説明

アミノオキシ基を含むオリゴ糖およびその複合体

本発明は、アミノオキシ基を含むオリゴ糖を合成するための方法を提供する。本発明は、さらに、アミノオキシ基を含むオリゴ糖、アミノオキシ基を含むオリゴ糖を糖タンパク質に結合させるための方法、およびオリゴ糖−タンパク複合体を提供する。また、オリゴ糖−タンパク複合体の投与による、哺乳類のリソソーム貯蔵障害の治療方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年1月18日に出願の米国仮出願第60/885,471号の利益を主張するものであり、その開示は、参照することによって本願明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、反応基を含むオリゴ糖から、アミノオキシ基を含むオリゴ糖を合成するための方法に関する。別の実施形態においては、本発明は、さらに、アミノオキシ基を含むオリゴ糖に関する。本発明はまた、アミノオキシ基を含むオリゴ糖を、糖タンパク質(例えば、リソソーム酵素等)を含むタンパク質に複合する方法、およびオリゴ糖−糖タンパク複合体を含む、オリゴ糖−タンパク複合体の組成物に関する。本発明の別の実施形態は、このようなオリゴ糖−リソソーム酵素複合体を使用する、リソソーム貯蔵障害の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リソソーム貯蔵障害(Lysosomal Storage Disorder:LSD)は、リソソーム加水分解酵素の活性欠損を伴う40以上の遺伝的疾患を含む、希少代謝性障害群である。LSDの顕著な特徴(hallmark feature)は、リソソーム代謝物の異常な蓄積であり、多数の膨張したリソソームの形成をもたらす。
【0004】
LSDは、患者に不足している活性型酵素を投与することによって治療することができ、プロセスは、酵素補充療法(enzyme replacement therapy:ERT)と称される。末端マンノース−6−リン酸(M6P)を含有する投与された補充酵素は、細胞表面付着のカチオン非依存性M6P受容体(CI−MPR)媒介のエンドサイトーシスを通じて標的細胞によって取り込まれ、リソソームへ導かれる。
【0005】
一般に、リン酸化が不十分な補充酵素は、M6P受容体によって細胞表面上に内在化されず、したがって、それらが機能するリソソームへ導くことができない。したがって、低程度のマンノースリン酸化は、補充酵素の治療有効性へ重大かつ有害な影響を与える可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
したがって、補充酵素のM6P含有量を増加させるための方法が開発されている。例えば、米国特許第7,001,994号は、M6Pを含むオリゴ糖と、糖タンパク質とを結合させるための方法を記載している。糖タンパク質のオリゴ糖は、最初に、カルボニル基の形成がもたらされるように、過ヨウ素酸塩またはガラクトースオキシダーゼによって酸化され、次いで、オリゴ糖−糖タンパク複合体を産生するように、カルボニル反応基(例えば、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノオキシ、チオセミカルバジド、セミカルバジド、またはアミン基等)によって還元末端において官能化されたオリゴ糖と化学的に複合する。
【0007】
リソソーム酵素の酸性αグルコシダーゼ(acid alpha−glucosidase:GAA)と、ビス−M6Pオリゴ糖との複合体を、上述の方法によって調製し、GAAの代謝欠損の結果として生じ、リソソームグリコーゲンの蓄積を特徴とする常染色体劣性の筋疾患であるポンペ病のマウスモデルにおいて、組み換え型のヒトGAAよりも骨格筋および心筋グリコーゲンを減少させるのにより効果的であることが見出された。
【0008】
アミノオキシ基は、結果として生じる複合体が比較的安定したオキシム連結を含むので、上述した複合反応に特に有用なカルボニル反応基である。したがって、アミノオキシ官能性オリゴ糖を調製するための方法が必要である。
【0009】
本発明は、アミノオキシ基を含むオリゴ糖の調製方法を提供する。これらの方法は、概して、例えば分岐および非分岐、並びにリン酸化および非リン酸化オリゴ糖等の、広範囲の保護および非保護オリゴ糖に適用することができる。ある実施形態においては、オリゴ糖は、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類、七糖類、またはそれ以上であってもよい。オリゴ糖は、ある実施形態においては、少なくとも1つのM6P残基を含んでもよい。一部の実施形態においては、オリゴ糖は、少なくとも1、2、3、4、5、6、または7末端のM6P残基を含んでもよい。
【0010】
本発明は、反応基を含むオリゴ糖からアミノオキシ基を含むオリゴ糖を調製する方法を提供する。該方法は、
(a)第1の反応基を含むオリゴ糖を提供するステップと、
(b)アミノオキシ基および第2の反応基を含むアミノオキシ化合物を提供するステップと、
(c)オリゴ糖の第1の反応基と、アミノオキシ化合物の第2の反応基とを反応させるステップと、を含み、それによって、アミノオキシ基を含むオリゴ糖を調製する。
【0011】
第1のおよび第2の反応基は、例えば、ヒドラジン、ヒドラジド、チオセミカルバジド、セミカルバジド、アミン、カルボキシル、活性エステル、ハロゲン化アシル、アシルアジド、ハロゲン化アルキル、無水物、イソチオシアナート、イソシアナート、およびハロゲン化スルホニル基から選択できる。
【0012】
一部の実施形態においては、アミノオキシ化合物は、化学式IIの化合物から選択され、
【化1】

化学式II
式中、Yは、第2の反応基であり、Zは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルから選択され、Pは、アミノ保護基(例えば、カルバメート保護基等)から選択される。例えば、一部の実施形態においては、Yは、カルボキシル、活性エステル、ハロゲン化アシル(例えば、酸フッ化物または塩化アシル等)、アシルアジド、ハロゲン化アルキル、無水物、イソチオシアナート、イソシアナート、またはハロゲン化スルホニル(例えば、塩化スルホニルまたは臭化スルホニル等)であってもよい。他の実施形態においては、Yは、例えば、ヒドラジン、ヒドラジド、チオセミカルバジド、セミカルバジド、またはアミン基であってもよい。
【0013】
ある実施形態においては、化学式IIのアミノオキシ化合物は、化学式IIIの化合物から選択され、
【化2】

化学式III
式中、Yは、第2の反応基であり、nは1〜10の範囲の整数から選択され、Pは、アミノ保護基から選択される。
【0014】
ある実施形態においては、アミノオキシ化合物は、アミノ保護基を含み、該方法は、アミノオキシ基を含むオリゴ糖を脱保護する、ステップ(d)をさらに含む。
【0015】
本発明は、さらに、(1)アミノオキシ基と、(2)マンノース−6−リン酸とを含むオリゴ糖を提供する。一部の実施形態においては、そのオリゴ糖は、上述した方法によって調製される。例えば、一部の実施形態においては、本発明は、化学式IVのアミノオキシ基を含むオリゴ糖を提供し、
【化3】

化学式IV
式中、mおよびpは、1〜10の範囲の整数から独立して選択される。
【0016】
別の実施形態においては、本発明は、化学式Vのオリゴ糖を提供する。
【化4】

化学式V
【0017】
別の実施形態においては、本発明は、オリゴ糖をタンパク質に結合させる方法を提供する。一実施形態においては、該方法は、
(a)アミノオキシ基を含むオリゴ糖を提供するステップと、
(b)少なくとも1つのカルボニル基を有するタンパク質を提供するステップと、
(c)オリゴ糖のアミノオキシ基と、タンパク質の少なくとも1つのカルボニル基とを反応させるステップと、
を含み、それによって、オリゴ糖をタンパク質に結合させる。
【0018】
他の実施形態においては、本発明は、さらに、(1)タンパク質と、(2)オリゴ糖と、(3)タンパク質およびオリゴ糖を連結するオキシム基とを含むオリゴ糖−タンパク複合体を提供する。例えば、一部の実施形態においては、本発明は、上述の方法によって調製されるオリゴ糖−タンパク複合体を提供する。ある実施形態においては、オリゴ糖−タンパク複合体は、オリゴ糖−糖タンパク複合体である。ある実施形態においては、オリゴ糖−糖タンパク複合体は、少なくとも1つのM6Pを含むオリゴ糖と、例えばリソソーム加水分解酵素等のリソソーム酵素との複合体である。一部の実施形態においては、本発明は、本発明のオリゴ糖−タンパク複合体を含む医薬組成物を提供する。
【0019】
本発明の別の実施形態は、例えば表1に開示されているようなリソソーム貯蔵障害の治療方法を提供する。一部の実施形態においては、本方法は、本発明のオリゴ糖−糖タンパク複合体を哺乳類に投与するステップを含み、オリゴ糖は、少なくとも1つのM6Pを含み、糖タンパク質は、リソソーム加水分解酵素である。本開示は、さらに、治療が必要な患者のリソソーム貯蔵障害を治療するための、およびリソソーム貯蔵障害を治療するための薬剤の製造における本発明の複合体の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の方法の例示的な一実施形態を示す反応スキームである。触媒3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−one(DHBt−OH)の存在下で、第1の反応基(ヒドラジド基)を有するオリゴ糖1と、アミノオキシ化合物2とを反応させ、オリゴ糖3を産生する。次いで、オリゴ糖3のtert−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)アミノ保護基を、50%トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン(TFA/DCM)によって除去し、オリゴ糖4を産生する。
【0021】
【図2】図1に表された合成スキームの中間体の一連のゲルクロマトグラフを示す図である。図2Aは、出発オリゴ糖1のDionexの分析クロマトグラフである。図2Bは、オリゴ糖3のDionexの分析クロマトグラフである。図2Cは、オリゴ糖4のDionexの分析クロマトグラフである。
【0022】
【図3】図3Aは、オリゴ糖1の質量スペクトルである(算出分子量=1250、ナトリウム塩の算出分子量=1338)。図3Bは、オリゴ糖4の質量スペクトルである(算出分子量=1323、ナトリウム塩の算出分子量=1411)。
【0023】
【図4】本発明の方法の例示的な一実施形態を示す反応スキームである。第1の反応基(カルボキシル基)を有するオリゴ糖5を、結合剤1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)および触媒N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の存在下で、アミノオキシ化合物6と反応させ、アミノオキシ含有オリゴ糖3を産生する。次いで、オリゴ糖3のBocアミノ保護基を、50%TFA/DCMによって除去し、オリゴ糖4を産生する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
I.アミノオキシ基を含むオリゴ糖の調製
A.反応基を含むオリゴ糖
本発明の方法は、広範囲の反応基を含むオリゴ糖に適用することができる。本願明細書で使用する場合、オリゴ糖は、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類、七糖類、またはそれ以上のオリゴ糖(例えば、2〜50、2〜10、8〜25、または8〜50等の糖単位を含むオリゴ糖)を指す。したがって、種々の実施形態では、オリゴ糖は、例えば、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類、七糖類、またはそれ以上のオリゴ糖であってもよい。オリゴ糖は、1本鎖、2本鎖、3本鎖、4本鎖、または5本鎖構造であってもよい。オリゴ糖は、0、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の分岐点を含んでもよい。
【0025】
オリゴ糖上の反応基は、第1の反応基とも称され、一部の実施形態においては、例えばヒドラジン基、ヒドラジド基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド、またはアミン基であってもよい。一部の実施形態においては、第1の反応基は、例えば、カルボキシル、エステル(例えば、活性エステル等)、ハロゲン化アシル(例えば、酸フッ化物または塩化アシル等)、アシルアジド、ハロゲン化アルキル、無水物、イソチオシアナート、イソシアナート、またはハロゲン化スルホニル(例えば、塩化スルホニルまたは臭化スルホニル等)基であってもよい。
【0026】
第1の反応基は、オリゴ糖の還元末端に連結されてもよく、またはオリゴ糖内のどこに位置してもよい。第1の反応基は、ある実施形態においては、1つもしくは複数のリンカーを通じてオリゴ糖に連結してもよい。リンカーは、本願明細書で使用する場合、例えば、任意に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アシルオキシ、アルコキシ、アリールオキシ、およびヘテロシクリロキシ基の組み合わせから選択できる。リンカーは、例えば窒素、硫黄、および酸素等の1つもしくは複数のヘテロ原子によって遮断または終端してもよい。例えば、リンカーは、一部の実施形態においては、1つもしくは複数のエーテル、エステル、またはアミド基を含んでもよい。
【0027】
リンカーのあらゆる化学基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アシルオキシ、アルコキシ、アリールオキシ、およびヘテロシクリロキシ等)は、特に明記しない限り、置換または非置換であってもよい。置換基は、例えば、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルバモイル、カルボアルコキシ、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、ホルミル、グアニジノ、ハロ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、イミノアミノ、ニトロ、オキソ、ホスホンアミノ、スルフィニル、スルホンアミノ、スルホネート、スルホニル、チオ、チオアシルアミノ、チオウレイド、およびウレイドから選択できる。置換基は、それ自体を置換しても、または非置換であってもよく、並びに、例えば窒素、硫黄、および酸素等の1つもしくは複数のヘテロ原子によって遮断または終端してもよい。
【0028】
ある実施形態においては、オリゴ糖は、少なくとも1つの保護基を含んでもよい。「保護基」という用語は、分子上の官能基(例えば、アミン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、セミカルバジド基、またはチオセミカルバジド基等)が、分子内のどこかに化学変化が生じている間に化学反応を受けないように使用できる、あらゆる置換基を指す。保護基は、適切な化学的条件の下で除去することができる。数多くの保護基が当業者に知られており、保護基の例、それらを添加するための方法、およびそれらを除去するための方法は、例えば、Greene et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd ed.,Jhon Wiley and Sons:New York,1999、およびKocienski,Protecting Groups,3rd ed.,Georg Thieme Verlag:Stuttgard,Germany,2005に見出すことができ、それらの開示は、参照することにより本願明細書に組み込まれる。ある実施形態においては、オリゴ糖は、ヒドロキシル保護基、カルボキシル保護基、およびアミノ保護基から選択される少なくとも1つの保護基を含んでもよい。他の実施形態においては、オリゴ糖は、「非保護」であってもよく、およびいかなる保護基も含まなくてもよい。
【0029】
オリゴ糖は、天然源から単離してもよく、または化学的または酵素的合成によって調製してもよい。天然源から単離したオリゴ糖は、均一なものであってもよく、または関連するオリゴ糖の不均一な混合物であってもよい。一部の実施形態においては、オリゴ糖は、天然源から単離したオリゴ糖の化学的または酵素的修飾によって調製してもよい(「半合成」)。一部の実施形態においては、オリゴ糖は、自然発生的なオリゴ糖の化学構造を有する合成オリゴ糖であってもよい。
【0030】
一部の実施形態においては、オリゴ糖は、特定の受容体によって認識される単糖類を含んでもよい。特定の受容体によって認識される単糖類は、例えば、ガラクトース、GalNac、マンノース、M6P、グルコース、GlcNAc、シアル酸、または硫酸化シアル酸残基から選択できる。オリゴ糖は、ある実施形態においては、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10のM6P残基等の、少なくとも1つのM6P残基を含んでもよい。
【0031】
特定の受容体によって認識される単糖類は、一部の実施形態においては、最後から2番目の単糖類または末端単糖類であってもよい。一部の実施形態においては、特定の受容体によって認識される単糖類は、末端ガラクトース、マンノース、M6P、グルコース、GlcNAc、またはシアル酸残基であってもよい。オリゴ糖は、一部の実施形態においては、少なくとも1、2、3、4、5、6、7末端のM6P残基を含む。
【0032】
ある実施形態においては、反応基を含むオリゴ糖は、化学式IaのM6P含有六糖類であってもよい。
【化5】

化学式Ia
【0033】
化学式Iaのオリゴ糖は、ブチリルヒドラジン−4−イル6−O−ホスホノ−α−D−マンノピラノシル−(1→2)−α−D−マンノピラノシル−(1→6)−α−D−マンノピラノシル−(1→6)−[6−O−ホスホノ−α−D−マンノピラノシル−(1→2)−α−D−マンノピラノシル−(1→3)]−β−D−マンノピラノシドとして表すことができる。
【0034】
ある実施形態においては、反応基を含むオリゴ糖は、化学式IbのM6P含有六糖類であってもよい。
【化6】

化学式Ib
【0035】
B.アミノオキシ化合物
本願明細書で使用する場合、アミノオキシ化合物は、アミノオキシ基および第2の反応基を含むあらゆる化合物であってもよく、第2の反応基は、共有結合を形成するように、オリゴ糖上の第1の反応基と反応できる。例えば、一部の実施形態においては、第2の反応基は、カルボキシル、エステル(例えば、活性エステル等)、ハロゲン化アシル(例えば、酸フッ化物または塩化アシル等)、アシルアジド、無水物、イソチオシアナート、イソシアナート、またはハロゲン化スルホニル(例えば、塩化スルホニルまたは臭化スルホニル等)基であってもよい。他の実施形態においては、第2の反応基は、例えば、ヒドラジン基、ヒドラジド基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド、またはアミン基であってもよい。
【0036】
ある実施形態においては、アミノオキシ化合物のアミノオキシ基の窒素は、アミノ保護基によって保護される。数多くのアミノ保護基が当業者に知られており、アミノ保護基の例、それらを添加するための方法、およびそれらを除去するための方法は、例えば、Greene et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd ed.,Jhon Wiley and Sons:New York,1999の494〜653ページ;Kocienski,Protecting Groups,3rd ed.,Georg Thieme Verlag:Stuttgard,Germany,2005の第8章;Bodanszky,Principle of Peptide Synthesis,Springer Verlag:New York,1993;Lloyd−Williams et al.,Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins,CRC Press:Boca Raton,FL,1997;およびStewart et al.,Solid Phase Peptide Synthesis,2nd ed.,Pierce Chemical Co.:Rockford,IL,1984に見出すことができ、それらの発明は、参照することにより本願明細書に組み込まれる。
【0037】
一部の実施形態においては、アミノオキシ化合物は、化学式IIの化合物から選択され、
【化7】

化学式II
式中、Yは、第2の反応基であり、Zは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルから選択され、Pは、アミノ保護基から選択される。
【0038】
本願明細書で使用する場合、アミノオキシ化合物(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アシルオキシ、アルコキシ、アリールオキシ、およびヘテロシクリロキシ等)上のあらゆる化学基は、特に明記しない限り、置換または非置換でき、また、1つもしくは複数の化学基によって遮断してもよい。置換基および遮断化学基は、例えば、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルケニル、アルコキシ、アルキル、アルキニル、アミド、アミノ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルバモイル、カルボアルコキシ、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、ホルミル、グアニジノ、ハロ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、イミノアミノ、ニトロ、オキソ、ホスホンアミノ、スルフィニル、スルホンアミノ、スルホネート、スルホニル、チオ、チオアシルアミノ、チオウレイド、およびウレイドから選択できる。置換基は、それ自体を置換しても、または非置換してもよく、また、例えば窒素、硫黄、および酸素等の1つもしくは複数のヘテロ原子によって遮断または終端してもよい。
【0039】
ある実施形態においては、Yは、例えば、
【化8】

から選択してもよく、式中、Xは、ハロゲン、アジド、アシルオキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、およびヘテロシクリロキシから選択される。
【0040】
ある実施形態においては、アミノオキシ化合物は、活性エステルである。本願明細書で使用する場合、活性エステルは、穏やかな条件下でアミド結合を形成するように反応するエステルである。一般に、活性エステルは、相対的に酸性のアルコールのエステルである。ある実施形態においては、化学式IIのアミノオキシ化合物は、化学式
【化9】

の活性エステルであり、Xは、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、およびヘテロシクリロキシから選択される。例えば、Xは、
【化10】

【化11】

から選択してもよい。
【0041】
他の実施形態においては、Yは、例えばヒドラジド、ヒドラジン、チオセミカルバジド、セミカルバジド、およびアミン基から選択される。
【0042】
一部の実施形態においては、Zは、例えば、カルボニル、エーテル、エステル、またはアミド基を含んでもよい。一部の実施形態においては、Zは、例えば、オリゴエチレングリコール等の1つもしくは複数のヘテロ原子によって遮断されたアルキルであってもよい。例えば、Zは、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、またはそれらより大きいオリゴエチレングリコールであってもよい。
【0043】
一部の実施形態においては、Zは、例えば、オキソによって置換され、オリゴペプチド等の、1つもしくは複数のヘテロ原子によって遮断されたアルキルであってもよい。例えば、オリゴペプチドは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の成分アミノ酸を含んでもよい。アミノ酸は、例えば、α−アミノ酸、β−アミノ酸、γ−アミノ酸、δ−アミノ酸、およびω−アミノ酸であってもよい。アミノ酸は、あらゆるキラル原子においてRまたはSキラリティを有してもよい。アミノ酸は、例えば、アラニン、β−アラニン、α−アミノアジピン酸、2−アミノブタン酸、4−アミノブタン酸、1−アミノシクロペンタンカルボン酸、6−アミノヘキサン酸、2−アミノヘプタン二酸、7−アミノヘプタン酸、2−アミノイソ酪酸、アミノメチルピロールカルボン酸、8−アミノ−3,6−ジオキサ−オクタン酸、アミノピペリジンカルボン酸、3−アミノ−プロピオン酸、アミノセリン、アミノテトラヒドロピラン−4−カルボン酸、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、アゼチジンカルボン酸、ベンゾチアゾリルアラニン、ブチルグリシン、カルニチン、4−クロロフェニルアラニン、シトルリン、シクロヘキシルアラニン、シクロヘキシルスタチン、システイン、2,4−ジアミノブタン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、ジヒドロキシフェニルアラニン、ジメチルチアゾリジンカルボン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ホモセリン、ヒドロキシプロリン、イソロイシン、イソニペコチン酸、ロイシン、リジン、メタノプロリン、メチオニン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、p−アミノ安息香酸、ペニシラミン、フェニルアラニン、フェニルグリシン、ピペリジニルアラニン、ピペリジニルグリシン、プロリン、ピロリジニルアラニン、サルコシン、セレノシステイン、セリン、スタチン、テトラヒドロピラングリシン、チエニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アロイソロイシン、アロスレオニン、2,6−ジアミノ−4−ヘキサン酸、2,6−ジアミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、ジカルボキシジン、ホモアルギニン、ホモシトルリン、ホモシステイン、ホモシスチン、ホモフェニルアラニン、ホモプロリン、および4−ヒドラジノ安息香酸から選択できる。
【0044】
Pは、当業者に知られているアミノ保護基から選択できる。一部の実施形態においては、Pは、例えば、(9−フルオレニルメチル)カルバメート(Fmoc)、(tert−ブチルオキシ)カルバメート(t−Boc)、(トリクロロエチル)カルバメート(Troc)、またはアリルカルバメート(Alloc)保護基等のカルバメート保護基であってもよい。他の実施形態においては、Pは、例えば、フタルイミドまたはトリフルオロアセトアミド保護基等のアミド保護基等の非カルバメート保護基であってもよい。
【0045】
一部の実施形態においては、化学式IIのアミノオキシ化合物は、化学式IIIの化合物から選択され、
【化12】

化学式III
式中、YおよびPは、上述したものであり、nは、1〜10の範囲の整数から選択される。
【0046】
ある実施形態においては、nは、1〜4、2〜6、2〜8、3〜6、および4〜10の範囲の整数から選択できる。例示的な実施形態においては、nは、1である。
【0047】
例示的な一実施形態においては、アミノオキシ化合物は、t−Boc−アミノオキシ酢酸テトラフルオロフェニルエステルであり、その構造を以下に示す。
【化13】

【0048】
他の例示的な実施形態においては、アミノオキシ化合物は、以下に示す構造を有する。
【化14】

【0049】
C.アミノオキシ基を含むオリゴ糖の調製方法
別の実施形態においては、本発明は、反応基を含むオリゴ糖から、アミノオキシ基を含むオリゴ糖を調製する方法を提供する。該方法は、
(a)第1の反応基を含むオリゴ糖を提供するステップと、
(b)第2の反応基を含むアミノオキシ化合物を提供するステップと、
(c)オリゴ糖の第1の反応基と、アミノオキシ化合物の第2の反応基とを反応させるステップと、
を含み、それによって、アミノオキシ基を含むオリゴ糖を調製する。
【0050】
第1の反応化合物を含むオリゴ糖は、例えば、上述のように、反応基を含むあらゆるオリゴ糖であってもよい。例示的な実施形態においては、第1の反応基を含むオリゴ糖は、化学式Iaのオリゴ糖または化学式Ibのオリゴ糖である。第2の反応基を含むアミノオキシ化合物は、上述のように、反応基を含むあらゆるアミノオキシ化合物であってもよい。
【0051】
「第1の反応基」および「第2の反応基」という用語は、本願明細書で使用する場合、いかなる特定の実験的な順序も示さない。すなわち、オリゴ糖の第1の反応基と、アミノオキシ化合物の第2の反応基とを反応させるステップ(c)は、あらゆる順序で反応物質を添加することによって達成してもよい。例えば、第1の反応基を含むオリゴ糖を、第2の反応基を含むアミノオキシ化合物に添加してもよく、またはその逆であってもよい。他の実施例においては、オリゴ糖およびアミノオキシ化合物の両方を、反応容器へ同時に添加してもよい。
【0052】
ステップ(c)は、当業者に知られているあらゆる好適な条件(例えば、溶媒および温度)の下で生じることがある。ある実施形態においては、例えば結合試薬および触媒等の1つもしくは複数の追加的な試薬が、ステップ(c)の間に存在してもよい。結合試薬は、本願明細書で使用する場合、第1の反応基と第2の反応基との間に共有結合を形成するように使用してもよい試薬である。
【0053】
一部の実施形態においては、例えば第1または第2の反応基がカルボキシル基である時等に、反応条件は、結合試薬を含んでもよい。結合試薬は、例えばBOP(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェイト)、PyBOP(登録商標)(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェイト)、およびPyBroP(登録商標)(ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェイト)等のホスホニウム結合試薬から、および例えばHBTU(2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェイト)、HATU(2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェイト)、TBTU(2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩)等のアミニウム(ウロニウム)結合試薬から選択できる。結合試薬はまた、例えば、DIC(1,3−ジイソプロピルカルボジイミド)、CDI(1,1´カルボニルジイミダゾール)、およびEDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド)等のカルボジイミド結合試薬から選択できる。例えば、一部の例示的な実施形態においては、結合試薬は、EDCである。ある実施形態においては、反応条件は、結合試薬および触媒の両方を含む。
【0054】
反応条件は、ある実施形態においては、触媒を含んでもよい。触媒は、例えばDHBt−OH(3−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−one)、HOBt(N−ヒドロキシベンゾトリアゾール)、DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)、NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド、HONB(N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−エンド−2,3−ジカルボキシイミド)、または例えばTBAI(テトラブチルアンモニウムヨージド)等のテトラブチルアンモニウム塩等の、当業者に知られているあらゆる好適な触媒から選択できる。一部の例示的な実施形態においては、反応条件は、触媒DHBt−OHまたは触媒NHSを含む。
【0055】
一部の実施形態においては、オリゴ糖の第1の反応基と、アミノオキシ化合物の第2の反応基とを反応させるステップ(c)は、アミド結合の形成をもたらす。アミド結合の形成に好適な条件は、当業者に知られており、例えば、Chan et al.,eds.,Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach,Oxford University Press:New York,2000;Bodanszky,Principles of Peptide Synthesis,Springer Verlag:New York,1993;Llioyd−Williams et al.,Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins,CRC Press:Boca Raton.FL,1997;およびNovabiochem(登録商標)(San Diego,CA)のカタログに記載されている。
【0056】
ある実施形態においては、アミノオキシ化合物は、アミノ保護基を含み、該方法は、アミノオキシ基を含むオリゴ糖を脱保護し、アミノ保護基を除去する、さらなるステップ(d)を含む。脱保護は、当業者に知られているあらゆる好適な条件下で生じ得、例えば、Greene et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd ed.,Jhon Wiley and Sons:New York,1999の494〜653ページ、およびKocienski,Protecting Groups,3rd ed.,Georg Thieme Verlag:Stuttgard,Germany,2005等に教示されており、それらの発明は、参照することにより本願明細書に組み込まれる。
【0057】
本発明の方法の例示的な一実施形態は、アミノオキシ基を含むM6P含有オリゴ糖の調製方法を提供する。該方法は、
(a)第1の反応基を含むオリゴ糖を提供するステップであって、該オリゴ糖は、
【化15】

であるステップと、
(b)第2の反応基を含むアミノオキシ化合物を提供するステップであって、該アミノオキシ化合物は、化学式IIIの化合物から選択され、
【化16】

化学式III
式中、nは、1〜10の範囲の整数から選択され、Pは、アミノ保護基から選択され、Yは、第2の反応基であるステップと、
(c)オリゴ糖の第1の反応基と、アミノオキシ化合物の第2の反応基とを反応させるステップと、
を含み、それによって、アミノオキシ基を含むオリゴ糖を調製する。
【0058】
ある実施形態においては、化学式III内のYは、
【化17】

であり、式中、Xは、ヒドロキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、およびヘテロシクリロキシから選択される。例えば、特定の例示的な実施形態においては、Xは、
【化18】

である。
【0059】
例示的な実施形態においては、アミノオキシ化合物は、
【化19】

である。ある実施形態においては、オリゴ糖の第1の反応基は、例えばEDC等の結合剤および/または例えばDHBt−OH等の触媒の存在下で、アミノオキシ化合物の第2の反応基と反応させてもよい。
【0060】
本発明の方法の他の例示的な実施形態は、
(a)第1の反応基を含むオリゴ糖を提供するステップであって、該オリゴ糖は、
【化20】

であるステップと、
(b)第2の反応基を含むアミノオキシ化合物を提供するステップであって、該アミノオキシ化合物は、化学式IIIの化合物から選択され、
【化21】

化学式III
式中、nは、1〜10の範囲の整数から選択され、Pは、アミノ保護基から選択され、Yは、第2の反応基であるステップと、
(c)オリゴ糖の第1の反応基と、アミノオキシ化合物の第2の反応基とを反応させるステップと、
を含み、それによって、アミノオキシ基を含むオリゴ糖を調製する。
【0061】
ある実施形態においては、化学式III内のYは、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノオキシ、チオセミカルバジド、セミカルバジド、またはアミン基である。ある実施形態においては、化学式III内のYは、
【化22】

である。
【0062】
例示的な実施形態においては、アミノオキシ化合物は、
【化23】

である。ある実施形態においては、オリゴ糖の第1の反応基は、例えばEDC等の結合剤および/または例えばNHS等の触媒の存在下で、アミノオキシ化合物の第2の反応基と反応させてもよい。
【0063】
II.アミノオキシ基を含むオリゴ糖
本発明はまた、アミノオキシ基を含むオリゴ糖も提供する。一部の実施形態においては、本発明は、上述した方法によって調製されるアミノオキシ基を含むオリゴ糖を提供する。アミノオキシ基を含むオリゴ糖は、例えば少なくとも1つのガラクトース、GalNac、マンノース、M6P、グルコース、GlcNAc、シアル酸、または硫酸化シアル酸残基を含む、例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の単糖類を含んでもよい。このようなオリゴ糖は、構造が1本鎖、2本鎖、3本鎖、4本鎖、または5本鎖であってもよく、また、0、1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の分岐点を含んでもよい。
【0064】
一部の実施形態においては、本発明は、(1)アミノオキシ基と、(2)マンノース−6−リン酸とを含むオリゴ糖を提供する。アミノオキシ基を含むオリゴ糖は、一部の実施形態においては、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、または10のM6P残基を含んでもよい。一部の実施形態においては、アミノオキシ基を含むオリゴ糖は、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の末端、または最後から2番目のM6P残基を含んでもよい。
【0065】
アミノオキシ基を含むオリゴ糖は、ある実施形態においては、化学式IVのオリゴ糖から選択され、
【化24】

化学式IV
式中、mおよびpは、1〜10の範囲の整数から独立して選択される。例えば、ある実施形態においては、mおよびpは、1〜4、2〜6、2〜8、3〜6、および4〜10の範囲の整数から独立して選択できる。例示的な実施形態においては、mは、3であり、pは、1である。
【0066】
他の実施形態においては、アミノオキシ基は、オリゴ糖の還元末端に直接連結される。例えば、一部の実施形態においては、アミノオキシ基を含むオリゴ糖は、化学式Vのオリゴ糖であってもよい。
【化25】

化学式V
【0067】
III.タンパク質と、アミノオキシ基を含むオリゴ糖との複合化
A.オリゴ糖
タンパク質と複合されるオリゴ糖は、上述のように、反応基を含むあらゆるオリゴ糖から、および上述のように、アミノオキシ基を含むあらゆるオリゴ糖から選択できる。例えば、一部の実施形態においては、複合されるオリゴ糖は、化学式Ia、化学式Ib、化学式IV、または化学式Vのオリゴ糖であってもよい。
【0068】
B.タンパク質
本願明細書に記載されている複合化方法は、大まかには、単離したタンパク質、および組み換え的または合成的に生成したタンパク質を含む、少なくとも1つのカルボニル基(カルボニル基は、ケトンまたはアルデヒドである)を有する、あらゆる純粋なタンパク質、部分的に精製したタンパク質、またはその断片に広く適用することができる。「純粋な」、「精製した」、および「単離した」という用語は、その自然環境から実質的に遊離した分子を指す。例えば、純粋なタンパク質は、細胞材料、および/または純粋なタンパク質が誘導される細胞または組織源からの別のタンパク質から実質的に遊離している。該用語は、例えば、純度が少なくとも70%〜80%、80%〜90%、90〜95%、または少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%(w/w)である調製を指す。
【0069】
他の実施形態においては、タンパク質は、活性検定によって測定した時に、例えば1〜3、2〜5、3〜6、4〜5、5〜6、または4〜6等の、1〜7の範囲のpHが最適活性である酵素であってもよい。例えば、該酵素は、pHが4〜6の範囲で至適pHを有することができる。
【0070】
一部の実施形態においては、タンパク質は、等電点(pI)が、例えば1〜3、2〜5、3〜8、4〜5、5〜6、4〜6、5〜8、6〜8、または7〜8等の、1〜8の範囲である酵素であってもよい。タンパク質のpIは、例えば、等電点電気泳動、ゲル電気泳動を使用して測定できる。
【0071】
一部の実施形態においては、カルボニル基を含むタンパク質は、例えばWang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100:56−61(2003)に記載されているように、拡張遺伝子コードを有する発現系の使用によって得られる。このような場合、カルボニル基は、翻訳される時に、アミノ酸側鎖上に位置してもよい。
【0072】
ある実施形態においては、少なくとも1つのカルボニル基を有するタンパク質は、少なくとも1つのオリゴ糖を有するタンパク質(すなわち、糖タンパク質)である。例えば、少なくとも1つのカルボニル基を有する糖タンパク質は、当業者に知られているあらゆる手段によって、その糖タンパク質の酸化によって得てもよい。一部の実施形態においては、例えば、少なくとも1つのカルボニル基を有する糖タンパク質は、過ヨウ素酸塩(例えば、過ヨウ素酸ナトリウム)またはガラクトースオキシダーゼによる、その糖タンパク質の酸化によって得られる。このような場合、カルボニル基は、タンパク質のグリコシル化部位に位置してもよい。
【0073】
ある実施形態においては、少なくとも1つのカルボニル基を有するタンパク質は、治療用糖タンパク質等の糖タンパク質である。治療用糖タンパク質は、マンノース−6−リン酸を含むオリゴ糖との複合化によって、リソソームを標的としてもよい。例えば、糖タンパク質は、ERT酵素を含むリソソーム酵素であってもよい。酵素は、表1に記載されているものを含む、リソソーム加水分解酵素であってもよい。ある実施形態においては、リソソーム加水分解酵素は、例えば、α−グルコシダーゼ、α−ガラクトシダーゼA、および酸性スフィンゴミエリナーゼから選択する。ある実施形態においては、リソソーム加水分解酵素は、GAAである。
表1:LSDおよび対応するリソソーム加水分解酵素の例
【表1】

【0074】
ある実施形態においては、糖タンパク質は、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の、N連結型またはO連結型グリコシル化アミノ酸残基を有する糖タンパク質であってもよい。他の実施形態においては、タンパク質は、そのうちの少なくとも1つがグリコシル化された、N連結型またはO連結型グリコシル化のための、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のコンセンサス部位を有してもよい。
【0075】
ある実施形態においては、タンパク質は、受容体のための配位子であってもよい。例えば、一部の実施形態においては、タンパク質は、例えばマンノースまたはマンノース−6−リン酸等の糖を認識する受容体に結合する糖タンパク質であってもよい。一部の実施形態においては、糖タンパク質は、例えばアシアロ糖タンパク質受容体、カチオン依存のマンノース−6−リン酸受容体、インスリン様成長因子II型/カチオン非依存のマンノース−6−リン酸受容体、またはマクロファージマンノース受容体に結合できる。
【0076】
ある実施形態においては、タンパク質は、マンノース−6−リン酸を含むオリゴ糖に複合した時に、対応する非複合糖タンパク質よりも、標的細胞によって(例えば、CI−MPR媒介エンドサイトーシスを経て)効率的に内在化される、糖タンパク質である。例えば、複合糖タンパク質は、例えば、所与の期間内で、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%(w/w)によって、非複合糖タンパク質よりも効率的に内在化できる。他の実施形態においては、所与の期間内で、非複合糖タンパク質と比較して、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または10倍(w/w)もの複合糖タンパク質を内在化できる。基準期間は、例えば10、30、45分、または1、2、3、5、6、12、24、48、または72時間、またはそれ以上であってもよい。
【0077】
C.オリゴ糖をタンパク質に結合させる方法
本発明は、例えば糖タンパク質等の、オリゴ糖をタンパク質に結合させる方法を提供する。一実施形態においては、該方法は、
(a)アミノオキシ基を含むオリゴ糖を提供するステップと、
(b)少なくとも1つのカルボニル基を有するタンパク質を提供するステップと、
(c)オリゴ糖のアミノオキシ基と、タンパク質の少なくとも1つのカルボニル基とを反応させるステップと、
を含み、それによって、オリゴ糖をタンパク質に結合させる。
【0078】
ある実施形態においては、該方法は、還元剤を結合リソソーム酵素に添加するステップをさらに含む。還元剤は、例えばナトリウムシアノボロハイドライドまたはナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(STAB)等の、当業者に知られているあらゆる還元剤であってもよい。
【0079】
IV.オリゴ糖−タンパク複合体
本発明は、さらに、(1)タンパク質と、(2)オリゴ糖と、(3)タンパク質およびオリゴ糖を連結するオキシム基とを含むオリゴ糖−タンパク複合体を提供する。一部の実施形態においては、本発明は、上述の方法によって調製されるオリゴ糖−タンパク複合体を提供する。複合体のオリゴ糖およびタンパク質成分は、例えば、本願明細書に記載されているあらゆるオリゴ糖およびタンパク質であってもよく、その複合体は、以下に示されるように、オキシム基を含む(以下に示されるオキシム基は、アミノオキシ基とアルデヒド基との反応によって形式的に誘導されたものであり、アミノオキシ基とケトン基との反応によって形式的に誘導されたオキシム基も本発明に包含される)。
【化26】

【0080】
ある実施形態においては、オリゴ糖−タンパク複合体は、オリゴ糖−糖タンパク複合体である。ある実施形態においては、オリゴ糖−タンパク複合体は、少なくとも1つのM6Pを含むオリゴ糖と、リソソーム加水分解酵素との複合体である。
【0081】
V.医薬組成物
本開示は、リソソーム貯蔵障害を治療するための薬剤の製造における本発明の複合体の使用を提供する。また、本発明のオリゴ糖−タンパク複合体を含む医薬組成物も提供する。一部の実施形態においては、本発明の医薬組成物は、少なくとも1つのM6Pを含むオリゴ糖と、リソソーム酵素との複合体を含む。
【0082】
本発明の医薬組成物は、1つもしくは複数の好適な医薬品賦形剤を含んでもよい。標準的な医薬品製剤技術および賦形剤は、当業者に知られているものである(例えば、2005 Physicians’ Desk Reference(登録商標),Thomson Healthcare:Montvale,NJ,2004;Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th ed.,Gennado et.al.,Eds. Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia,PA,2000を参照されたい)。該組成物は、防腐剤を含んでも、含まなくてもよい。一部の実施形態においては、α−ガラクトシダーゼA複合体を含む医薬組成物は、例えばマンニトール、リン酸ナトリウム一塩基性一水和物、および/またはリン酸ナトリウム二塩基性七水和物等の、1つもしくは複数の賦形剤を含んでもよい。一部の実施形態においては、α−グルコシダーゼの複合体を含む医薬組成物は、例えばマンニトール、ポリソルベート80、リン酸ナトリウム二塩基性七水和物、および/またはリン酸ナトリウム一塩基性一水和物等の、1つもしくは複数の賦形剤を含んでもよい。
【0083】
該医薬組成物は、単一活性化合物として、または他の化合物、組成物、または生物材料との組み合わせとして、本願明細書に記載されている複合体のうちのいずれかを含んでもよい。例えば、該医薬組成物はまた、LSDの治療、および/またはLSDに関連する副作用の治療に有用な、1つもしくは複数の小分子を含んでもよい。一部の実施形態においては、該組成物は、ミグルスタット、および/または、例えば米国特許出願公報第2003/0050299号、第2003/0153768号、第2005/0222244号、第2005/0267094号に記載されている1つもしくは複数の化合物を含んでもよい。
【0084】
医薬組成物の製剤は、意図する投与経路および別のパラメータに基づいて変化し得る(例えば、Rowe et al.,Handbook of Pharmaceutical Excipients,4th ed.,APha Publications,2003を参照されたい)。一部の実施形態においては、該組成物は、Sterile Water for Injection,USP(注射用無菌水、米国薬局方)による、再構成時に静脈内注射によって投与される、無菌で非発熱性の白色または黄色がかった白色の凍結乾燥ケーキまたは粉末であってもよい。
【0085】
本発明の医薬組成物の投与は、いかなる特定の送達系にも限定されず、非経口(皮下、静脈内、頭蓋内、脊髄内、関節内、筋肉内、髄腔内、または腹腔内注射を含む)、経皮、または経口(例えば、カプセル、懸濁液、または錠剤)による投与(ただし、これらの投与に限定されない)を含んでもよい。個人への投与は、単回投与または反復投与で、および種々の生理学的に許容可能な塩の形態のうちのいずれかで、および/または医薬組成物の一部としての許容可能な薬剤担体および/または添加剤とともに生じ得る。
【0086】
本願明細書に記載されている複合体は、治療有効量で投与する。概して、治療有効量は、患者の年齢、健康状態、および性別、ならびに患者の病状の深刻さによって変化し得る。投与量は、医師が判断してもよく、また治療の観察結果に適するように、必要に応じて調整してもよい。このような化合物の有毒性および治療有効性は、例えばLD50(母集団の50%の致死投与量)、およびED50(母集団の50%に治療効果のある投与量)を決定するための、生体外(すなわち、細胞培養)、または生体内(すなわち、実験的な動物モデル)の標準的な製剤手順によって決定することができる。有毒性と治療効果との間の用量比は、治療指数(または治療比)であり、LD50とED50との比率で表すことができる。少なくとも1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、および20の治療指数を呈する複合体を本願明細書に記載する。大きい治療指数を呈する複合体が好ましい。
【0087】
生体外検定および動物実験によって得られたデータは、例えば、ヒトに使用する投与量の範囲の定量化に使用することができる。このような化合物の投与量は、有毒性が低い、ほとんど無い、または全く無いED50を含む循環濃度の範囲内にあることが好ましい。投与量は、用いる投与形態および利用する投与経路に基づいて、この範囲内で変化させてもよい。本発明に使用されるあらゆる複合体に対して、治療効果のある用量は、生体外検定によって最初に推定することができる。用量は、生体外実験で決定したIC50(すなわち、症状の半数阻害を達成する試験複合体の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、動物モデルにおいて定式化してもよい。血漿レベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーまたは適切な酵素活性検定によって測定してもよい。あらゆる特定の投与量の効果は、好適な生物検定によってエンドポイントを監視することができる。
【0088】
別途明記しない限り、本発明の複合体は、症状の深刻さ、および疾病の進行に基づいて、約1μg/kg〜500mg/kgの用量で投与してもよい。例えば、タンパク質の化合物は、例えば1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、またはそれ以上の日数ごとの、あるいは、例えば毎週、隔週、毎月、または隔月の投与に設定して、低速静脈内注入によって外来患者に投与してもよい。化合物の適切な治療有効用量は、治療を行う臨床医によって選択され、約1μg/kg〜500mg/kg、1μg/kg〜10mg/kg、1μg/kg〜1mg/kg、10μg/kg〜1mg/kg、10μg/kg〜100μg/kg、100μg/kg〜1mg/kg、500μg/kg〜5mg/kgの範囲となる。
【0089】
例えば、α−ガラクトシダーゼAの複合体は、例えば10、13、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、または33mg/h以下の注入速度で、例えば2週間ごとに体重あたり1.0mg/kgの用量で、静脈内注入によって投与してもよい。他の実施例においては、α−グルコシダーゼの複合体は、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10時間にわたって、例えば2週間ごとに20mg/kgまたは40mg/kgの用量で、静脈内注射によって投与してもよい。
一部の実施形態においては、α−グルコシダーゼの投与速度は、例えば、1mg/kg/hから開始し、次いで、注入速度に対する患者の許容度を確認した後に、最大で、例えば7mg/kg/hまで、30分ごとに2mg/kg/hづつ増加させてもよい。加えて、特定の投与量の実施例は、Physicians’ Desk Reference(登録商標)に見出すことができる。
【0090】
VI.リソソーム貯蔵障害の治療方法
本発明は、例えば、表1に開示されているようなリソソーム貯蔵障害の治療方法を提供する。一部の実施形態においては、本発明は、治療が必要な患者におけるリソソーム貯蔵障害を治療するための本願明細書に記載されている複合体の使用を提供する。本発明は、さらに、マンノース−6−リン酸を含むオリゴ糖との複合化によって、タンパク質をリソソームへの標的とする方法を提供する。
【0091】
一実施形態においては、本方法は、治療有効量の本発明のオリゴ糖−糖タンパク複合体を、リソソーム貯蔵障害を有する哺乳類に投与するステップを含む。オリゴ糖−糖タンパク複合体は、表1に記載されているリソソーム酵素等のリソソーム酵素と、マンノース−6−リン酸を含むオリゴ糖との複合体であってもよい。一実施形態においては、本方法は、本願明細書に記載されている複合体のうちの少なくとも1つを含む医薬組成物を、治療が必要な患者に投与するステップを含む。
【0092】
ある実施形態においては、本発明の複合体は、1つもしくは複数の別の治療によって投与してもよい。1つもしくは複数の別の治療は、本発明の複合体の投与と同時に(複合製剤としての並行投与を含む)、投与前に、または投与後に施してもよい。
【0093】
一部の実施形態においては、患者は、解熱剤、抗ヒスタミン剤、および/または免疫抑制薬で(本発明の複合体による治療前、治療後、または治療中に)治療してもよい。一部の実施形態においては、患者は、注入投与に関連する反応を減少または防止するために、本発明のオリゴ糖−糖タンパク質複合体による治療の前に、解熱剤、抗ヒスタミン剤、および/または免疫抑制薬で治療してもよい。例えば、患者は、アセトアミノフェン、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、経口ステロイド、またはラパマイシンのうちの1つもしくは複数で前治療してもよい。
【0094】
一部の実施形態においては、患者は、例えば本発明の複合体による治療のうちの最初の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはそれ以上の発生に対して、例えばt=0(本発明の複合体の投与時間)および/またはt=12、24、36、48、60、72、96、120、および144時間で、またはおよそこれらの時間で、アセトアミノフェン、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリンA、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、経口ステロイド、またはラパマイシンのうちの1つもしくは複数で治療してもよい。例えば、一部の実施形態においては、ファブリー病またはポンぺ病である患者は、例えば本発明の複合体による治療の最初の1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週に対して、例えばt=0、24、および48時間で、またはおよそこれらの時間で、メトトレキサート(例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、8、10、12、15、25、30、35、40、50、60、70、80mg/kg、またはそれ以上のメトトレキサート)で治療してもよい。一部の実施形態においては、シクロスポリンAおよびアザチオプリンによる治療によって、例えばムコ多糖症I型等のリソソーム貯蔵障害である患者に、本発明の複合体に対する免疫寛容が誘起され得る。例えば、患者は、Kakkis et al.,Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.101:829−834(2004)に記載されているように、シクロスポリンAおよびアザチオプリンで治療できる。
【0095】
一部の実施形態においては、患者は、例えば、リソソーム貯蔵障害の治療を目的とした小分子治療および遺伝子治療を含む、小分子治療および/または遺伝子治療で(本発明の複合体による治療前、治療後、または治療中に)治療してもよい。小分子治療は、例えば米国特許出願公報第2003/0050299号、第2003/0153768号、第2005/0222244号、第2005/0267094号に記載されている1つもしくは複数の化合物の投与を含んでもよい。遺伝子治療は、例えば米国特許第5,952,516号、第6,066,626号、第6,071,890号、および第6,287,857号、ならびに米国特許出願公報第2003/0087868号に記載されているように行ってもよい。
【0096】
「治療」、「治療方法」という用語、およびそれらの同族言語は、治療的療法および予防/防止的な処置の両者を指す。したがって、治療が必要な人々は、既に特定のリソソーム蓄積症を有する人々、およびその疾病の危険性がある人々(すなわち、最終的に障害を被る、または障害の特定の症状を被る可能性のある人々)を含み得る。
【0097】
治療方法は、症状の予防改善、またはそうでなければ所望の生物学的転帰をもたらし、、臨床徴候の改善または疾病発生の遅延、代謝的に欠陥のある酵素活性の増加、および/または代謝的に欠陥のある酵素の基質の蓄積レベルの減少によって評価できる。
【0098】
本発明の複合体は、ヒトまたは動物の種々のリソソーム貯蔵障害の治療に有用である。例えば、複合体の投与は、患者に不足している酵素活性を、例えば少なくとも10%増加させるのに使用することができる。増加した酵素活性は、例えば臨床症状の減少によって、または適切な臨床的または生物学的検定によって判断できる。
【0099】
GAA複合体は、ポンぺ病(酸性α−グルコシダーゼ欠損症、酸性マルターゼ欠損症、グリコーゲン蓄積症II型、糖原病II型、リソソームα−グルコシダーゼ欠損症としても知られる)の治療に投与してもよい。増加したGAA活性は、例えば心筋細胞、骨格筋細胞、または皮膚線維芽細胞内のリソソームグリコーゲン蓄積の減少の、生化学的観察(例えば、Zhu et al.,J.Biom.Chem.279:50336−50341(2004)を参照されたい。)または組織学的観察によって判断してもよい。GAA活性はまた、例えば、筋生検試料、培養した皮膚線維芽細胞、リンパ球、および乾燥血斑において検定できる。乾燥血斑検定法は、例えば、Umpathysivam et al.,Clin.Chem.47:1378−1383(2001)、およびLi et al.,Clin.Chem.50:1785−1796(2004)に記載されている。ポンぺ病の治療はまた、例えば、クレアチニンキナーゼの血清レベル、運動機能の増加(例えば、運動発達評価法:Alberta Infant Motor Scaleによって評価されるもの)、心エコー図によって測定される左心室重量指数の変化、および心電図によって測定される心臓の電気的活性によって評価してもよい。GAA複合体の投与は、心臓肥大症、心筋症、日中の傾眠、労作性呼吸困難、発育障害、採餌困難、「筋緊張低下」、歩調異常、頭痛、低血圧症、臓器巨大症(例えば、心臓、舌、肝臓の拡大)、脊椎前彎症、平衡感覚障害、腰背部の疼痛、起床時の頭痛、筋衰弱、呼吸不全、肩甲骨の浮き上がり(winging)、側彎症、深部腱反射の低下、睡眠時無呼吸、呼吸感染症に対する感受性、および嘔吐等の、1つもしくは複数のポンペ病の症状の減少をもたらし得る。
【0100】
別の態様においては、α−ガラクトシダーゼAと、M6Pを含むオリゴ糖との複合体は、ファブリー病の治療に投与される。ファブリー病、またはアンダーソン−ファブリー病は、α−ガラクトシダーゼAの欠損を特徴とする希少X連鎖リソソーム貯蔵障害であり、内臓組織、内皮、周皮、および筋細胞のリソソームにおける、グロボトリアオシルセラミド(GL3)および別の中性グリコスフィンゴリピドの蓄積をもたらす。血管系内の中性グリコスフィンゴリピドの蓄積は、血管の狭窄および拡張をもたらし、最終的には虚血および梗塞に至る。
【0101】
α−ガラクトシダーゼA複合体の投与は、例えば、肢端触覚異常、狭心症、角化血管腫、不整脈、歩行運動失調、手および足の灼熱および/またはヒリヒリする疼痛、白内障、寒冷不耐性、伝導異常、角膜渦濁(whorling)、冠動脈疾患、認知症、うつ病、下痢、拡張型心室、めまい、心臓肥大症、心筋症、複視、構音障害、疲労、赤血球沈降速度の上昇による発熱、聴覚の問題、心臓病、心臓弁の問題、高熱不耐性、半側運動失調症、半身麻痺、発汗減少、発汗障害、梗塞、虚血、関節の疼痛、腎臓病、左心室肥大、水晶体異常、水晶体混濁、脂肪尿、筋衰弱、心筋梗塞、吐き気、眼振、疼痛(例えば、体全体にわたって広がる激しい疼痛)、多渇症、蛋白尿、食後の疼痛、腎不全、網膜異常、耳鳴り、胃の疼痛、ST−T変化、卒中、尿毒症、弁膜症、眩暈、嘔吐、および衰弱を含む、1つもしくは複数のファブリー病の臨床症状の減少をもたらし得る。α−ガラクトシダーゼA複合体の投与は、例えば血漿、涙液、白血球、組織の生検、または培養皮膚線維芽細胞におけるα−ガラクトシダーゼA活性の増加をもたらし得る。α−ガラクトシダーゼA複合体の投与はまた、複屈折脂質球の減少(例えば、少なくとも10%)または増加不足の組織学的発見ももたらし得る。また、尿沈渣内の脂質球の減少、血清クレアチニン濃度レベルまたはクレアチニンクリアランスによって測定される腎機能の改善、および蛋白尿の減少ももたらし得る。α−ガラクトシダーゼA複合体の投与は、腎臓、心臓、および皮膚の毛管内皮におけるGL3の混入の減少をもたらし得る。ファブリー病の治療の有効性を測定するための追加的な検定法は、例えばMacDermotto et al.,J.Med.Genet.38:750−760(2001)に見出すことができる。
【0102】
さらに別の態様においては、酸性スフィンゴミエリナーゼの複合体は、ニーマンピック病、または酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症の治療に投与される。酸性スフィンゴミエリナーゼ複合体の投与は、例えば、異常なコレステロールレベル、異常な脂質レベル、運動失調、血液異常、眼内のサクランボ赤色斑点、頻繁な肺感染、成長遅滞、肝脾腫大症、血小板の減少、リンパ節腫脹、末梢神経障害、肺機能による問題、息切れ、皮膚色素沈着の変化、または黄色腫を含む、1つもしくは複数のニーマンピック病の臨床症状の減少をもたらし得る。一部の実施形態においては、複合体は、頭蓋内に投与してもよい。
【0103】
代替的な一実施形態は、α−L−イズロニダーゼを含む複合体による、ムコ多糖症I型(例えば、MPS I型のハーラー病およびハーラー/シャイエ型を含む)の治療に関する。α−L−イズロニダーゼ複合体の投与は、例えば、大動脈弁逆流症、大動脈弁狭窄、手根管症候群、慢性鼻炎、伝音難聴、便秘、角膜混濁、発達遅延、下痢、腹部膨満、腰背の脊柱後弯症、背中の突背変形、肝脾腫大症、水頭症、鼠径ヘルニア、脊柱後弯症、精神遅滞、僧帽弁逆流症、僧帽弁狭窄症、夜盲症、開放隅角緑内障、手の機能障害、進行性関節症、再発性呼吸感染症、呼吸不全、網膜変性、側彎症、感音難聴、激しい背中の疼痛、鼻漏、睡眠時無呼吸、脊髄圧迫、母指球の萎縮、へそヘルニア、および上気道合併症を含む、1つもしくは複数のMPS I型の臨床症状の減少をもたらし得る。
【0104】
上述および下述の説明は、例示的かつ説明的なものであり、記載されている本発明を限定するものではない。
【0105】
以下の実施例1〜4は、図1に示されている合成経路を表している。化合物1、2、3、および4は、以下に使用する場合、図1内に示されている化学構造を有する。
【実施例1】
【0106】
オリゴ糖3の合成
100mgのオリゴ糖1(MW=1250;ビスM6P−ヒドラジド(Biomira Inc.,Edmonton,Canadaによって供給される)を、15mlのDMSO/HO(容量比50:50)中に溶解し、5.3μmol/mlの溶液を産生した。100mgのt−Boc−アミノオキシ酢酸テトラフルオロフェニルエステル2(Invitrogen Corp.;Carlsbad,CA;カタログ番号B3030)を、7.5mlのDMSO中に溶解した。次いで、結果として生じる溶液中の化合物2:化合物1のモル比が4:1になるように、15mlのオリゴ糖溶液と、7.5mlの2の溶液とをガラス瓶中で混合した。化合物2:DHBt−OHの最終的な比率が1:0.5になるように、(DMSO中の32.06mg/mlのストックから)744μlのDHBt−OHを、ガラス瓶中の反応混合液に添加した。混合液を、室温(25℃)、100RPMで、終夜約18時間、穏やかに振り混ぜた。
【0107】
翌朝、Dionex分析のために10μlの反応混合液を取り出して、反応の完了を確認した。その結果、図2に示されるように、1から3の100%の変換を示した。
【実施例2】
【0108】
オリゴ糖3の精製
方法A
反応混合液を、等量のHOで希釈し、それぞれ4℃で少なくとも3時間、4LのHOに対して、分子量カットオフが1000ダルトンである透析管(SpectraPor Inc.)中で2回透析した。次いで、試料を凍結乾燥した。
【0109】
方法B
ベッド容量が225mlであるセファデックスG−10ゲル透過クロマトグラフィーカラムを、脱イオン水で満たし平衡化した。反応混合液を、カラム上へ充填し、重力によって排出し、次いで、毎時75mlの流量で脱イオン水によって溶出させた。画分収集器によって、4.5mlの画分を収集した。オリゴ糖3を含む画分10〜23を収集し、統合させ、凍結乾燥した。t−Boc−AOAA、DHBt−OH、およびDMSOを含む別の小分子を、後者の画分中に溶出させて、廃棄した。
【実施例3】
【0110】
オリゴ糖3の脱保護
凍結乾燥試料のt−Boc基を、30分間、ガラス瓶中で、100RPMで穏やかに振り混ぜながら、5mlの50%トリフルオロ酢酸(TFA)含有ジクロロメタン(DCM)中で脱保護した。次いで、TFA/DCMを、化学フード(chemical hood)内でN流によって除去した。
【実施例4】
【0111】
オリゴ糖4の精製
方法A
TFA/DCMを除去した後に、残渣を、pH5で10mlの0.5M酢酸ナトリウム緩衝液中に溶解し、分子量カットオフが1000ダルトンである透析管に移した。瓶を、4mlの同じ緩衝液で洗浄し、次いで、透析管に移した。試料を、少なくとも3時間、3LのpH7の25mM酢酸ナトリウム緩衝液に対して2回透析し、次いで、終夜の透析のため4Lの氷冷HOに移した。試料を、透析管から戻して凍結乾燥した。
【0112】
方法B
TFA/DCMを除去した後に、残渣を、5mlのpH7.5の0.5M酢酸ナトリウム緩衝液中に溶解し、実施例2の方法Bにあるように、セファデックスG−10ゲル透過クロマトグラフィーカラム上へ充填した。反応混合液を、カラム上へ充填し、重力によって排出し、次いで、毎時75mlの流量で脱イオン水によって溶出させた。画分収集器によって、4.5mlの画分を収集した。精製オリゴ糖4を含む画分10〜23を収集し、統合させ、凍結乾燥した。方法Aよりも、方法Bによる精製の方がオリゴ糖4の収率が高かった。
【0113】
方法Bによって得られた最終生成物を、Dionexクロマトグラフィーによって分析し(図2C)、質量分析によって生成物の同一性を確認した(図3B)。図2Cおよび図3Bのスペクトルには、一部の不純物が存在した。
【実施例5】
【0114】
オリゴ糖4のGAAへの結合
GAAの酸化
凍結乾燥した組み換え型ヒトGAA(rhGAA)を、HO中で再構成し、4Lの100mM酢酸緩衝液(pH5.6)に対して4回透析して、マンニトールを完全に除去した。透析の後、rhGAAを、100mM酢酸緩衝液中100mMの原液からの7.5mM過ヨウ素酸ナトリウムによって酸化させた。氷上において4℃で30分後、グリセロールを添加し、試料を氷上で10分間混合し、過剰な過ヨウ素酸ナトリウムを分解した。次いで、酸化された材料を、水性緩衝液(例えば、100mM酢酸ナトリウム)に対して終夜透析した。
【0115】
結合
水性緩衝液(例えば、100mM酢酸ナトリウム、pH5.6)中オリゴ糖4の溶液を、酸化されたGAAと混合し、37℃で4時間培養して、オリゴ糖−GAA複合体5を産生した。次いで、反応混合物を、pH6.25の25mMリン酸ナトリウム緩衝液に対して透析濾過して、非複合ビスM6Pグリカンを除去し、その後、GAA製剤緩衝液(25mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.25、2%マンニトール、0.005%Tween−80)によって調整した。
【実施例6】
【0116】
GAA複合体の特性記述
M6Pの検出
オリゴ糖の複合化の程度を、糖タンパク質が不足しているM6Pが結合しないM6P受容体カラムへ結合するための複合体5を検定することによって測定した。5マイクログラムの複合体5を、予め平衡化したCI−MPR−セファロースカラム上に充填し(該カラムは、ウシ胎児血清から単離したCI−MPRを、アフィゲル−10に結合させることによって調製した)、次いで、11×2mlの画分のためのCI−MPR結合緩衝液によって洗浄し、7×2mlの画分のための5mM M6Pを含有するCI−MPR結合緩衝液によって溶出した。合計18の画分を、酵素活性のために収集および検定した。
【0117】
単糖類の分析
複合体5を、4Nトリフルオロ酢酸で処理しオリゴ糖を加水分解し、ひき続き、BioLC液体クロマトグラフィーシステム(Dionex)を用いてパルスアンペロメトリック検出(PAD)による高pH陰イオン交換クロマトグラフィー分析を実施する。単糖類含有量は、予混合単糖類標準物質(Dionex)を使用して、単糖類標準曲線から推定する。
【0118】
比活性
GAA活性は、基質として4−メチルウンベリフェリル−α−D−グルコシドを使用した、黒色96ウェルマイクロプレートにおける蛍光定量的検定を使用して測定する。複合体5の希釈物を、3つのマイクロタイタープレートに添加する。4−メチルウンベリフェリル−α−D−グルコシドを各試料に添加する。96ウェルプレートを、37℃の培養器中で30分間培養する。生成物の放出は、蛍光定量的に検出し、既知の標準量の蛍光を測定することによって生成される標準曲線と比較する。反応は、125μLのpH10.5の1.0Mグリシン−カーボネート緩衝液を全てのウェルに添加することによって急冷する。比活性は、1時間あたり、および1mgあたりの放出された生成物のnモルとして定義される。
【0119】
L6筋芽細胞による内在化
細胞(ATCC CRL−1458)を、増殖培地(DMEM+10%FBS)において5.0×10セル/ウェルで6ウェルのプレート内に播種し、ある密集度まで成長させた。細胞を、DMEM+1%熱不活性化FBS+pH6.7の10mM Hepes中で16時間、0〜100nMのGAA(複合体5または非複合rhGAA)によって培養した。取り込み後、細胞を、5mM M6Pを含む3xPBSによって洗浄し、氷上で1時間、0.25%のトリトンX−100によって溶解させた。溶解物を、18000gで5分間遠心分離し、比活性を試験した。例えば、Zhu et al.,J.Biol.Chem.279:50336−50341(2004);Zhu et al.,Biochem.J.389:619−628(2005)を参照されたい。
【0120】
本願明細書に引用した全ての参考文献は、参照することによりその全体が本願明細書に組み込まれる。参照することによって組み込まれた刊行物および特許、または特許出願書が、本明細書に含まれる発明に矛盾する限りにおいて、本明細書は、あらゆるこのような矛盾する事柄に取って代わること、および/または優先することを意図する。
【0121】
明細書および請求項内で使用される、成分量、反応条件等を表す全ての数値は、全ての事例において「約」という用語によって変更されるものとして理解されたい。したがって、反対に示されない限り、明細書および添付の請求項に記載されている数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に基づいて変化し得る近似値である。少なくとも、および請求項の範囲に対する均等物の狭義の適用を制限することを意図せずに、各数値パラメータは、有効数字および通常の四捨五入手法を考慮して解釈されるべきである。
【0122】
本発明の多数の修正および変更は、当業者に明らかであるように、その精神および範囲から逸脱することなく行うことができる。本願明細書に記載されている特定の実施形態は、一例を提供したものに過ぎず、いかなる形であれ制限することを意図したものではない。明細書および実施例は、例示的なものに過ぎないと見なし、本発明の真の範囲および精神は、以下の請求項によって示すことを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノオキシ基を含むオリゴ糖を調製する方法であって、
(a)第1の反応基を含むオリゴ糖を提供するステップと、
(b)アミノオキシ基および第2の反応基を含むアミノオキシ化合物を提供するステップと、
(c)前記オリゴ糖の前記第1の反応基と、前記アミノオキシ化合物の前記第2の反応基とを反応させるステップと、
を含み、それによって、前記アミノオキシ基を含むオリゴ糖を調製する方法。
【請求項2】
前記第1および第2の反応基は、ヒドラジン、ヒドラジド、セミカルバジド、チオセミカルバジド、アミン、カルボキシル、エステル、ハロゲン化アシル、アシルアジド、ハロゲン化アルキル、無水物、イソチオシアナート、イソシアナート、およびハロゲン化スルホニル基から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の反応基は、ヒドラジド基である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の反応基は、カルボキシル基である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記アミノオキシ化合物は、化学式IIの化合物から選択され、
【化1】

化学式II
式中、Yは、前記第2の反応基であり、Zは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアリール、アリール、およびヘテロシクリルから選択され、Pは、アミノ保護基から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
Pは、カルバメート保護基から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
Pは、tert−ブチオキシカルボニルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
Yは、
【化2】

【化3】

から選択され、式中、Xは、ハロゲン、アジド、アシルオキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、およびヘテロシクリロキシから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
Yは、(b)
【化4】

である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
Xは、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、およびヘテロシクリロキシから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
Xは、
【化5】

である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アミノオキシ化合物は、化学式IIIの化合物から選択され、
【化6】

化学式III
式中、Yは、第2の反応基であり、nは、1〜10の範囲の整数から選択され、Pは、アミノ保護基から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
nは、1である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
Yは、カルボキシル、エステル、ハロゲン化アシル、アシルアジド、ハロゲン化アルキル、無水物、イソチオシアナート、イソシアナート、またはハロゲン化スルホニル基である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記アミノオキシ化合物は、
【化7】

である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
Yは、ヒドラジン、ヒドラジド、セミカルバジド、チオセミカルバジド、またはアミン基である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記アミノオキシ化合物は、
【化8】

である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記オリゴ糖は、
【化9】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記オリゴ糖は、
【化10】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記アミノオキシ化合物は、アミノ保護基を含み、前記方法は、(d)前記アミノオキシ基を含むオリゴ糖を脱保護するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法によって生成される、アミノオキシ基を含むオリゴ糖。
【請求項22】
アミノオキシ基を含むオリゴ糖を調製する方法であって、
(a)第1の反応基を含むオリゴ糖を提供するステップであって、前記オリゴ糖は、
【化11】

であるステップと、
(b)アミノオキシ基および第2の反応基を含むアミノオキシ化合物を提供するステップであって、前記アミノオキシ化合物は、化学式IIIの化合物から選択され、
【化12】

化学式III
式中、nは、1〜10の範囲の整数から選択され、Pは、アミノ保護基から選択され、Yは、前記第2の反応基であるステップと、
(c)前記オリゴ糖の前記第1の反応基と、前記アミノオキシ化合物の前記第2の反応基とを反応させるステップと、
を含み、それによって、前記アミノオキシ基を含むオリゴ糖を調製する、方法。
【請求項23】
Yは、
【化13】

であり、式中、Xは、ヒドロキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、およびヘテロシクリロキシから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
Xは、
【化14】

である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記アミノオキシ化合物は、
【化15】

である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ステップ(c)は、結合試薬および/または触媒の存在下で、前記オリゴ糖の前記第1の反応基と、前記アミノオキシ化合物の前記第2の反応基とを反応させるステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記触媒は、
【化16】

である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
アミノオキシ基を含むオリゴ糖を調製する方法であって、
(a)第1の反応基を含むオリゴ糖を提供するステップであって、前記オリゴ糖は、
【化17】

であるステップと、
(b)アミノオキシ基および第2の反応基を含むアミノオキシ化合物を提供するステップであって、前記アミノオキシ化合物は、化学式IIIの化合物から選択され、
【化18】

化学式III
式中、nは、1〜10の範囲の整数から選択され、Pは、アミノ保護基から選択され、Yは、前記第2の反応基であるステップと、
(c)前記オリゴ糖の前記第1の反応基と、前記アミノオキシ化合物の前記第2の反応基とを反応させるステップと、
を含み、それによって、前記アミノオキシ基を含むオリゴ糖を調製する、方法。
【請求項29】
Yは、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノオキシ、チオセミカルバジド、セミカルバジド、またはアミン基である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記アミノオキシ化合物は、
【化19】

である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(c)は、結合試薬および/または触媒の存在下で、前記オリゴ糖の前記第1の反応基と、前記アミノオキシ化合物の前記第2の反応基とを反応させるステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記結合試薬は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)であり、前記触媒は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
オリゴ糖をタンパク質に結合させる方法であって、
(a)アミノオキシ基を含むオリゴ糖を提供するステップと、
(b)少なくとも1つのカルボニル基を有するタンパク質を提供するステップと、
(c)前記オリゴ糖の前記アミノオキシ基と、前記タンパク質の前記少なくとも1つのカルボニル基とを反応させるステップと、
を含み、それによって、前記オリゴ糖を前記タンパク質に結合させ、前記アミノオキシ基を含むオリゴ糖は、
【化20】

または
【化21】

である、方法。
【請求項34】
前記タンパク質は、糖タンパク質である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記糖タンパク質は、リソソーム酵素である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記リソソーム酵素は、酸性α−グルコシダーゼ、α−ガラクトシダーゼA、酸性スフィンゴミエリナーゼ、またはα−L−イズロニダーゼである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記リソソーム酵素は、酸性α−グルコシダーゼである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記アミノオキシ基を含むオリゴ糖は、
【化22】

である、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記アミノオキシ基を含むオリゴ糖は、
【化23】

である、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
請求項33に記載の方法によって生成されるオリゴ糖−タンパク複合体。
【請求項41】
化学式IVのオリゴ糖であって、
【化24】

化学式IV
式中、mおよびpは、1〜10の範囲の整数から独立して選択される、オリゴ糖。
【請求項42】
mは、3である、請求項41に記載のオリゴ糖。
【請求項43】
pは、1である、請求項41に記載のオリゴ糖。
【請求項44】
mは、3であり、pは、1である、請求項41に記載のオリゴ糖。
【請求項45】
化学式Vのオリゴ糖。
【化25】

化学式V
【請求項46】
(1)タンパク質と、(2)オリゴ糖と、(3)前記タンパク質および前記オリゴ糖を連結するオキシム基とを含むオリゴ糖−タンパク複合体であって、前記オリゴ糖は、化学式VIのオリゴ糖である、オリゴ糖−タンパク複合体。
【化26】

化学式VI
【請求項47】
前記タンパク質は、糖タンパク質である、請求項46に記載のオリゴ糖−タンパク複合体。
【請求項48】
前記糖タンパク質は、リソソーム酵素である、請求項47に記載のオリゴ糖−タンパク複合体。
【請求項49】
前記リソソーム酵素は、酸性α−グルコシダーゼ、α−ガラクトシダーゼA、酸性スフィンゴミエリナーゼ、またはα−L−イズロニダーゼである、請求項48に記載のオリゴ糖−タンパク複合体。
【請求項50】
前記リソソーム酵素は、酸性α−グルコシダーゼである、請求項49に記載のオリゴ糖−タンパク複合体。
【請求項51】
請求項48に記載のオリゴ糖−糖タンパク複合体、および賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項52】
リソソーム貯蔵障害の治療方法であって、請求項48に記載のオリゴ糖−糖タンパク複合体を哺乳類に投与するステップを含み、前記タンパク質は、リソソーム酵素である、方法。
【請求項53】
前記オリゴ糖−糖タンパク複合体による治療前、治療後、または治療中に、メトトレキサートを前記哺乳類に投与するステップをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
治療が必要な患者におけるリソソーム貯蔵障害を治療するための、請求項48に記載の複合体の使用。
【請求項55】
リソソーム貯蔵障害を治療するための薬剤の製造における、請求項48に記載の複合体の使用。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−516257(P2010−516257A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546533(P2009−546533)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/051429
【国際公開番号】WO2008/089403
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(500579888)ジェンザイム・コーポレーション (34)
【Fターム(参考)】