アデノ随伴ウイルス(AAV)の同源系統群、配列、それらを含有するベクターおよびそれらの用途
【課題】アデノ随伴ウイルスおよびその使用方法を提供する。
【解決手段】アデノ随伴ウイルスキャプシドのアミノ酸およびヌクレオチド配列、ならびにこれらのヌクレオチド配列を含有するベクターおよび宿主細胞。rAAV粒子の製造における宿主細胞およびベクターの使用方法。該ベクターを使用する治療的および免疫原性遺伝子のAAV媒介性の送達。
【解決手段】アデノ随伴ウイルスキャプシドのアミノ酸およびヌクレオチド配列、ならびにこれらのヌクレオチド配列を含有するベクターおよび宿主細胞。rAAV粒子の製造における宿主細胞およびベクターの使用方法。該ベクターを使用する治療的および免疫原性遺伝子のAAV媒介性の送達。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)およびその使用に関する。より具体的には、AAVキャプシドおよび異種分子を含んでなる血清型9のAAVおよびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
パルボウイルス科の1メンバー、アデノ随伴ウイルス(AAV)は、4.7キロ塩基対(kb)ないし6kbの一本鎖の直鎖状DNAゲノムを有する小型のエンベロープを持たない20面体ウイルスである。AAVは、精製したアデノウイルスストック中の感染物質に随伴する異質な物質として発見されたため、該ウイルスはデペンドウイルス属(Dependovirus)に割り当てられている。AAVの生活環は、感染後のAAVゲノムが宿主染色体に部位特異的に組み込まれる潜伏期、および、アデノウイルス若しくは単純疱疹ウイルスいずれかの感染後に組み込まれたゲノムがその後レスキューされ、複製されかつ感染性ウイルスにパッケージングされる感染期を包含する。非病原性の特性、非分裂細胞を包含する感染性の広範な宿主範囲、および潜在的な部位特異的染色体組み込みが、AAVを遺伝子移入のための魅力的なツールとしている。
【0003】
最近の研究は、AAVベクターが遺伝子送達に好ましい運搬媒体でありうることを示唆している。今日まで、ヒト若しくはヒト以外の霊長類(NHP)から単離された数種の異なる十分に特徴づけられたAAVが存在する。
【0004】
異なる血清型のAAVが異なるトランスフェクション効率を表しかつまた異なる細胞若しくは組織に対する向性も表すことが見出された。しかしながら、これらの異なる血清型間の関係は以前に探求されていなかった。
【0005】
望ましいものは、異種分子の送達のためのAAVに基づく構築物である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、系統分類学的に関連づけられた配列のAAVの「スーパーファミリー」すなわち「同源系統群」を提供する。これらのAAV同源系統群は、所望の標的細胞若しくは組織に分子の標的を定めそして/もしくはそれらを送達するのに有用なAAV配列の一供給源を提供する。
【0007】
一局面において、本発明は、AAV vp1アミノ酸配列のアライメントに基づき、ネイバー−ジョイニング ヒューリスティック(Neighbor−Joining heuristic)を用いて決定した場合に、少なくとも75%(少なくとも1000個の複製物に基づく)のブーツストラップ値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値(Poisson correction distance measurement)により系統分類学的に関連づけられる、少なくとも3種のAAVメンバーを有する1AAV同源系統群を提供する。適するのは、該AAV同源系統群はベクターの生成で有用なAAV配列から構成される。
【0008】
本発明はさらに、本明細書でクローン28.4/hu.14、あるいはAAV血清型9と命名される、以前に未知の1種のヒトAAV血清型を提供する。従って、別の局面において、本発明は、配列番号123のアミノ酸1ないし736の配列のキャプシドに血清学的に関連づけられかつAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、
AAV7若しくはAAV8のいずれのキャプシドタンパク質とも血清学的に異なるAAVキャプシドから構成される血清型9の1種のAAVを提供する。
【0009】
このhuAAV9のキャプシドを用いて構築したベクターは、肝においてAAV8に類似の、筋においてAAV1より優れた、および肺においてAAV5より200倍より高い遺伝子移入効率を表した。さらに、本新規ヒトAAV血清型は、以前に記述されたAAV1からAAV8に対する85%未満の配列の同一性を共有し、そしてこれらのAAVのいずれによっても交差中和されない。
【0010】
本発明はまた、他の新規AAV配列、これらの配列を含有する組成物、およびそれらの用途も提供する。有利には、これらの組成物は、治療若しくは予防の目的上AAVベクターの再投与を必要とする組成物中での使用にとりわけ十分に適する。
【0011】
本発明のこれらおよび他の局面は、本発明の以下の詳述された記述から容易に明らかであろう。
【0012】
[発明の詳細な記述]
治療若しくは予防で有用なベクターのいずれの保有庫においても、標的細胞に巨大分子を運搬することが可能な多様な異なるベクターが、所望の応用のためのベクター供給源の選択を可能にするために望ましい。今日まで、ベクターとしてのAAVの使用に関する懸念の1つは、多様な異なるウイルス供給源の欠如であった。本発明がこの問題を克服する一方法は、系統分類学的に関連づけられる、若しくは選択されたレジメンに所望の場合は系統分類学的に異なるAAVを選択しかつ機能を予測するのに有用であるAAVの同源系統群を提供することによる。本発明はさらに新規AAVウイルスを提供する。
【0013】
核酸若しくはそのフラグメントを指す場合の「実質的相同性」若しくは「実質的類似性」という用語は、適切なヌクレオチドの挿入若しくは欠失を伴い別の核酸(若しくはその相補鎖)と至適に整列した場合に、該整列した配列の少なくとも約95ないし99%にヌクレオチド配列の同一性が存在することを示す。好ましくは、相同性は、完全長配列、若しくはその1オープンリーディングフレーム、または長さ少なくとも15ヌクレオチドである別の適するフラグメントにわたる。適するフラグメントの例が本明細書に記述される。
【0014】
核酸配列の情況での「配列の同一性」「配列の同一性パーセント」若しくは「同一性パーセント」という用語は、最大の対応のため整列した場合に同一である2配列中の残基を指す。配列の同一性の比較の長さは、ゲノムの完全長、遺伝子コーディング配列の完全長にわたりうるか、若しくは少なくとも約500ないし5000ヌクレオチドのフラグメントが望ましい。しかしながら、例えば少なくとも約9ヌクレオチド、通常少なくとも約20ないし24ヌクレオチド、少なくとも約28ないし32ヌクレオチド、少なくとも約36若しくはそれより多くのヌクレオチドのより小さいフラグメント間の同一性もまた望ましいことができる。同様に、「配列の同一性パーセント」は、タンパク質の完全長若しくはその1フラグメントにわたるアミノ酸配列について容易に決定しうる。適してはフラグメントは長さ少なくとも約8アミノ酸であり、かつ、約700アミノ酸まででありうる。適するフラグメントの例が本明細書に記述される。
【0015】
アミノ酸若しくはそれらのフラグメントを指す場合の「実質的相同性」若しくは「実質的類似性」という用語は、適切なアミノ酸の挿入若しくは欠失を伴い別のアミノ酸(若しくはその相補鎖)と至適に整列した場合に、該整列した配列の少なくとも約95ないし99%のアミノ酸配列の同一性が存在することを示す。好ましくは、相同性は完全長配列、若しくはその1タンパク質、例えばcapタンパク質、repタンパク質、または長さ少
なくとも8アミノ酸、若しくはより望ましくは少なくとも15アミノ酸であるそのフラグメントにわたる。適するフラグメントの例が本明細書に記述される。
【0016】
「高度に保存された」という用語により、少なくとも80%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、およびより好ましくは97%を超える同一性を意味している。同一性は、当業者により既知のアルゴリズムおよびコンピュータプログラムを用いることにより当業者により容易に決定される。
【0017】
一般に、2つの異なるアデノ随伴ウイルス間の「同一性」、「相同性」若しくは「類似性」を指す場合、「同一性」、「相同性」若しくは「類似性」は「整列した」に配列に関して決定される。「整列した」配列若しくは「アライメント」は、参照配列に比較して欠けている若しくは付加的な塩基若しくはアミノ酸についての補正をしばしば含有する複数の核酸配列若しくはタンパク質(アミノ酸)配列を指す。該例において、AAVのアライメントは、公表されたAAV2若しくはAAV1配列を参照点として使用して実施する。しかしながら、当業者は、別のAAV配列を参照として容易に選択し得る。
【0018】
アライメントは、多様な公的に若しくは商業的に入手可能な複数の配列アライメントプログラムのいずれかを使用して実施する。こうしたプログラムの例は、「Clustal
W」、「CAP Sequence Assembly」、「MAP」および「MEME」を包含し、これらはインターネット上のウェブサーバーを通じてアクセス可能である。こうしたプログラムの他の供給源は当業者に既知である。あるいは、Vector NTIユーティリティーもまた使用される。上述されたプログラムに含有されるものを包含する、ヌクレオチド配列の同一性を測定するのに使用し得る当該技術分野で既知の多数のアルゴリズムもまた存在する。別の例として、ポリヌクレオチド配列は、GCG Version6.1中のプログラムFastaTMを使用して比較し得る。FastaTMはクエリ配列と参照配列の間の最良のオーバーラップ領域のアライメントおよび配列の同一性パーセントを提供する。例えば、核酸配列間の配列の同一性パーセントは、GCG Version6.1(引用することにより本明細書に組み込まれる)で提供されるところのそのデフォルトのパラメータ(6のword sizeおよびスコアリングマトリックスについてのNOPAM係数)を用いるFastaTMを使用して決定し得る。複数の配列アライメントプログラム、例えば「Clustal X」、「MAP」、「PIMA」、「MSA」、「BLOCKMAKER」、「MEME」および「Match−Box」プログラムもまたアミノ酸配列に利用可能である。一般に、これらのプログラムのいずれもデフォルトの設定で使用されるとは言え、当業者はこれらの設定を必要とされるように変更し得る。あるいは、当業者は、少なくとも引用されたアルゴリズムおよびプログラムにより提供されるもののような同一性若しくはアライメントのレベルを提供する別のアリゴリズム若しくはコンピュータプログラムを利用し得る。例えばJ.D.Thomsonら、Nucl.Acids.Res.、「A comprehensive comparison of multiple sequence alignments“、27(13):2682−2690(1999)を参照されたい。
【0019】
「血清型」という用語は、他のAAV血清型と血清学的に異なるキャプシドを有するAAVに関する差違である。血清学的特殊性は、他のAAVと比較して該AAVに対する抗体間の交差反応性の欠如に基づき決定される。
【0020】
交差反応性は典型的には中和抗体アッセイで測定する。このアッセイのためには、ウサギ若しくは他の適する動物モデルで該アデノ随伴ウイルスを使用して特定のAAVに対するポリクローナル血清を生成させる。このアッセイでは、特定のAAVに対し生成させた血清をその後、同一(同種)若しくは異種いずれかのAAVを中和するその能力において試験する。50%中和を達成する希釈を中和抗体力価とみなす。2つのAAVについて、
同種の力価により除算した異種の力価の商が相反する様式で16より低い場合は、それら2種のベクターは同一血清型とみなす。逆に、同種の力価に対する異種の力価の比が相反する様式で16若しくはそれより多くである場合、該2種のAAVは異なる血清型とみなす。
【0021】
本明細書で定義されるとおり、血清型9を形成するために、選択したAAVキャプシドに対し生成させた抗体は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7若しくはAAV8のいずれとも交差反応性であってはならない。一態様において、本発明は、ヒトAAV血清型9として本明細書で同定される新規血清型のAAVキャプシドを提供する。
【0022】
本明細および請求の範囲を通じて使用されるところの「含んでなること」および「包含すること」という用語は、他の成分、要素、整数、段階などの包括的なものである。逆に、「なること」という用語およびその変形は、他の成分、要素、整数、段階などを除外する。
【0023】
I.同源系統群
一局面において、本発明はAAVの同源系統群を提供する。同源系統群は、AAV vp1アミノ酸配列のアライメントに基づいて、ネイバー−ジョイニング アルゴリズムを用いて決定した場合に、(少なくとも1000個の複製物の)少なくとも75%のブーツストラップ値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値により相互に系統分類学的に関連づけられるAAVの一群である。
【0024】
ネイバー−ジョイニングアルゴリズムは文献に広範囲に記述されている。例えばM.NeiとS.Kumar、Molecular Evolution and Phylogenetics(Oxford University Press、ニューヨーク(2000)を参照されたい。このアルゴリズムを実行するのに使用し得るコンピュータプログラムは入手可能である。例えば、MEGA v2.1プログラムはNei−Gojoboriの変法を実行する。これらの技術およびコンピュータプログラム、ならびにAAV vp1キャプシドタンパク質の配列を使用して、当業者は、選択したAAVが本明細書で同定される同源系統群の1つに含有されるか、別の同源系統群に含有されるか、若しくはこれらの同源系統群の外側にあるかどうかを容易に決定し得る。
【0025】
本明細書で定義される同源系統群は、天然に存在するAAV vp1キャプシドに主として基づく一方、同源系統群は天然に存在するAAVに制限されない。同源系統群は、AAV vp1アミノ酸配列のアライメントに基づいて、ネイバー−ジョイニング アルゴリズムを用いて決定した場合に、(少なくとも1000個の複製物の)少なくとも75%のおよび0.05を超えないポアソン補正距離測定値により系統分類学的に関連づけられる、組換え、修飾若しくは変更、キメラ、ハイブリッド、合成、人工などのAAVを制限なしに包含する天然に存在しないAAVを包含し得る。
【0026】
本明細書に記述される同源系統群は、同源系統群A(AAV1およびAAV6により代表される)、同源系統群B(AAV2により代表される)ならびに同源系統群C(AAV2−AAV3ハイブリッドにより代表される)、同源系統群D(AAV7により代表される)、同源系統群E(AAV8により代表される)ならびに同源系統群F(ヒトAAV9により代表される)を包含する。これらの同源系統群は、以前に記述されたAAV血清型である同源系統群の1メンバーにより代表される。以前に記述されたAAV1およびAAV6は、4種の単離物が3例のヒトから回収された単一同源系統群(同源系統群A)のメンバーである。以前に記述されたAAV3およびAAV5血清型は相互と明確に異なるが、しかし本明細書に記述されるスクリーニングで検出されず、また、これらの同源系統群
のいずれにも包含されない。
【0027】
同源系統群B(AAV2)および同源系統群C(AAV2−AAV3ハイブリッド)は、ヒトで見出されたもののうちもっとも豊富なものである(AAV2について12個体から22種の単離物、および同源系統群Cについて8個体から17種の単離物)。
【0028】
同源系統群D(AAV7)若しくは同源系統群E(AAV8)いずれかにグループ化される多数の配列が存在する。興味深いことに、これらの同源系統群の双方は異なる種で優勢である。同源系統群Dはアカゲザルおよびカニクイザルに独特であり、10種の異なる動物から15メンバーが単離された。同源系統群Eは、ヒトおよびヒト以外の霊長類の双方で見出されるため興味深い(9種の単離物が7例のヒトから回収され、また、21種の単離物が、アカゲザル、ヒヒおよびブタオザルを包含する9種の異なるヒト以外の霊長類で得られた)。
【0029】
2種の他の動物において、ある種の配列のハイブリッドの性質が判明したとは言え、この場合の全配列が、2種の共感染させるウイルスの個別のかつ異なる組換えにより発したと思われる(双方の動物で、同源系統群Eのウイルスを含む同源系統群D)これらの組換え体のいずれも、他の動物若しくは被験体で同定されなかった。
【0030】
同源系統群C(AAV2−AAV3ハイブリッド)の同源系統群が6例の異なるヒト被験体で同定されたため、該組換え事象は適合子孫(fit progeny)をもたらした。他方、AAV7−AAV8ハイブリッドの場合は、AAVの進化における組換えの意味に関してわずかな結論のみが引き出され得る。これらの組換え事象は、AAVが組換えすることが可能であり、それによりインフレーム遺伝子およびいくつかの場合にはパッケージング可能かつ/若しくは感染性のキャプシド構造を創製することを示す。同源系統群C(AAV2−AAV3ハイブリッドの同源系統群)は、他方、それらにある種の環境圧を持ちこたえさせる組換えにより選択的利点を獲得したウイルスの一群である。
【0031】
A.同源系統群A(AAV1およびAAV6により代表される):
別の局面において、本発明は、以前に公表されたAAV1およびAAV6を含有することを特徴とする同源系統群Aを提供する。例えば、国際特許公開第WO 00/28061号明細書、2000年5月18日;Rutledgeら、J Virol、72(1):309−319(1998年1月)を参照されたい。加えて、本同源系統群は、128.1/hu.43[配列番号80および160];128.3/hu.44[配列番号81および158];130.4/hu.48[配列番号78および157];ならびにhu.46[配列番号82および159]を制限なしに包含する新規AAVを含有する。本発明はさらに、改変hu.43キャプシド[配列番号236]および改変hu.46キャプシド[配列番号224]を提供する。
【0032】
一態様において、本同源系統群のメンバーの1つ若しくはそれより多くは、AAV1および/若しくはAAV6のキャプシドのvp1、vp2若しくはvp3の完全長にわたり少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性若しくは少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性をもつキャプシドを有する。
【0033】
別の態様において、本発明は同源系統群Aの新規AAVを提供するが、但し、該新規AAVのいずれもAAV1若しくはAAV6のいずれのキャプシドも含まない。これらのAAVは、128.1/hu.43[配列番号80および160];改変hu.43[配列番号236]128.3/hu.44[配列番号81および158];hu.46[配列番号82および159];改変hu.46[配列番号224];ならびに130.4/hu.48[配列番号78および157]の1種若しくはそれより多く由来のキャプシドを
有するAAVを制限なしに包含しうる。
【0034】
B.同源系統群B(AAV2同源系統群):
別の態様において、本発明は同源系統群Bを提供する。
【0035】
本同源系統群は、少なくとも、以前に記述されたAAV2、ならびに52/hu.19[配列番号62および133]、52.1/hu.20[配列番号63および134]、54.5/hu.23[配列番号60および137]、54.2/hu.22[配列番号67および138]、54.7/hu.24[配列番号66および136]、54.1/hu.21[配列番号65および135]、54.4R/hu.27[配列番号64および140];46.2/hu.28[配列番号68および130];46.6/hu.29[配列番号69および132];改変hu.29[配列番号225];172.1/hu.63[配列番号171および195;GenBank受託番号AY530624];172.2/hu.64[配列番号172および196;GenBank受託番号AY530625];24.5/hu.13[配列番号71および129;GenBank受託番号AY530578];145.6/hu.56[配列番号168および192];hu.57[配列番号169および193];136.1/hu.49[配列番号165および189];156.1/hu.58[配列番号179および194];72.2/hu.34[配列番号72および125;GenBank受託番号AY530598];72.3/hu.35[配列番号73および164;GenBank受託番号AY530599];130.1/hu.47[配列番号77および128];129.1/hu.45(配列番号76および127;GenBank受託番号AY530608);140.1/hu.51[配列番号161および190;GenBank受託番号AY530613];ならびに140.2/hu.52[配列番号167および191;GenBank受託番号AY530614]を包含する本発明の新規AAVを含有することを特徴とする。
【0036】
一態様において、本同源系統群のメンバーの1つ若しくはそれより多くは、AAV2キャプシドのvp1、vp2若しくはvp3の完全長にわたる少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、若しくは少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性をもつキャプシドを有する。
【0037】
別の態様において、本発明は同源系統群Bの新規AAVを提供するが、但し、該AAVのいずれもAAV2キャプシドを有しない。これらのAAVは、以下、すなわち52/hu.19[配列番号62および133]、52.1/hu.20[配列番号63および134]、54.5/hu.23[配列番号60および137]、54.2/hu.22[配列番号67および138]、54.7/hu.24[配列番号66および136]、54.1/hu.21[配列番号65および135]、54.4R/hu.27[配列番号64および140];46.2/hu.28[配列番号68および130];46.6/hu.29[配列番号69および132];改変hu.29[配列番号225];172.1/hu.63[配列番号171および195];172.2/hu.64[配列番号172および196];24.5/hu.13[配列番号71および129];145.6/hu.56[配列番号168および192;GenBank受託番号AY530618];hu.57[配列番号169および193;GenBank受託番号AY530619];136.1/hu.49[配列番号165および189;GenBank受託番号AY530612];156.1/hu.58[配列番号179および194;GenBank受託番号AY530620];72.2/hu.34[配列番号72および125];72.3/hu.35[配列番号73および164];129.1/hu.45[配列番号76および127];130.1/hu.47[配列番号77および128;GenBank受託番号AY530610];140.1/hu.51[配列番号161お
よび190;GenBank受託番号AY530613];ならびに140.2/hu.52[配列番号167および191;GenBank受託番号AY530614]の1種若しくはそれより多く由来のキャプシドを有するAAVを制限なしに包含しうる。
【0038】
C.同源系統群C(AAV2−AAV3ハイブリッドの同源系統群)
別の局面において、本発明は、H−6/hu.4;H−2/hu.2[米国特許出願第2003/0138772号明細書(2003年6月24日)のような以前に公表されたAAV2およびAAV3のハイブリッドであるAAVを含有することを特徴とする同源系統群Cを提供する。加えて、本同源系統群は、3.1/hu.9[配列番号58および155];16.8/hu.10[配列番号56および156];16.12/hu.11[配列番号57および153];145.1/hu.53[配列番号176および186];145.6/hu.55[配列番号178および187];145.5/hu.54[配列番号177および188];7.3/hu.7[配列番号55および150;現在GenBank受託番号AY530628として寄託されている];改変hu.7[配列番号226];33.4/hu.15[配列番号50および147];33.8/hu.16[配列番号51および148];hu.18[配列番号52および149];58.2/hu.25[配列番号49および146];161.10/hu.60[配列番号170および184];H−5/hu.3[配列番号44および145];H−1/hu.1[配列番号46および144];ならびに161.6/hu.61[配列番号174および185]を制限なしに包含する新規AAVを含有する。
【0039】
一態様において、本同源系統群のメンバーの1つ若しくはそれより多くは、hu.4および/若しくはhu.2キャプシドのvp1、vp2若しくはvp3の完全長にわたり少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、若しくは少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性をもつキャプシドを有する。
【0040】
別の態様において、本発明は同源系統群C(AAV2−AAV3ハイブリッドの同源系統群)の新規AAVを提供するが、但し、該新規AAVのいずれもhu.2若しくはhu.4のキャプシドを含まない。これらのAAVは、3.1/hu.9[配列番号58および155];16.8/hu.10[配列番号56および156];16.12/hu.11[配列番号57および153];145.1/hu.53[配列番号176および186];145.6/hu.55[配列番号178および187];145.5/hu.54[配列番号177および188];7.3/hu.7[配列番号55および150];改変hu.7[配列番号226];33.4/hu.15[配列番号50および147];33.8/hu.16[配列番号51および148];58.2/hu.25[配列番号49および146];161.10/hu.60[配列番号170および184];H−5/hu.3[配列番号44および145];H−1/hu.1[配列番号46および144];ならびに161.6/hu.61[配列番号174および185]の1種若しくはそれより多く由来のキャプシドを有するAAVを制限なしに包含しうる。
【0041】
D.同源系統群D(AAV7同源系統群)
別の態様において、本発明は同源系統群Dを提供する。本同源系統群は以前に記述されたAAV7[G.Gaoら、Proc.Natl Acad.Sci USA、99:11854−9(2002年9月3日)を含有することを特徴とする。AAV7のキャプシドをコードする核酸配列が配列番号184に再現されており;AAV7キャプシドのアミノ酸配列は配列番号185に再現されている。加えて、該同源系統群は:cy.2;cy.3;cy.4;cy.5;cy.6;rh.13;rh.37;rh.36;およびrh.35[米国特許出願公開第US 2003/0138772 A1号明細書(2003年7月24日)]を包含する、多数の以前に記述されたAAV配列を含有する。加えて、該AAV7同源系統群は、2−15/rh.62[配列番号33および114];1−
7/rh.48[配列番号32および115];4−9/rh.54[配列番号40および116];ならびに4−19/rh.55[配列番号37および117]を制限なしに包含する新規AAV配列を含有する。本発明はさらに、改変cy.5[配列番号227];改変rh.13[配列番号228];および改変rh.37[配列番号229]を包含する。
【0042】
一態様において、本同源系統群のメンバーの1種若しくはそれより多くは、AAV7キャプシド、配列番号184および185のvp1、vp2若しくはvp3の完全長にわたる少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性若しくは少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性をもつキャプシドを有する。
【0043】
別の態様において、本発明は同源系統群Dの新規AAVを提供するが、但し、該新規AAVのいずれも、cy.2;cy.3;cy.4;cy.5;cy.6;rh.13;rh.37;rh.36;およびrh.35のいずれのキャプシドも含まない。これらのAAVは、以下の2−15/rh.62[配列番号33および114];1−7/rh.48[配列番号32および115];4−9/rh.54[配列番号40および116];ならびに4−19/rh.55[配列番号37および117]の1種若しくはそれより多く由来のキャプシドを有するAAVを制限なしに包含しうる。
【0044】
E.同源系統群E(AAV8同源系統群)
一局面において、本発明は同源系統群Eを提供する。本同源系統群は以前に記述されたAAV8[G.Gaoら、Proc.Natl Acad.Sci USA.99:11854−9(2002年9月3日)];43.1/rh.2;44.2/rh.10;rh.25;29.3/bb.1;および29.5/bb.2[米国特許出願公開第US 2003/0138772 A1号明細書(2003年7月24日)]を含有することを特徴とする。
【0045】
さらに、例えば30.10/pi.1[配列番号28および93];30.12/pi.2[配列番号30および95、30.19/pi.3[配列番号29および94]、LG−4/rh.38[配列番号7および86];LG−10/rh.40[配列番号14および92];N721−8/rh.43[配列番号43および163];1−8/rh.49[配列番号25および103];2−4/rh.50[配列番号23および108];2−5/rh.51[配列番号22および104];3−9/rh.52[配列番号18および96];3−11/rh.53[配列番号17および97];5−3/rh.57[配列番号26および105];5−22/rh.58[配列番号27および58];2−3/rh.61[配列番号21および107];4−8/rh.64[配列番号15および99];3.1/hu.6[配列番号5および84];33.12/hu.17[配列番号4および83];106.1/hu.37[配列番号10および88];LG−9/hu.39[配列番号24および102];114.3/hu.40[配列番号11および87];127.2/hu.41[配列番号6および91];127.5/hu.42[配列番号8および85];hu.66[配列番号173および197];ならびにhu.67[配列番号174および198]を包含する制限なしに包含する同源系統群新規AAV配列。本同源系統群はさらに、改変rh.2[配列番号231];改変rh.58[配列番号232];改変rh.64[配列番号233]を包含する。
【0046】
一態様において、本同源系統群のメンバーの1種若しくはそれより多くは、AAV8キャプシドのvp1、vp2若しくはvp3の完全長にわたる少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性若しくは少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性をもつキャプシドを有する。AAV8キャプシドをコードする核酸配列は配列番号186に再現されており、また、該キャプシドのアミノ酸配列は配列番号1
87に再現されている。
【0047】
別の態様において、本発明は同源系統群Eの新規AAVを提供するが、但し、該新規AAVのいずれもAAV8、rh.8;44.2/rh.10;rh.25;29.3/bb.1;および29.5/bb.2[米国特許出願公開第US 2003/0138772 A1号明細書(2003年7月24日)]のいずれのキャプシドも含まない。これらのAAVは、以下、すなわち30.10/pi.1[配列番号28および93]、30.12/pi.2[配列番号30および95、30.19/pi.3[配列番号29および94]、LG−4/rh.38[配列番号7および86];LG−10/rh.40[配列番号14および92];N721−8/rh.43[配列番号43および163];1−8/rh.49[配列番号25および103];2−4/rh.50[配列番号23および108];2−5/rh.51[配列番号22および104];3−9/rh.52[配列番号18および96];3−11/rh.53[配列番号17および97];5−3/rh.57[配列番号26および105];5−22/rh.58[配列番号27および58];改変rh.58[配列番号232];2−3/rh.61[配列番号21および107];4−8/rh.64[配列番号15および99];改変rh.64[配列番号233];3.1/hu.6[配列番号5および84];33.12/hu.17[配列番号4および83];106.1/hu.37[配列番号10および88];LG−9/hu.39[配列番号24および102];114.3/hu.40[配列番号11および87];127.2/hu.41[配列番号6および91];127.5/hu.42[配列番号8および85];hu.66[配列番号173および197];ならびにhu.67[配列番号174および198]の1種若しくはそれより多く由来のキャプシドを有するAAVを制限なしに包含しうる。
【0048】
F.同源系統群F(AAV9同源系統群)
本同源系統群は本明細書でhu.14/AAV9[配列番号3および123]として同定される新規AAV血清型の名称により同定される。加えて、本同源系統群は、hu.31[配列番号1および121];ならびにhu.32[配列番号2および122]を包含する他の新規配列を含有する。
【0049】
一態様において、本同源系統群のメンバーの1つ若しくはそれより多くは、AAV9キャプシド、配列番号3および123のvp1、vp2若しくはvp3の完全長にわたる少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、若しくは少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性をもつキャプシドを有する。
【0050】
別の態様において、本発明は、hu.14/AAV9[配列番号3および123]、hu.31[配列番号1および121]ならびにhu.32[配列番号1および122]の1種若しくはそれより多く由来のキャプシドを有するAAVを制限なしに包含する同源系統群Fの新規AAVを提供する。
【0051】
本発明のAAV同源系統群は、ウイルスベクターを生成させるためおよびターゲッティング分子を生成させるための関係するAAVのすぐに使える集合物を提供することを包含する多様な目的上有用である。これらの同源系統群は、当業者に容易に明らかであろう多様な目的上のツールとしてもまた使用しうる。
【0052】
II.新規AAV配列
本発明は、クローンhu.14/28.4およびhuAAV9と本明細書で互換性に命名される新規AAV血清型の核酸配列およびアミノ酸を提供する。これらの配列は、肝、筋および肺の形質導入で高度に効率的であるベクターを構築するために有用である。本新規AAVおよびその配列は多様な他の目的上もまた有用である。これらの配列はGenB
ankに提出されており、そして本明細書で同定される受託番号を割り当てられた。
【0053】
本発明はさらに、多数の新規AAVの核酸配列およびアミノ酸配列を提供する。これらの配列の多くは、下に要約されるとおり1同源系統群のメンバーとして上述されたものを包含する。
【0054】
128.1/hu.43[配列番号80および160 GenBank受託番号AY530606];改変hu.43[配列番号236];128.3/hu.44[配列番号81および158;GenBank受託番号AY530607]ならびに130.4/hu.48[配列番号78および157;GenBank受託番号AY530611];同源系統群Aから;
52/hu.19[配列番号62および133;GenBank受託番号AY530584]、52.1/hu.20[配列番号63および134;GenBank受託番号AY530586]、54.5/hu.23[配列番号60および137;GenBank受託番号AY530589]、54.2/hu.22[配列番号67および138;GenBank受託番号AY530588]、54.7/hu.24[配列番号66および136;GenBank受託番号AY530590]、54.1/hu.21[配列番号65および135;GenBank受託番号AY530587]、54.4R/hu.27[配列番号64および140;GenBank受託番号AY530592];46.2/hu.28[配列番号68および130;GenBank受託番号AY530593];46.6/hu.29[配列番号69および132;GenBank受託番号AY530594];改変hu.29[配列番号225];172.1/hu.63[配列番号171および195];ならびに140.2/hu.52(配列番号167および191;同源系統群Bから;
同源系統群Cからの3.1/hu.9[配列番号58および155;GenBank受託番号AY530626];16.8/hu.10[配列番号56および156;GenBank受託番号AY530576];16.12/hu.11[配列番号57および153;GenBank受託番号AY530577];145.1/hu.53[配列番号176および186;GenBank受託番号AY530615];145.6/hu.55[配列番号178および187;GenBank受託番号AY530617];145.5/hu.54[配列番号177および188;GenBank受託番号AY530616];7.3/hu.7[配列番号55および150;GenBank受託番号AY530628];改変hu.7[配列番号226];hu.18[配列番号52および149;GenBank受託番号AY530583];33.4/hu.15[配列番号50および147;GenBank受託番号AY530580];33.8/hu.16[配列番号51および148;GenBank受託番号AY530581];58.2/hu.25[配列番号49および146;GenBank受託番号AY530591];161.10/hu.60[配列番号170および184;GenBank受託番号AY530622];H−5/hu.3[配列番号44および145;GenBank受託番号AY530595];H−1/hu.1[配列番号46および144;GenBank受託番号AY530575];ならびに161.6/hu.61[配列番号174および185;GenBank受託番号AY530623];
同源系統群Dからの2−15/rh.62[配列番号33および114;GenBank受託番号AY530573];1−7/rh.48[配列番号32および115;GenBank受託番号AY530561];4−9/rh.54[配列番号40および116;GenBank受託番号AY530567];ならびに4−19/rh.55[配列番号37および117;GenBank受託番号AY530568];改変cy.5[配列番号227];改変rh.13[配列番号228];ならびに改変rh.37[配列番号229];
30.10/pi.1[配列番号28および93;GenBank受託番号AY530
55]、30.12/pi.2[配列番号30および95;GenBank受託番号AY530554]、30.19/pi.3[配列番号29および94;GenBank受託番号AY530555]、LG−4/rh.38[配列番号7および86;GenBank受託番号AY530558];LG−10/rh.40[配列番号14および92;GenBank受託番号AY530559];N721−8/rh.43[配列番号43および163;GenBank受託番号AY530560];1−8/rh.49[配列番号25および103;GenBank受託番号AY530561];2−4/rh.50[配列番号23および108;GenBank受託番号AY530563];2−5/rh.51[配列番号22および104;GenBank受託番号530564];3−9/rh.52[配列番号18および96;GenBank受託番号AY530565];3−11/rh.53[配列番号17および97;GenBank受託番号AY530566];5−3/rh.57[配列番号26および105;GenBank受託番号AY530569];5−22/rh.58[配列番号27および58;GenBank受託番号530570];改変rh.58[配列番号232];2−3/rh.61[配列番号21および107;GenBank受託番号AY530572];4−8/rh.64[配列番号15および99;GenBank受託番号AY530574];改変rh.64[配列番号233];3.1/hu.6[配列番号5および84;GenBank受託番号AY530621];33.12/hu.17[配列番号4および83;GenBank受託番号AY530582];106.1/hu.37[配列番号10および88;GenBank受託番号AY530600];LG−9/hu.39[配列番号24および102;GenBank受託番号AY530601];114.3/hu.40[配列番号11および87;GenBank受託番号AY530603];127.2/hu.41[配列番号6および91;GenBank受託番号AY530604];127.5/hu.42[配列番号8および85;GenBank受託番号AY530605];ならびにhu.66[配列番号173および197;GenBank受託番号AY530626];ならびにhu.67[配列番号174および198;GenBank受託番号AY530627];ならびに改変rh.2[配列番号231];同源系統群Eから;
同源系統群Fからのhu.14/AAV9[配列番号3および123;GenBank受託番号AY530579]、hu.31[配列番号1および121;AY530596]ならびにhu.32[配列番号1および122;GenBank受託番号AY530597]。
【0055】
加えて、本発明は、上述された同源系統群の定義の外側にある、rh.59[配列番号49および110];rh.60[配列番号31および120;GenBank受託番号AY530571]、改変ch.5[配列番号234];ならびに改変rh.8[配列番号235]を包含するAAV配列を提供する。
【0056】
本発明のAAV配列のフラグメントもまた提供される。これらのフラグメントのそれぞれは多様なベクター系および宿主細胞で容易に利用しうる。vp1、vp2、vp3および超可変領域を包含するcapタンパク質が望ましいAAVフラグメントである。所望の場合は、公開された米国特許公開第US 2003/0138772 A1号明細書(2003年7月24日)]に記述される方法論を使用して、上で同定されたAAVクローンのrep配列を得ることができる。こうしたrep配列は、例えば、rep 78、rep 68、rep 52およびrep 40、ならびにこれらのタンパク質をコードする配列を包含する。同様に、AAVの逆方向末端反復配列(ITR)、AAV P19配列、AAV P40配列、rep結合部位および末端決定部位(terminal resolute site)(TRS)を包含するこれらのクローンの他のフラグメントは、引用される特許刊行物に記述される技術を使用して得ることができる。なお他の適するフラグメントは当業者に容易に明らかであろう。
【0057】
本発明のキャプシドおよび他のフラグメントは、多様なベクター系および宿主細胞中で容易に利用し得る。こうしたフラグメントは、単独で、他のAAV配列若しくはフラグメントとともに、または他のAAV若しくはAAV以外のウイルス配列からの要素とともに使用しうる。特定の望ましい一態様において、ベクターは本発明のAAV capおよび/若しくはrep配列を含有する。
【0058】
AAV配列およびそれらのフラグメントはrAAVの製造において有用であり、そしてまたアンチセンス送達ベクター、遺伝子治療ベクター若しくはワクチンベクターとしても有用である。本発明はさらに、本発明のAAV配列を含有する核酸分子、遺伝子送達ベクターおよび宿主細胞を提供する。
【0059】
適するフラグメントは本明細書に提供される情報を使用して決定し得る。
【0060】
本明細書に記述されるとおり、本発明のAAVキャプシドタンパク質を含有する本発明のベクターは、他のAAV血清型に基づくベクターならびに他のウイルスベクターの有効性を中和抗体が消失させる応用での使用にとりわけ良好に適する。本発明のrAAVベクターは、rAAVの再投与および反復遺伝子治療でとりわけ有利である。
【0061】
本発明のこれらおよび他の態様および利点を下により詳細に記述する。
A.AAV血清型9/hu14配列
本発明は、本明細書でクローンhu.14(以前は28.4と命名されていた)およびhuAAV9と互換性の命名される新規AAVの核酸配列およびアミノ酸を提供する。本明細書に定義されるとおり、新規血清型AAV9は、hu.14の配列[配列番号123]を有するキャプシドと血清学的に交差反応しかつAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7若しくはAAV8のいずれのキャプシドに対して生成させた抗体とも血清学的に交差反応しない抗体を生成させるキャプシドを有するAAVを指す。
【0062】
1.核酸配列
本発明のAAV9核酸配列は、2211ヌクレオチドよりなる配列番号3のDNA配列を包含する。
【0063】
本発明の核酸配列は、配列番号3に相補的である鎖、ならびに配列番号3に対応するRNAおよびcDNA配列、ならびにそれらの相補鎖をさらに包含する。配列番号3の天然のバリアントおよび工作した修飾ならびにそれらの相補鎖もまた本発明の核酸配列に包含される。こうした修飾は、例えば、当該技術分野で既知である標識、メチル化、ならびに天然に存在するヌクレオチドの1個若しくはそれより多くの縮重ヌクレオチドでの置換を包含する。
【0064】
配列番号3に対し約90%以上、より好ましくは少なくとも約95%、および最も好ましくは少なくとも約98ないし99%同一若しくは相同である核酸配列が本発明にさらに包含される。
【0065】
配列番号3のフラグメント、その相補鎖、ならびにそれに対し相補的なcDNAおよびRNAもまた本発明内に包含される。適するフラグメントは長さ少なくとも15ヌクレオチドであり、そして機能的フラグメント、すなわち生物学的に興味深いフラグメントを包含する。こうしたフラグメントは、選択的スプライスバリアントであるAAV9/HU.14キャプシドの3個の可変タンパク質(vp)すなわちvp1[配列番号3のnt1ないし2211];vp2[配列番号3のnt411ないし2211];およびvp3[配列番号3の約nt609ないし2211]をコードする配列を包含する。配列番号3の他
の適するフラグメントは、AAV9/HU.14キャプシドタンパク質の開始コドンを含有するフラグメント、およびvp1キャプシドタンパク質の超可変領域をコードするフラグメントを包含し、これらは本明細書に記述される。
【0066】
図面および配列表に提供される核酸配列を包含することに加え、本発明は、本発明のAAV血清型のアミノ酸配列、タンパク質およびペプチドを発現するよう設計されている核酸分子および配列を包含する。従って、本発明は、以下の新規AAVアミノ酸配列、ならびにこれらの配列および/若しくはそれらの独特のフラグメントを使用して生成される人工的AAV血清型をコードする核酸配列を包含する。
【0067】
本明細書で使用されるところの人工的AAV血清型は、天然に存在しないキャプシドタンパク質をもつAAVを制限なしに包含する。こうした人工的キャプシドは、別のAAV血清型(既知若しくは新規)、同一のAAV血清型の連続しない部分、AAV以外のウイルス供給源、またはウイルス以外の供給源から得ることができる異種配列とともに本発明の新規AAV配列(例えばvp1キャプシドタンパク質のフラグメント)を使用して、いずれの適する方法により生成させてもよい。人工的AAV血清型は、制限なしにキメラAAVキャプシド、組換えAAVキャプシド若しくは「ヒト化」AAVキャプシドでありうる。
【0068】
2.HU.14/AAV9のアミノ酸配列、タンパク質およびペプチド
本発明はさらに、本発明のhu.14/AAV9核酸によりコードされるタンパク質およびそれらのフラグメント、ならびに他の方法により生成されるhu.14/AAV9タンパク質およびフラグメントを提供する。本明細書で使用されるところのこれらのタンパク質は集成されたキャプシドを包含する。本発明はさらに、合成、組換え、若しくは当業者に既知の他の技術を使用して生成される本発明の新規AAV血清型の配列を使用して生成されるAAV血清型を包含する。本発明は、本発明の新規AAV核酸配列から発現された新規AAVアミノ酸配列、ペプチドおよびタンパク質に制限されないが、しかし、例えば化学合成、他の合成技術若しくは他の方法によるを包含する当該技術分野で既知の他の方法により生成されるアミノ酸配列、ペプチドおよびタンパク質を包含する。本明細書に提供されるAAVキャプシドのいずれの配列も、多様な技術を使用して容易に生成させ得る。
【0069】
適する製造後術は当業者に公知である。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press(ニューヨーク州コールドスプリングハーバー)を参照されたい。あるいは、ペプチドは公知の固相ペプチド合成法(Merrifield、J.Am.Chem.Soc.、85:2149(1962);StewartとYoung、Solid Phase Peptide Synthesis(Freeman、サンフランシスコ、1969)pp.27−62)によってもまた合成し得る。これらおよび他の適する製造方法は当業者の知識内にあり、そして本発明の制限でない。
【0070】
とりわけ望ましいタンパク質は、上で同定されたヌクレオチド配列によりコードされるAAVキャプシドタンパク質を包含する。AAVキャプシドは、選択的スプライスバリアントである3種のタンパク質vp1、vp2およびvp3から構成される。図2に提供される完全長の配列はvp1のものである。AAV9/HU.14キャプシドタンパク質は、vp1[配列番号123のアミノ酸(aa)1ないし736]、vp2[配列番号123の約aa138ないし736]、vp3[配列番号123の約aa203ないし736]、およびそれらの機能的フラグメントを包含する。該キャプシドタンパク質の他の所望のフラグメントは、超可変領域(HVR)の間に配置される定常および可変領域を包含する。キャプシドタンパク質の他の所望のフラグメントはHVRそれら自身を包含する。
【0071】
AAV2中の配列の異なる領域を決定するために開発されたアルゴリズムは12個の超可変領域(HVR)を生じ、そのうち5個は4種の以前に記述された可変領域とオーバーラップするかもしくはそれらの一部である。[Chioriniら、J.Virol、73:1309−19(1999);Rutledgeら、J.Virol.、72:309−319]このアルゴリズムおよび/若しくは本明細書に記述されるアライメント技術を使用して、新規AAV血清型のHVRを決定する。例えば、該HVRは以下のとおり配置される。すなわち、HVR1、aa146−152;HVR2、aa182−186;HVR3、aa262−264;HVR4、aa381−383;HVR5、aa450−474;HVR6、aa490−495;HVR7、aa500−504;HVR8、aa514−522;HVR9、aa534−555;HVR10、aa581−594;HVR11、aa658−667;およびHVR12、aa705−719[番号付け体系は、AAV2 vp1を参照の点として使用するアライメントに基づく]。Clustal Xプログラムをデフォルトの設定で使用して実施した本明細書に提供されるアライメントを使用して、または、他の商業的に若しくは公的に入手可能なアライメントプログラムを本明細書に記述されるようなデフォルトの設定で使用して、当業者は、本発明の新規AAVキャプシドの対応するフラグメントを容易に決定し得る。
【0072】
AAV9/HU.14キャプシドタンパク質のなお他の所望のフラグメントは、配列番号123のアミノ酸1ないし184、アミノ酸199ないし259;アミノ酸274ないし446;アミノ酸603ないし659;アミノ酸670ないし706;配列番号123のアミノ酸724ないし736;aa185−198;aa260−273;aa447−477;aa495−602;aa660−669;およびaa707−723を包含する。加えて、AAVキャプシドの他の適するフラグメントの例は、AAV9[配列番号123]の番号付けに関して、aa24−42、aa25−28;aa81−85;aa133−165;aa134−165;aa137−143;aa154−156;aa194−208;aa261−274;aa262−274;aa171−173;aa413−417;aa449−478;aa494−525;aa534−571;aa581−601;aa660−671;aa709−723を包含する。Clustal
Xプログラムをデフォルトの設定で使用して実施した本明細書に提供されるアライメントを使用して、または、他の商業的に若しくは公的に入手可能なアライメントプログラムをデフォルトの設定で使用して、当業者は、本発明の新規AAVキャプシドの対応するフラグメントを容易に決定し得る。
【0073】
なお他の所望のAAV9/HU.14タンパク質はrepタンパク質を包含するはrep68/78およびrep40/52を包含する。
【0074】
適しては、フラグメントは長さ少なくとも8アミノ酸である。しかしながら、他の所望の長さのフラグメントを容易に利用しうる。こうしたフラグメントは、組換えで、若しくは他の適する手段例えば化学合成により製造しうる。
【0075】
本発明はさらに、本明細書に提供される配列情報を使用して同定される他のAAV9/HU.14配列を提供する。例えば、本明細書に提供されるAAV9/HU.14配列を与えられれば、ゲノム歩行技術(Siebertら、1995、Nucleic Acid Research、23:1087−1088、Friezner−Degenら、1986、J.Biol.Chem.261:6972−6985、BD Biosciences Clontech、カリフォルニア州パロアルト)を使用して、感染性のAAV9/HU.14を単離しうる。ゲノム歩行は、本発明の方法により同定される新規配列に隣接する配列を同定および単離するのにとりわけ十分に適する。本技術は、本明細書に提供される新規AAVキャプシドおよびrep配列に基づいて新規AAV9/HU.1
4血清型の逆方向末端反復配列(ITR)を単離するためにもまた有用である。
【0076】
本発明の配列、タンパク質およびフラグメントは、組換え製造、化学合成若しくは他の合成手段を包含するいずれの適する手段によっても製造しうる。こうした製造方法は当業者の知識内にありかつ本発明の制限でない。
【0077】
III.新規AAVキャプシドをもつrAAVの製造
本発明は、これらのウイルスが本来会合しているDNAおよび/若しくは細胞物質を含まない新規AAVキャプシド配列を包含する。本明細書に提供される新規AAVキャプシドの全部を反復することを回避するため、言及はこれおよび以下の節を通じてhu.14/AAV9キャプシドに対しなされる。しかしながら、本発明の他の新規AAVキャプシド配列を類似の様式で使用し得ることが認識されるべきである。
【0078】
別の局面において、本発明は、異種遺伝子若しくは他の核酸配列の標的細胞への送達において有用な分子の製造のためにそれらのフラグメントを包含する本発明の新規AAV配列を利用する分子を提供する。
【0079】
別の局面において、本発明は、異種遺伝子若しくは他の核酸配列の標的細胞への送達において有用なウイルスベクターの製造のためのそれらのフラグメントを包含する本発明のAAV配列を利用する分子を提供する。
【0080】
AAV配列を含有する本発明の分子は、宿主細胞に送達されうるいかなる遺伝因子(ベクター)、例えば、その上に運搬される配列を移入する裸のDNA、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、エピソーム、ウイルス以外の送達ベヒクル(例えば脂質に基づく担体)中のタンパク質、ウイルスなども包含する。選択されたベクターは、トランスフェクション、電気穿孔法、リポソーム送達、膜融合技術、高速DNA被覆ペレット、ウイルス感染およびプロトプラスト融合を包含するいずれの適する方法によっても送達しうる。本発明のいずれの態様を構築するのに使用される方法も、核酸操作の当業者に既知であり、そして遺伝子工学、組換え工学および合成技術を包含する。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、ニューヨーク州コールドスプリングハーバーを参照されたい。
【0081】
一態様において、本発明のベクターは、とりわけ、本発明のAAVキャプシド若しくはそのフラグメントをコードする配列を含有する。別の態様において、本発明のベクターは少なくともAAV repタンパク質若しくはそのフラグメントをコードする配列を含有する。場合によっては、本発明のベクターはAAV capおよびrepタンパク質双方を含有しうる。AAV repおよびcap双方が提供されるベクターにおいて、AAV
repおよびAAV cap配列は同一の同源系統群のAAVから発し得る。あるいは、本発明は、rep配列がcap配列を提供しているAAV供給源と異なるAAV供給源からであるベクターを提供する。一態様において、repおよびcap配列は別個の供給源(例えば別個のベクター、若しくは宿主細胞およびベクター)から発現される。別の態様において、これらのrep配列は、異なるAAV供給源のcap配列にインフレームで融合されてキメラAAVベクターを形成する。場合によっては、本発明のベクターは本発明のAAVキャプシドにパッケージングされたベクターである。これらのベクター、および本明細書に記述される他のベクターは、AAV 5’ITRおよびAAV 3’ITRにより隣接される選択された導入遺伝子を含んでなるミニ遺伝子をさらに含有し得る。
【0082】
従って、一態様において、本明細書に記述されるベクターは、単一のAAV配列(例えばAAV9/HU.14)からでありうる無傷のAAVキャプシドをコードする核酸配列
を含有する。こうしたキャプシドは配列番号123のアミノ酸1ないし736を含みうる。あるいは、これらのベクターは、異種AAV若しくはAAV以外のキャプシドタンパク質(またはそれらのフラグメント)に融合されたAAV9/HU.14キャプシドの1種若しくはそれより多くのフラグメントを含有する人工的キャプシドをコードする配列を含有する。これらの人工的キャプシドタンパク質は、AAV9/HU.14キャプシドの連続しない部分若しくは他のAAVのキャプシドから選択される。例えば、rAAVは、vp2および/若しくはvp3、またはvp1、あるいはAAV9/HU.14キャプシド、配列番号123のアミノ酸1ないし184、アミノ酸199ないし259;アミノ酸274ないし446;アミノ酸603ないし659;アミノ酸670ないし706;アミノ酸724ないし738から選択されるそれらのフラグメントから選択されるAAV9/HU.14キャプシド領域の1種若しくはそれより多くを含んでなるキャプシドタンパク質を有しうる。別の例において、vp3タンパク質の開始コドンをGTGに変えることが望ましいことがある。あるいは、rAAVは、本明細書で同定されるAAV血清型9キャプシドタンパク質の超可変領域、若しくはAAV9/HU.14キャプシドのaa185−198;aa260−273;aa447−477;aa495−602;aa660−669;およびaa707−723を制限なしに包含する他のフラグメントの1種若しくはそれより多くを含有しうる。配列番号123を参照されたい。これらの改変は、選択された発現系において、または別の所望の目的上(例えば向性を変える、すなわち中和抗体のエピトープを変える)、発現、収量を増大させかつ/若しくは精製を向上させるはずでありうる。
【0083】
本明細書に記述されるベクター、例えばプラスミドは多様な目的上有用であるが、しかし、AAV配列若しくはそれらのフラグメントを含んでなるキャプシドを含有するrAAVの製造における使用にとりわけ良好に適する。rAAVを包含するこれらのベクター、それらの要素、構築および用途は本明細書に詳細に記述される。
【0084】
一局面において、本発明は、AAV血清型9キャプシド若しくはその一部分を有する組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)の生成方法を提供する。こうした方法は、本明細書で定義されるところのAAV血清型9キャプシドタンパク質若しくはそのフラグメント;機能的rep遺伝子;少なくともAAV逆方向末端反復配列(ITR)および導入遺伝子から構成されるミニ遺伝子;ならびに該ミニ遺伝子のAAV9/HU.14キャプシドタンパク質中へのパッケージングを可能にするのに十分なヘルパー機能をコードする核酸配列を含有する宿主細胞を培養することを必要とする。
【0085】
AAVミニ遺伝子をAAVキャプシドにパッケージングするために宿主細胞中で培養されることが必要とされる成分は宿主細胞にtransで供給しうる。あるいは、必要とされる成分(例えばミニ遺伝子、rep配列、cap配列および/若しくはヘルパー機能)のいずれか1種若しくはそれより多くは、必要とされる成分の1種若しくはそれより多くを含有するように当業者に既知の方法を使用して工作された安定な宿主細胞により提供しうる。最も適しては、こうした安定な宿主細胞は誘導可能なプロモーターの制御下に必要とされる成分(1種若しくは複数)を含有することができる。しかしながら、該必要とされる成分(1種若しくは複数)は構成的プロモーターの制御下にありうる。適する誘導可能なおよび構成的プロモーターの例は、導入遺伝子との使用に適する調節エレメントの論考において本明細書に提供される。なお別の代替において、選択された安定な宿主細胞は、構成的プロモーターの制御下の選択された成分(1種若しくは複数)および1種若しくはそれより多くの誘導可能なプロモーターの制御下の他の選択された成分(1種若しくは複数)を含有しうる。例えば、293細胞(構成的プロモーターの制御下にE1ヘルパー機能を含有する)由来であるがしかし誘導可能なプロモーターの制御下にrepおよび/若しくはcapタンパク質を含有する安定な宿主細胞を生成させうる。なお他の安定な宿主細胞を当業者により生成しうる。
【0086】
本発明のrAAVを製造するのに必要とされるミニ遺伝子、rep配列、cap配列およびヘルパー機能は、その上に運搬される配列を移入するいずれかの遺伝因子の形態でパッケージング宿主細胞に送達しうる。選択された遺伝因子は、本明細書に記述されるものを包含するいずれの適する方法によっても送達しうる。本発明のいずれの態様を構築するのに使用される方法も核酸操作の当業者に既知であり、そして遺伝子工学、組換え工学および合成技術を包含する。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、ニューヨーク州コールドスプリングハーバーを参照されたい。同様に、rAAVビリオンの生成方法は公知であり、また、適する方法の選択は本発明に対する制限でない。例えばK.Fisherら、J.Virol.、70:520−532(1993)および米国特許第5,478,745号明細書を参照されたい。
【0087】
別の方法で明記されない限り、AAV ITRおよび本明細書に記述される他の選択されたAAV成分は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV9および本発明の他の新規AAV配列の1種を制限なしに包含するいかなるAAVの中からも容易に選択しうる。これらのITR若しくは他のAAV成分は、当業者に利用可能な技術を使用してAAV配列から容易に単離しうる。こうしたAAVは、単離しうるか、または学術的、商業的若しくは公的な供給源(例えばAmerican Type Culture Collection、バージニア州マナサス)から得ることができる。あるいは、AAV配列は、文献、または例えばGenBank(R)、PubMed(R)などのようなデータベースで入手可能であるような公表された配列を参照することにより、合成若しくは他の適する手段により得ることができる。
【0088】
A.ミニ遺伝子
ミニ遺伝子は、少なくとも導入遺伝子およびその制御配列、ならびに5’および3’のAAV逆方向末端反復配列(ITR)から構成される。所望の一態様において、AAV血清型2のITRを使用する。しかしながら他の適する供給源からのITRを選択しうる。キャプシドタンパク質にパッケージングされかつ選択された宿主細胞に送達されるのはこのミニ遺伝子である。
【0089】
1.導入遺伝子
導入遺伝子は、目的のポリペプチド、タンパク質若しくは他の産物をコードする、導入遺伝子に隣接するベクター配列に対し異種の核酸配列である。該核酸コーディング配列は、宿主細胞中での導入遺伝子の転写、翻訳および/若しくは発現を可能にする様式で調節成分に効果的に連結される。
【0090】
導入遺伝子配列の組成は、生じるベクターが置かれるであろう使用に依存することができる。例えば、1つの型の導入遺伝子配列は、発現に際して検出可能なシグナルを生じるレポーター配列を包含する。こうしたレポーター遺伝子は、それに向けられた高親和性抗体が存在するか若しくは慣習的手段により製造され得るβ−ラクタマーゼ、β−ガラクトシダーゼ(LacZ)、アルカリホスファターゼ、チミジンキナーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、強化GFP(EGFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、例えばCD2、CD4、CD8を包含する膜結合タンパク質、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質および当該技術分野で公知の他者、ならびにとりわけヘマグルチニン若しくはMycからの抗原タグドメインに適切に融合された膜結合タンパク質を含んでなる融合タンパク質をコードするDNA配列を制限なしに包含する。
【0091】
これらのコーディング配列は、それらの発現を駆動する調節エレメントと会合される場
合に、酵素、X線撮影、比色、蛍光若しくは他の分光学的アッセイ、蛍光標示式細胞分取アッセイ、ならびに酵素結合免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)および免疫組織化学を包含する免疫学的アッセイを包含する慣習的手段により検出可能なシグナルを提供する。例えば、マーカー配列がLacZ遺伝子である場合、該シグナルを運搬するベクターの存在はβ−ガラクトシダーゼ活性についてのアッセイにより検出する。導入遺伝子が緑色結合タンパク質若しくはルシフェラーゼである場合、該シグナルを運搬するベクターは、ルミノメーターで色若しくは光の産生により視覚的に測定しうる。
【0092】
しかしながら、望ましくは、導入遺伝子は、タンパク質、ペプチド、RNA、酵素、ドミナントネガティブの変異体若しくは触媒的RNAのような生物学および医学で有用である産物をコードするマーカー以外の配列である。所望のRNA分子は、tRNA、dsRNA、リボソームRNA、触媒的RNA、siRNA、小分子ヘアピン型RNA、transスプライシングRNAおよびアンチセンスRNAを包含する。有用なRNA配列の一例は、処置した動物で標的とされた核酸配列の発現を阻害若しくは消失させる配列である。典型的には、適する標的配列は腫瘍学的標的およびウイルス性疾患を包含する。こうした標的の例については、下で免疫原に関する節にて同定される腫瘍学的標的およびウイルスを参照されたい。
【0093】
導入遺伝子は、正常な遺伝子が正常レベルより少なく発現されている欠損、若しくは機能的遺伝子産物が発現されない欠損を包含しうる遺伝子欠損を是正若しくは改善するのに使用しうる。あるいは、導入遺伝子は、該細胞型若しくは宿主中で本来発現されない産物を細胞に提供しうる。好ましい型の導入遺伝子配列は、宿主細胞中で発現される治療的タンパク質若しくはポリペプチドをコードする。本発明は複数の導入遺伝子を使用することをさらに包含する。ある状況では、1タンパク質の各サブユニットをコードするため、または異なるペプチド若しくはタンパク質をコードするために異なる導入遺伝子を使用しうる。これは、タンパク質サブユニットをコードするDNAの大きさが大きい場合、例えば免疫グロブリン、血小板由来増殖因子若しくはジストロフィンタンパク質に望ましい。細胞が多サブユニットタンパク質を産生するためには、異なるサブユニットのそれぞれを含有する組換えウイルスに細胞を感染させる。あるいは、タンパク質の異なるサブユニットを同一の導入遺伝子によりコードしうる。この場合、単一の導入遺伝子がサブユニットのそれぞれをコードするDNAを包含し、各サブユニットのDNAは配列内リボザイム進入部(IRES)により分離される。これは、サブユニットのそれぞれをコードするDNAの大きさが小さい、例えばサブユニットおよびIRESをコードするDNAの大きさの合計が5キロ塩基対未満である場合に望ましい。IRESに対する一代替として、DNAは、翻訳後事象で自己切断する2Aペプチドをコードする配列により分離しうる。例えば、M.L.Donnellyら、J.Gen.Virol.、78(Pt 1):13−21(1997年1月);Furler,S.ら、Gene Ther.、8(11):864−873(2001年6月);Klump H.ら、Gene Ther.、8(10):811−817(2001年5月)を参照されたい。この2AペプチドはIRESより有意により小さく、空間が制限要因である使用にそれを良好に適するようにする。よりしばしば、導入遺伝子が大きく多サブユニットよりなるか、若しくは2種の導入遺伝子を共送達する場合、所望の導入遺伝子(1種若しくは複数)またはサブユニットを運搬するrAAVを共投与して、それらをin vivoで鎖状体化させて単一のベクターゲノムを形成させる。こうした一態様において、第一のAAVは単一の導入遺伝子を発現する発現カセットを運搬することができ、また、第二のAAVは、宿主細胞中での共発現のための異なる導入遺伝子を発現する発現カセットを運搬しうる。しかしながら、選択された導入遺伝子は、いかなる生物学的活性産物若しくは他の産物、例えば研究に所望の産物もコードしうる。
【0094】
適する導入遺伝子は当業者により容易に選択されうる。導入遺伝子の選択は本発明の制
限であると考えられない。
【0095】
2.調節エレメント
ミニ遺伝子について上で同定された主要エレメントに加え、ベクターは、該プラスミドベクターでトランスフェクトしたか若しくは本発明により製造したウイルスに感染させた細胞中での導入遺伝子の転写、翻訳および/若しくは発現を可能にする様式で導入遺伝子に作動可能に連結されている慣習的調節領域もまた包含する。本明細書で使用されるところの「作動可能に連結されている」配列は、目的の遺伝子と連続する発現制御配列およびtransで若しくは離れて作用して目的の遺伝子を制御する発現制御配列の双方を包含する。
【0096】
発現制御配列は、適切な転写開始、終止、プロモーターおよびエンハンサー配列;スプライシングおよびポリアデニル化(ポリA)シグナルのような効率的RNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を高める配列(すなわちコザックコンセンサス配列);タンパク質の安定性を高める配列;ならびに、所望の場合はコードされる産物の分泌を高める配列を包含する。生来、構成的、誘導可能および/若しくは組織特異的であるプロモーターを包含する多数の発現制御配列が当該技術分野で既知でありかつ利用しうる。
【0097】
構成的プロモーターの例は、レトロウイルスラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター(場合によってはRSVエンハンサーを伴う)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(場合によってはCMVエンハンサーを伴う)[例えばBoshartら、Cell、41:521−530(1985)を参照されたい]、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素プロモーター、β−アクチンプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーター、およびEF1プロモーター[Invitrogen]を制限なしに包含する。誘導可能なプロモーターは遺伝子発現の調節を可能にし、そして外因性に供給される化合物、温度のような環境因子、または特定の生理学的状態(例えば急性期、細胞の特定の分化状態、若しくは複製細胞のみ中)の存在により調節し得る。誘導可能なプロモーターおよび誘導可能な系は、Invitrogen、ClontechおよびAriadを制限なしに包含する多様な商業的供給元から入手可能である。多くの他の系が記述されておりかつ当業者により容易に選択され得る。外因性に供給される化合物により調節される誘導可能なプロモーターの例は、亜鉛で誘導可能なヒツジメタロチオニン(MT)プロモーター、デキサメサゾン(Dex)で誘導可能なマウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7ポリメラーゼプロモーター系[国際特許公開第WO 98/10088号明細書];エクジソン昆虫プロモーター[Noら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:3346−3351(1996)]、テトラサイクリンで抑制可能な系[Gossenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:5547−5551(1992)]、テトラサイクリンで誘導可能な系[Gossenら、Science、268:1766−1769(1995)、Harveyら、Curr.Opin.Chem.Biol.、2:512−518(1998)もまた参照されたい]、RU486で誘導可能な系[Wangら、Nat.Biotech.、15:239−243(1997)およびWangら、Gene Ther.、4:432−441(1997)]、ならびにラパマイシンで誘導可能な系[Magariら、J.Clin.Invest.、100:2865−2872(1997)]を包含する。この情況で有用でありうる他の型の誘導可能なプロモーターは、特定の生理学的状態(例えば温度、急性期、細胞の特定の分化状態、若しくは複製細胞のみ中)により調節されるものである。
【0098】
別の態様において、導入遺伝子の本来のプロモーターを使用することができる。本来のプロモーターは、導入遺伝子の発現が本来の発現を模倣すべきであることが望ましい場合
に好ましいことがある。本来のプロモーターは、導入遺伝子の発現が一時的に若しくは発達的に、または組織特異的様式で、あるいは特定の転写刺激に応答して調節されなければならない場合に使用しうる。さらなる一態様において、エンハンサー要素、ポリアデニル化部位若しくはコザックコンセンサス配列のような他の本来の発現調節領域を、本来の発現を模倣するのにもまた使用しうる。
【0099】
導入遺伝子の別の態様は、組織特異的プロモーターに作動可能に連結された遺伝子を包含する。例えば、骨格筋中での発現が望ましい場合は筋中で活性のプロモーターを使用すべきである。これらは、骨格β−アクチン、ミオシンL鎖2A、ジストロフィン、筋クレアチンキナーゼをコードする遺伝子からのプロモーター、ならびに天然に存在するプロモーターよりも高い活性をもつ合成の筋プロモーターを包含する(Liら、Nat.Biotech.、17:241−245(1999)を参照されたい)。組織特異的であるプロモーターの例は、とりわけ、肝(アルブミン、Miyatakeら、J.Virol.、71:5124−32(1997);B型肝炎ウイルスコアプロモーター、Sandigら、Gene Ther.、3:1002−9(1996);α−フェトプロテイン(AFP)、Arbuthnotら、Hum.Gene Ther.、7:1503−14(1996))、骨オステオカルシン(Steinら、Mol.Biol.Rep.、24:185−96(1997));骨シアロタンパク質(Chenら、J.Bone Miner.Res.、11:654−64(1996))、リンパ球(CD2、Hansalら、J.Immunol.、161:1063−8(1998);免疫グロブリンH鎖;T細胞受容体鎖)、神経特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター(Andersenら、Cell.Mol.Neurobiol.、13:503−15(1993))、神経細糸L鎖遺伝子(Piccioliら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:5611−5(1991))、およびニューロン特異的vgf遺伝子(Piccioliら、Neuron、15:373−84(1995))のような神経のについて既知である。
【0100】
場合によっては、治療上有用な導入遺伝子を運搬するプラスミドは選択可能なマーカーもまた包含しうるか、または、レポーター遺伝子はとりわけジェネチシン、ハイグロマイシン若しくはピューリマイシン耐性をコードする配列を包含しうる。アンピシリン耐性のような、こうした選択可能なレポーター若しくはマーカー遺伝子(好ましくは本発明の方法によりレスキューされるためにウイルスゲノムの外側に配置される)を、細菌細胞中のプラスミドの存在を知らせるのに使用し得る。該プラスミドの他成分は複製起点を包含しうる。これらおよび他のプロモーターおよびベクター要素の選択は慣習的であり、そして多くのこうした配列が利用可能である[例えばSambrookら、およびその中で引用される参考文献を参照されたい]。
【0101】
導入遺伝子、プロモーター/エンハンサー、ならびに5’および3’のAAV ITRの組み合わせは、言及の容易さのため本明細書で「ミニ遺伝子」と称される。本発明の教示とともに提供されるこうしたミニ遺伝子の設計は、慣習的技術を用いることによりなし得る。
【0102】
3.パッケージング宿主細胞へのミニ遺伝子の送達
ミニ遺伝子は、宿主細胞に送達されるいかなる適するベクター、例えばプラスミド上でも運搬され得る。本発明で有用なプラスミドは、それらが複製および場合によっては原核生物細胞、哺乳動物細胞、若しくは双方への組込みに適するように工作しうる。これらのプラスミド(若しくは5’AAV ITR−異種分子−3’AAV ITRを運搬する他のベクター)は、真核生物および/若しくは原核生物中でのミニ遺伝子ならびにこれらの系の選択マーカーの複製を可能にする配列を含有する。選択可能なマーカー若しくはレポーター遺伝子は、とりわけ、ジェネチシン、ハイグロマイシン若しくはピューリマイシン
耐性をコードする配列を包含しうる。該プラスミドは、アンピシリン耐性のような、細菌細胞中のベクターの存在を知らせるのに使用し得るある種の選択可能なレポーター若しくはマーカー遺伝子もまた含有しうる。プラスミドの他成分は複製起点、およびエプスタイン−バーウイルスの核抗原を使用するアンプリコン系のようなアンプリコンを包含しうる。このアンプリコン系若しくは他の類似のアンプリコン成分は、細胞中での高コピーのエピソーム複製を可能にする。好ましくは、ミニ遺伝子を運搬する分子を細胞にトランスフェクトし、それはそこで一過性に存在しうる。あるいは、ミニ遺伝子(5’AAV ITR−異種分子−3’AAV ITRを運搬する)は、染色体に若しくはエピソームとしてのいずれかで宿主細胞のゲノムに安定に組込まれうる。ある態様において、ミニ遺伝子は、場合によっては頭から頭、頭から尾若しくは尾から尾の鎖状体で複数コピーで存在しうる。適するトランスフェクション技術は既知であり、そして宿主細胞にミニ遺伝子を送達させるのに容易に利用しうる。
【0103】
一般に、ミニ遺伝子を含んでなるベクターをトランスフェクションにより送達する場合、該ベクターは、約5μgから約100μgまでのDNA、約10μgないし約50μgのDNAの量で、約1×104細胞ないし約1×1013細胞、若しくは約1×105細胞に送達する。しかしながら、宿主細胞に対するベクターDNAの相対量は、選択したベクター、送達方法および選択した宿主細胞のような因子を考慮に入れて調節しうる。
【0104】
B.repおよびcap配列
ミニ遺伝子に加え、宿主細胞は、宿主細胞中での本発明の新規AAVキャプシドタンパク質(若しくはそのフラグメントを含んでなるキャプシドタンパク質)の発現を駆動する配列、およびミニ遺伝子中で見出されるAAV ITRの供給源若しくは交差相補する供給源と同一の供給源のrep配列を含有する。AAVのcapおよびrep配列は、上述されたところのAAV供給源から独立に得ることができ、そして、上述されたところの当業者に既知のいずれかの様式で宿主細胞に導入しうる。加えて、(例えばAAV9/HU.14キャプシド)でAAVベクターをシュードタイピングする場合、不可欠のrepタンパク質のそれぞれをコードする配列を異なるAAV供給源(例えばAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8)により供給しうる。例えば、rep78/68配列はAAV2からであってよい一方、rep52/40配列はAAV8からであってよい。
【0105】
一態様において、宿主細胞は、上述されたもののような適するプロモーターの制御下にキャプシドタンパク質を安定に含有する。最も望ましくは、本態様において、キャプシドタンパク質は誘導可能なプロモーターの制御下に発現される。別の態様において、キャプシドタンパク質はtransで宿主細胞に供給される。宿主細胞にtransで送達される場合、キャプシドタンパク質は、選択されたキャプシドタンパク質の宿主細胞中での発現を指図するのに必要な配列を含有するプラスミドを介して送達しうる。最も望ましくは、宿主細胞にtransで送達される場合、キャプシドタンパク質を運搬するプラスミドはrAAVをパッケージングするのに必要とされる他の配列、例えばrep配列もまた運搬する。
【0106】
別の態様において、宿主細胞は、上述されたもののごとく適するプロモーターの制御下にrepタンパク質を安定に含有する。最も望ましくは、本態様において、不可欠のrepタンパク質が誘導可能なプロモーターの制御下に発現される。別の態様において、repタンパク質はtransで宿主細胞に供給される。宿主細胞にtransで送達される場合、repタンパク質は、選択されたrepタンパク質の宿主細胞中での発現を指図するのに必要な配列を含有するプラスミドを介して送達しうる。最も望ましくは、宿主細胞にtransで送達される場合、キャプシドタンパク質を運搬するプラスミドはrAAVをパッケージングするのに必要とされる他の配列、例えばrepおよびcap配列もまた
運搬する。
【0107】
従って、一態様において、repおよびcap配列は、単一の核酸分子上で宿主細胞にトランスフェクトされることができ、そして該細胞中で1個のエピソームとして安定に存在しうる。別の態様において、repおよびcap配列は細胞の染色体中に安定に組み込まれる。別の態様は、宿主細胞中で一過性に発現されるrepおよびcap配列を有する。例えば、こうしたトランスフェクションのための有用な核酸分子は、5’から3’へ、プロモーター、プロモーターとrep遺伝子配列の開始部位との間に挿入された任意のスペーサー、AAV rep遺伝子配列、およびAAV cap遺伝子配列を含んでなる。
【0108】
場合によっては、repおよび/若しくはcap配列は、宿主細胞中に導入されるべきである他のDNA配列を含有する1ベクター上で供給しうる。例えば、ベクターはミニ遺伝子を含んでなるrAAV構築物を含有しうる。ベクターは、ヘルパー機能をコードする遺伝子、例えばアデノウイルスタンパク質E1、E2aおよびE4 ORF6、ならびにVAI RNAの遺伝子の1種若しくはそれより多くを含みうる。
【0109】
好ましくは、本構築物で使用されるプロモーターは、当業者に既知の若しくは上で論考されたところの構成的、誘導可能な若しくは本来のプロモーターのいずれでもありうる。一態様において、AAV P5プロモーター配列を使用する。これらの配列のいずれかを提供するためのAAVの選択は本発明を制限しない。
【0110】
別の好ましい態様において、repのプロモーターは、導入遺伝子の調節エレメントに関して上で論考されたような誘導可能なプロモーターである。rep発現のための1種の好ましいプロモーターはT7プロモーターである。T7プロモーターにより調節されるrep遺伝子およびcap遺伝子を含んでなるベクターを、T7ポリメラーゼを構成的に若しくは誘導可能にのいずれかで発現する細胞にトランスフェクト若しくは形質転換する。1998年3月12日公開の国際特許公開第WO 98/10088号明細書を参照されたい。
【0111】
スペーサーはベクターの設計における任意の一要素である。スペーサーは、プロモーターとrep遺伝子のATG開始部位との間に挿入されるDNA配列である。スペーサーはいかなる所望の設計を有してもよい。すなわち、それはヌクレオチドの無作為の配列でありうるか、あるいは、それはマーカー遺伝子のような遺伝子産物をコードしうる。スペーサーは開始/終止およびポリA部位を典型的に組み込む遺伝子を含有しうる。スペーサーは、原核生物若しくは真核生物からの非コーディングDNA配列、反復非コーディング配列、転写制御を伴わないコーティング配列若しくは転写制御を伴うコーディング配列でありうる。スペーサー配列の2種の例示的供給源はファージラダー配列若しくは酵母ラダー配列であり、それらは例えばとりわけGibco若しくはInvitrogenから商業的に入手可能である。スペーサーは、rep52、rep40およびcap遺伝子産物を正常レベルで発現されるままにしてrep78およびrep68遺伝子産物の発現を低下させるのに十分ないかなる大きさのものであってもよい。スペーサーの長さは、従って約10bpから約10.0kbpまで、好ましくは約100bpないし約8.0kbpの範囲の範囲にわたりうる。組換えの可能性を低下させるため、スペーサーは、好ましくは長さ2kbp未満であるが;しかしながら、本発明はそのように制限されない。
【0112】
repおよびcapを提供する分子(1種若しくは複数)が宿主細胞中に一過性に存在しうる(すなわちトランスフェクションにより)とは言え、repおよびcapタンパク質の一方若しくは双方およびそれらの発現を制御するプロモーター(1種若しくは複数)が、例えばエピソームとして若しくは宿主細胞の染色体中への組み込みにより宿主細胞中で安定に発現されることが好ましい。本発明の態様を構築するために使用される方法は、
上の参考文献に記述されるもののような慣習的な遺伝子工学若しくは組換え工学技術である。本明細は本明細書に提供される情報を使用して特定の構築物の具体的に説明する例を提供する一方、当業者は、スペーサー、P5プロモーター、ならびに少なくとも1個の翻訳開始および終止シグナルを包含する他のエレメントの選択、ならびにポリアデニル化部位の任意の付加を使用して、他の適する構築物を選択かつ設計しうる。
【0113】
本発明の別の態様において、rep若しくはcapタンパク質は宿主細胞により安定に提供されうる。
【0114】
C.ヘルパー機能
パッケージング宿主細胞は、本発明のrAAVをパッケージングするためにヘルパー機能をもまた必要とする。場合によっては、これらの機能はヘルペスウイルスにより供給しうる。最も望ましくは、必要なヘルパー機能は、上述されたものおよび/若しくはAmerican Type Culture Collection(ATCC)、バージニア州マナサス(米国)を包含する多様な供給元から入手可能であるようなヒト若しくはヒト以外の霊長類のアデノウイルス供給源からそれぞれ提供される。現在好ましい一態様において、宿主細胞は、E1a遺伝子産物、E1b遺伝子産物、E2a遺伝子産物、および/若しくはE4 ORF6遺伝子産物を提供されかつ/若しくは含有する。宿主細胞はVAI RNAのような他のアデノウイルス遺伝子を含有しうるが、しかしこれらの遺伝子は必要とされない。好ましい一態様において、他のアデノウイルス遺伝子若しくは遺伝子機能が宿主細胞中に存在しない。
【0115】
「E1a遺伝子産物を発現するアデノウイルスDNA」により、それはE1a若しくはいずれかの機能的E1a部分をコードするいかなるアデノウイルス配列も意味している。E2a遺伝子産物を発現するアデノウイルスDNAおよびE4 ORF6遺伝子産物を発現するアデノウイルスDNAが同様に定義される。アデノウイルス遺伝子若しくはその機能的部分のいかなる対立遺伝子若しくは他の改変もまた包含される。こうした改変は、アデノウイルスの機能を何らかの様式で高めるための慣習的な遺伝子工学若しくは変異原性技術を用いて意図的に導入することができ、ならびにそれらの天然に存在する対立遺伝子バリアントでありうる。これらのアデノウイルス遺伝子の機能を達成するようにDNAを操作するためのこうした改変および方法は当業者に既知である。
【0116】
アデノウイルスE1a、E1b、E2aおよび/若しくはE4ORF6遺伝子産物、ならびにいずれかの他の所望のヘルパー機能は、細胞中でのそれらの発現を可能にするいずれの手段を使用しても提供し得る。これらの産物をコードする配列のそれぞれは別個のベクター上にありうるか、または1種若しくはそれより多くの遺伝子が同一ベクター上にありうる。ベクターは、プラスミド、コスミドおよびウイルスを包含する当該技術分野で既知若しくは上で開示されたいずれかのベクターでありうる。ベクターの宿主細胞中への導入は、とりわけ、トランスフェクション、感染、電気穿孔法、リポソーム送達、膜融合技術、高速DNA被覆ペレット、ウイルス感染およびプロトプラスト融合を包含する当該技術分野で既知若しくは上で開示されたところのいずれの手段によっても達成しうる。アデノウイルス遺伝子の1種若しくはそれより多くが宿主細胞のゲノム中に安定に組み込まれうるか、エピソームとして安定に発現されうるか、若しくは一過性に発現されうる。遺伝子産物は全部、エピソーム上で一過性に発現されうるか、若しくは安定に組込まれうるか、または遺伝子産物のいくつかが安定に発現されうる一方で他者が一過性に発現される。さらに、アデノウイルス遺伝子のそれぞれのプロモーターは、構成的プロモーター、誘導可能なプロモーター若しくは本来のアデノウイルスプロモーターから独立に選択しうる。プロモーターは、生物体若しくは細胞の特定の生理学的状態(すなわち分化状態により、または複製若しくは静止期細胞で)により、あるいは例えば外因性に添加した因子により調節しうる。
【0117】
D.宿主細胞およびパッケージング細胞株
宿主細胞それ自身は、原核生物(例えば細菌)細胞、ならびに昆虫細胞、酵母細胞および哺乳動物細胞を包含する真核生物細胞を包含するいずれの生物学的生物体からも選択しうる。とりわけ望ましい宿主細胞は、A549、WEH1、3T3、10T1/2、BHK、MDCK、COS 1、COS 7、BSC 1、BSC 40、BMT 10、VERO、WI38、HeLa、293細胞(機能的アデノウイルスE1を発現する)、Saos、C2C12、L細胞、HT1080、HepG2、ならびにヒト、サル、マウス、ラット、ウサギおよびハムスターを包含する哺乳動物由来の初代線維芽細胞、肝細胞および筋芽細胞のような細胞を制限なしに包含するいずれかの哺乳動物種のなかから選択する。細胞を提供する哺乳動物種の選択は本発明の制限でなく;また、哺乳動物細胞の型、すなわち筋芽細胞、肝細胞、腫瘍細胞などもそうでない。使用される細胞に対する要件は、それがE1、E2aおよび/若しくはE4 ORF6以外のいかなるアデノウイルス遺伝子も運搬せず;それがrAAVの産生の間に汚染するウイルスの相同的組換えをもたらし得るいかなる他のウイルス遺伝子も含有せず;そしてそれがDNAの感染若しくはトランスフェクションおよびトランスフェクトされたDNAの発現が可能であることである。好ましい一態様において、宿主細胞は細胞中でrepおよびcapが安定にトランスフェクトされているものである。
【0118】
本発明で有用な一宿主細胞は、repおよびcapをコードする配列で安定に形質転換されかつアデノウイルスE1、E2aおよびE4ORF6 DNAならびに上述されたところのミニ遺伝子を運搬する構築物でトランスフェクトされている宿主細胞である。B−50(国際特許出願公開第WO 99/15685号明細書)若しくは米国特許第5,658,785号明細書に記述されるもののような安定なrepおよび/若しくはcapを発現する細胞株もまた同様に使用しうる。別の所望の宿主細胞はE4 ORF6を発現するのに十分である最少のアデノウイルスDNAを含有する。なお他の細胞株を、本発明の新規AAV9 cap配列を使用して構築し得る。
【0119】
本発明の宿主細胞の製造は選択されたDNA配列の集成のような技術を必要とする。この集成は慣習的技術を利用して達成しうる。こうした技術は、公知でありかつ上で引用されたSambrookらに記述されるcDNAおよびゲノムクローニング、ポリメラーゼ連鎖反応と組合せたアデノウイルスおよびAAVゲノムのオーバーラップオリゴヌクレオチド配列の使用、合成の方法、ならびに所望のヌクレオチド配列を提供するいずれかの他の適する方法を包含する。
【0120】
宿主細胞中への(プラスミド若しくはウイルスとしての)分子の導入は、当業者に既知かつ本明細を通じて論考されるところの技術を使用してもまた達成しうる。好ましい態様において、標準的トランスフェクション技術、例えばCaPO4トランスフェクション若しくは電気穿孔法、および/またはヒト胎児由来腎臓細胞株HEK293(transに作用するE1タンパク質を提供する機能的アデノウイルスE1遺伝子を含有するヒト腎細胞株)のような細胞株中へのハイブリッドアデノウイルス/AAVベクターによる感染を使用する。
【0121】
当業者により生成されるAAV9/HU.14に基づくベクターは、AAV9/HU.14に対する中和抗体がヒト集団で見出されていないため、選択される宿主細胞への遺伝子送達および遺伝子治療患者に有益である。当業者は、当業者に既知の多様な技術を使用して、本明細書に提供されるAAV9/HU.14キャプシドタンパク質を含有する他のrAAVウイルスベクターを容易に製造しうる。AAV9/HU.14配列および別の供給源からのAAVキャプシドを含有するなお他のrAAVウイルスベクターを同様に製造しうる。
【0122】
当業者は、本発明の新規AAV配列を、これらおよびin vitro、ex vivo若しくはin vivo遺伝子送達のための他のウイルスベクター系での使用に容易に適合させ得ることを理解するであろう。同様に、当業者は、多様なrAAVおよびrAAV以外のベクター系での使用のために本発明のAAVゲノムの他のフラグメントを容易に選択し得る。こうしたベクター系は、例えば、とりわけレンチウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、ワクシニアウイルスおよびアデノウイルス系を包含しうる。これらのベクター系の選択は本発明の制限でない。
【0123】
従って、本発明はさらに、本発明の新規AAVの核酸およびアミノ酸配列を使用して生成されるベクターを提供する。こうしたベクターは、治療的分子の送達およびワクチンレジメンでの使用のためを包含する多様な目的上有用である。本発明の新規AAVのキャプシドを含有する組換えAAVが治療的分子の送達にとりわけ望ましい。これら、若しくは本発明の新規AAV配列を含有する他のベクター構築物を、ワクチンレジメン、例えばサイトカインの共送達、若しくは免疫原それ自身の送達に使用しうる。
【0124】
IV.組換えウイルスおよびそれらの用途
本明細書に記述される技術を使用して、当業者は、本発明のAAVのキャプシドを有する、または本発明のAAVの1種若しくはそれより多くのフラグメントを含有するキャプシドを有するrAAVを生成し得る。一態様において、単一のAAV、例えばhu.14/AAV9[配列番号123]からの完全長のキャプシドを利用し得る。別の態様において、別の選択されたAAV若しくは同一のAAVの異種の(すなわち連続しない)部分からの配列とインフレームで融合した本発明の新規AAVキャプシドの1種若しくはそれより多くのフラグメントを含有する完全長のキャプシドを生成しうる。例えば、rAAVはAAV9/HU.14の新規超可変領域配列の1種若しくはそれより多くを含有しうる。あるいは、本発明の独特のAAV配列を他のウイルス若しくはウイルス以外の配列を含有する構築物で使用しうる。場合によっては、組換えウイルスはAAV repタンパク質の1種若しくはそれより多くをコードするAAV rep配列を運搬しうる。
【0125】
A.ウイルスの送達
別の局面において、本発明は、本発明のAAV9/HU.14配列(若しくはその機能的フラグメント)を用いて生成した組換えウイルスベクターで選択された宿主細胞をトランスフェクト若しくは感染させることを必要とする、宿主への導入遺伝子の送達方法を提供する。送達方法は当業者に公知でありかつ本発明の制限でない。
【0126】
望ましい一態様において、本発明は宿主への導入遺伝子のAAVに媒介される送達方法を提供する。本方法は、選択された導入遺伝子の発現を指図する配列の制御下に選択された導入遺伝子およびAAV9キャプシドタンパク質を含有する組換えウイルスベクターで、選択された宿主細胞をトランスフェクト若しくは感染させることを必要とする。
【0127】
場合によっては、宿主からのサンプルを、選択されたAAV供給源(例えば血清型)に対する抗体の存在について最初にアッセイしうる。中和抗体を検出するための多様なアッセイ形式が当業者に公知である。こうしたアッセイの選択は本発明の制限でない。例えば、Fisherら、Nature Med.、3(3):306−312(1997年3月)およびW.C.Manningら、Human Gene Therapy、9:477−485(1998年3月1日)を参照されたい。本アッセイの結果を使用して、特定の1供給源のキャプシドタンパク質を含有するどのAAVベクターが送達に好ましいかを、例えばそのキャプシド供給源に特異的な中和抗体の非存在により決定しうる。
【0128】
本方法の一局面において、本発明のAAVキャプシドタンパク質を含むベクターの送達
は、異なるAAVキャプシドタンパク質を含むベクターを介する遺伝子の送達に先行しても若しくはその後に続いてもよい。従って、rAAVベクターを介する遺伝子送達を、選択された宿主細胞への反復遺伝子送達に使用しうる。望ましくは、その後投与されるrAAVベクターは第一のrAAVベクターと同一の導入遺伝子を運搬するが、しかし、その後投与されるベクターは第一のベクターと異なる供給源(および好ましくは異なる血清型)のキャプシドタンパク質を含有する。例えば、第一のベクターがAAV9/HU.14キャプシドタンパク質を有する場合、その後投与されるベクターは他のAAVのなかから、場合によっては別の血清型若しくは別の同源系統群から選択されるキャプシドタンパク質を有しうる。
【0129】
場合によっては、複数のrAAVベクターを使用して、in vivoで鎖状体化して単一のベクターゲノムを形成するrAAVベクターの共投与により大型の導入遺伝子若しくは複数の導入遺伝子を送達し得る。こうした一態様において、第一のAAVは単一導入遺伝子(若しくはその1サブユニット)を発現する発現カセットを運搬することができ、そして、第二のAAVは宿主細胞中での共発現のため第二の導入遺伝子(若しくは異なるサブユニット)を発現する発現カセットを運搬しうる。第一のAAVは多シストロン性の構築物の第一の一片(例えばプロモーターおよび導入遺伝子若しくはサブユニット)である発現カセットを運搬することができ、そして第二のAAVは多シストロン性の構築物の第二の一片(例えば導入遺伝子若しくはサブユニットおよびポリA配列)である発現カセットを運搬しうる。多シストロン性の構築物のこれら二片がin vivoで鎖状体化して、第一および第二のAAVにより送達される導入遺伝子を共発現する単一のベクターゲノムを形成する。こうした態様において、第一の発現カセットを運搬するrAAVベクターおよび第二の発現カセットを運搬するrAAVベクターを単一の製薬学的組成物中で送達し得る。他の態様において、2種若しくはそれより多くのrAAVベクターは、実質的に同時にまたは相互の直前若しくは後に投与し得る別個の製薬学的組成物として送達される。
【0130】
上述された組換えベクターは、公表された方法に従って宿主細胞に送達しうる。好ましくは生理学的に適合性の担体に懸濁したrAAVを、ヒト若しくはヒト以外の哺乳動物患者に投与しうる。適する担体は、移入ウイルスが向けられる適応症を鑑みて当業者により容易に選択されうる。例えば、1種の適する担体は、多様な緩衝溶液とともに処方されうる生理的食塩水を包含する(例えばリン酸緩衝生理的食塩水)。他の例示的担体は、滅菌生理的食塩水、乳糖、ショ糖、リン酸カルシウム、ゼラチン、デキストラン、アガー、ペクチン、ラッカセイ油、ゴマ油および水を包含する。担体の選択は本発明の制限でない。
【0131】
場合によっては、本発明の組成物は、rAAVおよび担体(1種若しくは複数)に加え、保存剤若しくは化学的安定剤のような他の慣習的製薬学的成分を含有しうる。適する例示的保存剤はクロロブタノール、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、二酸化イオウ、没食子酸プロピル、パラベン類、エチルバニリン、グリセリン、フェノールおよびパラクロロフェノールを包含する。適する化学的安定剤はゼラチンおよびアルブミンを包含する。
【0132】
該ベクターは、細胞をトランスフェクトしかつ過度の有害な影響を伴わずに若しくは医学の技術分野の当業者により決定され得る医学的に許容可能な生理学的効果を伴い治療上の利益を提供するのに十分なレベルの遺伝子移入および発現を提供するのに十分な量で投与される。慣習的および製薬学的に許容可能な投与経路は、限定されるものでないが所望の器官(例えば肝(場合によっては肝動脈を介して)若しくは肺)への直接送達、経口、吸入、鼻内、気管内、動脈内、眼内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、および他の非経口投与経路を挙げることができる。投与経路は所望の場合に組み合わせうる。
【0133】
ウイルスベクターの投薬量は、主として、治療されている状態、患者の齢、体重および
健康状態のような因子に依存することができ、そして従って患者間で異なりうる。例えば、ウイルスベクターの治療上有効なヒト投薬量は、一般に、約1×109から1×1016までのゲノムウイルスベクターの濃度を含有する約0.1mLから約100mLまでの溶液の範囲にある。大型の器官(例えば肝、筋、心および肺)への送達に好ましいヒト投薬量は、約1ないし100mLの容量で1kgあたり約5×1010ないし5×1013AAVゲノムでありうる。眼への送達に好ましい投薬量は、約0.1mLないし1mLの容量で約5×109ないし5×1012ゲノムコピーである。投薬量は、いかなる副作用に対しても治療上の利益の均衡を図るように調節することができ、そして、こうした投薬量は組換えベクターを使用する治療的応用に依存して変動しうる。導入遺伝子の発現のレベルをモニターして、ウイルスベクター、好ましくはミニ遺伝子を含有するAAVベクターをもたらす投薬頻度を決定し得る。場合によっては、治療の目的上記述されるものに類似の投薬量レジメンを、本発明の組成物を使用する免疫化に利用しうる。
【0134】
本発明のAAV含有ベクターによる送達のための治療的製品および免疫原性製品の例を下に提供する。これらのベクターは、本明細書に記述されるところの多様な治療若しくはワクチンレジメンに使用しうる。加えて、これらのベクターは所望の治療および/若しくはワクチンレジメン中で1種若しくはそれより多くの他のベクター若しくは有効成分と組合せで送達しうる。
【0135】
B.治療的導入遺伝子
導入遺伝子によりコードされる有用な治療的製品は、インスリン、グルカゴン、成長ホルモン(GH)、副甲状腺ホルモン(PTH)、成長ホルモン放出因子(GRF)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、血管内皮増殖因子(VEGF)、アンジオポエチン、アンジオスタチン、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、エリスロポエチン(EPO)、結合組織増殖因子(CTGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン成長因子IおよびII(IGF−IおよびIGF−II)、TGFα、アクチビン、インヒビンを包含するトランスフォーミング成長因子αスーパーファミリーのいずれか1種、若しくは骨形成タンパク質(BMP)BMP1〜15のいずれか、成長因子のヘレグルイン/ニューレグリン/ARIA/neu分化因子(NDF)ファミリーのいずれか1種、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィンNT−3およびNT−4/5、絨毛様神経栄養因子(CNTF)、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アグリン、セマフォリン/コラプシンのファミリーのいずれか1種、ネトリン−1およびネトリン−2、肝細胞増殖因子(HGF)、エフリン、ノギン、ソニックヘッジホッグならびにチロシン加水分解酵素を制限なしに包含するホルモンならびに増殖および分化因子を包含する。
【0136】
他の有用な導入遺伝子産物は、トロンボポエチン(TPO)、インターロイキン(IL)IL−1からIL−25(例えばIL−2、IL−4、IL−12およびIL−18を包含する)、単球化学遊走物質タンパク質、白血病阻害因子、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子、Fasリガンド、腫瘍壊死因子αおよびβ、インターフェロンα、βおよびγ、幹細胞因子、flk−2/flt3リガンドのようなサイトカインおよびリンホカインを制限なしに包含する免疫系を調節するタンパク質を包含する。免疫系により産生される遺伝子産物もまた本発明で有用である。これらは、免疫グロブリンIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgE、キメラ免疫グロブリン、ヒト化抗体、一本鎖抗体、T細胞受容体、キメラT細胞受容体、一本鎖T細胞受容体、クラスIおよびクラスII MHC分子、ならびに工作された免疫グロブリンおよびMHC分子を制限なしに包含する。有用な遺伝子産物は、補体調節タンパク質、膜補助因子タンパク質(MCP)、崩壊促進因子(DAF)、CR1、CF2およびCD59のような補体調節タンパク質もまた包含す
る。
【0137】
なお他の有用な遺伝子産物は、ホルモン、成長因子、サイトカイン、リンホカイン、調節タンパク質および免疫系タンパク質の受容体のいずれか1種を包含する。本発明は、低密度リポタンパク質(LDL)受容体、高密度リポタンパク質(HDL)受容体、超低密度リポタンパク質(VLDL)受容体およびスカベンジャー受容体を包含するコレステロール調節および/若しくは脂質調節のための受容体を包含する。本発明はまた、グルココルチコイド受容体およびエストロゲン受容体、ビタミンD受容体ならびに他の核受容体を包含するステロイドホルモン受容体スーパーファミリーのメンバーのような遺伝子産物も包含する。加えて、有用な遺伝子産物は、jun、fos、max、mad、血清応答因子(SRF)、AP−1、AP2、myb、MyoDおよびミオゲニン、ETSボックス含有タンパク質、TFE3、E2F、ATF1、ATF2、ATF3、ATF4、ZF5、NFAT、CREB、HNF−4、C/EBP、SP1、CCAATボックス結合タンパク質、インターフェロン調節因子(IRF−1)、ウィルムス腫瘍タンパク質、ETS結合タンパク質、STAT、GATAボックス結合タンパク質、例えばGATA−3、ならびに翼状らせんタンパク質のフォークヘッドファミリーのような転写因子を包含する。
【0138】
他の有用な遺伝子産物は、カルバモイル合成酵素1、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギノコハク酸合成酵素、アルギノコハク酸リアーゼ、アルギナーゼ、フマリルアセト酢酸加水分解酵素、フェニルアラニン水酸化酵素、α−1アンチトリプシン、グルコース−6−ホスファターゼ、ポルフォビリノーゲン脱アミノ酵素、シスタチオンβ−合成酵素、分枝状鎖ケト酸脱炭酸酵素、アルブミン、イソバレリル−coA脱水素酵素、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ、メチルマロニルCoAムターゼ、グルタリルCoA脱水素酵素、インスリン、β−グルコシダーゼ、ピルビン酸カルボキシレート、肝ホスホリラーゼ、ホスホリラーゼキナーゼ、グリシン脱炭酸酵素、H−プロテイン、T−プロテイン、嚢胞性線維症膜貫通調節因子(CFTR)配列、およびジストロフィン遺伝子産物[例えばミニ若しくはミクロジストロフィン]を包含する。なお他の有用な遺伝子産物は、酵素の不足した活性から生じる多様な状態で有用である酵素補充療法で有用でありうるような酵素を包含する。例えば、マンノース−6−リン酸を含有する酵素は、リソゾーム蓄積症(例えば適する遺伝子はβ−グルクロニダーゼ(GUSB)をコードするものを包含する)の治療で利用しうる。
【0139】
なお他の有用な遺伝子産物は、血友病B(第IX因子を包含する)ならびに血友病A(第VIII因子ならびにヘテロ二量体のL鎖およびH鎖ならびにB欠損ドメインのようなそのバリアントを包含する;米国特許第6,200,560号および同第6,221,349号明細書)を包含する血友病の処置に使用されるものを包含する。第VIII因子遺伝子は2351アミノ酸をコードし、そして該タンパク質は6ドメインを有し、アミノから末端のカルボキシ末端までA1−A2−B−A3−C1−C2と呼称される[Woodら、Nature、312:330(1984);Veharら、Nature 312:337(1984);およびTooleら、Nature、342:337(1984)]。ヒト第VIII因子は細胞内でプロセシングされて、A1、A2およびBドメインを含有するH鎖ならびにA3、C1およびC2ドメインを含有するL鎖を主として含んでなるヘテロ二量体を生じる。一本鎖ポリペプチドおよびヘテロ二量体の双方が、Bドメインを遊離しかつA1およびA2ドメインよりなるH鎖をもたらすA2ドメインとBドメインの間のトロンビン切断により活性化されるまで、不活性前駆体として血漿中を循環する。Bドメインは活性化された凝血原の形態のタンパク質では除去されている。加えて、本来のタンパク質中でBドメインに隣接する2本のポリペプチド鎖(「a」および「b」)は二価のカルシウム陽イオンに結合している。
【0140】
いくつかの態様において、ミニ遺伝子は、10アミノ酸のシグナル配列をコードする第
VIII因子H鎖の最初の57塩基対、ならびにヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化配列を含んでなる。代替の態様において、ミニ遺伝子は、A1およびA2ドメイン、ならびにBドメインのN末端からの5アミノ酸および/若しくはBドメインのC末端の85アミノ酸、ならびにA3、C1およびC2ドメインをさらに含んでなる。なお他の態様において、第VIII因子H鎖およびL鎖をコードする核酸が、Bドメインの14アミノ酸をコードする42核酸により分離される単一のミニ遺伝子で提供される[米国特許第6,200,560号明細書]。
【0141】
本明細書で使用されるところの治療上有効な量は、被験体の血液が凝固するのにそれがかかる時間を短縮するのに十分な量の第VIII因子を産生するAAVベクターの量である。一般に、正常レベルの第VIII因子の1%未満を有する重症の血友病患者は、非血友病患者についてのおよそ10分に比較して60分より長い全血凝固時間を有する。
【0142】
本発明はいずれかの特定の第VIII因子配列に制限されない。多くの天然のおよび組換えの形態の第VIII因子が単離かつ生成されている。天然に存在するおよび組換えの形態の第VII因子の例は、米国特許第5,563,045号、同第5,451,521号、同第5,422,260号、同第5,004,803号、同第4,757,006号、同第5,661,008号、同第5,789,203号、同第5,681,746号、同第5,595,886号、同第5,045,455号、同第5,668,108号、同第5,633,150号、同第5,693,499号、同第5,587,310号、同第5,171,844号、同第5,149,637号、同第5,112,950号、同第4,886,876号明細書;国際特許公開第WO 94/11503号、同第WO 87/07144号、同第WO 92/16557号、同第WO 91/09122号、同第WO 97/03195号、同第WO 96/21035号および同第WO 91/07490号明細書;欧州特許出願第EP 0 672 138号、同第EP 0 270 618号、同第EP 0 182 448号、同第EP 0 162 067号、同第EP 0 786 474号、同第EP 0 533 862号、同第EP 0 506 757号、同第EP 0 874 057号、同第EP 0 795 021号、同第EP 0 670 332号、同第EP 0 500 734号、同第EP 0 232 112号および同第EP 0 160 457号明細書;Sanbergら、XXth Int.Congress of the World Fed.Of Hemophilia(1992)、ならびにLindら、Eur.J.Biochem.、232:19(1995)を包含する特許および学術文献に見出し得る。
【0143】
上述された第VIII因子をコードする核酸配列は、組換えの方法を使用して、若しくは該配列を包含することが既知のベクターからそれを派生させることにより得ることができる。さらに、所望の配列を、フェノール抽出およびcDNA若しくはゲノムDNAのPCRのような標準的技術を使用して、それを含有する細胞および組織から直接単離し得る[例えばSambrookらを参照されたい]。ヌクレオチド配列はまた、クローン化されるよりはむしろ合成で製造し得る。完全な配列は、標準的方法により製造したオーバーラップオリゴヌクレオチドから集成し得、そして完全なコーディング配列に集成し得る[例えば、Edge、Nature 292:757(1981);Nambariら、Science、223:1299(1984);およびJayら、J.Biol.Chem.259:6311(1984)を参照されたい。
【0144】
さらに、本発明はヒト第VIII因子に制限されない。事実、本発明は、限定されるものでないがコンパニオンアニマル(例えばイヌ、ネコおよびウマ)、家畜(例えばウシ、ヤギおよびヒツジ)、実験動物、海棲哺乳類、大型のネコなどを挙げることができるヒト以外の動物からの第VIII因子を包含することを意図している。
【0145】
AAVベクターは、それ自身生物学的に活性でないがそれでもなお被験体に投与される場合に血液凝固時間を改良若しくは復帰させる第VIII因子のフラグメントをコードする核酸を含有しうる。例えば、上で論考されたとおり、第VIII因子タンパク質は2個のポリペプチド鎖、すなわちプロセシングの間に切断されるBドメインにより分離されたH鎖およびL鎖を含んでなる。本発明により示されるとおり、第VIII因子のHおよびL鎖でレシピエント細胞を共形質導入することは、生物学的に活性の第VIII因子の発現に至る。大部分の血友病患者は該鎖の一方(例えばH若しくはL鎖)のみに突然変異若しくは欠失を含有するため、患者において欠損の鎖のみを投与して他方の鎖を供給することが可能でありうる。
【0146】
他の有用な遺伝子産物は、挿入、欠失若しくはアミノ酸置換を含有する天然に存在しないアミノ酸配列を有するキメラ若しくはハイブリッドポリペプチドのような天然に存在しないポリペプチドを包含する。例えば、一本鎖の工作された免疫グロブリンはある種の免疫無防備状態の患者で有用であり得る。他の型の天然に存在しない遺伝子配列は、アンチセンス分子、および標的の過剰発現を低下させるのに使用し得るリボザイムのような触媒的核酸を包含する。
【0147】
遺伝子の発現の低下および/若しくは調節は、癌および乾癬がそうであるように、過剰増殖する細胞を特徴とする過剰増殖状態の処置にとりわけ望ましい。標的ポリペプチドは、正常細胞に比較して過剰増殖細胞中で独占的に若しくはより高レベルで産生されるポリペプチドを包含する。標的抗原は、myb、myc、fynのような癌遺伝子、ならびに転位遺伝子bcr/abl、ras、src、P53、neu、trkおよびEGRFによりコードされるポリペプチドを包含する。標的抗原としての癌遺伝子産物に加え、抗癌処置および保護的レジメンの標的ポリペプチドは、B細胞リンパ腫により作成される抗体の可変領域およびT細胞リンパ腫のT細胞受容体の可変領域を包含し、それらは、いくつかの態様において自己免疫疾患の標的抗原としてもまた使用される。モノクローナル抗体17−1Aにより認識されるポリペプチドおよび葉酸結合ポリペプチドを包含する、腫瘍細胞中でより高レベルで見出されるポリペプチドのような、他の腫瘍関連ポリペプチドを標的ポリペプチドとして使用し得る。
【0148】
他の適する治療的ポリペプチドおよびタンパク質は、細胞受容体および「自己」に向けられた抗体を産生する細胞を包含する自己免疫と関連する標的に対する広範囲にわたる保護免疫応答を与えることにより、自己免疫疾患および障害に苦しめられている個体を処置するのに有用でありうるものを包含する。T細胞媒介性の自己免疫疾患は、慢性関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、インスリン依存型糖尿病(IDDM)、自己免疫性甲状腺炎、反応性関節炎、強直性脊椎炎、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、乾癬、脈管炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、クローン病および潰瘍性大腸炎を包含する。これらの疾患のそれぞれは、内因性抗原に結合しかつ自己免疫疾患に関連する炎症カスケードを開始するT細胞受容体(TCR)を特徴とする。
【0149】
C.免疫原性導入遺伝子
適しては、本発明のAAVベクターは、該ベクター内に含有されるAAV配列に対する免疫応答の生成を回避する。しかしながら、これらのベクターは、それにもかかわらず、該ベクターにより運搬される導入遺伝子の発現を可能にして選択された抗原に対する免疫応答を誘導する様式で処方しうる。例えば、免疫応答を促進するため、導入遺伝子は構成的プロモーターから発現させることができ、該ベクターは本明細書に記述されるとおり免疫増強し(adjuvanted)得、かつ/若しくは該ベクターを変性組織に置くことができる。
【0150】
適する免疫原性導入遺伝子の例は多様なウイルス科から選択されるものを包含する。免
疫応答が望ましいとみられる所望のウイルス科の例は、一般的な風邪の症例の約50%の原因であるライノウイルス属を包含するピコルナウイルス科;ポリオウイルス、コックサッキーウイルス、エコーウイルスおよびA型肝炎ウイルスのようなヒトエンテロウイルスを包含するエンテロウイルス属;ならびに主としてヒト以外の動物での口蹄疫の原因であるアプトウイルス属を包含する。ウイルスのピコルナウイルス科内で、標的抗原はVP1、VP2、VP3、VP4およびVPGを包含する。他のウイルス科はアストロウイルスおよびカルシウイルス科を包含する。カルシウイルス科は、流行性胃腸炎の重要な原因病原体であるノーウォーク群のウイルスを包含する。ヒトおよびヒト以外の動物で免疫応答を誘導するための抗原の標的設定での使用に望ましいなお別のウイルス科は、シンドビスウイルス、ロスリバーウイルス、ならびにベネズエラ、東部および西部ウマ脳炎ウイルスを包含するアルファウイルス属、ならびに風疹ウイルスを包含するルビウイルス属を包含するトガウイルス科である。フラビウイルス科は、デング熱、黄熱病、日本脳炎、セントルイス脳炎およびダニ媒介脳炎ウイルスを包含する。他の標的抗原は、C型肝炎ウイルス、または感染性気管支炎ウイルス(家禽)、ブタ伝染性胃腸ウイルス(ブタ)、ブタヘマグルチナチン(hemagglutinatin)脳脊髄炎ウイルス(ブタ)、ネコ感染性腹膜炎ウイルス(ネコ)、ネコ腸コロナウイルス(ネコ)、イヌコロナウイルス(イヌ)のような多数のヒト以外のウイルス、ならびに、一般的な風邪および/または非A、B若しくはC型肝炎を引き起こすことがありかつ重症急性呼吸器症候群(SARS)の推定の原因を包含するヒト呼吸器コロナウイルスを包含するコロナウイルス科から生成しうる。コロナウイルス科内で、標的抗原は、E1(Mすなわちマトリックスタンパク質ともまた呼ばれる)、E2(Sすなわちスパイクタンパク質ともまた呼ばれる)、E3(HEすなわちヘマグルチン−エルテロース(elterose)ともまた呼ばれる)糖タンパク質(全部のコロナウイルスに存在するわけではない)若しくはN(ヌクレオキャプシド)を包含する。なお他の抗原はアルテリウイルス科およびラブドウイルス科を標的としうる。ラブドウイルス科は、ベシクロウイルス属(例えば水疱性口内炎ウイルス)および一般的なリッサウイルス(例えば狂犬病)を包含する。ラブドウイルス科内で、適する抗原はGタンパク質若しくはNタンパク質に由来しうる。マルブルクおよびエボラウイルスのような出血性熱ウイルスを包含するフィロウイルス科が抗原の適する供給源となりうる。パラミクソウイルス科は、パラインフルエンザウイルス1型、パラインフルエンザウイルス3型、ウシパラインフルエンザウイルス3型、ルブラウイルス(流行性耳下腺炎ウイルス、パラインフルエンザウイルス2型、パラインフルエンザウイルス4型、ニューカッスル病ウイルス(ニワトリ)、牛疫、麻疹およびイヌジステンパーを包含するモルビリウイルス、ならびにRSウイルスを包含するニューモウイルスを包含する。インフルエンザウイルスはオルトミクソウイルス科内で分類され、そして抗原の適する供給源である(例えばHAタンパク質、N1タンパク質)。ブニヤウイルス科は、ブニヤウイルス(カリフォルニア脳炎、ラクロス)、フレボウイルス(ケニヤ出血熱)、ハンタウイルス(プレマラはヘマハギン(hemahagin)熱ウイルスである)、ナイロウイルス(ナイロビ羊病)属および多様な割り当てられていないブンガウイルス(bungaviruse)を包含する。アレナウイルス科はLCMおよびラッサ熱ウイルスに対する抗原の供給源を提供する。抗原の別の供給源はボルナウイルス科である。レオウイルス科は、レオウイルス、ロタウイルス(小児で急性胃腸炎を引き起こす)、オルビウイルスおよびクルチウイルス(cultivirus)(コロラドダニ熱、レボンボ(ヒト)、ウマ脳症、ブルータング)属を包含する。レトロウイルス科は、ネコ白血病ウイルス、HTLVIおよびHTLVII、レンチビリナル(lentivirinal)(HIV、サル免疫不全ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス、ウマ感染性貧血ウイルスおよびスプマビリナル(spumavirinal)を包含する)のようなヒトおよび家畜の疾患を包含するオンコウイルス(oncovirinal)亜科を包含する。パボーバウイルス科は、ポリオーマウイルス亜科(BKUおよびJCUウイルス)ならびにパピローマウイルス亜科(癌若しくは乳頭腫の悪性の進行と関連する)を包含する。アデノウイルス科は呼吸器疾患および/若しくは腸炎を引き起こすウイルス(EX、AD7、ARD、O.B.)を包含する。パルボウ
イルス科はネコパルボウイルス(ネコ腸炎)、ネコ汎白血球減少症ウイルス、イヌパルボウイルスおよびブタパルボウイルスを包含する。ヘルペスウイルス科は、シンプレックスウイルス(HSVI、HSVII)、ワリセロウイルス(偽性狂犬病、帯状疱疹)属を包含するアルファヘルペスウイルス亜科、およびサイトメガロウイルス属(HCMV、ムロメガロウイルス)を包含するベータヘルペスウイルス亜科、ならびに、リンホクリプトウイルス、EBV(バーキットリンパ腫)、6A、6Bおよび7型ヒトヘルペスウイルス、カポシ肉腫関連のヘルペスウイルスならびにセルコピテシン(cetcopithecine)ヘルペスウイルス(Bウイルス)、感染性鼻気管炎、マレック病ウイルスならびにラディノウイルス属を包含するガンマヘルペスウイルス亜科を包含する。ポックスウイルス科は、オルトポックスウイルス(大疱瘡(天然痘)およびワクシニア(牛痘))、パラポックスウイルス、アビポックスウイルス、カプリポックスウイルス、レポリポックスウイルス、スイポックスウイルス属を包含するチョルドポックスウイルス亜科、ならびにエントモポックスウイルス亜科を包含する。ヘパドナウイルス科はB型肝炎ウイルスを包含する。抗原の適する供給源となりうる1種の分類されないウイルスは、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルスおよびプリオンである。抗原の供給源となる別のウイルスはニパンウイルスである。なお他のウイルス供給源は、トリ伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスおよびブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルスを包含しうる。アルファウイルス科はウマ動脈炎ウイルスおよび多様な脳炎ウイルスを包含する。
【0151】
本発明は、ヒトおよびヒト以外の脊椎動物を感染させる細菌、真菌、寄生性微生物若しくは多細胞寄生生物を包含する他の病原体に対しヒト若しくはヒト以外の動物を免疫するのに有用であるか、または癌細胞若しくは腫瘍細胞からである免疫原もまた包含しうる。細菌性病原体の例は、病原性グラム陽性球菌は肺炎球菌;ブドウ球菌(およびそれにより産生されるトキシン、例えばエンテロトキシンB);ならびに連鎖球菌を包含するを包含する。病原性のグラム陰性球菌は、髄膜炎菌;淋菌を包含する。病原性の腸グラム陰性桿菌は、腸内細菌科;シュードモナス、アシネトバクテリア(acinetobacteria)およびエイケネラ(eikenella);類鼻疽;サルモネラ(salmonella);シゲラ(shigella);ヘモフィルス(haemophilus);モラクセラ(moraxella);軟性下疳菌(H.ducreyi)(軟性下疳を引き起こす)、ブルセラ(brucella)種(ブルセラ症);野兎病菌(Francisella tularensis)(野兎病を引き起こす);ペスト菌(Yersinia pestis)(ペスト)および他のエルジニア(yersinia)(パスツレラ);ストレプトバチルス モニリフォルミス(streptobacillus moniliformis)およびスピリルムを包含し;グラム陽性桿菌はリステリア モノシトゲネス(listeria monocytogenes);エリジペロスリックス ルシパチエ(erysipelothrix rhusiopathiae);ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria)(ジフテリア);コレラ;炭疽菌(B.anthracis)(炭疽);ドノヴァン症(鼠径部肉芽腫);およびバルトネラ症を包含する。病原性嫌気性細菌により引き起こされる疾患は、破傷風;ボツリヌス中毒(クロストリズム ボツリヌム(Clostridum botulinum)およびそのトキシン);ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)およびそのεトキシン;他のクロストリジウム属;結核;らい;ならびに他のミコバクテリアを包含する。病原性のスピロヘータ疾患は梅毒;トレポネーマ症;イチゴ腫、ピンタおよび風土病性梅毒;ならびにレプトスピラ症を包含する。より高病原性の細菌および病原性真菌により引き起こされる他の感染症は、鼻疽(バークホルデリア マレイ(Burkholderia mallei));放線菌症;ノカルジア症;クリプトコックス症、ブラストミセス症、ヒストプラスマ症およびコクシジオイデス真菌症;カンジダ症、アスペルギルス症およびムコール症;スポロトリクス症;パラコクシジオイデス真菌症、ペトリエリジオーシス(petriellidiosis)、トルロプシス症、菌腫およびクロモミコーシス;ならびに皮膚糸状菌症を包含する。リケッチア感染症は、発
疹チフス、ロッキー山熱、Q熱(コクシエラ ブルネティ(Coxiella burnetti))およびリケッチア痘を包含する。マイコプラスマおよびクラミジア感染症の例は:マイコプラスマ肺炎;性病性リンパ肉芽腫;オウム病;および周産期クラミジア感染症を包含する。病原性真核生物は病原性原生動物および蠕虫を包含し、また、それらにより生じられる感染症は:アメーバ症;マラリア;リーシュマニア;トリパノソーマ症;トキソプラスマ症;ニューモシスチス カリニ(Pneumocystis carinii);Trichans;トキソプラスマ(Toxoplasma gondii);バベシア症;ジアルジア症;旋毛虫症;フィラリア症;住血吸虫症;線虫;吸虫(trematodes)すなわち吸虫(flukes);および条虫(cestode)(条虫(tapeworm))感染症を包含する。
【0152】
これらの生物体および/若しくはそれらにより産生されるトキシンの多くは、生物学的攻撃での使用のための潜在性を有する剤として疾病対策センター(Centers for Disease Control)[(CDC)、米国保健省の部門]により同定された。例えば、これらの生物学的剤のいくつかは、炭疽菌(Bacillus anthracis)(炭疽)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)およびそのトキシン(ボツリヌス中毒)、ペスト菌(Yersinia pestis)(ペスト)、大疱瘡(天然痘)、野兎病菌(Francisella tularensis)(野兎病)、ならびにウイルス性出血熱[フィロウイルス(例えばエボラ、マルブルク]、ならびにアレナウイルス[例えばラッサ、マチュポ])(それらの全部は現在カテゴリーAの剤に分類されている);コクシエラ ブルネティ(Coxiella burnetti)(Q熱);ブルセラ属(Brucella)の種(ブルセラ症)、バークホルデリア マレイ(Burkholderia mallei)(鼻疽)、バークホルデリア シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei)(類鼻疽)、トウゴマ(Ricinus communis)およびそのトキシン(リシントキシン)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)およびそのトキシン(εトキシン)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)の種およびそれらのトキシン(エンテロトキシンB)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)(オウム病)、水の安全性に対する脅威(例えばコレラ菌(Vibrio chlerae)、クリトスポリジウム パルブム(Crytosporidium parvum))、発疹チフス(発疹チフスリケッチア(Richettsia powazekki))、ならびにウイルス性脳炎(アルファウイルス、例えばベネズエラウマ脳炎;東部ウマ脳炎;西部ウマ脳炎);(それらの全部は現在カテゴリーBの剤として分類されている);ならびにニパンウイルスおよびハンタウイルス(現在カテゴリーCの剤として分類されている)を包含する。加えて、そのように分類されるか若しくは異なって分類される他の生物体が、将来同定かつ/若しくはこうした目的上使用されうる。本明細書に記述されるウイルスベクターおよび他の構築物が、これらの生物学的剤への感染症若しくはそれらとの他の有害反応を予防かつ/若しくは処置することができるこれらの生物体、ウイルス、それらのトキシン若しくは他の副生成物からの抗原を送達するのに有用であることが容易に理解されるであろう。
【0153】
T細胞の可変領域に対する免疫原を送達するための本発明のベクターの投与はそれらのT細胞を排除するためのCTLを包含する免疫応答を導き出す。慢性関節リウマチ(RA)において、該疾患に関与するTCRの数個の特異的可変領域が特徴づけられている。これらのTCRはV−3、V−14、V−17およびV−17を包含する。従って、これらのポリペプチドの少なくとも1種をコードする核酸配列の送達は、RAに関与するT細胞を標的とすることができる免疫応答を導き出すことができる。多発性硬化症(MS)において、該疾患に関与するTCRの数個の特異的可変領域が特徴づけられている。これらのTCRはV−7およびV−10を包含する。従って、これらのポリペプチドの少なくとも1種をコードする核酸配列の送達は、MSに関与するT細胞を標的とすることができる免
疫応答を導き出すことができる。強皮症において、該疾患に関与するTCRの数個の特異的可変領域が特徴づけられている。これらのTCRはV−6、V−8、V−14およびV−16、V−3C、V−7、V−14、V−15、V−16、V−28およびV−12を包含する。従って、これらのポリペプチドの少なくとも1種をコードする核酸分子の送達は、強皮症に関与するT細胞を標的とすることができる免疫応答を導き出すことができる。
【0154】
従って、本発明のrAAV由来の組換えウイルスベクターは、生物体が1種若しくはそれより多くのAAV供給源に対する中和抗体を有する場合であっても、選択した導入遺伝子を選択した宿主細胞にin vivo若しくはex vivoで送達し得る効率的な遺伝子移入ベヒクルを提供する。一態様において、rAAVおよび細胞をex vivoで混合し;感染した細胞を慣習的方法論を使用して培養し;そして形質導入された細胞を患者に再注入する。
【0155】
これらの組成物は、保護免疫を誘導することを包含する治療的目的上および免疫感作のための遺伝子送達にとりわけ良好に適する。さらに、本発明の組成物は所望の遺伝子産物のin vitroでの産生にもまた使用しうる。in vitro産生のため、所望の産物(例えばタンパク質)は、所望の産物をコードする分子を含有するrAAVでの宿主細胞のトランスフェクション、および発現を可能にする条件下で細胞培養物を培養することの後に所望の培養物から得ることができる。発現された産物をその後、所望のとおり精製かつ単離しうる。適するトランスフェクション、細胞培養、精製および単離技術は当業者に既知である。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】ポアソン補正距離測定値とともにネイバー−ジョイニング ヒューリスティックを使用して構築した系統分類学的関係を示す樹状図である。該関係は単離されたAAV vp1キャプシドタンパク質に基づいて決定され、単離されたAAVは同源系統群にグルーピングした。個々のキャプシドクローンの群は、それらの共通の祖先に基づき同源系統群に分類されている。同源系統群の命名法はAからFに進み;サブタイプは同源系統群文字、次いで数字により表す。
【図2A−2AE】本発明のAAV vp1キャプシドタンパク質(個々の配列の番号付けを報告する)、ならびに以前に公表されたAAV1[配列番号219];AAV2[配列番号221];AAV3−3[配列番号217];AAV4−4[配列番号218];AAV5[配列番号216];AAV6[配列番号220];AAV7[配列番号222];AAV8[配列番号223]、ならびに;rh.25/42−15;29.3/bb.1;cy.2;29.5/bb.2;rh.32、rh.33、rh.34、rh.10;rh.24;rh14;rh.16;rh.17、rh.12、rh.18、rh.21(以前は41.10と命名された);rh.25(以前は41.15と命名された);rh2;rh.31;cy.3;cy.5;rh.13;cy.4;cy.6;rh.22;rh.19;rh.35;rh.37;rh.36;rh.23;rh.8;ならびにch.5[米国特許出願公開第2003/0138772 A1号(2003年7月24日)]のアミノ酸配列のアライメントである。本発明の配列は、hu.14/AAV9[配列番号123];hu.17[配列番号83]、hu.6[配列番号84]、hu.42[配列番号85]、rh.38[配列番号86]、hu.40[配列番号87]、hu.37[配列番号88]、rh.40[配列番号92]、rh.52[配列番号96];rh.53[配列番号97];rh.49[配列番号103];rh.51[配列番号104];rh.57[配列番号105];rh.58[配列番号106]、rh.61[配列番号107];rh.50[配列番号108];rh.43[配列番号163];rh.62[配列番号114];rh.48[配列番号115];4−9/rh.54(配列番号116);および4−19/rh.55(配列番号117);hu.31[配列番号121];hu.32[配列番号122];hu.34[配列番号125];hu.45[配列番号127];hu.47[配列番号128];hu.13[配列番号129];hu.28[配列番号130];hu.29[配列番号132];hu.19[配列番号133];hu.20[配列番号134];hu.21[配列番号135];hu.23.2[配列番号137];hu.22[配列番号138];hu.27[配列番号140];hu.4[配列番号141];hu.2[配列番号143];hu.1[配列番号144];hu.3[配列番号145];hu.25[配列番号146];hu.15[配列番号147];hu.16[配列番号148];hu.18[配列番号149];hu.7[配列番号150];hu.11[配列番号153];hu.9[配列番号155];hu.10[配列番号156];hu.48[配列番号157];hu.44[配列番号158];hu.46[配列番号159];hu.43[配列番号160];hu.35[配列番号164];hu.24[配列番号136];rh.64[配列番号99];hu.41[配列番号91];hu.39[配列番号102];hu.67[配列番号198];hu.66[配列番号197];hu.51[配列番号190];hu.52[配列番号191];hu.49[配列番号189];hu.56[配列番号192];hu.57[配列番号193];hu.58[配列番号194];hu.63[配列番号195];hu.64[配列番号196];hu.60[配列番号184];hu.61[配列番号185];hu.53[配列番号186];hu.55[配列番号187];hu.54[配列番号188];hu.6[配列番号84];およびrh.56[配列番号152]を包含する。これらのキャプシド配列は配列表(引用することにより本明細書に組み込まれる)にもまた再現されている。
【図3A−3CN】本発明のAAV vp1キャプシドタンパク質(個々の配列の番号付けを報告する)、ならびに以前に公表されたAAV5(配列番号199);AAV3−3(配列番号200);AAV4−4(配列番号201);AAV1(配列番号202);AAV6(配列番号203);AAV2(配列番号211);AAV7(配列番号213)およびAAV8(配列番号214);rh.25/42−15;29.3/bb.1;cy.2;29.5/bb.2;rh.32、rh.33、rh.34、rh.10;rh.24;rh.14、rh.16、rh.17、rh.12、rh.18、rh.21(以前は41.10と命名された);rh.25(以前は41.15と命名された;GenBank受託番号AY530557);rh.2;rh.31;cy.3;cy.5;rh.13;cy.4;cy.6;rh.22;rh.19;rh.35;rh.37;rh.36;rh.23;rh.8;ならびにch.5[米国特許出願公開第2003/0138772 A1号(2003年7月24日)]の核酸配列のアライメントである。本発明の核酸配列は、hu.14/AAV9(配列番号3);LG−4/rh.38(配列番号7);LG−10/rh.40(配列番号14);N721−8/rh.43(配列番号43);1−8/rh.49(配列番号25);2−4/rh.50(配列番号23);2−5/rh.51(配列番号22);3−9/rh.52(配列番号18);3−11/rh.53(配列番号17);5−3/rh.57(配列番号26);5−22/rh.58(配列番号27);2−3/rh.61(配列番号21);4−8/rh.64(配列番号15);3.1/hu.6(配列番号5);33.12/hu.17(配列番号4);106.1/hu.37(配列番号10);LG−9/rh.39(配列番号24);114.3/hu.40(配列番号11)、127.2/hu.41(配列番号6);127.5/hu.42(配列番号8);およびhu.66(配列番号173);2−15/rh.62(配列番号33);1−7/rh.48(配列番号32);4−9/rh.54(配列番号40);4−19/rh.55(配列番号37);52/hu.19(配列番号62)、52.1/hu.20(配列番号63)、54.5/hu.23(配列番号60)、54.2/hu.22(配列番号67)、54.7/hu.24(配列番号66)、54.1/hu.21(配列番号65)、54.4R/hu.27(配列番号64);46.2/hu.28(配列番号68);46.6/hu.29(配列番号69);128.1/hu.43(配列番号80);128.3/hu.44(配列番号81)ならびに130.4/hu.48(配列番号78);3.1/hu.9(配列番号58);16.8/hu.10(配列番号56);16.12/hu.11(配列番号57);145.1/hu.53(配列番号176);145.6/hu.55(配列番号178);145.5/hu.54(配列番号177);7.3/hu.7(配列番号55);52/hu.19(配列番号62);33.4/hu.15(配列番号50);33.8/hu.16(配列番号51);58.2/hu.25(配列番号49);161.10/hu.60(配列番号170);H−5/hu.3(配列番号44);H−1/hu.1(配列番号46);161.6/hu.61(配列番号174);hu.31(配列番号1);hu.32(配列番号2);hu.46(配列番号82);hu.34(配列番号72);hu.47(配列番号77);hu.63(配列番号204);hu.56(配列番号205);hu.45(配列番号76);hu.57(配列番号206);hu.35(配列番号73);hu.58(配列番号207);hu.51(配列番号208);hu.49(配列番号209);hu.52(配列番号210);hu.13(配列番号71);hu.46(配列番号212);hu.56(配列番号54);hu.2(配列番号48);hu.18(配列番号52);hu.4(配列番号47);ならびにhu.67(配列番号215)を包含する。これらの配列は配列表(引用することにより本明細書に組み込まれる)でもまた再現されている。
【図4A−4D】新規の霊長類AAVに基づくベクターのin vitroおよびin vivoの遺伝子移入効率の評価を提供する。AAVベクターを、AAV1、2、5、7、8および6、ならびにch.5、rh.34、cy.5、rh.20、rh.8およびAAV9のキャプシドを用いて、記述された[Gaoら、Proc Natl Acad Sci USA、99:11854−11859(2002年9月3日)]とおりシュードタイピングした。in vitro研究(図4A)のため、95ウェルプレートに接種した84−32細胞(アデノウイルス血清型のE4を発現する293細胞)に、シュードタイピングしたAAVCMVEGFPベクターを細胞あたり1×104GCのMOIで感染させた。相対的EGFP形質導入効率を、感染後48時間にUV顕微鏡を使用して緑色細胞のパーセントとして推定し、そしてY軸上に示した。in vivo研究のため、分泌型レポーター遺伝子A1ATを発現するベクターを、NCRヌードマウス(4〜6週齢)の肝(図4B)、肺(図4C)および筋(図4D)に、動物あたり1×1011GCの用量でそれぞれ門脈内(図4B)、気管内(図4C)および筋肉内注入(図4D)により投与した。血清A1AT濃度(ng/mL)を遺伝子移入後第28日に比較し、そしてY軸上に提示した。X軸は分析したAAVおよびそれらが属する同源系統群を示す。
【0157】
以下の実施例は本発明のいくつかの局面および態様を具体的に説明する。
実施例
【実施例1】
【0158】
霊長類AAV配列のコンピュータ解析
A.霊長類組織の収集
ヒト以外の霊長類の組織の供給源は以前に記述された[N.Muzyczka,K.I.Berns、Fields Virology D.M.Knipe,P.M.Howley編(Lippincott Williams & Willkins、フィラデルフィア、2001)、vol.2中、pp.2327−2359]。ヒト組織は、2つの主要な国のヒト組織提供元すなわちCooperative Human Tissue Network(CHTN)およびNational Disease Research Intedchange(NDRI)により外科的処置若しくは死後の検査若しくは臓器ドナーのいずれかから収集した。本研究に使用したヒト組織は、結腸、肝、肺、脾、腎、脳、小腸、骨髄、心、リンパ節、骨格筋、卵巣、膵、胃、食道、子宮頚部、精巣および前立腺を包含した18種の異なる組織型から構成された。組織サンプルは、異なる性別、人種(白人、アフリカ系米国人、アジア人およびヒスパニック)ならびに年齢(2
3〜83歳)の個体の多彩な群からであった。分析した250例の個体からの259サンプルのうち、およそ28%の組織が病変を伴った。
【0159】
B.AAV配列の検出および単離
全細胞DNAを、以前に記述された[R.W.Atchisonら、Science 194、754−756(1965)]とおりヒトおよびヒト以外の霊長類の組織から抽出した。ヒトにおけるAAVの分子頻度および組織分布は、ヒト以外の霊長類の分析に使用したものに類似であったプライマーおよび条件を使用するシグネチャ若しくは完全長いずれかのcap PCRにより決定した。ヒト以外の霊長類でのAAVの拡張された一ファミリーの単離および特徴づけに使用した同一のPCRクローニング戦略を、選択したヒト組織からのAAVの単離で使用した。簡潔には、repの一部および完全長のcap配列を含有する3.1kbのフラグメントをPCRにより組織DNAから増幅しかつTopoクローン化した(Invitrogen)。ヒトAAVクローンを最初にAAV配列の多様性を同定するのを助ける制限マッピングにより分析し、それをその後、99.9%の正確度を伴うSeqWright(SeqWright、テキサス州ヒューストン)による完全配列分析にかけた。ヒト組織から単離した合計67種のキャプシドクローンを特徴づけした(hu.1〜hu.67)。ヒト以外の霊長類の組織から86種のcapクローンをシークェンシングし、そのなかで70種のクローンはアカゲザルから、6クローンはカニクイザルから、3クローンはブタオザルから、2クローンはヒヒから、および5クローンはチンパンジーからであった。
【0160】
C.AAV配列の分析
全部の連続した配列から、AAVキャプシドウイルスタンパク質(vp1)のオープンリーディングフレーム(ORF)を分析した。AAVキャプシドVP1タンパク質配列を、ClustalX1.81TMプログラム[H.D.Mayor、J.L.Melnick、Nature 210、331−332(1996)]を用いて整列し、そして、インフレームのDNAアライメントを、BioEditTM[U.Bantel−Schaal、H.Zur Hausen、Virology 134、52−63(1984)]ソフトウェアパッケージを用いて生じさせた。系統分類学は、MEGATMv2.1およびTreePuzzleTMパッケージを用いて推論した。ネイバー−ジョイニング、最大節減および最尤度[M.Nei、S.Kumar、Molecular Evolution and Phylogenetics(Oxford University Press、ニューヨーク、2000);H.A.Schmidt、K.Strimmer、M.Vingron、A.von Haeseler、Bioinformatics 18、502−4(2002年3月);N.Saitou,M.Nei、Mol
Biol Evol 4、406−25(1987年7月)]アルゴリズムを使用して、単系統性(monophylic)群における配列の類似のクラスター形成を確認した。
【0161】
その後、全タンパク質配列のネイバー−ジョイニング系統樹から同源系統群を定義した。アミノ酸距離は、ポアソン補正を利用することにより推定した。ブーツストラップ分析を1000個の複製物を用いて実施した。配列は、それらが0.05遺伝距離以内に結合節を有した場合に単系統性とみなした。3個若しくはそれより多くの供給源から発する配列の一群を1同源系統群とみなした。AAVの系統分類学を、配列分析により組換えの証拠についてさらに評価した。ホモプラシーを分割分解(split decomposition)アルゴリズム[H.J.Bandelt、A.W.Dress、Mol Phylogenet Evol 1、242−52(1992年9月)]の実行によりスクリーニングした。この様式で獲得された分割をその後、Simplotソフトウェアのブートスキャンアルゴリズム[M.NeiとS.Kumar、Molecular Evolution and Phylogenetics(Oxford Universi
ty Press、ニューヨーク、2000)]を利用して組換えについてさらに解析した。400ntのスライディング窓(sliding window)(10nt/段階)を使用して、100のブーツストラップ複製物ネイバー−ジョイニング樹を得た。その後、分割分解およびネイバー−ジョイニング系統分類学を推定の組換えフラグメントから推論した。ブーツストラップ値の有意の改善、分割の減少およびそれらの親供給源を含むハイブリッド配列の再グルーピングを組換えの基準とみなした。
【0162】
8例の異なるヒト被験体から増幅した多数の多様なcap配列は、組換えおよびハイブリッドウイルスの形成と矛盾せず、Cap DNA配列の位置1400の共通の破壊点周辺でAAV2(5’)およびAAV3(3’)に対する系統分類学的関係を示した。これは、アカゲザルの腸間膜リンパ節からの単離物から組換えが検出された、cap遺伝子の一般的領域である[Gaoら、Proc Natl Acad Sci USA100、6081−6086(2002年5月13日)]。選択のための全体的コドンに基づくZ試験を、Neib−Gojoboriの方法[R.M.Kotin、Hum Gene Ther 5、793−801(1994年7月)]を実行して実施した。
【0163】
系統分類学的解析を、ハイブリッドとして正に同定されたクローンを除外して反復した。この解析では、ガチョウおよびトリのAAVを外集団として包含した[(I.Bossis,J.A.Chiorini、J Virol 77、6799−810(2003年6月)]。図1はネイバー−ジョイニング樹であり;類似の関係が最大節減および最大可能性解析を使用して得られた。
【0164】
本解析は11の系統群を示し、それらを表1に要約する。6種のAAV同源系統群および5種の個別のAAVクローン(若しくはクローンの組)の種の起源は、該配列がサンプリングで取得された数若しくは供給源ごとに表す。種およびグルーピングあたり集められた配列の総数をカッコ内に示す。同源系統群あたりの以前に記述された配列の参照が右の欄にある。Rhesus−アカゲザル;cyno−カニクイザル;chimp−チンパンジー;pigrail−ブタオザル。
【0165】
【表1】
【0166】
上に示されたとおり、使用した標準的系統発生アルゴリズムで組換えが実行されないため、適正な系統樹を構成するために、それらの配列を解析から除外し、それらのうちそれらの組換えの祖先を確立した。全部の非組換え配列のネイバー−ジョイニング解析を、組換えを利用して進化した同源系統群と並べて表す。類似の出力を、異なるアルゴリズムを使用しかつ入力としてヌクレオチド配列を用いて生成させた。
【0167】
追加実験を実施して、以下の実施例に記述されるとおり、血清学的活性および向性により測定されるところの機能への系統分類学的関連性の関係を評価した。
【実施例2】
【0168】
新規ヒトAAVの血清学的分析
先行する実施例で記述されたとおり得られた最後の同源系統群は、3例のヒトの単離物由来であり、そして以前に記述された血清型を含有しなかった。本同源系統群の代表的1メンバーに対しポリクローナル抗血清を生成させ、そして、以前に記述された血清型間の血清学的交差反応性の包括的研究を実施した。これは、新しいヒト同源系統群が他の既知の血清型と血清学的に別個であることを示し、そして従って同源系統群F(AAV9により代表される)と呼ばれる。
【0169】
AAV血清型1〜9に対するウサギポリクローナル抗体を、等しい容量のフロイントの不完全アジュバントと一緒にそれぞれ1×1013ゲノムコピーのAAVベクターを動物に筋肉内接種することにより生成させた。注入を第34日に反復して抗体力価を促進した。AAV1〜9間の血清学的交差反応性は、異なるAAV供給源由来のキャプシドでシュードタイピングしたレポーター遺伝子(AAVCMVEGFP、強化緑色蛍光タンパク質を運搬する)を運搬するベクターによる293細胞の形質導入に対するウサギ抗血清の阻害効果を評価することにより決定した。AAVCMVEGFPベクターによる84−31細胞の形質導入をUV顕微鏡下で評価した。2種のAAV間の血清学的関係の評価におい
て、異種および同種双方の血清の各AAVからのベクターを中和する能力を試験した。血清による中和が、同種ベクターよりも異種ベクターに対して相反する様式で少なくとも16倍より低かった場合は、該2種のAAVは別個の血清型とみなす。中和力価は以前に記述された[(G.P.Gaoら、Proc Natl Acad Sci U S A 99、11854−9(2002年9月3日)]とおり定義した。
【0170】
【表2】
【0171】
これらのデータは、構造的に異なるAAV5およびAA1血清型の予期されない血清学的反応性(すなわち、異種/同種力価の比は逆滴定で1/4および1/8であった)を除き、異なるクローンおよび同源系統群の系統分類学的グルーピングを確認する。
【0172】
該結果は、AAVhu.14が独自の血清学的特性を有しかついずれかの既知のAAV血清型から生成した抗血清と有意の交差反応性を有しなかったことをさらに示した。AAVhu.14の血清学的独自性は、この試験で比較した全部の他のAAV血清型と85%未満のアミノ酸配列の同一性を共有したキャプシド構造のその独自性によりさらに裏付けられた。それらの知見は、われわれがAAVhu.14を新たな血清型AAV9として命名するための根拠を提供した。
【実施例3】
【0173】
遺伝子移入ベクターとしての霊長類AAVの評価
GFP若しくは分泌型レポーター遺伝子α−1アンチトリプシン(A1AT)のいずれかを発現する組換えAAV2ゲノムを多様なクローンおよび比較のためそれぞれの霊長類AAV同源系統群からの1種の代表的なメンバー由来のキャプシドでパッケージングした、シュードタイピングしたベクターを生成させることにより、AAVの生物学的向性を研究した。例えば、AAV1から得られたデータは同源系統群Aを、次いでAAV2を同源系統群B、Rh.34をAAV4、AAV7を同源系統群D、AAV8を同源系統群E、そしてAAVHu.14を同源系統群Fを代表するのに使用した。AAV5、AAVCh.5およびAAVRh.8は比較のための単一のAAV遺伝子型としてである。
【0174】
ベクターを、GFP形質導入に基づきin vitroでの形質導入効率について、ま
た、肝、筋若しくは肺でin vivo形質導入効率について評価した(図4)。
【0175】
A.in vitro
強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)を発現するベクターを使用して、84−31細胞中でのそれらのin vitro形質導入効率を検査し、かつ、それらの血清学的特性を研究した。機能解析のため、多様なAAVCMVEGFPベクターのin vitro形質導入を、96ウェルプレートに接種しかつ細胞あたり1×104GCのMOIのシュードタイピングしたAAVCMVEGFPベクターに感染させた84−31細胞で測定した。AAVベクターは、G.Gaoら、Proc Natl Acad Sci U S A 99、11854−9(2002年9月3日)に記述される技術を使用して、AAV1、2、5、7、8、ならびに6種の他の新規AAV(Ch.5、Rh.34、Cy5、rh.20、Rh.8およびAAV9)のキャプシドでシュードタイピングした。相対EGFP形質導入効率を、感染後48時間にUV顕微鏡を使用して推定した緑色細胞の0〜10%、10〜30%、30〜70%および70〜100%に対応する0、1、2および3として評価した。
【0176】
B.in vivo
in vivo研究のため、ヒトα−アンチトリプシン(A1AT)をベクター中での感受性かつ定量的レポーター遺伝子として選択し、そしてCMV増強ニワトリβ−アクチンプロモーターの制御下で発現させた。CBプロモーターの使用は、高レベルの組織非特異的および構成的A1AT遺伝子移入が達成されることを可能にし、かつ、目的のいかなる組織中でも遺伝子移入研究のための同一のベクター調製物の使用もまた可能にする。4ないし6週齢のNCRヌードマウスを、肝、肺および筋に向けた遺伝子移入のためそれぞれ門脈内、気管内および筋肉内注入により動物あたり1×1011ゲノムコピーの用量の新規AAVベクター(AAVCBhA1AT)で処置した。遺伝子移入後異なる時点で血清サンプルを収集し、そしてA1AT濃度をELISAに基づくアッセイにより測定し、そして、ベクターの投与経路に依存して、遺伝子移入後第28日に多様な血清A1ATレベルに関して0、1、2および3として評価した(肝:0=A1AT<400ng/ml、1=A1AT 400〜1000ng/ml、2=A1AT 1000〜10,000ng/ml、3=A1AT>10,000ng/ml;肺:0=A1AT<200ng/ml、1=A1AT 200〜1000ng/ml、2=A1AT 1000〜10,000ng/ml、3=A1AT>10,000ng/ml;筋:0=A1AT<100ng/ml、1=A1AT 100〜1000ng/ml、2=A1AT 1000〜10,000ng/ml、3=A1AT>10,000ng/ml)。
【0177】
1種のヒトAAVクローン28.4/hu.14(現在AAV9と命名される)は、肝をAAV8に類似の効率で、肺をAAV5より2対数より良好に、そして筋をAAV1より優れて形質導入する能力を有する一方、2種の他のヒトクローン、24.5および16.12(hu.12およびhu.13)の成績は全3標的組織中でわずかであった。クローンN721.8(AAVrh.43)もまた全3組織中で高性能体である。
【0178】
AAV9およびrh 43の遺伝子移入効率を、肝(AAV8)、肺(AAV5)および筋(AAV1)の基準体(bench marker)のものと比較してさらに分析するために、用量応答実験を実施した。双方の新しいベクターは、筋でAAV1より少なくとも10倍より多い遺伝子移入を、肝でAAV8と類似の成績を、および肺でAAV5より2対数より効率的を示した。
【0179】
AAVの一群は、全3組織で、各組織中でそれらの基準体の成績に類似若しくはより優れた効率的な遺伝子効率を示したが出現した。今日まで、3種の新規AAV(2種がアカゲザル(rh10および43)からならびに1種がヒト(hu.14すなわちAAV9)
から)がこの範疇に入った。ネズミの肝、肺および筋におけるそれらの基準体に対するそれら3種のAAVの相対遺伝子移入効率の直接比較は、最良の適合を伴う数種の霊長類AAVが厳格な生物学的選択および進化から「超」ウイルスとして進化したかもしれないことを示唆している。これらは遺伝子移入の応用にとりわけ良好に適する。
【0180】
C.生物学的活性のプロファイル
遺伝子移入の効率に関して生物学的活性の独特のプロファイルが、一組のクローンすなわち同源系統群のメンバー内で実質的な一致を伴い多様なAAVについて示された。しかしながら、in vitro形質導入はin vivoでの遺伝子移入の効率を予測しなかった。2種の異なるAAVシュードタイプ間の生物学的活性を比較するためのアルゴリズムを、導入遺伝子発現のレベルおよび差違の累積解析の相対評価に基づいて開発した。
【0181】
AAV対間のin vitroおよびin vivoの遺伝子移入スコアの累積的差違を、以下の式、ベクターAとBとの間のスコアに関しての累積的機能的差違=in vitro(A−B)+肺(A−B)+肝(A−B)+筋(A−B)に従って計算しそして表(ND=決定されない)に提示した。該数が小さくなるほど、機能AAVがより類似する。灰色で影を付けた領域に、配列中の差違のパーセントを太字斜体で表す。cap構造中の差違のパーセントは、ギャップの対にした削除後のアミノ酸の差違の数を750(VP1タンパク質配列のアライメントの長さ)により除算することにより決定した。
【0182】
【表3】
【0183】
これらの研究はヒトにおけるパルボウイルスの研究に関する多数の問題を指摘する。広範囲のヒト組織中での内因性AAV配列の頻度は、この群のウイルスへの天然の感染が極めて一般的であることを示唆している。ウイルス配列の広範な組織分布ならびに肝、脾および腸における頻繁な検出は、伝播が胃腸路を介して起こることおよびウイルス血症が該感染の一特徴でありうることを示す。
【0184】
ヒトおよびヒト以外の霊長類の双方に存在する配列の夥しい多様性は向性および血清学に関して機能的相関を有し、それが免疫エスケープのような現実の生物学的圧により駆動されることを示唆している。明らかに、組換えは、2種の以前に記述されたAAVのハイブリッドである第二の最も一般的なヒト同源系統群により証明されるとおりこの多様性に寄与している。
【0185】
系統解析のトポロジーの検査は、ウイルスの進化とその宿主の制限の間の関係への洞察を示す。デペンドウイルス属全体がトリAAV由来であるようであり、Lukashov
とGoudsmit[(V.V.Lukashov、J.Goudsmit、J Virol 75、2729−40(2001年3月)]と一致する。AAV4およびAAV5単離物は他のAAVのその後の発達から早期に分岐した。次の重要な節は種を2つの主要な単系統群に分割する。第一の群は単にヒトから単離されたクローンを含有し、そして同源系統群B、AAV3クローン、同源系統群Cおよび同源系統群Aを包含し;この群の種の制限に対する唯一の例外はch.5と呼ばれるチンパンジーからの単一クローンである。該属の残存するメンバーを表す他の単系統群はヒトおよびヒト以外の霊長類の双方由来である。この群は、サルから独占的に単離された同源系統群Dおよびrh.8クローン、ならびにヒト特異的である同源系統群Fを包含する。この群内の残存する同源系統群(すなわち同源系統群E)はヒトおよび多数のヒト以外の霊長類種の双方からのメンバーを有し、種の障壁を越えた本同源系統群の伝播を示唆している。若干のヒトから単離された同源系統群Eのメンバーのキャプシド構造がヒト以外の霊長類からの若干に本質的に同一であり、宿主適応がほとんど起こらなかったことを示していることは興味深い。AAV8由来ベクターの生物学の解析は、高レベルの遺伝子移入を伴う広範な組織向性を示し、これは感染性のより有望な範囲と矛盾せず、そしてその見かけの動物原性感染症を説明しうる。遺伝子移入のなおより広い範囲および効率が同源系統群Fについて示され、今日まで検出されていなかった交差種伝播の潜在性を強調した。
【0186】
潜伏期AAVの存在はヒトおよびヒト以外の霊長類全体に広範に散在し、そして、組換えおよび交差種障壁に対するそれらの見かけの素因は重要な問題を提起する。この組換え事象は、改変された毒性をもつ新たな感染性病原体の出現に至る潜在性を有する。この潜在性を評価することは、霊長類におけるAAV感染の臨床的続発症が未だ定義されなければならないという事実により混乱されている。加えて、肝でのAAV配列の高い頻度は、同種異系および異種肝移植の状況のヒト集団におけるウイルスの広まりに寄与しうる。最後に、ヒトにおける内因性AAVの知見は、ヒト遺伝子治療のためのAAVの使用において意義を有する。野性型AAVが、これまで悪性と関連することなく霊長類において非常に高頻度であるという事実は、それがとりわけ癌原性ではないことを示唆している。事実、AAV rep遺伝子の発現は形質転換を抑制することが示されたP.L.Hermonat、Virology 172、253−61(1989年9月)]。
【実施例4】
【0187】
嚢胞性線維症気道疾患の処置のためのAAV2/9ベクター
今日まで、CF気道疾患の処置のための肺へのCFTR遺伝子移入は、効果的な遺伝子移入に対して気道上皮が課す大きな障壁と組み合わさった乏しいベクターの性能により制限されていた。AAV9キャプシドにパッケージングしたAAV2ゲノム(AAV2/9)を多様な気道モデル系でAAV2/5と比較した。
【0188】
ニワトリβ−アクチンプロモーターの転写制御下に核を標的としたβ−ガラクトシダーゼ(nLacZ)遺伝子若しくは緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子いずれかを発現するAAV2/9の1×1011ゲノムコピー(gc)の50μlの単回投与を、ヌードおよびまたC57Bl/6マウスに鼻内に点滴注入した。21日後に肺および鼻を遺伝子発現のため処理した。AAV2/9−GFPで形質導入した対照動物においてはLacZ陽性細胞がみられなかった。AAV2/9−nLacZは主として気道を成功裏に形質導入した一方、AAV2/5−nLacZは主として肺胞および若干の気道に形質導入した。鼻気道上皮を横断して、AAV2/5およびAAV2/9双方が、繊毛性および非繊毛性上皮細胞に形質導入した。
【0189】
上皮細胞特異的プロモーターが現在、in vivoで気道細胞へのターゲッティングを改良することを評価されている。in vivoの知見に基づき、ヒト気道上皮細胞へのAAV2/9の遺伝子移入効率を次に試験した。気道上皮細胞をヒト気管および気管支
から単離し、そしてコラーゲン被覆した膜支持体上の空気−液体界面(ALI)で増殖させた。細胞が一旦分極しかつ分化したら、それらを尖部ならびに基底外側からGFPを発現するAAV2/9若しくはAAV2/5で形質導入した。AAV2/5およびAAV2/9双方が基底外側表面からの上皮細胞の形質導入に成功した。しかしながら尖部表面に適用した場合に、AAV2/9はAAV2/5に比較して形質導入された細胞の数の10倍の増大をもたらした。現在、ヒト以外の霊長類の肺および鼻気道でのAAV2/9の遺伝子移入成績を評価中である。
【0190】
本実験は、AAV2/9がネズミ肺の気道およびALIで増殖させた十分に分化したヒト気道上皮細胞に効率的に形質導入し得ることを示す。
【実施例5】
【0191】
成体ラット心におけるAAV1(2/1)およびAAV9(2/9)の直接注入の比較
2匹の成体(3月齢)ラットが、5×1011粒子のAAV2/1若しくはAAV2/9の左室への単回注入を受領した。
【0192】
結果は目を見張らせるものであり、lacZ組織化学により評価されるとおり、有意により多い発現がAAV2/1に比較してAAV2/9ベクターで成体ラット心において観察された。AAV2/9は新生マウス心においてもまた優れた遺伝子移入を示す。
【実施例6】
【0193】
血友病B遺伝子治療のためのAAV2/9ベクター
本研究で、AAV2/9ベクターが、従来のAAV供給源よりも血友病Bの肝および筋双方に向けた遺伝子治療のためのより効率的かつより少なく免疫原性のベクターであることが示される。
【0194】
肝に向けたアプローチのため、AAV2/9のシュードタイピングしたベクターの評価をマウスおよびイヌ血友病モデルで実施した。免疫適格の血友病Bマウス(C57BL/6背景の)で、長期の生理学的レベル超のイヌ第IX因子(cFIX、41〜70μg/ml)、および短縮された活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)が、肝特異的プロモーター(LSP)およびウッドチャックB型肝炎転写後応答配列(WPRE)の下でcFIXが発現されるAAV2/7、2/8および2/9ベクターの1×1011ゲノムコピー(GC)/マウスの門脈内注入後に達成された。10倍より低い用量(1×1010GC/マウス)のAAV2/8ベクターは正常レベルのcFIXおよびaPTT時間を生じた。ノースカロリン大学(University of North Caroline)(UNC)の血友病Bイヌで、AAV2ベクターで以前に処置したイヌへのAAV2/8ベクターの投与が成功裏であったことが以前に示され;cFIX発現は第二の門脈内注入(用量=5×1012GC/kg)後第6日に10μg/mlでピークに達し、その後徐々に減少しかつ試験中(1 1/2年)約700ng/ml(正常レベルの16%)で安定した。このレベルは、類似の用量のAAV2−cFIXの単回注入を受領した血友病Bイヌからのものより約3倍より高かった。最近、2匹のナイーブな血友病Bイヌに5.25×1012GC/kgの用量でAAV2/8ベクターを門脈内注入した。1匹のイヌ(雄性)のcFIXレベルは注入10週後に正常レベルの30%(1.5μg/ml)に達しそして1.3〜1.5μg/mlで持続した一方、第二のイヌ(雌性)は正常レベルの約10%のcFIX発現を維持した。全血凝固時間(WBCT)およびaPTTは双方とも注入後に短縮され、抗原が生物学的に活性であったことを示唆した。双方のイヌでの肝酵素(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(SGOT)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(SGPT)は、外科手術後正常範囲に留まった。これらのAAVを血友病Bの筋に向けた遺伝子治療についてもまた評価した。6種の異なるAAV供給源でパッケージングしたAAV−CMV−cFIX−WPRE[CMVプロモーターの制御下
にcFIXを運搬しかつWPREを含有するAAV]を、1×1011GC/マウスの用量での筋肉内注入後に免疫適格の血友病Bマウス(C57BL/6背景の)で比較した。cFIX遺伝子発現および抗体形成をモニターした。最高の発現は、AAV2/8ベクターを注入したマウスの血漿で検出され(第42日に1460±392ng/ml)、次いでAAV2/9(第42日に773±171ng/ml)およびAAV2/7(第42日に500±311ng/ml)であった。レベルは5か月間維持された。驚くべきことに、AAV2/1によるcFIX発現は0〜253ng/ml(平均:66±82ng/ml)からの範囲にわたった。抗cFIX阻害物質(IgG)が、AAV2/1を注入したマウスの若干で検出された。これらのマウスでのcFIX発現レベルは阻害物質レベルと良好に相関した。阻害物質形成のさらなるスクリーニングを、第28日のサンプルで全AAVについて実施した。血友病BマウスはAAV2/2に対する最高の阻害物質形成を示し、次いでAAV2/5、そしてAAV2/1であった。散発的かつ低レベルのみの阻害物質がAAV2/7、AAV2/8およびAAV2/9を注入した動物で検出された。従って、いかなる有意の抗FIX抗体形成も導き出さないより効率的かつ安全なベクターとしての血友病Bの筋に向けた遺伝子治療のための新たなAAV血清型2/9ベクターの利点が示される。
【実施例7】
【0195】
本発明の新規rh.43ベクター
A.AAVrh.43に基づくA1AT発現ベクターのマウス肝に向けた遺伝子移入におけるAAV8およびAAV9との比較
系統解析により同源系統群Eに属する新規AAVrh.43のベクターを、マウス肝への門脈内注入後のhA1ATレベルについてAAV8および新規AAV9と比較した。より具体的には、シュードタイピングしたAAVrh.43、AAV2/8およびAAV2/9ベクタ―をマウス肝に向けた遺伝子移入で比較した。動物あたり1×1011GC、3×1010GCおよび1×1010GCの用量のシュードタイピングしたベクターを、4〜6週齢のC57BL/6マウスに筋肉内投与した。血清サンプルを、ヒトα1アンチトリプシン(hA1AT)アッセイのためのベクター注入後第28日に動物から収集した。
【0196】
該データは、新規AAVrh.43ベクターが実際にマウスモデルにおいてAAV9のものに類似の成績を有したことを示した。
【0197】
B.シュードタイピングしたAAVベクターにより媒介されるマウス肝および筋への核標的LacZ遺伝子移入。
本発明の新規AAV9およびAAVrh.43に基づくベクターをAAV1およびAAV2に基づくベクターと比較した。ベクターは、マウスあたり1×1011GCの用量で、肝を標的とするため門脈内に、若しくは筋肉内にC57BL/6マウスの右前脛骨筋に筋肉内のいずれかで注入した。動物を遺伝子移入後第28日に殺し、そしてX−gal組織化学的染色のため目的の組織を収集した。
【0198】
AAVrh.43ベクターは、AAV9に近いがしかしAAV1より少なくとも5倍より高かった遺伝子移入効率を示した。AAVrh.43の適正性を、遺伝子移入の広がりを組織化学的に可視化するためのレポーターとして核を標的とするLacZ遺伝子を使用して肝および筋双方でさらに解析した。
【0199】
C.AAVrh.43に基づくA1AT発現ベクターのマウス肺に向けた遺伝子移入におけるAAV5との比較
本発明の新規rh.43に基づくベクターは、肺組織中ですばらしい遺伝子移入効力もまた示した。多様な用量(動物あたり1×1010、3×1010および1×1011G
C)のシュードタイピングしたベクターを、4〜6週齢のC57BL/6マウス肺に気管内投与した。血清サンプルをhA1ATアッセイのため多様な時点で動物から収集した。
【0200】
このベクターを、マウス肺への気管内点滴注入後に全身で検出されるhA1ATのレベルについて、多様な用量のAAV5と比較した。該データは、この新規ベクターがマウスモデルにおいてAAV5より少なくとも100倍より効率的であったことを示した。
【実施例8】
【0201】
肝および肺に向けた遺伝子移入のためのマウスモデルにおける新規ヒトAAVに基づくベクター
ヒトクローンAAVhu.37、AAVhu.41およびAAVhu.47をシュードタイピングし、そして遺伝子移入の効力についてマウス組織中で試験した。hu.37、hu.41およびhu.47のキャプシドでシュードタイピングしたAAVCBA1ATベクターを、本明細書に記述される方法を使用して製造し、そして、4〜6週齢のC57BL/6マウスに門脈内および気管内注入により投与した。血清サンプルをhA1ATアッセイのためベクター注入後第14日に動物から収集し、アッセイは公表された技術に従って実施した。AAVhu.47はAAV2ファミリー(同源系統群B)のAAV2に属し、そしてヒト骨髄サンプルから単離した。AAVhu.37およびAAVhu.41はそれぞれヒト精巣組織およびヒト骨髄サンプルからであった。系統分類学的に、それらはAAV8の同源系統群(同源系統群E)にある。
【0202】
注入した動物の血清A1AT分析は、AAVhu.41およびAAVhu.47が試験した3組織で不十分に機能したことを示した。しかしながら、AAVhu.37由来ベクターの遺伝子移入効力は、肝でAAV8および肺でAAV9のものに類似であった。
【0203】
本発明の主たる特徴または態様を以下に挙げる。
【0204】
態様1:少なくとも3種のアデノ随伴ウイルス(AAV)メンバーを含んでなるAAV同源系統群であって、前記AAV同源系統群の各メンバーが、ネイバー−ジョイニング ヒューリスティック(Neighbor−Joining heuristic)で決定した場合に、1000個の単離物当り少なくとも75%のブーツストラップ(bootstrap)値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値により系統分類学的に関連づけられる、上記同源系統群。
【0205】
態様2:同源系統群が、1メンバーとしてAAV8を含んでなる同源系統群E、1メンバーとしてAAV7を含んでなる同源系統群D、1メンバーとしてAAV9を含んでなる同源系統群F、1メンバーとしてAAV2を含んでなる同源系統群B、および1メンバーとしてH2を含んでなる同源系統群Cよりなる群から選択される、態様1に記載のAAV同源系統群。
【0206】
態様3:前記AAVメンバーの1若しくはそれより多くが天然に存在しないAAVである、態様1に記載の同源系統群。
【0207】
態様4:前記AAVメンバーの2若しくはそれより多くが天然に存在するAAVである、態様1に記載の同源系統群。
【0208】
態様5:AAV8および少なくとも2つの付加的なAAVメンバーを含んでなるアデノ随伴ウイルス(AAV)同源系統群Eであって、ネイバー−ジョイニング ヒューリスティックを用いて決定した場合に、1000個の単離物あたり少なくとも75%のブーツストラップ値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値により前記AAV同源系統群
の各メンバー。
【0209】
態様6:前記AAVメンバーの1若しくはそれより多くが、AAV8のキャプシド、配列番号183との少なくとも85%のアミノ酸同一性をもつキャプシドを有する、態様5に記載のAAV同源系統群E。
【0210】
態様7:前記同源系統群が、少なくともAAV8 配列番号183、43.1/rh.2;rh.4;rh.8;44.2/rh.10;rh.25;29.3/bb.1;29.5/bb.2;30.10/pi.1(配列番号28および93)、30.12/pi.2(配列番号30および95)、30.19/pi.3(配列番号29および94)、LG−4/rh.38(配列番号7および86);LG−10/rh.40(配列番号14および92);N721−8/rh.43(配列番号43および163);1−8/rh.49(配列番号25および103);2−4/rh.50(配列番号23および108);2−5/rh.51(配列番号22および104);3−9/rh.52(配列番号18および96);3−11/rh.53(配列番号17および97);5−3/rh.57(配列番号26および105);5−22/rh.58(配列27および58);改変rh.58(配列番号232);2−3/rh.61(配列番号21および107);4−8/rh.64(配列番号15および99);改変rh.64(配列番号233);3.1/hu.6(配列番号5および84);33.12/hu.17(配列番号4および83);106.1/hu.37(配列番号10および88);LG−9/hu.39(配列番号24および102);114.3/hu.40(配列番号11および87);127.2/hu.41(配列番号6および91);127.5/hu.42(配列番号8および85);hu.66(配列番号173および197);改変rh.2(配列番号231);ならびにhu.67(配列番号174および198)を含んでなる、態様5に記載のAAV同源系統群E。
【0211】
態様8:態様5に記載の同源系統群Eの1つのAAV、但し、前記同源系統群のAAVのいずれもAAV8のキャプシド、43.1/rh.2;rh.4;rh.8;44.2/rh.10;rh.25;29.3/bb.1;若しくは29.5/bb.2を含まない、上記AAV。
【0212】
態様9:30.10/pi.1(配列番号28および93)、30.12/pi.2(配列番号30および95)、30.19/pi.3(配列番号29および94)、LG−4/rh.38(配列番号7および86);LG−10/rh.40(配列番号14および92);N721−8/rh.43(配列番号43および163);1−8/rh.49(配列番号25および103);2−4/rh.50(配列番号23および108);2−5/rh.51(配列番号22および104);3−9/rh.52(配列番号18および96);3−11/rh.53(配列番号17および97);5−3/rh.57(配列番号26および105);5−22/rh.58(配列番号27および58);改変rh.58(配列番号232);2−3/rh.61(配列番号21および107);4−8/rh.64(配列番号15および99);改変rh.64(配列番号233);3.1/hu.6(配列番号5および84);33.12/hu.17(配列番号4および83);106.1/hu.37(配列番号10および88);LG−9/hu.39(配列番号24および102);114.3/hu.40(配列番号11および87);127.2/hu.41(配列番号6および91);127.5/hu.42(配列番号8および85);hu.66(配列番号173および197);改変rh.2(配列番号231);ならびにhu.67(配列番号174および198)よりなる群から選択される、態様8に記載のAAV。
【0213】
態様10:AAV7および少なくとも2種の付加的なAAVメンバーを含んでなるアデノ
随伴ウイルス(AAV)同源系統群Dであって、前記AAV同源系統群の各メンバーが、ネイバー−ジョイニング ヒューリスティックを用いて決定した場合に、1000個の単離物あたり少なくとも75%のブーツストラップ値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値により系統分類学的に関連づけられる、上記AAV同源系統群D。
【0214】
態様11:前記同源系統群が、少なくともAAV供給源、すなわち、AAV7;cy.2;cy.3;cy.4;cy.5;cy.6;rh.13;rh.37;rh.36;rh.35;2−15/rh.62(配列番号33および114);1−7/rh.48(配列番号32および115);4−9/rh.54(配列番号40および116);ならびに4−19/rh.55(配列番号37および117)改変cy.5(配列番号227);改変rh.13(配列番号228);ならびに改変rh.37(配列番号229)を含んでなる、態様10に記載のAAV同源系統群D。
【0215】
態様12:態様10に記載のAAV同源系統群Dの1つのAAV、但し、前記同源系統群のAAVのいずれも、AAV7のキャプシド 配列番号180および181;AAV7;cy.2;cy.3;cy.4;cy.5;cy.6;rh.13;rh.37;rh.36;rh.35を含まない、上記AAV。
【0216】
態様13:2−15/rh.62(配列番号33および114);1−7/rh.48(配列番号32および115);4−9/rh.54(配列番号40および116);ならびに4−19/rh.55(配列番号37および117);改変cy.5(配列番号227);改変rh.13(配列番号228);ならびに改変rh.37(配列番号229)よりなる群から選択される、態様12に記載のAAV。
【0217】
態様14:AAV2および少なくとも2つの付加的なAAVメンバーを含んでなるアデノ随伴ウイルス(AAV)同源系統群Bであって、前記AAV同源系統群の各メンバーが、ネイバー−ジョイニング ヒューリスティックを用いて決定した場合に、1000個の単離物あたり少なくとも75%のブーツストラップ値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値により系統分類学的に関連づけられる、上記のAAV同源系統群B。
【0218】
態様15:前記同源系統群が、少なくともAAV、すなわちAAV2、52/hu.19(配列番号62および133)、52.1/hu.20(配列番号63および134)、54.5/hu.23(配列番号60および137)、54.2/hu.22(配列番号67および138)、54.7/hu.24(配列番号66および136)、54.1/hu.21(配列番号65および135)、54.4R/hu.27(配列番号64および140);46.2/hu.28(配列番号68および130);46.6/hu.29(配列番号69および132);改変hu.29(配列番号225);172.1/hu.63(配列番号171および195);172.2/hu.64(配列番号172および196);24.5/hu.13(配列番号71および129);145.6/hu.56(配列番号168および192);hu.57(配列番号169および193);136.1/hu.49(配列番号165および189);156.1/hu.58(配列番号179および194);72.2/hu.34(配列番号72および125);72.3/hu.35(配列番号73および164);129.1/hu.45(配列番号76および127);130.1/hu.47(配列番号77および128);140.1/hu.51(配列番号161および190);ならびに140.2/hu.52(配列番号167および191)を含んでなる、態様14に記載のAAV同源系統群B。
【0219】
態様16:態様14に記載のAAV同源系統群Bの1メンバーAAV、但し、前記同源系統群のAAVのいずれもAAV2のキャプシドを含まない、上記の1メンバーAAV。
【0220】
態様17:52/hu.19(配列番号62および133)、52.1/hu.20(配列番号63および134)、54.5/hu.23(配列番号60および137)、54.2/hu.22(配列番号67および138)、54.7/hu.24(配列番号66および136)、54.1/hu.21(配列番号65および135)、54.4R/hu.27(配列番号64および140);46.2/hu.28(配列番号68および130);46.6/hu.29(配列番号69および132);改変hu.29(配列番号225);172.1/hu.63(配列番号171および195);172.2/hu.64(配列番号172および196);24.5/hu.13(配列番号71および129);145.6/hu.56(配列番号168および192);hu.57(配列番号169および193);136.1/hu.49(配列番号165および189);156.1/hu.58(配列番号179および194);72.2/hu.34(配列番号72および125);72.3/hu.35(配列番号73および164);129.1/hu.45(配列番号76および127);130.1/hu.47(配列番号77および128);140.1/hu.51(配列番号161および190);ならびに140.2/hu.52(配列番号167および191)よりなる群から選択される、態様16に記載のメンバーAAV。
【0221】
態様18:AAV1、AAV6および少なくとも1つの付加的なメンバーAAVを含んでなるアデノ随伴ウイルス(AAV)同源系統群Aであって、前記AAV同源系統群の各メンバーが、ネイバー−ジョイニング ヒューリスティックを用いて決定した場合に、1000個の単離物あたり少なくとも75%のブーツストラップ値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値により系統分類学的に関連づけられる、上記AAV同源系統群A。
【0222】
態様19:前記同源系統群が、少なくともAAV、すなわちAAV1;AAV6;128.1/hu.43;改変hu.43(配列番号236);128.3/hu.44(配列番号81および158);hu.46(配列番号82および159);改変hu.46(配列番号224);ならびに130.4/hu.48(配列番号78および157)を含んでなる、態様18に記載のAAV同源系統群A。
【0223】
態様20:態様19に記載のAAV同源系統群Aの1メンバーAAV、但し、前記同源系統群のAAVのいずれもAAV1若しくはAAV6のキャプシドを含まない、上記1メンバーAAV。
【0224】
態様21:128.1/hu.43;改変hu.43(配列番号236);128.3/hu.44(配列番号81および158);hu.46(配列番号82および159);改変hu.46(配列番号224);ならびに130.4/hu.48(配列番号78および157)よりなる群から選択される、態様19に記載のメンバーAAV。
【0225】
態様22:A3.1/ch.5;H−6/hu.4;H−2/hu.2および少なくとも1種のさらなるメンバーAAVを含んでなるアデノ随伴ウイルス(AAV)同源系統群Cであって、前記AAV同源系統群の各メンバーが、ネイバー−ジョイニング ヒューリスティックを用いて決定した場合に、1000個の単離物あたり少なくとも75%のブーツストラップ値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値により系統分類学的に関連づけられる、上記AAV同源系統群C。
【0226】
態様23:前記同源系統群が、少なくともAAV、すなわちH−6/hu.4;H−2/hu.2;3.1/hu.9(配列番号58および155);16.8/hu.10(配列番号56および156);16.12/hu.11(配列番号57および153);145.1/hu.53(配列番号176および186);145.6/hu.55(配列
番号178および187);145.5/hu.54(配列番号177および188);7.3/hu.7(配列番号55および150);改変hu.7(配列番号226);33.4/hu.15(配列番号50および147);33.8/hu.16(配列番号51および148);58.2/hu.25(配列番号49および146);161.10/hu.60(配列番号170および184);H−5/hu.3(配列番号44および145);hu.18(配列番号52および149);H−1/hu.1(配列番号46および144);ならびに161.6/hu.61(配列番号174および185)を含んでなる、態様21に記載のAAV同源系統群C。
【0227】
態様24:態様21に記載の同源系統群Cの1メンバーAAV、但し、前記同源系統群のAAVのいずれも、A3.1/ch.5;H−6/hu.4;若しくはH−2/hu.2のキャプシドを含まない、上記1メンバーAAV。
【0228】
態様25:AAVが、3.1/hu.9(配列番号58および155);16.8/hu.10(配列番号56および156);16.12/hu.11(配列番号57および153);145.1/hu.53(配列番号176および186);145.6/hu.55(配列番号178および187);145.5/hu.54(配列番号177および188);7.3/hu.7(配列番号55および150);改変hu.7(配列番号226);33.4/hu.15(配列番号50および147);33.8/hu.16(配列番号51および148);58.2/hu.25(配列番号49および146);161.10/hu.60(配列番号170および184);H−5/hu.3(配列番号44および145);H−1/hu.1(配列番号46および144);hu.18(配列番号52および149);ならびに161.6/hu.61(配列番号174および185)よりなる群から選択される、態様24に記載のメンバーAAV。
【0229】
態様26:AAV9および少なくともさらに2つのメンバーAAVを含んでなるアデノ随伴ウイルス(AAV)同源系統群Fであって、前記AAV同源系統群の各メンバーが、ネイバー−ジョイニング ヒューリスティックを用いて決定した場合に、1000個の単離物あたり少なくとも75%のブーツストラップ値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値により系統分類学的に関連づけられる、上記AAV同源系統群F。
【0230】
態様27:前記同源系統群が、少なくともAAV hu.14/AAV9(配列番号3および123)、hu.31(配列番号1および121)ならびにhu.32(配列番号2および122)を含んでなる、態様26に記載のAAV同源系統群F。
【0231】
態様28:態様26に記載のAAV同源系統群Fの1メンバーAAV。
【0232】
態様29:AAVが、hu.14/AAV9(配列番号3および123)、hu.31(配列番号1および121)ならびにhu.32(配列番号2および122)よりなる群から選択される、態様28に記載のメンバーAAV。
【0233】
態様30:AAVキャプシドおよび細胞への送達のための異種分子を含んでなる血清型9のアデノ随伴ウイルス(AAV)であって;該AAVキャプシドが、配列番号123のアミノ酸1ないし736の配列のキャプシドに血清学的に関連づけられ、かつ、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7若しくはAAV8のいずれのキャプシドタンパク質とも血清学的に異なる、上記AAV。
【0234】
態様31:前記ウイルスが配列番号3の核酸配列を有する、態様30に記載のAAV。
【0235】
態様32:前記AAVが、AAV逆方向末端反復配列および宿主細胞中でのその発現を指
図する制御配列に作動可能に連結された宿異種遺伝子を有するミニ遺伝子をさらに含んでなる、態様30に記載のAAV。
【0236】
態様33:(a)vp1キャプシドタンパク質、アミノ酸(aa)1ないし736、配列番号123;vp2キャプシドタンパク質、aa138ないし736、配列番号123;vp3キャプシドタンパク質、aa203ないし736、配列番号123;aa146ないし152;aa182ないし187;aa262ないし264;aa263ないし266;aa263ないし266;aa381ないし383;383ないし385;aa450ないし474;aa451ないし475;aa490ないし495;aa491ないし496;aa500ないし504;aa501ないし505;aa514ないし522;aa533ないし554;aa534ないし555;aa581ないし594;aa583ないし596;aa658ないし667;aa660ないし669;およびaa705ないし719;aa707ないし723;aa24ないし42、aa25ないし28;aa81ないし85;aa133ないし165;aa134ないし165;aa137ないし143;aa154ないし156;aa194ないし208;aa261ないし274;aa262ないし274;aa171ないし173;aa185ないし198;aa413ないし417;aa449ないし478;aa494ないし525;aa534ないし571;aa581ないし601;aa660ないし671;aa709ないし723;ならびにaa1ないし184、aa199ないし259;aa274ないし446;aa603ないし659;aa670ないし706;aa724ないし736;aa185ないし198;aa260ないし273;aa447ないし477;aa495ないし602;aa603ないし659;aa660ないし669;ならびにaa707ないし723(ここで、アミノ酸番号はAAV2キャプシド、配列番号4およびAAV9/HU.14、配列番号123のキャプシド中の対応する領域のものである)よりなる群を選択した超可変領域(HVR)1から12を包含するフラグメント若しくはそのより小さいフラグメントよりなる群から選択されるAAV9/HU.14キャプシドタンパク質若しくはそのフラグメントよりなる群から選択されるAAV9/HU.14タンパク質若しくはそのフラグメントを含んでなるタンパク質。
【0237】
態様34:人工的アデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質であって、態様33aに記載のAAV9/HU.14キャプシドタンパク質フラグメントの1つ若しくはそれより多くを含んでなる、上記キャプシドタンパク質。
【0238】
態様35:態様34に記載の人工的キャプシドを含んでなる組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)。
【0239】
態様36:態様34に記載のタンパク質をコードする核酸配列を含んでなる分子。
【0240】
態様37:前記核酸配列が、vp1、nt1ないし2211;vp2、nt2532ないし2211;およびvp3、nt2730ないし2211;(ここで、該ヌクレオチド番号はAAV9/HU.14、配列番号3のものである)よりなる群から選択される、態様36に記載の分子。
【0241】
態様38:前記分子が、AAVキャプシドタンパク質および機能的AAV repタンパク質をコードするAAV配列を含んでなる、態様37に記載の分子。
【0242】
態様39:前記分子がプラスミドである、態様37に記載の分子。
【0243】
態様40:AAVキャプシドを含んでなる組換えAAVの生成方法であって、(a)アデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質をコードする分子;(b)機能的rep
遺伝子;(c)AAVの逆方向末端反復配列(ITR)および導入遺伝子を含んでなるミニ遺伝子;ならびに(d)該ミニ遺伝子のAAVキャプシドタンパク質中へのパッケージングを可能にするのに十分なヘルパー機能を含有する宿主細胞を培養する段階を含んでなり、前記宿主細胞は態様37に記載の分子を含んでなる、上記方法。
【0244】
態様41:態様30に記載のアデノ随伴ウイルスでトランスフェクトした宿主細胞。
【0245】
態様42:態様33に記載の分子でトランスフェクトした宿主細胞。
【0246】
態様43:態様30に記載のAAVおよび生理学的に適合性の担体を含んでなる組成物。
【0247】
態様44:態様36に記載の分子および生理学的に適合性の担体を含んでなる組成物。
【0248】
態様45:細胞への導入遺伝子の送達方法であって、前記方法が、細胞を態様30に記載のAAVと接触させる段階を含んでなり、前記rAAVが導入遺伝子を含んでなる、上記方法。
【0249】
態様46:天然に存在しないアデノ随伴ウイルス(AAV)であって、同源系統群Eからの30.10/pi.1(配列番号93)、30.12/pi.2(配列番号95)、30.19/pi.3(配列番号94)、LG−4/rh.38(配列番号86);LG−10/rh.40(配列番号92);N721−8/rh.43(配列番号163);1−8/rh.49(配列番号103);2−4/rh.50(配列番号108);2−5/rh.51(配列番号104);3−9/rh.52(配列番号96);3−11/rh.53(配列番号97);5−3/rh.57(配列番号105);5−22/rh.58(配列番号58);2−3/rh.61(配列番号107);4−8/rh.64(配列番号99);3.1/hu.6(配列番号84);33.12/hu.17(配列番号83);106.1/hu.37(配列番号88);LG−9/hu.39(配列番号102);114.3/hu.40(配列番号87);127.2/hu.41(配列番号91);127.5/hu.42(配列番号85);hu.66(配列番号197);改変rh.2(配列番号231);およびhu.67(配列番号198);同源系統群Dからの2−15/rh.62(配列番号114);1−7/rh.48(配列番号115);4−9/rh.54(配列番号116);および4−19/rh.55(配列番号117);改変cy.5(配列番号227);改変rh.13(配列番号228);ならびに改変rh.37(配列番号229);同源系統群Bからの52/hu.19(配列番号133)、52.1/hu.20(配列番号134)、54.5/hu.23(配列番号137)、54.2/hu.22(配列番号138)、54.7/hu.24(配列番号136)、54.1/hu.21(配列番号135)、54.4R/hu.27(配列番号140);46.2/hu.28(配列番号130);46.6/hu.29(配列番号132);改変hu.29(配列番号225);172.1/hu.63(配列番号195);172.2/hu.64(配列番号196);24.5/hu.13(配列番号129);145.6/hu.56(配列番号192);hu.57(配列番号193);136.1/hu.49(配列番号189);156.1/hu.58(配列番号194);72.2/hu.34(配列番号125);72.3/hu.35(配列番号164);129.1/hu.45(配列番号127);130.1/hu.47(配列番号128);140.1/hu.51(配列番号190);ならびに140.2/hu.52(配列番号191);同源系統群Aからの128.1/hu.43(配列番号160);改変hu.43(配列番号236);128.3/hu.44(配列番号158);hu.46(配列番号159);改変hu.46(配列番号224);および130.4/hu.48(配列番号157);同源系統群Cからの3.1/hu.9(配列番号155);16.8/hu.10(配列番号156);16.12/hu.11(配列番号15
3);145.1/hu.53(配列番号186);145.6/hu.55(配列番号187);145.5/hu.54(配列番号188);7.3/hu.7(配列番号150);改変hu.7(配列番号226);33.4/hu.15(配列番号147);33.8/hu.16(配列番号148);58.2/hu.25(配列番号146);161.10/hu.60(配列番号184);H−5/hu.3(配列番号145);H−1/hu.1(配列番号144);hu.18(配列番号52および149);ならびに161.6/hu.61(配列番号185);同源系統群Fからのhu.31(配列番号121)およびhu.32(配列番号122);ならびにrh.59(配列番号110)およびrh.60(配列番号120);若しくはそれらの独特の機能的フラグメントよりなる群から選択されるアミノ酸配列を有するAAVキャプシドを含んでなる、上記AAV。
【0250】
態様47:フラグメントが:aa146ないし152;aa182ないし187;aa262ないし264;aa263ないし266;aa263ないし266;aa381ないし383;383ないし385;aa450ないし474;aa451ないし475;aa490ないし495;aa491ないし496;aa500ないし504;aa501ないし505;aa514ないし522;aa533ないし554;aa534ないし555;aa581ないし594;aa583ないし596;aa658ないし667;aa660ないし669;およびaa705ないし719;aa707ないし723;aa24ないし42、aa25ないし28;aa81ないし85;aa133ないし165;aa134ないし165;aa137ないし143;aa154ないし156;aa194ないし208;aa261ないし274;aa262ないし274;aa171ないし173;aa185ないし198;aa413ないし417;aa449ないし478;aa494ないし525;aa534ないし571;aa581ないし601;aa660ないし671;aa709ないし723;ならびにaa1ないし184、aa199ないし259;aa274ないし446;aa603ないし659;aa670ないし706;aa724ないし736;aa185ないし198;aa260ないし273;aa447ないし477;aa495ないし602;aa603ないし659;aa660ないし669;ならびにaa707ないし723よりなる群を選択した超可変領域(HVR)1から12を包含するフラグメント若しくはそのより小さいフラグメント、よりなる群から選択され、ここで、アミノ酸番号は、AAV2キャプシド、配列番号4、ならびに、同源系統群Eからの30.10/pi.1(配列番号93)、30.12/pi.2(配列番号95)、30.19/pi.3(配列番号94)、LG−4/rh.38(配列番号86);LG−10/rh.40(配列番号92);N721−8/rh.43(配列番号163);1−8/rh.49(配列番号103);2−4/rh.50(配列番号108);2−5/rh.51(配列番号104);3−9/rh.52(配列番号96);3−11/rh.53(配列番号97);5−3/rh.57(配列番号105);5−22/rh.58(配列番号58);改変rh.58(配列番号232);2−3/rh.61(配列番号107);4−8/rh.64(配列番号99);改変rh.64(配列番号233);3.1/hu.6(配列番号84);33.12/hu.17(配列番号83);106.1/hu.37(配列番号88);LG−9/hu.39(配列番号102);114.3/hu.40(配列番号87);127.2/hu.41(配列番号91);127.5/hu.42(配列番号85);hu.66(配列番号197);改変rh.2(配列番号231);およびhu.67(配列番号198);同源系統群Dからの2−15/rh.62(配列番号114);1−7/rh.48(配列番号115);4−9/rh.54(配列番号116);および4−19/rh.55(配列番号117);改変cy.5(配列番号227);改変rh.13(配列番号228);ならびに改変rh.37(配列番号229);同源系統群Bからの52/hu.19(配列番号133)、52.1/hu.20(配列番号134)、54.5/hu.23(配列番号137)、54.2/hu.22(配列番号138)、54.7/hu.24(配列
番号136)、54.1/hu.21(配列番号135)、54.4R/hu.27(配列番号140);46.2/hu.28(配列番号130);46.6/hu.29(配列番号132);改変hu.29(配列番号225);172.1/hu.63(配列番号195);172.2/hu.64(配列番号196);24.5/hu.13(配列番号129);145.6/hu.56(配列番号192);hu.57(配列番号193);136.1/hu.49(配列番号189);156.1/hu.58(配列番号194);72.2/hu.34(配列番号125);72.3/hu.35(配列番号164);129.1/hu.45(配列番号127);130.1/hu.47(配列番号128);140.1/hu.51(配列番号190);ならびに140.2/hu.52(配列番号191);同源系統群Aからの128.1/hu.43(配列番号160);改変hu.43(配列番号236);128.3/hu.44(配列番号158);hu.46(配列番号159);改変hu.46(配列番号224);および130.4/hu.48(配列番号157);同源系統群Cからの3.1/hu.9(配列番号155);16.8/hu.10(配列番号156);16.12/hu.11(配列番号153);145.1/hu.53(配列番号186);145.6/hu.55(配列番号187);145.5/hu.54(配列番号188);7.3/hu.7(配列番号150);改変hu.7([配列番号226);33.4/hu.15(配列番号147);33.8/hu.16(配列番号148);58.2/hu.25(配列番号146);161.10/hu.60(配列番号184);H−5/hu.3(配列番号145);H−1/hu.1(配列番号144);hu.18(配列番号149)ならびに161.6/hu.61(配列番号185);同源系統群Fからのhu.31(配列番号121)およびhu.32(配列番号122);ならびにrh.59(配列番号110)およびrh.60(配列番号120)のキャプシドの対応する領域のものである、態様46に記載のAAV。
【0251】
態様48:人工的アデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質であって、態様47aに記載のAAVキャプシドタンパク質フラグメントの1つ若しくはそれより多くを含んでなる、上記キャプシドタンパク質。
【0252】
態様49:態様48に記載の人工的キャプシドを含んでなる組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)。
【0253】
態様50:AAVキャプシドタンパク質をコードする異種核酸配列を含んでなる分子であって、前記核酸配列が:同源系統群Eからの30.10/pi.1(配列番号28)、30.12/pi.2(配列番号30)、30.19/pi.3(配列番号29)、LG−4/rh.38(配列番号7);LG−10/rh.40(配列番号14);N721−8/rh.43(配列番号43;1−8/rh.49(配列番号25);2−4/rh.50(配列番号23);2−5/rh.51(配列番号22);3−9/rh.52(配列番号18);3−11/rh.53(配列番号17);5−3/rh.57(配列番号26);5−22/rh.58(配列番号27);改変rh.58(配列番号232);2−3/rh.61(配列番号21);4−8/rh.64(配列番号15);3.1/hu.6(配列番号5);33.12/hu.17(配列番号4);106.1/hu.37(配列番号10);LG−9/hu.39(配列番号24);114.3/hu.40(配列番号11);127.2/hu.41(配列番号6);127.5/hu.42(配列番号8);hu.66(配列番号173);改変rh.2(配列番号231);およびhu.67(配列番号174);同源系統群Dからの2−15/rh.62(配列番号33);1−7/rh.48(配列番号32);4−9/rh.54(配列番号40);および4−19/rh.55(配列番号37および117);改変cy.5(配列番号227);改変rh.13(配列番号228);ならびに改変rh.37(配列番号229);同源系統群Bからの52/hu.19(配列番号62および133)、52.1/
hu.20(配列番号63および134)、54.5/hu.23(配列番号60)、54.2/hu.22(配列番号67)、54.7/hu.24(配列番号66)、54.1/hu.21(配列番号65)、54.4R/hu.27(配列番号64);46.2/hu.28(配列番号68);46.6/hu.29(配列番号69);改変hu.29(配列番号225);同源系統群Aからの128.1/hu.43(配列番号80);128.3/hu.44(配列番号81);hu.46(配列番号82);および130.4/hu.48(配列番号78);同源系統群Cからの3.1/hu.9(配列番号58);16.8/hu.10(配列番号56);16.12/hu.11(配列番号57);145.1/hu.53(配列番号176);145.6/hu.55(配列番号178);145.5/hu.54(配列番号177);7.3/hu.7(配列番号55);改変hu.7(配列番号226);33.4/hu.15(配列番号50);33.8/hu.16(配列番号51);58.2/hu.25(配列番号49);161.10/hu.60(配列番号170);H−5/hu.3(配列番号44);hu.18(配列番号149);H−1/hu.1(配列番号46);ならびに161.6/hu.61(配列番号174);同源系統群Fからのhu.14/AAV9(配列番号3)、hu.31(配列番号1)およびhu.32(配列番号2);rh.59(配列番号49)およびrh.60(配列番号31);若しくはそれらの独特の機能的フラグメントよりなる群から選択される、上記分子。
【0254】
態様51:前記分子が、AAVキャプシドタンパク質および機能的AAV repタンパク質をコードするAAV配列を含んでなる、態様50に記載の分子。
【0255】
態様52:前記分子がプラスミドである、態様50に記載の分子。
【0256】
態様53:AAVキャプシドを含んでなる組換えAAVの生成方法であって、(a)アデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質をコードする分子;(b)機能的rep遺伝子;(c)AAV逆方向末端反復配列(ITR)および導入遺伝子を含んでなるミニ遺伝子;ならびに(d)該ミニ遺伝子のAAVキャプシドタンパク質中へのパッケージングを可能にするのに十分なヘルパー機能を含有する宿主細胞を培養する段階を含んでなり、前記宿主細胞が態様50に記載の分子を含んでなる、上記方法。
【0257】
態様54:態様30に記載のアデノ随伴ウイルスでトランスフェクトした宿主細胞。
【0258】
態様55:態様50に記載の分子でトランスフェクトした宿主細胞。
【0259】
態様56:態様47に記載のAAVおよび生理学的に適合性の担体を含んでなる組成物。
【0260】
態様57:態様50に記載の分子および生理学的に適合性の担体を含んでなる組成物。
【0261】
態様58:細胞への導入遺伝子の送達方法であって、前記方法が、態様47に記載のAAVと細胞を接触させる段階を含んでなり、前記rAAVが導入遺伝子を含んでなる、上記方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)およびその使用に関する。より具体的には、AAVキャプシドおよび異種分子を含んでなる血清型9のAAVおよびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
パルボウイルス科の1メンバー、アデノ随伴ウイルス(AAV)は、4.7キロ塩基対(kb)ないし6kbの一本鎖の直鎖状DNAゲノムを有する小型のエンベロープを持たない20面体ウイルスである。AAVは、精製したアデノウイルスストック中の感染物質に随伴する異質な物質として発見されたため、該ウイルスはデペンドウイルス属(Dependovirus)に割り当てられている。AAVの生活環は、感染後のAAVゲノムが宿主染色体に部位特異的に組み込まれる潜伏期、および、アデノウイルス若しくは単純疱疹ウイルスいずれかの感染後に組み込まれたゲノムがその後レスキューされ、複製されかつ感染性ウイルスにパッケージングされる感染期を包含する。非病原性の特性、非分裂細胞を包含する感染性の広範な宿主範囲、および潜在的な部位特異的染色体組み込みが、AAVを遺伝子移入のための魅力的なツールとしている。
【0003】
最近の研究は、AAVベクターが遺伝子送達に好ましい運搬媒体でありうることを示唆している。今日まで、ヒト若しくはヒト以外の霊長類(NHP)から単離された数種の異なる十分に特徴づけられたAAVが存在する。
【0004】
異なる血清型のAAVが異なるトランスフェクション効率を表しかつまた異なる細胞若しくは組織に対する向性も表すことが見出された。しかしながら、これらの異なる血清型間の関係は以前に探求されていなかった。
【0005】
望ましいものは、異種分子の送達のためのAAVに基づく構築物である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、系統分類学的に関連づけられた配列のAAVの「スーパーファミリー」すなわち「同源系統群」を提供する。これらのAAV同源系統群は、所望の標的細胞若しくは組織に分子の標的を定めそして/もしくはそれらを送達するのに有用なAAV配列の一供給源を提供する。
【0007】
一局面において、本発明は、AAV vp1アミノ酸配列のアライメントに基づき、ネイバー−ジョイニング ヒューリスティック(Neighbor−Joining heuristic)を用いて決定した場合に、少なくとも75%(少なくとも1000個の複製物に基づく)のブーツストラップ値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値(Poisson correction distance measurement)により系統分類学的に関連づけられる、少なくとも3種のAAVメンバーを有する1AAV同源系統群を提供する。適するのは、該AAV同源系統群はベクターの生成で有用なAAV配列から構成される。
【0008】
本発明はさらに、本明細書でクローン28.4/hu.14、あるいはAAV血清型9と命名される、以前に未知の1種のヒトAAV血清型を提供する。従って、別の局面において、本発明は、配列番号123のアミノ酸1ないし736の配列のキャプシドに血清学的に関連づけられかつAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、
AAV7若しくはAAV8のいずれのキャプシドタンパク質とも血清学的に異なるAAVキャプシドから構成される血清型9の1種のAAVを提供する。
【0009】
このhuAAV9のキャプシドを用いて構築したベクターは、肝においてAAV8に類似の、筋においてAAV1より優れた、および肺においてAAV5より200倍より高い遺伝子移入効率を表した。さらに、本新規ヒトAAV血清型は、以前に記述されたAAV1からAAV8に対する85%未満の配列の同一性を共有し、そしてこれらのAAVのいずれによっても交差中和されない。
【0010】
本発明はまた、他の新規AAV配列、これらの配列を含有する組成物、およびそれらの用途も提供する。有利には、これらの組成物は、治療若しくは予防の目的上AAVベクターの再投与を必要とする組成物中での使用にとりわけ十分に適する。
【0011】
本発明のこれらおよび他の局面は、本発明の以下の詳述された記述から容易に明らかであろう。
【0012】
[発明の詳細な記述]
治療若しくは予防で有用なベクターのいずれの保有庫においても、標的細胞に巨大分子を運搬することが可能な多様な異なるベクターが、所望の応用のためのベクター供給源の選択を可能にするために望ましい。今日まで、ベクターとしてのAAVの使用に関する懸念の1つは、多様な異なるウイルス供給源の欠如であった。本発明がこの問題を克服する一方法は、系統分類学的に関連づけられる、若しくは選択されたレジメンに所望の場合は系統分類学的に異なるAAVを選択しかつ機能を予測するのに有用であるAAVの同源系統群を提供することによる。本発明はさらに新規AAVウイルスを提供する。
【0013】
核酸若しくはそのフラグメントを指す場合の「実質的相同性」若しくは「実質的類似性」という用語は、適切なヌクレオチドの挿入若しくは欠失を伴い別の核酸(若しくはその相補鎖)と至適に整列した場合に、該整列した配列の少なくとも約95ないし99%にヌクレオチド配列の同一性が存在することを示す。好ましくは、相同性は、完全長配列、若しくはその1オープンリーディングフレーム、または長さ少なくとも15ヌクレオチドである別の適するフラグメントにわたる。適するフラグメントの例が本明細書に記述される。
【0014】
核酸配列の情況での「配列の同一性」「配列の同一性パーセント」若しくは「同一性パーセント」という用語は、最大の対応のため整列した場合に同一である2配列中の残基を指す。配列の同一性の比較の長さは、ゲノムの完全長、遺伝子コーディング配列の完全長にわたりうるか、若しくは少なくとも約500ないし5000ヌクレオチドのフラグメントが望ましい。しかしながら、例えば少なくとも約9ヌクレオチド、通常少なくとも約20ないし24ヌクレオチド、少なくとも約28ないし32ヌクレオチド、少なくとも約36若しくはそれより多くのヌクレオチドのより小さいフラグメント間の同一性もまた望ましいことができる。同様に、「配列の同一性パーセント」は、タンパク質の完全長若しくはその1フラグメントにわたるアミノ酸配列について容易に決定しうる。適してはフラグメントは長さ少なくとも約8アミノ酸であり、かつ、約700アミノ酸まででありうる。適するフラグメントの例が本明細書に記述される。
【0015】
アミノ酸若しくはそれらのフラグメントを指す場合の「実質的相同性」若しくは「実質的類似性」という用語は、適切なアミノ酸の挿入若しくは欠失を伴い別のアミノ酸(若しくはその相補鎖)と至適に整列した場合に、該整列した配列の少なくとも約95ないし99%のアミノ酸配列の同一性が存在することを示す。好ましくは、相同性は完全長配列、若しくはその1タンパク質、例えばcapタンパク質、repタンパク質、または長さ少
なくとも8アミノ酸、若しくはより望ましくは少なくとも15アミノ酸であるそのフラグメントにわたる。適するフラグメントの例が本明細書に記述される。
【0016】
「高度に保存された」という用語により、少なくとも80%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、およびより好ましくは97%を超える同一性を意味している。同一性は、当業者により既知のアルゴリズムおよびコンピュータプログラムを用いることにより当業者により容易に決定される。
【0017】
一般に、2つの異なるアデノ随伴ウイルス間の「同一性」、「相同性」若しくは「類似性」を指す場合、「同一性」、「相同性」若しくは「類似性」は「整列した」に配列に関して決定される。「整列した」配列若しくは「アライメント」は、参照配列に比較して欠けている若しくは付加的な塩基若しくはアミノ酸についての補正をしばしば含有する複数の核酸配列若しくはタンパク質(アミノ酸)配列を指す。該例において、AAVのアライメントは、公表されたAAV2若しくはAAV1配列を参照点として使用して実施する。しかしながら、当業者は、別のAAV配列を参照として容易に選択し得る。
【0018】
アライメントは、多様な公的に若しくは商業的に入手可能な複数の配列アライメントプログラムのいずれかを使用して実施する。こうしたプログラムの例は、「Clustal
W」、「CAP Sequence Assembly」、「MAP」および「MEME」を包含し、これらはインターネット上のウェブサーバーを通じてアクセス可能である。こうしたプログラムの他の供給源は当業者に既知である。あるいは、Vector NTIユーティリティーもまた使用される。上述されたプログラムに含有されるものを包含する、ヌクレオチド配列の同一性を測定するのに使用し得る当該技術分野で既知の多数のアルゴリズムもまた存在する。別の例として、ポリヌクレオチド配列は、GCG Version6.1中のプログラムFastaTMを使用して比較し得る。FastaTMはクエリ配列と参照配列の間の最良のオーバーラップ領域のアライメントおよび配列の同一性パーセントを提供する。例えば、核酸配列間の配列の同一性パーセントは、GCG Version6.1(引用することにより本明細書に組み込まれる)で提供されるところのそのデフォルトのパラメータ(6のword sizeおよびスコアリングマトリックスについてのNOPAM係数)を用いるFastaTMを使用して決定し得る。複数の配列アライメントプログラム、例えば「Clustal X」、「MAP」、「PIMA」、「MSA」、「BLOCKMAKER」、「MEME」および「Match−Box」プログラムもまたアミノ酸配列に利用可能である。一般に、これらのプログラムのいずれもデフォルトの設定で使用されるとは言え、当業者はこれらの設定を必要とされるように変更し得る。あるいは、当業者は、少なくとも引用されたアルゴリズムおよびプログラムにより提供されるもののような同一性若しくはアライメントのレベルを提供する別のアリゴリズム若しくはコンピュータプログラムを利用し得る。例えばJ.D.Thomsonら、Nucl.Acids.Res.、「A comprehensive comparison of multiple sequence alignments“、27(13):2682−2690(1999)を参照されたい。
【0019】
「血清型」という用語は、他のAAV血清型と血清学的に異なるキャプシドを有するAAVに関する差違である。血清学的特殊性は、他のAAVと比較して該AAVに対する抗体間の交差反応性の欠如に基づき決定される。
【0020】
交差反応性は典型的には中和抗体アッセイで測定する。このアッセイのためには、ウサギ若しくは他の適する動物モデルで該アデノ随伴ウイルスを使用して特定のAAVに対するポリクローナル血清を生成させる。このアッセイでは、特定のAAVに対し生成させた血清をその後、同一(同種)若しくは異種いずれかのAAVを中和するその能力において試験する。50%中和を達成する希釈を中和抗体力価とみなす。2つのAAVについて、
同種の力価により除算した異種の力価の商が相反する様式で16より低い場合は、それら2種のベクターは同一血清型とみなす。逆に、同種の力価に対する異種の力価の比が相反する様式で16若しくはそれより多くである場合、該2種のAAVは異なる血清型とみなす。
【0021】
本明細書で定義されるとおり、血清型9を形成するために、選択したAAVキャプシドに対し生成させた抗体は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7若しくはAAV8のいずれとも交差反応性であってはならない。一態様において、本発明は、ヒトAAV血清型9として本明細書で同定される新規血清型のAAVキャプシドを提供する。
【0022】
本明細および請求の範囲を通じて使用されるところの「含んでなること」および「包含すること」という用語は、他の成分、要素、整数、段階などの包括的なものである。逆に、「なること」という用語およびその変形は、他の成分、要素、整数、段階などを除外する。
【0023】
I.同源系統群
一局面において、本発明はAAVの同源系統群を提供する。同源系統群は、AAV vp1アミノ酸配列のアライメントに基づいて、ネイバー−ジョイニング アルゴリズムを用いて決定した場合に、(少なくとも1000個の複製物の)少なくとも75%のブーツストラップ値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値により相互に系統分類学的に関連づけられるAAVの一群である。
【0024】
ネイバー−ジョイニングアルゴリズムは文献に広範囲に記述されている。例えばM.NeiとS.Kumar、Molecular Evolution and Phylogenetics(Oxford University Press、ニューヨーク(2000)を参照されたい。このアルゴリズムを実行するのに使用し得るコンピュータプログラムは入手可能である。例えば、MEGA v2.1プログラムはNei−Gojoboriの変法を実行する。これらの技術およびコンピュータプログラム、ならびにAAV vp1キャプシドタンパク質の配列を使用して、当業者は、選択したAAVが本明細書で同定される同源系統群の1つに含有されるか、別の同源系統群に含有されるか、若しくはこれらの同源系統群の外側にあるかどうかを容易に決定し得る。
【0025】
本明細書で定義される同源系統群は、天然に存在するAAV vp1キャプシドに主として基づく一方、同源系統群は天然に存在するAAVに制限されない。同源系統群は、AAV vp1アミノ酸配列のアライメントに基づいて、ネイバー−ジョイニング アルゴリズムを用いて決定した場合に、(少なくとも1000個の複製物の)少なくとも75%のおよび0.05を超えないポアソン補正距離測定値により系統分類学的に関連づけられる、組換え、修飾若しくは変更、キメラ、ハイブリッド、合成、人工などのAAVを制限なしに包含する天然に存在しないAAVを包含し得る。
【0026】
本明細書に記述される同源系統群は、同源系統群A(AAV1およびAAV6により代表される)、同源系統群B(AAV2により代表される)ならびに同源系統群C(AAV2−AAV3ハイブリッドにより代表される)、同源系統群D(AAV7により代表される)、同源系統群E(AAV8により代表される)ならびに同源系統群F(ヒトAAV9により代表される)を包含する。これらの同源系統群は、以前に記述されたAAV血清型である同源系統群の1メンバーにより代表される。以前に記述されたAAV1およびAAV6は、4種の単離物が3例のヒトから回収された単一同源系統群(同源系統群A)のメンバーである。以前に記述されたAAV3およびAAV5血清型は相互と明確に異なるが、しかし本明細書に記述されるスクリーニングで検出されず、また、これらの同源系統群
のいずれにも包含されない。
【0027】
同源系統群B(AAV2)および同源系統群C(AAV2−AAV3ハイブリッド)は、ヒトで見出されたもののうちもっとも豊富なものである(AAV2について12個体から22種の単離物、および同源系統群Cについて8個体から17種の単離物)。
【0028】
同源系統群D(AAV7)若しくは同源系統群E(AAV8)いずれかにグループ化される多数の配列が存在する。興味深いことに、これらの同源系統群の双方は異なる種で優勢である。同源系統群Dはアカゲザルおよびカニクイザルに独特であり、10種の異なる動物から15メンバーが単離された。同源系統群Eは、ヒトおよびヒト以外の霊長類の双方で見出されるため興味深い(9種の単離物が7例のヒトから回収され、また、21種の単離物が、アカゲザル、ヒヒおよびブタオザルを包含する9種の異なるヒト以外の霊長類で得られた)。
【0029】
2種の他の動物において、ある種の配列のハイブリッドの性質が判明したとは言え、この場合の全配列が、2種の共感染させるウイルスの個別のかつ異なる組換えにより発したと思われる(双方の動物で、同源系統群Eのウイルスを含む同源系統群D)これらの組換え体のいずれも、他の動物若しくは被験体で同定されなかった。
【0030】
同源系統群C(AAV2−AAV3ハイブリッド)の同源系統群が6例の異なるヒト被験体で同定されたため、該組換え事象は適合子孫(fit progeny)をもたらした。他方、AAV7−AAV8ハイブリッドの場合は、AAVの進化における組換えの意味に関してわずかな結論のみが引き出され得る。これらの組換え事象は、AAVが組換えすることが可能であり、それによりインフレーム遺伝子およびいくつかの場合にはパッケージング可能かつ/若しくは感染性のキャプシド構造を創製することを示す。同源系統群C(AAV2−AAV3ハイブリッドの同源系統群)は、他方、それらにある種の環境圧を持ちこたえさせる組換えにより選択的利点を獲得したウイルスの一群である。
【0031】
A.同源系統群A(AAV1およびAAV6により代表される):
別の局面において、本発明は、以前に公表されたAAV1およびAAV6を含有することを特徴とする同源系統群Aを提供する。例えば、国際特許公開第WO 00/28061号明細書、2000年5月18日;Rutledgeら、J Virol、72(1):309−319(1998年1月)を参照されたい。加えて、本同源系統群は、128.1/hu.43[配列番号80および160];128.3/hu.44[配列番号81および158];130.4/hu.48[配列番号78および157];ならびにhu.46[配列番号82および159]を制限なしに包含する新規AAVを含有する。本発明はさらに、改変hu.43キャプシド[配列番号236]および改変hu.46キャプシド[配列番号224]を提供する。
【0032】
一態様において、本同源系統群のメンバーの1つ若しくはそれより多くは、AAV1および/若しくはAAV6のキャプシドのvp1、vp2若しくはvp3の完全長にわたり少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性若しくは少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性をもつキャプシドを有する。
【0033】
別の態様において、本発明は同源系統群Aの新規AAVを提供するが、但し、該新規AAVのいずれもAAV1若しくはAAV6のいずれのキャプシドも含まない。これらのAAVは、128.1/hu.43[配列番号80および160];改変hu.43[配列番号236]128.3/hu.44[配列番号81および158];hu.46[配列番号82および159];改変hu.46[配列番号224];ならびに130.4/hu.48[配列番号78および157]の1種若しくはそれより多く由来のキャプシドを
有するAAVを制限なしに包含しうる。
【0034】
B.同源系統群B(AAV2同源系統群):
別の態様において、本発明は同源系統群Bを提供する。
【0035】
本同源系統群は、少なくとも、以前に記述されたAAV2、ならびに52/hu.19[配列番号62および133]、52.1/hu.20[配列番号63および134]、54.5/hu.23[配列番号60および137]、54.2/hu.22[配列番号67および138]、54.7/hu.24[配列番号66および136]、54.1/hu.21[配列番号65および135]、54.4R/hu.27[配列番号64および140];46.2/hu.28[配列番号68および130];46.6/hu.29[配列番号69および132];改変hu.29[配列番号225];172.1/hu.63[配列番号171および195;GenBank受託番号AY530624];172.2/hu.64[配列番号172および196;GenBank受託番号AY530625];24.5/hu.13[配列番号71および129;GenBank受託番号AY530578];145.6/hu.56[配列番号168および192];hu.57[配列番号169および193];136.1/hu.49[配列番号165および189];156.1/hu.58[配列番号179および194];72.2/hu.34[配列番号72および125;GenBank受託番号AY530598];72.3/hu.35[配列番号73および164;GenBank受託番号AY530599];130.1/hu.47[配列番号77および128];129.1/hu.45(配列番号76および127;GenBank受託番号AY530608);140.1/hu.51[配列番号161および190;GenBank受託番号AY530613];ならびに140.2/hu.52[配列番号167および191;GenBank受託番号AY530614]を包含する本発明の新規AAVを含有することを特徴とする。
【0036】
一態様において、本同源系統群のメンバーの1つ若しくはそれより多くは、AAV2キャプシドのvp1、vp2若しくはvp3の完全長にわたる少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、若しくは少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性をもつキャプシドを有する。
【0037】
別の態様において、本発明は同源系統群Bの新規AAVを提供するが、但し、該AAVのいずれもAAV2キャプシドを有しない。これらのAAVは、以下、すなわち52/hu.19[配列番号62および133]、52.1/hu.20[配列番号63および134]、54.5/hu.23[配列番号60および137]、54.2/hu.22[配列番号67および138]、54.7/hu.24[配列番号66および136]、54.1/hu.21[配列番号65および135]、54.4R/hu.27[配列番号64および140];46.2/hu.28[配列番号68および130];46.6/hu.29[配列番号69および132];改変hu.29[配列番号225];172.1/hu.63[配列番号171および195];172.2/hu.64[配列番号172および196];24.5/hu.13[配列番号71および129];145.6/hu.56[配列番号168および192;GenBank受託番号AY530618];hu.57[配列番号169および193;GenBank受託番号AY530619];136.1/hu.49[配列番号165および189;GenBank受託番号AY530612];156.1/hu.58[配列番号179および194;GenBank受託番号AY530620];72.2/hu.34[配列番号72および125];72.3/hu.35[配列番号73および164];129.1/hu.45[配列番号76および127];130.1/hu.47[配列番号77および128;GenBank受託番号AY530610];140.1/hu.51[配列番号161お
よび190;GenBank受託番号AY530613];ならびに140.2/hu.52[配列番号167および191;GenBank受託番号AY530614]の1種若しくはそれより多く由来のキャプシドを有するAAVを制限なしに包含しうる。
【0038】
C.同源系統群C(AAV2−AAV3ハイブリッドの同源系統群)
別の局面において、本発明は、H−6/hu.4;H−2/hu.2[米国特許出願第2003/0138772号明細書(2003年6月24日)のような以前に公表されたAAV2およびAAV3のハイブリッドであるAAVを含有することを特徴とする同源系統群Cを提供する。加えて、本同源系統群は、3.1/hu.9[配列番号58および155];16.8/hu.10[配列番号56および156];16.12/hu.11[配列番号57および153];145.1/hu.53[配列番号176および186];145.6/hu.55[配列番号178および187];145.5/hu.54[配列番号177および188];7.3/hu.7[配列番号55および150;現在GenBank受託番号AY530628として寄託されている];改変hu.7[配列番号226];33.4/hu.15[配列番号50および147];33.8/hu.16[配列番号51および148];hu.18[配列番号52および149];58.2/hu.25[配列番号49および146];161.10/hu.60[配列番号170および184];H−5/hu.3[配列番号44および145];H−1/hu.1[配列番号46および144];ならびに161.6/hu.61[配列番号174および185]を制限なしに包含する新規AAVを含有する。
【0039】
一態様において、本同源系統群のメンバーの1つ若しくはそれより多くは、hu.4および/若しくはhu.2キャプシドのvp1、vp2若しくはvp3の完全長にわたり少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、若しくは少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性をもつキャプシドを有する。
【0040】
別の態様において、本発明は同源系統群C(AAV2−AAV3ハイブリッドの同源系統群)の新規AAVを提供するが、但し、該新規AAVのいずれもhu.2若しくはhu.4のキャプシドを含まない。これらのAAVは、3.1/hu.9[配列番号58および155];16.8/hu.10[配列番号56および156];16.12/hu.11[配列番号57および153];145.1/hu.53[配列番号176および186];145.6/hu.55[配列番号178および187];145.5/hu.54[配列番号177および188];7.3/hu.7[配列番号55および150];改変hu.7[配列番号226];33.4/hu.15[配列番号50および147];33.8/hu.16[配列番号51および148];58.2/hu.25[配列番号49および146];161.10/hu.60[配列番号170および184];H−5/hu.3[配列番号44および145];H−1/hu.1[配列番号46および144];ならびに161.6/hu.61[配列番号174および185]の1種若しくはそれより多く由来のキャプシドを有するAAVを制限なしに包含しうる。
【0041】
D.同源系統群D(AAV7同源系統群)
別の態様において、本発明は同源系統群Dを提供する。本同源系統群は以前に記述されたAAV7[G.Gaoら、Proc.Natl Acad.Sci USA、99:11854−9(2002年9月3日)を含有することを特徴とする。AAV7のキャプシドをコードする核酸配列が配列番号184に再現されており;AAV7キャプシドのアミノ酸配列は配列番号185に再現されている。加えて、該同源系統群は:cy.2;cy.3;cy.4;cy.5;cy.6;rh.13;rh.37;rh.36;およびrh.35[米国特許出願公開第US 2003/0138772 A1号明細書(2003年7月24日)]を包含する、多数の以前に記述されたAAV配列を含有する。加えて、該AAV7同源系統群は、2−15/rh.62[配列番号33および114];1−
7/rh.48[配列番号32および115];4−9/rh.54[配列番号40および116];ならびに4−19/rh.55[配列番号37および117]を制限なしに包含する新規AAV配列を含有する。本発明はさらに、改変cy.5[配列番号227];改変rh.13[配列番号228];および改変rh.37[配列番号229]を包含する。
【0042】
一態様において、本同源系統群のメンバーの1種若しくはそれより多くは、AAV7キャプシド、配列番号184および185のvp1、vp2若しくはvp3の完全長にわたる少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性若しくは少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性をもつキャプシドを有する。
【0043】
別の態様において、本発明は同源系統群Dの新規AAVを提供するが、但し、該新規AAVのいずれも、cy.2;cy.3;cy.4;cy.5;cy.6;rh.13;rh.37;rh.36;およびrh.35のいずれのキャプシドも含まない。これらのAAVは、以下の2−15/rh.62[配列番号33および114];1−7/rh.48[配列番号32および115];4−9/rh.54[配列番号40および116];ならびに4−19/rh.55[配列番号37および117]の1種若しくはそれより多く由来のキャプシドを有するAAVを制限なしに包含しうる。
【0044】
E.同源系統群E(AAV8同源系統群)
一局面において、本発明は同源系統群Eを提供する。本同源系統群は以前に記述されたAAV8[G.Gaoら、Proc.Natl Acad.Sci USA.99:11854−9(2002年9月3日)];43.1/rh.2;44.2/rh.10;rh.25;29.3/bb.1;および29.5/bb.2[米国特許出願公開第US 2003/0138772 A1号明細書(2003年7月24日)]を含有することを特徴とする。
【0045】
さらに、例えば30.10/pi.1[配列番号28および93];30.12/pi.2[配列番号30および95、30.19/pi.3[配列番号29および94]、LG−4/rh.38[配列番号7および86];LG−10/rh.40[配列番号14および92];N721−8/rh.43[配列番号43および163];1−8/rh.49[配列番号25および103];2−4/rh.50[配列番号23および108];2−5/rh.51[配列番号22および104];3−9/rh.52[配列番号18および96];3−11/rh.53[配列番号17および97];5−3/rh.57[配列番号26および105];5−22/rh.58[配列番号27および58];2−3/rh.61[配列番号21および107];4−8/rh.64[配列番号15および99];3.1/hu.6[配列番号5および84];33.12/hu.17[配列番号4および83];106.1/hu.37[配列番号10および88];LG−9/hu.39[配列番号24および102];114.3/hu.40[配列番号11および87];127.2/hu.41[配列番号6および91];127.5/hu.42[配列番号8および85];hu.66[配列番号173および197];ならびにhu.67[配列番号174および198]を包含する制限なしに包含する同源系統群新規AAV配列。本同源系統群はさらに、改変rh.2[配列番号231];改変rh.58[配列番号232];改変rh.64[配列番号233]を包含する。
【0046】
一態様において、本同源系統群のメンバーの1種若しくはそれより多くは、AAV8キャプシドのvp1、vp2若しくはvp3の完全長にわたる少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性若しくは少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性をもつキャプシドを有する。AAV8キャプシドをコードする核酸配列は配列番号186に再現されており、また、該キャプシドのアミノ酸配列は配列番号1
87に再現されている。
【0047】
別の態様において、本発明は同源系統群Eの新規AAVを提供するが、但し、該新規AAVのいずれもAAV8、rh.8;44.2/rh.10;rh.25;29.3/bb.1;および29.5/bb.2[米国特許出願公開第US 2003/0138772 A1号明細書(2003年7月24日)]のいずれのキャプシドも含まない。これらのAAVは、以下、すなわち30.10/pi.1[配列番号28および93]、30.12/pi.2[配列番号30および95、30.19/pi.3[配列番号29および94]、LG−4/rh.38[配列番号7および86];LG−10/rh.40[配列番号14および92];N721−8/rh.43[配列番号43および163];1−8/rh.49[配列番号25および103];2−4/rh.50[配列番号23および108];2−5/rh.51[配列番号22および104];3−9/rh.52[配列番号18および96];3−11/rh.53[配列番号17および97];5−3/rh.57[配列番号26および105];5−22/rh.58[配列番号27および58];改変rh.58[配列番号232];2−3/rh.61[配列番号21および107];4−8/rh.64[配列番号15および99];改変rh.64[配列番号233];3.1/hu.6[配列番号5および84];33.12/hu.17[配列番号4および83];106.1/hu.37[配列番号10および88];LG−9/hu.39[配列番号24および102];114.3/hu.40[配列番号11および87];127.2/hu.41[配列番号6および91];127.5/hu.42[配列番号8および85];hu.66[配列番号173および197];ならびにhu.67[配列番号174および198]の1種若しくはそれより多く由来のキャプシドを有するAAVを制限なしに包含しうる。
【0048】
F.同源系統群F(AAV9同源系統群)
本同源系統群は本明細書でhu.14/AAV9[配列番号3および123]として同定される新規AAV血清型の名称により同定される。加えて、本同源系統群は、hu.31[配列番号1および121];ならびにhu.32[配列番号2および122]を包含する他の新規配列を含有する。
【0049】
一態様において、本同源系統群のメンバーの1つ若しくはそれより多くは、AAV9キャプシド、配列番号3および123のvp1、vp2若しくはvp3の完全長にわたる少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、若しくは少なくとも97%の同一性のアミノ酸同一性をもつキャプシドを有する。
【0050】
別の態様において、本発明は、hu.14/AAV9[配列番号3および123]、hu.31[配列番号1および121]ならびにhu.32[配列番号1および122]の1種若しくはそれより多く由来のキャプシドを有するAAVを制限なしに包含する同源系統群Fの新規AAVを提供する。
【0051】
本発明のAAV同源系統群は、ウイルスベクターを生成させるためおよびターゲッティング分子を生成させるための関係するAAVのすぐに使える集合物を提供することを包含する多様な目的上有用である。これらの同源系統群は、当業者に容易に明らかであろう多様な目的上のツールとしてもまた使用しうる。
【0052】
II.新規AAV配列
本発明は、クローンhu.14/28.4およびhuAAV9と本明細書で互換性に命名される新規AAV血清型の核酸配列およびアミノ酸を提供する。これらの配列は、肝、筋および肺の形質導入で高度に効率的であるベクターを構築するために有用である。本新規AAVおよびその配列は多様な他の目的上もまた有用である。これらの配列はGenB
ankに提出されており、そして本明細書で同定される受託番号を割り当てられた。
【0053】
本発明はさらに、多数の新規AAVの核酸配列およびアミノ酸配列を提供する。これらの配列の多くは、下に要約されるとおり1同源系統群のメンバーとして上述されたものを包含する。
【0054】
128.1/hu.43[配列番号80および160 GenBank受託番号AY530606];改変hu.43[配列番号236];128.3/hu.44[配列番号81および158;GenBank受託番号AY530607]ならびに130.4/hu.48[配列番号78および157;GenBank受託番号AY530611];同源系統群Aから;
52/hu.19[配列番号62および133;GenBank受託番号AY530584]、52.1/hu.20[配列番号63および134;GenBank受託番号AY530586]、54.5/hu.23[配列番号60および137;GenBank受託番号AY530589]、54.2/hu.22[配列番号67および138;GenBank受託番号AY530588]、54.7/hu.24[配列番号66および136;GenBank受託番号AY530590]、54.1/hu.21[配列番号65および135;GenBank受託番号AY530587]、54.4R/hu.27[配列番号64および140;GenBank受託番号AY530592];46.2/hu.28[配列番号68および130;GenBank受託番号AY530593];46.6/hu.29[配列番号69および132;GenBank受託番号AY530594];改変hu.29[配列番号225];172.1/hu.63[配列番号171および195];ならびに140.2/hu.52(配列番号167および191;同源系統群Bから;
同源系統群Cからの3.1/hu.9[配列番号58および155;GenBank受託番号AY530626];16.8/hu.10[配列番号56および156;GenBank受託番号AY530576];16.12/hu.11[配列番号57および153;GenBank受託番号AY530577];145.1/hu.53[配列番号176および186;GenBank受託番号AY530615];145.6/hu.55[配列番号178および187;GenBank受託番号AY530617];145.5/hu.54[配列番号177および188;GenBank受託番号AY530616];7.3/hu.7[配列番号55および150;GenBank受託番号AY530628];改変hu.7[配列番号226];hu.18[配列番号52および149;GenBank受託番号AY530583];33.4/hu.15[配列番号50および147;GenBank受託番号AY530580];33.8/hu.16[配列番号51および148;GenBank受託番号AY530581];58.2/hu.25[配列番号49および146;GenBank受託番号AY530591];161.10/hu.60[配列番号170および184;GenBank受託番号AY530622];H−5/hu.3[配列番号44および145;GenBank受託番号AY530595];H−1/hu.1[配列番号46および144;GenBank受託番号AY530575];ならびに161.6/hu.61[配列番号174および185;GenBank受託番号AY530623];
同源系統群Dからの2−15/rh.62[配列番号33および114;GenBank受託番号AY530573];1−7/rh.48[配列番号32および115;GenBank受託番号AY530561];4−9/rh.54[配列番号40および116;GenBank受託番号AY530567];ならびに4−19/rh.55[配列番号37および117;GenBank受託番号AY530568];改変cy.5[配列番号227];改変rh.13[配列番号228];ならびに改変rh.37[配列番号229];
30.10/pi.1[配列番号28および93;GenBank受託番号AY530
55]、30.12/pi.2[配列番号30および95;GenBank受託番号AY530554]、30.19/pi.3[配列番号29および94;GenBank受託番号AY530555]、LG−4/rh.38[配列番号7および86;GenBank受託番号AY530558];LG−10/rh.40[配列番号14および92;GenBank受託番号AY530559];N721−8/rh.43[配列番号43および163;GenBank受託番号AY530560];1−8/rh.49[配列番号25および103;GenBank受託番号AY530561];2−4/rh.50[配列番号23および108;GenBank受託番号AY530563];2−5/rh.51[配列番号22および104;GenBank受託番号530564];3−9/rh.52[配列番号18および96;GenBank受託番号AY530565];3−11/rh.53[配列番号17および97;GenBank受託番号AY530566];5−3/rh.57[配列番号26および105;GenBank受託番号AY530569];5−22/rh.58[配列番号27および58;GenBank受託番号530570];改変rh.58[配列番号232];2−3/rh.61[配列番号21および107;GenBank受託番号AY530572];4−8/rh.64[配列番号15および99;GenBank受託番号AY530574];改変rh.64[配列番号233];3.1/hu.6[配列番号5および84;GenBank受託番号AY530621];33.12/hu.17[配列番号4および83;GenBank受託番号AY530582];106.1/hu.37[配列番号10および88;GenBank受託番号AY530600];LG−9/hu.39[配列番号24および102;GenBank受託番号AY530601];114.3/hu.40[配列番号11および87;GenBank受託番号AY530603];127.2/hu.41[配列番号6および91;GenBank受託番号AY530604];127.5/hu.42[配列番号8および85;GenBank受託番号AY530605];ならびにhu.66[配列番号173および197;GenBank受託番号AY530626];ならびにhu.67[配列番号174および198;GenBank受託番号AY530627];ならびに改変rh.2[配列番号231];同源系統群Eから;
同源系統群Fからのhu.14/AAV9[配列番号3および123;GenBank受託番号AY530579]、hu.31[配列番号1および121;AY530596]ならびにhu.32[配列番号1および122;GenBank受託番号AY530597]。
【0055】
加えて、本発明は、上述された同源系統群の定義の外側にある、rh.59[配列番号49および110];rh.60[配列番号31および120;GenBank受託番号AY530571]、改変ch.5[配列番号234];ならびに改変rh.8[配列番号235]を包含するAAV配列を提供する。
【0056】
本発明のAAV配列のフラグメントもまた提供される。これらのフラグメントのそれぞれは多様なベクター系および宿主細胞で容易に利用しうる。vp1、vp2、vp3および超可変領域を包含するcapタンパク質が望ましいAAVフラグメントである。所望の場合は、公開された米国特許公開第US 2003/0138772 A1号明細書(2003年7月24日)]に記述される方法論を使用して、上で同定されたAAVクローンのrep配列を得ることができる。こうしたrep配列は、例えば、rep 78、rep 68、rep 52およびrep 40、ならびにこれらのタンパク質をコードする配列を包含する。同様に、AAVの逆方向末端反復配列(ITR)、AAV P19配列、AAV P40配列、rep結合部位および末端決定部位(terminal resolute site)(TRS)を包含するこれらのクローンの他のフラグメントは、引用される特許刊行物に記述される技術を使用して得ることができる。なお他の適するフラグメントは当業者に容易に明らかであろう。
【0057】
本発明のキャプシドおよび他のフラグメントは、多様なベクター系および宿主細胞中で容易に利用し得る。こうしたフラグメントは、単独で、他のAAV配列若しくはフラグメントとともに、または他のAAV若しくはAAV以外のウイルス配列からの要素とともに使用しうる。特定の望ましい一態様において、ベクターは本発明のAAV capおよび/若しくはrep配列を含有する。
【0058】
AAV配列およびそれらのフラグメントはrAAVの製造において有用であり、そしてまたアンチセンス送達ベクター、遺伝子治療ベクター若しくはワクチンベクターとしても有用である。本発明はさらに、本発明のAAV配列を含有する核酸分子、遺伝子送達ベクターおよび宿主細胞を提供する。
【0059】
適するフラグメントは本明細書に提供される情報を使用して決定し得る。
【0060】
本明細書に記述されるとおり、本発明のAAVキャプシドタンパク質を含有する本発明のベクターは、他のAAV血清型に基づくベクターならびに他のウイルスベクターの有効性を中和抗体が消失させる応用での使用にとりわけ良好に適する。本発明のrAAVベクターは、rAAVの再投与および反復遺伝子治療でとりわけ有利である。
【0061】
本発明のこれらおよび他の態様および利点を下により詳細に記述する。
A.AAV血清型9/hu14配列
本発明は、本明細書でクローンhu.14(以前は28.4と命名されていた)およびhuAAV9と互換性の命名される新規AAVの核酸配列およびアミノ酸を提供する。本明細書に定義されるとおり、新規血清型AAV9は、hu.14の配列[配列番号123]を有するキャプシドと血清学的に交差反応しかつAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7若しくはAAV8のいずれのキャプシドに対して生成させた抗体とも血清学的に交差反応しない抗体を生成させるキャプシドを有するAAVを指す。
【0062】
1.核酸配列
本発明のAAV9核酸配列は、2211ヌクレオチドよりなる配列番号3のDNA配列を包含する。
【0063】
本発明の核酸配列は、配列番号3に相補的である鎖、ならびに配列番号3に対応するRNAおよびcDNA配列、ならびにそれらの相補鎖をさらに包含する。配列番号3の天然のバリアントおよび工作した修飾ならびにそれらの相補鎖もまた本発明の核酸配列に包含される。こうした修飾は、例えば、当該技術分野で既知である標識、メチル化、ならびに天然に存在するヌクレオチドの1個若しくはそれより多くの縮重ヌクレオチドでの置換を包含する。
【0064】
配列番号3に対し約90%以上、より好ましくは少なくとも約95%、および最も好ましくは少なくとも約98ないし99%同一若しくは相同である核酸配列が本発明にさらに包含される。
【0065】
配列番号3のフラグメント、その相補鎖、ならびにそれに対し相補的なcDNAおよびRNAもまた本発明内に包含される。適するフラグメントは長さ少なくとも15ヌクレオチドであり、そして機能的フラグメント、すなわち生物学的に興味深いフラグメントを包含する。こうしたフラグメントは、選択的スプライスバリアントであるAAV9/HU.14キャプシドの3個の可変タンパク質(vp)すなわちvp1[配列番号3のnt1ないし2211];vp2[配列番号3のnt411ないし2211];およびvp3[配列番号3の約nt609ないし2211]をコードする配列を包含する。配列番号3の他
の適するフラグメントは、AAV9/HU.14キャプシドタンパク質の開始コドンを含有するフラグメント、およびvp1キャプシドタンパク質の超可変領域をコードするフラグメントを包含し、これらは本明細書に記述される。
【0066】
図面および配列表に提供される核酸配列を包含することに加え、本発明は、本発明のAAV血清型のアミノ酸配列、タンパク質およびペプチドを発現するよう設計されている核酸分子および配列を包含する。従って、本発明は、以下の新規AAVアミノ酸配列、ならびにこれらの配列および/若しくはそれらの独特のフラグメントを使用して生成される人工的AAV血清型をコードする核酸配列を包含する。
【0067】
本明細書で使用されるところの人工的AAV血清型は、天然に存在しないキャプシドタンパク質をもつAAVを制限なしに包含する。こうした人工的キャプシドは、別のAAV血清型(既知若しくは新規)、同一のAAV血清型の連続しない部分、AAV以外のウイルス供給源、またはウイルス以外の供給源から得ることができる異種配列とともに本発明の新規AAV配列(例えばvp1キャプシドタンパク質のフラグメント)を使用して、いずれの適する方法により生成させてもよい。人工的AAV血清型は、制限なしにキメラAAVキャプシド、組換えAAVキャプシド若しくは「ヒト化」AAVキャプシドでありうる。
【0068】
2.HU.14/AAV9のアミノ酸配列、タンパク質およびペプチド
本発明はさらに、本発明のhu.14/AAV9核酸によりコードされるタンパク質およびそれらのフラグメント、ならびに他の方法により生成されるhu.14/AAV9タンパク質およびフラグメントを提供する。本明細書で使用されるところのこれらのタンパク質は集成されたキャプシドを包含する。本発明はさらに、合成、組換え、若しくは当業者に既知の他の技術を使用して生成される本発明の新規AAV血清型の配列を使用して生成されるAAV血清型を包含する。本発明は、本発明の新規AAV核酸配列から発現された新規AAVアミノ酸配列、ペプチドおよびタンパク質に制限されないが、しかし、例えば化学合成、他の合成技術若しくは他の方法によるを包含する当該技術分野で既知の他の方法により生成されるアミノ酸配列、ペプチドおよびタンパク質を包含する。本明細書に提供されるAAVキャプシドのいずれの配列も、多様な技術を使用して容易に生成させ得る。
【0069】
適する製造後術は当業者に公知である。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press(ニューヨーク州コールドスプリングハーバー)を参照されたい。あるいは、ペプチドは公知の固相ペプチド合成法(Merrifield、J.Am.Chem.Soc.、85:2149(1962);StewartとYoung、Solid Phase Peptide Synthesis(Freeman、サンフランシスコ、1969)pp.27−62)によってもまた合成し得る。これらおよび他の適する製造方法は当業者の知識内にあり、そして本発明の制限でない。
【0070】
とりわけ望ましいタンパク質は、上で同定されたヌクレオチド配列によりコードされるAAVキャプシドタンパク質を包含する。AAVキャプシドは、選択的スプライスバリアントである3種のタンパク質vp1、vp2およびvp3から構成される。図2に提供される完全長の配列はvp1のものである。AAV9/HU.14キャプシドタンパク質は、vp1[配列番号123のアミノ酸(aa)1ないし736]、vp2[配列番号123の約aa138ないし736]、vp3[配列番号123の約aa203ないし736]、およびそれらの機能的フラグメントを包含する。該キャプシドタンパク質の他の所望のフラグメントは、超可変領域(HVR)の間に配置される定常および可変領域を包含する。キャプシドタンパク質の他の所望のフラグメントはHVRそれら自身を包含する。
【0071】
AAV2中の配列の異なる領域を決定するために開発されたアルゴリズムは12個の超可変領域(HVR)を生じ、そのうち5個は4種の以前に記述された可変領域とオーバーラップするかもしくはそれらの一部である。[Chioriniら、J.Virol、73:1309−19(1999);Rutledgeら、J.Virol.、72:309−319]このアルゴリズムおよび/若しくは本明細書に記述されるアライメント技術を使用して、新規AAV血清型のHVRを決定する。例えば、該HVRは以下のとおり配置される。すなわち、HVR1、aa146−152;HVR2、aa182−186;HVR3、aa262−264;HVR4、aa381−383;HVR5、aa450−474;HVR6、aa490−495;HVR7、aa500−504;HVR8、aa514−522;HVR9、aa534−555;HVR10、aa581−594;HVR11、aa658−667;およびHVR12、aa705−719[番号付け体系は、AAV2 vp1を参照の点として使用するアライメントに基づく]。Clustal Xプログラムをデフォルトの設定で使用して実施した本明細書に提供されるアライメントを使用して、または、他の商業的に若しくは公的に入手可能なアライメントプログラムを本明細書に記述されるようなデフォルトの設定で使用して、当業者は、本発明の新規AAVキャプシドの対応するフラグメントを容易に決定し得る。
【0072】
AAV9/HU.14キャプシドタンパク質のなお他の所望のフラグメントは、配列番号123のアミノ酸1ないし184、アミノ酸199ないし259;アミノ酸274ないし446;アミノ酸603ないし659;アミノ酸670ないし706;配列番号123のアミノ酸724ないし736;aa185−198;aa260−273;aa447−477;aa495−602;aa660−669;およびaa707−723を包含する。加えて、AAVキャプシドの他の適するフラグメントの例は、AAV9[配列番号123]の番号付けに関して、aa24−42、aa25−28;aa81−85;aa133−165;aa134−165;aa137−143;aa154−156;aa194−208;aa261−274;aa262−274;aa171−173;aa413−417;aa449−478;aa494−525;aa534−571;aa581−601;aa660−671;aa709−723を包含する。Clustal
Xプログラムをデフォルトの設定で使用して実施した本明細書に提供されるアライメントを使用して、または、他の商業的に若しくは公的に入手可能なアライメントプログラムをデフォルトの設定で使用して、当業者は、本発明の新規AAVキャプシドの対応するフラグメントを容易に決定し得る。
【0073】
なお他の所望のAAV9/HU.14タンパク質はrepタンパク質を包含するはrep68/78およびrep40/52を包含する。
【0074】
適しては、フラグメントは長さ少なくとも8アミノ酸である。しかしながら、他の所望の長さのフラグメントを容易に利用しうる。こうしたフラグメントは、組換えで、若しくは他の適する手段例えば化学合成により製造しうる。
【0075】
本発明はさらに、本明細書に提供される配列情報を使用して同定される他のAAV9/HU.14配列を提供する。例えば、本明細書に提供されるAAV9/HU.14配列を与えられれば、ゲノム歩行技術(Siebertら、1995、Nucleic Acid Research、23:1087−1088、Friezner−Degenら、1986、J.Biol.Chem.261:6972−6985、BD Biosciences Clontech、カリフォルニア州パロアルト)を使用して、感染性のAAV9/HU.14を単離しうる。ゲノム歩行は、本発明の方法により同定される新規配列に隣接する配列を同定および単離するのにとりわけ十分に適する。本技術は、本明細書に提供される新規AAVキャプシドおよびrep配列に基づいて新規AAV9/HU.1
4血清型の逆方向末端反復配列(ITR)を単離するためにもまた有用である。
【0076】
本発明の配列、タンパク質およびフラグメントは、組換え製造、化学合成若しくは他の合成手段を包含するいずれの適する手段によっても製造しうる。こうした製造方法は当業者の知識内にありかつ本発明の制限でない。
【0077】
III.新規AAVキャプシドをもつrAAVの製造
本発明は、これらのウイルスが本来会合しているDNAおよび/若しくは細胞物質を含まない新規AAVキャプシド配列を包含する。本明細書に提供される新規AAVキャプシドの全部を反復することを回避するため、言及はこれおよび以下の節を通じてhu.14/AAV9キャプシドに対しなされる。しかしながら、本発明の他の新規AAVキャプシド配列を類似の様式で使用し得ることが認識されるべきである。
【0078】
別の局面において、本発明は、異種遺伝子若しくは他の核酸配列の標的細胞への送達において有用な分子の製造のためにそれらのフラグメントを包含する本発明の新規AAV配列を利用する分子を提供する。
【0079】
別の局面において、本発明は、異種遺伝子若しくは他の核酸配列の標的細胞への送達において有用なウイルスベクターの製造のためのそれらのフラグメントを包含する本発明のAAV配列を利用する分子を提供する。
【0080】
AAV配列を含有する本発明の分子は、宿主細胞に送達されうるいかなる遺伝因子(ベクター)、例えば、その上に運搬される配列を移入する裸のDNA、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、エピソーム、ウイルス以外の送達ベヒクル(例えば脂質に基づく担体)中のタンパク質、ウイルスなども包含する。選択されたベクターは、トランスフェクション、電気穿孔法、リポソーム送達、膜融合技術、高速DNA被覆ペレット、ウイルス感染およびプロトプラスト融合を包含するいずれの適する方法によっても送達しうる。本発明のいずれの態様を構築するのに使用される方法も、核酸操作の当業者に既知であり、そして遺伝子工学、組換え工学および合成技術を包含する。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、ニューヨーク州コールドスプリングハーバーを参照されたい。
【0081】
一態様において、本発明のベクターは、とりわけ、本発明のAAVキャプシド若しくはそのフラグメントをコードする配列を含有する。別の態様において、本発明のベクターは少なくともAAV repタンパク質若しくはそのフラグメントをコードする配列を含有する。場合によっては、本発明のベクターはAAV capおよびrepタンパク質双方を含有しうる。AAV repおよびcap双方が提供されるベクターにおいて、AAV
repおよびAAV cap配列は同一の同源系統群のAAVから発し得る。あるいは、本発明は、rep配列がcap配列を提供しているAAV供給源と異なるAAV供給源からであるベクターを提供する。一態様において、repおよびcap配列は別個の供給源(例えば別個のベクター、若しくは宿主細胞およびベクター)から発現される。別の態様において、これらのrep配列は、異なるAAV供給源のcap配列にインフレームで融合されてキメラAAVベクターを形成する。場合によっては、本発明のベクターは本発明のAAVキャプシドにパッケージングされたベクターである。これらのベクター、および本明細書に記述される他のベクターは、AAV 5’ITRおよびAAV 3’ITRにより隣接される選択された導入遺伝子を含んでなるミニ遺伝子をさらに含有し得る。
【0082】
従って、一態様において、本明細書に記述されるベクターは、単一のAAV配列(例えばAAV9/HU.14)からでありうる無傷のAAVキャプシドをコードする核酸配列
を含有する。こうしたキャプシドは配列番号123のアミノ酸1ないし736を含みうる。あるいは、これらのベクターは、異種AAV若しくはAAV以外のキャプシドタンパク質(またはそれらのフラグメント)に融合されたAAV9/HU.14キャプシドの1種若しくはそれより多くのフラグメントを含有する人工的キャプシドをコードする配列を含有する。これらの人工的キャプシドタンパク質は、AAV9/HU.14キャプシドの連続しない部分若しくは他のAAVのキャプシドから選択される。例えば、rAAVは、vp2および/若しくはvp3、またはvp1、あるいはAAV9/HU.14キャプシド、配列番号123のアミノ酸1ないし184、アミノ酸199ないし259;アミノ酸274ないし446;アミノ酸603ないし659;アミノ酸670ないし706;アミノ酸724ないし738から選択されるそれらのフラグメントから選択されるAAV9/HU.14キャプシド領域の1種若しくはそれより多くを含んでなるキャプシドタンパク質を有しうる。別の例において、vp3タンパク質の開始コドンをGTGに変えることが望ましいことがある。あるいは、rAAVは、本明細書で同定されるAAV血清型9キャプシドタンパク質の超可変領域、若しくはAAV9/HU.14キャプシドのaa185−198;aa260−273;aa447−477;aa495−602;aa660−669;およびaa707−723を制限なしに包含する他のフラグメントの1種若しくはそれより多くを含有しうる。配列番号123を参照されたい。これらの改変は、選択された発現系において、または別の所望の目的上(例えば向性を変える、すなわち中和抗体のエピトープを変える)、発現、収量を増大させかつ/若しくは精製を向上させるはずでありうる。
【0083】
本明細書に記述されるベクター、例えばプラスミドは多様な目的上有用であるが、しかし、AAV配列若しくはそれらのフラグメントを含んでなるキャプシドを含有するrAAVの製造における使用にとりわけ良好に適する。rAAVを包含するこれらのベクター、それらの要素、構築および用途は本明細書に詳細に記述される。
【0084】
一局面において、本発明は、AAV血清型9キャプシド若しくはその一部分を有する組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)の生成方法を提供する。こうした方法は、本明細書で定義されるところのAAV血清型9キャプシドタンパク質若しくはそのフラグメント;機能的rep遺伝子;少なくともAAV逆方向末端反復配列(ITR)および導入遺伝子から構成されるミニ遺伝子;ならびに該ミニ遺伝子のAAV9/HU.14キャプシドタンパク質中へのパッケージングを可能にするのに十分なヘルパー機能をコードする核酸配列を含有する宿主細胞を培養することを必要とする。
【0085】
AAVミニ遺伝子をAAVキャプシドにパッケージングするために宿主細胞中で培養されることが必要とされる成分は宿主細胞にtransで供給しうる。あるいは、必要とされる成分(例えばミニ遺伝子、rep配列、cap配列および/若しくはヘルパー機能)のいずれか1種若しくはそれより多くは、必要とされる成分の1種若しくはそれより多くを含有するように当業者に既知の方法を使用して工作された安定な宿主細胞により提供しうる。最も適しては、こうした安定な宿主細胞は誘導可能なプロモーターの制御下に必要とされる成分(1種若しくは複数)を含有することができる。しかしながら、該必要とされる成分(1種若しくは複数)は構成的プロモーターの制御下にありうる。適する誘導可能なおよび構成的プロモーターの例は、導入遺伝子との使用に適する調節エレメントの論考において本明細書に提供される。なお別の代替において、選択された安定な宿主細胞は、構成的プロモーターの制御下の選択された成分(1種若しくは複数)および1種若しくはそれより多くの誘導可能なプロモーターの制御下の他の選択された成分(1種若しくは複数)を含有しうる。例えば、293細胞(構成的プロモーターの制御下にE1ヘルパー機能を含有する)由来であるがしかし誘導可能なプロモーターの制御下にrepおよび/若しくはcapタンパク質を含有する安定な宿主細胞を生成させうる。なお他の安定な宿主細胞を当業者により生成しうる。
【0086】
本発明のrAAVを製造するのに必要とされるミニ遺伝子、rep配列、cap配列およびヘルパー機能は、その上に運搬される配列を移入するいずれかの遺伝因子の形態でパッケージング宿主細胞に送達しうる。選択された遺伝因子は、本明細書に記述されるものを包含するいずれの適する方法によっても送達しうる。本発明のいずれの態様を構築するのに使用される方法も核酸操作の当業者に既知であり、そして遺伝子工学、組換え工学および合成技術を包含する。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、ニューヨーク州コールドスプリングハーバーを参照されたい。同様に、rAAVビリオンの生成方法は公知であり、また、適する方法の選択は本発明に対する制限でない。例えばK.Fisherら、J.Virol.、70:520−532(1993)および米国特許第5,478,745号明細書を参照されたい。
【0087】
別の方法で明記されない限り、AAV ITRおよび本明細書に記述される他の選択されたAAV成分は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV9および本発明の他の新規AAV配列の1種を制限なしに包含するいかなるAAVの中からも容易に選択しうる。これらのITR若しくは他のAAV成分は、当業者に利用可能な技術を使用してAAV配列から容易に単離しうる。こうしたAAVは、単離しうるか、または学術的、商業的若しくは公的な供給源(例えばAmerican Type Culture Collection、バージニア州マナサス)から得ることができる。あるいは、AAV配列は、文献、または例えばGenBank(R)、PubMed(R)などのようなデータベースで入手可能であるような公表された配列を参照することにより、合成若しくは他の適する手段により得ることができる。
【0088】
A.ミニ遺伝子
ミニ遺伝子は、少なくとも導入遺伝子およびその制御配列、ならびに5’および3’のAAV逆方向末端反復配列(ITR)から構成される。所望の一態様において、AAV血清型2のITRを使用する。しかしながら他の適する供給源からのITRを選択しうる。キャプシドタンパク質にパッケージングされかつ選択された宿主細胞に送達されるのはこのミニ遺伝子である。
【0089】
1.導入遺伝子
導入遺伝子は、目的のポリペプチド、タンパク質若しくは他の産物をコードする、導入遺伝子に隣接するベクター配列に対し異種の核酸配列である。該核酸コーディング配列は、宿主細胞中での導入遺伝子の転写、翻訳および/若しくは発現を可能にする様式で調節成分に効果的に連結される。
【0090】
導入遺伝子配列の組成は、生じるベクターが置かれるであろう使用に依存することができる。例えば、1つの型の導入遺伝子配列は、発現に際して検出可能なシグナルを生じるレポーター配列を包含する。こうしたレポーター遺伝子は、それに向けられた高親和性抗体が存在するか若しくは慣習的手段により製造され得るβ−ラクタマーゼ、β−ガラクトシダーゼ(LacZ)、アルカリホスファターゼ、チミジンキナーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、強化GFP(EGFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、例えばCD2、CD4、CD8を包含する膜結合タンパク質、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質および当該技術分野で公知の他者、ならびにとりわけヘマグルチニン若しくはMycからの抗原タグドメインに適切に融合された膜結合タンパク質を含んでなる融合タンパク質をコードするDNA配列を制限なしに包含する。
【0091】
これらのコーディング配列は、それらの発現を駆動する調節エレメントと会合される場
合に、酵素、X線撮影、比色、蛍光若しくは他の分光学的アッセイ、蛍光標示式細胞分取アッセイ、ならびに酵素結合免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)および免疫組織化学を包含する免疫学的アッセイを包含する慣習的手段により検出可能なシグナルを提供する。例えば、マーカー配列がLacZ遺伝子である場合、該シグナルを運搬するベクターの存在はβ−ガラクトシダーゼ活性についてのアッセイにより検出する。導入遺伝子が緑色結合タンパク質若しくはルシフェラーゼである場合、該シグナルを運搬するベクターは、ルミノメーターで色若しくは光の産生により視覚的に測定しうる。
【0092】
しかしながら、望ましくは、導入遺伝子は、タンパク質、ペプチド、RNA、酵素、ドミナントネガティブの変異体若しくは触媒的RNAのような生物学および医学で有用である産物をコードするマーカー以外の配列である。所望のRNA分子は、tRNA、dsRNA、リボソームRNA、触媒的RNA、siRNA、小分子ヘアピン型RNA、transスプライシングRNAおよびアンチセンスRNAを包含する。有用なRNA配列の一例は、処置した動物で標的とされた核酸配列の発現を阻害若しくは消失させる配列である。典型的には、適する標的配列は腫瘍学的標的およびウイルス性疾患を包含する。こうした標的の例については、下で免疫原に関する節にて同定される腫瘍学的標的およびウイルスを参照されたい。
【0093】
導入遺伝子は、正常な遺伝子が正常レベルより少なく発現されている欠損、若しくは機能的遺伝子産物が発現されない欠損を包含しうる遺伝子欠損を是正若しくは改善するのに使用しうる。あるいは、導入遺伝子は、該細胞型若しくは宿主中で本来発現されない産物を細胞に提供しうる。好ましい型の導入遺伝子配列は、宿主細胞中で発現される治療的タンパク質若しくはポリペプチドをコードする。本発明は複数の導入遺伝子を使用することをさらに包含する。ある状況では、1タンパク質の各サブユニットをコードするため、または異なるペプチド若しくはタンパク質をコードするために異なる導入遺伝子を使用しうる。これは、タンパク質サブユニットをコードするDNAの大きさが大きい場合、例えば免疫グロブリン、血小板由来増殖因子若しくはジストロフィンタンパク質に望ましい。細胞が多サブユニットタンパク質を産生するためには、異なるサブユニットのそれぞれを含有する組換えウイルスに細胞を感染させる。あるいは、タンパク質の異なるサブユニットを同一の導入遺伝子によりコードしうる。この場合、単一の導入遺伝子がサブユニットのそれぞれをコードするDNAを包含し、各サブユニットのDNAは配列内リボザイム進入部(IRES)により分離される。これは、サブユニットのそれぞれをコードするDNAの大きさが小さい、例えばサブユニットおよびIRESをコードするDNAの大きさの合計が5キロ塩基対未満である場合に望ましい。IRESに対する一代替として、DNAは、翻訳後事象で自己切断する2Aペプチドをコードする配列により分離しうる。例えば、M.L.Donnellyら、J.Gen.Virol.、78(Pt 1):13−21(1997年1月);Furler,S.ら、Gene Ther.、8(11):864−873(2001年6月);Klump H.ら、Gene Ther.、8(10):811−817(2001年5月)を参照されたい。この2AペプチドはIRESより有意により小さく、空間が制限要因である使用にそれを良好に適するようにする。よりしばしば、導入遺伝子が大きく多サブユニットよりなるか、若しくは2種の導入遺伝子を共送達する場合、所望の導入遺伝子(1種若しくは複数)またはサブユニットを運搬するrAAVを共投与して、それらをin vivoで鎖状体化させて単一のベクターゲノムを形成させる。こうした一態様において、第一のAAVは単一の導入遺伝子を発現する発現カセットを運搬することができ、また、第二のAAVは、宿主細胞中での共発現のための異なる導入遺伝子を発現する発現カセットを運搬しうる。しかしながら、選択された導入遺伝子は、いかなる生物学的活性産物若しくは他の産物、例えば研究に所望の産物もコードしうる。
【0094】
適する導入遺伝子は当業者により容易に選択されうる。導入遺伝子の選択は本発明の制
限であると考えられない。
【0095】
2.調節エレメント
ミニ遺伝子について上で同定された主要エレメントに加え、ベクターは、該プラスミドベクターでトランスフェクトしたか若しくは本発明により製造したウイルスに感染させた細胞中での導入遺伝子の転写、翻訳および/若しくは発現を可能にする様式で導入遺伝子に作動可能に連結されている慣習的調節領域もまた包含する。本明細書で使用されるところの「作動可能に連結されている」配列は、目的の遺伝子と連続する発現制御配列およびtransで若しくは離れて作用して目的の遺伝子を制御する発現制御配列の双方を包含する。
【0096】
発現制御配列は、適切な転写開始、終止、プロモーターおよびエンハンサー配列;スプライシングおよびポリアデニル化(ポリA)シグナルのような効率的RNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を高める配列(すなわちコザックコンセンサス配列);タンパク質の安定性を高める配列;ならびに、所望の場合はコードされる産物の分泌を高める配列を包含する。生来、構成的、誘導可能および/若しくは組織特異的であるプロモーターを包含する多数の発現制御配列が当該技術分野で既知でありかつ利用しうる。
【0097】
構成的プロモーターの例は、レトロウイルスラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター(場合によってはRSVエンハンサーを伴う)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(場合によってはCMVエンハンサーを伴う)[例えばBoshartら、Cell、41:521−530(1985)を参照されたい]、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素プロモーター、β−アクチンプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーター、およびEF1プロモーター[Invitrogen]を制限なしに包含する。誘導可能なプロモーターは遺伝子発現の調節を可能にし、そして外因性に供給される化合物、温度のような環境因子、または特定の生理学的状態(例えば急性期、細胞の特定の分化状態、若しくは複製細胞のみ中)の存在により調節し得る。誘導可能なプロモーターおよび誘導可能な系は、Invitrogen、ClontechおよびAriadを制限なしに包含する多様な商業的供給元から入手可能である。多くの他の系が記述されておりかつ当業者により容易に選択され得る。外因性に供給される化合物により調節される誘導可能なプロモーターの例は、亜鉛で誘導可能なヒツジメタロチオニン(MT)プロモーター、デキサメサゾン(Dex)で誘導可能なマウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7ポリメラーゼプロモーター系[国際特許公開第WO 98/10088号明細書];エクジソン昆虫プロモーター[Noら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:3346−3351(1996)]、テトラサイクリンで抑制可能な系[Gossenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:5547−5551(1992)]、テトラサイクリンで誘導可能な系[Gossenら、Science、268:1766−1769(1995)、Harveyら、Curr.Opin.Chem.Biol.、2:512−518(1998)もまた参照されたい]、RU486で誘導可能な系[Wangら、Nat.Biotech.、15:239−243(1997)およびWangら、Gene Ther.、4:432−441(1997)]、ならびにラパマイシンで誘導可能な系[Magariら、J.Clin.Invest.、100:2865−2872(1997)]を包含する。この情況で有用でありうる他の型の誘導可能なプロモーターは、特定の生理学的状態(例えば温度、急性期、細胞の特定の分化状態、若しくは複製細胞のみ中)により調節されるものである。
【0098】
別の態様において、導入遺伝子の本来のプロモーターを使用することができる。本来のプロモーターは、導入遺伝子の発現が本来の発現を模倣すべきであることが望ましい場合
に好ましいことがある。本来のプロモーターは、導入遺伝子の発現が一時的に若しくは発達的に、または組織特異的様式で、あるいは特定の転写刺激に応答して調節されなければならない場合に使用しうる。さらなる一態様において、エンハンサー要素、ポリアデニル化部位若しくはコザックコンセンサス配列のような他の本来の発現調節領域を、本来の発現を模倣するのにもまた使用しうる。
【0099】
導入遺伝子の別の態様は、組織特異的プロモーターに作動可能に連結された遺伝子を包含する。例えば、骨格筋中での発現が望ましい場合は筋中で活性のプロモーターを使用すべきである。これらは、骨格β−アクチン、ミオシンL鎖2A、ジストロフィン、筋クレアチンキナーゼをコードする遺伝子からのプロモーター、ならびに天然に存在するプロモーターよりも高い活性をもつ合成の筋プロモーターを包含する(Liら、Nat.Biotech.、17:241−245(1999)を参照されたい)。組織特異的であるプロモーターの例は、とりわけ、肝(アルブミン、Miyatakeら、J.Virol.、71:5124−32(1997);B型肝炎ウイルスコアプロモーター、Sandigら、Gene Ther.、3:1002−9(1996);α−フェトプロテイン(AFP)、Arbuthnotら、Hum.Gene Ther.、7:1503−14(1996))、骨オステオカルシン(Steinら、Mol.Biol.Rep.、24:185−96(1997));骨シアロタンパク質(Chenら、J.Bone Miner.Res.、11:654−64(1996))、リンパ球(CD2、Hansalら、J.Immunol.、161:1063−8(1998);免疫グロブリンH鎖;T細胞受容体鎖)、神経特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター(Andersenら、Cell.Mol.Neurobiol.、13:503−15(1993))、神経細糸L鎖遺伝子(Piccioliら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:5611−5(1991))、およびニューロン特異的vgf遺伝子(Piccioliら、Neuron、15:373−84(1995))のような神経のについて既知である。
【0100】
場合によっては、治療上有用な導入遺伝子を運搬するプラスミドは選択可能なマーカーもまた包含しうるか、または、レポーター遺伝子はとりわけジェネチシン、ハイグロマイシン若しくはピューリマイシン耐性をコードする配列を包含しうる。アンピシリン耐性のような、こうした選択可能なレポーター若しくはマーカー遺伝子(好ましくは本発明の方法によりレスキューされるためにウイルスゲノムの外側に配置される)を、細菌細胞中のプラスミドの存在を知らせるのに使用し得る。該プラスミドの他成分は複製起点を包含しうる。これらおよび他のプロモーターおよびベクター要素の選択は慣習的であり、そして多くのこうした配列が利用可能である[例えばSambrookら、およびその中で引用される参考文献を参照されたい]。
【0101】
導入遺伝子、プロモーター/エンハンサー、ならびに5’および3’のAAV ITRの組み合わせは、言及の容易さのため本明細書で「ミニ遺伝子」と称される。本発明の教示とともに提供されるこうしたミニ遺伝子の設計は、慣習的技術を用いることによりなし得る。
【0102】
3.パッケージング宿主細胞へのミニ遺伝子の送達
ミニ遺伝子は、宿主細胞に送達されるいかなる適するベクター、例えばプラスミド上でも運搬され得る。本発明で有用なプラスミドは、それらが複製および場合によっては原核生物細胞、哺乳動物細胞、若しくは双方への組込みに適するように工作しうる。これらのプラスミド(若しくは5’AAV ITR−異種分子−3’AAV ITRを運搬する他のベクター)は、真核生物および/若しくは原核生物中でのミニ遺伝子ならびにこれらの系の選択マーカーの複製を可能にする配列を含有する。選択可能なマーカー若しくはレポーター遺伝子は、とりわけ、ジェネチシン、ハイグロマイシン若しくはピューリマイシン
耐性をコードする配列を包含しうる。該プラスミドは、アンピシリン耐性のような、細菌細胞中のベクターの存在を知らせるのに使用し得るある種の選択可能なレポーター若しくはマーカー遺伝子もまた含有しうる。プラスミドの他成分は複製起点、およびエプスタイン−バーウイルスの核抗原を使用するアンプリコン系のようなアンプリコンを包含しうる。このアンプリコン系若しくは他の類似のアンプリコン成分は、細胞中での高コピーのエピソーム複製を可能にする。好ましくは、ミニ遺伝子を運搬する分子を細胞にトランスフェクトし、それはそこで一過性に存在しうる。あるいは、ミニ遺伝子(5’AAV ITR−異種分子−3’AAV ITRを運搬する)は、染色体に若しくはエピソームとしてのいずれかで宿主細胞のゲノムに安定に組込まれうる。ある態様において、ミニ遺伝子は、場合によっては頭から頭、頭から尾若しくは尾から尾の鎖状体で複数コピーで存在しうる。適するトランスフェクション技術は既知であり、そして宿主細胞にミニ遺伝子を送達させるのに容易に利用しうる。
【0103】
一般に、ミニ遺伝子を含んでなるベクターをトランスフェクションにより送達する場合、該ベクターは、約5μgから約100μgまでのDNA、約10μgないし約50μgのDNAの量で、約1×104細胞ないし約1×1013細胞、若しくは約1×105細胞に送達する。しかしながら、宿主細胞に対するベクターDNAの相対量は、選択したベクター、送達方法および選択した宿主細胞のような因子を考慮に入れて調節しうる。
【0104】
B.repおよびcap配列
ミニ遺伝子に加え、宿主細胞は、宿主細胞中での本発明の新規AAVキャプシドタンパク質(若しくはそのフラグメントを含んでなるキャプシドタンパク質)の発現を駆動する配列、およびミニ遺伝子中で見出されるAAV ITRの供給源若しくは交差相補する供給源と同一の供給源のrep配列を含有する。AAVのcapおよびrep配列は、上述されたところのAAV供給源から独立に得ることができ、そして、上述されたところの当業者に既知のいずれかの様式で宿主細胞に導入しうる。加えて、(例えばAAV9/HU.14キャプシド)でAAVベクターをシュードタイピングする場合、不可欠のrepタンパク質のそれぞれをコードする配列を異なるAAV供給源(例えばAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8)により供給しうる。例えば、rep78/68配列はAAV2からであってよい一方、rep52/40配列はAAV8からであってよい。
【0105】
一態様において、宿主細胞は、上述されたもののような適するプロモーターの制御下にキャプシドタンパク質を安定に含有する。最も望ましくは、本態様において、キャプシドタンパク質は誘導可能なプロモーターの制御下に発現される。別の態様において、キャプシドタンパク質はtransで宿主細胞に供給される。宿主細胞にtransで送達される場合、キャプシドタンパク質は、選択されたキャプシドタンパク質の宿主細胞中での発現を指図するのに必要な配列を含有するプラスミドを介して送達しうる。最も望ましくは、宿主細胞にtransで送達される場合、キャプシドタンパク質を運搬するプラスミドはrAAVをパッケージングするのに必要とされる他の配列、例えばrep配列もまた運搬する。
【0106】
別の態様において、宿主細胞は、上述されたもののごとく適するプロモーターの制御下にrepタンパク質を安定に含有する。最も望ましくは、本態様において、不可欠のrepタンパク質が誘導可能なプロモーターの制御下に発現される。別の態様において、repタンパク質はtransで宿主細胞に供給される。宿主細胞にtransで送達される場合、repタンパク質は、選択されたrepタンパク質の宿主細胞中での発現を指図するのに必要な配列を含有するプラスミドを介して送達しうる。最も望ましくは、宿主細胞にtransで送達される場合、キャプシドタンパク質を運搬するプラスミドはrAAVをパッケージングするのに必要とされる他の配列、例えばrepおよびcap配列もまた
運搬する。
【0107】
従って、一態様において、repおよびcap配列は、単一の核酸分子上で宿主細胞にトランスフェクトされることができ、そして該細胞中で1個のエピソームとして安定に存在しうる。別の態様において、repおよびcap配列は細胞の染色体中に安定に組み込まれる。別の態様は、宿主細胞中で一過性に発現されるrepおよびcap配列を有する。例えば、こうしたトランスフェクションのための有用な核酸分子は、5’から3’へ、プロモーター、プロモーターとrep遺伝子配列の開始部位との間に挿入された任意のスペーサー、AAV rep遺伝子配列、およびAAV cap遺伝子配列を含んでなる。
【0108】
場合によっては、repおよび/若しくはcap配列は、宿主細胞中に導入されるべきである他のDNA配列を含有する1ベクター上で供給しうる。例えば、ベクターはミニ遺伝子を含んでなるrAAV構築物を含有しうる。ベクターは、ヘルパー機能をコードする遺伝子、例えばアデノウイルスタンパク質E1、E2aおよびE4 ORF6、ならびにVAI RNAの遺伝子の1種若しくはそれより多くを含みうる。
【0109】
好ましくは、本構築物で使用されるプロモーターは、当業者に既知の若しくは上で論考されたところの構成的、誘導可能な若しくは本来のプロモーターのいずれでもありうる。一態様において、AAV P5プロモーター配列を使用する。これらの配列のいずれかを提供するためのAAVの選択は本発明を制限しない。
【0110】
別の好ましい態様において、repのプロモーターは、導入遺伝子の調節エレメントに関して上で論考されたような誘導可能なプロモーターである。rep発現のための1種の好ましいプロモーターはT7プロモーターである。T7プロモーターにより調節されるrep遺伝子およびcap遺伝子を含んでなるベクターを、T7ポリメラーゼを構成的に若しくは誘導可能にのいずれかで発現する細胞にトランスフェクト若しくは形質転換する。1998年3月12日公開の国際特許公開第WO 98/10088号明細書を参照されたい。
【0111】
スペーサーはベクターの設計における任意の一要素である。スペーサーは、プロモーターとrep遺伝子のATG開始部位との間に挿入されるDNA配列である。スペーサーはいかなる所望の設計を有してもよい。すなわち、それはヌクレオチドの無作為の配列でありうるか、あるいは、それはマーカー遺伝子のような遺伝子産物をコードしうる。スペーサーは開始/終止およびポリA部位を典型的に組み込む遺伝子を含有しうる。スペーサーは、原核生物若しくは真核生物からの非コーディングDNA配列、反復非コーディング配列、転写制御を伴わないコーティング配列若しくは転写制御を伴うコーディング配列でありうる。スペーサー配列の2種の例示的供給源はファージラダー配列若しくは酵母ラダー配列であり、それらは例えばとりわけGibco若しくはInvitrogenから商業的に入手可能である。スペーサーは、rep52、rep40およびcap遺伝子産物を正常レベルで発現されるままにしてrep78およびrep68遺伝子産物の発現を低下させるのに十分ないかなる大きさのものであってもよい。スペーサーの長さは、従って約10bpから約10.0kbpまで、好ましくは約100bpないし約8.0kbpの範囲の範囲にわたりうる。組換えの可能性を低下させるため、スペーサーは、好ましくは長さ2kbp未満であるが;しかしながら、本発明はそのように制限されない。
【0112】
repおよびcapを提供する分子(1種若しくは複数)が宿主細胞中に一過性に存在しうる(すなわちトランスフェクションにより)とは言え、repおよびcapタンパク質の一方若しくは双方およびそれらの発現を制御するプロモーター(1種若しくは複数)が、例えばエピソームとして若しくは宿主細胞の染色体中への組み込みにより宿主細胞中で安定に発現されることが好ましい。本発明の態様を構築するために使用される方法は、
上の参考文献に記述されるもののような慣習的な遺伝子工学若しくは組換え工学技術である。本明細は本明細書に提供される情報を使用して特定の構築物の具体的に説明する例を提供する一方、当業者は、スペーサー、P5プロモーター、ならびに少なくとも1個の翻訳開始および終止シグナルを包含する他のエレメントの選択、ならびにポリアデニル化部位の任意の付加を使用して、他の適する構築物を選択かつ設計しうる。
【0113】
本発明の別の態様において、rep若しくはcapタンパク質は宿主細胞により安定に提供されうる。
【0114】
C.ヘルパー機能
パッケージング宿主細胞は、本発明のrAAVをパッケージングするためにヘルパー機能をもまた必要とする。場合によっては、これらの機能はヘルペスウイルスにより供給しうる。最も望ましくは、必要なヘルパー機能は、上述されたものおよび/若しくはAmerican Type Culture Collection(ATCC)、バージニア州マナサス(米国)を包含する多様な供給元から入手可能であるようなヒト若しくはヒト以外の霊長類のアデノウイルス供給源からそれぞれ提供される。現在好ましい一態様において、宿主細胞は、E1a遺伝子産物、E1b遺伝子産物、E2a遺伝子産物、および/若しくはE4 ORF6遺伝子産物を提供されかつ/若しくは含有する。宿主細胞はVAI RNAのような他のアデノウイルス遺伝子を含有しうるが、しかしこれらの遺伝子は必要とされない。好ましい一態様において、他のアデノウイルス遺伝子若しくは遺伝子機能が宿主細胞中に存在しない。
【0115】
「E1a遺伝子産物を発現するアデノウイルスDNA」により、それはE1a若しくはいずれかの機能的E1a部分をコードするいかなるアデノウイルス配列も意味している。E2a遺伝子産物を発現するアデノウイルスDNAおよびE4 ORF6遺伝子産物を発現するアデノウイルスDNAが同様に定義される。アデノウイルス遺伝子若しくはその機能的部分のいかなる対立遺伝子若しくは他の改変もまた包含される。こうした改変は、アデノウイルスの機能を何らかの様式で高めるための慣習的な遺伝子工学若しくは変異原性技術を用いて意図的に導入することができ、ならびにそれらの天然に存在する対立遺伝子バリアントでありうる。これらのアデノウイルス遺伝子の機能を達成するようにDNAを操作するためのこうした改変および方法は当業者に既知である。
【0116】
アデノウイルスE1a、E1b、E2aおよび/若しくはE4ORF6遺伝子産物、ならびにいずれかの他の所望のヘルパー機能は、細胞中でのそれらの発現を可能にするいずれの手段を使用しても提供し得る。これらの産物をコードする配列のそれぞれは別個のベクター上にありうるか、または1種若しくはそれより多くの遺伝子が同一ベクター上にありうる。ベクターは、プラスミド、コスミドおよびウイルスを包含する当該技術分野で既知若しくは上で開示されたいずれかのベクターでありうる。ベクターの宿主細胞中への導入は、とりわけ、トランスフェクション、感染、電気穿孔法、リポソーム送達、膜融合技術、高速DNA被覆ペレット、ウイルス感染およびプロトプラスト融合を包含する当該技術分野で既知若しくは上で開示されたところのいずれの手段によっても達成しうる。アデノウイルス遺伝子の1種若しくはそれより多くが宿主細胞のゲノム中に安定に組み込まれうるか、エピソームとして安定に発現されうるか、若しくは一過性に発現されうる。遺伝子産物は全部、エピソーム上で一過性に発現されうるか、若しくは安定に組込まれうるか、または遺伝子産物のいくつかが安定に発現されうる一方で他者が一過性に発現される。さらに、アデノウイルス遺伝子のそれぞれのプロモーターは、構成的プロモーター、誘導可能なプロモーター若しくは本来のアデノウイルスプロモーターから独立に選択しうる。プロモーターは、生物体若しくは細胞の特定の生理学的状態(すなわち分化状態により、または複製若しくは静止期細胞で)により、あるいは例えば外因性に添加した因子により調節しうる。
【0117】
D.宿主細胞およびパッケージング細胞株
宿主細胞それ自身は、原核生物(例えば細菌)細胞、ならびに昆虫細胞、酵母細胞および哺乳動物細胞を包含する真核生物細胞を包含するいずれの生物学的生物体からも選択しうる。とりわけ望ましい宿主細胞は、A549、WEH1、3T3、10T1/2、BHK、MDCK、COS 1、COS 7、BSC 1、BSC 40、BMT 10、VERO、WI38、HeLa、293細胞(機能的アデノウイルスE1を発現する)、Saos、C2C12、L細胞、HT1080、HepG2、ならびにヒト、サル、マウス、ラット、ウサギおよびハムスターを包含する哺乳動物由来の初代線維芽細胞、肝細胞および筋芽細胞のような細胞を制限なしに包含するいずれかの哺乳動物種のなかから選択する。細胞を提供する哺乳動物種の選択は本発明の制限でなく;また、哺乳動物細胞の型、すなわち筋芽細胞、肝細胞、腫瘍細胞などもそうでない。使用される細胞に対する要件は、それがE1、E2aおよび/若しくはE4 ORF6以外のいかなるアデノウイルス遺伝子も運搬せず;それがrAAVの産生の間に汚染するウイルスの相同的組換えをもたらし得るいかなる他のウイルス遺伝子も含有せず;そしてそれがDNAの感染若しくはトランスフェクションおよびトランスフェクトされたDNAの発現が可能であることである。好ましい一態様において、宿主細胞は細胞中でrepおよびcapが安定にトランスフェクトされているものである。
【0118】
本発明で有用な一宿主細胞は、repおよびcapをコードする配列で安定に形質転換されかつアデノウイルスE1、E2aおよびE4ORF6 DNAならびに上述されたところのミニ遺伝子を運搬する構築物でトランスフェクトされている宿主細胞である。B−50(国際特許出願公開第WO 99/15685号明細書)若しくは米国特許第5,658,785号明細書に記述されるもののような安定なrepおよび/若しくはcapを発現する細胞株もまた同様に使用しうる。別の所望の宿主細胞はE4 ORF6を発現するのに十分である最少のアデノウイルスDNAを含有する。なお他の細胞株を、本発明の新規AAV9 cap配列を使用して構築し得る。
【0119】
本発明の宿主細胞の製造は選択されたDNA配列の集成のような技術を必要とする。この集成は慣習的技術を利用して達成しうる。こうした技術は、公知でありかつ上で引用されたSambrookらに記述されるcDNAおよびゲノムクローニング、ポリメラーゼ連鎖反応と組合せたアデノウイルスおよびAAVゲノムのオーバーラップオリゴヌクレオチド配列の使用、合成の方法、ならびに所望のヌクレオチド配列を提供するいずれかの他の適する方法を包含する。
【0120】
宿主細胞中への(プラスミド若しくはウイルスとしての)分子の導入は、当業者に既知かつ本明細を通じて論考されるところの技術を使用してもまた達成しうる。好ましい態様において、標準的トランスフェクション技術、例えばCaPO4トランスフェクション若しくは電気穿孔法、および/またはヒト胎児由来腎臓細胞株HEK293(transに作用するE1タンパク質を提供する機能的アデノウイルスE1遺伝子を含有するヒト腎細胞株)のような細胞株中へのハイブリッドアデノウイルス/AAVベクターによる感染を使用する。
【0121】
当業者により生成されるAAV9/HU.14に基づくベクターは、AAV9/HU.14に対する中和抗体がヒト集団で見出されていないため、選択される宿主細胞への遺伝子送達および遺伝子治療患者に有益である。当業者は、当業者に既知の多様な技術を使用して、本明細書に提供されるAAV9/HU.14キャプシドタンパク質を含有する他のrAAVウイルスベクターを容易に製造しうる。AAV9/HU.14配列および別の供給源からのAAVキャプシドを含有するなお他のrAAVウイルスベクターを同様に製造しうる。
【0122】
当業者は、本発明の新規AAV配列を、これらおよびin vitro、ex vivo若しくはin vivo遺伝子送達のための他のウイルスベクター系での使用に容易に適合させ得ることを理解するであろう。同様に、当業者は、多様なrAAVおよびrAAV以外のベクター系での使用のために本発明のAAVゲノムの他のフラグメントを容易に選択し得る。こうしたベクター系は、例えば、とりわけレンチウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、ワクシニアウイルスおよびアデノウイルス系を包含しうる。これらのベクター系の選択は本発明の制限でない。
【0123】
従って、本発明はさらに、本発明の新規AAVの核酸およびアミノ酸配列を使用して生成されるベクターを提供する。こうしたベクターは、治療的分子の送達およびワクチンレジメンでの使用のためを包含する多様な目的上有用である。本発明の新規AAVのキャプシドを含有する組換えAAVが治療的分子の送達にとりわけ望ましい。これら、若しくは本発明の新規AAV配列を含有する他のベクター構築物を、ワクチンレジメン、例えばサイトカインの共送達、若しくは免疫原それ自身の送達に使用しうる。
【0124】
IV.組換えウイルスおよびそれらの用途
本明細書に記述される技術を使用して、当業者は、本発明のAAVのキャプシドを有する、または本発明のAAVの1種若しくはそれより多くのフラグメントを含有するキャプシドを有するrAAVを生成し得る。一態様において、単一のAAV、例えばhu.14/AAV9[配列番号123]からの完全長のキャプシドを利用し得る。別の態様において、別の選択されたAAV若しくは同一のAAVの異種の(すなわち連続しない)部分からの配列とインフレームで融合した本発明の新規AAVキャプシドの1種若しくはそれより多くのフラグメントを含有する完全長のキャプシドを生成しうる。例えば、rAAVはAAV9/HU.14の新規超可変領域配列の1種若しくはそれより多くを含有しうる。あるいは、本発明の独特のAAV配列を他のウイルス若しくはウイルス以外の配列を含有する構築物で使用しうる。場合によっては、組換えウイルスはAAV repタンパク質の1種若しくはそれより多くをコードするAAV rep配列を運搬しうる。
【0125】
A.ウイルスの送達
別の局面において、本発明は、本発明のAAV9/HU.14配列(若しくはその機能的フラグメント)を用いて生成した組換えウイルスベクターで選択された宿主細胞をトランスフェクト若しくは感染させることを必要とする、宿主への導入遺伝子の送達方法を提供する。送達方法は当業者に公知でありかつ本発明の制限でない。
【0126】
望ましい一態様において、本発明は宿主への導入遺伝子のAAVに媒介される送達方法を提供する。本方法は、選択された導入遺伝子の発現を指図する配列の制御下に選択された導入遺伝子およびAAV9キャプシドタンパク質を含有する組換えウイルスベクターで、選択された宿主細胞をトランスフェクト若しくは感染させることを必要とする。
【0127】
場合によっては、宿主からのサンプルを、選択されたAAV供給源(例えば血清型)に対する抗体の存在について最初にアッセイしうる。中和抗体を検出するための多様なアッセイ形式が当業者に公知である。こうしたアッセイの選択は本発明の制限でない。例えば、Fisherら、Nature Med.、3(3):306−312(1997年3月)およびW.C.Manningら、Human Gene Therapy、9:477−485(1998年3月1日)を参照されたい。本アッセイの結果を使用して、特定の1供給源のキャプシドタンパク質を含有するどのAAVベクターが送達に好ましいかを、例えばそのキャプシド供給源に特異的な中和抗体の非存在により決定しうる。
【0128】
本方法の一局面において、本発明のAAVキャプシドタンパク質を含むベクターの送達
は、異なるAAVキャプシドタンパク質を含むベクターを介する遺伝子の送達に先行しても若しくはその後に続いてもよい。従って、rAAVベクターを介する遺伝子送達を、選択された宿主細胞への反復遺伝子送達に使用しうる。望ましくは、その後投与されるrAAVベクターは第一のrAAVベクターと同一の導入遺伝子を運搬するが、しかし、その後投与されるベクターは第一のベクターと異なる供給源(および好ましくは異なる血清型)のキャプシドタンパク質を含有する。例えば、第一のベクターがAAV9/HU.14キャプシドタンパク質を有する場合、その後投与されるベクターは他のAAVのなかから、場合によっては別の血清型若しくは別の同源系統群から選択されるキャプシドタンパク質を有しうる。
【0129】
場合によっては、複数のrAAVベクターを使用して、in vivoで鎖状体化して単一のベクターゲノムを形成するrAAVベクターの共投与により大型の導入遺伝子若しくは複数の導入遺伝子を送達し得る。こうした一態様において、第一のAAVは単一導入遺伝子(若しくはその1サブユニット)を発現する発現カセットを運搬することができ、そして、第二のAAVは宿主細胞中での共発現のため第二の導入遺伝子(若しくは異なるサブユニット)を発現する発現カセットを運搬しうる。第一のAAVは多シストロン性の構築物の第一の一片(例えばプロモーターおよび導入遺伝子若しくはサブユニット)である発現カセットを運搬することができ、そして第二のAAVは多シストロン性の構築物の第二の一片(例えば導入遺伝子若しくはサブユニットおよびポリA配列)である発現カセットを運搬しうる。多シストロン性の構築物のこれら二片がin vivoで鎖状体化して、第一および第二のAAVにより送達される導入遺伝子を共発現する単一のベクターゲノムを形成する。こうした態様において、第一の発現カセットを運搬するrAAVベクターおよび第二の発現カセットを運搬するrAAVベクターを単一の製薬学的組成物中で送達し得る。他の態様において、2種若しくはそれより多くのrAAVベクターは、実質的に同時にまたは相互の直前若しくは後に投与し得る別個の製薬学的組成物として送達される。
【0130】
上述された組換えベクターは、公表された方法に従って宿主細胞に送達しうる。好ましくは生理学的に適合性の担体に懸濁したrAAVを、ヒト若しくはヒト以外の哺乳動物患者に投与しうる。適する担体は、移入ウイルスが向けられる適応症を鑑みて当業者により容易に選択されうる。例えば、1種の適する担体は、多様な緩衝溶液とともに処方されうる生理的食塩水を包含する(例えばリン酸緩衝生理的食塩水)。他の例示的担体は、滅菌生理的食塩水、乳糖、ショ糖、リン酸カルシウム、ゼラチン、デキストラン、アガー、ペクチン、ラッカセイ油、ゴマ油および水を包含する。担体の選択は本発明の制限でない。
【0131】
場合によっては、本発明の組成物は、rAAVおよび担体(1種若しくは複数)に加え、保存剤若しくは化学的安定剤のような他の慣習的製薬学的成分を含有しうる。適する例示的保存剤はクロロブタノール、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、二酸化イオウ、没食子酸プロピル、パラベン類、エチルバニリン、グリセリン、フェノールおよびパラクロロフェノールを包含する。適する化学的安定剤はゼラチンおよびアルブミンを包含する。
【0132】
該ベクターは、細胞をトランスフェクトしかつ過度の有害な影響を伴わずに若しくは医学の技術分野の当業者により決定され得る医学的に許容可能な生理学的効果を伴い治療上の利益を提供するのに十分なレベルの遺伝子移入および発現を提供するのに十分な量で投与される。慣習的および製薬学的に許容可能な投与経路は、限定されるものでないが所望の器官(例えば肝(場合によっては肝動脈を介して)若しくは肺)への直接送達、経口、吸入、鼻内、気管内、動脈内、眼内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、および他の非経口投与経路を挙げることができる。投与経路は所望の場合に組み合わせうる。
【0133】
ウイルスベクターの投薬量は、主として、治療されている状態、患者の齢、体重および
健康状態のような因子に依存することができ、そして従って患者間で異なりうる。例えば、ウイルスベクターの治療上有効なヒト投薬量は、一般に、約1×109から1×1016までのゲノムウイルスベクターの濃度を含有する約0.1mLから約100mLまでの溶液の範囲にある。大型の器官(例えば肝、筋、心および肺)への送達に好ましいヒト投薬量は、約1ないし100mLの容量で1kgあたり約5×1010ないし5×1013AAVゲノムでありうる。眼への送達に好ましい投薬量は、約0.1mLないし1mLの容量で約5×109ないし5×1012ゲノムコピーである。投薬量は、いかなる副作用に対しても治療上の利益の均衡を図るように調節することができ、そして、こうした投薬量は組換えベクターを使用する治療的応用に依存して変動しうる。導入遺伝子の発現のレベルをモニターして、ウイルスベクター、好ましくはミニ遺伝子を含有するAAVベクターをもたらす投薬頻度を決定し得る。場合によっては、治療の目的上記述されるものに類似の投薬量レジメンを、本発明の組成物を使用する免疫化に利用しうる。
【0134】
本発明のAAV含有ベクターによる送達のための治療的製品および免疫原性製品の例を下に提供する。これらのベクターは、本明細書に記述されるところの多様な治療若しくはワクチンレジメンに使用しうる。加えて、これらのベクターは所望の治療および/若しくはワクチンレジメン中で1種若しくはそれより多くの他のベクター若しくは有効成分と組合せで送達しうる。
【0135】
B.治療的導入遺伝子
導入遺伝子によりコードされる有用な治療的製品は、インスリン、グルカゴン、成長ホルモン(GH)、副甲状腺ホルモン(PTH)、成長ホルモン放出因子(GRF)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、血管内皮増殖因子(VEGF)、アンジオポエチン、アンジオスタチン、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、エリスロポエチン(EPO)、結合組織増殖因子(CTGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)、上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン成長因子IおよびII(IGF−IおよびIGF−II)、TGFα、アクチビン、インヒビンを包含するトランスフォーミング成長因子αスーパーファミリーのいずれか1種、若しくは骨形成タンパク質(BMP)BMP1〜15のいずれか、成長因子のヘレグルイン/ニューレグリン/ARIA/neu分化因子(NDF)ファミリーのいずれか1種、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィンNT−3およびNT−4/5、絨毛様神経栄養因子(CNTF)、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ニュールツリン、アグリン、セマフォリン/コラプシンのファミリーのいずれか1種、ネトリン−1およびネトリン−2、肝細胞増殖因子(HGF)、エフリン、ノギン、ソニックヘッジホッグならびにチロシン加水分解酵素を制限なしに包含するホルモンならびに増殖および分化因子を包含する。
【0136】
他の有用な導入遺伝子産物は、トロンボポエチン(TPO)、インターロイキン(IL)IL−1からIL−25(例えばIL−2、IL−4、IL−12およびIL−18を包含する)、単球化学遊走物質タンパク質、白血病阻害因子、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子、Fasリガンド、腫瘍壊死因子αおよびβ、インターフェロンα、βおよびγ、幹細胞因子、flk−2/flt3リガンドのようなサイトカインおよびリンホカインを制限なしに包含する免疫系を調節するタンパク質を包含する。免疫系により産生される遺伝子産物もまた本発明で有用である。これらは、免疫グロブリンIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgE、キメラ免疫グロブリン、ヒト化抗体、一本鎖抗体、T細胞受容体、キメラT細胞受容体、一本鎖T細胞受容体、クラスIおよびクラスII MHC分子、ならびに工作された免疫グロブリンおよびMHC分子を制限なしに包含する。有用な遺伝子産物は、補体調節タンパク質、膜補助因子タンパク質(MCP)、崩壊促進因子(DAF)、CR1、CF2およびCD59のような補体調節タンパク質もまた包含す
る。
【0137】
なお他の有用な遺伝子産物は、ホルモン、成長因子、サイトカイン、リンホカイン、調節タンパク質および免疫系タンパク質の受容体のいずれか1種を包含する。本発明は、低密度リポタンパク質(LDL)受容体、高密度リポタンパク質(HDL)受容体、超低密度リポタンパク質(VLDL)受容体およびスカベンジャー受容体を包含するコレステロール調節および/若しくは脂質調節のための受容体を包含する。本発明はまた、グルココルチコイド受容体およびエストロゲン受容体、ビタミンD受容体ならびに他の核受容体を包含するステロイドホルモン受容体スーパーファミリーのメンバーのような遺伝子産物も包含する。加えて、有用な遺伝子産物は、jun、fos、max、mad、血清応答因子(SRF)、AP−1、AP2、myb、MyoDおよびミオゲニン、ETSボックス含有タンパク質、TFE3、E2F、ATF1、ATF2、ATF3、ATF4、ZF5、NFAT、CREB、HNF−4、C/EBP、SP1、CCAATボックス結合タンパク質、インターフェロン調節因子(IRF−1)、ウィルムス腫瘍タンパク質、ETS結合タンパク質、STAT、GATAボックス結合タンパク質、例えばGATA−3、ならびに翼状らせんタンパク質のフォークヘッドファミリーのような転写因子を包含する。
【0138】
他の有用な遺伝子産物は、カルバモイル合成酵素1、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギノコハク酸合成酵素、アルギノコハク酸リアーゼ、アルギナーゼ、フマリルアセト酢酸加水分解酵素、フェニルアラニン水酸化酵素、α−1アンチトリプシン、グルコース−6−ホスファターゼ、ポルフォビリノーゲン脱アミノ酵素、シスタチオンβ−合成酵素、分枝状鎖ケト酸脱炭酸酵素、アルブミン、イソバレリル−coA脱水素酵素、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ、メチルマロニルCoAムターゼ、グルタリルCoA脱水素酵素、インスリン、β−グルコシダーゼ、ピルビン酸カルボキシレート、肝ホスホリラーゼ、ホスホリラーゼキナーゼ、グリシン脱炭酸酵素、H−プロテイン、T−プロテイン、嚢胞性線維症膜貫通調節因子(CFTR)配列、およびジストロフィン遺伝子産物[例えばミニ若しくはミクロジストロフィン]を包含する。なお他の有用な遺伝子産物は、酵素の不足した活性から生じる多様な状態で有用である酵素補充療法で有用でありうるような酵素を包含する。例えば、マンノース−6−リン酸を含有する酵素は、リソゾーム蓄積症(例えば適する遺伝子はβ−グルクロニダーゼ(GUSB)をコードするものを包含する)の治療で利用しうる。
【0139】
なお他の有用な遺伝子産物は、血友病B(第IX因子を包含する)ならびに血友病A(第VIII因子ならびにヘテロ二量体のL鎖およびH鎖ならびにB欠損ドメインのようなそのバリアントを包含する;米国特許第6,200,560号および同第6,221,349号明細書)を包含する血友病の処置に使用されるものを包含する。第VIII因子遺伝子は2351アミノ酸をコードし、そして該タンパク質は6ドメインを有し、アミノから末端のカルボキシ末端までA1−A2−B−A3−C1−C2と呼称される[Woodら、Nature、312:330(1984);Veharら、Nature 312:337(1984);およびTooleら、Nature、342:337(1984)]。ヒト第VIII因子は細胞内でプロセシングされて、A1、A2およびBドメインを含有するH鎖ならびにA3、C1およびC2ドメインを含有するL鎖を主として含んでなるヘテロ二量体を生じる。一本鎖ポリペプチドおよびヘテロ二量体の双方が、Bドメインを遊離しかつA1およびA2ドメインよりなるH鎖をもたらすA2ドメインとBドメインの間のトロンビン切断により活性化されるまで、不活性前駆体として血漿中を循環する。Bドメインは活性化された凝血原の形態のタンパク質では除去されている。加えて、本来のタンパク質中でBドメインに隣接する2本のポリペプチド鎖(「a」および「b」)は二価のカルシウム陽イオンに結合している。
【0140】
いくつかの態様において、ミニ遺伝子は、10アミノ酸のシグナル配列をコードする第
VIII因子H鎖の最初の57塩基対、ならびにヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化配列を含んでなる。代替の態様において、ミニ遺伝子は、A1およびA2ドメイン、ならびにBドメインのN末端からの5アミノ酸および/若しくはBドメインのC末端の85アミノ酸、ならびにA3、C1およびC2ドメインをさらに含んでなる。なお他の態様において、第VIII因子H鎖およびL鎖をコードする核酸が、Bドメインの14アミノ酸をコードする42核酸により分離される単一のミニ遺伝子で提供される[米国特許第6,200,560号明細書]。
【0141】
本明細書で使用されるところの治療上有効な量は、被験体の血液が凝固するのにそれがかかる時間を短縮するのに十分な量の第VIII因子を産生するAAVベクターの量である。一般に、正常レベルの第VIII因子の1%未満を有する重症の血友病患者は、非血友病患者についてのおよそ10分に比較して60分より長い全血凝固時間を有する。
【0142】
本発明はいずれかの特定の第VIII因子配列に制限されない。多くの天然のおよび組換えの形態の第VIII因子が単離かつ生成されている。天然に存在するおよび組換えの形態の第VII因子の例は、米国特許第5,563,045号、同第5,451,521号、同第5,422,260号、同第5,004,803号、同第4,757,006号、同第5,661,008号、同第5,789,203号、同第5,681,746号、同第5,595,886号、同第5,045,455号、同第5,668,108号、同第5,633,150号、同第5,693,499号、同第5,587,310号、同第5,171,844号、同第5,149,637号、同第5,112,950号、同第4,886,876号明細書;国際特許公開第WO 94/11503号、同第WO 87/07144号、同第WO 92/16557号、同第WO 91/09122号、同第WO 97/03195号、同第WO 96/21035号および同第WO 91/07490号明細書;欧州特許出願第EP 0 672 138号、同第EP 0 270 618号、同第EP 0 182 448号、同第EP 0 162 067号、同第EP 0 786 474号、同第EP 0 533 862号、同第EP 0 506 757号、同第EP 0 874 057号、同第EP 0 795 021号、同第EP 0 670 332号、同第EP 0 500 734号、同第EP 0 232 112号および同第EP 0 160 457号明細書;Sanbergら、XXth Int.Congress of the World Fed.Of Hemophilia(1992)、ならびにLindら、Eur.J.Biochem.、232:19(1995)を包含する特許および学術文献に見出し得る。
【0143】
上述された第VIII因子をコードする核酸配列は、組換えの方法を使用して、若しくは該配列を包含することが既知のベクターからそれを派生させることにより得ることができる。さらに、所望の配列を、フェノール抽出およびcDNA若しくはゲノムDNAのPCRのような標準的技術を使用して、それを含有する細胞および組織から直接単離し得る[例えばSambrookらを参照されたい]。ヌクレオチド配列はまた、クローン化されるよりはむしろ合成で製造し得る。完全な配列は、標準的方法により製造したオーバーラップオリゴヌクレオチドから集成し得、そして完全なコーディング配列に集成し得る[例えば、Edge、Nature 292:757(1981);Nambariら、Science、223:1299(1984);およびJayら、J.Biol.Chem.259:6311(1984)を参照されたい。
【0144】
さらに、本発明はヒト第VIII因子に制限されない。事実、本発明は、限定されるものでないがコンパニオンアニマル(例えばイヌ、ネコおよびウマ)、家畜(例えばウシ、ヤギおよびヒツジ)、実験動物、海棲哺乳類、大型のネコなどを挙げることができるヒト以外の動物からの第VIII因子を包含することを意図している。
【0145】
AAVベクターは、それ自身生物学的に活性でないがそれでもなお被験体に投与される場合に血液凝固時間を改良若しくは復帰させる第VIII因子のフラグメントをコードする核酸を含有しうる。例えば、上で論考されたとおり、第VIII因子タンパク質は2個のポリペプチド鎖、すなわちプロセシングの間に切断されるBドメインにより分離されたH鎖およびL鎖を含んでなる。本発明により示されるとおり、第VIII因子のHおよびL鎖でレシピエント細胞を共形質導入することは、生物学的に活性の第VIII因子の発現に至る。大部分の血友病患者は該鎖の一方(例えばH若しくはL鎖)のみに突然変異若しくは欠失を含有するため、患者において欠損の鎖のみを投与して他方の鎖を供給することが可能でありうる。
【0146】
他の有用な遺伝子産物は、挿入、欠失若しくはアミノ酸置換を含有する天然に存在しないアミノ酸配列を有するキメラ若しくはハイブリッドポリペプチドのような天然に存在しないポリペプチドを包含する。例えば、一本鎖の工作された免疫グロブリンはある種の免疫無防備状態の患者で有用であり得る。他の型の天然に存在しない遺伝子配列は、アンチセンス分子、および標的の過剰発現を低下させるのに使用し得るリボザイムのような触媒的核酸を包含する。
【0147】
遺伝子の発現の低下および/若しくは調節は、癌および乾癬がそうであるように、過剰増殖する細胞を特徴とする過剰増殖状態の処置にとりわけ望ましい。標的ポリペプチドは、正常細胞に比較して過剰増殖細胞中で独占的に若しくはより高レベルで産生されるポリペプチドを包含する。標的抗原は、myb、myc、fynのような癌遺伝子、ならびに転位遺伝子bcr/abl、ras、src、P53、neu、trkおよびEGRFによりコードされるポリペプチドを包含する。標的抗原としての癌遺伝子産物に加え、抗癌処置および保護的レジメンの標的ポリペプチドは、B細胞リンパ腫により作成される抗体の可変領域およびT細胞リンパ腫のT細胞受容体の可変領域を包含し、それらは、いくつかの態様において自己免疫疾患の標的抗原としてもまた使用される。モノクローナル抗体17−1Aにより認識されるポリペプチドおよび葉酸結合ポリペプチドを包含する、腫瘍細胞中でより高レベルで見出されるポリペプチドのような、他の腫瘍関連ポリペプチドを標的ポリペプチドとして使用し得る。
【0148】
他の適する治療的ポリペプチドおよびタンパク質は、細胞受容体および「自己」に向けられた抗体を産生する細胞を包含する自己免疫と関連する標的に対する広範囲にわたる保護免疫応答を与えることにより、自己免疫疾患および障害に苦しめられている個体を処置するのに有用でありうるものを包含する。T細胞媒介性の自己免疫疾患は、慢性関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、インスリン依存型糖尿病(IDDM)、自己免疫性甲状腺炎、反応性関節炎、強直性脊椎炎、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、乾癬、脈管炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、クローン病および潰瘍性大腸炎を包含する。これらの疾患のそれぞれは、内因性抗原に結合しかつ自己免疫疾患に関連する炎症カスケードを開始するT細胞受容体(TCR)を特徴とする。
【0149】
C.免疫原性導入遺伝子
適しては、本発明のAAVベクターは、該ベクター内に含有されるAAV配列に対する免疫応答の生成を回避する。しかしながら、これらのベクターは、それにもかかわらず、該ベクターにより運搬される導入遺伝子の発現を可能にして選択された抗原に対する免疫応答を誘導する様式で処方しうる。例えば、免疫応答を促進するため、導入遺伝子は構成的プロモーターから発現させることができ、該ベクターは本明細書に記述されるとおり免疫増強し(adjuvanted)得、かつ/若しくは該ベクターを変性組織に置くことができる。
【0150】
適する免疫原性導入遺伝子の例は多様なウイルス科から選択されるものを包含する。免
疫応答が望ましいとみられる所望のウイルス科の例は、一般的な風邪の症例の約50%の原因であるライノウイルス属を包含するピコルナウイルス科;ポリオウイルス、コックサッキーウイルス、エコーウイルスおよびA型肝炎ウイルスのようなヒトエンテロウイルスを包含するエンテロウイルス属;ならびに主としてヒト以外の動物での口蹄疫の原因であるアプトウイルス属を包含する。ウイルスのピコルナウイルス科内で、標的抗原はVP1、VP2、VP3、VP4およびVPGを包含する。他のウイルス科はアストロウイルスおよびカルシウイルス科を包含する。カルシウイルス科は、流行性胃腸炎の重要な原因病原体であるノーウォーク群のウイルスを包含する。ヒトおよびヒト以外の動物で免疫応答を誘導するための抗原の標的設定での使用に望ましいなお別のウイルス科は、シンドビスウイルス、ロスリバーウイルス、ならびにベネズエラ、東部および西部ウマ脳炎ウイルスを包含するアルファウイルス属、ならびに風疹ウイルスを包含するルビウイルス属を包含するトガウイルス科である。フラビウイルス科は、デング熱、黄熱病、日本脳炎、セントルイス脳炎およびダニ媒介脳炎ウイルスを包含する。他の標的抗原は、C型肝炎ウイルス、または感染性気管支炎ウイルス(家禽)、ブタ伝染性胃腸ウイルス(ブタ)、ブタヘマグルチナチン(hemagglutinatin)脳脊髄炎ウイルス(ブタ)、ネコ感染性腹膜炎ウイルス(ネコ)、ネコ腸コロナウイルス(ネコ)、イヌコロナウイルス(イヌ)のような多数のヒト以外のウイルス、ならびに、一般的な風邪および/または非A、B若しくはC型肝炎を引き起こすことがありかつ重症急性呼吸器症候群(SARS)の推定の原因を包含するヒト呼吸器コロナウイルスを包含するコロナウイルス科から生成しうる。コロナウイルス科内で、標的抗原は、E1(Mすなわちマトリックスタンパク質ともまた呼ばれる)、E2(Sすなわちスパイクタンパク質ともまた呼ばれる)、E3(HEすなわちヘマグルチン−エルテロース(elterose)ともまた呼ばれる)糖タンパク質(全部のコロナウイルスに存在するわけではない)若しくはN(ヌクレオキャプシド)を包含する。なお他の抗原はアルテリウイルス科およびラブドウイルス科を標的としうる。ラブドウイルス科は、ベシクロウイルス属(例えば水疱性口内炎ウイルス)および一般的なリッサウイルス(例えば狂犬病)を包含する。ラブドウイルス科内で、適する抗原はGタンパク質若しくはNタンパク質に由来しうる。マルブルクおよびエボラウイルスのような出血性熱ウイルスを包含するフィロウイルス科が抗原の適する供給源となりうる。パラミクソウイルス科は、パラインフルエンザウイルス1型、パラインフルエンザウイルス3型、ウシパラインフルエンザウイルス3型、ルブラウイルス(流行性耳下腺炎ウイルス、パラインフルエンザウイルス2型、パラインフルエンザウイルス4型、ニューカッスル病ウイルス(ニワトリ)、牛疫、麻疹およびイヌジステンパーを包含するモルビリウイルス、ならびにRSウイルスを包含するニューモウイルスを包含する。インフルエンザウイルスはオルトミクソウイルス科内で分類され、そして抗原の適する供給源である(例えばHAタンパク質、N1タンパク質)。ブニヤウイルス科は、ブニヤウイルス(カリフォルニア脳炎、ラクロス)、フレボウイルス(ケニヤ出血熱)、ハンタウイルス(プレマラはヘマハギン(hemahagin)熱ウイルスである)、ナイロウイルス(ナイロビ羊病)属および多様な割り当てられていないブンガウイルス(bungaviruse)を包含する。アレナウイルス科はLCMおよびラッサ熱ウイルスに対する抗原の供給源を提供する。抗原の別の供給源はボルナウイルス科である。レオウイルス科は、レオウイルス、ロタウイルス(小児で急性胃腸炎を引き起こす)、オルビウイルスおよびクルチウイルス(cultivirus)(コロラドダニ熱、レボンボ(ヒト)、ウマ脳症、ブルータング)属を包含する。レトロウイルス科は、ネコ白血病ウイルス、HTLVIおよびHTLVII、レンチビリナル(lentivirinal)(HIV、サル免疫不全ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス、ウマ感染性貧血ウイルスおよびスプマビリナル(spumavirinal)を包含する)のようなヒトおよび家畜の疾患を包含するオンコウイルス(oncovirinal)亜科を包含する。パボーバウイルス科は、ポリオーマウイルス亜科(BKUおよびJCUウイルス)ならびにパピローマウイルス亜科(癌若しくは乳頭腫の悪性の進行と関連する)を包含する。アデノウイルス科は呼吸器疾患および/若しくは腸炎を引き起こすウイルス(EX、AD7、ARD、O.B.)を包含する。パルボウ
イルス科はネコパルボウイルス(ネコ腸炎)、ネコ汎白血球減少症ウイルス、イヌパルボウイルスおよびブタパルボウイルスを包含する。ヘルペスウイルス科は、シンプレックスウイルス(HSVI、HSVII)、ワリセロウイルス(偽性狂犬病、帯状疱疹)属を包含するアルファヘルペスウイルス亜科、およびサイトメガロウイルス属(HCMV、ムロメガロウイルス)を包含するベータヘルペスウイルス亜科、ならびに、リンホクリプトウイルス、EBV(バーキットリンパ腫)、6A、6Bおよび7型ヒトヘルペスウイルス、カポシ肉腫関連のヘルペスウイルスならびにセルコピテシン(cetcopithecine)ヘルペスウイルス(Bウイルス)、感染性鼻気管炎、マレック病ウイルスならびにラディノウイルス属を包含するガンマヘルペスウイルス亜科を包含する。ポックスウイルス科は、オルトポックスウイルス(大疱瘡(天然痘)およびワクシニア(牛痘))、パラポックスウイルス、アビポックスウイルス、カプリポックスウイルス、レポリポックスウイルス、スイポックスウイルス属を包含するチョルドポックスウイルス亜科、ならびにエントモポックスウイルス亜科を包含する。ヘパドナウイルス科はB型肝炎ウイルスを包含する。抗原の適する供給源となりうる1種の分類されないウイルスは、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルスおよびプリオンである。抗原の供給源となる別のウイルスはニパンウイルスである。なお他のウイルス供給源は、トリ伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスおよびブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルスを包含しうる。アルファウイルス科はウマ動脈炎ウイルスおよび多様な脳炎ウイルスを包含する。
【0151】
本発明は、ヒトおよびヒト以外の脊椎動物を感染させる細菌、真菌、寄生性微生物若しくは多細胞寄生生物を包含する他の病原体に対しヒト若しくはヒト以外の動物を免疫するのに有用であるか、または癌細胞若しくは腫瘍細胞からである免疫原もまた包含しうる。細菌性病原体の例は、病原性グラム陽性球菌は肺炎球菌;ブドウ球菌(およびそれにより産生されるトキシン、例えばエンテロトキシンB);ならびに連鎖球菌を包含するを包含する。病原性のグラム陰性球菌は、髄膜炎菌;淋菌を包含する。病原性の腸グラム陰性桿菌は、腸内細菌科;シュードモナス、アシネトバクテリア(acinetobacteria)およびエイケネラ(eikenella);類鼻疽;サルモネラ(salmonella);シゲラ(shigella);ヘモフィルス(haemophilus);モラクセラ(moraxella);軟性下疳菌(H.ducreyi)(軟性下疳を引き起こす)、ブルセラ(brucella)種(ブルセラ症);野兎病菌(Francisella tularensis)(野兎病を引き起こす);ペスト菌(Yersinia pestis)(ペスト)および他のエルジニア(yersinia)(パスツレラ);ストレプトバチルス モニリフォルミス(streptobacillus moniliformis)およびスピリルムを包含し;グラム陽性桿菌はリステリア モノシトゲネス(listeria monocytogenes);エリジペロスリックス ルシパチエ(erysipelothrix rhusiopathiae);ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria)(ジフテリア);コレラ;炭疽菌(B.anthracis)(炭疽);ドノヴァン症(鼠径部肉芽腫);およびバルトネラ症を包含する。病原性嫌気性細菌により引き起こされる疾患は、破傷風;ボツリヌス中毒(クロストリズム ボツリヌム(Clostridum botulinum)およびそのトキシン);ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)およびそのεトキシン;他のクロストリジウム属;結核;らい;ならびに他のミコバクテリアを包含する。病原性のスピロヘータ疾患は梅毒;トレポネーマ症;イチゴ腫、ピンタおよび風土病性梅毒;ならびにレプトスピラ症を包含する。より高病原性の細菌および病原性真菌により引き起こされる他の感染症は、鼻疽(バークホルデリア マレイ(Burkholderia mallei));放線菌症;ノカルジア症;クリプトコックス症、ブラストミセス症、ヒストプラスマ症およびコクシジオイデス真菌症;カンジダ症、アスペルギルス症およびムコール症;スポロトリクス症;パラコクシジオイデス真菌症、ペトリエリジオーシス(petriellidiosis)、トルロプシス症、菌腫およびクロモミコーシス;ならびに皮膚糸状菌症を包含する。リケッチア感染症は、発
疹チフス、ロッキー山熱、Q熱(コクシエラ ブルネティ(Coxiella burnetti))およびリケッチア痘を包含する。マイコプラスマおよびクラミジア感染症の例は:マイコプラスマ肺炎;性病性リンパ肉芽腫;オウム病;および周産期クラミジア感染症を包含する。病原性真核生物は病原性原生動物および蠕虫を包含し、また、それらにより生じられる感染症は:アメーバ症;マラリア;リーシュマニア;トリパノソーマ症;トキソプラスマ症;ニューモシスチス カリニ(Pneumocystis carinii);Trichans;トキソプラスマ(Toxoplasma gondii);バベシア症;ジアルジア症;旋毛虫症;フィラリア症;住血吸虫症;線虫;吸虫(trematodes)すなわち吸虫(flukes);および条虫(cestode)(条虫(tapeworm))感染症を包含する。
【0152】
これらの生物体および/若しくはそれらにより産生されるトキシンの多くは、生物学的攻撃での使用のための潜在性を有する剤として疾病対策センター(Centers for Disease Control)[(CDC)、米国保健省の部門]により同定された。例えば、これらの生物学的剤のいくつかは、炭疽菌(Bacillus anthracis)(炭疽)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)およびそのトキシン(ボツリヌス中毒)、ペスト菌(Yersinia pestis)(ペスト)、大疱瘡(天然痘)、野兎病菌(Francisella tularensis)(野兎病)、ならびにウイルス性出血熱[フィロウイルス(例えばエボラ、マルブルク]、ならびにアレナウイルス[例えばラッサ、マチュポ])(それらの全部は現在カテゴリーAの剤に分類されている);コクシエラ ブルネティ(Coxiella burnetti)(Q熱);ブルセラ属(Brucella)の種(ブルセラ症)、バークホルデリア マレイ(Burkholderia mallei)(鼻疽)、バークホルデリア シュードマレイ(Burkholderia pseudomallei)(類鼻疽)、トウゴマ(Ricinus communis)およびそのトキシン(リシントキシン)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)およびそのトキシン(εトキシン)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)の種およびそれらのトキシン(エンテロトキシンB)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)(オウム病)、水の安全性に対する脅威(例えばコレラ菌(Vibrio chlerae)、クリトスポリジウム パルブム(Crytosporidium parvum))、発疹チフス(発疹チフスリケッチア(Richettsia powazekki))、ならびにウイルス性脳炎(アルファウイルス、例えばベネズエラウマ脳炎;東部ウマ脳炎;西部ウマ脳炎);(それらの全部は現在カテゴリーBの剤として分類されている);ならびにニパンウイルスおよびハンタウイルス(現在カテゴリーCの剤として分類されている)を包含する。加えて、そのように分類されるか若しくは異なって分類される他の生物体が、将来同定かつ/若しくはこうした目的上使用されうる。本明細書に記述されるウイルスベクターおよび他の構築物が、これらの生物学的剤への感染症若しくはそれらとの他の有害反応を予防かつ/若しくは処置することができるこれらの生物体、ウイルス、それらのトキシン若しくは他の副生成物からの抗原を送達するのに有用であることが容易に理解されるであろう。
【0153】
T細胞の可変領域に対する免疫原を送達するための本発明のベクターの投与はそれらのT細胞を排除するためのCTLを包含する免疫応答を導き出す。慢性関節リウマチ(RA)において、該疾患に関与するTCRの数個の特異的可変領域が特徴づけられている。これらのTCRはV−3、V−14、V−17およびV−17を包含する。従って、これらのポリペプチドの少なくとも1種をコードする核酸配列の送達は、RAに関与するT細胞を標的とすることができる免疫応答を導き出すことができる。多発性硬化症(MS)において、該疾患に関与するTCRの数個の特異的可変領域が特徴づけられている。これらのTCRはV−7およびV−10を包含する。従って、これらのポリペプチドの少なくとも1種をコードする核酸配列の送達は、MSに関与するT細胞を標的とすることができる免
疫応答を導き出すことができる。強皮症において、該疾患に関与するTCRの数個の特異的可変領域が特徴づけられている。これらのTCRはV−6、V−8、V−14およびV−16、V−3C、V−7、V−14、V−15、V−16、V−28およびV−12を包含する。従って、これらのポリペプチドの少なくとも1種をコードする核酸分子の送達は、強皮症に関与するT細胞を標的とすることができる免疫応答を導き出すことができる。
【0154】
従って、本発明のrAAV由来の組換えウイルスベクターは、生物体が1種若しくはそれより多くのAAV供給源に対する中和抗体を有する場合であっても、選択した導入遺伝子を選択した宿主細胞にin vivo若しくはex vivoで送達し得る効率的な遺伝子移入ベヒクルを提供する。一態様において、rAAVおよび細胞をex vivoで混合し;感染した細胞を慣習的方法論を使用して培養し;そして形質導入された細胞を患者に再注入する。
【0155】
これらの組成物は、保護免疫を誘導することを包含する治療的目的上および免疫感作のための遺伝子送達にとりわけ良好に適する。さらに、本発明の組成物は所望の遺伝子産物のin vitroでの産生にもまた使用しうる。in vitro産生のため、所望の産物(例えばタンパク質)は、所望の産物をコードする分子を含有するrAAVでの宿主細胞のトランスフェクション、および発現を可能にする条件下で細胞培養物を培養することの後に所望の培養物から得ることができる。発現された産物をその後、所望のとおり精製かつ単離しうる。適するトランスフェクション、細胞培養、精製および単離技術は当業者に既知である。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】ポアソン補正距離測定値とともにネイバー−ジョイニング ヒューリスティックを使用して構築した系統分類学的関係を示す樹状図である。該関係は単離されたAAV vp1キャプシドタンパク質に基づいて決定され、単離されたAAVは同源系統群にグルーピングした。個々のキャプシドクローンの群は、それらの共通の祖先に基づき同源系統群に分類されている。同源系統群の命名法はAからFに進み;サブタイプは同源系統群文字、次いで数字により表す。
【図2A−2AE】本発明のAAV vp1キャプシドタンパク質(個々の配列の番号付けを報告する)、ならびに以前に公表されたAAV1[配列番号219];AAV2[配列番号221];AAV3−3[配列番号217];AAV4−4[配列番号218];AAV5[配列番号216];AAV6[配列番号220];AAV7[配列番号222];AAV8[配列番号223]、ならびに;rh.25/42−15;29.3/bb.1;cy.2;29.5/bb.2;rh.32、rh.33、rh.34、rh.10;rh.24;rh14;rh.16;rh.17、rh.12、rh.18、rh.21(以前は41.10と命名された);rh.25(以前は41.15と命名された);rh2;rh.31;cy.3;cy.5;rh.13;cy.4;cy.6;rh.22;rh.19;rh.35;rh.37;rh.36;rh.23;rh.8;ならびにch.5[米国特許出願公開第2003/0138772 A1号(2003年7月24日)]のアミノ酸配列のアライメントである。本発明の配列は、hu.14/AAV9[配列番号123];hu.17[配列番号83]、hu.6[配列番号84]、hu.42[配列番号85]、rh.38[配列番号86]、hu.40[配列番号87]、hu.37[配列番号88]、rh.40[配列番号92]、rh.52[配列番号96];rh.53[配列番号97];rh.49[配列番号103];rh.51[配列番号104];rh.57[配列番号105];rh.58[配列番号106]、rh.61[配列番号107];rh.50[配列番号108];rh.43[配列番号163];rh.62[配列番号114];rh.48[配列番号115];4−9/rh.54(配列番号116);および4−19/rh.55(配列番号117);hu.31[配列番号121];hu.32[配列番号122];hu.34[配列番号125];hu.45[配列番号127];hu.47[配列番号128];hu.13[配列番号129];hu.28[配列番号130];hu.29[配列番号132];hu.19[配列番号133];hu.20[配列番号134];hu.21[配列番号135];hu.23.2[配列番号137];hu.22[配列番号138];hu.27[配列番号140];hu.4[配列番号141];hu.2[配列番号143];hu.1[配列番号144];hu.3[配列番号145];hu.25[配列番号146];hu.15[配列番号147];hu.16[配列番号148];hu.18[配列番号149];hu.7[配列番号150];hu.11[配列番号153];hu.9[配列番号155];hu.10[配列番号156];hu.48[配列番号157];hu.44[配列番号158];hu.46[配列番号159];hu.43[配列番号160];hu.35[配列番号164];hu.24[配列番号136];rh.64[配列番号99];hu.41[配列番号91];hu.39[配列番号102];hu.67[配列番号198];hu.66[配列番号197];hu.51[配列番号190];hu.52[配列番号191];hu.49[配列番号189];hu.56[配列番号192];hu.57[配列番号193];hu.58[配列番号194];hu.63[配列番号195];hu.64[配列番号196];hu.60[配列番号184];hu.61[配列番号185];hu.53[配列番号186];hu.55[配列番号187];hu.54[配列番号188];hu.6[配列番号84];およびrh.56[配列番号152]を包含する。これらのキャプシド配列は配列表(引用することにより本明細書に組み込まれる)にもまた再現されている。
【図3A−3CN】本発明のAAV vp1キャプシドタンパク質(個々の配列の番号付けを報告する)、ならびに以前に公表されたAAV5(配列番号199);AAV3−3(配列番号200);AAV4−4(配列番号201);AAV1(配列番号202);AAV6(配列番号203);AAV2(配列番号211);AAV7(配列番号213)およびAAV8(配列番号214);rh.25/42−15;29.3/bb.1;cy.2;29.5/bb.2;rh.32、rh.33、rh.34、rh.10;rh.24;rh.14、rh.16、rh.17、rh.12、rh.18、rh.21(以前は41.10と命名された);rh.25(以前は41.15と命名された;GenBank受託番号AY530557);rh.2;rh.31;cy.3;cy.5;rh.13;cy.4;cy.6;rh.22;rh.19;rh.35;rh.37;rh.36;rh.23;rh.8;ならびにch.5[米国特許出願公開第2003/0138772 A1号(2003年7月24日)]の核酸配列のアライメントである。本発明の核酸配列は、hu.14/AAV9(配列番号3);LG−4/rh.38(配列番号7);LG−10/rh.40(配列番号14);N721−8/rh.43(配列番号43);1−8/rh.49(配列番号25);2−4/rh.50(配列番号23);2−5/rh.51(配列番号22);3−9/rh.52(配列番号18);3−11/rh.53(配列番号17);5−3/rh.57(配列番号26);5−22/rh.58(配列番号27);2−3/rh.61(配列番号21);4−8/rh.64(配列番号15);3.1/hu.6(配列番号5);33.12/hu.17(配列番号4);106.1/hu.37(配列番号10);LG−9/rh.39(配列番号24);114.3/hu.40(配列番号11)、127.2/hu.41(配列番号6);127.5/hu.42(配列番号8);およびhu.66(配列番号173);2−15/rh.62(配列番号33);1−7/rh.48(配列番号32);4−9/rh.54(配列番号40);4−19/rh.55(配列番号37);52/hu.19(配列番号62)、52.1/hu.20(配列番号63)、54.5/hu.23(配列番号60)、54.2/hu.22(配列番号67)、54.7/hu.24(配列番号66)、54.1/hu.21(配列番号65)、54.4R/hu.27(配列番号64);46.2/hu.28(配列番号68);46.6/hu.29(配列番号69);128.1/hu.43(配列番号80);128.3/hu.44(配列番号81)ならびに130.4/hu.48(配列番号78);3.1/hu.9(配列番号58);16.8/hu.10(配列番号56);16.12/hu.11(配列番号57);145.1/hu.53(配列番号176);145.6/hu.55(配列番号178);145.5/hu.54(配列番号177);7.3/hu.7(配列番号55);52/hu.19(配列番号62);33.4/hu.15(配列番号50);33.8/hu.16(配列番号51);58.2/hu.25(配列番号49);161.10/hu.60(配列番号170);H−5/hu.3(配列番号44);H−1/hu.1(配列番号46);161.6/hu.61(配列番号174);hu.31(配列番号1);hu.32(配列番号2);hu.46(配列番号82);hu.34(配列番号72);hu.47(配列番号77);hu.63(配列番号204);hu.56(配列番号205);hu.45(配列番号76);hu.57(配列番号206);hu.35(配列番号73);hu.58(配列番号207);hu.51(配列番号208);hu.49(配列番号209);hu.52(配列番号210);hu.13(配列番号71);hu.46(配列番号212);hu.56(配列番号54);hu.2(配列番号48);hu.18(配列番号52);hu.4(配列番号47);ならびにhu.67(配列番号215)を包含する。これらの配列は配列表(引用することにより本明細書に組み込まれる)でもまた再現されている。
【図4A−4D】新規の霊長類AAVに基づくベクターのin vitroおよびin vivoの遺伝子移入効率の評価を提供する。AAVベクターを、AAV1、2、5、7、8および6、ならびにch.5、rh.34、cy.5、rh.20、rh.8およびAAV9のキャプシドを用いて、記述された[Gaoら、Proc Natl Acad Sci USA、99:11854−11859(2002年9月3日)]とおりシュードタイピングした。in vitro研究(図4A)のため、95ウェルプレートに接種した84−32細胞(アデノウイルス血清型のE4を発現する293細胞)に、シュードタイピングしたAAVCMVEGFPベクターを細胞あたり1×104GCのMOIで感染させた。相対的EGFP形質導入効率を、感染後48時間にUV顕微鏡を使用して緑色細胞のパーセントとして推定し、そしてY軸上に示した。in vivo研究のため、分泌型レポーター遺伝子A1ATを発現するベクターを、NCRヌードマウス(4〜6週齢)の肝(図4B)、肺(図4C)および筋(図4D)に、動物あたり1×1011GCの用量でそれぞれ門脈内(図4B)、気管内(図4C)および筋肉内注入(図4D)により投与した。血清A1AT濃度(ng/mL)を遺伝子移入後第28日に比較し、そしてY軸上に提示した。X軸は分析したAAVおよびそれらが属する同源系統群を示す。
【0157】
以下の実施例は本発明のいくつかの局面および態様を具体的に説明する。
実施例
【実施例1】
【0158】
霊長類AAV配列のコンピュータ解析
A.霊長類組織の収集
ヒト以外の霊長類の組織の供給源は以前に記述された[N.Muzyczka,K.I.Berns、Fields Virology D.M.Knipe,P.M.Howley編(Lippincott Williams & Willkins、フィラデルフィア、2001)、vol.2中、pp.2327−2359]。ヒト組織は、2つの主要な国のヒト組織提供元すなわちCooperative Human Tissue Network(CHTN)およびNational Disease Research Intedchange(NDRI)により外科的処置若しくは死後の検査若しくは臓器ドナーのいずれかから収集した。本研究に使用したヒト組織は、結腸、肝、肺、脾、腎、脳、小腸、骨髄、心、リンパ節、骨格筋、卵巣、膵、胃、食道、子宮頚部、精巣および前立腺を包含した18種の異なる組織型から構成された。組織サンプルは、異なる性別、人種(白人、アフリカ系米国人、アジア人およびヒスパニック)ならびに年齢(2
3〜83歳)の個体の多彩な群からであった。分析した250例の個体からの259サンプルのうち、およそ28%の組織が病変を伴った。
【0159】
B.AAV配列の検出および単離
全細胞DNAを、以前に記述された[R.W.Atchisonら、Science 194、754−756(1965)]とおりヒトおよびヒト以外の霊長類の組織から抽出した。ヒトにおけるAAVの分子頻度および組織分布は、ヒト以外の霊長類の分析に使用したものに類似であったプライマーおよび条件を使用するシグネチャ若しくは完全長いずれかのcap PCRにより決定した。ヒト以外の霊長類でのAAVの拡張された一ファミリーの単離および特徴づけに使用した同一のPCRクローニング戦略を、選択したヒト組織からのAAVの単離で使用した。簡潔には、repの一部および完全長のcap配列を含有する3.1kbのフラグメントをPCRにより組織DNAから増幅しかつTopoクローン化した(Invitrogen)。ヒトAAVクローンを最初にAAV配列の多様性を同定するのを助ける制限マッピングにより分析し、それをその後、99.9%の正確度を伴うSeqWright(SeqWright、テキサス州ヒューストン)による完全配列分析にかけた。ヒト組織から単離した合計67種のキャプシドクローンを特徴づけした(hu.1〜hu.67)。ヒト以外の霊長類の組織から86種のcapクローンをシークェンシングし、そのなかで70種のクローンはアカゲザルから、6クローンはカニクイザルから、3クローンはブタオザルから、2クローンはヒヒから、および5クローンはチンパンジーからであった。
【0160】
C.AAV配列の分析
全部の連続した配列から、AAVキャプシドウイルスタンパク質(vp1)のオープンリーディングフレーム(ORF)を分析した。AAVキャプシドVP1タンパク質配列を、ClustalX1.81TMプログラム[H.D.Mayor、J.L.Melnick、Nature 210、331−332(1996)]を用いて整列し、そして、インフレームのDNAアライメントを、BioEditTM[U.Bantel−Schaal、H.Zur Hausen、Virology 134、52−63(1984)]ソフトウェアパッケージを用いて生じさせた。系統分類学は、MEGATMv2.1およびTreePuzzleTMパッケージを用いて推論した。ネイバー−ジョイニング、最大節減および最尤度[M.Nei、S.Kumar、Molecular Evolution and Phylogenetics(Oxford University Press、ニューヨーク、2000);H.A.Schmidt、K.Strimmer、M.Vingron、A.von Haeseler、Bioinformatics 18、502−4(2002年3月);N.Saitou,M.Nei、Mol
Biol Evol 4、406−25(1987年7月)]アルゴリズムを使用して、単系統性(monophylic)群における配列の類似のクラスター形成を確認した。
【0161】
その後、全タンパク質配列のネイバー−ジョイニング系統樹から同源系統群を定義した。アミノ酸距離は、ポアソン補正を利用することにより推定した。ブーツストラップ分析を1000個の複製物を用いて実施した。配列は、それらが0.05遺伝距離以内に結合節を有した場合に単系統性とみなした。3個若しくはそれより多くの供給源から発する配列の一群を1同源系統群とみなした。AAVの系統分類学を、配列分析により組換えの証拠についてさらに評価した。ホモプラシーを分割分解(split decomposition)アルゴリズム[H.J.Bandelt、A.W.Dress、Mol Phylogenet Evol 1、242−52(1992年9月)]の実行によりスクリーニングした。この様式で獲得された分割をその後、Simplotソフトウェアのブートスキャンアルゴリズム[M.NeiとS.Kumar、Molecular Evolution and Phylogenetics(Oxford Universi
ty Press、ニューヨーク、2000)]を利用して組換えについてさらに解析した。400ntのスライディング窓(sliding window)(10nt/段階)を使用して、100のブーツストラップ複製物ネイバー−ジョイニング樹を得た。その後、分割分解およびネイバー−ジョイニング系統分類学を推定の組換えフラグメントから推論した。ブーツストラップ値の有意の改善、分割の減少およびそれらの親供給源を含むハイブリッド配列の再グルーピングを組換えの基準とみなした。
【0162】
8例の異なるヒト被験体から増幅した多数の多様なcap配列は、組換えおよびハイブリッドウイルスの形成と矛盾せず、Cap DNA配列の位置1400の共通の破壊点周辺でAAV2(5’)およびAAV3(3’)に対する系統分類学的関係を示した。これは、アカゲザルの腸間膜リンパ節からの単離物から組換えが検出された、cap遺伝子の一般的領域である[Gaoら、Proc Natl Acad Sci USA100、6081−6086(2002年5月13日)]。選択のための全体的コドンに基づくZ試験を、Neib−Gojoboriの方法[R.M.Kotin、Hum Gene Ther 5、793−801(1994年7月)]を実行して実施した。
【0163】
系統分類学的解析を、ハイブリッドとして正に同定されたクローンを除外して反復した。この解析では、ガチョウおよびトリのAAVを外集団として包含した[(I.Bossis,J.A.Chiorini、J Virol 77、6799−810(2003年6月)]。図1はネイバー−ジョイニング樹であり;類似の関係が最大節減および最大可能性解析を使用して得られた。
【0164】
本解析は11の系統群を示し、それらを表1に要約する。6種のAAV同源系統群および5種の個別のAAVクローン(若しくはクローンの組)の種の起源は、該配列がサンプリングで取得された数若しくは供給源ごとに表す。種およびグルーピングあたり集められた配列の総数をカッコ内に示す。同源系統群あたりの以前に記述された配列の参照が右の欄にある。Rhesus−アカゲザル;cyno−カニクイザル;chimp−チンパンジー;pigrail−ブタオザル。
【0165】
【表1】
【0166】
上に示されたとおり、使用した標準的系統発生アルゴリズムで組換えが実行されないため、適正な系統樹を構成するために、それらの配列を解析から除外し、それらのうちそれらの組換えの祖先を確立した。全部の非組換え配列のネイバー−ジョイニング解析を、組換えを利用して進化した同源系統群と並べて表す。類似の出力を、異なるアルゴリズムを使用しかつ入力としてヌクレオチド配列を用いて生成させた。
【0167】
追加実験を実施して、以下の実施例に記述されるとおり、血清学的活性および向性により測定されるところの機能への系統分類学的関連性の関係を評価した。
【実施例2】
【0168】
新規ヒトAAVの血清学的分析
先行する実施例で記述されたとおり得られた最後の同源系統群は、3例のヒトの単離物由来であり、そして以前に記述された血清型を含有しなかった。本同源系統群の代表的1メンバーに対しポリクローナル抗血清を生成させ、そして、以前に記述された血清型間の血清学的交差反応性の包括的研究を実施した。これは、新しいヒト同源系統群が他の既知の血清型と血清学的に別個であることを示し、そして従って同源系統群F(AAV9により代表される)と呼ばれる。
【0169】
AAV血清型1〜9に対するウサギポリクローナル抗体を、等しい容量のフロイントの不完全アジュバントと一緒にそれぞれ1×1013ゲノムコピーのAAVベクターを動物に筋肉内接種することにより生成させた。注入を第34日に反復して抗体力価を促進した。AAV1〜9間の血清学的交差反応性は、異なるAAV供給源由来のキャプシドでシュードタイピングしたレポーター遺伝子(AAVCMVEGFP、強化緑色蛍光タンパク質を運搬する)を運搬するベクターによる293細胞の形質導入に対するウサギ抗血清の阻害効果を評価することにより決定した。AAVCMVEGFPベクターによる84−31細胞の形質導入をUV顕微鏡下で評価した。2種のAAV間の血清学的関係の評価におい
て、異種および同種双方の血清の各AAVからのベクターを中和する能力を試験した。血清による中和が、同種ベクターよりも異種ベクターに対して相反する様式で少なくとも16倍より低かった場合は、該2種のAAVは別個の血清型とみなす。中和力価は以前に記述された[(G.P.Gaoら、Proc Natl Acad Sci U S A 99、11854−9(2002年9月3日)]とおり定義した。
【0170】
【表2】
【0171】
これらのデータは、構造的に異なるAAV5およびAA1血清型の予期されない血清学的反応性(すなわち、異種/同種力価の比は逆滴定で1/4および1/8であった)を除き、異なるクローンおよび同源系統群の系統分類学的グルーピングを確認する。
【0172】
該結果は、AAVhu.14が独自の血清学的特性を有しかついずれかの既知のAAV血清型から生成した抗血清と有意の交差反応性を有しなかったことをさらに示した。AAVhu.14の血清学的独自性は、この試験で比較した全部の他のAAV血清型と85%未満のアミノ酸配列の同一性を共有したキャプシド構造のその独自性によりさらに裏付けられた。それらの知見は、われわれがAAVhu.14を新たな血清型AAV9として命名するための根拠を提供した。
【実施例3】
【0173】
遺伝子移入ベクターとしての霊長類AAVの評価
GFP若しくは分泌型レポーター遺伝子α−1アンチトリプシン(A1AT)のいずれかを発現する組換えAAV2ゲノムを多様なクローンおよび比較のためそれぞれの霊長類AAV同源系統群からの1種の代表的なメンバー由来のキャプシドでパッケージングした、シュードタイピングしたベクターを生成させることにより、AAVの生物学的向性を研究した。例えば、AAV1から得られたデータは同源系統群Aを、次いでAAV2を同源系統群B、Rh.34をAAV4、AAV7を同源系統群D、AAV8を同源系統群E、そしてAAVHu.14を同源系統群Fを代表するのに使用した。AAV5、AAVCh.5およびAAVRh.8は比較のための単一のAAV遺伝子型としてである。
【0174】
ベクターを、GFP形質導入に基づきin vitroでの形質導入効率について、ま
た、肝、筋若しくは肺でin vivo形質導入効率について評価した(図4)。
【0175】
A.in vitro
強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)を発現するベクターを使用して、84−31細胞中でのそれらのin vitro形質導入効率を検査し、かつ、それらの血清学的特性を研究した。機能解析のため、多様なAAVCMVEGFPベクターのin vitro形質導入を、96ウェルプレートに接種しかつ細胞あたり1×104GCのMOIのシュードタイピングしたAAVCMVEGFPベクターに感染させた84−31細胞で測定した。AAVベクターは、G.Gaoら、Proc Natl Acad Sci U S A 99、11854−9(2002年9月3日)に記述される技術を使用して、AAV1、2、5、7、8、ならびに6種の他の新規AAV(Ch.5、Rh.34、Cy5、rh.20、Rh.8およびAAV9)のキャプシドでシュードタイピングした。相対EGFP形質導入効率を、感染後48時間にUV顕微鏡を使用して推定した緑色細胞の0〜10%、10〜30%、30〜70%および70〜100%に対応する0、1、2および3として評価した。
【0176】
B.in vivo
in vivo研究のため、ヒトα−アンチトリプシン(A1AT)をベクター中での感受性かつ定量的レポーター遺伝子として選択し、そしてCMV増強ニワトリβ−アクチンプロモーターの制御下で発現させた。CBプロモーターの使用は、高レベルの組織非特異的および構成的A1AT遺伝子移入が達成されることを可能にし、かつ、目的のいかなる組織中でも遺伝子移入研究のための同一のベクター調製物の使用もまた可能にする。4ないし6週齢のNCRヌードマウスを、肝、肺および筋に向けた遺伝子移入のためそれぞれ門脈内、気管内および筋肉内注入により動物あたり1×1011ゲノムコピーの用量の新規AAVベクター(AAVCBhA1AT)で処置した。遺伝子移入後異なる時点で血清サンプルを収集し、そしてA1AT濃度をELISAに基づくアッセイにより測定し、そして、ベクターの投与経路に依存して、遺伝子移入後第28日に多様な血清A1ATレベルに関して0、1、2および3として評価した(肝:0=A1AT<400ng/ml、1=A1AT 400〜1000ng/ml、2=A1AT 1000〜10,000ng/ml、3=A1AT>10,000ng/ml;肺:0=A1AT<200ng/ml、1=A1AT 200〜1000ng/ml、2=A1AT 1000〜10,000ng/ml、3=A1AT>10,000ng/ml;筋:0=A1AT<100ng/ml、1=A1AT 100〜1000ng/ml、2=A1AT 1000〜10,000ng/ml、3=A1AT>10,000ng/ml)。
【0177】
1種のヒトAAVクローン28.4/hu.14(現在AAV9と命名される)は、肝をAAV8に類似の効率で、肺をAAV5より2対数より良好に、そして筋をAAV1より優れて形質導入する能力を有する一方、2種の他のヒトクローン、24.5および16.12(hu.12およびhu.13)の成績は全3標的組織中でわずかであった。クローンN721.8(AAVrh.43)もまた全3組織中で高性能体である。
【0178】
AAV9およびrh 43の遺伝子移入効率を、肝(AAV8)、肺(AAV5)および筋(AAV1)の基準体(bench marker)のものと比較してさらに分析するために、用量応答実験を実施した。双方の新しいベクターは、筋でAAV1より少なくとも10倍より多い遺伝子移入を、肝でAAV8と類似の成績を、および肺でAAV5より2対数より効率的を示した。
【0179】
AAVの一群は、全3組織で、各組織中でそれらの基準体の成績に類似若しくはより優れた効率的な遺伝子効率を示したが出現した。今日まで、3種の新規AAV(2種がアカゲザル(rh10および43)からならびに1種がヒト(hu.14すなわちAAV9)
から)がこの範疇に入った。ネズミの肝、肺および筋におけるそれらの基準体に対するそれら3種のAAVの相対遺伝子移入効率の直接比較は、最良の適合を伴う数種の霊長類AAVが厳格な生物学的選択および進化から「超」ウイルスとして進化したかもしれないことを示唆している。これらは遺伝子移入の応用にとりわけ良好に適する。
【0180】
C.生物学的活性のプロファイル
遺伝子移入の効率に関して生物学的活性の独特のプロファイルが、一組のクローンすなわち同源系統群のメンバー内で実質的な一致を伴い多様なAAVについて示された。しかしながら、in vitro形質導入はin vivoでの遺伝子移入の効率を予測しなかった。2種の異なるAAVシュードタイプ間の生物学的活性を比較するためのアルゴリズムを、導入遺伝子発現のレベルおよび差違の累積解析の相対評価に基づいて開発した。
【0181】
AAV対間のin vitroおよびin vivoの遺伝子移入スコアの累積的差違を、以下の式、ベクターAとBとの間のスコアに関しての累積的機能的差違=in vitro(A−B)+肺(A−B)+肝(A−B)+筋(A−B)に従って計算しそして表(ND=決定されない)に提示した。該数が小さくなるほど、機能AAVがより類似する。灰色で影を付けた領域に、配列中の差違のパーセントを太字斜体で表す。cap構造中の差違のパーセントは、ギャップの対にした削除後のアミノ酸の差違の数を750(VP1タンパク質配列のアライメントの長さ)により除算することにより決定した。
【0182】
【表3】
【0183】
これらの研究はヒトにおけるパルボウイルスの研究に関する多数の問題を指摘する。広範囲のヒト組織中での内因性AAV配列の頻度は、この群のウイルスへの天然の感染が極めて一般的であることを示唆している。ウイルス配列の広範な組織分布ならびに肝、脾および腸における頻繁な検出は、伝播が胃腸路を介して起こることおよびウイルス血症が該感染の一特徴でありうることを示す。
【0184】
ヒトおよびヒト以外の霊長類の双方に存在する配列の夥しい多様性は向性および血清学に関して機能的相関を有し、それが免疫エスケープのような現実の生物学的圧により駆動されることを示唆している。明らかに、組換えは、2種の以前に記述されたAAVのハイブリッドである第二の最も一般的なヒト同源系統群により証明されるとおりこの多様性に寄与している。
【0185】
系統解析のトポロジーの検査は、ウイルスの進化とその宿主の制限の間の関係への洞察を示す。デペンドウイルス属全体がトリAAV由来であるようであり、Lukashov
とGoudsmit[(V.V.Lukashov、J.Goudsmit、J Virol 75、2729−40(2001年3月)]と一致する。AAV4およびAAV5単離物は他のAAVのその後の発達から早期に分岐した。次の重要な節は種を2つの主要な単系統群に分割する。第一の群は単にヒトから単離されたクローンを含有し、そして同源系統群B、AAV3クローン、同源系統群Cおよび同源系統群Aを包含し;この群の種の制限に対する唯一の例外はch.5と呼ばれるチンパンジーからの単一クローンである。該属の残存するメンバーを表す他の単系統群はヒトおよびヒト以外の霊長類の双方由来である。この群は、サルから独占的に単離された同源系統群Dおよびrh.8クローン、ならびにヒト特異的である同源系統群Fを包含する。この群内の残存する同源系統群(すなわち同源系統群E)はヒトおよび多数のヒト以外の霊長類種の双方からのメンバーを有し、種の障壁を越えた本同源系統群の伝播を示唆している。若干のヒトから単離された同源系統群Eのメンバーのキャプシド構造がヒト以外の霊長類からの若干に本質的に同一であり、宿主適応がほとんど起こらなかったことを示していることは興味深い。AAV8由来ベクターの生物学の解析は、高レベルの遺伝子移入を伴う広範な組織向性を示し、これは感染性のより有望な範囲と矛盾せず、そしてその見かけの動物原性感染症を説明しうる。遺伝子移入のなおより広い範囲および効率が同源系統群Fについて示され、今日まで検出されていなかった交差種伝播の潜在性を強調した。
【0186】
潜伏期AAVの存在はヒトおよびヒト以外の霊長類全体に広範に散在し、そして、組換えおよび交差種障壁に対するそれらの見かけの素因は重要な問題を提起する。この組換え事象は、改変された毒性をもつ新たな感染性病原体の出現に至る潜在性を有する。この潜在性を評価することは、霊長類におけるAAV感染の臨床的続発症が未だ定義されなければならないという事実により混乱されている。加えて、肝でのAAV配列の高い頻度は、同種異系および異種肝移植の状況のヒト集団におけるウイルスの広まりに寄与しうる。最後に、ヒトにおける内因性AAVの知見は、ヒト遺伝子治療のためのAAVの使用において意義を有する。野性型AAVが、これまで悪性と関連することなく霊長類において非常に高頻度であるという事実は、それがとりわけ癌原性ではないことを示唆している。事実、AAV rep遺伝子の発現は形質転換を抑制することが示されたP.L.Hermonat、Virology 172、253−61(1989年9月)]。
【実施例4】
【0187】
嚢胞性線維症気道疾患の処置のためのAAV2/9ベクター
今日まで、CF気道疾患の処置のための肺へのCFTR遺伝子移入は、効果的な遺伝子移入に対して気道上皮が課す大きな障壁と組み合わさった乏しいベクターの性能により制限されていた。AAV9キャプシドにパッケージングしたAAV2ゲノム(AAV2/9)を多様な気道モデル系でAAV2/5と比較した。
【0188】
ニワトリβ−アクチンプロモーターの転写制御下に核を標的としたβ−ガラクトシダーゼ(nLacZ)遺伝子若しくは緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子いずれかを発現するAAV2/9の1×1011ゲノムコピー(gc)の50μlの単回投与を、ヌードおよびまたC57Bl/6マウスに鼻内に点滴注入した。21日後に肺および鼻を遺伝子発現のため処理した。AAV2/9−GFPで形質導入した対照動物においてはLacZ陽性細胞がみられなかった。AAV2/9−nLacZは主として気道を成功裏に形質導入した一方、AAV2/5−nLacZは主として肺胞および若干の気道に形質導入した。鼻気道上皮を横断して、AAV2/5およびAAV2/9双方が、繊毛性および非繊毛性上皮細胞に形質導入した。
【0189】
上皮細胞特異的プロモーターが現在、in vivoで気道細胞へのターゲッティングを改良することを評価されている。in vivoの知見に基づき、ヒト気道上皮細胞へのAAV2/9の遺伝子移入効率を次に試験した。気道上皮細胞をヒト気管および気管支
から単離し、そしてコラーゲン被覆した膜支持体上の空気−液体界面(ALI)で増殖させた。細胞が一旦分極しかつ分化したら、それらを尖部ならびに基底外側からGFPを発現するAAV2/9若しくはAAV2/5で形質導入した。AAV2/5およびAAV2/9双方が基底外側表面からの上皮細胞の形質導入に成功した。しかしながら尖部表面に適用した場合に、AAV2/9はAAV2/5に比較して形質導入された細胞の数の10倍の増大をもたらした。現在、ヒト以外の霊長類の肺および鼻気道でのAAV2/9の遺伝子移入成績を評価中である。
【0190】
本実験は、AAV2/9がネズミ肺の気道およびALIで増殖させた十分に分化したヒト気道上皮細胞に効率的に形質導入し得ることを示す。
【実施例5】
【0191】
成体ラット心におけるAAV1(2/1)およびAAV9(2/9)の直接注入の比較
2匹の成体(3月齢)ラットが、5×1011粒子のAAV2/1若しくはAAV2/9の左室への単回注入を受領した。
【0192】
結果は目を見張らせるものであり、lacZ組織化学により評価されるとおり、有意により多い発現がAAV2/1に比較してAAV2/9ベクターで成体ラット心において観察された。AAV2/9は新生マウス心においてもまた優れた遺伝子移入を示す。
【実施例6】
【0193】
血友病B遺伝子治療のためのAAV2/9ベクター
本研究で、AAV2/9ベクターが、従来のAAV供給源よりも血友病Bの肝および筋双方に向けた遺伝子治療のためのより効率的かつより少なく免疫原性のベクターであることが示される。
【0194】
肝に向けたアプローチのため、AAV2/9のシュードタイピングしたベクターの評価をマウスおよびイヌ血友病モデルで実施した。免疫適格の血友病Bマウス(C57BL/6背景の)で、長期の生理学的レベル超のイヌ第IX因子(cFIX、41〜70μg/ml)、および短縮された活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)が、肝特異的プロモーター(LSP)およびウッドチャックB型肝炎転写後応答配列(WPRE)の下でcFIXが発現されるAAV2/7、2/8および2/9ベクターの1×1011ゲノムコピー(GC)/マウスの門脈内注入後に達成された。10倍より低い用量(1×1010GC/マウス)のAAV2/8ベクターは正常レベルのcFIXおよびaPTT時間を生じた。ノースカロリン大学(University of North Caroline)(UNC)の血友病Bイヌで、AAV2ベクターで以前に処置したイヌへのAAV2/8ベクターの投与が成功裏であったことが以前に示され;cFIX発現は第二の門脈内注入(用量=5×1012GC/kg)後第6日に10μg/mlでピークに達し、その後徐々に減少しかつ試験中(1 1/2年)約700ng/ml(正常レベルの16%)で安定した。このレベルは、類似の用量のAAV2−cFIXの単回注入を受領した血友病Bイヌからのものより約3倍より高かった。最近、2匹のナイーブな血友病Bイヌに5.25×1012GC/kgの用量でAAV2/8ベクターを門脈内注入した。1匹のイヌ(雄性)のcFIXレベルは注入10週後に正常レベルの30%(1.5μg/ml)に達しそして1.3〜1.5μg/mlで持続した一方、第二のイヌ(雌性)は正常レベルの約10%のcFIX発現を維持した。全血凝固時間(WBCT)およびaPTTは双方とも注入後に短縮され、抗原が生物学的に活性であったことを示唆した。双方のイヌでの肝酵素(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(SGOT)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(SGPT)は、外科手術後正常範囲に留まった。これらのAAVを血友病Bの筋に向けた遺伝子治療についてもまた評価した。6種の異なるAAV供給源でパッケージングしたAAV−CMV−cFIX−WPRE[CMVプロモーターの制御下
にcFIXを運搬しかつWPREを含有するAAV]を、1×1011GC/マウスの用量での筋肉内注入後に免疫適格の血友病Bマウス(C57BL/6背景の)で比較した。cFIX遺伝子発現および抗体形成をモニターした。最高の発現は、AAV2/8ベクターを注入したマウスの血漿で検出され(第42日に1460±392ng/ml)、次いでAAV2/9(第42日に773±171ng/ml)およびAAV2/7(第42日に500±311ng/ml)であった。レベルは5か月間維持された。驚くべきことに、AAV2/1によるcFIX発現は0〜253ng/ml(平均:66±82ng/ml)からの範囲にわたった。抗cFIX阻害物質(IgG)が、AAV2/1を注入したマウスの若干で検出された。これらのマウスでのcFIX発現レベルは阻害物質レベルと良好に相関した。阻害物質形成のさらなるスクリーニングを、第28日のサンプルで全AAVについて実施した。血友病BマウスはAAV2/2に対する最高の阻害物質形成を示し、次いでAAV2/5、そしてAAV2/1であった。散発的かつ低レベルのみの阻害物質がAAV2/7、AAV2/8およびAAV2/9を注入した動物で検出された。従って、いかなる有意の抗FIX抗体形成も導き出さないより効率的かつ安全なベクターとしての血友病Bの筋に向けた遺伝子治療のための新たなAAV血清型2/9ベクターの利点が示される。
【実施例7】
【0195】
本発明の新規rh.43ベクター
A.AAVrh.43に基づくA1AT発現ベクターのマウス肝に向けた遺伝子移入におけるAAV8およびAAV9との比較
系統解析により同源系統群Eに属する新規AAVrh.43のベクターを、マウス肝への門脈内注入後のhA1ATレベルについてAAV8および新規AAV9と比較した。より具体的には、シュードタイピングしたAAVrh.43、AAV2/8およびAAV2/9ベクタ―をマウス肝に向けた遺伝子移入で比較した。動物あたり1×1011GC、3×1010GCおよび1×1010GCの用量のシュードタイピングしたベクターを、4〜6週齢のC57BL/6マウスに筋肉内投与した。血清サンプルを、ヒトα1アンチトリプシン(hA1AT)アッセイのためのベクター注入後第28日に動物から収集した。
【0196】
該データは、新規AAVrh.43ベクターが実際にマウスモデルにおいてAAV9のものに類似の成績を有したことを示した。
【0197】
B.シュードタイピングしたAAVベクターにより媒介されるマウス肝および筋への核標的LacZ遺伝子移入。
本発明の新規AAV9およびAAVrh.43に基づくベクターをAAV1およびAAV2に基づくベクターと比較した。ベクターは、マウスあたり1×1011GCの用量で、肝を標的とするため門脈内に、若しくは筋肉内にC57BL/6マウスの右前脛骨筋に筋肉内のいずれかで注入した。動物を遺伝子移入後第28日に殺し、そしてX−gal組織化学的染色のため目的の組織を収集した。
【0198】
AAVrh.43ベクターは、AAV9に近いがしかしAAV1より少なくとも5倍より高かった遺伝子移入効率を示した。AAVrh.43の適正性を、遺伝子移入の広がりを組織化学的に可視化するためのレポーターとして核を標的とするLacZ遺伝子を使用して肝および筋双方でさらに解析した。
【0199】
C.AAVrh.43に基づくA1AT発現ベクターのマウス肺に向けた遺伝子移入におけるAAV5との比較
本発明の新規rh.43に基づくベクターは、肺組織中ですばらしい遺伝子移入効力もまた示した。多様な用量(動物あたり1×1010、3×1010および1×1011G
C)のシュードタイピングしたベクターを、4〜6週齢のC57BL/6マウス肺に気管内投与した。血清サンプルをhA1ATアッセイのため多様な時点で動物から収集した。
【0200】
このベクターを、マウス肺への気管内点滴注入後に全身で検出されるhA1ATのレベルについて、多様な用量のAAV5と比較した。該データは、この新規ベクターがマウスモデルにおいてAAV5より少なくとも100倍より効率的であったことを示した。
【実施例8】
【0201】
肝および肺に向けた遺伝子移入のためのマウスモデルにおける新規ヒトAAVに基づくベクター
ヒトクローンAAVhu.37、AAVhu.41およびAAVhu.47をシュードタイピングし、そして遺伝子移入の効力についてマウス組織中で試験した。hu.37、hu.41およびhu.47のキャプシドでシュードタイピングしたAAVCBA1ATベクターを、本明細書に記述される方法を使用して製造し、そして、4〜6週齢のC57BL/6マウスに門脈内および気管内注入により投与した。血清サンプルをhA1ATアッセイのためベクター注入後第14日に動物から収集し、アッセイは公表された技術に従って実施した。AAVhu.47はAAV2ファミリー(同源系統群B)のAAV2に属し、そしてヒト骨髄サンプルから単離した。AAVhu.37およびAAVhu.41はそれぞれヒト精巣組織およびヒト骨髄サンプルからであった。系統分類学的に、それらはAAV8の同源系統群(同源系統群E)にある。
【0202】
注入した動物の血清A1AT分析は、AAVhu.41およびAAVhu.47が試験した3組織で不十分に機能したことを示した。しかしながら、AAVhu.37由来ベクターの遺伝子移入効力は、肝でAAV8および肺でAAV9のものに類似であった。
【0203】
本発明の主たる特徴または態様を以下に挙げる。
【0204】
態様1:少なくとも3種のアデノ随伴ウイルス(AAV)メンバーを含んでなるAAV同源系統群であって、前記AAV同源系統群の各メンバーが、ネイバー−ジョイニング ヒューリスティック(Neighbor−Joining heuristic)で決定した場合に、1000個の単離物当り少なくとも75%のブーツストラップ(bootstrap)値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値により系統分類学的に関連づけられる、上記同源系統群。
【0205】
態様2:同源系統群が、1メンバーとしてAAV8を含んでなる同源系統群E、1メンバーとしてAAV7を含んでなる同源系統群D、1メンバーとしてAAV9を含んでなる同源系統群F、1メンバーとしてAAV2を含んでなる同源系統群B、および1メンバーとしてH2を含んでなる同源系統群Cよりなる群から選択される、態様1に記載のAAV同源系統群。
【0206】
態様3:前記AAVメンバーの1若しくはそれより多くが天然に存在しないAAVである、態様1に記載の同源系統群。
【0207】
態様4:前記AAVメンバーの2若しくはそれより多くが天然に存在するAAVである、態様1に記載の同源系統群。
【0208】
態様5:AAV8および少なくとも2つの付加的なAAVメンバーを含んでなるアデノ随伴ウイルス(AAV)同源系統群Eであって、ネイバー−ジョイニング ヒューリスティックを用いて決定した場合に、1000個の単離物あたり少なくとも75%のブーツストラップ値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値により前記AAV同源系統群
の各メンバー。
【0209】
態様6:前記AAVメンバーの1若しくはそれより多くが、AAV8のキャプシド、配列番号183との少なくとも85%のアミノ酸同一性をもつキャプシドを有する、態様5に記載のAAV同源系統群E。
【0210】
態様7:前記同源系統群が、少なくともAAV8 配列番号183、43.1/rh.2;rh.4;rh.8;44.2/rh.10;rh.25;29.3/bb.1;29.5/bb.2;30.10/pi.1(配列番号28および93)、30.12/pi.2(配列番号30および95)、30.19/pi.3(配列番号29および94)、LG−4/rh.38(配列番号7および86);LG−10/rh.40(配列番号14および92);N721−8/rh.43(配列番号43および163);1−8/rh.49(配列番号25および103);2−4/rh.50(配列番号23および108);2−5/rh.51(配列番号22および104);3−9/rh.52(配列番号18および96);3−11/rh.53(配列番号17および97);5−3/rh.57(配列番号26および105);5−22/rh.58(配列27および58);改変rh.58(配列番号232);2−3/rh.61(配列番号21および107);4−8/rh.64(配列番号15および99);改変rh.64(配列番号233);3.1/hu.6(配列番号5および84);33.12/hu.17(配列番号4および83);106.1/hu.37(配列番号10および88);LG−9/hu.39(配列番号24および102);114.3/hu.40(配列番号11および87);127.2/hu.41(配列番号6および91);127.5/hu.42(配列番号8および85);hu.66(配列番号173および197);改変rh.2(配列番号231);ならびにhu.67(配列番号174および198)を含んでなる、態様5に記載のAAV同源系統群E。
【0211】
態様8:態様5に記載の同源系統群Eの1つのAAV、但し、前記同源系統群のAAVのいずれもAAV8のキャプシド、43.1/rh.2;rh.4;rh.8;44.2/rh.10;rh.25;29.3/bb.1;若しくは29.5/bb.2を含まない、上記AAV。
【0212】
態様9:30.10/pi.1(配列番号28および93)、30.12/pi.2(配列番号30および95)、30.19/pi.3(配列番号29および94)、LG−4/rh.38(配列番号7および86);LG−10/rh.40(配列番号14および92);N721−8/rh.43(配列番号43および163);1−8/rh.49(配列番号25および103);2−4/rh.50(配列番号23および108);2−5/rh.51(配列番号22および104);3−9/rh.52(配列番号18および96);3−11/rh.53(配列番号17および97);5−3/rh.57(配列番号26および105);5−22/rh.58(配列番号27および58);改変rh.58(配列番号232);2−3/rh.61(配列番号21および107);4−8/rh.64(配列番号15および99);改変rh.64(配列番号233);3.1/hu.6(配列番号5および84);33.12/hu.17(配列番号4および83);106.1/hu.37(配列番号10および88);LG−9/hu.39(配列番号24および102);114.3/hu.40(配列番号11および87);127.2/hu.41(配列番号6および91);127.5/hu.42(配列番号8および85);hu.66(配列番号173および197);改変rh.2(配列番号231);ならびにhu.67(配列番号174および198)よりなる群から選択される、態様8に記載のAAV。
【0213】
態様10:AAV7および少なくとも2種の付加的なAAVメンバーを含んでなるアデノ
随伴ウイルス(AAV)同源系統群Dであって、前記AAV同源系統群の各メンバーが、ネイバー−ジョイニング ヒューリスティックを用いて決定した場合に、1000個の単離物あたり少なくとも75%のブーツストラップ値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値により系統分類学的に関連づけられる、上記AAV同源系統群D。
【0214】
態様11:前記同源系統群が、少なくともAAV供給源、すなわち、AAV7;cy.2;cy.3;cy.4;cy.5;cy.6;rh.13;rh.37;rh.36;rh.35;2−15/rh.62(配列番号33および114);1−7/rh.48(配列番号32および115);4−9/rh.54(配列番号40および116);ならびに4−19/rh.55(配列番号37および117)改変cy.5(配列番号227);改変rh.13(配列番号228);ならびに改変rh.37(配列番号229)を含んでなる、態様10に記載のAAV同源系統群D。
【0215】
態様12:態様10に記載のAAV同源系統群Dの1つのAAV、但し、前記同源系統群のAAVのいずれも、AAV7のキャプシド 配列番号180および181;AAV7;cy.2;cy.3;cy.4;cy.5;cy.6;rh.13;rh.37;rh.36;rh.35を含まない、上記AAV。
【0216】
態様13:2−15/rh.62(配列番号33および114);1−7/rh.48(配列番号32および115);4−9/rh.54(配列番号40および116);ならびに4−19/rh.55(配列番号37および117);改変cy.5(配列番号227);改変rh.13(配列番号228);ならびに改変rh.37(配列番号229)よりなる群から選択される、態様12に記載のAAV。
【0217】
態様14:AAV2および少なくとも2つの付加的なAAVメンバーを含んでなるアデノ随伴ウイルス(AAV)同源系統群Bであって、前記AAV同源系統群の各メンバーが、ネイバー−ジョイニング ヒューリスティックを用いて決定した場合に、1000個の単離物あたり少なくとも75%のブーツストラップ値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値により系統分類学的に関連づけられる、上記のAAV同源系統群B。
【0218】
態様15:前記同源系統群が、少なくともAAV、すなわちAAV2、52/hu.19(配列番号62および133)、52.1/hu.20(配列番号63および134)、54.5/hu.23(配列番号60および137)、54.2/hu.22(配列番号67および138)、54.7/hu.24(配列番号66および136)、54.1/hu.21(配列番号65および135)、54.4R/hu.27(配列番号64および140);46.2/hu.28(配列番号68および130);46.6/hu.29(配列番号69および132);改変hu.29(配列番号225);172.1/hu.63(配列番号171および195);172.2/hu.64(配列番号172および196);24.5/hu.13(配列番号71および129);145.6/hu.56(配列番号168および192);hu.57(配列番号169および193);136.1/hu.49(配列番号165および189);156.1/hu.58(配列番号179および194);72.2/hu.34(配列番号72および125);72.3/hu.35(配列番号73および164);129.1/hu.45(配列番号76および127);130.1/hu.47(配列番号77および128);140.1/hu.51(配列番号161および190);ならびに140.2/hu.52(配列番号167および191)を含んでなる、態様14に記載のAAV同源系統群B。
【0219】
態様16:態様14に記載のAAV同源系統群Bの1メンバーAAV、但し、前記同源系統群のAAVのいずれもAAV2のキャプシドを含まない、上記の1メンバーAAV。
【0220】
態様17:52/hu.19(配列番号62および133)、52.1/hu.20(配列番号63および134)、54.5/hu.23(配列番号60および137)、54.2/hu.22(配列番号67および138)、54.7/hu.24(配列番号66および136)、54.1/hu.21(配列番号65および135)、54.4R/hu.27(配列番号64および140);46.2/hu.28(配列番号68および130);46.6/hu.29(配列番号69および132);改変hu.29(配列番号225);172.1/hu.63(配列番号171および195);172.2/hu.64(配列番号172および196);24.5/hu.13(配列番号71および129);145.6/hu.56(配列番号168および192);hu.57(配列番号169および193);136.1/hu.49(配列番号165および189);156.1/hu.58(配列番号179および194);72.2/hu.34(配列番号72および125);72.3/hu.35(配列番号73および164);129.1/hu.45(配列番号76および127);130.1/hu.47(配列番号77および128);140.1/hu.51(配列番号161および190);ならびに140.2/hu.52(配列番号167および191)よりなる群から選択される、態様16に記載のメンバーAAV。
【0221】
態様18:AAV1、AAV6および少なくとも1つの付加的なメンバーAAVを含んでなるアデノ随伴ウイルス(AAV)同源系統群Aであって、前記AAV同源系統群の各メンバーが、ネイバー−ジョイニング ヒューリスティックを用いて決定した場合に、1000個の単離物あたり少なくとも75%のブーツストラップ値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値により系統分類学的に関連づけられる、上記AAV同源系統群A。
【0222】
態様19:前記同源系統群が、少なくともAAV、すなわちAAV1;AAV6;128.1/hu.43;改変hu.43(配列番号236);128.3/hu.44(配列番号81および158);hu.46(配列番号82および159);改変hu.46(配列番号224);ならびに130.4/hu.48(配列番号78および157)を含んでなる、態様18に記載のAAV同源系統群A。
【0223】
態様20:態様19に記載のAAV同源系統群Aの1メンバーAAV、但し、前記同源系統群のAAVのいずれもAAV1若しくはAAV6のキャプシドを含まない、上記1メンバーAAV。
【0224】
態様21:128.1/hu.43;改変hu.43(配列番号236);128.3/hu.44(配列番号81および158);hu.46(配列番号82および159);改変hu.46(配列番号224);ならびに130.4/hu.48(配列番号78および157)よりなる群から選択される、態様19に記載のメンバーAAV。
【0225】
態様22:A3.1/ch.5;H−6/hu.4;H−2/hu.2および少なくとも1種のさらなるメンバーAAVを含んでなるアデノ随伴ウイルス(AAV)同源系統群Cであって、前記AAV同源系統群の各メンバーが、ネイバー−ジョイニング ヒューリスティックを用いて決定した場合に、1000個の単離物あたり少なくとも75%のブーツストラップ値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値により系統分類学的に関連づけられる、上記AAV同源系統群C。
【0226】
態様23:前記同源系統群が、少なくともAAV、すなわちH−6/hu.4;H−2/hu.2;3.1/hu.9(配列番号58および155);16.8/hu.10(配列番号56および156);16.12/hu.11(配列番号57および153);145.1/hu.53(配列番号176および186);145.6/hu.55(配列
番号178および187);145.5/hu.54(配列番号177および188);7.3/hu.7(配列番号55および150);改変hu.7(配列番号226);33.4/hu.15(配列番号50および147);33.8/hu.16(配列番号51および148);58.2/hu.25(配列番号49および146);161.10/hu.60(配列番号170および184);H−5/hu.3(配列番号44および145);hu.18(配列番号52および149);H−1/hu.1(配列番号46および144);ならびに161.6/hu.61(配列番号174および185)を含んでなる、態様21に記載のAAV同源系統群C。
【0227】
態様24:態様21に記載の同源系統群Cの1メンバーAAV、但し、前記同源系統群のAAVのいずれも、A3.1/ch.5;H−6/hu.4;若しくはH−2/hu.2のキャプシドを含まない、上記1メンバーAAV。
【0228】
態様25:AAVが、3.1/hu.9(配列番号58および155);16.8/hu.10(配列番号56および156);16.12/hu.11(配列番号57および153);145.1/hu.53(配列番号176および186);145.6/hu.55(配列番号178および187);145.5/hu.54(配列番号177および188);7.3/hu.7(配列番号55および150);改変hu.7(配列番号226);33.4/hu.15(配列番号50および147);33.8/hu.16(配列番号51および148);58.2/hu.25(配列番号49および146);161.10/hu.60(配列番号170および184);H−5/hu.3(配列番号44および145);H−1/hu.1(配列番号46および144);hu.18(配列番号52および149);ならびに161.6/hu.61(配列番号174および185)よりなる群から選択される、態様24に記載のメンバーAAV。
【0229】
態様26:AAV9および少なくともさらに2つのメンバーAAVを含んでなるアデノ随伴ウイルス(AAV)同源系統群Fであって、前記AAV同源系統群の各メンバーが、ネイバー−ジョイニング ヒューリスティックを用いて決定した場合に、1000個の単離物あたり少なくとも75%のブーツストラップ値および0.05を超えないポアソン補正距離測定値により系統分類学的に関連づけられる、上記AAV同源系統群F。
【0230】
態様27:前記同源系統群が、少なくともAAV hu.14/AAV9(配列番号3および123)、hu.31(配列番号1および121)ならびにhu.32(配列番号2および122)を含んでなる、態様26に記載のAAV同源系統群F。
【0231】
態様28:態様26に記載のAAV同源系統群Fの1メンバーAAV。
【0232】
態様29:AAVが、hu.14/AAV9(配列番号3および123)、hu.31(配列番号1および121)ならびにhu.32(配列番号2および122)よりなる群から選択される、態様28に記載のメンバーAAV。
【0233】
態様30:AAVキャプシドおよび細胞への送達のための異種分子を含んでなる血清型9のアデノ随伴ウイルス(AAV)であって;該AAVキャプシドが、配列番号123のアミノ酸1ないし736の配列のキャプシドに血清学的に関連づけられ、かつ、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7若しくはAAV8のいずれのキャプシドタンパク質とも血清学的に異なる、上記AAV。
【0234】
態様31:前記ウイルスが配列番号3の核酸配列を有する、態様30に記載のAAV。
【0235】
態様32:前記AAVが、AAV逆方向末端反復配列および宿主細胞中でのその発現を指
図する制御配列に作動可能に連結された宿異種遺伝子を有するミニ遺伝子をさらに含んでなる、態様30に記載のAAV。
【0236】
態様33:(a)vp1キャプシドタンパク質、アミノ酸(aa)1ないし736、配列番号123;vp2キャプシドタンパク質、aa138ないし736、配列番号123;vp3キャプシドタンパク質、aa203ないし736、配列番号123;aa146ないし152;aa182ないし187;aa262ないし264;aa263ないし266;aa263ないし266;aa381ないし383;383ないし385;aa450ないし474;aa451ないし475;aa490ないし495;aa491ないし496;aa500ないし504;aa501ないし505;aa514ないし522;aa533ないし554;aa534ないし555;aa581ないし594;aa583ないし596;aa658ないし667;aa660ないし669;およびaa705ないし719;aa707ないし723;aa24ないし42、aa25ないし28;aa81ないし85;aa133ないし165;aa134ないし165;aa137ないし143;aa154ないし156;aa194ないし208;aa261ないし274;aa262ないし274;aa171ないし173;aa185ないし198;aa413ないし417;aa449ないし478;aa494ないし525;aa534ないし571;aa581ないし601;aa660ないし671;aa709ないし723;ならびにaa1ないし184、aa199ないし259;aa274ないし446;aa603ないし659;aa670ないし706;aa724ないし736;aa185ないし198;aa260ないし273;aa447ないし477;aa495ないし602;aa603ないし659;aa660ないし669;ならびにaa707ないし723(ここで、アミノ酸番号はAAV2キャプシド、配列番号4およびAAV9/HU.14、配列番号123のキャプシド中の対応する領域のものである)よりなる群を選択した超可変領域(HVR)1から12を包含するフラグメント若しくはそのより小さいフラグメントよりなる群から選択されるAAV9/HU.14キャプシドタンパク質若しくはそのフラグメントよりなる群から選択されるAAV9/HU.14タンパク質若しくはそのフラグメントを含んでなるタンパク質。
【0237】
態様34:人工的アデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質であって、態様33aに記載のAAV9/HU.14キャプシドタンパク質フラグメントの1つ若しくはそれより多くを含んでなる、上記キャプシドタンパク質。
【0238】
態様35:態様34に記載の人工的キャプシドを含んでなる組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)。
【0239】
態様36:態様34に記載のタンパク質をコードする核酸配列を含んでなる分子。
【0240】
態様37:前記核酸配列が、vp1、nt1ないし2211;vp2、nt2532ないし2211;およびvp3、nt2730ないし2211;(ここで、該ヌクレオチド番号はAAV9/HU.14、配列番号3のものである)よりなる群から選択される、態様36に記載の分子。
【0241】
態様38:前記分子が、AAVキャプシドタンパク質および機能的AAV repタンパク質をコードするAAV配列を含んでなる、態様37に記載の分子。
【0242】
態様39:前記分子がプラスミドである、態様37に記載の分子。
【0243】
態様40:AAVキャプシドを含んでなる組換えAAVの生成方法であって、(a)アデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質をコードする分子;(b)機能的rep
遺伝子;(c)AAVの逆方向末端反復配列(ITR)および導入遺伝子を含んでなるミニ遺伝子;ならびに(d)該ミニ遺伝子のAAVキャプシドタンパク質中へのパッケージングを可能にするのに十分なヘルパー機能を含有する宿主細胞を培養する段階を含んでなり、前記宿主細胞は態様37に記載の分子を含んでなる、上記方法。
【0244】
態様41:態様30に記載のアデノ随伴ウイルスでトランスフェクトした宿主細胞。
【0245】
態様42:態様33に記載の分子でトランスフェクトした宿主細胞。
【0246】
態様43:態様30に記載のAAVおよび生理学的に適合性の担体を含んでなる組成物。
【0247】
態様44:態様36に記載の分子および生理学的に適合性の担体を含んでなる組成物。
【0248】
態様45:細胞への導入遺伝子の送達方法であって、前記方法が、細胞を態様30に記載のAAVと接触させる段階を含んでなり、前記rAAVが導入遺伝子を含んでなる、上記方法。
【0249】
態様46:天然に存在しないアデノ随伴ウイルス(AAV)であって、同源系統群Eからの30.10/pi.1(配列番号93)、30.12/pi.2(配列番号95)、30.19/pi.3(配列番号94)、LG−4/rh.38(配列番号86);LG−10/rh.40(配列番号92);N721−8/rh.43(配列番号163);1−8/rh.49(配列番号103);2−4/rh.50(配列番号108);2−5/rh.51(配列番号104);3−9/rh.52(配列番号96);3−11/rh.53(配列番号97);5−3/rh.57(配列番号105);5−22/rh.58(配列番号58);2−3/rh.61(配列番号107);4−8/rh.64(配列番号99);3.1/hu.6(配列番号84);33.12/hu.17(配列番号83);106.1/hu.37(配列番号88);LG−9/hu.39(配列番号102);114.3/hu.40(配列番号87);127.2/hu.41(配列番号91);127.5/hu.42(配列番号85);hu.66(配列番号197);改変rh.2(配列番号231);およびhu.67(配列番号198);同源系統群Dからの2−15/rh.62(配列番号114);1−7/rh.48(配列番号115);4−9/rh.54(配列番号116);および4−19/rh.55(配列番号117);改変cy.5(配列番号227);改変rh.13(配列番号228);ならびに改変rh.37(配列番号229);同源系統群Bからの52/hu.19(配列番号133)、52.1/hu.20(配列番号134)、54.5/hu.23(配列番号137)、54.2/hu.22(配列番号138)、54.7/hu.24(配列番号136)、54.1/hu.21(配列番号135)、54.4R/hu.27(配列番号140);46.2/hu.28(配列番号130);46.6/hu.29(配列番号132);改変hu.29(配列番号225);172.1/hu.63(配列番号195);172.2/hu.64(配列番号196);24.5/hu.13(配列番号129);145.6/hu.56(配列番号192);hu.57(配列番号193);136.1/hu.49(配列番号189);156.1/hu.58(配列番号194);72.2/hu.34(配列番号125);72.3/hu.35(配列番号164);129.1/hu.45(配列番号127);130.1/hu.47(配列番号128);140.1/hu.51(配列番号190);ならびに140.2/hu.52(配列番号191);同源系統群Aからの128.1/hu.43(配列番号160);改変hu.43(配列番号236);128.3/hu.44(配列番号158);hu.46(配列番号159);改変hu.46(配列番号224);および130.4/hu.48(配列番号157);同源系統群Cからの3.1/hu.9(配列番号155);16.8/hu.10(配列番号156);16.12/hu.11(配列番号15
3);145.1/hu.53(配列番号186);145.6/hu.55(配列番号187);145.5/hu.54(配列番号188);7.3/hu.7(配列番号150);改変hu.7(配列番号226);33.4/hu.15(配列番号147);33.8/hu.16(配列番号148);58.2/hu.25(配列番号146);161.10/hu.60(配列番号184);H−5/hu.3(配列番号145);H−1/hu.1(配列番号144);hu.18(配列番号52および149);ならびに161.6/hu.61(配列番号185);同源系統群Fからのhu.31(配列番号121)およびhu.32(配列番号122);ならびにrh.59(配列番号110)およびrh.60(配列番号120);若しくはそれらの独特の機能的フラグメントよりなる群から選択されるアミノ酸配列を有するAAVキャプシドを含んでなる、上記AAV。
【0250】
態様47:フラグメントが:aa146ないし152;aa182ないし187;aa262ないし264;aa263ないし266;aa263ないし266;aa381ないし383;383ないし385;aa450ないし474;aa451ないし475;aa490ないし495;aa491ないし496;aa500ないし504;aa501ないし505;aa514ないし522;aa533ないし554;aa534ないし555;aa581ないし594;aa583ないし596;aa658ないし667;aa660ないし669;およびaa705ないし719;aa707ないし723;aa24ないし42、aa25ないし28;aa81ないし85;aa133ないし165;aa134ないし165;aa137ないし143;aa154ないし156;aa194ないし208;aa261ないし274;aa262ないし274;aa171ないし173;aa185ないし198;aa413ないし417;aa449ないし478;aa494ないし525;aa534ないし571;aa581ないし601;aa660ないし671;aa709ないし723;ならびにaa1ないし184、aa199ないし259;aa274ないし446;aa603ないし659;aa670ないし706;aa724ないし736;aa185ないし198;aa260ないし273;aa447ないし477;aa495ないし602;aa603ないし659;aa660ないし669;ならびにaa707ないし723よりなる群を選択した超可変領域(HVR)1から12を包含するフラグメント若しくはそのより小さいフラグメント、よりなる群から選択され、ここで、アミノ酸番号は、AAV2キャプシド、配列番号4、ならびに、同源系統群Eからの30.10/pi.1(配列番号93)、30.12/pi.2(配列番号95)、30.19/pi.3(配列番号94)、LG−4/rh.38(配列番号86);LG−10/rh.40(配列番号92);N721−8/rh.43(配列番号163);1−8/rh.49(配列番号103);2−4/rh.50(配列番号108);2−5/rh.51(配列番号104);3−9/rh.52(配列番号96);3−11/rh.53(配列番号97);5−3/rh.57(配列番号105);5−22/rh.58(配列番号58);改変rh.58(配列番号232);2−3/rh.61(配列番号107);4−8/rh.64(配列番号99);改変rh.64(配列番号233);3.1/hu.6(配列番号84);33.12/hu.17(配列番号83);106.1/hu.37(配列番号88);LG−9/hu.39(配列番号102);114.3/hu.40(配列番号87);127.2/hu.41(配列番号91);127.5/hu.42(配列番号85);hu.66(配列番号197);改変rh.2(配列番号231);およびhu.67(配列番号198);同源系統群Dからの2−15/rh.62(配列番号114);1−7/rh.48(配列番号115);4−9/rh.54(配列番号116);および4−19/rh.55(配列番号117);改変cy.5(配列番号227);改変rh.13(配列番号228);ならびに改変rh.37(配列番号229);同源系統群Bからの52/hu.19(配列番号133)、52.1/hu.20(配列番号134)、54.5/hu.23(配列番号137)、54.2/hu.22(配列番号138)、54.7/hu.24(配列
番号136)、54.1/hu.21(配列番号135)、54.4R/hu.27(配列番号140);46.2/hu.28(配列番号130);46.6/hu.29(配列番号132);改変hu.29(配列番号225);172.1/hu.63(配列番号195);172.2/hu.64(配列番号196);24.5/hu.13(配列番号129);145.6/hu.56(配列番号192);hu.57(配列番号193);136.1/hu.49(配列番号189);156.1/hu.58(配列番号194);72.2/hu.34(配列番号125);72.3/hu.35(配列番号164);129.1/hu.45(配列番号127);130.1/hu.47(配列番号128);140.1/hu.51(配列番号190);ならびに140.2/hu.52(配列番号191);同源系統群Aからの128.1/hu.43(配列番号160);改変hu.43(配列番号236);128.3/hu.44(配列番号158);hu.46(配列番号159);改変hu.46(配列番号224);および130.4/hu.48(配列番号157);同源系統群Cからの3.1/hu.9(配列番号155);16.8/hu.10(配列番号156);16.12/hu.11(配列番号153);145.1/hu.53(配列番号186);145.6/hu.55(配列番号187);145.5/hu.54(配列番号188);7.3/hu.7(配列番号150);改変hu.7([配列番号226);33.4/hu.15(配列番号147);33.8/hu.16(配列番号148);58.2/hu.25(配列番号146);161.10/hu.60(配列番号184);H−5/hu.3(配列番号145);H−1/hu.1(配列番号144);hu.18(配列番号149)ならびに161.6/hu.61(配列番号185);同源系統群Fからのhu.31(配列番号121)およびhu.32(配列番号122);ならびにrh.59(配列番号110)およびrh.60(配列番号120)のキャプシドの対応する領域のものである、態様46に記載のAAV。
【0251】
態様48:人工的アデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質であって、態様47aに記載のAAVキャプシドタンパク質フラグメントの1つ若しくはそれより多くを含んでなる、上記キャプシドタンパク質。
【0252】
態様49:態様48に記載の人工的キャプシドを含んでなる組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)。
【0253】
態様50:AAVキャプシドタンパク質をコードする異種核酸配列を含んでなる分子であって、前記核酸配列が:同源系統群Eからの30.10/pi.1(配列番号28)、30.12/pi.2(配列番号30)、30.19/pi.3(配列番号29)、LG−4/rh.38(配列番号7);LG−10/rh.40(配列番号14);N721−8/rh.43(配列番号43;1−8/rh.49(配列番号25);2−4/rh.50(配列番号23);2−5/rh.51(配列番号22);3−9/rh.52(配列番号18);3−11/rh.53(配列番号17);5−3/rh.57(配列番号26);5−22/rh.58(配列番号27);改変rh.58(配列番号232);2−3/rh.61(配列番号21);4−8/rh.64(配列番号15);3.1/hu.6(配列番号5);33.12/hu.17(配列番号4);106.1/hu.37(配列番号10);LG−9/hu.39(配列番号24);114.3/hu.40(配列番号11);127.2/hu.41(配列番号6);127.5/hu.42(配列番号8);hu.66(配列番号173);改変rh.2(配列番号231);およびhu.67(配列番号174);同源系統群Dからの2−15/rh.62(配列番号33);1−7/rh.48(配列番号32);4−9/rh.54(配列番号40);および4−19/rh.55(配列番号37および117);改変cy.5(配列番号227);改変rh.13(配列番号228);ならびに改変rh.37(配列番号229);同源系統群Bからの52/hu.19(配列番号62および133)、52.1/
hu.20(配列番号63および134)、54.5/hu.23(配列番号60)、54.2/hu.22(配列番号67)、54.7/hu.24(配列番号66)、54.1/hu.21(配列番号65)、54.4R/hu.27(配列番号64);46.2/hu.28(配列番号68);46.6/hu.29(配列番号69);改変hu.29(配列番号225);同源系統群Aからの128.1/hu.43(配列番号80);128.3/hu.44(配列番号81);hu.46(配列番号82);および130.4/hu.48(配列番号78);同源系統群Cからの3.1/hu.9(配列番号58);16.8/hu.10(配列番号56);16.12/hu.11(配列番号57);145.1/hu.53(配列番号176);145.6/hu.55(配列番号178);145.5/hu.54(配列番号177);7.3/hu.7(配列番号55);改変hu.7(配列番号226);33.4/hu.15(配列番号50);33.8/hu.16(配列番号51);58.2/hu.25(配列番号49);161.10/hu.60(配列番号170);H−5/hu.3(配列番号44);hu.18(配列番号149);H−1/hu.1(配列番号46);ならびに161.6/hu.61(配列番号174);同源系統群Fからのhu.14/AAV9(配列番号3)、hu.31(配列番号1)およびhu.32(配列番号2);rh.59(配列番号49)およびrh.60(配列番号31);若しくはそれらの独特の機能的フラグメントよりなる群から選択される、上記分子。
【0254】
態様51:前記分子が、AAVキャプシドタンパク質および機能的AAV repタンパク質をコードするAAV配列を含んでなる、態様50に記載の分子。
【0255】
態様52:前記分子がプラスミドである、態様50に記載の分子。
【0256】
態様53:AAVキャプシドを含んでなる組換えAAVの生成方法であって、(a)アデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質をコードする分子;(b)機能的rep遺伝子;(c)AAV逆方向末端反復配列(ITR)および導入遺伝子を含んでなるミニ遺伝子;ならびに(d)該ミニ遺伝子のAAVキャプシドタンパク質中へのパッケージングを可能にするのに十分なヘルパー機能を含有する宿主細胞を培養する段階を含んでなり、前記宿主細胞が態様50に記載の分子を含んでなる、上記方法。
【0257】
態様54:態様30に記載のアデノ随伴ウイルスでトランスフェクトした宿主細胞。
【0258】
態様55:態様50に記載の分子でトランスフェクトした宿主細胞。
【0259】
態様56:態様47に記載のAAVおよび生理学的に適合性の担体を含んでなる組成物。
【0260】
態様57:態様50に記載の分子および生理学的に適合性の担体を含んでなる組成物。
【0261】
態様58:細胞への導入遺伝子の送達方法であって、前記方法が、態様47に記載のAAVと細胞を接触させる段階を含んでなり、前記rAAVが導入遺伝子を含んでなる、上記方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドおよび細胞への送達のための異種分子を含んでなる血清型9のアデノ随伴ウイルス(AAV)であって、
該AAVキャプシドが、配列番号123のアミノ酸1ないし736の配列のキャプシドに血清学的に関連付けられ、かつ、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7若しくはAAV8のいずれかのキャプシドタンパク質とも血清学的に異なる、上記AAV。
【請求項1】
アデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドおよび細胞への送達のための異種分子を含んでなる血清型9のアデノ随伴ウイルス(AAV)であって、
該AAVキャプシドが、配列番号123のアミノ酸1ないし736の配列のキャプシドに血清学的に関連付けられ、かつ、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7若しくはAAV8のいずれかのキャプシドタンパク質とも血清学的に異なる、上記AAV。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図2J】
【図2K】
【図2L】
【図2M】
【図2N】
【図2O】
【図2P】
【図2Q】
【図2R】
【図2S】
【図2T】
【図2U】
【図2V】
【図2W】
【図2X】
【図2Y】
【図2Z】
【図2AA】
【図2AB】
【図2AC】
【図2AD】
【図2AE】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図3J】
【図3K】
【図3L】
【図3M】
【図3N】
【図3O】
【図3P】
【図3Q】
【図3R】
【図3S】
【図3T】
【図3U】
【図3V】
【図3W】
【図3X】
【図3Y】
【図3Z】
【図3AA】
【図3AB】
【図3AC】
【図3AD】
【図3AE】
【図3AF】
【図3AG】
【図3AH】
【図3AI】
【図3AJ】
【図3AK】
【図3AL】
【図3AM】
【図3AN】
【図3AO】
【図3AP】
【図3AQ】
【図3AR】
【図3AS】
【図3AT】
【図3AU】
【図3AV】
【図3AW】
【図3AX】
【図3AY】
【図3AZ】
【図3BA】
【図3BB】
【図3BC】
【図3BD】
【図3BE】
【図3BF】
【図3BG】
【図3BH】
【図3BI】
【図3BJ】
【図3BK】
【図3BL】
【図3BM】
【図3BN】
【図3BO】
【図3BP】
【図3BQ】
【図3BR】
【図3BS】
【図3BT】
【図3BU】
【図3BV】
【図3BW】
【図3BX】
【図3BY】
【図3BZ】
【図3CA】
【図3CB】
【図3CC】
【図3CD】
【図3CE】
【図3CF】
【図3CG】
【図3CH】
【図3CI】
【図3CJ】
【図3CK】
【図3CL】
【図3CM】
【図3CN】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図2H】
【図2I】
【図2J】
【図2K】
【図2L】
【図2M】
【図2N】
【図2O】
【図2P】
【図2Q】
【図2R】
【図2S】
【図2T】
【図2U】
【図2V】
【図2W】
【図2X】
【図2Y】
【図2Z】
【図2AA】
【図2AB】
【図2AC】
【図2AD】
【図2AE】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図3J】
【図3K】
【図3L】
【図3M】
【図3N】
【図3O】
【図3P】
【図3Q】
【図3R】
【図3S】
【図3T】
【図3U】
【図3V】
【図3W】
【図3X】
【図3Y】
【図3Z】
【図3AA】
【図3AB】
【図3AC】
【図3AD】
【図3AE】
【図3AF】
【図3AG】
【図3AH】
【図3AI】
【図3AJ】
【図3AK】
【図3AL】
【図3AM】
【図3AN】
【図3AO】
【図3AP】
【図3AQ】
【図3AR】
【図3AS】
【図3AT】
【図3AU】
【図3AV】
【図3AW】
【図3AX】
【図3AY】
【図3AZ】
【図3BA】
【図3BB】
【図3BC】
【図3BD】
【図3BE】
【図3BF】
【図3BG】
【図3BH】
【図3BI】
【図3BJ】
【図3BK】
【図3BL】
【図3BM】
【図3BN】
【図3BO】
【図3BP】
【図3BQ】
【図3BR】
【図3BS】
【図3BT】
【図3BU】
【図3BV】
【図3BW】
【図3BX】
【図3BY】
【図3BZ】
【図3CA】
【図3CB】
【図3CC】
【図3CD】
【図3CE】
【図3CF】
【図3CG】
【図3CH】
【図3CI】
【図3CJ】
【図3CK】
【図3CL】
【図3CM】
【図3CN】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【公開番号】特開2012−175974(P2012−175974A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−53003(P2012−53003)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【分割の表示】特願2006−533879(P2006−533879)の分割
【原出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(502409813)ザ・トラステイーズ・オブ・ザ・ユニバーシテイ・オブ・ペンシルベニア (37)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【分割の表示】特願2006−533879(P2006−533879)の分割
【原出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(502409813)ザ・トラステイーズ・オブ・ザ・ユニバーシテイ・オブ・ペンシルベニア (37)
【Fターム(参考)】
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