説明

アミド化合物の製造方法

【課題】 アミド化合物を、触媒を用いることなく、さらに特殊な反応装置を必要としない製造方法を提供する。
【解決手段】 マイケル付加化合物と、1級または2級アミン化合物とを、触媒の非存在下に連続的に反応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種有機合成試薬として好適なアミド化合物を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アミド化合物をマイケル付加化合物と、1級または2級アミン化合物との反応により製造することについては、種々提案されており、例えば、特許文献1および特許文献2には、アルカリ金属アルコラートを触媒として回分式(バッチ)で上記反応を行うことが開示されている。また、特許文献2には、触媒を用いずに回分式(バッチ)で上記反応を行うことが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−145122号公報(公開日平成7年6月6日)
【特許文献2】特開平7−316111号公報(公開日平成7年12月5日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1および特許文献2に記載の触媒を用いる回分式の合成方法では、生成物からの触媒の分離工程が煩雑であるという問題点を有する。また、上記の特許文献2に記載の触媒を用いない回分式の合成方法では、反応時間が長くなるという問題点および高温高圧での反応となり特殊な反応装置が必要になるという問題点を有する。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、アミド化合物を、触媒を用いることなく、さらに特殊な反応装置を必要としない製造方法を提供することにある。
【0006】
なお、本発明において、「(イソ)プロピオン酸」には、プロピオン酸とイソプロピオン酸とが包含され、「(メタ)アクリル酸アミド」には、アクリル酸アミドとメタクリル酸アミドが包含される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は、アミド化合物の製造方法について鋭意検討した。その結果、マイケル付加化合物と、1級または2級アミン化合物とを、触媒の非存在下に連続的に反応させることにより、アミド化合物を、触媒を用いることなく、さらに特殊な反応装置を必要としないで製造することができることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【発明の効果】
【0008】
マイケル付加化合物と、1級または2級アミン化合物とを、触媒の非存在下に連続的に反応させることにより、アミド化合物を、触媒を用いることなく、さらに特殊な反応装置を必要としないで製造することができる。
【0009】
さらに、マイケル付加化合物と、1級または2級アミン化合物とを触媒の非存在下に連続的に反応させることにより得られたアミド化合物はほとんど着色しないという予期せぬ効果も認められた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のアミド化合物の製造方法は、下記一般式(1):
N−CH−CHR−COOR (1)
(式中、式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜20の有機残基を示し、R3は水素原子または炭素数1〜10の有機残基を示し、R4は炭素数1〜10の有機残基を示す。また、R3とR4は連結し環状構造を形成してもよい。)で表されるマイケル付加化合物と、下記一般式(2):
−NH−R (2)
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜10の有機残基を示し、Rは炭素数1〜10の有機残基を示す。また、RとRは連結し環状構造を形成してもよい。)で表わされる1級または2級のアミン化合物とを、触媒の非存在下に連続的に反応させる下記一般式(3):
N−CH−CHR−CONR (3)
(式中、R、R、R、R、Rは前記において定義したとおり。)で表されるアミド化合物の製造方法である。
【0011】
前記一般式(1)中のRで表される有機残基とは、例えば、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状または環状の飽和アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状、分枝状または環状の不飽和アルキル基、炭素数3〜20のエーテル結合を有する直鎖状、分枝状または環状の飽和アルキル基、炭素数3〜20のエーテル結合を有する直鎖状、分枝状または環状の不飽和アルキル基、炭素数2〜5のヒドロキシアルキル基、炭素数6〜11の芳香族基等が挙げられる。これらのうち、炭素数1〜4の飽和アルキル基、炭素数3〜4のエーテル結合を有する飽和アルキル基が好適に用いられる。
【0012】
前記一般式(1)中のRおよびRで表される有機残基とは、例えば、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状または環状の飽和アルキル基、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状または環状の不飽和アルキル基、炭素数3〜10のエーテル結合を有する直鎖状、分枝状または環状の飽和アルキル基、炭素数3〜10のエーテル結合を有する直鎖状、分枝状または環状の不飽和アルキル基、炭素数2〜5のヒドロキシアルキル基、炭素数6〜10の芳香族基等が挙げられる。これらのうち、炭素数1〜4の飽和アルキル基、炭素数3〜4のエーテル結合を有する飽和アルキル基が好適に用いられる。また、RとRは連結して、炭素数2〜10のアルキレン基や炭素数2〜6のエーテル結合を有するアルキレン基を形成してもよい。
【0013】
本発明における一般式(1)で表されるマイケル付加化合物の代表例としては、
3−メチルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−エチルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−プロピルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ブチルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−アリルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−シクロヘキシルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ベンジルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−メチルアミノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−エチルアミノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−プロピルアミノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−ブチルアミノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−アリルアミノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−シクロヘキシルアミノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−ベンジルアミノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−ジメチルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ジエチルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ジプロピルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−メチルエチルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−メチルプロピルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ジアリルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ジフェニルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ピロリジノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ピロリノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−モルホリノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ジメチルアミノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−ジエチルアミノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−ジプロピルアミノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−メチルエチルアミノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−メチルプロピルアミノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−ジアリルアミノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−ジフェニルアミノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−ピロリジノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−ピペリジノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−ピロリノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−モルホリノ(イソ)プロピオン酸エチル等が挙げられる。これらの中でも、3−ジエチルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ジプロピルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ジアリルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ジフェニルアミノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ピロリジノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ピロリノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−モルホリノ(イソ)プロピオン酸メチル、3−ジエチルアミノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−ジプロピルアミノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−ピロリジノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−ピペリジノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−ピロリノ(イソ)プロピオン酸エチル、3−モルホリノ(イソ)プロピオン酸エチル等が好適である。
【0014】
前記一般式(2)中のRおよびRで表される有機残基とは、例えば、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状または環状の飽和アルキル基、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状または環状の不飽和アルキル基、炭素数3〜10のエーテル結合を有する直鎖状、分枝状または環状の飽和アルキル基、炭素数3〜10のエーテル結合を有する直鎖状、分枝状または環状の不飽和アルキル基、炭素数2〜5のヒドロキシアルキル基、炭素数6〜10の芳香族基等が挙げられる。これらのうち、炭素数1〜4の飽和アルキル基、炭素数3〜4のエーテル結合を有する飽和アルキル基が好適に用いられる。また、RとRは連結して、炭素数2〜10のアルキレン基や炭素数2〜6のエーテル結合を有するアルキレン基を形成してもよい。
【0015】
本発明における一般式(2)で表される1級アミン化合物の代表例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、アリルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、アニリン等が挙げられる。これらの中でも、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、シクロヘキシルアミン等が好適である。
【0016】
本発明における一般式(2)で表される2級アミン化合物の代表例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、ジアリルアミン、ジ(3−メトキシプロピル)アミン、ジフェニルアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピロール、ピロリン、インドール、インドリン、モルホリン等が挙げられる。これらの中でも、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン等が好適である。
【0017】
マイケル付加化合物と1級または2級のアミン化合物との反応において、マイケル付加化合物とアミン化合物の反応モル比は、反応後の工程や使用目的により適宜選択すればよいが、マイケル付加化合物/アミン化合物のモル比が5/1〜1/8が好ましく、3/1〜1/6がより好ましく、2/1〜1/5が更に好ましく、1/1.1〜1/4が特に好ましい。上記モル比の範囲が、収率の点及び経済性の点で好ましい。
【0018】
上記連続反応を実現するために、好ましい条件として、原料を連続して供給でき、かつ反応液を連続して排出出来る流通式反応器を用いて反応を行うやり方が挙げられる。これはすなわち、全原料を流通式反応器に連続して送液し、反応するということである。例えば、マイクロリアクターを使用することができる。
【0019】
上記反応に使用される反応器の形状は、液が流通するもの、すなわち、原料を連続して送液でき、かつ、反応液を連続して排出できる、流通式反応器であり、円管状、角管状、多角形管状、楕円管状等の反応器、静止型混合機能を内包する反応器、駆動型混合機能を内包する反応器、マイクロ・ミニ反応器等が挙げられる。また、これらの形状を2つ以上複合させてもよく、反応温度を制御する温度制御手段が設けられていてもよい。
【0020】
上記反応器の1つの流路の等価直径は、1〜50,000μmが好ましく、10〜30,000μmがより好ましく、50〜10,000μmが特に好ましい。50,000μm以上では偏流が起こるので好ましくない。
【0021】
上記反応器の材質は、原料物質、溶媒に侵されないものであり、例えば、金属(鉄、アルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス、各種合金)、樹脂(フッ素樹脂)、ガラス(シリコン、石英)、磁器(コージェライト、セラミックス)等が挙げられる。
【0022】
反応流路の長さと流量は、反応速度に関係するので、反応速度に応じて適宜設定すればよく、上記反応に使用される反応器内の流量は、好ましくは10時間以下であり、より好ましくは9時間以下であり、更に好ましくは8時間以下であり、特に好ましくは7時間以下の滞留時間(反応時間)が達成されるように設定すればよい。
【0023】
上記反応の反応温度としては、130℃以上とすることが好ましく、150℃以上がより好ましく、160℃以上が特に好ましい。また、300℃以下とすることが好ましく、280℃以下がより好ましく、250℃以下が特に好ましい。上記温度範囲が、収率の点及び経済性の点で好ましい。
【0024】
本発明の反応系において、気相部が存在する場合、該気相部は窒素やヘリウム等の不活性ガスで置換することが好ましい。
【0025】
本反応では、溶媒を使用する必要はないが、反応を阻害しないものであれば使用してもよい。該溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒や、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒や、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒や、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素系溶媒や、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒やアセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0026】
上記溶媒の使用量としては、マイケル付加化合物とアミン化合物の合計質量に対して、0質量%以上が好ましい。また、200質量%以下が好ましく、100質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましく、50質量%以下が特に好ましい。前記有機溶剤使用量の範囲が、収率の点および経済性の点で好ましい。
【0027】
本発明に従って製造されたアミド化合物は、反応終了後、必要に応じて分離・精製することができる。分離・精製方法としては、抽出法、洗浄法、カラム分離法、蒸発法、蒸留法、再結晶法、晶析法等の方法が挙げられる。これらの方法は組み合わせて実施してもよい。
【0028】
本発明はまた、上記製造方法により得られたアミド化合物の熱分解による(メタ)アクリル酸アミド類の製造方法でもある。
【0029】
上記製造方法で得られたアミド化合物は、触媒として用いた塩基性化合物やその中和塩を含んでおらず、さらに水分もほとんど含んでいない。そのため熱分解による(メタ)アクリル酸アミド類の製造工程において装置をいためる等の問題点を有していない。
【0030】
上記熱分解は、圧力が1.33hPa〜常圧、温度が120℃〜400℃の条件下に一般的な蒸留操作の要領または管型流通反応の操作の要領で行なうことができる。触媒として硫酸、リン酸、酸性イオン交換樹脂、酸性ゼオライト、塩化錫等の酸性物質を用いることが好ましい。
【0031】
上記熱分解を行なう際に、重合禁止剤を添加することが好ましい。
【0032】
上記重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン系重合禁止剤や2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール系重合禁止剤やアルキル化ジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン等のアミン系重合禁止剤や2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル系重合禁止剤等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等が好適である。これらの重合禁止剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
上記重合禁止剤の添加量は、用いるアミド化合物の種類にもよるが、該アミド化合物に対して、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が特に好ましい。また、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。前記重合禁止剤添加量の範囲が、収率の点、重合抑制の点および経済性の点で好ましい。
【0034】
上記熱分解を行なう際に、気相部を分子状酸素含有ガスで置換することが好ましい。該分子状酸素含有ガスは気相部または液相部へ連続的または間欠的に供給することが好ましく、液相部に連続的に供給することがより好ましい。
【0035】
上記分子状酸素含有ガスとしては、例えば、純酸素または空気を窒素やヘリウム等の不活性ガスで希釈したガスが挙げられる。該分子状酸素含有ガス中の分子状酸素の濃度は、0.1容量%以上が好ましく、0.5容量%以上がより好ましく、1容量%以上が特に好ましい。また、8容量%以下がが好ましく、7.5容量%以下がより好ましい。上記分子状酸素濃度の範囲が、安定的な反応および経済性の点で好ましい。
【0036】
本発明に従って製造された(メタ)アクリル酸アミド類は、反応終了後、必要に応じて分離・精製することができる。分離・精製方法としては、抽出法、洗浄法、カラム分離法、蒸発法、蒸留法、晶析法等の方法が挙げられる。これらの方法は組み合わせて実施してもよい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0038】
〔実施例1〕
反応器としてのSUS316製のチューブ(内径1cmφ、長さ1m)を接続し、該反応器を200℃に調節した油槽内に浸した。
【0039】
3−モルホリノプロピオン酸メチルとモルホリンを1:2のモル比で混合した溶液を0.2ml/分の速度で定量ポンプを使用して反応器に導入した。この時の反応器内での平均滞留時間は6時間であった。
【0040】
得られた反応液を冷却したところ白色スラリーとなった。該白色固体をクロロホルムに溶解し、GC−1700型ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製;以下「GC」と呼ぶ)により分析した結果、アミド化合物である3−モルホリノプロピオン酸モルホリドの収率は98モル%であった。
【0041】
〔実施例2〕
実施例1で得られた反応後の組成物500gから減圧蒸留により副生したメタノール、過剰に用いたモルホリンおよび未反応の3−モルホリノプロピオン酸メチルを留去し、3−モルホリノプロピオン酸モルホリド320gを得た。
【0042】
〔実施例3〕
ガス導入管、温度計、充填塔および減圧装置を備えた500ml蒸留装置に、実施例2で得られた3−モルホリノプロピオン酸モルホリド300g、フェノチアジン1.5g、濃硫酸2gを添加した。該反応系液相部に7%酸素(窒素バランス)ガスをバブリングした。7%酸素ガスのバブリングは反応終了まで連続的に行なった。15kPaに減圧した後、内温を180℃に調整し、熱分解を行なった。得られた粗アクリロイルモルホリンを蒸留精製し153gの精製アクリロイルモルホリンを得た。
【産業上の利用可能性】
【0043】
好適にアミド化合物を製造でき、各種有機合成試薬等の用途にも適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):
N−CH−CHR−COOR (1)
(式中、式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、R2は炭素数1〜20の有機残基を示し、R3は水素原子または炭素数1〜10の有機残基を示し、R4は炭素数1〜10の有機残基を示す。また、R3とR4は連結し環状構造を形成してもよい。)で表されるマイケル付加化合物と、一般式(2):
−NH−R (2)
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜10の有機残基を示し、Rは炭素数1〜10の有機残基を示す。また、RとRは連結し環状構造を形成してもよい。)で表わされる1級または2級のアミン化合物とを、触媒の非存在下に連続的に反応させることを特徴とする一般式(3):
N−CH−CHR−CONR (3)
(式中、R、R、R、R、Rは前記において定義したとおり。)で表されるアミド化合物の製造方法。
【請求項2】
上記連続的な反応に流通反応器を用いることを特徴とする請求項1に記載のアミド化合物の製造方法。
【請求項3】
上記流通反応器の流路の等価直径が1〜50,000μmであることを特徴とする請求項2に記載のアミド化合物の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3記載の製造方法により得られたアミド化合物の熱分解による(メタ)アクリル酸アミド類の製造方法。

【公開番号】特開2006−182676(P2006−182676A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376353(P2004−376353)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】