説明

アナログデジタル変換装置、アナログデジタル変換方法、制御装置及びプログラム

【課題】出力信号に含まれるスプリアスを削減する。
【解決手段】アナログの入力信号をデジタルの出力信号に変換するアナログデジタル変換装置であって、所定位相ずつ異なるサンプリングクロックが与えられ、それぞれが、与えられたサンプリングクロックにより入力信号をデジタル化した個別信号を出力する複数のADコンバータと、複数のADコンバータに対応して設けられ、それぞれが、対応するADコンバータが出力した個別信号を、個別信号の振幅に応じた補正係数により補正して、補正済個別信号を生成する複数の振幅依存特性補正部と、複数の補正済個別信号を合成して出力信号を生成する合成部と、を備えるアナログデジタル変換装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログデジタル変換装置、アナログデジタル変換方法、制御装置及びプログラムに関する。特に本発明は、複数のADコンバータを用いてアナログの入力信号をデジタルの出力信号に変換するアナログデジタル変換装置、アナログデジタル変換方法、制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
見かけ上のサンプリングレートを高くしたインターリーブ型のアナログデジタル変換装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。インターリーブ型のアナログデジタル変換装置は、所定位相ずつ異なるサンプリングクロックが与えられる複数のADコンバータと、複数のADコンバータから出力された信号を1サンプル毎に順次に選択して合成する合成部とを備える。
【0003】
また、特許文献1に記載されたアナログデジタル変換装置は、複数のADコンバータのそれぞれから出力された信号を対応するADコンバータの周波数特性に応じて補正する。これにより、特許文献1に記載されたアナログデジタル変換装置は、各ADコンバータの周波数特性が異なる場合であっても、アナログの入力信号をデジタルの出力信号に精度良く変換することができる。
【特許文献1】特開2005−347967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ADコンバータは、諸所の誤差の影響により、入力信号の振幅とAD変換後の出力信号のデータ値との関係を表す曲線が、理想線(例えば直線)から外れる。入力信号の振幅と出力信号のデータ値との関係を表す曲線が理想線から外れる特性を、非線形特性という。インターリーブ型のアナログデジタル変換装置は、複数のADコンバータの非線形特性が互いに異なる場合、出力信号にスプリアスを含んでしまい、この結果、ダイナミックレンジが狭くなってしまう。
【0005】
そこで本発明は、上記の課題を解決することのできるアナログデジタル変換装置、アナログデジタル変換方法、制御装置及びプログラムを提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、アナログの入力信号をデジタルの出力信号に変換するアナログデジタル変換装置であって、所定位相ずつ異なるサンプリングクロックが与えられ、それぞれが、与えられたサンプリングクロックにより入力信号をデジタル化した個別信号を出力する複数のADコンバータと、複数のADコンバータに対応して設けられ、それぞれが、対応するADコンバータが出力した個別信号を、個別信号の振幅に応じた補正係数により補正して、補正済個別信号を生成する複数の振幅依存特性補正部と、複数の補正済個別信号を合成して出力信号を生成する合成部と、を備えるアナログデジタル変換装置を提供する。
【0007】
本発明の第2の形態においては、複数のADコンバータを用いて、アナログの入力信号をデジタルの出力信号に変換するアナログデジタル変換方法であって、複数のADコンバータに対して所定位相ずつ異なるサンプリングクロックを与え、複数のADコンバータのそれぞれに、与えられたサンプリングクロックにより入力信号をデジタル化した個別信号を出力させ、複数のADコンバータのそれぞれについて、対応するADコンバータが出力した個別信号を、個別信号の振幅に応じた補正係数により補正して、補正済個別信号を生成し、生成された複数の補正済個別信号を合成して出力信号を生成するアナログデジタル変換方法を提供する。
【0008】
本発明の第3の形態においては、複数のADコンバータを用いて、アナログの入力信号をデジタルの出力信号に変換するアナログデジタル変換装置として動作する制御装置であって、複数のADコンバータに対して所定位相ずつ異なるサンプリングクロックを与え、複数のADコンバータのそれぞれに、与えられたサンプリングクロックにより入力信号をデジタル化した個別信号を出力させるクロック出力部と、複数のADコンバータに対応して設けられ、それぞれが、対応するADコンバータが出力した個別信号を、個別信号の振幅に応じた補正係数により補正して、補正済個別信号を生成する複数の振幅依存特性補正部と、複数の補正済個別信号を合成して出力信号を生成する合成部と、を備える制御装置を提供する。
【0009】
本発明の第4の形態においては、複数のADコンバータを用いて、アナログの入力信号をデジタルの出力信号に変換するアナログデジタル変換装置として制御装置を動作させるプログラムであって、制御装置を、複数のADコンバータに対して所定位相ずつ異なるサンプリングクロックを与え、複数のADコンバータのそれぞれに、与えられたサンプリングクロックにより入力信号をデジタル化した個別信号を出力させるクロック出力部と、複数のADコンバータに対応して設けられ、それぞれが、対応するADコンバータが出力した個別信号を、個別信号の振幅に応じた補正係数により補正して、補正済個別信号を生成する複数の振幅依存特性補正部と、複数の補正済個別信号を合成して出力信号を生成する合成部として機能させるプログラムを提供する。
【0010】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、本実施形態に係るアナログデジタル変換装置10の構成の一例を示す。アナログデジタル変換装置10は、アナログの入力信号をデジタルの出力信号に変換して出力する。アナログデジタル変換装置10は、複数のADコンバータ20(本例においては4個のADコンバータ20−1〜20−4)と、複数の振幅依存特性補正部22(本例においては4個の振幅依存特性補正部22−1〜20−4)と、合成部24と、クロック出力部26と、測定部28とを備える。
【0013】
複数のADコンバータ20のそれぞれには、AD変換対象となる入力信号が与えられる。複数のADコンバータ20のそれぞれは、所定位相ずつ異なるサンプリングクロックが与えられる。サンプリングクロックについては、図2において詳細を説明する。複数のADコンバータ20のそれぞれは、与えられたサンプリングクロックによりアナログの入力信号をサンプリングしてデジタル化した個別信号を出力する。
【0014】
複数の振幅依存特性補正部22は、複数のADコンバータ20に対応して設けられる。複数の振幅依存特性補正部22のそれぞれは、対応するADコンバータ20が出力した個別信号を、個別信号の振幅に応じた補正係数により補正して、補正済個別信号を生成する。
【0015】
複数の振幅依存特性補正部22のそれぞれは、一例として、補正済個別信号を基準値に近づけるように(例えば補正済個別信号を基準値に一致させるように)、対応するADコンバータ20が出力した個別信号を補正してよい。基準値は、一例として、基準とするアナログデジタル変換器が入力信号をAD変換した場合に出力するべきデータ値であってよい。基準とするアナログデジタル変換器は、一例として、入力信号の振幅とAD変換後の出力信号のデータ値との関係が理想直線となる理想的なアナログデジタル変換器であってよい。これに代えて、基準とするアナログデジタル変換器は、入力信号の振幅とAD変換後の出力信号のデータ値との関係が直線とはならない一のアナログデジタル変換器(例えば、当該アナログデジタル変換装置10に備えられるいずれか一のADコンバータ20)であってもよい。
【0016】
複数の振幅依存特性補正部22のそれぞれは、一例として、対応するADコンバータ20の非線形特性の逆特性に応じた補正係数を、対応するADコンバータ20から出力された個別信号に乗算して補正してよい。ここで、ADコンバータ20の非線形特性は、基準とするアナログデジタル変換器が出力するべき信号に対する、当該ADコンバータ20が出力する個別信号の割合を表す特性をいう。
【0017】
また、複数の振幅依存特性補正部22のそれぞれは、一例として、対応するADコンバータ20の非線形特性の逆特性を表す関数であって、個別信号の振幅を変数とした関数を、予め取得する。そして、複数の振幅依存特性補正部22のそれぞれは、対応するADコンバータ20が出力した個別信号の振幅を当該関数の変数に代入して得られた結果を補正係数としてもよい。
【0018】
また、複数の振幅依存特性補正部22のそれぞれは、一例として、個別信号の振幅毎に補正係数をテーブル等に予め記憶させる。そして、複数の振幅依存特性補正部22のそれぞれは、対応するADコンバータ20が出力した個別信号の振幅に応じてテーブル等から一つの補正係数を選択して、選択した補正係数により当該個別信号を補正してよい。
【0019】
合成部24は、複数の振幅依存特性補正部22が出力した複数の補正済個別信号を合成して出力信号を生成する。より詳しくは、合成部24は、複数の振幅依存特性補正部22が出力した補正済個別信号を1サンプル毎に巡回的に順次に選択して1本のデータ系列を生成する。合成部24は、与えられたサンプリングクロックの位相がより早いADコンバータ20から順番に補正済個別信号を選択する。そして、合成部24は、生成したデータ系列を出力信号として出力する。
【0020】
なお、合成部24は、一例として、任意の一のアナログデジタル変換器に特性を合わせる補正を行った複数の補正済個別信号を合成した後に、出力信号の各データ値を理想値に一致させるように補正してよい。合成部24は、一例として、振幅依存特性補正部22と同様の処理を合成後の信号に行うことにより、出力信号の各データ値を理想値に一致させるように補正してよい。これにより、合成部24は、振幅依存特性補正部22が、理想的なアナログデジタル変換器以外のアナログデジタル変換器が出力するデータ値に補正された補正済個別信号を出力する場合であっても、入力信号の振幅と出力信号のデータ値との関係を理想直線に一致させることができる。
【0021】
クロック出力部26は、所定位相ずつ互いに異なる同一周波数のサンプリングクロックを複数のADコンバータ20に対して与える。これにより、クロック出力部26は、複数のADコンバータ20のそれぞれに、同一周波数であって且つ互いに所定位相ずつずれたタイミングにおいて入力信号をサンプルして、デジタル化した個別信号を出力させることができる。
【0022】
測定部28は、入力信号の各振幅に対して出力される個別信号の特性を、一のADコンバータ20について予め測定する。そして、測定部28は、測定結果に基づき一のADコンバータ20に対応する補正係数を生成して、対応する振幅依存特性補正部22に与える。測定部28は、一例として、各ADコンバータ20に対して、入力信号に代えて予め定められたアナログの測定信号を供給して、各ADコンバータ20が出力する個別信号を測定する。そして、ADコンバータ20は、測定結果に基づいて各ADコンバータ20の非線形特性を算出して、算出した非線形特性に基づき補正係数を生成してよい。このような測定部28は、工場出荷時及びキャリブレーション時において、各振幅依存特性補正部22に補正係数を設定することができる。
【0023】
なお、アナログデジタル変換装置10は、測定部28を備えない構成であってもよい。この場合、アナログデジタル変換装置10は、一例として、外部の測定器が入力信号の各振幅に対して出力される個別信号の特性を各ADコンバータ20について予め測定でき、且つ、外部から各振幅依存特性補正部22に対して補正係数を設定することができる構成であってよい。
【0024】
以上のようなアナログデジタル変換装置10によれば、複数のADコンバータ20の互いの非線形特性が異なる場合であっても、出力信号に含まれるスプリアスを削減することができる。これにより、アナログデジタル変換装置10によれば、出力信号のダイナミックレンジを広くすることができる。
【0025】
図2は、各ADコンバータ20に与えられるサンプリングクロックの一例を示す。アナログデジタル変換装置10がN個(Nは2以上の整数。)のADコンバータ20を備える場合、クロック出力部26は、周期が(N×Ts)であるサンプリングクロックを、互いの位相を時間TsずつずらしてN個のADコンバータ20に与える。本例の場合、アナログデジタル変換装置10が4個のADコンバータ20を備えるので、クロック出力部26は、互いの位相が時間Tsずつずらさられた周期が4×Tsであるサンプリングクロックを生成する。これにより、アナログデジタル変換装置10によれば、サンプリングクロックのN倍のレートの出力信号を出力することができる。
【0026】
図3は、各ADコンバータ20の非線形特性の違いが、当該アナログデジタル変換装置10が出力する出力信号に与える影響について説明するための図を示す。各ADコンバータ20に入力される入力信号をx(t)とする。また、入力信号x(t)に対して一のADコンバータ20の非線形特性の影響を加えた信号を、下記式(1)により表される信号と定義する。また、入力信号x(t)に対して一のADコンバータ20の非線形特性の影響を加えた信号をフーリエ変換した結果を、下記式(2)の右式により表される信号と定義する。
【0027】
【数1】

【0028】
【数2】

【0029】
なお、tは、時間を表す。mは、一のADコンバータ20を指定する値であって、0以上(N−1)以下の整数を表す。bm,kは、一のADコンバータ20におけるk次の非線形特性を表す。kは、次数を表す。
【0030】
一のADコンバータ20は、式(2)の右式により表される信号を、位相がm×(2π/N)ずれた周期(N×Ts)のサンプリングクロックによりサンプリングする。従って、一のADコンバータ20から出力される個別信号は、下記式(3)により表される。
【0031】
【数3】

【0032】
アナログデジタル変換装置10は、複数のADコンバータ20から出力された複数の個別信号を合成した信号を出力する。複数のADコンバータ20から出力された複数の個別信号を合成した信号は、m=0からm−(N−1)まで、式(3)に表される信号を加算した信号となる。例えば、4個のADコンバータ20から出力された信号を合成した信号は、下記式(4)のように表される。式(4)から、各ADコンバータ20が互いに異なる非線形特性を有する場合、複数のADコンバータ20から出力された複数の個別信号を合成した信号は、見かけ上のサンプリングクロックの1/N周期(式(4)の場合、Ts/4周期)毎にイメージ成分(スプリアスおよびスプリアスのエイリアス成分)を含むことがわかる。
【0033】
【数4】

【0034】
ここで、各ADコンバータ20の非線形特性が互いに同一である場合、入力信号x(t)に各ADコンバータ20の非線形特性の影響を加えた信号は、下記式(5)により表されるように互いに同一となる。
【0035】
【数5】

【0036】
式(5)を式(4)に代入すると、Exponentialの項が打ち消しあって、下記式(6)のように表される。これにより、各ADコンバータ20の非線形特性が互いに同一である場合、複数のADコンバータ20から出力された複数の個別信号を合成した信号から、見かけ上のサンプリングクロックの1/N周期毎のイメージ成分が除去されることがわかる。
【0037】
【数6】

【0038】
アナログデジタル変換装置10は、複数のADコンバータ20のそれぞれが出力した個別信号を、非線形特性の逆特性に応じた補正係数を乗じた後に合成する。すなわち、アナログデジタル変換装置10の出力信号は、非線形特性が互いに同一の複数のADコンバータ20から出力された複数の個別信号を合成した信号と同一となる。従って、アナログデジタル変換装置10は、式(6)で示された信号と同様の、スプリアスを含まない信号を出力することができる。
【0039】
図4は、本実施形態に係る振幅依存特性補正部22の構成の一例を示す。複数の振幅依存特性補正部22のそれぞれは、一例として、複素数化部40と、複素補正部42と、実数化部44とを有してよい。
【0040】
複素数化部40は、対応するADコンバータ20が出力した個別信号を、複素数により表される複素個別信号に変換する。複素数化部40は、一例として、ヒルベルト変換を用いて、実数により表される個別信号を複素数により表される複素個別信号に変換してよい。
【0041】
複素補正部42は、複素数により表される補正係数により複素個別信号を補正して、複素補正済個別信号を生成する。複素補正部42は、一例として、テーブル50と、係数出力部52と、複素乗算部54とを含んでよい。
【0042】
テーブル50は、個別信号の振幅毎に補正係数を記憶する。テーブル50は、対応するADコンバータ20の非線形特性の逆特性に応じた補正係数を、個別信号の振幅に対応させて記憶してよい。この場合において、ADコンバータ20の非線形特性は、基準とするアナログデジタル変換器が出力するべき信号を複素数化した信号の位相及び振幅に対する、対応するADコンバータ20が出力した個別信号を複素数化した複素化個別信号の位相及び振幅の割合を表す特性であってよい。
【0043】
係数出力部52は、補正係数を、対応するADコンバータ20が出力した個別信号の振幅に応じて出力する。より詳しくは、係数出力部52は、対応するADコンバータ20が出力した個別信号の振幅に応じた補正係数を、テーブル50から読み出して複素乗算部54に与える。
【0044】
複素乗算部54は、複素数化部40が出力した複素個別信号と係数出力部52から与えられた補正係数とを複素乗算する。そして、複素乗算部54は、複素乗算結果を複素補正済個別信号として出力する。このようにして複素補正部42は、複素補正済個別信号を生成することができる。
【0045】
実数化部44は、複素補正部42が出力した複素補正済個別信号を、実数により表される補正済個別信号に変換する。実数化部44は、一例として、逆ヒルベルト変換を用いて、複素数により表される複素補正済個別信号を、実数により表される補正済個別信号に変換してよい。
【0046】
また、実数化部44は、一例として、FFT(Fast Fourier Transform)および逆FFTを用いて、複素補正済個別信号を補正済個別信号に変換してよい。すなわち、実数化部44は、複素補正済個別信号をFFTする。続いて、実数化部44は、FFT変換結果の複素共役を周波数0を中心に鏡像とした成分(鏡像成分)を生成して、FFT変換結果に加算する。この鏡像成分は、FFT変換結果の正の各周波数に対する成分について、当該成分の複素共役を当該周波数と絶対値が一致する負の周波数の成分としたものである。そして、実数化部44は、FFT変換結果と鏡像成分とを加算した結果を逆FFT変換することにより、補正済個別信号を生成してもよい。
【0047】
このような振幅依存特性補正部22は、入力信号の振幅に応じて個別信号の振幅及び位相が変化する場合であっても、対応するADコンバータ20から出力された個別信号をより精度良く補正することができる。これにより、アナログデジタル変換装置10によれば、出力信号に含まれるスプリアスをより精度良く削減することができる。
【0048】
図5の(A)は、ADコンバータ20の非線形特性(振幅成分)の一例を示す。図5の(B)は、ADコンバータ20の非線形特性(位相成分)の一例を示す。
【0049】
測定部28は、複数のADコンバータ20のそれぞれについて、入力信号の振幅に対する複素個別信号の振幅および位相を測定して、非線形特性の振幅成分及び位相成分を算出してよい。測定部28は、一例として、振幅が変化する測定信号(例えば、三角波および正弦波等)を複数のADコンバータ20のそれぞれに与えて複素個別信号の振幅変化および位相変化を測定して、測定結果に基づき非線形特性の振幅成分及び位相成分を算出してよい。
【0050】
そして、測定部28は、非線形特性の逆特性に応じて、複素数で表される補正係数を個別信号の振幅毎に算出して、図4において示したテーブル50に格納してよい。このようにして、測定部28は、複素個別信号を補正するための補正係数を生成することができる。
【0051】
図6は、補正係数を算出するためにADコンバータ20に与える測定信号の一例を示す。測定部28は、一例として、ADコンバータ20の動作周波数帯域の全域に亘る周波数成分を含んだ予め定められた測定信号をADコンバータ20に与えてもよい。これにより、測定部28は、ADコンバータ20の動作周波数帯域の全域に亘って平均化した非線形特性を算出することができる。
【0052】
図7は、本実施形態の第1変形例に係るアナログデジタル変換装置10の構成を示す。本変形例に係るアナログデジタル変換装置10は、図1に示した本実施形態に係るアナログデジタル変換装置10と略同一の構成および機能を採るので、本実施形態に係るアナログデジタル変換装置10が備える部材と略同一の構成および機能の部材に同一の符号を付け、以下相違点を除き説明を省略する。
【0053】
本変形例に係るアナログデジタル変換装置10は、複数の周波数依存特性補正部60(本例においては4個の周波数依存特性補正部60−1〜60−4)を更に備える。複数の周波数依存特性補正部60は、複数のADコンバータ20に対応して設けられる。複数の周波数依存特性補正部60のそれぞれは、対応するADコンバータ20が出力した個別信号を、対応するADコンバータ20の周波数特性に応じて補正する。
【0054】
複数の周波数依存特性補正部60は、一例として、特開2005−347967号公報(特許第3947185号)に開示された方法により対応するADコンバータ20が出力した個別信号を補正してよい。この場合において、複数の周波数依存特性補正部60は、フーリエ変換段階と、補正段階とを実行する。フーリエ変換段階において、複数の周波数依存特性補正部60は、複数のADコンバータ20がサンプリングしたデータをそれぞれフーリエ変換し、複数のADコンバータ20に対応する複数の周波数領域信号を生成する。続いて、補正段階において、複数の周波数依存特性補正部60は、それぞれの周波数領域信号に、全てのADコンバータ20の周波数特性に基づく補正係数を乗ずることにより、対応するADコンバータ20の周波数特性が理想的である場合に得られる周波数領域信号に変換する。
【0055】
補正段階においてより詳細には、まず、複数の周波数依存特性補正部60は、算出するべきデジタル信号の周波数帯域を、ADコンバータ20の個数に応じて分割する。続いて、複数の周波数依存特性補正部60は、分割された周波数帯域毎に、それぞれのADコンバータ20の周波数特性により生じる、それぞれの周波数領域信号のスプリアス成分がうち消し合うように、それぞれの周波数領域信号に乗ずるそれぞれの第1補正係数を、全てのADコンバータ20の周波数特性に基づいて算出する。続いて、複数の周波数依存特性補正部60は、分割された周波数帯域毎に、第1補正係数を乗じたことにより生じる、周波数領域信号の信号成分の位相の誤差を補正するための第2補正係数を、それぞれの第1補正係数及びそれぞれの周波数特性に基づいて算出する。そして、複数の周波数依存特性補正部60は、それぞれの周波数領域信号に、対応する第1補正係数及び対応する第2補正係数を乗じる。
【0056】
そして、本変形例において、合成部24は、補正段階において得られたそれぞれの周波数領域信号を合成し、デジタル信号の周波数スペクトルを生成する。このようにして、本変形例に係るアナログデジタル変換装置10によれば、スプリアス成分を除去した周波数スペクトルを得ることができる。
【0057】
なお、本変形例に係るアナログデジタル変換装置10は、複数の周波数依存特性補正部60が補正段階においてそれぞれの周波数領域信号に対応する第1補正係数を乗じ、合成部24が第1補正係数が乗算されたそれぞれの周波数領域信号を合成し、合成した信号に第2補正係数を乗じてもよい。このようにしても、本変形例に係るアナログデジタル変換装置10によれば、スプリアス成分を除去した周波数スペクトルを得ることができる。
【0058】
また、複数の周波数依存特性補正部60のそれぞれは、一例として、対応する振幅依存特性補正部22の後段に設けられてよい。すなわち、複数の周波数依存特性補正部60のそれぞれは、一例として、対応する振幅依存特性補正部22により生成された補正済個別信号を、対応するADコンバータ20の周波数特性に応じて補正する。そして、合成部24は、一例として、複数の振幅依存特性補正部22により生成された複数の補正済個別信号に代えて、複数の周波数依存特性補正部60により生成された複数の補正済個別信号を合成して出力信号を生成してよい。
【0059】
アナログデジタル変換器は、サンプル/ホールド回路と、DAコンバータおよびコンパレータ等の変換処理部とを備える。アナログデジタル変換器において、入力信号の周波数に依存する誤差の発生要因は、変化処理部よりもサンプル/ホールド回路による影響がより大きい。これに対して、入力信号の振幅に依存する誤差の発生要因は、サンプル/ホールド回路よりも変化処理部による影響がより大きい。
【0060】
ここで、サンプル/ホールド回路は、変換処理部の前段に設けられる。すなわち、アナログデジタル変換器の出力信号には、まず、入力信号の周波数に依存する誤差が加わり、次に、入力信号の振幅に依存する誤差が加わる。従って、アナログデジタル変換器の出力信号から誤差を除去する場合、誤差が加わる順序とは逆に、まず、入力信号の振幅に依存する誤差を除去して、続いて、入力信号の周波数に依存する誤差を除去するのが好ましい。このことから、変形例に係るアナログデジタル変換装置10は、複数の周波数依存特性補正部60のそれぞれが対応する振幅依存特性補正部22の後段に設けられることにより、ADコンバータ20において加わる誤差を効率よく除去することができる。
【0061】
図8は、本実施形態の第2変形例に係るアナログデジタル変換装置10の構成を示す。本変形例に係るアナログデジタル変換装置10は、図7に示した本実施形態の第1変形例に係るアナログデジタル変換装置10と略同一の構成および機能を採るので、第1変形例に係るアナログデジタル変換装置10が備える部材と略同一の構成および機能の部材に同一の符号を付け、以下相違点を除き説明を省略する。
【0062】
本変形例において、複数の周波数依存特性補正部60のそれぞれは、対応するADコンバータ20の後段であって、対応する振幅依存特性補正部22の前段に設けられる。すなわち、複数の周波数依存特性補正部60のそれぞれは、対応するADコンバータ20が出力した個別信号を、対応するADコンバータ20の周波数特性に応じて補正する。そして、複数の振幅依存特性補正部22は、対応するADコンバータ20が出力した個別信号に代えて、対応する周波数依存特性補正部60が出力した信号を補正して補正済個別信号を生成する。
【0063】
このような本変形例に係るアナログデジタル変換装置10によれば、スプリアス成分を除去した周波数スペクトルを得ることができる。また、本変形例に係るアナログデジタル変換装置10は、複数の振幅依存特性補正部22の前段に設けられた複数の第1の周波数依存特性補正部60と、複数の振幅依存特性補正部22の後段に設けられた複数の第2の周波数依存特性補正部60とを備えてもよい。これにより、本変形例に係るアナログデジタル変換装置10によれば、スプリアス成分をより精度良く除去することができる。
【0064】
図9は、4個のADコンバータを備えるインターリーブ型のアナログデジタル変換装置に、単一周波数の入力信号を与えた場合に出力される出力信号の周波数特性のシミュレーション結果を示す。図10は、4個のADコンバータと、各ADコンバータの周波数特性を補正する4個の補正部を備えたインターリーブ型のアナログデジタル変換装置に、単一周波数の入力信号を与えた場合に出力される出力信号の周波数特性のシミュレーション結果を示す。図11は、図7の本実施形態の変形例に係るアナログデジタル変換装置10に、単一周波数の入力信号を与えた場合に出力される出力信号の周波数特性のシミュレーション結果を示す。
【0065】
図9、図10、図11に示されるように、それぞれのアナログデジタル変換装置から出力された出力信号には、入力信号の周波数に対応する周波数位置(各図の周波数が0の近傍位置)に、入力信号の主信号成分が含まれる。さらに、これらの出力信号には、入力信号の周波数からサンプリング周波数Fsのn倍(nは任意の整数)離れた周波数位置(例えば各図の周波数が4000の近傍位置)に、入力信号のオーバーサンプリング成分(またはアンダーサンプリング成分)が含まれる。
【0066】
ここで、図9に示される出力信号には、さらに、サンプリング周波数Fsの略1/4の周波数(Fs/4)毎に、複数のスプリアスが含まれる。さらに、図9に示される出力信号には、全帯域に亘って、スプリアスのエイリアスが含まれる。従って、図9に示される出力信号は、このような複数のスプリアス及びスプリアスのエイリアスの影響により、ダイナミックレンジが狭い。
【0067】
また、図10に示される出力信号にも、複数のスプリアス、及び、これらスプリアスのエイリアスが含まれる。しかし、図10に示される出力信号は、図9に示される出力信号よりも、スプリアスが抑制されるので、ダイナミックレンジが広い。
【0068】
これに対して、図11に示される本変形例に係るアナログデジタル変換装置10の出力信号には、スプリアス(およびスプリアスのエイリアス)が含まれない。従って、図11に示される本変形例に係るアナログデジタル変換装置10の出力信号は、図9および図10に示される出力信号と比較して、ダイナミックレンジが広い。
【0069】
図12は、本実施形態に係るコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係るコンピュータ1900は、ホスト・コントローラ2082により相互に接続されるCPU2000、RAM2020、グラフィック・コントローラ2075、及び表示装置2080を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ2084によりホスト・コントローラ2082に接続される通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、及びCD−ROMドライブ2060を有する入出力部と、入出力コントローラ2084に接続されるROM2010、フレキシブルディスク・ドライブ2050、及び入出力チップ2070を有するレガシー入出力部とを備える。
【0070】
ホスト・コントローラ2082は、RAM2020と、高い転送レートでRAM2020をアクセスするCPU2000及びグラフィック・コントローラ2075とを接続する。CPU2000は、ROM2010及びRAM2020に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等がRAM2020内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置2080上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0071】
入出力コントローラ2084は、ホスト・コントローラ2082と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、CD−ROMドライブ2060を接続する。通信インターフェイス2030は、ネットワークを介して他の装置と通信する。ハードディスクドライブ2040は、コンピュータ1900内のCPU2000が使用するプログラム及びデータを格納する。CD−ROMドライブ2060は、CD−ROM2095からプログラム又はデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。
【0072】
また、入出力コントローラ2084には、ROM2010と、フレキシブルディスク・ドライブ2050、及び入出力チップ2070の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM2010は、コンピュータ1900が起動時に実行するブート・プログラムおよびコンピュータ1900のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ2050は、フレキシブルディスク2090からプログラム又はデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。入出力チップ2070は、フレキシブルディスク・ドライブ2050および、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0073】
RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供されるプログラムは、フレキシブルディスク2090、CD−ROM2095、又はICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM2020を介してコンピュータ1900内のハードディスクドライブ2040にインストールされ、CPU2000において実行される。
【0074】
コンピュータ1900にインストールされ、コンピュータ1900を複数のADコンバータ20を制御する制御装置として機能させるプログラムは、複数の振幅依存特性補正モジュールと、合成モジュールと、クロック出力モジュールと、測定モジュールとを備える。これらのプログラム又はモジュールは、CPU2000等に働きかけて、コンピュータ1900を、複数の振幅依存特性補正部22、合成部24、クロック出力部26および測定部28としてそれぞれ機能させる。また、コンピュータ1900を複数のADコンバータ20を制御する制御装置として機能させるプログラムは、周波数依存特性補正モジュールを更に備えてもよい。この場合、これらのプログラム又はモジュールは、CPU2000等に働きかけて、コンピュータ1900を、複数の周波数依存特性補正部60として更に機能させる。
【0075】
以上に示したプログラム又はモジュールは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク2090、CD−ROM2095の他に、DVDおよびCD等の光学記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークおよびインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又はRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ1900に提供してもよい。
【0076】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るアナログデジタル変換装置10の構成の一例を示す。
【図2】図2は、各ADコンバータ20に与えられるサンプリングクロックの一例を示す。
【図3】図3は、各ADコンバータ20の非線形特性の違いが、当該アナログデジタル変換装置10が出力する出力信号に与える影響について説明するための図を示す。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る振幅依存特性補正部22の構成の一例を示す。
【図5】図5は、ADコンバータ20の非線形特性の一例を示す。
【図6】図6は、補正係数を算出するためにADコンバータ20に与える測定信号の一例を示す。
【図7】図7は、本発明の実施形態の第1変形例に係るアナログデジタル変換装置10の構成を示す。
【図8】図8は、本発明の実施形態の第2変形例に係るアナログデジタル変換装置10の構成を示す。
【図9】図9は、4個のADコンバータを備えるインターリーブ型のアナログデジタル変換装置に、単一周波数の入力信号を与えた場合に出力される出力信号の周波数特性のシミュレーション結果を示す。
【図10】図10は、4個のADコンバータと、各ADコンバータの周波数特性を補正する4個の補正部を備えたインターリーブ型のアナログデジタル変換装置に、単一周波数の入力信号を与えた場合に出力される出力信号の周波数特性のシミュレーション結果を示す。
【図11】図11は、図7の本実施形態の変形例に係るアナログデジタル変換装置10に、単一周波数の入力信号を与えた場合に出力される出力信号の周波数特性のシミュレーション結果を示す。
【図12】図12は、本発明の実施形態に係るコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。
【符号の説明】
【0078】
10 アナログデジタル変換装置
20 ADコンバータ
22 振幅依存特性補正部
24 合成部
26 クロック出力部
28 測定部
40 複素数化部
42 複素補正部
44 実数化部
50 テーブル
52 係数出力部
54 複素乗算部
60 周波数依存特性補正部
1900 コンピュータ
2000 CPU
2010 ROM
2020 RAM
2030 通信インターフェイス
2040 ハードディスクドライブ
2050 フレキシブルディスク・ドライブ
2060 CD−ROMドライブ
2070 入出力チップ
2075 グラフィック・コントローラ
2080 表示装置
2082 ホスト・コントローラ
2084 入出力コントローラ
2090 フレキシブルディスク
2095 CD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アナログの入力信号をデジタルの出力信号に変換するアナログデジタル変換装置であって、
所定位相ずつ異なるサンプリングクロックが与えられ、それぞれが、与えられた前記サンプリングクロックにより前記入力信号をデジタル化した個別信号を出力する複数のADコンバータと、
前記複数のADコンバータに対応して設けられ、それぞれが、対応する前記ADコンバータが出力した前記個別信号を、前記個別信号の振幅に応じた補正係数により補正して、補正済個別信号を生成する複数の振幅依存特性補正部と、
複数の前記補正済個別信号を合成して前記出力信号を生成する合成部と、
を備えるアナログデジタル変換装置。
【請求項2】
前記複数の振幅依存特性補正部のそれぞれは、前記補正済個別信号を基準値に近づけるように、対応する前記ADコンバータが出力した前記個別信号を補正する
請求項1に記載のアナログデジタル変換装置。
【請求項3】
前記複数の振幅依存特性補正部のそれぞれは、基準とするアナログデジタル変換器から出力されるべき信号に対する、対応する前記ADコンバータから出力される前記個別信号の割合を表す特性の逆特性に応じた前記補正係数を、前記個別信号に乗算して前記補正済個別信号を生成する
請求項2に記載のアナログデジタル変換装置。
【請求項4】
前記複数の振幅依存特性補正部のそれぞれは、
対応する前記ADコンバータが出力した前記個別信号を、複素数により表される複素個別信号に変換する複素数化部と、
複素数により表される前記補正係数により前記複素個別信号を補正して、複素補正済個別信号を生成する複素補正部と、
前記複素補正済個別信号を、実数により表される前記補正済個別信号に変換する実数化部と、
を有する
請求項1に記載のアナログデジタル変換装置。
【請求項5】
前記複素補正部は、
基準とするアナログデジタル変換器が出力するべき信号を複素数化した信号の位相及び振幅に対する、対応する前記ADコンバータが出力した前記個別信号を複素数化した複素化個別信号の位相及び振幅の割合を表す特性の逆特性に応じた前記補正係数を、対応する前記ADコンバータが出力した前記個別信号の振幅に応じて出力する係数出力部と、
前記複素個別信号及び前記補正係数を複素乗算した前記複素補正済個別信号を出力する複素乗算部と、
を含む
請求項4に記載のアナログデジタル変換装置。
【請求項6】
前記複素補正部は、前記個別信号の振幅毎に前記補正係数を記憶するテーブルを更に含み、
前記係数出力部は、対応する前記ADコンバータが出力した前記個別信号の振幅に応じた前記補正係数を、前記テーブルから読み出して前記複素乗算部に与える
請求項5に記載のアナログデジタル変換装置。
【請求項7】
入力信号の各振幅に対して出力される個別信号の特性を一の前記ADコンバータについて予め測定し、測定結果に基づき一の前記ADコンバータに対応する前記補正係数を生成する測定部を更に備える
請求項1に記載のアナログデジタル変換装置。
【請求項8】
前記複数のADコンバータに対応して設けられ、それぞれが、対応する前記ADコンバータが出力した前記個別信号を、対応する前記ADコンバータの周波数特性に応じて補正する複数の周波数依存特性補正部を更に備える
請求項1に記載のアナログデジタル変換装置。
【請求項9】
前記複数の周波数依存特性補正部のそれぞれは、対応する前記振幅依存特性補正部により生成された前記補正済個別信号を、対応する前記ADコンバータの周波数特性に応じて補正し、
前記合成部は、前記複数の振幅依存特性補正部により生成された複数の前記補正済個別信号に代えて、前記複数の周波数依存特性補正部により生成された複数の前記補正済個別信号を合成して前記出力信号を生成する
請求項8に記載のアナログデジタル変換装置。
【請求項10】
複数のADコンバータを用いて、アナログの入力信号をデジタルの出力信号に変換するアナログデジタル変換方法であって、
前記複数のADコンバータに対して所定位相ずつ異なるサンプリングクロックを与え、前記複数のADコンバータのそれぞれに、与えられた前記サンプリングクロックにより前記入力信号をデジタル化した個別信号を出力させ、
前記複数のADコンバータのそれぞれについて、対応する前記ADコンバータが出力した前記個別信号を、前記個別信号の振幅に応じた補正係数により補正して、補正済個別信号を生成し、
生成された複数の前記補正済個別信号を合成して前記出力信号を生成する
アナログデジタル変換方法。
【請求項11】
複数のADコンバータを用いて、アナログの入力信号をデジタルの出力信号に変換するアナログデジタル変換装置として動作する制御装置であって、
前記複数のADコンバータに対して所定位相ずつ異なるサンプリングクロックを与え、前記複数のADコンバータのそれぞれに、与えられた前記サンプリングクロックにより前記入力信号をデジタル化した個別信号を出力させるクロック出力部と、
前記複数のADコンバータに対応して設けられ、それぞれが、対応する前記ADコンバータが出力した前記個別信号を、前記個別信号の振幅に応じた補正係数により補正して、補正済個別信号を生成する複数の振幅依存特性補正部と、
複数の前記補正済個別信号を合成して前記出力信号を生成する合成部と、
を備える制御装置。
【請求項12】
複数のADコンバータを用いて、アナログの入力信号をデジタルの出力信号に変換するアナログデジタル変換装置として制御装置を動作させるプログラムであって、
前記制御装置を、
前記複数のADコンバータに対して所定位相ずつ異なるサンプリングクロックを与え、前記複数のADコンバータのそれぞれに、与えられた前記サンプリングクロックにより前記入力信号をデジタル化した個別信号を出力させるクロック出力部と、
前記複数のADコンバータに対応して設けられ、それぞれが、対応する前記ADコンバータが出力した前記個別信号を、前記個別信号の振幅に応じた補正係数により補正して、補正済個別信号を生成する複数の振幅依存特性補正部と、
複数の前記補正済個別信号を合成して前記出力信号を生成する合成部
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−159534(P2009−159534A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338228(P2007−338228)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(390005175)株式会社アドバンテスト (1,005)
【出願人】(504145364)国立大学法人群馬大学 (352)
【Fターム(参考)】