説明

アミド基及びエステル基を含むポリマー、その製法及び使用

本発明は、アミド基及びエステル基を有するポリマー(P)の調製方法であって、第一工程において、(メタ)アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー(P1)とモノヒドロキシル化合物(E)とを上限200℃の温度で反応させて、エステル基に加えて無水物基を形成させ、第二工程において、第一工程で形成した無水物基とモノアミン化合物(A)とを100℃よりも著しく低い温度で反応させて、アミドを得ることを特徴とする方法に関する。本発明はさらに、上記方法により調製されるポリマー、その水硬性組成物中における使用、並びに水の添加による硬化前もしくは後の前記水硬性組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α,β-不飽和カルボン酸のポリマーの、アミド及びエステルの群に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアルキレングリコール側鎖を有するα,β-不飽和カルボン酸のポリマーは、その高度の減水により、既にこれまでにもコンクリート技術における可塑剤として使用されている。これらのポリマーは櫛形ポリマー構造を有する。こうした櫛形ポリマーには、エステル基及びカルボン酸基に加えて、更にアミド基を有する一連のポリマーがある。
【0003】
これらポリマーの調製のためには、本質的に2つの方法が使用される。いずれのポリマーも特定のカルボン酸官能性モノマー、エステル官能性モノマー、及びアミド官能性モノマーからのラジカル重合によって、またはポリカルボキシルポリマー及び特定のアルコール類及びアミン類からのポリマー−類似反応において調製される。
【0004】
ラジカル重合を経る経路はもっとも一般的な方法であるが、これは、特定の化合物については、その対応するモノマー類の購入可能性及びその毒性のために複雑になり、複雑な工程制御を必要とする。
【0005】
ポリマー−類似反応は、α,β-不飽和カルボン酸、とりわけポリ(メタ)アクリル酸の購入可能なポリマー由来のアルコールとアミンとの、量、タイプ、及び比率を変化させることによって、非常に様々な特性を有する非常に様々な櫛形ポリマーを、単純且つ確実な方法で得ることができるという非常な利点を有する。ポリマー−類似反応においては、購入可能なポリ(メタ)アクリル酸の使用の結果として、安全の観点から重要である、ラジカル重合の工程の割愛が可能である。
【0006】
こうしたポリマー−類似反応は、例えばEP0889860、EP0739320、及びDE10015135に開示されている。
【0007】
ポリマー−類似反応は、カルボキシル含有ポリマーと一官能性アミンもしくはヒドロキシルで終端された誘導体との、少なくとも140℃から200℃までの温度での酸触媒反応において、現在の最先端技術にしたがって実行される。これらの反応条件は、低沸点の第一級もしくは第二級アミンの反応を不可能にするか、あるいはまた第一級もしくは第二級アミン基に加えてさらにヒドロキシル基を有する化合物の場合に架橋を引き起こす、様々な制限をもたらす。
【0008】
第一に、カルボキシル基を含むポリマーのポリマー−類似反応において、1つ以上の第一級もしくは第二級アミン基を有する化合物、または第一級もしくは第二級アミン基に加えて更にヒドロキシル基を有する化合物の添加により、必然的にカルボキシル含有ポリマーの架橋がもたらされることが、当業者には既知である。しかしながら、こうした架橋は、少なくとも可塑化作用の低減につながるために望ましくない。極端な場合には、前記架橋は、反応融解物の著しい架橋のためにこれを反応容器から取り出すことを不可能にしうる。前記架橋は溶媒の使用によってさえも抑制不可能である。
【0009】
第二に、多くの第一級もしくは第二級アミンは非常に低い沸点を有し、これらが空気との所定の混合比において、且つ所定の開始温度において、爆発をもたらしうることから、危険等級において爆発危険性があると分類される。ポリマー−類似反応の中で今日までに知られている全ての反応は少なくとも140℃の高温で、且つ場合によっては更に減圧を利用して、あるいは反応混合物中もしくは表面に空気または窒素気流を導入または通すことによって行われる。これらの厳しい条件が、縮合反応中に生成する水を除去し、これにより全反応を可能にするために必要とされる。しかしながら、要求される高温が通常はアミンの開始温度を上回ることから、ポリマー−類似反応における低沸点の第一級もしくは第二級アミンの反応は、これらの条件により不可能になるか、またはより複雑且つ高価になる。さらにまた、減圧の利用により、既に低沸点である第一級もしくは第二級アミンの沸点がいっそう低下され、望ましからぬことにこれらを減圧によって当該反応から閉め出すことになる。同様に、該反応の水の除去のための気流の使用により、反応容器からのアミンの望ましからぬ放出がもたらされる。観察された結果は不完全反応、蒸留水の汚染増大、及び排気フィルター及び排出気体の汚染増大である。
【特許文献1】EP0889860
【特許文献2】EP0739320
【特許文献3】DE10015135
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点が解消され、且つ、低沸点の第一級もしくは第二級アミン、または第一級もしくは第二級のアミン基に加えてヒドロキシル基をさらに有する化合物が使用可能である方法を提供することである。
【0011】
驚くべきことに、このことが請求項1に記載の方法によって達成可能であることが判明している。この方法は、アミド基及びエステル基を有するポリマーが、典型的なポリマー−類似方法によれば、たとえ得られても不完全なまたは劣悪な品質で得られるのみであるところ、これを確実な方法で調製できるようにするものである。この方法は、低沸点の第一級もしくは第二級アミンまたは第一級もしくは第二級アミン基に加えてヒドロキシル基を更に有する化合物の反応を可能にし、また排気及び蒸留水に関して環境の見地から、さらにまた処理技術の見地からも非常に有利である。本発明の方法により調製される櫛形ポリマーは、水硬性組成物の可塑剤として、非常に好適である。さらにまた、驚くべきことに、本発明の方法によれば、側鎖の高密度を達成する可能性、さらにかくして調製された櫛形ポリマーを水硬性組成物に使用すると、硬化操作の遅延及び加工時間の延長をもたらす可能性が存在することが判明している。ポリマーの特性を制御するために、従来のポリマー−類似方法において、例えばエステル基の含量を増大させることによってイオン密度の低減を試みる場合、ある程度エステル化した後には、さらなる反応を複雑にするか、不可能にしさえする立体障害が存在する。熱応力が増大することにより、ポリエーテル開裂の危険性が増大し、よって当該ポリマーの望ましからぬ架橋がもたらされる。
【0012】
本発明は、この方法により調製されるポリマー、水硬性組成物中におけるその使用、及び水によって硬化する前及び後のこれら水硬性組成物を提供する。本発明の更に有利な実施態様は、従属請求項から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、まず、アミド基及びエステル基を有するポリマーPの調製方法に関し、ここで第一工程では(メタ)アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーP1とモノヒドロキシル化合物Eとを上限200℃の温度で反応させて、エステル基に加えて無水物基を形成させ、第二工程では、第一工程で形成させた無水物基とモノアミン化合物Aとを100℃よりも著しく低い温度で反応させる方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
「モノヒドロキシル化合物」は、これ以降、遊離のヒドロキシル基をただ1つ有する物質を意味すると解される。
【0015】
「モノアミン化合物」は、これ以降、気体としてもしくは水溶液としてのアンモニア、または第一級もしくは第二級のただ1つのアミノ基を有する物質を意味すると解される。
【0016】
「(メタ)アクリル酸」は、本文献全般において、アクリル酸とメタクリル酸との両方を意味すると解される。
【0017】
(メタ)アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーP1は、ここでは遊離酸として、完全もしくは部分的な塩として存在して良く、これ以降「塩」なる語は、塩基での中和により得られる従来の塩のみならず、金属イオンと配位子としてのカルボキシレートもしくはカルボキシル基とからなる錯体をも意味する。
【0018】
(メタ)アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーP1は、有利にはメタクリル酸及び/またはアクリル酸及び/またはメタクリル塩及び/またはアクリル塩のホモポリマーまたはコポリマーである。ホモポリマーまたはコポリマーP1は、好ましくは(メタ)アクリル酸の単独重合から、または(メタ)アクリル酸と、α,β-不飽和カルボン酸、α,β-不飽和カルボン酸エステル、α,β-不飽和カルボキシレート、スチレン、エチレン、プロピレン、ビニルアセテート、及びこれらの混合物を含む群から選択される1つ以上の別のモノマーとの共重合から調製される。前記の別のモノマーは、好ましくはメタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、並びにこれらの塩、エステル、及び混合物を含む群から選択される。
【0019】
好ましいコポリマーP1は、アクリル酸とメタクリル酸と、更にこれらの塩または部分塩とのコポリマーである。前記塩または部分塩は、ここではラジカル重合によって得られることが典型的である。
【0020】
好ましいホモポリマーP1は、ポリメタクリル酸またはポリアクリル酸、特にポリメタクリル酸、その塩または部分塩である。前記塩または部分塩は、ここではラジカル重合によって得られることが典型的である。
【0021】
P1は好ましくはホモポリマーである。
【0022】
(メタ)アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーP1は、従来の方法によるラジカル重合によって得られる。これは、溶媒中、好ましくは水中において、または大量に行うことができる。このラジカル重合は、好ましくは少なくとも1つの分子量調整剤、特に無機または有機の硫黄化合物、例えばメルカプタン、あるいは燐化合物の存在下で行われる。該重合は、有利にはホモポリマーまたはコポリマーP1が10乃至250、好ましくは20乃至100、更に好ましくは25乃至80のモノマー単位から形成されるような条件下で行われる。こうした(メタ)アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーP1は、購入可能である。
【0023】
モノヒドロキシル化合物Eは、好ましくはC6-C20アルキルアルコールであるか、または、下式(I)を有する。
【化1】

この式中、添字x、y、及びzはそれぞれ独立に0乃至250の値を有し、且つこれらの合計x+y+zは3乃至250である。更にまた、式(I)中においてEO=エチレンオキシ、PO=プロピレンオキシ、BuO=ブチレンオキシまたはイソブチレンオキシである。EO、PO、BuO単位の順序は、あらゆる可能な順序であって良い。最後に、置換基R1は、1乃至20の炭素原子を有するアルキル基または7乃至20の炭素原子を有するアルキルアリール基を意味する。
【0024】
式(I)のモノヒドロキシル化合物Eとしては、特にメチル、エチル、i-プロピル、もしくはn-ブチル基を置換基R1として有し、且つzが0であるものが好ましい。Eは好ましくはEO/POのコポリマー、より好ましくは一端で末端封止されたポリエチレングリコールを含む。
【0025】
E群の様々な複数の化合物の混合物も同様に使用可能である。例えば、一端で末端封止され、且つ様々な分子量を有するポリエチレングリコール類を混合することができ、あるいはまた、例えば一端で末端封止されたプロピレンオキシドとエチレンオキシドとのコポリマーで一端にて末端封止されたポリエチレングリコール類、あるいは一端で末端封止されたポリプロピレングリコール類の混合物を使用することができる。同様にさらに使用可能なものは、例えば、C6-C20アルキルアルコールと一端で末端封止されたポリエチレングリコールとの混合物である。
【0026】
好ましい実施態様においては、モノヒドロキシル化合物Eは、一端で末端封止され、且つ300乃至10000g/mol、とりわけ500乃至5000g/mol、好ましくは800乃至3000g/molの分子量Mwを有するポリアルキレングリコールである。
【0027】
第一の工程においては、ホモポリマーまたはコポリマーP1をモノヒドロキシル化合物Eと、200℃を上限とする温度で反応させる。この反応の温度は、好ましくは140℃乃至200℃である。しかしながら、該反応は150℃乃至175℃の温度でも可能である。こうした高温が、有効なエステル化のために必要とされる。
【0028】
好ましい実施態様においては、この第一工程は、エステル化触媒、特に酸の存在下で行われる。こうした酸は好ましくは硫酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸、または亜リン酸である。好ましいのは硫酸である。水は、常圧下で、あるいはまた減圧下で、該反応混合物から除去することができる。気流を該反応混合物中にまたはその表面に導入することもまた可能である。使用される気流は、空気または酸素であってよい。
【0029】
一実施態様において、第一工程では、モノアミン化合物A’がモノヒドロキシル化合物Eに加えて使用される。結果として、エステル基及び無水物基が形成されるのみならず、早くも第一工程においてアミド基もまた形成される。前記モノアミン化合物A’は、第一工程の反応温度よりも高い沸点及び引火点を有する。さらにまた、モノアミン化合物A’は如何なるヒドロキシル基も含んではならない。
【0030】
こうしたモノアミン化合物A’の典型的な例は、下式(II'):
【化2】

によって例示することができる。
【0031】
第一に、R2'及びR3'は、酸素、硫黄、あるいはまた窒素原子を任意に含む環を共に形成して良い。
【0032】
こうしたモノアミン化合物A’の例は、9H-カルバゾール、インドリン、又はイミダゾールである。
【0033】
第二に、R2'及びR3'は、それぞれ独立に8乃至20の炭素原子を有するアルキル基、5乃至9の炭素原子を有するシクロアルキル基、7乃至12の炭素原子を有するアラルキル基、下式(III')、(IV')、もしくは(V'):
【化3】

(ここでR4'はC1-C4アルキレン基である。R5'はC1-C4アルキル基である。XはS、O、またはNであり、X=SまたはOである場合はv=1、あるいはX=Nである場合にはv=2である。R6'はヘテロ原子を任意に有するアルキレン基であり、窒素原子と共に5乃至8員の環を、特に6員環を形成する。置換基R1及び添字x、y、zは、既にそれぞれが式(I)の化合物について定義されている)
の化合物、またはHである。
【0034】
こうしたモノアミン化合物A’の例は、ジオクチルアミン、ジステアリルアミン、ジ(獣脂)アミン、脂肪アミン、例えばステアリルアミン、ココナッツ脂肪アミン、オクタデシルアミン、獣脂アミン、オレイルアミン;3-ブトキシプロピルアミン、ビス(2-メトキシエチル)アミン;α-メトキシ-ω-アミノ-ポリオキシエチレン、α-メトキシ-ω-アミノ-ポリオキシプロピレン、α-メトキシ-ω-アミノ-オキシエチレン-オキシプロピレンコポリマーである。
【0035】
前記モノアミン化合物A'は、好ましくは第一級モノアミンである。特に好ましいモノアミン化合物A'は、式(II')(式中、R2'が式(V')のものであり、R3'はHである)の化合物であり、特に好ましいのは、α-メトキシ-ω-アミノ-オキシエチレン-オキシプロピレンコポリマーまたはα-メトキシ-ω-アミノ-ポリオキシエチレンである。最も好ましいのは、α-メトキシ-ω-アミノ-ポリオキシエチレンである。こうしたモノアミン化合物A’は、例えば、アルコールから出発するエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドの重合に次いで、末端アルコール基をアミン基に転換することにより得られる。
【0036】
ホモポリマーまたはコポリマーP1をモノヒドロキシル化合物Eと反応させるが、典型的にはモノヒドロキシル化合物EをホモポリマーまたはコポリマーP1に撹拌しつつ添加して、該混合物を反応温度に加熱する。前記混合物は、場合により減圧下にてまたは気流を該反応混合物中または表面に通して、上述の反応温度にてさらに撹拌して反応させる。モノアミン化合物A’を使用する場合には、これはモノヒドロキシル化合物Eと同時に、または第一反応工程中のより後の時点で、混合することができる。
【0037】
酸価の測定によってモニター可能な前記反応の後、反応生成物は更に処理するか又は貯蔵する。貯蔵は、加熱容器中または室温にて行うことができる。後者の場合には、反応生成物はさらに使用する前に再度加熱すること、例えば溶解するまで加熱することができる。
【0038】
この第一工程においては、ホモポリマーまたはコポリマーP1とモノヒドロキシル化合物Eとのエステルに加えて、また、適当な場合にはホモポリマーまたはコポリマーP1とモノアミン化合物A’とのアミドに加えて、無水物基もまた形成される。これらの無水物基の存在は、無水物基は1800cm-1まで及び1760cm-1までの領域に非常に強い二重結合を有することが知られているため、赤外スペクトルを用いる非常に単純な方法で証明することができる。
【0039】
第一工程においては、如何なるアミンA’も使用しないことが好ましい。
【0040】
第二工程においては、第一工程で形成され、エステル基及び任意のアミド基に加えて無水物基を有する生成物とモノアミン化合物Aとを、100℃よりも著しく低い温度で反応させる。この反応は、おそらく60℃未満で、特に40℃未満で行われる。該反応は、好ましくは10乃至60℃、より好ましくは15乃至40℃で行われる。この反応は穏やかな条件下で実現可能であり、減圧を必要としないため、低い沸点を有するモノアミン化合物A、あるいはアミノ基に加えてヒドロキシル基を更に含むモノアミン化合物Aを使用することもまた可能である。
【0041】
モノアミン化合物Aは、好ましくは式(II):
【化4】

を有する。
【0042】
第一に、R2及びR3は、酸素、硫黄、あるいはまた窒素原子を任意に含む環を共に形成して良い。
【0043】
こうしたモノアミン化合物Aの例は、特に、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、1,3-チアゾリジン、2,3-ジヒドロ-1,3-チアゾール、イミダゾールである。モルホリンが特に好適である。
【0044】
第二に、R2及びR3が、それぞれ独立に1乃至12の炭素原子を有するアルキル基、5乃至9の炭素原子を有するシクロアルキル基、7乃至12の炭素原子を有するアラルキル基、ヒドロキシアルキル基、下式(III)、(IV)、もしくは(V):
【化5A】

【化5B】

(式中、
R4はC1-C4アルキレン基である。R5はC1-C4アルキル基である。XはS、O、またはNであり、X=SまたはOである場合はv=1、あるいはX=Nである場合にはv=2である。R6はヘテロ原子を任意に有するアルキレン基であり、窒素原子と共に5乃至8員の環を、特に6員環を形成する。置換基R1及び添字x、y、zは、既にそれぞれが式(I)の化合物について定義されている)
の化合物、またはHである。
【0045】
好ましいヒドロキシアルキル基は、-CH2CH2-OHまたは-CH2CH(OH)CH3である。
【0046】
好適なモノアミン化合物Aは、例えば、アンモニア、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、及びシクロオクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン;2-フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、キシリルアミン;N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、3,3'-イミノビス(N,N-ジメチル-プロピルアミン)、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、N,N,N'-トリメチルエチレンジアミン、2-メトキシエチルアミン、3-メトキシプロピルアミン;エタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-アミノプロパノール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-イソプロピルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-ブチルエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール;1-(2-アミノエチル)ピペラジン、2-モルホリノエチルアミン、3-モルホリノプロピルアミンである。
【0047】
前記モノアミン化合物Aは、更に好ましくは、アンモニア、モルホリン、2-モルホリン-4-イルエチルアミン、2-モルホリン-4-イルプロピルアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2-フェニルエチルアミン、及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0048】
モノアミン化合物Aはまた、モノアミン化合物A’であってもよいが、これは好ましくはない。
【0049】
第二工程における反応には、溶媒を用いることが好ましい。好ましい溶媒は、例えばヘキサン、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、またはジオキサン、及びさらにアルコール類、特にエタノールまたはイソプロパノール、並びに水であり、水が最も好ましい溶媒である。
【0050】
好ましい実施態様においては、第二工程は、まず溶媒、好ましくは水にアミンを加え、次いでここに第一反応工程で得られる生成物を、ポリマー溶解物として、あるいは固形形態、例えば粉末として、またはフレークもしくは粒子の形態で、撹拌しつつ加えることによって行われる。このましくは、ポリマー溶解物として添加することが好ましい。更に好ましい実施態様においては、第二工程は、前記混合物もしくはアミンと溶媒、好ましくは水との溶液を、100℃未満に冷却したポリマー溶解物に添加することによって行われる。この第二反応工程は、ここで既に生成物が溶解物として存在している第一反応工程の直後に行っても、より後の時点で行っても良い。
【0051】
第二工程で溶媒が用いられる場合には、該溶媒は所望により、例えば減圧の適用及び/または加熱によって再度除去してもよく、あるいはまた、これを更にいっそう希釈しても良い。
【0052】
第二工程においては、アミド形成に加えて、アミン塩もまた生成しうる。このアミン塩生成を低減させ、且つアミド化の収率を増大させるために、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物をモノアミン化合物Aに加えることが好ましい。
【0053】
本発明の方法によれば、アミド基及びエステル基を有するポリマーPを得ることができるが、これは、典型的なポリマー−類似方法では、アミド基に必要とされるアミンがあまりに高度に揮発性であるかまたはあまりに低い引火点を有するため、あるいはアミン基に加えてヒドロキシル基をも有するために、得られるとしても品質に劣るものである。さらにまた、この方法は、ポリマー骨格中のカルボン酸基の含量、すなわちイオン密度の低減を、熱応力を増大させることなく、すなわち望ましからぬポリマーの架橋をもたらすことになるポリエーテル開裂の危険性を伴わずに、非常に単純な方法で可能にする。従来のポリマー−類似方法において、例えばエステル基を増大させることでイオン密度を低減させようとする場合、ある程度のエステル化の後には立体障害が発生し、これによりさらなる反応を複雑化するか、または不可能にしさえする。モノアミン化合物Aの量及びタイプにより、様々な特性の最終生成物が達成可能である。従って、中間体、すなわち第一工程の生成物から出発し、様々なモノアミンまたは様々な量のモノアミン化合物Aを使用することにより単純且つ費用効率の良い方法で、アミド基及びエステル基を有する幾つかの異なるポリマーPを調製することが可能なことが、本発明による方法のさらなる利点である。これは物流上並びに経済上の、非常な利点を有する。
【0054】
好ましい実施態様においては、アミド基及びエステル基を有するポリマーPは、本質的に下式(VI):
【化6】

[ここでMはカチオン、特にH+、Na+、Ca++/2、Mg++/2、NH4+、または有機アンモニウムである]
の構造を有する。当業者には、多価イオンの場合には、さらなるカウンターイオンが存在し、それ自体がポリマーPの同一分子または別の分子のカルボキシレートであってもよいことが明かである。有機アンモニウム化合物は、特にテトラアルキルアンモニウムまたはHR3N+(式中Rはアルキル基、特にC1-C6アルキル基、好ましくはエチルまたはブチルである)である。有機アンモニウムイオンは、特に市販の第三級アミンでカルボキシル基を中和することによって得られる。
【0055】
置換基R7は、それぞれ独立にHまたはメチルである。メチルが置換基R7として好ましい。
【0056】
置換基R2及びR3は、式(II)のモノアミン化合物Aについて既に記載した。置換基R2’及びR3’は、式(II’)のモノアミン化合物A’について既に記載した。置換基R1、EO、PO、BuO及び添字x、y、及びzは、式(I)のモノヒドロキシル化合物Eについて既に記載した。
【0057】
添字n、m、m’、及びpは、それぞれ整数であり、n+m+m’+pは10乃至250、好ましくは20乃至100、特に25乃至80であり、nは0より大、mは0より大、pは0より大、m’は0以上である。
【0058】
三つの単位a、b1、b2、及びcの順序は、この通りまたはランダムであってよいが、但し例外として、アミド形成の無水機構の結果、b2単位はaに隣接するか近傍になければならず、特に隣接していることが望ましい。
【0059】
a:b1:b2:cの比率は、(0.1-0.9):(0-0.06):(0.001-0.4):(0.099-0.899)であるが、a+b1+b2+cの合計が1となり、b2/aの比が0より大であり1以下であることを境界条件とする。
【0060】
好ましい実施態様では、ポリメタクリル酸は、一端においてメトキシ基で終端されたポリエチレングリコールでエステル化し、その後穏やかにモノ-もしくはジ-エタノールアミンと反応させる。
【0061】
アミド基及びエステル基を有するポリマーPは、様々な分野、特にコンクリート及びセメント技術における利用を見出す。特に、アミド基及びエステル基を有するポリマーPは、水硬性組成物、特にコンクリート及びモルタルのための可塑剤として使用可能である。この場合は、アミド基及びエステル基を有するポリマーPは、少なくとも一つの水硬性物質を含む乾燥混合物と混合可能である。前記水硬性物質は、原則としてはコンクリート分野における当業者に既知のいかなる物質であってもよい。特に、これらはセメント、例えばポルトランドセメントまたはアルミナ溶融セメント、及びこれらそれぞれとフライアッシュ、フュームドシリカ、スラグ、スラグ砂、及び石灰石フィラーとの混合物である。更なる水硬性物資は、石膏であり、硬石膏または半水石膏または焼成石灰の形態である。好ましい水硬性物質はセメントである。更に、砂、砂利、石、石英粉末、胡粉等の添加物、及び添加物として常用される成分、例えば別のコンクリート可塑剤、例えばリグノスルホネート、スルホン化ナフタレン-ホルムアルデヒド縮合物、スルホン化メラミン-ホルムアルデヒド縮合物、またはポリカルボキシレートエーテル、促進剤、凝結抑制剤、遅延剤、収縮低減剤、消泡剤、孔形成剤等が考えられる。
【0062】
アミド基及びエステル基を有するポリマーPが無水形態で存在する場合、アミド基及びエステル基を有する該ポリマーPはドライミックスとして既知であり、長期間に亘って貯蔵可能であり、典型的には袋に実装されるかまたはサイロにて貯蔵された後に使用される、水硬性組成物の構成成分であってよい。
【0063】
アミド基及びエステル基を有するポリマーPはまた、従来の水硬性組成物に、水の添加と共に、または水の添加の直前もしくは直後に、添加可能である。アミド基及びエステル基を有するポリマーPは、水溶液または分散物の形態で、特に混合用水としてもしくは混合用水の一部として添加されると特に好適であることが判明している。
【0064】
アミド基及びエステル基を有するポリマーPは、水硬性組成物、特にセメント性組成物のための可塑剤として有用である。すなわち、セメント及びコンクリート技術における従来の水/セメント(W/C)比で得られる混合物は、可塑剤を用いない組成物に比べて著しく高い流動性を有する。流動性は、典型的には拡散の程度から測定される。他方では、同一の流動性を有しながらも著しく少量の水を要するのみであって、硬化した水硬性組成物の機械特性が大幅に増大する混合物が達成可能である。アミド基及びエステル基を有するポリマーPもまた分散剤として使用可能である。
【実施例】
【0065】
(実施例1)
(第一工程:エステル化/アミド化及び無水物生成)
スターラー、温度計、真空連結管、及び蒸留装置を備えた反応容器に、まず5000g/molの平均分子量を有するポリメタクリル酸の40%水溶液960gを仕込む。撹拌しつつ、10gの50%硫酸と16gのエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー(EO/PO比が70:30であり、2000g/molの分子量Mwを有し、一端にメトキシ基を有し、他端には第一級アミノ基を有する)を加える。一端をメトキシ基で末端封止され、且つ1100g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコール1200gを溶解物として加え、反応混合物を撹拌しつつゆっくりと160℃に加熱する。この間、水を継続して除去する。反応混合物が160℃に達した時点から、該混合物をこの温度で30分間に亘って撹拌して引き続き水を除去する。その後16gの50%NaOHを加え、温度を165℃に上昇させる。減圧下(80mbar)にてエステル化を3時間に亘って行う。直接酸価はポリマー1g当たりCOOHが1.04mmolであると測定された。溶解ポリマーは、60℃のオーブンに移して貯蔵する。表示:BP1。
【0066】
ポリマーの幾らかは水に溶解し、比較例のポリマー溶液CP1-0と表示される40%溶液が調製される。
【0067】
(第二工程:穏やかなアミド化)
およそ20乃至25℃の、表1に記載した濃度を有する60gのアンモニア水溶液をまずビーカーに仕込み、およそ60℃の40gのポリマー溶解物BP1を撹拌しつつ添加する。混合物を撹拌し、溶解させ、2時間に亘りアミド化させる。
【0068】
【表1】

【0069】
(実施例2)
(第一工程:エステル化及び無水物形成)
スターラー、温度計、真空連結管、及び蒸留装置を備えた反応容器に、まず5000g/molの平均分子量を有するポリメタクリル酸の40%水溶液480gを仕込む。撹拌しつつ、5gの50%硫酸を添加する。一端をメトキシ基で末端封止され、且つ1100g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコール300gと、一端をメトキシ基で末端封止され、且つ3000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコール600gとを溶解物として加え、反応混合物を撹拌しつつゆっくりと170℃に加熱する。この間、水を継続して除去する。反応混合物が170℃に達した時点から、この温度で30分間に亘って撹拌する。その後、さらに減圧下(80-100mbar)にてエステル化を3.5時間に亘って行う。反応時間終了時点での直接酸価はポリマー1g当たりCOOHが0.67mmolであると測定された。溶解ポリマーは、60℃のオーブンに移して貯蔵する。表示:BP2。
【0070】
ポリマーの幾らかは水に溶解し、比較例のポリマー溶液CP2-0と表示される40%溶液が調製される。
【0071】
(第二工程:穏やかなアミド化)
(a)エタノールアミンとの反応
エタノールアミンを、およそ20℃の水50gと混合する。引き続き、ポリマー溶解物BP2の適当量を添加し、撹拌して溶解させる。溶液を室温で24時間に亘り撹拌し、固体含量40%に希釈する。
【0072】
【表2】

【0073】
b)ジシクロヘキシルアミンとの反応
ジシクロヘキシルアミンをおよそ40℃の水50gと混合する。引き続き、ポリマー溶解物BP2の適当量を添加し、撹拌して溶解させる。溶液を室温で24時間に亘り撹拌し、固体含量40%に希釈する。
【0074】
【表3】

【0075】
c)2-フェニルエチルアミンとの反応
2-フェニルエチルアミンをおよそ40℃の水50gと混合する。引き続きこの混合物を、80℃の温度であるポリマー溶解物BP2の適当量に、撹拌しつつ混入する。該混合物を5時間に亘って撹拌し、透明な溶液を得る。該溶液を、固体含量40%に希釈する。
【0076】
【表4】

【0077】
(実施例3)
(第一工程:エステル化/アミド化及び無水物生成)
スターラー、温度計、真空連結管、及び蒸留装置を備えた反応容器に、まず4000の平均分子量及び3.4のpHを有するポリメタクリル酸の50%水溶液383gを仕込む。撹拌しつつ、17gの50%硫酸を加える。一端をメトキシ基で末端封止され、且つ1000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコール600gを溶解物として加え、反応混合物を撹拌しつつゆっくりと170℃に加熱する。この間、水を継続して除去する。反応混合物が170℃に達した時点から、該混合物をこの温度にて30分間に亘って撹拌する。その後、減圧下(100-200mbar)、175℃にてエステル化を3時間に亘って行う。反応時間終了時点での直接酸価はポリマー1g当たりCOOHが1.9mmolであると測定された。溶解ポリマーは、60℃のオーブンに移して貯蔵する。表示:BP3。
【0078】
ポリマーの幾らかは水に溶解し、比較例のポリマー溶液CP3-0と表示される40%溶液が調製される。
【0079】
(第二工程:穏やかなアミド化)
表5に記載の量のエタノールアミンと、およそ20℃の水50gとを混合する。次いで、ポリマー溶解物BP3の適当量を添加し、撹拌して溶解させる。該溶液は、40℃にて2時間に亘り撹拌する。
【0080】
【表5】

【0081】
(エタノールアミンが第一反応工程において添加される比較例)
この反応は、37gのエタノールアミンを、一端が末端封止されたポリエチレングリコールの添加と同時に添加すること以外は実施例2の第一工程と同様に行う。加熱及び蒸留による水の除去の間に、該反応混合物は不均一及び粘性になり、該混合物は120℃にてゲル化する。反応が停止する。このポリマーの均一な溶液は調製不可能である。
【0082】
(比較例:塩形成)
ポリマー溶解物を、70gの水に溶解させて60℃にて2日間に亘って静置する。次いで、表5にしたがう特定のアミンの所定量を添加する。
【0083】
【表6】

【0084】
(水硬性組成物例)
本発明のポリマーの有効性を、モルタルにおいて試験した。
【0085】
【表7】

【0086】
砂、シラー、及びセメントを、Hobertミキサー中で1分間に亘ってから練りし、ポリマーを溶解させた混合水を添加し、混合を更に2.5分間に亘り継続した。この湿らせた混合物の総混合時間は3分間である。
【0087】
全ポリマー溶液には、モルタル試験の前に同量の消泡剤を加えた。
【0088】
(試験方法及び結果)
・ 直接酸価
およそ1gのポリマー溶解物を、およそ30mlの脱塩水に溶解させ、3滴のフェノールフタレイン溶液(エタノール中1%)と混合する。0.1NのNaOHを用いて、色が変化するまで滴定する。1gあたりのCOOHのmmol数で表される酸価は、V/(10×m)である。Vは、1mlあたりの0.1NのNaOHの消費量であり、mは1gあたりのポリマーの重量である。
【0089】
・ 流動テーブル拡散(flow table spread)
このモルタルの流動テーブル拡散は、EN 1015-3と測定された。
・ 気体含量
このモルタルの気体含量は、EN 196-1により測定された。
【0090】
・ 硬化の終点
硬化時間は、容量およそ1リットルの、モルタルを満たしたStyropor容器中での温度発生により決定した。硬化の終点は、温度曲線が最大値を有する時点として定義した。
・ 加圧耐性
硬化モルタル角柱の加圧耐性を、EN 196-1により測定した。
【0091】
(結果)
表8は、比較例に対する本発明のポリマーの利点を明示する。比較例のポリマーを含むモルタルの加工性が経時的に著しく悪化する(流動テーブル拡散が低下する)一方で、本発明のポリマーを含むモルタルの加工性は90分間を経て僅かに低下する。逆に、これは経時的に上昇する場合もある。これは、Δ0-90の値が低く、場合によっては負の値にさえなることから明かである。
【0092】
表9及び10は、同様に、本発明のポリマーを含むモルタルの、90分間に亘る加工性の優れた維持を示す一方、比較例のポリマーを含むモルタルは加工性をかなりの程度で喪失する。本発明のポリマーを含むモルタル角柱の24時間加圧耐性は、比較例のポリマーを含むモルタル角柱の場合と、比較例のポリマーの使用量が少ないにもかかわらず同様である。これは、本発明のポリマーがモルタルの硬化を遅延させる程度が、比較例のポリマーの場合よりも低いことを意味する。
【0093】
これらの実施例により、本発明のポリマーが、多くの応用において必要とされるモルタルまたはコンクリート混合物の長期的加工性を有し、こうしたポリマーにしばしば見られる24時間強度の減少という欠点を有しないことが明示される。
【0094】
さらにまた、これらモルタルの結果は、第二反応工程の反応においてアミド化が起こることを示す。本発明のポリマーの特性は、モルタル混合物の加工性の維持に関して、出発ポリマー及びそのアミン塩とは著しく相違する。
【0095】
【表8】

【0096】
【表9】

【0097】
【表10】

【0098】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミド基及びエステル基を有するポリマーPの調製方法であって、
第一工程において、(メタ)アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーP1とモノヒドロキシル化合物Eとを上限200℃の温度で反応させて、エステル基に加えて無水物基を形成させ、
第二工程において、第一工程で形成した無水物基とモノアミン化合物Aとを100℃よりも著しく低い温度で反応させて、アミドを得る
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
第一工程が、酸の存在下、特に硫酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸、または亜リン酸、好ましくは硫酸の存在下で実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
モノヒドロキシル化合物Eが、C6-C20アルキルアルコールであるかまたは、下式(I):
【化1】

[式中、
x、y、及びzはそれぞれ独立に0乃至250の値を有し、且つx+y+z=3乃至250であり;
EO=エチレンオキシ、PO=プロピレンオキシ、BuO=ブチレンオキシまたはイソブチレンオキシであり(EO、PO、BuO単位の順序は、あらゆる可能な順序であって良い);
R1=1乃至20の炭素原子を有するアルキル基または7乃至20の炭素原子を有するアルキルアリール基である]
を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
z=0及びR1=メチル、エチル、i-プロピル、もしくはn-ブチル基であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
モノヒドロキシル化合物Eが、一方の端部で末端封止されたポリアルキレングリコールであって、且つ300乃至10000g/mol、とりわけ500乃至5000g/mol、好ましくは800乃至3000g/molの分子量Mwを有することを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
(メタ)アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーP1が、(メタ)アクリル酸の単独重合によって、または(メタ)アクリル酸と、α,β-不飽和カルボン酸、α,β-不飽和カルボン酸エステル、α,β-不飽和カルボキシレート、スチレン、エチレン、プロピレン、ビニルアセテート、及びこれらの混合物を含む群から選択される1つ以上の別のモノマーとの共重合によって調製されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記の別のモノマーが、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、並びにこれらの塩、エステル、及び混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コポリマーP1が、アクリル酸とメタクリル酸とこれらの塩または部分塩とのコポリマーであるか、あるいは前記ホモポリマーP1がポリメタクリル酸またはポリアクリル酸、好ましくはポリメタクリル酸、その塩もしくは部分塩であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(メタ)アクリル酸のホモポリマーまたはコポリマーP1が、少なくとも1つの分子量調整剤、特に硫黄化合物または燐化合物の存在下でのラジカル重合によって調製されることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ホモポリマーまたはコポリマーP1が、10乃至250、好ましくは20乃至100、特に25乃至80のモノマー単位から形成されるホモポリマーまたはコポリマーであることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記モノアミン化合物Aが、下式(II):
【化2】

[式中、
R2及びR3が共に、酸素、硫黄、あるいはまた窒素原子を任意に含む環を成すか;あるいは、
R2及びR3が、それぞれ独立に1乃至12の炭素原子を有するアルキル基、5乃至9の炭素原子を有するシクロアルキル基、7乃至12の炭素原子を有するアラルキル基、ヒドロキシアルキル基、特に-CH2CH2-OHまたは-CH2CH(OH)CH3、下式(III)、(IV)、もしくは(V):
【化3】

(式中、
R4はアルキレン基であり、R5はC1-C4アルキル基であり、XはS、O、またはNであり、X=SまたはOである場合はv=1、あるいはX=Nである場合にはv=2であり;さらにR6はヘテロ原子を任意に有するアルキレン基であり;x、y、zはそれぞれ0乃至250の値を有し、x+y+z=3乃至250であり;
EO=エチレンオキシ、PO=プロピレンオキシ、BuO=ブチレンオキシまたはイソブチレンオキシであり(EO、PO、BuO単位の順序は、あらゆる可能な順序であって良い);
R1=1乃至20の炭素原子を有するアルキル基または7乃至20の炭素原子を有するアルキルアリール基である)
の化合物、またはHである]
のアミンであることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
化合物Aが、アンモニア、モルホリン、2-モルホリン-4-イルエチルアミン、2-モルホリン-4-イルプロピルアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2-フェニルエチルアミン、及びこれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
モノアミン化合物A’が、モノヒドロキシル化合物Eに加えて第一工程において使用されることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記モノアミン化合物A’が、下式(II'):
【化4】

[式中、
R2'及びR3'が共に、酸素、硫黄、あるいはまた窒素原子を任意に含む環を成すか;あるいは、
R2'及びR3'が、それぞれ独立に8乃至20の炭素原子を有するアルキル基、5乃至9の炭素原子を有するシクロアルキル基、7乃至12の炭素原子を有するアラルキル基、下式(III')、(IV')、もしくは(V'):
【化5】

(式中、
R4'はアルキレン基であり、R5'はC1-C4アルキル基であり、XはS、O、またはNであり、X=SまたはOである場合はv=1、あるいはX=Nである場合にはv=2であり;さらにR6'はヘテロ原子を任意に有するアルキレン基であり;x、y、zはそれぞれ0乃至250の値を有し、x+y+z=3乃至250であり;
EO=エチレンオキシ、PO=プロピレンオキシ、BuO=ブチレンオキシまたはイソブチレンオキシであり(EO、PO、BuO単位の順序は、あらゆる可能な順序であって良い);
R1=1乃至20の炭素原子を有するアルキル基または7乃至20の炭素原子を有するアルキルアリール基である)
の化合物、またはHである]
のアミンであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
式(V')の置換基R2'及び式(II')の化合物A'中の置換基R3'が、それぞれHであり、化合物A'が特にα-メトキシ-ω-アミノ-オキシエチレン-オキシプロピレンコポリマーまたはα-メトキシ-ω-アミノ-ポリオキシエチレン、好ましくはα-メトキシ-ω-アミノ-ポリオキシエチレンであることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第二工程が、溶媒中で、特にヘキサン、トルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、もしくはジオキサン、またはアルコール類あるいは水、好ましくは水中で行われることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第一工程の温度が140℃乃至200℃であり、前記第二工程の温度が10℃乃至60℃、好ましくは15℃乃至40℃であることを特徴とする、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
アミド基及びエステル基を有する前記ポリマーPが、下式(VI):
【化6】

[式中、
M=カチオンであり、特にH+、Na+、Ca++/2、Mg++/2、NH4+、または有機アンモニウムであり;
R7はそれぞれ独立にHまたはメチル、特にメチルであり;さらに、
R2及びR3は共に、酸素、硫黄、あるいはまた窒素原子を任意に含む環を成すか;あるいは、
R2及びR3が、それぞれ独立に1乃至12の炭素原子を有するアルキル基、5乃至9の炭素原子を有するシクロアルキル基、7乃至12の炭素原子を有するアラルキル基、ヒドロキシアルキル基、特に-CH2CH2-OHまたは-CH2CH(OH)CH3、下式(III)、(IV)、もしくは(V):
【化7】

(式中、
R2'及びR3'は共に、酸素、硫黄、あるいはまた窒素原子を任意に含む環を成すか;あるいは)
R2'及びR3'が、それぞれ独立に8乃至20の炭素原子を有するアルキル基、5乃至9の炭素原子を有するシクロアルキル基、7乃至12の炭素原子を有するアラルキル基、下式(III')、(IV')、もしくは(V'):
【化8】

の化合物またはHであり、
n+m+m’+p=10乃至250、好ましくは20乃至100であり、且つn>0、m>0、p>0、及びm’≧0であり、
R4及びR4'はそれぞれアルキレン基であり、
R5及びR5'はそれぞれC1-C4アルキル基であり、
R6及びR6'はそれぞれ、任意にヘテロ原子を有するアルキレン基であり、
XはS、O、またはNであり、
X=SまたはOである場合はv=1、あるいはX=Nである場合にはv=2であり;
x、y、zはそれぞれ0乃至250の値を有し、x+y+z=3乃至250であり;
EO=エチレンオキシ、PO=プロピレンオキシ、BuO=ブチレンオキシまたはイソブチレンオキシであり(EO、PO、BuO単位の順序は、あらゆる可能な順序であって良い);
R1=1乃至20の炭素原子を有するアルキル基または7乃至20の炭素原子を有するアルキルアリール基である)
の化合物、またはHである]
を有することを特徴とする、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法により調製されることを特徴とする、アミド基及びエステル基を有するポリマーP。
【請求項20】
請求項18に記載の方法で調製され、且つa:b1:b2:cの比が(0.1-0.9):(0-0.06):(0.001-0.4):(0.099-0.899)であり、a+b1+b2+cの合計が1となり、b2/aの比が0より大であり1以下であることを特徴とする、アミド基及びエステル基を有するポリマーP。
【請求項21】
請求項19または20に記載のアミド基及びエステル基を有するポリマーPの、水硬性組成物、特にコンクリート及びモルタルのための可塑剤としての使用。
【請求項22】
請求項19または20に記載のアミド基及びエステル基を有する少なくとも1つのポリマーPを含む、水硬性組成物。
【請求項23】
請求項19または20に記載のアミド基及びエステル基を有する少なくとも1つのポリマーPを含む、水硬化させた水硬性組成物。
【請求項24】
請求項19または20に記載のアミド基及びエステル基を有するポリマーPの、分散剤としての使用。

【公表番号】特表2007−529591(P2007−529591A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503357(P2007−503357)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/051275
【国際公開番号】WO2005/090416
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】