説明

アニオン界面活性剤組成物の製造方法

【課題】高濃度で淡色のアルキルエーテル硫酸エステル塩を含むアニオン界面活性剤組成物の効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】高級アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物を硫酸化した後、中和して、下記一般式(1)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる界面活性剤を主成分とする組成物を製造する方法であって、第1段階の中和処理をpH2〜5で保持しながら行い、第2段階の中和処理をpH10以上になるまで行う、アニオン界面活性剤組成物の製造方法である。
RO(AO)nSO3M (1)
(式中、Rはアルキル基又はアルケニル基を示し、Aはアルキレン基を示し、Mは水素原子又はアルカリ金属を示し、nは平均値で0〜100の数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニオン界面活性剤組成物の製造方法に関し、詳しくは、高濃度で淡色のアルキルエーテル硫酸エステル塩を主成分とする、アニオン界面活性剤組成物の効率的な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高級アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩からなるアニオン界面活性剤は、皮膚に対する刺激が少なく、液体洗浄剤、例えば、食器用洗剤、シャンプー、衣料用洗剤等の主活性剤として広く使用されている。しかし、このアルキルエーテル硫酸エステル塩は、現状では淡黄色を呈しており、商品価値向上のためにその淡色化ないし無色化が望まれている。
アニオン界面活性剤の淡色化方法としては、次亜塩素酸塩や過酸化水素による漂白処理が一般的である。次亜塩素酸塩は漂白効果は高いが、皮膚感作性が指摘され、工業会の自主規制により次亜塩素酸塩による漂白は採用されないのが現状である。また、過酸化水素は漂白効果が低いため、淡色化のためには多量の使用が必要となる。そのため、過酸化水素が製品中に残存する可能性があり、残存過酸化水素量が多いとシャンプー等の製品中の色素を退色させるおそれがある。
【0003】
一方、淡色なアルキルエーテル硫酸エステル塩の製造方法として、例えば特許文献1及び2が知られている。特許文献1には、アルキルエーテル硫酸エステル塩水溶液又はスラリーに、過酸化水素と無水コハク酸又は無水安息香酸を作用させる方法が開示されている。しかし、この方法では過酸化水素の残存量が多いため、熱分解処理や亜硫酸塩処理等の後処理をする必要がある。
特許文献2には、アルキルエーテル硫酸エステル塩の中和時又は中和後に、亜硫酸、重亜硫酸及びそれらの塩から選ばれる1種以上の還元剤を添加して漂白処理し、ついで酸化剤で漂白処理する方法が開示されている。この方法は有用な淡色化方法であるが、十分に満足し得るものではなく、さらなる改善が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】特公昭60−51520号公報
【特許文献2】特許3429653号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高濃度で淡色のアルキルエーテル硫酸エステル塩を主成分とする、アニオン界面活性剤組成物の効率的な製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、アルキルエーテル硫酸エステル塩の中和工程に着目し、特定の2段階中和を行うことにより、淡色のアルキルエーテル硫酸エステル塩を効率的に製造しうることを見出した。
すなわち、本発明は、高級アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物を硫酸化した後、中和して、下記一般式(1)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる界面活性剤を主成分とする組成物を製造する方法であって、第1段階の中和処理をpH2〜5で保持しながら行い、第2段階の中和処理をpH10以上になるまで行う、アニオン界面活性剤組成物の製造方法、を提供する。
RO(AO)nSO3M (1)
(式中、Rは、炭素数9〜24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を示し、Aは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Mは、水素原子又はアルカリ金属を示し、nは平均値で0〜100の数を示す。)
【発明の効果】
【0007】
本発明の製造方法によれば、高濃度で淡色のアルキルエーテル硫酸エステル塩を主成分とする、アニオン界面活性剤組成物を効率的に製造することができる。また、得られるアニオン界面活性剤組成物中に残存する酸化剤量を大幅に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明におけるアルキルエーテル硫酸エステル塩は、下記一般式(1)で表される。
RO(AO)nSO3M (1)
(式中、Rは、炭素数9〜24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を示し、Aは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Mは、水素原子又はアルカリ金属を示し、nは平均値で0〜100の数を示す。)
式(1)において、Rは、好ましくは炭素数12〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基である。Rの炭素数が9〜24であれば、アルキルエーテル硫酸エステル塩の、界面活性能及び水に対する溶解性のバランスが良好である。アルキル基及びアルケニル基としては、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種イコシル基、各種ドコシル基、各種オクタデセニル基等が挙げられる。
Aで示される炭素数2〜4のアルキレン基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、1−メチルトリメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。これらの中では、エチレン基及びプロピレン基が特に好ましい。
Mのアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられ、これらの中ではナトリウム及びカリウムが好ましく、ナトリウムが特に好ましい。
nは、好ましくは0〜100、より好ましくは1〜5である。
【0009】
前記アルキルエーテル硫酸エステル塩は、高級アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物を硫酸化した後、後記する2段階の中和処理を施すことにより得ることができる。
ここで高級アルコールの具体例としては、抹香油、ヤシ油、パーム油又は牛脂等から誘導された天然アルコール、並びに、オキソ法、チーグラー法及びパラフィン直接酸化法等によって得られた合成高級アルコール等が挙げられる。また、そのアルキレンオキサイド付加物としては、該高級アルコールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。これらの中では、平均付加モル数1〜5のエチレンオキサイド付加物が特に好ましい。
【0010】
高級アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物を硫酸化するために用いる硫酸化剤としては、三酸化硫黄ガス、クロロスルホン酸等が挙げられる。得られるアニオン界面活性剤組成物中の塩化物量を少なくする観点から、三酸化硫黄ガスを用いることが好ましい。
硫酸化の方法には特に制限はなく、常法により行うことができる。例えば、薄膜式連続反応装置を用いて、空気や窒素等の不活性ガスで希釈した、好ましくは濃度1〜30容量%、より好ましくは1〜20容量%の三酸化硫黄ガスで、高級アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物の硫酸化を行うことができる。三酸化硫黄の濃度が1〜30容量%の範囲であればガス容積が大きすぎることなく、また過剰反応を抑制することができる。
三酸化硫黄の使用量は、通常、化学量論量×(0.95〜1.05)の範囲、好ましくは、化学量論量×(0.97〜1.01)の範囲である。三酸化硫黄の使用量を上記範囲とすれば、未反応物の量を少なくでき、かつ副生物である着色成分や有臭成分(例えば低級アルデヒド、低級ケトン、環状エーテル等)の生成を抑制することができる。
【0011】
反応装置は特に制限されないが、例えば槽型反応装置や薄膜式反応装置等を用いることができる。薄膜式反応装置としては、例えば流下薄膜式反応装置、上昇薄膜型反応装置及び管型気液混合相流反応装置等を用いることができる。薄膜式反応装置を用いた場合の反応時間は、10〜300秒間程度である。
硫酸化温度は、好ましくは15〜70℃、より好ましくは15〜50℃である。15℃以上であれば流動性低下による局部的な過剰反応を抑制することができ、また70℃以下にあれば生成物の分解を抑制することができる。
【0012】
上記のようにして得られたアルキルエーテル硫酸エステルは、アルキルエーテル硫酸エステル塩の濃度が10〜70質量%の水溶液になるように中和処理される。
本発明においては、中和処理は2段階で行い、第1段階の中和処理をpH2〜5で行った後、第2段階の中和処理をpH10以上で行うことが特徴である。
第1段階の中和処理は、アルキルエーテル硫酸エステルと中和剤を連続的に混合して、pHが2〜5、好ましくは2〜4で行うことができる。pHが2〜5の範囲であれば、アルキルエーテル硫酸エステル塩の初期の色相を淡色とすることができる。
【0013】
第1段階の中和処理時間は、短時間でも淡色化の効果が得られるが、より淡色化を進める場合には、pHを酸性で一定時間保持することで更に淡色化の効果が得られ、そのために中和方式によって様々な方法が適用できる。
例えば、連続循環中和方式による独立した2基の中和機が設置されている場合には、前半の中和機でpH2〜5とし、続く後半の中和機でpH10以上とすることも効果的である。この場合、中和機での滞留時間が酸性下での保持時間に相当する。
更に淡色化を行う場合には、2基の中和機の間に保持槽などを設けてpH2〜5で任意の時間保持することで達成できる。pH2〜5で保持する時間は、好ましくは30時間以内、より好ましくは25時間以内とする。この時間の範囲内であれば、アルキルエーテル硫酸エステルの加水分解等により、色相以外の品質を損なうおそれが低く好ましい。
また回分式の中和機の場合にはアルキルエーテル硫酸エステルと中和剤の流量を調整することで槽内のpHを2〜5とすることができる。この場合もpH2〜5で保持する時間は、前記条件と同様に管理することで目的のアニオン界面活性剤組成物を得ることができる。
【0014】
用いられる中和剤としては、塩基性アルカリ金属化合物の水溶液等が挙げられる。
塩基性アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等が挙げられる。これらの中では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に好ましい。
中和剤の濃度は特に限定されず、中和後のアニオン界面活性剤組成物の水溶液又はスラリーにおける粘度挙動に合わせて、十分な流動性が得られるようにすることが好ましい。中和剤は、通常10〜50質量%の濃度で使用する。
【0015】
中和剤には有機溶剤を配合することができる。有機溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ペンチルグリセリルエーテル、オクチルグリセリルエーテル等が挙げられる。これらの中では、炭素数1〜6のアルコールが好ましく、エタノール及びプロピレングリコールが特に好ましい。有機溶剤の配合量は、アニオン界面活性剤組成物中、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは8〜25質量%、特に好ましくは10〜20質量%である。
第1段階の中和温度は、好ましくは20〜60℃、より好ましくは20〜50℃である。中和方式としては、例えば回分式、連続式の何れを採用することもできる。好ましくはラインミキサー等を用いた外部冷却装置を備えた連続循環中和方式が、反応効率、温度一定保持の観点から好ましい。かかる中和処理の後、必要に応じて回分操作又は連続操作で、更にpHを微調整することもできる。
【0016】
本発明においては、第1段階の中和処理時に酸化剤を添加しておくことが好ましい。酸化剤は、第1段階の中和処理におけるpH2〜5では安定で、僅かしか酸化漂白機能を発揮せず、第2段階の中和処理におけるpH10以上の条件下で初めて実質的に酸化漂白機能を発揮する。酸化剤をこの第1段階で添加することにより、酸化剤の使用量を低減でき、しかも高い酸化漂白効果を得ることができる。また、この方法によれば、新たに酸化剤添加の設備を設置する必要がなく、設備費の低減となり好ましい。さらに、酸化剤を添加して撹拌混合した後は、例えば製品貯槽内等に放置しておいても、酸化漂白処理が進行するため好ましい。
用いることのできる酸化剤としては特に制限はないが、過酸化水素が好ましい。酸化剤の添加量は、界面活性剤あたり、又は界面活性剤組成物の水溶液又はスラリーの有効分あたり純分換算して、好ましくは0.001〜1質量%、より好ましくは0.002〜0.5質量%、特に好ましくは0.004〜0.2質量%である。酸化剤の添加量が上記範囲内であれば、酸化漂白効果が十分であり、また酸化剤が製品中に多量に残存して、製品中の色素を退色させる等の問題が生じるおそれがない。
【0017】
第2段階の中和処理は、第1段階の中和処理後、好ましくは30時間以内、より好ましくは25時間以内に行う。この時間内であれば、得られるアルキルエーテル硫酸エステル塩を主成分とするアニオン界面活性剤組成物の色相を良好に保持し、色相以外の品質を損なうおそれもない。
第2段階の中和処理のpHは10以上、好ましくは10〜13、より好ましくは10.5〜12.5である。pHが10以上であれば、アルキルエーテル硫酸エステル塩の色相を淡色に保持することができ、また、第1段階で酸化剤を添加した場合は、その酸化剤の酸化漂白機能がこの第2段階において実質的に発揮され、色相を大幅に改善することができる。第2段階の中和処理においては、特に加熱処理する必要はない。通常10〜60℃、好ましくは20〜50℃で行うことができる。
上記のようにして得られたアルキルエーテル硫酸エステル塩を主成分とする反応混合物は、必要に応じて減圧条件下で気泡を取り除くことができる。
【0018】
本発明の製造方法により得られた、一般式(1)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる界面活性剤を主成分とするアニオン界面活性剤組成物は、pHが10以上であり、好ましくは、残存過酸化水素量が50mg/kg以下であり、前記アルキルエーテル硫酸エステル塩を好ましくは40〜70質量%、より好ましくは50〜65質量%含有し、前記の有機溶剤、特に炭素数1〜6のアルコール等を好ましくは5〜25質量%、より好ましくは10〜20質量%含有する。
このため、得られたアニオン界面活性剤組成物は、液体洗浄剤組成物の成分として好適に使用することができる。この場合、該液体洗浄剤組成物には、必要に応じて色素、香料、可溶化剤、ビルダー等の補助剤を適宜加えることができる。更に、洗浄力や泡立ちを調整する目的で、他のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、アミド型非イオン界面活性剤等を添加することができる。
かかる液体洗浄剤組成物は、例えば、シャンプー、ボディシャンプー、台所用洗剤、リキッドソープ等に用いられる。
【実施例】
【0019】
以下の実施例及び比較例において、「%」は特記しない限り「質量%」である。
実施例1
実施例1〜4及び比較例1〜2
(1)高級アルコールエトキシレート硫酸エステルナトリウム塩の製造
薄膜式硫酸化反応器により、炭素数12及び13を主とする高級アルコール(商品名;Shell社製、NEODOL23)のエトキシレート(平均エチレンオキサイド付加モル数2.0)を、乾燥空気で希釈した三酸化硫黄ガスで硫酸化し、エタノールを含有する水酸化ナトリウム溶液で中和して、高級アルコールエトキシレート硫酸エステルナトリウム塩(以下、「硫酸エステルナトリウム塩」という)の濃度が54%、エタノールが14%の水溶液(界面活性剤組成物)を調製した。
(2)脱色処理
上記(1)で得られた硫酸エステルナトリウム塩水溶液に対して、35%過酸化水素を0.005〜0.02質量%になるように添加し、表1のpHになるように水酸化ナトリウム水溶液で調整し、24時間保持(第1段階中和処理)した後、表1のpHになるように水酸化ナトリウム水溶液で調整(第2段階中和処理)し、界面活性剤組成物を得た。
【0020】
上記で得られた界面活性剤組成物を用いて、下記の方法で、色相、及び残存する過酸化水素量を測定した。結果を表1に示す。
(i)色相
界面活性剤組成物を有効分が10%となるように水で希釈し、リン酸及び水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0になるように調整した。次いで1cmセルで純水を対照として、分光光度計を用いて波長420nmでの吸光度を測定し、1000倍して色相とした。
(ii)過酸化水素量
界面活性剤組成物(試料)5gを共栓付き三角フラスコに精秤し、水100mLを加えて溶解する。得られた試料溶液に、希硫酸10mL及び10%ヨウ化カリウム溶液10mLを加え、栓をして振りよく混合して、暗所に30分間放置する。0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準溶液で滴定し、終点直前に澱粉指示薬を加え、青色が消失した点を終点とする。同時に空試験を行い、滴定量を下記式により補正し、過酸化水素量を求めた。
【0021】
【数1】

【0022】
式中、Aは、試料の滴定に要した0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準溶液の滴定量(mL)、Bは空試験の滴定に要した0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準溶液の滴定量(mL)、fは0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準溶液の力価、Sは試料量(g)を示す。
【0023】


【表1】

【0024】
表1から、過酸化水素の添加量が、界面活性剤あたり0.001〜1質量%の範囲内であれば、過酸化水素の添加量が多いほど最終製品の色相改善効果が優れていることが分かる。
【0025】
実施例5〜10
実施例4と同様に調製した高級アルコールエトキシレート硫酸エステルナトリウム塩水溶液に対して、35%過酸化水素を0.02質量%添加し、表2のpHになるように水酸化ナトリウム水溶液で調整し、所定時間保持(第1段階中和処理)した後、表2のpHになるように、水酸化ナトリウム水溶液で調整(第2段階中和処理)し、界面活性剤組成物を得た。
得られた界面活性剤組成物を用いて、実施例4と同様の方法で、色相、及び残存する過酸化水素量を測定した。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】

【0027】
表2から、第1段階の中和処理をpH2〜5で保持しながら行い、第2段階の中和処理をpH10以上になるまで行えば、色相が良好で、残存酸化剤量の少ない界面活性剤組成物を容易に得ることができることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高級アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物を硫酸化した後、中和して、下記一般式(1)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる界面活性剤を主成分とする組成物を製造する方法であって、第1段階の中和処理をpH2〜5で保持しながら行い、第2段階の中和処理をpH10以上になるまで行う、アニオン界面活性剤組成物の製造方法。
RO(AO)nSO3M (1)
(式中、Rは、炭素数9〜24の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を示し、Aは、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜4のアルキレン基を示し、Mは、水素原子又はアルカリ金属を示し、nは平均値で0〜100の数を示す。)
【請求項2】
第2段階の中和処理を、第1段階の中和処理後30時間以内に行う、請求項1に記載のアニオン界面活性剤組成物の製造方法。
【請求項3】
第1段階の中和処理時に酸化剤を添加する、請求項1又は2に記載のアニオン界面活性剤組成物の製造方法。
【請求項4】
酸化剤が過酸化水素である、請求項3に記載のアニオン界面活性剤組成物の製造方法。
【請求項5】
酸化剤を前記界面活性剤あたり0.001〜1質量%添加する、請求項3又は4に記載のアニオン界面活性剤組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の方法による、残存過酸化水素量が50mg/kg以下であるアニオン界面活性剤組成物の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の方法による、前記式(1)で表されるアルキルエーテル硫酸エステル塩の含有量が40〜70質量%、炭素数1〜6のアルコールの含有量が5〜25質量%であるアニオン界面活性剤組成物の製造方法。

【公開番号】特開2007−176894(P2007−176894A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379806(P2005−379806)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】