説明

アプリケーションサーバの仮想化環境上における運用容易化技術

【課題】仮想化環境における複数の仮想サーバに対する指示を容易化する。
【解決手段】複数の仮想サーバ103a〜103cを有する少なくとも1つの計算機102a〜102cと通信線150を介して接続され、仮想サーバ103a〜103cに対する処理の指示を送信する仮想サーバ管理装置101は、仮想サーバ制御部121により複数の仮想サーバ103a〜103cをその複数の仮想サーバに依存する所定の条件でグループ化し、グループ化した仮想サーバ及び該グループ化した仮想サーバが構築された計算機が対応付けられたグループ情報を生成し、仮想サーバ制御入力受付部125により受付けたそのグループ化した仮想サーバに対する処理の指示に従い、通信装置114を介して、グループ情報に基づいて、受け付けた処理の指示を計算機102a〜102cに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1台の物理サーバを独立した1台以上の仮想的なサーバとして動作させるサーバ仮想化技術と、同一業務を行う多数のアプリケーションサーバ群で構成されたクラスタシステムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理基盤を支えるアプリケーションサーバ等では、日々増加する大量のリクエストを安全・確実に処理するために、所謂クラスタシステムを構築するのが一般的となっている。このようなクラスタシステムでは、同一業務を行うアプリケーションサーバを複数設け、リクエストを分散処理することで、安全・確実な情報処理を行うようになっている。
【0003】
このようなクラスタシステムを簡易・円滑に運用するためには、そのシステムを構成する個々のアプリケーションサーバを集約的に管理する必要がある。この点、特許文献1には、複数台の物理サーバによって構成されたクラスタシステムにおいて、そのクラスタを構成する個々のアプリケーションサーバの管理を集中的に行う管理サーバ技術が開示されている。
【0004】
また、近年、企業等では、主にシステムの消費電力低減や導入コスト削減十目的として、所謂サーバの仮想化技術を導入し、物理サーバの稼働台数の低減を進めている。仮想サーバの管理でも、それら仮想サーバの統一的な管理技術が知られている。例えば、非特許文献1には、複数の物理サーバにおける仮想化環境の統一的な管理を実現する技術が開示されている。即ち非特許文献1には、仮想サーバを選択するだけで、仮想サーバが稼働している物理サーバ上の仮想化環境を自動的に選択し、選択された仮想化環境に対してユーザの指示を送信することを可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−226400
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Virtual Machine Monitors: Current Technology and Future Trends、 M Rosenblum、 T Garfinkel - Computer、 2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、仮想サーバの一元的な管理の実現には以下に示す課題を解決する必要がある。
【0008】
特許文献1では、複数の物理的なアプリケーションサーバを中央の管理サーバによって複数管理しているが、仮想マシンに対する操作は、実際にはハイパーバイザを通じて行われる。仮想化環境を導入したシステムでは、仮想サーバが稼働する物理サーバは透過的であるため、通常は意識されない。即ち仮想サーバの運用を行う際は、ハイパーバイザに対して操作を行う必要があるため、同一業務を行う仮想サーバが存在する全ての物理サーバに存在するハイパーバイザに対して操作を行う必要があり、非常に煩雑な手間になる。
【0009】
また、非特許文献1ではデータセンターにおけるハードウェアに関し、ある特定のサービスを提供するマシンではなく、仮想化技術を用いて一般的なハードウェアリソースのプールとみなす技術を挙げているが、このようなハードウェアリソースプールから生成される仮想サーバは、その生成や削除が容易であり、非常に動的な処理となる。このような環境化でクラスタを構成すれば、そのクラスタ構成も常に変化するため、個々の仮想サーバに対して設定の必要生ずると、クラスタ構成の変化のたびに設定のやり直しを行う必要があり、ユーザの管理の手間が膨大なものになる。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑み、複数の仮想サーバ群に対する処理の指示を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、本発明は、複数の仮想サーバを有する少なくとも1つの計算機と通信線を介して接続され、前記仮想サーバに対する処理の指示を送信する仮想サーバ管理装置であって、前記仮想サーバ管理装置は、前記複数の仮想サーバを該複数の仮想サーバに依存する所定の条件でグループ化し、グループ化した仮想サーバ及び該グループ化した仮想サーバが構築された前記計算機が対応付けられたグループ情報を生成する生成部と、前記グループ化した仮想サーバに対する処理の指示を受け付ける指示入力部と、前記グループ情報に基づいて、受け付けた処理の指示を前記計算機に送信する送信機能部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、同一業務を行う仮想マシン群に対する操作を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用した一実施形態の計算機システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す計算機システムの物理サーバの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す計算機システムにおいて、仮想サーバグループの概念を示す模式図である。
【図4】図1に示す計算機システムにおいて、仮想サーバ管理装置の表示装置に表示する画面を示す模式図である。
【図5】図1に示す計算機システムにおいて、仮想化環境管理テーブルの構成を示す模式図である。
【図6】図1に示す計算機システムにおいて、一括起動・停止処理の流れを示すフロー図である。
【図7】図1に示す計算機システムにおいて、対象となる仮想サーバに対して指示を思考する処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本説明を実施するための形態を説明する。
なお、以下の説明では、本発明を適用した一実施の形態である計算機システム1において、仮想サーバ管理装置が、仮想サーバグループ単位で一括して指示を出力する例を説明する。また、出力する指示は、仮想サーバの起動及び停止(一次停止を含む。)に関する指示を例とする。
【0015】
図1に、計算機システム1の構成を示す。
計算機システム1は、仮想サーバ管理装置101と、管理対象となる1以上の物理サーバ102a〜c並びにそれら複数の物理サーバ102に構築された1以上の仮想サーバ103及び負荷分散装置104がネットワーク150を介して通信可能に接続され、更に、負荷分散装置104は、ネットワーク160を介して1以上のクライアント170と接続され、クライアント170から送信された種々のリクエストを仮想サーバ120で処理し、その結果を送信するようになっている。
【0016】
仮想サーバ管理装置101は、物理サーバ102、仮想サーバ103及び負荷分散装置104の管理を行う計算機であり、一般的なコンピュータを用いて実現することができる。その構成としては、メモリ112、CPU113、ネットワークに接続するための通信装置114、ハードディスクなどの記憶装置111、仮想化環境の管理者からの入力を受け付ける入力装置115及び仮想サーバグループや一括指示に関する情報の表示等を行う表示装置116を備える。
【0017】
仮想サーバ103a〜cは、物理サーバ102で動作する仮想化ソフトウェアであるハイパーバイザ105によって構築される。この仮想サーバ103a〜cのうち任意の台数を利用して、同一のアプリケーション処理を実行する、クラスタシステムを構築することができるようになっている。仮想サーバa〜cに対するクライアント170からのリクエスト割振りは、負荷分散装置104によって行われるようになっている。
【0018】
CPU113は、メモリ112に所定のプログラム郡131を展開し、それらとの協働により、仮想サーバ制御部121、物理サーバ電源制御部126、物理サーバ情報保存/読出部123、仮想サーバ情報保存/読出部124、仮想サーバ制御入力受付部125及び仮想サーバグループ情報保存/読出部124の機能部を構成する。
【0019】
仮想サーバ制御部121は、管理対象の仮想サーバ103に対し、通信装置114を通じて、起動・停止の指示を出す機能部である。また、仮想サーバ制御部121は、後述する物理サーバ情報保存/読出部123から物理サーバ102に関する物理サーバ情報を読み出し又仮想サーバ情報保存/読出部124から仮想サーバ103に関する仮想サーバ情報を読み出し、夫々を用いて仮想サーバグループ情報を生成するようになっている。また、仮想サーバ103は、後述する仮想サーバ制御入力受付部125から送信される所定の仮想サーバグループに属する仮想サーバに対し、一括起動・停止の処理を行うようになっている。
【0020】
物理サーバ情報保存/読出部123は、通信装置114を介して管理対象である物理サーバ102の情報を収集する機能部である。
仮想サーバ情報保存/読出部124は、管理対象のクラスタシステムを構成する仮想サーバ103が、どの物理サーバ上にあり、どの仮想サーバグループに属しているかの情報を、通信装置114を介して、各物理サーバ102から収集する機能部である。
【0021】
仮想サーバグループ情報保存/読出部122は、仮想サーバ制御部121が、物理サーバ情報保存/読出部123から物理サーバ情報を、仮想サーバ情報保存/読出部124から仮想サーバ情報を取り出し、生成した仮想サーバグループ情報の保存や読み出しを実行する機能部である。
【0022】
物理サーバ電源制御部126は、管理対象の物理サーバ102に対し、通信装置114を通じて、起動・停止の指示を出す機能部である。
【0023】
仮想サーバ制御入力受付部125は、入力装置115を通して、管理者からの指示を仮想サーバ制御部121に送信する機能部である。本実施形態では、入力装置115を介して管理者から入力された所定の仮想サーバグループに対する一括起動・停止の指示を受け付け、当該指示を仮想サーバ制御部121に送信するようになっている。
【0024】
記憶装置112には、上述した各機能部を構築するプログラム群131が格納されている他、管理者が入力装置115を介して入力した種々のデータ群132が格納されている。
【0025】
図2に、計算機システム1を構成する物理サーバ102の構成を示す(代表として物理サーバ102aを用いる)。物理サーバ102aには、CPU130、メモリ131、ハードディスク等からなる補助記憶装置としての記憶装置132、負荷分散装置104とのリクエスト並びにリクエスト処理結果の送受信を行う通信装置135及びLAN150を介して仮想サーバ管理装置101との通信を行う通信装置134が設けられる。
【0026】
メモリ131には、仮想サーバ103を実現するための仮想化機構を構成するハイパーバイザ109と、1つ以上の仮想サーバ103a〜cが構成されるようになっている。本実施形態では、物理サーバ102aに仮想サーバが3台構成される例を表わすが、種々の条件にあわせて、構成する仮想サーバの数は任意にすることが可能である。
【0027】
仮想サーバ103a〜cは、OS106及び対応するアプリケーションプログラム108によって実現される(図の点線で囲んだ部分)。アプリケーションプログラムは所定の業務アプリケーションであり、OSとともにクライアント170からのリクエスト処理を行い、処理結果を所定のクライアント170に出力する。リクエストのやり取りは、ハイパーバイザ105を介して行われる。
【0028】
また、仮想サーバ103には、ハイパーバイザ105から起動・停止の指示を受け取るエージェント(プログラム)107が設けられている。エージェント107は、仮想サーバ上で、常に稼働しているプログラムであり、一括起動・停止の指示を受け、仮想サーバの起動・停止処理を実行させるようになっている。
【0029】
ハイパーバイザ105には、内部にイーサネット(登録商標)上のスイッチングハブを仮想的に実現した仮想スイッチングハブ109が設けられている。仮想サーバ管理装置112は、LAN150を介して、ハイパーバイザ109に対し、所定の仮想サーバグループに属する仮想サーバに対して一括起動・停止の指示を出すが、ハイパーバイザ109は、この指示がどのアプリケーションサーバに送られたものであるかを識別し、該当する仮想サーバ103に対して、仮想スイッチングハブ109経由で当該指示を送信するようになっている。
【0030】
次に、仮想サーバ管理装置101によって生成される仮想サーバグループ情報の構成方法を説明する。図3に、物理サーバ及び仮想サーバを対応させた仮想サーバグループの構成を模式的に示す。仮想サーバ管理装置101は、仮想サーバ情報保存/読出部124によって、各仮想サーバ103の業務アプリケーションの種別を取得する。次いで、仮想サーバ管理装置101は、仮想サーバの業務アプリケーションの種類によって仮想サーバグループを構成し、その構成情報を仮想サーバグループ情報保存/読出部122によって保存させる。
【0031】
例えば、図3では、同一の業務アプリケーションを実行する仮想サーバ103a、103b、103e及び103fを仮想サーバグループA231とし、更に、仮想サーバ103aと103bとが、物理サーバ102aに構築されており、仮想サーバ103eと103fとが、物理サーバ102bに構築されている関係を示している。同様に、仮想サーバグループB232の関係も示している。仮想サーバグループ情報保存/読出部122は、このような業務アプリケーション、仮想サーバ及び物理サーバの対応関係からなる仮想サーバグループA及びBの情報を仮想サーバグループ情報として保存するようになっている。
【0032】
次に、図4用いて、管理者が、仮想サーバグループに対し、指示を出すためのインターフェースを説明する。仮想サーバグループの構成が図3の状況である場合、管理者が、仮想サーバ管理装置101の表示装置116には、図4に示したような画面300が表示される。
【0033】
図4に示す画面300では、仮想サーバグループA231の情報が領域301に、仮想サーバグループB232の情報が領域341に表示された例を表す。仮想サーバグループA231の情報を示す領域301を例に、画面構成を説明する。領域301には、仮想サーバグループの名称(例えば、ID等。)を表示する領域305、物理サーバ名項目欄310、仮想サーバ名項目欄320、仮想サーバの現在の稼動状態を示す状態項目欄330等が設けられる。
【0034】
物理サーバ名項目欄310には、仮想サーバグループA231に属する仮想サーバが構築されている物理サーバ名(例えば、ID等)が表示されるようになっている。図4では、物理サーバ102aと、物理サーバ102bと表示されている様を表す。仮想サーバグループ名項目欄320は、仮想サーバグループA231に属する個々の仮想サーバの名称(例えば、ID等。)が、その仮想サーバが構築されている物理サーバの名称毎に分類して表示されるようになっている。図4では、仮想サーバ103a、103b、103e及び103fが、夫々属する物理サーバに対応して表示された例を示す。
【0035】
また、状態項目欄330には、仮想サーバグループA231を構成する仮想サーバ毎の状態を表示するようになっている。図4では、各仮想サーバ103a、103b、103e及び103fの状態が、夫々仮想サーバに対応して表示された例を示す。ここで、仮想サーバの状態とは、起動中であるか、障害状態であるか、停止状態であるかといった、仮想サーバの現在の状態に関する例を示しているが、仮想サーバの状態とは、これらに限るものではない。
【0036】
また、領域301には、仮想サーバグループA231を構成する各仮想サーバに対して、一括して起動を指示する一括起動ボタン302並びに一括して停止を指示する一括停止ボタン303及び仮想サーバグループA全体の状態を表示するグループ状態ボタン304が設けられている。管理者は、ポインタデバイス等で、一括起動ボタン302又は一括停止ボタン303を一度操作することで、仮想サーバグループA231に属する103a、103b、103e及び103fに対して、一括して起動又は停止させる指示を送ることができる。
【0037】
グループ状態表示欄304は、仮想サーバグループA231に属する仮想サーバが1個でも稼働している場合には「開始」を、1個も稼働していない場合には「停止」を表示するようになっており、仮想サーバグループ単位での稼動状況を視認することができるようになっている。
【0038】
これらの情報は仮想サーバグループ情報保存/読出部122が、所定のタイミングで、全ての仮想サーバグループに対して、仮想サーバグループに属する仮想サーバの一覧を取得し、仮想サーバ情報保存/読出部124が、仮想サーバと物理サーバの対応を取得し、物理サーバ情報保存/読出部123が、物理サーバの情報を読み出すことによって表示されるようになっている。
【0039】
次に、図5に示す仮想化環境管理テーブル500を用いて、仮想サーバグループの具体的管理手法について説明する。
仮想サーバ管理装置101は、物理サーバ、仮想サーバ及び仮想サーバグループを、それぞれメモリ112の中に仮想化環境管理テーブル500として表し、管理するようになっている。この仮想化環境管理テーブル500は、次の特徴を持つ。各行は仮想サーバ名に関して一意に決まり、物理マシン名及び仮想サーバグループ名が関連付けられる。
【0040】
仮想化環境管理テーブル500に対し、仮想サーバを追加するときは、仮想サーバ管理装置101は,次の操作を行う。まず、追加した仮想サーバに対応する行を追加し,仮想サーバが稼働する物理サーバを物理サーバ名の列に記録する。また、仮想サーバが含まれる仮想サーバグループを仮想サーバグループ名の列に記録する。また仮想サーバを削除する場合は、削除対象の仮想サーバが記録された行を削除する。
【0041】
仮想化環境管理テーブル500に対し,物理サーバを削除するときは,仮想サーバ管理装置101は、削除対象の物理サーバ上に存在する全ての仮想サーバに対応する行を削除する。
【0042】
仮想化環境管理テーブルに対し、仮想サーバグループを削除するときは,仮想サーバ管理装置は仮想サーバグループに含まれる仮想サーバ全てについて、対応する仮想サーバが存在する全ての行を削除する。
【0043】
次に、図6のフローチャートを用いて、仮想サーバ管理装置101が、管理者から受け取った仮想サーバグループに対する指示を、物理サーバ102のハイパーバイザ105に指示する処理について説明する。なお、以下の説明では、仮想サーバグループA231に属する仮想サーバ103a、103b、103e及び103fに対して、一括起動指示を送信する場合を例として説明する。
【0044】
まず、仮想サーバ制御部121は、仮想サーバ制御入力受付部125を通じて、図4に示す操作画面300を介しての管理者からの入力指示を受信する(ステップS701)。
【0045】
次いで、仮想サーバ制御部121は、仮想化環境管理テーブル500を参照し、受信した管理者からの入力指示に基づき、仮想サーバグループ名503が「A」である全てのリスト(例えば、対応する「行」。)を取得する(ステップS702)。
【0046】
その後、仮想サーバ制御部101は、リストに列挙された仮想サーバ名502の中から1つの仮想サーバ名を選択し(ステップS703)、その仮想サーバに対応する接続された物理サーバ名501を選択する(ステップS704)。
【0047】
次いで、仮想サーバ制御部121は、取得した物理サーバのモデルに対応する物理サーバ102a及び102b上の夫々のハイパーバイザ105に対し、LAN150を介して一括起動指示(コマンド)を出す(ステップ705)。以上の処理を、ステップS702で取得したリスト全てについて繰り返す(ステップS706)。
【0048】
仮想サーバ制御部121が、ステップS705で出した指示とは、仮想サーバグループA231に属し、物理サーバ102a及び102bに構築されている仮想サーバ103a、103b、103e及び103fに対する指示を、ハイパーバイザ105に連続して送信することである。
【0049】
なお、本実施形態では、このハイパーバイザ105に、指示を連続して送信するとは、仮想サーバ103a〜eに対する個別の指示(コマンド)を時間的に連続して送信する例を上げているが、「一括」して送信するのであれば、1つの纏まったコマンドを生成して送信するようにしてもよい。
【0050】
また、連続して送信するという態様において、必ずしも103a〜eの順番で連続して送信する必要はない。更に、連続して送信するという態様は、コマンド連なって送信される場合に限られず、各コマンド間に本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他のコマンドを割り込み送信するようにしてもよい。この際、ユーザ設定や初期設定により、所定時間内に指示対象の仮想サーバに対する指示を、ハイパーバイザ105に送信するという構成でもよい。
以上の処理により、仮想サーバグループA231を構成する仮想サーバ103a、103b、103e及び103fに対し、一括して起動指示を出すことができる。
【0051】
次に、図7のフローチャートを用いて、仮想サーバ管理装置101から仮想サーバグループA231に属する仮想サーバへの一括起動指示を受け取った物理サーバ102a及び102bでの処理について説明する。なお、ここでは物理サーバ102aを代表として説明する。
【0052】
仮想サーバ管理装置101から一括起動指示を受信した仮想サーバ102aのハイパーバイザ105は、当該一括起動指示に基づき、起動指示の対象となる仮想サーバを決定する(例えば、仮想サーバ102a及び102b)(ステップS801)。
【0053】
ハイパーバイザ105は、S801で決定した仮想サーバ102a及び102bのエージェント107に対し、仮想スイッチングハブ109を介して夫々起動指示を送信する(ステップS802)。
【0054】
起動指示を受けた夫々のエージェント107は、受信した起動指示に従い、仮想サーバ102aと103bとの起動処理を実行させる(ステップS803)。
【0055】
同様の処理が、仮想サーバグループA231に属する仮想サーバ103e及び103fが構築された物理サーバ102bでも実行される。
【0056】
このように、本実施形態によれば、同一アプリケーションサーバとして稼動するといった所定の条件により、複数の仮想サーバをグルーピングして管理することができる。
【0057】
また、本実施形態では、グルーピングして管理する複数の仮想サーバに対し、同様の処理指示を一括して送信することができる構成をとることから、各仮想サーバに同様の指示操作を逐次行う手間を軽減することができる。
【0058】
この点、クラウド環境に利用される大規模システムでは、構築される仮想サーバの数も膨大となることから、同一グループで管理された複数の仮想サーバに対し、一括で処理の指示を送信することができるようにすることは、管理者の負担を大幅に低下させることができる。
【0059】
特に、一括起動・停止といった処理指示を一括で簡易に送信することは、逐次指示する場合に比して大幅に操作時間が軽減でき、その分、省電力効果も上がるという効果を奏する。
【0060】
更に、本実施形態では、仮想サーバのグルーピングに際し、物理サーバ及び仮想サーバの対応関係を仮想化モデルを用いて管理するようにしており又ハイパーバイザが一括して指示を受け付ける構成となっているため、仮想サーバグループを構成する仮想サーバが同一の物理サーバに構築されていなくても、簡便に一括して指示を送信することができ、一括してその処理を実行することができるという効果を奏する。
【0061】
以上、本発明を適用した一実施の形態について説明したが、本発明は、これらの例に限定されるものではなく、種々の構成に適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 計算機システム
101 仮想サーバ管理装置
102a、102b、102c 物理サーバ
103a、103b、103c、103d、103e、103f、103g、103h 仮想サーバ
105 ハイパーバイザ
106 OS
107 エージェント
108 アプリケーション
109 仮想スイッチングハブ
121 仮想サーバ制御部
122 仮想サーバグループ情報保存/読出部
123 物理サーバ情報保存/読出部
124 仮想サーバ情報保存/読出部
125 仮想サーバ制御入力受付部
126 物理サーバ電源制御部
231 仮想サーバグループA
232 仮想サーバグループB
300 操作画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の仮想サーバを有する少なくとも1つの計算機と通信線を介して接続され、前記仮想サーバに対する処理の指示を送信する仮想サーバ管理装置であって、
前記仮想サーバ管理装置は、
前記複数の仮想サーバを該複数の仮想サーバに依存する所定の条件でグループ化し、グループ化した仮想サーバ及び該グループ化した仮想サーバが構築された前記計算機が対応付けられたグループ情報を生成する生成部と、
前記グループ化した仮想サーバに対する処理の指示を受け付ける指示入力部と、
前記グループ情報に基づいて、受け付けた処理の指示を前記計算機に送信する送信機能部と、
を有することを特徴とする仮想サーバ管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の仮想サーバ管理装置であって、
前記複数の仮想サーバに依存する所定の条件は、該仮想サーバの業務であることを特徴とする仮想サーバ管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の仮想サーバ管理装置であって、
前記複数の仮想サーバに依存する所定の条件は、該仮想サーバの業務が同一であることを特徴とする仮想サーバ管理装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の仮想サーバ管理装置であって、
前記送信機能部は、前記受け付けた処理の指示を、前記計算機に一括して送信するころを特徴とする仮想サーバ管理装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の仮想サーバ管理装置であって、
前記送信機能部は、前記受け付けた処理の指示を前記計算機の仮想化機構への指示として送信することを特徴とする仮想サーバ管理装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の仮想サーバ管理装置であって、
前記指示入力部が受け付けた前記処理の指示を、前記仮想サーバの起動指示に変換する変換部を更に有することを特徴とする仮想サーバ管理装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の仮想サーバ管理装置であって、
前記支持入力部が受け付けた前記処理の指示を、前記仮想サーバの停止指示に変換する変換部を更に有することを特徴とする仮想サーバ管理装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の仮想サーバ管理装置であって、
表示装置を更に備え、
該表示装置に、前記グループ化情報を表示させる表示部を更に有することを特徴とする仮想サーバ管理装置。
【請求項9】
複数の仮想サーバを有する少なくとも1つの計算機と通信線を介して接続され、前記仮想サーバに対する処理の指示を送信する仮想サーバ管理装置の制御方法であって、
前記制御方法は、
前記複数の仮想サーバを該複数の仮想サーバに依存する所定の条件でグループ化し、グループ化した仮想サーバ及び該グループ化した仮想サーバが構築された前記計算機が対応付けられたグループ情報を生成するステップと、
前記グループ化した仮想サーバに対する処理の指示を受け付けるステップと、
前記グループ情報に基づいて、受け付けた処理の指示を前記計算機に送信するステップと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
複数の仮想サーバを有する少なくとも1つの計算機と通信線を介して接続され、前記仮想サーバに対する処理の指示を送信する仮想サーバ管理装置に、
前記複数の仮想サーバを該複数の仮想サーバに依存する所定の条件でグループ化し、グループ化した仮想サーバ及び該グループ化した仮想サーバが構築された前記計算機が対応付けられたグループ情報を生成する機能と、
前記グループ化した仮想サーバに対する処理の指示を受け付ける機能と、
前記グループ情報に基づいて、受け付けた処理の指示を前記計算機に送信する機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−186775(P2011−186775A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51250(P2010−51250)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)