アプリケーション推薦装置、アプリケーション推薦方法及びアプリケーション推薦プログラム
【課題】OSが異なる移行先の端末に対して、ユーザの意に沿ったアプリケーションの候補を提案できるようにする。
【解決手段】前記第一の端末に導入されている第一のアプリケーションのタイプを、前記第一のアプリケーションの利用履歴と、前記第一のアプリケーションのカテゴリに属する前記第一の端末に導入されているアプリケーションの数と、の組み合わせにより判定するタイプ判定部と、前記第一のアプリケーションと前記第二の端末で利用可能な複数の第二のアプリケーションの夫々との類似度を利用して、前記第二のアプリケーションの夫々の、推薦する順序を決めるための点数を算出する点数算出部と、タイプ毎に異なる上限数以下の一つ以上の第二のアプリケーションを前記点数の順にタイプ毎に決定し、決定された前記第二のアプリケーションの情報を出力する推薦アプリケーション出力部と、を有する、アプリケーション推薦装置を提供する。
【解決手段】前記第一の端末に導入されている第一のアプリケーションのタイプを、前記第一のアプリケーションの利用履歴と、前記第一のアプリケーションのカテゴリに属する前記第一の端末に導入されているアプリケーションの数と、の組み合わせにより判定するタイプ判定部と、前記第一のアプリケーションと前記第二の端末で利用可能な複数の第二のアプリケーションの夫々との類似度を利用して、前記第二のアプリケーションの夫々の、推薦する順序を決めるための点数を算出する点数算出部と、タイプ毎に異なる上限数以下の一つ以上の第二のアプリケーションを前記点数の順にタイプ毎に決定し、決定された前記第二のアプリケーションの情報を出力する推薦アプリケーション出力部と、を有する、アプリケーション推薦装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーション推薦装置、アプリケーション推薦方法及びアプリケーション推薦プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンと呼ばれる、従来の携帯電話端末と比べて汎用性の高い携帯端末が普及しつつある。スマートフォンは、従来の携帯電話端末とは異なるOSを採用しており、従来の携帯電話端末では動作していたアプリケーションがそのまま動作しないことがある。そのため、ユーザが従来の携帯電話端末からスマートフォンに移行するとき、従来の携帯電話端末に導入されているアプリケーションに類似アプリケーションを提案する仕組みがある。
【0003】
ユーザが使用するコンテンツに類似するコンテンツを提示する技術として、特許文献1には、ユーザの閲覧履歴を考慮するとともに現在閲覧しているコンテンツを考慮したレコメンド情報を生成する情報生成装置が記載されている。また、特許文献2には、カテゴリレベルの嗜好とキーワードレベルの嗜好の両方を考慮したレコメンデーションを行うことができるレコメンド情報生成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−262401号公報
【特許文献2】特開2010−262383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載の技術は、動画コンテンツ等を対象としたものであり、OSが異なる移行先の端末で動作するアプリケーションを提案できない。
【0006】
また、導入済みのアプリケーション全てに対し、類似度が大きいアプリケーションを提案する仕組みでは、類似度は低いがユーザにとって興味のあるアプリケーションを提案できず、ユーザの意に沿ったアプリケーションを提案できない問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、OSが異なる移行先の端末に対して、ユーザの意に沿ったアプリケーションの候補を提案できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し目的を達成するため、本発明にかかるアプリケーション推薦装置は、移行元である第一の端末とOSが異なる移行先端末である第二の端末で利用可能なアプリケーションを推薦するアプリケーション推薦装置であって、前記第一の端末に導入されている第一のアプリケーションのタイプを、前記第一のアプリケーションの利用履歴と、前記第一のアプリケーションのカテゴリに属する前記第一の端末に導入されているアプリケーションの数と、の組み合わせにより判定するタイプ判定部と、前記第一のアプリケーションと前記第二の端末で利用可能な複数の第二のアプリケーションの夫々との類似度を利用して、前記第二のアプリケーションの夫々の、推薦する順序を決めるための点数を算出する点数算出部と、タイプ毎に異なる上限数以下の一つ以上の第二のアプリケーションを前記点数の順にタイプ毎に決定し、決定された前記第二のアプリケーションの情報を出力する推薦アプリケーション出力部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、OSが異なる移行先の端末に対して、ユーザの意に沿ったアプリケーションの候補を提案できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置を含む通信システムを表す。
【図2】本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置のハードウェア構成を表す。
【図3】本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置の機能ブロック図を表す。
【図4】移行元のアプリケーションのタイプ分けのフローを表すフローチャートである。
【図5A】移行元のアプリケーションの利用率の例を表す。
【図5B】移行元のアプリケーションの占有率の例を表す。
【図6】類似アプリケーションの推薦のためのフローを表すフローチャートである。
【図7A】移行元のアプリケーションの名前と説明文の一例を表す。
【図7B】移行先のアプリケーションの名前と説明文の一例を表す。
【図8A】類似アプリケーションの推薦のためのタイプごとの点数の重み付けと推薦数の例を表す。
【図8B】類似度と点数の対応を定める表の例を表す。
【図8C】利用者数と点数の対応を定める表の例を表す。
【図8D】ユーザ評価と点数の対応を定める表の例を表す。
【図9】変形例であるアプリケーション推薦装置を含む通信システムを表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
1.概要
2.ハードウェア構成
3.機能
4.移行元のアプリケーションのタイプ分け
5.アプリケーションの類似度の計算
6.類似アプリケーションの点数算出と推薦
7.変形例
【0013】
(1.概要)
図1は、本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置106が含まれる通信システム1の概要を表す。通信システム1は、機種変更や機種買い替えにおける、移行元の通信端末100、移行先の通信端末102、アプリケーション推薦装置106を有し、ネットワーク104を通じて互いにアプリケーションに関する情報を通信することができる。
【0014】
移行元の通信端末100は、ユーザが移行前に使用する通信端末であり、移行先の通信端末に搭載されているOSとは異なるOSが導入されている携帯電話端末である。通信端末100には、移行の対象となるアプリケーションが導入されている。通信端末100は、移行を行う前に、ネットワーク104を通じて、導入されているアプリケーションのリスト、アプリケーションの利用履歴、アプリケーションの各カテゴリに含まれるアプリケーションの数を含む移行元のアプリケーションに関する情報(以下、「移行元アプリケーション情報108」とする。)を、アプリケーション推薦装置106に送信する。
【0015】
移行先の通信端末102は、ユーザが移行後に使用する通信端末であり、典型的にはスマートフォンである。通信端末102には、初期状態ではユーザのアプリケーションが導入されていない。そのためユーザは、通信端末102をネットワーク104を介してアプリケーション推薦装置106に接続し、移行元の通信端末100で使用していたアプリケーションに対応する、一つ以上の類似アプリケーションの推薦を受ける。推薦された結果は、通信端末102の画面上に表示され、ユーザは、必要と判断したものを順次導入できる。
【0016】
ネットワーク104は、通信端末100、102及びアプリケーション推薦装置106を接続するネットワークであり、一般的には移動体通信網又はインターネットである。
【0017】
アプリケーション推薦装置106は、移行を行う前に移行元の通信端末100から受信した移行元アプリケーション情報108及び移行先の通信端末102で利用可能な利用可能アプリケーション情報110を有する。そして、ユーザが移行先の通信端末102へ移行するとき、移行先の通信端末102に対し、移行元の各アプリケーションに対応する、移行先の通信端末102で利用可能な類似アプリケーションの情報を送信する。類似アプリケーションの情報は、一つ以上の類似アプリケーションの推薦結果を含む。推薦結果は、移行元のアプリケーションとの類似度、類似アプリケーションの利用者数、ユーザ評価を含む要素を考慮して点数付けされ、所定の規則に従って出力される。詳細な手順については後述する。
【0018】
以上の構成により、アプリケーション推薦装置106は、移行元の通信端末100におけるユーザの利用状況に応じて、移行先の通信端末102で利用可能な類似アプリケーションを推薦できる。
【0019】
なお、移行元の通信端末100は、移行元アプリケーション情報108をアプリケーション推薦装置106に送信した後は、ネットワーク104から切断されてもよい。また、通信端末100は、OSの異なるスマートフォンであってもよい。
【0020】
(2.ハードウェア構成)
図2は、本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置200のハードウェア構成の例を表す。アプリケーション推薦装置200は、CPU202、ROM204、RAM206、HDD208、ネットワークコントーラ210、通信装置212、グラフィックスコントローラ214、表示装置216、入力コントローラ218、入力装置220を有し、移行元のアプリケーションに対応する、移行先で利用可能な類似アプリケーションの推薦結果を出力する。
【0021】
CPU202は、本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置200及び図示しないアプリケーション推薦プログラムの動作制御を行う。ROM204は、CPU202が実行するアプリケーション推薦プログラムや、その他のプログラム、必要なデータ等を記憶する。RAM204は、CPU204のワークエリア等を構成する。HDD208は、アプリケーション推薦プログラムの他に、当該アプリケーション推薦装置200の動作に必要なプログラムやドライバ、さらに他の通信端末から受信したデータを記憶するために用いる。ネットワークコントローラ210は、通信装置212を介して、ネットワークに接続される通信端末と通信を行うための通信制御を行う。グラフィックスコントローラ214は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイを含む表示装置216を介して、ユーザに操作画面や情報を提供するための制御を行う。入力コントローラ218は、マウスやキーボード、タッチパネルを含む入力装置220を介してユーザから入力される信号を制御する。バス222は、上記の要素を相互に接続し、データのやり取りを行う。
【0022】
上記構成により、本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置200は、移行元のアプリケーションに対応する、移行先で利用できる類似アプリケーションの推薦結果を出力できる。
【0023】
なお、HDD208は、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、磁気テープドライブ等であってもよい。
【0024】
(3.機能)
図3は、本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置200の機能ブロック図である。
【0025】
アプリケーション推薦装置200は、通信端末100、102を含む外部の装置とアプリケーション情報を交換するための通信部310、移行元アプリケーション情報108を格納する移行元アプリケーション情報格納部320、移行対象となるアプリケーションのタイプを判定するタイプ判定部330、推薦候補となる利用可能アプリケーション情報110を格納する移行先アプリケーション情報格納部340、推薦候補となるアプリケーション情報を取得する移行先アプリケーション情報取得部350、推薦候補アプリケーションから推薦するアプリケーションを特定するために用いる点数を取得する点数取得部360、ユーザに推薦する類似アプリケーションのリストを出力する推薦アプリケーション出力部370を含み、移行元の通信端末でのユーザのアプリケーションの利用状況に基づいて、移行先の通信端末102で利用可能な類似アプリケーションの推薦を行う。
【0026】
通信部310は、移行元の通信端末100から、アプリケーションの利用履歴と、アプリケーションの各カテゴリに含まれるアプリケーションの数とを含む、移行元アプリケーション情報108を受信する。アプリケーションの利用履歴とは、移行元の情報端末100における、アプリケーションの所定期間の起動回数を含む。受信された移行元アプリケーション情報108は、移行元アプリケーション情報格納部320に格納される。また、通信部310は、推薦アプリケーション出力部370が出力する推薦結果を、移行先の通信端末102へと送信する。
【0027】
移行元アプリケーション情報格納部320は、通信部310を通じて受信されたアプリケーションの利用履歴をアプリケーション利用履歴情報322に、アプリケーションの各カテゴリに含まれるアプリケーションの数をアプリケーションカテゴリ情報324を格納する。これらの情報は、タイプ判定部330によるタイプ判定のために使用される。
【0028】
タイプ判定部330は、移行元の通信端末100から受信された移行元アプリケーション情報108に基づき、移行元アプリケーション108をタイプ分けする。タイプ分けの方法については後述する。移行元のアプリケーションがタイプ分けされると、そのタイプごとに異なる規則に基づいて、推薦される類似アプリケーションが決定する。
【0029】
移行先アプリケーション情報取得部340は、移行先の通信端末102で使用可能な、推薦候補となり得る全アプリケーションの情報を取得する。この情報は、一般的にはネットワークを介した、移行先の通信端末102で利用可能なアプリケーションを提供している外部のサーバから取得する。該アプリケーションの情報は、移行先アプリケーション情報格納部350に格納される。
【0030】
移行先アプリケーション情報格納部350は、移行先アプリケーション情報取得部340によって取得された、推薦候補となり得る移行先アプリケーション情報352を格納する。移行先アプリケーション情報352には、アプリケーションの名前と説明文に加えて、利用者数やユーザ評価も含まれる。これらの要素は、点数取得部360により、ユーザに推薦する類似アプリケーションの順位付けのための点数の算出のために使用される。点数の算出方法については後述する。
【0031】
点数取得部360は、推薦候補となるアプリケーションの、移行元のアプリケーションに対する類似度を取得する類似度取得部362、推薦候補アプリケーションの利用者数を取得する利用者数取得部364、推薦候補アプリケーションのユーザの評価値を取得する評価値取得部366を有し、推薦候補アプリケーションの点数を算出する。ここで、タイプ判定部330によって判定された移行元のアプリケーションのタイプによって、異なる重み付けがなされる。詳細な算出方法については後述する。ここで取得された点数は、推薦アプリケーション出力部370によって、推薦アプリケーションの出力のために利用される。
【0032】
推薦アプリケーション出力部370は、点数取得部360により取得された点数に基づき、移行元のアプリケーションごとに、一つ以上の類似アプリケーションを推薦結果として出力する。この時、移行元のアプリケーションのタイプによって、推薦結果の個数が異なる。個数の決定方法については後述する。
【0033】
以上により、本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置200は、移行元でのアプリケーションの利用状況に基づいてタイプ分けを行い、タイプに応じて、移行先の通信端末102で利用可能な類似アプリケーションを推薦することで、ユーザの意向に沿った推薦結果を出力することができる。
【0034】
なお、アプリケーション利用履歴情報322、アプリケーションカテゴリ情報324、移行先アプリケーション情報352は、ネットワークを介してアクセス可能な外部の装置に格納され、必要に応じて通信部310を通じてアクセスするようにしても良い。これにより、アプリケーション推薦装置200は、必要とされる記憶領域を削減することができる。
【0035】
(4.移行元のアプリケーションのタイプ分け)
以下に、図4、図5A及び図5Bを用いて、移行元のアプリケーションのタイプ分けについて説明する。図4は、本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置による、移行元のアプリケーションのそれぞれについてのタイプ分けの行う処理のフローを表す。図5A及び図5Bは、タイプ分けを説明するための具体例である。
【0036】
図4において、ステップS400から処理が開始される。
【0037】
次にステップS402において、アプリケーション利用履歴情報322を用いて、一定期間内のアプリケーションの利用率を取得する。利用率とは、一定期間における全てのアプリケーションの利用量に対する、当該アプリケーションの利用量の割合を示す。例えば、アプリケーションの一日平均起動回数の全体に対する割合を用いることができる。一定期間とは、例えば一週間や一ヶ月などの適切な期間であり、長さに特に制限はない。以下に、図5Aを用いて具体的に説明する。
【0038】
図5Aは、ある移行元端末に導入されているアプリケーションのリストである。ここでは、アプリケーションの一日あたりの平均起動回数の全体に対する割合を利用率として用いる例を示している。図5Aは、アプリケーション名、平均起動回数及び利用率の項目を有する。アプリケーション名とは、移行元の通信端末100に導入されているアプリケーションの名前である。平均起動回数とは、アプリケーションの一日あたりの平均起動回数である。利用率とは、アプリケーションの一日あたりの平均起動回数と、全アプリケーションの平均起動回数の和との割合である。導入されているアプリケーションとして、電話帳、Todoリスト、テニスゲーム、FMラジオが登録されている。例えば電話帳が、一日あたりの平均起動回数が15回であり、他のアプリケーションも含む全アプリケーションの平均起動回数の和が30回であったとすると、ここでの利用率は50%となる。
【0039】
図4に戻り、利用率が取得されると、ステップS404へと進む。
【0040】
ステップS404では、ステップS402で取得した利用率が予め定められた閾値以上かどうかを判定する。その結果、閾値以上である場合には、ステップS406へと進み、当該アプリケーションをタイプ1として決定する。タイプ1のアプリケーションとは、利用率が一定値より高い、すなわち日常的に使用するアプリケーションであることを示す。そしてステップS416へと進み、処理を終了する。一方、取得した利用率が閾値より小さいとき、ステップS408へと進む。
【0041】
次にステップS408において、アプリケーションカテゴリ情報324を用いて、あるアプリケーションの属するカテゴリの占有率を取得する。占有率とは、移行元アプリケーション情報108に含まれる全てのアプリケーションの数と、当該アプリケーションの属するカテゴリのアプリケーションの数との割合を示す。以下に、図5Bを用いて具体的に説明する。
【0042】
図5Bは、ある移行元端末に導入されているアプリケーションのリストである。図5Bは、アプリケーション名、カテゴリ名、個数及び占有率の項目を有する。アプリケーション名とは、移行元の通信端末100に導入されているアプリケーションの名前である。カテゴリ名とは、該アプリケーションの属するカテゴリの名前である。個数とは、該カテゴリに属するアプリケーションの個数である。アプリケーション名、カテゴリ名、個数は、アプリケーションカテゴリ情報324に格納されている。この例における占有率は、該カテゴリに属するアプリケーションの個数の、全アプリケーション数に対する割合を示している。例えばテニスゲームはスポーツゲームのカテゴリに含まれ、スポーツゲームのカテゴリに属するアプリケーションの個数が15個であり、仮に全アプリケーション数が25個であったとすると、占有率は60%となる。
【0043】
図4に戻り、占有率が取得されると、ステップS410へと進む。
【0044】
ステップS410では、ステップS408で取得した占有率が予め定められた閾値以上かどうかを判定する。その結果、閾値以上である場合には、ステップS412へと進み、当該アプリケーションをタイプ2として決定する。タイプ2のアプリケーションとは、アプリケーション単体の利用率は高くないものの、同一カテゴリに属するアプリケーションが多く、ユーザの興味のある分野のアプリケーションであることを示す。そしてステップS416へと進み、処理を終了する。一方、取得した占有率が閾値より小さいとき、ステップS414へと進み、当該アプリケーションをタイプ3として決定する。そしてステップS416へと進み、処理を終了する。
【0045】
以上により、移行元端末に導入されていたアプリケーションのそれぞれについて、日常的に使用されるタイプ1か、興味分野であるタイプ2か、それ以外のタイプ3かを判定することができる。
【0046】
なお、ステップS402において、利用率を求めるために、アプリケーションの起動回数に代えて、アプリケーションがフォアグラウンドになった回数、アプリケーションの利用時間又は常駐時間を含む、ユーザによるアプリケーションの実際の利用量としても良い。これにより、ユーザの利用実態により即してタイプ分けを行うことができる。
【0047】
また、ステップS404、S410で使用される、利用率又は占有率に係る閾値は、固定値でも良いし、ユーザの通信端末の使用状況や、利用可能なアプリケーションの状況に応じて随時変更されても良い。例えば、通信端末の機能を日常的に最大限活用しているヘビーユーザと、稀に使用するライトユーザとでは、異なる利用率、占有率が適用されても良い。これにより、ユーザの利用実態により即してタイプ分けを行うことができる。
【0048】
以上、移行元の通信端末100に導入されているアプリケーションのそれぞれを対象として、タイプ分けを行う処理の説明を行った。以下、移行先の通信端末102で利用可能なアプリケーションを対象として、推薦アプリケーションを出力するための処理の説明を行う。
【0049】
(5.類似度の計算)
ここでは、図6、図7A及び図7Bを用いて、移行先の通信端末102で利用可能なアプリケーションの、移行元のアプリケーションに対する類似度を計算する方法について説明する。図6は、移行元のアプリケーションのタイプごとに、推薦するアプリケーションの候補を決定するフローを示している。
【0050】
図6はステップS600から開始し、ステップS602において、移行元のアプリケーションのそれぞれに対する、移行先端末で利用可能なアプリケーションの類似度を計算する。アプリケーションの類似度とは、アプリケーションの機能や特性に基づいて、両者がどれほど似ているかを数値化して示すものである。例えば、移行元のアプリケーション及び移行先で利用可能なアプリケーションのアプリケーション名及び説明文に含まれる単語を抽出し、一致する単語の個数の割合を類似度とすることができる。移行元のアプリケーションの名前及び説明文は、例えば、当該アプリケーション推薦装置200内に予め定義しておくこともできるし、あるいは外部のサーバから取得することができる。また、移行先で利用可能なアプリケーションの名前及び説明文は、例えば、当該アプリケーション推薦装置の移行先アプリケーション情報格納部350又は外部のサーバから取得できる。以下、図7A及び図7Bを用いて具体的に説明する。図7A及び図7Bは、アプリケーションの類似度を計算する具体例を示す。
【0051】
図7Aは、従来の携帯電話端末向けのアプリケーションの説明画面の例を表したものであり、移行元のアプリケーションの名前とその説明文を表している。アプリケーション名とは、アプリケーションの名前である。説明文とは、アプリケーションの機能や特徴を説明するために記された文章である。一方、図7Bは、スマートフォン向けのアプリケーション説明画面の例を表したものであり、類似度を計算する対象となる移行先のアプリケーションの名前、説明文、ユーザ評価及び利用者数を表している。ユーザ評価とは、例えばアプリケーションを利用するユーザによって付された評価を表し、一般に5段階評価で点数が付される。利用者数とは、アプリケーションを利用するユーザの数を表し、一般に、ダウンロード数又はインストール数を表す。類似度を計算する一つの例として、先述した一致する単語の個数による方法を以下に示す。
【0052】
まず、形態素解析を含む従来のテキスト解析技術を用いて、アプリケーション名及び説明文から単語(名詞)を抽出する。例えば、図7Aの移行元のアプリケーション名から、「電話帳」を抽出したとする。次に、図7Aの移行元のアプリケーションの説明文から、「氏名」「3つ」「電話番号」「メールアドレス」「記録」「画面」「直接電話」「メール送信」「可能」「顔写真」「登録可能」「赤外線通信」「対応」「登録件数」「500件」を抽出したとする。抽出した単語は、図7Aにおいて下線で示されている。図7Bの移行先のアプリケーション名及び説明文からも同様に単語を抽出する。抽出した単語は、図7Bにおいて下線で示されている。そして、移行元のアプリケーション名及び説明文から抽出したこれらの単語のうち、移行先のアプリケーション名及び説明に含まれているものの個数を計算する。ここでは、「氏名」「電話番号」「メールアドレス」「顔写真」「登録可能」「赤外線通信」「登録件数」「500件」が一致しており、その個数は8個である。一方、移行元のアプリケーション名及び説明文から抽出された全体の単語の個数は16個である。したがって、例えば類似度を8/16*100=50(%)とすることができる。
【0053】
図6に戻り、ステップS602では、移行元の通信端末100に導入されているアプリケーションそれぞれに対し、移行先の通信端末102で利用可能なアプリケーション全てに対して類似度を取得する。
【0054】
以上により、移行元のアプリケーションのそれぞれに対する、移行先の通信端末102で利用可能なアプリケーションの類似度を算出することができる。
【0055】
なお、ステップS602においてアプリケーションの類似度をその都度計算しても良いが、移行元の通信端末100及び移行先の通信端末102で利用可能なアプリケーションは既知であるため、特に代表的なアプリケーションに関して予め類似度を算出しておくことで、移行時の処理量を減らすことができる。
【0056】
同様に、移行先で利用可能なアプリケーション全てに対して類似度の計算を行わず、予め定められた範囲内のアプリケーションに対してのみ計算しても良い。そのようにすることで、移行時の処理量を減らすことができる。
【0057】
また、ステップS602における類似度を計算するために、アプリケーション名や説明文の他に、アプリケーションプロバイダ名又は開発者名等を用いても良い。これにより、アプリケーション名や説明文が一致しないが実際には類似アプリケーションに対応することができる。
【0058】
(6.類似アプリケーションの点数算出と推薦)
移行先で利用可能な類似アプリケーションの推薦を行う処理フローについて、図6、図7B、図8Aないし図8Dを用いて説明する。
【0059】
先述の処理により、図6のステップS602において、移行元のアプリケーションのそれぞれに対する、移行先で利用可能なアプリケーションについての類似度の算出が完了すると、ステップS604に進む。
【0060】
ステップS604において、算出された類似度に基づき、移行先端末で利用可能な類似アプリケーションの候補を作成する。本ステップにより、所定の類似度より低いアプリケーションは除外され、後述の点数計算の対象となる類似アプリケーションが特定される。
【0061】
次に、ステップS606において、前記類似アプリケーションの候補となったアプリケーションのそれぞれの利用者数を移行先アプリケーション情報格納部350から取得する。利用者数には、ダウンロード数又はインストール数が含まれる。
【0062】
次に、ステップS608において、前記類似アプリケーションの候補となったアプリケーションのそれぞれのユーザ評価を移行先アプリケーション情報格納部350から取得する。ユーザ評価の例としては、図7Bに示した、ユーザがアプリケーションに対する評価として付した点数がある。
【0063】
以上の処理により、タイプ分けされた移行元のアプリケーションのそれぞれに対して、類似度、利用者数、ユーザ評価の値を有する類似アプリケーションの候補が取得される。
【0064】
ここで、ステップS610において、移行元のアプリケーションのタイプ毎に、類似アプリケーションのそれぞれについて、類似度、利用者数及びユーザ評価を点数化し、重み付けして加算した合計点を、類似アプリケーションの点数として算出する。以下に、図8Aないし図8Dを用いて具体的に説明する。
【0065】
図8Aは、移行元のアプリケーションのタイプごとの、点数化された類似度、利用者数及びユーザ評価の重み付けと、類似アプリケーションの推薦数との例を表す。図8Aには、タイプ、類似度、利用者数、ユーザ評価及び推薦数の項目が含まれる。タイプとは、図4のフローによって判定した移行元のアプリケーションのタイプである。類似度の項目には、図6のステップS602で求めた移行先で利用可能なアプリケーションの類似度を点数化したものに対して積算される重み付けのための係数が記載されている。利用者数の項目には、移行先で利用可能な類似アプリケーションの利用者数を点数化したものに対して積算される重み付けのための係数が記載されている。ユーザ評価の項目には、移行先で利用可能な類似アプリケーションのユーザ評価を点数化したものに対して積算される重み付けのための係数が記載されている。推薦数の項目には、最終的に推薦するアプリケーションの数が記載されている。推薦する数が複数ある場合は、図8Aの重み付けによって算出された点数の高い順に類似アプリケーションが推薦される。
【0066】
図8Aの例において、タイプ1についての重み付けの係数は、類似度が高く設定されているのは、タイプ1のアプリケーションが、ユーザが日常的に利用し、利用率が高いため、できるだけ類似度の高いアプリケーションである必要があるためである。一方で、タイプ1に関する推薦数が1となっているのは、非類似のアプリケーションが多数推薦されても、ユーザにとって不要なものであるためである。一方、タイプ2に関しては、重み付けの係数は利用者数及びユーザ評価が高く設定されている。これは、タイプ2のアプリケーションは、一つ一つの利用率は低いものの、そのカテゴリに属するアプリケーションの数が多く、ユーザがそのカテゴリに興味を持っていることによる。すなわち、アプリケーションそのものの類似度が低くてもよい一方で、他のユーザの関心の高いアプリケーションに関しては、そのユーザも興味がある可能性が高いため、利用者数及びユーザ評価の重み付けを高く設定している。また、タイプ2に関する推薦数が10となっているのは、アプリケーションは類似していなくても良いが、興味分野であるため多数推薦されることがユーザの意向に沿うためである。したがって、必ずしも図8Aに示した具体的数値である必要はなく、適宜他の値も使用することができる。
【0067】
図8Bは、類似度と点数の対応を定める表の例である。表の項目には、図6のステップS602で計算された類似度と、それに対応する点数が含まれる。同様に、図8Cには利用者数と点数が、図8Dにおいてはユーザ評価と点数が含まれる。この場合において、例えば図5A及び図7Aに示される、移行元のアプリケーション「電話帳」に対して、図7Bに示される、「ニュー 電話帳 for Smartphone」が類似アプリケーションの候補であるとして計算する例を以下に示す。
【0068】
前述の通り、単語の一致度から求めた類似度は50%であり、図7Bより利用者数は10000−50000であり、ユーザ評価は4点であることから、それぞれ点数化した値は、図8Bないし図8Dより、2.0、1.5及び2.0である。ここで、当該移行元のアプリケーション「電話帳」は、図4及び図5の例に基づきタイプ1と判定されたものとすると、図8Aに示される重み付けの例により、2.0*0.6+1.5*0.2+2.0*0.2=1.9となる。
【0069】
図6に戻り、ステップS610において、移行元のアプリケーションのそれぞれに対する類似アプリケーションのそれぞれの点数が算出されると、ステップS612に進む。
【0070】
ステップS612において、移行元のアプリケーションのタイプ毎に、類似アプリケーションのうち点数の上位から所定の推薦数だけ推薦対象として推薦する。例えば、図8Aの例では、タイプ1のアプリケーションについては最上位の類似アプリケーションを、タイプ2のアプリケーションについては上位から10番目までの類似アプリケーションを推薦する。推薦されたアプリケーションは、例えば移行先端末102上に表示することができる。当該上位所定数は任意に定めることができるが、好ましくは、タイプ1の推薦アプリケーションの数は、タイプ2と比べて相対的に低く設定される。
【0071】
以上により、移行元端末でのアプリケーションの利用習慣を反映して、類似アプリケーションを推薦することができる。特に、タイプ1に分類されるような日常使用のアプリケーションに対しては、類似度による重み付けを重く設定し、推薦数を絞ることで、ユーザのニーズに合った類似アプリケーションを推薦できる。また、タイプ2に分類されるような興味のある分野のアプリケーションに対しては、利用者数が多く評価の高い類似アプリケーションを多数推薦することで、ユーザの嗜好にあった推薦を行うことができる。
【0072】
なお、所定の類似度より低いアプリケーションを除外することで候補を絞り込むステップS604は、実行されなくても良い。すなわち、移行先で利用可能なアプリケーション全てを対象として、点数の計算を行っても良い。このようにすることで、全てのアプリケーションを漏れなく評価対象とすることができる。
【0073】
また、ステップS610において、類似度、利用者数及びユーザ評価を点数算出のために用いているが、この何れかのみを評価として用いても良く、また、その他の同等な指標を加えても良い。
【0074】
(7.変形例)
以下に、変形例であるアプリケーション推薦端末906について説明を行う。
【0075】
図9は、変形例であるアプリケーション推薦端末902を含む通信システム9の概要である。アプリケーション推薦端末902は、移行先の通信端末上に構成される。移行元アプリケーション情報908及び利用可能アプリケーション情報910は、一般にネットワーク904を通じてアクセス可能な外部サーバ906に格納されるか、又は当該端末902内に保管される。
【0076】
このようなアプリケーション推薦端末902は、図2及び図3と同等のハードウェア構成及び機能を備え、図4、図6と同等の処理を実行することにより、先述のアプリケーション推薦装置200と同等の効果を有する。すなわち、移行元端末でのアプリケーションの利用習慣を反映して、当該端末上で、利用できる類似アプリケーションを推薦することができる。
【符号の説明】
【0077】
200 アプリケーション推薦装置
310 通信部
320 移行元アプリケーション情報格納部
330 タイプ判定部
340 利用先アプリケーション情報取得部
350 移行先アプリケーション情報格納部
360 点数取得部
370 推薦アプリケーション出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーション推薦装置、アプリケーション推薦方法及びアプリケーション推薦プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンと呼ばれる、従来の携帯電話端末と比べて汎用性の高い携帯端末が普及しつつある。スマートフォンは、従来の携帯電話端末とは異なるOSを採用しており、従来の携帯電話端末では動作していたアプリケーションがそのまま動作しないことがある。そのため、ユーザが従来の携帯電話端末からスマートフォンに移行するとき、従来の携帯電話端末に導入されているアプリケーションに類似アプリケーションを提案する仕組みがある。
【0003】
ユーザが使用するコンテンツに類似するコンテンツを提示する技術として、特許文献1には、ユーザの閲覧履歴を考慮するとともに現在閲覧しているコンテンツを考慮したレコメンド情報を生成する情報生成装置が記載されている。また、特許文献2には、カテゴリレベルの嗜好とキーワードレベルの嗜好の両方を考慮したレコメンデーションを行うことができるレコメンド情報生成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−262401号公報
【特許文献2】特開2010−262383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載の技術は、動画コンテンツ等を対象としたものであり、OSが異なる移行先の端末で動作するアプリケーションを提案できない。
【0006】
また、導入済みのアプリケーション全てに対し、類似度が大きいアプリケーションを提案する仕組みでは、類似度は低いがユーザにとって興味のあるアプリケーションを提案できず、ユーザの意に沿ったアプリケーションを提案できない問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、OSが異なる移行先の端末に対して、ユーザの意に沿ったアプリケーションの候補を提案できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し目的を達成するため、本発明にかかるアプリケーション推薦装置は、移行元である第一の端末とOSが異なる移行先端末である第二の端末で利用可能なアプリケーションを推薦するアプリケーション推薦装置であって、前記第一の端末に導入されている第一のアプリケーションのタイプを、前記第一のアプリケーションの利用履歴と、前記第一のアプリケーションのカテゴリに属する前記第一の端末に導入されているアプリケーションの数と、の組み合わせにより判定するタイプ判定部と、前記第一のアプリケーションと前記第二の端末で利用可能な複数の第二のアプリケーションの夫々との類似度を利用して、前記第二のアプリケーションの夫々の、推薦する順序を決めるための点数を算出する点数算出部と、タイプ毎に異なる上限数以下の一つ以上の第二のアプリケーションを前記点数の順にタイプ毎に決定し、決定された前記第二のアプリケーションの情報を出力する推薦アプリケーション出力部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、OSが異なる移行先の端末に対して、ユーザの意に沿ったアプリケーションの候補を提案できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置を含む通信システムを表す。
【図2】本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置のハードウェア構成を表す。
【図3】本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置の機能ブロック図を表す。
【図4】移行元のアプリケーションのタイプ分けのフローを表すフローチャートである。
【図5A】移行元のアプリケーションの利用率の例を表す。
【図5B】移行元のアプリケーションの占有率の例を表す。
【図6】類似アプリケーションの推薦のためのフローを表すフローチャートである。
【図7A】移行元のアプリケーションの名前と説明文の一例を表す。
【図7B】移行先のアプリケーションの名前と説明文の一例を表す。
【図8A】類似アプリケーションの推薦のためのタイプごとの点数の重み付けと推薦数の例を表す。
【図8B】類似度と点数の対応を定める表の例を表す。
【図8C】利用者数と点数の対応を定める表の例を表す。
【図8D】ユーザ評価と点数の対応を定める表の例を表す。
【図9】変形例であるアプリケーション推薦装置を含む通信システムを表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
1.概要
2.ハードウェア構成
3.機能
4.移行元のアプリケーションのタイプ分け
5.アプリケーションの類似度の計算
6.類似アプリケーションの点数算出と推薦
7.変形例
【0013】
(1.概要)
図1は、本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置106が含まれる通信システム1の概要を表す。通信システム1は、機種変更や機種買い替えにおける、移行元の通信端末100、移行先の通信端末102、アプリケーション推薦装置106を有し、ネットワーク104を通じて互いにアプリケーションに関する情報を通信することができる。
【0014】
移行元の通信端末100は、ユーザが移行前に使用する通信端末であり、移行先の通信端末に搭載されているOSとは異なるOSが導入されている携帯電話端末である。通信端末100には、移行の対象となるアプリケーションが導入されている。通信端末100は、移行を行う前に、ネットワーク104を通じて、導入されているアプリケーションのリスト、アプリケーションの利用履歴、アプリケーションの各カテゴリに含まれるアプリケーションの数を含む移行元のアプリケーションに関する情報(以下、「移行元アプリケーション情報108」とする。)を、アプリケーション推薦装置106に送信する。
【0015】
移行先の通信端末102は、ユーザが移行後に使用する通信端末であり、典型的にはスマートフォンである。通信端末102には、初期状態ではユーザのアプリケーションが導入されていない。そのためユーザは、通信端末102をネットワーク104を介してアプリケーション推薦装置106に接続し、移行元の通信端末100で使用していたアプリケーションに対応する、一つ以上の類似アプリケーションの推薦を受ける。推薦された結果は、通信端末102の画面上に表示され、ユーザは、必要と判断したものを順次導入できる。
【0016】
ネットワーク104は、通信端末100、102及びアプリケーション推薦装置106を接続するネットワークであり、一般的には移動体通信網又はインターネットである。
【0017】
アプリケーション推薦装置106は、移行を行う前に移行元の通信端末100から受信した移行元アプリケーション情報108及び移行先の通信端末102で利用可能な利用可能アプリケーション情報110を有する。そして、ユーザが移行先の通信端末102へ移行するとき、移行先の通信端末102に対し、移行元の各アプリケーションに対応する、移行先の通信端末102で利用可能な類似アプリケーションの情報を送信する。類似アプリケーションの情報は、一つ以上の類似アプリケーションの推薦結果を含む。推薦結果は、移行元のアプリケーションとの類似度、類似アプリケーションの利用者数、ユーザ評価を含む要素を考慮して点数付けされ、所定の規則に従って出力される。詳細な手順については後述する。
【0018】
以上の構成により、アプリケーション推薦装置106は、移行元の通信端末100におけるユーザの利用状況に応じて、移行先の通信端末102で利用可能な類似アプリケーションを推薦できる。
【0019】
なお、移行元の通信端末100は、移行元アプリケーション情報108をアプリケーション推薦装置106に送信した後は、ネットワーク104から切断されてもよい。また、通信端末100は、OSの異なるスマートフォンであってもよい。
【0020】
(2.ハードウェア構成)
図2は、本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置200のハードウェア構成の例を表す。アプリケーション推薦装置200は、CPU202、ROM204、RAM206、HDD208、ネットワークコントーラ210、通信装置212、グラフィックスコントローラ214、表示装置216、入力コントローラ218、入力装置220を有し、移行元のアプリケーションに対応する、移行先で利用可能な類似アプリケーションの推薦結果を出力する。
【0021】
CPU202は、本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置200及び図示しないアプリケーション推薦プログラムの動作制御を行う。ROM204は、CPU202が実行するアプリケーション推薦プログラムや、その他のプログラム、必要なデータ等を記憶する。RAM204は、CPU204のワークエリア等を構成する。HDD208は、アプリケーション推薦プログラムの他に、当該アプリケーション推薦装置200の動作に必要なプログラムやドライバ、さらに他の通信端末から受信したデータを記憶するために用いる。ネットワークコントローラ210は、通信装置212を介して、ネットワークに接続される通信端末と通信を行うための通信制御を行う。グラフィックスコントローラ214は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイを含む表示装置216を介して、ユーザに操作画面や情報を提供するための制御を行う。入力コントローラ218は、マウスやキーボード、タッチパネルを含む入力装置220を介してユーザから入力される信号を制御する。バス222は、上記の要素を相互に接続し、データのやり取りを行う。
【0022】
上記構成により、本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置200は、移行元のアプリケーションに対応する、移行先で利用できる類似アプリケーションの推薦結果を出力できる。
【0023】
なお、HDD208は、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、磁気テープドライブ等であってもよい。
【0024】
(3.機能)
図3は、本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置200の機能ブロック図である。
【0025】
アプリケーション推薦装置200は、通信端末100、102を含む外部の装置とアプリケーション情報を交換するための通信部310、移行元アプリケーション情報108を格納する移行元アプリケーション情報格納部320、移行対象となるアプリケーションのタイプを判定するタイプ判定部330、推薦候補となる利用可能アプリケーション情報110を格納する移行先アプリケーション情報格納部340、推薦候補となるアプリケーション情報を取得する移行先アプリケーション情報取得部350、推薦候補アプリケーションから推薦するアプリケーションを特定するために用いる点数を取得する点数取得部360、ユーザに推薦する類似アプリケーションのリストを出力する推薦アプリケーション出力部370を含み、移行元の通信端末でのユーザのアプリケーションの利用状況に基づいて、移行先の通信端末102で利用可能な類似アプリケーションの推薦を行う。
【0026】
通信部310は、移行元の通信端末100から、アプリケーションの利用履歴と、アプリケーションの各カテゴリに含まれるアプリケーションの数とを含む、移行元アプリケーション情報108を受信する。アプリケーションの利用履歴とは、移行元の情報端末100における、アプリケーションの所定期間の起動回数を含む。受信された移行元アプリケーション情報108は、移行元アプリケーション情報格納部320に格納される。また、通信部310は、推薦アプリケーション出力部370が出力する推薦結果を、移行先の通信端末102へと送信する。
【0027】
移行元アプリケーション情報格納部320は、通信部310を通じて受信されたアプリケーションの利用履歴をアプリケーション利用履歴情報322に、アプリケーションの各カテゴリに含まれるアプリケーションの数をアプリケーションカテゴリ情報324を格納する。これらの情報は、タイプ判定部330によるタイプ判定のために使用される。
【0028】
タイプ判定部330は、移行元の通信端末100から受信された移行元アプリケーション情報108に基づき、移行元アプリケーション108をタイプ分けする。タイプ分けの方法については後述する。移行元のアプリケーションがタイプ分けされると、そのタイプごとに異なる規則に基づいて、推薦される類似アプリケーションが決定する。
【0029】
移行先アプリケーション情報取得部340は、移行先の通信端末102で使用可能な、推薦候補となり得る全アプリケーションの情報を取得する。この情報は、一般的にはネットワークを介した、移行先の通信端末102で利用可能なアプリケーションを提供している外部のサーバから取得する。該アプリケーションの情報は、移行先アプリケーション情報格納部350に格納される。
【0030】
移行先アプリケーション情報格納部350は、移行先アプリケーション情報取得部340によって取得された、推薦候補となり得る移行先アプリケーション情報352を格納する。移行先アプリケーション情報352には、アプリケーションの名前と説明文に加えて、利用者数やユーザ評価も含まれる。これらの要素は、点数取得部360により、ユーザに推薦する類似アプリケーションの順位付けのための点数の算出のために使用される。点数の算出方法については後述する。
【0031】
点数取得部360は、推薦候補となるアプリケーションの、移行元のアプリケーションに対する類似度を取得する類似度取得部362、推薦候補アプリケーションの利用者数を取得する利用者数取得部364、推薦候補アプリケーションのユーザの評価値を取得する評価値取得部366を有し、推薦候補アプリケーションの点数を算出する。ここで、タイプ判定部330によって判定された移行元のアプリケーションのタイプによって、異なる重み付けがなされる。詳細な算出方法については後述する。ここで取得された点数は、推薦アプリケーション出力部370によって、推薦アプリケーションの出力のために利用される。
【0032】
推薦アプリケーション出力部370は、点数取得部360により取得された点数に基づき、移行元のアプリケーションごとに、一つ以上の類似アプリケーションを推薦結果として出力する。この時、移行元のアプリケーションのタイプによって、推薦結果の個数が異なる。個数の決定方法については後述する。
【0033】
以上により、本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置200は、移行元でのアプリケーションの利用状況に基づいてタイプ分けを行い、タイプに応じて、移行先の通信端末102で利用可能な類似アプリケーションを推薦することで、ユーザの意向に沿った推薦結果を出力することができる。
【0034】
なお、アプリケーション利用履歴情報322、アプリケーションカテゴリ情報324、移行先アプリケーション情報352は、ネットワークを介してアクセス可能な外部の装置に格納され、必要に応じて通信部310を通じてアクセスするようにしても良い。これにより、アプリケーション推薦装置200は、必要とされる記憶領域を削減することができる。
【0035】
(4.移行元のアプリケーションのタイプ分け)
以下に、図4、図5A及び図5Bを用いて、移行元のアプリケーションのタイプ分けについて説明する。図4は、本発明の一実施形態におけるアプリケーション推薦装置による、移行元のアプリケーションのそれぞれについてのタイプ分けの行う処理のフローを表す。図5A及び図5Bは、タイプ分けを説明するための具体例である。
【0036】
図4において、ステップS400から処理が開始される。
【0037】
次にステップS402において、アプリケーション利用履歴情報322を用いて、一定期間内のアプリケーションの利用率を取得する。利用率とは、一定期間における全てのアプリケーションの利用量に対する、当該アプリケーションの利用量の割合を示す。例えば、アプリケーションの一日平均起動回数の全体に対する割合を用いることができる。一定期間とは、例えば一週間や一ヶ月などの適切な期間であり、長さに特に制限はない。以下に、図5Aを用いて具体的に説明する。
【0038】
図5Aは、ある移行元端末に導入されているアプリケーションのリストである。ここでは、アプリケーションの一日あたりの平均起動回数の全体に対する割合を利用率として用いる例を示している。図5Aは、アプリケーション名、平均起動回数及び利用率の項目を有する。アプリケーション名とは、移行元の通信端末100に導入されているアプリケーションの名前である。平均起動回数とは、アプリケーションの一日あたりの平均起動回数である。利用率とは、アプリケーションの一日あたりの平均起動回数と、全アプリケーションの平均起動回数の和との割合である。導入されているアプリケーションとして、電話帳、Todoリスト、テニスゲーム、FMラジオが登録されている。例えば電話帳が、一日あたりの平均起動回数が15回であり、他のアプリケーションも含む全アプリケーションの平均起動回数の和が30回であったとすると、ここでの利用率は50%となる。
【0039】
図4に戻り、利用率が取得されると、ステップS404へと進む。
【0040】
ステップS404では、ステップS402で取得した利用率が予め定められた閾値以上かどうかを判定する。その結果、閾値以上である場合には、ステップS406へと進み、当該アプリケーションをタイプ1として決定する。タイプ1のアプリケーションとは、利用率が一定値より高い、すなわち日常的に使用するアプリケーションであることを示す。そしてステップS416へと進み、処理を終了する。一方、取得した利用率が閾値より小さいとき、ステップS408へと進む。
【0041】
次にステップS408において、アプリケーションカテゴリ情報324を用いて、あるアプリケーションの属するカテゴリの占有率を取得する。占有率とは、移行元アプリケーション情報108に含まれる全てのアプリケーションの数と、当該アプリケーションの属するカテゴリのアプリケーションの数との割合を示す。以下に、図5Bを用いて具体的に説明する。
【0042】
図5Bは、ある移行元端末に導入されているアプリケーションのリストである。図5Bは、アプリケーション名、カテゴリ名、個数及び占有率の項目を有する。アプリケーション名とは、移行元の通信端末100に導入されているアプリケーションの名前である。カテゴリ名とは、該アプリケーションの属するカテゴリの名前である。個数とは、該カテゴリに属するアプリケーションの個数である。アプリケーション名、カテゴリ名、個数は、アプリケーションカテゴリ情報324に格納されている。この例における占有率は、該カテゴリに属するアプリケーションの個数の、全アプリケーション数に対する割合を示している。例えばテニスゲームはスポーツゲームのカテゴリに含まれ、スポーツゲームのカテゴリに属するアプリケーションの個数が15個であり、仮に全アプリケーション数が25個であったとすると、占有率は60%となる。
【0043】
図4に戻り、占有率が取得されると、ステップS410へと進む。
【0044】
ステップS410では、ステップS408で取得した占有率が予め定められた閾値以上かどうかを判定する。その結果、閾値以上である場合には、ステップS412へと進み、当該アプリケーションをタイプ2として決定する。タイプ2のアプリケーションとは、アプリケーション単体の利用率は高くないものの、同一カテゴリに属するアプリケーションが多く、ユーザの興味のある分野のアプリケーションであることを示す。そしてステップS416へと進み、処理を終了する。一方、取得した占有率が閾値より小さいとき、ステップS414へと進み、当該アプリケーションをタイプ3として決定する。そしてステップS416へと進み、処理を終了する。
【0045】
以上により、移行元端末に導入されていたアプリケーションのそれぞれについて、日常的に使用されるタイプ1か、興味分野であるタイプ2か、それ以外のタイプ3かを判定することができる。
【0046】
なお、ステップS402において、利用率を求めるために、アプリケーションの起動回数に代えて、アプリケーションがフォアグラウンドになった回数、アプリケーションの利用時間又は常駐時間を含む、ユーザによるアプリケーションの実際の利用量としても良い。これにより、ユーザの利用実態により即してタイプ分けを行うことができる。
【0047】
また、ステップS404、S410で使用される、利用率又は占有率に係る閾値は、固定値でも良いし、ユーザの通信端末の使用状況や、利用可能なアプリケーションの状況に応じて随時変更されても良い。例えば、通信端末の機能を日常的に最大限活用しているヘビーユーザと、稀に使用するライトユーザとでは、異なる利用率、占有率が適用されても良い。これにより、ユーザの利用実態により即してタイプ分けを行うことができる。
【0048】
以上、移行元の通信端末100に導入されているアプリケーションのそれぞれを対象として、タイプ分けを行う処理の説明を行った。以下、移行先の通信端末102で利用可能なアプリケーションを対象として、推薦アプリケーションを出力するための処理の説明を行う。
【0049】
(5.類似度の計算)
ここでは、図6、図7A及び図7Bを用いて、移行先の通信端末102で利用可能なアプリケーションの、移行元のアプリケーションに対する類似度を計算する方法について説明する。図6は、移行元のアプリケーションのタイプごとに、推薦するアプリケーションの候補を決定するフローを示している。
【0050】
図6はステップS600から開始し、ステップS602において、移行元のアプリケーションのそれぞれに対する、移行先端末で利用可能なアプリケーションの類似度を計算する。アプリケーションの類似度とは、アプリケーションの機能や特性に基づいて、両者がどれほど似ているかを数値化して示すものである。例えば、移行元のアプリケーション及び移行先で利用可能なアプリケーションのアプリケーション名及び説明文に含まれる単語を抽出し、一致する単語の個数の割合を類似度とすることができる。移行元のアプリケーションの名前及び説明文は、例えば、当該アプリケーション推薦装置200内に予め定義しておくこともできるし、あるいは外部のサーバから取得することができる。また、移行先で利用可能なアプリケーションの名前及び説明文は、例えば、当該アプリケーション推薦装置の移行先アプリケーション情報格納部350又は外部のサーバから取得できる。以下、図7A及び図7Bを用いて具体的に説明する。図7A及び図7Bは、アプリケーションの類似度を計算する具体例を示す。
【0051】
図7Aは、従来の携帯電話端末向けのアプリケーションの説明画面の例を表したものであり、移行元のアプリケーションの名前とその説明文を表している。アプリケーション名とは、アプリケーションの名前である。説明文とは、アプリケーションの機能や特徴を説明するために記された文章である。一方、図7Bは、スマートフォン向けのアプリケーション説明画面の例を表したものであり、類似度を計算する対象となる移行先のアプリケーションの名前、説明文、ユーザ評価及び利用者数を表している。ユーザ評価とは、例えばアプリケーションを利用するユーザによって付された評価を表し、一般に5段階評価で点数が付される。利用者数とは、アプリケーションを利用するユーザの数を表し、一般に、ダウンロード数又はインストール数を表す。類似度を計算する一つの例として、先述した一致する単語の個数による方法を以下に示す。
【0052】
まず、形態素解析を含む従来のテキスト解析技術を用いて、アプリケーション名及び説明文から単語(名詞)を抽出する。例えば、図7Aの移行元のアプリケーション名から、「電話帳」を抽出したとする。次に、図7Aの移行元のアプリケーションの説明文から、「氏名」「3つ」「電話番号」「メールアドレス」「記録」「画面」「直接電話」「メール送信」「可能」「顔写真」「登録可能」「赤外線通信」「対応」「登録件数」「500件」を抽出したとする。抽出した単語は、図7Aにおいて下線で示されている。図7Bの移行先のアプリケーション名及び説明文からも同様に単語を抽出する。抽出した単語は、図7Bにおいて下線で示されている。そして、移行元のアプリケーション名及び説明文から抽出したこれらの単語のうち、移行先のアプリケーション名及び説明に含まれているものの個数を計算する。ここでは、「氏名」「電話番号」「メールアドレス」「顔写真」「登録可能」「赤外線通信」「登録件数」「500件」が一致しており、その個数は8個である。一方、移行元のアプリケーション名及び説明文から抽出された全体の単語の個数は16個である。したがって、例えば類似度を8/16*100=50(%)とすることができる。
【0053】
図6に戻り、ステップS602では、移行元の通信端末100に導入されているアプリケーションそれぞれに対し、移行先の通信端末102で利用可能なアプリケーション全てに対して類似度を取得する。
【0054】
以上により、移行元のアプリケーションのそれぞれに対する、移行先の通信端末102で利用可能なアプリケーションの類似度を算出することができる。
【0055】
なお、ステップS602においてアプリケーションの類似度をその都度計算しても良いが、移行元の通信端末100及び移行先の通信端末102で利用可能なアプリケーションは既知であるため、特に代表的なアプリケーションに関して予め類似度を算出しておくことで、移行時の処理量を減らすことができる。
【0056】
同様に、移行先で利用可能なアプリケーション全てに対して類似度の計算を行わず、予め定められた範囲内のアプリケーションに対してのみ計算しても良い。そのようにすることで、移行時の処理量を減らすことができる。
【0057】
また、ステップS602における類似度を計算するために、アプリケーション名や説明文の他に、アプリケーションプロバイダ名又は開発者名等を用いても良い。これにより、アプリケーション名や説明文が一致しないが実際には類似アプリケーションに対応することができる。
【0058】
(6.類似アプリケーションの点数算出と推薦)
移行先で利用可能な類似アプリケーションの推薦を行う処理フローについて、図6、図7B、図8Aないし図8Dを用いて説明する。
【0059】
先述の処理により、図6のステップS602において、移行元のアプリケーションのそれぞれに対する、移行先で利用可能なアプリケーションについての類似度の算出が完了すると、ステップS604に進む。
【0060】
ステップS604において、算出された類似度に基づき、移行先端末で利用可能な類似アプリケーションの候補を作成する。本ステップにより、所定の類似度より低いアプリケーションは除外され、後述の点数計算の対象となる類似アプリケーションが特定される。
【0061】
次に、ステップS606において、前記類似アプリケーションの候補となったアプリケーションのそれぞれの利用者数を移行先アプリケーション情報格納部350から取得する。利用者数には、ダウンロード数又はインストール数が含まれる。
【0062】
次に、ステップS608において、前記類似アプリケーションの候補となったアプリケーションのそれぞれのユーザ評価を移行先アプリケーション情報格納部350から取得する。ユーザ評価の例としては、図7Bに示した、ユーザがアプリケーションに対する評価として付した点数がある。
【0063】
以上の処理により、タイプ分けされた移行元のアプリケーションのそれぞれに対して、類似度、利用者数、ユーザ評価の値を有する類似アプリケーションの候補が取得される。
【0064】
ここで、ステップS610において、移行元のアプリケーションのタイプ毎に、類似アプリケーションのそれぞれについて、類似度、利用者数及びユーザ評価を点数化し、重み付けして加算した合計点を、類似アプリケーションの点数として算出する。以下に、図8Aないし図8Dを用いて具体的に説明する。
【0065】
図8Aは、移行元のアプリケーションのタイプごとの、点数化された類似度、利用者数及びユーザ評価の重み付けと、類似アプリケーションの推薦数との例を表す。図8Aには、タイプ、類似度、利用者数、ユーザ評価及び推薦数の項目が含まれる。タイプとは、図4のフローによって判定した移行元のアプリケーションのタイプである。類似度の項目には、図6のステップS602で求めた移行先で利用可能なアプリケーションの類似度を点数化したものに対して積算される重み付けのための係数が記載されている。利用者数の項目には、移行先で利用可能な類似アプリケーションの利用者数を点数化したものに対して積算される重み付けのための係数が記載されている。ユーザ評価の項目には、移行先で利用可能な類似アプリケーションのユーザ評価を点数化したものに対して積算される重み付けのための係数が記載されている。推薦数の項目には、最終的に推薦するアプリケーションの数が記載されている。推薦する数が複数ある場合は、図8Aの重み付けによって算出された点数の高い順に類似アプリケーションが推薦される。
【0066】
図8Aの例において、タイプ1についての重み付けの係数は、類似度が高く設定されているのは、タイプ1のアプリケーションが、ユーザが日常的に利用し、利用率が高いため、できるだけ類似度の高いアプリケーションである必要があるためである。一方で、タイプ1に関する推薦数が1となっているのは、非類似のアプリケーションが多数推薦されても、ユーザにとって不要なものであるためである。一方、タイプ2に関しては、重み付けの係数は利用者数及びユーザ評価が高く設定されている。これは、タイプ2のアプリケーションは、一つ一つの利用率は低いものの、そのカテゴリに属するアプリケーションの数が多く、ユーザがそのカテゴリに興味を持っていることによる。すなわち、アプリケーションそのものの類似度が低くてもよい一方で、他のユーザの関心の高いアプリケーションに関しては、そのユーザも興味がある可能性が高いため、利用者数及びユーザ評価の重み付けを高く設定している。また、タイプ2に関する推薦数が10となっているのは、アプリケーションは類似していなくても良いが、興味分野であるため多数推薦されることがユーザの意向に沿うためである。したがって、必ずしも図8Aに示した具体的数値である必要はなく、適宜他の値も使用することができる。
【0067】
図8Bは、類似度と点数の対応を定める表の例である。表の項目には、図6のステップS602で計算された類似度と、それに対応する点数が含まれる。同様に、図8Cには利用者数と点数が、図8Dにおいてはユーザ評価と点数が含まれる。この場合において、例えば図5A及び図7Aに示される、移行元のアプリケーション「電話帳」に対して、図7Bに示される、「ニュー 電話帳 for Smartphone」が類似アプリケーションの候補であるとして計算する例を以下に示す。
【0068】
前述の通り、単語の一致度から求めた類似度は50%であり、図7Bより利用者数は10000−50000であり、ユーザ評価は4点であることから、それぞれ点数化した値は、図8Bないし図8Dより、2.0、1.5及び2.0である。ここで、当該移行元のアプリケーション「電話帳」は、図4及び図5の例に基づきタイプ1と判定されたものとすると、図8Aに示される重み付けの例により、2.0*0.6+1.5*0.2+2.0*0.2=1.9となる。
【0069】
図6に戻り、ステップS610において、移行元のアプリケーションのそれぞれに対する類似アプリケーションのそれぞれの点数が算出されると、ステップS612に進む。
【0070】
ステップS612において、移行元のアプリケーションのタイプ毎に、類似アプリケーションのうち点数の上位から所定の推薦数だけ推薦対象として推薦する。例えば、図8Aの例では、タイプ1のアプリケーションについては最上位の類似アプリケーションを、タイプ2のアプリケーションについては上位から10番目までの類似アプリケーションを推薦する。推薦されたアプリケーションは、例えば移行先端末102上に表示することができる。当該上位所定数は任意に定めることができるが、好ましくは、タイプ1の推薦アプリケーションの数は、タイプ2と比べて相対的に低く設定される。
【0071】
以上により、移行元端末でのアプリケーションの利用習慣を反映して、類似アプリケーションを推薦することができる。特に、タイプ1に分類されるような日常使用のアプリケーションに対しては、類似度による重み付けを重く設定し、推薦数を絞ることで、ユーザのニーズに合った類似アプリケーションを推薦できる。また、タイプ2に分類されるような興味のある分野のアプリケーションに対しては、利用者数が多く評価の高い類似アプリケーションを多数推薦することで、ユーザの嗜好にあった推薦を行うことができる。
【0072】
なお、所定の類似度より低いアプリケーションを除外することで候補を絞り込むステップS604は、実行されなくても良い。すなわち、移行先で利用可能なアプリケーション全てを対象として、点数の計算を行っても良い。このようにすることで、全てのアプリケーションを漏れなく評価対象とすることができる。
【0073】
また、ステップS610において、類似度、利用者数及びユーザ評価を点数算出のために用いているが、この何れかのみを評価として用いても良く、また、その他の同等な指標を加えても良い。
【0074】
(7.変形例)
以下に、変形例であるアプリケーション推薦端末906について説明を行う。
【0075】
図9は、変形例であるアプリケーション推薦端末902を含む通信システム9の概要である。アプリケーション推薦端末902は、移行先の通信端末上に構成される。移行元アプリケーション情報908及び利用可能アプリケーション情報910は、一般にネットワーク904を通じてアクセス可能な外部サーバ906に格納されるか、又は当該端末902内に保管される。
【0076】
このようなアプリケーション推薦端末902は、図2及び図3と同等のハードウェア構成及び機能を備え、図4、図6と同等の処理を実行することにより、先述のアプリケーション推薦装置200と同等の効果を有する。すなわち、移行元端末でのアプリケーションの利用習慣を反映して、当該端末上で、利用できる類似アプリケーションを推薦することができる。
【符号の説明】
【0077】
200 アプリケーション推薦装置
310 通信部
320 移行元アプリケーション情報格納部
330 タイプ判定部
340 利用先アプリケーション情報取得部
350 移行先アプリケーション情報格納部
360 点数取得部
370 推薦アプリケーション出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移行元である第一の端末とOSが異なる移行先端末である第二の端末で利用可能なアプリケーションを推薦するアプリケーション推薦装置であって、
前記第一の端末に導入されている第一のアプリケーションのタイプを、
前記第一のアプリケーションの利用履歴と、
前記第一のアプリケーションのカテゴリに属する前記第一の端末に導入されているアプリケーションの数と、
の組み合わせにより判定するタイプ判定部と、
前記第一のアプリケーションと前記第二の端末で利用可能な複数の第二のアプリケーションの夫々との類似度を利用して、前記第二のアプリケーションの夫々の、推薦する順序を決めるための点数を算出する点数算出部と、
タイプ毎に異なる上限数以下の一つ以上の第二のアプリケーションを前記点数の順にタイプ毎に決定し、決定された前記第二のアプリケーションの情報を出力する推薦アプリケーション出力部と、
を有する、アプリケーション推薦装置。
【請求項2】
前記タイプは、
前記第一のアプリケーションの利用回数の、前記第一の端末に導入されている全てのアプリケーションの利用回数に対する割合が、所定の値以上である第一のタイプ、
該第一のタイプに属さず、前記第一のアプリケーションと同じカテゴリに属するアプリケーションの数の、前記第一の端末に導入されている全てのアプリケーションの数に対する割合が所定の値以上である第二のタイプ、及び
前記何れのタイプにも属さない第三のタイプ
の何れかであることを特徴とする、請求項1に記載のアプリケーション推薦装置。
【請求項3】
前記推薦アプリケーション出力部は、
前記第一のタイプに係る上限数は、前記第二のタイプに係る上限数より少なく、
前記第三のタイプに属するアプリケーションの推薦は行わない
ことを特徴とする、請求項2に記載のアプリケーション推薦装置。
【請求項4】
前記点数は、前記類似度に加えて、前記第二のアプリケーションの利用者数及びユーザ評価を利用して算出される
ことを特徴とする、請求項1乃至3何れか一項に記載のアプリケーション推薦装置。
【請求項5】
前記点数は、前記類似度、前記第二のアプリケーションの利用者数及びユーザ評価に基づいて点数を算出する際に、前記タイプごとに異なる重み付けがなされて算出される
ことを特徴とする、請求項4に記載のアプリケーション推薦装置。
【請求項6】
前記アプリケーション推薦装置は、前記第一の端末及び前記第二の端末と通信可能なサーバ上に構成される
ことを特徴とする、請求項1乃至5何れか一項に記載のアプリケーション推薦装置。
【請求項7】
前記アプリケーション推薦装置は、前記第二の端末上に構成される
ことを特徴とする、請求項1乃至5何れか一項に記載のアプリケーション推薦装置。
【請求項8】
移行元である第一の端末とOSが異なる移行先端末である第二の端末で利用可能なアプリケーションを推薦するアプリケーション推薦方法であって、
前記第一の端末に導入されている第一のアプリケーションのタイプを、
前記第一のアプリケーションの利用履歴と、
前記第一のアプリケーションのカテゴリに属する前記第一の端末に導入されているアプリケーションの数と、
の組み合わせにより判定するタイプ判定段階と、
前記第一のアプリケーションと前記第二の端末で利用可能な複数の第二のアプリケーションの夫々との類似度を利用して、前記第二のアプリケーションの夫々の、推薦する順序を決めるための点数を算出する点数算出段階と、
タイプ毎に異なる上限数以下の一つ以上の第二のアプリケーションを前記点数の順にタイプ毎に決定し、決定された前記第二のアプリケーションの情報を出力する推薦アプリケーション出力段階と、
を有する、アプリケーション推薦方法。
【請求項9】
請求項8に記載のアプリケーション推薦方法をコンピュータに実行させるアプリケーション推薦プログラム。
【請求項1】
移行元である第一の端末とOSが異なる移行先端末である第二の端末で利用可能なアプリケーションを推薦するアプリケーション推薦装置であって、
前記第一の端末に導入されている第一のアプリケーションのタイプを、
前記第一のアプリケーションの利用履歴と、
前記第一のアプリケーションのカテゴリに属する前記第一の端末に導入されているアプリケーションの数と、
の組み合わせにより判定するタイプ判定部と、
前記第一のアプリケーションと前記第二の端末で利用可能な複数の第二のアプリケーションの夫々との類似度を利用して、前記第二のアプリケーションの夫々の、推薦する順序を決めるための点数を算出する点数算出部と、
タイプ毎に異なる上限数以下の一つ以上の第二のアプリケーションを前記点数の順にタイプ毎に決定し、決定された前記第二のアプリケーションの情報を出力する推薦アプリケーション出力部と、
を有する、アプリケーション推薦装置。
【請求項2】
前記タイプは、
前記第一のアプリケーションの利用回数の、前記第一の端末に導入されている全てのアプリケーションの利用回数に対する割合が、所定の値以上である第一のタイプ、
該第一のタイプに属さず、前記第一のアプリケーションと同じカテゴリに属するアプリケーションの数の、前記第一の端末に導入されている全てのアプリケーションの数に対する割合が所定の値以上である第二のタイプ、及び
前記何れのタイプにも属さない第三のタイプ
の何れかであることを特徴とする、請求項1に記載のアプリケーション推薦装置。
【請求項3】
前記推薦アプリケーション出力部は、
前記第一のタイプに係る上限数は、前記第二のタイプに係る上限数より少なく、
前記第三のタイプに属するアプリケーションの推薦は行わない
ことを特徴とする、請求項2に記載のアプリケーション推薦装置。
【請求項4】
前記点数は、前記類似度に加えて、前記第二のアプリケーションの利用者数及びユーザ評価を利用して算出される
ことを特徴とする、請求項1乃至3何れか一項に記載のアプリケーション推薦装置。
【請求項5】
前記点数は、前記類似度、前記第二のアプリケーションの利用者数及びユーザ評価に基づいて点数を算出する際に、前記タイプごとに異なる重み付けがなされて算出される
ことを特徴とする、請求項4に記載のアプリケーション推薦装置。
【請求項6】
前記アプリケーション推薦装置は、前記第一の端末及び前記第二の端末と通信可能なサーバ上に構成される
ことを特徴とする、請求項1乃至5何れか一項に記載のアプリケーション推薦装置。
【請求項7】
前記アプリケーション推薦装置は、前記第二の端末上に構成される
ことを特徴とする、請求項1乃至5何れか一項に記載のアプリケーション推薦装置。
【請求項8】
移行元である第一の端末とOSが異なる移行先端末である第二の端末で利用可能なアプリケーションを推薦するアプリケーション推薦方法であって、
前記第一の端末に導入されている第一のアプリケーションのタイプを、
前記第一のアプリケーションの利用履歴と、
前記第一のアプリケーションのカテゴリに属する前記第一の端末に導入されているアプリケーションの数と、
の組み合わせにより判定するタイプ判定段階と、
前記第一のアプリケーションと前記第二の端末で利用可能な複数の第二のアプリケーションの夫々との類似度を利用して、前記第二のアプリケーションの夫々の、推薦する順序を決めるための点数を算出する点数算出段階と、
タイプ毎に異なる上限数以下の一つ以上の第二のアプリケーションを前記点数の順にタイプ毎に決定し、決定された前記第二のアプリケーションの情報を出力する推薦アプリケーション出力段階と、
を有する、アプリケーション推薦方法。
【請求項9】
請求項8に記載のアプリケーション推薦方法をコンピュータに実行させるアプリケーション推薦プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【公開番号】特開2013−73524(P2013−73524A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213524(P2011−213524)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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