説明

アディポネクチン産生増強剤

【課題】 摂取しやすく、しかも、長期間連用しても安全な、アディポネクチン産生増強剤を提供することを課題とする。
【解決手段】 プロポリス抽出地物を有効成分とするアディポネクチン産生増強剤を提供することにより解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロポリス抽出物を有効成分とするアディポネクチン産生増強剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、過剰な食物の摂取、運動不足、ストレスなどが原因で生じる様々な疾患は、糖尿病や動脈硬化症、ひいては、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスクまでも高めることから、現代社会において大きな問題となっている。これらの疾患を予防・改善するために様々な方法が従来から実践されている。例えば、食事制限や運動による方法、食物繊維の摂取、脂肪分解促進剤の利用などが挙げられる。しかしながら、食事療法用の低カロリー食は風味が単調であるために長期間経つと、人によっては毎日の摂取を嫌がるようになる場合がある。また、これらの予防・改善のために使用される、健康補助食品にあっても、その味質や食感などに問題があり、これらを長期間継続することはできない場合などには、そのリバウンドがおこったり、健康に障害がでる場合すらある。
【0003】
なかでも、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患は死亡率が高く、そのリスクの低減や改善対策を考える上で、最近、生体内生理活性物質(サイトカイン)の挙動が注目されている。このサイトカインの中でも、特に、脂肪細胞が産生するアディポネクチンは、その産生量が多いほど、動脈硬化を抑制するなどして、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスクの低減に寄与すると考えられている。このアディポネクチンの産生を増強させるための成分として、発酵茶抽出物(特許文献1)、ジアシルグリセロール(特許文献2)、シイタケや鹿角霊芝などのキノコの抽出物(特許文献3)等が提案されている。また、この脂肪細胞は、前駆脂肪細胞から分化するので、脂肪細胞の数を増やし、結果としてアディポネクチンの産生量を増強させるために、その分化誘導剤も提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、アディポネクチン産生増強剤は、長期間継続的に使用する必要があるので、単一の成分だけでは、人によっては長期間の摂取の継続を拒絶する場合や、十分な効果が得られない場合があり、長期間摂取しても、安全で、且つ、十分な効果が得られる新規のアディポネクチン産生増強剤の開発が望まれている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−315379号公報
【特許文献2】特開2005−325072号公報
【特許文献3】特開2007−63207号公報
【特許文献4】特開2007−70274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アディポネクチン産生増強効果に優れた、摂取しやすく、長期間摂取しても安全なアディポネクチン産生増強剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決するために、長年研究してきたプロポリスに着目して鋭意研究した結果、意外にも、プロポリス抽出物が効果的に脂肪細胞からのアディポネクチン産生を増強することを見出し、併せて、このプロポリス抽出物がペルオキシソーム増感剤応答性核内受容体γ(以下、「PPAR−γ」と略記する。)の活性化作用(アゴニストとしての作用)、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導作用、インスリン抵抗性改善作用、及び/又は腫瘍壊死因子(以下、「TNF−α」という。)などによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善作用を持つことを見出して本発明を完成した。すなわち、本発明は、プロポリス抽出物を有効成分とするアディポネクチン産生増強剤、PPAR−γ活性化剤、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導剤、インスリン抵抗性改善剤及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善剤を主な構成とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のアディポネクチン産生増強剤は、経口摂取乃至塗布により、アディポネクチンの産生を増強し、併せて、PPAR−γの活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞へ分化誘導、インスリン抵抗性の改善、及び/又は、TNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制を改善するので、その結果、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスクを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のアディポネクチン産生増強剤に使用するプロポリス抽出物としては、プロポリスを公知の各種溶媒で抽出して使用すればよい。抽出に使用する溶媒は、所期の目的が達成できるのであれば、特に制限はないが、経口摂取を前提とするのであれば、エタノール、又は、水とエタノールとの混合溶媒、或いは、液体炭酸ガスなどが望ましい。また、アディポネクチンの産生増強作用や、PPAR−γの活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞へ分化誘導、インスリン抵抗性の改善、TNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制を改善作用の強さの点からは、水とエタノールの混合溶媒が望ましく、エタノールを20乃至80質量%含有するものがより望ましく、30乃至70質量%含有するものがさらに望ましく、40乃至60質量%含有するものが特に望ましい。このプロポリス抽出物は、本発明の効果を妨げない限り、必ずしも精製されたものを用いる必要はなく、そのままで使用することも、又は、分画して、さらには、精製してアディポネクチンの産生増強作用や、PPAR−γの活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞へ分化誘導、インスリン抵抗性の改善、TNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制を改善する作用をもつ成分を含む画分を採取して使用することも随意である。また、例えば、プロポリス抽出物と、マルトース、トレハロース、環状糖質やデキストリンなどとを混合して、これらを、常法により乾燥して、粉末を調製することも随意である。
【0009】
本発明のアディポネクチン産生増強剤は、そのままで使用することもできるし、或いは、それ以外の賦形剤、他の食品分野、化粧品分野、医薬品分野、医薬部外品分野で使用される成分の1種又は2種以上を配合した組成物の形態で使用してもよい。
【0010】
本発明のアディポネクチン産生増強剤は、有効成分であるプロポリス抽出物を、経口摂取用又は皮膚外用の組成物に配合することにより、所期の効果を発揮することができる。このプロポリス抽出物を、経口摂取用又は皮膚外用組成物に配合する場合は、対象とする経口摂取用又は皮膚外用組成物の組成やその使用目的を勘案して、原料の段階から製品が完成するまでの工程で配合すればよい。その方法としては、例えば、混和、混捏、溶解、融解、分散、懸濁、乳化、逆ミセル化、浸透、晶出、散布、塗布、付着、噴霧、被覆(コーティング)、注入、浸漬、固化、担持などの公知の1種又は2種以上の方法が適宜に選ばれる。また、製品完成後や飲食の際に振りかけるなどの方法であってもよい。また、このようにして調製された本発明のアディポネクチン産生増強剤は、その形状を問わず、例えば、シラップ、マスキット、ペースト、粉末、固状、顆粒、錠剤などの何れの形状であってもよく、そのままで、又は、必要に応じて、増量剤、賦形剤、結合剤などと混合して、顆粒、球状、短棒状、板状、立方体、錠剤、カプセル剤など各種形状に成型して使用することも随意である。
【0011】
本発明のアディポネクチン産生増強剤の、一日当たりの経口摂取量は、アディポネクチン産生増強、PPAR−γの活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞へ分化誘導、インスリン抵抗性の改善、及び/又は、TNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善の作用・効果が得られる量であれば特に制限はなく、通常、プロポリス抽出物を無水物換算で、0.1mg/kg・体重/日以上が望ましく、1乃至500mg/kg・体重/日がより望ましく、1乃至100mg/kg・体重/日が特に望ましい。100mg/kg・体重/日以上摂取しても、その配合量に見合うほどの効果の増強は認められない場合がある。また、その摂取方法は、本発明の所期の効果が達成できるのであれば特に制限はない。
【0012】
本発明のアディポネクチン産生増強剤は、必要に応じて、上記以外にも、アディポネクチン産生増強作用を有する成分、前駆脂肪細胞を脂肪細胞へ分化誘導する作用を有する成分、PPAR−γの活性化作用を有する成分、抗高脂血症剤、脂質代謝改善剤、脂肪分解促進剤、血圧降下剤、抗糖尿病剤、糖尿病の合併症や他の生活習慣病やメタボリックシンドロームなどの予防・治療効果を有する天然成分や化学合成品を配合することができる。また、その特性を妨げない範囲で、栄養物、嗜好物、生理活性物質、食品・医薬品用添加物などを配合することができる。また、これら以外にも、例えば、ショ糖、グルコース、マルトース、α,α−トレハロースやその糖質誘導体、環状四糖(シクロニゲロシルニゲロースやシクロマルトシルマルトース)などの環状糖質、ラクトスクロース、デキストリンなどの糖類、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マルトトリイトール、マルトテトライトールなどの糖アルコール類、アスパルテーム、ステビア抽出物、糖転移ステビア、スクラロース、アセスルファムKなどの高甘味度甘味料、澱粉、プルラン、カラギーナン、コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸などのムコ多糖体やその塩類をはじめとする多糖類、天然ガム類、カルボキシメチルセルロースなどの増粘剤、乳化剤、香料、香辛料、色素、例えば、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、ルチン・ヘスペリジン・ナリンジンなどのビタミンP類などのビタミン類やこれらビタミン類の誘導体、α−リポ酸、L−カルニチン、L−シトルリン、タウリンを含むアミノ酸類、CoQ10(コエンザイムQ10)、カテキンをはじめとするポリフェノール類、ヒドロキシデセン酸、アピシン、アデノシンやそのモノフォスフェイト、ジフォスフェイト或いはトリフォスフェイトなどの塩基類、グルタチオン、グリセロホスホコリン、ビスヒドロキシメチルブチレートモノハイドレート(HMB)、ハーブエキス、南天エキス、藍草エキス、プラセンタエキス、ローヤルゼリーエキス、酵母エキス、パフィアエキス、ガラナエキス、コリアンダーエキス、鹿角霊芝エキス、コタラヒムエキスなどの動植物エキス、これらエキスの粉末、生理活性物質などから選ばれる何れか1種又は2種以上を配合することも有利に実施でき、さらには、上記以外の澱粉質、糖質、コラーゲンをはじめとする蛋白質、ペプチドやこれらの部分分解物、繊維質、脂質、脂肪酸、有機酸、ミネラル、甘味料、酸味料、調味料、防腐剤、抗菌剤、薬効成分、抗酸化剤、乳化剤、pH調整剤などから選ばれる何れか1種又は2種以上を配合することも随意である。
【0013】
本発明のアディポネクチン産生増強剤を、経口摂取用組成物に配合して使用する場合、具体的には、例えば、せんべい、あられ、おこし、餅類、まんじゅう、ういろう、あん類、羊羹、水羊羹、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉などの各種和菓子、パン、ビスケット、クラッカー、ポテトチップス、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンディーなどの各種洋菓子、うどん、ラーメンなどの麺類、すし、五目飯など米飯類、人造肉などの穀類加工品類、フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペースト、スプレッドなどのペースト類、イチゴジャム、ブルベリージャム、オレンジマーマレードをはじめとするジャム類、梅干し、福神漬、べったら漬、千枚漬、らっきょう漬、味噌漬などの漬物類、たくあん漬の素、白菜漬の素などの漬物の素類、ハム、ソーセージなどの畜肉製品類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、蒲鉾、ちくわ、天ぷらなどの魚肉製品、のり、山菜、するめ、小魚、貝などで製造されるつくだ煮類、煮豆、ポテトサラダ、昆布巻などの惣菜類、煮魚、筑前煮、おひら、なべ物などの煮物類、バター、プロセスチーズなどの乳製品、ふりかけ類、魚肉、畜肉、果実、野菜のビン詰、缶詰類、トマトジュース、スポーツ飲料、炭酸飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料などの清涼飲料水、プリンミックス、ホットケーキミックス、即席麺、即席しるこ、即席スープなど即席飲食物などの各種飲食物やその原料に配合すればよい。
【0014】
このようにして製造される本発明のアディポネクチン産生増強剤やこれを配合した組成物は、長期間連用しても、重篤な副作用もなく安全であり、アディポネクチン産生を効果的に増強できる。また、当該アディポネクチン産生増強剤は、PPAR−γの活性化作用、前駆脂肪細胞を脂肪細胞へ分化誘導する作用、インスリン抵抗性改善作用及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善作用などを併せ持ち、血管の損傷の予防・改善、糖尿病者やその予備軍における血糖値、インスリン値などの上昇や、糖尿病性腎障害、膵臓のランゲルハンス島の変性も抑制することもできるので、その結果、糖尿病、高血圧、腎臓疾患、動脈硬化症、心血管疾患など循環器系疾患、神経疾患などの予防乃至治療を促進し、生活習慣病やメタボリックシンドロームを予防・改善し、さらには、睡眠のリズム障害の改善、体内時計調節や美容、健康の維持・増進にも大きく貢献することができる。なお、本発明でいう糖尿病とは、I型及びII型の両方をいう。
【0015】
本発明のアディポネクチン産生増強剤やこれを配合した経口摂取用組成物は、上記の各種疾患の治療剤として使用することができる。また、本発明のアディポネクチン産生増強剤やこれを配合した経口摂取用の組成物は、アディポネクチン産生を増強できることや、PPAR−γ活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導、インスリン抵抗性改善及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善をすることができることを標榜して販売することも有利に実施できる。また、本発明のアディポネクチン産生増強剤は、糖尿病性腎障害や膵臓のランゲルハンス島の変性、及び/又は、血糖値の上昇を抑制することができるので、これらのことを標榜して販売することも随意である。
【0016】
本発明のアディポネクチン産生増強剤を経口摂取物に配合して利用する場合は、粉末、固状、顆粒、錠剤などの形状であってもよく、そのままで、又は、必要に応じて、増量剤、賦形剤、結合剤などと混合して、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセル剤など各種剤型で使用することもできる。
【0017】
また、本発明のアディポネクチン産生増強剤は皮膚外用剤に配合して使用する場合の剤型にも特に制限はない。例えば、水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、固形スティック系、水−油2層系、水−油−粉末3層系など、種々の剤型で本発明を適用することが可能である。また、その具体的な形態にも、特に制限はなく、化粧品、医薬品、医薬部外品などの薬事法上の区別に拘束されるものでもない。当該皮膚外用剤は、化粧品、医薬品、医薬部外品として、皮膚,口唇や頭皮などの外皮及び口内に適用されるものをいい、具体的には、軟膏、クリーム、乳液、ローション、エッセンス、ゼリー、ジェル、パック、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、マスク、マスカラ、アイライナー、育毛剤、リップスティック(口紅)、リップグロス、ファンデーション、頬紅、アイシャドウ、パウダー、マニキュア、石鹸、ボディーソープ、浴用剤、歯磨、口中清涼剤、口中清涼フィルム、マウスウオッシュ、うがい薬などを例示することができる。
【0018】
本発明のアディポネクチン産生増強剤を配合した皮膚外用剤は、その具体的な形態に応じて、公知成分を含む製剤学的に許容される成分を配合することが可能である。すなわち、通常、皮膚外用剤に用いられ得る成分の1種又は2種以上を、本発明の所期の効果を損なわない範囲で配合することができる。例えば、油成分、界面活性剤、防腐剤(抗菌剤)、香料、美白剤、保湿剤、増粘剤、抗酸化剤、キレート剤、紫外線吸収・散乱剤、ビタミン類、アミノ酸類、抗炎症剤、血行促進剤、海藻抽出物(海草抽出物を含む)、収斂剤、抗シワ剤、細胞賦活剤、抗老化防止剤、育毛・発毛剤、経皮吸収促進剤、水、アルコール類、水溶性高分子、pH調整剤、発泡剤、粉体、医薬品・医薬部外品・化粧品・食品用の添加剤、医薬用・医薬部外品用の有効成分など例示することができ、これらの成分の1種又は2種以上を適宜組み合わせて配合し、目的とする剤型に応じて、常法により製造すればよい。
【0019】
本発明のアディポネクチン産生増強剤を皮膚外用に配合して使用する場合の配合量は、所期の効果が得られる量であれば特に制限はなく、通常、プロポリス抽出物を無水物換算(プロポリスエキス由来の固形成分として)で、皮膚外用剤の総質量に対して0.1質量%以上配合したものが望ましく、0.5乃至50質量%配合したものがより望ましく、0.5乃至10質量%配合したものが特に望ましい。10質量%以上配合しても、その配合量に見合うほどの効果の増強は認められない場合がある。以下、実験例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0020】
<実験1>
<プロポリス抽出物のアディポネクチンの産生に及ぼす影響>
<プロポリス抽出物の調製>
後述の実施例1の方法に準じて調製した液状のプロポリス抽出物を使用した。当該プロポリス抽出物は、エタノール濃度44.3質量%、無水物換算で、固形分を108mg/ml含有し、フラボノイドを73mg/g、アルテピリンCを80mg/g含んでいた。
<前駆脂肪細胞株の脂肪細胞への分化誘導>
プロポリス抽出物のアディポネクチンの産生に及ぼす影響を調べる試験を、マウス繊維芽細胞由来の前駆脂肪細胞株3T3−L1細胞(アメリカン タイプ カルチャー コレクションより購入、以下「3T3−L1細胞」と略記する。)を使用して以下のように行った。すなわち、96マイクロウエルプレート(住友ベークライト株式会社販売、商品名「細胞培養用マルチプレート96F」)に、コラーゲン酸性溶液(株式会社高研販売、商品名「Atelo Cell」、製品番号「IPC−50」)を、塩酸でpH3に調整して、蒸留水で20倍に希釈した溶液を、50μl/ウエル添加し、室温で20分間処理して、コラーゲンをコートしたプレートを調製した。このプレートに、3T3−L1細胞を、10容積%ウシ胎児血清(以下、ウシ胎児血清を「FCS」と略記する。)及び2mg/mlのグルコース加ダルベコのMEM培地(日水製薬株式会社販売)(以下、10容積%FCS及び2mg/mlのグルコース加ダルベコのMEM培地を「基本培地」という。)に2.5×10個/mlとなるように浮遊させて、150μl/ウエルで添加した。37℃、5容積%CO下で2日間培養して、セミコンフルエント状態とした。この細胞の培養上清を除去後、基本培地に表1に示す濃度となるようにインスリン及びプロポリス抽出物を添加した培地を加えた。その後、2又は3日毎に、同時に、最初に添加した培地と同じ濃度のインスリン及びプロポリス抽出物を含む培地で、培地交換を行いながら13日間培養した(以下、「インスリン及びプロポリス添加群」という)。この細胞の脂肪細胞への分化の指標として、培養最終日に、細胞内に蓄積された中性脂肪量を下記の方法で測定して、表1に併せて示す。また、基本培地にインスリン及びプロポリス抽出物を添加した培地で培養開始13日間培養後の培養上清を回収して、上清中に分泌されたアディポネクチン量を下記の方法で測定した結果を併せて表1に示す。さらに、対照として、基本培地で培養した無処理群、基本培地にプロポリス抽出物のみを最終濃度0.8、4又は20μg/mlとなるように添加した培地で培養したプロポリス対照群、及び、基本培地にインスリンを最終濃度が1.7μMとなるように添加した培地で培養したインスリン対照群も、インスリン及びプロポリス添加群と同じスケジュールで培地交換を行い、同様に、中性脂肪量及びアディポネクチン量を測定した結果を、表1に併せて示す。なお、実験1乃至3におけるプロポリス抽出物の添加量(以下、「プロポリス濃度」という。)は、何れも、培地1ml中に含まれる、無水物換算したプロポリス抽出物由来の固形成分の質量で表した。また、試験はトリプリケイトで行った。
【0021】
<中性脂肪量の測定>
細胞内に蓄積された中性脂肪量をオイルレッドO染色により測定した。オイルレッドO染色液は、0.5gのオイルレッドOを100mlのイソプロパノールに溶解したものに蒸留水を150ml加えて調製した。3T3−L1細胞の培養上清を除去後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)でウエルを2回洗浄し、10容積%ホルマリン加リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を50μl/ウエルずつ添加し、室温で1時間、細胞を固定した。10容積%ホルマリン加PBSを除去し、オイルレッドO染色液を50μl/ウエル添加して、室温で15分間反応させた。染色液を除去後、蒸留水で3回洗浄し、イソプロパノールを50μl/ウエル添加して細胞より色素を抽出し、マイクロプレートリーダーにより吸光度(OD490nm)を測定して、中性脂肪量とした。
【0022】
<アディポネクチン量の測定>
アディポネクチン量は、3T3−L1細胞の培養上清を回収し、3,000rpmにて3分間遠心した上清を検体として、固相抗体及びビオチン標識抗体として抗アディポネクチンモノクローナル抗体(何れもR and D systems Inc.社販売)を用いたサンドイッチ酵素抗体法により測定した。96ウエルマイクロウエルプレート(日本インターメッド株式会社販売、商品名「イムノプレートマキシソープU96」)に、固相抗体として2μg/mlの抗アディポネクチンモノクローナル抗体を50μl/ウエル添加して37℃で3時間静置後、1質量%ウシ血清アルブミン(BSA)加PBSを200μl/ウエル添加して4℃で一晩静置してブロッキングを行った。また、標準品として、10容積%FCS加PBS(−)で希釈したアディポネクチン(BioVendor Laboratory Inc.社販売)を使用した。この標準品および3T3−L1細胞の培養上清を100μl/ウエル添加して室温で2時間静置後、標準品及び培養上清を除去し、0.2μg/ml濃度のビオチン標識抗アディポネクチン抗体溶液(R and D systems Inc.社販売)を100μl/ウエル添加して、室温で2時間反応させた。ビオチン標識抗体溶液を除去後、0.2μg/ml濃度のアビジン標識ホースラディシュパーオキシダーゼ(以下、「HRP」と略記する。)(DAKO Cytomation社販売)を、100μl/ウエル添加して1時間反応後、500μg/ml濃度のo−フェニレンジアミンを100μl/ウエル添加して発色させた。硫酸(2規定)を200μl/ウエル添加して反応停止後、吸光度(OD490nm/650nm)を測定した。別途、アディポネクチンの標準品の吸光度を測定して作成した標準曲線を基に、アディポネクチン量を求めた。
【0023】
【表1】

【0024】
表1から明らかなように、インスリンを無添加の培地で培養した場合(無処理群及びプロポリス対照群)には、プロポリス抽出物の添加の有無に拘わらず、3T3−L1細胞には、中性脂肪の蓄積もアディポネクチンの産生も認められず、脂肪細胞に分化しなかった。また、インスリンのみを添加した場合(インスリン対照群)にも、3T3−L1細胞には、中性脂肪の蓄積もアディポネクチンの産生も認められず、脂肪細胞に分化しなかった。これに対して、基本培地にインスリンとプロポリスとを添加した培地で培養した場合には、プロポリス濃度に依存した、中性脂肪の蓄積とアディポネクチンの産生が認められた。この実験結果は、プロポリス抽出物がアディポネクチン産生増強剤として有用であることを物語っている。しかも、3T3−L1細胞は、後述の実験3で示すように、デキサメサゾンとイソブチルメチルキサンチンなどの強い生理作用を有する成分とインスリンとの存在下でのみ、脂肪細胞に分化する細胞なので、プロポリス抽出物は、デキサメサゾンとイソプロピルメチルキサンチンを併用した場合と同様に、インスリン存在下での前駆脂肪細胞に対する強力な分化誘導作用を有していることから、前駆脂肪細胞を脂肪細胞へ分化させる分化誘導剤としても有用であることを物語っている。
【0025】
<実験2>
<プロポリス抽出物のPPAR−γに及ぼす影響>
実験1でプロポリス抽出物にアディポネクチンの産生増強作用が確認された。また、アディポネクチン遺伝子のプロモーター領域にはPPAR−γ応答配列(PPRE:PPAR responsive element)が存在し、アゴニストにより活性化されたPPAR−γが結合することによりアディポネクチンの産生が誘導されることが判明している(例えば、国際公開WO2006/006286号パンフレット参照)。そこで、プロポリス抽出物がPPAR−γのアゴニストとして作用してPPAR−γを活性化するかどうかを確認する試験を、PPAR−γに対するアゴニストが、PPAR−γに特異的に結合すると、PPAR−γが活性化されてその構造が一部変化することにより、コアクチベーターと呼ばれる蛋白質に結合するようになる性質を利用した市販の核内受容体・コファクターアッセイシステム測定キット(Biotech Laboratories社販売、製品名「EnBio RCAS for PPAR−γ」)を使用して、以下のように行った。すなわち、測定キット付属の96ウエルプレートの各ウエルに洗浄用緩衝液200乃至300μlを加えて3回洗浄後、各ウエルにコアクチベーター溶液を100μl添加して、プレートシェーカーで振とうしながら、室温で2時間反応させて、プレートにコアクチベーターを固相化した。コアクチベーター溶液を除去後、洗浄用緩衝液で3回洗浄し、キットに付属のヒト組換型PPAR−γ溶液を95μl/ウエルで添加した。実験1で使用したプロポリス抽出液(無水物換算で固形分を108mg/ml含有)をDMSO(ジメチルスルホキサイド)で適宜希釈して、その何れか5μlを、何れかのウエルに添加して、最終濃度が表2に示す濃度とし、プレートシェーカーで振とうしながら、室温で1時間反応させた。反応液を除去後、プレートを洗浄用緩衝液で4回洗浄し、測定キット付属のHRPを結合した抗PPAR−γ抗体溶液(PPAR/HRP抗体溶液)を100μl/ウエル加えて、プレートシェーカーで振とうしながら、室温で30分間反応させた。反応終了後、プレートを洗浄用緩衝液で4回洗浄し、測定キット付属のTMB(テトラメチルベンジジン:tetramethylbenzidine)基質を100μl/ウエル添加して、室温で20分間発色反応を行った。反応停止液を100μl/ウエルで添加して発色反応を停止し、マルチプレートリーダーで吸光度(OD450nm)を測定した。陰性対照として、プロポリス抽出物を希釈した溶液に換えて、DMSOを5μl/ウエルで添加した以外は同様の操作を行い、吸光度を測定した。各濃度のプロポリス抽出物を希釈した溶液を添加した時の吸光度から対照の吸光度を減じた値を、PPAR−γの活性化度として表2に併せて示す。また、PPAR−γに対するアゴニストとして知られているトログリタゾン(Troglitazone:陽性対照として当該測定キットに付属)をDMSOで適宜希釈して、5μl/ウエル添加して、最終濃度が表2に示す濃度となるように設定した。プロポリス抽出物の場合と同様の処理を行って、吸光度を測定し、陰性対照の吸光度を減じた吸光度を表2に併せて示す。なお、試験はトリプリケイトで行った。
【0026】
【表2】

【0027】
表2から明らかなよう、プロポリス抽出物は、陽性対照として使用したトログリタゾンと同様に、濃度依存的にPPAR−γを活性化した。この結果は、プロポリス抽出物がPPAR−γを活性化するアゴニスト(PPAR−γ活性化剤)として有用であることを物語っている。
【0028】
<実験3>
<インスリン耐性状態の細胞からのアディポネクチンの産生に及ぼすプロポリス抽出物の影響>
アディポネクチンは、脂肪細胞から産生されるものの、この細胞への中性脂肪の蓄積が進むにつれて、細胞はインスリン耐性となり、インスリン存在下でもアディポネクチンの産生量が低減することが知られている。一方、実験1でプロポリス抽出物にアディポネクチン産生増強作用が確認されたので、このプロポリスによるアディポネクチン産生増強作用が、インスリン耐性状態の細胞でも発揮されるかどうかを確認する試験を以下のようにして行った。すなわち、実験1で使用した3T3−L1細胞に、インスリンの存在下で、分化誘導剤として、デキサメサゾン及びイソブチルメチルキサンチンを使用し、TNF−αをインスリン耐性誘導剤として使用した。プロポリス抽出物は実験1と同じものを使用した。実験1と同様に、3T3−L1細胞を、基本培地でセミコンフルエント状態になるまで培養した。プロポリス添加群として、培養上清を除去後、基本培地にインスリン、デキサメサゾン、イソブチルメチルキサンチン、マウスTNF−α及びプロポリス抽出物を表3に示す濃度となるように添加した培地を、200μl/ウエル添加して2日間培養した。その後、培養上清を除去し、基本培地に表3に示す濃度となるようにプロポリス抽出物を添加した培地を200μl/ウエル添加して3日間培養し、培養上清を除去して、基本培地を加えてさらに1日培養して、実験1と同様に細胞内の中性脂肪量と培養上清中のアディポネクチン量とを測定した。また、インスリン耐性誘導群として、培養上清を除去後、基本培地にインスリン、デキサメサゾン、イソブチルメチルキサンチン、マウスTNF−αを表3に示す濃度となるように添加した培地を200μl/ウエル添加して2日間培養した。その後、培養上清を除去し、基本培地を200μl/ウエル添加して3日間培養し、培養上清を除去して、基本培地を加えて、さらに1日培養した。さらに、インスリン耐性誘導群と同じスケジュールで、基本培地のみで培地交換を行い陰性対照とした。また、プロポリス添加群のプロポリス抽出物に替えて、表3に示す濃度のインスリン抵抗性改善剤のピオグリタゾンを使用した以外は同じ組成の培地を使用して、プロポリス添加群と同じスケジュールで培地交換を行い陽性対照とした。インスリン耐性誘導群、分化誘導群、陰性対照及び陽性対照についても、プロポリス添加群と同様に、細胞内に蓄積された中性脂肪量及び上清中のアディポネクチン量を測定してその結果を、表3に併せて示す。なお、試験はトリプリケイトで行った。
【0029】
【表3】

【0030】
表3から明らかなように、基本培地に分化誘導剤としてインスリン、デキサメサゾン及びイソブチルメチルキサンチンを添加した培地で2日間培養した3T3−L1細胞(分化誘導群)は、アディポネクチンを産生する脂肪細胞へ分化し、細胞内に中性脂肪の蓄積が認められた。また、分化誘導剤に加えてTNF−αを加えた培地で2日間培養した3T3−L1細胞(インスリン耐性誘導群)では、アディポネクチンの産生及び中性脂肪の蓄積が、共に顕著に抑制された。これに対して、プロポリス添加群では、陽性対照と同様に、インスリン耐性誘導群に比して、基本培地に添加したプロポリス抽出物の濃度に依存したアディポネクチン産生の増強と中性脂肪の蓄積量の増加が認められた。この結果は、プロポリス抽出物の添加により、TNF−αにより誘導される前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制が改善されたことを示しており、プロポリス抽出物が、陽性対照として使用したピオグリタゾンと同様に、優れた脂肪細胞のインスリン耐性改善剤及び/又はTNF−αなどにより誘導される前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善剤として利用できることを物語っている。また、中性脂肪蓄積量の多さからすると、20μg/ml濃度のプロポリス抽出物は、陽性対照として使用した0.4μMのピオグリタゾンよりも強い、インスリン抵抗性改善作用及び/又はTNF−αなどにより誘導される前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善作用を有することを物語っている。
【0031】
以下、本発明のアディポネクチン産生増強剤及びこれを配合した組成物について、実施例により説明するが、本発明がこれら実施例に、何ら限定されることはない。
【実施例1】
【0032】
<アディポネクチン産生増強剤>
<プロポリス抽出物の調製>
塊状のブラジル産プロポリスを粗砕して、95容積%エタノール水溶液で、常法にしたがって抽出し、次いで残渣を少量の水で洗浄し、洗液を合わせて得られたプロポリス粗抽出物含有80容積%エタノール(無水物換算で、固形分約20質量%含有)水溶液に、水を加えてエタノール濃度を約50容積%に低減して、50℃に1時間保ち、プロポリス中の有効成分を含有する上層と粘着性沈殿物の下層を形成させ、室温で一夜放置し、この上層を分離し採取して、無水物換算で、固形分を125mg/ml(エタノール濃度43.5質量%)含有し、フラボノイドを92mg/g、アルテピリンCを86mg/g含有し、吸光度比(OD310nm/OD660nm)が11015である色調、香味の優れた液状の精製プロポリス抽出物を得た。本品は、このままで、或いは、他の成分を配合した組成物の形態で、アディポネクチン産生増強剤、PPAR−γ活性化剤、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導剤、インスリン抵抗性改善剤及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善剤として利用することができる。
<アディポネクチン産生増強剤の調製>
上記液状のプロポリス抽出物1質量部に対して、サイクロデキストリン2質量部と無水結晶α,α−トレハロース(株式会社林原生物化学研究所製造)7質量部を、万能混合機で混合し、そのままで一晩放置したのち、粉砕して、粉末状のアディポネクチン産生増強剤を調製した。本品は、無水物換算で1g当たり約12.5mgのプロポリス抽出物を含有する粉末である。本品を継続して経口的に摂取することにより、アディポネクチンの産生を増強すると共に、PPAR−γ活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導、インスリン抵抗性改善及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善をすることができる。
【0033】
この粉末を、常法により、0.5gずつ打錠して、錠剤を調製した。本品を、継続して経口的に摂取することにより、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスクを低減することができる。
【実施例2】
【0034】
<アディポネクチン産生増強剤>
<プロポリス抽出物の調製>
塊状のブラジル産プロポリス1kgを粉砕し、30容積%水性エタノールを5kg加え、60℃で加温しながら2時間浸漬し、室温まで冷却した後、濾紙及び珪藻土を用いて濾過した。固相部を採取し、65容積%水性エタノール5kgに浸漬し、60℃で加温しながら2時間抽出し、室温まで冷却し、4℃で一晩静置した後、上記と同様にして濾過し、液相部を採取した。引続き、分離した固相部を採取し、65容積%水性エタノールに浸漬し、上記と同様にして再度抽出した後、液相部を採取し、最初の液相部と合一した。合一した液相部における、原料のプロポリス質量に対する固形分収率は約33質量%であった。次いで、合一した液相部に、予め65容積%水性エタノールに対して平衡化しておいた弱塩基性陰イオン交換樹脂(商品名『ダイヤイオンWA−30』(OH型)、三菱化学工業株式会社製造)を湿質量で10質量%になるように加え、緩やかに攪拌しながら室温下で1時間処理した。濾過によりイオン交換樹脂を除去し、濾液を採取し、濃縮して、無水物換算で、固形分を118mg/ml含有し、フラボノイド103mg/g、アルテピリンCを88mg/g含有する液状の精製プロポリス抽出物をえた。本品は、このままで、或いは、他の成分を配合した組成物の形態で、アディポネクチン産生増強剤、PPAR−γ活性化剤、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導剤、インスリン抵抗性改善剤及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善剤として利用することができる。
<アディポネクチン産生増強剤の調製>
上記液状のプロポリス抽出物1質量部に対して、サイクロデキストリン2質量部と無水結晶α,α−トレハロース(株式会社林原生物化学研究所製造)7質量部を、万能混合機で混合し、そのままで一晩放置したのち、粉砕して、粉末状のアディポネクチン産生増強剤を調製した。本品は、無水物換算で1g当たり約11.8mgのプロポリス抽出物を含有する粉末である。本品を継続して経口的に摂取することにより、アディポネクチンの産生を増強すると共に、PPAR−γ活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導、インスリン抵抗性改善及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善をすることができる。
【0035】
この粉末を、常法により、0.5gずつ打錠して、錠剤を調製した。本品を、継続して経口的に摂取することにより、アディポネクチンの産生を増強することができるので、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスクを低減することができる。
【実施例3】
【0036】
<アディポネクチン産生増強剤>
難消化性デキストリン(松谷化学工業株式会社販売、商品名「ファイバーソル2」、食物繊維成分を全糖質に対して、無水物換算で85乃至95質量%含有)8kgを流動層造粒機(不二パウダル株式会社販売、型番「20F(G)」)に入れ、実施例1の方法で調製した液状のアディポネクチン産生増強剤5kgを噴霧して粉末8.5kgを調製した。さらにこれを万能混合機(ダルトン社販売、型番「60MD−rrs」)で粉砕して、粉末状のアディポネクチン産生増強剤を調製した。本品は、このままで、或いは、他の成分を配合した組成物の形態で、アディポネクチン産生増強剤、PPAR−γ活性化剤、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導剤、インスリン抵抗性改善剤及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善剤として利用することができる。
【0037】
この粉末を、常法により、0.5gずつ打錠して、錠剤を調製した。本品を、継続して経口的に摂取することにより、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスクを低減することができる。
【実施例4】
【0038】
<アディポネクチン産生増強剤>
実施例1乃至3の方法で調製した粉末状のアディポネクチン産生増強剤の何れか1質量部に対して、糖転移ヘスペリジン(林原商事販売、商品名「林原ヘスペリジンS」)0.5質量部、ラクトスクロース1質量部を均質に混合して粉末状のアディポネクチン産生増強剤を調製した。本品は、このままで、或いは、他の成分を配合した組成物の形態で、アディポネクチン産生増強剤、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導剤、PPAR−γ活性化剤、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導剤、インスリン抵抗性改善剤及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善剤などとして利用することができる。
【0039】
このアディポネクチン産生増強剤に適量のショ糖脂肪酸エステルを加えて、打錠機を用いて1錠あたり約300mgの錠剤に成形した。本品は、継続して経口的に摂取することにより、アディポネクチン産生を増強して心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスクを低減すると共に、PPAR−γ活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導、インスリン抵抗性改善及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善などの効果を発揮する。本品はこれらの作用効果を標榜して、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスク低減剤として販売することもできる。
【実施例5】
【0040】
<アディポネクチン産生増強剤の調製>
実施例1乃至3の何れかの方法で調製した粉末状の
アディポネクチン産生増強剤の何れか1種 73質量部
含水結晶α,α−トレハロース(株式会社林原商事
販売、商品名「トレハ」) 5質量部
滑沢剤 3質量部
L−アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社
林原商事販売、商品名「アスコフレッシュ」) 5質量部
糖転移ヘスペリジン(株式会社林原商事販売、
商品名「林原ヘスペリジンS」) 5質量部
L−カルニチン 2.5質量部
L−シトルリン 1質量部
α―リポ酸 1.5質量部
上記配合処方に基づき、これらの成分を均質になるまで攪拌混合し、常法により、0.5gずつ打錠して、錠剤を調製した。
【0041】
本品は、継続して経口的に摂取することにより、アディポネクチン産生を増強すると共に、PPAR−γ活性化剤、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導、インスリン抵抗性改善及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善などの効果を発揮する。本品はこれらの作用効果を標榜して、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスク低減剤として販売することもできる。
【実施例6】
【0042】
<アディポネクチン産生増強剤>
実施例1乃至3の方法で調製した粉末状のアディポネ
クチン産生増強剤の何れか1種 25質量部
含水結晶α,α−トレハロース(株式会社林原商事
販売、商品名「トレハ」) 54質量部
滑沢剤 3質量部
L−アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社
林原商事販売、商品名「アスコフレッシュ」) 10質量部
グルコサミン 2.5質量部
コンドロイチン硫酸ナトリウム 1.5質量部
ヒアルロン酸 4質量部
上記配合処方に基づき、これらの成分を均質になるまで攪拌混合し、常法により、0.5gずつ打錠して、錠剤を調製した。
【0043】
本品は、継続して経口的に摂取することにより、アディポネクチン産生を増強すると共に、PPAR−γ活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導、インスリン抵抗性改善及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善をすることができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスク低減剤として販売することもできる。
【実施例7】
【0044】
<アディポネクチン産生増強剤>
実施例1乃至3の方法で調製した粉末状のアディポネ
クチン産生増強剤の何れか1種 71質量部
含水結晶α,α−トレハロース(株式会社林原商事
販売、商品名「トレハ」) 5質量部
L−アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社
林原商事販売、商品名「アスコフレッシュ」) 5質量部
ラクトスクロース含有糖質(株式会社林原商事販売、
商品名「乳果オリゴ LS700」) 5質量部
シクロニゲロシルニゲロース(株式会社林原生物化学
研究所製造) 2質量部
L−カルニチン 2.5質量部
L−シトルリン 1質量部
α―リポ酸 1.5質量部
滑沢剤 2質量部
上記配合処方に基づき、これらの成分を均質になるまで攪拌混合し、常法により、0.5gずつ打錠して、錠剤を調製した。
【0045】
本品は、継続して経口的に摂取することにより、アディポネクチン産生を増強すると共に、PPAR−γ活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導、インスリン抵抗性改善及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善をすることができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスク低減剤として販売することもできる。
【実施例8】
【0046】
<アディポネクチン産生増強剤を配合した経口摂取用組成物>
生クリーム(油脂含量約46質量%)18質量部、脱脂粉乳7質量部、全乳51質量部、砂糖10質量部、ラクトスクロース含有粉末(商品名「乳果オリゴ」)4質量部、プルラン2質量部、及びアラビアガム2質量部の混合物を溶解し、70℃で30分間保持して殺菌した後、ホモゲナイザーで乳化分散させ、次いで、3乃至4℃にまで急冷し、これに、実施例1又は2の方法で得た液状のアディポネクチン産生増強剤の何れか4質量部を加えてさらに混合し、一夜熟成した後、フリーザーで凍結させてアイスクリームの形態のアディポネクチン産生増強剤を配合した経口摂取用組成物を調製した。
【0047】
本品は、継続して経口的に摂取することにより、アディポネクチン産生を増強すると共に、PPAR−γ活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導インスリン抵抗性改善及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善をすることができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスク低減剤として販売することもできる。
【実施例9】
【0048】
<アディポネクチン産生増強剤を配合した経口摂取用組成物>
無水結晶マルトース(林原商事販売、商品名「ファイントース」)500質量部、実施例1の方法で得た粉末状のアディポネクチン産生増強剤100質量部、粉末卵黄190質量部、脱脂粉乳200質量部、L−アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原商事販売、商品名「アスコフレッシュ」)2質量部、塩化ナトリウム4.4質量部、塩化カリウム1.85質量部、硫酸マグネシウム4質量部、藍抽出物(株式会社林原生物化学研究所製造)1質量部、ローヤルゼリー抽出物(株式会社林原生物化学研究所製造)1質量部、チアミン0.01質量部、アスコルビン酸ナトリウム0.1質量部、ビタミンEアセテート0.6質量部及びニコチン酸アミド0.04質量部からなる配合物を調製した。この配合物25質量部を精製水150質量部に均一に分散・溶解させ、150gずつ褐色ガラスビンに封入して、飲料形態のアディポネクチン産生増強剤を配合した経口摂取用組成物を調製した。
【0049】
本品は、継続して経口的に摂取することにより、アディポネクチン産生を増強すると共に、PPAR−γ活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導、インスリン抵抗性改善及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善をすることができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスク低減剤として販売することもできる。
【実施例10】
【0050】
<アディポネクチン産生増強剤を配合した経口摂取用組成物>
下記成分を練混合して、押し出し造粒し、流動層乾燥して、バスケット顆粒状のアディポネクチン産生増強剤を配合した経口摂取用組成物を調製した。この顆粒を1.5グラムずつ分包した。
実施例1乃至3で調製した粉末状のアディポネクチン
産生増強剤の何れか1種 30質量部
エリスリトール 50質量部
L−アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社林原商
事販売、商品名「アスコフレッシュ」) 7.5質量部
ショ糖(フロストシュガー) 6質量部
コエンザイムQ10 5質量部
ビタミンB 0.1質量部
ビタミンB 0.1質量部
ビタミンB 0.1質量部
パイナップルパウダー 0.5質量部
オレンジパウダー 0.2質量部
ピーチ香料 0.5質量部
【0051】
本品は、継続して経口的に摂取することにより、アディポネクチン産生を増強すると共に、PPAR−γ活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導、インスリン抵抗性改善及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善をすることができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスク低減剤として販売することもできる。
【実施例11】
【0052】
<アディポネクチン産生増強剤を配合した経口摂取用組成物>
下記成分を練混合後、常法により、打錠し、シェラックでコーディングして、アディポネクチン産生増強剤を配合した1錠が250mgの経口摂取用組成物を調製した。
実施例1乃至3で調製した粉末状のアディポネクチン
産生増強剤の何れか1種 45質量部
糖転移ヘスペリジン(株式会社林原商事販売、商品名「
林原ヘスペリジンS」) 25質量部
ローヤルゼリー抽出物(株式会社林原商事販売) 10質量部
鹿角霊芝抽出物 1質量部
ガラナエキス 5質量部
冬虫夏草、メシマコブ及びメカブフコダインの抽出物の混合物 5質量部
ミネラル酵母ミックス 6質量部
βカロテン 0.2質量部
ビタミンB 0.2質量部
ビタミンB 0.2質量部
ビタミンB 0.2質量部
ビタミンB12 0.005質量部
ビタミンC 10質量部
ビタミンD 0.1質量部
葉酸 0.02質量部
ナイアシン 2質量部
パントテン酸カルシウム 1質量部
ビオチン 0.5質量部
ビタミンE 2質量部
賦形剤(デキストリン) 20質量部
香料 適量
ステアリン酸カルシウム 0.5質量部
【0053】
本品は、継続して経口的に摂取することにより、アディポネクチン産生を増強すると共に、PPAR−γ活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導、インスリン抵抗性改善及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善をすることができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスク低減剤として販売することもできる。また、本品は、ミネラル酵母ミックスを配合しているので、本品6錠の摂取により、セレン、クロム、モリブデン、銅、亜鉛、マンガンなどのミネラルの1日に必要な摂取量の約3分の1量を補給することができる。
【実施例12】
【0054】
<アディポネクチン産生増強剤を配合した経口摂取用組成物>
砂糖30質量部に水8質量部を加え加熱溶解し、これに水飴50質量部を加えブリックス糖度85乃至90°に煮詰めた後、80℃以下まで冷却した。次いで、この糖液に、水10質量部の水にゼラチン7質量部を加熱溶解したものを加え、さらにビーフエキス2質量部、50質量%クエン酸溶液3質量部、実施例1乃至3の方法で得たローヤルゼリー分画物の何れか1質量部、香料を適量加えて均一に混合した。得られた配合物をスターチモールドに分注し、一晩放置してグミの形態のアディポネクチン産生増強剤を配合した経口摂取用組成物を調製した。
【0055】
本品は、イヌやネコなどに継続して経口的に摂取させることにより、アディポネクチン産生を増強すると共に、PPAR−γ活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導、インスリン抵抗性改善及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善をすることができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスク低減剤として販売することもできる。なお、本品は、イヌ、ネコのみならず、各種ペット及び家畜などの動物のための経口摂取用組成物としても有利に利用できる。
【実施例13】
【0056】
<アディポネクチン産生増強剤を配合した皮膚外用組成物>
下記配合処方に基づき、常法により、クリームの形態のアディポネクチン産生増強剤を配合した皮膚外用組成物を調製した。
スクワラン 10質量部
ステアリン酸 2質量部
水素添加パーム核油 0.5質量部
水素添加大豆リン脂質 0.1質量部
セタノール 3.6質量部
親油型モノステアリン酸グリセリン 2質量部
グリセリン 10質量部
L−アスコルビン酸2−グルコシド(株式会社
林原生物化学研究所販売、商品名「AA2G」) 2質量部
糖転移ヘスペリジン(株式会社林原生物化学研究所販
売、商品名「アルファグルコシルヘスペリジン」) 0.5質量部
パラオキシ安息香酸メチル 0.1質量部
アルギニン(20質量%水溶液) 15質量部
カルボキシビニルポリマー(1質量%水溶液) 15質量部
タモギタケ抽出物 3質量部
実施例1又は2の方法で調製した液状のアディポネク
チン産生増強剤の何れか 1質量部
精製水 34.2質量部
【0057】
本品は、継続して皮膚に塗布することにより、アディポネクチン産生を増強すると共に、PPAR−γ活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導、インスリン抵抗性改善及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善をすることができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスク低減剤として販売することもできる。
【実施例14】
【0058】
<アディポネクチン産生増強剤を配合した皮膚外用組成物>
下記配合処方に基づき、常法により、美容液の形態のアディポネクチン産生増強剤を配合した皮膚外用組成物を調製した。
グリセリン 10質量部
ショ糖脂肪酸エステル 1.3質量部
カルボキシビニルポリマー(1質量%水溶液) 17.5質量部
アルギン酸ナトリウム(1質量%水溶液) 15質量部
モノラウリン酸ポリグリセリル 1質量部
マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 3質量部
N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ
(フィトステリル−2−オクチルドデシル) 2質量部
硬化パーム油 2質量部
スクワラン(オリーブ由来) 1質量部
ベヘニルアルコール 0.75質量部
ミツロウ 1質量部
ホホバ油 1質量部
1,3−ブチレングリコール 10質量部
L−アルギニン(10質量%水溶液) 2質量部
アンズタケ抽出物 4質量部
糖転移ヘスペリジン(株式会社林原生物化学研究所販
売、商品名「アルファグルコシルヘスペリジン」) 0.5質量部
藍抽出物(株式会社林原生物化学研究所販売、商品名
「藍ルーロス」) 1質量部
実施例1又は2の方法で調製した液状のアディポネクチン
産生増強剤の何れか 1質量部
精製水 25.95質量部
【0059】
本品は、継続して皮膚に塗布することにより、アディポネクチン産生を増強すると共に、PPAR−γ活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導、インスリン抵抗性改善及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善をすることができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスク低減剤として販売することもできる。
【実施例15】
【0060】
<アディポネクチン産生増強剤を配合した皮膚外用組成物>
下記配合処方に基づき、常法により、水性ジェルの形態のアディポネクチン産生増強剤を配合した皮膚外用組成物を調製した。
カルボキシビニルポリマー 0.5質量部
エタノール 10質量部
パラオキシ安息香酸メチル 0.1質量部
香料 0.1質量部
鹿角霊芝抽出物 2質量部
実施例1又は2の方法で調製したアディポネク
チン産生増強剤の何れか 1質量部
糖転移ヘスペリジン(株式会社林原生物化学研究所販
売、商品名「アルファグルコシルヘスペリジン」) 0.5質量部
シクロニゲロシルニゲロース(株式会社林原生物化学
研究所製造) 0.5質量部
ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 0.1質量部
水酸化ナトリウム(10質量%水溶液) 0.5質量部
精製水 84.7質量部
【0061】
本品は、継続して皮膚に塗布することにより、アディポネクチン産生を増強すると共に、PPAR−γ活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導、インスリン抵抗性改善及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善をすることができる。本品はこれらの作用効果を標榜して、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスク低減剤として販売することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のアディポネクチン産生増強剤を経口的に摂取乃至経皮的に投与することにより、効果的にアディポネクチン産生を増強すると共に、PPAR−γ活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導、インスリン抵抗性改善及び/又はTNF−αなどによる前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善をすることができるので、結果として、心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスクを低減できる。また、本発明のアディポネクチン産生増強剤は、長期間摂取乃至塗布しても、副作用がないので、安全性が高く、安心して利用することができる。本発明は、斯くも顕著な作用効果を奏する発明であり、斯界に多大の貢献をする、誠に意義のある発明である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロポリス抽出物を有効成分とするアディポネクチン産生増強剤、PPAR−γ活性化剤、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導剤、インスリン抵抗性改善剤及び/又は前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善剤。
【請求項2】
アディポネクチンの産生を増強、PPAR−γを活性化、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導、インスリン抵抗性改善及び/又は前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善ができることを標榜してなる経口摂取用である請求項1に記載のアディポネクチン産生増強剤、PPAR−γを活性化剤、PPAR−γ活性化剤、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導剤、インスリン抵抗性改善剤及び/又は前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアディポネクチン産生増強剤、PPAR−γ活性化剤、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導剤、インスリン抵抗性改善剤及び/又は前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の抑制の改善剤の心筋梗塞や脳卒中などの心血管性疾患のリスクの低減剤としての使用。

【公開番号】特開2010−37221(P2010−37221A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198731(P2008−198731)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000155908)株式会社林原生物化学研究所 (168)
【Fターム(参考)】