説明

アニオン重合開始剤及びその製造方法

【課題】加工性が良好な共役ジエン系重合体、及びヒステリシスロスの低減化が図られた前記当該共役ジエン系重合体を用いた組成物を得ることが可能なアニオン重合開始剤を得る。
【解決手段】炭化水素溶媒中で、アニオン重合可能な単量体とポリビニル芳香族化合物とを含有する単量体の混合物を、アミドリチウム化合物の存在下、下記の条件(A)及び(B)に従い、反応させることにより得られるアニオン重合開始剤であって、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が500〜20, 000であって、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.0であるアニオン重合開始剤。
(A)ポリビニル芳香族化合物/アミドリチウム化合物のモル比が0.01以上0.4未満の範囲。
(B)全単量体中のポリビニル芳香族化合物の含有量が0.5〜30質量%。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニオン重合開始剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、有機リチウム化合物を重合開始剤とし、ブタジエンやイソプレン、スチレン等の単量体をリビングアニオン重合して得られた重合体は、熱可塑性エラストマー、タイヤ用ゴム、耐衝撃性ポリスチレン用ゴムやマスABS用ゴム等、様々な分野で工業的に用いられている。
例えば、ポリブタジエンやスチレン−ブタジエン共重合体を製造する際、重合開始剤としては、n−ブチルリチウムやsec−ブチルリチウム等のモノ有機リチウム化合物が一般的に使用されている。また、モノ有機リチウム化合物とジビニルベンゼン等のポリビニル芳香族化合物の二者を反応して得られる多官能アニオン重合開始剤も知られている。
【0003】
下記特許文献1には、テトラヒドロフランを含む溶媒中、ブタジエンとジビニルベンゼンとの混合物を、n−ブチルリチウムと75℃で反応させて、多官能アニオン重合開始剤を製造する方法が提案されており、この多官能アニオン重合開始剤を使用して製造された共役ジエン系ゴムを耐衝撃性ポリスチレン用ゴムとして用いた場合、耐衝撃性と外観特性に優れていることが知られている。
【0004】
また、多官能アニオン重合開始剤の更なる応用例として、イソプレンとジビニルベンゼンとの混合物を、ヘキサメチレンイミドからなるアミドリチウムと反応させて多官能アニオン重合開始剤を得、この多官能アニオン重合開始剤を用いて共役ジエン系単量体の重合を行い、重合開始末端をアミノ基で変性することにより、官能化された重合体末端数を増やして、得られたジエン系ゴムとカーボンブラックとにより構成される組成物の性能、すなわちカーボンブラックの分散性を向上させ、ヒステリシスロスを低減化させる技術も提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−158315号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Liang sun et al., Journal of Applied Polymer Science, Vol. 109, 820-824(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び非特許文献1に記載されている多官能アニオン重合開始剤は、いずれも貯蔵安定性が悪く、長期間保存するとゲル化するという問題を有している。
また、非特許文献1に記載の多官能アニオン重合開始剤を用いて得られた共役ジエン系重合体は、組成物としたときに加工性が悪く、ヒステリシスロス低減の効果が発現しにくいという問題を有している。
【0008】
そこで本発明においては、ゲル化せず、アニオン重合開始剤を用いて得られた共役ジエン系重合体の組成物の加工性が良好であり、かつヒステリシスロスを大幅に低減化することが可能な、極めて有用なアニオン重合開始剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記従来技術の問題点の解決を図るため、鋭意研究を行った結果、製造工程において、ポリビニル芳香族化合物とアミドリチウム化合物とのモル比(ポリビニル芳香族化合物/アミドリチウム化合物)を一定範囲内にすることにより、上記従来技術の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
【0010】
〔1〕
炭化水素溶媒中で、アニオン重合可能な単量体とポリビニル芳香族化合物とを含有する単量体の混合物を、アミドリチウム化合物の存在下で、下記の条件(A)及び(B)に従い、反応させることにより得られるアニオン重合開始剤であって、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が500〜20, 000であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.0であるアニオン重合開始剤。
(A)ポリビニル芳香族化合物/アミドリチウム化合物のモル比が0.01以上0.4未満の範囲。
(B)全単量体中のポリビニル芳香族化合物の含有量が0.5〜30質量%。
〔2〕
前記アミドリチウム化合物が、下記一般式(1)で表される前記〔1〕に記載のアニオン重合開始剤。
【0011】
【化1】

【0012】
前記一般式(1)中、R1は炭素数4〜12のメチレン基を有するアルキレン基である。
【0013】
〔3〕
極性化合物とアミドリチウム化合物を含有し、当該極性化合物とアミドリチウム化合物とのモル比が極性化合物/アミドリチウム化合物=0.001〜10の範囲である炭化水素溶媒中で、
アニオン重合可能な単量体とポリビニル芳香族化合物とを含有する単量体の混合物を、下記の条件(A)及び(B)に従い反応させ、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が500〜20, 000であって、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.0であるアニオン重合開始剤を作製する、アニオン重合開始剤の製造方法。
(A)ポリビニル芳香族化合物/アミドリチウム化合物のモル比が0.01以上0.4未満の範囲。
(B)全単量体中のポリビニル芳香族化合物の含有量が0.5〜30質量%。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、長期間保存してもゲル化せず、当該アニオン重合開始剤を用いて得られた共役ジエン系重合体及び組成物の加工性が良好であり、かつ前記共役ジエン系重合体を用いた組成物のヒステリシスロスの低減化を図ることが可能な、極めて有用なアニオン重合開始剤が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0016】
〔アニオン重合開始剤〕
本実施形態のアニオン重合開始剤は、炭化水素溶媒中で、アニオン重合可能な単量体とポリビニル芳香族化合物とを含有する単量体の混合物を、アミドリチウム化合物の存在下、下記の条件(A)及び(B)に従い、反応させることにより得られるアニオン重合開始剤である。
(A)ポリビニル芳香族化合物/アミドリチウム化合物のモル比が0.01以上0.4未満の範囲。
(B)全単量体中のポリビニル芳香族化合物の含有量が0.5〜30質量%。
本実施形態のアニオン重合開始剤は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が500〜20, 000であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.0である。
【0017】
(炭化水素溶媒)
本実施形態のアニオン重合開始剤の調製に用いる炭化水素溶媒としては、ブタン、ペンタン、ノルマルヘキサン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素が用いられ、ノルマルヘキサン、シクロヘキサンが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
【0018】
(アニオン重合可能な単量体)
本実施形態のアニオン重合開始剤の調製に用いるアニオン重合可能な単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等の共役ジエン系単量体や、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン等のスチレン系単量体が挙げられ、好ましい単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、スチレン等が挙げられる。より好ましい単量体は、1,3−ブタジエンである。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
(ポリビニル芳香族化合物)
本実施形態のアニオン重合開始剤の調製に用いるポリビニル芳香族化合物としては、例えば、o,m及びp−ジビニルベンゼン、o,m及びp−ジイソプロペニルベンゼン、1,2,4−トリビニルベンゼン、1,2−ビニル−3,4−ジメチルベンゼン、1,3−ジビニルナフタレン、1,3,5−トリビニルナフタレン、2,4−ジビニルビフェニル、3,5,4’−トリビニルビフェニル、1,2−ジビニル−3,4−ジメチルベンゼン、1,5,6−トリビニル−3,7−ジエチルナフタレン等が挙げられ、特にジビニルベンセン、ジイソプロペニルベンゼンが好ましいが、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼンには、o−,m−,p−の異性体があり、これら異性体の混合物であるジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼンでもよい。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
(アミドリチウム化合物)
本実施形態のアニオン重合開始剤の調製に用いるアミドリチウム化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0021】
【化2】

【0022】
前記一般式(1)中、R1は炭素数4〜12のメチレン基を有するアルキレン基である。
【0023】
本実施形態のアニオン重合開始剤の調製に用いるアミドリチウム化合物は、アミンと有機リチウム化合物とを反応させて得られる。
前記アミンは、下記一般式(2)を有するジアルキルアミン又はジシクロアルキルアミン、又は、一般式(3)を有する環状アミンを使用できる。
【0024】
【化3】

【0025】
【化4】

【0026】
前記一般式(2)中、R2は、1〜20の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル又はアラルキルであり、ここで両方のR2基は同一であってもよく異なっていてもよい。
一般式(3)中、R3は、4〜12のメチレン基を有するアルキレン基である。
【0027】
前記一般式(2)、(3)で表されるアミンとしては、例えば、ピロリジン、ヘキサメチレンイミン、ピぺリジン、へプタメチレンイミン、ドデカメチレンイミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジプロピルアミン、ジへプチルアミン、ジへキシルアミン、ジオクチルアミン、ジ−2−エチルへキシルアミン、ジデシルアミン、N−メチルピベラジン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、エチルベンジルアミン、メチルフェネチルアミン等が挙げられ、これらに限定されるものではなく、上記条件を満たせばこれらの類似物を含む。
アミンはヒステリシスロスの低減化の観点から環状アミンが好ましく、ピロリジン、ヘキサメチレンイミンがより好ましい。
【0028】
アミドリチウム化合物を得るために用いる有機リチウム化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、ベンジルリチウム等のモノ有機リチウム化合物;1,4−ジリチオブタン、1,5−ジリチオペンタン、1,6−ジリチオヘキサン、1,10−ジリチオデカン、1,1−ジリチオジフェニレン、ジリチオポリブタジエン、ジリチオポリイソプレン、1,4−ジリチオベンゼン、1,2−ジリチオ−1,2−ジフェニルエタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン、1,3,5−トリリチオ−2,4,6−トリエチルベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ポリスチリルリチウム、ポリブタジエニルリチウム等のリビングアニオン重合体のリチウム化合物があるが、好ましくは、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが用いられる。
【0029】
上述したアミンと有機リチウム化合物との混合物を、10〜120℃の範囲の温度で、約1時間反応させることにより、アミドリチウム化合物が得られる。
【0030】
(ポリビニル芳香族化合物とアミドリチウム化合物とのモル比)
本実施形態のアニオン重合開始剤を調製する際には、前記ポリビニル芳香族化合物と前記アミドリチウム化合物とのモル比(ポリビニル芳香族化合物/アミドリチウム化合物)は0.01以上0.4未満の範囲とし、好ましくは0.03〜0.35の範囲とし、より好ましくは0.05〜0.3の範囲とする。
前記モル比を0.4未満としてアニオン重合開始剤を調製することにより、長期保存下においてゲル化を防止できる。また前記モル比を0.01以上としてアニオン重合開始剤を調製することにより、当該アニオン重合開始剤を用いて重合した重合体を用いた組成物のヒステリシスロスの低減効果が十分に得られる。
【0031】
(全単量体中のポリビニル芳香族化合物の含有量)
また、全単量体中のポリビニル芳香族化合物の含有量は、0.5〜〜30質量%の範囲であり、好ましくは0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
全単量体中のポリビニル芳香族化合物の含有量を0.5質量%以上とすることにより、調製されたアニオン重合開始剤を用いて重合した重合体の組成物においてヒステリシスロスの低減効果が十分に得られる。また、前記含有量を30質量%以下とすることによりアニオン重合開始剤の分子量分布を狭くすることができ、かつ、長期保存下においてゲル化を防止できる。
【0032】
(重量平均分子量、分子量分布)
本実施形態のアニオン重合開始剤のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は500〜20, 000の範囲であり、好ましくは1000〜10,000の範囲である。
アニオン重合開始剤の重量平均分子量が20,000以下であることにより、当該アニオン重合開始剤を用いて得られた重合体は加工性が良好なものとなり、当該重合体を用いた組成物においてヒステリシスロスの低減効果が十分に得られる。また、重量平均分子量が500以上であることにより、分子量分布について後述する範囲が得られやすくなる。
本実施形態のアニオン重合開始剤の分子量分布(Mw/Mn)は1.0〜3.0の範囲であり、好ましくは1.0〜2.5の範囲である。
分子量分布が上記範囲であるアニオン重合開始剤を用いて得られた重合体は、加工性が良好なものとなり、当該重合体を用いた組成物においてヒステリシスロスの低減効果が十分に得られる。
【0033】
〔アニオン重合開始剤の製造方法〕
本実施形態のアニオン重合開始剤の製造方法においては、炭化水素溶媒中で、アニオン重合可能な単量体とポリビニル芳香族化合物とを含有する単量体の混合物を、アミドリチウム化合物の存在下で、下記の条件(A)及び(B)に従い反応させることにより、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が500〜20, 000で、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.0であるアニオン重合開始剤を作製する。
(A)ポリビニル芳香族化合物/アミドリチウム化合物のモル比が0.01以上0.4未満の範囲。
(B)全単量体中のポリビニル芳香族化合物の含有量が0.5〜30質量%。
【0034】
このとき、炭化水素溶媒としては、極性化合物とアミドリチウム化合物を含有し、当該極性化合物とアミドリチウム化合物とのモル比が、極性化合物/アミドリチウム化合物=0.001〜10の範囲である炭化水素溶媒を用いる。
上述したように極性化合物を加えた炭化水素溶媒を用いることにより、アミドリチウム化合物を確実に溶媒中に溶解させることができ、また、ポリビニル芳香族単量体のビニル基の反応が促進され、アニオン重合開始剤の安定性を向上させることができる。
「アニオン重合可能な単量体」、「ポリビニル芳香族化合物」、「アミドリチウム化合物」については、上述した化合物と同様のものを用いることができ、詳細な説明を割愛する。
【0035】
前記極性化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第三級アミン化合物;カリウム−t−アミラート、カリウム−t−ブチラート、ナトリウム−t−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等が挙げられ、テトラヒドロフラン、テトラメチルエチレンジアミン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンが好ましい。
これらの極性化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極性化合物の使用量は、アミドリチウム化合物1モルに対して0.001〜10モルである。好ましくは0.002〜3モルである。アニオン重合開始剤の貯蔵安定性の観点から0.001以上が好ましい。また触媒製造時の反応速度を早めず、温度制御を容易にする観点から3以下が好ましい。
【0036】
本実施形態のアニオン重合開始剤の製造方法においては、反応を昇温下で実施する方法や、反応を定温下で実施する方法等が採用される。
「定温」とは±10℃の範囲で上下する温度を含むものとする。
昇温下で反応を実施する方法においては、通常、反応開始温度を10〜60℃とし、重合終了温度、すなわち「反応最高温度」を少なくとも75℃以上にすることが好ましい。より好ましくは77〜120℃の範囲である。
また、定温下で反応する方法においては、その反応最高温度を少なくとも75℃以上にすることが好ましい。より好ましくは77〜120℃の範囲である。75℃以上の場合は、ポリビニル芳香族系単量体のビニル基の反応が促進され、アニオン重合開始剤に存在するポリビニル芳香族系単量体に由来する不安定なビニル基の量が少なくなり、アニオン重合開始剤の安定性が向上するので好ましい。活性リチウムの失活抑制の観点から120℃以下が好ましい。
貯蔵安定性に優れたアニオン重合開始剤を製造するためには、少なくとも75℃以上の温度で1分間以上反応させることが好ましい。より好ましくは10分間以上である。
【0037】
〔アニオン重合開始剤の用途〕
本実施形態のアニオン重合開始剤は、共役ジエン系重合体又は芳香族ビニル−共役ジエン系重合体を製造する際に用いることができる。
共役ジエン系重合体又は芳香族ビニル−共役ジエン系共重合体の製造方法としては、本実施形態のアニオン重合開始剤を調製し、その後、共役ジエン系単量体、又は共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル単量体を添加し重合反応を開始して製造する方法、又は共役ジエン系単量体、又は共役ジエン系単量体及び芳香族ビニル単量体の入った反応器に、アニオン重合開始剤を反応器に添加し、重合反応を開始して製造する方法等が用いられる。
芳香族ビニル−共役ジエン系共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。ランダム共重合体としては、ブタジエン−イソプレンランダム共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレンランダム共重合体等が挙げられる。共重合体鎖中の各単量体の組成分布としては、統計的ランダムな組成に近い完全ランダム共重合体、もしくはテーパー状に組成に分布があるテーパーランダム共重合体等がある。共役ジエンの結合様式、すなわち1,4−結合と1,2−結合等の組成は均一であっても分布があってもよい。
ブロック共重合体としては、ブロックが2個からなる2型ブロック共重合体、3個からなる3型ブロック共重合体、4個からなる4型ブロック共重合体等がある。例えば、スチレン等の芳香族ビニル化合物からなるブロックをSで、ブタジエンやイソプレン等の共役ジエン化合物からなるブロック及び/又は芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体からなるブロックをBで表すと、S−B2型ブロック共重合体、S−B−S3型ブロック共重合体、S−B−S−B4型ブロック共重合体等で表される。上式において、各ブロックの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。ブロックBが芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体の場合、ブロックB中の芳香族ビニル化合物は均一に分布していても、またはテーパー状に分布していてもよい。またブロックBには、芳香族ビニル化合物が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。またブロックBには、芳香族ビニル化合物含有量が異なるセグメントが複数個共存していてもよい。共重合体中にブロックS、ブロックBがそれぞれ複数存在する場合、それらの分子量や組成等の構造は同一でも、異なっていてもよい。
ブロック共重合体の例として、より一般的には、例えば次の一般式で表されるような構造が挙げられる。
(S−B)n、 S−(B−S)n、B−(S−B)n、(S−B)m−X
[(S−B)nm−X、[(B−S)n−B]m−X、[(S−B)n−S]m−X
(nは1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。mは2以上の整数、好ましくは2〜11の整数である。Xはカップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基を示す。また、Xに結合しているポリマー鎖の構造は同一でも異なっていてもよい。)
【0038】
本実施形態のアニオン重合開始剤を用いて製造された重合体は、変性剤によって重合活性末端に水酸基、エポキシ基、アミノ基、アルコキシ基、カルボキシル基等の官能基を導入することができる。
このような変性共役ジエン系(共)重合体と無機充填剤、特にシリカ系無機充填剤を混合し、さらに加硫物とした場合、低ヒステリシスロス性、実用上十分な耐摩耗性や破壊強度に優れる共役ジエン系ゴム組成物を得ることができる。
【実施例】
【0039】
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
〔分析方法〕
後述するアニオン重合開始剤の分析は下記に記す方法で行った。
(アニオン重合開始剤の分子量及び分子量分布)
測定機器 Waters社製 HPLC Waters717
溶媒 クロロホルム
カラム 昭和電工社製 Shodex K−803L 2本
カラム温度 35℃
送液流量 1.0mL/min
試料注入量 0.1mL
【0041】
(ゲル生成)
ガラス瓶にアニオン重合開始剤を入れ、25℃で保存し、3日後に目視でゲルが生成しているかを観察し評価した。
【0042】
〔アニオン重合開始剤の調製〕
以下、実施例1〜7、及び比較例1、2において、それぞれアニオン重合開始剤A〜Iを調製した。
(実施例1)
内容積10Lの撹拌装置及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、下記表1に示した条件で、シクロヘキサン3.6kg、乾燥した1,3−ブタジエン500g、テトラヒドロフラン(THF)150gとジビニルベンゼン7gを加え、次いでピロリジノリチウムを81g加えて、35℃にて反応を開始し、反応最高温度が90℃で20分間反応させた。
下記表1の条件で調製したアニオン重合開始剤は、ゲルは全く生じなかった。
ポリビニル芳香族化合物としては、異性体混合物57質量%(m−ジビニルベンゼン=40質量%、p−ジビニルベンゼン=17質量%)を含有し、残部がエチルビニルベンゼン=44質量%からなる市販のジビニルベンゼン(新日鐵化学社製 ジビニルベンゼン570)を用いた。
【0043】
(実施例2、3、比較例1)
ジビニルベンゼンの添加量を下記表1で示した条件とし、その他の条件は実施例1と同様としてアニオン重合開始剤を作製した。
【0044】
(実施例4)
内容積10Lの撹拌装置及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、下記表1に示した条件で、シクロヘキサン3.6kg、乾燥した1,3−ブタジエン500g、ジビニルベンゼン21gを加え、次いでヘキサメチレンイミノリチウムを110g加えて、35℃にて反応を開始し、反応最高温度が80℃で40分間反応させた。
下記表1の条件で調製したアニオン重合開始剤は、ゲルは全く生じなかった。
ポリビニル芳香族化合物としては、異性体混合物57質量%(m−ジビニルベンゼン=40質量%、p−ジビニルベンゼン=17質量%)を含有し、残部がエチルビニルベンゼン=44質量%からなる市販のジビニルベンゼン(新日鐵化学社製 ジビニルベンゼン570)を用いた。
【0045】
(実施例5)
内容積10Lの撹拌装置及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、下記表1に示した条件で、シクロヘキサン3.6kg、乾燥した1,3−ブタジエン500g、ジビニルベンゼン21gを加え、次いでジブチルアミノリチウムを142g加えて、35℃にて反応を開始し、反応最高温度が90℃で20分間反応させた。
下記表1の条件で調製したアニオン重合開始剤は、ゲルは全く生じなかった。
ポリビニル芳香族化合物としては、異性体混合物57質量%(m−ジビニルベンゼン=40質量%、p−ジビニルベンゼン=17質量%)を含有し、残部がエチルビニルベンゼン=44質量%からなる市販のジビニルベンゼン(新日鐵化学社製 ジビニルベンゼン570)を用いた。
【0046】
(実施例6)
内容積10Lの撹拌装置及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、下記表1に示した条件で、シクロヘキサン3.6kg、乾燥した1,3−ブタジエン500g、テトラメチレンジアミン(TMEDA)61gとジビニルベンゼン21gを加え、次いでピロリジノリチウムを81g加えて、35℃にて反応を開始し、反応最高温度が85℃で25分間反応させた。
下記表1の条件で調製したアニオン重合開始剤は、ゲルは全く生じなかった。
ポリビニル芳香族化合物としては、異性体混合物57質量%(m−ジビニルベンゼン=40質量%、p−ジビニルベンゼン=17質量%)を含有し、残部がエチルビニルベンゼン=44質量%からなる市販のジビニルベンゼン(新日鐵化学社製 ジビニルベンゼン570)を用いた。
【0047】
(実施例7)
内容積10Lの攪拌装置及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、下記表1に示した条件で、シクロヘキサン3.6kg、乾燥した1,3−ブタジエン500g、ジビニルベンゼン49gを加え、次いでピロリジノリチウムを81g加えて、35℃にて反応を開始し、反応最高温度が90℃で20分間反応させた。
下記表1の条件で調製したアニオン重合開始剤は、ゲルは全く生じなかった。
ポリビニル芳香族化合物としては、異性体混合物57質量%(m−ジビニルベンゼン=40質量%、p−ジビニルベンゼン=17質量%)を含有し、残部がエチルビニルベンゼン=44質量%からなる市販のジビニルベンゼン(新日鐵化学社製 ジビニルベンゼン570)を用いた。
【0048】
(比較例2)
内容積10Lの撹拌装置及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、下記表1に示した条件で、シクロヘキサン3.6kg、乾燥した1,3−ブタジエン500g、ジビニルベンゼン21gを加え、次いでn−ブチルリチウムを67g加えて、35℃にて反応を開始し、反応最高温度が90℃で10分間反応させた。
下記表1の条件で調製したアニオン重合開始剤は、ゲルは全く生じなかった。
ポリビニル芳香族化合物は、異性体混合物57質量%(m−ジビニルベンゼン=40質量%、p−ジビニルベンゼン=17質量%)を含有し、残部がエチルビニルベンゼン=44質量%からなる市販のジビニルベンゼン(新日鐵化学社製 ジビニルベンゼン570)を用いた。
【0049】
【表1】

【0050】
次に、上記のようにして作製したアニオン重合開始剤を用いて共役ジエン系重合体を作製し、当該共役ジエン系重合体を用いて樹脂組成物を作製した。
〔試料の分析方法〕
後述する共役ジエン系重合体(SBR)の分析は、下記に示す方法により行った。
((1)結合スチレン量)
試料をクロロホルム溶液とし、スチレンのフェニル基によるUV254nmの吸収によ
り結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所製:UV−2450)。
((2)ブタジエン部分のビニル結合量(1,2−ビニル結合量))
試料を二硫化炭素溶液とし、溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm-1の範囲で測定して所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法の計算式に従いブタジエン部分のミクロ構造を求めた。測定機器としては、日本分光(株)製:FT−IR230を使用した。
((3)ムーニー粘度)
JIS K 6300に従い、100℃で1分間余熱し、4分後の粘度を測定した。指数値が小さいほど粘度が小さいことを示す。
【0051】
〔共役ジエン系重合体(SBR)の製造〕
(製造例1〜7、比較製造例1、2)
内容積10Lの撹拌装置及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄乾燥し、窒素置換後、予め精製、乾燥した1,3−ブタジエン592gとスチレン208g、シクロヘキサン5kgを加え、次いで1,2−ビニル調整剤として2,2−ビス(2ーオキソラニル)プロパンを1.47g添加し、さらに前記表1に示した、各アニオン重合開始剤(A〜H)を加えて、52℃にて重合を開始した。
重合終了後、メタノールを1mL添加して、リビングポリマーを完全に失活させた。
こうして得られたポリマー溶液に安定剤として、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをポリマー100質量部当たり0.375質量部、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールをポリマー100質量部当たり0.15質量部添加し、スチームストリッピングすることにより溶媒を除去し、脱水後、引き続き熱ロール(110℃)により10分乾燥させ、SBRを得た。
得られたSBRのムーニー粘度(ML)とスチレン量、ビニル結合量を下記表2に示す。
【0052】
下記表2に示すSBRを原料ゴムとして、以下に示す配合に従い、それぞれの原料ゴムを含有するゴム組成物を得た。
【0053】
共役ジエン系重合体 100.0質量部
カーボンブラック(東海カーボン社製 N339) 70.0質量部
S−RAEオイル
(ジャパンエナジー社製JOMOプロセスNC140) 37.5質量部
亜鉛華 5.0質量部
ステアリン酸 2.0質量部
老化防止剤
(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン) 2.0質量部
硫黄 2.2質量部
加硫促進剤
(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフィンアミド) 1.6質量部
合計 220.3質量部
【0054】
ゴム組成物は、下記の方法により混練して作製した。
温度制御装置を具備する密閉混練機(内容量0.3リットル)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数50/57rpmの条件で、原料ゴム(試料A〜H)、充填剤(カーボンブラック)、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸を混練した。
このとき、密閉混合機の温度を制御し、排出温度(配合物)は155〜160℃でゴム組成物を得た。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混合機の温度制御により排出温度(配合物)を155〜160℃に調整した。
冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤を加えて混練した。
その後、成型し、160℃で20分間、加硫プレスにて加硫した。
加硫後、ゴム組成物の物性を測定した。
物性測定結果を表2に示した。
【0055】
〔物性の測定方法〕
なお、ゴム組成物の各物性は、下記に示す方法により測定した。
<(1)コンパウンドムーニー粘度>
JISK 6300に従い、100℃で1分間余熱し、4分後の粘度を測定した。指数値が小さいほど粘度が小さいことを示す。指数値が小さいほど加工性に優れることを示す。
【0056】
<(2)粘弾性パラメータ>
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機(ARES)を使用し、ねじりモードで加硫試験片の粘弾性パラメータを測定した。
0℃において周波数10Hz、ひずみ1%で測定したtanδをウェットグリップ性能の指標とした。指数値が大きいほどウェットグリップ性能が良好であることを示す。
また50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを省燃費特性の指標とした。指数値の小さいほど省燃費性能が良好であることを示す。
【0057】
<(3)配合物の引張強さ>
加硫試験片を、JIS K6251の引張試験法により測定した。TBは破断強度、EBは引張伸びを表す。指数値が大きいほど耐破壊性に優れることを示す。
【0058】
<(4)耐摩耗性>
アクロン摩耗試験機を使用し、JIS K6264−2に従って、荷重44.1N、1000回転での加硫試験片の摩耗量を測定し、指数化した。
指数値の大きいほど耐摩耗性が優れることを示す。
【0059】
【表2】

【0060】
前記表2に示すように、実施例1〜7のアニオン重合開始剤を用いて作製した重合体を含有している製造例1〜7のゴム組成物は、コンパウンドムーニー粘度も低く加工性に優れており、その上50℃のtanδも小さく、ヒステリシスロスの低減化が大きいことが分かった。
一方、比較例1のアニオン開始剤を用いて作製した重合体を用いて作製した重合体を含有している比較製造例1のゴム組成物は、コンパウンドムーニー粘度が高くて加工性が悪く、省燃費性能の指標となる50℃のtanδが大きく、ヒステリシスロスの低減化効果も小さいことが分かった。
さらに、比較例2のアニオン開始剤を用いて作製した重合体を用いて作製した重合体を含有している比較製造例2のゴム組成物は、コンパウンドムーニー粘度は低いものの、tanδが大きく、ヒステリシスロスの低減化効果が小さいことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のアニオン重合開始剤は、自動車の内装・外装品、防振ゴム、ベルト、はきもの、発泡体、各種工業部品、タイヤ用途等の材料として用いられる重合体を製造するための重合開始剤として、産業上の利用可能性を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素溶媒中で、アニオン重合可能な単量体とポリビニル芳香族化合物とを含有する単量体の混合物を、アミドリチウム化合物の存在下、下記の条件(A)及び(B)に従い、反応させることにより得られるアニオン重合開始剤であって、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が500〜20, 000であって、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.0であるアニオン重合開始剤。
(A)ポリビニル芳香族化合物/アミドリチウム化合物のモル比が0.01以上0.4未満の範囲。
(B)全単量体中のポリビニル芳香族化合物の含有量が0.5〜30質量%。
【請求項2】
前記アミドリチウム化合物が、
下記一般式(1)で表される請求項1に記載のアニオン重合開始剤。
【化1】

(R1は炭素数4〜12のメチレン基を有するアルキレン基である。)
【請求項3】
極性化合物とアミドリチウム化合物を含有し、当該極性化合物とアミドリチウム化合物とのモル比が極性化合物/アミドリチウム化合物=0.001〜10の範囲である炭化水素溶媒中で、
アニオン重合可能な単量体とポリビニル芳香族化合物とを含有する単量体の混合物を、下記の条件(A)及び(B)に従い反応させ、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が500〜20, 000であって、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.0であるアニオン重合開始剤を作製する、アニオン重合開始剤の製造方法。
(A)ポリビニル芳香族化合物/アミドリチウム化合物のモル比が0.01以上0.4未満の範囲。
(B)全単量体中のポリビニル芳香族化合物の含有量が0.5〜30質量%。

【公開番号】特開2013−23570(P2013−23570A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159271(P2011−159271)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】