説明

アナログ信号生成装置

【課題】 デジタル信号に基づいてアナログ信号を生成するアナログ信号生成装置において、そのデジタル信号が固有に持っているフォーマットに影響を受けることなく、予め設定したレンジ電圧のアナログ信号を得ることができ、且つ、装置全体の構成と製造の簡便化を目的とする。
【解決手段】 制御手段10がセレクタ手段5からのデジタル信号を受け取りって当該デジタル信号のフォーマットを認知し、その認知結果に基づいて、再量子化手段7が予め設定したレンジ電圧のアナログ信号に変換するように電力供給手段9からの供給電力の電圧を制御するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばデジタル式の記録媒体(CD記録媒体、半導体メモリ等)を再生する手段、デジタル信号を受信する手段等を備え、それらの手段からのデジタル信号をアナログ信号に変換して出力するアナログ信号生成装置に関する。
【0002】
特に、この発明は、生成させたデジタル信号をD/A変換してアナログ信号で出力することについて、変換対象のデジタル信号に対してD/A変換用に前段階加工を行う前段処理手段及びこの前段処理手段からの信号を実質的にD/A変換を行なう再量子化手段への電力供給がそれぞれ個別に独立して行われる構成のアナログ信号生成装置に関する。
【背景技術】
【0003】
デジタル信号を再生によって生成させ、そのデジタル信号をD/A変換して出力する装置として、次の公報で開示された発明がある。
【特許文献1】特開平08−036829号公報
【0004】
上記公報には、記録媒体からデジタル信号を再生によって生成させ、そのデジタル信号をD/A変換によってアナログ信号に変換し、そのアナログ信号を加工して音声信号を出力させる技術が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デジタル信号の受信、デジタル式記録媒体の再生等によって生成したデジタル信号はそれぞれ、固有のフォーマット、つまり固有の変調度、量子化周波数等が付加されている。
従って、D/A変換手段によってデジタル信号をアナログ信号に変換する際、例えば変換で得られるアナログ信号が特定レンジ電圧を有するには、そのデジタル信号の持つフォーマットに対応させてD/A変換を行う必要がある。
【0006】
ここで、D/A変換手段は主要な構成要件として、入力のデジタル信号に対してD/A変換用に前段階加工を行う前段処理手段及びこの前段処理手段からの信号を実質的にD/A変換を行なう再量子化手段として捉えることができる。
【0007】
前段処理手段は、供給される電力の電圧が高いとその分発熱量が多くなり、発熱量が過度の場合には入力のデジタル信号を検出できなくなるという問題が生じる。
又、前段処理手段は、供給される電力の電圧が低過ぎる場合にも入力のデジタル信号を検出できなくなるという問題が生じる。
従って、前段処理手段に供給される電力の電圧は、ある一定範囲内で定常な電圧であることが求められる。
【0008】
他方、再量子化手段は、一定であるノイズ値(半導体残留雑音限界値)に対してダイナミックレンジを確保するためには供給される電圧が大きいほど半導体残留雑音限界値を相対的に小さくすることになり、より一層良好なノイズ状態が得られる。
従って、再量子化手段へ供給される電力の電圧は、より一層大きくさせることが求められる。
【0009】
そこで、入力のデジタル信号をより一層検出が確実に行われてノイズがより一層低く抑えられたアナログ信号に変換するD/A変換手段を得るには、まず、前段処理手段への電力供給と再量子化手段への電力供給をそれぞれ個別に独立して行われる構成の採用が必要となる。
【0010】
次に、前段処理手段へ供給する電力の電圧は、上述したように、当該前段処理手段が発熱を生じて入力して来るデジタル信号を処理できない程度より低く、又、デジタル信号が検出できないほどの低い値にはならない一定範囲であって且つ定常的な値に設定するとよいということになる。
尚、この設定すべき具体的な値は、既に実験的に広く知られている。
【0011】
他方、再量子化手段に供給する電力は、再量子化手段が前段処理手段からのデジタルデータを受取って再量子化の機能を行う際に、そのデジタルデータに対応してON/OFF機能を行うスイッチング素子に供給するものである。
よって、ここではインピーダンスも幾らか生じるがキルヒホッフの第1法則が強く作用することから、キルヒホッフの第1法則に大きく基づき供給電力の電圧が大きければその分電流が増加することによって電流性ノイズが増加することになり、供給電力の電圧が一定以上の高さを越えるとノイズが過度な状態となって実用に供しないという問題が生じる。
【0012】
つまり、再量子化手段へ供給する電力の電圧が低い場合或いは低ければ低いほど、既述したように、一定であるノイズ値(半導体残留雑音限界値)に対するダイナミックレンジが相対的に低くなってノイズが相対的に大きくなってより一層劣悪なノイズ状態を得ることになる。
他方、供給電力の電圧が高すぎても、電流性ノイズが生じて結果的に問題が生成するということになる。
【0013】
この再量子化手段への供給電力の電圧については、再量子化手段にとって実際は入力されて来るデジタル信号にそれぞれ固有のフォーマットが付加されており、その固有のフォーマットに対応した電圧の電力を供給されることが必要である。
【0014】
別言すれば、当該デジタル信号に付加されたフォーマットと対応しない電圧の電力が再量子化手段に供給されて再量子化が行われると、変換されて得られるアナログ信号のレンジ電圧の値が予め設定したり期待していた値と異なったものとなり、結果的に、ここでD/A変換で生成されたアナログ信号の大きさが設定・予定と異なるために予め考えていた後段での加工が予定通りに行えないといった問題が生じる。
【0015】
デジタル信号のフォーマットについては、特開平8−36829号公報にデジタル信号がそのフォーマットに対応して処理されるべきことが記述されているが、D/A変換手段において異なるフォーマット毎に当該入力のデジタル信号をどのように対応して処理されるべきかの開示はなく、又、その具体的な処理手段も開示されていない。
【0016】
他方、D/A変換後に得られるアナログ信号のレンジ電圧の値が予め設定・予定した値と異なるという問題に対し、D/A変換手段の後段において当該問題のあるアナログ信号に増幅、減衰等の加工を施すことによって解決することが知られている。
しかし、D/A変換手段に入力されて来るデジタル信号のフォーマットに対応させて、D/A変換手段の後段に増幅、減衰等の加工を施すための手段を付加する構成では、設計・製造等が煩雑になるという問題が新たに生じて来る。
【0017】
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、デジタル信号をD/A変換させてアナログ信号を出力させる際に、D/A変換用に前段階加工を行う前段処理手段及び実質的にD/A変換を行なう再量子化手段への電力供給をそれぞれ個別に独立して行われ、更に、入力のデジタル信号が変わることによって現行デジタル信号のフォーマットが変わっても、そのフォーマットの変化に追従して対応する電圧の電力が再量子化手段に供給され、結果的に、得られるアナログ信号が予め設定・予定したレンジ電圧の値を有するアナログ信号生成装置の提供を目的とする。
又、斯かる内容のアナログ信号を得ることによって、アナログ信号に劣化がなく後段での増幅、減衰等の加工を必要としないことにより、設計・製造が簡便なアナログ信号生成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願の発明は、デジタル信号をD/A変換してアナログ信号で出力させる際に、入力のデジタル信号のフォーマットに対応して再量子化手段への供給電力の電圧を制御して、得られるアナログ信号のレンジ電圧を予め設定した値となるように構成したアナログ信号生成装置である。
【0019】
その詳細な構成は、デジタル信号を生成するデジタル信号生成手段と、そのデジタル信号生成手段の後段に接続され、そのデジタル信号生成手段からのデジタル信号を入力してD/A変換してアナログ信号を出力するD/A変換手段と、そのD/A変換手段の後段に接続され、そのD/A変換手段からのアナログ信号から可聴帯域外ノイズを除去するフィルタ手段とが備えられ、
上記D/A変換手段は、入力されて来るデジタル信号をアナログ信号に変換するための前段処理を行なう前段処理手段部と、その前段処理手段の後段に接続され、その前段処理手段からのデジタル信号をアナログ信号に変換する再量子化手段と、前記前段処理手段に電力を供給する第1の電力供給手段と、前記再量子化手段に電力を供給する第2の電力供給手段を備えて構成され、
前記第2の電力供給手段から前記再量子化手段に供給される電力の電圧を、前記D/A変換手段に入力される現行デジタル信号のフォーマットに対応させて、得られるアナログ信号のレンジ電圧が予め設定した値となるように制御される構成のアナログ信号生成装置
である。
【0020】
尚、デジタル信号生成手段は具体的に、チューナ、CD再生手段及びDVD−R記録・再生手段、半導体メモリが挙げられる。
【発明の効果】
【0021】
この発明は、デジタル信号をD/A変換してアナログ信号を得た際に、その得られたアナログ信号の電圧レンジが予め設定したレンジ電圧の値になるように、再量子化手段に供給する電力の電圧を入力のデジタル信号のフォーマットに対応するように制御する構成としたことにより、入力のデジタル信号のフォーマットの種類に拘わらず、そのデジタル信号は予め設定したレンジ電圧のアナログ信号に変換され、結果的に、入力のデジタル信号のフォーマットの内容に拘わらず得られたアナログ信号に劣化がなく、よって劣化を補うための後段における増幅、減衰等の加工を必要としないアナログ信号生成装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
この発明を、図面に示す実施の形態例に基づき詳述する。しかし、この実施の形態例によって、この発明が限定されるものではない。
アナログ信号生成装置1は、チューナ2と、CD再生手段3と、DVD−R記録・再生手段4と、セレクタ手段5と、前段処理手段6と、再量子化手段7と、電力供給手段8,9と、制御手段10と、操作・表示手段11と、ローパスフィルタ12,13と、増幅手段14,15と、スピーカ16,17が備えられている。
【0023】
チューナ2は、アンテナ、帯域フィルタ、ダウンコンバータ、検波・復調手段、デコーダ等が備えられ、目的の信号を受信してデジタル信号に生成してセレクタ手段5に送るものである。
【0024】
CD再生手段3は、コンパクトディスク記録媒体(以下、「CD記録媒体」と称する)を載置して回転する回転駆動手段、この回転駆動手段によって載置回転駆動されているCD記録媒体から光学式にデジタル信号をピックアップするピックアップ手段、このピックアップ手段によって得られた信号をタイムコードに合わせて出力する復調デコード手段(以上、図示省略)等が備えられ、CDからのデジタル信号を出力するものである。
尚、CD再生手段3は、音質が高級であるスーパーオーディオCD記録媒体を再生する機能も備えられていて、CD記録媒体とスーパーオーディオCD記録媒体が共に選択的に再生可能な構成であってもよい。
【0025】
DVD−R記録・再生手段4は、記録書換え可能なDVD−R記録媒体を載置して回転する回転駆動手段、この回転駆動手段によって載置回転駆動されているDVD−R記録媒体から光学式にデジタル信号をピックアップするピックアップ手段、このピックアップ手段によって得られた信号をタイムコードに合わせて出力する復調デコード手段、入力してくるデジタル信号を前記回転駆動手段によって載置回転駆動されているDVD−R記録媒体にデータを書込む記録手段(以上、図示省略)等が備えられ、DVD−R記録媒体からのデジタル信号を出力及び外部からのデジタル信号を記録するものである。
【0026】
セレクタ手段5は、制御手段10からの制御信号を受けて、チューナ2、CD再生手段3及びDVD−R記録・再生手段4の中から一つのデジタル信号を選択して、後段の前段処理手段6及び制御手段10に前記デジタル信号を送るためのものである。
つまり、セレクタ手段5は、チューナ2、CD再生手段3及びDVD−R記録・再生手段4の中からデジタル信号の生成源の選択を行う。
【0027】
セレクタ手段5は更に、制御手段10からの上記デジタル信号の選択に加えて、チューナ2、CD再生手段3及びDVD−R記録・再生手段4の制御を行うものである。
又、セレクタ手段5は、操作者がチューナ2、CD再生手段3及びDVD−R記録・再生手段4の中からデジタル信号の生成源を一つ選択特定すると、選択された手段から選択特定された旨の信号を受けて制御手段10を介し、操作・表示手段11に表示するように機能するものである。
【0028】
具体的には、制御手段10がセレクタ手段5を介してチューナ2をデジタル信号の生成源として選択する場合では、チューナ2にチャンネルをどの放送局に合わせるか、合わせた放送チャンネルに係るデジタル信号をDVD−R記録媒体に記録するか否か等の制御を行う。
制御手段10がセレクタ手段5を介してCD再生手段3をデジタル信号の生成源として選択する場合では、再生対象の記録媒体のスタート位置(何曲目から再生スタートさせるか?)、記録媒体の収納がマガジン式の場合には何枚目の記録媒体を再生させるか等の制御を行う。
【0029】
制御手段10がセレクタ手段5を介してDVD−R記録・再生手段4をデジタル信号の生成源として選択する場合では、再生対象の記録媒体のスタート位置、記録媒体の収納がマガジン式の場合には何枚目の記録媒体を再生させるか等の制御を行う。
【0030】
D/A変換手段は、前段処理手段6、再量子化手段7及び電力供給手段8,9を備えて構成されている。
前段処理手段6は、セレクタ手段5から介して入力されるデジタル信号、つまり、チューナ2、CD再生手段3及びDVD−R記録・再生手段4のいずれかのデジタル信号を入力してアナログ信号に変換するために前段処理を行なうものである。
【0031】
前段処理手段6の前段処理は具体的に、可聴帯域内にあるノイズを可聴帯域外に分散させるオーバーサンプリング作用、信号の出力停止・切換え時に生成する筈のノイズを抑えるミュート作用、入力デジタル信号の内で前段処理を施す必要のない部分(データ)をパスさせるスイッチング作用、入力のデジタル信号のビット数を再量子化手段7で処理可能なビット数に変換するデルタ−シグマ変換作用(ノイズシェーパー技術の使用)等が挙げられる。
【0032】
ここで、前段処理手段6は電力供給手段8から作動のための電力供給を受けるが、供給電力の電圧が高いとその分前段処理手段6は発熱量が多くなり、更に発熱量が過度に多大になる場合では入力のデジタル信号を検出できなくなるという問題が生じる。
他方、前段処理手段6は、供給される電力の電圧が低過ぎる場合にも入力のデジタル信号を検出できなくなるという問題が生じる。
従って、アナログ信号生成装置1では、電力供給手段8から前段処理手段6に供給される電力の電圧が、発熱量が抑えられ且つデジタル信号の検出機能が損なわれない一定範囲内で定常な値に設定されている。
【0033】
再量子化手段7は、電力供給手段9からの電力の供給によって機能して前段処理手段6からのデジタル信号をアナログ信号に変換するものである。
つまり、再量子化手段7には、電力供給手段9からの電力を受けるとデジタルデータに対応してON/OFF機能を行うスイッチング素子が備えられており、前段処理手段6からデジタル信号(デジタルデータ)を受取るとそのデジタルデータに対応して前記スイッチング素子がON/OFF機能を行ってパルス波の列に変換を行う。
【0034】
ここで得られるパルス波の列は、パルスの疎と密の状態によってデータの持つ波の状態を示すものであるが、斯かるパルスの疎と密の状態の変化は後述するフィルタ手段12,13によってアナログの値の変化として出力される構成になっている。
【0035】
ここで、セレクタ手段5から前段処理手段6を介して入力されるデジタル信号は、そのデジタル信号の変調度、量子化周波数等によって特定される形式いわゆる固有のフォーマットが付加されている。
つまり、アナログ信号生成装置1においては、チューナ2によって得られる受信のデジタル信号、CD再生手段3及びDVD−R記録・再生手段4によって再生される記録媒体からのデジタル信号は、それぞれ固有のフォーマットを有している。
【0036】
各デジタル信号が固有のフォーマットを有していることに関し、再量子化手段7に送られて来るデジタル信号のフォーマットと、再量子化手段7の前記スイッチング素子がON/OFFの機能を行ってアナログ信号を生成し、その生成されたアナログ信号のレンジ電圧の値が対応している、つまり、電力供給手段9からの再量子化手段7への供給電力の電圧が対応している場合には何ら問題は生じない。
【0037】
しかしながら、再量子化手段7に送られて来るデジタル信号のフォーマットに、再量子化手段7への電力供給手段9からの電力の電圧が対応していない場合には、前記スイッチング素子のON/OFF機能によって最終的に得られるアナログ信号のレンジ電圧の値は、予め設定・予定した値(例えば、2.0V)と異なった疎密波の信号として生成されることになる。
【0038】
つまり、例えば、再量子化後に得られる疎密波のレンジ電圧が2.0Vと予め設定・予定していたのに拘わらず、デジタル信号のフォーマットが合致していないことによって得られる疎密波のレンジ電圧が例えば1.5V、2.4V等といった値になる場合が生じる。
斯かる場合には、予め設定・予定していたレンジ電圧とは異なっているために、得られたアナログ信号を後段において増幅等の加工を行う際にその増幅率が予め設定したレンジ電圧に対応しない値となっているので、所望通りのコントロール状態を確保できないという問題が生じることになる。
【0039】
アナログ信号生成装置1は、デジタル信号がそれぞれ固有のフォーマットを有することによる斯かる問題に対して、再量子化手段7がD/A変換処理を行う際に、再量子化手段7に送られて来るデジタル信号に対しそのフォーマットに対応して、つまり、当該デジタル信号の変調度、量子化周波数等に対応して、後段で得られる変換後のアナログ信号が予め設定したレンジ電圧の値を持った疎密波となって得られる構成になっている。
【0040】
つまり、具体的には、制御手段10は、再量子化手段7に入力されて来るであろうデジタル信号が持つフォーマットを記憶する記憶部(図示省略)、セレクタ手段5から入力して来るデジタル信号の持つフォーマットと前記記憶部に記憶されているフォーマットを比較して、入力のデジタル信号の持つフォーマットを認知する認知部(図示省略)及びこの認知部で認知したフォーマットに対応する電圧の電力を電力供給手段9が再量子化手段7に供給するように制御信号を出力する信号出力部(図示省略)が備えられている。
【0041】
ここで、セレクタ手段5から制御手段10に送られるデジタル信号は、前段処理手段6に送られるデジタル信号と同じ、つまり、同じフォーマットに係る情報が前段処理手段6と制御手段10に同時に送られる構成になっている。
【0042】
制御手段10は、操作・表示手段11からの動作信号を受けると、前段処理手段6が機能するように、電力供給手段8に対して前段処理手段6に上述した一定電圧の電力を供給するように制御信号を出力するものである。
制御手段10は、上述したように、再量子化手段7に入力されて来るデジタル信号のフォーマットに対応した電圧の電力を供給するように、電力供給手段9に制御信号を出力する。
【0043】
操作・表示手段11は、装置本体のフロントパネル(図示省略)に配設され、メインスイッチが備えられており、装置全体の作動のON−OFF、現行D/A変換処理のモードの表示等を行うものである。
【0044】
フィルタ手段12,13はそれぞれ、再量子化手段7からスイッチングされて得られた疎密波を受取ると、その疎密波から可聴帯域外の高周波成分をカットして連続性を持ったアナログ信号に変換するものである。
【0045】
増幅手段14,15はそれぞれフィルタ手段12,13からアナログ信号を受取ると、制御手段10からの制御信号に基づき所望のレベルの増幅、トーンの選択・設定、左右の出力バランスの設定等の加工を行うものである。
つまり、増幅手段14,15は制御手段10の制御内容に基づいた音声信号を出力するものである。
尚、増幅手段14,15は具体的に、アナログ信号に対して電圧増幅による増幅加工を行うプリアンプと電流増幅による増幅加工を行うメインアンプを備えて構成されている。
【0046】
スピーカ16,17はそれぞれ増幅手段14,15からの音声信号を受けて、音声として出力させるものである。
【0047】
アナログ信号生成装置1は、上述したように構成されている。以下において、アナログ信号生成装置1の機能を説明する。
操作者はまず、操作・表示手段11を操作してアナログ信号生成装置1のメイン電源をONとして、CD再生手段3のトレイに所望のCD記録媒体を載置する。
【0048】
操作者は続いて、操作・表示手段11を確認しながら操作して、増幅手段14,15の出力、トーンの種類、左右の出力バランスの設定を行い、更に、操作・表示手段11及び制御手段10を介してCD再生手段3の出力を選択する。
操作者は更に、操作・表示手段11、制御手段10及びセレクタ手段5を介して、前記所望のCD記録媒体の中で頭出しとなる曲を選曲する。
【0049】
ここで、操作者がCD再生手段3を出力させると、CD再生手段3は前記所望のCD記録媒体の選曲した曲を頭出しの曲として再生し、この再生によって得られる音声データを示すデジタル信号を生成してセレクタ手段5に送る。
前記所望のCD記録媒体からのデジタル信号は、セレクタ手段5に送られた後に、前段処理手段6及び制御手段10に送られる。
【0050】
前段処理手段6に進んだデジタル信号は、可聴帯域内にあるノイズを可聴帯域外に分散させるオーバーサンプリング作用、信号の出力停止・切換え時に生成する筈のノイズを抑えるミュート作用、入力デジタル信号の内で前段処理を施す必要のない部分(データ)をパスさせるスイッチング作用、入力のデジタル信号のビット数を再量子化手段7で処理可能なビット数に変換するデルタ−シグマ変換作用等の前段処理を受ける。
【0051】
尚、この時、前段処理手段6は、電力供給手段8からの電力を受けて作動する。又、この時の供給電力の電圧は、発熱量が抑えられ且つデジタル信号の検出機能が損なわれない一定範囲内の定常な値に設定されたものである。
前記デジタル信号は、前段処理手段6で前段処理を受けた後に、再量子化手段7に送られる。
【0052】
他方、制御手段10に送られたデジタル信号は、そのフォーマットが制御手段10の前記記憶部に記憶されているフォーマットと制御手段10の前記認知部で比較される。
この前記認知部の比較によって、前記デジタル信号のフォーマット内容が特定(認知)される。
更に、制御手段10の前記信号出力部は、前記認知部で特定されたデジタル信号のフォーマットに対応する電圧の電力を電力供給手段9が再量子化手段7に供給するように、電力供給手段9に制御信号を出力する。
【0053】
電力供給手段9は、制御手段10の前記信号出力部からの制御信号を受けて、対応する電圧の電力を再量子化手段7に供給する。
ここで、再量子化手段7において、前段処理手段6からのデジタル信号は、そのフォーマットに対応した電圧の電力を供給された前記スイッチング素子のON/OFF機能によってパルス波の列(疎密波)に変換される。
ここで得られる前記パルス波の列は、後段で得られる変換後のアナログ信号が予め設定したレンジ電圧の疎密波となるように、入力されて来るデジタル信号のフォーマットつまり当該デジタル信号の変調度、量子化周波数等に対応して電力供給手段9からの供給電力の電圧を設定しているので、設定したレンジ電圧の値に対応した疎密波が得られている。
【0054】
再量子化手段7は、入力のデジタル信号を所望したレンジ電圧の疎密波に変換して、フィルタ手段12,13に送る。
フィルタ手段12,13は、再量子化手段7からの疎密波(パルス波の列)を受けると、それぞれその疎密波から可聴帯域外の高周波成分をカットして連続性を有するアナログ信号に変換し、増幅手段14,15に出力する。
【0055】
増幅手段14,15はそれぞれフィルタ手段12,13からアナログ信号を受取ると、制御手段10からの制御信号に基づき所望のレベルの増幅、トーンの選択・設定、左右の出力バランスの設定等の加工を行い、スピーカ16,17に送る。
【0056】
スピーカ16,17はそれぞれ増幅手段14,15から前記加工の行われたアナログ信号を受取ると、その電気信号を音声として出力する。
ここでスピーカ16,17から得られる音声は、再量子化手段7において入力のデジタル信号のフォーマットに対応した電圧で再量子化が行われており、予め設定したレンジ電圧の疎密波に基づくアナログ信号を増幅手段14,15で加工して音声化して得られたものであるから、予め設定したレンジ電圧に対応した出力レベルの音声であって劣化された信号による音声にはなっていない。
【0057】
従って、アナログ信号生成装置1では、CD再生手段3によるCD記録媒体の再生からスピーカ16,17の出力までにおいて信号の劣化がないから、従来技術で行われている信号の劣化に対するアッテネータの付加及びそのアッテネータによるアナログ信号の増幅、減衰等の加工は不要になっている。
よって、アナログ信号生成装置1では、生成されるアナログ信号は再現の忠実性が確保されており、又、回路の構成がより単純であり設計、製造等が簡便になっている。
【0058】
アナログ信号生成装置1は、上述したようにCD再生手段3を機能させてCD記録媒体からデジタル信号を再生させ、そのデジタル信号に基づいてアナログ信号を生成しているが、チューナ2によってデジタル放送を受信しその受信信号に基づいてアナログ信号を生成する場合、DVD−R記録・再生手段4の再生機能によるデジタル信号に基づいてアナログ信号を生成する場合、及び、チューナ2又はCD再生手段3からのデジタル信号をDVD−R記録・再生手段4で記録し、その記録したデジタル信号をDVD−R記録・再生手段4で再生して得られるデジタル信号に基づいてアナログ信号を生成する場合においても、スピーカ16,17から得られる音声は劣化されていない予め設定したレンジ電圧に対応した出力レベルの音声になっている。
【0059】

アナログ信号生成装置1では、デジタル信号生成手段としてチューナ2、CD再生手段3、DVD−R記録・再生手段4を挙げているが、他に半導体メモリからデジタルデータを生成する手段も挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明の実施の形態例の構成を説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
1 アナログ信号生成装置
2 チューナ
3 CD再生手段
4 DVD−R記録・再生手段
5 セレクタ手段
6 前段処理手段(D/A変換手段)
7 再量子化手段(D/A変換手段)
8,9 電力供給手段(D/A変換手段)
10 制御手段
11 操作・表示手段
12,13 フィルタ手段
14,15 増幅手段
16,17 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル信号を生成するデジタル信号生成手段と、そのデジタル信号生成手段の後段に接続され、そのデジタル信号生成手段からのデジタル信号を入力してD/A変換してアナログ信号を出力するD/A変換手段と、そのD/A変換手段の後段に接続され、そのD/A変換手段からのアナログ信号から可聴帯域外ノイズを除去するフィルタ手段とが備えられ、
上記D/A変換手段は、入力されて来るデジタル信号をアナログ信号に変換するための前段処理を行なう前段処理手段部と、その前段処理手段の後段に接続され、その前段処理手段からのデジタル信号をアナログ信号に変換する再量子化手段と、前記前段処理手段に電力を供給する第1の電力供給手段と、前記再量子化手段に電力を供給する第2の電力供給手段を備えて構成され、
前記第2の電力供給手段から前記再量子化手段に供給される電力の電圧を、前記D/A変換手段に入力される現行デジタル信号のフォーマットに対応させて、得られるアナログ信号のレンジ電圧が予め設定した値となるように制御される構成のアナログ信号生成装置。
【請求項2】
デジタル信号生成手段が、チューナ、CD再生手段、半導体メモリ及びDVD−R記録・再生手段のいずれかである請求項1に記載のアナログ信号生成装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−191507(P2006−191507A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3248(P2005−3248)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(303009467)株式会社ディーアンドエムホールディングス (274)
【Fターム(参考)】