/100)及び1xPLBに添加した。検体(5nM His MAb)を添加し、この反応物をRTで10分間温置した。次に基質を各ウェルに添加し(1μL Promega 100xアッセイ基質)、LmaxII384照度計を用いて光放射の動態(1秒積分で10分間)及びエンドポイント測定値(5秒積分)を読んだ。最長6日間の保存で、4℃で、様々な時間間隔でアッセイを繰り返した。
【0185】
【表12】

【0186】
スクロース、BSA及び魚ゼラチン中での断片溶解により、4℃で最長6日間保存された低濃度断片が良好に安定化され、その結果、シグナル対ノイズ比が高くなった(表12)。50mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.0中で保存された断片の酵素活性は著しく低下し、その結果、それぞれ速度論的及びエンドポイント読み取りに対して光放射が80%及び76%低下した。次のもの:0.75Mスクロース、1mg/mL BSA(希釈液#1)及び0.75Mスクロース、1mg/mL魚ゼラチン(希釈液#2)と組み合わせて混合した、半分に希釈した溶液から構成された安定化溶液も、4℃で最長18日間保存した後、上記のように試験した(表13)。
【0187】
【表13】

【0188】
糖及び不活性タンパク質のある一定の濃度の組み合わせにより、良好な光放射が維持され得、バックグラウンド(自己発光/断片自己会合)は無視できる程度となり、診断学的に適切なシグナル対ノイズ比が維持され得ることが観察された。4℃での長期RLuc断片保存(18日間)の結果、安定性が向上し、最終産物の凝集が低下し、この両方によって、RLucに基づく均一インビトロFECアッセイの商業化に対する顕著な長所が得られる。
【0189】
実施例3
グロー発光を用いたポリクローナルHSV−1及びHSV−2 IgG特異的患者抗体検出に対する均一インビトロウミシイタケルシフェラーゼFECアッセイ
実施例1及び2は、アミノ酸229/230で全長親酵素(RLuc)を分割することにより生じたRLuc断片の合成、精製及び特性評価を述べる。単一点突然変異(C124A)を組み込むα断片を切断点末端でフレキシブルリンカー[(GS)]、HSV−1又はHSV−2短縮型抗原及びポリヒスチジンタグに連結し、その結果、それぞれHSV−1及びHSV−2検出に対して、RLuc_α229P1及びRLuc_α229P2が生成される。ω断片の切断点末端でのポリヒスチジンタグ、フレキシブルリンカー及びタンパク質Gサブユニットの導入の結果、RLuc_230ωProGと呼ばれるIgG抗体結合レポーター酵素断片が生成された。PBアッセイ緩衝液(50mM Tris HCl pH7.0、0.25M NaCl、5mM EDTA5 2.5mM DTT)及び、本発明の5xPBエンハンサー緩衝液C(150mM HEPES pH8、1%CHAPS、5%チオ尿素及び25%グリセロール)を使用した最適化均一インビトロアッセイ方式において、抗体検体(ヒスチジンタグに結合する抗ペンタ−ヒスチジンモノクローナル抗体)の存在下で強制酵素再構成を明らかにするために、これらの断片対メンバーを使用した。
【0190】
この実施例において、均一インビトロアッセイ方式における強制酵素再構成によって患者血清試料中の疾患特異的IgG抗体(それぞれ、P1及びP2短縮型抗原に結合する、HSV−1及びHSV−2 IgG特異的患者ポリクローナル抗体)を検出するために、酵素断片を使用した。
【0191】
HSV−1特異的IgG検出のためのウミシイタケルシフェラーゼに基づくFECアッセイ
ウミシイタケルシフェラーゼアッセイキット(Promega、Australia)を用いて、96ウェル白色Costarプレート(Corning、Australia)においてRLuc FECアッセイを行った。5名の正常個体(HSV−1/HSV−2陰性)及びHSV−1陽性/HSV−2陰性及びHSV−2陽性/HSV-1陰性に感染している5個体からの血清(Brisbane、Australia)は、既存の市販アッセイ、HerpeSelect 1 and 2 ELISA IgG(Focus Diagnostics、USA)を用いて確認した。5nM RLuc_α229P1及びRLuc_230ωProG、0.5xPromega溶解緩衝液(PLB)、0.5xPBS pH7.3、0.5M NaClを含有する200μL反応混合液中でFEC均一アッセイを行った。1/50の最終濃度になるように血清を添加し、プラットフォームロッカー上でRTにて30分間、反応物を温置した。次に、2.5mMの最終濃度になるようにDTTを添加し、続いて、100xPromegaアッセイ基質0.5μLを添加した。ウェルあたり1.5秒積分で光放射を測定し、最初の20分間に対して速度(mRLU・分−1)を計算した(Lmaxn384照度計を使用)。3回ずつ測定して(triplicate)全ての読み取り値を得て、GraphPad Prism 4.0(GraphPad Software、Inc.、CA、USA)を用いて平均及び標準誤差を計算した。HSV−1及びHSV−2の両方に対して陰性の結果となるプール(n=5)血清の試料に対して、結果を正規化し(HSV陰性集団の平均値でデータを除する。)、その結果、HA指標として定義される任意単位が得られた。
【0192】
典型的な結果は本発明の図11で示し、ウミシイタケルシフェラーゼに基づくFECが、首尾よく高い感度(100%)及び特異性(100%)でタイプ特異的HSV−1抗体を検出し得ることを示す。さらに、PBアッセイ緩衝液(50mM Tris HCl pH7.0、0.25M NaCl、5mM EDTA、2.5mM DTT)、5xPBエンハンサー緩衝液C(150mM HEPES pH8、1%CHAPS、5%チオ尿素、25%グリセロール)及び断片安定化/保存緩衝液(0.75Mスクロース、1mg/mL BSA)を含む本発明のRLucFEC成分の使用により、これらの結果の検出限界及びダイナミックレンジがさらに向上する。これは、光放射の増強、ヒト血清存在下での基質自己酸化由来及び検体非存在下での断片自己会合由来の自己発光の減少により明らかとなった。発明者らは、診断的に関連する標的の検出に対する、及び病理実験室への持ち込みに適切な時間枠(およそ1時間)内での、インビトロ均一FECアッセイの有用性を示す。本発明は、現在の免疫診断分野に対して顕著な長所をもたらし、抗原の検出のためのRLucに基づく均一インビトロFECアッセイのさらなる長所に対する推進力をもたらす。
【0193】
実施例4
グロー発光を用いたB型肝炎表面抗原検出に対する均一インビトロウミシイタケルシフェラーゼFECアッセイ
実施例3は、均一インビトロアッセイ方式での強制酵素再構成による、患者血清試料中の疾患特異的IgG抗体(P1短縮型抗原に結合するHSV−1 IgG特異的患者ポリクローナル抗体)の検出のためのRLuc酵素断片の使用を述べる。図1で示されるように、ヒト血清中の抗体に基づく検体に対して必要とされる検出限界(LOD)は、高ピコモル(pM、10−12M)範囲であり、一方、抗原、例えばB型肝炎表面抗原(HBSAg)の検出は、低フェントモル(fM、10−15M)からアトモル(aM、10−18M)の範囲である(Andersonら、2002、Mol.Cell Proteomics 1(11):845−867)。より大きいLODが必要とされることに加えて、抗原検出には、α及びωレポーター酵素断片の両方での抗体などの抗原結合タンパク質の使用が必要である。この実施例において、HBsAg検出することができる断片の設計及び合成を述べる。安定性促進のために単一点突然変異(C124A)を組み込む合成全長親酵素(RLuc)をアミノ酸位置S91/Y92で分割した。切断点末端でα断片をフレキシブルリンカー、HBsAg1本鎖抗体(scFv)及びポリヒスチジンタグに連結させ、その結果、RLuc−α91A5が得られた。Boseら(2003)は、HBsAg Sドメインの「a」エピトープに対するマウスモノクローナル抗体(5S)のscFvをクローニングし、発現させた。同様に、ω断片の切断点末端でポリヒスチジンタグ、フレキシブルリンカー及び第二のHBsAg scFvにω断片を連結させ、RLuc_92ωE11が得られた。scFvと呼ばれるE11は、元来、大きなHBsAgのPreS1(21−47)断片に対するマウスモノクローナル抗体(125E11)からクローニングされて発現された(Yangら、2005、Protein Expr.Purif.41:341−348)。これらの2つの断片は一緒に、ヒト血清試料中のHBsAgのインビトロ均一FEC検出が可能であるはずである。
【0194】
HBsAg A5及びE11 scFv合成的合成及びカセットドメインをコードするユニバーサルプラスミドへのクローニング
E.コリ発現に対して、コドン最適化A5−scFv(配列番号31及び32)及びE11−scFv(配列番号33及び34)遺伝子をDNA2.0(Menlo Park、U.S.A.)により合成した。フィルターディスク上に合成pJ36−A5及びpJ36−E11プラスミド(2μg)を添加し、適切な緩衝液中でフィルターディスクを温置し、上清をQIAprepスピンカラムに載せ、製造者の説明書に従い精製を行うことによって、QIAprepスピンミニプレップキット(Qiagen、Australia)を用いて精製した。精製プラスミドをBamHI/SpeIで消化し、C末端抗原特異的カセット[(GS)リンカー、抗原及びGSリンカー及びヒスチジンタグ(6H)]をコードするBamHI/SpeI消化したユニバーサルpET−αプラスミドに、A5−scFv BamH/SpeI挿入物をクローニングし、pET−αA5を得た。同様に、N末端抗原特異的カセット[ヒスチジンタグ(6H)、GSリンカー、抗原及び(GS)リンカー]をコードするBamHI/SpeI消化したユニバーサルpET−ωプラスミドに、E11−scFv BamHI/SpeI挿入物をクローニングし、pET−ωE11を得た。
【0195】
pET−Rluc_α91A5の構築
実施例1で既に述べたように、フォワードプライマーRLuc3及びリバースプライマーRLuc4を用いて、RLuc_α91(残基2−91)を増幅した。QIAquick PCR精製キット(Qiagen)を用いて反応チューブから直接、増幅産物を精製し、続いて、NdeI/KpnIで消化し、C末端HBsAg scFvカセット[(GS)リンカー、HBsAg−A5、GSリンカー及びヒスチジンタグ]をコードするNdeI/KpnI消化したユニバーサルpET−αA5目標プラスミドにクローニングし、pET−Rluc_α91A5(配列番号35及び36)を得た。
【0196】
pET−Rluc_ω92E11の構築
実施例1で既に述べたように、フォワードプライマーRLuc5及びリバースプライマーRLuc6を用いて、C124A突然変異を組み込むRLuc_92ω(残基92−311)を増幅した。QIAquick PCR精製キット(Qiagen)を用いて反応チューブから直接、増幅産物を精製し、続いてNdeI/KpnIで消化し、N末端HBsAg scFvカセット[ヒスチジンタグ(6H)、GSリンカー、HBsAg−E11及び(GS)リンカー]をコードするNdeI/KpnIで消化したユニバーサルpET−ωE11目標プラスミドにクローニングし、pET−Rluc_ω92E11(配列番号37及び38)を得た。
【0197】
均一インビトロFEC抗原アッセイ
Rluc−α91A5及びRluc−ω92E11を用いた患者試料中のHBsAgの検出は現在、適切なHBsAg scFv抗体が同定されFECに適切なRLuc断片に組み込まれているならば、可能である。適切な反応組成及び条件の本発明における記述から、HBsAg介在FECの結果として生じる、長時間発光型グロー発光がおそらく商業的に実現可能なHBsAg診断法を生み出すであろうことが示唆される。
【0198】
実施例5
複数の検体検出に対するグロー発光均一FECアッセイの適用
実施例3は、均一インビトロアッセイ方式での強制酵素再構成による、患者血清試料中の疾患特異的IgG抗体(P1短縮型抗原に結合するHSV−1 IgG特異的患者ポリクローナル抗体)の検出のためのRLuc酵素断片の使用を述べる。単一試料内での2種類の独立検体の同時検出は、多重化(multiplexing)として知られており、この例において、HSV−1及びHSV−2の両方の検出に適用することができる。HSV−2を検出するための比色β−ラクタマーゼFECと組み合わせてHSV−1を検出するためにグロー発光RLuc FECを使用することにより、二重検体検出を行うことができる。均一アッセイ方式でのHSV−1及び2の検出のためのβ−ラクタマーゼインビトロFECの説明及び適用は、PCT/AU2007/000508に記載されている。この実施例において、反応混合物は、β−ラクタマーゼHSV−2からの比色出力シグナルの生成に対して及びRLuc HSV−1からの発光検出に対して必要な成分全てを含有する。HSV−2陽性試料は相対光単位(RLU)の上昇により検出され、一方で、HSV−2陽性試料は、比色変化を伴うOD492nmの吸収の上昇により検出され;両シグナルは、通常、試料中に存在する検体量に比例する。この設計により、2つの独立する均一アッセイが単一のウェルへと統合され、その結果、単一の均一アッセイ反応において1つの患者試料からのHSV−1及びHSV−2疾患が区別される。さらに、照度計の光電子増倍管チューブ(PMT)で使用される光フィルター及び使用される様々な酵素基質に対する分光光度計において、様々な波長間で単純に変化させ得るので、2以上の疾患マーカーを検出するさらなる可能性が期待される。
【0199】
【表14】

【0200】
実施例6
グロー発光検出のための均一インビトロβ−ラクタマーゼFECアッセイ
実施例1、3及び4で既に記載したような分割された生物発光レポーター酵素の使用に対する代替的ストラテジーは、グロー発光を生成させる合成発光基質と、旧来的に化学発光反応を触媒しない分割レポーター酵素とを組み合わせることによる、旧来的に化学発光反応を触媒しない分割レポーター酵素の使用である。この実施例において、「Bluco」と呼ばれる、β−ラクタマーゼに対する最近記載された生物発光性基質は、インビトロでグロー発光を用いてHSV−2を検出するための均一方式において分割β−ラクタマーゼFECと組み合わせて使用される。β−ラクタマーゼは、プロ−ルシフェリン基質のβ−ラクタム環を開環するために作用し、その結果、自然発生的な断片化が起こり;ホタルルシフェラーゼは、次に、光放射を生成させるルシフェリンにおいて作用する。HSV−2の検出のためのインビトロβ−ラクタマーゼFEC均一アッセイは、患者HSV特異的IgGの強制酵素再構成(FEC)検出のために、HSV−1又は2抗原に融合されたβ−ラクタマーゼ断片を使用する、特許PCT/AU2007/000508に記載されている。ここで、同じ方式が使用されるが、発色性基質ニトロセフィンは、β−ラクタマーゼ基質Bluco及びホタルルシフェラーゼ、ATP及びMg2で置き換えられる。
【0201】
グロー発光を用いた、HSV−2特異的IgG検出のためのβ−ラクタマーゼに基づくFECアッセイ
Bluco(Stanford University)及びホタルルシフェラーゼ(Promega、Australia)を用いて、96ウェル白色Costarプレート(Corning、Australia)で、β−ラクタマーゼFECアッセイを行った。既存の市販アッセイ、HerpeSelect 1 and 2 ELISA IgG(Focus Diagnostics、USA)を用いて、正常個体(HSV−1/HSV−2陰性)及びHSV−2陽性/HSV−1陰性に感染した個体からの血清(Brisbane、Australia)を確認した。50mMリン酸ナトリウム緩衝液、150mM NaCl、0.05%CHAPS、5mM o−フェナントロリン(OP)、1mM EDTA、pH7.6(100μM Bluco、1.5mM ATP及び1.5mM MgClを含有する。)中の2nM BLαM182T−HSV−2及び4nM BLωN276D−ProGを含有する200μL反応混合物中でFEC均一アッセイを行った。1/100の最終濃度になるように血清を添加し、反応物をRTで60分間温置し、続いて100nMホタルルシフェラーゼを添加した。ウェルあたり2秒積分で光放射を測定し、最初の30分間に対して速度(mRLU・分−1)を計算した(LmaxII384照度計を使用)。典型的結果は、本発明の表15で示し、これは、ホタルルシフェラーゼと組み合わせて「Bluco」と呼ばれるプロ−ルシフェリン基質を用いるβ−ラクタマーゼに基づくFECのグロー発光検出により、定量可能な方式でタイプ特異的HSV−2抗体を首尾よく検出することができることを示す。高、中及び低陽性試料の間の差別化から、ダイナミックレンジをより大きくし、従ってインビトロ均一FECに基づくアッセイの検出の限界を改善するための、グロー発光能の促進が示される。これは、ヒト血清存在下での、光放射増強、基質自己酸化由来の自己発光低下により、及び検体非存在下での断片自己会合の減少から、明らかになった。発明者らは、診断的に関連のある標的の検出のための、及び病理実験室への持ち込みのための適切な時間枠(およそ1時間)内でのインビトロ均一FECアッセイの有用性を示す。本発明は、現在の免疫診断分野に対して顕著な長所をもたらし、フェンプトモル濃度以下のより複雑な検体の検出のための、グロー発光に基づく均一インビトロFECアッセイのさらなる進歩に対する推進力をもたらす。
【0202】
【表15】

【0203】
本発明の様々な特性及び実施形態は、変更すべきところは変更して、上記適用の個々のセクション、必要に応じてその他のセクションに付託される。その結果として、あるセクションで特定される特性は、必要に応じて、その他のセクションで特定される特性と組み合わせられ得る。
【0204】
本明細書中で開示され、主張される組成物及び方法は全て、本開示に照らして、過度な実験を行うことなく為し、実施し得る。本発明の組成物及び方法を好ましい実施形態に関して記載してきたが、当業者にとって当然のことながら、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、組成物及び方法に対して、及び段階において、又は本明細書中に記載の方法の段階の順序において、変更を行い得る。より具体的には、当然のことながら、化学的及び物理学的に適切なある一定の物質で本明細書中で記載の試薬を置き換えることができ、一方で、同じ又は同様の結果が達成される。当業者にとって明らかである全てのこのような同様の置き換え及び修飾は、添付の特許請求の範囲により定義されるように、本発明の精神、範囲及び概念の範囲内であるとみなされる。
【0205】
参考文献
上記文章で特定される参考文献は、それらが補足し、説明し、バックグラウンドを提供するか又は、本明細書中で使用される、方法、技術及び/又は組成物を教示する程度まで、参照により本明細書中に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の関心のある検体の存在を調べる方法であって、
試料を、
基質での再構成活性酵素の作用を通じてグロー発光シグナルを生成させるために、検体とのインタラクタードメインの親和性を通じ、試料中の関心のある検体の存在下で第一及び第二のレポーター断片対メンバーが会合することを可能とするインビトロアッセイ条件下で、
(i)関心のある検体に対する親和性を有するインタラクタードメインを含む、精製された第一のレポーター断片対メンバー、及び
(ii)関心のある検体に対する親和性を有するインタラクタードメインを含み、関心のある検体との第一及び第二のレポーター断片対メンバーのインタラクタードメインの親和性を通じた第一のレポーター断片対メンバーとの会合時に活性酵素を再構成することにおいて操作可能である、精製された第二のレポーター断片対メンバー、
と接触させること、
ならびにグロー発光シグナルの有無又は程度を検出することを含む、方法。
【請求項2】
第一及び第二のレポーター断片対メンバーが、配列番号10で示されるウミシイタケルシフェラーゼアミノ酸配列のアミノ酸残基セリン91とチロシン92との間又はグリシン229とリジン230との間又は別のルシフェラーゼ配列の同等位置の間の切断点により形成されるルシフェラーゼポリペプチドのα及びω断片である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
活性酵素がウミシイタケルシフェラーゼ又はその誘導体である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ルシフェラーゼがC124A突然変異を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
アッセイ条件が1以上の還元剤の存在を含む、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
還元剤の総濃度が約1から約2%w/vである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
アッセイ条件が変性剤の存在を含む、請求項1から請求項6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
変性剤の総濃度が約1から約2%w/vである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アッセイ条件が界面活性剤の存在を含む、請求項1から請求項8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
界面活性剤がCHAPSである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
界面活性剤の総濃度が約0.1から約0.2%w/vである、請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
アッセイ条件が約0.25から0.5Mの塩の存在を含む、請求項1から請求項11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
アッセイ条件が緩衝液としてのTris HClの存在を含む、請求項1から請求項12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
アッセイ条件が、セレンテラジン類似体f、h及びnからなる群から選択されるルシフェラーゼ基質の存在を含む、請求項1から請求項13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
第一及び第二のレポーター断片対メンバーの少なくとも1つのインタラクタードメインが1以上のエピトープを含む、請求項1から請求項14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
第一及び第二のレポーター断片対メンバーの少なくとも1つのインタラクタードメインが1以上の相補性決定領域を含む、請求項1から請求項14の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
試料が血液又は血清試料などの生体試料である、請求項1から請求項16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
試料中での関心のある検体の存在を確認するための、均一インビトロ強制酵素断片再構成アッセイ(homogeneous in vitro forced enzyme fragment complementation assay)を行うためのキットであって、
(a)関心のある検体に対する親和性を有するインタラクタードメインを含む精製された第一のレポーター断片対メンバー、
(b)関心のある検体に対する親和性を有するインタラクタードメインを含み、関心のある検体との第一及び第二のレポーター断片対メンバーのインタラクタードメインの親和性を通じた第一のレポーター断片対メンバーとの会合時に酵素活性を再構成することにおいて操作可能である、精製された第二のレポーター断片対メンバー、及び
(c)基質における活性酵素の作用を通じてグロー発光シグナルを生成させるために(グロー発光シグナルは、試料中の関心のある検体の存在を示す。)、検体とのインタラクタードメインの親和性を通じ、試料中での関心のある検体の存在下で第一及び第二のレポーター断片対メンバーが会合できるようにするインビトロアッセイ条件を提供するための試薬、
を含む、キット。
【請求項19】
試料中の関心のある検体の存在を判定するための、請求項18に記載のキットの使用。
【請求項20】
関心のある検体が抗体である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
関心のある検体が抗原である、請求項19に記載の使用。
【請求項22】
(i)約10nMを超える総濃度の1以上のレポーターポリペプチド及び(ii)1以上の糖及び/又は1以上の不活性タンパク質を含む、アッセイ試薬保存組成物。
【請求項23】
1以上のレポーターポリペプチドが、インビトロ強制酵素再構成アッセイのためのルシフェラーゼレポーターポリペプチドである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
1以上のレポーターポリペプチドが約50nMを超える総濃度で存在する、請求項22又は請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
1以上の糖が、スクロース、トレハロース及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項22から請求項24の何れか一項に記載の組成物。
【請求項26】
1以上の糖の総濃度が少なくとも約50mMである、請求項22から請求項25の何れか一項に記載の組成物。
【請求項27】
1以上の不活性タンパク質が、血清アルブミン、ゼラチン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項22から請求項26の何れか一項に記載の組成物。
【請求項28】
1以上の不活性タンパク質の総濃度が少なくとも約1mg/mLである、請求項22から請求項27の何れか一項に記載の組成物。
【請求項29】
約10nMを超える総濃度で、1以上のレポーターポリペプチドを含むアッセイ試薬保存組成物中で1つ又はレポーターポリペプチドを安定させるための、1以上の糖及び/又は1以上の不活性タンパク質を含む組成物の使用。
【請求項30】
1つ又はレポーターポリペプチドが、インビトロ強制酵素再構成アッセイに適切なルシフェラーゼレポーターポリペプチドである、請求項29に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−508596(P2011−508596A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540989(P2010−540989)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001919
【国際公開番号】WO2009/082781
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(302044591)アレル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
【Fターム(参考)】