説明

アマノリ類の鉄欠乏状態の検出方法

【課題】アマノリ類の鉄欠乏状態の検出方法を提供する。
【解決手段】FTR1遺伝子を分子マーカーとして使用する、アマノリ類の鉄欠乏状態の検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アマノリ類の鉄欠乏状態の検出方法に関する。より詳細には、本発明は、FTR1遺伝子を分子マーカーとして使用する、アマノリ類の鉄欠乏状態の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
江戸時代中期に東京湾で始まったとされる海苔養殖は、人工採苗、海苔網の冷凍保存、浮き流し養殖等の養殖技術の導入により飛躍的に発展し、今日においては国内各地で行われ、わが国の水産養殖業において重要な地位を占めている。
【0003】
現在主流となっているスサビノリ(黒のり)の養殖では、浅場の海面上に展張された海苔網に海苔の胞子を付着させ、幼芽を経て成芽になるまで育苗・育成し、成芽が適当な大きさまで成長した段階で収穫するが、近年になって、スサビノリ葉状体の色が褐色或いは黄色味を帯びることを主徴とする、いわゆる「色落ち」と呼ばれる現象が頻発するようになってきた。
【0004】
色は海苔の品質を決める重要な要素であり、乾燥した状態で深い黒色でなければ高級品とは評価されない。そのため、色落ちした海苔(色落ち海苔)は商品価値を減失し、いわゆる「札なし海苔」(入札会において値がつかなかったもの)として廃棄されることも多く、経済的損失が大きい。
【0005】
このような海苔の色落ちは、海苔の生育に必要な海水中の溶存無機態窒素(DIN)または溶存無機態リン(DIP)の含有量の異常な低下が原因であるとされている。
【0006】
ところが、最近になって、海苔の色落ちは、DINまたはDIPの含有量の低下によるものだけではなく、微量必須元素である鉄が欠乏することによっても発生する場合があることが知られるようになった(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】張経華、外6名,「有明海のノリの色落ちと微量元素欠乏−特に鉄欠乏について」,日本海水学会誌,日本海水学会,平成21年6月1日,第63巻,第3号,p.158−166
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、通常、海水中の溶存鉄濃度は、数ppbであることから、鉄欠乏状態と鉄欠乏状態でない場合とを有意に区別することが困難である。
また、細胞内に鉄を貯蔵している場合には、海水中の溶存鉄の減少が、直ちに色落ちに結び付くわけではない。
【0009】
そこで、本発明は、アマノリ類の鉄欠乏状態を検出するための方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鉄欠乏ストレス下のアマノリ類において発現が亢進する遺伝子に着目し、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、鉄欠乏状態において、FTR1遺伝子の発現量が有意に増加することを知見し、FTR1遺伝子を分子マーカーとして使用すると、アマノリ類の鉄欠乏状態を検出することができることを知得し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下に掲げる(1)〜(6)を提供する。
【0011】
(1)FTR1遺伝子を分子マーカーとして使用する、アマノリ類の鉄欠乏状態の検出方法。
(2)アマノリ類のFTR1遺伝子の発現量を定量する、アマノリ類の鉄欠乏状態の検出方法。
(3)アマノリ類のFTR1遺伝子の発現量を定量し、
前記発現量と、鉄欠乏状態でない同種アマノリ類のFTR1遺伝子の発現量とを対比する、上記(2)に記載の検出方法。
(4)アマノリ類のFTR1遺伝子の発現量を経時的に定量し、
異なる時点におけるFTR1遺伝子の発現量どうしを対比する、上記(2)に記載の検出方法。
(5)リアルタイムPCR法によって遺伝子の発現量を定量する、上記(2)〜(4)のいずれかに記載の検出方法。
(6)FTR1遺伝子の、アマノリ類の鉄欠乏状態を検出するための分子マーカーとしての使用。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アマノリ類の鉄欠乏状態の検出方法が提供される。
また、本発明のアマノリ類の鉄欠乏状態の検出方法によれば、色落ちが発生する前にアマノリ類の鉄欠乏状態を検出できるため、実際に色落ちが発生する前に、色落ちを防止するための対策をとることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、「FTR1遺伝子を分子マーカーとして使用する、アマノリ類の鉄欠乏状態の検出方法。」である。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
1.アマノリ類
(1)好ましいアマノリ類
アマノリ類は、分類学上Porphyra属に帰属するノリであれば特に限定されず、具体的には、例えば、Porphyra yezoensis Ueda(スサビノリ)、Porphyra tenera Kjellman(アサクサノリ)、Porphyra pseudolinealis Ueda(ウップルイノリ)、Porphyra leucosticta Thuret、Porphyra linearis Greville、Porphyra miniata (C. Agardh) C. Agardh、Porphyra purpurea (Roth) C. Agardh、Porphyra abbottiae V.Krishnamurthy(レッドラバー)およびPorphyra umbilicalis (L.) J. Agardh(ラバー)からなる群から選択されるいずれか1が好ましく、Porphyra yezoensis Ueda(スサビノリ)またはPorphyra tenera Kjellman(アサクサノリ)がより好ましく、Porphyra yezoensis Ueda(スサビノリ)がさらに好ましい。
【0015】
なお、上位分類群(suprataxa)は下位分類群(infrataxa)のすべてを含むことを確認的に記載する。すなわち、例えば、種は亜種、変種、フォルマ、株その他の種よりも下位の分類群を含む。具体例を挙げれば、Porphyra tenera KjellmanはPorphyra yezoensis var. tamatsuensis A. Miura(オオバアサクサノリ)を含み、Porphyra yezoensis Uedaは Porphyra yezoensis f. narawaensis A. Miura(ナラワスサビノリ)を含む。また、Porphyra yezoensis Uedaというときは、株レベルでは、全ての株、例えば、TU−1株、U−51株等も含む。
【0016】
また、本発明では、ノリの学名を、著者名を省略して表記することがあり、例えば、Porphyra yezoensisのように、属名および種小名をもって表記する場合がある。さらに、本発明では、学名の発表年の表示を省略している。
【0017】
(2)スサビノリ
わが国においては、アマノリ類の中でもスサビノリが特に重要であることから、以下に簡単な説明をする。また、全てのアマノリ類の生活環が解明されているわけではないが、以下に記載するスサビノリの生活環と同一または類似しているものと予想されている。
【0018】
スサビノリ(学名:Porphyra yezoensis Ueda)は、別名クロノリとも呼ばれ、食用海苔(黒のり)の原料として、また、海苔養殖の対象として、わが国の水産養殖業において重要な位置を占める紅藻である。
【0019】
スサビノリは典型的な異型世代交代を行う。海苔の材料となる葉状体は、1倍体で冬の海で成長するが、春先になると雄細胞や雌細胞が造られ有性生殖が行われる。その結果、2倍体の果胞子が生じ、その発芽により糸状体が成長する。糸状体は、通常貝殻に穿孔して夏を過ごし、秋になると殻胞子嚢を形成して殻胞子を放出する。その分裂により葉状体が新たに生じる(減数分裂がどのステージで行われているのかは確定していない)。
【0020】
また、以上の一年周期の有性生殖による生活環の他に、無性生殖による短い周期の生活環が知られている。これは葉状体の栄養細胞が単胞子として放出され、それが分裂を繰り返して葉状体に成長するものである。
【0021】
すなわち、スサビノリの形態形成には3種の胞子が関わっており、単胞子および殻胞子はいずれも葉状体に、果胞子は糸状体に、それぞれ成長する。単胞子および殻胞子は、分裂前の細胞運動(移動)に必要な前後軸の形成と、それに引き続く分裂に必要な上下軸の形成とによって葉状体を形成する。これに対して、果胞子は、成長点の決定と、そこからの細胞伸長とによって糸状体を形成する。このとき、糸状体は陸上植物の花粉管や根毛のように先端成長を行う。
【0022】
2.FTR1遺伝子の分子マーカーとしての使用
本発明では、FTR1遺伝子を、鉄欠乏状態を検出するための分子マーカーとして使用する。
【0023】
(1)FTR1遺伝子およびその産物
本発明において、FTR1遺伝子は、鉄欠乏ストレスを与えたスサビノリにおいて発現量が増大する遺伝子の一つとして同定された遺伝子である。
FTR1遺伝子の最終産物であるFTR1タンパク質は、相同性検索の結果から、少なくともFTR1スーパーファミリーに属し、細胞膜貫通型タンパク質の、高親和性鉄パーミアーゼであると推定されている。ただし、この推定に限定されるものではない。
【0024】
(2)分子マーカーとしての使用
分子マーカーとは、タンパク質、核酸その他の生体分子のうち、正常または異常な機能あるいは病態や疾患の徴候となるものをいう。
【0025】
本発明において、FTR1遺伝子を、鉄欠乏状態を検出するための分子マーカーとして使用するとは、FTR1遺伝子の発現量をアマノリ類の鉄欠乏状態の指標とすることをいう。より詳細には、FTR1遺伝子の発現量を定量し、その定量結果をアマノリ類の鉄欠乏状態の指標とすることをいう。さらに詳細には、FTR1遺伝子の発現量を定量し、その定量結果と、鉄欠乏状態でない同種アマノリ類のFTR1遺伝子の発現量とを対比して、発現量の増加を鉄欠乏状態の進行の指標とすること、または経時的にFTR1遺伝子の発現量を定量し、異なる時点での定量結果どうしを対比して、発現量の増加または減少を、鉄欠乏状態の変動の指標とすることをいう。
【0026】
FTR1遺伝子の発現量の定量は、リアルタイムPCR法、ノーザンブロット法その他の従来公知の方法によって行うことができるが、簡便性および正確性を具備することから、リアルタイムPCR法、特にリアルタイムRT−PCR法が好ましい。
【0027】
本発明において、FTR1遺伝子の発現量を定量するためのリアルタイムRT−PCR法は、アマノリ類のFTR1遺伝子のmRNAに特異的なプライマーをデザインし、アマノリ類から抽出・精製したトータルRNAまたは分離・精製したmRNAをテンプレートとして、リアルタイムPCR装置を用いて行うことが好ましい。この際、遺伝子発現量の定量は、ハウスキーピング遺伝子、ハウスキーピング遺伝子に存在するイントロン、または恒常的に転写が行われているDNA領域を内部標準として用いて、組織や細胞の個数をそろえ、反応系へのcDNA持込量やRT効率の差を補正し、相対定量とすることが好ましい。
【0028】
ハウスキーピング遺伝子としては、恒常的に発現している遺伝子または恒常的に転写されているDNA領域であれば特に限定されず、例えば、18S rRNA等のリボソームRNA、RNAポリメラーゼIIラージサブユニット等のRNA合成酵素、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素)等のエネルギー生成系酵素、リボソームタンパク質、アクチン等の細胞骨格タンパク質などの遺伝子、または18S−5.8S−28SリボソームRNAオペロン内のスペーサー領域(ITS1、ITS2等)などのDNA領域が挙げられる。
なお、本発明において、遺伝子の発現量とは、転写産物がmRNAである場合には、mRNA発現量をいい、転写産物がrRNA、tRNA等、mRNA以外の機能性RNAである場合には、その機能性RNAをいい、さらに、転写産物が機能性RNA前駆体にのみ存在するRNAである場合にはそのRNAをいうものとする。
【0029】
リアルタイムRT−PCRで使用するプライマーとしては、アマノリ類のFTR1遺伝子のmRNA塩基配列に基いてデザインされた、特異的なプライマーであれば特に限定されないが、例えば、スサビノリのFTR1遺伝子のmRNA全長配列(配列番号1)に基づいてデザインされた、FTR1−F(配列番号2)およびFTR1−R(配列番号3)が挙げられる。
【0030】
内部標準として用いるITS1領域のためのプライマーとしては、アマノリ類のITS1領域DNA塩基配列に基いてデザインされた、特異的なプライマーであれば特に制限されないが、例えば、スサビノリのITS1領域DNA塩基配列(配列番号4)に基づいてデザインされた、ITS1−F(配列番号5)およびITS1−R(配列番号6)が挙げられる。
【0031】
(3)発現量の対比
本発明において、発現量の対比とは、立ち上がりのサイクル数(Cycle threshold,Ct/Crossing point,CP)、すなわちサンプルからの蛍光がバックグラウンドを上回るサイクル数を求めて、比較することをいう。この際、内部標準のCt値を0として補正することが好ましい。
【0032】
相対定量の方法を簡単にまとめると次のようになる。
・発現量が一定のハウスキーピング遺伝子等(「内部標準」という場合がある。)について、ある決まった量のRNA溶液をもとにRT−PCRを行う。そのCt値から検量線をもとにハウスキーピング遺伝子の発現量の定量を行い、あるサンプルを基準とした相対値を求める。これは、サンプル間で使用したRNA溶液に誤差がどの程度生じているかを示す(誤差が少なければ少ないほど、相対値は1に近づく)。
・次に、調べたいターゲット遺伝子について、上記で使用したのと同じ量のRNA溶液をもとにRT−PCRを行う。そのCt値から検量線をもとにターゲット遺伝子の発現量を定量する。
・得られた上記の定量結果を上記で得られた相対値で割り算し、反応に使用したRNAの誤差を補正する。この補正後の定量結果をもとに、サンプル間のターゲット遺伝子の発現相対値を求める。
【0033】
また、検量線を作成することが不要な比較Ct法(ΔΔCt法)によって比較してもよい。
比較Ct法は、1サイクルの検出の違いで、2倍量の差であるという理論を活用して算出する方法であり、検量線作成が不要なので、多サンプルを処理できるというメリットがある。比較Ct法では、下記の式に基いて、相対定量を行う。
−ΔΔCt
ただし、ΔΔCt法が成立するためには、対象遺伝子と内部標準遺伝子のPCR効率がほぼ等しいこと、すなわち、希釈によってΔCt値が変動しない=検量線を描いた時の傾きが同じであること、およびPCR効率が1に近いこと、すなわち、設計のガイドラインに基づくとPCR効率の良い短いPCR産物のサイズで設計ができること、の2つが条件である。
ΔCt法においては、ΔCtおよびΔΔCtは、下記式によって求めることができる。
ΔCt=対象遺伝子÷内部標準遺伝子(乗数の割り算は引き算)
∴ΔCt=対象遺伝子Ct−内部標準Ct
ΔΔCt=各サンプル÷キャリブレータサンプル(乗数の割り算は引き算)
∴ΔΔCt=各サンプルΔCt−キャリブレータサンプルΔCt
キャリブレータサンプルは刺激前サンプル(例えば、鉄欠乏状態でないもの等)や0時間サンプル(例えば、経時的に測定する場合において、最初に定量したもの等)など相対量の基準にしたいサンプルを1つ設定する。
【0034】
3.リアルタムRT−PCR法による解析の方法
本発明の検出方法の具体的態様として好ましいものを以下に説明するが、これに限定されるわけではなく、従来公知の方法によってFTR1遺伝子の発現量を定量し、対比することができる。
【0035】
(1)トータルRNAまたはmRNAの調製
トータルRNAまたはmRNAの調製は、従来公知の方法によって抽出・精製を行うことができ、特に限定されない。
【0036】
トータルRNAの抽出・精製方法としては、AGPC(Acid Guanidinium-Phenol-Chloroform)法、グアニジン−塩化セシウム超遠心法、各種RNA抽出キットを用いる方法等を使用することが好ましい。AGPC法だけでは精製が十分にされていない場合には、さらにグアニジン−塩化セシウム超遠心法を行って、十分に精製をすることが好ましい。
【0037】
AGPC法は、RNAを構成するリボースには、DNAのデオキシリボースに比べて2位の炭素に水酸基が一つ多くあることを利用するものである。酸性下でフェノール処理するとDNAは疎水性にまさるフェノール層に分配されるが、RNAはリボースの水酸基があるため水相に分配される。
【0038】
グアニジン−塩化セシウム超遠心法は、RNAはDNAや蛋白質といった他の生体高分子に比べて浮遊密度が高いことを利用するものである。グアニジンチオシアネートでRNaseを失活させた細胞抽出液を高密度の塩化セシウム溶液を用いた密度勾配遠心にかけると、他の細胞成分は途中に浮遊させたままRNAだけをペレットとして回収することが可能である。この方法では、細胞のRNAのうち分子量の小さな5SRNAやtRNAは沈殿しないため、回収できない。
【0039】
各種RNA抽出キットとしては、スピンカラムと抽出試薬とをセットにしたものが挙げられ、具体的には、例えば、FastPureTM RNA Kit(タカラ社)、Illustra RNAspin Isolation Kit(GEヘルスケア社)、FastRNA Pro Kit(キューバイオジーン社)、RNEasy Kitシリーズ(キアゲン社)等を用いることができる。
【0040】
トータルRNAは、特に各種RNA抽出キットを用いた場合には、DNase処理を行い、残存DNAを除去しておくことが好ましい。残存DNAがテンプレートとなって、予期しない増幅産物が得られる事態を回避するためである。
【0041】
mRNAの調製方法としては、トータルRNAから、mRNAをPolyA配列を利用して分離・精製する方法等が挙げられる。この方法を行うためのキットとしては、例えば、OligotexTM−dT30 <Super> mRNA Purification Kit(タカラ社)などが挙げられる。
【0042】
(2)リアルタイムRT−PCR解析
リアルタイムRT−PCR解析は、従来公知の方法によって行うことができ、特に限定されない。
1ステップ法でも、2ステップ法でも、いずれでもよい。
PCRプライマーとしては、FTR1遺伝子のmRNA(配列番号1)またはcDNA(配列番号8)をテンプレートとして特異的な増幅が可能なものであれば特に制限されない。
本発明においては、FTR1遺伝子の発現量の定量には、プライマーの組合せとしては、FTR1−F(配列番号2)およびFTR1−R(配列番号3)の組合せを使用することが好ましいが、他のプライマーの組合せを使用することを妨げるものではない。
1ステップ法は1本のチューブ内で逆転写およびPCRを連続的に行うため、取扱いが簡便であるという利点を有する。1ステップ法の場合には、例えば、One Step SYBR(R) PrimeScript(R) PLUS RT−PCR Kit (Perfect Real Time)等を利用してmRNAからcDNAへの逆転写と、蛍光標識とPCR反応とを1本のチューブ内で連続して行うことができる。
2ステップ法は逆転写とPCR反応との2段階の反応を切り替えて行う必要があるため、簡便性の点では1ステップ法に劣るものの、反応効率が高いという利点を有する。2ステップ法の場合には、例えば、PrimeScript(R) RT reagent Kit (Perfect Real Time)等を利用してcDNAを調製し、さらにSYBR(R) Premix Ex TaqTM (Perfect Real Time)を利用して蛍光標識とPCR反応を行うことができる。
内部標準としては、例えば、ITS1領域を利用することが好ましく、その際には、例えば、ITS1−F(配列番号5)およびITS1−R(配列番号6)の組合せを用いることが好ましい。ただし、他のハウスキーピング遺伝子等を内部標準として利用することを妨げるものではない。
FTR1遺伝子の発現量の対比は、Ct値を比較することによって行うことが好ましい。この際、内部標準を0として補正することが好ましい。
リアルタイムRT−PCRは、リアルタイムPCR装置およびその装置用の解析ソフトウェアを用いることが好ましい。
【0043】
なお、アマノリ類のFTR1遺伝子の発現量を定量し、前記発現量と、鉄欠乏状態でない同種アマノリ類のFTR1遺伝子の発現量とを対比することによって、アマノリ類の鉄欠乏状態を検出する検出方法においては、標的(ターゲット)のアマノリ類および対照(コントロール)のアマノリ類(対象のアマノリ類と同種であり、同一株に由来することが好ましい。)の両方についてリアルタイムPCR法(リアルタイムRT−PCR法)による遺伝子発現量の定量を行い、ターゲットとコントロールとの対比を行う。
【0044】
また、アマノリ類のFTR1遺伝子の発現量を経時的に定量し、異なる時点におけるFTR1遺伝子の発現量どうしを対比することによって、アマノリ類の鉄欠乏状態を検出する検出方法においては、標的(ターゲット)のアマノリ類から経時的にサンプルを採取し(実質的に同一株に由来することが好ましい。)、各サンプルについてリアルタイムPCR法(リアルタイムRT−PCR法)による遺伝子発現量の定量を行い、各サンプル間で対比を行う。このとき、採取したサンプルはすぐにリアルタイムPCR解析を行ってもよいが、RNAの分解を抑制するような方法で保存しておき、後でリアルタイムPCR解析を行ってもよい。例えば、採取したサンプルを、液体窒素等で凍結後、−80℃で凍結保存し、サンプル数がある程度まとまってからリアルタイムPCR解析を行うことができる。
【0045】
ここで、配列表に記載した配列について簡単に説明する。
配列番号1は、FTR1遺伝子のmRNA全長配列を示す。
配列番号2は、FTR1遺伝子の発現量を定量するためのリアルタイムPCR用フォワードプライマーの塩基配列を示す。
配列番号3は、FTR1遺伝子の発現量を定量するためのリアルタイムPCR用リバースプライマーの塩基配列を示す。
配列番号4は、スサビノリ(学名:Porphyra yezoensis)の18SrRNA遺伝子の3’末端から5.8SrRNA遺伝子の5’末端までのDNA領域の塩基配列(アクセッションナンバー:AY368575)を示す。
配列番号5は、スサビノリのITS1領域の発現量を定量するためのリアルタイムPCR用フォワードプライマーの塩基配列を示す。
配列番号6は、スサビノリのITS1領域の発現量を定量するためのリアルタイムPCR用リバースプライマーの塩基配列を示す。
配列番号7は、cDNAサブトラクション解析によって得られたFTR1遺伝子のcDNA断片の塩基配列を示す。
配列番号8は、RACE法によって得られたFTR1遺伝子のcDNA全長配列を示す。
配列番号9は、FTR1タンパク質のアミノ酸配列を示す。
【0046】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これの実施例によって何ら制限されるものではない。
【実施例】
【0047】
1.材料および方法
(1)材料
材料として、スサビノリ(Porphyra yezoensis TU-1株;北海道大学教授 嵯峨直恆博士からの分譲株である。)を用いた。
(2)方法
(2.1)培養
スサビノリ葉状体をクレモナ糸に付着させた状態で、単胞子により継代培養した。前培養を前培養用培地で約1か月間行い、葉長が約5cmになったスサビノリを本培養用培地に移し、本培養を行った。詳細には以下の通りである。
【0048】
前培養は、培地として、人工海水シーライフ(マリン・テック社製)に1/10容量のESSストック溶液(Kitade et al., 1996, Journal of Phycology, 32: 496-498)を配合したものを使用し(表1)、容器にはプラスチックバッグ(アルガバッグ藻類,共和コンクリート工業社製)を用いて、培地量2L、温度15℃、照度3000lx、明暗周期10h/14h(明/暗)の条件で、人口気象器(LH−220S,日本医化器械製作所社製)内で約1か月間行った。
【0049】
【表1】

【0050】
本培養は、前培養で培養したスサビノリを鉄欠乏群(鉄欠乏状態)、窒素欠乏群(窒素欠乏状態)および対照群(必須栄養素の欠乏なし)に分け、鉄欠乏群については、培地として、人工海水シーライフ(マリン・テック社製)に1/10容量の鉄欠乏ESSストック溶液(ESSストック溶液の組成から鉄化合物を除いたもの)を配合したもの(表2の鉄欠乏群)を使用し、窒素欠乏群については、培地として、人工海水シーライフ(マリン・テック社製)に1/10容量の鉄欠乏ESSストック溶液(ESSストック溶液の組成から窒素化合物を除いたもの)を配合したもの(表2の窒素欠乏群)を使用し、対照群については、培地として、人工海水シーライフ(マリン・テック社製)に1/10容量のESSストック溶液を配合したもの(表2の対照群)を使用し、容器にはプラスチックバッグ(アルガバッグ藻類,共和コンクリート工業社製)を用いて、培地量2L、温度15℃、照度3000lx以下、明暗周期10h/14h(明/暗)の条件で、人口気象器(LH−220S,日本医化器械製作所社製)内で3日間行った。
【0051】
【表2】

【0052】
(2.2)トータルRNAの調製
鉄欠乏群、窒素欠乏群および対照群からのそれぞれのトータルRNAの抽出は、鉄欠乏群および対照群のそれぞれについて、同一容器内で培養した別個体群を1サンプルとして、3連で行った。
培養容器からスサビノリを取り出し、すぐにキムタオルで水分を吸い取り、湿質量を測定した後、ジッパー付のビニール袋に入れて液体窒素で凍結し、凍結したサンプルは−80℃で凍結保存した。
スサビノリからのトータルRNAの抽出は、凍結したままのサンプルから50〜90mgを削りとり、これをRNeasy Plant Mini Kit(キアゲン社製)を用いて、同キットに添付のプロトコールに従って行った。
さらに、DNase処理を行い、トータルRNA水溶液中に混在するDNAを分解処理した。
【0053】
(2.3)リアルタイムPCRによる発現解析
調製したトータルRNAについて、PrimeScript(R) RT reagent Kit (Perfect Real Time)を用いて逆転写を行い、cDNAを得た。その際、10μLの反応系に対し、500ngとなるようにトータルRNAを添加し、反応条件はSYBR Greenアッセイの標準プロトコールに従って行った。
リアルタイムPCRは、LightCycler System (ロシュ社製)を用いて行った。試薬は、SYBR(R) Green Premix Ex TaqTM (Perfect Real Time)(タカラ社製)を用い、10μL系に対し、0.1μLのRT反応液を添加した。その他の条件については、同製品の標準プロトコールに準拠した(初期変性:95℃−30s,合成反応:95℃−5s/60℃−30s)。
PCR用のプライマーは、FTR1遺伝子の発現量の定量には、FTR1−F(配列番号2)およびFTR1−R(配列番号3)を使用し、ITS1領域の発現量の定量には、ITS1−F(配列番号5)およびITS1−R(配列番号6)を使用した。
【0054】
2.結果および考察
(1)結果
表3に示す結果を得た。表中の値はCt値である。ITS1領域についてのCt値が0となるように補正をした。Ct値が小さいほど遺伝子発現量が多いことを示し、鉄欠乏群において、窒素欠乏群および対照群よりも有意にFTR1遺伝子発現の増大が認められた。
【0055】
【表3】

【0056】
(2)考察
FTR1遺伝子は、窒素欠乏状態では発現量が増大せず、鉄欠乏状態で発現量が増大することから、スサビノリの色落ちの原因を特定するために有用である。実際に色落ちが発生する前に原因が特定されることによって、より有効な色落ち対策をとれるようになり、海苔養殖における神代な経済的損失の発生を未然に防止することが期待できる。
【0057】
[参考例1]鉄欠乏状態で発現が増大する遺伝子の探索
以下の手順により、スサビノリにおいて、鉄欠乏状態で発現が増大する遺伝子の探索を行った。
(1)培養
スサビノリ(Porphyra yezoensis TU-1株)をクレモナ糸に付着させた状態で、単胞子により継代培養を行った。
前培養用培地(人工海水シーライフ(マリン・テック社製) 1800mLに対し、ESS(Kitade et al., 1996, Journal of Phycology, 32: 496-498)200mLの割合で混合したもの)を用いて約1か月間前培養を行い、葉長が約5cmになったスサビノリを鉄欠乏群および対照群に分け、鉄欠乏群は鉄化合物を含有しない培地(表4の鉄欠乏培地)に、対照群は鉄化合物を含有する培地(表4の対照培地)に、それぞれ移し、14日間本培養を行った。
【0058】
【表4】

【0059】
(2)トータルRNAの調製
培養したスサビノリを培地から取り出し、すぐにキムタオルでよく水を吸い取り、湿質量を測定し、ジッパー付のビニール袋に入れ、液体窒素で凍結した。
凍結したサンプルは、−80℃で冷凍保存した。
冷凍保存したサンプルは、解凍せず、液体窒素存在下、乳鉢および乳棒を用いて破砕した。破砕したサンプルからのトータルRNAの粗抽出は、AGPC(Acid Guanidinium-Phenol-Chloroform)法の標準的なプロトコールに従って行った。すなわち、破砕したサンプル約0.3gに、に3mlのGTC溶液を加え、すぐにホモジェナイズし、このホモジェナイズしたサンプルに2M酢酸ナトリウム0.3mlと平衡酸性フェノール(水飽和)3mlとクロロホルム0.6mlとを加え、よく振った後、氷上で15分間インキュベートし、次いで、10,000G 4℃で20分間遠心し、上清を新しいチューブに回収し、イソプロパノール3mlを加え、10,000G 4℃で20分間遠心し、上清を捨て、RNAのペレットをGTC溶液0.4mlに溶かし、イソプロパノール0.4ml加え、10,000G 4℃で10分間遠心し、上清を捨て、1ml 75%エタノールを加え、10,000G 4℃で5分間遠心した。ここで、75%エタノール洗浄を数回繰り返した。ペレットを少し乾かし、DEPC処理したdHOまたはTEに溶解した。
【0060】
トータルRNA粗抽出液を分取し、これをグアニジン−塩化セシウム超遠心法の標準的なプロトコールに従って精製し、トータルRNAの精製を行った。すなわち、ポリアロマー超遠心用チューブに17mlのCsTFA溶液を入れ、その上層にトータルRNA粗抽出液をそっと重層し、バランスをあわせて、50,000G,15℃,24hr超遠心した。超遠心終了後、密度勾配が崩れないようにチューブを取り出し、注意深く吸引し、さらに、デカンテーションにて、溶液を除去し、キムタオルの上にひっくり返して、水分を良く除去し、カッターナイフでチューブの下から約3cm位のところで切り、4M GTC 600mlでチューブの底のRNAをピペッティングで溶かし、次いで、RNA用のチューブに移し、等量のイソプロパノールを加え、−20℃で一晩保存し、10,000G 4℃で20分間遠心し、上清を捨て、白い沈澱を400mlのDEPC水で懸濁し、エタノール沈殿し(1/10量の2M酢酸ナトリウム、2.5倍量の100%エタノール)、10,000G 4℃で20分間遠心し、75%エタノールで洗浄し、10,000G 4℃で5分間遠心し、200mlのDEPC水で溶かし、濃度を測定した(OD260,1OD=40mg/ml)。
【0061】
(3)mRNAの調製
抽出・精製したトータルRNAをサンプルとして、OligotexTM−dT30 <Super> mRNA Purification Kit (From total RNA)(タカラ社製)を用いて、同キット添付のプロトコールに従ってmRNAを分離・回収した。同キットは、トータルRNAからPolyA mRNAを分離・精製するためのキットであり、ラテックス粒子表面に固定化されたoligo(dT)30とサンプル中のmRNAとの複合体を形成し、スピンカラムを用いてmRNA−OligotexTM−dT30複合体からPolyA mRNAを回収するものである。
【0062】
(4)cDNAサブトラクション
得られたmRNAをサンプルとして、PCR−SelectTM cDNA Subtraction Kit(クロンテック社製)を用いて、同キット添付のプロトコールに従ってcDNAサブトラクションを行い、鉄欠乏状態で発現が増大している遺伝子のcDNA断片を得た。
【0063】
PCR−Select cDNAサブトラクション法の概要は次のとおりである。まず、比較する2種類のサンプル(鉄欠乏群、対照群)から0.5〜2μgのPolyA RNAを単離する。これからcDNAを合成し、得られたTester cDNAとDriver cDNAをRsaI(4塩基配列を認識・切断して平滑末端を生ずる制限酵素)で切断する。次に、Tester cDNAを2群に分け、それぞれに異なるcDNAアダプターをライゲーションする。アダプターの5’末端にはリン酸基が含まれてないため、アダプターの片方の鎖だけがcDNAの5’末端に結合する。この2種類のアダプターは同一の末端配列をもっているため、陥入末端が埋められてしまえば同一のPCRプライマーとアニーリングできる。次に、2回のハイブリダイゼーション(1stハイブリダイゼーションと2ndハイブリダイゼーション)を行う。1st ハイブリダイゼーションでは、それぞれのTesterサンプルに過剰量のDriverを加える。サンプルを熱変性した後、アニーリングを行うと、各サンプルでa,b,c,dの4種類の分子が生じる。発現量の多い塩基配列とそうでない塩基配列の濃度が、タイプa分子間で均等化される。ハイブリダイゼーションの反応速度は濃度の二乗に比例するため、多量に存在する分子ほど再アニーリング速度が速くなるからである。同時に、発現量の差がある配列(differentially expressed sequences)はタイプa分子として高度に濃縮され、発現量の差がないcDNAはDriver分子と結合してタイプc分子を形成する。2ndハイブリダイゼーションでは、1stハイブリダイゼーションで得られた2つのサンプルを変性させずに、新たな変性(一本鎖)Driver cDNAとともに混合する。量的に均等化され、サブトラクション(消去)されて残った一本鎖のTester cDNAだけが再びハイブリダイズでき、新たなタイプのハイブリッド分子(タイプe)を形成する。タイプe分子は異なる末端を持つ二本鎖のTester分子で、一方の突出末端はAdaptor 1の配列に、他方の突出末端はAdaptor 2Rの配列に対応する。新たに調製した変性Driver cDNAを同時に加えたことにより、発現差のある配列がタイプe分子画分としてさらに濃縮される。次に、DNAポリメラーゼを用いて末端を埋める。これにより、両端にプライマーアニーリングサイト(アダプター)をもつタイプe分子(発現差のあるTester配列)が形成される。なお、Nested Primerに対するアニーリングサイトの配列は5’末端と3’末端で異なることになる。これらの分子のポピュレーション全体をPCRにかけ、発現差のある配列を増幅する。タイプa分子とタイプd分子はプライマーアニーリングサイト(アダプター)を持たないため、PCR増幅されない。大部分のタイプb分子はサプレッションPCR効果によってフライパン状の構造を形成するため、指数関数的な増幅が妨げられる。タイプc分子はプライマーアニーリングサイトを1つしか持たないため、一次関数的にしか増幅されない。タイプe分子(均等化された、発現差のある配列)だけが両端にプライマーアニーリングサイトを持つため、指数関数的に増幅される。タイプe分子の5’末端と3’末端のアダプター配列は、異なるnestedプライマーアニーリングサイトをもっている。これを利用して、Nested Primerで2回目のPCR反応を行い、バックグラウンドのPCR産物を減らし、発現差のある配列を濃縮する。得られたcDNAは、直接T/Aクローニングベクターに挿入できる。また、Adaptor 1のNotI(SmaI,XmaI)サイトやAdaptor 2RのEagIサイトを利用して部位特異的クローニングを行うこともできる。アダプター/cDNA接合部のRsaIサイトを利用して平滑末端クローニングも行える。このようなクローニングを行うことで、塩基配列の同定および/またはハイブリダイゼーション解析によって、発現差のあるRNAを同定することができる。さらに、PCR増幅産物は、DNAライブラリーをスクリーニングするためのハイブリダイゼーションプローブとしても利用することができる。
【0064】
(5)cDNA断片のシークエンス解析
さらに、得られたcDNA断片の塩基配列を決定するため、同cDNA断片を、pGEM(R)−T Easyベクター(プロメガ社製)に、DNA Ligation Kit Ver. 2.1(タカラ社製)を用いてライゲーションを行い、ヒートショック法により大腸菌(XL1−Blue Competent Cells,アジレント社製)に形質転換した。
得られた形質転換体を培養し、QIAGEN Plasmid Mini Kit(キアゲン社製)を用いて、同キット添付のプロトコールに従ってプラスミドを精製した。
インサートの塩基配列決定は、シークエンス解析サービス(ファスマック社)を利用して行った。これにより得られたcDNA部分配列は、配列番号7に示すものである。
【0065】
(6)cDNA全長配列の決定
得られたcDNA部分配列をもとに、5’/3’ RACE Kit,2nd Generation(ロシュ社製)を用いて、同キット添付のプロトコールに従ってRACE産物を得た。
得られたRACE産物を直接シークエンシングしてcDNA全長配列(配列番号8)を得た。cDNA全長配列からORFを特定して翻訳し、アミノ酸配列(配列番号9)を得た。
【0066】
(7)遺伝子の同定
アミノ酸配列をクエリー配列として、データベース(米国NCBI)をBLAST(blastp)で検索したところ、少なくとも、このアミノ酸配列を有するタンパク質はFTR1スーパーファミリーに属することがわかった。
したがって、スサビノリの鉄欠乏状態においては、FTR1遺伝子の発現が増大することがわかった。
これは、スサビノリ(Porphyra yezoensis)に限定されることなく、少なくとも、同属のアマノリ類(Porphyra spp.)全般にまで拡大することができる。
よって、FTR1遺伝子は、アマノリ類の鉄欠乏状態を検出するための分子マーカーとして使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FTR1遺伝子を分子マーカーとして使用する、アマノリ類の鉄欠乏状態の検出方法。
【請求項2】
アマノリ類のFTR1遺伝子の発現量を定量する、アマノリ類の鉄欠乏状態の検出方法。
【請求項3】
アマノリ類のFTR1遺伝子の発現量を定量し、
前記発現量と、鉄欠乏状態でない同種アマノリ類のFTR1遺伝子の発現量とを対比する、請求項2に記載の検出方法。
【請求項4】
アマノリ類のFTR1遺伝子の発現量を経時的に定量し、
異なる時点におけるFTR1遺伝子の発現量どうしを対比する、請求項2に記載の検出方法。
【請求項5】
リアルタイムPCR法によって遺伝子の発現量を定量する、請求項2〜4のいずれかに記載の検出方法。
【請求項6】
FTR1遺伝子の、アマノリ類の鉄欠乏状態を検出するための分子マーカーとしての使用。

【公開番号】特開2012−183015(P2012−183015A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47917(P2011−47917)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【出願人】(511058464)
【Fターム(参考)】