説明

アップライトピアノのアクション

【課題】バットスプリングのバットへの付勢力を調整可能なアップライトピアノのアクションを提供する。
【解決手段】バットフレンジ40は、本体41と、二叉部42とが形成されている。この二叉部42の一方にバットフレンジコード7の一端が固定され、また、二叉部42の他方側に設けられた糸通孔40cが設けられ、この糸通孔40cに通されたバットフレンジコード7が本体41に設けられた巻取ネジ40dに巻き取られて固定されている。このアクションでは、巻取ネジ40dでバットフレンジコード7の一端を巻き取ることで、バットフレンジ40に固定されている間のバットフレンジコード7の引掛部の長さを調整することができる。そのため、この引掛部の長さを調整することで、この引掛部に引っ掛けられるバットスプリングがバットを付勢する付勢力を調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アップライトピアノのアクションに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アップライトピアノのアクション100を構成するバット101は、図6に示すように、ハンマー102と、バットスプリング103とを備え、バットフレンジ110に揺動可能に取り付けられている。
【0003】
また、バットスプリング103の先端には、バットフレンジ110に固定されたバットフレンジコード111が引っ掛けられてたわみ、このたわみにより、バット4を演奏者側(ハンマー102が弦を打弦する方向とは反対側)に付勢している(特許文献1)。
【0004】
バットフレンジコード111は、図7に示すように、バットフレンジ110に両端を接着して固定した状態で配置されている。
そして、バットスプリング103の付勢力は、このバットフレンジコード111が固定されている部分の間の引掛部分の長さによって定まり、具体的には、引掛部分の長さが短ければ短いほど、バットスプリング103のたわみが強くなる。
【0005】
そのため、バット101に係る付勢力は、バットスプリング103のバネ定数と、バットフレンジコード111の引掛部の長さで決定される。
このバットスプリング103の付勢力は、強すぎるとタッチがバネっぽくなり、弱すぎるとハンマーが初期位置に戻りにくくなって連打ができないなどの問題を生じるので、微妙な調整が求められる。
【0006】
従って、アクションの製造時には、バットスプリング103がバット101を付勢する付勢力が適切なものとなるようフレンジコード111の固定は極めて慎重に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−27934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、バットスプリング103の付勢力は、各アクションの微妙な製造誤差や、作業の熟練度合いなどで微妙に変化するので、製品完成後も調整することが求められるが、上述したように、バットフレンジコード111が製造の段階で固定されているので、実質的に調整することができなかった。
【0009】
本発明は、上記点に鑑み、バットスプリングのバットへの付勢力を調整可能なアップライトピアノのアクションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた発明である請求項1に記載のアップライトピアノのアクションは、バットフレンジと、ハンマーを備えるとともに、前記バットフレンジに揺動可能に支持され、押鍵動作を受けると揺動して、前記押鍵動作を前記ハンマーで打弦するための揺動動作に変換するバットと、前記バットに備えられるとともに、コイルバネで構成され、該コイルバネを形成するコイルの一方の端部が延設された第1足部が前記バットに接触するように配置されたバットスプリングと、前記バットフレンジに設定された2つの固定部を渡して固定され、該固定部の間の引掛部分に、前記コイルバネを形成するコイルの他方の端部から延設された第2足部が引っ掛けられるバットフレンジコードと、を備え、前記バットスプリングは、前記バットフレンジコードに前記第2足部を引っ掛け、前記第1足部と前記第2足部との間隔を狭めることで、打弦のため回転する打弦方向とは反対の非打弦方向に前記バットを付勢するアップライトピアノのアクションにおいて、前記固定部のうち少なくともいずれか一方に、前記バットフレンジコードの前記引掛部分の長さを可変する可変手段を備え、前記可変手段により前記引掛部分の長さを変えることで、前記第1足部と前記第2足部との間隔を可変し、前記バットスプリングが前記バットを非打弦方向に付勢する付勢力を変更することを特徴とする。
【0011】
これによると、可変手段により、バットフレンジに固定されているバットフレンジコードの固定部間の引掛部分の長さを可変することができるので、バットスプリングがバットを非打弦方向に付勢する付勢力を変更することができる。
【0012】
従って、本発明のアクションを用いると、バットスプリングのバットへの付勢力を自在に調整することができる。
次に、請求項2に記載したように、可変手段は、バットフレンジコードを巻回する調整ネジで構成してもよい。
【0013】
これによると、調整ネジの回転数を管理することで、バットフレンジコードの引掛部の長さを調整でき、ひいては、バットスプリングの付勢力を調整することができる。
次に、請求項3に記載したように、調整ネジが設けられた固定部は、バットフレンジコードを通して仮留めする糸通孔を備え、調整ネジは、糸通孔を通したバットフレンジコードを巻回するようにしてもよい。
【0014】
このようにすると、糸通孔でバットフレンジコードが仮留めされ、さらに、調整ネジで固定されるので、バットフレンジコードが押鍵のたびに引っ張られて固定が解かれる方向に力が働いても、固定が解かれて、バットフレンジコードの引掛部の長さが変わってしまうことを防止することができる。
【0015】
次に、請求項4に記載したように、可変手段は、バットフレンジコードを通す糸通孔と、バットフレンジに螺合すると先端が糸通孔に達し、糸通孔を通っているバットフレンジコードを糸通孔内で固定する固定手段とを備え、バットフレンジコードを糸通孔内で移動させて、固定手段でバットフレンジコードを固定する位置を変えることで、バットフレンジコードの引掛部分の長さを可変するようにしてもよい。
【0016】
このようにすると、糸通孔に通したバットフレンジコードの糸通孔内での位置を変えて、固定手段で固定する簡単な操作で、バットフレンジコードの引掛部分の長さを変更することができる。
【0017】
しかも、このようにすると、糸通孔内で強固にバットフレンジコードを固定することができるので、バットフレンジコードが押鍵のたびに引っ張られて固定が解かれる方向に力が働いても、固定が解かれて、バットフレンジコードの引掛部の長さが変わってしまうことを防止することができる。
【0018】
尚、請求項5に記載したように、固定部の少なくとも一方は、バットフレンジコードをバットフレンジに接着して固定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】アップライトピアノのアクションの右側面図である。
【図2】バット用の後方側の側面を後方側から見た側面図である。
【図3】バットの右側側面を右側から見た側面図である。
【図4】バットフレンジの説明図で、(a)は斜視図、(b)は右側面図である。
【図5】その他の実施形態のバットフレンジの説明図で、(a)は斜視図、(b)は右側面図である。
【図6】従来のアップライトピアノのアクションの左側面図である。
【図7】従来のバットフレンジの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明が適用された実施形態であるアップライトピアノのアクションについて説明する。
なお、以下の説明では、演奏のため演奏者が鍵盤の前に座ったとき、ピアノから見て演奏者側を「前方」、その反対側を「後方」、演奏者がピアノを正面にみたときの演奏者から見て左右方向を「左右方向」として説明する。
【0021】
本実施形態のアップライトピアノは、88本の鍵90を有する鍵盤を備えており、各鍵90は左右方向に並べられている(図1の紙面に対して垂直な方向)。
そして各鍵90は、筬91の上面に配置された筬中92を支点に、前方側を押下すると後方側が上昇するよう、揺動可能に設置されている。
【0022】
アクション1は、各鍵90毎に設けられており、各鍵90の後方側の上方に設置されている。
筬91の左右端部には、図示しないブラケットが設けられており、左右のブラケットの間には、センターレール80およびハンマーレール81等が左右方向に沿って渡されており、アクション1は、このうち主にセンターレール80に固定されている。
【0023】
アクション1は、鍵90を押鍵する押鍵動作を、主に、ウィッペン2、ジャック3、バット4を介して、ハンマー5に伝えている。
以下、各構成について簡単に説明する。
【0024】
ウィッペン2は、例えば合成樹脂や木材によって所定の形状に形成されており、その後端部において、センターレール80の下端部に固定されたウィッペンフレンジ20に、ピン21を介して回動自在に支持されている。
【0025】
ウィッペン2の前部には、下方に突出するヒール部22が設けられており、ウィッペン2は、このヒール部22を介して、対応する鍵90の上面後端部に設けられたキャプスタンボタン93上に載置されている。
【0026】
ウィッペン2の上面前端部には、バックチェックワイヤ23が立設されており、このバックチェックワイヤ23の先端部に、バックチェック24が取り付けられている。
次に、ジャック3は、例えば合成樹脂で構成されており、射出成形によって一体成形されている。
【0027】
ジャック3は、前後方向に延びる基部30と、基部30の後端部から上方に延びる突上部31を有しており、基部30と突上部31との角部において、ウィッペン2の中央部に、ピン状の支点32を介して回動自在に支持されている。
【0028】
ジャック3の基部30とウィッペン2の間には、離鍵時にジャック3を復帰回動させるためのジャックスプリング33が設けられている。
また、基部30の上方には、レギュレティングボタン34が鍵90ごとに設けられている(1つのみ図示)。
【0029】
このレギュレティングボタン34は、センターレール80に固定されている。
次に、バット4は、合成樹脂により所定の形状に形成されていて、その後方側の下端部において、センターレール80の上端部に固定されたバットフレンジ40に、ピン48を介して回動自在に支持されており、それにより、ハンマー5は回動自在になっている。
【0030】
バット4の前面には、キャッチャー49が取り付けられており、キャッチャー49は、前方に延び、離鍵状態では、前述したバックチェック24の後方に位置し、これと対向している。
【0031】
また、バット4の後方側の上端部は後方に若干突出し、図2に示すように、その左右方向の中央に、溝43が形成されており、この溝43には、バットスプリング6が取り付けられている。
【0032】
次に、ハンマー5は、図1に示すように、ハンマーシャンク50およびハンマーヘッド51を有している。
ハンマーシャンク50は、断面円形の細長い棒状に形成され、アクション1の後述するバット4の上面に立設されており、上下方向に延びている。
【0033】
ハンマーヘッド51は、ハンマーウッド51aおよびこれに巻かれたハンマーフェルト51bなどで構成されており、ハンマーシャンク50の上端部に設けられていて、離鍵状態では、後方に鉛直に張られた弦Sに対向している。
【0034】
次に、バットスプリング6について説明する。
このバットスプリング6は、図3に示すように、ねじりコイルばねで構成されており、コイル部60、第1足部61および第2足部62を有している。
【0035】
コイル部60は、バット4の溝43に収容された状態で(図2参照)、バットフレンジコード7に係止されており、第1足部61は、コイル部60の一端から下方に延び、溝43の底面に当接している。
【0036】
第2足部62は、コイル部60の他端から下方に延びており、その下端部に、フック部63が形成されている。
フック部63は、バット4側に凸に湾曲した状態で突出しており、バットフレンジ40に取り付けられたバットフレンジコード7が引っ掛けられる。
【0037】
すると、バットスプリング6は、バット4とバットフレンジ40の間にたわんだ状態で取り付けられることとなり、それにより、バット4を前方に常に付勢し、ハンマー5を図1の時計回りに付勢する。
【0038】
次に、バットフレンジ40及びバットフレンジコード7について説明する。
バットフレンジ40は、図4に示すように、本体41と、この本体41の上面から所定間隔開けて上方に向かって延設された二叉部42とを備え、この本体41と二叉部42とにより、前方から見ると略凹の字状に形成されている。
【0039】
バット4は、後方下部の角部4aが二叉部42の間に差し込まれ、バット4の後方下部の角部4aと、二叉部42とにピン48が通され、このピン48を支点に回動可能に支持されている(図1参照)。
【0040】
また、バットフレンジ40には、右側の二叉部42の前方側の頂部で上方に向かって開口する差込孔40aから、右側の二叉部42の根本部分の下方の本体41で前方に向かって開口する引出孔40bまで、バットフレンジコード7を通す糸通孔40cが形成されている。
【0041】
また、バットフレンジ40の引出孔40bの下方には、バットフレンジコード7の先端が巻回された巻取ネジ40dが設けられている。この巻取ネジ40dを回転操作することで、バットフレンジコード7を巻き取ったり、引き出したりすることができる。
【0042】
バットフレンジコード7の一端は、この糸通孔40cに通されると、差込孔40aと引出孔40bとが異なる方向を向いているため抵抗を受けて仮止めされ、さらに、巻取ネジ40dによって完全に固定されている。
【0043】
また、バットフレンジコード7は、巻取ネジ40dを回転することにより、バットフレンジ40の左側の二叉部42に接着して固定された部分と、右側の二叉部42に糸通孔40cと巻取ネジ40dとによって固定された部分(より具体的には差込孔40a)との間の、バットスプリング6の第2足部62が引っ掛けられる引掛部の長さを変更することができる。
【0044】
このようにバットフレンジコード7のバットフレンジ40に固定されている部分の間の引掛部の長さを変更することができるとバットスプリング6のたわみを変更することができる。
【0045】
このたわみを、図3に示すように、バットスプリング6の第1足部61および第2足部62の間の角度θで表すと、このθが小さければ小さいほど、バットスプリング6がバット4を前方側に付勢する付勢力は大きくなる。
【0046】
すなわち、本実施形態のアクション1は、巻取ネジ40dを回転量を調整することで、バットスプリング6がバット4を付勢する付勢力を適切に調整することができる。
尚、バットフレンジ40の本体41の中央にはネジ孔41hが設けられ、バットフレンジ40は、このネジ孔41hにネジを通して、センターレール80に固定される。
【0047】
巻取ネジ40dは、正面から見て、ネジ孔41hの右側に配置される。
次に、上述したアクション1などの押鍵の開始から離鍵の終了までの一連の動作について説明する。
【0048】
演奏者により離鍵状態の鍵90が押鍵されると、図1に示すように、鍵90は、筬中92を支点に揺動し、その後端部に載置されたウィッペン2は、鍵90に突き上げられることによって、支点21を中心として上方(反時計回り)に回動する。
【0049】
このウィッペン2の回動に伴い、ジャック3は、ウィッペン2と一緒に上方に移動し、バット4を突き上げる。これにより、バット4およびハンマー5は、バットスプリング6の付勢力に抗しながら、ピン48を中心として、後方の弦Sに向かって反時計回りに回動する。
【0050】
そして、ウィッペン2が所定角度、回動したときに、ジャック3の基部30がレギュレティングボタン34に当接し、上方への移動が規制されることにより、ジャック3がウィッペン2に対して時計回りに回動する。
【0051】
押鍵がさらに進むと、ジャック3がウィッペン2に対してさらに回動することによって、ジャック3から前方に外れ、ジャック3がバット4から離脱する(レットオフ)。
これにより、鍵90のタッチ重さからバット4およびハンマー5の重量分が失われることによって、演奏者にレットオフ感が付与される。
【0052】
また、このジャック3の離脱後、ハンマー5は、慣性で回動し、弦Sを打弦することによって、ピアノ音を発生させる。
その後、ハンマー5は、バットスプリング6の付勢力によって時計回りに復帰回動し、キャッチャー49がバックチェック24に係止されることによって、一旦、停止する。
【0053】
そして、押鍵が終了し、鍵90が離鍵されるのに伴い、バックチェック24によるハンマー5の係止状態が解除され、それにより、ハンマー5は復帰回動を再開する。
また、これと並行して、鍵90およびアクション1なども復帰回動することによって、図1に示す離鍵状態に復帰し、押鍵の開始から離鍵の終了までの一連の動作が終了する。
【0054】
以上説明した本実施形態のアクション1は以下のような特徴がある。
本実施形態のアクション1は、巻取ネジ40dにより、バットフレンジコード7の引掛部の長さを可変することで、バットスプリング6の第1足部61と第2足部62との間隔を変更して、バットスプリング6がバット4を非打弦方向に付勢する付勢力を変更することができる。
【0055】
従って、本実施形態のアクション1を用いると、バットスプリング6のバット4への付勢力を自在に調整することができる。
また、本実施形態のアクション1は、巻取ネジ40dでバットフレンジコード7を巻き取ることで、バットフレンジコード7の長さを変更しているので、巻取ネジ40dの回転数を管理することで、バットフレンジコード7の引掛部の長さを調整でき、ひいては、バットスプリング6の付勢力を調整することができる。
【0056】
また、本実施形態のアクション1は、バットフレンジコード7を糸通孔40cに通すことで仮止めし、そのバットフレンジコード7を巻取ネジ40dで巻き取って固定しているので、バットフレンジコード7が押鍵のたびに引っ張られて固定が解かれる方向に力が働いても、固定が解かれて、バットフレンジコード7の引掛部の長さが変わってしまうことを防止することができる。
【0057】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、バットフレンジコード7を糸通孔40cに通し、その糸通孔40cから出てきた先端を巻取ネジ40dで巻き取る構成としたが、図5に示すように、構成してもよい。
【0058】
すなわち、糸通孔40cに通っているバットフレンジコード7を、バットフレンジ40に螺合すると先端が糸通孔40cに達するネジ40gを用い、糸通孔40cを通っているバットフレンジコード7を糸通孔40c内でネジ40gの先端でバットフレンジコード7を糸通孔40cに押しつけて固定するようにしてもよい。
【0059】
このようにすると、糸通孔40cを抜けたバットフレンジコード7の先端を引っ張ったり、逆方向にひっぱるなどして、糸通孔40c内でバットフレンジコード7を移動させ、所定位置でネジ40gを用いて固定すれば、バットフレンジコード7を固定する位置を変えることで、バットフレンジコード7の引掛部分の長さを可変することができる。
【0060】
このようにすると、糸通孔40cに通したバットフレンジコード7の糸通孔40c内での位置を変えて、ネジ40gで固定する簡単な操作で、バットフレンジコード7の引掛部分の長さを変更することができる。
【0061】
しかも、このようにすると、糸通孔40c内で強固にバットフレンジコード7を固定することができるので、バットフレンジコード7が押鍵のたびに引っ張られて固定が解かれる方向に力が働いても、固定が解かれて、バットフレンジコード7の引掛部の長さが変わってしまうことを防止することができる。
【0062】
尚、特許請求の範囲に記載された調整ネジは、上述の実施形態の巻取ネジに相当し、固定部は、バットフレンジコード7の一端がバットフレンジ40に接着されて固定された部分と、糸通孔40cと、巻取ネジ40d(図4参照)、又は、糸通孔40cと、ネジ40g(図5参照)に相当する。
【0063】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0064】
1…アクション、2…ウィッペン、3…ジャック、4…バット、4a…角部、5…ハンマー、6…バットスプリング、7…バットフレンジコード、20…ウィッペンフレンジ、21…ピン、22…ヒール部、23…バックチェックワイヤ、24…バックチェック、30…基部、31…突上部、32…支点、33…ジャックスプリング、34…レギュレティングボタン、40…バットフレンジ、40a…差込孔、40b…引出孔、40c…糸通孔、40d…巻取ネジ、40g…ネジ、41…本体、41h…ネジ孔、42…二叉部、43…溝、48…ピン、49…キャッチャー、50…ハンマーシャンク、51…ハンマーヘッド、51a…ハンマーウッド、51b…ハンマーフェルト、60…コイル部、61…第1足部、62…第2足部、63…フック部、80…センターレール、90…鍵、91…筬、92…筬中、S…弦、θ…角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バットフレンジと、
ハンマーを備えるとともに、前記バットフレンジに揺動可能に支持され、押鍵動作を受けると揺動して、前記押鍵動作を前記ハンマーで打弦するための揺動動作に変換するバットと、
前記バットに備えられるとともに、コイルバネで構成され、該コイルバネを形成するコイルの一方の端部が延設された第1足部が前記バットに接触するように配置されたバットスプリングと、
前記バットフレンジに設定された2つの固定部を渡して固定され、該固定部の間の引掛部分に、前記コイルバネを形成するコイルの他方の端部から延設された第2足部が引っ掛けられるバットフレンジコードと、
を備え、
前記バットスプリングは、
前記バットフレンジコードに前記第2足部を引っ掛けて、前記第1足部と前記第2足部との間隔を狭めることで、打弦のため回転する打弦方向とは反対の非打弦方向に前記バットを付勢するアップライトピアノのアクションにおいて、
前記固定部のうち少なくともいずれか一方に、前記バットフレンジコードの前記引掛部分の長さを可変する可変手段を備え、
前記可変手段により前記引掛部分の長さを変えることで、前記第1足部と前記第2足部との間隔を可変し、前記バットスプリングが前記バットを非打弦方向に付勢する付勢力を変更することを特徴とするアップライトピアノのアクション。
【請求項2】
請求項1に記載のアップライトピアノのアクションにおいて、
前記可変手段は、
前記バットフレンジコードを巻回する調整ネジからなることを特徴とするアップライトピアノのアクション。
【請求項3】
請求項2に記載のアップライトピアノのアクションにおいて、
前記調整ネジが設けられた前記固定部は、前記バットフレンジコードを通して仮留めする糸通孔を備え、
前記調整ネジは、
前記糸通孔を通した前記バットフレンジコードを巻回することを特徴とするアップライトピアノのアクション。
【請求項4】
請求項1に記載のアップライトピアノのアクションにおいて、
前記可変手段は、
前記バットフレンジコードを通す糸通孔と、
前記バットフレンジに螺合すると先端が前記糸通孔に達し、前記糸通孔を通っている前記バットフレンジコードを前記糸通孔内で固定する固定手段と
を備え、
前記バットフレンジコードを前記糸通孔内で移動させて、前記固定手段で前記バットフレンジコードを固定する位置を変えることで、前記バットフレンジコードの前記引掛部分の長さを可変することを特徴とするアップライトピアノのアクション。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のアップライトピアノのアクションにおいて、
前記固定部の少なくとも一方は、前記バットフレンジコードを前記バットフレンジに接着して固定することを特徴とするアップライトピアノのアクション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−73502(P2012−73502A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219465(P2010−219465)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)