説明

アポトーシス促進剤を含有する固体分散体

アポトーシス促進性固体分散体は、本質的に非結晶形態で、Bcl−2ファミリータンパク質阻害化合物、例えば、ABT−263を、(a)薬学的に許容される水溶性ポリマー担体および(b)薬学的に許容される界面活性剤を含む固体マトリックス中に分散させて含む。このような固体分散体を調製する方法は、該化合物、該ポリマー担体および該界面活性剤を適切な溶媒に溶解させる工程、ならびに溶媒を除去して、ポリマー担体および界面活性剤を含み、その中に本質的に非結晶形態で分散させた化合物を有する固体マトリックスを与える工程を含む。該固体分散体は、それを必要としている対象への、1種または複数の抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質の過剰発現を特徴とする疾患、例えば、癌の治療のための経口投与に適切である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年6月8日に出願された米国仮出願第61/185,105号明細書の優先権の利益を主張する。
【0002】
相互参照は、本出願に関連した主題を含む以下の同時出願された米国出願に対してなされる:2009年6月8日に出願された米国仮出願第61/185,130号明細書の優先権の利益を主張する、「Bcl−2ファミリー阻害剤の経口投与のための医薬剤形(Pharmaceutical dosage form for oral administration of a Bcl−2 family inhibitor)」と表題された、2010年6月8日に出願された出願第12/796,000号明細書。
【0003】
上記出願のそれぞれの開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
本発明は、アポトーシス促進剤を含有する固体分散体、このような分散体を含む医薬剤形、このような分散体および剤形を調製するための方法、ならびに抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質の過剰発現を特徴とする疾患を治療するためのその使用の方法に関する。
【背景技術】
【0005】
アポトーシスの回避は、癌の顕著な特徴である(Hanahan & Weinberg(2000年)Cell 100:57−70頁)。癌細胞は、DNA損傷、腫瘍遺伝子活性化、異常な細胞周期進行、および正常な細胞にアポトーシスを受けさせる過酷な微環境などの細胞のストレスによる絶え間のない攻撃を克服しなければならない。癌細胞がアポトーシスを回避する主要な手段の一つは、Bcl−2ファミリーの抗アポトーシスタンパク質の上流制御による。
【0006】
Bcl−2タンパク質のBH3結合溝を占める化合物が、例えば、Brunckoら(2007年)J.Med.Chem.50:641−662頁によって記載されている。これらの化合物は、以下の式:
【0007】
【化1】

を有し、別にABT−737として知られる、N−(4−(4−((4’−クロロ−(1,1’−ビフェニル)−2−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(ジメチルアミノ)−1−((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)−3−ニトロベンゼン−スルホンアミドを含んでいる。
【0008】
ABT−737は、Bcl−2ファミリー(特に、Bcl−2、Bcl−XおよびBcl−w)のタンパク質に高い親和性(K<1nM)で結合する。それは、小細胞肺癌(SCLC)およびリンパ系腫瘍に対して単剤活性を示し、他の化学療法剤のアポトーシス促進効果を増強する。ABT−737および関連化合物、ならびにこのような化合物を製造する方法は、Brunckoらの米国特許出願公開第2007/0072860号明細書に開示されている。
【0009】
最近になって、さらなる一連の化合物が、Bcl−2ファミリータンパク質に高い結合親和性を有することが確認された。これらの化合物、およびこれらを製造する方法は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Brunckoらの米国特許出願公開第2007/0027135号明細書(本明細書では、「’135公報」)に開示されており、ABT−737に構造的に関係していることが以下のそれらの式からわかる。
【0010】
’135公報では、従来知られているBcl−2ファミリータンパク質の阻害剤は、強力な細胞効力または経口投与後の高い全身曝露を有し得るが、それらは両方の特性を有するわけではないことが記載されている。化合物の細胞効力の通常の尺度は、50%細胞効果(EC50)をもたらす濃度である。化合物の経口投与後の全身曝露の通常の尺度は、経口投与後の時間に対する血漿中化合物濃度をグラフにすることから得られる曲線下の面積(AUC)である。従来知られた化合物(それは、’135公報に記載されている)は、低いAUC/EC50比を有し、それらが経口的に有効でないことを意味する。対照的に、上記式の化合物は、細胞効力および経口投与後の全身曝露に関して増強された特性を示し、従来知られた化合物のものよりも有意に高いAUC/EC50比をもたらすことが述べられている。
【0011】
’135公報における「実施例1」として同定された1つの化合物は、別にABT−263として知られている、N−(4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−5,5−ジメチル−1−シクロヘキサ−1−エン−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(モルホリン−4−イル)−1−((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)−3−((トリフルオロメチル)スルホニル)ベンゼンスルホンアミドである。この化合物は、974.6g/molの分子量を有し、式:
【0012】
【化2】

を有する。
【0013】
ABT−263は、Bcl−2およびBcl−Xに高い親和性(<1nM)で結合し、Bcl−wに対して同様に高い親和性を有すると考えられる。そのAUC/EC50比は、’135公開において、ABT−737について報告されたもの(4.5)より大きい、オーダーを超える56と報告されている。’135公報によるAUCの決定に関して、それぞれの化合物は、PEG−400(平均分子量約400のポリエチレングリコール)中10%DMSO(ジメチルスルホキシド)のビヒクル中2mg/ml溶液として、ラットに強制経口投与により5mg/kg単回用量で投与された。
【0014】
経口生物学的利用能(例えば、静脈内投与後のAUCのパーセントとしての経口投与後のAUCで表して)は、’135公開で報告されていないが、これから、ABT−737についてよりもABT−263について実質的により大きいことが結論づけられる。
【0015】
最近、Tseら(2008年)Cancer Res.68(9):3421−3428頁は、これに対する補足的データで、イヌモデルにおいて、PEG−400/DMSO中ABT−263溶液の経口生物学的利用能は、22.4%であり、60%Phosal(商標)PG(ホスファチジルコリン+プロピレングリコール)、30%PEG−400および10%エタノール中ABT−263溶液のそれは、47.6%であることを報告した。
【0016】
酸化反応は、特に溶液中で製剤化される場合、医薬品の重要な分解経路を代表する。酸化は、分子酸素による基質の無触媒自動酸化、光分解開始、均一熱開裂、および金属触媒反応を含む、多くの経路で起こり得る。様々な官能基は、酸化に対して特定の感受性を示す。特に、チオエーテルは、硫黄原子に対してα位での水素引抜きを介して、または直接もしくは一電子転移過程を介したα−ペロキシル基の付与によって分解し得、これは、スルフィドをスルフィン、スルホン、またはスルホキシドに変換する(Hovorka & Schoneich(2001年)J.Pharm.Sci.90:253−269頁)。
【0017】
’135公報で開示された化合物(ABT−263を含む)によって持たれる(フェニルスルファニル)メチル基は、チオエーテル結合を有することがわかり、これは、例えば、酸素、または反応性酸素種、例えば、超過酸化物、過酸化水素もしくはヒドロキシルラジカルなどの存在下で酸化に感受性である。’135公報は、そこに開示された化合物を投与するために有用であると言われる広範囲な添加剤のリスト中に酸化防止剤を含んでいる。
【0018】
しかし、活性成分の酸化に対してあまり感受性でない医薬組成物が有利である。さらに、’135公報またはTseら(2008年)、上掲の溶液組成物よりもより高い活性成分の負荷が可能である組成物が有利である。さらに、’135公報およびTseら(2008年)、上掲で開示されたとおりの液体製剤は、味覚または他の理由のために経口的に摂取することは不快であり得、これらの理由のために患者の薬剤順守の問題を提示し得る;したがって、固体状態の組成物が有益である。
【0019】
ABT−263を含む’135公報の化合物の非常に低い水溶解性は、特に、胃腸管の水媒体での溶解性に強く依存している許容される経口生物学的利用能を維持する必要性がある場合、製剤業者にとって課題を提起する。低い経口生物学的利用能の課題に対する様々な解決策が当技術分野で提案されてきた。例えば、Sharma & Joshi(2007年)Asian Journal of Pharmaceutics 1(1):9−19頁は、固体分散体の調製において様々な溶解性増強の方策を検討している。固体分散体を調製する溶媒蒸発方法は、その中に記載されており、実施例として、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)および活性成分を2−プロパノールに溶解させることを含む方法で調製された、エトリコキシブの固体分散に言及している。
【0020】
改善された療法が必要とされる疾患の特定のタイプは、非ホジキンリンパ腫(NHL)である。NHLは、米国における新規な癌の第6番目に最もよく見られるタイプであり、60−70歳の患者で主として起こる。NHLは、単独の疾患ではなく、臨床属性および組織学を含むいくつかの特徴に基づいて分類される関連疾患のファミリーである。
【0021】
分類の一方法は、異なる組織学的サブタイプを、疾患の自然史、すなわち、その疾患が無痛性または侵襲性であるかどうかに基づいて、2つの主な分類に判別するものである。一般に、無痛性サブタイプは、ゆっくりと成長し、一般的に不治であるが、一方、侵襲性サブタイプは、急速に成長し、潜在的に治癒可能である。濾胞性リンパ腫は、最も一般的な無痛性サブタイプであり、広範性の大細胞リンパ腫は、最も一般的な侵襲性サブタイプを構成する。腫瘍性タンパク質Bcl−2は、非ホジキンB細胞リンパ腫において当初は説明された。
【0022】
濾胞性リンパ腫の治療は通常、生物学的に基づいた化学療法または併用化学療法からなる。リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(R−CHOP)による併用療法は、リツキシマブ、シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(RCVP)による併用療法と同様に、日常的に使用される。リツキシマブ(B細胞の表面に均一に発現されたホスホタンパク質である、CD20を標的とする)またはフルダラビンによる単剤療法も使用される。リツキシマブの化学療法レジメンへの追加は、応答率の改善および無進行生存率の増加を与え得る。
【0023】
放射免疫療法剤、大量化学療法および幹細胞移植は、難治性または再発性NHLを治療するために使用され得る。現在は、治癒をもたらす認可された治療レジメンはなく、現在の指針は、患者が、第一選択の設定においてさえも、臨床試験との関連で治療されることを薦めている。
【0024】
侵襲性大細胞型B細胞リンパ腫を患う患者の第一選択治療剤は通常、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン(R−CHOP)、または用量調整したエトポシド、プレジニゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびリツキシマブ(DA−EPOCH−R)からなる。
【0025】
大部分のリンパ腫は、初期にこれらの療法のいずれか一つに応答するが、腫瘍は通常、再発し、最終的に難治性になる。患者が受けるレジメンの数が増加するにつれて、疾患はますます化学療法耐性になる。第一選択治療剤に対する平均応答は、約75%、第二選択治療剤に対して約60%、第三選択治療剤に対して約50%、および第四選択治療剤に対して約35から40%である。複数回再発設定において単剤で20%に近づく応答率は、陽性と考えられ、さらなる研究を正当化する。
【0026】
現在の化学療法剤は、種々の機構によってアポトーシスを誘導することによってそれらの抗腫瘍応答を誘発する。しかし、多くの腫瘍が結局はこれらの薬剤に耐性となる。Bcl−2およびBcl−Xは、インビトロおよび最近になってインビボでの短期間生存アッセイにおける化学療法耐性を与えることが示された。これは、Bcl−2およびBcl−Xの機能の抑制を目的とした改良療法が開発され得る場合、このような化学療法耐性は、成功裏に克服され得ることを示唆する。
【0027】
Bcl−2およびBcl−XなどのBcl−2ファミリータンパク質を標的とするアポトーシス促進薬は、治療有効範囲の濃度を維持するために継続的な、例えば、毎日の、血漿中濃度の補充を与える計画によって最善で投与される。これは、連日の非経口、例えば、静脈内(i.v.)または腹腔内(i.p.)投与によって達成され得る。しかし、連日の非経口投与は、しばしば臨床現場、特に外来患者に対して実際的ではない。例えば、癌患者の化学療法薬として、アポトーシス促進剤の臨床上の有用性を高めるために、許容される経口生物学的利用能を有する固体剤形が非常に望まれている。このような剤形、およびその経口投与のためのレジメンは、NHLを含む、多くの種類の癌の治療で重要な進歩を代表するものであり、他の化学療法薬との併用療法をより容易に可能にするであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0072860号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0027135号明細書
【非特許文献】
【0029】
【非特許文献1】Hanahan & Weinberg(2000年)Cell 100:57−70頁
【非特許文献2】Brunckoら(2007年)J.Med.Chem.50:641−662頁
【非特許文献3】Tseら(2008年)Cancer Res.68(9):3421−3428頁
【非特許文献4】Hovorka & Schoneich(2001年)J.Pharm.Sci.90:253−269頁
【非特許文献5】Sharma & Joshi(2007年)Asian Journal of Pharmaceutics 1(1):9−19頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0030】
本質的に非結晶(例えば、非晶質)形態で、式I:
【0031】
【化3】

(式中:
は、クロロまたはフルオロであり;
(1)Xは、アゼパン−1−イル、モルホリン−4−イル、1,4−オキサゼパン−4−イル、ピロリジン−1−イル、−N(CH、−N(CH)(CH(CH)、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イルもしくは2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−イルであり;Rは、
【0032】
【化4】

(式中、
は、−CH−、−C(CH−または−CHCH−であり;
およびXは、両方とも−Hまたは両方ともメチルであり;
は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。)
であり;または
(2)Xは、アゼパン−1−イル、モルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル、−N(CH)(CH(CH)もしくは7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イルであり;Rは、
【0033】
【化5】

(式中、X、XおよびXは、上記のとおりである。)
であり;または
(3)Xは、モルホリン−4−イルもしくは−N(CHであり;Rは、
【0034】
【化6】

(式中、Xは上記のとおりである。)
である。)
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくは代謝産物を;(a)薬学的に許容される水溶性ポリマー担体および(b)薬学的に許容される界面活性剤を含む固体マトリックス中に分散させて含む固体分散体が提供される。
【0035】
さらに、このような固体分散体を、場合によって1種または複数のさらなる添加剤と一緒に含む固体の経口的に送達可能な剤形が提供される。
【0036】
なおさらに、上記のとおりの固体分散体を調製する方法が提供される。この方法は、
(a)(i)式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくは代謝産物、(ii)薬学的に許容される水溶性ポリマー担体および(iii)薬学的に許容される界面活性剤を含む活性医薬成分(API)を適切な溶媒に溶解させる工程;
(b)該溶媒を除去して、該ポリマー担体および該界面活性剤を含み、その中に本質的に非結晶形態で分散させた該化合物またはその塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくは代謝産物を有する固体マトリックスを与える工程
を含む。
【0037】
完成固体分散体中に存在する化合物は、それを調製するために使用されるAPIにおけるのと同じ化学形態(例えば、遊離の塩基または塩)であり得る。代替として、該方法は、該化合物が遊離の塩基から塩にまたはその逆に変換される1つまたは複数のさらなる工程を含む。特定の実施形態では、APIは、式Iの化合物の塩(例えば、結晶塩)であり、その完成固体分散体は、遊離の塩基形態で該化合物を含有する。この実施形態によれば、該方法はさらに、溶媒を除去する前に、塩を遊離の塩基に変換するための塩基を添加し、および場合によって、得られた混合物からこのような変換の副生成物(例えば、塩の副生成物)を抽出する工程を含む。
【0038】
なおさらに、上記の方法によって調製される固体分散体が提供される。
【0039】
さらになお、アポトーシスの機能不全および/または抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質の過剰発現を特徴とする疾患を治療する方法であって、該疾患を有する患者に、治療有効量の上記のとおりの固体分散体またはこのような分散体を含む1種もしくは複数の固体剤形を経口投与する工程を含む方法が提供される。このような疾患の例には、癌を含む多くの腫瘍性疾患を含む。本方法によって治療され得る癌の具体的な実例となるタイプは、非ホジキンリンパ腫(NHL)である。本方法によって治療され得る癌の別の具体的な実例となるタイプは、慢性リンパ性白血病である。本方法によって治療され得るさらに別の具体的な実例となるタイプは、例えば、小児科の患者における急性リンパ性白血病である。
【0040】
上記の本発明の実施形態のいずれかによれば、式Iの化合物は、実例としてABT−263またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくは代謝産物、例えば、ABT−263の遊離の塩基またはABT−263のビス塩酸塩(ABT−263ビス−HCl)である。
【0041】
なおさらに、ヒト癌患者、例えば、NHLを有する患者の血流において、ABT−263および/またはその1種もしくは複数の代謝産物の治療有効血漿濃度を維持する方法であって、該患者に、薬学的に許容される水溶性ポリマー担体および薬学的に許容される界面活性剤を含むマトリックス中、本質的に非結晶形態のABT−263またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、もしくは代謝産物(例えばABT−263遊離塩基またはABT−263ビス−HCl)の固体分散体を、1日当たり約50から約500mgのABT−263遊離塩基相当量に相当する投与量で約3時間から約7日間の平均投与間隔で経口投与する工程を含む方法が提供される。
【0042】
上に提供されたものの、さらに特定の態様を含む、本発明のさらなる実施形態は、以下の詳細な説明に見出されるまたはそれから明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例3に記載されたABT−263ビス−HClを含有する固体分散体の溶出速度に対する種々の界面活性剤の効果のグラフ表示の図である。
【図2】実施例3に記載されたABT−263遊離塩基を含有する固体分散体の溶出速度に対する種々の界面活性剤の効果のグラフ表示の図である。
【図3】実施例4に記載されたABT−263ビス−HClを含有する固体分散体の溶出速度に対する種々のポリマー担体の効果のグラフ表示の図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本開示による固体分散体は、通常は結晶形態よりもより溶解性である、本質的に非結晶または非晶質の形態で活性成分を含む。本明細書で「固体分散体」という用語は、別の固体状態の相に分散した一相の固体状態の小粒子を有する系を包含する。より詳細には、本固体分散体は、固体状態で不活性担体またはマトリックスに分散した1種または複数の活性成分を含み、溶融法もしくは溶媒法によって、または溶融法および溶媒法の組合せによって調製され得る。本発明によれば、本明細書で記載される溶媒法は、特に好まれており、ポリマー担体を溶融させることが必要な温度への曝露による活性成分の熱分解の危険を回避する。
【0045】
「非晶質形態」は、明確な構造をもたない、すなわち、結晶構造を欠いている粒子を指す。
【0046】
本明細書で「本質的に非結晶の」という用語は、約5%以下、例えば、約2%以下または約1%以下の結晶化度が、X線回折分析で観察されることを意味する。特定の実施形態では、検出可能な結晶化度が、X線回折分析または偏光顕微鏡検査の一方または両方で観察されない。
【0047】
本明細書で有用な、式Iの化合物(その塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩および代謝産物を含む)は通常、水に非常に低い溶解度、例えば、約100μg/ml未満、大部分の場合には約30μg/ml未満の溶解度を有する。本発明は、本質的に水に不溶性である、すなわち、約10μg/ml未満の溶解度を有する薬剤に特に有利であることができ、その理由は、本発明の方法が、このような難溶解性活性成分の見掛けの溶解度を増加させるからである。このような活性成分の例は、例えば、低い溶解度および低い浸透性を特徴とするBioPharmaceutics Classification System (BCS)クラスIVの薬剤物質である(「Waiver of in vivo bioavailability and bioequivalence studies for immediate−release solid oral dosage form based on a biopharmaccutics classification system」、アメリカ合衆国保健社会福祉省、食品医薬品局、医薬品評価研究センター(CDER)、2000年8月参照)。多くの化合物の水溶解度がpH依存性であり;このような化合物の場合、本明細書で重要な溶解度は、生理学的に関係したpH、例えば、約1から約8のpHであることが認められる。したがって、様々な実施形態では、該薬剤は、少なくとも1点で約1から約8の範囲のpHで、約100μg/ml未満、例えば、約30μg/ml未満、または約10μg/ml未満の水中での溶解度を有する。実例として、ABT−263は、pH2で、4μg/ml未満の水中での溶解度を有する。
【0048】
本発明の固体分散体は、活性成分として、上に定義されたとおりの式Iの化合物、またはこのような化合物の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくは代謝産物を含む。場合によって、それらはさらに、第2の活性成分、例えば、本明細書で以下に示されるとおりの、式Iの化合物との併用療法で有用な治療剤を含み得る。
【0049】
一実施形態では、該化合物は、Xがフルオロである式Iを有する。
【0050】
さらなる実施形態では、該化合物は、Xがモルホリン−4−イルである式Iを有する。
【0051】
なおさらなる実施形態では、該化合物は、R
【0052】
【化7】

(式中、Xは、−O−、−CH−、−C(CH−または−CHCH−であり;XおよびXは、両方とも−Hまたは両方ともメチルであり;Xは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。)
である式Iを有する。実例として、この実施形態によれば、Xは、−C(CH−であることができ、ならびに/またはXおよびXのそれぞれは、−Hであることができ、ならびに/またはXはクロロであることができる。
【0053】
なおさらなる実施形態では、該化合物は、R
【0054】
【化8】

(式中、Xは、−O−、−CH−、−C(CH−または−CHCH−であり;XおよびXは、両方とも−Hまたは両方ともメチルであり;Xは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。)
である式Iを有する。実例として、この実施形態によれば、Xは、−C(CH−であることができ、ならびに/またはXおよびXのそれぞれは、−Hであることができ、ならびに/またはXはクロロであることができる。
【0055】
なおさらなる実施形態では、該化合物は、Xがフルオロであり、Xがモルホリン−4−イルである式Iを有する。
【0056】
なおさらなる実施形態では、該化合物は、Xがフルオロであり、R
【0057】
【化9】

(式中、Xは、−O−、−CH−、−C(CH−または−CHCH−であり;XおよびXは、両方とも−Hまたは両方ともメチルであり;Xは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。)
である式Iを有する。実例として、この実施形態によれば、Xは、−C(CH−であることができ、ならびに/またはXおよびXのそれぞれは、−Hであることができ、ならびに/またはXはクロロであることができる。
【0058】
なおさらなる実施形態では、該化合物は、Xがモルホリン−4−イルであり、R
【0059】
【化10】

(式中、Xは、−O−、−CH−、−C(CH−または−CHCH−であり;XおよびXは、両方とも−Hまたは両方ともメチルであり;Xは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。)
である式Iを有する。実例として、この実施形態によれば、Xは、−C(CH−であることができ、ならびに/またはXおよびXのそれぞれは、−Hであることができ、ならびに/またはXはクロロであることができる。
【0060】
なおさらなる実施形態では、該化合物は、Xがフルオロであり、Xがモルホリン−4−イルであり、Rが、
【0061】
【化11】

(式中、Xは、−O−、−CH−、−C(CH−または−CHCH−であり;XおよびXは、両方とも−Hまたは両方ともメチルであり;Xは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。)
である式Iを有する。実例として、この実施形態によれば、Xは、−C(CH−であることができ、ならびに/またはXおよびXのそれぞれは、−Hであることができ、ならびに/またはXはクロロであることができる。
【0062】
式Iの化合物は、R−またはS−配置で非対称的に置換された炭素原子を含有し得;このような化合物は、ラセミ体として、または他方に対して一方の配置が過剰で、例えば、少なくとも約85:15のエナンチオマー比で存在し得る。該化合物は、実質的にエナンチオマーとして純粋であり、例えば、少なくとも約95:5、または一部の場合に少なくとも約98:2もしくは少なくとも約99:1のエナンチオマー比を有することができる。
【0063】
式Iの化合物は、代替的または追加的に、Z−またはE−配置における炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含み得、「Z」という用語は、より大きい置換基が、このような二重結合の同じ側にある配置を意味し、「E」という用語は、より大きい置換基が、二重結合の反対側にある配置を意味する。該化合物は、代替的にZ−およびE−異性体の混合物として存在し得る。
【0064】
式Iの化合物は、代替的または追加的に、プロトンが一つの原子から別の原子にシフトする互変異性体またはその平衡混合物として存在し得る。互変異性体の例には実例として、ケト−エノール、フェノール−ケト、オキシム−ニトロソ、ニトロ−アシ、イミン−エナミンなどが含まれる。
【0065】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、単独でまたは該化合物の塩もしくはプロドラッグ形態と一緒に、その親−化合物形態で固体分散体に存在する。
【0066】
式Iの化合物は、酸付加塩、塩基付加塩または双性イオンを形成し得る。式Iの化合物の塩は、該化合物の単離または次の精製の間に調製され得る。酸付加塩は、式Iの化合物と酸との反応由来のものである。例えば、式Iの化合物の酢酸塩、アジピン酸塩、アルギニン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリセロリン酸塩、グルタミン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、パラ−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩を含む塩が、本発明の組成物で使用され得る。化合物と、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムなどのカチオンの重炭酸塩、炭酸塩、水酸化物またはリン酸塩との反応由来のものを含む塩基付加塩も同様に使用され得る。
【0067】
式Iの化合物は通常、2個以上のプロトン化可能な窒素原子を有し、結果として、該化合物の当量当たり1を超える、例えば、約1.2から約2、約1.5から約2または約1.8から約2の当量の酸で酸付加塩を形成し得る。
【0068】
ABT−263は、同様に、酸付加塩、塩基付加塩または双性イオンを形成し得る。ABT−263の塩は、該化合物の単離または次の精製の間に調製され得る。ABT−263と酸との反応由来の酸付加塩には、上に列挙されたものが含まれる。上に列挙されたものを含む塩基付加塩も同様に使用され得る。ABT−263は、少なくとも2個のプロトン化可能な窒素原子を有し、結果として、該化合物の当量当たり1を超える、例えば、約1.2から約2、約1.5から約2または約1.8から約2の当量の酸で酸付加塩を形成し得る。
【0069】
実例として、ABT−263の場合、例えば、ビス塩酸塩(ビス−HCl)およびビス臭化水素酸塩(ビス−HBr)を含むビス−塩が形成され得る。
【0070】
例えば、分子量1047.5g/molを有し、式
【0071】
【化12】

で表されるABT−263ビス−HClは、様々な方法、例えば、以下のとおりに概略され得る方法によって調製され得る。
【0072】
ABT−263遊離塩基は、実例として、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる上に引用された米国特許出願公開第2007/0027135号の実施例1に記載されたとおりに調製される。適切な重量のABT−263遊離塩基は、酢酸エチルに溶解する。塩酸のエタノール中溶液(例えば、80gのEtOH中約4.3kgのHCl)を、ABT−263 1モル当たり少なくとも2モルのHClおよび得られたABT−263ビス−HCl塩の結晶化のために十分なEtOH(少なくとも約20容)を与える量でABT−263溶液に添加する。この溶液を撹拌しながら約45℃に加熱し、結晶種をEtOH中スラリーとして添加する。約6時間後、得られたスラリーを約1時間かけて約20℃に冷却し、この温度で約36時間混合する。スラリーをろ過して、ABT−263ビス−HClのエタノール溶媒和物である結晶固体を回収する。この固体を穏やかな撹拌とともに約8日間真空および窒素下で乾燥させることにより、白色の脱溶媒されたABT−263ビス−HCl結晶が生成する。この物質は、本発明のABT−263ビス−HClまたは(固体分散方法における塩から塩基への変換工程を含めることによって)ABT−263遊離塩基の製剤の調製のためのAPIとして適切である。
【0073】
「遊離塩基」という用語は、本明細書で便宜上、その親化合物を指すために使用されるが、一方では、親化合物は、厳格に言えば、双性イオン性であり、したがって、必ずしも真の塩基として反応を示すわけではないことを認める。
【0074】
式Iの化合物、およびこのような化合物を調製する方法は、そのそれぞれがその全体で参照により本明細書に組み込まれる、上に引用された米国特許出願公開第2007/0027135号および/または上に引用した米国特許出願公開第2007/0072860号に開示されている。本明細書で使用される置換基についての用語は、まさにそれらの公報で使用されるとおりに定義される。
【0075】
−NH、−C(O)OH、−OHまたは−SH部分を有する式Iの化合物は、それらに結合したプロドラッグ形成部分を有してもよく、これは、インビボでの代謝過程によって除去されて、遊離の−NH、−C(O)OH、−OHまたは−SH部分を有する親化合物を放出し得る。プロドラッグの塩も使用され得る。
【0076】
理論によって拘束されることなしに、式Iの化合物の治療効力は、タンパク質の抗アポトーシス作用を阻害する仕方で、例えば、タンパク質のBH3結合溝を占めることによって、Bcl−2、Bcl−XまたはBcl−wなどのBcl−2ファミリータンパク質に結合するそれらの能力に少なくとも部分的によると考えられる。一般に、Bcl−2ファミリータンパク質への高い結合親和性、例えば、約5nM以下、好ましくは約1nM以下のKを有する化合物を選択することが望ましいことが見出される。
【0077】
’135公報で開示された任意の特定の化合物を含む、本明細書で提供される固体分散体は、本発明の実施形態として明示的に意図される。
【0078】
より特定の実施形態では、該組成物は、ABT−263またはその塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくは代謝産物を含む。なおより特定の実施形態では、該組成物は、ABT−263の親化合物(すなわち、遊離塩基)またはその塩、プロドラッグもしくはプロドラッグの塩を含む。なおより特定の実施形態では、該組成物は、ABT−263の遊離塩基またはその塩を含む。さらにより特定の実施形態では、該組成物は、ABT−263遊離塩基またはABT−263ビス−HClを含む。
【0079】
その結晶の性質によって、ABT−263ビス−HClは通常、’135公報によって調製される場合に非晶質またはガラス質固体であるABT−263遊離塩基よりもAPIとして使用するためにより都合がよい。しかし、ABT−263が遊離塩基形態であるABT−263の固体分散製剤を提供する際に利点があり得、その理由は該薬剤が、製剤内でまたはそれからの放出直後に結晶化の影響をあまり受けやすくないからである。したがって、さらにより特定の実施形態では、該組成物は、ABT−263遊離塩基を含む。この実施形態では、必ずしも該組成物の調製においてAPIとして使用されるABT−263の遊離塩基の形態ではないことが強調される。
【0080】
式Iの化合物またはその塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくは代謝産物は、該組成物がそれを必要とする対象に適切なレジメンに従って投与される場合に治療的に有効であり得る量で、本発明の固体分散体中に存在する。投与量は、本明細書で、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、親−化合物−相当量(遊離塩基相当量)の量として表される。通常、適切な頻度で、例えば、1日2回から1週1回投与され得る単位用量(単回で投与される量)は、問題の化合物に依存して約10から約1,000mgである。投与の頻度が1日1回(q.d.)である場合、単位用量と1日用量は同じである。実例として、例えば、薬剤がABT−263である場合、単位用量は、典型的には約25から約1,000mg、より典型的には約50から約500mg、例えば、約50、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450または約500mgである。剤形が、固体分散体を囲むカプセルシェル、または固体分散体が他の成分と一緒に製剤化されている錠剤を含む場合、単位用量は、単一の剤形または複数の剤形、最も典型的には1から約10の剤形で送達可能であり得る。
【0081】
単位用量が高いほど、その中に相対的に高い濃度の薬剤を有する固体分散体を調製することがより望ましくなる。通常、固体分散体中の薬剤の濃度は、遊離塩基の相当重量で少なくとも約1%、例えば、約1%から約50%であるが、特定の場合には、より低いおよびより高い濃度が許容され得るまたは達成され得る。実例として、例えば、薬剤がABT−263である場合、様々な実施形態における薬剤濃度は、遊離塩基の相当重量で、少なくとも約2%、例えば、約2%から約50%、または少なくとも約5%、例えば、約5%から約40%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%もしくは約40%である。
【0082】
固体分散体製品のマトリックスの主な成分は、pH尺度の少なくとも一部で、より詳細には胃腸(GI)管で生じるpHで、親水性もしくは水溶性であるポリマー、またはこのようなポリマーの組合せである。本明細書で有用なポリマーまたはポリマー混合物は、周囲温度で固体であり、温度の範囲での良好な保存性のためには、製品の貯蔵、輸送および取扱いの間に通常受ける最も高い温度でさえも固体のままでなければならない。したがって、本明細書でその有用性を決定するポリマーの有用な特性は、そのガラス転移温度(T)である。適切な水溶性ポリマーには、限定されるものではないが、少なくとも約50℃、より詳細には約80℃から約180℃のTを有するものが含まれる。有機ポリマーのT値を決定する方法は、例えば、Sperling編(1992年)「Introduction To Physical Polymer Science」、第2版、John Wiley & Sons,Inc.に記載されている。
【0083】
本明細書で有用なポリマー担体の非限定的な例には、以下が含まれる:
・N−ビニルラクタムのホモポリマーおよびコポリマー、特にN−ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、例えば、ホモポリマーのポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)、ならびにN−ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのモノマーを含むもの(コポビドン)またはN−ビニルピロリドンおよびプロピオン酸ビニルのモノマーを含むものなどのコポリマー;
・セルロースエステルおよびセルロースエーテル、特にメチルセルロース、エチルセルロース、(ヒドロキシアルキル)セルロース(ヒドロキシプロピルセルロースなど)、(ヒドロキシアルキル)アルキルセルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCまたはヒプロメロース)など)、フタル酸セルロースおよびコハク酸セルロース(酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC−AS)など);
・高分子量ポリアルキレンオキシド、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、およびエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー(ポロキサマー);
・ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、例えば、メタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸/メチルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸ブチル/メタクリル酸2−ジメチルアミノエチルコポリマー、ポリ(ヒドロキシアルキルアクリレート)およびポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート);
・ポリアクリルアミド;
・酢酸ビニルポリマー、例えば、酢酸ビニルとクロトン酸のコポリマー、部分的に加水分解したポリ酢酸ビニル(部分的鹸化「ポリビニルアルコール」とも称される)およびポリビニルアルコール;
・オリゴ糖および多糖類、例えば、カラギーナン、ガラクトマンナンおよびキサンタンガム;
ならびにこれらの2種以上の混合物。
【0084】
一実施形態では、固体分散体マトリックスは、コポビドン、ポビドンおよびHPMC−ASからなる群から選択される1種または複数のポリマー担体を含む。有用なコポビドンの特定の例は、約60%のN−ビニルピロリドンおよび約40%の酢酸ビニルのモノマーからなるものである。有用なポビドンの特定の例は、約30のK−値(ポビドンの水溶液の粘度の測定値)を有するものである。
【0085】
1種または複数のポリマー担体は、通常、固体分散体の重量によって、合計で約20%から約90%、例えば、約40%から約85%を構成する。
【0086】
経口投与およびGI流体への曝露後に、理論によって拘束されることなしに、固体分散体のポリマー担体と界面活性剤成分間との間の相互作用によって、活性成分の適切な放出速度、および結晶化または再結晶化の抑制が提供され、それにより生物吸収が可能になると考えられる。
【0087】
本明細書で界面活性剤として特に有用なものは、薬学的に許容される非イオン界面活性剤、特に約12から約18、例えば、約13から約17、または約14から約16の親水性−親油性バランス(HLB)値を有するものである。HLB系(Fiedler(2002年)Encyclopedia of Excipients、第5版、Aulendorf:ECV−Editio−Cantor−Verlag)は、数値を界面活性剤に帰するものとし、親油性物質は比較的低いHLB値を得、親水性物質は比較的高いHLB値を得る。
【0088】
本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の非限定的な例には、以下が含まれる:
・ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、例えば、PEG−35ヒマシ油(例えば、BASF Corp.のCremophor EL(商標)または同等品)、PEG−40水素化ヒマシ油(例えば、Cremophor RH(商標)40または同等品)およびPEG−60水素化ヒマシ油(例えば、Cremophor RH(商標)60または同等品);
・ソルビタンの脂肪酸モノエステル、例えば、ソルビタンモノオレエート(例えば、SPan(商標)80または同等品)、ソルビタンモノステアレート(例えば、Span(商標)60または同等品)、ソルビタンモノパルミテート(例えば、Span(商標)40または同等品)およびソルビタンモノラウレート(例えば、Span(商標)20または同等品);
・ポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸モノエステル(ポリソルベート)、例えば、PEG−20ソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80、例えば、Tween(商標)80または同等品)、PEG−20ソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60、例えば、Tween(商標)60またはその同等品)、PEG−20ソルビタンモノパルミテート(ポリソルベート40、例えば、Tween(商標)40または同等品)、またはPEG−20ソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20、例えば、Tween(商標)20または同等品);
・ポリオキサマー、例えば、ポリオキサマー124、ポリオキサマー188、ポリオキサマー237、ポリオキサマー388またはポリオキサマー407;
・α−トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGSまたはビタミンEポリエチレングリコールスクシネート、米国国民医薬品集を参照);
およびそれらの2種以上の混合物。
【0089】
1種または複数の界面活性剤は通常、固体分散体の重量によって、合計で約2%から約25%、例えば、約5%から約20%を構成する。
【0090】
本発明の剤形は、上記のとおりの固体分散体からなり(または本質的になり)得る。しかし、一部の実施形態では、剤形は、さらなる添加剤を含有し、固体分散体のさらなる処理を必要とする。例えば、固体分散体は、このような剤形で従来使用され得るさらなる添加剤と一緒に、粉末に粉砕されて、カプセルシェル中に充填され得る、または成形もしくは圧縮されて錠剤を形成し得る。
【0091】
したがって、本発明の経口的に送達可能な固体剤形には、限定されるものではないが、カプセル剤、糖衣錠剤、顆粒剤、丸剤、散剤および錠剤が含まれる。このような剤形を製剤化するために一般に使用される添加剤には、カプセル化物質または製剤添加物、例えば、吸着促進剤、酸化防止剤、結合剤、緩衝剤、被覆剤、着色剤、賦形剤、崩壊剤、乳化剤、増量剤、充填剤、芳香剤、保湿剤、潤沢剤、防腐剤、推進剤、離型剤、滅菌剤、甘味剤、可溶化剤およびこれらの混合物が含まれる。特定の添加剤の例には、寒天、アルギン酸、水酸化アルミニウム、安息香酸ベンジル、1,3−ブチレングリコール、ヒマシ油、セルロース、酢酸セルロース、ココアバター、トウモロコシデンプン、トウモロコシ油、綿実油、エタノール、酢酸エチル、炭酸エチル、エチルセルロース、エチルラウレート、エチルオレエート、ゼラチン、胚芽油、グルコース、グリセロール、挽いた堅果油、イソプロパノール、等張性生理食塩水、ラクトース、水酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、麦芽、オリーブ油、ピーナッツ油、リン酸カリウム塩、バレイショデンプン、プロピレングリコール、タルク、トラガカント、水、紅花油、ゴマ油、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム塩、ダイズ油、ショ糖、テトラヒドロフルフリルアルコール、およびこれらの混合物が含まれる。
【0092】
上記のとおりの固体分散体を調製する溶媒法は、API、ポリマー担体および界面活性剤を適切な溶媒に溶解させる工程;および該溶媒を除去し、該固体分散体を与える工程を含む。場合によって、APIが塩形態であり、遊離塩基形態で薬剤の固体分散体を与えることが望まれる場合、塩基は溶媒除去前に添加され、APIのその対応する遊離塩基への変換を行う。例えば、APIがABT−263ビス−HClである場合、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、重炭酸ナトリウム(NaHCO)、重炭酸カリウム(KHCO)または重炭酸アンモニウム(NHHCO)などの塩基を、APIの1モル当たり少なくとも2モルの量で添加することにより、APIのABT−263遊離塩基への変換を生じさせ得る。無機塩副生成物、実例としてNaCl、KClまたはNHClは、製品中にそのまま残り得るまたは場合によって溶媒除去前に抽出される。
【0093】
溶解工程では、様々な成分は、任意の順序で添加され得る。例えば、それぞれの成分は、別個に溶媒に添加され、次いで、その中で溶解させ得る。代替として、ポリマー担体および/または界面活性剤は、APIと前混合され、次いで得られた混合物は、溶媒に添加され得る。しかし、一般に、該方法が、インサイチューでの塩から遊離塩基への変換を含む場合、API塩および塩基を溶媒に最初に添加し、次いで(場合によって塩副生成物の抽出後)ポリマー担体および界面活性剤を添加することが都合よいことが見出される。
【0094】
原理上は、活性成分、ポリマー担体および界面活性剤を溶解させるのに有効である限り、任意の溶媒が使用され得る。有用であり得る溶媒の非限定的な例には、メタノール、エタノール、アセトンおよびこれらの混合物が含まれる。場合によって、共溶媒が含まれ得る。
【0095】
溶媒除去前にNaCl、KClまたはNHClなどの塩副生成物を抽出することが望まれる場合、塩副生成物が不溶性であり、それにより、ろ過による塩副生成物の抽出が可能になる溶媒が選択され得る。
【0096】
溶媒除去は、熱、真空またはこれらの組合せを用いて行われ得る。熱が用いられる場合、一般に、ポリマーマトリックスのガラス転移温度(T)を超えることを回避することが好ましい。ほとんどの目的にとって、約50℃から約80℃、例えば、約55℃から約75℃の温度で加熱することが、適切であることが見出される。溶媒除去後、得られた生成物は、(必要に応じて)周囲温度に冷却される。
【0097】
さらなる方法の詳細は、以下の実施例1および実施例2の例示的な方法に見出され得る。
【0098】
本明細書で、「経口的に送達可能な」、「経口投与」および「経口投与された」という用語は、対象への経口での(p.o.)投与、すなわち、該組成物が、例えば、適切な容量の水または他の飲用に適した液体の補助で、直ちに嚥下される投与を指す。「経口投与」は、本明細書で、該組成物の即時の嚥下を必要としない口内投与、例えば、舌下もしくは頬側投与または歯周組織などの口内組織への局所投与と区別される。
【0099】
活性成分の形態(例えば、遊離塩基または塩)、ポリマー担体、界面活性剤および他の場合による成分は、選択されるべきであり、これらの成分の相対量は、経口投与される場合に許容される生物吸収を有する固体分散体または剤形を与えるように使用されるべきである。このような生物吸収は、例えば、固体分散体または剤形の薬物動態学的(PK)プロファイルによって、より詳細には、CmaxまたはAUC、例えば、特定の用量でまたは用量の範囲にわたってのAUC0 24またはAUC0 ∞によって証明され得る。実例として、生物学的利用能は、例えば、経口用量とi.v.用量の間の任意の差を考慮にいれて、適切な溶媒中の薬剤の静脈内(i.v.)送達に対するAUCのパーセントとして試験組成物の経口送達についてのAUCを計算するパラメータFを用いて、パーセントとして表され得る。
【0100】
生物学的利用能は、ヒトまたは任意の適切なモデル種におけるPK試験によって決定され得る。本目的のために、以下の実施例5で実例として記載されるとおりに、イヌモデルが一般に適切である。薬剤がABT−263である様々な例示的な実施形態では、本発明の組成物は、絶食または非絶食動物に約2.5から約10mg/kgの単回用量として投与される場合、イヌモデルにおいて、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%または少なくとも約30%、約50%までまたはそれを超える経口生物学的利用能を示す。
【0101】
本明細書で包含される組成物は、本明細書で一般的にまたは特定することによって記載される組成物を含めて、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくは代謝産物である薬剤を対象に経口的に送達するために有用である。したがって、このような薬剤を対象に送達するための本発明の方法は、上記のとおりの組成物を経口投与する段階を含む。
【0102】
対象は、ヒトまたは非ヒト(例えば、家畜、動物園の動物、労働用動物もしくはペット、またはモデルとして使用される実験動物)であることができるが、重要な実施形態では、対象は、例えば、アポトーシス機能不全および/または抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質の過剰発現を特徴とする疾患を治療する薬剤を必要としているヒト患者である。ヒト対象は、男性または女性、および任意の年齢であることができる。患者は通常、成人であるが、本発明の方法は、小児科の患者における白血病、例えば、急性リンパ球性白血病などの小児癌を治療するために有用であり得る。
【0103】
該組成物は通常、薬剤の治療的に有効な1日用量を与える量で投与される。本明細書で「1日用量」という用語は、投与の頻度にかかわらず、1日当たり投与される薬剤の量を意味する。例えば、対象が、1日2回150mgの単位用量を受ける場合、その1日用量は300mgである。「1日用量」という用語の使用は、特定の投与量が1日1回必ず投与されることを意味しないと理解される。しかし、特定の実施形態では、投与頻度は、1日1回(q.d.)であり、その1日用量および単位用量は、この実施形態では同じものである。
【0104】
治療的に有効な用量を構成することは、特定の化合物、対象(対象の種および体重を含む)、治療される疾患(例えば、特定のタイプの癌)、疾患の病期および/または重症度、化合物の個々の患者の耐容性(該化合物が、単剤療法でまたは1種または複数の他の薬剤、例えば、癌の治療のための他の化学療法剤との併用で投与されるかにかかわらず)、ならびに他の要因に依存する。したがって、1日用量は、十分なゆとりの範囲内、例えば、約10から約1,000mgで変わり得る。より多いまたはより少ない1日用量が、特定の状況で適切であり得る。本明細書での「治療的に有効な」用量の本明細書での説明は、たとえ単回のこのような用量が投与されるとしても、薬剤が治療的に有効であることを必ずしも要せず;通常、治療効力は、適切な頻度および投与の期間を含むレジメンに従って反復して投与される組成物に依存することが理解される。選択される1日用量が、癌の治療に関して利益を与えるのに十分であるが、それは、許容されないまたは耐容されない程度に有害な副作用を引き起こすのに十分であってはならないことが極めて好ましい。適切な治療的に有効な用量は、上記したものなどの要因を考慮にいれて、本明細書での開示および本明細書で引用された技術に基づいて、過度の実験なしに通常の技術の医師によって選択され得る。医師は、例えば、比較的低い1日用量で癌患者に治療過程を始めさせ、有害な副作用の危険を低減させるために数日または数週間の期間、用量を徐々に増量し得る。
【0105】
実例として、ABT−263の適切な用量は、一般に、約3時間から約7日間、例えば、約8時間から約3日間、または約12時間から約2日間の平均投与間隔で投与して、約25から約1,000mg/日、より典型的には約50から約500mg/日または約200から約400mg/日、例えば、約50、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450または約500mg/日である。ほとんどの場合、1日1回(q.d.)の投与レジメンが適切である。
【0106】
本明細書で「平均投与間隔」は、時間の期間、投与される単位用量の回数で除したその時間の期間、例えば、1日間または1週間と定義される。例えば、薬剤が、1日3回、午前8時頃、正午頃および午後6時頃投与される場合、平均投与間隔は、8時間(24時間の期間を3で除した)である。薬剤が、錠剤またはカプセルなどの別個の剤形として製剤化されている場合、一度に投与される複数(例えば、2から約10)の剤形が、平均投与間隔を定義するための単位用量と考えられる。
【0107】
薬剤化合物がABT−263、例えば、ABT−263遊離塩基またはABT−263ビス−HClの形態である場合、1日投与量および投与間隔は、一部の実施形態では、約0.5から約10μg/mlの範囲のABT−263の血漿中濃度を維持するように選択され得る。したがつて、このような実施形態によるABT−263治療の過程の間に、定常状態の最大血漿中濃度(Cmax)は、一般に約10μg/mlを超えてはならず、定常状態の最小血漿中濃度(Cmin)は、一般に約0.5μg/ml未満に減少してはならない。さらに、上に与えられた範囲内で、定常状態で約5以下、例えば、約3以下のCmax/Cmin比を与えるのに有効な1日投与量および平均投与間隔を選択することが望ましいことが見出される。
【0108】
投与間隔が長いほど、より大きなCmax/Cmin比をもたらす傾向があることが理解される。実例として、定常状態で、約3から約8μg/mlのABT−263のCmaxおよび約1から約5μg/mlのCminが、本方法によって標的とされ得る。CmaxおよびCminの定常値は、例えば、限定されるものではないが、米国食品医薬品局(FDA)などの規制機関に容認されるものを含む標準プロトコルに従って行われるヒトPK試験で確立され得る。
【0109】
組成物がカプセルの形態である場合、通常は、嚥下過程を助ける水または他の飲用可能な液体の補助で、1から少ない複数のカプセルが、全部嚥下され得る。適切なカプセルシェルの物質には、限定されないが、ゼラチン(硬質ゼラチンカプセルまたは軟質弾性ゼラチンカプセルの形態での)、デンプン、カラギーナンおよびHPMCが含まれる。
【0110】
本発明の組成物は、わずかな食物効果のみを示すと考えられるので、本実施形態による投与は、食物と一緒または一緒でなしに、すなわち、非絶食または絶食の状態であることができる。一般に、本組成物を非絶食患者に投与することが好ましい。
【0111】
本発明の組成物は、単剤療法、または、例えば、他の化学療法剤もしくは電離放射線との併用療法での使用に適切である。本発明の特定の利点は、1日1回レジメンで他の経口投与される薬剤で治療を受けている患者に都合のよいレジメンである、1日1回経口投与を可能にすることである。経口投与は、患者の彼/彼女自身によって、または患者の家庭における介護人によって容易に行われ;それはまた、病院または収容ケア環境の患者のための投与の都合のよい経路である。
【0112】
併用療法は実例として、本発明の組成物、例えば、ボルテゾミブ、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、デキサメタゾン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、フルダラビン、イリノテカン、パクリタキセル、ラパマイシン、リツキシマブ、ビンクリスチンなどの1種または複数と、例えば、CHOP(シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾン)、RCVP(リツキシマブ+シクロホスファミド+ビンクリスチン+プレドニゾン)、R−CHOP(リツマキシブ+CHOP)またはDA−EPOCH−R(用量調整したエトポシド、プレドニゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシンおよびリツキシマブ)などの多剤療法と同時に、ABT−263を含むような組成物の投与を含む。
【0113】
本発明の組成物、例えば、ABT−263を含むような組成物は、限定されるものではないが、アルキル化剤、血液形成阻害剤、抗体、抗代謝産物、抗分裂剤、抗増殖剤、抗ウイルス剤、オーロラキナーゼ阻害剤、他のアポトーシス促進剤(例えば、Bcl−xL、Bcl−wおよびBfl−1阻害剤)、細胞死受容体経路の活性化剤、Bcr−Ablキナーゼ阻害剤、BiTE(二重特異性T細胞誘引体)抗体、抗体−薬物複合体、生物反応調節剤、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤、細胞周期阻害剤、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、二重可変ドメイン結合タンパク質(DVD)、ヒト上皮増殖因子受容体2(ErbB2またはHER/2neu)受容体阻害剤、成長因子阻害剤、熱ショックタンパク質(HSP)−90阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ホルモン療法、免疫剤、アポトーシスタンパク質阻害剤(IAP)、挿入抗生物質、キナーゼ阻害剤、キネシン阻害剤、JAK2阻害剤、哺乳類ラパマイシン標的(mTOR)阻害剤、マイクロRNA、マイトジェン−活性化細胞外シグナル−制御キナーゼ(MEK)阻害剤、多価結合タンパク質、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、ポリ−ADP(アデノシンジホスフェート)−リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、白金化学療法薬、ポロ−様キナーゼ(Plk)阻害剤、ホスホイノシチド−3キナーゼ(PI3K)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、プリン類似体、ピリミジン類似体、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、レチノイド、デルトイド、植物アルカロイド、阻害的低分子リボ核酸(siRNA)、トポイソメラーゼ阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤などを含む1種または複数の治療剤との併用療法で投与され得る。
【0114】
BiTE抗体は、2つの細胞を同時に結合させることによって、T細胞に癌細胞を攻撃するように方向づける二重特異性抗体である。次いで、T細胞は、標的癌細胞を攻撃する。BiTE抗体の例には、限定されるものではないが、アデカツムマブ(Micromet MT201)、ブリナツモマブ(Micromet MT103)などが含まれる。理論に制限されることなしに、T細胞がそれによって標的癌細胞のアポトーシスを誘発する機構の一つは、パーフォリンおよびグランザイムBを含む細胞障害性顆粒成分の開口放出による。この点で、Bcl−2は、パーフォリンおよびグランザイムBの両方によるアポトーシスの誘導を弱めることが示された。これらのデータは、癌細胞に対して標的化される場合、Bcl−2の阻害は、T細胞によって誘発される細胞毒性効果を増強させ得ることを示唆する(Suttonら(1997年)J.Immunol.158:5783−5790頁)。
【0115】
siRNAは、内因性RNA塩基または化学的に修飾されたヌクレオチドを有する分子である。この修飾は、細胞活性をなくさず、むしろ安定性の増加および/または細胞能力の増加を与える。化学修飾の例には、ホスホロチオエート基、2’−デオキシヌクレオチド、2’−OCH−含有リボヌクレオチド、2’−F−リボヌクレオチド、2’−メトキシエチルリボヌクレオチド、これらの組合せなどが含まれる。siRNAは、様々な長さ(例えば、10−200bps)および構造(例えば、ヘアピン、一本/二本鎖、バルジ、ニック/ギャップ、ミスマッチ)を有し得、細胞中で処理されて、活性な遺伝子サイレンシングを与える。二本鎖siRNA(dsRNA)は、それぞれの鎖(平滑末端)または非対称末端(オーバーハング)上に同じ数のヌクレオチドを有し得る。1−2ヌクレオチドのオーバーハングは、センスおよび/またはアンチセンス鎖上に存在し、同様に、所与の鎖の5’−および/または3’−末端上に存在し得る。例えば、Mcl−1を標的とするsiRNAは、種々の腫瘍細胞株でABT−263またはABT−737の活性を増強することが示された(Tseら(2008年)Cancer Res.68:3421−3428頁およびその中の引用文献)。
【0116】
多価結合タンパク質は、2つ以上の抗原結合部位を含む結合タンパク質である。多価結合タンパク質は、3つ以上の抗原結合部位を有するように操作され、一般に天然起源の抗体ではない。「多特異的結合タンパク質」という用語は、2つ以上の関連したまたは関連しない標的に結合することができる結合タンパク質を意味する。二重可変ドメイン(DVD)結合タンパク質は、2つ以上の抗原結合部位を含むタンパク質に結合する四価または多価の結合タンパク質である。このようなDVDは、単一特異性(すなわち、1つの抗原に結合することができる)または多特異性(すなわち、2個以上の抗原に結合することができる)であり得る。2本の重鎖DVDポリペプチドおよび2本の軽鎖DVDポリペプチドを含むDVD結合タンパク質は、DVD Igと称される。DVD Igのそれぞれの半分は、重鎖DVDポリペプチド、軽鎖DVDポリペプチド、および2つの抗原結合部位を含む。それぞれの結合部位は、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含み、抗原結合部位当たり合計6つのCDRが抗原結合に関与している。
【0117】
アルキル化剤には、アルトレタミン、AMD−473、AP−5280、アパジコン、ベンダムスチン、ブロスタリシン、ブスルファン、カルボコン、カルムスチン(BCNU)、クロラムブシル、Cloretazine(商標)(ラロムスチン、VNP 40101M)、シクロホスファミド、デカルバジン、エストラムスチン、フォテムスチン、グルホスファミド、イホスファミド、KW−2170、ロムスチン(CCNU)、マホスファミド、メルファラン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ニムスチン、ナイトロジェンマスタードN−オキシド、ラニムスチン、テモゾロミド、チオテパ、トレオスルファン、トロホスファミドなどが含まれる。
【0118】
血管形成阻害剤には、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤、内皮−特異的受容体チロシンキナーゼ(Tie−2)阻害剤、インスリン成長因子−2受容体(IGFR−2)阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ−2(MMP−2)阻害剤、マトリックスメタロプロテアーゼ−9(MMP−9)阻害剤、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)阻害剤、トロンボスポンジン類似体、血管内皮成長因子受容体チロシンキナーゼ(VEGFR)阻害剤などが含まれる。
【0119】
代謝拮抗剤には、Alimta(商標)(ペメトレキセド二ナトリウム、LY231514、MTA)、5−アザシチジン、Xeloda(商標)(カペシタビン)、カルモフール、Leustat(商標)(クラドリビン)、クロファラビン、シタラビン、シタラビンオクホスフェート、シトシンアラビノシド、デシタビン、デフェロキサミン、ドキシフルリジン、エフロルニチン、EICAR(5−エチニル−1−β−D−リボフラノシルイミダゾール−4−カルボキサミド)、エノシタビン、エテニルシチジン、フルダラビン、5−フルオロウラシル(5−FU)単独またはロイコボリンと併用、Gemzar(商標)(ゲムシタビン)、ヒドロキシウレア、Alkeran(商標)(メルファラン)、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、メトトレキセーテ、ミコフェノール酸、ネララビン、ノラトレキセド、オクホスフェート、ペリトレキソール、ペントスタチン、ラルチトレキセド、リバビリン、S−1、トリアピン、トリメトレキサート、TS−1、チアゾフリン、テガフール、ビダラビン、UFTなどが含まれる。
【0120】
抗ウイルス剤には、リトナビール、ヒドロキシクロロキンなどが含まれる。
【0121】
オーロラキナーゼ阻害剤には、ABT−348、AZD−1152、MLN−8054、VX−680、オーロラA−特異的キナーゼ阻害剤、オーロラB−特異的キナーゼ阻害剤、パン−オーロラキナーゼ阻害剤などが含まれる。
【0122】
ABT−263または本明細書における式Iの化合物以外のBcl−2ファミリータンパク質阻害剤には、AT−101((−)ゴシポール)、Genasense(商標)Bcl−2標的アンチセンスオリゴヌクレオチド(G3139またはオブリメルセン)、IPI−194、IPI−565、ABT−737、GX−070(オバトクラックス)などが含まれる。
【0123】
Bcr−Ablキナーゼ阻害剤には、ダサチニブ(BMS−354825)、Gleevec(商標)(イマチニブ)などが含まれる。
【0124】
CDK阻害剤には、AZD−5438、BMI−1040、BMS−387032、CVT−2584、フラボピリドール、GPC−286199、MCS−5A、PD0332991、PHA−690509、セリシクリブ(CYC−202またはR−ロスコビチン)、ZK−304709などが含まれる。
【0125】
COX−2阻害剤には、ABT−963、Arcoxia(商標)(エトリコキシブ)、Bextra(商標)(バルデコキシブ)、BMS−347070、Celebrex(商標)(セレコキシブ)、COX−189(ルミラコキシブ)、CT−3、Deramaxx(商標)(デラコキシブ)、JTE−522、4−メチル−2−(3,4−ジメチルフェニル)−1−(4−スルファモイルフェニル)−1H−ピロール、MK−663(エトリコキシブ)、NS−398、パレコキシブ、RS−57067、SC−58125、SD−8381、SVT−2016、S−2474、T−614、Vioxx(商標)(ロフェコキシブ)などが含まれる。
【0126】
EGFR阻害剤には、ABX−EGF、抗−EGFR免疫リポソーム、EGF−ワクチン、EMD−7200、Erbitux(商標)(セツキシマブ)、HR3、IgA抗体、Iressa(商標)(ゲフィチニブ)、Tarceva(商標)(エルロチニブまたはOSI−774)、TP−38、EGFR融合タンパク質、Tykerb(商標)(ラパチニブ)などが含まれる。
【0127】
ErbB2受容体阻害剤には、CP−724714、CI−1033(カネルチニブ)、Herceptin(商標)(トラスツズマブ)、Tykerb(商標)(ラパチニブ)、Omnitarg(商標)(2C4、ペツズマブ)、TAK−165、GW−572016(イオナファミブ)、GW−282974、EKB−569、PI−166、dHER2(HER2ワクチン)、APC−8024(HER2ワクチン)、抗−HER/2neu二重特異性抗体、B7.her2IgG3、AS HER2三官能二重特異性抗体、mAB AR−209、mAB 2B−1などが含まれる。
【0128】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤には、デプシペプチド、LAQ−824、MS−275、トラポキシン、サブクロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、TSA、バルプロ酸などが含まれる。
【0129】
HSP−90阻害剤には、17AAG、CNF−101、CNF−1010、CNF−2024、17−DMAG、ゲルダナマイシン、IPI−504、KOS−953、Mycograb(商標)(HSP−90に対するヒト組換え抗体)、nab−17AAG、NCS−683664、PU24FCl、PU−3、ラジシコール、SNX−2112、STA−9090、VER−49009などが含まれる。
【0130】
アポトーシスタンパク質の阻害剤には、HGS−1029、GDC−0145、GDC−0152、LCL−161、LBW−242などが含まれる。
【0131】
抗体−薬物複合体には、抗−CD22−MC−MMAF、抗−CD22−MC−MMAE、抗−CD22−MCC−DM1、CR−011−veMMAE、PSMA−ADC、MEDI−547、SGN−19A、SGN−35、SGN−75などが含まれる。
【0132】
細胞死受容体経路の活性化剤には、TRAIL、およびTRAIL、または細胞死受容体(例えば、DR4およびDR5)を標的とする抗体または他の薬剤、例えば、アポマブ、コナツムマブ、ETR2−ST01、GDC0145(レキサツムマブ)、HGS−1029、LBY−135、PRO−1762、トラスツズマブなどが含まれる。
【0133】
キネシン阻害剤には、Eg5阻害剤(AZD−4877およびARRY−520など)、CENPE阻害剤(GSK−923295Aなど)などが含まれる。
【0134】
JAK2阻害剤には、CEP−701(レサウルチニブ)、XL019、INCB−018424などが含まれる。
【0135】
MEK阻害剤には、ARRY−142886、ARRY−438162、PD−325901、PD−98059などが含まれる。
【0136】
mTOR阻害剤には、AP−23573、CCI−779、エベロリムス、RAD−001、ラパマイシン、テムシロリムス、ATP−競合性TORC1/TORC2阻害剤(PI−103、PP242、PP30およびTorin1を含む)などが含まれる。
【0137】
非ステロイド抗炎症薬には、Amigesic(商標)(サルサレート)、Dolobid(商標)(ジフルニサル)、Motrin(商標)(イブプロフェン)、Orudis(商標)(ケトプロフェン)、Relafen(商標)(ナブメトン)、Feldene(商標)(ピロキシカム)、イブプロフェン軟膏、Aleve(商標)およびNaprosyn(商標)(ナプロキセン)、Voltaren(商標)(ジクロフェナック)、Indocin(商標)(インドメタシン)、Clinoril(商標)(スリンダク)、Tolectin(商標)(トルメチン)、Lodine(商標)(エトドラク)、Toradol(商標)(ケトロラク)、Daypro(商標)(オキサプロジン)などが含まれる。
【0138】
PDGFR阻害剤には、CP−673451、CP−868596などが含まれる。
【0139】
白金化学療法薬には、シスプラチン、Eloxatin(商標)(オキサリプラチン)、エプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、Paraplatin(商標)(カルボプラチン)、ピコプラチン、サトラプラチンなどが含まれる。
【0140】
ポロ−様キナーゼ阻害剤には、BI−2536などが含まれる。
【0141】
ホスホイノシチド−3キナーゼ阻害剤には、ウォルトマンニン、LY−294002、XL−147、CAL−120、ONC−21、AEZS−127、ETP−45658、PX−866、GDC−0941、BGT226、BEZ235、XL765などが含まれる。
【0142】
トロンボスポンジン類似体には、ABT−510、ABT−567、ABT−898、TSP−1などが含まれる。
【0143】
VEGFR阻害剤には、Avastin(商標)(ベバシズマブ)、ABT−869、AEE−788、Angiozyme(商標)(血管形成を阻害するリボザイム(Ribozyme Pharmaceuticals(Boulder,CO)およびChiron(Emeryville,CA))、アキシチニブ(AG−13736)、AZD−2171、CP−547632、IM−862、Macugen(商標)(パガプタニブ)、Nexavar(商標)(ソラフェニブ、BAY43−9006)、パゾパニブ(GW−786034)、バタラニブ(PTK−787またはZK−222584)、Sutent(商標)(スニチニブまたはSU−11248)、VEGFトラップ、Zactima(商標)(バンデタニブまたはZD−6474)などが含まれる。
【0144】
抗生物質には、挿入性抗生物質、例えば、アクラルビシン、アクチノマイシンD、アムルビシン、アンナマイシン、Adriamycin(商標)(ドキソルビシン)、Blenoxane(商標)(ブレオマイシン)、ダウノルビシン、Caelyx(商標)およびMyocet(商標)(リポソーマルドキソルビシン)、エルサミトルシン、エピルビシン、グラルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ネモルビシン、ネオカルジノスタチン、ペプロマイシン、ピラルビシン、レベッカマイシン、スチマラマー、ストレプトゾシン、Valstar(商標)(バルルビシン)、ジノスタチンなどが含まれる。
【0145】
トポイソメラーゼ阻害剤には、アクラルビシン、9−アミノカンプトテシン、アモナフィド、アムサクリン、ベカテカリン、ベロテカン、BN−80915、Camptosar(商標)(イリノテカン塩酸塩)、カンプトテシン、Cardioxane(商標)デクスラゾキサン)、ジフロモテカン、エドテカリン、Ellence(商標)およびPharmorubicin(商標)(エピルビシン)、エトポシド、エクサテカン、10−ヒドロキシカンプトテシン、ジャイマテカン、ラルトテカン、ミトキサントロン、オラテシン、ピラルブシン、ピクサトロン、ルビテカン、ソブゾキサン、SN−38、タフルポシド、トポテカンなどが含まれる。
【0146】
抗体には、Avastin(商標)(ベバシズマブ)、CD40−特異的抗体、chTNT−1/B、デノスマブ、Erbitux(商標)(セツキシマブ)、Humax−CD4(商標)(ザノリムマブ)、IGFIR−特異的抗体、リンツズマブ、Panorex(商標)(エドレコロマブ)、Rencarex(商標)(WX G250)、Rituxan(商標)(リツキシマブ)、チシリムマブ、トラスツズマブ、CD20抗体タイプIおよびIIなどが含まれる。
【0147】
ホルモン療法には、Arimidex(商標)(アナストロゾール)、Aromasin(商標)(エクセメスタン)、アルゾキシフェン、Casodex(商標)(ビカルタミド)、Cetrotide(商標)(セトロレリックス)、デガレリックス、デスロレリン、Desopan(商標)(トリロスタン)、デキサメタゾン、Drogenil(商標)(フルタミド)、Evista(商標)(ラロキシフェン)、Afema(商標)(ファドロゾール)、Fareston(商標)(トレミフェン)、Faslodex(商標)(フルベストラント)、Femara(商標)(レトロゾール)、フォルメスタン、グルココルチコイド、Hectorol(商標)(ドキセルカルシフェロール)、Renagel(商標)(セベラマーカーボネート)、ラソフォキシフェン、酢酸ロイプロリド、Megace(商標)(メゲストロール)、Mifeprex(商標)(ミフェプリストン)、Nilandron(商標)(ニルタミド)、Nolvadex(商標)(クエン酸タモキシフェン)を含むタモキシフェン、Plenaxis(商標)(アバレリックス)、プレドニゾン、Propecia(商標)(フィナステリド)、リロスタン、Suprefact(商標)(ブセレリン)、Trelstar(商標)(トリプトレリン)を含む黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、Vantas(商標)(ヒストレリンインプラント)を含むヒストレリン、Modrastane(商標)(トリロスタン)、Zoladex(商標)(ゴセレリン)などが含まれる。
【0148】
デルトイドおよびレチノイドには、セオカルシトール(EB1089またはCB1093)、レキサカルシトール(KH1060)、フェンレチニド、Panretin(商標)(アリトレチノイン)、Atragen(商標)(リポソマール トレチノイン)を含むトレチノイン、Targretin(商標)(ベキサロテン)、LGD−1550などが含まれる。
【0149】
PARP阻害剤には、ABT−888、オラパリブ、KU−59436、AZD−2281、AG−014699、BSI−201、BGP−15、INO−1001、ONO−2231などが含まれる。
【0150】
植物アルカロイドには、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビンなどが含まれる。
【0151】
プロテアソーム阻害剤には、Velcade(商標)(ボルテゾミブ)、MG132、NPI−0052、PR−171などが含まれる。
【0152】
免疫剤の例には、インターフェロンおよび他の免疫増強剤が含まれる。インターフェロンには、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ−1a、Actimmune(商標)(インターフェロンガンマ−1b)、インターフェロンガンマ−n1、これらの組合せなどが含まれる。他の薬剤には、Alfaferone(IFN−α)、BAM−002(酸化グルタチオン)、Beromun(商標)(タソネルミン)、Bexxar(商標)(トシツモマブ)、Campath(商標)(アレムツズマブ)、CTLA4(細胞毒性リンパ球抗原4)、デカルバジン、デニロイキン、クプラツズマブ、Granocyte(商標)(レノグラスチム)、レンチナン、ロイコサイトアルファインターフェロン、イミキモド、MDX−010(抗CTLA−4)、メラノーマワクチン、ミツモマブ、モルグラモスチム、Mylotarg(商標)(ゲムツズマブオゾガミシン)、Neupogen(商標)(フィルグラスチム)、OncoVAC−CL、Ovarex(商標)(オレゴボマブ)、ペムツモマブ(Y−muHMFG1)、Provenge(商標)(シプロイセル−T)、サルガラモスチム、シゾフィラン、テセロイキン、Theracys(商標)(BCGまたはカルメット−ゲラン桿菌)、ウベニメクス、Virulizin(商標)(免疫療法剤、Lorus Pharmaceuticals)、Z−100(Maruyamaの特定物質またはSSM)、WF−10(テトラクロロデカオキシドまたはTCDO)、Proleukin(商標)(アルデスロイキン)、Zadaxin(商標)(サイマルファシン)、Zenapax(商標)(ダクリズマブ)、Zevalin(商標)(90Y−イブリツモマブチウキセタン)などが含まれる。
【0153】
生物応答調節剤は、生体の防御機構または、組織細胞の生存、成長もしくは分化などの生物応答を、それらが抗腫瘍活性を有するように方向づけるように調節する薬剤であり、これには、クレスチン、レンチナン、シゾフィラン、ピシバニル、PF−3512676(CpG−8954)、ウベニメクスなどが含まれる。
【0154】
ピリミジン類似体には、シタラビン(シトシンアラビノシド、アラCまたはアラビノシドC)、ドキシフルリジン、Fludara(商標)(フルダラビン)、5−FU(5−フルオロウラシル)、フロクスウリジン、Gemzar(商標)(ゲムシタビン)、Tomudex(商標)(ラルチトレキセド)、トリアセチルウリジン、Troxatyl(商標)(トロキサシタビン)などが含まれる。
【0155】
プリン類似体には、Lanvis(商標)(チオグアニン)、Purinethol(商標)(メルカプトプリン)などが含まれる。
【0156】
抗分裂剤には、バタブリン、エポチロンD(KOS−862)、N−(2−((4−ヒドロキシ−フェニル)アミノ)ピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼンスルホンアミド、イクサベピロン(BMS−247550)、パクリタキセル、Taxotere(商標)(ドセタキセル)、ラロタキセル(PNU−100940、RPR−109881またはXRP−9881)、パツピロン、ビンフルニン、ZK−EPO(合成エポチロン)などが含まれる。
【0157】
ユビキチンリガーゼ阻害剤には、MDM2阻害剤(ヌトリンなど)、NEDD8阻害剤(MLN4924など)などが含まれる。
【0158】
本発明の組成物は、放射線治療の効力を増強させる放射線感受性増強物質としても使用され得る。放射線治療の例には、限定されるものではないが、外照射治療(XBRT)、遠隔治療、近接照射治療、密封線源放射線治療、非密封線源放射線治療などが含まれる。
【0159】
追加的または代替的に、本発明の組成物は、Abraxane(商標)(ABI−007)、ABT−100(ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤)、Advexin(商標)(Ad5CMV−p53ワクチンまたはコンツスゲンラデノベック(contusugene ladenovec))、Altocor(商標)またはMevacor(商標)(ロバスタチン)、Ampligen(商標)(ポリ(I)−ポリ(C12U)、合成RNA)、Aptosyn(商標)(エキシスリンド)、Aredia(商標)(パミドロン酸)、アルグラビン、L−アスパラギナーゼ、アタメスタン(1−メチル−3,17−ジオン−アンドロスタ−1,4−ジエン)、Avage(商標)(タザロテン)、AVE−8062(コンブレタスタチン誘導体)、BEC2(ミツモマブ)、カケクチンまたはカケキシン(腫瘍壊死因子)、Canvaxin(商標)(メラノーマワクチン)、CeaVac(商標)(癌ワクチン)、Celeuk(商標)(セルモロイキン)、Ceplene(商標)(ヒスタミンジ二塩酸塩)を含むヒスタミン、Cervarix(商標)(AS04アジュバント+吸着ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン)、CHOP(Cytoxan(商標)(シクロホスファミド)+Adriamycin(商標)(ドキソルビシン)+Oncovin(商標)(ビンクリスチン)+プレドニゾン)、コンブレタスタチンA4P、Cypat(商標)(シプロテロン)、DAB(389)EGF(His−Alaリンカーを介してヒト上皮細胞成長因子に融合したジフテリア毒素の触媒および転移ドメイン)、ダカルバジン、ダクチノマイシン、Dimericine(商標)(T4N5リポソームローション)、5,6−ジメチルキサンテノン−4−酢酸(DMXAA)、ジスコデルモリド、DX−8951f(メシル酸エクサテカン)、エニルウラシル(エチニルウラシル)、Evizon(商標)(乳酸スクアラミン)を含むスクワラミン、エンザスタウリン、EPO−906(エポチロンB)、Gardasil(商標)(四価ヒトパピローマウイルス(タイプ6、11、16、18)組換えワクチン)、Gastrimmune(商標)、Genasense(商標)(オブリメルセン)、GMK(ガングリオシド結合型ワクチン)、GVAX(商標)(前立腺癌ワクチン)、ハロフジノン、ヒステレリン、ヒドロキシカルバミド、イバンドロン酸、IGN−101、IL−13−PE38、IL−13−PE38QQR(シントレデキンベスドトクス)、IL−13−シュードモナス外毒素、インターフェロン−α、インターフェロン−γ、Junovan(商標)およびMepact(商標)(ミファムルチド)、ロナファルニブ、5,10−メチレンテトラヒドロフォレート、ミルテフォシン(ヘキサデシルホスホコリン)、Neovastat(商標)(AE−941)、Neutrexin(商標)(グルクロン酸トリメトレキサート)、Nipent(商標)(ペントスタチン)、Onconase(商標)(ランピルナセ、リボヌクレアーゼ酵素)、Oncophage(商標)(ビテスペン、黒色腫ワクチン治療剤)、OncoVAX(商標)(IL−2ワクチン)、Orathecin(商標)(ルビテカン)、Osidem(商標)(抗体系細胞薬物)、Ovarex(商標)MAb(マウスモノクローナル抗体)、パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子、パクリタキセル、Pandimex(商標)(20(S)−プロトパナキサジオール(aPPD)および20(S)−プロトパナキサトリオール(aPPT)を含む朝鮮人参からのアグリコンサポニン)、パニツムマブ、Panvac(商標)−VF(治験癌ワクチン)、ペガスパルガーセ、ペグインターフェロンアルファ(PEGインターフェロンA)、フェノキソジオール、プロカルバジン、レビマスタット、Removab(商標)(カツマキソマブ)、Revlimid(商標)(レナリドミド)、RSR13(エファプロキシラル)、Somatuline(商標)LA(ランレオチド)、Soriatane(商標)(アシトレチン)、スタウロスポリン(ストレプトミセス・スタウロスポレス(Streptomyces staurospores))、タラボスタット(PT100)、Targretin(商標)(ベキサロテン)、Taxoprexin(商標)(ドコサヘキサエン酸(DHA)+パクリタキセル)、Telcyta(商標)(カンホスファミド、TLK−286)、Temodar(商標)(テモゾロミド)、テスミリフェン、テトランドリン、タリドミド、Theratope(商標)(STn−KLHワクチン)、Thymitaq(商標)(ノラトレキセド二塩酸塩)、TNFerade(商標)(アデノベクター:腫瘍壊死因子−αのための遺伝子を含有するDNAキャリア)、Tracleer(商標)またはZavesca(商標)(ボセンタン)、TransMID−107R(商標)(KSB−311、ジフテリア毒素)、トレチノイン(レチン−A)、Trisenox(商標)(三酸化ヒ素)、Ukrain(商標)(クサノオウ植物からのアルカロイドの誘導体)、Virulizin(商標)、Vitaxin(商標)(抗−αvβ3抗体)、Xcytrin(商標)(モテキサフィンガドリニウム)、Xinlay(商標)(アトラセンタン)、Xyotax(商標)(パクリタキセルポリグルメクス)、Yondelis(商標)(トラベクテジン)、ZD−6126(N−アセチルコルキノール−O−ホスフェート)、Zinecard(商標)(デクスラゾキサン)、ゾレドロン酸、ゾルビシンなどから選択される1種または複数の抗腫瘍剤または化学療法剤との併用療法で投与され得る。
【0160】
一実施形態では、本発明の組成物、例えば、ABT−263を含むような組成物は、それを必要としている対象に、その疾患の間に、抗アポトーシスBcl−2タンパク質、抗アポトーシスBcl−Xタンパク質および抗アポトーシスBcl−wタンパク質の1種または複数が過剰発現される疾患を治療するために治療有効量で投与される。
【0161】
別の実施形態では、本発明の組成物、例えば、ABT−263を含むような組成物は、それを必要としている対象に、異常細胞増殖および/または無調節なアポトーシスの疾患を治療するために治療有効量で投与される。
【0162】
このような疾患の例には、限定されるものではないが、癌、中皮腫、膀胱癌、膵癌、皮膚癌、頭部または頚部の癌、皮膚または眼内黒色腫、卵巣癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、膣癌、外陰癌、骨癌、結腸癌、直腸癌、肛門部癌、胃癌、胃腸(胃、結腸直腸および/または十二指腸)癌、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、睾丸癌、肝細胞(肝臓および/または胆管)癌、原発性または二次性中枢神経系腫瘍、原発性または二次性脳腫瘍、ホジキンス病、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞またはB細胞起源のリンパ系腫瘍、黒色腫、多発性骨髄腫、口腔癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎臓および/または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系新生物、原発性中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、膵臓癌、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫またはこれらの組合せが含まれる。
【0163】
より特定の実施形態では、本発明の組成物、例えば、ABT−263含有固体分散体を含むような組成物は、それを必要としている対象に、膀胱癌、脳腫瘍、乳癌、骨髄癌、子宮頚癌、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、大腸癌、食道癌、肝細胞癌、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞またはB細胞起源のリンパ系腫瘍、黒色腫、骨髄性白血病、骨髄腫、口腔癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌または脾臓癌を治療するために治療有効量で投与される。
【0164】
これらの実施形態のいずれかによれば、該組成物は、単独療法または1種もしくは複数のさらなる治療剤との併用療法で投与される。
【0165】
例えば、対象における中皮腫、膀胱癌、膵癌、皮膚癌、頭部または頚部の癌、皮膚または眼内黒色腫、卵巣癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、膣癌、外陰癌、骨癌、結腸癌、直腸癌、肛門部癌、胃癌、胃腸(胃、結腸直腸および/または十二指腸)癌、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、睾丸癌、肝細胞(肝臓および/または胆管)癌、原発性または二次性中枢神経系腫瘍、原発性または二次性脳腫瘍、ホジキンス病、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞またはB細胞起源のリンパ系腫瘍、黒色腫、多発性骨髄腫、口腔癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎臓および/または尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系新生物、原発性中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、膵臓癌、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫またはこれらの組合せを治療する方法は、該対象に(a)本発明の組成物、例えば、ABT−263を含むような組成物、および(b)エトポシド、ビンクリスチン、CHOP、リツキシマブ、ラパマイシン、R−CHOP、RCVP、DA−EPOCH−Rまたはボルテゾミブの1種または複数の治療有効量を投与する段階を含む。
【0166】
特定の実施形態では、本発明の組成物、例えば、ABT−263を含むような組成物は、それを必要としている対象に、B細胞リンパ腫または非ホジキンリンパ腫などのリンパ系腫瘍の治療のために、治療有効量のエトポシド、ビンクリスチン、CHOP、リツキシマブ、ラパマイシン、R−CHOP、RCVP、DA−EPOCH−Rもしくはボルテゾミブとの併用療法で、治療有効量で投与される。
【0167】
他の特定の実施形態では、本発明の組成物、例えば、ABT−263を含むような組成物は、それを必要としている対象に、慢性リンパ球性白血病または急性リンパ球性白血病の治療のために、単独療法でまたは治療有効量のエトポシド、ビンクリスチン、CHOP、リツキシマブ、ラパマイシン、R−CHOP、RCVP、DA−EPOCH−Rもしくはボルテゾミブとの併用療法で、治療有効量で投与される。
【0168】
本発明はまた、ヒト癌患者の血流中で、ABT−263および/またはその1種もしくは複数の代謝産物の治療的に有効な血漿中濃度を維持する方法であって、該対象に、薬学的に許容される水溶性ポリマー担体および薬学的に許容される界面活性剤を含むマトリックス中で本質的に非結晶形態のABT−263またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくは代謝産物(例えば、ABT−263遊離塩基またはABT−263ビス−HCl)の固体分散体を、1日当たり約50から約500mgのABT−263に相当する投与量で約3時間から約7日間の平均投与間隔で投与する段階を含む方法も提供する。
【0169】
治療的に有効な血漿中濃度を構成するものは、とりわけ、患者に存在する特定の癌、癌の病期、重症度および侵襲性、ならびに求められる結果(例えば、安定性、腫瘍増殖の減少、腫瘍縮小、転移のリスク減少など)に依存する。血漿中濃度が、癌を治療する点で利益を与えるのに十分であるが、一方で許容されないまたは耐容できない程度まで有害な副作用を引き起こすのに十分であってはならないことが非常に好ましい。
【0170】
一般に癌、特に非ホジキンリンパ腫などのリンパ系腫瘍の治療にとって、ABT−263の血漿中濃度は、ほとんどの場合に約0.5から約10μg/mlの範囲に維持されるべきである。したがって、ABT−263療法の過程の間に、定常状態のCmaxは、一般に約10μg/mlを超えてはならず、定常状態のCminは、一般に約0.5μg/ml未満に低下してはならない。さらに、上に与えられた範囲内で、定常状態で約5以下、例えば、約3以下のCmax/Cmin比を与えるのに有効な1日投与量および平均投与間隔を選択することが望ましいことが見出される。投与間隔が長いほど、より大きいCmax/Cmin比をもたらす傾向があることが理解される。実例として、定常状態で、約3から約8μg/mlのABT−263Cmaxおよび約1から約5μg/mlのCminが、本方法で目標とされ得る。
【0171】
治療的に有効なABT−263血漿中レベルを維持するために有効な1日投与量は、本実施形態によれば、約50から約500mgである。ほとんどの場合、適切な1日投与量は約200から約400mgである。実例として、1日投与量は、例えば、約50、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450または約500mgであり得る。
【0172】
治療的に有効なABT−263血漿中レベルを維持するために有効な平均投与間隔は、本実施形態によれば、約3時間から約7日間である。ほとんどの場合は、適切な平均投与間隔は、約8時間から約3日間、または約12時間から約2日間である。1日1回(q.d.)の投与レジメンがしばしば適切である。
【0173】
本実施形態について、ABT−263は、実例としてABT−263遊離塩基またはABT−263ビス−HCl、より特にABT−263遊離塩基の形態で医薬組成物中に存在する。上により十分に定義されたとおりの、本発明のいずれのABT−263組成物も使用され得る。
【0174】
他の実施形態におけるように、本実施形態による投与は、食物と一緒にまたはそれなしで、すなわち、非絶食または絶食状態であり得る。一般に、本組成物を非絶食患者に投与することが好ましい。
【0175】
(実施例)
以下の実施例は、単に説明に役立つためのものであり、本開示を決して限定するものではない。他の供給業者からの同等の成分で置き換えることができる、実施例で使用される商標を付した成分には、以下が含まれる:
ProSolv(商標)HD90(JRS Pharma製):シリコン処理した微結晶セルロース
Span(商標)20(Croda International PLC製):ソルビタンモノラウレート
Tween(商標)20(Uniqema製):ポリソルベート20界面活性剤;
Tween(商標)80(Uniqema製):ポリソルベート80界面活性剤。
【0176】
実施例で示されるABT−263の量のすべて(濃度および用量を含む)は、特に断らない限り、遊離塩基相当量として表す。ABT−263をビス−HCl塩として投与する場合、1.076mgのABT−263ビスHClは、1mgのABT−263遊離塩基相当量を与える。
【実施例1】
【0177】
ABT−263ビス−HClの固体分散体の調製
ABT−263ビス−HClの結晶塩を、以下の重量比で、界面活性剤および水溶性ポリマーと混合した:
10.8%ABT−263塩(10%遊離塩基相当量);10%界面活性剤;79.2%ポリマー
21.5%ABT−263塩(20%遊離塩基相当量);10%界面活性剤;68.5%ポリマー
32.3%ABT−263塩(30%遊離塩基相当量);10%界面活性剤;57.7%ポリマー
43%ABT−263塩(40%遊離塩基相当量);10%界面活性剤;47%ポリマー
【0178】
異なる組の界面活性剤は、TPGS、Span(商標)20またはTween(商標)20であった。異なる組のポリマーは、コポビドン(Kollidon(商標)VA64)、ポビドンK−30またはHPMC−ASであった。
【0179】
それぞれの場合の成分の混合物を、メタノールに溶解した。メタノールは、Genevac(商標)システムを用いて真空中65℃で除去し、得られた固体分散体は、周囲温度に冷却させた。
【0180】
それぞれの場合の固体分散体を、40−メッシュスクリーンで篩い分けし、粒径が減少した粉末を得た。得られた粉末は、示差走査熱量計(DSC)によるTの測定、熱重量分析(TGA)による残存溶媒および水分の測定、粉末X線回折(PXRD)による結晶性またはその欠如の特徴付け、および25℃/60%相対湿度(RH)および40℃/75%RHで保存した場合の物理的安定性の測定のために用いた。
【0181】
それぞれの場合の固体分散体粉末を、ProSolv(商標)HD90、クロスカルメロースナトリウムおよびフマル酸ステアリルナトリウムと、重量比82:15:2:1でブレンドした。得られたブレンドを、薬剤負荷に依存して、50mgのABT−263の単位用量を与える大きさの硬質ゼラチンカプセル中に充填した。そのカプセルを、USP装置IIを用いて、7.6mMのTween(商標)80を含有するpH6.5の緩衝媒体中の溶解について試験した(以下の実施例3を参照)。
【0182】
上記のとおりに調製したABT−263ビス−HClの試験した固体分散体のすべては、70−110℃の範囲でTを有することが見出された。TGAは、コポビドン/HPMC−AS分散体が、最小含水量(2−4%)を有し、ポビドン分散体は、用いた界面活性剤にかかわらず、最大含水量(8−10%)を有したことを示した。PXRDは、結晶性をまったく示さず、すなわち、ABT−263ビス−HClは、すべての固体分散体で非晶質であった。ポリマー担体としてHPMC−ASで調製したABT−263ビス−HCl固体分散体のみが、1カ月間許容できる保存性を示した。ポビドンまたはコポビドンを用いた場合、潮解の傾向が、25℃/60%RHおよび40℃/75%RHの両方で、開口皿保存性試験で観察された。
【実施例2】
【0183】
ABT−263遊離塩基の固体分散体の調製
ABT−263ビス−HClの結晶塩をアセトンに溶解させ、NaOHを添加して、ABT−263ビス−HClを遊離塩基に変換した。NaCl副生成物が沈殿し、ろ過により除去した。
【0184】
得られたアセトン中ABT−263遊離塩基の溶液に、以下の重量比で、界面活性剤および水溶性ポリマーを添加した:
10%ABT−263遊離塩基;10%界面活性剤;80%ポリマー
20%ABT−263遊離塩基;10%界面活性剤;70%ポリマー
30%ABT−263遊離塩基;10%界面活性剤;60%ポリマー
40%ABT−263遊離塩基;10%界面活性剤;50%ポリマー
【0185】
異なる組の界面活性剤は、TPGS、Span(商標)20またはTween(商標)20であった。異なる組のポリマーは、コポビドン(Kollidon(商標)VA64)またはHPMC−ASであった。
【0186】
アセトンを、Genevac(商標)システムを用いて真空中65℃で除去し、得られた固体分散体は、周囲温度に冷却させた。
【0187】
それぞれの場合の固体分散体を、40−メッシュスクリーンで篩い分けし、粒径が減少した粉末を得た。得られた粉末は、実施例1におけるとおりに、DSCによるTの測定、TGAによる残存溶媒および水分の測定、PXRDによる結晶性またはその欠如の特徴付け、ならびに25℃/60%RHおよび40℃/75%RHで保存した場合の物理的安定性の測定のために用いた。
【0188】
それぞれの場合の固体分散体粉末を、ProSolv(商標)、クロスカルメロースナトリウムおよびフマル酸ステアリルナトリウムと、重量比82:15:2:1でブレンドした。得られたブレンドを、薬剤負荷に依存して、50mgのABT−263の単位用量を与える大きさの硬質ゼラチンカプセル中に充填した。7.6mMのTween(商標)80を含有するpH6.5の緩衝媒体中の溶解について、カプセルを試験した(以下の実施例3を参照)。
【0189】
上記のとおりに調製したABT−263遊離塩基の試験した固体分散体のすべては、70−110℃の範囲でTを有することが見出された。TGAは、コポビドンおよびHPMC−AS分散体が、最小含水量(2−4%)を有することを示した。PXRDは、結晶性をまったく示さず、すなわち、ABT−263遊離塩基は、すべての固体分散体で非晶質であった。ポリマー担体としてコポビドンまたはHPMC−ASで調製したABT−263遊離塩基の分散体は、潮解の徴候なしで1カ月間許容できる保存性を示した。
【実施例3】
【0190】
固体分散体の溶解プロファイル
7.6mMのTween(商標)80を含有するpH6.5の緩衝媒体中の代表的な溶解(薬剤放出)プロファイルを図1(ABT−263ビス−HCl)および図2(ABT−263遊離塩基)に示す。
【0191】
図1に示すように、20%の薬剤負荷レベルで、68.5%コポビドンおよび10%TPGSと一緒のABT−263ビスHCl固体分散体は、約80%放出で平坦化する薬剤放出の中程度の速度を示した。界面活性剤としてSpan(商標)20または、特に、Tween(商標)20を有する同様の分散体からの放出は、それよりかなり遅かった。
【0192】
対照的に、図2に示すように、同じ20%の薬剤負荷レベルで、70%コポビドンおよび10%のTween(商標)20またはTPGSのいずれかと一緒のABT−263遊離塩基の固体分散体は、急速な薬剤放出を示した。Span(商標)20界面活性剤のみが、遊離塩基分散体の場合に、それよりかなり遅い放出をもたらした。
【0193】
放出速度は、ABT−263ビス−HClおよび遊離塩基の分散体製剤の両方で薬剤負荷依存性であり、20%分散体は、両方の場合で30%または40%分散体より速い放出を示した。
【0194】
ABT−263遊離塩基から調製した類似の固体分散体とは違って、ABT−263ビス−HCl、コポビドンおよびTween(商標)20を含有する固体分散体は、シェル形成を示した。このシェル形成は、カプセル充填プラグの表面上への薬剤の析出により引き起こされると考えられる。
【0195】
別個の試験において、5%コポビドンをHPMC−ASで置き換えたおよび置き換えないコポビドンマトリックス中のABT−263ビス−HClの固体分散体は、HPMC−ASの存在下でより遅い薬剤放出を示した。
【実施例4】
【0196】
ABT−263ビス−HCl分散体の溶解プロファイルに対するポリマー担体の作用
異なるポリマー担体を有する固体分散体を、溶解速度へのポリマー担体の影響を観察するために試験した。4つの固体分散体を、ABT−263ビス−HCl塩(20%遊離塩基相当量)、10%TPGSおよび以下のポリマー担体:
ポビドンのみ
50%ポビドン+50%コポビドン
25%ポビドン+75%コポビドン
コポビドンのみ
で調製した。
【0197】
4つの固体分散体の溶解プロファイルを図3に示す。薬剤放出速度は、ポビドンのレベルが増加するとともに増加した。
【実施例5】
【0198】
イヌモデルにおけるABT−263ビス−HCl分散体の薬物動態学
2種のABT−263固体分散体の単回用量薬物動態学を、50mg/kgの経口用量、続いて10mlの水の後の非絶食ビーグル犬(n=6)で評価した。一連のヘパリン添加血液試料を、投与前ならびに投与0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、9、12、15および24時間後に、それぞれの動物の頚静脈から得た。血漿を遠心分離(約4℃で10分間2,000rpm)により分離し、アセトニトリルによるタンパク質沈殿を用いて、ABT−263を単離した。
【0199】
2種のABT−263ビス−HCl固体分散体(ポビドンのみまたはコポビドンのみを含有する実施例4のもの)を比較した。粉末分散体を、ProSolv(商標)HD90、クロスカルメロースナトリウムおよびフマル酸ステアリルナトリウムと、82:15:2:1の重量比でブレンドし、このブレンドをカプセル中に充填した。
【0200】
ABT−263および内部標準を、互いにおよび共抽出混入物質から、流量0.7ml/分でアセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸移動相(容量で50:50)によって50×3mm Keystone Betasil CN(商標)5μmカラム上で分離した。加熱噴霧器インターフェースを備えたSciex API3000(商標)生体分子質量分析器で分析を行った。ABT−263および内部標準のピーク面積は、Sciex MacQuan(商標)ソフトウェアを用いて決定した。それぞれの試料の血漿中薬剤濃度は、濃度に対するスパイクド血漿標準のピーク面積比(親/内部標準)の最小二乗線形回帰分析(非重み付け)により計算した。血漿中濃度データは、WinNonlin 3(Pharsight)を用いて多指数関数曲線フィッティングに供した。
【0201】
投与後の0からt時間(最後に測定した血漿中濃度の時間)の血漿中濃度−時間曲線下の面積(AUC0−t)を、血漿中濃度−時間プロファイルについての線形台形法則を用いて計算した。最終の測定血漿中濃度(C)を最終消失速度定数(β)で除して決定した、無限に外挿した残存面積をAUC0−tに加え、曲線下の合計面積を生成した(AUC0−∞)。生物学的利用能は、軽度のエーテル麻酔下で頚動脈への低速ボーラスとして投与した、i.v.(静脈内)投与由来の対応する値で除した、経口投与由来の用量−正規化AUC0−∞として計算した。
【0202】
ポビドンのみおよびコポビドンのみの分散体についてのPKパラメータを表1に示す。
【0203】
【表1】

【0204】
ポビドンで調製したABT−263ビス−HCl分散体は、コポビドンより良好な放出速度を与えることが実施例4で示されたが、それは、このイヌ試験で、コポビドンで調製した比較され得る分散体よりも悪い生物学的利用能を有した。
【実施例6】
【0205】
イヌモデルにおける例示的固体分散体の薬物動態学
2種のABT−263固体分散体の単回用量の薬物動態学は、実施例5のものと同じプロトコルに従って、非絶食ビーグル犬(n=6)で評価した。2種のABT−263固体分散体(分散体IおよびII)を調製した。実施例2の方法に実質的に従って調製した分散体Iは、10%のABT−263遊離塩基、10%のTPGSおよび80%のコポビドンを含有した。この粉末分散体をさらなる任意の成分なしでカプセル中に充填して、組成物Iを調製した。実施例1の方法に実質的に従って調製した分散体IIは、13.11%のABT−263ビス−HCl(12.18%の遊離塩基相当量)、15%のTPGSおよび71.89%のポビドンを含有した。この粉末分散体を、ProSolv(商標)HD90、デンプングリコール酸ナトリウムおよびフマル酸ステアリルナトリウムと、82:15:2:1の重量比でブレンドし、このブレンドをカプセル中に充填して、組成物IIを調製した。
【0206】
組成物IおよびIIについてのPKパラメータを表2に示す。
【0207】
【表2】

【0208】
ポビドンで調製したABT−263ビス−HClの分散体(組成物II)は、このイヌ試験で、コポビドンで調製したABT−263遊離塩基の分散体(組成物I)よりも悪い生物学的利用能を有した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に非結晶形態で、式I
【化1】

(式中、
は、クロロまたはフルオロであり;
(1)Xは、アゼパン−1−イル、モルホリン−4−イル、1,4−オキサゼパン−4−イル、ピロリジン−1−イル、−N(CH、−N(CH)(CH(CH)、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イルもしくは2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−イルであり;Rは、
【化2】

(式中、
は、−CH−、−C(CH−または−CHCH−であり;
およびXは、両方とも−Hまたは両方ともメチルであり;
は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。)
であり;または
(2)Xは、アゼパン−1−イル、モルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル、−N(CH)(CH(CH)もしくは7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イルであり;Rは、
【化3】

(式中、X、XおよびXは、上記のとおりである。)
であり;または
(3)Xは、モルホリン−4−イルもしくは−N(CHであり;Rは、
【化4】

(式中、Xは上記のとおりである。)
である。)
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくは代謝産物を;(a)少なくとも1種の薬学的に許容される水溶性ポリマー担体および(b)少なくとも1種の薬学的に許容される界面活性剤を含む固体マトリックス中に分散させて含む固体分散体。
【請求項2】
式Iの化合物が、ABT−263またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくは代謝産物である、請求項1に記載の固体分散体。
【請求項3】
式Iの化合物が、ABT−263遊離塩基またはABT−263ビス−HClである、請求項1に記載の固体分散体。
【請求項4】
化合物が、重量で約5%から約40%のABT−263遊離塩基相当量で存在する、請求項2または3に記載の固体分散体。
【請求項5】
少なくとも1種のポリマー担体が、重量で約40%から約85%の量で存在し、少なくとも1種の界面活性剤が、重量で約5%から約20%の量で存在する、請求項1から4のいずれかに記載の固体分散体。
【請求項6】
少なくとも1種のポリマー担体が、N−ビニルラクタムのホモポリマーおよびコポリマー、セルロースエステル、セルロースエーテル、高分子量ポリアルキレンオキシド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、酢酸ビニルポリマー、オリゴ糖および多糖ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5のいずれかに記載の固体分散体。
【請求項7】
少なくとも1種のポリマー担体が、コポビドン、ポビドン、HPMC−ASおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5のいずれかに記載の固体分散体。
【請求項8】
少なくとも1種の界面活性剤が、非イオン性である、請求項1から7のいずれかに記載の固体分散体。
【請求項9】
少なくとも1種の界面活性剤が、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ソルビタンの脂肪酸モノエステル、ポリソルベート、ポロキサマー、α−トコフェリルポリエチレングリコールスクシネートおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から7のいずれかに記載の固体分散体。
【請求項10】
(a)(i)式I
【化5】

(式中、
は、クロロまたはフルオロであり;
(1)Xは、アゼパン−1−イル、モルホリン−4−イル、1,4−オキサゼパン−4−イル、ピロリジン−1−イル、−N(CH、−N(CH)(CH(CH)、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イルもしくは2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−イルであり;Rは、
【化6】

(式中、
は、−CH−、−C(CH−または−CHCH−であり;
およびXは、両方とも−Hまたは両方ともメチルであり;
は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。)
であり;または
(2)Xは、アゼパン−1−イル、モルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル、−N(CH)(CH(CH)もしくは7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イルであり;Rは、
【化7】

(式中、X、XおよびXは、上記のとおりである。)
であり;または
(3)Xは、モルホリン−4−イルもしくは−N(CHであり;Rは、
【化8】

(式中、Xは上記のとおりである。)
である。)
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくは代謝産物を含む活性医薬成分(API)、(ii)少なくとも1種の薬学的に許容される水溶性ポリマー担体および(iii)少なくとも1種の薬学的に許容される界面活性剤を適切な溶媒に溶解させる工程;および
(b)前記溶媒を除去して、前記少なくとも1種のポリマー担体および前記少なくとも1種の界面活性剤を含み、その中に本質的に非結晶形態で分散させた前記化合物、その塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくは代謝産物を有する固体マトリックスを与える工程を含む、固体分散体を調製する方法。
【請求項11】
式Iの化合物が、ABT−263またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくは代謝産物である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
APIが、塩の形態で式Iの化合物を含み;方法が、溶媒を除去する前に、前記塩の形態を遊離塩基の形態に変換する工程をさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記変換する工程が、塩基の添加を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
塩の形態が、溶媒に溶解しており、その中で、少なくとも1種のポリマー担体および少なくとも1種の界面活性剤の添加前に、遊離塩基の形態に変換される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
溶媒を除去する前に、前記変換の塩副生成物を抽出する工程をさらに含む、請求項12から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
溶媒が、熱および/または真空下で除去される、請求項10から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
溶媒が、メタノール、エタノールまたはアセトンを含む、請求項10から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
請求項1から9のいずれかに記載の固体分散体を含む経口的に送達可能な医薬剤形。
【請求項19】
アポトーシス機能不全および/または抗アポトーシスBcl−2ファミリータンパク質の過剰発現を特徴とする疾患を、前記疾患を有する対象に、固体分散体の治療有効量を経口投与することによって治療する、請求項1から9のいずれかに記載の固体分散体の使用。
【請求項20】
疾患が、腫瘍性疾患である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
腫瘍性疾患が、癌、中皮腫、膀胱癌、膵癌、皮膚癌、頭部もしくは頚部の癌、皮膚もしくは眼内黒色腫、卵巣癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、膣癌、外陰癌、骨癌、結腸癌、直腸癌、肛門部癌、胃癌、胃腸(胃、結腸直腸および/または十二指腸)癌、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、睾丸癌、肝細胞(肝臓および/または胆管)癌、原発性もしくは二次性中枢神経系腫瘍、原発性もしくは二次性脳腫瘍、ホジキンス病、慢性もしくは急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞もしくはB細胞起源のリンパ系腫瘍、黒色腫、多発性骨髄腫、口腔癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎臓および/もしくは尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系新生物、原発性中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、膵臓癌、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫またはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
腫瘍性疾患が、リンパ系腫瘍である、請求項20に記載の使用。
【請求項23】
リンパ系腫瘍が、非ホジキンリンパ腫である、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
腫瘍性疾患が、慢性リンパ球性白血病または急性リンパ球性白血病である、請求項20に記載の使用。
【請求項25】
投与される固体分散体中の式Iの化合物が、ABT−263またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくは代謝産物であり、前記固体分散体が、1日当たり約50から約500mgのABT−263遊離塩基相当量の用量で、約3時間から約7日間の平均投与間隔で投与される、請求項19から24のいずれかに記載の使用。
【請求項26】
組成物が、1日当たり約200から約400mgのABT−263遊離塩基相当量の用量で1日1回投与される、請求項25に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2012−529521(P2012−529521A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515068(P2012−515068)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/037795
【国際公開番号】WO2010/144464
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】