説明

アデノシン受容体アゴニスト

【課題】アデノシンA2A受容体のアゴニズムにより改善または予防され得る病的状態を予防、処置、または改善するための医薬の提供。
【解決手段】一般式(A)


の化合物の、特に疼痛または炎症を処置するための医薬としての使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アデノシン受容体アゴニストである化合物、および治療用化合物、特に、鎮痛性化合物または抗炎症性化合物、または疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)としてのその使用、ならびにこれらの化合物を用いた疼痛または炎症の予防、処置、または改善方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アデノシンは、4種の既知の受容体であるアデノシンA1、A2A、A2BおよびA3受容体に作用する遍在性の局所ホルモン/神経伝達物質である。アデノシンは、一般に、組織におけるエネルギーの供給と需要のバランスをとる働きをする。例えば、心臓において、放出されたアデノシンは、結節および心房におけるA1受容体介在性作用により心臓を遅延させ(Belardinelli, L & Isenberg, G Am. J. Physiol. 224, H734-H737)、一方、同時にエネルギー(すなわち、グルコース、脂質、および酸素)供給を増大させるために冠動脈を拡張させる(Knabb et al., Circ. Res. (1983) 53, 33-41)。同様に、炎症中、アデノシンは炎症活性を阻害する働きをし、一方過剰な神経活性状態(例えば、てんかん)では、アデノシンは神経発射を阻害する(Klitgaard et al., Eur J. Pharmacol. (1993) 242, 221-228)。このシステム、またはその変形が全ての組織に存在する。
【0003】
アデノシン自体を用いて、上室性頻拍が診断され、そして処置され得る。アデノシンA1受容体アゴニストは、強力な鎮痛剤として作用することが知られており(Sawynok, J. Eur J Pharmacol. (1998) 347, 1-11)、そしてアデノシンA2A受容体アゴニストは、抗炎症活性を有することが知られている(例えば、米国特許第5,877,180号およびWO99/34804を参照)。実験動物において、A2A受容体アゴニストが、敗血症、関節炎、および腎動脈、冠動脈、または大脳動脈の閉塞から生じる虚血−再灌流損傷を含む広範な状態に対して有効であることが示されている。これらの状態に共通する因子は、全部ではないがほとんどの炎症細胞に対するこれらの受容体の阻害効果により引き起こされる炎症応答の低減である。
【0004】
しかしながら、アデノシン受容体の遍在性の分布は、アデノシン受容体アゴニストの投与により、副作用が引き起こされることを意味する。一般的に、このことがアデノシンベースの治療の開発を排除してきた。選択的A1受容体アゴニストは徐脈を引き起こす。A2A受容体アゴニストは広範囲に及ぶ血管拡張を引き起こし、これは結果、低血圧および頻脈となる。第1の選択的A2A受容体アゴニスト(2−[4−(2−カルボキシエチル)フェニルエチルアミノ]−5’−N−エチルカルボキサミドアデノシン、またはCGS21680)が、可能性のある抗高血圧剤としてフェーズ2A臨床試験において試験された。しかしながら、この化合物の投与により、血圧の大降下が引き起こされ、結果、心拍出が増大した。これにより、CGS21680の医薬としての使用が妨げられた。Webb等(J. Pharmacol Exp Ther (1991) 259, 1203-1212)、Casati等(J Pharmacol Exp Ther (1995) 275(2):914-919)、およびBonnizone等(Hypertension. (1995) 25, 564-9)は、選択的A2Aアデノシン受容体アゴニストが低血圧および頻脈を引き起こすことを示している。誘発された頻脈の程度は、医薬としてのそれらの使用を排除するのに十分である。Alberti等(J Cardiovasc Pharmacol. 1997 Sep;30(3):320-4)は、選択的A2Aアデノシン受容体アゴニストが、血圧を低減し、心拍数および血漿レニン活性の顕著な増大を誘発する可能性のある血管拡張剤であることを開示している。これらの副作用により、医薬としてのそれらの使用が排除される。
【0005】
米国特許第5,877,180号は、A2Aアデノシン受容体のアゴニストに関し、それは炎症性疾患の処置に有効であると記載されている。好ましいアゴニストであるWRC0090およびSHA 211(WRC0474)は、既に報告されたCGS21680およびCV1808のようなアデノシンアナログより強力かつ選択的であることが開示されている。SHA 211またはWRC0090の投与は、アナログの他のアデノシン受容体との結合により介在される副作用の確率を低減させると考えられる。しかしながら、含まれているのは、SHA 211の活性に関するインビトロのデータのみである。記載の化合物のいずれかが、重篤な副作用を引き起こすことなくインビボで治療上有効であり得ることは示されていない。強力かつ選択的アデノシンA2A受容体アゴニストの他のアデノシン受容体との結合により仲介される副作用は、かかるアゴニストの使用により低減されると予測されるが、アデノシン受容体の遍在性分布は、依然として、これらの化合物が正常組織においてアデノシンA2A受容体を活性化し、それゆえ、重篤な副作用(例えば、低血圧および反射性頻脈)を引き起こすことを指す。
【0006】
米国特許第3,936,439号は、2,6−ジアミノネブラリン誘導体の哺乳類用冠動脈拡張剤および/または血小板凝集阻害剤としての使用を開示する。N−フェニル−2,6−ジアミノネブラリン、N−シクロヘキシル−2,6−ジアミノネブラリン、N−(p−メトキシフェニル)−2,6−ジアミノネブラリン、およびN−エチル−2,6−ジアミノネブラリンの冠動脈拡張作用を支持するイヌのインビボデータ、およびN−フェニル−2,6−ジアミノネブラリン、N−シクロヘキシル−2,6−ジアミノネブラリン、2,6−ジアミノネブラリン、およびN−エチル−2,6−ジアミノネブラリンの血小板凝集阻害作用を支持するインビトロデータが含まれている。仏国特許第2162128号(Takeda Chemical Industries, Ltd)は、アデノシン誘導体(少なくとも2個の炭素原子の低級アルキル基を含む2−アルコキシアデノシン誘導体を含む)が低血圧活性および冠動脈血管拡張活性を有することを開示する。イヌのインビボデータは、2−n−ペンチルオキシアデノシン、2−(β−ヒドロキシエトキシ)−アデノシン、および2−フェノキシアデノシンの冠動脈血管拡張活性を支持するものである。しかしながら、米国特許第3,936,439号または仏国特許第2162128号において、記載の化合物のいずれかが、重篤な副作用を引き起こすことなく投与され得ることは示されていない。
【0007】
Ribeiro等(Progress in Neurobiology 68 (2003) 377-392)は、神経系におけるアデノシン受容体の概説である。この論文の結びのことば(387頁、右欄、段落8の19行目)で、「昔から言われているように、末梢でのアデノシン受容体の活性化は、低血圧、徐脈、および低体温と関連する・・・これらの副作用は、これまでアデノシン受容体アゴニストの臨床上の有用性を有意に制限してきた。」と述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,877,180号明細書
【特許文献2】米国特許第3,936,439号明細書
【特許文献2】仏国特許第2162128号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Belardinelli, L & Isenberg, G Am. J. Physiol. 224, H734-H737
【非特許文献2】Knabb et al., Circ. Res. (1983) 53, 33-41
【非特許文献3】Klitgaard et al., Eur J. Pharmacol. (1993) 242, 221-228
【非特許文献4】Sawynok, J. Eur J Pharmacol. (1998) 347, 1-11
【非特許文献5】Webb等(J. Pharmacol Exp Ther (1991) 259, 1203-1212)
【非特許文献6】Casati等(J Pharmacol Exp Ther (1995) 275(2):914-919)
【非特許文献7】Bonnizone等(Hypertension. (1995) 25, 564-9)
【非特許文献8】Alberti等(J Cardiovasc Pharmacol. 1997 Sep;30(3):320-4)
【非特許文献9】Ribeiro等(Progress in Neurobiology 68 (2003) 377-392)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
それゆえ、最小の副作用で投与され得るアデノシン受容体アゴニストを提供する必要がある。
【0011】
本発明のある種の態様は、疼痛の処置に関するものである。疼痛は、2つの要素を有し、それぞれが感覚神経の活性化と関連する。第1の要素は、感覚神経が刺激されたとき、例えば、皮膚を暖めた結果、または皮膚を圧迫した結果としての初期または即時相である。第2の要素は、以前に損傷された組織を刺激する感覚機序の感受性の増大の結果である。この第2の要素は、痛覚過敏として言及され、組織損傷から生じる慢性疼痛の全ての形態に関与するが、疼痛知覚の初期または即時相では関与しない。
【0012】
従って、痛覚過敏は、組織損傷により引き起こされる増大した疼痛知覚の状態である。この状態は、組織回復が生じる時間を与えるための、傷害された個体による損傷組織の保護の促進に明らかに指向した神経系の本来的な応答である。この状態の2つの既知の根本的な原因、感覚神経活性の増大、および脊髄で生じる侵害情報の神経進行の変化が存在する。痛覚過敏は、慢性炎症状態(例えば、関節リウマチ)において、および感覚神経の損傷が生じたとき(すなわち、神経障害性疼痛)、減弱され得る。
【0013】
2つの主要な種類の鎮痛剤が知られている:(i)非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)および関連COX−2阻害剤;および(ii)モルヒネベースのアヘン剤。両方の種類の鎮痛剤が、正常、即時、または侵害性疼痛を制御するのに有効である。しかしながら、それらは、神経障害性疼痛のようなある種の痛覚過敏性疼痛に対してほとんど効力がない。多くの医療従事者が、神経障害性疼痛に作用するのに必要な高用量でアヘン剤を処方するのを嫌がる。これらの化合物の投与により引き起こされる副作用(例えば、不安、吐き気、および嘔吐)、および患者がそれらの中毒になり得る可能性があるためである。NSAIDは、たとえより高用量のこれらの化合物が必要とされても、アヘン剤ほど強力ではない。しかしながら、これらの化合物は、胃腸管の炎症を引き起こすので、望ましくない。
【0014】
神経障害症候群および他の痛覚過敏症候群における疼痛知覚を制御するために十分強力であって、かつ重篤な副作用を有さないか、あるいは患者がそれらの中毒となることを引き起こさない鎮痛剤、特に、抗痛覚過敏剤の提供がまた望まれている。
【0015】
スポンゴシンは、1945年に海綿動物であるクリプトテシア・クリプタ(Cryptotethia crypta)から最初に単離された(Bergmann and Feeney, J. Org. Chem. (1951) 16, 981, Ibid (1956) 21, 226)。それは、天然で見出された最初のメトキシプリンであった。それは、2−メトキシアデノシン、または9H−プリン−6−アミン、9−α−D−アラビノフラノシル−2−メトキシとしても知られている。スポンゴシンの第1の生物学的活性は、Bartlett等(J. Med. Chem. (1981) 24, 947-954)により記載されている。スポンゴシン(および他の化合物)は、経口投与後のげっ歯類においてその骨格筋−弛緩効果、体温降下効果、心血管効果、および抗炎症効果について試験された(抗炎症活性は、ラットの後足におけるカラギナン誘発性浮腫の阻害により評価された)。スポンゴシンは、ラットにおけるカラギナン誘発性炎症を20mg/kg 経口で25%阻害した。しかしながら、平均血圧の低下(41%)、および心拍数の低下(25%)も、この化合物をこの用量で投与した後に観察された。
【0016】
ラットのアデノシンA1およびA2A受容体に対するスポンゴシンの親和性が測定された。得られた(ラットにおける)Kd値は、A1受容体について340nMであり、A2A受容体について1.4μMであり、一方、ラットA2A受容体の刺激に対するEC50値は、3μMであることが示された(Daly et al., Pharmacol. (1993) 46, 91-100)。モルモットにおいて、スポンゴシンの有効性が単離された心臓標本において試験され、得られたEC50値は、アデノシンA1およびA2A受容体それぞれについて、10μMおよび0.7μMであった(Ueeda et al J Med Chem (1991) 34, 1334-1339)。この化合物は有効性が低く、かつ受容体選択性が乏しいので、それは、より強力かつ受容体選択性のアデノシン受容体アゴニストに隠れて、大いにないがしろにされた。
【0017】
驚くべきことに、スポンゴシンは、これらの化合物のアデノシン受容体に対する既知の親和性に基づき必要とされると予測されるものより100倍も低い用量で、有効な鎮痛剤となることが見出された。これらの用量で、スポンゴシンは、高用量のこの化合物または他のアデノシン受容体アゴニストと関連する重大な副作用を生じない。従って、スポンゴシンの治療効果は、副作用から切り離され得る。スポンゴシンの鎮痛剤としての活性は、国際特許出願番号PCT/GB03/05379の主題であり、スポンゴシンと関連する化合物の鎮痛剤としての活性は、国際特許出願番号PCT/GB04/00935の主題である。スポンゴシンおよび関連化合物の炎症および他の疾患を処置するための使用は、国際特許出願番号PCT/GB04/000952の主題である。
【0018】
本願出願人は、スポンゴシン、およびPCT/GB04/00935およびPCT/GB04/000952に記載の関連化合物が、pH7.4未満のpHでアデノシン受容体に対して増大した親和性を有することを見出した。この性質は、これらの化合物の低用量での驚くべき活性を説明すると解される。本願出願人は、低減したpHでアデノシン受容体に対して増大した親和性を有するある種の他の化合物を同定することができた。これらの化合物は、重篤な副作用を引き起こすことなく、医薬として用いられ得ると解される。
【0019】
本発明により、次の式:
【化1】

[式中:
XがOHのとき、Rは、CまたはC−Cアルコキシ(好ましくは、C−Cアルコキシ)、OCHシクロプロピル、OCHシクロペンチル、O−(2,2,3,3−テトラフルオロ−シクロブチル)、フェノキシ、置換フェノキシ(好ましくは、ニトリル(好ましくは、4−ニトリル)、4−メチル、フェニル(好ましくは、3−フェニル)、3−ブロモ、3−イソプロピル、2−メチル、2,4−ジフルオロ、2,5−ジフルオロ、3,4−ジフルオロ、2,3,5−トリフルオロ、または(3−メチル,4−フルオロ)で置換されている)、OCHCHOH、OCHCHF、(5−インダニル)オキシ、C、C、C、またはCアルキルアミノ、(R)または(S)−sec−ブチルアミノ、CまたはCシクロアルキルアミノ、exo−ノルボルナンアミノ、(N−メチル、N−イソアミルアミノ)、フェニルアミノ、メトキシまたはフルオロ置換基のいずれかを有するフェニルアミノ、Cスルホン基、Cアルキル基、シアノ基、CONH基、または3,5−ジメチルフェニルであるか;または
XがHのとき、Rは、n−ヘキシルオキシである];
【化2】

[式中:
は、NMe、N−(2−イソペンテニル)、ピペラジニル、(N−Me、N−ベンジル)、(N−Me,N−CHPh(3−Br))、(N−Me,N−CHPh(3−CF))、または(N−Me,N−(2−メトキシエチル))、またはOCHシクロペンチルである];
【化3】

[式中:
がHのとき、Rはイソプロピル基であり、Rは、NH、メチルアミノ基(NHMe)、またはイソアミル基(CHCHCHMe)のいずれかであるか;または
がHのとき、RはHであり、そしてRはNHであるか;または
がOMeのとき、RはPhであり、そしてRはNHであるか;または
がNHCHCHCHCHCHMeのとき、RはCHCHCHMeであり、そしてRはNHである]
【化4】

[式中、Rはn−プロピルまたはNHCHCHである]
【化5】

[式中:
がNMeのとき、RはNHシクロヘキシルであるか;または
がNHベンジルのとき、RはOMeである]
【化6】

[式中、Rは、シクロヘキシル、NHシクロペンチル、またはNH−n−ヘキシルである]
のアデノシン受容体アゴニスト、またはそれらの医薬的に許容される塩が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、A:正常なラットにおける血圧;B:心拍数に対するスポンゴシン(0.6mg/kg 経口)の効果を示す。
【図2】図2は、スポンゴシン投与後の経時血漿濃度変化を示す。
【図3】図3は、カラギナン誘発性痛覚過敏に対するスポンゴシン(0.6mg/kg 経口)の抗痛覚過敏作用を示す。A:経時変化(ビークルに対してp<0.05、**p<0.01(シダック)、スポンゴシンおよびINDについて5時間、BLに対してp>0.05(ダネット));B:抗痛覚過敏効果の用量依存性。
【図4】図4は、神経障害性疼痛の長期締めつけ損傷モデルにおけるスポンゴシン(0.6mg/kg 経口)の抗痛覚過敏作用(ビークルに対してp<0.05、**p<0.01(ANOVAシダック)を示す。
【図5】図5は、神経障害性疼痛の長期締めつけ損傷モデルにおけるナロキソンの存在下および不存下でのスポンゴシン(0.6mg/kg 経口)の効果を示す。
【図6】図6は、神経障害性疼痛の長期締めつけ損傷モデルにおけるスポンゴシンおよびガバペンチンの相加効果を示す。
【図7】図7は、ヒトマクロファージ細胞株U937の細胞におけるLPS誘発性TNFα放出に対するスポンゴシンの効果を示す。
【図8】図8は、スポンゴシン(62.4および624μg/kg 腹腔内)が、血圧に作用しない濃度でインドメタシン(3mg/kg、経口)に匹敵する効力でカラギナン(CGN)誘発性炎症を阻害することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書で用いられる用語「アルキル」は、非置換の直鎖または分枝鎖炭化水素基を意味する。好ましくは、アルキルは直鎖である。
【0022】
本明細書で用いられる用語「アルコキシ」は、非置換の直鎖または分枝鎖アルキル−オキシ基を意味する。好ましくは、アルコキシは、直鎖アルキル−オキシ基である。
【0023】
本明細書で用いられる用語「C、C、C、またはCアルキルアミノ」は、基−NR(ここで、Rは水素であり、RはC、C、C、またはCアルキルであるか、あるいはRおよびRは、それぞれ独立して、C、C、C、またはCアルキルである)を意味する。好ましくは、RおよびRは、それぞれCアルキルである。
【0024】
好ましい式(I)の化合物は、式(I)(a):
【化7】

[式中:
XがOHのとき、Rは、C−Cアルコキシ、ニトリル(好ましくは、4−ニトリル)、フェニル(好ましくは、3−フェニル)、または3−イソプロピルで置換されたフェノキシ、(5−インダニル)オキシ、CまたはCアルキルアミノ、(N−メチル,N−イソアミルアミノ)、Cスルホン基、またはCアルキル基であるか;または
XがHのとき、Rはn−ヘキシルオキシである]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩;あるいは
式(I)(b):
【化8】

[式中:
XがOHのとき、Rは、フェノキシ、置換フェノキシ、CまたはCアルキルアミノ、メトキシまたはフルオロ置換基のいずれかを有するフェニルアミノ、またはOCHCHOHであるか;または
XがHのとき、Rはn−ヘキシルオキシである]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩である。
【0025】
本発明の好ましい化合物は、以下の実施例1〜6において定義される化合物番号2、3、7〜18、22〜25、31〜33、35、37、40、44、45、47、48、または51〜61、またはそれらの医薬的に許容される塩である。これらの化合物の合成は、以下の実施例14〜30に記載される。
【0026】
本発明により、添付の請求の範囲に記載の化合物番号2、3、7〜18、22〜25、31〜33、35、37、40、44、45、47、48、または51〜61の合成方法がまた提供される。これらの化合物の前駆体が1個以上の保護基を含む場合もある。所望に応じて、他のカルボキシ−ベースのヒドロキシル保護基が特定のものの代わりに用いられ得ると解されるであろう。
【0027】
本発明の化合物は全て、pH7.4より下のpHでアデノシン受容体に対して増大した親和性を有すると思われる。正常な哺乳類組織において、細胞外pHは、pH7.35から7.45の間でタイトに調節されている。より低いpH値を示す組織、具体的には、胃内腔(pH2から3の間)、およびある種の上皮表面(例えば、肺表面のpHはおよそ6.8である)もある。病理組織において、例えば、炎症、虚血、および他の種類の損傷中にpHの低減が生じる。
【0028】
本発明の化合物は、低減したpHでアデノシン受容体に対して増大した親和性を有するので、これらの化合物の作用は、病理組織のような低pH領域を標的とし得ると解される。結果、治療効果を生じるのに必要なこれらの化合物の用量は、正常な細胞外生理的pHでのアデノシン受容体に対するそれらの親和性に基づき予測されるものよりずっと低い。低用量の化合物が必要とされるのみなので、アデノシン受容体アゴニストの投与に付随する重篤な副作用は回避されるか、あるいは最小化される。これにより、生理的pHにて低親和性および/または非選択的アゴニストであるアデノシン受容体アゴニスト(例えば、スポンゴシン)のいくつかは、重篤な副作用を生じることなく治療上有効であり得るという驚くべき結果(当該技術分野、例えば、米国特許第5,877,180号における教示に反して)となる。
【0029】
式(I)〜(VI)の範囲内にある化合物のうち、アデノシン受容体アゴニストであると既に開示されているものもある。しかしながら、これらの化合物の作用が病理組織を標的とし得ること、あるいはそれゆえ、それらの治療効果がそれらの副作用と区別され得ることは、評価されていない。本発明の教示に照らして、式(I)〜(VI)の化合物は、pH7.4でのアデノシン受容体に対するそれらの親和性に基づき必要とされるものより十分に低い用量で投与され、これらの用量で重篤な副作用を生じることなく治療効果を生じ得ると思われる。
【0030】
従って、本発明により、医薬として使用するための本発明の化合物が提供される。
【0031】
式(I)〜(VI)の化合物は、鎮痛活性および/または抗炎症活性を有し、かつ他のアデノシン受容体アゴニストと比較して、低減した確率および重篤度の副作用を伴い投与され得ると思われる。
【0032】
本発明により、疼痛、特に、痛覚過敏を予防、処置、または改善するための医薬の製造における式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、または(VI)の化合物の使用が提供される。
【0033】
本発明により、疼痛(特に、痛覚過敏)を予防、処置、または改善する方法がまた提供され、該方法は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、または(VI)の化合物をかかる予防、処置、または改善の必要な対象に投与することを含む。
【0034】
好ましい式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、および(VI)の化合物は、実施例において詳述される。
【0035】
式(I)〜(VI)の化合物は、たとえ、アデノシン受容体を活性化させることが知られているものより随分低い血漿濃度を生じると予測される用量で投与される場合であっても、疼痛、特に、神経障害性疼痛または炎症性疼痛に罹患している哺乳類における疼痛知覚を阻害するのに有効であると思われる。それゆえ、式(I)〜(VI)の化合物は、他のアデノシン受容体の投与に付随する重大な副作用を生じることなく、疼痛(特に、神経障害性疼痛および炎症性疼痛)を処置できると思われる。
【0036】
上述の通り、痛覚過敏は、たいていの場合の組織損傷、直接的な感覚神経に対する損傷、または所定の感覚神経により支配された組織の損傷のいずれかの結果である。その結果、疼痛知覚が痛覚過敏の要素を含む多くの状態が存在する。
【0037】
本発明により、糖尿病性神経障害、多発性神経障害、癌性疼痛、線維筋痛、筋膜痛症候群、骨関節炎、膵臓の疼痛、骨盤/会陰の疼痛、帯状疱疹後神経痛、関節リウマチ、座骨神経痛/腰椎神経根障害、脊椎管狭窄症、顎関節症、HIV性疼痛、三叉神経痛、慢性神経障害性疼痛、腰部の疼痛、背部の手術の失敗による疼痛、背部の疼痛、術後疼痛、身体外傷後疼痛(発砲、交通事故、火傷を含む)、心臓痛、胸部の疼痛、骨盤の疼痛/PID、関節痛(腱炎、滑液包炎、急性関節炎)、頚部の疼痛、腸の疼痛、幻肢痛、産婦人科系の疼痛(分娩/帝王切開)、腎疝痛、急性帯状疱疹性疼痛、急性膵炎貫通性疼痛(癌)、月経困難症/子宮内膜症を含む神経障害の結果として引き起こされる疼痛(特に、痛覚過敏)の予防、処置、または改善のための鎮痛剤(特に、抗痛覚過敏剤)としての式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、または(VI)の化合物の使用が提供される。
【0038】
本発明により、関節リウマチ、骨関節炎、リウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎、および他の関節炎状態、癌、HIV、慢性肺炎症性疾患、珪肺症、肺肉腫(pulmonary sarcosis)、骨吸収疾患、再灌流損傷(虚血発作、例えば、心筋梗塞、脳卒中後の再灌流の結果として器官に引き起こされる損傷を含む)、自己免疫性損傷(多発性硬化症、ギランバレー症候群、重症筋無力症を含む)、移植片対宿主拒絶反応、同種移植の拒絶反応、感染に起因する発熱および筋肉痛、AIDS関連症候群(ARC)、ケロイド形成、瘢痕組織形成、クローン病、潰瘍性大腸炎および麻痺(pyresis)、過敏性腸症候群、骨粗鬆症、脳マラリア、および細菌性髄膜炎、腸の疼痛、癌性疼痛、背部の疼痛、線維筋痛、術後疼痛を含む、炎症性疾患または合併した炎症の結果として引き起こされる疼痛(特に、痛覚過敏)を予防、処置、または改善するための式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、または(VI)の化合物の鎮痛剤(特に、抗痛覚過敏剤)としての使用がまた提供される。
【0039】
また、スポンゴシンは、虚血性疼痛の予防、処置、または改善において有効であり得ると解されてきた。スポンゴシンと関連する化合物はまた、虚血性疼痛に対して有効であり得ると思われる。
【0040】
本発明により、疼痛、特に、虚血性疼痛を予防、処置、または改善するための医薬の製造における、式(VII):
【化9】

[式中、RはC1−4アルコキシであり、そしてXはHまたはOHである]の化合物、またはその医薬的に許容される塩の使用が提供される。
【0041】
好ましくは、Rは、C1−4アルコキシであり、そしてXはOHであるもの、またはそれらの医薬的に許容される塩である。式(VII)の化合物は、2−メトキシアデノシン(スポンゴシン)を含み得る。
【0042】
本発明により、疼痛、特に、虚血性疼痛を予防、処置、または改善する方法がまた提供され、該方法は、式(VII)の化合物をかかる予防、処置、または改善の必要な対象に投与することを含む。
【0043】
また、式(I)〜(VI)の化合物は、虚血性疼痛の予防、処置、または改善において有効であり得ると解される。
【0044】
本明細書で用いられる用語「虚血性疼痛」は、身体の一部分への血液供給の低減と関連する疼痛を意味する。低減した血液供給は、身体の一部分への酸素(低酸素症)およびエネルギー供給を制限する。虚血は組織の乏しい血液灌流から生じ、それゆえ、虚血性疼痛は、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、および通常アテローム性動脈硬化症に続発する不十分な血流により特徴付けられる状態において生じる。他の血管疾患はまた、虚血性疼痛を生じ得る。これらは、左心室肥大、冠動脈疾患、本態性高血圧、急性高血圧性緊急症、心筋症、鬱血性心不全、運動負荷試験、慢性心不全、不整脈、心臓の不整脈、失神(syncopy)、動脈硬化、軽症慢性心不全、狭心症、プリンツメタル(異型)狭心症、安定狭心症および運動誘発性狭心症、心臓バイパス再閉塞、間欠性跛行(動脈硬化性閉塞(oblitteren))、動脈炎、拡張機能障害および収縮機能障害、アテローム性動脈硬化症、虚血後−再灌流損傷、糖尿病(I型およびII型の両方)、血栓塞栓症を含む。出血性事故はまた、虚血性疼痛を生じ得る。加えて、乏しい灌流は、低酸素状態誘発性神経細胞損傷(例えば、心停止またはバイパス手術、糖尿病、または新生児窮迫におけるもの)から生じる神経障害性疼痛および炎症性疼痛を生じ得る。
【0045】
式(I)〜(VII)の化合物は、たとえ、アデノシン受容体を活性化することが知られているものより低い血漿濃度を生じると予測される用量で投与されたときでも、虚血性疼痛の予防、処置、または改善において有効であると思われる。これらの用量で、化合物は、より高用量のスポンゴシン、または他のアデノシン受容体アゴニストの投与に付随する重大な副作用を引き起こさないと思われる。
【0046】
本発明により、本発明の化合物(すなわち、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、または(VII)の化合物)の、炎症を予防、処置、または改善するための医薬の製造のための使用がさらに提供される。
【0047】
本発明により、炎症を予防、処置、または改善する方法がさらに提供され、該方法は、本発明の化合物をかかる予防、処置、または改善の必要な対象に投与することを含む。
【0048】
具体的には、本発明の化合物(すなわち、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、または(VII)の化合物)を用いて、癌(例えば、白血病、リンパ腫、癌腫、大腸癌、乳癌、肺癌、膵臓癌、肝細胞癌、腎臓癌、メラノーマ、肝臓、肺、乳房、および前立腺への転移など);自己免疫疾患(例えば、臓器移植拒絶反応、紅斑性狼瘡、移植片対宿主拒絶反応、同種移植の拒絶反応、多発性硬化症、関節リウマチ、膵島の破壊により生じる糖尿病および炎症の結果である糖尿病を含むI型糖尿病);自己免疫性損傷(多発性硬化症、ギランバレー症候群、重症筋無力症を含む);肥満;弱い組織灌流および炎症と関連する心血管系の状態(例えば、アテローム、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、虚血−再灌流損傷、跛行、脊髄損傷、鬱血性心不全、脈管炎、出血性ショック、くも膜下出血後攣縮、脳血管障害後攣縮、胸膜炎、心膜炎、糖尿病の心血管系の合併症);虚血−再灌流損傷、虚血および関連炎症、血管形成術後の再狭窄、および炎症性動脈瘤;てんかん、神経変性(アルツハイマー病を含む)、筋肉疲労または筋痙攣(特に、アスリートの痙攣)、関節炎(例えば、関節リウマチ、骨関節炎、リウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎)、線維症(例えば、肺、皮膚、および肝臓の)、多発性硬化症、敗血症、敗血性ショック、脳炎、感染性関節炎、ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応、帯状疱疹、毒素性ショック、脳マラリア、ライム病、内毒素性ショック、グラム陰性菌によるショック、出血性ショック、肝炎(組織損傷またはウイルス感染症の両方から生じるもの)、深部静脈血栓症、痛風;呼吸困難と関連する状態(例えば、慢性閉塞性肺疾患、気道の障害および閉塞、気管支収縮、肺血管収縮、呼吸障害、慢性肺炎症性疾患、珪肺症、肺肉腫、嚢胞性線維症、肺高血圧、肺血管収縮、肺気腫、気管支アレルギーおよび/または炎症、喘息、花粉症、鼻炎、春季カタル、および成人呼吸窮迫症候群);皮膚の炎症と関連する状態(乾癬、湿疹、潰瘍、接触性皮膚炎を含む);腸の炎症と関連する状態(クローン病、潰瘍性大腸炎および麻痺、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患を含む);HIV(特に、HIV感染症)、脳マラリア、細菌性髄膜炎、TNF−増強性HIV複製、AZTおよびDDI活性のTNF阻害、骨粗鬆症および他の骨吸収疾患、骨関節炎、関節リウマチ、子宮内膜症由来の不妊症、感染に起因する発熱および筋肉痛、癌に続発する悪液質、感染または悪性腫瘍に続発する悪液質、後天性免疫不全症候群(AIDS)に続発する悪液質、AIDS関連症候群(ARC)、ケロイド形成、瘢痕組織形成、アムホテリシンB処置由来の副作用、インターロイキン−2処置由来の副作用、OKT3処置由来の副作用、またはGM−CSF処置由来の副作用、および過剰な抗炎症性細胞(好中球、好酸球、マクロファージ、およびT細胞を含む)活性により仲介される他の状態により引き起こされるか、あるいはこれらと関連する炎症が予防、処置、または改善され得ると思われる。
【0049】
持続性の軽度の炎症は、肥満(インスリン抵抗性の存在下および不存下、およびII型糖尿病におけるもの)と関連することが知られている(Browning et al (2004) Metabolism 53, 899-903, Inflammatory markers elevated in blood of obese women;Mangge et al (2004) Exp Clin Endocrinol Diabetes 112, 378-382, Juvenile obesity correlates with serum inflammatory marker C-reactive protein;Maachi et al Int J Obes Relat Metab Disord. 2004 28, 993-997, Systemic low grade inflammation in obese people)。この理由のうち可能性のあるものは、脂肪細胞がTNFαおよびインターロイキン1および6を分泌し、そしてそれらは炎症反応促進性であるということである。
【0050】
アデノシンA2Aおよび/またはA3受容体の選択的アゴニストである本発明の化合物が特に好ましい。かかる化合物は強力な抗炎症活性を有すると思われるからである。アデノシンA2Aおよび/またはA3受容体の選択的アゴニストにより、アデノシンA1受容体を活性化させるのに必要とされるものより低い濃度(好ましくは、1000分の1から5分の1)でアデノシンA2Aおよび/またはA3受容体を活性化させるアゴニストが示される。さらに、A1受容体は炎症反応促進活性を有し、かかる効果は、A2Aおよび/またはA3受容体に対して選択的である化合物について最小化されると予測される。
【0051】
アデノシンA2Aおよび/またはA3受容体のアゴニズムにより予防または改善され得る任意の病的状態は、式(I)〜(VII)の化合物により予防、処置、または改善され得ると解されるだろう。
【0052】
本発明により、アデノシンA2Aおよび/またはA3受容体のアゴニズムにより改善または予防され得る病的状態を予防、処置、または改善するための医薬の製造における式(I)〜(VII)の化合物の使用が提供される。
【0053】
本発明により、アデノシンA2Aおよび/またはA3受容体のアゴニズムにより改善または予防され得る病的状態を予防、処置、または改善する方法がまた提供され、該方法は、式(I)〜(VII)の化合物をかかる予防、処置、または改善の必要な対象に投与することを含む。
【0054】
当業者は、式(I)〜(III)の化合物により予防、処置、または改善される病的状態が、アデノシンA2Aおよび/またはA3受容体を介して作用するかどうかを容易に試験することができる。例えば、これは、アデノシンA2Aおよび/またはA3受容体の選択的アンタゴニストの存在下および不存下で病的状態の動物モデルにおける化合物の効果を比較することにより、行われ得る。アンタゴニストの存在下での化合物の効果が、アンタゴニストの不存下での化合物の効果と比較して、低減されるか、あるいは存在しないと、化合物はその効果をアデノシンA2Aおよび/またはA3受容体を介して発揮すると結論づけられる。アデノシンA2AおよびA3受容体のアンタゴニストは、当業者に知られている(例えば、Ongini et al., Farmaco. 2001 Jan-Feb;56(1-2):87-90; Muller, Curr Top Med Chem. 2003;3(4):445-62参照)。
【0055】
別法として、アデノシンA2A受容体ノックアウトマウスが用いられてもよい(Ohta A and Sitkovsky M, Nature 2001;414:916-20)。例えば、病的状態の症状を示すマウスに対する化合物の効果が、対応する症状を示すアデノシンA2Aノックアウトマウスに対するその効果と比較される。化合物が、アデノシンA2A受容体を有するマウスにおいてのみ有効であるなら、化合物はその効果をアデノシンA2A受容体を介して発揮すると結論づけられる。
【0056】
本発明の化合物(すなわち、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、または(VII)の化合物)は、他のアデノシン受容体アゴニストより低用量でずっと有効であると思われる。従って、本発明の化合物は、副作用の確率および重篤度を低減させる用量、または副作用が観察されない用量で、有効に投与され得ると予測される。かかる化合物は、重篤な副作用が観察されるのと同じ濃度で抗炎症効果のみを有する大部分の他のアデノシン受容体アゴニストを超える有意な利点をもたらす。
【0057】
本発明の化合物は、代わりに、あるいはさらに、他のアデノシン受容体アゴニストと比較して、副作用の可能性および重篤度が低減され得る。
【0058】
また、本発明の化合物(すなわち、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、または(VII)の化合物)は、特に、関節リウマチ、あるいは骨関節炎のような他の関節症の予防、処置、または改善において使用するための疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)として有効であり得ると解される。
【0059】
関節リウマチ(RA)を処置するために用いられる薬物療法は、2つの群:RA症状の軽減を助けるもの;および疾患の修飾を助けるものに分けることができる。RA症状の軽減を助ける薬物は、疼痛を軽減し、冒された関節の炎症を低減する非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、疼痛を軽減するが、関節損傷を遅延させないか、あるいは炎症を低減しない鎮痛剤(例えば、アセトアミノフェンおよび麻薬性鎮痛剤)、および抗炎症薬であるコルチコステロイドを含む。
【0060】
DMARDは、RA症状(例えば、関節の腫れ、および圧痛)の改善を助け、またRAにより引き起こされる関節の損傷の進行を遅延させる。従って、RAは治癒しないが、DMARDはRAの進行の遅延を助ける。過去においては、NSAID療法が失敗した後、通常、DMARDを用いてRAが処置された。しかしながら、現在、DMARDはRAの経過の早期に用いられ始めている。なぜなら、研究により、DMARDでの早期診療が重要な利益をもたらすことが示唆されたからである。DMARDおよびNSAIDは、しばしば互いに組み合わされて用いられる。
【0061】
臨床研究の結果は、既知のDMARDがRAの進行を遅延させることを示した。処置の6ヶ月後、患者の関節において、骨および軟骨の損傷の割合が既に遅延し始めていた。1年後、患者は非常にわずかな関節の損傷の進行を示し、2年後、X線により、研究の少数の患者が処置の2年目に関節を新たに損傷したことが示された。
【0062】
既知のDMARDの例は、スルファサラジン、ペニシラミン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、金(筋肉内注射またはオーラノフィンとしての経口により)、メトトレキサート、サイクロスポリン、アザチオプリン、シクロホスファミド、レフルノミドを含む。最近になって、腫瘍壊死因子α(TNFα)を阻害する生物学的DMARDが開発された。1つの例はHumira[登録商標]であり、それは、1種以上のDMARDに対して不十分な応答を有する中程度から重篤な活動性RAを有する成人における徴候および症状の低減、並びに構造損傷の進行の阻害を示す。Humira[登録商標]は抗TNFα抗体である。
【0063】
既知のDMARDの多くが、重篤な副作用を引き起こす。結果として、最小の副作用を伴って投与され得る新規DMARDの提供が望まれる。
【0064】
以下の実施例13により、U937ヒトマクロファージ細胞においてホルボールエステル誘発性TNFα放出を低減させるスポンゴシンの能力が示される。これを根拠に、スポンゴシンおよび関連する式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、または(VII)の化合物はまた、DMARD活性を有すると思われる。
【0065】
本発明により、関節症の進行を遅延させるための医薬の製造における式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、または(VII)の化合物の使用が提供される。
【0066】
本発明により、関節症の進行を遅延させる方法がまた提供され、該方法は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、または(VII)の化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む。
【0067】
好ましくは、RAの進行、特に、RAにより引き起こされる関節の損傷の進行が遅延される。
【0068】
本発明の化合物は、RAの経過のどのステージで対象に投与されてもよい。本発明の化合物は、1種以上のNSAIDまたは他のDMARDと組合されて投与されてもよい。
【0069】
本発明の化合物は、たとえ、アデノシン受容体を活性化させることが知られているものより十分低い血漿濃度を生じると予測される用量で投与される場合でさえ、DMARDとして有効であると思われる。これらの用量で、化合物は、より高用量のスポンゴシン、または他のアデノシン受容体アゴニストの投与に付随する重大な副作用を引き起こさないと思われる。
【0070】
本発明の化合物のDMARDとしての使用の具体的な利点は、注射されなければならない抗TNFα抗体とは対照的に、それらが経口で活性を有すると思われることである。
【0071】
また、式(I)〜(VII)の化合物は、1型または2型糖尿病の大血管および微小血管合併症(網膜症、ネフロパシー、自律神経障害を含む)、または虚血またはアテローム性動脈硬化症(糖尿病性またはそれ以外のいずれか)により引き起こされる血管損傷(糖尿病性またはそれ以外のいずれか)の予防、処置、または改善において有効であり得ると解される。
【0072】
本発明により、1型または2型糖尿病の大血管または微小血管合併症、網膜症、ネフロパシー、自律神経障害、または虚血またはアテローム性動脈硬化症により引き起こされる血管損傷を予防、処置、または改善するための医薬の製造における式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、または(VII)の化合物の使用が提供される。
【0073】
本発明により、予防、処置、または改善の必要な対象における1型または2型糖尿病の大血管または微小血管合併症、網膜症、ネフロパシー、自律神経障害、または虚血またはアテローム性動脈硬化症により引き起こされる血管損傷を予防、処置、または改善する方法がまた提供され、該方法は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、または(VII)の化合物を該対象に投与することを含む。
【0074】
好ましい式(VII)の化合物は、2−メトキシアデノシン(すなわち、スポンゴシン)、2−エトキシアデノシン、および2−ブチルオキシアデノシンである。
【0075】
式(I)〜(VII)の化合物は、たとえ、アデノシン受容体を活性化することが知られているものより十分低い血漿濃度を生じることが予測される用量で投与されるときでも、網膜症、ネフロパシー、自律神経障害を含む1型および2型糖尿病の大血管または微小血管合併症、または虚血またはアテローム性動脈硬化症により引き起こされる血管損傷(糖尿病性またはそれ以外のいずれか)の予防、処置、または改善において有効であると思われる。これらの用量で、該化合物は、より高用量のスポンゴシン、または他のアデノシン受容体アゴニストの投与に付随する重大な副作用を引き起こさないと思われる。
【0076】
式(I)〜(VII)の化合物はまた、創傷治癒の促進において有効であると思われる。本発明により、創傷治癒を促進させるための医薬の製造における式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、または(VII)の化合物の使用が提供される。本発明により、対象における創傷治癒を促進させる方法がまた提供され、該方法は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、または(VII)の化合物を該対象に投与することを含む。
【0077】
対象に投与される式(I)〜(VII)の化合物の量は、好ましくは、アデノシン受容体における化合物のEC50値(好ましくは、pH7.4におけるもの)未満のピーク血漿濃度を生じる量である。
【0078】
化合物のEC50値は、おそらく、異なるアデノシン受容体(すなわち、A1、A2A、A2B、A3アデノシン受容体)に対して相違すると解されるだろう。投与されるべき化合物の量は、異なる受容体における化合物の最小EC50値と比較して、計算されるだろう。
【0079】
従って、好ましくは、対象に投与される本発明の化合物の量は、アデノシン受容体における化合物の最小EC50値未満のピーク血症濃度を生じる量であろう。
【0080】
好ましくは、化合物のピーク血漿濃度は、最小EC50値の10000分の1から2分の1(または10000分の1から5分の1、または10000分の1から20分の1、または10000分の1から100分の1、または10000分の1から1000分の1、または1000分の1から2分の1、または1000分の1から5分の1、または1000分の1から20分の1、または50分の1から10分の1、または100分の1から2分の1、または100分の1から5分の1、または50分の1から3分の1、または50分の1から2分の1、または50分の1から5分の1、または10分の1から2分の1、または10分の1から5分の1)である。
【0081】
好ましくは、投与される本発明の化合物の量は、アデノシン受容体での該化合物の最小EC50値の10000分の1から2分の1(または10000分の1から5分の1、または10000分の1から20分の1、または10000分の1から100分の1、または10000分の1から1000分の1、または1000分の1から2分の1、1000分の1から5分の1、または1000分の1から20分の1、または50分の1から10分の1、または100分の1から2分の1、または100分の1から5分の1、または50分の1から2分の1、または50分の1から5分の1、または10分の1から2分の1、または10分の1から5分の1)で1時間より長い間維持される血漿濃度を生じる。
【0082】
好ましくは、投与される量は、pH7.4でのアデノシン受容体における該化合物のEC50値の1000分の1から2分の1、または1000分の1から5分の1、または1000分の1から20分の1、または100分の1から2分の1、または100分の1から5分の1、または50分の1から2分の1、または50分の1から5分の1の間で1時間より長い間維持される血漿濃度を生じる。
【0083】
疑念を回避するため、本明細書において化合物のEC50値は、ベースラインの受容体応答と最大受容体応答の中間の受容体応答(例えば、用量−応答曲線を用いて決定)を誘発する化合物の濃度として定義される。
【0084】
EC50値は、標準的条件下(pH7.4に緩衝化された平衡塩類溶液)で決定されるべきである。単離された膜、細胞、および組織を用いたEC50の決定のため、これは、例えば、Daly等(Pharmacol. (1993) 46, 91-100)、または好ましくは、Tilburg等(J. Med. Chem. (2002) 45, 91-100)で見られるもののようなpH7.4の平衡塩類溶液(例えば、細胞培地)におけるものであろう。EC50はまた、正常な健常動物、または正常条件(すなわち、酸素を豊富に含む血液、または酸素を豊富に含む等張培地(もちろんpH7.4に緩衝化))下で灌流された組織におけるアデノシン受容体仲介性応答を測定することで、インビボにて決定され得る。
【0085】
あるいは、投与される本発明の化合物の量は、アデノシン受容体での該化合物の最小Kd値または最高Kd値未満(すなわち、A1、A2A、A2B、およびA3アデノシン受容体での該化合物の最小Kd値または最高Kd値未満)のピーク血漿濃度を生じる量であってもよい。好ましくは、化合物のピーク血漿濃度は、最低Kd値または最高Kd値の10000分の1から2分の1(または10000分の1から5分の1、または10000分の1から20分の1、または10000分の1から100分の1、または10000分の1から1000分の1、または1000分の1から2分の1、または1000分の1から3分の1、または1000分の1から5分の1、1000分の1から20分の1、または50分の1から10分の1、100分の1から2分の1、または100分の1から5分の1、または50分の1から2分の1、または50分の1から5分の1、または10分の1から2分の1、または10分の1から5分の1)である。
【0086】
好ましくは、投与される化合物の量は、アデノシン受容体における該化合物のKd値の1000分の1から2分の1、または1000分の1から5分の1、より好ましくは、1000分の1から20分の1、または100分の1から2分の1、または100分の1から5分の1、または50分の1から2分の1、または50分の1から5分の1の間で少なくとも1時間維持される血漿濃度を生じる量である。
【0087】
好ましくは、投与される化合物の量は、アデノシン受容体における該化合物の最小Kd値または最高Kd値の10000分の1から2分の1(または10000分の1から5分の1、または10000分の1から20分の1、または10000分の1から100分の1、または10000分の1から1000分の1、または1000分の1から2分の1、または1000分の1から5分の1、または1000分の1から20分の1、または50分の1から10分の1、または100分の1から2分の1、または100分の1から5分の1、または50分の1から2分の1、または50分の1から5分の1、または50分の1から3分の1、または10分の1から2分の1、または10分の1から5分の1)で1時間より長い間維持される血漿濃度となる量である。
【0088】
それぞれの受容体における化合物のKd値は、これらの受容体を内在性に発現する組織または細胞、またはアデノシン受容体遺伝子をコードするDNAベクターでトランスフェクトされた細胞のいずれかに由来する細胞膜をアデノシン受容体の供給源として用いて、標準的条件下で決定されるだろう。別法として、アデノシン受容体を発現している細胞を用いた細胞全体の調製物が用いられ得る。異なる受容体に選択性の標識リガンド(例えば、放射標識)が、平衡(pH7.4)塩類溶液(例えば、Tilburg et al, J. Med. Chem. (2002) 45, 420-429参照)中で用いられ、それぞれの受容体における該化合物の結合親和性、ゆえにKdが決定されるだろう。
【0089】
あるいは、投与される本発明の化合物の量は、化合物が投与される対象と同じ種の動物において、徐脈、低血圧、または頻脈副作用を生じる化合物の最小量(または用量)の10000分の1から2分の1(または10000分の1から5分の1、または10000分の1から20分の1、または10000分の1から100分の1、または10000分の1から1000分の1、または1000分の1から2分の1、または1000分の1から5分の1、または1000分の1から20分の1、または50分の1から10分の1、または100分の1から2分の1、または100分の1から5分の1、または50分の1から2分の1、または50分の1から3分の1、または50分の1から5分の1、または10分の1から2分の1、または10分の1から5分の1)の量であってもよい。好ましくは、投与される量は、副作用を生じる化合物の最小量の10000分の1から2分の1(または10000分の1から5分の1、または10000分の1から20分の1、または10000分の1から100分の1、または10000分の1から1000分の1、または1000分の1から2分の1、または1000分の1から5分の1、または1000分の1から20分の1、または50分の1から10分の1、または100分の1から2分の1、または100分の1から5分の1、または50分の1から2分の1、または50分の1から5分の1、または10分の1から2分の1、または10分の1から5分の1)で1時間より長い間維持される血漿濃度を生じる。
【0090】
好ましくは、投与される量は、副作用を生じる最小用量の1000分の1から2分の1、または1000分の1から20分の1、または100分の1または50分の1から2分の1、または100分の1または50分の1から5分の1の間で1時間より長い間維持される血漿濃度を生じる。
【0091】
あるいは、投与される本発明の化合物の量は、化合物が投与される対象と同じ種の動物において、徐脈、低血圧、または頻脈副作用を生じる化合物の最小血漿濃度の10000分の1から2分の1(または10000分の1から5分の1、または10000分の1から20分の1、または10000分の1から100分の1、または10000分の1から1000分の1、または1000分の1から2分の1、または1000分の1から5分の1、または1000分の1から20分の1、または50分の1から10分の1、または100分の1から2分の1、または100分の1から5分の1、または50分の1から2分の1、または50分の1から3分の1、または50分の1から5分の1、または10分の1から2分の1、または10分の1から5分の1)の血漿濃度を生じる量であってもよい。好ましくは、投与される量は、副作用を引き起こす化合物の最小血漿濃度の10000分の1から2分の1(または10000分の1から5分の1、または10000分の1から20分の1、または10000分の1から100分の1、または10000分の1から1000分の1、または1000分の1から2分の1、または1000分の1から5分の1、または1000分の1から20分の1、または50分の1から10分の1、または100分の1から2分の1、または100分の1から5分の1、または50分の1から2分の1、または50分の1から5分の1、または10分の1から2分の1、または10分の1から5分の1)で1時間より長い間維持される血漿濃度を生じる。
【0092】
好ましくは、投与される量は、副作用を引き起こす最小血漿濃度の1000分の1から2分の1、または1000分の1から20分の1、または100分の1または50分の1から2分の1、または100分の1または50分の1から5分の1の間で1時間より長い時間維持される血漿濃度を生じる。
【0093】
本発明の化合物の適当な投与量は、年齢、性別、体重、および処置される対象の条件、化合物の効能(例えば、アデノシン受容体に対するそのEC50値)、半減期、身体による吸収、および投与経路などで変わるだろう。しかしながら、適当な投与量は、当業者により容易に決定され得る。
【0094】
適当な投薬量を決定するのに適した方法は、アデノシン受容体についての化合物のEC50値(好ましくは、最も高い親和性を有する受容体についてのもの)にて、またはその辺りで心血管系の変化を(例えば、心電図および血圧のモニタリングにより)評価し、最大耐容用量が決定されるものである。次に、治療上有効な用量が予測され、これは最大耐容用量の10000分の1から2分の1(または10000分の1から5分の1、または10000分の1から20分の1、または10000分の1から100分の1、または10000分の1から1000分の1、または1000分の1から2分の1、または1000分の1から5分の1、または1000分の1から20分の1、または50分の1から10分の1、または100分の1から2分の1、または100分の1から5分の1、または50分の1から2分の1、または50分の1から3分の1、または50分の1から5分の1、または10分の1から2分の1、または10分の1から5分の1)である。
【0095】
以下の実施例31により、スポンゴシンの用量はヒトにおいて28mg未満であろうことが示される。この用量は、0.5から0.9μMの間の血漿濃度を生じる(これは、pH7.4でのアデノシンA2A受容体におけるKdに近い(以下参照))。この結果から、スポンゴシンの投与量の好ましい範囲は、0.03から0.3mg/kgとなる。
【0096】
関節炎のラット補助モデルにおいて最大の鎮痛緩和を生じるスポンゴシンの最小血漿濃度は、0.06μMであり、これは、約1μMであるアデノシン受容体におけるスポンゴシンのEC50値よりかなり低い。ヒトにおける好ましい投与濃度は0.005から0.5μMの間の最大血漿濃度を生じ、これは、この受容体における作用による鎮痛効果または抗炎症効果を生じることが予測されるものより有意に低い。
【0097】
あるいは、本発明の化合物の適当な治療濃度は、pH5.5でのアデノシン受容体(化合物が最も高い親和性を有する受容体)についてのKiの約10〜20倍であると予測される。従って、スポンゴシンについて、15から30nMが必要とされるが、pH7.4でのKiを用いて必要であると予測される濃度は20から30μMである。
【0098】
投与される本発明の化合物の量は0.001〜15mg/kgであると予測される。量は6mg/kg未満であってもよい。量は、少なくとも0.001、0.01、0.1、または0.2mg/kgであってもよい。量は0.1、または0.01mg/kg未満であってもよい。好ましい範囲は、0.001〜10、0.001〜5、0.001〜2、0.001〜1、0.001〜0.1、0.001〜0.01、0.01〜15、0.01〜10、0.01〜5、0.01〜2、0.01〜1、0.1〜10、0.1〜5、0.1〜2、0.1〜1、0.1〜0.5、0.1〜0.4、0.2〜15、0.2〜10、0.2〜5、0.2〜2、0.2〜1.2、0.2〜1、0.6〜1.2mg/kgである。
【0099】
ヒト対象(例えば、70kgの対象)にとって好ましい用量は、420mg未満、好ましくは、28mg未満、より好ましくは、21mg未満、そして好ましくは、少なくとも0.07、0.1、0.7、または0.8mgであり、より好ましくは、少なくとも3.5または7mgである。より好ましくは、7〜70mg、14〜70mg、または3.5〜21mgである。
【0100】
上で特定された投与量は、アデノシンA2A受容体における化合物のEC50値に基づき、鎮痛効果または抗炎症効果のため必要であると予測されるものより有意に低い(約1000倍まで低い)と予測される。
【0101】
上で特定された好ましい投与量は、化合物が最も高い親和性を有するアデノシン受容体におけるそのEC50値の約100分の1から2分の1の血漿濃度を生じることに狙いを定めたものである。
【0102】
本発明の化合物は、他の治療剤、例えば、鎮痛剤または抗炎症剤(例えば、アヘン剤、ステロイド、NSAID、カンナビノイド、タキキニンモジュレーター、またはブラジキニンモジュレーター)、または抗痛覚過敏剤(例えば、ガバペンチン、プレガバリン、カンナビノイド、ナトリウムまたはカルシウムチャンネルモジュレーター、抗てんかん剤、または抗うつ剤)、またはDMARDと共に、またはなしで投与されてもよい。
【0103】
一般に、本発明の化合物は、既知の方法により、任意の適当な剤形で、任意の適当な経路で投与され得る。本発明の化合物は、好ましくは、経口、非経腸、舌下、経皮、髄腔内、または経粘膜投与される。他の適当な経路は、静脈内、筋肉内、皮下、吸入、および局所のものを含む。投与される薬物の量は、典型的には、例えば、静脈内投与されるときより、経口投与されるときに多いであろう。
【0104】
本発明の化合物は、生理的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤と一緒に投与されてもよいと解される。
【0105】
長期間、治療上有効な血漿濃度を維持するために、本発明の化合物は徐放性剤形に取り込まれてもよい。
【0106】
例えば、経口投与に適した組成物は、錠剤、カプセル剤、バイアル、およびアンプル剤のような固形単位用量剤形および例えば注射用の液体を含有するものを含み、ここで、活性物質は、既知の方法で生理的に許容される賦形剤、希釈剤、または担体と共に製剤される。適当な希釈剤および担体が知られており、それらは、例えば、適当な結合剤などと一体となったラクトースおよびタルクを含む。
【0107】
本発明の化合物(すなわち、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、または(VII)の化合物)の単位用量は、典型的には、活性物質を500mgまで(例えば、1から500mg、または(好ましくは)5から500mg)含む。好ましくは、活性物質は、活性物質および生理的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を含む医薬組成物の形態である。好ましい用量範囲(すなわち、単位用量における有効成分の好ましい量)は、(ヒト)対象1kg当たり活性物質0.001〜10、0.001〜5、0.001〜2、0.001〜1、0.001〜0.1、0.001〜0.01、0.01〜15、0.01〜10、0.01〜5、0.01〜2、0.01〜1、0.1〜10、0.1〜5、0.1〜2、0.1〜1、0.1〜0.5、0.1〜0.4、0.2〜15、0.2〜10、0.2〜5、0.2〜2、0.2〜1.2、0.2〜1、0.5〜1、0.6〜1.2、典型的には、約0.2または0.6mgである。活性物質の好ましい量は、420mg未満、好ましくは、28mg未満、より好ましくは、21mg未満、そして好ましくは、少なくとも0.07、0.1、0.7、または0.8mg、より好ましくは、少なくとも3.5または7mgである。より好ましくは、7から70mg、または14から70mg、3.5から21mg、0.07〜0.7mg、または0.7〜7mgである。これらの濃度で、効果的な処置が、血圧の同時降下なし(例えば、10%以下)、および/または代償的心拍数の増加なしで実質的に達成され得ると思われる。
【0108】
本発明の化合物の単位用量は、さらに、1種以上の他の治療剤、例えば、鎮痛剤、抗炎症剤、抗痛覚過敏剤、またはDMARDを含んでいてもよい。
【0109】
好ましくは、本発明の化合物は、1日当たり2または3回の頻度で投与される。
【0110】
本発明の化合物はまた、より有効な剤、またはさらに低減した副作用を有する剤の同定のベースとなり得る。
【0111】
医薬的に許容される塩の例は、生理的に許容されるアニオンを形成する酸で形成される有機酸付加塩、例えば、トシレート、メタンスルホン酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、およびα−グリセロリン酸塩である。適当な無機塩が形成されてもよく、それは、塩酸塩、スルホン酸塩、硝酸塩、重炭酸塩、およびカルボン酸塩を含む。
【0112】
医薬的に許容される塩は、当該技術分野でよく知られた標準的方法を用いて、例えば、アミンのような十分に塩基性の化合物を生理的に許容されるアニオンを生じる適当な酸と反応させることにより得られ得る。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、またはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩もまた、生成され得る。
【0113】
本発明をふまえて、虚血性疼痛を予防、処置、または改善するための医薬の製造における式(VII)の化合物の使用、または式(I)の化合物の投与による虚血性疼痛の予防、処置、または改善方法は、虚血発作、例えば、心筋梗塞または脳卒中後の再灌流の結果として器官に引き起こされる損傷から生じる疼痛の予防、処置、または改善を含み得る。
【0114】
本発明をふまえて、虚血性疼痛を予防、処置、または改善するための医薬の製造における式(VII)の化合物の使用は、2−プロポキシアデノシン、2−イソプロポキシアデノシン、3’デオキシ2メトキシアデノシン、または3’デオキシ2エトキシアデノシンの使用を含み得る。
【0115】
本発明をふまえて、式(VII)の化合物の投与による虚血性疼痛の予防、処置、または改善方法は、2−プロポキシアデノシン、2−イソプロポキシアデノシン、3’デオキシ2メトキシアデノシン、または3’デオキシ2エトキシアデノシンの使用を含み得る。
【0116】
式(I)の化合物は、2−フェニルアミノアデノシン(化合物番号26)、2−エチルアミノアデノシン(化合物番号20)、2−シクロヘキシルアミノアデノシン(化合物番号30)、2−(4−メトキシフェニルアミノ)アデノシン(化合物番号27)、2−フェノキシアデノシン(化合物番号6)、または2−(β−ヒドロキシエトキシ)−アデノシン(化合物番号34)を含み得る。
【0117】
本発明の実施態様は、添付の図面を参照して、以下の実施例で記載される。
【0118】
好ましい本発明の化合物の構造を以下の実施例で示す。それぞれの化合物について、pH5.5およびpH7.4におけるKi値を示す。これを算出するために、ラットの線条体膜を、22℃、2nM [3H]−CGS21680、1Unit/ml アデノシンデアミナーゼ、および漸増濃度の試験化合物存在下で90分間インキュベーションし、濾過し、次に、液体シンチレーションカウントを行った。
【実施例】
【0119】
実施例1
【化10】

XがOHのとき
【表1】

【表2】

【0120】
XがHのとき
【表3】

【0121】
実施例2
【化11】

【表4】

【0122】
実施例3
【化12】

【表5】

【0123】
実施例4
【化13】

【表6】

【0124】
実施例5
【化14】

【表7】

【0125】
実施例6
【化15】

【表8】

【0126】
実施例7
図1:スポンゴシン(0.624mg/kg 経口)は、血圧または心拍数に対して有意な効果を有さない。移植可能な放射線遠隔測定装置を1群当たり6匹のラットの腹腔に挿入した。装置の圧力カテーテルを腹大動脈に挿入し、2本の電極を取り付けた(tunnelised)。個々のラットを、データの取得用の放射線受容器(DSI)上のそれぞれのケージに入れた。A:血圧;B:心拍数
【0127】
実施例8
アデノシン受容体におけるスポンゴシンのEC50値(pH7.4にて測定)は900ng/ml(3μM)である。図2は、ラットにスポンゴシンを0.6mg/kgで投与した後の経時血漿濃度変化を示す。血漿濃度は、3時間より長い間、EC50値の2%より上のままであることが示された。ピーク血漿濃度がインビトロで決定したEC50値の1%から30%の間のとき、抗痛覚過敏効果を観察した(血圧変化なし)。ピーク血漿濃度がEC50値に達すると、深刻な血圧降下が生じ、それは数時間続く。
【0128】
実施例9
図3:A.スポンゴシン(0.624mg/kg 経口)は、インドメタシン(3mg/kg 経口)に匹敵する効果でカラギナン(CGN)誘発性温熱性痛覚過敏(CITH)を阻害した。B.投与の3時間後のスポンゴシンの濃度応答関連性。カラギナン(2%、10μl)を右後足に投与した。熱源を処置および無処置の後足の近くに置き、後足を引っ込めるまでの時間の差を示す。スポンゴシンをカラギナンと同時に投与した。
【0129】
実施例10
図4:スポンゴシン(0.624mg/kg 経口)は、ラットの坐骨神経の長期締めつけにより引き起こされる温熱性痛覚過敏を阻害する。麻酔下で、右足の坐骨神経を露出させ、4本の柔らかな結紮糸を神経束の周りに結んだ。約2週間後、ラットは、手術した足に温熱性痛覚過敏を発症した。これは、右足と左足の足を引っ込めるまでの時間の差により判断した。スポンゴシンの投与により痛覚過敏が低減された。これは、足を引っ込めるまでの時間の差の低減により示された。スポンゴシンは、カルバマゼピン(CBZ、100mg/kg 皮下)と同等、またはそれより有効であった。
【0130】
実施例11
図5:スポンゴシン(1.2mg/kg 経口)は、ラットの坐骨神経の長期締めつけにより引き起こされる静的異痛を、ナロキソン(1mg/kg 皮下)の存在下および不存下の両方で阻害する。麻酔下で、右足の坐骨神経を露出させ、4本の柔らかな結紮糸を神経束の周りに結んだ。約2週間後、ラットは、手術した足に静的異痛を発症した。これは、右足と左足の足を引っ込めるまでの閾値の差により判断した。スポンゴシンの投与により痛覚過敏が低減された。これは、ナロキソンの存在下および不存下での足を引っ込めるまでの閾値(PWT)の増大により示された。Veh:ビークル
【0131】
実施例12
図6:スポンゴシンおよびガバペンチンは、ラットの坐骨神経の長期締めつけにより引き起こされる静的異痛を阻害する。スポンゴシンおよびガバペンチンを、図に示す通り異なる割合で(経口)投与した。総投薬量を横軸に、足を引っ込めるまでの閾値(PWT)を縦軸に示す。2つの化合物の効果が相加的であると、予測抗痛覚過敏効果(各剤単独で得られた用量反応曲線からもたらされたもの)を示す(黒丸)。観察された効果を(黒四角)で示す。観察された効果は、相加性により予測されるものと有意差はないことは明らかである。
【0132】
実施例13
ヒトのマクロファージ細胞株U937細胞を、500,000細胞/mlに懸濁して成長させ、48ウェルプレートに播種し、20ng/ml PMAで処理し、次に、8時間インキュベーションした。細胞をウェルの底に接着させ、洗浄し、36時間回復させて、使用した。プレートを複数の濃度のスポンゴシンと共にインキュベーションし、10分後、100ng/ml LPSを添加し、TNF産生を刺激した。3時間後、蛍光標識ELISAキットを用いて、TNFαについて細胞上清をアッセイした。結果(スポンゴシン濃度に対するTNFα放出の阻害)を示すグラフを図7に示す。結果は、スポンゴシンがLPS誘発性TNF放出を阻害すること、およびこの阻害がアデノシン受容体阻害剤に感受性があることを示している。
【0133】
実施例14
化合物2および32の製造
【化16】

ピリジン中のアデノシン(1当量)溶液にベンゾイルクロライド(7当量)を添加し、生じた溶液を80℃で4時間還流した。溶媒を減圧除去し、残渣をEtOAc中に溶解し、NaHCO水溶液、塩水および水で洗浄し、次に、有機相をMgSOで乾燥させた。ジクロロメタン(DCM)/EtOHからの結晶化により、ペンタベンゾイルアデノシンを白色固形物として得た。
【0134】
DCM中のテトラメチルアンモニウムニトレート(TMAN)(1.5当量)溶液にトリフルオロ酢酸無水物(TFAA)(1.5当量)を添加し、生じた溶液を室温で1時間攪拌した。混合物を0℃まで冷却させ、DCM中のペンタベンゾイルアデノシン(1当量)溶液を添加した。生じた溶液を4時間かけて室温まで温めた。次に、溶液をNaHCO水溶液、塩水および水(×3)で洗浄し、次に、有機相をMgSOで乾燥させた。DCM/EtOHからの結晶化により、ペンタベンゾイル−2−ニトロ−アデノシンを淡黄色固形物として得た。
【0135】
THF中のアルコールROH(Rは、CHCHF(2)またはCHシクロペンチル(32)である)(1.5当量)溶液にNaH(1.5当量)を添加し、生じた懸濁液を1時間攪拌した。生じた溶液をTHF中のペンタベンゾイル−2−ニトロ−アデノシン(1当量)溶液に添加し、16時間攪拌した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣をMeOH中に溶解した。次に、NaOMe(4当量)を添加し、生じた懸濁液を4時間攪拌し、クエン酸水溶液でクエンチした。溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、2−アルコキシ誘導体を得た。
【0136】
実施例15
化合物3および35の製造
【化17】

MeCN中のイノシン(1当量)およびDMAP(0.1当量)の懸濁液にEtN(3.8当量)および無水酢酸(3.5当量)を添加し、生じた混合物を1時間攪拌した。次に、MeOHを添加し、15分間攪拌した。次に、溶媒を減圧除去し、生成物をイソプロパノールから粉砕した。生じた固形物を濾取し、イソプロパノールで洗浄して、トリアセトキシイノシンを得た。
【0137】
CHCl中のトリアセトキシイノシン(1当量)溶液にDMF(3当量)および塩化チオニル(3当量)を添加し、生じた溶液を16時間還流した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣をDCM中に溶解し、NaHCO水溶液および塩水で洗浄し、有機相をMgSOで乾燥させ、トリアセトキシ−6−クロロ−アデノシンを得た。
【0138】
DCM中のテトラメチルアンモニウムニトレート(TMAN)(1.5当量)溶液にトリフルオロ酢酸無水物(TFAA)(1.5当量)を添加し、生じた溶液を室温で1時間攪拌した。混合物を0℃まで冷却し、DCM中のトリアセトキシ−6−クロロ−アデノシン(1当量)溶液を添加した。生じた溶液を室温まで2.5時間かけて温めた。次に、溶液をNaHCO水溶液、塩水および水(×3)で洗浄し、有機相をMgSOで乾燥させた。DCM/EtOHからの結晶化により、トリアセトキシ−6−クロロ−2−ニトロ−アデノシンを淡黄色固形物(水およびEtOHで洗浄)として得た。
【0139】
THF中のアルコールROH(Rは、CHシクロプロピル(3)または2,2,3,3−テトラフルオロシクロブタン(35)である)(1.5当量)溶液にNaH(1.5当量)を添加し、生じた懸濁液を15分間攪拌した。次に、生じた溶液をTHF中のトリアセトキシ−6−クロロ−2−ニトロ−アデノシン(1当量)溶液に添加し、2〜6時間攪拌した。次に、溶媒を減圧除去し、EtOHおよびNH水溶液を添加し、生じた溶液を密封した試験管内で80℃にて16時間加熱した。次に、混合物を冷却し、溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、2−アルコキシ誘導体を得た。
【0140】
実施例16
化合物7〜18の製造
【化18】

THF中のフェノールArOH(Arは、4−シアノフェニル(7)、または3−フェニル−フェニル(8)、または2,5−ジフルオロフェニル(9)、または2,4−ジフルオロフェニル(10)、または3,4−ジフルオロフェニル(11)、または2,3,5−トリフルオロフェニル(12)、または3−メチル,4−フルオロフェニル(13)、または2−メチルフェニル(14)、または3−ブロモフェニル(15)、または4−メチルフェニル(16)、または5−インダニル(17)、または3−イソプロピルフェニル(18))(1.5当量)溶液にKOBu(1.5当量)を添加し、生じた懸濁液を30分間攪拌した。生じた溶液をTHF中のペンタベンゾイル−2−ニトロ−アデノシン(スキーム1参照)(1当量)溶液に添加し、16時間攪拌した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣をMeOH中に溶解した。次に、NaOMe(4当量)を添加し、生じた懸濁液を4時間攪拌し、クエン酸水溶液でクエンチした。溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、2−アリールオキシ誘導体を得た。
【0141】
実施例17
化合物22〜25、および31の製造
【化19】

純粋なアミンRR’NH(RR’Nは、NH−(R)−sec−ブチル(22)、またはNH−(S)−sec−ブチル(23)、またはNH−n−ヘキシル(24)、またはNH−exo−ノルボルナン(25)、またはN(Me)イソアミル(31)である)中の2−クロロアデノシン溶液を、マイクロ波の下、190℃で30分間加熱するか、あるいは40〜100℃で16時間加熱した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、2−アミノアルキル誘導体を得た。
【0142】
実施例18
化合物33の製造
【化20】

DMSO中の2−クロロ−アデノシン(1当量)溶液にNaSEt(1.3当量)を添加し、生じた溶液を80℃で20時間加熱した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、2−エチルチオ−アデノシンを得た。
【0143】
MeCN/HO(1:1)中の2−エチルチオ−アデノシン溶液にメタ−クロロ−過安息香酸(mCPBA)(3当量)を添加し、16時間攪拌した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィー精製し、化合物33を得た。
【0144】
実施例19
化合物37の製造
【化21】

PhMe/EtOH(2:1)中の2−ヨード−アデノシン(1当量)、ArB(OH)(Arは、3,5−ジメチルフェニル)(1当量)、Pd(PPh(0.1当量)、CsCO(2.2当量)およびEtN(2.2当量)懸濁液を110℃で16時間加熱した。次に、懸濁液を濾過して、濾液を減圧濃縮し、逆相カラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物37を得た。
【0145】
実施例20
化合物40の製造
【化22】

ピリジン中の3’−デオキシ−アデノシン(1当量)溶液にベンゾイルクロライド(6当量)を添加し、生じた溶液を65℃で4時間還流した。溶媒を減圧除去し、残渣をEtOAc中に溶解し、水(×3)および塩水で洗浄し、有機相をMgSOで乾燥させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いた精製により、3’−デオキシ−テトラベンゾイルアデノシンを得た。
【0146】
DCM中のTMAN(1.5当量)溶液にTFAA(1.5当量)を添加し、生じた溶液を室温で1時間攪拌した。混合物を0℃まで冷却させ、DCM中の3’−デオキシ−テトラベンゾイルアデノシン(1当量)溶液を添加した。生じた溶液を室温まで16時間かけて温めた。次に、溶液を水(×3)および塩水で洗浄し、有機相をMgSOで乾燥させて、3’−デオキシ−テトラベンゾイル−2−ニトロ−アデノシンを得た。
【0147】
THF中のn−ヘキサノール(2当量)溶液にNaH(2.1当量)を添加し、生じた懸濁液を30分間攪拌した。生じた溶液をTHF中の3’−デオキシ−テトラベンゾイル−2−ニトロ−アデノシン(1当量)溶液に添加し、1週間攪拌した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。THF中のこの物質の溶液にNH水溶液を添加し、生じた懸濁液を12時間攪拌した。溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物40を得た。
【0148】
実施例21
化合物44、45、および47の製造
【化23】

MeOHまたはDMSO中の6−クロロアデノシン(1当量)溶液に、アミンRR’NH(RR’Nは、N(Me)CH(3−ブロモフェニル)(44)、またはN(Me)CH(3−トリフルオロメチルフェニル)(45)、またはN(Me)CHCHOMe(47)である)(3〜5当量)を添加し、生じた溶液を16時間攪拌した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、6−ジアルキルアミノ誘導体を得た。
【0149】
実施例22
化合物48の製造
【化24】

THF中のシクロペンチルメチルアルコール(1.5当量)溶液にNaH(1.5当量)を添加し、生じた懸濁液を1時間攪拌した。生じた溶液をTHF中のトリアセトキシ−6−クロロ−アデノシン(スキーム2参照)(1当量)溶液に添加し、16時間攪拌した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣をMeOH中に溶解した。次に、NaOMe(4当量)を添加し、生じた懸濁液を4時間攪拌し、クエン酸水溶液でクエンチした。溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、6−アルコキシ誘導体を得た。
【0150】
実施例23
化合物51および52の製造
【化25】

アセトン中の6−クロロ−アデノシン懸濁液に0℃にてHClOを添加し、2時間攪拌した。次に、NH水溶液を添加し、溶液を減圧濃縮した。溶液を−20℃まで冷却させ、生じた2’3’−O−イソプロピリデン−6−クロロ−アデノシンの白色沈殿物を回収し、アセトンで洗浄した。
【0151】
KOH(2.5当量)およびKMnO(2.5当量)を水中の2’3’−O−イソプロピリデン−6−クロロ−アデノシン(1当量)懸濁液に添加し、4時間攪拌した。次に、反応混合物を過酸化水素でクエンチし、濃縮し、−20℃まで冷却した。生じた沈殿物を回収し、水で洗浄して、2’3’−O−イソプロピリデン−6−クロロ−アデノシン−5’−カルボン酸を得た。
【0152】
DMSO中の2’3’−O−イソプロピリデン−6−クロロ−アデノシン−5’−カルボン酸(1当量)溶液にRNH(Rは、Me(51)、またはイソアミル(52)である)(2当量)を添加し、生じた溶液を16時間攪拌した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、対応する2’3’−O−イソプロピリデン−6−アルキルアミノ−アデノシン−5’−カルボン酸を得た。
【0153】
DMF中の2’3’−O−イソプロピリデン−6−アルキルアミノ−アデノシン−5’−カルボン酸(1当量)、Mukiyama試薬(1.2当量)、イソプロピルアミン(1.5当量)およびEtN(2.5当量)溶液を6時間攪拌した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製した。トリフルオロ酢酸(TFA)/水(2:1)で2時間処理し、次に、溶媒を減圧除去し、逆相カラムクロマトグラフィーによる精製により、表題生成物を得た。
【0154】
実施例24
化合物53の製造
【化26】

アセトン中の2−メトキシ−アデノシン懸濁液に0℃でHClOを添加し、2時間攪拌した。次に、NH水溶液を添加し、溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、2’3’−O−イソプロピリデン−2−メトキシ−アデノシンを得た。
【0155】
KOH(2.5当量)およびKMnO(2.5当量)を水中の2’3’−O−イソプロピリデン−2−メトキシ−アデノシン(1当量)懸濁液に添加し、2時間攪拌した。さらに、KOH(0.2当量)およびKMnO(0.2当量)を添加し、4時間攪拌した。次に、反応混合物を過酸化水素でクエンチし、濃縮して、−20℃まで冷却した。生じた沈殿物を回収し、水で洗浄して、2’3’−O−イソプロピリデン−2−メトキシ−アデノシン−5’−カルボン酸を得た。
【0156】
DMF中の2’3’−O−イソプロピリデン−2−メトキシ−アデノシン−5’−カルボン酸(1当量)、Mukiyama試薬(1.2当量)、アニリン(1.5当量)およびEtN(2.5当量)溶液を6時間攪拌した。DMSO/水(1:1)を添加し、生じた白色固形物を濾取した。この固形物をTFA/水(2:1)中に溶解し、5時間攪拌した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物53を得た。
【0157】
実施例25
化合物54の製造
【化27】

アセトン中の2−クロロ−アデノシン懸濁液に0℃でHClOを添加し、2時間攪拌した。次に、NH水溶液を添加し、溶液を減圧濃縮した。溶液を−20℃まで冷却し、生じた2’3’−O−イソプロピリデン−2−クロロ−アデノシンの白色沈殿物を回収し、アセトンで洗浄した。
【0158】
KOH(2.5当量)およびKMnO(2.5当量)を水中の2’3’−O−イソプロピリデン−2−クロロ−アデノシン(1当量)懸濁液に添加し、4時間攪拌した。次に、反応混合物を過酸化水素でクエンチし、濃縮し、−20℃まで冷却した。生じた沈殿物を回収し、水で洗浄し、2’3’−O−イソプロピリデン−2−クロロ−アデノシン−5’−カルボン酸を得た。
【0159】
純粋なn−ヘキシルアミン中の2’3’−O−イソプロピリデン−2−クロロ−アデノシン−5’−カルボン酸(1当量)溶液を密封した試験管内、100℃で24時間加熱した。溶媒を減圧除去し、逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、薄茶色固形物(1当量)を得、これをDMF中に0℃で溶解した。この溶液にn−ブチルアミン(4当量)、DIPEA(2.1当量)およびHBTU(1当量)を添加し、0℃で4時間攪拌した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣をEtOAc中に溶解し、0.2N HCl、NaHCO水溶液、および塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、黄色油状物を得た。
【0160】
この油状物をTFA/水(2:1)中に溶解し、2時間攪拌した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物54を得た。
【0161】
実施例26
化合物55の製造
【化28】

アセトン中のアデノシン懸濁液に0℃でHClOを添加し、2時間攪拌した。次に、NH水溶液を添加し、溶液を減圧濃縮した。溶液を−20℃まで冷却し、生じた2’3’−O−イソプロピリデン−アデノシンの白色沈殿物を回収し、アセトンで洗浄した。
【0162】
THF中の2’3’−O−イソプロピリデン−アデノシン(1当量)およびトリフェニルフォスフィン(1当量)およびフタルイミド(1.03当量)溶液にアルゴン下でアゾジカルボン酸ジエチル(1当量)を添加し、混合物を10時間攪拌した。生じた沈殿物を回収し、ジエチルエーテルで洗浄した。EtOH中のこの固形物(1当量)溶液にヒドラジン(15当量)を添加し、溶液を2時間還流し、次に、室温まで冷却した。生じた沈殿物を濾取し、水中に溶解し、pH4に調節した。沈殿物を濾過し、濾液をpH10に調節し、クロロホルム中に抽出し、MgSOで乾燥させ、2’3’−O−イソプロピリデン−5’−アミノ−アデノシンを得た。
【0163】
DMF中の酪酸(1当量)溶液に0℃でDIPEA(1.2当量)およびTBTU(1当量)を添加し、5分間攪拌した。次に、2’3’−O−イソプロピリデン−5’−アミノ−アデノシン(1当量)をDMF中の溶液として添加し、生じた溶液を3時間攪拌した。次に、粗生成物をDCM中に抽出し、水(×3)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。
【0164】
TFA/水(2:1)で2時間処理し、次に、溶媒を減圧除去し、逆相カラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物55を得た。
【0165】
実施例27
化合物56の製造
【化29】

DCM中の2’,3’−O−イソプロピリデン−5’−アミノ−アデノシン(スキーム13参照)(1当量)溶液にエチルイソシアネート(1.2当量)を添加し、16時間攪拌した。次に、ポリアミン樹脂を添加し、濾過し、濾液を減圧濃縮し、逆相カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0166】
生じた固形物をTFA/水(2:1)中に溶解し、3時間攪拌した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物56を得た。
【0167】
実施例28
化合物57の製造
【化30】

THF中のトリアセトキシ−6−クロロ−2−ニトロ−アデノシン(スキーム2参照)(1当量)溶液にジメチルアミン(2当量)を添加し、4時間攪拌した。次に、シクロヘキシルアミン(1当量)を添加し、生じた溶液を85℃で2日間加熱した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣をMeOH中に溶解した。次に、NaOMe(1当量)を添加し、生じた懸濁液を16時間攪拌した。溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物57を得た。
【0168】
実施例29
化合物58の製造
【化31】

DMF中のトリアセトキシ−6−クロロ−2−ニトロ−アデノシン(スキーム2参照)(1当量)溶液にベンジルアミン(1当量)およびEtN(1.5当量)を添加し、10分間攪拌した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、MeOH中に溶解した。次に、NaOMe(2当量)を添加し、生じた溶液を4時間攪拌した。溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物58を得た。
【0169】
実施例30
化合物59〜61の製造
【化32】

1M NaOAc水溶液(pH4に緩衝化)中の2−クロロアデノシン(1当量)溶液に臭素(1.2当量)を添加し、生じた溶液を室温で16時間攪拌した。次に、反応混合物をNaHSO水溶液でクエンチし、pH7に調節し、4℃まで冷却した。生じた2−クロロ−8−ブロモ−アデノシンの沈殿物を回収し、水で洗浄し、乾燥させた。
【0170】
HMDSおよびジオキサン中の2−クロロ−8−ブロモ−アデノシン(1当量)溶液を110℃で8時間還流した。次に、溶媒を減圧除去し、トルエンを添加し、溶媒を再び減圧除去した。残渣をN−メチルピロリジノン(NMP)およびPd(PPh(0.04当量)中に溶解し、SnMe(2当量)を添加し、生じた懸濁液を110℃で16時間加熱した。次に、溶液を冷却し、溶媒を減圧除去した。残渣をEtOAc中に溶解し、水で洗浄し、有機相をMgSOで乾燥させた。MeOH中の生じた油状物溶液にKCOを添加し、生じた懸濁液を4時間攪拌した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、2−クロロ−8−メチルアデノシンを得た。
【0171】
純粋なアミンRNH(Rは、シクロヘキシル(59)、またはシクロペンチル(60)、またはn−ヘキシル(61)である)中の2−クロロ−8−メチルアデノシン溶液をマイクロ波の下190℃で30分間加熱した。次に、溶媒を減圧除去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、8−メチル−2−アミノアルキル誘導体を得た。
【0172】
実施例31
5人または6人のヒトボランティアに1回経口投与した後、スポンゴシンの血漿濃度を測定した。頻脈を12誘導心電図を用いて測定した。ラットにおける最小有効鎮痛血漿濃度は、0.025μMであった。このことから、ヒトにおける最小有効用量は約0.8mg(それは、約1.5時間0.025μMより低い血漿濃度となる)であることが示唆される。
【表9】

【0173】
実施例32
スポンゴシン(62.4および624μg/kg 腹腔内)は、血圧に作用しない濃度で、インドメタシン(3mg/kg、経口)に匹敵する効力でカラギナン(CGN)誘発性炎症を阻害する。カラギナン(2%、10μl)をラットの後足に投与し、足の体積を容積脈波(plethysomometry)により評価した。スポンゴシンをカラギナンと同時に投与した。結果を図8に示す。スポンゴシンは、インドメタシン(Indo、3mg/kg 経口)と同じくらい有効であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬として使用するための、次の一般式
【化1】

[式中:
(I)XがOHのとき、RはNHであり、RはCHOHであり、RはHであり、Rは、C−Cアルコキシ、OCHシクロプロピル、OCHシクロペンチル、O−(2,2,3,3−テトラフルオロ−シクロブチル)、フェノキシ、置換フェノキシ、OCHCHOH、またはOCHCHF、(5−インダニル)オキシ、C、C、C、またはCアルキルアミノ、(R)または(S)−sec−ブチルアミノ、CまたはCシクロアルキルアミノ、exo−ノルボルナンアミノ、(N−メチル,N−イソアミルアミノ)、フェニルアミノ、メトキシまたはフルオロ置換基のいずれかを有するフェニルアミノ、Cスルホン基、Cアルキル基、シアノ基、CONH基、または3,5−ジメチルフェニルであるか;または
XがHのとき、RはNHであり、RはCHOHであり、RはHであり、Rはn−ヘキシルオキシである;あるいは
(II)XがOHのとき、RはHであり、RはCHOHであり、RはHであり、RはNMe、N−(2−イソペンテニル)、ピペラジニル、(N−Me,N−ベンジル)、(N−Me,N−CHPh(3−Br))、(N−Me,N−CHPh(3−CF))、または(N−Me,N−(2−メトキシエチル))、またはOCHシクロペンチルであるか;あるいは
(III)XがOHのとき、RはCONHRであり、RはHであり:
はHであり、Rはイソプロピル基であり、そしてRはNHまたはメチルアミノ基(NHMe)またはイソアミル基(CHCHCHMe)のいずれかであるか;あるいは
はHであり、RはHであり、そしてRはNHであるか;または
はOMeであり、RはPhであり、そしてRはNHであるか;または
はNHCHCHCHCHCHMeであり、RはCHCHCHMeであり、そしてRはNHであるか;あるいは
(IV)XがOHのとき、RはHであり、RはNHであり、RはCHNHCORであり、RはHであり、Rはn−プロピルまたはNHCHCHであるか;あるいは
(V)XがOHのとき、RはCHOHであり、RはHであり:
がNMeのとき、RはNHシクロヘキシルであるか;または
がNHベンジルのとき、RはOMeであるか;あるいは
(VI)XがOHのとき、RはNHであり、RはCHOHであり、RはMeであり、RはNHシクロヘキシル、NHシクロペンチル、またはNH−n−ヘキシルである]の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
XがOHのとき、RはNHであり、RはCHOHであり、そしてRはHであり、Rは、4−ニトリル、4−メチル、3−フェニル、3−ブロモ、3−イソプロピル、2−メチル、2,4−ジフルオロ、2,5−ジフルオロ、3,4−ジフルオロ、2,3,5−トリフルオロ、または(3−メチル,4−フルオロ)で置換されたフェノキシである、医薬として使用するための請求項1記載の式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
医薬として使用するための、実施例1〜6のいずれかで定義される構造を有する請求項1または2記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
医薬として使用するための、実施例1〜6において定義される化合物番号2、3、7〜19、22〜25、28、31〜33、または35〜60のいずれかに対応する構造を有する請求項3記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
医薬として使用するための、実施例1〜6において定義される化合物番号2、3、7〜18、22〜25、31〜33、35、37、40、44、45、47、48、または51〜60のいずれかに対応する構造を有する請求項3記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
アデノシンA2A受容体のアゴニズムにより改善または予防され得る病的状態を予防、処置、または改善するための医薬の製造における、請求項1から5のいずれか記載の化合物、または式(VII)
【化2】

[式中、RはC1−4アルコキシであり、そしてXはHまたはOHである]
の化合物の医薬的に許容される塩の使用。
【請求項7】
疼痛、癌、炎症、自己免疫疾患、虚血−再灌流損傷、てんかん、敗血症、敗血性ショック、神経変性(アルツハイマー病を含む)、筋肉疲労、および筋痙攣を除くアデノシンA2A受容体のアゴニズムにより改善または予防され得る病的状態を予防、処置、または改善するための医薬の製造における、請求項6で定義された式(VII)の化合物の使用。
【請求項8】
疼痛を予防、処置、または改善するための医薬の製造における、請求項1から5のいずれか記載の化合物、または請求項6で定義された式(VII)の化合物の医薬的に許容される塩の使用。
【請求項9】
疼痛が痛覚過敏である、請求項8記載の使用。
【請求項10】
痛覚過敏が神経障害性疼痛である、請求項9記載の使用。
【請求項11】
癌と関連する疼痛、膵臓の疼痛、骨盤/会陰の疼痛、HIV感染と関連する疼痛、慢性神経障害性疼痛、腰部の疼痛、背部の手術の失敗による疼痛、背部の疼痛、術後疼痛、身体外傷後疼痛、心臓痛、胸部の疼痛、骨盤の疼痛/PID、関節痛、頚部の疼痛、腸の疼痛、幻肢痛、産婦人科系の疼痛、急性帯状疱疹性疼痛、急性膵炎貫通性疼痛の予防、処置、または改善、あるいは神経障害性疼痛、または糖尿病性神経障害、多発性神経障害、線維筋痛、筋膜痛症候群、骨関節炎、帯状疱疹後神経痛、関節リウマチ、座骨神経痛/腰椎神経根障害、脊椎管狭窄症、顎関節症、三叉神経痛、腎疝痛、月経困難症/子宮内膜症により引き起こされるか、あるいはこれらと関連する他の疼痛の予防、処置、または改善のためのものである、請求項8から10のいずれか記載の使用。
【請求項12】
痛覚過敏が炎症性疼痛である、請求項9記載の使用。
【請求項13】
疼痛が、炎症または免疫疾患、または合併した炎症、自己免疫疾患、および神経障害性組織損傷の結果として引き起こされるか、あるいはこれらと関連するものである、請求項8、9、または12のいずれか記載の使用。
【請求項14】
腸の疼痛、癌と関連する疼痛、背部の疼痛、術後疼痛の予防、処置、または改善、または関節リウマチ、骨関節炎、リウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎、癌、HIV、慢性肺炎症性疾患、珪肺症、肺肉腫(pulmonary sarcosis)、骨吸収疾患、再灌流損傷、自己免疫性損傷、移植片対宿主拒絶反応、同種移植の拒絶反応、感染に起因する発熱および筋肉痛、線維筋痛、AIDS関連症候群(ARC)、ケロイド形成、瘢痕組織形成、クローン病、潰瘍性大腸炎および麻痺、過敏性腸症候群、骨粗鬆症、脳マラリア、および細菌性髄膜炎により引き起こされる、あるいはこれらと関連する炎症または他の疼痛の予防、処置、または改善のためのものである、請求項8、9、12、または13のいずれか記載の使用。
【請求項15】
虚血性疼痛を予防、処置、または改善するための医薬の製造における、請求項8記載の使用、または請求項6で定義された式(VII)の化合物の使用。
【請求項16】
冠動脈疾患、末梢動脈疾患、左心室肥大、本態性高血圧、急性高血圧性緊急症、心筋症、鬱血性心不全、運動負荷試験、慢性心不全、不整脈、心臓の不整脈、失神(syncopy)、動脈硬化、軽症慢性心不全、狭心症、プリンツメタル(異型)狭心症、安定狭心症、運動誘発性狭心症、心臓バイパス再閉塞、間欠性跛行(動脈硬化性閉塞)、動脈炎、拡張機能障害、収縮機能障害、アテローム性動脈硬化症、虚血後/再灌流損傷、糖尿病(I型またはII型)、血栓塞栓症、出血性事故と関連する疼痛、または低酸素状態誘発性神経細胞損傷から生じる神経障害性疼痛または炎症性疼痛を予防、処置、または改善するための医薬の製造における、請求項8または15記載の使用。
【請求項17】
1型および2型糖尿病の大血管または微小血管合併症、網膜症、ネフロパシー、自律神経障害、または虚血またはアテローム性動脈硬化症により生じる血管損傷を予防、処置、または改善するための医薬の製造における、請求項1から5のいずれか記載の化合物、または請求項6で定義された式(VII)の化合物、またはそれらの医薬的に許容される塩の使用。
【請求項18】
炎症を予防、処置、または改善するための医薬を製造するための、請求項1から5のいずれか記載の化合物、または請求項6で定義された式(VII)の化合物の医薬的に許容される塩の使用。
【請求項19】
癌(例えば、白血病、リンパ腫、癌腫、大腸癌、乳癌、肺癌、膵臓癌、肝細胞癌、腎臓癌、メラノーマ、肝臓、肺、乳房、および前立腺への転移など);自己免疫疾患(例えば、臓器移植拒絶反応、紅斑性狼瘡、移植片対宿主拒絶反応、同種移植の拒絶反応、多発性硬化症、関節リウマチ、膵島の破壊により生じる糖尿病および炎症の結果である糖尿病を含むI型糖尿病);自己免疫性損傷(多発性硬化症、ギランバレー症候群、重症筋無力症を含む);肥満;弱い組織灌流および炎症と関連する心血管系の状態(例えば、アテローム、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、虚血−再灌流損傷、跛行、鬱血性心不全、脈管炎、出血性ショック、くも膜下出血後攣縮、脳血管障害後攣縮、胸膜炎、心膜炎、糖尿病の心血管系の合併症);虚血−再灌流損傷、虚血および関連炎症、血管形成術後の再狭窄、および炎症性動脈瘤;てんかん、神経変性(アルツハイマー病を含む)、筋肉疲労または筋痙攣(特に、アスリートの痙攣)、関節炎(例えば、関節リウマチ、骨関節炎、リウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎)、線維症(例えば、肺、皮膚、および肝臓の)、敗血症、敗血性ショック、脳炎、感染性関節炎、ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応、帯状疱疹、毒素性ショック、脳マラリア、ライム病、内毒素性ショック、グラム陰性菌によるショック、出血性ショック、肝炎(組織損傷またはウイルス感染症の両方から生じるもの)、深部静脈血栓症、痛風;呼吸困難と関連する状態(例えば、慢性閉塞性肺疾患、気道の障害および閉塞、気管支収縮、肺血管収縮、呼吸障害、慢性肺炎症性疾患、珪肺症、肺肉腫、嚢胞性線維症、肺高血圧、肺血管収縮、肺気腫、気管支アレルギーおよび/または炎症、喘息、花粉症、鼻炎、春季カタル、および成人呼吸窮迫症候群);皮膚の炎症と関連する状態(乾癬、湿疹、潰瘍、接触性皮膚炎を含む);腸の炎症と関連する状態(クローン病、潰瘍性大腸炎および麻痺(pyresis)、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患を含む);HIV(特に、HIV感染症)、細菌性髄膜炎、TNF−増強性HIV複製、AZTおよびDDI活性のTNF阻害、骨粗鬆症および他の骨吸収疾患、骨関節炎、関節リウマチ、子宮内膜症由来の不妊症、感染に起因する発熱および筋肉痛、癌に続発する悪液質、感染または悪性腫瘍に続発する悪液質、後天性免疫不全症候群(AIDS)に続発する悪液質、AIDS関連症候群(ARC)、ケロイド形成、瘢痕組織形成、アムホテリシンB処置由来の副作用、インターロイキン−2処置由来の副作用、OKT3処置由来の副作用、またはGM−CSF処置由来の副作用、および過剰な抗炎症性細胞(好中球、好酸球、マクロファージ、およびT細胞を含む)活性により介在される他の状態により引き起こされるか、あるいはこれらと関連する炎症を予防、処置、または改善するためのものである、請求項18記載の使用。
【請求項20】
関節症の進行を遅延させるための疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の製造における、請求項1から5のいずれか記載の化合物、または請求項6で定義された式(VII)の化合物、またはその医薬的に許容される塩の使用。
【請求項21】
関節リウマチの進行を遅延させるためのDMARDの製造におけるものである、請求項20記載の使用。
【請求項22】
対象への投与後、pH7.4でのアデノシン受容体における化合物のEC50値未満の化合物のピーク血漿濃度を生じる用量でのものである、請求項6から21のいずれか記載の使用。
【請求項23】
化合物が投与される対象と同種の動物において徐脈、低血圧、または頻脈副作用を生じる、化合物の最小用量の1000分の1から5分の1の用量でのものである、請求項6から22のいずれか記載の使用。
【請求項24】
用量が、副作用を生じる最小用量の100分の1から5分の1のものである、請求項23記載の使用。
【請求項25】
対象に投与した後、化合物が投与されるべき対象と同種の動物において徐脈、低血圧、または頻脈副作用を生じる化合物の最小用量の1000分の1から2分の1の間で1時間より長い間維持される、化合物の血漿濃度を生じる用量でのものである、請求項6から24のいずれか記載の使用。
【請求項26】
用量0.4mg/kg未満でのものである、請求項6から25のいずれか記載の使用。
【請求項27】
少なくとも用量0.003mg/kgでのものである、請求項1から26のいずれか記載の使用。
【請求項28】
用量0.01から0.1mg/kgでのものである、請求項6から27のいずれか記載の使用。
【請求項29】
実施例1〜6において定義される化合物番号2、3、7〜18、22〜25、31〜33、35、37、40、44、45、47、48、または51〜60のいずれかに対応する構造を有する化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項30】
アデノシンA2A受容体のアゴニズムにより予防または改善され得る病的状態を予防、処置、または改善する方法であって、請求項1から5のいずれか記載の化合物、または請求項6で定義された式(VII)の化合物の医薬的に許容される塩をかかる予防、処置、または改善の必要な対象に投与することを含む、方法。
【請求項31】
疼痛、癌、炎症、自己免疫疾患、虚血−再灌流損傷、てんかん、敗血症、敗血性ショック、神経変性(アルツハイマー病を含む)、筋肉疲労および筋痙攣を除くアデノシンA2A受容体のアゴニズムにより予防または改善され得る病的状態を予防、処置、または改善する方法であって、請求項6で定義される式(VII)の化合物をかかる予防、処置、または改善の必要な対象に投与することを含む、方法。
【請求項32】
疼痛を予防、処置、または改善する方法であって、請求項1から5のいずれか記載の化合物、または請求項6で定義された式(VII)の化合物の医薬的に許容される塩をかかる予防、処置、または改善の必要な対象に投与することを含む、方法。
【請求項33】
虚血性疼痛を予防、処置、または改善する方法であって、請求項1から5のいずれか記載の化合物、または請求項6で定義された式(VII)の化合物、またはそれらの医薬的に許容される塩をかかる予防、処置、または改善の必要な対象に投与することを含む、方法。
【請求項34】
冠動脈疾患、末梢動脈疾患、左心室肥大、本態性高血圧、急性高血圧性緊急症、心筋症、鬱血性心不全、運動負荷試験、慢性心不全、不整脈、心臓の不整脈、失神、動脈硬化、軽症慢性心不全、狭心症、プリンツメタル(異型)狭心症、安定狭心症、運動誘発性狭心症、心臓バイパス再閉塞、間欠性跛行(動脈硬化性閉塞)、動脈炎、拡張機能障害、収縮機能障害、アテローム性動脈硬化症、虚血後/再灌流損傷、糖尿病(I型またはII型)、血栓塞栓症、出血性事故と関連する虚血性疼痛、または低酸素状態誘発性神経細胞損傷から生じる神経障害性疼痛または炎症性疼痛を予防、処置、または改善するものである、請求項33記載の方法。
【請求項35】
炎症を予防、処置、または改善する方法であって、請求項1から5のいずれか記載の化合物、または請求項6で定義された式(VII)の化合物の医薬的に許容される塩をかかる予防、処置、または改善の必要な対象に投与することを含む、方法。
【請求項36】
癌(例えば、白血病、リンパ腫、癌腫、大腸癌、乳癌、肺癌、膵臓癌、肝細胞癌、腎臓癌、メラノーマ、肝臓、肺、乳房、および前立腺への転移など);自己免疫疾患(例えば、臓器移植拒絶反応、紅斑性狼瘡、移植片対宿主拒絶反応、同種移植の拒絶反応、多発性硬化症、関節リウマチ、膵島の破壊により生じる糖尿病および炎症の結果である糖尿病を含むI型糖尿病);自己免疫性損傷(多発性硬化症、ギランバレー症候群、重症筋無力症を含む);肥満;乏しい組織灌流および炎症と関連する心血管系の状態(例えば、アテローム、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、虚血−再灌流損傷、跛行、鬱血性心不全、脈管炎、出血性ショック、くも膜下出血後攣縮、脳血管障害後攣縮、胸膜炎、心膜炎、糖尿病の心血管系の合併症);虚血−再灌流損傷、虚血および関連炎症、血管形成術後の再狭窄、および炎症性動脈瘤;てんかん、神経変性(アルツハイマー病を含む)、筋肉疲労または筋痙攣(特に、アスリートの痙攣)、関節炎(例えば、関節リウマチ、骨関節炎、リウマチ様脊椎炎、痛風性関節炎)、線維症(例えば、肺、皮膚、および肝臓の)、敗血症、敗血性ショック、脳炎、感染性関節炎、ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応、帯状疱疹、毒素性ショック、脳マラリア、ライム病、内毒素性ショック、グラム陰性菌によるショック、出血性ショック、肝炎(組織損傷またはウイルス感染症の両方から生じるもの)、深部静脈血栓症、痛風;呼吸困難と関連する状態(例えば、慢性閉塞性肺疾患、気道の障害および閉塞、気管支収縮、肺血管収縮、呼吸障害、慢性肺炎症性疾患、珪肺症、肺肉腫、嚢胞性線維症、肺高血圧、肺血管収縮、肺気腫、気管支アレルギーおよび/または炎症、喘息、花粉症、鼻炎、春季カタル、および成人呼吸窮迫症候群);皮膚の炎症と関連する状態(乾癬、湿疹、潰瘍、接触性皮膚炎を含む);腸の炎症と関連する状態(クローン病、潰瘍性大腸炎および麻痺、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患を含む);HIV(特に、HIV感染症)、細菌性髄膜炎、TNF−増強性HIV複製、AZTおよびDDI活性のTNF阻害、骨粗鬆症および他の骨吸収疾患、骨関節炎、関節リウマチ、子宮内膜症由来の不妊症、感染に起因する発熱および筋肉痛、癌に続発する悪液質、感染または悪性腫瘍に続発する悪液質、後天性免疫不全症候群(AIDS)に続発する悪液質、AIDS関連症候群(ARC)、ケロイド形成、瘢痕組織形成、アムホテリシンB処置由来の副作用、インターロイキン−2処置由来の副作用、OKT3処置由来の副作用、またはGM−CSF処置由来の副作用、および過剰な抗炎症性細胞(好中球、好酸球、マクロファージ、およびT細胞を含む)活性により介在される他の状態により引き起こされるか、あるいはこれらと関連する炎症を予防、処置、または改善するためのものである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
1型および2型糖尿病の大血管または微小血管合併症、網膜症、ネフロパシー、自律神経障害、または虚血またはアテローム性動脈硬化症により生じる血管損傷を予防、処置、または改善する方法であって、請求項1から5のいずれか記載の化合物、または請求項6で定義された式(VII)の化合物、またはそれらの医薬的に許容される塩をかかる予防、処置、または改善の必要な対象に投与することを含む、方法。
【請求項38】
関節症の進行を遅延させる方法であって、請求項1から5のいずれか記載の化合物、または請求項6で定義された式(VII)の化合物、またはそれらの医薬的に許容される塩を疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)としてそれらを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【請求項39】
関節リウマチの進行を遅延させるためのものである、請求項38記載の方法。
【請求項40】
化合物が、pH7.4でのアデノシン受容体における化合物のEC50値未満の化合物のピーク血漿濃度を生じる用量で投与されるものである、請求項30から39のいずれか記載の方法。
【請求項41】
化合物が、対象において、アデノシン受容体における化合物の最小EC50値の10000分の1から2分の1の化合物のピーク血漿濃度を生じる量で対象に投与されるものである、請求項30から40のいずれか記載の方法。
【請求項42】
化合物が、対象において、アデノシン受容体における化合物の最小EC50値の10000分の1から2分の1で1時間より長い間維持される化合物の血漿濃度を生じる量で対象に投与されるものである、請求項30から41のいずれか記載の方法。
【請求項43】
化合物が、対象において、アデノシン受容体における化合物の最小Kd値の10000分の1から2分の1の化合物のピーク血漿濃度を生じる量で対象に投与されるものである、請求項30から42のいずれか記載の方法。
【請求項44】
化合物が、対象において、アデノシン受容体における化合物の最小Kd値の10000分の1から2分の1で1時間より長い間維持される化合物の血漿濃度を生じる量で対象に投与されるものである、請求項30から43のいずれか記載の方法。
【請求項45】
化合物が、化合物が投与される対象と同種の動物において徐脈、低血圧、または頻脈副作用を生じる化合物の最小量の10000分の1から2分の1の量で対象に投与されるものである、請求項30から44のいずれか記載の方法。
【請求項46】
化合物が、用量が投与されるべき対象と同種の動物において徐脈、低血圧、または頻脈副作用を生じる化合物の最小用量の1000分の1から2分の1の用量で投与されるものである、請求項30から45のいずれか記載の方法。
【請求項47】
用量が、副作用を生じる最小用量の100分の1から2分の1のものである、請求項46記載の方法。
【請求項48】
化合物が、対象において、化合物が投与される対象と同種の動物において徐脈、低血圧、または頻脈副作用を生じる、化合物の最小血漿濃度の10000分の1から2分の1で1時間より長い間維持される化合物の血漿濃度を生じる量で対象に投与されるものである、請求項30から47のいずれか記載の方法。
【請求項49】
化合物が、化合物が投与されるべき対象と同種の動物において徐脈、低血圧、または頻脈副作用を生じる、化合物の最小用量の100分の1から2分の1の間で1時間より長い間維持される化合物の血漿濃度を生じる用量で投与されるものである、請求項30から48のいずれか記載の方法。
【請求項50】
化合物が用量0.4mg/kg未満で投与されるものである、請求項30から49のいずれか記載の方法。
【請求項51】
化合物が用量0.001から0.4mg/kgで投与されるものである、請求項30から50のいずれか記載の方法。
【請求項52】
化合物が少なくとも用量0.003mg/kgで投与されるものである、請求項30から51のいずれか記載の方法。
【請求項53】
化合物が用量0.01から0.1mg/kgで投与されるものである、請求項30から52のいずれか記載の方法。
【請求項54】
化合物が、経口、非経腸、舌下、経皮、髄腔内、経粘膜、静脈内、筋肉内、皮下、局所投与されるか、あるいは吸入により投与されるものである、請求項30から53のいずれか記載の方法。
【請求項55】
化合物が1日当たり2または3回の頻度で投与されるものである、請求項30から54のいずれか記載の方法。
【請求項56】
対象がヒト対象である、請求項30から55のいずれか記載の方法。
【請求項57】
化合物がスポンゴシンまたはその医薬的に許容される塩である、請求項20または21記載の使用、または請求項38または39記載の方法。
【請求項58】
請求項1から5のいずれか記載の化合物500mgまで、および生理的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を含む、単位用量剤形の医薬組成物。
【請求項59】
NSAIDまたはDMARDと共に請求項1から5のいずれか記載の化合物、請求項6で定義された式(VII)の化合物、またはそれらの医薬的に許容される塩500mgまで、および生理的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を含む、単位用量剤形の医薬組成物。
【請求項60】
実施例1で定義される化合物番号2または32を製造する方法であって、ペンタベンゾイル−2−ニトロ−アデノシンをROHと反応させること、および反応生成物を脱保護して、化合物番号2または32を製造させることを含み、Rは、CHCHFまたはCHシクロペンチルである、方法。
【請求項61】
実施例1で定義される化合物番号3または35を製造する方法であって、トリアセトキシ−6−クロロ−2−ニトロ−アデノシンをROHと反応させること、および反応生成物を脱保護して、化合物番号3または35を製造することを含み、Rは、CHシクロプロピルまたは2,2,3,3−テトラフルオロシクロブタンである、方法。
【請求項62】
実施例1で定義される化合物番号7〜18のいずれかを製造する方法であって、ペンタベンゾイル−2−ニトロ−アデノシンをArOHと反応させること、および反応生成物を脱保護して、化合物番号7〜18のいずれかを製造することを含み、Arは、4−シアノフェニル、3−フェニル−フェニル、2,5−ジフルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、2,3,5−トリフルオロフェニル、3−メチル,4−フルオロフェニル、2−メチルフェニル、3−ブロモフェニル、4−メチルフェニル、5−インダニル、または3−イソプロピルフェニルである、方法。
【請求項63】
実施例1で定義される化合物番号22〜25、または31のいずれかを製造する方法であって、2−クロロアデノシンをRR’NHと反応させて、化合物番号22〜25、または31のいずれかを製造することを含み、RR’N=NH−(R)−sec−ブチル、NH−(S)−sec−ブチル、NH−n−ヘキシル、NH−exo−ノルボルナン、またはN(Me)イソアミルである、方法。
【請求項64】
実施例1で定義される化合物番号33を製造する方法であって、2−クロロ−アデノシンをNaSEtと反応させ、2−エチルチオ−アデノシンを製造すること、および化合物番号33を2−エチルチオ−アデノシンから製造することを含む、方法。
【請求項65】
実施例1で定義される化合物番号37を製造する方法であって、2−ヨード−アデノシンをArB(OH)と反応させることを含み、Arは3,5−ジメチルフェニルである、方法。
【請求項66】
実施例1で定義される化合物40を製造する方法であって、3’−デオキシ−テトラベンゾイル−2−ニトロ−アデノシンをn−ヘキサノールと反応させること、および反応生成物を脱保護して、化合物番号40を製造することを含む、方法。
【請求項67】
実施例2で定義される化合物番号44、45、または47を製造する方法であって、6−クロロ−アデノシンをRR’NHと反応させることを含み、RR’Nは、N(Me)CH(3−ブロモフェニル)、N(Me)CH(3−トリフルオロメチルフェニル)、またはN(Me)CHCHOMeである、方法。
【請求項68】
実施例2で定義される化合物番号48を製造する方法であって、トリ−アセトキシ−6−クロロ−アデノシンをシクロペンチルメチルアルコールと反応させること、および反応生成物を脱保護して、化合物番号48を製造することを含む、方法。
【請求項69】
実施例3で定義される化合物番号51または52を製造する方法であって、次の式:
【化3】

[式中、RはMeまたはイソアミルである]の2’,3’−O−イソプロピリデン−6−アルキルアミノ−アデノシン−5’−カルボン酸をイソプロピルアミンと反応させること、および反応生成物のアセントニド基を脱保護して、化合物番号51または52を製造することを含む、方法。
【請求項70】
実施例3で定義される化合物番号53を製造する方法であって、2’,3’−O−イソプロピリデン−2−メトキシ−アデノシン−5’−カルボン酸をアニリンと反応させること、および反応生成物のアセトニド基を脱保護し、化合物番号53を製造することを含む、方法。
【請求項71】
実施例3で定義される化合物番号54を製造する方法であって、2’,3’−O−イソプロピリデン−2−クロロ−アデノシン−5’−カルボン酸をn−ヘキシルアミンと反応させること、反応生成物をn−ブチルアミンと反応させること、および反応生成物のアセトニド基をn−ブチルアミンで脱保護し、化合物番号54を製造することを含む、方法。
【請求項72】
実施例4で定義される化合物番号55を製造する方法であって、2’,3’−O−イソプロピリデン−5’−アミノ−アデノシンを酪酸と反応させること、および反応生成物のアセトニド基を脱保護し、化合物番号55を製造することを含む、方法。
【請求項73】
実施例4で定義される化合物番号56を製造する方法であって、2’,3’−O−イソプロピリデン−5’−アミノ−アデノシンをエチルイソシアネートと反応させること、および反応生成物のアセトニド基を脱保護し、化合物番号56を製造することを含む、方法。
【請求項74】
実施例5で定義される化合物番号57を製造する方法であって、トリ−アセトキシ−6−クロロ−2−ニトロ−アデノシンをジメチルアミンと反応させること、反応生成物をシクロヘキシルアミンと反応させること、および反応生成物をシクロヘキシルアミンで脱保護し、化合物57を製造することを含む、方法。
【請求項75】
実施例5で定義される化合物番号58を製造する方法であって、トリ−アセトキシ−6−クロロ−2−ニトロ−アデノシンをベンジルアミンと反応させること、および反応生成物をメトキシドアニオンと反応させること、および保護基を脱保護し、化合物58を製造することを含む、方法。
【請求項76】
実施例6で定義された化合物59〜61のいずれかを製造する方法であって、2−クロロ−8−メチル−アデノシンをRNHと反応させ、化合物59、60、または61を製造させることを含み、Rは、シクロヘキシル、シクロペンチル、またはn−ヘキシルである、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−102114(P2012−102114A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−280200(P2011−280200)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【分割の表示】特願2007−501345(P2007−501345)の分割
【原出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(510299260)シービーティ・デベロップメント・リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】CBT DEVELOPMENT LIMITED
【Fターム(参考)】