Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
アトピー性皮膚炎の予防または治療用経口剤
説明

アトピー性皮膚炎の予防または治療用経口剤

本発明によれば、ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を含有するアトピー性皮膚炎の予防または治療用経口剤、飲食品、飼料、食品添加剤または飼料添加剤、特に、ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を0.1〜90重量%含有する該経口剤、飲食品、飼料、食品添加剤または飼料添加剤を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を含有するアトピー性皮膚炎の予防または治療用経口剤、飲食品、飼料、食品添加剤および飼料添加剤に関する。
【背景技術】
厚生労働省の疫学的調査によれば、人口の約30%が何らかのアレルギー疾患に罹患していると報告されている。特にアトピー性皮膚炎については、幼児のみならず、成人においてもその有病率の増加とともに、難治性の増加が報告されている。
現在、アレルギー疾患の治療薬としては、抗ヒスタミン剤、ステロイド剤、抗アレルギー剤が用いられている(医学のあゆみ,180巻,1号,70ページ,1997年参照)。
抗ヒスタミン剤および抗アレルギー剤は、掻痒感を軽減する効果に対しては速効性があるが、対処療法にすぎない。
ステロイド剤は大量または長期間使用する場合、感染症の誘発、副腎皮質機能低下、毛細血管拡張、皮膚の萎縮などの副作用があり、安全な治療薬ではない。
アトピー性皮膚炎の予防または治療効果を有する医薬品または飲食品としては、ウーロン茶抽出物(特開平10−77231号公報参照)、ラフィノース〔FOOD Style(フード スタイル)21,2巻,4号,262−265ページ,1998年参照〕、プロポリス〔FOOD Style 21,2巻,4号,55−56ページ,1998年参照〕等が報告されている。
ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩が外用により、アトピー性皮膚炎予防または治療効果を発揮することは知られている(国際公開第02/06225号パンフレット参照)。また、ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を配合した抗リウマチ薬や創傷治療薬(特開平8−337526号公報参照)が知られている。しかしながら、ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩が経口により、アトピー性皮膚炎の予防または治療効果を発揮するということは知られていない。
【発明の開示】
本発明の目的は、安全なアトピー性皮膚炎の予防または治療用の経口剤、飲食品、飼料、食品添加剤および飼料添加剤を提供することにある。
本発明は以下(1)〜(14)に関する。
(1) ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を含有するアトピー性皮膚炎の予防または治療用経口剤。
(2) ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を0.1〜90重量%含有する上記(1)の経口剤。
(3) ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体のアシル基が、炭素数1〜24のアシル基である上記(1)または(2)の経口剤。
(4) ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体が、N−アセチル化誘導体、N−プロピオニル化誘導体、N−ブチリル化誘導体またはイソブチリル化誘導体である上記(1)〜(3)のいずれか1つの経口剤。
(5) ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を含有するアトピー性皮膚炎の予防または治療用飲食品若しくは飼料。
(6) ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を0.1〜90重量%含有する上記(5)の飲食品若しくは飼料。
(7) ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体のアシル基が、炭素数1〜24のアシル基である上記(5)または(6)の飲食品若しくは飼料。
(8) ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体が、N−アセチル化誘導体、N−プロピオニル化誘導体、N−ブチリル化誘導体またはイソブチリル化誘導体である、上記(5)〜(7)のいずれか1つの飲食品若しくは飼料。
(9) ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を含有するアトピー性皮膚炎の予防または治療用食品添加剤若しくは飼料添加剤。
(10) ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を0.1〜90重量%含有する上記(9)の食品添加剤若しくは飼料添加剤。
(11) ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体のアシル基が、炭素数1〜24のアシル基である上記(9)または(10)の食品添加剤若しくは飼料添加剤。
(12)ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体が、N−アセチル化誘導体、N−プロピオニル化誘導体、N−ブチリル化誘導体またはイソブチリル化誘導体である上記(9)〜(11)のいずれか1つの食品添加剤若しくは飼料添加剤。
(13) ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を有効量、経口投与または摂取することを特徴とするアトピー性皮膚炎の予防または治療方法。
(14) アトピー性皮膚炎の予防または治療用の経口剤、食品、飼料、食品添加剤または飼料添加剤の製造のためのヒドロキシプロリン若しくはピドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩の使用。
本発明で用いられるヒドロキシプロリンは、いずれのヒドロキシプロリンの立体異性体であってもよい。すなわち、ヒドロキシプロリンのプロリンがD体かL体か、また水酸基の位置が3位か4位か、およびその立体異性体がシスかトランスかによって8種類の立体異性体があるが、いずれの化合物も本発明に用いることができる。
具体的なヒドロキシプロリンとしては、シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、シス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、トランス−3−ヒドロキシ−L−プロリンおよびトランス−3−ヒドロキシ−D−プロリンがあげられる。
ヒドロキシプロリンは、コラーゲン中の主要構成アミノ酸成分として、また、エラスチンの構成アミノ酸として自然界に広く存在するアミノ酸の一種であり、例えばブタやウシ等の動物由来のコラーゲンを酸加水分解し、常法により精製することにより製造することができる。
トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンは、アミコラトプシス(Amycolatopsis)属またはダクチロスポランジウム(Dactylosporangium)属より単離したプロリン4位水酸化酵素(特開平7−313179)を用いて製造することができる。また、シス−3−ヒドロキシ−L−プロリンは、ストレプトマイセス(Streptomyces)属より単離したプロリン3位水酸化酵素(特開平7−322885)を用いて製造することができる(バイオインダストリー,14巻,31号,1997年)。
上記した微生物由来の酵素を用いて製造されるヒドロキシプロリンは、品質が優れており、本発明で用いるヒドロキシプロリンとしてより好ましい。
本発明で用いられるヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体としては、上記の各種ヒドロキシプロリンの立体異性体のN−アシル化誘導体をあげることができる。該N−アシル化誘導体のアシル基としては、炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜6のアシル基があげられ、具体的には、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル等をあげることができ、特にアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリルが好ましい。
ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体の塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアミンの付加塩およびアルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸の付加塩などをあげることができる。
ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体は、公知の方法により調製することができる。例えば、ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体は、直鎖または分岐状の炭素数1〜24の飽和または不飽和の脂肪酸を塩化チオニル、ホスゲン等のハロゲン化剤を用いてクロライド、ブロマイド等のハロゲン化物に変換した後、前述のヒドロキシプロリンと縮合させるか、または脂肪酸を酸無水物に変換した後、ヒドロキシプロリンと反応させることにより製造することができる。
脂肪酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸等の脂肪酸を単独若しくは組合せたものが用いられる。
酸ハロゲン化物を経由するヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体の製造方法を、以下に例示する。
脂肪酸を塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン等の溶媒中に分散し、これに1〜5倍当量のハロゲン化剤を添加して反応させ、脂肪酸ハライドを得る。次に、ヒドロキシプロリンを溶媒に溶解または分散させ、得られた溶液を5〜70℃に保ちながら、上記の脂肪酸ハライドをヒドロキシプロリン対して0.3〜3.0倍当量加え、アシル化反応を行うことによりヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体を製造することができる。
アシル化反応に用いられる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられ、これらは単独あるいは混合して用いてもよい。ヒドロキシプロリンを溶媒に溶解または分散する際、ヒドロキシプロリンに対して0.8〜2.0倍当量の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ物質を必要に応じて溶媒に溶解または分散させてもよい。
ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体の塩を取得したいとき、ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体が塩の形で得られる場合には、そのまま精製すればよく、遊離の形で得られる場合には、適当な溶媒に溶解または懸濁し、塩基を加えて塩を形成させればよい。
精製は、例えば結晶化、クロマトグラフィー等の通常の方法が用いられる。
具体的なヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体としては、例えば、N−アセチル−シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−アセチル−シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−アセチル−シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−アセチル−シス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−アセチル−トランス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−アセチル−トランス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−プロピオニル−シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−プロピオニル−シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−プロピオニル−シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−プロピオニル−シス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−プロピオニルトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−プロピオニル−トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−プロピオニル−トランス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−プロピオニル−トランス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−ブチリル−シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−ブチリル−シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−ブチリル−シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−ブチリル−シス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−ブチリル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−ブチリル−トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−ブチリル−トランス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−ブチリル−トランス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−イソブチリル−シス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−イソブチリル−シス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−イソブチリル−シス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−イソブチリル−シス−3−ヒドロキシ−D−プロリン、N−イソブチリル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、N−イソブチリル−トランス−4−ヒドロキシ−D−プロリン、N−イソブチリル−トランス−3−ヒドロキシ−L−プロリン、N−イソブチリル−トランス−3−ヒドロキシ−D−プロリン等をあげることができる。
本発明のアトピー性皮膚炎の予防または治療用の経口剤、飲食品、飼料、食品添加剤または飼料添加剤において、ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩は、シス/トランス−4−ヒドロキシ−L/D−プロリン、シス/トランス−3−ヒドロキシ−L/D−プロリン、若しくはこれらの種々のN−アシル化誘導体またはその塩を、単独または混合して用いることができる。
本発明のアトピー性皮膚炎の予防または治療用の経口剤、飲食品、飼料、食品添加剤または飼料添加剤中のヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩の含有量は目的とする効果に応じて広い範囲で増減することができ、例えば、0.1〜90重量%、好ましくは1〜70重量%、特に好ましくは5〜50重量%である。
本発明のアトピー性皮膚炎の予防または治療用の経口剤、飲食品、飼料、食品添加剤または飼料添加剤には、上記必須成分に加え、適宜、各用途に適した添加剤を含有させることができる。
本発明の経口剤は、ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を含有し、必要に応じて薬理学的に許容される一種若しくはそれ以上の担体、さらに必要に応じて他の治療のための有効成分を含有していてもよい。
本発明の経口剤は、ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を必要に応じ担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造することができる。
本発明の経口剤を製剤化する際には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、希釈剤、緩衝剤、抗酸化剤、細菌抑制剤等の添加剤を用いることができる。
経口剤の剤形としては、錠剤、散剤、顆粒剤、乳剤、シロップ剤、カプセル剤等があげられる。例えば、経口剤の剤形が、錠剤、散剤、顆粒剤等の場合には、乳糖、白糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニトール、ソルビトール等の糖類、バレイショ、コムギ、トウモロコシ等の澱粉、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム等の無機物、カンゾウ末、ゲンチアナ末等の植物末等の賦形剤、澱粉、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク、水素添加植物油、マクロゴール、シリコン油等の滑沢剤、ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルメロース、ゼラチン、澱粉のり液等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可塑剤などを添加して、製剤化することができる。
経口剤の剤形がシロップ剤等の液体調製物である場合は、水、蔗糖、ソルビトール、果糖等の糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油等の油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミント等のフレーバー類などを添加して、製剤化することができる。
本発明の経口剤中のヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩の濃度は、経口剤の種類、当該経口剤の投与により期待する効果等に応じて適宜選択されるが、ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩として、通常は0.1〜90重量%、好ましくは1〜70重量%、特に好ましくは5〜50重量%である。
本発明の経口剤の投与量は、投与形態、投与される者の年齢、体重等に応じて異なるが、通常成人に対し一日あたりヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を有効量として、100〜10000mg、好ましくは100〜2000mg、特に好ましくは200〜1000mgであり、1日に1回または数回に分けて投与する。
本発明の経口剤は、他のステロイド剤等の抗掻痒剤と併用してもよい。
ステロイド剤としては、プレドニゾロン、コルチゾール、デキサメタゾン、ベタメタゾン等の糖質ステロイド剤、フルドロコルチゾン、アルドステン等の塩類ステロイド剤などが用いられるが、糖質ステロイド剤が好適に用いられる。
なお、本発明において「アトピー性皮膚炎の予防」とは、日常的に本発明のアトピー性皮膚炎の予防剤を投与または摂取することで、アトピー性皮膚炎の(a)発症を完全に防ぐ、(b)発症率を低減させる、または(c)発症時の症状を抑制する、などの効果を及ぼすことをいう。
本発明の食品添加剤は、上記で説明した経口剤と同様な方法により調製することができる。食品添加剤は、通常、必要に応じて他の食品添加剤を混合または溶解し、例えば粉末、顆粒、ペレット、錠剤、各種液剤の形態に加工製造される。
本発明の飲食品としては、飲食品中にヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を添加したものをあげることができる。
本発明の飲食品は、飲食品中にヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を添加する以外は、一般的な飲食品の製造方法を用いることにより、加工製造することができる。
本発明の飲食品は、例えば流動層造粒、攪拌造粒、押し出し造粒、転動造粒、気流造粒、圧縮成形造粒、解砕造粒、噴霧造粒、噴射造粒等の造粒方法、パンコーティング、流動層コーティング、ドライコーティング等のコーティング方法、パフドライ、過剰水蒸気法、フォームマット方法、マイクロ波加熱方法等の膨化方法、押出造粒機やエキストルーダー等の押出方法等を用いて製造することもできる。
本発明の飲食品は、ジュース類、清涼飲料水、茶類、乳酸菌飲料、発酵乳、冷菓、バター、チーズ、ヨーグルト、加工乳、脱脂乳等の乳製品、ハム、ソーセージ、ハンバーグ等の畜肉製品、蒲鉾、竹輪、さつま揚げ等の魚肉練り製品、だし巻き、卵豆腐等の卵製品、クッキー、ゼリー、チューインガム、キャンデー、スナック菓子等の菓子類、パン類、麺類、漬物類、燻製品、干物、佃煮、塩蔵品、スープ類、調味料等、いずれの形態のものであってもよい。
また、本発明の飲食品は、例えば粉末食品、シート状食品、瓶詰め食品、缶詰食品、レトルト食品、カプセル食品、タブレット状食品、流動食品、ドリンク剤等の形態のものであってもよい。
本発明の飲食品は、アトピー性皮膚炎の予防または治療用健康食品または機能性食品等の飲食品として用いることができる。
本発明の飲食品または食品添加剤には、一般的に飲食品に用いられる食品添加剤、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色料、漂白料、防かび剤、ガムベース、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料、香辛料抽出物等が添加されてもよい。
本発明の飲食品中へのヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩、または本発明の食品添加剤の添加量は、飲食品の種類、当該飲食品の摂取により期待する効果等に応じて適宜選択されるが、ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩として、通常は0.1〜90重量%、好ましくは1〜70重量%、特に好ましくは5〜50重量%含有するように添加される。
本発明の飲食品の摂取量は、摂取形態、摂取者の年齢、体重等に応じて異なるが、通常成人に対し一日あたりヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を有効量として、100〜10000mg、好ましくは100〜2000mg、特に好ましくは200〜1000mgであり、1日に1回または数回に分けて摂取する。摂取期間は、特に限定はないが、通常は1日間〜1年間、好ましくは1週間〜3ケ月間である。
本発明の飼料添加剤は、本発明の経口剤と同様な方法により調製することができる。飼料添加剤は、通常、必要に応じて他の飼料添加物を混合または溶解し、例えば粉末、顆粒、ペレット、錠剤、各種液剤の形態に加工製造される。
本発明の飼料は、哺乳類、鳥類等の動物に対するアトピー性皮膚炎の予防または治療用の飼料であれば、ペット用飼料、家畜用飼料、家禽用飼料等、いずれの飼料であってもよいが、例えばサル、イヌ、ネコ、ラットおよびマウス等のペット用のアトピー性皮膚炎の予防または治療用の飼料として好適に用いることができる。
本発明の飼料は、飼料中にヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩、あるいは本発明の飼料添加剤を添加する以外は、一般的な飼料の製造方法を用いることにより加工製造することができる。
飼料としそは、穀物類、そうこう類、植物性油かす類、動物性飼料、その他の飼料、精製品、またはこれらの混合物等があげられる。
穀物類としては、例えばマイロ、小麦、大麦、えん麦、らい麦、玄米、そば、あわ、きび、ひえ、とうもろこし、大豆等があげられる。
そうこう類としては、例えば米ぬか、脱脂米ぬか、ふすま、末粉、小麦、胚芽、麦ぬか、ペレット、トウモロコシぬか、トウモロコシ胚芽等があげられる。
植物性油かす類としては、例えば大豆油かす、きな粉、亜麻仁油かす、綿実油かす、落花生油かす、サフラワー油かす、やし油かす、パーム油かす、胡麻油かす、ひまわり油かす、菜種油かす、カポック油かす、芥子油かす等があげられる。
動物性飼料としては、例えば北洋ミール、輸入ミール、ホールミール、沿岸ミール等の魚粉、フィッシュソルブル、肉粉、肉骨粉、血粉、分解毛、骨粉、家畜用処理副産物、フェザーミール、蚕よう、脱脂粉乳、カゼイン、乾燥ホエー等があげられる。
その他の飼料としてば、アルファルファ、ヘイキューブ、アルファルファリーフミール、ニセアカシア粉末等の植物茎葉類、コーングルテン、ミール、コーングルテンフィード、コーンステープリカー等のトウモロコシ加工工業副産物、デンプン等のデンプン加工品、酵母、ビールかす、麦芽根、アルコールかす、しょう油かす等の発酵工業産物、柑橘加工かす、豆腐かす、コーヒーかす、ココアかす等の農産製造副産物、キャッサバ、そら豆、グアミール、海藻、オキアミ、スピルリナ、クロレラ、鉱物等があげられる。
精製品としては、カゼイン、アルブミン等のタンパク質、アミノ酸、スターチ、セルロース、蔗糖、グルコース等の糖質、ミネラル、ビタミン等があげられる。
本発明の飼料は、例えば流動層造粒、攪拌造粒、押し出し造粒、転動造粒、気流造粒、圧縮成形造粒、解砕造粒、噴霧造粒、噴射造粒等の造粒方法、パンコーティング、流動層コーティング、ドライコーティング等のコーティング方法、パフドライ、過剰水蒸気法、フォームマット方法、マイクロ波加熱方法等の膨化方法、押出造粒機やエキストルーダー等の押出方法等を用いて製造することもできる。
本発明の飼料中へのヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩、または飼料添加剤の添加量は、飼料の種類、当該飼料の摂食により期待する効果等に応じて適宜選択されるが、ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩として、通常は0.1〜90重量%、好ましくは1〜70重量%、特に好ましくは5〜50重量%含有するように添加される。
本発明の飼料の摂取量は、摂取形態、摂取動物の種類、該動物の年齢、体重等に応じて異なるが、通常動物に対し一日あたりヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を有効量として、100〜10000mg、好ましくは100〜2000mg、特に好ましくは200〜1000mgであり、1日に1回または数回に分けて摂取する。摂取期間は、特に限定はないが、通常は1日間〜1年間、好ましくは1週間〜3ケ月間である。
以下に、ヒドロキシプロリンまたはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体による、アトピー性皮膚炎の予防または治療効果を調べた試験例を示す。
試験例1 アトピー性皮膚炎発症モデルマウスを用いた耳介浮腫の抑制評価
試験には、NC/Ngaマウス(5週齢、チャールズ・リバーより購入)を用いた。飼育条件は、室温22±2℃、湿度35±15%、飼料および水は自由摂取とした。
ハプテン塗布9日前より、第1表に示す試験飼料の投与を開始した。試験飼料は、粉末飼料CE−2(日本クレア社製)に、0.25重量%のN−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン、または0.50重量%のトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンをよく混合することにより調製した。N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを含む飼料を飼料1、トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを含む飼料を飼料2とし、対照飼料には粉末飼料CE−2を用いた。

ハプテンとしては1.5重量%のジニトロクロロベンゼン(DNCB)を、20体積%オリーブオイルと80体積%アセトン液からなる溶液に溶解したものを用いた。
マウスは各試験群3匹ずつとし、飼料投与開始後9日後、10日後、13日後、14日後に1.5%DNCBを20μlずつ右耳介部の両面に塗布した。
ハプテン塗布開始日より1日1回、右耳介部の厚さをPESCOCK DIAL THICKNESS GAUGE(尾崎製作所製)を用いて測定した。
耳介浮腫の増加量を、DNCB未処理マウスの耳介浮腫の増加量に対する相対値として、下記式1に従って算出した結果を第2表に示す。
(式1)
相対耳介浮腫の増加量(%)=[(A1×B2)/(A2×B1)]×100
A1:被検マウスの経過日数後の耳介の厚み
A2:被検マウスの試験開始時の耳介の厚み
B1:未処理マウスの経過日数後の耳介の厚み
B2:未処理マウスの試験開始時の耳介の厚み

対照飼料食群では、DNCBにより耳介浮腫が誘発されたのに対して、0.25%のN−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン含有飼料食群および0.5%のトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン含有飼料食群では明らかに耳介浮腫が抑制された。
試験例2 アトピー性皮膚炎発症モデルマウスを用いたIgE濃度の評価
試験例1で用いたアトピー性皮膚炎発症モデルマウスについて、試験飼料投与開始27日後に、右大腿部より採血を行った。採血したサンプルは遠心分離後、血清を回収し、ELISAにて血清中IgE濃度を測定した結果を第3表に示す。

対照飼料食群では、DNCB塗布により血清中IgE濃度が上昇したのに対して、0.25%のN−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン含有飼料食群および0.5%のトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン含有飼料食群ではDNCB塗布による血清IgE濃度の上昇が有意に抑制された。
試験例3 アトピー性皮膚炎発症モデルマウスを用いた肥満細胞数評価
試験例1で用いたアトピー性皮膚炎発症モデルマウスについて、試験飼料投与開始27日後に、耳介部組織をTissue−Tek O.C.T.コンパウンド(サクラ精機株式会社製)に凍結包埋した。クリオスタットにて、6μmの薄切切片を作成後、トルイジンブルー染色し、肥満細胞数を計測した結果を第4表に示す。

対照飼料食群では、DNCB塗布により炎症部位での肥満細胞密度が増加したのに対して、0.25%のN−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン含有飼料食群および0.5%のトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン含有飼料食群では、明らかにDNCB塗布による肥満細胞密度の増加が抑制された。
以上より、ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体の経口摂取がアトピー性皮膚炎の予防または治療に有効であることが示された。
以下に、本発明の実施例を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
実施例1 ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体を含む錠剤の製造
N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを含む錠剤を、常法により製造した。すなわち、第5表に記載した各成分を均一に混合し、この混合物を単発式打錠機にて打錠し、直径5mm、重量15mgの錠剤を得た。

実施例2 ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体を含む顆粒剤の製造
実施例1で得た錠剤を粉砕、製粒し、篩別して20−50メッシュの顆粒剤を得た。
実施例3 ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体を含む飲料の製造
N−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを含む飲料は、第6表に記載した各成分を均一に攪拌溶解させ、精製水を加えて全量を1000mlとすることにより製造した。なお、第6表中の適量とは、香料、色素に関しては、通常の飲料の製造に用いられる量であり、精製水に関しては、他の成分に加え、全量として1000mlにするために必要な量のことをいう。

実施例4 ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体を含む飴の製造
第7表に記載した各成分からなるN−アセチル−トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリンを含む飴は、常法により製造した。

【産業上の利用可能性】
本発明により、安全なアトピー性皮膚炎の予防または治療用の経口剤、飲食品、飼料、食品添加剤または飼料添加剤を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を含有するアトピー性皮膚炎の予防または治療用経口剤。
【請求項2】
ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を0.1〜90重量%含有する請求項1記載の経口剤。
【請求項3】
ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体のアシル基が、炭素数1〜24のアシル基である請求項1または2記載の経口剤。
【請求項4】
ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体が、N−アセチル化誘導体、N−プロピオニル化誘導体、N−ブチリル化誘導体またはイソブチリル化誘導体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の経口剤。
【請求項5】
ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を含有するアトピー性皮膚炎の予防または治療用飲食品若しくは飼料。
【請求項6】
ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を0.1〜90重量%含有する請求項5記載の飲食品若しくは飼料。
【請求項7】
ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体のアシル基が、炭素数1〜24のアシル基である請求項5または6記載の飲食品若しくは飼料。
【請求項8】
ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体が、N−アセチル化誘導体、N−プロピオニル化誘導体、N−ブチリル化誘導体またはイソブチリル化誘導体である請求項5〜7のいずれか1項に記載の飲食品若しくは飼料。
【請求項9】
ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を含有するアトピー性皮膚炎の予防または治療用食品添加剤若しくは飼料添加剤。
【請求項10】
ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を0.1〜90重量%含有する請求項9記載の食品添加剤若しくは飼料添加剤。
【請求項11】
ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体のアシル基が、炭素数1〜24のアシル基である請求項9または10記載の食品添加剤若しくは飼料添加剤。
【請求項12】
ヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体が、N−アセチル化誘導体、N−プロピオニル化誘導体、N−ブチリル化誘導体またはイソブチリル化誘導体である請求項9〜11のいずれか1項に記載の食品添加剤若しくは飼料添加剤。
【請求項13】
ヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩を有効量、経口投与または摂取することを特徴とするアトピー性皮膚炎の予防または治療方法。
【請求項14】
アトピー性皮膚炎の予防または治療用の経口剤、食品、飼料、食品添加剤または飼料添加剤の製造のためのヒドロキシプロリン若しくはヒドロキシプロリンのN−アシル化誘導体またはその塩の使用。

【国際公開番号】WO2004/039368
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【発行日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548111(P2004−548111)
【国際出願番号】PCT/JP2003/014022
【国際出願日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】