アナライザーシステム
サンプル分析装置に関するシステム、更に特定すれば、動作が簡単で、ユーザに誤った結果を提示する危険性を低減したサンプル分析装置。場合によっては、サンプル分析装置は、使い捨て流体カートリッジを含む携帯用サンプル分析装置とすることもできる。分析装置の操作者は、訓練を受ける必要がない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年12月22日に出願した米国仮特許出願第60/753,293号の優先権を主張する。
本願は、2005年12月29日に出願した米国仮特許出願第60/755,014号の優先権を主張する。
【0002】
本願は、2004年5月14日に出願した米国仮特許出願第60/571,235号の優先権を主張する、2005年5月12日に出願した米国特許出願第10/908,460号の一部継続出願である。
【0003】
本願は、2004年5月14日に出願した米国仮特許出願第60/571,235号の優先権を主張する、2005年5月12日に出願した米国特許出願第10/908,461号の一部継続出願である。
【0004】
本願は、2004年9月27日に出願した米国特許出願第10/950,898号の一部継続出願である、2005年12月30日に出願した米国特許出願第11/306,508号の一部継続出願である。
【0005】
本願は、2004年9月9日に出願した米国特許出願第10/938,265号の一部継続出願である。
本発明は、一般的には、サンプル分析装置(sample analyzer)に関し、更に特定すれば、操作が簡単で、誤った結果を提示する危険性を低減したサンプル分析装置に関する。
【背景技術】
【0006】
化学および/または生化学分析は、生命科学の研究、臨床診断、および広範囲の環境およびプロセス監視にとって重要である。場合によっては、サンプル流体の化学および/または生化学分析を行うため、および/またはそれを補助するために、サンプル分析装置が用いられる。サンプル流体は、用途に応じて、液体または気体の場合もあり得る。
【0007】
多くのサンプル分析装置は、どちらかと言うと大型のデバイスであり、訓練された要員が研究室環境において用いている。多くのサンプル分析装置を用いるためには、最初に収集したサンプルを処理しなければならず、サンプルを所望のレベルに希釈し、しかるべき試薬を添加し、サンプルを遠心分離して所望の分離を行う等の後に、準備したサンプルをサンプル分析装置に供給する。精度の高い結果を達成するために、かかるサンプル処理は、通例、訓練を受けた要員によって実行しなければならないが、そのためにサンプル分析を実行するために必要なコストおよび時間が増大する。
【0008】
また、多くのサンプル分析装置では、分析フェーズにおいて、追加の情報入力または追加のサンプル処理を必要とするというような、操作者の介入を必要とする。このために、所望のサンプル分析を実行するために必要なコストおよび時間が更に増大する可能性がある。また、多くのサンプル分析装置は、単に生の分析データを出力として供給するに過ぎず、その先の計算および/または解釈は、訓練を受けた要員によって実行して、しかるべき臨床的判断またはその他の判断を下さなければならないことが多い。
【0009】
2005年12月22日に出願した米国仮特許出願第60/753,293号をここで引用することにより、その内容が本願にも含まれるものとする。2005年12月29日に出願した米国仮特許出願第60/755,014号をここで引用することにより、その内容が本願にも含まれるものとする。2005年5月12日に出願した米国特許出願第10/908,460号をここで引用することにより、その内容が本願にも含まれるものとする。2005年5月12日に出願した米国特許出願第10/908,461号をここで引用することにより、その内容が本願にも含まれるものとする。2005年12月30日に出願した米国特許出願第11/306,508号をここで引用することにより、その内容が本願にも含まれるものとする。2004年9月27日に出願した米国特許出願第10/950,898号の一部継続出願をここで引用することにより、その内容が本願にも含まれるものとする。2004年9月9日に出願した米国特許出願第10/938,265号をここで引用することにより、その内容が本願にも含まれるものとする。
【発明の開示】
【0010】
本発明は、一般的には、サンプル分析装置に関し、更に特定すれば、更操作が簡単で、誤った結果をユーザに提示する危険性を低減したサンプル分析装置に関する。場合によっては、サンプル分析装置は、使い捨て流体カートリッジを含む携帯用サンプル分析装置とすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、サンプル分析装置に関し、更に特定すれば、操作が簡単で、誤った結果を提示する危険性を低減したサンプル分析装置に関する。例によっては、サンプル分析装置は、例えば、流動血球計算器のような血液分析装置、血液学(hematology)分析装置、臨床化学分析装置(例えば、ブドウ糖分析装置、イオン分析装置、電解質分析装置、溶融気体分析装置等)、尿分析装置、またはその他の適した分析装置であれば、所望に応じて、いずれであってもよい。
【0012】
本発明では、当該発明またはそれによって行われる検査がある種の要件を満たすのであれば、規制的監督(regulatory oversight)から特認(waive)される場合もある。本発明は、検査の準備をするおよび/または検査を実行するために実施することができる。検査は、簡単で精度が高い研究室の試験および手順とすることができ、誤った結果の公算を無視し得る程に減らし、検査を正しく行わなかった場合でも患者に危害を加える危険性が少しもない。一種の特認(waiver)は、1988年の臨床研究室改善修正条項としてもよい。
【0013】
図1は、流動血球計算器の斜視図である。流動血球計算分析装置は、例示の目的で説明するに過ぎず、望ましければ、別の種類のサンプル分析装置に適用してもよいことを想定している。図示のサンプル分析装置を全体的に10で示し、筐体12および着脱式または使い捨てカートリッジ14を含む。図示の筐体12は、底面16、カバー18、および蝶番20を含む。蝶番20は、底面をカバー18に取り付けるが、これは必須ではない。図示の例では、基板16は、第1光源22a、第2光源22b、および第3光源22cを、付随する光学素子およびサンプル分析装置の動作に必要な電子部品と共に含んでいる。光源の各々は、用途に応じて、単一光源または多重光源のいずれでもよい。場合によっては、所望に応じて、筐体全体の寸法が1立方フィート未満、1/2立方フィート未満、1/4立方フィート未満、またはそれよりも小さい場合もあり得る。同様に、筐体全体の重量は、所望に応じて、10ポンド未満、5ポンド未満、1ポンド未満、またはそれよりも小さい場合もあり得る。
【0014】
図示のカバー12は、圧力源(例えば、制御用微小弁を有する圧力チェンバ)、第1光検出器24a、第2光検出器22b、および第3光検出器22cを含み、各々には光学素子および電子部品が付随する。光検出器の各々も、用途に応じて、単一光検出器または多重光検出器のいずれでもよい。所望であれば、偏光板および/またはフィルタも、用途に応じて、設けてもよい。
【0015】
図示の着脱式カートリッジ14は、サンプル収集ポートを通じてサンプル流体を受けるように構成されており、図示の例では、ランセット(lancet)32を含む。ランセット32は、例によっては、伸縮自在および/またはばね懸架式としてもよい。キャップ38は、着脱式カートリッジ14が用いられていないときに、サンプル収集ポートおよび/またはランセット32を保護するために用いることができる。
【0016】
図示の例では、着脱式カートリッジ14が血液サンプル全体について血液分析を行う。ランセット32は、ユーザの指に突き刺して、血液サンプルを得るために用いることができる。血液は、毛細管作用によって、着脱式カートリッジ14内にある、凝固防止被膜を施された毛細管に引き込まれる。着脱自在カートリッジ14は、流体回路で構成することができ、流体回路の一部は、チャネルを食刻した積層構造を用いて作成されている。しかしながら、着脱式カートリッジ14は、所望に応じて、射出成形あるいは適しているのであれば他のいずれの製造プロセスまたは手法によることも含む、いずれの適した様式で構成してもよいことを想定している。
【0017】
使用中、および血液サンプルを着脱式カートリッジ14内に引き込んだ後、着脱式カートリッジ14を筐体内に挿入することができる。場合によっては、着脱式カートリッジ14は、カバー18が開放位置にあるときに挿入するとよいこともある。しかしながら、他の例では、着脱式カートリッジ14は、適した方法であればいずれでも筐体内に挿入してもよい。例えば、筐体がスロットを有し、着脱式カートリッジ10筐体のスロットに挿入してもよい。
【0018】
図1の例示的な例に戻り、着脱式カートリッジ14は、底面16に位置合わせピン28aおよび28bを受容する孔26aおよび26bを含むことができ、計器の異なる部品間で整合および結合を行う際に役立てることができる。また、着脱式カートリッジ14は、第1透明流動窓(flow stream window)30c、第2透明流動窓30b,および第3透明窓30cも含むことができ、これらは、第1、第2、および第3光源22a、22bおよび22c、ならびに第1、第2、および第3光検出器24a、24bおよび24cとそれぞれ整列されている。
【0019】
カバーを閉鎖位置に移動し、システムを加圧すると、カバー18は、圧力供給ポート36a、36b、36c、および36dを通じて、それぞれ、図示の着脱式カートリッジ14の中にある圧力受入ポート34a、34b、34cおよび34cに、制御した圧力を供給する。尚、用いる圧力供給および圧力受入ポートは、用途に応じて、これらよりも多い場合も少ない場合もあり得ることを想定している。あるいは、または加えて、静電作動式メソ・ポンプ(meso pump)のような、1つ又は複数の微小ポンプを、着脱式カートリッジ14上または内部に備えて、着脱式カートリッジ14上の流体回路を動作させるのに必要な圧力を供給するようにしてもよいことも想定している。例えば、数個の例示的な静電作動式メソ・ポンプが、米国特許第5,836,750号、第6,106,245号、第6,179,486号、第6,729,856号、および第6,767,190号に記載されている。これらは全て、本発明の譲受人に譲渡されており、ここで引用したことにより、その内容は本願にも含まれるものとする。
【0020】
一旦加圧すると、図示の計器は収集した血液サンプルに対して血液分析を実行することができる。場合によっては、血液分析は、完血球計数(CBC)分析を含んでもよいが、用途に応じて、他の種類の分析を実行することもできる。
【0021】
赤血球を計数し分類するために、全血液サンプルの一部を区分し、着脱式カートリッジ14の中にある赤血球測定チャネルに供給する。次いで、望ましければ、血液サンプルを希釈することができ、赤血球をその場で球状にすることができ、その結果得られたサンプルを流体力学的に収束して(focus)中核情報を求め、最終的に第1血球計算チャネルに供給することができる。第1血球計算チャネルは、着脱式カートリッジ14の第1透明流動窓30aに沿って配置することができるので、流動体(flow stream)内の血球に、第1光源22aおよび第1光検出器24aによって光学的に呼掛ける(interrogate)ことができる。場合によっては、第1流速センサを着脱式カートリッジ14上に設け、第1血球計算チャネルを通過する際の流速の尺度を供給することもできる。
【0022】
場合によっては、測定したパラメータは、例えば、サンプル流速(FR)、測定時間(T)期間、サンプル希釈係数(DF)、計数した赤血球数(NRB)、計数した血小板数(Nplt)、各血球の直径(drbc)、および各血球のヘモグロビン濃度(CHC)を含むことができる。これらのパラメータから、多数の赤血球分析パラメータを計算することができ、例えば、赤血球計数(RBC=NRB/(DFxFRxT)、血小板計数(Plt=Nplt/(DFxFRxT))、平均血球ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHC>)、平均血球体積(MCV=(π/6)x<drbc3>)、平均血球ヘモグロビン含有量(MCH=(π/6)x< drbc3xCHC>)、相対的分散幅(RDW=[(π/6)x drbc3]/MCV)の標準偏差)、ヘマトクリット係数(Het=RBCxMCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHCxHct)を含む。
【0023】
例によっては、血液サンプルの一部を吸収測定チャネルにも送出する。吸収測定チャネルは、着脱式カートリッジ14の第3透明窓30cに沿って配置することができるので、第3光源22cおよび第3光検出器24cによって血液サンプルに光学的に呼掛けることができる。着脱式カートリッジ14上に流速センサを設けて、吸収測定チャネルに流入するまたは通過する際の流速の尺度を供給することもできる。吸収測定チャネルは、第3光源22cが供給する入射光の吸収の尺度を規定することができる。測定した吸収度は、血液サンプルにおけるバルクまたは平均血球ヘモグロビン濃度の指示を提示することができる。
【0024】
白血球を計数し分類するために、全血液サンプルの一部を区分して、着脱式カートリッジ14の中にある白血球測定チャネルに供給することができる。次いで、所望であれば、血液サンプルを希釈することができ、その場で赤血球を溶解させることができ、その結果得られたサンプルを流体力学的に収束して中核情報を求め、最終的に第2血球計算チャネルに供給することができる。第2血球計算チャネルは、着脱式カートリッジ14の第2透明流動窓30bに沿って設けることができるので、第2光源22bおよび第2光検出器24bbによって光学的に流動体内の血球に呼掛けることができる。着脱式カートリッジ14上に流速センサを設けて、第2血球計算チャネルを通過する際の流速の尺度を規定することができる。場合によっては、測定した白血球パラメータは、例えば、3または5部白血球分画(three or five part white cell differentiation)、総白血球計数数、および/または軸上白血球体積(on-axis white blood cell volume)を含むことができる。用途によっては、他のパラメータも測定または計算することもできる。
【0025】
図1は、1つの例示的なサンプル分析装置およびカートリッジ・アセンブリを示す。しかしながら、他のサンプル分析器の構成を用いてもよいことも想定している。例えば、サンプル分析装置10および着脱式カートリッジは、Schwichtenberg at al.の米国特許出願第2004/0211077号に記載されているものと同様であってもよい。この特許出願の内容は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。
【0026】
場合によっては、サンプル分析装置10は、医者の診察室、家庭内、または現場のどこかというような、患者の看護地点において用いられるように構成されている。研究室環境の外部で信頼性高く用いることができるサンプル分析装置10を提供することができ、しかも特殊な訓練は殆どまたは全く不要なので、サンプル分析プロセスを簡略化し、コストおよび医療要員の負担を軽減し、比較的頻繁に血液監視/分析を必要とする患者を含む、多くの患者に対するサンプル分析の利便性を高めるのを促進することができる。
【0027】
動作の間、サンプル分析装置10は、収集した全血液サンプルのような、収集したサンプルを受け取り、一旦分析装置を作動させると、サンプル分析装置10は自動的にサンプルを処理し、診断的判断を下すための情報をユーザに提供することができる。例によっては、サンプル分析装置10はユーザがそれ以上の計算や解釈をしなくても済むように、定量的な結果(例えば、既定の範囲内および/または外)を表示または指摘することもできる。
【0028】
図2は、図1の例示的サンプルサンプル分析装置およびカートリッジの模式図である。既に詳細に説明したように、そして図示の例では、底面16は多数の光源22、付随する光学素子、ならびに分析装置の動作に必要な制御および処理用電子部品40を含むことができる。また、基板16は、バッテリ42、変圧器、またはその他の電源も含むことができる。図示のカバー12は圧力源/流速制御ブロック44、および光学素子が付随する多数の光検出器24を有する。
【0029】
着脱式カートリッジ14は、サンプル収集ポートまたはランセット32を通してサンプル流体を受け取ることができる。圧力源/流速制御ブロック44によって加圧すると、着脱式カートリッジ14は、受け取った血液サンプルに対して血液分析を実行することができる。例によっては、そして既に説明したように、着脱式カートリッジ14は、多数の試薬49と、試薬を血液サンプルと混合して分析用血液サンプルを調合する流体回路とを含むことができる。また、着脱式カートリッジ14は、場合によっては、流体回路の適正な動作を制御および/または検証するのに役立てるために、多数の流速センサも含むことができる。
【0030】
場合によっては、血液サンプルを調合し(例えば、溶解、球体化、染色、希釈、および/またはそれ以外の処理)、次いで血球計算チャネル50のような1つ又は複数の搭載血球計算チャネルにおいて、流体力学的に収束して中核情報を求める。図示の例では、血球チャネル50は、着脱式カートリッジ14の中にある第1透明流動ウィンドウ30aのような透明な流動ウィンドウを通って導出される。基板16における光源22のアレイおよび付随する光学素子は、流動ウィンドウ30aを通じて、中核流を通過する光を供給することができる。光検出器24および付随する光学素子は、同様に流動窓30aを通じて、散乱光および非散乱光を中核から受光することができる。コントローラまたはプロセッサ40は、検出器24のアレイから出力信号を受信することができ、中核流内にある選択されたセルを分画および/または計数することができる。
【0031】
尚、着脱式カートリッジ14は、着脱式カートリッジ14上において流体の少なくとも一部の速度を制御するのを補助するために、流体制御ブロック48を含んでもよいことを想定している。図示の例では、流体制御ブロック48は、種々の流体の速度を検知する流速センサを含み、速度をコントローラまたはプロセッサ40に報告することができる。次いで、コントローラまたはプロセッサ40は、1つ又は複数の制御信号を調節し、これらを圧力源/流速制御ブロック44に供給し、分析装置の適正な動作に合わせた所望の圧力、そして所望の流体速度を達成することができる。
【0032】
血液およびその他の生物廃棄物は、病気を広げる可能性があるので、着脱式カートリッジ14は、図示の血球計算チャネル50の下流に廃棄物槽52を含むとよい。廃棄物槽52は、着脱式カートリッジ14における流動の流体を受け取り蓄積することができる。検査が完了したとき、着脱式カートリッジ14を分析装置から取り外し、例えば、生物廃棄物と相容性のあるコンテナに廃棄することができる。
【0033】
図3は、図2のサンプル分析装置およびカートリッジの流速制御を示す、更に詳細な模式図である。図示の例では、カバー18の中にある圧力源/流速コントローラ44は、4種類の制御された圧力を供給し、これらには、サンプル推進(P)圧力36a、溶解(L)圧力36b、球体(SP)圧力36c、シース(SH:sheath)圧力36d、および希釈(D)圧力36eが含まれる。これらは単に例示であり、これらおよりも多い圧力、少ない圧力、または異なる圧力(例えば、染料槽への染色圧力)も、用途に応じて、圧力源/流速コントローラ44によって供給することができる。また、カバー18が圧力源/流速コントローラ44を全く含まない場合もあり得ることも想定している。変わりに、着脱式カートリッジ14は、圧縮空気槽のような搭載圧力源、前述した静電作動メソ・ポンプのような1つ又は複数の微小ポンプ、あるいは所望に応じて適した圧力源であればその他のいずれでも含むことができる。光源および検出器のアレイは、図3には示されていない。
【0034】
図示の例では、圧力源36aは、推進流体65を通じて血液サンプル槽62に圧力を供給し、圧力源46bは圧力を溶解槽64に供給し、圧力源36cは圧力を球体槽66に供給し、圧力源36dは圧力をシース槽68に供給し、圧力源36eは圧力を希釈剤槽70に供給する。
【0035】
例示的な一例では、各圧力源は、入力圧力を受ける第1圧力チェンバと、制御した圧力を着脱式カートリッジに供給する第2圧力チェンバとを含むことができる。第1圧力チェンバと第2圧力チェンバとの間に第1弁を設けて、第1圧力チェンバ内の圧力を制御可能に第2圧力チェンバに放出することができる。第2圧力チェンバと流体連通する第2弁が、第2圧力チェンバ内の圧力を大気に制御可能に発散することができる。これによって、圧力源/流速コントローラ44は、着脱式カートリッジ14上の圧力受入ポートの各々に、制御した圧力を供給することが可能になる。各弁は、例えば、米国特許第6,240,944号に記載されているように、個別に指定可能および制御可能な静電作動式微小弁のアレイとすることができる。この特許の内容は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。あるいは、各弁は、制御可能なデューティ・サイクルでパルス変調され、「有効」流速および漏れ率の制御を遂行する、静電作動式微小弁のアレイでもよい。また、望ましければ、その他の弁を用いてもよい。
【0036】
図示の着脱式カートリッジ14は、5つの圧力受入ポート34a、34b、34c、34dおよび34eを含む、各々、圧力源/流速コントローラ44から対応する制御圧力(controlled pressure)を受ける。図示の例では、圧力受入ポート34a、34b、34c、34dおよび34eは、制御圧力を血液槽62、溶解槽64、球体槽66、シース槽68、および希釈剤槽70にそれぞれ送出する。溶解槽64、球体槽66、シース槽68、および希釈剤槽70は、着脱式カートリッジ14を使用のために出荷する前に充填しておくとよいが、血液槽62は現場においてサンプル収集ポートまたはランセット32を通じて充填してもよい。
【0037】
図示のように、流速センサには、直列に各流体または選択した流体を供給することができる。各流速センサ80a〜80eは、対応する流体の速度を測定することができる。流速センサ80a〜80eは、熱風速型(thermal anemometer type)流速センサ、およびマイクロブリッジ型流速センサとすることができる。マイクロブリッジ流速センサは、例えば、米国特許第4,478,076号、米国特許第4,478,077号、米国特許第4,501,144号、米国特許第4,651,564号、米国特許第4,683,159号、および米国特許第5,050429号に記載されている。これらの全ては、ここで引用したことにより、その内容が本願にも含まれるものとする。
【0038】
あるいは、または加えて、センサ80a〜80eは、熱伝導性、比熱、流体密度、電気抵抗率、および/または、例えば、流体チャネルを通過する流体が予期した流体または予期した種類の流体であることを識別または検証し易くするための流体のその他の特性というような、流体の1つ又は複数の特性を検出するために用いてもよい。これによって、予期した流体が実際に、個々の分析または手順の間に流体チャネルにおいて実際に用いられていることを検証し易くすることができる。コントローラは、予期した流体が実際に流体チャネルにおいて用いられているか否か検出し、場合によっては、警報を発するおよび/またはサンプル分析装置を停止するようにプログラムすることもできる。
【0039】
各流速センサ80a〜80eからの出力信号は、コントローラまたはプロセッサ40に供給することができる。コントローラまたはプロセッサ40は、図示のように、制御信号を圧力源/コントローラ44に供給することができる。例えば、血液サンプルに供給する圧力を制御するには、コントローラまたはプロセッサ40は、血液サンプルの速度が第1所定値未満に低下したときに、圧力源/コントローラ44における第1圧力チェンバと第2圧力チェンバとの間にある第1弁を開いて、第1圧力チェンバ内の圧力を第2圧力チェンバに制御可能に放出することができる。同様に、コントローラまたはプロセッサ40は、血液サンプルの速度が第2所定値を超えて上昇したときに、第2弁を開いて、第2圧力チェンバ内の圧力を放出することができる。コントローラまたはプロセッサ40は、溶解試薬、球体化試薬、シース流体(sheath fluid)、および希釈剤の速度を同様に制御することができる。
【0040】
場合によっては、コントローラまたはプロセッサは、流体チャネルを通過する流速における1つ又は複数の変化を検出できることもある。流速の変化は、例えば、流体チャネル内における1つ又は複数の気泡、例えば、血液サンプルの凝固によって生ずる流体チャネルの閉塞または部分的閉塞、流体チャネル内における望ましくないまたは異物、および/または流体チャネルのその他の望ましくない特性に対応する場合がある。場合によっては、流速の立ち上がり時間、立ち下がり時間、またはその他の特性を用いてもよい。コントローラまたはプロセッサ40は、このような特性を流速から検出し、場合によっては、警報を発するおよび/またはサンプル分析装置を停止するようにプログラムすることもできる。
【0041】
熱風速型流速センサは、通例、加熱エレメントを含み、加熱エレメントは、付勢すると、1つ又は複数の熱パルスを流体内に生成する。この流速センサは、更に、1つ又は複数の熱パルスを検出するために、加熱エレメントの上流および/または下流に位置する1つ又は複数の熱センサも含む。流体チャネルを通過する流体の速度は、熱パルスが加熱エレメントから、離間した熱センサの1つまで移動するのに要する時間に関係付けることができる。
【0042】
場合によっては、熱風速型流速センサは、流体の熱伝導率および/または比熱を検出するために用いることもできる。流体の熱伝導率および/または比熱の変化は、流体の状態変化(血液サンプルの凝固)、流体内の気泡、流体内の望ましくない物体または異体等のような、流体特性の変化に対応することもあり得る。あるいは、または加えて、熱風速型流速センサは、熱電導率、比熱などのような流体の1つ又は複数の特性を検出し、例えば、流動チャネルを通過する流体が予期した流体かまたは予期しない種類の流体かを識別または検証し易くするために用いることもできる。これによって、予期した流体が実際に、個々の分析または手順の間に流体チャネルにおいて実際に用いられていることを検証し易くすることができる。場合によっては、コントローラまたはプロセッサ40は、熱風速型流速センサ付近を通過する流体の熱伝導率および/または比熱を監視することによって、流体の特性を検出してもよいことも想定している。コントローラまたはプロセッサ40は、例えば、流体内における望ましくない特性(例えば、気泡)、および/または予期した流体が実際に流体チャネルにおいて用いられているか否か検出し、場合によっては、警報を発するおよび/またはサンプル分析装置を停止するようにプログラムすることもできる。
【0043】
場合によっては、流体チャネルと流体連通して、インピーダンス・センサを設けてもよい。コントローラまたはプロセッサ40をインピーダンス・センサに結合することができる。流体のインピーダンス変化は、流体の状態変化(血液サンプルの凝固)、流体内の気泡、流体内の望ましくない物体または異体、正しい流体の種類等のような、流体特性の変化に対応することもあり得る。このように、そして例によっては、コントローラまたはプロセッサ40は、インピーダンス・センサ付近を通過する流体のインピーダンスを監視することによって、流体の特性を検出してもよいことも想定している。
【0044】
全体的に110で示す下流弁を設けることもできる。コントローラまたはプロセッサ40は、所望に応じて、下流弁110を開放/閉鎖することができる。例えば、下流弁110は、システムを完全に加圧するまで、閉じたままにしておくことができる。これは、システムが完全に加圧される前に、血液、溶解試薬、球体化試薬、シース流体、および希釈剤が流体回路86内に流入するのを防止するのに役立つことができる。また、下流弁110を制御して、ゼロ流速検査などのような、ある種の検査を実行する際に補助することもできる。別の例では、下流弁110は、例えば、カバーを閉じるときに、機械的作用によって開くことができる。
【0045】
図4は、例示的な着脱式カートリッジのある種の特徴の模式図である。図示の着脱式カートリッジを全体的に100で示し、図1から図3を参照して先に示し説明した着脱式カートリッジ14と同様でもよい。尚、着脱式カートリッジ100は単なる例示に過ぎず、本例は、形態、機能、または構成には関係なく、多くの微小流体カートリッジに応用できることは言うまでもない。例えば、本例は、流動血球計算、血液学、臨床化学、血液化学分析、尿分析、血液気体分析、細菌分析、バクテリア分析、電解質測定などに合わせて構成した着脱式カートリッジに応用することができる。また、着脱式カートリッジ100のような、本システムの着脱式カートリッジ100は、適した材料または材料系であればいずれでも作ることができ、例えば、ガラス、シリコン、1つ又は複数のポリマ、あるいは他のあらゆる適した材料または材料系、あるいは材料または材料系の組み合わせを含む。
【0046】
図示の着脱式カートリッジ100は、第1測定チャネル102および第2測定チャネル104を含むが、これらよりも多いまたは少ない測定チャネルも、所望に応じて、用いることができる。図示の例では、第1測定チャネル102は、赤血球測定チャネルであり、第2測定チャネル104は白血球測定チャネルである。血液サンプル全体は、血液受入ポート106を通じて、着脱式カートリッジ100によって受け取られ、毛細管作用によって、既知の量の血液が、凝固防止被覆血液サンプル蓄積毛細管108に引き込まれる。図3のサンプル推進(P)圧力36aのようなサンプル推進(P)圧力を、図3のサンプル推進流体槽65のようなサンプル推進流体槽に供給する。圧力を与えると、サンプル推進流体がサンプル推進流体槽から血液サンプル推進チャネル110内に送り込まれる。
【0047】
例示的な例によっては、弁112および流速センサ114を血液サンプル推進チャネル110と直列に設けることもできる。弁112は、流体回路を通じて血液サンプルを推進するのが望ましいときに開くように制御することができる。流速センサは、血液サンプル推進流体の流速を測定することができ、したがって凝固防止被覆毛細管を通過する際の血液サンプルの流速を測定することができる。流速センサ114によって供給される流速は、着脱式カートリッジ100に供給するサンプル推進(P)圧力を制御し易くするために用いることができる。
【0048】
図示の例では、血液サンプル全体を区分し、分岐路116を通じて、赤血球測定チャネル102および白血球測定チャネル104に共有する。図示の例でぇあ、弁118は赤血球測定チャネル102に流入する血液サンプルを制御するために分岐路と直列に設けられており、白血球測定チャネル104に流入する血液サンプル流を制御するために、弁120が設けられている。
【0049】
具体的に赤血球測定チャネル102に移ると、図3の球体化圧力(SP)36cのような、赤血球球体化試薬圧力(SP)を、図3の球体化槽66のような、球体化試薬槽に供給する。圧力を与えると、球体化槽66内にある球体化試薬が球体化試薬チャネル124に送り込まれる。
【0050】
例示的な例によっては、弁126および流速センサ128も、球体化試薬チャネル124と直列に設けることもできる。弁126は、球体化試薬を流体回路内に推進させるのが望ましいときに開くように制御することができる。流速センサ128は、球体化試薬の流速を測定し、球体化試薬チャネル124を通過する際の球体化試薬の流速の尺度を提示することができる。流速センサ128が提示する流速を用いると、圧力源/コントローラ44によって着脱式カートリッジ100に供給する球体化圧力(SP)を制御し易くすることができる。
【0051】
図示の着脱式カートリッジ100の正常な機能的動作の間、球体化試薬を交差領域130に球体試薬流速で押し込み、更に血液サンプルを交差領域130に血液サンプル流速で押し込む。血液サンプル流速および球体化試薬流速は、図3の圧力源/コントローラ44によって制御することができる。
【0052】
交差領域130は、双方の流体が流れて交差領域130を通過するときに、球体化試薬が血液サンプルの周囲に沿って流れるように構成することができる。場合によっては、球体化試薬の流速は、血液サンプルの流速よりも高くするとよく、これによって、下流の現場球体化チャネル(sphering-on-the-fly channel)132における流動特性を改善し易くすることができ、更に場合によっては、血液を薄いリボン状に形成し、球体化試薬が完全かつ均一にこれを包囲し易くすることができる。このようなリボン状の流動によって、血球が現場球体化チャネル132を通過する際に、球体化試薬が均一に赤血球を球体化し易くすることができる。更に、現場球体化チャネル132の長さは、球体化試薬および血液サンプルの流速と合わせて、血液サンプルをしかるべき時間量の間球体化試薬に露出するように設定することができる。
【0053】
図3のシース(SH)圧力36dのようなシース流体(SH)圧力は、図3のシース流体槽68のような、シース流体槽に供給することができる。圧力を加えると、シース流体がシース流体槽68からシース・チャネル134に送り込まれる。例示的な例によっては、弁136および流速センサ138をシース・チャネル134と直列に設けるとよい。弁136は、シース流体を流体回路内に推進させることが望ましいときに開くように制御することができる。流速センサ138は、シース流体の流速を測定することができ、シース・チャネル134を通過する際のシースの流速の尺度を提示することができる。流速センサ138によって提示する流速を用いると、着脱式カートリッジ100に供給するシース圧力(SH)を制御し易くすることができる。
【0054】
図示の例では、シース流体をシース流体の流速で交差領域140に供給し、更に球体化血液サンプルを球体化血液サンプルの流速で交差領域140に供給する。球体化血液サンプルの流速、およびシースの流速は、図3の圧力源/コントローラ44のような、圧力源/コントローラによって制御することができる。
【0055】
交差領域140は、双方の流体が流れて交差領域140を通過するときに、シース流体が球体化血液サンプルの周囲に沿って流れるように構成することができる。場合によっては、シースの流速は球体化血液サンプルの流速よりも遥かに高く、こうすることによって、下流の流動血球計算チャネル142において中核の形成を改善し易くすることができる。例えば、流動血球計算用途の一部では、交差領域140は、球体化血球を流体力学的に収束し、単一の縦列中核に配列し、各赤血球が着脱式カートリッジ100内の光窓領域144を通過する際に、個々に光学的に分析装置によって呼掛けできるように構成することができる。場合によっては、血球計算チャネル142を通過する流体を搭載廃棄物槽に向けて送出する。
【0056】
これより白血球測定チャネル104に移り、図3の溶解圧力(L)36bのような、白血球溶解試薬圧力(L)を、図3の溶解槽のような溶解試薬槽に供給する。圧力を与えると、溶解槽64内にある溶解試薬が溶解試薬チャネル154に送り込まれる。
【0057】
例示的な例によっては、弁156および流速センサ158を溶解試薬チャネル154と直列に設けることもできる。弁156は、溶解試薬を流体回路内に推進させることが望ましいときに開くように制御することができる。流速センサ158は、溶解試薬の流束を測定し、溶解試薬チャネル154を通過する際の溶解試薬の流束の尺度を提示することができる。流速センサ158が提示する流束を用いると、圧力源/コントローラ44によって着脱式カートリッジ100に供給する溶解圧力(L)を制御し易くすることができる。
【0058】
図示の着脱式カートリッジ100の正常な機能的動作の間、溶解試薬を溶解試薬の流速で交差領域160に供給し、血液サンプルを血液サンプルの流速で交差領域160に供給する。血液サンプルの流速および溶解試薬の流速は、図3の圧力源/コントローラ44のような、圧力源/コントローラによって制御することができる。
【0059】
交差領域160は、双方の流体が流れて交差領域160を通過するときに、溶解試薬が血液サンプルの周囲に沿って流れるように構成することができる。場合によっては、溶解試薬の流速を血液サンプルの流速よりも高くするとよく、これによって現場溶解チャネル162における流動特性を改善し易くすることができ、更に場合によっては、血液を薄いリボン状に形成し、溶解試薬が完全かつ均一にこれを包囲し易くすることができる。このようなリボン状の流動によって、血球が現場溶解チャネル162を通過する際に、溶解試薬が均一に赤血球を溶解し易くすることができる。更に、現場溶解チャネル162の長さは、溶解試薬および血液サンプルの流速と合わせて、血液サンプルをしかるべき時間量の間溶解試薬に露出するように設定することができる。
【0060】
図3のシース(SH)圧力36dのような、シース流体(SH)圧力は、図3のシース流体槽68のような、シース流体槽に供給することができる。圧力を加えると、シース流体がシース流体槽68からシース・チャネル164に送り込まれる。例示的な例によっては、弁166および流速センサ168をシース・チャネル164と直列に設けることができる。弁166は、シース流体を流体回路内に推進させることが望ましいときに開くように制御することができる。流速センサ168は、シース流体の流速を測定し、シース・チャネル164を通過する際のシースの流速の尺度を提示することができる。流速センサ168が提示する流速を用いると、着脱式カートリッジ100に供給するシース圧力(SH)を制御し易くすることができる。場合によっては、シース・チャネル164を通過する際のシースの流速は、シース・チャネル134を通過する際のシースの流速と同一である。しかしながら、その他の場合では、シース・チャネル164を通過する際のシースの流速は、シース・チャネル134を通過する際のシースの流速とは異なる場合もある。
【0061】
図示の例では、シース流体をシース流体の流速で交差領域170に供給し、溶解血液サンプルを溶解血液サンプルの流速で交差領域170に供給する。溶解血液サンプルの流速、およびシースの流速は、図3の圧力源/コントローラ44のような、圧力源/コントローラによって制御することができる。
【0062】
交差領域170は、双方の流体が流れて交差領域170を通過するときに、シース流体が溶解血液サンプルの周囲に沿って流れるように構成することができる。場合によっては、シースの流速は溶解血液サンプルの流速よりも遥かに高く、こうすることによって、下流の流動血球計算チャネル172における中核の形成を改善し易くすることができる。例えば、流動血球計算用途によっては、交差領域170は、溶解血液サンプル内の白血球を流体力学的に収束し、単一の縦列中核に配列し、各白血球が着脱式カートリッジ100内の光窓領域174を通過する際に、個々に光学的に分析装置によって呼掛けできるように構成することができる。場合によっては、血球計算チャネル172を通過する流体を搭載廃棄物槽に供給する。
【0063】
場合によっては、吸収測定チャネルも設けることができる。図示の例では、溶解血液サンプルの一部を吸収チャネル180に供給する。溶解血液サンプルの一部を選択的に吸収チャネルまたは領域184に通過させるために、弁182を設けることもできる。分析装置は、吸収チャネルまたは領域184を照明する光源、および吸収チャネルまたは領域184内にあり溶解血液サンプルによって吸収されない光を検出する検出器を含むことができる。そして、分析装置は、吸収度を判定することができ、これから、正味の吸収(bulk absorption)に基づいたヘモグロビン測定を行うことができる。場合によっては、そして図8に示すように、所望であれば、吸収チャネル184を血球計算チャネル172の下流に配置してもよい。別の場合には、白血球サンプルを直接、分岐路116からというように、吸収チャネルに供給することもできる。かかる場合、吸収チャネルは、吸収測定を行う前に、赤血球を溶解するメカニズムを含むとよい。図示の着脱式カートリッジ100は、血液サンプル全体に対する全血球計数(CBC)分析を実行するように構成されているが、他の種類の着脱式カートリッジ構成および分析も、所望に応じて、用いてもよいことを想定している。
【0064】
図5は、着脱式カートリッジの中に含むことができる多数の例示的な貯蔵槽の模式図である。図示の例では、図4の着脱式カートリッジ100のような着脱式カートリッジは、例えば、溶解試薬槽64、推進流体槽65、球体化試薬槽66、シース流体槽68、希釈剤流体槽70、染料槽190、および廃棄物槽52を含むことができる。これらは一例に過ぎず、これらよりも多いまたは少ない槽、あるいは異なる槽を着脱式カートリッジ上または内部に設けてもよく、あるいは槽を設けなくてもよい。
【0065】
各槽は、着脱式カートリッジの所望の動作をサポートするような大きさとし、しかるべき量の流体および/または試薬を含むとよい。希釈剤槽70は、血液サンプル全体というような、入力サンプルを希釈するための希釈剤流体を含むことができる。図4の例示的な例では、球体化試薬および/または溶解試薬は、希釈剤の機能を果たすことができ、したがって、別個の希釈剤槽70は必要でない、または望ましくない場合もあり得る。同様に、そして例によっては、染料槽190のような染料槽は、染料を白血球チャネルに添加し、白血球の分画をサポートすることが望ましい場合もある。尚、槽内に貯蔵してある試薬および/または流体は、用途に応じて、初期状態では液体または凍結乾燥形態であってもよい。
【0066】
図6は、着脱式カートリッジを用いて血液サンプルを分析するための例示的な手法を示す模式流れ図である。図示の手法では、最初にステップ200において血液サンプルを取り込む。次に、血液サンプルを着脱式カートリッジの中にある凝固防止被覆毛細管に供給する。次いで、血液サンプルを区分し、赤血球および血小板(RBC/P)測定チャネル204および白血球(WBC)測定チャネル206に供給する。
【0067】
RBBC/P測定チャネル204では、最初に、212に示すように、赤血球を球体化し、次いで流体力学的に収束し、着脱式カートリッジ内にあるRBC/P血球チャネル214に向けて、単一の縦列で供給する。縦型空洞面発行レーザ(VCSEL)のような光源216が、個々のセルがRBC/P血球計算チャネル214の分析領域付近を通過する際に、これらに光を照らす。場合によっては、VCSELデバイスのアレイを設け、個々の血球がRBC/P血球計算チャネル214の分析領域付近を通過する際に個々の血球と整列するVCSELのみを活性化させる。VCSELが供給する入射光の一部を散乱させ、検出器218はこの散乱光を検出する。場合によっては、検出器218は前方角度散乱光(FALS:forward angle scatter light)、小角度散乱光(SALS)、および大角度散乱光(LALS)を検出することもできる。
【0068】
場合によっては、1つの細長い線状光源または2つの別個のスポット光源のような、レーザ(またはその他の)源をRBBBC/P血球計算チャネル214に合焦させる。合焦した光を、RBC/P血球計算チャネル214におけるRBCおよび血小板が通過する。高品質の収集光学素子を用いて、血球の鮮鋭な画像、および合焦した照明を不透明な画面上にを形成する。画面には、1本、2本またはそれ以上の平行なスリットが入っており、その縦軸は、RBBC/P血球計算チャネル214における流動方向に対して直交するように配置されている。スリット間の距離は、例えば、RBC/P血球計算チャネル214において予期される平均血球分離程度とすればよい。スリットが入っている不透明な画面は、1つ又は複数の検出器218の前方に置くとよい。血球の画像がスリット上を通過すると、スリットに入射する光を遮り、検出器218上の信号を減少させ、血球の直径に比例する幅を有するパルス波形を生成する。2本の離間したスリットを設ける場合、2つの波形によって、血球の流動速度、そして血球のサイズを計算することが可能になる。この技法を用いると、高い信号対ノイズ比を得ることができ、これによってイベントの容易な計数、および多重血球イベントの識別が可能になる。パルス幅および振幅によって、更に、一部の血球の種類を判別することも可能になる。
【0069】
場合によっては、血球および光源双方の画像を、検出器218の前方に置かれた二重スリット・アパーチャ上に撮像する。二重スリット・アパーチャは、セルを計数するために、厳密に定義した幾何学的アパーチャおよび高い信号対ノイズ比を備えている。先に論じたように、スリットからの信号によって、血球の流動速度を精度高い測定が可能となり、このために血球の直径を計算することが可能になる。
【0070】
場合によっては、そして220に示すように、この分析の間に多数のパラメータを測定することができ、例えば、サンプル流速(FR)、測定時間(T)期間、およびサンプル希釈係数(DF)を含む。検出器の出力、および/または対応する散乱シグネーチャ(signature)を監視することにより、赤血球数(NRB)、血小板数(Nplt)、各血球の直径(drbc)、および各血球のヘモグロビン濃度を測定することができる。
【0071】
これらのパラメータから、そして282に示すように、多数の赤血球分析パラメータを計算することができ、例えば、赤血球計数(RBC=NRB/(DFxFRxT)、血小板計数(Plt=Nplt//(DFxFRxT))、平均血球ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHC>)、平均血球体積(MCV=(π/6)x< drbc3>)、平均血球ヘモグロビン含有量(MCH=(π/6)x< drbc3xCHC>)、相対的分散幅(RDW=[(π/6)x drbc3]/MCV)の標準偏差)、ヘマトクリット係数(Het=RBCxMCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHCxHct)を含む。
【0072】
図示のWBC測定チャネル206では、232に示すように、最初に赤血球を溶解し、次いで流体力学的に収束し、着脱式カートリッジの中にあるWBC血球計算チャネル234に向けて、単一の縦列で供給する。縦型空洞面発行レーザ(VCSEL)のような光源236が、個々のセルがWCB血球計算チャネル234の分析領域付近を通過する際に、これらに光を照らす。場合によっては、VCSELデバイスのアレイを設け、個々の血球がWBC血球計算チャネル234の分析領域付近を通過する際に個々の血球と整列するVCSELのみを活性化させる。VCSELが供給する入射光の一部を散乱させ、検出器238はこの散乱光を検出する。場合によっては、検出器238は前方角度散乱光(FALS:forward angle scatter light)、小角度散乱光(SALS)、および大角度散乱光(LALS)を検出することもできる。場合によっては、そして240に示すように、分析の間に多数のパラメータを測定することができ、例えば、軸状血球体積、総WBC計数数、およびWBC5部分画(five part differentiation)が含まれる。
【0073】
図7は、多数の赤血球パラメータを得るための例示的な手法を示す流れ図である。図示の手法では、ステップ260において血液サンプルを取り込む。次に、264に示すように、血液サンプルを所望の希釈係数(DF)まで希釈し、球体化する。次に、希釈し球体化した血球を流体力学的に収束し、着脱式カートリッジの中にあるRBC/P血球計算チャネルに向けて、単一の縦列で供給する。縦型空洞面発行レーザ(VCSEL)のような光源216が、個々のセルがRBC/P血球計算チャネルの分析領域付近を通過する際に、これらを光で照らす。VCSELが供給する入射光の一部を散乱させ、検出器によってこの散乱光を検出する。場合によっては、検出器は、セル毎に前方角度散乱光(FALS)および小角度散乱光(SALSを検出することもできる。次いで、以下のように、プロセッサ等が2つの独立した散乱パラメータ、即ち、SALSおよびFALSを、セル毎に、セル直径パラメータおよびセル・ヘモグロビン濃度パラメータにマッピングすることができる。
{SSALSi, SFALSi} -> {drbci, CHCi}
270に示すように、散乱SSALSiおよびSFALSiの強度が所定の検出閾値以下である場合、制御をステップ268に戻す。しかしながら、散乱SALSiおよびSFALSiの強度が所定の検出閾値よりも大きい場合、制御をステップ272に移す。ステップ272では、SSALSiおよびSFALSiの合計が所定の血小板閾値よりも大きいか否か判定を行う。SSALSiおよびSFALSiの合計が所定の血小板閾値よりも大きくない場合、粒子「i」が血小板であると判定し、制御をステップ274に移す。ステップ274では、計数した血小板の数(Nplt)を1だけ増分し、制御を再度ステップ268に移す。
【0074】
SSALSiおよびSFALSiの合計が所定の血小板閾値よりも大きい場合、血球は赤血球であり、制御をステップ276に移す。ステップ276では、計数した赤血球数(NRBC)を1だけ増分し、制御をステップ278に移す。ステップ278では、所定の測定時間に達したか否か判定を行う。達していない場合、制御を再度268に移す。
【0075】
一旦ステップ278において測定時間に達した場合、制御をステップ280に移す。ステップ280は、多数の測定したパラメータを示し、例えば、サンプル流速(FR)、測定時間(T)期間、およびサンプル希釈係数(DF)を含む。検出器の出力、および/または対応する散乱シグネーチャ(signature)を監視することにより、赤血球数(NRBC)、血小板数(Nplt)、各血球の直径(drbci)、および各血球のヘモグロビン濃度(CHCi)を測定することができる。これらのパラメータから、そして282に示すように、多数の赤血球分析パラメータを計算することができ、例えば、赤血球計数(RBC=NRB/(DFxFRxT)、血小板計数(Plt=Nplt//(DFxFRxT))、平均血球ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHCi>)、平均血球体積(MCV=(π/6)x<drbci3>)、平均血球ヘモグロビン含有量(MCH=(π/6)x<drbci3xCHCi>)、相対的分散幅(RDW=[(π/6)xdrbci3]/MCV)の標準偏差)、ヘマトクリット係数(Het=RBCxMCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHCxHct)を含む。ここで、表記<Xi>は全ての血球Xiについての平均血球パラメータを意味する。
【0076】
図8は、血液サンプルを分析するための別の例示的な手法を示す模式流れ図である。この図示の手法では、ステップ300に示すように、血液サンプルを取り込み、血液サンプル・槽に供給する。次に、着脱式カートリッジの中にある凝固防止被覆毛細管に血液サンプルを供給し、希釈する。次いで、血液サンプルを区分して、赤血球および血小板(RBC/P)測定チャネル304および白血球(WBC)測定チャネル340に供給する。
【0077】
RBBC/P測定チャネル304では、最初に、306に示すように、赤血球を球体化し、次いで流体力学的に収束し、着脱式カートリッジ内にあるRBC/P血球チャネル308に向けて、単一の縦列で供給する。縦型空洞面発行レーザ(VCSEL)および付随する光学素子のような第1光源310が、個々のセルがRBC/P血球計算チャネル308の分析領域付近を通過する際に、これらに光を照らす。場合によっては、VCSELデバイスのアレイを設け、個々の血球がRBC/P血球計算チャネル308の分析領域付近を通過する際に個々の血球と整列するVCSELのみを活性化させる。
【0078】
個々の球体/粒子が、合焦した入射光ビームを通過する際、光の一部が遮断、散乱、またはそれ以外の妨害を受け、検出器(図示せず)によって検出することができる。2つ又は3つ以上の光源を、RBC/P血球計算チャネル308に沿って離間した異なるスポットに合焦すると、各結晶の先端および/または後端を検出することができる。結晶が1つの合焦スポットから次の合焦スポットまっでの距離を横断する際に要する時間を測定することによって、流速、したがって血球の速度を判定することができる。血球の速度を判定したなら、血球が遮断、散乱、またはそれ以外の妨害を行う時間長を、血球のサイズおよび/または血球の体積に相関付けることができる。
【0079】
例によっては、別の光源314および付随する光学素子を分析装置によって設けることもできる。光源314の付随する光学素子は、光を平行化して、SALSおよびFALS散乱のような、軸はずれ散乱を測定することができる。先に注記したように、SALSおよびFALS散乱は、例えば、赤血球数(NRBC)316、血小板数(Nplt)322、各血球の直径(drbci)、および各血球のヘモグロビン濃度(CHCi)を測定することができる。これらのパラメータから、そして先に論じたように、多数の赤血球分析パラメータを計算することができ、例えば、赤血球計数(RBC=NRB/(DFxFRxT)、血小板計数(Plt=Nplt//(DFxFRxT))、平均血球ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHCi>)、平均血球体積(MCV=(π/6)x<drbci3>)、平均血球ヘモグロビン含有量(MCH=(π/6)x<drbci3xCHCi>)、相対的分散幅(RDW=[(π/6)xdrbci3]/MCV)の標準偏差)、ヘマトクリット係数(Het=RBCxMCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHCxHct)を含む。ここで、表記<Xi>は全ての血球Xiについての平均血球パラメータを意味する。
【0080】
図示のWBC測定チャネル340では、342に示すように、赤血球を溶解し、適宜染料を注入する。次いで、血球を流体力学的に収束し、次いで流体力学的に収束し、着脱式カートリッジ内にあるWBBC血球チャネル344に向けて、単一の縦列で供給する。縦型空洞面発行レーザ(VCSEL)のような光源346が、個々のセルがWBC血球計算チャネル308の分析領域付近を通過する際に、これらに光を照らす。場合によっては、VCSELデバイスのアレイを設け、個々の血球がWBC血球計算チャネル344の分析領域付近を通過する際に個々の血球と整列するVCSELのみを活性化させる。
【0081】
個々の球体/粒子が、合焦した入射光ビームを通過する際、光の一部が遮断、散乱、またはそれ以外の妨害を受け、検出器(図示せず)によって検出することができる。2つ又は3つ以上の光源を、RBC/P血球計算チャネル344に沿って離間した異なるスポットに合焦すると、各結晶の先端および/または後端を検出することができる。結晶が1つの合焦スポットから次の合焦スポットまでの距離を横断する際に要する時間を測定することによって、流速、したがって血球の速度を判定することができる。血球の速度を判定したなら、血球が遮断、散乱、またはそれ以外の妨害を行う時間長を、血球のサイズおよび/または血球の体積に相関付けることができる。
【0082】
例によっては、別の光源350および付随する光学素子を分析装置によって設けることもできる。354に示すように、光源350の付随する光学素子は、光を平行化して、SALSおよびFALS散乱のような、軸はずれ散乱を測定することができる。先と同様、356に示すように、SALS、FALS、およびLAFS散乱を用いると、例えば、計数した白血球数(NWBC)352を測定し、更に白血球の分画に役立てることができる。場合によっては、1つ又は複数の偏光板を設けて、光源が供給する光を偏光させ、検出した偏光の消失/回転のレベルを用いると、白血球の分画を行い易くすることができるが、これは全ての例において必要な訳ではない。
【0083】
図示の例では、WBC血球計算チャネル344から出た血球は、バルク吸収チャネル360に供給することができる。光源362が、吸収チャネル360内にある血球に光を当てることができ、検出器364が、残留する血球によって吸収されない光を検出することができる。このように、吸収チャネル360は、残留する血球の全部の吸収レベルを測定するために用いることができる。吸収レベルは、例えば、血液サンプルにおけるバルクまたは平均血球ヘモグロビン濃度の尺度を提示することができる。ヘモグロビン・チャネルは、照準決め直し(re-zeroing)光学素子ならびに自動合焦および/または位置合わせを有することができる。光源362は、吸収ピークの中心付近に出力を有するLEDとするとよく、こうするとフィルタを不要にすることができる。ヘモグロビンに関して評価すべきサンプルを受け取り、保持するために、クヴェット(curvette)があってもよい。カード上に湿度センサおよび温度センサを設け、これらのパラメータに関するカードの現在および過去の状態を示すことができる。カードの暖機および冷却の時間は、動作の初期化以前におけるその温度を示すことができる。このような状態の監視は、カード上の物質および溶液と関連がある場合がある。これらの状態の知識は、構造的剥離(de-lamination)を有するカードまたはカートリッジの可能性をなくすまたは大幅に低下させるセーフガードに関して実装するとよい。
【0084】
図9aから図9fに示すインターフェースによって、汚染のない流体の転送および移動を達成することができる。一旦計器上にある着脱式カートリッジに試薬を納めたなら、試薬槽から有来界面までの各供給ラインにおける流体の圧縮率が問題となる場合がある。忠実性が高い流体の流速制御を得るためには、この問題を最小限に抑えなければならない。圧縮率は、温度変化の間に溶液から出てくる溶融気体、または供給ラインの気体浸透性壁を通して内部に拡散する空気のいずれかによって発生する気泡による場合がある。この問題を解消する1つの手法は、試薬のような気泡を含む溶液を、計器の流体界面から、例えば、試薬カートリッジ上にある廃棄物タンクに導くことができる弁に引き込み、これを新鮮な流体と置換することが考えられる。一旦気泡を再度吸収し、廃棄物に一気に流し去れば、弁を再度切り換えて、流体/空気メニスカスを流体界面に戻すことができる。メニスカスを流体界面近くまで戻した後、解決すべき別の問題は、血液サンプルによる計器汚染の潜在的可能性であろう。サンプル血液および試薬に接触せずに、接触を制御しながら、その流動を制御するために、様々な解決策を提供することができる。
【0085】
図9aおよび図9bに示すニードル−隔膜界面では、ニードル1201が隔膜1202を突き刺し、計器上に貯蔵されている液体をチャネル1203カード1204に配給することができる。計器上に流速センサおよびコントローラを配置するとよい。ニードル1201を引っ込めたときの分析(assay)の終了時に、隔膜1202は自己密閉し(self-seal)、カードには漏れがなく廃棄する準備が整う。この手法は、計器上に貯蔵されている試薬をカード1204に導入するにはうまく行くと考えられるが、サンプル血液は既にカード上にあり、ニードルが一旦隔膜1202を突き刺すと、血液に接触することになる。除芯なく隔膜を突き刺すために、特別に先端を折り曲げたニードル1201をするとよい。
【0086】
実際には、ニードル1201の汚染は、様々な理由により、最少で済み、克服することができる。分析の間、推進流体がニードルの内側に一気に流れ込む。分析の終了時には、ニードルが引っ込められると、ニードル1201の外側を隔膜1202によって拭うことができる。ニードル1201の規模が小さいので、その先端の表面積に保持することができる血液の量を制限することができる。計器によるニードル先端の加熱除菌は、は、ニードルの小さなサイズ、および熱転送ピンに対する幾何学的類似性のために、非常に素早い加熱/冷却サイクルとすることができる。除菌手順は、実験で証明することができる。また、通常時にオフとなっている弁を用いれば、電力停止の間いずれの流体の計器への逆流も防止することができる。
【0087】
図9cおよび図9dのシャフト−膜界面について注記しておくとよいであろう。この手法では、長く薄いサンプル・ループを、エラストマ膜1206で一旦を密閉した、円筒形サンプル貯蔵空洞と交換することができる。膜1206は、成形したケース1207およびサンプル槽1208上に配置することができる。サンプルを分与するために、微小ステッパ・モータによって回転するリード・スクリューを、膜に対抗して前進させる。これは、本質的に、シリンジ・ポンプとすればよく、プランジャをシリンジ・バレルの中に前進させる代わりに、シャフト12055を膜1206に対抗して前進させる。この手法の利点は、膜1206が汚染の問題を解消することができる物理的障壁にある。
【0088】
この手法は、カードを計器に実装した後に、シャフト1205のゼロ変位を求めなければならない場合がある(即ち、丁度膜1206に接触する)。サンプル貯蔵空洞の容積変化応答があるとすると、恐らく非線形であり、シャフトの変位および較正が必要となる。シャフト1205の先端は、変位の効率性を求めて設計することができる。シャフトの最大ストロークで、貯蔵空洞内にあるサンプルを80パーセント配給することが現実的であると考えられる。膜1206には、指が偶然にも膜を圧迫/作動させてサンプルを分与できない程度の十分な凹陥を設ける必要がある。
【0089】
膜−膜界面を図9eおよび図9fに示すことができる。この手法でも、再度、エラストマ膜で一端を閉じた円筒形の槽に、サンプルを貯蔵することができる。膜1206の変位は、アクチュエータ1211によって発生させることができる。アクチュエータ1211は、その先端を閉鎖する膜1212を有する。2枚の膜1206および1212が既に接触している場合、作動流体1213をアクチュエータ1211の先端に圧送すると、膜1212および1206双方が変形し、サンプル槽1208において等しい体積の流体を変位させることができる。
【0090】
この手法のいくつかの利点は、明白であると思われる。流速センサ技術を用いると、作動流体1213の流速を制御することができ、究極的にサンプルの流速を制御することになる。作動は流体主導のため、膜1206および1212は自然に高い変位効率が得られるように変形し易くなる。また、この手法は、血液サンプルを物理的な膜の背後に隠すことによって、汚染を排除することもできる。
【0091】
この手法では、カードを計器に実装した後、血液サンプルを全く変位させなくても膜1212および1206が正しく接触しているように、ゼロ変位を求める必要がある場合がある。サンプル貯蔵空洞1208における体積変化応答は、恐らく多少非線形であり、アクチュエータ膜1212の体積変化および較正が必要となる。カード上の膜1206は、指が偶然にも膜を圧迫/作動させてサンプルを分与できない程度の十分な凹陥を設ける必要がある。
【0092】
図9eおよび図9fのサンプル・ループは、長く狭いチャネルではなく、浅い円筒形の空洞である。最初に膜1212および1206間で正しい接触がなされれば(即ち、空気をこれらの間に取り込まない)、展開する作動流体1213の体積が、較正することができる反復可能な量だけ、膜を歪曲させることができる。
【0093】
膜界面間には動力学があると考えられる。エラストマ膜によって導入されるコンプライアンスは小さくすべきである。何故なら、シリコーン・ラバーやNeopreneのような、典型的なエラストマのポアソン率は、0.45から0.50の範囲に納まる傾向があり、これはほぼ圧縮不可能である。本質的に、エラストマは変形可能であるが、圧縮可能ではなく、これらの形状は用意に変化するが、その体積は変化しない。つまり、膜−膜界面では、成形したケースおよびアクチュエータの硬質材料がエラストマの形状変化を制限し、エラストマの低コンプライアンスからの大きな動的硬化は生じないはずである。
【0094】
膜1206の歪曲では、貯蔵空洞内に収納されているサンプルまたは試薬の全てを分与することはできない。分与する割合は、変位効率によって特徴付けることができる。ε=80パーセントの効率が正当であろう。膜歪曲の空洞直径に対する比率も想定すると(例えば、δ=1/3)、変位体積は、近似的に次のようになる。
Vdisp =εδ(π/4)d3
貯蔵空洞の直径は、次の式から推定することができる。
d = ((4Vdisp/(εδπ))1/3
図9gの表は、分析を4分間行い、その半分をRBCの測定、半分をWBCの測定に費やすと仮定した場合に、サンプル推進流体および試薬の各々に適当と思われる、貯蔵空洞の直径を纏めた。球体化溶液およびシース溶液用のカード上試薬貯蔵空洞のサイズは、十分な大きさのカードについて考慮するとよい。
【0095】
計器内に収納されている試薬貯蔵カートリッジからニードル−隔膜界面によって試薬を供給することに対して、大きな利点があると考えられる。計器上に小型の滅菌メカニズムを設けることができれば、血液サンプルは、膜型界面またはニードル−隔膜界面のいずれかによって制御することができる。
【0096】
図10は、サンプル分析装置を設定し動作させるための例示的な手法を示す模式流れ図である。図示の例では、351に示すように、血液分析カートリッジを用いて分析することができ、370に示すように、制御カートリッジを用いて分析し、分析装置の性能を検証するのに役立てることができ、および/または380に示すように、較正カートリッジを用いて分析し、分析装置を較正し易くすることができる。血液分析カートリッジは、血液分析を行う毎に、装填するとよい。372において制御カートリッジを装填し、374において、1日1回というように、周期的に動作させて、分析装置が精度高い結果を出していることを検証するとよい。376において、計器は、測定値が範囲内に納まるか否かの指示を表示することができる。指示は、測定値が正常、低、または高範囲のいずれであるかによって異なるとよい。380では、382において較正カートリッジにキャリブレータを装填し、384において動作させることができる。計器は、386において、較正と一致するように、較正係数を調節することができる。較正カードは、分析装置を再較正するために、3カ月に1回というように、制御カードよりも低い頻度で分析装置に装填すればよい。較正は、流動チャネルにおいて暫定的または後処理精密ビードを流して、チャネルを通過する粒子のサイズの情報を提供するパルス幅のスケーリングのようなことを提示することができる。
【0097】
各カートリッジは、対応する機能を実行するために必要な流体および/または較正部品の全てを含むことができる。したがって、分析器を動作させるおよび/または保守するためには殆ど訓練を必要としないと考えられるが、それでもなお精度の高い結果が得られる。サンプル分析器に、着脱式および/または使い捨てカートリッジを設けることができ、特別な訓練を受けていない要員でも、実験室環境の外側でも信頼性高く用いることができるので、コストおよび医療要員の負担が減少し、比較的頻繁な血液監視/分析を必要とする患者を含む、多くの患者にとってサンプル分析装置の利便性が高まる。本システムは、試薬および/またはサンプル流体が役に立たない、新鮮でない、汚染されている、正しくない、あるいはそれ以外で不適切または容認できないか否かについて注視することができる。本システムによって結果的に行われる作用は、分析を実行しないこと、結果を提示しないこと、誤りの指示を提示すること等を含むことができる。
【0098】
351に示すように血液分析カートリッジを用いると、353および355に示すように、血液サンプルを収集し、血液分析カートリッジに装填することができる。血液サンプルは、所望に応じて、毛細管作用または手作業による圧送によって、血液分析カートリッジに引き込むことができる。次いで、血液分析カートリッジを分析計器に装填することができる。図示の例では、次に、357に示すように、分析装置は血液分析カートリッジおよび分析装置の対応する構成部品(例えば、光源/光検出器など)を自己整合することができる。次に、1つ又は複数のボタンを押下して、血液分析プロセスを開始することができる。ボタン等を押下する代わりに、そして場合によっては、単純にカートリッジを分析装置に装填するステップが、分析装置に整合および血液分析プロセスを開始させるようにしてもよい。
【0099】
358において、カードを動作させることができる。一旦分析装置を活性化したなら、分析装置は多数の検査を実行することができる。例えば、分析装置は血液分析カード上にある弁を全て閉鎖し、カード上にある種々の流体ポートに圧力を加えることができる。次いで、分析装置は、カード上において1つ又は複数の流速センサを通過する際の流速を測定することができる。弁が全て閉じているので、流速は0のはずである。しかしながら、流速センサが0でない流速を示す場合、分析装置は、流速センサを0流速に再較正することができる。これは、流速センサの測定値の精度を高めるのに役立てることができる。分析装置は、必要に応じて、気泡除去手法をチェックし、実行に移すことができる。あるいは、または加えて、分析装置は、例えば、血液サンプルの流速を、加えられた圧力と共に測定することによって(例えば、流速センサを用いて)、着脱式カートリッジにおける血液の凝固をチェックすることができ、加えられた圧力に対して、流速が低すぎる場合、血液サンプルが凝固していると判定する。血液の凝固が検出された場合、分析装置は、測定に失敗したことをしめすメッセージを表示することができる。
【0100】
次に、分析装置は、血液分析カートリッジ・タイミング・プロトコルを実装することができる。この血液分析カートリッジ・タイミング・プロトコルは、2004年9月2日に出願された米国特許出願第10/932,662号に示され記載されているものと同様とすることができる。この特許出願は、本願の譲受人に譲渡され、ここで引用したことにより、その内容は本願にも含まれるものとする。個々の血液分析カートリッジ・タイミング・プロトコルは、血液分析カートリッジの特定の設計によって異なる場合もある。また、分析装置は、血液分析カートリッジ上のいずれの血球計算チャネルにも安定した中核流があることを検証し、存在する場合には、中核流の場所を特定することもできる。
【0101】
次いで、血液分析カートリッジは、血液サンプルの内白血球測定に用いる一部における赤血球を溶解し、血液サンプルの内白血球測定に用いる一部における赤血球を球体化し、血液分析カートリッジ上のいずれの血球計算チャンネルにおけいても中核流を形成し、および/またはその他のいずれの望ましい機能も実行することができる。分析装置は、いずれかの血球計算チャネルのような、血液分析カートリッジの選択領域に光を供給し、この選択領域を通過した光を検出することができる。
【0102】
これから、分析装置は、白血球、赤血球、血小板のような、サンプル内にある粒子を計数し分類し、次いで血液分析の結果を表示、印刷、発音、またはそれ以外でユーザに指示することができる。例によっては、分析装置は定量的結果(例えば、既定の範囲の内側および/または外側)を表示または印刷し、ユーザがそれ以上計算や解釈をせずに済むようにする。測定は、完了したと見なされ、361において結果を表示する。最後に、363において、血液分析カートリッジを分析装置から取り外し、処理する。
【0103】
370に示すように制御行程(control run)を実行する場合、制御カートリッジを用いることができる。場合によっては、1日1回または1週間に1回というように、制御行程を周期的に実行するとよい。制御カートリッジは、特性が分かっている制御サンプルを含むことができる。つまり、制御サンプルに対して分析装置によって分析を行う場合、既知の結果が得られるはずである。図示の手法では、372に示すように、分析装置に制御カートリッジを装填する。次に、374に示すように、分析装置を活性化し、376に示すように、分析装置は分析を実行し結果を表示する。例によっては、分析装置は、定量的結果(例えば、既定の範囲の内側および/または外側)を表示または印刷し、ユーザがそれ以上計算や解釈をせずに済むようにする。最後に、制御カートリッジを分析装置から取り外し、処理することができる。制御行程の結果が既定の範囲から外れる場合、較正行程380のような、較正行程を実行することが望ましい場合がある。
【0104】
380に示すように較正行程を実行する場合、較正カートリッジを用いることができる。場合によっては、1日1回または1週間に1回というように、較正行程を周期的に実行するとよい。較正カートリッジは、特性が分かっている較正サンプルを含むことができる。つまり、較正サンプルに対して分析装置によって分析を行う場合、既知の結果が得られるはずである。図示の手法では、382に示すように、分析装置に較正カートリッジを装填する。次に、384において、分析装置を活性化し、多数の結果を得る。較正行程中に得られた結果を期待結果と比較することによって、分析装置は目盛内にある1つ又は複数の較正係数を自動的に調節して分析装置を較正し直し、後続の行程中に、386に示すように、分析装置が期待結果または所望の結果を生成するようにする。
【0105】
図11aは、サンプル分析装置を動作させるための例示的な手法を示す流れ図である。図示の手法を全体的に400で示し、402において開始する。制御をステップ404に移し、血液サンプルを使い捨て流体カートリッジに供給する。次いで、制御をステップ406に移し、使い捨て流体カートリッジを血液サンプル分析装置に挿入する。次いで、制御をステップ408に移す。ステップ408では、血液サンプル分析装置を活性化し、ステップ410において、これ以上血液サンプル分析装置のユーザからの相互作用は全くなく、血液サンプル分析装置から血液分析結果を入手する。次いで、制御をステップ412に移し、本手法を終了する。
【0106】
図11bは、サンプル分析装置を動作させるために別の例示的手法を示す流れ図である。図示の手法を全体的に500で示し、ステップ502にて開始する。制御をステップ504に移し、血液サンプルを使い捨て流体カートリッジに供給する。次いで、制御をステップ506に移し、使い捨て流体カートリッジを血液サンプル分析装置に挿入する。次いで、制御をステップ508に移す。ステップ508では、血液サンプル分析装置を活性化し、ステップ510において、これ以上血液サンプル分析装置のユーザからの相互作用は全くなく、血液サンプル分析装置から血液分析結果を入手する。次いで、制御をステップ512に移す。ステップ512では、血液分析結果が既定の範囲内に納まっているか否か判定を行う。先に示したように、そして例によっては、分析装置は、定量的結果(例えば、既定の範囲の内側および/または外側)を表示または印刷し、ユーザがそれ以上計算や解釈をせずに済むようにする。次いで、制御をステップ514に移し、本手法を終了する。
【0107】
図12は、サンプル分析装置を動作させるための別の例示的な手法を示す流れ図である。この手法を全体的に600で示し、ステップ602にて開始する。図示の手法では、604に示すように血液分析カートリッジを用い分析することができ、620に示すように、制御カートリッジを用いて分析し、分析装置の製法を検証する際に役立てることができ、および/または640に示すように、較正カートリッジを用いて分析し、分析装置を較正する際に役立てることができる。血液分析を実行する度に、血液分析カートリッジを装填すればよい。制御カートリッジは、分析装置が精度高い結果を出していることを検証するために、1日1回というように、周期的に分析装置に装填することができる。較正カートリッジは、分析装置を較正し直すために、3カ月に1回というように、それよりは少ない頻度で、またはそうでなければ必要に応じて、分析装置に装填すればよい。
【0108】
各種類のカートリッジは、対応する機能を実行するために必要な流体および/または構成部品の全てを含むことができる。したがって、分析器を動作させるおよび/または保守するためには殆ど訓練を必要としないと考えられるが、それでもなお精度の高い結果が得られる。サンプル分析器に、着脱式および/または使い捨てカートリッジを設けることができ、特別な訓練を受けていない要員でも、実験室環境の外側でも信頼性高く用いることができるので、コストおよび医療要員の負担が減少し、比較的頻繁な血液監視/分析を必要とする患者を含む、多くの患者にとってサンプル分析装置の利便性が高まる。
【0109】
図12の例示的な手法では、血液分析サンプルを用いる場合、制御をステップ604に移す。ステップ606において、血液サンプルを使い捨て流体カートリッジに供給する。次いで、制御をステップ608に移し、使い捨て流体カートリッジを血液サンプル分析装置に挿入する。次いで、制御をステップ610に移す。ステップ610では、血液サンプル分析装置を活性化し、ステップ612において、血液サンプル分析装置から血液分析結果を入手する。
【0110】
制御カートリッジを用いる場合、制御をステップ620に移す。ステップ620では、制御をステップ622に移し、制御カートリッジを血液サンプル分析装置に挿入する。次いで、制御をステップ624に移す。ステップ624では、血液サンプル分析装置を活性化し、ステップ626において、制御流体カートリッジを用いて、制御分析結果を入手する。次いで、制御をステップ628に移す。ステップ628では、制御分析結果が期待制御範囲内に納まっているか否か判定を行う。制御分析結果が期待範囲内に納まっていない場合、血液分析カートリッジについて得られた結果を信頼してはいけない。場合によっては、較正カートリッジを用いてサンプル分析装置を較正し直し、次いで別の制御カートリッジを用いて、サンプル分析装置の動作/較正を検証するとよい。
【0111】
較正カートリッジを用いる場合、制御をステップ640に移す。ステップ640では、制御をステップ642に移す。ステップ642では、較正カートリッジを血液サンプル分析装置に挿入する。次いで、制御をステップ644に移す。ステップ644では、血液サンプル分析装置を活性化し、ステップ646では、較正流体カートリッジを用いて、較正分析結果を入手する。次いで、制御をステップ648に移す。較正分析結果に基づいて、ステップ648では分析装置を必要に応じて調節する。
【0112】
場合によっては、サンプル分析装置は、完全自動計器、および/または自己充足的検査計器であってもよい。サンプル分析装置は、例えば、毛細血管(指先)、静脈全血液(venous whole blood)、鼻綿棒(nasal swab)、または尿等のような直接未処理の被検物を受け入れて分析することもできる。あるいは、または加えて、サンプル分析装置は、基本的な、技法に依存しない被検物の操作だけを必要としてもよい。同様に、サンプル分析装置は、「試薬Aおよび試薬Bを混合する」というような、基本的な、技法に依存しない試薬の操作だけを必要としてもよく、分析ステップ中操作者の介入を不要とすることができる。場合によっては、サンプル分析装置は、確認検査が臨床的に得策である場合、このような検査のために被検物を入手し出荷するための命令(および場合によっては素材)を含む、または供給することもできる。
【0113】
サンプル分析装置には、即答命令便覧を備えるとよい。即答便覧は、サンプル分析装置の動作に対して素早く参考を提示することができる。使用中、ユーザがサンプル分析装置をどのように操作するのかについていかなる疑問が生じた場合でも、ユーザは即答便覧を参照すればよい。
【0114】
場合によっては、種々の動作ステップを、場合によってはサンプル収集から分析までの図式的に示す、即答便覧は自己説明的な写真または図を含むとよい。例示的な一例では、即答便覧は、写真または図だけを含み、ことばを含まないか、または最少量のことばを含む。これは、特定の言語(例えば、英語)が読めないユーザが、サンプル分析装置を有効に動作させるのに役立つことができる。例示的な一例では、即答便覧は、使い捨てカートリッジをそのパッケージから取り出し、血液充填キャップをカートリッジのランセットから取り外し、および/またはマーカを空気に露出して所定の時間期間後に色が変わるマーカからカバー(例えば、テープ)を除去し、患者から血液を引き出し、引き出した血液をカートリッジに供給し、カートリッジを計器に装填し、計器を動作させ、結果を受け取り、カートリッジを計器から取り外してカートリッジを廃棄するステップについて示し、および/または説明すればよい。これは、単なる一例である。
【0115】
尚、計器の筐体が、即答便覧を受容するためのポケットなどを含むとよいことも想定している。使用中、ユーザは、ポケットから即答便覧を取り出して参照することができる。あるいは、即答便覧を、螺旋状バインダ等によってサンプル分析装置の筐体に固着してもよく、ユーザが使用中に即答便覧の種々のページをめくることができるようになる。別の例示的な例では、即答便覧を着脱式カートリッジに固着してもよく、または着脱式カートリッジを収容するパッケージ上に印刷してもよい。更に別の例示的な例では、即答便覧をポスタ上に印刷してもよく、これをサンプル分析装置の近くの壁等に吊しておくこともできる。
【0116】
場合によっては、そして誤った結果を生ずる危険性を低減するために、1つ又は複数の障害警告および/またはフェール・セーフ・メカニズムを設けるとよい。例えば、そして例示的な一例では、サンプル分析装置は、正しくない種類の被検物がユーザによって提供された場合、これを検出し易くすることができる。例えば、サンプル分析装置を、全血液サンプルの内赤血球計数を実行するように設定する場合、サンプル分析装置は、ユーザが提供する被検物が血液以外の何かであることがときとしてあるが、これを検出し易くすることができる。
【0117】
例示的な一例では、サンプル分析装置は分析を実行することができ、1つ又は複数の出力パラメータが所定の範囲を外れる場合、サンプル分析装置は結果を提示しない、および/またはエラー・メッセージまたはエラー・コードを発行することができる。例えば、サンプル分析装置が、全血液サンプルにおける白血球を計数するように較正された流動血球計算器であり、サンプル分析装置が白血球を全く計数しない(または少数の白血球を計数する)場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によってはエラー・メッセージまたはエラー・コードを提示することができる。
【0118】
例によっては、1つ又は複数の光学的測定を用いて、正しくない被検物がユーザによって提供されたとき、または流体カートリッジの正しい流動チャネルに試薬が供給されていないときというような、正しくない流体が流動チャネル内にあるときを特定し易くすることができる。図13は、このような1つの光学測定を示す。図13において、サンプル流体700が、例えば、流体カートリッジのチャネル壁704によって規定されたチャネル702の中にある。図示の例では、チャネル壁704の屈折率は「nw」であり、サンプル流体の屈折率は「ns」である。光源706が、チャネル壁704の1つに対してある角度をなして、入来光ビーム(場合によっては、平行化光ビーム)を供給する。検出器708が、光710を検出するように位置付けられており、光710は、チャネル壁/サンプル界面から反射される。チャネル/サンプル界面から検出器708に反射する光の量は、チャネル壁の屈折率「nw」およびサンプル流体の屈折率「ns」によって異なる。反射シグネーチャ(reflected signature)の所望の反射量は、所望のサンプル流体700がチャネル702内にあるときに決定することができる。正しくない種類の被検物または正しくない試薬またはその他の正しくないサンプル流体が流動チャネル700に供給されると、正しくない流体の屈折率「nic」のために、光710の異なる反射シグネーチャが検出器708によって測定される。かかる変化は、正しくないサンプル流体が流動チャネル702内にあることを示すことができる。あるいは、または加えて、かかる変化は、気泡、凝固、またはその他の望ましくない粒子、あるいはサンプル流体のその他の特性の存在を示す場合もある。これらが検出された場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0119】
図14は、正しくないまたは望ましくない流体が流動チャネル内にあるときに、それを特定し易くするために用いることができる別の光学測定を示す。図14において、サンプル流体720が、例えば、流体カートリッジのチャネル壁724によって規定されたチャネル722の中にある。図示の例では、チャネル壁724の屈折率は「nw」であり、サンプル流体の屈折率は「ns」である。光源726が、チャネル壁724の1つに対してある角度をなして、入来光ビーム(場合によっては、平行化光ビーム)を供給する。検出器728が、チャネル722およびサンプル流体720を通過する光730を検出するように位置付けられている。
【0120】
この図示例では、チャネル722は十分薄く作られているので、サンプル流体の屈折率「ns」が所望の範囲内にあれば、チャネル722およびサンプル流体720を通過する光トンネリングが得られる。サンプル流体の屈折率「ns」が所望の範囲未満である場合、光はチャネル722を通り抜けず、逆に反射される。サンプル流体の屈折率「ns」が所望の範囲を超える場合、光はチャネル722およびサンプル流体720を通過する傾向があるので、この例は所望のサンプル(例えば、血液)の屈折率未満の屈折率「ns」を有する正しくないサンプル流体を検出するには最も適していると考えられる。あるいは、または加えて、この図示例は、気泡、凝固、またはその他の望ましくない粒子、あるいはサンプル流体のその他の特性の存在を、所望に応じて、検出するために用いることができる。これらが検出された場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0121】
図15は、正しくないまたは望ましくない流体が、例えば、流体カートリッジの流動チャネル内にあるときに、これを特定するために用いることができる別の例示的な例を示す。この例示的な例では、サンプル流体750を、チャネル壁754によって規定された流動チャネル752に供給する。図示例では、2つ又は3つ以上の電極が、チャネル壁754の1つ又は複数に設けられている。例によっては、2つ又は3つ以上の電極を、1枚以上のプラスチック・シート上に形成し、後にこれらを積層するか、またはそれ以外の方法で互いに固着して流体カートリッジの流体回路を形成することができる。2つ又は3つ以上の電極は、流体カートリッジ上の流動チャネル752内にまたはこれを横断して延び、所望の駆動回路に接続するようにパターニングすることができる。
【0122】
電源758が電極760間に信号を供給することができ、サンプル流体750を貫通する電極間の抵抗を測定することができる。これは、チャネル752におけるサンプル流体750の抵抗率の尺度を提供することができる。正しくないサンプル流体が流動チャネル752の中にあるとき、この正しくないサンプル流体の抵抗率は、期待範囲を外れると考えられる。抵抗率が期待範囲を外れることは、気泡、凝固、またはその他の望ましくない粒子、あるいはサンプル流体のその他の特性の存在の存在も示すことができる。これらが検出された場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0123】
場合によっては、電源758は低電位AC信号(例えば、10Vピーク・ピーク未満、5Vピーク・ピーク未満、3Vピーク・ピーク未満、1Vピーク・ピーク未満、0.5Vピーク・ピーク未満、0.1Vピーク・ピーク未満)を供給し、伝今日k760によって生ずるサンプル流体750内における電気化学的反応を抑えることもできる。電気化学的反応は、例えば、気泡等をサンプル流体750内に混入させる可能性があり、用途によっては望ましくない場合もある。
【0124】
前述のような抵抗率の測定を用いることに加えて、またはその代わりに、容量測定を用いてもよいことも想定している。この例示的な例では、2つ又は3つ以上の電極間の容量を、サンプル750を通じて測定することができる。正しくないサンプル流体が流動チャネル752に供給されると、正しくないサンプル流体から生ずる容量は期待範囲を外れると考えられる。容量が期待範囲を外れることは、気泡、凝固、またはその他の望ましくない粒子、あるいはサンプル流体のその他の特性の存在の存在も示すことができる。これらが検出された場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0125】
図16は、正しくないまたは望ましくない流体が、例えば、流体カートリッジの流動チャネル内にあるときに、これを特定するために用いることができる別の例示的な例を示す。この例示的な例では、サンプル流体770を、チャネル壁774によって規定された流動チャネル772に供給する。図示例では、PHセンサ776を、サンプル流体770と流体連通状に設ける。PHセンサ776は、サンプル流体770のPHの尺度を検出し、信号をコントローラ780に報告することができる。正しくないサンプル流体が流動チャネル772に供給されると、正しくないサンプル流体のPHは、予期される範囲を外れると考えられる。PHレベルが期待範囲を外れることは、気泡、凝固、またはその他の望ましくない粒子、あるいはサンプル流体のその他の特性の存在の存在も示すことができる。これらが検出された場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0126】
図17は、流動チャネル内にあるサンプル流体に1つ又は複数の気泡またはその他の望ましくない粒子があるときに、これを特定するために用いることができる例示的な例を示す。この例示的な例では、サンプル流体800が、例えば、流体カートリッジのチャネル壁804によって規定された流動チャネル802の中にある。光源806がチャネル壁804の1つに対してある角度をなして、入来光ビーム(場合によっては、平行化光ビーム)を供給する。検出器808が、流動チャネル802内においてサンプル流体800の中にある気泡またはその他の望ましくない粒子によって散乱した光730を検出するように位置付けられている。例えば、サンプル流体800が気泡を全く有していない場合、光は散乱せずにサンプル流体を通過する傾向があり、検出器は信号を検出しない(または弱い信号を検出する)。ある閾値よりも上の光散乱信号が検出器808によって検出されると、流動チャネル802の中にあるサンプル流体800は1つ又は複数の気泡またはその他の望ましくない粒子を有することを示し、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によってはエラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0127】
図18は、流動チャネルの中にあるサンプル流体に1つ又は複数の気泡またはその他の望ましくない粒子があるときに、それを特定するために用いることができる例示的な方法を示す。この例示的な例では、サンプル流体820が、例えば、流体カートリッジのチャネル壁824によって規定された流動チャネル822の中にある。超音波変換器826および超音波受信機828が、流動チャネル822に隣接して設けられている。場合によっては、超音波変換器826を流動チャネルの一方側に設け、超音波受信機828を反対側に設ける。別の場合には、超音波変換器826および超音波受信機828を流動チャネル822の同じ側に設ける。いずれの場合でも、超音波受信機828は、超音波変換器826が発信した超音波信号において、流体サンプル820の中にある気泡またはその他の望ましくない粒子によって生ずる散乱を検出するために用いることができる。これらが検出された場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0128】
図19は、流動チャネルの中にあるサンプル流体に1つ又は複数の気泡またはその他の望ましくない粒子があるときに、それを特定するために用いることができる例示的な方法を示す。この例示的な例では、サンプル流体850が、例えば、流体カートリッジのチャネル壁854によって規定された流動チャネル852の中にある。流速センサ856が、流動チャネル852と流体連通状に設けられており、サンプル流体850の流速を検出する。流速センサは、例えば、熱風速型流速センサ、およびマイクロブリッジ型流速センサとすることができる。マイクロブリッジ流速センサは、例えば、米国特許第4,478,076号、米国特許第4,478,077号、米国特許第4,501,144号、米国特許第4,651,564号、米国特許第4,683,159号、および米国特許第5,050429号に記載されている。これらの全ては、ここで引用したことにより、その内容が本願にも含まれるものとする。
【0129】
圧力源860が、流動チャネル852内にあるサンプル流体850に可変圧力を供給することができる。コントローラ862が、流速センサ856からの流速信号を受け取ることができ、場合によっては、圧力源860を制御することができる。例示的な一例では、そしてサンプル流体における気泡を検出するために、コントローラ862は、圧力源860に、サンプル流体850に加える圧力を突然変化させることもできる。その結果サンプル流体850に生ずる流速の変化を、流速センサ856によって監視することができる。
【0130】
図20は、図19の流動チャネル852においてサンプル流体850に圧力源860によって供給することができる例示的な圧力パルス900を示すグラフである。サンプル流体850内に気泡がほとんどないまたは全くない場合、902に示す流速が得られると考えられる。流速902は、圧力パルス900が突然増大すると、低い方の流速値904から高い方の流速値906に、更に急激に上昇し、次いで、圧力パルス900が突然減少すると、高い方の流速値906から低い方の流速値904に突然邸かする。しかしながら、サンプル流体850の中に気泡があると、その結果生ずる流速908(破線で示す)は、圧力パルス900が突然増大すると、低い方の流速値904から高い方の流速値906への上昇がゆっくりとなり、圧力パルス900が突然減少すると、高い方の流速値906から低い方の流速値904への低下もゆっくりとなると考えられる。気泡の中にある空気は、例えば、サンプル流体850の圧縮率を高め、これによって流速の上昇および低下の変化がゆっくりとなると考えられる。加えた圧力を変化させる間流速の変化を監視することによって、サンプル流体850における気泡の存在を検出することができる。流速変化に十分な減少が検出された場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0131】
尚、圧力源860は、適した圧力源であればいずれでもよく、所望に応じて、従来からのポンプ、圧縮空気源、またはその他の適した圧力源であればいずれでも含まれる。場合によっては、高周波圧力源を、従来からのポンプまたはその他の圧力源と共に用いてもよく、あるいは並列に動作してもよい。即ち、従来からのポンプまたはその他の圧力源860を用いて、サンプル流体の分析中に、流体カートリッジの流動チャネル852を通過するサンプル流体を実際に移動させることができる。高周波圧力源は、サンプル流体を流動チャネルに沿って大きく移動させるために用いるのではなく、例えば、気泡の存在、サンプル流体の圧縮率等を含む、サンプル流体のある種のパラメータを検出するために、サンプル流体の中に高周波の圧力パルスを発生するために用いるとよい。サンプル流体の圧縮率は、流動チャネル852の中にあるサンプル流体が、予期した種類のサンプル流体であるか否か検出し易くするために用いることができ、そうでない場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0132】
いずれにしても、そして場合によっては、高周波圧力源が従来からのポンプまたはその他の圧力源と同時にまたは並列に動作する場合、流体回路によるサンプル処理の間に、現場でのサンプル流体の監視を行うことができる。
【0133】
場合によっては、圧力パルスを用いて、流体回路の流動チャネルの中にあるサンプル流体の末端即ち遠端の場所を判定または推定することができる。図21において、2つの流動チャネル1000および1002が示されている。サンプル流体1004が流動チャネル1000の中にあり、サンプル流体1006が流動チャネル1002の中にある。圧力変換器(例えば、圧力源)1008および受圧器(例えば、圧力センサ)1010が示されており、流動チャネル1000に対して既知の場所においてサンプル流体1004に流体的に結合されている。圧力変換器1008は、サンプル流体1004の中に圧力パルスを生成することができる。圧力パルスは、サンプル流体1004を下って、末端1012まで移動する。圧力パルスからのエネルギの一部は、サンプル流体1004の末端1012によって反射され、受圧器1010に戻ってくる。圧力変換器1008および/または受圧器1010から末端1012が現在位置しているところまでの距離は、圧力パルスがサンプル流体1004を下って末端1012に達し受圧器1010に戻ってくるまでに要する時間と関係がある。したがって、圧力パルスが末端1012まで移動して受圧器1010に戻ってくるまでに要する時間を測定することによって、流動チャネル1000に沿った末端1012の場所を判定することができる。
【0134】
流動チャネル1002は流動チャネル1000と同様であるが、末端が流動チャネルよりも更に離れた距離に位置することを除く。したがって、サンプル流体1006がサンプル流体1004と同一であると仮定すると、圧力パルスが末端1014まで行って受圧器1018まで戻ってくるまでに要する時間は、流動チャネル1000よりも長くなるはずである。また、受圧器1018が受け取る反射圧力パルスの振幅は、受圧器1010が受ける圧力パルスの振幅と比較すると、減少していると考えられる。つまり、振幅を監視すると、チャネル1000および1002それぞれに沿った末端1012および1014の場所を推定または判定する別の方法を得ることができる。
【0135】
図22および図23は、2つの流体が流体回路において合流するときを判定するための例示的な手法を示す。多くのサンプル分析装置では、初期状態において異なる流体が異なる流動チャネルに供給される。しかしながら、流体回路内では、種々の流体が相互に混ざることが多い。例えば、血液サンプルおよび球体化試薬は、初期状態では、各々別個の流動チャネルに供給する、後に流体回路の下流のいずれかの場所で互いに混じり合う可能性がある。種々の流体がいつそしてどのように合流するかのタイミングは、例えば、米国特許出願第10/932,662号に開示されているように、サンプル分析装置の機能全体にとっては重要となる可能性がある。この特許出願は、本願の譲受人に譲渡されており、その内容はここで引用したことにより本願にも含まれるものとする。
【0136】
2つ又は3つ以上の流体が流体回路の下流において混合するときを判定し易くするために、圧力変換器を用いて、流体サンプルの少なくとも1つにおいて圧力パルスを形成するとよい。例えば、そして図22を参照すると、圧力変換器1030(例えば、ポンプ、圧電発振器、超音波変換器、または他のあらゆる形式の圧力変換器)が、第1流動チャネル1034の中にあるサンプル流体1032において圧力パルスを生成することができる。受圧器1036(例えば、圧力センサ、超音波受信機等)が、第2流動チャネル1042の中にあるサンプル流体1040と流体連通することができる。第1流動チャネル1034および第2流動チャネル1042は、流動チャネル1044において合流する。これは、図23において最も良く示されている。
【0137】
再度図22を参照すると、圧力変換器1030が第1サンプル流体1032において生成した圧力パルスは、第1サンプル流体1032内を下流に向かって進行することができるが、第1サンプル流体1032の端部即ち遠端1046を超えて遥か先まで達することはできない。図示の例では、図22に示す流動チャネル1044には、初期状態では空気またはその他の気体が充填されており、後にサンプル流体1032および1040がそれぞれの流動チャネル1034および1042に沿って押し流されると、空気またはその他の気体はサンプル流体1032および1040によって変位させられる。サンプル流体1032および1040が合流する前に、受圧器1036は圧力変換器1030から大きな圧力パルスではなく、あかり減衰した圧力パルスを受信すると考えられる。
【0138】
ポンプ等のような、1つ又は複数の圧力源(図示せず)を活性化させて、図23においてより良く示されるように、サンプル流体1032および1040が合流するまで、サンプル流体1032および1040をそれぞれの流動チャネル1034および1042に沿って移動させることができる。これが発生すると、圧力変換器1030によって生成する圧力パルスは、この状態では、一層自由に受圧器1036まで進行することができるようになる。したがって、サンプル流体1032および1040が合流するときは、受圧器1036が圧力変換器1030から、減衰が少ない圧力パルスを受信し始めるとき、または受信するときを監視することによって判定することができる。
【0139】
場合によっては、圧力変換器1030はサンプル流体の中に(ときには比較的高い周波数の)圧力パルス列を生成してもよく、更にサンプル流体1032および1040を流体回路の流動チャネル1034、1042および1044に沿って実際に移動させるポンプまたはその他の圧力源と同時にまたは並列に動作してもよい。つまり、圧力変換器は、流体回路におけるサンプル流体の、更に具体的には、サンプル流体1032および1040が下流で合流するときの現場監視を行うために用いることができる。
【0140】
場合によっては、サンプル分析装置が分析の間水平面に置かれていないと、サンプル分析装置の動作が影響を受ける場合がある。この場合を検出するために、サンプル分析装置がレベル・センサを含むとよいことを想定している。例示的な一例では、レベル・センサは、Omron Corporationから入手可能な、微小傾斜センサ(D6B)とするとよい。他のレベル・センサには、電気出力を有するボール・センサを含むことができる。レベル・センサを用いると、サンプル分析装置は、サンプル分析装置が、分析を行うのに十分水平であるか否か判定を行うことができる。サンプル分析装置が十分に水平でない場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを出してもよい。
【0141】
サンプル分析装置が十分に水平になっているか否か確認するためにチェックする別の手法では、流体を含む1つ又は複数の流動チャネルを減圧し、これら1つ又は複数の流動チャネルにおける流体の流速を測定することを含む。サンプル分析装置が十分に水平になっていない場合、重力によって、1つ又は複数の流動チャネルにおける流速が、予期される範囲を外れると考えられる。流速が予期される範囲を外れた場合、分析装置は十分に水平になっていないと見なすことができ、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを提示してもよい。
【0142】
場合によっては、サンプル分析装置が分析中に衝突したり、またはそれ以外で移動した場合、分析装置の動作が影響を受ける場合がある。この場合を検出するために、サンプル分析装置が衝撃および/または振動センサを含むとよいことを想定している。例示的な一例では、衝撃および/または振動センサは、Omron Corporation から入手可能な衝撃/振動センサ(D7E−2)とすることができる。衝撃および/または振動センサを用いると、サンプル分析装置は、当該サンプル分析装置が衝突したかまたはそれ以外で移動したか否か判定することができる。サンプル分析装置が十分に衝突した場合、サンプル分析装置は、ユーザが制御カードまたは較正カードを実行して、処理を先に進める前にサンプル分析装置の適正な動作を検証する必要がある場合もある。場合によっては、サンプル分析装置は、分析の間にサンプル分析装置が衝突したかまたはそれ以外で移動したか否か判定を行うとよい。サンプル分析装置が分析中に十分に衝突した場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを出してもよい。
【0143】
場合によっては、サンプル分析装置は、計器ならびに着脱式および/または使い捨てカートリッジを含むこともできる。ユーザの挙動はときとして予測不可能なので、分析を進める前に、カートリッジが計器に適正に挿入されていることを検証することが望ましい場合がある。これを遂行する1つの方法は、カートリッジが正しい向きでないと計器に挿入できないように、カートリッジおよび計器を設計することである。例えば、図24は、矢印1104で示すように、計器1102内にあるスロットに受容されているカートリッジ1100を示す。図示のカートリッジ1100は、当該カートリッジ1100の上面に溝1106を含む。計器は対応する雄部材1108を含み、カートリッジ1100を計器1102に対して適正な向きで挿入すると、雄部材1108が溝1106の中に進入するように構成されている。カートリッジを天地逆に挿入すると、溝1106および雄部材1108が整列せず、カートリッジ1100は、計器1102のスロットに完全に挿入することが妨げられる。同様に、カートリッジ1100の端部1112を計器1102のスロットに挿入すると、溝1106および雄部材1108が整列せず、カートリッジ1100は、計器1102のスロットに完全に挿入することが妨げられる。これは、カートリッジ1100は適正な向きでないと計器1102に挿入することができないように、カートリッジ1100を計器1102に合わせる一例に過ぎない。
【0144】
カートリッジの計器に対する向きは、特に、カートリッジを計器に対して合わせない場合には、あらゆる数の方法でも検証することができる。例えば、例によっては、カートリッジが適正に計器に挿入されたときに、1つ又は複数の圧力ポートが計器とカートリッジの間に介在してもよい。計器は、圧力ポートの1つ又は複数に圧力を加えて、所望の流動が観察できるか否か確認するためにチェックすることができる。計器の圧力ポートがカートリッジの圧力ポートと整列していない場合、所望の流動を見ることはできない。所望の流速が見られない場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを出してもよい。
【0145】
別の例では、カートリッジは1つ又は複数の光窓またはその他の光学構造を含むこともできる。カートリッジが計器内に適正に導入された場合、計器は、光学的に、1つ又は複数の光窓またはその他の光学構造を含む場所に呼掛けることができる。予期した光応答が検出されない場合、カートリッジは適正な向きで導入されていない可能性があり、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを提示してもよい。
【0146】
場合によっては、サンプル分析装置は、所望のサンプル分析を実行するために1つ又は複数の試薬を必要とする場合がある。適正な試薬があるか否か、そして試薬が良い状態にあるか否か判定することが望ましい場合がある。例示的な一例では、試薬はコンテナに入れて配給することができ、コンテナは、試薬の種々のパラメータを識別するバー・コードまたはその他のコードを含むことができる。種々のパラメータは、例えば、試薬の種類、製造日、試薬の有効期限、およびその他のパラメータを識別することができる。サンプル分析装置は、バー・コードまたはその他のコードのリーダを含むことができ、種々のパラメータを読み取ることができる。次いで、サンプル分析装置は、例えば、試薬が所望のサンプル分析に対して適正な試薬か否か、試薬が指定の有効期限を過ぎていないか否か等を判定することができる。試薬が所望の分析に対して正しい試薬でない場合、または良い状態にない場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを出してもよい。
【0147】
場合によっては、試薬を着脱自在および/または使い捨てカートリッジに貯蔵することができる。図25は、3つのチェンバ1122a、1122bおよび1122cを含む使い捨てカートリッジ1120を示し、各チェンバは、カートリッジ1120を用いて実行する分析に特定した試薬を貯蔵する。カートリッジ1120に貼り付いているバー・コード1124が示されている。一旦カートリッジを対応する計器に適正に挿入したなら、計器はバー・コードを読み取り、試薬が所望のサンプル分析に対して適正な試薬であるか否か、試薬がその指定有効期限を過ぎていないか等を判定することができる。
【0148】
また、バー・コード1124は、カートリッジ1120に関する多数のパラメータも識別することができる。例えば、バー・コード1124は、カートリッジ、カートリッジがサポートする分析の種類、カートリッジ特定の較正パラメータ(使用する場合のみ)、分析についてのタイミング・パラメータ、分析についての入力圧力および/または流速等を識別することができる。場合によっては、バー・コード1124は、カートリッジを用いて分析を実行するときに、計器が用いるためのソフトウェアを設けることもできる。バー・コード1124を設ける代わりに、またはバー・コード1124を設けることに加えて、RFIDタグを設けてもよく、計器は、RFIDタグを読み取るメカニズムを含んでもよい。RFIDタグは、バー・コード1124に関して先に説明したのと同様の情報を含むことができる。
【0149】
また、温度もある試薬の性能に影響を及ぼすことがあり得る。場合によっては、最高温度インディケータ1126および/または最低温度インディケータ1128を設けるとよい。最低温度インディケータ1128は、JP Labsから入手可能な冷凍インディケータと同様とすればよい。JP Labsから提供されている冷凍インディケータは、ラベルの形態をなし、カートリッジまたはその他のコンテナに容易に貼り付けることができる。冷凍インディケータの温度が水の氷点未満に低下すると、非可逆的な色の変化、例えば、青から赤を生ずる。計器は、光学呼掛け器を含むことができ、これが冷凍インディケータ1128の色を検出し、最低温度未満の温度に試薬が晒されていた場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを提示してもよい。
【0150】
同様に、最高温度インディケータ1126も、JP Labsから入手可能な温度インディケータと同様とすればよい。これらのインディケータは、通常常温よりも高いある所定の温度(または温度範囲)に達すると、色変化を生ずる。加熱すると、無色から赤、無色から緑、青から赤等の変化を生ずる。これらのインディケータは、市販のインク・ビヒクル、例えば、フレクソおよびグラビアに容易に組み込むことができる。計器は、光学呼掛け器を含むことができ、これが温度インディケータ1126の色を検出し、最高温度未満の温度に試薬が晒されていた場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを提示してもよい。
【0151】
湿度および/または水分インディケータも設けてもよい。湿度および/または水分インディケータは、JP Labsから入手可能なものと同様とすればよい。湿度および/または水分インディケータは、完全に水分に露出すると、色変化を生ずることができる。色変化に必要な時間は、通常の環境湿度の下において、数分から数週間まで様々である可能性がある。
【0152】
図示のカートリッジ1120は、時間インディケータ1130も含むことができる。例によっては、密閉パッケージでカートリッジ1120をユーザに出荷する場合もある。密閉パッケージは、カートリッジ1120周囲に、制御した環境を提供することができる。使用前に、ユーザはパッケージからカートリッジ1120を取り出さなければならず、これによってカートリッジ1120を外部環境に露出させる。時間インディケータ1130は、パッケージを開いたときに活性化することができ、所定の時間期間が過ぎた後に、色が変化するか、それ以外では検出可能な状態を提示することができる。時間インディケータ1130は、JP Labsから入手可能な時間インディケータと同様とすればよい。
【0153】
計器は、時間インディケータ1130の色を検出する光学呼掛け器を含むことができ、時間期間が過ぎると、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを提示してもよい。これは、ユーザに、カートリッジのパッケージを開き、血液またはその他のサンプルをカートリッジ1120に装填し、計器を用いて分析を実行するための所定の時間量を与えることができる。これによって、ユーザがサンプルをカートリッジ1120に装填し、分析を実行する前に長く待ちすぎ、これによってサンプルを凝固させたり、乾燥させたり、それ以外の特性変化が生ずる可能性を低下するのに役立てることができる。
【0154】
カートリッジ1120をパッケージから取り出すときに時間インディケータを始動させる代わりに、カートリッジ1120のサンプル入力ポート上に、帯状のテープ1132またはその他の物質を設けてもよい。帯状のテープ1132またはその他の物質は、時間インディケータ1136を包み込むことができる。サンプルをカートリッジに装填する前に、ユーザは帯状のテープ1132またはその他の物質を除去しなければならず、これによって時間インディケータを環境に露出させ、時間インディケータを活性化する。所定の時間期間の後、時間インディケータ1136は色の変化を生ずるか、それ以外の検出可能な状態を提示することができる。
【0155】
計器は、時間インディケータ1136の色を検出する光学呼掛け器を含むことができ、時間期間が過ぎた場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを出してもよい。これは、ユーザに、サンプルの入力ポートから帯状のテープ1132またはその他の物質を除去し、血液またはその他のサンプルをカートリッジ1120に装填し、計器を用いて分析を実行するための所定の時間量を与えることができる。これによって、ユーザがサンプルをカートリッジ1120に装填し、分析を実行する前に長く待ちすぎ、これによってサンプルを凝固させたり、乾燥させたり、それ以外の特性変化が生ずる可能性を低下するのに役立てることができる。
【0156】
場合によっては、カートリッジがばね作動式ランセットを含み、血液サンプルをカートリッジに収集する際に補助するようにしてもよい。例えば、図26は、ばね作動式ランセット1152を含む例示的なカートリッジ1150を示す。ばね作動式ランセット1152は、ばねまたはその他の偏倚エレメント1153を含むことができ、ランセットを突出位置1154に偏倚させる。解放メカニズム1153をばね偏倚ランセット1152に結合し、ランセットを退却位置に固定することができる。解放ボタンまたはレバー1160をユーザが作動させると、解放機構1156はばね偏倚ランセット1152を解放することができ、ランセットは突然退却位置1158から突出位置1154に移動することができる。解放ボタンまたはレバー1160を作動させたときに、ユーザの指がカートリッジ1150に押し付けられていると、ばね偏倚ランセット1152がユーザの皮膚に突き刺さり、しかるべき量の血液を引き出すことができる。ばね偏倚ランセット1152は、カートリッジ1150の中にあるサンプル収集毛細管(図示せず)と流体連通することができ、したがって、例によっては、血液サンプルを直接カートリッジ1150のサンプル収集毛細管に配給することができる。ばね偏倚ランセット1152、解放メカニズム1156、および解放ボタンまたはレバー1160は、Becton, Dickinson and Companyから入手可能なBD(商標)ランセット・デバイスと同様とすればよい。
【0157】
あるいは、サンプルは、例えば、突き刺した指からピペット(恐らくは凝固防止剤を被覆した)を通じてカートリッジのサンプル入力または毛細管に転送することもできる。サンプルの転送およびカートリッジへの導入に、シリンジを用いることもできる。指を突き刺す、切開する、または切る前に指を消毒するために、アルコール・スワブを用いることもできる。図26におけるカートリッジ1150のランセット1152のように、ダイヤルイン深さ設定機能を有するランセットを用いてもよい。
【0158】
場合によっては、そして図27を参照すると、着脱式および/または使い捨てカートリッジ120は、気泡を流動体(flow stream)から除去するメカニズムを含むこともできる。場合によっては、気泡が、チャネルの壁の一部をなす多孔質膜の下を通過する際に、流動チャネルにおける液体流から気泡を除去することができる。図27では、気泡を含む液体が流動チャネル1170を流れていく様子が示されている。膜1172は、流動チャネル1170を開孔チェンバ1174から分離する。開孔チェンバ1174は、流動チャネル1170における圧力よりも低い圧力に保持されている。場合によっては、膜は、マサチューセッツ州BillericaにあるMillipore Corporationから入手可能なFluoropore(商標)、Mitex(商標)、またはDurapore(商標)膜のような、疎水性膜である。Mitex(商標)膜は、PTFEで作られ、小孔のサイズは5または10ミクロンである。Fluoropore (商標)膜は、支持剤HDPEを含有するPTFEで作られ、小孔のサイズは1または3ミクロンである。Durapore(商標)膜は、フッ化ポリビニリデンで作られ、小孔のサイズは0.1、0.22、および0.45ミクロンである。疎水性膜は、多くの場合、高い圧力差を維持することができ、それを通じた流体の漏れは生じない。
【0159】
流動チャネル1170と開孔チェンバ1174との間の圧力差によって、気泡1180内の気体を、膜1172を通して発散し、膜1172の下流において流体内の気泡を大幅に減少させる(望ましくは、気泡がなくなる)。次いで、気泡のない液体は、1184に示すように、下流に流れ、着脱式および/または使い捨てカートリッジ上の流体回路によって更に処理する。
【0160】
小孔のサイズが大きくなる程、小さな小孔のサイズよりも、取り込まれた気泡1180から気体の同じ流速を得るには少ない圧力差で済むが、液体の一部を通過させなければ、大きな圧力差を維持することができない。1つの微小孔を有する膜は、液体および膜の表面エネルギならびに小孔の幾何学的形状にもよるが、1PSI程度の圧力差を維持できるべきことが推定される。
【0161】
図28は、流動チャネル1185内部の側壁上における気泡トラップ1191の例示的な例の模式図である。気泡1187は、流れ1193と共に1つ又は複数のトラップ1191の中に流入し、凝固し、既にトラップの中にある気泡1189と合体することができる。あるいは、気泡1191はトラップの中における初期気泡1189となる場合もあり得る。トラップは、流動チャネルの壁における、三角形状フックのような、変形としてもよく、その場合、気泡が付近を通過する際に取り込まれ、トラップから流出して再度流動体に戻ることはできない。図示のような三角形状の他にも、トラップの形状は、矩形、半円形等としてもよい。
【0162】
場合によっては、サンプル分析装置は、サンプル分析装置の種々の構成部品を制御するために、電子部品および/またはソフトウェアを有してもよい。場合によっては、サンプル分析装置をライン電圧で給電してもよいが、停電の場合に備えて、バッテリ・バックアップを有するとよい。電子部品は、ときによってはバッテリ・バックアップと共に、クロック・チップを含み、精度高い時刻および日付を維持することができる。精度高い時刻および日付を有することは、例えば、試薬パッケージまたはカートリッジ上のバー・コード等から読み取ることができる、試薬の有効期限を比較して、試薬が未だ使用可能か否か判定する際に、有効に用いることができる。
【0163】
分析中に停電が発生し、しかもバッテリ・バックアップが設けられていない場合、電子部品および/またはソフトウェアは、分析を終了し、結果を発行せず、そして場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに発行することができる。
【0164】
電子部品および/またはソフトウェアは、サンプル分析装置の種々の光源および検出器に結合することができる。例によっては、電子部品および/またはソフトウェアは、サンプル分析の前、後、および/または周期的に、あるいは分析の間中、光源および光検出器の動作をチェックすることができる。例えば、電子部品および/またはソフトウェアは、サンプル分析の前、後、および/または周期的に、あるいは分析の間中、1つ又は複数の検出器が、対応する光源によって供給される光を検出していることを検証することができる。
【0165】
あるいは、または加えて、光窓における亀裂、あるいは光窓上の汚れやごみのような、カートリッジ内の異常は、カートリッジを計器に挿入した後で、分析手順を開始する前に、識別するとよい。これは、例えば、1つ異常の光源を作動させて光窓を通じて光を供給し、1つ異常の検出器を用いて、光学的特徴(反射率、散乱、FALS、SALS、LALS等)を検出することによって遂行することができる。光窓が切れ部、汚れまたはごみを光窓上に、またはその他の不規則を含む場合、これらの不規則が原因で、検出器において予期しない光学的特徴が生ずる場合がある。電子部品および/またはソフトウェアがこのような異常を検出した場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを出してもよい。
【0166】
流速センサがサンプル分析装置の中にある場合、ある種の電子部品および/またはソフトウェアは、分析の前、後、または最中に流速センサの出力を監視して、指示された流速が所望の範囲内に納まっている、または所望の特徴に沿っていることを確認することができる。電子部品および/またはソフトウェアが、指示された流速が所望の範囲に納まらず、所望の特徴に沿ってもいない場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを出してもよい。
【0167】
場合によっては、サンプル分析装置は、あるレベルの内蔵自己検査(BIST)を含むとよい。例えば、検査モードでは、電子部品における記憶エレメント(例えば、レジスタ)の一部または全部を、直列走査連鎖的に、選択的に一緒に接続することができ、検査ベクトルを、連鎖結合したレジスタ内に直列に走査することができる。場合によっては、電子部品の入力および出力は検査レジスタを含むことができ、これを検査モードにおいてのみ論理的に挿入する。機能的クロック・サイクルを監視開始し、検査ベクトル・ビットを、レジスタ間のロジックを通じて放出し、結果をレジスタによって捕獲する。次いで、結果を直列的にレジスタから読み出し、期待結果と比較する。これによって、サンプル分析器における電子部品のロバストな検査を行うことができる。
【0168】
かかる検査ベクトルの多くは、所望の障害保護範囲(fault coverage)を達成するために実行することができる。場合によっては、障害保護範囲は、所望に応じて、ロジックの50パーセントよりも大きい、ロジックの60パーセントよりも大きい、ロジックの80パーセントよりも大きい、ロジックの90パーセントよりも大きい、ロジックの95パーセントよりも大きい、またはロジックの99パーセントよりも大きいこともあり得る。一旦検査したなら、電子部品を再度機能モードに切り換えることができ、サンプル分析装置の通常の機能的動作を再開することができる。サンプル分析装置は、1時間に1回、1日に1回、1週間に1回、1月に1回、またはその他のいずれの所望の間隔というような、周期的な間隔で検査モードに自動的に入ることができる。
【0169】
場合によっては、電子部品および/またはソフトウェアは、用途に応じて、5,000時間より長い、8,000時間より長い、10,000より長い、50,000時間より長い、100,000時管より長い、またはそれよりも長い平均故障間隔が得られるように、設計および/または検査する。
【0170】
例によっては、サンプル分析装置は、インターネットを通じて、1箇所以上の遠隔地に接続することもできる。そのように設ける場合、検査結果は、所望であれば、長期間の格納および/または更なる分析のために、遠隔地に配信することができる。加えて、遠隔地は、診断ソフトウェアを含むことができ、サンプル分析装置の遠隔診断および/または保守も実行できることも想定している。場合によっては、遠隔地は自動的にサンプル分析装置のファームウェアまたはソフトウェアをアップグレードすることもできる。
【0171】
カード拒否およびその他のエラーを遠隔地に送ることができる。遠隔地は、特定のサンプル分析装置に普通でなく高いエラーが発生しているか否か判定することができる。普通でなく高いエラーとは、サンプル分析装置の中で故障したハードウェア・コンポーネントまたは十分とは言えないハードウェア・コンポーネントを示すことができ、サービス担当者を遠隔地から派遣して、ユーザが問題を検出する前に、このコンポーネントを修理/交換することができる。また、特定の場所において普通でなく高いエラーは、その場所にいるユーザが付加的な訓練を必要としていることを示す場合もある。かかる訓練は、研究所所員のために遠隔地から急送することができる。カートリッジおよび計器は、訓練を受けていない要員でも動作可能であるように設計することができる。
【0172】
また、遠隔地は、多数のサンプル分析装置からのエラーおよび/またはBIST結果を統計的に分析し、サンプル分析装置の後続バージョンにおいて強化することができる、サンプル分析装置のコンポーネント、ソフトウェア、またはその他のエリアを特定することができる。
【0173】
サンプル分析装置内または周囲の温度、湿度、およびその他の環境パラメータを周期的に検知し、遠隔地に送るとよく、所望に応じて、衝撃、傾き、およびその他のセンサ・データも周期的に検知し、遠隔地に送るとよい。
【0174】
本明細書では、内容の一部は、性質上仮説的または予言的であっても他の文体または時世で述べられていることもある。
以上、少なくとも1つの例示的な例に関して、本発明について説明したが、本明細書を読めば、多くの変形や修正が当業者には明白となろう。したがって、添付した請求項は、従来技術に鑑み、かかる変形および修正を全て含むようにできるだけ広く解釈するものとすることを表明する。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】図1は、例示的なサンプル分析装置およびカートリッジの斜視図である。
【図2】図2は、図1の例示的なサンプル分析装置およびカートリッジの模式図である。
【図3】図3は、図2のサンプル分析装置およびカートリッジの流速制御を示す、更に詳細な模式図である。
【図4】図4は、例示的なカートリッジのある種の機構の模式図である。
【図5】図5は、カートリッジに含むことができる多数の例示的な貯蔵槽の模式図である。
【図6】図6は、血液サンプルを分析するための例示的手法を示す模式流れ図である。
【図7】図7は、多数の赤血球パラメータを得るための例示的手法を示す模式流れ図である。
【図8】図8は、血液サンプルを分析するための別の例示的手法を示す模式流れ図である。
【図9a】図9aは、ニードル−隔膜界面を示す。
【図9b】図9bは、ニードル−隔膜界面を示す。
【図9c】図9cは、シャフト−膜界面を示す。
【図9d】図9dは、シャフト−膜界面を示す。
【図9e】図9eは、膜−膜界面を示す。
【図9f】図9fは、膜−膜界面を示す。
【図9g】図9gは、推進流体、溶解(lysing)溶液、球体化溶液(sphering solution)、およびシース流体(sheath fluid)の空洞に提案する直径を示す表である。
【図10】図10は、サンプル分析装置を設定し動作させるための例示的手法を示す模式流れ図である。
【図11】図11は、サンプル分析装置を動作させるための別の例示的手法を示す流れ図である。
【図12】図12は、サンプル分析装置を動作させるための別の例示的手法を示す流れ図である。
【図13】図13は、正しくないまたは望ましくない流体が流体回路の流動チャネル内にあるときに、これを特定し易くするために用いることができる例示的な光学測定の模式図である。
【図14】図14は、正しくないまたは望ましくない流体が流体回路の流動チャネル内にあるときに、これを特定し易くするために用いることができる別の例示的な光学測定の模式図である。
【図15】図15は、正しくないまたは望ましくない流体が流体回路の流動チャネル内にあるときに、これを特定し易くするために用いることができる例示的な電子測定の模式図である。
【図16】図16は、正しくないまたは望ましくない流体が流体回路の流動チャネル内にあるときに、これを特定し易くするために用いることができる別の例示的な測定の模式図である。
【図17】図17は、流動チャネル内にあるサンプル流体が1つ又は複数の気泡またはその他の望ましくない粒子を有するときに、それを特定する際に用いることができる例示的な例の模式図である。
【図18】図18は、流動チャネル内にあるサンプル流体が1つ又は複数の気泡またはその他の望ましくない粒子を有するときに、それを特定する際に用いることができる別の例示的な例の模式図である。
【図19】図19は、流動チャネル内にあるサンプル流体が1つ又は複数の気泡またはその他の望ましくない粒子を有するときに、それを特定する際に用いることができる例示的な例の模式図である。
【図20】図20は、図19の流動チャネル内にあるサンプル流体に、圧力源によって供給することができる例示的な圧力パルス900を示すグラフである。
【図21】図21は、流体回路の流動チャネルにおけるサンプル流体の末端または遠端の場所を判定または推定する際に用いることができる例示的な例の模式図である。
【図22】図22は、2つ又は3つ以上の流体が流体回路の下流において合流するときを判定する際に用いることができる例示的な例の模式図である。
【図23】図23は、2つ又は3つ以上の流体が流体回路の下流において合流するときを判定する際に用いることができる例示的な例の模式図である。
【図24】図24は、例示的な計器およびカートリッジの模式図であり、カートリッジを適正な向きでなければ計器内に挿入できないように、カートリッジおよび計器に位置を指示している。
【図25】図25は、例示的なカートリッジの模式図である。
【図26】図26は、ばね作動式ランセットを含む例示的なカートリッジの模式図である。
【図27】図27は、流動チャネルからの気泡を除去するための膜を有する例示的なカートリッジの模式図である。
【図28】図28は、流動チャネルにおける気泡の捕獲の例示的な例の模式図である。
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年12月22日に出願した米国仮特許出願第60/753,293号の優先権を主張する。
本願は、2005年12月29日に出願した米国仮特許出願第60/755,014号の優先権を主張する。
【0002】
本願は、2004年5月14日に出願した米国仮特許出願第60/571,235号の優先権を主張する、2005年5月12日に出願した米国特許出願第10/908,460号の一部継続出願である。
【0003】
本願は、2004年5月14日に出願した米国仮特許出願第60/571,235号の優先権を主張する、2005年5月12日に出願した米国特許出願第10/908,461号の一部継続出願である。
【0004】
本願は、2004年9月27日に出願した米国特許出願第10/950,898号の一部継続出願である、2005年12月30日に出願した米国特許出願第11/306,508号の一部継続出願である。
【0005】
本願は、2004年9月9日に出願した米国特許出願第10/938,265号の一部継続出願である。
本発明は、一般的には、サンプル分析装置(sample analyzer)に関し、更に特定すれば、操作が簡単で、誤った結果を提示する危険性を低減したサンプル分析装置に関する。
【背景技術】
【0006】
化学および/または生化学分析は、生命科学の研究、臨床診断、および広範囲の環境およびプロセス監視にとって重要である。場合によっては、サンプル流体の化学および/または生化学分析を行うため、および/またはそれを補助するために、サンプル分析装置が用いられる。サンプル流体は、用途に応じて、液体または気体の場合もあり得る。
【0007】
多くのサンプル分析装置は、どちらかと言うと大型のデバイスであり、訓練された要員が研究室環境において用いている。多くのサンプル分析装置を用いるためには、最初に収集したサンプルを処理しなければならず、サンプルを所望のレベルに希釈し、しかるべき試薬を添加し、サンプルを遠心分離して所望の分離を行う等の後に、準備したサンプルをサンプル分析装置に供給する。精度の高い結果を達成するために、かかるサンプル処理は、通例、訓練を受けた要員によって実行しなければならないが、そのためにサンプル分析を実行するために必要なコストおよび時間が増大する。
【0008】
また、多くのサンプル分析装置では、分析フェーズにおいて、追加の情報入力または追加のサンプル処理を必要とするというような、操作者の介入を必要とする。このために、所望のサンプル分析を実行するために必要なコストおよび時間が更に増大する可能性がある。また、多くのサンプル分析装置は、単に生の分析データを出力として供給するに過ぎず、その先の計算および/または解釈は、訓練を受けた要員によって実行して、しかるべき臨床的判断またはその他の判断を下さなければならないことが多い。
【0009】
2005年12月22日に出願した米国仮特許出願第60/753,293号をここで引用することにより、その内容が本願にも含まれるものとする。2005年12月29日に出願した米国仮特許出願第60/755,014号をここで引用することにより、その内容が本願にも含まれるものとする。2005年5月12日に出願した米国特許出願第10/908,460号をここで引用することにより、その内容が本願にも含まれるものとする。2005年5月12日に出願した米国特許出願第10/908,461号をここで引用することにより、その内容が本願にも含まれるものとする。2005年12月30日に出願した米国特許出願第11/306,508号をここで引用することにより、その内容が本願にも含まれるものとする。2004年9月27日に出願した米国特許出願第10/950,898号の一部継続出願をここで引用することにより、その内容が本願にも含まれるものとする。2004年9月9日に出願した米国特許出願第10/938,265号をここで引用することにより、その内容が本願にも含まれるものとする。
【発明の開示】
【0010】
本発明は、一般的には、サンプル分析装置に関し、更に特定すれば、更操作が簡単で、誤った結果をユーザに提示する危険性を低減したサンプル分析装置に関する。場合によっては、サンプル分析装置は、使い捨て流体カートリッジを含む携帯用サンプル分析装置とすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、サンプル分析装置に関し、更に特定すれば、操作が簡単で、誤った結果を提示する危険性を低減したサンプル分析装置に関する。例によっては、サンプル分析装置は、例えば、流動血球計算器のような血液分析装置、血液学(hematology)分析装置、臨床化学分析装置(例えば、ブドウ糖分析装置、イオン分析装置、電解質分析装置、溶融気体分析装置等)、尿分析装置、またはその他の適した分析装置であれば、所望に応じて、いずれであってもよい。
【0012】
本発明では、当該発明またはそれによって行われる検査がある種の要件を満たすのであれば、規制的監督(regulatory oversight)から特認(waive)される場合もある。本発明は、検査の準備をするおよび/または検査を実行するために実施することができる。検査は、簡単で精度が高い研究室の試験および手順とすることができ、誤った結果の公算を無視し得る程に減らし、検査を正しく行わなかった場合でも患者に危害を加える危険性が少しもない。一種の特認(waiver)は、1988年の臨床研究室改善修正条項としてもよい。
【0013】
図1は、流動血球計算器の斜視図である。流動血球計算分析装置は、例示の目的で説明するに過ぎず、望ましければ、別の種類のサンプル分析装置に適用してもよいことを想定している。図示のサンプル分析装置を全体的に10で示し、筐体12および着脱式または使い捨てカートリッジ14を含む。図示の筐体12は、底面16、カバー18、および蝶番20を含む。蝶番20は、底面をカバー18に取り付けるが、これは必須ではない。図示の例では、基板16は、第1光源22a、第2光源22b、および第3光源22cを、付随する光学素子およびサンプル分析装置の動作に必要な電子部品と共に含んでいる。光源の各々は、用途に応じて、単一光源または多重光源のいずれでもよい。場合によっては、所望に応じて、筐体全体の寸法が1立方フィート未満、1/2立方フィート未満、1/4立方フィート未満、またはそれよりも小さい場合もあり得る。同様に、筐体全体の重量は、所望に応じて、10ポンド未満、5ポンド未満、1ポンド未満、またはそれよりも小さい場合もあり得る。
【0014】
図示のカバー12は、圧力源(例えば、制御用微小弁を有する圧力チェンバ)、第1光検出器24a、第2光検出器22b、および第3光検出器22cを含み、各々には光学素子および電子部品が付随する。光検出器の各々も、用途に応じて、単一光検出器または多重光検出器のいずれでもよい。所望であれば、偏光板および/またはフィルタも、用途に応じて、設けてもよい。
【0015】
図示の着脱式カートリッジ14は、サンプル収集ポートを通じてサンプル流体を受けるように構成されており、図示の例では、ランセット(lancet)32を含む。ランセット32は、例によっては、伸縮自在および/またはばね懸架式としてもよい。キャップ38は、着脱式カートリッジ14が用いられていないときに、サンプル収集ポートおよび/またはランセット32を保護するために用いることができる。
【0016】
図示の例では、着脱式カートリッジ14が血液サンプル全体について血液分析を行う。ランセット32は、ユーザの指に突き刺して、血液サンプルを得るために用いることができる。血液は、毛細管作用によって、着脱式カートリッジ14内にある、凝固防止被膜を施された毛細管に引き込まれる。着脱自在カートリッジ14は、流体回路で構成することができ、流体回路の一部は、チャネルを食刻した積層構造を用いて作成されている。しかしながら、着脱式カートリッジ14は、所望に応じて、射出成形あるいは適しているのであれば他のいずれの製造プロセスまたは手法によることも含む、いずれの適した様式で構成してもよいことを想定している。
【0017】
使用中、および血液サンプルを着脱式カートリッジ14内に引き込んだ後、着脱式カートリッジ14を筐体内に挿入することができる。場合によっては、着脱式カートリッジ14は、カバー18が開放位置にあるときに挿入するとよいこともある。しかしながら、他の例では、着脱式カートリッジ14は、適した方法であればいずれでも筐体内に挿入してもよい。例えば、筐体がスロットを有し、着脱式カートリッジ10筐体のスロットに挿入してもよい。
【0018】
図1の例示的な例に戻り、着脱式カートリッジ14は、底面16に位置合わせピン28aおよび28bを受容する孔26aおよび26bを含むことができ、計器の異なる部品間で整合および結合を行う際に役立てることができる。また、着脱式カートリッジ14は、第1透明流動窓(flow stream window)30c、第2透明流動窓30b,および第3透明窓30cも含むことができ、これらは、第1、第2、および第3光源22a、22bおよび22c、ならびに第1、第2、および第3光検出器24a、24bおよび24cとそれぞれ整列されている。
【0019】
カバーを閉鎖位置に移動し、システムを加圧すると、カバー18は、圧力供給ポート36a、36b、36c、および36dを通じて、それぞれ、図示の着脱式カートリッジ14の中にある圧力受入ポート34a、34b、34cおよび34cに、制御した圧力を供給する。尚、用いる圧力供給および圧力受入ポートは、用途に応じて、これらよりも多い場合も少ない場合もあり得ることを想定している。あるいは、または加えて、静電作動式メソ・ポンプ(meso pump)のような、1つ又は複数の微小ポンプを、着脱式カートリッジ14上または内部に備えて、着脱式カートリッジ14上の流体回路を動作させるのに必要な圧力を供給するようにしてもよいことも想定している。例えば、数個の例示的な静電作動式メソ・ポンプが、米国特許第5,836,750号、第6,106,245号、第6,179,486号、第6,729,856号、および第6,767,190号に記載されている。これらは全て、本発明の譲受人に譲渡されており、ここで引用したことにより、その内容は本願にも含まれるものとする。
【0020】
一旦加圧すると、図示の計器は収集した血液サンプルに対して血液分析を実行することができる。場合によっては、血液分析は、完血球計数(CBC)分析を含んでもよいが、用途に応じて、他の種類の分析を実行することもできる。
【0021】
赤血球を計数し分類するために、全血液サンプルの一部を区分し、着脱式カートリッジ14の中にある赤血球測定チャネルに供給する。次いで、望ましければ、血液サンプルを希釈することができ、赤血球をその場で球状にすることができ、その結果得られたサンプルを流体力学的に収束して(focus)中核情報を求め、最終的に第1血球計算チャネルに供給することができる。第1血球計算チャネルは、着脱式カートリッジ14の第1透明流動窓30aに沿って配置することができるので、流動体(flow stream)内の血球に、第1光源22aおよび第1光検出器24aによって光学的に呼掛ける(interrogate)ことができる。場合によっては、第1流速センサを着脱式カートリッジ14上に設け、第1血球計算チャネルを通過する際の流速の尺度を供給することもできる。
【0022】
場合によっては、測定したパラメータは、例えば、サンプル流速(FR)、測定時間(T)期間、サンプル希釈係数(DF)、計数した赤血球数(NRB)、計数した血小板数(Nplt)、各血球の直径(drbc)、および各血球のヘモグロビン濃度(CHC)を含むことができる。これらのパラメータから、多数の赤血球分析パラメータを計算することができ、例えば、赤血球計数(RBC=NRB/(DFxFRxT)、血小板計数(Plt=Nplt/(DFxFRxT))、平均血球ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHC>)、平均血球体積(MCV=(π/6)x<drbc3>)、平均血球ヘモグロビン含有量(MCH=(π/6)x< drbc3xCHC>)、相対的分散幅(RDW=[(π/6)x drbc3]/MCV)の標準偏差)、ヘマトクリット係数(Het=RBCxMCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHCxHct)を含む。
【0023】
例によっては、血液サンプルの一部を吸収測定チャネルにも送出する。吸収測定チャネルは、着脱式カートリッジ14の第3透明窓30cに沿って配置することができるので、第3光源22cおよび第3光検出器24cによって血液サンプルに光学的に呼掛けることができる。着脱式カートリッジ14上に流速センサを設けて、吸収測定チャネルに流入するまたは通過する際の流速の尺度を供給することもできる。吸収測定チャネルは、第3光源22cが供給する入射光の吸収の尺度を規定することができる。測定した吸収度は、血液サンプルにおけるバルクまたは平均血球ヘモグロビン濃度の指示を提示することができる。
【0024】
白血球を計数し分類するために、全血液サンプルの一部を区分して、着脱式カートリッジ14の中にある白血球測定チャネルに供給することができる。次いで、所望であれば、血液サンプルを希釈することができ、その場で赤血球を溶解させることができ、その結果得られたサンプルを流体力学的に収束して中核情報を求め、最終的に第2血球計算チャネルに供給することができる。第2血球計算チャネルは、着脱式カートリッジ14の第2透明流動窓30bに沿って設けることができるので、第2光源22bおよび第2光検出器24bbによって光学的に流動体内の血球に呼掛けることができる。着脱式カートリッジ14上に流速センサを設けて、第2血球計算チャネルを通過する際の流速の尺度を規定することができる。場合によっては、測定した白血球パラメータは、例えば、3または5部白血球分画(three or five part white cell differentiation)、総白血球計数数、および/または軸上白血球体積(on-axis white blood cell volume)を含むことができる。用途によっては、他のパラメータも測定または計算することもできる。
【0025】
図1は、1つの例示的なサンプル分析装置およびカートリッジ・アセンブリを示す。しかしながら、他のサンプル分析器の構成を用いてもよいことも想定している。例えば、サンプル分析装置10および着脱式カートリッジは、Schwichtenberg at al.の米国特許出願第2004/0211077号に記載されているものと同様であってもよい。この特許出願の内容は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。
【0026】
場合によっては、サンプル分析装置10は、医者の診察室、家庭内、または現場のどこかというような、患者の看護地点において用いられるように構成されている。研究室環境の外部で信頼性高く用いることができるサンプル分析装置10を提供することができ、しかも特殊な訓練は殆どまたは全く不要なので、サンプル分析プロセスを簡略化し、コストおよび医療要員の負担を軽減し、比較的頻繁に血液監視/分析を必要とする患者を含む、多くの患者に対するサンプル分析の利便性を高めるのを促進することができる。
【0027】
動作の間、サンプル分析装置10は、収集した全血液サンプルのような、収集したサンプルを受け取り、一旦分析装置を作動させると、サンプル分析装置10は自動的にサンプルを処理し、診断的判断を下すための情報をユーザに提供することができる。例によっては、サンプル分析装置10はユーザがそれ以上の計算や解釈をしなくても済むように、定量的な結果(例えば、既定の範囲内および/または外)を表示または指摘することもできる。
【0028】
図2は、図1の例示的サンプルサンプル分析装置およびカートリッジの模式図である。既に詳細に説明したように、そして図示の例では、底面16は多数の光源22、付随する光学素子、ならびに分析装置の動作に必要な制御および処理用電子部品40を含むことができる。また、基板16は、バッテリ42、変圧器、またはその他の電源も含むことができる。図示のカバー12は圧力源/流速制御ブロック44、および光学素子が付随する多数の光検出器24を有する。
【0029】
着脱式カートリッジ14は、サンプル収集ポートまたはランセット32を通してサンプル流体を受け取ることができる。圧力源/流速制御ブロック44によって加圧すると、着脱式カートリッジ14は、受け取った血液サンプルに対して血液分析を実行することができる。例によっては、そして既に説明したように、着脱式カートリッジ14は、多数の試薬49と、試薬を血液サンプルと混合して分析用血液サンプルを調合する流体回路とを含むことができる。また、着脱式カートリッジ14は、場合によっては、流体回路の適正な動作を制御および/または検証するのに役立てるために、多数の流速センサも含むことができる。
【0030】
場合によっては、血液サンプルを調合し(例えば、溶解、球体化、染色、希釈、および/またはそれ以外の処理)、次いで血球計算チャネル50のような1つ又は複数の搭載血球計算チャネルにおいて、流体力学的に収束して中核情報を求める。図示の例では、血球チャネル50は、着脱式カートリッジ14の中にある第1透明流動ウィンドウ30aのような透明な流動ウィンドウを通って導出される。基板16における光源22のアレイおよび付随する光学素子は、流動ウィンドウ30aを通じて、中核流を通過する光を供給することができる。光検出器24および付随する光学素子は、同様に流動窓30aを通じて、散乱光および非散乱光を中核から受光することができる。コントローラまたはプロセッサ40は、検出器24のアレイから出力信号を受信することができ、中核流内にある選択されたセルを分画および/または計数することができる。
【0031】
尚、着脱式カートリッジ14は、着脱式カートリッジ14上において流体の少なくとも一部の速度を制御するのを補助するために、流体制御ブロック48を含んでもよいことを想定している。図示の例では、流体制御ブロック48は、種々の流体の速度を検知する流速センサを含み、速度をコントローラまたはプロセッサ40に報告することができる。次いで、コントローラまたはプロセッサ40は、1つ又は複数の制御信号を調節し、これらを圧力源/流速制御ブロック44に供給し、分析装置の適正な動作に合わせた所望の圧力、そして所望の流体速度を達成することができる。
【0032】
血液およびその他の生物廃棄物は、病気を広げる可能性があるので、着脱式カートリッジ14は、図示の血球計算チャネル50の下流に廃棄物槽52を含むとよい。廃棄物槽52は、着脱式カートリッジ14における流動の流体を受け取り蓄積することができる。検査が完了したとき、着脱式カートリッジ14を分析装置から取り外し、例えば、生物廃棄物と相容性のあるコンテナに廃棄することができる。
【0033】
図3は、図2のサンプル分析装置およびカートリッジの流速制御を示す、更に詳細な模式図である。図示の例では、カバー18の中にある圧力源/流速コントローラ44は、4種類の制御された圧力を供給し、これらには、サンプル推進(P)圧力36a、溶解(L)圧力36b、球体(SP)圧力36c、シース(SH:sheath)圧力36d、および希釈(D)圧力36eが含まれる。これらは単に例示であり、これらおよりも多い圧力、少ない圧力、または異なる圧力(例えば、染料槽への染色圧力)も、用途に応じて、圧力源/流速コントローラ44によって供給することができる。また、カバー18が圧力源/流速コントローラ44を全く含まない場合もあり得ることも想定している。変わりに、着脱式カートリッジ14は、圧縮空気槽のような搭載圧力源、前述した静電作動メソ・ポンプのような1つ又は複数の微小ポンプ、あるいは所望に応じて適した圧力源であればその他のいずれでも含むことができる。光源および検出器のアレイは、図3には示されていない。
【0034】
図示の例では、圧力源36aは、推進流体65を通じて血液サンプル槽62に圧力を供給し、圧力源46bは圧力を溶解槽64に供給し、圧力源36cは圧力を球体槽66に供給し、圧力源36dは圧力をシース槽68に供給し、圧力源36eは圧力を希釈剤槽70に供給する。
【0035】
例示的な一例では、各圧力源は、入力圧力を受ける第1圧力チェンバと、制御した圧力を着脱式カートリッジに供給する第2圧力チェンバとを含むことができる。第1圧力チェンバと第2圧力チェンバとの間に第1弁を設けて、第1圧力チェンバ内の圧力を制御可能に第2圧力チェンバに放出することができる。第2圧力チェンバと流体連通する第2弁が、第2圧力チェンバ内の圧力を大気に制御可能に発散することができる。これによって、圧力源/流速コントローラ44は、着脱式カートリッジ14上の圧力受入ポートの各々に、制御した圧力を供給することが可能になる。各弁は、例えば、米国特許第6,240,944号に記載されているように、個別に指定可能および制御可能な静電作動式微小弁のアレイとすることができる。この特許の内容は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする。あるいは、各弁は、制御可能なデューティ・サイクルでパルス変調され、「有効」流速および漏れ率の制御を遂行する、静電作動式微小弁のアレイでもよい。また、望ましければ、その他の弁を用いてもよい。
【0036】
図示の着脱式カートリッジ14は、5つの圧力受入ポート34a、34b、34c、34dおよび34eを含む、各々、圧力源/流速コントローラ44から対応する制御圧力(controlled pressure)を受ける。図示の例では、圧力受入ポート34a、34b、34c、34dおよび34eは、制御圧力を血液槽62、溶解槽64、球体槽66、シース槽68、および希釈剤槽70にそれぞれ送出する。溶解槽64、球体槽66、シース槽68、および希釈剤槽70は、着脱式カートリッジ14を使用のために出荷する前に充填しておくとよいが、血液槽62は現場においてサンプル収集ポートまたはランセット32を通じて充填してもよい。
【0037】
図示のように、流速センサには、直列に各流体または選択した流体を供給することができる。各流速センサ80a〜80eは、対応する流体の速度を測定することができる。流速センサ80a〜80eは、熱風速型(thermal anemometer type)流速センサ、およびマイクロブリッジ型流速センサとすることができる。マイクロブリッジ流速センサは、例えば、米国特許第4,478,076号、米国特許第4,478,077号、米国特許第4,501,144号、米国特許第4,651,564号、米国特許第4,683,159号、および米国特許第5,050429号に記載されている。これらの全ては、ここで引用したことにより、その内容が本願にも含まれるものとする。
【0038】
あるいは、または加えて、センサ80a〜80eは、熱伝導性、比熱、流体密度、電気抵抗率、および/または、例えば、流体チャネルを通過する流体が予期した流体または予期した種類の流体であることを識別または検証し易くするための流体のその他の特性というような、流体の1つ又は複数の特性を検出するために用いてもよい。これによって、予期した流体が実際に、個々の分析または手順の間に流体チャネルにおいて実際に用いられていることを検証し易くすることができる。コントローラは、予期した流体が実際に流体チャネルにおいて用いられているか否か検出し、場合によっては、警報を発するおよび/またはサンプル分析装置を停止するようにプログラムすることもできる。
【0039】
各流速センサ80a〜80eからの出力信号は、コントローラまたはプロセッサ40に供給することができる。コントローラまたはプロセッサ40は、図示のように、制御信号を圧力源/コントローラ44に供給することができる。例えば、血液サンプルに供給する圧力を制御するには、コントローラまたはプロセッサ40は、血液サンプルの速度が第1所定値未満に低下したときに、圧力源/コントローラ44における第1圧力チェンバと第2圧力チェンバとの間にある第1弁を開いて、第1圧力チェンバ内の圧力を第2圧力チェンバに制御可能に放出することができる。同様に、コントローラまたはプロセッサ40は、血液サンプルの速度が第2所定値を超えて上昇したときに、第2弁を開いて、第2圧力チェンバ内の圧力を放出することができる。コントローラまたはプロセッサ40は、溶解試薬、球体化試薬、シース流体(sheath fluid)、および希釈剤の速度を同様に制御することができる。
【0040】
場合によっては、コントローラまたはプロセッサは、流体チャネルを通過する流速における1つ又は複数の変化を検出できることもある。流速の変化は、例えば、流体チャネル内における1つ又は複数の気泡、例えば、血液サンプルの凝固によって生ずる流体チャネルの閉塞または部分的閉塞、流体チャネル内における望ましくないまたは異物、および/または流体チャネルのその他の望ましくない特性に対応する場合がある。場合によっては、流速の立ち上がり時間、立ち下がり時間、またはその他の特性を用いてもよい。コントローラまたはプロセッサ40は、このような特性を流速から検出し、場合によっては、警報を発するおよび/またはサンプル分析装置を停止するようにプログラムすることもできる。
【0041】
熱風速型流速センサは、通例、加熱エレメントを含み、加熱エレメントは、付勢すると、1つ又は複数の熱パルスを流体内に生成する。この流速センサは、更に、1つ又は複数の熱パルスを検出するために、加熱エレメントの上流および/または下流に位置する1つ又は複数の熱センサも含む。流体チャネルを通過する流体の速度は、熱パルスが加熱エレメントから、離間した熱センサの1つまで移動するのに要する時間に関係付けることができる。
【0042】
場合によっては、熱風速型流速センサは、流体の熱伝導率および/または比熱を検出するために用いることもできる。流体の熱伝導率および/または比熱の変化は、流体の状態変化(血液サンプルの凝固)、流体内の気泡、流体内の望ましくない物体または異体等のような、流体特性の変化に対応することもあり得る。あるいは、または加えて、熱風速型流速センサは、熱電導率、比熱などのような流体の1つ又は複数の特性を検出し、例えば、流動チャネルを通過する流体が予期した流体かまたは予期しない種類の流体かを識別または検証し易くするために用いることもできる。これによって、予期した流体が実際に、個々の分析または手順の間に流体チャネルにおいて実際に用いられていることを検証し易くすることができる。場合によっては、コントローラまたはプロセッサ40は、熱風速型流速センサ付近を通過する流体の熱伝導率および/または比熱を監視することによって、流体の特性を検出してもよいことも想定している。コントローラまたはプロセッサ40は、例えば、流体内における望ましくない特性(例えば、気泡)、および/または予期した流体が実際に流体チャネルにおいて用いられているか否か検出し、場合によっては、警報を発するおよび/またはサンプル分析装置を停止するようにプログラムすることもできる。
【0043】
場合によっては、流体チャネルと流体連通して、インピーダンス・センサを設けてもよい。コントローラまたはプロセッサ40をインピーダンス・センサに結合することができる。流体のインピーダンス変化は、流体の状態変化(血液サンプルの凝固)、流体内の気泡、流体内の望ましくない物体または異体、正しい流体の種類等のような、流体特性の変化に対応することもあり得る。このように、そして例によっては、コントローラまたはプロセッサ40は、インピーダンス・センサ付近を通過する流体のインピーダンスを監視することによって、流体の特性を検出してもよいことも想定している。
【0044】
全体的に110で示す下流弁を設けることもできる。コントローラまたはプロセッサ40は、所望に応じて、下流弁110を開放/閉鎖することができる。例えば、下流弁110は、システムを完全に加圧するまで、閉じたままにしておくことができる。これは、システムが完全に加圧される前に、血液、溶解試薬、球体化試薬、シース流体、および希釈剤が流体回路86内に流入するのを防止するのに役立つことができる。また、下流弁110を制御して、ゼロ流速検査などのような、ある種の検査を実行する際に補助することもできる。別の例では、下流弁110は、例えば、カバーを閉じるときに、機械的作用によって開くことができる。
【0045】
図4は、例示的な着脱式カートリッジのある種の特徴の模式図である。図示の着脱式カートリッジを全体的に100で示し、図1から図3を参照して先に示し説明した着脱式カートリッジ14と同様でもよい。尚、着脱式カートリッジ100は単なる例示に過ぎず、本例は、形態、機能、または構成には関係なく、多くの微小流体カートリッジに応用できることは言うまでもない。例えば、本例は、流動血球計算、血液学、臨床化学、血液化学分析、尿分析、血液気体分析、細菌分析、バクテリア分析、電解質測定などに合わせて構成した着脱式カートリッジに応用することができる。また、着脱式カートリッジ100のような、本システムの着脱式カートリッジ100は、適した材料または材料系であればいずれでも作ることができ、例えば、ガラス、シリコン、1つ又は複数のポリマ、あるいは他のあらゆる適した材料または材料系、あるいは材料または材料系の組み合わせを含む。
【0046】
図示の着脱式カートリッジ100は、第1測定チャネル102および第2測定チャネル104を含むが、これらよりも多いまたは少ない測定チャネルも、所望に応じて、用いることができる。図示の例では、第1測定チャネル102は、赤血球測定チャネルであり、第2測定チャネル104は白血球測定チャネルである。血液サンプル全体は、血液受入ポート106を通じて、着脱式カートリッジ100によって受け取られ、毛細管作用によって、既知の量の血液が、凝固防止被覆血液サンプル蓄積毛細管108に引き込まれる。図3のサンプル推進(P)圧力36aのようなサンプル推進(P)圧力を、図3のサンプル推進流体槽65のようなサンプル推進流体槽に供給する。圧力を与えると、サンプル推進流体がサンプル推進流体槽から血液サンプル推進チャネル110内に送り込まれる。
【0047】
例示的な例によっては、弁112および流速センサ114を血液サンプル推進チャネル110と直列に設けることもできる。弁112は、流体回路を通じて血液サンプルを推進するのが望ましいときに開くように制御することができる。流速センサは、血液サンプル推進流体の流速を測定することができ、したがって凝固防止被覆毛細管を通過する際の血液サンプルの流速を測定することができる。流速センサ114によって供給される流速は、着脱式カートリッジ100に供給するサンプル推進(P)圧力を制御し易くするために用いることができる。
【0048】
図示の例では、血液サンプル全体を区分し、分岐路116を通じて、赤血球測定チャネル102および白血球測定チャネル104に共有する。図示の例でぇあ、弁118は赤血球測定チャネル102に流入する血液サンプルを制御するために分岐路と直列に設けられており、白血球測定チャネル104に流入する血液サンプル流を制御するために、弁120が設けられている。
【0049】
具体的に赤血球測定チャネル102に移ると、図3の球体化圧力(SP)36cのような、赤血球球体化試薬圧力(SP)を、図3の球体化槽66のような、球体化試薬槽に供給する。圧力を与えると、球体化槽66内にある球体化試薬が球体化試薬チャネル124に送り込まれる。
【0050】
例示的な例によっては、弁126および流速センサ128も、球体化試薬チャネル124と直列に設けることもできる。弁126は、球体化試薬を流体回路内に推進させるのが望ましいときに開くように制御することができる。流速センサ128は、球体化試薬の流速を測定し、球体化試薬チャネル124を通過する際の球体化試薬の流速の尺度を提示することができる。流速センサ128が提示する流速を用いると、圧力源/コントローラ44によって着脱式カートリッジ100に供給する球体化圧力(SP)を制御し易くすることができる。
【0051】
図示の着脱式カートリッジ100の正常な機能的動作の間、球体化試薬を交差領域130に球体試薬流速で押し込み、更に血液サンプルを交差領域130に血液サンプル流速で押し込む。血液サンプル流速および球体化試薬流速は、図3の圧力源/コントローラ44によって制御することができる。
【0052】
交差領域130は、双方の流体が流れて交差領域130を通過するときに、球体化試薬が血液サンプルの周囲に沿って流れるように構成することができる。場合によっては、球体化試薬の流速は、血液サンプルの流速よりも高くするとよく、これによって、下流の現場球体化チャネル(sphering-on-the-fly channel)132における流動特性を改善し易くすることができ、更に場合によっては、血液を薄いリボン状に形成し、球体化試薬が完全かつ均一にこれを包囲し易くすることができる。このようなリボン状の流動によって、血球が現場球体化チャネル132を通過する際に、球体化試薬が均一に赤血球を球体化し易くすることができる。更に、現場球体化チャネル132の長さは、球体化試薬および血液サンプルの流速と合わせて、血液サンプルをしかるべき時間量の間球体化試薬に露出するように設定することができる。
【0053】
図3のシース(SH)圧力36dのようなシース流体(SH)圧力は、図3のシース流体槽68のような、シース流体槽に供給することができる。圧力を加えると、シース流体がシース流体槽68からシース・チャネル134に送り込まれる。例示的な例によっては、弁136および流速センサ138をシース・チャネル134と直列に設けるとよい。弁136は、シース流体を流体回路内に推進させることが望ましいときに開くように制御することができる。流速センサ138は、シース流体の流速を測定することができ、シース・チャネル134を通過する際のシースの流速の尺度を提示することができる。流速センサ138によって提示する流速を用いると、着脱式カートリッジ100に供給するシース圧力(SH)を制御し易くすることができる。
【0054】
図示の例では、シース流体をシース流体の流速で交差領域140に供給し、更に球体化血液サンプルを球体化血液サンプルの流速で交差領域140に供給する。球体化血液サンプルの流速、およびシースの流速は、図3の圧力源/コントローラ44のような、圧力源/コントローラによって制御することができる。
【0055】
交差領域140は、双方の流体が流れて交差領域140を通過するときに、シース流体が球体化血液サンプルの周囲に沿って流れるように構成することができる。場合によっては、シースの流速は球体化血液サンプルの流速よりも遥かに高く、こうすることによって、下流の流動血球計算チャネル142において中核の形成を改善し易くすることができる。例えば、流動血球計算用途の一部では、交差領域140は、球体化血球を流体力学的に収束し、単一の縦列中核に配列し、各赤血球が着脱式カートリッジ100内の光窓領域144を通過する際に、個々に光学的に分析装置によって呼掛けできるように構成することができる。場合によっては、血球計算チャネル142を通過する流体を搭載廃棄物槽に向けて送出する。
【0056】
これより白血球測定チャネル104に移り、図3の溶解圧力(L)36bのような、白血球溶解試薬圧力(L)を、図3の溶解槽のような溶解試薬槽に供給する。圧力を与えると、溶解槽64内にある溶解試薬が溶解試薬チャネル154に送り込まれる。
【0057】
例示的な例によっては、弁156および流速センサ158を溶解試薬チャネル154と直列に設けることもできる。弁156は、溶解試薬を流体回路内に推進させることが望ましいときに開くように制御することができる。流速センサ158は、溶解試薬の流束を測定し、溶解試薬チャネル154を通過する際の溶解試薬の流束の尺度を提示することができる。流速センサ158が提示する流束を用いると、圧力源/コントローラ44によって着脱式カートリッジ100に供給する溶解圧力(L)を制御し易くすることができる。
【0058】
図示の着脱式カートリッジ100の正常な機能的動作の間、溶解試薬を溶解試薬の流速で交差領域160に供給し、血液サンプルを血液サンプルの流速で交差領域160に供給する。血液サンプルの流速および溶解試薬の流速は、図3の圧力源/コントローラ44のような、圧力源/コントローラによって制御することができる。
【0059】
交差領域160は、双方の流体が流れて交差領域160を通過するときに、溶解試薬が血液サンプルの周囲に沿って流れるように構成することができる。場合によっては、溶解試薬の流速を血液サンプルの流速よりも高くするとよく、これによって現場溶解チャネル162における流動特性を改善し易くすることができ、更に場合によっては、血液を薄いリボン状に形成し、溶解試薬が完全かつ均一にこれを包囲し易くすることができる。このようなリボン状の流動によって、血球が現場溶解チャネル162を通過する際に、溶解試薬が均一に赤血球を溶解し易くすることができる。更に、現場溶解チャネル162の長さは、溶解試薬および血液サンプルの流速と合わせて、血液サンプルをしかるべき時間量の間溶解試薬に露出するように設定することができる。
【0060】
図3のシース(SH)圧力36dのような、シース流体(SH)圧力は、図3のシース流体槽68のような、シース流体槽に供給することができる。圧力を加えると、シース流体がシース流体槽68からシース・チャネル164に送り込まれる。例示的な例によっては、弁166および流速センサ168をシース・チャネル164と直列に設けることができる。弁166は、シース流体を流体回路内に推進させることが望ましいときに開くように制御することができる。流速センサ168は、シース流体の流速を測定し、シース・チャネル164を通過する際のシースの流速の尺度を提示することができる。流速センサ168が提示する流速を用いると、着脱式カートリッジ100に供給するシース圧力(SH)を制御し易くすることができる。場合によっては、シース・チャネル164を通過する際のシースの流速は、シース・チャネル134を通過する際のシースの流速と同一である。しかしながら、その他の場合では、シース・チャネル164を通過する際のシースの流速は、シース・チャネル134を通過する際のシースの流速とは異なる場合もある。
【0061】
図示の例では、シース流体をシース流体の流速で交差領域170に供給し、溶解血液サンプルを溶解血液サンプルの流速で交差領域170に供給する。溶解血液サンプルの流速、およびシースの流速は、図3の圧力源/コントローラ44のような、圧力源/コントローラによって制御することができる。
【0062】
交差領域170は、双方の流体が流れて交差領域170を通過するときに、シース流体が溶解血液サンプルの周囲に沿って流れるように構成することができる。場合によっては、シースの流速は溶解血液サンプルの流速よりも遥かに高く、こうすることによって、下流の流動血球計算チャネル172における中核の形成を改善し易くすることができる。例えば、流動血球計算用途によっては、交差領域170は、溶解血液サンプル内の白血球を流体力学的に収束し、単一の縦列中核に配列し、各白血球が着脱式カートリッジ100内の光窓領域174を通過する際に、個々に光学的に分析装置によって呼掛けできるように構成することができる。場合によっては、血球計算チャネル172を通過する流体を搭載廃棄物槽に供給する。
【0063】
場合によっては、吸収測定チャネルも設けることができる。図示の例では、溶解血液サンプルの一部を吸収チャネル180に供給する。溶解血液サンプルの一部を選択的に吸収チャネルまたは領域184に通過させるために、弁182を設けることもできる。分析装置は、吸収チャネルまたは領域184を照明する光源、および吸収チャネルまたは領域184内にあり溶解血液サンプルによって吸収されない光を検出する検出器を含むことができる。そして、分析装置は、吸収度を判定することができ、これから、正味の吸収(bulk absorption)に基づいたヘモグロビン測定を行うことができる。場合によっては、そして図8に示すように、所望であれば、吸収チャネル184を血球計算チャネル172の下流に配置してもよい。別の場合には、白血球サンプルを直接、分岐路116からというように、吸収チャネルに供給することもできる。かかる場合、吸収チャネルは、吸収測定を行う前に、赤血球を溶解するメカニズムを含むとよい。図示の着脱式カートリッジ100は、血液サンプル全体に対する全血球計数(CBC)分析を実行するように構成されているが、他の種類の着脱式カートリッジ構成および分析も、所望に応じて、用いてもよいことを想定している。
【0064】
図5は、着脱式カートリッジの中に含むことができる多数の例示的な貯蔵槽の模式図である。図示の例では、図4の着脱式カートリッジ100のような着脱式カートリッジは、例えば、溶解試薬槽64、推進流体槽65、球体化試薬槽66、シース流体槽68、希釈剤流体槽70、染料槽190、および廃棄物槽52を含むことができる。これらは一例に過ぎず、これらよりも多いまたは少ない槽、あるいは異なる槽を着脱式カートリッジ上または内部に設けてもよく、あるいは槽を設けなくてもよい。
【0065】
各槽は、着脱式カートリッジの所望の動作をサポートするような大きさとし、しかるべき量の流体および/または試薬を含むとよい。希釈剤槽70は、血液サンプル全体というような、入力サンプルを希釈するための希釈剤流体を含むことができる。図4の例示的な例では、球体化試薬および/または溶解試薬は、希釈剤の機能を果たすことができ、したがって、別個の希釈剤槽70は必要でない、または望ましくない場合もあり得る。同様に、そして例によっては、染料槽190のような染料槽は、染料を白血球チャネルに添加し、白血球の分画をサポートすることが望ましい場合もある。尚、槽内に貯蔵してある試薬および/または流体は、用途に応じて、初期状態では液体または凍結乾燥形態であってもよい。
【0066】
図6は、着脱式カートリッジを用いて血液サンプルを分析するための例示的な手法を示す模式流れ図である。図示の手法では、最初にステップ200において血液サンプルを取り込む。次に、血液サンプルを着脱式カートリッジの中にある凝固防止被覆毛細管に供給する。次いで、血液サンプルを区分し、赤血球および血小板(RBC/P)測定チャネル204および白血球(WBC)測定チャネル206に供給する。
【0067】
RBBC/P測定チャネル204では、最初に、212に示すように、赤血球を球体化し、次いで流体力学的に収束し、着脱式カートリッジ内にあるRBC/P血球チャネル214に向けて、単一の縦列で供給する。縦型空洞面発行レーザ(VCSEL)のような光源216が、個々のセルがRBC/P血球計算チャネル214の分析領域付近を通過する際に、これらに光を照らす。場合によっては、VCSELデバイスのアレイを設け、個々の血球がRBC/P血球計算チャネル214の分析領域付近を通過する際に個々の血球と整列するVCSELのみを活性化させる。VCSELが供給する入射光の一部を散乱させ、検出器218はこの散乱光を検出する。場合によっては、検出器218は前方角度散乱光(FALS:forward angle scatter light)、小角度散乱光(SALS)、および大角度散乱光(LALS)を検出することもできる。
【0068】
場合によっては、1つの細長い線状光源または2つの別個のスポット光源のような、レーザ(またはその他の)源をRBBBC/P血球計算チャネル214に合焦させる。合焦した光を、RBC/P血球計算チャネル214におけるRBCおよび血小板が通過する。高品質の収集光学素子を用いて、血球の鮮鋭な画像、および合焦した照明を不透明な画面上にを形成する。画面には、1本、2本またはそれ以上の平行なスリットが入っており、その縦軸は、RBBC/P血球計算チャネル214における流動方向に対して直交するように配置されている。スリット間の距離は、例えば、RBC/P血球計算チャネル214において予期される平均血球分離程度とすればよい。スリットが入っている不透明な画面は、1つ又は複数の検出器218の前方に置くとよい。血球の画像がスリット上を通過すると、スリットに入射する光を遮り、検出器218上の信号を減少させ、血球の直径に比例する幅を有するパルス波形を生成する。2本の離間したスリットを設ける場合、2つの波形によって、血球の流動速度、そして血球のサイズを計算することが可能になる。この技法を用いると、高い信号対ノイズ比を得ることができ、これによってイベントの容易な計数、および多重血球イベントの識別が可能になる。パルス幅および振幅によって、更に、一部の血球の種類を判別することも可能になる。
【0069】
場合によっては、血球および光源双方の画像を、検出器218の前方に置かれた二重スリット・アパーチャ上に撮像する。二重スリット・アパーチャは、セルを計数するために、厳密に定義した幾何学的アパーチャおよび高い信号対ノイズ比を備えている。先に論じたように、スリットからの信号によって、血球の流動速度を精度高い測定が可能となり、このために血球の直径を計算することが可能になる。
【0070】
場合によっては、そして220に示すように、この分析の間に多数のパラメータを測定することができ、例えば、サンプル流速(FR)、測定時間(T)期間、およびサンプル希釈係数(DF)を含む。検出器の出力、および/または対応する散乱シグネーチャ(signature)を監視することにより、赤血球数(NRB)、血小板数(Nplt)、各血球の直径(drbc)、および各血球のヘモグロビン濃度を測定することができる。
【0071】
これらのパラメータから、そして282に示すように、多数の赤血球分析パラメータを計算することができ、例えば、赤血球計数(RBC=NRB/(DFxFRxT)、血小板計数(Plt=Nplt//(DFxFRxT))、平均血球ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHC>)、平均血球体積(MCV=(π/6)x< drbc3>)、平均血球ヘモグロビン含有量(MCH=(π/6)x< drbc3xCHC>)、相対的分散幅(RDW=[(π/6)x drbc3]/MCV)の標準偏差)、ヘマトクリット係数(Het=RBCxMCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHCxHct)を含む。
【0072】
図示のWBC測定チャネル206では、232に示すように、最初に赤血球を溶解し、次いで流体力学的に収束し、着脱式カートリッジの中にあるWBC血球計算チャネル234に向けて、単一の縦列で供給する。縦型空洞面発行レーザ(VCSEL)のような光源236が、個々のセルがWCB血球計算チャネル234の分析領域付近を通過する際に、これらに光を照らす。場合によっては、VCSELデバイスのアレイを設け、個々の血球がWBC血球計算チャネル234の分析領域付近を通過する際に個々の血球と整列するVCSELのみを活性化させる。VCSELが供給する入射光の一部を散乱させ、検出器238はこの散乱光を検出する。場合によっては、検出器238は前方角度散乱光(FALS:forward angle scatter light)、小角度散乱光(SALS)、および大角度散乱光(LALS)を検出することもできる。場合によっては、そして240に示すように、分析の間に多数のパラメータを測定することができ、例えば、軸状血球体積、総WBC計数数、およびWBC5部分画(five part differentiation)が含まれる。
【0073】
図7は、多数の赤血球パラメータを得るための例示的な手法を示す流れ図である。図示の手法では、ステップ260において血液サンプルを取り込む。次に、264に示すように、血液サンプルを所望の希釈係数(DF)まで希釈し、球体化する。次に、希釈し球体化した血球を流体力学的に収束し、着脱式カートリッジの中にあるRBC/P血球計算チャネルに向けて、単一の縦列で供給する。縦型空洞面発行レーザ(VCSEL)のような光源216が、個々のセルがRBC/P血球計算チャネルの分析領域付近を通過する際に、これらを光で照らす。VCSELが供給する入射光の一部を散乱させ、検出器によってこの散乱光を検出する。場合によっては、検出器は、セル毎に前方角度散乱光(FALS)および小角度散乱光(SALSを検出することもできる。次いで、以下のように、プロセッサ等が2つの独立した散乱パラメータ、即ち、SALSおよびFALSを、セル毎に、セル直径パラメータおよびセル・ヘモグロビン濃度パラメータにマッピングすることができる。
{SSALSi, SFALSi} -> {drbci, CHCi}
270に示すように、散乱SSALSiおよびSFALSiの強度が所定の検出閾値以下である場合、制御をステップ268に戻す。しかしながら、散乱SALSiおよびSFALSiの強度が所定の検出閾値よりも大きい場合、制御をステップ272に移す。ステップ272では、SSALSiおよびSFALSiの合計が所定の血小板閾値よりも大きいか否か判定を行う。SSALSiおよびSFALSiの合計が所定の血小板閾値よりも大きくない場合、粒子「i」が血小板であると判定し、制御をステップ274に移す。ステップ274では、計数した血小板の数(Nplt)を1だけ増分し、制御を再度ステップ268に移す。
【0074】
SSALSiおよびSFALSiの合計が所定の血小板閾値よりも大きい場合、血球は赤血球であり、制御をステップ276に移す。ステップ276では、計数した赤血球数(NRBC)を1だけ増分し、制御をステップ278に移す。ステップ278では、所定の測定時間に達したか否か判定を行う。達していない場合、制御を再度268に移す。
【0075】
一旦ステップ278において測定時間に達した場合、制御をステップ280に移す。ステップ280は、多数の測定したパラメータを示し、例えば、サンプル流速(FR)、測定時間(T)期間、およびサンプル希釈係数(DF)を含む。検出器の出力、および/または対応する散乱シグネーチャ(signature)を監視することにより、赤血球数(NRBC)、血小板数(Nplt)、各血球の直径(drbci)、および各血球のヘモグロビン濃度(CHCi)を測定することができる。これらのパラメータから、そして282に示すように、多数の赤血球分析パラメータを計算することができ、例えば、赤血球計数(RBC=NRB/(DFxFRxT)、血小板計数(Plt=Nplt//(DFxFRxT))、平均血球ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHCi>)、平均血球体積(MCV=(π/6)x<drbci3>)、平均血球ヘモグロビン含有量(MCH=(π/6)x<drbci3xCHCi>)、相対的分散幅(RDW=[(π/6)xdrbci3]/MCV)の標準偏差)、ヘマトクリット係数(Het=RBCxMCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHCxHct)を含む。ここで、表記<Xi>は全ての血球Xiについての平均血球パラメータを意味する。
【0076】
図8は、血液サンプルを分析するための別の例示的な手法を示す模式流れ図である。この図示の手法では、ステップ300に示すように、血液サンプルを取り込み、血液サンプル・槽に供給する。次に、着脱式カートリッジの中にある凝固防止被覆毛細管に血液サンプルを供給し、希釈する。次いで、血液サンプルを区分して、赤血球および血小板(RBC/P)測定チャネル304および白血球(WBC)測定チャネル340に供給する。
【0077】
RBBC/P測定チャネル304では、最初に、306に示すように、赤血球を球体化し、次いで流体力学的に収束し、着脱式カートリッジ内にあるRBC/P血球チャネル308に向けて、単一の縦列で供給する。縦型空洞面発行レーザ(VCSEL)および付随する光学素子のような第1光源310が、個々のセルがRBC/P血球計算チャネル308の分析領域付近を通過する際に、これらに光を照らす。場合によっては、VCSELデバイスのアレイを設け、個々の血球がRBC/P血球計算チャネル308の分析領域付近を通過する際に個々の血球と整列するVCSELのみを活性化させる。
【0078】
個々の球体/粒子が、合焦した入射光ビームを通過する際、光の一部が遮断、散乱、またはそれ以外の妨害を受け、検出器(図示せず)によって検出することができる。2つ又は3つ以上の光源を、RBC/P血球計算チャネル308に沿って離間した異なるスポットに合焦すると、各結晶の先端および/または後端を検出することができる。結晶が1つの合焦スポットから次の合焦スポットまっでの距離を横断する際に要する時間を測定することによって、流速、したがって血球の速度を判定することができる。血球の速度を判定したなら、血球が遮断、散乱、またはそれ以外の妨害を行う時間長を、血球のサイズおよび/または血球の体積に相関付けることができる。
【0079】
例によっては、別の光源314および付随する光学素子を分析装置によって設けることもできる。光源314の付随する光学素子は、光を平行化して、SALSおよびFALS散乱のような、軸はずれ散乱を測定することができる。先に注記したように、SALSおよびFALS散乱は、例えば、赤血球数(NRBC)316、血小板数(Nplt)322、各血球の直径(drbci)、および各血球のヘモグロビン濃度(CHCi)を測定することができる。これらのパラメータから、そして先に論じたように、多数の赤血球分析パラメータを計算することができ、例えば、赤血球計数(RBC=NRB/(DFxFRxT)、血小板計数(Plt=Nplt//(DFxFRxT))、平均血球ヘモグロビン濃度(MCHC=<CHCi>)、平均血球体積(MCV=(π/6)x<drbci3>)、平均血球ヘモグロビン含有量(MCH=(π/6)x<drbci3xCHCi>)、相対的分散幅(RDW=[(π/6)xdrbci3]/MCV)の標準偏差)、ヘマトクリット係数(Het=RBCxMCV)、および/またはヘモグロビン濃度(Hb=MCHCxHct)を含む。ここで、表記<Xi>は全ての血球Xiについての平均血球パラメータを意味する。
【0080】
図示のWBC測定チャネル340では、342に示すように、赤血球を溶解し、適宜染料を注入する。次いで、血球を流体力学的に収束し、次いで流体力学的に収束し、着脱式カートリッジ内にあるWBBC血球チャネル344に向けて、単一の縦列で供給する。縦型空洞面発行レーザ(VCSEL)のような光源346が、個々のセルがWBC血球計算チャネル308の分析領域付近を通過する際に、これらに光を照らす。場合によっては、VCSELデバイスのアレイを設け、個々の血球がWBC血球計算チャネル344の分析領域付近を通過する際に個々の血球と整列するVCSELのみを活性化させる。
【0081】
個々の球体/粒子が、合焦した入射光ビームを通過する際、光の一部が遮断、散乱、またはそれ以外の妨害を受け、検出器(図示せず)によって検出することができる。2つ又は3つ以上の光源を、RBC/P血球計算チャネル344に沿って離間した異なるスポットに合焦すると、各結晶の先端および/または後端を検出することができる。結晶が1つの合焦スポットから次の合焦スポットまでの距離を横断する際に要する時間を測定することによって、流速、したがって血球の速度を判定することができる。血球の速度を判定したなら、血球が遮断、散乱、またはそれ以外の妨害を行う時間長を、血球のサイズおよび/または血球の体積に相関付けることができる。
【0082】
例によっては、別の光源350および付随する光学素子を分析装置によって設けることもできる。354に示すように、光源350の付随する光学素子は、光を平行化して、SALSおよびFALS散乱のような、軸はずれ散乱を測定することができる。先と同様、356に示すように、SALS、FALS、およびLAFS散乱を用いると、例えば、計数した白血球数(NWBC)352を測定し、更に白血球の分画に役立てることができる。場合によっては、1つ又は複数の偏光板を設けて、光源が供給する光を偏光させ、検出した偏光の消失/回転のレベルを用いると、白血球の分画を行い易くすることができるが、これは全ての例において必要な訳ではない。
【0083】
図示の例では、WBC血球計算チャネル344から出た血球は、バルク吸収チャネル360に供給することができる。光源362が、吸収チャネル360内にある血球に光を当てることができ、検出器364が、残留する血球によって吸収されない光を検出することができる。このように、吸収チャネル360は、残留する血球の全部の吸収レベルを測定するために用いることができる。吸収レベルは、例えば、血液サンプルにおけるバルクまたは平均血球ヘモグロビン濃度の尺度を提示することができる。ヘモグロビン・チャネルは、照準決め直し(re-zeroing)光学素子ならびに自動合焦および/または位置合わせを有することができる。光源362は、吸収ピークの中心付近に出力を有するLEDとするとよく、こうするとフィルタを不要にすることができる。ヘモグロビンに関して評価すべきサンプルを受け取り、保持するために、クヴェット(curvette)があってもよい。カード上に湿度センサおよび温度センサを設け、これらのパラメータに関するカードの現在および過去の状態を示すことができる。カードの暖機および冷却の時間は、動作の初期化以前におけるその温度を示すことができる。このような状態の監視は、カード上の物質および溶液と関連がある場合がある。これらの状態の知識は、構造的剥離(de-lamination)を有するカードまたはカートリッジの可能性をなくすまたは大幅に低下させるセーフガードに関して実装するとよい。
【0084】
図9aから図9fに示すインターフェースによって、汚染のない流体の転送および移動を達成することができる。一旦計器上にある着脱式カートリッジに試薬を納めたなら、試薬槽から有来界面までの各供給ラインにおける流体の圧縮率が問題となる場合がある。忠実性が高い流体の流速制御を得るためには、この問題を最小限に抑えなければならない。圧縮率は、温度変化の間に溶液から出てくる溶融気体、または供給ラインの気体浸透性壁を通して内部に拡散する空気のいずれかによって発生する気泡による場合がある。この問題を解消する1つの手法は、試薬のような気泡を含む溶液を、計器の流体界面から、例えば、試薬カートリッジ上にある廃棄物タンクに導くことができる弁に引き込み、これを新鮮な流体と置換することが考えられる。一旦気泡を再度吸収し、廃棄物に一気に流し去れば、弁を再度切り換えて、流体/空気メニスカスを流体界面に戻すことができる。メニスカスを流体界面近くまで戻した後、解決すべき別の問題は、血液サンプルによる計器汚染の潜在的可能性であろう。サンプル血液および試薬に接触せずに、接触を制御しながら、その流動を制御するために、様々な解決策を提供することができる。
【0085】
図9aおよび図9bに示すニードル−隔膜界面では、ニードル1201が隔膜1202を突き刺し、計器上に貯蔵されている液体をチャネル1203カード1204に配給することができる。計器上に流速センサおよびコントローラを配置するとよい。ニードル1201を引っ込めたときの分析(assay)の終了時に、隔膜1202は自己密閉し(self-seal)、カードには漏れがなく廃棄する準備が整う。この手法は、計器上に貯蔵されている試薬をカード1204に導入するにはうまく行くと考えられるが、サンプル血液は既にカード上にあり、ニードルが一旦隔膜1202を突き刺すと、血液に接触することになる。除芯なく隔膜を突き刺すために、特別に先端を折り曲げたニードル1201をするとよい。
【0086】
実際には、ニードル1201の汚染は、様々な理由により、最少で済み、克服することができる。分析の間、推進流体がニードルの内側に一気に流れ込む。分析の終了時には、ニードルが引っ込められると、ニードル1201の外側を隔膜1202によって拭うことができる。ニードル1201の規模が小さいので、その先端の表面積に保持することができる血液の量を制限することができる。計器によるニードル先端の加熱除菌は、は、ニードルの小さなサイズ、および熱転送ピンに対する幾何学的類似性のために、非常に素早い加熱/冷却サイクルとすることができる。除菌手順は、実験で証明することができる。また、通常時にオフとなっている弁を用いれば、電力停止の間いずれの流体の計器への逆流も防止することができる。
【0087】
図9cおよび図9dのシャフト−膜界面について注記しておくとよいであろう。この手法では、長く薄いサンプル・ループを、エラストマ膜1206で一旦を密閉した、円筒形サンプル貯蔵空洞と交換することができる。膜1206は、成形したケース1207およびサンプル槽1208上に配置することができる。サンプルを分与するために、微小ステッパ・モータによって回転するリード・スクリューを、膜に対抗して前進させる。これは、本質的に、シリンジ・ポンプとすればよく、プランジャをシリンジ・バレルの中に前進させる代わりに、シャフト12055を膜1206に対抗して前進させる。この手法の利点は、膜1206が汚染の問題を解消することができる物理的障壁にある。
【0088】
この手法は、カードを計器に実装した後に、シャフト1205のゼロ変位を求めなければならない場合がある(即ち、丁度膜1206に接触する)。サンプル貯蔵空洞の容積変化応答があるとすると、恐らく非線形であり、シャフトの変位および較正が必要となる。シャフト1205の先端は、変位の効率性を求めて設計することができる。シャフトの最大ストロークで、貯蔵空洞内にあるサンプルを80パーセント配給することが現実的であると考えられる。膜1206には、指が偶然にも膜を圧迫/作動させてサンプルを分与できない程度の十分な凹陥を設ける必要がある。
【0089】
膜−膜界面を図9eおよび図9fに示すことができる。この手法でも、再度、エラストマ膜で一端を閉じた円筒形の槽に、サンプルを貯蔵することができる。膜1206の変位は、アクチュエータ1211によって発生させることができる。アクチュエータ1211は、その先端を閉鎖する膜1212を有する。2枚の膜1206および1212が既に接触している場合、作動流体1213をアクチュエータ1211の先端に圧送すると、膜1212および1206双方が変形し、サンプル槽1208において等しい体積の流体を変位させることができる。
【0090】
この手法のいくつかの利点は、明白であると思われる。流速センサ技術を用いると、作動流体1213の流速を制御することができ、究極的にサンプルの流速を制御することになる。作動は流体主導のため、膜1206および1212は自然に高い変位効率が得られるように変形し易くなる。また、この手法は、血液サンプルを物理的な膜の背後に隠すことによって、汚染を排除することもできる。
【0091】
この手法では、カードを計器に実装した後、血液サンプルを全く変位させなくても膜1212および1206が正しく接触しているように、ゼロ変位を求める必要がある場合がある。サンプル貯蔵空洞1208における体積変化応答は、恐らく多少非線形であり、アクチュエータ膜1212の体積変化および較正が必要となる。カード上の膜1206は、指が偶然にも膜を圧迫/作動させてサンプルを分与できない程度の十分な凹陥を設ける必要がある。
【0092】
図9eおよび図9fのサンプル・ループは、長く狭いチャネルではなく、浅い円筒形の空洞である。最初に膜1212および1206間で正しい接触がなされれば(即ち、空気をこれらの間に取り込まない)、展開する作動流体1213の体積が、較正することができる反復可能な量だけ、膜を歪曲させることができる。
【0093】
膜界面間には動力学があると考えられる。エラストマ膜によって導入されるコンプライアンスは小さくすべきである。何故なら、シリコーン・ラバーやNeopreneのような、典型的なエラストマのポアソン率は、0.45から0.50の範囲に納まる傾向があり、これはほぼ圧縮不可能である。本質的に、エラストマは変形可能であるが、圧縮可能ではなく、これらの形状は用意に変化するが、その体積は変化しない。つまり、膜−膜界面では、成形したケースおよびアクチュエータの硬質材料がエラストマの形状変化を制限し、エラストマの低コンプライアンスからの大きな動的硬化は生じないはずである。
【0094】
膜1206の歪曲では、貯蔵空洞内に収納されているサンプルまたは試薬の全てを分与することはできない。分与する割合は、変位効率によって特徴付けることができる。ε=80パーセントの効率が正当であろう。膜歪曲の空洞直径に対する比率も想定すると(例えば、δ=1/3)、変位体積は、近似的に次のようになる。
Vdisp =εδ(π/4)d3
貯蔵空洞の直径は、次の式から推定することができる。
d = ((4Vdisp/(εδπ))1/3
図9gの表は、分析を4分間行い、その半分をRBCの測定、半分をWBCの測定に費やすと仮定した場合に、サンプル推進流体および試薬の各々に適当と思われる、貯蔵空洞の直径を纏めた。球体化溶液およびシース溶液用のカード上試薬貯蔵空洞のサイズは、十分な大きさのカードについて考慮するとよい。
【0095】
計器内に収納されている試薬貯蔵カートリッジからニードル−隔膜界面によって試薬を供給することに対して、大きな利点があると考えられる。計器上に小型の滅菌メカニズムを設けることができれば、血液サンプルは、膜型界面またはニードル−隔膜界面のいずれかによって制御することができる。
【0096】
図10は、サンプル分析装置を設定し動作させるための例示的な手法を示す模式流れ図である。図示の例では、351に示すように、血液分析カートリッジを用いて分析することができ、370に示すように、制御カートリッジを用いて分析し、分析装置の性能を検証するのに役立てることができ、および/または380に示すように、較正カートリッジを用いて分析し、分析装置を較正し易くすることができる。血液分析カートリッジは、血液分析を行う毎に、装填するとよい。372において制御カートリッジを装填し、374において、1日1回というように、周期的に動作させて、分析装置が精度高い結果を出していることを検証するとよい。376において、計器は、測定値が範囲内に納まるか否かの指示を表示することができる。指示は、測定値が正常、低、または高範囲のいずれであるかによって異なるとよい。380では、382において較正カートリッジにキャリブレータを装填し、384において動作させることができる。計器は、386において、較正と一致するように、較正係数を調節することができる。較正カードは、分析装置を再較正するために、3カ月に1回というように、制御カードよりも低い頻度で分析装置に装填すればよい。較正は、流動チャネルにおいて暫定的または後処理精密ビードを流して、チャネルを通過する粒子のサイズの情報を提供するパルス幅のスケーリングのようなことを提示することができる。
【0097】
各カートリッジは、対応する機能を実行するために必要な流体および/または較正部品の全てを含むことができる。したがって、分析器を動作させるおよび/または保守するためには殆ど訓練を必要としないと考えられるが、それでもなお精度の高い結果が得られる。サンプル分析器に、着脱式および/または使い捨てカートリッジを設けることができ、特別な訓練を受けていない要員でも、実験室環境の外側でも信頼性高く用いることができるので、コストおよび医療要員の負担が減少し、比較的頻繁な血液監視/分析を必要とする患者を含む、多くの患者にとってサンプル分析装置の利便性が高まる。本システムは、試薬および/またはサンプル流体が役に立たない、新鮮でない、汚染されている、正しくない、あるいはそれ以外で不適切または容認できないか否かについて注視することができる。本システムによって結果的に行われる作用は、分析を実行しないこと、結果を提示しないこと、誤りの指示を提示すること等を含むことができる。
【0098】
351に示すように血液分析カートリッジを用いると、353および355に示すように、血液サンプルを収集し、血液分析カートリッジに装填することができる。血液サンプルは、所望に応じて、毛細管作用または手作業による圧送によって、血液分析カートリッジに引き込むことができる。次いで、血液分析カートリッジを分析計器に装填することができる。図示の例では、次に、357に示すように、分析装置は血液分析カートリッジおよび分析装置の対応する構成部品(例えば、光源/光検出器など)を自己整合することができる。次に、1つ又は複数のボタンを押下して、血液分析プロセスを開始することができる。ボタン等を押下する代わりに、そして場合によっては、単純にカートリッジを分析装置に装填するステップが、分析装置に整合および血液分析プロセスを開始させるようにしてもよい。
【0099】
358において、カードを動作させることができる。一旦分析装置を活性化したなら、分析装置は多数の検査を実行することができる。例えば、分析装置は血液分析カード上にある弁を全て閉鎖し、カード上にある種々の流体ポートに圧力を加えることができる。次いで、分析装置は、カード上において1つ又は複数の流速センサを通過する際の流速を測定することができる。弁が全て閉じているので、流速は0のはずである。しかしながら、流速センサが0でない流速を示す場合、分析装置は、流速センサを0流速に再較正することができる。これは、流速センサの測定値の精度を高めるのに役立てることができる。分析装置は、必要に応じて、気泡除去手法をチェックし、実行に移すことができる。あるいは、または加えて、分析装置は、例えば、血液サンプルの流速を、加えられた圧力と共に測定することによって(例えば、流速センサを用いて)、着脱式カートリッジにおける血液の凝固をチェックすることができ、加えられた圧力に対して、流速が低すぎる場合、血液サンプルが凝固していると判定する。血液の凝固が検出された場合、分析装置は、測定に失敗したことをしめすメッセージを表示することができる。
【0100】
次に、分析装置は、血液分析カートリッジ・タイミング・プロトコルを実装することができる。この血液分析カートリッジ・タイミング・プロトコルは、2004年9月2日に出願された米国特許出願第10/932,662号に示され記載されているものと同様とすることができる。この特許出願は、本願の譲受人に譲渡され、ここで引用したことにより、その内容は本願にも含まれるものとする。個々の血液分析カートリッジ・タイミング・プロトコルは、血液分析カートリッジの特定の設計によって異なる場合もある。また、分析装置は、血液分析カートリッジ上のいずれの血球計算チャネルにも安定した中核流があることを検証し、存在する場合には、中核流の場所を特定することもできる。
【0101】
次いで、血液分析カートリッジは、血液サンプルの内白血球測定に用いる一部における赤血球を溶解し、血液サンプルの内白血球測定に用いる一部における赤血球を球体化し、血液分析カートリッジ上のいずれの血球計算チャンネルにおけいても中核流を形成し、および/またはその他のいずれの望ましい機能も実行することができる。分析装置は、いずれかの血球計算チャネルのような、血液分析カートリッジの選択領域に光を供給し、この選択領域を通過した光を検出することができる。
【0102】
これから、分析装置は、白血球、赤血球、血小板のような、サンプル内にある粒子を計数し分類し、次いで血液分析の結果を表示、印刷、発音、またはそれ以外でユーザに指示することができる。例によっては、分析装置は定量的結果(例えば、既定の範囲の内側および/または外側)を表示または印刷し、ユーザがそれ以上計算や解釈をせずに済むようにする。測定は、完了したと見なされ、361において結果を表示する。最後に、363において、血液分析カートリッジを分析装置から取り外し、処理する。
【0103】
370に示すように制御行程(control run)を実行する場合、制御カートリッジを用いることができる。場合によっては、1日1回または1週間に1回というように、制御行程を周期的に実行するとよい。制御カートリッジは、特性が分かっている制御サンプルを含むことができる。つまり、制御サンプルに対して分析装置によって分析を行う場合、既知の結果が得られるはずである。図示の手法では、372に示すように、分析装置に制御カートリッジを装填する。次に、374に示すように、分析装置を活性化し、376に示すように、分析装置は分析を実行し結果を表示する。例によっては、分析装置は、定量的結果(例えば、既定の範囲の内側および/または外側)を表示または印刷し、ユーザがそれ以上計算や解釈をせずに済むようにする。最後に、制御カートリッジを分析装置から取り外し、処理することができる。制御行程の結果が既定の範囲から外れる場合、較正行程380のような、較正行程を実行することが望ましい場合がある。
【0104】
380に示すように較正行程を実行する場合、較正カートリッジを用いることができる。場合によっては、1日1回または1週間に1回というように、較正行程を周期的に実行するとよい。較正カートリッジは、特性が分かっている較正サンプルを含むことができる。つまり、較正サンプルに対して分析装置によって分析を行う場合、既知の結果が得られるはずである。図示の手法では、382に示すように、分析装置に較正カートリッジを装填する。次に、384において、分析装置を活性化し、多数の結果を得る。較正行程中に得られた結果を期待結果と比較することによって、分析装置は目盛内にある1つ又は複数の較正係数を自動的に調節して分析装置を較正し直し、後続の行程中に、386に示すように、分析装置が期待結果または所望の結果を生成するようにする。
【0105】
図11aは、サンプル分析装置を動作させるための例示的な手法を示す流れ図である。図示の手法を全体的に400で示し、402において開始する。制御をステップ404に移し、血液サンプルを使い捨て流体カートリッジに供給する。次いで、制御をステップ406に移し、使い捨て流体カートリッジを血液サンプル分析装置に挿入する。次いで、制御をステップ408に移す。ステップ408では、血液サンプル分析装置を活性化し、ステップ410において、これ以上血液サンプル分析装置のユーザからの相互作用は全くなく、血液サンプル分析装置から血液分析結果を入手する。次いで、制御をステップ412に移し、本手法を終了する。
【0106】
図11bは、サンプル分析装置を動作させるために別の例示的手法を示す流れ図である。図示の手法を全体的に500で示し、ステップ502にて開始する。制御をステップ504に移し、血液サンプルを使い捨て流体カートリッジに供給する。次いで、制御をステップ506に移し、使い捨て流体カートリッジを血液サンプル分析装置に挿入する。次いで、制御をステップ508に移す。ステップ508では、血液サンプル分析装置を活性化し、ステップ510において、これ以上血液サンプル分析装置のユーザからの相互作用は全くなく、血液サンプル分析装置から血液分析結果を入手する。次いで、制御をステップ512に移す。ステップ512では、血液分析結果が既定の範囲内に納まっているか否か判定を行う。先に示したように、そして例によっては、分析装置は、定量的結果(例えば、既定の範囲の内側および/または外側)を表示または印刷し、ユーザがそれ以上計算や解釈をせずに済むようにする。次いで、制御をステップ514に移し、本手法を終了する。
【0107】
図12は、サンプル分析装置を動作させるための別の例示的な手法を示す流れ図である。この手法を全体的に600で示し、ステップ602にて開始する。図示の手法では、604に示すように血液分析カートリッジを用い分析することができ、620に示すように、制御カートリッジを用いて分析し、分析装置の製法を検証する際に役立てることができ、および/または640に示すように、較正カートリッジを用いて分析し、分析装置を較正する際に役立てることができる。血液分析を実行する度に、血液分析カートリッジを装填すればよい。制御カートリッジは、分析装置が精度高い結果を出していることを検証するために、1日1回というように、周期的に分析装置に装填することができる。較正カートリッジは、分析装置を較正し直すために、3カ月に1回というように、それよりは少ない頻度で、またはそうでなければ必要に応じて、分析装置に装填すればよい。
【0108】
各種類のカートリッジは、対応する機能を実行するために必要な流体および/または構成部品の全てを含むことができる。したがって、分析器を動作させるおよび/または保守するためには殆ど訓練を必要としないと考えられるが、それでもなお精度の高い結果が得られる。サンプル分析器に、着脱式および/または使い捨てカートリッジを設けることができ、特別な訓練を受けていない要員でも、実験室環境の外側でも信頼性高く用いることができるので、コストおよび医療要員の負担が減少し、比較的頻繁な血液監視/分析を必要とする患者を含む、多くの患者にとってサンプル分析装置の利便性が高まる。
【0109】
図12の例示的な手法では、血液分析サンプルを用いる場合、制御をステップ604に移す。ステップ606において、血液サンプルを使い捨て流体カートリッジに供給する。次いで、制御をステップ608に移し、使い捨て流体カートリッジを血液サンプル分析装置に挿入する。次いで、制御をステップ610に移す。ステップ610では、血液サンプル分析装置を活性化し、ステップ612において、血液サンプル分析装置から血液分析結果を入手する。
【0110】
制御カートリッジを用いる場合、制御をステップ620に移す。ステップ620では、制御をステップ622に移し、制御カートリッジを血液サンプル分析装置に挿入する。次いで、制御をステップ624に移す。ステップ624では、血液サンプル分析装置を活性化し、ステップ626において、制御流体カートリッジを用いて、制御分析結果を入手する。次いで、制御をステップ628に移す。ステップ628では、制御分析結果が期待制御範囲内に納まっているか否か判定を行う。制御分析結果が期待範囲内に納まっていない場合、血液分析カートリッジについて得られた結果を信頼してはいけない。場合によっては、較正カートリッジを用いてサンプル分析装置を較正し直し、次いで別の制御カートリッジを用いて、サンプル分析装置の動作/較正を検証するとよい。
【0111】
較正カートリッジを用いる場合、制御をステップ640に移す。ステップ640では、制御をステップ642に移す。ステップ642では、較正カートリッジを血液サンプル分析装置に挿入する。次いで、制御をステップ644に移す。ステップ644では、血液サンプル分析装置を活性化し、ステップ646では、較正流体カートリッジを用いて、較正分析結果を入手する。次いで、制御をステップ648に移す。較正分析結果に基づいて、ステップ648では分析装置を必要に応じて調節する。
【0112】
場合によっては、サンプル分析装置は、完全自動計器、および/または自己充足的検査計器であってもよい。サンプル分析装置は、例えば、毛細血管(指先)、静脈全血液(venous whole blood)、鼻綿棒(nasal swab)、または尿等のような直接未処理の被検物を受け入れて分析することもできる。あるいは、または加えて、サンプル分析装置は、基本的な、技法に依存しない被検物の操作だけを必要としてもよい。同様に、サンプル分析装置は、「試薬Aおよび試薬Bを混合する」というような、基本的な、技法に依存しない試薬の操作だけを必要としてもよく、分析ステップ中操作者の介入を不要とすることができる。場合によっては、サンプル分析装置は、確認検査が臨床的に得策である場合、このような検査のために被検物を入手し出荷するための命令(および場合によっては素材)を含む、または供給することもできる。
【0113】
サンプル分析装置には、即答命令便覧を備えるとよい。即答便覧は、サンプル分析装置の動作に対して素早く参考を提示することができる。使用中、ユーザがサンプル分析装置をどのように操作するのかについていかなる疑問が生じた場合でも、ユーザは即答便覧を参照すればよい。
【0114】
場合によっては、種々の動作ステップを、場合によってはサンプル収集から分析までの図式的に示す、即答便覧は自己説明的な写真または図を含むとよい。例示的な一例では、即答便覧は、写真または図だけを含み、ことばを含まないか、または最少量のことばを含む。これは、特定の言語(例えば、英語)が読めないユーザが、サンプル分析装置を有効に動作させるのに役立つことができる。例示的な一例では、即答便覧は、使い捨てカートリッジをそのパッケージから取り出し、血液充填キャップをカートリッジのランセットから取り外し、および/またはマーカを空気に露出して所定の時間期間後に色が変わるマーカからカバー(例えば、テープ)を除去し、患者から血液を引き出し、引き出した血液をカートリッジに供給し、カートリッジを計器に装填し、計器を動作させ、結果を受け取り、カートリッジを計器から取り外してカートリッジを廃棄するステップについて示し、および/または説明すればよい。これは、単なる一例である。
【0115】
尚、計器の筐体が、即答便覧を受容するためのポケットなどを含むとよいことも想定している。使用中、ユーザは、ポケットから即答便覧を取り出して参照することができる。あるいは、即答便覧を、螺旋状バインダ等によってサンプル分析装置の筐体に固着してもよく、ユーザが使用中に即答便覧の種々のページをめくることができるようになる。別の例示的な例では、即答便覧を着脱式カートリッジに固着してもよく、または着脱式カートリッジを収容するパッケージ上に印刷してもよい。更に別の例示的な例では、即答便覧をポスタ上に印刷してもよく、これをサンプル分析装置の近くの壁等に吊しておくこともできる。
【0116】
場合によっては、そして誤った結果を生ずる危険性を低減するために、1つ又は複数の障害警告および/またはフェール・セーフ・メカニズムを設けるとよい。例えば、そして例示的な一例では、サンプル分析装置は、正しくない種類の被検物がユーザによって提供された場合、これを検出し易くすることができる。例えば、サンプル分析装置を、全血液サンプルの内赤血球計数を実行するように設定する場合、サンプル分析装置は、ユーザが提供する被検物が血液以外の何かであることがときとしてあるが、これを検出し易くすることができる。
【0117】
例示的な一例では、サンプル分析装置は分析を実行することができ、1つ又は複数の出力パラメータが所定の範囲を外れる場合、サンプル分析装置は結果を提示しない、および/またはエラー・メッセージまたはエラー・コードを発行することができる。例えば、サンプル分析装置が、全血液サンプルにおける白血球を計数するように較正された流動血球計算器であり、サンプル分析装置が白血球を全く計数しない(または少数の白血球を計数する)場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によってはエラー・メッセージまたはエラー・コードを提示することができる。
【0118】
例によっては、1つ又は複数の光学的測定を用いて、正しくない被検物がユーザによって提供されたとき、または流体カートリッジの正しい流動チャネルに試薬が供給されていないときというような、正しくない流体が流動チャネル内にあるときを特定し易くすることができる。図13は、このような1つの光学測定を示す。図13において、サンプル流体700が、例えば、流体カートリッジのチャネル壁704によって規定されたチャネル702の中にある。図示の例では、チャネル壁704の屈折率は「nw」であり、サンプル流体の屈折率は「ns」である。光源706が、チャネル壁704の1つに対してある角度をなして、入来光ビーム(場合によっては、平行化光ビーム)を供給する。検出器708が、光710を検出するように位置付けられており、光710は、チャネル壁/サンプル界面から反射される。チャネル/サンプル界面から検出器708に反射する光の量は、チャネル壁の屈折率「nw」およびサンプル流体の屈折率「ns」によって異なる。反射シグネーチャ(reflected signature)の所望の反射量は、所望のサンプル流体700がチャネル702内にあるときに決定することができる。正しくない種類の被検物または正しくない試薬またはその他の正しくないサンプル流体が流動チャネル700に供給されると、正しくない流体の屈折率「nic」のために、光710の異なる反射シグネーチャが検出器708によって測定される。かかる変化は、正しくないサンプル流体が流動チャネル702内にあることを示すことができる。あるいは、または加えて、かかる変化は、気泡、凝固、またはその他の望ましくない粒子、あるいはサンプル流体のその他の特性の存在を示す場合もある。これらが検出された場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0119】
図14は、正しくないまたは望ましくない流体が流動チャネル内にあるときに、それを特定し易くするために用いることができる別の光学測定を示す。図14において、サンプル流体720が、例えば、流体カートリッジのチャネル壁724によって規定されたチャネル722の中にある。図示の例では、チャネル壁724の屈折率は「nw」であり、サンプル流体の屈折率は「ns」である。光源726が、チャネル壁724の1つに対してある角度をなして、入来光ビーム(場合によっては、平行化光ビーム)を供給する。検出器728が、チャネル722およびサンプル流体720を通過する光730を検出するように位置付けられている。
【0120】
この図示例では、チャネル722は十分薄く作られているので、サンプル流体の屈折率「ns」が所望の範囲内にあれば、チャネル722およびサンプル流体720を通過する光トンネリングが得られる。サンプル流体の屈折率「ns」が所望の範囲未満である場合、光はチャネル722を通り抜けず、逆に反射される。サンプル流体の屈折率「ns」が所望の範囲を超える場合、光はチャネル722およびサンプル流体720を通過する傾向があるので、この例は所望のサンプル(例えば、血液)の屈折率未満の屈折率「ns」を有する正しくないサンプル流体を検出するには最も適していると考えられる。あるいは、または加えて、この図示例は、気泡、凝固、またはその他の望ましくない粒子、あるいはサンプル流体のその他の特性の存在を、所望に応じて、検出するために用いることができる。これらが検出された場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0121】
図15は、正しくないまたは望ましくない流体が、例えば、流体カートリッジの流動チャネル内にあるときに、これを特定するために用いることができる別の例示的な例を示す。この例示的な例では、サンプル流体750を、チャネル壁754によって規定された流動チャネル752に供給する。図示例では、2つ又は3つ以上の電極が、チャネル壁754の1つ又は複数に設けられている。例によっては、2つ又は3つ以上の電極を、1枚以上のプラスチック・シート上に形成し、後にこれらを積層するか、またはそれ以外の方法で互いに固着して流体カートリッジの流体回路を形成することができる。2つ又は3つ以上の電極は、流体カートリッジ上の流動チャネル752内にまたはこれを横断して延び、所望の駆動回路に接続するようにパターニングすることができる。
【0122】
電源758が電極760間に信号を供給することができ、サンプル流体750を貫通する電極間の抵抗を測定することができる。これは、チャネル752におけるサンプル流体750の抵抗率の尺度を提供することができる。正しくないサンプル流体が流動チャネル752の中にあるとき、この正しくないサンプル流体の抵抗率は、期待範囲を外れると考えられる。抵抗率が期待範囲を外れることは、気泡、凝固、またはその他の望ましくない粒子、あるいはサンプル流体のその他の特性の存在の存在も示すことができる。これらが検出された場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0123】
場合によっては、電源758は低電位AC信号(例えば、10Vピーク・ピーク未満、5Vピーク・ピーク未満、3Vピーク・ピーク未満、1Vピーク・ピーク未満、0.5Vピーク・ピーク未満、0.1Vピーク・ピーク未満)を供給し、伝今日k760によって生ずるサンプル流体750内における電気化学的反応を抑えることもできる。電気化学的反応は、例えば、気泡等をサンプル流体750内に混入させる可能性があり、用途によっては望ましくない場合もある。
【0124】
前述のような抵抗率の測定を用いることに加えて、またはその代わりに、容量測定を用いてもよいことも想定している。この例示的な例では、2つ又は3つ以上の電極間の容量を、サンプル750を通じて測定することができる。正しくないサンプル流体が流動チャネル752に供給されると、正しくないサンプル流体から生ずる容量は期待範囲を外れると考えられる。容量が期待範囲を外れることは、気泡、凝固、またはその他の望ましくない粒子、あるいはサンプル流体のその他の特性の存在の存在も示すことができる。これらが検出された場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0125】
図16は、正しくないまたは望ましくない流体が、例えば、流体カートリッジの流動チャネル内にあるときに、これを特定するために用いることができる別の例示的な例を示す。この例示的な例では、サンプル流体770を、チャネル壁774によって規定された流動チャネル772に供給する。図示例では、PHセンサ776を、サンプル流体770と流体連通状に設ける。PHセンサ776は、サンプル流体770のPHの尺度を検出し、信号をコントローラ780に報告することができる。正しくないサンプル流体が流動チャネル772に供給されると、正しくないサンプル流体のPHは、予期される範囲を外れると考えられる。PHレベルが期待範囲を外れることは、気泡、凝固、またはその他の望ましくない粒子、あるいはサンプル流体のその他の特性の存在の存在も示すことができる。これらが検出された場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0126】
図17は、流動チャネル内にあるサンプル流体に1つ又は複数の気泡またはその他の望ましくない粒子があるときに、これを特定するために用いることができる例示的な例を示す。この例示的な例では、サンプル流体800が、例えば、流体カートリッジのチャネル壁804によって規定された流動チャネル802の中にある。光源806がチャネル壁804の1つに対してある角度をなして、入来光ビーム(場合によっては、平行化光ビーム)を供給する。検出器808が、流動チャネル802内においてサンプル流体800の中にある気泡またはその他の望ましくない粒子によって散乱した光730を検出するように位置付けられている。例えば、サンプル流体800が気泡を全く有していない場合、光は散乱せずにサンプル流体を通過する傾向があり、検出器は信号を検出しない(または弱い信号を検出する)。ある閾値よりも上の光散乱信号が検出器808によって検出されると、流動チャネル802の中にあるサンプル流体800は1つ又は複数の気泡またはその他の望ましくない粒子を有することを示し、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によってはエラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0127】
図18は、流動チャネルの中にあるサンプル流体に1つ又は複数の気泡またはその他の望ましくない粒子があるときに、それを特定するために用いることができる例示的な方法を示す。この例示的な例では、サンプル流体820が、例えば、流体カートリッジのチャネル壁824によって規定された流動チャネル822の中にある。超音波変換器826および超音波受信機828が、流動チャネル822に隣接して設けられている。場合によっては、超音波変換器826を流動チャネルの一方側に設け、超音波受信機828を反対側に設ける。別の場合には、超音波変換器826および超音波受信機828を流動チャネル822の同じ側に設ける。いずれの場合でも、超音波受信機828は、超音波変換器826が発信した超音波信号において、流体サンプル820の中にある気泡またはその他の望ましくない粒子によって生ずる散乱を検出するために用いることができる。これらが検出された場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0128】
図19は、流動チャネルの中にあるサンプル流体に1つ又は複数の気泡またはその他の望ましくない粒子があるときに、それを特定するために用いることができる例示的な方法を示す。この例示的な例では、サンプル流体850が、例えば、流体カートリッジのチャネル壁854によって規定された流動チャネル852の中にある。流速センサ856が、流動チャネル852と流体連通状に設けられており、サンプル流体850の流速を検出する。流速センサは、例えば、熱風速型流速センサ、およびマイクロブリッジ型流速センサとすることができる。マイクロブリッジ流速センサは、例えば、米国特許第4,478,076号、米国特許第4,478,077号、米国特許第4,501,144号、米国特許第4,651,564号、米国特許第4,683,159号、および米国特許第5,050429号に記載されている。これらの全ては、ここで引用したことにより、その内容が本願にも含まれるものとする。
【0129】
圧力源860が、流動チャネル852内にあるサンプル流体850に可変圧力を供給することができる。コントローラ862が、流速センサ856からの流速信号を受け取ることができ、場合によっては、圧力源860を制御することができる。例示的な一例では、そしてサンプル流体における気泡を検出するために、コントローラ862は、圧力源860に、サンプル流体850に加える圧力を突然変化させることもできる。その結果サンプル流体850に生ずる流速の変化を、流速センサ856によって監視することができる。
【0130】
図20は、図19の流動チャネル852においてサンプル流体850に圧力源860によって供給することができる例示的な圧力パルス900を示すグラフである。サンプル流体850内に気泡がほとんどないまたは全くない場合、902に示す流速が得られると考えられる。流速902は、圧力パルス900が突然増大すると、低い方の流速値904から高い方の流速値906に、更に急激に上昇し、次いで、圧力パルス900が突然減少すると、高い方の流速値906から低い方の流速値904に突然邸かする。しかしながら、サンプル流体850の中に気泡があると、その結果生ずる流速908(破線で示す)は、圧力パルス900が突然増大すると、低い方の流速値904から高い方の流速値906への上昇がゆっくりとなり、圧力パルス900が突然減少すると、高い方の流速値906から低い方の流速値904への低下もゆっくりとなると考えられる。気泡の中にある空気は、例えば、サンプル流体850の圧縮率を高め、これによって流速の上昇および低下の変化がゆっくりとなると考えられる。加えた圧力を変化させる間流速の変化を監視することによって、サンプル流体850における気泡の存在を検出することができる。流速変化に十分な減少が検出された場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0131】
尚、圧力源860は、適した圧力源であればいずれでもよく、所望に応じて、従来からのポンプ、圧縮空気源、またはその他の適した圧力源であればいずれでも含まれる。場合によっては、高周波圧力源を、従来からのポンプまたはその他の圧力源と共に用いてもよく、あるいは並列に動作してもよい。即ち、従来からのポンプまたはその他の圧力源860を用いて、サンプル流体の分析中に、流体カートリッジの流動チャネル852を通過するサンプル流体を実際に移動させることができる。高周波圧力源は、サンプル流体を流動チャネルに沿って大きく移動させるために用いるのではなく、例えば、気泡の存在、サンプル流体の圧縮率等を含む、サンプル流体のある種のパラメータを検出するために、サンプル流体の中に高周波の圧力パルスを発生するために用いるとよい。サンプル流体の圧縮率は、流動チャネル852の中にあるサンプル流体が、予期した種類のサンプル流体であるか否か検出し易くするために用いることができ、そうでない場合、サンプル分析装置は結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに提示することができる。
【0132】
いずれにしても、そして場合によっては、高周波圧力源が従来からのポンプまたはその他の圧力源と同時にまたは並列に動作する場合、流体回路によるサンプル処理の間に、現場でのサンプル流体の監視を行うことができる。
【0133】
場合によっては、圧力パルスを用いて、流体回路の流動チャネルの中にあるサンプル流体の末端即ち遠端の場所を判定または推定することができる。図21において、2つの流動チャネル1000および1002が示されている。サンプル流体1004が流動チャネル1000の中にあり、サンプル流体1006が流動チャネル1002の中にある。圧力変換器(例えば、圧力源)1008および受圧器(例えば、圧力センサ)1010が示されており、流動チャネル1000に対して既知の場所においてサンプル流体1004に流体的に結合されている。圧力変換器1008は、サンプル流体1004の中に圧力パルスを生成することができる。圧力パルスは、サンプル流体1004を下って、末端1012まで移動する。圧力パルスからのエネルギの一部は、サンプル流体1004の末端1012によって反射され、受圧器1010に戻ってくる。圧力変換器1008および/または受圧器1010から末端1012が現在位置しているところまでの距離は、圧力パルスがサンプル流体1004を下って末端1012に達し受圧器1010に戻ってくるまでに要する時間と関係がある。したがって、圧力パルスが末端1012まで移動して受圧器1010に戻ってくるまでに要する時間を測定することによって、流動チャネル1000に沿った末端1012の場所を判定することができる。
【0134】
流動チャネル1002は流動チャネル1000と同様であるが、末端が流動チャネルよりも更に離れた距離に位置することを除く。したがって、サンプル流体1006がサンプル流体1004と同一であると仮定すると、圧力パルスが末端1014まで行って受圧器1018まで戻ってくるまでに要する時間は、流動チャネル1000よりも長くなるはずである。また、受圧器1018が受け取る反射圧力パルスの振幅は、受圧器1010が受ける圧力パルスの振幅と比較すると、減少していると考えられる。つまり、振幅を監視すると、チャネル1000および1002それぞれに沿った末端1012および1014の場所を推定または判定する別の方法を得ることができる。
【0135】
図22および図23は、2つの流体が流体回路において合流するときを判定するための例示的な手法を示す。多くのサンプル分析装置では、初期状態において異なる流体が異なる流動チャネルに供給される。しかしながら、流体回路内では、種々の流体が相互に混ざることが多い。例えば、血液サンプルおよび球体化試薬は、初期状態では、各々別個の流動チャネルに供給する、後に流体回路の下流のいずれかの場所で互いに混じり合う可能性がある。種々の流体がいつそしてどのように合流するかのタイミングは、例えば、米国特許出願第10/932,662号に開示されているように、サンプル分析装置の機能全体にとっては重要となる可能性がある。この特許出願は、本願の譲受人に譲渡されており、その内容はここで引用したことにより本願にも含まれるものとする。
【0136】
2つ又は3つ以上の流体が流体回路の下流において混合するときを判定し易くするために、圧力変換器を用いて、流体サンプルの少なくとも1つにおいて圧力パルスを形成するとよい。例えば、そして図22を参照すると、圧力変換器1030(例えば、ポンプ、圧電発振器、超音波変換器、または他のあらゆる形式の圧力変換器)が、第1流動チャネル1034の中にあるサンプル流体1032において圧力パルスを生成することができる。受圧器1036(例えば、圧力センサ、超音波受信機等)が、第2流動チャネル1042の中にあるサンプル流体1040と流体連通することができる。第1流動チャネル1034および第2流動チャネル1042は、流動チャネル1044において合流する。これは、図23において最も良く示されている。
【0137】
再度図22を参照すると、圧力変換器1030が第1サンプル流体1032において生成した圧力パルスは、第1サンプル流体1032内を下流に向かって進行することができるが、第1サンプル流体1032の端部即ち遠端1046を超えて遥か先まで達することはできない。図示の例では、図22に示す流動チャネル1044には、初期状態では空気またはその他の気体が充填されており、後にサンプル流体1032および1040がそれぞれの流動チャネル1034および1042に沿って押し流されると、空気またはその他の気体はサンプル流体1032および1040によって変位させられる。サンプル流体1032および1040が合流する前に、受圧器1036は圧力変換器1030から大きな圧力パルスではなく、あかり減衰した圧力パルスを受信すると考えられる。
【0138】
ポンプ等のような、1つ又は複数の圧力源(図示せず)を活性化させて、図23においてより良く示されるように、サンプル流体1032および1040が合流するまで、サンプル流体1032および1040をそれぞれの流動チャネル1034および1042に沿って移動させることができる。これが発生すると、圧力変換器1030によって生成する圧力パルスは、この状態では、一層自由に受圧器1036まで進行することができるようになる。したがって、サンプル流体1032および1040が合流するときは、受圧器1036が圧力変換器1030から、減衰が少ない圧力パルスを受信し始めるとき、または受信するときを監視することによって判定することができる。
【0139】
場合によっては、圧力変換器1030はサンプル流体の中に(ときには比較的高い周波数の)圧力パルス列を生成してもよく、更にサンプル流体1032および1040を流体回路の流動チャネル1034、1042および1044に沿って実際に移動させるポンプまたはその他の圧力源と同時にまたは並列に動作してもよい。つまり、圧力変換器は、流体回路におけるサンプル流体の、更に具体的には、サンプル流体1032および1040が下流で合流するときの現場監視を行うために用いることができる。
【0140】
場合によっては、サンプル分析装置が分析の間水平面に置かれていないと、サンプル分析装置の動作が影響を受ける場合がある。この場合を検出するために、サンプル分析装置がレベル・センサを含むとよいことを想定している。例示的な一例では、レベル・センサは、Omron Corporationから入手可能な、微小傾斜センサ(D6B)とするとよい。他のレベル・センサには、電気出力を有するボール・センサを含むことができる。レベル・センサを用いると、サンプル分析装置は、サンプル分析装置が、分析を行うのに十分水平であるか否か判定を行うことができる。サンプル分析装置が十分に水平でない場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを出してもよい。
【0141】
サンプル分析装置が十分に水平になっているか否か確認するためにチェックする別の手法では、流体を含む1つ又は複数の流動チャネルを減圧し、これら1つ又は複数の流動チャネルにおける流体の流速を測定することを含む。サンプル分析装置が十分に水平になっていない場合、重力によって、1つ又は複数の流動チャネルにおける流速が、予期される範囲を外れると考えられる。流速が予期される範囲を外れた場合、分析装置は十分に水平になっていないと見なすことができ、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを提示してもよい。
【0142】
場合によっては、サンプル分析装置が分析中に衝突したり、またはそれ以外で移動した場合、分析装置の動作が影響を受ける場合がある。この場合を検出するために、サンプル分析装置が衝撃および/または振動センサを含むとよいことを想定している。例示的な一例では、衝撃および/または振動センサは、Omron Corporation から入手可能な衝撃/振動センサ(D7E−2)とすることができる。衝撃および/または振動センサを用いると、サンプル分析装置は、当該サンプル分析装置が衝突したかまたはそれ以外で移動したか否か判定することができる。サンプル分析装置が十分に衝突した場合、サンプル分析装置は、ユーザが制御カードまたは較正カードを実行して、処理を先に進める前にサンプル分析装置の適正な動作を検証する必要がある場合もある。場合によっては、サンプル分析装置は、分析の間にサンプル分析装置が衝突したかまたはそれ以外で移動したか否か判定を行うとよい。サンプル分析装置が分析中に十分に衝突した場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを出してもよい。
【0143】
場合によっては、サンプル分析装置は、計器ならびに着脱式および/または使い捨てカートリッジを含むこともできる。ユーザの挙動はときとして予測不可能なので、分析を進める前に、カートリッジが計器に適正に挿入されていることを検証することが望ましい場合がある。これを遂行する1つの方法は、カートリッジが正しい向きでないと計器に挿入できないように、カートリッジおよび計器を設計することである。例えば、図24は、矢印1104で示すように、計器1102内にあるスロットに受容されているカートリッジ1100を示す。図示のカートリッジ1100は、当該カートリッジ1100の上面に溝1106を含む。計器は対応する雄部材1108を含み、カートリッジ1100を計器1102に対して適正な向きで挿入すると、雄部材1108が溝1106の中に進入するように構成されている。カートリッジを天地逆に挿入すると、溝1106および雄部材1108が整列せず、カートリッジ1100は、計器1102のスロットに完全に挿入することが妨げられる。同様に、カートリッジ1100の端部1112を計器1102のスロットに挿入すると、溝1106および雄部材1108が整列せず、カートリッジ1100は、計器1102のスロットに完全に挿入することが妨げられる。これは、カートリッジ1100は適正な向きでないと計器1102に挿入することができないように、カートリッジ1100を計器1102に合わせる一例に過ぎない。
【0144】
カートリッジの計器に対する向きは、特に、カートリッジを計器に対して合わせない場合には、あらゆる数の方法でも検証することができる。例えば、例によっては、カートリッジが適正に計器に挿入されたときに、1つ又は複数の圧力ポートが計器とカートリッジの間に介在してもよい。計器は、圧力ポートの1つ又は複数に圧力を加えて、所望の流動が観察できるか否か確認するためにチェックすることができる。計器の圧力ポートがカートリッジの圧力ポートと整列していない場合、所望の流動を見ることはできない。所望の流速が見られない場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを出してもよい。
【0145】
別の例では、カートリッジは1つ又は複数の光窓またはその他の光学構造を含むこともできる。カートリッジが計器内に適正に導入された場合、計器は、光学的に、1つ又は複数の光窓またはその他の光学構造を含む場所に呼掛けることができる。予期した光応答が検出されない場合、カートリッジは適正な向きで導入されていない可能性があり、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを提示してもよい。
【0146】
場合によっては、サンプル分析装置は、所望のサンプル分析を実行するために1つ又は複数の試薬を必要とする場合がある。適正な試薬があるか否か、そして試薬が良い状態にあるか否か判定することが望ましい場合がある。例示的な一例では、試薬はコンテナに入れて配給することができ、コンテナは、試薬の種々のパラメータを識別するバー・コードまたはその他のコードを含むことができる。種々のパラメータは、例えば、試薬の種類、製造日、試薬の有効期限、およびその他のパラメータを識別することができる。サンプル分析装置は、バー・コードまたはその他のコードのリーダを含むことができ、種々のパラメータを読み取ることができる。次いで、サンプル分析装置は、例えば、試薬が所望のサンプル分析に対して適正な試薬か否か、試薬が指定の有効期限を過ぎていないか否か等を判定することができる。試薬が所望の分析に対して正しい試薬でない場合、または良い状態にない場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを出してもよい。
【0147】
場合によっては、試薬を着脱自在および/または使い捨てカートリッジに貯蔵することができる。図25は、3つのチェンバ1122a、1122bおよび1122cを含む使い捨てカートリッジ1120を示し、各チェンバは、カートリッジ1120を用いて実行する分析に特定した試薬を貯蔵する。カートリッジ1120に貼り付いているバー・コード1124が示されている。一旦カートリッジを対応する計器に適正に挿入したなら、計器はバー・コードを読み取り、試薬が所望のサンプル分析に対して適正な試薬であるか否か、試薬がその指定有効期限を過ぎていないか等を判定することができる。
【0148】
また、バー・コード1124は、カートリッジ1120に関する多数のパラメータも識別することができる。例えば、バー・コード1124は、カートリッジ、カートリッジがサポートする分析の種類、カートリッジ特定の較正パラメータ(使用する場合のみ)、分析についてのタイミング・パラメータ、分析についての入力圧力および/または流速等を識別することができる。場合によっては、バー・コード1124は、カートリッジを用いて分析を実行するときに、計器が用いるためのソフトウェアを設けることもできる。バー・コード1124を設ける代わりに、またはバー・コード1124を設けることに加えて、RFIDタグを設けてもよく、計器は、RFIDタグを読み取るメカニズムを含んでもよい。RFIDタグは、バー・コード1124に関して先に説明したのと同様の情報を含むことができる。
【0149】
また、温度もある試薬の性能に影響を及ぼすことがあり得る。場合によっては、最高温度インディケータ1126および/または最低温度インディケータ1128を設けるとよい。最低温度インディケータ1128は、JP Labsから入手可能な冷凍インディケータと同様とすればよい。JP Labsから提供されている冷凍インディケータは、ラベルの形態をなし、カートリッジまたはその他のコンテナに容易に貼り付けることができる。冷凍インディケータの温度が水の氷点未満に低下すると、非可逆的な色の変化、例えば、青から赤を生ずる。計器は、光学呼掛け器を含むことができ、これが冷凍インディケータ1128の色を検出し、最低温度未満の温度に試薬が晒されていた場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを提示してもよい。
【0150】
同様に、最高温度インディケータ1126も、JP Labsから入手可能な温度インディケータと同様とすればよい。これらのインディケータは、通常常温よりも高いある所定の温度(または温度範囲)に達すると、色変化を生ずる。加熱すると、無色から赤、無色から緑、青から赤等の変化を生ずる。これらのインディケータは、市販のインク・ビヒクル、例えば、フレクソおよびグラビアに容易に組み込むことができる。計器は、光学呼掛け器を含むことができ、これが温度インディケータ1126の色を検出し、最高温度未満の温度に試薬が晒されていた場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを提示してもよい。
【0151】
湿度および/または水分インディケータも設けてもよい。湿度および/または水分インディケータは、JP Labsから入手可能なものと同様とすればよい。湿度および/または水分インディケータは、完全に水分に露出すると、色変化を生ずることができる。色変化に必要な時間は、通常の環境湿度の下において、数分から数週間まで様々である可能性がある。
【0152】
図示のカートリッジ1120は、時間インディケータ1130も含むことができる。例によっては、密閉パッケージでカートリッジ1120をユーザに出荷する場合もある。密閉パッケージは、カートリッジ1120周囲に、制御した環境を提供することができる。使用前に、ユーザはパッケージからカートリッジ1120を取り出さなければならず、これによってカートリッジ1120を外部環境に露出させる。時間インディケータ1130は、パッケージを開いたときに活性化することができ、所定の時間期間が過ぎた後に、色が変化するか、それ以外では検出可能な状態を提示することができる。時間インディケータ1130は、JP Labsから入手可能な時間インディケータと同様とすればよい。
【0153】
計器は、時間インディケータ1130の色を検出する光学呼掛け器を含むことができ、時間期間が過ぎると、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを提示してもよい。これは、ユーザに、カートリッジのパッケージを開き、血液またはその他のサンプルをカートリッジ1120に装填し、計器を用いて分析を実行するための所定の時間量を与えることができる。これによって、ユーザがサンプルをカートリッジ1120に装填し、分析を実行する前に長く待ちすぎ、これによってサンプルを凝固させたり、乾燥させたり、それ以外の特性変化が生ずる可能性を低下するのに役立てることができる。
【0154】
カートリッジ1120をパッケージから取り出すときに時間インディケータを始動させる代わりに、カートリッジ1120のサンプル入力ポート上に、帯状のテープ1132またはその他の物質を設けてもよい。帯状のテープ1132またはその他の物質は、時間インディケータ1136を包み込むことができる。サンプルをカートリッジに装填する前に、ユーザは帯状のテープ1132またはその他の物質を除去しなければならず、これによって時間インディケータを環境に露出させ、時間インディケータを活性化する。所定の時間期間の後、時間インディケータ1136は色の変化を生ずるか、それ以外の検出可能な状態を提示することができる。
【0155】
計器は、時間インディケータ1136の色を検出する光学呼掛け器を含むことができ、時間期間が過ぎた場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを出してもよい。これは、ユーザに、サンプルの入力ポートから帯状のテープ1132またはその他の物質を除去し、血液またはその他のサンプルをカートリッジ1120に装填し、計器を用いて分析を実行するための所定の時間量を与えることができる。これによって、ユーザがサンプルをカートリッジ1120に装填し、分析を実行する前に長く待ちすぎ、これによってサンプルを凝固させたり、乾燥させたり、それ以外の特性変化が生ずる可能性を低下するのに役立てることができる。
【0156】
場合によっては、カートリッジがばね作動式ランセットを含み、血液サンプルをカートリッジに収集する際に補助するようにしてもよい。例えば、図26は、ばね作動式ランセット1152を含む例示的なカートリッジ1150を示す。ばね作動式ランセット1152は、ばねまたはその他の偏倚エレメント1153を含むことができ、ランセットを突出位置1154に偏倚させる。解放メカニズム1153をばね偏倚ランセット1152に結合し、ランセットを退却位置に固定することができる。解放ボタンまたはレバー1160をユーザが作動させると、解放機構1156はばね偏倚ランセット1152を解放することができ、ランセットは突然退却位置1158から突出位置1154に移動することができる。解放ボタンまたはレバー1160を作動させたときに、ユーザの指がカートリッジ1150に押し付けられていると、ばね偏倚ランセット1152がユーザの皮膚に突き刺さり、しかるべき量の血液を引き出すことができる。ばね偏倚ランセット1152は、カートリッジ1150の中にあるサンプル収集毛細管(図示せず)と流体連通することができ、したがって、例によっては、血液サンプルを直接カートリッジ1150のサンプル収集毛細管に配給することができる。ばね偏倚ランセット1152、解放メカニズム1156、および解放ボタンまたはレバー1160は、Becton, Dickinson and Companyから入手可能なBD(商標)ランセット・デバイスと同様とすればよい。
【0157】
あるいは、サンプルは、例えば、突き刺した指からピペット(恐らくは凝固防止剤を被覆した)を通じてカートリッジのサンプル入力または毛細管に転送することもできる。サンプルの転送およびカートリッジへの導入に、シリンジを用いることもできる。指を突き刺す、切開する、または切る前に指を消毒するために、アルコール・スワブを用いることもできる。図26におけるカートリッジ1150のランセット1152のように、ダイヤルイン深さ設定機能を有するランセットを用いてもよい。
【0158】
場合によっては、そして図27を参照すると、着脱式および/または使い捨てカートリッジ120は、気泡を流動体(flow stream)から除去するメカニズムを含むこともできる。場合によっては、気泡が、チャネルの壁の一部をなす多孔質膜の下を通過する際に、流動チャネルにおける液体流から気泡を除去することができる。図27では、気泡を含む液体が流動チャネル1170を流れていく様子が示されている。膜1172は、流動チャネル1170を開孔チェンバ1174から分離する。開孔チェンバ1174は、流動チャネル1170における圧力よりも低い圧力に保持されている。場合によっては、膜は、マサチューセッツ州BillericaにあるMillipore Corporationから入手可能なFluoropore(商標)、Mitex(商標)、またはDurapore(商標)膜のような、疎水性膜である。Mitex(商標)膜は、PTFEで作られ、小孔のサイズは5または10ミクロンである。Fluoropore (商標)膜は、支持剤HDPEを含有するPTFEで作られ、小孔のサイズは1または3ミクロンである。Durapore(商標)膜は、フッ化ポリビニリデンで作られ、小孔のサイズは0.1、0.22、および0.45ミクロンである。疎水性膜は、多くの場合、高い圧力差を維持することができ、それを通じた流体の漏れは生じない。
【0159】
流動チャネル1170と開孔チェンバ1174との間の圧力差によって、気泡1180内の気体を、膜1172を通して発散し、膜1172の下流において流体内の気泡を大幅に減少させる(望ましくは、気泡がなくなる)。次いで、気泡のない液体は、1184に示すように、下流に流れ、着脱式および/または使い捨てカートリッジ上の流体回路によって更に処理する。
【0160】
小孔のサイズが大きくなる程、小さな小孔のサイズよりも、取り込まれた気泡1180から気体の同じ流速を得るには少ない圧力差で済むが、液体の一部を通過させなければ、大きな圧力差を維持することができない。1つの微小孔を有する膜は、液体および膜の表面エネルギならびに小孔の幾何学的形状にもよるが、1PSI程度の圧力差を維持できるべきことが推定される。
【0161】
図28は、流動チャネル1185内部の側壁上における気泡トラップ1191の例示的な例の模式図である。気泡1187は、流れ1193と共に1つ又は複数のトラップ1191の中に流入し、凝固し、既にトラップの中にある気泡1189と合体することができる。あるいは、気泡1191はトラップの中における初期気泡1189となる場合もあり得る。トラップは、流動チャネルの壁における、三角形状フックのような、変形としてもよく、その場合、気泡が付近を通過する際に取り込まれ、トラップから流出して再度流動体に戻ることはできない。図示のような三角形状の他にも、トラップの形状は、矩形、半円形等としてもよい。
【0162】
場合によっては、サンプル分析装置は、サンプル分析装置の種々の構成部品を制御するために、電子部品および/またはソフトウェアを有してもよい。場合によっては、サンプル分析装置をライン電圧で給電してもよいが、停電の場合に備えて、バッテリ・バックアップを有するとよい。電子部品は、ときによってはバッテリ・バックアップと共に、クロック・チップを含み、精度高い時刻および日付を維持することができる。精度高い時刻および日付を有することは、例えば、試薬パッケージまたはカートリッジ上のバー・コード等から読み取ることができる、試薬の有効期限を比較して、試薬が未だ使用可能か否か判定する際に、有効に用いることができる。
【0163】
分析中に停電が発生し、しかもバッテリ・バックアップが設けられていない場合、電子部品および/またはソフトウェアは、分析を終了し、結果を発行せず、そして場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードをユーザに発行することができる。
【0164】
電子部品および/またはソフトウェアは、サンプル分析装置の種々の光源および検出器に結合することができる。例によっては、電子部品および/またはソフトウェアは、サンプル分析の前、後、および/または周期的に、あるいは分析の間中、光源および光検出器の動作をチェックすることができる。例えば、電子部品および/またはソフトウェアは、サンプル分析の前、後、および/または周期的に、あるいは分析の間中、1つ又は複数の検出器が、対応する光源によって供給される光を検出していることを検証することができる。
【0165】
あるいは、または加えて、光窓における亀裂、あるいは光窓上の汚れやごみのような、カートリッジ内の異常は、カートリッジを計器に挿入した後で、分析手順を開始する前に、識別するとよい。これは、例えば、1つ異常の光源を作動させて光窓を通じて光を供給し、1つ異常の検出器を用いて、光学的特徴(反射率、散乱、FALS、SALS、LALS等)を検出することによって遂行することができる。光窓が切れ部、汚れまたはごみを光窓上に、またはその他の不規則を含む場合、これらの不規則が原因で、検出器において予期しない光学的特徴が生ずる場合がある。電子部品および/またはソフトウェアがこのような異常を検出した場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを出してもよい。
【0166】
流速センサがサンプル分析装置の中にある場合、ある種の電子部品および/またはソフトウェアは、分析の前、後、または最中に流速センサの出力を監視して、指示された流速が所望の範囲内に納まっている、または所望の特徴に沿っていることを確認することができる。電子部品および/またはソフトウェアが、指示された流速が所望の範囲に納まらず、所望の特徴に沿ってもいない場合、サンプル分析装置は分析を実行しない、および/または結果を提示せず、場合によっては、エラー・メッセージまたはエラー・コードを出してもよい。
【0167】
場合によっては、サンプル分析装置は、あるレベルの内蔵自己検査(BIST)を含むとよい。例えば、検査モードでは、電子部品における記憶エレメント(例えば、レジスタ)の一部または全部を、直列走査連鎖的に、選択的に一緒に接続することができ、検査ベクトルを、連鎖結合したレジスタ内に直列に走査することができる。場合によっては、電子部品の入力および出力は検査レジスタを含むことができ、これを検査モードにおいてのみ論理的に挿入する。機能的クロック・サイクルを監視開始し、検査ベクトル・ビットを、レジスタ間のロジックを通じて放出し、結果をレジスタによって捕獲する。次いで、結果を直列的にレジスタから読み出し、期待結果と比較する。これによって、サンプル分析器における電子部品のロバストな検査を行うことができる。
【0168】
かかる検査ベクトルの多くは、所望の障害保護範囲(fault coverage)を達成するために実行することができる。場合によっては、障害保護範囲は、所望に応じて、ロジックの50パーセントよりも大きい、ロジックの60パーセントよりも大きい、ロジックの80パーセントよりも大きい、ロジックの90パーセントよりも大きい、ロジックの95パーセントよりも大きい、またはロジックの99パーセントよりも大きいこともあり得る。一旦検査したなら、電子部品を再度機能モードに切り換えることができ、サンプル分析装置の通常の機能的動作を再開することができる。サンプル分析装置は、1時間に1回、1日に1回、1週間に1回、1月に1回、またはその他のいずれの所望の間隔というような、周期的な間隔で検査モードに自動的に入ることができる。
【0169】
場合によっては、電子部品および/またはソフトウェアは、用途に応じて、5,000時間より長い、8,000時間より長い、10,000より長い、50,000時間より長い、100,000時管より長い、またはそれよりも長い平均故障間隔が得られるように、設計および/または検査する。
【0170】
例によっては、サンプル分析装置は、インターネットを通じて、1箇所以上の遠隔地に接続することもできる。そのように設ける場合、検査結果は、所望であれば、長期間の格納および/または更なる分析のために、遠隔地に配信することができる。加えて、遠隔地は、診断ソフトウェアを含むことができ、サンプル分析装置の遠隔診断および/または保守も実行できることも想定している。場合によっては、遠隔地は自動的にサンプル分析装置のファームウェアまたはソフトウェアをアップグレードすることもできる。
【0171】
カード拒否およびその他のエラーを遠隔地に送ることができる。遠隔地は、特定のサンプル分析装置に普通でなく高いエラーが発生しているか否か判定することができる。普通でなく高いエラーとは、サンプル分析装置の中で故障したハードウェア・コンポーネントまたは十分とは言えないハードウェア・コンポーネントを示すことができ、サービス担当者を遠隔地から派遣して、ユーザが問題を検出する前に、このコンポーネントを修理/交換することができる。また、特定の場所において普通でなく高いエラーは、その場所にいるユーザが付加的な訓練を必要としていることを示す場合もある。かかる訓練は、研究所所員のために遠隔地から急送することができる。カートリッジおよび計器は、訓練を受けていない要員でも動作可能であるように設計することができる。
【0172】
また、遠隔地は、多数のサンプル分析装置からのエラーおよび/またはBIST結果を統計的に分析し、サンプル分析装置の後続バージョンにおいて強化することができる、サンプル分析装置のコンポーネント、ソフトウェア、またはその他のエリアを特定することができる。
【0173】
サンプル分析装置内または周囲の温度、湿度、およびその他の環境パラメータを周期的に検知し、遠隔地に送るとよく、所望に応じて、衝撃、傾き、およびその他のセンサ・データも周期的に検知し、遠隔地に送るとよい。
【0174】
本明細書では、内容の一部は、性質上仮説的または予言的であっても他の文体または時世で述べられていることもある。
以上、少なくとも1つの例示的な例に関して、本発明について説明したが、本明細書を読めば、多くの変形や修正が当業者には明白となろう。したがって、添付した請求項は、従来技術に鑑み、かかる変形および修正を全て含むようにできるだけ広く解釈するものとすることを表明する。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】図1は、例示的なサンプル分析装置およびカートリッジの斜視図である。
【図2】図2は、図1の例示的なサンプル分析装置およびカートリッジの模式図である。
【図3】図3は、図2のサンプル分析装置およびカートリッジの流速制御を示す、更に詳細な模式図である。
【図4】図4は、例示的なカートリッジのある種の機構の模式図である。
【図5】図5は、カートリッジに含むことができる多数の例示的な貯蔵槽の模式図である。
【図6】図6は、血液サンプルを分析するための例示的手法を示す模式流れ図である。
【図7】図7は、多数の赤血球パラメータを得るための例示的手法を示す模式流れ図である。
【図8】図8は、血液サンプルを分析するための別の例示的手法を示す模式流れ図である。
【図9a】図9aは、ニードル−隔膜界面を示す。
【図9b】図9bは、ニードル−隔膜界面を示す。
【図9c】図9cは、シャフト−膜界面を示す。
【図9d】図9dは、シャフト−膜界面を示す。
【図9e】図9eは、膜−膜界面を示す。
【図9f】図9fは、膜−膜界面を示す。
【図9g】図9gは、推進流体、溶解(lysing)溶液、球体化溶液(sphering solution)、およびシース流体(sheath fluid)の空洞に提案する直径を示す表である。
【図10】図10は、サンプル分析装置を設定し動作させるための例示的手法を示す模式流れ図である。
【図11】図11は、サンプル分析装置を動作させるための別の例示的手法を示す流れ図である。
【図12】図12は、サンプル分析装置を動作させるための別の例示的手法を示す流れ図である。
【図13】図13は、正しくないまたは望ましくない流体が流体回路の流動チャネル内にあるときに、これを特定し易くするために用いることができる例示的な光学測定の模式図である。
【図14】図14は、正しくないまたは望ましくない流体が流体回路の流動チャネル内にあるときに、これを特定し易くするために用いることができる別の例示的な光学測定の模式図である。
【図15】図15は、正しくないまたは望ましくない流体が流体回路の流動チャネル内にあるときに、これを特定し易くするために用いることができる例示的な電子測定の模式図である。
【図16】図16は、正しくないまたは望ましくない流体が流体回路の流動チャネル内にあるときに、これを特定し易くするために用いることができる別の例示的な測定の模式図である。
【図17】図17は、流動チャネル内にあるサンプル流体が1つ又は複数の気泡またはその他の望ましくない粒子を有するときに、それを特定する際に用いることができる例示的な例の模式図である。
【図18】図18は、流動チャネル内にあるサンプル流体が1つ又は複数の気泡またはその他の望ましくない粒子を有するときに、それを特定する際に用いることができる別の例示的な例の模式図である。
【図19】図19は、流動チャネル内にあるサンプル流体が1つ又は複数の気泡またはその他の望ましくない粒子を有するときに、それを特定する際に用いることができる例示的な例の模式図である。
【図20】図20は、図19の流動チャネル内にあるサンプル流体に、圧力源によって供給することができる例示的な圧力パルス900を示すグラフである。
【図21】図21は、流体回路の流動チャネルにおけるサンプル流体の末端または遠端の場所を判定または推定する際に用いることができる例示的な例の模式図である。
【図22】図22は、2つ又は3つ以上の流体が流体回路の下流において合流するときを判定する際に用いることができる例示的な例の模式図である。
【図23】図23は、2つ又は3つ以上の流体が流体回路の下流において合流するときを判定する際に用いることができる例示的な例の模式図である。
【図24】図24は、例示的な計器およびカートリッジの模式図であり、カートリッジを適正な向きでなければ計器内に挿入できないように、カートリッジおよび計器に位置を指示している。
【図25】図25は、例示的なカートリッジの模式図である。
【図26】図26は、ばね作動式ランセットを含む例示的なカートリッジの模式図である。
【図27】図27は、流動チャネルからの気泡を除去するための膜を有する例示的なカートリッジの模式図である。
【図28】図28は、流動チャネルにおける気泡の捕獲の例示的な例の模式図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液サンプルに対して血液分析を実行する血液分析装置であって、
着脱式カートリッジであって、ユーザから血液サンプルを受けるように構成されている、着脱式カートリッジと、
前記着脱式カートリッジを受容するように構成されている計器であって、ユーザ・インターフェースを有する、計器と、
を備えており、
前記計器および/またはカートリッジは、1つ又は複数の搭載試薬を有し、該1つ又は複数の搭載試薬は、前記血液サンプルの所望の血液分析をサポートするために、集合的に十分であり、
前記計器およびカートリッジは、一旦前記着脱式カートリッジが前記血液サンプルを受け、前記着脱式カートリッジが前記計器によって受容され、分析を開始したなら、前記計器のユーザ・インターフェースと相互作用することを除いて、ユーザの介入を全く必要とせずに、一体となって、前記血液サンプルの所望の血液分析を実行するように構成されている、血液分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、即答命令便覧を備えており、該即答命令便覧を前記計器に対して固着する、血液分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、
前記計器またはその中に取り付けられたポケットと、
前記ポケットに挿入するように構成されている即答命令便覧と、
を備えている、血液分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、即答命令便覧を備えており、該即答命令便覧を前記カートリッジに対して固着する、血液分析装置。
【請求項5】
請求項1記載の血液分析装置において、トラブルシューティングまたはいずれのエラー・コードの解釈に関しても、ユーザが技術的または特殊な訓練を全く必要としないように構成されている、血液分析装置。
【請求項6】
請求項1記載の血液分析装置において、1か月よりも長い期間の間予防的保守を全く必要としないように構成されている、血液分析装置。
【請求項7】
請求項1記載の血液分析装置において、6か月よりも長い期間の間予防的保守を全く必要としないように構成されている、血液分析装置。
【請求項8】
請求項1記載の血液分析装置において、ユーザが結果に基づいて較正、解釈、または解釈を全く行う必要のない結果を生成する、血液分析装置。
【請求項9】
請求項1記載の血液分析装置において、二進結果を生成する、血液分析装置。
【請求項10】
請求項1記載の血液分析装置において、数値である結果を生成する、血液分析装置。
【請求項11】
請求項1記載の血液分析装置において、容認可能または容認不可能な結果を示す結果を生成する、血液分析装置。
【請求項12】
請求項1記載の血液分析装置において、容認可能または容認不可能な血液学結果、および/または容認可能または容認不可能な免疫学的献呈結果を示す、血液分析装置。
【請求項13】
請求項1記載の血液分析装置において、全血液算定数を提示する、血液分析装置。
【請求項14】
請求項1記載の血液分析装置において、CD4、CD45、CDX、および/またはCDXX指示を提示する、血液分析装置。
【請求項15】
請求項1記載の血液分析装置において、ディスプレイまたは印刷紙上に色の階調を含む結果を生成する、血液分析装置。
【請求項16】
請求項1記載の血液分析装置において、結果を提示し、更に、前記結果が、確認検査が臨床的に得策であることを示す範囲に該当する場合、かかる検査のために血液サンプルを入手し発送する命令を与える、血液部分析装置。
【請求項17】
請求項1記載の血液分析装置において、誤った結果をユーザに報告するのを防止するのに役立てるために、1つ又は複数のフェール・セーフ・メカニズムを含む、血液分析装置。
【請求項18】
請求項17記載の血液分析装置において、前記1つ又は複数のフェール・セーフ・メカニズムは、1つ又は複数の検査条件が不適切である場合に、前記血液分析装置が結果を提示しないことを確保するのに役立つ保護メカニズムを含む、血液分析装置。
【請求項19】
請求項17記載の血液分析装置において、前記1つ又は複数のフェール・セーフ・メカニズムは、前記血液分析装置において異常な検査条件が検出された場合に、前記血液分析装置が結果を提示しないことを確保するのに役立つ保護メカニズムを含む、血液分析装置。
【請求項20】
請求項18記載の血液分析装置において、前記保護メカニズムは、結果が所定の範囲外となった場合に、前記血液分析装置が前記結果を提示することを防止する、血液分析装置。
【請求項21】
請求項18記載の血液分析装置において、前記保護メカニズムは、前記血液分析装置の構成部品が誤動作する場合に、前記血液分析装置が結果を提示することを防止する、血液分析装置。
【請求項22】
請求項18記載の血液分析装置において、前記保護メカニズムは、ユーザの誤りが検出された場合に、前記血液分析装置が結果を提示することを防止する、血液分析装置。
【請求項23】
請求項1記載の血液分析装置において、当該血液分析装置が誤った結果を報告していることをユーザに警告する1つ又は複数の障害警告メカニズムを含む、血液分析装置。
【請求項24】
請求項23記載の血液分析装置において、前記1つ又は複数の障害警告メカニズムは、前記血液分析装置における誤動作をユーザに警告する、血液分析装置。
【請求項25】
請求項24記載の血液分析装置において、前記1つ又は複数の障害警告メカニズムの内少なくとも1つは、ユーザに誤動作を訂正させ、次いで処理を進めさせる、血液分析装置。
【請求項26】
請求項24記載の血液分析装置において、前記1つ又は複数の障害警告メカニズムの内少なくとも1つは、前記血液分析装置において検出された誤動作のために、結果に信頼性がないことをユーザに警告する、血液分析装置。
【請求項27】
請求項24記載の血液分析装置において、前記1つ又は複数の障害警告メカニズムの内少なくとも1つは、1つ又は複数の外部制御部、1つ又は複数の内部手順制御部、および前記血液分析装置の適正な機能を保証するための1つ又は複数のチェックから成る群から選択する、血液分析装置。
【請求項28】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、前記着脱式カートリッジの中に血液サンプルがあるか否か検出する検出メカニズムを備えている、血液分析装置。
【請求項29】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、前記着脱式カートリッジに供給されたサンプルが血液サンプルではないか否か検出する検出メカニズムを備えている、血液分析装置。
【請求項30】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、前記血液サンプルが凝固しているか否か検出する検出メカニズムを備えている、血液分析装置。
【請求項31】
請求項1記載の血液分析装置において、前記計器は、多数の試薬を貯蔵する1つ又は複数の試薬槽を含み、前記血液分析装置は、前記試薬の1つ又は複数を分析中に前記着脱式カートリッジに供給する、血液分析装置。
【請求項32】
請求項31記載の血液分析装置において、更に、前記多数の試薬槽に貯蔵されている1つ又は複数の試薬が、前記計器が受け取った特定の着脱式カートリッジと相容性があるか否か検出する検出メカニズムを含む、血液分析装置。
【請求項33】
請求項22記載の血液分析装置において、前記多数の試薬槽に貯蔵されている1つ又は複数の試薬は、貯蔵寿命を有し、前記血液分析装置は、更に、前記多数の試薬槽に貯蔵されている1つ又は複数の試薬が前記貯蔵寿命を遵守しているか否か検出する検出メカニズムを含む、血液分析装置。
【請求項34】
請求項31記載の血液分析装置において、前記多数の試薬槽に貯蔵されている1つ又は複数の試薬は、貯蔵判断基準を有し、前記血液分析装置は、更に、前記1つ又は複数の試薬が前記貯蔵判断基準の1つ又は複数を遵守して貯蔵されているか否か検出する検出メカニズムを含む、血液分析装置。
【請求項35】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、
血液学分析部と、
免疫学的検定部と、
を備えている、血液分析装置。
【請求項36】
請求項35記載の血液分析装置において、
前記血液学分析部は、少なくとも1つの全血液算定を提示し、
前記免疫学的検定部は、HIV/AIDS情報を提供する、血液分析装置。
【請求項37】
請求項35記載の血液分析装置において、
前記血液学分析部は、その結果が容認可能か否か、未熟なユーザに示し、
前記免疫学的検定部は、その結果容認可能か否か、未熟なユーザに示す、血液分析装置。
【請求項38】
請求項1記載の血液分析装置において、電子部品を含み、該電子部品の少なくとも一部に対して自己検査を実行する内蔵自己検査(BIST)を含む、血液分析装置。
【請求項39】
請求項38記載の血液分析装置において、前記内蔵自己検査(BIST)は、前記電子部品の少なくとも一部を、8000時間よりも長い期待平均故障間隔(MTBF)率に対して検査する、血液分析装置。
【請求項40】
請求項39記載の血液分析装置において、前記内蔵自己検査(BIST)は、前記電子部品の少なくとも一部を、50,000時間よりも長い期待平均故障間隔(MTBF)率に対して検査する、血液分析装置。
【請求項41】
請求項39記載の血液分析装置において、前記内蔵自己検査(BIST)は、前記電子部品の少なくとも一部を、100,000時間よりも長い期待平均故障間隔(MTBF)率に対して検査する、血液分析装置。
【請求項42】
請求項38記載の血液分析装置において、前記内蔵自己検査(BIST)は、前記電子部品の少なくとも一部が、既定の仕様に該当することをチェックする、血液分析装置。
【請求項43】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、
前記計器が受け入れるように構成されている較正カートリッジを備えており、
前記較正カートリッジは、前記血液分析装置の少なくとも一部を較正するために用いられる、血液分析装置。
【請求項44】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、
前記計器が受け入れるように構成されている較正カートリッジを備えており、
前記較正カートリッジは、前記血液分析装置の少なくとも一部を較正するために用いられ、
前記較正カートリッジは、前記血液分析装置の血液学部のために標準的制御サンプルを有し、および/または
前記較正カートリッジは、前記血液分析装置の免疫学的検定部のために標準的制御サンプルを有する、血液分析装置。
【請求項45】
請求項44記載の血液分析装置において、前記較正カートリッジを挿入するときに、ユーザに伝達する、血液分析装置。
【請求項46】
請求項44記載の血液分析装置において、前記較正カートリッジを挿入するときに、既定の間隔でユーザに伝達する、血液分析装置。
【請求項47】
請求項1記載の血液分析装置において、当該血液分析装置は流動血球計算器であり、前記血液サンプルは全血液サンプルである、血液分析装置。
【請求項48】
血液サンプルに対して血液分析を実行する血液分析装置であって、
単一使用着脱式カートリッジであって、ユーザからの血液サンプルを受けるように構成されている、単一使用着脱式カートリッジと、
前記単一使用着脱式カートリッジを受容するように構成されている計器と、
を備えており、
前記計器および/またはカートリッジは、1つ又は複数の搭載試薬を有し、
該1つ又は複数の搭載試薬は、前記血液サンプルの所望の血液分析をサポートするために、集合的に十分であり、
前記計器およびカートリッジは、一旦前記単一使用着脱式カートリッジが前記血液サンプルを受け、前記着脱式カートリッジが前記計器によって受容され、分析を開始したなら、ユーザの介入を全く必要とせずに、一体となって、前記血液サンプルの所望の血液分析を実行するように構成されている、血液分析装置。
【請求項49】
血液サンプルに対して血液分析を実行する血液分析装置であって、
単一使用着脱式カートリッジであって、ユーザからの血液サンプルを受けるように構成されている、単一使用着脱式カートリッジと、
前記単一使用着脱式カートリッジを受容するように構成されている計器と、
を備えており、
前記計器は、ユーザ・インターフェースを有し、
前記計器および/またはカートリッジは、1つ又は複数の搭載試薬を有し、
該1つ又は複数の搭載試薬は、前記血液サンプルの所望の血液分析をサポートするために、集合的に十分であり、
前記計器およびカートリッジは、一旦前記単一使用着脱式カートリッジが前記血液サンプルを受け、前記着脱式カートリッジが前記計器によって受容され、分析を開始したなら、前記計器のユーザ・インターフェースと相互作用することを除いて、ユーザの介入を全く必要とせずに、一体となって、前記血液サンプルの所望の血液分析を実行するように構成されている、血液分析装置。
【請求項50】
血液サンプルに対して血液分析を実行する血液分析装置であって、
単一使用着脱式カートリッジであって、ユーザからの血液サンプルを受けるように構成されている、単一使用着脱式カートリッジと、
前記単一使用着脱式カートリッジを受容するように構成されている計器と、
を備えており、
前記計器および/またはカートリッジは、1つ又は複数の搭載試薬を有し、
該1つ又は複数の搭載試薬は、前記血液サンプルの所望の血液分析をサポートするために、集合的に十分であり、
前記計器およびカートリッジは、一旦前記単一使用着脱式カートリッジが前記血液サンプルを受け、前記着脱式カートリッジが前記計器によって受容され、分析を開始したなら、ユーザによるサンプル操作を全く必要とせずに、一体となって、前記血液サンプルの所望の血液分析を実行するように構成されている、血液分析装置。
【請求項1】
血液サンプルに対して血液分析を実行する血液分析装置であって、
着脱式カートリッジであって、ユーザから血液サンプルを受けるように構成されている、着脱式カートリッジと、
前記着脱式カートリッジを受容するように構成されている計器であって、ユーザ・インターフェースを有する、計器と、
を備えており、
前記計器および/またはカートリッジは、1つ又は複数の搭載試薬を有し、該1つ又は複数の搭載試薬は、前記血液サンプルの所望の血液分析をサポートするために、集合的に十分であり、
前記計器およびカートリッジは、一旦前記着脱式カートリッジが前記血液サンプルを受け、前記着脱式カートリッジが前記計器によって受容され、分析を開始したなら、前記計器のユーザ・インターフェースと相互作用することを除いて、ユーザの介入を全く必要とせずに、一体となって、前記血液サンプルの所望の血液分析を実行するように構成されている、血液分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、即答命令便覧を備えており、該即答命令便覧を前記計器に対して固着する、血液分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、
前記計器またはその中に取り付けられたポケットと、
前記ポケットに挿入するように構成されている即答命令便覧と、
を備えている、血液分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、即答命令便覧を備えており、該即答命令便覧を前記カートリッジに対して固着する、血液分析装置。
【請求項5】
請求項1記載の血液分析装置において、トラブルシューティングまたはいずれのエラー・コードの解釈に関しても、ユーザが技術的または特殊な訓練を全く必要としないように構成されている、血液分析装置。
【請求項6】
請求項1記載の血液分析装置において、1か月よりも長い期間の間予防的保守を全く必要としないように構成されている、血液分析装置。
【請求項7】
請求項1記載の血液分析装置において、6か月よりも長い期間の間予防的保守を全く必要としないように構成されている、血液分析装置。
【請求項8】
請求項1記載の血液分析装置において、ユーザが結果に基づいて較正、解釈、または解釈を全く行う必要のない結果を生成する、血液分析装置。
【請求項9】
請求項1記載の血液分析装置において、二進結果を生成する、血液分析装置。
【請求項10】
請求項1記載の血液分析装置において、数値である結果を生成する、血液分析装置。
【請求項11】
請求項1記載の血液分析装置において、容認可能または容認不可能な結果を示す結果を生成する、血液分析装置。
【請求項12】
請求項1記載の血液分析装置において、容認可能または容認不可能な血液学結果、および/または容認可能または容認不可能な免疫学的献呈結果を示す、血液分析装置。
【請求項13】
請求項1記載の血液分析装置において、全血液算定数を提示する、血液分析装置。
【請求項14】
請求項1記載の血液分析装置において、CD4、CD45、CDX、および/またはCDXX指示を提示する、血液分析装置。
【請求項15】
請求項1記載の血液分析装置において、ディスプレイまたは印刷紙上に色の階調を含む結果を生成する、血液分析装置。
【請求項16】
請求項1記載の血液分析装置において、結果を提示し、更に、前記結果が、確認検査が臨床的に得策であることを示す範囲に該当する場合、かかる検査のために血液サンプルを入手し発送する命令を与える、血液部分析装置。
【請求項17】
請求項1記載の血液分析装置において、誤った結果をユーザに報告するのを防止するのに役立てるために、1つ又は複数のフェール・セーフ・メカニズムを含む、血液分析装置。
【請求項18】
請求項17記載の血液分析装置において、前記1つ又は複数のフェール・セーフ・メカニズムは、1つ又は複数の検査条件が不適切である場合に、前記血液分析装置が結果を提示しないことを確保するのに役立つ保護メカニズムを含む、血液分析装置。
【請求項19】
請求項17記載の血液分析装置において、前記1つ又は複数のフェール・セーフ・メカニズムは、前記血液分析装置において異常な検査条件が検出された場合に、前記血液分析装置が結果を提示しないことを確保するのに役立つ保護メカニズムを含む、血液分析装置。
【請求項20】
請求項18記載の血液分析装置において、前記保護メカニズムは、結果が所定の範囲外となった場合に、前記血液分析装置が前記結果を提示することを防止する、血液分析装置。
【請求項21】
請求項18記載の血液分析装置において、前記保護メカニズムは、前記血液分析装置の構成部品が誤動作する場合に、前記血液分析装置が結果を提示することを防止する、血液分析装置。
【請求項22】
請求項18記載の血液分析装置において、前記保護メカニズムは、ユーザの誤りが検出された場合に、前記血液分析装置が結果を提示することを防止する、血液分析装置。
【請求項23】
請求項1記載の血液分析装置において、当該血液分析装置が誤った結果を報告していることをユーザに警告する1つ又は複数の障害警告メカニズムを含む、血液分析装置。
【請求項24】
請求項23記載の血液分析装置において、前記1つ又は複数の障害警告メカニズムは、前記血液分析装置における誤動作をユーザに警告する、血液分析装置。
【請求項25】
請求項24記載の血液分析装置において、前記1つ又は複数の障害警告メカニズムの内少なくとも1つは、ユーザに誤動作を訂正させ、次いで処理を進めさせる、血液分析装置。
【請求項26】
請求項24記載の血液分析装置において、前記1つ又は複数の障害警告メカニズムの内少なくとも1つは、前記血液分析装置において検出された誤動作のために、結果に信頼性がないことをユーザに警告する、血液分析装置。
【請求項27】
請求項24記載の血液分析装置において、前記1つ又は複数の障害警告メカニズムの内少なくとも1つは、1つ又は複数の外部制御部、1つ又は複数の内部手順制御部、および前記血液分析装置の適正な機能を保証するための1つ又は複数のチェックから成る群から選択する、血液分析装置。
【請求項28】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、前記着脱式カートリッジの中に血液サンプルがあるか否か検出する検出メカニズムを備えている、血液分析装置。
【請求項29】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、前記着脱式カートリッジに供給されたサンプルが血液サンプルではないか否か検出する検出メカニズムを備えている、血液分析装置。
【請求項30】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、前記血液サンプルが凝固しているか否か検出する検出メカニズムを備えている、血液分析装置。
【請求項31】
請求項1記載の血液分析装置において、前記計器は、多数の試薬を貯蔵する1つ又は複数の試薬槽を含み、前記血液分析装置は、前記試薬の1つ又は複数を分析中に前記着脱式カートリッジに供給する、血液分析装置。
【請求項32】
請求項31記載の血液分析装置において、更に、前記多数の試薬槽に貯蔵されている1つ又は複数の試薬が、前記計器が受け取った特定の着脱式カートリッジと相容性があるか否か検出する検出メカニズムを含む、血液分析装置。
【請求項33】
請求項22記載の血液分析装置において、前記多数の試薬槽に貯蔵されている1つ又は複数の試薬は、貯蔵寿命を有し、前記血液分析装置は、更に、前記多数の試薬槽に貯蔵されている1つ又は複数の試薬が前記貯蔵寿命を遵守しているか否か検出する検出メカニズムを含む、血液分析装置。
【請求項34】
請求項31記載の血液分析装置において、前記多数の試薬槽に貯蔵されている1つ又は複数の試薬は、貯蔵判断基準を有し、前記血液分析装置は、更に、前記1つ又は複数の試薬が前記貯蔵判断基準の1つ又は複数を遵守して貯蔵されているか否か検出する検出メカニズムを含む、血液分析装置。
【請求項35】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、
血液学分析部と、
免疫学的検定部と、
を備えている、血液分析装置。
【請求項36】
請求項35記載の血液分析装置において、
前記血液学分析部は、少なくとも1つの全血液算定を提示し、
前記免疫学的検定部は、HIV/AIDS情報を提供する、血液分析装置。
【請求項37】
請求項35記載の血液分析装置において、
前記血液学分析部は、その結果が容認可能か否か、未熟なユーザに示し、
前記免疫学的検定部は、その結果容認可能か否か、未熟なユーザに示す、血液分析装置。
【請求項38】
請求項1記載の血液分析装置において、電子部品を含み、該電子部品の少なくとも一部に対して自己検査を実行する内蔵自己検査(BIST)を含む、血液分析装置。
【請求項39】
請求項38記載の血液分析装置において、前記内蔵自己検査(BIST)は、前記電子部品の少なくとも一部を、8000時間よりも長い期待平均故障間隔(MTBF)率に対して検査する、血液分析装置。
【請求項40】
請求項39記載の血液分析装置において、前記内蔵自己検査(BIST)は、前記電子部品の少なくとも一部を、50,000時間よりも長い期待平均故障間隔(MTBF)率に対して検査する、血液分析装置。
【請求項41】
請求項39記載の血液分析装置において、前記内蔵自己検査(BIST)は、前記電子部品の少なくとも一部を、100,000時間よりも長い期待平均故障間隔(MTBF)率に対して検査する、血液分析装置。
【請求項42】
請求項38記載の血液分析装置において、前記内蔵自己検査(BIST)は、前記電子部品の少なくとも一部が、既定の仕様に該当することをチェックする、血液分析装置。
【請求項43】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、
前記計器が受け入れるように構成されている較正カートリッジを備えており、
前記較正カートリッジは、前記血液分析装置の少なくとも一部を較正するために用いられる、血液分析装置。
【請求項44】
請求項1記載の血液分析装置であって、更に、
前記計器が受け入れるように構成されている較正カートリッジを備えており、
前記較正カートリッジは、前記血液分析装置の少なくとも一部を較正するために用いられ、
前記較正カートリッジは、前記血液分析装置の血液学部のために標準的制御サンプルを有し、および/または
前記較正カートリッジは、前記血液分析装置の免疫学的検定部のために標準的制御サンプルを有する、血液分析装置。
【請求項45】
請求項44記載の血液分析装置において、前記較正カートリッジを挿入するときに、ユーザに伝達する、血液分析装置。
【請求項46】
請求項44記載の血液分析装置において、前記較正カートリッジを挿入するときに、既定の間隔でユーザに伝達する、血液分析装置。
【請求項47】
請求項1記載の血液分析装置において、当該血液分析装置は流動血球計算器であり、前記血液サンプルは全血液サンプルである、血液分析装置。
【請求項48】
血液サンプルに対して血液分析を実行する血液分析装置であって、
単一使用着脱式カートリッジであって、ユーザからの血液サンプルを受けるように構成されている、単一使用着脱式カートリッジと、
前記単一使用着脱式カートリッジを受容するように構成されている計器と、
を備えており、
前記計器および/またはカートリッジは、1つ又は複数の搭載試薬を有し、
該1つ又は複数の搭載試薬は、前記血液サンプルの所望の血液分析をサポートするために、集合的に十分であり、
前記計器およびカートリッジは、一旦前記単一使用着脱式カートリッジが前記血液サンプルを受け、前記着脱式カートリッジが前記計器によって受容され、分析を開始したなら、ユーザの介入を全く必要とせずに、一体となって、前記血液サンプルの所望の血液分析を実行するように構成されている、血液分析装置。
【請求項49】
血液サンプルに対して血液分析を実行する血液分析装置であって、
単一使用着脱式カートリッジであって、ユーザからの血液サンプルを受けるように構成されている、単一使用着脱式カートリッジと、
前記単一使用着脱式カートリッジを受容するように構成されている計器と、
を備えており、
前記計器は、ユーザ・インターフェースを有し、
前記計器および/またはカートリッジは、1つ又は複数の搭載試薬を有し、
該1つ又は複数の搭載試薬は、前記血液サンプルの所望の血液分析をサポートするために、集合的に十分であり、
前記計器およびカートリッジは、一旦前記単一使用着脱式カートリッジが前記血液サンプルを受け、前記着脱式カートリッジが前記計器によって受容され、分析を開始したなら、前記計器のユーザ・インターフェースと相互作用することを除いて、ユーザの介入を全く必要とせずに、一体となって、前記血液サンプルの所望の血液分析を実行するように構成されている、血液分析装置。
【請求項50】
血液サンプルに対して血液分析を実行する血液分析装置であって、
単一使用着脱式カートリッジであって、ユーザからの血液サンプルを受けるように構成されている、単一使用着脱式カートリッジと、
前記単一使用着脱式カートリッジを受容するように構成されている計器と、
を備えており、
前記計器および/またはカートリッジは、1つ又は複数の搭載試薬を有し、
該1つ又は複数の搭載試薬は、前記血液サンプルの所望の血液分析をサポートするために、集合的に十分であり、
前記計器およびカートリッジは、一旦前記単一使用着脱式カートリッジが前記血液サンプルを受け、前記着脱式カートリッジが前記計器によって受容され、分析を開始したなら、ユーザによるサンプル操作を全く必要とせずに、一体となって、前記血液サンプルの所望の血液分析を実行するように構成されている、血液分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9g】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9g】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2009−521683(P2009−521683A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547558(P2008−547558)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/048847
【国際公開番号】WO2007/075920
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/048847
【国際公開番号】WO2007/075920
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】
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