説明

アミド化合物及びカルボキシアミド又はバリンアミドを基礎とする殺菌剤混合物

【課題】有害菌類の防除に、確実な徴候を示すために効果が著しい混合物(合剤)を提供する。
【解決手段】有効成分として、(a)式Ib:


[但し、R4がハロゲンを表し、そしてR11がハロゲンで置換されているフェニルを表す]で表されるアミド化合物、及び(b)特定の化合物カルボキシアミド(ジメソモルフ又はフルメトバー)、及び/又は(c)特定のバリンアミドを含み、アミド化合物Ibと特定のカルボキシアミド及び/又は(c)の化合物の質量比が20:1〜1:20である殺菌剤混合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有害菌類防除用殺菌剤混合物及びこのような混合物を用いる有害菌類の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WO97/08952には、式I:A−CO−NR12 I[但し、 Aがアリール基であるか、或いはO、N及びSから選択されるヘテロ原子を1〜3個含んでいる5員又は6員の芳香性又は非芳香性の複素環を表し、かつこのアリール基又は複素環は、相互に独立してアルキル、ハロゲン、CHF2、CF3、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル及びアルキルスルホニルから選択される置換基を1〜3個含んでいても良く;
1が水素原子を表し;
2が、相互に独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、フェニル及びハロゲン{この脂肪族及び脂環式基は、部分的に又は完全にハロゲン化されていても良く、及び/又は脂環式基は1〜3個のアルキル基で置換されていても良く、そしてフェニル基は1〜5個のハロゲン原子及び/又は1〜3個の置換基(この置換基は、相互に独立してアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ及びハロアルキルチオから選択される)を含んでいても良い}から選択される置換基を1〜3個含んでいても良いフェニル又はシクロアルキル基を表わし、そしてこのアミド化合物のフェニル基は、飽和5員環(1個以上のアルキル基で置換されていても良く及び/又はO又はSから選択されるヘテロ原子を含んでいても良い)と縮合されていても良い]
で表されるアミド化合物とダニ駆除剤として知られている有効成分フェナザキン(fenazaquin)との混合物が開示されている。
【0003】
これらの混合物は、ボトリチスに対して特に効果があると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO97/08952
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、有害菌類の防除に、そして特に確実な徴候を示すために効果が著しい他の混合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、驚くべきことに、本発明の目的が、有効成分として、上述の式で表されるアミド化合物の内、式Ib:
【0007】
【化1】

【0008】
[但し、R4がハロゲンを表し、そしてR11がハロゲンで置換されているフェニルを表す]で表されるアミド化合物、及び他の殺菌有効成分
(b)化合物IIa又はIIb:
【0009】
【化2】

で表されるカルボキシアミドII、及び/又は
(c)式III:
【0010】
【化3】

【0011】
[但し、 R13がC3〜C4アルキルを表し、そして R14がナフチル又はフェニルを表し、このフェニル基の4位は、ハロゲン原子、C1〜C4アルキル基又はC1〜C4アルコキシ基で置換されている]
で表されるバリンアミド、及び/又は
(d)式IV.1〜IV.5
【0012】
【化4】

で表される少なくとも1種の有効成分、を含み、アミド化合物IbとカルボキシアミドII及び/又は式III〜式IV.5の化合物の質量比が20:1〜1:20である殺菌剤混合物により達成されることを見出した。
【発明の効果】
【0013】
本発明の混合物は、相乗作用を示すので、有害菌類の防除に、特に野菜及びブドウ中におけるべと病菌類の防除に適当である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に関して、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素、特にフッ素、塩素及び臭素を表す。
【0015】
用語「アルキル」は、直鎖及び分枝のアルキル基を包含している。これらは、直鎖又は分枝のC1〜C12アルキル基、特にC1〜C6アルキル基を表すのが好ましい。アルキル基の例としては、特にメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ペンチル、1−メチルヘキシル、1−エチルペンチル、2−エチルペンチル、1−プロピルブチル、オクチル、デシル、ドデシル等のアルキルが挙げられる。
【0016】
ハロアルキルは、部分的に又は完全に1種以上のハロゲン原子、特にフッ素及び塩素でハロゲン化されている上述のアルキル基である。1〜3個のハロゲン原子が存在するのが好ましく、そしてジフルオロメタン又はトリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0017】
アルキル基及びハロアルキル基について上述したことは、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、アルキルスルフィニル及びアルキルスルホニルにおいて、前記アルキル基及びハロアルキル基に対応するように適用する。
【0018】
アルケニル基は、直鎖及び分枝のアルケニル基を包含する。直鎖又は分枝のC3〜C12アルケニル基、特にC3〜C6アルケニル基が好ましい。アルケニル基の例としては、2−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、1,2−ジメチル−2−プロペニル、1−エチル−2−プロペニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−メチル−2−ペンテニル、2−メチル−2−ペンテニル、3−メチル−2−ペンテニル、4−メチル−2−ペンテニル、1−メチル−3−ペンテニル、2−メチル−3−ペンテニル、3−メチル−3−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−メチル−4−ペンテニル、2−メチル−4−ペンテニル、3−メチル−4−ペンテニル、4−メチル−4−ペンテニル、1,1−ジメチル−2−ブテニル、1,1−ジメチル−3−ブテニル、1,1−ジメチル−3−ブテニル、1,2−ジメチル−2−ブテニル、1,2−ジメチル−3−ブテニル、1,3−ジメチル−2−ブテニル、1,3−ジメチル−3−ブテニル、2,2−ジメチル−3−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−3−ブテニル、1−エチル−2−ブテニル、1−エチル−3−ブテニル、2−エチル−2−ブテニル、2−エチル−3−ブテニル、1,1,2−トリメチル−2−プロペニル、1−エチル−1−メチル−2−プロペニル及び1−エチル−2−メチル−2−プロペニル、特に2−プロペニル、2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル及び3−メチル−2−ペンテニルである。
【0019】
アルケニル基は1個以上のハロゲン原子、特にフッ素又は塩素で部分的に又は完全にハロゲン化されていても良い。アルケニル基は、1〜3個のハロゲン原子を有しているのが好ましい。
【0020】
アルキニル基は、直鎖と分枝のアルキニル基を包含する。直鎖及び分枝のC3〜C12アルキニル基、特にC3〜C6アルキニル基が好ましい。アルキニル基の例としては、2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−メチル−3−ブチニル、2−メチル−3−ブチニル、1−メチル−2−ブチニル、1,1−ジメチル−2−プロピニル、1−エチル−2−プロピニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−メチル−2−ペンチニル、1−メチル−3−ペンチニル、1−メチル−4−ペンチニル、2−メチル−3−ペンチニル、2−メチル−4−ペンチニル、3−メチル−4−ペンチニル、4−メチル−2−ペンチニル、1,2−ジメチル−2−ブチニル、1,1−ジメチル−3−ブチニル、1,2−ジメチル−3−ブチニル、2,2−ジメチル−3−ブチニル、1−エチル−2−ブチニル、1−エチル−3−ブチニル、2−エチル−3−ブチニル及び1−エチル−1−メチル−2−プロピニルである。
【0021】
アルケニル基とそのハロゲン置換基及びアルキニル基について上述したことは、アルケニルオキシ及びアルキニルオキシに対応するように適用する。
【0022】
シクロアルキル基は、C3〜C6シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルを表すのが好ましい。シクロアルキル基が置換されている場合、置換基として1〜3個のC1〜C4アルキル基を有しているのが好ましい。
【0023】
シクロアルケニルは、C4〜C6シクロアルケニル基、例えばシクロブテニル、シクロペンテニル又はシクロヘキセニルを表すのが好ましい。シクロアルケニル基が置換されている場合、置換基として1〜3個のC1〜C4アルキル基を有しているのが好ましい。
【0024】
シクロアルコキシ基は、C5〜C6シクロアルコキシ基、例えばシクロペンチルオキシ又はシクロヘキシルオキシを表すのが好ましい。シクロアルコキシ基が置換されている場合、置換基として1〜3個のC1〜C4アルキル基を有しているのが好ましい。
【0025】
シクロアルケニルオキシ基は、C5〜C6シクロアルケニルオキシ基、例えばシクロペンチルオキシ又はシクロヘキシルオキシを表すのが好ましい。シクロアルケニルオキシ基が置換されている場合、置換基として1〜3個のC1〜C4アルキル基を有しているのが好ましい。
【0026】
アリールはフェニルを表すのが好ましい。
【0027】
Aがフェニル基である場合、いずれかの位置に1〜3個の上述した置換基を有していても良い。これらの置換基は、相互に独立して、アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル及びハロゲン(特に、塩素、臭素及びヨウ素)から選択されるのが好ましい。フェニル基の2位に置換基を有しているのが好ましい。
【0028】
Aが5員の複素環である場合、特にフリル、チアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チエニル、トリアゾリル又はチアジアゾリル基を表すか、或いはこれに対応するジヒドロ又はテトラヒドロ誘導体を表す。チアゾリル又はピラゾリル基が好ましい。
【0029】
Aが6員の複素環である場合、特にピリジル基を表すか、或いは式:
【0030】
【化5】

【0031】
[但し、X及びYの一方は、O、S又はNR12(このR12はH又はアルキルを表す)を表し、他方はCH2、S、SO、SO2又はNR12を表す]の基を表す。上記式中、点線は2重結合であっても良い。
【0032】
6員の芳香族性の複素環は、ピリジル基、特に3−ピリジル基を表すか、或いは式:
【0033】
【化6】

【0034】
[但し、XがCH2、S、SO、SO2を表す]の基を表すのが好ましい。
【0035】
上述した複素環基は、1〜3個の上述の置換基を有していても良く、これらの置換基は、相互に独立して、アルキル、ハロゲン、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルから選択されるのが好ましい。
【0036】
Aは、式:
【0037】
【化7】

【0038】
[但し、R3、R4、R6、R7、R8及びR9が、相互に独立して水素、アルキル(特に、メチル)、ハロゲン(特に、塩素)、CHF2又はCF3を表す]の基であるのが特に好ましい。
【0039】
式Iの基R1は、水素原子であるのが好ましい。
【0040】
式Iの基R2は、フェニル基であるのが好ましい。R2は、少なくとも1個の置換基を、特に好ましくは2位に有しているのが好ましい。置換基は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロゲン及びフェニルから選択されるのが好ましい。
【0041】
基R2の置換基は、同様にまた置換されていても良い。脂肪族又は脂環式基は、部分的又は完全にハロゲン化、特にフッ素化又は塩素化されていても良い。1〜3個のフッ素原子又は塩素原子を有しているのが好ましい。基R2の置換基がフェニル基である場合、このフェニル基は1から3個のハロゲン原子、特に、塩素原子により、及び/又は好ましくはアルキル又はアルコキシから選択された基により好ましくは置換されていても良い。このフェニル基のパラ位がハロゲン原子で置換されているのが好ましく、例えば、基R2の置換基としては、p−ハロゲン置換フェニル基であるのが特に好ましい。この基R2は、さらに飽和5員環と縮合しても良く、この環の一部は1〜3個のアルキル基を有していても良い。
【0042】
この場合R2の例としては、インダニル、チアインダニル及びオキサインダニルが挙げられる。特に4位で窒素原子に結合したインダニル及び2−オキサインダニルが好ましい。
【0043】
好ましい態様によれば、本発明の組成物は、アミド化合物として、Aが以下に定義されたものである式Iの化合物を含む:即ち、 フェニル、ピリジル、ジヒドロピラニル、ジヒドロオキサチイニル、ジヒドロオキサチイニルオキシド、ジヒドロオキサチイニルジオキシド、フリル、チアゾリル、ピラゾリル又はオキサゾリルであり、これらの基は相互に独立して、アルキル、ハロゲン、ジフルオロメチル及びトリフルオロメチルから選択される置換基を1〜3個有していても良い。
【0044】
さらに好ましい態様によれば、Aは以下のものを表す: 2位がハロゲン、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、メトキシ、メチルチオ、メチルスルフィニル又はメチルスルホニルで置換されていても良いピリジン−3−イル;
2位がメチル、トリフルオロメチル、塩素、臭素又はヨウ素で置換されていても良いフェニル;
2−メチル−5,6−ジヒドロピラン−3−イル;
2−メチル−5,6−ジヒドロ−1,4−オキサチイン−3−イル又はその4−オキシド若しくは4,4−ジオキシド;
4位及び/又は5位がメチルで置換されていても良い2−メチルフラン−3−イル;
2位及び/又は4位がメチル、塩素、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルで置換されていても良いチアゾール−5−イル;
2位及び/又は5位がメチル、塩素、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルで置換されていても良いチアゾール−4−イル;
3位及び/又は5位がメチル、塩素、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルで置換されていても良い1−メチルピラゾール−4−イル;或いは 2位及び/又は4位がメチル又は塩素で置換されていても良いオキサゾール−5−イル。
【0045】
さらに好ましい態様によれば、本発明の組成物は、アミド化合物として、R2が上述した1〜3個の置換基で置換されていても良いフェニル基を表す式Iの化合物を含む。
【0046】
さらに好ましい態様によれば、本発明の組成物は、アミド化合物として、R2が、2位に以下に示す置換基の1つを有するフェニル基である式Iの化合物を含む: 1〜3個のC1〜C4アルキル基で置換されていても良いC3〜C6アルキル、C5〜C6シクロアルケニル、C5〜C6シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ;
1〜5個のハロゲン原子、及び/又は相互に独立してC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4ハロアルコキシ、C1〜C4アルキルチオ及びC1〜C4ハロアルキルチオから選択される1〜3個の基で置換されているフェニル;、 1〜3個のC1〜C4アルキル基で置換されていても良いインダニル又はオキサインダニル。
【0047】
さらに好ましい態様によれば、本発明の組成物は、アミド化合物として、式Ia:
【0048】
【化8】

【0049】
[但し、Aが
【0050】
【化9】

を表わし;
Xがメチレン、硫黄、スルフィニル又はスルホニル(SO2)を表わし;
3がメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、塩素、臭素又はヨウ素を表し;
4がトリフルオロメチル又は塩素を表し;
5が水素又はメチルを表し;
6がメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル又は塩素を表し;
7が水素、メチル又は塩素を表し;
8がメチル、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルを表し;
9が水素、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル又は塩素を表し;
10がC1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキルチオ又はハロゲンを表す]
で表される化合物を含む。
【0051】
特に好ましい態様によれば、前記組成物は、アミド化合物として、式Ib:
【0052】
【化10】

【0053】
[但し、 R4がハロゲンを表し、そして R11がハロゲンで置換されているフェニルを表す]
で表される化合物を含む。
【0054】
本発明の特に好ましい混合物は、成分Iとして、式:
【0055】
【化11】

で表される化合物を含む。
【0056】
式Iで表される有用なアミド化合物は、EP−A545099及び5893301に開示され、これらの文献全体が参考してここに挙げられているものとする。
【0057】
式Iのアミド化合物の製造は、例えばEP−A545099又は589301により公知であるが、これらと類似の方法でも行われる。
【0058】
カルボキシアミドII[IIa:通称:ジメソモルフ(dimethomorph)、EP−A120321;IIb:提案名:フルメトバー(flumetover)、AGROW No.243, 22 (1995)]、その製法及び有害菌類に対する作用も同様に公知である。
【0059】
式IIIの化合物もまたそれ自体公知である。バリンアミド誘導体の第1の好ましい例は、式III':
【0060】
【化12】

【0061】
[但し、R13が前記と同義であり、そしてXがハロゲン、C1〜C4アルキル又はC1〜C4アルコキシを表す]
で表される化合物である。この種類の化合物及びその製造は、例えばEP−A0610764及びEP−A0398072に記載されており、これらの文献も参考のためここに記載されているものとする。
【0062】
バリンアミド誘導体の他の好ましい例は、式III'':
【0063】
【化13】

【0064】
[但し、R13が前記と同義である]
で表される化合物である。この種類の化合物及びその製造は、例えばDE−A4321897及びWO−A96/07638に記載されており、これらの文献も参考のためここに記載されているものとする。
【0065】
13がイソプロピル、sec−ブチル及びtert−ブチルを表す式IIIの化合物が好ましい。
【0066】
同様に、R14がα−ナフチル、β−ナフチル及びフェニル(フェニル基は、4位が塩素、臭素、C1〜C4アルキル又はC1〜C4アルコキシで置換されている)を表す式IIIの化合物が特に好ましい。
【0067】
14がβ−ナフチル、4−クロロフェニル、4−メチルフェニル及び4−メトキシフェニルを表す式IIIの化合物が特に好ましい。
【0068】
本発明により使用され得るバリンアミドの好ましい例の一覧が、以下の表1に列挙されている。
【0069】
【表1】

【0070】
化合物III.2〜III.9が特に好ましい。
【0071】
式IIIで表される化合物の構造式から、これらの化合物には、2個の不斉置換炭素原子を含んでいることが明白である。そのため、この化合物は、異なる異性体の混合物として、或いは純粋な異性体として本発明の混合物に用いられる。
【0072】
他の好ましい態様において、アミノ酸部分をアルコキシカルボニル−L−バリン(S立体配置)で形成し、フェネチルアミン部分又はナフチルエチルアミン部分がR立体配置である式IIIの化合物を用いる。
【0073】
このような化合物は、式IIIa:
【0074】
【化14】

【0075】
[但し、R13及びR14が、式IIの化合物の場合と同義である]
で表されている。
【0076】
式IIIaで表される好ましい異性体の製造は、先願のドイツ特許出願第19531814号公報に開示された方法と類似の方法で行われる。この出願で開示されていることも参考のためここに記載されているものとする。
【0077】
式IIIaで表される異性的に純粋化合物は、適当なL−バリンを基礎とするカルバモイルカルボン酸VIを出発化合物として、それ自体公知の方法で得られる。この化合物IIIaは、例えば以下に示されている、カルバモイルカルボン酸VIをアミンVIIと反応させる方法により得られる(参考文献:Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie, 第4版, Thieme Verlag, Stuttgart):
【0078】
【化15】

【0079】
カルバモイルカルボン酸VIは公知であり、或いは公知の方法、特にアミノ酸L−バリンを出発化合物として得られる("Houben-Weyl", 第15/1巻, 46〜305頁, 117〜125頁、参照)。
【0080】
アミンVIIもまた公知であり、容易に得られる(Organikum, VEB Deutscher Verlag der Wissenschaften, 第15版, Berlin, 1977, 610頁以下; "Houben-Weyl", 第15/1巻, 648〜665頁; Indian J. Chem. 10, 366頁 (1972); J. Am. Chem. Soc. 58, 1808〜1811頁 (1936)、参照)。
【0081】
アミンVIIのラセミ化合物から、R異性体を、光学活性酒石酸を用いて分別晶出、好ましくは酵素接触エステル化し、次いで加水分解することによりそれ自体公知の方法で単離することができる(例えばWO−A95/08636、参照)。
【0082】
この方法は、まずカルバモイルカルボン酸VIをカルボキシル活性化誘導体、特にアシルシアン化物又はアシル無水物に転化することにより行われるのが好ましい(Tetrahedron Letters, 第18巻, 1595〜1598頁 (1973), 又は"Houben-Weyl", 第15/1巻, 28〜32頁、参照)。その後、これらの誘導体を塩基の存在下にアミンVIIと反応させる。
【0083】
例えば、カルバモイルカルボン酸Vとジエチルシアノホスホナートと、特にテトラヒドロフラン又はトルエン等の不活性溶剤中で反応させることが、カルボキシル活性化アシルシアン化物の製造に好適である。
【0084】
カルボキシル活性化無水物の製造は、カルバモイルカルボン酸Vをクロロホルマート(例えば、クロロ蟻酸イソブチル)と、塩基の存在下に、適宜、トルエン又はテトラヒドロフラン等の不活性溶剤中で反応させることにより行われるのが好ましい。
【0085】
アミンVIIと前記カルボキシル活性化カルバモイルカルボン酸VIの反応は、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン又はトルエン等の溶剤中で行われるのが好ましい。
【0086】
アミンVIIは、塩基としても機能し、この場合、粗生成物から通常回収される。
【0087】
この処理工程の好ましい形態において、カルバモイルカルボン酸VI、アミンVII、カルバモイルカルボン酸VIのカルボキシル活性化誘導体の発生に好適な試薬及び塩基を、ワンポット法で、適宜、不活性溶剤中にて反応させ、次いで粗生成物をそれ自体公知の方法で後処理し、カルバモイルカルボキシアミドIIIaを単離する。
【0088】
化合物IV.1は、一般名ベナラキシル(benalaxyl)、或いは商品名ガルベン(登録商標)(GalbenTM)として市販されている。
【0089】
化合物IV.2は、一般名オフレース(Ofurace)、或いはシモキサニル(cymoxanil)とフォルペット(folpet)の混合物の形態である、商品名セルタン(登録商標) P(CeltanTM P)として市販されていている。
【0090】
化合物IV.3は、一般名メタラキシル(metalaxyl)、或いは商品メイリドミル(登録商標)(RidomilTM)として市販されている。
【0091】
化合物IV.4は、一般名フララキシル(furalaxyl)、或いは商品名フォンガリド(登録商標)(FongarideTM)として市販されている。
【0092】
化合物IV.5は、一般名オキサジキシル(oxadixyl)、或いは銅塩との混合物である、商品名サンドファン(登録商標) C(SandofanTM C)として市販されている。
【0093】
式IVの化合物の製造方法は、それ自体当該技術者等に公知であるので、ここではその詳細な説明を割愛する。
【0094】
化合物V(US3957847;一般名:シモオキサニル(cymoxanil))、その製造方法及び有害菌類に対する作用も公知である。
【0095】
相乗作用を広げるために、少量の式Iで表されるアミド化合物でさえ充分である。アミド化合物と化合物II及び/又は化合物III〜Vを20:1〜1:20、特に10:1〜1:10の範囲内の質量比で用いるのが好ましい。
【0096】
本発明の混合物の製造において、純粋な活性成分I及びII及び/又はIII〜Vと共に、有害菌類又は他の害虫、例えば昆虫、蛛形、線虫に対して活性な他の成分を用いることも、或いは除草剤又は成長抑制剤有効成分又は肥料を混和するのも好ましい。
【0097】
化合物IとII及び/又はIII〜Vの混合物、或いは化合物I及びII及び/又はIII〜Vの同時に合わせた又は分離した使用は、広範囲の植物病原性菌類、特に子嚢菌類、坦子菌類、藻菌類及び不完全菌類に対する顕著な効果を有するため優れている。ある場合には、組織的に活性であるため茎葉及び土壌の殺菌剤としても用いられる。
【0098】
それらは様々な栽培植物、例えば綿花、野菜(例えば、キュウリ、豆、トマト、ジャガイモ及びウリ)、大麦、芝、カラス麦、バナナ、コーヒー、トウモロコシ、果実、米、ライ麦、大豆、ブドウ、小麦、装飾用植物、サトウキビ及びこれらの種子の多種細菌の防除に特に重要である。
【0099】
新規混合物は、以下の植物病原性菌類の防除に特に適している。
【0100】
穀物類のエリシペ・グラミニス(Erysiphe graminis;うどん粉病)、
ウリ科のエリシペ・キコラケアラム(Erysiphe cichoracearum)及びスフェロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)、
リンゴのポドスフェラ・ロイコトリカ(Podosphaera leucotricha)、
ブドウのウンキヌラ・ネカトル(Uncinula necator)、
穀物類のプッキニア(Puccinia)種、
綿花、イネ及びシバのリゾクトニア(Rhizoctonia)種、
穀物類及びサトウキビのウスチラゴ(Ustilago)種、
リンゴのベンツリア・イネクアリス(Venturia inaeqalis;腐敗病)、
穀物類のヘルミントスポリウム(Helminthosporium)種、
コムギのセプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)、
イチゴ、野菜、装飾用植物及びブドウのボトリチス・キネレア(Botrytis cinerea;灰色カビ)、
ナンキンマメのセルコスポラ・アラキジコラ(Cercospora arachdicola)、
コムギ及びオオムギのシュードケルコスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)、
イネのピリクラリア・オリザエ(Pyricularia orizae)
ジャガイモ及びトマトのフィトピトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)、
ブドウのプラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)
ホップとキュウリのシュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)種、
野菜及び果実のアルテルナリア(Alternaria)種、
バナナのマイコスフェレラ(Mycosphaerella)種、
種々の植物のフサリウム(Fusarium)及びベルチキルリウム(Verticillium)種。
【0101】
本発明の混合物は、野菜及びブドウにおけるべと病菌類の防除に用いるのが特に好ましい。
【0102】
化合物I及びII及び/又はIII〜Vを、同時に、一緒に、若しくは別々に、又は連続的に施与することが可能であり、別々に施与する場合の順序により、一般に防除成果に影響が与えられることはない。
【0103】
所望の効果の種類によって異なるが、本発明の混合物よる施与率は、特に農作物中において、0.01km2(1ヘクタール)当たり、0.01〜8kgであり、0.1〜5kgが望ましく、特に0.5〜3.0kgが望ましい。
【0104】
化合物Iに関する施与率は、0.01km2(1ヘクタール)当たり、0.01〜2.5kgであり、0.05〜2.5kgが望ましく、特に0.1〜1.0kgが望ましい。
【0105】
化合物II及び/又はIII〜Vに関する施与率は、上記に対応して0.01km2(1ヘクタール)当たり、0.01〜10kgであり、0.05〜5kgが望ましく、特に0.05〜2.0kgが望ましい。
【0106】
種子を処理する場合、混合物の施与率は、一般に種子1kgに対して0.001〜250gであり、0.01〜100gが望ましく、0.01〜50gが特に望ましい。
【0107】
植物病原性菌類を防除する場合、播種の前もしくは後、或いは発芽の前もしくは後に種子、植物又は土壌に噴霧すること又は散布することにより、別々に又は一緒に化合物I及びII及び/又はIII〜Vを、或いは化合物I及びII及び/又はIII〜Vの混合物を施与する。
【0108】
本発明による相乗殺菌混合物、又は化合物I及びII及び/又はIII〜Vは、例えば直接噴霧可能な溶液、粉末、懸濁液の形態で、或いは高濃度の水性、油性又は他の懸濁液、分散液、乳濁液、油性分散液、ペースト、ダスト剤、散布剤又は顆粒の形態で調製可能であり、かつ噴霧、ミスト法、ダスト法、散布法又は注入法により施与可能である。使用形式は、使用目的に基づいて決定される。いずれの場合にも、本発明の混合物の分配を可能な限り微細かつ均一とすることが保証されるべきである。
【0109】
製剤は公知方法で、例えば有効成分を溶剤及び/又は坦体で、場合により乳化剤及び分散剤を使用して増量することにより得られるが、この際希釈剤として水を使用する場合には、補助溶剤として他の有機溶剤を使用することができる。このために適当な助剤としては、主として以下のものが挙げられる: 溶剤、例えば芳香族化合物(例えば、キシレン)、塩素化芳香族化合物(例えば、クロロベンゼン)、パラフィン(例えば、石油留分)、アルコール(例えば、メタノール、ブタノール)、ケトン(例えば、シクロヘキサノン)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジメチルホルムアミド)及び水;
担体、例えば天然岩石粉(例えば、カオリン、粘土質土、タルク、白亜)、合成岩石粉(例えば、高分散性シリカ、珪酸塩);
乳化剤、例えば非イオン性及びアニオン性乳化剤(例えば、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、アルキルスルホナート及びアリールスルホナート)、及び
分散剤、例えばリグノ−亜硫酸廃液及びメチルセルロースが該当する。
【0110】
界面活性剤としては次のものが挙げられる。リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸及びジブチルナフタレンスルホン酸の各アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩;脂肪酸、アルキルスルホナート、アルキルアリールスルホナート、アルキルスルファート、ラウリルエーテルスルファート及び脂肪アルコールスルファートのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩;硫酸化ヘキサデカノール、ヘプタデカノール及びオクタデカノールの塩;脂肪アルコールグリコールエーテルの塩;スルホン化ナフタリン及びその誘導体とホルムアルデヒドとの縮合生成物、ナフタリン或いはナフタリンスルホン酸とフェノール及びホルムアルデヒドとの縮合生成物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、エトキシル化オクチルフェノール、エトキシル化ノニルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール、脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、又はポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタート、ソルビットエステル、リグニン−亜硫酸廃液又はメチルセルロース。
【0111】
粉末、散布剤及びダスト剤は、化合物I又はII及び/又はIII〜V、或いは化合物I及びII及び/又はIII〜Vの混合物と固体担体物質とを混合又は一緒に磨砕することにより製造することができる。
【0112】
粒状体(例えば被覆粒状体、含浸粒状体及び均質粒状体)は、有効物質を固体担体物質に結合させることにより製造することができる。
【0113】
フィラー及び固体担体物質の例としては、鉱物土(例えば、シリカ、シリカゲル、珪酸塩、タルク、カオリン、石灰石、石灰、白亜、膠灰粒土、石灰質黄色粘土、クレイ、白雲石、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、磨砕合成物質)、及び肥料(例えば、硫酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素)、及び植物性生成物(例えば、穀物粉、樹皮、木材及びクルミ穀粉、セルロース粉末)又は他の固体担体物質である。
【0114】
一般に、製剤は0.01〜95質量%、好ましくは0.1〜90質量%の化合物I又はIIの1つ、或いは化合物IとII及び/又はIII〜Vの混合物を含む。有効成分は、純度90〜100%、好ましくは95〜100%(NMR又はHPLCスペクトルによる)で使用される。
【0115】
化合物I又はII及び/又はIII〜V、或いは混合物、或いは対応する製剤を、有害菌類、その環境、或いは菌類から保護されるべき植物、種子、土壌、領域、資材又は空間を、上記混合物、或いは別々に施与する場合、化合物I及びII及び/又はIII〜Vの殺菌効果量で処理することにより施与する。
【0116】
有害菌類から被害を受ける前後に施与を実施することができる。
【0117】
有効成分を含む製剤を以下に例示する。
【0118】
I.90質量部の有効成分及び10質量部のN−メチルピロリドンを含む、微小液滴の形状での使用に適当である溶液;
II.20質量部の有効成分、80質量部のキシレン、10質量部の、オレイン酸N−モノエタノールアミド(1モル)のエチレンオキシド(8〜10モル)付加体、5質量部のドデシルベンゼンスルホン酸のカルシウム塩及び5質量部の、ひまし油(1モル)のエチレンオキシド(40モル)付加体から成る混合物;この溶液を水中にて微細に分散させて分散液を得る;
III.20質量部の有効成分、40質量部のシクロヘキサノン、30質量部のイソブタノール及び20質量部の、ひまし油(1モル)のエチレンオキシド(40モル)付加体から成る水性分散液;
IV.20質量部の有効成分、25質量部のシクロヘキサノール、65質量部の鉱油留分(沸点が210〜280℃)及び10質量部の、ひまし油(1モル)のエチレンオキシド(40モル)付加体から成る水性分散液;
V.80質量部の有効成分、3質量部のジイソブチルナフタリン−1−スルホン酸のナトリウム塩、10質量部のリグニンスルホン酸のナトリウム塩(亜硫酸廃液より得る)及び7質量部の微粉末状シリカゲルから成る、ハンマーミル中において磨砕される混合物;この混合物を水中にて微細に分散させることにより、噴霧混合物を得る;
VI.3質量部の有効成分及び97質量部の細粒状カオリンから成る均質混合物(混和物);このダストは、3質量%の有効成分を含む;
VII.30質量部の有効成分、92質量部の微粉末状シリカゲル及び8質量部の、このシリカゲルの表面上に吹きつけられたパラフィン油から成る均質混合物;良好な接着性を有する有効物質の調剤が得られる;
VIII.40質量部の有効成分、10質量部のフェノールスルホン酸/尿素/ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩、2質量部のシリカゲル及び48質量部の水から成る安定な水性分散液;この分散液をさらに希釈しても良い;
IX.20質量部の有効成分、2質量部のドデシルベンゼンスルホン酸のカルシウム塩、8質量部の脂肪アルコールポリグリコールエーテル、20質量部のフェノールスルホン酸/尿素/ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩及び88質量部のパラフィン系鉱油から成る安定な油性分散液。
【実施例】
【0119】
[使用実施例]
本発明の混合物の相乗作用を、以下の実験により示す: 有効物質を、63質量%のシクロヘキサノン及び27質量%の乳化剤からなる混合物中の濃度10質量%の乳濁液として別々に、或いは一緒に調製し、水で希釈して所望の濃度を得た。
【0120】
被害を受けた葉面を%単位で測定することにより評価を行った。この%を効力に換算した。効力(W)は下記のアボット(Abbot)の式により求められる。
【0121】
アボットの式:
W=(1−α/β)・100
上記式中、
αは処理後の植物の菌類による被害(%)、
βは未処理(対照)植物の菌類による被害(%)
をそれぞれ表す。
【0122】
効力0は、処理された植物が未処理の植物と同様の被害を受けたことを示し、効力100は処理された植物が全く被害を受けなっかたことを示す。
【0123】
有効物質の混合物により、予期される効力を以下のコルビーの式[R.S. Colby、Weeds 15 (1967)、20〜22頁]により算出し、実際に観察された効果の程度と対比した。
【0124】
コルビーの式:
E=x+y−x・y/100
上記式中
Eは濃度a及びbの有効成分A及びBの混合物を使用した場合の、未処理対照に対する%で表された予想される効力(%)、
xは、有効成分Aを濃度aで使用した場合の、未処理対照に対する%で表された効力(%)
yは、有効成分Bを濃度bで使用した場合の、未処理対照に対する%で表された効力(%)。
【0125】
[使用実施例1]トマトのフィトフォトラ・インフェスタンスに対する作用
「Grosse Fleischtomate」種の鉢植えにした植物の葉に、10%の有効成分、63%のシクロヘキサノン及び27%の乳化剤からなる原液から調製された水性懸濁液を液が滴り落ちるまで噴霧した。翌日、植物の葉をフィトホトラ・インフェスタンスの遊走子水性懸濁液で感染させた。次いで、植物を16〜18℃で水蒸気の飽和状態の部屋に保管した。6日後、未処理の状態で菌類に感染した対照植物においてトマトの胴枯れ病が著しく繁殖したため、菌類による感染割合を%単位により目視にて評価することが可能となった。
【0126】
用いられた式Iの化合物は、以下の化合物であった:
【0127】
【化16】

【0128】
実験結果を、下記の表2及び表3に示す。
【0129】
【表2】

【0130】
【表3】

【0131】
実験結果から、あらゆる混合比において実際に観察された効力は、コルビーの式により事前に計算された効力よりも高い結果を示していることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として、
(a)式Ib:
【化1】

[但し、R4がハロゲンを表し、そしてR11がハロゲンで置換されているフェニルを表す]で表されるアミド化合物、及び
(b)化合物IIa又はIIb:
【化2】

で表されるカルボキシアミドII、及び/又は
(c)式III:
【化3】

[但し、R13がC3〜C4アルキルを表し、そしてR14がナフチル又はフェニルを表し、このフェニル基の4位は、ハロゲン原子、C1〜C4アルキル基又はC1〜C4アルコキシ基で置換されている]
で表されるバリンアミド、
を含み、アミド化合物IbとカルボキシアミドII及び/又は式IIIの化合物の質量比が20:1〜1:20である殺菌剤混合物。
【請求項2】
アミド化合物として、
下式:
【化4】

で表される化合物を含む請求項1に記載の殺菌剤混合物。
【請求項3】
一方の部分がアミド化合物Ibを固体又は液体の担体中に含み、他方の部分が1種以上の式IIa、IIb又はIIIで表される化合物を固体又は液体の担体中に含む、2部分からなる請求項1又は2に記載の殺菌剤混合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の殺菌剤混合物を用いて、菌類、その環境、或いは菌類の感染から保護されるべき資材、植物、種子、土壌、領域又は空間を処理し、かつ前記有効成分アミド化合物Ib及び1種以上の式IIa、IIb又はIIIで表される化合物の施与を、同時に、即ち一緒に又は別々に、或いは連続して行っても良い有害菌類の防除方法。

【公開番号】特開2010−6828(P2010−6828A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195047(P2009−195047)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【分割の表示】特願2000−524989(P2000−524989)の分割
【原出願日】平成10年12月15日(1998.12.15)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】