アドホック無線ネットワークにおける経路決定方法
【課題】周波数コグニティブ無線機能を利用するアドホック無線ネットワークにおいて適切な経路決定を行う。
【解決手段】各ノードの利用可能周波数を検出し、各周波数についての利用可能状況の履歴から、各ノードについて各周波数の安定度指数を算出し、直接通信可能な2ノード間のホップの安定度指数を、両ノードの周波数の安定度指数に基づいて算出し、送信元ノードと宛先ノードとの間の経路を、各ホップの安定度指数に基づいて決定する。送信元ノードが経路要求(RREQ)を送信し、中継ノードは直前のホップに関するホップ安定度指数を付加してRREQを転送する。宛先ノードは受信したRREQごとに、RREQに含まれるホップ安定度指数からルートスコアを算出し、ルートスコアが高い経路を選択する。
【解決手段】各ノードの利用可能周波数を検出し、各周波数についての利用可能状況の履歴から、各ノードについて各周波数の安定度指数を算出し、直接通信可能な2ノード間のホップの安定度指数を、両ノードの周波数の安定度指数に基づいて算出し、送信元ノードと宛先ノードとの間の経路を、各ホップの安定度指数に基づいて決定する。送信元ノードが経路要求(RREQ)を送信し、中継ノードは直前のホップに関するホップ安定度指数を付加してRREQを転送する。宛先ノードは受信したRREQごとに、RREQに含まれるホップ安定度指数からルートスコアを算出し、ルートスコアが高い経路を選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数コグニティブ無線通信機能を有するノードから構成されるアドホック無線ネットワークにおける経路決定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信を利用してノード間でパケットの交換を行うネットワークにおいて、ノード間の接続形態が固定されておらず、ノード間の位置関係などに応じて適応的にネットワーク構成が変化するネットワークはアドホック無線ネットワークと呼ばれる。アドホック無線ネットワークでは、直接通信ができないノード間の通信は他のノードによる中継を介して行われる。このような観点から、アドホック無線ネットワークは、マルチホップ無線ネットワークともマルチホップアドホック無線ネットワークとも呼ばれることがある。
【0003】
アドホック無線ネットワークではネットワークトポロジーが頻繁に変化するため、経路探索プロトコル(ルーティングプロトコル)の研究が数多くなされている。その一つに、DSR(Dynamic Source Routing)(非特許文献1)がある。DSRでは、ホップ数(中継数)の少ない経路や、各ホップの安定度が高い経路が選択される。
【0004】
また、空いている周波数を検出してその周波数を利用して通信を行う周波数コグニティブ無線通信の研究も進められている。そして、このような周波数コグニティブ無線通信機能を有する無線機を用いてアドホック無線ネットワークを構成する研究も進められている。特許文献1、2では、リンク状態(リンク負荷やリンク空き状態)やIPフロー情報(アクティブなIPフローの数や、アクティブなIPフローでの通信量)に着目して経路ごとのスコアを算出して、最適な経路を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−22219号公報
【特許文献2】特開2008−109213号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IETF RFC4728, "The Dynamic Source Routing Protocol (DSR) for Mobile Ad Hoc Networks for IPv4"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
利用可能な周波数は時間的にも空間的にも断続的に変化する。したがって、送信元ノード、宛先ノード、および各中継ノードで利用可能な周波数(チャネル)が異なる。また、あるタイミングで利用可能な周波数が、これからも継続的に利用可能であるとも限らない。単にホップ数やリンク状態やIPフロー情報を参照して経路を決定した場合、その後も継続して安定的に通信を行えるという保証はない。
【0008】
本発明はこのような問題点を考慮してなされたものであり、その目的は、周波数コグニティブ無線通信機能を備えるノードから構成されるアドホック無線ネットワークにおいて、長期間利用可能な経路を選択することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る経路決定方法は、経路を決定するために、各ホップの安定度を考慮するこ
とを特徴とする。ここで、ホップの安定度とは、2ノード間でいずれかの周波数を利用して通信が維持できる度合いを表す。このように、ホップの安定度を考慮して経路が決定されるため、長期間利用可能な経路を選択可能となる。
【0010】
より具体的には、本発明は周波数コグニティブ無線通信機能を備えるノードから構成されるアドホック無線ネットワークにおける経路決定方法である。本発明は、各ノードの各周波数についての利用可能状況を検出する検出ステップと、各周波数についての利用可能状況の履歴から、各ノードについて各周波数の安定度を算出する周波数安定度算出ステップと、両ノードの周波数の安定度に基づいて、直接通信可能な2ノード間のホップの安定度を算出するホップ安定度算出ステップと、送信元ノードと宛先ノードとの間の経路を、各ホップの安定度に基づいて決定する経路決定ステップと、を含む。つまり、ノードごとに各周波数の利用可能状況の履歴が求められ、上述のホップ安定度の算出のために利用されている。
【0011】
ホップ安定度算出ステップでは、たとえば、周波数安定度を用いて、ホップを構成する複数のリンクについて安定度を算出できる。なお、リンクは、ある一つの周波数による2ノード間の無線リンクを意味する。したがって、リンク安定度はある特定の周波数を利用して2ノード間で通信が維持できる度合いを表す。ここでは、周波数安定度を用いてリンク安定度を算出している。より具体的には、両ノードにおけるリンク周波数の安定度の平均(相加平均や相乗平均)として、あるいはこの平均に基づいてリンク安定度を算出できる。そして、ホップを構成するリンクの安定度から、ホップの安定度を求めることができる。なお、ホップを構成する全てのリンク(全ての周波数)の安定度を利用してホップ安定度を算出する必要はなく、安定度の高い上位数個のリンクについての安定度だけを利用してホップ安定度を求めても良い。
【0012】
本発明における経路決定ステップでは、送信元ノードと宛先ノードとの間の経路候補それぞれについて、ホップ数が少ないほど高く、かつ、経路を構成する各ホップの安定度の平均が高いほど高くなるルートスコアを算出し、最もスコアの高い経路を送信元ノードと宛先ノードとの間の経路として決定することができる。
【0013】
本発明における経路決定ステップは、送信元ノードが、宛先ノードまでの経路を要求する経路要求を送信する工程と、前記経路要求を受信した宛先ノード以外のノードが、直前のホップ(受信した経路要求を送信/転送したノードとの間のホップ)に関するホップ安定度を前記経路要求に付加して転送する工程と、宛先ノードが、受信した経路要求が転送された経路ごとに、該経路要求に含まれる各ホップのホップ安定度に基づいてルートスコアを算出し、最もスコアの高い経路を送信元ノードと宛先ノードとの間の経路として決定する工程と、を含むことが好ましい。また各ノードがホップ安定度を算出可能とするために、直接通信可能な2ノードの間で、各ノードの周波数安定度を通知し合い、両ノードの周波数安定度に基づいて両ノード間のホップ安定度を算出するステップを含むことが好ましい。
【0014】
このようにすれば、各ノードは直接通信可能なノードとの間のホップ安定度を常に利用可能であるので、これを経路要求に付加して転送するだけでよい。また、経路要求にホップ安定度が付加されるので、宛先ノードはこのホップ安定度を利用してルートスコアを容易に算出することができる。
【0015】
なお、ホップ安定度の算出は必ずしも各中継ノードで行わなくても良い。たとえば、中継ノードは単に、経路要求に自ノードの周波数安定度を付加して転送するだけでもよい。そして、宛先ノードが、各ホップについて、リンク安定度の算出およびホップ安定度の算出を行ってもよい。このようにしても同様の経路が選択可能である。
【0016】
また、本発明における経路決定ステップは、各ノードが自ノードの有する経路情報を周囲に送信する工程と、受信した経路情報とこの経路情報を送信したノードとの間のホップ安定度とから、この経路情報を送信したノードを経由する自ノードから宛先ノードまでの経路のルートスコアを算出する工程と、宛先ノードまでのルートスコアが最も高い経路を、自ノードと宛先ノードとの間の経路として決定し記憶部に格納する工程とを含んでも良い。経路情報の交換を定期的に行い、経路を事前に決定して格納しておくことも好ましい。
【0017】
このようにあらかじめ経路を決定しておけば、データ送信時に経路を決定する必要がなくなり、迅速なデータ送信が実現できる。
【0018】
なお、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む経路決定方法として捉えることができる。また、本発明は、上記処理を実行するためのコンピュータプログラムとして捉えることができる。また、本発明は、上記処理によって経路決定を行うアドホック無線ネットワークとして捉えることもできる。また、本発明は、上記処理を行う手段を有する無線通信装置として捉えることができる。上記処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、周波数コグニティブ無線通信機能を備えるノードから構成されるアドホック無線ネットワークにおいて、長期間利用可能な経路を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、第1の実施形態の無線通信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、経路決定処理を説明する図であり、図2(A)はRREQパケットの転送を示し、図2(B)はRREPパケットの転送を示す図である。
【図3】図3は、経路決定のために送信元ノードが行う処理を示すフローチャートである。
【図4】図4は、経路決定のために中継ノードおよび宛先ノードが行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、ホップ安定度指数を算出する処理を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第2の実施形態の無線通信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、経路テーブルのテーブル構造を示す図である。
【図8】図8は、経路テーブル作成処理を示すフローチャートである。
【図9A】図9Aは、ノードAからノードFまでの経路を作成する処理を説明する図である。
【図9B】図9Bは、ノードAからノードFまでの各経路のルートスコアを示す図である。
【図10】図10は、第2の実施形態における通信時の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0022】
〈用語の説明〉
本発明の周波数コグニティブ無線(以下、単にコグニティブ無線ともいう)を採用するアドホック無線ネットワークにおける経路決定方法では、ホップ数だけでなくホップの安
定度も考慮して経路の決定を行う。ここでは、ホップ安定度の概念(用語)の説明と、ホップ安定度を説明するために必要なその他の概念(用語)の説明を行う。
【0023】
・チャネル安定度(周波数安定度)
チャネル安定度は、あるノードにとって特定の周波数チャネル(単に、周波数ともチャネルともいう)がどの程度継続的に(安定的に)利用可能であるかを示す。したがって、チャネル安定度は、ノードごとおよび周波数ごとに定められる。
【0024】
・リンク安定度
リンクは、ある2ノード間でのある周波数を用いた通信路を表す。リンク安定度は、そのリンクによってどの程度継続的に(安定的に)通信可能であるかを示す。リンク安定度は、ノードのペアごとおよび周波数ごとに定められる。リンクが利用可能であるためには、両方のノードでその周波数が利用可能である必要がある(もちろん通信可能範囲内に位置する必要がある)。つまり、リンク安定度は、両方のノードのその周波数についてのチャネル安定度によって定義可能である。
【0025】
・ホップ安定度
ホップ安定度は、ある2ノード間でどの程度継続的に(安定的に)通信可能であるかを示す。ノード間の通信がどの周波数(リンク)で実現されても、その2ノードは通信可能である(ホップが利用可能である)とみなされる。つまり、ホップ安定度は、リンク安定度によって定義可能である。ホップ安定度はノードのペアごとに定められる。
【0026】
(第1の実施形態)
本実施形態に係る無線通信システムは複数のノード(無線通信装置)から構成される。各ノードは周波数コグニティブ無線通信機能を備え、これらのノード間通信は周囲の電波状況を検出して利用可能な周波数チャネルを動的に切り替えつつ行われる。つまり、本実施形態に係る無線通信システムは、周波数コグニティブ無線ネットワークである。また、本無線通信システムは、アクセスポイント等のインフラの介在無しに各ノードが相互に通信するアドホック無線ネットワークである。インフラ設備が存在しないので、ルート構築などは各ノードによって自律的に行われる。また、コグニティブ無線において利用されるチャネルも各ノードが自律的に決定する。
【0027】
図1は、本実施形態の無線通信システムを構成する無線通信装置の機能構成を示す概略図である。無線通信装置1は、アンテナ2,高周波部3,AD変換部4、およびデジタル信号処理部5を備える。高周波部3は、無線信号を受信してデジタル信号処理が行いやすい周波数帯に変換したり、送信信号を実際に送信する周波数に変換する。AD変換部4は、受信したアナログ信号をデジタル信号に変換し、送信するデジタル信号をアナログ信号に変換する。なお、無線通信装置1は、アンテナ2から受信した広帯域の信号(たとえば、900MHz〜5GHz)を一括してAD変換する。チャネル選択などを含めて復調処理はデジタル信号処理部5で行われる。
【0028】
デジタル信号処理部5は、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ダイナミック・リコンフィギュラブルプロセッサなどによっ
て構成することができる。デジタル信号処理部5は、その機能部として、通信制御部51、電波状況検出部52、チャネル安定度指数算出部53、チャネル安定度指数テーブル54、ホップ安定度指数算出部55、およびホップ安定度指数テーブル56を含む。デジタル信号処理部5は、その他にも変復調等のための機能部を要するが、これらは公知であるため詳しい説明は省略する。
【0029】
通信制御部51は、接続確立処理や、データの送受信処理、チャネルの使用状況を通信
相手に通知する処理、利用するチャネルを選択する処理、経路決定処理などを行う。電波状況検出部52は、自ノード周囲における電波状況を検出し、各周波数チャネルが利用されているか(言い換えると、自ノードが利用可能であるか)を判断する。具体的には、たとえば、無線信号の受信レベルが所定の強度以上であれば、すでに使用中である(利用不可能)と判断する。チャネル安定度指数算出部53は、チャネル安定度を数値(チャネル安定度指数)として算出する。算出されたチャネル安定度指数は、チャネル安定度指数テーブル54に格納される。ホップ安定度指数算出部55は、ホップ安定度を数値(ホップ安定度指数)として算出する。算出されたホップ安定度指数は、ホップ安定度指数テーブル56に格納される。
【0030】
〈経路決定処理〉
経路決定処理の手順について説明する。なお、ここではホップ安定度指数が既に求められているものとして説明を進める。ホップ安定度指数の求め方は後で詳しく説明する。
【0031】
本実施形態における経路決定処理は、データ送信時に経路を決定するリアクティブ型である。本実施形態における経路決定処理は、同じリアクティブ型のルーティングプロトコルであるDSRに改良を加えたものである。以下、図面を参照して本実施形態の経路決定処理を説明する。図2(A)(B)は経路決定処理を説明する図であり、図2(A)はRREQ(経路要求:Route Request)パケット送信時、図2(B)はRREP(経路応答
:Route Reply)パケット送信時の処理を説明する図である。図3は、送信元ノードが行
う処理を示すフローチャートである。図4は、中継ノードおよび宛先ノードが行う処理を示すフローチャートである。
【0032】
図2(A)に示すネットワークトポロジーのときに、ノードAがノードEと通信を行う場合を考える。このときノードAが送信元ノードに相当し、ノードEが宛先ノードに相当する。まず、ノードAはノードEまでの経路を要求するRREQパケットをフラッディングする。なお、隣接ノード(直接通信可能なノード)間での通信チャネルの確立はすでに行われているものとする。コグニティブ無線における通信チャネルの確立方法は種々の方法があるが、本実施形態では特定の手法に限定する必要はない。また、ノード間での通信は1つの通信チャネルのみで行われても良く、複数のチャネルを利用して行われても良い。
【0033】
ノードAから送信されたRREQパケットは、ノードB,Cによって受信される。ノードB,Cは、このRREQパケットが自ノード宛のものではないので転送、すなわち、再度フラッディングを行う。この際、中継ノードは、このRREQパケットを送信したノードとの間のホップ安定度をRREQパケットに付加して転送する。具体的には、ノードBはノードA−B間のホップ安定度をRREQパケットに付加して転送し、ノードCはノードA−C間のホップ安定度をRREQパケットに付加して転送する。
【0034】
ノードBから転送されたRREQパケットはノードA,C,Dによって受信される。ノードCから転送されたRREQパケットはノードA,B,Dによって受信される。ノードB,Cは、ノードC,BからのRREQパケットは破棄せずに中継処理を行う。DSRでは一度処理した要求経路(ここでは、ノードAとノードE間の経路)に関するRREQパケットは破棄するが、本実施形態では破棄せずに中継処理の対象とする。ただし、自ノードが中継に関係したRREQパケット(一度転送して戻ってきたRREQパケット)は処理せずに破棄する。ここではノードAはノードB,CからのRREQパケットを破棄する。
【0035】
このようにしてノードAからノードEまでのあらゆる経路を辿ってRREQパケットがノードEまで到達する。ノードEはRREQパケットを解析することで、どのような経路
でそのRREQパケットが自ノードまで到達したか、および、そのホップ数を判別可能である。また、中継の際に各ホップのホップ安定度指数が付加されるので、ホップ安定度指数も取得できる。なお、宛先ノードまでの最終ホップ(図2(A)ではノードD−E間のホップ)に関するホップ安定度指数はノードEで算出可能である。
【0036】
図2(A)に示すネットワークトポロジーの場合は、ノードEまで届くRREQパケットが辿る経路としては以下のものがある。
(1)A−B−D−E
(2)A−C−D−E
(3)A−B−C−D−E
(4)A−C−B−D−E
【0037】
ノードEはこれらの経路候補についてルートスコアを算出し、ルートスコアが最も高い経路をノードA−E間の経路として決定する。ルートスコアはたとえば、次の式によって定義可能である。
【数1】
ここで、a,bは、a+b=1(0<a<1,0<b<1)を満たす定数であり、HSMNはノードMとノードN間のホップ安定度指数を意味する。総和は経路を構成する各ホップに対して行われる。
【0038】
このようにホップの安定度を考慮してルートの決定がなされるため、長期間継続して利用可能な経路を選択することができる。なお、ルートスコアの定義は上記のものに限られず、長期間継続して利用可能な経路ほど高いスコアが得られるようなものであれば任意のものであって良い。
【0039】
たとえば、以下のルートスコアを採用しても良い。
【数2】
ここでホップ安定度指数を0から1の範囲とすれば、ホップ数が多いほどルートスコアが小さくなる。つまり、数式2によるルートスコアの定義は、ホップ安定度指数のみに基づいているともいえるが、ホップ安定度指数とホップ数の両方に基づいているということもできる。数式2では、経路を構成するホップのいずれかにおいて安定度の低いホップが存在すると最終的なルートスコアが小さく算出されるため、ホップ安定度指数のバラツキが大きいときに有効であると言える。また、ホップ安定度指数が、そのホップが通信可能な確率(通信可能な期間の割合)を表すときに有効であると言える。
【0040】
より一般的には、ルートスコアは次の関数fによって定義されればよい。
【数3】
【0041】
すなわち、ルートスコアは、ホップ数が少ないほど大きく(同じを含む)、ホップ安定度指数の平均値が大きいほど大きく(同じを含む)なるように定義されればよい。このようにすれば、継続して安定的に利用可能な経路に対するルートスコアが大きく算出されることになる。上記数式1,2によるルートスコアの定義は、いずれも数式3の条件を満たしている。
【0042】
ノードEは、各経路のルートスコアを算出して最適なルートを選択すると、この経路をRREPパケットによって通知する(図2(B))。たとえば、A−B−C−D−Eの経路が最適なルートであると判断された場合は、ノードEはRREPパケットに経路E−D−C−B−Aを指定して送信する。送信されたRREPパケットはこの経路に沿ってノードAまで到達する。ノードAはこのRREPパケットを受信することで、ノードEまでの最適な経路がわかる。
【0043】
上記の経路決定処理において各ノードが行う処理を図3,4のフローチャートを参照して、ノード種別ごとに説明する。
【0044】
まず図3を参照して、送信元ノードが行う処理について説明する。送信元ノードは、通信を行う場合に、通信制御部51が宛先ノードまでの経路を要求するRREQパケットを作成して送信する(S101)。そして、RREQパケットに対応するRREPパケットの受信を待つ(S102〜S103)。タイムアウト時間内にRREPパケットを受信できた場合(S102−YES)は、宛先ノードまでの経路を決定できる(S104)。一方、タイムアウト時間内にRREPパケットが返ってこない場合(S103−NO)は、エラー終了する。
【0045】
次に図4を参照して、中継ノードおよび宛先ノードが行う処理について説明する。RREQパケットを受信すると(S201)、そのRREQパケットが自ノード宛であるか判断する(S202)。RREQパケットが自ノード宛でない場合(S202−NO)は、自ノードは中継ノードであることが分かる。したがって、中継ノードの通信制御部51は、RREQパケットに直前ホップのホップ安定度を追加してRREQパケットを転送する(S203)。後述するように、ホップ安定度はホップ安定度指数テーブル56に格納されている。なお、フローチャートには示していないが、以前転送したRREQパケットが再び自ノードで受信された場合はそのRREQパケットは処理せずに破棄する。
【0046】
一方、受信したRREQパケットが自ノード宛のものである場合(S202−YES)は、自ノードが宛先ノードであることが分かる。そこで、通信制御部51は、RREQパケットに含まれる各ホップのホップ安定度を取得する(S204)。そして、ホップ数とホップ安定度からルートスコアが算出される(S205)。通信制御部51は、最もルートスコアの高い経路を選択し(S206),その経路を指定してRREPパケットを送信
する(S207)。
【0047】
〈ホップ安定度指数の算出方法〉
次に、ホップ安定度指数の算出方法について図5のフローチャートを参照しつつ説明する。上述したように、ホップの安定度は、ホップ間でどの程度継続して通信可能であるかを示すものである。このホップ安定度は、リンク(ノード間の特定周波数による通信)の安定度(継続利用可能性)から算出できる。そして、リンクの安定度は、各ノードにおけるチャネルの安定度(継続利用可能性)から算出できる。なお、各安定度を指数化した数値を安定度指数と呼んでいる。
【0048】
・チャネル安定度指数
チャネル安定度は、ある周波数チャネルがノードにとってどれだけ継続して利用可能であるかを示す。本実施形態では、過去の履歴からチャネルが利用可能であった割合を求め、その値をチャネル安定度指数として採用する。
【0049】
まず、電波状況検出部52が、自ノードにおける各チャネルの利用可能状況(空き状況)を検出する(S301)。チャネルの利用可能状況は1回だけの検出によって決定されても良いが、複数回の検出処理によって決定しても良い。たとえば、100ミリ秒の期間の間に10ミリ秒おきに1回検出を行い、チャネルの利用可能状況を割合として決定しても良い。10回の検出のうち7回が利用可能という結果であれば、利用可能状況は70%であると決定できる。
【0050】
このような電波状況の検出は定期的に実行され、その検出結果はチャネル安定度指数算出部53によって履歴として記憶される(S302)。チャネル安定度指数算出部53は、過去の履歴を参照して、各チャネルの安定度指数を算出する(S303)。安定度指数の具体的な算出方法としては種々の方法を採用可能であるが、以下のような算出方法がある。
【0051】
たとえば、以下の式のように直近のN期間における利用可能状況の平均を取る方法が考えられる。
【数4】
ここでTi(j)は、時刻jにおけるチャネルiの利用可能状況を表す(Ti(j)は、0か1、または、0〜1の実数)。この式によればチャネル安定度指数Si(t)は0〜1の実数として求められる。なお、この式では直近N期間内の利用可能状況について均等に平均(相加平均)を取っているが、最近のものほど大きな重み付けを与えて平均を取ることも好ましい。
【0052】
このように、チャネル安定度指数算出部53は、各チャネルについてチャネル安定度指数を算出して、チャネル安定度指数テーブル54に格納する。そして、通信制御部51は、自ノードのチャネル安定度指数を周囲のノードに対して送信する(S304)。他のノードも同様にチャネル安定度指数を送信しているので、各ノードは周囲の(直接通信可能な)ノードのチャネル安定度指数を取得可能である。なお、全てのチャネルについてチャネル安定度指数を送信しても良いが、通信量削減のために閾値以上のチャネル安定度指数のみを送信しても良い。
【0053】
・リンク安定度指数
ホップ安定度指数算出部55は、ホップ安定度指数を算出するために、取得したチャネル安定度指数に基づいてリンク安定度指数を算出する(S305)。
【0054】
リンク安定度は、あるノード間で特定のチャネルを利用してどれだけ継続して利用可能であるかを示す。本実施形態では、両ノードのチャネル安定度指数を用いてリンク安定度指数を定義する。具体的には、ノードMとノードNの間の利用可能チャネルiについてのリンク安定度指数は以下の式によって定義される。
【数5】
これは両方のノードでそのチャネルが利用可能である場合に、リンクが通信可能であることを反映している。この定義式は、チャネルの利用可能確率(割合)としてチャネル安定度指数が定義されている場合に特に有効である。ただし、リンク安定度指数は両ノードでのチャネル安定度指数が反映されていれば良く、たとえば、相加平均として定義しても良い。
【0055】
・ホップ安定度指数
ホップ安定度指数算出部55は、リンク安定度指数からホップ安定度指数を算出する(S306)。
【0056】
ホップ安定度は、ホップ間でどの程度継続して通信可能であるかを示す。ホップ間の通信は、いずれかのリンクによって通信できれば維持可能である。したがって、ノードNとノードMの間のホップ安定度指数は、たとえば、次の式によって定義される。
【数6】
ここで、LSiはノードM−N間のリンクの安定度指数を表す。これは両ノード間でいずれかのチャネル(リンク)によって通信ができれば、両ノード間の通信が可能であることを反映している。ここで、上記の積は全てのリンクに対して行っても良いが、リンク安定度指数の高い上位数個のみを対象としても良い。
【0057】
なお、ホップ安定度指数はホップ間での通信可能性を反映していればよいので、たとえば、次の式によって定義しても良い。
【数7】
ホップ安定度指数算出部55は、上記いずれかの式にしたがってリンク安定度指数およびホップ安定度指数を算出し、ホップ安定度指数テーブル56に格納する。通信制御部51は、RREQパケットを転送する際に、上述したようにホップ安定度指数テーブル56に格納されたホップ安定度指数をRREQパケットに付加して転送する。
【0058】
〈経路再設定処理〉
ネットワークトポロジーの変化や環境の変化によって、利用可能なチャネルが変化する
。この場合は、DSRなどと同様の手法によって経路の再設定処理を行えばよい。すなわち、経路が無効になった場合には、送信元ノードまでエラーメッセージ(RERR:Route Error)が伝達される。そして宛先ノードに他の経路情報が保持されていなければ、経路の再設定処理が行われる。
【0059】
〈実施形態の作用/効果〉
本実施形態によれば、周波数コグニティブ無線技術を利用するアドホック無線ネットワークにおいて、単にホップ数が少ないだけでなく、継続的に利用可能な経路によって通信することが可能となる。したがって、経路の再設定回数を減らし、効率的な(スループットの高い)通信が実現できる。
【0060】
〈変形例〉
上記の説明では、各ノードにおいてホップ安定度指数を算出し、算出されたホップ安定度指数をRREQパケットに付加しているが、ホップ安定度指数の算出はどのノードが行っても良い。ホップ安定度指数は、ホップを構成する両端ノードのチャネル安定度に関する情報があれば計算可能である。そこで、RREQパケットに各ノードのチャネル安定度指数を付加して転送しても良い。この方法によっても、宛先ノードで各経路のホップ安定度指数を(さらにはルートスコアも)算出することができる。
【0061】
また、上記の処理では、送信元ノードから宛先ノードまで全ての経路をたどって宛先ノードまでRREQパケットが到達するように、中継ノードでRREQパケットの破棄を行っていない。しかしながら、中継ノードにおいて既に処理した経路よりもルートスコアが低い経路を通って受信したRREQパケットについては転送を行わなくても構わない。たとえば、ノードDが、すでに送信元ノードAからのRREQパケットをA−B−Dの経路で受信し転送しているとする。このとき、ノードDが同じRREQパケットをA−C−Dの経路で受信したとする。このとき、経路A−C−Dのルートスコアが経路A−B−Dのルートスコアよりも低い場合には、ノードDは経路A−C−Dを通って受信したRREQパケットを転送しなくても構わない。このように転送されるRREQパケットの量を減らし、通信量を削減できる。
【0062】
(第2の実施形態)
第1の実施形態はデータ送信時に経路を決定するリアクティブ型の処理であったが、本実施形態は通信を開始する前にあらかじめ経路を決定しておくプロアクティブ型の処理である。
【0063】
本実施形態では、各ノードが定期的に経路テーブル作成処理を行い、宛先ノードごとに次の転送先ノードを記憶しておく。これにより、データパケット送信時に経路決定処理を行う必要がなくなり、迅速にデータの送信が行える。
【0064】
図6は本実施形態の無線通信システムを構成する無線通信装置の機能構成を示す概略図である。第1の実施形態との相違は、経路テーブル(記憶部)57が追加されている点である。通信制御部51が定期的に周囲のノードと情報交換して経路情報を作成し、経路テーブル57に格納する。図7に経路テーブル57のテーブル構造を示す。経路テーブル57には、宛先ノード571ごとに次にどのノードに転送すればよいかを示す転送先ノード572と、その経路のルートスコア573が格納される。図7に示す経路テーブルを例に取ると、ノードEを宛先とするデータパケットは、ノードBに転送すればよいことがわかる。
【0065】
〈経路テーブル作成処理〉
次に図8を参照して経路テーブル作成処理を説明する。各ノードは定期的に、あるいは
、経路情報が更新されるたびに、自ノードが有する経路情報を周囲に対して送信する。ここではノードAがノードBから経路情報を受信した(S401)ものとして説明する。受信する経路情報には、ノードBから各ノードまでのルートスコアが含まれる。そこで、ノードAは、ノードA−B間のホップ安定度指数を用いて、ノードBを経由して各ノードまで到達する経路のルートスコアを算出する(S402)。ルートスコアが(数式2)のように定義されているのであれば、(ノードBを経由する各経路のルートスコア)=(ノードBからのルートスコア)×(ノードA−B間のホップ安定度指数)として算出可能である。また、ルートスコアが(数式1)のように定義されている場合でも、経路情報としてホップ数と、ホップ安定度指数の総和とを別々に格納しておけば、ノードBからのルートスコアに基づいてノードAからのルートスコアを算出可能である。なお、ルートスコアの定義は上記以外のものも採用可能であるが、Nホップの経路のルートスコアと、1ホップのホップ安定度指数から、1ホップ延長された経路(N+1ホップ)のルートスコアを算出可能な定義式を採用することが好ましい。
【0066】
ノードAは、ノードB以外のノードからも経路情報を取得する場合は、各ノードから受信する経路情報について上記と同様の処理を行う。そして、それぞれの宛先ノードについて最もルートスコアの高い経路を選択して、経路テーブル57を更新する(S403)。そして、周囲のノードに対して更新された経路情報テーブルの内容を送信する(S404)。
【0067】
経路テーブル作成処理の具体例を図9A,9Bを参照して説明する。図9A,9Bにおいて、ノード間に示されている数字は、そのノード間のホップ安定度指数を表す。また、経路テーブル91,92,93はそれぞれノードB,C,Dの経路テーブル(の一部)である。ここでは、ルートスコアは(数式2)にしたがって算出されるものとして説明する。
【0068】
ここではノードAにおいてノードFまでの経路を決定する動作を説明する。また、ノードA以外のノードについては、既に経路情報が得られているものとする。ノードBは、ノードFと直接通信でき、その経路のルートスコアはホップ安定度指数と等しく0.3であることが分かっている。ノードCは、ノードF宛のパケットはノードEに転送すればよいことと、その経路のルートスコアが0.72であることが分かっている。ノードDも同様に、ノードF宛のパケットはノードEに転送すればよいことと、その経路のルートスコアが0.40であることが分かっている。
【0069】
これらの各ノードは経路情報を周囲のノードに送信するので、ノードAはノードB,C,Dから経路情報を受信する。そこで、ノードAは、ノードF宛のパケットをノードB,C,Dに転送した場合の各経路のルートスコアを算出する。ノードF宛のパケットをノードBに転送した場合は、経路A−B−Fが選択される(ただし、ノードB以降の経路がどのようであるかはノードAには分からなくてもよい)。経路A−B−Fのルートスコアは、経路B−F間のルートスコア0.3と、ノードA−B間のホップ安定度から、経路A−B−Fのルートスコアが0.06(=0.3×0.2)であると分かる。また、経路A−C−E−F(ノードCに転送した場合)のルートスコアは0.65(=0.72×0.9)であることが分かる。また、経路A−D−E−F(ノードDに転送した場合)のルートスコアは0.28(=0.4×0.7)であることが分かる。各経路のルートスコアの一覧を図9Bに示す。
【0070】
ノードCを介する経路のルートスコアが最も高いので、ノードAはノードFを宛先とするパケットは、転送先をノードCとすることと、その経路のルートスコア(ここでは0.65)を経路テーブルに格納する。
【0071】
〈データ送信時処理〉
最後に、データパケット送信時の各ノードにおける処理を、図10を参照しつつ説明する。データパケットを受信する(S501)と、そのパケットが自ノードを宛先とするものであるか判定する(S502)。自ノードを宛先とするものでない場合(S502−NO)は、経路テーブルを参照として、その宛先ノード宛のパケットをどのノードに転送すればよいかを取得する(S503)。そして、取得されたノードを転送先としてデータパケットを転送する(S504)。
【0072】
一方、受信したパケットが自ノード宛である場合(S502−YES)には、自ノードでそのパケットの処理を行う(S505)。
【0073】
〈実施形態の作用/効果〉
本実施形態によれば、各ノードが常に経路情報を保持することができる。したがって、データ送信時に経路決定処理を行う必要がなくなり、迅速なデータ送信が可能となる。また、第1の実施形態と同様に各ホップを構成するホップの安定度を考慮して経路が決定されているので、長期間継続して通信可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 無線通信装置
5 デジタル信号処理部
51 通信制御部
52 電波状況検出部
53 チャネル安定度指数算出部
54 チャネル安定度指数テーブル
55 ホップ安定度指数算出部
56 ホップ安定度指数テーブル
57 経路テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数コグニティブ無線通信機能を有するノードから構成されるアドホック無線ネットワークにおける経路決定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信を利用してノード間でパケットの交換を行うネットワークにおいて、ノード間の接続形態が固定されておらず、ノード間の位置関係などに応じて適応的にネットワーク構成が変化するネットワークはアドホック無線ネットワークと呼ばれる。アドホック無線ネットワークでは、直接通信ができないノード間の通信は他のノードによる中継を介して行われる。このような観点から、アドホック無線ネットワークは、マルチホップ無線ネットワークともマルチホップアドホック無線ネットワークとも呼ばれることがある。
【0003】
アドホック無線ネットワークではネットワークトポロジーが頻繁に変化するため、経路探索プロトコル(ルーティングプロトコル)の研究が数多くなされている。その一つに、DSR(Dynamic Source Routing)(非特許文献1)がある。DSRでは、ホップ数(中継数)の少ない経路や、各ホップの安定度が高い経路が選択される。
【0004】
また、空いている周波数を検出してその周波数を利用して通信を行う周波数コグニティブ無線通信の研究も進められている。そして、このような周波数コグニティブ無線通信機能を有する無線機を用いてアドホック無線ネットワークを構成する研究も進められている。特許文献1、2では、リンク状態(リンク負荷やリンク空き状態)やIPフロー情報(アクティブなIPフローの数や、アクティブなIPフローでの通信量)に着目して経路ごとのスコアを算出して、最適な経路を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−22219号公報
【特許文献2】特開2008−109213号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IETF RFC4728, "The Dynamic Source Routing Protocol (DSR) for Mobile Ad Hoc Networks for IPv4"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
利用可能な周波数は時間的にも空間的にも断続的に変化する。したがって、送信元ノード、宛先ノード、および各中継ノードで利用可能な周波数(チャネル)が異なる。また、あるタイミングで利用可能な周波数が、これからも継続的に利用可能であるとも限らない。単にホップ数やリンク状態やIPフロー情報を参照して経路を決定した場合、その後も継続して安定的に通信を行えるという保証はない。
【0008】
本発明はこのような問題点を考慮してなされたものであり、その目的は、周波数コグニティブ無線通信機能を備えるノードから構成されるアドホック無線ネットワークにおいて、長期間利用可能な経路を選択することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る経路決定方法は、経路を決定するために、各ホップの安定度を考慮するこ
とを特徴とする。ここで、ホップの安定度とは、2ノード間でいずれかの周波数を利用して通信が維持できる度合いを表す。このように、ホップの安定度を考慮して経路が決定されるため、長期間利用可能な経路を選択可能となる。
【0010】
より具体的には、本発明は周波数コグニティブ無線通信機能を備えるノードから構成されるアドホック無線ネットワークにおける経路決定方法である。本発明は、各ノードの各周波数についての利用可能状況を検出する検出ステップと、各周波数についての利用可能状況の履歴から、各ノードについて各周波数の安定度を算出する周波数安定度算出ステップと、両ノードの周波数の安定度に基づいて、直接通信可能な2ノード間のホップの安定度を算出するホップ安定度算出ステップと、送信元ノードと宛先ノードとの間の経路を、各ホップの安定度に基づいて決定する経路決定ステップと、を含む。つまり、ノードごとに各周波数の利用可能状況の履歴が求められ、上述のホップ安定度の算出のために利用されている。
【0011】
ホップ安定度算出ステップでは、たとえば、周波数安定度を用いて、ホップを構成する複数のリンクについて安定度を算出できる。なお、リンクは、ある一つの周波数による2ノード間の無線リンクを意味する。したがって、リンク安定度はある特定の周波数を利用して2ノード間で通信が維持できる度合いを表す。ここでは、周波数安定度を用いてリンク安定度を算出している。より具体的には、両ノードにおけるリンク周波数の安定度の平均(相加平均や相乗平均)として、あるいはこの平均に基づいてリンク安定度を算出できる。そして、ホップを構成するリンクの安定度から、ホップの安定度を求めることができる。なお、ホップを構成する全てのリンク(全ての周波数)の安定度を利用してホップ安定度を算出する必要はなく、安定度の高い上位数個のリンクについての安定度だけを利用してホップ安定度を求めても良い。
【0012】
本発明における経路決定ステップでは、送信元ノードと宛先ノードとの間の経路候補それぞれについて、ホップ数が少ないほど高く、かつ、経路を構成する各ホップの安定度の平均が高いほど高くなるルートスコアを算出し、最もスコアの高い経路を送信元ノードと宛先ノードとの間の経路として決定することができる。
【0013】
本発明における経路決定ステップは、送信元ノードが、宛先ノードまでの経路を要求する経路要求を送信する工程と、前記経路要求を受信した宛先ノード以外のノードが、直前のホップ(受信した経路要求を送信/転送したノードとの間のホップ)に関するホップ安定度を前記経路要求に付加して転送する工程と、宛先ノードが、受信した経路要求が転送された経路ごとに、該経路要求に含まれる各ホップのホップ安定度に基づいてルートスコアを算出し、最もスコアの高い経路を送信元ノードと宛先ノードとの間の経路として決定する工程と、を含むことが好ましい。また各ノードがホップ安定度を算出可能とするために、直接通信可能な2ノードの間で、各ノードの周波数安定度を通知し合い、両ノードの周波数安定度に基づいて両ノード間のホップ安定度を算出するステップを含むことが好ましい。
【0014】
このようにすれば、各ノードは直接通信可能なノードとの間のホップ安定度を常に利用可能であるので、これを経路要求に付加して転送するだけでよい。また、経路要求にホップ安定度が付加されるので、宛先ノードはこのホップ安定度を利用してルートスコアを容易に算出することができる。
【0015】
なお、ホップ安定度の算出は必ずしも各中継ノードで行わなくても良い。たとえば、中継ノードは単に、経路要求に自ノードの周波数安定度を付加して転送するだけでもよい。そして、宛先ノードが、各ホップについて、リンク安定度の算出およびホップ安定度の算出を行ってもよい。このようにしても同様の経路が選択可能である。
【0016】
また、本発明における経路決定ステップは、各ノードが自ノードの有する経路情報を周囲に送信する工程と、受信した経路情報とこの経路情報を送信したノードとの間のホップ安定度とから、この経路情報を送信したノードを経由する自ノードから宛先ノードまでの経路のルートスコアを算出する工程と、宛先ノードまでのルートスコアが最も高い経路を、自ノードと宛先ノードとの間の経路として決定し記憶部に格納する工程とを含んでも良い。経路情報の交換を定期的に行い、経路を事前に決定して格納しておくことも好ましい。
【0017】
このようにあらかじめ経路を決定しておけば、データ送信時に経路を決定する必要がなくなり、迅速なデータ送信が実現できる。
【0018】
なお、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む経路決定方法として捉えることができる。また、本発明は、上記処理を実行するためのコンピュータプログラムとして捉えることができる。また、本発明は、上記処理によって経路決定を行うアドホック無線ネットワークとして捉えることもできる。また、本発明は、上記処理を行う手段を有する無線通信装置として捉えることができる。上記処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、周波数コグニティブ無線通信機能を備えるノードから構成されるアドホック無線ネットワークにおいて、長期間利用可能な経路を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、第1の実施形態の無線通信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、経路決定処理を説明する図であり、図2(A)はRREQパケットの転送を示し、図2(B)はRREPパケットの転送を示す図である。
【図3】図3は、経路決定のために送信元ノードが行う処理を示すフローチャートである。
【図4】図4は、経路決定のために中継ノードおよび宛先ノードが行う処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、ホップ安定度指数を算出する処理を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第2の実施形態の無線通信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、経路テーブルのテーブル構造を示す図である。
【図8】図8は、経路テーブル作成処理を示すフローチャートである。
【図9A】図9Aは、ノードAからノードFまでの経路を作成する処理を説明する図である。
【図9B】図9Bは、ノードAからノードFまでの各経路のルートスコアを示す図である。
【図10】図10は、第2の実施形態における通信時の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0022】
〈用語の説明〉
本発明の周波数コグニティブ無線(以下、単にコグニティブ無線ともいう)を採用するアドホック無線ネットワークにおける経路決定方法では、ホップ数だけでなくホップの安
定度も考慮して経路の決定を行う。ここでは、ホップ安定度の概念(用語)の説明と、ホップ安定度を説明するために必要なその他の概念(用語)の説明を行う。
【0023】
・チャネル安定度(周波数安定度)
チャネル安定度は、あるノードにとって特定の周波数チャネル(単に、周波数ともチャネルともいう)がどの程度継続的に(安定的に)利用可能であるかを示す。したがって、チャネル安定度は、ノードごとおよび周波数ごとに定められる。
【0024】
・リンク安定度
リンクは、ある2ノード間でのある周波数を用いた通信路を表す。リンク安定度は、そのリンクによってどの程度継続的に(安定的に)通信可能であるかを示す。リンク安定度は、ノードのペアごとおよび周波数ごとに定められる。リンクが利用可能であるためには、両方のノードでその周波数が利用可能である必要がある(もちろん通信可能範囲内に位置する必要がある)。つまり、リンク安定度は、両方のノードのその周波数についてのチャネル安定度によって定義可能である。
【0025】
・ホップ安定度
ホップ安定度は、ある2ノード間でどの程度継続的に(安定的に)通信可能であるかを示す。ノード間の通信がどの周波数(リンク)で実現されても、その2ノードは通信可能である(ホップが利用可能である)とみなされる。つまり、ホップ安定度は、リンク安定度によって定義可能である。ホップ安定度はノードのペアごとに定められる。
【0026】
(第1の実施形態)
本実施形態に係る無線通信システムは複数のノード(無線通信装置)から構成される。各ノードは周波数コグニティブ無線通信機能を備え、これらのノード間通信は周囲の電波状況を検出して利用可能な周波数チャネルを動的に切り替えつつ行われる。つまり、本実施形態に係る無線通信システムは、周波数コグニティブ無線ネットワークである。また、本無線通信システムは、アクセスポイント等のインフラの介在無しに各ノードが相互に通信するアドホック無線ネットワークである。インフラ設備が存在しないので、ルート構築などは各ノードによって自律的に行われる。また、コグニティブ無線において利用されるチャネルも各ノードが自律的に決定する。
【0027】
図1は、本実施形態の無線通信システムを構成する無線通信装置の機能構成を示す概略図である。無線通信装置1は、アンテナ2,高周波部3,AD変換部4、およびデジタル信号処理部5を備える。高周波部3は、無線信号を受信してデジタル信号処理が行いやすい周波数帯に変換したり、送信信号を実際に送信する周波数に変換する。AD変換部4は、受信したアナログ信号をデジタル信号に変換し、送信するデジタル信号をアナログ信号に変換する。なお、無線通信装置1は、アンテナ2から受信した広帯域の信号(たとえば、900MHz〜5GHz)を一括してAD変換する。チャネル選択などを含めて復調処理はデジタル信号処理部5で行われる。
【0028】
デジタル信号処理部5は、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ダイナミック・リコンフィギュラブルプロセッサなどによっ
て構成することができる。デジタル信号処理部5は、その機能部として、通信制御部51、電波状況検出部52、チャネル安定度指数算出部53、チャネル安定度指数テーブル54、ホップ安定度指数算出部55、およびホップ安定度指数テーブル56を含む。デジタル信号処理部5は、その他にも変復調等のための機能部を要するが、これらは公知であるため詳しい説明は省略する。
【0029】
通信制御部51は、接続確立処理や、データの送受信処理、チャネルの使用状況を通信
相手に通知する処理、利用するチャネルを選択する処理、経路決定処理などを行う。電波状況検出部52は、自ノード周囲における電波状況を検出し、各周波数チャネルが利用されているか(言い換えると、自ノードが利用可能であるか)を判断する。具体的には、たとえば、無線信号の受信レベルが所定の強度以上であれば、すでに使用中である(利用不可能)と判断する。チャネル安定度指数算出部53は、チャネル安定度を数値(チャネル安定度指数)として算出する。算出されたチャネル安定度指数は、チャネル安定度指数テーブル54に格納される。ホップ安定度指数算出部55は、ホップ安定度を数値(ホップ安定度指数)として算出する。算出されたホップ安定度指数は、ホップ安定度指数テーブル56に格納される。
【0030】
〈経路決定処理〉
経路決定処理の手順について説明する。なお、ここではホップ安定度指数が既に求められているものとして説明を進める。ホップ安定度指数の求め方は後で詳しく説明する。
【0031】
本実施形態における経路決定処理は、データ送信時に経路を決定するリアクティブ型である。本実施形態における経路決定処理は、同じリアクティブ型のルーティングプロトコルであるDSRに改良を加えたものである。以下、図面を参照して本実施形態の経路決定処理を説明する。図2(A)(B)は経路決定処理を説明する図であり、図2(A)はRREQ(経路要求:Route Request)パケット送信時、図2(B)はRREP(経路応答
:Route Reply)パケット送信時の処理を説明する図である。図3は、送信元ノードが行
う処理を示すフローチャートである。図4は、中継ノードおよび宛先ノードが行う処理を示すフローチャートである。
【0032】
図2(A)に示すネットワークトポロジーのときに、ノードAがノードEと通信を行う場合を考える。このときノードAが送信元ノードに相当し、ノードEが宛先ノードに相当する。まず、ノードAはノードEまでの経路を要求するRREQパケットをフラッディングする。なお、隣接ノード(直接通信可能なノード)間での通信チャネルの確立はすでに行われているものとする。コグニティブ無線における通信チャネルの確立方法は種々の方法があるが、本実施形態では特定の手法に限定する必要はない。また、ノード間での通信は1つの通信チャネルのみで行われても良く、複数のチャネルを利用して行われても良い。
【0033】
ノードAから送信されたRREQパケットは、ノードB,Cによって受信される。ノードB,Cは、このRREQパケットが自ノード宛のものではないので転送、すなわち、再度フラッディングを行う。この際、中継ノードは、このRREQパケットを送信したノードとの間のホップ安定度をRREQパケットに付加して転送する。具体的には、ノードBはノードA−B間のホップ安定度をRREQパケットに付加して転送し、ノードCはノードA−C間のホップ安定度をRREQパケットに付加して転送する。
【0034】
ノードBから転送されたRREQパケットはノードA,C,Dによって受信される。ノードCから転送されたRREQパケットはノードA,B,Dによって受信される。ノードB,Cは、ノードC,BからのRREQパケットは破棄せずに中継処理を行う。DSRでは一度処理した要求経路(ここでは、ノードAとノードE間の経路)に関するRREQパケットは破棄するが、本実施形態では破棄せずに中継処理の対象とする。ただし、自ノードが中継に関係したRREQパケット(一度転送して戻ってきたRREQパケット)は処理せずに破棄する。ここではノードAはノードB,CからのRREQパケットを破棄する。
【0035】
このようにしてノードAからノードEまでのあらゆる経路を辿ってRREQパケットがノードEまで到達する。ノードEはRREQパケットを解析することで、どのような経路
でそのRREQパケットが自ノードまで到達したか、および、そのホップ数を判別可能である。また、中継の際に各ホップのホップ安定度指数が付加されるので、ホップ安定度指数も取得できる。なお、宛先ノードまでの最終ホップ(図2(A)ではノードD−E間のホップ)に関するホップ安定度指数はノードEで算出可能である。
【0036】
図2(A)に示すネットワークトポロジーの場合は、ノードEまで届くRREQパケットが辿る経路としては以下のものがある。
(1)A−B−D−E
(2)A−C−D−E
(3)A−B−C−D−E
(4)A−C−B−D−E
【0037】
ノードEはこれらの経路候補についてルートスコアを算出し、ルートスコアが最も高い経路をノードA−E間の経路として決定する。ルートスコアはたとえば、次の式によって定義可能である。
【数1】
ここで、a,bは、a+b=1(0<a<1,0<b<1)を満たす定数であり、HSMNはノードMとノードN間のホップ安定度指数を意味する。総和は経路を構成する各ホップに対して行われる。
【0038】
このようにホップの安定度を考慮してルートの決定がなされるため、長期間継続して利用可能な経路を選択することができる。なお、ルートスコアの定義は上記のものに限られず、長期間継続して利用可能な経路ほど高いスコアが得られるようなものであれば任意のものであって良い。
【0039】
たとえば、以下のルートスコアを採用しても良い。
【数2】
ここでホップ安定度指数を0から1の範囲とすれば、ホップ数が多いほどルートスコアが小さくなる。つまり、数式2によるルートスコアの定義は、ホップ安定度指数のみに基づいているともいえるが、ホップ安定度指数とホップ数の両方に基づいているということもできる。数式2では、経路を構成するホップのいずれかにおいて安定度の低いホップが存在すると最終的なルートスコアが小さく算出されるため、ホップ安定度指数のバラツキが大きいときに有効であると言える。また、ホップ安定度指数が、そのホップが通信可能な確率(通信可能な期間の割合)を表すときに有効であると言える。
【0040】
より一般的には、ルートスコアは次の関数fによって定義されればよい。
【数3】
【0041】
すなわち、ルートスコアは、ホップ数が少ないほど大きく(同じを含む)、ホップ安定度指数の平均値が大きいほど大きく(同じを含む)なるように定義されればよい。このようにすれば、継続して安定的に利用可能な経路に対するルートスコアが大きく算出されることになる。上記数式1,2によるルートスコアの定義は、いずれも数式3の条件を満たしている。
【0042】
ノードEは、各経路のルートスコアを算出して最適なルートを選択すると、この経路をRREPパケットによって通知する(図2(B))。たとえば、A−B−C−D−Eの経路が最適なルートであると判断された場合は、ノードEはRREPパケットに経路E−D−C−B−Aを指定して送信する。送信されたRREPパケットはこの経路に沿ってノードAまで到達する。ノードAはこのRREPパケットを受信することで、ノードEまでの最適な経路がわかる。
【0043】
上記の経路決定処理において各ノードが行う処理を図3,4のフローチャートを参照して、ノード種別ごとに説明する。
【0044】
まず図3を参照して、送信元ノードが行う処理について説明する。送信元ノードは、通信を行う場合に、通信制御部51が宛先ノードまでの経路を要求するRREQパケットを作成して送信する(S101)。そして、RREQパケットに対応するRREPパケットの受信を待つ(S102〜S103)。タイムアウト時間内にRREPパケットを受信できた場合(S102−YES)は、宛先ノードまでの経路を決定できる(S104)。一方、タイムアウト時間内にRREPパケットが返ってこない場合(S103−NO)は、エラー終了する。
【0045】
次に図4を参照して、中継ノードおよび宛先ノードが行う処理について説明する。RREQパケットを受信すると(S201)、そのRREQパケットが自ノード宛であるか判断する(S202)。RREQパケットが自ノード宛でない場合(S202−NO)は、自ノードは中継ノードであることが分かる。したがって、中継ノードの通信制御部51は、RREQパケットに直前ホップのホップ安定度を追加してRREQパケットを転送する(S203)。後述するように、ホップ安定度はホップ安定度指数テーブル56に格納されている。なお、フローチャートには示していないが、以前転送したRREQパケットが再び自ノードで受信された場合はそのRREQパケットは処理せずに破棄する。
【0046】
一方、受信したRREQパケットが自ノード宛のものである場合(S202−YES)は、自ノードが宛先ノードであることが分かる。そこで、通信制御部51は、RREQパケットに含まれる各ホップのホップ安定度を取得する(S204)。そして、ホップ数とホップ安定度からルートスコアが算出される(S205)。通信制御部51は、最もルートスコアの高い経路を選択し(S206),その経路を指定してRREPパケットを送信
する(S207)。
【0047】
〈ホップ安定度指数の算出方法〉
次に、ホップ安定度指数の算出方法について図5のフローチャートを参照しつつ説明する。上述したように、ホップの安定度は、ホップ間でどの程度継続して通信可能であるかを示すものである。このホップ安定度は、リンク(ノード間の特定周波数による通信)の安定度(継続利用可能性)から算出できる。そして、リンクの安定度は、各ノードにおけるチャネルの安定度(継続利用可能性)から算出できる。なお、各安定度を指数化した数値を安定度指数と呼んでいる。
【0048】
・チャネル安定度指数
チャネル安定度は、ある周波数チャネルがノードにとってどれだけ継続して利用可能であるかを示す。本実施形態では、過去の履歴からチャネルが利用可能であった割合を求め、その値をチャネル安定度指数として採用する。
【0049】
まず、電波状況検出部52が、自ノードにおける各チャネルの利用可能状況(空き状況)を検出する(S301)。チャネルの利用可能状況は1回だけの検出によって決定されても良いが、複数回の検出処理によって決定しても良い。たとえば、100ミリ秒の期間の間に10ミリ秒おきに1回検出を行い、チャネルの利用可能状況を割合として決定しても良い。10回の検出のうち7回が利用可能という結果であれば、利用可能状況は70%であると決定できる。
【0050】
このような電波状況の検出は定期的に実行され、その検出結果はチャネル安定度指数算出部53によって履歴として記憶される(S302)。チャネル安定度指数算出部53は、過去の履歴を参照して、各チャネルの安定度指数を算出する(S303)。安定度指数の具体的な算出方法としては種々の方法を採用可能であるが、以下のような算出方法がある。
【0051】
たとえば、以下の式のように直近のN期間における利用可能状況の平均を取る方法が考えられる。
【数4】
ここでTi(j)は、時刻jにおけるチャネルiの利用可能状況を表す(Ti(j)は、0か1、または、0〜1の実数)。この式によればチャネル安定度指数Si(t)は0〜1の実数として求められる。なお、この式では直近N期間内の利用可能状況について均等に平均(相加平均)を取っているが、最近のものほど大きな重み付けを与えて平均を取ることも好ましい。
【0052】
このように、チャネル安定度指数算出部53は、各チャネルについてチャネル安定度指数を算出して、チャネル安定度指数テーブル54に格納する。そして、通信制御部51は、自ノードのチャネル安定度指数を周囲のノードに対して送信する(S304)。他のノードも同様にチャネル安定度指数を送信しているので、各ノードは周囲の(直接通信可能な)ノードのチャネル安定度指数を取得可能である。なお、全てのチャネルについてチャネル安定度指数を送信しても良いが、通信量削減のために閾値以上のチャネル安定度指数のみを送信しても良い。
【0053】
・リンク安定度指数
ホップ安定度指数算出部55は、ホップ安定度指数を算出するために、取得したチャネル安定度指数に基づいてリンク安定度指数を算出する(S305)。
【0054】
リンク安定度は、あるノード間で特定のチャネルを利用してどれだけ継続して利用可能であるかを示す。本実施形態では、両ノードのチャネル安定度指数を用いてリンク安定度指数を定義する。具体的には、ノードMとノードNの間の利用可能チャネルiについてのリンク安定度指数は以下の式によって定義される。
【数5】
これは両方のノードでそのチャネルが利用可能である場合に、リンクが通信可能であることを反映している。この定義式は、チャネルの利用可能確率(割合)としてチャネル安定度指数が定義されている場合に特に有効である。ただし、リンク安定度指数は両ノードでのチャネル安定度指数が反映されていれば良く、たとえば、相加平均として定義しても良い。
【0055】
・ホップ安定度指数
ホップ安定度指数算出部55は、リンク安定度指数からホップ安定度指数を算出する(S306)。
【0056】
ホップ安定度は、ホップ間でどの程度継続して通信可能であるかを示す。ホップ間の通信は、いずれかのリンクによって通信できれば維持可能である。したがって、ノードNとノードMの間のホップ安定度指数は、たとえば、次の式によって定義される。
【数6】
ここで、LSiはノードM−N間のリンクの安定度指数を表す。これは両ノード間でいずれかのチャネル(リンク)によって通信ができれば、両ノード間の通信が可能であることを反映している。ここで、上記の積は全てのリンクに対して行っても良いが、リンク安定度指数の高い上位数個のみを対象としても良い。
【0057】
なお、ホップ安定度指数はホップ間での通信可能性を反映していればよいので、たとえば、次の式によって定義しても良い。
【数7】
ホップ安定度指数算出部55は、上記いずれかの式にしたがってリンク安定度指数およびホップ安定度指数を算出し、ホップ安定度指数テーブル56に格納する。通信制御部51は、RREQパケットを転送する際に、上述したようにホップ安定度指数テーブル56に格納されたホップ安定度指数をRREQパケットに付加して転送する。
【0058】
〈経路再設定処理〉
ネットワークトポロジーの変化や環境の変化によって、利用可能なチャネルが変化する
。この場合は、DSRなどと同様の手法によって経路の再設定処理を行えばよい。すなわち、経路が無効になった場合には、送信元ノードまでエラーメッセージ(RERR:Route Error)が伝達される。そして宛先ノードに他の経路情報が保持されていなければ、経路の再設定処理が行われる。
【0059】
〈実施形態の作用/効果〉
本実施形態によれば、周波数コグニティブ無線技術を利用するアドホック無線ネットワークにおいて、単にホップ数が少ないだけでなく、継続的に利用可能な経路によって通信することが可能となる。したがって、経路の再設定回数を減らし、効率的な(スループットの高い)通信が実現できる。
【0060】
〈変形例〉
上記の説明では、各ノードにおいてホップ安定度指数を算出し、算出されたホップ安定度指数をRREQパケットに付加しているが、ホップ安定度指数の算出はどのノードが行っても良い。ホップ安定度指数は、ホップを構成する両端ノードのチャネル安定度に関する情報があれば計算可能である。そこで、RREQパケットに各ノードのチャネル安定度指数を付加して転送しても良い。この方法によっても、宛先ノードで各経路のホップ安定度指数を(さらにはルートスコアも)算出することができる。
【0061】
また、上記の処理では、送信元ノードから宛先ノードまで全ての経路をたどって宛先ノードまでRREQパケットが到達するように、中継ノードでRREQパケットの破棄を行っていない。しかしながら、中継ノードにおいて既に処理した経路よりもルートスコアが低い経路を通って受信したRREQパケットについては転送を行わなくても構わない。たとえば、ノードDが、すでに送信元ノードAからのRREQパケットをA−B−Dの経路で受信し転送しているとする。このとき、ノードDが同じRREQパケットをA−C−Dの経路で受信したとする。このとき、経路A−C−Dのルートスコアが経路A−B−Dのルートスコアよりも低い場合には、ノードDは経路A−C−Dを通って受信したRREQパケットを転送しなくても構わない。このように転送されるRREQパケットの量を減らし、通信量を削減できる。
【0062】
(第2の実施形態)
第1の実施形態はデータ送信時に経路を決定するリアクティブ型の処理であったが、本実施形態は通信を開始する前にあらかじめ経路を決定しておくプロアクティブ型の処理である。
【0063】
本実施形態では、各ノードが定期的に経路テーブル作成処理を行い、宛先ノードごとに次の転送先ノードを記憶しておく。これにより、データパケット送信時に経路決定処理を行う必要がなくなり、迅速にデータの送信が行える。
【0064】
図6は本実施形態の無線通信システムを構成する無線通信装置の機能構成を示す概略図である。第1の実施形態との相違は、経路テーブル(記憶部)57が追加されている点である。通信制御部51が定期的に周囲のノードと情報交換して経路情報を作成し、経路テーブル57に格納する。図7に経路テーブル57のテーブル構造を示す。経路テーブル57には、宛先ノード571ごとに次にどのノードに転送すればよいかを示す転送先ノード572と、その経路のルートスコア573が格納される。図7に示す経路テーブルを例に取ると、ノードEを宛先とするデータパケットは、ノードBに転送すればよいことがわかる。
【0065】
〈経路テーブル作成処理〉
次に図8を参照して経路テーブル作成処理を説明する。各ノードは定期的に、あるいは
、経路情報が更新されるたびに、自ノードが有する経路情報を周囲に対して送信する。ここではノードAがノードBから経路情報を受信した(S401)ものとして説明する。受信する経路情報には、ノードBから各ノードまでのルートスコアが含まれる。そこで、ノードAは、ノードA−B間のホップ安定度指数を用いて、ノードBを経由して各ノードまで到達する経路のルートスコアを算出する(S402)。ルートスコアが(数式2)のように定義されているのであれば、(ノードBを経由する各経路のルートスコア)=(ノードBからのルートスコア)×(ノードA−B間のホップ安定度指数)として算出可能である。また、ルートスコアが(数式1)のように定義されている場合でも、経路情報としてホップ数と、ホップ安定度指数の総和とを別々に格納しておけば、ノードBからのルートスコアに基づいてノードAからのルートスコアを算出可能である。なお、ルートスコアの定義は上記以外のものも採用可能であるが、Nホップの経路のルートスコアと、1ホップのホップ安定度指数から、1ホップ延長された経路(N+1ホップ)のルートスコアを算出可能な定義式を採用することが好ましい。
【0066】
ノードAは、ノードB以外のノードからも経路情報を取得する場合は、各ノードから受信する経路情報について上記と同様の処理を行う。そして、それぞれの宛先ノードについて最もルートスコアの高い経路を選択して、経路テーブル57を更新する(S403)。そして、周囲のノードに対して更新された経路情報テーブルの内容を送信する(S404)。
【0067】
経路テーブル作成処理の具体例を図9A,9Bを参照して説明する。図9A,9Bにおいて、ノード間に示されている数字は、そのノード間のホップ安定度指数を表す。また、経路テーブル91,92,93はそれぞれノードB,C,Dの経路テーブル(の一部)である。ここでは、ルートスコアは(数式2)にしたがって算出されるものとして説明する。
【0068】
ここではノードAにおいてノードFまでの経路を決定する動作を説明する。また、ノードA以外のノードについては、既に経路情報が得られているものとする。ノードBは、ノードFと直接通信でき、その経路のルートスコアはホップ安定度指数と等しく0.3であることが分かっている。ノードCは、ノードF宛のパケットはノードEに転送すればよいことと、その経路のルートスコアが0.72であることが分かっている。ノードDも同様に、ノードF宛のパケットはノードEに転送すればよいことと、その経路のルートスコアが0.40であることが分かっている。
【0069】
これらの各ノードは経路情報を周囲のノードに送信するので、ノードAはノードB,C,Dから経路情報を受信する。そこで、ノードAは、ノードF宛のパケットをノードB,C,Dに転送した場合の各経路のルートスコアを算出する。ノードF宛のパケットをノードBに転送した場合は、経路A−B−Fが選択される(ただし、ノードB以降の経路がどのようであるかはノードAには分からなくてもよい)。経路A−B−Fのルートスコアは、経路B−F間のルートスコア0.3と、ノードA−B間のホップ安定度から、経路A−B−Fのルートスコアが0.06(=0.3×0.2)であると分かる。また、経路A−C−E−F(ノードCに転送した場合)のルートスコアは0.65(=0.72×0.9)であることが分かる。また、経路A−D−E−F(ノードDに転送した場合)のルートスコアは0.28(=0.4×0.7)であることが分かる。各経路のルートスコアの一覧を図9Bに示す。
【0070】
ノードCを介する経路のルートスコアが最も高いので、ノードAはノードFを宛先とするパケットは、転送先をノードCとすることと、その経路のルートスコア(ここでは0.65)を経路テーブルに格納する。
【0071】
〈データ送信時処理〉
最後に、データパケット送信時の各ノードにおける処理を、図10を参照しつつ説明する。データパケットを受信する(S501)と、そのパケットが自ノードを宛先とするものであるか判定する(S502)。自ノードを宛先とするものでない場合(S502−NO)は、経路テーブルを参照として、その宛先ノード宛のパケットをどのノードに転送すればよいかを取得する(S503)。そして、取得されたノードを転送先としてデータパケットを転送する(S504)。
【0072】
一方、受信したパケットが自ノード宛である場合(S502−YES)には、自ノードでそのパケットの処理を行う(S505)。
【0073】
〈実施形態の作用/効果〉
本実施形態によれば、各ノードが常に経路情報を保持することができる。したがって、データ送信時に経路決定処理を行う必要がなくなり、迅速なデータ送信が可能となる。また、第1の実施形態と同様に各ホップを構成するホップの安定度を考慮して経路が決定されているので、長期間継続して通信可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 無線通信装置
5 デジタル信号処理部
51 通信制御部
52 電波状況検出部
53 チャネル安定度指数算出部
54 チャネル安定度指数テーブル
55 ホップ安定度指数算出部
56 ホップ安定度指数テーブル
57 経路テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数コグニティブ無線通信機能を備えるノードから構成されるアドホック無線ネットワークにおける経路決定方法であって、
各ノードの各周波数についての利用可能状況を検出する検出ステップと、
各周波数についての利用可能状況の履歴から、各ノードについて各周波数の安定度を算出する周波数安定度算出ステップと、
両ノードの周波数の安定度に基づいて、直接通信可能な2ノード間のホップの安定度を算出するホップ安定度算出ステップと、
送信元ノードと宛先ノードとの間の経路を、各ホップの安定度に基づいて決定する経路決定ステップと、
を含む経路決定方法。
【請求項2】
前記ホップ安定度算出ステップは、
前記周波数安定度を用いて、ホップを構成する複数のリンクについて安定度を算出する工程と、
複数のリンク安定度から、ホップ安定度を算出する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の経路決定方法。
【請求項3】
前記経路決定ステップでは、
送信元ノードと宛先ノードとの間の経路候補それぞれについて、ホップ数が少ないほど高く、かつ、経路を構成する各ホップの安定度の平均が高いほど高くなるルートスコアを算出し、最もスコアの高い経路を送信元ノードと宛先ノードとの間の経路として決定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の経路決定方法。
【請求項4】
直接通信可能な2ノードの間で各ノードの周波数安定度を通知し合い、両ノードの周波数安定度に基づいて両ノード間のホップ安定度を算出するステップをさらに含み、
前記経路決定ステップは、
送信元ノードが、宛先ノードまでの経路を要求する経路要求を送信する工程と、
前記経路要求を受信した宛先ノード以外のノードが、直前のホップに関するホップ安定度を前記経路要求に付加して転送する工程と、
宛先ノードが、受信した経路要求が転送された経路ごとに、該経路要求に含まれる各ホップのホップ安定度に基づいてルートスコアを算出し、最もスコアの高い経路を送信元ノードと宛先ノードとの間の経路として決定する工程と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の経路決定方法。
【請求項5】
直接通信可能な2ノードの間で各ノードの周波数安定度を通知し合うステップをさらに含み、
前記経路決定ステップは、
送信元ノードが、宛先ノードまでの経路を要求する経路要求を送信する工程と、
前記経路要求を受信した宛先ノード以外のノードが、自ノードの周波数安定度を前記経路要求に付加して転送する工程と、
宛先ノードが、受信した経路要求が転送された経路ごとに、該経路要求に含まれる各ノードの周波数安定度に基づいてルートスコアを算出し、最もスコアの高い経路を送信元ノードと宛先ノードとの間の経路として決定する工程と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の経路決定方法。
【請求項6】
直接通信可能な2ノードの間で各ノードの周波数安定度を通知し合い、両ノードの周波数安定度に基づいて両ノード間のホップ安定度を算出するステップをさらに含み、
前記経路決定ステップは、
各ノードが自ノードの有する経路情報を周囲に送信する工程と、
受信した経路情報と、当該経路情報を送信したノードとの間のホップ安定度とから、当該経路情報を送信したノードを経由する自ノードから宛先ノードまでの経路のルートスコアを算出する工程と、
前記宛先ノードまでのルートスコアが最も高い経路を、自ノードと宛先ノードとの間の経路として決定し記憶部に格納する工程と、
を含みことを特徴とする請求項3に記載の経路決定方法。
【請求項7】
周波数コグニティブ無線通信機能を備え、アドホック無線ネットワークを構成する無線通信装置であって、
自ノードが利用可能な周波数を検出する検出手段と、
各周波数についての利用可能状況の履歴から、各周波数の安定度を算出する周波数安定度算出手段と、
直接通信可能なノードとの間のホップ安定度を、両ノードの周波数安定度に基づいて算出するホップ安定度算出手段と、
送信元ノードと宛先ノードとの間の経路を、各ホップの安定度に基づいて決定する経路決定手段と、
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項1】
周波数コグニティブ無線通信機能を備えるノードから構成されるアドホック無線ネットワークにおける経路決定方法であって、
各ノードの各周波数についての利用可能状況を検出する検出ステップと、
各周波数についての利用可能状況の履歴から、各ノードについて各周波数の安定度を算出する周波数安定度算出ステップと、
両ノードの周波数の安定度に基づいて、直接通信可能な2ノード間のホップの安定度を算出するホップ安定度算出ステップと、
送信元ノードと宛先ノードとの間の経路を、各ホップの安定度に基づいて決定する経路決定ステップと、
を含む経路決定方法。
【請求項2】
前記ホップ安定度算出ステップは、
前記周波数安定度を用いて、ホップを構成する複数のリンクについて安定度を算出する工程と、
複数のリンク安定度から、ホップ安定度を算出する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の経路決定方法。
【請求項3】
前記経路決定ステップでは、
送信元ノードと宛先ノードとの間の経路候補それぞれについて、ホップ数が少ないほど高く、かつ、経路を構成する各ホップの安定度の平均が高いほど高くなるルートスコアを算出し、最もスコアの高い経路を送信元ノードと宛先ノードとの間の経路として決定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の経路決定方法。
【請求項4】
直接通信可能な2ノードの間で各ノードの周波数安定度を通知し合い、両ノードの周波数安定度に基づいて両ノード間のホップ安定度を算出するステップをさらに含み、
前記経路決定ステップは、
送信元ノードが、宛先ノードまでの経路を要求する経路要求を送信する工程と、
前記経路要求を受信した宛先ノード以外のノードが、直前のホップに関するホップ安定度を前記経路要求に付加して転送する工程と、
宛先ノードが、受信した経路要求が転送された経路ごとに、該経路要求に含まれる各ホップのホップ安定度に基づいてルートスコアを算出し、最もスコアの高い経路を送信元ノードと宛先ノードとの間の経路として決定する工程と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の経路決定方法。
【請求項5】
直接通信可能な2ノードの間で各ノードの周波数安定度を通知し合うステップをさらに含み、
前記経路決定ステップは、
送信元ノードが、宛先ノードまでの経路を要求する経路要求を送信する工程と、
前記経路要求を受信した宛先ノード以外のノードが、自ノードの周波数安定度を前記経路要求に付加して転送する工程と、
宛先ノードが、受信した経路要求が転送された経路ごとに、該経路要求に含まれる各ノードの周波数安定度に基づいてルートスコアを算出し、最もスコアの高い経路を送信元ノードと宛先ノードとの間の経路として決定する工程と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の経路決定方法。
【請求項6】
直接通信可能な2ノードの間で各ノードの周波数安定度を通知し合い、両ノードの周波数安定度に基づいて両ノード間のホップ安定度を算出するステップをさらに含み、
前記経路決定ステップは、
各ノードが自ノードの有する経路情報を周囲に送信する工程と、
受信した経路情報と、当該経路情報を送信したノードとの間のホップ安定度とから、当該経路情報を送信したノードを経由する自ノードから宛先ノードまでの経路のルートスコアを算出する工程と、
前記宛先ノードまでのルートスコアが最も高い経路を、自ノードと宛先ノードとの間の経路として決定し記憶部に格納する工程と、
を含みことを特徴とする請求項3に記載の経路決定方法。
【請求項7】
周波数コグニティブ無線通信機能を備え、アドホック無線ネットワークを構成する無線通信装置であって、
自ノードが利用可能な周波数を検出する検出手段と、
各周波数についての利用可能状況の履歴から、各周波数の安定度を算出する周波数安定度算出手段と、
直接通信可能なノードとの間のホップ安定度を、両ノードの周波数安定度に基づいて算出するホップ安定度算出手段と、
送信元ノードと宛先ノードとの間の経路を、各ホップの安定度に基づいて決定する経路決定手段と、
を有することを特徴とする無線通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【公開番号】特開2010−239248(P2010−239248A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82793(P2009−82793)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]