説明

アッセイ調整用プレート、流体アッセイの調整及び解析システム、並びにアッセイを調整及び解析する方法

ウエルのアレイ、磁石、及びアレイに対して近接した位置及び離間した位置に磁石を移動するように構成されたアクチュエータを含むアッセイ調整用プレートが示されている。アッセイ・プレート受け取り領域の上に配置されるピペット、ピペットとほぼ整列した状態でアッセイ・プレート受け取り領域の下に配置された磁石、及びアッセイ・プレート受け取り領域に近接した位置に磁石を移動するように形成されたアクチュエータを含む流体アッセイの調整及び解析システムが示されている。アッセイを調整及び分析する方法は、アッセイ調整用プレートの試料用ウエルに試料を注入し、アッセイ調整用プレートを流体アッセイ解析システムに挿入することを含む。該方法は更に、システムのアッセイ・プレート受け取り領域において、試料を1又はそれ以上の試薬と混合し、その後調整されたアッセイをシステムの検査室に吸引することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、アッセイ(分析物)を処理及び解析する方法、システム、及び装置に関するもので、より具体的には、流体アッセイの解析システムにおいてアッセイ調整用プレート内の磁性粒子によりアッセイを処理することができるように構成された方法、システム及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明及び例示は、本項の説明に含まれるからといって、従来技術であると認めたものではない。
【0003】
流体アッセイの解析は、これらに限定されるものではないが、生物学的検査及び環境アセスメントを含む、種々異なる目的のために使用される。幾つかの場合において、流体は、解析される前に、関心のない物体又は正確な解析結果を得ることと相容れない物体を取り除くために、処理されることになる。更に又は代替的に、流体は、解析される前に、高精度及び/又は個別化の結果を提供するように処理することができる。更に、流体は、幾つかの実施形態においては、解析される前に、流体を特定の解析方法に対応する、粒子ベースのアッセイの形態などの形態に変換するように処理することができる。このような場合のいずれにおいても、流体試料の処理は一般的に手作業により実施されており、その結果、幾つかの場合においては、特定のアッセイ・タイプ調整による利点、及び/又は高精度及び/又は個別化の結果を得られる利点が、内在する種々の手作業による処理のために危険に曝される。流体アッセイの調整を自動化するための努力が試みられてきたが、試料を処理するために使用される試薬を自動的に取り除くこと、並びに、関心がないか又は正確な解析結果を得ることと相容れることができない試料の部分を自動的に取り除くことが困難なために、このような努力には限界があった。更に、このようなシステムのほとんどは、比較的嵩高であり、必要とされる維持及び初期設備の費用のために、多くの会社及び機関にとっては費用上の難点がある。
【発明の概要】
【0004】
アッセイ調整用プレート、流体アッセイ・システム、並びにアッセイを調整及び解析する方法の様々な実施形態の以下の説明は、添付した特許請求の範囲に記載されている事項を限定するように解釈されるものではない。
【0005】
アッセイ調整用プレートの実施形態は、ウエルのアレイ、磁石、並びに、ウエルのアレイ中の1又はそれ以上の選択されたウエルに対して、磁石を接近し、及び離れる位置に移動させるように形成されたアクチュエータを含む。
【0006】
アッセイを調整及び解析する方法の実施形態は、解析のための試料をアッセイ調整用プレートの試料用ウエルに注入し、アッセイ調整用プレートを流体アッセイ解析システムのアッセイ・プレート受け取り領域に挿入することを含む。この方法は、アッセイ調整用プレートの特定のウエルが流体アッセイ解析システムのピペットと整列するように、アッセイ・プレート受け取り領域内のアッセイ調整用プレートの位置を確立させ、更に該ピペットを介して、特定のウエル内に配置された流体物質を吸引することを含む。更に、この方法は、アッセイ調整用プレートの異なるウエルがピペットと整列するように、アッセイ・プレート受け取り領域内のアッセイ調整用プレートを移動させ、更に流体物質を異なるウエルに分配することを含む。総括的に言うと、この方法は、アッセイの調整が完了するまで、試料を確立し、吸引し、移動し、更に、1又はそれ以上の試薬と混合するために分配する段階を繰り返すことができる。この確立し、吸引し、移動し、分配する段階の少なくとも一シリーズは、試料を複数の磁性粒子と混合し、その後、アッセイ調整用プレートのウエルにおいて複数の磁性粒子を固定化することを含む。該方法は、ピペット及び該ピペットと検査室との間に取り付けられた流体ラインを介して、アッセイをアッセイ調整用プレートから流体アッセイ・システムの検査室に吸引することを含む。更に、該方法は、検査室内のアッセイを解析することを含む。
【0007】
流体アッセイの調整及び解析システムの実施形態は、アッセイ・プレート受け取り領域と、該アッセイ・プレート受け取り領域の上に配置されたピペットと、該ピペットとほぼ整列する状態でアッセイ・プレート受け取り領域の下に配置された磁石とを含む。更に、流体アッセイの調整及び解析システムは、アッセイ・プレート受け取り領域に近い位置に向かって、及び近い位置から磁石を移動するように形成されたアクチュエータ、及びアッセイ・プレートの異なるウエルが異なる回数でピペットと整列状態となるように、アッセイ・プレート受け取り領域内に配置されたアッセイ・プレートを移動するための機構を含む。流体アッセイの調整及び解析システムは、流体ラインを介してピペットに取り付けられる検査室、及び該検査室を照明するように構成された照明システムを含む。更に、流体アッセイの調整及び解析システムは、ピペット及び流体ラインを介して、検査室に導入されたアッセイ粒子から発せられる光、及び/又は分散される光を集積するように形成された検知システムを含む。検知システムは、収集された光の程度を示す信号を発生するように形成される。流体アッセイの調整及び解析システムは、発生した信号を解析するための検査システムを更に含む。
【0008】
本発明の他の目的及び利点は、以下の詳細な説明を読み、添付された図面を参照することにより明らかになるであろう。
【0009】
本発明は、様々な修正及び代替的な形態で実現することができるが、これらの特定の実施形態が、図面に例により示され、詳細に説明される。しかしながら、図面及び詳細な説明は、本発明を示された特定の形態に限定するように意図されているものではなく、反対に、本発明は、添付された特許請求の範囲により定められる本発明の思想及び範囲に属する、すべての修正、均等手段及び代替的手段を含むことが意図されていることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】例示的流体アッセイ解析システムの斜視図である。
【図2】例示的アッセイ調整用プレートの斜視図である。
【図3】別の例示的アッセイ調整用プレートの斜視図である。
【図4A】図2に示したアッセイ調整用プレートの外側ケースを取り除いた斜視図である。
【図4B】図4Aに示したアッセイ調整用プレートの平面図である。
【図5A】システムのピペットの下に配置された磁石アクチュエータを有する流体アッセイの調整及び解析システムの部分的略図である。
【図5B】磁石アクチュエータが、ピペットと磁石アクチュエータとの間に介在するアッセイ・プレート受け取り領域の近傍に磁石を移動した、図5Aに示した流体アッセイの調整及び解析システムの部分的略図である。
【図6】アッセイを調整及び解析するための例示的方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図を参照すると、アッセイ調整用プレート、流体アッセイ・システム、並びにアッセイを調整及び解析する方法の例示的実施形態が示されている。特に図1には、アッセイ調整用プレート14を受け取るように構成された例示的流体アッセイ解析システム10が示されている。以下により詳細に述べるように、アッセイ調整用プレート14及び/又は流体アッセイ解析システム10は、ピペット12及び磁石アクチュエータを自動的に使用して、流体アッセイ解析システムでのアッセイ調整用プレート内で、アッセイを磁性粒子により処理するように構成することができる。その結果、アッセイを手作業により調整することが必要とされる作業、並びに手作業による調整から発生する間違いを減少することができる。アッセイを流体アッセイ解析システム10において処理することができるアッセイ調整用プレート14の例示的形態が、図2−4Bに示され、以下に詳細に説明される。アッセイをこのシステムで処理することができるようにする流体アッセイ解析システム10の例示的形態が、図5A及び5Bに示され、以下に詳細に説明される。図6には、このような形態のいずれかを使用して、アッセイを調整及び解析する方法が示されている。図面は、必ずしも縮尺により描かれたものではない。具体的には、幾つかの図面において、幾つかの要素の縮尺は、要素の特性を強調するために、かなり誇張されたものとされている場合がある。更に、図面は同じ縮尺で描かれていない。
【0012】
一般に、流体アッセイ解析システム10は、流体アッセイを解析するためのものとして形成することができる。このような形態は、検査室と、アッセイ中における1又はそれ以上の対象検体の存在、不存在を表し、幾つかの実施形態においてはその濃度を示すデータを発生するための検知システムとを含む。アッセイを流体アッセイ解析システム10に導入するために、該システムは、アッセイ・プレート受け取り領域と、アッセイ・プレートからアッセイを吸引するためのアッセイ・プレート受け取り領域の上に配置されたピペット12とを含むことができる。図1は、アッセイ・プレート14が流体アッセイ解析システム10に部分的に挿入されただけの状態を示している(すなわち、流体アッセイ解析システムのアッセイ・プレート受け取り領域が、ピペット12のほぼ下にある)ことが分かる。アッセイをアッセイ・プレート14から流体アッセイ解析システム10に吸引するために、アッセイ・プレートが更に挿入されて、アッセイを収めるアッセイ・プレートのウエルが、ピペット12の真下に配置されるようにする。その後で、ピペット12を下向きに移動させて、アッセイを吸引し、アッセイを流体アッセイ解析システムの検査室に通す。一般的には、ピペット12は、流体アッセイ解析システム10への内部流体ラインを介して、検査室に取り付けられる。多くの場合においては、多数のアッセイが単一のアッセイ・プレートに収められており、したがって、幾つかの実施形態においては、流体アッセイ解析システム10は、アッセイ・プレートの異なるウエルが、異なる回数でピペットと整列するように、アッセイ・プレート受け取り領域内に配置されたアッセイ・プレートを移動するための機構を含むことができる。
【0013】
幾つかの場合においては、流体アッセイ解析システム10は、光学システムとすることができ、したがって、解析システムの検査室を照明するように構成された照明システムを含むことができる。更なる実施形態においては、流体アッセイ解析システム10は、粒子ベースのアッセイを光学的に分析するものとして構成することができる。このような場合には、流体アッセイ解析システム10は、アッセイ粒子から発せられた光、及び/又は分散された光を集束させ、収束した光の程度を示す信号を発生するように構成された検知システムを含むことができる。更に、流体アッセイ解析システム10は、発生した信号を分析するための検査システムを含むことができる。このような部品を有し、ここに述べた方法、システム及び装置に具体的に適用することができる例示的光学解析システムは、流体細胞計測器及び固定画像形成システムなどの、検査のために粒子を固定化するシステムを含む。両方の形式のシステムは、流体アッセイ及び可能な他の流体を粒子検査室に移送するために、流体取り扱いシステム(流体アッセイ・システムを意味することができる。)を含む。多数の流体細胞計測器の形態が知られており、ここに述べられたシステムに対して、一般的に適用することができる。例示的固定画像形成光学解析システムは、2007年6月4日付けの「Systems and Methods for Performing Measurements of One or More Materials」という名称のRoth他の米国特許出願11/757,841に示されており、ここに十分に述べられている場合と同様のものとして、引用により組み入れられる。
【0014】
上記したように、ここに述べられた方法、システム、及び装置は、一般的に、流体アッセイ解析システムにおいてアッセイ調整用プレート内の磁性粒子により、アッセイを処理することができるようにする構成に関する。より特定的には、ここに述べられた方法、システム及び装置は、アッセイを調整する目的のために、流体アッセイ解析システムにおいて、アッセイ調整用プレートのウエル内で磁性粒子を固定化することができるようにする構成に関する。アッセイを調整するために使用される磁性粒子は、アッセイの最終生成物内に含まれるようにしてもよいし、しなくてもよい。具体的には、幾つかの場合においては、磁性粒子は、アッセイの調整の間に廃棄することができる。代替的には、アッセイの調整のために使用される磁性粒子は、アッセイ内に保持することができる。このような個別化は、一般的に、アッセイの仕様並びにアッセイを分析するために使用されるシステムに応じて決めることができる。上記したように、流体アッセイ解析システム10は、幾つかの実施形態においては、アッセイに含まれる粒子を光学的に分析するものとして構成することができる。しかしながら、このような粒子は、磁性粒子でもよいし、磁性粒子でなくてもよい。具体的には、磁性粒子が、試料をアッセイ内に処理するために使用されるかどうかに関わらず、最終アッセイ内の粒子が磁性であるかどうかという個別化は、一般的に、アッセイの仕様並びにアッセイを分析するために使用されるシステムに応じて決めることができる。
【0015】
粒子が磁性であるか、磁性でないかに関わらず、ここで使用される「粒子」という用語は、一般的には、微小球体、ポリスチレンビード、量子ドット、ナノドット、ナノ粒子、ナノシェル、ビード、微小ビード、ラテックス粒子、ラテックスビード、蛍光ビード、蛍光粒子、着色粒子、着色ビード、組織、細胞、微小生物、有機物、無機物、又は当業者に知られているあらゆる他の個々に分離された基体又は物質を意味する。このような用語のいずれも、ここでは互換的に使用することができる。ここで述べられた方法及びシステムに使用することができる例示的磁性微小球体は、xMSP(登録商標)を含み、これはテキサス州オースチンのLuminex Corporationから商業的に入手することができる。
【0016】
ここで使用されるアッセイの処理又は調整という用語は、広範囲の処理段階を意味するものであることを述べておく。具体的には、幾つかの実施形態においては、アッセイの処理又は調整は、未処理の試料(例えば、血液又は唾液)を望ましいアッセイに適合するような形態に変換することを意味する。当業者は知っていることであるが、異なる流体は、アッセイを達成するために、異なる処理段階及び/又は異なる処理段階のシーケンスを必要とするものであり、したがって、未処理の試料の変換は、広い範囲の処理段階を意味することができる。処理段階は、粒子サイズのろ過、遠心分離、対象検体の分離、対象検体の増幅、試料の洗浄、細胞溶解、凝固要因の中和、pH調整、温度サイクル、試薬の混合、及びアッセイの反応のいずれか1つ、又はそれ以上を含むことができる。他の処理段階も、同様に考慮することができる。他の実施形態においては、アッセイの処理又は調整は、部分的に処理された試料(すなわち、上記した処理段階の1又はそれ以上をすでに実施された試料)をアッセイに変換することを意味するものとすることができる。いずれの場合においても、試料はあらゆる生物学的、化学的、又は環境に関する流体を含むことができ、1又はそれ以上の関心ある対象検体が存在するか又は不存在であるかについての判定が望まれる。
【0017】
上記したように、幾つかの実施形態においては、アッセイ調整用プレート14は、流体アッセイ解析システム10のアッセイ・プレート受け取り領域内にある磁性粒子により、アッセイを処理することができるように形成することができる。具体的には、幾つかの実施形態においては、アッセイ調整用プレート14は、ウエルのアレイ、磁石、ウエルのアレイから選択された1又はそれ以上のウエルに対して、近接する位置及び離れた位置に磁石を移動するように形成されたアクチュエータを含むことができる。このような形態を有するアッセイ調整用プレートの例示的実施形態が、図2−4Bに示され、以下により詳細に述べられている。このような場合には、流体アッセイ解析システム10は、アッセイ・プレート受け取り領域、及びアッセイ・プレートの異なるウエルが、異なる回数でピペットと垂直方向に整列状態とするように、アッセイ・プレート受け取り領域内のアッセイ・プレートを移動する機構を含むことができる。この構成により、ピペットを使用して、アッセイ・プレートの異なるウエルの間で流体物質(すなわち試薬及び/又は試料)を移送し、1又はそれ以上のアッセイを調整することができる。
【0018】
ピペットの構成部品、アッセイ・プレート受け取り領域、及び受け取り領域内においてアッセイ・プレートを移動する機構は、従来のシステムのものと共通でよいことを述べておく。特に、部品をこのように集めて使用することは、単一のアッセイ・プレートから多数のアッセイを吸引して流体アッセイ解析システムに移すために、一般に使用されている。ここで述べられるシステムの顕著な特徴は、このような部品が、アッセイの調整のために、並びにアッセイを流体アッセイ・システムに吸引するために、使用されることである。一般的に、流体アッセイ解析システム10は、アッセイ・プレート及びピペットの移動(流体アッセイ解析システムに含まれるアッセイ・プレートを移動する機構を介して)により、アッセイの調整を達成する動作を行わせるために、プロセッサーにより実行可能なプログラム命令を備えた貯蔵媒体を含むことができる。幾つかの場合においては、流体アッセイ解析システム10は、アッセイ・プレート受け取り領域においてアッセイの調整を可能にするためのソフトウエアを後付けすることができる。この場合には、ここで述べられたアッセイ調整用プレートは、ピペット及びアッセイ・プレート受け取り領域を有する現存の流体アッセイ解析システムのいずれにおいても使用することができる。
【0019】
次に図2及び3を参照すると、アッセイ調整用プレート20及び30の外側形状についての例示的実施形態がそれぞれ示されている。図2に示すように、アッセイ調整用プレート20は、円形試料用ウエル22、楕円形試薬用ウエル24、及び長方形補助ウエル25を含む。ウエルの形状は、一般的に、アッセイの調整に寄与するものではなく、したがって、図2に示すものから変えることができる。試料用ウエル22は、一般的に、アッセイ・プレートが流体アッセイ解析システムに設置される前に、試料流体を受け取るように機能するものである。この試料流体は、未処理の試料流体又は部分的に処理された試料流体を含むことができる。試薬用ウエル24は、各々が試料用ウエル22で受け取られた試料流体を処理するための試薬を含むことができ、幾つかの実施形態においては、単一のアッセイの調整のために使用される試薬の量を貯蔵するために、寸法的に設計することができる。補助ウエル25は、一般的には、プレートで調整されるすべてのアッセイに共通の試薬(試薬バラ積み貯蔵)などの比較的大きい量の流体物質及び/又はアッセイの調整から発生した廃棄物質を貯蔵し、又は受け取るように機能することができる。
【0020】
「試薬」という用語は、これらに限定されるものではないが、ここでは一般的に、磁性粒子を含むアッセイを調整するために使用される物質を意味する意味に使用することができる。幾つかの場合においては、幾つかの試薬は、特に冷凍が有効ではない分野での使用に対しては、凍結乾燥することができる。このような場合には、試薬用ウエル24は、比較的小さい容量を有するものとすることが有益である。具体的には、凍結乾燥された試薬を再懸濁するために、小さい容量を使用することで、より均一でかつ信頼性のある再懸濁が可能になる。幾つかの実施形態においては、試料流体は、試薬を再懸濁するために使用することができ、これは、消耗品を使い続けることができる点で利点をもたらす。しかしながら、幾つかの実施形態においては、アッセイ調整用プレート20に保持される試薬は、凍結乾燥することはできない。このようなシナリオは、冷凍貯蔵が有効である研究室環境にとって、特に適切である。
【0021】
当業者にとっては明らかなことであるが、ウエル22、24及び25の数、大きさ、及び配置は、大幅に変えることができ、したがって、ここに示されたアッセイ調整用プレートの図は、図2に示された図に限定されるものではない。図4A及び4Bを参照して、以下に詳細に説明されるように、試料用ウエル22及び試薬用ウエル24の全体的配置形態は、幾つかの実施形態においては、これらの図面を参照して述べられた磁石組立体システムの形式にとって有利なものとすることができる。具体的には、幾つかの場合においては、試料用ウエル22及び試薬用ウエル24が、異なるウエルが交互に位置する行として並べるのが有利な場合がある。しかしながら、様々な他の磁石システムを、ここで述べられたアッセイ調整用プレートで使用することができ、したがって、該プレートは、図2の示した配置形態に制限されるものではない。
【0022】
ウエル22、24及び/又は25に加えて、アッセイ調整用プレート20は、ケース26を含むことができる。ケース26は、一般的にはウエル22、24及び25を保持するためのケースを提供するもので、流体アッセイ解析システムのアッセイ・プレート受け取り領域に適合又は嵌合するような寸法に形成される。幾つかの場合においては、ケース26は、図4A及び4Bを参照して説明されるように、アッセイ調整用プレートの他の部品に対して鞘として機能する。このような場合には、ケース26は、下側にある部品が高価であるので、一般的には、再使用するように設計する(例えば、耐久性のある材料で形成する)ことができる。幾つかの場合においては、ウエル22、24及び/又は25は、ケース26内に永久的に固定することができる。(すなわち、ウエル22、24及び/又は25は、ケース26と同じ連続する材料で形成することができるか、又はウエル22、24及び/又は25を含む材料は、ケース26内に永久的に固定することができる。)しかしながら、他の実施形態においては、ウエル22、24及び/又は25は、ケース26内に締結された取り外し可能な挿入体内に配置することができる。このような場合には、幾つかの実施形態においては、取り外し可能な挿入体は、使用後に廃棄され、代りの挿入体が、続くアッセイの調整のために、ケース26に挿入されることになる。代替的には、取り外し可能な挿入体(並びにケース26)は、再使用のために清浄及び消毒することができる。どんな場合でも、幾つかの実施形態においては、ウエル22、24及び/又は25は、ウエルが異物により汚染されること、及び試薬がアッセイ・プレートからこぼれることを避けるために、アッセイの調整の前に、脆いカバーでカプセル封入することができる。脆いカバーは、一般的に、ウエルに流体を導入し、かつウエルから流体を吸い出すために使用される、流体アッセイ解析システム10のピペット12などの装置を挿通可能なものである。
【0023】
図2に示すように、アッセイ調整用プレート20は、プローブセンサ28を更に含むことができる。このプローブセンサ28は、一般的に、アッセイ調整用プレート20内に配置された1又はそれ以上の磁石アクチュエータを活性化させて、試料用ウエル22及び試薬用ウエル24内の磁性粒子を、ウエルのアッセイの調整のために操作する(すなわち固定化及び可動させる)ことができるようにするために使用することができるものである。具体的には、アッセイ調整用プレート28は、プローブセンサ28を1又はそれ以上の磁石アクチュエータに取り付ける1又はそれ以上の回路を含むことができ、1又はそれ以上の作動回路は、プローブ(例えば、流体アッセイ解析システム10のピペット12)を検知するプローブセンサ28の上の試料用ウエル22及び/又は試薬用ウエル24に近い位置に又は離れた位置に1又はそれ以上の磁石を移動させるために、磁石アクチュエータをそれぞれ活性化するように形成される。回路は、図4Bに示されたPCBA52のように、ケース26の下にあるアッセイ調整用プレート20に含まれるプリント回路基板組立体(PCBA)に配置することができる。一般的には、プローブセンサ28は、これらに限定されるものではないが、容量性近接センサ、光学ゲート、電気回路の物理的完成、音響反射、又は磁場摂動などの、あらゆる数のセンサ技術を含むことができる。更に、プローブセンサ28が、アッセイ調整用プレート20のスロットとして示されているが、他の形態も可能である。代替的には、プローブセンサ28及び作動回路は、幾つかの実施形態においては、アッセイ調整用プレート20から省くことができる。具体的には、アッセイ調整用プレート20を流体アッセイ解析システム10に取り付ける制御ラインを代替的に使用して、磁石アクチュエータが、流体アッセイ解析システムに含まれるソフトウエア(すなわち、アッセイ調整用プレート受け取り領域内のピペット12及びプレートの移動を制御するために使用されるソフトウエアと類似した)を介して直接活性化させるようにすることができる。
【0024】
プローブセンサ28の全体的作動及び1又はそれ以上の磁石アクチュエータを活性化するための1又はそれ以上の作動回路は、一般的に、プローブセンサ28がピペット12と整列状態となるように、流体アッセイ解析システム10のアッセイ調整用プレート受け取り領域内のアッセイ調整用プレート20の移動を含むことができる。迅速に二度ピペット12を上昇及び降下させるといった初期化ルーチンを実行して、アッセイ調整用プレート20及びピペット12の両方を正確な位置に置くようにすることができる。アッセイ調整用プレート20が正しい位置に置かれると、ピペット12は流体を吸引するように降下する。プローブセンサ28はピペットの接近を検知し、回路を介して磁石アクチュエータの位置を変化させ、プローブセンサ28を磁石アクチュエータに結合する。ピペット12をプローブセンサ28に近づける降下処理は、一般的には磁石の位置を変化させる必要がある時に繰り返される。幾つかの場合においては、アッセイ調整用プレート20は、単一の作動回路を含むことができ、該回路は、単一の磁石アクチュエータを活性化するか、又は複数の磁石アクチュエータを同時に活性化するかの、いずれかのために形成される。他の場合においては、アッセイ調整用プレート20は、ケース26に下に配置された異なる磁石アクチュエータをそれぞれ作動させるために、複数の作動回路を含むことができる。この選択は、アッセイ調整用プレート20内(すなわち、プローブセンサ28の近傍か、又はケース26の他の位置で)に多数のセンサを組み込むことにより容易にすることができ、多数のセンサの異なる位置に対して、ピペット12を正確に位置決めする流体アッセイ解析システム10内の多数の作動回路及びソフトウエアにそれぞれが取り付けられる。
【0025】
図2に示されていないが、幾つかの実施形態においては、分析調整用プレート20は、ケース26の中に、又はケースを通って突き出るように構成される指示器又は制御装置を含むことができる。制御装置は、状態メッセージを通してスクロールし、及び/又はプレートへの電気の切り替えをするための形態を含むことができる。指示器は、アッセイの調整の状態(例えば、処理中、完了済み、及び/又はエラーが発生した)及び/又は電池のレベル(適用されるならば)に関して、流体アッセイ解析システム10の使用者に警告をするために使用することができる。指示器は、これらに限定されるものではないが、発光ダイオード(LED)、音響変換器、又は文字数字式ディスプレイを含む、当業者に知られているあらゆる形式のディスプレイを含むことができる。幾つかの場合においては、電池レベル及び/又は状態告示は、追加的に、又は代替的にアッセイ調整用プレート20を流体アッセイ解析システム10に取り付ける制御ラインを通して伝達することができる。したがって、アッセイ調整用プレート20は、幾つかの実施形態においては、指示器及び/又は制御装置を含む必要がない。
【0026】
アッセイ調整用プレートの代替的形態が、図3に示されている。具体的には、図3は、ケース36内に配置された試料用ウエル32、試薬用ウエル34、及び廃棄物用ウエル35を含むアッセイ調整用プレート30を示している。一般的には、ケース36及びウエル32、34及び35の特性は、図2のアッセイ調整用プレート20のケース26及びウエル22、24、及び25で述べたものと類似したものとすることができる。簡潔にするために説明は繰り返さないが、ここでは前述したものすべてを引用する。図2で示したアッセイ調整用プレート20に関して述べたように、ウエル32、34及び35の形状、大きさ、数、及び配置は、広く変化することができ、ここで述べたアッセイ調整用プレートは、図3で示したものに限定されるべきではない。限定する意味ではないが、アッセイ調整用プレート30は、一般的に、各々の行に並んだ試料用ウエル32において順次アッセイを処理するように形成される。具体的には、各々の試料用ウエル1−12は、異なる試薬により試料を処理するために使用することができ、試料用ウエルの各々の行A−Dは異なる試料を処理するために使用され、その結果各々の行A−Dで異なるアッセイを処理することとなる。代替的には、アッセイは、ウエル32の行又は列に並んだ試料用ウエルの組の中で処理することができる。他の実施形態においては、アッセイは、アッセイ調整用プレート30内の単一のウエルで処理することができる。図2に示したアッセイ調整用プレート20は、類似した方法で使用することができ、幾つかの実施形態においては(限定される必要はないが)、単一のウエルでアッセイを処理するために特に適用することができる。
【0027】
ケース36及びウエル32、34、及び35に加えて、これらに限定されるものではないが、アッセイ調整用プレート30は、アッセイ調整用プレート20に対して上記した及び以下に述べる部品などの他の部品を含むことができる。具体的には、アッセイ調整用プレート30は、ケース36の下側に、これらに限定されるものではないが、磁石、磁石アクチュエータ、電池、PCBA、及び制御用スイッチなどを含むことができる。更に、アッセイ調整用プレート30は、指示器、制御装置、プローブセンサ、及び付随する作動回路を含むことができる。簡潔にするために、説明は繰り返さないが、ここでは前述したものすべてを引用する。
【0028】
上記したように、アッセイ調整用プレート20の内部部品の例示的形態が、図4A及び図4Bに示されている。具体的には、図4A及び図4Bは、3つの磁石組立体の例示的配置を示し、各々の組立体は磁石42及び共通のバー44を含む。図4Aは、ケース26が取り除かれた状態のアッセイ調整用プレート20の斜視図であり、図4Bは、ケース26が取り除かれた状態のアッセイ調整用プレート20の平面図である。磁石42は、一般的にウエルの隣接する行の下に、又は隣接する行に並列に延び、そこの磁性粒子を固定化することができる。3つの磁石組立体は、それぞれ磁石アクチュエータ45−47に取り付けられて、選択する試料用ウエルに対して、各々の組立体の磁石42を近い位置及び離れた位置に移動するように形成される。具体的には、図4Bに示しているように、磁石アクチュエータ45及び47が引き込まれたとき、そこに取り付けられている磁石組立体の磁石42が、選択する試料用ウエルと整列するようになり、これにより磁石は、選択する試料用ウエルの磁性粒子を固定化するように配置される。反対に、磁石アクチュエータ46が伸張されたとき、そこに取り付けられた磁石組立体の磁石42が、選択された試料用ウエルからオフセットされ、より特定的には隣接する試薬用ウエルと整列状態となるように延びる。このような場合においては、選択された試料用ウエルの磁性粒子は固定化されない。磁石アクチュエータ45−47が伸張されるか又は引き込まれるかに対する、試料用ウエル又は試薬用ウエルと整列する図4Bに示された磁石42の位置は、入れ替えることができることが分かるであろう。いずれの場合においても、図4Bに示されているように、磁石42は、試料用ウエル22の間隔に対して、均一に配列することができる。この方法においては、単一の磁石組立体の磁石42は、試料用ウエルの近い位置及び離れた位置に、一致して移動することができる。
【0029】
図4Bに、3つの別個の磁石組立体及び3つの別個の磁石アクチュエータを含むアッセイ調整用プレート20が示されているが、ここに示されたアッセイ調整用プレートは、必ずしもこのような構成に限定されるものではない。具体的には、ここに示されているアッセイ調整用プレートは、より少ない又はより多い磁石組立体及び/又は磁石アクチュエータを含むことができる。例えば、アッセイ調整用プレート20は、磁石組立体の磁石が総合的に移動できるように、3つの磁石組立体の各々に取り付けられる単一の磁石アクチュエータを含むように変更することができる。代替的には、アッセイ調整用プレート20の磁石組立体は、単一の磁石組立体となるように変更することができる。具体的には、磁石42は、示された3つの共通のバーを通って延びるロッドからなるものとすることができる。このような場合には、単一の磁石アクチュエータは、試料用ウエル22に近い位置及び離れた位置に、磁石42を総合的に移動するように使用することができる。
【0030】
更に他の実施形態においては、アッセイ調整用プレート20は磁石組立体を含まない。アッセイ調整用プレート20は、1又はそれ以上の対応する磁石アクチュエータを備えた、1又はそれ以上の個々の磁石を含むことができる。更に、ここに示されたアッセイ調整用プレートは、必ずしも図4Bに示したようなアッセイ調整用プレートのウエルに対して、磁石を水平方向に配置した磁石アクチュエータを有するものに限定されるものではない。具体的には、ここに示されたアッセイ調整用プレートは、磁石を垂直方向に移動させる磁石アクチュエータの形態を含むことができる。このような場合には、磁石アクチュエータが引き込まれる時に、プレートに配置された磁性粒子が固定化しないように、アッセイ調整用プレートの試料用ウエルの下に、十分な距離を持って磁石を配置することができる。反対に、磁石アクチュエータが伸張する時に、プレートに配置された磁性粒子が可動となるように、試料用ウエルに近い位置に磁石を置くことができる。
【0031】
一般的には、ここに示されたアッセイ調整用プレートに含まれる磁石アクチュエータは、これらに限定されるものではないが、機械的手段、電気手段、空気圧手段、又は磁性手段により駆動されるものを含むあらゆる形式のアクチュエータを含むものとすることができる。ここに述べたアッセイ調整用プレート及びシステムで使用することができる例示的ソレノイド磁石アクチュエータは、2009年1月26日付けの「Solenoid Actuator」という名称のAdam Schilffarthの米国特許出願 に述べられており、十分に述べられたように、ここに引用により組み入れられる。
【0032】
いずれの場合においても、磁石及び磁石アクチュエータに加えて、アッセイ調整用プレート20は、PCBA50、電池52、制御用スイッチ54、及び指示器56を含む。本体搭載電池52は、アッセイ調整用プレート20と流体アッセイ解析システム10との間に取り付けられた電力線により補足又は代用することができる。PCBA50は、これらに限定されるものではないが、磁石アクチュエータ35−37を制御するための回路及び電池50を充電するための回路(適用される場合)を含む。電池の充電は、電極、充電用ケーブル又は誘導コイルを通して、直接的な伝導で実施することができる。一般的に、プレートへの電力のスイッチの切り替えのために、制御用スイッチ42を使用することができる。指示器56は、特定的には発光ダイオードを意味するように示されているが、図2を参照して上記されているように、他の形式の指示器も、付加的に又は代替的に使用することができる。
【0033】
上記したように幾つかの実施形態においては、流体アッセイ解析システム10は、アッセイをシステムのアッセイ調整用プレート領域内の磁性粒子で処理することが可能なように形成される(すなわち、アッセイ調整用プレートが処理するように形成されるのではない)。このような形態を有する例示的流体アッセイ解析システムの部分的な略図が、図5A及び5Bに示されている。具体的には、図5Aは、ピペット62の下で、かつピペットと近接して整列するように配置された磁石アクチュエータ66を有し、磁石アクチュエータ66内で収縮する磁石68を有する、流体アッセイの調整及び解析システム60の部分的略図を示している。図5Bは、流体アッセイの調整及び解析システム60の部分的略図を示しており、磁石アクチュエータ66が、ピペット62と磁石アクチュエータ68との間に介在するアッセイ・プレート受け取り領域64の近傍に、磁石68を移動させる。この方法においては、磁石アクチュエータ66は、アッセイ・プレート受け取り領域64に近い位置に及び近い位置から磁石68を移動するように形成される。その結果、ピペット62及び磁石68と整列した状態のアッセイ調整用プレートのウエル内に配置された磁性粒子は、固定化させ、並びに固定化から解除することができる。具体的には、磁石アクチュエータ66及び磁石68を配置し、配向すると、磁性粒子は、ウエルの底で固定化させることができる。その結果、余分な流体を、ウエルから吸引することができる。
【0034】
流体アッセイ解析システム10に関連して上記したように、流体アッセイ解析システム60は、アッセイ・プレートの異なるウエルが異なる回数でピペット12と整列状態となるように、アッセイ・プレート受け取り領域64内に配置されたアッセイ・プレートを移動するための機構を含むことができる。このような形態は、アッセイの調整のために、多数の試薬を試料と混合させることができる。更に、アッセイ・プレート受け取り領域64内のアッセイ・プレートを移動させるための機構は、多数のアッセイを、単一のアッセイ・プレート内で調整することを可能にする。一般的に、流体アッセイ解析システム60は、アッセイの調整を達成するために、アッセイ・プレート受け取り領域64内のアッセイ・プレートの移動(受け取り領域に配列されたアッセイ・プレートを移動する機構を介して)並びにピペット12の移動を実行するように、プロセッサーにより実施可能であるプログラム命令を備えた貯蔵手段を含むことができる。更に、貯蔵手段は、磁石アクチュエータ66を選択的に活性化するためのプログラム命令を含むことができる。
【0035】
磁石アクチュエータ66及び磁石68の組み込みを通して、1又はそれ以上のアッセイを調整するための機能を有することに加えて、流体アッセイ解析システム60は、流体アッセイを分析するように構成される。この方法においては、流体アッセイ解析システムは、流体アッセイの調整及び分析の両方をするように構成されているので、流体アッセイの調整及び解析システムと呼ぶことができる。このように、流体アッセイ解析システム60は、流体ラインを介してピペット12に取り付けられた検査室、及びアッセイ内の1又はそれ以上の対象検体の存在、不存在、及び幾つかの実施形態においては濃度を示すデータを発生するための検知システムを更に含むことができる(図1の流体アッセイ解析システム10に関して述べたように)。幾つかの場合においては、流体アッセイ解析システム60は、光学システムとすることができ、したがって、検査室を照明するように形成された照明システムを含むことができる。更なる実施形態においては、流体アッセイ解析システム60は、粒子ベースのアッセイを光学的に分析するように形成することができる。このような場合には、流体アッセイ解析システム60は、アッセイ粒子から発せられ及び/又は分散された光を集束させ、集められた光の程度を表す信号を発生するように形成された検知システムを含むことができる。更に、流体アッセイ解析システム60は、発生した信号を分析する検査システムを含むことができる。このような部品を有し、特定的には流体アッセイ解析システム60に適用することができる例示的光学解析システムは、流体細胞計測器、及び固定画像形成システムなどの検査のために粒子を固定化するシステムを含む。両方のタイプのシステムは、流体アッセイ及び可能な他の流体を、粒子検査室に移送するための流体取り扱いシステムを含む(したがって、流体アッセイ・システムと呼ぶことができる)。
【0036】
図4Bに磁石アクチュエータ45−47に関して示しているように、磁石アクチュエータ66は、これらに限定されるものではないが、機械的手段、電気手段、空気圧手段、又は磁性手段により駆動されるものを含む、あらゆる形式のアクチュエータを含むことができる。流体アッセイ解析システム60に対して使用することができる例示的ソレノイド磁石アクチュエータは、2009年1月26日付けの「Solenoid Actuator」という名称のAdam Schilffarthの米国特許出願 に示されており、十分に述べられたものとして、ここに引用により組み入れられる。しかしながら、磁石アクチュエータ66は、このようなアクチュエータに限定される必要があると解釈されるべきではない。更に、磁石アクチュエータ66は、アッセイ・プレート受け取り領域64に近い位置及び離れた位置で、磁石66を垂直移動させる方向に限定されるものではない。具体的には、磁石アクチュエータ66は、代替的に、アッセイ調整用プレートのウエル内の磁性粒子を固定化するために、磁石を水平移動させるために使用することができる。
【0037】
アッセイを調整し分析する方法のフローチャートが、図6に示されている。図6のブロック70に示されているように、該方法は、分析のために1又はそれ以上の試料をアッセイ調整用プレートのそれぞれの試料用ウエルに注入することを含む。1又はそれ以上の試料は、関心のある1又はそれ以上の対象検体の存在又は不存在の判定が望まれる、あらゆる生物学的、化学的、又は環境に関する流体を含むものとすることができる。1又はそれ以上の試料の注入処理は、手作業によるか又は自動的に実施することができるが、いずれの場合においても、一般的には、アッセイ調整用プレートを流体アッセイ解析システムのアッセイ・プレート受け取り領域に挿入する前に実施されるものであり、この処理は、ブロック72に示されている。アッセイ調整用プレートがアッセイ・プレート受け取り領域に設置された後、該方法はブロック74へと続き、そこでアッセイ・プレート受け取り領域内のアッセイ調整用プレートの位置が、アッセイ調整用プレートの特定のウエルが流体アッセイ解析システムのピペットと整列状態となるように確定される。幾つかの場合においては、特定のウエルは試薬用ウエルとすることができる。しかしながら、他の実施形態においては、特に試料用ウエルが、その中に試料を注入する前に試薬(例えば、磁性粒子又は希釈剤)を含むようにされた実施形態においては、特定のウエルは、1又はそれ以上の試料を注入された試料用ウエルの1つとすることができる。
【0038】
いずれの場合においても、該方法は、ブロック76及び78にそれぞれ示しているように、ピペットを介して特定のウエル内に配置された流体物質を吸引し、アッセイ調整用プレートの異なるウエルがピペットと整列状態となるように、アッセイ・プレート受け取り領域内のアッセイ調整用プレートを移動させることを含む。その後、該方法はブロック80に続き、流体物質が異なるウエルに分配される。異なるウエルは、試料用ウエル(すなわち、最初に射出した試料を有するウエル)とすることができるか、又は試薬用ウエル或いは異なる試料用ウエルとすることができる。いずれの場合においても、ブロック74、76、78及び80で概説された処理は、ブロック82に述べられているように、試料をアッセイのための特定の試薬と混合することを含む。ブロック82からの延長点線で示されているように、試薬は複数の磁性粒子を含むことができ、したがってブロック74、76、78及び80で概説された処理は、ブロック84に示しているように、試料を磁性粒子と混合することを含むことができる。このような場合には、ブロック86に述べているように、該方法は、特定的にブロック74、76、78及び80で概説されている処理が実施される時の幾つかの時点で、磁性粒子を固定化することを含むことができる。幾つかの場合には、図2を参照して述べられたように、固定化処理は、ピペットがアッセイ調整用プレートのプローブセンサと整列状態となるようにアッセイ・プレート受け取り領域内のアッセイ調整用プレートを移動させて、ピペットをプローブセンサにまで降下させることを含むことができる。プローブセンサでピペットを検知すると、ピペットが磁性粒子を含むアッセイ調整用プレートのウエルと整列状態となるように、アッセイ調整用プレートはアッセイ・プレート受け取り領域内で移動させることができ、更に磁石アクチュエータは、磁性粒子を含むウエルに近い位置で、磁石を作動させることができる。
【0039】
ブロック88において、アッセイが完全であるかどうかの判決定がなされる。アッセイが完全でない場合は、該方法はブロック74に戻り、アッセイの調整が完了するまで、ブロック74、76、78及び80に概説された処理を繰り返す。ブロック74、76、78及び80に概説された処理を行う各々の通過は、磁性粒子の固定化、又は試料を磁性粒子と混合することを含む必要はない。具体的には、アッセイの処理又は調整は、広い範囲の処理段階及び関連する試薬を意味するものとすることができる。付加的に、又は代替的に、試料に混合することができる他の試薬は、遠心分離、対象検体の分離、対象検体の増幅、試料の洗浄、細胞溶解、凝固要因の中和、pH調整、温度サイクル、試薬混合、及びアッセイ反応に使用されるものを含むものとすることができる。他の処理段階のための試薬も、同様とみなすことができる。更に、ブロック74、76、78及び80に概説された処理は、最初に注入された試料の試料用ウエルなどの単一ウエルでアッセイを調整することを含むことができるか、又は複数のウエル、及び幾つかの実施形態においては、アッセイ調整用プレートと整列した状態の一連の試料用ウエルを使用してアッセイを調整することを含むことができることを述べておく。
【0040】
ブロック88においてアッセイの判定が完了すると、該方法は、任意ではあるが点線の矢印で示したように、ブロック74に戻り、別のアッセイを、ブロック70でアッセイ調整用プレートに注入された他の試料の1つにより調整することができる。この方法においては、該方法は、アッセイ調整用プレートに射出された各々の試料に対して、それぞれのアッセイを連続して調整する段階を含むことができる。しかしながら他の実施形態においては、該方法は、アッセイ調整用プレートに並列的に注入された幾つかの試料のために、それぞれのアッセイを調整することを含むことができる。このような実施形態は、同じアッセイ調整手順が幾つかのアッセイに対して実施される場合には、より効率的である。具体的には、流体アッセイ解析システムのピペットにより比較的多量の試薬を吸引し、各々の試料に分配するために使用することができる。
【0041】
いずれの場合においても、該方法は、1又はそれ以上の流体アッセイを分析することを更に含み、したがってピペット及び該ピペットと検査室との間に取り付けられた流体ラインを介して、アッセイ調整用プレートから流体アッセイ・システムの検査室に調整されたアッセイを吸引し、更にブロック90及び92で述べられたように、検査室内で調整されたアッセイを分析することを含む。このような段階の順序は、各々の調整されたアッセイに対して繰り返すことができる。
【0042】
この開示の利益を得た当業者術は、本発明が、アッセイ調整用プレート、流体アッセイ・システム、及び流体アッセイ解析システムの部品により、アッセイ調整用プレート内でアッセイを処理することができる、アッセイを調整及び分析する方法を提供すると考えられることを認識するであろう。本発明の様々な態様の更なる修正及び代替的実施形態は、本説明により当業者に明らかになる。例えば、あらゆるタイプの磁石アクチュエータを、ここに示された装置、システム及び方法に使用して、アッセイ調整用プレートのウエルから近い位置及び離れた位置に磁石を移動させることができ、ここで述べられた装置、システム及び方法は、図面の磁石アクチュエータの図に限定するべきではない。したがって、本説明は、説明のためだけのものと解釈され、当業者に本発明を実行する概略的方法を教示する目的のためのものである。ここに示され、説明された本発明の形態は、実際に好ましい実施形態とみなされることが理解されるべきである。別の要素及び物質を、ここに示されて、述べられたものと代えることができ、部分及び処理は可逆的とすることができ、更に本発明のある種の特性は独自に利用することができ、これらのすべては、本発明のこの説明の利益を得た後に当業者にとって明らかとなるものである。以下の特許請求の範囲に示されるように、本発明の思想及び範囲から外れることなく、ここに述べられた要素に変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0043】
10 流体アッセイ解析システム; 12 ピペット;
14 アッセイ調整用プレート; 22 試料用ウエル; 24 試薬用ウエル;
26 ケース; 28 プローブセンサ: 42 磁石;
45 磁石アクチュエータ; 52 電池; 56 指示器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエルのアレイと、
磁石と、
前記ウエルのアレイから選択した1又はそれ以上のウエルに対して、近接した位置及び離間した位置に前記磁石を移動させるように構成されたアクチュエータと、
からなることを特徴とするアッセイ調整用プレート。
【請求項2】
前記磁石は、前記アッセイ調整用プレートを構成する複数の磁石の1つであることを特徴とする請求項1に記載のアッセイ調整用プレート。
【請求項3】
前記複数の磁石の少なくとも幾つかは、前記選択したウエルに対して均一に位置決めされていることを特徴とする請求項2に記載のアッセイ調整用プレート。
【請求項4】
前記アクチュエータは、前記複数の磁石を、前記選択したウエルに対して近接した位置及び離間した位置に移動するようにそれぞれ形成された複数のアクチュエータの1つであることを特徴とする請求項2に記載のアッセイ調整用プレート。
【請求項5】
前記複数の磁石は、1又はそれ以上の磁石組立体を構成することを特徴とする請求項2に記載のアッセイ調整用プレート。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記複数の磁石が前記選択したウエルに対して近接した位置又は離間した位置となるように、前記1又はそれ以上の組立体を、全体として移動するように構成されたことを特徴とする請求項5に記載のアッセイ調整用プレート。
【請求項7】
前記磁石は、前記ウエルのアレイの下に配置されることを特徴とする請求項1に記載のアッセイ調整用プレート。
【請求項8】
前記磁石は、前記ウエルのアレイの1又はそれ以上のウエルに並列状態であることを特徴とする請求項1に記載のアッセイ調整用プレート。
【請求項9】
プローブセンサと、
前記プローブセンサを前記アクチュエータに取り付けた回路と、
を更に含み、
前記回路は、プローブが前記プローブセンサにより検知されたとき、前記アクチュエータを活性化するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のアッセイ調整用プレート。
【請求項10】
前記ウエルのアレイの前記幾つかのウエルは、アッセイを調整するための試薬を収めることを特徴とする請求項1に記載のアッセイ調整用プレート。
【請求項11】
前記試薬の少なくとも1つは、磁性粒子の組であることを特徴とする請求項10に記載のアッセイ調整用プレート。
【請求項12】
前記ウエルのアレイは、前記アッセイ調整用プレート内に締結された、取り外し可能な挿入部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のアッセイ調整用プレート。
【請求項13】
分析のための試料をアッセイ調整用プレートの試料用ウエルに注入し、
前記アッセイ調整用プレートを流体アッセイ解析システムのアッセイ・プレート受け取り領域に挿入し、
前記アッセイ調整用プレートの特定のウエルが前記流体アッセイ解析システムのピペットと整列状態となるように、前記アッセイ・プレート受け取り領域内において前記アッセイ調整用プレートの位置を確立し、
前記ピペットを介して、前記特定のウエル内に配置された流体物質を吸引し、
前記アッセイ調整用プレートの異なるウエルが、前記ピペットと整列状態となるように、前記アッセイ・プレート受け取り領域内において前記アッセイ調整用プレートを移動し、
前記流体物質を前記異なるウエルに分配する
段階を含み、
ここで、前記確立し、吸引し、移動し、分配する前記段階は、アッセイにとって特定の試薬を前記試料に対して混合することを含み、
前記アッセイが完了するまで、前記確立し、吸引し、移動し、分配する前記段階を繰り返して、前記試料を1又はそれ以上の付加的試薬と混合し、
ここで確立し、吸引し、移動し、分配する少なくとも一連の前記段階は、前記試料を複数の磁性粒子と混合することを含み、
前記試料を前記複数の磁性粒子と混合することに続き、前記アッセイ調整用プレートのウエル内の前記複数の磁性粒子を固定化し、
前記ピペットと、前記ピペットと前記検査室との間に取り付けられた流体ラインを介して、前記アッセイ調整用プレートからの前記アッセイを、前記流体アッセイ・システムの検査室に吸引し、
前記検査室内の前記アッセイを分析する、
ことから成ることを特徴とするアッセイを調整及び分析する方法。
【請求項14】
確立し、吸引し、移動し、分配する前記段階は、前記試料用ウエルの前記アッセイを調整することを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
確立し、吸引し、移動し、分配する前記段階は、前記アッセイ調整用プレート内の一連のウエルにおいて、前記アッセイを調整することを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の磁性粒子を固定化する前記段階は、
前記ピペットが前記アッセイ調整用プレートのプローブセンサと整列状態となるように、前記アッセイ・プレート受け取り領域内の前記アッセイ調整用プレートを移動し、
前記ピペットを前記プローブセンサにまで降下させ、
前記ピペットを前記プローブセンサが検知したとき、
前記ピペットが前記磁性粒子を含む前記アッセイ調整用プレートの前記ウエルと整列状態となるように、前記アッセイ・プレート受け取り領域内の前記アッセイ調整用プレートを移動させ、
前記磁性粒子を含む前記ウエルに近接した位置で、磁石を活性化する、
ことを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記アッセイ調整用プレートをアッセイ・プレート受け取り領域に挿入する前記段階の前に、分析のための1又はそれ以上の付加的試料を、前記アッセイ調整用プレートの他の試料用ウエルにそれぞれ注入することを更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
確立し、吸引し、移動し、分配する前記段階は、前記アッセイの前記調整と平行して、1又はそれ以上の付加的試料の各々に対するそれぞれのアッセイを調整することを更に含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
1又はそれ以上の付加的試料の各々に対して、それぞれのアッセイを一連の方法で調整するために、確立し、吸引し、移動し、分配する前記段階を繰り返すことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
アッセイ・プレート受け取り領域と、
前記アッセイ・プレート受け取り領域の上に配置されるピペットと、
前記ピペットとほぼ整列状態で、前記アッセイ・プレート受け取り領域の下に配置される磁石と、
前記アッセイ・プレート受け取り領域に近接した位置に、及び該領域から離間した位置に前記磁石を移動するように形成されたアクチュエータと、
前記アッセイ・プレートの異なるウエルが、異なる回数で前記ピペットと整列状態となるように、前記アッセイ・プレート受け取り領域内に配置されたアッセイ・プレートを移動させるための機構と、
流体ラインを介して、前記ピペットに取り付けられた検査室と、
前記検査室を照明するように形成された照明システムと、
前記ピペットと前記流体ラインを介して、前記検査室に導入されたアッセイ粒子から発せられ及び/又は分散された光を集束させ、収束した光の程度を示す信号を発生するように形成された検知システムと、
前記発生した信号を分析する検査システムと、
から成ることを特徴とする流体アッセイの調整及び解析システム。
【請求項21】
前記アクチュエータを選択的に活性化するために、プロセッサーにより実行可能なプログラム命令を有する貯蔵媒体を更に含むことを特徴とする請求項20に記載の流体アッセイの調整及び解析システム。
【請求項22】
前記流体アッセイの調整及び解析システムは、流体細胞計測器又は固定画像形成光学システムを含むことを特徴とする請求項20に記載の流体アッセイの調整及び解析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−510631(P2011−510631A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544466(P2010−544466)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/032022
【国際公開番号】WO2009/094642
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(500174502)ルミネックス コーポレーション (15)
【Fターム(参考)】