説明

アッセイ装置

第1アッセイおよび第2アッセイを含んで広範囲の濃度にわたって液体サンプル中の分析物の存在および/または程度を測定するアッセイ装置が開示され、分析物用の第1アッセイは標識付き結合剤を不動化することのできる単独の検出ゾーンを有する第1フローパスを含み、この分析物用の第2アッセイは標識付き結合剤を不動化することのできる単独の検出ゾーンを有する第2フローパスを含み、検出ゾーンでの標識付き結合剤の存在はこの液体サンプル中の分析物の存在および/または程度を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い濃度範囲にわたって分析物の存在または程度を測定するアッセイ装置、キット、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体サンプル中の分析物を検出するための単純なラテラルフロー免疫アッセイ装置が開発され市販されてきた。例えば、欧州特許第291194号明細書を参照されたい。それらの装置は典型的に、対象分析物に結合することのできる乾燥された移動可能な標識付き結合剤と、標識付き結合剤下流の検出ゾーンに提供された、やはり分析物に結合することのできる不動化された結合剤を含む多孔質の担体を含む。検出ゾーンでの不動化された標識付き結合の検出はサンプル中に分析物が存在することを示す。
【0003】
替わりに、対象分析物がハプテンであるとき、免疫アッセイ装置は、標識付き分析物または分析物類似体が不動化された結合剤に対してサンプル中に存在する分析物と検出ゾーンで競合する競合反応を用いることができる。替わりに、アッセイ装置は、不動化された分析物または分析物類似体が検出ゾーンに提供される阻害反応を用いることができ、アッセイ装置は分析物のための移動可能な標識付き結合剤を含む。
【0004】
サンドイッチ免疫アッセイはしばしば分析物を検出するときに選択されるアッセイである。しかし、サンドイッチアッセイは必ずしも常に可能とは限らず、例えば、ハプテンなどの小さな分子の場合、そこに2つの異なる結合相手との同時結合を可能にするには大きさが不十分であるかもしれない。サンドイッチ免疫アッセイを用いる典型的なラテラルフロー装置を用いて調製された用量作用曲線は、より高い分析物レベルで曲線が平坦になる点まで分析物の増加とともに信号の増加を示す。さらに高い分析物レベルでは、検出ゾーンで標識付き薬剤に結合していない分析物の優先捕捉のため信号は減少し始める。この現象はフック効果として知られる。したがって、より高い分析物レベルで観察される信号量または強度がより低い分析物レベルで観察されるものと同じであるか、または低くさえなり得ることのため、サンドイッチ免疫アッセイのアッセイ範囲は制限される。
【0005】
競合または阻害アッセイは、分析物がゼロまたは低いレベルで典型的に高い信号を提供する。分析物が増加しているレベルで、分析物の量に比べて存在する標識付き結合化学種の量に応じて信号レベルはまだ高くなることができる。やはり分析物が増加しているレベルで、未結合の分析物が標識付き分析物または分析物類似体と不動化された結合剤に対して競合、または標識付き結合剤と結合すると、信号は低下を開始し、検出ゾーンでの標識付き結合剤の結合が低下する。
【0006】
したがって、広範囲にわたる分析物を測定するサンドイッチアッセイの使用は、フック効果に関する課題を与える。高い分析物濃度はアッセイ信号の低下を開始させる。競合または阻害アッセイは、高い分析物濃度でアッセイ信号の欠乏を生じ、したがって、分析物を測定することのできる範囲が制限される。
【0007】
したがって、上記アッセイ方法は広範囲の分析物にわたる分析物のレベルを測定するには適していない。
【0008】
米国特許出願公開第2005/0112780号明細書は、検出ゾーンと検出ゾーンの下流に提供された補償ゾーンを含むフロースルー多孔質担体を含むアッセイ装置のダイナミック検出範囲を拡大するためのアッセイ装置および方法を開示する。検出は、検出プローブに結合して分析物の量に比例した強度の検出信号を発生する第1結合剤を含み、補償ゾーンは検出プローブに結合して検出信号の強度に反比例する信号を発生する第2の捕捉剤を含む。アッセイは信号を発生する第3の較正ゾーンをさらに含むことができる。第1の結合剤は、抗原、ハプテン、またはストレプトアビジンを含む群から選択することができる。第1および第2結合剤は抗原、ハプテン、またはストレプトアビジンを含む多くの化学種から選択することができる。
【0009】
米国特許出願公開第2004/0197820号明細書は、検出ゾーンを含むフック効果を低減するためのフロースルー多孔質担体アッセイ装置を開示し、装置は下流の較正ゾーンを含むことができる。
【0010】
米国特許出願公開第2006/0019404号明細書は、分析物濃度に対して漸進的に感度が低下する複数の検出ゾーンを含むラテラルフロー試験ストリップを含んで、広いダイナミック範囲を有するアッセイ装置を開示する。アッセイ装置は各々複数の検出ゾーンを有する2つの担体を含むことができる。分析物濃度を測定するために複数の検出ゾーンで標識の量/信号が検出される。
【0011】
欧州特許出願公開第462376号明細書は、捕捉部位と共役体回収部位を含むアッセイ装置を開示し、共役体回収部位はこの捕捉部位を通って移動するこの共役体または共役複合体を受け取って結合し、対象分析物の量を測定するために共役体回収部位および捕捉部位の両方で不動化された共役体が検出される。
【0012】
本発明は、分析物を検出するための複数の検出ゾーンが同じ多孔質担体上に提供されるアッセイ装置について、検出ゾーンの上流の結合が下流検出ゾーンの結合特性を変化させることができ、上流検出ゾーンの結合のいかなる変化も下流の検出ゾーンの結合の混成変化を生じさせ得ることを示した。これは特により高い分析物濃度レベルでそうであり、アッセイ精度を低くすることができる。さらに、試験を行っている間に、検出ゾーン中に存在するそれぞれの結合剤間で相互結合が起こり得ることが見出され、相互結合は装置の製造中および乾燥状態で貯蔵される間にも観察された。これはアッセイの精度と感度のレベルに影響を及ぼすことを示した。これらの問題は従来技術には認識されなかったと考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
アッセイの分析物範囲を拡大するための改善されたアッセイ装置、キット、および方法を提供することは本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1態様によれば、本発明は第1アッセイおよび第2アッセイを含む広範囲の濃度にわたって液体サンプル中の分析物の存在および/または程度を測定するアッセイ装置を提供し、分析物用の第1アッセイは標識付き結合剤を不動化することのできる単独の第1アッセイ検出ゾーンを有する第1フローパスを含み、この分析物用の第2アッセイは標識付き結合剤を不動化することのできる単独の第2アッセイ検出ゾーンを有する第2フローパスを含み、検出ゾーンでの標識付き結合剤の存在はこの液体サンプル中の分析物の存在および/または程度を示す。
【0015】
第1アッセイは第1濃度範囲の分析物のレベルを示すことができ、第2アッセイは第2濃度範囲の分析物のレベルを示すことができる。
【0016】
第1と第2の濃度範囲は互いに異なる。第1と第2の濃度範囲は連続的な濃度範囲を与えるように重なり合うことができる。
【0017】
アッセイ装置は1つ以上の閾値に関して分析物のレベルを示すことができる。アッセイ装置は複数の閾値以下または以上の分析物のレベルを示すことができる。たとえば、閾値の数は2、3、4、5またはそれ以上とすることができる。アッセイ装置は1つ以上の記憶された閾値を含むことができ、各記憶された値は分析物のレベルに対応する。
【0018】
第1および第2アッセイは独立にまたは一緒にある範囲内の分析物の量を示すことができる。
【0019】
第1アッセイは第1閾値以下またはそれに等しい分析物のレベルを示すことができ、第2アッセイは第3閾値以上の分析物のレベルを示すことができる。第1および第2アッセイは、第1閾値よりも大きくまたは等しいが第3閾値未満の分析物のレベルを一緒に示すことができる。
【0020】
分析物または分析物類似体用の結合剤は検出ゾーンで不動化された形で提供することができる。結合剤はアッセイがサンドイッチ型アッセイであるかまたは競合型アッセイであるかによって、対象分析物、分析物または分析物類似体用の結合剤から選択することができる。同様に、標識付き結合剤は対象の分析物、標識付き分析物または標識付き分析物類似体用の標識付き結合剤を含むことができる。
【0021】
替わりに、薬剤は検出ゾーンに標識付き結合剤−分析物−第2結合剤複合体を結合することのできる不動化された形で提供することができる。例えば、第2結合剤は移動可能な形で提供されて、ビオチンなどの結合化学種に共役または加わることができ、検出ゾーンで不動化された薬剤はストレプトアビジンもしくは抗ビチオンなどの補完的結合相手であり、不動化された標識付き結合剤−分析物−第2結合剤複合体−ビオチン−ストレプトアビジン複合体が検出ゾーンで形成される。
【0022】
第2結合剤は移動可能な形で提供することができ、検出ゾーンで標識付き結合剤分析物複合体を不動化することができる。例えば、第2結合剤は、アガロースまたは白いラテックスなどの粒子に付着させることができ、検出ゾーンは、存在するあらゆる標識付き結合剤−分析物−第2結合剤複合体をフィルターが捕捉できるように、粒子よりも小さいが標識付き結合剤のサイズよりも大きな寸法のフィルターを含むことができ、捕捉剤に複合しないいかなる標識付き結合剤もフィルターを通過できる。
【0023】
第1および/または第2アッセイは、装置を使用する前の乾燥状態で、第1および/または第2アッセイ検出ゾーンの上流に移動可能な形で提供される標識付き結合剤を含むことができる。
【0024】
第1および第2アッセイは、各々、各検出ゾーンに提供された、不動化された標識の付かない結合剤の上流に提供された移動可能な標識付き結合剤を含むことができる。
【0025】
アッセイ装置は2つ以上のアッセイを含むことができ、各々特定の濃度範囲または1つ以上の閾値以上または以下で分析物を検出することができる。
【0026】
第1および第2アッセイは、個別にまたは一緒に、ある分析物の特定レベルの指示、または分析物がある閾値以上または以下であるかの指示を提供することができる。
【0027】
アッセイ装置は複数のフローパスを液体状で接続する共通サンプル添加領域を有し得る。したがって、装置の共通サンプル添加領域に加えられた液体サンプルはそれぞれのアッセイのフローパスをそれぞれの検出ゾーンへ向けて移動することができる。
【0028】
第1および第2アッセイを単一アッセイ装置内に提供する替わりに、分離したアッセイ装置としてアッセイを提供することができ、一緒に採取されるときのそれぞれの装置からの結果は分析物のレベルの指示または測定値を提供することができる。
【0029】
したがって、第2態様によれば、本発明は広い濃度範囲にわたる分析物の存在および/または程度を測定するための第1アッセイ装置および第2アッセイ装置を含むアッセイキットを提供し、第1および第2アッセイ装置はそれぞれ本発明の第1態様に従う第1および第2アッセイを含む。
【0030】
第3態様によれば、本発明は、広い分析物範囲にわたる分析物の存在および/または程度を測定するための方法を提供し、
(a)液体サンプルを、単独の第1アッセイ検出ゾーン上流に提供される移動可能な標識付き結合剤を含む第1アッセイと、単独の第2アッセイ検出ゾーン上流に提供される移動可能な標識付き結合剤を含む第2アッセイに加え、この検出ゾーンが標識付き結合剤を不動化することができ、検出ゾーンでの標識付き薬剤の検出が液体サンプル中の分析物の程度および/または存在の指示を提供するステップと、
(b)アッセイの結果を読み取るステップを含む。
【0031】
分析物のレベルが時間の関数として変化することが知られている、例えば、妊娠ホルモンhCGの場合、アッセイ装置は、日または週の単位で妊娠の程度などの時間に基づく指示をユーザーに提供することができる。
【0032】
本発明のための用語「フローパス」は、液体を第1位置から第2位置に運ぶことのできる基体を指し、例えば、毛管チャンネル、マイクロ流体通路、またはラテラルフロー多孔質担体などの多孔質担体とすることができる。多孔質担体は1つまたは複数の多孔質担体材料を含むことができ、線状に重なり合いまたは積み重ねることができ、または流体状に接続される。多孔質担体材料は同じであるかまたは異なることができる。第1および第2フローパスは分離した基体上に提供、またはそれらは第1アッセイのフローパスに沿って運ばれる液体が第2アッセイのフローパスを横断することができないように、共通の基体上に提供され得る。例えば、第1および第2アッセイは、第1および第2フローパスが互いに分離されるように同じ多孔質担体上に提供され得る。これは例えば、多孔質担体部分をレーザー切断して非多孔質にし、したがって第1および第2フローパスを分離することによって達成することができる。さらに代替として、第1および第2検出ゾーンは、どちらも他の下流に提供されないように、同じフローパス上に実質的に並んで配置して提供され得る。
【0033】
特に、フローパスはラテラルフロー多孔質担体を含むことができる。標識付き結合剤と各アッセイの検出ゾーンはそれぞれ異なる担体材料上に提供され得る。検出ゾーンを提供するための多孔質担体として用いることのできる適切な材料は、ニトロセルロース、アセタートファイバー、セルロースまたはセルロース誘導体、ポリエステル、ポリオレフィン、またはガラス繊維を含む。多孔質担体はニトロセルロースを含むことができる。これは結合剤が事前の化学処理なしに堅固に不動化できる利点を有する。多孔質固体相材料が、例えば紙を含むならば、第2ゾーン中の抗体の不動化は、例えばCNBr、カルボニルジイミダゾール、または塩化トレシルを用いる化学結合によって行われる必要がある。
【0034】
アッセイはアッセイ試験ストリップの形で提供され得、液体サンプルはそれに沿って流れる。
【0035】
用語「結合剤」は結合対、すなわち2つの異なる分子の一方を指し、分子の1つが特に化学的または物理的手段によって第2分子に結合する。2つの分子は、それらのお互いの結合が、類似の特徴を有する他のアッセイ構成要素からそれらの結合相手を識別することができるという意味で関係する。特定の結合対の要素はリガンドとレセプター(反リガンド)、結合対部および結合対相手などと呼ばれる。また、分子は分子凝結のための結合対部とすることができ、例えば、第2抗体の免疫複合体に対して生じる抗体とその対応する抗体は免疫複合体の結合対部と考えられ得る。結合剤は抗体に結合することのできる抗体または抗体の断片を含むことができる。
【0036】
抗原および抗体結合対部に加えて、他の結合対は、制限しない例として、ビオチンとアビチン、炭水化物とレクチン、補完ヌクレオチド配列、補完ペプチド配列、エフェクターとレセプター分子、酵素共同因子と酵素、酵素阻害剤と酵素、ペプチド配列と配列または蛋白質全体の特定の抗体、ポリマー性酸と塩基、染料と蛋白質結合剤、ペプチドと特定のタンパク質結合剤(例えば、リボヌクレアーゼ、SペプチドおよびリボヌクレアーゼSプロテイン)等を含む。さらに、特定の結合対は元の特定の結合部に類似する部を含むことができる。
【0037】
標識付き結合剤の文脈で用いられる「標識」は、視覚または機器手段によって検出可能な信号を発生することのできる任意の基体を指す。本発明に用いるのに適したさまざまな標識は、光学的に検出可能な化学的または物理的手段のいずれかで信号を生成する標識を含む。それらの標識は酵素および基体、クロモゲン、触媒、蛍光化合物、化学発光化合物、電気活性種、染料分子、放射線活性標識および粒子標識を含む。分析物自体は本質的に検出可能な信号を生成することができる。標識は結合剤に共有付着することができる。
【0038】
標識は、金、銀などの粒子、セレニウムまたはテルリウムなどのコロイド状非金属粒子、染料を組み込むポリマー粒子などの染色または着色粒子、または染料ゾルを含むことができる。染料は任意の適切な色、例えば、青とすることができる。染料は蛍光とすることができる。染料ゾルはForon Blue SRP(Sandoz)およびResolin Blue BBLS(Bayer)などの市場で入手可能な疎水性染料材から調製され得る。適切なポリマー標識は、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリスチレンアクリル酸、およびポリアクロレインなどの合成ポリマーの範囲から選択され得る。用いられるモノマーは通常水溶性であり、モノマーミセルが形成されるように水性界面活性剤中に乳化され、次いで乳剤に開始剤を加えることによってポリマー化が誘起される。実質的に球状のポリマー粒子が生成される。例示的実施形態によれば、標識は青いポリマー粒子である。
【0039】
液体サンプルは工業的、環境的、農業的、または生物学的源など、任意の源から誘導され得る。サンプルは、血液、血清、血漿、間質性流体、唾液、痰、眼球レンズ液体、汗、尿、乳液、粘液、蚊滑膜液体、腹膜液体、経皮的滲出液、咽頭滲出液、気管支肺胞洗浄、気管吸入、脳脊髄液体、精液、頚管粘液、膣または尿道分泌液および羊膜液を含む生理学的な源から誘導または構成され得る。特に源はヒトであり、特にサンプルは尿である。
【0040】
分析物は、トキシン、有機化合物、タンパク質、ペプチド、微生物、バクテリア、ウィルス、アミノ酸、核酸、炭水化物、ホルモン、ステロイド、ビタミン、麻薬(治療目的のために投与するもの、ならびに不法な目的で服用するものを含む)、汚染物、農薬、および任意の上記物質の代謝産物または抗体を含むが制限されない。また、用語分析物は任意の抗原性物質、ハプテン、抗体、巨大分子、およびその組み合わせを含む。
【0041】
特に分析物はヒトの絨毛ゴナドトロピン(hCG)である。分析物は単独の結合領域またはエピトープを有すること、または1つ以上の結合領域を有することができる。例えば、分析物hCGは黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、および甲状腺刺激ホルモン(TSH)のと同一のアルファサブユニットおよびhCGに独特のベータサブユニットを含む。アルファおよびベータサブユニットに対する抗体はサンドイッチ免疫フォーマット中のhCGに結合するのに用いられ得る。
【0042】
本発明のアッセイ装置は、広い濃度範囲にわたるhCGの程度または存在を測定するのに用いられ得る。範囲は約10mIU〜約250,000mIUに変化し得る。
【0043】
一実施形態によれば、装置は流体サンプル中のhCGの量を測定し、記憶された参照値に基づいて妊娠の程度を時間基準の単位でユーザーに示すことができる。また、装置はhCGのレベルが基底閾値以上または以下であるかを測定して、対象が妊娠しているかどうかを示すことができる。参照値および閾値は典型的にアルゴリズムの部分として装置内に記憶される。基底閾値は典型的に10〜25mIU/mlの範囲とすることができる。
【0044】
一実施形態によれば、第1アッセイは、検出されたhCGのレベルがそれぞれ基底閾値以上または以下であるか、および/または妊娠していれば、第1閾値に満たないまたは等しい第1の範囲のhCGのレベルであるかに基づいて、対象が妊娠しているかどうかの指示を提供することができ、第2アッセイは第2閾値以上または等しい第2範囲のhCGレベルの指示を提供し、第1および第2アッセイは第1閾値よりも大きいが第2閾値未満の第3範囲のhCGレベルを一緒に提示する。
【0045】
第1および/または第2アッセイは、満足できるアッセイ試験が行われた、すなわち、薬剤が試験装置に存在したこと、およびそれらが試験実施中に移動化され、フローパスに沿って移動したことを指示する制御ゾーンをさらに含むことができる。また、制御ゾーンは装置内の薬剤が粘液化学相互作用を行うことができ、装置の化学的完全さを確認することを示すことができる。これはある温度範囲内の乾燥状態で装置の貯蔵および輸送を考慮するとき重要である。制御ゾーンは典型的に検出ゾーンの下流に配置され、例えば標識付き結合剤のための不動化された結合剤を含むことができる。標識付き結合剤は制御ゾーンおよび検出ゾーン上流に移動可能化された形で存在することができる。標識付き結合剤は分析物用の標識付き結合剤と同じ、もしくは異なり得る。
【0046】
アッセイ装置は第1および第2フローパスの上流に液体連絡している多孔質サンプル受容部を含むことができる。多孔質サンプル受容部は両方のアッセイに共通とすることができる。したがって、装置の共通のサンプル添加領域に加えられた流体サンプルはそれぞれのアッセイのフローパスに沿ってそれぞれの検出ゾーンへ移動することができる。多孔質サンプル受容部はハウジングの内部に設けること、または少なくとも部分的にこのハウジングの外へ延伸することができ、例えば尿流を収集することができる。多孔質サンプル受容部は流体貯蔵器として働くことができる。多孔質サンプル受容部材は液体を急速に吸収することのできる任意の吸湿性、多孔質、または繊維質材料から作られ得る。材料の多孔質性は単独方向性(すなわち、孔または繊維が部材の軸に完全にまたは主として平行に走る)、または多方向性(部材が非晶質のスポンジ状構造を有するように全方向性である)とすることができる。ポリプロピレン、ポリエチレン(非常に高い分子量が好ましい)、ポリフッ化ビニリデン、エチレンビニルアセタート、アクリロニトリル、およびポリテトラフルオロエチレンなどの多孔質プラスチック材料が用いられ得る。他の適切な材料はガラス繊維を含む。
【0047】
望むならば、吸収性「溜まり」を担体材料の末端に設けられてもよい。吸収性溜まりは、例えばWhatman 3MMクロマトグラフ紙を含むことができ、あらゆる未結合の標識付き結合剤を検出ゾーンから洗い流せるように、十分な吸収容量を提供すべきである。それらの溜まりの代替として、検出ゾーンを超えて延伸する所定長さの多孔質固体相材料を有することで十分になり得る。
【0048】
検出ゾーンに結合剤を加えた後、多孔質固体相材料の残りを処理してあらゆる残留結合部位を遮断することができる。遮断は、例えば、タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミンまたはミルクタンパク質)またはポリビニルアルコールまたはエタノールアミン、またはその組み合わせで処理することによって達成することができる。多孔質担体がサンプルで湿ったときに標識結合剤の自由な移動性を助けるために、多孔質担体はスクロースまたはラクトースなどの砂糖および/または例えばポリビニルアルコール(PVA)またはポリビニルポロリドン(PVP)などの他の物質をさらに含むことができる。それらの材料は、例えば、標識付き結合剤が加えられる領域中に水性溶液として堆積することができる。それらの材料は標識の添加に続く第1添加として多孔質担体に加えることができ、替わりに、それらの材料は標識に混合し多孔質担体に加えること、またはその両方の組み合わせとすることができよう。それらの材料は標識付き結合剤またはその上流に堆積することができる。
【0049】
あるいは、多孔質担体は製造の時点で遮断されなくともよく、替わりに、多孔質担体の遮断手段が多孔質担体の上流の材料に含まれる。試験ストリップが濡れると、多孔質担体の遮断手段は移動性にされ、遮断手段は多孔質担体中を通って流れ、フローが進むと遮断する。遮断手段はBSAおよびカゼインなどのタンパク質、並びにPVP、PVA、などのポリマー、並びに砂糖およびTriton−X100などの洗剤を含む。遮断手段はマクロ多孔質担体材料中に存在することができよう。
【0050】
ニトロセルロース多孔質担体は少なくとも約1ミクロン、例えば約5ミクロン以上および例えば約8〜12ミクロンの孔サイズを有することができる。
【0051】
ニトロセルロース多孔質担体は、例えばプラスチックシートで裏打ちしてその取扱い強度を高めることができる。これはニトロセルロースの薄い層をMylar(R)などの裏打ち材料のシート上に形成することによって容易に製造することができる。
【0052】
乾燥された結合剤は検出ゾーンを含む多孔質担体材料の上流に提供された多孔質担体材料上に提供され得る。上流の多孔質担体はマクロ多孔質とすることができる。マクロ多孔質担体材料は、非特異的な結合を最小にし、マクロ多孔質体が液体サンプルで濡れた後に標識付き薬剤の自由な動きを促進するために、タンパク質結合が低いかまたはタンパク質結合があってはならず、またはBSAまたはPVAなどの薬剤の手段で容易に遮断可能でなければならない。マクロ多孔質担体材料は必要に応じて表面活性剤または溶剤で予備処理され、より親水性を与えることで、液体サンプルの迅速な取り込みを促進することができる。マクロ多孔質担体材料用の適切な材料はポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチック材料、または紙またはガラス繊維などの他の材料を含む。標識付き結合剤が検出可能な粒子で標識が付けられる場合、マクロ多孔質体は少なくとも粒子標識の最大粒子サイズの10倍以上の孔サイズを有することができる。より大きな孔サイズはより良好な標識付き薬剤の放出を与える。マクロ多孔質担体の代替として、標識付き結合剤が検出ゾーンの上流に提供された非多孔質基体上に提供され得、この非多孔質基体はフローパスの部分を形成する。
【0053】
第1および/または第2アッセイは、その末端でニトロセルロース多孔質担体の上流に重なり合って提供されるガラス繊維マクロ多孔質担体を含むことができる。
【0054】
アッセイ装置またはキットは、存在する標識付き化学種の程度および/または量を測定するための1つ以上の手段をさらに含むことができる。例えば、光学手段は光検出器などの光学検出手段と、存在する標識付き化学種の程度および/または量を測定するために検出ゾーンを光学的に照明するように配置されたLEDなどの1つ以上の光源を含む。アッセイ装置は1つ以上のエネルギー源、演算手段、信号変換手段、アルゴリズム、表示手段、メモリー手段、およびデータ入出力ポートをさらに含むことができる。アッセイ装置は第1および第2アッセイ並びに他の装置部品を収容するハウジングを含むことができる。装置は記憶された閾値を含むことができる。
【0055】
アッセイ装置は典型的にアッセイを収容するハウジングを含む。ハウジングは流体不浸透性とすることができ、ABSなどの適切なプラスチック材料から作ることができる。アッセイは流体サンプルを受容するためのサンプル受容部材をさらに含むことができる。サンプル受容部材はハウジングから延伸することができる。
【0056】
ハウジングは流体不浸透性材料から作られ得る。また、ハウジングは周囲の光を排除することが望ましい。ハウジングまたはケーシングは、装置の外部に入射する可視光の10%未満、好ましくは5%未満、最も好ましくは1%未満が装置の内部に侵入するならば、実質的に周囲の光を排除すると考えられる。適切な光遮断顔料を含むポリカーボナート、ABS、ポリスチレン、ポリスチロール、高濃度ポリエチレン、またはポリプロピレンなどの光不透過性合成プラスチック材料はハウジングの製造に使用するのに適切な選択である。ハウジングの外部には、ハウジング内の内部空間に設けられるアッセイに連絡する孔が設けられてもよい。替わりに、孔は多孔質サンプル受容部がハウジングからハウジングの外部の位置に延伸することを可能にする。
【0057】
第1および第2アッセイは例えば並んだ配置、または1つのアッセイが他の上に設けられる対面配置で設けられてもよい。装置は両方の検出ゾーンを検出する単一の光検出器を含むことができる。
【0058】
それぞれのアッセイの検出ゾーン並びに存在する制御ゾーンの測定に加えて、光学手段は参照ゾーン、すなわち乾燥状態で結合剤のないフローパスの一部を測定することもできる。
【0059】
参照ゾーンの目的は、検出ゾーンで得られた信号値と比較することのできる信号値を与えることである。参照ゾーンの測定はフローパスから反射または透過した光の背景のレベルの測定を可能にする。背景レベルは、例えば、多孔質担体の光反射、液体サンプルの存在、または標識付き結合剤などのアッセイの成分に起因することができる。したがって、検出ゾーンで測定される光のレベルを背景光のレベルに関して補正し、検出ゾーンに存在する標識付き結合剤の量を示す信号を補償することができる。また、参照ゾーンでの測定はアッセイ装置に加えられた流体サンプルの間のあらゆる変化を補償することができ、例えば尿サンプルは広く色が変化し得る。
【0060】
液体サンプル中の分析物のレベルを測定するためのアッセイ装置は、アッセイ装置の検出ゾーン、制御ゾーン、および参照ゾーンから反射した光の強度を測定するように構成された光学検出手段を含むことができる。光学手段はLEDなどの1つ以上の光源または1つ以上の光検出器を含むことができる。
【0061】
アッセイは典型的に標識付き結合剤が試験および制御ゾーンに蓄積する所定時間中に行われる。尿中のhCGの測定用のアッセイ試験の典型的な時間は3分間である。アッセイ試験は例えば、液体サンプルがフローパスまたは多孔質担体の一部に到達したことを光学系によって判断されるとき自動的に開始されてもよい。
【0062】
適切な光源はLEDである。LEDの色は標識付き結合剤の色によって決定される。青い標識に対するLEDの適切な色は赤である。LEDはアッセイ装置の特定のゾーンを照明するために特定の周波数または複数の周波数で照明され得る。光はゾーンから電気信号を記録する光検出器上に反射されまたは透過する。記録される電気信号の数はLEDの動作周波数に依存し、したがって時間中に1つ以上の信号が記録され得る。信号は典型的に吸収率%(%A)で表わされる。信号はアッセイ試験の全時間の後に測定され得、または早期に、例えば特定の信号閾値を超えた後に測定され得る。
【0063】
各測定ゾーンは典型的に単一のLEDによって照明される。光検出器は1つ以上の測定ゾーンからの光、したがって1つ以上のLEDから反射された光を検出することができる。これは、光がどのゾーンから光検出器上に反射されているかを装置が知ることができるように、逐次的に照明工程を行うことによって達成され得る。逐次的照明工程は、時間中に各ゾーンでの信号レベルをモニターできるように、アッセイの期間中固定または変動周波数で繰り返えされ得る。アッセイストリップは並んで配置され得、光検出器と光源は、検出制御および参照ゾーンが光源と光検出器に向かって配置されるようにストリップの面上に配置され得る。
【0064】
装置はアッセイ装置への流れの添加を検出する手段を含むことができる。例えば、1つ以上のゾーンから検出される光のレベルの変化を監視して、流体サンプルが装置に加えられたかどうか、およびその時を求めることができる。アッセイ試験のタイミングは、例えば液体サンプルが特定ゾーンに到達したとき自動的に開始され得る。
【0065】
装置は、1つ以上のゾーンから検出された光のレベルの変化を用いて流体サンプルが装置に加えられたかどうかおよびその時を求め、1つ以上の測定ゾーン間の流れを測定することによって液体サンプルの装置に沿う流量を測定することができる流れ制御手段を含むことができる。流量の測定はさらに品質管理チェックとして用いられ得、例えば、流量が設定レベルより大きいかまたは未満であるならばアッセイは拒否され得る。演算回路は信号に応答して担体を流れる流体の流量を計算し、計算された流量を上限および下限と比較し、計算された流量が上限および下限の外であるならばアッセイ結果を拒否することができる。
【0066】
典型的な光学検出システムは、少なくとも1つの光源および少なくとも1つの光検出器(フォトダイオードなど)を含むであろう。好ましい光源は発光ダイオードすなわちLEDである。反射された光および/または透過した光は光検出器によって測定することができる。本開示の目的のためには、反射された光は光源からの光が多孔質担体または他の液体輸送担体から光検出器上に反射されることを意味する。この状況において、検出器は典型的に光源と同じ担体の側に設けられる。透過光は担体を透過する光を指し、典型的に検出器は光源に対して担体の反対側に設けられる。反射率の測定の目的のために、坦体は白色反射性MYLAR(R)プラスチック層などの裏打ちと一緒に提供され得る。したがって、光源からの光は担体上に入りいくらかはその表面から反射され、いくらかは担体中に侵入して、反射層が設けられた深さまで、およびその深さを含む深さで反射される。したがって、反射式測定は、実際に少なくとも多孔質担体のいくらかの厚さを通る光の透過を含むことができる。
【0067】
アッセイ装置は典型的に1つ以上の開口孔または窓を含み、それを通して光は1つ以上の照明源からアッセイまたはアッセイストリップの特定のゾーン上を照らすことができる。窓は、特定ゾーンに落ちる光の領域を画定し、アッセイまたはアッセイストリップのどの部分が照明されるかを画定する働きをする。照明されるべき各ゾーンは対応する窓を有することができる。したがって、4つの測定ゾーンを有する装置は4つの窓を有するであろう。窓から反射された光は1つ以上の光検出器によって集光される。複数のゾーンを有するフローパスを含むアッセイ装置については、液体サンプルがゾーン間を移動する時間を測定することができる。
【0068】
各窓から反射された光の測定は定期的に行われ(例えば、1秒あたり約2回)、ローパスデジタルフィルターを用いてノイズを除きデータを平滑化することができる。濾波された値は流れの検出およびアッセイ結果を求めるために用いられ得る。
【0069】
各窓について、フローパス中の特定の測定ゾーンが乾燥している(較正値)とき、すなわち、液体サンプルがこのゾーンに到達する前の測定値を、測定ゾーンが濡れているときの測定値で除して比を計算することができ、線に展開し得る。この比は、フローパスを通過する液体サンプルの結果として、フローパスの反射特性の変化後に反射された光の割合に等しい。例えば、フローパスがニトロセルロースなどの多孔質担体を含むとき、反射特性の変化は極めて顕著である。
【0070】
各窓について、参照、制御および試験窓での窓比は、多孔質担体が乾燥しているとき、t=0(サンプル添加の前)の測定値を、サンプル添加後の時間tでの測定値で除した値に等しい:
各時間点tについて、各窓の窓比は以下のように評価されてもよい。
参照比=濾波された参照窓の値(時間=0)/濾波された参照窓の値(時間=t)
試験比=濾波された試験窓の値(時間=0)/濾波された試験窓の値(時間=t)
制御比=濾波された制御窓の値(時間=0)/濾波された制御窓の値(時間=t)
【0071】
濾波された%A値の計算
各時間点tについて、%A値は試験線についてのこれらの比を用いて計算されてよく、全ての窓に発生したであろう背景の基底線として参照比を用いる制御線は線が展開しなかった
試験(%A)=〔(参照比−試験比)/参照比〕×100%
制御(%A)=〔(参照比−制御比)/参照比〕×100%
【0072】
アッセイ装置は記憶された制御閾値(CLT)を含むことができ、制御のために求めた信号の値<CLTであれば、結果は制御線の展開が不十分であるため拒否され、この信号の値>CLTであれば制御は十分なものと決定される。
【0073】
実施形態によれば、アッセイ装置は各々多孔質担体を含む2つのアッセイ試験ストリップを含むことができ、1つのアッセイは高感度(HS)であり、すなわちアッセイは低分析物濃度の分析物のレベルに感受性があり、もう1つは低感度(LS)である、すなわちアッセイはより高い分析物濃度の分析物に感受性がある。特に分析物はhCGである。
【0074】
アッセイ装置は2つの試験(検出)ゾーンを含むことができ、各アッセイ試験ストリップは試験ゾーン、参照ゾーン、および制御ゾーンを含む。信号はHSとLSゾーンの両方で測定され得、以下に定義され得る:
HS比=濾波されたHS試験窓の値(時間=0)/濾波されたHS試験窓の値(時間=t)
LS比=濾波されたLS試験窓の値(時間=0)/濾波されたLS試験窓の値(時間=t)
【0075】
濾波された%Aの値はHSとLSゾーンについて以下のように定義され得る:
HS(%A)=〔(参照比−HS試験比)/参照比〕×100%
LS(%A)=〔(参照比−LS試験比)/参照比〕×100%
【0076】
正規化されたパーセントの相対減衰(%A)は、参照(ref.)窓の比と考慮している窓の比(制御または試験窓)の差を参照窓の比で除し、100%を掛けて与えられる。
【0077】
典型的に、%Aの値は全アッセイ展開時間(FDT)で得られるものである。
【0078】
流れ検出および検証
流れ検出
各窓の窓比は、窓を通過する流体の流れを検出するのに用いられ得る。比が流れ検出閾値パーセント(FDT%)だけ低下した時、流れは窓に到達したと判断される。これは同じ割合でその較正値を超える濾波値の増加に相当する。
【0079】
時間tについて、
窓比≧1/(1+FDT%)
(濾波値(時間=t)/濾波値(時間=0))≧(1+FDT%)、または
基準を最初に満たす時の各窓の時間は流れ検証のために記録される。
【0080】
流れ検証
流れに対応するさまざまなパラメーターを装置内に記憶され得、アッセイ装置の多孔質担体を流れる液体サンプルの流れを分類するために用いられ得る。装置は装置を用いる結果としてあらゆる流れのエラーを表示することができる。
【0081】
装置は1つ以上の記憶された最小流れ検出時間(Min FDT)、最大流れ検出時間(Max FDT)、最小窓通過時間(Min MTT)および流れ検出閾値(FDT)を含むことができる。
【0082】
装置は制御線閾値など多数の記憶された閾値を含むことができる。この閾値またはそれを超える値は有効な制御であると決定され得、この閾値未満の値は制御が無効であると決定され得、すなわち試験は拒絶されるであろう。
【0083】
アッセイ装置は1つ以上の記憶された測定オーバーフローパラメーターをさらに含むことができ、いずれかの測定が予想した所定値よりも大きく、またははるかに小さければ、結果は拒絶されるであろう。これはアッセイ装置に、例えば回路基板の断線または短絡などのハードウェア故障、バッテリー上がり、光学窓の遮断、LED故障等の拒絶を可能にする。
【0084】
アッセイ装置はさらなる閾値、例えば、早期決定閾値(EDT)を含むことができ、信号が試験中何時でもその閾値を超えるならば、早期結果が与えられる、すなわち実施されるべき試験(完全な信号展開時間)にかかる公称時間よりも早期に与えられる。hCG測定の場合、妊娠の指示は表示手段によって与えられる。アッセイ装置は最小展開時間(MDT)に対応する記憶された値をさらに含むことができ、アッセイ装置はMDTを一度超えると早期結果を提供するであろう。
【0085】
さまざまな記憶された閾値は1つ以上のアルゴリズムの部分として装置に記憶され得る。
【0086】
一実施形態によれば、アッセイ装置は尿中のhCG分析物の検出のために提供され、
検出ゾーンで標識付き結合剤を照明し検出するための光学的照明および検出手段と、hCGのレベルまたはhCGのレベルに対応する値を計算するための演算手段と、アッセイ試験の結果を表示するための表示手段と、記憶された基底閾値以下の値に対応するhCGのレベルが妊娠していないことを示し、記憶された基底閾値またはそれ以上の値に対応するhCGのレベルが妊娠していることを示す記憶された基底閾値と、基底閾値以上であるが第1閾値未満またはそれに等しい値に対応するhCGのレベルが第1範囲の妊娠レベルを示し、基底閾値以上の値および第2閾値よりも大きい値に対応するhCGのレベルが第3範囲の妊娠レベルを示し、基底閾値以上の値および第1閾値よりも大きいかそれに等しいが第2閾値未満の値に対応するhCGのレベルが第3範囲のhCGのレベルを示し、表示手段が妊娠していない状態か、または妊娠状態と妊娠の程度を示すことができる、2つのさらなる第1および第2の記憶された閾値を含む。
【0087】
第1アッセイは第2アッセイとは異なり、それぞれのアッセイは異なるレベルで分析物を測定できる。
【0088】
例えば、第1および第2アッセイは、第1アッセイがサンドイッチ結合反応を用い、第2アッセイが競合または阻害反応を用いるなど、異なるアッセイアーキテクチャーを用いることができる。第1アッセイは検出ゾーンの上流に提供された分析物のために移動可能な標識付き結合剤を含むことができ、この検出ゾーンは分析物のための標識を付けない不動化結合剤を含み、第2アッセイは、移動可能な結合剤のための不動化された標識を付けない結合剤の上流に提供された分析物のための移動可能な結合剤を含むことができる。替わりに、第2アッセイは、分析物または分析物類似物のための不動化された標識を付けない結合剤の上流に提供された移動可能な標識付き分析物または分析物類似薬剤を含むことができる。例えば、サンドイッチアッセイは高感度アッセイとすることができ、すなわち、それは低濃度範囲で分析物を測定することができ、阻害または競合アッセイは低感度アッセイとすることができ、すなわちそれはより高濃度範囲で分析物を測定することができる。
【0089】
アッセイ装置は、例えば、第1および第2アッセイを含むことができ、第1アッセイの標識を付けない結合剤が第2アッセイの標識を付けない結合剤と異なり、および/または第1アッセイの標識付き結合剤が第2アッセイの標識付き結合剤と異なる。例えば、これは濃度の相違または分析物、分析物類似物または結合剤への親和性の相違とすることができる。親和性の高い結合剤は親和性の低い結合剤よりも高い分析物感度を有するであろう。同様に、低濃度の結合剤は高濃度の結合剤よりも低い分析物感度を有するであろう。第1および第2アッセイは、異なる濃度範囲で分析物を測定できるようなこの方式で変化できる。
【0090】
したがって、アッセイ装置は、検出ゾーンの上流に提供されたある濃度または親和性の移動可能な標識付き結合剤を含む高分析物感度の第1アッセイと、検出ゾーンの上流に提供された低濃度または親和性を有する移動可能な標識付き結合剤を含む低分析物感度の第2アッセイを含むことができる。替わりに、または追加で、第1アッセイは、ある濃度または親和性の検出ゾーンの不動化された結合剤を含み、第2アッセイはより低い濃度または親和性を有する検出ゾーンに不動化された結合剤を含むことができる。
【0091】
アッセイの感度は標識に対する結合剤の比を変更することによって操作することができる。標識として粒子が用いられるならば、標識に加えられる結合剤の量を変更することができる。アッセイの感度を操作するさらなる手段はアッセイに用いられる標識の量を変化させることである。例えば、アッセイの感度は標識付き結合剤のための標識付き化学種に対する結合剤の比を低減することによって低下させることができる。したがって、アッセイ装置は第1の高分析物感度アッセイと第2の低分析物感度アッセイを含むことができ、第1アッセイは、検出ゾーンの上流に提供された粒子標識に対する結合剤の所定比を有する移動可能な粒子標識付き結合剤を含み、第2アッセイは、検出ゾーンの上流に提供された粒子標識に対する結合剤の比が第1アッセイのよりも低い移動可能な粒子標識付き結合剤を含む。
【0092】
アッセイの感度を操作するさらなる他の手段は、標識の光学密度を変更することである。アッセイ感度は低光学密度の標識を用いることによって低下させることができる。これは、例えば、低濃度の染料を有するポリマー性粒子標識を与えることによって、または光学検出器に対して低感度の着色された標識を用いることによって達成することができる。したがって、アッセイ装置は第1の高分析物感度アッセイと第2の低分析物感度アッセイを含むことができ、第1アッセイは検出ゾーンの上流に提供された移動可能な粒子標識付き結合剤を含み、この標識は所定光学密度を有し、第2アッセイは検出ゾーンの上流に提供された移動可能な粒子標識付き結合剤を含み、この標識は第1アッセイのよりも低い光学密度を有する。
【0093】
高分析物レベルを測定するさらなる他の方法は、非粒子状標識付き結合剤を用いることである。高レベルの分析物は、サンドイッチ結合アッセイによって測定されるとき高いレベルの結合剤を必要とする。標識が粒子標識である場合、多孔質担体内部またはその上に高レベルの分析物を提供することは立体障害を生じ、アッセイ感度を低下させる。逆に、低い分析物レベルで、非粒子状標識付き結合剤の使用は、低い光学感度により信号が低下することがある。しかし、高い分析物レベルで、非粒子状標識は容易に検出することのできる十分高いレベルで存在することができる。したがって、アッセイは、検出ゾーンの上流に提供された光学的に検出可能な粒子標識付き結合剤を含む第1の高分析物感度アッセイと、検出ゾーンの上流に提供された光学的に検出可能な非粒子標識付き結合剤を含む第2の低分析物感度アッセイを含むことができる。光学的に検出可能な非粒子状標識の例は、染料とすることができる。染料は蛍光とすることができる。
【0094】
アッセイ感度は多孔質担体の流量に影響を受けることがある。アッセイの感度を低下させる方法は、高い流量を有する多孔質担体(ニトロセルロースなど)を用いることである。したがって、アッセイ装置は所定流量を有する多孔質担体を有する第1の高分析物感度アッセイと、第1アッセイのよりも高いまたは速い流量を有する多孔質担体を有する第2低分析物感度アッセイを含むことができる。
【0095】
追加で、または替わりに、アッセイの感度は標識付き結合剤がその源から放出される速度を修正することによって操作することができる。分析物感度を低下させるさらなる他の方法は、液体サンプルに接触中、多孔質担体からの標識付き結合剤の放出を迅速にすることである。標識付き結合剤の放出は、砂糖、タンパク質、またはメチルセルロースなどの他のポリマー性物質を装置内に提供することによって修正することができる。それらの物質は結合剤の近傍またはその上流に与えることができる。
【0096】
スカベンジャ剤の使用
分析物感度を低下させるさらなる他の方法は、分析物に結合するスカベンジャ結合剤を提供することである。スカベンジャ結合剤は検出ゾーンの上流に提供することができ、不動化、移動可能、または両方とすることができる。スカベンジャ結合剤は検出ゾーンの上流またはその下流のいずれかに、多孔質担体の移動可能な結合剤と同じ領域に提供することができる。スカベンジャ結合剤は分析物と移動可能な標識付き結合剤と同じ分析物の結合領域または標識付き結合剤とは異なる分析物の領域に結合することができる。アッセイのいずれかまたは両方ともスカベンジャ結合剤を用いることができ、スカベンジャ結合剤はその濃度、親和性またはその両方とも互いに異なることができる。
【0097】
この用途の目的のために、用語、スカベンジャ結合剤は分析物を結合することのできる追加の結合剤を指し、用語「スカベンジャ」は結合剤を装置に存在する他の結合剤から区別するためだけに用いられる。スカベンジャ結合剤は典型的に標識が付けられない。
【0098】
一実施形態によれば、アッセイ装置は、検出ゾーンの上流に提供された移動可能な標識付き結合剤を含む第1の多孔質担体を含む第1アッセイと、検出ゾーンの上流に提供された移動可能な標識付き結合剤を含む第2アッセイと、やはり第2アッセイの検出ゾーンの上流に提供されたスカベンジャ結合剤を含む。第1アッセイは高分析物感度アッセイ、第2アッセイは低分析物感度アッセイとすることができる。
【0099】
スカベンジャ剤は移動可能な形で提供することができる。
【0100】
スカベンジャ剤は第2アッセイの移動可能な標識付き結合剤とは異なる分析物への親和性を有することができる。例示的実施形態において、スカベンジャ結合剤は第2アッセイの移動可能な標識付き結合剤よりも高い分析物への親和性を有することができる。スカベンジャ結合剤の量は第2アッセイの分析物濃度に対する感度を変化させるために変更することができる。存在するスカベンジャ結合剤の量を増加することは、スカベンジャ結合剤がより多くの分析物に結合することができ、検出ゾーンに結合できる標識結合剤の割合を効率的に低下させるので、アッセイの感度を低下させる。第1および第2アッセイ中の標識付き結合剤の量は変化させることができる。標識付き結合剤の量を増加することはフック効果を低減する傾向を有し、存在する標識付き結合剤の量は、特に低感度アッセイにおいて、分析物の範囲に応じて変化させることができる。
【0101】
スカベンジャ結合剤は分析物上の同じまたは異なる領域に結合することができる。一例示的実施形態において、スカベンジャ結合剤は分析物の異なる結合領域に結合することができる。特に、測定すべき分析物がhCGである場合、スカベンジャ結合剤はベータサブユニットに結合することができ、移動可能な標識付き結合剤はアルファサブユニットに結合することができる。
【0102】
一例示的実施形態によれば、アッセイ装置は、分析物のための移動可能な粒子標識付き結合剤を含むガラス繊維多孔質担体材料と、分析物のための不動化された結合剤を含む検出ゾーンを有するガラス繊維多孔質担体材料の下流に提供されたニトロセルロース多孔質担体材料を含む第1アッセイ、および分析物の第1結合領域ための移動可能な粒子標識付き結合剤と分析物の第2結合領域のための移動可能なスカベンジャ結合剤を含むガラス繊維多孔質担体材料と、分析物の第2結合領域のための不動化された結合剤を含む検出ゾーンを有するガラス繊維多孔質担体材料の下流に提供されたニトロセルロース多孔質担体材料を含む第2アッセイを含む。
【0103】
アッセイのアッセイ感度を変更する上記方法は排他的ではなくさらに組み合わせて使用されるであろうことが理解できよう。アッセイ装置はアッセイ感度に影響を及ぼす1つ以上の上記特徴を含むことができる。選択された特別のアッセイアーキテクチャーは分析物およびその濃度範囲に依存するであろう。
【0104】
紛らわしさを防ぐために、本明細書に「好ましい」、「望ましい」、「有利な」等と説明されるあらゆる特徴は、特に文脈が示さない限り、本発明に独立で存在することができ、またはそのように説明された任意の他の特徴との任意の組み合わせで存在できることをここで明確に述べる。
【0105】
本発明の態様はさらに以下の図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】典型的な競合アッセイと比較した典型的なアッセイについて観察される典型的な信号応答を示す図である。
【図2】実施例1および比較実施例1についての信号強度対hCG濃度のプロット図である。
【図3】実施例2によるアッセイ装置についての信号強度対hCG濃度のプロット図である。
【図4】実施例2によるアッセイ装置についてスカベンジャ抗体の量を変化させる効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0107】
比較例1−サンドイッチアッセイ用の第1上流検出ゾーンおよび阻害アッセイ用の第2下流検出ゾーンを含む単一の多孔質担体を含むアッセイ装置の調製。
サンドイッチアッセイ用の第1上流検出ゾーンおよび阻害アッセイ用の第2下流検出ゾーンならびにこれらのゾーンの上流に提供された移動可能な標識付き結合剤を含むアッセイ試験ストリップが以下のようにして調製された。
【0108】
下流検出ゾーンの調製
PBSAバッファー中1.5mg/mlのマウスの抗βhCG(インハウスクローン3468)と、PBSA/卵白アルブミン中7.2KIU/mlのhCG(Scipac社)の溶液は1時間混合され、抗βhCG−hCG共役体が与えられた。得られた共役体は、長さ350mm×幅40mmのニトロセルロースの帯上(孔サイズ8ミクロンを有し、175ミクロンの裏打ち層に積層された厚さ90〜100ミクロン、Whatman)に線状に堆積された。上で形成された共役体は、Biodot xyz3050分配台を用いてニトロセルロース帯の端部から16mmに幅〜1.2mm、長さ〜300mmの線として1μl/cmの割合で分配された。これは阻害アッセイ用の第2下流検出ゾーンを形成した。
【0109】
上流検出ゾーンの調製
サンドイッチアッセイ(上流検出ゾーン)用の第1検出ゾーンは、PBSAバッファー中3mg/mlの濃度の抗βhCG抗体(インハウスクローン3468)の線を抗βhCG−hCG共役体が加えられたニトロセルロースの同じ帯上に1μl/cmの割合で分配することによって調整された。抗βhCG抗体は、Biodot xyz3050分配台を用いて、抗βhCG−hCG共役体が加えられたニトロセルロース帯の同じ端部から10mmに幅〜1.2mm、長さ〜300mmの線として加えられた。
【0110】
NCの帯は55℃、速度5に設定されたHedinair乾燥炉シリーズ#17494を用いて乾燥された(1回通し)。
【0111】
次いで、5%エタノール(BDH Analar 104766P)+150mMの塩化ナトリウム(BDH Analar 10241AP)+50mMのトリズマ塩基(Sigma T1503)+XX Tween20(Sigma P1379)および1%(w/v)のポリビニルアルコール(PVA、Sigma 360627)の混合物を含む遮断バッファーを用いてNCを遮断された。
【0112】
遮断バッファーは1.75μl/mmの割合で帯の近位端に加えた。遮断溶液が膜の中に含浸されると、2%(w/v)スクロース溶液(脱イオン水中Sigma S8501)を同じ装置を用いて1.6μl/mmの割合で加え、ニトロセルロース膜中に〜5分間含浸された。
【0113】
次いで、NCの帯を75℃、速度5に設定されたHedinair乾燥炉シリーズ#17494を用いて乾燥された(1回通し)。
【0114】
標識付き結合剤の調製
標識付き結合剤は以下の実験計画に従って調製された。
ラテックス粒子を抗αhCGで被覆する
(1)Duke Scientific製の青いラテックス粒子(直径400nm、固形分10%(w/v)でDB1040CB)を100mMの四ホウ酸二ナトリウムバッファーpH8.5(BDH AnalaR 102676G)(DTB)で、2%(w/v)固形分に希釈する。
(2)希釈されたラテックスを、2つのEppendorf遠心分離チューブ中の所定容量(2ml)の希釈されたラテックスをHeraeus Biofuge 17RS遠心分離機で17000rpm(25,848rcf)で10分間遠心分離することによって洗う。上澄み液を除いて廃棄し、ペレットを100mMのDTB中に再び懸濁させて総容量1mlの4%(w/v)固形分を得る。
(3)エタノールと酢酸ナトリウム(5%w/vの酢酸ナトリウム SigmaS2889を含む95%エタノール BDH AnalaR 104766P)の混合物を調製する。
(4)100μlのエタノール−酢酸ナトリウム溶液をステップ2で洗浄されたラテックスに加える(これはラテックスの容量の10%である)
(5)貯蔵した抗体(インハウスクローン3299)を希釈して、DTB中〜1200μg/mlの抗体を得る。
(6)ステップ5で希釈された抗体1mlの容量を、41.5℃に設定した湯浴で〜2分間加熱する。また、洗浄されたラテックス+ステップ4のエタノール−酢酸ナトリウムを同じ湯浴で2分間加熱する。
(7)希釈された抗体をラテックス+酢酸エタノールに加え十分混合し、マグネチックスターラーと混合物中に入れたマグネチック撹拌棒(flea)を用いて混合しながら、41.5℃に設定した湯浴中で1時間培養する。
(8)40mg/mlのウシ血清アルブミン(BSA)溶液(脱イオン水中のIntergen W22903)を調製する。40mg/mlBSAと同じ量をラテックス/抗体/酢酸エタノールの混合物に加え、湯浴中で41.5℃で30分間連続して撹拌しながら培養することによってラテックスを遮断する。
(9)混合物を17000rpmで10分間ステップ2のように遠心分離する(Eppendorfチューブの間で容量を1mlのロットに分割する)。上澄み液を除いて廃棄し、ペレットを100mMのDTB中に再び懸濁させる。ステップ2のようにして遠心分離を繰り返し、上澄み液を除いて廃棄し、ペレットをエアブラッシングバッファー中に再び懸濁する(20%(w/v)スクロース Sigma S8501、100mMのトリズマ塩基 Sigma T1503中10% BSA(w/v)pH9)。エアブラッシングバッファーを加えて4%(w/v)固形分ラテックスを与える。
【0115】
結合したラテックスをBSAとスクロースの混合物中にガラス繊維多孔質担体(F529−09、Whatman)上で50g/hrおよび110mm/sの速度で噴霧し、65℃および速度5に設定したHedinar Conveyer Ovenシリーズ17494を用いて乾燥した(1回通し)。
【0116】
ラテックスを噴霧したガラス繊維材料は、透明な接着剤をコーティングした積層フィルム(Ferrisgate、幅38mm)を用いて、噴霧されたラテックスが最上部に、ガラス繊維が長さ(350mm)のニトロセルロースの膜の帯に沿ってニトロセルロースの表面に〜2mm重なり合うように配置され、ニトロセルロース膜に付着された。ガラス繊維は第1検出ゾーンの上流となるようにニトロセルロースの端部に付着された。
【0117】
積層されたシートは続いて6mm幅の試験ストリップに切断された。
【0118】
実施例1
アッセイ装置は、第1および第2検出ゾーンがそれぞれ第1および第2試験ストリップ上に提供されることを除いて、比較例1と同じようにして調製され、第1および第2検出ゾーンはニトロセルロース上に提供され、各試験ストリップはニトロセルロースの上流に提供された移動可能なラテックス標識付きαhCG抗体で噴霧されたガラス繊維を含む。第1および第2検出ゾーンはニトロセルロース試験ストリップ上16mmの位置に各々提供された。
【0119】
試験ストリップの実施
実施例1および比較例1による試験ストリップは、0、25、50、100、250、500、1000、2500、5000、10000、15000、20000、25000、50000、150000、200000、および250000mIU/ml hCG濃度での較正されたhCGバッファー標準を備える社内読み取り機を用いて試験された。
【0120】
実施例1(−◆−で表わされる)および比較例1(−■−で表わされる)のアッセイのhCG濃度の関数として阻害検出ゾーンで測定された信号強度は、図2で任意単位の信号対mUI/ml hCGで示される。
【0121】
この図から見ることができるように、比較例1の阻害検出ゾーンはhCGのレベルの範囲が0〜100mIU/mlである初期安定水準(plateau)を示し、続いて、より高いhCGレベルで予想したように強度が減少する。しかし、やはり高いレベルで信号強度は増加が観察された。比較として、実施例1の信号強度は、より高いhCGレベルで信号強度が引き続いて増加することなく、より高いhCGレベルで低下する。見てわかるように、比較例1に従って作られたアッセイ装置の阻害ゾーンは、hCGを測定することのできるより制限のある範囲を持つ。
【0122】
実施例2
第1サンドイッチアッセイを含む第1試験ストリップと、サンドイッチアッセイに加えて、スカベンジャ剤を含む第2試験ストリップを含むアッセイ装置の調製。
【0123】
第1アッセイ試験ストリップの調製
第1アッセイ試験ストリップは実施例1による第1(サンドイッチ)アッセイ試験ストリップに従って調製された。
【0124】
第2アッセイ(スカベンジャ)試験ストリップの調製
検出ゾーンは実施例2の第1アッセイ試験ストリップに従う調製を用いてニトロセルロース上に調製された。
【0125】
400nmの青いポリスチレンラテックス(Duke Scientific)に結合したマウス抗ヒトαhCGmAb(クローン3299)は、スカベンジャ抗体mAbマウス抗ヒトβhCG(インハウスクローン3468)3mg/mlと混合され、最終3%の青ラテックス、0.075mg/mlの最終3468濃度および0.06mg/mlの遊離βhCG抗体を与えた。得られた混合物を、BIODOT XYZS(シリーズ番号1673)を用いて、90g/時間、F529−09ガラス繊維上2.02μg/cmの噴霧で、Whatmanガラス繊維(F529、幅26mmのリール)上にエアブラッシした。
【0126】
ガラス繊維を65℃、速度5に設定したHedinar Conveyor Ovenシリーズ番号17494を用いて乾燥させた(1回通し)。上記を繰り返すことによってラテックスの第2通過をガラス繊維上に堆積させたが、元の噴霧位置から〜0.8mm偏らせた(ガラス繊維のさらに下流)。ガラス繊維は上記のように乾燥させた。
【0127】
比較例2
両方の検出ゾーンが同じ多孔質担体上に提供されたアッセイ装置は広い分析物範囲にわたる分析物濃度の測定を得ることができなかった。
【0128】
実施例2によるアッセイ装置は0〜250000mIU/ml hCGの範囲の12濃度で較正されたhCGバッファー標準を備える社内検出ゾーン光学読み取り機を用いて試験された。濃度レベルごとに10回繰り返して測定され、試験されたアッセイ装置の総数は120個であった。
【0129】
実施例2に従って作られた第2アッセイの信号強度対hCG濃度は図3に示される。
【0130】
実施例2に従う第1アッセイ試験ストリップは、アッセイ曲線が平坦になる前に約400mIU/mlまで存在するhCGの量を測定することができた。実施例2に従う第2アッセイ試験ストリップは約1000mIU/mlを超えるhCGレベルを検出することができた。第1と第2アッセイ試験ストリップの両方の信号の測定は、約400mIU/ml〜1000mIU/mlのhCGレベルの測定が可能であった。
【0131】
スカベンジャ抗体の量の変更の影響
存在するスカベンジャ抗体の量をストリップの調製中に変化させたことを除き、実施例2に従って第2アッセイ試験ストリップは調製され、0.12、0.16、0.2、および0.24mg/mlの最終3468濃度を与えた。
【0132】
図4から見ることができるように、スカベンジャ抗体の量の増加は検出ゾーンで捕捉される分析物の量を減少させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アッセイおよび第2アッセイを含んで広範囲の濃度にわたって液体サンプル中の分析物の存在および/または程度を測定するアッセイ装置であって、分析物用の第1アッセイは標識付き結合剤を不動化することのできる単独の第1アッセイ検出ゾーンを有する第1フローパスを含み、前記分析物用の第2アッセイは標識付き結合剤を不動化することのできる単独の第2アッセイ検出ゾーンを有する第2フローパスを含み、検出ゾーンでの標識付き結合剤の存在が前記液体サンプル中の分析物の存在および/または程度を示す、装置。
【請求項2】
第1および/または第2フローパスが多孔質担体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
多孔質担体がラテラルフロー多孔質担体である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
第1および/または第2アッセイが前記第1および/または第2アッセイ検出ゾーンの上流に提供された分析物のための移動可能な標識付き結合剤を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
第1および/または第2アッセイの検出ゾーンが分析物のための不動化された結合剤を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
第1アッセイがサンドイッチアッセイであり、第2アッセイが競合または阻害アッセイである、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
第1アッセイが第1アッセイ検出ゾーンの上流に提供された分析物のための移動可能な標識付き結合剤を含み、検出ゾーンが分析物のための不動化された結合剤を含み、第2アッセイが分析物の第1結合領域のための移動可能な標識付き結合剤および第2アッセイ検出ゾーンの上流に提供された分析物のためのスカベンジャ結合剤を含み、前記第2アッセイ検出ゾーンが標識付き結合剤を結合することのできる、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
第2アッセイ検出ゾーンが分析物のための不動化された結合剤を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
第2アッセイについて、スカベンジャ結合剤が移動可能な標識付き結合剤よりも高い分析物に対する結合親和性を有する、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
第2アッセイの移動可能な標識付き結合剤とスカベンジャ結合剤がそれぞれ分析物の第1および第2結合領域に結合し、第2アッセイ検出ゾーンが分析物の第2結合領域のための不動化された結合剤を含む、請求項7から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
第2アッセイの移動可能な標識付き結合剤とスカベンジャ結合剤が同じ領域に提供される、請求項7から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
スカベンジャ結合剤が移動可能な形で提供される、請求項7から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
標識付き結合剤が光学的に検出可能な粒子で標識が付けられる、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
共通の多孔質サンプル受容部を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
第1アッセイおよび第2アッセイを含んで液体サンプル中の分析物の存在および/または程度を測定するためのアッセイ装置であって、前記第1アッセイが分析物のための不動化された結合剤を含む検出ゾーンを有する多孔質担体を含み、検出ゾーンの上流に前記分析物のための移動可能な標識付き結合剤が提供され、前記第2アッセイが分析物のための不動化された結合剤を含む検出ゾーンを含み、検出ゾーンの上流に分析物のための移動可能な標識付き結合剤と前記分析物のためのスカベンジャ結合剤が提供され、検出ゾーンでの標識付き結合剤の存在の検出が前記液体サンプル中の分析物の存在および/または程度を示す、装置。
【請求項16】
第1アッセイが高感度分析物アッセイであり、第2アッセイが低感度分析物アッセイである、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
ハウジングを含み第1および第2アッセイが前記ハウジング内に提供される、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
尿中のhCG分析物を検出するための、請求項1から17の一項以上に記載の装置であって、
(a)検出ゾーンで標識付き結合光学剤を照明し検出するための照明および検出手段と、
(b)hCGのレベルまたはhCGのレベルに対応する値を計算するための演算手段と、
(c)アッセイ試験の結果を表示するための表示手段と、
(d)記憶された基底閾値以下の値に対応するhCGのレベルが妊娠していないことを示し、記憶された基底閾値またはそれを超える値に対応するhCGのレベルが妊娠していることを示す記憶された基底閾値と、
(e)第1閾値未満またはそれに等しい値に対応するhCGのレベルが第1範囲の妊娠レベルを示し、第2閾値よりも大きな値に対応するhCGのレベルが第3範囲の妊娠のレベルを示し、第1閾値より大きいかまたは等しいが第2閾値よりも小さい値に対応するhCGのレベルが第2範囲のhCGのレベルを示し、表示手段が妊娠していない状態または妊娠状態、および妊娠の程度を示すことができるさらに他の2つの第1および第2の記憶された閾値を含む、装置。
【請求項19】
第1アッセイおよび第2アッセイを含んで液体サンプル中の分析物の存在および/または程度を測定するアッセイキットであって、前記第1アッセイが分析物のための不動化された結合剤を含む検出ゾーンを有する多孔質担体を含み、検出ゾーンの上流に前記分析物のための移動可能な標識付き結合剤が提供され、前記第2アッセイが分析物のための不動化された結合剤を含む検出ゾーンを含み、検出ゾーンの上流に分析物のための移動可能な標識付き結合剤と前記分析物のためのスカベンジャ剤が提供され、検出ゾーンでの標識付き結合剤の存在の検出がサンプル中の分析物の存在および/または程度を示す、アッセイキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−523996(P2010−523996A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502562(P2010−502562)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001227
【国際公開番号】WO2008/122796
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(302044591)インバーネス・メデイカル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)