説明

アミノキノリン誘導体およびアデノシンA3リガンドとしてのそれらの使用

一般式(I)の化合物、ならびにこれらの塩、溶媒和物、異性体(互変異性体、デスモトロープ、光学活性異性体)、ならびにその塩および溶媒和物は、強力なアデノシンA受容体リガンド、好ましくはアンタゴニストである。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)のアデノシンA受容体リガンド(好ましくは、アンタゴニストの範囲に入るもの)ならびにこれらの塩、溶媒和物および異性体(互変異性体、デスモトロープ、光学活性異性体)、これらを含有する薬剤組成物、一般式(I)の化合物ならびにこれらの塩、溶媒和物および異性体の使用、一般式(I)の化合物ならびにこれらの塩、溶媒和物および異性体の調製、一般式(II”)、(III”)、(IV”)、(V”)、(VI”)、(VII”)、(VIII”)および(XIII”)の部分的に新規な中間体ならびにこれらの調製に関する。
【背景技術】
【0002】
アデノシンは、いくつかの内在性分子(ATP、NAD、核酸)のよく知られている成分である。これは多くの生理プロセスにおいて重要な調節的役割を果たす。心機能に対するアデノシンの効果は1929年にすでに記載されている(DruryおよびSzentgyorgyi、Physiol.68:213、1929)。アデノシンによって媒介される生理機能の確認された数の増加、および新しいアデノシン受容体サブタイプの発見により、特異的リガンドの治療への利用の可能性がもたらされた(Poulse、S.A.およびQuinn、R.J.Bioorganic and Medicinal Chemistry 6:619、1998)。
【0003】
現在までのところ、アデノシンの受容体は3つのメインクラス、A、AおよびAに分類されている。Aサブタイプは、一部は、G膜タンパク質に結合することにより、アデニル酸シクラーゼを阻害する原因であり、他の第2メッセンジャーシステムに部分的に影響を及ぼす。A受容体サブタイプは、2つのさらなるサブタイプ、A2aおよびA2bに細分することができ、これらはアデニル酸シクラーゼの活性を刺激する。アデノシンA受容体の配列は、先ずラット精巣cDNAライブラリから特定された。その後、これは新規な機能性アデノシン受容体に相当するものであることが証明された。A受容体の活性化はまた、いくつかの第2メッセンジャーシステム、すなわち、アデニル酸シクラーゼの抑制、ホスホリパーゼCおよびDの刺激と関連づけられる。
【0004】
アデノシン受容体は、いくつかの器官内に見出され、これらの機能を調節している。AおよびA2a受容体は共に、中枢神経系および心血管系において重要な役割を果たしている。CNSにおいて、アデノシンは、A受容体によってその作用が媒介されるシナプス伝達物質の放出を抑制する。心臓において、A受容体はまた、アデノシンの陰性変力作用、変時性作用および変伝導作用を媒介している。アデノシンA2a受容体は、線条体中に比較的高量見出され、シナプス伝達の調節においてドーパミン受容体と機能的相互作用を示す。内皮および平滑筋細胞上のA2aアデノシン受容体は、アデノシン誘発性血管拡張の原因である。
【0005】
RNAの同定に基づくと、A2bアデノシン受容体は様々な組織に広範に分布している。これらは、ほとんどすべての細胞タイプで確認されているが、その発現は、腸および膀胱で最も高い。このサブタイプは、おそらくは、血管緊張の調節において重要な調節機能も有し、肥満細胞の機能においてもある役割を果たしている。
【0006】
組織分布がタンパク質レベルで検出されたAおよびA2a受容体に対して、A2bおよびA受容体は、mRNAレベルに基づいて検出された。Aアデノシン受容体の発現レベルは、他のサブタイプに比較してかなり低く、高い種依存性がある。Aアデノシン受容体は主として、中枢神経系、精巣、免疫系において発現され、即時型過敏症反応における肥満細胞からのメディエーター遊離の調節に関与しているように見える。
【0007】
治療上の使用では、この分子が、A、A2a、およびA2bサブタイプのアデノシン受容体に結合しないか、または非常に高濃度の場合にのみ結合することを保証することが必須である。
【0008】
本発明者らの本発明は、アデノシン受容体のAサブタイプに対して高い選択性を有する一般式(I)の化合物、ならびにこれらの塩、溶媒和物および異性体に関する。
【0009】
これまでに文献中に発表されたAアンタゴニストは、フラボノイド、1,4−ジヒドロピリジン誘導体、トリアゾロキナゾリン、チアゾロナフチリジンおよびチアゾロピリミジンの群に属する。しかし、最も効果的で、アデノシンサブタイプに対して選択的なアンタゴニストは、強い親油性を有し、したがってこれらは水に少ししか溶けない。この特徴がこの化合物のインビボにおける実用性を妨げている。文献には、水溶性アデノシンA3受容体アンタゴニストの調製を狙ったますます多くの研究が見出される(Ch.E.Mullerら、J.Med.Chem.45:3440、2002;A.Maconiら、J.Med.Chem.45:3579、2002)。
【0010】
特許出願WO02/096879には、構造的に新規なタイプの効果的なAアンタゴニストとして、2−アミノ−3−シアノキノリン誘導体が開示されている。特許出願WO02/096879に記載の式(1)の化合物は、高選択性を有するAアンタゴニストである。
【0011】
一般式(1)において、
1’は、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;
2’は、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;
3’は、水素原子、または1つまたは複数の直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、(直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子で場合により置換された)直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、フェニル、チエニルまたはフリル基を表し;1つまたは複数の直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子で場合により置換された、1個、2個または3個の窒素原子、または1個の窒素原子および1個の酸素原子、または1個の窒素原子および1個のイオウ原子を含む6または5員の複素芳香環を表し;
9’、R10’、R11’、およびR12’は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基、ヒドロキシ基またはハロゲン原子を表し、またはR9’およびR12’は、水素原子を表し、およびR10’およびR11’は、相互にメチレンジオキシ基を形成し;
6’は、水素原子またはシアノ基、アミノカルボニル基、C1〜4アルコキシカルボニル基、あるいはカルボキシ基を表し;
7’は、水素原子、またはメチレンジオキシ基で、または1つもしくは複数の直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基またはハロゲン原子で場合により置換された、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、フェニル、ベンジル、チエニル、またはフリル基を表し;または1つまたは複数の直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子で場合により置換された、1個、2個もしくは3個の窒素原子、または1個の窒素原子および1個の酸素原子、または1個の窒素原子および1個のイオウ原子を含む6または5員の複素芳香環を表し;
X’は、−CH−基、−NH−基、−NR8’−基、イオウ原子、酸素原子、スルホ基またはスルホキシ基を表し、ここでR8’は、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表し;
n’は、0、1または2を表す。
【0012】
これらの化合物もまた、これらを薬物として開発することを妨げる、少ししか溶けないという特性上の欠点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者らの目的は、A受容体に対して、強い拮抗作用および高い選択性を及ぼす、すなわち、これらは、A、A2a、およびA2b受容体をこれらが抑制するものよりもさらに低い濃度でA受容体を抑制する、好ましくはアンタゴニストの範囲に入る、キノリン構造を有するAリガンドを調製することであった。さらなる目的は、これらの新規の化合物を薬物として開発することを可能にする、安定性、バイオアベイラビリティ、治療指数、毒性および溶解度データを得ること、ならびにこの新規の化合物は、有利な腸内吸収を持ち、経口投与できることであった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、一般式(I)
[式中、
は、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;
は、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;
は、水素原子、または1つまたは複数の直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子で場合により置換された、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、フェニル、チエニル、またはフリル基を表し;1つまたは複数の直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子で場合により置換された、1個、2個または3個の窒素原子を含む6または5員の複素芳香環、または1個の窒素原子および1個の酸素原子、または1個の窒素原子および1個のイオウ原子を含む5員複素芳香環を表し;
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、C3〜6シクロアルキル基、または[アミノ基を、または1つまたは2つの直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または(直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基で置換された)アルコキシ基で置換されたアミノ基を場合により含む]直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;または
は、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、および、
は、水素原子、−SOOH基または直鎖もしくは分枝のC1〜4アシル基を表し、または
およびRは、窒素原子と共に一般式a.)の基を形成し、ここでRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表し;
は、水素原子、またはメチレンジオキシ基で、または1つまたは複数の直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基またはハロゲン原子で場合により置換された、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、フェニル、ベンジル、チエニル、またはフリル基を表し;または1つまたは複数の直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子で場合により置換された、1個、2個または3個の窒素原子、または1個の窒素原子および1個の酸素原子、または1個の窒素原子および1個のイオウ原子を含む6または5員の複素芳香環を表し;
Xは、−CH−基、−NH−基、−NR−基、イオウ原子、酸素原子、スルホ基またはスルホキシ基を表し、ここでRは、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表し;
Zは、酸素原子イオウ原子、−CHR10−基または−NR11−基を表し、ここでR10は、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、またはC3〜6シクロアルキル基を表し、R11は、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、−SOOH基または直鎖もしくは分枝のC1〜4アシル基を表し;
nは、0、1または2を表し;
mは、1、2、または3を表し;
oは、1、2、または3を表し;
pは、0または1を表し;
rは、0または1を表す。]の化合物
ならびにこれらの塩、溶媒和物、異性体(互変異性体、デスモトロープ、光学活性異性体)、加えてこれらの塩および溶媒和物は、上記基準を満たしており、これらの溶解度データは、知られている2−アミノ−3−シアノキノリンのものよりはるかに良好であり、さらに、これらは非常に活性であることを見出した。
【0015】
液相NMRの研究により明らかにされたように、一般式(I)の化合物は、溶液中では互変異性形態(IA)および(IB)の平衡状態の混合物である。固相では、互変異性体(IA)および(IB)は、デスモトロープ(IA)および(IB)として別々に単離することができる。
【0016】
上記の知見によれば、本発明はさらにデスモトロープ異性体(IA)および(IB)に関する。一般式(IA)および(IB)における置換基の意味は、一般式(I)に対して定義された通りである。
【0017】
一般式(I)の化合物は、例えば、置換基R、RおよびRのセットの意味に応じてキラル中心を有し得る。したがって、本発明はまた、一般式(I)の化合物およびこれらの塩、互変異性体およびデスモトロープのラセミおよび光学活性形態に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
上記置換基の詳細な意味は以下の通りである。
【0019】
直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基とは、本発明者らは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル基、好ましくはエチルまたはメチル基を意味する。
【0020】
直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基とは、本発明者らは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、好ましくはエトキシまたはメトキシ基を意味する。
【0021】
3〜6シクロアルキル基とは、本発明者らは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基を意味する。
【0022】
直鎖もしくは分枝のC1〜4アシル基とは、本発明者らは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、2−メチル−プロピオニル、またはブチリル基を意味する。
【0023】
1個、2個または3個の窒素原子を含む複素芳香環とは、本発明者らは、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジンまたは1,2,4−トリアジン環を意味する。この環はC1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子で場合により置換されていてもよい。
【0024】
1個の窒素原子と、1個の酸素原子または1個のイオウ原子を含む複素芳香環とは、本発明者らは、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾールまたはイソチアゾール環を意味する。この環は、C1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子で場合により置換されていてもよい。
【0025】
a.)基は、好ましくは、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、4−メチルピペラジノ、4−ホルミルピペラジノ、4−スルホニルピペラジノまたはモルホリノ基を表す。
【0026】
一般式(I)の化合物の塩とは、本発明者らは、無機または有機の酸および塩基により形成された塩を意味する。好ましい塩は、例えば塩酸、硫酸、エタンスルホン酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸のような、薬剤として許容される酸、および、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびエタノールアミンのような、薬剤として許容される塩基により得られる。例えば、メタンスルホネート塩またはテトラフルオロボレート塩のような、精製または単離のために使用される塩も本発明の対象である。
【0027】
溶媒和物とは、本発明者らは、例えば水またはエタノールのような、種々の溶媒により得られた溶媒和物を意味する。
【0028】
一般式(I)の化合物の好ましい群は、
が、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;
が、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;
が、水素原子、または1つまたは複数の直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基、またはハロゲン原子で場合により置換された、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、フェニル、チエニル、またはフリル基を表し;
およびRが、それぞれ独立に、水素原子、C3〜6シクロアルキル基、または[アミノ基を、または1つまたは2つの直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または(直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基で置換された)アルコキシ基で置換されたアミノ基を場合により含む]直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;または
が、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、および、
が、水素原子、−SOOH基または直鎖もしくは分枝のC1〜4アシル基を表し、または
およびRが、窒素原子と一緒になって、一般式a.)の基を形成し、ここでRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表し;
が、水素原子、またはメチレンジオキシ基で、または1つまたは複数の直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基またはハロゲン原子で場合により置換された、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、フェニル、ベンジル、チエニル、またはフリル基を表し;または1つまたは複数の直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子で場合により置換された、1個、2個または3個の窒素原子、または1個の窒素原子および1個の酸素原子、または1個の窒素原子および1個のイオウ原子を含む6または5員の複素芳香環を表し;
Xが、−CH−基、−NH−基、−NR−基、イオウ原子、酸素原子、スルホ基またはスルホキシ基を表し、ここでRは、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表し;
Zが、酸素原子、イオウ原子、−CHR10−基または−NR11−基を表し、ここでR10は、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、またはC3〜6シクロアルキル基を表し、R11は、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、−SOOH基またはホルミル基を表し;
nが、0、1または2を表し;
mが、1、2、または3を表し;
oが、1、2、または3を表し;
pが、0または1を表し;
rが、0または1を表すもの、
ならびにこれらの塩、溶媒和物、異性体(互変異性体、デスモトロープ、光学活性異性体)、加えてこれらの塩および溶媒和物である。
【0029】
一般式(I)の化合物の特に好ましい群は、
が、水素原子またはメチル基を表し;
が、水素原子またはメチル基を表し;
が、フェニル、チエニル、またはフリル基を表し;
およびRが、それぞれ独立に、水素原子、C3〜6シクロアルキル基、または[アミノ基を、または1つまたは2つの直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または(直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基で置換された)アルコキシ基で置換されたアミノ基を場合により含む]直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;または
が、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、および、
が、水素原子、−SOOH基または直鎖もしくは分枝のC1〜4アシル基を表し、または
およびRが、窒素原子と一緒になって一般式a.)の基を形成し、ここでRおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表し;
が、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、3−メトキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル基、4−フルオロフェニル、2−チエニルまたは2−フリル基を表し;
Xが、−NH−基、または酸素原子を表し;
Zが、酸素原子、イオウ原子、−CH−基、−NH−基または−NR11−基を表し、ここでR11は、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、−SOOH基またはホルミル基を表し;
nが1を表し;
mが2を表し;
oが2を表し;
pが0を表し;
rが0を表すもの、
ならびにこれらの塩、溶媒和物、異性体(互変異性体、デスモトロープ、光学活性異性体)、加えてこれらの塩および溶媒和物である。
【0030】
上記基準を満たす、以下の化合物、
4−メトキシ−N−[6−(モルホリン−4−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル]−ベンズアミド
4−メトキシ−N−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル]ベンズアミド
4−メトキシ−N−(6−ジメチルアミノ−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
3,4−メチレンジオキシ−N−(6−ジメチルアミノ−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
4−フルオロ−N−(6−ジメチルアミノ−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
4−メトキシ−N−(6−(ピペラジン−1−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
4−メトキシ−N−(6−アミノ−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
N−[4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−6−(4−ホルミルピペラジン−1−イル)キノリン−2−イル]−4−メトキシベンズアミド
4−{4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−2−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]キノリン−6−イル}ピペラジン−1−スルホン酸
N−{3−シアノ−6−(ホルミルアミノ)−4−[(2−チエニルメチル)アミノ]キノリン−2−イル}−4−メトキシベンズアミド
N−{3−シアノ−6−(ホルミルアミノ)−4−[(2−チエニルメチル)アミノ]キノリン−2−イル}−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボキサミド
N−[4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−6−(ホルミルアミノ)キノリン−2−イル]−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボキサミド
N−[4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−6−(ホルミルアミノ)キノリン−2−イル]−4−メトキシベンズアミド
N−{4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−6−[ホルミル(メチル)アミノ]キノリン−2−イル}−4−メトキシベンズアミド
N−{3−シアノ−6−[ホルミル(メチル)アミノ]−4−[(2−チエニルメチル)アミノ]キノリン−2−イル}−4−メトキシベンズアミド
{3−シアノ−2−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]−4−[(2−チエニルメチル)アミノ]キノリン−6−イル}メチルスルファミン酸
{4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−2−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]キノリン−6−イル}メチルスルファミン酸
{4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−2−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]キノリン−6−イル}スルファミン酸
[2−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]−4−(ベンジルアミノ)−3−シアノキノリン−6−イル]スルファミン酸
{2−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]−3−シアノ−4−[(2−チエニルメチル)アミノ]キノリン−6−イル}スルファミン酸
{3−シアノ−2−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]−4−[(2−チエニルメチル)アミノ]キノリン−6−イル}スルファミン酸
ならびにこれらの塩、溶媒和物、異性体(互変異性体、デスモトロープ)、加えてこれらの塩および溶媒和物は特に好ましい。
【0031】
本発明による一般式(I)の化合物、ならびにこれらの塩、溶媒和物、および異性体(互変異性体、デスモトロープ、光学活性異性体)、加えてこれらの塩、溶媒和物は、適当な溶解度を示し、したがって、これらは薬剤組成物の活性物質として有利に使用することができる。
【0032】
特許出願WO02/096879の式(1)の化合物に対する水中および水性緩衝液(pH=6.5および7.5)中の溶解度値は、1mg/L未満であるが、本発明の一般式(I)の化合物に対する溶解度値は、1〜200mg/Lの間にある。
【0033】
本発明はまた、好ましくは経口組成物である、活性成分として、一般式(I)の化合物ならびにこれらの異性体(互変異性体、デスモトロープ、光学活性異性体)、塩および溶媒和物を含有する薬剤組成物に関し、吸入可能、非経口および経皮製剤も本発明の対象である。上記薬剤組成物は、錠剤、粒剤、カプセル剤、パッチ剤、液剤、懸濁剤またはエマルジョン剤などの固体または液体でもよい。固体組成物は、とりわけ錠剤およびカプセル剤が好ましい。
【0034】
上記薬剤組成物は、通常の薬剤助剤を加え、標準的な方法を用いることにより調製される。
【0035】
一般式(I)の化合物は、疾患の発症においてA受容体が役割を果たす病状の治療に使用することができる。
【0036】
受容体に選択的活性を有する本発明の化合物は、心臓、腎臓、呼吸器系、中枢神経系の機能障害の治療的および/または予防的治療に使用することができる。これらは、腫瘍細胞の増殖おけるアデノシンの保護作用を抑制し、肥満細胞の脱顆粒を防止し、サイトカイン産生を抑制し、眼内圧を低下させ、TNFα放出を抑制し、好酸球、好中球およびその他の免疫細胞の遊走を抑制し、気管支収縮および血漿の管外遊出を抑制する。
【0037】
これらの作用に基づいて、本発明のアデノシンA受容体アンタゴニストは、抗炎症薬、抗ぜん息薬、抗虚血薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、腎保護薬、抗腫瘍薬、抗パーキンソン病薬および向知性薬として治療上有用であり得る。これらはまた、心筋再潅流障害、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および(慢性気管支炎、肺気腫または呼吸困難を含めた)成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、アレルギー性反応(例えば鼻炎、ウルシ誘発反応、じんま疹、強皮症、関節炎)その他の自己免疫疾患、炎症性腸疾患、アジソン病、クローン病;乾癬、リウマチ、高血圧症、神経機能障害、緑内障および糖尿病の治療または予防において有用であり得る(K.N.Klotz、Naunyn−Schmiedberg’s Arch.Pharmacol.362:382、2000;P.G.Baraldi es P.A.Borea、TiPS 21:456、2000)。
【0038】
本発明の化合物は、好ましくは、喘息、COPDおよびARDS、緑内障、腫瘍、アレルギー性および炎症性疾患、虚血、低酸素症、不整脈および腎疾患などの疾患を治療する薬剤組成物を製造するために使用される。
【0039】
本発明はさらに、上記の病状の治療における一般式(I)の化合物の使用に関する。推奨される1日当たりの用量は、疾患の種類および重症度および患者の性、体重等に応じて活性成分0.1〜1000mgである。
【0040】
本発明のさらなる対象は、一般式(I)の化合物の調製である。
【0041】
一般式(I”)、(II”)、(III”)、(IV”)、(V”)、(VI”)、(VII”)、(VIII”)、(IX”)、(X”)、(XI”)、(XII”)、(XIII”)および(XIV”)の中間体および試薬の式中における置換基は、以下の意味を有する。
1”は、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;
2”は、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;
3”は、水素原子、または1つまたは複数の直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子で場合により置換された、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、フェニル、チエニル、またはフリル基を表し;1つまたは複数の直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子で場合により置換された、1個、2個または3個の窒素原子を含む6または5員の複素芳香環、または1個の窒素原子および1個の酸素原子、または1個の窒素原子および1個のイオウ原子を含む5員複素芳香環を表し;
4”およびR5”は、それぞれ独立に、水素原子、C3〜6シクロアルキル基、または[アミノ基を、または1つもしくは2つの直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または(直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基で置換された)アルコキシ基で置換されたアミノ基を場合により含む]直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、または保護基を表し;または
4”は、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、および、
5”は、水素原子、−SOOH基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アシル基または保護基を表し、または
4”およびR5”は、窒素原子と一緒になって、ニトロ基または一般式a.)の基を形成し、ここでR7”およびR8”は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表し;
6”は、水素原子、またはメチレンジオキシ基で、または1つまたは複数の直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基またはハロゲン原子で場合により置換された、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、フェニル、ベンジル、チエニル、またはフリル基を表し、またはあるいは1つまたは複数の直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子で場合により置換された、1個、2個または3個の窒素原子、または1個の窒素原子および1個の酸素原子、または1個の窒素原子および1個のイオウ原子を含む6または5員の複素芳香環を表し;
X”は、−CH−基、−NH−基、−NR9”−基、イオウ原子、酸素原子、スルホ基またはスルホキシ基を表し、ここでR9”は、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表し;
Z”は、酸素原子イオウ原子、−CHR10”−基または−NR11”−基を表し、ここでR10”は、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表し、R11”は、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、−SOOH基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アシル基または保護基を表し;
12”は、直鎖もしくは分枝のC1〜3アルキル基を表し;
Y”は、リビング基を表し;
n”は、0、1または2を表し;
m”は、1、2、または3を表し;
o”は、1、2、または3を表し;
p”は、0または1を表し;
r”は、0または1を表す。
【0042】
本発明のさらなる対象は、一般式(I)の化合物ならびに一般式(I”)、(II”)、(III”)、(IV”)、(V”)、(VI”)、(VII”)、(VIII”)、および(XIII”)の部分的に新規の中間体の調製である。
【0043】
本発明による方法では、
v.)一般式(II”)のビス−カルボキサミドを、選択的に加水分解し、所望により保護基を除去する、または
v/i.)一般式(I)(式中、Rは、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、および、Rは直鎖もしくは分枝のC1〜4アシル基を表し、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、Zが−NR11基を表し、R11が直鎖もしくは分枝のC1〜4アシル基を表す一般式a.)の基を形成し、R、R、R、R、R、R、R、X、n、m、o、pおよびrは上記で定義した通りである。)の化合物を調製するために、
が、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、および、Rが水素原子表し、またはRおよびRが、窒素原子と一緒になって、Zが−NH基を表す一般式a.)の基を形成し、R、R、R、R、R、R、R、X、n、m、o、pおよびrが上記で定義した通りである一般式(I)の化合物を、
12”およびY”は上記で定義した通りである一般式R12”COY”の化合物によりアシル化する、または、
v/ii.)一般式(I)(式中、Rは、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、および、Rは−SOOH基を表し、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、Zが−NR11−基を表し、R11が−SOOH基を表す一般式a.)の基を形成し、R、R、R、R、R、R、R、X、n、m、o、pおよびrは上記で定義した通りである。)の化合物を調製するために、
が、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、および、Rが水素原子を表し、またはRおよびRが、窒素原子と一緒になって、Zが−NH−基を表す一般式a.)の基を形成し、R、R、R、R、R、R、R、X、n、m、o、pおよびrが上記で定義した通りである一般式(I)の化合物を、
ピリジン−SO錯体またはClSOHと反応させる、または
v/iii.)一般式(I)(式中、Rは、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、および、Rは−SOOH基を表し、R、R、R、R、R、R、R、X、Z、n、m、o、pおよびrは上記で定義した通りである。)の化合物を調製するために、
、R、R、R、R、X、およびnが上記で定義した通りである一般式(XIII”)の化合物を、
NaまたはNaHSOと反応させ、または還元し、それによって得られた、一般式(XIV”)(R4”は水素原子を表し、R1”、R2”、R3”、R6”、R9”、X”およびn”は上記で定義した通りである。)の化合物を、
所望により、R4”水素原子を直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基に変換した後、ピリジン−SO錯体またはClSOHにより硫酸化する、または
v/iv.)一般式(I)[式中、Rは、水素原子、C3〜6シクロアルキル基、ベンジル基、または(アミノ基を、または1つもしくは2つの直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または(直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基で置換された)アルコキシ基で置換されたアミノ基を場合により含む)直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し、および、Rは水素原子を表し、または
およびRが、窒素原子と一緒になって、一般式a.)(RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表し、Zは−NR11−基を表し、R11は水素原子を表す。)の基を形成する。]の化合物を調製するために、
一般式(I”)[式中、R4”は、水素原子、C3〜6シクロアルキル基、ベンジル基、または(アミノ基を、または1つもしくは2つの直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または(直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基で置換された)アルコキシ基で置換されたアミノ基を場合により含む)直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し、および、R5”は保護基を表し、または
4”およびR5”は、窒素原子と一緒になって、R7”およびR8”が、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表す、一般式a”.)(Zは−NR11”基を表し、R11”は保護基を表す。)の基を形成する。]の化合物の保護基を除去し、
および、所望により、得られた一般式(I)の化合物の置換基を、知られている方法により互いに変換し、および/またはこうして得られた一般式(I)の化合物を、その塩または溶媒和物に変換し、またはその塩または溶媒和物から遊離させ、および、所望により、その光学活性異性体に分割し、および、所望により、所与のデスモトロープを別のデスモトロープの形態に変換する。
【0044】
選択的加水分解のための薬品については、アルコール中、好ましくはメタノール中に溶解されたアルカリ水酸化物、好ましくは水酸化カリウムおよび/または水酸化ナトリウムを使用することができ、アミド加水分解を助ける有機化学で知られている他の薬品も適用することもできる。
【0045】
選択的加水分解は、広い温度範囲、好ましくは20℃と100℃の間の範囲で実施することができる。
【0046】
反応v/i.)は、適切な塩基(例えばトリエチルアミン)を加えて、適当な酸のエステル誘導体を用いて高温で、または活性化された酸誘導体(例えば、酸ハロゲン化物)を用いて室温または高温で実施することができる。
【0047】
反応v/ii.)は、有機強塩基(DBUのような)または無機塩基(KCOのような)を加えて、適切な溶媒(好ましくはピリジン)中のピリジン−SO錯体を用いて、または適切な溶媒(好ましくはピリジンまたはクロロホルム中)中のClSOHを用いて室温または高温で実施することができる。
【0048】
反応v/iii.)は、ニトロ化合物の適切な水性アルカリ性溶液中で、試薬として過剰のNaまたはNaHSOを用いて室温または高温(100°)で実施することができる。
【0049】
反応v/iii.)の変形形態によれば、ニトロ誘導体を任意の知られている方法により還元し、得られたアミノ誘導体を、先ず、知られている還元的アルキル化またはベンジル化条件下でアルキル化またはベンジル化し、こうして得られたアルキルアミノまたはベンジルアミノ誘導体を、II.)に記載のように硫酸化する。
【0050】
保護基は、任意の知られている保護基でよい。保護基の例、ならびに種々の機能性基を保護および脱保護する方法が、「Protective Groups in Organic Synthesis」、Greenら、第2版、John Wiley & Sons,Inc、New York、1991に示されている。好ましい保護基は、Boc、エトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、等、最も好ましくはベンジル基である。
【0051】
一般式(I)の化合物の置換基は、知られている方法により相互に変換することができる(Comprehensive Organic Transformation、R.C.Larock、VCH Publisher、New York、1989)。
【0052】
塩は、塩基のアルコール、好ましくはエタノール溶液に1当量の酸を加え、この溶液をジエチルエーテルで希釈し、最後に、得られた結晶を濾過して分け、乾燥することにより調製することができる。
【0053】
1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”、R8”、X”、Z”、n”、o”、p”、r”およびm”の意味は上記で定義した通りである一般式(II’)の化合物は、いくつかの知られている方法により、中でも反応スキーム1.に例示した方法により、有機化学で知られているアシル化法により、式(III”)化合物をアシル化することにより調製することができる。アシル化剤については好ましくは酸塩化物を、酸結合剤についてはトリエチルアミンおよび/またはピリジンを使用することができ、酸結合剤として知られているその他の化合物も適用することができる。
【0054】
1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”、R8”、X”、Z”、n”、o”、p”、r”およびm”の意味は上記で定義した通りである一般式(III”)の化合物は、式(IV”)の化合物からそれ自体が知られている方法により調製することができる(Nan Zhang、Bioorg.and Med.Chem.Lett.、10、2825、2000)。
【0055】
4”、R5”、R6”、R7”、R8”、X”、Z”、r”、o”、p”およびm”の意味は上記で定義した通りである一般式(IV”)の化合物は、式(V”)の化合物からそれ自体が知られている方法により調製することができる(D.L.Leysen、J.Heterocyclic Chem.、24、1611、1987)。
【0056】
4”、R5”、R7”、R8”、Z”、r”、o”、p”およびm”の意味は上記で定義した通りである一般式(V”)の化合物は、式(VI”)の化合物からそれ自体が知られている方法により調製することができる(Pfizer(Inc)USP4,175,193)。
【0057】
4”、R5”、R7”、R8”、Z”、r”、o”、p”およびm”の意味は上記で定義した通りである一般式(VI”)の化合物は、式(VII”)の化合物からそれ自体が知られている方法により調製することができる(D.L.Leysen、J.Heterocyclic Chem.、24、1611、1987)。
【0058】
4”、R5”、R7”、R8”、Z”、r”、o”、p”およびm”の意味は上記で定義した通りである一般式(VII”)の化合物は、式(VIII”)の化合物からそれ自体が知られている方法により調製することができ(D.H.KlaubertおよびJ.H.Sellstedt、J.Med.Chem、24、742、1981)、またはR4”およびR5”が窒素原子と一緒になってニトロ基を形成している化合物などの、市販品である。
【0059】
4”、R5”、R7”、R8”、Z”、r”、o”、p”およびm”の意味は上記で定義した通りである一般式(VIII”)の化合物は、式(IX”)の化合物からそれ自体が知られている方法により調製することができる(J.H.HutchinsonおよびJ.J.Cook、J.Med.Chem.39、4583、1996)。
【0060】
本発明による一般式(I)、(I’)(II”)、(III”)、(IV”)、(V”)、(VI”)、(VII”)、(VIII”)、(XIII”)および(XIV”)の化合物、ならびにこれらの調製および生物学的活性を、特許請求の範囲を実施例に限定することなく、以下の実施例により例示する。
【実施例】
【0061】
(実施例1)
4−メトキシ−N−[6−(モルホリン−4−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル]ベンズアミド
一般式(I)において、RおよびRは水素原子を、Rはフェニル基を、基a.)はモルホリノ基を、Rは4−メトキシフェニル基を意味する。
【0062】
a.)2−ニトロ−5−(モルホリン−4−イル)安息香酸
2−ニトロ−5−クロロ安息香酸5gおよびモルホリン15mLの混合物を、120℃で6時間攪拌する。反応混合物に、酢酸エチル150mLを加える。沈殿した黄色結晶物を濾別し、水15mLに溶解する。酢酸を用いて混合物のpHを6に合わせる。沈殿物を濾別し、水で洗浄し、乾燥させると、表題化合物4.2gが得られる。融点:172℃。
H−NMR(DMSO−d)7.85ppm(m,1H)、7.0〜6.9(m,2H)、3.67(m,4H)、2.85(m,4H)。
【0063】
b.)2−アミノ−5−(モルホリン−4−イル)安息香酸
2−ニトロ−5−(モルホリン−4−イル)安息香酸6g、シクロヘキセン15mLおよびPd/C(10%)3gの混合物を、エタノール120mL中で還流条件下に6時間加熱する。セライトフィルターを通して反応混合物を熱時濾過する。濾液を蒸発させると、表題化合物4.8gが得られる。融点:242℃。
H−NMR(DMSO−d)7.25ppm(m,1H)、6.96(m,1H)、6.62(m,1H)、3.69(m,4H)、2.85(m,4H)。
【0064】
c.)5−(モルホリン−4−イル)イサトイン酸無水物
2−アミノ−5−(モルホリン−4−イル)安息香酸8.9gのジオキサン60mL混合物に、攪拌し、外部冷水冷却しながら、ジホスゲン10mLを滴下添加する。混合物を還流条件下に4時間加熱する。冷反応混合物から固体物質を濾別し、エーテル50mLで洗浄する。メタノール50mLとトリエチルアミン5mLの混合物中で、生成物を5分間攪拌し、濾別し、メタノール30mLで洗浄する。乾燥後、表題生成物7gが得られる。融点:235℃。
H−NMR(DMSO−d)7.8ppm(m,1H)、6.78(m,1H)、6.66(m,1H)、3.73(m,4H)、2.92(m,4H)。
【0065】
d.)2−アミノ−3−シアノ−4−ヒドロキシ−6−(モルホリン−4−イル)キノリン
マロニトリル4gをジメチルホルムアミド50mLに溶解する。水素化ナトリウムの60%油状懸濁液2.4gを数回に分けて、溶液に加える。透明溶液に、5−(モルホリン−4−イル)イサトイン酸無水物8gを加え、混合物を室温で10時間攪拌する。反応混合物を水70mLで希釈し、酢酸エチル2×30mLで抽出する。水相を真空下に蒸発させ、固体残渣を水20mLに溶解し、酢酸を用いてpHを6に合わせる。沈殿物を濾別し、水で洗浄する。乾燥後、表題化合物6.5gが得られる。融点:291℃。
H−NMR(DMSO−d)7.27ppm(m,1H)、7.14(m,1H)、7.03(m,1H)、3.74(m,4H)、3.12(m,4H)。
【0066】
e.)2−アミノ−3−シアノ−4−クロロ−6−(モルホリン−4−イル)キノリン
2−アミノ−3−シアノ−4−ヒドロキシ−6−(モルホリン−4−イル)キノリン1.7gおよび塩化ホスホリル3.4mLの混合物を、120℃で4時間攪拌する。冷却した反応混合物を氷30gに注ぎ入れ、10%水酸化ナトリウム溶液を用いて混合物のpHを8に合わせ、沈殿物を濾別する。乾燥後、表題化合物1.5gが得られる。融点:206℃。
H−NMR(DMSO−d)7.69ppm(m,1H)、7.49(m,1H)、7.08(m,1H)、6.83(s,2H)、3.74(m,4H)、3.08(M,4H)。
【0067】
f.)2−アミノ−3−シアノ−4−ベンジルアミノ−6−(モルホリン−4−イル)キノリン
2−アミノ−3−シアノ−4−クロロ−6−(モルホリン−4−イル)キノリン3gおよびベンジルアミン6mLを、125℃で3時間攪拌する。反応混合物を水30mLに注ぎ入れる。沈殿物を濾別し、水20mLで洗浄する。乾燥後、表題化合物2.3gが得られる。融点:202℃。
H−NMR(DMSO−d)8.14ppm(m,1H)、7.5〜7.2(m,8H)、5.85(s,2H)、5.04(d,2H)、3.65(m,4H)、3.1(m,4H)。
【0068】
g.)4−メトキシ−N−(4−メトキシベンゾイル)−N−(6−(モルホリン−4−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
2−アミノ−3−シアノ−4−ベンジルアミノ−6−(モルホリン−4−イル)キノリン0.4gのピリジン2mL溶液に、攪拌および冷却しながら、4−メトキシベンゾイルクロリド0.4mLを加える。反応混合物を80℃で8時間攪拌し、次いで氷水5mLに注ぎ入れる。沈殿物を濾別し、水3mLで2回洗浄する。乾燥後、表題化合物0.53gが得られる。融点:157℃。
H−NMR(DMSO−d)8.92ppm(t,1H)、8.32(m,4H)、7.61(m,3H)、7.38(m,5H)、7.12(m,4H)、5.1(d,2H)、3.82(m,8H)。
【0069】
h.)4−メトキシ−N−[(6−(モルホリン−4−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
4−メトキシ−N−(4−メトキシベンゾイル)−N−(6−(モルホリン−4−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド2.3gのアセトニトリル20mL溶液に、1N水酸化カリウムのメタノール溶液5mLを加える。反応混合物を還流条件下に10分間加熱し、氷酢酸1.5mLをそれに加え、次いで1M炭酸水素ナトリウム溶液15mLを用いて中和する。沈殿物を濾別し、ジメチルホルムアミド5mLとエタノール40mLの混合物から黄色の結晶物を再結晶する。乾燥後、表題化合物1.3gが得られる。融点:260℃。
H−NMR(DMSO−d)10.5ppm(s,1H)、8.92(t,1H)、8.4(m,2H)、7.66(m,3H)、7.35(m,5H)、7.05(,2H)、5.1(d,2H)、3.82(m,8H)。
【0070】
(実施例2)
4−メトキシ−N−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル]ベンズアミド
一般式(I)において、RおよびRは水素原子を、Rはフェニル基を、基a.)は4−メチルピペラジン−1−イル基を、Rは4−メトキシフェニル基を意味する。
【0071】
a.)2−ニトロ−5−(4−メチルピペラジン−1−イル)安息香酸
2−ニトロ−5−クロロ安息香酸10gおよびN−メチルピペラジン30mLの混合物を、120℃で6時間攪拌する。反応混合物に、酢酸エチル150mLを加える。沈殿した黄色結晶物を濾別し、水15mLに溶解する。酢酸を用いて混合物のpHを6に合わせる。沈殿物を濾別し、水で洗浄し、乾燥させると、表題化合物11.2gが得られる。融点:212℃。
H−NMR(DMSO−d)7.89ppm(d,1H)、7.03〜6.93(m,2H)、3.7〜3.45(m,8H)、2.25(s,3H)。
【0072】
b.)2−アミノ−5−(4−メチルピペラジン−1−イル)安息香酸
2−ニトロ−5−(4−メチルピペラジノ)安息香酸9g、シクロヘキセン20mLおよびPd/C(10%)3.5gの混合物を、エタノール120mL中で還流条件下に6時間加熱する。セライトフィルターを通して反応混合物を熱時濾過する。濾液を蒸発させると、表題化合物3.5gが得られる。融点:212℃。
H−NMR(DMSO−d)7.19ppm(d,1H)、7.06(m,1H)、6.69(d,1H)、2.9(m,4H)、2.43(m,4H)、2.22(s,3H)。
【0073】
c.)5−(4−メチルピペラジン−1−イル)イサトイン酸無水物
2−アミノ−5−(4−メチルピペラジノ)安息香酸5.3gのジオキサン30mL混合物に、攪拌し、外部冷水冷却しながら、ジホスゲン6mLを滴下添加する。混合物を還流条件下に4時間加熱する。冷反応混合物から固体物質を濾別し、エーテル50mLで洗浄する。メタノール50mLとトリエチルアミン5mLの混合物中で、生成物を5分間攪拌し、濾別し、メタノール30mLで洗浄する。乾燥後、表題生成物5.4gが得られる。融点:285℃。
H−NMR(DMSO−d)7.81ppm(m,1H)、6.73(m,1H)、6.62(m,1H)、3.73〜2.92(m,8H)、2.23(s,3H)。
【0074】
d.)2−アミノ−3−シアノ−4−ヒドロキシ−6−(4−メチルピペラジン−1−イル)キノリン
マロニトリル2gをジメチルホルムアミド30mLに溶解する。水素化ナトリウムの60%油状懸濁液1.3gを数回に分けて、溶液に加える。透明溶液に、5−(4−メチルピペラジノ)イサトイン酸無水物6.5gを加え、混合物を室温で10時間攪拌する。反応混合物を水70mLで希釈し、酢酸エチル2×30mLで抽出する。水相を真空下に蒸発させ、固体残渣を水20mLに溶解し、酢酸を用いてpHを6に合わせる。沈殿物を濾別し、水で洗浄する。乾燥後、表題化合物5.2gが得られる。融点:156℃。
H−NMR(DMSO−d)7.23ppm(m,1H)、7.12(m,1H)、7.03(m,1H)、3.65〜2.83(m,8)、2.1(s,3H)。
【0075】
e.)2−アミノ−3−シアノ−4−クロロ−6−(4−メチルピペラジン−1−イル)キノリン
2−アミノ−3−シアノ−4−ヒドロキシ−6−(4−メチルピペラジノ)キノリン2gおよび塩化ホスホリル4mLの混合物を、120℃で4時間攪拌する。冷却した反応混合物を氷40gに注ぎ入れ、10%水酸化ナトリウム溶液を用いて混合物のpHを8に合わせ、沈殿物を濾別する。乾燥後、表題化合物1.5gが得られる。融点:189℃。
H−NMR(DMSO−d)7.69ppm(m,1H)、7.49(m,1H)、7.08(m,1H)、6.83(s,2H)、3.25〜2.57(m,8H)、2.29(s,3H)。
【0076】
f.)2−アミノ−3−シアノ−4−ベンジルアミノ−6−(4−メチルピペラジン−1−イル)キノリン
2−アミノ−3−シアノ−4−クロロ−6−(4−メチルピペラジノ)キノリン3gおよびベンジルアミン6mLを、125℃で3時間攪拌する。反応混合物を水30mLに注ぎ入れる。沈殿物を濾別し、水20mLで洗浄する。乾燥後、表題化合物2.3gが得られる。融点:176℃。
H−NMR(DMSO−d)8.5ppm(t,1H)、7.5〜7.15(m,8H)、5.85(s,2H)、5.04(d,2H)、3.65〜3.12(m,8H)、2.23(s,3H)。
【0077】
g.)4−メトキシ−N−(4−メトキシベンゾイル)−N−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル]ベンズアミド
2−アミノ−3−シアノ−4−ベンジルアミノ−6−(4−メチルピペラジノ)キノリン0.6gのピリジン2mL溶液に、攪拌および冷却しながら、4−メトキシベンゾイルクロリド0.6mLを加える。反応混合物を80℃で8時間攪拌し、次いで氷水5mLに注ぎ入れる。沈殿物を濾別し、水3mLで2回洗浄する。乾燥後、表題化合物0.63gが得られる。融点:176℃。
H−NMR(DMSO−d)8.39ppm(m,1H)、7.95(m,2H)、7.47(m,5H)、7.32(m,5H)、7.14(m,4H)、5.1(m,2H)、3.82(s,3H)、3.52〜2.98(m,8H)、2.25(s,3H)。
【0078】
h.)4−メトキシ−N−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル]ベンズアミド
4−メトキシ−N−(4−メトキシベンゾイル)−N−(6−(4−メチルピペラジノ)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド2.3gのアセトニトリル15mL溶液に、1N水酸化カリウムのメタノール溶液4mLを加える。反応混合物を還流条件下に10分間加熱し、氷酢酸1mLをそれに加え、次いで1M炭酸水素ナトリウム溶液12mLを用いて中和する。沈殿物を濾別し、メタノール15mLと水35mLの混合物から黄色の結晶物を再結晶する。乾燥後、表題化合物1.1gが得られる。融点:173℃。
H−NMR(DMSO−d)10.53ppm(m,1H)、8.39(m,1H)、7.95(m,2H)、7.57(m,3H)、7.34(m,5H)、7.04(m,2H)、5.1(m,2H)、3.82(s,3H)、3.52〜2.98(m,8H)、2.25(s,3H)。
【0079】
(実施例3)
4−メトキシ−N−(6−ジメチルアミノ−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
一般式(I)において、RおよびRは水素原子を、Rはフェニル基を、基a.)はジメチルアミノ基を、Rは4−メトキシフェニル基を意味する。
【0080】
a.)2−ニトロ−5−ジメチルアミノ安息香酸
2−ニトロ−5−クロロ安息香酸5gおよび60%ジメチルアミン水溶液15mLの混合物を、100℃で6時間攪拌する。反応混合物を蒸発させ、残渣を水15mLに溶解する。酢酸を用いて混合物のpHを6に合わせる。沈殿した黄色結晶物を濾別し、水で洗浄し、乾燥させると、表題化合物3.4gが得られる。融点:189℃。
H−NMR(DMSO−d)7.78ppm(d,1H)、6.59(m,1H)、6.48(m,1H)、3.0(s,6H)。
【0081】
b.)2−アミノ−5−ジメチルアミノ安息香酸
2−ニトロ−5−ジメチルアミノ安息香酸2.1g、シクロヘキセン7mLおよびPd/C(10%)1.5gの混合物を、エタノール60mL中で還流条件下に6時間加熱する。セライトフィルターを通して反応混合物を熱時濾過する。濾液を蒸発させると、表題化合物1.1gが得られる。融点:232℃。
H−NMR(DMSO−d)7.01ppm(m,1H)、6.84(m,1H)、6.78(m,1H)、2.88(s,6H)。
【0082】
c.)5−ジメチルアミノイサトイン酸無水物
2−アミノ−5−ジメチルアミノ安息香酸8.9gのジオキサン60mL混合物に、攪拌し、外部冷水冷却しながら、ジホスゲン10mLを滴下添加する。混合物を還流条件下に4時間加熱する。冷反応混合物から固体物質を濾別し、エーテル50mLで洗浄する。メタノール50mLとトリエチルアミン5mLの混合物中で、生成物を5分間攪拌し、濾別し、メタノール30mLで洗浄する。乾燥後、表題生成物7gが得られる。融点:258℃。
H−NMR(DMSO−d)7.56ppm(m,1H)、7.42(m,1H)、7.13(m,1H)、2.97(s,6H)。
【0083】
d.)2−アミノ−3−シアノ−4−ヒドロキシ−6−ジメチルアミノキノリン
マロニトリル4gのジメチルホルムアミド50mL溶液に、水素化ナトリウムの60%油状懸濁液2.4gを数回に分けて加える。透明溶液に、5−ジメチルアミノイサトイン酸無水物8gを加え、混合物を室温で10時間攪拌する。混合物を水70mLで希釈し、酢酸エチル2×30mLで抽出する。水相を真空下に蒸発させ、固体残渣を水20mLに溶解し、酢酸を用いてpHを6に合わせる。沈殿物を濾別し、水で洗浄する。乾燥後、表題化合物6.5gが得られる。融点:360℃。
H−NMR(DMSO−d)7.43ppm(m,1H)、7.23(m,1H)、7.11(m,1H)、2.95(s,6H)。
【0084】
e.)2−アミノ−3−シアノ−4−クロロ−6−ジメチルアミノキノリン
2−アミノ−3−シアノ−4−ヒドロキシ−6−ジメチルアミノキノリン1.7gおよび塩化ホスホリル3.4mLの混合物を、120℃で4時間攪拌する。冷却した反応混合物を氷30gに注ぎ入れ、10%水酸化ナトリウム溶液を用いて混合物のpHを8に合わせ、沈殿物を濾別する。乾燥後、表題化合物1.5gが得られる。融点:285℃。
H−NMR(DMSO−d)7.43ppm(mm,1H)、7.21(m,1H)、7.05(m,1H)、6.75(s,2H)、2.99(s,6H)。
【0085】
f.)2−アミノ−3−シアノ−4−ベンジルアミノ−6−ジメチルアミノキノリン
2−アミノ−3−シアノ−4−クロロ−6−ジメチルアミノキノリン3gおよびベンジルアミン6mLを、125℃で3時間攪拌する。反応混合物を水30mLに注ぎ入れる。沈殿物を濾別し、水20mLで洗浄する。乾燥後、表題化合物2.3gが得られる。融点:265℃。
H−NMR(DMSO−d)8.55〜8.45ppm(m,2H)、7.8(m,1H)、7.5〜7.23(m,7H)、6.25(s,2H)、5.08(d,2H)、2.99(s,6H)。
【0086】
g.)4−メトキシ−N−(4−メトキシベンゾイル)−N−(6−ジメチルアミノ−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
2−アミノ−3−シアノ−4−ベンジルアミノ−6−ジメチルアミノキノリン0.4gのピリジン2mL溶液に、攪拌および冷却しながら、4−メトキシベンゾイルクロリド0.4mLを加える。反応混合物を80℃で8時間攪拌し、次いで氷水5mLに注ぎ入れる。沈殿物を濾別し、水3mLで2回洗浄する。乾燥後、表題化合物0.53gが得られる。融点:156℃。
H−NMR(DMSO−d)8.35ppm(m,1H)、7.9(m,2H)、7.47(m,5H)、7.3(m,5H)、7.1(m,4H)、5.12(m,2H)、3.82(s,3H)、3.0(s,6H)。
【0087】
h.)4−メトキシ−N−(6−ジメチルアミノ−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
4−メトキシ−N−(4−メトキシベンゾイル)−N−(6−ジメチルアミノ−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド2.3gのアセトニトリル20mL溶液に、1N水酸化カリウムのメタノール溶液5mLを加える。反応混合物を還流条件下に10分間加熱し、氷酢酸1.5mLをそれに加え、次いで1M炭酸水素ナトリウム溶液15mLを用いて中和する。沈殿物を濾別し、ジメチルホルムアミド5mLとエタノール40mLの混合物から黄色の結晶物を再結晶する。乾燥後、表題化合物1.3gが得られる。融点:185℃。
H−NMR(DMSO−d)10.5ppm(m,1H)、8.35(m,1H)、7.91(m,2H)、7.53(m,3H)、7.3(m,5H)、7.02(m,2H)、5.1(m,2H)、3.85(s,3H)、3.0(s,6H)。
【0088】
(実施例4)
4−メトキシ−N−(6−ジメチルアミノ−4−[2−フリルメチルアミノ]−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
一般式(I)において、RおよびRは水素原子を、Rは2−フリルアミノ基を、基a.)はジメチルアミノ基を、Rは4−メトキシフェニル基を意味する。
【0089】
a.)2−アミノ−3−シアノ−4−[2−フリルメチルアミノ]−6−ジメチルアミノキノリン
2−アミノ−3−シアノ−4−クロロ−6−ジメチルアミノキノリン3gおよびフルフリルアミン6mLを、125℃で3時間攪拌する。反応混合物を水30mLに注ぎ入れる。沈殿物を濾別し、水20mLで洗浄する。乾燥後、表題化合物2.05gが得られる。融点:235℃。
H−NMR(DMSO−d)8.7ppm(m,1H)、7.6(m,1H)、7.35〜7.23(m,3H)、6.8(s,2H)、6.4(m,2H)、5.06(d,2H)、2.96(s,6H)。
【0090】
b.)4−メトキシ−N−(4−メトキシベンゾイル)−N−(6−ジメチルアミノ−4−[2−フリルメチルアミノ]−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
2−アミノ−3−シアノ−4−[2−フリルメチルアミノ]−6−ジメチルアミノキノリン0.4gのピリジン2mL溶液に、攪拌および冷却しながら、4−メトキシベンゾイルクロリド0.4mLを加える。反応混合物を80℃で8時間攪拌し、次いで氷水5mLに注ぎ入れる。沈殿物を濾別し、水3mLで2回洗浄する。乾燥後、表題化合物0.5gが得られる。融点:143℃。
H−NMR(DMSO−d)8.35ppm(m,1H)、7.9〜7.1(m,14H)、5.12(m,2H)、3.82(s,6H)、3.0(s,6H)。
【0091】
c.)4−メトキシ−N−(6−ジメチルアミノ−4−[2−フリルメチルアミノ]−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
4−メトキシ−N−(4−メトキシベンゾイル)−N−(6−ジメチルアミノ−4−[2−フリルメチルアミノ]−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド2.3gのアセトニトリル20mL溶液に、1N水酸化カリウムのメタノール溶液5mLを加える。反応混合物を還流条件下に10分間加熱し、氷酢酸1.5mLをそれに加え、次いで1M炭酸水素ナトリウム溶液15mLを用いて中和する。沈殿物を濾別し、ジメチルホルムアミド5mLとエタノール40mLの混合物から黄色の結晶物を再結晶する。乾燥後、表題化合物1.1gが得られる。融点:195℃。
H−NMR(DMSO−d)10.5ppm(m,1H)、8.25(t,1H)、7.98(m,2H)、7.63〜7.03(m,7H)、6.42(d,1H)、5.04(d,2H)、3.85(s,3H)、3.05(s,6H)。
【0092】
(実施例5)
4−メトキシ−N−(6−ジメチルアミノ−4−[2−チエニルメチルアミノ]−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
一般式(I)において、RおよびRは水素原子を、Rは2−チエニルメチルアミノ基を、基a.)はジメチルアミノ基を、Rは4−メトキシフェニル基を意味する。
【0093】
a.)2−アミノ−3−シアノ−4−[2−チエニルメチルアミノ]−6−ジメチルアミノキノリン
2−アミノ−3−シアノ−4−クロロ−6−ジメチルアミノキノリン3gおよび2−チエニルメチルアミン6mLを、125℃で3時間攪拌する。反応混合物を水30mLに注ぎ入れる。沈殿物を濾別し、水20mLで洗浄する。乾燥後、表題化合物1.9gが得られる。融点:211℃。
H−NMR(DMSO−d)8.2ppm(m,1H)、7.46〜6.95(m,6H)、6.08(s,2H)、5.18(d,2H)、2.94(s,6H)。
【0094】
b.)4−メトキシ−N−(4−メトキシベンゾイル)−N−(6−ジメチルアミノ−4−[2−チエニルメチルアミノ]−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
2−アミノ−3−シアノ−4−[2−チエニルメチルアミノ]−6−ジメチルアミノキノリン0.4gのピリジン2mL溶液に、攪拌および冷却しながら、4−メトキシベンゾイルクロリド0.4mLを加える。反応混合物を80℃で8時間攪拌し、次いで氷水5mLに注ぎ入れる。沈殿物を濾別し、水3mLで2回洗浄する。乾燥後、表題化合物0.43gが得られる。融点:171℃。
H−NMR(DMSO−d)8.35ppm(m,1H)、7.9〜7.05(m,14H)、5.12(m,2H)、3.82(s,6H)、3.0(s,6H)。
【0095】
c.)4−メトキシ−N−(6−ジメチルアミノ−4−[2−チエニルメチルアミノ]−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
4−メトキシ−N−(4−メトキシベンゾイル)−N−(6−ジメチルアミノ−4−[2−チエニルメチルアミノ]−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド2.3gのアセトニトリル20mL溶液に、1N水酸化カリウムのメタノール溶液5mLを加える。反応混合物を還流条件下に10分間加熱し、氷酢酸1.5mLをそれに加え、次いで1M炭酸水素ナトリウム溶液15mLを用いて中和する。沈殿物を濾別し、ジメチルホルムアミド5mLとエタノール40mLの混合物から黄色の結晶物を再結晶する。乾燥後、表題化合物1.15gが得られる。融点:163℃。
H−NMR(DMSO−d)10.5ppm(m,1H)、8.3(t,1H)、7.98(m,2H)、7.63〜6.96(m,8H)、5.2(d,2H)、3.85(s,3H)、3.05(s,6H)。
【0096】
(実施例6)
4−メトキシ−N−[6−(ピペラジン−1−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル]ベンズアミド
一般式(I)において、RおよびRは水素原子を、Rはフェニル基を、基a.)はピペラジノ基を、Rは4−メトキシフェニル基を意味する。
【0097】
a.)2−ニトロ−5−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)安息香酸
2−ニトロ−5−クロロ安息香酸20gおよびN−ベンジルピペラジン50mLの混合物を、120℃で6時間攪拌する。反応混合物に、酢酸エチル250mLを加える。沈殿した黄色結晶物を濾別し、水200mLに溶解する。酢酸を用いて混合物のpHを6に合わせる。沈殿物を濾別し、水で洗浄し、乾燥させると、表題化合物30gが得られる。融点:172℃。
H−NMR(DMSO−d)7.8〜6.7ppm(m,8H)、3.5(s,2H)、3.5〜2.8(m,8H)。
【0098】
b.)2−アミノ−5−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)安息香酸
2−ニトロ−5−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)安息香酸6g、シクロヘキセン15mLおよびPd/C(10%)3gの混合物を、エタノール120mL中で還流条件下に6時間加熱する。セライトフィルターを通して反応混合物を熱時濾過する。濾液を蒸発させると、表題化合物4.8gが得られる。融点:242℃。
H−NMR(DMSO−d)7.5〜6.8ppm(m,8H)、3.68(s,3H)、3.5〜2.95(m,8H)。
【0099】
c.)5−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)イサトイン酸無水物
2−アミノ−5−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)安息香酸15gのジオキサン90mL混合物に、攪拌し、外部冷水冷却しながら、ジホスゲン12.7mLを滴下添加する。混合物を還流条件下に4時間加熱する。冷反応混合物から固体物質を濾別し、エーテル120mLで洗浄する。メタノール100mLとトリエチルアミン10mLの混合物中で、生成物を5分間攪拌し、濾別し、メタノール50mLで洗浄する。乾燥後、表題生成物17gが得られる。融点:235℃。
H−NMR(DMSO−d)7.68〜7.1ppm(m,8H)、3.6(s,2H)、3.5〜2.5(m,8H)。
【0100】
d.)2−アミノ−3−シアノ−4−ヒドロキシ−6−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)キノリン
マロニトリル6.1gをジメチルホルムアミド100mLに溶解する。水素化ナトリウムの60%油状懸濁液3.6gを数回に分けて、溶液に加える。透明溶液に、5−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)イサトイン酸無水物18gを加え、混合物を室温で10時間攪拌する。反応混合物を水100mLで希釈し、酢酸エチル2×50mLで抽出する。水相を真空下に蒸発させ、固体残渣を水50mLに溶解し、酢酸を用いてpHを6に合わせ、5時間還流させる。冷却後、沈殿物を濾別し、水で洗浄する。乾燥後、表題化合物14.3gが得られる。融点:291℃。
H−NMR(DMSO−d)7.7〜6.5ppm(m,10H)、4.2(s,2H)、3.5〜2.5(m,8H)、
e.)2−アミノ−3−シアノ−4−クロロ−6−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)キノリン
2−アミノ−3−シアノ−4−ヒドロキシ−6−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)キノリン14gおよび塩化ホスホリル28mLの混合物を、120℃で6時間攪拌する。冷却した反応混合物を氷500gに注ぎ入れ、10%水酸化ナトリウム溶液を用いて混合物のpHを8に合わせ、沈殿物を濾別する。乾燥後、表題化合物14.5gが得られる。融点:206℃。
H−NMR(DMSO−d)7.7〜7.14ppm(m,8H)、6.9(s,2H)、3.7(s,2H)、3.5〜2.5(m,8H)。
【0101】
f.)2−アミノ−3−シアノ−4−ベンジルアミノ−6−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)キノリン
2−アミノ−3−シアノ−4−クロロ−6−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)キノリン14gおよびベンジルアミン28mLを、125℃で4時間攪拌する。反応混合物を水100mLに注ぎ入れる。沈殿物を濾別し、水2×50mLで洗浄する。乾燥後、表題化合物8gが得られる。融点:202℃。
H−NMR(DMSO−d)8.1ppm(m,1H)、7.5〜7.2(m,13H)、5.8(s,2H)、5.0(d,2H)、3.54(s,2H)、3.5〜2.5(m,8H)。
【0102】
g.)4−メトキシ−N−(4−メトキシベンゾイル)−N−(6−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
トリエチルアミン0.3mLを含む2−アミノ−3−シアノ−4−ベンジルアミノ−6−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)キノリン0.9gの酢酸エチル5mL溶液に、攪拌および冷却しながら、4−メトキシベンゾイルクロリド0.5mLを加える。反応混合物を80℃で8時間攪拌し、次いで氷水10mLに注ぎ入れる。沈殿物を濾別し、水3mLで2回洗浄する。乾燥後、表題化合物0.53gが得られる。融点:157℃。
H−NMR(DMSO−d)8.92ppm(t,1H)、8.32(m,4H)、7.61(m,3H)、7.38(m,5H)、7.12(m,4H)、5.1(d,2H)、3.82(s,6H)、3.56(s,2H)、3.5〜2.5(m,8H)。
【0103】
h.)4−メトキシ−N−[(6−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル]ベンズアミド
4−メトキシ−N−(4−メトキシベンゾイル)−N−(6−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド2.0gのアセトニトリル20mL溶液に、1N水酸化カリウムのメタノール溶液4mLを加える。反応混合物を還流条件下に10分間加熱し、氷酢酸1.5mLをそれに加え、次いで1M炭酸水素ナトリウム溶液15mLを用いて中和する。沈殿物を濾別し、ジメチルホルムアミド5mLとエタノール40mLの混合物から黄色の結晶物を再結晶する。乾燥後、表題化合物1.3gが得られる。融点:260℃。
H−NMR(DMSO−d)10.5ppm(s,1H)、8.92(t,1H)、7.97〜7.01(m,17H)、5.1(d,2H)、3.82(s,3H)、3.56(s,2H)、3.5〜2.5(m,8H)。
【0104】
i.)4−メトキシ−N−[(6−(ピペラジン−1−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル]ベンズアミド
4−メトキシ−N−[(6−(4−ベンジルピペラジン−1−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル]ベンズアミド1gを、酢酸0.5mLを含むジメチルホルムアミドおよび水に溶解し、Pd/C(10%)50mgの存在下に45℃で4時間水素化した。触媒を濾過し、溶媒を蒸発させた後、クロマトグラフィーにより粗製の生成物を精製すると、表題化合物0.65gが得られた。融点:145℃。
H−NMR(DMSO−d)10.5ppm(s,1H)、8.48(m,1H)、7.94(m,2H)、7.6〜7.35(m,2H)、7.33(s,5H)、7.24(m,1H)、7.02(m,2H)、、5.08(d,2H)、3.83(s,3H)、3.22(m,4H)、2.86(m,4H)。
【0105】
(実施例7)
N−[6−アミノ−4−(ベンジルアミノ)−3−シアノキノリン−2−イル]−4−メトキシベンズアミド
一般式(I)において、RおよびRは水素原子を、Rはフェニル基を、NRはNHを、Rは4−メトキシフェニル基を意味する。
【0106】
a,)5−ニトロイサトイン酸無水物
2−アミノ−5−ニトロ安息香酸37gのジオキサン500mL混合物に、攪拌しながら、ジホスゲン24.5mLを滴下添加した。混合物を還流条件下に6時間加熱し、次いで蒸発乾固した。残渣をジエチルエーテル100mLに懸濁させ、濾別すると、HCl塩として表題化合物41.4gが得られた。融点:256〜259℃。LC−MS:MH209、保持時間:5.00分。
H−NMR(DMSO−d)8.54(d,1H)、8.46(dd,1H)、7.37(d,1H)ppm。
【0107】
b,)2−アミノ−3−シアノ−4−ヒドロキシ−6−ニトロキノリン
5−ニトロイサトイン酸無水物47.25gのDMF230mL溶液に、マロニトリル15gおよびトリエチルアミン63.3mLを加え、反応混合物を60℃で2時間攪拌した。溶媒を減圧で蒸発させ、残渣をアセトニトリル570mLおよび濃HCl(114mL)と混合し、溶液を室温で終夜攪拌した。次いで沈殿物を濾別し、水およびエタノールで洗浄すると、生成物49.7gが得られた。融点:>360℃。LC−MS:MH231、保持時間:4.78分。
H−NMR(DMSO−d)8.64(d,1H)、8.36(dd,1H)、7.6(s,2H)、7.55(d,1H)ppm。
【0108】
c,)2−アミノ−3−シアノ−4−クロロ−6−ニトロキノリン
2−アミノ−3−シアノ−4−ヒドロキシ−6−ニトロキノリン48.5gおよび塩化ホスホリル550mLの攪拌混合物を、4時間還流させた。反応混合物をその半量に濃縮し、残渣を氷1500gに注ぎ入れた。黄色沈殿物を濾別し、水で洗浄すると、固体60.5gが得られた。この固体25gを、0.5NのHCl(500mL)中で室温で6時間攪拌し、次いで沈殿物を濾別し、水で洗浄すると、生成物18.5gが得られた。融点:>360℃。LC−MS:MH249、保持時間:5.94分。
H−NMR(DMSO−d)8.73(d,1H)、8.48(dd,1H)、7.92(d,1H)ppm。
【0109】
d,)2−アミノ−3−シアノ−4−ベンジルアミノ−6−ニトロキノリン
2−アミノ−3−シアノ−4−クロロ−6−ニトロキノリン7gおよびベンジルアミン30mLの混合物を55℃で1.5時間攪拌した。反応混合物を水30mLに注ぎ入れる。沈殿物を濾別し、水で洗浄すると、表題化合物7gが得られる。融点:280〜283℃。LC−MS:MH2320、保持時間:5.19分。
H−NMR(DMSO−d):9.28(d,1H)、8.90(t,1H)、8.24(dd,1H)、7.3(m,5H)、6.98(s,2H)、5.04(d,2H)ppm。
【0110】
e,)4−メトキシ−N−(4−メトキシベンゾイル)−N−(4−ベンジルアミノ−3−シアノ−6−ニトロキノリン−2−イル)ベンズアミド
2−アミノ−3−シアノ−4−ベンジルアミノ−6−ニトロキノリン3.5gの乾燥ピリジン50mL懸濁液を、4−メトキシベンゾイルクロリド5.6gと共に3.5時間還流させた。溶媒を減圧下に蒸発させ、残渣をNaCO飽和水溶液30mLに懸濁させた。懸濁液をCHCl3×25mLで抽出した。合わせた有機抽出物を蒸発乾固し、残渣をジエチルエーテルに溶解し、溶液を冷蔵庫中で一晩保持した。沈殿物を濾別し、ジエチルエーテルで洗浄すると、表題化合物6.25gが得られた。融点:145〜148℃。LC−MS:MH588、保持時間:7.00分。
【0111】
f,)N−[(4−ベンジルアミノ−3−シアノ−6−ニトロキノリン−2−イル]−4−メトキシ−ベンズアミド
N−(4−メトキシベンゾイル)−N−(4−ベンジルアミノ−3−シアノ−6−ニトロキノリン−2−イル)−4−メトキシベンズアミド6.2gのアセトニトリル75mL懸濁液を、1N水酸化カリウムのメタノール溶液25.2mLと共に6分間還流させた。氷酢酸4.4mLを熱いまま溶液に滴下し、冷却し、1MのNaHCO水溶液56.3mLで中和した。沈殿物を濾別し、水で洗浄すると、表題化合物4.1gが得られた。融点:264〜266℃。
H−NMR(DMSO−d)10.9(s,1H)、9.55(d,1H)、9.28(t,1H)、8.77(d,1H)、8.48(dd,1H)、8.00(d,2H)、7.90(d,1H)、7.4(m,4H)、7.29(m,1H)、7.05(d,2H)、5.12(d,2H)、3.84(s,3H)ppm。
【0112】
g,)N−[6−アミノ−4−(ベンジルアミノ)−3−シアノキノリン−2−イル]−4−メトキシベンズアミド
エタノール320mL、水80mL、THF200mL、Fe粉末7.6g、および濃HCl(1mL)の混合物を10分間還流させた。次いでN−[(4−ベンジルアミノ−3−シアノ−6−ニトロキノリン−2−イル]−4−メトキシ−ベンズアミド9gを加え、反応混合物を2時間激しく還流させ、35℃に冷却した。沈殿物を濾別し、CHClとエタノールとの1:1混合物で洗浄した。合わせた有機溶液を木炭で濾過し、蒸発乾固した。残渣を水50mLとエタノール10mLの混合物に懸濁させ、固体物質を濾別し、水で洗浄すると、表題化合物6.65gが得られた。融点:228〜230℃。LC−MS:MH424、保持時間:5.33分。
H−NMR(DMSO−d)10.44(s,1H)、8.0(s+d,3H)、7.50(d,1H)、7.3〜7.1(m,7H)、7.03(d,2H)、5.55(s,2H)、5.04(d,2H)、3.83(s,3H)ppm。
【0113】
(実施例8)
N−{6−アミノ−4−[(2−チエニルメチル)アミノ)]−3−シアノキノリン−2−イル}−4−メトキシベンズアミド
一般式(I)において、RおよびRは水素原子を、Rは2−チエニル基を、NRはNHを、Rは4−メトキシフェニル基を意味する。
【0114】
a,)2−アミノ−3−シアノ−4−(2−チエニルメチル)アミノ−6−ニトロキノリン
ベンジルアミンの代わりに(2−チエニルメチル)アミンを用いるように変え、実施例7dで示した手順と同様の手順を適用すると、表題化合物7.1gが得られた。融点:277〜280℃。LC−MS:MH326、保持時間:5.25分。
【0115】
b,)N−(4−メトキシベンゾイル)−N−[3−シアノ−6−ニトロ−4−(2−チエニルメチル)−アミノキノリン−2−イル]−4−メトキシベンズアミド
2−アミノ−3−シアノ−4−(2−チエニルメチル)アミノ−6−ニトロキノリン(3.6g)から反応を開始し、実施例7eで示した通りの手順を用いると、表題化合物6.3gが調製された。融点:174〜177℃。LC−MS:MH595、保持時間:7.16分。
【0116】
c,)N−[3−シアノ−6−ニトロ−4−(2−チエニルメチル)アミノキノリン−2−イル]−4−メトキシベンズアミド
N−(4−メトキシベンゾイル)−N−[3−シアノ−6−ニトロ4−(2−チエニルメチル)アミノ]キノリン−2−イル)−4−メトキシベンズアミド(6.2g)から反応を開始し、実施例7fで示した通りの手順を用いると、表題化合物4.3gが調製された。融点:217〜220℃。LC−MS:MH460、保持時間:6.57分。
H−NMR(DMSO−d):11.0(s,1H)、9.50(s,1H)、9.29(s,1H)、8.48(dd,1H)、8.02(d,2H)、7.90(d,1H)、7.48(dd,1H)、7.21(d,1H)、7.0(m,3H)、5.27(s,2H)、3.85(s,3H)ppm
d,)N−{6−アミノ−4−[(2−チエニルメチル)アミノ]−3−シアノキノリン−2−イル}−4−メトキシベンズアミド
N−[4−(2−チエニルメチル)アミノ−3−シアノ−6−ニトロキノリン−2−イル]−4−メトキシベンズアミド(10g)から反応を開始し、実施例7gで示した通りの手順を用いると、表題化合物9.3gが調製された。融点:200〜203℃。LC−MS:MH430、保持時間:5.52分。
H−NMR(DMSO−d)10.48(s,1H)、7.98(s+d,3H)、7.50(d,1H)、7.41(dd,1H)、7.21(s,1H)、7.16(dd,1H)、7.11(d,1H)、7.04(d,2H)、6.98(dd,1H)、5.45(s,2H)、5.18(d,2H)、3.84(s,3H)ppm
【0117】
(実施例9)
N−{4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−6−(メチルアミノ)キノリン−2−イル}−4−メトキシベンズアミド
一般式(I)において、RおよびRは水素原子を、Rはフェニル基を、RはMeを、RはHを、およびRは4−メトキシフェニル基を意味する。
【0118】
N−{4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−6−アミノキノリン−2−イル}−4−メトキシベンズアミド1gおよびパラホルムアルデヒド0.65gのエタノール48mLとCHCl48mLとの混合物中での懸濁液を、54%HBFジエチルエーテル溶液0.5mLと共に1.5時間還流させた。NaBH0.3gを加えた後、還流を1.5時間続け、続いてさらにNaBH0.3gを加え、2時間還流させた。54%HBFジエチルエーテル溶液0.25mLおよびNaBH0.3gを繰り返して加えた後、さらに1.5時間還流を続けた。反応混合物を熱時濾過し、CHClとエタノールとの1:1混合物で洗浄した。合わせた有機溶液を濃縮し、CHClと酢酸エチルとの50:1混合物を用いるシリカゲル上で、残渣をクロマトグラフィーにかけると、粗製の生成物が得られた。エタノールとDMFとの2:1混合物から再結晶すると、表題化合物0.6gが得られた。融点:237〜240℃。LC−MS:MH438、保持時間:5.76分。
H−NMR(DMSO−d)10.43(s,1H)、8.18(t,1H)、7.94(d,2H)、7.50(d,1H)、7.3〜7.0(m,9H)、6.24(m,1H)、5.08(d,2H)、3.83(s,3H)、2.83(d,3H)ppm。
【0119】
(実施例10)
N−{3−シアノ−6−(ホルミルアミノ)−4−[(2−チエニルメチル)アミノ]キノリン−2−イル]−4−メトキシベンズアミド
一般式(I)において、RおよびRは水素原子を、Rは2−チエニル基を、RはMeを、RはCHOを、およびRは4−メトキシフェニル基を意味する。
【0120】
N−{6−アミノ−4−[(2−チエニルメチル)アミノ]−3−シアノキノリン−2−イル}−4−メトキシベンズアミド0.32gの懸濁液を、密封容器(内圧:10bar)中で、ギ酸メチル60mL中100℃で、7時間保持した。冷却後、溶媒を蒸発させ、残渣をCHCl/MeOHから再結晶させると、表題化合物0.22gが得られた。融点:223〜226℃。LC−MS:MH458、保持時間:5.71分。
【0121】
(実施例11)
{4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−2−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]キノリン−6−イル}スルファミン酸
一般式(I)において、RおよびRは水素原子を、Rはフェニル基を、RはHを、RはSOOHを、およびRは4−メトキシフェニル基を意味する。
【0122】
Na(純度:85%)5.2gの水160mLおよびエタノール200mL溶液に、1NのNaOH水溶液20mLを加えた。溶液を沸騰するまで加熱し、次いでN−[(4−ベンジルアミノ−3−シアノ−6−ニトロキノリン−2−イル]−4−メトキシベンズアミド2.27gを加え、2時間還流を続けた。反応混合物を室温で終夜放置し、次いで半量になるように濃縮した。1NのNaOH溶液を加えることにより残渣をアルカリ性(pH=8)にし、CHClで抽出した。濃HCl溶液を添加することにより水溶液をpH=5に酸性化し、沈殿物を濾別した。最初に酢酸エチル/メタノール/25%アンモニア=220/30/2、次いで200/80/2の混合物により溶離したシリカゲル上で固体をクロマトグラフィーにかけると、アンモニウム塩として表題化合物0.5gが得られた。融点:220〜222℃。LC−MS:MH504、保持時間:5.56分。
H−NMR(DMSO−d)10.48(s,1H)、8.21(s,1H)、8.09(t,1H)、7.95(d,2H)、7.70(s,1H)、7.62(d,1H)、7.56(d,1H)、7.3(m,4H)、7.25(m,1H)、7.03(d,2H)、5.05(d,2H)、3.83(s,3H)ppm
【0123】
(実施例12)
{4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−2−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]キノリン−6−イル}メチルスルファミン酸
一般式(I)において、RおよびRは水素原子を、Rはフェニル基を、RはMeを、RはSOOHを、およびRは4−メトキシフェニル基を意味する。
【0124】
N−{4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−6−(メチルアミノ)キノリン−2−イル}−4−メトキシベンズアミド110mgのピリジン10mL溶液を、DBU0.2mLおよびピリジニウム−SO錯体150mgと共に、室温で2時間攪拌した。反応混合物を濃縮乾固し、溶離液として酢酸エチル/メタノール/25%アンモニア=200/80/2の混合物を用いるシリカゲル上で残渣をクロマトグラフィーにかけると、アンモニウム塩として表題化合物10mgが得られた。LC−MS:MH518、保持時間:6.22分。
【0125】
(実施例13)
N−{4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−6−[ホルミル(メチル)アミノ]キノリン−2−イル}−4−メトキシベンズアミド
一般式(I)において、RおよびRは水素原子を、Rはフェニル基を、RはMeを、RはCHOを、およびRは4−メトキシフェニル基を意味する。
【0126】
N−{4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−6−(メチルアミノ)キノリン−2−イル}−4−メトキシベンズアミド110mgの懸濁液を、ギ酸エチル10mL中で24時間還流させた。冷却後、沈殿した結晶を濾別し、ギ酸エチルおよびエタノールで洗浄すると、表題化合物30mgが得られた。融点:237〜240℃。LC−MS:MH465、保持時間:6.11分。
【0127】
(実施例14)
4−メトキシ−N−[6−(4−ホルミルピペラジン−1−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル]ベンズアミド
一般式(I)において、RおよびRは水素原子を、Rはフェニル基を、基a.)は4−ホルミルピペラジノ基を、Rは4−メトキシフェニル基を意味する。
【0128】
4−メトキシ−N−[6−(ピペラジン−1−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル]ベンズアミド120mgのギ酸エチル5mL溶液を、2時間還流させた。冷却後、溶媒を蒸発させ、メタノールから残渣を再結晶すると、表題化合物65mgが得られた。融点:243℃。
H−NMR(DMSO−d)10.6ppm(s,1H)、8.48(m,1H)、8.1(s,1H)、7.94(m,2H)、7.6〜7.1(m,8H)、7.05(m,2H)、5.1(d,2H)、3.82(s,3H)、3.7〜3.2(m,8H)。
【0129】
(実施例15)
4−[2−(ベンゾイルアミノ)−4−ベンジルアミノ]−3−シアノキノリン−6−イル]ピペラジン−1−スルホン酸
一般式(I)において、RおよびRは水素原子を、Rはフェニル基を、基a.)は4−スルホニルピペラジノ基を、Rは4−メトキシフェニル基を意味する。
【0130】
4−メトキシ−N−[6−(ピペラジン−1−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル]ベンズアミド50mgのピリジンおよびピリジニウム−SO錯体0.5mL溶液を2時間還流させ、文献に開示されている手順(G.F.SmithおよびD.A.Taylor、Tetrahedron、29、669、1973)に従って処理した。
LC−MS:MH572、保持時間:5.9分。
【0131】
一般式(I)(式中、RおよびRは水素原子を意味し、Xは−NH−基を意味し、およびnは1である)のさらなる化合物の構造および物理特性を表Iに示す。
【0132】
【表1】





【0133】
(実施例40)
知られている方法により、以下の組成の錠剤を調製する。
活性成分 25mg
ラクトース 50mg
アビセル 21mg
クロスポビドン 3mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
【0134】
生物学
方法
ヒトアデノシンA受容体結合
膜懸濁液の調製:クローン化ヒトA受容体(さらに、CHO−hA)を発現しているチャイニーズハムスターの卵巣細胞を適切に培養し、維持する。集密細胞層が得られたら、37℃のPBSで媒体を洗浄することにより、細胞から媒体を取り出し、次いで細胞を氷冷PBSに懸濁させ、遠心分離(1000×g、10分)(シグマ、3K30)し、テフロンホモジナイザー(B.Braun Potter S)を用いて1500/分の回転速度で15秒間、緩衝液(50mMのTris、10mMのMgCl、1mMのEDTA、pH8.0)中で均質化する。懸濁液を遠心分離(43.000g、10分)する。ペレットを上記緩衝液に懸濁させ、タンパク質濃度を0.1mg/mLにする(ブラッドフォード法)。膜調製物のアリコートを−80℃で保存する。
【0135】
結合プロトコル:CHO−hA膜調製物(タンパク質含量2μg)を、0.5nMの[125I]AB−MECA(p−アミノ−3−ヨード−ベンジル−5’−N−メチルカルボキサミド−アデノシン)(100.000cpm)および100μMのR−PIA(N−[L−2−フェニルイソプロピル]アデノシン)の存在下、インキュベーション緩衝液(50mMのTris、10mMのMgCl、1mMのEDTA、3U/mLのアデノシンデアミナーゼ、pH8.0)中、全量50μLで、1時間、室温でインキュベートして、試験化合物の非特異的結合を規定する。ワットマンGF/Bガラス繊維フィルター(事前に、3時間、0.5%のポリエチレンイミンに浸漬したもの)で濾過し、96−ウェルのブランデル社製セルハーベスターを用いて、氷冷50mMのTris、10mMのMgCl、1mMのEDTA(pH8.0)1mLで4回洗浄する。活性の検出:ガンマ線測定器(1470 Wizard、Wallac)で。阻害[%]=100−((試験化合物存在下での活性−非特異的活性)/(全活性−非特異的活性))*100。
【0136】
ヒトアデノシンA受容体結合
膜懸濁液の調製:クローン化ヒトA受容体(さらに、CHO−hA)を発現しているチャイニーズハムスターの卵巣細胞を適切に培養し、維持する。集密細胞層が得られたら、37℃のPBSで媒体を洗浄することにより、細胞から媒体を取り出し、次いで細胞を氷冷PBSに懸濁させ、遠心分離(1000×g、10分)(シグマ、3K30)し、テフロンホモジナイザー(B.Braun Potter S)を用いて1500/分の回転速度で15秒間、緩衝液(50mMのTris、10mMのHCl、pH7.4)中で均質化する。懸濁液を遠心分離(43.000g、10分)する。ペレットを上記緩衝液に懸濁させ、タンパク質濃度を5mg/mLにする(ブラッドフォード法)。膜調製物のアリコートを−80℃で保存する。
【0137】
結合プロトコル:CHO−hA膜調製物(タンパク質含量50μg)を、インキュベーション緩衝液(50mMのTris、3U/mLのアデノシンデアミナーゼ、pH7.4)、10nMの[H]CCPA(2−クロロ−N−シクロペンチル−アデノシン)(80.000dpm)および10μMのR−PIA(N−[L−2−フェニルイソプロピル]アデノシン)中、全量100μLで、3時間、室温でインキュベートして、非特異的結合または試験化合物を規定する。ワットマンGF/Bガラス繊維フィルター(事前に、3時間、0.5%のポリエチレンイミンに浸漬したもの)で濾過し、96−ウェルのブランデル社製セルハーベスターを用いて、氷冷50mMのTris(pH7.4)1mLで4回洗浄する。活性の検出:ベータ線測定器(1450 Microbeta、Wallac)で、HiSafe−3カクテル200μLの存在下。阻害[%]=100−((試験化合物存在下での活性−非特異的活性)/(全活性−非特異的活性))*100。
【0138】
ヒトアデノシンA2a受容体結合
結合プロトコル:7μgの膜(HEK−293細胞にトランスフェクトしたヒトA2aアデノシン受容体、供給源:レセプターバイオロジー社)、緩衝液(50mMのTris−HCl、10mMのMgCl、1mMのEDTA、2U/mLのアデノシンデアミナーゼ、pH7.4)、20nMの[H]CGS−21680(2−[p−(2−カルボニルエチル)フェニルエチルアミノ]−5’−N−エチルカルボキサミド−アデノシン)(200.000dpm)および50μMのNECA(5’−N−エチルカルボキサミド−アデノシン)を、全量100μLで、90分間、室温でインキュベートして、試験化合物の非特異的結合を規定する。ワットマンGF/Bガラス繊維フィルター(事前に、3時間、0.5%のポリエチレンイミンに浸漬したもの)で真空下に濾過し、96−ウェルのブランデル社製セルハーベスターを用いて、氷冷50mMのTris、10mMのMgCl、1mMのEDTA、0.9%NaCl(pH7.4)1mLで4回洗浄する。活性の検出:ベータ線測定器(1450 Microbeta、Wallac)で、HiSafe−3カクテル200μLの存在下。阻害[%]=100−((試験化合物存在下での活性−非特異的活性)/(全活性−非特異的活性))*100。
【0139】
ヒトアデノシンA2b受容体結合
結合プロトコル:20.8μgの膜(HEK−293細胞にトランスフェクトしたヒトA2bアデノシン受容体、供給源:レセプターバイオロジー社)、緩衝液(50mMのTris−HCl、10mMのMgCl、1mMのEDTA、0.1mMのベンズアミジン、2U/mLのアデノシンデアミナーゼ、pH6.5)、32.4nMの[H]DPCPX(8−シクロペンチル−1,3−ジプロピルキサンチン)(800.000dpm)および100μMのNECA(5’−N−エチルカルボキサミド−アデノシン)を、全量100μLで、30分間、室温でインキュベートして、非特異的結合または試験化合物を規定する。ワットマンGF/Cガラス繊維フィルター(事前に、3時間、0.5%のポリエチレンイミンに浸漬したもの)で25Hgmm真空下に濾過し、96−ウェルのブランデル社製セルハーベスターを用いて、氷冷50mMのTris−HCl(pH6.5)1mLで4回洗浄する。活性の検出:ベータ線測定器(1450 Microbeta、Wallac)で、HiSafe−3カクテル200μLの存在下。阻害[%]=100−((試験化合物存在下での活性−非特異的活性)/(全活性−非特異的活性))*100。
【0140】
結論
本発明者らは、化合物が、本発明者らの実験条件下、1μMで、80%より大きな活性をもってヒトアデノシンA受容体に対する放射リガンドの結合を阻害する場合、その化合物を生物学的に活性とみなす。
【0141】
スキャッチャード分析(G.Scatchard、Ann.N.Y.Acad.Sci.、51、660、1949)を利用して、アイソトープ飽和試験により、CHO−hA膜調製物に対する[125I]AB−MECAの解離定数(K)を決定する。Cheng−Prusoff方程式(Y.J.ChengおよびW.H.Prusoff、Biochem.Pharmacol.、22、3099、1973)を適用することにより、IC50を親和定数(K)に変換する。
【0142】
一般式(I)のいくつかの化合物は、顕著な生物学的効果を示した。一般式(I)の最も活性な化合物は、請求項2〜4において定義されている化合物であった。実施例において与えられた化合物は、特に有利であり、それらのK値は、0.5nMと900nMの範囲、好ましくは0.5nMと700nMの範囲である。最も有利な化合物のK値は、0.5nM18nMの範囲、最も好ましくは0.5と15nMの範囲である。
【0143】
本化合物は、良好な生物学的利用能を有し、かつ、ヒトアデノシンA、A2aおよびA2b受容体サブタイプと比較して少なくとも1,000倍の選択性を有する。
【0144】
さらに、静脈内投与および経口投与時のそれらの作用の持続は長く、それらのED50値は低く、それらの毒物学的プロフィールおよび副作用プロフィールは有利である。
【0145】
これら上記データから、一般式(I)の化合物は、治療適用に有望である。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】一般式(1)の化合物を示す。
【図2】一般式(I)の化合物を示す。
【図3】一般式aの基を示す。
【図4】一般式(I)の化合物のデスモトロープ異性体を示す。
【図5】一般式(I)の化合物のデスモトロープ異性体を示す。
【図6】一般式(I”)の化合物を示す。
【図7】一般式(II”)の化合物を示す。
【図8】一般式(III”)の化合物を示す。
【図9】一般式(IV”)の化合物を示す。
【図10】一般式(V”)の化合物を示す。
【図11】一般式(VI”)の化合物を示す。
【図12】一般式(VII”)の化合物を示す。
【図13】一般式(VIII”)の化合物を示す。
【図14】一般式(XIII”)の化合物を示す。
【図14−1】一般式(XIII”)の化合物を示す。
【図15】一般式(XIV”)の化合物を示す。
【図15−1】一般式(XIV”)の化合物を示す。
【図16】反応スキーム1を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I){式中、
は、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;
は、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;
は、水素原子、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、フェニル、チエニルもしくはフリル基(これらは、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子の1つまたは複数で場合により置換されている。)を表し、または、1個、2個または3個の窒素原子を含む6または5員の複素芳香環、または1個の窒素原子および1個の酸素原子、もしくは1個の窒素原子および1個のイオウ原子を含む5員複素芳香環(これらは、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子の1つまたは複数で場合により置換されている。)を表し;
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、C3〜6シクロアルキル基または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基[これは、アミノ基を、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基または(直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基で置換された)アルコキシ基の1つまたは2つで置換されたアミノ基を場合により含む。]を表し;または
は、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、および
は、水素原子、−SOOH基または直鎖もしくは分枝のC1〜4アシル基を表し、または
およびRは、窒素原子と一緒になって、一般式a.)(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表す。)の基を形成し;
は、水素原子、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、フェニル、ベンジル、チエニルまたはフリル基(これらは、メチレンジオキシ基で、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基またはハロゲン原子の1つまたは複数で場合により置換されている。)を表し、または、1個、2個または3個の窒素原子、または1個の窒素原子および1個の酸素原子、または1個の窒素原子および1個のイオウ原子を含む6または5員の複素芳香環(これは、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子の1つまたは複数で場合により置換されている。)を表し;
Xは、−CH−基、−NH−基、−NR−基(Rは、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表す。)、イオウ原子、酸素原子、スルホ基またはスルホキシ基を表し;
Zは、酸素原子イオウ原子、−CHR10−基または−NR11−基を表し、R10は、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表し、R11は、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、−SOOH基または直鎖もしくは分枝のC1〜4アシル基を表し;
nは、0、1または2を表し;
mは、1、2、または3を表し;
oは、1、2、または3を表し;
pは、0または1を表し;
rは、0または1を表す。}
の化合物、およびこれらの塩、溶媒和物、異性体(互変異性体、デスモトロープ、光学活性異性体)、加えてこれらの塩および溶媒和物。
【請求項2】
が、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;
が、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;
が、水素原子、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、フェニル、チエニルもしくはフリル基(これらは、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子の1つまたは複数で場合により置換されている。)を表し;
およびRが、それぞれ独立に、水素原子、C3〜6シクロアルキル基、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基[これは、アミノ基を、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または(直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基で置換された)アルコキシ基の1つまたは2つで置換されたアミノ基を場合により含む。]を表し;または
が、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、および
が、水素原子、−SOOH基または直鎖もしくは分枝のC1〜4アシル基を表し、または
およびRが、窒素原子と一緒になって、一般式a.)(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表す。)の基を形成し;
が、水素原子、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、フェニル、ベンジル、チエニルまたはフリル基(これらは、メチレンジオキシ基で、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基またはハロゲン原子の1つまたは複数で場合により置換されている。)を表し、または、1個、2個または3個の窒素原子、または1個の窒素原子および1個の酸素原子、または1個の窒素原子および1個のイオウ原子を含む6または5員の複素芳香環(これは、1つまたは複数の直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子で場合により置換されている。)を表し;
Xが、−CH−基、−NH−基、−NR−基(Rは、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表す。)、イオウ原子、酸素原子、スルホ基またはスルホキシ基を表し;
Zが、酸素原子、イオウ原子、−CHR10−基または−NR11−基を表し、R10は、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、またはC3〜6シクロアルキル基を表し、R11は、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、−SOOH基またはホルミル基を表し、;
nが、0、1または2を表し;
mが、1、2、または3を表し;
oが、1、2、または3を表し;
pが、0または1を表し;
rが、0または1を表す
請求項1に記載の一般式(I)の化合物、およびこれらの塩、溶媒和物、異性体(互変異性体、デスモトロープ、光学活性異性体)、加えてこれらの塩および溶媒和物。
【請求項3】
が、水素原子またはメチル基を表し;
が、水素原子またはメチル基を表し;
が、フェニル−、チエニルまたはフリル基を表し;
およびRが、それぞれ独立に、水素原子、C3〜6シクロアルキル基、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基[これは、アミノ基を、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基または(直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基で置換された)アルコキシ基の1つまたは2つで置換されたアミノ基を場合により含む。]を表し;または
が、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、および
が、水素原子、−SOOH基またはホルミル基を表し、または
およびRが、窒素原子と一緒になって、一般式a.)(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表す。)の基を形成し;
が、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、3−メトキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル基、4−フルオロフェニル、2−チエニルまたは2−フリル基を表し;
Xが、−NH−基または酸素原子を表し;
Zが、酸素原子、イオウ原子、−CH−基、−NH−基または−NR11−基を表し、R11は、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、−SOOH基またはホルミル基を表し;
nが、1を表し;
mが、2を表し;
oが、2を表し;
pが、0を表し;
rが、0を表す
請求項1または2に記載の一般式(I)の化合物、およびこれらの塩、溶媒和物、異性体(互変異性体、デスモトロープ、光学活性異性体)、加えてこれらの塩および溶媒和物。
【請求項4】
4−メトキシ−N−[6−(モルホリン−4−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル]−ベンズアミド
4−メトキシ−N−[6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル]ベンズアミド
4−メトキシ−N−(6−ジメチルアミノ−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
3,4−メチレンジオキシ−N−(6−ジメチルアミノ−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
4−フルオロ−N−(6−ジメチルアミノ−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
4−メトキシ−N−(6−(ピペラジン−1−イル)−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
4−メトキシ−N−(6−アミノ−4−ベンジルアミノ−3−シアノキノリン−2−イル)ベンズアミド
N−[4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−6−(4−ホルミルピペラジン−1−イル)キノリン−2−イル]−4−メトキシベンズアミド
4−{4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−2−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]キノリン−6−イル}ピペラジン−1−スルホン酸
N−{3−シアノ−6−(ホルミルアミノ)−4−[(2−チエニルメチル)アミノ]キノリン−2−イル}−4−メトキシベンズアミド
N−{3−シアノ−6−(ホルミルアミノ)−4−[(2−チエニルメチル)アミノ]キノリン−2−イル}−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボキサミド
N−[4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−6−(ホルミルアミノ)キノリン−2−イル]−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボキサミド
N−[4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−6−(ホルミルアミノ)キノリン−2−イル]−4−メトキシベンズアミド
N−{4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−6−[ホルミル(メチル)アミノ]キノリン−2−イル}−4−メトキシベンズアミド
N−{3−シアノ−6−[ホルミル(メチル)アミノ]−4−[(2−チエニルメチル)アミノ]キノリン−2−イル}−4−メトキシベンズアミド
{3−シアノ−2−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]−4−[(2−チエニルメチル)アミノ]キノリン−6−イル}メチルスルファミン酸
{4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−2−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]キノリン−6−イル}メチルスルファミン酸
{4−(ベンジルアミノ)−3−シアノ−2−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]キノリン−6−イル}スルファミン酸
[2−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]−4−(ベンジルアミノ)−3−シアノキノリン−6−イル]スルファミン酸
{2−[(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルカルボニル)アミノ]−3−シアノ−4−[(2−チエニルメチル)アミノ]キノリン−6−イル}スルファミン酸
{3−シアノ−2−[(4−メトキシベンゾイル)アミノ]−4−[(2−チエニルメチル)アミノ]キノリン−6−イル}スルファミン酸
の請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、およびこれらの塩、溶媒和物、異性体(互変異性体、デスモトロープ)、加えてこれらの塩および溶媒和物。
【請求項5】
一般式(I)[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、X、Z、n、o、p、rおよびmの意味は、請求項1に定義したとおりである。]の化合物ならびにこの塩、溶媒和物および異性体を調製するための方法であって、
v)一般式(II”)のビス−カルボキサミド{式中、
1”は、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;
2”は、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基を表し;
3”は、水素原子、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、フェニル、チエニルまたはフリル基(これらは、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子の1つまたは複数で場合により置換されている。)を表し、1個、2個または3個の窒素原子を含む6または5員の複素芳香環、または1個の窒素原子および1個の酸素原子、もしくは1個の窒素原子および1個のイオウ原子を含む5員複素芳香環(これらは、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子の1つまたは複数で場合により置換されている。)を表し;
4”およびR5”は、それぞれ独立に、水素原子、C3〜6シクロアルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基[これは、アミノ基を、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基または(直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基で置換された)アルコキシ基の1つもしくは2つで置換されたアミノ基を場合により含む。]または保護基を表し;または
4”は、水素原子または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、および
5”は、水素原子、−SOOH基または直鎖もしくは分枝のC1〜4アシル基または保護基を表し、または
4”およびR5”は、窒素原子と一緒になって、ニトロ基または一般式a.)(式中、R7”およびR8”は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表す。)の基を形成し;
6”は、水素原子、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、フェニル、ベンジル、チエニルまたはフリル基(これらは、メチレンジオキシ基で、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基またはハロゲン原子の1つまたは複数で場合により置換されている。)を表し、または1個、2個または3個の窒素原子、または1個の窒素原子および1個の酸素原子、または1個の窒素原子および1個のイオウ原子を含む6または5員の複素芳香環(これは、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルコキシ基またはハロゲン原子の1つまたは複数で場合により置換されている。)を表し;
X”は、−CH−基、−NH−基、−NR9”基(R9”は、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表す。)、イオウ原子、酸素原子、スルホ基またはスルホキシ基を表し;
Z”は、酸素原子イオウ原子、−CHR10”−基または−NR11”−基を表し、R10”は、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表し、R11”は、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、C3〜6シクロアルキル基、−SOOH基または直鎖もしくは分枝のC1〜4アシル基を表し、;
n”は、0、1または2を表し;
m”は、1、2、または3を表し;
o”は、1、2、または3を表し;
p”は、0または1を表し;
r”は、0または1を表す。}
を選択的に加水分解し、所望により保護基を除去することを特徴とする、または
v/i.)一般式(I)[式中、Rは水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、およびRは直鎖もしくは分枝のC1〜4アシル基を表し、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、一般式a.)(式中、Zは−NR11基を表し、R11は直鎖もしくは分枝のC1〜4アシル基を表す。)の基を形成し、R、R、R、R、R、R、R、X、n、m、o、pおよびrは上記で定義した通りである。]の化合物を調製するために、
一般式(I)[式中、Rは水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、およびRは水素原子表し、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、一般式a.)(式中、Zは−NH基を表す。)の基を形成し、R、R、R、R、R、R、R、X、n、m、o、pおよびrは上記で定義した通りである。]の化合物を、
一般式R12”COY”(式中、R12”およびY”は、上記で定義した通りである。)の化合物によりアシル化することを特徴とする、または、
v/ii.)一般式(I)[式中、Rは水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、およびRは−SOOH基を表し、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、一般式a.)(式中、Zは−NR11−基を表し、R11は−SOOH基を表す。)の基を形成し、R、R、R、R、R、R、R、X、n、m、o、pおよびrは上記で定義した通りである。]の化合物を調製するために、
一般式(I)[式中、Rは水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、およびRは水素原子を表し、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、一般式a.)(式中、Zは−NH−基を表す。)の基を形成し、R、R、R、R、R、R、R、X、n、m、o、pおよびrは上記で定義した通りである。]の化合物を、
ピリジン−SO錯体またはClSOHと反応させることを特徴とする、または
v/iii.)一般式(I)[式中、Rは水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基を表し、Rは−SOOH基を表し、R、R、R、R、R、R、R、X、Z、n、m、o、pおよびrは上記で定義した通りである。]の化合物を調製するために、
一般式(XIII”)(R、R、R、R、R、X、およびnは上記で定義した通りである。)の化合物を、
NaまたはNaHSOと反応させ、または還元し、
このようにして得られた一般式(XIV”)(式中、R4”は水素原子を表し、R1”、R2”、R3”、R6”、R9”、X”およびn”は上記で定義した通りである。)の化合物を、
所望により、R4”水素原子を直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはベンジル基に変換した後、ピリジン−SO錯体またはClSOHにより硫酸化することを特徴とする、または
v/iv.)一般式(I){式中、Rは、水素原子、C3〜6シクロアルキル基、ベンジル基、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基[これは、アミノ基を、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基または(直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基で置換された)アルコキシ基の1つまたは2つで置換されたアミノ基を場合により含む。]を表し、および、Rは水素原子を表し、またはRおよびRは、窒素原子と一緒になって、一般式a.)(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表し、Zは−NR11−基を表し、R11は水素原子を表す。)の基を形成する。}の化合物を調製するために、
一般式(I”){式中、R4”は、水素原子、C3〜6シクロアルキル基、ベンジル基、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基[これは、アミノ基を、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基または(直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基で置換された)アルコキシ基の1つもしくは2つで置換されたアミノ基を場合により含む。]を表し、および、R5”は保護基を表し、またはR4”およびR5”は、窒素原子と一緒になって、一般式a”.)(式中、R7”およびR8”は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表し、Zは−NR11”基を表し、R11”は保護基を表す。)の基を形成する。}の化合物の保護基を除去し、
および、所望により、かくして得られた一般式(I)の化合物の置換基を、知られている方法により互いに変換し、および/またはかくして得られた一般式(I)の化合物を、その塩または溶媒和物に変換し、またはその塩または溶媒和物から遊離させ、および所望により、その光学活性異性体に分割し、および所望により、所与のデスモトロープを別のデスモトロープの形態に変換することを特徴とする、
前記方法。
【請求項6】
選択的加水分解が、アルコール媒体中に溶解されたアルカリ水酸化物、好ましくはメタノール性水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム溶液を用いて実施されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
1種または複数の一般式(I)(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、X、Z、n、m、o、pおよびrは請求項1に定義した通りの意味を有する。)の化合物、および/またはこれらの塩、溶媒和物、異性体(互変異性体、デスモトロープ、光学活性異性体)、これらの塩、溶媒和物、ならびに製薬業で一般に使用されている1種または複数の助剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項8】
請求項3に記載の化合物の1種または複数を活性物質として含むことを特徴とする請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
受容体Aがその発症において役割を果たす疾患を治療する医薬組成物を製造するための、一般式(I)(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、X、Z、n、m、o、p、およびrは請求項1に定義した通りの意味を有する。)の化合物、これらの塩、溶媒和物および異性体の使用。
【請求項10】
心臓、腎臓、呼吸器官および中枢神経系の疾患を治療し、および、腫瘍細胞の増殖におけるアデノシンの保護を抑制し、肥満細胞の脱顆粒を防止し、サイトカイン産生を抑制し、眼内圧を低下させ、TNFα放出を抑制し、好酸球、好中球およびその他の免疫細胞の遊走を抑制し、気管支収縮および血漿の管外遊出を抑制する医薬組成物を製造するための、Aリガンドとしての請求項9に記載の一般式(I)(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、X、Z、n、m、o、p、およびrは請求項1に定義した通りの意味を有する。)の化合物、これらの塩、溶媒和物および異性体の使用。
【請求項11】
心筋再潅流障害、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および(慢性気管支炎、肺気腫または呼吸困難を含めた)成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、アレルギー性反応(例えば鼻炎、ウルシ誘発反応、じんま疹、強皮症、関節炎)、その他の自己免疫疾患、炎症性腸疾患、アジソン病、クローン病、乾癬、リウマチ、高血圧症、神経機能障害、緑内障および糖尿病を治療または予防するための、抗炎症薬、抗ぜん息薬、抗虚血薬、抗うつ薬、抗不整脈薬、腎保護薬、抗腫瘍薬、抗パーキンソン病薬および向知性薬の組成物を製造するための、A受容体アンタゴニストとしての請求項10に記載の一般式(I)(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、X、Z、n、m、o、p、およびrは請求項1に定義した通りの意味を有する。)の化合物、これらの塩、溶媒和物および異性体の使用。
【請求項12】
喘息、COPDおよびARDS、緑内障、腫瘍、アレルギー性反応、炎症性疾患、虚血、低酸素症、不整脈および腎疾患などの疾患を治療する医薬組成物を製造するための、A受容体アンタゴニストとしての請求項10および11に記載の一般式(I)(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、X、Z、n、m、o、p、およびrは請求項1に定義した通りの意味を有する。)の化合物、これらの塩、溶媒和物および異性体の使用。
【請求項13】
一般式(I”){式中、R1”、R2”、R3”、R6”、R7”8”X”、n”、m”、o”、p”、およびr”の意味は、請求項5に定義した通りであり、R4”は、水素原子、C3〜6シクロアルキル基、ベンジル基、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基[これは、アミノ基を、または直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、または(直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基で置換された)アルコキシ基の1つもしくは2つで置換されたアミノ基を場合により含む。]を表し、およびR5”は保護基を表し、またはR4”およびR5”は、窒素原子と一緒になって、一般式a”.)(式中、R7”およびR8”は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖もしくは分枝のC1〜4アルキル基またはC3〜6シクロアルキル基を表し、Zは−NR11”基を表し、R11”は保護基を表す。)の基を形成する。}の化合物。
【請求項14】
1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”8”X”、Z”、n”、m”、o”、p”およびr”の意味が、請求項5に定義した通りである一般式(II”)の化合物。
【請求項15】
1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R7”、R8”、X”、Z”、n”、m”、o”、p”およびr”の意味が、請求項5に定義した通りである一般式(III”)の化合物。
【請求項16】
4”、R5”、R7”、R8”、Z”、m”、o”、p”およびr”の意味が、請求項5に定義した通りである一般式(IV”)の化合物。
【請求項17】
4”、R5”、R7”、R8”、Z”、m”、o”、p”およびr”の意味が、請求項5に定義した通りである一般式(V”)の化合物。
【請求項18】
4”およびR5”が、窒素原子と一緒になって、ジメチルアミノ基およびアミノ基とは異なる意味を有することを条件として、R4”、R5”、R7”、R8”、Z”、m”、o”、p”およびr”の意味が、請求項5に定義した通りである一般式(VI”)の化合物。
【請求項19】
4”およびR5”が、窒素原子と一緒になって、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基およびアミノ基とは異なる意味を有することを条件として、R4”、R5”、R7”、R8”、Z”、m”、o”、p”およびr”の意味が、請求項5に定義した通りである一般式(VII”)の化合物。
【請求項20】
4”およびR5”が、窒素原子と一緒になって、モルホリノ、N−メチルピペラジノ、ピペラジノまたは4−ベンジルピペラジノ基を表す一般式(VIII”)の化合物。
【請求項21】
置換基R1”、R2”、R3”、R6”、およびn”の意味が、請求項5に定義した通りである一般式(XIII”)の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図14−1】
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【図15】
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【図15−1】
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【図16】
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【公表番号】特表2007−500689(P2007−500689A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521678(P2006−521678)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/HU2004/000080
【国際公開番号】WO2005/009969
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】