説明

アドレス指定可能なデコーダ・ユニットを用いたオブジェクト識別による集合的オブジェクト管理システム

【課題】固有のアドレスを有するデジタル・デコーダによるオブジェクト識別を用いた改善された集合的オブジェクト管理システムを提供する。
【解決手段】各ファイル・フォルダ30は、ファイル・フォルダ上に取り付けられた可視インジケータ72を有する電気回路を有する。各フォルダ回路は、供給源からの到来アドレスが合致するたびに有効信号を生成する固有のシステム・アドレスを有するアドレス・デコーダを有する。ローカル・マイクロコンピュータ35及び任意選択的なエンコーダは、供給源からの到来オブジェクト識別信号を受信し、所望のオブジェクトアドレスをキャビネット内の全てのファイル・フォルダ30に与える。ユーザ支援のために、各ファイル・フォルダ30は、前面パネル上に取り付けられた可視インジケータ27を有し、パネル・インジケータ27は、見つけようとしているフォルダ30がその引き出し内に含まれるときに点灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、集合的オブジェクト管理システムに関し、詳細には、固有のアドレスを有するデジタル・デコーダによるオブジェクト識別を用いた改善された集合的オブジェクト管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
「集合的オブジェクト管理システム」という用語は、一般に、品目の集合において品目(「オブジェクト」)を把握するためのシステムを表すのに作られた用語である。例えば、自動車部品倉庫は、あらゆる所与の時点において在庫に自動車部品(「オブジェクト」)の集合を有する。部品は販売され且つ新しい部品が入荷するので、こうした部品の種類及び数は毎日変化する。在庫している自動車部品の数及び種類を把握するために、何らかのタイプの集合的自動車部品管理システムを使用する必要がある。同様に、半導体製造業においては、あらゆる所与の時点においても施設のどこかに配置された1つ又はそれ以上のタイプの集積回路(「オブジェクト」)の集合が存在し、この集合は、集合的集積回路管理システムを用いて考慮する必要がある。スーパーマーケットにおいては、通常、肉、農産物、缶詰製品等といった多数の異なる種類の品目の集合が在庫されており、オブジェクトの数及び種類は毎日大きく変化するので、複雑なオブジェクト管理システムが必要となる。事務所及び一部の家庭においては、一般的に、ビジネス及び個人的な活動の両方に用いられる文書を保管するため、ファイル保管キャビネットを使用している。一般的なファイル保管キャビネットは、各々が比較的多数のファイル・フォルダ(「オブジェクト」)を収容した幾つかの引き出しを有し、各フォルダが1つ又はそれ以上の文書を含んでいる。種々のファイルに含まれる文書に容易にアクセスできるように、何らかのタイプのファイル管理システムが必要となる。
【0003】
ファイル保管管理の場合、各ファイル・フォルダには、一般的に、ファイルの引き出しが(通常、フォルダの上縁に沿って)開けられたときに見ることができ、且つフォルダの内容を記述する読み取り可能な情報を含むタブ部分を備える。この読み取り可能な情報は、一般的に、アカウント名、件名(例えば「公共料金の請求書」)等のような短縮形式の識別になっている。
【0004】
フォルダ内に含まれる個々の文書へのアクセスを容易にするために、通常は、何らかのタイプの索引付け構成を用いて、各フォルダの引き出しの位置を識別する。一般的に用いられる簡単な技術は、ファイル・フォルダをアルファベット順に列挙した、各引き出しの前面パネル上に配置されたアルファベット順索引カードである。例えば、あるファイルの引き出しパネルは、文字A−Fで始まるファイルを列挙した索引カードを有することができ、別の引き出しは、文字G−L等で始まるファイルを列挙する索引カードを有することができる。多くの場合、短縮形式の識別子と、これに対応してファイルの内容の詳細且つ完全な記述とによって全てのファイルを列挙するコンピュータ・ベースの索引など、より高度な索引付け構成が使用される。こうしたコンピュータ・ベースの構成であっても、依然として、ユーザが所与のフォルダを識別できるように各ファイル・フォルダに読み取り可能なタブ又はタグを使用する必要がある。このことは、何れかの許可されていないユーザが、特定のファイル名又は特定タイプの情報を含むファイルを検索するのを容易にするので、極めて好ましくない。それにも関らず、公知のファイル管理システムは、ファイルの位置を合理的に特定できるようにするために、可視のタブ又はタグの使用を必要とする。
【0005】
複数の個人がファイル引き出しの内容にアクセスできる用途においては、通常、ファイルの配置を監視するための何らかの取り決めがなされている。例えば、ビジネス用途においては、所与のファイルの所在が常に分かるようにしておくために、署名による持ち出し及び返却手順を提供することが好都合であり、場合によっては必要である。通常、こうした監視の試みでは、各個人が手順に忠実に従わないことに起因して、ファイルを正確に追跡することができない。その結果、いつでも、実際に各ファイル引き出しを完全に調べ、ファイル・フォルダ及びその内容を主索引と照合してチェックすることによってしかファイル管理システムの完全性を検証できないことがある。この要件は、時間がかかる上に面倒であり、従って、大きな欠点である。
【0006】
上述したタイプの公知のファイル管理システムにおいては、ファイル・フォルダに内容識別子が与えられると、当該フォルダはその内容の性質と恒久的に関連付けられる。内容を他の何らかのカテゴリに変更するには、フォルダを破棄して代わりに新しい標識の付いていないフォルダに置き換えるか、又は識別ラベルを変更する必要がある。更に、主索引は、手作業で更新するか、又はコンピュータ・ベースの索引付けシステムにおいてコンピュータを用いて更新する必要がある。事務職員が必ずしもこれらの手順に従うとは限らないので、結果としてファイル・システムの完全性が損なわれる。
【0007】
公知の集合的オブジェクト管理システムの全ての実施例において、異なるオブジェクトのためのコンテナ又はオブジェクト自体は、通常、オブジェクト又はコンテナに付与されたラベル又はタグのような、何らかのタイプの人間が可読の又は機械可読の識別標識を備えている。より高度なシステムにおいては、オブジェクトの把握を助けるためにコンピュータが使用される。一般的には、オブジェクトが通常の位置から取り出された場合、何らかの手順を用いて、オブジェクトがその通常の位置から取り出されたという事実を記録する。これは、オペレータが、システム・コンピュータに変更を入力するか、或いは、タグ又はラベルの読取装置(例えば、バーコード・リーダ)を使用して情報をシステム・コンピュータに入力することによって達成される。
【0008】
その開示事項が引用により本明細書に組み入れられる、「Collective Objects Management System Using RF Object Identification」と題して1999年11月2日に発行された特許文献1は、ファイル管理システムにおける上述の欠点を解消した集合的オブジェクト管理システムを開示している。更に、特許文献1で開示された集合的オブジェクト管理システムは、異なるオブジェクトの大きな集合のどこかに保管されている所望のオブジェクトを見つけるための簡単で効率的な方法を提供する。特許文献1に開示されたシステムは、RF感知回路を使用して、集合内の全てのオブジェクトの制御を維持する。各オブジェクトは、その固有周波数のRF信号が回路により受信されたときに固有周波数で共振する関連のRF感知回路と、人間のオペレータに対してオブジェクトを識別するためR.F回路に結合されたインジケータとを有する。インジケータは、人間のオペレータが容易に見ることができる、オブジェクト又はオブジェクトのコンテナに結合されたLEDのような可視インジケータであることが好ましい。代替的に、ブザーのような可聴インジケータを使用することもできる。
【0009】
ファイル管理システムにおける本発明の特定の実施においては、フォルダ回路は、ファイルの引き出しに入れる各ファイル・フォルダ内に含められる。各フォルダ回路は、特定のRF周波数に応答する水晶を有し、所与の水晶の共振周波数は、他の全ての水晶の共振周波数とは異なっている。各フォルダ回路は、従来のファイル・キャビネットに通常見られる導電性の上部支持レールを用いて、引き出し信号入力/出力に電気的に結合される。レールの1つは、そのレールを引き出しの残りの導電素子から電気的に絶縁することにより変更される。
【0010】
各フォルダ回路は、引き出しが開けられたときにユーザに見える位置において、フォルダの上縁に沿って取り付けられたインジケータ、好ましくはLED可視インジケータを含む。更に、各引き出しには、引き出しの前面パネルに取り付けられたインジケータ、好ましくは点滅LED可視インジケータが設けられる。電流検出回路を用いて引き出しパネル・インジケータの状態を制御する。
【0011】
全ての引き出し入力/出力端子は、専用コネクタ(すなわち、有線接続)又は送受信機(すなわち、無線通信)の何れかを用いて関連するコンピュータに電気的に並列結合される。コンピュータは、全ての水晶周波数に合致する信号を生成することができるRF信号生成装置を含む。ファイルを見つけるためには、ユーザは、一般的にキーボード又はマウスを用いて当該ファイルをコンピュータに指定する。コンピュータにより、RF信号生成装置は、指定されたファイルの周波数に合致する周波数のRF信号を生成する。RF信号は、システム内の全てのファイル・キャビネット、従って全てのファイル引き出しに伝送される。指定されたファイルが引き出しの何れか1つ内にある場合には、そのファイル・フォルダを含む引き出しの前面パネル上のインジケータ及び正しいファイル・フォルダのインジケータの両方が作動する。次に、ユーザは、アクティブなパネル・インジケータを有する引き出しを開き、アクティブなファイル・フォルダ・インジケータを有するファイル・フォルダを取り出す。
【0012】
ファイル管理システムに適用すると、特許文献1に開示された集合的オブジェクト管理システムは、作動したインジケータによって正しいファイル・フォルダが指定されるので、各ファイル・フォルダ上に読み取り可能なタブ又はタグを付ける必要がなくなる。また、必要な情報をコンピュータに入力するだけで、ファイル・フォルダの性質を変更することができる。更に、RF掃引周波数生成装置を用いて水晶周波数の全周波数範囲を掃引し、共振応答が存在しないあらゆる周波数を検出することによって、ファイル・システム全体の完全性をチェックすることもできる。このシステムは、導電性の二重レール式フォルダ支持機構を有する既存のファイル・キャビネットに容易且つ好都合に組み込むことができる。自動車部品倉庫及び集積回路製造業のような他のタイプの集合的オブジェクト管理システムにおいては、公知の設計の標準的なオブジェクト・コンテナを用いて、システムを実施することができる。
【0013】
上述のように、特許文献1のシステムにおいては、各オブジェクトは、回路が固有周波数のRF信号を受信したときに固有周波数で共振する単一の水晶を有する関連のRF感知回路を有する。この構成は、オブジェクトと所与の周波数との間に固有の1対1の対応関係を与える。多数のファイルを有する何らかのファイル管理システムのような多数のオブジェクトを有する集合的オブジェクト管理システムにおいては、これに対応して、各々が他の全ての水晶とは異なる共振周波数を有する多数の水晶が必要になる。誤った水晶作動を防ぐために、システム内の水晶の集合において全ての水晶間に最小周波数分離をもたらすことが有用であることが分かっている。例えば、約2mHzから約20mHzまでの周波数範囲にわたって動作するように設計されたシステムにおいて、1kHzの水晶の最小周波数分離により良好な結果がもたらされることが分かっている。しかしながら、最小周波数分離要件は、システムに用いることができる水晶の総数に上限を課し、そのことにより、システムが対応できるオブジェクトの総数に上限が設けられる。
【0014】
「Collective Objects Management System Using RF Object Identification With Multiple Crystals」と題された2009年9月24日に出願の同一出願人による同時係属中の米国特許出願第12/586,552号は、特許文献1に開示された基本技術に優る改善点を開示している。この改善点により、所与のオブジェクトに関連付けられた各RF感知回路に対して1つよりも多い水晶を設けることによって所与のシステムが対応できるオブジェクトの実施可能な数が増加する。各ファイル・フォルダ回路内に2つよりも多い水晶を用いることにより、所与のシステム内のフォルダの集合を一意的に識別するのに必要な個々の周波数の総数が大幅に低減される。例えば、20,000の異なるファイル・フォルダを一意的に識別するには、各RF感知回路内に2つの水晶を有するシステムにおいて200よりも僅かに少ない異なるペアの周波数が必要である(単一水晶のシステムにおいて20,000の個々の周波数が必要になるのと比較して)。この改善点を組み込むシステムにおいて、少なくとも2倍の数の水晶が必要になるとしても(単一の水晶のみを用いるシステムと比較して)、標準的な共振周波数を有する製造前水晶の在庫品から個々の水晶を選択することができ(各々が1kHzの固定周波数分離により他のものから分離される共振周波数のスペクトルを提供するために特別に製造する必要がある水晶とは対照的に)、結果として実質的な全体のコスト節減となる。更に、この改善点は、各オブジェクト(ファイル・フォルダ)回路において2つ又はそれ以上の水晶を用いることに起因して、所与のシステムにおいて潜在的なオブジェクト(ファイル・フォルダ)の母集団を実質的に拡大させる。従って、使用可能な最適周波数スペクトル(例えば、2mHzから20mHzまで)により制約されるシステムが与えられた場合、この改善点は、単一水晶技術がもたらすものよりも数オーダー大きいオブジェクトの母集団に対応する可能性をもたらす。更に、この改善点は、単一水晶のシステムに内在する利点の何れも犠牲にすることなく、上述の利点をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5,977,875号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
RF感知回路及び1つ又はそれ以上のRF信号生成装置を用いる集合的オブジェクト管理システムは、ほとんどの先進工業国において政府当局により課される放射線基準の適用対象となる。こうした国においては、何れのRFシステムも合法的に展開できるようになる前に試験を受けて、このような装置に対する管轄の監督機関により承認される必要がある。多くの場合、この試験要件は、比較的コスト及び時間がかかるものであり、このことは、このようなシステムの実施を抑制するものとして作用する。更に、承認を受けたRF信号生成装置に対するどのような改善及び修正も、システムがその修正した形態で再提出され試験されて承認されることを必要とし、このことは、RFベースのシステムの実施に対する更なる抑制として作用する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、RFベースのシステムについて上述した利点を提供するが、RF放射線試験の必要性を回避し、従って、RF放射線の伝送に依存するシステムよりも低コストで、実施がより容易且つ迅速である集合的オブジェクト管理システムを含む。
【0018】
装置の態様によれば、本発明は、オブジェクト配置空間内に分布するオブジェクトの管理を可能にするための装置を含み、本装置は、少なくとも1つがシステム・コンピュータのような供給源により与えられるアドレス信号を受信する複数の導電性部材を有する、1つ又はそれ以上の関連文書のためのファイル・フォルダのようなオブジェクト用容器と、固有のシステム・アドレスと複数の導電性部材と電気的に接触する複数の導電性端子とを有するオブジェクトに関連付けられたアドレス・デコーダ回路と、複数の導電性部材の少なくとも1つに存在し且つそのアドレス・デコーダ回路の固有のシステム・アドレスを表わすアドレス信号をアドレス・デコーダ回路が検出するたびに作動するように、アドレス・デコーダ回路に結合された可視インジケータ(例えば、LED)のようなインジケータとを含む。
【0019】
アドレス信号を生成するためのエンコーダを全てのこうした装置と関連付けることができ、エンコーダは、供給装置からオブジェクト識別信号を受信するための少なくとも1つの入力端子と、アドレス・デコーダ回路に結合された少なくとも1つの出力端子と、オブジェクト識別信号により指定されたオブジェクトの固有のシステム・アドレスを表わす信号を生成するための回路とを有する。
【0020】
特定の実施形態において、容器は、支持ブレースのペアを有し且つその1つが複数の導電性部材を含むファイル・フォルダを備え、アドレス・デコーダ回路及びインジケータは、複数の導電性部材を含む支持ブレースの1つによって支持される。本実施形態において、複数の導電性部材を含む支持ブレースは、対向する端部のペアを有する非導電性材料から形成された細長い本体構造部を備え、各端部は、細長い本体構造部に固定されたばね接点のペアを備えた下向きに開口するカットアウト・チャネルを有し、各ばね接点は、複数の導電性部材のうちの異なるものに電気的に結合される。適切な機械的取り付けを保証するために、各ばね接点は、その端部に隣接して細長い本体構造部に形成された対応するスロット内に受けられる自由端を有する。取り付け中のファイル・フォルダの適切な向きを保証するために、細長い本体構造部の対向する端部の一方におけるカットアウト・チャネルの幅は、細長い本体構造部の対向する端部の他方におけるカットアウト・チャネルの幅とは異なる。
【0021】
好ましくは、各ファイル・フォルダは上縁を有し、インジケータは、良く見えるようにするために上縁の上に延びる位置でファイル・フォルダに取り付けられる。
【0022】
システムの態様によれば、本発明は、オブジェクト配置空間内に分布するオブジェクトを管理するためのシステムを含み、本システムは、少なくとも1つが供給源により供給され、見つけようとしているオブジェクトを指定するアドレス信号を受信することができる複数の相互に電気的に絶縁された導電性経路を有する、ファイル引き出しのようなコンテナと、コンテナ内に配置された複数のオブジェクト用容器とを備え、複数のオブジェクト用容器の各々は、(a)各々が複数の相互に電気的に絶縁された導電性経路の異なるものに電気的に結合された複数の導電性部材と、(b)固有のシステム・アドレスと、複数の導電性部材と電気的に接触する複数の導電性端子とを有する、容器内のオブジェクトに関連付けられたアドレス・デコーダ回路と、(c)複数の導電性部材のうちの少なくとも1つに存在し且つ固有のシステム・アドレスを表わすアドレス信号をアドレス・デコーダ回路が検出するたびに作動するようにアドレス・デコーダ回路に結合された可視インジケータ(例えば、LED)のようなインジケータと、を有する。
【0023】
本システムは、アドレス信号を生成するエンコーダを備えた供給源を更に含み、該エンコーダは、供給装置からオブジェクト識別信号を受信するための少なくとも1つの入力端子と、複数のオブジェクト用容器の各アドレス・デコーダ回路に結合された少なくとも1つの出力端子と、オブジェクト識別信号により指定されたオブジェクトの固有のシステム・アドレスを表わす信号を生成するための回路とを有する。
【0024】
特定の実施形態において、コンテナは、ファイル・フォルダ引き出しを含み、各オブジェクト用容器は、支持ブレースのペアを有するファイル・フォルダを含み、支持ブレースの1つは複数の導電性部材を含む。本実施形態において、オブジェクト用容器の各々のアドレス・デコーダ回路及びインジケータは、ファイル・フォルダの各々の2つの支持ブレースの1つによって支持される。
【0025】
好ましくは、各ファイル・フォルダは上縁を有し、各インジケータは、上縁の上に延びる位置において対応するファイル・フォルダに取り付けられ、ファイル・フォルダ引き出しが開かれた位置にあるときに見えるようにする。
【0026】
ファイル・フォルダ引き出しは、複数の相互に電気的に絶縁された導電性経路の異なるものが配置された少なくとも2つの非導電性支持部材を含む。複数のオブジェクト用容器の各支持ブレースの1つは、対向する端部のペアを有する非導電性材料から形成された細長い本体構造部を含み、各端部は、細長い本体構造部に固定されたばね接点のペアを備えた下向きに開口するカットアウト・チャネルを有し、各ばね接点は、複数の導電性部材の異なるものに電気的に結合される。複数のオブジェクト用容器の支持ブレースの1つの各端部は、ファイル・フォルダが引き出し内に受けられたときに、少なくとも2つの非導電性支持部材の異なるものにより支持される。
【0027】
ファイル・フォルダ引き出しの横方向に離間配置された2つの非導電性支持部材が各々ある幅を有し、各非導電性支持部材の幅は互いに異なっている。同様に、ファイル・フォルダの各々の細長い本体構造部の対向する端部の一方におけるカットアウト・チャネルの幅も、ファイル・フォルダの各々の細長い本体構造部の対向する端部の他方におけるカットアウト・チャネルの幅とは異なり、所与のファイル・フォルダが、ばね接点の各々が導電性経路の適切なものと機械的及び電気的に接触した状態で1つの適切な向きにのみ2つの支持部材に取り外し可能に固定できるようになる。
【0028】
ファイル・フォルダ引き出しは、付加的なインジケータが取り付けられた前面パネルを有し、本システムは、複数の導電性部材の少なくとも1つに存在し且つそのアドレス・デコーダの固有のシステム・アドレスを表わすアドレス信号をファイル・フォルダ引き出し内に配置されたアドレス・デコーダ回路が検出するたびに付加的なインジケータを動作させるための回路を更に含む。
【0029】
各アドレス・デコーダ回路は、複数の導電性部材の少なくとも1つに存在し且つそのアドレス・デコーダ回路の固有のシステム・アドレスを表わすアドレス信号をアドレス・デコーダ回路が検出するたびに有効(VALID)信号を生成するための回路を含む。
【0030】
マイクロコンピュータは、導電性経路の一部を介して複数のオブジェクト用容器に電力信号を供給し、導電性経路の少なくとも1つを介してアドレス信号を供給し、到来アドレスが所与のアドレス・デコーダ回路のシステム・アドレスと合致したときに、各アドレス・デコーダ回路により生成された有効信号を受信する。マイクロコンピュータはまた、有効信号を生成するあらゆるアドレス・デコーダ回路のシステムにおける位置を識別する情報信号を生成するための回路を含む。
【0031】
本発明は、特定周波数の水晶を用いたRFベースのシステムにより与えられるものに匹敵し且つRF法的規制試験及び承認プロセスに関連する欠点がない、オブジェクト配置空間内に分布するオブジェクトに対してのオブジェクト管理能力を提供する。更に、本発明は、主として各々のオブジェクト用容器コンテナ位置においてRF信号生成装置を排除したことに起因して、RFベースのシステムよりも少ない機器コストで構成及び構築することができる。
【0032】
本発明の性質及び利点のより完全な理解のために、添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の有線接続の実施形態を示す多数の引き出しファイル・キャビネットの斜視図である。
【図2】本発明による、単一のファイル引き出し、ファイル・フォルダ、及び関連した要素の概略的な側面斜視図である。
【図3】本発明による、ファイル・フォルダに配置された電気部品を支持するフォルダ・ブレースの部分的に切り欠いた前方立面図である。
【図4】本発明による、フォルダ・ブレースが上側支持部材に取り外し可能に取り付けられる方法を示す、単一のフォルダ・ブレース及びフォルダ・ブレースのための一対の上側支持部材の部分図である。
【図5】本発明による、オブジェクト・プロセスをエンコード及びデコードするために用いられるエンコーダ及びデコーダの概略図である。
【図6】本発明の単一の引き出し及び主システム構成要素の概略平面図である。
【図7】単一のファイル・キャビネットのシングルボード・コンピュータの概略ブロック図である。
【図8】本発明の無線の実施形態における多数のファイル・キャビネット構成の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、様々な集合的オブジェクト管理システムに広く応用できる。以下は、ファイル管理システムの分野における本発明の1つの応用例の詳細な説明である。
【0035】
ここで図を参照すると、図1は、ファイル保管システムの応用例における、ファイル・キャビネットと関連付けられたコンピュータとの間に直接的な電気的接続を用いた本発明の第1の実施形態の右前面から見た斜視図である。この図から分かるように、公知の機械的構造の複数引き出し付きファイル・キャビネット10(4つの引き出しが図示される)は通常、上面12、底面13、側面14、15及び背面16を有する。4つの引き出し18−21は、キャビネット10内に滑動可能に取り付けられ、各引き出し18−21は、その前面パネル25上に取り付けられた引き出しの取っ手23を有する。可視インジケータ装置27もまた、各引き出し18−21の前面パネル25上に取り付けられている。インジケータ27は、以下に説明される方法で作動されたときに可視信号を提供できる多くの公知の要素の何れを含んでもよい。好適なインジケータの実施例は、従来のLEDインジケータ、及びRadio Shack Corporation社から入手可能な276−036型点滅LEDインジケータである。
【0036】
一番下の引き出し18は開かれた位置で示され、基本的な引き出し構造、及びファイル・フォルダがファイル引き出し内に取り出し可能に支持される様式の斜視図を提供する。図示されるように、引き出し18には、以下で詳細に説明される上側支持部材28、29のペアが設けられ、引き出し内にファイル・フォルダ30のような個々のファイル・フォルダを支持する主目的を果たしている。第2に、支持部材28、29はまた、引き出し18自体に構造的剛性を与えることもできる。引き出し18はまた、下部部材32、33のペア(図1にはその一方だけ(部材33)が見える)を有し、これにより水平方向の構造要素が完成する。一般的に用いられるファイル・キャビネット構造において、部材28、29、32及び33は、標準的な引き出しに物理的に取り付けることができる内側フレーム挿入部(垂直方向に配置されたフレーム部材と共に)を形成することができる。引き出し構造を完成させるために、背面34が部材28、29、32、33に結合される。フォルダ30などの全てのファイル・フォルダは、フォルダ30が機械的に固定される水平方向支持ブレース(後述される)を用いて上側支持部材28、29によって取り外し可能に支持される。フォルダ30の機械的構造は従来のものである。引き出し19−21の構造及び構成は、引き出し18のものと同一である。キャビネット10の右下に示される説明付きの引き出し線で示されるように、AC電力接続部は、以下で説明され且つファイル・キャビネット10内に配置される電子部品にAC電力を提供する。同様に、後述の目的のために、有線接続がファイル・キャビネット10と関連するホスト・コンピュータとの間に結合される。
【0037】
図2に最もよく示されるように、この図に示されるフォルダ30のような各フォルダは、上側支持部材28、29によって取り外し可能な方法で機械的に支持される。各引き出し18−21の上側支持部材28、29は、後述される絶縁要素により残りの引き出しフレーム構造から電気的に絶縁される。また、上側支持部材28、29は各々、ファイル・キャビネット10に位置するローカル・マイクロコンピュータ35の4つの端子に個々の導体により接続される2つの導電性ストリップを備える。これらの4つの端子は、図2において、「データ・バス」、「+5V」、「接地」及び「有効信号」で表記される。マイクロコンピュータ35は、好ましくは、カリフォルニア州Santa Clara所在のIntel Corporation社から入手可能なAT89C2051型の装置であり、ホスト・コンピュータ(図2には示されていない)に結合され、また、上述のAC電源入力から得られるDC電力(+5V)の好適な供給源に結合される。マイクロコンピュータ35は、インジケータ27及び電動式引き出しロック機構37の状態を制御するための、「LED」及び「ロック」で表記された出力端子のペアを有する。「+5V」及び「接地」端子は、引き出し内に位置する各ファイル・フォルダ内に配置された回路にDC電力を提供する。「データ・バス」端子は、アドレス情報をファイル・フォルダ回路に供給する。「有効信号」端子は、所与のフォルダのファイル・フォルダ回路が、そのファイル・フォルダ回路のアドレスと合致する、マイクロコンピュータ35から受信したアドレスをデコードする毎に有効信号を受信する。
【0038】
図3及び図4は、各ファイル・フォルダ30に組み込まれた2つの水平方向支持ブレースの主要なものの構造を示す。各フォルダの他方の水平方向ブレースは、従来の非導電性構成のものである。これらの図で分かるように、主支持ブレース40は、従来の回路基板材料、フェノール又は同様のもの等の好適な非導電性材料から形成された細長い本体構造部41を有する。各端部において、細長い本体構造部は、対応する上側支持部材28、29の幅よりも僅かに広い幅のカットアウト・チャネル42、43を有する。各カットアウト・チャネル42、43には、熱スタンプ、接着、又は機械的埋設などによる、あらゆる好適な方法で細長い本体構造部に固定されたばね接点44−47のペアを備える。各ばね接点は、細長い本体構造部41に形成された対応するスロット52−55内に受けられる自由端48−51を有する。ばね接点44−45の近接部分とばね接点46−47の近接部分との間の分離距離は、対応する上部支持部分28、29の幅より僅かに狭く、主ブレースが上側支持部材28、29上に取り付けられたときに効率的な機械的及び電気的接触が形成されるようになる。
【0039】
主ブレースの正しい取り付けを容易にするために、主ブレースを1つの向きにしか取り付けることができないようにカットアウト・チャネル42、43の幅と、ばね接点44、45及び46、47間の分離距離とは実質的に異なっている。このことは、主ブレースがファイル引き出し内に取り付けられるときに常に適切な電気的接続が形成されることを確実にするために必要である。
【0040】
これに対応して、図4に最もよく示されるように、上側支持部材28、29の幅は異なる。この図で分かるように、各上側支持部材28、29は、細長い本体構造部41の製造に用いられたものと同じ材料のような非導電性材料で製造された中心コア56と、外側面に固定され且つ上側支持部材28、29の長さに沿って延びる導電性ストリップ57−60のペアとを有する。各導電性ストリップ57−60は、異なる電気信号のために設けられ、ストリップ57はマイクロコンピュータ35のデータ・バス端子に電気的に接続され、ストリップ58はマイクロコンピュータ35の+5V端子に電気的に接続され、ストリップ59はマイクロコンピュータ35の接地端子に接続され、ストリップ60はマイクロコンピュータ35の有効信号端子に電気的に接続される。
【0041】
図3を参照すると、各ばね接点44−47は、別個の導電性経路62−65に電気的に接続され、その各々はデコーダ集積回路チップ70の異なる端子に電気的に接続される。デコーダ・チップ70は、市販の装置であって、マイクロコンピュータ35からデータ・バス導体62に沿ってマルチビット・アドレス情報を受信し、このアドレス情報をデコーダ・チップ70内に格納された固有のアドレスと比較し、受信したアドレスが格納されたアドレスに合致したときに有効信号を生成し、引き出しが開いているときに見ることができるような位置においてフォルダ30の細長い本体構造部41の上縁に取り付けられたフォルダLED72を作動させる。フォルダLED72のための内部で生成される作動信号は、デコーダによりラッチされ、アドレスの合致が検出されると、フォルダLED72の作動信号は、フォルダを上側支持部材28、29から取り外すことによって又はD.C.電力を他の方法で除去することによってデコーダ70のラッチがリセットされるまでアクティブなままであるようにする。有効信号は、受信したアドレスが格納されたアドレスと合致する限りアクティブな状態のままであり、引き出しロック機構37及び引き出しインジケータ27を作動させるために、マイクロプロセッサ35により使用される。デコーダ・チップ70は、台湾国台北市所在のPrinceton Technology Corp.社から入手可能なPT2272型のデコーダであることが好ましい。
【0042】
図5は、単一のデコーダ70と、適合するエンコーダ80とを示す概略図である。エンコーダ80は、好ましくは、台湾国台北市所在のPrinceton Technology Corp.社から入手可能なPT2262型のエンコーダである。エンコーダ80は、アドレス入力信号がホスト・コンピュータ(図5には示されていない)により与えられる複数のアドレス入力端子A0−A10を有する。「OUT」と表記された出力端子は、アドレス入力端子A0−A10に与えられるアドレス情報をシリアル方式で出力する。これらのアドレス出力情報信号は、導体82を介して、デコーダ70のアドレス入力INに伝送される。デコーダ70は、固有のアドレスに有線接続された複数のアドレス入力端子A0−A10を有する。好ましい実施において、デコーダ70は、トライステート装置であり、アドレス入力A0−A10への有線接続は、接地、Vcc又は浮動の何れかとすることができる。エンコーダ80により生成されるアドレス信号は、デコーダ70のアドレスIN端子にAC結合される。受信時には、エンコーダ80からのアドレス信号は、デコーダ70の内部で有線接続されたデコーダのアドレス信号と比較される。合致が生じた場合、フォルダLED72が作動され、デコーダ70により有効信号が生成される。
【0043】
図6は、複数のフォルダ回路を単一のファイル引き出し内に物理的に配置することができる方法を示す、単一の引き出し18及び本発明の主システム構成要素の概略平面図である。この図で分かるように、各フォルダ30−1、30−2...30−nは、上述の適切な電気的接続が、上側支持部材28、29のデータ・バス、+5V、接地、及び有効信号導体により確立される方法で引き出し内に支持される。データ・バス、+5V、接地、及び有効信号導体は、図7に示されるシングルボード・コンピュータ85に接続される。
【0044】
図7は、システムに動作可能に接続された単一のファイル・キャビネット10のシングルボード・コンピュータ85の概略ブロック図である。この図で分かるように、シングルボード・コンピュータ85は、何れも上述されたマイクロコンピュータ35及びエンコーダ80を含み、図示のような入力及び出力を有する。各ファイル・キャビネット10には、シングルボード・コンピュータ85が設けられる。任意選択的に、各シングルボード・コンピュータ85には、識別及び保守目的でシステムにおける固有の識別アドレスを与えることが可能である。
【0045】
図7に示される要素を含む各シングルボード・コンピュータ85は、ホスト・コンピュータ75から受信され且つシングルボード・コンピュータ85内に配置されたアドレス・エンコーダ80によりエンコードされたオブジェクト・プロセス信号を、関連したファイル・キャビネット10i内の各フォルダ30−1、30−2、...30−nの主支持ブレース40内に組み込まれたデコーダ回路70の全てに与える。オブジェクトアドレス信号が、所与のファイル・キャビネット10iの所与の引き出し内の所与のフォルダ30−1、30−2、...30−nに配置されたデコーダ回路70にエンコードされたアドレスと合致するたびに、有効信号が目標とするフォルダのデコーダ回路70により生成され、関連のファイル・キャビネット10i内のシングルボード・コンピュータ85に結合される。有効信号の受信に応答して、対応するシングルボード・コンピュータ85は、適切な引き出しの引き出しロック37についての作動信号を生成し、ファイル・キャビネット内の適切な引き出しの引き出しLED27を作動させる。更に、シングルボード・コンピュータ85は、ホスト・コンピュータ75に戻されて、オブジェクト・フォルダが見つかったことを示し且つ正しいアドレスを有するファイル・フォルダが配置された引き出し及びファイル・キャビネットを識別する信号を生成する。説明付きの入力「引き出し19から」、「引き出し20から」及び「引き出し21から」で表されるように、シングルボード・コンピュータ85は、ホスト・コンピュータ75に戻されて、オブジェクト・フォルダが見つかったことを示し且つ正しいアドレスを有するファイル・フォルダが配置された引き出し及びファイル・キャビネットを識別する信号を生成することによって、これらの他の引き出しの各々からの有効信号に応答する。この情報を受信すると、ホスト・コンピュータ75は、シングルボード・コンピュータ85から受信した引き出し及びファイル・キャビネットの情報をメモリ内に格納された同じ情報と比較し、必要に応じて情報を変更し、更に、最初にシングルボード・コンピュータ85に伝送されたオブジェクト・プロセス信号を終了させることによって内部に格納された情報を更新する。
【0046】
システムにおいてファイル・フォルダを見つけるために、オペレータは、ファイル・フォルダ・アドレス、並びに各アドレス指定可能フォルダが意図して配置されている引き出し番号及びファイル・キャビネットIDの完全なリストを含む基本ファイル情報をホストシステム・コンピュータ75に入力する。ホスト・コンピュータ75は、ファイル・フォルダ要求をファイル・キャビネット10iの全てにおけるシングルボード・コンピュータ85に伝送し、システム内のファイル・キャビネット10iの全てにおけるシングルボード・コンピュータ85は、それぞれのファイル・キャビネット10iのデータ・バス上に指定されたフォルダ・アドレスを配置する。探しているファイル・フォルダが実際に所与の引き出し内に位置する場合、関連のファイル・キャビネット10i内のシングルボード・コンピュータ85は、そのアドレスがホスト・コンピュータ75により要求されるアドレスと合致するデコーダ回路70から有効信号を受信し、適切な引き出しロック37及び引き出し前面LED27についての上述の制御信号を生成して、上述したファイル・キャビネット及び引き出し情報をホスト・コンピュータ75に返送する。オペレータが、点灯した引き出し前面LED27を有する引き出しを開けると、正しいファイル・フォルダが、点灯したファイル・フォルダLED72iにより表示される。ファイル・キャビネット情報又は引き出し位置情報(又は、その両方)がホスト・コンピュータ75のメモリ内に格納された同じ情報と合致しない場合、この情報は、ホスト・コンピュータ75により更新される。そのアドレスが要求されたアドレスと合致するファイル・キャビネット10iの集合内に動作可能に組み込まれたファイル・フォルダ30iがない場合、ホスト・コンピュータ75は、ファイル・フォルダのアドレス照会に対する応答がないことを確認し、そのように記録する。
【0047】
ファイル・フォルダ30iの集合全体の完全性は、ホスト・コンピュータ75を掃引アドレス・モードで動作させることにより迅速にチェックすることができる。アドレスが可能なアドレスの範囲全体にわたって掃引されると、ファイル・キャビネット10iの集合内に動作可能に存在している全てのフォルダ回路が有効信号に応答し、このことは、対応するシングルボード・コンピュータ85によって検出されて、ホスト・コンピュータ75に返送される。何れかの不明な又は機能していないファイル・フォルダ30iのアドレスは有効信号の生成をもたらすことはなく、この応答の欠如は、ホスト・コンピュータ75により検出される。応答のないファイル・フォルダ回路のアドレスを確認することによって、ホスト・コンピュータ75により、この所与の特定のアドレスの使用可能なファイル・フォルダ30iの欠如をホスト・コンピュータ75におけるファイル・フォルダの識別と相関させることができる。
【0048】
システムは、最初に、全ての許容ファイル・フォルダ・アドレスのリストをホスト・コンピュータ75において作成し、各々が異なる許容アドレスを有するファイル・フォルダ30iの集合をファイル・キャビネット10i内のランダムな引き出しに組み込み、許容アドレスのセットを順次的に生成して、ホスト・コンピュータ75がシングルボード・コンピュータ85からこの情報を受信する各アドレスに対して引き出しID及びファイル・キャビネットID情報を関連付けることによって構成することができる。新しいフォルダがシステムに付加されると、ファイル・フォルダ・アドレス、ファイル・キャビネット及び引き出し情報は、ホスト・コンピュータ75に直接入力することができるが、各アドレスは固有であるので重複することはない。
【0049】
図8は、個々のファイル・キャビネット10iとホスト・コンピュータ75との間に無線通信を用いた、本発明のファイル管理システムの実施の代替の実施形態を示す。この図で分かるように、各キャビネット10iには、同様に装備されたホスト・コンピュータ90との通信のためのWIFI送受信機91iを備えている。WIFI送受信機91iは、カリフォルニア州Irvine所在のLantronix Inc.社から入手可能なWibox無線装置サーバユニットのような、放射線試験を受けて合格済みの市販のユニットであることが好ましい。ホスト・コンピュータ90には、適合する内部WIFI送受信機が備えられる。図8のシステムの動作は、図1−図7の実施形態の有線接続ではなく、無線伝送を用いてフォルダ識別信号がファイル・キャビネット10iに伝送され、無線伝送を用いてファイル・キャビネット及び引き出し情報信号がホスト・コンピュータ75に伝送される点を除けば、図1−図7のシステムの動作と本質的に同じである。更に、WIFI信号の許可されていない伝送及び受信、並びに傍受を阻止するために、図8の無線の実施形態に対する付加的なセキュリティ上の考慮事項が存在する場合がある。
【0050】
本発明は、上記で参照した特許文献1及び米国特許出願第12/586,552号において開示されたRFベースのシステムに優る大幅な改善をもたらす。第1に、各ファイル・キャビネット10iからRF信号生成装置を排除することにより、地方監督機関によるシステムの試験及び承認に対する必要性が回避される。また、エンコーダ・デコーダ構成を用いて、比較的高価なRF信号生成装置を排除することにより、実質的な全体のコスト節減が実現される。更に、所与のシステムにおける潜在的なオブジェクト(ファイル・フォルダ)の母集団は、エンコーダ・デコーダ構成についての実施可能な別個のアドレスの組み合わせの数によってしか制限されない。
【0051】
上述の説明は、ファイル管理システムの分野における本発明の実施に向けられるが、本発明は、より広い用途を有する。一般に、本発明は、オブジェクトの集合から所与のオブジェクトのクラス又はタイプを迅速に識別する技術に対する必要性が存在する、任意の集合的オブジェクト管理システムに使用することができる。例えば、自動車部品倉庫の作業において、オブジェクトは、棚の上の容器内に保管された個々の自動車部品(キャブレータ、オルタネータ、ガスケット等のような)とすることができる。製造作業において、オブジェクトは、個々の包装内に含まれる、工場で製造された個々の品目とすることができる(集積回路製造業者により製造される異なるタイプの集積回路のような)。何れの用途においても、特定のオブジェクトに関連付けられたアドレス・デコーダ回路及びインジケータは、オブジェクト自体に密接に結合され、ローカル・アドレス・エンコーダに電気的に接続され、回路が所望のオブジェクトアドレスの受信に応答して、人間のオペレータがアドレスにより指定されるオブジェクトの位置を特定できるようにインジケータを作動させることが可能になる。
【0052】
上記により本発明の好ましい実施形態の十分且つ完全な開示が提供されたが、当業者であれば、種々の修正、代替構成、及び均等物を想起されるであろう。例えば、本発明は、特定のアドレス・エンコーダ及びデコーダ回路に関して説明してきたが、システム設計者の選好に応じて他の回路を利用することもできる。その上、インジケータ27、64は可視インジケータとして説明されたが、必要に応じて可聴インジケータのような他のタイプのインジケータを用いることもできる。加えて、特定の回路が単一のファイル・キャビネットに関連して説明されたが、本発明は、オフィス内の同じ又は異なる位置に配置される多数のファイル・キャビネットを用いて実施できることは理解される。更に、本発明は、必要に応じて、内部又は外部コンピュータネットワークを用いて、異なる物理的位置に配置された多数のキャビネットのファイル・システムを管理するのに用いることができる。従って、上記のことは、添付の特許請求の範囲により定められる本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0053】
10:ファイル・キャビネット
12:上面
13:底面
14、15:側面
16:背面
18、19、20、21:引き出し
23:引き出しの取っ手
25:前面パネル
27:インジケータ
28、29:上側支持部材
30:ファイル・フォルダ
34:背部
35:マイクロコンピュータ
37:引き出しロック機構
40:支持ブレース
41:本体構造部
42、43:カットアウト・チャネル
44、45、46、47:ばね接点
48、49、50、51:自由端
52、53、54、55:スロット
56:中心コア
57、58、59、60:導電性ストリップ
62、63、64、65:導電性経路
70:デコーダ
72:フォルダLED
75、90:ホスト・コンピュータ
80:アドレス・エンコーダ
82:導体
85:シングルボード・コンピュータ
91:WIFI送受信機
A0−A10:アドレス入力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクト配置空間内に分布するオブジェクトの管理を可能にするための装置であって、
複数の導電性部材を有し、該導電性部材の少なくとも1つが供給源により与えられるアドレス信号を受信するように設けられているオブジェクト用容器と、
固有のシステム・アドレスと、前記複数の導電性部材と電気的に接触する複数の導電性端子とを有する、前記オブジェクトに関連付けられたアドレス・デコーダ回路と、
前記アドレス・デコーダ回路に結合され、前記複数の導電性部材の少なくとも1つに存在し且つ前記固有のシステム・アドレスを表わすアドレス信号を前記アドレス・デコーダ回路が検出するたびに作動するインジケータと、
を含む、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記インジケータが可視インジケータであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記可視インジケータがLEDであることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記アドレス信号を生成するためのエンコーダを備えた供給源を更に含み、前記エンコーダが、供給装置からオブジェクト識別信号を受信するための少なくとも1つの入力端子と、前記アドレス・デコーダ回路に結合された少なくとも1つの出力端子と、前記オブジェクト識別信号により指定された前記オブジェクトの固有のシステム・アドレスを表わす信号を生成するための回路とを有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記容器が、支持ブレースのペアを有し且つ該支持ブレースのうちの1つが前記複数の導電性部材を含むファイル・フォルダを備え、前記アドレス・デコーダ回路及び前記インジケータが、前記支持ブレースのうちの1つによって支持されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記支持ブレースのうちの1つが、対向する端部のペアを有する非導電性材料から形成された細長い本体構造部を備え、前記各端部は、前記細長い本体構造部に固定されたばね接点のペアを備えた下向きに開口するカットアウト・チャネルを有し、前記各ばね接点は、前記複数の導電性部材のうちの異なるものに電気的に結合されることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記細長い本体構造部の対向する端部の一方における前記カットアウト・チャネルの幅が、前記細長い本体構造部の対向する端部の他方における前記カットアウト・チャネルの幅とは異なることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記各ばね接点が、その端部に隣接して前記細長い本体構造部に形成された対応するスロット内に受けられる自由端を有することを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記ファイル・フォルダが上縁を有し、前記インジケータは、前記上縁の上に延びる位置において前記ファイル・フォルダに取り付けられることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
オブジェクト配置空間内に分布するオブジェクトを管理するためのシステムであって、
複数の相互に電気的に絶縁された導電性経路を有するコンテナと、
前記コンテナ内に配置された複数のオブジェクト用容器と、
を備え、
前記複数のオブジェクト用容器の各々が、
(a)前記複数の相互に電気的に絶縁された導電性経路の異なるものに電気的に結合され、前記導電性経路の少なくとも1つが供給源により与えられるアドレス信号を受信するように設けられている、複数の導電性部材と、
(b)固有のシステム・アドレスと、前記複数の導電性部材に電気的に接触する複数の導電性端子とを有する、前記オブジェクトに関連付けられたアドレス・デコーダ回路と、
(c)前記複数の導電性部材のうちの前記少なくとも1つに存在し且つ前記固有のシステム・アドレスを表わすアドレス信号を前記アドレス・デコーダ回路が検出するたびに作動するように、前記アドレス・デコーダ回路に結合されたインジケータと、
を含む、ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
前記インジケータが可視インジケータであることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記可視インジケータがLEDであることを特徴とする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記アドレス信号を生成するためのエンコーダを備えた供給源を更に含み、前記エンコーダが、前記複数の相互に電気的に絶縁された導電性経路の少なくとも1つを介して供給装置からオブジェクト識別信号を受信するための少なくとも1つの入力端子と、前記複数のオブジェクト用容器の各アドレス・デコーダ回路に結合された少なくとも1つの出力端子と、前記オブジェクト識別信号により指定された前記オブジェクトの固有のシステム・アドレスを表わす信号を生成するための回路と、を有することを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記コンテナがファイル・フォルダ引き出しを含み、前記複数のオブジェクト用容器が各々、支持ブレースのペアを有するファイル・フォルダを含み、前記支持ブレースの1つが前記複数の導電性部材を含み、前記複数のオブジェクト用容器の各々の前記アドレス・デコーダ回路及び前記インジケータが、前記支持ブレースのうちの1つによって支持されることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記ファイル・フォルダの各々が上縁を有し、前記インジケータの各々は、前記上縁の上に延びる位置において対応する前記ファイル・フォルダに取り付けられて、前記ファイル・フォルダ引き出しが開かれた位置にあるときに所与のインジケータが見えるようにすることを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ファイル・フォルダ引き出しが、前記複数の相互に電気的に絶縁された導電性経路の異なるものが配置された少なくとも2つの非導電性支持部材を含み、前記複数のオブジェクト用容器の各々の前記支持ブレースの1つが、対向する端部のペアを有する非導電性材料から形成された細長い本体構造部を含み、前記各端部が、前記細長い本体構造部に固定されたばね接点のペアを備えた下向きに開口するカットアウト・チャネルを有し、前記各ばね接点が、前記複数の導電性部材の異なるものに電気的に結合され、前記複数のオブジェクト用容器の支持ブレースのうちの1つの各端部が、前記ファイル・フォルダ引き出し内に受けられたときに前記少なくとも2つの非導電性支持部材の異なるものにより支持されることを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記ファイル・フォルダ引き出しが、各々がある幅を有する横方向に離間して配置された2つの非導電性支持部材を有し、前記各非導電性支持部材の幅が互いに異なり、前記ファイル・フォルダの各々の細長い本体構造部の対向する端部の一方における前記カットアウト・チャネルの幅が、前記ファイル・フォルダの各々の細長い本体構造部の対向する端部の他方における前記カットアウト・チャネルの幅とは異なり、所与のファイル・フォルダは、前記ばね接点の各々が前記導電性経路の適切なものと機械的及び電気的に接触した状態で1つの向きにのみ前記2つの支持部材に取り外し可能に固定できるようになる、ことを特徴とする、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記ファイル・フォルダ引き出しが、付加的なインジケータが取り付けられた前面パネルを有し、前記システムが更に、前記複数の導電性部材の前記少なくとも1つに存在し且つそのアドレス・デコーダの固有のシステム・アドレスを表わすアドレス信号を前記ファイル・フォルダ引き出し内に配置されたアドレス・デコーダ回路が検出するたびに前記付加的なインジケータを動作させるための回路を含むことを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記各アドレス・デコーダ回路が、前記複数の導電性部材の前記少なくとも1つに存在し且つ前記固有のシステム・アドレスを表わすアドレス信号を前記アドレス・デコーダ回路が検出するたびに有効信号を生成する回路と、前記導電性経路の一部を介して前記複数のオブジェクト用容器に電力信号を供給し、前記導電性経路の少なくとも1つを介して前記アドレス信号を供給し、前記各アドレス・デコーダ回路から前記有効信号を受信するマイクロコンピュータと、を含むことを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項20】
前記マイクロコンピュータが、有効信号を生成するあらゆるアドレス・デコーダ回路の前記システムにおける位置を識別する情報信号を生成する回路を含むことを特徴とする、請求項19に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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