説明

アデノシンレセプターアンタゴニストとしての置換ピリミジン

化学式(I)の化合物であり、式中、R、RおよびRが本明細書に定義されるとおりであり、その薬学的に受容可能な塩、エステル、溶媒和化合物または立体異性体を含む、化合物。薬学的に受容可能な担体と組み合わせた本発明の化合物を含む組成物、ならびにその使用に関する方法も、開示される。本発明の化合物は、様々な障害または状態(特にアデノシン(特にA2A)レセプターの阻害が有益となるもの)を治療するために、一般に用いられ、この障害または状態としては、虚血、上室性不整脈、急性腎不全、心筋再潅流傷害、自己免疫性疾患、嗜癖、物質濫用、日中の過剰な眠気、炎症性腸疾患、喘息、真性糖尿病、肥満、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、ジストニアまたはジスキネジアなどが挙げられる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アデノシンレセプターアンタゴニスト、特にA2Aアデノシンレセプターサブタイプのアンタゴニスト、当該化合物を含む医薬組成物、および、アデノシンレセプターの拮抗作用により改善されうる病気および障害の治療における当該化合物の使用に関する。このような病気および障害には、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、アルツハイマー病およびジスキネジア等の運動障害が含まれる。
【背景技術】
【0002】
アデノシンの効果は、これまでに同定され、Gタンパク質結合レセプターファミリーに属するレセプターA、A2A、A2BおよびAとして分類される、少なくとも四つの特異的細胞膜レセプターにより媒介される。AおよびAレセプターは、アデニル酸シクラーゼを阻害する、Gタンパク質に対する結合により、細胞cAMPレベルをダウンレギュレートする。これに対して、A2AおよびA2Bレセプターは、アデニル酸シクラーゼを活性化し、cAMPの細胞内レベルを増加する、Gタンパク質に結合する。アデノシンは、これらのレセプターをとおして、様々な生理機能を調節する。
【0003】
したがって、心血管系において、Aレセプターの活性化が、虚血および低酸素の影響から心臓組織を保護する。A−レセプター誘導性抗アドレナリン反応を増強し、急性心筋虚血症および上室性不整脈の治療においても有用でありうる、A2Aレセプターの拮抗作用によっても、同様の保護効果が生成される(非特許文献1;非特許文献2)。さらに、A2Bアデノシンレセプターサブタイプ(非特許文献3)が、血管緊張の制御および血管平滑筋の成長の調節に関わると思われる。
【0004】
腎臓においては、アデノシンが二相性作用を及ぼし、高濃度で血管拡張を、低濃度で血管収縮を誘導する。したがってアデノシンは、Aレセプターアンタゴニストにより改善されうる一定の形態の急性腎不全の病因に関与する(非特許文献4;非特許文献5)。
【0005】
アデノシンは、免疫系の生理病理にも関わる。それは、A2Bおよび/またはAレセプターにより、活性化されたヒトマスト細胞の脱顆粒を誘導できる。したがって、A2Bおよび/またはAアンタゴニストが、マスト細胞脱顆粒を防ぎ、したがって、A2Bおよび/またはAレセプターの活性化およびマスト細胞脱顆粒により誘導される病態の治療、防止または抑制において有用である。これらの病態には、喘息、心筋再潅流傷害、鼻炎、蕁麻疹を含むがこれに限られないアレルギー性反応、強皮症(scleroderm)関節炎、他の自己免疫性疾患および炎症性腸疾患が含まれるがこれに限られない。
【0006】
さらに、呼吸器系では、アデノシンが気管支収縮を誘導し、気道炎症を調節し、好中球走化を促進する。したがって、アデノシンアンタゴニストが、喘息の治療において特に有用であろう。
【0007】
胃腸および代謝系においては、A2Bアデノシンレセプターサブタイプが(非特許文献3)、肝臓におけるグルコース生産、腸緊張の調節、ならびに腸分泌に関わるようである。したがって、A2Bアンタゴニストは、真性糖尿病および肥満の治療においても有用でありうる。
【0008】
中枢神経系においては、アデノシンは、強力な内因性神経修飾物質であり、シナプス前部の多くの神経伝達物質の放出を制御し、したがって運動機能、睡眠、不安、痛みおよび精神運動活動に関わる。全てのアデノシンレセプターサブタイプが脳に存在し、AおよびA2Aサブタイプは特異的に分布する。前者は主に海馬および皮質に見られ、後者は主に線条体に見られる。アデノシンA2Aレセプターは、中型有棘ニューロンの活性を調節する可能性がある、線条体のGABAの放出を調節する。
【0009】
したがって、A2Aレセプターアンタゴニストは、パーキンソンおよびハンチントン病等の神経変性運動障害(Tuite P,等、J.Expert Opin Investig Drugs.2003;12:1335−52;Popoli P.等、J Neurosci.2002;22:1967−75)、下肢静止不能症候群等のジストニア(Happe S,等、Neuropsychobiology.2003;48:82−6)、アルツハイマー病(Dall’Igna,等、Experimental Neurology,2007;241−245)、および神経遮断薬およびドーパミン作働薬の長期使用によるもの等のジスキネジア(Jenner P.J Neurol.2000;247 Suppl2:1143−50)のための有用な治療でありうる。
【0010】
パーキンソン病の治療においては、A2Aアンタゴニストが、単一療法としてだけではなく、L−DOPAおよび/または以下の薬物の一つ以上と組み合わせて投与される場合に有用でありうる:ドーパミンアゴニスト、ドーパミンデカルボキシラーゼの阻害剤、カテコール−O−メチル基転移酵素阻害剤、およびモノアミンオキシダーゼの阻害剤。
【0011】
さらに、A2Aアンタゴニストは、神経保護剤として(Stone TW.等、Drug.Dev.Res.2001;52:323−330)、および睡眠障害の治療において(Dunwiddie TV等、Ann.Rev.Neurosci.2001;24:31−55)、治療的可能性を有しうる。
【0012】
一定の4−アミノピリミジン誘導体が、A2Aアデノシンレセプターの新規の強力なアンタゴニストであり、したがって、アデノシンレセプターの拮抗作用により改善されうる治療または防止において使用されうることが、現在分かっている。
【0013】
本発明のさらなる目的は、同化合物を調製する方法;有効な量の同化合物を含む医薬組成物;アデノシンレセプターの拮抗作用、特にA2Aアデノシンレセプターの拮抗作用により改善されうる病状または病気の治療のための薬物の製造における、化合物の使用;アデノシンレセプターの拮抗作用、特にA2Aアデノシンレセプターの拮抗作用により改善されうる病状または病気の治療方法であり、治療を必要とする対象に対する、本発明の化合物、および以下の薬物の一つ以上との当該化合物の組み合わせの投与を含む方法;を提供することである:L−DOPA、ドーパミンアゴニスト、ドーパミンデカルボキシラーゼの阻害剤、カテコール−O−メチル基転移酵素阻害剤およびモノアミンオキシダーゼの阻害剤。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Norton GR等、Am J Physiol.1999;276(2 Pt 2):H341−9
【非特許文献2】Auchampach JA,Bolli R.Am J Physiol.1999;276(3 Pt 2):H1113−6
【非特許文献3】Feoktistov,I.等、Pharmacol.Rev.1997,49,381−402
【非特許文献4】Costello−Boerrigter LC,等、Med Clin North Am.2003 Mar;87(2):475−91
【非特許文献5】Gottlieb SS.,Drugs.2001;61(10):1387−93
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、簡単にいうと、一般的にアデノシンレセプターアンタゴニスト、ならびにその調製および使用のための方法、および同を含む医薬組成物を目的とする。特に、本発明のアデノシンレセプターアンタゴニストは、以下の一般的構造(I)を有する化合物:
【0016】
【化1】

およびその薬学的に受容可能な塩類、エステル類、溶媒和化合物類および立体異性体であり、式中、R、RおよびRは、下記に定義されるとおりである。
【0017】
本発明の化合物は、様々な障害または状態、特にアデノシン(特にA2A)レセプターの阻害が有益となるものを治療するために、一般に用いられうる。したがって、別の実施形態においては、虚血、上室性不整脈、急性腎不全、心筋再潅流傷害、自己免疫性疾患、嗜癖、物質濫用、日中の過剰な眠気、炎症性腸疾患、喘息、真性糖尿病、肥満、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、ジストニアまたはジスキネジアを含む(がこれに限られない)、様々な病気または状態の一つ以上を治療するための方法が開示される。
【0018】
本発明の方法は、本発明の一つ以上の化合物を、典型的に医薬組成物の形で、それを必要とする動物(本明細書においてヒトを含めて「患者」とも称される)に対して、有効な量投与するステップを一般に伴う。したがって、さらに別の実施形態では、本発明の一つ以上の化合物および薬学的に受容可能な担体および/または希釈剤を含む組成物が開示される。
【0019】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な記載を参照すれば明らかとなる。そのために、一定の方法、化合物および/または組成物をより詳細に説明する、様々な参考文献が本明細書に記載され、それらは、参照により全体として本明細書に組み込まれるものとする。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上述のように、本発明は、アデノシンレセプターアンタゴニストとして有用な化合物を一般に目的とする。本発明の化合物は、以下の構造を有する(I):
【0021】
【化2】

およびその薬学的に受容可能な塩類、エステル類、溶媒和化合物類および立体異性体であり、式中、
は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンおよびシアノの群より選択される一つ以上のメンバーにより選択的に置換される複素環であり;
は、フェニルまたはピリジルであり、フェニルまたはピリジル環が1〜4つのR基により置換される、フェニルまたはピリジルであるか;あるいは
は、イソキノリン、ジヒドロイソキノリンまたはテトラヒドロイソキノリン環であり、イソキノリン、ジヒドロイソキノリンまたはテトラヒドロイソキノリン環がRにより選択的に置換される、イソキノリン、ジヒドロイソキノリンまたはテトラヒドロイソキノリン環であり;
は、H、R、COR、CONR、またはCOORであり;
はそれぞれ、ハロゲン、−(X)−(O)−(Y)−R、または−(X)−(O)−(Y)−NRの群より選択され;
およびRのそれぞれは独立して、水素、低級アルキル、低級C2−6アルコキシ、低級C2−6アルコキシアルキル、低級C2−6ヒドロキシアルキル、シアノ、C(O)−C−CアルキルまたはC(O)O−C−Cアルキルであるか;あるいは
およびRは、それらが結合する窒素とともに、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、低級ヒドロキシアルキル、シアノ、および−C(O)−C−Cアルキルの群より選択される一つ以上のメンバーにより選択的に置換される複素環を形成し;
は、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、およびジアルキルアミノの群より選択される一つ以上のメンバーにより選択的に置換される低級アルキルであり;
は、低級アルキル、低級アルコキシ、アルコキシアルキル、−C(O)−C−Cアルキルまたは低級アルケニルの群より選択され、低級アルキル、低級アルコキシ、アルコキシアルキル、−C(O)−C−Cアルキル、および低級アルケニル基が、一つ以上の低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシル、またはシアノにより選択的に置換されるか;あるいは
およびRは、それらが結合する窒素とともに、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、低級ヒドロキシアルキル、およびシアノの群より選択される一つ以上のメンバーにより選択的に置換される複素環を形成し;
XおよびYのそれぞれは独立して、低級アルキル、シクロアルキルまたは飽和ヘテロシクリルであり;
mは、各出現において、0または1であり;
nは、各出現において、0または1であり;
pは、各出現において、0または1である。
【0022】
本発明の他の態様は:a)医薬的に有効な量の当該化合物を含む医薬組成物、b)アデノシンレセプターの拮抗作用、特にA2Aアデノシンレセプターの拮抗作用により改善されうる病気の治療のための薬物の製造における、当該化合物の使用、c)アデノシンレセプターの拮抗作用、特にA2Aアデノシンレセプターの拮抗作用により改善されうる病気の治療方法であり、治療を必要とする対象に対する、本発明の化合物の投与、および当該化合物と以下の薬物の一つ以上の組み合わせの投与を含む、方法を提供することである:L−DOPA、ドーパミンアゴニスト、ドーパミンデカルボキシラーゼの阻害剤、カテコール−O−メチル基転移酵素阻害剤およびモノアミンオキシダーゼの阻害剤。
【0023】
本明細書で使用されるところの、低級アルキルという用語は、1〜8つの炭素原子を有する、選択的に置換された、直鎖または分枝アルキルラジカルを包含する。典型的には、低級アルキル基は、1〜6つまたは1〜4つの炭素原子を有する。当該アルキル基における置換基の典型例は、ハロゲン、ヒドロキシおよびアミノである。
【0024】
低級アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、イソペンチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチルおよびイソ−ヘキシルラジカルが含まれる。
【0025】
本明細書で使用されるところの、低級アルコキシという用語は、1〜8つ、典型的には1〜6つ、より典型的には1〜4つの炭素原子のアルキル部分をそれぞれ有する、選択的に置換された直鎖または分枝(brached)オキシ含有ラジカルを包含する。当該アルコキシ基における置換基の典型例は、ハロゲン、ヒドロキシおよびアミノである。
【0026】
低級アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、ヒドロキシメトキシ、2−ヒドロキシエトキシまたは2−ヒドロキシプロポキシが含まれる。
【0027】
本明細書で使用されるところの、低級アルキルチオという用語は、1〜8つの、典型的には1〜6つの、より典型的には1〜4つの炭素原子の、選択的に置換された、直鎖または分枝(brached)アルキルラジカルを含むラジカルを包含する。当該アルコキシ基における置換基の典型例は、ハロゲン、ヒドロキシおよびアミノである。
【0028】
選択的に置換された低級アルキルチオラジカルの例には、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、i−プロピルチオ、n−ブチルチオ、sec−ブチルチオ、t−ブチルチオ、トリフルオロメチルチオ、ジフルオロメチルチオ、ヒドロキシメチルチオ、2−ヒドロキシエチルチオまたは2−ヒドロキシプロピルチオが含まれる。
【0029】
本明細書で使用されるところの、「アシル」という用語は、アルキル基が置換または非置換でありうる、化学式アルキル−C(=O)−により表される基をさす。
【0030】
本明細書で使用されるところの、環状基という用語は、特に明記しない限り、炭素環式および複素環式ラジカルを包含する。環式ラジカルは、一つ以上の環を含みうる。炭素環式ラジカルは、芳香族または脂環式、例えばシクロアルキルラジカルでありうる。複素環式ラジカルは、ヘテロアリールラジカルも含む。
【0031】
本明細書で使用されるところの、芳香族基という用語は、O、SおよびNより選択される一つ以上のヘテロ原子を含みうる、5−または6−員環等、典型的に5−から14−員の芳香族環系を包含する。ヘテロ原子が存在しない場合、ラジカルはアリールラジカルと呼ばれ、少なくとも一つのヘテロ原子が存在する場合には、ヘテロアリールラジカルと呼ばれる。芳香族ラジカルは、単環式または多環式、例えばフェニルまたはナフチル等でありうる。芳香族ラジカルまたは部分が、2つ以上の置換基を担持するときには、置換基は同じであり、または異なりうる。
【0032】
本明細書で使用されるところの、アリールラジカルという用語は、典型的に、C−C14単環式または多環式のアリール基、例えばフェニル、ナフチル、アンスラニルまたはフェナントリル等を包含する。アリールラジカルが2つ以上の置換基を担持するときには、置換基は同じであり、または異なりうる。
【0033】
本明細書で使用されるところの、ヘテロアリールラジカルという用語は、少なくとも一つの芳香族複素環を含み、O、SおよびNより選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む、典型的に5−から14−員環系を包含する。ヘテロアリールラジカルは、単一の環、または、少なくとも一つの環がヘテロ原子を含む二以上の融合された環でありうる。
【0034】
ヘテロアリールの例には、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、フリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、ピロリル、ベンゾチアゾリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、キノリジニル、シンノリニル、トリアゾリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、イソインドリル、イミダゾリジニル、プテリジニルおよびピラゾリルが含まれる。ヘテロアリールラジカルが、2つ以上の置換基を担持するときには、置換基は同じであり、または異なりうる。
【0035】
本明細書で使用されるところの、複素環ラジカルという用語は、少なくとも一つの複素環を含み、O、SおよびNより選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む、典型的に5−から14−員環系を包含する。複素環ラジカルは、単一の環、または、少なくとも一つの環がヘテロ原子を含む二つ以上の融合された環でありうる。複素環ラジカルは、芳香族であり得るが、その場合にはヘテロアリールラジカルであり、または、非芳香族でありうる。
【0036】
芳香族複素環(すなわち、ヘテロアリール)の例は、上に提供される。非芳香族複素環の例には、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリジニル、チオモルホリニル、オキサゾリジニル、イミダゾリジニル、チアゾリジニル、アゼパニル、[1,4]ジアゼパニル、[1,4]オキサゼパニルおよびチアゼパニルが含まれる。
【0037】
本明細書で使用されるところの、シクロアルキルという用語は、飽和された、選択的に置換された炭素環式ラジカル、および、特に明記しない限り、典型的に3〜7つの炭素原子を有するシクロアルキルラジカルを包含する。当該シクロアルキル基における好ましい置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基およびアミノ基より選択される。
【0038】
例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが含まれる。シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルであるのが好ましい。シクロアルキルラジカルが、2つ以上の置換基を担持するときには、置換基は同じであり、または異なりうる。
【0039】
本明細書で使用されるところの、本発明の一般構造に存在する原子、ラジカル、部分、鎖または環の一部は、「選択的に置換される」。これは、これらの原子、ラジカル、部分、鎖または環が、非置換であるか、または、一つ以上、例えば1、2、3または4つの置換基により、任意の位置において置換され、これにより、非置換の原子、ラジカル、部分、鎖または環に結合される水素原子が、化学的に許容可能な原子、ラジカル、部分、鎖または環により置換されうることを意味する。二つ以上の置換基が存在する場合には、各置換基が同じであり、または異なりうる。
【0040】
「選択的に置換された」構造の置換基には、以下の置換基の一つ以上、典型的には一〜四つ、より典型的には一〜二つが含まれうるがこれに限られない:アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シクロアルキル、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミド(例えばCONH2、CONHアルキルおよびCONHジアルキルおよびリバースNCOHまたはNCOアルキル)、F、Cl、Br、I、CN、NO、NH、NHCH、NHCHCH、N(CH、N(CHCH、SH、SCH、OH、OCH、OCF、CH、およびCF
【0041】
本明細書で使用されるところの、ハロゲン原子という用語は、典型的にフッ素、塩素、またはブロム原子、最も好ましくは塩素またはフッ素である、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素原子を包含する。接頭辞として用いられる場合のハロという用語は、同じ意味を有する。
【0042】
本明細書で使用されるところの、薬学的に受容可能な塩という用語は、薬学的に受容可能な酸または塩基の塩類を包含する。薬学的に受容可能な酸類には、無機酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸、二リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸および硝酸、および有機酸、例えば、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、アスコルビン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、安息香酸、酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸の両方を含む。薬学的に受容可能な塩基類には、アルカリ金属(例えばナトリウムまたはカリウム)およびアルカリ土金属(例えばカルシウムまたはマグネシウム)水酸化物類および有機塩基類、例えばアルキルアミン類、アリールアルキルアミン類および複素環式アミン類が含まれる。
【0043】
本発明による他の好ましい塩類は、当量のアニオン(X)がN原子の正電荷に結びついている第四アンモニウム化合物である。Xは、例えば塩化物、臭化物、沃化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の様々な鉱酸類のアニオン、または、例えば酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、蓚酸塩、琥珀酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩等の有機酸のアニオンでありうる。Xは、塩化物、臭化物、沃化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、蓚酸塩、琥珀酸塩またはトリフルオロ酢酸塩より選択されるアニオンであるのが好ましい。Xは、塩化物、臭化物、トリフルオロ酢酸塩またはメタンスルホン酸塩であるのがより好ましい。
【0044】
本明細書で使用されるところの、N−オキサイドは、都合の良い酸化剤を用いて、分子において存在する第三塩基性アミンまたはイミンから形成される。
【0045】
本発明の一実施形態では、化学式(I)の化合物において、Rは、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンおよびシアノの群より選択される一つ以上のメンバーにより選択的に置換される複素環を表す。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、Rは、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンおよびシアノの群より選択される一つ以上の置換基により選択的に置換される、ピリジニル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミジアゾリル(imidiazolyl)、オキサゾリル、イソオキサゾリルおよびオキサジアゾリル基の群より選択されるヘテロアリール基を表す。
【0047】
本発明の一実施形態では、Rは、以下より選択されるヘテロアリール基を表す:
【0048】
【化3】

本発明の一実施形態では、化学式(I)の化合物において、Rは、1〜4つのR基により置換されるフェニルまたはピリジル基を表す。
【0049】
がピリジルである本発明の一実施形態においては、Rは、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、オキサゼパニル、ピペラジニル、アゼチジニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノおよびジアルキルアミノの群より選択されるメンバーであり、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、オキサゼパニル、ピペラジニルおよびアゼチジニルが、一つ以上の低級アルキル、低級アルコキシまたはヒドロキシルにより選択的に置換される。本発明のそのような一実施形態においては、Rは、以下より選択される群により置換されるピリジルを表す:
【0050】
【化4】

がフェニルである本発明の一実施形態においては、Rは、酸素原子によりフェニル環に連結された複素環基である。本発明のそのような一実施形態においては、Rは、以下より選択される群により置換されるフェニルを表す:
【0051】
【化5】

本発明のこのような実施形態においては、フェニル基は、一つ以上の追加的R基、例えばハロゲンにより、さらに置換されうる。
【0052】
がフェニルである本発明の一実施形態においては、Rは、フェニル環に対して、または、炭素原子により連結された複素環基である。本発明のそのような一実施形態においては、Rは、以下より選択される基により置換されるフェニルを表す:
【0053】
【化6】

別の一実施形態においては、複素環基は、選択的に置換されたテトラヒドロイソキノリンである。本発明のそのような一実施形態においては、Rは、以下より選択される基を表す:
【0054】
【化7】

本発明のさらに別の実施形態によれば、化学式(I)の化合物において、Rは、水素、アシル、アルキル、アルコキシル、アルキルオキシカルボニルまたはヘテロアリクリル(heteroaryclyl)基を表す。一実施形態においては、Rは、水素またはアシルである。
【0055】
本発明の一実施形態では、Rは、以下より選択される基を表す:
【0056】
【化8】

本発明の化合物は、以下に記載されるプロセスの一つにより調製されうる。
【0057】
が炭素原子によりピリミジン環に連結された単環式または多環式ヘテロアリール基であり、Rが置換されたフェニルまたはピリジル基である、化学式(I)の化合物、および特に化学式(VIII)または(IX)の化合物は、スキーム1に示すように得られる。
【0058】
スキーム1
【0059】
【化9】

が炭素原子によりカルボキシアミジン基に連結された単環式または多環式のヘテロアリール基である、化学式(II)のカルボキシアミジンは、化学式(XI)のニトリルをトリメチルアルミニウムおよび塩化アンモニウムと、ベンゼン、トルエンまたはキシレン等の溶媒中で、80℃〜120℃の温度で反応させることにより得られる。それは、化学式(XI)のニトリルとメタノール中ナトリウムメトキシドを室温で反応後、同じ温度で塩化アンモニウムと反応させることによっても得られる。
【0060】
化学式(II)のカルボキシアミジンを、マロン酸ジエチルと、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールまたはテトラヒドロフラン等の溶媒中で、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムtertブトキシド等の塩基の存在下で、室温から溶媒の沸点までの温度で反応させて、化学式(III)のピリミジン−4,6−ジオールが得られる。
【0061】
得られた化学式(III)のピリミジン−4,6−ジオールを、オキシ塩化リン、五塩化リン、またはそれらの混合物等の塩素化剤と、オキシ塩化リン、ベンゼンまたはトルエン等の溶媒中で、室温から溶媒の沸点までの温度で反応させて、化学式(IV)の4,6−ジクロロピリミジン化合物が得られる。選択的に、ジメチルアニリン、トリエチルアミンまたはジイソプロピル−エチルアミン等の塩基の存在が、この反応ステップにおいて必要でありうる。
【0062】
80℃〜140℃の温度での、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールまたはテトラヒドロフラン等の溶媒中のアンモニアと化学式(IV)の4,6−ジクロロピリミジン化合物の反応から、化学式(V)の6−クロロピリミジン−4−アミンが生じる。
【0063】
化学式(V)の化合物は、化学式(VI)の化合物を、オキシ塩化リン、五塩化リンまたはそれらの混合物等の塩素化剤と、オキシ塩化リン、ベンゼンまたはトルエン等の溶媒中で、室温から溶媒の沸点までの温度で反応させることによっても得られる。選択的に、ジメチルアニリン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在が、この反応ステップにおいて必要でありうる。
【0064】
次に、化学式(VI)の6−アミノピリミジン−4−オル化合物は、化学式(II)のカルボキシアミジンの、シアノ酢酸エチルとの反応により得られる。メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールまたはテトラヒドロフラン等の溶媒中で、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムtertブトキシド等の塩基の存在下で、室温から溶媒の沸点までの温度で反応が行われる。
【0065】
化学式(V)の6−クロロピリミジン−4−アミンは、酸塩化物およびピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の塩基により、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルムまたはピリジン等の溶媒中で、室温から溶媒の沸点までの温度でアシル化されて、化学式(VII)の化合物が得られる。化学式(VII)の化合物は、アミン(V)の無水物との、80℃〜160℃の温度での反応によっても調製されうる。
【0066】
化学式(VII)の化合物が、Rが置換されたピリジルまたはフェニル基である化学式R−Mの化合物と反応させられて、化学式(I)の特別な場合である、化学式(VIII)の化合物が得られる。Mは、ホウ素、スズ、シリコン、または亜鉛等の適切な金属であり、それぞれの場合において追加的なリガンドにより適切に置換される。好適な連結金属基には、ボロン酸またはエステルが含まれる。反応は、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはトルエン等の溶媒中で、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等の塩基の存在下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の適切な遷移金属触媒の存在下で、50℃〜140℃の温度で行われる。
【0067】
化学式(VIII)の化合物は、本発明により、50℃〜100℃の温度での、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水またはテトラヒドロフラン等の溶媒中における、ナトリウム、カリウムまたは水酸化リチウムとの反応により、化学式(IX)の化合物に転換されうる。
【0068】
あるいは、室温から溶媒の沸点までの温度での、水、メタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコール等の溶媒中での、塩酸または硫酸等の鉱酸との反応によっても、化学式(VIII)の化合物から本発明の化学式(IX)の化合物が得られる。
【0069】
上の反応の逆も可能である。すなわち、化学式(IX)の化合物が、酸塩化物およびピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の塩基により、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルムまたはピリジン等の溶媒中で、室温から溶媒の沸点までの温度でアシル化されて、化学式(VIII)の化合物が得られる。化学式(VIII)の化合物は、化学式(IX)の化合物の、無水物との、80℃〜160℃の温度での反応によっても調製されうる。
【0070】
化学式(IX)の化合物は、Rが置換されたベンゼンまたはピリジル基である式R−Mの化合物との反応により、化学式(V)の化合物から直接に得ることもできる。Mはホウ素、スズ、シリコンまたは亜鉛等の適切な金属であり、それぞれの場合において追加的なリガンドにより適切に置換される。好適な連結金属基には、ボロン酸またはエステルが含まれる。反応は、テトラヒドロフラン、トルエン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド等の溶媒中で、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等の塩基の存在下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の適切な遷移金属触媒の存在下で、50℃〜140℃の温度で行われる。
【0071】
化学式(IX)の化合物は、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールまたはテトラヒドロフラン等の溶媒中での、80℃〜140℃の温度での、化学式(X)のクロロピリミジン化合物の、アンモニアとの反応によっても得られる。
【0072】
次に、化学式(X)の化合物は、化学式(IV)のジクロロピリミジン化合物の、Rが置換されたフェニルまたはピリジル基である化学式R−Mの化合物との選択的モノカップリングにより、得られる。Mはホウ素、スズ、シリコン、または亜鉛等の適切な金属であり、それぞれの場合において追加的なリガンドにより適切に置換される。好適な連結金属基には、ボロン酸またはエステルが含まれる。反応は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはジメチルスルホキシド等の溶媒中で、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等の塩基の存在下で、トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の適切な遷移金属触媒の存在下で、50℃〜140℃の温度で行われる。
【0073】
およびR”がHまたは小さなアルキルであり、Xが小さなアルキルまたはハロゲンにより選択的に置換されるNまたは炭素である、化学式(I)の化合物、および、特に化学式(XIII)または(XV)の化合物は、スキーム2に示すように得られる。
【0074】
スキーム2
【0075】
【化10】

化学式(XII)の化合物は、2,4−ジクロロ6−アミノピリミジンから、エタノールまたはNMP等の溶媒の存在下での、室温〜80℃の温度での、無水ヒドラジンとの反応後、中間物を適切なジカルボニル化合物と、室温〜100℃の温度で反応させることにより得られる。
【0076】
化学式(XIV)の化合物は、化学式(XII)の6−クロロピリミジン−4−アミン化合物から、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルムまたはピリジン等の溶媒中における、室温から溶媒の沸点までの温度での、酸塩化物およびピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の塩基によるアシル化により得られる。化学式(XIV)の化合物は、80℃〜160℃の温度での、アミン(XII)の無水物との反応によっても調製されうる。
【0077】
得られた化学式(XIV)の6−クロロピリミジン−4−アミンを、Rが置換されたフェニルまたはピリジル基である化学式R−Mの化合物と反応させて、化学式(XV)の化合物が提供されるが、これは、本発明による化学式(I)の化合物の特定の場合である。Mは、ホウ素、スズ、シリコン、または亜鉛等の適切な金属であり、それぞれの場合において追加的なリガンドにより適切に置換される。好適な連結金属基には、ボロン酸またはエステルが含まれる。反応は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはトルエン等の溶媒中で、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等の塩基の存在下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の適切な遷移金属触媒の存在下で、50℃〜140℃の温度で行われる。
【0078】
化学式(XV)の化合物は、化学式(XIII)の4−アミノピリミジン化合物から、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルムまたはピリジン等の溶媒中での、室温〜溶媒の沸点の温度での、酸塩化物およびピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の塩基によるアシル化によっても、得られる。化学式(XV)の化合物は、80℃〜160℃の温度での、化学式(XIII)の化合物の無水物との反応によっても調製されうる。
【0079】
化学式(I)の化合物の特定の場合である化学式(XIII)のアミン化合物は、化学式(XII)の化合物の、Rが置換されたフェニルまたはピリジル基である化学式R−Mの化合物との反応により得られる。Mはホウ素、スズ、シリコン、または亜鉛等の適切な金属であり、それぞれの場合において追加的なリガンドにより適切に置換される。好適な連結金属基には、ボロン酸またはエステルが含まれる。反応は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはトルエン等の溶媒中で、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等の塩基の存在下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の適切な遷移金属触媒の存在下で、50℃〜140℃の温度で行われる。
【0080】
あるいは、化学式(XIII)のアミン化合物は、50℃〜100℃の温度での、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水またはテトラヒドロフラン等の溶媒中での、ナトリウム、カリウムまたは水酸化リチウムとの反応による、化学式(XV)の化合物の加水分解により得られる。加水分解は、室温〜溶媒の沸点の温度で、水、メタノール、エタノールまたはイソプロピルアルコール等の溶媒中において、塩酸または硫酸等の鉱酸によっても実行されうる。
【0081】
1’およびR”がHまたは小さなアルキルであり、Xが、小さなアルキルまたはハロゲンにより選択的に置換される窒素または炭素である、化学式(I)の化合物、および、特に化学式(XVIII)の化合物は、スキーム3に示されるように得られる。
【0082】
スキーム3
【0083】
【化11】

がCORであるとき、化学式(XVI)の化合物は、80℃〜140℃の温度での、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールまたはテトラヒドロフラン等の溶媒中での、4,6−ジクロロ−2−(メチルチオ)ピリミジンのアンモニアとの反応後、室温〜溶媒の沸点の温度での、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルムまたはピリジン等の溶媒中での、酸塩化物およびピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の塩基によるアシル化により調製されうる。化学式(XVI)の化合物は、80℃〜140℃の温度での、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールまたはテトラヒドロフラン等の溶媒中での、4,6−ジクロロ2−メチルチオルピリミジン(methylthiolpyrimidine)のアンモニアとの反応後、80℃〜160℃の温度での、無水物との反応によっても調製されうる。
【0084】
化学式(XVII)の化合物は、OXONE(登録商標)、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、過酸または過ホウ酸ナトリウム等のoxidazing剤の存在下での、化学式(XVI)の化合物のスルホンへの酸化により得られる。そして、スルホン中間物を、60℃の温度で、NMP等の溶媒の存在下で無水ヒドラジンと反応させ、室温〜60℃の温度で適切なジカルボニル化合物と反応させる。
【0085】
得られた化学式(XVII)の6−クロロピリミジンを、Rが置換されたフェニルまたはピリジル基である化学式R−Mの化合物と反応させて、本発明の化学式(I)の化合物の特定の場合である、化学式(XVIII)の化合物が産出される。Mはホウ素、スズ、シリコンまたは亜鉛等の適切な金属であり、それぞれの場合において追加的なリガンドにより適切に置換される。好適な連結金属基には、ボロン酸またはエステルが含まれる。反応は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはトルエン等の溶媒中で、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等の塩基の存在下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の適切な遷移金属触媒の存在下で、50℃〜140℃の温度で行われる。
【0086】
1’およびR”がH、小さなアルキルまたはハロゲンである、化学式(I)の化合物、および、特に化学式(XX)および(XXI)の化合物は、スキーム4に示すように得られる。
【0087】
スキーム4
【0088】
【化12】

化学式(XIX)の化合物は、4−アミノ−2,6−ジクロロピリミジンを、選択的に置換されたピラゾールと反応させることにより得られる。反応は、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはジメチルスルホキシド等の溶媒中で、水素化ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等の塩基の存在下で、60℃〜140℃の温度で行われる。
【0089】
得られた化学式(XIX)の6−クロロピリミジン−4−アミンを、Rが置換されたフェニルまたはピリジル基である化学式R−Mの化合物と反応させて、本発明の化学式(I)の化合物の特定の場合である化学式(XX)の化合物が産出される。Mは、ホウ素、スズ、シリコンまたは亜鉛等の適切な金属であり、それぞれの場合において追加的なリガンドにより適切に置換される。好適な連結金属基には、ボロン酸またはエステルが含まれる。反応は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはトルエン等の溶媒中で、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等の塩基の存在下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の適切な遷移金属触媒の存在下で、50℃〜140℃の温度で行われる。
【0090】
化学式(XXI)の化合物は、化学式(XX)の化合物から、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルムまたはピリジン等の溶媒中での、室温〜溶媒の沸点の温度での、酸塩化物およびピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の塩基によるアシル化により得られる。本発明の化学式(I)の化合物の特定の場合である化学式(XXI)の化合物は、80℃〜160℃の温度での、化学式(XX)のアミンの無水物との反応によっても調製されうる。
【0091】
化学式(XXII)の化合物は、化学式(XIX)の6−クロロピリミジン−4−アミン化合物から、室温〜溶媒の沸点の温度での、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルムまたはピリジン等の溶媒中での、酸塩化物およびピリジン、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等の塩基によるアシル化により得られる。化学式(XXII)の化合物は、80℃〜160℃の温度での、アミン(XIX)の無水物との反応によっても調製されうる。
【0092】
得られた化学式(XXII)の6−クロロ2−ピラゾロピリミジンを、Rが置換されたフェニルまたはピリジル基である化学式R−Mの化合物と反応させて、本発明の化学式(I)の化合物の特定の場合である化学式(XXI)の化合物が産出される。Mはホウ素、スズ、シリコンまたは亜鉛等の適切な金属であり、それぞれの場合において追加的なリガンドにより適切に置換される。好適な連結金属基には、ボロン酸またはエステルが含まれる。反応は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはトルエン等の溶媒中で、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等の塩基の存在下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の適切な遷移金属触媒の存在下で、50℃〜140℃の温度で行われる。
【0093】
化学式(I)の化合物の特定の場合である化学式(XXIII)のカルバメートは、スキーム6に示すように調製されうる。
【0094】
スキーム6
【0095】
【化13】

化学式(XXIII)のカルバメートは、化学式(VIII)の化合物の、Zがハロゲン原子、好ましくは塩素、またはエトキシ、メトキシ、p−ニトロフェノキシおよびイミダゾリルより選択される基等の脱離基を表す、化学式Z−COORの化合物との反応により得られる。反応は、−70℃〜100℃の温度で、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタンまたはジメチルホルムアミド等の溶媒中で、塩基、好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウムまたは水酸化ナトリウムの存在下で行われる。
【0096】
化学式(XXIII)のカルバメートは、テトラヒドロフラン、クロロホルムまたはジクロロメタン等の溶媒中での、ピリジン等の塩基の存在下での、−50℃〜50℃の温度での、化学式(VIII)の化合物のトリホスゲンまたはホスゲンとの反応後、化学式HO−Rのアルコールとの反応によっても得られる。
【0097】
のフェニル基がヒドロキシルまたはアルコキシ基により置換される、化学式(I)の化合物の特定の場合である、化学式(XXIV)および(XXV)の化合物は、スキーム7に示すように調製されうる。
【0098】
スキーム7
【0099】
【化14】

化学式(VII)の化合物を、Rが少なくともヒドロキシル基で置換されるフェニル基である化学式R−Mの化合物と反応させて、化学式(XXIV)の化合物が得られる。Mは、追加的なリガンドにより適切に置換されるホウ素等の適切な金属である。好適な連結金属基には、ボロン酸またはエステルが含まれる。反応は、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはトルエン等の溶媒中で、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等の塩基の存在下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の適切な遷移金属触媒の存在下で、50℃〜140℃の温度で行われる。
【0100】
化学式(XXIV)の化合物を、化学式HO−Rのアルコールと反応させて、化学式(XXV)の化合物が得られる。反応は、テトラヒドロフランまたはトルエン等の溶媒中で、トリフェニルホスフィン等のホスフィンおよびジエチルアゾジカルボキシレートまたはジイソプロピルアゾジカルボキシレート等のアゾジカルボキシレートの存在下で、周囲温度で行われる。
【0101】
〜Gの一つが窒素原子であり得、残りが選択的に置換された炭素原子である、化学式(XXVII)および(XXVIII)の化合物は、化学式(I)の化合物の特別な場合であり、スキーム8に示すように調製されうる。
【0102】
スキーム8
【0103】
【化15】

化学式(VII)の化合物を、Rが少なくともハロゲンで置換されるピリジルまたはフェニル基である化学式R−Mの化合物と反応させて、化学式(XXVI)の化合物が得られる。Mは、追加的なリガンドにより適切に置換されるホウ素等の適切な金属である。好適な連結金属基には、ボロン酸またはエステルが含まれる。反応は、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはトルエン等の溶媒中で、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等の塩基の存在下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の適切な遷移金属触媒の存在下で、50℃〜140℃の温度で行われる。
【0104】
G基の一つが窒素である場合には、化学式(XXVI)の化合物が、DMF、DMA、NMP、ジオキサン、DMSOまたはトルエン等の溶媒中での、選択的にトリエチルアミン等の塩基の存在下での、約100℃〜250℃の間の温度での、構造HNRのアミン(またはその酸付加塩)との反応により、化学式(XXVII)および(XXVIII)の化合物の混合物に転換されうる。反応は、マイクロ波照射下で行われうる。
【0105】
G基の一つが窒素である場合、または、G基の全てが炭素である場合には、化学式(XXVI)の化合物が、DMF、DMA、ジオキサン、NMP、またはトルエン等の溶媒中での、適切な遷移金属触媒系の存在下での、構造HNRのアミン(またはその酸付加塩)との反応により、化学式(XXVII)および(XXVIII)の化合物の混合物に転換されうる。好適な触媒系には、ヨウ化銅(I)、プロリン、および炭酸カリウムからなる触媒系(J.Org.Chem.,2005,70,5164)、またはパラジウム(II)酢酸塩等のパラジウム種、1,1’−BINAP等のキレートリガンド、および炭酸セシウム等の塩基からなる触媒系が含まれる。
【0106】
化学式(XIII)の化合物は、スキーム9に示すようにも調製されうる。
【0107】
スキーム9
【0108】
【化16】

化学式(XXIX)のニトリルを、トルエン等の適切な溶媒中で、ナトリウムエトキシドまたはカリウムtert−ブトキシド等の適切な塩基の存在下で、約0℃〜約100℃の温度でアセトニトリルと反応させて、化学式(XXX)のエナミノニトリルが提供される。
【0109】
次に、化学式(XXX)の化合物が、エタノール等の溶媒中での、ナトリウムエトキシドまたはナトリウムメトキシド等の塩基の存在下での、約60℃〜約100℃の温度での、チオ尿素との反応により、化学式(XXXI)のチオピリミジノンに転換される。
【0110】
化学式(XXXII)のメチルチオ化合物は、約0℃〜約50℃の温度での、ナトリウム水溶液または水酸化カリウム中での、ヨードメタンまたは硫酸ジメチルとの反応により、化学式(XXXI)の化合物から得られる。
【0111】
化学式(XXXIII)のメチルスルホン化合物は、OXONE(登録商標)、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、過酸または過ホウ酸ナトリウム等の適切な酸化剤を用いた、化学式(XXXII)の化合物の酸化により得られる。いくつかの場合には、R基の酸化が同時に生じうる。このような酸化は、アミノまたはピリジン基の、対応するN−オキシドへの酸化を含み、後のヒドラジン除去のステップにおいて逆転されうる。
【0112】
化学式(XXXIII)のスルホン化合物が、室温〜80℃の温度での、エタノールまたはNMP等の溶媒の存在下での、選択的にピリジン等の塩基の存在下での、ヒドラジンとの反応により、化学式(XXXIV)のヒドラジン誘導体に転換されうる。前のステップでR基の酸化が生じている場合においては、ヒドラジン処置が、酸化R機能を減少する役割をし、化学式(XXXII)の化合物に存在する元のR機能を回復する。
【0113】
化学式(XXXIV)の化合物は、室温〜約100℃の間の温度での、エタノールまたはジオキサン等の溶媒中での、適切なジカルボニル化合物による処置により、化学式(XIII)の化合物に転換される。
【0114】
が炭素原子を介してピリミジン環に結合された化学式(IX)の化合物は、スキーム10に示されるように、化学式(II)のアミジン塩の、化学式(XXX)のエナミノニトリルとの反応によっても得られる。
【0115】
スキーム10
【0116】
【化17】

反応は、エタノールまたはジオキサン等の溶媒中で、カリウムtert−ブトキシドまたはナトリウムエトキシド等の塩基の存在下で、約60℃〜200℃の間の温度で実行され、マイクロ波照射を伴って実行されうる。
【0117】
化学式(XXXVI)の化合物は、化学式(I)の化合物の特別な場合であり、スキーム11に示すように調製されうる。
【0118】
スキーム11
【0119】
【化18】

化学式(VII)の化合物を、Rが少なくともホルミル基で置換されたフェニルである化学式R−Mの化合物と反応させて、化学式(XXXV)の化合物が得られる。Mは、追加的リガンドにより適切に置換されるホウ素等の適切な金属である。好適な連結金属基には、ボロン酸またはエステルが含まれる。反応は、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはトルエン等の溶媒中で、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等の塩基の存在下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の適切な遷移金属触媒の存在下で、50℃〜140℃の温度で行われる。化学式(XXXV)のベンズアルデヒドは、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、ナトリウムシアノボロヒドリド、またはピリジン−ボラン錯体等の適切な還元剤の存在下での、一級または二級アミンによる処置により、化学式(XXXVI)の化合物に転換される。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリドによる還元は、ジクロロエタン、テトラヒドロフランまたはジクロロメタン等の不活性溶媒中で、酢酸等の酸の存在下で、約0℃〜室温の温度で実行される。ナトリウムシアノボロヒドリドおよびピリジン−ボラン錯体による還元は、メタノール等のアルコール溶媒中で、約0℃〜室温の温度で実行される。
【0120】
化学式(XXXIX)の化合物は、化学式(I)の化合物の特別な場合であり、スキーム12に示すように調製されうる。
【0121】
スキーム12
【0122】
【化19】

化学式(VII)の化合物を、Rが少なくともヒドロキシメチル基で置換されたフェニルである化学式R−Mの化合物と反応させて、化学式(XXXVII)の化合物が得られる。Mは、追加的なリガンドにより適切に置換されるホウ素等の適切な金属である。好適な連結金属基には、ボロン酸またはエステルが含まれる。反応は、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはトルエン等の溶媒中で、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等の塩基の存在下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の適切な遷移金属触媒の存在下で、50℃〜140℃の温度で行われる。化学式(XXXVII)のヒドロキシメチル化合物は、約0℃〜室温の温度での、メタノールまたはエタノール等のアルコール溶媒中での、水素化ホウ素ナトリウムを用いた、化学式(XXXV)のベンズアルデヒド化合物の還元によっても調製されうる。化学式(XXXVII)のヒドロキシメチル化合物は、約0℃〜室温の温度での、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン等の不活性溶媒中での、トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミン等のアミン塩基の存在下での、メタンスルホニルクロリドによる処置により、対応する化学式(XXXVIII)のメタンスルホン酸エステルに転換される。化学式(XXXVIII)のメタンスルホン酸エステルは、約0℃〜100℃の温度での、ジメチルホルムアミドまたはジオキサン等の適切な溶媒中での、選択的にヨウ化ナトリウム等の求核性触媒の存在下での、アルコールROHおよび水素化ナトリウム等の塩基による処置により、化学式(XXXIX)の化合物に転換される。
【0123】
化学式(XXXXIII)の化合物は、化学式(I)の化合物の特別な場合であり、スキーム13に示すように調製されうる。
【0124】
スキーム13
【0125】
【化20】

化学式(VII)の化合物の、イソキノリニルボロン酸またはエステルとの鈴木カップリングにより、化学式(XL)のイソキノリン化合物が生成される。同様に、化学式(VII)の化合物の、boc保護されたテトラヒドロイソキノリニルボロン酸またはエステルとの鈴木カップリングにより、化学式(XLI)のboc保護されたテトラヒドロイソキノリン化合物が生成される。反応は、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはトルエン等の溶媒中で、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等の塩基の存在下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等の適切な遷移金属触媒の存在下で、50℃〜140℃の温度で行われる。次に、化学式(XL)のイソキノリニル化合物が、約1〜10気圧の圧力での、エタノール、酢酸または二つの混合物等の溶媒中での、炭上上のパラジウム等の遷移金属触媒での触媒水素化を用いて、化学式(XLII)のテトラヒドロイソキノリニル化合物に還元される。化学式(XLI)のBoc保護されたテトラヒドロ等キノリニル化合物は、約0℃〜室温の温度での、ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸またはジオキサン中の塩化水素を用いたBOC−脱保護によっても、化学式(XLII)のテトラヒドロイソキノリニル化合物を供給する。化学式(XLII)の化合物は、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド、ナトリウムシアノボロヒドリドまたはピリジン−ボラン錯体等の適切な還元剤の存在下での、アルデヒドでの処置により、化学式(XLIII)の化合物に転換される。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリドによる還元は、ジクロロエタン、テトラヒドロフランまたはジクロロメタン等の不活性溶媒中で、酢酸等の酸の存在下で、約0℃〜室温の温度で実行される。ナトリウムシアノボロヒドリドおよびピリジン−ボラン錯体による還元は、メタノール等のアルコール溶媒中で、約0℃〜室温の温度で実行される。化学式(XL)のイソキノリンの、化学式(XLII)のテトラヒドロイソキノリンへの還元が、アルコール溶媒中で実行されるときには、反応の副産物はN−アルキル化産物(XLIII)であり、式中Rは、アルコールにより供与されるアルキル基である(例えばエタノール中で実行される反応ではエチル)。
【0126】
定義された基R〜Rが、先に説明されたプロセスの条件下で化学反応し易く、または、当該プロセスに不適の場合には、標準的手法により従来の保護基が使用されうる。例えば、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、’Protective Groups in Organic Chemistry’,3rd Edition,John Wiley & Sons(1999)を参照。脱保護が、化学式(I)の化合物の合成の最終ステップを形成してもよい。
【0127】
薬理活性
アデノシンA2Aレセプター結合アッセイ
レセプタークローニング
ヒトA2Aレセプターのコード配列が、ポリメラーゼ連鎖反応法により、ヒト脳cDNAライブラリから増幅された。アンプリコンが、pcDNA5/FRT/V5−His−TOPO発現ベクター(Invitrogen)にクローニングされ、ABI3100自動化シーケンサ(Applied Biosystems)を用いて配列が確認された。発現コンストラクトが、Lipofectamine2000(Invitrogen)を用いて、Flp−In HEK細胞(Invitrogen)にトランスフェクションされた。ヒトA2Aレセプターを安定して発現する細胞が、完全DMEM中1mg/mlハイグロマイシンを用いて選択された。
【0128】
膜調製
溶解バッファー(50mM Tris−HCl pH7.4,5mM EDTA,10mM MgCl)中に細胞を再懸濁し、氷上で30分間、900psiの圧力で、N下で破壊(Parr Cell disruption bomb,cat.4639)後、分画遠心分離することにより、ヒトA2AレセプターでトランスフェクションされたFlp−In HEK細胞から、粗製膜が調製された。得られた粗製膜ペレットが、アッセイバッファー(50mM Tris HCl pH7.4,1mM EDTA,10mM MgCl)中に再懸濁された。膜タンパク質濃度が、Bradfordアッセイにより決定され、アリコートが−80℃で貯蔵された。
【0129】
結合アッセイ
膜アリコート(5〜10μgタンパク質)が、10μg/ml Adenosine Deaminase(Type IV Calf Spleen,Sigma)の存在下で、室温で30分間プレインキュベートされた。そして、膜が、1.0nM[H]−ZM241385(27.40Ci/mmol Tocris R1036)で、様々な濃度の競合リガンドの存在下で、90分間インキュベートされた。余剰(1μM)のCGS15943の存在下で、非特異的結合が決定された。0.5%ポリエチレンイミンで前処理されたUniFilter GF/Cフィルタプレート(PerkinElmer)上にPackard96−ウェルセルハーベスタを用いた高速真空濾過により、結合および遊離リガンドが分離された。そして、フィルタプレートが、3x200μlの50mM Tris HCl、50mM NaCl pH7.4で洗浄された。結合放射性リガンドが、TopCount−NXT(Packard)を用いたシンチレーション計数により決定された。GraphPad Prism(GraphPad Software,Inc.San Diego,CA)またはActivityBase(IDBS,Guildford,Surrey,UK)を用いた、非線形、最小二乗法曲線近似アルゴリズムにより、結合データが分析された。Cheng−Prusoff式(Cheng,Y,Prusoff,W.H.Biochem.Pharm.22:3099−3108,1973.)を用いて、IC50値からK値が計算された。
【0130】
2A膜アッセイ:
Scatchard AnalysisによりZM241385で測定されたKd=0.3±0.2nM;Bmax=33±8pmol/mg
結合Ki=0.25±0.04nM。
【0131】
2Aレセプター結合親和性に関して、本発明のA2Aレセプターアンタゴニストは、10μM未満のKiを有しうる。本発明の一実施形態においては、A2Aレセプターアンタゴニストは1μM未満のKiを有する。
【0132】
本発明の化合物は、アデノシンレセプターのアンタゴニストによる治療により改善されうる病気、特にA2Aアデノシンレセプターのアンタゴニストによる治療(treatement)により改善されうる病気の治療または防止において有用でありうる。このような病気には、例えば虚血、上室性不整脈、急性腎不全、心筋再潅流傷害、鼻炎、蕁麻疹を含むがこれに限られないアレルギー性反応、強皮症(scleroderma)関節炎、他の自己免疫性疾患、炎症性腸疾患、喘息、真性糖尿病、肥満、パーキンソン病、ハンチントン病、下肢静止不能症候群等のジストニア、神経遮断薬およびドーパミン作働薬の長期使用によるもの等のジスキネジア、および睡眠障害が含まれる。
【0133】
したがって、本発明の化合物、およびその薬学的に受容可能な塩類、および、このような化合物および/またはその塩類を含む医薬組成物が、有効な量の本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を、このような治療を必要とする対象に投与するステップを含む、人体の障害の治療方法において使用されうる。
【0134】
本発明は、担体または希釈剤等の薬学的に受容可能な賦形剤とともに、少なくとも化学式(I)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を活性成分として含む、医薬組成物も提供する。活性成分は、製剤の性質、および適用前にさらなる希釈が行われるかにより、0.001%〜99重量%、好ましくは0.01%〜90重量%の組成物を含みうる。好ましくは、組成物は、経口、局所、経鼻、直腸、経皮、注射可能な投与に適切な形に作られうる。
【0135】
本発明の組成物を形成するために、活性化合物またはこのような化合物の塩類と混合される薬学的に受容可能な賦形剤は、それ自体周知であり、使用される実際の賦形剤は、とりわけ、組成物の予定される投与方法に依存する。
【0136】
本発明の組成物は、注射可能および経口投与のために構成されるのが好ましい。この場合には、経口投与のための組成物は、いずれも本発明の化合物を含む、錠剤、遅延錠剤、舌下錠剤、カプセル、吸入エアゾール、吸入溶液、乾燥粉末吸入、または、混合物、エリキシル剤、シロップ剤または懸濁液等の液体製剤の形をとりうる。このような製剤は、従来技術で周知の方法により作られうる。
【0137】
組成物の製剤において使用されうる希釈剤には、活性成分に適合する液体および固体希釈剤が、必要に応じて着色剤および香味剤とともに、含まれる。錠剤またはカプセルは、2〜500mgの活性成分または当量のその塩を都合よく含みうる。
【0138】
経口使用のために構成される液体組成物は、溶液または懸濁液の形でありうる。溶液は、シロップ剤を形成する、可溶塩または活性化合物の他の誘導体の水溶液と、例えばスクロースでありうる。懸濁液には、懸濁剤または香味剤と合わせた、本発明の不溶性活性化合物またはその薬学的に受容可能な塩と水が含まれうる。
【0139】
注射剤のための組成物は、可溶塩から調製されうるが、これは冷凍乾燥されても、またはされなくてもよく、パイロジェンフリー水性媒体または他の適切な非経口注射用流体に溶解されうる。
【0140】
有効量は通常、一日につき活性成分2〜2000mgの範囲である。一日の投与量は、一日一回以上の治療、好ましくは1〜4回の治療において投与されうる。
【0141】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。実施例は、例示のみを目的とするものであり、制限する意図を有しない。
【実施例】
【0142】
試薬、出発物質、および溶媒が、民間のサブライヤーから購入されてそのまま用いられた。濃度は、Buechi回転蒸発装置を用いた減圧下での蒸発をさす。反応生成物が、記載の溶媒系でのシリカゲル(40〜63μm)上のフラッシュクロマトグラフィにより、必要に応じて精製された。分光学的データは、Varian Mercury300MHz SpectrometerおよびBruker Avance500MHz分光計で記録された。
【0143】
分析HPLC−MS方法1
プラットフォーム:Agilent 1100シリーズ:オートサンプラ、UV検出器(220nMおよび254nM)、MS検出器(APCI)装備;
HPLCカラム:Phenomenex Synergi−Max RP,2.0x50mmカラム;
HPLC勾配:1.0mL/分、13.5分で水中5%アセトニトリルから水中95%アセトニトリルまで、2分間95%を維持。アセトニトリルおよび水はともに0.025%TFAを伴う。
【0144】
分析HPLC−MS方法2
プラットフォーム:Dionex:オートサンプラ、UV検出器(220nMおよび254nM)、MS検出器(APCI)装備;
HPLCカラム:Phenomenex CX18 4.6x50mm;
HPLC勾配:9.86分間95%0.04%NHOH/H2Oから90%0.04%NHOH/ACN、12.30分ラン
分析HPLC−MS方法3
プラットフォーム:Agilent 1100シリーズ:オートサンプラ、UV検出器(220nMおよび254nM)、MS検出器(APCI)装備;
HPLCカラム:Phenomenex Synergi−Max RP,2.0x50mmカラム;
HPLC勾配:1.0mL/分、2.5分で水中10%アセトニトリルから水中90%アセトニトリルまで、1分間90%を維持。アセトニトリルおよび水はともに0.025%TFAを伴う。
【0145】
分析HPLC−MS方法4
プラットフォーム:Agilent 1100シリーズ:オートサンプラ、UV検出器(230nMおよび254nM)、MS検出器(APCI)装備;
HPLCカラム:Phenomenex Synergi−Max RP,2.0x50mmカラム;
HPLC勾配:溶媒Cは水中6mM蟻酸アンモニウム、溶媒Dはメタノール中25%アセトニトリル。勾配は、6.43分で5%D(95%C)から95%D(5%C)、95%Dで1.02分維持後、戻し5%Dでl.52分維持。
【0146】
中間体1:6−クロロ−2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−ピリミジン−4−イルアミン
【0147】
【化21】

4−アミノ−2,6−ジクロロピリミジン(40.0g,0.24mol)が、NMP(200ml)に溶解された。スラリーが60℃まで加熱され、無水ヒドラジン(19.1ml,0.61mol)がゆっくりと加えられた。1.5時間後に、添加が完了した。反応物が室温に冷却され、反応物温度を50℃より下に保ちながら、2,4−ペンタンジオン(63ml,0.61mol)がゆっくりと加えられた。一時間後、反応物が50℃で再び加熱された後、エタノール(200ml)、続いて水(400ml)が加えられた。水添加が完了したら、反応混合物が室温に冷却され、紙で濾過された。ケーキが、アルコール/水で洗浄され(3x200mL)、減圧下で、一晩60℃で乾燥された。回収された褐色固体は、所望の位置異性体(43g)および4−ジメチルピラゾール位置異性体の混合物であった。産物が熱いTHF/i−PrOAcから再結晶されて、白色固体(収率66%)が得られた。LCMS(方法3)m/z223.9[MH+],Tr=1.97分。
【0148】
中間体2:N−[6−クロロ−2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0149】
【化22】

6−クロロ−2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−ピリミジン−4−イルアミン(40g,0.18mol)が、酢酸(200ml)に溶解され、室温で撹拌された。無水酢酸(80ml,0.8mol)が加えられ、混合物が一晩90℃で加熱された。反応が完了したら、室温に冷却され、16mlの水が30分間で加えられた。そして、混合物が濾紙で濾過され、ケーキが水で洗浄された(4x75mL)。固体が、真空オーブンで、一晩50℃で乾燥された。得られた産物(酢酸溶媒和化合物、48.2g,収率83%)は、オフホワイトの結晶質固体であった。LCMS(方法3)m/z265.9[MH+],Tr=2.11分。
【0150】
中間体3:N−[6−(6−クロロピリジン−2−イル)−2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0151】
【化23】

中間体2(1.8g,6.8mmol)、6−クロロピリジン−2−ボロン酸ピナコールエステル(2.27g,9.5mmol)、炭酸カリウム(1.88g,13.6mmol)、ジオキサン(35ml)および水(3.5ml)の混合物が、5分間窒素ガスによりスパージされた。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(785mg,0.68mmol)が加えられ、混合物がさらに10分間窒素ガスによりスパージされた後、容器が密封され、撹拌を伴って16時間90℃で加熱された。水(50ml)が加えられ、得られた固体が集められ、水および酢酸エチルですすがれてから、減圧下で乾燥されて、ピンクがかった固体の標記化合物が提供された(1.53g,4.5mmol,66%)。LCMS(方法3)m/z342.8,344.8[MH+],Tr=2.65分。
【0152】
中間体4:N−[6−(2−クロロピリジン−4−イル)−2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0153】
【化24】

中間体4は、6−クロロピリジン−2−ボロン酸ピナコールエステルの代わりに2−クロロピリジン−4−ボロン酸が使用されたことを除いて、中間体3に説明される方法にしたがって調製された。(黄色固体、収率40%)LCMS(方法3)m/z342.8[MH+],Tr=2.54分。
【0154】
中間体5:N−[6−(5−ブロモピリジン−3−イル)−2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0155】
【化25】

中間体5は、6−クロロピリジン−2−ボロン酸ピナコールエステルの代わりに3−ブロモピリジン−5−ボロン酸が使用されたことを除いて、中間体3において説明される方法にしたがって調製された。(白色固体、収率11%、その後シリカゲルクロマトグラフィ、溶離液としてジクロロメタン中0〜10%メタノール)LCMS(方法1)m/z386.7、388.7[MH+],Tr=6.01分。
【0156】
化合物1−1および1−2:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(2−ピロリジン−l−イル−ピリジン−4−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミドおよびN−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(2−ピロリジン−1−イル−ピリジン−4−イル)−ピリミジン−4−イル]−アミン
【0157】
【化26】

中間体4(200mg,0.58mmol)、ピロリジン(0.2ml,2.4mmol)、およびDMSO(2ml)の混合物が、撹拌を伴って封管中で、100℃で3時間加熱された。反応混合物がメタノールで希釈され、濾過され、水(0.05%TFA)中5〜65%アセトニトリルを用いたHPLCにより精製されて、TFA塩類として標記化合物が得られた。
【0158】
化合物1−3および1−4:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−l−イル)−6−(4−メトキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[l,2’]ビピリジニル−6’−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミドおよび2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(4−メトキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−6’−イル)−ピリミジン−4−イルアミン
【0159】
【化27】

中間体3(60mg,0.17mmol)、4−メトキシピペリジンヒドロクロリド(128mg,0.84mmol)、トリエチルアミン(0.12ml,0.86mmol)、およびNMP(0.45ml)の混合物が、マイクロ波反応器中で、160℃で80分間加熱された。反応混合物が、メタノールで希釈され、濾過され、水(0.05%TFA)中15〜75%アセトニトリルを用いたHPLCにより精製されて、TFA塩類として化合物1−3および1−4が得られた。
【0160】
化合物1−5および1−6:N−(2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−{6−[(2−メトキシ−エチル)−メチル−アミノ]−ピリジン−2−イル}−ピリミジン−4−イル)−アセトアミドおよび2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−{6−[(2−メトキシエチル)−メチルアミノ]−ピリジン−2−イル}−ピリミジン−4−イルアミン
【0161】
【化28】

中間体3(250mg,0.73mmol)、N−(2−メトキシエチル)メチルアミン(0.5g,5.6mmol)、およびDMA(1.5ml)の混合物が、マイクロ波反応器中で、190℃で20分間加熱された。この手順が二回反復された(中間体3を合計500mg投入)。二つの反応混合物が合わせられ、水重炭酸ナトリウム水溶液が加えられ、混合物がジクロロメタンで抽出された。合わせられた有機抽出物が、硫酸ナトリウムで乾燥され、濾過され、濃縮された。分取薄層クロマトグラフィ(溶離液として1%水酸化アンモニウムを含む9:1ジクロロメタン/メタノール)により残留物が精製されて、化合物1−6(4mg)とともに、化合物1−5(70mg 12%)が得られた。
【0162】
化合物1−1、1−2、1−3、1−4、1−5、および1−6の調製のために上に記載される方法に従って、適切な中間体を、R置換基を表す適切なアミンと反応させることにより、表1の化合物が調製された。いくつかの場合には、TFA塩産物が、重炭酸ナトリウム水溶液からの抽出により遊離塩基に転換され、いくつかの場合には、得られた遊離塩基が、エーテル中塩化水素溶液での処置によりヒドロクロリド塩に転換された。
【0163】
【化29】

【0164】
【表1−1】

【0165】
【表1−2】

【0166】
【表1−3】

化合物2−1および2−2:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(5−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミドおよび2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(5−ピロリジン−1−イル−ピリジン−3−イル)−ピリミジン−4−イルアミン
【0167】
【化30】

中間体5(150mg,0.39mmol)、ピロリジン(0.24ml、2.8mmol)、炭酸カリウム(110mg,0.80mmol)、L−プロリン(50mg,0.43mmol)、ヨウ化銅(I)(40mg,0.21mmol)、およびDMSO(2ml)の混合物が、封管中で撹拌を伴って、6時間100℃で加熱された。冷却された反応混合物が、メタノールで希釈され、濾過され、水(0.05%TFA)中5〜65%アセトニトリルを用いたHPLCにより精製されて、TFA塩類として両標記化合物が得られた。化合物2−1が、抽出により遊離塩基に転換された。
【0168】
化合物2−3:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(5−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0169】
【化31】

化合物2−3は、ピロリジンの代わりにモルホリンが使用されたことを除いて、化合物2−1において説明される方法に従って調製された。
【0170】
化合物2の特徴づけデータが、表2に示される:
【0171】
【化32】

【0172】
【表2】

中間体6:エチル6−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−カルボン酸エステル
【0173】
【化33】

モルホリン(4.17ml,47.9mmol,1.05eq)が、N,N−ジメチルアセトアミド(20ml)中エチル6−ブロモピリジン−2−カルボン酸エステル(10.5g,45.6mmol,1.0eq)およびトリエチルアミン(9.5ml,68.4mmol,1.5eq)の溶液に加えられた。混合物が、封管中で14.5時間100 0℃で加熱された。重炭酸ナトリウム水溶液が加えられ、混合物が酢酸エチルで抽出された。有機層が、硫酸ナトリウムで乾燥され、濾過され、茶色油に濃縮された。クロマトグラフィ(シリカゲル,3:1ヘキサン/EtOAc)により、黄色固体6.5gの産物が得られた。LCMS(方法3)m/z236.9[MH+],Tr=2.35分。
【0174】
中間体7:6−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−カルボキサミド
【0175】
【化34】

中間体6(6.3g,26.7mmol)が、メタノール(150ml)中7Nのアンモニアに溶解された。溶液が、撹拌を伴って封管中で、75℃で16時間加熱された。混合物が濃縮され、固体残留物がメタノール、そして酢酸エチルにより共蒸発された。固体生成物が減圧下で乾燥されて、オフホワイトの固体として標記化合物(5.46g)が得られ、これがさらなる精製を伴わずに使用された。LCMS(方法3)m/z207.9[MH+],Tr=1.97分。
【0176】
中間体8:6−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−カルボニトリル
【0177】
【化35】

ジクロロメタン(100ml)中の中間体7(5.4g,26mmol)およびトリエチルアミン(7.3ml,52mmol)の懸濁液が、氷浴で冷却され、トリフルオロ酢酸無水物(4.0ml,29mol)で滴下処理された。混合物を、0℃で15分間撹拌させてから、室温に加熱させた。30分後、追加のトリフルオロ酢酸無水物(0.5ml,3.6mmol)が加えられ、混合物がもう30分間撹拌された。重炭酸ナトリウム水溶液が加えられ、混合物がジクロロメタンにより抽出された。有機層が、硫酸ナトリウムで乾燥され、濾過され、固体に濃縮され、これが3:1ヘキサン/酢酸エチルで粉砕されて、白色固体として標記化合物(3.69g)が得られた。母液から第二作物(0.66g,やや黄変の固体)が得られた。LCMS(方法3)m/z189.9[MH+],Tr=2.38分。
【0178】
中間体9:3−アミノ−3−(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−アクリロニトリル
【0179】
【化36】

中間体8(7.43g,39mmol,1.0eq)、無水トルエン(100ml)、およびカリウムt−ブトキシド(13.2g,118mmol,3.0eq)の混合物が、無水アセトニトリル(4.1ml,79mmol,2.0eq)を10分間で滴下状に加えながら、外部からの加熱または冷却を伴わずに撹拌された。濃い黄色の混合物が、さらに2時間撹拌された。重炭酸ナトリウム水溶液が加えられてから(放熱)、混合物が酢酸エチルにより抽出された。合わせられた有機層が硫酸ナトリウムで乾燥され、濾過され、濃縮されて、茶色油として標記化合物が得られ(9.6g)、これが精製を伴わずに使用された。LCMS(方法3)m/z230.9[MH+],Tr=2.38分。
【0180】
中間体10:4−アミノ−6−(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−チオン
【0181】
【化37】

無水エタノール(100ml)中の中間体9(9.5g,約35mmol)およびチオ尿素(5.6g,74mmol)の懸濁液が、ナトリウムエトキシド溶液(21重量%,Aldrich,27.5ml,74mmol)で処置された。茶色混合物が、封管中で、100℃で49.5時間加熱された。冷却された反応混合物が、氷浴で冷却された10%リン酸二水素ナトリウム水溶液(200ml)上に注がれた。混合物が、濾過された。濾過ケークが水で洗浄され、その後短時間空気乾燥されて、褐色の粘着性固体として標記化合物が得られた(34.6g)。この材料は、さらなる精製を伴わずに使用された。LCMS(方法3)m/z289.8[MH+],Tr=1.97分。
【0182】
中間体11:2−メチルスルファニル−6−(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−ピリミジン−4−イルアミン
【0183】
【化38】

5%水酸化ナトリウム水溶液(100ml,125mmol)中の中間体10(34.5g,約30mmol)の懸濁液が、ヨードメタン(1.86ml,30mmol)を一度に加えながら室温で撹拌された。淡褐色の沈殿物が、形成された。45分後、混合物が10%リン酸二水素ナトリウム水溶液で処置された(最終pH9)後、固体が集められ、水で洗浄され、空気乾燥されて、まだ水で湿った褐色固体として標記化合物(9.95g)が得られた。LCMS(方法3)m/z303.9[MH+],Tr=2.06分。
【0184】
中間体12:2−メタンスルホニル−6−[6−(4−オキシ−モルホリン−4−イル)−ピリジン−2−イル]−ピリミジン−4−イルアミン
【0185】
【化39】

メタノール(200ml)および水(50ml)中の中間体11(9.9g,約25mmol)の懸濁液が、氷浴で冷却され、水(100ml)中のオキソン(20.7g)の溶液で10分間で滴下処理された。温度は、添加の間20℃より下に保たれた。そして、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(75ml)が、5分間で滴下状に加えられ(起沸)、氷浴が除去された。1時間後に、固体オキソン(5.5g)がさらに加えられた。さらに2時間後に、ジクロロメタン(200ml)が加えられ、混合物が濾過された。濾過ケークが水で洗浄され、空気乾燥されて、褐色固体として第一産物画分が得られた(7.0g)。濾過液の二相が分離された。水相は、pH>8に調整され、ジクロロメタンおよび酢酸エチルで抽出された。合わせられた有機抽出物が、硫酸ナトリウムで乾燥され、濾過され、濃縮されて、黄色の固体として第二産物画分が得られた(1.3g)。エタノール中の産物画分一(6.8g)および二(1.3g)のスラリーが濃縮乾燥されて、褐色固体として標記化合物(7.3g)が得られた。LCMS(方法3)m/z351.9[MH+],Tr=1.60分。
【0186】
中間体13:2−ブロモ−6−(モルホリン−4−イル)ピリジン
【0187】
【化40】

DMF(15ml)中の2,6−ジブロモピリジン(5.0g,21.3mmol)および炭酸セシウム(6.88g,21.3mmol)の懸濁液に、モルホリン(1.85ml,21.3mmol)が加えられた。混合物が、2時間120℃で、撹拌を伴って加熱された。水が加えられ、混合物がエーテルで抽出され、合わせられた抽出物が塩水で洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、濃縮された。残留物が、溶離液として5:1ヘキサン/酢酸エチルを用いて、シリカゲル上で色層分析されて、白い結晶質固体として標記化合物が得られた(4.33g,84%)。
【0188】
中間体14:2−ブロモ−6−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ピリジン:
【0189】
【化41】

中間体14は、モルホリンの代わりに4−ヒドロキシ−ピペリジンが使用されたことを除き、中間体13において説明される方法に従って調製された。LCMS(方法3)m/z256.8,258.8[MH+],Tr=2.11。
【0190】
中間体15:2−ブロモ−6−(4−メトキシピペリジン−1−イル)ピリジン
【0191】
【化42】

テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(6.93g,20.4mmol)およびジメチル硫酸(51.5ml,544mmol)が、ジクロロメタン(300ml)中の中間体14(70g,272mmol)の溶液に加えられた。50%水酸化ナトリウム水溶液(300ml)が加えられ、混合物が室温で16時間撹拌された後、1時間加熱還流された(浴温50℃)。ジクロロメタン(400ml)および水(1L)が、冷まされた反応混合物に加えられた。有機層が水で二回、塩水で一回洗浄された後、硫酸ナトリウムで乾燥され、濾過され、濃縮されて、琥珀油として標記化合物が得られ(68.6g,93%)、これがさらなる精製を伴わずに使用された。LCMS(方法3)m/z270.9,272.9[MH+],Tr=2.47。
【0192】
中間体8(代替合成法):6−(モルホリン−4−イル)ピリジン−2−カルボニトリル
【0193】
【化43】

DMF(160ml)中のシアン化銅(I)(24.3g,272mmol)およびシアン化ソーダ(8.9g,181mmol)の懸濁液が、均質になるまで150℃で加熱された。DMF(40ml)中の中間体13(44.0g,181mmol)の溶液が加えられ、混合物が4時間150℃で撹拌を伴って加熱された。冷まされた反応混合物が、1Mリン酸水素カリウム溶液(900ml)上に注がれ、混合物が1時間撹拌され、濾過された。濾過ケークがエーテル(500ml)ですすがれた後、酢酸エチル(1L)でスラリー化され、混合物が濾過された。濾過液が、硫酸ナトリウムで乾燥され、濾過され、濃縮されて、オフホワイトの固体として標記化合物が得られた(28.3g,83%)。
【0194】
中間体16:6−(4−メトキシピペリジン−1−イル)ピリジン−2−カルボニトリル
【0195】
【化44】

中間体16は、中間体13の代わりに中間体15が用いられたことを除き、中間体8の代替合成法において説明される方法に従って調製された。LCMS(方法3)m/z218.5[MH+],Tr=2.23
中間体17:5−メチル−2−フランカルボキシアミジン(HCl)
【0196】
【化45】

メタノール(50mL)中のナトリウムメトキシド(5.55mmol)の溶液に、5−メチル−2−フロニトリル(2.85g,26.6mmol)が加えられた。混合物が室温で3時間撹拌された。得られた溶液に、塩化アンモニウム(1.57g,29.4mmol)がゆっくりと加えられ、混合物が68時間室温で撹拌された。得られた懸濁液が濾過され、減圧下で溶媒が除去された。得られた固体が、エチルエーテル(3x25mL)で洗浄されて、標記化合物3.71g(収率87%)が得られた。
【0197】
【化46】

化合物1−20(代替合成法):2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−ピリミジン−4−イルアミン
【0198】
【化47】

エタノール(200ml)中の中間体12(7.3g,19.4mmol)の懸濁液が、無水ヒドラジン(6ml,189mmol)で処置された。混合物が、16時間還流された。混合物を室温に冷まし、ペンタン−2,4−ジオン(20.5ml,200mmol)が、外部からの冷却を伴わずに30分間で滴下状に加えられた。混合物が、1時間70℃で加熱された後、冷まされ、溶媒が除去された。得られた褐色固体(30.5g)が水(150ml)で15分間、40℃でスラリー化された後、冷まされた。冷めた混合物が濾過され、濾過ケークが水ですすがれた。得られた濾過ケークが酢酸エチルでスラリー化された後、濃縮乾燥されて、褐色固体として産物が得られたが(5.9g)、これは、3,5−ジメチルピラゾールに加えて所望の産物を含んでいた(LCMS分析)。LCMS(方法3)m/z351.9[MH+],Tr=2.27分。
【0199】
化合物3−1:2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(4−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−ピリミジン−4−イルアミン
【0200】
【化48】

化合物3−1は、エチル6−ブロモピリジン−2−カルボン酸エステルの代わりにエチル4−ブロモピリジン−2−カルボン酸エステルで開始して、中間体6−12の合成および化合物1−20(代替的方法)のために使用される方法により調製された。HPLCによる精製により、TFA塩として標記化合物が提供された。LCMS(方法1)m/z352.0[MH+],Tr=3.85分。
【0201】
化合物1−3(代替合成法):N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(4−メトキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−6’−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0202】
【化49】

化合物1〜4(1.06g,2.8mmol)、無水酢酸(0.50ml,5.3mmol)、および酢酸(10ml)の混合物が、撹拌を伴って90℃で16時間加熱された。無水酢酸(1.0ml,10.6mmol)がさらに加えられ、反応物がさらに26時間加熱された。冷まされた反応混合物に水が加えられ、混合物が3時間撹拌された。得られた固体が集められ、水で洗浄後、エタノールに取り込まれ、減圧下で蒸発乾燥された。残余固体が、エーテル中でスラリー化された後フィルタに集められ、追加のエーテルにより洗浄されて、黄色固体として標記化合物が得られた(506mg,43%)。
【0203】
化合物1−4(代替合成法):2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(4−メトキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル−6’−イル)−ピリミジン−4−イルアミン
【0204】
【化50】

化合物1−4は、中間体8の代わりに中間体16で開始して、中間体9−12の合成および化合物1−20(代替的方法)の合成のために使用される方法により調製された。
【0205】
化合物1−7(代替合成法):N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0206】
【化51】

化合物1−7は、化合物1−4の代わりに化合物1−20が使用されたことを除き、化合物1−3の代替合成法において説明される方法に従って調製された。
【0207】
化合物4−1:2−(ピリジン−2−イル)−6−(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−ピリミジン−4−イル−アミン
【0208】
【化52】

中間体9(230mg,1.0mmol)、ピリジン−2−カルボキシアミジンヒドロクロリド(302mg,2.0mmol)、ナトリウムエトキシド溶液(21重量%,Aldrich,0.98ml,3.0mmol)、およびエタノール(1ml)の混合物が、マイクロ波反応器中で、160℃で30分間撹拌を伴って加熱された。ナトリウムエトキシド溶液(0.5ml,1.5eq)がさらに加えられ、混合物が、マイクロ波反応器中で、180℃でさらに20分間加熱された。溶媒が蒸発された後、水(2ml)が加えられ、混合物が酢酸エチルにより抽出された。合わせられた有機抽出物が濃縮された後、残留物がHPLCにより精製されて、TFA塩として標記化合物が得られた。LCMS(方法1)m/z334.9[MH+],Tr=4.17分。TFA塩
化合物4−2:2−(5−メチルフラン−2−イル)−6−(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−ピリミジン−4−イル−アミン
【0209】
【化53】

化合物4−2は、ピリジン−2−カルボキシアミジンヒドロクロリドの代わりに中間体17が使用されたことを除き、化合物4−1において説明される方法に従って調製された。LCMS(方法1)m/z337.7[MH+],Tr=7.87分。
【0210】
化合物5−1:N−[6−(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−2−ピリジン−2−イル−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0211】
【化54】

塩化アセチル(0.027ml,0.38mmol)が、ジクロロメタン(2ml)中の化合物4−1(100mg,0.30mmol)およびピリジン(0.080ml,1.0mmol)の溶液に0℃で加えられた。反応混合物を撹拌し、16時間で室温に温まらせた。混合物が濃縮され、残留物が分取薄層クロマトグラフィ(9:1ジクロロメタン/メタノール溶離液)により精製されて、標記化合物が得られた(10mg)。
【0212】
化合物5−2:N−[2−(5−メチル−フラン−2−イル)−6−(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0213】
【化55】

化合物5−2は、化合物4−1の代わりに化合物4−2が使用されたことを除き、化合物5−1において説明される方法に従って調製された。
【0214】
化合物5−3:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(4−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0215】
【化56】

化合物5−3は、化合物4−1の代わりに化合物3−1が使用されたことを除き、化合物5−1において説明される方法に従って調製された。
【0216】
【表3】

化合物6−1:2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(4−モルホリン−4−イル−ピリジン−2−イル)−ピリミジン−4−イル]−カルバミン酸メチルエステル
【0217】
【化57】

化合物1−20(200mg,0.57mmol)、ピリジン(0.27ml,3.35mmol)およびジクロロメタン(10ml)の混合物が、48時間でクロロギ酸メチル(0.114ml,1.5mmol)により少しずつ処置された。出発物質の変換は、ほとんど観察されなかった(LCMS,TLC)。トリホスゲン(100mg,0.33mmol)が加えられ、暗色の混合物が1時間室温で撹拌された。メタノール(1ml)が加えられた。混合物が5分間撹拌された後、重炭酸ナトリウム水溶液が加えられ、混合物がジクロロメタンで抽出された。合わせられた有機抽出液が、硫酸ナトリウムで乾燥され、濾過され、濃縮され、残留物がシリカゲルクロマトグラフィ(2:1ヘキサン/アセトン溶離液)により精製された。粉砕(3:1ヘキサン/酢酸エチル)により、黄色固体として標記化合物が得られた(91mg,39%)。LCMS(方法1)m/z409.8[MH+],Tr=6.42。
【0218】
化合物7−1:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(3−モルホリン−4−イル−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0219】
【化58】

化合物7−1は、6−クロロピリジン−2−ボロン酸ピナコールエステルの代わりに3モルホリノフェニルボロン酸ピナコールエステルを用いて、中間体3のために使用される方法に従って調製された。HPLC精製によりTFA塩が得られた:LCMS(方法1)m/z392.9[MH+],Tr=6.04。
【0220】
化合物8−1:N−[6−(4−アミノ−ピリジン−2−イル)−2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0221】
【化59】

化合物8−1は、6−クロロピリジン−2−ボロン酸ピナコールエステルの代わりに4−アミノピリジン−2イルボロン酸ピナコールエステルを用いて、中間体3のために使用される方法に従って調製された。HPLC精製により、TFA塩が得られた:LCMS(方法1)m/z323.9[MH+],Tr=3.31。
【0222】
化合物9−1:N−[6−(6−アミノ−ピリジン−2−イル)−2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0223】
【化60】

化合物9−1は、6−クロロピリジン−2−ボロン酸ピナコールエステルの代わりに6−アミノピリジン−2−イルボロン酸ピナコールエステルを用いて、中間体3のために使用される方法に従って調製された。HPLC精製により、TFA塩が得られた:LCMS(方法1)m/z323.9[MH+],Tr=3.65。
【0224】
中間体18:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(3−フルオロ−5−ヒドロキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0225】
【化61】

ジオキサン(30mL)および水(3mL)中の中間体2(5.7mmol,1.5g)の溶液に、(3−フルオロ−5−ヒドロキシフェニル)ボロン酸(8.5mmol,1.3g)および炭酸カリウム(6.8mmol,950mg)が加えられた。溶液が、5分間窒素で脱気された。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.06mmol,60mg)が加えられ、混合物が6時間100℃で加熱された。冷めたら、反応物が水で希釈され、濾過された。固体の濾過ケークが、エーテル(100mL)で粉砕されて、薄茶色固体として標記化合物が得られた(1.7g,87%)。LCMS(方法3)m/z341.8[MH+],Tr=2.57分。
【0226】
化合物10−1:N−{2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−[3−フルオロ−5−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−ピリミジン−4−イル}−アセトアミド
【0227】
【化62】

無水テトラヒドロフラン(4mL)中の中間体18(1.5mmol,0.5g)の溶液に、トリフェニルホスフィン(2.2mmol,576mg)、続いてN−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン(2.2mmol,288mg)およびアゾジカルボン酸ジエチル(2.2mmol,382mg)が加えられた。混合物を、16時間室温に置いて撹拌させた。出来上がった反応物が、飽和NaHCO(aq.)で中和され、HOで希釈された。産物が、ジクロロメタンで抽出された(3x25mL)。合わせられた有機層が、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、溶媒が減圧下で除去された。残留物が、シリカゲルクロマトグラフィ(溶離液としてジクロロメタン中5%メタノール+1%トリエチルアミン)で精製されて、微細な白色粉末として標記化合物が得られた(50%)。LCMS(方法3)m/z454.9[MH+],Tr=4.61分。
【0228】
表4の化合物は、N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンの代わりに適切なアルコールを用いて、化合物10−1の方法に従って中間体18から調製された。産物が、水(0.05%TFA)中5〜65%アセトントリル(acetontrile)を用いたHPLC/MSにより精製されて、TFA塩類として最終化合物が得られた。
【0229】
【化63】

【0230】
【表4−1】

【0231】
【表4−2】

化合物10−12:(S)−3−{3−[6−アセチルアミノ−2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−ピリミジン−4−イル]−5−フルオロ−フェノキシ}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0232】
【化64】

無水テトラヒドロフラン(30mL)中の中間体18(8.8mmol,3.0g)の溶液に、トリフェニルホスフィン(13.0mmol,3.4g)、続いて(3R)−(−)−N−Boc−3−ヒドロキシピロリジン(13.0mmol,2.5g)およびアゾジカルボン酸ジエチル(13.0mmol,2.3g)が加えられた。混合物を、16時間室温で撹拌させた。完了した反応物が、飽和NaHCO(aq.)で中和され、HOで希釈された。産物が、ジクロロメタンで抽出された(3x100mL)。合わせられた有機層が、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、溶媒が減圧下で除去された。残留物が、シリカゲルカラム(溶離液としてジクロロメタン中5%メタノール+1%トリエチルアミン)により精製されて、黄色油として標記化合物が得られた(30%)。化合物10−12は、化合物1−13を生成するために、さらなる精製なしで使用された。試料が水(0.05%TFA)中15〜75%アセトントリル(acetontrile)を用いたHPLC/MSにより、さらに精製された。LCMS(方法1)m/z511.0[MH+],Tr=8.43分。
【0233】
化合物10−3:N−{2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−[3−フルオロ−5−((S)−ピロリジン−3−イルオキシ)−フェニル]−ピリミジン−4−イル}−アセトアミド
【0234】
【化65】

エーテル(10mL)中の化合物10−12(1.6mmol,810mg)の溶液に、エーテル中の2N HCl(4.8mmol,2.4mL)が加えられた。混合物が、1時間室温で撹拌された。生じた沈殿物が濾過され、エーテルで洗浄され、減圧下で乾燥されて、微細な白色固体として標記化合物が得られた(95%)。試料が、水(0.05%TFA)中15〜75%アセトニトリルを用いたHPLC/MSによりさらに精製されて、TFA塩として最終化合物が得られた。LCMS(方法1)m/z410.9[MH+],Tr=4.48分。
【0235】
化合物10−14:N−(2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−{3−フルオロ−5−[(S)−1−(2−メトキシ−エチル)−ピロリジン−3−イルオキシ]−フェニル}−ピリミジン−4−イル)−アセトアミド
【0236】
【化66】

無水DMF(1.5mL)中の化合物10−13(0.24mmol,100mg)の溶液に、炭酸カリウム(0.56mmol,77mg)および2−ブロモ−1−メトキシエタン(0.31mmol,43mg)が加えられた。反応混合物が、12時間50℃で撹拌された。冷めたら、反応物がメタノールで希釈され、濾過され、水(0.05%TFA)中15〜75%アセトニトリルを用いたHPLC/MSにより精製されて、TFA塩として標記化合物が得られた。LCMS(方法1)m/z469.0[MH+],Tr=4.75分。
【0237】
中間体19:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(3−ヒドロキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0238】
【化67】

中間体19は、(3−フルオロ−5−ヒドロキシフェニル)ボロン酸の代わりに3−ヒドロキシフェニルボロン酸を用いて、中間体18の方法に従って調製された。LCMS(方法3)m/z323.8[MH+],Tr=2.44分。
【0239】
表5の化合物は、中間体18の代わりに中間体19を用い、N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンの代わりに適切なアルコールを用いて、化合物10−1の方法に従って調製された。水(0.05%TFA)中5〜65%アセトニトリルを用いたHPLC/MSによる精製により、TFA塩類として最終化合物が得られた。
【0240】
【化68】

【0241】
【表5−1】

【0242】
【表5−2】

中間体20:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(2−ヒドロキシ−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0243】
【化69】

中間体20は、(3−フルオロ−5−ヒドロキシフェニル)ボロン酸の代わりに2−ヒドロキシフェニルボロン酸を用いて、中間体18の方法に従って調製された。LCMS(方法3)m/z323.8[MH+],Tr=2.85分。
【0244】
表6の化合物は、中間体18の代わりに中間体20を用い、N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンの代わりに適切なアルコールを用いて、化合物10−1の方法に従って調製された。水(0.05%TFA)中5〜65%アセトニトリルを用いたHPLC/MSによる精製により、TFA塩類として最終化合物が得られた。
【0245】
【化70】

【0246】
【表6】

中間体21:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(3−ヒドロキシメチル−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0247】
【化71】

中間体21は、(3−フルオロ−5−ヒドロキシフェニル)ボロン酸の代わりに3−ヒドロキシメチルフェニルボロン酸を用いて、中間体18の方法に従って調製され、微細な白色固体として標記化合物が得られた(60%)。LCMS(方法3)m/z337.9[MH+],Tr=2.39分。
【0248】
中間体22:メタンスルホン酸3−[6−アセチルアミノ−2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−ピリミジン−4−イル]−ベンジルエステル
【0249】
【化72】

無水ジオキサン(15mL)中の中間体21(3.0mmol,1.0g)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(4.5mmol,580mg)が加えられた。反応混合物が、0℃氷浴中窒素下で撹拌され、メタンスルホニルクロリド(4.5mmol,570mg)が加えられた。反応混合物が、12時間室温で撹拌された。完了した反応物が、飽和NaHCO(aq.)により中和され、HOで希釈された。産物が、ジクロロメタンで抽出された(3x100mL)。合わせられた有機層が、硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、溶媒が減圧下で除去されて、淡黄色の発泡体として標記化合物が得られた(60%)。LCMS(方法3)m/z415.9[MH+],Tr=2.217分。
【0250】
化合物13−1:N−{2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−[3−((R)−1−メチル−ピロリジン−3−イルオキシメチル)−フェニル]−ピリミジン−4−イル}−アセトアミド
【0251】
【化73】

無水DMF(2mL)中の中間体22の溶液(0.72mmol,300mg)に、ヨウ化ナトリウム(0.72mmol,108mg)が加えられた。反応混合物が、10分間室温で撹拌された。そして、無水DMF(1.0mL)および水素化ナトリウム(0.72mmol,30mg)中の(R)−(−)−1−メチル−3−ヒドロキシピロリジン(1.1mmol,110mg)の溶液が加えられた。反応混合物が、12時間60℃で撹拌された。冷めたら、反応物がメタノールで希釈され、濾過され、水(0.05%TFA)中15〜75%アセトニトリルを用いたHPLC/MSにより精製されて、標記化合物が得られた(20%)。LCMS(方法1)m/z421.2[MH+],Tr=5.57分。
【0252】
化合物13−2:N−{2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−[3−((S)−1−メチル−ピロリジン−3−イルオキシメチル)−フェニル]−ピリミジン−4−イル}−アセトアミド
【0253】
【化74】

化合物13−2は、(R)−(−)−1−メチル−3−ヒドロキシピロリジンの代わりに、(S)−(+)−1−メチル−3−ヒドロキシピロリジンを(R)−(−)−1−メチル−3−ヒドロキシピロリジンに代えて、化合物13−1の方法に従って調製されて、標記化合物が得られた(20%)。LCMS(方法1)m/z421.2[MH+],Tr=5.55分。
【0254】
中間体23:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(3−ホルミル−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0255】
【化75】

ジオキサン/水(9/1,30mL)中の中間体2(1.3g,4.0mmol)、3−ホルミルフェニルボロン酸(0.9g,6.0mmol)および炭酸ナトリウム(1.7g,16.0mmol)の混合物が、バブリングNにより15分間脱気された。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.46g,0.4mmol)が加えられ、混合物が90℃で16時間加熱された。溶液が、水(30mL)に注ぎ込まれ、酢酸エチルで抽出された(2x30mL)。有機層が、水(2x15mL)および塩水(15mL)で洗浄され、乾燥され(NaSO)、減圧下で溶媒が除去された。残留物がシリカゲル上のクロマトグラフィ(溶離液として1:2アセトン/DCM)により精製されて、標記化合物が提供された。LCMS(方法3)m/z335.8[MH+],Tr=2.53分。
【0256】
表7の化合物は、以下の手順により調製された:メタノール(1ml)中の中間体23(50mg,0.15mmol)および適切なアミン(0.30mmol,2eq)の溶液が、5分間撹拌された後、ピリジン−ボラン錯体(0.3mmol,2eq)が加えられた。混合物が、16時間室温で撹拌された。水(0.05%TFA)中15〜75%アセトニトリルを用いたHPLC/MSによる精製により、TFA塩として最終産物が得られた。
【0257】
【化76】

【0258】
【表7】

中間体24:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(2−フルオロ−5−ホルミル−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0259】
【化77】

中間体24は、3−ホルミルフェニルボロン酸の代わりに2−フルオロ−5−ホルミルフェニルボロン酸を用いて、中間体23の方法に従って調製された。LCMS(方法3)m/z353.8[MH+],Tr=2.557分。
【0260】
化合物15−1:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(2−フルオロ−5−ピロリジン−1−イルメチル−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0261】
【化78】

化合物15−1は、化合物14−x(表7)の方法に従って調製された。LCMS(方法2)m/z408.9[MH+],Tr=4.39分。LCMS(方法2)m/z408.9[MH+],Tr=4.39分。
【0262】
中間体25:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(2−メトキシ−5−ホルミル−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0263】
【化79】

中間体25は、3−ホルミルフェニルボロン酸の代わりに2−メトキシ−5−ホルミルフェニルボロン酸を用いて、中間体23の方法に従って調製された。LCMS(方法3)m/z365.8[MH+],Tr=2.491分。
【0264】
化合物16−1:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(2−メトキシ−5−ピロリジン−1−イルメチル−フェニル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0265】
【化80】

化合物16−1は、化合物14−x(表7)の方法に従って調製された。水(0.05%TFA)中15〜75%アセトニトリルを用いたHPLC/MSによる精製により、TFA塩として標記化合物が得られた。LCMS(方法2)m/z420.9[MH+],Tr=4.09分。
【0266】
化合物17−1:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−イソキノリン−5−イル−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0267】
【化81】

化合物17−1は、3−ホルミルフェニルボロン酸の代わりにイソキノリン−4−ボロン酸を用いて、中間体23の方法に従って調製された。HPLC/MSによる精製により、オフホワイトの固体として標記化合物が得られた(240mg,59%)。LCMS(方法1)m/z358.8[MH+],Tr=3.80分。
【0268】
化合物18−1および19−1:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(1,2,3,4,4a,8a−ヘキサヒドロ−イソキノリン−5−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミドおよびN−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(2−エチル−1,2,3,4,4a,8a−ヘキサヒドロ−イソキノリン−5−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0269】
【化82】

酢酸(10mL)およびEtOH(5mL)中の化合物17−1(200mg)の溶液が、10%Pd/C触媒上で48時間、1大気圧で水素化された。濾過された反応混合物が濃縮され、分取シリカゲルTLC(溶離液として90:9:1のクロロホルム:MeOH:アンモニア水)により精製されて、化合物18−1および19−1が得られた。化合物18−1:白色固体;LCMS(方法1)m/z363.0[MH+],Tr=3.73分。化合物19−1:白色固体;LCMS(方法2)m/z390.9[MH+],Tr=3.83分。
【0270】
化合物20−1:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(2−メチル−1,2,3,4,4a,8a−ヘキサヒドロ−イソキノリン−5−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0271】
【化83】

EtOH(1mL)および酢酸(0.05ml)中の化合物18−1(100mg,0.28mmol)の溶液が、37%ホルムアルデヒド水溶液(0.4ml)、続いてピリジン−ボラン錯体(0.2ml,0.2mmol)で処置された。反応混合物が、12時間室温で撹拌された。反応混合物が、水(0.05%TFA)中5〜65%アセトニトリルを用いたHPLC/MSにより精製されて、TFA塩として標記化合物が得られた。LCMS(方法1)m/z376.9[MH+],Tr=3.71分。
【0272】
中間体26:7−ブロモ−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0273】
【化84】

ジクロロメタン(20ml)中の7−ブロモ−1,2,3,4−テトロヘドロ(tetrohedro)−イソキノリン(4.0g 18.9mmol,1eq)の溶液に、ジ−t−ブチル二炭素酸(4.9g,22.5mmol)およびトリエチルアミン(4ml,36.4mmol)が加えられた。反応混合物が、16時間室温で撹拌された。重炭酸ナトリウム水溶液(150ml)が加えられ、混合物がジクロロメタンで抽出された。有機層が硫酸ナトリウムで乾燥され、濾過され、濃縮された後、残留物がシリカゲルクロマトグラフィ(溶離液としてヘキサン中0〜20%酢酸エチル)で精製された。透明油として中間体26が得られた(3.8g,64.6%)。LCMS(方法2)m/z211.7[MH+],Tr=3.18分。
【0274】
中間体27:7−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0275】
【化85】

ジオキサン(30ml)中の中間体26(2.6g,8.3mmol)、ビス−ピナコラトジボロン(2.54g,10.0mmol)、酢酸カリウム(1.63g,16.6mmol)およびPd(dpff)(0.68g,0.83mmol)の混合物が、16時間100℃で、封管中で撹拌された。重炭酸ナトリウム水溶液(100ml)が冷却された反応混合物に加えられ、混合物がジクロロメタンで抽出された。有機層が硫酸ナトリウムで乾燥され、濾過され、濃縮された後、残留物がシリカゲルクロマトグラフィ(溶離液としてヘキサン中10%酢酸エチル)で精製された。やや黄色の固体として、中間体27が得られた(2.2g,74%)。LCMS(方法2)m/z259.9[MH+],Tr=3.35分。
【0276】
中間体28:7−[6−アセチルアミノ−2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−ピリミジン−4−イル]−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
【0277】
【化86】

中間体28は、3−ホルミルフェニルボロン酸の代わりに中間体27を用いて、中間体23の方法に従って調製された。シリカゲルクロマトグラフィ(溶離液として1:1ヘキサン/酢酸エチル)による精製により、白色発泡体として標記化合物が得られた(2.2g,73%)。LCMS(方法2)m/z462.9[MH+],Tr=2.95分。
【0278】
化合物21−1:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0279】
【化87】

中間体28(100mg)が、1mlジクロロメタンおよび1mlトリフルオロ酢酸の混合物で、30分間処置された。溶媒が除去され、試料が分取HPLC/MSにより精製されて、TFA塩として標記化合物が得られた。LCMS(方法1)m/z362.9[MH+],Tr=3.80分。
【0280】
化合物22−1:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(2−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0281】
【化88】

化合物22−1は、化合物18−1の代わりに化合物21−1(20mg)を用いて、化合物20−1の方法に従って調製された。水(0.05%TFA)中5〜65%アセトニトリルを用いた分取HPLC/MSによる精製により、TFA塩として標記化合物が得られた LCMS(方法1)m/z376.9[MH+],Tr−3.76分。
【0282】
化合物23−1:N−[2−(3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル)−6−(2−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イル)−ピリミジン−4−イル]−アセトアミド
【0283】
【化89】

化合物23−1は、ホルムアルデヒド溶液の代わりにアセトアルデヒドを用いて、化合物22−1の方法に従って調製された。LCMS(方法1)m/z390.9[MH+],Tr=3.85分。
【0284】
当然のことながら、本発明の特定の実施形態が、例示のために本明細書に説明されているが、本発明の精神と範囲から逸脱することなく様々な変更がなされうる。したがって本発明は、添付の請求の範囲による場合を除き、制限されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(I):
【化90】

の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステル、溶媒和化合物または立体異性体であり、式中、
は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンおよびシアノの群より選択される一つ以上のメンバーにより選択的に置換される複素環であり;
は、フェニルまたはピリジルであり、前記フェニルまたはピリジル環が、1〜4つのR基により置換されるか;あるいは
は、イソキノリン、ジヒドロイソキノリンまたはテトラヒドロイソキノリン環であり、前記イソキノリン、ジヒドロイソキノリンまたはテトラヒドロイソキノリン環が、Rにより選択的に置換され;
は、H、R、COR、CONR、またはCOORであり;
が、各出現において、ハロゲン、−(X)−(O)−(Y)−R、または−(X)−(O)−(Y)−NRの群より選択され;
およびRはそれぞれ独立して、水素、低級アルキル、低級C2−6アルコキシ、低級C2−6アルコキシアルキル、低級C2−6ヒドロキシアルキル、シアノ、C(O)−C−CアルキルまたはC(O)O−C−Cアルキルであるか;あるいは
およびRは、それらが結合する窒素とともに、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、低級ヒドロキシアルキル、シアノ、および−C(O)−C−Cアルキルの群より選択される一つ以上のメンバーにより選択的に置換される複素環を形成し;
は、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノの群より選択される一つ以上のメンバーにより選択的に置換される低級アルキルであり;
は、低級アルキル、低級アルコキシ、アルコキシアルキル、−C(O)−C−Cアルキルまたは低級アルケニルの群より選択され、前記低級アルキル、低級アルコキシ、アルコキシアルキル、−C(O)−C−Cアルキル、および低級アルケニル基が、一つ以上の低級アルキル、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシル、またはシアノにより選択的に置換されるか;あるいは
およびRは、それぞれが結合する窒素とともに、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、低級ヒドロキシアルキル、およびシアノの群より選択される一つ以上のメンバーにより選択的に置換される複素環を形成し;
XおよびYはそれぞれ独立して、低級アルキル、シクロアルキルまたは飽和ヘテロシクリルであり;
mは、各出現において、0または1であり;
nは、各出現において、0または1であり;
pは、各出現において、0または1である、
化合物またはその薬学的に受容可能な塩、エステル、溶媒和化合物または立体異性体。
【請求項2】
が、ピラゾリル、トリアゾリル、フラニル、チアゾリルおよびピリジニルの群より選択され、前記ピラゾリル、トリアゾリル、フラニル、チアゾリルおよびピリジニル基が、低級アルキルおよびハロゲンの群より選択される一つ以上のメンバーにより選択的に置換される、請求項1に記載の化合物、
【請求項3】
が、二つの低級アルキル基により選択的に置換されるピラゾリル、または、一つの低級アルキル基より選択的に置換されたフラニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、ピラゾール−1−イル、3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イル、フラン−2−イルおよび5−メチル−2−フラン−イルの群より選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、3,5−ジメチル−ピラゾール−1−イルまたは5−メチル−フラン−2−イルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、CORである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が、低級アルキルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が、メチル、エチルまたはイソプロピルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、メチルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が、1〜4つのR基により置換されるピリジルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
が、1つのR基により置換されるピリジルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、−(X)−(O)−(Y)−Rであり;
mが、0であり;
nが、0であり;
pが、1であり;
Yが、飽和複素環である、
請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
が、1〜4つのR基により置換されるフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
が、2つのR基により置換されるフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
一方のRが、−(X)−(O)−(Y)−Rであり
mが、0であり;
nが、0であり;
pが、1であり;
Yが、飽和複素環であり;
他方のRが、ハロゲン、メチルまたはメトキシである、
請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物および薬学的に受容可能な担体または希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項17】
請求項3に記載の化合物および薬学的に受容可能な担体または希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項18】
請求項7に記載の化合物および薬学的に受容可能な担体または希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項19】
虚血、上室性不整脈、急性腎不全、心筋再潅流傷害、自己免疫性疾患、嗜癖、物質濫用、日中の過剰な眠気、炎症性腸疾患、喘息、真性糖尿病、肥満、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、ジストニアおよびジスキネジアの群より選択される状態を有する対象を治療する方法であり、請求項16に記載の医薬組成物を、必要な対象に投与することを含む、方法。
【請求項20】
前記状態が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、ジストニアまたはジスキネジアである、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2010−522214(P2010−522214A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554781(P2009−554781)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/057911
【国際公開番号】WO2008/116185
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(509263445)
【Fターム(参考)】