アブレーションデバイス
【課題】カテーテルに挿通される操作ワイヤーの先端に取り付けられる部材が、操作ワイヤーから脱落することを抑制できる安全性の高い医療用デバイスを提供する。
【解決手段】気道にバイパスを形成するためのアブレーションデバイス1Aであって、気道を穿刺するための穿刺部2と、前記穿刺した部位を押し広げる差込部37(拡張部)と、前記押し広げた部位の生体組織を処置する電極部33(処置部)と、を有している。
【解決手段】気道にバイパスを形成するためのアブレーションデバイス1Aであって、気道を穿刺するための穿刺部2と、前記穿刺した部位を押し広げる差込部37(拡張部)と、前記押し広げた部位の生体組織を処置する電極部33(処置部)と、を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気道にバイパスを形成するためのアブレーションデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
慢性閉塞性肺疾患の1つとして、肺気腫が知られている。肺気腫は、酸素と二酸化炭素の交換を行う肺胞の隔壁が壊れて肺胞同士がつながり、壊れた肺胞が大きく膨らんで弾力性や収縮性のない状態となり、肺胞の有効面積が減って換気能力が低下する疾患である。通常の肺胞は、呼気において肺の収縮に伴って収縮するが、肺気腫になると呼気において収縮せず、肺が縮む際に、気管支が回りの収縮できない肺胞によって押しつぶされ、空気が出にくくなる症状が表れる。
【0003】
このような肺気腫の治療のため、近年、気道バイパスを利用した治療法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。気道バイパスを用いた治療では、気道壁に開口部を形成し、隣接している拡大した肺胞へのバイパスを形成することで、呼気が狭窄された気管支を通らずに直接気道へ抜けることを可能とする。このようなバイパスを形成する際には、まず穿刺ツールを気道の開口を形成する部位まで到達させて穿刺し、穿刺して形成された気道壁の孔をバルーンにより広げ、最後に、開口が治癒して閉じないように開口状態を維持するための部材を開口部に留置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−506132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、気道壁を穿刺して開口部を形成すると、出血が生じ、生体へ負担がかかる。また、開口状態を維持するための部材を留置しても、開口部に肉芽が生じて、開口部が再閉塞する可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、開口部からの出血を抑え、肉芽による開口部の再閉塞を抑制し、かつ開口状態を維持するための部材を留置する必要のない安全性の高いアブレーションデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明のアブレーションデバイスは、気道にバイパスを形成するためのアブレーションデバイスであって、気道を穿刺するための穿刺部と、前記穿刺した部位を押し広げる拡張部と、前記押し広げた部位の生体組織を処置する処置部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るアブレーションデバイスは、拡張部により開口部を押し広げた後、押し広げた部位の生体組織を処置部により処置するため、出血を抑えることができ、肉芽による開口部の再閉塞を抑制でき、かつ開口状態を維持するための部材を必要とせず、安全性を向上させることができる。
【0009】
前記処置部が、高温焼灼、低温焼灼、電流焼灼または化学焼灼により生体組織を焼灼する焼灼部であれば、良好に、押し広げた部位の出血を抑えることができ、肉芽による開口部の再閉塞を抑制できる。
【0010】
前記処置部が、前記拡張部に設けられれば、生体組織を拡張部により押し広げた状態でそのまま処置でき、止血が効率よく行え、安全性が向上する。
【0011】
前記拡張部は、先端方向に向かって径がテーパ状に縮径する差込部が先端に形成されたダイレータであり、前記処置部は、当該ダイレータの差込部の基端側の外面に設けられるようにすれば、穿刺した部位にダイレータを挿入することで、差込部により開口部を押し広げることができ、更に、開口部を押し広げた状態で、差込部の基端側の処置部により処置できる。
【0012】
前記拡張部は、カテーテルに設けられたバルーンであり、前記処置部は、前記バルーンの外面に設けられるようにすれば、穿刺した部位にカテーテルを挿入させ、拡張させたバルーンにより開口部を押し広げることができ、更に、開口部を押し広げた状態で、バルーンに設けられる処置部により処置できる。
【0013】
前記拡張部は、カテーテルに設けられた自己拡張型の円盤であり、前記処置部は、前記円盤の外面に設けられるようにすれば、穿刺した部位にカテーテルを挿入させ、拡張させた円盤により開口部を押し広げることができ、更に、開口部を押し広げた状態で、円盤に設けられる処置部により処置できる。
【0014】
前記処置部が、前記拡張部が拡張した状態の基端側の外面に設けられるようにすれば、拡張部を穿刺した部位の近傍のみを処置でき、生体への影響を低減させて安全性を向上させることができる。また、穿刺して形成された開口部の内部ではなく、開口部の周囲にて既存の管路を形成している気道壁を処置(焼灼)できるため、気道壁自体が処置されて、開口部の再閉塞をより効果的に抑制できる。
【0015】
前記拡張部は、前記カテーテルの軸方向に並ぶ2つの大径部と、当該2つの大径部の間に挟まれて、拡張した状態で大径部よりも外径が小さい小径部と、を有し、前記処置部は、前記2つの大径部が拡張した状態における互いに対向する外面に設けられるようにすれば、大径部に挟まれる開口部の近傍のみを処置でき、生体への影響を低減させて安全性を向上させることができる。また、開口部の両側から同時に処置できるため、確実かつ迅速な処置が可能となる。また、穿刺して形成された開口部の内部ではなく、開口部の周囲にて既存の管路を形成している気道壁を両面から処置(焼灼)できるため、既存の管路である気道壁自体が処置されて、開口部の再閉塞をより効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係るアブレーションデバイスを示す概略断面図である。
【図2】穿刺ワイヤーを気道壁の穿刺する部位まで挿通させた際を示す断面図である。
【図3】穿刺ワイヤーを覆う保護シースを後退させた際を示す断面図である。
【図4】穿刺ワイヤーにより気道壁を穿刺した際を示す断面図である。
【図5】穿刺ワイヤーに沿ってダイレータを移動させる際を示す断面図である。
【図6】ダイレータにより気道壁の開口部を拡大させた後、電極部により焼灼する際を示す断面図である。
【図7】第2実施形態に係るアブレーションデバイスを示す概略断面図である。
【図8】カテーテルを開口部に挿通させた際を示す断面図である。
【図9】カテーテルのバルーンを拡張させた際を示す断面図である。
【図10】バルーンを牽引して開口部を拡張させつつ、バルーンの電極部により開口部を焼灼する際を示す断面図である。
【図11】第3実施形態に係るアブレーションデバイスを示す概略断面図である。
【図12】カテーテルの自己拡張型の円盤を示す拡大斜視図である。
【図13】カテーテルを開口部に挿通させた際を示す断面図である。
【図14】円盤を拡張させて開口部を拡張させた後、電極部により開口部を焼灼する際を示す断面図である。
【図15】円盤を収縮させてカテーテルを抜去する際を示す断面図である。
【図16】アブレーションデバイスの他の例を示す概略断面図である。
【図17】アブレーションデバイスの更に他の例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るアブレーションデバイス1Aは、気道内に挿通されて気道壁Aに開口部Oを形成するための医療用デバイスであり、主として肺気腫の治療に用いられる。
【0018】
第1実施形態に係るアブレーションデバイス1Aは、図1に示すように、気道壁Aを穿刺するための穿刺部2と、穿刺した部位を押し広げるためのダイレータ3と、を有しており、ダイレータ3に、穿刺した部位に挿入されて生体組織を焼灼(処置)するための焼灼部(処置部)である電極部33が設けられている。なお、本発明における焼灼(アブレーション)とは、高温とする高温焼灼、低温とする低温焼灼、電流を流す電流焼灼、マイクロ波による電磁波焼灼または腐食性化学薬品を用いる化学焼灼等により、生体組織を焼いて変質させることを表している。
【0019】
穿刺部2は、先端に鋭利な穿刺針21が形成され、かつ先端が側方へ湾曲した穿刺ワイヤー22と、穿刺ワイヤー22を収容可能なルーメン23が形成された長尺な保護シース24と、を有している。穿刺ワイヤー22は、穿刺する機能のみでなく、ガイドワイヤーとしての機能をも備えている。なお穿刺針21の形態は、先端が針状であっても、刃状であってもよい。
【0020】
穿刺ワイヤー22の構成材料としては、可撓性を有するものであれば特に限定されず、それぞれ、例えば、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等SUSの全品種)、ピアノ線、コバルト系合金、擬弾性を示す合金(超弾性合金を含む)などの各種金属材料を使用することができるが、そのなかでも特に、擬弾性を示す合金(超弾性合金を含む)が好ましく、より好ましくは超弾性合金である。前述した材料の他にも生体組織を穿刺可能であり、かつガイドワイヤーとしての機能を果たせるのであれば、特に限定されない。
【0021】
保護シース24の構成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、ある程度の可撓性を有する一般的なプラスチックである熱可塑性樹脂や、ゴムなどの熱硬化性樹脂または熱架橋性樹脂を用いる事ができる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステルやそれらをハードセグメントとしたポリエステルエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンおよびポリオレフィンエラストマー、メタロセン触媒を用いた共重合体ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、PVDC、PVDFなどのビニル系ポリマー、ナイロンを含むポリアミドおよびポリアミドエラストマー(PAE)、ポリイミド、ポリスチレン、SEBS樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン(POM)、ポリビニルアルコール(PVA)、フッ素樹脂(ETFE、PFA、PTFE)、エチレン−酢酸ビニルケン化物、エチレン−コポリ−ビニルアルコール、エチレンビニルアセテーテート、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、セルロースアセテート、ビニルポリスルホン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などの各種熱可塑性樹脂やその高分子誘導体のほか、加硫ゴム、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、二液反応性ポリウレタン樹脂などの熱硬化または架橋性樹脂が挙げられる。さらに、上記の熱可塑性樹脂及び熱硬化・架橋性樹脂のうちいずれかを含むポリマーアロイも利用可能であり、成形材料として溶媒に樹脂を溶解した樹脂溶液を用いても良い。この保護シース24の外径は0.5〜5.0mm、好ましくは0.8〜2.0mmである。
【0022】
ダイレータ3は、長尺なチューブ本体31と、チューブ本体31の基端に設けられるハブ32と、チューブ本体31の先端部に設けられる電極部33と、電極部33に電気エネルギーを伝達するコード34と、ハブ32にてコード34と接続して設けられて、電気エネルギー供給装置11と接続可能なコネクタ38と、を有している。先端部には拡張バルーンが形成されていても良く、その場合は挿入後バルーンを拡張することでより穿刺部位を押し広げることができる。
【0023】
チューブ本体31の内部には、穿刺ワイヤー22に沿ってチューブ本体31を移動できるように、穿刺ワイヤー22を挿通可能な第1ルーメン35と、コード34が挿通される第2ルーメン36とが形成されている。チューブ本体31の先端には、穿刺された生体組織の孔にチューブ本体31を差し込めるように、ルーメンを中心として先端方向に向かってテーパ状に縮径する円錐状の差込部37が形成されている。
【0024】
チューブ本体31の構成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、一般的なプラスチックである熱可塑性樹脂や、ゴムなどの熱硬化性樹脂または熱架橋性樹脂を用いる事ができる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステルやそれらをハードセグメントとしたポリエステルエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンおよびポリオレフィンエラストマー、メタロセン触媒を用いた共重合体ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、PVDC、PVDFなどのビニル系ポリマー、ナイロンを含むポリアミドおよびポリアミドエラストマー(PAE)、ポリイミド、ポリスチレン、SEBS樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン(POM)、ポリビニルアルコール(PVA)、フッ素樹脂(ETFE、PFA、PTFE)、エチレン−酢酸ビニルケン化物、エチレン−コポリ−ビニルアルコール、エチレンビニルアセテーテート、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、セルロースアセテート、ビニルポリスルホン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などの各種熱可塑性樹脂やその高分子誘導体のほか、加硫ゴム、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、二液反応性ポリウレタン樹脂などの熱硬化または架橋性樹脂が挙げられる。さらに、上記の熱可塑性樹脂及び熱硬化・架橋性樹脂のうちいずれかを含むポリマーアロイも利用可能であり、成形材料として溶媒に樹脂を溶解した樹脂溶液を用いてもよい。このチューブ本体31の外径は1.0〜20.0mm、好ましくは2.0〜10.0mmである。
【0025】
電気エネルギー供給装置11には、電極部33と対をなす電極であって生体外に貼り付けられる外部電極部12が接続されている。
【0026】
電極部33は、チューブ本体31の差込部37の基端側の外周面を取り囲むように、環状の導電性材料により形成される。このように、電極部33が環状に形成されていることで、穿刺して形成された開口部Oの周方向にわたる全体を焼灼することができる。なお、電極部33は、高周波(ラジオ波)電流を発生させることが好ましいが、焼灼可能であれば特に限定されず、マイクロ波放出による組織加熱、電極を抵抗体とし電流を流し自己発熱させることも可能である。なお、電極部33の形態は、チューブ本体31の外表面の環状の範囲内で加熱できれば、その形態は特に限定されず、例えば、面で形成したり、細い線を波状に折り返しながら形成したり、網状に形成したり、またはコイル状に巻回して形成することもできる。
【0027】
電極部33の構成材料としては、例えば、SUS材、金、銀、白金、タングステン、パラジウムまたはこれらの合金や、Ni−Ti合金、チタン合金等が使用できる。
【0028】
コード34は、例えば銀線や金線、プラチナ線、銅線などの高導電率金属線の外側に、絶縁性樹脂等の非導電性材料が被覆されて、外部と絶縁されている。
【0029】
次に、本実施形態に係るアブレーションデバイス1Aの作用について説明する。
【0030】
まず、図2に示すように、穿刺ワイヤー22を保護シース24のルーメン23内に収容し、穿刺針21が保護シース24から突出しない状態で、穿刺部2を口腔から気道内へ挿入する。この後、X線監視下のもと、予備検査等により予め設定されている部位まで、保護シース24で覆った状態で穿刺ワイヤー22を挿通させる。このとき、穿刺部2は、穿刺針21が保護シース24内に納まっているため、生体組織の損傷が防止される。また、穿刺ワイヤー22の先端が湾曲しているため、穿刺ワイヤー22を回転させつつ、望ましい気道へ進めることができる。
【0031】
穿刺ワイヤー22の穿刺針21が望ましい位置まで導かれた後、図3に示すように、保護シース24を固定した状態で穿刺ワイヤー22を押し込む。これにより、穿刺針21が露出し、穿刺ワイヤー22の先端が湾曲しているため、穿刺針21の先端が気道壁Aに突き当たリ、気道壁Aを穿刺して、気道と隣接している拡大した肺胞へのバイパスである開口部Oを形成する。この後、図4に示すように、穿刺ワイヤー22を残した状態で保護シース24を手元側に牽引し、生体外へ抜き取る。なお、気道とバイパスする部位は、かならずしも肺胞でなくてもよく、呼気をバイパス可能な肺組織の一部であれば、いずれでもよい。
【0032】
次に、穿刺ワイヤー22の基端を、ダイレータ3の先端から第1ルーメン35に挿通し、図5に示すように、穿刺ワイヤー22をガイドワイヤーとして、ダイレータ3を気道内に挿入する。ダイレータ3が気道壁Aの穿刺された開口部Oに到達すると、図6に示すように、先端部に形成される円錐状の差込部37が気道壁Aの開口部Oを押し広げつつ、チューブ本体31が開口部Oを貫通する。電極部33が開口部Oの内部に位置すると、ダイレータ3の押し込みを停止させる。
【0033】
次に、コネクタ38を電気エネルギー供給装置11と接続し、外部電極部12を、アブレーションを行う部位の近傍の生体外表面に貼り付ける。この後、電気エネルギー供給装置11から電極部33および外部電極部12に電気エネルギーを所定時間供給する。これにより、穿刺された生体組織の開口部Oおよびその周辺部が焼灼されて熱凝固する。この後、穿刺ワイヤー22を抜去し、ダイレータ3も抜去して、手技が完了する。
【0034】
第1実施形態に係るアブレーションデバイス1Aは、拡張部としてのダイレータ3を有しているため、穿刺した開口部Oにダイレータ3を差し込んで押し広けることができ、押し広げた部位より外側の気道を焼灼して、広いバイパスを形成することができる。また、ダイレータ3に設けられる電極部33で、開口部Oの傷口に電極部33を直接接触させながら焼灼できる。これにより、開口部Oの傷口を確実に止血でき、かつ肉芽による開口部Oの再閉塞を抑制でき、更に、開口状態を維持するための部材を留置する必要もなく、安全性を向上させることができる。
【0035】
また、電極部33(焼灼部)が、ダイレータ3(拡張部)に設けられるため、開口部Oをダイレータ3により押し広げた状態でそのまま生体組織を焼灼でき、止血が効率よく行え、安全性が向上する。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るアブレーションデバイス1Bは、バルーンカテーテル4を備える点で、第1実施形態に係るアブレーションデバイス1Aと異なる。なお、第1実施形態と同一の機能を有する部位については、同一の符号を付し、重複を避けるため、説明を省略する。
【0036】
第2実施形態に係るアブレーションデバイス1Bは、図7に示すように、第1実施形態と同様の穿刺ワイヤー22および保護シース24からなる穿刺部2と、アブレーション機能を有するバルーンカテーテル4と、を有している。
【0037】
バルーンカテーテル4は、長尺なチューブ本体41と、チューブ本体41の基端側に設けられるハブ42と、チューブ本体41の先端部に設けられて環状に拡張可能なバルーン43(拡張部)と、バルーン43に取り付けられた電極部44(焼灼部)と、電極部44に電気エネルギーを伝達するコード45と、ハブ42にてコード45と接続して設けられて、電気エネルギー供給装置11と接続可能なコネクタ46と、を有している。
【0038】
チューブ本体41の構成材料としては、第1実施形態におけるダイレータ3のチューブ本体31と同様の材料を適用できる。このチューブ本体41の外径は0.4〜10mm、好ましくは0.6〜2.0mmである。
【0039】
チューブ本体41の内部には、穿刺ワイヤー22に沿ってチューブ本体41を移動できるように、穿刺ワイヤー22を挿通可能な第1ルーメン47と、コード45が挿通される第2ルーメン48と、バルーン43を拡張・収縮させるために流体が流通可能な第3ルーメン49と、が形成されている。
【0040】
バルーン43は、チューブ本体41の外周面に接着剤等によって固着されており、バルーン43の内部空間が、第3ルーメン49と流体密に連通している。バルーン43は、拡張しない状態では、チューブ本体41の外周に収縮または折り畳まれているが、第3ルーメン49より外部の流体供給装置13からバルーン43内へ膨張用流体が注入されることで、拡張する構造となっている。
【0041】
バルーン43の構成材料としては、例えばポリエチレン及びイオノマーと、低分子ポリスチレン及び任意にポリプロピレンと混合されたエチレン−ブチレン−スチレン・ブロック・コポリマー(Ethylene−butylene−styrene block copolymers)、前記のポリマーのエチレン及びブチレンをブタジエンまたはイソプレンと置換した類似する混合材、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、(コ)ポリエステル、ポリアミド及びポリアミドエラストマー、熱可塑性ゴム、シリコンポリカーボネート・コポリマー、エチレンビニル・アセテート・コポリマー等が使用できる。バルーン43の寸法は、形成する開口部Oの大きさにも依存し、特に限定されないが、拡張時に、0.7〜6.0mm、好ましくは1.0〜4.0mm程度となることが好ましい。
【0042】
電極部44は、バルーン43が拡張した際の基端側の外側面に、環状に設けられる。なお、電極部44の形態は、バルーン43の外表面の環状の範囲内で加熱でき、かつバルーン43の拡張・収縮の際に破断しないのであれば、その形態は特に限定されず、例えば、面で形成したり、細い線を波状に折り返しながら形成したり、網状に形成したり、またはコイル状に巻回して形成することもできる。
【0043】
次に、第2実施形態に係るアブレーションデバイス1Bの作用について説明する。
【0044】
まず、第1実施形態と同様に、X線監視下のもと、保護シース24に収容した穿刺針21を予備検査等により予め設定されている部位まで挿通し、穿刺針21により気道壁Aを穿刺してバイパスとなる開口部Oを形成し、保護シース24を生体外へ抜き取る(図2〜4参照)。
【0045】
次に、手元側から、穿刺ワイヤー22の基端を、バルーンカテーテル4の先端から第1ルーメン47に挿通し、図8に示すように、穿刺ワイヤー22をガイドワイヤーとして、チューブ本体41を気道内に挿入する。チューブ本体41が気道壁Aの穿刺された開口部Oに到達すると、折り畳まれたバルーン43が開口部Oを通過するまで、バルーンカテーテル4を開口部Oに挿通させる。
【0046】
次に、流体供給装置13から第3ルーメン49を介してバルーン43内へ膨張用流体を注入し、図9に示すように、バルーン43を拡張させる。この後、バルーン43の基端側の面に設けられる電極部44が開口部Oに接するまで、チューブ本体41を手元側に牽引する。
【0047】
次に、コネクタ46を電気エネルギー供給装置11と接続し、外部電極部12を、アブレーションを行う部位の近傍の生体外表面に貼り付ける。この後、電気エネルギー供給装置11から電極部44および外部電極部12に電気エネルギーを供給する。更に、電気エネルギーを供給した状態を維持しつつ、図10に示すように、バルーン43が開口部Oを通って気道内に達するまで、チューブ本体41を牽引する。これにより、バルーン43が開口部Oを押し広げつつ気道内へ移動し、かつ電極部44が移動しながら開口部Oおよびその周辺部を焼灼して熱凝固させる。
【0048】
バルーン43が開口部Oを通って気道側に達すると、電気エネルギー供給装置11からの電気エネルギーの供給を停止すると共に、流体供給装置13により第3ルーメン49を介してバルーン43内から膨張用流体を排出し、バルーン43を収縮させる。この後、穿刺ワイヤー22を抜去し、バルーンカテーテル4も抜去して、手技が完了する。
【0049】
第2実施形態に係るアブレーションデバイス1Bは、バルーン43に電極部44が設けられているため、バルーン43を牽引して開口部Oを押し広げつつ、気道壁Aの開口部Oの傷口に電極部44を直接的に接触させながら、押し広げた部位より外側の気道を焼灼できる。これにより、開口部Oの傷口を確実に止血でき、かつ肉芽による開口部Oの再閉塞を抑制でき、更に、開口状態を維持するための部材を留置する必要もなく、安全性を向上させることができる。
【0050】
また、バルーン43の先端側の面には電極部44が設けられていないため、焼灼が必要な部位のみを焼灼でき、生体への影響が低減されて安全性が高い。また、穿刺した部位を拡張させるバルーン43は、縮小した状態で気道内に挿通されるため、バルーンカテーテル4の径を細くでき、細い気道内へも挿入させることができる。
【0051】
また、電極部44は、穿刺して形成された開口部Oの内部のみではなく、開口部Oの周囲の気道壁Aをも焼灼できるため、既存の管路である気道壁A自体が焼灼されて、開口部Oの再閉塞をより効果的に抑制できる。特に、例えば血管壁を焼灼する場合には、既存の管路を形成する血管壁自体を焼灼することは、血栓の発生、血管からの血液の漏れ、および血管自体の狭窄等を誘発する可能性があるため、開口部の内部のみを焼灼することが好ましいが、本実施形態では、焼灼する対象を気道壁Aとしているため、血栓の発生、血管からの血液の漏れ、および血管自体の狭窄等を誘発する虞がなく、開口部Oの再閉塞の可能性をより低減させるために、開口部Oの周囲の気道壁A自体を焼灼することが可能である。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係るアブレーションデバイス1Cは、自己拡張機能を備える円盤6が設けられたカテーテル5を有する点で、第1実施形態に係るアブレーションデバイス1Aと異なる。なお、第1実施形態と同一の機能を有する部位については、同一の符号を付し、重複を避けるため、説明を省略する。
【0052】
第3実施形態に係るアブレーションデバイス1Cは、図11に示すように、第1実施形態と同様の穿刺ワイヤー22および保護シース24からなる穿刺部2と、カテーテル5と、を有している。
【0053】
カテーテル5は、アブレーション機能を有するカテーテル5であり、長尺なチューブ本体52と、チューブ本体52の基端に設けられるハブ53と、チューブ本体52の先端部に設けられて環状に自己拡張可能な円盤6と、円盤6に取り付けられた電極部54と、電極部54に電気エネルギーを伝達するコード55と、ハブ53にてコード55と接続して設けられて、電気エネルギー供給装置11と接続可能なコネクタ56と、を有している。
【0054】
チューブ本体52の構成材料としては、第1実施形態におけるダイレータ3のチューブ本体31と同様の材料を適用できる。このチューブ本体52の外径は0.4〜10mm、好ましくは0.6〜2.0mmである。
【0055】
チューブ本体52の内部には、穿刺ワイヤー22に沿ってチューブ本体52を移動できるように、穿刺ワイヤー22を挿通可能な第1ルーメン57と、コード55が挿通される第2ルーメン58と、が形成されている。また、チューブ本体52の外側には、チューブ本体52および収縮した状態の円盤6を内部に収容可能なルーメン71を備える外シース7が設けられる。
【0056】
円盤6は、図12に示すように、チューブ本体52の外周面に、外方に向かって湾曲する細いワイヤーを周方向に複数並べることで、弾性的に変形して外シース7のルーメン71内に収まり、外シース7が外れることで弾性的に拡張して円盤形状となるものである。円盤6は、チューブ本体52の軸方向に並ぶ2つの大径部61,62と、その間の小径部63とを有している。なお、図12では、説明のためにワイヤーの構成を単純に示しているが、より複雑な構成であってもよい。
【0057】
2つの大径部61,62の互いに対向する面、および小径部63の外面には、電極部54が設けられる(図11参照)。電極部54は、円盤6を構成するワイヤー上に設けられる。なお、円盤6を構成するワイヤーの間を差し渡すようにして、第2実施形態と同様に、面で形成したり、細い線を波状に折り返しながら形成したり、またはコイル状に巻回して形成してもよい。また、円盤6を構成するワイヤー自体を電極部54とすることもできる。
【0058】
また、円盤6は、自立拡張型であればワイヤーにより構成されなくてもよく、例えば、弾性的に変形可能な材料からなる傘状に折り目を付けた円盤形状の部材等とすることもできる。
【0059】
円盤6の構成材料としては、ポリマー材料、金属材料、炭素繊維、セラミックス等が挙げられ、これらの材料は単独で使用されてもあるいは適宜組み合わせて使用されても良く、ある程度の剛性と弾性を有するものであれば特に制限はない。また、円盤6の寸法は、形成する開口部Oの大きさにも依存し、特に限定されないが、大径部61,62は、拡張時に1.0〜6.0mm、好ましくは2.0〜4.0mm程度となることが好ましく、小径部63は、拡張時に0.6〜3.0mm、好ましくは1.0〜2.5mm程度となることが好ましい。
【0060】
次に、第3実施形態に係るアブレーションデバイス1Cの作用について説明する。
【0061】
まず、第1実施形態と同様に、X線監視下のもと、保護シース24に収容した穿刺針21を予備検査等により予め設定されている部位まで挿通し、穿刺針21により気道壁Aを穿刺してバイパスとなる開口部Oを形成し、保護シース24を生体外へ抜き取る(図2〜4参照)。
【0062】
次に穿刺ワイヤー22の基端を、カテーテル5の先端から第1ルーメン57に挿通し、図13に示すように、穿刺ワイヤー22をガイドワイヤーとして、カテーテル5を気道内に挿入する。この際には、外シース7のルーメン71内に、小さく弾性変形した円盤6が収納された状態となっている。
【0063】
チューブ本体52および外シース7が気道壁Aの穿刺された開口部Oに到達すると、チューブ本体52および外シース7を開口部Oに挿通させる。
【0064】
次に、チューブ本体52を残した状態で、外シース7を手元側から牽引して、外シース7から円盤6を開放する。これにより、図14に示すように、外シース7に拘束されていた円盤6が拡張し、2つの大径部61,62が気道壁Aを両側から挟み、小径部63が、開口部Oを押し広げる。
【0065】
次に、コネクタ56を電気エネルギー供給装置11と接続し、外部電極部12を生体外表面に貼り付ける。この後、電気エネルギー供給装置11から電極部54および外部電極部12に電気エネルギーを所定時間供給する。これにより、円盤6の小径部63により開口部Oが押し広げられた状態で、開口部Oおよびその周辺部が焼灼されて熱凝固する。この後、外シース7を先端方向へ移動させ、円盤6を弾性的に小さく変形させて外シース7内に押し込む。この後、図15に示すように、穿刺ワイヤー22を抜去し、カテーテル5も抜去して、手技が完了する。
【0066】
第3実施形態に係るアブレーションデバイス1Cは、円盤6に電極部54が設けられているため、円盤6により開口部Oを押し広げつつ、気道壁Aの開口部Oの傷口に電極部54を直接的に接触させながら、押し広げた部位より外側の気道を焼灼できる。これにより、開口部Oの傷口を確実に止血でき、かつ肉芽による開口部Oの再閉塞を抑制でき、更に、開口状態を維持するための部材を留置する必要もなく、安全性を向上させることができる。特に、本実施形態では、開口部Oの内部および開口部Oの両側から同時に焼灼を行うため、確実かつ迅速な処置が可能となる。
【0067】
また、円盤6の気道壁Aと接しない面には電極部54が設けられていないため、焼灼が必要な部位のみを焼灼でき、生体への影響が低減されて安全性が高い。また、穿刺した部位を拡張させる円盤6は、縮小した状態で気道内に挿通されるため、カテーテル5の径を細くでき、細い気道内へも挿入させることができる。
【0068】
また、電極部54は、穿刺して形成された開口部Oの内部のみではなく、開口部Oの周囲の気道壁Aを両側から焼灼できるため、既存の管路である気道壁A自体が両側から焼灼されて、開口部Oの再閉塞をより効果的に抑制できる。特に、例えば血管壁を焼灼する場合には、既存の管路を形成する血管壁自体を焼灼することは、血栓の発生、血管からの血液の漏れ、および血管自体の狭窄等を誘発する可能性があるため、開口部の内部のみを焼灼することが好ましいが、本実施形態では、焼灼する対象を気道壁Aとしているため、血栓の発生、血管からの血液の漏れ、および血管自体の狭窄等を誘発する虞がなく、開口部Oの再閉塞の可能性をより低減させるために、開口部Oの周囲の気道壁A自体を両側から焼灼することが可能である。
【0069】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、第2実施形態に係るアブレーションデバイス1Bにおいて、バルーン43を引き抜きながら焼灼するのではなく、第3実施形態の円盤6のように、バルーンにも大径部および小径部を設け、バルーンを拡張させる動作のみで開口部Oを押し広げて焼灼することもできる。
【0070】
また、第3実施形態に係るアブレーションデバイス1Cにおいて、円盤を1つの大径部のみとし、第2実施形態のバルーン43のように円盤を引き抜きながら焼灼することもできる。また、円盤に大径部61,62が設けられずに、小径部63のみが設けられてもよく、更には、大径部61,62のみが設けられてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、X線監視下のもとで使用することを前提としたが、内視鏡等に本発明の機能を付加して使用することもできる。
【0072】
以上、本実施形態は、電気エネルギーによるアブレーション(電流焼灼)を採用しているが、本発明がこれらに限定されるためのものではなく、繰り返し述べることになるが、本発明は例えば、アブレーションの方法が、超音波、マイクロ波、高周波、パルス電界、光ファイバーを用いた光レーザー、などによるアブレーションの方法でもよく、さらには、液化窒素や液化アルゴンなどの流体を循環させて行う低温アブレーション(低温焼灼)でもよく、さらには、酸等の腐食性化学薬品を用いて生体組織を破壊して変質させる化学アブレーション(化学焼灼)であってもよい。
【0073】
低温焼灼の場合には、流体を循環させることが可能なルーメンが、低温焼灼を行う部位(焼灼部)までデバイス内を伸びて形成されることが好ましい。
【0074】
化学焼灼の場合には、例えば図16に示すバルーンカテーテル8のように、拡張部であるバルーン81の外周面に組織障害性もしくは細胞成長阻害性の化学薬品を塗布して薬品層82を形成し、ルーメン83を介して膨張用流体を流入させ、バルーン81を膨張させて開口部Oを押し広げつつ、薬品層82の組織障害性もしくは細胞成長阻害性の化学薬品により開口部Oを化学焼灼することができる。また、当然に、拡張部としてバルーンではなく、ダイレータや円盤を用いてもよい。化学焼灼のための化学薬品には、例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、フルオロウラシル、パクリタキセル、ナイトロジェンマスタード等を適用できる。
【0075】
また、例えば図17に示すように、穿刺部92が、拡張部を有するダイレータ9(またはカテーテル)と別体ではなく、ダイレータ9(またはカテーテル)の先端に形成されてもよい。ダイレータ9の先端のテーパ状の差込部91(拡張部)の最先端部が、穿刺部92としての機能を備えており、差込部91の基端側には、電極部93が形成される。このようなダイレータ9を使用する際には、まず、ガイドワイヤに沿ってダイレータ9を生体内に挿入し、ダイレータ9の先端の穿刺部92を外シース7から突出させる。次に、穿刺部92により穿刺を行いつつ、同時に差込部91により開口部Oを押し広げ、この後、電極部93によりアブレーションを行う。このように、ダイレータ9によれば、より連続的な作業が可能となる。
【0076】
また、本発明に係るデバイスを、気道のバイパス形成以外に適用することも可能であり、例えば、血管同士の間のバイパス形成に適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1A,1B,1C アブレーションデバイス、
2 穿刺部、
3,9 ダイレータ、
4,8 バルーンカテーテル、
5 カテーテル、
6 円盤(拡張部)、
33,44,54,93 電極部(焼灼部)、
37,91 差込部(拡張部)、
43,81 バルーン(拡張部)、
61,62 大径部、
63 小径部、
82 薬品層(焼灼部)、
A 気道壁、
O 開口部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、気道にバイパスを形成するためのアブレーションデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
慢性閉塞性肺疾患の1つとして、肺気腫が知られている。肺気腫は、酸素と二酸化炭素の交換を行う肺胞の隔壁が壊れて肺胞同士がつながり、壊れた肺胞が大きく膨らんで弾力性や収縮性のない状態となり、肺胞の有効面積が減って換気能力が低下する疾患である。通常の肺胞は、呼気において肺の収縮に伴って収縮するが、肺気腫になると呼気において収縮せず、肺が縮む際に、気管支が回りの収縮できない肺胞によって押しつぶされ、空気が出にくくなる症状が表れる。
【0003】
このような肺気腫の治療のため、近年、気道バイパスを利用した治療法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。気道バイパスを用いた治療では、気道壁に開口部を形成し、隣接している拡大した肺胞へのバイパスを形成することで、呼気が狭窄された気管支を通らずに直接気道へ抜けることを可能とする。このようなバイパスを形成する際には、まず穿刺ツールを気道の開口を形成する部位まで到達させて穿刺し、穿刺して形成された気道壁の孔をバルーンにより広げ、最後に、開口が治癒して閉じないように開口状態を維持するための部材を開口部に留置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−506132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、気道壁を穿刺して開口部を形成すると、出血が生じ、生体へ負担がかかる。また、開口状態を維持するための部材を留置しても、開口部に肉芽が生じて、開口部が再閉塞する可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、開口部からの出血を抑え、肉芽による開口部の再閉塞を抑制し、かつ開口状態を維持するための部材を留置する必要のない安全性の高いアブレーションデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明のアブレーションデバイスは、気道にバイパスを形成するためのアブレーションデバイスであって、気道を穿刺するための穿刺部と、前記穿刺した部位を押し広げる拡張部と、前記押し広げた部位の生体組織を処置する処置部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るアブレーションデバイスは、拡張部により開口部を押し広げた後、押し広げた部位の生体組織を処置部により処置するため、出血を抑えることができ、肉芽による開口部の再閉塞を抑制でき、かつ開口状態を維持するための部材を必要とせず、安全性を向上させることができる。
【0009】
前記処置部が、高温焼灼、低温焼灼、電流焼灼または化学焼灼により生体組織を焼灼する焼灼部であれば、良好に、押し広げた部位の出血を抑えることができ、肉芽による開口部の再閉塞を抑制できる。
【0010】
前記処置部が、前記拡張部に設けられれば、生体組織を拡張部により押し広げた状態でそのまま処置でき、止血が効率よく行え、安全性が向上する。
【0011】
前記拡張部は、先端方向に向かって径がテーパ状に縮径する差込部が先端に形成されたダイレータであり、前記処置部は、当該ダイレータの差込部の基端側の外面に設けられるようにすれば、穿刺した部位にダイレータを挿入することで、差込部により開口部を押し広げることができ、更に、開口部を押し広げた状態で、差込部の基端側の処置部により処置できる。
【0012】
前記拡張部は、カテーテルに設けられたバルーンであり、前記処置部は、前記バルーンの外面に設けられるようにすれば、穿刺した部位にカテーテルを挿入させ、拡張させたバルーンにより開口部を押し広げることができ、更に、開口部を押し広げた状態で、バルーンに設けられる処置部により処置できる。
【0013】
前記拡張部は、カテーテルに設けられた自己拡張型の円盤であり、前記処置部は、前記円盤の外面に設けられるようにすれば、穿刺した部位にカテーテルを挿入させ、拡張させた円盤により開口部を押し広げることができ、更に、開口部を押し広げた状態で、円盤に設けられる処置部により処置できる。
【0014】
前記処置部が、前記拡張部が拡張した状態の基端側の外面に設けられるようにすれば、拡張部を穿刺した部位の近傍のみを処置でき、生体への影響を低減させて安全性を向上させることができる。また、穿刺して形成された開口部の内部ではなく、開口部の周囲にて既存の管路を形成している気道壁を処置(焼灼)できるため、気道壁自体が処置されて、開口部の再閉塞をより効果的に抑制できる。
【0015】
前記拡張部は、前記カテーテルの軸方向に並ぶ2つの大径部と、当該2つの大径部の間に挟まれて、拡張した状態で大径部よりも外径が小さい小径部と、を有し、前記処置部は、前記2つの大径部が拡張した状態における互いに対向する外面に設けられるようにすれば、大径部に挟まれる開口部の近傍のみを処置でき、生体への影響を低減させて安全性を向上させることができる。また、開口部の両側から同時に処置できるため、確実かつ迅速な処置が可能となる。また、穿刺して形成された開口部の内部ではなく、開口部の周囲にて既存の管路を形成している気道壁を両面から処置(焼灼)できるため、既存の管路である気道壁自体が処置されて、開口部の再閉塞をより効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係るアブレーションデバイスを示す概略断面図である。
【図2】穿刺ワイヤーを気道壁の穿刺する部位まで挿通させた際を示す断面図である。
【図3】穿刺ワイヤーを覆う保護シースを後退させた際を示す断面図である。
【図4】穿刺ワイヤーにより気道壁を穿刺した際を示す断面図である。
【図5】穿刺ワイヤーに沿ってダイレータを移動させる際を示す断面図である。
【図6】ダイレータにより気道壁の開口部を拡大させた後、電極部により焼灼する際を示す断面図である。
【図7】第2実施形態に係るアブレーションデバイスを示す概略断面図である。
【図8】カテーテルを開口部に挿通させた際を示す断面図である。
【図9】カテーテルのバルーンを拡張させた際を示す断面図である。
【図10】バルーンを牽引して開口部を拡張させつつ、バルーンの電極部により開口部を焼灼する際を示す断面図である。
【図11】第3実施形態に係るアブレーションデバイスを示す概略断面図である。
【図12】カテーテルの自己拡張型の円盤を示す拡大斜視図である。
【図13】カテーテルを開口部に挿通させた際を示す断面図である。
【図14】円盤を拡張させて開口部を拡張させた後、電極部により開口部を焼灼する際を示す断面図である。
【図15】円盤を収縮させてカテーテルを抜去する際を示す断面図である。
【図16】アブレーションデバイスの他の例を示す概略断面図である。
【図17】アブレーションデバイスの更に他の例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るアブレーションデバイス1Aは、気道内に挿通されて気道壁Aに開口部Oを形成するための医療用デバイスであり、主として肺気腫の治療に用いられる。
【0018】
第1実施形態に係るアブレーションデバイス1Aは、図1に示すように、気道壁Aを穿刺するための穿刺部2と、穿刺した部位を押し広げるためのダイレータ3と、を有しており、ダイレータ3に、穿刺した部位に挿入されて生体組織を焼灼(処置)するための焼灼部(処置部)である電極部33が設けられている。なお、本発明における焼灼(アブレーション)とは、高温とする高温焼灼、低温とする低温焼灼、電流を流す電流焼灼、マイクロ波による電磁波焼灼または腐食性化学薬品を用いる化学焼灼等により、生体組織を焼いて変質させることを表している。
【0019】
穿刺部2は、先端に鋭利な穿刺針21が形成され、かつ先端が側方へ湾曲した穿刺ワイヤー22と、穿刺ワイヤー22を収容可能なルーメン23が形成された長尺な保護シース24と、を有している。穿刺ワイヤー22は、穿刺する機能のみでなく、ガイドワイヤーとしての機能をも備えている。なお穿刺針21の形態は、先端が針状であっても、刃状であってもよい。
【0020】
穿刺ワイヤー22の構成材料としては、可撓性を有するものであれば特に限定されず、それぞれ、例えば、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS303、SUS316、SUS316L、SUS316J1、SUS316J1L、SUS405、SUS430、SUS434、SUS444、SUS429、SUS430F、SUS302等SUSの全品種)、ピアノ線、コバルト系合金、擬弾性を示す合金(超弾性合金を含む)などの各種金属材料を使用することができるが、そのなかでも特に、擬弾性を示す合金(超弾性合金を含む)が好ましく、より好ましくは超弾性合金である。前述した材料の他にも生体組織を穿刺可能であり、かつガイドワイヤーとしての機能を果たせるのであれば、特に限定されない。
【0021】
保護シース24の構成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、ある程度の可撓性を有する一般的なプラスチックである熱可塑性樹脂や、ゴムなどの熱硬化性樹脂または熱架橋性樹脂を用いる事ができる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステルやそれらをハードセグメントとしたポリエステルエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンおよびポリオレフィンエラストマー、メタロセン触媒を用いた共重合体ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、PVDC、PVDFなどのビニル系ポリマー、ナイロンを含むポリアミドおよびポリアミドエラストマー(PAE)、ポリイミド、ポリスチレン、SEBS樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン(POM)、ポリビニルアルコール(PVA)、フッ素樹脂(ETFE、PFA、PTFE)、エチレン−酢酸ビニルケン化物、エチレン−コポリ−ビニルアルコール、エチレンビニルアセテーテート、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、セルロースアセテート、ビニルポリスルホン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などの各種熱可塑性樹脂やその高分子誘導体のほか、加硫ゴム、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、二液反応性ポリウレタン樹脂などの熱硬化または架橋性樹脂が挙げられる。さらに、上記の熱可塑性樹脂及び熱硬化・架橋性樹脂のうちいずれかを含むポリマーアロイも利用可能であり、成形材料として溶媒に樹脂を溶解した樹脂溶液を用いても良い。この保護シース24の外径は0.5〜5.0mm、好ましくは0.8〜2.0mmである。
【0022】
ダイレータ3は、長尺なチューブ本体31と、チューブ本体31の基端に設けられるハブ32と、チューブ本体31の先端部に設けられる電極部33と、電極部33に電気エネルギーを伝達するコード34と、ハブ32にてコード34と接続して設けられて、電気エネルギー供給装置11と接続可能なコネクタ38と、を有している。先端部には拡張バルーンが形成されていても良く、その場合は挿入後バルーンを拡張することでより穿刺部位を押し広げることができる。
【0023】
チューブ本体31の内部には、穿刺ワイヤー22に沿ってチューブ本体31を移動できるように、穿刺ワイヤー22を挿通可能な第1ルーメン35と、コード34が挿通される第2ルーメン36とが形成されている。チューブ本体31の先端には、穿刺された生体組織の孔にチューブ本体31を差し込めるように、ルーメンを中心として先端方向に向かってテーパ状に縮径する円錐状の差込部37が形成されている。
【0024】
チューブ本体31の構成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、一般的なプラスチックである熱可塑性樹脂や、ゴムなどの熱硬化性樹脂または熱架橋性樹脂を用いる事ができる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステルやそれらをハードセグメントとしたポリエステルエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンおよびポリオレフィンエラストマー、メタロセン触媒を用いた共重合体ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、PVDC、PVDFなどのビニル系ポリマー、ナイロンを含むポリアミドおよびポリアミドエラストマー(PAE)、ポリイミド、ポリスチレン、SEBS樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン(POM)、ポリビニルアルコール(PVA)、フッ素樹脂(ETFE、PFA、PTFE)、エチレン−酢酸ビニルケン化物、エチレン−コポリ−ビニルアルコール、エチレンビニルアセテーテート、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、セルロースアセテート、ビニルポリスルホン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などの各種熱可塑性樹脂やその高分子誘導体のほか、加硫ゴム、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、二液反応性ポリウレタン樹脂などの熱硬化または架橋性樹脂が挙げられる。さらに、上記の熱可塑性樹脂及び熱硬化・架橋性樹脂のうちいずれかを含むポリマーアロイも利用可能であり、成形材料として溶媒に樹脂を溶解した樹脂溶液を用いてもよい。このチューブ本体31の外径は1.0〜20.0mm、好ましくは2.0〜10.0mmである。
【0025】
電気エネルギー供給装置11には、電極部33と対をなす電極であって生体外に貼り付けられる外部電極部12が接続されている。
【0026】
電極部33は、チューブ本体31の差込部37の基端側の外周面を取り囲むように、環状の導電性材料により形成される。このように、電極部33が環状に形成されていることで、穿刺して形成された開口部Oの周方向にわたる全体を焼灼することができる。なお、電極部33は、高周波(ラジオ波)電流を発生させることが好ましいが、焼灼可能であれば特に限定されず、マイクロ波放出による組織加熱、電極を抵抗体とし電流を流し自己発熱させることも可能である。なお、電極部33の形態は、チューブ本体31の外表面の環状の範囲内で加熱できれば、その形態は特に限定されず、例えば、面で形成したり、細い線を波状に折り返しながら形成したり、網状に形成したり、またはコイル状に巻回して形成することもできる。
【0027】
電極部33の構成材料としては、例えば、SUS材、金、銀、白金、タングステン、パラジウムまたはこれらの合金や、Ni−Ti合金、チタン合金等が使用できる。
【0028】
コード34は、例えば銀線や金線、プラチナ線、銅線などの高導電率金属線の外側に、絶縁性樹脂等の非導電性材料が被覆されて、外部と絶縁されている。
【0029】
次に、本実施形態に係るアブレーションデバイス1Aの作用について説明する。
【0030】
まず、図2に示すように、穿刺ワイヤー22を保護シース24のルーメン23内に収容し、穿刺針21が保護シース24から突出しない状態で、穿刺部2を口腔から気道内へ挿入する。この後、X線監視下のもと、予備検査等により予め設定されている部位まで、保護シース24で覆った状態で穿刺ワイヤー22を挿通させる。このとき、穿刺部2は、穿刺針21が保護シース24内に納まっているため、生体組織の損傷が防止される。また、穿刺ワイヤー22の先端が湾曲しているため、穿刺ワイヤー22を回転させつつ、望ましい気道へ進めることができる。
【0031】
穿刺ワイヤー22の穿刺針21が望ましい位置まで導かれた後、図3に示すように、保護シース24を固定した状態で穿刺ワイヤー22を押し込む。これにより、穿刺針21が露出し、穿刺ワイヤー22の先端が湾曲しているため、穿刺針21の先端が気道壁Aに突き当たリ、気道壁Aを穿刺して、気道と隣接している拡大した肺胞へのバイパスである開口部Oを形成する。この後、図4に示すように、穿刺ワイヤー22を残した状態で保護シース24を手元側に牽引し、生体外へ抜き取る。なお、気道とバイパスする部位は、かならずしも肺胞でなくてもよく、呼気をバイパス可能な肺組織の一部であれば、いずれでもよい。
【0032】
次に、穿刺ワイヤー22の基端を、ダイレータ3の先端から第1ルーメン35に挿通し、図5に示すように、穿刺ワイヤー22をガイドワイヤーとして、ダイレータ3を気道内に挿入する。ダイレータ3が気道壁Aの穿刺された開口部Oに到達すると、図6に示すように、先端部に形成される円錐状の差込部37が気道壁Aの開口部Oを押し広げつつ、チューブ本体31が開口部Oを貫通する。電極部33が開口部Oの内部に位置すると、ダイレータ3の押し込みを停止させる。
【0033】
次に、コネクタ38を電気エネルギー供給装置11と接続し、外部電極部12を、アブレーションを行う部位の近傍の生体外表面に貼り付ける。この後、電気エネルギー供給装置11から電極部33および外部電極部12に電気エネルギーを所定時間供給する。これにより、穿刺された生体組織の開口部Oおよびその周辺部が焼灼されて熱凝固する。この後、穿刺ワイヤー22を抜去し、ダイレータ3も抜去して、手技が完了する。
【0034】
第1実施形態に係るアブレーションデバイス1Aは、拡張部としてのダイレータ3を有しているため、穿刺した開口部Oにダイレータ3を差し込んで押し広けることができ、押し広げた部位より外側の気道を焼灼して、広いバイパスを形成することができる。また、ダイレータ3に設けられる電極部33で、開口部Oの傷口に電極部33を直接接触させながら焼灼できる。これにより、開口部Oの傷口を確実に止血でき、かつ肉芽による開口部Oの再閉塞を抑制でき、更に、開口状態を維持するための部材を留置する必要もなく、安全性を向上させることができる。
【0035】
また、電極部33(焼灼部)が、ダイレータ3(拡張部)に設けられるため、開口部Oをダイレータ3により押し広げた状態でそのまま生体組織を焼灼でき、止血が効率よく行え、安全性が向上する。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るアブレーションデバイス1Bは、バルーンカテーテル4を備える点で、第1実施形態に係るアブレーションデバイス1Aと異なる。なお、第1実施形態と同一の機能を有する部位については、同一の符号を付し、重複を避けるため、説明を省略する。
【0036】
第2実施形態に係るアブレーションデバイス1Bは、図7に示すように、第1実施形態と同様の穿刺ワイヤー22および保護シース24からなる穿刺部2と、アブレーション機能を有するバルーンカテーテル4と、を有している。
【0037】
バルーンカテーテル4は、長尺なチューブ本体41と、チューブ本体41の基端側に設けられるハブ42と、チューブ本体41の先端部に設けられて環状に拡張可能なバルーン43(拡張部)と、バルーン43に取り付けられた電極部44(焼灼部)と、電極部44に電気エネルギーを伝達するコード45と、ハブ42にてコード45と接続して設けられて、電気エネルギー供給装置11と接続可能なコネクタ46と、を有している。
【0038】
チューブ本体41の構成材料としては、第1実施形態におけるダイレータ3のチューブ本体31と同様の材料を適用できる。このチューブ本体41の外径は0.4〜10mm、好ましくは0.6〜2.0mmである。
【0039】
チューブ本体41の内部には、穿刺ワイヤー22に沿ってチューブ本体41を移動できるように、穿刺ワイヤー22を挿通可能な第1ルーメン47と、コード45が挿通される第2ルーメン48と、バルーン43を拡張・収縮させるために流体が流通可能な第3ルーメン49と、が形成されている。
【0040】
バルーン43は、チューブ本体41の外周面に接着剤等によって固着されており、バルーン43の内部空間が、第3ルーメン49と流体密に連通している。バルーン43は、拡張しない状態では、チューブ本体41の外周に収縮または折り畳まれているが、第3ルーメン49より外部の流体供給装置13からバルーン43内へ膨張用流体が注入されることで、拡張する構造となっている。
【0041】
バルーン43の構成材料としては、例えばポリエチレン及びイオノマーと、低分子ポリスチレン及び任意にポリプロピレンと混合されたエチレン−ブチレン−スチレン・ブロック・コポリマー(Ethylene−butylene−styrene block copolymers)、前記のポリマーのエチレン及びブチレンをブタジエンまたはイソプレンと置換した類似する混合材、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、(コ)ポリエステル、ポリアミド及びポリアミドエラストマー、熱可塑性ゴム、シリコンポリカーボネート・コポリマー、エチレンビニル・アセテート・コポリマー等が使用できる。バルーン43の寸法は、形成する開口部Oの大きさにも依存し、特に限定されないが、拡張時に、0.7〜6.0mm、好ましくは1.0〜4.0mm程度となることが好ましい。
【0042】
電極部44は、バルーン43が拡張した際の基端側の外側面に、環状に設けられる。なお、電極部44の形態は、バルーン43の外表面の環状の範囲内で加熱でき、かつバルーン43の拡張・収縮の際に破断しないのであれば、その形態は特に限定されず、例えば、面で形成したり、細い線を波状に折り返しながら形成したり、網状に形成したり、またはコイル状に巻回して形成することもできる。
【0043】
次に、第2実施形態に係るアブレーションデバイス1Bの作用について説明する。
【0044】
まず、第1実施形態と同様に、X線監視下のもと、保護シース24に収容した穿刺針21を予備検査等により予め設定されている部位まで挿通し、穿刺針21により気道壁Aを穿刺してバイパスとなる開口部Oを形成し、保護シース24を生体外へ抜き取る(図2〜4参照)。
【0045】
次に、手元側から、穿刺ワイヤー22の基端を、バルーンカテーテル4の先端から第1ルーメン47に挿通し、図8に示すように、穿刺ワイヤー22をガイドワイヤーとして、チューブ本体41を気道内に挿入する。チューブ本体41が気道壁Aの穿刺された開口部Oに到達すると、折り畳まれたバルーン43が開口部Oを通過するまで、バルーンカテーテル4を開口部Oに挿通させる。
【0046】
次に、流体供給装置13から第3ルーメン49を介してバルーン43内へ膨張用流体を注入し、図9に示すように、バルーン43を拡張させる。この後、バルーン43の基端側の面に設けられる電極部44が開口部Oに接するまで、チューブ本体41を手元側に牽引する。
【0047】
次に、コネクタ46を電気エネルギー供給装置11と接続し、外部電極部12を、アブレーションを行う部位の近傍の生体外表面に貼り付ける。この後、電気エネルギー供給装置11から電極部44および外部電極部12に電気エネルギーを供給する。更に、電気エネルギーを供給した状態を維持しつつ、図10に示すように、バルーン43が開口部Oを通って気道内に達するまで、チューブ本体41を牽引する。これにより、バルーン43が開口部Oを押し広げつつ気道内へ移動し、かつ電極部44が移動しながら開口部Oおよびその周辺部を焼灼して熱凝固させる。
【0048】
バルーン43が開口部Oを通って気道側に達すると、電気エネルギー供給装置11からの電気エネルギーの供給を停止すると共に、流体供給装置13により第3ルーメン49を介してバルーン43内から膨張用流体を排出し、バルーン43を収縮させる。この後、穿刺ワイヤー22を抜去し、バルーンカテーテル4も抜去して、手技が完了する。
【0049】
第2実施形態に係るアブレーションデバイス1Bは、バルーン43に電極部44が設けられているため、バルーン43を牽引して開口部Oを押し広げつつ、気道壁Aの開口部Oの傷口に電極部44を直接的に接触させながら、押し広げた部位より外側の気道を焼灼できる。これにより、開口部Oの傷口を確実に止血でき、かつ肉芽による開口部Oの再閉塞を抑制でき、更に、開口状態を維持するための部材を留置する必要もなく、安全性を向上させることができる。
【0050】
また、バルーン43の先端側の面には電極部44が設けられていないため、焼灼が必要な部位のみを焼灼でき、生体への影響が低減されて安全性が高い。また、穿刺した部位を拡張させるバルーン43は、縮小した状態で気道内に挿通されるため、バルーンカテーテル4の径を細くでき、細い気道内へも挿入させることができる。
【0051】
また、電極部44は、穿刺して形成された開口部Oの内部のみではなく、開口部Oの周囲の気道壁Aをも焼灼できるため、既存の管路である気道壁A自体が焼灼されて、開口部Oの再閉塞をより効果的に抑制できる。特に、例えば血管壁を焼灼する場合には、既存の管路を形成する血管壁自体を焼灼することは、血栓の発生、血管からの血液の漏れ、および血管自体の狭窄等を誘発する可能性があるため、開口部の内部のみを焼灼することが好ましいが、本実施形態では、焼灼する対象を気道壁Aとしているため、血栓の発生、血管からの血液の漏れ、および血管自体の狭窄等を誘発する虞がなく、開口部Oの再閉塞の可能性をより低減させるために、開口部Oの周囲の気道壁A自体を焼灼することが可能である。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係るアブレーションデバイス1Cは、自己拡張機能を備える円盤6が設けられたカテーテル5を有する点で、第1実施形態に係るアブレーションデバイス1Aと異なる。なお、第1実施形態と同一の機能を有する部位については、同一の符号を付し、重複を避けるため、説明を省略する。
【0052】
第3実施形態に係るアブレーションデバイス1Cは、図11に示すように、第1実施形態と同様の穿刺ワイヤー22および保護シース24からなる穿刺部2と、カテーテル5と、を有している。
【0053】
カテーテル5は、アブレーション機能を有するカテーテル5であり、長尺なチューブ本体52と、チューブ本体52の基端に設けられるハブ53と、チューブ本体52の先端部に設けられて環状に自己拡張可能な円盤6と、円盤6に取り付けられた電極部54と、電極部54に電気エネルギーを伝達するコード55と、ハブ53にてコード55と接続して設けられて、電気エネルギー供給装置11と接続可能なコネクタ56と、を有している。
【0054】
チューブ本体52の構成材料としては、第1実施形態におけるダイレータ3のチューブ本体31と同様の材料を適用できる。このチューブ本体52の外径は0.4〜10mm、好ましくは0.6〜2.0mmである。
【0055】
チューブ本体52の内部には、穿刺ワイヤー22に沿ってチューブ本体52を移動できるように、穿刺ワイヤー22を挿通可能な第1ルーメン57と、コード55が挿通される第2ルーメン58と、が形成されている。また、チューブ本体52の外側には、チューブ本体52および収縮した状態の円盤6を内部に収容可能なルーメン71を備える外シース7が設けられる。
【0056】
円盤6は、図12に示すように、チューブ本体52の外周面に、外方に向かって湾曲する細いワイヤーを周方向に複数並べることで、弾性的に変形して外シース7のルーメン71内に収まり、外シース7が外れることで弾性的に拡張して円盤形状となるものである。円盤6は、チューブ本体52の軸方向に並ぶ2つの大径部61,62と、その間の小径部63とを有している。なお、図12では、説明のためにワイヤーの構成を単純に示しているが、より複雑な構成であってもよい。
【0057】
2つの大径部61,62の互いに対向する面、および小径部63の外面には、電極部54が設けられる(図11参照)。電極部54は、円盤6を構成するワイヤー上に設けられる。なお、円盤6を構成するワイヤーの間を差し渡すようにして、第2実施形態と同様に、面で形成したり、細い線を波状に折り返しながら形成したり、またはコイル状に巻回して形成してもよい。また、円盤6を構成するワイヤー自体を電極部54とすることもできる。
【0058】
また、円盤6は、自立拡張型であればワイヤーにより構成されなくてもよく、例えば、弾性的に変形可能な材料からなる傘状に折り目を付けた円盤形状の部材等とすることもできる。
【0059】
円盤6の構成材料としては、ポリマー材料、金属材料、炭素繊維、セラミックス等が挙げられ、これらの材料は単独で使用されてもあるいは適宜組み合わせて使用されても良く、ある程度の剛性と弾性を有するものであれば特に制限はない。また、円盤6の寸法は、形成する開口部Oの大きさにも依存し、特に限定されないが、大径部61,62は、拡張時に1.0〜6.0mm、好ましくは2.0〜4.0mm程度となることが好ましく、小径部63は、拡張時に0.6〜3.0mm、好ましくは1.0〜2.5mm程度となることが好ましい。
【0060】
次に、第3実施形態に係るアブレーションデバイス1Cの作用について説明する。
【0061】
まず、第1実施形態と同様に、X線監視下のもと、保護シース24に収容した穿刺針21を予備検査等により予め設定されている部位まで挿通し、穿刺針21により気道壁Aを穿刺してバイパスとなる開口部Oを形成し、保護シース24を生体外へ抜き取る(図2〜4参照)。
【0062】
次に穿刺ワイヤー22の基端を、カテーテル5の先端から第1ルーメン57に挿通し、図13に示すように、穿刺ワイヤー22をガイドワイヤーとして、カテーテル5を気道内に挿入する。この際には、外シース7のルーメン71内に、小さく弾性変形した円盤6が収納された状態となっている。
【0063】
チューブ本体52および外シース7が気道壁Aの穿刺された開口部Oに到達すると、チューブ本体52および外シース7を開口部Oに挿通させる。
【0064】
次に、チューブ本体52を残した状態で、外シース7を手元側から牽引して、外シース7から円盤6を開放する。これにより、図14に示すように、外シース7に拘束されていた円盤6が拡張し、2つの大径部61,62が気道壁Aを両側から挟み、小径部63が、開口部Oを押し広げる。
【0065】
次に、コネクタ56を電気エネルギー供給装置11と接続し、外部電極部12を生体外表面に貼り付ける。この後、電気エネルギー供給装置11から電極部54および外部電極部12に電気エネルギーを所定時間供給する。これにより、円盤6の小径部63により開口部Oが押し広げられた状態で、開口部Oおよびその周辺部が焼灼されて熱凝固する。この後、外シース7を先端方向へ移動させ、円盤6を弾性的に小さく変形させて外シース7内に押し込む。この後、図15に示すように、穿刺ワイヤー22を抜去し、カテーテル5も抜去して、手技が完了する。
【0066】
第3実施形態に係るアブレーションデバイス1Cは、円盤6に電極部54が設けられているため、円盤6により開口部Oを押し広げつつ、気道壁Aの開口部Oの傷口に電極部54を直接的に接触させながら、押し広げた部位より外側の気道を焼灼できる。これにより、開口部Oの傷口を確実に止血でき、かつ肉芽による開口部Oの再閉塞を抑制でき、更に、開口状態を維持するための部材を留置する必要もなく、安全性を向上させることができる。特に、本実施形態では、開口部Oの内部および開口部Oの両側から同時に焼灼を行うため、確実かつ迅速な処置が可能となる。
【0067】
また、円盤6の気道壁Aと接しない面には電極部54が設けられていないため、焼灼が必要な部位のみを焼灼でき、生体への影響が低減されて安全性が高い。また、穿刺した部位を拡張させる円盤6は、縮小した状態で気道内に挿通されるため、カテーテル5の径を細くでき、細い気道内へも挿入させることができる。
【0068】
また、電極部54は、穿刺して形成された開口部Oの内部のみではなく、開口部Oの周囲の気道壁Aを両側から焼灼できるため、既存の管路である気道壁A自体が両側から焼灼されて、開口部Oの再閉塞をより効果的に抑制できる。特に、例えば血管壁を焼灼する場合には、既存の管路を形成する血管壁自体を焼灼することは、血栓の発生、血管からの血液の漏れ、および血管自体の狭窄等を誘発する可能性があるため、開口部の内部のみを焼灼することが好ましいが、本実施形態では、焼灼する対象を気道壁Aとしているため、血栓の発生、血管からの血液の漏れ、および血管自体の狭窄等を誘発する虞がなく、開口部Oの再閉塞の可能性をより低減させるために、開口部Oの周囲の気道壁A自体を両側から焼灼することが可能である。
【0069】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、第2実施形態に係るアブレーションデバイス1Bにおいて、バルーン43を引き抜きながら焼灼するのではなく、第3実施形態の円盤6のように、バルーンにも大径部および小径部を設け、バルーンを拡張させる動作のみで開口部Oを押し広げて焼灼することもできる。
【0070】
また、第3実施形態に係るアブレーションデバイス1Cにおいて、円盤を1つの大径部のみとし、第2実施形態のバルーン43のように円盤を引き抜きながら焼灼することもできる。また、円盤に大径部61,62が設けられずに、小径部63のみが設けられてもよく、更には、大径部61,62のみが設けられてもよい。
【0071】
また、本実施形態では、X線監視下のもとで使用することを前提としたが、内視鏡等に本発明の機能を付加して使用することもできる。
【0072】
以上、本実施形態は、電気エネルギーによるアブレーション(電流焼灼)を採用しているが、本発明がこれらに限定されるためのものではなく、繰り返し述べることになるが、本発明は例えば、アブレーションの方法が、超音波、マイクロ波、高周波、パルス電界、光ファイバーを用いた光レーザー、などによるアブレーションの方法でもよく、さらには、液化窒素や液化アルゴンなどの流体を循環させて行う低温アブレーション(低温焼灼)でもよく、さらには、酸等の腐食性化学薬品を用いて生体組織を破壊して変質させる化学アブレーション(化学焼灼)であってもよい。
【0073】
低温焼灼の場合には、流体を循環させることが可能なルーメンが、低温焼灼を行う部位(焼灼部)までデバイス内を伸びて形成されることが好ましい。
【0074】
化学焼灼の場合には、例えば図16に示すバルーンカテーテル8のように、拡張部であるバルーン81の外周面に組織障害性もしくは細胞成長阻害性の化学薬品を塗布して薬品層82を形成し、ルーメン83を介して膨張用流体を流入させ、バルーン81を膨張させて開口部Oを押し広げつつ、薬品層82の組織障害性もしくは細胞成長阻害性の化学薬品により開口部Oを化学焼灼することができる。また、当然に、拡張部としてバルーンではなく、ダイレータや円盤を用いてもよい。化学焼灼のための化学薬品には、例えば、塩酸、水酸化ナトリウム、フルオロウラシル、パクリタキセル、ナイトロジェンマスタード等を適用できる。
【0075】
また、例えば図17に示すように、穿刺部92が、拡張部を有するダイレータ9(またはカテーテル)と別体ではなく、ダイレータ9(またはカテーテル)の先端に形成されてもよい。ダイレータ9の先端のテーパ状の差込部91(拡張部)の最先端部が、穿刺部92としての機能を備えており、差込部91の基端側には、電極部93が形成される。このようなダイレータ9を使用する際には、まず、ガイドワイヤに沿ってダイレータ9を生体内に挿入し、ダイレータ9の先端の穿刺部92を外シース7から突出させる。次に、穿刺部92により穿刺を行いつつ、同時に差込部91により開口部Oを押し広げ、この後、電極部93によりアブレーションを行う。このように、ダイレータ9によれば、より連続的な作業が可能となる。
【0076】
また、本発明に係るデバイスを、気道のバイパス形成以外に適用することも可能であり、例えば、血管同士の間のバイパス形成に適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1A,1B,1C アブレーションデバイス、
2 穿刺部、
3,9 ダイレータ、
4,8 バルーンカテーテル、
5 カテーテル、
6 円盤(拡張部)、
33,44,54,93 電極部(焼灼部)、
37,91 差込部(拡張部)、
43,81 バルーン(拡張部)、
61,62 大径部、
63 小径部、
82 薬品層(焼灼部)、
A 気道壁、
O 開口部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気道にバイパスを形成するためのアブレーションデバイスであって、
気道を穿刺するための穿刺部と、
前記穿刺した部位を押し広げる拡張部と、
前記押し広げた部位の生体組織を処置する処置部と、を有することを特徴とするアブレーションデバイス。
【請求項2】
前記処置部は、高温焼灼、低温焼灼、または化学焼灼により生体組織を焼灼する焼灼部であることを特徴とする請求項1に記載のアブレーションデバイス。
【請求項3】
前記処置部は、前記拡張部に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のアブレーションデバイス。
【請求項4】
前記拡張部は、先端方向に向かって径がテーパ状に縮径する差込部が先端に形成されたダイレータであり、
前記処置部は、当該ダイレータの差込部の基端側の外面に設けられることを特徴とする請求項3に記載のアブレーションデバイス。
【請求項5】
前記拡張部は、カテーテルに設けられたバルーンであり、
前記処置部は、前記バルーンの外面に設けられることを特徴とする請求項3に記載のアブレーションデバイス。
【請求項6】
前記拡張部は、カテーテルに設けられた自己拡張型の円盤であり、
前記処置部は、前記円盤の外面に設けられることを特徴とする請求項3に記載のアブレーションデバイス。
【請求項7】
前記処置部は、前記拡張部が拡張した状態の基端側の外面に設けられる、請求項5または6に記載のアブレーションデバイス。
【請求項8】
前記拡張部は、前記カテーテルの軸方向に並ぶ2つの大径部と、当該2つの大径部の間に挟まれて、拡張した状態で大径部よりも外径が小さい小径部と、を有し、
前記処置部は、前記2つの大径部が拡張した状態における互いに対向する外面に設けられる、請求項5または6に記載のアブレーションデバイス。
【請求項1】
気道にバイパスを形成するためのアブレーションデバイスであって、
気道を穿刺するための穿刺部と、
前記穿刺した部位を押し広げる拡張部と、
前記押し広げた部位の生体組織を処置する処置部と、を有することを特徴とするアブレーションデバイス。
【請求項2】
前記処置部は、高温焼灼、低温焼灼、または化学焼灼により生体組織を焼灼する焼灼部であることを特徴とする請求項1に記載のアブレーションデバイス。
【請求項3】
前記処置部は、前記拡張部に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のアブレーションデバイス。
【請求項4】
前記拡張部は、先端方向に向かって径がテーパ状に縮径する差込部が先端に形成されたダイレータであり、
前記処置部は、当該ダイレータの差込部の基端側の外面に設けられることを特徴とする請求項3に記載のアブレーションデバイス。
【請求項5】
前記拡張部は、カテーテルに設けられたバルーンであり、
前記処置部は、前記バルーンの外面に設けられることを特徴とする請求項3に記載のアブレーションデバイス。
【請求項6】
前記拡張部は、カテーテルに設けられた自己拡張型の円盤であり、
前記処置部は、前記円盤の外面に設けられることを特徴とする請求項3に記載のアブレーションデバイス。
【請求項7】
前記処置部は、前記拡張部が拡張した状態の基端側の外面に設けられる、請求項5または6に記載のアブレーションデバイス。
【請求項8】
前記拡張部は、前記カテーテルの軸方向に並ぶ2つの大径部と、当該2つの大径部の間に挟まれて、拡張した状態で大径部よりも外径が小さい小径部と、を有し、
前記処置部は、前記2つの大径部が拡張した状態における互いに対向する外面に設けられる、請求項5または6に記載のアブレーションデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−50538(P2012−50538A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194133(P2010−194133)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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