説明

アミオダロンおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンを含む製剤

【課題】 透明であり、滅菌可能であり、化学的および生理的に安定であり、界面活性剤を必要とせず、蒸留水および他の製薬上許容される液体担体で希釈したときに沈殿しない、アミオダロンおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンを含む非経口水性製剤を提供する。
【解決手段】 スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)対アミオダロンのモル比が1.09±0.01未満またはそれと等しくそして0.05を超え、液体製剤のpHがアミオダロンのpKaに近似するかまたはそれ未満であり、そして液体製剤が45℃を超えるかまたはそれと等しい温度に暴露されており、これにより該液体製剤が透明にされている、アミオダロン、SAE−CDおよび水性液体担体を含む透明液体製剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された抗不整脈製剤、特にアミオダロンおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンを含む非経口製剤、および心臓疾患の処置におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
抗不整脈剤は、それらの電気生理学的作用様式により一般的に四つのクラスに分類される(Edvardsson,Current Therapeutic Research, Vol.28,No.1 Supplement,pages 113S−118S(July 1980);Keefeら,Drugs,Vol.22,pages 363−400(1981);Vaughn−Williams,“Classification of Anti−Arrhythmic Drugs in Symposium of Cardiac Arrhythmias”,pages 449−472(Sandoeら,(eds.)A.B.Astra,Soederlalje,Sweeden(1970))。抗不整脈剤は次のように分類される:クラスI−局所麻酔効果;クラスII−ベータ受容体遮断;クラスIII−作用電位持続時間の延長;およびクラスIV−カルシウム拮抗作用。
【0003】
クラスIII抗不整脈剤アミオダロンは四つのVaughn−Williamsクラス全ての電気生理学的特性を有すると一般的に考えられるが;ナトリウムチャンネルを迅速なペーシング頻度で遮断し(クラスI);非競合的抗交感神経作用を発揮し(クラスII);心臓作用電位の持続時間を延長し(クラスIII);そして結節組織に対して負の変時性効果を示す。アミオダロンは、心室性および上室性の頻拍性不整脈に対して持続した効力を有する。アミオダロンは血管拡張作用も示し、これは心臓仕事負荷を減少することができ、その結果として心筋酸素消費量を減少することができ、従って高血圧の処置に使用することができる。
【0004】
アミオダロンは生命を脅かす心室性頻拍性不整脈の処置に対して許可されている。アミオダロンは、あまり重篤でない心室性不整脈、および心房細動を含む多くの上室性不整脈、および副伝導路を伴うリエントリー頻拍性不整脈の処置にも有用である。アミオダロンは応答において著しい個体間変動を示すので、送達される薬剤量を調節するためには、個体の精密な監視が不可欠である。最も重要な処置上の緊急の有害効果は、低血圧、不全収縮/心拍停止/電気的機械的解離(EMD)、心原性ショック、うっ血性心不全、徐脈、肝機能異常、VTおよびAVブロック(Wyeth−Ayerst product insert CORDARONE(登録商標)Intravenous)である。
【0005】
アミオダロンは、報告によれば、単一治療用量を静脈内投与した後、複合体配置特性を示す。健康被験者において5mg/kgを15分間で1回静脈内注入した後のピーク血清濃度は、5〜41mg/Lの範囲にある。心室細動(VF)または血行力学的に不安定な心室性頻拍(VT)の患者において150mgのCORDARONE(登録商標)I.V.を10分間で注入した後のピーク血清濃度は、7〜26mg/Lの範囲にある。迅速な分布のために、血清濃度は注入が終了した後30〜45分以内に10%ピーク値に下降する。
【0006】
アミオダロンHCl((2−ブチル−3−ベンゾフラニル)[4−[2−(ジエチルアミノ)エトキシ]−3,5−ジヨードフェニル]メタノン塩酸塩;C25292NO3・H
Cl)は、白色ないし僅かに黄色の結晶性粉末であり、そして水に極めて僅かに溶解する(0.2〜0.5mg/ml)。アミオダロンについて幾つかのpKa値が報告されている:5.6(Andreasenら,1981)、7.4(Canadaら,1981)、および6.56(Bonatiら,1984)。アミオダロンはそのpKa未満のpH値で正電荷を有する。アミオダロンHClは下記の化学構造を有する:
【化1】

【0007】
水へのアミオダロン塩酸塩の溶解度は、報告によれば、極めて温度依存性である。溶解度は20℃で0.3〜0.5mg/mlないし50℃で約7mg/mlの範囲にある。約60℃では、溶解度は100mg/mlを超えるまでに上昇する。約50mg/mlの濃度において、アミオダロンは、報告によれば、直径が約100nmのコロイド構造、および約150モノマー単位を含み、かつ100,000を超える分子量を有するミセルを形成する。
【0008】
その固有の水溶性が低いために、アミオダロンは、十分濃縮しており安定であり、かつ生理的に許容されるpHを有する媒質中に存在する、水に基づく非経口製剤に製剤化することが困難である。アミオダロンの現在市販されている製剤(CORDARONE(登録商標)Intravenous;CORDARONE I.V.(登録商標))は、水中に50mg/mlのアミオダロンHCl、20.2mg/mLのベンジルアルコールおよ
び100mg/mLのポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80;非イオン界面活性剤、乳化剤、分散剤および/または安定剤)を含有する。CORDARONE I.V.(登録商標)製剤は、単一使用容器に包装されている。
【0009】
しかしながら、ポリソルベート80およびベンジルアルコールは、望ましくない副作用を引き起こすことが知られている。例えば、ポリソルベート80は、単独でまたはベンジルアルコールとの組み合わせで、報告によれば、強い心臓抑制剤として作用し、そして低血圧および癌を引き起こす。さらに、ベンジルアルコールの非経口投与は、報告によれば、溶血、死亡および多くの他の副作用に関連していた。
【0010】
望ましくない副作用は別として、界面活性剤に基づくビヒクル中の薬剤を非経口投与することには、さらなる問題が関係する。例えば、薬剤が血流中で希釈されると、二つの物理的変化が起きる:1)製剤のpHおよび浸透圧(tonicity)が血液のものに近づく;そして、2)界面活性剤および薬剤の濃度が互いに比例して低下する。両方の場合に、製剤の元の組成は変わり、そして物理的に不安定な溶液が生じることがある。具体的には、この希釈された組成物中の薬剤が、その溶解度よりも高い濃度で存在するならば、沈殿する潜在性を有する過飽和溶液が形成される(Ward,G.H.およびS.H.Yalkowsky in J.Parenter Sci.Technol.Vol.47;4:161−5(1993))。
【0011】
多数の特許および科学刊行物は、アミオダロンの非経口投与調製物を開示しており、これらは、報告によれば、現在市販されている製剤と比較して減少した副作用を有する。 Ehrenpreisらに対する米国特許第5,234,949号は、4未満のpH、よ
り好ましくは3.5〜3.8の範囲内のpHを有する界面活性剤不含の酢酸塩緩衝液中のア
ミオダロン(25〜75mg/ml)の非経口溶液を開示している。Ehrenpreisらは、沈殿またはゲル形成を減少させるために、緩衝剤の濃度および選択が物理的安定性にとって決定的であることを開示している。3.2〜3.8のpHを有する酢酸塩緩衝液中にアミオダロンを15〜50mg/mlの濃度で含有する溶液は、極めてオパール光を発するか、またはなお乳白色の溶液を形成することなしには、グルコース−食塩水に1mg/mlを超えて希釈することができない。
【0012】
Gautierらに対する米国特許第6,143,778号は、アミオダロン、緩衝液および非イオン親水性界面活性剤を含む非経口製剤を開示している。親水性界面活性剤は、アミオダロン塩酸塩を含む緩衝液の希釈に関連する上記の問題を避けるために必要である。1.5〜8.0重量%のアミオダロンを含む溶液は、報告によれば、界面活性剤の存在下に製造された。30〜50mgのアミオダロン/1mLの溶液を含むpH2.4〜3.8の溶液は、報告によれば、緩衝剤、例えば酢酸塩(0.1〜0.3M)、リン酸塩(0.1〜0.15M)、またはグリシン(0.2M)の存在下に製造され、そこでは、イオン強度は0.08〜0.3Mに維持された。より高いイオン強度では、濁った溶液が報告された。クエン酸塩は、報告によれば、何れの濃度でも適当でなかった。好適な界面活性剤は、報告によれば、13〜29の範囲のHLBを有する非イオン親水性化合物を包含し、そして約0.5〜2.0%の濃度で存在した。記載された若干の例は、Pluronics(登録商標)、Cremophors(登録商標)、Tweens(登録商標)およびSolutols(登録商標)であった。製剤は、報告によれば、アミオダロンのミセル濃度に近似する濃度(約0.5〜0.8mg/mL)およびそれ未満の濃度(0.1〜0.15mg/mL)の両者まで希釈することができた。
【0013】
Ravinら(J.Pharm.Sci.(1975),64(11),1830−1833)は、塩化物イオンがアミオダロンの溶解度を抑制すること、そしてクエン酸および酒石酸ナトリウムが0.002〜0.008Mの範囲の極めて低い濃度および4.3〜5.4のpH値で、アミオダロンの溶解度をそれぞれ4.8および6mg/mLに高めることを開示している。しかしながら、より高い濃度では、溶解度は抑制された。試験した条件において、酢酸塩は何れの濃度でもpH4〜4.7で溶解度を低下させた。より濃縮したアミオダロン溶液を製造する能力は、温度依存性であることが示された。25℃、40℃および約60℃において、それぞれ0.35mg/mL、0.95mg/mLおよび>13mg/mLのアミオダロン濃度を達成することができた。60℃に加熱した溶液は、沈殿することなく25℃に冷却することができた;しかしながら、沈殿することなく臨界ミセル濃度未満に希釈することができなかった。
【0014】
Ravinら(J.Pharm.Sci.(1969),58(10),1242−45)は、セチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリル硫酸ナトリウムおよびtween80が0.02重量%までの界面活性剤濃度で、アミオダロンの溶解度を上昇させたことを報告している。
【0015】
シクロデキストリンおよびそれらの誘導体は、疎水性化合物の水性溶解度を高めるために液体製剤に広く使用されている。シクロデキストリンは澱粉から誘導される環状炭水化物である。未改変シクロデキストリンは、結合して円筒状構造に加わったグルコピラノース単位の数が異なる。親シクロデキストリンは、6個、7個または8個のグルコピラノース単位を含み、それぞれα−、β−およびγ−シクロデキストリンと呼ばれる。各シクロデキストリンサブユニットは、2位および3位に第2ヒドロキシル基を、そして6位に第1ヒドロキシル基を有する。シクロデキストリンは、親水性の外表面および疎水性の内部空洞を有する中空切頭円錐として描くことができる。水溶液中で、これらの疎水性空洞は、疎水性有機化合物に停泊所を与え、該化合物はそれらの構造の全部または部分がこれらの空洞中に嵌まり込むことができる。包接複合体化として知られているこの過程は、複合体化した薬剤にとって上昇した見掛け水性溶解度および安定性をもたらすことができる。複合体は疎水性相互作用により安定化され、そして共有結合の形成を伴わない。
【0016】
親シクロデキストリンの(通常はヒドロキシル部分における)化学的改変は、時として改善された安全性を有する誘導体を生じた一方で、シクロデキストリンの複合体化能力を保持または改善した。今日までに製造された莫大な誘導体化シクロデキストリンのうち、二つだけ;2−ヒドロキシプロピル誘導体(HP−β−CDまたはHPCD)、すなわちJannenその他により商業的に開発された中性分子、およびCyDex,Inc.により開発されてスルホアルキルエーテル誘導体(SAE−β−CDまたはSAE−CD)が商業的に存立できるようであ。
【0017】
SAE−CDは負荷電シクロデキストリンの一クラスであり、これらはアルキルスペーサーの性質、塩の形態、置換度および出発親シクロデキストリンにおいて変化する。シクロデキストリン1分子当り平均で約7個の置換基を有するβ−シクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘導体(SBE7−β−CD)のナトリウム塩は、CyDex,Inc.(Kansas)によりCAPTISOL(登録商標)シクロデキストリンとして商業化されている。
【化2】

【0018】
陰イオン性スルホブチルエーテル置換基は、親シクロデキストリンの水性溶解度を劇的に改善する。CAPTISOL(登録商標)シクロデキストリンによる薬剤の可逆的な非共有結合複合体化は、一般的に水溶液中の薬剤の上昇した溶解度および安定性を可能にする。
【0019】
不十分に溶解する薬剤の溶解度がSAE−CDの存在下で相対的に上昇することは、存在するSAE−CDの結合定数とモル濃度との積であることが報告されている(Stellaら、米国特許第6,046,177号および第5,874,418号)。化合物は、SAE-CDに結合するときに、通常、普通のAL(‘A’線形)型結合曲線を示す(Higuchi,T.およびConnors,K.A. in“Advances in Analytical Chemistry and Instrumentation Vol.4”(Reilly,Charles N.Ed.,John Wiley & Sons.,1965,pp.117−212))。典型的なAL型プロフィールにおいて
、水への薬剤の全溶解度(y軸)は、存在するシクロデキストリンの濃度(x軸)が上昇するにつれて線形に上昇する。このデータは、可溶化される特定の化合物(薬剤)がSA
E−CDとの予期しない結合関係を有しない限り、通常は直線に適合し、そしてこの関係からそれることは稀である。データを通るベストフィット線のyインターセプトは、水への薬剤の理論的な固有溶解度と等しい。
【0020】
方程式1および2は、動的および可逆的結合平衡を一般的に説明するものであり、ここで、例えば複合体化した形態中の薬剤量は、薬剤およびシクロデキストリンの濃度、および平衡または結合定数K1:1の関数である。
【数1】

【0021】
CAPTISOL(登録商標)シクロデキストリンは比較的新しく、それを非経口投与のためのアミオダロンと併用することは評価されていない。
【0022】
Chenらに対する米国特許第6,267,985号は、トリグリセリドの可溶化を改善する方法および治療剤の改善された送達を開示している。開示された製剤は、2種の界面活性剤、トリグリセリド、およびトリグリセリド担体、またはトリグリセリドおよび担体の両者の中で可溶化されうる治療剤の組み合わせを含む。‘985特許は、アミオダロンおよび場合により可溶化剤、例えばシクロデキストリンの使用を示唆しており、シクロデキストリンはシクロデキストリン誘導体、例えばヒドロキシプロピルシクロデキストリン(HPCD)、スルホブチルエーテルシクロデキストリンおよびスルホブチルエーテルシクロデキストリンの複合物を包含しうる。HPCDは好ましいシクロデキストリンである。
【0023】
Patelらに対する米国特許第6,294,192号は、疎水性治療剤の治療有効量を可溶化できる、トリグリセリド不含の経口医薬組成物を開示している。開示された製剤は、親水性界面活性剤および疎水性界面活性剤の組み合わせを含む。‘192特許は、アミオダロンおよび場合により可溶化剤、例えばシクロデキストリンの使用を示唆しており、シクロデキストリンはシクロデキストリン誘導体、例えばHPCDおよびスルホブチルエーテルシクロデキストリンを包含しうる。HPCDは好ましいシクロデキストリンである。
【0024】
Patelらに対する米国特許出願第20020012680は、疎水性治療剤、ならびに少なくとも1種の親水性界面活性剤および少なくとも1種の疎水性界面活性剤を含む担体を含む、トリグリセリド不含の医薬組成物を開示している。この出願は好適な疎水性治療剤としてアミオダロンの使用を特許請求しているが、教示していない。特許請求された製剤は可溶化剤をさらに含むことができ、これはスルホブチルエーテルシクロデキストリンであってよい。
【0025】
Stellaらに対する米国特許第5,874,418号および第6,046,177号は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン含有固体医薬組成物および製剤、ならびに治療剤を持続、遅延または制御送出するためのそれらの製造方法を開示している。これらの特許は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンおよび治療剤、ならびに場合により少なくとも1種の放出速度調節剤の物理的混合物を含む製剤を開示している。両特許は、不十分に溶解する薬剤の溶解度がスルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)の存在下で相対的に上昇することが、存在するSAE−CDの結合定数とモル濃度との積であることを教示する。換言すれば、Stellaらは、薬剤へのSBE−CDの結合が上記の方程式によって支配されることを開示している。アミオダロンは、使用できる多数の薬剤の一つとして列挙されている。
【0026】
Stellaらに対する米国特許第5,134,127号および第5,376,645号は、SAE−CDおよび薬剤を含む非経口製剤を開示している。アミオダロンは使用できる薬剤のリストに含まれていない。
【0027】
Coatesらに対する国際公開番号WO91/13100は、アミオダロンおよび6A−アミノ−6A−デオキシ−N−(3−カルボキシプロピル)−β−シクロデキストリン(β−CDNSc)を含むIV注射用液体製剤を開示している。インビトロでのイヌの研究において、5mg/kgのアミオダロンを含む溶液をβ−CDNScと共にまたはそれなしで、被検体に静脈内投与した。AUC(0〜24)およびCmaxはシクロデキストリン含有製剤の投与後に上昇したが、AUC(0−無限)および除去半減期には有意な変化が認められなかった。β−CDNScは、報告によれば、アミオダロンの静脈内投与後に観察される普通の副作用を除去した。アミオダロンの半減期に関するデータは、著しく変動した(17.646時間+/−14.04時間(対照)および36.264時間+/−32.332時間)。
【0028】
Palmerらに対する国際公開番号WO91/04026は、アミオダロンをα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、λ−シクロデキストリン、δ−シクロデキストリン、ジメチル−β−シクロデキストリンまたはアミノ−シクロデキストリンと共に含む液体製剤を開示している。インビボでのブタの研究が行われ、そこでは、アミオダロンおよびアミノ−シクロデキストリンをブタに経口投与した。
【0029】
シクロデキストリンの安全性は、多くの場合にインビトロ溶血研究により比較される。図1(Thompson,D.O.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,(1997),14(1),1−104)に示すように、CAPTISOL(登録商標)シクロデキストリンの溶血挙動は、親β−シクロデキストリン、市販のヒドロキシプロピル誘導体、ENCAPSINTM(置換度〜4;HP4−β−CD)およびMOLECUSOLTM(置換度〜8;HP8−β−CD)、および他の二つのスルホブチルエーテルシクロデキストリン、SBE1−β−CDおよびSBE4−β−CDの溶血挙動と比較される。他のシクロデキストリン誘導体とは異なり、SAE−CD誘導体、特にCAPTISOL(登録商標)シクロデキストリン(置換度〜7;SBA7−β−CD)およびSBE4−β−CD(置換度〜4)のような誘導体は、医薬製剤の可溶化に典型的に用いられる濃度で溶血挙動を本質的に全く示さない。これらのSAE−CDは、市販のヒドロキシプロピル誘導体よりも実質的に低い膜損傷性を示す。
【0030】
硫酸化シクロデキストリン誘導体も製造されており、血液凝固時間に対するそれらの効果が評価されている。硫酸化シクロデキストリンは、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンと比較する場合には特に、血液凝固時間を有意に妨害することが見出された(Tompson,D.O.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,(1997),14(1),1−104)。
【0031】
メチル化シクロデキストリンが製造され、ヒト赤血球に対するそれらの溶血効果が評価されている。これらのシクロデキストリンは中程度ないし重篤な溶血を引き起こす(Jodalら,Proc,4th Int.Symp. Cyclodextrins,(1988),421−425;Yoshidaら,Int.J.Pharm.,(1988),46(3),217−222)。
【0032】
それらそれぞれの官能基の働きで、誘導体化シクロデキストリンは、異なるpH値の溶液中に存在する場合に、それらのイオン化状態に関して異なることができる。カルボキシ−β−シクロデキストリン(例えばサクシニル−β−シクロデキストリン、6A−アミノ
−6A−デオキシ−N−(3−カルボキシプロピル)−β−シクロデキストリン)の官能
基は、典型的に約3〜5のpKa値を有する。従って、カルボキシシクロデキストリンは、pH3.5〜14の溶液中で荷電している。pHがカルボキシ−β−シクロデキストリンの官能基のpKa値未満に低下すると、シクロデキストリンの全体の負電荷は減少する。中性シクロデキストリン、例えばHPCDのイオン化状態は、製薬上適切なpH範囲にわたって変化しない。しかしながら、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)は大部分のシクロデキストリンとは異なり、1未満のpKaを有し、SAE−CDは溶液中で、医薬製剤に使用可能なpH範囲全体(pH1〜14)で完全にイオン化されたままであることを意味する。硫酸塩誘導体化シクロデキストリンの溶液pHに対するイオン化の変化に関する文献は入手できないが、硫酸塩誘導体化シクロデキストリンも、1〜14のpH範囲にわたり完全にイオン化されていると推測される。
【0033】
上記の開示は、アミオダロンが投与されたときにイオン化状態にあるかどうか、またはその担体シクロデキストリンが投与時にイオン化されるかどうかについて記載していない。
【0034】
従って、上記の種々のシクロデキストリンのうち、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンおよびヒドロキシプロピルシクロデキストリンだけが、非経口投与に適するのに十分な安全性を示している。
【0035】
公知技術の何れも現在のCORDARON(登録商標)製剤に固有の欠点を克服できず、アミオダロンの改善された非経口製剤に対する要求が残っている。濃縮溶液から容易に希釈可能である一方で透明性を維持し、生理的に許容されるかまたは適切なpHで投与でき、種々の貯蔵条件下で化学的に安定であり、取り扱いと投与が容易であり、そして現在市販されているアミオダロン製剤の副作用、例えば低血圧、徐脈、溶血および静脈炎の重篤度または発生を減少する、改善された製剤に対する要求が残っている。さらに、界面活性剤または有機溶剤に関連する副作用を除去する、改善された非経口製剤が必要である。何れの技術も本願で特許請求した本発明を開示も示唆もしていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明は、他の公知の製剤に固有の欠点の若干または全部を克服しようとするものである。本発明は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)に基づくアミオダロンの非経口製剤を提供する。本発明は、アミオダロンの生理的に許容される広範囲のpH値および濃度の水性液体中で、アミオダロンがインビトロで有意に沈殿することなく、製造および貯蔵できる、商業的に存立できる製剤を提供する。本製剤は、広範囲の緩衝液、食塩水または乳糖添加リンゲル液と共に製薬上安定である。本製剤はまた、現在市販されている製剤よりも大きな表面張力を有し、従ってドリップカウンター注入セットで投与する場合に、より正確な計量投与量を可能にする。
【0037】
SAE−CDおよびアミオダロン含有製剤は、市販品として使用するのに十分高いアミオダロン濃度および安定性を有する。本製剤は、滅菌濾過(例えば0.22μm未満また
はそれと等しいフィルター孔径)および他の慣用的な方法により滅菌できる透明水溶液として製造することができる。本液体製剤は、種々の貯蔵条件下で安定であり、再構築可能な固体に変換することもできる。本製剤は、生理的に許容されるpH範囲で注射により投
与することができる。媒質のpHに応じて、SAE−CDは、存在するアミオダロンの量に対して、化学量論量未満、化学量論量、または化学量論量を超える量で存在することができ、それでも透明溶液を与えることができる。例えば、低い溶液pH、すなわち、アミオダロンのpKaに近似するかまたはそれ未満のpH、およびアミオダロンおよびSAE−CDの低い濃度において、化学量論量未満のSAE−CDを使用でき、そしてアミオダロンの溶解度を主として非共有イオン結合により高めることができる。高い溶液pHおよび低い溶液pH、すなわち、アミオダロンのpKaより高いpH、およびより高いアミオダロンおよびSAE−CDの濃度において、化学量論量を超えるSAE−CDを使用でき、そしてアミオダロンの溶解度を、非共有イオン結合、および包接複合体の形成を介する複合体化の両者により高めることができる。
【0038】
本発明の一つの態様は、少なくとも治療有効量の抗不整脈剤、例えばアミオダロン、および、透明溶液を与え、かつ製薬上許容される液体添加剤組成物で希釈したときの沈殿を避けるのに十分な量で存在するスルホアルキルエーテルシクロデキストリンを含む、透明液体製剤を提供する。本製剤は、ストック溶液として提供することができ、これは被験者に投与する前に、液体担体剤組成物、例えば食塩水、血漿または乳糖添加リンゲル液で希釈される。別法として、本製剤は、希釈することなく投与するのに適するアミオダロン濃度で提供することができる。製薬上許容される水性液体担体で希釈すると、本発明の製剤は沈殿しないか、またはSAE−CDを含まない相当する対照製剤よりも少ない沈殿を形成するだろう。本発明の製剤は、製剤を希釈に適するものとするために界面活性剤を必要としない。
【0039】
本発明の特定の実施形態は、次のものを包含する:1)液体製剤が希釈可能であり、SAE−CD対アミオダロンのモル比が約1.1±0.01を超えるかまたはそれと等しく、アミオダロン濃度が約3mg/ml未満またはそれと等しい範囲にあり、SAE−CD濃度が約4.5mM(0.9重量%)未満またはそれと等しく、そして液体のpHが約5.8
未満またはそれと等しい;2)液体製剤が希釈可能であり、SAE−CD対アミオダロンのモル比が約1.1±0.01を超えるかまたはそれと等しく、アミオダロン濃度が約34mg/mL(50mM)を超えるかまたはそれと等しく、SAE−CD濃度が約55mMを超えるかまたはそれと等しく、そして液体媒質のpHがアミオダロンのpKaに近似するかまたはそれ未満である;3)製剤が、未緩衝液体担体に溶解したときに予め定めたpHを与える、再構築可能な緩衝された固体として提供される;4)SAE−CDがスルホブチルエーテル4−β−CDまたはスルホブチルエーテル7−β−CDである;5)SAE−CDが式1(後記)の化合物またはその混合物である;6)液体製剤が可溶化剤、酸化防止剤、緩衝剤、酸性化剤、複合体化促進剤、食塩水、デキストロース、凍結乾燥助剤(例えば増量剤または安定剤)、電解質、別の治療剤、アルカリ性化剤、抗微生物剤、抗真菌剤、またはその混合物をさらに含む;7)液体製剤が凍結乾燥または別法で乾燥され、水性液体で再構築したときに透明溶液を与える、再構築可能な固体を形成する;8)製剤が緩衝剤を含む;9)アミオダロンが沈殿することがなく、かつ追加のSAE−CDを添加することなく、製剤が製薬上許容される水性液体担体で1.5mg/mLのアミオダロン濃度に希釈可能である;10)液体製剤が、別のシクロデキストリン誘導体を含む別の比較可能な製剤よりも高いアミオダロン濃度を含む;および/または11)溶液が、約0.2mg/mLを超えるアミオダロン濃度を有する、水で希釈可能な濃縮ストック溶液である。
【0040】
本発明の別の態様は、SBE7−β−CDが少なくとも約0.3重量%の量で存在し、
アミオダロンが1〜2mg/mLの量で存在する、SBE7−β−CDおよびアミオダロンを含む注射用既製の透明液体製剤を提供する。
【0041】
本発明の別の態様は、SBE7−β−CD、および約2mg/mLの量で存在するアミ
オダロンを含み、そしてSBE7−β−CD対アミオダロンの比が約1.1±0.01を超えるかまたはそれと等しい、希釈可能な濃縮液体製剤を提供する。
【0042】
本発明の別の態様は、
スルホアルキルエーテルシクロデキストリンおよび酸−イオン化性剤を含む水性液体(ここで、該液体のpHは該酸−イオン化性剤のpKaに近似するかまたはそれ未満であり、そして該剤はシクロデキストリンに主として1個またはそれ以上の非共有イオン結合により結合するものとする)を用意する段階を含む、酸−イオン化性剤の溶解度の上昇方法を提供する。
【0043】
本発明の特定の実施形態は、次のものを包含する:1)酸−イオン化性化合物がアミオダロンであり、そしてSAE−CD濃度が約0.025M未満である;2)水性液体が約
0.5M未満の濃度で存在する塩または緩衝剤をさらに含む;3)液体のpHが酸−イオ
ン化性剤のpKaよりも少なくとも0.1pH単位低い;4)酸−イオン化性剤が第1級
アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アミン、芳香族アミン、不飽和アミン、エノール、第1級チオール、第2級チオール、スルホニウムおよびヒドロキシルからなる群から選択される少なくとも1個の酸−イオン化性官能基を含む;および/または5)液体のpHが酸−イオン化性剤のpKaよりも0.5pH単位以下高い。
【0044】
本発明の別の特定の実施形態は、次のものを包含する:1)製剤が25℃を超える、35℃を超える、45℃を超える、または50℃を超える温度で製造されている;2)製剤が周囲温度に近似する温度で製造されている;および/または3)濃縮製剤がSAE−CDおよび/または他の可溶化剤を含む溶液で希釈可能である。
【0045】
本発明のさらに別の態様は、抗不整脈剤、SAE−CDおよび場合により少なくとも1種の他の製薬添加剤を含む、再構築可能な個体製剤組成物を提供する。この組成物を水性液体で再構築すると、被験者に注射または注入により投与できる液体製剤を形成する。別法として、再構築可能な固体は、再構築された濃縮液体を形成することができる。
【0046】
本発明はまた、スルホアルキルエーテルシクロデキストリンおよび抗不整脈を含む液体製剤を投与する段階を含む、抗不整脈剤の投与方法を提供する。本製剤は、静脈内、皮下、皮内、腹腔内または筋肉内に投与することができる。
【0047】
本発明の方法の特定の実施形態は、次のものを包含する:1)液体製剤が注射または注入により投与される;2)本方法が、SAE−CDおよびアミオダロン、ならびに場合により1種またはそれ以上の成分を溶液中で混合して液体製剤を形成する前段階をさらに含む;3)本方法が、投与前に液体製剤を製薬上許容される液体担体で希釈する段階をさらに含む;4)本方法が、液体担体と、SAE−CDおよびアミオダロンを含む再構築可能な固体とを混合することにより液体製剤を形成する段階を含む;5)液体製剤が本明細書に記載するように製剤化される;6)液体製剤が、現在市販されている製剤と比較して、同等または少ない低血圧、徐脈および/または心室性頻拍を引き起こす;7)液体製剤が、現在市販されているアミオダロン製剤と比較して、同等または改善された化学的安定特性を与える;8)液体製剤が市販のCordarone(登録商標)IV製剤に類似する心拍数応答を与える;および/または9)液体製剤が市販のCordarone(登録商標)IV製剤に類似する薬物動態学的および/または薬力学的プロフィールを与える。
【0048】
本発明はまた、SAE−CDおよび抗不整脈剤に基づく液体製剤の製造方法を提供する。
【0049】
本発明の別の態様は、SAE−CDを含む第一の医薬組成物、および抗不整脈剤を含む
第二の医薬組成物を含むキットを提供する。
【0050】
本発明の他の特徴、利点および実施形態は、実施例と共に以下の記載によって当業者に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】種々のシクロデキストリンの溶解活性を比較する先行技術のグラフを示す。
【図2】pH4.5に調節した水中(◆)、pH4.5の0.5Mクエン酸塩緩衝液中(△)のアミオダロン塩酸塩およびSBE7−β−CDを用いて行った室温位相溶解度研究から得られたデータを示す。
【図3】pH4.5(◆)、7.0(■)および8.0(▲)に調節した水中のアミオダロン塩酸塩およびSBE7−β−CDを用いて行った室温位相溶解度研究から得られたデータを示す。
【図4】pH4.5に調節した水中のアミオダロン塩酸塩およびシクロデキストリンSBE7−β−CD(◆)、HP4−β−CD(□)およびHP8−β−CD(△)を用いて行った室温位相溶解度研究から得られたデータを示す。
【図5】pH7.0に調節した水中のアミオダロン塩酸塩およびシクロデキストリンSBE7−β−CD(■)、HP4−β−CD(□)およびHP8−β−CD(△)を用いて行った室温位相溶解度研究から得られたデータを示す。
【図6】pH8.0に調節した水中で、アミオダロン塩酸塩およびシクロデキストリンSBE7−β−CD(◆)、HP4−β−CD(□)およびHP8−β−CD(△)を用いて行った室温位相溶解度研究から得られたデータを示す。
【図7】SBE7−β−CD(pH4.5(◆)およびpH6.0(■))およびpH3.9のアミオダロンHCl市販製剤(△)を用いて行った室温界面張力研究から得られたデータを示す。ストック製剤の希釈のために、水中5%デキストロースを用いた。
【図8】SBE7−β−CD(pH4.5(◆)およびpH6.0(□))およびpH3.9のアミオダロンHCl市販製剤(△)を用いて行った室温浸透圧研究から得られたデータを示す。ストック製剤の希釈のために、水中5%デキストロースを用いた。
【図9】アミオダロンHClおよびSBE7−β−CDを含む種々の溶液のための組成物を示す。中実記号は室温で製造した溶液を表し、中空記号は>50℃の温度で製造し、次いで冷却した溶液を表す。線は、希釈可能な溶液と希釈不可能な溶液との間の近似分割を示す。
【0052】
発明の詳細な記載
アミオダロンおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンを含む本発明に係る製剤は、先行技術のアミオダロン製剤に存在する欠点の若干または全部を克服する。本発明の製剤は、市販のアミオダロン製剤に認められる有害な添加剤を一般的に除外している。さらに、本発明の製剤は、CORDARONE(登録商標)製剤と比較して、増加した表面張力を有する。本発明の製剤はまた、沈殿を形成することなく、広範囲のpH値で希釈できる。
【0053】
本明細書で用いられるように、アミオダロンという用語は、その中性および塩形態の全てを包含する。N−デセチルアミオダロン(DEA)は、ヒトにおけるアミオダロンの主要な活性代謝産物である。アミオダロンという用語は、DEAおよびその中性および塩形態の全てを包含する。
【0054】
本明細書で用いられるように、酸−イオン化性剤という用語は、酸の存在下にイオン化された状態になるかイオン化される化合物を意味すると理解される。酸−イオン化性剤は、酸に暴露されたとき、または酸性媒質中に置かれたときに、イオン化された状態になる少なくとも1個の酸−イオン化性官能基を含む。例示の酸−イオン化性官能基は、第1級
アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アミン、芳香族アミン、不飽和アミン、第1級チオール、第2級チオール、スルホニウム、ヒドロキシル、エノール、および化学技術の当業者に公知の他のものを包含する。
【0055】
本明細書で用いられるように、非共有イオン結合という用語は、陰イオン種および陽イオン種との間で形成される結合を指す。この結合は、二つの種が一緒になって塩またはイオン対を形成するような非共有結合である。SAE−CDはイオン対の陰イオン種を与え、そして酸−イオン化性剤はイオン対の陽イオン種を与える。SAE−CDは多価なので、SAE−CDは1個またはそれ以上の酸−イオン化性剤とイオン対を形成することができる。
【0056】
酸−イオン化性剤が包接複合体形成に対して非共有イオン結合により結合される程度は、例えば、1HNMR、13CNMRまたは円二色法(CD)のような方法を用いる分光光度法によるか、または酸−イオン化性剤およびSAE−CDに関する位相溶解度データの分析により測定することができる。当業者は、種間の結合が非共有イオン結合または包接複合体形成によって主として起こっているか否かを決定するために、これらの従来法を用いて、溶液中で生じている各型の結合量を近接させることができるだろう。両方の手段でSAE−CDに結合する酸−イオン化性剤は、2相の位相溶解度曲線を一般的に示すだろう。非共有イオン結合が包接複合体形成に対して優勢である条件下では、位相溶解度がこれらの条件下での種間の有意な結合を示すとしても、NMRまたはCDにより測定した包接複合体形成の量は減少するだろう;さらに、位相溶解度データから測定した酸−イオン化性剤の固有の位相溶解度は、これらの条件下で予期されるよりも一般的に高いだろう。
【0057】
本明細書で用いられるように、再構築可能な固体という用語は、水性液体媒質に溶解して再構築された液体を形成することができ、溶解の後液体媒質が肉眼で透明であることを意味すると理解される。本発明に係る再構築可能な医薬製剤は、抗不整脈剤、SAE−CDおよび場合により少なくとも1種の他の製薬添加剤を含む。再構築可能な固体は、SAE−CDおよびアミオダロン、および場合により他の成分を含む水性液体溶液から液体媒質を除去して固体を形成することによって製造することができる。本組成物は、固体SAE−CDと、抗不整脈剤および場合により少なくとも1種の他の個体製薬添加剤を含む抗不整脈剤含有固体との混合物を、抗不整脈剤の主要部分が再構築前にSAE−CDと複合体化していないように含むことができる。別法として、本組成物は、抗不整脈剤の主要部分が再構築前にSAE−CDと複合体化している、SAE−CDと抗不整脈剤との固体混合物を含むことができる。再構築可能な固体は、8重量%未満の水を一般的に含むだろう。再構築可能な固体製剤は、市販のCordarone(登録商標)製剤と比較して、同等または改善されたアミオダロンの化学安的定性を与える。この組成物は、水性ベースの溶液で再構築されて、抗不整脈剤および他の剤を含む液体製剤を形成し、この製剤は注射または注入により被験者に投与される。再構築可能な製剤の製造に用いられる液体製剤は、希釈されたかまたは濃縮した液体製剤について本明細書に記載したように製造することができる。本発明の液体製剤で典型的に用いられるよりも高い濃度でSAE−CDおよび抗不整脈剤を含む一方で、同じSAE−CD対アミオダロンのモル比を維持するように製造することもできる。再構築可能な固体は、この固体が予め定めた量の水性液体を用いて予め定めた温度で再構築された後に、希釈が可能または不可能である、再構築された液体製剤を形成するために製造することができる。水で希釈不可能な再構築された液体製剤は、約1.09未満のSAE−CD対アミオダロンのモル比を有する再構築可能な固体に、十分な量の水性液体を加熱しながら添加することにより製造することができる。希釈可能な再構築された液体製剤は、約1.1±0.01を超えるかまたはそれと等しいモル比を有するSAE−CDおよびアミオダロンの混合物を含む再構築可能な固体を、水に溶解することにより製造することができる。本発明者らは、本発明に係る何れの組成物も、SAE−CDを含む他の液体で溶解または希釈できることに注目する。
【0058】
再構築可能な組成物は、下記の方法の何れによっても製造される。本発明の液体製剤を最初に製造し、次いで凍結乾燥(フリーズドライイング)、噴霧乾燥、噴霧凍結乾燥、真空乾燥、対溶剤沈殿、超臨界または近超臨界液体を利用する種々の方法、または再構築に適する粉末または固体を製造するための当業者に公知の他の方法により、個体を形成する。
【0059】
再構築可能な固体は、粉末、ガラス様固体、多孔質固体または粒状物であってよい。再構築可能な固体は、結晶質または非晶質であってよい。
【0060】
本発明に係るSAE−CD含有組成物または製剤に関して用いられるように、希釈可能なという用語は、SAE−CDおよび例えばアミオダロンのような活性物質を含む液体製剤であって、沈殿することなく、さらに希釈することができ(水または水中のデキストロース(5%)を用い、室温、例えば約20℃〜28℃の温度のような周囲温度で)、すなわち、沈殿が生じたとしても約3重量%未満またはそれと等しい活性物質であり(換言すれば沈殿は有意でない)と同時に、約1.5mg/mLのアミオダロン濃度に希釈したときに透明溶液を維持する液体製剤を指す。希釈可能なSAE−CDおよび活性物質含有液体は、SAE−CDを含まない別の溶液で希釈することができ、生成した希釈された溶液は、活性物質の有意な沈殿に影響することのない、より低い活性物質濃度を有するだろう。従って、本発明により希釈できないSAE−CDおよび活性物質含有溶液は、別の溶液で希釈したときに有意な量(>3%の活性物質)の沈殿を形成するだろう。
【0061】
室温において水で希釈できない溶液は、希釈された溶液中のアミオダロン対SAE−CDの最終モル比が本明細書に記載した必要範囲内にある限り、SAE−CDを含む溶液で希釈可能にすることができる。実施例15は、23マイクロリットルの溶液(25℃でpH3.5、SAE−CD(23%w/v)およびアミオダロン塩酸塩(68.2mg/mL)を含み、1.02のSAE−CD対アミオダロンのモル比を有する〜25mMクエン酸塩緩衝液)を、SAE−CD(0.037mM)を含む977マイクロリットルの別の溶液で希釈する手順を詳述している。希釈された溶液は1.19のSAE−CD対アミオダロンのモル比を有し、透明である。従って、本発明は、以前は希釈不可能であった(本明細書で定義したとおり)アミオダロン含有溶液を希釈可能にする方法を提供し、この方法は、以前は希釈不可であった溶液を、SAE−CDを含む第二の溶液で希釈して、希釈された溶液中のアミオダロン対SAE−CDのモル比が≧1.1±0.01となるようにする段階を含む。
【0062】
温度は溶液の希釈可能性に影響するだろう。一般的に、溶液が希釈可能であるか否かの決定は、約25℃または周囲温度、例えば20℃〜28℃で行われる。約25℃で希釈不可能な溶液は、高められた温度、例えば>30℃、>40℃、>50℃またはそれ以上で希釈することにより、室温の水で希釈可能にすることができる。この加熱希釈は、最初は25℃の溶液を加熱溶液で希釈することにより、または最初は周囲温度の二つの溶液を混合して加熱することにより行うことができる。別法として、二つの溶液を別個に加熱し、次いで混合することができる。
【0063】
SAE−CDおよびアミオダロン含有溶液の周囲温度での希釈可能性は、混合する前に溶液を典型的に加熱しない臨床セッティングにおいて特に重要である。従って、本発明は、界面活性剤、有機溶剤、石鹸、洗浄剤または他のこのような化合物を必要とすることなく、周囲温度で希釈できるアミオダロンの溶液を提供する。
【0064】
本明細書で用いられるように、製薬上許容される液体担体は、非経口製剤を希釈または溶解するために製薬科学で用いられる任意の水性媒質である。
【0065】
本発明の製剤は、アミオダロンおよび式Iのスルホアルキルエーテルシクロデキストリンを含む:
【化3】

式中:nは4、5または6であり;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ独立して、−O−また
は−O−(C2−C6アルキレン)−SO3-基であり、ここで、R1〜R9の少なくとも1個、またはR1およびR2の少なくとも1個は独立して、−O−(C2−C6アルキレン)−S
3-基、好ましくは−O−(CH2)mSO3-基であり、ここで、mは2〜6、好ましくは2〜4であり(例えば−OCH2CH2CH2SO3-または−OCH2CH2CH2CH2SO3-
);そして
1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9はそれぞれ独立して、製薬上許容
される陽イオンであり、これは例えばH+、アルカリ金属(例えばLi+、Na+、K+)、アルカリ土類金属(例えばCa2+、Mg2+)、アンモニウムイオン、およびアミン陽イオン、例えば(C1−C6)−アルキルアミン、ピペリジン、ピラジン、(C1−C6)−アルカノールアミンおよび(C4−C8)−シクロアルカノールアミンの陽イオンである。
【0066】
液体または固体製剤に用いられるSAE−CDは、Stellaらに対する米国特許第5,376,645号および第5,134,127号に記載されており、それらの全体は参照により本明細書に組み入れられる。製造方法は、シクロデキストリンを水性塩基に、適切な温度、例えば70℃〜80℃で、可能な最高濃度で溶解することを含むことができる。例えば、ここでシクロデキストリン誘導体を製造するために、存在する第1CDヒドロキシル基のモル数に応じた量の適切なアルキルスルトンを、不均質相の最大接触を確保するために激しく攪拌しながら添加する。一つの実施形態によれば、SAE−CDはSBE−7−β−CD(CAPTISOL(登録商標)シクロデキストリン)またはSBE−4−β−CDである。
【0067】
本明細書で用いられるように、「アルキレン」および「アルキル」という用語(例えば−O−(C2−C6−アルキレン)SO3-基またはアルキルアミンにおいて)は、それぞれ、直鎖状、環状および分枝状の、飽和および不飽和の(すなわち1個の二重結合を含む)2価のアルキレン基および1価のアルキル基を包含する。この本文中の「アルカノール」という用語は、同様に、アルカノール基の直鎖状、環状および分枝状の、飽和および不飽和の両方のアルキル成分を包含し、ヒドロキシル基はアルキル部分の任意の位置に存在していてよい。「シクロアルカノール」という用語は、非置換であるか、または置換された(例えばメチルまたはエチルで)環状アルコールを包含する。
【0068】
本発明は、式(I)で述べた構造を有するシクロデキストリン誘導体の混合物を含む組成物を提供し、この組成物は全体として、シクロデキストリン1分子当り平均で少なくとも1個および3n+6個までのアルキルスルホン酸部分を含む。本発明はまた、単一型のシクロデキストリン誘導体、または少なくとも50%の単一型のシクロデキストリン誘導
体を含む組成物を提供する。
【0069】
本発明のシクロデキストリン誘導体は、精製した組成物、すなわち少なくとも90重量%または95重量%のシクロデキストリン誘導体を含む組成物として得られる。好ましい実施形態において、少なくとも98重量%のシクロデキストリン誘導体を含む精製組成物が得られる。
【0070】
本発明の組成物の若干において、未反応のシクロデキストリンは実質的に除去されており、残留不純物(すなわち組成物の<5重量%)は、シクロデキストリン誘導体含有組成物の性能にとって取るに足らないものである。
【0071】
例示のSAE−CD誘導体は、SBE4−β−CD、SBE7−β−CD、SBE11−β−CDおよびSBE4−γ−CDを包含し、これらはそれぞれ、n=5、5、5および6であり;mが4であり;4個、7個、11個および4個のスルホアルキルエーテル置換基が存在する式IのSAE−CD誘導体に相当する。これらのSAE−CD誘導体は、先行技術に示唆も開示もされていない手段で、水溶性が不十分な薬剤、例えばアミオダロンの溶解度を変動する程度で高めることを見出した。
【0072】
「治療剤/SAE−CD複合体」とは、式(I)のスルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体および治療剤のクラスレートまたは包接複合体を一般的に意味する。複合体分子中に存在する治療剤:SAE−CDの比は変動することができ、そしてモル基準で約0.33〜約3の範囲にあってよい。本明細書に記載する投与形態の別の実施形態にお
いて、治療剤:SAE−CDの比は、モル基準で約0.05〜約20、モル基準で約0.1〜約10または約0.25〜2.5の範囲にある。従って、SAE−CDは、一般的に治療剤の過剰量で存在するだろうが、その必要はないだろう。過剰量は、治療剤の固有溶解度、治療剤の予想用量、および特定の薬剤(治療剤)と特定のSAE−CDとの間の包接複合体化のための結合定数によって決定されるだろう。
【0073】
「複合体化した」とは、「とのクラスレートまたは包接複合体の部分である」ことを意味し、すなわち、複合体化した治療剤は、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体とのクラスレートまたは包接複合体の部分である。「主要部分」とは、少なくとも約50重量%の治療化合物を意味する。種々の特定の実施形態において、50重量%、60重量%、75重量%、90重量%または95重量%を超える治療剤が、医薬の製剤化中にSAE−CDと複合体化することができる。複合体化する薬剤の実際の割合は、特定のSAE−CDと特定の薬剤との複合体化を特徴付ける複合体化平衡定数、および複合体化に利用できるSAE−CDおよび薬剤の濃度により変動するだろう。
【0074】
SAE−CDが正荷電の酸−イオン化性化合物と1個またはそれ以上のイオン結合を形成できる条件下では、SAE−CDは低濃度で存在でき、そして薬剤対SAE−CDの比は1を超えることができる。従って、50%未満の薬剤を、包接複合体により、SAE−CDと複合体化させ、そして50%を超えるかまたはそれ未満の薬剤をSAE−CDに非共有イオン結合させることが可能である。
【0075】
SAE−CDは、他の誘導体化シクロデキストリンが負荷電であるか中性であるかとは無関係に、任意の他の誘導体化シクロデキストリンよりも有意に、アミオダロン可溶化する。以下の表は、幾つかの異なるシクロデキストリンによるアミオダロンの可溶化の比較を含んでいる:1)約3の置換度を有するスクシニル誘導体は、pH値がpKaに近づき、かつそれ以上に移動すると負荷電状態になりうるシクロデキストリン空洞から3炭素隔てられた官能基を有する(pKa約4〜5、Cyclolab,Budapest,Hungary);2)約14の置換度を有する硫酸塩誘導体は、pH1〜14で完全にイオン化されるシクロデキストリン空洞に接近して位置する硫酸塩官能基を有する(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,USA);3)約14の置換度を有するメチル誘導体、pH範囲1〜14にわたって電荷を有しない、ジメチル−ベータシクロデキストリン(Sigma−Aldrich,St.Louis,Missouri,USA);4)約8の置換度を有する2−ヒドロキシプロピル誘導体(HP8−β−CD)、pH範囲1〜14にわたって中性(Research Diagnostics,Inc,Flanders,New Jersey,USA);5)約4の置換度を有する2−ヒドロキシプロピル誘導体(HP4−β−CD)、pH範囲1〜14にわたって中性(Research Diagnostics,Inc,Flanders,New Jersey,USA);および6)約7の置換度を有する本発明に係るスルホブチルエーテル誘導体。
【0076】
表に示すように、SBE7−β−CDはアミオダロンの可溶化において、室温、pH4.5および0.09Mシクロデキストリンで、サクシニル誘導体、硫酸塩誘導体、メチル誘導体、HP8−β−CDおよびHP4−β−CDよりも、それぞれ39倍、138倍、1.7倍、3.3倍および3.6倍有効である。同様の観察は、pH7および他のシクロデキストリン濃度でも得ることができる。
【0077】
【表1】

【0078】
上記のデータは、SAE−CDが、媒質のpHまたは比較測定物質シクロデキストリンの電荷状態とは無関係に、他のシクロデキストリンに対して改善されたアミオダロン溶解度を与えることを示している。従って、本発明は、アミオダロンを含む非経口製剤にSAE−CDを含める段階を含む、アミオダロンの可溶化の改善方法を提供する。
【0079】
位相溶解度データは、アミオダロンがスルホブチルエーテル−7−β−シクロデキストリン(SBE7−β−CD)と複合体化している場合、典型的なAL型結合曲線に従わな
いことを示している。換言すれば、SBE7−β−CDと複合体化した場合のアミオダロンの溶解度は、pH4.5で予想されるよりも顕著に高い。10〜40%w/vのシクロ
デキストリン濃度におけるSBE7−β−CDとのアミオダロンの結合曲線は、予想外に高いyインターセプト値を外挿し、これは、アミオダロンの水溶性が、その報告された値0.2〜0.5mg/ml(0.00029〜0.00073モル)よりも何倍も大きいことを意味する。ゼロ〜約0.025MのSBE7−β−CD濃度における結合等温線のさら
なる評価は、SBE7−β−CD濃度を適度に上昇させて、予想外の劇的なアミオダロン溶解度の上昇を示す。pH4.5において、0.023MのSBE7−β−CD溶液は、約0.04M(27mg/ml)のアミオダロンまで可溶化することができる。しかしなが
ら、HP4−β−CDまたはHP8−β−CDは同じモル濃度において、pH4.5で約
0.007モル(5mg/ml)のアミオダロンを可溶化できるにすぎない。
【0080】
図2は、pH4.5(pHは塩酸/水酸化ナトリウムで調節)および約25℃でのSB
E7−β−CDおよびアミオダロンの位相溶解曲線を示す。このデータは、2相の結合の存在を示し、一方の型の結合は低いアミオダロンおよび低いシクロデキストリン濃度で優勢であり、他方の型の結合はより高いアミオダロンおよびより高いシクロデキストリン濃度で優勢である。アミオダロンが部分的または完全にイオン化されるpH値(〜pH<6)において、アミオダロンとシクロデキストリンとの間のイオン結合は、SAE−CD濃度が約0.025Mに近似するかまたはそれ未満であり、かつアミオダロン濃度が約0.045Mに近似するかまたはそれ未満である場合に、優勢である。同じpH範囲にわたり、アミオダロンとシクロデキストリンとの間の包接複合体形成は、SAE−CD濃度が約0.025Mを超え、かつアミオダロン濃度が約0.045Mに近接するかまたはそれを超える場合に、優勢である。この独特の2相結合特性は、他のシクロデキストリンおよび酸−イオン化性剤では観察されなかった。図2はまた、0.5Mクエン酸塩緩衝液、pH4.5および増加量のSBE7−β−CDの存在下のアミオダロン溶解度の位相溶解度曲線を示す。緩衝剤にある電荷の存在は、上記のように上昇したアミオダロン溶解度をもたらす非共有結合の全部ではなくても大部分を除去する。従って、SAE−CDとアミオダロンとの2相結合特性は、荷電種の添加により、結合が主として包接複合体形成により起きる普通の線形結合に変わることができる。従って、本発明は、酸−イオン化性剤を負荷電シクロデキストリンと混合して、酸−イオン化性剤のpKa未満またはそれに近似するpHを有する混合物を形成する段階を含む、酸−イオン化性剤の溶解を改善する方法を提供する。この混合物は、場合により緩衝剤または他の荷電種をさらに含んでいてもよく、緩衝剤または他の荷電種の濃度は約0.5M未満である。
【0081】
図3は、pH4.5(◆)、7.0(■)および8.0(▲)に調節した水中のアミオダ
ロン塩酸塩およびSBE7−β−CDを用いて行った位相溶解度研究の結果を示す。アミオダロンのpKaを超えるpH値において、アミオダロンは主として変化しない;従って、SAE−CDとの結合は、包接複合体化により主として起こり、そして全体的可溶化能は、pH4.5で観察される可溶化と比較して減少する。
【0082】
先行技術は、HPCDがアミオダロンの可溶化に好ましいシクロデキストリンであると示唆しているが、SAE−CDが試験した全てのpH値でさらに良好なアミオダロンの可溶化を与えることを今見出した。図4は、pH4.5に調節した水中のアミオダロン塩酸
塩およびシクロデキストリンSBE7−β−CD(◆)、HP4−β−CD(□)およびHP8−β−CD(△)を用いて行った位相溶解度研究から得られたデータを示す。SBE7−β−CDとは異なり、これらのHPCDはアミオダロンとイオン結合を示さず、またより不十分なアミオダロンの可溶化剤である。
【0083】
他のシクロデキストリンとは異なり、SAE−CDは高められたpHにおいてさえもアミオダロンを可溶化することができる。図5は、pH7.0に調節した水中のアミオダロ
ン塩酸塩およびシクロデキストリンSBE7−β−CD(■)、HP4−β−CD(□)およびHP8−β−CD(△)を用いて行った位相溶解度研究から得られたデータを示す
。図6は、pH8.0に調節した水中のアミオダロン塩酸塩およびシクロデキストリンSBE7−β−CD(◆)、HP4−β−CD(□)およびHP8−β−CD(△)を用いて行った位相溶解度研究から得られたデータを示す。これらのHPCDは、何れのpHにおいてもアミオダロンを効果的に可溶化しなかった。
【0084】
SAE−CDおよびアミオダロンを混合する温度は、溶液中のアミオダロンの達成可能最高濃度に影響を与える。加熱することなく、少なくとも100mg/mLほどにも高いアミオダロン濃度は、約2.5のSAE−CD対アミオダロンのモル比をもたらすSAE
−CD(0.37M;80重量%)の存在下に達成することができる。しかしながら、成
分の混合を50℃またはそれ以上で行うと、SAE−CD対アミオダロンモル比が1.0
9未満であっても、さらに高いアミオダロン濃度を有する透明溶液さえも製造することができる。下記の表は、SBE7−β−CDによるアミオダロンの結合に対する温度の効果に関する研究から得られた結果を詳述している。下記の溶液のそれぞれは、室温に冷却した後に透明であったことに注意すべきである。加えて、50重量%のSAE−CDを用いて行った操作では、アミオダロンの最高達成可能濃度に少なくとも達しなかった。すなわち列記したアミオダロン濃度は、透明度により測定した最高値未満である。
【0085】
【表2】

* は、D5W(水中デキストロース5%)を用いて、室温で沈殿を形成することなく希釈できないことを示す。
【0086】
少なくとも260mg/mLのアミオダロン濃度は、SBE7−β−CD対アミオダロンのモル比が1.09未満であっても、達成された。267mg/mLを超えるアミオダ
ロン濃度は、本発明の液体製剤を用いて達成できることに注意すべきである。上記の表に詳述した二つの製剤は、水単独では希釈できないが、それらはSAE−CD対アミオダロンの最終モル比が≧約1.1±0.01であるならば、SAE−CDを含む水で希釈することができる。希釈を高められた温度、例えば≧50℃で行う場合、濃縮溶液を希釈して、約1.1未満のSAE−CD対アミオダロンのモル比を有する希釈された溶液を形成する
ことができる。上記の実施形態において、アミオダロン対SAE−CDのモル比は0.3
を超えるかまたはそれと等しく、そして液体製剤は約45℃を超えるかまたはそれと等しい温度に暴露された。
【0087】
アミオダロンの最高達成可能濃度と、特定溶液が水単独で希釈できるか否かとの間には、有意な相違があることに注意すべきである。SAE−CDをアミオダロンの可溶化に用いて、SAE−CD対アミオダロンのモル比が1.1未満であっても、極めて高い濃度を得ることができることに注意すべきである。これらの高い濃度は、溶液を混合中に加熱したか否かとは無関係に達成することができる。加熱することなく、1.1未満のSAE−CD対アミオダロンのモル比を有する製剤においてさえも、約35mg/mlのアミオダロン濃度を容易に達成することができる。加熱すると、本明細書に記載したように、さらに高いアミオダロン濃度を達成することができる。換言すれば、水性媒質、SAE−CDおよびアミオダロンの混合物を混合中に加熱するか否かとは無関係に、SAE−CD対アミオダロンのモル比が約1.1±0.01を超えるかまたはそれと等しい場合に、希釈可能な液体製剤が最もよく得られることを発見した。約1.09±0.01未満またはそれと等しいSAE−CD対アミオダロンのモル比を有する液体製剤は、蒸留水、または界面活性剤、石鹸、洗浄剤、可溶化剤、溶剤またはシクロデキストリンを含まない他の液体では一般的に希釈できない。<1.1のSAE−CD対アミオダロンの濃度を有する溶液の希釈を望むならば、SAE−CDおよび/または別の慣用的合な可溶化剤(界面活性剤、石鹸、洗浄剤、溶剤、および当業者に公知の他のもの)を希釈剤溶液に含めることによって、希釈を行うことができる。
【0088】
SAE−CDによるアミオダロンの溶解の温度依存性を考慮して、加熱することなく可溶化できるアミオダロンの最大量は、加熱して可溶化できるよりも一般的に低い。加熱することなく約25℃で行った位相溶解度研究から得られたデータの外挿により、約100mg/mLまでのアミオダロン濃度をSAE−CDの存在下に達成することができる。
【0089】
下記の表は、示したアミオダロン濃度を、室温(加熱しない)およびpH4.5で達成
するのに必要な成分の比を推定するために使用することができる。下記の溶液のそれぞれは肉眼で透明である;しかしながら、全ての溶液が希釈可能であるとは限らない。
【0090】
【表3】

* は、D5Wを用いて、室温で沈殿を形成することなく希釈できない溶液を示す。
【0091】
約1.5mg/mLのアミオダロン濃度の場合、SAE−CD濃度は一つの例示的実施
形態において約0.3%w/vである。
【0092】
アミオダロンおよびSAE−CDを含む溶液が典型的なAL型線形結合プロフィールに
従う場合には、アミオダロン対SAE−CDの比は全濃度範囲で本質的に一定であり、そして生成した全ての溶液は希釈可能であると予測されるだろう。しかしながら、アミオダロンおよびSBE7−β−CDは、アミオダロンおよびシクロデキストリンの濃度が低い場合には、室温の酸性溶液中で、非定型的に挙動することを発見した。
【0093】
溶液中のSAE−CD濃度が15%から増大する、より高いSAE−CD濃度において、溶液中のアミオダロンの最高達成可能濃度は増大し、そしてその濃度の達成に必要なSBE7−β−CD対アミオダロンの比は増大する。SAE−CD濃度が約0.5未満である、より低いSAE−CD濃度において、溶液中のアミオダロンの最高達成可能濃度はSBE7−β−CD濃度が増大するにつれて増大し、そしてその濃度の達成に必要なSBE7−β−CD対アミオダロンの比は増大する。しかしながら、約0.5%〜12%の範囲のSAE−CD濃度では、最高達成可能なアミオダロン濃度におけるSBE7−β−CD対アミオダロンのモル比は約1.1未満であり、本発明により希釈できない溶液を生成する;しかし、これらの溶液は形成されたときに透明である。以下で論じる図9は、この予想外の現象をさらに詳述している。
【0094】
単一相結合曲線は、適切な緩衝剤の選択によっても得ることができる。本発明に係る製剤は、他の公知のアミオダロン含有液体製剤よりも広範囲の緩衝剤を含むことができる。
好適な緩衝剤は、クエン酸塩、酢酸塩、リン酸塩、トリス、ホウ酸塩、その他を包含する。上記のように、溶液中の緩衝剤のイオン強度は、2相の位相溶解度曲線の発生に影響を与えることができる。2相性が望ましいならば、緩衝剤のイオン強度は、緩衝剤の素性に応じて一般的に約0.5M未満であろう。アミオダロンおよびSAE−CDを除いて、溶液中の荷電種の全イオン強度は、約0.5M未満が好ましいことに注意すべきである。
【0095】
市販のCORDARONE(登録商標)製剤を点滴バッグにより投与する困難の一つは、その表面張力が低いことである。一様なドロップサイズ、従ってより正確な薬剤投与を達成できるように、液体製剤は水の表面張力(約72ダイン/cm)に近似する表面張力を有する液体製剤であることが一般的に望ましい。図7は、SBE7−β−CD(30重量%、pH4.5(◆)およびpH6.0(■))およびpH3.9の市販のアミオダロンHCl製剤(△)を用いて行った表面張力研究から得られたデータを示す。この例において、三つの製剤全てをD5Wで希釈した。i.v.注入バッグまたはボトル中に希釈するためのストック溶液としての使用に適する高いアミオダロン濃度において、SAE−CD含有製剤の表面張力は、市販のアミオダロンHCl製剤の表面張力よりも高いが、それになお近い。低いアミオダロン濃度(≦10mg/mLまたは臨床でアミオダロンを投与する濃度に近似する、例えば1.5mg/mL)では、SAE−CD含有製剤をさらに高い表面張力(約50ダイン/cmを超える)を有するようにすることができ、そしてi.v.点滴による投与にとってより適している。従って、本発明は、CORDARONE(登録商標)製剤の表面張力よりも高い表面張力を有する、SAE−CDおよびアミオダロンを含む改善されたアミオダロン含有非経口製剤を提供する。
【0096】
浸透圧は、非経口製剤の別の重要な観点である。本発明の製剤は、注射用既製のまたは希釈された形態でほぼ等張性であり、かつ濃縮形態で高張性である非経口製剤を与える。図8は、SBE7−β−CD(30重量%;pH4.5(◆)およびpH6.0(□))およびpH3.9の市販のアミオダロンHCl製剤(△)を用いて25℃で行った浸透圧研
究から得られたデータを示す。この研究において、三つの製剤全てをD5Wで希釈した。現在公知の製剤とは異なり、本発明の製剤は、ほぼ等張性にすることができる一方で、CORDARONE(登録商標)製剤と比較して改善された表面張力を依然として保持する。本発明の製剤は、アミオダロン濃度が約10mg/mL未満またはそれと等しい場合に、約280〜500mOsmの浸透圧を有するようにすることができる。
【0097】
上記のように、アミオダロン対SAE−CDのモル比は生成する溶液の透明性に影響する。図9は、加熱方法(中空記号)により製造したか、または室温(中実記号)で製造した、アミオダロンHClおよびSBE7−β−CDを含む種々の溶液に関する組成物を示す。破線は、添加したSAE−CDまたは他の可溶化剤を含まない溶剤で希釈可能な溶液と希釈不可能な溶液との間の近似分割を示す。アミオダロン濃度がSAE−CDに対して過度に高い場合、例えばアミオダロン対SAE−CDのモル比が約0.91を超える場合
、またはSAE−CD対アミオダロンのモル比が約1.09±0.01未満またはそれと等しい場合には、この溶液は典型的に室温でD5Wにより希釈することができない。アミオダロン対SAE−CDのモル比が0.91とほぼ等しいかまたはそれ未満であるか、また
はSAE−CD対アミオダロンのモル比が約1.1±0.01を超えるかまたはそれと等しいようなアミオダロン濃度の場合には、この溶液は一般的に室温でD5Wにより希釈することができる。
【0098】
式Iの他のSAE−CD化合物を本発明の液体製剤に使用できると理解すべきである。これらの他のSAE−CD製剤は、SBE7−β−CDとは、スルホアルキル基によるそれらの置換度、スルホアルキル鎖中の炭素数、それらの分子量、SAE−CDの形成に使用した基礎シクロデキストリンに含まれるグルコピラノース単位の数および/またはそれらの置換パターンが異なる。加えて、スルホアルキル基によるβ−シクロデキストリンの
誘導体化は、厳密な様式ではないが制御された様式で起きる。この理由のため、置換度は、実際に、シクロデキストリン当りのスルホアルキル基の平均数を表す数である(例えばSBE7−β−CDはシクロデキストリン当り平均で7個の置換基を有する)。加えて、シクロデキストリンのヒドロキシル基の置換の部位化学は、ヘキソース環の特定ヒドロキシル基の置換に関して変動しうる。この理由のため、異なるヒドロキシル基のスルホアルキル置換は、SAE−CDの製造中に起きるようであり、そして特定のSAE−CDは独占的または特異的ではないが優先的な置換パターンを有するだろう。上記のことを仮定すれば、特定SAE−CDの分子量はバッチ毎に変動することがあり、そしてSAE−CD毎に変動するだろう。これらの変動の全ては、複合体化平衡定数K1:1の変化を導くことがあり、これは次にSAE−CD対アミオダロンの必要なモル比に影響するだろう。平衡定数は温度によっても幾分変動でき、そして製造、貯蔵、輸送および使用中に起こりうる温度がゆらぐ間にもアミオダロンが可溶化されたままであるような比率の余裕が必要である。平衡定数はpHによっても変動し、そして製造、貯蔵、輸送および使用中に起こりうるpHがゆらぐ間にも薬剤が可溶化されたままであるような比率の余裕が必要である。平衡定数は他の添加剤(例えば緩衝剤、保存剤、酸化防止剤)の存在によっても変動しうる。従って、上記の変動を補償するために、SAE−CD/アミオダロンのモル比を変動(本明細書で述べた比率から±)させる必要がありうる。
【0099】
本発明はまた、液体ビヒクルを含む第一の容器、および上記の再構築可能な固体医薬組成物を含む第二の容器を含む医薬キットを提供する。液体ビヒクルは、水性液体担体、例えば水、デキストロース、食塩水、乳糖添加リンゲル液、または液体医薬配合物を製造するための製薬上許容される他の任意の水性液体担体を含む。
【0100】
本発明の水性液体製剤に、複合体化促進剤を添加することができる。複合体化促進剤は、アミオダロンとSAE−CDとの複合体化を促進する1種またはそれ以上の化合物である。複合体化促進剤が存在する場合には、SAE−CD対アミオダロンの必要な比を、より少ないSAE−CDが必要であるように変える必要がありうる。好適な複合体化促進剤は、1種またはそれ以上の薬理学的に不活性な水溶性ポリマー、ヒドロキシ酸、および特定の薬剤とシクロデキストリンとの複合体化を促進するために液体製剤に典型的に用いられる他の有機化合物を包含する。好適な水溶性ポリマーは、水溶性天然ポリマー、水溶性半合成ポリマー(例えばセルロースの水溶性誘導体)および水溶性合成ポリマーを包含する。天然ポリマーは、多糖、例えばイヌリン、ペクチン、アルギン誘導体および寒天、およびポリペプチド、例えばカゼインおよびゼラチンを包含する。半合成ポリマーは、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、それらの混合エーテル、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、および他の混合エーテル、例えばヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースおよびその塩、特にカルボキシメチルセルロースナトリウムを包含する。合成ポリマーは、ポリオキシエチレン誘導体(ポリエチレングリコール)およびポリビニル誘導体(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリスチレンスルホネート)、およびアクリル酸の種々のコポリマー(例えばカルボマー)を包含する。好適なヒドロキシ酸は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸および酒石酸、および当業者に公知の他のものを例として包含するが、これらに限定されるものではない。
【0101】
本発明の水性液体製剤に、溶解促進剤を添加することができる。溶解促進剤は、液体製剤中のアミオダロンの溶解を促進する1種またはそれ以上の化合物である。複合体化促進剤が存在する場合には、SAE−CD対アミオダロンの比を、より少ないSAE−CDが必要であるように変える必要がありうる。好適な溶解促進剤は、1種またはそれ以上の有機溶剤、洗浄剤、石鹸、界面活性剤、および特定薬剤の溶解を促進するために非経口製剤に典型的に使用される他の有機化合物を包含する。好適な有機溶剤は、例えばエタノール
、グリセリン、プロピレングリコール、ポロクサマー(poloxamers)および当業者に公知のものを包含する。
【0102】
生命を脅かす不整脈を抑制するのに十分なアミオダロンの計量投与量レベルは、誘導(例えば最初の10分間にわたり150mg(15mg/分)、続いて次の6時間にわたり360mg(1mg/分))、および維持(例えば残りの18時間にわたり540mg(0.5mg/分))の両方について、アミオダロンに関する具体的な文献、および特にCORDARONE(登録商標)製品の包装挿入説明書から導くことができる。さらに、麻酔科医および/または医師は、患者に望ましい効果を達成するために当技術で普通の慣例により、用量を変更できるだろう。
【0103】
製薬技術に使用される化合物は、種々の機能または目的に一般的にかなうものであることを理解すべきである。従って、本明細書で名を挙げた化合物が一度だけ述べられるか、または本明細書で二つ以上の用語を定義するために用いられる場合には、その目的または機能は、その名を挙げた目的または機能だけに限定されると解釈してはならないことを理解すべきである。必要ではないが、本発明の製剤は、保存剤、酸化防止剤、緩衝剤、酸性化剤、アルカリ性化剤、抗細菌剤、抗真菌剤、溶解促進剤、複合体化促進剤、溶剤、電解質、塩、水、ブドウ糖、安定剤、浸透圧調節剤、消泡剤、油、増量剤、凍結防止剤、またはその組み合わせを含むことができる。
【0104】
本明細書で用いられるように、「アルカリ性化剤」という用語は、製品の安定性のためのアルカリ性媒質を与えるために使用される化合物を意味することを意図している。このような化合物は、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、有機アミン塩基、アルカリ性アミノ酸およびトロラミン、および当業者に公知の他のものを例として包含するが、これらに限定されるものではない。
【0105】
本明細書で用いられるように、「酸性化剤」という用語は、製品の安定性のための酸性媒質を与えるために使用される化合物を意味することを意図している。このような化合物は、酢酸、酸性アミノ酸、クエン酸、フマル酸および他のアルファヒドロキシ酸、塩酸、アスコルビン酸、リン酸、硫酸、酒石酸および硝酸、および当業者に公知の他のものを例として包含するが、これらに限定されるものではない。
【0106】
本明細書で用いられるように、「保存剤」という用語は、微生物の成長を防止するために使用される化合物を意味することを意図している。このような化合物は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、チメロサール、メタクレゾール、塩化ミリスチルガンマピコリニウム、安息香酸カリウム、ソルベートカリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チモール、およびメチル、エチル、プロピルまたはブチルパラベン、および当業者に公知の他のものを例として包含するが、これらに限定されるものではない。
【0107】
本明細書で用いられるように、「酸化防止剤」という用語は、酸化を抑制し、従って酸化過程による調製物の劣化を防止するために使用される化合物を意味することを意図している。このような化合物は、アセトン、重硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、クエン酸、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ヒドロ亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、チオグリコール酸、メ
タ重亜硫酸ナトリウム、EDTA(エデテート)、ペンテテート(pentetate)、および当業者に公知の他のものを例として包含するが、これらに限定されるものではない。
【0108】
本明細書で用いられるように、「緩衝剤」という用語は、希釈時または酸またはアルカリの添加時にpHの変化に抵抗するために使用される化合物を意味することを意図している。このような化合物は、酢酸、酢酸ナトリウム、アジピン酸、安息香酸、安息香酸ナトリウム、クエン酸、リンゴ酸、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、乳酸、酒石酸、グリシン、メタリン酸カリウム、リン酸カリウム、一塩基性酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、酒石酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムの無水物および二水和物、および当業者に公知の他のものを例として包含するが、これらに限定されるものではない。
【0109】
本明細書で用いられるように、「安定剤」という用語は、そうしなければ薬剤の治療活性を低減するだろう物理的、化学的または生化学的過程に対して治療剤を安定化するために使用される化合物を意味することを意図している。好適な安定剤は、アルブミン、シアル酸、クレアチニン、グリシンおよび他のアミノ酸、ナイアシンアミド、アセチルトリプトファンナトリウム(sodium acetyltryptophonate)、酸化亜鉛、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、ポリエチレングリコール、カプリル酸ナトリウムおよびサッカリンナトリウム、および当業者に公知の他のものを例として包含するが、これらに限定されるものではない。
【0110】
本明細書で用いられるように、「浸透圧調節剤」という用語は、液体製剤の浸透圧を調節するために使用できる1種またはそれ以上の化合物を意味することを意図している。好適な浸透圧調節剤は、グリセリン、乳糖、マンニトール、デキストロース、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソルビトール、トレハロース、および当業者に公知の他のものを包含する。一つの実施形態において、液体製剤の浸透圧は、血液または血漿の浸透圧に近似する。
【0111】
本明細書で用いられるように、「消泡剤」という用語は、液体製剤の表面に生成する発泡量を防止または低減する1種またはそれ以上の化合物を意味することを意図している。好適な消泡剤は、ジメチコーン、シメチコーン、オクトキシノール、および当業者に公知の他のものを例として包含するが、これらに限定されるものではない。
【0112】
本明細書で用いられるように、「増量剤」という用語は、再構築可能な固体に嵩を加えるため、そして/または製造中に製剤の特性の制御を補助するために使用される化合物を意味することを意図している。このような化合物は、デキストラン、トレハロース、ショ糖、ポリビニルピロリドン、乳糖、イノシトール、ソルビトール、ジメチルスルホキシド、グリセロール、アルブミン、カルシウムラクトバイオネート、および当業者に公知の他のものを例として包含するが、これらに限定されるものではない。
【0113】
本明細書で用いられるように、「凍結防止剤」という用語は、活性治療剤を凍結乾燥中の物理的または化学的劣化から保護するために使用される化合物を意味することを意図している。このような化合物は、ジメチルスルホキシド、グリセロール、トレハロース、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、および当業者に公知の他のものを例として包含するが、これらに限定されるものではない。
【0114】
本明細書で用いられるように、「可溶化剤」という用語は、化合物が溶液に移行する溶解度を補助および/または増大するために使用される化合物を意味することを意図している。このような化合物は、グリセリン、グリセロール、ポリエチレングリコール、プロピ
レングリコール、および当業者に公知の他のものを例として包含するが、これらに限定されるものではない。
【0115】
本発明の製剤は、水、ブドウ糖または食塩水およびその組み合わせを含むこともできる。特別の実施形態において、製剤は水、食塩水およびブドウ糖を含む。
【0116】
沈殿またはゲル形成に関する本発明の液体製剤の化学的安定性は、液体担体のpHを調節することにより向上させることができる。化学的安定性は、液体製剤を固体または粉末製剤に変換することによっても向上させることができる。
【0117】
液体製剤のpHは、一般的に約pH3.0〜約pH7.0の範囲にあるだろう;しかしながら、より高いかまたはより低いpH値を有する液体製剤を製造することもできる。アミオダロン安定性は、pHならびにSAE−CD対アミオダロンの濃度の最適化により増大することができる。
【0118】
本発明の液体製剤は、アンプル、シリンジ、ボトル、バッグ、バイアル、または非経口投与に典型的に使用される他のこのような容器に入れて提供することができる。
【0119】
本発明の液体製剤は、多くの異なる方法により製造することができる。一つの方法によれば、SAE−CDを含む第一の水溶液を製造する。次いで、抗不整脈剤を含む第二の溶液を製造する。最後に、第一および第二の溶液を混合して液体製剤を形成する。第一および第二の溶液は、独立して、本明細書に記載した他の添加剤および物質を含むことができる。さらに、第二の溶液は、水および/または有機溶剤に基づく溶液であってよい。別の製造方法は、第二の溶液を製造することなく、第一の溶液に抗不整脈剤を直接添加する以外は、上記方法と同様である。液体製剤を製造する第三の方法は、第一の溶液を形成することなく、抗不整脈剤を含む第二の溶液にSAE−CDを直接添加する以外は、上記の第一の方法と同様である。液体製剤を製造する第四の方法は、抗不整脈剤を含む水溶液を微分または粒状SAE−CDに添加する段階、およびこの溶液をSAE−CDが溶解するまで混合する段階を含む。液体製剤を製造する第五の方法は、抗不整脈剤を微分または粒状SAE−CDに直接添加する段階、次いで水溶液を添加する段階、およびSAE−CDおよび抗不整脈剤が溶解するまで混合する段階を含む。液体製剤を製造する第六の方法は、第一の溶液を加熱するか、または第二の溶液を加熱するか、またはこれらの溶液と上記方法で記載した任意の溶液との組み合わせを加熱するかの何れかの段階、続いて、それぞれ加熱した溶液を冷却する段階を含む。液体製剤を製造する第七の方法は、第一の溶液のpHを調節するか、または第二の溶液のpHを調節するか、またはこれらの溶液と上記方法のどれかで記載した何れかの溶液との組み合わせのpHを調節するかの何れかの段階を含む。第八の方法は、上記方法のどれかにより液体製剤を製造する段階、続いて、凍結乾燥、噴霧乾燥、噴霧凍結乾燥、真空乾燥、逆溶剤沈殿、または超臨界または近超臨界液体を利用する方法により固体物質を単離する段階を含む。上記溶液のどれも、本明細書で記載した他の製薬添加剤または成分を含むことができる。
【0120】
液体製剤の製造方法の特定の実施形態は、該方法が次の段階をさらに含むものを包含する:1)孔径が約0.22μmまたはそれ以下である濾過媒体を通して製剤を滅菌濾過す
る;2)照射により製剤を滅菌する;3)エチレンオキシドでの処理により製剤を滅菌する;4)滅菌した液体製剤から滅菌粉末を単離する;5)液体を不活性ガスでパージして液体中の溶存酸素量を減少する;および/または6)液体製剤の製造に使用する溶液の一つまたはそれ以上を加熱する。
【0121】
被験者に投与する前に、第一および第二の製剤を混合し、そして液体投与形態として製剤化することができる。第一および第二の医薬組成物の一方または両方は追加の製薬成分
を含むことができる。
【0122】
本発明の液体製剤は、キットとして提供することができる。キットは、SAE−CDを含む第一の医薬組成物、および抗不整脈剤を含む第二の医薬組成物を含むだろう。被験者に投与する前に、第一および第二の製剤を混合し、そして液体投与形態として製剤化することができる。第一および第二の医薬組成物の一方または両方は追加の製薬成分を含むことができる。キットは種々の形態で利用できる。
【0123】
第一のキットにおいて、第一および第二の医薬組成物は、別個の容器、または2個またはそれ以上の部屋を有する容器の別個の部屋に供給される。第一および第二の医薬組成物は、独立して、固体または粉末または液体の形態の何れかで供給することができる。例えば、SAE−CDを再構築可能な粉末形態で供給することができ、そして抗不整脈剤を微粉末形態で供給することができる。一つの実施形態によれば、キットは、第一および/または第二の医薬組成物を懸濁および溶解するために使用される製薬上許容される液体担体をさらに含むだろう。別法として、液体担体は、第一および/または第二の医薬組成物と共に独立して含まれる。しかしながら、液体担体は、第一および第二の医薬組成物から隔離された容器または部屋に供給することもできる。上記のように、第一の医薬組成物、第二の医薬組成物および液体担体は、独立して、保存剤、酸化防止剤、緩衝剤、酸性化剤、食塩水、ブドウ糖、電解質、別の治療剤、アルカリ性化剤、抗微生物剤、抗真菌剤、溶解促進剤、またはその組み合わせを含むことができる。本発明の液体製剤は、予め充填したバイアル、予め充填したボトル、予め充填したシリンジ、予め充填したアンプル、またはそれらの複数を含む投与形態として提供することができる。一般的に、予め充填した容器は、抗不整脈剤の少なくとも1単位投与形態を含むだろう。
【0124】
キットの特定の実施形態は、次のものを包含する:1)第一および第二の医薬組成物が、別個の容器、または2個またはそれ以上の部屋を有する容器の別個の部屋に含まれている;2)キットが別個の製薬上許容される液体担体をさらに含む;3)液体担体が第一および/または第二の医薬組成物と共に含まれている;4)医薬組成物のための容器が、各場合に、真空容器、シリンジ、バッグ、ポーチ、アンプル、バイアル、ボトル、または液体製剤の送出のために当業者に公知の任意の製薬上許容される装置から独立して選択される;5)第一の医薬組成物および/または第二の医薬組成物および/または液体担体が、酸化防止剤、緩衝剤、酸性化剤、可溶化剤、複合体化促進剤、食塩水、デキストロース、凍結乾燥助剤(例えば増量剤または安定剤)、電解質、別の治療剤、アルカリ性化剤、抗微生物剤、抗真菌剤、またはその組み合わせを含む;6)キットが冷却して提供される;8)液体担体および/または部屋が製薬上許容される不活性ガスでパージされ、液体担体中の溶存酸素の実質的に全部が除去されている;9)部屋が実質的に酸素を含まない;10)液体担体が、生理的に許容されるpHを維持できる緩衝剤をさらに含む;11)部屋および溶液が無菌である;12)キットに含まれる希釈剤がSAE−CDを含み、そして室温においてD5Wで希釈できない製剤を希釈するために使用される。
【0125】
「単位計量投与量形態」という用語は、本明細書において、活性成分および希釈剤または担体のある量を含む、単一または複数の用量単位を意味するために使用され、この量は、1個またはそれ以上の予め定めた単位が単回治療投与のために通常必要とされるような量である。複数用量形態、例えば液体充填アンプルの場合には、上記の予め定めた単位は、一つの分数、例えば複数用量形態の半分または四分の一であろう。どの患者に対しても特定の用量レベルは、処置される適応症、採用される治療剤、治療剤の活性、適応症の重篤度、患者の健康状態、年齢、性、体重、食事および薬理学的応答、採用される特定の投与形態、および他のこのようなファクターを含む種々のファクターに依存することが理解されるだろう。
【0126】
「製薬上許容される」というフレーズは、本明細書において、堅実な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー性反応、または他の問題または合併症なしに、合理的な利益/リスク比につり合って、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するために適する化合物、材料、組成物および/または投与形態を指すために採用される。
【0127】
本明細書で用いられるように、「患者」という用語は、哺乳類のような温血動物、例えばネコ、イヌ、マウス、モルモット、ウマ、雌ウシ、ヒツジおよびヒトを意味すると理解される。
【0128】
本発明の液体製剤は、有効量のアミオダロンを含むだろう。「有効量」という用語は、治療有効量が考慮されると理解される。治療有効量は、必要なまたは望ましい治療応答を引き出すのに十分なアミオダロンの総量または分量、換言すれば、被験者に投与したときに認めうる生物学的応答を引き出す量である。
【0129】
他の抗不整脈剤および製剤を用いる場合のように、本発明の製剤は、心臓不整脈および/または生命を脅かす不整脈を抑制するために使用される。患者の不整脈は、抗不整脈剤の治療有効初期用量を投与し、次いで不整脈を抑制するのに十分な時間にわたりアミオダロンの用量を投与することによって抑制される。一般的に、抗不整脈剤の初期負荷投与量は、個々の患者の必要に応じて、最初に治療有効用量を迅速に注入または注射し、次いで治療有効用量を徐々に注入または注射することによって達成される。抗不整脈剤による抗不整脈作用の維持は、患者の個々の必要に応じた時間にわたり、より少量の抗不整脈剤の治療有効用量の注射または注入により、患者に投与することによって行われる。
【0130】
上記の記載および以下の実施例を考慮して、当業者は過度の実験を行うことなく、特許請求された本発明を実施できるだろう。上記のことは、本発明に係る製剤を製造するための一定の操作法を詳述する下記の実施例を参照すれば、よりよく理解されるだろう。これらの実施例における全ての言及は、説明を目的としている。下記の実施例は徹底的なものであると考えるべきでなく、本発明により考慮される多くの実施形態のうち、僅かなものの説明に過ぎない。
【実施例1】
【0131】
25mM酢酸塩緩衝液、pH4.5および30%w/v SBE7−β−CDを含む溶
液中のアミオダロンHCl 50mg/ml。
成分 量
アミオダロン塩酸塩 50mg/mL
酢酸ナトリウム三水和物、USP 3.4mg/mL
氷酢酸、USP pH4.5まで滴定
SBE7−β−CD 300mg/mL
水 100mLまでの適量
酢酸ナトリウム340mgおよびSBE7−β−CD30gを水約70mLに溶解することにより、溶液を製造した。氷酢酸を用いてpHを4.5に調節した。この溶液を55
℃に加熱し、混合しながらアミオダロンHCl5gを加えた。アミオダロンが完全に溶解するまで混合を続け、次いでこの溶液を徐々に室温に冷却した。この溶液を水で100mLの最終体積にし、肉眼で透明であり、かつ希釈可能な溶液を得た。この溶液を、0.2
2マイクロメートルのフィルター(ポリフッ化ビニリデンDurapore親水性膜)に通して濾過することにより滅菌した。この実施例はpH4.5の本発明に係る調製物を示
す。
【実施例2】
【0132】
pHを3.5に調節した以外は、実施例1の操作法に従った。
【実施例3】
【0133】
グリセリン20%w/v、SBE7−β−CD30%w/vおよびEDTA二ナトリウム0.1%w/vを含む溶液中のアミオダロンHCl 50mg/ml。
成分 量
アミオダロン塩酸塩 50mg/mL
EDTA二ナトリウム、USP 1.0mg/mL
グリセリン、USP 200mg/mL
SBE7−β−CD 300mg/mL
水 100mLまでの適量
EDTA二ナトリウム100mgおよびSBE7−β−CD30gを水約50mLに溶解することにより、溶液を製造した。グリセリン(20g)を混合しながら加え、この溶液を75℃に加熱した。混合しながらアミオダロンHCl5gを加え、それが完全に溶解するまで混合を続けた。この溶液を徐々に室温に冷却し、次いで水で100mLの最終体積にした。肉眼で透明であり、かつpH4.8で希釈可能な溶液を得た。この溶液を、0.22マイクロメートルのフィルター(ポリフッ化ビニリデンDurapore親水性膜)に通して濾過することにより滅菌した。従って、本発明に係る製剤は有機溶剤および酸化防止剤を含むことができる。
【実施例4】
【0134】
80mM酢酸塩緩衝液、pH5.0および30%w/v SBE7−β−CDを含む溶
液中のアミオダロンHCl 50mg/ml。
成分 量
アミオダロン塩酸塩 50mg/mL
酢酸ナトリウム三水和物、USP 10.9mg/mL
氷酢酸、USP pH5.0まで滴定
SBE7−β−CD 300mg/mL
水 10mlまでの適量
酢酸ナトリウム(109mg)およびSBE7−β−CD(3g)を約7mLの水に溶解した。氷酢酸を用いて溶液pHを5.0に調節し、次いで55℃に加熱した。この溶液
に攪拌しながらアミオダロンHCl500mgを加えた。アミオダロンが完全に溶解するまで混合を続けた。この溶液を徐々に室温に冷却し、次いで水で体積(100mL)にした。得られた溶液は肉眼で透明であり、かつ希釈可能であった。従って、本発明に係る製剤は酢酸塩緩衝剤を含むことができ、かつpH約5で製造することができる。
【実施例5】
【0135】
80mM酢酸ナトリウムおよび30%w/v SBE7−β−CDを含む溶液中のアミオダロンHCl 50mg/ml。
成分 量
溶液A SBE7−β−CD 1.50g
水 適量
酢酸ナトリウム三水和物 54.5mg/mL
氷酢酸 pH4.5まで滴定
溶液B アミオダロンHCl 250mg
メタノール 2.5mL
SBE7−β−CD1.5gおよび酢酸ナトリウム54.5mgを十分な量の水に溶
解して30%w/vのSBE7−β−CDを含む溶液を得ることにより、溶液Aを製造した。氷酢酸で溶液のpHを4.5に調節した。アミオダロンHCl250mgをメタノー
ル2.5mLに溶解することにより、溶液Bを製造した。溶液Aを55℃に加熱し、穏や
かに攪拌しながら溶液Aに溶液Bを加えた。この溶液を、メタノールが蒸発により除去さ
れるまで55℃に保った。この溶液を室温に冷却し、肉眼で透明な希釈可能な溶液を得た。従って、本発明に係る製剤は有機溶剤および緩衝剤を含むことができる。
【実施例6】
【0136】
80mM酢酸塩緩衝液、pH5.0、0.1%EDTA二ナトリウムおよび30%w/v
SBE7−β−CDを含む溶液中のアミオダロンHCl 50mg/ml。
成分 量
アミオダロン塩酸塩 50mg/mL
酢酸ナトリウム三水和物、USP 10.9mg/mL
氷酢酸、USP pH5.0まで滴定
EDTA二ナトリウム、USP 1.0mg/mL
SBE7−β−CD 300mg/mL
水 5.0mlまでの適量
酢酸ナトリウム54.5mg、EDTA二ナトリウム5mgおよびSBE7−β−CD
1.5gを水約4mLに溶解することにより、溶液を製造した。氷酢酸を用いてpHを5.0に調節した。この溶液を55℃に加熱し、のアミオダロンHCl250mgを混合しながら加えた。アミオダロンが完全に溶解するまで混合を続けた。この溶液を徐々に室温に冷却し、水を加えて最終体積を5mLにした。この溶液は肉眼で透明であった。
【実施例7】
【0137】
25mMクエン酸塩緩衝液、pH4.0および20%w/v SBE7−β−CDを含
む溶液中のアミオダロンHCl 50mg/ml。
成分 量
アミオダロン塩酸塩 50mg/mL
クエン酸一水和物、USP 3.22mg/mL
クエン酸ナトリウム二水和物、USP 3.02mg/mL
SBE7−β−CD 200mg/mL
水 50mLまでの適量
クエン酸161mg、クエン酸ナトリウム151mgおよびSBE7−β−CD10gを水約35mLに溶解することにより、溶液を製造した。この溶液を55℃に加熱し、混合しながらアミオダロンHCl2.5gを加えた。アミオダロンが完全に溶解するまで混
合を続け、次いでこの溶液を徐々に室温に冷却した。この溶液を水で最終体積(50mL)にした。得られた溶液は肉眼で透明であり、かつ希釈可能であった。この溶液を、0.22マイクロメートルのフィルター(ポリフッ化ビニリデンDurapore親水性膜)に通して濾過することにより滅菌した。従って、本発明に係る溶液は、低い濃度、例えば20重量%のSAE−CDを含むことができる。
【実施例8】
【0138】
30%w/v SBE7−β−CDを含む100mMクエン酸塩緩衝液、pH4.5中
のアミオダロンHCl 50mg/ml。
成分 量
アミオダロン塩酸塩 50mg/mL
クエン酸一水和物、USP 9.66mg/mL
クエン酸ナトリウム二水和物、USP 15.8mg/mL
SBE7−β−CD 300mg/mL
水 10mlまでの適量
クエン酸96.6mg、クエン酸ナトリウム158mgおよびSBE7−β−CD3g
を水約7mLに溶解することにより、溶液を製造した。この溶液を55℃に加熱し、混合しながらアミオダロンHCl500mgを加えた。アミオダロンが完全に溶解するまで混合を続けた。次いでこの溶液を徐々に室温に冷却し、水を加えて体積を10mLにした。
得られた溶液は4.5のpH値を有し、肉眼で透明であり、かつ希釈可能であった。従っ
て、本発明に係る製剤は、先行技術の製剤で可能であるよりも高い濃度、例えば100mMの緩衝剤、特にクエン酸塩緩衝剤を含むことができる。
【実施例9】
【0139】
実施例8で得られた溶液のpHを、1N水酸化ナトリウム溶液を用いて約5.5に調節
した。肉眼で透明な溶液が生成した。従って、本発明に係る液体製剤は、アミオダロンのpKaに近似するpHで製造することができる。
【実施例10】
【0140】
114mM一塩基リン酸ナトリウムおよび30%w/v SBE7−β−CDを含む溶液中のアミオダロンHCl 50mg/ml。
成分 量
アミオダロン塩酸塩 50mg
一塩基性リン酸ナトリウム、USP 15.96mg
SBE7−β−CD 300mg
水 1.0mlまでの適量
一塩基性リン酸ナトリウムおよびSBE7−β−CDを水に溶解することにより、溶液を製造した。この溶液を75℃に加熱し、混合しながらアミオダロンHClを加えた。アミオダロンが完全に溶解するまで混合を続け、次いでこの溶液を徐々に室温に冷却した。この溶液(pH4.5)を水で体積にし、肉眼で透明な溶液を得た。この溶液のpHを、
1N水酸化ナトリウム溶液を用いて5.5に調節した。肉眼で透明な溶液が生成し、これ
は希釈可能であった。従って、本発明に係る製剤は、アミオダロンのpKaに近似するpHのリン酸塩緩衝剤を含むことができる。さらに、本発明に係る製剤は、高められた温度、例えば約75℃で製造することができる。
【実施例11】
【0141】
50mLアミオダロンHClおよび300mg/mL SBE7−β−CDを含む溶液を与えるための再構築可能な固体製剤。
水中にSBE7−β−CD7.5gおよびアミオダロンHCl1.25gを含む溶液を、全体積25mLで製造した。溶液のpHを濃HClまたは10N NaOHで4.5に調
節した。この溶液を、0.22ミクロンのフィルターに通して濾過し、アリコート3mL
をバイアルに充填し、凍結乾燥して個体を得た。バイアルの内容物を水3mLで再構築して透明溶液を得た。従って、本発明により製造した液体製剤は、液体製剤から大部分の水を除去することにより、本発明に係る再構築可能な固体製剤に変換することができる。
【実施例12】
【0142】
50mMクエン酸塩緩衝液、pH〜4.5およびスルホブチルエーテル4−β−シクロ
デキストリン(SBE4−β−CD)中のアミオダロン50mg/ml。
クエン酸4.4mL(50mM)およびクエン酸ナトリウム4.6mL(50mM)を含む溶液のアリコート3.8mLを、スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン120
0mg、置換度〜4(SBE4−β−CD)と、溶解するまで混合した。この溶液を55℃に加熱し、アミオダロンHCl200mgを溶解するまで攪拌しながら加えた。この溶液を徐々に室温に冷却し、透明溶液を得た。従って、本発明に係る製剤は、≧1.1±0.01のSAE−CD対アミオダロンのモル比を維持する限り、SBE4−β−CDを含むことができる。
【実施例13】
【0143】
アミオダロンHCl(50mg(0.73mM))およびSBE7−β−CD(335
mg;1.54mM)を一緒にし、全体積100mLの水に溶解した。得られた透明溶液
を真空乾燥した。この乾燥生成物のアリコート50mgを60mMリン酸塩緩衝液25mL、pH7に溶解し、透明溶液を得た。従って、先行技術とは異なり、SAE−CDおよびリン酸塩緩衝剤を含む再構築可能な粉末を製造することができる。
【実施例14】
【0144】
25mMクエン酸塩緩衝液、pH4.0および15%w/v SBE7−β−CDを含
む溶液中のアミオダロンHCl 50mg/ml。
成分 量
アミオダロン塩酸塩 50mg/mL
クエン酸一水和物、USP 3.22mg/mL
クエン酸ナトリウム二水和物、USP 3.02mg/mL
SBE7−β−CD 150mg/mL
水 10mLまでの適量
クエン酸32.2mg、クエン酸ナトリウム30.2mgおよびSBE7−β−CD1.
5gを水約7mLに溶解することにより、溶液を製造した。この溶液を55℃に加熱し、混合しながらアミオダロンHCl500mgを加えた。アミオダロンが完全に溶解するまで混合を続け、次いでこの溶液を徐々に室温に冷却した。この溶液を水で最終体積(10mL)にした。得られた溶液は肉眼で透明であった。この溶液を、0.22マイクロメー
トルのフィルター(ポリフッ化ビニリデンDurapore親水性膜)に通して濾過することにより滅菌した。5%デキストロース水溶液中に1.5mg/mLアミオダロンに希
釈したところ、曇った溶液が生成した。従って、本発明に係る製剤は、≦1.09±0.01のSAE−CD対アミオダロンのモル比を有する限り透明にすることができ、またその一方で室温において水性液体(可溶化剤を含まない)で希釈できない。さらに、低い濃度、例えば約15重量%のSAE−CDを含む透明製剤を製造することができる。
【実施例15】
【0145】
〜25mMクエン酸塩緩衝液、pH3.5および23%w/v SBE7−β−CDを
含む溶液中のアミオダロンHCl 68.2mg/ml。
成分 量
アミオダロン塩酸塩 68.2mg/mL
クエン酸一水和物、USP 4.22mg/mL
クエン酸ナトリウム二水和物、USP 2.41mg/mL
SBE7−β−CD 230mg/mL
水 〜4.5mLまでの適量
クエン酸18.9mg、クエン酸ナトリウム10.8mgおよびSBE7−β−CD1.
0gを水約4mLに溶解することにより、溶液を製造した。この溶液を55℃に加熱し、混合しながらアミオダロンHCl305mgを加えた。アミオダロンが完全に溶解するまで混合を続け、次いでこの溶液を徐々に室温に冷却した。この溶液を水で最終体積(〜4.5mL)にした。得られた溶液は肉眼で透明であり、かつ1.02のSBE/アミオダロンのモル比を有していた。この溶液を、0.22マイクロメートルのフィルター(ポリフッ化ビニリデンDurapore親水性膜)に通して濾過することにより滅菌した。5%デキストロース水溶液中に1.5mg/mLアミオダロンに希釈したところ、曇った溶液が生成した。この製剤を、0.37mMのSBE7−β−CDを含む5%デキストロース水溶液中に1.5mg/mLアミオダロンに希釈したところ、肉眼で透明な溶液(SBE/アミオダロンの最終モル比1.19)を生成した。従って、約25℃または室温において水または5%デキストロース水溶液で希釈できない液体製剤は、SAE−CD対アミオダロンの最終モル比が≧約1.1である限り、SAE−CDを含む水性希釈剤を用いることにより、室温で希釈可能にすることができる。
【0146】
溶液の透明度は、ここでは肉眼検査により測定した;しかしながら、溶液の透明度を測
定するための他の公知方法を行うことができる。例証的な他の方法は、880nmの波長での分光光度法を包含する。何れの方法を用いても、本発明により製造された溶液は、少なくとも肉眼で透明であると測定された。透明液体は、一般的に沈殿を含まないか、または約3重量%未満またはそれと等しいアミオダロンまたは酸−イオン化性活性剤の量で存在する沈殿を含むことがあるだろう。
【0147】
以上のことは、本発明の特定の実施形態の詳細な記載である。本発明の特定の実施形態を説明の目的で記載してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更を行いうることが認められるだろう。従って、本発明は、添付の請求項による以外は限定されるものではない。ここに開示および特許請求した実施形態の全ては、本発明の開示を考慮して、過度の実験を行うことなく製造および実施することができる。
【0148】
添付の図面は本明細書の一部であり、そして本発明のある局面をさらに実証するために含められる。本明細書に提示される特定の実施形態に関する詳細な記載と組み合わせて、これらの図面の一つまたはそれ以上を参照すれば、本発明をより良く理解することができる。
図1は、種々のシクロデキストリンの溶解活性を比較する先行技術のグラフを示す。
図2は、pH4.5に調節した水中(◆)、pH4.5の0.5Mクエン酸塩緩衝液中(
△)のアミオダロン塩酸塩およびSBE7−β−CDを用いて行った室温位相溶解度研究から得られたデータを示す。
図3は、pH4.5(◆)、7.0(■)および8.0(▲)に調節した水中のアミオダ
ロン塩酸塩およびSBE7−β−CDを用いて行った室温位相溶解度研究から得られたデータを示す。
図4は、pH4.5に調節した水中のアミオダロン塩酸塩およびシクロデキストリンS
BE7−β−CD(◆)、HP4−β−CD(□)およびHP8−β−CD(△)を用いて行った室温位相溶解度研究から得られたデータを示す。
図5は、pH7.0に調節した水中のアミオダロン塩酸塩およびシクロデキストリンS
BE7−β−CD(■)、HP4−β−CD(□)およびHP8−β−CD(△)を用いて行った室温位相溶解度研究から得られたデータを示す。
図6は、pH8.0に調節した水中で、アミオダロン塩酸塩およびシクロデキストリン
SBE7−β−CD(◆)、HP4−β−CD(□)およびHP8−β−CD(△)を用いて行った室温位相溶解度研究から得られたデータを示す。
図7は、SBE7−β−CD(pH4.5(◆)およびpH6.0(■))およびpH3.9のアミオダロンHCl市販製剤(△)を用いて行った室温界面張力研究から得られたデータを示す。ストック製剤の希釈のために、水中5%デキストロースを用いた。
図8は、SBE7−β−CD(pH4.5(◆)およびpH6.0(□))およびpH3.9のアミオダロンHCl市販製剤(△)を用いて行った室温浸透圧研究から得られたデータを示す。ストック製剤の希釈のために、水中5%デキストロースを用いた。
図9は、アミオダロンHClおよびSBE7−β−CDを含む種々の溶液のための組成物を示す。中実記号は室温で製造した溶液を表し、中空記号は>50℃の温度で製造し、次いで冷却した溶液を表す。線は、希釈可能な溶液と希釈不可能な溶液との間の近似分割を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)対アミオダロンのモル比が1.09±0.01未満またはそれと等しくそして0.05を超え、液体製剤のpHがアミオダロンのpKaに近似するかまたはそれ未満であり、そして液体製剤が45℃を超えるかまたはそれと等しい温度に暴露されており、これにより該液体製剤が透明にされている、アミオダロン、SAE−CDおよび水性液体担体を含む透明液体製剤。
【請求項2】
アミオダロン対SAE−CDのモル比が0.3を超えるかまたはそれと等しく、そして液体製剤が45℃を超えるかまたはそれと等しい温度に暴露されており、これにより該液体製剤が透明にされている、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
液体製剤のpHがアミオダロンのpKaに近似するかまたはそれ未満である、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
液体製剤が、加熱した製薬上許容される水性液体担体、SAE−CDを含む水性液体、または可溶化剤、石鹸、洗浄剤、界面活性剤または複合体化促進剤を含む水性液体で希釈可能であり、希釈された透明液体製剤を形成する、請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
SAE−CDが式I:
【化1】

(式中:nは4、5または6であり;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ独立して、−O−または−O−(C2−C6アルキレン)−SO3-基であり、ここで、R1〜R9の少なくとも1個は独立して−O−(C2−C6アルキレン)−SO3-基であり;そして
1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9はそれぞれ独立して、製薬上許容される陽イオンである)の化合物または該化合物の混合物である、請求項2に記載の製剤。
【請求項6】
スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)対アミオダロンのモル比が1.09±0.01未満そして0.05超過であり、そして再構築可能な固体が、30℃を超えるかまたはそれと等しい温度で製薬上許容される液体担体と混合したときに、再構築された透明液体製剤を形成する、SAE−CDおよびアミオダロンを含む再構築可能な固体。
【請求項7】
SAE−CDが式I:
【化2】

(式中:nは4、5または6であり;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ独立して、−O−または−O−(C2−C6アルキレン)−SO3-基であり、ここで、R1〜R9の少なくとも1個は独立して−O−(C2−C6アルキレン)−SO3-基であり;そして
1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9はそれぞれ独立して、製薬上許容される陽イオンである)の化合物または該化合物の混合物である、請求項6に記載の固体。
【請求項8】
可溶化剤、酸化防止剤、緩衝剤、酸性化剤、複合体化促進剤、食塩水、デキストロース、凍結乾燥助剤、増量剤、安定剤、電解質、別の治療剤、アルカリ性化剤、抗微生物剤、抗真菌剤、またはその組み合わせをさらに含む、請求項7に記載の固体。
【請求項9】
再構築された液体製剤のpHがアミオダロンのpKaに近似するかまたはそれ未満であるような緩衝剤をさらに含む、請求項7に記載の固体。
【請求項10】
SAE−CDおよびアミオダロンが混合されており、そしてアミオダロンの主要部分が再構築前にSAE−CDと複合体化していない、請求項7に記載の固体。
【請求項11】
アミオダロンの主要部分が再構築前にSAE−CDと複合体化している、請求項7に記載の固体。
【請求項12】
SAE−CD対アミオダロンのモル比が0.3を超える、請求項7に記載の固体。
【請求項13】
固体が、無菌液体製剤から噴霧乾燥、凍結乾燥、噴霧凍結乾燥、逆溶剤沈殿、溶剤蒸発によるか、または超臨界または近超臨界液体を利用する方法により製造されたものである、請求項7に記載の固体。
【請求項14】
SBE7−β−CDが少なくとも0.3重量%の量で存在し、そしてアミオダロンが1〜2mg/mLの量で存在する、SBE7−β−CDおよびアミオダロンを含むすぐ注射に使える透明無菌液体製剤。
【請求項15】
a. アミオダロン、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)および製薬上許容される液体担体を用意して混合物を形成する段階(ここで、SAE−CD対アミオダロンのモル比は1.09±0.01未満そして0.05超過であるものとする);および
b. 該液体担体、液体製剤またはそれの組合せを加熱し、これにより透明な液体製剤を形成する段階を含む、透明液体製剤の製造方法。
【請求項16】
加熱段階を少なくとも45℃の温度で行う、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
アミオダロン対SAE−CDのモル比が0.3を超えるかまたはそれと等しい、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
SAE−CDが式I:
【化3】

(式中:nは4、5または6であり;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ独立して、−O−または−O−(C2−C6アルキレン)−SO3-基であり、ここで、R1〜R9の少なくとも1個は独立して−O−(C2−C6アルキレン)−SO3-基であり;そして
1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9はそれぞれ独立して、製薬上許容される陽イオンである)の化合物または該化合物の混合物である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)が少なくとも0.3重量%の量で存在し;アミオダロンが0.482〜100.8mg/mLの量で存在し;
SAE−CDが式I:
【化4】

(式中:nは4、5または6であり;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ独立して、−O−または−O−(C2−C6アルキレン)−SO3-基であり、ここで、R1〜R9の少なくとも1個は独立して−O−(C2−C6アルキレン)−SO3-基であり;そして
1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9はそれぞれ独立して、製薬上許容される陽イオンである)の化合物または該化合物の混合物である、
製薬上許容される水性液体、SAE−CDおよびアミオダロンを含む、すぐ注射に使える透明無菌水性液体製剤。
【請求項20】
スルホアルキルエーテルシクロデキストリン(SAE−CD)が0.055M未満かまたはそれと等しい量で存在し;アミオダロンが0.05M未満かまたはそれと等しい量で存在し;SAE−CD対アミオダロンのモル比が1.09±0.01未満かまたはそれと等
しくそして0.3を超えるかまたはそれと等しく;そして、SAE−CDが式I:
【化5】

(式中:nは4、5または6であり;
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9はそれぞれ独立して、−O−または−O−(C2−C6アルキレン)−SO3-基であり、ここで、R1〜R9の少なくとも1個は独立して−O−(C2−C6アルキレン)−SO3-基であり;そして
1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8およびS9はそれぞれ独立して、製薬上許容される陽イオンである)の化合物または該化合物の混合物である、
製薬上許容される水性液体、SAE−CDおよびアミオダロンを含む、すぐ注射に使える透明無菌水性液体製剤。
【請求項21】
液体製剤が製薬上許容される水性液体および/または該液体製剤を少なくとも30℃の温度で加熱することによって製造される、請求項20に記載の液体製剤。
【請求項22】
液体製剤が製薬上許容される水性液体および/または該液体製剤を少なくとも30℃の温度で加熱することによって製造される、請求項19に記載の液体製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−116776(P2011−116776A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48873(P2011−48873)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【分割の表示】特願2004−500775(P2004−500775)の分割
【原出願日】平成15年4月29日(2003.4.29)
【出願人】(501278788)サイデックス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (18)
【Fターム(参考)】