説明

アッセイ法

本発明は薬学の分野に関する。より具体的には、本発明は非ヒト動物における疼痛状態の情動的、感覚的、生理的、社会的および認識的影響を判断する方法を開示し、そしてさらに非ヒト動物における疼痛状態に関連した情動的、感覚的、生理的、社会的および認識的影響を改善する治療薬を前臨床的に同定する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ヒト動物において、疼痛によって誘発される、臨床的に適切な生活の機能および/または質の(情動的、感覚的、生理的、社会的および認知的)欠陥を評価するための方法に関し、そしてさらに、非ヒト動物における臨床的に適切な生活の機能/質の尺度を改善する治療薬の前臨床的同定の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
持続する疼痛は世界中のたくさんの人々に影響を与え、時には慢性疾患状態を引き起こし、それが患者の生活の質(QoL)を劇的に低下させる。生活の質は情動的、感覚的、生理的、心理的、社会的および認知的機能を包含する。慢性神経障害性疼痛のような持続的な疼痛に耐えている人々は、しばしば彼らの通常の日常生活の中の多様な機能的側面の破壊を体験し、そして彼らの疼痛状態が生理的、情動的、社会的および認知的領域に顕著な影響を及ぼしていることを見出す(Niv and Kreitler, 2001; Skevington et al, 1998)。疼痛の結果、しばしば患者の生活の質のそのような特徴が著しく損なわれることになり、そして現在の鎮痛治療によってそれを回復させることは非常に困難であることが見出されている。そのような疼痛に付随する衰弱の複雑さは、慢性疼痛状態のQoLを測定するための装置の欠如によって反映されている。第9回のWorld Congress on Pain(Vienna,1999年8月)は、疼痛、とりわけ慢性疼痛の処置のための未だ達成されていない医学的必要性があると結論している。それゆえ、疼痛およびそれに付随する機能的影響または機能的損失を軽減し、そして患者の生活の質(QOL)を正常レベルに回復させることが可能な医薬化合物を開発するために、疼痛の治療方針はこの広範な状態の全体像を考慮すべきであることが望ましい。QoLが評価されている限られた数の臨床研究は、患者の正常な機能を回復させることにおける現在の鎮痛薬の効力を証明するための十分なデータを提供していない。抗痙攣薬ガバペンチンを使用した無作為化比較臨床試験は、糖尿病性神経障害およびヘルペス後神経痛の患者のQoLの改善を証明した(Backonja M et al, 1998; Rowbotham M et al, 1998)。プレガバリンを使用した同様の無作為化比較臨床試験は、線維筋痛症患者のQoL欠陥の処置に有効性を示した(Mease PJ et al, 2003)。その他の化合物は臨床プロトコルにおいて同様の特徴を示さず、医薬化合物選択の過程において使用される、非ヒト動物の前臨床行動試験の現在の方法が不完全であり、ヒトにおいて疼痛状態に付随する多数の症状に包括的に作用する有効性を持つ薬物の選択を保証しないことを示唆する。
【0003】
疼痛、とりわけ慢性疼痛の影響は、先に述べた多様な疼痛症状のために前臨床的に確認することは難しく、そのような症状には影響を受けた対象の情動的、感覚的、生理的、社会的および認知的機能を挙げることができる。
【0004】
2004年にマドリードで行われた最近のEuropean neuropathic Pain Conferenceでは、患者において観察される原因および症状の可変性をよりよく理解するために動物モデルを改良する必要性があることが明言された。したがって、ヒト対象において見られる臨床評価を反映する疼痛状態の前臨床モデルの開発は、疼痛の病態生理、およびそれに付随する生活の質効果への影響の医学的理解を提供すること;さらにこの状態の新規な処置、とりわけ肉体的疼痛閾値および対象が体験した生活の質を生み出す処置の確認を促進することにおいて重要である。したがって、非ヒト動物において、疼痛状態に付随する、情動的、感覚的、生理的、社会的および認知的QoL効果を評価するための方法を提供できることが望ましい。さらに、非ヒト動物において、疼痛状態に付随する情動的、感覚的、生理的、社会的および認知的効果に有効な医薬化合物を確認するための方法を提供することが望ましい。
【0005】
動物の健康の評価を指向した、齧歯類における公知の行動研究(Schrijver NC et al, 2002)があり、さらにBauhofer and colleagues (2002)は、敗血症ラットにおける疾病行動を研究した。Schoemaker et al (1996)は薬理学的処置後の心筋梗塞ラットにおける行動を測定し、臨床試験と一致した結果を見出した。しかし、行動および生活の質に対する疼痛状態の影響を評価することにはほとんど関心がもたれておらず、Kontinen et al, 1999は神経障害性疼痛の齧歯類モデルを開発し、神経傷害ラットと偽手術ラット間に行動の差が見られないことを示唆する、否定的観察を報告している。
【0006】
本発明者らは、具体的な疼痛状態の動物モデルが疼痛様閾値だけでなく、疼痛に関連した肉体的欠陥の変化を発現することを証明している。(1. McCracken LM et al, 1998; Gureje O et al, 1998 JAMA;280:147-151; MacWilliams LA et al 2003 Pain,106:127-33; Apkarian AV et al, 2004)
【発明の開示】
【0007】
発明の簡単な説明
本発明は非ヒト動物における疼痛状態の情動的、感覚的、生理的、社会的および認知的効果を測定する方法を利用可能にする。該方法は特定の疼痛状態の有効なモデルを提供し、臨床的観察と都合よく相関する様式で、疼痛の複雑な状況を十分に検討できるという利点を有する。本発明はさらに、非ヒト動物において疼痛状態に付随した情動的、感覚的、生理的、社会的および認知的効果をもたらす医薬化合物を同定する方法を利用可能にする。該方法は、機能およびQoLを回復させることに有効な化合物の同定を可能にするという利点を有する。さらに、本発明の方法は、測定された行動がとりわけ疼痛に関連する、すなわちもっぱら意図した疼痛状態に関連すること、およびQoLを評価するために使用されるステップが動物対象におけるストレス誘発を回避することを保証するステップを包含するため、測定された行動には、意図した行動に付加的な測定された人工産物を本質的に含まない。
本発明は、慢性疼痛疾患のような疼痛状態を持つ齧歯類における二次的な尺度の評価の手段としての方法を使用して、広範なヒトの疼痛の領域と動物行動を比較することを可能にする。
【0008】
発明の詳細な説明
第1の、そして広範な側面では、本発明は以下のステップを包含するアッセイを提供する:
(a)疼痛状態を体験するように準備されている非ヒト試験動物を提供すること、
(b)試験動物が疼痛を体験する程度を測定すること、
(c)試験動物が疼痛または疼痛状態に関連しない肉体的障害を体験するかどうかを判断すること、および疼痛が主に疼痛状態に関連している場合はその試験動物を選択すること、
(d)1以上の行動試験において、選択された試験動物の遂行スコアを決定すること、
(e)選択された試験動物が、対照動物で得られた遂行スコアに比較して、遂行スコアの増加、減少を示すか、または無変化であるかどうかを判断すること。
2.以下のステップを含む、側面1のアッセイの改変:
(a)疼痛状態を体験するように準備されている非ヒト試験動物を提供すること、
(b)試験動物が疼痛を体験する程度を測定すること、
(c)試験動物が疼痛または疼痛状態に関連しない肉体的障害を体験するかどうかを判断すること、および疼痛が疼痛状態だけに関連している場合はその試験動物を選択すること、
(d)1以上の行動試験において、選択された試験動物の遂行スコアを決定すること、
(e)選択された試験動物に試験化合物を投与すること、好ましくは選択された動物は行動試験において対照動物より劣った遂行スコアを示す、
(f)選択された試験動物が、疼痛を体験し続ける程度において、増加、減少があるか、または無変化であるかどうかを判断すること、
(g)1以上の行動試験において、選択された試験動物の遂行スコアを再決定すること、
(h)選択された試験動物が、遂行スコアの増加、減少を示すか、または無変化であるかどうかを判断すること。
【0009】
非ヒト動物は、脊椎動物、たとえば哺乳類、両生類、は虫類および鳥類であってよく;好ましくは、該動物はマウス、ラットおよびその他の齧歯類、ブタ、雌牛、雄牛、ヒツジ、ウマ、イヌまたはウサギ、またはいずれかの家畜のようなほ乳類であってよく、より好ましくは、該動物はマウスまたはラット、最も好ましくはラットのようなほ乳類であってよい。
【0010】
疼痛状態は、炎症性疼痛または侵害性疼痛または神経障害性疼痛または急性疼痛または慢性疼痛、筋骨格疼痛、進行中疼痛、中枢性疼痛、心臓および血管疼痛、頭部痛、口腔顔面疼痛のようないずれかの生理的疼痛であってよく;好ましくは、それは神経障害性疼痛である。別の疼痛状態には、激しい急性疼痛および慢性疼痛状態が挙げられ、そしてそれらは病態生理学的過程によって稼働する同じ疼痛経路を包含し、それ自体は保護機序の提供を中止し、そのかわり多様な疾患状態に付随する症状を弱めることに貢献する。疼痛は多くの外傷および疾患状態の特徴である。疾患または外傷により身体組織への実質的な傷害が起こる場合、侵害受容体活性化の特性が変化する。末梢、傷害の周辺の局所および侵害受容体の末端部にある中枢に増感が見られる。このことが損傷部位および近傍の正常組織に過敏反応を引き起こす。急性疼痛では、これらの機序が有用であってよく、修復過程が進行し、そして一旦傷害が治癒すれば過敏反応は正常に戻る。しかし、多くの慢性疼痛状態では、過敏反応は治癒過程より長く続き、そして一般に神経系傷害に起因する。この傷害はしばしば求心神経の不適応を導く(Woolf & Salter 2000 Science 288: 1765-1768)。患者の症状の中で不快や異常な感受性が特色である場合は臨床的疼痛が存在する。患者はかなり異質である傾向があり、そして種々の疼痛症状を提示する可能性がある。いくつかの典型的な疼痛サブタイプが存在する:1)鈍痛、灼熱感、または刺すような痛みであってよい自発的な疼痛;2)侵害刺激への疼痛反応が誇張される(痛覚過敏);3)通常は無害な刺激によって疼痛が引き起こされる(アロディニア)(Meyer et al., 1994 Textbook of Pain 13-44)。背部痛、関節炎痛、CNS外傷、または神経障害性疼痛のある患者は類似の症状を有していてもよいが、基礎をなす機序は異なり、それゆえ異なる治療方法が必要であってよい。したがって、疼痛は異なる病態生理学のためにいくつかの異なる領域に分割可能であり、これらには侵害性、炎症性、神経障害性疼痛などが挙げられる。疼痛のある種の型は複数の病因を有し、それゆえ1以上の領域に分類可能であり、たとえば背部痛、癌痛は侵害性および神経障害性成分を両方有する。
【0011】
侵害性疼痛は、組織傷害、または傷害を引き起こす可能性がある強い刺激により誘発される。疼痛求心神経は傷害部位での侵害受容体による刺激の伝達により活性化され、それらの終末レベルで脊髄を過敏にする。次にこれが脊髄路を経由して疼痛が感知される脳に送られる(Meyer et al., 1994 Textbook of Pain 13-44)。侵害受容体の活性化が2種の型の求心性神経線維を活性化する。有髄A‐デルタ線維は速やかに伝達し、鋭い、刺すような疼痛感覚に関与し、一方無髄C線維は遅い速度で伝達し、鈍い、またはうずくような疼痛を伝達する。中等度〜激しい急性侵害性疼痛は、筋違い/捻挫、術後痛(いずれかの型の手術後の疼痛)、外傷後疼痛、熱傷、心筋梗塞、急性膵炎、および腎疝痛に由来する疼痛の顕著な特徴であるが、それらに限定されない。また、癌は通例、化学療法毒性、免疫療法、ホルモン療法および放射線療法のような治療との相互作用による急性疼痛症候群に関連した。中等度〜激しい急性侵害性疼痛は、腫瘍に関連した疼痛(たとえば骨痛、頭痛および顔痛、内臓痛)または癌治療に付随する疼痛(たとえば化学療法後症候群、慢性術後痛症候群、放射線療法後症候群)であってよい癌疼痛、椎間板ヘルニアまたは破裂した椎間板によるものであってよい背部痛、または腰椎椎間関節、仙腸関節、脊髄近傍筋もしくは後方縦靱帯の異常の顕著な特徴であるが、それらに限定されない。
【0012】
神経障害性疼痛は神経系の原発性傷害または機能障害によって開始する、または引き起こされる疼痛として定義される(IASP定義)。神経損傷は外傷および疾患が引き起こしうるものであり、したがって‘神経障害性疼痛’という用語は、多様な病因による多くの障害を包含する。これらには、糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛、背部痛、癌性神経障害、HIV神経障害、幻肢痛、手根管症候群、慢性アルコール依存症、甲状腺機能低下症、三叉神経痛、尿毒症、またはビタミン欠乏症が挙げられるが、それらに限定されない。神経障害性疼痛はそれが保護的役割を持たないため、病的である。それは、しばしば本来の原因が消失した後もかなり認められ、通常数年続いて、患者の生活の質を著しく低下させる(Woolf and Mannion 1999 Lancet 353: 1959-1964)。神経障害性疼痛の症状は同じ疾患の患者間でさえもしばしば異質であるため、それらを治療することは困難である(Woolf & Decosterd 1999 Pain Supp. 6: S141-S147; Woolf and Mannion 1999 Lancet 353: 1959-1964)。それらには、連続的であるか、または発作的であってよい自発性疼痛、ならびに痛覚過敏(有害刺激に対して増大した感受性)およびアロディニア(通常は無害な刺激に対する感受性)のような、異常に引き起こされた疼痛が挙げられる。
【0013】
炎症過程は組織傷害または異物の存在に反応して活性化される一連の複雑な生化学的および細胞的事象であり、それが腫脹および疼痛となる(Levine and Taiwo 1994: Textbook of Pain 45-56)。関節炎性疼痛は炎症性疼痛集団の大部分を構成する。リウマチ性疾患は先進国において最も一般的な慢性炎症状態の1種であり、慢性関節リウマチは肉体的障害の一般的原因である。RAの正確な病因は未知であるが、現在の仮説は、遺伝的および微生物学的因子の両方が重要でありうることを暗示している(Grennan & Jayson 1994 Textbook of Pain 397-407)。ほぼ1600万人のアメリカ人が変形性関節炎(OA)または変形性関節疾患の徴候を示していると推定され、彼らの大部分は60歳以上であり、これは集団の年齢が高くなるに従って4000万人に増加すると予想され、このことは公衆衛生の非常に大きな課題になっている(Houge & Mersfelder 2002 Ann Pharmacother. 36: 679-686; McCarthy et al., 1994 Textbook of Pain 387-395)。多くのOA患者が疼痛のために治療を求めている。関節炎は心理社会的および身体的機能に著しい影響を及ぼし、そしてその後の生活における肉体的障害の主要な原因であることが知られている。したがって、炎症性疼痛には変形性関節炎および慢性関節リウマチから生じる疼痛を含む関節炎痛が挙げられ、別の炎症性疼痛の型としては炎症性腸疾患(IBD)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0014】
別の型の疼痛には以下のものが挙げられるが、それらに限定されない;
‐筋‐骨格系障害:筋肉痛、線維筋痛、脊椎炎、血清‐陰性(非‐リウマチ性)関節症、非‐関節性リウマチ、ジストロフィノパチー(dystrophinopathy)、グリコーゲン分解、多発性筋炎、化膿性筋炎(pyomyositis)を含むが、それらに限定されない。
‐神経系の損傷または障害により引き起こされる疼痛により定義される、中枢性疼痛または‘視床痛’:中枢性脳卒中後疼痛、多発性硬化症、脊髄損傷、パーキンソン病およびてんかんを含むがそれらに限定されない。
‐心臓および血管痛;狭心症、心筋梗塞、僧帽弁狭窄症、心膜炎、レイノー現象、浮腫性硬化症、浮腫性硬化症、骨格筋虚血を含むがそれらに限定されない。
−内臓痛および消化器障害。内臓には腹腔の臓器が包含される。これらの器官には生殖器、脾臓および消化器系の一部が包含される。内臓に関連する疼痛は、消化器内臓痛および非消化器内臓痛に分割することができる。一般に見られる消化器(GI)障害には、機能性腸疾患(FBD)および炎症性腸疾患(IBS)が挙げられる。これらのGI障害は現在適度にだけ制御されている広範な疾患状態を包含し、以下のもの‐FBDとしては胃‐食道反射、消化不良、過敏腸症候群(IBS)および機能性腹部痛症候群(FAPS)、そしてIBDとしてはクローン病、回腸炎、および潰瘍性大腸炎が挙げられ、それらはすべて通例内臓痛を生じる。内臓痛の別の型としては月経困難症、骨盤痛、膀胱炎および膵臓炎に伴う疼痛が挙げられる。
【0015】
頭部痛には、偏頭痛、前兆のない偏頭痛、前兆のある偏頭痛、クラスター頭痛、緊張型頭痛が挙げられるがそれらに限定されない。口腔顔面疼痛には歯痛、顎関節筋膜疼痛、耳鳴り、紅潮、脚不穏症候群および乱用可能性発生の遮断が挙げられるが、それらに限定されない。別の疼痛状態には、背部痛、滑液包炎、歯痛、線維筋痛または筋膜痛、月経痛、偏頭痛、神経障害性疼痛(痛みを伴う糖尿病性神経障害を含む)、ヘルペス後神経痛に付随する疼痛、術後痛、関連痛、三叉神経痛、内臓痛(間質性膀胱炎およびIBSを含む)ならびにAIDS、アロディニア、熱傷、癌、痛覚過敏、過敏症、脊髄外傷および/または変性および脳卒中に付随する疼痛を挙げることができる。
【0016】
動物は、手術により動物に肉体的傷害または損傷を引き起こすことによる外科的介入によって疼痛状態を体験するように準備されてもよく、好ましくは、処置はたとえばBennettモデル、クロミックガットによる座骨神経の緩い結紮 (Bennett, G.J. (1994) Neuropathic Pain, Text book of Pain; Wall, P.D. and Melzack, R編;pp. 201 - 224, Churchill Livingstone)、またはSeltzerモデル、座骨神経の部分的にきつい結紮 (Seltzer, Z. (1995) The relevance of animal neuropathy models for chronic pain in humans. Sem. Neurosci, 8: pp. 34-39)、またはChungのモデル、座骨神経の2種の脊髄神経の中の1種のきつい結紮 (Kim SH, Chung JM. An experimental model for peripheral neuropathy produced by segmental spinal nerve ligation in the rat. Pain (1992); 50: pp. 355-63)、または絞扼性神経損傷モデル(CCI)(Bennett GJ, Xie Y-K. A peripheral mononeuropathy in rat that produces disorders of pain sensation like those seen in man. Pain (1988); 33: pp. 87-107)、またはいずれか別の末梢神経傷害法の使用による末梢神経の損傷を包含する。
【0017】
あるいは、以下の疼痛誘発剤の投与により動物が疼痛状態を体験するように準備することができる:たとえばカプサイシン(Dirks J, Petersen KL, Rowbotham MC, Dahl JB. Gabapentin suppresses cutaneous hyperalgesia following heat-capsaicin sensitisation, Anesthesiology. 2002 Jul;97(1): pp. 102-107)、またはホルマリン(Tjolsen, A. et. al (1992) The Formalin Test, an evaluation of the method, Pain 51, pp. 5 - 17) 、またはフロインドの完全アジュバント(Abdi seconds, Vilassova N, Decosterd I, et al. Effects of KRN5500, a spicamycin derivative, on neuropathic and nociceptive pain models in rats. Anesth Analg 2000; 91: pp. 955-99)、またはカラギーナン (Itoh, M., Takasaki, I., Andoh, T., Nojima, H., Tominaga, M. & Kuraishi, Y. (2001) Induction by carrageenan inflammation of prepronociceptin mRNA in VR1-immunoreactive neurons in rat dorsal root ganglia. Neurosci. Res., 40, pp. 227-233.)、またはタキソール(Polomano RC. Mannes AJ. Clark US. Bennett GJ. A painful peripheral neuropathy in the rat produced by the chemotherapeutic drug, paclitaxel. (2001) Pain. 94(3): pp. 293-304)、またはビンカアルカロイドのビンクリスチン(Aley KO, Reichling DB, Levine JD. Vincristine hyperalgesia in the rat: a model of painful vincristine neuropathy in humans. Neuroscience (1996); 73: pp. 259-65)、またはテルペン油(Ness TJ, Gebhart GF. Visceral pain: a review of experimental studies. Pain (1990);41: pp. 167-234 and McMahon SB. Neuronal and behavioral consequences of chemical inflammation of rat urinary bladder. Agents Actions (1988); 25: pp. 231-233)。
【0018】
あるいは、以下のような有害な肉体的刺激を動物に提供することにより、動物が疼痛状態を体験するように準備することができる:たとえば有害な熱刺激の適用(Malmberg, A.B., and Bannon, A.W. Models of nociception: hot-plate, tail-flick, and formalin tests in rodents. Current Protocols in Neuroscience 1999;pp 8.9.1-8.9.15) 、または有害寒冷刺激もしくは有害圧刺激もしくはUV照射の適用( seconds. J. Boxall, A. Berthele, D. J. Laurie, B. Sommer, W. Zieglgansberger, L. Urban and T. R. Tolle, Enhanced expression of metabotropic glutamate receptor 3 messenger RNA in the rat spinal cord during ultraviolet irradiation induced peripheral inflammation Neuroscience (1998) 82(2): pp. 591-602)。
【0019】
あるいは、関節炎またはHIVまたは癌または糖尿病のような痛みを伴う疾患状態を生来有する動物を選択するための選択の工程により、動物が疼痛状態を体験するように準備することができる。あるいは、動物が関節炎またはHIVまたは癌または糖尿病のような痛みを伴う疾患状態を有するように改変することにより疼痛を体験するように準備してもよい。動物は、以下のような多様な方法で痛みを伴う疾患状態を有するように改変されてもよい:たとえば糖尿病性神経障害を誘発するためのストレプトゾシンの投与(Courteix,C., Eschalier,A., Lavarenne,J., Streptozocin-induced diabetic rats: behavioural evidence for a model of chronic pain, Pain, 53 (1993) pp. 81-88.)、またはHIV関連神経障害性疼痛を引き起こすためのウイルス蛋白質の投与(Herzberg U. Sagen J. Peripheral nerve exposure to HIV viral envelope protein gp120 induces neuropathic pain and spinal gliosis. Journal of Neuroimmunology. (2001 May 1), 116(1): pp. 29-39)、または関節炎および炎症性疼痛を誘発するためのフロインドの完全アジュバントまたはモノヨードアセテートの投与(Rikard Holmdahl, Johnny C. Lorentzen, Shemin Lu, Peter Olofsson, Lena Wester, Jens Holmberg, Ulf Pettersson Immunological Reviews Arthritis induced in rats with non-immunogenic adjuvants as models for rheumatoid arthritis (2001) 184巻, 1号, pp. 84) 、またはヘルペスおよびヘルペス後神経痛を引き起こすための水痘帯状疱疹ウイルスの投与(Fleetwood-Walker SM. Quinn JP. Wallace C. Blackburn-Munro G. Kelly BG. Fiskerstrand CE. Nash AA. Dalziel RG. Behavioural changes in the rat following infection with varicella-zoster virus. Journal of General Virology. 80 ( Pt 9):2433-6, 1999 Sep.)、または癌を引き起こすための動物への発癌物質または癌細胞の投与(Shimoyama M. Tanaka K. Hasue F. Shimoyama N. A mouse model of neuropathic cancer pain, Pain. 99(1-2): pp. 167-74, 2002 Sep)。好ましくは後述の実施例に記載のような絞扼性神経損傷モデル(CCI)を使用して、好ましくは動物が疼痛状態を体験するように準備する。
【0020】
ステップ(a)側面1およびステップ(a)側面2の動物は同じ方法を使用して、疼痛状態を体験するように準備することができる。
側面1のステップ(b)または側面2のステップ(b)および(f)において、動物が疼痛を体験する程度を測定するためにどの方法を使用するかは重要ではなく、側面2のステップ(b)および(f)に同じ方法を使用することが適切である。多様な方法が使用されてよい;たとえば動物が疼痛を体験する程度は、疼痛閾値欠陥の測定のための以下のいずれか適切な方法の使用により測定される:たとえば、触覚機械的アロディニア評価のためのVon Frey試験(Chaplan SR, Bach FW, Pogrel JW. Quantitative assessment of allodynia in the rat paw. J Neurosci Methods 1994; 53: pp. 55-63)、または脚引っ込め試験(Tal M, Bennett G. Extra-territorial pain in rats with a peripheral mononeuropathy: mechano-hyperalgesia and mechano-allodynia in the territory of an uninjured nerve. Pain 1994; 57: pp. 375-82) 、または針刺し(pinprick)痛覚過敏試験(Koltzenburg M. Painful neuropathies. Curr Opin Neurol 1998; 11: pp. 515-21.)、またはホットプレート試験(Nishiyama T, Yaksh TL, Weber E. Effects of intrathecal NMDA and non-NMDA antagonists on acute thermal nociception and their interaction with morphine. Anesthesiology 1998; 89: pp. 715-22.)、または温熱性アロディニア試験(Bennett G. Neuropathic Pain. In: Wall PD, Melzack R, eds. Textbook of pain. Edinburgh: Churchill Livingstone, 1994: pp. 201-24.)、または動的アロディニア試験(Koltzenburg M, Torebjork E, Wahren LK. Nociceptor modulated central sensitization causes mechanical hyperalgesia in acute chemogenic and chronic neuropathic pain. Brain 1994; 117: pp. 579-91)、または温熱性痛覚過敏試験(Hargreaves KM, Dubner R, Brown F, Flores C, Joris J: A new and sensitive method for measuring thermal nociception in cutaneous hyperalgesia. Pain 1988; 32: pp. 77-88)、または有害な熱もしくは寒冷疼痛圧疼痛試験(Courteix,C., Eschalier,A., Lavarenne,J., Streptozocin-induced diabetic rats: behavioural evidence for a model of chronic pain, Pain, 53 (1993) pp. 81-88)、または負荷(weight bearing)試験(Schott et al., 1994 Journ .Pain .Man. 31: pp. 79-83);好ましくは動物が疼痛を体験する程度は、負荷試験を使用して、動物がその体重を支持することができる程度により、または静的アロディニアを測定するためのVon Frey毛を使用した脚引っ込め試験により、および/または動的アロディニアを測定するための綿花を使用した脚引っ込め試験により測定する。最も好ましくは、静的アロディニアを測定するためのVon Freyヘアーを使用した脚引っ込め試験、および/または動的アロディニアを測定するための綿花を使用した脚引っ込め試験が行われる。
【0021】
試験動物が側面1および2のステップ(b)に従って疼痛を体験する程度は、好ましくは、同じ条件下で試験動物と同じ試験に供される対照動物の、対応する測定値を参照することにより評価し、そのようにして得られた尺度を対照と比較し、試験動物で測定された影響の程度を推論することができる。
【0022】
試験動物が側面2のステップ(f)に従って疼痛を体験し続ける程度は、好ましくは同じ試験で同じ試験動物から得られた以前の測定値、たとえば、側面2のステップ(b)で得られた測定値と比較することにより評価し、さらに、またはかわりに、同じ条件下で試験動物と同じ試験に供される対照動物の対応する試験測定値と比較してもよい。
【0023】
本明細書で使用する“対照動物”という用語は、ナイーブ(naive)動物または偽手術(sham)動物のいずれかを包含することを意図する。ナイーブ動物は、好ましくは疾患、とりわけ疼痛または行動異常(たとえば神経変性疾患または気分障害または認識障害)に関連する疾患または状態の無い正常な健康動物であり、好ましくは、ナイーブ動物は公知の疼痛試験(すなわち静的および動的アロディニアまたは負荷試験)を使用して試験した場合、異常な疼痛閾値の徴候を示さない。偽手術動物は、疼痛状態を引き起こすために試験動物に行われるが、疼痛状態の原因となる影響を提供しない、いずれかの介入に供されるナイーブ動物である(たとえば、試験動物に注射が行われる場合、偽手術動物にプラセボ注射が行われ、あるいは試験動物において神経を結紮するために切開が行われる場合、偽手術動物では切開が行われるが神経は結紮されない)。好ましくは、偽手術動物および試験動物は、類似した時点、たとえば同じ日にいずれか適切な介入に供される。
【0024】
対照動物は好ましくは、試験動物と同じ動物種であり、そしてさらに好ましくは、本質的に同じ年齢、サイズ、体重および同じ性である。
動物が疼痛または疼痛状態に関連しない肉体的障害を体験するかどうかの特定は、運動障害を評価するために適した運動障害試験のような試験、たとえば直接観察、運動協調のための歩行解析試験、筋緊張のための握力試験、運動失調のための脚滑り落ち試験(Melnick SM et al, Pharmacol, bioch and behaviour, 72, 2002)、またはロタロッド(rota rod)試験を使用して行うことが可能であり、好ましくはロタロッド試験が使用される。試験は、好ましくは試験動物と同じ条件下で同じ試験に供される対照動物の対応する測定値と比較した運動障害の測定値を得るために、試験動物に対して行われる。対照動物はナイーブ動物または偽手術動物、好ましくはナイーブ動物であってよい。側面1および2の試験動物では、運動障害試験から得られた測定値が予想されたもの、または偽手術もしくはナイーブ動物から得られたものの20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内、さらに好ましくは2%以内である場合、疼痛は主に疼痛状態に関連すると見なされる。
【0025】
本発明の側面1および2で行われた行動試験は、好ましくは認識機能、社会的健康、情動的健康または身体的健康の中の1以上を測定することを意図する。さらに好ましくは、行動試験は学習能力、記憶、社会的相互作用、探索行動、動機付け、不安、鬱状態、自発的運動および活動、運動恐怖、性行動、睡眠の質、血圧、心拍数、体重の変化、健康状態の中の1以上を測定することを意図する。行動試験はたとえば以下のいずれであってもよい:
1 学習能力試験:迷路学習試験、たとえば食物報酬のある標準放射アーム迷路またはT迷路試験により、またはシャトルボックス試験(連続した数日間の潜伏時間およびエラーの数を評価すること)により評価することができる。
2 性行動試験:以下のことにより評価することができる:
雄ラットにおける性的動機付けおよび行動を評価することにより記録される、マウンティング、挿入および射精の尺度、たとえば:
マウンティング潜伏時間:試験装置に雄と雌を導入してから、雄が雌にマウンティングするまでに経過する時間;
マウンティング間隔:連続するマウンティング間の平均時間;
挿入間隔:連続する挿入間の平均時間;
射精後間隔:射精から次の交尾までに経過する時間。
雌性行動の尺度には以下のことが挙げられる:
受動的性行動:雌が交尾する意志および能力‐(脊柱前弯スコア);
能動的性行動:雌のホッピング、突進、探索および呈示(脊柱前弯姿勢をとる)行動を測定することにより評価できる、雌の願望;
魅力度:雄がどのくらい雌と交尾することを望むか。
3 社会的相互作用試験:以下のことにより評価することができる:
アリーナで試験ラットと‘新参’ラットがお互いににおいをかいだり、グルーミングをするために費やす時間を記録することにより、それらの相互作用をモニターすること。
4 探索行動試験:動物が探索するために頭部を置くことができる、床に穴のあるアリーナを動物が探索するホールボード試験によって評価することができる。穴への侵入数と探索された穴の数を記録する。
5 動機付け試験:先に記載のホールボード試験によって評価することができる。
6 不安試験:高架プラス迷路によって評価することができる。ここでは、動物は床より高い迷路に置かれ、そこには4本の直交する細いアームがあり、2つのアームは壁つきで、2つのアームはむき出しである。不安尺度は、動物がむき出しのアームに侵入しない場合に記録される。
7 抑鬱試験:強制水泳試験によって評価することができる。ラットは逃避手段のない、水で満たしたチャンバーに入れられる。抑鬱状態は、水泳またはチャンバーからの逃避試行の欠如によって測定される。代わりとなる試験には、マウスを尾部によってぶら下げる、尾部ぶら下げ試験が挙げられる。不動時間は、抑鬱の指標として測定される。
8 自発性運動および活動試験:新規な環境における水平および垂直運動活性の測定により評価することができる。通常光電池装備ケージまたはビデオ追跡システムにより記録する。
9 記憶:以下のことにより評価することができる:
Morris水迷路試験:水で満たした円形アリーナ、アリーナのまわりに置かれた可視の目印を使用し、基準点として可視の目印を使用して、出口を見つけるために費やした時間を記録する。代わりとなる試験は2相からなる、新規物体認識試験である。第1相ではラットは、見慣れたアリーナで2つの同じ物体を等しく探索する能力に関して選択される。第2相では、1物体を新規物体に置き換え、動物は再び、自由にアリーナを探索することを許される。第2相で新規物体と見慣れた物体間の探索の差が記憶能力の尺度である。
10 睡眠特性試験:動物のEEG記録の解析により評価することができる。
【0026】
また、行動試験は以下のものであってもよい:運動活性試験、好ましくは以下の実施例で記載された運動活性試験、または平均台(beam)歩行試験、好ましくは以下の実施例で記載された平均台歩行試験、ロタロッド試験、好ましくは以下の実施例で記載されたロタロッド試験、またはオープンフィールド試験、好ましくは以下の実施例で記載されたオープンフィールド試験、または物体認識試験、好ましくは以下の実施例で記載された物体認識試験。本発明の側面1および2に従って、1以上の行動試験を行うことができる。
【0027】
平均台歩行試験の遂行において、好ましくは、平均台横断中に、平均台から落下する、または渡らない、またはフリーズするラットのカットオフ(時間)は20秒にセットし、平均台横断中に、平均台から落下する、渡らない、フリーズする、または傷害を受けた脚を使用しないラット(たとえばCCI動物のような神経傷害動物において)のカットオフは10回(滑り落ち)にセットする‐このことは肉体的障害を定量化するためのデータ変動性の軽減に役立つ。
【0028】
平均台歩行、オープンフィールドおよび物体認識試験のための動物への試験化合物の投与は、好ましくは特定の試験で、低下した疼痛閾値および機能障害を示す、選択された動物:たとえば平均台歩行では、術後2週間目に、化合物が投与される前に、静的アロディニア疼痛‐様閾値、および2以上の滑り落ちの数を示すCCIラットだけ、そしてオープンフィールドの場合、術後2週間目に、静的アロディニア疼痛‐様閾値、および6以下のアリーナの中心への侵入数を示すCCIラットだけ、または物体認識試験の場合、術後2週間目に、静的アロディニア疼痛‐様閾値、および試験の第1相において識別指標値±10秒を示すCCIラットだけにおいて行われる。
【0029】
オープンフィールド法の遂行においては、対象に対する不安効果を軽減するために、研究は明るい光条件のかわりに、好ましくは通常の光条件60ルクスで行われる(ナイーブラットにおける強い光に誘発される不安)。
【0030】
本明細書で使用する“遂行スコア”という用語は、行動試験の遂行中、特定の行動機能を表す変数の測定された量を包含することを意図し、たとえば遂行スコアは、オープンフィールド試験における不安レベルの尺度として中心ゾーンに動物が侵入する回数、平均台歩行試験における滑り落ちの数または渡るための時間、物体認識試験における探索時間であってよい。
【0031】
側面1ステップ(d)および側面2ステップ(d)および(h)に記載の1以上の行動試験において、選択された試験動物の遂行スコアの決定は、試験動物と同じ条件下で同じ試験に供される対照動物の対応する測定値に比較して行うことができる。
【0032】
a)動物が疼痛を体験し続ける程度、またはb)行動試験における遂行スコアの増大、減少または変化の欠如は、実施された測定間の直接比較により、または(a)動物によって体験される疼痛の程度、もしくはb)行動試験における遂行スコアを決定するために使用される方法のアウトプットである、得られた量または観察の統計解析を使用することによって判断することができる。一般に統計解析は、観察または測定された量が試験化合物の非存在下で予想または測定された量または量の範囲と有意に異なるかどうかの判断を可能にする。手順は、統計的有意性評価のためのいずれか標準的な数学的統計手順;たとえば仮説検定、有意差検定、意志決定のルール、または意志決定ルールであってよい。一般に、しばしばαによって表示される、選択された統計的手順の有意性のレベル、または有意性レベルは予め特定され、実際問題として、好ましくは0.05または0.01の有意性レベルが使用されるが、別の値が使用されてもよい。たとえば、ある量の有意性検定のための意志決定ルールを計画するために0.05%(または5%)の有意性レベルを選択する場合は、そのレベルが有意であると見なされるべき場合、ある量が、たとえば試験化合物の非存在下、または存在下で予想されるものと有意に異ならないという仮説拒絶の見込みが100のうち約5ある;すなわち95%の確かさで正しい決定が行われている。0.05%有意性レベルの場合、仮説は間違っている確率を0.05有する。α=0.05、0.01および0.001に相当する臨界値は多くの通常使用される統計学、たとえばt‐検定、F‐検定およびカイ‐二乗検定のために表にされ、そして有意性の判断の評価に使用することができる。一般に0.001〜0.05の有意性レベルが使用される。
【0033】
ある量の値をある範囲の量の値に比較する場合、有意性は、好ましくはその範囲の量の値の分布の平均値から、その量の値の標準偏差を決定することによって判断され、一般に平均値からの2または3標準偏差の値が有意であると見なされ、標準偏差計算の前に、標準手順を使用した分布の標準化が必要であってよい。
【0034】
本発明の側面2に従った試験化合物は、好ましくは医薬化合物であり、たとえば経口、または静脈内、または非経口注射、または筋肉内注射、または皮下注射のようないずれかの標準的方法により、または吸入により、または坐薬もしくはペッサリーにより、または局所的に送達可能であり、好ましくは、投薬量は経口的に送達される。化合物の投薬量は、一般に0.01〜300mg/kg対象動物の体重、好ましくは0.1〜100mg/kgの範囲にある。あるいは、投薬量は静脈内注入によって、好ましくは0.001〜100mg/kg/時間の範囲の投薬量で送達されてよい。上記の投薬量は平均的な場合の典型的なものであり、したがって量の増減があってよい。
【0035】
本発明の側面3に従って、本発明の第2の側面の改変が提供され、そこでは1以上の試験化合物が投与されてもよい。
本発明の側面4に従って、側面2に記載の化合物を含有する医薬組成物が提供される。
【0036】
本発明の側面5に従って、薬物として使用のための側面2に記載の化合物が提供される。
本発明の側面6に従って、疼痛状態の処置、好ましくは神経障害性疼痛の処置のための薬物の製造における側面2に記載の化合物の使用が提供される。
【0037】
本発明の側面7に従って、側面4に記載の組み合わせ試験化合物を含有する医薬組成物が提供される。
本発明の側面8に従って、薬物として使用のための側面4に記載の組み合わせが提供される。
【0038】
本発明の側面9に従って、疼痛状態の処置、好ましくは神経障害性疼痛の処置のための薬物の製造における側面4に記載の組み合わせの使用が提供される。
以下の実施例は本発明の態様および原理を説明する。
【実施例】
【0039】
以下の実施例は、齧歯類において肉体的障害、情動変化および記憶障害の尺度を通して評価される、持続的な疼痛により損傷された2種の主要な領域、とりわけ生理的、情動的および認識領域についての成功した研究を例示する。試験動物と対照動物の両方に適用されるいずれかの試験の遂行において測定値またはスコアが取られる場合は行動の結果に影響を与える可能性のある環境ストレスを避けるように注意して測定が行われる(たとえば、動物は好ましくは種々の試験条件に対して訓練されるか、または慣らされる)。絞扼性神経損傷(CCI)ラットモデルを使用して、慢性神経障害性疼痛、行動、運動、情動および認識異常のモデルが提供される。QoL尺度は、運動活性、ロタロッド、平均台歩行およびオープンフィールド試験ならびに物体認識試験のような記憶または学習試験のような多様な試験を使用して評価される。
【0040】
CCIラットは、神経結紮後6か月までアロディニア‐様行動、負荷欠陥および平均台歩行障害を提示する。ロタロッド測定値から、主要な肉体的障害は術後2週間まで提示されると考えられる。術後4週間から開始した場合、CCIラットのロタロッド遂行スコアはナイーブおよび偽手術ラットに匹敵し、したがってロタロッド試験のような運動障害試験により、誘発された疼痛状態に付随する一時的肉体的障害のない動物を選択できる。
【0041】
座骨神経のCCIを有するラットは疼痛に関連した行動、運動、情動および認識異常を示す。術後2週間で、CCIラットは疼痛‐様閾値の有意な減少(p<0.01)、運動活性、ロタロッドおよび平均台歩行試験における欠陥(p<0.05およびp<0.01)を示す。しかし、運動機能の大部分が回復している4週間目では、ラットは依然としてアロディニア疼痛‐様閾値を提示する。この段階で、動物は高い平均台の横断、オープンフィールドの探索および新規物体の認識において欠陥を示し続ける。これらの変化は、大部分の動物が疼痛状態から回復する、術後約8週間で消失する。トラマドールおよびモルヒネは共に平均台歩行障害を改善する効力を示すが、アミトリプチリンは示さない。オープンフィールド試験では、トラマドールおよびジアゼパムはCCIラットの疼痛に関連した不安様行動を改善しないが、ガバペンチンは改善し、純粋な鎮痛または抗不安活性は神経障害ラットの情動様異常を改善できないことを示唆する。物体認識試験では、トラマドールはCCIラットの記憶/注意欠陥を改善した(データは示さない)。以下に例示した方法は疼痛の広範で複雑な状況の検討を可能にし、そしてラット疼痛モデルの行動機能およびQoLの回復における薬物の効力の評価のための有用な前臨床手段を提供する。
【0042】
1.0 材料&方法
1.1 動物
手術には、一般に雄CD Sprague Dawleyラット(CD)200〜250g(Charles River、Margate、U.K.)を使用する。ラットは、12時間明暗周期下、1ケージに3匹のグループで飼育し、食物および水は自由に摂取させる。それぞれの実験は12匹のラットのグループで行い、それぞれの試行中、CCI‐、偽手術‐およびナイーブラットの間を無作為化する。この研究におけるすべての手順は、Home Office Animals(Scientific Procedures)Act 1986、およびそれに応じた本発明者らのプロジェクトライセンスに従って行い、神経障害ラットおよび対照は術後10週間目にスケジュール1の方法によって、死に到らせる。
【0043】
1.2 神経障害性疼痛モデル
座骨神経のCCIはBennett and Xie (1988)によって先に記載されたように行う。動物はノーズコーンを介して手術中に維持される2%イソフルオラン/O混合物で麻酔し、大腿二頭筋を通した鈍切開により右大腿部の中央で総座骨神経を曝露する。座骨神経三分岐部に近接した約7mmの神経から付着する組織を取り除き、4本の結紮糸(4−0絹糸)をそのまわりに約1mm空けて緩く結ぶ。結紮糸は表面の神経上膜血管を通る循環を遅延させるが、阻止しないように結ばれる。次に切開を層状に閉鎖し、創傷を局所抗生物質で処置する。偽手術群では、座骨神経を結紮しないことを除いて、同側脚に同じ切開が行われる。
【0044】
1.3 機械的‐様疼痛閾値
1.3.1 静的アロディニア
動物は2,3日試験ケージに慣らし、機械‐アロディニアの評価を行う。静的アロディニアは漸増する力(1.0、1.5、2.0、4.0、5.0、6.0、8.0、10.0および15.0グラム)で、後脚の足底表面に9種の基準化されたvon Freyフィラメント(Stoelting,IL,USA.)を適用することにより評価する。それぞれのvon Freyヘアーは、引っ込め反応が起きるまで、または6秒間まで脚に適用される。引っ込め反応が一旦認められると、次に弱い力のフィラメントから開始し、反応が起こらなくなるまで脚は再試験される。反応を引き起こすために必要な最も弱い力が脚引っ込め閾値(PWT、グラム)として記録される。静的アロディニアは、以前に無害の4.0グラムvon Freyヘアーに等しいか、またはそれ以下の動物応答として定義される(Field, et al,1999, Pain;83:303-11)。
【0045】
1.3.2. 動的アロディニア
動的アロディニアは、引っ込め反応が起きるまで、綿花で後脚の足底表面を軽くたたくことにより評価する。十分に慣れたラットでこの手順を行うように、注意が払われる。少なくとも3つの測定値をそれぞれの時点でとり、その平均値が脚引っ込め潜時を表す(PWL、秒)。15秒以内に反応が無い場合、手順を終了し、動物に15秒の引っ込めカットオフ時間を付与する。動物が8秒以内に綿でたたく刺激に反応した場合、動的アロディニアが存在すると考えられる(Field, et al,1999,Pain;83:303-11)。
【0046】
1.4 行動試験
1.4.1 運動活性試験
新規な環境の中のラットの自発運動活性は35x20cmのPerspexチャンバーでモニターする。ケージは床上2および15cmに位置する2列の光電池を備える(San Diego Instruments, CA, USA)。それぞれの動物はケージの中心に置き、全運動活性(水平および垂直)は5分毎に最大30分間モニターする。
【0047】
1.4.2 平均台歩行試験
平均台歩行装置は、床から75cmにある、長さ1.5m、2.5x2.5cmの正方形断面の平均台からなる。試験は、ほの暗い条件(18ルクス)で行われる。光源(520ルクス)は平均台の開始点に置き、他の端に暗箱を置く(Goldstein & Davis, 1990,J Neurosci Methods; 31:101-107)。ラットは2日間にわたり、平均台を渡る訓練をされる。試験日には、適切な試験試行を行う前に付加的な訓練セクションが行われる。ラットが平均台を渡る間に生じた滑り落ちの数を手で数え、平均台を渡らないか、または落ちるラットに対しては10回の滑り落ちのカットオフを与える。同側の脚を使用せずに平均台を渡るラットには、最大の滑り落ち数を与える。
【0048】
1.4.3 ロタロッド試験
ロタロッド試験は、加速可能なモーター駆動ドラムが付き、フランジによって分割された4つの回転ドラムからなる(Ugo Basile, Comerio, VA, Italy)。与えられた試行に対して、ラットは回転ロッドに置かれ、回転スピードは2分間で4〜16回転/分(rpm)まで加速される。最大動作時間は120秒にセットされる(Voikar V et al, 2001, Physiol Behav., 2001;72:271-81)。それぞれの動物は、術後、プレ試験段階で、3日間連続して、1時間間隔で1日に3回の訓練試行、およびそれぞれの試験時に1日に3回の試行を受けた。ロッドから落ちる潜時は、最後の3回の試行の平均値として表される。プレ試験で80秒未満の潜時を示すラットは、正常な行動を示さないと考え、研究から除外する。
【0049】
1.4.4 オープンフィールド試験
オープンフィールドにおけるラットの自発性運動活性は、70x70cmの暗いアリーナで30分間モニターする(Prut ans Belzung, 2003,Eur J Pharmacol. 463:3-33.)。それぞれの動物はアリーナの中心に置き、ビデオカメラが動物の動きを記録した。4匹のラットは、4つの異なるケージ中で同時に記録する。データを集め、Ethovision 3.0ソフトウェア(Noldus IT, Netherdland)で解析し、そして探索行動はアリーナ(23x23cm)の中心領域における侵入数として表す。
【0050】
1.4.5 物体認識試験
物体認識試験はEnnaceur and Delacour (1988)に記載されたとおりに行った。装置は直径55cm、50cmの黒壁を持つ黒い円形アリーナから構成された。アリーナの異なる部分における光の強さ(60ルクス)は等しかった。壁から約10cm離れた対称位置に2つの物体を置いた。本発明者らは、形と色が異なる6セットの物体を使用した。物体のサイズは、ラットの大きさの2倍より小さく、アリーナの床に固定され、そのためラットが置き換えることはできなかった。
【0051】
それぞれの動物は試験前に訓練された;これには、連続して3日間、1日に2回、セッション毎に5分間、ラットが床に触れることと慣らすことが含まれた。試験セッションには2回の試行が含まれる。1回目の試行(習熟化相)では、装置に2つの同じ物体を置いた。動物は壁に囲まれたアリーナの中心に置かれ、2つの同じ物体を5分間探索することを許された。次に4および24時間放置後、動物は2回目の試行(試料相)のために、今度は2つの異なる物体、見慣れたもの(F)と新規なもの(N)を置いた装置に戻された。この段階では、ラットは物体を3分間探索することを許された。習熟化相および試料相の期間中、アリーナの移動距離、およびそれぞれの物体を探索するために費やした時間を手動および自動で、それぞれビデオ追跡システム(Noldus Ethovision 3.0、Netherland)により記録した
探索は以下の様に定義した:わずか2cmの距離で物体の方に鼻を向ける、および/または鼻で物体を触ること。物体の上にすわることは探索行動と見なさなかった。嗅覚による手がかりの存在を回避するために、物体およびアリーナはいつも完全に洗浄した。さらに、1回目の試行の物体はいずれも2回目の試行に使用しなかった。
【0052】
習熟化相では、10秒未満しか物体を探索しないか、または一方の物体に嗜好を示す(探索時間の差が10秒以上)動物はいずれも研究から除外される。
物体認識試験では、新規な物体と見慣れた物体との探索時間の差(識別指標、d=N−F)によって探索を表す。データは1群につき8〜16匹のラットのdの平均値±SEMとして表し、Mann Whitney t試験により解析した。
【0053】
1.5 肉体的障害の試験
先に詳述したようなロタロッド法は運動障害の優れた尺度を提供することが見出され、そのような運動障害はとりわけCCIラットモデルにおいて、具体的な意図した疼痛状態と関連せず、そして実際、そのような運動障害は疼痛状態を生み出すために計画された手順中に誘発することができる、一時的な肉体的障害(たとえば筋肉損傷または除神経)の結果である。たとえば、ロタロッド法の使用はCCI手術後2週間目に提示される肉体的障害を検出した。術後4週間から開始した場合、運動遂行の障害は検出されず、付随する肉体的障害が回復していることを示唆する。この証拠を確認するために、本発明者らは、CCIラットにおけるロタロッドにおいて、モルヒネとトラマドールの活性を試験し、両化合物が神経障害ラットのロタロッド遂行を改善しないことを見出した(データは示さない)。
【0054】
1.6 化合物
モルヒネ(1および3mg/kg、sc)、トラマドール(10〜100mg/kg、PO)、アミトリプチリン(2〜10mg/kg、PO)、ガバペンチン(30〜100mg/kg、PO)およびmCPP(1および3mg/kg、PO)は生理食塩水に溶解した。ジアゼパム(1および3mg/kg、IP)は、0.1%Tween80に懸濁する。社内で合成されるガバペンチンを除いて、すべての薬物はSigma Aldrich(Gillingham、UK)によって供給される。
【0055】
1.7 データ解析
すべての実験は盲験で行われる。実験が1日以上かけて行われ、技術的に可能な場合、それぞれの日においてすべての群は同じものであった。静的アロディニアは中央値[LQ;UQ]、平均台歩行試験における滑り落ちの数は平均値±SEMとして表し、両パラメータはMann Whitney U試験により解析する。物体認識試験では、新規な物体と見慣れた物体との探索時間の差(識別指標、d=N−F)によって探索を表わす。データは1群につき8〜16匹のラットのdの平均値±SEMとして表し、Mann Whitney t試験により解析する。別のすべての試験の場合、データは平均値±SEMとして表し、ANOVAによって解析する。
【0056】
1.8 結果
1.8.1 健康状態および感覚スコア
手術後、動物はよくグルーミングをするように見え、大部分の時間、CCIラットは傷ついた脚を保護位置に保った。10週間の観察中、ラットは通常体重が増加し、CCI‐、偽手術‐およびナイーブラット間に差は認められない。座位および立位の場合、動物はしばしば脚を地面から離して、脇腹の隣の保護位置に保ち、そしてしばしば傷ついた脚をなめていた。この行動はたしかに術後初めの2週間はより頻繁であるが、8週間では、大部分のラットは保護位置を示さず、それらの歩行は対照群とほとんど同じである。動物を手術から回復させるために神経傷害後2週間目からすべての行動試験を行い、これは疼痛の開始時期に対応する(Field MJ et al, 1999)。
【0057】
座骨神経の絞扼性神経損傷(CCI)はラットに疼痛‐様閾値の長期持続的減少を引き起こした(Bennett and Xie, 1988、Field et al, 1999)。手術前、同側および反体側脚は強い侵害刺激にだけ反応する(≧8gおよび≧9秒)。したがって、同側脚の静的機械的疼痛‐様閾値の平均値は15グラム[5;0]であり、動的機械的疼痛‐様閾値は12.6±0.6秒である。反体側脚は、全時間経過中、ナイーブ、偽手術‐およびCCI‐手術プロファイル(データは示さない)、ならびに、偽手術‐およびナイーブの同側値の間で有意差なく類似の値を維持した。
【0058】
手術後2週間で、同側脚で測定した静的および動的疼痛‐様閾値は著しく減少する(データは示さない)。約90%のラットは静的および動的アロディニアに対して、それぞれ疼痛様閾値≦4グラム、または9秒を示した。CCIラットの平均値は、疼痛の両サブタイプにおいて対照と有意に異なる(p<0.01)。ナイーブラットに対して静的アロディニアは4グラム[0;0]対10グラム[2;0]であり、動的アロディニアは4.4±0.7対10.9±0.8秒である。CCIラットの疼痛‐様閾値は手術後6週間まで一定のままであり、8週間においてだけアロディニア‐様行動を示すラットの割合が減少する。総合的には、神経障害後8および10週間のCCIラットの同側疼痛‐様閾値は対照と統計的に差が見られず、手術前の値と差がない。
【0059】
1.8.3 運動活性試験
CCI‐、偽手術‐およびナイーブラット間の運動活性は手術後2週間から記録する。新規環境における全運動はすべての群で30分間測定する(図1A)。CCIラットは手術後2週間でだけ、運動活性の有意な減少(318±26対偽手術‐およびナイーブそれぞれの438±41および417±26)を示した。術後4週間では、CCIラットは対照のように自発的に新規環境を探索し、すべての群の運動活性は統計的に差が見られない。付加的な研究は、CCIラットの自発的運動活性の減少が術後1週間でも同様に存在する(データは示さない)が、術後2週間では全く見られないことを示した。
【0060】
1.8.4 ロタロッド試験
神経傷害後14日目に、加速性ロタロッドによりラットの協調行動を評価する(図1B)。ナイーブラットと偽手術ラットの特性は試験期間中、有意な差が見られない。両グループは2週間目に、それらの対応する基準値と統計的に差がない落下の潜時を示した(偽手術およびナイーブそれぞれに対して99±7対112±3秒および102±5対111±5秒)。それとは異なり、神経傷害ラットはロタロッドタスクにおいて、この時点で運動欠陥を示した。落下の潜時は基準値と比較して59%減少(p<0.01)し、行動に欠陥のあるラットの割合(平均潜時<80秒)は67%であるが、ナイーブと偽手術群では、それぞれ33%と8%である。2週間後、80秒以上ロッド上にいることができるラットの割合は増加し、CCI群の33%だけが行動に欠陥が見られる(ナイーブと偽手術は共に17%;NS)。付加的な研究は、ロタロッド試験におけるCCIラットの肉体的欠陥が術後1週間目でも同様に示されることを示した。モルヒネまたはトラマドールの鎮痛量で処置された、選択されたラット(平均行動<80秒)は、ロタロッド試験において改善を示さなかった(データは示さない)。
【0061】
1.8.5 平均台歩行試験
手術1週間前に、2日間、ラットは10秒未満(5.0±0.2秒)、1回または0回の滑り落ち(0.5±1;図1C)で平均台の全長を渡るように訓練される。術後2週間目に平均台を渡る能力を再度試験することによりCCIラットおよび対照の運動協調のレベルをモニターした。ナイーブおよび偽手術ラットは共に全時間経過中、正常な歩行を維持した。それらは5秒未満で平均台を渡り、滑り落ちの数は基準値に比較して有意な変化を示さなかった。対照ラットはいずれも平均台から落下せず、フリージング行動を示さなかった。一方、神経障害ラットは神経結紮後14目日で平均台を正しく渡れず;それらは生じた滑り落ち数の有意な増加を示した(偽手術群の4.0±0.4に対して14.2±1.8)。約42%の神経障害ラットは平均台から落下し、1匹は全く渡らなかった。障害は神経損傷後6週間続き;この時点でCCI群の滑り落ちの数は依然として対照と有意に異なっている(偽手術群の0.3±0.1に対して2.4±0.9;p<0.01)。神経傷害後7週間目では、CCIラットの行動は改善し、滑り落ちの数は対照と差が見られない。
【0062】
付加的な研究は、平均台歩行試験におけるCCIラットの肉体的障害は術後1週間目でも同様に存在することを証明した(データは示さない)。
術後3週間から始めた場合、CCIラットはそれらの行動に基づいて選択される。2以上の滑り落ち数を示すものだけが選択され、試験の薬理学的評価に使用される。1群のナイーブCDラットはベヒクルで処置され、陽性対照として使用される。モルヒネ(1および3mg/kg)、トラマドール(30〜100mg/kg、PO)およびアミトリプチリン(2mg/kg)はそれぞれ皮下(s.c.)、経口(p.o.)および腹腔内(i.p.)投与し、ラットは投与後30分、1、2および3時間に試験される(図2)。モルヒネは基準値に比較して滑り落ち数を有意に減少させた(高用量において、30分および1時間それぞれに対して3±1および2±1対6±1および5±1;p<0.05)。1mg/kgの低用量は、平均台歩行試験におけるラットの行動を改善したが、値は対照値に比べ統計的差が見られなかった(図2A)。
【0063】
トラマドールは投与量依存的にCCIラットが平均台を渡る能力を改善する。薬物投与後1時間では、高用量で処置されたラットは滑り落ち数の有意な減少を示した(1±1対CCIベヒクル処置群の6±1;p<0.01)。30mg/kgの投与量でも明らかにラットの行動を改善したが、データはCCI対照と有意な差が見られない(図2B)。
【0064】
アミトリプチリンは、20mg/kgでさえも平均台歩行試験における神経障害ラットの行動を改善しなかった(図2C)(データは示さない)。
1.8.6 オープンフィールド試験
CCIラットの不安‐様行動を測定するために、通常の光条件(100Lux)でオープンフィールド試験が行われる。高い強度は、対照ナイーブにおいて接触走性およびフリージングのような不安‐様行動を誘発し、CCIラット、ナイーブおよび偽手術間の区別に役立たなかった。本発明者らが準備した環境条件によって不安‐様行動を測定できることを確かめるために、不安誘発化合物mCPPの活性をCDナイーブラットにおいて試験した。
【0065】
腹腔内投与(i.p.)したmCPP(1〜3mg/kg)は用量依存的に齧歯類の探索行動(たとえば、侵入数)を減少させた(図3)。アリーナの中心における探索行動は高用量において有意に低下する(ベヒクル‐処置動物の13±3に対して5±2)。対照群の16%に比べ、75%のラットが6回未満しか中心を探索しなかった。
【0066】
座骨神経のCCIを受けたラット60匹の群は、オープンフィールドタスク試験を術後2週間目から始めた(図4A)。傷害ラットは神経損傷後2〜6週間まで探索活動の低下を示した。中心領域への侵入数は、mCPPで処理したナイーブラットによって示されたものと類似した平均値における強い減少を示した(それぞれ5±1対5±2)。術後9週間目では探索活動は増加し、6週間後のデータと有意な差が見られた(9±1;p<0.05)。
【0067】
傷害齧歯類のこの集団では、それらの約50%が依然として術後9週間目においてアロディニア疼痛‐様閾値を示すことを観察した。したがって、9週間目の疼痛‐様閾値(静的アロディニア)に基づいて動物を2つのサブグループに分割し、回復が早いラットは回復が遅い群に比べ、術後6週間においてオープンフィールド探索回数が有意に少なく、この時点で回復が遅い群は依然として不安‐様行動を示した(図4B)。
【0068】
モデルの薬理学的検証のために、探索活動が乏しいCCIラット(侵入数≦6)がオープンフィールドで予め選択され、そして1週間後にジアゼパム(1および3mg/kg、i.p.)、トラマドール(30mpk、p.o.)またはガバペンチン(30〜100mg/kg、p.o.)で処置される。ナイーブCDベヒクル‐処置ラットは陽性対照として使用される。図5Aに示すように、ジアゼパムおよびトラマドールは、それぞれ3mg/kgおよび100mg/kgのような高用量でさえもCCIラットの疼痛関連不安‐様行動を改善しなかった(データは示さない)。一方、ガバペンチンは用量依存的様式で神経障害ラットの探索活動を改善した(図5B)。CCIベヒクル‐処置群に比較して、両方の用量がオープンフィールドの中心における侵入数を増したが、100mg/kgだけが傷害ラットの不安‐様行動を完全に回復させた(ナイーブベヒクル‐処置群の14±2に対して12±2;NS)。
【0069】
本実施例は、十分に確立された神経障害モデルである絞扼性神経障害(CCI)ラットモデルが化合物検索の初期段階において化合物を選択する方法の強力な手段であることを証明する。
【0070】
1.8.7 物体認識試験
本発明者らは、CCIラットが術後初めの2週間で主要な運動障害を発生し、偽手術がナイーブと実質的に変わらないことを証明したので、術後3週間目における記憶機能の試験に着手し、UK Home Office Animal Act 1986を考慮して、対照群として手術しないラットを使用した。したがって、CCIラットおよびナイーブは傷害後、3、5、6および8週において試験された。習熟化試行中、大部分のナイーブおよびCCIラットは10秒間以上両物体を探索し、1つの物体と他の物体間に嗜好の差を示さなかった(術後3週間目では、ナイーブおよびCCIラットそれぞれの2つの物体間の探索の違いは、−1.6±1.1秒と2.7±1.2秒であった)。両群で、30〜50%のラットがd>10秒であるために毎週除外され、次の週に再試験された。
【0071】
新規物体を認識するラットの能力は、習熟化相後4および24時間において試験された(図6AおよびB)。両時点でナイーブラットは、一貫して新規物体を慣れたものより長く探索した(4および24時間の時間経過中の最大値および最小値としてd=5.2±3.4および17.5±2.8秒)。一方、CCI群は2つの物体を識別することが困難であることが見出された。神経損傷後3および5週において、CCIの行動は習熟化相後4および24時間の両方において対照と統計的に差が見られた。術後6週間目では、新規物体を認識する能力は、4時間で対照と有意に変わらなかった。しかし、24時間では、神経障害ラットは依然として新規物体を探索できず、記憶の神経生理における障害を示唆した。術後8週間では、差は認められなかった。全探索(新規物体と慣れた物体を探索するために費やす時間の合計)が5週間目においてだけわずかに異なり、残りの時間経過ではCCIとナイーブ間で一致するため、これらの変化は認識障害にだけ関連付けることができる(図7)。このアッセイにおいてトラマドールを試験し、臨床的に活性な、標準鎮痛化合物によって認識障害の改善が可能かどうかを明らかにした。神経傷害およびナイーブラットを習熟化相において試験し、2つの同一な物体を等しく探索した(d<10)動物だけを薬理学的研究のために選択した。
【0072】
習熟化後3.5時間目に、CCIラットは生理食塩水またはトラマドール(100mg/kg、po)で処置し、一方ナイーブラットは陽性対照として使用し、生理食塩水(1ml/kg、PO)で処置した。30分間後、物体認識試験の第2相を行った。図8に示すように、トラマドールは神経障害ラットの認識障害を改善し、ベヒクル処置CCIラットに比較して、識別指標の有意な増加を示した(p<0.01)。神経障害ラットは見慣れた物体よりも新規物体により強い関心を示し、鎮痛処置が神経傷害後に発生した認識欠陥を改善できることを暗示した。
【0073】
参考文献
2. Goldstein LB, Davis NJ. Beam-walking in rats: studies towards developing an animal model of functional recovery after brain injury. J Neurosci Methods 1990; 31:101-107.
3. Niv D, Kreitler seconds. Pain and Quality of Life. Pain Practice, 2001;1:150-161.
4. Skevington SM. Investigating the relationship between pain and discomfort and quality of life, using the WHOQOL. Pain, 1998;76:395-406.
5. Bennett GJ, Xie YK. A peripheral mononeuropathy in rat that produces disorders of pain sensation like those seen in man. Pain, 1988;33:87-107.
6. Field MJ, Bramwell seconds, Hughes J, Singh L. Detection of static and dynamic components of mechanical allodynia in rat models of neuropathic pain: are they signalled by distinct primary sensory neurones? Pain,1999;83:303-11.
7. Voikar V, Koks seconds, Vasar E, Rauvala H. Strain and gender differences in the behavior of mouse lines commonly used in transgenic studies. Physiol Behav., 2001;72:271-81.
8. Vrinten DH, Hamers FF. 'CatWalk' automated quantitative gait analysis as a novel method to assess mechanical allodynia in the rat; a comparison with von Frey testing. Pain. 2003;102:203-209.
9. Prut L, Belzung,C. The open field as a paradigm to measure the effects of drugs on anxiety-like behaviors: a review. Eur J Pharmacol. 2003;463::3-33.
10. Gureje O, Von Korff M, Simon GE, Gater R. Persistent pain and well-being, JAMA 1998;280:147-151.
11. McWilliams LA, Cox BJ, Enns MW. Mood and anxiety disorders associated with chronic pain: an examination in a nationally representative sample. Pain, 2003;106:127-33.
12. Millecamps M et al, 2003 abs EFIC Prague 2003
13. Kontinen VK, Kauppila T, Paananen seconds, Pertovaara A, Kalso E. Behavioural measures of depression and anxiety in rats with spinal nerve ligation-induced neuropathy. Pain 1999;80:341-346
14. Schrijver NC, Bahr NI, Weiss IC, Wurbel H. Dissociable effects of isolation rearing and environmental enrichment on exploration, spatial learning and HPA activity in adult rats. Pharmacol Biochem Behav 2002;73:209-224.
15. Singh L, Field MJ, Ferris P, Hunter JC, Oles RJ, Williams RG, Woodruff GN. The antiepileptic agent gabapentin (Neurontin) possesses anxiolytic-like and antinociceptive actions that are reversed by D-serine. Psychopharmacology (Berl). 1996;127:1-9.
16. Mease PJ et al, abs EFIC, Prague 2003
17. Backonja M, Beydoun A, Edwards KR, Schwartz SL, Fonseca V, Hes M, LaMoreaux L, Garofalo E. Gabapentin for the symptomatic treatment of painful neuropathy in patients with diabetes mellitus: a randomized controlled trial. JAMA, 1998;280:1831-1836.
18. Rowbotham M, Harden N, Stacey B, Bernstein P, Magnus-Miller L. Gabapentin for the treatment of postherpetic neuralgia: a randomized controlled trial. JAMA, 1998;280:1837-1842.
19. Silver A. Haeney M. Vijayadurai P. Wilks D. Pattrick M. Main CJ. The role of fear of physical movement and activity in chronic fatigue syndrome. Journal of Psychosomatic Research. 2002;52: 485-493.
20. Geisser ME. Haig AJ. Theisen ME. Activity avoidance and function in persons with chronic back pain. Journal of Occupational Rehabilitation.2000, 10: 215-227.
21. Kim SH, Chung JM. An experimental model for peripheral neuropathy produced by segmental spinal nerve ligation in the rat. Pain. 1992;50:355-363.
22. Feeney DM et al, 1982
23. Maier N.R.F. (1935) J.Comp. Neurol, 61: 395-405;
24. Vowles KE, Gross RT. Work-related beliefs about injury and physical capability for work in individuals with chronic pain. Pain. 2003;101:291-298.
25. Schrijver NC, Bahr NI, Weiss IC, Wurbel H. Dissociable effects of isolation rearing and environmental enrichment on exploration, spatial learning and HPA activity in adult rats. Pharmacol Biochem Behav. 2002 ;73:209-24.
25. Carey MP, Fry JP. Evaluation of animal welfare by the self-expression of an anxiety state. Lab Anim. 1995;29:370-379.
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】CCIラットにおける運動欠陥の発生。運動活性(A)、ロタロッド(B)および平均台歩行試験(C)はナイーブ(白四角)、偽手術(白三角)およびCCI‐手術(黒丸)ラットで行われる。データは1群につき12匹の動物の平均値±SEMである。潜時および数の場合、ナイーブ群に比較してp<0.05および**p<0.01(ANOVA)(AおよびB)。滑り落ちの場合、ナイーブ群に対して**p<0.01(Mann Whitney U試験)(C).
【図2】CCIラットの平均台歩行試験におけるモルヒネ(A)、トラマドール(B)およびアミトリプチリン(C)の効果。CCIラットにおいて、モルヒネは1および3mg/kg、sc、トラマドールは30および100mg/kg、po、アミトリプチリンは2mg/kg、poを投与する。ベヒクルで処置されたナイーブ(黒四角)およびCCI(白四角)を陽性および陰性対照としてそれぞれ使用する。データは1群につき7〜10匹のラットの平均値±SEMである。CCIベヒクル‐処置群に対してp<0.05および**p<0.01(Mann Whitney U試験)。
【図3】オープンフィールド試験におけるナイーブラットでのmCPPの効果の比較。探索行動はアリーナの中心領域における侵入数として定義する。データは1群につき10匹のナイーブラットの平均値±SEMである。ベヒクル処置ナイーブラットに対してp<0.05(ANOVA)。
【図4】CCIラットの不安‐様行動の時間経過(A)および回復が早い傷害ラットと遅い傷害ラット間の比較(B)。動物は術後9週間目におけるそれらの疼痛‐様閾値に基づいて2つの群に分割した。遅い回復は、9週間目に静的機械的アロディニアを示すCCIラットの群である(PWT≦4g)。PWT>4gの傷害ラットは早い回復に分類される。データは1群につき26〜34ラットの平均値±SEMである。術後6週間目における早い回復群に対してp<0.05(ANOVA)。
【図5】オープンフィールド試験におけるジアゼパム、トラマドール(それぞれ1mg/kg、IPおよび30mg/kg、PO);(A)およびガバペンチン(30および100mg/kg、PO;(B)の効果。ジアゼパムとトラマドールは試験30分前に投与されるが、ガバペンチンは1時間前に投与される。ベヒクル処置したナイーブ(白いバー)およびCCI(灰色のバー)の群を陽性および陰性対照として使用する。データは1群につき7〜10匹のラットの平均値±SEMである。ベヒクル処理ナイーブラットに対して**p<0.01、ベヒクル処理‐CCIラットに対して##p<0.01。
【図6】CCIラットにおける認識障害の推移。ナイーブ(白いバー)およびCCI(黒いバー)は4時間目(A)および24時間目(B)に物体認識タスクの試験を行った。グラフは試験の第2相を表す。データは1群につき9〜16匹のラットの平均値±SEMである。ナイーブ群に対してp<0.05および**p<0.01(Mann Whitney t試験)。
【図7】試験中における両物体の全探索時間。
【図8】CCIラットの物体認識試験におけるトラマドールの効果。トラマドール(100mg/kg、PO)または生理食塩水は習熟化相の3.5時間後に投与され、ラットは処置30分後に、第2相で試験される。生理食塩水で処理したナイーブCDラットは、陽性対照として使用する。データは1群につき7匹のラットの平均値±SEMである。ナイーブベヒクル処置群に対して**p<0.01、CCI生理食塩水処置群に対して#p<0.05(Mann Whitney解析)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含むアッセイ:
(a)疼痛状態を体験するように準備されている非ヒト試験動物を提供すること
(b)試験動物が疼痛を体験する程度を判断すること
(c)試験動物が疼痛を体験しているか疼痛状態に関連しない肉体的障害を体験しているかどうかを判断し、疼痛が主に疼痛状態に関連している場合はその試験動物を選択すること
(d)1以上の行動試験において、選択された試験動物の遂行スコアを決定すること
(e)選択された試験動物が、対照動物で得られた遂行スコアに比較して遂行スコアの増加、減少を示すか、または無変化であるかどうかを判断すること。
【請求項2】
以下の工程を含む、請求項1のアッセイの改変:
(a)疼痛状態を体験するように準備されている非ヒト試験動物を提供すること、
(b)試験動物が疼痛を体験する程度を判断すること、
(c)試験動物が疼痛を体験しているか疼痛状態に関連しない肉体的障害を体験しているかどうかを判断し、疼痛が主に疼痛状態に関連している場合、その試験動物を選択すること、
(d)1以上の行動試験において、選択された試験動物の遂行スコアを決定すること、
(e)選択された試験動物に試験化合物を投与すること、
(f)選択された試験動物が疼痛を体験し続ける程度において、増加、減少を示すか、または無変化であるかどうかを判断すること、
(h)1以上の行動試験において、選択された試験動物の遂行スコアを再決定すること、
(e)選択された試験動物が、遂行スコアの増加、減少があるか、または無変化であるかどうかを判断すること。
【請求項3】
疼痛状態が神経障害性疼痛、炎症性疼痛、侵害性疼痛、筋骨格疼痛、進行中疼痛、慢性疼痛、中枢性疼痛、心臓および血管疼痛、頭部痛、口腔顔面疼痛から選択される、請求項1または請求項2のいずれかに記載のアッセイ。
【請求項4】
疼痛状態が慢性疼痛である、請求項1〜3のいずれかひとつに記載のアッセイ。
【請求項5】
疼痛状態が神経障害性疼痛である、請求項1〜4のいずれかひとつに記載のアッセイ。
【請求項6】
非ヒト試験動物が絞扼性神経損傷による疼痛状態を体験するように準備されている、請求項1〜5のいずれかひとつに記載のアッセイ。
【請求項7】
試験動物が疼痛を体験しているか疼痛状態に関連しない肉体的障害を体験を体験しているかどうかが、運動障害試験の実行によって決定される、請求項1〜6のいずれかひとつに記載のアッセイ。
【請求項8】
運動障害試験がロタロッド試験である、請求項7に記載のアッセイ。
【請求項9】
行動試験(複数または一つの試験)が認知機能、社会的健康、情動的健康または生理的健康のうちの1種以上を測定するために計画される、請求項1〜8のいずれかひとつに記載のアッセイ。
【請求項10】
行動試験(複数または一つの試験)が学習能力、記憶、社会的相互作用、探索行動、動機付け、不安、憂鬱、自発的運動および活動、性行動、睡眠の質、体重の変化のうちの1種以上を測定するために計画される、請求項1〜9のいずれかひとつに記載のアッセイ。
【請求項11】
行動試験が運動活性試験、平均台歩行試験、ロタロッド試験、オープンフィールド試験、物体認識試験から選択される、請求項1〜10のいずれかひとつに記載のアッセイ。
【請求項12】
試験動物が遂行スコア測定前に、行動試験の環境または実行に関して訓練される、および/または慣らされる、請求項1〜11のいずれかひとつに記載のアッセイ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2007−538250(P2007−538250A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517498(P2007−517498)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001403
【国際公開番号】WO2005/114181
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】