説明

アミド官能性ポリマー、組成物および方法

アミド官能性ポリマーおよび該ポリマーを含む組成物が開示されている。任意に硬化性であってもよい該組成物は表面を処理するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
熱応答性粘度調整剤を含む熱可逆性ゲル組成物は、温度が周囲温度または組成物の前処理温度より一般に高い環境における用途のために有用である。こうした組成物は、周囲温度で低粘度の組成物であることが可能であるが、より高い温度環境(例えば、口腔環境)内で粘度が実質的に増加するか、あるいは増粘された半固体またはゲル様組成物に増粘することが可能である。既知の熱可逆性組成物は、熱応答性粘度調整剤として例えばポリ(オキシアルキレン)を含む。
【0002】
熱応答性組成物中で熱応答性粘度調整剤として好ましくは有用でありうる非ポリ(オキシアルキレン)系ポリマーが必要とされている。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,545,676号明細書
【特許文献2】米国特許第4,071,424号明細書
【特許文献3】欧州特許公報第173,567号明細書
【特許文献4】米国特許第5,154,762号明細書
【特許文献5】米国特許第6,136,885号明細書
【特許文献6】米国特許第5,607,663号明細書
【特許文献7】米国特許第5,662,887号明細書
【特許文献8】米国特許第5,866,630号明細書
【特許文献9】米国特許第5,876,208号明細書
【特許文献10】米国特許第5,888,491号明細書
【特許文献11】米国特許第6,312,668号明細書
【特許文献12】米国特許出願第10/327,411号明細書
【特許文献13】米国特許出願第10/121,326号明細書
【特許文献14】米国特許出願第10/121,329号明細書
【特許文献15】米国特許出願第10/327,202号明細書
【特許文献16】米国特許第5,501,727号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、本発明は、エチレン系不飽和側基を含む非末端モノマー単位およびN−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位(例えば、重合、または共重合N−イソプロピルアクリルアミド)を含む反応性ポリマーを提供する。好ましくは、エチレン系不飽和側基は(メタ)アクリレート基を含む。
【0005】
もう一つの態様において、本発明は高分子主鎖に結合された少なくとも3個のエチレン系不飽和側基および式−C(O)NHCH(CHの複数個の側基を有する前記高分子主鎖を含む反応性ポリマーを提供する。好ましくは、エチレン系不飽和側基は(メタ)アクリレート基を含む。
【0006】
もう一つの態様において、本発明は反応性ポリマーを調製する方法を提供する。この方法は、N−イソプロピルアクリルアミドおよびヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートモノマーを含むモノマーを共重合して、ヒドロキシ官能性ポリマーを生成させる工程および
(メタ)アクリレート官能性イソシアネート、(メタ)アクリレート官能性エポキシド、ビニルアズラクトンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されたヒドロキシ反応性材料と前記ヒドロキシ官能性ポリマーを反応させる工程を含む。任意に、モノマーはアクリルアミドを更に含む。
【0007】
もう一つの態様において、本発明は反応性ポリマーを調製する方法を提供する。この方法は、N−イソプロピルアクリルアミドおよびビニルアズラクトンを含むモノマーを共重合して、アズラクトン官能性ポリマーを生成させる工程および前記アズラクトン官能性ポリマーをヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートと反応させる工程を含む。
【0008】
もう一つの態様において、本発明は口腔環境内で用いるために適する歯科用組成物を提供する。歯科用組成物はN−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位(例えば、重合、または共重合N−イソプロピルアクリルアミド)を含むポリマーおよび歯科用添加剤を含む。好ましくは、歯科用組成物は、分散液、サスペンジョン、エマルジョンまたは溶液の形態を取る。好ましくは、歯科用組成物は水性組成物である。好ましくは、歯科用組成物は熱応答性である。任意に、歯科用組成物は重合性成分を更に含む。
【0009】
もう一つの態様において、本発明は、エチレン系不飽和側基を含む非末端モノマー単位およびN−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位(例えば、重合、または共重合N−イソプロピルアクリルアミド)を含む反応性ポリマーおよび水を含む組成物を提供する。好ましくは、この組成物は熱応答性である。
【0010】
もう一つの態様において、本発明は口腔表面を処理する方法を提供する。この方法は、水とN−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位(例えば、重合、または共重合N−イソプロピルアクリルアミド)を含む熱応答性組成物を低粘性状態において前処理温度で口腔表面に被着させる工程および前記組成物を放置して処理温度に暖めるとともに熱応答を示させる工程を含む。任意に、前記組成物を被着させることはオリフィス、好ましくはシリンジのオリフィスを通して前記組成物を送出することを含む。任意に、前記組成物を被着させることは、前記組成物を塗装すること、前記組成物をブラシ掛けすること、前記組成物を注入すること、前記組成物を霧状に吹きかけること、前記組成物を噴霧すること、前記組成物を上に有する基材を被着させること、およびそれらの組み合わせを含む。
【0011】
もう一つの態様において、本発明は表面上で組成物を硬化させる方法を提供する。この方法は、水とエチレン系不飽和側基を含む非末端モノマー単位およびN−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位(例えば、重合、または共重合N−イソプロピルアクリルアミド)を含むポリマーを含む反応性熱応答性粘度調整剤とを含む熱応答性組成物を低粘性状態において前処理温度で前記表面に被着させる工程、前記組成物を放置して処理温度に暖めるとともに熱応答を示させる工程および前記反応性熱応答性粘度調整剤を反応するように誘導する工程を含む。
【0012】
もう一つの態様において、本発明は、N−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位(例えば、重合、または共重合N−イソプロピルアクリルアミド)を含むポリマー、前記ポリマーとは異なる重合性成分および水を含む熱応答性組成物を提供する。
【0013】
もう一つの態様において、本発明は表面上の硬化された組成物を調製する方法を提供する。この方法は、熱応答性組成物を低粘性状態において前処理温度で前記表面に被着させる工程、前記組成物を放置して処理温度に暖める工程および前記重合性成分を重合するように誘導する工程を含む。熱応答性組成物は、N−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位(例えば、重合、または共重合N−イソプロピルアクリルアミド)を含むポリマー、前記ポリマーとは異なる重合性成分および水を含む。
【0014】
本発明の幾つかの実施形態において、本発明の組成物および方法は硬化性組成物(例えば硬化性ゲル)を提供する。硬化性組成物は、非硬化性組成物(例えば熱可逆性組成物)に対する利点を提供することが可能である。硬化後の利点には、例えば、寸法安定性、熱安定性、改善された液体に対する安定性、改善された粘着性および導入された添加剤(例えば歯科用添加剤)の除放に関する可能性を挙げることが可能である。
【0015】
定義
本明細書で用いられる「熱応答性」は、温度の変化に応じた物理的特性の変化の発生を意味する。
【0016】
本明細書で用いられる「熱応答性粘度調整剤」は、温度の変化に応じて粘度を実質的に変える(例えば、別個の液−液相または液−固相への単一液相の相変化を含む)能力を組成物に与えるために組成物に導入してもよい材料を意味する。
【0017】
本明細書で用いられる「反応性」熱応答性粘度調整剤は、反応性基を含む熱応答性粘度調整剤である。
【0018】
本明細書で用いられる「反応性」基は、選択された条件(例えば、ラジカルの存在下でまたは縮合反応条件下で)もう1個の反応性基またはもう1種の成分(例えば、縮合反応サイトを有する架橋剤または化合物)と反応できる基である。例えば、反応性基を含むポリマーにおいて、反応性基はもう1個の反応性基および/またはもう1種の成分と反応して、二量化、オリゴマー化および/または重合反応を通して架橋を形成することが可能である。
【0019】
本明細書で用いられる「モノマー単位」は、エチレン系不飽和モノマーから誘導されるポリマー中の単位を意味する。例えば、ポリプロピレンは、エチレン系不飽和モノマープロピレンCH=CH(CH)から誘導される−CHCH(CH)−モノマー単位を含む。
【0020】
本明細書で用いられる「ポリマー」という用語は、ホモポリマー(例えば、単一モノマーから誘導されたポリマー)およびコポリマー(例えば、2種の異なるモノマーから誘導されたポリマー)を包含するように用いられる。
【0021】
本明細書で用いられる「側」は、ポリマー主鎖に結合される基に関連する。
【0022】
本明細書で用いられる「硬化性」は、「硬化」されることが可能である材料に関連する。本明細書で用いられる「硬化する」は、例えば、架橋、二量化、オリゴマー化および/または重合反応を含むプロセスを包含する積もりである。
【0023】
本明細書で用いられる「(メタ)アクリレート」は「アクリル」および/または「メタクリル」を集合的に意味するように意図された略称である。
【0024】
本明細書で用いられる「a」、「少なくとも1」および「1以上」は互換可能に用いられる。
【0025】
本明細書で用いられる時、終点による数値範囲の列挙は、当該範囲内に包含されるすべての数値を含む(例えば、1〜5は、例えば、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0026】
上述した発明の開示は、本発明の開示された各実施形態またはあらゆる実施を記載しようとしていない。以下の説明は、例示的な実施形態をより特に例証している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の一態様において、口腔環境内で用いるために適する歯科用組成物が提供される。歯科用組成物は、(以下で)詳細に記載するようなN−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位(例えば、重合、または共重合N−イソプロピルアクリルアミド)を含むポリマーおよび歯科用添加剤を含む。歯科用組成物は重合性成分を任意に含む。任意に、組成物は熱応答性である。好ましくは、組成物は、分散液、サスペンジョン、エマルジョンまたは溶液の形態を取る。好ましくは、組成物は水性組成物である。
【0028】
本発明のもう一つの態様において、反応性ポリマーが提供される。一実施形態において、反応性ポリマーはエチレン系不飽和側基およびN−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位(例えば、重合、または共重合N−イソプロピルアクリルアミド)を含む。もう一つの実施形態において、反応性ポリマーは、高分子主鎖に結合された少なくとも3個のエチレン系不飽和側基および式−C(O)NHCH(CHの複数個の側基を有する前記高分子主鎖を含む。好ましい実施形態において、水と組み合わせた反応性ポリマーは熱応答性組成物を形成する。好ましくは、熱応答性組成物は口腔環境内で用いるために適する歯科用組成物である。
【0029】
熱応答性組成物は、一般に、標的部位(例えば身体の表面)上に被着させる前に前処理温度で低粘度状態において提供されるが、典型的には、標的部位で非常に粘性(例えば濃くて制御可能)になるか、またはフィルムまたは被膜(例えば軟質または硬質)を形成する。一旦標的部位に適切に被着されると、組成物は任意に硬化して半永久組成物または永久組成物を提供する。これらの組成物は、ユーザーにより取り扱われた時、一般に容易に分配され、被着され、操作され、標的部位に被着されると一般に容易に制御される。組成物が前処理温度で初期に低粘度(例えば易流動性流体状態)を有するので、組成物は、例えば、意図した部位に組成物を送出するためにより低いシリンジ押出力しか一般に必要としない。更に、低粘度組成物は、比較的大きな表面積(例えば口腔)に微細ミストまたはエアーゾルを噴霧する能力を提供することが可能であり、典型的には、暖かい標的部位上でゲル化または相分離すると後で長期間保持を可能にする。これは、高粘度材料を送出できない一連のシステムからディスペンサまたは塗布器を選択する自由度をユーザーに与えることが可能である。さらに、低粘度組成物の製造は、より容易な加工およびより大きい均一性ならびにコンシステンシーを見込んでもよい。
【0030】
熱応答性組成物は、一般に生物組織中または生物組織上で用いるために適し、この場合、周囲(例えば室温)以下の前処理温度を有する組成物は口腔温度(例えば30〜39℃)または口腔温度付近にある手および/または軟組織に被着させる。
【0031】
生体内で熱応答性組成物を(例えば光で)任意に硬化させる能力は、強化された物理的特性および冷却しても単に水で希釈しても流体状態に戻らない利点を示す材料を提供することが可能である。更に、本発明の組成物が処理前に易流動性液体であることが可能であるので、配合、取り扱い、送り出しおよび粘性組成物の被着の多くの問題を克服することが可能である。
【0032】
本発明の好ましい実施形態において、未硬化組成物の前処理温度での初期粘度は、組成物が液状であるように十分に低いことが可能である。その後、処理温度(例えば口腔温度または口腔温度付近の温度)にさらされると、粘度が高まって組成物を増粘することが可能である。初期粘度が、組成物が液体であるような初期粘度である時、5倍、10倍または100倍以上でさえもの粘度増加を経験することが可能である。従って、例えば、液状の組成物は0〜7000ポイズの粘度を有しうる。温度の上昇に応えて、組成物の粘度は、少なくとも10,000ポイズに増加することが可能である。温度が下がると、未硬化組成物は、好ましくは、その粘度を戻すとともに液体の流動特性に戻る能力を有する。あるいは、前処理温度から処理温度に温度が上昇すると、熱応答性組成物は相に分離する場合があり、例えば沈殿物またはフィルムの形成をもたらす。
【0033】
前処理温度は、塗布または処理の前に組成物を供する温度である。前処理温度は、好ましくは少なくとも5℃、より好ましくは少なくとも20℃である。前処理温度は、好ましくは高くとも29℃、より好ましくは高くとも25℃である。但し、温度がこの範囲外である特定の実例がありうる。少なくとも20℃の前処理温度は、組成物を周囲温度または室温で容易に貯蔵することを可能にする。高くとも25℃の前処理温度は、組成物を周囲温度または室温で容易に貯蔵することを可能にする。但し、本発明の組成物は、5℃〜10℃のより低い冷蔵前処理温度で貯蔵して、改善された安定性および保存寿命を提供することも可能である。好ましくは、冷蔵された前処理温度は少なくとも5℃である。好ましくは、冷蔵された前処理温度は高くとも10℃である。処理温度は、組成物が塗布中にさらされる温度である。処理温度は、身体温度または身体温度付近であることが可能である。好ましくは、処理温度は少なくとも30℃である。好ましくは、処理温度は高くとも39℃である。
【0034】
本発明の組成物は反応性ポリマーを任意に含む。反応性ポリマーは、エチレン系不飽和側基を含む非末端モノマー単位およびN−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位(例えば、重合、または共重合N−イソプロピルアクリルアミド)を含む。本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして、好ましくは少なくとも1重量%の反応性ポリマー、より好ましくは少なくとも10重量%の反応性ポリマーを含む。本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして、好ましくは多くとも99重量%の反応性ポリマー、より好ましくは多くとも90重量%の反応性ポリマーを含む。
【0035】
幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして、好ましくは少なくとも30重量%の水、より好ましくは少なくとも40重量%の水を含む。幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、組成物の全重量を基準にして、好ましくは多くとも90重量%の水、より好ましくは多くとも80重量%の水を含む。水は、好ましくは、例えば、蒸留、濾過およびイオン交換法を含む方法によって精製される。水に加えて、本発明の組成物は溶媒を任意に含んでもよい。有用な溶媒には、例えば、ポリオール(例えば、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)およびグリセリン)が挙げられる。好ましくは、溶媒は水混和性溶媒である。
【0036】
本発明の組成物は、上述した成分を組み合わせることにより単一部分液体またはゲルとして調製してもよい。例えば、ポリマーおよび一切の追加の成分を所望の温度(例えば室温)で混合してもよい。あるいは、本発明の組成物は、組織に送り出す前に混合される多部分液体またはゲルとして調製してもよい。こうした多部分系は、例えば2成分レドックス化学に基づく開始剤系を含む組成物、および組成物中の他の材料と適合性でない添加剤を含む組成物を含む単一部分組成物に存在しえない保存安定性を提供することが可能である。
【0037】
ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)ポリマー
N−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位(例えば、重合、または共重合N−イソプロピルアクリルアミド)を含むポリマーは、当業者に知られている適するいかなる方法によっても調製することが可能である。こうした方法には、例えば実施例で開示された方法が挙げられる。簡単に言うと、N−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位を含むポリマーは、N−イソプロピルアクリルアミドを単独重合するか、または共重合することにより調製することが可能である。
【0038】
N−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位を含むポリマーは、モノマー単位の全モルを基準にして、N−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位好ましくは少なくとも1モル%、より好ましくは少なくとも50モル%、最も好ましくは少なくとも70モル%を含む。
【0039】
N−イソプロピルアクリルアミドと共重合するために適するモノマーは、有用なポリマーを提供するために当業者によって選択することが可能である。共重合において用いてもよい例証的なモノマーには、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、N−ビニルピロリドン、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクタデシルアクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、マクロマー(例えば、シリコーンマクロマー、フッ化炭化水素マクロマー、炭化水素マクロマー)、トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートテトラフルオロボレート、ジメチルヘキサデシルアンモニウムエチルメタクリレートブロミド、2−(メチル(ノナフルオロブチル)スルホニル)アミノ)エチルアクリレート、2−(メチル(ノナフルオロブチル)スルホニル)アミノ)エチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアズラクロン(例えば、4,4−ジメチル−2−ビニル−2−オキサゾリン−5−オン)、ポリエチレングリコールジメチルアクリレートおよびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0040】
反応性ポリマー
一実施形態において、本発明は、エチレン系不飽和側基を含む非末端モノマー単位およびN−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位(例えば、重合、または共重合N−イソプロピルアクリルアミド)を含む反応性ポリマーを提供する。もう一つの実施形態において、本発明は、高分子主鎖に結合された少なくとも3個のエチレン系不飽和側基および式−C(O)NHCH(CHの複数個の側基を有する前記高分子主鎖を含むポリマーを提供する。エチレン系不飽和基を含む反応性ポリマーは、例えば、ラジカルの存在下で反応して、二量化、オリゴマー化および/または重合反応を通して架橋を形成することが可能である。
【0041】
主鎖に結合されたエチレン系不飽和側基および/または式−C(O)NHCH(CHの複数個の側基を含む非末端モノマー単位は、例えば(メタ)アクリレートモノマーから誘導してもよい。
【0042】
一つの例証的な方法において、反応性ポリマーは、N−イソプロピルアクリルアミドおよびヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートモノマーを含むモノマーを共重合してヒドロキシ官能性コポリマーを生成させることにより調製することが可能である。こうしたモノマーを共重合する方法は当業者に周知されている。N−イソプロピルアクリルアミドを共重合するための例証的な条件は実施例で開示されている。
【0043】
ヒドロキシ官能性コポリマーは、例えば、(メタ)アクリレート官能性イソシアネート、(メタ)アクリレート官能性エポキシド、ビニルアズラクトンおよびそれらの組み合わせを含むヒドロキシ反応性材料と更に反応させて、(メタ)アクリレート官能性ポリマーを提供することが可能である。反応のために、ヒドロキシ官能性ポリマー中のヒドロキシ1当量当たり、好ましくは少なくとも0.01当量のヒドロキシ反応性材料、より好ましくは少なくとも0.1当量のヒドロキシ反応性材料、最も好ましくは少なくとも0.2当量のヒドロキシ反応性材料がヒドロキシ官能性ポリマーと混合される。反応のために、ヒドロキシ官能性ポリマー中のヒドロキシ1当量当たり、好ましくは多くとも2当量のヒドロキシ反応性材料、より好ましくは多くとも1当量のヒドロキシ反応性材料、最も好ましくは多くとも0.8当量のヒドロキシ反応性材料がヒドロキシ官能性ポリマーと混合される。
【0044】
好ましい(メタ)アクリレート官能性イソシアネートには、例えば、2−イソシアナトエチルメタクリレートが挙げられる。こうした化合物を反応させる方法は当業者に周知されている。(メタ)アクリレート官能性イソシアネートをヒドロキシ官能性ポリマーと反応させるための例証的な条件は実施例で開示している。
【0045】
好ましい(メタ)アクリレート官能性エポキシドには、例えばグリシジルメタクリレートが挙げられる。こうした化合物を反応させる方法は当業者に周知されている。
【0046】
好ましいビニルアズラクトンには、例えば、4,4−ジメチル−2−ビニル−2−オキサゾリン−5−オンが挙げられる。こうした化合物を反応させる方法は当業者に周知されている。ビニルアズラクトンをヒドロキシ官能性ポリマーと反応させるための例証的な条件は実施例で開示している。
【0047】
もう一つの例証的な方法において、反応性ポリマーは、N−イソプロピルアクリルアミドおよびビニルアズラクトンを含むモノマーを共重合してアズラクトン官能性コポリマーを生成させることにより調製することが可能である。こうしたモノマーを共重合する方法は当業者に周知されている。モノマーを共重合するための例証的な条件は実施例に記載されている。
【0048】
アズラクトン官能性ポリマーは、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートと更に反応して、(メタ)アクリレート官能性ポリマーを生成させることが可能である。反応のために、アズラクトン官能性ポリマー中のアズラクトン1当量当たり、好ましくは少なくとも0.01当量のヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート、より好ましくは少なくとも0.1当量のヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート、最も好ましくは少なくとも0.2当量のヒドロキシ官能性材(メタ)アクリレートがアズラクトン官能性ポリマーと混合される。反応のために、アズラクトン官能性ポリマー中のアズラクトン1当量当たり、好ましくは多くとも2当量のヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート、より好ましくは多くとも1当量のヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート、最も好ましくは多くとも0.8当量のヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートがアズラクトン官能性ポリマーと混合される。
【0049】
好ましいヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートには、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられる。こうした化合物を反応させる方法は当業者に周知されている。ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートをアズラクトン官能性ポリマーと反応させるための例証的な条件は実施例で開示している。
【0050】
反応性ポリマーは、モノマーの全モルを基準にしてN−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位好ましくは少なくとも1モル%、より好ましくは少なくとも50モル%、最も好ましくは少なくとも70モル%を含む。反応性ポリマーは、モノマーの全モルを基準にしてN−イソプロピルアクリルアミドから誘導されたモノマー単位好ましくは多くとも99モル%、より好ましくは多くとも95モル%、最も好ましくは多くとも90モル%を含む。
【0051】
反応性ポリマーは、モノマーの全モルを基準にしてエチレン系不飽和側基を含む非末端モノマー単位好ましくは少なくとも1モル%、より好ましくは少なくとも5モル%、最も好ましくは少なくとも10モル%を含む。反応性ポリマーは、モノマーの全モルを基準にしてエチレン系不飽和側基を含む非末端モノマー単位好ましくは多くとも90モル%、より好ましくは多くとも50モル%、最も好ましくは多くとも30モル%を含む。
【0052】
共重合において用いてもよい他のモノマーには、例えば実施例で開示されたモノマーが挙げられる。
【0053】
開始剤系
反応性ポリマーおよび/または重合性成分を含む本発明の組成物は、好ましくは、組成物を硬化させることを可能にする開始剤系(例えば1種以上の開始剤)または触媒も含む。例えば、ラジカル重合性成分を含む組成物において光重合を開始させるために可視および/または近赤外光開始剤系を用いてもよい。例えば、モノマーは、(特許文献1)(パラゾット(Palazzotto)ら)で開示されたように増感剤、電子供与体およびヨードニウム塩を含む3成分系または3元光開始剤系と組み合わせることが可能である。あるいは、組成物は、増感剤(例えば樟脳キノン)および電子供与体(例えば、(特許文献2)(ダート(Dart)ら)で開示された第二または第三アルキルアミン化合物)を含む二元開始剤系を含んでもよい。
【0054】
有用な光開始剤のもう一つのクラスは、(特許文献3)(イング(Ying))で開示されたアシルホスフィン酸化物を含む。こうしたアシルホスフィン酸化物は、一般式(R)P(=O)C(=O)−R(式中、各Rは、ハロ基、アルキル基またはアルコキシ基で置換されてもよいヒドロカルビル基(例えば、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアラルキル)であることが個々に可能であるか、または2個のR基は接合して燐原子と一緒に環を形成してもよく、Rは、ヒドロカルビル基、S−、O−またはN−含有5員または6員のヘテロ環式環、あるいは−Z−C(=O)−P(=O)−(R)基であり、ここで、Zは2〜6個の炭素原子を有する二価ヒドロカルビル基(例えば、アルキレンまたはフェニレン)を表す)の化合物である。
【0055】
本発明において有用な好ましいアシルホスフィン酸化物は、R基およびR基がフェニル、あるいはより低級のアルキル−またはより低級のアルコキシ−置換フェニルである化合物である。「より低級のアルキル」および「より低級のアルコキシ」とは、1〜4個の炭素原子を有するこうした基を意味する。最も好ましくは、アシルホスフィン酸化物は、「イルガキュア(IRGACURE)」819という商品名でチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba specialty Chemicals)(ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown,NY))から入手できるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィン酸化物である。
【0056】
多成分系においてラジカル重合を誘導するための酸化剤および還元剤を含むレドックス触媒の使用も硬化したゲルを生成させるために有用である。重合反応を開始する好ましい方式はレドックス触媒系として酸化剤および還元剤を使用する。任意にマイクロカプセル化された還元剤および/または酸化剤を含む種々のレドックス系は(特許文献4)(ミトラ(Mitra)ら)で開示されている。
【0057】
好ましくは、酸化剤は還元剤と反応するか、または還元剤と別な風に協働して、ラジカルを生成させる。ラジカルは、エチレン系不飽和部分の重合を開始させることが可能である。酸化剤および還元剤は好ましくは十分に可溶性であり、(特許文献5)(ルシン(Rusin)ら)で開示されたように適切なラジカル反応速度を可能にするのに十分な量で存在する。
【0058】
酸化剤の好ましいクラスには、過硫酸塩(例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸アルキルアンモニウム)が挙げられる。酸化剤のもう1種の好ましいクラスは過酸化物または過酸化物塩(例えば、過酸化水素、過酸化ベンゾイルおよび例えばクメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシドおよび2,5−ジヒドロペルオキシ−2,5−ジメチルヘキサンを含むヒドロペルオキシド)を含む。他の好ましい酸化剤には、コバルト(III)および鉄(III)の塩、過硼酸およびその塩、ならびに過マンガン酸アニオンの塩が挙げられる。上述した酸化剤のいずれの組み合わせも用いることが可能である。
【0059】
好ましい還元剤には、例えば、アミン(例えば芳香族アミン)、アスコルビン酸、金属錯体化アスコルビン酸、塩化コバルト(II)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、シュウ酸、チオウレア;、およびジチオナイト、チオスルフェート、ベンゼンスルフィナートまたはスルフィットアニオンの塩が挙げられる。
【0060】
本発明の組成物中に開始剤を含む場合、組成物は、組成物の全重量を基準にして好ましくは少なくとも0.01重量%の開始剤、より好ましくは少なくとも0.1重量%の開始剤を含む。本発明の組成物中に開始剤を含む場合、組成物は、組成物の全重量を基準にして好ましくは多くとも10重量%の開始剤、より好ましくは多くとも5重量%の開始剤を含む。
【0061】
二次重合性成分
本発明の組成物は、反応性ポリマーとは異なる重合性成分(例えば、二次重合性成分)を任意に含んでもよい。反応性ポリマーとは異なる重合性成分を含む場合、組成物は、組成物の全重量を基準にして、好ましくは少なくとも1重量%の重合性成分、より好ましくは少なくとも5重量%の重合性成分を含む。反応性ポリマーとは異なる重合性成分を含む場合、組成物は、組成物の全重量を基準にして、好ましくは多くとも90重量%の重合性成分、より好ましくは多くとも80重量%の重合性成分を含む。
【0062】
特定の実施形態において、組成物は光重合性である。すなわち、組成物は、化学線を照射すると組成物の重合(または硬化)を開始させる光開始剤(すなわち光開始剤系)および重合性成分を含む。こうした光重合性組成物は好ましくはラジカル重合性である。
【0063】
特定の実施形態において、組成物は化学重合性である。すなわち、組成物は、化学線の照射によらずに組成物を重合するか、キュアさせるか、または硬化させることができる化学開始剤系を含有する。こうした化学重合性組成物は時には「自己キュア」組成物と呼ばれ、こうした組成物には、例えば、ガラスイオノマーセメント(例えば、従来のガラスイオノマーセメントおよび樹脂変性ガラスイオノマーセメント)、レドックス硬化系、縮合反応を受けることができるシラン部分(例えば、(特許文献6)(ロッツィ(Rozzi)ら)、(特許文献7)(ロッツィ(Rozzi)ら)、(特許文献8)(ミトラ(Mitra)ら)、(特許文献9)(ミトラ(Mitra)ら)、(特許文献10)(ミトラ(Mitra)ら)および(特許文献11)(ミトラ(Mitra)ら)に記載されたようなもの)およびそれらの組み合わせを挙げることが可能である。
【0064】
エチレン系不飽和化合物
エチレン系不飽和化合物には、例えば、重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合性ポリマーおよびそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、重合性成分は、ラジカル重合性である。好ましいモノマー、オリゴマーおよびポリマーは、部分水混和性または完全水混和性であるものである。
【0065】
適する重合性モノマーおよびオリゴマーには、例えば、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(PEGDMA)、テトラヒドロフルフラルメタクリレート;、ならびに2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリシジルジメタクリレート(GDMA)およびグリシジルモノメタクリレート(GMMA)を含むヒドロキシル官能性モノマーが挙げられる。例えば、ビス(グリシジルメタクリレート)(ビス−GMA)、トリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(TEGDMA)およびウレタンジメタクリレートを含む疎水性モノマーおよびオリゴマーも用いてよい。
【0066】
適する重合性ポリマーには、例えば、官能化ポリ(アクリル酸)ポリマーを含む例えば部分または完全のアクリレート−またはメタクリレート官能化ポリマー、セルロース樹脂、ポリ(ビニルアルコール)ポリマー、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマーおよびポリ(エチレングリコール)ポリマーなどが挙げられる。
【0067】
化学重合性組成物
化学重合性組成物は、エチレン系不飽和カルボン酸のホモポリマーまたはコポリマー(例えば、ポリアクリル酸およびコポリ(アクリル酸,イタコン酸)など)、フルオロアルミノシリケート(「FAS」)ガラス、水および酒石酸などのキレート化剤を主原料として典型的に用いる従来のガラスイオノマーセメントなどのガラスイオノマーセメントを含んでもよい。従来のガラスイオノマー(すなわちガラスイオノマーセメント)は、典型的には、使用の直前に混合される粉末/液体配合物中で供給される。混合物は、ポリカルボン酸の酸性反復単位とガラスから浸出するカチオンとの間のイオン反応により暗所において自己硬化を受ける。ガラスイオノマーセメントは、樹脂変性ガラスイオノマー(「RMGI」)セメントも含んでよい。例証的な化学重合性組成物は、例えば、2002年12月20日出願の出願人の譲受人の同時係属出願(特許文献12)に記載されている。
【0068】
化学重合性組成物は、重合性成分(例えば、エチレン系不飽和重合性成分)およびレドックス剤を含むレドックスキュア系を含んでもよい。レドックス剤は酸化剤および還元剤を含んでもよい。本発明において有用である適する重合性成分、レドックス剤、任意の酸官能性成分および任意の充填剤は、両方とも2002年4月12日出願の出願人の譲受人の同時係属出願(特許文献13)および(特許文献14)に記載されている。あるいは、レドックス剤は、2002年12月20日出願の出願人の譲受人の同時係属出願(特許文献15)で開示されたように酵素を含有するラジカル開始剤系を含んでもよい。
【0069】
還元剤および酸化剤は、互いに反応するか、または互いに別な風に協働して、樹脂系(例えばエチレン系不飽和成分)の重合を開始させることができるラジカルを生成させるのがよい。キュアのこのタイプは暗反応である。すなわち、それは光の存在に依存せず、光の存在しない状態で進行することが可能である。還元剤および酸化剤は、好ましくは、典型的な歯科用条件下での貯蔵および使用を可能にするのに十分に保存安定性であり、望ましくない着色がない。還元剤および酸化剤は、重合性成分の他の成分への容易な溶解を可能にするとともに(重合性成分の他の成分からの分離を妨害する)のに十分に組成物と適合性(および好ましくは水混和性)であるのがよい。
【0070】
有用な還元剤には、(特許文献16)(ワング(Wang)ら)に記載されたようなアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体および金属錯体化アスコルビン酸化合物、4−t−ブチルジメチルアニリンなどのアミン、特に第三アミン、p−トルエンスルフィン酸塩およびベンゼンスルフィン酸塩などの芳香族スルフィン酸塩、1−エチル−2−チオウレア、テトラエチルチオウレア、テトラメチルチオウレア、1,1−ジブチルチオウレアおよび1,3−ジブチルチオウレアなどのチオウレアならびにそれらの混合物が挙げられる。他の二次還元剤には、塩化コバルト(II)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン(酸化剤の選択に応じて異なる)、ジチオナイトまたはスルフィットアニオンの塩およびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、還元剤はアミンである。
【0071】
適する酸化剤も当業者に熟知されており、こうした酸化剤には、過硫酸およびナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、セシウム塩およびアルキルアンモニウム塩などの過硫酸塩が挙げられるが、それらに限定されない。追加の酸化剤には、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、クミルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシドおよびアミルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド、ならびに塩化コバルト(III)および塩化第一鉄、硫酸セリウム(IV)などの遷移金属の塩、過硼酸およびその塩、過マンガン酸およびその塩、過燐酸およびその塩ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0072】
2種以上の酸化剤または2種以上の還元剤を用いることが望ましい場合がある。少量の遷移金属化合物もレドックスキュアの速度を促進するために添加してよい。幾つかの実施形態において、2002年4月12日出願の出願人の譲受人の同時係属出願(特許文献14)に記載されたように重合性組成物の安定性を強化するために二次イオン塩を含むことが好ましい場合がある。
【0073】
還元剤および酸化剤は適切なラジカル反応速度を可能にするのに十分な量で存在する。これは、あらゆる任意の充填剤を除く重合性組成物の原料のすべてを組み合わせ、硬化した素材を得るかどうかを観察することにより評価することが可能である。
【0074】
還元剤または酸化剤は、(特許文献4)(ミトラ(Mitra)ら)に記載されたようにマイクロカプセル化することが可能である。これは、重合性組成物の保存安定性を一般に強化し、必要ならば、還元剤と酸化剤を合わせて包装することを可能にする。例えば、封入剤の適切な選択を通して、酸化剤および還元剤を酸官能性成分および任意の充填剤と組み合わせることが可能であり、貯蔵安定状態で保つことが可能である。同様に、水混和性封入剤の適切な選択を通して、還元剤および酸化剤をFASガラスおよび水と組み合わせることが可能であり、貯蔵安定状態で維持することが可能である。
【0075】
レドックスキュア系は、他のキュア系と、例えばガラスイオノマーセメントと、および(特許文献4)(ミトラ(Mitra)ら)に記載されたような光重合性組成物と組み合わせることが可能である。
【0076】
レドックスキュア系を用いる硬化性組成物は、2部分粉末/液体系、ペースト/液体系およびペースト/ペースト系を含む様々な形態で供給することが可能である。その各々が粉末、液体、ゲルまたはペーストの形を取る多部分組み合わせ(すなわち2以上の部分の組み合わせ)を用いる他の形態も可能である。多部分系において、一つの部分は、典型的には還元剤を含有し、もう一つの部分は、典型的には酸化剤を含有する。従って、還元剤が系の一つの部分に存在する場合、酸化剤は、典型的には系のもう一つの部分に存在する。しかし、還元剤および酸化剤は、マイクロカプセル化技術の使用を通して系の同じ部分中で組み合わせることが可能である。
【0077】
添加剤
幾つかの実施形態において、本発明の組成物は、添加剤(例えば、身体中または身体上で用いるために適する医療用組成物のための医療用添加剤、口腔環境内で用いるために適する歯科用組成物のための歯科用添加剤)を含むか、または任意に含んでもよい。例証的な添加剤には、例えば、フッ化物源、白化剤、抗カリエス剤(例えばキシリトール)、再石灰化剤(例えば燐酸カルシウム化合物)、酵素、ブレスフレッシュナー、麻酔薬、凝固剤、酸中和剤、化学療法薬、免疫応答調節剤、薬物、指示薬、染料、顔料、湿潤剤、界面活性剤、緩衝剤、粘度調整剤、チキソトロープ、充填剤、ポリオール、抗菌剤、抗カビ薬、安定剤、口内乾燥を処理するための薬剤、減感剤およびそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、添加剤は、口腔環境内で用いるために適する歯科用添加剤である。
【0078】
有用な添加剤は必要に応じて特定の用途のために選択してもよい。例えば、歯科用白化組成物は一般に白化剤を含む。本発明において用いられる白化剤は、歯を白化する作用を有するいかなる材料であってもよい。有用な白化剤には、例えば、次亜塩素酸塩(例えば次亜塩素酸ナトリウム)、過酸化物、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、過酸(ペルオキシ酸としても知られている)、過酸化カルバミド(すなわち、ウレア過酸化水素、過酸化水素カルバミドまたはペルヒドロール−ウレアとしても知られている過酸化水素のウレア錯体CO(NH、)およびそれらの組み合わせが挙げられる。組成物中の白化剤の濃度は、その活性に応じて異なることが可能である。本発明の組成物は、特定の用途のために必要な添加剤の量を含むように必要に応じて調節することが可能である。
【0079】
本発明の組成物は非重合性ポリマーも含んでよい。好ましくは、非重合性ポリマーは水性環境に部分または完全混和性であり、こうしたポリマーには、例えば、ポリ(アクリル酸)ポリマー、セルロース樹脂、ポリ(ビニルアルコール)ポリマー、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマー、ポリ(エチレングリコール)ポリマーおよびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0080】
方法
本発明の方法は表面の処理を提供することである。一実施形態において、処理された表面は身体(例えば動物または人)の表面(例えば軟組織または硬組織)である。硬組織には、例えば、骨、歯および歯の成分部分(エナメル、象牙質およびセメント質)が挙げられる。軟組織には、例えば、粘膜(例えば、舌、歯肉および喉)が挙げられる。
【0081】
あるいは、処理された表面は、例えば、基材(例えば軟質フィルム)であってもよい。好ましくは、表面処理された基材は造形してもよいか、または変形させてもよい。より好ましくは、表面処理された基材は、身体(例えば、手、足、歯)の表面からの圧力によって造形してもよいか、または変形してもよい。基材の一表面のみを処理する場合、圧力を基材のいずれの側から加えてもよい。
【0082】
本発明の組成物は、必要ないかなる方法によっても必要な部位に送出することが可能である。例えば、組成物は、容器またはディスペンサから標的部位上に直接送出してもよい。適する容器またはディスペンサには、例えば、瓶、バイアル、シリンジおよびチューブが挙げられる。針先から正味液体としてまたはエアロゾルからの微細ミストとして組成物を送出する能力は用途における融通性を提供する。あるいは、組成物はブラシ、スポンジ、塗布機またはスワッブを用いることにより送出して、標的部位上に組成物を塗装するか、または被覆することが可能である。幾つかの用途において、組成物をより大きい面に被着させることが望ましい場合がある。特定の用途に関して、組成物は、スプレーまたはエアロゾルディスペンサを介して、あるいは全標的部位(例えば口腔)を液体で単にリンスすることにより送出してもよい。もう一つの代替送出方式は、トレーテープディスペンサの使用を含む。
【0083】
あるいは、組成物は基材に被着させることが可能であり、組成物を上に有する基材は所望の表面に被着させることが可能である。適する基材には、例えば、ポリマーフィルム、紙、織布シートおよび不織布シートが挙げられる。組成物は、所望の表面に被着させる前にブラシ、スパチュラ、医療/歯科器具または塗布機に被着させることも可能である。
【0084】
本発明の熱応答性組成物が2以上の部分を含む時、2以上の部分は、塗布プロセスの直前または塗布プロセス中に好ましくは混合される。適する混合装置には、例えば静的混合装置が挙げられる。
【0085】
組成物は、好ましくは、必要な作用を提供するのに十分に長く標的部位の表面上に留まることを可能にする。滞留時間は、用いられる特定の組成物、標的部位のタイプ(例えば組織)、意図する用途および手順を行うために利用できる時間に応じて異なる。多くの用途に関して、組成物は、長い時間にわたって標的部位上に残ることを可能にしてもよい。
【0086】
硬化の前に、本発明の熱可逆性組成物は、液体−半固体転移温度より下に材料を冷却し、増粘作用を逆にすることにより標的部位から容易に除去することが可能である。これは、冷たい水または他の生理的適合性液体により実行することが可能である。あるいは、組成物中の成分の濃度は、水または他の液体を添加することにより調節し希釈してもよい。成分の濃度を調節することにより、転移温度は対応して調節され、従って、温溶液でさえ組成物を除去する能力をユーザーに与える。水または他の液体は、リンスカップ、噴出ボトル、液体分配歯科用工具または液体を口腔環境に与えることが可能である他のあらゆる液体分配装置を通して投与してもよい。好ましくは、冷たい水または冷水の投与は粘度の大幅な低下をもたらす。あるいは、組成物をブラシ掛けするか、擦り付けるか、または吹き飛ばしてもよい。
【0087】
反応性ポリマーを含む本発明の組成物は、反応性ポリマーを反応するように誘導することにより硬化させてもよい。組成物が反応性ポリマーとは異なる任意の重合性成分を含む場合、組成物の硬化は重合性成分の重合も含んでよい。例えば、反応性ポリマーまたは重合性成分がエチレン系不飽和基を含む時、重合は、化学線の利用によって誘導してもよい。組成物には、好ましくは400〜1200ナノメートルの波長を有する放射線、より好ましくは可視光線を照射する。可視光線源には、例えば、日光、レーザ、金属蒸気(例えばナトリウムおよび水銀)ランプ、白熱電球、ハロゲンランプ、水銀アークランプ、蛍光灯、フラッシュライト、発光ダイオード、タングステンハロゲンランプおよびキセノンフラッシュランプが挙げられる。
【0088】
あるいは、反応性ポリマーまたは重合性成分がエチレン系不飽和基を含む時、組成物は、1つの部分が酸化剤を含み、もう一つの部分が還元剤を含む2つ以上の部分を含んでもよい。
【0089】
処理温度(例えば、口腔温度または口腔温度付近の温度)および硬化にさらされると、組成物の粘度は高まって組成物を増粘することが可能である。初期粘度が、組成物が液体であるような初期粘度である時、10倍、50倍または100倍以上でさえもの範囲の粘度増加を経験することが可能である。あるいは、処理温度(例えば、口腔温度または口腔温度付近の温度)および硬化にさらされると、熱応答性組成物は相に分離する場合があり、例えば沈殿物またはフィルムの形成をもたらす。典型的には、フィルムまたは沈殿物は不溶性である。
【0090】
一旦本発明の組成物を硬化させると、組成物は熱不可逆性にされ、水で温度を下げるか、または水で希釈することによっては一般に容易に除去されない。しかし、硬化された組成物は、例えば、ブラシ掛け、ふき取り、掻き取りおよび溶媒(例えばアルコール)の使用を含む機械的方法または化学的方法によって一般に除去することが可能である。
【0091】
本発明の幾つかの実施形態に関して、組成物の実質的な含水率は、例えば、脱水を受けやすい組織の実質的な水化を提供するゲルオンコンタクト水性材料を容易に送出するか、または被着させる能力を提供する。本発明の組成物は、例えば、外科手術および医療用途のための組織接着剤およびシーラント、歯周病の治療、カリエス減少ゲル、硬組織および軟組織のための口腔塗料(局所麻酔薬入り/局所麻酔薬なし)ならびに薬物の皮下および真皮下送出を含む用途のためにも有用である場合がある。
【0092】
本発明の目的および利点を以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例で挙げた特定の材料および材料の量、ならびに他の条件および詳細は、本発明を不当に限定すると解釈されるべきでない。特に指示がない限り、すべての部および百分率は重量に基づき、すべての水は脱イオン水であり、すべての分子量は重量平均分子量である。
【実施例】
【0093】
【表1】

【0094】
出発材料の調製
ポリマーA:ポリ(NIPAAM(76)/HEMA(16)/AAM(8))の調製
NIPAAM(10部)、HEMA(1.0部)、AAM(1.0部)、VAZO−67(0.22部)およびTHF(25部)を反応瓶内で組み合わせ、得られた混合物を窒素で2分間にわたりパージした。瓶を密封し、定温回転装置内で17時間にわたり60℃で維持した。得られた粘性ポリマー溶液を大過剰(反応混合物の約5倍体積)のシクロヘキサンに注ぎ込み、沈殿した固形物を濾過によって集め、30℃の真空炉内で乾燥させた。乾燥させた粉末固形物をポリマーAと呼び、重量比を括弧内に指示したNIPAAM(76)、HEMA(16)およびAAM(8)のポリマーとして特定した。
【0095】
ポリマーB〜E:NIPAAM誘導ポリマーの調製
ポリマーB〜EをポリマーAについて記載されたように調製した。それらを指示したモノマー単位および重量比と合わせて次の通り記載している。
ポリマーB:NIPAAM(93.3)/AAM(6.5)
ポリマーC:NIPAAM(76.9)/AAM(7.7)/VDMA(15.4)
ポリマーD:NIPAAM(83.3)/HEMA(16.7)
ポリマーE:NIPAAM(76.9)/VDMA(23.1)
【0096】
ポリマーFおよびG:NIPAAM誘導ポリマーの調製
3−メルカプトプロピオン酸(シグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich))を連鎖移動剤(0.62部)として用い、t−ブタノールを溶媒として用い、ポリマーをヘキサン中で沈殿させたことを除き、ポリマーAについて記載されたようにポリマーFおよびGを調製した。ポリマーFおよびGを指示したモノマー単位および重量比と合わせて次の通り記載している。
ポリマーF:HOCCHCHCHS−(NIPAAM(71.5)/HEMA(28.5))
ポリマーG:HOCCHCHCHS−(NIPAAM(76.9)/HEMA(15.5)/AAM(7.6))
【0097】
出発材料1(SM−1):トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートテトラフルオロボレート(TMA−BF)の合成
メカニカルスターラー、滴下漏斗および凝縮器が装着された三口フラスコに80部のナトリウムトラフルオロボレート(マサチューセッツ州ワードヒルのアルファ・イーサー・インオーガニックス(Alpha Aesar Inorganics(Ward Hill,MA)))および130部のDI水を投入した。混合物を15分にわたり攪拌し、透明溶液を得た。滴下漏斗から、202.4部のジメチルアミノエチルメタクリレート−塩化メチル(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド、イリノイ州クリスタルレークのCPSカンパニー・チバ(CPS Company,Ciba(Crystal Lake,IL)))および80部のDI水の溶液をゆっくり添加した。固体製品は直ちに沈殿し始めた。添加が完了した後、混合物を30分にわたり攪拌し、固形物を濾過により単離し、30部のDI水で洗浄し、真空下で40℃で乾燥させた。固体製品のNMR分析によると、純粋なトリメチルアンモニウムエチルメタクリレートテトラフルオロボレートである構造が明らかにされた。
【0098】
出発材料2(SM−2):ジメチルヘキサデシルアンモニウムエチルメタクリレートブロミド(DMA−C16Br)の合成
500ml丸底フラスコに42.2部のDMAEMA、154.7部のアセトン、93.2部の1−ブロモヘキサデカン(シグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich))および0.34部のBHTを投入した。混合物を35℃で16時間にわたり攪拌し、その後、放置して室温に冷却した。得られた白色固体沈殿物を濾過により単離し、冷酢酸エチルで洗浄し、真空下で40℃で乾燥させた。固体製品のNMR分析によると、純粋なジメチルヘキサデシルアンモニウムエチルメタクリレートブロミドである構造が明らかにされた。
【0099】
実施例1
HEMAと合わせたポリマーC(NIPAAM/AAM/VDMA)の誘導
メカニカルスターラー、凝縮器、滴下漏斗および温度計が装着された三口反応フラスコにポリマーCの34.2%THF溶液76部、続いて、0.22部の1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデク−7−エン(シグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich))を投入した。THF(13部)中のHEMA(3.74部)の溶液を滴下漏斗からゆっくり添加し、得られた溶液を40℃で30分にわたり加熱した。得られたポリマー溶液を大過剰のシクロヘキサン(反応混合物の約5倍体積)に注ぎ込み、沈殿した固形物を濾過によって集め、30℃の真空炉内で乾燥させた。乾燥させた白色固形物を実施例1と呼び、構造(Me=CH):CH=C(Me)COCHCHOC(O)C(Me)NHC(O)−ポリマー主鎖のモノマー単位を提供するためにHEMAと合わせて誘導された複数のジメチルアズラクトンモノマー単位を有するNIPAA/AAM/VDMAのポリマーとして特定した。
【0100】
実施例2
IEMと合わせたポリマーD(NIPAAM/HEMA)の誘導
メカニカルスターラー、凝縮器、滴下漏斗および温度計が装着された三口反応フラスコにポリマーDの32.4%THF溶液76部、続いて、(0.25部)のジブチル錫ジラウレート(シグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich))および0.01部のBHTを投入した。THF(10部)中のIEM(4.77部)の溶液を滴下漏斗からゆっくり添加し、得られた溶液を40℃で30分にわたり加熱した。得られたポリマー溶液を室温に冷却し、大過剰のシクロヘキサン(反応混合物の約5倍体積)に注ぎ込み、沈殿した固形物を濾過によって集め、30℃の真空炉内で乾燥させた。乾燥させた白色固形物を実施例2と呼び、構造(Me=CH):CH=C(Me)COCHCHNHC(O)OCHCHOC(O)−ポリマー主鎖のモノマー単位を提供するためにIEMと合わせて誘導された複数のHEMAモノマー単位を有するNIPAAM/HEMAのポリマーとして特定した。
【0101】
実施例3
HEMAと合わせたポリマーE(NIPAAM/VDMA)の誘導
メカニカルスターラー、凝縮器、滴下漏斗および温度計が装着された三口反応フラスコにポリマーEの34.2%THF溶液76部、続いて、0.22部の1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデク−7−エンおよび0.01部のBHTを投入した。THF(5部)中のHEMA(5.61部)の溶液を滴下漏斗からゆっくり添加し、得られた溶液を40℃で30分にわたり加熱した。得られたポリマー溶液を室温に冷却し、大過剰のシクロヘキサン(反応混合物の約5倍体積)に注ぎ込み、沈殿した固形物を濾過によって集め、30℃の真空炉内で乾燥させた。乾燥させた白色固形物を実施例3と呼び、構造(Me=CH):CH=C(Me)COCHCHOC(O)C(Me)NHC(O)−ポリマー主鎖のモノマー単位を提供するためにHEMAと合わせて誘導された複数のジメチルアズラクトンモノマー単位を有するNIPAAM/VDMAのポリマーとして特定した。
【0102】
実施例4
VDMAと合わせたポリマーF[MPA−(NIPAAM(71.5/HEMA(28.5))]の誘導:(MPA=HOCCHCHCHS)
ポリマーF(2.5部)を反応容器内でTHF(5部)に溶解させて透明溶液を形成し、その溶液にDBU(0.04部)および次にVDMAを添加した。容器を密封し、1時間にわたり40℃で維持した。得られたポリマー溶液を大過剰のシクロヘキサン(反応混合物の約5倍体積)に注ぎ込み、沈殿した固形物を濾過によって集め、30℃の真空炉内で乾燥させた。乾燥させた固形物を実施例4と呼び、VDMAと合わせて誘導された複数のHEMAモノマー単位およびMPA部分を有するMPA−(NIPAAM/HEMA)のポリマーとして特定した。
【0103】
実施例5
ポリマーGの誘導
VDMAと合わせた[MPA−(NIPAAM(76.9)/HEMA(15.5)/AAM(7.6))]
ポリマーG(5部)を反応容器内でTHF(10部)に溶解させて透明溶液を形成し、その溶液にDBU(0.04部)および次にVDMA(0.44部)を添加した。得られた反応混合物を攪拌し、40℃で1時間にわたり加熱した。得られたポリマー溶液を大過剰のシクロヘキサン(反応混合物の約5倍体積)に注ぎ込み、沈殿した固形物を濾過によって集め、30℃の真空炉内で乾燥させた。乾燥させた固形物を実施例5と呼び、VDMAと合わせて誘導された複数のHEMAモノマー単位およびMPA部分を有するMPA−(NIPAAM/HEMA/AAM)のポリマーとして特定した。
【0104】
実施例6
実施例4および5の熱重合(架橋)
2個の別個のバイアル内で、実施例4および5のポリマー(各バイアル中の10部)を水(30部)およびV−50(0.01部)と組み合わせ、得られた混合物を窒素で1分にわたりパージした。バイアルを密封し、高温水浴内で10分にわたり加熱した。材料の固体塊は両方のバイアル中で分離した。固形物を濾過によって単離し、乾燥させ、両方の場合水に不溶性であることが判明した。
【0105】
実施例7
ポリマーの熱可逆性特性の評価
個々のバイアル内の実施例1〜3(それぞれ5部)を冷却(5℃)水(20部)と組み合わせ、透明溶液または均質分散液のいずれかを得るまで5℃で完全に混合した。得られた組成物をそれぞれサンプル7a、7bおよび7cと呼んだ。
【0106】
サンプル7a、7bおよび7cの2グラムのアリコートを2ドラムのガラスバイアルに移し、スクリューキャップで密封した。バイアルを反転すると組成物が容易に流れるか否かを観察することによりサンプルの流動性および均質性を5℃および22℃で目視により検査した。その後、バイアルを水浴内で1分にわたり37℃に加熱し、組成物の流動性および/または相分離を再び観察した。観察結果を表1で報告している。
【0107】
【表2】

【0108】
すべてのサンプルは5℃および22℃で流動可能な組成物であり、すべては、37℃に加熱すると、固体凝集ゲルまたは固体粒子の実質的な量の沈殿のいずれかをもたらした。各場合、組成物を5℃または22℃に冷やして戻すと、流体流動性溶液の再発生をもたらした。従って、これらの組成物は熱可逆性挙動を示すことが判明した。
【0109】
実施例8
実施例2の光重合(架橋)
2ドラムのバイアル中の5℃の水1.60部に分散させた実施例2(0.40部)にCPQ(0.01部)、EDMAB(0.01部)およびDPIHFP(0.01部)からなる三元開始剤系を添加し、得られた分散液を完全に混合した。この組成物をサンプル8aと呼び、上のサンプル7bのように、5℃および22℃で流体流動性白色分散液であり、37℃で30秒にわたり加熱した時に凝集固体ゲルであった。組成物をそれぞれ冷却すると液体分散液に、または加熱すると凝集固体ゲルに可逆的に転換することができた。
【0110】
バイアルに直接接触して光ガイドの先端を置き、光照射の持続期間全体にわたってバイアルを回転させることにより、ガラスバイアル内で37℃でゲル形態を取るサンプル8aにFX3000歯科用硬化光(ミネソタ州セントポールのスリーエムESPE(3M ESPE(St.Paul,MN)))を60秒にわたり照射した。その後、ゲル化したサンプルを5分にわたり5℃に冷却し、ゴム状固形物であることを観察した。サンプルはもう熱可逆性ではなく、実験は、不可逆性架橋ヒドロゲルを光重合によって得たことを実証した。
【0111】
22℃で流体の形を取る同じ実施例8aに同じ方式で照射した。照射後、サンプルは5℃および22℃で流体流動性分散液として留まった。
【0112】
実施例9
実施例2+PEGDMA400の重合(架橋)
2ドラムのバイアル中の水(1.44部)に分散させた実施例2(0.36部)にPEGDMA400(0.20部)ならびにCPQ(0.01部)、EDMAB(0.01部)およびDPIHFP(0.01部)からなる三元開始剤系を添加し、得られた分散液を完全に混合した。この組成物をサンプル9aと呼び、上のサンプル7bおよび8aのように、5℃および22℃でバイアルを反転すると容易に流れる白色分散液であった。しかし、37℃で60秒にわたり加熱した時、実質的な相分離が透明液体成分と白色凝集ゲルの形で観察された。相分離した組成物を後で5℃または22℃に冷却すると、流体流動性分散液の再発生をもたらし、従って、組成物は熱可逆性挙動を実証した。
【0113】
実施例8に記載された手順によってサンプル9aにガラスバイアル内で37℃で照射した。サンプル9aのもう一つのバイアルに22℃で同じように照射した。両方の温度で照射した後、組成物はゴム状固体に転移し、こうした固体は5℃と22℃の間で加冷却または熱された時に著しい外観変化を示さなかった。組成物はゴム状固体として留まり、熱可逆性挙動を示さなかった。
【0114】
実施例10
THF中でのポリ(AA(40)/ITA(20)/NIPAAM(20)/TMA−BF(20))の調製
AA(40部)、ITA(20部)、NIPAAM(20部)、TMA−BF(20部)、VAZO−67(1.0部)およびTHF(300部)を反応容器内で組み合わせ、得られた混合物を窒素で2分にわたりパージした。容器を密封し、定温回転装置内で18時間にわたり65℃で維持し、その時間中に、白色固体沈殿物が生成した。室温に冷却後、固形物が溶解するまで水(300部)を攪拌しつつ混合物に添加した。得られたポリマー溶液を実施例10と呼び、括弧内に指示した重量比によるAA(40)、ITA(20)、NIPAAM(20)およびTMA−BF(20)のポリマーとして特定した。ポリマー溶液を固形物18.4%であると決定した。
【0115】
実施例11〜17
THF中でのNIPAAM含有ポリマーの調製
実施例11〜17と呼ばれるポリマー溶液を実施例10について記載されたように調製し、モノマー単位、重量比および%固形物を示して次の通り記載している。
実施例11:AA(40)/ITA(20)/NIPAAM(20)/TMA−BF(18)/LA(2)、固形物21.7%
実施例12:AA(40)/ITA(20)/NIPAAM(20)/TMA−BF(18)/SiMac(2)、固形物19.2%
実施例13:AA(40)/ITA(20)/NIPAAM(20)/TMA−BF(18)/ODA(2)、固形物18.8%
実施例14:AA(40)/ITA(20)/NIPAAM(20)/TMA−BF(19)/SiMac(1)、固形物25.7%
実施例15:AA(40)/ITA(17)/NIPAAM(20)/TMA−BF(18)/ODA(2)/A−174(3)、固形物20.0%
実施例16:AA(40)/ITA(20)/MeFBSEA(1)/NIPAAM(20)/TMA−BF(19)、固形物15.3%
実施例17:AA(40)/ITA(20)/MeFBSEA(1)/NIPAAM(20)/TMA−BF(19)、固形物13.3%
:実施例15のポリマー溶液は1:1THF−エタノール溶媒中で製造され、水を重合後に添加しなかった。
【0116】
実施例18
水中でのポリ(AA(40)/ITA(20)/NIPAAM(20)/TMA−BF(18)/SiMac(2))の調製
AA(40部)、ITA(20部)、NIPAAM(20部)、TMA−BF(18部)、SiMac(2部)、V−50(1部)およびDI水(300部)を反応容器内で組み合わせ、得られた混合物を窒素で5分にわたりパージした。容器を密封し、定温回転装置内で30時間にわたり60℃で維持した。室温に冷却すると、粘性ポリマー溶液を得た。それを実施例9と呼び、括弧内に指示した重量比によるAA(40)、ITA(20)、NIPAAM(20)、TMA−BF(18)およびSiMac(2部)のポリマーとして特定した。ポリマー溶液を固形物20.0%であると決定した。
【0117】
実施例19〜21
水中でのNIPAAM含有ポリマーの調製
実施例19〜21と呼ばれるポリマー溶液を実施例18について記載されたように調製し、モノマー単位、重量比および%固形物を示して次の通り記載している。
実施例19:AA(40)/ITA(20)/NIPAAM(20)/TMA−BF(14)/DMA−C16Br(4)/SiMac(2)、固形物19.7%
実施例20:AA(10)/ITA(10)/NIPAAM(60)/TMA−BF(20)、固形物15.2%
実施例21:AA(20)/ITA(20)/NIPAAM(20)/NVP(20)/TMA−BF(20)、固形物17.0%
【0118】
実施例22〜24
IEMと合わせて誘導されたポリマー
AA(40部)、ITA(20部)、NIPAAM(20部)、TMA−BF(18部)、ODA(2部)、VAZO−65(1部)およびTHF(300部)を反応容器内で組み合わせ、得られた混合物を窒素で2分にわたりパージした。容器を密封し、定温回転装置内で18時間にわたり65℃で維持した。その時間中、白色の固体沈殿物が生じた。室温に冷却した後、DMF(30部)を混合物に添加して、固形物を溶解させ、得られた溶液にIEM(1.1部)、DBTDL(0.04部)およびBHT(0.001部)を添加した。40℃で1時間にわたり加熱した後、得られたポリマー溶液を大過剰の酢酸エチルに注ぎ込み、沈殿した固形物を濾過によって集めた。固形物を酢酸エチルで2回洗浄し、乾燥させ、DI水に溶解させて、固形物22.5%の溶液を作り、それを実施例22と呼び、構造(Me=CH):CH=C(Me)COCHCHNHC(O)−ポリマー主鎖のモノマー単位を提供するために括弧内に指示した重量比による、IEMと合わせて誘導された複数(約10モル%)のカルボキシ酸単位を有するAA(40)、ITA(20)、NIPAAM(20)、TMA−BF(18)およびODA(2)のポリマーとして特定した。
【0119】
実施例23および24を似たように調製し、以下に記載している。
実施例23:AA(40)/ITA(20)/NIPAAM(20)/MeFBSEMA(1)TMA−BF(19)/〜IEM、固形物2.8%
実施例24:AA(40)/ITA(20)/NIPAAM(20)/MeFBSEMA(5)TMA−BF(15)/〜IEM、固形物21.8%
【0120】
実施例25〜32
イソプロパノール中でのポリ(NIPAAM(55)/AA(20)/IBMA(20)/LA(5))の調製
NIPAAM(55部)、AA(20部)、IBMA(20部)、LA(5部)、VAZO−67(1.0部)およびイソプロパノール(200部)を反応容器内で組み合わせ、得られた混合物を窒素で2分にわたりパージした。容器を密封し、定温回転装置内で18時間にわたり65℃で維持した。その時間中、透明の粘性ポリマー溶液が生じた。VAZO−67の第2の投入量(0.20部)を反応容器に添加し、溶液を追加の8時間にわたり65℃で加熱した。室温に冷却した後、得られたポリマーを大過剰の酢酸エチルに注ぎ込み、沈殿した固形物ポリマーを濾過によって集めた。固形物を酢酸エチルで2回洗浄し、真空炉内で40℃で乾燥させた。乾燥させた固形物を実施例25と呼び、括弧内に指示した重量比によるNIPAAM(55部)、AA(20)、IBMA(20)およびLA(5)のポリマーとして特定した。
【0121】
実施例26〜32と呼ばれる乾燥させたポリマーを実施例25について記載されたように調製し、モノマー単位および重量比を示して次の通り記載している。
実施例26:NIPAAM(45)、AA(20)、ITA(10)、IBMA(20)、LA(5)
実施例27:NIPAAM(45)、AA(30)、IBMA(20)、SiMac(5)
実施例28:NIPAAM(35)、AA(30)、ITA(10)、IBMA(25)
実施例29:NIPAAM(55)、AA(20)、IBMA(20)、SiMac(5)
実施例30:NIPAAM(20)、AA(50)、IBMA(25)、SiMac(5)
実施例31:NIPAAM(60)、AA(20)、IBMA(20)
実施例32:NIPAAM(55)、AA(20)、IBMA(20)、LA(5)
【0122】
評価
実施例11〜14および29と呼ばれるポリマー溶液に0.014重量%の赤顔料(D&C Red30Talc Lake Sensientコード:K7094、ミズーリ州セントルイスのセンシエント・テクノロジーズ(Sensient Technologies(St.Lois,MO)))を添加して、表2に記載したサンプルA〜Dをもたらした。同様に、「シンプリ・ホワイト(SYMPLY WHITE)」(ニューヨーク州ニューヨークのコルゲート(Colgate(New York,NY)))という商品名で入手できる製品に赤顔料を添加して、対照サンプルA(CR−A)をもたらした。その後、これらのサンプルの歯上保持を次の手順を用いることにより評価した。
【0123】
抜き取った5本の牛の歯を水が充填された貯蔵容器から取り出し、紙タオルで短時間軽く叩いた。その後、サンプルA〜DおよびCR−Aを各歯上で個々にブラシ掛けし、1分後に、被覆された歯を37℃で維持された水浴に漬け、連続的に攪拌した。歯上の赤色の強度および連続性の変化について歯を1時間にわたり目視で監視した。赤色ポリマー被膜が歯上に残った時間を「保持時間」として報告した。1時間後、被覆した歯を水浴から取り出し、静かに探針で調べて歯被膜の一体性を測定した。結果を表2に示している。全体的には、色の強度および連続性の直接観察に基づいて、サンプルA〜Dはすべて1時間を上回って保持性フィルムを維持するように見えたのに対して、サンプルCR−Aは5分以内に赤の被膜色の実質的にすべてを失った。
【0124】
【表3】

【0125】
歯表面上のポリマー/白化剤の評価
実施例11〜14と呼ばれるポリマー溶液に18重量%の過酸化カルバミド(シグマ・アルドリッチ(Sigma−Aldrich))を添加して、表3に記載されたサンプルE〜Hをもたらした。その後、歯の白化について次の手順を用いてこれらのサンプルを評価した。
【0126】
抜き取った8本の牛の歯を水が充填された貯蔵容器から取り出し、「クラシック・コーク(Classic Coke)」およびコーヒーの溶液に38℃で24時間にわたり漬けることにより汚染させた。歯色度の初期決定は、「ビタ・シェード・ガイド(VITA Shade Guide)」(カリフォルニア州ブレアのビデント(Vident(Brea,CA)))と色度を比較することにより歯ごとに決定した。その後、サンプルE−Hをブラシで各歯の表面上に個々の塗装し、30秒にわたり乾燥させた。2本の歯を各ポリマー溶液サンプルで個々に被覆した。被覆された歯を37℃で維持された水浴に漬け、連続的に攪拌した。30〜45分後、被覆された歯を水浴から取り出し、似たようにサンプルで再び被覆した。歯が合計で10回被覆されるまで、この手順を繰り返した。その後、歯を水浴から取り出し、歯色度の最終決定は、「ビタ・シェード・ガイド(VITA Shade Guide)」と色度を比較することにより歯ごとに決定した。初期と最終の汚染値の間の差を計算し、より大きな差は増加した歯白化を示唆した。サンプル当たり2回の反復試験の平均としての結果を表3に示している。すべてのサンプルは、この試験法の条件下で評価した時、歯白化の増加を示した。
【0127】
【表4】

【0128】
本発明に対する種々の修正および変更は本発明の範囲および精神を逸脱せずに当業者に明らかになるであろう。本発明が本明細書に記載された例証的な実施形態および実施例によって不当に限定されない積もりであり、こうした実施例および実施形態が例のみとして提示されており、本発明の範囲が次の通り本明細書で記載された特許請求の範囲によってのみ限定される積もりであることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン系不飽和側基を含む非末端モノマー単位および共重合N−イソプロピルアクリルアミドを含む反応性ポリマー。
【請求項2】
前記エチレン系不飽和側基は(メタ)アクリレート基を含む、請求項1に記載の反応性ポリマー。
【請求項3】
モノマー単位の全重量を基準にして、エチレン系不飽和側基を含む非末端モノマー単位1重量%〜90重量%および
モノマー単位の全重量を基準にして、共重合N−イソプロピルアクリルアミド1重量%〜99重量%
を含む反応性ポリマー。
【請求項4】
モノマー単位の全重量を基準にして、エチレン系不飽和側基を含む非末端モノマー単位5重量%〜50重量%および
モノマー単位の全重量を基準にして、共重合N−イソプロピルアクリルアミド50重量%〜95重量%
を含む、請求項3に記載の反応性ポリマー。
【請求項5】
モノマー単位の全重量を基準にして、エチレン系不飽和側基を含む非末端モノマー単位10重量%〜30重量%および
モノマー単位の全重量を基準にして、共重合N−イソプロピルアクリルアミド70重量%〜90重量%
を含む、請求項4に記載の反応性ポリマー。
【請求項6】
高分子主鎖に結合された少なくとも3個のエチレン系不飽和側基および式−C(O)NHCH(CHの複数個の側基を有する前記高分子主鎖を含む反応性ポリマー。
【請求項7】
前記エチレン系不飽和側基は(メタ)アクリレート基を含む、請求項6に記載の反応性ポリマー。
【請求項8】
反応性ポリマーを調製する方法であって、
N−イソプロピルアクリルアミドおよびヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートモノマーを含むモノマーを共重合して、ヒドロキシ官能性ポリマーを生成させる工程および
(メタ)アクリレート官能性イソシアネート、(メタ)アクリレート官能性エポキシド、ビニルアズラクトンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されたヒドロキシ反応性材料と前記ヒドロキシ官能性ポリマーを反応させる工程
を含む方法。
【請求項9】
前記ヒドロキシ反応性材料は、2−イソシアナトエチルメタクリレート、4,4−ジメチル−2−ビニル−2−オキサゾリン−5−オンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記モノマーはアクリルアミドを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
反応性ポリマーを調製する方法であって、
N−イソプロピルアクリルアミドおよびビニルアズラクトンを含むモノマーを共重合して、アズラクトン官能性ポリマーを生成させる工程および
前記アズラクトン官能性ポリマーをヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートと反応させる工程
を含む方法。
【請求項12】
前記アズラクトンは4,4−ジメチル−2−ビニル−2−オキサゾリン−5−オンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートは2−ヒドロキシエチルメタクリレートである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記モノマーはアクリルアミドを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
重合N−イソプロピルアクリルアミドを含むポリマーおよび
歯科用添加剤
を含む口腔環境内で用いるために適する歯科用組成物。
【請求項16】
前記歯科用添加剤は、フッ化物源、白化剤、抗カリエス剤(例えばキシリトール)、再石灰化剤(例えば燐酸カルシウム化合物)、酵素、ブレスフレッシュナー、麻酔薬、凝固剤、酸中和剤、化学療法薬、免疫応答調節剤、薬物、指示薬、染料、顔料、湿潤剤、界面活性剤、緩衝剤、粘度調整剤、チキソトロープ、充填剤、ポリオール、抗菌剤、抗カビ薬、安定剤、口内乾燥を処理するための薬剤、減感剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の歯科用組成物。
【請求項17】
前記歯科用添加剤は、次亜塩素酸塩、過酸化物、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、過酸、過酸化カルバミドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される歯白化剤である、請求項15に記載の歯科用組成物。
【請求項18】
前記歯科用組成物は、分散液、サスペンジョン、エマルジョン、溶液およびそれらの組み合わせからなる群から選択された形態である、請求項15に記載の歯科用組成物。
【請求項19】
前記組成物は水性組成物である、請求項15に記載の歯科用組成物。
【請求項20】
前記組成物は熱応答性である、請求項19に記載の歯科用組成物。
【請求項21】
重合性成分を更に含む、請求項15に記載の歯科用組成物。
【請求項22】
前記重合性成分は、エチレン系不飽和化合物、ガラスイオノマーセメントおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項21に記載の歯科用組成物。
【請求項23】
前記重合性成分はラジカル重合性化合物である、請求項21に記載の歯科用組成物。
【請求項24】
エチレン系不飽和側基を含む非末端モノマー単位および共重合N−イソプロピルアクリルアミドを含む反応性ポリマーおよび

を含む組成物。
【請求項25】
前記組成物は熱応答性である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物は口腔環境内での使用に好適である、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
前記エチレン系不飽和側基は(メタ)アクリレート基を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
開始剤を更に含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
前記開始剤は光開始剤である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記開始剤はラジカル開始剤である、請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
酸化剤および還元剤を更に含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項32】
前記反応性ポリマーとは異なる重合性成分を更に含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項33】
歯科用組成物の全重量を基準にして、エチレン系不飽和側基を含む非末端モノマー単位および共重合N−イソプロピルアクリルアミドを含む反応性ポリマー1重量%〜99重量%および

を含む組成物。
【請求項34】
口腔表面を処理する方法であって、
水と重合N−イソプロピルアクリルアミドを含むポリマーとを含む熱応答性組成物を低粘性状態において前処理温度で口腔表面に被着させる工程および
前記組成物を放置して処理温度に暖めるとともに熱応答を示させる工程
を含む方法。
【請求項35】
熱応答は、ゲル化、相分離およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記組成物は歯科用添加剤を更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記歯科用添加剤は、フッ化物源、白化剤、抗カリエス剤(例えばキシリトール)、再石灰化剤(例えば燐酸カルシウム化合物)、酵素、ブレスフレッシュナー、麻酔薬、凝固剤、酸中和剤、化学療法薬、免疫応答調節剤、薬物、指示薬、染料、顔料、湿潤剤、界面活性剤、緩衝剤、粘度調整剤、チキソトロープ、充填剤、ポリオール、抗菌剤、抗カビ薬、安定剤、口内乾燥を処理するための薬剤、減感剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記歯科用添加剤は、次亜塩素酸塩、過酸化物、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、過酸、過酸化カルバミドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される歯白化剤である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物を被着させることはオリフィスを通して前記組成物を送出することを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記オリフィスはシリンジのオリフィスである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記組成物を被着させることは、前記組成物を塗装すること、前記組成物をブラシ掛けすること、前記組成物を注入すること、前記組成物を霧状に吹きかけること、前記組成物を噴霧すること、前記組成物を上に有する基材を被着させること、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記前処理温度は高くとも室温である、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記処理温度は身体温度である、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
表面上で組成物を硬化させる方法であって、
水とエチレン系不飽和側基を含む非末端モノマー単位および共重合N−イソプロピルアクリルアミドを含むポリマーを含む反応性熱応答性粘度調整剤とを含む熱応答性組成物を低粘性状態において前処理温度で前記表面に被着させる工程、
前記組成物を放置して処理温度に暖めるとともに熱応答を示させる工程および
前記反応性熱応答性粘度調整剤を反応するように誘導する工程
を含む方法。
【請求項45】
前記組成物は開始剤を更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記開始剤は光開始剤である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記開始剤はラジカル開始剤である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記組成物は酸化剤および還元剤を更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
反応を誘導することは前記組成物に照射することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
照射は、前記組成物に可視光線または紫外線を照射することを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
反応を誘導することは1種以上の追加の成分を導入することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記熱応答性組成物は2つ以上の部分を含み、前記組成物を被着させることは2つ以上の部分を組み合わせることを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
組み合わせることは静的混合装置を用いることを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記表面は身体の表面である、請求項44に記載の方法。
【請求項55】
前記身体の前記表面は口腔表面である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記口腔表面は、骨、歯、舌、歯肉、喉およびそれらの組み合わせから選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
重合N−イソプロピルアクリルアミドを含むポリマー、
前記ポリマーとは異なる重合性成分および

を含む熱応答性組成物。
【請求項58】
表面上の硬化された組成物を調製する方法であって、
重合N−イソプロピルアクリルアミドを含むポリマー、
前記ポリマーとは異なる重合性成分および

を含む熱応答性組成物を低粘性状態において前処理温度で前記表面に被着させる工程、
前記組成物を放置して処理温度に暖める工程および
前記重合性成分を重合するように誘導する工程
を含む方法。

【公表番号】特表2006−523726(P2006−523726A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−568031(P2004−568031)
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/040170
【国際公開番号】WO2004/069886
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】