説明

アッセイ用濾過デバイス

血液を濾過するためのデバイスおよび方法が、本明細書に開示されている。このデバイスは、血液を濾過し、血液中の検体を磁性粒子にくっつけることができる。検体はその後、磁力によって分析デバイスに強固に結合することができる。次いで分析デバイスによって検体の数を数えることができ、その結果を表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2009年11月16日に出願された米国仮出願第61/261,726号の利益を主張するものであり、この出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
著作権保護を受ける事項に関する通達
本特許文献における一部の事項は、米国および他の国の著作権法の下に著作権保護を受ける。著作権所有者は、この特許文献または特許開示が米国特許商標庁で公に利用できるファイルや記録となっているため、誰がそれを複製しても異議は唱えることはないが、そうでなければ、それが何であれ全ての著作権を保有するものである。著作権保有者はここに、37C.F.R.§1.14.に従ってその権利を限定しないことも含め、その特許文献を秘密に保つ目的でそのいかなるの権利も放棄しない。
【0003】
化学的検査の分野で利用することを目的としたデバイスおよび方法が開示されている。より詳細には、このデバイスは、集積回路上で検査するために全血を濾過するのに利用することができる。
【背景技術】
【0004】
ポイント・オブ・ケア(POC)診断医療デバイスにより早い段階で病気を発見し易く、より個人に合わせた治療が可能になり、医師が、患者を追跡調査することで、処方された処置が機能しているかどうかがより簡単に分かるようになる。より確実に広く一般に採用するには、このような器具が正確であり、特に訓練されていない人間でも利用し易く、製造および販売コストが安くなければならない。免疫アッセイ(IA)の適用がPOCには特に適しており、これは、心臓血管疾病から癌および伝染性の感染症まで広範な病状を、可溶性のタンパク質バイオマーカーから特定することができるためである。全血などの未処理の標本からのこのようなバイオマーカーの検出および計量は、蛍光またはリン光性分子、酵素、量子ドット、金属粒子または磁性粒子を使用して標的タンパク質を標識付けする作業を伴う。高感度の用途の場合、標的検体に特異的に結合した標識は、バックグラウンドノイズの一因となる結合しないものと区別されなければならない。低コストで、すなわち方式を利用し易い標識の分離と検出の2つを組み合わせることによって、イムノクロマトグラフィーテスト(ICT)が単独の作用を成し遂げ、すなわち電子リーダまたは外部の標本準備システムといった二次的なデバイスを必要とせずにアッセイを行なうことが可能になる。単独作用は見過ごされる属性であることが多いが、これはICTを普及させる鍵であり、生化学的感度が低い、ユーザの解釈、不正確な計量、タイミング要件およびひどく複合的な作業であるなどの他の欠点があるにも関わらず成し遂げられる。
【0005】
磁性粒子による標識付けの利用はPOC用途に理想的であり、磁性粒子は個々に検出することができるため、酵素による標識付けの場合のように1時間もかかる恐れがある信号増幅ステップなしで、サブピコモルの感度を達成することができる。また粒子が結合するセンサ領域をマイクロアレイ化することによって、複合的な作用を低コストで実現することができる。磁性粒子を利用することによってインキュベーション時間を短縮することができるが、これは磁性粒子が体積比に対して高い表面積であることに起因する溶液相の運動力学により、標的検体に結合することができるためである。さらに磁力および重力によって溶液から磁性粒子を引き抜くことができることで、最も高感度のプロトコールを悩ますゆっくりとした拡散過程にも打ち勝つ。磁性粒子からの信号は経時的に安定しており、温度変化や化学反応の変化にも影響を受けず、全血または血漿など不透明または半透明の溶液中で検出することができる。恐らく生物学的な磁気バックグラウンド信号は低いため、最小限の標本の準備で高いアッセイ感度を実現することができる。最も重要なことは、アッセイ標識として磁性粒子を利用することにより、デバイスの単独作動が可能になり、これはこのような粒子が、電磁気によって操作され検出することができるためである。
【0006】
「磁性粒子」は典型的に、ナノメーターまたはマイクロメーターの大きさの粒子であり、磁性、反磁性、強磁性、常磁性、超常磁性または反強磁性の挙動を呈する。「磁性粒子」は、個々の粒子または磁気ビーズなどのより大きな集合体を指す場合もある。
【0007】
磁性粒子がアッセイ標識として使用されるICTは、従来のICTの改良版であり、これは粒子の検出が、その帯の表面に限定されず、帯の体積全体にわたって行なうことが可能であり、結果としてより高感度になり計量精度が改善されるためである。しかしながら磁性粒子の体積検出は、単独のデバイスに簡単に取り入れることが不可能であるため、上記を具体化するには、この帯の体積の磁化を測定する外部デバイスが必要になる。
【0008】
単独のデバイスに取り入れるための1つの代替の方法は、特異的に結合した粒子を検出することができるセンサ領域に重力または磁力を介して沈殿する前に、溶液中で標的検体に結合する磁性粒子を使用することである。バイオ機能化されたICを使用して、特異的に結合した粒子を検出することができる。しかしながら今までに報告されたほとんどのICによる免疫アッセイの実装例は、単独で作用することができず、これはそれらが粒子を検出するのに外部要素を必要とする、または粒子の操作および標本の準備にマイクロ流体による作動を必要とするためである。他の実装例は単に、現在の市場で競り合うのに必要なコスト構造に到達することができない。
【0009】
POC用途の場合、標本の準備は迅速であることが望ましいが、これはアッセイが10から15分に制限されるためである。さらに冷蔵設備を不要にし、かつ保管および販売を容易にするために、乾燥標本準備システムが望ましい。また、患者から少量の未処理の状態の標本を受け取る標本準備システムを有することが望ましい。指からの採血による平均的な血液の懸滴により、およそ15μlの流体が得られる。より多くの流体を得るには、込み入った静脈穿刺を行なう必要がある。さらに標本準備システムは低コストである必要があり、これは生物学的汚染を懸念して、生体標本に接触する全ての物質を廃棄することが要求されるからである。標本準備システムはまた、複合的な作用にも適用できることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記に記載した速度、コストおよび性能に関する要件を満たすことができる標本準備システムが開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
薄膜フィルタなどの多孔性物質により、遠心分離または複雑なマイクロ流体による標本準備の必要性を無くすことができる。薄膜フィルタは密度が高く費用が安いため、システムコストを削減することができ、単独のPOCの作用が可能になる。この膜は、補助的なサポートなしで30秒未満で全血細胞から血漿を分離することができる。機能化された磁性粒子と共に濾液のインキュベーションを行なうことにより、サブピコ−モルの感度で迅速に作用するための溶液相の運動力学を実現することができる。このシステムはICを利用して磁性粒子の検出を行なうことができるため、例えば低コストで独立した作用が可能になる。システムは、フィルタ、 毛細管、磁性粒子およびICを組み合わせたものであってよく、例えばサムドライブの形状因子を有する、単独で、正確かつ複合的な基本構造になる。バッテリとディスプレイを除いたシステム全体の大きさは、約1cm未満であってよい。
【0012】
デバイスは、免疫アッセイに使用することができる。デバイスは、核酸、小分子および無機分子検査、あるいはそれらを組み合わせたものに使用することができる。
【0013】
磁性粒子を操作し検出する集積回路(IC)の露出面に粒子を送達するように構成された薄膜フィルタと毛細管チャネルを備えた、標本準備システムが開示される。薄膜フィルタは、毛細管チャネルへの入り口より上で、ICの表面に対して水平方向、すなわち平行に配置させることができる。ICは水平方向に配置することができ、毛細管チャネルの出口より下に1つまたは複数の露出したセンサ領域を備える。化学的に機能化された磁性粒子および他の試薬を乾燥状態で、薄膜フィルタ、毛細管、ICの表面にあるセンサ領域、またはそれらを組み合わせたものに保管することができる。磁性粒子を乾燥させ、毛細管チャネルの入り口に保管することができる。例えば全血などの水溶性の生体標本は、1つまたは複数の標的検体を含んでおり、薄膜フィルタの頂部に堆積させることができる。標本中の大きな粒子物体、例えば全血細胞は、膜の頂部またはその中で捕捉することができ、その一方で標的検体を含む濾液は、膜を横断して毛細管の入り口に入り、そこで磁性粒子が再懸濁しその中の標的検体に結合する。再懸濁した磁性粒子を含む濾液は、毛細管を通り、毛管作用の結果としてICの表面にあるセンサ領域へと流れることができる。
【0014】
標的検体に結合した磁性粒子は、特異的な化学相互作用によりICの表面にある機能化されたセンサ領域に強固に結合することができる。ICの表面に特異的に結合した磁性粒子の数は、提示された生体標本中の標的検体の濃度を表すものである。
【0015】
ICの表面は、1つまたは複数のセンサ領域を含むことができ、この領域は特異的に結合した磁性粒子が置かれるICの表面として定義される。センサ領域は、チップの表面の領域に相当し、この領域内で磁性粒子センサが特異的に結合した磁性粒子を検出することができる。磁性粒子センサはICに埋め込むことができる。磁性粒子センサをセンサ領域の外に配置して、センサ領域から排除された非特異的に結合した磁気ビーズを検出することで、磁性粒子の総数を正確に数えることができる。
【0016】
ICは、1つまたは複数の磁力生成器を含むことで、センサ領域にある非特異的に結合した磁性粒子を操作することができる。この磁力を利用して、センサ領域に磁気ビーズを引き寄せ、センサ領域から非特異的に結合した磁性粒子を排除することができる。システムは2つ以上の毛細管を有することができ、例えば送達毛細管の入り口をフィルタのすぐ下に配置し、センサ領域のすぐ上に垂直方向に配置された沈殿毛細管に濾液を送達することができる。乾燥した磁性粒子を沈殿毛細管の頂部に配置することができる。濾液が乾燥した磁性粒子に到達すると、この粒子は沈殿毛細管の頂部からセンサ領域へと沈殿することができる。このようなアッセイ時間の長さは、沈殿毛細管の高さによって決めることができる。
【0017】
システムは、複数の独立した膜の下に複数の独立した毛細管を有することで、1つまたは複数の異なるICのセンサ領域にある複数の独立したセンサ領域に異なる濾液を送達し、複合的に作用することが可能である。
【0018】
システムは、1つの薄膜フィルタ、あるいは同一または様々な特性を持つ複数の積層された薄膜フィルタを備えた1つまたは複数の薄膜フィルタ組立体を有することができ、この場合各々のフィルタには、種々の乾燥たんぱく質、試薬、化学物質、磁性粒子およびそれらを組み合わせたものを装填することができる。
【0019】
デバイスは、全血または予め濾過された血液、尿、涙、痰、糞便、口腔、鼻標本、または他の生体のあるいは非生体水溶性標本を採取するように構成されてよい。
【0020】
膜の特性は、様々な標本タイプを収容するように変化させることができる。薄膜フィルタは、ガラスファイバまたはニトロセルロース細片などの多孔性物質と置き換える、あるいはこれと併せて使用することもできる。
【0021】
これに限定するものではないがアプタマー、オリゴヌクレオチド、たんぱく質、凝固防止剤、体内較正曲線に関する標的検体、結合性の触媒、磁性粒子またはそれらを組み合わせたものなどの化学物質を、薄膜フィルタ組立体内で毛細管の軸に沿って、またはICの表面上で乾燥させる場合もあり、このような化学物質は血漿によって再度可溶化することができるが、それらが乾燥された面に結合したままである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】システムの一変形形態の、一部が透けて見える分解組立斜視図である。
【図2】システムの一変形形態の断面図である。
【図3】システムの一変形形態の、一部が透けて見える分解組立斜視図である。
【図4】このシステムを使用する方法の一変形形態の側部断面図である。
【図5】このシステムを使用する方法の一変形形態の側部断面図である。
【図6】このシステムを使用する方法の一変形形態の側部断面図である。
【図7】このシステムを使用する方法の一変形形態の側部断面図である。
【図8】磁性粒子アッセイを実施する方法の一変形形態の側部断面図である。
【図9】一変形形態の集積回路を使用する方法の一変形形態の側面図である。
【図10】一変形形態の集積回路を使用する方法の一変形形態の側面図である。
【図11】一変形形態の集積回路を使用する方法の一変形形態の側面図である。
【図12】一変形形態の集積回路を使用する方法の一変形形態の上面図である。
【図13】このシステムの変形形態の、一部が透けて見える分解組立斜視図である。
【図14】このシステムの変形形態の、一部が透けて見える分解組立斜視図である。
【図15】このシステムの変形形態の、一部が透けて見える分解組立斜視図である。
【図16】このシステムの変形形態の、一部が透けて見える分解組立斜視図である。
【図17】このシステムの変形形態の、一部が透けて見える分解組立斜視図である。
【図18】このシステムの変形形態の、一部が透けて見える分解組立斜視図である。
【図19】このシステムの一変形形態を使用する方法の一変形形態の断面図である。
【図20】このシステムの一変形形態を使用する方法の一変形形態の断面図である。
【図21】このシステムの一変形形態を使用する方法の一変形形態の断面図である。
【図22】一変形形態の集積回路を使用する方法の一変形形態の断面図である。
【図23】異なる流体と共に磁性粒子をインキュベートする方法の一変形形態の部分的な断面図である。
【図24】異なる流体と共に磁性粒子をインキュベートする方法の一変形形態の部分的な断面図である。
【図25】異なる流体と共に磁性粒子をインキュベートする方法の一変形形態の部分的な断面図である
【発明を実施するための形態】
【0023】
磁性粒子により標識付けされる化学アッセイ用の血液濾過デバイスまたはシステム1、そのシステム構成要素および機構が、図1から図14に記載されている。
【0024】
システム1は、ドリル穿孔、打抜き加工、鋳造成形または他の好適な方法によってプリント回路基板に形成された開口29のすぐ上で、プリント回路基板11の頂部面に設置されたフィルタ支持構造体4を有することができる。フィルタ支持構造体4は、プリント回路基板の開口29と位置合わせされた状態を維持するためにタブまたは他の機構を有してよい。フィルタ支持構造体4は、例えば射出成型プラスチックなどの任意の剛性材料から作製することができる。フィルタ支持構造体4は、接着剤またはプレス嵌めによってプリント回路基板11に装着することができる。フィルタ支持構造体4の底面および/またはプリント回路基板11の頂部面にある半径方向の溝によって、通気チャネル28を形成することができる。
【0025】
プリント回路基板11は、ガラス繊維積層品などの剛性材料から、またはプラスチック基板に貼り合わせたポリイミドフィルムなどの剛性基板に貼り合わせた可撓性材料から作製することができる。
【0026】
例えば複数のはんだバンプ22によって、プリント回路基板11の底面に集積回路16を装着することができる。はんだバンプ22を、ICボンドパッド24aおよびプリント回路基板メタライゼーション24bに装着することができ、これにより集積回路16とプリント回路基板11を機械的に装着させ、電気的に相互に接続することができる。集積回路16とプリント回路基板11の間にポリマーシール26を配置することができ、これは密閉された空洞を形成し、流体による汚染から電気接続部を保護する。他の方法による装着、密閉および電気的相互接続が利用される場合もある。例えばボンドワイヤ、ばね接点、導電性ポリマーまたはそれらを組み合わせたものを利用して電気接続部が形成される場合もあり、接着剤、クリップまたは他の好適な方法によって機械的装着が行なわれる場合もあり、絶縁コーティング、疎水性コーティング、可撓性シールまたはそれらを組み合わせたものによって密閉が行なわれる場合もある。
【0027】
接着リング3を使用して、薄膜フィルタ2をフィルタ支持構造体4の頂部に装着することができる。薄膜フィルタ2は、これに限定するものではないがポリビニルピロリドン/ポリエーテルスルホン(PVP/PES)で構成することができる。薄膜フィルタ2は、多孔性の傾斜面を有することで全血中の細胞を効果的に捕らえることができ、その一方で血漿とその中にある検体はこの膜を通過することができる。最適なフィルタは、頂部における孔径サイズが約35μmであり、底部における孔径サイズが約2.5μmの0.26mmの厚さのPVP/PESフィルタであってよい。薄膜フィルタ2は、薄膜フィルタの直径150を有する1枚のディスクに切断することができ、この直径は約0.5mmから約30mmであってよく、より狭い場合には2mmから約20mmであり、さらに狭い場合には約1mmから約8mm、例えば約4mmであってよい。薄膜フィルタ2は、水平面内に配向することができる。薄膜フィルタ2は、IC16の頂部面20および/またはIC16のセンサ領域18と平行な面内に配向することができる。薄膜フィルタ2は、フィルタ支持構造体4の頂部面と平行になるように配向することができる。
【0028】
接着リング3は、液体に対して耐性のある接着材料、例えば両面接着テープまたは液体接着剤などから形成することができる。薄膜フィルタ2はまた、任意の他の好適な手段、例えばエポキシ樹脂または他の接着剤、溶接、溶融、スナップ嵌合あるいはそれらを組み合わせたものを利用してフィルタ支持構造体4に装着することができる。
【0029】
毛細管チャネル12をフィルタ支持構造体4に装着することで、毛細管の入り口6をフィルタ2のすぐ下に配置することができ、毛細管の出口14を集積回路16の表面20にあるセンサ領域18のすぐ上に配置することができる。毛細管の出口14は、集積回路16の表面20から例えば約0.1mmから約1mm離して配置することができる。毛細管チャネル12は、フィルタ支持構造体4と一体式でもあってよく、あるいは好適な接着剤または摩擦嵌合によってフィルタ支持構造体4に装着される別個のユニットでもよい。毛細管チャネル12は、本明細書のいずれかで指定されるように、あるいは約0.5mmから約10cm、より狭い場合は約1mmから約5mm、例えば約0.5mmまたは約10cmの一定の毛細管の長さ154を有することができる。毛細管チャネル12は、本明細書のいずれかで指定されるように、あるいは約0.25mmから約5mm、より狭い場合は約0.25mmから約2.5mm、例えば約0.25mmまたは約5mmの一定の毛細管の内径156を有することができる。毛細管は、フィンガーランセットを使用して採取された全血からおよそ15μlの標本を受けることができる。より短い長さ154と内径156の毛細管を選択することで、毛細管12内をより早く流れることができる。より長い長さ154と内径156の毛細管を選択することで、毛細管内をよりゆっくりと流れることができる。
【0030】
毛細管チャネル12は不完全にIC16の表面20に接触している。毛細管の開口の出口14に通気孔を設けることで空気が外に出ることが可能になる。空気圧を逃がさないことで、濾液38がセンサ領域18へと流れないようにする、またはそれを最小限に抑えることができる。
【0031】
複数の磁性粒子10と充填剤8を凍結乾燥させて、例えば約0.1mmから約5mm、より狭い場合には約1mmから約5mm、さらに狭い場合には約0.5mmから約4mm、例えば約2mmのマイクロスフェアの直径160を有する乾燥したマイクロスフェア90にすることができる。
【0032】
磁性粒子10は凍結乾燥によってマイクロスフェア90内で乾燥させることができる。マイクロスフェア90は、約0.05%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(すなわちポリソルベート20、Tween−20)含有PBS溶液中の抗体30がコーティングされた磁性粒子10と、充填剤8を含むことができる。充填剤8は、糖、高分子、例えばトレハロースおよび/またはポリ(エチレングリコール)あるいはそれらを組み合わせたものなどであってよい。ポリ(エチレングリコール)は約4−8kDaの分子量で使用することができる。充填剤は、マイクロスフェア90集合体の約90%を超える場合もある。
【0033】
適切な量の(いかにしてこれを決めることができるかについての一変形形態を以下に説明する)磁性粒子10と、他のより少量の成分に、約10−70重量パーセントの充填剤8を加えた液体溶液を準備することによってマイクロスフェア90を作製することができる。この液体溶液を液体窒素中に投与することができる。投与された溶液は約1分以下で急速冷凍することができ、凍結したマイクロスフェア90が形成される。凍結マイクロスフェア90は、凍結乾燥機の中に置くことができる容器に移しかえることができる。マイクロスフェア90はその後、それらがこの工程中に溶解(すなわちメルトバック)しないことを保証するように設計されたプログラムされた温度プロフィールに従って、凍結乾燥させることができる。水(例えば氷)の量が減り、その一方で固体溶質の量が一定のままであるとき、メルトバックが生じる可能性がある。溶質と水の比率が変化することで、マイクロスフェアの凍結点が下がる可能性がある。凍結乾燥機が十分に冷却されないと、メルトバックが生じる可能性がある。しかしながら凍結乾燥機の温度が低すぎると、マイクロスフェアを乾燥させるのに必要な時間が長くなる可能性がある。
【0034】
一例として、1つの可能な生産工程を記載する。
a.約7.5μl体積のマイクロスフェア90を精密なポンプを使用して液体窒素中に投与することができる。
b.液体窒素が追加されたマイクロスフェアを金属またはパイレックスの容器に移し換え、凍結乾燥機の事前に冷却されたトレイの上に置くことができる。トレイの温度は、約−30℃に設定することができる。
c.コンデンサが凍結乾燥機のスイッチを入れ、一次乾燥段階を開始することができる。減圧は一般に、チャンバ内で約50±10mtorrであってよい。
d.一次乾燥段階は、少なくとも約16時間の長さであってよい。
e.棚温度は、約−10℃まで上昇することが可能であり、少なくとも約4時間持続可能である。
f.棚温度は、+25℃まで上昇することが可能であり、粒子を取り去り、それらを2つの別々のガラス瓶に入れるまでの約15分の間持続可能である。
g.この粒子を、ごみがないか、均質であるか、溶解していないか検査することができる。
h.乾燥した生成品を乾燥保存させて保有することができる。
【0035】
磁性粒子10のかたまりが形成されることはほとんどない。
【0036】
いったん乾燥させると、マイクロスフェア90を湿気から保護することができる。乾燥マイクロスフェアの体積は、球体の外周部によって定義され、約90%の空隙を含むことができる。マイクロスフェア90は、極めて大きな有効表面積を有することが可能であり、極めて親水性であり得る。液体の水の存在下で、マイクロスフェア90は極めて迅速に溶融することができる。マイクロスフェア90の全体の三次元構造は一度に全て崩壊することが可能であるため、マイクロスフェア90中に含まれる磁性粒子10が水と混ざり合い、マイクロスフェア90が崩壊すると塊にならずに再懸濁することができる。マイクロスフェア90を溶融させる液体の体積は調節することができ、マイクロスフェア90が再度水和した結果生じる溶液中の全ての成分の濃度を計算することができる。それぞれ約7.5μlのマイクロスフェア90中に、おおよそ1 ,000,000の磁性粒子10が存在する可能性がある。
【0037】
マイクロスフェア90を毛細管の入り口6にプレス嵌めすることができ、ここでマイクロスフェア90を動かなくすることができる。マイクロスフェア90の直径は恐らく、毛細管チャネル12の内径より大きいため、マイクロスフェア90を毛細管内に挿入する際に円筒形に変形させることができる。毛細管の入り口6を先細にすることで、例えばマイクロスフェア90を変形させる必要なしに、マイクロスフェア90全体を受け入れることができる。マイクロスフェア90が毛細管の入り口6を過ぎて、または毛細管の入り口6に隣接する毛細管チャネルの長さを超えて毛細管チャネル12内にさらに先に進むことができないように、マイクロスフェア90を十分な大きさに作製することができる。
【0038】
試薬を、マイクロスフェア90の形態で乾燥または凍結乾燥することができるが、必ずしもそうする必要はない。試薬は、乾燥または凍結乾燥されて、毛細管チャネル12に詰めることができる種々の形状にすることができる。
【0039】
アッセイの成果を改善させる化学物質を、マイクロスフェア90中の磁性粒子10と一緒に凍結乾燥することができる。例えばこれらは緩衝塩、PH調節剤、非特異的結合ブロッカー、アニオン系、カチオン系、非イオン系および両性イオン性洗浄剤、消泡剤、無機塩類、キレート化剤、異好抗体ブロッカー、たんぱく質安定化剤、抗菌剤および抗凝集剤を含めることができる。これに加えてまたは別個に、標的検体36の存在下で磁性粒子10に結合することを目的とする表面抗体44または遮断剤などの試薬のセットを、IC16の表面20にあるセンサ領域18上で結合させ乾燥させることができる。
【0040】
濾過サブシステムは支持構造体4、薄膜フィルタ2、毛細管12および乾燥した磁性粒子10を含むことができる。濾過サブシステムは、集積回路16とPCB11から成る電子サブシステムから独立して作製することができる。IC16は、より広域のシステムに組み込まれる前に、安価に作製され、テストされ、生体的に機能化させることができる。
【0041】
IC16を機能化するために、これに限定するものではないが標的検体36に特異的に結合する抗体44、オリゴヌクレオチドおよびアプタマーなどの1つまたは複数の化学物質で、センサ領域18をコーティングすることができる。磁性粒子10がセンサ領域18に非特異的に結合するのを抑えるために、これに限定するものではないがアルブミン、カゼインおよび無脂肪乾燥乳剤などの遮断化学物質でセンサ領域18をコーティングすることができる。センサ領域18はいったんコーティングされ遮断されると乾燥させることができ、電子サブシステムを濾過サブシステムと組み合わせることができる。
【0042】
サンドイッチ式に捕捉する免疫アッセイ方式では、磁性粒子10は、提示される血液標本32中の標的検体36にある特定のエピトープに特異的な抗体30に共有結合することができる。第2の抗体44でコーティングされたセンサ領域18は、同一の標的検体36にある第2エピトープに特異的である。複合化した作用の場合、センサ領域18aおよび18bと、磁性粒子10を、複数の異なる抗体でコーティングすることができる。
【0043】
センサ領域18の機能化は、接触マイクロアレイ法によって行なうことができる。補足分子は、センサ領域に受動的に吸着される、または架橋剤を使用して結合させることができる。
【0044】
磁性粒子の機能化は、標準的なEDC、トシル基により活性化されたまたはエポキシ結合化学物質によって行なうことができる。
【0045】
磁性粒子センサ60をIC16に埋め込むことができる。磁性粒子センサ60は、光学式、磁気式、機械式、音響式、熱式、本質的に電磁式、またはそれらを組み合わせたものであってよい。一列の磁性粒子センサ60をIC16に埋め込むことができ、ここで各々の磁性粒子センサ60に個別にアドレス指定することができる。
【0046】
1つまたは複数の磁気集約力生成器によって、磁性粒子10をセンサ領域18に引き寄せることができる。磁気集約力生成器は、IC16に埋め込まれ磁性粒子センサ60の直ぐ上にある、1つまたは複数の電気式の集約コンダクタ62であってよい。磁気集約力はまた、1つまたは複数の永久磁石または外部の電磁石を利用して外部からIC16に対して生成することもできる。
【0047】
1つまたは複数の磁気分離力生成器を使用して、非特異的に結合した磁性粒子68をセンサ領域18から排除することができる。磁気分離力生成器は、ICに埋め込まれセンサ領域の近傍した位置にある、1つまたは複数の電気式分離コンダクタ64であってよい。磁気分離力はまた、1つまたは複数の永久磁石または外部の電磁石を利用して外部からIC16に対して生成することもできる。
【0048】
磁性粒子センサ60、磁気集約力生成器および磁気分離力生成器を作製し統合する1つの方法が、2009年1月15日に出願されたPCT国際特許出願シリアル番号PCT/US09/031155号、および2008年1月17日に出願された米国仮出願61/021,861号に記載されており、これらは共にその全体が参照による本明細書に組み込まれている。
【0049】
このデバイスは、サンドイッチ式に捕捉する方式で免疫アッセイを行なうことができる。
【0050】
アッセイを実施するために、例えばこれに限定するものではないが15μlの全血標本32などの約15μlの標本を薄膜フィルタ2の頂部に供給することができる。薄膜フィルタ2は、全血細胞34を溶解させずに捕らえる一方で、標的検体36を含む可溶性分子を含有する濾液38は通過できるようにする。薄膜フィルタ2を横断した後、濾液38は毛細管チャネルの入り口6に流れ込み、ここで乾燥した磁性粒子10を再懸濁させることができ、磁性粒子10は濾液38と一緒に毛管作用によって毛細管チャネル12の長さにわたって流れることができる。
【0051】
粘性の血漿濾液は、手助けしなければ、孔のサイズが小さいフィルタ2の底部から、より大きな直径の毛細管12に流れにくい。圧力を加えたり、あるいは大量の標本を使用しなければならないことを避ける目的で、乾燥した試薬をフィルタ2に近接させて毛細管12の入り口6に置くことができる。フィルタ2の底部に現れる濾液38を、高親水性の乾燥試薬によって引き寄せることができる。乾燥試薬は、いったん毛細管12の入り口6に配置されると溶融することができ、毛管力は恐らく、毛細管12を通過してセンサ領域18までの残りの距離にわたって濾液を引っ張るのに十分である。
【0052】
毛細管の入り口6に乾燥試薬がない場合、製造に関する変形形態は、予想されるフィルタ2の底面と毛細管12の入り口6の分離よりも大きくなる、あるいは位置が合わなくなる可能性があり、この場合毛細管12の入り口6は、フィルタ2の底面と同一平面にはなく、毛細管12への濾液38の流れを阻止することになる。
【0053】
充填剤8中の乾燥磁性粒子10を毛細管12の入り口6に配置することで、濾液38をフィルタ2の底部から毛細管12へと引っ張ることができる。
【0054】
磁性粒子10は、いったん毛細管12の中に配置されると再懸濁することができ、濾液38と一緒に毛細管12の長さに沿って流れることができる。磁性粒子10は、毛細管12を通って流れる間に濾液38中の標的検体36に結合することができる。
【0055】
毛細管12の長さ、直径および疎水性を変えることで、流速および磁性粒子インキュベーション時間を調節することができる。毛細管12内をより速く流れるようにするには、長さと幅をそれぞれ約0.5mmと約0.25mmに縮小することができる。よりゆっくり流れるようにするには、毛細管12の長さと幅をそれぞれ約10cmと約5mmに拡大することができる。
【0056】
毛細管の出口14は親水性であってよい。濾液38は、親水性の毛細管の出口14から垂れる一滴の滴42を形成することができる。集積回路16は、例えば垂れてくる滴42がセンサ領域18に流れることができるように、毛細管の出口14に十分近接させて水平方向に配向することができる。その隙間の大きさは、0.1mm未満から2mmの範囲であってよく、この範囲を超える大きさの滴42ではもはやこの隙間は埋められない。垂れてくる滴42は集積回路16の表面20に流れた後、濾液38中の磁性粒子10はセンサ領域18上に沈殿することができる。
【0057】
磁性粒子10は、重力および磁力によってIC16の表面20に沈殿する。2μmの幅の集約コンダクタ62を流れる2mAの電流が、1.1pNの力でセンサ領域18に向けて4.5μmの磁性粒子10を引っ張る。
【0058】
標的検体36の存在下で、磁性粒子10は、IC16の表面20にあるセンサ領域18に結合沈殿し、特異的な生化学または無機性の相互作用によって強固に結合する。標的検体がない場合、磁性粒子は、IC16の表面20にあるセンサ領域18に沈殿するが、非特異的な相互作用によってその結合は弱くなる。
【0059】
免疫アッセイによる補足方式では、磁性粒子10は、沈殿する間に標的検体36を補足し、集積回路16の表面20にあるセンサ領域18に結合する。
【0060】
センサ領域において特異的に結合した磁性粒子10の数を数えるために、非特異的に結合した磁性粒子10bを排除することができる。非特異的に結合した磁性粒子10bは、磁力、流体の力、静電気の力またはそれらを組み合わせたものによって排除することができる。
【0061】
免疫アッセイを実施するために、磁気分離力は、およそ10b(>0.1−10pN)の非特異的に結合した粒子を引っ張って、センサ領域18から離すのに十分な力であってよいが、およそ10a(<60pN)の特異的に結合した磁性粒子を排除するほど過度に強力である必要はない。約4.5μmの磁性粒子10から約18μmのところに配置された5μmの幅の分離コンダクタ64を流れる約50mAの電流が、約1.1pNの力で磁性粒子10を引っ張る。しかしながら磁性粒子10はIC16の表面20上で旋回する場合があるため、最後の分子鎖に対する磁気分離力は、分子鎖のモーメントアームの長さおよび分離力の違いによって生じる機械的なてこの作用によって増幅される可能性がある。およそ1.1pNの横方向の磁力が、非特異的な結合に対しておよそ7.5pNの張力に変換され、これは非特異的に結合した粒子10bを排除するには十分である。
【0062】
磁気分離力を印加した後、および非特異的に結合した磁性粒子10bをセンサ領域18から排除した後、センサ領域18に残っている特異的に結合した磁性粒子10aをICに埋め込まれたセンサ60bによって検出することができる。センサ領域中にある特異的に結合した磁性粒子10aの数は、標本32中の1つまたは複数の標的検体36の濃度に相当する。
【0063】
磁性粒子センサ60eをセンサ領域の外側に配置することで、センサ領域18から排除された非特異的に結合した磁性粒子10bの数を数えることができる。磁性粒子センサ60eは、IC16の表面20に定着した磁性粒子10の総数を数えることで、いかなる変形形態も補償することができる。
【0064】
チップ16の表面20で磁性粒子アッセイを実施する1つの方法が、2009年1月15日に出願されたPCT国際特許出願シリアル番号PCT US09/031155号、および2008年1月17日に出願された米国仮出願第61/021,861号に記載されており、これらは共にその全体が参照による本明細書に組み込まれている。
【0065】
IC16は、標的検体36の分量を特定するためにデジタル電子機器を含んでおり、この機器はアッセイの結果を処理し表示することができる。アッセイの結果は、オンチップの較正曲線と数値的に組み合わせることができ、その結果を暗号化し送信することができる。これに加えてまたは別個に、電子センサは、IC16上に、またはIC16の横に並べることができる。電子センサは、温度、慣性、湿度センサおよびそれらを組み合わせたものであってよい。電子センサは、IC16に組み込むことができる。アッセイプロトコールを調節するタイマーをICに組み込むことができる。容量性または抵抗集積回路センサを使用することで、センサ領域18の縁部に沿って湿気を検出することができる。湿度センサによって、濾液38がIC16の表面20にあるセンサ領域18全体にわたって流れることを保証することができる。またこのような湿度センサを使用することでオンチッププロトコールを開始し、これを制御することもできる。本発明のデバイスに振動デバイスを組み合わせることができる。このデバイスが振動し、磁性粒子10が毛細管12を通って流れIC16の表面20に定着することで、インキュベーション時間を加速させることができる。
【0066】
様々な複合化の段階を採用することができる。磁性粒子10およびIC16の表面20にあるセンサ領域18aおよび18bを、1つまたは複数の化学物質でコーティングすることで一度に(すなわち同時に)多様な標的検体38を検出することができる。1つまたは複数の検出用化学物質を、マイクロアレイ法によってIC16の表面20上で空間的に分離することができることで、同一のIC16上にある異なるセンサ領域18aと18b、または1つのセンサ領域18の内にある異なる磁性粒子センサ60を別々の検出用化学物質でコーティングすることができる。
【0067】
2つ以上の毛細管12aと12bは、別の検出用化学物質によって機能化された磁性粒子10cおよび10dを保有することができる。毛細管12cと12dを同一のセンサ領域18につなげることができる、または毛細管12aと12bを、同一のIC16にある異なるセンサ領域18aと18bにつなげることが可能である。2つ以上のフィルタ2aおよび2bを、同一のセンサ領域18、または同一のIC16にある異なるセンサ領域18aおよび18bにつながる複数の毛細管12aと12bに嵌合させることができる。異なるフィルタ2aおよび2b、ならびに異なる毛細管12aおよび12bは、別々の化学物質でコーティングされた異なる磁性粒子を保有することができる。片方のフィルタ2を、パターン形成された疎水性バリアによって、または二次加工され組み立てられたバルク構造体によって、空間的に隔離して独立したサブフィルタにすることができる。
【0068】
上記に記載した複合化の段階を利用することで、標的検体38の検出および計量と同時にアッセイ較正曲線法を実施することができる。例えばセンサ領域18の一部を、カゼインまたはアルブミンなど、磁性粒子10の表面との結合を阻止することができる阻止化学物質によってコーティングすることが可能な場合に負の制御を行なうことができる。この負の制御は、試験下において標本中で起こる非特異的相互作用の総量を示すことができる。これに加えてまたは別個に、センサ領域18の一部を、1つまたは複数の標的検体38など、磁性粒子10の少なくとも一部の表面との結合を保証する活性化化学物質によってコーティングすることが可能な場合に正の制御を行なうことができる。較正曲線法全体は、正確に計量するために標的検体38の測定値と並行して実施することができる。
【0069】
複数の毛細管12cおよび12dを使用することで濾液38をより迅速にIC16に移動させることができる。さらに毛細管チャネル12を、ガラス繊維またはニトロセルロースなどの吸い上げ材で満たすことで、濾液38をより迅速にIC16に移動させることができる。
【0070】
濾過特性を改善させるために、特性の異なる複数の薄膜フィルタ2cおよび2dを含む薄膜フィルタ組立体を、毛細管の入り口6より上に積み重ねることができる。各々のフィルタに異なる乾燥たんぱく質、試薬、化学物質および磁性粒子を装填することができる。
【0071】
毛細管なしでデバイスを構成することもできる。磁性粒子10は、薄膜フィルタ2またはニトロセルロース細片などの多孔性物質の底部内で、または底部に対して乾燥させることができる。チップの頂部より上の短い距離のところに薄膜フィルタ2を配置することができる。
【0072】
システムは、沈殿毛細管84と送達毛細管92を有する場合がある。送達毛細管92の入り口94は、フィルタ2の直ぐ下に配置され、濾液38を沈殿毛細管84に送達することができる。この送達毛細管92が入り口94のところに乾燥した試薬82を有することで、濾液38がフィルタ2の底部から毛細管92へと容易に流れることができる。送達毛細管92は、濾液38がフィルタ2の底部から沈殿毛細管84へと横方向に流れるような位置であってよい。沈殿毛細管84は、センサ領域18のすぐ上に垂直方向に配置することができ、送達毛細管92は、沈殿毛細管84の高さに沿った任意の地点、例えば中間地点で沈殿毛細管84に結合することができる。送達毛細管92および沈殿毛細管84は、1つのプラスチック製の毛細管カートリッジ80の中に作製することができる。カートリッジ80内の毛細管は、プラスチックのエンボス加工、射出成型またはフォトリソグラフィを使用して作製することができる。沈殿毛細管84の頂部にある入り口86に、凍結乾燥されたマイクロスフェア90を配置することができる。
【0073】
一滴の全血32を薄膜フィルタ2上に置くことができる。全血細胞34は薄膜フィルタ2内で捕捉され、標的検体36を含む濾液38は、送達毛細管92の入り口94へと流れることができる。濾液38は、送達毛細管92内を通って沈殿毛細管84へと流れることができる。その後濾液38は、IC16の表面20にあるセンサ領域18へと下方に、およびマイクロスフェア90へと上方に流れることができる。濾液38がマイクロスフェア90に到達しないうちに、それがセンサ領域18へおよび集積回路16の表面20の全域に流れることができることで、濾液38がマイクロスフェア90に到達する頃には、濾液はもはや沈殿毛細管84内を流れていないはずである。
【0074】
マイクロスフェア90に接触すると、充填剤8を可溶化することができる。例えば全く濾液が流れていない場合、可溶性の充填剤98が静止したままであり、すなわちいずれの方向にも流れることができない。可溶化された充填剤98の拡散はゆっくりであり、恐らく重力または磁気集約力による磁性粒子10の沈殿速度はこれを上回る速度である。磁性粒子10は、可溶化された充填剤98から離れて、沈殿毛細管84を通過して集積回路16の表面20にあるセンサ領域18へと沈殿する。磁性粒子10は、1つまたは複数の標的検体36の存在下でセンサ領域18内でIC16の表面20に結合し、アッセイプロトコールは先に記載したように進むことができる。
【0075】
沈殿毛細管84の頂部入り口86にマイクロスフェアを単に置くことによって、マイクロスフェア90の詰め込みまたは挿入作業の代わりをすることで、量産し易くすることができる。
【0076】
濾液38と合わさった磁性粒子10のインキュベーション時間は、高精度の用途の場合沈殿毛細管84の長さによって精密に調節することができる。4.5μmの磁性粒子10を重力によっておよそ0.4mm/分で血漿中に沈降させることができ、よって約4mmの沈殿毛細管の高さ154の場合およそ10分間のインキュベーション時間になる。
【0077】
磁性粒子10が沈殿毛細管84を通って沈殿する際、磁性粒子10が磁性粒子10の経路内で全ての検体36と結合することができるため、混合作業を短縮するまたはなくすことができる。
【0078】
可溶化された充填剤98は、アッセイの遂行に支障をきたす恐れがある。こういった現象を緩和させる目的で、およそ0.1μl未満の充填剤を送達毛細管84の入り口に配置することができる。およそ0.1μl未満の充填剤は、約15μlの血漿によっておよそ100倍希釈することができる。7.5μlより大きなマイクロスフェアからの可溶化された充填剤98は、このマイクロスフェアには約4mmの距離からセンサ領域18まで拡散する十分な時間がないため、アッセイを妨げる可能性はない。
【0079】
2つ以上の隣接する流体領域で沈殿毛細管84を満たすことができる、すなわち異なる緩衝液を順番に沈殿毛細管84に装填することができる。乱流がない場合、このような流体領域は、拡散過程により境界面においてのみ混ざり合う。磁性粒子10は、流体の拡散よりずっと速く沈殿するため、磁性粒子10は、それらが混ざり合うより速く異なる流体領域を全て通過して沈殿することができる。このような機能性は、核酸増幅反応のために緩衝液を交換するのに有効であり得る。沈殿毛細管84を、溶解用緩衝液110、等温増幅用緩衝液112、および検出用緩衝液114で満たすことができる。例えば送達毛細管92からの層流によって、溶解用緩衝液を沈殿毛細管84の頂部においてマイクロスフェア90に接触させ、それを再度可溶化させ、磁性粒子10を再懸濁させることができる。磁性粒子10は、溶解用緩衝液110中の溶解した有機物を横切る際に標的オリゴヌクレオチドを捕捉することができ、この標的オリゴヌクレオチドを、磁性粒子10が等温増幅用緩衝液112内を横切る際に増幅させることができ、最終的に磁性粒子10は検出用緩衝液114に進入し、この検出用緩衝液により磁性粒子10はIC16の表面20に結合することができる。沈殿毛細管84に、異なる流体領域を事前に装填することができる、または送達毛細管は、望ましい流体領域によって沈殿用緩衝液を満たすことができる。流体領域を形成するのに必要な試薬を毛細管中で乾燥させ、標本によって再び可溶化させることができる。
【0080】
第2のより幅の広い毛細管70を薄膜フィルタ2の上に配置することで、指からの採血による全血などの標本を容易に収集することができる。この毛細管は、直径が0.25mmから1cmで、長さが1mmから5cmの範囲であってよい。一般的なルールとして、毛細管70の直径は、濾液が流れることができるように毛細管12の直径より大きくする必要がある。
【0081】
ヘパリン、クエン酸ナトリウムおよびエチレンジアミン四酢酸などの抗凝固剤を乾燥させて、薄膜の頂部、薄膜の底部、毛細管の入り口、毛細管の内側の側面に沿ってまたはICの表面上に配置することができる。
【0082】
毛細管チャネルは機能上、ICに検体を送達する前にその中で検体をさらに処理することが可能なマイクロ流体システムで置き換える、またはそれを加えて使用することができる。
【0083】
マイクロ流体チャンバに機能性(弁の使用、ポンプの使用、熱による加熱)を加えることで、流体または流体内容物を混合または分離する、ならびに/あるいは全血細胞および原子核を溶解させDNA増幅を行なうことができる。
【0084】
磁性粒子センサ60は、ICに埋め込まれ、外部の照明源100を備えた光学センサ104aおよびbであってよい。集積回路16上の表面20にある磁性粒子10cおよび10dが影102を落とし、この影によって、光源100から光学センサ104bに送られる光の量を減衰させることができる。光学センサ104bは、入射光の減衰量を測定することによって磁性粒子10cを検出することができる。集積回路16は、これに限定するものではないが二酸化ケイ素など光を透過する表面を有することができる。
【0085】
光学センサ104aおよび104bは、これに限定するものではないがアクティブピクセルセンサ、電荷結合素子、アバランシェフォトダイオード、PINフォトダイオード、または他のソリッドステート光学検出器として実装することができる。
【0086】
1つまたは複数の照明源100を集積回路16のすぐ上に配置することができることにより、磁性粒子からの影が下方に投影される。1つまたは複数の照明源100は、集積回路16の表面20を間接的におよび/または斜角で照明することができる。照明源100が、濾液38をIC16の表面20へと流す毛細管より上に配置される場合もある。
【0087】
代替として磁性粒子10は、例えばCCDカメラによってICより上または下から、ICの外部から光学式に検出することができる。
【0088】
上記より、記載される基本構造を、これに限定するものではないが以下の多くの用途に使用することが可能なことを理解されたい。
【0089】
1.診断
(a)単式アッセイ
(b)並行または複合的アッセイ
(c)DNAマイクロアレイアッセイ
(e)グルコース、コレステロール、代謝産物、小分子検出
【0090】
2.環境アッセイ
(a)食物汚染
(b)水/土壌汚染
【0091】
3.プロテオミクス
(a)たんぱく質間の結合力の測定
(b)たんぱく質間の結合の共鳴振動数
(c)タンパク質の運動力学調査
【0092】
4.ゲノミクス
(c)DNAのメチル化プロフィール
(d)DNAの力の測定
【0093】
5.磁性粒子AFM
(a)低1/fノイズのAFM
(b)デジタル式に力と周波数が調節されたAFM
(c)複合的なAFM
【0094】
6.磁性粒子特性
(a)異なるサイズと特性の粒子の磁性の探求
【0095】
7.低コストのバイオセンサネットワーク
(a)アッセイの結果の一体化されダイレクトな無線伝送
(b)リアルタイムの突発事象/汚染の監視
【0096】
図1は、標本を準備し検出するシステム1の三次元の図である。システム1は、ICに隣接して配置することができる、または1つまたは複数のIC検出器/センサを含むことができる完全に一体化された準備および検出システムであってよい。システム1は、2009年1月15日に出願されたPCT国際特許出願シリアル番号PCT/US09/031155号、および2008年1月17日に出願された米国仮出願第61/021 ,861号に開示されるものなど、ICに隣接して配置される、またはICと一体式に構成することができ、これらの出願は共にその全体が参照により本明細書に組み込まれている。標本準備システム1は、温度、慣性および湿度センサなどの他のタイプのセンサデバイスと協働して、またはそれらと一体式に作動するように構成されてよい。
【0097】
図1および図2に示されるように、システム1は、プリント回路基板11に形成された開口29のすぐ上でプリント回路基板11の頂部面に設置することができるフィルタ支持構造体4を有することができる。接着リング3によってフィルタ支持構造体4を薄膜フィルタ2に装着することができる。薄膜フィルタ2は円筒形であってよい、または略楕円形、三角形または矩形の断面を有することができる。薄膜フィルタ2は、約0.5mmから約20mm、より狭い場合には1mmから約8mmであり、例えば約4mmであり得る薄膜フィルタの幅または直径150を有することができる。薄膜フィルタ2およびフィルタ支持構造体4の周辺部の形状およびサイズは、同一であっても異なってもよい。
【0098】
フィルタ支持構造体4の底面および/またはプリント回路基板11の頂部面にある半径方向の溝によって、通気チャネル28を形成することができる。集積回路16は、例えば複数のはんだバンプ22によってプリント回路基板11の底面に装着することができる。はんだバンプ22を、ICボンドパッド24aおよびプリント回路基板メタライゼーション24bに装着することができ、これにより集積回路16とプリント回路基板11を機械的に装着させ、電気的に相互に接続することができる。集積回路16とプリント回路基板11の間にポリマーシール26を配置することができ、これは、密閉された空洞を形成し、流体による汚染から電気接続部を保護する。毛細管チャネル12をフィルタ支持構造体4に装着することで、毛細管の入り口6をフィルタ2のすぐ下に配置することができ、毛細管の出口14を集積回路16の表面20のセンサ領域18のすぐ上に配置することができる。
【0099】
毛細管の出口14の底部は、ICの隙間152によって集積回路16の表面20に接触させたり隔てたりすることができる。ICの隙間152は、約0.05mmから約2mm、より狭い場合には約0.1mmから約1mmであってよい。毛細管チャネル12は、毛細管チャネルの長さ154と毛細管の直径または幅156を有することができる。毛細管チャネルの長さ154は、約0.5mmから約20mm、より狭い場合は約1mmから約8mm、例えば約4mmであってよい。毛細管の幅156は、約0.05mmから約2mm、より狭い場合は約0.1mmから約1mm、例えば約0.5mmであってよい。
【0100】
磁性粒子10を充填剤8の中で乾燥させ、例えば入り口6および/または出口14付近にまたはそこに、ならびに/あるいは毛細管チャネル12の長さ全体に沿ってまたはその一部に沿って、毛細管チャネル12内に配置することができる。
【0101】
図3は、フィルタ2が毛細管チャネル12より上にある場合を図示している。乾燥した磁性粒子10は、毛細管チャネル12の入り口6のところで充填剤8の中にあってよい。毛細管チャネル12の出口14は、集積回路16の表面20にあるセンサ領域18のすぐ上方に配置することができる。
【0102】
図4から図8は、このデバイスの鍵となる構成要素の側部断面図であり、サンドイッチ式に捕捉する免疫アッセイ方式の作用を例示している。
【0103】
図4は、薄膜フィルタ2の頂部に置かれた、全血細胞34と1つまたは複数の標的検体36を含む全血標本32を示している。
【0104】
図5は、フィルタ2の底部へと横切る濾液38を示している。フィルタ2の底部から流れる濾液38は、毛細管チャネル12の入り口6において高親水性の充填剤8と接触する。高親水性の充填剤8が、濾液を毛細管チャネル12へと引っ張り、磁性粒子10が再懸濁する。磁性粒子は、1つまたは複数の標的検体36に結合するために1つまたは複数の捕捉抗体30によってコーティングされる。
【0105】
図6は、濾液38が毛細管チャネル12を通って流れるのを示している。フィルタ2は全血細胞34の通過を妨げる一方で、標的検体36が毛細管チャネル12を通過するのは妨害せず、この場合再懸濁した磁性粒子10は、1つまたは複数の標的検体36と結合する。毛管作用による流動が、濾液を集積回路16の表面20に引っ張る。
【0106】
図7は、毛細管チャネル12の出口14から垂れる濾液38の滴42が形成される様子を示している。この滴は、集積回路16の表面20に接触するまで大きくなり、この時点で濾液38は集積回路16の表面20全域に流れる。
【0107】
図8は、濾液38がどのように集積回路16の表面20全域に広がるかを示している。磁性粒子10は、集積回路16の表面20に対して沈殿する。表面20を表面抗体44で覆うことができ、1つまたは複数の標的検体の存在下で磁性粒子10は、強力な特異的な相互作用によって集積回路16の表面20に結合することができる。
【0108】
図9は、集積回路16の表面20における2つの磁性粒子10aおよび10bをクローズアップした図である。磁性粒子10aは、表面抗体44、標的検体36および捕捉抗体30を含む特異的な免疫学的複合体によって表面20に特異的に結合することができる。磁性粒子10bは表面に沈殿しているが、例えば磁性粒子10bを集積回路16の表面20にしっかりと鎖でつなぐための免疫学的複合体が存在しないため、非特異的に結合するはずである。
【0109】
図9−図11は、集積回路16の作動を図示する断面図である。
【0110】
図9は、磁性粒子10が集積回路16の表面20に沈殿する際の磁性粒子10を示している。集約コンダクタ62内を通って図の面から外に流れる電流が、集約コンダクタ62のすぐ上で磁性粒子を集積回路16の表面20に対して引っ張る。
【0111】
図10は、集積回路16の表面20に定着することができる磁性粒子を示している。集約コンダクタ62内を流れる電流は止めることができる。実例となる一例として、磁性粒子10aは表面20に特異的に結合することができる一方で、磁性粒子10bは表面20に非特異的に結合するはずである。分離コンダクタ64内を通って図の面から外に流れる電流が、磁性粒子に対して磁力を生成する。非特異的に結合した磁性粒子10bを、分離コンダクタに向けて引っ張ることができ、その一方で特異的に結合した磁性粒子10aは静止したままである。
【0112】
図11は、非特異的結合した磁性粒子を操作した後の磁性粒子を示す。特異的に結合した磁性粒子10aは、集約コンダクタ62の上で表面20に対して静止したままであってよく、センサ60bによって検出することができる。非特異的に結合した磁性粒子10bを、集約コンダクタ62から脇に引っ張ることができ、分離コンダクタ64の上で表面20上で静止したままでいることができ、センサ60eによって検出することができる。この場合集積回路16は、標的検体の存在を示す1つの特異的に結合した磁性粒子(10a)を検出することができる。大量の磁性粒子10と、センサ60と、磁気分離コンダクタ64と集約コンダクタ62の大きなアレイを使用することで、高感度で複合的な計量アッセイを行なうことができる。
【0113】
図12は、集積回路16の表面20の上面図である。磁気分離力を印加した後、特異的に結合した磁性粒子10aはセンサ領域18内に残る。非特異的に結合した磁性粒子10bは、センサ領域から離れるように引っ張ることができる。しかしながら磁性粒子10aおよび10bは共にセンサ60によって検出することができることに留意されたい。
【0114】
図13から図18は、標本準備システムの様々な実装形態の三次元の図である。これらの多様な実装形態を使用して、様々な段階の複合的アッセイを行なうことができる。
【0115】
図13は、異なる検出用の化学物質によって機能化された磁性粒子10cと10dを保有することが可能な2つの毛細管12aと12bに近接する2つのフィルタ2aおよび2bを示している。毛細管12aおよび12bは、2つの異なるセンサ領域18aと18bにそれぞれの濾液を送達することができる。
【0116】
図14は、異なる検出用化学物質によって機能化された磁性粒子10cおよび10dを保有することが可能な2つの毛細管12aと12bに近接する、1つのフィルタ2を示している。毛細管12aおよび12bは、2つの異なるセンサ領域18aと18bにそれぞれの濾液を送達することができる。
【0117】
図15は、同一のセンサ領域18にそれぞれの濾液を送達することができる2つの毛細管12aおよび12bに近接する、1つのフィルタ2を示している。
【0118】
図16は、1本の毛細管チャネル12の上に積み重なった2つのフィルタ2cおよび2dを示している。
【0119】
図17は、毛細管なしで構成されるデバイスを示している。磁性粒子10は、薄膜フィルタ2またはニトロセルロース細片などの多孔性物質の底部内で、またはそれに対して乾燥させることができる。薄膜フィルタ2を、チップの頂部より上の短い距離の所に配置することができる。
【0120】
図18は、例えば指からの採決による全血などの標本を収集する目的で、第2の毛細管70が薄膜フィルタ2より上に配置される場合があることを示している。第2毛細管は、第2毛細管の直径156bを有することができる第2毛細管チャネル12bを有することができる。第2毛細管の直径156bは、第1毛細管チャネルの直径156aより大きくても小さくてもよく、あるいはそれと同じであってもよい。毛細管の直径156aおよび156bは、本明細書のいずれかに記載されるように、約0.25mmから約1cm、例えば4mmであってよい。第2毛細管70は、第2毛細管チャネルの長さ154bを有することができる。第2毛細管チャネルの長さ154bは、第2毛細管の長さ154aより多くても小さくてもよく、あるいはそれと同じであってもよい。毛細管チャネルの長さ154aおよび154bは、本明細書のいずれかに記載されるように、約1mmから約5cm、例えば5mmであってよい。第2毛細管70の直径は、例えば濾液の流量を増加させる目的で、第1毛細管12の直径より大きい場合がある。
【0121】
図19から図21は、アッセイプロトコールをより最適に制御することを目的とした2つの毛細管チャネルの実装形態の断面図である。
【0122】
図19は、沈殿毛細管84と送達毛細管92を備えたシステムを示している。送達毛細管92の入り口94は、フィルタ2のすぐ下に配置することができる。入り口94は、濾液38を沈殿毛細管84に送達するように構成することができる。送達毛細管92が、入り口94のところに乾燥した試薬82を有することで、濾液38がフィルタ2の底部から送達毛細管92へと容易に流れることができる。送達毛細管92は、濾液38がフィルタ2の底部から沈殿毛細管84へと横方向に流れるような位置であってよい。沈殿毛細管84は、センサ領域18のすぐ上に垂直方向に配置することができる。送達毛細管92は、沈殿毛細管84の高さに沿った任意の地点、例えば中間地点で沈殿毛細管84に結合することができる。送達毛細管92および沈殿毛細管84は、1つのプラスチック製の毛細管カートリッジ80の中に作製することができる。カートリッジ80内の毛細管は、プラスチックのエンボス加工、射出成型またはフォトリソグラフィを使用して作製することができる。沈殿毛細管84の頂部にある入り口86に、凍結乾燥されたマイクロスフェア90を配置することができる。凍結乾燥されたマイクロスフェア90は、例えば約0.1mmから約5mm、より狭い場合には約0.5mmから約4mm、例えば約2mmのマイクロスフェアの直径160を有することができる。マイクロスフェア90と接触すると、充填剤8は可溶可能となる。
【0123】
図20は、薄膜フィルタ2上に配置された一滴の全血32を示している。全血細胞34は、膜2内で捕捉することができる。標的検体36を含有する濾液38は、送達毛細管92の入り口94を通過して流れることができる。濾液38は、送達毛細管92を通って沈殿毛細管84へと流れることができる。濾液38はその後、IC16の表面20にあるセンサ領域18へと下方に、およびマイクロスフェア90へと上方に流れることができる。濾液38がマイクロスフェア90に到達しないうちに、それはセンサ領域18へと流れ集積回路16の表面20全域に流れることができる。濾液38がマイクロスフェア90に到達する時には、濾液はもはや沈殿毛細管84の中を流れていないはずである。
【0124】
図21は、標的検体36と合わさってインキュベートする磁性粒子10を示している。濾液が全く流れていない場合、可溶性の充填剤98は静止したままである、すなわちいずれの方向にも流れることはできない。可溶化された充填剤98の拡散はゆっくりであり、恐らく重力または磁気集約力による磁性粒子10の沈殿速度はこれを上回る速度である。磁性粒子10は、可溶化された充填剤98から離れて、沈殿毛細管84を通過して集積回路16の表面20にあるセンサ領域18へと沈殿する。磁性粒子10は、1つまたは複数の標的検体36の存在下でセンサ領域18内でIC16の表面20に結合することができ、アッセイプロトコールは先に記載したように進むことができる。
【0125】
図22は、光学磁性粒子センサ104aから104eを備えた集積回路16の断面図である。磁性粒子センサ104aから104eは、ICに埋め込むことができる。システムは、外部照明源100を有することができる。照明源100は、ICに向けて光子を放出することができる。照明源100は、可視光線、不可視光(例えば赤外線、紫外線)またはそれらを組み合わせたものを放出することができる。集積回路16の表面20にある磁性粒子10cおよび10dが影102を落とし、この影によって、光源100から光学センサ104bに送られる光の量を減衰させることができる。光学センサ104bは、入射光の減衰量を測定することによって磁性粒子10cの量を検出することができる。集積回路16は、これに限定するものではないが二酸化ケイ素など光を透過する表面を有することができる。また集約コンダクタ62および分離コンダクタ64は、例えば大半のまたは全ての磁性粒子を検出するために磁性粒子10の直径より幅が薄くてよい。
【0126】
光学センサ104aおよび104bは、アクティブピクセルセンサ、電荷結合素子、アバランシェフォトダイオード、PINフォトダイオード、他のソリッドステート光学検出器、LEDまたはそれらを組み合わせたものであってよい。
【0127】
図23から図25は、磁性粒子が異なる流体と一緒に順次インキュベートされる一実装形態の部分断面図である。
【0128】
図23は、1つ以上の流体領域で満たされた、すなわち異なる緩衝液が順番に装填された沈殿毛細管84を示している。乱流がない場合、このような流体領域は、拡散過程により境界面においてのみ混ざり合う。毛管作用によって、このような流体領域をマイクロスフェア90が配置されている沈殿毛細管84の頂部へと引っ張ることができる。沈殿毛細管84は、溶解用緩衝液110、等温増幅用緩衝液112および検出用緩衝液114で満たすことができる。
【0129】
図24は、流体の最も上の領域がマイクロスフェアに到達し、可溶化された充填剤98に可溶化される充填剤8を示している。
【0130】
図25は、磁性粒子10の沈殿が流体の拡散よりずっと速いことから、磁性粒子10が全ての異なる領域を順次通り抜けて沈殿することができることを示している。磁性粒子10は、溶解用緩衝液110中の溶解した有機物を横切る際に標的オリゴヌクレオチドを捕捉することができ、この標的オリゴヌクレオチドを、磁性粒子10が増幅用緩衝液112を横切る際に増幅させることができ、最終的に磁性粒子10は検出用緩衝液114に進入し、この検出用緩衝液により磁性粒子10はIC16の表面20に結合することができる。
【0131】
上記の記載は多くの詳細を含んでいるが、これらは本開示の範囲を限定するものではなく、開示されるデバイスおよび方法の種々の変形形態の例示を提供するものと解釈すべきである。よって本明細書の開示の範囲は、当業者に明白となり得る他の変形形態を全て包含することを理解されたい。単数の要素に対する言及は、はっきりとそのように述べられない限り「特定のおよび唯一のもの」を意味するのではなく、「1つまたは複数のもの」を意味することを意図している。用語デバイスおよびシステムは、本明細書では区別なく使用されている。本明細書に開示されるデバイス、システム、要素、機能、特徴、ステップおよび方法は、示されるもの以外のいずれの機能を組み合わせたものにも使用することができ、単に例示の目的で明示的に示される組み合わせにおいて示されているだけである。当業者に知られる、上記に記載した開示の要素の全ての構造上、化学的および機能上の均等物は、本明細書に明確に組み込まれており、本請求項によって包含されることが意図されている。
【符号の説明】
【0132】
1 血液濾過デバイス
2 薄膜フィルタ
3 接着リング
4 フィルタ支持構造体
6 毛細管の入り口
8 充填剤
10、10a、10b、10c、10d 磁性粒子
11 プリント回路基板
12 毛細管チャネル
12a、12b、12c、12d 毛細管
14 毛細管の出口
16 集積回路
18、18a、18b センサ領域
20 ICの頂部面
22 はんだバンプ
24a ICボンドパッド
24b プリント回路基板メタライゼーション
26 ポリマーシール
28 通気チャネル
29 開口
30 捕捉抗体
32 全血標本
34 全血細胞
36 標的検体
38 濾液
42 濾液の滴
44 表面抗体
60、60a、60b、60c、60d、60e 磁性粒子センサ
62 集約コンダクタ
64 分離コンダクタ
68 非特異的に結合した磁性粒子
70 第2の毛細管
80 毛細管カートリッジ
82 乾燥した試薬
84 沈殿毛細管
86 沈殿毛細管の入り口
90 マイクロフェア
92 送達毛細管
94 送達毛細管の入り口
98 可溶性充填剤
100 外部照明源
102 影
104a、104b、104c、104d 光学磁性粒子センサ
110 溶解用緩衝液
112 等温増幅用緩衝液
114 検出用緩衝液
150 薄膜フィルタの直径
152 ICの隙間
154 毛細管の長さ
154a第1毛細管の長さ
154b 第2毛細管の長さ
156 毛細管の内径
156a 第1毛細管の直径
156b 第2毛細管の直径
160 マイクロスフェア直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的流体標本を分析するためのデバイスであって、
前記生物学的流体標本を濾過して、標的検体を有する濾液を生じさせるように構成されたフィルタと、
前記濾液中の1つまたは複数の標的検体と反応するように表面が機能化された乾燥した磁性粒子と、
前記濾液を1つまたは複数のセンサ領域を備える特定の表面に送達するための毛細管であり、このセンサ領域に対して前記濾液が流れ、それに対して磁性粒子が1つまたは複数の標的検体の存在下で特異的に結合することができる毛細管と、
1つまたは複数のセンサ領域に特異的に結合した磁性粒子を検出するための多様なセンサと、
前記磁性粒子を操作するための1つまたは複数の磁界生成器と
を備えたデバイス。
【請求項2】
1つまたは複数の磁気集約場生成器が、1つまたは複数の集約場を生成することで、前記表面上にある1つまたは複数のセンサ領域に対して前記磁性粒子を引っ張ることができる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
1つまたは複数の磁気分離場生成器が、1つまたは複数の分離場を生成することで、1つまたは複数のセンサ領域から非特異的に結合した磁性粒子を排除することができる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記毛細管が、前記フィルタと前記表面の間に配置されることで、前記毛細管チャネルの入り口が前記フィルタの近傍にあり、その一方でその出口が、前記濾液の流れを前記表面上にある1つまたは複数のセンサ領域にわたって広げることができる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記フィルタ内に吸収された標本とそこを通過した標本の総量が15μl未満である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
乾燥した試薬が、前記毛細管の入り口に配置されることで、前記濾液が前記フィルタの底部から前記毛細管チャネルの入り口に流れ易くする、請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記デバイスが、全血を採取するように構成され、その場合前記フィルタは全血細胞を遮断する、請求項5に記載のデバイス。
【請求項8】
前記毛細管への入り口より上に2つ以上のフィルタが積み重ねられる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記標本を収集するために前記フィルタより上に第2毛細管が配置される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記デバイスが、バイオ化学アッセイを実施するように構成され、その場合1つまたは複数のセンサ領域に結合した粒子の数は、前記フィルタ内に提示された前記標本中の前記標的検体の濃度に相当する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記2つ以上のセンサ領域が、2つ以上のアッセイを並行して実施するために異なる化学物質でコーティングされる、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記アッセイに対して正と負の制御が同時に行なわれる、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
1つのフィルタからの前記濾液が、複数の独立した毛細管を通って複数の独立したセンサ領域へと流れることで、2つ以上のアッセイを並行して実施する、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
複数の独立したフィルタからの前記濾液が、複数の独立した毛細管を通って複数の独立したセンサ領域へと流れることで、2つの以上のアッセイを並行して実施する、請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
抗凝固剤が乾燥され前記薄膜の頂部、前記薄膜の底部、前記毛細管内または前記表面上に配置される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
生物学的流体標本を分析するためのデバイスであって、
前記生物学的流体標本を濾過して、標的検体を有する濾液を生じさせるように構成されたフィルタと、
前記濾液中の1つまたは複数の標的検体と反応するように表面が機能化された乾燥した磁性粒子と、
前記濾液を1つまたは複数のセンサ領域を備える集積回路の表面に送達するための毛細管であり、このセンサ領域に対して、磁性粒子が1つまたは複数の標的検体の存在下で特異的に結合することができる毛細管と、
前記集積回路の前記表面において1つまたは複数のセンサ領域に特異的に結合した磁性粒子を検出するための1つまたは複数のセンサと、
を備えたデバイス。
【請求項17】
1つまたは複数の磁性粒子生成器を使用することで、前記磁性粒子を操作することができる、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
1つまたは複数の磁気集約場生成器が集約場を生成することで、前記集積回路の前記表面にある1つまたは複数のセンサ領域に対して前記磁性粒子を引っ張ることができる、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
1つまたは複数の磁気分離場生成器が分離場を生成することで、前記集積回路の前記表面にある1つまたは複数のセンサ領域から非特異的に結合した磁性粒子を排除することができる、請求項17に記載のデバイス。
【請求項20】
1つまたは複数の磁気集約場生成器が前記集積回路に埋め込まれる、請求項18に記載のデバイス。
【請求項21】
1つまたは複数の磁気分離場生成器が前記集積回路に埋め込まれる、請求項19に記載のデバイス。
【請求項22】
前記磁性粒子センサが前記集積回路に埋め込まれる、請求項17に記載のデバイス。
【請求項23】
前記毛細管が前記フィルタと前記表面の間に配置されることで、前記毛細管チャネルの入り口が前記フィルタの近傍にあり、その一方でその出口が、前記濾液の流れを前記集積回路の前記表面にある1つまたは複数のセンサ領域にわたって広げることができる、請求項17に記載のデバイス。
【請求項24】
前記フィルタ内に吸収された標本とそこを通過した標本の総量が15μl未満である、請求項17に記載のデバイス。
【請求項25】
前記毛細管の入り口に乾燥した試薬を配置することで、前記濾液が前記フィルタの底部から前記毛細管チャネルの入り口に流れ易くする、請求項23に記載のデバイス。
【請求項26】
前記デバイスが全血を採取するように構成され、その場合前記フィルタは全血細胞を遮断する、請求項24に記載のデバイス。
【請求項27】
前記毛細管への入り口より上に2つ以上のフィルタが積み重ねられる、請求項17に記載のデバイス。
【請求項28】
前記標本を収集するために前記フィルタより上に第2毛細管が配置される、請求項17にデバイス。
【請求項29】
前記デバイスが、バイオ化学アッセイを実施するように構成され、その場合前記集積回路の前記表面にある1つまたは複数のセンサ領域に結合した粒子の数は、前記フィルタ内に提示された前記標本中の前記標的検体の濃度に相当する、請求項17に記載のデバイス。
【請求項30】
前記集積回路の前記表面における1つまたは複数のセンサ領域の表面が、2つ以上のアッセイを並行して実施するために異なる化学物質でコーティングされる、請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
前記アッセイに対して正と負の較正曲線法が同時に行なわれる、請求項30に記載のデバイス。
【請求項32】
1つのフィルタからの前記濾液が、複数の独立した毛細管を通って複数の独立したセンサ領域へと流れることで、2つ以上のアッセイを並行して実施する、請求項30に記載のデバイス。
【請求項33】
複数の独立したフィルタからの前記濾液が、複数の独立した毛細管を通って複数の独立したセンサ領域へと流れることで2つの以上のアッセイを並行して実施する、請求項30に記載のデバイス。
【請求項34】
抗凝固剤が乾燥され前記薄膜の頂部、前記薄膜の底部、前記毛細管内または前記表面上に配置される、請求項17に記載のデバイス。
【請求項35】
生物学的流体標本を分析するためのデバイスであって、
前記生物学的流体標本を濾過して、標的検体を有する濾液を生じさせるように構成されたフィルタと、
前記濾液中の1つまたは複数の標的検体と反応するように表面が機能化された乾燥した磁性粒子と、
前記濾液を沈殿毛細管へと送達する送達毛細管と、
磁性粒子が中を通り抜けて沈殿することができる沈殿毛細管と、
1つまたは複数のセンサ領域に特異的に結合した磁性粒子を検出するための1つまたは複数の磁性粒子センサと、
を備えたデバイス。
【請求項36】
前記磁性粒子が1つまたは複数のマイクロスフェア内で凍結乾燥される、請求項35に記載のデバイス。
【請求項37】
1つまたは複数の磁場生成器を使用して、前記磁性粒子を操作することができる、請求項35に記載のデバイス。
【請求項38】
1つまたは複数の磁気集約場生成器が集約場を生成することで、前記磁性粒子を前記表面にある1つまたは複数のセンサ領域に対して引っ張る、請求項35に記載のデバイス。
【請求項39】
1つまたは複数の磁気分離場生成器が分離場を生成することで、前記非特異的に結合した磁性粒子を1つまたは複数のセンサ領域から排除する、請求項35に記載のデバイス。
【請求項40】
前記フィルタからの前記濾液が、前記送達毛細管を通って、1つまたは複数のセンサ領域のすぐ上に垂直方向に配置された前記沈殿毛細管へと流れる、請求項35に記載のデバイス。
【請求項41】
1つまたは複数のマイクロスフェアが前記沈殿毛細管の頂部に配置される、請求項40に記載のデバイス。
【請求項42】
前記フィルタ内に吸収された標本とそこを通過した標本の総量が15μl未満である、請求項35に記載のデバイス。
【請求項43】
前記送達毛細管の入り口に乾燥した試薬を配置することで、前記濾液が前記フィルタの底部から前記送達毛細管の入り口に流れ易くする、請求項41に記載のデバイス。
【請求項44】
前記デバイスが全血を採取するように構成され、その場合前記フィルタは全血細胞を遮断する、請求項42に記載のデバイス。
【請求項45】
前記毛細管への入り口より上に2つ以上のフィルタが積み重ねられる、請求項35に記載のデバイス。
【請求項46】
前記標本を収集するために前記フィルタより上に第3毛細管が配置される、請求項35にデバイス。
【請求項47】
前記デバイスがバイオ化学アッセイを実施するように構成され、その場合1つまたは複数のセンサ領域に結合した粒子の数は、前記フィルタ内に提示された前記標本中の前記標的検体の濃度に相当する、請求項35に記載のデバイス。
【請求項48】
前記集積回路の前記表面が、2つ以上のアッセイを並行して実施するために異なる化学物質でコーティングされる、請求項47に記載のデバイス。
【請求項49】
前記アッセイに対して正と負の較正曲線法が同時に実施される、請求項48に記載のデバイス。
【請求項50】
抗凝固剤が乾燥され前記薄膜の頂部、前記薄膜の底部、前記毛細管内または前記表面上に配置される、請求項35に記載のデバイス。
【請求項51】
前記磁性粒子が、1つの毛細管内の隣接する流体領域を通り抜けて沈殿する、請求項35に記載のデバイス。
【請求項52】
生物学的流体標本を分析するためのデバイスであって、
前記生物学的流体標本を濾過して、標的検体を有する濾液を生じさせるように構成されたフィルタと、
前記濾液中の1つまたは複数の標的検体と反応するように表面が機能化された乾燥した磁性粒子と、
前記濾液を沈殿毛細管へと送達する送達毛細管と、
磁性粒子が中を通り抜けて沈殿することができる沈殿毛細管と、
集積回路の表面にある前記センサ領域に特異的に結合した磁性粒子を検出するための1つまたは複数の磁性粒子センサと、
を備えたデバイス。
【請求項53】
前記磁性粒子が1つまたは複数のマイクロスフェア内で凍結乾燥される、請求項52に記載のデバイス。
【請求項54】
1つまたは複数の磁場生成器を使用して、前記磁性粒子を操作することができる、請求項52に記載のデバイス。
【請求項55】
1つまたは複数の磁気集約場生成器が集約場を生成することで、前記磁性粒子を前記表面にある1つまたは複数のセンサ領域に対して引っ張る、請求項54に記載のデバイス。
【請求項56】
1つまたは複数の磁気分離場生成器が分離場を生成することで、前記非特異的に結合した磁性粒子を1つまたは複数のセンサ領域から排除する、請求項54に記載のデバイス。
【請求項57】
1つまたは複数の磁気集約場生成器が前記集積回路に埋め込まれる、請求項55に記載のデバイス。
【請求項58】
1つまたは複数の磁気分離場生成器が前記集積回路に埋め込まれる、請求項56に記載のデバイス。
【請求項59】
前記磁性粒子センサが前記集積回路に埋め込まれる、請求項52に記載のデバイス。
【請求項60】
前記フィルタからの前記濾液が前記送達毛細管を通って、1つまたは複数のセンサ領域のすぐ上に垂直方向に配置された前記沈殿毛細管へと流れる、請求項52に記載のデバイス。
【請求項61】
1つまたは複数のマイクロスフェアが、前記沈殿毛細管の頂部に配置される、請求項60に記載のデバイス。
【請求項62】
前記フィルタ内に吸収された標本とそこを通過した標本の総量が15μl未満である、請求項52に記載のデバイス。
【請求項63】
前記送達毛細管の入り口に乾燥した試薬を配置することで、前記濾液が前記フィルタの底部から前記送達毛細管の入り口に流れ易くする、請求項61に記載のデバイス。
【請求項64】
前記デバイスが全血を採取するように構成され、その場合前記フィルタは全血細胞を遮断する、請求項62に記載のデバイス。
【請求項65】
前記送達毛細管への入り口より上に2つ以上のフィルタが積み重ねられる、請求項52に記載のデバイス。
【請求項66】
前記標本を収集するために前記フィルタより上に第3の毛細管が配置される、請求項52に記載のデバイス。
【請求項67】
前記デバイスがバイオ化学アッセイを実施するように構成され、その場合前記集積回路の前記表面において1つまたは複数のセンサ領域に結合した粒子の数は、前記フィルタ内に提示された前記標本中の前記標的検体の濃度に相当する、請求項52に記載のデバイス。
【請求項68】
前記集積回路の前記表面が、2つ以上のアッセイを並行して実施するために異なる化学物質でコーティングされる、請求項67に記載のデバイス。
【請求項69】
前記アッセイに対して正と負の較正曲線法が同時に実施される、請求項68に記載のデバイス。
【請求項70】
抗凝固剤が乾燥され前記薄膜の頂部、前記薄膜の底部、前記毛細管内または前記表面上に配置される、請求項52に記載のデバイス。
【請求項71】
前記磁性粒子が、1つの毛細管内の隣接する流体領域を通り抜けて沈殿する、請求項52に記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2013−511042(P2013−511042A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538811(P2012−538811)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/002994
【国際公開番号】WO2011/059512
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
【出願人】(512123651)シリコン バイオディバイスイズ,インク. (1)
【Fターム(参考)】