説明

アップリンクにおいて多重アンテナ送信の送信電力制御を行うための方法および装置

アップリンクにおける多重アンテナ送信の送信電力制御に対する技術を開示する。ワイヤレス送受信ユニット(WTRU)は、送信に対して少なくとも1つの入力ストリームを生成し、それぞれのチャネルに利得係数を適用する。利得係数は、基準チャネルの電力推定結果に基づいて決定される。WTRUは、複数のアンテナを介した送信のために入力ストリームから少なくとも2つのデータストリームを生成し、重みをそれらのデータストリームに適用する。利得係数および/または重みは、それぞれのアンテナ上の送信電力が最大許容値の範囲内となるように制御される。WTRUは、アンテナ上の送信電力が最大許容値を超えるという条件の下で電力スケーリングを実行することができる。WTRUは、他のチャネルの前に最初に拡張専用チャネル(E−DCH)個別物理データチャネル(E−DPDCH)をスケールダウンすることができる。複数のE−DCHストリームについて、WTRUは、多重ストリーム伝送による追加の電力オフセット係数に基づきE−DPDCH電力オフセットを計算することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ワイヤレス通信に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、2009年10月2日に出願した米国特許仮出願第61/248,034号明細書および2009年10月2日に出願した米国特許仮出願第61/247,995号明細書の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス通信サービスに対する需要は、音声サービスについても、データサービスについても著しく高まってきている。この需要の高まりに応えるために、新しいワイヤレス技術が開発されてきた。例えば、第三世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)では、リリース5および6のWCDMA(広帯域符号分割多元接続)、HSDPA(高速ダウンパケットアクセス)、およびHSUPA(高速アップリンクパケットアクセス)が、それぞれ、スペクトル効率とピークデータレートを著しく高めるために導入されている。
【0004】
空気中を伝搬するワイヤレス信号は、伝搬損失、シャドウイング、マルチパスフェージング、ドップラー偏移などを含む、さまざまな信号障害を受けやすい。マルチパスフェージングまたは高速フェージングは、伝搬路内で遭遇する物体に当たって反射することにより位相と振幅が変化する送信された信号の複製が結合することで引き起こされる。マルチパスフェージングが発生する結果、受け取った信号の電力の望ましくない変動が生じる。
【0005】
フェージングの悪影響に対処するために送信ダイバーシティ方式が開発された。送信ダイバーシティは、複数の独立した経路上で同じ信号を送信する方式である。送信ダイバーシティは、同じ信号を異なる時点(時間ダイバーシティ)において、異なる周波数キャリアまたはサブキャリア(周波数ダイバーシティ)上で、または異なるアンテナ(空間ダイバーシティ)上で送信することによって実現される。ダウンリンク送信ダイバーシティは、閉ループのものも開ループのものも、WCDMA規格の一部である。
【0006】
送信ダイバーシティ/ビームフォーミングまたはマルチ入力マルチ出力(MIMO)などの多重アンテナ技術は、HSUPAには採用されていない。アップリンク性能の向上は、WTRU送信電力要件を、特に高データレートアプリケーションに対して低減するうえで重要である。WTRUの電池消費電力を減らすことに加えて、UL性能を改善することは、高データレートサービスのカバレッジエリアを広げることにつながる。
【0007】
電力制御は、干渉制限のあるマルチユーザー通信システムにおける干渉管理に対して、特にCDMA(符号分割多元接続)ベースのHSUPAシステムの場合に重要なファクターとなっている。このようなシステムでは、それぞれのユーザーの実行効率は、自分の送信だけでなく、他のユーザーの送信にも依存する。HSUPAおよびWCDMAアップリンクに対する従来の電力制御メカニズムは、シングル入力シングル出力(SISO)システムに基づいており、送信機側と受信機側の両方において1本のアンテナしか使用されない。
【発明の概要】
【0008】
アップリンクにおける多重アンテナ送信の送信電力制御に対する実施形態を開示する。ワイヤレス送受信ユニット(WTRU)は、送信に対して少なくとも1つの入力ストリームを生成し、それぞれのチャネルに利得係数を適用する。利得係数は、基準チャネルの電力推定結果に基づいて決定される。WTRUは、複数のアンテナを介した送信のために入力ストリームから少なくとも2つのデータストリームを生成し、重みをそれらのデータストリームに適用する。利得係数および/または重みは、それぞれのアンテナ上の送信電力が最大許容値の範囲内となるように制御される。WTRUは、アンテナ上の送信電力が最大許容値を超えるという条件の下で電力スケーリングを実行することができる。WTRUは、他のチャネルの前に最初に拡張専用チャネル(E−DCH)、個別物理データチャネル(E−DPDCH)をスケールダウンすることができる。複数のE−DCHストリームについて、WTRUは、多重ストリーム伝送(multiple stream transmission)による追加の電力オフセット係数に基づきE−DPDCH電力オフセットを計算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の詳細は、例えば添付図面と併せて、以下の説明を読むとさらによく理解することができる。
【0010】
【図1A】1つまたは複数の開示されている実施形態が実装されうる例示的な通信システムのシステム図である。
【図1B】図1Aに例示されている通信システム内で使用されうる例示的なWTRUのシステム図である。
【図1C】図1Aに例示されている通信システム内で使用されうる例示的な無線アクセスネットワークおよび例示的なコアネットワークのシステム図である。
【図2】一実施形態によるビームフォーマーを備える例示的な送信機を示す図である。
【図3】単位電力制約のあるビームフォーマーを備える例示的な送信機を示す図である。
【図4】2ステップアプローチによる送信電力制御の例示的なプロセスの流れ図である。
【図5】一実施形態による二重E−DCHコードワード空間多重化(dual E−DCH codeword spatial multiplexing)を行うための例示的な送信機を示す図である。
【図6】従来のF−DPCH構造を示す図である。
【図7】この実施形態によるF−DPCH上の例示的なTPCコマンド送信を示す図である。
【図8】一実施形態による単一コードワード空間多重化を行うための例示的な送信機を示す図である。
【図9】一実施形態による疑似空間多重化方式を実装する例示的な送信機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1Aは、1つまたは複数の開示されている実施形態が実装されうる例示的な通信システム100の図である。通信システム100は、音声、データ、動画像、メッセージング、放送などのコンテンツを複数のワイヤレスユーザーに提供する多元接続システムであるものとしてよい。通信システム100は、ワイヤレス帯域を含む、システムリソースの共有を通じて複数のワイヤレスユーザーがそのようなコンテンツにアクセスすることを可能にするものとしてよい。例えば、通信システム100は、CDMA(符号分割多元接続)、TDMA(時分割多元接続)、FDMA(周波数分割多元接続)、OFDMA(直交FDMA)、SC−FDMA(シングルキャリアFDMA)、および同様のものなどの1つまたは複数のチャネルアクセス方法を使用することができる。
【0012】
図1Aに示されているように、通信システム100は、WTRU 102a、102b、102c、102d、無線アクセスネットワーク(RAN)104、コアネットワーク106、公衆交換電話網(PSTN)108、インターネット110、および他のネットワーク112を含むものとしてよいが、開示されている実施形態では、任意の数のWTRU、基地局、ネットワーク、および/またはネットワーク要素を企図している。WTRU 102a、102b、102c、102dのそれぞれは、ワイヤレス環境において動作し、および/または通信するように構成された任意の種類のデバイスとすることができる。例えば、WTRU 102a、102b、102c、102dはワイヤレス信号を送信し、および/または受信するように構成することができ、ユーザー装置(UE)、移動局、固定または移動加入者ユニット、ポケベル、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、ラップトップ、ノートブック、パーソナルコンピュータ、ワイヤレスセンサー、家庭用電化製品、および同様のものを含みうる。
【0013】
通信システム100は、基地局114aおよび基地局114bを備えることもできる。基地局114a、114bのそれぞれは、コアネットワーク106、インターネット110、および/またはネットワーク112などの、1つまたは複数の通信ネットワークへのアクセスが円滑に行われるようにWTRU 102a、102b、102c、102dのうちの少なくとも1つのWTRUとワイヤレス方式でインターフェースする構成をとる任意の種類のデバイスとすることができる。例えば、基地局114a、114bは、トランシーバ基地局(BTS)、ノードB、eNodeB、ホームノードB、ホームeNodeB、サイトコントローラ、アクセスポイント(AP)、ワイヤレスルーター、および同様のものとすることができる。基地局114a、114bは、それぞれ、単一要素として示されているが、基地局114a、114bは任意の数の相互接続された基地局および/またはネットワーク要素を備えることができることは理解されるであろう。
【0014】
基地局114aは、基地局制御装置(BSC)、無線ネットワークコントローラ(RNC)、中継ノードなどの、他の基地局および/またはネットワーク要素(図示せず)も備えることができる、RAN 104の一部であってもよい。基地局114aおよび/または基地局114bは、セル(図示せず)とも称することができる、特定の地理的領域内でワイヤレス信号を送信し、および/または受信するように構成されうる。セルは、いくつかのセルセクターにさらに分割することができる。例えば、基地局114aに関連付けられているセルは、3つのセクターに分割することができる。そこで、一実施形態において、基地局114aは、3つのトランシーバ、つまり、セルのセクター毎にトランシーバを1つずつ備えることができる。別の実施形態において、基地局114aは、マルチ入力マルチ出力(MIMO)技術を使用することができ、したがって、セルのそれぞれのセクターに対して複数のトランシーバを使用することができる。
【0015】
基地局114a、114bは、WTRU 102a、102b、102c、102dのうちの1つまたは複数と、任意の好適なワイヤレス通信リンク(例えば、無線周波数(RF)、マイクロ波、赤外線(IR)、紫外線(UV)、可視光などの)であってよい、エアーインターフェース116を介して通信することができる。エアーインターフェース116は、任意の好適な無線アクセス技術(RAT)を使用して設置することができる。
【0016】
より具体的には、上記のように、通信システム100は多元接続システムとすることができ、CDMA、TDMA、FDMA、OFDMA、SC−FDMA、および同様のものなどの、1つまたは複数のチャネルアクセス方式を使用することができる。例えば、RAN 104内の基地局114a、およびWTRU 102a、102b、102cでは、広帯域CDMA(WCDMA)を使用してエアーインターフェース116を設置することができる、ユニバーサルモバイル通信システム(UMTS)地上波無線アクセス(UTRA)などの無線技術を実装することができる。WCDMAは、高速パケットアクセス(HSPA)および/または発展型HSPA(HSPA+)などの通信プロトコルを備えることができる。HSPAは、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)および/または高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)を備えることができる。
【0017】
別の実施形態において、基地局114aおよびWTRU 102a、102b、102cは、ロングタームエボリューション(LTE)および/またはLTE−Advanced(LTE−A)を使用してエアーインターフェース116を設置することができる、発展型UMTS地上波無線アクセス(E−UTRA)などの無線技術を実装することができる。
【0018】
他の実施形態において、基地局114aおよびWTRU 102a、102b、102cは、IEEE 802.16(つまり、Worldwide Interoperability for Microwave Access(WiMAX))、CDMA2000、CDMA2000 1X、CDMA2000 EV−DO、Interim Standard 2000(IS−2000)、Interim Standard 95(IS−95)、Interim Standard 856(IS−856)、Global System for Mobile communications(GSM(登録商標))、Enhanced Data rates for GSM Evolution(EDGE)、GSM EDGE(GERAN)、および同様のものなどの無線技術を実装することができる。
【0019】
図1Aの基地局114bは、例えば、ワイヤレスルーター、ホームノードB、ホームeNodeB、またはアクセスポイントとすることができ、事業所、家庭、自動車、キャンパス、および同様のものなどの、局在化されたエリア内でワイヤレス接続を円滑に行えるようにするために好適なRATを利用することができる。一実施形態において、基地局114bおよびWTRU 102c、102dは、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)を設置するためにIEEE802.11などの無線技術を実装することができる。別の実施形態において、基地局114bおよびWTRU 102c、102dは、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)を設置するためにIEEE802.15などの無線技術を実装することができる。さらに別の実施形態において、基地局114bおよびWTRU 102c、102dは、ピコセルまたはフェムトセルを設置するためにセルラーベースのRAT(例えば、WCDMA、CDMA2000、GSM、LTE、LTE−Aなど)を利用することができる。図1Aに示されているように、基地局114bは、インターネット110との直接接続を有することができる。そうすると、基地局114bは、コアネットワーク106を介してインターネット110にアクセスする必要がなくなる。
【0020】
RAN 104は、コアネットワーク106と通信しているものとしてよく、このコアネットワーク106は、音声、データ、アプリケーション、および/またはボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)サービスをWTRU 102a、102b、102c、102dのうちの1つまたは複数のWTRUに提供するように構成された任意の種類のネットワークであってよい。例えば、コアネットワーク106は、呼制御、課金サービス、モバイル位置情報サービス、前払い制通話、インターネット接続性、映像配信などを提供し、および/またはユーザー認証などの高水準のセキュリティ機能を備えることができる。図1Aには示されていないが、RAN 104および/またはコアネットワーク106は、RAN 104と同じRAT、または異なるRATを使用する他のRANと直接的な、または間接的な通信を行うことができる。例えば、E−UTRA無線技術を使用している可能性のある、RAN 104に接続されることに加えて、コアネットワーク106は、GSM無線技術を採用する別のRAN(図示せず)と通信していることもある。
【0021】
コアネットワーク106は、WTRU 102a、102b、102c、102dがPSTN 108、インターネット110、および/または他のネットワーク112にアクセスするためのゲートウェイとしても機能しうる。PSTN 108は、アナログ音声通話のみ可能な旧来の電話サービス(POTS)を提供する回線交換電話網を含むものとしてよい。インターネット110は、TCP/IPインターネットプロトコル群に含まれる伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザーデータグラムプロトコル(UDP)、およびインターネットプロトコル(IP)などの、共通通信プロトコルを使用する相互接続されたコンピュータネットワークおよびデバイスの地球規模のシステムを含むことができる。ネットワーク112は、他のサービスプロバイダによって所有され、および/または運営される有線もしくはワイヤレス通信ネットワークを含むことができる。例えば、ネットワーク112は、RAN 104と同じRAT、または異なるRATを使用することができる、1つまたは複数のRANに接続された別のコアネットワークを含むことができる。
【0022】
通信システム100内のWTRU 102a、102b、102c、102dのうちのいくつか、またはすべてがマルチモード機能を備える、つまり、WTRU 102a、102b、102c、102dは、異なるワイヤレスリンク上で異なるワイヤレスネットワークと通信するための複数のトランシーバを備えることができる。例えば、図1Aに示されているWTRU 102cは、セルラーベースの無線技術を使用している可能性のある、基地局114aと、またIEEE802無線技術を使用している可能性のある、基地局114bと通信するように構成することができる。
【0023】
図1Bは、例示的なWTRU 102のシステム図である。図1Bに示されているように、WTRU 102は、プロセッサ118、トランシーバ120、送受信要素122、スピーカー/マイクロホン124、キーパッド126、ディスプレイ/タッチパッド128、取り外し不可能なメモリ106、取り外し可能なメモリ132、電源134、全世界測位システム(GPS)チップセット136、および他の周辺機器138を備えることができる。WTRU 102は、一実施形態との一貫性を維持しながら前記の要素の部分的組み合わせを備えることができることが理解されるだろう。
【0024】
プロセッサ118は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来型のプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアとの関連性を持つ1つまたは複数のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路、他の種類の集積回路(IC)、状態機械、および同様のものとすることができる。プロセッサ118は、信号符号化、データ処理、電力制御、入出力処理、および/またはWTRU 102がワイヤレス環境内で動作することを可能にする他の機能を実行することができる。プロセッサ118は、送受信要素122に結合されうる、トランシーバ120に結合することができる。図1Bは、プロセッサ118およびトランシーバ120を別々のコンポーネントとして表しているが、プロセッサ118およびトランシーバ120は、電子パッケージまたはチップ内に集積化してまとめることができることが理解されるだろう。
【0025】
送受信要素122は、エアーインターフェース116上で基地局(例えば、基地局114a)に信号を送信するか、または基地局(例えば、基地局114a)から信号を受信するように構成されうる。例えば、一実施形態において、送受信要素122は、RF信号を送信し、および/または受信するように構成されたアンテナとすることができる。別の実施形態において、送受信要素122は、例えば、IR、UV、または可視光信号を送信し、および/または受信するように構成された放射体/検出器とすることができる。さらに別の実施形態において、送受信要素122は、RF信号と光信号の両方を送信し、受信するように構成することができる。送受信要素122は、ワイヤレス信号の組み合わせを送信し、および/または受信するように構成することができることが理解されるだろう。
【0026】
それに加えて、図1Bでは送受信要素122は単一の要素として示されているが、WTRU 102は、任意の数の送受信要素122を備えることができる。より具体的には、WTRU 102は、MIMO技術を採用することができる。そのため、一実施形態において、WTRU 102は、エアーインターフェース116上でワイヤレス信号を送信し受信するための2つまたはそれ以上の送受信要素122(例えば、複数のアンテナ)を備えることができる。
【0027】
トランシーバ120は、送信器/受信要素122によって送信されるべき信号を変調し、送受信要素122によって受信された信号を復調するように構成されうる。上記のように、WTRU 102は、マルチモード機能を有することができる。そのため、トランシーバ120は、例えば、UTRAおよびIEEE802.11などの複数のRATを介してWTRU 102が通信することを可能にするための複数トランシーバを備えることができる。
【0028】
WTRU 102のプロセッサ118は、スピーカー/マイクロホン124、キーパッド126、および/またはディスプレイ/タッチパッド128(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)表示ユニットまたは有機発光ダイオード(OLED)表示ユニット)に結合することができ、またそこからユーザー入力データを受け取ることができる。プロセッサ118は、ユーザーデータをスピーカー/マイクロホン124、キーパッド126、および/またはディスプレイ/タッチパッド128に出力することもできる。それに加えて、プロセッサ118は、取り外し不可能なメモリ106および/または取り外し可能なメモリ132などの、任意の種類の好適なメモリにある情報にアクセスし、データをそのようなメモリに格納することができる。取り外し不可能なメモリ106としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードディスク、または他の種類のメモリストレージデバイスが挙げられる。取り外し可能なメモリ132としては、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリスティック、セキュアデジタル(SD)メモリカード、および同様のものが挙げられる。他の実施形態において、プロセッサ118は、サーバーもしくはホームコンピュータ(図示せず)上など、WTRU 102上に物理的に配置されていないメモリにある情報にアクセスし、データをそのようなメモリに格納することができる。
【0029】
プロセッサ118は、電源134から電力を受け取り、その電力をWTRU 102内の他のコンポーネントに分配し、および/または制御するように構成されうる。電源134は、WTRU 102に給電するための任意の好適なデバイスとすることができる。例えば、電源134としては、1つまたは複数の乾電池(例えば、ニッケルカドミウム(NiCd)電池、ニッケル亜鉛(NiZn)電池、ニッケル水素(NiMH)電池、リチウムイオン(Li−ion)など)、太陽電池、燃料電池、および同様のものが挙げられる。
【0030】
プロセッサ118は、WTRU 102の現在位置に関する位置情報(例えば、経度と緯度)を提供するように構成されうる、GPSチップセット136にも結合することができる。GPSチップセット136からの情報に加えて、またはその代わりに、WTRU 102は、基地局(例えば、基地局114a、114b)からエアーインターフェース116上で位置情報を受信し、および/または2つもしくはそれ以上の付近の基地局から信号を受信するタイミングに基づきその位置を決定することができる。WTRU 102は、一実施形態との一貫性を維持しながら任意の好適な位置決定方法を用いて位置情報を取得することができる。
【0031】
プロセッサ118は、追加の特徴、機能、および/または有線もしくはワイヤレス接続性を提供する1つまたは複数のソフトウェアおよび/またはハードウェアモジュールを備えうる、他の周辺機器138にさらに結合することができる。例えば、周辺機器138としては、加速度計、電子コンパス、衛星トランシーバ、デジタルカメラ(写真または動画用)、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、バイブレーションデバイス、テレビジョントランシーバ、ハンズフリーヘッドセット、ブルートゥース(登録商標)モジュール、周波数変調(FM)ラジオユニット、デジタル音楽プレーヤー、メディアプレーヤー、ビデオゲームプレーヤーモジュール、インターネットブラウザ、および同様のものが挙げられる。
【0032】
図1Cは、一実施形態によるRAN 104およびコアネットワーク106のシステム図である。上記のように、RAN 104では、エアーインターフェース116上でWTRU 102a、102b、102cと通信するためにUTRA無線技術を使用することができる。RAN 104は、コアネットワーク106と通信することもできる。図1Cに示されているように、RAN 104は、ノードB 140a、140b、140cを備えることができ、これらはそれぞれ、エアーインターフェース116上でWTRU 102a、102b、102cと通信するための1つまたは複数のトランシーバを備えることができる。ノードB140a、140b、140cは、それぞれ、RAN 104内の特定のセル(図示せず)に関連付けることができる。RAN 104も、RNC 142a、142bを備えることができる。RAN 104は、一実施形態との整合性を維持しながら任意の数のノードBおよびRNC備えることができることは理解されるであろう。
【0033】
図1Cに示されているように、ノードB 140a、140bは、RNC 142aと通信しているものとしてよい。それに加えて、ノードB 140cは、RNC 142bと通信していてもよい。ノードB 140a、140b、140cは、Iubインターフェースを介して各RNC 142a、142bと通信することができる。RNC 142a、142bは、Iurインターフェースを介して互いに通信することもできる。RNC 142a、142bのそれぞれは、接続先の各ノードB 140a、140b、140cを制御するように構成されうる。それに加えて、RNC 142a、142bのそれぞれは、アウターループ電力制御、負荷制御、アドミッション制御、パケットスケジューリング、ハンドオーバー制御、マクロダイバーシティ、セキュリティ機能、データ暗号化、および同様のものなどの他の機能を実行もしくはサポートするように構成されうる。
【0034】
図1Cに示されているコアネットワーク106は、メディアゲートウェイ(MGW)144、移動通信交換局(MSC)、サービスGPRSサポートノード(SGSN)、および/またはゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)150を備えることができる。前記の要素のそれぞれは、コアネットワーク106の一部として示されているが、これらの要素のうちのどれか1つが、コアネットワーク事業者以外の事業体によって所有され、および/または運営されていてもよいことは理解されるであろう。
【0035】
RAN 104内のRNC 142aは、IuCSインターフェースを介してコアネットワーク106内のMSC 146に接続することができる。MSC 146は、MGW 144に接続することができる。MSC 146およびMGW 144は、WTRU 102a、102b、102cと従来の地上通信回線を使用する通信デバイスとの間の通信が円滑に行われるように、PSTN 108などの、回路交換ネットワークへのWTRU 102a、102b、102cのアクセスを可能にする。
【0036】
RAN 104内のRNC 142aは、IuPSインターフェースを介してコアネットワーク106内のSGSN 148に接続することもできる。SGSN 148は、GGSN 150に接続することができる。SGSN 148およびGGSN 150は、WTRU 102a、102b、102cとIP対応デバイスとの間の通信が円滑に行われるように、インターネット 110などの、パケット交換ネットワークへのWTRU 102a、102b、102cのアクセスを可能にするものとしてよい。
【0037】
上で指摘したように、コアネットワーク106によって、他のサービスプロバイダによって所有され、および/または運営されている他の有線もしくはワイヤレスネットワークを含んでいる可能性のある、ネットワーク112にも接続することができる。
【0038】
これ以降、二重アンテナ送信に対する3GPP HSUPAオペレーションを背景状況とする実施形態について説明するが、これらの実施形態は、どのようなワイヤレス技術および2つより多い送信アンテナを有するシステムにも適用可能であることに留意されたい。また、以下で開示されている実施形態において、個別物理制御チャネル(DPCCH)は電力基準チャネルとして使用されるが、他のどのようなチャネル(例えば、パイロットチャネル)も電力基準チャネルとして使用できることにも留意されたい。「E−DCHストリーム」および「E−DCHコードワード」という用語は、入れ替えて使用することができる。
【0039】
図2は、一実施形態による例示的な送信機200を示している。送信機200(WTRU内に配置されうる)は、ビームフォーミング機能を有し、重み付けブロック202、PA 204、およびアンテナ206を備える。入力信号は、2つの分岐に分かれる。それぞれの分岐からの信号は、重み付けブロック202によって複素重み係数w1およびw2の重みを付けられ、次いで、PA 204によって増幅される。次いで、PA 204からの出力信号である出力1と出力2が、それぞれアンテナ1およびアンテナ2を介して無線で送信される。
【0040】
一般性を失うことなく、入力信号電力は1に正規化されると仮定される。アンテナ1およびアンテナ2のコネクタのところで測定された出力電力は、
out1=|w121 式(1)
out2=|w222 式(2)
と表すことができ、式中、G1およびG2は、それぞれ、増幅器PA1およびPA2の電力利得である。重みw1およびw2が制約されていない場合、図2の送信機は、両方のアンテナ上で総和されたときに一定の電力出力を発生しえない。
【0041】
受信機へのチャネル利得が、2つのアンテナについて同じである場合、ビームフォーミングから利得を得るために位相オフセットを使用すれば十分である。しかし、受信機へのチャネル利得が2つのアンテナについて異なる場合、非単位振幅重みをそれぞれのアンテナに対して使用することができる。実際、アンテナビームフォーマーからの全放射電力は、修正することなく、電力制御などの、いくつかの従来のメカニズムを再利用することを可能にするので、1に制約されうる。
【0042】
図3は、単位電力制約のあるビームフォーマーを備える例示的な送信機300を示している。送信機300(WTRU内に配置されうる)は、重み付けブロック302、PA 304、およびアンテナ306を備える。入力信号は、2つの分岐に分かれる。それぞれの分岐からの信号は、複素重み係数で重み付けされ、したがって、振幅利得は、一方の分岐における利得制御ブロック302によって調整され、振幅利得および位相は、他方の分岐における利得制御ブロック303aおよび位相制御ブロック303bによって調整される。振幅利得および位相は両方とも、両方の分岐において調整されうる。2本のアンテナに対する合計利得は、同じままである。重み付けされた信号は、PA 304によって増幅される。次いで、PA 304からの出力信号である出力1と出力2が、それぞれアンテナ1およびアンテナ2を介して無線で送信される。
【0043】
PA出力を同じ利得を持つように制約することによって、2本のアンテナに対する合計電力は、実数値の重み振幅利得α≦1の任意の値および位相オフセットφに対して一定となる。入力信号電力が1に正規化されていると仮定すると、図3の電力制約ビームフォーマーに対するそれぞれのアンテナにおける出力電力は、
out1=α21 式(3)
out2=(1−α2)G2 式(4)
と表すことができる。
【0044】
アンテナ1およびアンテナ2のコネクタにおける出力電力Pout1およびPout2は、デバイスの物理的制限により、またはネットワークの制約条件により、特定の値(つまり、Pmax,tx)に制限されうる。3GPPにおいて、WTRUの最大許容可能送信電力Pmax,txは、
max,tx=min{Maximum_allowed_UL_TX_Power,Pmax} 式(5)
と定義され、式中、Maximum_allowed_UL_TX_Powerは、UMTS地上無線アクセスネットワーク(UTRAN)によって設定され、Pmaxは、WTRU電力クラスに基づくWTRU公称最大出力電力である。
【0045】
図2および3に示されている送信機200、300は、特定の指向性を有するビームを形成するビームフォーミング機能を有する。ビームの空間的形状は、図2における汎用ビームフォーマーに対する重み値w1およびw2と図3における単位電力制約ビームフォーマーに対する重み振幅利得αおよび位相オフセットφとによって制御されうる。典型的には、ビーム形状およびその結果の重みは、最適性基準に基づいて設計される。例えば、重みは、特定の角度方向で送信される最大電力が得られるように設計されうる。
【0046】
閉ループシステムでは、受信機は、所望の送信重みの集合を決定し、その集合を送信機に信号で伝達することができる。これらの重みは、信号伝達負荷が小さくなるように量子化される。量子化された重みは、一般に、望ましい非量子化重みと異なるので、これにより、所望のビームと、量子化された重みを使用して送信機によって発生される実際のビームとの間に違いを生じる。重み量子化は、システム性能が量子化の影響を受けすぎないように通常は設計される。かなりの程度まで、実用的な閉ループビームフォーミングおよび送信ダイバーシティシステムは、設計上、ビーム形状の変動に対して強く、ビームフォーミング重みの正確さに対する一定レベルの緩和がサポートされうる。
【0047】
WTRUは、PA出力で、基準チャネル電力(例えば、DPCCH電力)を測定する。WTRUは、DPCCH電力測定結果を使用して、例えば、サポートされているトランスポートフォーマットコンビネーション(TFC)と拡張専用チャネル(E−DCH)トランスポートフォーマットコンビネーション(E−TFC)の集合を決定すること、電力ヘッドルーム測定結果(つまり、UE電力ヘッドルーム(UPH))を報告すること、および同様のことを行う。
【0048】
TFCおよびE−TFCの制限について、WTRUは、アップリンク上でデータを送信するのに利用可能な電力の量の計算に際して多数のパラメータを計算する。例えば、E−TFC制限手順では、WTRUは最初に、DPCCHの電力および最大許容送信電力Pmax,αを決定する。WTRUは、DPCCH、個別物理データチャネル(DPDCH)、高速個別物理制御チャネル(HS−DPCCH)、およびE−DCH個別物理制御チャネル(E−DPCCH)に基づき正規化された残存電力マージン(NRPM)を計算して、それぞれのE−TFCの(サポートまたは阻止されている)状態も決定する。
【0049】
単一のPAおよび単一のアンテナを有するWTRUでは、DPCCH電力測定基準点は、PA出力である(つまり、アンテナコネクタのところ)。2つのPAおよび2つのアンテナを有するWTRUでは、2つのDPCCH電力測定がある、つまり、図2および3のそれぞれのアンテナについて1つずつ、PDPCCH,1およびPDPCCH,2がある。
【0050】
2つの電力増幅器を持つ二重アンテナ送信機では、それぞれのアンテナに割り振られる電力は、DPCCHまたは他の電力基準チャネル(例えば、パイロットチャネル)に関するものとすることができる。1つのDPCCHが、2つのDPCCH(DPCCH1およびDPCCH2)が2つのアンテナを介して送信されるようにアップリンクにおいてアンテナ毎に送信されうる。
【0051】
DPCCHコード電力(PDPCCH)を計算する実施形態が開示される。
【0052】
一実施形態によれば、WTRUは、それぞれのスロットtについてアンテナコネクタ1および2におけるDPCCH電力測定結果のうちの最大のものを選択することによってスロット毎のDPCCH電力推定値をそれぞれのスロットtについて計算することを
【0053】
【数1】

【0054】
のように実行することができ、式中
【0055】
【数2】

【0056】
はスロットtに対するスロット毎のDPCCH電力推定値であり、PDPCCH,1(t)およびPDPCCH,2(t)は、それぞれアンテナコネクタ1および2の時間スロットtにおけるスロット毎のDPCCH電力測定結果である。次いで、WTRUは、送信時間間隔(TTI)(例えば、2msのTTIに対して3スロット)に関して選択されたスロット毎のDPCCH電力推定値
【0057】
【数3】

【0058】
を平均することによってDPCCHコード電力(PDPCCH)を計算することを
【0059】
【数4】

【0060】
のように実行することができ、式中、NはTTIにおけるスロットの数である。
【0061】
この実施形態では、電力増幅器のどれにも電力制限がかからないことを保証できる。ビームフォーミングに関して、ビームパターンは、1つの増幅器に対する電力制限があるため歪みを生じない。
【0062】
別の実施形態によれば、WTRUは、それぞれのスロットに対するスロット毎のDPCCH電力測定結果を平均することによってそれぞれのスロットに対するスロット毎のDPCCH電力推定値を計算することを
【0063】
【数5】

【0064】
のように実行することができる。次いで、WTRUは、式(7)のようにTTI上でスロット毎のDPCCH電力推定値
【0065】
【数6】

【0066】
を平均することによってDPCCHコード電力を計算する。
【0067】
この実施形態では、2つのPAにわたって、また3つのスロット平均期間にわたって平均されるDPCCH電力推定が得られる。この値をNRPMの計算に使用することによって、WTRUは、任意のアンテナ上で利用可能なものに比べてより電力を必要としうるトランスポートブロックを選択することができる。フィルタ処理は、有能電力と必要電力との間の差の分散を縮小するのに役立ちうる。
【0068】
別の実施形態によれば、WTRUは、TTI上でそれぞれのアンテナに対するスロット毎のDPCCH電力測定結果をフィルタ処理することによってそれぞれのアンテナに対するフィルタ処理されたDPCCH電力推定値を
【0069】
【数7】

【0070】
【数8】

【0071】
計算することができ、式中、PDPCCH,filtered,1およびPDPCCH,filtered,2は、それぞれ、アンテナ1および2についてフィルタ処理されたDPCCH電力推定値である。次いで、WTRUは、
DPCCH=max(PDPCCH,filtered,1,PDPCCH,filtered,2) 式(11)
のようにフィルタ処理されたDPCCH電力推定値の最大値を選択することによってDPCCHコード電力を計算する。
【0072】
別の実施形態によれば、WTRUは、式(9)および(10)のように、TTI上でそれぞれのアンテナに対するスロット毎のDPCCH電力測定結果をフィルタ処理することによってそれぞれのアンテナに対するフィルタ処理されたDPCCH電力推定値を最初に計算する。次いで、WTRUは、フィルタ処理されたDPCCH電力推定値を平均することによってDPCCHコード電力を計算することを
【0073】
【数9】

【0074】
のように実行することができる。
【0075】
別の実施形態によれば、Pmax,txが2つの送信アンテナからのWTRU最大総送信電力として定義される場合、WTRUは、最初に、それぞれのスロットについてアンテナコネクタ1および2におけるスロット毎のDPCCH電力測定結果を足し合わせることによってそれぞれのスロットについてスロット毎のDPCCH電力推定値を計算することを
【0076】
【数10】

【0077】
のように実行することができる。次いで、WTRUは、TTI上でスロット毎のDPCCH電力推定値をフィルタ処理することによってDPCCH電力推定値を計算する。
【0078】
別の実施形態によれば、Pmax,txが2つの送信アンテナからのWTRU最大総送信電力として定義される場合、WTRUは、最初に、TTI上でスロット毎のDPCCH電力推定値をフィルタ処理することによってそれぞれのアンテナについてフィルタ処理されたDPCCH電力推定値を計算する。次いで、WTRUは、アンテナに対してフィルタ処理されたDPCCH電力推定値を足し合わせることによってDPCCHコード電力を計算することを
DPCCH=PDPCCH,filtered,1+PDPCCH,filtered,2 式(14)
のように実行することができる。
【0079】
正規化された残存電力マージン(NRPM)を計算する実施形態をこれ以降に開示する。
【0080】
WTRUは、NRPMを計算し、その値を使用して、サポートされているE−TFCの集合を決定する。一実施形態によれば、WTRUは、最初に、それぞれのアンテナに対するフィルタ処理されたDPCCH電力を計算することができる。次いで、WTRUは、従来の手順を個別に使用してそれぞれのアンテナについてNPRMを計算する。次いで、WTRUは、2つのNRPMのうちの最小のものを使用して、サポートされているE−TFCの集合を計算する。一代替的形態において、WTRUは、2つのNRPMの平均をとり、その結果を使用してサポートされているE−TFCの集合を計算する。別の代替的形態では、WTRUは、2つのNRPMのうちの最大のものを使用して、サポートされているE−TFCの集合を計算する。
【0081】
別の実施形態では、WTRUは、それぞれのアンテナに対してNRPMを使用して、ハッピービットに対する第2の基準を検証することができる。ハッピービットは、WTRUがアップリンク送信において現在の許可で満足しているかどうかを示すビットである。WTRUは、それぞれのアンテナに対するサポートされているE−TFCの集合を個別に計算して、従来の手順に従いそれぞれのアンテナ上のより大きな識別されたE−TFCを送信できる十分な電力を有しているかどうかを判定する。一実施形態では、WTRUが、両方のアンテナ上でより大きな識別されたE−TFCを送信できる十分な電力を有していると判定した場合、WTRUは、第2の基準に従ってハッピービットの評価を継続することができる。WTRUが、少なくとも一方のアンテナ上でより大きな識別されたE−TFCを送信できる十分な電力を有していないと判定した場合、WTRUは、それが「ハッピー」な状態にあると報告し、第2の基準の評価を停止することができる。
【0082】
別の実施形態では、WTRUが、少なくとも一方のアンテナ上でより大きな識別されたE−TFCを送信できる十分な電力を有していると判定した場合、WTRUは、第2の基準に従ってハッピービットの評価を継続する。WTRUが、両方のアンテナ上でより大きな識別されたE−TFCを送信できる十分な電力を有していないと判定した場合、WTRUは、それが「ハッピー」な状態にあると報告し、第2の基準の評価を停止することができる。
【0083】
UPHを計算する実施形態をこれ以降に開示する。
【0084】
WTRUは、UPHを計算し、UPHをネットワークに報告する。UPHは、最大WTRU送信電力とDPCCHコード電力との比であり、
UPH=Pmax,α/PDPCCH 式(15)
のように計算され、式中、PDPCCHは、DPCCH上の送信コード電力である。
【0085】
UPHは、アップリンクリソースのスケジューリングを目的としてノードB(複数可)に送信される。WTRUは、所定の期間(例えば、100ms)にわたるUPHの平均をとり、それを、マッピングテーブルを通じてインデックスにマッピングする。UL TXダイバーシティの背景状況において、UPHの計算は、以下の実施形態もしくはその組み合わせのうちの1つを使用して実行することができる。
【0086】
一実施形態によれば、WTRUは、それぞれのアンテナについて式(15)のように従来の方法でUPHを計算することができ、次いで、より控えめな(つまり、小さい)値をネットワークに報告する。より具体的には、UPH1がアンテナ1のコネクタにおけるUPHであり、UPH2がアンテナ2のコネクタにおけるUPHである場合、WTRUは、これら2つの値のうちの最小の値を
UPH=min(UPH1,UPH2) 式(16)
のように報告することができ、式中、UPHは、WTRUによってスケジューリング情報(SI)の一部としてネットワークに報告される値である。
【0087】
別の実施形態によれば、WTRUは、2つはアンテナ上の最大のスロット毎のDPCCH電力に基づきそれぞれのスロットについてUPHを計算し、平均期間(例えば、100ms)に対して計算されたスロット毎のUPHを平均することができる。UPHは
【0088】
【数11】

【0089】
のように計算することができ、式中、PDPCCH,1(t)およびPDPCCH,1(t)は、それぞれアンテナ1および2におけるDPCCH電力のスロット毎の推定値であり、Nは、推定におけるサンプルの数である。
【0090】
別の実施形態によれば、WTRUは、最初に、それぞれ、平均期間(例えば、10ms)にわたってそれぞれのアンテナにおけるDPCCH電力測定結果を平均することによってそれぞれのアンテナに対するフィルタ処理されたDPCCHコード電力を計算し、次いで、2つのアンテナ上のフィルタ処理されたDPCCHコード電力の最大値を使用してUPHを計算することを、
【0091】
【数12】

【0092】
【数13】

【0093】
【数14】

【0094】
のように実行することができる。
【0095】
あるいは、WTRUは、よりアグレッシブなUPH値をネットワークに報告することができる。例えば、WTRUは、それぞれのアンテナについて従来の方法でUPHを計算し、次いで、よりアグレッシブな(つまり、大きい)値をネットワークに報告することができる。より具体的には、UPH1がアンテナ1のコネクタにおけるUPHであり、UPH2がアンテナ2のコネクタにおけるUPHである場合、WTRUは、これら2つの値のうちの最大の値を
UPH=max(UPH1,UPH2) 式(21)
のように報告することができる。
【0096】
別の実施形態によれば、WTRUは、2つはアンテナ上の最小のスロット毎のDPCCH電力に基づきそれぞれのスロットについてUPHを計算し、平均期間(例えば、100ms)に対して計算されたスロット毎のUPHを平均することができる。UPHは
【0097】
【数15】

【0098】
のように計算することができ、式中、PDPCCH,1(t)およびPDPCCH,2(t)は、それぞれアンテナ1および2におけるスロット毎のDPCCH電力測定結果であり、Nは、平均期間におけるスロットの数である。
【0099】
別の実施形態によれば、WTRUは、最初に、それぞれ、平均期間(例えば、10ms)にわたってそれぞれのアンテナにおけるDPCCH電力測定結果を平均することによってそれぞれのアンテナに対するフィルタ処理されたDPCCH電力を計算し、次いで、2つのアンテナ上のフィルタ処理されたDPCCH電力の最小値を使用してUPHを計算することを、
【0100】
【数16】

【0101】
【数17】

【0102】
【数18】

【0103】
のように実行することができる。
【0104】
あるいは、WTRUは、平均したUPH値をネットワークに報告することができる。例えば、WTRUは、それぞれのアンテナについて従来の方法でUPHを計算し、次いで、2つのUPH値の平均値をネットワークに報告することができる。UPH1がアンテナ1のコネクタにおけるUPHであり、UPH2がアンテナ2のコネクタにおけるUPHである場合、WTRUは、これら2つの値の平均値を
【0105】
【数19】

【0106】
のように報告することができる。
【0107】
別の実施形態によれば、WTRUは、2つはアンテナ上の平均したスロット毎のDPCCH電力に基づきそれぞれのスロットについてUPHを計算し、平均期間(例えば、100ms)に対して計算されたスロット毎のUPHを平均することができる。UPHは、
【0108】
【数20】

【0109】
のように計算することができる。
【0110】
別の実施形態によれば、WTRUは、最初に、平均期間にわたって両方のアンテナにおけるDPCCHの電力の平均値を計算し、次いで、DPCCH電力の平均値を使用してUPHを計算することを、
【0111】
【数21】

【0112】
【数22】

【0113】
のように実行することができ、式中、
【0114】
【数23】

【0115】
は、両方のアンテナ上のDPCCHの平均電力である。
【0116】
別の実施形態によれば、WTRUは、最初に、両方のアンテナにおいてスロット毎にDPCCHの総推定コード電力を計算し、次いで、スロット毎のUPHを計算することを
DPCCH(t)=PDPCCH,1(t)+PDPCCH,2(t) 式(30)
【0117】
【数24】

【0118】
のように実行することができ、式中、Pmax,txは、2つの送信アンテナからのWTRUの最大総送信電力である。次いで、WTRUは、平均期間(例えば、100ms)にわたってステップ毎のUPHであるUPH(t)を平均して、ネットワークに報告すべきUPHを計算することを、
【0119】
【数25】

【0120】
のように実行する。
【0121】
別の実施形態によれば、WTRUは、最初に、2つのアンテナにおけるスロット毎のUPHを個別に計算し、それぞれのアンテナにおけるビームフォーミング係数αの対応する二乗でそれぞれのスロット毎のUPHに重みを付けることによってスロット毎のUPHを計算することを、
【0122】
【数26】

【0123】
【数27】

【0124】
UPH(t)=α2(t)×UPH1(t)+(1−α2(t))×UPH2(t) 式(35)
のように実行し、式中、Pmax,tx,1およびPmax,tx,2は、それぞれ、送信アンテナ1および2からのWTRUの最大送信電力である。次いで、WTRUは、平均期間(例えば、100ms)にわたってステップ毎のUPHであるUPH(t)を平均して、ネットワークに報告すべきUPHを求めることを、
【0125】
【数28】

【0126】
のように実行する。
【0127】
WTRUは、現在のビームフォーミング係数を使用することができる。あるいは、平均ウィンドウにおいて最も頻繁に使用されたビームフォーミング係数を使用することができる。あるいは、WTRUは、平均ウィンドウにおけるビームフォーミング係数の大きさの平均を使用することもできる。
【0128】
あるいは、WTRUは、それぞれのアンテナについて従来の方法でUPHを計算し、それらを個別に報告することができる。より具体的には、WTRUは、UPH1およびUPH2
【0129】
【数29】

【0130】
【数30】

【0131】
のように計算し、式中、PDPCCH,1およびPDPCCH,2は、それぞれ、スロット毎に平均され、アンテナ1および2のコネクタにおいて測定されたDPCCH電力であり、Pmax,t,1およびPmax,t,2は、2つのアンテナの最大送信電力である。次いで、WTRUは、スケジューリング情報を通じて2つのUPH値を個別にネットワークに報告することができる。
【0132】
2つの異なるSIは、時分割多重化することができる(つまり、異なるいくつかの時刻に送信する)。2つのアンテナの間のUPHを識別するために、SIを、特定のハイブリッド自動再送要求(HARQ)プロセスで報告するように制限することができる。例えば、UPH1に関連付けられているSIを偶数番号のHARQプロセスで送信し、UPH2に関連付けられているSIを奇数番号のHARQプロセスで送信することができる。あるいは、UPH1およびUPH2に関連付けられているSIを異なる種類の送信順序番号(TSN)(例えば、偶数もしくは奇数番号のTSN)とともにPDUに含めることができる。
【0133】
あるいは、2つのUPH値を組み合わせて新しいSIフォーマットを持つ1つのSIにし、一緒に送信することができる。2つのUPH値を送信するための新しいSIフォーマットは、新しいUPHフィールドを従来のSIフォーマットに付加するか、または2つのUPHを組み合わせて1つの新しい符号化されたフィールドなどにすることによるいずれかの方法で定義することができる。
【0134】
UL TXダイバーシティに対するE−TFC制限とUPH測定結果の両方のWTRU最大許容電力Pmax,αの値は、単一のアンテナの場合と異なる値をとりうる。WTRUは、任意の順序または組み合わせでE−TFC制限および/またはUPH測定結果に対しPmax,αの以下の値のうちの1つを使用することができる。
(1)ネットワークによって構成されるような最大許容電力、
(2)WTRUカテゴリによって記述されるような最大許容電力、
(3)WTRUがUL TXダイバーシティオペレーション用に構成されている場合にWTRUカテゴリによって定義されている通りの最大許容電力の半分、または
(4)ネットワークによって構成されているような、またはWTRUカテゴリによって記述されているような、最大許容電力の割合ρ(ネットワークによって構成されている、または規格に事前に定義されている)。
【0135】
WTRUは、最大送信電力に関係する1つまたは複数のパラメータを示すネットワークによる構成メッセージを受信することができる。次いで、WTRUは、このパラメータセットに基づきPmax,αの値を計算することができる。WTRUは、そのWTRUカテゴリおよび/またはUL TXダイバーシティステータス(構成されていてもいなくても)にさらに基づきPmax,αの値を計算することができる。
【0136】
例えば、ネットワークは、特定の最大許容電力とUL TXダイバーシティオペレーションに対して構成されたときに使用するWTRUに対するその電力の特定の割合でWTRUを構成することができる(つまり、Pmax,α=UL TXダイバーシティが構成されていない場合に最大許容電力であり、Pmax,α=UL TXダイバーシティが構成されているときにρ×最大許容電力である)。
【0137】
DPCCH電力調整および利得係数を適用した後、2つのアンテナ上の総送信電力またはそれらのアンテナのうちの一方における送信電力が最大許容値を超えた場合(アンテナ上の総最大値またはアンテナ毎の最大値)、電力スケーリングを適用することができる。
【0138】
一実施形態によれば、ビームフォーマー係数の適用前に電力スケーリングをチャネルに適用することができる。送信電力がそれらのアンテナのうちの一方で最大許容値を超えた場合、他のチャネルをスケールダウンする前にβed,k,reducedが最小値βed,k,minに達するまでそのスケーリング係数をβed,k,reducedに下げることによってE−DPDCH(複数可)を最初にスケールダウンすることができる。βed,k,reducedがβed,k,minに達した後、送信電力がなお最大許容値を超えている場合、電力スケーリングをすべてのチャネルに等しくさらに適用することができる。βed,k,reducedは、電力低減の後のE−DPDCHkの利得係数であり、βed,k,minは、E−DPDCHkに対する構成された最小値である。この実施形態では、ビームフォーミングパターンが維持される。
【0139】
別の実施形態によれば、送信電力がアンテナの一方において最大許容値を超える場合、E−DPDCHは、最初に、βed,k,reducedがβed,k,minに達するまでスケールダウンすることができる。他のチャネルをスケールダウンする前にβed,k,reducedがβed,k,minに達したときにWTRUの送信電力がなお最大許容電力を超えている場合、WTRUは、より大きなビームフォーミング重み振幅が適用されるアンテナ上のE−DPDCHの電力を、有効ビームフォーミング重み振幅が最小値に達するまでさらにスケールダウンすることができる。より具体的には、最大および最小の重み振幅を有するアンテナインデックスをそれぞれ
【0140】
【数31】

【0141】
および
【0142】
【数32】

【0143】
として表す。最大および最小のビームフォーミング重み振幅は、それぞれ、|wmax|および|wmin|で与えられる。WTRUは係数αedでインデックスlmaxを持つアンテナ上のE−DPDCHを、有効低減ビームフォーミング重み振幅|wed,reduced|が最小のビームフォーミング重み振幅|wmin|に達するまでスケーリングするが、ただし、|wed,reduced|=αed|wmax|である。WTRUは、重み振幅|wed,reduced|を、元のwmaxの位相(つまり、∠wmax)を保ちつつそのアンテナ上のE−DPDCHに適用する。WTRUは、wmaxをそのアンテナ上の他のチャネルにも適用する。|wed,reduced|=|wmin|のときにWTRU送信電力がなお最大許容電力を超える場合、すべてのチャネルの等しいスケーリングをさらに適用することができる(追加のスケーリングとも称する)。この実施形態によれば、チャネル情報の最も重要な部分(つまり、2つ重みの間の位相オフセット)をできる限り維持することができる。したがって、すべての制御チャネル上の元のビームフォーミングパターンが維持される間両方のアンテナ上のE−DPDCHの等しいスケーリングと比較してE−DPDCHの性能損失がそれほど大きくないことが予想される。
【0144】
別の実施形態によれば、送信電力が最大許容値を超える場合、E−DPDCHは、最初に、βed,k,reduced=βed,k,minとなるまでスケールダウンすることができる。他のチャネルをスケールダウンする前にβed,k,reduced=βed,k,minのときにWTRU送信電力がなお最大許容電力を超える場合、WTRUは、インデックスlmaxを持つアンテナ上のE−DPDCHを、有効低減重み振幅|wed,reduced|が最小値である|wmin|に達するまでさらにスケールダウンすることができる。WTRUは、重み振幅|wed,reduced|を、元のwmaxの位相(∠wmax)を保ちつつそのアンテナ上のE−DPDCHおよびすべての他のチャネルに使用する。|wed,reduced|=|wmin|のときにWTRU送信電力がなお最大許容電力を超える場合、WTRUは、αcの係数でインデックスlmaxを持つアンテナ上の他のチャネルを、|wc,reduced|=αc|wmax|の場合に有効低減重み振幅|wc,reduced|が最小値である|wmin|に達するまでさらにスケールダウンすることができる。WTRUは、重み振幅|wc,reduced|を、元のwmaxの位相(∠wmax)を保ちつつそのアンテナ上の他のチャネル(つまり、非E−DPDCHチャネル)に使用する。|wc,reduced|−|wmin|のときにWTRU送信電力がなお最大許容電力を超える場合、すべてのチャネルの等しいスケーリングを適用することができる。
【0145】
別の実施形態によれば、ビームフォーマー係数の適用後にそれぞれのアンテナ上で信号に電力スケーリングを適用することができる。それぞれのアンテナ上の信号は、アンテナ上の送信電力が最大許容値を超えたときにそのアンテナ上のビームフォーマー係数の大きさを調整することによって独立してスケールダウンすることができる。両方のアンテナ上の送信電力が対応する最大許容値を超える場合、両方のアンテナ上で電力スケーリングを並列実行することができる。この結果、ビームフォーミングパターンの歪みが生じうる。しかし、システム性能は、ビーム歪みによる影響を強く受けすぎず、これはセルエッジでWTRUに対し有利であると思われる。
【0146】
別の実施形態によれば、電力スケーリングを、ビームフォーマー係数の適用後にそれぞれのアンテナ上の信号に適用し、それぞれのアンテナについて、E−DPDCHを、βed,k,reducedがβed,k,minに達するまでそのアンテナ上の他のチャネルがスケールダウンされる前にスケールダウンするようにできる。βed,k,reducedがβed,k,minに達したときに送信電力がなお最大許容電力を超える場合、そのアンテナ上のすべてのチャネルの等しいスケーリングを適用することができる。この実施形態の結果、制御およびデータチャネルに対して異なるビームパターンが得られる。これは、例えば、データチャネルを犠牲にしてでも制御チャネルの保護を高めるのに望ましい場合がある。このアプローチは、それぞれのアンテナ上の従来の電力スケーリングを別々に再利用することができるため実装の観点から有利であると思われる。
【0147】
別の実施形態によれば、2ステップ手順を実装することができる。第1のステップでは、それぞれのアンテナ上の重み利得(つまり、ビームフォーミング係数とPA利得の組み合わせ)を独立して調整し、それぞれのアンテナ上で最大電力を超えることを回避することができる。電力低減は、特定の値に制限されうる。一方のアンテナ上の重み利得をさらに低減することができず、送信電力がなお最大許容電力を超える場合、従来の電力スケーリング方式を閾値試験に通ることを前提条件として第2のステップで適用することができる。この実施形態では、よりアグレッシブな電力スケーリング規則を適用する前にあるレベルのビーム歪みを許容することができる。
【0148】
説明を目的として、また一般性を失うことなく、以下の定義を使用する。
【0149】
α1:アンテナ1に対する重み利得
α2:アンテナ2に対する重み利得
(φ1):アンテナ1に対する位相
(φ2):アンテナ2に対する位相
th:閾値。
【0150】
第1のステップにおいて、任意のアンテナ上の送信電力が最大許容電力を超える場合、WTRUは、そのアンテナ上の重み利得(つまり、ビームフォーミング利得とPA利得の組み合わせ)を低減する。それぞれのアンテナは、構成された最小重み利得の影響を受けるものとしてよい。より具体的には、アンテナjについて、WTRUは、そのアンテナ上で最大電力を超えないように低減された重み利得値(αj)を計算する。次いで、WTRUは、閾値試験を実行する。一方または両方のアンテナについて閾値試験に合格した場合、第2のステップを適用する。どのアンテナについても閾値試験に合格しなかった場合、第2のステップを適用しない。
【0151】
閾値試験の例として、WTRUは、振幅利得の相対的変化を計算し、それを閾値と比較することができる。WTRUは、
【0152】
【数33】

【0153】
のようにアンテナjに対する相対的変化を計算することができる。変化量が閾値より大きい場合(つまり、Crel,j>Tth)、第2のステップを適用する。
【0154】
あるいは、WTRUは、アンテナjについて振幅利得の絶対変化量を計算し、それを閾値と比較することができる。WTRUは、
絶対的変化量≡Cabs,j=|α’j−αj| 式(40)
のように振幅利得を計算することができる。変化量が閾値より大きい場合(つまり、Cabs,j>Tth)、第2のステップを適用する。
【0155】
あるいは、WTRUは、その結果得られる重みベクトルを計算し、それがコードブック内の他の任意の重みベクトルより、元の重みベクトルに近くなるようにできる。元の重みベクトルおよび電力低減後の重みベクトルは、それぞれ、wおよびw’として、
【0156】
【数34】

【0157】
【数35】

【0158】
のように定義される。
【0159】
WTRUは、その結果得られる重みベクトルと元の重みベクトルとの間の距離が、コードブック内の他の任意の重みベクトルより小さいことを検証する。言い換えると、条件
【0160】
【数36】

【0161】
が満たされなければならないということである。
【0162】
閾値試験に通った場合、第2のステップを実行する。第2のステップでは、電力スケーリングを両方のアンテナに等しく適用し、どのアンテナでも最大電力を超えないように保証することができる。両方のアンテナにおいて電力スケーリングを等しく適用する際に、WTRUは、データチャネルの電力(例えば、E−DPDCH)を、両方のアンテナ上で送信電力がもはや最大許容電力を超えなくなるまで、またはデータチャネルに対する最小電力に到達する(つまり、βed,k,reduced=βed,k,min)まで、最初に低減することができる。データチャネルに対する最小電力に到達したときに送信電力がアンテナの一方もしくは両方においてなお最大許容電力を超える場合、追加のスケーリングを適用することができる。
【0163】
WTRUは、スケーリングされていないアンテナの重み(つまり、αj、j=1,2)を使用して追加のスケーリングを適用することができる。あるいは、WTRUは、スケーリングされているアンテナの重み(つまり、α’j、j=1,2)を使用して追加のスケーリングを適用することができる。スケーリングされていないアンテナの重みを使用する場合、ビームパターンが維持される。スケーリングされたアンテナの重みを使用する場合、これは、ビームパターンの歪みを引き起こし、歪みの大きさは、閾値基準と閾値との選択に依存する。
【0164】
図4は、代替的実施形態による送信電力制御の例示的なプロセス400の流れ図である。WTRUは、これらのアンテナのうちのどれか1つのアンテナに対する送信電力が最大許容電力を超えるかどうかを判定する(402)。どれかのアンテナに対する送信電力が最大許容電力を超えない場合、電力スケーリングは実行されえない。これらのアンテナのうちのどれか1つのアンテナに対する送信電力が、最大許容電力を超える場合、WTRUは、送信電力が最大許容電力より低くなるように最大送信電力を超えるアンテナ(複数可)上の最小構成値になるまでデータチャネル(例えば、E−DPDCH)に対する利得係数を低減する(404)。この電力スケーリングは、両方のアンテナ上で等しく実行することができ、その場合、ビームパターンは維持される。あるいは、この電力スケーリングは、それぞれのアンテナ上で独立して実行することができ、その場合、ある程度のビームの歪みが結果として生じうる。
【0165】
次いで、WTRUは、閾値試験を実行し、どれかのアンテナ上で、E−DPDCHに対する低減された重み利得値が最小構成値に達するかどうかを検証する(406)。E−DPDCHに対する低減された重み利得値が、どのアンテナ上でも最小構成値に達しない場合、さらなる電力スケーリングは実行されない。E−DPDCHに対する低減された重み利得値が、一方または両方のアンテナ上で最小構成値に達した場合(つまり、一方または両方のアンテナ上でβed,k,reduced=βed,k,minとなる場合)、これは、送信電力がそれらのアンテナのうちのどれか1つに対して最大許容電力をなお超えていることを意味し、両方のアンテナ上で等しく、またはそれぞれのアンテナ上で独立してすべてのチャネルにさらなるスケールダウンを適用することができる(408)。
【0166】
閾値試験の前のステップ404におけるデータチャネルにおける電力スケーリングは、それぞれのアンテナについて独立して実行されうるので、それらのアンテナのうちの一方でのデータチャネルは、他方のアンテナにおけるデータチャネルの前に最小電力に到達しうる。この場合、閾値試験の後のステップ408における追加のスケーリングをそのまま両方のアンテナの結果として得られる信号について適用することができる(つまり、データチャネルの潜在的に不等なスケーリングを使用して)。あるいは、WTRUは、最初に追加のスケーリングを適用して、両方のアンテナのデータチャネル上に最大の低減を強制し、次いで、ステップ408における結果についてさらなる電力スケーリングを適用することができる。
【0167】
以下では、多重E−DCHコードワード空間多重化の送信電力制御に対する実施形態を開示する。二重E−DCHコードワード空間多重化では、1つの電力制御ループをそれぞれのE−DCHコードワードに対して確立することができる。この場合、WTRUは、2つのパイロットチャネル(DPCCH1およびDPCCH2)を送信し、それぞれのE−DCHコードワードに対して別々の送信電力制御(TPC)コマンドを受信し、従来の電力制御をそれぞれのDPCCHに独立して適用することができる。これは、それぞれのストリームに対する1つの相対的電力基準をもたらす。
【0168】
図5は、一実施形態による二重E−DCHコードワード空間多重化を行うための例示的な送信機500を示している。この例では、WTRUがUL MIMOモードに構成され、異なるE−DPDCHストリームにおける2つのE−DPDCHが同じチャネライゼーションコードを共有し、2つのE−DPCCHが同じチャネライゼーションコードを共有し、2つのDPCCHが同じチャネライゼーションコードを共有し、2つのDPCCHにおけるパイロットが互いに直交している場合に、DPDCHは送信されないと仮定される。この仮定は、例示を目的としたものにすぎず、どのような構成も適用可能であることに留意されたい(例えば、DPDCHを同時に送信し、異なるチャネライゼーションコードをそれらのチャネルのどれにでも使用することができる)。図5は、DPCCHはプリコードされないが、代替えとして、DPCCHまたは他の制御チャネルをプリコードすることもできることを示している。w(w1234)は、プリコーディング係数を表している。下付き文字は、E−DCHコードワードまたは物理アンテナのインデックスである。
【0169】
送信機500(つまり、WTRU)は、チャネライゼーションブロック502、利得制御ブロック504、I/Qマッピングブロック506、チャネルコンバイナー508、プリコーディングブロック、スクランブルブロック、およびアンテナを備える。2つのE−DCHコードワード(つまり、2つのE−DCHトランスポートブロック)は、同時に送信されうる。それぞれのE−DCHコードワードは、1つまたは複数のE−DPDCHにマッピングすることができ、E−DPCCHは、それぞれのE−DCHコードワードとともに送信される。それぞれのチャネル(つまり、E−DPDCH、E−DPCCH、DPCCH、HS−DPCCH)は、チャネライゼーションブロック502によって対応するチャネライゼーションコードとともに拡散され、利得制御ブロック504によって対応する利得係数を乗算され、I/Qマッピングブロック506によってIチャネルまたはQチャネルのいずれかにマッピングされる。それぞれのE−DCHコードワードに対するE−DPDCHおよびE−DPCCHは、それぞれ、チャネルコンバイナー508によって組み合わされ、プリコーディングブロック510によってプリコーディング重みを乗算され、それぞれのアンテナに分配される。DPCCH、HS−DPCCH、およびプリコードされたE−DCHチャネルは、それぞれのアンテナについてチャネルコンバイナー512によって組み合わされる。スクランブルブロック514では、チャネル組み合わせ信号にスクランブルコードを乗算し、次いで、アンテナ516を介して送信する。
【0170】
WTRUは、E−DPDCH/DPCCH電力オフセット(つまり、電力基準チャネルへのE−DPDCH電力オフセット)をストリームについて独立して計算することができる。E−DPDCH/DPCCH電力オフセットを計算する際に、WTRUは、一次変数βed,i,harqを計算する。それぞれのストリームについて、E−DPDCH電力補外公式が構成されている場合、βed,i,harq
【0171】
【数37】

【0172】
のように計算することができる。
【0173】
E−DPDCH電力補間公式が構成されている場合、βed,i,harqは、
【0174】
【数38】

【0175】
のように計算することができるが、ただし、Δed,i,harq
【0176】
【数39】

【0177】
の場合に0に設定される。
【0178】
式(44)および(45)も、サポートされているE−TFCの集合を決定するためにE−TFC制限手順で使用することができる。
【0179】
式(44)および(45)において、Δmimoは、MIMOまたは二重ストリーム伝送であることにより受信電力を追加する必要があることを考慮するために導入される追加の電力オフセット係数である。Δmimoは、ノードB受信機における追加のMIMOストリームによって引き起こされる追加のWTRU内干渉を補正する。異なるノードB受信機構造は、異なるレベルの補正を必要とすることがあり、したがって、Δmimoは上位レイヤによってWTRUに信号伝達されうる。Δmimoは、それぞれのストリームに対して異なる値をとりうる。
【0180】
Δmimoの値は、空間多重化または送信ダイバーシティ/ビームフォーミングのMIMOオペレーションモードに依存しうる。例えば、WTRUは、Δmimoの2つの値で構成され、一方の値は、2つのストリームが送信されるときに使用され、他方の値は、単一のストリームが送信されるときに使用されうる。WTRUは(例えば、ノードB信号伝達、チャネル状態情報、利用可能なヘッドルームなどに基づき)、E−TFC制限の前にストリームをいくつ送信できるかを決定し、Δmimoの適切な値を使用してサポートされているE−TFCの集合および選択されたトランスポートブロック(TB)サイズに必要な電力を計算することができる。
【0181】
パラメータΔmimoは、式(44)および(45)の中の変数のうちの1つにまとめることができる。例えば、追加のMIMO電力オフセットは、HARQ電力オフセット(Δharq)に吸収されるものとしてよい。この場合、WTRUは、HARQ電力オフセットの2つの集合で構成され、一方の集合は二重ストリーム伝送に対するものであり、もう一方の集合は単一ストリーム伝送に対するものである。あるいは、追加のMIMO電力オフセットは、基準利得計数(Βed,ref)に吸収されるものとしてよい。その場合、WTRUは、基準利得係数の2つの集合で構成され、一方の集合は二重ストリーム伝送に対するものであり、もう一方の集合は単一ストリーム伝送に対するものである。
【0182】
Δmimoの値は、静的パラメータおよび/または動的パラメータに依存しうる。静的パラメータは、一般に、ノードBおける受信機の種類、DPCCHがプリコードされているかどうか、E−DPCCHがプリコードされているかどうか、または同様のことを含む、送信機および受信機の構造に関係する。これらの静的パラメータは、ネットワークによって信号伝達できる、値Δmimoにおいて考慮されうる。動的パラメータは、MIMO動作モード(例えば、空間多重化と送信機ダイバーシティビームフォーミング)、およびTTIベースで変化しうる、それぞれのストリームのサービス品質(QoS)を含むことができる。HSUPAの場合、HARQプロファイルは、QoSに対するパラメータと考えることができる。
【0183】
一方のストリームに対するΔmimoは、そのE−DCH上のTBサイズ(もしくは同等の電力)あるいは他方のE−DCHストリームのTBサイズ(もしくは同等の電力)に依存しうる。二重電力制御ループの場合、より小さなトランスポートブロックがより多くの送信電力を必要とすることが生じうる。そのような場合、追加のMIMO電力オフセットをすべてのトランスポートブロックサイズについて指定するとよい。この場合に信号伝達のオーバーヘッドを低減するために、追加のMIMO電力オフセットの縮小集合を使用することができる。追加のMIMO電力オフセットのこの縮小集合は、ある範囲のTBサイズに対して追加のMIMO電力オフセットを指定するように設計されうる。例えば、WTRUは、トランスポートブロックサイズ(またはインデックス、つまり、E−TFCI)のリスト、およびネットワークからの関連する追加のMIMO電力オフセットを受信することができ、表1に示されているように、範囲および関連する追加のMIMO電力オフセットを含む表を作成することができる。
【0184】
【表1】

【0185】
Δmimo値は、送信されたTBサイズの対(ストリーム毎の1つのTBサイズ)に依存しうる。ストリーム間干渉の比は、それぞれのストリームの間の相対的電力にある程度依存する。したがって、大きなトランスポートブロックが小さなトランスポートブロックに対して及ぼす干渉は、大きなトランスポートブロックに対して及ぼす干渉に比べて比較的大きいものとしてよい。
【0186】
追加のMIMO電力オフセット値は、2つのE−DCHストリーム間の電力オフセット差に依存しうる。一般性を失うことなく、第1のE−DCHストリームが、第2のE−DCHストリームよりも大きな電力で送信されると仮定する。ΔPE-DCHを第1のE−DCHの電力と第2のE−DCHの電力との間の電力差(単位dB)とする。第1のE−DCHの電力は、第1のE−DCHストリームに関連付けられているすべてのE−DPDCHの総電力として定義され、関連付けられているE−DPCCHの電力も含みうる。第2のE−DCHの電力は、第2のE−DCHストリームに関連付けられているすべてのE−DPDCHの総電力として定義され、関連付けられているE−DPCCHの電力も含みうる。WTRUは、ΔPE-DCHの計算された値にそれぞれ基づき第1および第2のE−DCHストリームに適用する追加のMIMO電力オフセットΔmimo1およびΔmimo2の値を計算することができる。
【0187】
Δmimoj、j=1,2の値は、表2に例示されているように、ΔPE-DCHのさまざまな範囲に基づき定義されうる。WTRUは、これらの値を使用して、それぞれのE−TFC対に対する必要な追加のMIMO電力オフセットを決定する。E−TFC制限において、WTRUは、表2に基づきすべてのE−TFC対について必要な電力を計算することもできる。
【0188】
【表2】

【0189】
DPCCH電力調整を適用した後のWTRUの総送信電力が最大許容値を超えた場合、電力スケーリングを2つのE−DCHストリームに並行して適用することができる。E−DPDCH(複数可)は、最初に、他のチャネルがスケーリングされる前に両方のストリーム上でβed,k,reduced=βed,k,minとなるまでスケールダウンされうる。最高のDPCCH電力を有するE−DPDCHストリームは、最初に、そのストリーム上でβed,k,reduced=βed,k,minとなるまでスケールダウンされうる。次いで、必要ならば、他方のストリーム上のE−DPDCHを、そのストリーム上でβed,k,reduced=βed,k,minとなるまでスケールダウンされうる。両方のストリーム上でβed,k,reduced=βed,k,minである場合、両方のストリーム上のすべてのチャネルの等しいスケーリングが適用されうる。βed,k,minは、ストリーム毎に構成可能であるものとしてよい。
【0190】
あるいは、WTRUは、所定のストリーム上で最初にE−DPDCHの電力を低減することができる。一例では、所定のストリームは二次ストリームであってよい。WTRUが所定のストリーム上の電力スケーリング後も電力の制限を受ける場合、WTRUは、他のストリーム上でのE−DPDCHの電力をさらに低減することができる。WTRUが他のストリーム上の電力スケーリング後も電力制限を受ける場合、追加のスケーリングを両方のストリーム上で等しく適用するとよい。一次ストリームは、ネットワークによって信号伝達される好ましいプリコーディング重み上で送信されるデータストリームとして定義され、二次データストリームは、一次ストリームによって使用される重みに直交するプリコーディング重み上で送信される他のデータストリームとして定義されうる。
【0191】
別の実施形態によれば、両方のストリームのE−DPDCHの利得係数を、送信電力がもはや最大許容値を超えなくなるまで、または一方のストリーム上のE−DPDCHの低減された利得係数がその最小に値に到達する(つまり、betaed,k,reduced=betaed,k,minになる)まで等しく低減されうる。送信電力がなお最大許容値を超える場合、他のストリーム上のE−DPDCHの利得係数は、送信電力がもはや最大値を超えなくなるまで、またはそのストリームに対するE−DPDCHの利得係数がその最小値に達するまで低減されうる。送信電力がなお最大許容値を超える場合、送信電力がもはや最大許容値を超えなくなるまで、等しいスケーリングをすべてのチャネルに適用するとよい。
【0192】
単一のDL DPCCHまたはフラクショナル個別物理チャネル(F−DPCH)上の両方のE−DCHストリームについてUL送信電力制御(TPC)コマンドを送信するための実施形態を開示する。ネットワークでは、WTRUがダウンリンク上で2つのE−DCHストリームに対する2つのTPCコマンドを受信するようにそれぞれのE−DCHストリームに対するTPCコマンドを送信する。
【0193】
一実施形態によれば、WTRUの2つのE−DCHストリームに対するTPCコマンドは、F−DPCH上で時分割多重化されうる。図6は、従来のF−DPCH構造を示している。従来のF−DPCHでは、TPCコマンド毎に2つのTPCビットをF−DPCHのそれぞれのスロットで送信することができ、そのため、単一のF−DPCHで最大10個までのWTRUがサポートされる。
【0194】
図7は、この実施形態によるF−DPCH上の例示的なTPCコマンド送信を示している。図7では、TPC11およびTPC12は、それぞれ、WTRUに対するストリーム1およびストリーム2のTPCコマンドビットである。2つのTPCビットは、それぞれのTPCコマンドについて送信することができる(つまり、NTPC=2)。この場合、二重ストリーム伝送用に構成されている最大5つまでのWTRUを、1つのF−DPCHによってサポートすることができる。1つのTPCビットフィールドが、二重ストリーム伝送用に構成されていないWTRUに送信される。2つのE−DCHストリームのTPCコマンドは、F−DPCH上で時間的に隣接していてもしていなくてもよい。
【0195】
別の実施形態によれば、2つの電力制御ループに対し送信電力制御コマンドを組み合わせるように新しいTPCビットパターンを定義することができ、これにより、TPCコマンド毎にNTPC個のビットが2つのデータストリームに対するTPCコマンドを示す。必要な追加の情報をサポートするために、TPCコマンドに対するF−DPCHフィールドの利得を高めることができる。
【0196】
表3は、従来のF−DPCHスロットフォーマット0と、スロット毎に2つより多いTPCビットをサポートすることができるF−DPCHに対する例示的なスロットフォーマットを示している。例えば、スロットフォーマット0Aおよび0Cは、スロット毎に4個のTPCビットをサポートし、スロットフォーマット0Bおよび0Dは、スロット毎に8個のTPCビットをサポートする。スロットフォーマット0は、従来のF−DPCHスロットフォーマットである。異なるF−DPCHスロットフォーマットも導出できる。
【0197】
【表3】

【0198】
表4のストリーム1およびストリーム2の列は、それぞれ、第1および第2のストリーム(または同等であるが、第1および第2のDPCCH)に対するTPCコマンド解釈に対応する。二重コードワード送信を行うMIMOモード用に構成されているWTRUでは、WTRUに対するTPCコマンドは、表4に従って解釈される。
【0199】
【表4】

【0200】
後方互換性を維持するために二重ストリームに対する新しいTPCビットパターンを定義することができる。例えば、表5は、NTPC=4のスロットフォーマット0Cに対するTPCビットパターンおよび後方互換性のために用意されているNTPC=8スロットフォーマット0Dを示している。異なるスロットフォーマットに対して、類似の表を導出することができる。第1のストリームに対するTPC情報は、信号ストリームの場合と同じである。
【0201】
【表5】

【0202】
別の実施形態によれば、より多くの情報ビットを送信するために、拡散係数がより小さい新しいF−DPCHフォーマットを導入することができる。
【0203】
WTRUが単一の電力制御ループと二重電力制御ループとを切り替えるときにTPCコマンドをどのように生成するか、または組み合わせるかということに関する問題が生じることがある。例えば、WTRUは、ネットワーク側が現在のULチャネル条件が二重ストリーム伝送をサポートしていることをWTRUに信号で伝達するが、1つのストリーム/コードワードとともに送信することを選択することができる。したがって、単一ストリーム伝送には1つのUL電力制御ループで十分であるが、その一方で、2電力制御ループから単一電力制御ループへの遷移の際に、WTRUが2つのTPCコマンドを受信し、2つのTPCコマンドを組み合わせて、単一ストリーム伝送に適用する単一のTPCコマンドを導出することができる。これは、例えば、送信ストリームの数が動的であるが、比較的遅く変化するときに関連性がありうる。
【0204】
WTRUは、以下のように2つのストリームに対して2つのTPCコマンドを組み合わせることができる。WTRUは、両方のTPCコマンドの値に関する硬判定が「1」である場合に「1」の導出されたTPCコマンド(TPC_cmd)を生成し、そうでない場合に、「−1」の導出されたTPCコマンド(TPC_cmd)を生成することができる。
【0205】
あるいは、ネットワーク側で、2つの構成されたTPCフィールド上で単一のストリームに対するTPCコマンド送信することができる。従来のF−DPCHフォーマットは、再構成の必要はない。WTRUは、両方のTPCフィールドを受信し、両方のTPCフィールドから受信する情報に基づき最終的なTPCコマンドに関する決定を下す。導出されたTPCコマンドは、TPCフィールドのそれぞれに関する軟判定に重みを付けることによって生成されうる。例えば、i番目のストリームTPCに関する軟判定をPi、i=1,2と表すと、TPCコマンドは、
【0206】
【数40】

【0207】
のように導出できる。
【0208】
二重コードワード空間多重化UL MIMOモードで動作するWTRUに対する単一の電力制御ループを有することも可能である。この場合、MIMO動作モード上のWTRUの構成に無関係に、WTRU毎に1つのUL電力制御ループがある。両方のDPCCHに対するDPCCH利得係数は、同じ値
【0209】
【数41】

【0210】
に設定することができる。言い換えると、第2のDPCCHの電力は、第1のDPCCH電力と同じ値をとるということである。
【0211】
あるいは、DPCCH利得係数は、
【0212】
【数42】

【0213】
のように違う値に設定することができ、式中、αは、ネットワークによって信号伝達されうる固定値である。そのような場合、第2のDPCCHに対するDPCCH電力を、第1のDPCCHの電力および構成されている利得オフセットαに基づきそれぞれのスロットにおいて調整することができる。
【0214】
あるいは、第2のパイロットチャネル(例えば、DPCCH)に対する電力オフセットは、第1および第2のパイロットチャネルに含まれる総パイロットシンボルの比に依存しうる。例えば、第1のパイロットチャネルが8個のパイロットシンボルを伝送し、第2のパイロットチャネルが10個のパイロットシンボルを伝送する場合、第1のパイロットチャネルに関する第2のパイロットチャネルの電力オフセットは、8/10に、または約1dB低く(つまり、10log10(8/10)=−0.97dB)設定されうる。この値は、パイロットチャネルの構成後にWTRUによって計算されるか、または可能な比に基づき事前に計算されうる。
【0215】
送信機は、二重コードワード空間多重化の代わりに、単一コードワード空間多重化を実装してもよく、単一のE−DCHコードワードが2つの送信アンテナを介して送信される。図8は、一実施形態による単一コードワード空間多重化を行うための例示的な送信機800を示している。この例では、WTRU ULがMIMOモードに構成され、2つのDPCCHが同じチャネライゼーションコードを共有し、2つのDPCCHにおけるパイロットが互いに直交している場合に、DPDCHは送信されないと仮定される。この仮定は、例示を目的としたものにすぎず、どのような構成も適用可能であることに留意されたい(例えば、DPDCHを同時に送信し、異なるチャネライゼーションコードをそれらのチャネルのどれにでも使用することができる)。図8は、DPCCHはプリコードされないが、代替えとして、DPCCHまたは他の制御チャネルをプリコードすることもできることを示している。1つのE−DCHストリームがあるので、1つのE−DPCCHが送信される。
【0216】
送信機800(つまり、WTRU)は、チャネライゼーションブロック802、利得制御ブロック804、I/Qマッピングブロック806、チャネルコンバイナー808、814、デマルチプレクサ810、プリコーディングブロック812、スクランブルブロック816、およびアンテナ818を備える。1つのE−DCHコードワード(つまり、1つのE−DCHトランスポートブロック)が、1つまたは複数のE−DPDCHにマッピングされる。それぞれのチャネル(つまり、E−DPDCH、E−DPCCH、DPCCH、HS−DPCCH)は、チャネライゼーションブロック802によって対応するチャネライゼーションコードとともに拡散され、利得制御ブロック804によって対応する利得係数を乗算され、I/Qマッピングブロック806によってIチャネルまたはQチャネルのいずれかにマッピングされる。E−DPDCHは、チャネルコンバイナー808によって組み合わされ、デマルチプレクサ810によって2つのストリームに逆多重化される。2つのストリームは、プリコーディングブロック812によってプリコーディング重みと多重化され、それぞれのアンテナに分配される。DPCCH、HS−DPCCH、E−DPCCH、およびプリコードされたE−DPDCHは、それぞれのアンテナについてチャネルコンバイナー814によって組み合わされる。スクランブルブロック816では、チャネル組み合わせ信号にスクランブルコードを乗算し、次いで、アンテナ818を介して送信する。
【0217】
代替えとして、DPCCHおよび/またはE−DPCCHもプリコードすることができる。E−DPDCH(複数可)に対して利得係数を設定する場合、一次変数βed,i,harqの計算が、式(44)および(45)と同様に実行されうるが、ただし、Δmimoの値は、送信されるトランスポートブロックは1つだけなので、2つのトランスポートブロックの間の相対的電力には依存しないものとしてよい。
【0218】
別の実施形態によれば、異なるスクランブルコードを、プリコーディングなしでそれぞれのアンテナ上で適用することができる(疑似空間多重化方式と称する)。図9は、一実施形態による疑似空間多重化方式を実装する例示的な送信機900を示している。
【0219】
図9の送信方式は、古典的なMIMO方式ではなく、スクランブルコードを使用することによってストリームを分離することができるので、基地局において複数の受信アンテナは必要ない。ノードB受信機は、それぞれのWTRU送信アンテナを仮想ユーザーまたはWTRUとして単純に取り扱うことができる。干渉除去受信機を持つ基地局の複数の受信アンテナは、この場合に性能向上をもたらすことに留意されたい。この送信機構造については、2つの独立の電力制御ループを、それぞれの仮想ユーザー/WTRUに対して1つずつ使用することができる。
【0220】
この例では、WTRU ULがMIMOモードに構成され、異なるE−DPDCHストリームにおける2つのE−DPDCHが同じチャネライゼーションコードを共有し、2つのE−DPCCHが同じチャネライゼーションコードを共有し、2つのDPCCHが同じチャネライゼーションコードを共有し、2つのDPCCHにおけるパイロットが互いに直交している場合に、DPDCHは送信されないと仮定される。この仮定は、例示を目的としたものにすぎず、どのような構成も適用可能であることに留意されたい(例えば、DPDCHを同時に送信し、異なるチャネライゼーションコードをそれらのチャネルのどれにでも使用することができる)。
【0221】
送信機900(つまり、WTRU)は、チャネライゼーションブロック902、利得制御ブロック904、I/Qマッピングブロック906、チャネルコンバイナー908、910、スクランブルブロック912、およびアンテナ914を備える。2つのE−DCHコードワード(つまり、2つのE−DCHトランスポートブロック)は、同時に送信されうる。それぞれのE−DCHコードワードは、1つまたは複数のE−DPDCHにマッピングすることができ、E−DPCCHは、それぞれのE−DCHコードワードとともに送信される。それぞれのチャネル(つまり、E−DPDCH、E−DPCCH、DPCCH、HS−DPCCH)は、チャネライゼーションブロック902によって対応するチャネライゼーションコードとともに拡散され、利得制御ブロック904によって対応する利得係数を乗算され、I/Qマッピングブロック906によってIチャネルまたはQチャネルのいずれかにマッピングされる。チャネルは、それぞれのアンテナについてコンバイナー908、910によって組み合わされる。スクランブルブロック912では、チャネル組み合わせ信号に異なるスクランブルコードを乗算し、次いで、アンテナ914を介して送信する。
【0222】
これは、異なるストリームを独立したWTRUとしてみなせるので、インフラストラクチャおよびスケジューリングを簡素化するという利点を有するものとしてよい。実施形態では、式(44)および(45)に従ってデータチャネルの電力を高めるために追加のMIMO電力オフセットを含めることができる。上で開示されている実施形態による電力スケーリングを実装することができる。
【0223】
(実施形態)
1.WTRUでのアップリンクにおける多重アンテナ送信の送信電力制御のための方法。
【0224】
2.送信のために少なくとも1つの入力ストリームを生成するステップを含む実施形態1の方法。
【0225】
3.基準チャネルの電力推定値に基づき決定される利得係数を入力ストリームに含まれるそれぞれのチャネルに適用するステップを含む実施形態2の方法。
【0226】
4.複数のアンテナを介して送信するために入力ストリームから少なくとも2つのデータストリームを生成するステップを含む実施形態3の方法。
【0227】
5.重みをデータストリームに適用することを含み、利得係数または重みのうちの少なくとも一方1つは、それぞれのアンテナ上の送信電力が最大許容値の範囲内となるように制御される実施形態4の方法。
【0228】
6.それぞれのアンテナ上で電力基準チャネルに関する電力測定を実行するステップをさらに含む実施形態2〜5のうちのいずれか1つの実施形態において記載の方法。
【0229】
7.所定の期間にわたる電力測定結果をフィルタ処理してそれぞれのアンテナ上の平均基準チャネル電力推定値を計算するステップを含む実施形態6の方法。
【0230】
8.すべてのアンテナ上の平均基準チャネル電力推定値のうちの最大の値を基準チャネル電力推定値として選択するステップを含む実施形態7の方法。
【0231】
9.それぞれのアンテナに対するUPHを計算するステップをさらに含む実施形態2〜8のうちのいずれか1つの実施形態において記載の方法。
【0232】
10.すべてのアンテナについて計算されたUPHのうちの最小のUPHを選択するステップを含む実施形態9の方法。
【0233】
11.選択されたUPHを含むスケジューリング情報を送信するステップを含む実施形態10の方法。
【0234】
12.任意のアンテナ上の送信電力が最大許容値を超えるという条件の下で電力スケーリングを実行するステップをさらに含む実施形態2〜11のうちのいずれか1つの実施形態において記載の方法。
【0235】
13.送信電力が最大許容値を超えないか、またはE−DPDCHに対する利得係数がE−DPDCHに対する最小利得値に達するまで、最大許容値を超えるアンテナ上のE−DPDCHをスケールダウンするステップを含む実施形態12の方法。
【0236】
14.E−DPDCHをスケールダウンした後送信電力がなお最大許容値を超えるという条件の下で両方のアンテナ上のすべてのチャネルをスケールダウンするステップを含む実施形態13の方法。
【0237】
15.WTRUでのアップリンクにおける多重アンテナ送信の送信電力制御のための方法。
【0238】
16.少なくとも1つのE−DCHコードワードを生成するステップを含む実施形態15の方法。
【0239】
17.複数のアンテナを介して送信するためにE−DCHコードワードから少なくとも2つのデータストリームを生成するステップを含む実施形態16の方法。
【0240】
18.それぞれのデータストリームについてE−DPDCH電力オフセットを計算するステップを含み、E−DPDCH電力オフセットは、多重ストリーム伝送による追加の電力オフセット係数に基づき計算される、一時変数に基づき計算される実施形態17の方法。
【0241】
19.E−DPDCH電力オフセットを適用するステップを含む実施形態18の方法。
【0242】
20.データストリームを送信するステップを含む実施形態19の方法。
【0243】
21.追加の電力オフセット係数は、それぞれのデータストリームについて異なる値である実施形態18〜20のうちのいずれか1つの実施形態において記載の方法。
【0244】
22.追加の電力オフセット係数は、MIMO動作モード、受信機の種類、DPCCHがプリコードされているかどうか、E−DPCCHがプリコードされているかどうか、またはそれぞれのデータストリームのQoSのうちの少なくとも1つに依存する実施形態18〜21のうちのいずれか1つの実施形態において記載の方法。
【0245】
23.追加の電力オフセット係数は、それぞれのデータストリームに対するTBサイズまたはデータストリームに対するTBサイズの対に依存する実施形態18〜22のうちのいずれか1つの実施形態において記載の方法。
【0246】
24.追加の電力オフセット係数は、データストリーム間の電力オフセットの差に依存する実施形態18〜23のうちのいずれか1つの実施形態において記載の方法。
【0247】
25.別々のDPCCHがそれぞれのアンテナを介して送信され、DPCCHの送信電力が単一の電力制御ルールによって制御される実施形態16〜24のうちのいずれか1つの実施形態において記載の方法。
【0248】
26.アップリンクにおける多重アンテナ送信の送信電力制御のためのWTRU。
【0249】
27.複数のアンテナを備える実施形態26のWTRU。
【0250】
28.送信のために少なくとも1つの入力ストリームを生成するように構成されたプロセッサを備える実施形態27のWTRU。
【0251】
29.プロセッサは、基準チャネルの電力推定値に基づき決定される利得係数を入力ストリームに含まれるそれぞれのチャネルに適用するように構成される実施形態28のWTRU。
【0252】
30.プロセッサは、複数のアンテナを介して送信するために入力ストリームから少なくとも2つのデータストリームを生成するように構成される実施形態29のWTRU。
【0253】
31.プロセッサは、重みをデータストリームに適用するように構成され、利得係数または重みのうちの少なくとも1つは、それぞれのアンテナ上の送信電力が最大許容値の範囲内となるように制御される実施形態30のWTRU。
【0254】
32.プロセッサは、それぞれのアンテナ上の電力基準チャネルに関する電力測定を実行し、所定の期間にわたる電力測定結果をフィルタ処理してそれぞれのアンテナ上の平均基準チャネル電力推定値を計算し、すべてのアンテナ上の平均基準チャネル電力推定値のうちの最大の値を基準チャネル電力推定値として選択するように構成される実施形態28〜31のうちのいずれか1つの実施形態において記載のWTRU。
【0255】
33.プロセッサは、それぞれのアンテナについてUPHを計算するように構成される実施形態28〜32のうちのいずれか1つの実施形態において記載のWTRU。
【0256】
34.プロセッサは、すべてのアンテナについて計算されたUPHのうちから最小のUPHを選択し、選択されたUPHを含むスケジューリング情報を送信するように構成される実施形態33のWTRU。
【0257】
35.プロセッサは、送信電力が最大許容値を超えないか、またはE−DPDCHに対する利得係数がE−DPDCHに対する最小利得値に達するまで、任意のアンテナ上の送信電力が最大許容値を超えるという条件の下でE−DPDCHをスケールダウンし、E−DPDCHをスケールダウンした後に送信電力がなお最大許容値を超えるという条件の下ですべてのチャネルをスケールダウンするように構成される実施形態28〜34のうちのいずれか1つの実施形態において記載のWTRU。
【0258】
36.アップリンクにおける多重アンテナ送信の送信電力制御のためのWTRU。
【0259】
37.複数のアンテナを備える実施形態36のWTRU。
【0260】
38.少なくとも1つのE−DCHコードワードを生成するように構成されたプロセッサを備える実施形態37のWTRU。
【0261】
39.プロセッサは、複数のアンテナを介して送信するためにE−DCHコードワードから少なくとも2つのデータストリームを生成するように構成される実施形態38のWTRU。
【0262】
40.プロセッサは、それぞれのデータストリームについてE−DPDCH電力オフセットを計算し、E−DPDCH電力オフセットが、多重ストリーム伝送による追加の電力オフセット係数に基づき計算される、一時変数に基づき計算されるように構成される実施形態39のWTRU。
【0263】
41.プロセッサは、E−DPDCH電力オフセットを適用し、データストリームを送信するように構成される実施形態40のWTRU。
【0264】
42.追加の電力オフセット係数が、それぞれのデータストリームについて異なる値である実施形態40〜41のうちのいずれか1つの実施形態において記載のWTRU。
【0265】
43.追加の電力オフセット係数は、MIMO動作モード、受信機の種類、DPCCHがプリコードされているかどうか、E−DPCCHがプリコードされているかどうか、またはそれぞれのデータストリームのQoSのうちの少なくとも1つに依存する実施形態40〜42のうちのいずれか1つの実施形態において記載のWTRU。
【0266】
44.追加の電力オフセット係数は、それぞれのデータストリームに対するTBサイズまたはデータストリームに対するTBサイズの対に依存する実施形態40〜43のうちのいずれか1つの実施形態において記載のWTRU。
【0267】
45.追加の電力オフセット係数は、データストリーム間の電力オフセットの差に依存する実施形態40〜44のうちのいずれか1つの実施形態において記載のWTRU。
【0268】
46.別々のDPCCHがそれぞれのアンテナを介して送信され、DPCCHの送信電力が単一の電力制御ルールによって制御される実施形態37〜45のうちのいずれか1つの実施形態において記載のWTRU。
【0269】
特徴および要素が特定の組み合わせで上で説明されているが、当業者であれば、それぞれの特徴もしくは要素は単独で、または他の特徴および要素と組み合わせて使用できることを理解するであろう。それに加えて、本明細書で説明されている方法は、コンピュータまたはプロセッサにより実行できるようにコンピュータ可読媒体内に組み込まれたコンピュータプログラム、ソフトウェア、またはファームウェアにより実装されうる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子信号(有線で、またはワイヤレス接続で送信される)およびコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、限定はしないが、ROM(読み取り専用メモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気媒体、光磁気媒体、ならびにCD−ROMディスクおよびDVD(デジタル多用途ディスク)などの光学媒体が挙げられる。ソフトウェアとの関連性を持つプロセッサは、WTRU、UE、端末、基地局、RNC、またはホストコンピュータにおいて使用するための無線周波トランシーバを実装するために使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス送受信ユニット(WTRU)でのアップリンクにおける多重アンテナ送信の送信電力制御のための方法であって、
送信のための少なくとも1つの入力ストリームを生成するステップと、
基準チャネルの電力推定値に基づき決定される利得係数を前記入力ストリームに含まれるそれぞれのチャネルに適用するステップと、
複数のアンテナを介して送信するために前記入力ストリームから少なくとも2つのデータストリームを生成するステップと、
重みを前記データストリームに適用するステップであって、前記利得係数または前記重みのうちの少なくとも1つはそれぞれのアンテナ上の送信電力が最大許容値の範囲内となるように制御されるステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
それぞれのアンテナ上で電力基準チャネルに関する電力測定を実行するステップと、
所定の期間にわたる前記電力測定結果をフィルタ処理してそれぞれのアンテナ上の平均基準チャネル電力推定値を計算するステップと、
すべてのアンテナ上の平均基準チャネル電力推定値のうちの最大の値を前記基準チャネル電力推定値として選択するステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
それぞれのアンテナについてUE電力ヘッドルーム(UPH)を計算するステップと、
すべてのアンテナについて計算されたUPHのうちから最小のUPHを選択するステップと、
前記選択されたUPHを含むスケジューリング情報を送信するステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
任意のアンテナ上の送信電力が最大許容値を超えるという条件の下で電力スケーリングを実行するステップと、
前記送信電力が前記最大許容値を超えないか、または前記E−DPDCHに対する利得係数が前記E−DPDCHに対する最小利得値に達するまで、前記最大許容値を超えるアンテナ上のE−DCH個別物理データチャネル(E−DPDCH)をスケールダウンするステップと、
前記E−DPDCHをスケールダウンした後に前記送信電力がなお前記最大許容値を超えるという条件の下で両方のアンテナにおけるすべてのチャネルをスケールダウンするステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ワイヤレス送受信ユニット(WTRU)でのアップリンクにおける多重アンテナ送信の送信電力制御のための方法であって、
少なくとも1つの拡張専用チャネル(E−DCH)コードワードを生成するステップと、
複数のアンテナを介して送信するために前記E−DCHコードワードから少なくとも2つのデータストリームを生成するステップと、
それぞれのデータストリームについてE−DCH個別物理データチャネル(E−DPDCH)電力オフセットを計算するステップであって、前記E−DPDCH電力オフセットは、多重ストリーム伝送による追加の電力オフセット係数に基づき計算される、一時変数に基づき計算される、ステップと、
前記E−DPDCH電力オフセットを適用するステップと、
前記データストリームを送信するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記追加の電力オフセット係数は、それぞれのデータストリームについて異なる値であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記追加の電力オフセット係数は、マルチ入力マルチ出力(MIMO)動作モード、受信機の種類、個別物理制御チャネル(DPCCH)がプリコードされているかどうか、E−DCH個別物理制御チャネル(E−DPCCH)がプリコードされているかどうか、またはそれぞれのデータストリームのサービス品質(QoS)のうちの少なくとも1つに依存することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記追加の電力オフセット係数は、それぞれのデータストリームに対するトランスポートブロック(TB)サイズまたは前記データストリームに対するTBサイズの対に依存することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記追加の電力オフセット係数は、データストリーム間の電力オフセットの差に依存することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項10】
別々の個別物理制御チャネル(DPCCH)がそれぞれのアンテナを介して送信され、DPCCHの送信電力は単一の電力制御ルールによって制御されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項11】
アップリンクにおける多重アンテナ送信の送信電力制御のためのワイヤレス送受信ユニット(WTRU)であって、
複数のアンテナと、
プロセッサであって、送信のための少なくとも1つの入力ストリームを生成し、基準チャネルの電力推定値に基づき決定される利得係数を前記入力ストリームに含まれるそれぞれのチャネルに適用し、複数のアンテナを介して送信するために前記入力ストリームから少なくとも2つのデータストリームを生成し、重みを前記データストリームに適用し、前記利得係数または前記重みのうちの少なくとも1つはそれぞれのアンテナ上の送信電力が最大許容値の範囲内となるように制御されるように構成されるプロセッサと
を備えることを特徴とするワイヤレス送受信ユニット(WTRU)。
【請求項12】
前記プロセッサは、それぞれのアンテナ上の電力基準チャネルに関する電力測定を実行し、所定の期間にわたる前記電力測定結果をフィルタ処理してそれぞれのアンテナ上の平均基準チャネル電力推定値を計算し、すべてのアンテナ上の平均基準チャネル電力推定値のうちの最大の値を前記基準チャネル電力推定値として選択するように構成されることを特徴とする請求項11に記載のWTRU。
【請求項13】
前記プロセッサは、それぞれのアンテナについてUE電力ヘッドルーム(UPH)を計算し、すべてのアンテナについて計算されたUPHのうちから最小のUPHを選択し、前記選択されたUPHを含むスケジューリング情報を送信するように構成されることを特徴とする請求項11に記載のWTRU。
【請求項14】
前記プロセッサは、送信電力が最大許容値を超えないか、またはE−DPDCHに対する利得係数がE−DPDCHに対する最小利得値に達するまで、任意のアンテナ上の前記送信電力が前記最大許容値を超えるという条件の下で前記E−DCH個別物理データチャネル(E−DPDCH)をスケールダウンし、前記E−DPDCHをスケールダウンした後に前記送信電力がなお前記最大許容値を超えるという条件の下ですべてのチャネルをスケールダウンするように構成されることを特徴とする請求項11に記載のWTRU。
【請求項15】
アップリンクにおける多重アンテナ送信の送信電力制御のためのワイヤレス送受信ユニット(WTRU)であって、
複数のアンテナと、
プロセッサであって、少なくとも1つの拡張専用チャネル(E−DCH)コードワードを生成し、複数のアンテナを介して送信するために前記E−DCHコードワードから少なくとも2つのデータストリームを生成し、それぞれのデータストリームについてE−DCH個別物理データチャネル(E−DPDCH)電力オフセットを計算し、前記E−DPDCH電力オフセットは、多重ストリーム伝送による追加の電力オフセット係数に基づき計算される、一時変数に基づき計算され、前記E−DPDCH電力オフセットを適用し、前記データストリームを送信するように構成されるプロセッサと
を備えることを特徴とするワイヤレス送受信ユニット(WTRU)。
【請求項16】
前記追加の電力オフセット係数は、それぞれのデータストリームについて異なる値であることを特徴とする請求項15に記載のWTRU。
【請求項17】
前記追加の電力オフセット係数は、マルチ入力マルチ出力(MIMO)動作モード、受信機の種類、個別物理制御チャネル(DPCCH)がプリコードされているかどうか、E−DCH個別物理制御チャネル(E−DPCCH)がプリコードされているかどうか、またはそれぞれのデータストリームのサービス品質(QoS)のうちの少なくとも1つに依存することを特徴とする請求項15に記載のWTRU。
【請求項18】
前記追加の電力オフセット係数は、それぞれのデータストリームに対するトランスポートブロック(TB)サイズまたは前記データストリームに対するTBサイズの対に依存することを特徴とする請求項15に記載のWTRU。
【請求項19】
前記追加の電力オフセット係数は、データストリーム間の電力オフセットの差に依存することを特徴とする請求項15に記載のWTRU。
【請求項20】
別々の個別物理制御チャネル(DPCCH)がそれぞれのアンテナを介して送信され、DPCCHの送信電力は単一の電力制御ルールによって制御されることを特徴とする請求項15に記載のWTRU。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−507071(P2013−507071A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532367(P2012−532367)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/051185
【国際公開番号】WO2011/041719
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
【出願人】(510030995)インターデイジタル パテント ホールディングス インコーポレイテッド (229)
【Fターム(参考)】