説明

アトルバスタチンカルシウムの酸化分解生成物

本発明は、アトルバスタチンカルシウムの酸化分解生成物およびその調製方法に関する。本発明はまた酸化分解生成物の実質的に存在しないアトルバスタチンカルシウムおよびかかるアトルバスタチンカルシウムを含有する医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機化学の分野に属し、アトルバスタチンカルシウムの酸化分解生成物およびこの製造方法に関する。本発明はまた酸化分解生成物の実質的に存在しないアトルバスタチンカルシウムおよびかかるアトルバスタチンカルシウムを含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬活性物質の純度は、薬物の安全と品質の確保において常に本質的な要素として考えられてきた。当技術分野においてよく知られているように、医薬活性物質の製造における多くの異なる複雑な工程は、必要とする生成物のみならず、構造的に密接に関連した化合物の不純物をもたらす。さらに、多くの医薬活性物質は、例えば温度、pH、湿度、光、ガス、酸素、二酸化炭素、操作または保存中の環境媒体の反応性等の環境の影響に敏感である。かかる環境の影響は、医薬活性化合物を活性化合物に比べしばしば効果のより低い分解生成物へ変える原因となり得る。効果の低下と異なり、分解生成物は望ましくない副作用の原因ともなり得、したがって薬剤の安全使用にマイナスの影響を及ぼし得る。活性物質中に存在する非常に低いパーセントの不純物または分解生成物であっても、薬物の安全を顕著に損なうことがある。したがって、投与する際の医薬活性物質ができるだけ純粋であることは非常に重要であり、このことは、医薬活性物質中に存在する分解生成物および不純物のパーセントを最小にすべきことを意味する。
【0003】
さらに、医薬調剤形態において使用される薬学的な賦形剤も医薬活性物質中に存在する分解生成物および不純物の量に影響する。薬学的な賦形剤それ自体の分解生成物は、医薬調剤形態において、医薬活性物質の分解反応のきっかけとなる反応部位として作用することがある。
【0004】
種々の医薬活性物質の酸化分解に対する感受性は、Waterman,K.C等により、“Stabilization of Pharmaceuticals to Oxidative Degradation”,Pharmaceutical Development and Technology,7(1),2002,1−32において記載されており、酸化分解に対し医薬活性物質を安定化する可能な手段も示されている。上述の文献は、固体の医薬調剤形態における酸化のメカニズムの研究が困難であり、そして求められており、上記の分野においてはそれが報告によって示されることはあまりないが、活性物質それ自体およびより頻繁には医薬調剤形態における活性物質が酸化し得ることを教示している。Bym,S.R.等(Solid−State Chemistry of Drugs,2nd Ed.,SSCI,West Lafayette,1999)は、大気からの酸素分子が有機結晶と反応すること、および上記の反応性が酸素に対する透過性および結晶格子中における溶解性をそれぞれ決定する、結晶形態および活性物質の形態に依存することを開示している。いくつかの例においては、融点の上昇に伴い反応性が低下することが示され、高い結晶格子エネルギーが酸素の拡散を阻害することが示されている。
【0005】
医薬製剤中の活性物質の酸化を阻止または低減するため、現在までに、例えば以下の異なる手段が用いられてきた:
1.酸化が賦形剤中の過酸化物および金属不純物の存在により引き起こされる場合、医薬製剤中の活性物質の濃度を増大させる;
2.賦形剤中に存在する金属不純物を除去するために、キレート剤(例えば、クエン酸、EDTA、フマル酸およびマレイン酸)を添加する;
3.高純度の薬学的賦形剤を使用する;
4.特に過酸化物不純物により賦形剤が酸化の原因となる場合、代わりの薬学的賦形剤を使用するか、医薬組成物中の賦形剤の量の低減する;
5.医薬組成物中の過酸化物の形成を阻止または軽減することが可能な抗酸化剤を使用する。
しかし、かかる抗酸化剤はすでに存在する過酸化物のレベルを同時に低減しない。いくつかの適切な抗酸化剤はすでに記載されており、
−連鎖停止剤(例えば、チオール類およびフェノール類);
−還元剤(例えば、亜硫酸塩およびアスコルビン酸)であり、活性物質に比べより容易に酸化され、したがって存在する酸素を除去する還元剤、ここでそれらの組合せは相乗的に作用し得る(例えば、アスコルビン酸パルミチン酸エステル(ascorbic palmitate)とトコフェロールの組合せ);
−フェントン処理の原理で過酸化物(例えば、Fe2+)を分解する過酸化物のスカベンジャー。しかし、この処理により、さらにフリーラジカルの反応およびしたがって活性物質の分解を誘起することのある、フリーのヒドロキシラジカルが形成され得るため、それらの使用は制限される。
−酸化を受ける活性物質の部位を覆うシクロデキストリン(Waterman,K.C等による、“Stabilization of Pharmaceuticals to Oxidative Degradation”,Pharmaceutical Development and Technology,7(1),2002,1−32)、
を含む。
【0006】
しかし、個々の活性物質について、最適な様式を予想するのは不可能であり、当分野において利用できる刊行物は少ない(Waterman,K.C等による、“Stabilization of Pharmaceuticals to Oxidative Degradation”,Pharmaceutical Development and Technology,7(1),2002,1−32)。
【0007】
アトルバスタチンカルシウムは、(R−(R*,R*))−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4((フェニルアミノ)カルボニル)−1H−ピロール−1−ヘプタン酸のヘミカルシウム塩の化学名を有し、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムA(HMG−CoA)還元酵素の阻害剤として知られている。このものは最初に米国特許第5273995号に記載された。アトルバスタチンカルシウムの調製方法およびその重要な中間体は、米国特許第5003080号、5097045号、5103024号、5124482号、5149837号、5155251号、5216174号、5245047号、5248793号、5280126号、5342952号および5397792号に記載されている。
【0008】
HMG−CoA還元酵素阻害剤は、周囲のpH、湿度、光、温度、二酸化炭素および酸素に敏感な薬学的活性な物質であることが知られている。それらは脂質とコレステロールの代謝と関連して、異常脂質血症(dyslipidemia)、高脂血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈疾患、冠状動脈性心臓病等からなる群から選択される、異常脂質血症および循環器疾患の処置に対して治療効果のある活性物質として知られている。スタチン化合物の作用メカニズムは、ヒトまたは動物の肝臓におけるコレステロールおよび他のステロールの生合成の阻害による。それらはHMG−CoA還元酵素または3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル−コエンザイムA還元酵素の競合的阻害剤であり、ヒトまたは動物の肝臓において、肝臓内でのコレステロールの生合成において重要な段階である、HMG−CoAのメバロン酸塩への転化を触媒する酵素である。最近の研究は、上記の治療効果に加えてスタチンは他の治療効果も有し、したがってそれらは、血管障害、炎症性疾患、アレルギー性疾患、神経変性疾患、悪性疾患、ウイルス性疾患(国際公開第0158443号)、異常骨状態(abnormal bone state)(国際公開第0137876号)、アルツハイマー病、ダウン症候群等のアミロイド−β前駆体タンパク質処理障害(amyloid−β precursor protein processing disorder)(国際公開第0132161号)からなる群から選択される疾患、病態および障害の処置に有効である。
【0009】
今日まで、アトルバスタチン物質中に酸化生成物を存在させない方法についての刊行物はほとんどなきに等しく、アトルバスタチンカルシウムの分解生成物はこれまで同定されなかった。不活性雰囲気中で製造工程を行うことにより、および不活性雰囲気中で適切な包装容器中に包装することによりアトルバスタチンカルシウムの酸化を防止することがスロベニアの特許出願SI P−200200244に記載された。化学名が3−(4−フルオロ−ベンゾイル)−2−イソブチリル−3−フェニル−オキシラン−2−カルボン酸フェニルアミドである、アトルバスタチンカルシウムの分解生成物の1つの構造および光分解によるこの調製がHurley,T.R.等の文献、Tetrahedron 49,1993,1979−1984に記載された。
【0010】
高レベルの純度の活性物質を得ることの重要性を考慮し、活性物質および/または医薬組成物中に存在する不純物または分解生成物のそれぞれの特徴付けが必要となっている。活性物質または医薬組成物中に存在するそれぞれの不純物または分解生成物の特徴は、特定の分析方法(例えば、HPLC)に対する不純物および/または分解生成物の感度係数(response factor)が活性物質の感度係数と異なる活性物質については特に重要である。即ち、かかる場合において、不純物または分解生成物の現実のレベルが許容される数値から事実上外れていても、規制基準に従って活性物質が薬学上許容されると宣言されることが起こり得る。
【0011】
本発明は、アトルバスタチンカルシウムおよび/またはその医薬組成物中に存在する3つの酸化分解生成物の特徴付けにより、技術的に簡単な方法により、および高収量で、酸化分解生成物の含量の低い、高純度の形態のアトルバスタチンカルシウム生成物を得るための技術に対する要求に合致している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の1つの目的は、アトルバスタチンカルシウムの酸化分解生成物であり、下記の化学式および化学名を有する新規な化合物に関する:
a)式I:
【0013】
【化1】

で表され、および化学名4−[6−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−1b−イソプロピル−6a−フェニル−1a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル]−3−(R)−ヒドロキシ酪酸(以下、ATV−シクロIPと記す)を有する化合物;
b)式II:
【0014】
【化2】

で表され、および化学名4−(4−フルオロ−フェニル)−2,4−ジヒドロキシ−2−イソプロピル−5−フェニル−3,6−ジオキサ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸フェニルアミド(以下、ATV−エポキシフランと記す)を有する化合物;
c)式III:
【0015】
【化3】

で表され、および化学名4−[1b−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−6−イソプロピル−1a−フェニル−6a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル]−3−(R)−ヒドロキシ酪酸(以下、ATV−シクロFPと記す)を有する化合物;
Hurley,T.R.等の文献、Tetrahedron 49,1993,1979−1984に記載のアトルバスタチンカルシウムの酸化分解生成物は、下記の化学式IV:
【0016】
【化4】

で表され、および化学名:3−(4−フルオロ−ベンゾイル)−2−イソブチリル−3−フェニル−オキシラン−2−カルボン酸フェニルアミド(以下、ATV−エポキシジオンと記す)を有する。
【0017】
アトルバスタチンカルシウムの酸化分解は、以下のスキームにより示されてもよい。
【0018】
【化5】

本発明による式I、II、IIIおよびIVで表される化合物は、酸化分解生成物としてアトルバスタチンカルシウム物質中に存在し、したがって、それらの量が最小であり、非常に少量においてのみ検出可能であることが非常に重要である。不純物としてそれらは患者に対し毒性または他の害による危険性を示す。これらの理由のために、該物質中における存在を最小限にすることが必要である。他方、例えば定量測定のための標準(化学構造が既知および分析が既知の化合物)を用いることにより、これらの不純物のレベルが正確にモニターされ、それによりそれらの量が正確におよび厳密に測定されることが非常に重要である。
【0019】
また、本発明は、本発明による式I、II、IIIおよびIVで表される化合物を調製するための新規な方法に関する。
【0020】
本発明による新規な化合物は、塩の形態(例えば、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、またはアンモニウム塩として)での固体アトルバスタチンを空気または酸素雰囲気中で、高温、例えば40から90℃の温度で酸化することによっても調製することができる。反応は1日から数日間行ってもよい。酸化は、水および/または有機溶媒および/または混合溶媒中、例えばアセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ジクロロメタンまたは塩化メチレン中にアトルバスタチン塩を含む溶液において、過酸化水素を添加することにより、または約40から90℃で空気もしくは酸素を溶液中に吹き込むことにより行うことができる。固体アトルバスタチン塩は任意の知られた方法により調製することができる。
【0021】
本発明による新規な化合物は、アトルバスタチン塩の溶液を日光または人工日光に曝すことにより、塩の形態(例えば、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、またはアンモニウム塩として)でのアトルバスタチンを光酸化によっても調製することができる。アトルバスタチン塩は任意の知られた方法により調製することができる。
【0022】
上記の方法により調製された本発明による新規な化合物は、分取順相または逆相クロマトグラフィーにより単離することができる。
【0023】
分取順相クロマトグラフィーにおいては、シリカゲルまたはシリカベースの結合相、例えばアミノプロピル、シアノプロピル、ジオールまたはニトロフェニルが結合された固定相を用いることができる。移動相は、極性改質剤アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノールまたはアセトニトリルの混合物、および非極性溶媒、例えばヘキサン、ジクロロメタン、メチルシクロヘキサン、または上で挙げた2種より多い溶媒の組合せによる混合物を含有する。
【0024】
分取順相クロマトグラフィーにおいて、シリカゲル上に結合したオクタデシルシランまたはオクチルシランを用いることができる。移動相は、5mMから100mMの濃度範囲および2から8のpH範囲の水と有機または無機緩衝剤との混合物を、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールまたはアセトニトリルから選択される1種以上の有機改質剤とともに含有する。
【0025】
本発明による新規化合物の単離において、1つ以上のクロマトグラフ工程を用いることができる。クロマトグラフ工程において使用される溶媒は、蒸発および/または凍結乾燥により除去することができる。
【0026】
上記の方法により調製および単離された本発明による新規化合物は、上記新規化合物の化学構造を決定するために、質量分析法および核磁気共鳴分光法により構造が特徴付けられた。特徴付けの方法およびそれによる結果を下記の実施例に示す。
【0027】
安定なアトルバスタチンカルシウム組成物を調製するための開発研究の間に、アトルバスタチンカルシウムが空気、より正確には酸素と接触すると、分解することを見出した。驚くべきことに、異なる抗酸化剤、例えばブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、フマル酸、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等の使用は、酸化分解生成物の形成を阻止または低減しなかった。驚くべきことに、アトルバスタチンカルシウムまたはアトルバスタチンカルシウムを含有する医薬組成物の周囲の大気中の酸素含量を低くすることにより、アトルバスタチンカルシウム中の酸化分解生成物の形成が顕著に低減され得ることを見出した。観測された酸化分解生成物の減少は、周囲の大気中の酸素含量の低下と直線的に比例した。この酸素含量の低下は、酸素を不活性ガス、例えば窒素ガスまたはアルゴンで置換することにより、またはアトルバスタチンカルシウム周囲の大気圧を低下させることにより達成することができる。
【0028】
不活性ガス雰囲気中でアトルバスタチンカルシウムの調製方法を実施し、不活性ガス雰囲気中でアトルバスタチンカルシウムを保存することに加え、アトルバスタチンカルシウム物質およびこれを含有する医薬組成物中に存在する酸化分解生成物の量をモニターすることが非常に重要である。望ましくない化合物の量を測定するためには、正確な定量分析の実施を可能にする、これらの化合物(これは化学構造および分析が知られている化合物を意味する)の標準を提供することが必要である。このことは、不純物および/または分解生成物の例えばHPLC分析における感度係数が活性物質の感度係数と比較して異なる場合に特に重要である。HPLC分析は通常薬学的に活性な物質および医薬組成物中の不純物測定に用いられる。
【0029】
驚くべきことに、250nmでのHPLC分析を行うとき、アトルバスタチンカルシウム物質中に存在するいくつかの化合物が、アトルバスタチンカルシウム自身と比較して異なる感度係数を示すことが見出された。即ち、アトルバスタチンカルシウム自身と比較して、式Iで表される本発明による新規化合物が0.41の感度係数を示し、式IIで表される本発明による新規化合物が0.72の感度係数を示し、式IIIで表される本発明による新規化合物が0.48の感度係数を示し、および式IVで表される本発明による新規化合物が1.20の感度係数を示す。
【0030】
活性物質および/または医薬組成物中の不純物の量は、薬物の安全に対する重要な因子であり、したがって不純物の量は最小限にすべきである。このことは、薬物の有効期間内に薬物中の分解生成物の量が上昇するため、分解生成物について特に重要である。
【0031】
本発明のさらなる目的は、酸化分解生成物が実質的に存在しない、アトルバスタチンカルシウムならびに上記アトルバスタチンカルシウムおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は、約0.29重量%未満の酸化分解生成物を含有する、実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウムを提供する。
【0033】
本発明は、約0.09重量%未満のATV−シクロIPを含有する、実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウムを提供する。
【0034】
本発明は、約0.05重量%未満のATV−エポキシフランを含有する、実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウムを提供する。
【0035】
本発明は、約0.09重量%未満のATV−シクロFPを含有する、実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウムを提供する。
【0036】
本発明は、約0.06重量%未満のATV−エポキシジオンを含有する、実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウムを提供する。
【0037】
下記表1は、その下で製造工程を行った種々の大気条件に曝したアトルバスタチンカルシウム中において存在する各酸化分解生成物の量を示す。
【0038】
アトルバスタチンカルシウムを空気中、室温で調製または保存するとき、酸化分解生成物が形成される。このことはアトルバスタチンカルシウムを窒素雰囲気中で保存するとき、回避することができる。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
酸化分解生成物に対する感度係数を1.00として考慮する表1および測定された感度係数を考慮する表2の間の比較は含量値において本質的な違いを示す。不純物の標準が使用されず、感度係数1.00が適用される場合、空気中または窒素雰囲気中で調製されたアトルバスタチンカルシウム中の酸化分解生成物の測定された値は、正確な感度係数を用いて測定される値より低い。また、感度係数1.00を用いて測定される酸化分解生成物の量は、一般に許容された薬学上の規制により不純物が同定される0.10%の閾値より低くなり得る。さらに、1.00より大きい感度係数を有するという事実により、感度係数1.00を用いて測定される、ATV−エポキシジオンの含量は、正確な感度係数を用いることにより測定される値より高い。
【0042】
すべての以後の分析は、ATV−シクロIPに対し感度係数0.41、ATV−エポキシフランに対し感度係数0.72、ATV−シクロFPに対し感度係数0.48、ATV−エポキシジオンに対し1.20を用いて行った。
【0043】
【表3】

【0044】
本発明は、約0.6重量%未満の酸化分解生成物および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含有する、実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウムを含む医薬組成物を提供する。
【0045】
本発明は、約0.2重量%未満のATV−シクロIPおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含有する、実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウムを含む医薬組成物を提供する。
【0046】
本発明は、約0.1重量%未満のATV−エポキシフランおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含有する、実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウムを含む医薬組成物を提供する。
【0047】
本発明は、約0.2重量%未満のATV−シクロFPおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含有する、実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウムを含む医薬組成物を提供する。
【0048】
本発明は、約0.1重量%未満のATV−エポキシジオンおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含有する、実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウムを含む医薬組成物を提供する。
【0049】
【表4】

【0050】
表3および表4に示された結果は、アトルバスタチンカルシウムまたは錠剤の形態においてアトルバスタチンカルシウムを含有する医薬組成物が空気雰囲気中、室温(例えば25℃)で24ヵ月保存される場合、酸化分解生成物が顕著に増加することを示す。このことは、アトルバスタチンカルシウムを窒素雰囲気中で保存する場合は回避することができる。
【0051】
本発明の医薬組成物は、調剤形態において哺乳類に投与することができる。調剤形態は、本発明による実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウムならびに希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑剤、流動促進剤、香味料、甘味料、防腐剤、染料および医薬組成物を調製するのに用いる他の賦形剤からなる群から選択される少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含有する。本発明の医薬組成物は、例えば錠剤、経口分散性製剤、カプセル、ペレット、顆粒等の医薬産業で用いられる任意の調剤形態であってよい。窒素またはアルゴンは不活性雰囲気を保持するための不活性ガスとして用いることができる。医薬組成物はAI/AIブリスター、AI−ポリクロロ−3−フルオロエチレンホモポリマー/PVCラミネートブリスターまたはボトル内で空気中または窒素雰囲気中で保存することができる。
【0052】
本発明の医薬組成物は、高コレステロール血症および高脂血症の処置に有用である。本発明を以下の実施例により説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0053】
ATV−シクロIP、ATV−エポキシフラン、ATV−シクロFPおよびATV−エポキシジオン化合物の調製および単離
5グラムのアトルバスタチンカルシウムを200mlの密閉容器内において酸素雰囲気中、80℃で30日間保存した。このように調製した試料を50%アセトニトリル/水(vol/vol)中に溶解し、分取クロマトグラフィーに供した。
【0054】
分取クロマトグラフィー:逆相クロマトグラフィーにより酸化分解生成物を単離した。純粋な化合物を得るためには、異なる移動相による2つのクロマトグラフ分離が必要であった。
【0055】
第1の分離は、Luna prep C18(2)10μmカラム(200mm×50mm)および250nmにセットしたUV検出器を備えた分取HPLCクロマトグラフにより行った。2つの移動相溶媒AおよびBは、それぞれ10mMの酢酸アンモニウムpH4.5および95%アセトニトリル/5%テトラヒドロフラン(vol/vol)であった。流速は140ml/分であった。以下のグラディエントプロファイルを用いた。
【0056】
【表5】

4つのフラクションを集めた;フラクション1および2のpHを1Mの水酸化カリウムにより8〜9に調整し、フラクション3および4のpHを1Mの塩酸により2〜3に調整した。フラクションを減圧下で蒸発させた。水浴の温度を30℃より低く維持し、凝縮器を0℃の水で冷却した。4つのすべてのフラクションをさらに精製し、純粋な物質を得た。
【0057】
フラクション1の精製:フラクション1の精製条件は、移動相Aが10mMの炭酸水素アンモニウムである以外、最初の分離時の条件と同じであった。以下のグラディエントプロファイルを用いた。
【0058】
【表6】

1つのフラクションを集めた;pHを1Mの水酸化カリウムにより8〜9に調整した。フラクションを最初のクロマトグラフ分離後と同様の方法により減圧下で蒸発させた。170mgの純粋なATV−シクロIP(4−[6−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−1b−イソプロピル−6a−フェニル−1a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル)−3−(R)−ヒドロキシ酪酸)化合物を凍結乾燥により濃縮したフラクションから単離した。クロマトグラフ純度は97.2%であった。
【0059】
フラクション2の精製
フラクション2を精製するためのクロマトグラフ条件は、移動相Aの溶媒が70%の10mMリン酸緩衝液pH7.0/25%のアセトニトリル/5%のテトラヒドロフラン(vol/vol/vol)であり、および以下のグラディエントプロファイルを用いた以外、最初の分離時の条件と同じであった。
【0060】
【表7】

1つのフラクションを集め、減圧下で蒸発させた。濃縮したフラクションを逆相カラムに負荷し、緩衝塩を水で洗い流し、ATV−シクロFPを80%アセトニトリル、20%水(vol/vol)によりカラムから溶出させた。185mgの純粋なATV−シクロFP(4−[1b−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−6−イソプロピル−1a−フェニル−6a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル)−3−(R)−ヒドロキシ酪酸)化合物を凍結乾燥により濃縮したフラクションから単離した。クロマトグラフ純度は97.5%であった。
【0061】
フラクション3の精製
フラクション3を精製するためのクロマトグラフ条件は、移動相Aの溶媒が5mMの塩酸であり、および以下のグラディエントプロファイルを用いた以外、最初の分離時の条件と同じであった。
【0062】
【表8】

1つのフラクションを集め、最初の分離からのフラクションと同じ方法により減圧下で蒸発させた。205mgの純粋なATV−エポキシフラン(4−(4−フルオロ−フェニル)−2,4−ジヒドロキシ−2−イソプロピル−5−フェニル−3,6−ジオキサ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸フェニルアミド)化合物を凍結乾燥により濃縮したフラクションから単離した。クロマトグラフ純度は93.6%であった。
【0063】
フラクション4の精製
フラクション4を精製するためのクロマトグラフ条件は、以下のグラディエントプロファイルを用いた以外、フラクション3の精製条件と同じであった。
【0064】
【表9】

1つのフラクションを集め、最初の分離からのフラクションと同じ方法により減圧下で蒸発させた。50mgの純粋なATV−エポキシジオン(3−(4−フルオロ−ベンゾイル)−2−イソブチリル−3−フェニル−オキシラン−2−カルボン酸フェニルアミド)化合物を凍結乾燥により濃縮したフラクションから単離した。クロマトグラフ純度は96.2%であった。
【0065】
化合物ATV−シクロIPの構造解析
質量分析法:
条件:
高分解能マススペクトルを四重極飛行時間型質量分析計(quadrupole time−of−flight mass spectrometer)Micromass Q TOF Ultra Globalを用いて得た。エレクトロスプレーイオン化を用いた。ソース温度を100℃に、脱溶媒和温度を200℃に、コーンガスを0L/時および脱溶媒ガスを200L/時に設定した。W形状のTOF分析器を用いた。装置はギ酸Naクラスターを用いて検量した。試料を5mMの酢酸アンモニウム/アセトニトリル(vol/vol)の50%溶液中に溶解し、10μl/分の一定流速で質量分析計に注入した。試料溶液の濃度は0.05mg/mlであった。アトルバスタチンカルシウム塩を高分解能測定に対する内部標準として用いた。0.01mg/mlの濃度の内部標準を試料溶液に加えた。
【0066】
プロトン化した分子イオン591.2507m/zを観測した。計算された元素組成はC3336Fであった。計算された質量と測定された質量との間の偏差は0.5mDaであった。アトルバスタチンカルシウムとの比較において、化合物ATV−シクロIPは、その化学構造中にさらに2つの酸素原子を示す。
【0067】
核磁気共鳴分光法:
条件:
Hおよび13C測定を300MHz Varian instrument INOVAまたはUNITY300で行った。INOVA装置は、5mm逆検出パルス磁場勾配プローブが備えられていた。Hおよび13Cスペクトルは室温で測定した。試料はメタノール、クロロホルム、またはメタノールおよびクロロホルム2:1の混合液中に溶解した。ppmにおける化学シフトは溶媒の残留信号に関連して与えられた。
溶媒:CDOD(Hおよび13C測定)
構造:
【0068】
【化6】

【0069】
【表10】

【0070】
【表11】

【0071】
化合物ATV−エポキシフランの構造解析
質量分析法:
条件:
高分解能マススペクトルを化合物ATV−シクロIPに対する条件と同じ条件で得た。ナトリウムによる付加分子イオン472.1536およびカリウムによる付加分子イオン488.1270がマススペクトルにおいて観測される。前者の計算された元素組成はC2624NOFNa(計算された質量と測定された質量との間の偏差は0.0mDaである)であり、後者はC2624NOFK(計算された質量と測定された質量との間の偏差は0.5mDaである)である。
【0072】
プロトン化された分子は、分子(M+H−HO)=432.1606m/zからの水の速い除去により観測された。提案された元素組成はC2623NOFであった。計算された質量と測定された質量との間の偏差は0.5mDaであった。フラグメントイオンはナトリウムおよびカリウムによる付加も形成する。化合物ATV−エポキシフランとナトリウムの2つの分子の付加は921.3131m/zにおいて観測された。提案された元素組成はC524810Naであった。計算された質量と測定された質量との間の偏差は4.4mDaであった。
【0073】
核磁気共鳴分光法:
条件:
Hおよび13C測定を化合物ATV−シクロIPに対する方法と同じ方法で行った。
溶媒:CDClH測定)
CDOD:CDCl=2:1の混合液(13C測定)
構造:
【0074】
【化7】

【0075】
【表12】

【0076】
【表13】

【0077】
化合物ATV−シクロFPの構造解析
質量分析法:
条件:
高分解能マススペクトルを化合物ATV−シクロIPに対する方法と同じ方法で得た。
プロトン化された分子イオン591.2507m/zを観測した。分子イオンはATV−シクロIPと比較してずっと強度が小さい。MSスペクトルにおける最も強度の大きいイオンは573.2406m/zであり、それは水分子の除去により形成される。
【0078】
591.2507m/zに対する計算された元素組成はC3336Fであった。計算された質量と測定された質量との間の偏差は1.4mDaであった。アトルバスタチンと比較し、該化合物は構造中にさらに2つの酸素を有する。
【0079】
核磁気共鳴分光法:
条件:
Hおよび13C測定を化合物ATV−シクロIPに対する方法と同じ方法で行った。
溶媒:CDOD(Hおよび13C測定)
構造:
【0080】
【化8】

【0081】
【表14】

【0082】
【表15】

【0083】
化合物ATV−エポキシジオンの構造解析
質量分析法:
条件:
高分解能マススペクトルを化合物ATV−シクロIPに対する方法と同じ方法で得た。
【0084】
プロトン化分子イオン432.1612m/zを得た。計算された元素組成はC2623NOFであった。計算された質量と測定された質量との間の偏差は0.1mDaであった。プロトン化分子イオンのMS/MSスペクトルを表5に示す。
【0085】
【表16】

【0086】
核磁気共鳴分光法:
条件:
Hおよび13C測定を化合物ATV−シクロIPに対する方法と同じ方法で行った。
溶媒:CDOD:CDCl=2:1の混合液(Hおよび13C測定)
構造:
【0087】
【化9】

【0088】
【表17】

【0089】
【表18】

【実施例2】
【0090】
ATV−シクロIP化合物の調製および単離:
80%のアセトニトリルおよび20%の水(vol/vol)の中に、1ml当たり1mgのアトルバスタチンを含有する、2リットルのアトルバスタチン溶液を調製した。溶液を浅い晶析皿に入れ、太陽の光に5時間曝した。その後直ちに溶液を1Mの水酸化カリウム溶液でpH8から9になるまでアルカリ性化し、減圧下、濁りが最初に生じるまで蒸発させた。水浴の温度を30℃より低く維持し、凝縮器を0℃の水で冷却した。次いで最少量のアセトニトリルを添加することにより溶液が澄明になった。
【0091】
分取クロマトグラフィーおよび構造解析を実施例1と同じ方法により行った。210mgの純粋なATV−シクロIP化合物を凍結乾燥により濃縮したフラクションから単離した。クロマトグラフ純度は96.6%であった。
【実施例3】
【0092】
ATV−エポキシフランおよびATV−エポキシジオン化合物の調製および単離:
80%のアセトニトリル/20%の水(vol/vol)の中に、1ml当たり1mgのアトルバスタチンを含有する、1リットルのアトルバスタチン溶液を調製した。溶液を浅い晶析皿に入れ、太陽の光に5時間曝した。その後直ちに溶液を0.5Mのリン酸でpH3.0になるまで酸性化した。混合物を室温で2時間放置し、混合物の元の容量の約1/3になるまで減圧下で蒸発させた。
【0093】
分取クロマトグラフィーおよび構造解析を実施例1と同じ方法により行った。120mgのATV−エポキシフランを凍結乾燥により濃縮したフラクションから単離した。クロマトグラフ純度は92.6%であった。21mgのATV−エポキシジオン化合物を凍結乾燥により濃縮したフラクションから単離した。クロマトグラフ純度は95.1%であった。
【実施例4】
【0094】
ATV−シクロFP化合物の調製および単離:
アセトニトリル中に、1ml当たり10mgのアトルバスタチンを含有する、800mlのアトルバスタチン溶液を調製した。4mlの12M水酸化ナトリウムおよび40mlの30%過酸化水素を加えた。溶液を55℃で5時間撹拌した。反応混合物を放冷し、上澄みを静かに移した。上清を減圧下で約50mlになるまで蒸発させた。残存する水を捨て、固体の残渣を新しい水で洗浄した。次いで固体残渣をアセトニトリルに溶解した。
分取クロマトグラフィーおよび構造解析を実施例1と同じ方法により行った。230mgの純粋なATV−シクロIP化合物を凍結乾燥により濃縮したフラクションから単離した。クロマトグラフ純度は98.3%であった。
【実施例5】
【0095】
アトルバスタチンカルシウムはこの文献に記載の任意の方法により調製することができる。アトルバスタチンカルシウム製造の全工程中で唯一要求されることは、不活性ガス雰囲気を維持しなければならないことである。調製したアトルバスタチンカルシウムにおいて、HPLC法および250nmでの検出を用いる各酸化分解生成物ATV−シクロIP、ATV−エポキシフラン、ATV−シクロFPおよびATV−エポキシジオンの含量は、0.04%より低かった。
【実施例6】
【0096】
実施例1に記載の方法により得られたアトルバスタチンカルシウムを窒素雰囲気中、室温で2年間保存した。調製したアトルバスタチンカルシウムにおいて、HPLC法および250nmでの検出を用いる各酸化分解生成物ATV−シクロIP、ATV−エポキシフラン、ATV−シクロFPおよびATV−エポキシジオン化合物の含量は、0.1%より低かった。
【実施例7】
【0097】
実施例1に記載の方法により得られたアトルバスタチンカルシウムを空気中、室温で2年間保存した。調製したアトルバスタチンカルシウムにおいて、HPLC法および250nmでの検出を用いる酸化分解生成物ATV−シクロIP、ATV−エポキシフラン、ATV−シクロFPおよびATV−エポキシジオン化合物の含量は、それぞれ0.856%、0.636%、0.905%および0.741%であった。
【実施例8】
【0098】
錠剤を実施例1に記載の方法により得られたアトルバスタチンカルシウムおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を用いて調製した。そのように調製された錠剤において、HPLC法および250nmでの検出を用いる酸化分解生成物ATV−シクロIP、ATV−エポキシフラン、ATV−シクロFPおよびATV−エポキシジオン化合物の含量は、それぞれ0.11%、0.07%、0.07%および0.08%であった。
【0099】
錠剤は窒素雰囲気中でalu/aluブリスター内に包装した。ブリスターを室温で2年間保存した。HPLC法および250nmでの検出を用いる酸化分解生成物ATV−シクロIP、ATV−エポキシフラン、ATV−シクロFPおよびATV−エポキシジオン化合物の含量は、それぞれ0.18%、0.08%、0.17%および0.09%であった。
【実施例9】
【0100】
実施例8に記載の錠剤を空気中でalu/aluブリスター内に包装した。そのように調製された錠剤において、HPLC法および250nmでの検出を用いる酸化分解生成物ATV−シクロIP、ATV−エポキシフラン、ATV−シクロFPおよびATV−エポキシジオン化合物の含量は、それぞれ0.13%、0.09%、0.08%および0.08%であった。
【0101】
ブリスターを室温で2年間保存した。HPLC法および250nmでの検出を用いる酸化分解生成物ATV−シクロIP、ATV−エポキシフラン、ATV−シクロFPおよびATV−エポキシジオン化合物の含量は、それぞれ1.75%、0.61%、1.23%および0.65%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−[6−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−1b−イソプロピル−6a−フェニル−1a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル]−3−(R)−ヒドロキシ酪酸。
【請求項2】
4−(4−フルオロ−フェニル)−2,4−ジヒドロキシ−2−イソプロピル−5−フェニル−3,6−ジオキサ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸フェニルアミド。
【請求項3】
4−[1b−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−6−イソプロピル−1a−フェニル−6a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル]−3−(R)−ヒドロキシ酪酸。
【請求項4】
固体アトルバスタチン塩が40から90℃の高温で、空気または酸素雰囲気中で酸化されることを特徴とする、4−[6−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−1b−イソプロピル−6a−フェニル−1a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル]−3−(R)−ヒドロキシ酪酸、4−(4−フルオロ−フェニル)−2,4−ジヒドロキシ−2−イソプロピル−5−フェニル−3,6−ジオキサ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸フェニルアミド、4−[1b−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−6−イソプロピル−1a−フェニル−6a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル]−3−(R)−ヒドロキシ酪酸および3−(4−フルオロ−ベンゾイル)−2−イソブチリル−3−フェニル−オキシラン−2−カルボン酸フェニルアミドからなる群から選択される化合物の調製方法。
【請求項5】
固体アトルバスタチン塩が、アトルバスタチンカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびアンモニウムからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
アトルバスタチン塩の酸化が、水および/または有機溶媒および/またはアセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ジクロロメタンもしくは塩化メチレンからなる群から選択される溶媒の混合物中のアトルバスタチン塩の溶液において、約40から90℃の温度で、過酸化水素の添加、または空気もしくは酸素を溶液中に吹き込むことにより行われる、請求項4および請求項5に記載の方法。
【請求項7】
アトルバスタチン塩の溶液が日光または人工日光に曝されることを特徴とする、4−[6−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−1b−イソプロピル−6a−フェニル−1a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル]−3−(R)−ヒドロキシ酪酸、4−(4−フルオロ−フェニル)−2,4−ジヒドロキシ−2−イソプロピル−5−フェニル−3,6−ジオキサ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸フェニルアミド、4−[1b−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−6−イソプロピル−1a−フェニル−6a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル]−3−(R)−ヒドロキシ酪酸および3−(4−フルオロ−ベンゾイル)−2−イソブチリル−3−フェニル−オキシラン−2−カルボン酸フェニルアミドからなる群から選択される化合物の調製方法。
【請求項8】
アトルバスタチン塩が、アトルバスタチンカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびアンモニウムからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上の単離工程をさらに含む、請求項4から8に記載の方法。
【請求項10】
単離工程が、分取順相および逆相クロマトグラフィーからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
分取順相クロマトグラフィーにおいて、シリカゲル、またはアミノプロピル、シアノプロピル、ジオールおよびニトロフェニルからなる群から選択されるシリカベースの結合相が用いられる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
分取順相クロマトグラフィーにおいて、移動相が、メタノール、エタノール、プロパノールおよびアセトニトリルからなる群から選択される極性改質剤アルコールと、ヘキサン、ジクロロメタン、メチルシクロヘキサンおよびこれらの任意の組合せからなる群から選択される非極性溶媒との混合物を含有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
分取逆相クロマトグラフィーにおいて、シリカゲル上に結合したオクタデシルシランまたはオクチルシランが用いられる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
分取逆相クロマトグラフィーにおいて、移動相が、有機または無機緩衝剤を含む水と、アルコールおよびアセトニトリルからなる群から選択される1種以上の有機改質剤との混合物を含有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
約0.29重量%未満の酸化分解生成物4−[6−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−1b−イソプロピル−6a−フェニル−1a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル]−3−(R)−ヒドロキシ酪酸、4−(4−フルオロ−フェニル)−2,4−ジヒドロキシ−2−イソプロピル−5−フェニル−3,6−ジオキサ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸フェニルアミド、4−[1b−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−6−イソプロピル−1a−フェニル−6a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル]−3−(R)−ヒドロキシ酪酸および3−(4−フルオロ−ベンゾイル)−2−イソブチリル−3−フェニル−オキシラン−2−カルボン酸フェニルアミドを含有する、実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウム。
【請求項16】
約0.09重量%未満の4−[6−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−1b−イソプロピル−6a−フェニル−1a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル]−3−(R)−ヒドロキシ酪酸を含有する、実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウム。
【請求項17】
約0.05重量%未満の4−(4−フルオロ−フェニル)−2,4−ジヒドロキシ−2−イソプロピル−5−フェニル−3,6−ジオキサ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸フェニルアミドを含有する、実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウム。
【請求項18】
約0.09重量%未満の4−[1b−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−6−イソプロピル−1a−フェニル−6a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル]−3−(R)−ヒドロキシ酪酸を含有する、実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウム。
【請求項19】
約0.06重量%未満の3−(4−フルオロ−ベンゾイル)−2−イソブチリル−3−フェニル−オキシラン−2−カルボン酸フェニルアミドを含有する、実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウム。
【請求項20】
約0.6重量%未満の酸化分解生成物4−[6−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−1b−イソプロピル−6a−フェニル−1a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル]−3−(R)−ヒドロキシ酪酸、4−(4−フルオロ−フェニル)−2,4−ジヒドロキシ−2−イソプロピル−5−フェニル−3,6−ジオキサ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸フェニルアミド、4−[1b−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−6−イソプロピル−1a−フェニル−6a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル]−3−(R)−ヒドロキシ酪酸および3−(4−フルオロ−ベンゾイル)−2−イソブチリル−3−フェニル−オキシラン−2−カルボン酸フェニルアミドを含有する、実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウムを含む医薬組成物。
【請求項21】
約0.2重量%未満の4−[6−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−1b−イソプロピル−6a−フェニル−1a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル]−3−(R)−ヒドロキシ酪酸を含有する実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウムおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項22】
約0.1重量%未満の4−(4−フルオロ−フェニル)−2,4−ジヒドロキシ−2−イソプロピル−5−フェニル−3,6−ジオキサ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸フェニルアミドを含有する実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウムおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項23】
約0.2重量%未満の4−[1b−(4−フルオロ−フェニル)−6−ヒドロキシ−6−イソプロピル−1a−フェニル−6a−フェニルカルバモイル−ヘキサヒドロ−1,2−ジオキサ−5a−アザ−シクロプロパ[a]インデン−3−イル]−3−(R)−ヒドロキシ酪酸を含有する実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウムおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項24】
約0.1重量%未満の3−(4−フルオロ−ベンゾイル)−2−イソブチリル−3−フェニル−オキシラン−2−カルボン酸フェニルアミドを含有する実質的に純粋なアトルバスタチンカルシウムおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2008−506655(P2008−506655A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520774(P2007−520774)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007739
【国際公開番号】WO2006/008091
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(504359293)レツク・フアーマシユーテイカルズ・デー・デー (60)
【Fターム(参考)】