説明

アドレス設定ファイル作成装置およびそのプログラム

【課題】サンプリングするデータの取得先のアドレスを効率的に設定にする。
【解決手段】プログラマブル表示器2は、PLC5などの内部メモリにアドレスを指定してアクセスすることにより取得したデータ形式の異なる複数のデータをデータメモリ26に記憶する。アドレス設定ファイル作成部33は、プログラマブル表示器2がサンプリング時に参照するアドレス設定ファイルを作成する。アドレス設定ファイル作成部33は、ワード単位に区画される記憶領域に対して、データ形式設定表示セルおよびアドレス設定表示セルを含む行を行番号表示セルと併せてワードに対応して複数有するアドレス設定画像を表示する。また、行表示処理部334は、アドレス設定表示セルにアドレスが設定されている行に対応する行番号表示セルを、アドレス設定表示セルにアドレスが設定されていない行に対応する行番号表示セルと異なる表示状態で表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプリングした複数のデータを記憶するメモリの各記憶領域にサンプリング先のアドレスを設定するアドレス設定ファイル作成装置およびそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プログラマブル表示器は、画像を表示するスクリーンと、タッチ入力のためのタッチパネルと、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)のようなコントローラとの通信のためのインターフェースと、上記の各部を制御する制御部とを備えている。このようなプログラマブル表示器は、スクリーンに表示される画像上でコントローラの稼働状況を表したり、コントローラに対する制御指示を与えるための操作入力をスクリーン上のタッチパネルから受け付けたりする機能を備えた操作型表示器である。一般に、プログラマブル表示器は、グラフィック表示機能を有するので、操作盤、スイッチ、表示灯等を予め用意された画像上で表示することができ、制御システムにおける操作端末としての役割を果たす。制御システムにおいて、各コントローラの稼働状況などの表示やコントローラへの制御指示は、コントローラ付近に配置されたプログラマブル表示器によって行われる。
【0003】
また、プログラマブル表示器は、内外で発生した各種のデータを記憶している。このようなデータとして、コントローラやプログラマブル表示器においては、制御動作の結果としてデータ(サンプリングデータ)が発生する。プログラマブル表示器で扱われるサンプリングデータは、単一のデータ形式のデータではなく、16ビット、32ビット、ビット、文字列などの異なるデータ形式のデータである。
【0004】
特許文献1には、PLCから取得したサンプリングデータをクライアントコンピュータに配信することが記載されている。
【0005】
このようなサンプリングデータは、プログラマブル表示器に設けられたメモリに一旦書き込まれた後、クライアントコンピュータへの配信や、プログラマブル表示器における表示などに供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−9498号公報(2009年1月15日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
データをサンプリングするとき、PLCやプログラマブル表示器においてサンプリングされるデータが記憶されているメモリ装置から、アドレスを指定してデータを読み出して上記のようにプログラマブル表示器のメモリに書き込む。このため、プログラマブル表示器が、所望とするデータをサンプリングしてメモリの指定された記憶領域に書き込むことができるように、上記のアドレスをメモリの各記憶領域に対応付けて予め設定しておく必要がある。プログラマブル表示器は、この設定を参照して上記のサンプリング動作を行う。
【0008】
しかしながら、サンプリングデータがデータ形式に応じて異なるサイズを有することから、単にアドレスをメモリの記憶領域に設定するだけでは、記憶領域がどの程度設定されたかがわからない。例えば、記憶領域が1ワードに区画されている場合、16ビットのサンプリングデータは記憶領域を1区画使用するが、32ビットのサンプリングデータは、記憶領域を2区画使用する。このため、ユーザは、いずれの記憶領域がアドレスが設定可能であるかを容易に判断することができない。このような場合は、サンプリングデータのデータ形式を確認することによって、いずれの記憶領域がアドレスを設定可能であるかを判断する必要があるので、アドレスの設定を効率的に行うことができないという不都合が生じる。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、サンプリングするデータの取得先のアドレスを効率的に設定することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るアドレス設定ファイル作成装置は、上記の課題を解決するために、データ形式の異なる複数のサンプリングデータを記憶している第1記憶部からアドレスを指定して前記サンプリングデータを取得し、かつ、第2記憶部のワード単位に区画される複数の記憶領域に当該取得したサンプリングデータを記憶させる、プログラマブル表示器のHMI処理部が、前記サンプリングデータの取得時または前記サンプリングデータの記憶時に参照する、前記データ形式のデータであるデータ形式データおよび前記アドレスのデータであるアドレスデータを設定するアドレス設定ファイルを作成するアドレス設定ファイル作成装置であって、前記データ形式データを設定かつ表示するためのデータ形式設定表示領域、前記アドレスデータを設定かつ表示するためのアドレス設定表示領域、および、前記HMI処理部が、前記第1記憶部の連続する前記記憶領域から前記アドレスを指定して同一のデータ形式の前記サンプリングデータを連続して取得するために前記アドレスを連続して指定するときの前記アドレスの数のデータである連続数データを設定かつ表示する連続数設定表示領域、ならびに、同一の前記記憶領域に対応する、前記データ形式設定表示領域、前記アドレス設定表示領域および前記連続数設定表示領域を含む包括領域を特定する番号を表示する番号表示領域を項目とする表形式の設定画像を表示する設定画像表示手段を備え、当該設定画像表示手段が、前記データ形式設定表示領域へ入力された前記データ形式データを設定および表示するデータ形式設定表示手段と、前記連続数設定表示領域へ入力された前記連続数データを設定および表示する連続数設定表示手段と、前記アドレス設定表示領域へ入力された前記アドレスデータを設定および表示するアドレス設定表示手段と、前記データ形式データ、前記連続数データおよび前記アドレスデータが、同一の番号で特定される前記包括領域における、前記データ形式設定表示領域、前記連続数設定表示領域および前記アドレス設定表示領域に、それぞれ入力され、かつ、前記データ形式設定表示手段、前記連続数設定表示手段および前記アドレス設定表示手段により設定されたときに、当該番号で特定される包括領域を基準として、当該データ形式データおよび当該連続数データに応じて必要となるワードの数に応じた数の前記包括領域を確保する包括領域確保手段を有しており、前記アドレス設定表示手段が、前記同一の番号で特定される包括領域に設定した前記アドレスデータから連続した前記アドレスデータを前記包括領域確保手段により確保された包括領域の前記アドレス設定表示領域に設定および表示することを特徴としている。
【0011】
上記の構成では、設定画像表示手段により表示される設定画像において、ワードを包括領域に対応させることにより、第2記憶部における各記憶領域が包括領域として表される。これにより、第2記憶部における各記憶領域の使用状態(デバイスアドレスの設定状態)を設定画像上に表現することができる。
【0012】
上記のように表示される設定画像上では、データ形式設定表示領域へデータ形式が入力されると、データ形式設定表示手段により、そのデータ形式が、設定されるとともに当該データ形式設定表示領域に表示される。同様に、連続数設定表示領域へ連続数が入力されると、連続数設定表示手段により、その連続数が、設定されるとともに当該連続数設定表示領域に表示される。同様に、アドレス設定表示領域へアドレスが入力されると、アドレス設定表示手段により、そのアドレスが、設定されるとともに当該アドレス設定表示領域に表示される。
【0013】
すると、包括領域確保手段により、設定されたデータ形式および連続数に応じて必要となるワードの数に応じた数の包括領域が確保される。例えば、データ形式が16ビットのデータである場合、1ワード分の1つの包括領域が確保され、データ形式が32ビットのデータである場合、2ワード分の2つの包括領域が確保される。また、データ形式が16ビットのデータであり、連続数が2である場合、2ワード分の2つの包括領域が確保され、データ形式が32ビットのデータであり、連続数が2である場合、4ワード分の4つの包括領域が確保される。
【0014】
このように確保された包括領域には、アドレス設定表示手段により、連続してアクセスするアドレスが確保された包括領域に設定されるとともに、当該包括領域のアドレス設定表示領域に設定されたアドレスが表示される。
【0015】
前記アドレス設定ファイル作成装置は、前記設定画像表示手段が、確保された前記包括領域に対応する前記番号表示領域を、確保されていない前記包括領域に対応する前記番号表示領域と異なる表示状態で表示させる番号表示制御手段を有していることが好ましい。
【0016】
上記の構成では、番号表示制御手段によって、確保された包括領域に対応する番号表示領域が、確保されていない包括領域に対応する番号表示領域と異なる表示状態で表示される。これにより、設定画像における各包括領域が、アドレス設定表示領域にアドレスが設定されている包括領域であるか否かを容易に識別することができる。
【0017】
前記アドレス設定ファイル作成装置は、前記データ形式設定表示手段が、連続して確保された前記包括領域の先頭の包括領域についてのみ前記データ形式設定表示領域に前記データ形式を表示し、前記連続数設定表示手段は、連続して確保された前記包括領域の先頭の包括領域についてのみ前記連続数設定表示領域に前記連続数を表示し、前記設定画像表示手段は、連続して確保された前記包括領域の先頭の包括領域以外の前記包括領域を、確保されていない前記包括領域と異なる表示状態で表示させる包括領域表示制御手段を有していることが好ましい。
【0018】
上記の構成では、データ形式設定表示手段により、連続して確保された包括領域の先頭の包括領域についてのみ、データ形式設定表示領域にデータ形式が表示される。また、連続数設定表示手段により、同様な先頭の包括領域についてのみ、連続数設定表示領域に連続数が表示される。このように、上記の先頭の包括領域については、データ形式および連続数が表示されるので、設定のために確保された包括領域であることが分かる。
【0019】
これに対し、連続して確保された包括領域の先頭の包括領域以外の包括領域については、包括領域表示制御手段により、確保されていない包括領域と異なる表示状態で表示される。これにより、設定画像において、設定のために包括領域確保手段によって確保されている包括領域を容易に把握することができる。したがって、前述の包括領域番号表示制御手段による番号の表示制御と組み合わせることにより、より一層、設定画像における包括領域がアドレスの設定のために使用されているか否かを容易に把握することができる。
【0020】
前記アドレス設定ファイル作成装置は、前記設定画像表示手段が、前記包括領域確保手段による前記包括領域の確保が可能な範囲を超えて、前記データ形式設定表示領域に前記データ形式が設定されているとき、または前記連続数設定表示領域に前記連続数が設定されているときに、前記包括領域を確保できないことを報知する報知手段を有していることが好ましい。
【0021】
上記の構成では、報知手段により、包括領域確保手段による包括領域の確保が可能な範囲を超えて、データ形式設定表示領域にデータ形式が設定されているとき、または連続数設定表示領域に連続数が設定されているときに、包括領域を確保できないことが報知される。これにより、ユーザは、不注意などにより、上記のような不正な設定を行おうとしていることを容易に認識することができる。
【0022】
本発明のアドレス設定ファイル作成プログラムは、前記アドレス設定ファイル作成装置の前記各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。このように、アドレス設定ファイル作成プログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることにより、前記アドレス設定ファイル作成装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るアドレス設定ファイル作成装置は、以上のように構成されているので、記憶手段における各記憶領域に対するアドレスの設定状態を設定画像上に表現することができる。したがって、本発明を採用すれば、サンプリングするデータの取得先のアドレスを効率的に設定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】上記制御システムにおけるプログラマブル表示器におけるユーザメモリに記憶されるアドレス設定ファイルの構造を示す図である。
【図3】上記プログラマブル表示器のデータメモリに記憶されるサンプリングデータのデータ形式を示す図である。
【図4】上記制御システムにおけるホストコンピュータのアドレス設定ファイル作成部が提供するアドレス設定画像の構成を示す図である。
【図5】(a)は上記アドレス設定画像において行を強調表示しない場合の表示例を示す図であり、(b)は上記アドレス設定画像において行を強調表示しない場合の表示例を示す図である。
【図6】(a)および(b)は上記アドレス設定画像においてデータ形式として設定されている16ビットに対して連続数を変更する場合の表示例を示す図である。
【図7】(a)および(b)は上記アドレス設定画像においてデータ形式として設定されている32ビットに対して連続数を変更する場合の表示例を示す図である。
【図8】(a)および(b)は上記アドレス設定画像においてデータ形式として設定されている文字列に対して連続数を変更する場合の表示例を示す図である。
【図9】(a)および(b)は上記アドレス設定画像においてデータ形式を変更する場合の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態について図1〜図9に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0026】
〔1.制御システムの構成〕
図1に示すように、本実施形態に係る制御システム1は、プログラマブル表示器2と、ホストコンピュータ3と、ネットワーク4と、プログラマブルロジックコントローラ5(以降「PLC5」と称する)と、デバイス6とを備えている。
【0027】
プログラマブル表示器2は、ネットワーク4を介してホストコンピュータ3と接続されている。ネットワーク4は、共通の通信プロトコル(共通通信プロトコル)で通信を行うことが可能なイーサネット(登録商標)などからなるローカルエリアネットワーク(LAN(Local Area Network))やインターネットを含むような通信ネットワークである。
【0028】
〔2.PLCの構成〕
外部機器としてのPLC5は、入力ユニットを介して入力元のデバイス6の状態を取り込むとともに、出力ユニットを介して出力先のデバイス6に制御指示を与える。PLC5は、ユーザが作成したシーケンスプログラム(ラダープログラムなど)にしたがって、例えば、数十msなどの予め定められたスキャンタイム毎に上記の動作を行う。
【0029】
入力元のデバイス6としては、センサ(温度センサ、光センサなど)、スイッチ(押ボタンスイッチ、リミットスイッチ、圧力スイッチなど)のような機器が用いられる。出力先のデバイス6としては、アクチュエータ、リレー、電磁弁、表示器などが用いられる。これらのデバイス6は、製造ラインなどの各種のターゲットシステムの所要各部に配置されて、制御システム1の一部を構成している。
【0030】
PLC5内のデバイスメモリ51(第1記憶部)は、デバイス6の状態(デバイス6からの出力値やデバイス6への設定値)を示すデータ(ワードデータやビットデータ)を、デバイスアドレスで特定される領域に記憶している。外部デバイスメモリとしての上記デバイスメモリ51において、ワードデバイスとビットデバイスとが設定される。
【0031】
ワードデバイスは、数値や文字列のようなワードデータを記憶する領域として設定され、ワードアドレス(デバイスアドレス)で指定される各領域にワードデータの読み出しおよび書き込みが行われる。また、ビットデバイスは、オン・オフ状態のようなビットデータを記憶する領域として設定され、ビットアドレス(デバイスアドレス)で指定される各領域にビットデータの読み出しおよび書き込みが行われる。これにより、デバイスアドレスを指定してデバイスメモリ51内の任意のワードデバイスまたはビットデバイスをアクセスすることで、デバイス6を制御するようにデータを書き替えたり、デバイス6の状態に関するデータを個別に取り出したりすることができる。
【0032】
〔3.プログラマブル表示器の詳細〕
〔3−1.プログラマブル表示器の基本機能〕
プログラマブル表示器2は、各機能を実現するHMI制御プログラムの命令を実行するCPU(Central Processing Unit)、HMI制御プログラムを記憶したROM(Read 0nly Memory)、HMI制御プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、HMI制御プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。このプログラマブル表示器2は、ユーザが作成した入力操作および表示用の画像データを表示することにより、プログラマブル表示器特有の操作機能および表示機能を実現する専用コンピュータであり、HMI機器として好適に使用される。上記の画像データは、入力操作や表示動作に関する各種の処理を規定する処理規定情報を組み合わせて作成される。プログラマブル表示器2は、このような画像データに基づいて、デバイス6の状態を表示する動作や、入力操作に応じてデバイス6の状態を制御する動作を特定することができる。
【0033】
プログラマブル表示器2は、通信機能によって、通信ケーブル7を介してPLC5と通信を行って、PLC5のデバイスメモリ51に記憶されている各デバイス6の状態をサンプリングデータとして取得し、後述のスクリーン22に各デバイス6の状態を表示する。また、プログラマブル表示器2は、その通信機能によって、後述のタッチパネル23への入力操作に応じて、PLC5へ各デバイス6の状態を変更するように制御指示などを送信する。さらに、プログラマブル表示器2は、ネットワーク4を介してホストコンピュータ3とも通信可能に接続されているので、その通信機能によって、ホストコンピュータ3との間でデータの送受信を行う。
【0034】
なお、デバイス6の状態の取得/変更については、その都度指示してもよいし、プログラマブル表示器2内に一時的なメモリ空間を用意し、取得/変更時には、当該メモリ空間へアクセスするとともに、所定の時間間隔毎や所定のイベント毎にPLC5と通信して各々のアドレスが割り当てられた実体と同期を取ってもよい。
【0035】
〔3−2.プログラマブル表示器の各部の構成〕
プログラマブル表示器2は、上記の機能を実現するために、HMI処理部21と、スクリーン22と、タッチパネル23と、インターフェース部(図中、I/F)24,25と、データメモリ26と、ユーザメモリ27と、作業メモリ28とを備えている。以下、プログラマブル表示器2の主要各部について詳細に説明する。
【0036】
〔3−2−1.スクリーンおよびタッチパネルの構成〕
スクリーン22は、プログラマブル表示器1を薄型に構成するために、液晶パネルや、ELパネルや、プラズマディスプレイパネルのような平板型表示パネルが好適に用いられる。タッチパネル23は、スクリーン22の表示面上でタッチ入力を行うために設けられている入力装置である。
【0037】
〔3−2−2.インターフェース部の構成〕
インターフェース部24は、プログラマブル表示器2がホストコンピュータ3との間の通信を行うための通信制御部であり、ネットワーク4に接続されている。このインターフェース部24は、ホストコンピュータ3のIPアドレスに基づくネットワーク通信を行うことができるように構成される。
【0038】
一方、インターフェース部25は、プログラマブル表示器2がPLC5との間の通信を行うための通信制御部である。このインターフェース部25は、PLC5がシリアル通信を行う機種である場合にシリアル通信制御を行う一方、PLC5がネットワーク通信を行う機種である場合にネットワーク通信を行うように構成されている。インターフェース部25は、シリアル通信制御を行う場合、PLC5のメーカや機種に応じた通信プロトコルを用いて通信を行う。
【0039】
〔3−2−3.各種メモリの構成〕
データメモリ26(第2記憶部)は、SRAMやDRAMによって構成されており、プログラマブル表示器2の外部(PLC5の他、図示しない温度調節器、インバータなどのコントローラ)や、プログラマブル表示器2の内部で発生した各種データを記憶している。データメモリ26は、このように異なる種類のデータを記憶することから、必ずしも単一のメモリで構成される必要はなく、データの種類に応じて異なる種類のメモリで構成されたり、同一のメモリであってもデータの種類に応じて記憶領域を異ならせたりすることが好ましい。
【0040】
上記のデータとしては、サンプリングデータが挙げられる。サンプリングデータは、PLC5がデバイス6から得たデータやプログラマブル表示器2の内部で発生したデータであり、発生時間とともにデータメモリ26に蓄えられていく。データメモリ26は、サンプリングデータを記憶するためにワード単位に区画される複数の記憶領域が割り当てられている。本実施形態において、データメモリ26は512ワード分の記憶領域を有している。
【0041】
ユーザメモリ27は、画像ファイル、上記の通信プロトコルなどを記憶するためのメモリであり、FEPROM(Flash Erasable and Programmable ROM)が用いられる。FEPROMは、書き替え可能な読み出し専用のフラッシュメモリであるので、一般のパーソナルコンピュータにおけるハードディスクドライブの役割を果たす。フラッシュメモリは、可動部を持たず、かつ衝撃に強いので、劣悪な周囲環境でも安定して動作する。
【0042】
画像ファイルは、プログラマブル表示器2に表示される1つ以上のユーザ画像(1フレーム分の画像データによって構成される単位画像)のデータをまとめたファイルである。画像ファイルは、通常、デバイス6を含むターゲットシステムやターゲットシステムで製造される製品などに応じた一連の関連する複数の画像データからなる、ひとまとまりのプロジェクトファイルとして用意される。画像ファイルは、後述するホストコンピュータ3の画像作成部31によって作成される。
【0043】
ユーザメモリ27は、アドレス設定ファイルも記憶している。このアドレス設定ファイルは、後述するHMI処理部21が、サンプリングデータの読み出しをPLC5に指示するときに参照され、サンプリングデータの読み出しを行うデバイスアドレスや、サンプリングデータに関する各種の情報が設定されている。
【0044】
後述するように、サンプリングデータは、異種のデータ形式を混在して使用することに対応した構造を有している。このため、以下に説明するように、アドレス設定ファイルでは、データ形式とデバイスアドレスとの対応付けが必要となる。
【0045】
図2に示すように、アドレス設定ファイルは、データ形式と、デバイスアドレス(図中「アドレス」)と、連続数とが対応付けられた構造となっている。
【0046】
データ形式としては、図3に示すように、16ビット(ワード)、32ビット(ワード)、ビットおよび文字列が用意されている。ビットおよび16ビットのデータは2バイトのサイズを有しており、32ビットのデータは4バイトのサイズを有している。また、文字列のデータは、1文字について1バイトのサイズを有している。文字列のデータ形式としては、例えば、アスキー(ASCII)コードなどの文字コードが用いられる。
【0047】
デバイスアドレスは、前述の外部デバイスメモリと内部デバイスメモリとに対応した形式で用意されている。外部デバイスメモリに対応するデバイスアドレスは、例えば、PLC5のデバイスメモリ51を指定する場合、[PLC]という識別子がデバイスメモリ51のアドレス(例えば“D0000”)の前に付与される形式となっている。一方、後述するように作業メモリ28などに割り当てられる内部デバイスメモリに対応するデバイスアドレスは、[INTERNAL]という識別子が内部デバイスメモリのアドレス(例えば“USR00000”)の前に付与される形式となっている。
【0048】
連続数は、外部デバイスメモリまたは内部デバイスメモリの連続する記憶領域に対して、HMI処理部21が、連続するデバイスアドレスを指定して、同一のデータ形式のサンプリングデータを連続して取得するときに、連続するデバイスアドレスを指定するためのアドレスの数である。連続数が1であるときには、単一のデバイスアドレスに対してのみアクセスが行われる。連続数が2以上であるときには、設定された先頭のデバイスアドレスから1つずつ順次加算された連続数分のデバイスアドレスに対してアクセスが行われる。
【0049】
また、連続数が2以上設定されている場合、先頭に設定されたデバイスアドレスに続くデバイスアドレスが連続数から1を減じた数だけ連続して設定される。例えば、図2に示すように、データ形式がワード16ビットに設定され、デバイスアドレスが“[PLC]D0010”と設定されている場合、連続数が“3”と設定されると、2つのデバイスアドレスが連続して設定される。これらのデバイスアドレスは、先頭のデバイスアドレスに対して1が加算された“[PLC]D0011”と、さらに1が加算された“[PLC]D0012”とである。
【0050】
作業メモリ28は、例えば、DRAMによって構成されており、表示制御などの演算処理時の作業用に用いられる他、PLC5との間でやり取りされるデータの一時的な記憶に用いられる。また、作業メモリ28(第1記憶部)は、ユーザの操作によって発生したデータのようにプログラマブル表示器2内で発生したデータを記憶するために、特定の領域(内部デバイスメモリ)が割り当てられている。
【0051】
〔3−2−4.HMI処理部の構成〕
HMI処理部21は、所定の時間間隔毎や所定のイベント毎にPLC5と通信することによって、PLC5のデバイスメモリ51(外部デバイスメモリ)から、PLC5に接続されたデバイス6の状態を状態データとして取得してデータメモリ26に記憶させる。特に、HMI処理部21は、サンプリング機能によって、アドレス設定ファイルを参照してデータのサンプリングを行う。
【0052】
具体的には、HMI処理部21は、サンプリングデータの取得時に、指定されたタイミングでアドレス設定ファイルにて設定されたデバイスアドレスを指定して上記のデバイスメモリ51より読み出された所望のサンプリングデータを得る。また、HMI処理部21は、サンプリングデータの記憶時に、アドレス設定ファイルにおいてデバイスアドレスが対応付けられたデータメモリ26の記憶領域に、取得したサンプリングデータを書き込む。また、HMI処理部21は、上記と同様にして、プログラマブル表示器2内に用意されたデータ記憶領域、例えば作業メモリ28の特定の領域(内部デバイスメモリ)に書き込まれたデータをサンプリングデータとして取得して、データメモリ26に書き込む。
【0053】
一方、HMI処理部21は、プログラマブル表示器2のスクリーン22上に設けられたタッチパネル23への操作などに応じて、外部デバイスメモリにおけるデータを更新するように、PLC5と通信することによって外部デバイスメモリのデータを書き替える。また、HMI処理部21は、タッチパネル23への操作などに応じて、内部デバイスメモリにおけるデータを更新するように、内部デバイスメモリのデータを書き替える。
【0054】
HMI処理部21は、デバイス6の状態データをPLC5から取得して画像における部品画像の表示状態に反映させるときの動作を、部品画像に規定されている処理規定情報によって特定する。また、HMI処理部21は、部品画像への操作に応じてデバイス6の状態の変更を指示するときの動作も上記の処理規定情報によって特定する。
【0055】
上記のようなHMI処理部21は、前述のHMI制御プログラムをプログラマブル表示器2が備える前述のCPUに実行させることにより実現される機能ブロックである。上記のHMI制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)は、プログラマブル表示器2と分離可能に構成されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体にも記録可能である。当該プログラムコードは、その記録媒体からプログラマブル表示器2にインストールされてもよい。
【0056】
上記の記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系を用いることができる。また、記録媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM(compact disc read-only memory)/MO(magneto-optical)/MD(Mini Disc)/DVD(digital versatile disk)/CD−R(CD Recordable)等の光ディスクを含むディスク系も利用可能である。その他、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM(erasable programmable read-only memory)/EEPROM(electrically erasable and programmable read-only memory)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などの記録媒体も利用可能である。
【0057】
また、プログラマブル表示器2がネットワーク4と接続されていることから、ネットワーク4を介してHMI制御プログラムをダウンロードしてもよい。このネットワーク4としては、前述のインターネットやLANに限定されない。例えば、ネットワーク4としては、イントラネット、エキストラネット、ISDN(integrated services digital network)、VAN(value-added network)、CATV(community antenna television)通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、ネットワーク4を構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE(institute of electrical and electronic engineers)1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(asynchronous digital subscriber loop)回線等の有線媒体が利用可能である。あるいは、上記の伝送媒体としては、IrDA(infrared data association)やリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(high data rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線媒体も利用可能である。
【0058】
ただし、このようにネットワーク4からHMI制御プログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムは予めプログラマブル表示器2に格納されるか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであってもよい。
【0059】
〔3−3.プログラマブル表示器によるサンプリングデータ表示〕
続いて、上記のように構成されるプログラマブル表示器2によってサンプリングデータを表示する動作について説明する。
【0060】
HMI処理部21は、アドレス設定ファイルを参照して、PLC5およびプログラマブル表示器2から、サンプリングデータを取り込む。このとき、HMI処理部21は、アドレス設定ファイルで設定されたアドレス(デバイスアドレス)から、アドレス設定ファイルで設定されたデータ形式の複数のサンプリングデータを読み出す。そして、HMI処理部21は、これらのサンプリングデータをデータメモリ26に記憶していく。また、HMI処理部21は、データメモリ26からサンプリングデータを読み出して、スクリーン22上に一括して表示する。
【0061】
これにより、複数のデータ形式のデータを一括して扱うことができる。それゆえ、HMI処理部21は、アドレス設定ファイルを参照して、異なるデータ形式の複数のデータをサンプリングデータとしてサンプリングすることができる。
【0062】
〔4.ホストコンピュータの詳細〕
〔4−1.ホストコンピュータの基本機能〕
ホストコンピュータ3は、例えば、汎用のパーソナルコンピュータによって構成されており、CPU、メモリ(RAM、ROMなど)、記憶装置(ハードディスクドライブ、MOドライブなど)、表示装置および入力装置(キーボード、マウスなど)を有している。
【0063】
ホストコンピュータ3は、プログラマブル表示器2から取得した各種のデータを管理しており、制御システム1における制御の中心として機能している。また、ホストコンピュータ3は、前述の画像ファイルおよびアドレス設定ファイルの作成機能を有している。
【0064】
〔4−2.ホストコンピュータの各部の構成〕
図1に示すように、ホストコンピュータ3は、上記の機能を実現するために、画像作成部31と、サンプリングデータ処理部32と、アドレス設定ファイル作成部33と、データ記憶部34と、インターフェース部(図中、I/F)35とを備えている。
【0065】
画像作成部31は、画像作成用のアプリケーションプログラムが、ホストコンピュータ3のハードウェア(CPUやメモリなど)およびソフトウェア(オペレーティングシステムなど)によって実行されることで実現される機能ブロックである。また、サンプリングデータ処理部32は、サンプリングデータ処理用のアプリケーションプログラムが、画像作成用のアプリケーションプログラムと同様に実行されることで実現される機能ブロックである。さらに、アドレス設定ファイル作成部33は、アドレス設定ファイル作成用のアプリケーションプログラム(アドレス設定ファイル作成プログラム)が、画像作成用のアプリケーションプログラムと同様に実行されることで実現される機能ブロックである。
【0066】
上記の各アプリケーションプログラムのプログラムコードは、ホストコンピュータ3による読み取りが可能であり、ホストコンピュータ3と分離可能に構成される記録媒体にも記録可能である。この記録媒体は、HMI制御プログラムのプログラムコードが記録される前述の記録媒体と同様の記録媒体である。また、各アプリケーションプログラムは、前述のネットワーク4を介してホストコンピュータ3にダウンロードされてもよい。
【0067】
以下、ホストコンピュータ3の主要各部について詳細に説明する。
【0068】
〔4−2−1.データ記憶部およびインターフェース部の構成〕
データ記憶部34は、前述の記憶装置によって構成されている。このデータ記憶部34は、後述する画像作成部31によって作成された画像ファイル、サンプリングデータ処理部32による処理結果としてのサンプリングデータおよびアドレス設定ファイル作成部33によって作成されたアドレス設定ファイルを保存する。
【0069】
インターフェース部35は、プログラマブル表示器2との間の通信を行うための通信制御部であり、ネットワーク4に接続されている。このインターフェース部35は、プログラマブル表示器2のIPアドレスに基づくネットワーク通信を行うことができるように構成される。
【0070】
〔4−2−2.画像作成部の構成〕
画像作成部31は、前述の画像ファイルをユーザの操作によって作成する。この画像作成部31は、画像ファイルを構成する画像データを作成するために、ベース画像上への部品画像の配置や、図形の描画や、テキストの記載といった機能を提供する。部品画像としては、スイッチ(オン・オフスイッチ、切替スイッチ、押しボタンスイッチなど)、ランプ、テンキー、各種表示部品(例えば、数値表示部品、メータ表示部品、グラフ表示部品、アラーム表示部品など)などが予め用意されている。画像作成部31は、上記の機能を利用して作成された画像ファイルをデータ記憶部34に保存する。
【0071】
〔4−2−3.サンプリングデータ処理部の構成〕
サンプリングデータ処理部32は、データメモリ26に蓄えられたサンプリングデータをプログラマブル表示器2から取得して、当該サンプリングデータに対して各種の処理を施したり、処理した結果をホストコンピュータ3の表示装置に表示したりする。サンプリングデータ処理部32が行う処理としては、日報作成処理、統計処理、グラフ処理などが挙げられる。また、サンプリングデータ処理部32は、処理結果をデータ記憶部34に保存する。
【0072】
〔4−2−4.アドレス設定ファイル作成部の構成〕
アドレス設定ファイル作成部33は、前述のアドレス設定ファイルをユーザの操作によって作成する。このために、アドレス設定ファイル作成部33は、データ形式設定部331、連続数設定部332、アドレス設定部333、行表示処理部334および報知処理部335を有している。また、アドレス設定ファイル作成部33(設定画像表示手段)は、アドレス設定ファイルを作成するために、図4に示す表形式のアドレス設定画像201をユーザインターフェースとして提供する。さらに、アドレス設定ファイル作成部33は、アドレス設定画像201を用いて作成されたアドレス設定ファイルをデータ記憶部34に保存する。
【0073】
ホストコンピュータ3は、アドレス設定ファイル作成部33を備えることにより、アドレス設定ファイル作成装置として機能する。
【0074】
〔4−2−4(a).アドレス設定画像の構成〕
図4に示すように、アドレス設定画像201(設定画像)は、設定表示エリア202、接続機器表示ボックス203およびワード総数表示ボックス204を含んでいる。
【0075】
設定表示エリア202は、アドレス設定ファイルを作成するための各項目の入力(設定)および表示を行うために設けられている。この設定表示エリア202は、行番号表示セル202a、データ形式設定表示セル202b、アドレス設定表示セル202c、連続数設定表示セル202dおよびスクロールバー202eを含んでいる。設定表示エリア202において、データ形式設定表示セル202b、アドレス設定表示セル202cおよび連続数設定表示セル202dによって1つの行(包括領域)が形成されている。
【0076】
行番号表示セル202a(番号表示領域)は、上記の行を特定するために付される各行の行番号(番号)を表示するために設けられている。上記の行は、データメモリ26においてサンプリングデータの記憶領域として割り当てられている512ワードについて、1ワード(16ビット)に相当している。
【0077】
したがって、設定表示エリア202は、上記の行と行番号表示セル202aとの組み合わせを複数有している。具体的には、設定表示番号表示セル202aに1から512までの行番号を表示する。つまり、第1行〜第512行が、それぞれ第1の記憶領域〜第512の記憶領域に対応している。また、設定表示エリア202は、設定および表示の可能な行として512行有している。さらに、設定表示エリア202においては、データ形式がワード16ビット、ビットおよび文字列であるサンプリングデータに対しては1行が使用され、データ形式がワード32ビットであるサンプリングデータに対しては2行が使用されることになる。
【0078】
データ形式設定表示セル202b(データ形式設定表示領域)は、サンプリングデータのデータ形式(データ形式データ)である前述のワード16ビット、ワード32ビット、ビットおよび文字列の設定および表示を行うために設けられている。データ形式設定表示セル202bにおいて、例えばリストボックスによって、これらのデータ形式から1つを選択して設定することができる。
【0079】
アドレス設定表示セル202c(アドレス設定表示領域)は、取得するサンプリングデータを記憶している外部デバイスメモリまたは内部デバイスメモリのデバイスアドレス(アドレスデータ)の設定および表示を行うために設けられている。アドレス設定表示セル202cにおいて、例えば、リストボックスによって、予め定められているデバイスアドレスから1つを選択して設定することができる。
【0080】
連続数設定表示セル202d(連続数設定表示領域)は、前述の連続数(連続数データ)の設定および表示を行うために設けられている。連続数設定表示セル202dにおいて、例えばコンボボックスによって、直接入力またはリスト選択により連続数を設定することができる。ここで、文字列の連続数は、文字数を表す。
【0081】
スクロールバー202eは、行番号表示セル202a、データ形式設定表示セル202b、アドレス設定表示セル202cおよび連続数設定表示セル202dを上下にスクロールして表示させるために設けられている。
【0082】
接続機器表示ボックス203は、接続機器を設定および表示するために設けられている。接続機器は、プログラマブル表示器2に接続され、外部デバイスメモリを含む機器を特定するために当該機器に付与された名称である。接続機器がPLC5であれば、「PLC1」、「PLC2」、…というように接続機器が表される。接続機器表示ボックス203は、リストボックスとして構成されており、予め設定されている接続機器から1つを選択して設定することができる。
【0083】
ワード総数表示ボックス204は、デバイスアドレスの設定に使用されているワードの総数、すなわち使用される行の総数を表示するために設けられている。ワード総数表示ボックス204においては、全ワード数512(分母)に対して、設定されているワードの数(分子)として表示されている。
【0084】
〔4−2−4(b).データ形式設定部および連続数設定部の構成〕
データ形式設定部331(データ形式設定表示手段)は、上記のデータ形式設定表示セル202bに入力されたデータ形式を設定事項として受け付けて設定し、設定された行の行番号とともに、当該データ形式をホストコンピュータの一時記憶領域(RAMなど)に保存する。また、データ形式設定部331は、受け付けたデータ形式をデータ形式設定表示セル202bに表示する。さらに、データ形式設定部331は、後述する行表示処理部334によって連続して確保された複数の行のうちの先頭行についてのみデータ形式設定表示セル202bにデータ形式を表示する。
【0085】
連続数設定部332(連続数設定表示手段)は、上記の連続数設定表示セル202dに入力された連続数を設定事項として受け付けて設定し、設定された行の行番号とともに、当該連続数を上記の一時記憶領域に保存する。また、連続数設定部332は、受け付けた連続数を連続数設定表示セル202dに表示する。さらに、連続数設定部332は、後述する行表示処理部334によって連続して確保された複数の行のうちの先頭行についてのみ連続数設定表示セル202dに連続数を表示する。
【0086】
〔4−2−4(c).アドレス設定部の構成〕
アドレス設定部333(アドレス設定表示手段)は、上記のアドレス設定表示セル202cに入力されたデバイスアドレスを設定事項として受け付けて設定し、設定された行の行番号とともに、当該デバイスアドレスを上記の一時記憶領域に保存する。
【0087】
また、アドレス設定部333は、データ形式および連続数が設定された状態で、連続数が2以上であるとき、後述する行表示処理部334によって連続数に応じて確保された行のアドレス設定表示セル202cに、設定された先頭のデバイスアドレスから連続するデバイスアドレスを自動的に設定および表示していく。具体的には、アドレス設定部333は、データ形式がワード16ビット、ビットおよび文字列である場合、先頭のデバイスアドレスから1つずつ順次加算されたデバイスアドレスを設定および表示していく。アドレス設定部333は、データ形式がワード32ビットである場合、先頭のデバイスアドレスから2つずつ順次加算されたデバイスアドレス(1つおきに連続するデバイスアドレス)を、先頭行から1つおきの行に順次設定および表示していく。
【0088】
さらに、アドレス設定部333は、受け付けたアドレスおよび上記のように自動的に設定されたデバイスアドレスをアドレス設定表示セル202cに表示する。
【0089】
〔4−2−4(d).行表示処理部の構成〕
〈行確保機能〉
行表示処理部334(包括領域確保手段)は、データ形式、デバイスアドレスおよび連続数が特定の行に設定されると、当該行を基準として、設定されたデータ形式および連続数に応じて必要となる数の行を確保する。具体的には、行表示処理部334は、連続数が1である場合、データ形式がワード16ビット、ビットまたは文字列であれば1行(1ワード)を確保し、データ形式がワード32ビットであれば2行を確保する。特に、データ形式がワード32ビットであるとき、2行(2ワード)を使用するため、行表示処理部334は、連続数に2を乗じた数から1を減じた数の行を先頭の行に続いて確保する。
【0090】
また、行表示処理部334は、設定された連続数が2以上である場合、データ形式および連続数に応じて、同じサンプリングデータについての先頭の行から連続した行を設定可能行として確保する。連続数が2以上である場合、より詳しくは、行表示処理部334は、データ形式がワード16ビットおよびビットであるときに、連続数から1を減じた数の行を先頭の行に続いて確保する。また、行表示処理部334は、データ形式が文字列であるときに、2文字で1行を使用するので、連続数を2で除して得られた商と余りとの和の数の行を確保する。
【0091】
〈行番号表示制御機能〉
行表示処理部334(番号表示制御手段)は、設定に使用されていない行(未使用行)、すなわち上記のように確保されていない行の行番号表示セル202aの表示状態を、設定に使用するために確保されている行(使用行)の行番号表示セル202aの表示状態と異ならせる。行表示処理部334は、併せて、設定に使用されている行に対する設定を受け付けない。
【0092】
なお、表示状態を異ならせることについては、両表示状態を明確に区別することができれば上記の例に限定されない。例えば、設定に使用されていない行の行番号表示セル202aにマークを付記してもよいし、同行番号表示セル202aの行番号を点滅表示させてもよい。
【0093】
〈行表示制御機能〉
行表示処理部334(包括領域表示制御手段)は、連続して確保された複数の行のうちの先頭行以外の行の表示状態を、設定に使用されていない(確保されていない)行の表示状態と異ならせる。
【0094】
なお、行の表示状態を異ならせることについては、両表示状態を明確に区別することができれば上記の例に限定されない。例えば、設定に使用されていない行の各セル202b〜202dにマークを付記してもよいし、同セル202b〜202dに模様を表示させてもよい。
【0095】
〔4−2−4(e).報知処理部の構成〕
報知処理部335(報知手段)は、行表示処理部334によって必要な行を確保できない状態(デバイスアドレスの設定可能な範囲を越えて設定が行われる状態)になったときに、その状態を報知するためのメッセージを表示する。例えば、「アドレス設定可能な行を確保できません。連続数を変更してください。」といったメッセージが報知される。上記の状態は、例えば、512行を越えて設定が行われようとする状態や、すでに設定が行われている行間の未使用行で必要最小限の行が確保できない状態である。
【0096】
〔4−3.アドレス設定ファイル作成部によるアドレス設定ファイルの作成〕
ホストコンピュータ3におけるアドレス設定ファイル作成部33によるアドレス設定ファイルの作成処理について説明する。
【0097】
まず、図4に示すアドレス設定画像201において、データ形式設定表示セル202b、アドレス設定表示セル202cおよび連続数設定表示セル202dに、それぞれデータ形式、デバイスアドレスおよび連続数がユーザによって入力される。すると、データ形式、デバイスアドレスおよび連続数が、それぞれデータ形式設定部331、アドレス設定部333および連続数設定部332によって、各設定表示セル202b〜202dに表示される。
【0098】
この状態で、行表示処理部334により、データ形式および連続数に応じて、必要な数の行が確保される。以下にその具体例について説明する。
【0099】
図4に示すように、第4行にワード16ビットのデータ形式が設定され、3の連続数が設定された場合、データ形式がワード16ビットであるサンプリングデータは、3行(3ワード)に相当する。したがって、この場合は、第4行に続いて2行(第5行および第6行)が確保される。そして、確保された第5行および第6行におけるアドレス設定表示セル202bには、第4行のデバイスアドレス“[PLC1]D0010”に続いて、“[PLC1]D0011”と“[PLC1]D0012”とが自動的に設定されて表示される。
【0100】
また、図4に示すように、第15行にワード32ビットのデータ形式が設定され、2の連続数が設定された場合、ワード32ビットのサンプリングデータは、4行(4ワード)に相当する。したがって、この場合は、第15行に続いて3行(第16行〜第18行)が確保される。また、この場合は、2行を1組とすることから、2行のうちの先頭行にデバイスアドレスが設定される。このため、第17行におけるアドレス設定表示セル202bには、第15行のデバイスアドレス“[PLC1]D0040”に続いて、“[PLC1]D0042”が自動的に設定されて表示される。
【0101】
このとき、デバイスアドレス“[PLC1]D0040”およびデバイスアドレス[PLC1]D0041”には、それぞれ1ワードが割り当てられる。同様に、デバイスアドレス“[PLC1]D0042”およびデバイスアドレス[PLC1]D0043”には、それぞれ1ワードが割り当てられる。しかしながら、第16行にデバイスアドレス“[PLC1]D0041”が表示されることはなく、同様に、第18行にデバイスアドレス“[PLC1]D0043”が表示されることはない。
【0102】
上記のように、ワード32ビットの場合、1組の2行における2行目にデバイスアドレスが表示されないのは、次の理由による。ワード16ビットの場合、1行単位でデバイスアドレスが表示されるが、ワード32ビットの場合も、これと同様に1行単位でデバイスアドレスが表示されると、ワード16ビットの場合のデバイスアドレスの表示と区別がつかない。このため、ワード32ビットの場合には、ワード16ビットの場合のデバイスアドレスの表示と区別しやすくするように、2行目にデバイスアドレスを表示しないようにしている。
【0103】
上記のように必要な行が確保され、デバイスアドレスの自動設定が行われると、行表示処理部334により、設定に使用されていない行の行番号表示セル202aが、設定に使用されている行の行番号表示セル202aと異なる表示状態で表示される。また、行表示処理部334により、設定に使用されていない行が、設定に使用されている行と異なる表示状態で表示される。以下にその具体例について説明する。
【0104】
図4に示すように、設定に使用されている第1行〜第8行、第10行〜第12行および第14行〜第18行の行番号表示セル202aは通常(白地)に表示される。これに対し、設定に使用されていない第9行、第13行および第19行の行番号表示セル202aは着色表示される。
【0105】
また、図4に示すように、設定に使用されていない第9行、第13行および第19行は通常(白地)に表示される。これに対し、設定に使用されている第3行、第5行、第6行、第8行、第11行、第12行、第16行〜第18行は全体が着色表示される。
【0106】
第9行は、未使用の行であるが、この行にデータ形式としてワード32ビットを設定すると、それに続く第10行も設定に必要となる。しかしながら、第10行はすでに設定に使用されているので、必要最小限の行を確保できないことになる。
〔4−4.アドレス設定画像における使用行および未使用行の判別〕
前述のように、行表示処理部334により、未使用行の行番号表示セル202aの表示状態を、使用行の行番号表示セル202aの表示状態と異ならせるとともに、連続して確保された複数の行のうちの先頭行以外の行の表示状態を、確保されていない未使用行の表示状態と異ならせる。ここでは、これによる視覚効果について説明する。
【0107】
図5(a)は、比較例として、上記のような表示状態で未使用行の行番号表示セル202aおよび使用行を表示させない場合の設定表示エリア202を示している。一方、図5(b)は、上記のような表示状態で未使用行の行番号表示セル202aおよび使用行を表示させる場合の設定表示エリア202を示している。
【0108】
なお、図5(a)および(b)は、未使用行の表示状態が異なる以外はデータ形式、デバイスアドレスおよび連続数の表示状態を含めて同じである。
【0109】
〈ワード32ビットの場合〉
図5(a)に示す表示例では、第6行に、データ形式がワード32ビットに設定され、デバイスアドレスが“[PLC1]D0010”に設定され、連続数が1に設定され、これらが表示されている。また、第6行に続く第7行は空白行である。
【0110】
前述のように、データ形式がワード32ビットである場合は2行を必要とするので、第6行だけでなく第7行も使用されている。ところが、第7行は、第6行のようにデータ形式、デバイスアドレスおよび連続数が表示されていないので、未使用行のように見える。したがって、ユーザは、第6行に表示されているデータ形式および連続数に基づいて、第7行が使用行であるか否かを識別しなければならない。
【0111】
これに対し、図5(b)に示す表示例では、第7行が着色表示されるとともに、第7行の行番号表示セル202aが通常表示されている。これにより、ユーザは、第7行が使用行であることを容易に識別できる。
【0112】
〈ワード16ビットの場合〉
図5(a)に示す表示例では、第1行に、データ形式がワード16ビットに設定され、デバイスアドレスが“[PLC1]D0000”に設定され、連続数が1に設定され、これらが表示されている。また、第1行に続く第2行は空白行である。
【0113】
前述のように、データ形式がワード16ビットである場合は1行のみを必要とするので、第2行は使用されていない。このため、第2行は前述の第7行と異なって設定可能な未使用行である。ただし、第2行は、第7行と同様に外見が空白行であるので、使用行であるか否かが一見して区別できない。したがって、ユーザは、第1行に表示されているデータ形式および連続数に基づいて、第2行が使用行であるか否かを識別しなければならない。
【0114】
これに対し、図5(b)に示す表示例では、第2行が通常表示されるとともに、第2行の行番号表示セル202aが着色表示されている。これにより、ユーザは、第2行が未使用行であることを容易に識別できる。
【0115】
〈デバイスアドレスのみが行に表示されている場合〉
図5(a)に示す表示例では、第11行に、データ形式がワード16ビットに設定され、デバイスアドレスが“[PLC1]D0020”に設定され、連続数が4に設定され、これらが表示されている。これにより、第11行に続く第12行〜第14行には、それぞれ連続するデバイスアドレスが自動的に設定されてアドレス設定表示セル202cに表示されている。したがって、第12行〜第14行については、アドレス設定表示セル202cにデバイスアドレスが表示されることにより、使用行であることが識別できる。
【0116】
しかしながら、第12行〜第14行にはデータ形式が設定されていない。このため、人間の視認動作として、まずデータ形式設定表示セル202bを見てからアドレス設定表示セル202cに視線を移すことを考慮すると、データ形式設定表示セル202bを見ただけでは、第12行〜第14行が使用行であることを即座に識別できない。
【0117】
これに対し、図5(b)に示す表示例では、第12行〜第14行が着色表示されている。これにより、ユーザは、データ形式を確認する以前に、第12行〜第14行が使用行であることを容易に識別できる。
〔4−5.アドレス設定ファイル作成部による設定項目の変更時の処理〕
アドレス設定ファイルの設定項目の変更に伴うアドレス設定ファイル作成部33の処理について説明する。以降の説明では、設定項目としてデータ形式または連続数を変更した場合の処理について述べる。
【0118】
〈ワード16ビット:連続数の変更〉
図6(a)に示すように、第1行において、データ形式がワード16ビットに設定され、デバイスアドレスが“[PLC1]D0000”に設定され、連続数が1に設定されている場合、当該行のみを設定に使用する。このため、行表示処理部334により、第2行および第3行の行番号表示セル202aが着色表示される。ここでは、説明の便宜上、図6(a)および(b)において、第4行以降の表示を省略している。図7〜図9でも、それぞれの行の表示を適宜省略している。
【0119】
この状態から、図6(b)に示すように、第1行において、連続数が1から3に変更されると、第1行を含めて3行必要となる。このため、行表示処理部334により、第2行および第3行がデバイスアドレスの設定のために確保される。また、第2行および第3行のアドレス設定表示セル202cには、アドレス設定部333により、“[PLC1]D0000”に連続するデバイスアドレス“[PLC1]D0001”および“[PLC1]D0002”が順次設定される。
【0120】
この状態では、行表示処理部334により、第2行および第3行の行番号表示セル202aの表示状態が通常表示に変更されるとともに、第2行および第3行が着色表示される。したがって、第2行および第3行が、すでに設定が行われており、使用できない行であることが分かる。
【0121】
〈ワード32ビット:連続数の変更〉
図7(a)に示すように、第1行において、データ形式がワード32ビットに設定され、デバイスアドレスが“[PLC1]D0000”に設定され、連続数が1に設定されている場合、第1行および第2行を設定に使用する。このため、行表示処理部334により、第3行以降の行番号表示セル202aが着色表示される。また、行表示処理部334により、第2行が着色表示される。
【0122】
この状態から、図7(b)に示すように、第1行において、連続数が1から3に変更されると、第1行を含めて6行必要となる。このため、行表示処理部334により、第2行〜第6行がデバイスアドレスの設定のために確保される。また、第3行および第5行のアドレス設定表示セル202cには、アドレス設定部333により、“[PLC1]D0000”に連続するデバイスアドレス“[PLC1]D0002”および“[PLC1]D0004”が順次設定される。
【0123】
この状態では、行表示処理部334により、第2行〜第6行の行番号表示セル202aの表示状態が通常表示に変更されるとともに、第2行〜第6行が着色表示される。したがって、第2行〜第6行が、すでに設定が行われており、使用できない行であることが分かる。
【0124】
〈文字列:連続数の変更〉
図8(a)に示すように、第1行において、データ形式が文字列に設定され、デバイスアドレスが“[PLC1]D0000”に設定され、連続数が1に設定されている場合、当該行のみを設定に使用する。このため、行表示処理部334により、第2行以降の行番号表示セル202aが着色表示される。
【0125】
この状態から、図8(b)に示すように、第1行において、連続数(文字数)が1から5に変更されると、第1行を含めて3行(6文字分)必要となる。このため、行表示処理部334により、第2行および第3行がデバイスアドレスの設定のために確保される。また、第2行および第3行のアドレス設定表示セル202cには、アドレス設定部333により、“[PLC1]D0000”に連続するデバイスアドレス“[PLC1]D0001”および“[PLC1]D0002”が順次設定される。
【0126】
この状態では、図6(a)に示す例と同様、行表示処理部334により、第2行および第3行の行番号表示セル202aの表示状態が通常表示に変更されるとともに、第2行および第3行が着色表示される。したがって、第2行および第3行が、すでに設定が行われており、使用できない行であることが分かる。
【0127】
〈ワード16ビット:データ形式の変更〉
図9(a)に示すように、第1行において、データ形式がワード16ビットに設定され、デバイスアドレスが“[PLC1]D0000”に設定され、連続数が1に設定されている場合、当該行のみを設定に使用する。このため、行表示処理部334により、第2行および第3行の行番号表示セル202aが着色表示される。
【0128】
この状態から、図9(b)に示すように、第1行において、データ形式がワード16ビットからワード32ビットに変更されると、第1行を含めて2行必要となる。このため、行表示処理部334により、第2行がデバイスアドレスの設定のために確保される。この状態では、行表示処理部334により、第2行の行番号表示セル202aの表示状態が通常表示に変更されるとともに、第2行が着色表示される。したがって、第2行が、すでに設定が行われており、使用できない行であることが分かる。
【0129】
〔4−6.アドレス設定画像を使用することによる効果〕
上記のように、アドレス設定ファイルの作成においては、ワードを行に対応させた設定表示エリア202を有するアドレス設定画像201を用いている。これにより、プログラマブル表示器2におけるデータメモリ26に割り当てられているサンプリングデータの各記憶領域の使用状態(デバイスアドレスの設定状態)をアドレス設定画像201に表現することができる。それゆえ、ユーザは、データメモリ26における記憶領域のどこに、どのようなデータ形式のサンプリングデータをいずれのデバイスアドレスから取得するのかという設定を容易にすることができる。
【0130】
また、上記のように、アドレス設定画像201の設定表示エリア202において、未使用行の行番号表示セル202aを着色表示することにより、その行が未使用行であることを容易に識別することができる。しかも、設定表示エリア202において、連続して確保された複数の行のうちの先頭行以外の行を着色表示することにより、その行が使用行であることを容易に識別することができる。
【0131】
さらに、使用行におけるアドレス設定表示セル202cには、プログラマブル表示器2のHMI処理部21がアクセスするデバイスアドレスのみが表示される。これにより、ユーザは、HMI処理部21のアクセス先を容易に確認することができる。例えば、図4に示すように、第15行に、データ形式がワード32ビットに設定され、デバイスアドレスが“[PLC1]D0040”に設定され、連続数が2に設定されている場合、第17行に上記のデバイスアドレスに続くデバイスアドレスが設定される。この場合は、“[PLC1]D0040”および“[PLC1]D0042”により、接続機器[PLC1]で指定されるPLC5のデバイスメモリ51のデバイスアドレス“D0040”および“D0042”にアクセスされることが分かる。
【0132】
以上のように、プログラマブル表示器2が異なるデータ形式のサンプリングデータをサンプリングして一括表示させることから、データ形式に応じて異なるサンプリングデータのサイズにより、サンプリングデータの記憶領域のうちの使用可能な記憶領域が変わる。このため、異なるデータ形式のサンプリングデータについてデバイスアドレスを設定すると、デバイスアドレスの設定にどの程度記憶領域を割り当てているかを把握することが難しくなる。
【0133】
このような不都合に対しては、アドレス設定画像201を用いることにより、デバイスアドレスの設定を、データメモリ26におけるサンプリングデータの記憶領域に対応させて、使用可能な記憶領域を確認しながら行うことができる。したがって、アドレス設定ファイルの作成(デバイスアドレスの設定)を効率的に行うことができる。
【0134】
また、アドレス設定画像201において、使用行と未使用行とで表示状態を異ならせることにより、デバイスアドレスを設定することが可能な行(ワード)を容易に把握することができる。それゆえ、デバイスアドレスの設定において誤設定を防止することができる。
【0135】
〔5.付記事項〕
なお、サンプリングデータを記憶する媒体は、データメモリ26だけでなく、プログラマブル表示器2の内外に設けられた他のメモリであってもよい。例えば、当該媒体は、プログラマブル表示器2に着脱可能なメモリカードのような記憶媒体であってもよい。
【0136】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明のアドレス設定ファイル作成装置は、サンプリングデータを取得するデバイスメモリのデバイスアドレスの設定を、サンプリングデータを記憶するメモリの記憶領域に対応させて行うことができるので、デバイスアドレスの設定を効率的に行うことに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0138】
1 制御システム
2 プログラマブル表示器
3 ホストコンピュータ
5 プログラマブルロジックコントローラ
6 デバイス
21 HMI処理部
26 データメモリ(第2記憶部)
28 作業メモリ(第1記憶部)
33 アドレス設定ファイル作成部(設定画像表示手段)
51 デバイスメモリ(第1記憶部)
201 アドレス設定画像(設定画像)
202 設定表示エリア
202a 行番号表示セル(番号表示領域)
202b データ形式設定表示セル(データ形式設定表示領域)
202c アドレス設定表示セル(アドレス設定表示領域)
202d 連続数設定表示セル(連続数設定表示領域)
331 データ形式設定部(データ形式設定表示手段)
332 連続数設定部(連続数設定表示手段)
333 アドレス設定部(アドレス設定表示手段)
334 行表示処理部(包括領域確保手段,番号表示制御手段,包括領域表示制御手段)
335 報知処理部(報知手段)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ形式の異なる複数のサンプリングデータを記憶している第1記憶部からアドレスを指定して前記サンプリングデータを取得し、かつ、第2記憶部のワード単位に区画される複数の記憶領域に当該取得したサンプリングデータを記憶させる、プログラマブル表示器のHMI処理部が、前記サンプリングデータの取得時または前記サンプリングデータの記憶時に参照する、前記データ形式のデータであるデータ形式データおよび前記アドレスのデータであるアドレスデータを設定するアドレス設定ファイルを作成するアドレス設定ファイル作成装置であって、
前記データ形式データを設定かつ表示するためのデータ形式設定表示領域、
前記アドレスデータを設定かつ表示するためのアドレス設定表示領域、
および、前記HMI処理部が、前記第1記憶部の連続する前記記憶領域から前記アドレスを指定して同一のデータ形式の前記サンプリングデータを連続して取得するために前記アドレスを連続して指定するときの前記アドレスの数のデータである連続数データを設定かつ表示する連続数設定表示領域、
ならびに、同一の前記記憶領域に対応する、前記データ形式設定表示領域、前記アドレス設定表示領域および前記連続数設定表示領域を含む包括領域を特定する番号を表示する番号表示領域を項目とする表形式の設定画像を表示する設定画像表示手段を備え、
当該設定画像表示手段は、
前記データ形式設定表示領域へ入力された前記データ形式データを設定および表示するデータ形式設定表示手段と、
前記連続数設定表示領域へ入力された前記連続数データを設定および表示する連続数設定表示手段と、
前記アドレス設定表示領域へ入力された前記アドレスデータを設定および表示するアドレス設定表示手段と、
前記データ形式データ、前記連続数データおよび前記アドレスデータが、同一の番号で特定される前記包括領域における、前記データ形式設定表示領域、前記連続数設定表示領域および前記アドレス設定表示領域に、それぞれ入力され、かつ、前記データ形式設定表示手段、前記連続数設定表示手段および前記アドレス設定表示手段により設定されたときに、当該番号で特定される包括領域を基準として、当該データ形式データおよび当該連続数データに応じて必要となるワードの数に応じた数の前記包括領域を確保する包括領域確保手段とを有しており、
前記アドレス設定表示手段が、前記同一の番号で特定される包括領域に設定した前記アドレスデータから連続した前記アドレスデータを前記包括領域確保手段により確保された包括領域の前記アドレス設定表示領域に設定および表示することを特徴とするアドレス設定ファイル作成装置。
【請求項2】
前記設定画像表示手段は、確保された前記包括領域に対応する前記番号表示領域を、確保されていない前記包括領域に対応する前記番号表示領域と異なる表示状態で表示させる番号表示制御手段を有していることを特徴とする請求項1に記載のアドレス設定ファイル作成装置。
【請求項3】
前記データ形式設定表示手段は、連続して確保された前記包括領域の先頭の包括領域についてのみ前記データ形式設定表示領域に前記データ形式を表示し、
前記連続数設定表示手段は、連続して確保された前記包括領域の先頭の包括領域についてのみ前記連続数設定表示領域に前記連続数を表示し、
前記設定画像表示手段は、連続して確保された前記包括領域の先頭の包括領域以外の前記包括領域を、確保されていない前記包括領域と異なる表示状態で表示させる包括領域表示制御手段を有していることを特徴とする請求項1に記載のアドレス設定ファイル作成装置。
【請求項4】
前記設定画像表示手段は、前記包括領域確保手段による前記包括領域の確保が可能な範囲を超えて、前記データ形式設定表示領域に前記データ形式が設定されているとき、または前記連続数設定表示領域に前記連続数が設定されているときに、前記包括領域を確保できないことを報知する報知手段を有していることを特徴とする請求項1、2または3に記載のアドレス設定ファイル作成装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のアドレス設定ファイル作成装置における前記各手段としてコンピュータを機能させるためのアドレス設定ファイル作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−242889(P2012−242889A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109323(P2011−109323)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】