説明

アミド及びエステル基を有する固体凝集状態のポリマーの製造法

本発明は、アミド及びエステル基を含む固体状態のポリマーPを製造する方法に関し、第一工程では、(a)(メタ)アクリル酸、イタコン酸、又はクロトン酸のホモ-又はコポリマーP1を200℃以下の温度で少なくとも1種のモノヒドロキシ化合物Eと反応させてポリマーP2を得、それにより酸無水物基とともにエステル基を形成させ、第二工程では、(b)工程(a)で製造したポリマーP2を60℃未満まで冷却し、それによりポリマーP2が固体状態で、又は冷却された溶融物として存在し、第三工程では、(c)酸無水物基を有し且つ固体状態で存在し、又は冷却された溶融物として存在するポリマーP2が少なくとも1種のアミン化合物Aによって60℃未満の温度でアミド化され、第三工程(c)で用いるアミン化合物Aが固体状態で存在し又固体担体物質状もしくは固体担体物質中に存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、α,β-不飽和カルボン酸のポリマーのアミド及びエステルのグループに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアルキレングリコール側鎖を有するα,β-不飽和カルボン酸のポリマーは、そのかなりの水の低減によって、コンクリート技術における高性能減水剤としてかなり長い間用いられてきている。これらのポリマーは櫛形ポリマー構造をもっている。エステル及びカルボキシル基に加えてアミド基も持っているかなりの数のそのような櫛形ポリマーがある。
【0003】
実質的に2つの方法がこれらのポリマーの調製に用いられている。ポリマーは、フリーラジカル重合によって、カルボキシル、エステル、及びアミド官能基を有するそれぞれのモノマー類から、あるいはいわゆる高分子反応(polymer-analogous reaction)においてポリカルボキシルポリマー並びにそれぞれのアルコール及びアミン類からのいずれかによって調製される。
【0004】
フリーラジカル重合を介する経路は最も確立された方法であるが、対応するモノマー類の商業的入手性及びそれらの毒性によって、特別な化合物の場合には複雑であり、かつ複雑な工程制御を必要とする。
【0005】
高分子反応は、非常に様々な特性を有する非常に様々な櫛形ポリマーが、α,β-不飽和カルボン酸の市販されているポリマーから、簡単かつ信頼できる方法でアルコール及びアミンの量、種類、及び比率の変化によって得ることができるという大きな利点をもっている。高分子反応では、市販されているポリ(メタ)アクリル酸を使用することによって、フリーラジカル重合の安全上重大な工程は存在しない。
【0006】
そのような高分子反応は、例えば、欧州特許第0889860B1号公報、同第0739320B1号公報、及びドイツ国特許出願公開第10015135A1号公報に記載されている。
【0007】
この高分子反応は、今日、従来技術にしたがって、カルボキシル基を有するポリマーと、一官能のアミン又はヒドロキシ末端誘導体との、少なくとも140℃〜200℃の温度において、酸触媒反応で達成される。これらの反応条件は、低沸点の一級又は二級アミン類の反応を不可能にし、あるいは一級又は二級のアミノ基に加えてヒドロキシル基も有する化合物の場合に架橋を起こさせるという様々な制限をもたらす。
【0008】
第一に、カルボキシル基を有するポリマーの高分子反応では、1つより多い一級もしくは二級アミノ基を有する化合物、又は一級もしくは二級アミノ基に加えてヒドロキシル基をさらに有する化合物は、カルボキシル基を有するポリマーの架橋をもたらすことが避けられないことは、当技術分野では当業者に知られている。しかし、そのような架橋は望ましくなく、なぜならそれは通常、減水効果の低下をもたらすからである。極端な場合では、この架橋は、もはや反応溶融物を反応器から抜き出すことができないほど大きな程度にまで反応溶融物の架橋をもたらすこともありうる。架橋は、溶媒の使用によってさえ抑制することはできない。
【0009】
第二に、多くの一級又は二級アミンは非常に低い沸点をもっており、危険分類において爆発性危険に分類されており、なぜなら、それらは所定割合の空気と所定の着火温度とで爆発を引き起こすおそれがあるからである。今までに知られている高分子反応による全ての反応は、少なくとも140℃の高温と、任意選択による真空の使用あるいは反応混合物を通る若しくは反応混合物の上を通る空気若しくは窒素流の通過を用いてのいずれかによって行われる。これらの過激な条件は、縮合反応時に生じる水を分離し、それによって完全な反応を可能にするために必要である。しかし、これらの条件は、高分子反応における低沸点の一級もしくは二級アミン類の反応を不可能にし、あるいは実質的により困難かつ費用のかかるものにしており、なぜなら、必要とされる高温は、一般にそのアミン類の発火点よりも上だからである。さらに、真空の使用は、ともかく低沸点一級もしくは二級アミン類の沸点の低下をまねき、前記のアミン類は、真空の結果として、望ましくないやり方で反応系から除かれる。反応水を除去するためにガス流を使用することは、同様に、反応容器からのアミンの望まない排出をもたらす。結果として、不完全な反応、留出水へのより多くの混入、並びに廃棄ガスフィルター及び廃棄空気の増大した汚染、が認められる。
【0010】
この問題を解決するために、欧州特許出願公開第1577327A1号公報は、二段階法を提案しており、その第一段階では、カルボキシル含有ポリマーが高分子反応によって調製され、そして第二段階では、第一段階で形成された酸無水物基を、実質的に100℃未満の温度でモノアミン化合物と反応させてアミドを与える。この方法では、アミンと溶媒を第二段階で用いる。しかし、溶媒中のポリマー又は所定の割合の液体を含むポリマーは、限定された程度でしか貯蔵安定ではない。さらなる工程でその溶媒又は液体を除去、特に蒸発させることが可能であることは事実である。しかし、この工程は複雑であり、限定された程度にしか成功せず、なぜなら、ある割合の液体がその蒸発又はスプレー乾燥後でさえなお存在し、その割合が、粉体の流動性とそのポリマーの融点に悪影響を及ぼすからである。スプレー乾燥の場合のさらなる欠点は安定剤の追加使用であり、安定剤は通常、ポリマーの酸化分解を防止するために添加しなければならない。安定剤は、ポリマーの好ましくない着色をもたらすこともありうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第0889860B1号公報
【特許文献2】欧州特許第0739320B1号公報
【特許文献3】ドイツ国特許出願公開第10015135A1号公報
【特許文献4】欧州特許出願公開第1577327A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
[本発明のまとめ]
したがって、先行技術の欠点を克服し、容易に変性でき、比較的長期にわたって貯蔵安定且つ流動性があり、かなり長期の後でさえ所望の機能をなお有するポリマーを、固体凝集状態で調製することを可能にする方法を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
驚くべきことに、この目的は請求項1記載の方法によって達成できることがわかった。この方法では、固体凝集状態又は過冷却した溶融物(supercooled melt)を、固体アミン化合物、又は固体担体物質上もしくは固体担体物質中に存在するアミン化合物と混合する。固体ポリマー又は過冷却ポリマー溶融物を固体アミンと混合した場合に、固体ポリマーの酸無水物基(anhydride group)のアミド化が、溶媒もしくは液体の添加なしでさえ、高品質を有する変性ポリマーを得ることができる程度に起こることを、驚くべきことに発見した。溶媒又は液体を排除することによって、この固体ポリマーは容易に加工して粉体を得ることができる。本発明の方法は、元になるポリマーを大量に製造し、必要な場合に、それらを目的とする用途に応じて所定のアミン化合物と混合することを可能にする。したがって、その元となるポリマーも簡単にその場で変性し、かつ適切に使用することも可能となる。加えて、安定剤、特に抗酸化剤の使用が、本発明の方法によって避けられる。
【0014】
本発明の方法によって調製した櫛形ポリマーは、水硬性組成物用の高性能減水剤として非常に適している。さらに、本発明の方法によって、高い側鎖密度を達成することができ、そのようにして調製された櫛形ポリマーは、硬化過程における、より少ない分解と、水硬性組成物中での使用における、より長い処理時間とをもたらすことができる。ポリマーの特性を調節するために、例えば、エステル基の割合を多くすることによって、通常の高分子工程(polymer-analogous process)においてイオン密度を低減することを試みる場合には、立体障害が所定のエステル化度から起こり、さらなる反応を複雑にし、あるいはそれを不可能にさえする。そのような大きな熱負荷の結果として、側鎖のポリエーテルの開裂のおそれも増大し、これはポリマーの望ましくない架橋をもたらす。
【0015】
さらに本発明は、本発明の方法によって調製したポリマーの、水硬性組成物における使用を含む。本発明のさらなる有利な構成は、従属請求項から明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[好ましい態様の説明]
本発明は、アミド及びエステル基を有する固体凝集状態のポリマーPの製造方法に関し、この方法は以下の工程、
(a)(メタ)アクリル酸、イタコン酸、又はクロトン酸のホモポリマー又はコポリマーP1と、少なくとも1種のモノヒドロキシ化合物Eとの、200℃以下の温度での反応でポリマーP2を得、それによってエステル基に加えて酸無水物基を形成させる工程、
(b)工程(a)で調製したポリマーP2を60℃未満まで冷却し、それによってポリマーP2が固体凝集状態で存在し又は過冷却溶融物として存在する工程、
(c)酸無水物基を有し、且つ固体凝集状態で存在するか又は過冷却溶融物として存在するポリマーP2を、少なくとも1種のアミン化合物Aで60℃未満の温度にてアミド化する工程であって、工程(c)で用いるこのアミン化合物Aが固体凝集状態で存在するか、あるいは固体担体物質上もしくは固体担体物質中に存在する、工程、
を含む。
【0017】
ここ及び以下では、「モノヒドロキシ化合物」は、ただ1つのフリーのヒドロキシル基を有する物質を意味するものとして理解される。
【0018】
ここ及び以下では、「モノアミン化合物」は、ガスとして若しくは水溶液としてのアンモニア、又はただ1つのフリーの一級若しくは二級アミノ基を有する物質を意味するものとして理解される。
【0019】
本発明との関連では、「分子量」は、重量平均分子量Mを意味するものとして理解される。
【0020】
本明細書全体において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸の両方を意味するものとして理解される。
【0021】
本発明との関連では、「固体ポリマー」又は「固体凝集状態のポリマー」又は「固体凝集状態のアミン化合物」は、室温において固体凝集状態で存在し、例えば、粉末、薄片、フレーク、ペレット、又はシートであり、この形態で問題なく輸送及び貯蔵できるポリマー又はアミン化合物を意味するものとして理解される。本発明との関連では、溶融物、例えばポリマー溶融物は、固体凝集状態のポリマーを意味するものとしては理解されない。
【0022】
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、又はクロトン酸のホモポリマー又はコポリマーP1は、フリーの酸として、あるいは部分塩として存在することができ、「塩」の用語には、以下では、塩基で中和することによって得られる古典的な塩だけでなく、金属イオンと配位子としてのカルボキシレートもしくはカルボキシル基との間の錯体化合物も含まれる。
【0023】
ホモ-又はコポリマーP1は、メタクリル酸及び/又はアクリル酸及び/又はメタクリル酸塩及び/又はアクリル酸塩のホモ-又はコポリマーであることが有利である。このホモ-又はコポリマーP1は、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、もしくはクロトン酸の単独重合で得られることが好ましく、あるいは、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、もしくはクロトン酸と、α,β-不飽和カルボン酸、α,β-不飽和カルボン酸エステル、α,β-不飽和カルボキシレート、スチレン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のさらなるモノマーとの共重合によって得られることが好ましい。好ましくは、このさらなるモノマーは、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びそれらの塩類、エステル類、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0024】
アクリル酸及びメタクリル酸のコポリマー並びにそれらの塩又は部分塩が、コポリマーP1として好ましい。この塩又は部分塩は、典型的には、ここではフリーラジカル重合によって得られる。
【0025】
ポリメタクリル酸又はポリアクリル酸、特にポリメタクリル酸、又はそれらの塩もしくは部分塩は、ホモポリマーP1として好ましい。この塩又は部分塩は、典型的には、ここではフリーラジカル重合によって得られる。
【0026】
P1はホモポリマーであることが好ましい。
【0027】
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、又はクロトン酸のホモ-又はコポリマーP1は、常法によるフリーラジカル重合によって得られる。それは溶媒中、好ましくは水中、あるいは溶媒の不存在下で行うことができる。このフリーラジカル重合は、少なくとも1種の分子量調節剤、特に無機又は有機硫黄化合物、例えば、メルカプタン類又はリン化合物などの存在下で行うことが好ましい。この重合は、形成されるホモ-又はコポリマーP1が10〜250、好ましくは20〜100、より好ましくは25〜60のモノマービルディングブロックから構成されるような条件下で行うことが有利である。(メタ)アクリル酸のそのようなホモ-又はコポリマーP1は市販されている。
【0028】
モノヒドロキシ化合物Eは、C6〜C20アルキルアルコールであるか、又は下記式(I):
HO-[(EO)-(PO)-(BuO)]-R (I)
を有する。
【0029】
上記式中、指数x、y、zは、互いに独立して、それぞれ0〜250の値を表し、かつそれらの合計x+y+zは3〜250である。さらに、式(I)において、EOはエチレンオキシを表し、POはプロピレンオキシを表し、BuOはブチレンオキシ又はイソブチレンオキシを表す。このEO、PO、及びBuOビルディングブロックは、任意の可能な配列で存在できる。最後に、置換基Rは、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、又は7〜20の炭素原子を有するアルキルアリール基を表す。
【0030】
式(I)のモノヒドロキシ化合物E、特に、置換基Rとして、メチル、エチル、イソプロピル、又はn-ブチル基を有し、且つz=0のものが好ましい。Eは、好ましくは、EO/POコポリマーを含む。なお、さらに好ましくは、モノヒドロキシ化合物Eは、一端が末端キャップされたポリエチレングリコールである。
【0031】
E群の複数の異なる化合物の混合物も可能である。したがって、例えば、一端(一方の末端)を末端キャップされ且つ異なる分子量を有するポリエチレングリコール類を混合することができ、あるいは、例えば、一端をキャップされたポリエチレングリコール類と、一端を末端キャップされた、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー類又は一端を末端キャップされたプロピレングリコール類との混合物を用いることができる。例えば、C6〜C20アルキルアルコール類と、一端をキャップされたポリエチレングリコール類との混合物も可能である。
【0032】
好ましい態様では、モノヒドロキシ化合物Eは、一端をキャップされ且つ300〜10000g/モル、特に500〜5000g/モル、好ましくは800〜3000g/モルの分子量Mを有するポリアルキレングリコールである。
【0033】
本発明の方法の第一工程(a)では、ホモ-又はコポリマーP1とモノヒドロキシ化合物Eとの反応を200℃以下の温度で行ってポリマーP2を得る。この反応のための温度は、140℃〜200℃であることが好ましい。しかし、この反応は、150℃〜175℃でも可能である。そのような高温は、有効なエステル化を得るために必要である。
【0034】
好ましい態様では、第一工程(a)は、エステル化触媒、特に酸、の存在下で行う。そのような酸は、好ましくは、硫酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸、又は亜リン酸である。硫酸が好ましい。反応混合物からの水の除去は、大気圧下でも、減圧下でも行うことができる。さらに、ガス流を反応混合物の上又は反応混合物を通して流すことができる。用いるガス流は空気又は窒素であってよい。
【0035】
ある態様では、第一工程(a)において、モノヒドロキシ化合物Eに加えて、モノアミン化合物A’を用いる。これによって、第一工程(a)において、エステル及び酸無水物基の形成に加えて、アミド基の形成ももたらされる。このモノアミン化合物A’は、第一工程(a)の反応温度よりも高い沸点及び引火点を有する。さらに、モノアミン化合物A’は、ヒドロキシル基を含んでいてはならない。
【0036】
そのようなモノアミン化合物A’の典型例は、以下の式(II’)
2’NH-R3’ (II’)
によって表すことができる。
【0037】
第一に、R2’及びR3’は一緒に環を形成してもよく、この環は任意選択によって酸素、硫黄、又はさらなる窒素原子を含んでいてもよい。
【0038】
そのようなモノアミン化合物A’の例は、9H-カルバゾール、インドリン、又はイミダゾールである。
【0039】
第二に、R2’及びR3’は、互いに独立して、8〜20の炭素原子を有するアルキル基、5〜9の炭素原子を有するシクロアルキル基、7〜12の炭素原子を有するアラルキル基、以下の式(III’)、(IV’)、又は(V’)の化合物、又はHを表すことができる。
【0040】
-R4’-X(R5’) (III’)
【化1】

-[(EO)-(PO)-(BuO)]-R (V’)
【0041】
式中、R4’はC1〜C4アルキレン基を表す。R5’はC〜Cアルキル基を表す。X=S、O、又はNであり、X=S又はOである場合はv=1であり、X=Nである場合はv=2である。R6’は、任意選択によりヘテロ原子を有していてもよいアルキレン基を表し、窒素原子とともに5〜8員環、特に6員環を形成していてもよい。R基及び指数x、y、及びzは、式(I)の化合物について既に定義したとおりの意味を有する。
【0042】
そのようなモノアミン化合物A’の例は、ジオクチルアミン、ジステアリルアミン、ジ-タロウ(すなわち獣脂)脂肪アミン、脂肪アミン類(例えばステアリルアミン、ヤシ脂肪アミン、オクタデシルアミン、タロウ脂肪アミン、オレイルアミン)、3-ブトキシプロピルアミン、ビス(2-メトキシエチル)アミン、α-メトキシ-ω-アミノポリオキシエチレン、α-メトキシ-ω-アミノポリオキシプロピレン、α-アミノ-ω-アミノオキシエチレンオキシプロピレンコポリマーである。
【0043】
モノアミン化合物A’は一級モノアミンであることが好ましい。R2’が式(V’)のものであり、R3’がHである式(II’)の化合物が、モノアミン化合物A’として特に好ましい。α-アミノ-ω-アミノオキシエチレンオキシプロピレンコポリマー又はα-メトキシ-ω-アミノポリオキシエチレンが特に好ましい。最も好ましいものは、α-メトキシ-ω-アミノポリオキシエチレンである。そのようなモノアミン化合物A’は、例えば、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのアルコール開始重合と、それに続く末端アルコール基のアミノ基への変換によって得られる。
【0044】
ポリマーP2を得るための、ホモ-又はコポリマーP1とモノヒドロキシ化合物Eとの反応は、モノヒドロキシ化合物Eを撹拌しながらホモ-又はコポリマーP1に添加し、反応温度に加熱するというような方法で典型的には行われる。混合物は上述した反応温度でさらに撹拌し、減圧下にて、又は反応物の上を若しくは反応物を通してガス流を流すことによって反応させることができる。モノアミン化合物A’を用いる場合は、それらの添加は、モノヒドロキシ化合物Eと同時に又は第一の反応工程の間の後のほうの時点で行うことができる。
【0045】
反応後(これは酸化の測定によって監視できる)、反応生成物はさらに加工するか、貯蔵するかのいずれかである。貯蔵は、加熱した容器中又は室温のいずれかで行うことができる。後者の場合、反応生成物は、さらなる使用前に再加熱、好ましくは融解するまで再加熱することができる。
【0046】
この第一工程(a)では、ホモ-又はコポリマーP1とモノヒドロキシ化合物Eとの間のエステルに加えて(さらに場合によっては、ホモ-又はコポリマーP1とモノアミン化合物A’との間のアミドに加えて)、酸無水物基(anhydride group)も形成される。これらの酸無水物基の存在は、赤外スペクトルによって非常に容易に証明でき、なぜなら、酸無水物基は約1800cm−1及び約1760cm−1の領域に非常に強い2つのバンドをもつことが知られているからである。
【0047】
いかなるアミンA’も、第一工程(a)では用いないことが好ましい。
【0048】
第一工程(a)の後、その他の添加剤も添加でき、好ましくはポリマー溶融物の加工前に、特にポリマー溶融物の固体ポリマーへの固化の前に、ポリマーP2と特に混合することもできる。そのような添加剤は、アルカリ(例えば、アルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物など)、その他の分散剤(例えば、スルホン化ナフタレン縮合物、スルホン化メラミン縮合物、リグノスルホネート、ポリアクリレート、その他のポリカルボキシレート)、あるいは水硬性バインダーのための硬化遅延剤及び/又は硬化促進剤、粘度調整剤、界面活性物質(例えば、界面活性剤又は消泡剤)、又は収縮低減剤であって
よい。
【0049】
本発明の方法の第二の工程(b)では、工程(a)で調製したポリマーP2を60℃未満に冷却し、それによってポリマーP2は固体凝集状態で存在するか、又は過冷却溶融物として存在する。ポリマーP2は、冷却後に、粉末、フレーク、ビーズ、シート、又は薄片として存在し、あるいは過冷却溶融物として存在することが好ましい。
【0050】
第一工程(a)で調製したポリマーP2は、容器中で固化させるために容器中に導入できる。しかし、続けて、あるいは分割して、取り扱い可能な固体をコンパウンディングするための当業者に公知の適切な方法によってさらに加工することもできる。例えば、工程(a)で例えば溶融物として存在するポリマーP2は、シートにキャストでき、この形態で固化した後、次に、例えば切断、粉化、又はペレット化によって粉砕できる。固化工程は、例えば冷却することによって促進されうる。ポリマー溶融物のさらなる加工のさらなる例として、ポリマー溶融物は、例えば、冷却浴又は切断機を用いて直接顆粒化することもできる。あるいは、この冷却は、工程(a)で調製したポリマーP2を平坦な基材上に注ぎ、それを固化させておくことによって室温で行うことができ、あるいは追加の冷却基材上で冷却することができる。
【0051】
第三の工程(c)では、第一工程(a)で形成され且つ第二工程(b)で冷却され、且つ固体凝集状態で存在するか又は過冷却溶融物として存在し、エステル基と場合によってはアミド基に加えて酸無水物基を有するポリマーP2を、60℃未満、好ましくは40℃未満の温度でアミン化合物Aと反応させる。この反応は、10℃〜60℃、特に好ましくは15℃〜40℃、なお、さらに好ましくは20℃〜30℃で行うことが好ましい。この反応は、穏やかな条件下で、減圧を必要とせずに実現できるので、低い沸点をもつアミン化合物A、又はアミノ基に加えてヒドロキシル基をも有するアミン化合物Aも用いることができる。
【0052】
アミン化合物Aは、下記式(II)
NH-R (II)
を有することが好ましい。
【0053】
第一に、R及びRは一緒に環を形成してもよく、この環は任意選択によって酸素、硫黄、又はさらなる窒素原子を含んでいてもよい。
【0054】
そのようなアミン化合物Aの例は、特に、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、1,3-チアゾリジン、2,3-ジヒドロ-1,3-チアゾール、イミダゾールである。モルホリンが特に適している。
【0055】
第二に、R及びRは、互いに独立して、1〜12の炭素原子を有するアルキル基、5〜9の炭素原子を有するシクロアルキル基、7〜12の炭素原子を有するアラルキル基、ヒドロキシアルキル基、特に、-CHCH-OH、又は-CHCH(OH)CH、以下の式(III)、(IV)、又は(V)の基、又はHを表すことができる。
【0056】
-(R-X) (III)
【化2】

-[(EO)-(PO)-(BuO)]-R (V)
【0057】
式中、Rはアルキレン基、好ましくはC1〜C4アルキレン基を表す。RはC〜Cアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はHを表す。Xは、互いに独立して、S、O、又はNRを表し、nは1〜100の間の値である。Rは互いに独立してC〜Cアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はHを表す。Rは、任意選択でヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基を表し、かつ好ましくは、その窒素原子とともに5〜8員環、特に6員環を形成していてもよい。R基及び指数x、y、及びzは、式(I)の化合物について既に定義したとおりの意味を有する。
【0058】
-CHCH-OH、又は-CHCH(OH)CHは、上記のヒドロキシアルキル基として好ましい。
【0059】
好適なアミン化合物Aは、例えば、アンモニア、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、及びシクロオクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、2-フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、キシリルアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、3,3’-イミノビス(N,N-ジメチルプロピルアミン)、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、N,N,N’-トリメチルエチレンジアミン、2-メトキシエチルアミン、3-メトキシプロピルアミン、エタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-アミノプロパノール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-イソプロピルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-ブチルエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、2-モルホリノエチルアミン、3-モルホリノプロピルアミン、である。
【0060】
アミン化合物Aは、アンモニア、モルホリン、2-モルホリン-4-イルエチルアミン、2-モルホリン-4-イルプロピルアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2-フェニルエチルアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、例えば、ジェファーミン(Jeffamine(登録商標) ) D230、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、及び例えばJeffamine(登録商標)の名称でHuntman社から販売されているその他のアミン類、並びにそれらの混合物からなる群から選択されることが特に好ましい。アンモニアは、ガスとして、あるいは水溶液で使用できる。
【0061】
アミン化合物Aは、好ましくはないけれども、モノアミン化合物A’であることもできる。
【0062】
第三の工程(c)での反応のためには、60℃未満、好ましくは10℃〜60℃、特に好ましくは15〜40℃、なおさらに好ましくは20〜30℃の加工温度で、固体凝集体、好ましくは、粉末又は固体結晶として存在するアミン化合物Aを用いる。アミン化合物Aが第三の工程(c)の加工温度で固体凝集体として存在しない場合、例えばそれが液体である場合は、このアミン化合物は、固体担体物質に適用され、あるいは固体担体物質中に封入される。
【0063】
好適な固体担体物質は、例えば、無機バインダー、水硬性添加剤、ケイ酸、モレキューラシーブス、例えばゼオライト、チョーク、ストーンダスト、水酸化カルシウム、石膏、シリカ、珪藻土、シリカ・ヒューム、籾殻灰、アルミナ、水酸化アルミニウム、バーミキュライト、ローム(loam)、クレイ、例えば、膨張クレイ、またはベントナイトである。適したシリカは、例えば、シリカ粉末、例えば、Degussa社から入手できるSipernat(登録商標)である。上記担体物質は、例えば、粉末形態で、又は繊維として存在してよい。セメント、石膏、高炉スラグ(blast furnace sand)、又はケイ酸が、固体担体物質として特に好ましい。用いる石膏は、硫酸カルシウム・二水和物、硫酸カルシウム・半水化物、又は硫酸カルシウム無水物であってよい。担体物質は好ましくは塩基性である。
【0064】
好ましい態様では、第三の工程(c)は、固体アミンAが、第二の工程(b)からのポリマーP2(これは、固体状態、例えば、粉末として若しくは薄片の形態で、又は顆粒としてもしくは過冷却溶融物として存在する)と、例えば粉砕機中で、撹拌しながら混合される方法で行われる。ポリマーP2が、工程(b)の後で過冷却溶融物として存在する場合は、ポリマーPは、固体アミンAと混合されたポリマーP2を工程(c)の後で固化するようにさせておき、次に、例えば、切断、粉化、又はペレット化することによってそれを粉砕することにより、固体凝集状態に調製できる。
【0065】
本発明の方法は、液体の、特に溶媒の追加使用なしで、アミド及びエステル基を有する固体凝集状態のポリマーPの調製を可能にする。したがって、溶媒を除去する工程を省くことができ、これは時間の節約となるとともに、いっそう経済的である。
【0066】
従来の方法では、所望する場合には、例えば、減圧を適用すること及び/又は加熱することによって溶媒を除去することができる。スプレー乾燥の場合では、安定剤、特に酸化防止剤を、ポリマーの酸化分解を防止するために通常はさらに添加しなければならない。しかし、これらの工程では、少ない割合の水をなお有するポリマーが生じる。このことは、特にこのポリマーを含む乾燥した混合物の貯蔵及び流動性に対して不利である。さらに、このポリマーの融点は、水の割合によって低下する。
【0067】
対照的に、液体、特に溶媒の追加使用、又は安定剤、特に酸化防止剤の追加使用のいずれも、本発明の方法によってアミド及びエステル基を有する固体凝集状態のポリマーPを調製するためには必要がない。したがって、アミド及びエステル基を有し且つ良好な流動性を有するポリマーPが固体凝集状態で得られる。さらに、固体凝集状態のポリマーPは製造時に着色せず、なぜなら、安定剤を用いる必要がないからである。
【0068】
したがって、本発明の方法によって調製したポリマーPは、ポリマーPの全質量を基準にして、5質量%未満、特に1質量%未満の溶媒(特に水)しか含まないことが好ましい。さらにより好ましくは、ポリマーPは実質的に無溶媒、好ましくは無水である。ポリマーP中に殆ど存在しないか又は全く存在しない溶媒には、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、ジオキサン、アルコール類、例えば、エタノール又はイソプロパノール、及び水が含まれる。
【0069】
第三の工程では、アミド形成に加えて、アミン塩も形成されうる。このアミン塩形成を防止するため及びアミド化の収率を増大させるためには、アミン化合物Aのアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物を添加することが好ましい。
【0070】
本発明の方法は、アミド及びエステル基を有するポリマーPを得ることを可能にし、このポリマーは通常の高分子法(polymer-analogous process)では得られないか又は低い品質でしか得られず、なぜなら、エステル形成に悪影響を及ぼす溶媒、特に水を、ポリマー製造のために用いるからである。さらに、この方法は、増大した熱負荷なしに、それゆえに、ポリマーの望ましくない架橋をもたらしうるポリエーテル切断のおそれもなく、カルボキシル基の含有量(したがって、ポリマー主鎖のイオン密度)を非常に容易に低下させることを可能にする。通常の高分子法においてイオン密度を低減させることを、例えば、エステル基の増加によって試みる場合には、ある程度のエステル化から立体障害があり、この立体障害はさらなる反応を複雑にし、あるいはさらなる反応を不可能にする。対照的に、アミド及びエステル基を有するポリマーPは、本発明の方法によって、高品質で、固体凝集状態で製造できる。
【0071】
アミン化合物Aの量及び種類に応じて、最終生成物の様々な特性を達成できる。したがって、アミド及びエステル基をもつ複数の様々なポリマーPが、中間体、すなわち第一の工程の反応生成物から出発して、様々なアミン化合物又は様々な量のアミン化合物Aを用いることにより、簡単かつ安価な方法で調製することができることは、本発明の方法のさらなる利点である。これは、主要な補給上の及び経済的な利点を有する。
【0072】
したがって、例えば、最初の2つの工程のポリマーP2を大量に固体凝集状態で製造し且つ貯蔵し、最終生成物の所定の特性を達成するためにその場でのみ所望のアミン化合物Aと混合することができる。この固体ポリマーP2が固体アミン化合物Aと充分に反応して、最終生成物のポリマーPが所望の特性を有するようにすることを可能にするために、混合後且つポリマーPの使用前に所定の時間を経過させることが好ましく、その時間は少なくとも2時間、なおさらに好ましくは少なくとも12〜24時間、なおより好ましくは少なくとも48時間、好ましくは2〜10日である。
【0073】
好ましい態様では、本発明の方法によって調製し且つアミド及びエステル基を有するポリマーPは、以下の式(VI)の構造を実質的に有する。
【0074】
【化3】

【0075】
式中、Mはカチオン、特に、H、Na、Ca++/2、Mg++/2、NH、又は有機アンモニウムを表す。多価イオンの場合には、とりわけ、それらのカルボキシレート又はポリマーPの別の分子であってもよいさらなる対イオンが存在しなければならないことは、当業者には明らかである。有機アンモニウム化合物は、特に、テトラアルキルアンモニウム又はHRであり、Rはアルキル基、特にC1〜C6アルキル基、好ましくはエチル又はブチル、を表す。有機アンモニウムイオンは、特に、カルボキシル基を市販の三級アミンで中和することによって得られる。
【0076】
置換基Rは、互いに独立して、H又はメチルを示す。メチルは、置換基Rとして好ましい。
【0077】
置換基R及びRは、式(II)のアミン化合物Aの場合に既に説明している。置換基R2’及びR3’は、式(II’)のモノアミン化合物A’の場合に既に説明している。置換基R、EO、PO、BuO、及び指数x、y、及びzは、式(I)のモノヒドロキシ化合物Eに対して既に説明している。
【0078】
指数n、m、m’、及びpは整数を示し、合計であるn+m+m’+pは10〜250、好ましくは20〜100、特に25〜80、及びn>0、m>0、p>0、及びm’≧0である。
【0079】
3つのビルディングブロックa、b1、b2とcの配列は、ブロック又はランダムであってよいが、但し、アミド形成の酸無水物機構のために、ビルディングブロックb2はaの隣又は近く、特にaの隣でなくてはならないことを例外とする。
【0080】
ポリマーP中のビルディングブロックa、b1、b2、及びcの総モル量を各場合に基準として、aの量は10〜90モル%、b1の量は0〜6モル%、b2の量は0.1〜40モル%、cの量は9.9〜89.9モル%である。b2のモル量は、aのモル量より少なくなければならない。
【0081】
好ましい態様では、ポリメタクリル酸を、メトキシ基を1つの末端に有するポリエチレングリコールでエステル化し、次に本発明の穏やかな方法でモノエタノールアミンと反応させ、このモノエタノールアミンは、ケイ酸中又はケイ酸上に吸収されているか又は吸着されて存在している。エタノールアミンはケイ酸と反応することもでき、したがって、その表面に結合して存在できることは当業者に明らかである。
【0082】
アミド及びエステル基を有するポリマーPは、様々な領域、特にコンクリート及びセメント技術で用いられる。特に、アミド及びエステル基を有する上記ポリマーPは、水硬性組成物、特にコンクリート及びモルタル用の高性能減水剤として用いることができる。ここでは、アミド及びエステル基を有するポリマーPを、少なくとも1種の水硬性物質を含むドライブレンドと混合することができる。原理的には、コンクリート分野の当業者に公知の全ての物質を水硬性物質として用いることができる。特に、これらは、セメント、例えば、ポルトランドセメント、又は高アルミナセメント、並びにそれらとフライアッシュ、シリカ・フューム、スラグ、高炉スラグ、及び石灰石フィラーとのそれぞれ混合物である。本発明との関連におけるさらなる水硬性物質は、無水石膏、半水石膏、もしくは二水和物の形態の石膏、又は生石灰である。好ましい水硬性物質はセメントである。さらに、骨材、例えば、砂、砂利、石、石英粉末、チョーク、及び添加剤として通例の成分、例えば、その他のコンクリート高性能減水剤、例えば、リグノスルホネート、スルホン化したナフタレン-ホルムアルデヒド縮合物、スルホン化したメラミン-ホルムアルデヒド縮合物、又はポリカルボキシレートエーテル、促進剤、腐食防止剤、遅延剤、収縮低減剤、消泡剤、及び気孔形成剤が可能である。
【0083】
実質的に無水の、好ましくは完全に無水の、アミド及びエステル基を有する固体凝集状態のポリマーPは、水硬性組成物の成分、いわゆるドライブレンドの成分であってよく、これはかなり長期にわたって貯蔵でき、通常はバッグ又はサイロにパッキングされ、そして使用される。そのようなドライブレンドも、かなり長い貯蔵時間後に用いることができ、良好な流動性を有する。
【0084】
アミド及びエステル基を有するポリマーPは、水の添加と共に、あるいは水の添加の直前又は直後に、通例の水硬性組成物に添加することもできる。アミド及びエステル基を有するポリマーPの水溶液又は水分散液の形態で添加、特に、混合水としての、あるいは混合水の一部としての添加は、ここでは特に好ましいことが判明している。
【0085】
アミド及びエステル基を有する上記ポリマーPは、セメント及びコンクリート技術において通例の水/セメント(water/cement, w/c)比で、水硬性組成物、特にセメント系組成物のための高性能減水剤特性を有し、得られた混合物はその高性能減水剤なしの組成物と比較して顕著に大きな流動挙動を有する。この流動挙動は、スランプによって通常は測定される。一方では、同じ流動挙動をもちながら、かなり少ない水しか必要としない混合物を達成することができ、それによって、硬化した水硬性組成物の機械特性を大きく高めることができる。特別の用途は、成分調合済みのモルタルにおける高性能減水剤としての使用である。アミド及びエステル基を有するポリマーPは、分散物のための、特に水硬性もしくは非水硬性バインダーを含む分散物のための、特に水硬性組成物のための分散剤として用いることもできる。
【0086】
[実施例]
〔第一工程:エステル化及び酸無水物の形成〕
5000g/モルの平均分子量をもつポリメタクリル酸の40%強度の水溶液(480g)を、撹拌機、温度計、真空接続、及び蒸留装置を備えた反応容器中に最初に導入する。50%強度の硫酸(5g)を撹拌しながら添加する。メトキシ基で一つの末端を末端キャップされ且つ1100g/モルの平均分子量をもつポリエチレングリコール(300g)と、メトキシ基で一つの末端を末端キャップされ且つ3000g/モルの平均分子量をもつポリエチレングリコール(600g)とを溶融物として添加し、反応混合物を撹拌しながらゆっくりと170℃まで加熱する。水を連続的に留去する。反応混合物が170℃に達したらすぐに、撹拌をこの温度で30分間行う。次に、さらなるエステル化を減圧下(80〜100mbar)で3.5時間行う。この反応時間の終わりの直接酸価(direct acid number)は、0.67ミリモルCOOH/gポリマーと測定された。溶融したポリマーを平坦な基材上に注ぎ、凝集固体状態に固化させる。冷却及び固化の後、この固体ポリマーは、平坦な基材から容易に分離し、小さな断片、特に薄片に粉砕でき、これはしっかり密閉した容器中に包装することができる。記号:BP1。
【0087】
〔第二工程:アミド化〕
[例1]
ケイ酸(500g)をホバート(Hobart)ミキサーに導入し、穏やかに撹拌しながら、エタノールアミン(215g)を添加する。この混合物をさらに5分間混合し、次にガラス瓶に導入する。この容易に流動する粉末は、約30%のエタノールアミンを含んでいる。記号:AT1。
固体ポリマーBP1(550g)をポーセレンボールミル中に導入し、AT1(60g)をそれと混合する。したがって、この混合物は、約18gのエタノールアミンを含んでいる。この混合物を、鋼製ボールを加えて12時間粉砕する。得られた微細な白色粉末を充填する。記号:EPA1。
【0088】
[例2]
固化する前に、ポリマーBP1をほぼ室温で平坦な基材上に注ぐ。AT1粉末を、60℃未満の温度で、その過冷却溶融物上に、ポリマー溶融物1kg当たり約60gのAT1粉末の量でふり撒く。次にポリマーが固化して固体となり、これを小さな断片、特に薄片に粉砕する。次にこの小さな断片は粉砕機(ミル)を使用して加工し、粉末を得る。記号:EPA2。
この粉末を1〜2日間静置しておいた後、アミンで処理したポリマーが未処理ポリマーのものとは異なる性質を有することを示すことができる。
【0089】
〔水硬性組成物の例〕
本発明のポリマーの有効性をモルタルで試験した。
【0090】
【表1】

【0091】
上記の砂、フィラー、及びセメント、並びに固体ポリマーは、ホバートミキサー中で1分間ドライブレンドした。混合する水を30秒以内で添加し、撹拌をさらに2.5分間続ける。合計の湿式混合時間は2.5分である。
【0092】
【表2】

【0093】
〔測定方法〕
[直接酸価]
約1gのポリマー溶融物を約30mlの脱イオン水に溶かし、3滴のフェノールフタレイン溶液(エタノール中1%)を添加する。滴定は0.1NのNaOHを用いて、色が変化するまで行う。
酸価(ミリモルCOOH/g)=V/(10×m)
V=0.1N NaOHの消費量(ml)、及びm=採取したポリマー溶融物の質量(g)
【0094】
[スランプ]
上記のモルタルのスランプは、EN 1015−3に準拠して測定した。
【0095】
〔結果〕
表1は本発明のポリマーを含むモルタルの、60分を超える加工性の優れた維持を示しており、一方、アミンなしの比較ポリマー1を含むモルタルは、実質的により低い加工性しかもたない。
【0096】
さらに、これらのモルタルの結果は、第三の反応段階(c)における変換時に反応が起こることを示している。本発明のポリマーの特性は、モルタルミックスの加工性の維持に関して、原料ポリマーの特性とは実質的に異なっている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミド及びエステル基を有する固体凝集状態のポリマーPの製造方法であって、以下の工程、
(a)(メタ)アクリル酸、イタコン酸、又はクロトン酸のホモポリマー又はコポリマーP1と、少なくとも1種のモノヒドロキシ化合物Eとの、200℃以下の温度での反応でポリマーP2を得、それによってエステル基に加えて酸無水物基を形成させる工程、
(b)工程(a)で調製したポリマーP2を60℃未満まで冷却し、それによってポリマーP2が固体凝集状態で存在し又は過冷却溶融物として存在する工程、
(c)酸無水物基を有し、且つ固体凝集状態で存在するか又は過冷却溶融物として存在するポリマーP2を、少なくとも1種のアミン化合物Aで60℃未満の温度にてアミド化する工程、を含み、
工程(c)で用いる前記アミン化合物Aが固体凝集状態で存在するか、あるいは固体担体物質上もしくは固体担体物質中に存在する、製造方法。
【請求項2】
前記ポリマーP2が、冷却後に、粉末、フレーク、ビーズ、シート、又は薄片として存在することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記の固体担体物質が、無機バインダー、水硬性添加剤、ケイ酸、モレキューラシーブス、又はチョーク、好ましくは、セメント、石膏、高炉スラグ、又はケイ酸であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
調製した前記ポリマーPが、ポリマーPの全質量を基準にして1質量%未満の水しか含まないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ポリマーPが実質的に無水であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
工程(c)において、固体凝集状態で存在するか又は過冷却溶融物として存在するポリマーP2が、溶媒を用いずに、少なくとも1種のアミン化合物Aと混合されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
工程(a)が、酸、特に、硫酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸、又は亜リン酸、好ましくは硫酸の存在下で行われることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記モノヒドロキシ化合物Eが、C6〜C20アルキルアルコールであるか、又は下記式(I):
HO-[(EO)-(PO)-(BuO)]-R (I)
(式中、指数x、y、zは、互いに独立して、それぞれ0〜250の値を表し、かつ、x+y+zは3〜250であり;
EOはエチレンオキシを表し、POはプロピレンオキシを表し、BuOはブチレンオキシ又はイソブチレンオキシを表し、前記EO、PO、及びBuOビルディングブロックは、任意の可能な配列で存在でき;
は、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、又は7〜20の炭素原子を有するアルキルアリール基を表す)
を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
zが0(ゼロ)であり、かつRがメチル、エチル、イソプロピル、又はn-ブチル基であることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記モノヒドロキシ化合物Eが、一端をキャップされ且つ300〜10000g/モル、特に500〜5000g/モル、好ましくは800〜3000g/モルの分子量Mを有するポリアルキレングリコールであることを特徴とする、請求項8又は9に記載の製造方法。
【請求項11】
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、又はイタコン酸のホモ-又はコポリマーP1が、単独重合により、あるいはα,β-不飽和カルボン酸、α,β-不飽和カルボン酸エステル、α,β-不飽和カルボキシレート、スチレン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のさらなるモノマーとの共重合によって調製されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記のさらなるモノマーが、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びそれらの塩類、エステル類、並びにそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記コポリマーP1が、アクリル酸及びメタクリル酸及びそれらの塩もしくは部分塩のコポリマーであるか、あるいは前記コポリマーP1が、ポリメタクリル酸又はポリアクリル酸、好ましくはポリメタクリル酸、又はその塩もしくは部分塩であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記ホモ-又はコポリマーP1が、10〜250、好ましくは20〜100、特に25〜80のモノマービルディングブロックから構成されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記アミン化合物が、下記式(II)のアミンであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の製造方法。
NH-R (II)
〔式(II)中、
及びRが一緒に環を形成しており、この環は任意選択によって酸素、硫黄、又はさらなる窒素原子を含んでいてもよく、
あるいは、R及びRは、互いに独立して、1〜12の炭素原子を有するアルキル基、5〜9の炭素原子を有するシクロアルキル基、7〜12の炭素原子を有するアラルキル基、ヒドロキシアルキル基、特に、-CHCH-OH、又は-CHCH(OH)CH、以下の式(III)、(IV)、又は(V)の化合物、又はHを表すことができる。
-(R-X) (III)
【化1】

-[(EO)-(PO)-(BuO)]-R (V)
[式中、Rは互いに独立して、アルキレン基を表し、RはC〜Cアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はHを表し、かつ
Xは互いに独立して、S、O、又はNRを表し、nは1〜100の間の値であり、Rは互いに独立して、C〜Cアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はHを表し、
は、任意選択でヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基であり、
x、y、zは互いに独立して、それぞれ0〜250の値を有し、かつx+y+zが3〜250であり、
EOはエチレンオキシを表し、POはプロピレンオキシを表し、BuOはブチレンオキシ又はイソブチレンオキシを表し、前記EO、PO、及びBuOビルディングブロックは任意の可能な配列で存在でき、
は、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、又は7〜20の炭素原子を有するアルキルアリール基を表す。]〕
【請求項16】
化合物Aが、アンモニア、モルホリン、2-モルホリン-4-イルエチルアミン、2-モルホリン-4-イルプロピルアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2-フェニルエチルアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
第一工程(a)において、前記モノヒドロキシ化合物Eに加えて、モノアミン化合物A’が用いられることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記モノアミン化合物A’が下記式(II’)のアミンであることを特徴とする、請求項17に記載の製造方法。
2’NH-R3’ (II’)
〔式(II’)中、
2’及びR3’が一緒に環を形成しており、この環は任意選択によって酸素、硫黄、又はさらなる窒素原子を含んでいるか、
あるいは、R2’及びR3’は、互いに独立して、8〜20の炭素原子を有するアルキル基、5〜9の炭素原子を有するシクロアルキル基、7〜12の炭素原子を有するアラルキル基、下記式(III’)、(IV’)、又は(V’)の化合物、又はHを表すことができる。
-R4’-X(R5’) (III’)
【化2】

-[(EO)-(PO)-(BuO)]-R (V’)
[式中、R4’はアルキレン基を表し、R5’はC〜Cアルキル基を表し、XはS、O、又はNを表し、X=S又はOである場合はvは1であり、X=Nである場合はvは2であり、かつR6’は、任意選択によりヘテロ原子を有していてもよいアルキレン基であり、
x、y、及びzは互いに独立して、それぞれ0〜250の値をもち、かつ、x+y+zは3〜250であり、
EOはエチレンオキシを表し、POはプロピレンオキシを表し、BuOはブチレンオキシ又はイソブチレンオキシを表し、前記EO、PO、及びBuOビルディングブロックは任意の可能な配列で存在でき、
は、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、又は7〜20の炭素原子を有するアルキルアリール基を表す。]〕
【請求項19】
式(II’)の前記化合物A’が、式(V’)のR2’基と、R3’としてHを有し、特に、α-アミノ-ω-アミノオキシエチレンオキシプロピレンコポリマー又はα-メトキシ-ω-アミノポリオキシエチレン、好ましくはα-メトキシ-ω-アミノポリオキシエチレンであることを特徴とする、請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記第一工程(a)の温度が140℃〜200℃であり、前記第二工程(b)の温度が10℃〜60℃、好ましくは15℃〜40℃であることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項21】
アミド及びエステル基を有する前記ポリマーPが、下記式(VI)の構造を有することを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の製造方法。
【化3】

〔式中、Mはカチオン、特に、H、Na、Ca++/2、Mg++/2、NH、又は有機アンモニウムを表し、
は、互いに独立して、H又はメチル、特にメチルを表し、
及びRが一緒に環を形成しており、この環は任意選択によって酸素、硫黄、又はさらなる窒素原子を含んでいてもよく、
あるいは、R及びRは、互いに独立して、1〜12の炭素原子を有するアルキル基、5〜9の炭素原子を有するシクロアルキル基、7〜12の炭素原子を有するアラルキル基、ヒドロキシアルキル基、特に、-CHCH-OH、又は-CHCH(OH)CH、以下の式(III)、(IV)、又は(V)の基、又はHを表すことができる。
-(R-X) (III)
【化4】

-[(EO)-(PO)-(BuO)]-R (V)
(式中、Rは互いに独立してアルキレン基を表し、RはC〜Cアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はHを表し、かつ
Xは互いに独立して、S、O、又はNRを表し、nは1〜100の間の値であり、Rは互いに独立して、C〜Cアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はHを表し、
は、任意選択でヘテロ原子を含んでいてもよいアルキレン基であり;
そして、
2’及びR3’は一緒に環を形成しており、この環は任意選択によって酸素、硫黄、又はさらなる窒素原子を含んでいてもよく、
あるいは、R2’及びR3’は、互いに独立して、8〜20の炭素原子を有するアルキル基、5〜9の炭素原子を有するシクロアルキル基、7〜12の炭素原子を有するアラルキル基、下記式(III’)、(IV’)、又は(V’)の化合物、又はHを表すことができる。
-R4’-X’(R5’) (III’)
【化5】

-[(EO)-(PO)-(BuO)]-R (V’)
(式中、R4’はアルキレン基を表し、R5’はC〜Cアルキル基を表し、X’はS、O、又はNを表し、X’=S又はOである場合はvは1であり、X’=Nである場合はvは2であり、かつR6’は、任意選択によりヘテロ原子を有していてもよいアルキレン基である。)
そして、
n+m+m’+pは10〜250、好ましくは20〜100を表し、n>0、m>0、p>0、及びm’≧0であり、
x、y、zは互いに独立して、それぞれ0〜250の値をもち、x+y+zは3〜250であり、
EOはエチレンオキシを表し、POはプロピレンオキシを表し、BuOはブチレンオキシ又はイソブチレンオキシを表し、前記EO、PO、及びBuOビルディングブロックは任意の可能な配列で存在でき、
は、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、又は7〜20の炭素原子を有するアルキルアリール基を表す。〕
【請求項22】
ポリマーP中のビルディングブロックa、b1、b2、及びcの総モル量を各場合に基準にして、aの量が10〜90モル%、b1の量が0〜6モル%、b2の量が0.1〜40モル%、cの量が9.9〜89.9モル%であり、b2のモル量がaのモル量より少ないことを特徴とする、請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
水硬性組成物用の、特にコンクリート又は石膏用の高性能減水剤としての、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法によって製造され且つアミド及びエステル基を有するポリマーPの使用。
【請求項24】
水性分散物のための分散剤としての、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法によって調製され且つアミド及びエステル基を有するポリマーPの使用。
【請求項25】
少なくとも1種の水硬性粉末と、アミド及びエステル基を有し且つ請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法によって調製された少なくとも1種のポリマーPとを含むドライブレンド。

【公表番号】特表2010−507710(P2010−507710A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533867(P2009−533867)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061556
【国際公開番号】WO2008/049924
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】