説明

アニュラー型尾翼式航空機

【課題】 航空機の後部のターボファン、特に高バイパス比を有する最新世代ターボファンまたはアンダクティドファン方式推進エンジンの取り付けと適合し、シングルまたはダブルアニュラー表面と呼ばれる閉じた表面を形成する前記尾翼の空力表面を組み合わせることにより尾翼を最適化する航空機の尾翼構成を提供する。
【解決手段】 胴体部(3)と、翼(2)と、航空機の前後軸X方向において翼(2)の後方に位置する後部内に固定された少なくとも1つの推進エンジン(5、5a、5b)とを有する航空機用の尾翼アセンブリ(1)。尾翼アセンブリは、胴体部に固定された少なくとも1つのアニュラー部を含むアニュラー構造を形成するよう構成されたほぼ水平な空力表面(41a、41b、43)およびほぼ垂直な空力表面(42a、42b)を主構成部材とする。尾翼アセンブリにより形成されたアニュラー構造内には少なくとも1基のエンジンが保持される。アニュラー構造内に2つの環部を形成する実施形態においては1つの中央垂直安定板が用いられる。そのような尾翼を有する航空機の実施形態においては、アニュラー構造のゾーン内に1基または2基のエンジンが固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリア推進部および尾翼を含む航空機の分野に関するものである。
【0002】
より詳細には本発明は、同じく航空機の後部内に位置する単数または複数の推進エンジンに連結されたセルフクローズアニュラー構造を形成する尾翼アセンブリを含む構成を提供する。
【背景技術】
【0003】
ジェットエンジン、あるいはアンダクティドファン・エンジン、すなわち英語の用語によればUnducted FanまたはUDFなどのターボエンジンによって推進される輸送機においては、尾翼は、いわゆる基本形においては、ほぼ垂直な空力表面、垂直尾翼、ならびに胴体の後部に固定されたほぼ水平な空力表面、水平尾翼を含むことが最も多く、これらは飛行時の航空機の安定性を確保し、前記空力表面に固定された方向舵および昇降舵により航空機の制御を行うことができる空力表面である。
【0004】
このような従来の基本尾翼形は、たとえばエアバスA320など多数の民間輸送機において広く用いられている。
【0005】
特に民間輸送機において、採用される頻度が低い形状としては、たとえばBae146のように水平尾翼が垂直尾翼の上部に固定されてT字形尾翼を形成するか、たとえばAerospatiale SE210 Caravelleのように、高さ方向において中間位置に固定されて十字形尾翼を形成する。
【0006】
同じく既知のその他の形態においては、垂直尾翼は、たとえばNord2500Noratlasのように水平尾翼の端部に固定された2つの垂直空力表面を含みH字形尾翼を形成する。
【0007】
別の既知の尾翼形状は、垂直面と水平面の間において傾斜し、V字形を形成し、その組み合せにより垂直および水平空力表面双方の機能を果たす2つの表面で構成されるものである。バタフライとよばれるこの種の尾翼はCM170FougaMagisterで特に用いられる。
【0008】
一般的に、航空機の尾翼の形状の選択は空力的考察および構造的考察によって変わるが、推進エンジンの位置および種類にも影響される、というのはこれらの位置および種類には、同じく空力および構造に関する制約だけなく、タービンの破損などのエンジンの不良によって航空機の制御が不可能になるような結果を尾翼にもたらしてはならないという安全上の制約もあるからである。
【0009】
現在の航空機では、基本形であって、尾翼の空力表面が胴体部に個別に固定されない種々の尾翼形状は、尾翼を有する航空機の構成に対応するものであるが、そうは言っても、T字形、十字形、H字形またはV字形など既知の形状は、推進エンジンを有する尾翼のアセンブリの全体的な空力的および構造的最適化が行われていないため、基本的形状の設計においてはきわめて相似している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、航空機の後部のターボファン、特に高バイパス比を有する最新世代ターボファンまたはアンダクティドファン方式推進エンジンの取り付けと適合し、シングルまたはダブルアニュラー表面と呼ばれる閉じた表面を形成する前記尾翼の空力表面を組み合わせることにより尾翼を最適化する航空機の尾翼構成を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による尾翼アセンブリは、胴体部と、翼と、航空機の前後軸X方向において翼の後方に位置する胴体部の部分内に固定された少なくとも1つの推進エンジンとを有する航空機に適する。
【0012】
尾翼アセンブリは、胴体部の後部内に固定された空力表面を含み、前記少なくとも1つのエンジンが保持された胴体部に固定された少なくとも1つのアニュラー部を含むアニュラー構造を形成するよう構成されたほぼ水平な空力表面およびほぼ垂直な空力表面を主構成部材とする。
【0013】
好ましい実施形態においては、尾翼アセンブリは、
− 前記下部空力表面のそれぞれの翼付け根部の側の胴体部に、航空機の垂直対称面XZを基準としてほぼ対称的に固定されたほぼ水平な2つの空力表面と、
− ほぼ垂直な2つの空力表面であって、当該下部空力表面の翼付け根部とは反対側の下部空力表面の端部より下方の端部によりそれぞれが固定される2つの空力表面と、
− 翼の全幅の端部により垂直空力表面の上端に固定されたほぼ水平な上部空力表面と、
を含む。
【0014】
下部空力表面により胴体部に固定された前記下部、垂直、および上部空力表面はその構成によりアニュラー部を形成する。
【0015】
有利には、下部空力表面、上部空力表面および垂直空力表面は、それらのうちの少なくともいくつかについては、飛行機の制御を行うことができる空力操縦翼面を形成する可動部材を具備する。
【0016】
尾翼ゾーンにおける空力流を制御するために、尾翼アセンブリの空力表面は彎曲した接続組付部材により相互に固定される。
【0017】
一実施形態においては、強度および剛性が向上された2つのアニュラー部を有する構造を尾翼アセンブリが画定するよう、中央垂直安定板はその下部においては胴体部に固定され、その上部においては上部空力表面に固定される。
【0018】
エンジンのメンテナンス上の配慮を満たす目的から、アニュラー部の各構造は、
− 胴体部のレベルまたは胴体部の近傍に位置する下部空力表面の開口ゾーンであって、前記開口ゾーンの両側に位置する前記下部空力表面の部分のロック−アンロック手段を含む開口ゾーンと、
− 当該アニュラー部の一部分を形成する上部空力表面の部分のレベルの連接ゾーンであって、ロック−アンロック手段がアンロック位置にあるとき、前後方向軸Xにほぼ平行な軸の回転により上方への運動を可能にする連接ゾーンと
を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、中央垂直安定板のないそのような尾翼アセンブリと、支持パイロンにより上部空力表面に、かつ前記空力表面の下に固定された推進エンジンとを含む航空機にも関する。
【0020】
この場合、ほぼ垂直な保守用ピットであって、上部空力表面に固定された位置からまたはその位置まで前記ピットを通してエンジンをほぼ垂直に上下動できるような寸法であってそのような場所を有する保守用ピットが胴体部を有効に貫通する。
【0021】
胴体部の空力的形状の連続性を確保するために、航空機の通常運行時、トラップによりピットの下部および上部開口部の閉動作が行われる。
【0022】
本発明は、そのような尾翼アセンブリと、尾翼アセンブリで形成された単数または複数のアニュラー部内にほぼ配設された推進エンジンとを含み、前記エンジンが支持パイロンによりそれぞれ胴体部に固定される航空機にも関する。
【0023】
本発明は、中央垂直安定板を有するそのような尾翼アセンブリと、尾翼アセンブリで形成されたアニュラー部にほぼ配設された推進エンジンとを含み、前記エンジンが支持パイロンにより中央垂直安定板に固定される航空機にも関する。
【0024】
以下、本発明による航空機についての種々のアニュラー型尾翼の構成の略図を示す図面を参照して、本発明の種々の実施形態の説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】一実施形態による尾翼を含む後部に固定された双発エンジン航空機を示す図である。
【図2a】作動位置にある尾翼を示す、図1の航空機の後部ゾーンの詳細図である。
【図2b】一側面におけるエンジンメンテナンス位置を示す、図1の航空機の後部ゾーンの詳細図である。
【図3】一実施形態による尾翼を含むリア双発ジェットエンジン航空機を示す図である。
【図4】リアジェットエンジンを有し別の実施形態による尾翼を含むリア3発ジェットエンジン航空機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明による尾翼アセンブリの構成例を含む航空機を示す図である。
【0027】
尾翼アセンブリという語は、尾翼を形成し、航空機の前後軸Xにおいて翼2の後方に位置し、飛行中の航空機の移動方向にほぼ対応する前方が正方向である空力表面の集合であると理解されたい。
【0028】
ここでは「空力表面」という表現は、航空機の翼、水平尾翼または垂直安定板など、その形状が空力揚力の発生に適している構造という意味に理解するものとする。
【0029】
従来、翼2および尾翼アセンブリ1は、長形の航空機胴体部3に固定される。
【0030】
取り決め上、航空機は、前後方向軸Xと、航空機が水平位置にあるとき航空機の下方がプラス方向となる垂直軸Zと、軸XおよびZに対し直角であり、飛行方向において飛行機の右側に向かう方向がプラス方向の軸Yとにより画定される基準三面体を含む。
【0031】
軸XおよびZは航空機の垂直対称面を画定し、軸XおよびYは航空機の水平基準面を画定する。
【0032】
図1にて図示し図2aに詳細を示す構成においては、尾翼アセンブリは、ほぼ水平であって前記下部空力表面の翼付け根部により胴体部3に固定された第1下部空力表面41a、41bを含む。
【0033】
前記下部空力表面は航空機の垂直対称面XZを基準としてほぼ対称的に配置され、下部水平尾翼を形成する。
【0034】
図1および図2aのイラストにあるように、下部空力表面41a、41bは必ずしも厳密に水平基準面XYに平行であるわけではなく、全体的な空力挙動の理由から作製されることが多い二面体を形成することもある。
【0035】
垂直空力表面とよばれるほぼ垂直な2つの第2空力表面42a、42bは、前記2つの垂直表面が下部空力表面の上方、すなわち負のZの方向に延伸するよう、下部空力表面41a、41bの翼付け根部とは反対側の端部に配置される。
【0036】
ほぼ水平な第3の上部空力表面43も下部空力表面の上方に配置され、垂直表面42a、42bの上端に固定された前記上部空力表面の全幅の端部により保持される。
【0037】
ここまで記述してきた構成において、下部空力表面41a、41b、垂直空力表面42a、42bおよび上部空力表面43はアニュラー構造を形成し、空力管路を画定し、下部空力表面の翼付け根部のレベルにおける胴体3に固定され、胴体はアニュラー構造の閉設を実現する。
【0038】
好ましくは、空力表面41a、41b、42a、42b、43は、ほぼ平坦なエアフォイルプロファイルタイプの翼面であり、空力的かつ段階構造的接続を行う彎曲した空力形状412a、412b、423a、423bにより相互に結合される。
【0039】
好ましい実施形態においては、尾翼アセンブリ(1)の空力表面の全てまたは一部は、前記空力表面の後縁ゾーン内に、空力操縦翼面、すなわち航空機を制御するのに使用される可動部材を具備する。
【0040】
より詳細には、垂直空力表面42a、42bは、垂直軸Zを中心とする飛行機の制御のための、ほぼ垂直なヨーイング(yawing)制御翼面と呼ばれる制御翼面421a、421bを具備し、下部空力表面41a、41bおよび/または上部空力表面43は、軸Yを中心とする飛行機の制御のための、ほぼ水平なピッチング制御翼面と呼ばれる制御翼面431a、431bを具備する。
【0041】
一実施例では、昇降舵は下部空力表面上にのみ存在するか、図示するように、上部空力表面上にのみ存在する。
【0042】
図1、図2a、図2bに示すように2つのリアエンジンを有する航空機の作製に特に適する実施形態においては、中央垂直安定板と呼ばれる第4の垂直空力表面44が、航空機のほぼ垂直対称面XZ内に配置され、翼付け根部と呼ばれる飛行機の一端部と、胴体3と、上端と呼ばれるもう一方の端部と、上部空力表面43とに固定される。
【0043】
中央垂直安定板44を含むこの構成においては、アニュラー型尾翼アセンブリは、前記中央垂直安定板により分割された2つの空力管路を画定する二重環構造を有する。
【0044】
中央垂直安定板44により尾翼アセンブリ1の構造強度および剛性を向上させることができ、また同安定板は単数または複数の方向舵を含む場合がある。
【0045】
本発明によれば、図1、図3および図4に示すように、アニュラー型尾翼アセンブリの単数または複数の空力管路内に単数または複数のエンジン5、5a、5bが配設される。
【0046】
エンジンはたとえば、最新の高バイパス比ターボファン・エンジンなどのターボファン・エンジンであるか、ファンが航空機の高速亜音速推進用に設計されたターボファン・エンジンなど、アンダクティドファン・エンジンである。
【0047】
2基のリアエンジン5a、5bを有する構成の場合、中央垂直安定板44が使用される時には、同中央垂直安定板は、破裂があった場合、他方のエンジンによって飛散する破片からエンジンを保護するために補強されるのが有利である。
【0048】
各エンジンは、胴体部3(図1に示すケース)、アニュラー型尾翼の空力表面、特に上部空力表面43(図4に示すケース)あるいは中央垂直安定板44(図3に示すケース)に固定された固定パイロンなどの支持構造51a、51b、52a、52b、53により保持される。
【0049】
航空機のリアエンジンのこれらの構成においては、前記エンジンから放射状に伝播する騒音、すなわち前記推進エンジンのアンダクティドファンまたは空気取入口またはノズルから放射状に伝播する騒音は、尾翼の種々の表面により少なくとも部分的に遮蔽されるよう、エンジン5、5a、5bは前後軸Xの方向に設置されるのが好ましい。
【0050】
2基のリアエンジンおよび中央垂直安定板44を有する航空機の場合の本発明の好ましい形態においては、エンジン5a、5bの固定パイロンは胴体部3または中央垂直安定板44に固定される。
【0051】
この場合、尾翼アセンブリ1は、2つのアニュラー部、すなわち、下部空力表面41a、垂直空力表面42a、航空機の垂直対称面XZを基準として想定される下部空力表面側に位置する上部空力表面43の一部分43aおよび中央垂直安定板44で形成される第1アニュラー部と、もう一方の下部空力表面41b、もう一方の垂直空力表面42a、航空機の垂直対称面XZを基準として想定される下部空力表面側に位置する上部空力表面の一部分43bおよび中央垂直安定板44で形成される第2アニュラー部を画定する。
【0052】
保守上の必要性、特にエンジンの保守作業、取り付け作業、取り外し作業の理由から、各アニュラー部は開くことができ、そのために、図2bに示すように、2つのアニュラー部のうちの一方について、
− 胴体部3の近傍に位置する下部空力表面41aの開口ゾーン411と、
− 中央垂直安定板44の上端と、当該アニュラー部側に位置する上部空力表面の一端部との間に位置する部分43aの連接ゾーン432と
を含む。
【0053】
連接ゾーン432は、航空機の前後方向軸Xにほぼ平行な軸を中心として尾翼アセンブリ1の連接サブアセンブリが上方に回転することができるよう構成される。
【0054】
航空機の通常の運転条件下ではアニュラー部は閉じており、図示しないロック−アンロック手段により、「ロック」状態において、開口ゾーン411内への下部空力表面41aの構造的連続性が確保される。
【0055】
開口ゾーン411は、胴体部3の近傍か、極端な例では、胴体部3と下部空力表面41aの間に位置する。
【0056】
航空機の保守作業時間に相当する「アンロック」状態においては、開口ゾーン411によりアニュラー部の連接サブアセンブリが開放されるので、連接ゾーン432を中心として、航空機の上方にこのサブアセンブリを移動することができる。
【0057】
このようにアニュラー部の連接サブアセンブリを上方に移動することにより、エンジンのブレードの点検、保守、場合によっては交換を行うために、当該アニュラー部に連結されたエンジン5aに接近することが可能になり、エンジンを取り外すことなく保守作業を行う目的で内部の装置に接近するために前記エンジンのカバーを開くことができるほか、エンジン5aの下に位置する空間からは一切の障害物が排除され、前記エンジンは、取り付けまたは交換を行うために従来の起重手段により取り外しまたは再取り付けをすることができる。
【0058】
好ましい一実施形態においては、連接ゾーン432が中央垂直安定板44の上端の近くに配設されるので、高い剛性を発揮することができる単一構造体アセンブリによりアニュラー部の連接部分を作製することが可能になる。
【0059】
対称的に同一または同等の構成により、他方のエンジン5b上で保守作業を実施することができる。
【0060】
たとえば翼下エンジンも有する航空機の場合のように、図4に示すようなリアエンジン5が1基のみの構成においては、エンジン5は上部空力表面の下の軸方向位置に固定されるのが有利である。この場合、中央垂直安定板は使用されない。
【0061】
図示しない保守用ピットは、胴体部内にエンジンに対し垂直に配設されるのが有利である。航空機の通常使用条件下において、保守用ピットはトラップにより塞がれ、ピットの寸法は、ピットのトラップが開けられた時、胴体部を通してエンジンをほぼ垂直に上下動できるような寸法である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
このように、提案した本発明により、航空機の後部内に位置する単数または複数のエンジンを有する航空機に対し、空力および構造面上において連続形状を有し、エンジン上で必要な保守作業を犠牲することなく空力および音響面において有利なエンジンの組み付けが可能な尾翼アセンブリを作製することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 尾翼アセンブリ
2 翼
3 胴体部
5 エンジン
5a、5b リアエンジン
41a、41b 下部空力表面
42a、42b 垂直空力表面
43 上部空力表面
44 中央垂直安定板
51a、51b 支持パイロン
52a、52b 支持パイロン
53 支持パイロン
411 開口ゾーン
412a、412b、423a、423b 彎曲した空力形状
432 連接ゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体部(3)と、翼(2)と、航空機の前後軸X方向において翼(2)の後方に位置する後部内に固定された少なくとも1つの推進エンジン(5、5a、5b)とを有する航空機用の尾翼アセンブリ(1)において、胴体部の後部内に固定された空力表面を含み、前記少なくとも1つのエンジンが保持された胴体部に固定された少なくとも1つのアニュラー部を含むアニュラー構造を形成するよう構成されたほぼ水平な空力表面(41a、41b、43)およびほぼ垂直な空力表面(42a、42b)を主構成部材とすることを特徴とする航空機用の尾翼アセンブリ。
【請求項2】
− 前記下部空力表面のそれぞれの翼付け根部の側の胴体部(3)に、航空機の垂直対称面XZを基準としてほぼ対称的に固定されたほぼ水平な2つの空力表面(41a、41b)と、
− ほぼ垂直な2つの空力表面(42a、42b)であって、当該下部空力表面の翼付け根部とは反対側の下部空力表面(41a、41b)の端部より下方の端部によりそれぞれが固定される2つの空力表面と、
− 翼の全幅の端部により垂直空力表面(42a、42b)の上端に固定されたほぼ水平な上部空力表面(43)と
を含み、下部空力表面により胴体部に固定された前記下部、垂直、および上部空力表面がアニュラー部を形成することを特徴とする請求項1に記載の尾翼アセンブリ。
【請求項3】
下部空力表面(41a、41b)、上部空力表面(43)および垂直空力表面(42a、42b)が空力操縦翼面を形成する可動部材を具備することを特徴とする請求項2に記載の尾翼アセンブリ。
【請求項4】
空力表面が、彎曲した接続組付部材により相互に固定されることを特徴とする請求項2または3に記載の尾翼アセンブリ。
【請求項5】
中央垂直安定板の下部においては胴体部(3)に固定され、前記中央垂直安定板の上部においては上部空力表面(43)に固定された中央垂直安定板(44)を含む請求項2から4のいずれか1項に記載の尾翼アセンブリであって、2つのアニュラー部を有する構造を画定することを特徴とする尾翼アセンブリ。
【請求項6】
アニュラー部の各構造が、
− 胴体部(3)のレベルまたは胴体部の近傍に位置する下部空力表面(41a、41b)の開口ゾーン(411)であって、前記開口ゾーンの両側に位置する前記下部空力表面の部分のロック−アンロック手段を含む開口ゾーンと、
− 当該アニュラー部の一部分を形成する上部空力表面(43)の部分(43a、43b)のレベルの連接ゾーン(432)であって、ロック−アンロック手段がアンロック位置にあるとき、前後方向軸Xにほぼ平行な軸の回転により上方への運動を可能にする連接ゾーンと、
を含むことを特徴とする請求項5に記載の尾翼アセンブリ。
【請求項7】
請求項2から4のいずれか1項に記載の尾翼アセンブリ(1)と、支持パイロン(53)により上部空力表面(43)に、かつ前記空力表面の下に固定された推進エンジン(5)とを含むことを特徴とする航空機。
【請求項8】
胴体部(3)を貫通するほぼ垂直な保守用ピットを含む請求項7に記載の航空機であって、上部空力表面(43)に固定された位置からまたはその位置まで前記ピットを通してエンジン(5)をほぼ垂直に上下動できるような寸法であってそのような場所を有することを特徴とする請求項7に記載の航空機。
【請求項9】
推進エンジン(5a、5b)が、尾翼アセンブリ(1)で形成された単数または複数のアニュラー部内にほぼ配設され、前記エンジンが支持パイロン(51a、51b)によりそれぞれ胴体部に固定されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の航空機。
【請求項10】
推進エンジン(5a、5b)が、尾翼アセンブリ(1)で形成されたアニュラー部内にほぼ配設され、前記エンジンが支持パイロン(52a、52b)によりそれぞれ中央垂直安定板(44)に固定されることを特徴とする請求項5または6に記載の航空機。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−510933(P2010−510933A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538745(P2009−538745)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001959
【国際公開番号】WO2008/081098
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(501446228)エアバス・フランス (93)