説明

アニオン界面活性剤組成物

【課題】起泡性と泡消え性の両方に優れたポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩を高濃度で含有し、且つ流動性に優れたアニオン界面活性剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)下記一般式(1)で表される化合物の混合物、及び(b)水を含有し、前記混合物におけるm、nの平均値がそれぞれ所定範囲にあり、前記混合物における一般式(1)中のmが0且つnが0の化合物の割合が40質量%以上、前記混合物における一般式(1)中のmが2以上の化合物、一般式(1)中のnが2以上の化合物、及び一般式(1)中のm+nが2以上の化合物の合計が25質量%以下である、アニオン界面活性剤組成物。
RO−(EO)m−(PO)n−SO3M (1)
(式中、Rは炭素数8〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基、m及びnはそれぞれ0以上の整数、Mはアルカリ金属又はNH4を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシアルキレン鎖を有する硫酸エステル塩を含有するアニオン界面活性剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は、高級アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩からなるアニオン界面活性剤であり、皮膚に対する刺激が少なく、液体洗浄剤、例えば、食器用洗剤、シャンプー、衣料用洗剤等の主活性剤として広く使用されている。
【0003】
また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩はその一般的な製造法から、単一な物質ではなく、また、主には水を含む組成物として流通されている。その組成物中の一般的なポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の含有量は、溶液物性から、30質量%未満若しくは70質量%付近となっている。該含有量が30質量%未満の場合、組成物の貯槽や反応槽の容量や生産効率、輸送にかかる経費等の面から好ましいとは言えない。そのため可能な限り高濃度であることが望ましい。また80質量%を超えると流動性が無いため取扱いの面で好ましいとは言えない。
【0004】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を高濃度に含有する組成物を得るための技術が、従来、種々提案されている。特許文献1には、プロピレンオキシ基とエチレンオキシ基とを有する特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を含有する界面活性剤組成物が開示されている。また、特許文献2には、アルキル基が所定の分岐構造条件を満たす高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩組成物が開示されている。また、特許文献3には、酸化プロピレン、酸化エチレンを付加して製造されるブロック型ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩を含有する洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−168554号公報
【特許文献2】特開平10−251215号公報
【特許文献3】特開昭55−84399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の通り、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は、食器用洗剤、シャンプー、衣料用洗剤等の洗浄剤に応用されているが、洗浄時には豊かな泡立ちがあり起泡性に優れる一方で、すすぎの際には速やかに泡が消失する泡消え性にも優れていることが望ましい場合がある。しかし、起泡性と泡消え性は相反する効果であり、両立は困難である。
【0007】
本発明の課題は、起泡性と泡消え性の両方に優れた硫酸エステル塩を高濃度で含有し、且つ流動性に優れたアニオン界面活性剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)下記一般式(1)で表される化合物の混合物〔以下、(a)成分という〕を60〜80質量%、及び(b)水〔以下、(b)成分という〕を含有するアニオン界面活性剤組成物であって、
前記混合物におけるmの平均値が0.3〜0.6、且つnの平均値が0.2〜0.4であり、
前記混合物における一般式(1)中のmが0且つnが0の化合物の割合が40質量%以上であり、
前記混合物における一般式(1)中のmが2以上の化合物、一般式(1)中のnが2以上の化合物、及び一般式(1)中のm+nが2以上の化合物の合計が25質量%以下である、
アニオン界面活性剤組成物に関する。
RO−(EO)m−(PO)n−SO3M (1)
(式中、Rは炭素数8〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基を示し、m及びnはそれぞれ0以上の整数であり、Mはアルカリ金属又はNH4を示す。)
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、起泡性と泡消え性の両方に優れた硫酸エステル塩を高濃度で含有し、且つ流動性に優れたアニオン界面活性剤組成物が提供される。本発明のアニオン界面活性剤組成物は、透明性といった外観にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例で行った泡消え性の評価方法を示す概略図
【図2】実施例の泡消え性の評価で用いたイオン交換水の導入手段(ジョウロ)の穿孔状態を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<(a)成分>
本発明のアニオン界面活性剤組成物は、下記一般式(1)で表される化合物の混合物を含有する。
RO−(EO)m−(PO)n−SO3M (1)
(式中、Rは炭素数8〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基を示し、m及びnはそれぞれ0以上の整数であり、Mはアルカリ金属又はNH4を示す。)
【0012】
ここで一般式(1)中のRは起泡性、泡消え性、泡持続性、低温安定性や硬水中での安定性といった性能面及び原料の汎用性、取り扱い性の理由から、とりわけ、泡立ち性と希釈時の泡消え性の両立、更に高濃度での流動性の面から、炭素数8〜12、好ましくは炭素数12である。Rは、直鎖が好ましく、直鎖のアルキル基がより好ましい。
【0013】
一般式(1)の化合物は、エチレンオキサイドであるEO及びプロピレンオキサイドであるPOの付加形式が、泡立ち性と希釈時の泡消え性の両立、更に高濃度において流動性の面から、RO−(EO)m−(PO)n−の順でブロック付加したものである。
【0014】
また、一般式(1)中のMは、塩を形成する陽イオン基であり、アルカリ金属又はNH4である。アルカリ金属としてはナトリウム、カリウム、リチウムが挙げられるが、これらの中でナトリウム、カリウムがより好ましく、ナトリウムが特に好ましい。
【0015】
(a)成分の混合物における一般式(1)中のmのエチレンオキサイドの平均値及びnのプロピレンオキサイドの平均値は、起泡性、泡消え性、高濃度での流動性といった性能面から、mの平均値は0.3〜0.6、好ましくは0.3〜0.4であり、nの平均値は0.2〜0.4、好ましくは0.2〜0.3である。
【0016】
また、泡立ち性と希釈時の泡消え性の両立の面から、前記混合物における一般式(1)中のmが0且つnが0の化合物の割合は40質量%以上である。好ましくは40質量%以上98質量%以下、より好ましくは45質量%以上98質量%以下、より好ましくは50質量%以上98質量%以下であり、更に好ましくは高濃度での流動性、低温安定性や硬水中の安定性の観点から50質量%以上80質量%以下、前記混合物における一般式(1)中のmが2以上の化合物、一般式(1)中のnが2以上の化合物、及び一般式(1)中のm+nが2以上の化合物の合計は25質量%以下、好ましくは22質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは経済性や起泡性、泡消え性の観点から1質量%以上20質量%以下である。前記混合物における一般式(1)中のmが2以上の化合物、一般式(1)中のnが2以上の化合物、及び一般式(1)中のm+nが2以上の化合物の合計に対する、mが0且つnが0の化合物の質量比が、2.0以上であることが好ましい。
【0017】
<(b)成分>
本発明のアニオン界面活性剤組成物は、(b)成分として水を含有する。
【0018】
<アニオン界面活性剤組成物>
本発明の組成物は、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩含有組成物である。本発明は(a)成分を高濃度で含有する組成物に関するものであり、組成物中の(a)成分の含有量は60〜80質量%、好ましくは60〜75質量%である。本発明のアニオン界面活性剤組成物は、(a)成分の化合物分布を特定することにより、高濃度の(a)成分を含有する組成物でありながら、50℃以下という比較的低温においても優れた流動性が得られ、また透明性が高く、分離することなく均一で良好な外観が得られる。(b)成分は組成物の残部となる量で用いられるが、組成物中、20〜40質量%、更に25〜40質量%の含有量とすることができる。
【0019】
また、(a)成分、(b)成分以外の成分として、無機塩や硫酸化されなかったポリオキシアルキレンアルキルエーテルノニオン等を含んでも良い。
【0020】
(a)成分は、特に限定されるものではないが、例えば、以下の工程(I)〜(III)を含む工程から製造することができる。
工程(I):炭素数8〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するアルコール1モルにエチレンオキサイドを平均で0.3〜0.6モルの範囲で付加させる工程
工程(II):上記工程(I)で得られたエチレンオキサイド付加物にプロピレンオキサイドを平均で0.2〜0.4モルの範囲で付加させる工程
工程(III):上記工程(II)で得られたアルコキシレートを硫酸化し、次いで中和する工程
【0021】
工程(I)は、炭素数8〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するアルコール1モルにプロピレンオキサイドを平均で0.3〜0.6モルの範囲で付加させる工程である。本発明で用いられるアルコールのアルキル基は炭素数8〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基である。
【0022】
また、上記アルコール1モルに対するエチレンオキサイドの使用量は、(a)成分に該当する混合物を製造できる量であることが好ましい。具体的には、上記アルコール1モルに対してエチレンオキサイド0.3〜0.6モルであるが、泡消え性の面から、好ましくは0.3〜0.4モルである。
【0023】
工程(II)は、上記工程(I)で得られたエチレンオキサイド付加物にプロピレンオキサイドを平均で0.2〜0.4モルの範囲で付加させる工程である。上記アルコール1モルに対するプロピレンオキサイドの使用量は、(a)成分に該当する混合物を製造できる量であることが好ましい。具体的には、上記アルコール1モルに対してエチレンオキサイド0.2〜0.4モルであるが、高濃度における流動性の面から、好ましくは0.2〜0.3モルである。
【0024】
工程(I)、(II)を実施する方法としては、従来公知の方法が使用可能である。すなわち、オートクレーブにアルコールとアルコールに対し0.5〜1モル%のKOH等を触媒として仕込み、昇温・脱水し、120〜180℃の温度で、それぞれ所定量のエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを付加反応させることにより製造できる。このとき、付加形態はブロック付加であり、かつエチレンオキサイド付加〔工程(I)〕、プロピレンオキサイド付加〔工程(II)〕の順に行う。使用するオートクレーブには攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えられていることが望ましい。
【0025】
本発明では、(a)成分の混合物における一般式(1)中のmが0且つnが0の化合物の割合が40質量%以上であり、(a)成分の混合物における一般式(1)中のmが2以上の化合物、一般式(1)中のnが2以上の化合物、及び一般式(1)中のm+nが2以上の化合物の合計が25質量%以下である。(a)成分の混合物におけるmの平均値を0.3〜0.6且つnの平均値を0.2〜0.4とした上でこのような化合物分布を達成するには、例えばKOHやNaOHなどのアルカリ触媒を用いて、エチレンオキサイド、次いでプロピレンオキサイドを常法によりアルコールに付加反応する方法が挙げられる。その際、アルコール1モルに対してエチレンオキサイドが0.3〜0.6モル、プロピレンオキサイドが0.2〜0.4モルとなるように付加させれば、本発明の(a)成分に該当する混合物が得られる。
【0026】
工程(III)は、上記工程(II)で得られたアルコキシレートを硫酸化し、次いで中和させる工程である。硫酸化の方法としては、三酸化硫黄(液体又は気体)、三酸化硫黄含有ガス、発煙硫酸、クロルスルホン酸等を用いる方法が挙げられるが、特に、廃硫酸及び廃塩酸等の発生を防止する観点から、三酸化硫黄をアルコキシレートと同時にガス状又は液状で連続的に供給する方法が好ましい。
【0027】
硫酸化物の中和方法としては、所定量の中和剤へ硫酸化物を添加・攪拌しながら中和を行うバッチ式と、硫酸化物と中和剤を配管内へ連続的に供給し、攪拌混合機にて中和を行う連続式などが挙げられるが、本発明では中和方法に限定はない。ここで使用される中和剤としてはアルカリ金属水溶液、アンモニア水、トリエタノールアミンなどが挙げられるが、アルカリ金属水溶液が好ましく、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0028】
なお、一般式(1)中のmやnが異なる単一の化合物を複数用いて本発明の(a)成分に該当する混合物を得ることもできる。
【0029】
すなわち本発明のアニオン界面活性剤組成物は、一般式(1)で表される化合物の複数を含有し、該組成物におけるmの平均値が0.3〜0.6且つnの平均値が0.2〜0.4であり、該組成物における一般式(1)中のmが0且つnが0の化合物の割合が40質量%以上であり、該組成物における一般式(1)中のmが2以上の化合物、一般式(1)中のnが2以上の化合物、及び一般式(1)中のm+nが2以上の化合物の合計が25質量%以下である、ものであってもよい。
【0030】
本発明のアニオン界面活性剤組成物は、容器からの取り出しなど、取り扱い性の点で、粘度が500Pa・s以下、更に100〜500Pa・sであることが好ましい。この粘度は、株式会社トキメック製デジタル粘度計(DVL−B II型)にて、組成物の温度40℃、No.4ローターで0.3r/minの条件で測定されたものである。
【0031】
なお、本発明において、アニオン界面活性剤組成物についての「透明性」とは、気泡を除いた状態での目視観察により光を透過すると判断できるものをいう。
【0032】
本発明のアニオン界面活性剤組成物は、各種洗浄剤、例えば、繊維製品用洗浄剤や硬質表面用洗浄剤の製造原料として好適に使用できる。
【実施例】
【0033】
実施例1〜3、比較例1〜7
(1)アニオン界面活性剤組成物の調製
炭素数12のアルコール(花王(株)、製品名:カルコール2098)及びKOHを攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、減圧下にて脱水を行った。脱水後窒素置換を行い、所定の温度まで昇温した後、表1の平均付加モル数となるようにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれるアルキレンオキサイドを所定の順序で付加するように個別に仕込んだ。付加反応・熟成を行った後、未反応のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを除去した。未反応エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド除去後、90%乳酸をオートクレーブ内に加え、攪拌した後、抜き出しを行い、表1の平均アルキレンオキサイド付加モル数であるアルコキシレートを得た。
【0034】
得られたアルコキシレートを、SO3ガスを用いて薄膜式硫酸化反応器にて硫酸化した。得られた硫酸化物に、水酸化ナトリウム水溶液を加えて、表1の組成でポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩〔(a)成分〕を含有する高濃度のアニオン界面活性剤組成物を得た。なお、表1には便宜的に(a)成分に該当しない成分も(a)成分の欄に示した。実施例の組成物はいずれも透明性を有していた。
【0035】
(2)評価
(2−1)粘度
表1のアニオン界面活性剤組成物を遠心分離機にて泡を除去した後、株式会社トキメック製デジタル粘度計(DVL−B II型)にて粘度の測定を行った。尚、測定条件は40℃、No.4ローターで0.3r/minとし、単位はPa・sとした。この評価では、粘度が500Pa・s以下であれば流動性が良好でハンドリングが容易な物性であると判断した。
【0036】
(2−2)初期泡量
アニオン界面活性剤組成物を、(a)成分の濃度が34mMになる様にイオン交換水で希釈し、特開2008−260852号公報の図1記載のポンプフォーマー容器に充填した。ここで、泡吐出機構には、メッシュサイズ200/インチのメッシュが1枚装着されていた。次いで、容器上部のポンプヘッド部を3プッシュ連続して押し切ることにより、3gの泡を500mlのメスシリンダー(材質:ガラス、IWAKI製)の中に作製した。なお、押し切るスピードは、1プッシュあたり1秒のスピードで行なった。メスシリンダーの目盛りからその容量を記録し、初期泡量とした。この評価では、泡量が16ml以上であれば十分な泡立ちであると判断した。
【0037】
(2−3)泡消え性
上記の初期泡量の測定で発生した泡に対して、メスシリンダーの上部に設置したイオン交換水の導入手段(手製のジョウロ)を通してイオン交換水を泡に100ml添加して添加後30秒間静置し、更に100mlのイオン交換水を添加し30秒静置した後の泡量を測定した(100mlのイオン交換水を添加するのは計2回で、合計添加量は200mlとなる)。初期泡量とイオン交換水200ml(100mlを2回)添加後の泡量とから、次式で示す泡量変化率を求め、泡消え性を評価した。この泡量変化率が30%以上であれば希釈(すすぎ)による速やかな泡消えが達成できるものと判断した。なお、泡量変化率がマイナスの値をとるものは、イオン交換水の添加により泡量が増える(増泡)することを意味する。
泡量変化率(%)=[1−(イオン交換水200ml添加後の泡量/初期の泡量)]×100
【0038】
イオン交換水をメスシリンダーに添加するときの様子を図1に示す。図1中、1はメスシリンダー、2は泡、3はイオン交換水の導入手段(手製のジョウロ)、4は該導入手段の開口部であり、図2はイオン交換水の導入手段3の開口部4の穿孔状態を示す概略図である。イオン交換水の導入手段である手製のジョウロの作製方法は、以下の通りである。先ず、250mlのポリプロピレン製広口びん(アズワン製:アイボーイ広口びん)の底部から高さ約3分の1の本体部分迄を切除した。次いで、直径4cmの薄い円状のポリエチレン製板に対して、図2に示すように、9mm間隔で13個の直径2mmの穴を開けたポリエチレン製多孔板を用意した。最後に、切除した広口びん上部のフタ開口部(直径4cm)に対して、上記のポリエチレン製多孔板を開口部4として固定してイオン交換水の導入手段3(手製のジョウロ)を作製した。このようにして作製したイオン交換水の導入手段3(手製のジョウロ)を、図1のように、倒置状態に保ちながら、メスシリンダー1の開口部にはめ込んだ。イオン交換水は広口びんの切除側から投入した。
【0039】
【表1】

【0040】
表1中、「C12」は炭素数12のアルキル基(ラウリル基)を意味する。また、未反応分等の微量成分は、表1では省略した。また、「EO・PO付加順序」は、RO−に結合するEO、POの付加順序であり、EO/POはRO−EO−POの順であり、PO/EOはRO−PO−EOの順であることを意味する。また、「m=n=0の化合物」は、一般式(a)中のmが0且つnが0の化合物の意味であり、「AOp≧2の化合物」は、一般式(a)中のmが2以上の化合物、一般式(a)中のnが2以上の化合物、及び一般式(a)中のm+nが2以上の化合物の意味である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記一般式(1)で表される化合物の混合物を60〜80質量%、及び(b)水を含有するアニオン界面活性剤組成物であって、
前記混合物におけるmの平均値が0.3〜0.6、且つnの平均値が0.2〜0.4であり、
前記混合物における一般式(1)中のmが0且つnが0の化合物の割合が40質量%以上であり、
前記混合物における一般式(1)中のmが2以上の化合物、一般式(1)中のnが2以上の化合物、及び一般式(1)中のm+nが2以上の化合物の合計が25質量%以下である、
アニオン界面活性剤組成物。
RO−(EO)m−(PO)n−SO3M (1)
(式中、Rは炭素数8〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基を示し、m及びnはそれぞれ0以上の整数であり、Mはアルカリ金属又はNH4を示す。)
【請求項2】
前記混合物における一般式(1)中のmが2以上の化合物、一般式(1)中のnが2以上の化合物、及び一般式(1)中のm+nが2以上の化合物の合計に対する、mが0且つnが0の化合物の質量比が、2.0以上である、請求項1記載のアニオン界面活性剤組成物。
【請求項3】
前記混合物における一般式(1)中のmが0且つnが0の化合物の割合が50質量%以上98質量%以下である、請求項1又は2記載のアニオン界面活性剤組成物。
【請求項4】
前記混合物における一般式(1)中のmが2以上の化合物、一般式(1)中のnが2以上の化合物、及び一般式(1)中のm+nが2以上の化合物の合計が1質量%以上20質量%以下である、請求項1から3のいずれかに記載のアニオン界面活性剤組成物。
【請求項5】
前記混合物における一般式(1)のRが炭素数12の直鎖アルキル基である、請求項1から4のいずれかに記載のアニオン界面活性剤組成物。
【請求項6】
前記混合物における一般式(1)のMがナトリウムである、請求項1から5のいずれかに記載のアニオン界面活性剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−82855(P2013−82855A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225368(P2011−225368)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】