説明

アミノオルガノシランの製造方法

本発明の対象は、環状又は非環状のアミンと(ハロゲンオルガニル)シランとの反応による請求の範囲に記載されたアミノオルガノシランの製造方法であり、その際に、前記反応は、次の工程を含む:a)前記(ハロゲンオルガニル)シランを0〜250℃の温度で反応させる工程、その際に(ハロゲンオルガニル)シランに加えて副生物として前記アミンのアンモニウムハロゲン化物が形成され、b)塩基(B)を添加する工程、その際に完全に又は部分的に塩交換され、前記塩交換の際に前記アミンが再び遊離され、かつ塩基(B)のハロゲン化物が形成され、ここで塩基(B)のハロゲン化物が高くとも200℃の温度で液体であり、かつc)塩基(B)の形成された液状のハロゲン化物を分離する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミンを(ハロゲンオルガニル)シランと反応させることによって、アミノオルガノシランを製造する方法に関する。
【0002】
技術水準からは、アミノオルガノシランの多様な製造方法が知られている。アミノ官能性オルガノシランの製造は主に、クロロ官能性オルガノシランと多種多様な種類の有機アミン又はアンモニアとの反応によって行われる。その際に、通例、クロロ官能性オルガノシラン1mol当たりアミンもしくはアンモニア少なくとも2molが使用されるように処理されるので、アミノ官能性オルガノシランの形成に加えて、置換された塩素を相応するアミン塩酸塩もしくは塩化アンモニウムへ変換するためのアミン成分がなお十分に利用できる。
【0003】
この際に有利であるのは、とりわけ、アルキルシランの光塩素化又はSi−H含有化合物への相応するハロゲン置換オレフィンのヒドロシリル化によって得ることができ、かつ例えば中間生成物として多数の有機官能性シランの合成に使用される(クロロアルキル)シランの高い利用可能性である。さらに、この方法の場合にアンモニアに加えて、(N−オルガニルアミノオルガニル)トリオルガニルシラン及び(N,N−ジオルガニルアミノオルガニル)トリオルガニルシランの合成のために、よく利用できる多数の第一級アミン及び第二級アミンの助けを借りることができ、このことは、前記方法の極めて幅広い適用分野及びそれにより既存の工業生産設備への費用のかからない製品交換を可能にする。
【0004】
英国特許(GB-A)第686,068明細書からは、(アミノ)トリオルガニルシラン、(N−オルガニルアミノ)トリオルガニルシラン及び(N,N−ジオルガニルアミノメチル)トリオルガニルシラン又は(N,N−ジオルガニルアミノエチル)トリオルガニルシランが知られている。さらに、英国特許(GB-A)第686,068明細書には、前記の(アミノオルガニル)トリオルガニルシラン、(N−オルガニルアミノオルガニル)トリオルガニルシラン及び(N,N−ジオルガニルアミノオルガニル)トリオルガニルシランの製造のために、相応する(クロロメチル)トリオルガノシラン又は(ブロモメチル)トリオルガノシランとアンモニア、第一級アミン又は第二級アミンとを、少なくとも50℃の温度で反応させる方法が記載されている。その際に、通例、(クロロメチル)トリオルガノシラン又は(ブロモメチル)トリオルガノシランは、使用されるアミン化合物の沸点に応じて、フラスコ又はオートクレーブ中に装入され、かつ100℃超、好ましくは110〜130℃の温度に加熱される。高沸点アミン(例えばシクロヘキシルアミン)の場合に、その混合順序は逆にされることができる、すなわち前記(クロロメチル)トリオルガノシラン又は(ブロモメチル)トリオルガノシランは、加熱されたアミンに添加される。
【0005】
独国特許出願公開(DE-A1)第1812564号明細書に記載された方法によれば、(アミノメチル)シラン誘導体は、(クロロメチル)シラン誘導体又は(ブロモメチル)シラン誘導体とアンモニア又は第一級アミンとの反応によって製造される。前記反応は、80又は100℃の温度で3もしくは2時間の期間内で行われ、その際に前記アミンは1:3.2〜6のモル過剰量で前記反応の最初に既に完全に装入されていた。
【0006】
独国特許出願公開(DE-A)第10 2004 060 627号明細書には、この方法の、前記の反応が連続的に実施される変法が記載されている。
【0007】
技術水準からは、さらに、アルコキシシラン中のハロゲン化物含量を減少させる方法、例えば欧州特許出願公開(EP-A)第0702017号明細書からは、アルカリ金属アルコラート塩又はアルカリ土類金属アルコラート塩の添加による溶解されたアミン塩酸塩残留物の沈殿に基づくそのような方法が、知られている。アンモニアの導通によりアルコキシシラン中の塩化物含量の減少を可能にする選択的な方法は、独国特許出願公開(DE-A1)第19941283号明細書に記載されている。
【0008】
これら全ての方法の場合に不利であるのは、その際に(場合により有機置換された)アンモニウムハロゲン化物が定量的な量で副生物として形成され、かつ固体として分離されなければならないという事実である。このような多量の固体の分離は、時間を浪費し、ひいてはまた費用がかかり、そのうえ相応する装置、例えば性能の高い、ひいては高価な遠心機を有する製造設備を必要とする。これは、しかしながら多くの設備の場合に − 特に典型的にはファインケミカルズの製造に使用されるようなたいていの多目的設備の場合に − あてはまらない。
【0009】
ここで、例えば米国特許(US-A)第6452033号明細書には、アミノエチルアミノオルガニル−トリオルガニルシランの、相応するクロロ官能性オルガノシランとエチレンジアミンとの反応による製造が記載されており、その際に前記塩酸塩の分離のための前記の相分離は、多様な方法で使用される。しかしながら、この方法にとって不利であるのは、エチレンジアミン単位を有するシランに制限されるという事実である。
【0010】
技術水準の欠点をもはや有しない方法を開発することが課題であった。
【0011】
本発明の対象は、一般式(1)
R′3-n1nSi−R2−NR34 (1)
で示されるアミノオルガニル−トリオルガニルシランを、
一般式(2)
H−NR34 (2)
で示される環状又は非環状のアミンと一般式(3)
R′3-n1nSi−R2−X (3)
で示される(ハロゲンオルガニル)シランとの反応によって、
製造する方法であり、
ここで
R′は、それぞれ炭素原子1〜10個を有するアシルオキシ基又はアルコキシ基を表し、
1は、炭素原子1〜10個を有する炭化水素基を表し、
2は、炭素原子1〜10個を有する二価の炭化水素基を表し、
3、R4は、互いに独立して、水素を表すか又は炭素原子1〜10個を有する炭化水素基を表し、ここでR3、R4は互いに結合されていてもよく、かつその生じた環はさらに別のヘテロ原子、NH基又はNR2a基も有していてよく、
2aは、炭素原子1〜10個を有する二価の炭化水素基を表し、
nは、0、1、2又は3の数であり、かつ
Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表し、
その際に、前記反応は、次の工程を含む:
a)一般式(3)の(ハロゲンオルガニル)シラン及び一般式(2)のアミンを0〜250℃の温度で反応させる工程、その際に、一般式(1)のシランに加えて副生物として一般式(2)のアミンのアンモニウムハロゲン化物が形成され、
b)塩基(B)を添加する工程、その際に完全に又は部分的に塩交換され、前記塩交換の際に一般式(2)のアミンが再び遊離され、かつ塩基(B)のハロゲン化物が形成され、ここで塩基(B)のハロゲン化物が高くとも200℃の温度で液体であり、かつ
c)塩基(B)の形成された液状のハロゲン化物を分離する工程。
【0012】
一般式(2)のアミンのアンモニウムハロゲン化物は、その際に典型的には不溶性固体として沈殿し、この固体は工程b)において塩基(B)の添加後に再び溶解し、その際に塩基(B)のハロゲン化物を本質的に含有する別個の液相が形成され、ついで工程c)において分離される。
【0013】
一般式(3)の(ハロゲンオルガニル)シランを基準として、一般式(2)のアミンは、好ましくは過剰量で、すなわち1.1:1〜100:1、好ましくは1.5:1〜50:1、特に好ましくは2:1〜20:1、殊に3:1〜10:1のモル比で使用される。一般式(3)のシランを基準として、塩基(B)は好ましくは0.5:1〜10:1、好ましくは0.7:1〜5:1、特に好ましくは0.8:1〜2:1、殊に0.9:1〜1.0:1のモル比で使用される。
【0014】
炭化水素基R1、R2、R2a、R3、R4は、飽和又は不飽和であってよく、分枝鎖状又は非分枝鎖状であってよく、置換又は非置換であってよい。
【0015】
炭化水素基R1、R3、R4は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基;ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基;ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基;オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基;ノニル基、例えばn−ノニル基;デシル基、例えばn−デシル基;ドデシル基、例えばn−ドデシル基;オクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アルケニル基、例えばビニル基、1−プロペニル基及び2−プロペニル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基;キシリル基及びエチルフェニル基;及びアラルキル基、例えばベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基;並びにヘテロ原子、例えばN、O、S、Pを介して結合された、これらの組合せであってよい。炭化水素基R1、R3、R4は、好ましくは炭素原子1〜6個、特に1〜3個を有する。好ましくは、R1は、メチル基、エチル基、イソプロピル基及びn−プロピル基、イソブチル基及びn−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、ベンジル基又はアリル基である。
【0016】
基R3及びR4は、好ましくはR1の好ましい基から、並びにさらに水素、シクロヘキシル基又はフェニル基から選択される。好ましくは、基R3又はR4の最大1個が水素である。特に好ましい一実施態様において、基R3は、フェニル基又はシクロヘキシル基であり、かつ基R4は水素である。
【0017】
さらに、基R3及びR4は、直接に又はヘテロ原子を介して結合されていてよいので、前記窒素原子を構造的に考慮に入れると、環状構造−NR34となる。好ましくは、環状構造−NR34は、環原子5〜10個、特に環原子5、6又は8個を有する。これらの例は、モルホリノ基、ピペリジノ基又はピロリジノ基であり、これらも好ましい。さらにまた、基−NR34は好ましくはN,N−ビス−(N′,N′−ジメチルアミノプロピル)基である。
【0018】
基R′は、好ましくはOR1の意味を有する。好ましくは、R′は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基及びn−プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基又はアリルオキシ基である。
【0019】
基R2及びR2aは好ましくは、炭素原子1〜6個を有する二価の炭化水素基、特にメチレン基、エチレン基及びプロピレン基、特に好ましくはメチレン基である。
【0020】
基Xは好ましくは塩素又は臭素、特に塩素である。
【0021】
nは、好ましくは1、2又は3の値を有する。
【0022】
本発明のさらなる対象は、一般式(4)
【化1】

で示される環状アミノシランを、
一般式(5)
2NR7 (5)
で示されるアミンと一般式(6)
(R2)Y1Si−R5−Y2 (6)
で示される(ハロゲンオルガニル)シランとの反応によって、
製造する方法であり、
ここで
5は、炭素原子1〜10個を有する二価の炭化水素基を表し、ここで前記炭化水素鎖は、カルボニル基、カルボキシル基、酸素原子、NH又はNR8基によって中断されていてよく、
6は、水素を表すか、又はハロゲン原子、OH基及び基−NH2、−NHR8、NR82で置換されていてよい炭素原子1〜10個を有する炭化水素基を表し、
7は、水素を表すか、又はハロゲン原子、OH基及び基−NH2、−NHR8、NR82で置換されていてよい炭素原子1〜10個を有する炭化水素基を表し、
Rは、それぞれ炭素原子1〜10個を有する炭化水素基、アシルオキシ基又はアルコキシ基を表し、
8は、炭素原子1〜10個を有する炭化水素基を表し、かつ
1及びY2は、塩素、臭素又はヨウ素を表し、
その際に、前記反応は、次の工程を含む:
a)一般式(6)の(ハロゲンオルガニル)シラン及び一般式(5)のアミンを0〜300℃の温度で反応させる工程、その際に一般式(5)のアミンを1.1〜1000倍の過剰量で使用し、かつ一般式(4)のシランに加えて副生物として一般式(5)のアミンのアンモニウムハロゲン化物が形成され、
b)塩基(B)を添加する工程、その際に完全に又は部分的に塩交換され、前記塩交換の際に一般式(5)のアミンが再び遊離され、かつ塩基(B)のハロゲン化物が形成され、ここで塩基(B)のハロゲン化物が高くとも200℃の温度で液体であり、かつ
c)塩基(B)の形成された液状のハロゲン化物を分離する工程。
【0023】
本発明による方法のこの変法の場合にも、一般式(5)のアミンの塩化アンモニウムは典型的には不溶性固体として沈澱し、この固体は、工程b)において塩基(B)の添加後に再び溶解し、その際に塩基(B)のハロゲン化物を本質的に含有する別個の液相が形成され、かつ工程c)においてついで分離される。
【0024】
5、R6及びR7は、飽和又は不飽和であってよく、分枝鎖状又は非分枝鎖状であってよく、置換又は非置換であってよい。
【0025】
好ましくは、R5はプロピレン基又はブチレン基である。
【0026】
6は、好ましくは水素であるか、又は炭素原子1〜6個を有する環状又は線状のアルキル基又は3−アミノプロピル基である。R7は、好ましくは水素を表すか又は炭素原子1〜6個を有する環状又は線状のアルキル基である。
【0027】
R′及びR1について示された例及び好ましい基は、Rについての例及び好ましい基でもある。
【0028】
1について示された例及び好ましい基は、R8についての例及び好ましい基でもある。
【0029】
基Y1及びY2は、好ましくは塩素又は臭素、特に塩素である。
【0030】
本発明の特に好ましい実施態様において、一般式(5)のアミノシランは、N−((3−アミノプロピル)−ジメチルシリル)−2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタンである。この場合に、前記生成物は工程a)においてR5がプロピレンであり、Rがメチルであり、かつY1及びY2が塩素であるクロロシラン2分子及びアンモニア2分子が好ましくは形成され、その際に塩化アンモニウム4分子が生じる。
【0031】
一般式(6)のシランを基準として、一般式(5)のアミンは好ましくは過剰量で、すなわち1.2:1〜1000:1、好ましくは1.6:1〜100:1、特に好ましくは2:1〜10:1、特に3:1〜6:1のモル比で使用される。一般式(6)のシランを基準として、塩基(B)は好ましくは0.5:1〜10:1、より好ましくは0.7:1〜5:1、特に好ましくは0.8:1〜2:1、特に0.9:1〜1.0:1のモル比で使用される。
【0032】
原則的に、工程a)及びb)は、連続して又はまた同時にも、行われることができる。同じように、工程b)と共に、すなわち前記オリゴアミンの添加と共に、工程a)の開始後ではあるが、しかしまだ終了前に開始されることによる、時間をずらした実施が考えられる。本発明による方法の場合に、遊離NH基もしくはNH2基を有する塩基(B)が使用される場合に、工程b)、すなわち前記オリゴアミンの添加は、しかしながら好ましくは工程a)における反応が行われた後に行われる。好ましくは、既に<150℃、特に好ましくは<100℃もしくは<90℃の温度で液体を形成する塩を処理工程b)の際に形成する塩基(B)が使用される。
【0033】
本発明による方法の工程a)は、好ましくは50〜250℃の温度で実施される。経済的に重要な反応時間と、できるだけ少なく副生物をもたらす反応とでの妥協点に達するために、50〜220℃、特に80℃〜150℃の温度が特に有利であることが判明している。工程a)はたいてい発熱であるので、この工程は好ましくは冷却下に実施される。
【0034】
本発明による方法の工程b)及びc)は、好ましくは0〜250℃の温度で、好ましくは20〜150℃の温度で及び特に好ましくは50〜100℃の温度で実施される。好ましくは、工程b)及びc)の間の温度は、好ましくは30℃、特に好ましくは20℃の温度範囲の範囲内で一定のままである。工程b)はたいてい発熱であるので、この工程は好ましくは冷却下に実施される。
【0035】
全ての反応工程は好ましくは、保護ガス、例えば窒素及びアルゴン下に実施される。
【0036】
本発明の好ましい一実施態様において、本発明による方法は、さらに1つ又はそれ以上の次の追加的な処理工程を有することもできる:
a1)一般式(2)もしくは(5)のアミンが、工程a)において過剰量で使用された場合に、この過剰量は、塩基(B)をまだ添加する前に工程b)において完全に又は部分的に分離されることができる。前記分離は、好ましくは蒸留により行われる。この措置は、その塩もしくはそれらのそれぞれの塩の有機相への溶解度を低下させるのに好ましくは利用される。
【0037】
d)生成物含有相への1つ又はそれ以上の無極性溶剤(L)の添加。追加的な溶剤(L)は、その際に処理工程a)、a1)、b)及びc)の前、それらの最中又はそれらの後に添加されることができる。この措置は、その塩もしくはそれらのそれぞれの塩の有機相への溶解度を低下させるのに好ましくは利用される。前記無極性溶剤の添加が処理工程c)の後に行われる場合には、この工程の際に沈殿された塩は、好ましくは追加的な分離工程、例えばろ過において分離される。その際に分離されうる塩量は、しかし、当初の塩量と比較して、工程c)の際に極端に低く、前記分離は、相応して単純である。前記無極性溶剤の添加が工程c)前又は工程c)中に行われる場合には、それぞれの塩が、前記生成物相から、本質的に塩基(B)のハロゲン化物からなる液相中へ追いやられ、かつこのハロゲン化物と共に分離される。
【0038】
e)生成物(1)もしくは(4)並びに工程a)の際に場合により過剰量で使用された並びに工程b)における塩交換の際に遊離されたアミン(2)もしくは(5)の蒸留による分離もしくは精製。この分別蒸留の場合に、一般式(2)もしくは(5)のアミンは好ましくは十分に高い純度で直接得られるので、さらに後処理せずに、後の反応サイクルにおいて再び使用されることができる。一般式(1)もしくは(4)の生成物も、相応する蒸留の際に好ましくは十分な純度で直接得られる。工程c)における相分離の際に、塩基(B)のハロゲン化物が、有機相中に残留する場合に、これらは同様に好ましくは蒸留により分離される。同じことは、場合により工程d)において追加的に添加される溶剤(L)に当てはまる。
【0039】
その際に、全ての成分、特に一般式(1)もしくは(4)の生成物、一般式(2)もしくは(5)のアミン並びに場合により塩基(B)並びに溶剤(L)が、唯一の分別蒸留により互いに分離されることが可能である。同じように、これは、複数の別個の蒸留工程によって行われることができる。こうして、例えばまず最初に一般式(2)もしくは(5)のアミンのみが蒸留により除去されることができ、その際に、粗生成物はまず最初に蒸留底部中に残留し、かつ引き続き別個の蒸留工程又は薄層蒸発工程(Duennschichterschritt)において精製される。
【0040】
f)工程c)における相分離及び生じたアンモニウムハロゲン化物の分離の後の生成物含有相へのアンモニアの追加的な添加。この措置は、特に最終生成物中のハロゲン化物含量の低下に適当でありうる。
【0041】
g)工程c)における相分離及び生じたアルカリ金属ハロゲン化物の分離の後の生成物含有相へのアルカリ金属アルコラート、好ましくはナトリウムアルコラート又はカリウムアルコラートの追加的な添加。この措置は、特に最終生成物中のハロゲン化物含量の低下に適当でありうる。
【0042】
h)工程c)における相分離の後の生成物含有相への高分子ポリアミンの追加的な添加。この措置は、イオン性ハロゲン化物の場合による残留物を形成するのに利用することができるので、これらは、一般式(1)もしくは(4)の生成物の最後の蒸留(工程e参照)の際に大体において蒸留底部中に残留し、かつ相応するハロゲン化物の乏しい生成物が得られる。
【0043】
i)工程a)の際に場合により過剰量で使用された並びに工程b)の際に遊離された一般式(2)もしくは(5)のアミンの回収もしくはリサイクル。一般式(2)もしくは(5)のアミンが、完全に又は少なくとも部分的に、単蒸留により − 工程e)参照 − 十分な清浄度で得られることができない場合は、妨害する生成物、副生物又はまた工程b)において添加された塩基(B)の残留物も、1つ又はそれ以上の別の精製工程により分離されることができる。例示的に、ここで以下のものを挙げることができる
・最初の蒸留(工程e))の後になお不十分に清浄なアミン留分のさらなる蒸留による精製工程
・工程c)後の生成物含有相又はしかし工程e)のもとで蒸留されたアミン留分への脂肪族のケトン又はアルデヒドの追加的な添加。この措置は、− 工程b)において添加される塩基(B)が第一級アミノ基を有する化合物である場合は −、これらの相中になお含まれている塩基(B)の残留物を相応するイミンへ変換するのに利用されることができる。後者は、しばしば蒸留により、生成物から及びとりわけ過剰で使用された及び/又は工程b)の際に再び遊離された一般式(2)もしくは(5)のアミンから、塩基(B)自体よりもより容易に分離されることができる。
【0044】
l)好ましくはこの塩基の形成されたハロゲン化物と強塩基、例えばアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩又はアルカリ土類金属炭酸水素塩等との塩交換による、工程b)において使用された塩基(B)の回収。その際に、それぞれの塩基は、バルクで又は水溶液又は非水溶液又は懸濁液中でも使用されることができる。水溶液が使用され、及び/又は水が前記反応の際に遊離される場合には、この水は好ましくは蒸留により塩基(B)から分離される。その際にエチレンジアミンが塩基(B)として使用された場合には、この蒸留による分離は、好ましくはエチレンジアミン及び水がアゼオトロープがもはや形成しないような高い圧力で行われる。
【0045】
塩基(B)が化合物、例えば一般式(3)もしくは(6)のシランに対して反応性すらであるアミンである場合には、一般式(2)もしくは(5)のアミンは、前記の処理工程により、一般式(2)もしくは(5)のアミン中の塩基(B)の含量が3%未満、好ましくは1%未満及び特に0.5%未満である程度に好ましくは精製される。
【0046】
本発明による方法の前記の変法の特に好ましい組合せの場合に、一般式(2)もしくは(5)のアミンは、過剰量で使用され、その際に過剰の前記アミンはまず最初に工程a1)により、蒸留により大体において又は少なくとも部分で除去される。引き続き、場合により溶剤(L)(工程d))並びに塩基(B)が添加され(工程b))、かつ塩相が分離される(工程c))。引き続き、− 存在している場合は − 溶剤(L)並びに工程b)の際に遊離された一般式(2)もしくは(5)のアミンは、蒸留により除去される(工程e))。その際に、溶剤(L)並びに一般式(2)もしくは(5)のアミンの双方の留出物は、これらはさらに精製せずに、直接再び使用されるように高い純度で好ましくは得られる。
【0047】
特に好ましい別の変法の場合に、工程d)の際に、沸点が一般式(2)もしくは(5)のアミンのそれ未満であるがしかし塩基(B)の沸点を上回る溶剤(L)が使用されるので、有機相中の場合により存在している塩基(B)の残留物は、溶剤(L)と共に除去され、かつ引き続き、蒸留により、塩基(B)の好ましい低い含量を有する一般式(2)もしくは(5)のアミンが得られることができる(工程e))。
【0048】
もちろん、本方法は、不連続に、例えば撹拌釜中で、並びに連続的に実施されることができる。後者は、例えば工程a)、b)並びに場合により別の工程(上記参照)が、管形反応器又はまた撹拌容器カスケード中で行われることによる。個々の物質は、その際に一緒に又はしかし − 好ましくは − 連続して、計量供給され、かつ混入される。その後の連続的な相分離(工程c)についても、例えば静止容器もしくは沈降容器、デカンター等の使用下での、適した方法が知られており、かつ文献にしばしば記載されている。
【0049】
好ましくは、使用されうる一般式(2)及び(5)のアミンの含水量は、0〜20000ppm、好ましくは0〜5000ppm、特に好ましくは0〜1000ppmである。
【0050】
使用されうる一般式(2)及び(5)のアミンのpKb値は、好ましくは、塩基(B)のpKb値よりも、好ましくは少なくとも1pKb単位大きく、特に好ましくは2pKb単位大きい。
【0051】
好ましい一実施態様において、塩基(B)として、沸点が生成物(1)もしくは(4)とは並びに一般式(2)もしくは(5)のアミンとは、少なくとも40℃、好ましくは少なくとも60℃及び特に好ましくは少なくとも90℃相違する化合物が選択されるので、工程c)における相分離の際に有機相中に残留する塩基(B)の残留物が、蒸留により十分に良好に一般式(1)もしくは(4)の生成物からだけでなく一般式(2)もしくは(5)のアミンからも、分離されることができる。
【0052】
塩基(B)として、好ましくはエチレンジアミン単位又はプロピレンジアミン単位を有するオリゴアミン(O)が使用される。好ましくは、オリゴアミン(O)は、エチレンジアミン単位又はプロピレンジアミン単位1〜20個、特に1〜10個を有する。好ましいオリゴアミン(O)は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジアザビシクロオクタン、ペンタメチルジエチレントリアミン、プロピレンジアミン、N4−アミン(BASF AG)である。
【0053】
特に好ましくは、エチレンジアミンが塩基(B)として使用される。こうして、エチレンジアミンは、本発明による方法において、次の意外な性質組合せを示す:
・エチレンジアミンの添加は、一般式(3)もしくは(6)の(ハロゲンオルガニル)シランの量を基準として0.8〜2当量の特に好ましいエチレンジアミン量が添加される場合にのみ、工程b)において大体において完全な塩交換を既にもたらす。
・前記の大体における塩交換により得られる塩相は、約80℃の融点を有する。
・前記の液体の塩相は、数分後に既に完全に前記有機相から分離され、かつそのために、相分離のための大きな、ひいては費用集約的な時間要求なしに分離されることができる。
【0054】
本発明による方法を用いて、単純な方法で、一般式(1)のアミノオルガニル−トリオルガニルシラン及び一般式(4)の環状アミノシランが、良好なないし極めて良好な収率で得られることができる。本方法は、大工業的に単純にかつ危険なしに反応されることができる。
【0055】
本発明により製造される一般式(1)のアミノオルガニル-トリオルガニルシラン及び一般式(4)の環状アミノシランの純度は、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは少なくとも95%である。
【0056】
この純度は、生成物の任意の下流の蒸留工程e)によって、95%超に上昇されることができる。
【0057】
本発明による方法は、技術水準に比較して、副生物として生じた一般式(2)もしくは(5)のアミンのアンモニウム塩の主要割合が固体としてより多く分離される必要がないという利点を提供し、これは、工業的規模で特に結晶化し難いアンモニウム塩(例えば前記アニリンのアンモニウム塩)の場合、たいてい費用がかかり、かつ高価である。そのうえ、多くのいわゆる多目的設備は、そのような多量の固体の分離のための十分に性能のよい設備構成要素(例えば遠心機)を有しない。前記塩交換によって、目下、単純に2つの液相が互いに分離されることができる。そのうえ、追加的に使用されうる溶剤での、そのろ過ケークの洗浄工程が不要になる。同時に、最適化される過剰量の一般式(2)及び(5)によるアミンの使用により、副生物の形成が有意に減少されることができる。そのうえ、本発明による方法が、工程a)の際に、相応するアンモニウム塩の形成のために消費されることになるしばしば比較的費用集約的な式(2)及び(5)のアミンを、通例、相対的に安価な塩基(B)、例えばエチレンジアミンとの塩交換により、回収し、かつそれによりリサイクルを利用可能にするのに適していることは、注目に値する。
【0058】
前記の式の前記の全ての符号は、それらの意味をそれぞれ互いに独立して有する。全ての式中でケイ素原子は四価である。
【0059】
以下の例において、それぞれ他に記載されない限り、全ての量及びパーセントの記載は質量に基づいており、全ての圧力は0.10MPa (abs)である。
【実施例】
【0060】
例1
4−(トリエトキシシリルメチル)−テトラヒドロ−1,4−オキサジンの製造
還流冷却器、KPG撹拌機、温度計を備えた500ml四つ口フラスコ中で、無水モルホリン(pKb 5.67)82gを120℃に加熱し、撹拌しながら180minかけてクロロメチル−トリエトキシシラン80gと混合した。添加が終了した後に、温度を105℃に下げ、撹拌しながら10minかけてエチレンジアミン(pKb 4.07)56.6gを混合物に添加し、その際に相分離が生じた。同じ温度で30min後撹拌し、その後でより重いエチレンジアミン塩酸塩相を分離した。上相を分別蒸留した。4−(トリエトキシシリルメチル)−テトラヒドロ−1,4−オキサジン68g(収率68%)が得られ、その純度は、ガスクロマトグラフィーを用いて98.4%と決定された。
【0061】
例2
4−(トリエトキシシリルメチル)−テトラヒドロ−1,4−オキサジンの製造
還流冷却器、KPG撹拌機、温度計を備えた500ml四つ口フラスコ中で、無水モルホリン(pKb 5.67)82gを120℃に加熱し、180minかけて撹拌しながらクロロメチル−トリエトキシシラン80gと混合した。添加が終了した後に、温度を105℃に下げ、撹拌しながら10minかけてエチレンジアミン(pKb 4.07)226.6gを混合物に添加し、その際に相分離が生じた。同じ温度で30min後撹拌し、その後でより重いエチレンジアミン塩酸塩相を分離した。上相を、蒸留塔を用いずに分別蒸留した。89.7%の純度を有するモルホリン37g(45%回収)及び4−(トリエトキシシリルメチル)−テトラヒドロ−1,4−オキサジン73.5g(収率74.2%)が得られ、その純度は97.3%と決定された。
【0062】
例3
塩交換の際に遊離されたアミンのリサイクル
例2に相応する手順の際に、前記塩交換の際にモルホリンが遊離され、これは最終的な分別蒸留の際に幾つかの留分として分離されることができる。その際に得られたモルホリン留分は、ガスクロマトグラフィー分析によれば、エチレンジアミン0.9%及びケイ酸テトラエチル0.45%を含有する。エチレンジアミン含量を基準として、前記モルホリンに、メチルエチルケトン4モル当量及び追加のケイ酸テトラエチル1モル当量を添加する。改めて蒸留した後に、98.9%の純度及び0.06%のエチレンジアミン含量を有するモルホリンが得られる。
【0063】
例4
N−フェニルアミノメチルトリエトキシシランの製造
還流冷却器、KPG撹拌機、温度計を備えた500ml四つ口フラスコ中で、無水アニリン(pKb 9.4)65.7gを120℃に加熱し、撹拌しながら180minかけてクロロメチル−トリエトキシシラン60gと混合し、60min後撹拌した。その後に、温度を105℃に下げ、撹拌しながら10minかけてエチレンジアミン(pKb 4.07)42.4gを混合物に添加し、その際に相分離が生じた。同じ温度で30minさらに撹拌し、その際に70℃に冷却し、その後でより重いエチレンジアミン塩酸塩相を分離した。上相を、蒸留塔を用いずに分別蒸留した。84.8%の純度を有するアニリン18.3g、97.8%の純度(45%回収)を有するアニリン14.4g及びN−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン47.8g(収率62.9%)が得られ、その純度は88.9%と決定された。生成物の塩化物値は88ppmであった。
【0064】
例5
N−フェニルアミノメチルトリエトキシシランの製造
還流冷却器、KPG撹拌機、温度計を備えた1,000ml四つ口フラスコ中で、無水アニリン(pKb 9.4)602gを120℃に加熱し、撹拌しながら180minかけて(クロロメチル)トリエトキシシラン200gと混合し、60min後撹拌した。その後に、温度を105℃に下げ、撹拌しながら10minかけてエチレンジアミン(pKb 4.07)109gを混合物に添加し、その際に相分離が生じた。同じ温度で30minさらに撹拌し、その際に70℃に冷却し、その後でより重いエチレンジアミン塩酸塩相を分離した。上相を、Lupasol G20無水(BASF AG) 27gと混合し、かつ例4に記載されたように蒸留する。94.9%の純度を有するN−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン(収率73.2%)200gが得られる。塩化物値は8ppmであった。
【0065】
例6:
N−フェニルアミノメチルトリメトキシシランの製造
底部弁、KPG撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を備えた4L四つ口フラスコ中に、保護ガス(アルゴン)下にアニリン(pKb 9.4)2179.3gを装入し、撹拌しながら約120℃に加熱した。引き続き、約1.5hかけて、クロロメチル−トリメトキシシラン800.38gを計量供給し、その際に白色固体が沈殿した。その際に、温度を120〜130℃で保持した。同じ温度で2時間後撹拌した後に、反応混合物を約90℃に冷却し、エチレンジアミン(pKb 4.07)337.52gを30〜45minかけて計量供給した。弱い発熱反応の過程で固体が溶解し、かつ乳化された二相系が形成され、この系をさらに15min、90℃で後撹拌する。
【0066】
撹拌を止めた後に、前記相は、約1min以内に完全に分離した。その後で、下の塩相(エチレンジアミン塩酸塩)を90℃で底部弁を経て排出した。
【0067】
残留している溶液から、前記アニリンを20mbarの圧力で30cmのビグリューカラム(Vigreux-Kolonne)により2つの留分へ留去し、その際に塔底に新たに白色固体が沈殿した。再びエチレンジアミン31.8gを滴加し、その際に新たに液体の塩相が形成され、これを液体の状態で分離した。
【0068】
粗生成物をLupasol G20無水(BASF AG)11.13gと混合した。引き続き、前記生成物を1mbarで30cmビグリューカラムにより精密蒸留し、その際に97.6%の純度を有するN−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン765.5g(収率71.8%)が得られた。生成物中の塩化物含量は11ppmであった。
【0069】
例7:
N−フェニルアミノメチルトリメトキシシランの製造
底部弁、KPG撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を備えた4L四つ口フラスコ中に、保護ガス(アルゴン)下にアニリン(pKb 9.4)2179.3gを装入し、撹拌しながら約120℃に加熱した。引き続き、約1.5hかけて、クロロメチル−トリメトキシシラン800.38gを計量供給し、その際に白色固体が沈殿した。その際に、前記温度を120〜130℃で保持した。同じ温度で2時間後撹拌した後に、反応混合物を約110℃に冷却した。この温度及び20mbarの圧力で、アニリン1140gを留去した。この懸濁液は、その際に十分撹拌可能なままであった。留去されたアニリンの純度は約98%であり、これは、さらに精製せずに別の合成サイクルにおいて使用されることができる。引き続き、キシレン(工業用混合物)580gを添加する。この懸濁液をその際、約80℃の温度に冷却する。引き続き、エチレンジアミン(pKb 4.07)337.52gを15minかけて計量供給した。弱い発熱反応(反応混合物の約100℃への加熱)の過程で、固体は溶解し、乳化された二相系が形成され、この系をさらに15min、90℃で後撹拌する。
【0070】
撹拌を止めた後に、前記相は、約1min以内に完全に分離した。その後で、下の塩相(エチレンジアミン塩酸塩)を90℃で底部弁を経て排出した。
【0071】
残留している溶液から、前記キシレンを、約30mbarの圧力で30cmビグリューカラムにより留去した。生じたキシレン留分(約600g)は、キシレン(約82%)に加えて、さらにアニリン(約10%)及びエチレンジアミン残留物(約4%)も含有していた。このキシレンは、前記不純物にも拘わらず、さらに後処理せずにその後の合成サイクルの際に再び使用されることができる。
【0072】
引き続き、前記アニリンを20mbarの圧力で30cmビグリューカラムにより2つの留分へ留去した。その際に、純度>98%を有するアニリン約380gが得られ、これはエチレンジアミン0.1%未満を含有し、かつ最初のアニリン留分と同じように、さらに後処理せずに、別の合成サイクルにおいて使用されることができる。
【0073】
得られた粗生成物をLupasol G20無水(BASF AG)11.13gと混合した。引き続き、前記生成物を、1mbarで30cmビグリューカラムにより精密蒸留し、その際に97.5%の純度を有するN−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン(収率77.8%)830gが得られた。生成物中の塩化物含量は14ppmであった。
【0074】
例7
N−((3−アミノプロピル)−ジメチルシリル)−2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタンの製造
N−((3−アミノプロピル)−ジメチルシリル)−2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタンの化学合成 − すなわち本発明による方法の工程a) − を、オートクレーブ中で独国特許(DE)第100 49 183号明細書の例1、段落[0020]に記載されたように実施し、その際に出発物質として使用される3−クロロプロピル−ジメチルクロロシランはアンモニア(pKb4.77)と大体において定量的に反応して、所望の生成物に変換された。上述の段落に記載された方法との唯一の差異は、N−((3−アミノプロピル)−ジメチルシリル)−2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン及びアンモニウム塩酸塩の得られる懸濁液が、ペンタンではなくてn−ヘプタンで吸収されたことにあった。
【0075】
さらに後処理するために、複数のオートクレーブ−バッチからの懸濁液を合一した。合一された懸濁液は、生成物約362.5g(1.575mol)、塩化アンモニウム337.85g(6.316mol)及びn−ヘプタン1812.5gを含有していた。これを90℃に加熱した。この温度で、エチレンジアミン(pKb 4.07)378.45g(6.2970mol)を計量供給した。その際、数分後に乳化された二相系が形成され、この系をさらに1h、90℃で後撹拌した。
【0076】
撹拌を止めた後に、前記相は、約10min以内に完全に分離した。その後で、より重いエチレンジアミン塩酸塩相を分離した。上の有機相を、短い蒸留連結管を備えた装置へ移し、かつ溶剤であるn−ヘプタンを常圧で蒸留により除去した。引き続き、粗生成物を、30cmビグリューカラムにより真空中で精密蒸留した。純度>95%を有するN−((3−アミノプロピル)−ジメチルシリル)−2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン275gが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
R′3-n1nSi−R2−NR34 (1)
で示されるアミノオルガニル−トリオルガニルシランを、
一般式(2)
H−NR34 (2)
で示される環状又は非環状のアミンと一般式(3)
R′3-n1nSi−R2−X (3)
で示される(ハロゲンオルガニル)シランとの反応によって、
製造する方法において、
ここで
R′は、それぞれ炭素原子1〜10個を有するアシルオキシ基又はアルコキシ基を表し、
1は、炭素原子1〜10個を有する炭化水素基を表し、
2は、炭素原子1〜10個を有する二価の炭化水素基を表し、
3、R4は、互いに独立して、水素を表すか又は炭素原子1〜10個を有する炭化水素基を表し、ここでR3、R4は互いに結合されていてもよく、かつその生じた環はさらに別のヘテロ原子、NH基又はNR2a基も有していてよく、
2aは、炭素原子1〜10個を有する二価の炭化水素基を表し、
nは、0、1、2又は3の数であり、かつ
Xは、塩素、臭素又はヨウ素を表し、
その際に、前記反応は、次の工程:
a)一般式(3)の(ハロゲンオルガニル)シラン及び一般式(2)のアミンを0〜250℃の温度で反応させる工程、その際に、一般式(1)のシランに加えて副生物として一般式(2)のアミンのアンモニウムハロゲン化物が形成され、
b)塩基(B)を添加する工程、その際に完全に又は部分的に塩交換され、前記塩交換の際に一般式(2)のアミンが再び遊離され、かつ塩基(B)のハロゲン化物が形成され、ここで塩基(B)のハロゲン化物が高くとも200℃の温度で液体であり、かつ
c)塩基(B)の形成された液状のハロゲン化物を分離する工程
を含むことを特徴とする、アミノオルガニル−トリオルガニルシランの製造方法。
【請求項2】
基R3又はR4の最大1個が水素である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
一般式(4)
【化1】

で示される環状アミノシランを、
一般式(5)
2NR7 (5)
で示されるアミンと一般式(6)
(R2)Y1Si−R5−Y2 (6)
で示される(ハロゲンオルガニル)シランとの反応によって、
製造する方法において、
ここで
5は、炭素原子1〜10個を有する二価の炭化水素基を表し、ここで前記炭化水素鎖は、カルボニル基、カルボキシル基、酸素原子、NH又はNR8基によって中断されていてよく、
6は、水素を表すか、又は非置換又はハロゲン原子、OH基及び基−NH2、−NHR8、NR82で置換された炭素原子1〜10個を有する炭化水素基を表し、
7は、水素を表すか、又は非置換又はハロゲン原子、OH基及び基−NH2、−NHR8、NR82で置換された炭素原子1〜10個を有する炭化水素基を表し、
Rは、それぞれ炭素原子1〜10個を有する炭化水素基、アシルオキシ基又はアルコキシ基を表し、
8は、炭素原子1〜10個を有する炭化水素基を表し、かつ
1及びY2は、塩素、臭素又はヨウ素を表し、
その際に、前記反応は、次の工程:
a)一般式(6)の(ハロゲンオルガニル)シラン及び一般式(5)のアミンを0〜300℃の温度で反応させる工程、その際に一般式(5)のアミンを1.1〜1000倍の過剰量で使用し、かつ一般式(4)のシランに加えて副生物として一般式(5)のアミンのアンモニウムハロゲン化物が形成され、
b)塩基(B)を添加する工程、その際に完全に又は部分的に塩交換され、前記塩交換の際に一般式(5)のアミンが再び遊離され、かつ塩基(B)のハロゲン化物が形成され、ここで塩基(B)のハロゲン化物が高くとも200℃の温度で液体であり、かつ
c)塩基(B)の形成された液状のハロゲン化物を分離する工程
を含むことを特徴とする、環状アミノシランの製造方法。
【請求項4】
X、Y1及びY2が塩素を意味する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
処理工程b)の際に既に<150℃の温度で液体を形成するハロゲン化水素酸塩を形成する塩基(B)を使用する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
塩基(B)として、エチレンジアミン単位又はプロピレンジアミン単位1〜20個を有するオリゴアミン(O)を使用する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
エチレンジアミンを塩基(B)として使用する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2010−535732(P2010−535732A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519426(P2010−519426)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059877
【国際公開番号】WO2009/019161
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】