説明

アドレス電極及びこれを含むプラズマディスプレイパネル

【課題】ガスリーク(leak)の発生が少なく、また抵抗上昇が抑制され、且つ表面クラック又は損傷の発生が少ないアドレス電極を提供する。
【解決手段】アルミニウム含有層及び銀含有層が積層された二重層を含む、アドレス電極。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アドレス電極及びこれを含むプラズマディスプレイパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマディスプレイパネル(PDP)電極として銀を含む電極が使用されてきた。銀を含む電極は、緻密度が高いためPDP工程中の焼成後のガスリークの発生が少ない。しかし、銀は高価なため電極製造時の経済性の点で劣り、また銀の融合によって電極端子部で抵抗ムラ又は短絡が発生する場合がある。
【0003】
そこで、銀を含む電極に代わりアルミニウムを含む電極が用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】大韓民国特許第2004−4712号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アルミニウムを含む電極は、PDP隔壁をエッチングする工程中にアルミニウム粉末自体が損傷を受け、アルミニウム被膜層の損傷が発生する場合があった。また、テープキャリアパッケージ(tape carrier package(TCP))ボンディング時にアルミニウムを含む電極自体の脱落が生じ、耐久性が低下するという問題点が発生し得る。また、アルミニウムを含む電極は、緻密度が劣り多孔性であるため、前面基板と背面基板を封着し、Ne、およびXeガス等を注入した後にガスリークが発生する場合があった。
【0006】
これを防ぐために、アルミニウムを含む電極の緻密度を高める試みがなされた。しかしながら、この場合、アルミニウム粒子間のネッキング数が増加して抵抗が上昇し、これによりPDP駆動電圧が上昇するため、PDPへのアルミニウム含有電極の適用を困難にさせてきた。また、次善策として、ガラスフリットの含量を増やした場合も、抵抗が上昇しPDP駆動が困難となった。また、銀とアルミニウムを混合したペーストは、銀の導電性を低下させ、銀とアルミニウム間の電位差が生じ、抵抗が急上昇するおそれがあった。また、銀とアルミニウムの合金を用いた場合にも、導電性がさらに悪くなることがあった。
【0007】
したがって、ガスリークの発生が少なく、また抵抗上昇が抑制され、接着性や耐久性が高いとともに、原価節減効果も有するアドレス電極およびこれを含むプラズマディスプレイパネルを開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のアドレス電極は、アルミニウム含有層及び銀含有層を有し、前記アルミニウム含有層及び銀含有層の少なくとも一部が積層されてなる二重層部を含む。
【0009】
一実施形態において、前記二重層部は、アルミニウム含有層の上に銀含有層が積層されたものである。
【0010】
一実施形態において、前記アルミニウム含有層はアドレス電極の長さ方向を基準に、アルミニウム含有層のみからなる第1部分と、前記二重層を構成する第2部分とで構成され、前記銀含有層は前記アドレス電極の長さ方向を基準に、銀含有層のみからなる第3部分と、前記二重層を構成する第4部分とで構成されたものである。
【0011】
一実施形態において、前記二重層部は、前記第2部分上に前記第3部分が積層されたものである。
【0012】
一実施形態において、前記二重層部は、前記第3部分上に前記第2部分が積層されたものである。
【0013】
一実施形態において、前記二重層部の長さは、3mm以上である。
【0014】
一実施形態において、前記二重層部の厚さは、5〜20μmである。
【0015】
一実施形態において、前記アドレス電極は、二重層部において、銀含有層:アルミニウム含有層を1:0.1〜1:9の厚さ比で含む。
【0016】
本発明の他の実施形態は、前記アドレス電極を含む、プラズマディスプレイパネルである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アドレス電極にアルミニウム含有層及び銀含有層が積層された二重層部が存在することにより、ガスリーク(leak)が少なく、表面クラック又は脱落の発生が少ないため、接着性が良好で、且つ抵抗上昇が抑制される。このため、プラズマディスプレイの信頼性を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】背面基板上に形成された、本発明の一実施形態にかかるアドレス電極の断面図を示したものである。
【図2】背面基板上に形成された、本発明の他の実施形態にかかるアドレス電極の断面図を示したものである。
【図3】本発明のアドレス電極が配置された背面基板および誘電体層を上から見た平面図を示したものである。
【図4】本発明の一実施形態にかかるプラズマディスプレイパネルの斜視図を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のアドレス電極は、アルミニウム含有層及び銀含有層を有する。この際、アドレス電極は、前記アルミニウム含有層及び銀含有層の少なくとも一部が積層されてなる二重層部を含む。
【0020】
二重層部は、後述する図1および図2で示すように、アルミニウム含有層の一部と、銀含有層の一部とが積層されて形成されてもよいし、アルミニウム含有層及び銀含有層が完全に積層されて形成されてもよい。

【0021】
二重層部においては、アルミニウム含有層の上に銀含有層が積層されてもよい。二重層部のまた別の例においては、銀含有層の上にアルミニウム含有層が積層されてもよい。好ましくは、ガスリークの発生が少なく、抵抗上昇が抑制されるのでアルミニウム含有層の上に銀含有層が積層されるものである。
【0022】
「アルミニウム含有層」及び「銀含有層」は、下記に記載の、アルミニウム及び銀を含む電極ペースト組成物で形成することができる。
【0023】
背面基板は、プラズマディスプレイパネルの背面基板として通常使用される基板を用いることができる。かような背面基板としては、例えば、ガラス基板が挙げられる。
【0024】
アドレス電極は、銀含有層:アルミニウム含有層を1:0.1〜1:9の厚さ比で含み得る。前記範囲内であれば、ガスリークの発生が少なく、抵抗上昇が抑制されうる。好ましくは、厚さ比が、銀含有層:アルミニウム含有層=1:1〜1:9であるとより上記効果が発揮される。厚さ比は、より好ましくは、1:1〜1:3であり、この範囲であれば、エッジカール現象がより抑制されうる。
【0025】
前記アルミニウム含有層はアドレス電極の長さ方向を基準に、アルミニウム含有層のみからなる第1部分と、前記二重層部を構成する第2部分とで構成され、前記銀含有層は前記アドレス電極の長さ方向を基準に、銀含有層のみからなる第3部分と、前記二重層を構成する第4部分とで構成されたものでもよい。このとき、二重層部は前記第2部分上に前記第3部分が積層されたものでもよいし、又は前記第3部分上に前記第2部分が積層されたものでもよい。
【0026】
前記のアルミニウム含有層において、第1部分と第2部分、及び前記の銀含有層において第3部分と第4部分に該当するそれぞれの長さは、特に制限がなく、アドレス電極に含まれる二重層部の長さ等によって異なり得る。
【0027】
一実施形態において、形成される二重層部の長さがアドレス電極の長さ方向を基準に3mm以上になるように構成することができる。
【0028】
一例として、アドレス電極は、前記二重層は前記のアルミニウム含有層の上に前記の銀含有層が部分的に積層されたものでもよい。このとき、二重層の長さは3mm以上、好ましくは5〜20mmになり得る。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態にかかるアドレス電極の断面図を示したものである。図1ではアドレス電極は、背面基板上に形成されてなる。
【0030】
図1に示したように、アドレス電極117は、背面基板150上に形成されたアルミニウム含有層117b、銀含有層117aから構成される。アルミニウム含有層117bは、アルミニウム含有層単独で構成される第1部分1と第2部分2とで構成され、銀を含む層117aは銀含有層単独で構成される第4部分4と第3部分3とで構成される。二重層部117cは、アルミニウム含有層の第2部分2上に銀含有層の第3部分3が積層されて形成されている。
【0031】
かような構成をとることで、アルミニウム単独層のアドレス電極よりも、ガスリークの発生が少なく、また抵抗上昇が抑制され、接着性や耐久性も向上する。また、銀単独層のアドレス電極よりも、原価節減効果も有し、さらに、焼成工程時に電極パターン部分の端が巻き上がるエッジカール現象が減少する。エッジカール現象は、耐電圧特性を損なうこととなり、PDP製品の寿命及び発光効率特性を減少させる結果となる。また、サンディング工程時に端子部電極が損傷を受けるようになり、PDPスクリーンが正常な画面表示を行えないという不具合を発生させる。
【0032】
図1において、二重層の長さはsで表すことができ、3mm以上、好ましくは5〜20mmになり得る。二重層の長さがかような範囲であると、ガスリーク改善及び抵抗上昇の抑制効果の点で好ましい。図1において二重層の厚さはtで表すことができる。二重層の厚さは、5〜20μmであることが好ましく、より好ましくは7〜15μmである。かような範囲であれば、ガスリーク改善及び抵抗上昇の抑制効果の点で好ましい。
【0033】
他の例として、前記二重層は前記の銀含有層の上に前記のアルミニウム含有層が部分的に積層されたものでもよい。このとき、二重層の長さは銀含有層と接しているアルミニウム含有層の末端から3mm以上、好ましくは5〜20mmである。
【0034】
図2は、本発明の他の実施形態にかかるアドレス電極の断面図を示したものである。図2ではアドレス電極は、背面基板上に形成されてなる。
【0035】
図2に示したように、アドレス電極117は、基板150;基板150上に形成されたアルミニウム含有層117b、銀含有層117aから構成される。アルミニウム含有層117bは、アルミニウム含有層単独で構成される第1部分1と第2部分2とで構成され、銀を含む層117aは銀含有層単独で構成される第4部分4と第3部分3とで構成される。二重層部117cは銀含有層の第3部分3上にアルミニウム含有層の第2部分2が積層されて形成されている。
【0036】
図2において、二重層の長さはsで表すことができ、3mm以上、好ましくは5〜20mmである。二重層の長さがかような範囲であると、ガスリーク改善及び抵抗上昇の抑制効果の点で好ましい。図2において、二重層の厚さはtで表すことができ、厚さは5〜20μmであることが好ましく、より好ましくは7〜15μmである。かような範囲であれば、ガスリーク改善及び抵抗上昇の抑制効果の点で好ましい。
【0037】
図3は、背面基板、背面基板上に形成されたアドレス電極、及びアドレス電極上部に形成された誘電層の一部平面図を示したものである。図3に示したように、基板150上に、アルミニウム含有層117b、及び銀含有層117aで構成されるアドレス電極117が配置される。図3において二重層部は、前記図1又は2の形態で形成されている。アドレス電極117を覆うと共に、背面基板150の上面には誘電体層115が形成されてもよい。図3において、銀含有層117aは、テープキャリアパッケージ(TCP)200と接続されている。図3において、mはアドレス電極の線幅を示したものであり、nは端子部の線幅を示したものである。
【0038】
前記のアルミニウム含有層及び銀含有層は、通常の電極ペースト組成物で形成できるが、これらに制限されるものではない。
【0039】
電極ペースト組成物は、導電性粉末、バインダー樹脂、ガラスフリット、光重合性化合物、光重合開始剤及び溶媒等を含むことができる。アルミニウム含有層は、導電性粉末としてアルミニウムを含み、銀含有層は、導電性粉末として銀を含む。
【0040】
アルミニウム含有層は、導電性粉末としてのアルミニウム粉末を電極ペースト組成物中に30〜70重量%で含むものを使用できる。銀含有層は銀を電極ペースト組成物中に30〜60重量%で含むものを使用できる。また、導電性粉末は、アルミニウムと銀以外に、導電性粉末として通常使用される金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ロジウム(Rh)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)及びニッケル(Ni)からなる群から選ばれる1種以上をさらに含むことができる。
【0041】
導電性粉末は、形状が球形、針状、板状及び無定形からなる群から選ばれる1種以上を使用することができる。好ましくは、球形タイプを使用できる。アルミニウムの平均粒経(D50)は、好ましくは2〜20μmであり、銀の平均粒経(D50)は、好ましくは0.5〜2.5μmである。なお、アルミニウムおよび銀の平均粒径(D50)は、レーザ回折散乱法により50重量%累積平均粒径の測定を行って求めた値を採用する。
【0042】
バインダー樹脂は、導電性粉末と、場合によっては添加されるガラスフリットとを混合し、一定の粘性を有する組成物を製造するために添加するもので、これによって、焼成工程を経るための電極パターンの製造が可能になる。バインダー樹脂としては、限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシ基含有単量体と、アクリル酸エステル(メチルアクリレート、メチルメタアクリレート等)、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル等のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体と、を共重合して得られた共重合体;セルロース;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび結晶セルロース・カルメロースナトリウムなど水溶性セルロース誘導体;などが挙げられる。
【0043】
バインダー樹脂は、電極ペースト組成物中に1〜20重量%で含むことができる。かような範囲であれば、ペースト製造後の粘度が適当であり、印刷及び乾燥後に接着力が維持され、また焼成時のバインダー樹脂の分解が円滑に行われるため、抵抗上昇を抑制できる。
【0044】
電極ペースト組成物は、基板との接着性を向上させるためにガラスフリットを含んでいてもよい。ガラスフリットは、SiO2、B23、Bi23、Al23、ZnO、Na2O、K2O、Li2O、BaO、CaO、MgO、SrO、PbO及びTiO2からなる群から選ばれる1種以上を含み得るが、これに制限されない。好ましくは、ガラスフリットは、Bi23、B23、SiO2及びAl23からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0045】
ガラスフリットは、電極ペースト組成物中に1〜30重量%で含むことができる。
【0046】
光重合性化合物は、感光性樹脂組成物に使用される多官能モノマー又はオリゴマーであって、例えば、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリトリトールジアクリレート、ジペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ノボラックエポキシアクリレート、エチレングリコールジメタアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、プロピレングリコールジメタアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、及び1,6−ヘキサンジオールジメタアクリレートからなる群から1種以上を選んで使用できるが、これらに制限されるものではない。
【0047】
光重合性化合物は、電極ペースト組成物中に1〜10重量%で含むことができる。含有量が上記範囲内であれば、光硬化が進行し、現像時のパターン脱落が抑制され、また焼成時に有機物の分解が生ずることも少ない。
【0048】
光重合開始剤は、200〜500nmの波長帯で光反応を表すものであって、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、トリアジン系化合物からなる群から選ばれる1種以上を使用できる。例えば、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられるが、これに制限されるのではない。
【0049】
光重合開始剤は、電極ペースト組成物中に0.1〜10重量%で含むことができる。
【0050】
溶剤は、バインダー樹脂を溶解させ、製造される組成物の粘性を調節することで、塗布が容易なペーストの製造を可能にする。溶媒は、エステル系、脂肪族アルコール類、カルビトール溶媒、セロソルブ溶媒、水素溶媒等の電極用ペースト組成物に通常使用するものを使用できる。例えば、溶剤は、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノ−イソブチレート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、脂肪族アルコール、テルピネオール(terpineol)、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ブチルセロソルブアセテート、テキサノール(texanol)、ブチルカルビトールアセテート等を含むことができる。溶媒含量は電極ペースト組成物の残部量として含むことができる。
【0051】
本発明のアドレス電極は、通常の電極形成方法によって製造できる。一例として、(a)ガラス基板上にスクリーンマスク(スクリーンマスク1)を置き、アルミニウムを含む電極ペースト組成物を印刷及び乾燥する段階;(b)前記ガラス基板上に別のスクリーンマスク(スクリーンマスク2)を置き、銀を含む電極ペースト組成物を印刷、乾燥、露光、現像及び焼成する段階を含むことができる。前記段階(a)において、印刷及び乾燥後に、露光、現像及び焼成工程をさらに含むことができる。
【0052】
他の例として、(a)ガラス基板上にスクリーンマスク(スクリーンマスク3)を置き、銀を含む電極ペースト組成物を印刷及び乾燥する段階;(b)前記ガラス基板上に別のスクリーンマスク(スクリーンマスク4)を置き、アルミニウムを含む電極ペースト組成物を印刷、乾燥、露光、現像及び焼成する段階を含むことができる。前記段階(a)において、印刷及び乾燥後に、露光、現像及び焼成工程をさらに含むことができる。
【0053】
前記スクリーンマスク1及び4は、アドレス電極中の端子部部位をスクリーンすることができる。前記スクリーンマスク2と3は、アドレス電極中のメイン電極部位をスクリーンすることができる。
【0054】
印刷は、電極ペースト組成物を例えば5〜40μmの厚さでガラス基板上に塗布するものである。乾燥は、塗布された組成物を例えば80〜150℃の温度で5〜30分間乾燥させるものである。露光は、例えば5〜20mW、100〜300mJの紫外線を照射するものである。現像は、露光した領域又は露光しない領域を除去するものであり、例えば、Na2CO3水溶液において20〜30℃で処理するものである。焼成は、残留する組成物を、例えば500〜600℃の温度で20〜40分間処理するものである。
【0055】
本発明の他の実施形態は、前記アドレス電極を含むプラズマディスプレイパネルである。
【0056】
一実施形態において、アルミニウム電極のアルミニウム含有層及び銀含有層の少なくとも一部が基板に接している。
【0057】
より具体的には、本発明のプラズマディスプレイパネルは、対向し合うように配置された背面基板及び前面基板;前記背面基板上に形成された複数個のアドレス電極;前記アドレス電極を覆うと共に、前記背面基板上に形成された第1誘電体層;前記第1誘電体層と接すると共に放電空間を形成する複数個の隔壁;前記放電空間内に形成された蛍光層;前記前面基板の下面に前記アドレス電極と交差する方向に配置された複数個のバス電極;ならびに前記バス電極を覆う第2誘電体層を含み、前記アドレス電極はアルミニウム含有層及び銀含有層が積層された二重層部を含む。
【0058】
図4は、本発明の一具体例にかかるプラズマディスプレイパネルを図示したものである。図4に示したように、プラズマディスプレイパネル10は、背面基板150と前面基板100とを含む。
【0059】
前記背面基板150上には、縦方向に配列された複数個のアドレス電極117が形成されており、前記アドレス電極117が形成された背面基板150上にはアドレス電極117を覆う第1誘電体層115が形成されている。前記第1誘電体層115上には、放電空間を形成する複数個の隔壁120が形成されており、前記放電空間内部にはRGBに対応する蛍光物質を含む蛍光層132が形成されて画素領域を定義している。
【0060】
前記前面基板100は、前記背面基板150と対向するように配置されている。前記前面基板100の下面には、前記アドレス電極117と交差するように横方向に配置された複数個のバス電極112が形成されている。図4の実施形態では、前面基板100とバス電極112間に、透明電極110が設けられており、バス電極112は透明電極110上に形成することができる。また、透明電極110上にはパネル内部から発生した電荷を保存し、バス電極112を覆う第2誘電体層114が形成されている。また、透明電極110上には前記第2誘電体層114を保護し、電子放出を容易にするためのMgO層118を形成することができる。
【0061】
前記アドレス電極は、図1又は図2の形態を有することができる。前記アドレス電極117の一部である銀含有層117aは、背面基板150のTCP200と接続することができる。
【0062】
このような背面基板と前面基板間の空間には、Ne、Ar、Xe、Ne+Ar、Ne+Xe等を含む不活性ガスが注入されて、前記電極に臨界電圧以上の電圧印加時に放電によって光を発生させる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明の好ましい実施例により本発明の構成及び作用をより詳しく説明する。但し、これは本発明の好ましい例示として提示したものであり、如何なる意味でもこれによって本発明が制限されると解釈してはならない。
【0064】
ここに記載されていない内容は、本技術分野における当業者であれば十分に技術的に類推できるもののため、その説明は省略する。
【0065】
下記の実施例と比較例で使用された成分の具体的な仕様は次の通りである。
【0066】
1.アルミニウム粉末:球形(D50=7μm)
2.銀粉末:球形(D50=1.2μm)
3.バインダー樹脂:(メチルメタクリレート−メタアクリル酸)共重合体溶液(CCTech社、樹脂固形分40重量%)
4.光重合性化合物:トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(フォトニックス(Photonics)社)
5.ガラスフリット:ビスマス系ガラスフリット(Bi23−B23−SiO2−Al23)(パティクロージ(Particlogy)社)
6.光重合開始剤:2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(CIBA社)
7.溶媒:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノ−イソブチレート
製造例1:アルミニウム含有電極ペースト組成物の製造
溶媒18重量%に、バインダー樹脂溶液18重量%、光重合性化合物6重量%、開始剤3重量%を40℃で4時間攪拌した。得られた混合物に、アルミニウム粉末35重量%、ガラスフリット20重量%を入れ、混合した後、分散させて電極ペースト組成物を製造した。
【0067】
製造例2:銀含有電極ペースト組成物の製造
溶媒24重量%に、バインダー樹脂溶液12重量%、光重合性化合物8.5重量%、開始剤1.5重量%を40℃で4時間攪拌した。得られた混合物に、銀粉末50重量%、ガラスフリット4重量%を入れ、混合した後、分散させて電極ペースト組成物を製造した。
【0068】
製造例3:銀とアルミニウムを共に含む電極ペースト組成物の製造
前記製造例1及び2と同様な方法で、銀電極用ペースト及びアルミニウム電極用ペーストを製造した。製造した両ペーストを5:5の重量比で混合し、分散させて電極ペースト組成物を製造した。
【0069】
実施例1
ガラス基板上にスクリーンマスクを敷き、前記製造例1で製造した電極ペースト組成物を13μm厚に印刷し、印刷された組成物を110℃で20分間乾燥させた。乾燥された組成物を14mW及び200mJで露光し、0.4%のNa2CO3水溶液において30℃で現像した。580℃で30分間乾燥及び焼成させてアルミニウム含有層を形成した。前記ガラス基板上にスクリーンマスクを敷き、製造例2で製造した電極ペースト組成物を16μmの厚さに印刷し、印刷された組成物を110℃で20分間乾燥させた。組成物を14mW及び200mJで露光し、0.4%のNa2CO3水溶液において30℃で現像した。580℃で30分間乾燥及び焼成させて銀含有層を形成させ、図1に記載のアドレス電極を形成した。アルミニウム含有層の上に銀含有層が積層された二重層は、長さ5mm、厚さ10μmに形成された。
【0070】
実施例2
アルミニウム含有層の製造時、現像した後焼成していないこと以外は、前記実施例1と同様な方法で製造例1の電極ペースト組成物を印刷、乾燥、露光及び現像した。その後、製造例2で製造した電極ペースト組成物を印刷したこと以外は、実施例1と同様な方法で、製造例2の電極ペースト組成物を印刷、乾燥、露光、現像及び焼成して図1に記載の電極を製造した。
【0071】
実施例3
アルミニウム含有層の製造時、乾燥した後露光、現像、焼成していないこと以外は、前記実施例1と同様な方法で製造例1の電極ペースト組成物を印刷及び乾燥した。その後、製造例2で製造した電極ペースト組成物を印刷したこと以外は、実施例1と同様な方法で、製造例2の電極ペースト組成物を印刷、乾燥、露光、現像及び焼成して図1に記載の電極を製造した。
【0072】
実施例4
製造例2で製造した電極ペースト組成物を印刷したこと以外は、前記実施例1と同様な方法でガラス基板上に製造例2で製造した電極ペースト組成物を印刷、乾燥、露光、現像及び焼成して銀を含む層を形成した。その後、製造例1で製造した電極ペースト組成物を印刷したこと以外は、前記実施例1と同様な方法で前記ガラス基板上に製造例1の電極ペースト組成物を印刷、乾燥、露光、現像及び焼成して図2に記載の電極を製造した。銀を含む層の上にアルミニウムを含む層が積層された二重層は、長さ5mm、厚さ9μmに形成された。
【0073】
実施例5
前記実施例4と同様な方法で製造例2の電極ペースト組成物を印刷、乾燥、露光及び現像した。その後、アルミニウム含有層の製造時、現像した後焼成していないこと以外は、前記実施例4と同様な方法で製造例1の電極ペースト組成物を印刷、乾燥、露光、及び現像して図2に記載の電極を製造した。
【0074】
実施例6
製造例2で製造した電極ペースト組成物を印刷したこと以外は、前記実施例4と同様な方法で製造例2の電極ペースト組成物を印刷及び乾燥した。その後、アルミニウム含有層の製造時、乾燥した後露光、現像、焼成されていないこと以外は、実施例4と同様な方法で、製造例1の電極ペースト組成物を印刷および乾燥して図2に記載の電極を製造した。
【0075】
比較例1
前記実施例1において、スクリーンマスクを使用せず、製造例1の電極ペースト組成物を使用し、印刷した後、実施例1と同様の方法で、乾燥、露光、現像及び焼成してアルミニウムを含む電極を製造した。
【0076】
比較例2
前記実施例1において、スクリーンマスクを使用せず、製造例2の電極ペースト組成物を使用し、印刷した後、実施例1と同様の方法で、乾燥、露光、現像及び焼成して銀を含む電極を製造した。
【0077】
比較例3
前記実施例1において、スクリーンマスクを使用せず、製造例3のペーストを使用し、印刷した後、実施例1と同様の方法で、乾燥、露光、現像及び焼成して銀とアルミニウムの混合物を含む電極を製造した。
【0078】
実験例
前記で製造したアドレス電極を用いて下記表1に記載の項目に対して物性を測定した。
【0079】
物性の測定方法
1.焼成後のメイン電極(アドレス電極)の線幅(m)と端子部の線幅(n):焼成後にAXIO scope(Karl−Zeiss社)で線幅を測定した。
【0080】
2.電極の厚さ:P−10(Tencor社)を使用して電極の厚さを測定した。実施例1〜6は、アドレス電極中の二重層の厚さを測定した。
【0081】
3.電極中の銀を含む層:アルミニウムを含む層の厚さ比:焼成後SEM断面測定による厚さの高さ比率を測定した。
【0082】
4.線抵抗:線抵抗測定器Multimeter(KEITHLEY社)を使用して線抵抗を測定した。
【0083】
5.ガスリーク発生の有無:実施例と比較例で製造した電極が設けられた背面基板と前面基板を封着した後、真空が維持されたかを評価した。
【0084】
6.TCP接着性:製造された電極を図3のように配置し、0.4%硝酸水溶液において40℃で1時間熱処理し、7%NaOH水溶液において40℃で1時間熱処理した。その後、3M tape(Scotch Magic tape)を付着させ剥がして、電極パターンの脱落有無により接着性を調べた。電極パターンが脱落しなかった場合を「良好」、電極パターンが脱落した場合を「不良」と評価した。
【0085】
7.エッジカール(Edge curl)評価:メイン電極中の電極の末端部の最高高さから中間厚さの差を比較した。P−10(Tencor社)を使用して電極の厚さを測定した。
【0086】
8.解像線幅(Line Resolution):10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm及び80μmのPhoto maskをそれぞれ用いた端子部電極のパターン形成有無を評価し、パターンが形成された最小値を記録した。
【0087】
【表1】

【0088】
前記表1に示したように、本発明の電極構造は、ガスリークの発生がなく、また端子部との接着性も良く、且つ抵抗上昇が抑制された。、アルミニウムを単独で含む単層電極で構成される比較例1の結果と比較すると、端子部の解像線幅も30μmまで具現できる。また、銀を含む電極で構成される比較例2の結果と比較すると、エッジカール現象が殆どなく、また原価節減効果を得ることもできる。しかし、アルミニウムを含む電極で構成された比較例1は、ガスリークが発生し、また端子部との付着性も不良であり、且つ抵抗が高かった。また、銀とアルミニウムの混合物を含む単層電極で構成される比較例3は、ガスリークも発生し、接着性も良くないことが分かる。
【0089】
以上、添付の図面及び表を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるのではなく、他の多様な形態に製造でき、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施することもできるということが理解できると考える。そのため、以上にて記述した実施例は、全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないことを理解しなければならない。
【符号の説明】
【0090】
1 第1部分、
2 第2部分、
3 第3部分、
4 第4部分、
10 プラズマディスプレイパネル、
100 前面基板、
110 透明電極、
112 バス電極、
114 第2誘電体層、
115 (第1)誘電体層、
117 アドレス電極、
117a 銀含有層、
117b アルミニウム含有層、
117c 二重層部、
118 MgO層、
120 隔壁、
132 蛍光層、
150 背面基板
200 TCP。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム含有層及び銀含有層を有し、
前記アルミニウム含有層及び銀含有層の少なくとも一部が積層されてなる二重層部を含む、アドレス電極。
【請求項2】
前記二重層部は、前記アルミニウム含有層の上に前記銀含有層が積層されてなることを特徴とする、請求項1に記載のアドレス電極。
【請求項3】
前記アルミニウム含有層はアドレス電極の長さ方向を基準に、アルミニウム含有層のみからなる第1部分と、前記二重層を構成する第2部分とで構成され、前記銀含有層は前記アドレス電極の長さ方向を基準に、銀含有層のみからなる第3部分と、前記二重層を構成する第4部分とで構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載のアドレス電極。
【請求項4】
前記二重層部は、前記第2部分上に前記第3部分が積層されていることを特徴とする、請求項3に記載のアドレス電極。
【請求項5】
前記二重層部は、前記第3部分上に前記第2部分が積層されていることを特徴とする、請求項3に記載のアドレス電極。
【請求項6】
前記二重層部の長さは、3mm以上であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のアドレス電極。
【請求項7】
前記二重層部の厚さは、5〜20μmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアドレス電極。
【請求項8】
前記二重層部において、銀含有層:アルミニウム含有層を1:0.1〜1:9の厚さ比で含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のアドレス電極。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のアドレス電極を含むことを特徴とする、プラズマディスプレイパネル。
【請求項10】
前記アドレス電極中の銀含有層が背面基板上に形成されたテープキャリアパッケージ(TCP)と接続することを特徴とする、請求項9に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項11】
前記アルミニウム含有層及び前記銀含有層の少なくとも一部が背面基板に接していることを特徴とする、請求項9または10に記載のプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−186136(P2012−186136A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207355(P2011−207355)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】